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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その39
582 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:01:03.09 ID:n742dPR5o
 同時刻、王宮前では……。

エリート「……っ」ザッザッザッ

おっさん「陛下の説明でもなきゃ、納得いかねぇぞー!」

中年「そうだそうだぁ!!」

エリート「本当に行かれるのですか?」

皇太子「約束したしな。私の力も惜しみなく貸す、と」

エリート「……。良いか、蠅の1匹とて陛下に近づけるなよ」

衛兵「ははぁ!!」ガシャッ

皇太子「諸君、まずは私の話を聞いて欲しい」ザッ

中年「陛下だっ!!」ザワザワ

皇太子「君たちは今、ただの言葉に惑わされてしまっている。
      これまで長年、君たちや国軍、そして同盟国の苦労を蔑ろにしてだ」

おっさん「……っ」

皇太子「もしも諸君らが本当に戦う意思を持ち、そして我らを信じてくれているならば、
      何があろうとも言葉に惑わされるなどという事はなかったであろう」

中年「!?」


583 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:01:36.84 ID:n742dPR5o
皇太子「これはひとえに私の力不足であり、国軍の力不足である。
      それについては、今はひとまず控えさせてもらうとする。
      まずはスーパーノヴァなる現象、誰も見た事がないし聞いたこともない。
      そのような現象を有無で回答するには些か、お門違いというものであろう。
      だがもし、次の満月に世界が滅ぶような事があったとしよう。万が一にだ。
      それは誰のせいだ? 国軍か? 私か? 皆か? 違うであろう?
      それは魔王の仕業、ただそれだけに過ぎない。魔王が存在するからこそなのだ。
      今までとて魔王という存在に世界はずっと脅かされていた。今日までずっと。
      スーパーノヴァの有無に関係なく、小さな命から国家単位まで大小関係なく。
      つまり私が言いたい事は1つ。今更騒いでも無意味だと言う事だ。
      どんな状況かであろうと魔王が存在する限り、世界は危険に晒されているのだ。
      そして、そんな現状を打破する為に、皆が戦っている。諸君らも含めてだ。
      国軍が戦場で戦い、諸君らが本国から支援という形で戦っている。
      それをスーパーノヴァなどという言葉に惑わされて蔑ろにしてはならない。
      私は戦場へ赴き、何度も死地を潜り抜けてきた。諸君らの中にも居ると思う。
      そして何度も見てきた。目の前で、背後で、真横で死してゆく同胞達を。
      諸君らの友人、知人、家族にも少なからず居るであろう。そういう者らが。
      その魂を、意思を、誇りをたった1つの噂で汚す事はならない。許されないのだ。
      諸君らに出来る戦いとは何だ? それをもう1度考えて欲しい。
      私が思うその1つ、それは前線で戦う者らを信じて祈る事ではないだろうか。
      まやかしに惑わされる事なく、彼らを信じて、共に戦って欲しいのだ。
      非難や咎は全て、この私が一切を引き受ける。彼らを攻める事は許さん。
      それを肝に銘じて、2週間足らずではあるが、共に戦って欲しい。
      もし2週間が経過し、世界が終末へと導かれるのであれば、手遅れかもしれぬが、
      この私を死罪にでも何でも好きにするが良い。だがそれまでは頼む。何度でも言う。
      どうか命をかけて戦っている者達に力を貸してくれ。信じてくれ。戦ってくれ。
      世界中の人々が思いを1つにせねば、魔王サタンを倒す事は困難である。
      私からの言葉は以上だ。反論や非難は幾らでも引き受ける所存だ。
      もし、あるのならば今ここで言葉にすると良い。沈黙は肯定、同意とみなす」


584 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:02:13.10 ID:n742dPR5o
中年「…………っ」

おっさん「……」

皇太子「分かって貰えたようだな。では解散としようではないか」

エリート「正式なコメントは明日の新聞や本部の大元帥から通達がある」ザッ

衛兵「そら、もう終わったのだ。帰れ帰れ!」

 ゾロゾロゾロゾロ……

エリート「見事でしたな」

皇太子「あれで良かったのだろうか」

エリート「嘘偽りは申しておりません。問題はありませんよ」

皇太子「だがな、スーパーノヴァが起きてしまえば……結局、世界は混乱するぞ」

エリート「そこまでは我らの仕事ではありません。国軍に任せましょう」

皇太子「次の満月の刻、真価が問われるな」

エリート「勝ちますよ。勝つ以外に選択肢はないのですから」スタスタ

皇太子「それもそうだな。私も命を賭けてしまったし、勝って貰わねば困る」

エリート「……ええ」


585 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:03:10.23 ID:n742dPR5o
〜国軍本部、司令室〜

