■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その16
798 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 16:57:41.61 ID:XCEqd0Yo
召喚士「行けっ!コカトリス!!」
     〜第二十部〜


799 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 16:58:20.38 ID:XCEqd0Yo
テクテクテク…

戦士「おっと、俺は裏門だからこっちだ」

召喚士「そっか……」

戦士「そんじゃ、互いに頑張ろうな!」

召喚士「うん。戦士も気を付けてね…!」

戦士「あいよっ」

テクテクテク

戦士と別れた召喚士は、ひとまず国軍本部の正門へと向かう。

召喚士「まぁ…正面からで大丈夫だよね…」

青年兵「召喚士さん!?」

召喚士「…青年兵くんっ!!」

青年兵「ど、どうしたんですか!?本部に何かご用で…?」

召喚士「う、うん…ちょっと…。青年兵くんこそどうしたの?」

青年兵「えぇと、実は…ですね…」

召喚士「……?」


800 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 16:59:03.98 ID:XCEqd0Yo
〜国軍本部、講堂前〜

召喚士「そっか…。青龍先生に例の同調召喚を…」

青年兵「はい。先生なら必ず何か知っているはずですから」

召喚士「確かにそうだね。ただ……」

青年兵「……?」

召喚士「教えてくれるかどうか…」

青年兵「…ええ」

テクテクテク

青年兵「それで、召喚士さんは先生に何を…?」

召喚士「うん…。実は……」

召喚士は青年兵に、昨晩の事項を説明する。

青年兵「……」

召喚士「だから、頼れるのは、青龍先生ぐらいしか…」

青年兵「……」

召喚士「青年兵くん…?」


801 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 16:59:57.44 ID:XCEqd0Yo
青年兵「あ、すいません…っ」

召喚士「どうかした…?」

青年兵「いえっ、ただ…凄いなと思いまして…」

召喚士「……?」

青年兵「召喚士さん程の実力がありながら…まだ上を…」

召喚士「そ、そんなでもないと思うけど…」

青年兵「……」

召喚士「と、とにかく青龍先生…いるといいね…っ!」

青年兵「……ええ」

テクテクテク…ガチャッ…ギイィ

青年兵「…青龍先生」

青龍先生「おぉ、お主か。本国でも頑張っておるかの…?」

青年兵「はい。お陰様で何とか…」

召喚士「先生、先日はどうも…」

青龍先生「朱雀先生か…。二人揃って何かあったかの?」


802 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:00:54.80 ID:XCEqd0Yo
青年兵「ええ。実は…お伺いしたい事がありまして…」

青龍先生「何じゃ…?」

青年兵「先生は、魔王パズズを倒したのですよね?」

青龍先生「…一応そうらしいのう」

青龍先生はそっぽを向きながら、他人事のように返答する。

青年兵「どうやって倒されたのですか?」

召喚士「……」

青龍先生「そんな事を聞いてどうするつもりじゃ?」

今まで穏やかであった青龍先生の顔が強張り、一変する。

青年兵「いえ、今後の参考にと思いまして…」

青龍先生「今後…?何じゃお主、魔王でも倒すつもりかの?」

青年兵「いえ…っ、そういうわけではありませんが……」

青龍先生「別に何もしとらんよ。召喚獣をぱぱーっと……」

青年兵「四人の属性が異なる召喚士。その魔力を均等にし…打ち放つ…」

青龍先生「……!?」


803 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:02:11.37 ID:XCEqd0Yo
青年兵「三日月島の研究機関にある魔物図鑑。その中に、はっきり記載がありました」

青龍先生「……やれやれ」

召喚士「!?」

青年兵「先生っ!あれは一体どういうものなのですか!?」

青龍先生「まさか…既に知ってしまっておるとはのう…」

召喚士「……」

青龍先生「良いか?今から話す事、決して他言無用じゃぞ?」

青年兵「もちろんです!」

召喚士「お約束します…!」

青龍先生「先日、朱雀先生には五属性の話をしたよな?」

青年兵「五属性…?」

召喚士「召喚術は、実は五つから成る…五行と同様のものだったんだ」

青年兵「!?」

青龍先生「そのうちの四属性、つまり東方の式神を除く召喚獣…」

召喚士「ええ…」


804 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:02:57.20 ID:XCEqd0Yo
青龍先生「これらを均等な魔力で四人が放つ…」

召喚士「あの…」

青龍先生「ん…?」

召喚士「四人でなければ…いけないんですよね?」

青年兵「そうか!召喚士さんなら一人で…」

召喚士「うん。でも…以前、四属性の基本精霊を一度に召喚した時…」

青龍先生「…何か起きたかの?」

召喚士「いえ、金色に光ったと思ったら…急激に魔力を吸い取られて…」

青龍先生「……」

召喚士「やはり一人では出来ないものなのかもれませんね…」

青龍先生「仮に出来たとしても、二度とやらん事じゃな」

召喚士「…?」

青龍先生「お主等の口振りからすると…使ったのじゃろう…?」

召喚士「…すみません」

青年兵「魔物図鑑には効果や副作用までは記載がなかったもので…」


805 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:04:25.97 ID:XCEqd0Yo
青龍先生「うまくいったから良いものの……」

