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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その26
332 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/04(金) 18:24:06.72 ID:73IRWxYRo
〜本国、大通り〜

テクテクテクテク

戦士「…ん、何だありゃ?」

魔道士「行列ですね。何かあるんでしょうか?」

男「押すなって!順番だろうが!」

おっさん「次の馬車なんて待ってられるかよ!」

召喚士「……あれ?参謀さん…!?」

タッタッタッタッタ

魔道士「参謀さんっ!」

参謀「!?……これはこれは、どうしました?」

戦士「こっちの台詞だよ。何でまた本国なんかに…」

参謀「あぁ、彼らを迎えに来たんですよ」

盗賊「…彼らは?」

参謀「失業者達です」

召喚士「……て、事は」


333 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/04(金) 18:24:53.62 ID:73IRWxYRo
参謀「ええ。北方司令部では本格的に屯田が始まります」

魔道士「おぉーっ!」

参謀「電話の話、聞きました?」

召喚士「あ、はい。つい先程」

参謀「どうやら思ったより早く進んでいるようで、こちらも急がされる事に……」

盗賊「…なるほど」

戦士「でもよ、穴掘りは順調なんじゃないのか?」

参謀「そちらは問題なさそうなのですが、もう一つの…」

召喚士「地獄の壁…ですか?」

参謀「こちらも開戦に間に合わせるつもりでいましたからね。迂闊でした」

戦士「ほんとに海峡まで伸ばすつもりかよ…?」

参謀「あくまで上はそう考えてますよ」

盗賊「……」

参謀「私は最悪、北関まででも良いかとは思うのですが……」

召喚士「……そうですか」


334 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/04(金) 18:25:42.11 ID:73IRWxYRo
タッタッタッタッタ

北方兵「馬車出発出来ます」

参謀「うむ。すぐに北関へ向けて出発してくれ」

北方兵「ははっ!」

参謀「それでは私も、これで失礼します」

魔道士「はいっ!頑張って下さい!」

召喚士「何かあればお手伝いしますからっ」

参謀「ありがとうございます」

テクテクテクテク…

戦士「いよいよ慌しくなってきたなぁ」

盗賊「…そうだな」

召喚士「俺らもジッとしているよりは、色んな所の手伝いとかしたいね」

魔道士「あ、そうですよね!それがいいですよ〜っ」

五ヵ年計画も残すところ1年半余り。最後の1年を覗くと猶予は既に半年。

武官文官問わず、人間対魔族の最後になるであろう戦いに向けて動き始めていた。


335 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/04(金) 18:26:31.59 ID:73IRWxYRo
〜経済機関〜

左秘書官「……」

左大臣「本当なのだろうなァ?」

左翼官「はい、間違いないと思われます」

左大臣「次にこちらがヘタを打てばァ、再起は難しいのだぞ?」

左翼官「分かっております。しかし、それだけ自信がございます」

左大臣「…フッハハハハァ!!」

左文官「……っ」

左大臣「確かに資料を見る限り、間違いはなさそうだなァ……」

左翼官「……はい」

左大臣「王宮へ向かい裏を取れ。あとはァ……」

スクッ

左大臣「しばらく留守にする。あとは任せるぞ」

左秘書官「はっ」

左大臣「……さて、うまく取り込めると良いがなァ」


336 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/04(金) 18:27:48.48 ID:73IRWxYRo
〜サモナーの家〜

サモナー「……ふーっ」

眼鏡を机に置き、サモナーは大きく仰け反るように上半身を伸ばす。

サモナー「……」

そして窓の外からマーメイドを見つめ、目が合うと手を振り、にっこり微笑む。

サモナー「あとちょっとなんだけどなぁ……」

キィ…

サモナー「おわっ!?」

ガタンッ…ドサドサドサッ

椅子を斜めに揺らしていると、バランスを崩し倒れるサモナー。

その上に背後の本棚から無数の本が零れ落ちた。

サモナー「い……っててて」

ヨロッ

サモナー「…ん?」

右手の上に被さった一冊の古びた書物。


337 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/04(金) 18:29:10.61 ID:73IRWxYRo
サモナー「なんだっけこれ……」

