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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その37
476 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:33:02.04 ID:ZCWcEcy2o
 ザッ

賢者「道が……開いたね。ふぅ」

ジュニア「ハッハ。そんじゃ行こうかね」

魔法剣士「ああ」チャキッ

眼鏡「このチャンス、無駄には出来ないね」

ジュニア「……さて、行くか」

魔法剣士「行こう」ザッザッ

眼鏡「……」

賢者「……」ピクッ

眼鏡「どうかしたかい?」

賢者「……何だろう、とても不愉快な感覚だ……ふぅ」

ジュニア「あ?」

眼鏡「さぁ見えてきたよ。あれが六道門・地獄だ」

魔法剣士「あの門の向こうに……」

眼鏡「そう。魔王ベルゼブブは居る」


477 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:33:57.84 ID:ZCWcEcy2o
 ザッザッザッザッ

ジュニア「さぁて、どうやってこの門を開けるんだ?」

魔法剣士「力ずくだろう」

賢者「まぁ、それしかないだろうね……ふぅ」

 ザッザッ

眼鏡「いいよ、まず僕が行ってみよう」

魔法剣士「眼鏡……?」

眼鏡「うまくいけば、開けられるかもしれない」

ジュニア「……ど、どういう事だ?」

 ゾクッ

賢者「……やはり……不快感はここからだ。ふぅ」

 ザッザッザッ……ピタッ

眼鏡「……居る」

魔法剣士「……?」

眼鏡「地獄の門番。この門の番犬さ――」


478 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:34:30.52 ID:ZCWcEcy2o
 それは一瞬の出来事であった。眼鏡が言葉を終える直前、

 六道門・地獄は開けられた。いや、内部より勝手に開いたと言うべきか。

 開門と同時に発せられた閃光は、バハムートやベヒーモスのそれらに匹敵し、

 門の前に立つ4人はその閃光を正面から一手に受ける事と相成った。

 ドッゴオオオオォォォォン!! ドドオオオオォォォォ……

ジュニア「な……んだぁ!?」

賢者「……結界……間に合ったね。ふぅ」

――「2匹は自ら結界を張って、攻撃を防いだか」ズシャッ

魔法剣士「眼……鏡?」

眼鏡「ああ、大丈夫。大した怪我じゃない」ツツーッ……ポタッ

魔法剣士「俺を庇って……」

眼鏡「それよりも来るよ。地獄門の主」

――「こっちの2匹もほぼ無傷。これは歯ごたえのありそうな奴らだ」

魔法剣士「あ……いつは!!」

眼鏡「そう。六道門・地獄の主……オルトロス」


479 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:35:07.16 ID:ZCWcEcy2o
 ドドオオオオォォォォ……

ハヌマーン「攻城に入ったようだな」

猿兵「こちらも掛かりましょうか」

ハヌマーン「うむ」

 ザッ

ハヌマーン「ここが、六道門・畜生か」

ラクシャーサ「ご大層な名前だが、魔物の気配も何もねーし、楽に突破出来そうだな」

ハヌマーン「油断するな。何があるか分からぬぞ」

ラクシャーサ「この数ならどんなのがいようと大した事ぁねぇ!」

オーク「あっ」

ラクシャーサ「一気に突破してやらぁ!!」

 ザザザザザザッ

ハヌマーン「!?」

 ドッゴオオオオォォォォン!!

ラクシャーサ「な――っ!!」


480 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:35:44.61 ID:ZCWcEcy2o
 ズシャアアアアァァァァ

ラクシャーサ「ご……ふぅ!」ゴシャッ

猿兵「馬鹿者めが……っ」ジャッ

ハヌマーン「動くなっ! 白煙の奥に居るぞ!」

オーク「……っ」

――「……グッフウウゥゥ」ズシャッ

オーク「あ……あ……ぁ」

――「コソコソとかき乱しておる連中が居ると思えば、貴様らかぁ!」

ハヌマーン(……強い)

猿兵「何者だっ!」

――「我が名はオルクス。魔王様に選ばれし眷族の一人よ!」

猿兵「オ……オルクス……!!」

オーク「あぁっ! あなたは……!!」

――「あぁん?」

オーク「キ……キング!!」


481 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:36:21.59 ID:ZCWcEcy2o
キング「……貴様は一族の者か?」

ハヌマーン「知っているのか?」

オーク「オークキング……ッ。オラ達……オークの王様です」

ハヌマーン「――!!」

キング「まさか我が一族に裏切り者が存在するとはな……ッ」

 ジャッ

キング「魔王様へ恥をかかせるとは……死罪に値スルゾオオォォ!!」

 ゴアッ!! ドッグオオオオォォォォン!!

