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少女「水溜まりの校庭でつかまえて」
- 123 名前:VIPがお送りします []
投稿日:2010/12/23(木) 23:55:37.52 ID:fJ2jl6pYO
僕が彼女の事を思い出したのは、クリスマスが終わって……もう今年が終わりそうになる二日前だった。
その日は、朝から雨が降っていた。
そこそこ強い雨音が、屋根を叩いていたのを覚えている。
今日は彼女に会えるかもしれない、そう思ったが冬休みに学校まで出かけるのは何だか面倒に感じた。
僕は、結局お昼くらいまで布団の中で過ごしていた。
テレビからは、この雨が夕方までには雪に変わりそうになる事……。
もしかしたら記録的な初雪になりそうな事をニュースでやっていたが……布団の中の僕は、そんな事も知らずにただ夢を見ていただけだった。
- 124 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:02:10.77 ID:FpeXKyf/O
結局、ダラダラと寝過ごして……目が覚めたのは午後の三時を過ぎた辺りだったと思う。
両親からの嬉しそうな、雪が降っているぞ、という声で僕は目を覚ました。
寝室の窓から、外を見ると真っ白い大きな雪の粒が空から降っているぞ。
僕(これが雪なんだ)
なぜだかわからないが、僕は無駄に元気になってしまった。
雪が降るとワクワクすると聞いていたが、まさにその通りだった。
- 126 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:08:57.59 ID:FpeXKyf/O
僕(雪がつもったら雪合戦とかできるのかなあ)
そんな想像をしていた。
僕(この寒さの中……女ちゃんと一緒に肉まん食べたら美味しいんだろうな)
どうしても、女の名前が先に出てきてしまう。
僕(……校庭も雪だらけかな。さすがに雪じゃあ水溜まりは出来ないから)
次に、水の中の彼女が頭を過る。
僕(……あれ? 雪って確か)
そして最後に、一番大事な記憶が僕の頭に再生された。
「雪が降るまで、一緒にいてあげられなくてごめんなさい」
- 127 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/12/24(金) 00:12:52.77 ID:me7pEuKGO
つかまえてシリーズにはウンザリだわ
- 128 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:14:12.44 ID:FpeXKyf/O
僕「ち、ちょっと出かけてきます! 夕方には戻るから!」
大急ぎで服を着替え、僕は自転車に乗って学校へ向かった。
言葉の意味はわからないけれど、彼女と話す事ができたあの子の言葉だ……。
そして、降る事なんてあり得ないと思っていた、この大雪。
僕は、彼女に会うために必死で自転車を漕いだ。
アスファルトの道路には、うっすらと雪が積もっている。
自転車が通ると、タイヤの跡がくっきりと残った。
雪道の怖さなんか知らずに……僕はただ小学校に向けて走っていた。
- 129 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:21:53.37 ID:FpeXKyf/O
閑静な住宅街を抜けて、両脇には田畑が見えるようになる。
道は広く、車も通っていない。
僕は真っ直ぐに見える道を全力で走った。
雪が顔に当たりっぱなしだったけれど……フードを被ってそれをしのいだ。
雪は積もっていたけれど、特にスピードが遅くなるわけでもない。
一気に小学校までの道を進む。
僕(この道を曲がれば、あとは真っ直ぐ……)
角を曲がれば、遠目に小学校が見えてくる。
でも、僕は雪道で曲がる方法を知らなかった。
普段と何も変わらないスピードで道を曲がろうとして……。
僕(……!)
