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女商人「あの時の冒険は忘れられないなぁ・・・」
49 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/13(水) 16:46:18.26 ID:SqvjQj+AO


翌朝


「………」

「……きて。……ちゃん。」

「起きてよー、武闘家ちゃん!」ユサユサ

武闘家「んん〜?何どうしたの?」ムク

武闘家「あ、商人おはよー。」

商人「ノンキにおはよー、じゃないよ!大変だよ大変!」

武闘家「タイヘン?美味しいのそれ?」ポケー

商人「う〜ん、この……違う違う!」

商人「どこにも無いんだよ!!」

武闘家「何が〜?」

商人「私の聖なるナイフと、武闘家ちゃんの鉄の爪がどこにも無いの!!」

武闘家「………」


武闘家「え。」


武闘家「えぇぇぇー!うそ!?」ドタン




54 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/15(金) 14:06:09.44 ID:EmQoaOhAO


商人「お、おじさーん!」バタバタ

宿屋の旦那「ん?どうしたんだ、嬢ちゃん。朝っぱらから血相変えて。よく眠れたか?」


商人「はぁはぁ、あの、私と武闘家ちゃんの武器がどこにもないんです!」

宿屋の旦那「なにぃ?盗まれたってか!」

商人「わかんない。ただ朝、気が付いたら無かったんだよ!」

宿屋の旦那「参ったなそりゃ、正確にはいつから無かったか覚えてないのか?」

商人「昨日、食堂で夕食を食べた時は二人とも腰に着けてたんだけど…」

商人「よく考えたら、お風呂に行く時には部屋に置いていったんです。」

宿屋の旦那「風呂の時は鍵はしていったのか?」

商人「……私達、二人ともテンションが上がってて、つい鍵忘れちゃってたんです……」

宿屋の旦那「そうなのか?」

商人「お風呂上がってすぐにここでおじさんとお話して、
部屋に戻って眠くなってすぐ寝ちゃいました。」

宿屋の旦那「うーん。じゃあその風呂の間から寝る直前までの
間に誰かが部屋に入って盗んだってか。」



55 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/15(金) 14:26:24.33 ID:EmQoaOhAO


武闘家「おーい商人。」タッタッタ

商人「あ。武闘家ちゃんどうだった?」

武闘家「…だめ。どこにもないや。部屋の隅々まで捜したけど見当たらない。」

商人「そっか…どうしようお母さんの形見なのに……」

武闘家「商人…」

武闘家「ねえ、おじさん。昨日この宿屋に泊まってた人って?」

宿屋の旦那「もうチェックアウトしちまったよ。ええと…一人だな。男だったぞ。中年の。」

武闘家「じゃあその人が私達の武器を盗んだのかな?」

宿屋の旦那「特に怪しそうな素振りはしていなかったがな。」

商人「……私達も不注意だったけど、盗むなんて許せない。」

商人「絶対、見つけて取り返してやるんだからね。ね?武闘家ちゃん。」

武闘家「見てろ〜、痛い目に遭わせてやるんだから。」

宿屋の旦那「たしか、その男。ナジミの搭はどこにあるか、聞いてきたぜ。」


56 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/15(金) 14:48:22.85 ID:EmQoaOhAO

商人「ナジミの搭?」

武闘家「あそこって小さい島に建ってるから行けないよね?」

宿屋の旦那「いんや。行けるぜ。ただし外からじゃなくて中からだけどな。」

商人「え?本当?どこからか入れるんですか、あの搭。」

宿屋の旦那「ああ、俺も詳しくは知らねぇが。
このレーベから少し南に行くと、森の中に古い階段があるらしいんだ。」

宿屋の旦那「その階段を降りて行くと、あのナジミの搭に繋がってるって話さ。」

武闘家「へぇ〜そんな秘密基地みたいなのがあるんだ。ワクワクしてきたよ私。」

商人「武闘家ちゃん、ワクワクしてる場合じゃないよ〜。とにかく私達も搭に行こう。」

宿屋の旦那「おいおい、行くなら。村の武器屋でなにか買って行った方がいいぞ。」

商人「あ、そうか。私達、武器がないんだもんね。」

武闘家「そうとわかれば武器屋に行こうよ〜商人早く!」

宿屋の旦那「十分気をつけて行くんだぞ〜、魔物もたくさん出るしな。」

商人「お世話になりました!とても楽しかったです、じゃあねおじさん!」

武闘家「ベッド気持ち良かったよ〜!また来るね〜!」バイバイ


57 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/15(金) 15:02:50.90 ID:EmQoaOhAO