青年兵「今思えば恐ろしい事です。いくら強力だからとて…」

召喚士「うん。あの四人が揃う事も可能性としては低いでしょうし…」

青龍先生「あの四人…?残り二人は何者なのじゃ?」

召喚士「あっ、サモナーさん、先日一緒だった…」

青龍先生「玄武の弟子か…」

召喚士「それと西国の宰相である、神官さんです」

青龍先生「西国…。白虎か」

青年兵「今回は偶然にも四属性揃っていて…」

召喚士「尚且つ、魔力の調整が上手い方々でしたから…」

青年兵「召喚士さんこそ…」

召喚士「そんな事…っ」

青龍先生「……ゴホン」

青年兵「…あ…っ」

召喚士「そっ、それでですね……」


806 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:05:52.93 ID:XCEqd0Yo
青龍先生「まぁ良い。結論から言えば、使う事は許されん」

青年兵「……はい」

青龍先生「お主等も使って分かったと思うが、消費した魔力は戻らん…」

召喚士「ええ……」

青龍先生「つまり、使い続ければ…待っているのは……」

召喚士「……・死…!?」

青龍先生は黙って頷く。

青年兵「……っ」

青龍先生「ましてや五行なぞ…」

青年兵「四行であの威力なら……」

青龍先生「五行ともなれば、魔王を完全に消し去る事は出来るじゃろうて…」

召喚士「……」

青龍先生「存じている通り、五行を使えば確実に死ぬ」

青年兵「……」

青龍先生「言いたい事は、分かっておるな?」


807 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:07:15.32 ID:XCEqd0Yo
青年兵「……はい」

青龍先生「…朱雀先生」

召喚士「はい」

青龍先生「お主も以前申したとおり、探求のみに留めておくのじゃぞ?」

召喚士「分かっております…!」

青龍先生「……ひょっひょっひょ!よろしい」

召喚士「そこで、先生にお願いが…」

青龍先生「……?」

召喚士「修行を…先生の下で修行をさせて頂けませんでしょうか?」

青龍先生「修行とな…!?」

青年兵「……先生っ!僕もお願い出来ませんでしょうか!」

召喚士「青年兵くん…!?」

青年兵「召喚士さんに負けてはいられませんから…!」

召喚士「……そっか!」

青龍先生「……残念ながら駄目じゃな」


808 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:11:11.23 ID:XCEqd0Yo
青年兵「えっ!?」

召喚士「そんな…っ!」

青龍先生「儂はお主等に教えられる程のものは、何も残っておらんよ…」

青年兵「そんな事はないですよ!」

青龍先生「何じゃ?残りの魔力を使わせて早死にさせる気か…?」

青年兵「!?……い、いえっ、そういう事では…」

召喚士「しかし、先生以上の召喚術に詳しい方など…」

青龍先生「儂が出来ることは口頭での助言のみ」

召喚士「……」

青龍先生「あとは良き師がいるではないか」

召喚士「良き…師…?」

青年兵「……あ、あの…皆目見当が」

青龍先生「ほれ、いるじゃろ。お互い……目の前に」

青年兵「目の前……って」

召喚士「……え…っ?」


809 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:12:04.96 ID:XCEqd0Yo
〜国軍本部、裏門〜

戦士「……」

テクテクテク

戦士「お、来た来た…!」

隊長「待たせたな」

戦士「おっす…じゃなかった、おはようございます!」

隊長「何だぁ?気持ち悪い野郎だな…」

戦士「今日から師として世話になるんです。まずは礼儀からですよ!」

隊長「……ほう。悪くない心構えだ」

戦士「荷物多いっすね。持ちます」

ガチャガチャッ

隊長「ああ、特訓用に武具をかっぱ…拝借してきたからな」

戦士「……なるほど」

隊長「んじゃ早速行くぞ」

裏門を立ち去る戦士と隊長の前に、二人の男女が立ちはだかる。


810 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:13:05.40 ID:XCEqd0Yo
隊長「……お前ら…っ!?」

