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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
839 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:01:12.59 ID:OLrncsqoo
〜次の日〜

召喚士「はぁ、やっと着いた」

テクテクテク

魔道士「召喚士さんっ!? どこ行ってたんですかぁ!」

盗賊「……心配したぞ」

召喚士「すみません。ちょっと考え事とかしたくて……ぶらぶらしてました。ははっ」

戦士「お前なぁ、戦いが終わったといえ、魔力もなしに1人であぶねぇだろ」

召喚士「ごめん……っ」

魔道士「お腹空きましたっ!? 何か食べます!?」

召喚士「あ、いえいえ。大丈夫です」

ザッザッザ

白馬騎士「召喚士殿、皆様。それでは我ら、これにて失礼致します」

召喚士「白馬騎士さん、剣士さん」

剣士「悪いけど、先に戻らせて貰うよ」

魔道士「お疲れ様でした〜っ!」


840 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:02:39.08 ID:OLrncsqoo
弓将軍「世話になった。またな」

戦士「おう。ジーサンもな! 白馬騎士さんと一緒に頑張ってくれよ!」

弓使い「みんなも元気でね! また会いましょっ」

幼女「じゃあね!」

盗賊「……うん。またね」

テクテクテクテク

三男「では、世話になった」

天才「おう。華国には申し訳なかったな」

三男「……いや、彼らとて無駄死にではない。本望であろう」

天才「……まぁな。とにかく助かった。華国の戦いはこれで終わりと思ってくれ」

三男「もっと力があれば支援も出来るのだが……申し訳ない」

天才「十分さ。今度はアンタらが一丸なって、国造りを進めてくれ」

大軍師「本国としても全面協力致しますので」

三男「ありがとう。それでは」

ザッ…テクテクテク…


841 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:03:48.95 ID:OLrncsqoo
天才「……聞いてなかったみてぇだな」

大軍師「……と、言いますと?」

天才「華国の連中には予言の結果を戦の前に伝えてる」

大軍師「本人にですか?」

天才「ああ。結局、予め言わなかったわけだな」

大軍師「何とも、華国の武人らしいですね」

天才「まぁな。さーて、俺らも本国に戻る準備を進めてくれや」

大軍師「あらかた出来ておりますよ。既に兵は少しずつ撤退しております」

天才「お前ってやつは本当に優秀なこった。ハーッハッハッハ!」

大軍師「このくらいせねば、貴方の右腕は務まりませんから」

天才「それもそうだわな! ハーッハッハ!」

カツカツカツ

西方参謀「そんじゃ西方司令部はこれより撤退しますわ……ヒック」

大軍師「ご苦労様でした。限られた時間ですが、ゆっくりと休んで下さい」

西方副司令「……?」


842 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:04:42.02 ID:OLrncsqoo
天才「次は西だ。もっとも、お前らよりは……」

西方参謀「イブリースか。激しい戦いになるなぁ」

天才「なんたって、最強と謳われた魔王だからなぁ」

西方司令「最強……っ、駄目だああぁぁ!! もう終わったああぁぁぁぁ!!」

西方副司令「それでは、失礼致します」

天才「おーう」

ザザッ…カツカツカツカツ

大軍師「明日には東の町からの撤退も完了すると思いますが……如何致します?」

天才「どんな事があろうと故郷は故郷だ。潰すわけにはいかんだろ」

大軍師「畏まりました。それでは撤退と同時に、復旧作業へと入ります」

天才「早急にな。早く我が家に帰りたい奴だっているだろうしな」

大軍師「はい」

天才「んじゃ、ひとまず赤壁行くぞ」

大軍師「手の空いている士官は部下をまとめ、順次、赤壁へ向かいなさい」

天才「これで終わりじゃねーんだからな。ちゃっちゃとやれよ〜」


843 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:05:44.91 ID:OLrncsqoo
速やかに行われた撤退は、あっと言う間に南のちへ静けさを取り戻させた。

その日のうちに華国軍、西方司令部が撤退し、本国軍も赤壁へと移動した。

更に次の日には、赤壁からも続々と本国へと帰還が始まっていた。

〜赤壁〜

戦士「昼には本国へ帰れそうだな」

魔道士「ですね」

盗賊「……お前らはどうするのだ?」

玄武娘「あっ、そうですの」

朱雀嬢「私は……ここに残りますわ」

召喚士「!?」

朱雀嬢「やっと戦いが終わって、家に帰れますもの」

魔道士「あ……っ、そうだよね……」

朱雀嬢「だから私は残りますわ」

玄武娘「……だったら、私も残るですの!」

朱雀嬢「貴女……っ」


844 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:07:10.23 ID:OLrncsqoo
玄武娘「朱雀嬢ちゃんとはパーティー仲間ですの! 一心同体ですの!」