猿兵「がはああぁぁーっ!!」ズシャッ

オーク「くううぅぅ……っ」

ハヌマーン「槌の一撃で……これ程とは……っ」

キング「ヴァーッハッハッハ!! 裏切り者どもには死、あるのみイイィィ!!」

ハヌマーン「そう易々と何度も……させるかぁ!」

 ギュオッ!! ズオオォォォォ!!

キング「アッマアアァァァァイ!!」


482 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:36:48.28 ID:ZCWcEcy2o
 グオンッ……ズッガアアァァァァ!!

ハヌマーン「ぐぬ……っ!」

猿兵「ハヌマーン様の如意を軽々と弾くとは……っ!」

オーク「ハヌマーン様!」ダッ

キング「一族の落ちこぼれガアアァァァァ!!」

 ガッギイイイイィィィィン!!

オーク「……ぐ……ううぅぅ」

キング「落ちこぼれの分際で……生意気なアアァァ!!」

 バッギャアアァァァァッ!! ズシャアアァァ……

ハヌマーン「オ……オーク」

オーク「うぅ……っ」ググッ

 ガシッ

オーク「あぐ……っ」

キング「情けない。腑抜けが。さっさと死ねい!」

オーク「……っ」


483 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:37:15.91 ID:ZCWcEcy2o
 バキッ!! ドゴォッ!! ドガガガガッ!!

キング「そうらッ、そうらッ、そうらッ!!」

オーク「う……うっぐ……」

ハヌマーン「それ以上、させぬわぁ!!」ババッ

キング「ヴァーッハッハッハッハッハ!!」

ハヌマーン「うおおぉぉぉぉ!!」

キング「魔族の裏切り者めがッ! 恥さらしめがアアァァ!!」

ハヌマーン「ただ魔王に従いっ、陵辱、強奪、虐殺する事だけが魔族ではない!」

キング「吠えるなァ! ニンゲンでも気取る気かァ!」

 ボキィッ!! ドッゴオオォォォォン!!

ハヌマーン「が、がはぁ……っ!」ドシャッ

オーク「ハヌマーン様ぁ!!」

キング「所詮この程度よ。カス、カス、ゴミ! ヴァーッハッハッハ!」

 ザザッ

猿兵「ハヌマーン様を助けよ!」


484 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:38:07.86 ID:ZCWcEcy2o
キング「何匹来ようがァ、変わらん事オオォォ!」バギャアアァァ!!

猿兵「ま、まだまだぁ!」

キング「猿程度がオルクス様に傷など負わせられるものかアアァァ!!」

 ドグッシャアアァァァァ!!

猿兵「……ご、はぁ」ドシャッ

キング「……フンッ」グシャッ

オーク「み……みん……な……」

キング「ヴァーッハッハッハッハ! 非力ッ、無力ッ! 何なのだコイツらは!」

オーク「もう……やめて下さい……っ」

キング「あぁ?」

オーク「みんなを……殺さないで……」

キング「何をぬかすか。これは裏切り者への罰だ! 死罪だ!」

オーク「う……うぅ……」

キング「貴様らに選択権など……ないのだアアァァ!!」ゴシャッ!!

オーク「――ッ!!」


485 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:38:41.47 ID:ZCWcEcy2o
キング「……ヴァーッハッハッハッハ」

 ポイッ ドシャッ……

猿兵「――――」

キング「あれだけいた猿も、もうお前1匹だな」

ハヌマーン「……っ」ヨロッ

オーク「ハヌマーン様っ、に……逃げ……て」

キング「誰が逃がすか」ガシッ

ハヌマーン「うぐ……っ」

キング「このまま首の骨をへし折って、殺してくれるわッ」グググッ

ハヌマーン「ううぅぅ……っ」

オーク「ハヌマーン様!!」

キング「そういやぁ、猿の脳味噌は美味と聞いたなァ」

オーク「ハヌマーン様を……」

キング「どれ、額を勝ち割って、脳をすすり喰ろうてやるか。クククッ!」

オーク「離せ……。ハヌマーン様を……離せ!!」


486 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:39:13.71 ID:ZCWcEcy2o
 ゴゴゴゴゴゴ……

キング「……あん?」

オーク「ハヌマーン様を……離せええぇぇぇぇーッ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!!