市販のものではない。かつて玄武先生の下に集った弟子の一人が記した手記。

サモナー「……」

手で埃を払うと、おもむろにそれを開く。

パラパラパラッ

手記は異質な内容であった。これまでどの文献にも記載がない、

言わば独自解釈。本国が密教と認定する、魔王を崇めた思想集団。

それは万物全てにおいて命があり、生を始まりとし、死を終わりとしている。

人間は現世の行において、来世の命が決まると言う。

それを輪廻と言い、魔族にも同様の事だと言うのだ。

人間は魔族の手にかかり魔族化する事も無論ある。

しかし密教において、それは外道とされており、真なる救いは輪廻によって、

来世で魔族として生まれ変わる事だと言うのだ。

サモナー「馬鹿げてる……こんな話……っ」

口ではそう言いつつも、サモナーの中で微かな思惑が浮かんだ。


338 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/04(金) 18:30:01.77 ID:73IRWxYRo
サモナー「……」

ならば召喚獣はどうなのであろうか?」

人間と魔物が並列した存在であるとするならば、同じく万物における

召喚獣という存在も、同様の事が言えるのではないのか。

サモナー「…………」

しかしその存在は根本的に違うものであった。まずはその世界である。

人間と魔物は同様の世界に存在するが、召喚獣はあくまで、人間の魔力を

媒介とし、その存在を同じ世界へと、言わば召喚するのである。

サモナー「……」

ところが人間が召喚獣の世界へ行く事は可能なのである。

限られた条件の下ではあるが、確かに行く事が出来るのだ。

サモナー「……」

もし、四属性の召喚獣と式神に繋がりがあるとするならば、

どちらが本当の形であるかは明白な事であった。

サモナー「……龍脈か。もしそうならば…なんて残酷な話なんだ」


339 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/04(金) 19:08:31.11 ID:73IRWxYRo
〜数日後〜

戦士「おいっしょおおぉぉ!!」

おっさん「兄ちゃん、若いのにタフだねぇ」

戦士「おっさんも頑張れよ〜」

おっさん「おうよ!やっと手にした職だ、気合入れねーとな!」

召喚士「……ふーっ」

目の前に広がる巨大な壁。四人は北関を拠点とする屯田の元を訪れていた。

魔道士「皆さーんっ、昼食の準備が出来ましたよーっ!!」

男「おぉ!?待ってましたぁ!!」

戦士「召喚士、俺らもメシにしようぜ!」

召喚士「うんっ」

魔道士「はいっ、盗賊さん!」

盗賊「……いただきます」

戦士「働いた後のメシは格別ってやつだわな!」

召喚士「そうだね、本当に美味しいっ」


344 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/04(金) 21:44:55.90 ID:2YSuMmqAO
>>1乙

そういえば魔道士がパーティーから抜けた時に何か伏線があったような…


348 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/04(金) 23:51:02.31 ID:ggP1lZ8IO
やっぱり魔導士はあの人の妹なんか…


358 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/05(土) 23:48:47.46 ID:MgQyNNmlo


戦士「あー食った食ったぁ!」

盗賊「…ご馳走様でした」

召喚士「ほんと、美味しかったですよ」

魔道士「そうですかっ!?ありがとうございます〜!」

戦士「さーて、腹も膨れたところで午後も……ん?」

パッカパッカパッカパッカ…

左翼長「おーっ、やってるな」

戦士「おじさんっ!」

左翼長「何だか悪いな。わざわざこんな事をやらせちまってよ」

召喚士「いいんですよ。好きでやってる事ですから」

左翼長「しかしお前らも物好きだよな。なーんでこんな事を……」

召喚士「……してみたかったんですよ、こういう事も」

左翼長「…まぁ、こっちとしちゃありがてぇけどな」

魔道士「楽しいですよっ、えへへ!」


359 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/05(土) 23:51:59.98 ID:MgQyNNmlo


左翼長「……とまぁ、こんなところだな」

戦士「司令部まで伸びてるんだろ?結構、完成してるよなぁ」

召喚士「あと…半年ですもんね」

左翼長「山岳地帯は途切れ途切れだがな」

盗賊「…間に…合うのか?」

左翼長「まぁな。形だけならなんとかなる」

戦士「形だけって……」

左翼長「いいんだよ。そもそもが魔物を近づけさせない為のものだ」

盗賊「……」

左翼長「兵なり結界石なり配置してカバーする事は簡単だからな」

魔道士「なるほど〜」

左翼長「そんで、親父からは何か連絡あったのか?」

戦士「…いや、まぁ何かあってもわざわざ連絡してくるとは思えねぇけど」

左翼長「……それもそうだな」


360 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/05(土) 23:53:49.83 ID:MgQyNNmlo
〜本国、王宮〜