男隊員「こんなこったろーと思ったぜ…!」

女隊員「二人だけで…ずるいッスよ!」

隊長「見送りか…ご苦労。そんじゃな……」

グイッ

隊長「うげぇ!」

女隊員「待つッス!自分らも一緒に行くッス!!」

男隊員「しばらく休みなんだろ?んじゃ同行しても問題ないわな!ヒャハハ!」

隊長「は…なせ…ぇ…っ!」

女隊員「連れて行くって言うまで…離さないッス!!」

隊長「い…息が…あぁ…っ…!」

女隊員「早く観念するッス!死ぬッスよ!?」

隊長「あ……ほ…か……ぁ……・」

戦士「お、おい…!?隊長落ちてんぞっ!?」

女隊員「えっ!?たっ、隊長おぉーっ!!」


811 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:14:08.85 ID:XCEqd0Yo


テクテクテク

隊長「……」

女隊員「申し訳・・・ないッス……」

隊長「申し訳ないで殺人成立すんならな、俺は虐殺者だぞ。このボケ!」

女隊員「返す言葉もないッス……」

男隊員「でもよぉ、隊長も悪いんだぜ?」

隊長「あぁ?」

男隊員「俺らに黙って…何でも勝手に決めやがってよぉ…!」

隊長「そりゃ、悪かったって言ってんだろ」

男隊員「んで、コイツが新しい隊員ってわけ?」

女隊員「戦士さん、そうなんスか?」

戦士「いやいや違う。俺は隊長殿に稽古をつけて貰うだけだ」

男隊員「稽古…ねぇ…」

女隊員「ご愁傷さま…ッス…」


812 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:15:03.99 ID:XCEqd0Yo
テクテクテク…

戦士「そんで、どこへ行くんです?」

隊長「どうすっかな…」

男隊員「相変わらず適当だなぁ…ヒャハハ!」

隊長「北はマズイんだよな?」

戦士「……出来れば」

隊長「手っ取り早く魔物でもぶっ倒しまくりゃ早かったんだが…」

女隊員「尋常じゃねぇッスね…」

隊長「んじゃあ…そうだなぁ…。修行っつったら山篭りかなぁ…」

男隊員「そんなレトロな……」

戦士「いいですね!流石は師匠!!」

隊長「……だろぉ?」

男隊員「……ノるのかよ」

女隊員「なんかこの二人…相性抜群スね…」

男隊員「単細胞同士なだ……痛ってぇ!ちょっ、隊長!勘弁して…っ…ぐあぁ!」


813 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:15:42.99 ID:XCEqd0Yo
〜本国、港〜

魔道士「盗賊さん。本当にここで…いいんですか?」

盗賊「…うん。魔道士も…頑張って」

魔道士「はい…。それでは…行って来ますね…っ」

トボトボ

盗賊「…魔道士!」

魔道士「……?」

タッタッタ

盗賊「…んしょ。これ…持ってって」

魔道士「…何ですかこれ?」

盗賊「…猫さん剣士だ」

蜘蛛切から外した根付を魔道士に手渡し、盗賊は微笑む。

魔道士「…カワイイ!」

盗賊「…でしょ?お守りだから…きっと守ってくれる…はず」

魔道士「ありがとうございますっ、盗賊さん!」


814 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:16:28.70 ID:XCEqd0Yo
盗賊「…ん」

魔道士「あ…じゃあ私もお守り……」

盗賊「…?」

ゴソゴソ

魔道士「はいっ!どうぞ!!」

盗賊「…これ…は?」

魔道士「マスク・ド・ジーニアスのサイン付き手形です!」

盗賊「…そ、そうか」

魔道士「お父様に無理を言って、手に入れた貴重品です!」

盗賊「…う、うん」

魔道士「無くさないで下さいよぉ?」

盗賊「…あ、ありがとう…!」

魔道士「じゃあ、頑張りましょうね!エヘヘ!」

盗賊「…気を付けてな」

魔道士は両手を振り、船の中へと消えていった。


815 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:17:50.24 ID:XCEqd0Yo
盗賊「……」

テクテクテク

盗賊「…さて…と」

盗賊は来た道を引き返し、国軍本部へと向かう。

盗賊(なーんて言いながら、実はちゃんと考えがあるんだっ!ふふふっ!)

トットット…

盗賊(私にピッタリの師…。あの人しかいない…!)

トットット…ストッ

盗賊「…だ、大丈夫かな」

正門前でたじろぐ盗賊。その様子を門兵がじっと見つめる。

左門兵「おい…なんだか不審な奴が…」

右門兵「本当だ…。黒装束で…でも、なんだか女の子だぞ…!?」

盗賊(うぅ…どうしよう。とりあえず門の人に聞いてみようか…)

チラッ

左門兵「!?……か、かわいい」

右門兵「し…しかも……デカい…!」


816 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 17:19:21.62 ID:XCEqd0Yo
テクテクテク…

盗賊「……」

左門兵「何か…ご、ご用かな?」

右門兵「よ、用がないなら立ち…立ち…た…っ…」

ジーッ

盗賊「…あ、あの…えぇと……そのぉ」

左門兵(ど、どうするっ!?)

右門兵(知るか…!と、とにかくだな…えぇと…)

カツカツカツ

白虎長「……何やってんの?」

左門兵「白虎先生…っ!?」

右門兵「申し訳ありませんっ!!」

白虎長「はぁ…?あれ…あなた確か……」

盗賊「…あ…こ、こんにちは」

白虎長「ちょうど良かった…!さ、入って!!」



次へ 戻る 戻る 携 上へ