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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その38
- 171 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2012/03/30(金) 18:27:13.35 ID:XzCW+a+lo
魔道士「東方司令さんっ!」
召喚士「まだ傷が開いたままなんですよ!?」
東方司令「この程度、問題ない。少なくともこんな傷でそこの雑魚に負けるはずがない」
召喚士「魔剣士さんの事……ご存知なんですか?」
東方司令「当たり前だろ。師が同じなのだから」ザッザッ
召喚士「あ……っ」
東方司令「そこのニンジャ。コイツを倒す以外にやる事があるんだろ?」
影忍「……うむ。この奥にこそラボの中心部がある」
東方司令「なら早く行け」
召喚士「東方司令さん!」
東方司令「お前らも早く行け。それとも、ボク1人では勝てないと思ってるのか?」ジロッ
召喚士「……っ」
影忍「任せよう。後は……頼むぞ」
東方司令「……ああ」
魔剣士「……」
- 172 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/30(金) 18:27:58.57 ID:XzCW+a+lo
コオオオオォォォォ……
東方司令「正直言うと、キミとは一度、本気で戦ってみたいと思ってたんだ」
魔剣士「……」
東方司令「お師匠が認めた、ボク以外の才能ってのとね」ズシッ
魔剣士「……」ズシッ
東方司令「どっちが継ぐ者なのか、ケリを付けようじゃないか!!」ダァン!!
鈍い金属音を打ち鳴らし、ツヴァイハンダー同士が両者の前で激しくぶつかり合う。
力は全くの互角。拮抗する実力を前に、東方司令は下唇を噛んだ。
目の前に居る20年前に命を失った男。東方司令は気付けばその男の年齢を越えていた。
東方司令「……っ」ギリッ
魔剣士「……」
東方司令「越えられなかった、いや……遠くに見えていた高さも分からぬ壁」
魔剣士「……」
東方司令「今ようやく、越える事が出来そうだよ」
魔剣士「……」グググッ
- 173 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/30(金) 18:28:38.32 ID:XzCW+a+lo
……――
東方司令「てやああぁぁーっ!!」ババッ
南方司令「そうりゃああぁぁぁぁ!!」バチィ!!
西方司令「……ったく、そんなに練習して何が楽しいんだか」
北方司令「本人達が好きでやっているんだし、別にいいんじゃないか?」
西方司令「別にいいけどさ〜」
北方司令「そういうあなたは何をやっているんです?」
西方司令「見て分からんか?」
北方司令「私には猫と戯れているようにしか見えませんが」
西方司令「アホか。……よし、縫合完了。これで手術おしまい、バッチリ治ったぜ!」
猫「にゃーん」スリスリ
西方司令「いやぁ、猫と言えど骨折は痛いよなぁ〜」
猫「……ごろごろ♪」カラン
西方司令「ぎゃああぁぁ!! ねっ、猫だあぁーっ!! 死ぬううぅぅぅぅ!!」
北方司令「……」
- 174 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/30(金) 18:29:06.60 ID:XzCW+a+lo
ズギャアァ!! キィンキィンキィンッ!! ガチガチガチッ!!
南方司令「……むぅ、もはや剣での組み手では勝ち目はないな……っ」
東方司令「ふっ、今日もボクの勝ちだな」バシッ
南方司令「仕方ない。では次は、腕相撲で――」
東方司令「勝てるかっ!!」
北方司令「……ん?」
ザッザッザッ
西方司令「ぎいああぁぁぁぁ!! 殺されるううぅぅ!!」
魔剣士「相変わらずですね、兄弟子……」ザッ
南方司令「おぉ、お前か。久し振りだな」
魔剣士「ええ。たまたま近くへ立ち寄ったもので」
東方司令「……」
魔剣士「やぁ東方司令、相変わらず見事な腕前」
東方司令「ふんっ」
北方司令「おいおい、何でお前はそう悪態をつくのだ」
- 175 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/30(金) 18:29:51.56 ID:XzCW+a+lo
東方司令「兄くんはウルサイな! どけっ!」ムスッ
ズンズンズンズン……
北方司令「すまないね、愛想のない妹で……」
魔剣士「いやいや、気にしないで下さい。俺が悪いんですよ、きっと」
北方司令「魔剣士の才能に妬んでいるのさ。師匠を除いて初めて自分よりも上の腕を……」
南方司令「ほぉー」
北方司令「……初めて自分より上の『剣の』腕を持つ者だから」
魔剣士「……そう、なんですか」
北方司令「私だってそうさ。妹こそが師匠を継ぐ者と信じてやまなかったからね」
魔剣士「俺、謝ってきます!」タッ
北方司令「あっ、おい!」
南方司令「真っ直ぐな男だ。まさに正義の心を持つ者だな」
北方司令「……真っ直ぐゆえに危ういですけれどね」
南方司令「……?」
北方司令「自分に厳しく、全てが自責の念にとらわれてしまう。力があるからこそ危ういですよ」
- 176 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/30(金) 18:30:34.88 ID:XzCW+a+lo
ズンズンズン
東方司令「(何だよアイツ! わざわざお師匠の居ない時を狙って来てさっ!)
