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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その33
645 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:26:35.61 ID:Qt6nhP2Go
〜満月まであと9日。西の砦、北側〜

女隊員「ふいーっ。仮設テントはこんなもんでいいッスかぁ?」

男隊員「おーう。こっちも終わったぞー」

ザッザッザ…バサッ

天才「よう。無事か?」

隊長「思ったより軽傷ですよ。痛みもないですから」

天才「……治りが早いってレベルじゃねーぞおい。無茶すんなよ」

隊長「魔方陣五行、明日でしょう? それまでには間に合わせますよ」

天才「夜の余計な攻防で他の連中も魔力消費しちまったからなぁ」

隊長「……」

天才「ま、そうは言っても相手が止まってくれるわけじゃねぇし」

格闘家「止めろ、という事ですか?」

天才「出来るならそうして貰いてぇもんだわ」

西方副司令「総動員でやるだけやってみましょうか?」

天才「んーまぁ、あの馬鹿ももうじき到着するだろうし、やってみっか」


646 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:27:14.06 ID:Qt6nhP2Go


ザッザッザ

戦士「しっかし、でこぼこで歩きずらいったらねぇわな」

魔道士「ほんとですね……。何でこんな急に……」

盗賊「あの一撃のせいかもしれないな」

魔道士「そうなんですか?」

召喚士「おそらく、起点から円状に爆発を起こしたと思います」

盗賊「だから、周辺に衝撃が起こり、吹き飛んだ砂で隆起した」

戦士「こんな所までかぁ!?」

召喚士「可能性は高いと思うよ。何たって、砦まで爆風が来たくらいだもん」

魔道士「そ、そうですよね……っ」

戦士「仕方ねぇ。とにかくあるくしかないって……か」

盗賊「もうじき着くさ」

魔道士「調査隊を任されたからには、しっかり務めないとですねっ!」

召喚士「ええ」


647 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:28:16.89 ID:Qt6nhP2Go


ザッザッザ

戦士「まだかよ……」

盗賊「そろそろだろ」

召喚士「ん……? あれか?」

ザッザッザ…ピタッ

魔道士「え……っ!?」

戦士「お、おいおい……っ!!」

盗賊「――っ!!」

4人が目にしたもの。それは西方では在り得ないようなものであった。

召喚士「……湖!? いやっ、まさか……違う! あの一撃で……っ」

盗賊「海水が流れ込んだんだ……地形を変えて……っ」

戦士「マジかよ……っ!」

召喚士「盗賊さん、どのくらい歩いたか分かりますか?」

盗賊「3時間程度かな。具体的には分からんが」


648 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:31:20.80 ID:Qt6nhP2Go
召喚士「湖の形から考えると、爆発の起点は更に倍はあるかもしれませんね」

魔道士「!?」

戦士「そ、そこまでの威力かよ……」

召喚士「危なかった……。あと少し角度がずれていれば……」

魔道士「いれば……な、何ですっ?」

盗賊「考えてみよ。この先に何がある?」

戦士「……三日月島……っ」

魔道士「だだっ、大丈夫ですよね!?」

召喚士「まぁ、流石にそこまでは届いていないようですが、多少は影響あるかもしれませんね」

盗賊「青年兵や西方司令も心配だな」

戦士「ああ、そういや迎えに行ってるんだよな」

召喚士「……とにかく、砦に戻ってこの事を報告しましょう」

魔道士「は、はいっ!」

戦士「砂漠に湖か……。今は惨劇だが、後々にはいいのかもしれないなぁ」

盗賊「不謹慎な事を言ってないで行くぞ」


649 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:33:51.33 ID:Qt6nhP2Go


ヒュウウゥゥゥゥ

砂漠に出来上がった湖の、召喚士ら4人ちと対岸に位置する場所。西方の海岸沿い。

西方司令「……う、うぅ」

青年兵「だ、大丈夫ですか!? 水は……」

西方司令「し、死ぬううぅぅぅぅ……もう……駄目だぁ」

青年兵「本当に申し訳ありません……。唐突な事で、完全によけきれず」

……――

数時間前、三日月島の西方司令部を出発したバハムートは、

青年兵と西方司令を背中に乗せ、ゆっくりと西の砦を目指していた。

西方司令「この腐れ雑魚!! もっと早く!! 迅速に飛べんのか!!」

青年兵「さ、流石にこの重さでは……危ないですので……」

西方司令「危ないだぁ〜? んな事ヌカしてるともっと危ない目に合わせてやろうかぁ? あぁ?」

青年兵「な、何でですかっ!」

西方司令「せっかくだ、こいつの切れ味試しちゃうぞおぉ! 首ちょんぱしてやろうかこるあぁ!!」


650 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:37:25.48 ID:Qt6nhP2Go
チカッ