僕の体は傾いて、アスファルトの路面を滑るように思い切り擦っていった。
- 130 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:28:14.98 ID:FpeXKyf/O
僕「う、うっ……」
車が来ていたら、僕は間違いなく轢かれていただろう。
僕「い、いたっ……」
右膝と右手を地面に思い切り擦ってしまった。
手の先……特に人差し指と中指の辺りからは特に出血しているように見えた。
僕(あ、頭、グラグラする)
体を打ったせいだろうか、なんだか頭が重く気持ちが悪い。
しばらくは立ち上がる事ができず、その場に寝転がっていた。
降りかかってくる、雪だけが冷たくて……とても気持ちよかった。
- 131 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:32:06.27 ID:FpeXKyf/O
僕「……っ」
しばらくすると痛みが引いたが、相変わらず頭はガンガンする。
それでも行かないと……。
僕は自転車を引きずりながら、学校に向かった。
いつもならたった数分で到着する道なのに……雪と怪我のせいか、とても長く感じる。
体のあらゆる部分が、痛い。
- 132 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:38:55.11 ID:FpeXKyf/O
僕「つ……ついた」
それでもなんとか学校にたどり着くと……今度はその風景に絶望した。
雪が完全に校庭を覆っている。
ただ真っ白に、土が見えてる部分なんて一ヶ所もない。
僕「嘘……」
自転車を放り出して、僕は水溜まりのあった場所へ向かった。
そこも既に雪で覆われている。
僕「……」
彼女の声は聞こえなかった。
雪の音だけが僕の耳に、しんしんと鳴り響いている。
- 133 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:43:40.51 ID:FpeXKyf/O
僕「……ごめん」
僕は謝りながら、その場所の雪を両手で除け始めた。
僕「雨が降ったのに、会いにこれなくてごめんね」
右手の指先が、血と雪のせいでパリパリに固まっている。
僕の中指と人差し指が、熱を持って離れない。
僕「雪なのに、一緒にいられる事ができなくて……」
何をすればいいのか、そんな事はわからない。
でも、僕には何かができた、今になってそんな気がする。
僕「謝るから……だから」
僕「いいかげん返事をしてよ……このままバイバイなんて嫌だよ」
- 134 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:50:29.94 ID:FpeXKyf/O
『……むいよ』
僕「!」
雪の中から声がする。
『さむい……よ……たすけて、ぼく……』
その声は確かに彼女の声だった。
僕「ねえ、そこにいるの! ねえってば!」
『さむい……つめたいよ……こわい……』
水溜まりは出来ていないので、彼女の姿は確認する事ができない。
僕はただ、必死になって雪を掘り返した。
何をすればいいかは、わからなかったけど……。
僕「あ……これ」
僕は雪の中からピンクのヘアピンを見つけ出した。
- 135 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:55:22.07 ID:FpeXKyf/O
僕「これはあの子の……」
どうして雪の中にこのヘアピンがあったかはわからない。
この辺りの地面は何度か探索をしたはずなのに……今になって見つかるなんて。
僕(……なんだこれ、暖かい)
そのヘアピンを手に取った瞬間、僕は不思議な気持ちになった。
うまくは言えないけれど、人に優しくしてもらった瞬間の……あの温もりが、僕の体を走った。
『あ……それ、暖かい……』
見えない彼女が、反応をした。
- 136 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 00:59:21.77 ID:FpeXKyf/O
僕「ほ、本当に?」
『うん、なんだか楽になって……寒いのも……』
それでも、まだ声が辛そうだ。
ここで水溜まりのあった場所に近づけても、効果が薄いのか?
僕「それなら……今からそこに行くよ」
『え……』
僕「これを持って、そこまで行く。すぐだから、待ってて」
『……本当にすぐ?』
僕「うん、僕を信じて」
『……』
『わかった、窓の鍵……開けて待ってるからね』
遠い遠い、教室までの道が始まった。
- 137 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:02:44.19 ID:FpeXKyf/O
雪の積もった校庭を、一歩、また一歩進んでいく。
相変わらず、雪は僕に容赦なく降り積もってくる。
僕「ぐっ……」
このヘアピンを持っていると、不思議と体の痛みは和らいだ。
玄関前の階段も、なんとか昇る事ができた。
僕「あとは、玄関を開けて……教室に入れば」
……玄関?
- 138 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:06:59.00 ID:FpeXKyf/O
僕「あ」
正面玄関の前まで来て、僕は気が付いた。
いくら彼女が教室の窓を開けてくれていても……この扉が開いていなければ、僕は学校内に入る事はできない。
冬休みが始まった直後なら誰か先生もいたかもしれないが……。
僕「こんな時じゃあ先生なんているはずないじゃないか……」
僕は……その場で泣き出しそうになった。
- 139 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:11:05.59 ID:FpeXKyf/O
『……待ってるから』
雪の静かな音に紛れて、彼女の声が聞こえた……気がした。
僕(……そうだよ、約束だもんね)
僕は、ヘアピンを握りながら玄関の扉を押してみた。
絶対に開いてるはずなんかないと思っていた。
しかし、扉は意外にもあっさりと開いた……鍵がかかっていた様子はない。
僕(これは……彼女が?)