ズンズンズン
東方司令(ボクはアイツが大っ嫌いだ! 何だか知らないけど見てるだけでイライラする!)
魔剣士「東方司令」シュタッ
東方司令「――っ!?」ビクゥ!!
魔剣士「さっきはすまなかった。俺が……」
東方司令「何なんだよお前はっ!!」
魔剣士「えっ?」
東方司令「キミがボクに何かしたのかっ!」
魔剣士「い、いや……でも怒ってるって事はしたんじゃないかな……っ」ポリポリ
東方司令「身に覚えもないのに何で謝るんだよっ!」
魔剣士「……ごめん」
東方司令「また謝るっ!! それじゃボクが惨めじゃないか!!」
魔剣士「ごめ――あっ!」
- 177 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/30(金) 18:31:26.56 ID:XzCW+a+lo
東方司令「――っ。もういいっ、付いてくるな!」プイッ
魔剣士「東方司令っ!」
東方司令「うるさいうるさいうるさいっ!」
魔剣士「どうすればいい? 俺はどうしたら許して貰える?」
東方司令「ああもうっ!! だったらボクと勝負しろ!!」
魔剣士「勝負?」
東方司令「どちらが上か、ハッキリさせようじゃないか!」バッ
魔剣士「……しかしそれでは」
東方司令「ボクじゃ相手にならないとでも言いたいのか!? くそっ!」
魔剣士「いやっ、そうじゃなくて……怪我とかしたら大変……」
東方司令「ふざけるなっ!!」
魔剣士「!?」
東方司令「最初から勝ったつもりでいる……っ。その態度がボクをイライラさせるんだっ!」
魔剣士「ごめんっ。そんなつもりは本当にないんだ……っ」
東方司令「もういい。早く構えろ! でなくばこのままっ、ボクのおぉ勝ちだっ!!」バッ!!
- 178 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/30(金) 18:32:05.95 ID:XzCW+a+lo
魔剣士「――!?」
東方司令「……っ」
確かに東方司令は、棒立ちする魔剣士めがけ、先制でツヴァイハンダーを振りかぶっていた。
それがどうだ。何故か目の前の男は既に剣を身構えていた。
東方司令(なんて速さ――)
考える間もなく振りかぶりのモーションへと到達する東方司令。
やむなく無心で振りかぶるものの、当然の如く、その一撃は弾かれる。
東方司令「っ!!」キイイィィン!!
魔剣士「ま、待つんだ……っ!」
東方司令「うるさいいぃぃ!!」
ガキイイィィン!! ギィンギィン!! チュイン!!
魔剣士「やめるんだ東方司令っ。せめてっ、稽古用の木刀で――」
東方司令「うるさい!!」ガキイイィィィィン!!