大軍師「お疲れ様でした。なんとか事態は収拾出来ましたね」

青年兵「ありがとうございました」ギシッ

大軍師「いえいえ、私は補佐したまでに過ぎません」

青龍士官「傷は大丈夫か?」

青年兵「こんなもの、ついこの前までの戦いに比べたら大した事はないさ」

青龍士官「それもそうだな」

青年兵「それに彼らの痛みを考えれば、この程度……」

青龍士官「……」

大軍師「さて、とりあえずこの場は切り抜けましたが、次の手を打つ必要がありますね」

青年兵「そうですね。このまま当日を迎えれば、結局、混乱は必至ですからね」

大軍師「間もなく王宮からも連絡が来るでしょう。それから――」

 ジリリッジリリッジリリッジリリッ!!

青年兵「……はい」カチャッ

エリート『私だ。こちらの事態は収束した。そちらは?』


586 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:07:24.74 ID:n742dPR5o
青年兵「こちらも何とか問題なく。ありがとうございました」

 そう言いながら青年兵は受話器の口を指差し、大軍師に合図する。

青龍士官「凄いタイミングだな……」

大軍師「だから申したでしょう? 間もなく王宮からも一報来ると」

エリート『陛下の演説で民衆は落ち着いたが、場当たり的なものだ』

青年兵「分かっております。明朝、改めて声明という形を取ります」

エリート『新聞社にはこちらから根回ししておく。あとは……』

青年兵「情報源ですか? 追及は困難かと思いますよ」

エリート『まぁな。そっちは無駄な人材も割けんだろう。こちらで対応する』

青年兵「了解です。明朝、改めてお伺い致します」

エリート『ああ、頼む。それではまた明日』ブツン

青年兵「……流石エリート様ですね」

大軍師「完全にこちらの動きを読み取って頂いていたようですね」

青龍士官「とりあえず今日のところは終いか?」

青年兵「うん。明日の朝、改めて対応にあたろう」


587 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:09:27.06 ID:n742dPR5o
〜明朝、北関〜

 パッカパッカパッカ……

北関兵「ご苦労様ですっ!」

占い師「ご苦労様、馬車はここでいい?」ザッ

魔道士「ふ……っうぅ〜!!」

 馬車から降りるや否や、両腕を高々と伸ばし背伸びする魔道士。

召喚士「おはようございます。寝られましたか?」

魔道士「おはようございますっ! 少しですけど。召喚士さんも一緒に寝れば良かったのに〜」

 どうやら魔道士の言葉から、召喚士は気を使って馬上に居た事が汲み取れる。

召喚士「さて、戦士の様子はどうかな?」

魔道士「もう3日目ですもんね。流石によくなってそうですけど……」

 ザッザッザッ……バサッ

召喚士「戦士、おはよう」

戦士「……おう」

魔道士「だ、大丈夫ですか?」


588 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:16:01.60 ID:n742dPR5o
戦士「見ての通りだ。我ながら情けねぇ……」

 車椅子に乗った戦士は、右肘と左肘を交互に出して筋トレしている。

召喚士「何とか腕は動くみたいだね……」

戦士「ああ。だがまだ歩けねぇし、首もほら……」グググッ

魔道士「痛そう……っ」

戦士「痛みは引いてきたんだけどな。なにせ全然動かん」

召喚士「でも少しずつよくなってるし、時間の問題だね」

戦士「まぁな。でもあんま悠長には待ってらんねーしなぁ」

魔道士「あと10日しかないですもんね」

戦士「10日か……」

召喚士「戦士」

戦士「ん?」

召喚士「俺らはこれから魔道士さんの家に行ってこようと思うんだ」

戦士「おっ、ついにか! しっかり挨拶してこいよっ!」

召喚士「……へっ?」


589 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:17:59.50 ID:n742dPR5o
〜本国、王宮〜