青年兵「え……っ?」

ォォォォオオオオ

青年兵「んなっ――」

西方司令「な、なん――」

カッ!!…ドッズオオオオォォォォン!!

――……

青年兵「……しかし一体、あれは何だったんだろうか。まさか魔王の……!?」

西方司令「うああぁぁぁぁーっ! もう嫌だああぁぁーっ!!」

青年兵「はぁ。西方司令もこれだし、とにかく早く司令の武器を探さないと……」

西方司令「うわああああぁぁぁぁん!!」

青年兵「……はぁ。西方司令、気休めですけど僕の剣でも握ってて下さい」

パシッ…ギュッ

西方司令「死ぬううぅぅ……と思ったら大間違い。なんとか生きる喜びを噛み締めている俺」

青年兵「良かった。さて、それじゃ武器を探しに行きましょう」


651 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:51:10.75 ID:Qt6nhP2Go
ひとまずこれにて失礼をば。全然進まなくてごめんなさいねほんと…
沢山のご支援ありがとーです!それではまた!ノシ


652 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage] 投稿日:2011/11/10(木) 18:57:16.77 ID:z9lgPG9+o
青年兵「……はぁ。西方司令、気休めですけど僕の剣でも握ってて下さい」

パシッ…ギュッ

////


654 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage] 投稿日:2011/11/10(木) 20:19:20.88 ID:vIWZP2G+o
いちおつ
やっとマーマンさんの正体がわかると思ったのに
召喚士め、途中でヘタレやがって
もっとしっかりツッコめや


658 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/11/11(金) 01:24:31.43 ID:X7pzUKIAO
最後の西方指令の台詞ワロタww

最初はこんな愛すべきキャラになるとは思わんかったわ


659 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [] 投稿日:2011/11/11(金) 03:24:50.12 ID:loUZwbrl0
いちおつ
すごいな 魔王なみの威力だな


660 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage] 投稿日:2011/11/11(金) 11:10:35.63 ID:um2OXJQIO
八岐大蛇も巫女たん8人喰ってたらこんな強くなってたのかな


661 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/11(金) 17:44:21.79 ID:oyduOigLo


ドドッドドッドドッ

西方兵「ただいま戻りました」

神官「状況はどうです?」

王子「進路は変わらず。真っ直ぐ砦に向かってるよ」

神官「順調と言えば順調。あまり宜しくない話ですけれどね」

天才「まぁいいさ。魔法陣のチャンスは1回。描くのもギリギリを狙うぞ」

西方魔道長「だねぇ。また邪魔が入ったら厄介だしね」

タッタッタ…テクテク

召喚士「ただいま戻りました」

天才「おうご苦労。どうだった?」

戦士「予想以上の威力だった……。地形が変わってたよ」

隊長「!?」

召喚士「海岸線で爆発したようで……海水が流れ込み、湖が出来上がってました」

西方参謀「はぁ!? そ、そんなにかよ……っ」


662 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/11(金) 17:45:08.13 ID:oyduOigLo
盗賊「……2発目があるとするならば……まずいぞ」

神官「確かに。避難させたとは言え、これ以上西方の地を荒らされるのは些か許し難いですね」

天才「しゃーねぇ。馬鹿到着まで待とうかと思ったが、先に動くぞ」

王子「仕掛けるかっ!」

天才「ああ。朱雀の連中も帰ってきたし、あとは特遊が戻ってきたら始めよう」

西方副司令「でも、司令は出陣なさらないんですよね……?」

天才「だな。魔方陣五行の連中と神官、サモナー、隊長は待機だ」

隊長「俺もか?」

天才「怪我人だろうが。大人しくしてろ」

魔道士「サモナーさんも……疲労が激しいですもんね……っ」

西方参謀「神官殿は戦力になるのに、控えなのか?」

神官「申し訳ありません。私はもう、召喚出来ないのですよ」

西方参謀「……ヒック?」

神官「禁呪を施した私は既に人間と召喚獣に狭間にいます。魔法も召喚術も使えません」

召喚士「……っ」


663 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/11(金) 17:45:41.00 ID:oyduOigLo
戦士「なぁ、ところで魔方陣五行ってのは5人必要なんじゃねぇのか?」

