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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その35
1 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [] 投稿日:2011/12/20(火) 23:32:15.50 ID:P+a7l/T/o
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
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                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代……
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である……。


                           ――かもしれない……。

〜前回までのあらすじ〜

召喚士、戦士、魔道士、盗賊からなる4人の冒険者達。
彼らは5年もの間、世界中で地上をを暗黒へと変える
魔王軍と戦い、幾多の勝利を掴み、人々を救ってきた。
今回の敵は東の魔王マーラ。はたして勝算は……?

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
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◆雑談スレ(オマケみたいなSSがあったりするとかしないとか)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301828985/

◆前スレ(その34)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322122521/


3 名前: ◆1otsuV0WFc [] 投稿日:2011/12/20(火) 23:33:37.27 ID:P+a7l/T/o
 ――忍。決して表に出る事はなく、影に徹する存在。

 それを始めて白日の下へと導き出したのが『藤蔵』の存在である。

 藤蔵がいつより存在し、どれ程派生したかは不明瞭であるが、

 八代当主の際に帝の御庭番。そして十三代当主の際に大名への資格を取りつけ、

 十四代目にしてついに、大名と相成った。その反面、影と呼ばれる藤蔵一族の裏の顔は、

 藤蔵がだいみょうとして世に輝いた時と同じくして、滅びた。いや、自ら破滅への道を歩んだ。

 後の十五代当主はその事態を危惧していたが、己の命を賭しても、止める事は出来なかった。

 妹は兄を見殺しにしたも同然の藤蔵を出奔し、流浪の身と相成った。

 あれから5年。藤蔵は変わった。忍も変わった。しかし、変わらぬものが1つある。

 それは、忍の魂とも言うべきもの。『守るべき者の為には、死をも厭わない』。

 帝に忠誠を尽くした、雷遁の忍は、帝を守るべくして死んだ。

 忍に死はつきもの。忍もまた武士であり、東方に生きる侍なのである。

 彼らは言う。死を以って勝利を得られるのであれば、喜んで命を尽くすと。



 ――武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり。


4 名前: ◆1otsuV0WFc [] 投稿日:2011/12/20(火) 23:34:25.07 ID:P+a7l/T/o


召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第五十六部〜


5 名前: ◆1otsuV0WFc [] 投稿日:2011/12/20(火) 23:35:13.37 ID:P+a7l/T/o
〜東方、橋の下〜

戦士「……っりゃあ!!」

フオンッ…ンンンン

と「おぉ……っ、お見事」

戦士「いや、これじゃあまだ全ての力が伝わってねぇ。もっと早く正確に抜かねぇと」カシャッ

鬼丸「朝っぱらから元気だな」ザッ

戦士「鬼丸」

鬼丸「今日だっけか? 出発」

戦士「ああ。お前も行けるよな?」

鬼丸「グハハッ、いつでも絶好調よ!」