宿屋を出た二人は大急ぎで村の武器屋に行き、商人は盗まれた
ナイフと似た形のナイフを買い、武闘家はこん棒を買い、装備した。


予定していた魔道士の家に立ち寄るのは諦め、宿屋の主人に
教わった通りに村の南の森を目指した。



58 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/15(金) 15:20:20.05 ID:EmQoaOhAO

【レーベ村 南の森】


商人「武闘家ちゃん、なんかうっそうとしてきたよ。太陽の光隠れちゃった。」

武闘家「ほんとだね。たっくさん木があってなにがなんだかわかんないな〜。」ガサガサ

商人「おじさんが言ってた階段の下って、洞窟になってるのかな?」

武闘家「魔物もたくさん出るって言ってたよね?楽しみだ〜。…ぐぅぅ」

商人「あ〜、武闘家ちゃんお腹鳴ったよ〜。……ぐぅぅ、あ!」カァ

武闘家「商人だってー。朝バタバタしたからちょっとお腹空いちゃったね。」

商人「はい。そんな空腹時にはじゃんじゃじゃ〜ん!」バッ

武闘家「ナニコレ?ビスケット?」

商人「カンパンっていってね、保存食のお菓子なんだ。味はないけどお腹は膨れるよ。」スッ

武闘家「商人はなんでも持ってんだねー、用意がいいね!いただきます〜。」ポリポリ

商人「どう?まあまあでしょ?」ポリポリ

武闘家「味あんまりないね…まあまあ。」

商人「ふふふ。文句言ったら、有料にしますよー。」ニヤ

武闘家「……おいしいれす」ポリポリ


59 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/15(金) 15:31:29.99 ID:EmQoaOhAO


武闘家「うん、お腹も少し膨れたよ。」

商人「そだね。……あれ?あそこ。」

武闘家「どうしたの?魔物?」

商人「違うよ、あそこだけ少し開けてるみたいだよ。ほらほら。」

武闘家「あ、ほんとだ〜。あそこじゃない?行ってみよ商人!」ダッ


二人がそこに行くと大きい木はなく、太陽の光も差していた。

よく足元を見ながら捜していると、小さな木の陰に階段らしき物を発見した。


商人「あ!これが階段だよ。あったあった。」

武闘家「古そうな感じだね。よ〜し、降りてみよう。」

商人「ちょ、ちょっと怖いけどね。行くしかないね。」

武闘家「うん。じゃあ降りるよ、足元に気を付けてね。」

商人「………」ドキドキ


ザッザッザ



60 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/15(金) 15:49:34.78 ID:EmQoaOhAO
サーバ落ちてたのかな?久々の投下でした。
今日は短くてスミマセン。読んでくれてる方に感謝感謝ですm(_ _)m


61 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2013/02/15(金) 16:08:14.26 ID:mtK5ltXo0
>>60
昨日の夜にコメントしようと書き込んだらタイムアウトして書き込めなかったよ。
今日も昼前に見に来たらサーバーが落ちていた。データ飛ばなくてよかったね。

今回は流れがほんわかしていていい。
この調子で頑張ってください。


62 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2013/02/15(金) 20:39:07.69 ID:EmQoaOhAO
>>52
10歳の商人と武闘家がメインなのでかなりのほほんとしちゃっております(笑)いい味出てる気がしますが。

>>53
最初からというと第1作目からですか?ありがとうございます。まさかここまで続けられるとはって感じです。

>>61
書いてる途中でサーバ落ちるとショックですよねぇ。ちょうどよい休養になりました(笑)

今回はほのぼのしていて読むにはいいかも、ですが、書き手としては案外子供の口調や雰囲気、会話が難しいですね。


66 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/15(金) 22:42:09.85 ID:9s6NW55P0
今書いてるこの話はシリーズのスピンオフ的な立ち位置です。
まあ短めにさらっと読めるようにしたいです。


69 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 09:45:06.07 ID:Y5ukuikAO