天才「ああ」

戦士「あんたに西方魔道長、隊長、魔道士。あとは西方参謀か?」

西方参謀「おいおい、お前さんもラーヴァナ戦居ただろ。俺の活躍を見てなかったのかよ」

戦士「活躍してたっけ? ぼそぼそ」

盗賊「馬鹿者っ、聞こえるぞ」

西方参謀「……。とにかくな、魔力不足だ。俺じゃあ役に立たん……ヒック」

西方魔道長「さっきの水もスカスカだったしねぇ。もっとガブ飲みして魔力蓄積しなよ」

西方参謀「これ以上飲めるかっ! いくら酒好きでも許容範囲ってもんがあるわ!」

戦士「んで、結局誰なんだよ」

天才「どうしようか考えたが、ちょうどいいのが来たじゃねぇか。助っ人によ」

魔道士「丁度……? あっ!! マーマンさん!!」

天才「水行限定だが、あれ程頼もしい魔力の持ち主はいねーぜ」

戦士「マーマンか、確かにそうだよな!」

召喚士「あれ? ところで肝心のマーマンさんは……?」


664 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/11(金) 17:46:29.78 ID:oyduOigLo


マーマン「……」

タッタッタッタッタ

男隊員「やっと着いた。もう冬だってのに何でこんなあちーんだよ……」

女隊員「おやっ、確か……マーマンさんでしたっけ? 何してるんスか?」

マーマン「おう、ご苦労さん。何って見ての通り、日陰で水浴びだよ」

格闘家「……」

マーマン「こうでもしねーと、流石にここの気候は俺っちにゃあ地獄だよとほほ……」

女隊員「とほほって始めて聞いたッス……」

マーマン「んで、ネクロマンサーはどうだったよ?」

男隊員「この周辺にゃ、もういねーみたいだな」

格闘家「かなり北まで行ってみましたが、いたのはサンドワームくらいなもんです」

マーマン「ふーん。そんじゃ逃亡したのかねぇ」

男隊員「部下がことごとくやられたみたいだしな。多分そうだろ」

女隊員「それじゃ、私達はこれで失礼するッス! ご苦労様ッス!」


665 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/11(金) 17:47:27.61 ID:oyduOigLo


魔道士「あっ、戻ってきたみたいですよ」

男隊員「ただいま戻りましたーっと。隊長、もういいのかよ?」

隊長「軽傷だって言ったろ。1人で寝てるわけにゃいかねぇよ」

王子「そうそう。この程度の傷で寝てられないってね!」

神官「陛下。陛下も怪我人なんですからね」

王子「分かってるって。今回は無茶しないよ。メインディッシュの前に満腹なんて馬鹿だしね」

天才「おし。そんじゃこれから、あのデカブツの動き止める作戦を開始するぞ」

盗賊「……」

天才「出陣は召喚士、戦士、盗賊。男隊員、女隊員、格闘家。西方副司令、西方参謀」

召喚士「はい」

天才「お前らはデカブツの動きを止めつつ、閃光を使えなくするように務めてくれ」

西方参謀「絶対の任務じゃない。出来れば程度でいい。やばいと思ったら速やかに退却」

戦士「了解だ。やるだけやってやるさ」

魔道士「頑張って下さいね……っ、皆さん」


666 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/11(金) 17:49:09.35 ID:oyduOigLo
天才「んで次は、中間地点でサンドワームの退治役」