キング「――ッ!?」

 パッ ドシャッ

ハヌマーン「う……ぐ……」

キング「な、何だ……?」

ハヌマーン「オ……クッ、やめ……よ……」

オーク「……ウ……ガアアァァァァ」

キング「何だッ、何だッ? 何だァ!?」

オーク「ウオオオオォォォォ!!」

 ビリビリビリビッ!!

キング「何なんだこの威圧はアアァァ!!」

オーク「アアアアァァァァーッ!!」


487 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:39:39.77 ID:ZCWcEcy2o
 ドンッ!! ガッシイイィィィィ!!

キング「ヌッ……オオォォォォ」

オーク「ウッガアアァァァァ!!」

キング「こ、この俺様と同格の力……だとぉ!?」

 ググググッ

オーク「フウウゥゥゥゥ……ッ!」

キング「だがッ、だがッ、だがァ! この程度でッ、この程度で俺様が――」

 グワッ バッギャアアァァァァ!!

キング「にゃああにいいぃぃぃぃ!?」

 ドシャッ!! ゴロゴロゴロゴロッ

ハヌマーン「オ、オーク……いやっ、別の何かが……」

キング「だ、誰だぁ!?」

 ザッザッザッザッ

――「おっと、余計なお世話だったか?」

ハヌマーン「貴様……はっ!」


488 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:40:06.72 ID:ZCWcEcy2o
紅孩児「俺のいない所で、面白そうな事してんじゃねぇか」

ハヌマーン「紅孩児……っ」

キング「ブッフウウゥゥ……。またしてもぉ、裏切り者かァ!」

紅孩児「だけじゃねぇけどなぁ」

キング「あぁ!?」

――「行け……フェニックス!!」

 ゴウッ!! ドッシュウウウウゥゥゥゥ

キング「グアアァァァァ!!」

 ゴッゴオオォォォォ!! メラメラッ……ジュウウゥゥゥゥ

キング「熱い熱いアヅウウイイィィィィ!!」ゴロゴロッ

ハヌマーン「お主は……っ」

紅孩児「悪りぃな。西で色々あったお陰でよぉ、遅れちまったぜ」

ハヌマーン「助けに……来てくれたのか?」ヨロッ

紅孩児「……っと、違った。たまたま通りかかっただけだ。なっ?」

同門「……当たり前だ」


489 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/03/04(日) 02:45:35.92 ID:ZCWcEcy2o
短くてごめーんね。それではおやすみなさいです!ノシ

〜オマケ〜

 テクテクテクテク

青年「……はぁ」

老人「やぁ、君もか」

青年「今日も休業か。魔道士さんどころか……まさか潰れてしまうのでは」

老人「北で戦が始まったと聞くが、バーテンさんにゃ関係ないしな」

青年「まさかっ、夜逃げ……!?」

 テクテクテクテク

女ワーカー「えーっ、うっそー! 休みぃ!?」

ギャル「ねーねー、ダンディカフェってここのことぉ?」

女ワーカー「ごっめーん。せっかく来たのに休みみたい」

ギャル「マジー? ちょっとどうするよー?」

青年「はぁ魔道士さん……。あと1回来店で握手券だったのに……」ガクッ

老人「近々、写真とやらを売り出すっつーから……予約したのに……」

世界が平和になった後、大陸港の町は『アキハバラ』という名に変わるとか変わらないとか。


490 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/03/04(日) 02:49:16.23 ID:me3RhUdlo
親父喫茶復活を待ち望む声も多かろう


492 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/03/04(日) 02:55:11.27 ID:zlQdQgOxo
いちおつ
眼鏡さん死なないで〜!


493 名前:NIPPERがお送りします(愛媛県) [] 投稿日:2012/03/04(日) 03:32:48.51 ID:jp45b/RTo
紅&同、ツンツンコンビキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!


