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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その23
610 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:06:41.70 ID:2SvNj6co
〜華国、繁華街〜

戦士「…いよーっし、メシだメシ!」

魔道士「さっき酒場で食べたじゃないですかっ」

戦士「ありゃ軽食。これからは昼食」

魔道士「はぁ……」

戦士「夜は張り込みだ、今の内じゃねーとガッツリ食えねーぞ?」

魔道士「夜食べればいいじゃないですか〜」

戦士「臭いでバレんだろ。相手は魔物だぞ」

魔道士「…・・・おぉー」

戦士「なにが『おぉー』だよ」

魔道士「いえ、以前はそんな事気にもしなかったのに……」

戦士「成長してますからね、い・ち・お・う!」

魔道士「冷やかして言ったわけじゃないですよぉー」

戦士「分かってるよ。ほれ、そこの料理屋にすっか」

魔道士「はいっ」


611 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:08:10.28 ID:2SvNj6co
ガラッ…テクテクテク

料理人「いらっしゃいアル!」

戦士「餃子と餡かけ炒飯、麻婆豆腐に肉野菜炒め。ライス大盛」

魔道士「!?」

料理人「以上でいいアルか?」

魔道士「ち、ちょっと待って下さいっ!」

パラパラパラッ

魔道士「えっと…チャーシュー麺っ、にんにく抜きで!」

料理人「分かったアル」

テクテクテク…ジャッジャッジャッ

魔道士「戦士さんて華国料理、好きですよねぇ〜」

戦士「だって美味いじゃん」

魔道士「いや、まぁ…美味しいですけど……」

戦士「。それによ、なんかこう…内からパワーが湧いてくるって感じ?」

魔道士「華国には特殊な香辛料とか調味料が、沢山ありますからね〜」


612 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:08:56.59 ID:2SvNj6co
テクテクテク…ガチャガチャッ

料理人「はい、お待たせアル」

戦士「おほぉ、美味そう〜!」

魔道士「頂きます〜」

戦士「……んおっ!こりゃうんめぇ!!」

魔道士「餃子1個貰いますねっ」

戦士「おう、食え食え……」

魔道士「……どうしたんですか?」

戦士「…あれ、この味……っ」

魔道士「……?」

戦士「なぁオヤジ、あんたお弟子はいるかい?」

料理人「弟子…?住み込みで働いてたのは何人もいるアルよ」

戦士「…そっか」

魔道士「?」

戦士「ま、いいや!しっかし……美味いなぁ!」


613 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:10:09.34 ID:2SvNj6co


戦士「ごっそさーん」

魔道士「ご馳走様でした!」

料理人「また来るアル」

ガチャッ…テクテクテク

魔道士「…はーっ、お腹いっぱいです」

戦士「さーて、あとは少し仮眠を取って…夜に備えるか」

魔道士「ですねっ」

戦士「宿は多少割高でも、大通りのデカくて綺麗な個室の取れる所にしよう」

魔道士「……はい」

テクテクテク

魔道士「さっきの料理屋さん、行った事あるんですか?」

戦士「いやーないけどさ、北の港にソックリな味の店が……」

魔道士「あっ、だからお弟子さんを聞いて……」

戦士「どうでもいいちゃどうでもいい事だけどよ。世界って意外と狭いもんだよな」


614 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:14:32.05 ID:2SvNj6co
〜宿〜

フロント「…では2名様、別のお部屋でございますね」

戦士「ああ」

魔道士「お願いします」

フロント「こちらがお部屋の鍵でございます」

戦士「どーも」

スタスタスタ

戦士「そんじゃ18時にフロント集合で」

魔道士「分かりました!」

戦士「しっかり休んでおけよ〜」

魔道士「はーい」

テクテクテク…

魔道士「……気を遣わなくてもいいのに」

一足先に自室へと向かう戦士を背後から見つめ、魔道士は微笑んだ。

そして時刻は過ぎ、18時を迎える。


615 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:16:25.72 ID:2SvNj6co


魔道士「お待たせしました」

戦士「今日は軽装でいいぞ」

魔道士「そう思ってバッチリ!防寒だけしっかし整えて来ましたっ」

戦士「偉いっ」

魔道士「えへへ〜!!」

戦士「さーてと、それじゃ…分かれ道目指して出発〜」

魔道士「おーっ!」

戦士「…と、その前に。まずは馬を取りに行かなきゃな」

魔道士「そういえばお城へ預けっぱなしでしたね…」

戦士「ああ」

魔道士「それでは、お城に向かって出発〜」

戦士「おー」

魔道士「……私、乗れませんよ?」

戦士「……分かってるよ」


616 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:17:14.89 ID:2SvNj6co
〜東の城〜