戦士「そういや、召喚士から話は聞いたよな?」

鬼丸「ああ。昨日の晩に来た。とは言っても、俺も詳しいわけじゃねぇからなぁ」

戦士「そっか」

鬼丸「とにかく役に立ちそうな事は伝えたぜ!」

戦士「助かるよ、相棒!」


6 名前: ◆1otsuV0WFc [] 投稿日:2011/12/20(火) 23:35:53.34 ID:P+a7l/T/o
〜帝の城〜

名代「上様、まもなくご出兵の支度が整いまする」

帝「うむ。手筈は任せる」

名代「はい。家老殿、問題御座いませんね?」

家老「正面の大通りは万全じゃ。そのまま大橋を抜けて、都を離れるぞ」

青年兵「大橋? 進路は西ではないのですか?」

名代「民の手前もありますから」

家老「左様。皆々は上様の凛々しいお姿を拝みたくて、集っておるわけじゃからな」

名代「それに西へ兵を進めなどすれば、民が警戒するでしょうからね」

青年兵「なるほど……っ。今回の戦いはあくまで、北ですからね」

名代「はい。余計な波風は立てぬ方が良い、と言う事ですよ」

青年兵「お見それ致しました。それでは私達も準備を整え、大橋にて待っております」

帝「宜しく頼むぞ」

青年兵「こちらこそ。それでは」スッ

帝「いよいよ……だな」


7 名前: ◆1otsuV0WFc [] 投稿日:2011/12/20(火) 23:36:37.16 ID:P+a7l/T/o
〜東の城〜

西方参謀「おっ、あれか!」

ザッザッザッザッザッ

槍侶「総本山より救援に参りました! 宜しくお願い致します!」

南方参謀「あらぁ! スキンへッドでなかなかカワイイじゃない〜」

槍侶「!?」

僧兵長「失礼ですが、此方の指揮官はおられるかな?」

西方参謀「東方先生ー呼んでるぞぉ……ヒック」

東方参謀「儂はここだぁー! ここにおるっ!」ヒュバッ

クルクルクルッ…スタッ

僧兵「お、おぉ……っ」

東方参謀「本国の東方参謀と申す。共に戦おうではないか、同士諸君よ」

僧兵長「ど、どうも」

南方参謀「今日中に物資の搬入終えてよっ。出航は夜なんだから」

東方参謀「総本山の皆も、船の中で休まれるが良い」

槍侶「はっ。ありがとうございます」


8 名前: ◆1otsuV0WFc [] 投稿日:2011/12/20(火) 23:37:16.28 ID:P+a7l/T/o
〜旅籠〜

男隊員「おっしゃあ、そんじゃ行くかぁ……ヒャハハ!」

魔道士「女将さん、長々とお世話になりました!」

女将「全員、無事に帰ってくるんよ? 美味しい物作って、待ってますから」

隊長「必ずや無事に帰ってきます!」

男隊員「空回りすんなよ?」

隊長「誰にモノを言ってんだてめぇは!」ギリギリッ

男隊員「いてぇーっ!!」

女将「うふふふふっ」

格闘家「副司令が戻って来ましたよ」

青年兵「もう間もなく出発です。大橋にて東方軍と合流致しましょう」

戦士「おっしゃ! いくぜ」

盗賊「ああ」

召喚士「それでは行ってきます」

女将「ほんと、気ぃ付けてな……っ!」

魔道士「はぁい! えへへっ!」


9 名前: ◆1otsuV0WFc [] 投稿日:2011/12/20(火) 23:38:13.41 ID:P+a7l/T/o
テクテクテクテク

戦士「召喚士と魔道士は、大橋でお別れだな」

召喚士「魔王マーラ、強敵だと思うけど……頑張って!」

盗賊「そちらもな。また、都で会おう」

魔道士「はいっ! 藤蔵の皆さんにも宜しくお伝え下さいっ!」

青年兵「特遊はここから北の城でしたよね?」

隊長「ああ。旗本殿らと合流の後、直に北の城へ向かう」

戦士「んで残る俺らが藤蔵行きだな」

盗賊「ああ」

青年兵「東も今頃、動き出している頃でしょうね」

戦士「結局、女侍達の手掛かりはなかったな」

召喚士「うん。船で国外に出た形跡はないから、まだ東方に居るとは思うんだけど……」

魔道士「うーん。どうなんでしょうねぇ」

盗賊「奴らも賊だ。都や東方情勢を把握していないとは思えんがな」

青年兵「国軍が都を離れれば姿を見せるかもしれませんね」

召喚士「そうだね。でもまぁ、協力してくれるって決まったわけじゃないし、現有戦力で考えないとね」


10 名前: ◆1otsuV0WFc [] 投稿日:2011/12/20(火) 23:38:58.10 ID:P+a7l/T/o