495 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [sage] 投稿日:2012/03/04(日) 04:30:18.39 ID:tCz5uG6f0
>>1 おつ
オークの変身をハヌマーンが止めてたってことはそういうことなのか…


497 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2012/03/04(日) 10:42:55.43 ID:UZ4Uu4CAO
ハヌマーンさんの噛ませっぷり(´・ω・`)
がんばれ猿さん


499 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:48:52.79 ID:TjSwZWA4o
〜六道門・人〜

ウィッチ「魔道士ちゃん、私は……」

魔道士「……くうっ」

ウィッチ「私は……私はあなたが憎い!」

魔道士「――っ!!」

 ドドオオオオォォォォン!! ズギャギャギャアアァァ!!

魔道士「……っ」ザザァ

占い師「魔道士ちゃん、つらそうね……」

戦士「ああ、魔法に威力がこもってねぇ。疲労とかそういうんじゃなくてな」

盗賊「恐らく、精神的な問題だろう」

戦士「……ああ」

占い師「そんな状態で戦なんて、ましてや1人で……ちょっと酷じゃないかしら……っ」

戦士「手を貸す事はいつでも出来る。だが、それじゃあ駄目なんだ」

占い師「……」

戦士「天才も言ってたように、魔道士じゃなきゃ駄目なんだよ」


500 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:49:49.78 ID:TjSwZWA4o
 ドドオオオオォォォォン!!

ウィッチ「魔道士ちゃんが憎くて、憎くて、憎くて仕方がないの!」

魔道士「ウィッチちゃん……っ!」

 ガカアアァァァァッ!! バチバチバチバチイイィィ!!

ウィッチ「私と同じなのに……私と……私と!」

魔道士「もうやめてっ、ウィッチちゃん!」

ウィッチ「どうして魔道士ちゃんはああぁぁ!!」ゴウッ!!

魔道士「ウィッチちゃん!!」

 ドドオオオオォォォォン!! ゴッガアアァァァァ!!

ウィッチ「……っ」ジュウウゥゥ!!

戦士「やったか!?」

盗賊「……しかし、右腕と腹部。それに服を少し焦がしただけだな」

ウィッチ「……魔道士ちゃん」ブスブス……

魔道士「ウィッチちゃん、もう……いいでしょ?」

ウィッチ「ねぇ、答えてよ魔道士ちゃん」


501 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:50:32.61 ID:TjSwZWA4o
 ビリッ……バサッ

魔道士「……っ!!」

占い師「……戦士くん」

戦士「ああ、後ろ向いてるが……まずい時は大声出して知らせろよ」クルッ

盗賊「……っ」

ウィッチ「いつか、一緒にお風呂入って見たよね? この傷」スタスタ

魔道士「……ウ、ウィッチちゃん……っ」

ウィッチ「これね、魔物と戦ってついた傷じゃないんだよ?」スタスタ

魔道士「ウィッチちゃん……っ」

ウィッチ「私が家出して、初めて組んだパーティーのね、人達に……されたの」スタスタ

魔道士「ウィッチちゃんっ!」

ウィッチ「私を仲間に加えたのは、魔道士だからじゃなくって、女だから……少女だからって」ピタッ

魔道士「ウィッチちゃん!!」

ウィッチ「毎日毎日ずーっと。朝も夜も……何十人も何百人も……」ブスブス……

魔道士「もうっ、やめようよ! ウィッチちゃん!」


502 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:50:58.86 ID:TjSwZWA4o
ウィッチ「だから私ね、あの時……助けなかったんだ……」フラフラ

魔道士「……うっ、うぅ……っ」

ウィッチ「ドラゴンの卵って高く売れるんだって。だから、卵を取りに行くって」

魔道士「ひ……っぐ、うぐ……うぅ……っ」

ウィッチ「みんな、ドラゴンに気付かれて死んでいった。逃げようとしてた」

魔道士「ウィッチ……ちゃあん……っ」

ウィッチ「だからね、私ね……閉じ込めてやったの。魔法でね、入り口の石を崩して……」

魔道士「もうやめてよっ、ウィッチちゃん!!」

 ダッ!! ギュウウゥゥゥゥ

占い師「っ!!」

盗賊「大丈夫……だと思う」

占い師「でもっ、抱き締めるだなんて……。姿はそうだけど、魔物なのよ!?」

盗賊「もう、大丈夫なんだと思う」

占い師「……?」

盗賊「ウィッチ、何もしない……いや、出来ないみたいだから……っ」


503 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:51:27.81 ID:TjSwZWA4o
 ギュウウゥゥゥゥ