青年兵「失礼致します」カツカツカツ

皇太子「昨晩は大変だったそうだな」

青年兵「陛下こそ。ご助力、大変感謝致します」

皇太子「私と君の仲だ。気にする事はない」

青年兵「ありがとうございます」

エリート「待たせたな、新聞社への手配は既に完了したぞ」カツカツ

青年兵「ありがとうございます」

エリート「それで、声明は何時からだ?」

青年兵「10時を予定しております」

エリート「了解した。護衛を編成しておこう」

皇太子「頼むぞ。本国だけではない、世界の命運がかかっている」

青年兵「心得ております」ザザッ

 カツカツカツカツ……

青年兵「……!?」


590 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:20:17.19 ID:n742dPR5o
高官「おはよう、大元帥殿」カツカツ

青年兵「高官……さん……っ」

高官「少し良いかな?」

青年兵「はい」

 高官の後に続き、青年兵は1つの小さな応接室へと足を踏み入れる。

 着席と同時にすかさず、侍女が紅茶を淹れ、室内へは柔らかな香りに包まれた。

高官「……聞いたよ」ズズッ

青年兵「……」

 その言葉に青年兵はただ黙ったままであった。

高官「ウィッチの事だ。昨日、国軍の関係者が報告に来た」

青年兵「……そうでしたか」カチャッ

高官「分かってはいたのだが、心のどこかでは生きていて欲しいと願っていた」

青年兵「……」

高官「私が殺したも同然だ。実の……娘を……っ」

青年兵「いえっ、高官さんのせいでは……」


591 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:21:36.32 ID:n742dPR5o
高官「良いのだ。私が間違っていた。全ては私の責任だ」

青年兵「そんな……」

高官「何故……何故っ、私はもっと……ウィッチの事を……」

青年兵「……っ」

高官「……済まない。君にも辛い思いをさせてしまった」

青年兵「いえっ、私こそ……私こそウィッチさんを救えるはずだったのに……っ!」

高官「……ありがとう。その思いだけで十分だよ」スクッ

青年兵「高官さん……っ」

高官「実はね、近いうちに私は……辞職しようと考えている」

青年兵「――っ!!」

高官「自分の娘すら理解出来ぬ男に、国を動かす仕事など釣り合わんよ」

青年兵「何を仰います! 高官さんのような方こそこれからの――」

高官「もう決めた事なのだ。それに、私など居なくとも本国は安泰だよ」

青年兵「っ!?」

高官「君らのような、若く、そして素晴らしい人材が居るのだからね」ニコリ


592 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/12(火) 18:24:22.42 ID:n742dPR5o
〜北関〜

魔道士「召喚士さーん、準備オッケーですか?」

召喚士「はいっ。こっちはいつでも」

魔道士「sれじゃ行きましょっか!」ニコッ

召喚士「魔道士さんの実家は大きな街ですから、ここからなら割と近いですよね」

魔道士「はいっ。占い師さんが馬車を用意してくれるって言ってました」

召喚士「わざわざいいのに……」

魔道士「そうなんですよ、私もそう言ったんですけど……」

 ザザッ ピーガガガガッ

召喚士「……何だ?」

将軍『えー、北関の諸君らに告ぐ。これより大元帥による声明がある。心して聞くように』

魔道士「声明?」

召喚士「一体なんでしょうね? 聞いてから行きましょうか」

魔道士「そうですねっ、そうしましょう!」

 召喚士と魔道士は足を止め、スピーカーへと聞き耳を立てた。


605 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/13(水) 18:33:46.71 ID:zUZRv1N7o
〜本国王宮、正門前〜