今の僕には、そう信じるしかなかった。
ヘアピンを握りしめ、僕は三年生の教室に向かった。
- 140 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:19:17.23 ID:FpeXKyf/O
約束通り、窓の鍵は開いていた。
僕はふらつきながらも、外へ飛び出していく。
僕「はぁ、はぁ……来たよ」
『……』
僕「これ……あげる。ちょっと遅いけど、クリスマスプレゼント」
僕「来年は、ちゃんとしたのを買ってくるから、はい……」
『……』
ヘアピンを、そっと彼女に手渡した。
僕「……」
『どう、かな? 似合う』
僕「うん、綺麗だよ。とても……すて……」
『……ありがとう』
優しい声と笑顔に包まれながら、僕は彼女に寄り添うように倒れた。
衝撃を覚えた瞬間、ふわっと甘い髪の毛の匂いがしたけれど……僕はそれから、気を失ってしまった。
- 141 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/12/24(金) 01:19:35.49 ID:33SUvtiLP
つかまえてシリーズいつも楽しみにしてます^^
- 142 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:26:41.83 ID:FpeXKyf/O
僕「……」
僕「……ん」
「あ、気が付いた僕くん」
僕「あれ、ここは……保健室? どうして保健の先生がいるの?」
「どうしてじゃないでしょ! 物音がするから教室に行ってみたら、血だらけで倒れてるんだもの……」
僕「……?」
「私は、ちょっと用事で学校に来ていたの。全く、玄関戸締まりする前に気付いてよかったよ」
僕「先生が……玄関を?」
「他に誰もいないでしょ? 一応、親御さんに連絡しておいたから。全く、遊ぶのもいいけど無茶はダメですからね!」
僕「……はい」
- 143 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:31:41.96 ID:FpeXKyf/O
僕「ね、ねえ先生」
「ん、どうかした僕くん?」
思わずヘアピンや彼女の事を聞きそうになってしまった。
寝起きで頭が混乱している……僕は慌てて他の話題を探した。
僕「あ、あの……え、偉いですよね。もう大晦日なのに学校で働くなんて……は、はい」
「……」
僕(あ、あれ?)
保健室内の空気が、一気に重くなった気がした。
僕「せ、先生?」
「……ふう。そんな仕事だとか立派なものじゃないのよ。私はただ……」
「ただ……」
先生の唇が、小さく震えていた。
その後、先生は重苦しそうにこんな話を僕にしてくれた。
- 145 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:36:59.07 ID:FpeXKyf/O
「昔ね、この小学校に通う……ある女の子がいたの。僕くんの一つ下……ううん、死んじゃった時に二年生だったから同い年ね」
「その子はね、三年生になる事をとても楽しみにしていたの。どうしてかわかる?」
「……そう、教室が一階から二階に変わるでしょ。彼女、二階からの眺めに憧れていたみたいでね、それだけで文集とか書いちゃう子だったのよ」
「冬休みに入って、本当に今くらいの時期かしらね。その子が学校に忘れ物を取りに来たの」
- 146 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:40:54.73 ID:FpeXKyf/O
『せんせ〜』
「あら、どうしたのこんな時間に」
『フデバコ忘れちゃった〜』
「あらあら、えっとじゃあ一緒に探してあげるわよ。二年生の教室よね?」
『わ〜い、ありがとうせんせ〜!』
僕「……」
「無邪気で、可愛い女の子だったわ」
「忘れ物を見つけて、その子を帰そうとした時……突然その子が言い出したの」
『二階の教室から、お外を見たい』
って……。
- 147 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:45:03.86 ID:FpeXKyf/O
「その子が二階を好きなのは知っていたから、一緒に階段を上がって……教室のベランダに連れていったの」
『うわあ〜』
『すごいよ! 雪がたくさんたくさんふってるよ!』
「あんまりはしゃいじゃ危ないわよ、はい、おしまい」
『ええ〜、もっともっと見たいもん〜!』
「……あのね、この冬休みが終わったら、学校もあと少しで終わるでしょ?」
『うん、終わり〜』
「その学校がまた始まったら……今度はこの教室でお勉強できるんだよ?」
『!』
『そっか〜、そうだよね』
『私、早く学校終わらせて三年生になるもん』
- 149 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:51:31.63 ID:FpeXKyf/O
僕「……」
「彼女、とても嬉しそうに雪景色を見ていたの。赤い筆箱を持って、楽しそうに校庭を走って行ったの」