〜大橋〜

鬼丸「おーう。出発かぁ?」

戦士「ああ。もうじき上様達も来るみたいだぜ」

鬼丸「それでか。見ろよ、この人の数……」

男「いよいよ、おお戦だそうじゃ!」ワイワイ

女「この戦で平和になるかもしれないんだろっ? 頑張って欲しいねぇ」ワイワイ

召喚士「みんな、上様の出陣する姿を見送りにきたんだね」

魔道士「こういうところは、本国と一緒なんですね」

隊長「味方の士気も上がるし、民への鼓舞にもなるしな。一石二鳥だ」

魔道士「なるほどですね〜」

男「おぉっ! おいでなすったぞ!」ワイワイワイ

女「上様ぁ!!」ワイワイワイ

 絢爛なる甲冑ち馬の装飾を施し、大通りの中央を悠然と進む帝。

 脇に備える旗本衆や名代の姿も凛々しく映り民はただただ感嘆の息を漏らす。

 表情明るく闊歩する一同ではあるが、よく見ると指先は震え、緊張を押し込めていた。

 大橋で待ち受ける本国の一同を目にすると、帝はようやく、心の底より笑顔を見せた。


22 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:45:12.99 ID:0qGF7Iupo
帝「待たせたか?」

盗賊「いえ、我らも今しがた、来たところに御座いまする」

帝「さて、参ろうか。皆の馬を此れへ」

旗本「御意に」

 本国の面々が合流すると、飾られた華に異彩が加えられ、なお一層の趣を見せる。

男「ほんに、上様が先頭に立たれてからというもの、東方も変わっただなぁ」

女「いんや。あの異人さん達のお陰さね。異国の力は凄いもんだねぇ」

 晴れ姿を一目見ようと集った民の期待を一身に背負い、帝は都を後にした。

パッカパッカパッカ…

名代「このまま北側の関所を抜け、御用邸まで馬を飛ばしまする」

魔道士「ゴヨーテー?」

盗賊「上様の別荘といったところだ」

男隊員「どうしていちいち、そんな回りくどい事を?」

旗本「先に名代様も述べたように、西へ出兵した事を悟らせぬ為に御座いまする」

名代「それともう一つ……」


23 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:45:56.15 ID:0qGF7Iupo
〜御用邸〜

戦士「なるほど。着替えか」

名代「上様を白昼堂々、外で着替えさせるなど出来ませぬからな」

魔道士「どうして着替えちゃうんですか? 立派な鎧なのに……」

旗本「あれは民へ向けた馬揃えも兼ねた行事用のものですから」

青年兵「なるほど。軍事パレードですね。確かにあの威風堂々たるや、民も安心するでしょう」

東方司令「見た目のみに重点を置いた甲冑であったというわけだな」

ザッザッザ

帝「待たせたな。それでは参ると致そうか」

青年兵「ではこれより、作戦を開始したいと思います」

隊長「旗本殿、俺らは先日のルートで北の城でいいな?」

旗本「御意に。隊長殿ら私より経験豊富な事は明白。従うまでです」

隊長「それじゃ、特遊と旗本衆は北の城へ向かう。行くぞ」

男隊員「最北で会おうぜ……ヒャハハ」

女隊員「朱雀チームはまた、都で再会ッスよ!」


24 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:46:39.65 ID:0qGF7Iupo
魔道士「頑張って下さいねっ!」

格闘家「そちらも、お気を付けて」

ザザッ…ドドッドドッドドッ…

青年兵「ではこちらも行きましょうか」

戦士「おう。藤蔵までは盗賊に任せておけば問題ないな」

盗賊「ああ」

鬼丸「相棒の相棒っ!」

召喚士「!?」

鬼丸「昨日も言ったけどよ、神野悪五郎は人の心を巣食って生きてる妖だ」

召喚士「……はい」

鬼丸「今ある体も死んだ人間の怨念からなってる。まずはそれを何とかすりゃあ勝てる」

召喚士「ありがとう。やってみるよ」

鬼丸「本体はクソ弱えぇから安心しなっ! グハハハッ!」

青年兵「召喚士さんなら何も心配は要りません。また、都で会いましょう!」

召喚士「うん! お互い、頑張ろう!」


25 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:47:25.99 ID:0qGF7Iupo
ザッ…ドドッドドッドドッ…