神官「進路上には居ないと思いますが両脇の南北から出来るだけ引き離して下さい」

天才「メンバーは西国の連中が中心だ」

神官「陛下を筆頭に、傭兵殿、親衛隊殿。それに西方軍30名程」

王子「おう。いつもやってる事だ、任せといてよ」

天才「頼むぞ。んで最後に進路上で援護を行う部隊」

西方副司令「西方司令部の魔道兵はここと魔物の中間地点で、それを担って頂戴」

魔道兵「ははっ!」

天才「以上。あとは青年兵と馬鹿が戻り次第、最前線へ投入する」

男隊員「なぁ、司令も隊長もいないとなると、前線は誰が指揮するんだよ?」

格闘家「西方副司令では?」

西方副司令「私は無理よ。補佐ですら精一杯なのに……」

天才「あー忘れてたわ。んじゃ……お前ね」

召喚士「……えっ!? お……俺!?」

天才「指揮能力から考えれば適任っつーか、消去法でお前しか残らねーや。ハーッハッハ!」


667 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/11(金) 17:50:11.86 ID:oyduOigLo


男隊員「そいじゃあ行くとしましょうかね、リーダー!」

女隊員「何でも指示して下さいッス!」

格闘家「……ふーっ」ゴキゴキッ

盗賊「前衛は私達で行こう」

戦士「モチロンだ。他に誰がやるんだっての」

ザッ

西方参謀「準備出来たぞ……っと。ヒック」

西方副司令「さぁ行きましょ。不甲斐ないばかりにごめんね。その代わり、補佐は任せて」

召喚士「……とにかく、やるだけやってみます。頑張りましょう!」

魔道士「召喚士さんならきっとうまく出来ますよっ! えへへ!」

天才「いいか、正面だけは絶対に避けろよ? そんじゃ行ってこい!」

戦士「おう。出発!」

王子「僕らが先にでるから、切り拓いた道をそのまま進んで!」

召喚士「うん。ありがとう。それでは……出撃します!」


668 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/11(金) 17:52:57.67 ID:oyduOigLo


サモナー「……ごほごほっ、がはっ」

ポタポタッ…ツツー

サモナー「……ふーっ」

テクテクテク

マーマン「!? お、おいあんたっ! 大丈夫……」

サモナー「気にしないでくれ。大丈夫だから」

マーマン「……っ」

サモナー「マーマンさんだったね。君とは1度、話してみたいと思っていたんだ」

マーマン「俺っちと……?」

サモナー「うん。先程、マーメイドと話をしていたよね? 先日も……」

マーマン「……」

サモナー「マーマンさん。僕の予想が正しければ君は……がはっ、ごほごほっ!」

ポタポタポタッ…ガクッ

マーマン「お、おい!? 誰かっ! 誰かいないかっ!?」


669 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/11(金) 17:53:40.86 ID:oyduOigLo
タッタッタッタッタ

西国兵「どうし――こ、これは!? 大丈夫ですか!?」

サモナー「う……ぐっ、ごほごほっ」

マーマン「吐血が止まらねぇ! すぐに手当てしてやってくれ!」

西国兵「は、はいっ! おい、担架を!」

タッタッタ…ガタガタガタッ

マーマン「……っ」

クルッ…テクテクテク…ピタッ

マーマン「……!?」

マーメイド「マーマン……」

マーマン「……お前のご主人が大変だ。すぐに――」

マーメイド「彼は召喚解除しないわよ。それに、もう長くないのよ」

マーマン「……ッ!!」

マーメイド「それが私達の選んだ道なの。だから……私には止められないの」

マーマン「お前……っ」


670 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/11(金) 17:54:20.05 ID:oyduOigLo
マーメイド「ねぇ、マーマン。貴方は何故……」

マーマン「俺っちの事はいい。もういいんだよ」

マーメイド「……っ」

マーマン「これが俺の選んだ道なんだ。誰にも迷惑はかけられねぇ」

マーメイド「だったらせめて、せめて皆に伝えてあげてよっ!」

マーマン「……出来ない相談だな」

マーメイド「マーマンの事を本気で心配してくれているのよ!? マブダチなんでしょ!?」

マーマン「……」

マーメイド「種族なんて関係ない……マブダチなんでしょ!!」

マーマン「……だがな、話したところで何かが変わるわけじゃねぇぜ?」

マーメイド「それは分かってる。皆もそう思うわよ。それでも……貴方は話すべきなのよ」

マーマン「……」

マーメイド「それが、貴方がこの世界に生きた証になると思うの」

マーマン「……まぁ、考えておくよ。あんがとな」

マーメイド「……」



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