【ナジミの搭 地下1階】


スタスタ

武闘家「へぇ、真っ暗だと思ったら灯りがついてるよ。」

商人「ほ、ほんとだ!ロウソクでもないのに、どういう仕組みになってるの?」

武闘家「ただ、この通路は狭いね。ひんやりしてるし。魔物も出そうな感じ……」

商人「魔物、出るよねぇ…この雰囲気って。武闘家ちゃん。」

武闘家「私は前、商人は後ろに注意しながら歩いてね。」

商人「わ、わかった…」ブル



武闘家「長い通路だね、ここ。なんにもなさそうだけど。」

商人「……ん?待って武闘家ちゃん。」

ピタ

武闘家「どうしたの?魔物?」キョロキョロ

商人「違うよ。耳をそばだててみて。水の音がかすかにしない?」

武闘家「水の音?………」

商人「水が揺れる音、かな。」



70 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 10:02:21.61 ID:Y5ukuikAO

武闘家「……う、たしかにかすかにそんな音がするね〜。」

商人「私達はレーベ南の森から地下に入って、南西に進んでるから……」

ザザザザ
ビョンビョン

武闘家「商人考えるのタンマ!魔物が来たよ!」グッ

商人「へ?ま、魔物?…ひゃあ!何あれ?でっかいカエルー!」

武闘家「フロッガーだよ、コイツは。ちょっと強いけど1匹なら大丈夫。」


フロッガーがあらわれた

武闘家「先手必勝!行くぞー!やあぁぁ〜!」バシュ

武闘家の先制攻撃
こん棒をフロッガーに向け振りかざす

バキッ

フロッガーの脳天にこん棒が炸裂
フロッガーは倒れた

武闘家「へへん、どんなもんだい。戦いは速さがモノをいうってね〜。」

商人「すっごーい!あっという間だね。戦い慣れてるね武闘家ちゃん。」

武闘家「それほどでも〜。」ニヘラ

ぐ、ぐぐ

商人「あ?武闘家ちゃん!まだ生きてるよ!」

ビョン


71 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 10:14:25.68 ID:Y5ukuikAO

フロッガーは武闘家に飛びかかる

武闘家「うわ!コイツまだ……あっ!」ガッ

ズテン

武闘家「(いてて。あ、ヤバい!)」

商人「武闘家ちゃん!」チャキ

商人「(当たれー!!)」シュ


グサッ!
ドサッ……

商人はとっさにナイフをフロッガーに向け投げた

ナイフはフロッガーの額に命中した
フロッガーをやっつけた


商人「はあ、はあ。あ、当たったぁ〜。」ヘタ

武闘家「あ、ありがとう商人!すごいや、完璧に命中しちゃってるよ。」

商人「油断しちゃあ、駄目だよ。武闘家ちゃん。ふう…」ニコ


武闘家「な、投げナイフの達人さま……」

商人「え?何て?」



72 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 10:27:16.32 ID:Y5ukuikAO

武闘家「これからは商人の事、投げナイフの達人さま、って呼ぶよ。」

商人「何それ?いやだよ〜微妙に長いしその異名。」ブンブン

武闘家「じゃ、ナイフの達人、で!」

商人「物騒でイヤ。」キッパリ

武闘家「…はあ…ざんね〜ん。」

商人「10歳でそんな異名は欲しくありません。」




武闘家「ねえ、ナイフさん。」

商人「誰がナイフさんよ。」

武闘家「あそこになんか、大きい柱が見えるよー。」

商人「柱?ほんとだ。何だろうあそこだけ広くなってるみたい。」

武闘家「何かあるかも、だね。行こう!ナイ、商人。」

商人「………」ジロ


タッタッタ


通路を抜け、ぶつかりに着くと。
柱が立ち、脇に上り階段をあるのを見つけた。


73 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 10:41:08.18 ID:Y5ukuikAO

商人「こんなところに階段が。上に続いてるねー。あ、でも右も左も通路があるなぁ。」

武闘家「めんどくさいから、ここ登ってみよーよ。右も左も後でいいじゃん。ね?」

商人「まあ、そうだね。ん?……なんか風が階段から入ってくるよ。」

ぴゅう〜

武闘家「潮の匂いがする!海に近いところかもよ!行こう商人!」

商人「うん。行こう!」


ザッザッザ



武闘家「あれ?ここって……」キョロキョロ

商人「搭?ナジミの搭だよここ!あーっ!」

武闘家「ん?なになに?」

商人「武闘家ちゃん。見て見て!あそこアリアハンだよ!」バッ

武闘家「うわ〜!ホントだ〜!あれアリアハンのお城じゃん。」

商人「レーベから地下で繋がってたなんて……」


74 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 10:55:40.31 ID:Y5ukuikAO