帝「さて、残るは我らか」

名代「まずはこのまま、戦士殿の申していた西の寺へと向かいます」

召喚士「そこで情報収集ですね」

名代「新たな手掛かりはないと思いますが、直に聞くのは人伝よりも確かですから」

東方司令「確かに」

帝「ついでに休息地にもなるしな。では参ろうか」

魔道士「はいっ」

召喚士「傍から見れば、たったの5人かもしれません。でも決して弱くはありません」

東方司令「当たり前だ。ボクがいるんだからな」

魔道士「そうですよっ。みんなの力を合わせれば……きっと勝てます!」

帝「うむ。その通りだ」

名代「召喚士殿、断じて無理はなさらぬように」

召喚士「……はい」

 名代の見透かしたかのような声に、召喚士は頼もしさを感じつつも、申し訳なく思った。


26 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:47:52.99 ID:0qGF7Iupo
〜夕刻、藤蔵〜

カァーッ…カァーッ

 この時期ともなると日の入りは早く、辺りは既に黒く染まり始めていた。

 鴉や梟などの声が活気付き始めた中、疾走する馬蹄の音が藤蔵の屋敷へと近づく。

ドドッドドッドドッ…ドドォ

青年兵「こ、ここが……藤蔵っ」

戦士「でかい屋敷だろ。俺も初めて来た時はビックリしたぜ」

青年兵「名代様の屋敷にも驚きましたが……これは最早、城ですね」

盗賊「そんな事はないぞ」

戦士「うん、城だな」

鬼丸「こりゃ立派な城だ」

盗賊「……」ピクッ

 呆れ顔の盗賊であったが一転、険しい表情へと移り変わり、背後を振り向いた。

盗賊「よけろっ!」

戦士「!?」


27 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:48:44.14 ID:0qGF7Iupo
 盗賊以外の3人が飛ぶと、すかさずクナイが木陰より鬼丸めがけて放たれた。

鬼丸「むっ!」

シュバッ…キキイィン

 盗賊の放つクナイが、鬼丸へと迫るクナイを空中で相殺し、叩き落した。

 見慣れた一同にはいとも容易い所業にこそ見えるが、到底、並の者には出来ぬ行いである。

盗賊「こやつは敵ではない。お主らも知っておるだろう」

スタッ

風忍「……姫?」

水忍「それにお仲間の方々と……お、鬼丸か?」

鬼丸「おいおい、勘弁してくれっつーの」

戦士「お久し振りっす」

水忍「話は伺っている。さ、一先ずは屋敷へ」

風忍「鬼丸、お主……随分と雰囲気が変わったな」

鬼丸「そうかぁ?」

水忍「ん? そちらの御仁は初めてお見かけするようだが」


28 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:49:23.65 ID:0qGF7Iupo
青年兵「本国国軍、青年兵と申します」

風忍「これはどうも。若いようだが、姫の部下かな?」

戦士「おいおい、これでも今回の戦いにおける司令官だぜ?」

風忍「……は?」

タッタッタッタッタッ

火忍「ひいいぃぃめええぇぇぇぇ――」

ゲシッ!!