魔道士「ウィッチちゃん! もう、いいからっ! もうやめていいんだからねっ」

 下着姿をした傷だらけのウィッチに、マントを羽織らせ抱き締める魔道士。

ウィッチ「同じ任人間で、同じ女性で、同じ魔道士で……同じ落ちこぼれ」

魔道士「ひっ、ひ……っぐぅ」

ウィッチ「なのにどうして……どうして……」

戦士「お前が弱いからだよ!」

ウィッチ「……」

戦士「……確かに、生まれ育ちの違いはある」

ウィッチ「戦士さん」

戦士「でもなぁ! お前なんかよりよっぽど恵まれない奴だっていっぱい居たんだ!」

魔道士「ひっぐ……ひぐ……っ!」

戦士「親も兄弟も失って、何も出来ず死んでいった奴だって居たんだよ!」

盗賊「……っ」

戦士「魔道士とお前の違いは1つだけだ。それは、心だ」


504 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:51:56.01 ID:TjSwZWA4o
ウィッチ「心?」

戦士「魔道士はどんな辛い時だって、頑張って笑顔で、耐えてきた」

ウィッチ「……」

戦士「失敗しても次は同じ過ちを繰り返さないように、頑張って努力してきたっ!」

魔道士「えっ、えぐ……っ。ひっぐ……ぅ」

戦士「仲間に恵まれなかったってのは分かる。だけどなウィッチ、お前は弱かったんだ」

ウィッチ「私が……弱い?」

戦士「魔道士との違いは、心の弱さ、それだけだ」

魔道士「違うのよぉ、戦士さんっ!!」

戦士「……」

魔道士「ウィッチちゃんは分かってるの! 分かってるからぁ!」ギュウウゥゥ

ウィッチ「魔道士ちゃん……」

魔道士「だからぁっ、もう休もうよおおぉぉ!」

ウィッチ「……います」

魔道士「……っ!?」


505 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:52:29.86 ID:TjSwZWA4o
ウィッチ「魔道士ちゃん、ありがとうございます」

魔道士「ウィッチ……ちゃん……?」

ウィッチ「戦士さんの……言うとおりでございます」

魔道士「ウィッチちゃん? ウィッチちゃん!?」

ウィッチ「私は、弱かったでございます。心も……何もかも……」

戦士「口調が……」

盗賊「……変わ……った?」

ウィッチ「ただ父に、家族に負い目を感じ、逃げたんでございます……」

魔道士「ひっくひっく、うぐぅ……っ!」

ウィッチ「弱い自分が嫌いでございました。落ちこぼれの自分が……」

魔道士「うっ、うあぁ……ひっぐぅ……!!」

ウィッチ「でも、いくじがなかったでございます。強くなる、心が弱かったでございます」

魔道士「うああぁぁ……っ」ポロポロポロッ

ウィッチ「だから魔道士ちゃん、貴女が羨ましかった……輝いていたでございます……」

魔道士「ウィッチちゃああぁぁん!!」


506 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:52:55.82 ID:TjSwZWA4o
ウィッチ「憎む事なんて1度もなかったでございます。もっと違う……こう……」

魔道士「分かってるっ! 分かってるからぁ!」

ウィッチ「……ありがとうございます、魔道士ちゃん」

魔道士「ごめんねぇ! ごめ……っ、私がぁ……ウィッチちゃんの事もっとぉ……」

 ギュッ

ウィッチ「本当にありがとうございます」

魔道士「うっ、あぁ……ああああぁぁぁぁ!!」

ウィッチ「だから魔道士ちゃん、最後は貴女の手で楽にして欲しいでございます」

魔道士「あっ、うっぐううぅぅ……ううううぅぅぅぅ!!」

ウィッチ「私は、魔道士ちゃんに会えて、一緒に学んで冒険出来て……」

魔道士「うああああぁぁぁぁーっ!!」ボロボロボロッ

ウィッチ「ううん、この世界に生まれて……本当に良かったでございます」

占い師「……」ツツーッ

盗賊「……」グイッ……ゴシゴシ

ウィッチ「さぁ魔道士ちゃん、最後は魔道士ちゃんの手で……お願いでございます」ニコッ



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