カツカツカツカツ

左翼官「お目通り頂き、ありがとうございます」

エリート「……何の御用でしょうか」

左翼官「まぁ、そのような怖い顔をなさらずに」

エリート「……」

左翼官「今日は王宮で管理されている資料を拝見したく……」

エリート「資料?」

左翼官「無理難題を申し付けるような物ではありません。至極、簡単な物です」

エリート「どういった物でしょうか?」

左翼官「王宮に仕えていた者を記した名簿を拝見したいのです」

エリート「……?」

左翼官「何か問題でもありますか?」

エリート「いや、特にないが……一体、何の為に……?」

左翼官「それをお話する必要はございません。いや、するつもりはありません」


361 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/05(土) 23:59:55.82 ID:MgQyNNmlo
エリート「……随分と正直ですね」

左翼官「隠す必要はありませんからね。しかし目的は言えません」

エリート「……」

左翼官「断る事は出来ぬはずです。公な資料ですからね」

エリート「……分かりました。しばしお待ちを」

左翼官「はい」

カツカツカツ

エリート(一体……何が目的なのだ…っ?)

カツカツカツ…コンコン

皇太子「いいぞ」

エリート「失礼致します」

皇太子「どうした?」

エリート「左翼官殿が参られました」

右秘書官「左翼官?一体、何用だ…?」

エリート「それがですね……」


362 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 00:02:32.64 ID:evX4dAM5o


右秘書官「……過去の名簿?」

エリート「どう考えても裏があります。しかし……」

皇太子「断る道理はない。いや、権利はないな」

エリート「……はい」

右秘書官「止むを得ないが、従うしかないでしょう」

エリート「但し、不審な動きがないか、私が同行します」

右秘書官「願ってもない。頼むぞ」

皇太子「……」

エリート「はい。それでは行ってきます」

カツカツカツ…パタン

右秘書官「……一体、何の目的なのでしょうか」

皇太子「さぁな。しかし全てを疑うのはあまり好ましいとは思えぬが」

右秘書官「お気持ちは分かりますが、それが我らの仕事です」

皇太子「……そうか。そうだな」


363 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/06(日) 02:42:21.72 ID:IGTjjQYDO
>>1乙っす
もう少しで大きな戦いが始まろうとしているのになぜ左翼はこんなにも邪魔してくるのか


365 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/06(日) 08:03:44.60 ID:OoXtUEsSO
左翼は経済担当→戦いがあれば武具やらワーカーの需要と供給が生まれ→経済ウマー

流石にこれ以上は言いたくない


368 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/03/06(日) 19:31:06.20 ID:RapFjIPq0
まず左翼は敵と内通しているかもってこともあるし
戦争による経済効果にしたって、それは第三国が戦場になる場合だよ
自国の領土が戦場になる状況で経済効果なんて最初のうちだけ
しかも開戦したって一か八かの戦争なわけで、反対派がいるのも当然

内通してる左翼が妨害工作として反対してる
真面目に国益考えて反対してる

どちらにせよ反対の立場に違和感なくない?


369 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/06(日) 20:04:33.97 ID:I6XEqsGSo
戦争によるリスクを考えると現状を維持したほうが国のためになるという考え方 資本主義ではないし
また内通者が妨害工作として妨害している

屯田の効果は経済的にも大衆的にも受けが良いので支持率が右翼に持って行かれる


370 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 22:49:43.97 ID:evX4dAM5o
カツカツカツ…コツ

〜保管庫〜

エリート「……こちらです」

左翼官「どうも」

カツカツカツ…

宮仕「エリート様?」

エリート「左翼官殿が資料を閲覧されたいとの事だ。開けてくれ」

宮仕「あっ、はい」

カチャッ…キイィ

エリート「どうぞ、お入り下さい」

左翼官「……?」

エリート「どうしました?私も一緒では、何か不都合ですか?