衛兵「こちらの馬ですね?」

戦士「そうそう。おーしおしおし」

衛兵「なかなかの良馬。本国の南方の産駒ですかな?」

戦士「分かるのか!?」

衛兵「この毛ヅヤの良さは天候と気候に恵まれているからです」

魔道士「へぇ〜っ」

衛兵「南方の馬は柔軟性に富んだ、良い馬ですよ」

戦士「でもよ、赤兎には敵わねぇよな…?」

衛兵「――!?……赤兎を…ご存知で!?」

戦士「…ああ。まぁな」

衛兵「あれ程の馬は金輪際見ないでしょうね……」

戦士「そんなにか…」

衛兵「気性は荒いけど、力強くて逞しい。実に素晴らしい馬でした」

戦士「……」


617 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:18:14.84 ID:2SvNj6co
衛兵「おっと、すみません。無駄話でした」

魔道士「いえっ、そんな事…ないですよ」

衛兵「どうぞ」

戦士「…よし」

グイッ…

戦士「乗れっか?」

魔道士「はいっ、何とか……」

ググッ…ストッ

戦士「ところで白馬騎士さんの馬が見当たらんが……」

衛兵「ええ、昼頃お出かけに。またお忍びで巡回だと思いますよ」

戦士「……ふぅん」

衛兵「では、お気を付けて!」

戦士「世話になりました。……そんじゃ!」

魔道士「ありがとうございましたーっ!」

二人の乗る馬が上半身を小さく仰け反らせ、勢い良く厩舎を飛び出した。


618 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:19:08.18 ID:2SvNj6co
パッカパッカ…ドドッドドッドドッ…

戦士「このまま分かれ道まで進むぞ!」

ドドッドドッドドッ…

魔道士「はいっ!!」

ドドッドドッドドッ…

戦士「もし魔物が現れても仕掛けるなよ!防御体勢をとれっ!」

ドドッドドッドドッ…

魔道士「はいっ!!」

ドドッドドッドドッ…

戦士「不審な人間が居たら近づくな!知らせろっ!」

ドドッドドッドドッ…

魔道士「はいっ!!」

ドドッドドッドドッ…

戦士「……さぁ、飛ばすぞ!!」

魔道士「はいっ!!」


619 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:20:04.54 ID:2SvNj6co
街を外れると周囲は完全な闇となり、耳へ入るのも風の音か野鳥の羽音程度。

本国であれば通りすがる通行人の松明などあろうが、ここにはそれもない。

それは即ち、人気がない、という事の証明ともなり得る。

〜分かれ道〜

魔道士「……っ」

戦士「寒いのか?」

魔道士「い、いえっ。改めて見ると…不気味だな……って」

戦士「今更何を言ってんだか……」

魔道士「だから改めてって言ってるじゃないですかっ」

スタスタスタ

魔道士「ちょっとぉ!?」

戦士「大きな声出すんじゃねぇ…っ。早く来い」

魔道士「……っ」

タッタッタッタ

戦士「この茂みで張るぞ。ここにいろ」


620 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:21:22.58 ID:2SvNj6co
魔道士「ど、どこ行くんですかっ!?」

戦士「…馬を離れた所に置いてくるんだよ」

魔道士「そ、そうなんですか…っ!?」

戦士「傍に置いといたらバレちまうだろ」

魔道士「うぅ…っ。早く帰ってきて下さいよ〜」

戦士「……へいへい」

テクテクテクテク

戦士「ここいらでいいか――」

ピクッ!!

戦士「…!?」

普段であれば気付かぬであろう、一瞬の気配。それを感知させたは、

通常よりも警戒心を高めていたせいか、単身だからこその業か。

戦士(今のは魔物の感じじゃねぇ…っ!人のモンだ!)

ササッ!!

戦士(……確か、五虎将軍が言ってたな。威圧が出てるって)


621 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:22:17.32 ID:2SvNj6co
スゥッ…

戦士(ならば…その逆も然り!)