「……その五分後にね、学校に電話が掛かってきたの。」
「おたくの学校の生徒さんが車にはねられた、って」
……。
「すぐに現場に向かったわ、あそこの……ほら、あの十字路。ここから見えるでしょう」
「……雪でタイヤがスリップしての事故ですって」
- 151 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 01:57:37.77 ID:FpeXKyf/O
「普段は雪なんて降らないから……ううん、だからこそタイヤ交換を怠ったんでしょうね」
「……現場は酷い物だったわ」
『……え……せんせ……』
「まだ息はあったけど、半端に医療の知識があるから……私にはわかったの。この子はもう助からないって」
「でも、私は……」
「大丈夫だから、絶対よくなるから。治ったら……一緒にベランダでお外見ようね」
『…………』
「冬が終わったら、すぐに暖かくなるから……梅や桜が咲いて、一緒にお花見して……」
『……』
「だから……だから……」
『……』
- 153 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 02:08:57.11 ID:FpeXKyf/O
「ほら、筆箱、また忘れてるよ。もう……そんなんじゃ立派な三年生……に……」
『……』
「先生、もうその辺で……眠らせてあげましょうよ……」
「っ! まだ心臓は動いてるじゃない! ちょっと意識が無いだけで……話していればすぐに回復するわよ!」
「ですが、もう体が……先生ならそれもわかるでしょう……」
「……」
『……ぁ』
「!」
『せん……』
「わかる!? 大丈夫だからね! 早く元気になって、一緒にお外……」
『……』
小さく口をニ、三回パクパクと動かすと……そのまま女の子は眠った。
もう少女が笑顔を見せる事はなかった。
- 154 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 02:17:19.88 ID:FpeXKyf/O
僕「……」
「この学校に再び勤務するようになって……そしたらまた珍しく雪なんて降るから」
「何か嫌な予感がして学校に待機していたら、僕くんが血だらけで倒れていたってわけ」
僕「……」
「さすがに帰り、自転車じゃ危ないから送っていくわ。タイヤもちゃんと変えてあるから、安心して」
僕「あ、あの……その女の子は」
「ん?」
僕「……いえ、なんでもありません」
「そう? じゃあもう帰る? 連絡はしたけど、遅くなると心配させちゃうでしょ」
僕「あ、その……」
僕「少しだけ、待っていてくれませんか」
- 155 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/12/24(金) 02:19:12.11 ID:BwU6Nr1v0
小学校でつかまえてなら読んだ
- 156 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 02:21:49.81 ID:FpeXKyf/O
『……』
ガラッ。
『ん……』
僕「……」
『あ……怪我、大丈夫?』
僕「うん、大丈夫」
『そっか、帰らないの?』
僕「お話したら、帰るよ。先生を待たせてるからね」
『ふふっ、あの先生はワガママ聞いてくれるから大丈夫だよ』
僕「……うん」
『ワガママは聞いても、絶対にお家まで送り届けると思うけどね』
僕「それも、わかるよ」
『うん……』
「……」
- 157 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 02:27:27.33 ID:FpeXKyf/O
『今日雪が降った瞬間さ』
僕「うん」
『嬉しいはずなのに、同時にとても怖くなって……体が冷たくなったの』
『昔と一緒だった』
僕「……」
『でも、僕ちゃんの声が聞こえて、このヘアピンから温もりをもらって……』
『私、大丈夫だったよ。まだ元気に……ここにいられるよ』
僕「うん……」
『冬休みが終わったら、たくさんお話しようね。私、ずっとここにいるから』
僕「うん、約束」
『えへへっ……絶対の約束だよ』
- 158 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/12/24(金) 02:33:01.91 ID:FpeXKyf/O
……。
「自転車はまた晴れた時に学校に取りに来なさい」
僕「は〜い。あ、ねえ先生」
「はい?」
僕「先生も、ヘアピンとかするの? 例えばピンク色の……」
「先生、ちょっと癖っ毛だからそういうのはあまりしないのよ。どうして?」
僕「な、なんでもないです」
「……変な僕くん」
彼女は言っていた、いつかこのヘアピンを残してくれた子に会ってお礼がしたいと。
お世話になった先生に何か関係があるのでは、という僕の推理は外れ、僕はこのまま家に帰っていった。
小学校のベランダでは……彼女が一人で楽しそうに雪に染まった校庭を見つめていた。
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