魔剣士「あっ、あぶな……っ!!」
東方司令「はああぁぁーっ!!」
- 179 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/30(金) 18:32:49.15 ID:XzCW+a+lo
…
どれほど打ち合ったであろうか。気が付けば辺りは朱に染まり、夕刻を迎えていた。
東方司令の荒い息遣いと、やや重苦しい金属音のみが響き渡る。
魔剣士「……っ」
東方司令「はぁ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」
魔剣士「そろそろ……帰らないと」
東方司令「逃げるかぁ!」
魔剣士「もういいだろう東方司令。勝負は互角、引き分けだ」
東方司令「……っ」
そうでない事はあからさまであった。一撃も与えられず呼吸を乱す彼女に対し、
魔剣士は疲労どころか汗1つかかず平然としている。
東方司令「う……ああぁぁぁぁーっ!!」
魔剣士「……っ」
ガッキイイイイィィィィン!! ドサッ
東方司令「はっ、はっ、はぁ……はぁ……っ」
- 180 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/30(金) 18:43:27.97 ID:XzCW+a+lo
魔剣士「……」
少女の軽い身体が、仰向けに倒れこんだ魔剣士の上にのしかかる。
東方司令「……う……っぐ」ポタタッ
魔剣士「……!?」
少女の涙に気を取られたわけではないが、魔剣士は少しだけ反応が鈍った。
東方司令「どうして……どうしてええぇぇ!!」グアッ!!
ザックウウゥゥゥゥ!!
東方司令「う……うぅ……ぐ」ポロポロ
魔剣士「……もう、いいよな?」グイッ
東方司令の振り下ろした一撃は簡単にいなされ、地面へと深く突き刺さっていた。
東方司令「どうして……手を抜いたぁ!! ふざけるなよっ、くそぉーっ!!」ザシャッ
魔剣士「本気でやれば……君を傷つけてしまうから」
東方司令「うああああぁぁぁぁ!!」
魔剣士「……っ」
地面に蹲り号泣する少女に、魔剣士は声をかけられず、その場を後にした。
- 182 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/03/30(金) 18:46:49.62 ID:Y7UGKfj+o
>>1乙!
どうも東方司令のCVがくぎゅうで再生されてしまう病気にかかったようだ・・・
- 185 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/03/30(金) 19:18:27.39 ID:p1tkOw2n0
>>1おっつっつ
おいおい
再生厨を嫌う奴もいるからやめとけ
- 190 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/31(土) 02:57:40.57 ID:D/AFXzMeo
…
ザッザッザッ
魔剣士「……お待たせ」
マジシャン「何だ? 浮かねー顔しやがって」
プリースト「何か、あったの?」
魔剣士「……いや」
テクテクテク
師匠「おーう。こっちも終わったぞ」
マジシャン「しっかしお前さんが子持ちとはねぇ」
師匠「何だようるせーな」
プリースト「お嫁さんの前にお父さんになっちゃったわね。うふふっ」
マジシャン「ハッハ! 全くだわ!」
師匠「そんなんじゃねぇっつーの!」
プリーストあはは……っ、魔剣士……大丈夫?」
魔剣士「あ、ああ。ごめん……っ」
- 191 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/31(土) 02:58:07.16 ID:D/AFXzMeo
…
天才「……ふーん。んで、ズタボロにやられたわけか」
東方司令「やられてないもん……っ」ムスッ
天才「ハーッハッハッハ! 肉体は傷ついてなくとも、心はズタボロだろうがよ」
東方司令「……」ジワッ
北方司令「全く。ほら立て。いつまでも寝そべっていると風邪を引くぞ」
東方司令「……いい。ほっといて」プイッ
北方司令「あのな……」
南方司令「放っておいてやれ。人は挫折を乗り越えて強くなる。そう、正義の為に」
天才「たまにはいい薬だ。それよりテメーらに報告がある」
西方司令「ひいぃっ、ついに……死罪……」
天才「このたび俺様、国軍の総司令になる事が決まった」
北方司令「おぉ……っ」
天才「つきましてはだ、テメーらを各司令部に送り込む。心して働きたまえ。ハーッハッハ」
東方司令「……」クルッ
- 192 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/31(土) 02:58:33.85 ID:D/AFXzMeo
天才「……んだよ?」
東方司令「……あ、あの」
天才「テメーは春から魔道学園に通いやがれ」
東方司令「!?」
天才「まだ15だろうが。何を期待の眼差しで見つめてやがる」
東方司令「……っ」
天才「他の連中は幹部候補としていきなり働いてもらうからな」
北方司令「私が……あ、ありがとうございます!」
南方司令「正義の為にやるとするか……!」
西方司令「駄目だああぁぁ! し、死んだああぁぁっ、もう終わりだああぁぁぁぁ!」
天才「詳しい話は後日、改めて通達すっからな。じゃ、頼んだぜ」ザッ
東方司令「……っ」
北方司令「東方司令、何も焦る事はない。お前はまだ若いし、強いのだ」
東方司令「……っ!!」ガバッ!!