左翼官「ははっ、仕事熱心な方だ」

エリート「それしか取り柄がないものでね」

左翼官「そうですか……私もですよ」


371 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 22:50:38.78 ID:evX4dAM5o


エリート「この棚のものがかつて王宮に所属していた者らの資料です」

左翼官「かなりの数だな」

エリート「無論、公に出来ない事項などは別……」

左翼官「それは結構。えぇと、年代は……」

エリート(何を知りたいと言うのだ?ここにあるものでは履歴書以下のレベルだぞ…?)

左翼官「……この辺りか」

スッ……パラパラッ

エリート「……っ」

左翼官「……やはり…ないな」

エリート「お探しのものは見つからなかったようですな」

左翼官「……ないのだよ」

エリート「……?」

左翼官「22年前のこの名簿。突如、陛下の世話係が入れ替わっている」

エリート「それが何か…?」


372 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 22:51:07.14 ID:evX4dAM5o
左翼官「男女一名ずつ。前任者の名が一切…載っていない」

エリート「……」

左翼官「……君も知っていると思うが…22年前、ある記事が新聞に流れた」

エリート「新聞?」

左翼官「この年、一人の女性な亡くなっている」

スッ

左翼官「当時の新聞を切り抜いたものです。どうぞ」

エリート「……」

左翼官「亡くなった女性は故、女王陛下の世話係」

エリート「ま、まさか……」

左翼官「女王亡き後、陛下と密に関係があったと噂されていましたっけ」

エリート「……っ」

左翼官「前年より姿を見せなくなり、この年に突然の死去……」

エリート「……」

左翼官「世間は色々と噂したものです」


373 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 22:52:18.70 ID:evX4dAM5o
エリート「何が……言いたいのです……っ」

左翼官「分かっているでしょう?その記事の通りですよ」

エリート「……っ」

左翼官「ある新聞社の記者が、スクープとして取り上げたものです」

エリート「しかし……これは……」

左翼官「女は、陛下との間に女児を設け…出産後、間もなく死んだ……と」

エリート「……っ!!」

左翼官「そして同時期に、陛下の世話係が2名入れ替わっている」

エリート「…………」

左翼官「これはどういった意味なのでしょうね。因果関係があると思いませんか?」

エリート「こんな記事はデマではないか!因果以前の問題だっ!!」

左翼官「その通り。この記者はデマをでっち上げたと新聞社からも謝罪があった」

エリート「それはそうでしょう。侮辱だとしても甚だしい……」

左翼官「ですが、これがもし本当だとしたら……一体どうなってしまうのでしょうね」

エリート「……っ」


375 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 22:54:42.72 ID:evX4dAM5o
バンッ!!

エリート「貴方達は何が目的なのだっ!こんなデタラメまで……」

左翼官「私は上の者に従うのみです。それ以上は知りません」

エリート「従う…?あのような国賊まがいの事を認めると言うのかっ!?」

左翼官「国賊?それは違うっ!国を思えばこその事であろう!!」

エリート「国を思ってこのような真似をすると言うのかっ!」

左翼官「無益な血を流さずに世を統べる事こそが政治であろう!」

エリート「それは全てを為しえてからの問題だ。魔物がいる以上、空論に過ぎん」

左翼官「魔物がいるからこそ、政治が成り立つ事とてあるのだ」

エリート「そんな世の中だからこそ、血が流れるのであろう!」

左翼官「……若いな」

エリート「……?」

左翼官「まぁいいでしょう。ここで貴方と論争しても何も始まらぬ」

エリート「……っ」

左翼官「ありがとうございました。もう十分ですよ、収穫はありましたから」


376 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 22:55:50.84 ID:evX4dAM5o


左翼官「では、失礼」

カツカツカツカツ…

エリート「……っ」

宮仕「……あ、あのぉ」

エリート「もう良い。閉めてくれ」

宮仕「は、はい」

カツカツカツ

エリート「……」

カツカツカツ

エリート「……だとしたら、何だと言うのだ…っ」

カツカツカツ

エリート「……狙いは」

カツカツカツ…ピタッ

エリート「――っ!!」


377 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 22:57:04.76 ID:evX4dAM5o
〜右大臣室〜