召喚士「うん。朱雀嬢さんの傍に居てあげて下さい」

朱雀嬢「……っ」

召喚士「それじゃ2人共、元気で」

戦士「またな!」

魔道士「頑張ってね、朱雀嬢ちゃん!」

盗賊「……しっかりな」

朱雀嬢「……必ず、必ず戻りますからっ!」

召喚士「ええ、待ってます!」

玄武娘「待っててですの!」

テクテクテクテク

玄武娘「行っちゃったですの」

朱雀嬢「さぁ、私達も行きますわよ」

玄武娘「そうですの! 自分の家へ帰るですの!」

朱雀嬢「残ってるといいですわね。ふふっ」


845 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:08:13.33 ID:OLrncsqoo
〜華国、東の城〜

老文官「これはこれはお帰りさないませ!」

若文官「陛下、さぞやお疲れでしょう」

三男「私の事は良い。それよりも……」

側近「……?」

白馬騎士「兄者、弟者、錦将軍が戦死致しました」

老文官「――っ!!」

若文官「そ、そんな……っ」

弓将軍「これが形見の品じゃ。家族を呼び、直ぐにでも渡すように」

側近「亡骸は……」

白馬騎士「城外に。墓も並べてやろうかと思いましてな」

側近「騎都尉の墓とですか……。それも良いかもしれませんね」

華国兵「陛下っ、兄者様の奥方が面会をと……っ!」

三男「すぐに通せ」

華国兵「ははっ!」


846 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:08:59.15 ID:OLrncsqoo


三男「ご苦労である」

兄者嫁「ご無沙汰致しております。陛下」

三男「此度は……」

兄者嫁「分かっております」

白馬騎士「……!?」

兄者嫁「私は、予め主人より伺っておりました故」

三男「な、何と……そうであったか」

兄者嫁「戦が終わった後、この書を陛下に渡して欲しいと……」

三男「……?」

白馬騎士「失礼。拝見させて頂きます」

兄者嫁「どうぞ」

カサッ

白馬騎士「……遺書……です」

三男「っ!! よ、読んでくれ」


847 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:10:13.76 ID:OLrncsqoo
……――

この書がお手元へ届く頃には、我らは既にこの世には居らぬものと思います。

我ら、既に本国の予言結果を聞き、結末は存じております。

この事、陛下や白馬騎士に伝えようかとも考えましたが、伝えずに書に記す事で

全員一致しましたので、こういう形にてご報告させて頂きます。

華国や陛下の下を離れるは、寂しい限りですが、これにて華国の安寧が約束されるも同然。

喜んでこの命、差し出す所存に御座います。弟者や錦も同様です。

決して悲しむなかれ。死しても騎都尉や亡き長男様。そして我が義兄……前陛下に会える、

そう思うだけで某の胸は死しても高まるばかりに御座る。

そして、一同と華国の栄華、繁栄をじっくりと見させて頂く所存。

白馬騎士、弓将軍や文官の各々方は陛下を支え、精進するべし。

手を抜くような事あらば某が枕元に立ち、叱りつけさせて貰う。他の二人も同意見也。

残された家族の事は不憫ではあるが、武人の家族として覚悟はしております。

どうか、皆々様に誤字を託したく候。
          
                                      錦将軍、弟者、兄者。


848 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:11:24.85 ID:OLrncsqoo
――……

老文官「う、うぅ……っ!!」

弓将軍「早く言ってくれれば良いものを……っ!!」

若文官「馬鹿者が……っ」

側近「言えなかったのでしょう……余計な心配をかけまいと……」

三男「馬鹿者……馬鹿者……っ」

白馬騎士「今更悔やんでも仕方ありあせん」

老文官「彼らは華国の為に散ったのだぞ!? あんまりではないかっ!!」

側近「老文官殿」

白馬騎士「構いません。薄情と言うならばその通りです。それが大将軍の務めですので」

若文官「……」

白馬騎士「奥方、此度は誠に無念。心より哀悼の意を表します」

兄者嫁「う、うぅ……っ」

白馬騎士「では、失礼」

老文官「白馬っ!」


849 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:12:43.26 ID:OLrncsqoo
カツカツカツカツ

弓将軍「行かせてやれい」

側近「分かっているでしょう。一番辛いのは彼なのですよ」

老文官「……」

弓将軍「我らが出奔した後も1人でこの国にを支え続け、戦ってきた」

三男「……」

弓将軍「そしてワシ以外の、全ての武人を失った。今にも泣き崩れたいはずじゃ」

兄者嫁「う、うぐぅ……っ!」

三男「白馬……」

カツカツカツカツ…

華国兵「大将軍様っ、どちらへ……?」

白馬騎士「自室に戻る」

華国兵「な、何か食されますか?」

白馬騎士「構わん。すぐに戻る」

華国兵「……は、はい」


850 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:13:49.07 ID:OLrncsqoo
カツカツカツ…カチャッ