【ナジミの搭 1階】


武闘家「ここがナジミの搭かぁ〜広いんだね。」

商人「そうか。さっき聞こえた水の音って海の水だったんだー。」

武闘家「ううう……」

商人「あれ?武闘家ちゃんどうしたのへんな顔して。」

武闘家「な、なんかよく考えたら私達、海の中をとぼとぼ歩いてきたんでしょ?」

武闘家「そう考えたらゾッとしちゃって……ううコワイコワイ。」スリスリ

商人「(繊細なんだなぁ、武闘家ちゃんて案外)」


商人「(て、事はさっきの左に伸びてた通路って、もしかしてアリアハンに?)」

商人「(ま、まさかねぇ)」ブンブン

武闘家「商人、とにかくこの搭を探索してみようよ。あの男もいるかもしれないよ。」


商人「へ?あ、そうだね。私達はその男を追って来たんだもんね。見つけなきゃ!」



75 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 11:09:22.10 ID:Y5ukuikAO

武闘家「広いからどこに行ったらいいのかなぁ〜。」

商人「ともかく奥に行ってみようよ。階段とかあるかもしれないから。」

武闘家「そだね。じゃあナジミの搭探索&犯人捜し開始〜!」ビシッ

商人「おー!」グッ

スタスタ



数分後


武闘家「おーい商人。そこに何故かテーブルとイスがあるんですけど……」

商人「こんな搭でまさか〜、って…あるね。テーブルとイス。」ジッ

武闘家「ここで魔物が座って雑談とかするのかな?」

商人「『いや〜最近どうです?景気は。』『んん〜ぼちぼちですねぇ』みたいな?」

武闘家「…いや…なんでまた魔物達が商売の話をしてるわけ?」

商人「あはは。つ、つい癖で。」

武闘家「………」


76 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 11:26:43.97 ID:Y5ukuikAO

商人「はい、おふざけはこのくらいにして。そこにある階段降りてみる?」

武闘家「なんだろうね?気になるから。行ってみよう。」

商人「よし、じゃあ行くよー。」

ザッザッザ


商人「下はなんだろな〜」ソローリ

商人「あれ?なんか暖かいよ、ここ。暖房入ってる?」


「いらっしゃーい!」


商人「ひ。え?『いらっしゃーい!』って今……」キョロキョロ

武闘家「ん〜?暖かいよ、どして?」

「小さいお客さんだね。ナジミの搭内宿屋にようこそ。」

商人「へっ?宿屋さん?ここが?」

宿屋の主人「そうです。れっきとした宿屋です、はい。」


武闘家「嘘でしょ〜?そうやって私達を油断させて襲う魔物なんでしょ?」キッ

宿屋の主人「いえいえ。めっそうもない!
ここはずっと昔から私の家系が宿屋をしているんです。」

武闘家「あ、そうなんだ〜。大変だね、搭の中で宿屋なんて。」

商人「(……ここ、どうやって黒字にしてるか気になるな〜。)」


77 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 11:40:32.31 ID:Y5ukuikAO

宿屋の主人「いやぁ〜それにしても珍しい。こんな女の子二人が搭に。」

宿屋の主人「まさか二人だけで来たのかい?」

武闘家「うん、そうだよ。レーベ南の森の中の階段から入って。ここにたどり着いたよ。」

宿屋の主人「魔物もいたでしょうに……襲われなかったかい?」

武闘家「襲われたけど返り討ちにしてやったもんね〜。へへへ〜。」ニヤ

宿屋の主人「ほお〜たいそう強いんだね。お嬢ちゃんは。」

武闘家「私もだけどこっちの子もなかなかやるんだよ。ね〜、商人?」

商人「(こんなところで宿屋としてやっていくには何かよほど
名物とかサービスが良くないと…)」ブツブツ

武闘家「ああ、考えちゃってるなこりゃ……」


宿屋の主人「珍しい事に今日は二組目だよ、お客さんは。」

武闘家「え?そうなの?」

宿屋の主人「ほら、あそこにいる男の人だよ。つい数時間前にね。」サッ


78 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 11:55:58.75 ID:Y5ukuikAO