タッタッタッタ…バンッ

右大臣「!?」

エリート「はぁはぁ……はぁ……っ」

右大臣「エリート…?」

エリート「…はぁ…はぁ、父上…っ」

右大臣「一体どうしたと言うのだ?」

カツカツカツ

エリート「今しがた、左翼官が王宮を訪れました」

右大臣「左翼官?」

エリート「過去に王宮へ所属していた者の名簿を見たい、と」

右大臣「……それで?」

エリート「彼は22年前の名簿を見て、ただそれで帰って行きましたよ」

右大臣「……」

エリート「父上ならば、この意味がわかるのではありませんか?」


378 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 22:58:24.64 ID:evX4dAM5o
右大臣「…………」

エリート「父上、いえ…右大臣殿。何か知っているのであれば…教えて頂きたい」

右大臣「…………」

エリート「奴らは既に、何かに気付き……答えに辿り着こうとしております!」

右大臣「……」

エリート「時間がないのです!」

右大臣「……」

エリート「分かっておるのですか!?奴らの狙いは殿下なのですぞ!」

右大臣「……」

エリート「父上っ!!」

右大臣「……付いて来い」

エリート「どこへ?」

右大臣「陛下の下へだ。……殿下も連れてな」

エリート「……っ」

右大臣「先に行く。待っておるぞ」


379 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 23:00:37.52 ID:evX4dAM5o
〜陛下の寝室〜

コンコン…カチャ

エリート「失礼致します」

右大臣「……来たか」

皇太子「話とは、一体何かな?」

右大臣「…陛下、宜しいですな?」

陛下「……う…む」

右大臣「今から話す事、それは殿下……」

皇太子「……」

右大臣「貴方の異母妹の事です」

皇太子「――っ!?」

エリート「それでは……まさかっ」

右大臣「今こそ真実を明かそう……」

エリート「噂は…本当に……」

右大臣「殿下の妹君。それは――」


380 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 23:01:33.68 ID:evX4dAM5o
〜???〜

コツ…コツ…コツ…

左大臣「……」

――「来ましたか」

左大臣「ここのところやられっぱなしでなァ」

――「そうですね……ククッ」

左大臣「我慢してきたがァ、もう耐えるのもいい加減、飽きたわァ」

――「おや、動くと言うのですか?」

左大臣「いつまでも待てと言われて……待てる程、気は長くないのだぞ」

――「……」

左大臣「悪いがァ、好きにやらせて貰うぞ」

――「全く。火の粉だけは飛ばさぬように……頼みますよ?」

左大臣「私を誰だと思っておる」

――「……」

左大臣「せいぜい大人しく、見ておる事だなァ。……ネクロマンサー」


381 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 23:03:02.16 ID:evX4dAM5o
コツコツコツ…

ネクロマンサー「……やれやれ。困ったものですねぇ」

――「良いのですか?あのような勝手を許して」

ネクロマンサー「構わんよ、ククッ」

――「……」

ネクロマンサー「もう、期待は出来ない」

――「それもそうですね」

ネクロマンサー「左大臣さんには、囮にでもなって貰いますよ。ククッ」

――「そうですね」

ネクロマンサー「まぁ、こちらも動くとしよう」

――「……」

ネクロマンサー「君には期待しているよ、しっかりね」

――「勿論です。ご先祖である貴方の……お導きのままに」

ネクロマンサー「期待しているよ……副司令官」

副司令官「……はい」


382 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/06(日) 23:04:02.80 ID:evX4dAM5o
コツコツコツ…ヒュン

副司令官「……」

――「ネクロマンサーは去ったか?」

副司令官「……おや、貴方もいらしていたのですか」

――「左大臣は勝手に動くつもりらしいな」

副司令官「……まぁ、放っておきましょう」

――「最後まで使えぬクズであったな。まぁ良い……」

コツコツコツ…

――「この機に乗じて、厄介者を一掃するとしようじゃないか」

副司令官「東方司令部の件もまだ落ち着いていないのに…ですか?」

――「だからこそだ。一気に畳み掛けたほうが撹乱にもなる」

副司令官「……畏まりました」

――「この白いコートとも、そろそろおさらばしたいところしな」

副司令官「……」

――「いいか、まず最初の標的は――」



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