青年兵「この放送をお聴きの諸君、私は本国国軍大元帥、青年兵である。
     今日は国軍が誇る研究機関が開発した通信システム『電話』にて、
     各地への同時伝達をする為に、このような形を取らせて頂いている。
     顔が見えぬ無礼、許して頂きたいと共に、声のみで失礼する。
     まず、今日このような場を設けて頂いた事に感謝したい。そして、
     これから話す内容を真摯に受け止め、今後の指示に従って貰いたい。
     先日、魔王ベルゼブブを討伐し、北方を平定した事は記憶に新しい。
     無論、私も参加し、数日間における交戦にて前線で奮闘したと自負する。
     そして残る魔王、サタンの討伐も2週間余りと控えたところ、そんな矢先だ。
     皆の耳に噂話が入ったのは。内容は今更語る必要もないであろう。
     その噂、スーパーノヴァについてだが、これは魔王ベルゼブブが語ったものである。
     内容は、サタンが次の満月において、世界を破滅に導くというものである。
     実に馬鹿げた話である。そしてそんな話を真に受ける現状があるのも確かなのだ。
     そもそも、五か年計画とはわずか5年の間に、全ての魔王を倒すというものである。
     スーパーノヴァなるものがあろうとなかろうと、計画に狂いはない。順調なのだ。
     結果として魔王サタンを倒せば我ら人間の勝利、敗北すれば最後、
     人間はまた暗黒時代へと突入し、この地上でひっそりと暮らす事になりかねない。
     それについては皆も同意の上であろう。私は少なくともそう聞いている。
     議会において五か年計画が承認された際、国、軍、民において、
     その内容に基づく作戦を了承したと聞いている。それは間違いであろうか?
     否、それは信念に基づいた行動であり、我らが目指す正しき道のりなのだ。
     にも関わらず、後から惑わしの如くスーパーノヴァなど騒がれても、全くの無意味。
     今、我々が成すべき事は五か年計画の完全なる遂行。つまりは魔王サタンの討伐。
     かつての勇者はこう言った。『勇者は一人であり、全員が勇者である!』と!
     生きとし生ける者全員が戦っている勇者なのだ。一丸となり、1つとなり。
     そして初めて1人の勇者となる。1人はみんなの為に、みんなは1人の為にだ!
     国民よ立て! 悲しみを怒りに変えて。立てよ国民! 本国に勝利を!!」


606 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/13(水) 18:34:17.07 ID:zUZRv1N7o
 シーン

青年兵「……」

男「……お……おぉ」

おっさん「おおおおぉぉぉぉ!!」

男「本国に勝利を! 本国に勝利を!」

女「本国に勝利を! 本国に勝利を!」

青年兵「……ふーっ」ザッ

 ザッザッザッ

大軍師「ご苦労様でした」

青年兵「あえて本国に括ってしまいましたが、良かったですかね?」

大軍師「問題ないでしょう。電話は本国のみのものですし、我らは国軍ですから」

エリート「あとは新聞が煽ってくれるさ。これで下らぬ噂話として収束するだろう」

大軍師「漏らした者は処罰しないで頂きたい」

エリート「分かっている。反逆者はもういない。ただ不安であっただけであろう」ザッザッ

大軍師「これより新聞社へ向けた会見を行います。本部へ戻りましょう」


607 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/13(水) 18:34:50.99 ID:zUZRv1N7o
 昨晩行われた皇太子と青年兵の演説に続き、今回の青年兵の声明。

 更には各新聞社による青年兵のインタビュー、それを補足する大軍師の解説、

 過去の文献における酷似点とそれに基づく確証の薄さを展開し、

 本国内における騒動は一時、驚くべきほどの収束をみせる事となる。

大軍師「これであとは当日、制御出来るかどうかですね」

青年兵「ええ。逃げ場はどのみちないわけですし、注意すべきは……」

大軍師「略奪などの自暴自棄に走った末の行為ですね」

青年兵「当日は何とか、店舗などの閉鎖を促す事は出来ますか?」

大軍師「やってみましょう。他にも外出を控えるよう通達する必要がありそうですね」

青年兵「食糧や必需品は本国から各家庭に配布できるか確認をお願いします」

大軍師「畏まりました。満月の3日前から行動に移すと致しましょう」

青年兵「各司令部にも同様の通達を」

大軍師「すぐに行いましょう」

青年兵「中の対策は一応、形は見えてきましたね」

大軍師「次は外、つまりはサタンへの対策ですね。夕刻より打ち合わせましょう」


608 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/13(水) 18:36:12.61 ID:zUZRv1N7o
〜北関近くの町〜