白馬騎士「……」

自室に入ると、既にその瞳は涙に溢れていた。

白馬騎士「……ぐっ」

祖国の為に涙を捨て、心を鬼にして戦い抜いてきた。

そのはずだった彼の目からは、留まる事なく涙が流れ続けた。

白馬騎士「……ああぁぁぁぁぁ!!」

ドガァッ!!…グググッ

白馬騎士「何故だ……っ、どうして……」

事前に知っていながらもそれを秘めたまま戦地へと赴いた戦友。

そして気付いてやる事が出来ず、みすみす死なせてしまった自分の不甲斐なさ。

あらゆる思いが1つとなり、白馬騎士に涙を蘇らせた。

この日以降、白馬騎士が涙を流す事は1度きりしかなかった。

それは己が死する最後の時。この日より数十年後の事である。

武人達の熱き魂と引き換えに、華国、そして南の地に平和が訪れた。


851 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:15:16.58 ID:OLrncsqoo
――遡る事数日前。満月の夜。

サモナー「……何と、仰いました……?」

神官「……これを」

スッ…カサッ

サモナー「……っ」

神官「本国の総司令殿より頂いた密書です」

サモナー「ま……さか……っ」

神官「ご存知ですか? 本国には未来を予知出来る力を持つ者が居るそうです」

サモナー「……こ、こんな事が……っ」

神官「書かれている通りです。……私は、死にます」

サモナー「……っ」

神官「しかし、私は無駄死にはしない」

サモナー「神官様、貴方は……」

神官「人としてただ死ぬならば、私は……永遠を生きる道を選びます」

サモナー「それってまさか……」


852 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:16:29.42 ID:OLrncsqoo
カツカツカツ…ゴトッ

サモナー「……」

神官「サモナー殿のお望みである、禁呪の書かれた書物です。どうぞ、お持ち下さい」

サモナー「神官様っ! 貴方はこれ得て――」

神官「ここに書かれている禁呪、それは……召喚獣への転生方法です」

サモナー「――!! や、やはり……っ」

神官「満月の夜に、特殊な魔法陣を生成し、それを条件に転生するのです」

サモナー「満月……っ、今宵は……」

神官「ええ、満月の夜ですね」

サモナー「間に合った……っ」

神官「……いえ、残念ですね。もう1ヶ月程早ければ……止める事も出来たやもしれませぬ」

サモナー「!?」

神官「私には最早、無用の物となりました。どうぞお受け取り下さい」

サモナー「神官様……貴方は、何と言う事だ……」

神官「勘違いなさらぬように。どうせ死する身ならば、有効に使いたいまでの事です」


853 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:19:31.79 ID:OLrncsqoo
サモナー「だからって……っ」

神官「時にサモナー殿。貴方も、召喚獣への転生を模索させれいるのでは?」

サモナー「……っ!!」

神官「今宵は満月。日が昇るまで8時間余りございます」

サモナー「な、何を申されたい……」

神官「貴方ほどの方ならば、数時間もあれば解読し、実行出来ると思いますよ」

サモナー「僕が……禁呪を!?」

神官「さすれば貴方は、永遠に召喚獣と……」

サモナー「やめてくれっ!!」

神官「……とにかく、もうすべき事は何もありません。後はその刻を待つのみです」

サモナー「……」

ごめんよ召喚士くん。僕は……神官さんを止められなかった――。





〜第五十二部、完〜


855 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/10/15(土) 00:29:35.41 ID:xx1xeWIAO
錦将軍、弟者、兄者「どうか、皆々様に誤字したく候。」


856 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/15(土) 00:40:54.46 ID:C1eZJpCIO
華国の武人はカッコいいのう!


857 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/15(土) 01:01:28.95 ID:L8Xmpk2No
神官「マーメイドといちゃいちゃしたいんだろ?YOU転生しちゃいなYO」


858 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 01:03:32.25 ID:OLrncsqoo
>>847>>855
自分でクソワロタww後事をリアルに誤字るとはこれは酷い…もう末期…

ひとまず五十二部おしまいです。ありがとうございました
気が付いたらもう丸2年経っちゃいますね。ほんと申し訳ないです


862 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/10/15(土) 03:35:04.21 ID:DXCak9mAO
>>1おつ

もう2年かぁVIPで読んでた頃が懐かしいな。しかし>>1は兄者にすら誤字の心配をされるとはな


863 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/15(土) 03:44:54.49 ID:ZsSnfmVDO
>>1乙!
丸2年はマジで凄いな!
VIPで始めた時は短レスで終わりそうな感じだったのに、
ここまで壮大な物語になるなんてちょっと感動する

これからも続きを読むの楽しみにしてるぜー!
改めて、>>1乙!


864 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [sage] 投稿日:2011/10/15(土) 06:07:34.78 ID:/4wSwdqwo
冒険のきっかけがクリトリスだもんなwwwwww


875 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/16(日) 07:22:07.47 ID:L+bcnFnuo
二年で32/100だからあと四年は読めるわけだ


876 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/10/16(日) 08:16:51.38 ID:1k600ClAO
まだまだ魔界平定とか召喚獣の世界の統一とか残ってるから、あと4年で足りるかな?w



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