宿屋の主人が指差す奥の方を武闘家が目をやると、まだ30代くらいの男が
ベッドに横になって今まさに寝ようとしていたところだった。


男の寝そべるベッドの横のテーブルには見覚えのある鉄の爪と
聖なるナイフが置かれているのを武闘家は見た。


それらはレーベの宿屋で無くなった武闘家と商人のものに間違いなかった。



79 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 12:13:55.25 ID:Y5ukuikAO

武闘家「あ―――!!」

商人「へ?」

主人「へ?」

男「へぁ?」ポカン

武闘家「あんた!私達の大事な武器を盗んだだろ〜?」


商人「え?あの人が?」ジー

商人「あっ!私のナイフだ!あなただったんだね。私達のもの盗んだのは。」


男「へ?……あ。お前らレーベにいたガキ二人!ど、どうしてここが?」アタフタ

武闘家「そんな事より、その爪とナイフ返してもらうよ!」

男「チッ、ずらからせてもら…」ダダッ

武闘家「逃がすもんかー!商人!狙って!」バッ

商人「お母さんの大事な形見を……許さないんだからー!えーい!」シャ

男「うお!なんだこのガキども。ち、ちくしょう。」タタタタ


シュー

ドン!

男「ぐげっ!な、なんだ?服にナイフが!動けねぇ!」

商人の投げたナイフが逃げようとする男の服に刺さり、
さらに壁に刺さり、身動きが取れなくなった。


80 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 12:35:32.59 ID:Y5ukuikAO

武闘家「もらったぁ〜!犯人か〜くほ!」

男「ひいぃぃ〜!お助けをー!」

ドゴ〜ン!


男「す、すみましぇん……」ズル

武闘家の拳骨が男の頭に降り下ろされた。
男は頭に大きなたんこぶを作って観念した。



10分後

武闘家「じゃあ、爪とナイフは売ろうと思ったって事?」

男「は、はいそうです。金が無くてロマリアにでも行って売ればそこそこになるかな、と。」

商人「ナイフ、たしかに返してもらいました。人の物を盗んじゃだめですよ!」

男「ご、ごめんなさい。もうしません。」シュン

武闘家「反省してるし、私はまだ怒り収まらないけど商人に免じて許してあげるよ。」

男「あ、ありがたき幸せ!武闘家さま〜。」ガバッ

商人「……なんか武闘家ちゃんの一撃がヘンに効いちゃったぽいね。」

武闘家「あ、や、やりすぎちゃったかな私。ははは。」


主人「さて、びっくりしましたが、落ち着いたところで。皆さん、お茶いかがですか?」

商人「あ、いただきます〜。」

武闘家「私も〜!」


81 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 13:35:07.64 ID:Y5ukuikAO


商人「あの〜おじさん。さっき泥棒さんが言ってたロマリアってどう行くんですか?」

主人「ロマリアですか…いや、私もよくわからないんですが。」

武闘家「行ってみたいよね。違う大陸にあるんでしょ?」

主人「ふむ。噂によると、レーベをずっと南東に行くと、
ロマリアに通じる洞窟があるようです。」

商人「そうなんですか?そんな洞窟があるんだね。」

主人「ただ、洞窟内に壁があってそこから先には進めないらしいですよ。」

武闘家「え〜、そうなの?私の飛び蹴りじゃあ壊せないかな〜?」

商人「どれだけ強いんだか武闘家ちゃんは……」

主人「まあ、無理して行かなくてもいいような気もするけど。」

武闘家「ううん。駄目元で行ってみようよ。商人も行ってみたいでしょ?」

商人「ここまで来たら、行けるところまで行ってみたいな。」


主人「そうですか。じゃあ今夜はここに泊まっていっては?疲れたでしょう?」

商人「はい。せっかくなのでお世話になっちゃいますね。」ニコ

武闘家「よしよし、泥棒も見つけたし。明日はその洞窟に行ってみよっか。」



82 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/18(月) 13:47:42.03 ID:Y5ukuikAO


結局、たまたま入った搭の宿屋で爪とナイフを盗んだ犯人の男を見つけて、
改心させた二人は主人の話をたよりにレーベの南東にあるという洞窟に向かうべく旅立つ。


犯人を宿屋の主人に任せ、搭内の探索を諦めて搭の出口より、主人の好意でもらったキメラの翼を使いレーベまで飛んでいった。


一方、宿屋の主人が少し目を離したスキに泥棒の男は姿を消してしまっていたのだった。



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