侍女「姫ーっ!! おかえりなさ〜いっ!!」ギュウウゥゥ

盗賊「……ただいま」

火忍「人を足蹴にしてんじゃねぇ! 姫ならいざ知らずよぉ!」

侍女「変な趣味発揮してないで、早くお客様を案内しなさいよ」

火忍「……ちっ」スタッ

戦士「世話になるぜ」

火忍「うるせぇ。調子に乗んなよコラ!」

戦士「……?」


29 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:50:13.26 ID:0qGF7Iupo
〜藤蔵、屋敷内〜

青年兵「……」ソワソワ

戦士「鬼丸は?」ソワソワ

青年兵「外で待つそうです」ソワソワ

戦士「……そか」ソワソワ

カラッ

戦士「っ!!」

盗賊「……何をびっくりしている」

戦士「うっせぇ」

盗賊「間もなく父様もお見えになるそうだ。しばし待たれよ」

青年兵「はい」

盗賊「侍女、茶菓子を振舞え。堅苦しい場にはしたくない」

侍女「はいなっ」

青年兵「な、なんだか盗賊さん……雰囲気が違いますね……」ソワソワ

戦士「ああ。やっぱり自分の家だと素が出るんだろうな」ソワソワ


30 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:51:01.35 ID:0qGF7Iupo


風忍「御館様、お成りになられまする」

ザッ…スタスタスタ

御館様「面を上げい」

盗賊「ご無沙汰をしておりまする。御健勝にて、何よりで御座いまする」

御館様「お主等もな。して、此度の戦においての指揮官が居ると聞いたが」

青年兵「はっ。本国国軍を預かっております、青年兵と申しまする」

御館様「随分と若いな。年は幾つだ?」

青年兵「はい。25になります」

御館様「盗賊と同年か」

盗賊「彼の者、才器において指揮官に相応しく、文武優れたるや右に並ぶ者なしに」

御館様「であろうな。一国の、ましてやこの国の大事を担うのであるからな」

青年兵「ありがとうございます!」

御館様「先ずは此度の戦について、概略を聞かせて貰おうか」

青年兵「はっ、早速」


31 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:51:56.14 ID:0qGF7Iupo


御館様「成程、大方理解した。ご苦労である」

青年兵「はっ」

盗賊「御館様、西の神野悪五郎なる妖、伺った事は御座いまするか?」

御館様「西の妖は存ぜぬ」

盗賊「左様ですか……」

青年兵「シンノアクゴロウさえ居なければ、全軍を北へ向けられたのですが……」

御館様「聞く限り、同時に倒すようだが、同時でなくばならぬのか?」

青年兵「はい。それには事情が御座いまして……」

 魔王マーラと神野悪五郎の関連性。そして結界の件。

 青年兵の重い口調で語られるそれらを、御館様はただ無言で耳へ入れている。

御館様「成程。結界と龍脈に関連性があったとはな」

青年兵「恐らく、魔王マーラを討てば、結界は脆弱となるは明白です」

御館様「さすれば、神野悪五郎が都へと攻め入る可能性もあるわけか」

青年兵「はい」


32 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:52:42.24 ID:0qGF7Iupo
御館様「事情は把握した。確かに、結界が薄れておるのは感じられる」

戦士「そうなんですか?」

御館様「藤蔵にも結界は張られておる。しかし、あの鬼丸とやらが踏み入れたであろう」

盗賊「……確かに」

御館様「それに……」

盗賊「……?」

 言うべきか迷った御館様であったが、いずれ接触する公算は高く、あえて素直に話を続けた。

御館様「先日な、兄様が訪ねてきおったわ」

盗賊「――――っ!?」

御館様「奴もまた、妖となろうとも、この東方の為に命を尽くすつもりのようだ」

盗賊「兄様が……っ、やはり東方へ……」

御館様「単独で北へ向かうと申しておった。何れは共に戦う事もあろう」

盗賊「……はい」

御館様「その時は……いや、東方の為に力を尽くせよ」

盗賊「……有難う御座りまする」


46 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/21(水) 22:08:32.59 ID:9U1An8m6o
誤字から生まれた藤蔵も大きくなったもんだ


48 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/21(水) 23:27:51.01 ID:ycirRm5wo
>>39
誤字も物語の重要な要素
だから前スレでいないはずの南方司令がオカマ口調で喋っていたとしても誰も指摘しなかっただろ



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