それは性格によるものかもしれないが、戦士は普段からあまり気配を隠さない。

なればこそ、五虎将軍らが述べるように、

威圧とも言うべき気配が、常時発せられている。

戦士(盗賊にだって出来ている事だ、俺だって……)

ッ…

盗賊に於いてはまさに気配を消す事こそ家業、いや、生まれながらにして

染み付いたとも言うべき、本人にとっては至って普通の行為。

毎日の排泄と等しく、気配を消す事は当たり前の行為なのだ。

戦士「…………」

とはいえ、普段より慣れていない戦士は気配を隠す事において非常に困難。

絶ったつもりであっても、微弱ながらそれは周囲に溢れ出す。

戦士(……来るっ!)

それに気付けるは、同じく威圧や気配を調節出来る、そのような存在のみだが。


622 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:23:00.38 ID:2SvNj6co
……ドドッドドッドドッ

戦士(……馬っ!?)

ドドッドドッドドッ…

戦士「――っ!!」

ドドッドドッ…ドドッ……

戦士「……今の……は」

茂みに身を忍ばせた戦士の元を走り去る馬とその主。

その馬は巨体を跳躍させ、そのそそり立つ赤毛の鬣を揺らし、走り去って行った。

戦士「赤兎……っ!?い、いや……それより」

紛れもなく、見間違うわけもない巨馬は騎都尉の愛馬、赤兎。

いや、今は亡き騎都尉の元を離れ、ある男の所有馬と相成っている。

戦士「……け、剣士……さんっ!?」

ガバッ!!…キョロキョロッ

戦士「……っ!」

我に返った戦士は、大慌てで魔道士の元へと走りだした。


623 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:23:51.68 ID:2SvNj6co
タッタッタッタ…ガサッ

魔道士「――!?」

戦士「……はぁ…はぁ」

魔道士「お、驚かさないで下さいよっ!」

戦士「…すまん、行くぞ!」

魔道士「い、行くって……どこに!?」

戦士「いいから来い!」

魔道士「ま、待って下さいって!」

タッタッタッタッタ

魔道士「け、剣士さんが…っ?!」

戦士「ああ…間違いない。ありゃ赤兎だ」

魔道士「乗っていたのは剣士さんなんですか!?」

戦士「顔は見えなかったが、まず間違いないだろう」

魔道士「……っ」

戦士「あれだけの暴れ馬、一朝一夕で乗りこなせるわけがない」


624 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/05(水) 18:25:38.07 ID:2SvNj6co
タッタッタッタッタ

魔道士「な、なるほど……」

戦士「そうなると長期間所有している奴じゃなきゃ無理だろ」

魔道士「……っ」

戦士「それに、剣士さんが赤兎を手放す理由がねぇ」

魔道士「でもっ、何で剣士さんが…!?」

戦士「それを確かめにいくんだよ!」

魔道士「……」

戦士「こんな時間に単身、馬をかっ飛ばすなんぞ普通とは思えねぇ」

魔道士「な、何かあったんでしょうか…!?」

戦士「どうだかな。ほれ、馬に乗れ」

魔道士「はいっ」

戦士「真っ向から追うのは悟られる。少し迂回して行くぞ」

魔道士「お任せします…!」

戦士「……追いつけると…いいがなっ!」


629 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/06(木) 03:04:44.63 ID:7Lk4mcSO
>>1乙!
今、まとめ読み返してるけど
1年ちょいの月日はさすがにすごいな!ボリュームたっぷりwwwwww
リアルタイムでは気づかなかった伏線もニヤニヤしながら見ている

ダメ召喚士がクールなまとめ役かつ
地味に大きな将器あふれるキャラに
成長しているんだなと実感したわ


631 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/06(木) 10:05:06.22 ID:/PAPo6Eo
読み返して思ったが南方では召喚士が、東方では青年兵が女装したんだが
方角と属性が同じなんだよな


つまり残りの司令部で神官とサモナーの女装も見れるわけか
そして4人の女装子が揃った時には5人目の名代子が現れるんだな
オラ、ワクワクしてきたぞwwwwww


632 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/06(木) 15:09:59.45 ID:j6gOeQko
そこに気付くとはやはり天才か…


634 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/06(木) 17:51:21.91 ID:n8BQA.AO
つまり>>630=マスク・ド・ジーニアスか


635 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/01/06(木) 18:06:02.66 ID:JlCjllYo
何だかよく分からないけど天才が変な方向に…っ!?

読み返して頂いてるなんて逆に申し訳ないくらいっす!
努力と根気は皆様のご支援で出来てます!オスメス問わず

ちなみに>>631は初めて知りました!伏線として…使えねぇ!↓続き



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