タッタッタッタッタッ……
- 193 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/31(土) 02:59:06.15 ID:D/AFXzMeo
…
東方司令「……死んだ?」
北方司令「ああ。魔剣士だけではない。その仲間と……大元帥もな」
南方司令「サタンとはそれほどまでの魔王なのか……っ」
北方司令「予言の力をもってしても、防げなかったとはな……」
東方司令「……っ」ギリッ
北方司令「……悔しいのか?」
東方司令「結局あの男に……1度も……」
北方司令「本気でやりあったわけじゃないだろ」
東方司令「ああ! 少なくともむこうはそうだろうね!」
北方司令「……」
東方司令「あの日、最後の一撃は……っ」ググッ
南方司令「力ある者が勝者ではない。生きている者が勝者なのだ」
東方司令「都合のいい解釈だろそんなの」
北方司令「お前だって国軍に入って見てきただろう?」
- 194 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/31(土) 02:59:34.67 ID:D/AFXzMeo
東方司令「……」
西方司令「そうだ。生きている者こそが美しい……くっくく」
南方司令「それでもまだ悔やむなら、強くなれ。答えはシンプルだ」
東方司令「……ああ。なってやるさ、誰よりも強く……!」
北方司令「それで良い。人間の力に限界などないのだからな」
西方司令「儚くも美しいものが人間というもの……くっくくくく」
東方司令「ボクは……あの男もお師匠をも越えて、最強になってやる」
北方司令「師匠に許しは得たのか?」
東方司令「……五月蝿い」
北方司令「全く。私からも申し伝えておく。きちんと話し合えよ」
西方司令「ライバルが消えて、師匠とも関係を築ける……か。くっくくく」
東方司令「うるさいうるさーい!!」
南方司令「誰よりも強くあれ。そうすればそれが正義だ」
北方司令「お前なら目指せるさ。自分の見ている道の果てをな」
東方司令「……」
- 195 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/31(土) 03:00:15.55 ID:D/AFXzMeo
――……
東方司令「あの日から25年……。ようやくキミに追いついたわけだ」ググッ
魔剣士「……」
東方司令「キミがモタモタ止まっている間に、ボクは追いついたっ!」
魔剣士「……ッ」
東方司令「今日こそキミを倒し、ボクが……勝つ!!」
ドガアアァァァァッ!!
魔剣士「……!!」
東方司令「覚悟おおぉぉーっ!!」ズギャッ!!
魔剣士「……」キュイイィィィィィ……
東方司令「魔法なら……読んでいるっ!」
魔剣士「――!?」
ザシュウウウウゥゥゥゥ!!
魔剣士「……」ポタタッ
東方司令「ボクの脳裏にあるキミはこんなもんじゃない。全力で来なければ……このまま殺す!」
- 198 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/03/31(土) 07:40:50.07 ID:od7xt/1DO
いちょつ
南方も西方もろくでもないなw
- 199 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2012/03/31(土) 11:43:59.93 ID:s3SP5ydoo
結局東方司令は何も成長してないんだよね
- 200 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/03/31(土) 11:46:55.89 ID:6Pu3KDZNo
1おつ
東方指令は40歳か…
- 207 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/04/01(日) 23:52:03.39 ID:eycITOfSo
こんばんは。実は今日、皆様に残念なお知らせがあります…
今日まで頑張って更新してきましたが、明日より更新が難しくなる為、
今日をもって最終回とさせて頂きます。まことに申し訳ございません…
〜エピローグ〜
魔王サタンを倒したあの日から数年後……。
世界は平和になったものの、悪さを働く魔物もまだ多く……。
戦士「さーて、魔物が出やがったぞ!」
盗賊「……ああ、行くか」
魔道士「頑張りましょうっ、えへへ!」
召喚士「行けっ! コカトリス!!」
〜完〜
応援ありがとうございました!
魔道士「……なーんちゃって。今日はエイプリルフールですよ!」
召喚士「あれって確か午前ちゅ……」
魔道士「エイプリルフールなんです!!」
召喚士「は、はい……っ」
↓続き
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