 パッカパッカパッカ……

魔道士「青年兵さん、かっこよかったですね〜!」

召喚士「ええ。やっぱり若くても大元帥って感じでしたね!」

魔道士「なんだか不思議な感じですよね。青年兵さんが大元帥だなんて……」

召喚士「そうですね。でも、俺らも変わりましたよ」

魔道士「まぁ、そうですけど……」

召喚士「思えば最初からずっと、不思議な巡り合わせでした」

魔道士「ええ」

召喚士「名も知れぬワーカーが4人集まって、冒険を始めたんです」

魔道士「はいっ」

召喚士「最初の頃なんて全然弱くて、ほんと苦戦しましたよね」

魔道士「今思い返すと、ほんと弱かったですよねぇ……ふふっ」

召喚士「それが何故か不思議と、すごい人達とばかり巡り合えて……」

魔道士「そうなんですよね……。何故かみんな、偉い人だったりとか……」


609 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/13(水) 18:37:10.41 ID:zUZRv1N7o
召喚士「だからこれって運命とか宿命とか、導かれてたものなのかなって思うんです」

魔道士「なるほど」

召喚士「そんな多くの出会いが、俺らの力になって、ここまでこれたんです」

魔道士「ほんと、その通りですね……」

召喚士「だから、絶対にサタンを倒して、またみんなで笑って再会しましょう」

魔道士「……私との出会いも、宿命ですか?」

召喚士「え? あ、それはもちろん……」ハッ

魔道士「前に召喚士さん、全てが終わったら話があるって言ってました……よね?」チラ

召喚士「……っ!」ゴクッ

魔道士「あのっ、私……待ってますから。ずっと」モジモジ

召喚士「――――っ!!」ドキィ!!

魔道士「私も、召喚士さんとの出会いは……宿命だって……想ってますからっ」ドキドキドキ

召喚士「そそそっそうですよね! あはっ、あ……北関付近の町かぁ〜!
     そういえばっ! ここで女侍さん達にあったりもしましたよね〜! あはは……っ」

魔道士「そうでしたねぇ。そういえば見かけませんけど、元気ですかねぇ」


610 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/13(水) 18:37:56.54 ID:zUZRv1N7o
〜東方、都〜

サルしっかし見た目と違って、遅っそい船だったなぁ〜」スタスタ

女侍「前は1日もあれば着いたのにねぇ」スタスタ

キジ「でも、船が遅くなったというより、なんか変な感じさー」

サル「あ?」

キジ「なーんて言うか、海が広いさー」

サル「……。あーはいはい、海は広いな〜大きいな〜ってか? バカかっ!」

キジ「そうじゃないさー! えぇと――」

女侍「静かにしなっ!」

キジ「!?」

サル「どうし……おいおいっ! ありゃ軍の船じゃねぇのか!?」

キジ「なんでさー!」

サル「ったくよぉ〜。どーこに行ってもこーんな目に遭うってのかよぉ」

女侍「どうやらちょっと、様子が違うみたいだねぇ」

サル「……あーん?」


611 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/13(水) 18:38:54.50 ID:zUZRv1N7o
 ゴゴオオオオォォォォン

足軽「ええいっ、下がれ下がれ!」

町娘「姫様ーっ!!」

町人「凱旋じゃあ! 祭りじゃあ!」

 ザッザッザッ

帝「凄い騒ぎだな」

名代「本国での噂はもう、耳に入っているようですな」

子供「うえさまーっ! おかえり〜!」

帝「ふふっ」ニコッ

名代「癒されますな」

帝「ああ、やはり故郷だ。この景色が一番、落ち着くよ」

僧兵長「上様、それでは我らはこれにて」ザッ

帝「世話になった。また改めて城まで来てくれ」

僧兵「ははっ!」

盗賊「それじゃ、また」


612 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/13(水) 18:39:38.39 ID:zUZRv1N7o
 ザッザッザッ……

帝「それで盗賊、お主はどうする?」

盗賊「あまり時間もありませぬ。このまま東方を目指しまする」

名代「思いの外、時間もかかってしまいましたからね」

盗賊「おそらく、世界が広がったせいかと」

帝「そうだな」

名代「宜しければ馬を。もうこちらは使いませぬゆえ」

盗賊「感謝いたします」

帝「ではまた、帰りに立ち寄ってくれ」

盗賊「御意に。それでは失礼致しまする」スッ

女剣士「くの一、達者でな」

くの一「色々と、感謝します……っ」

盗賊「それじゃ、行こう」

くの一「……はい」

 盗賊とくの一は港より馬を飛ばし、街道を北へと進んだ。



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