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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その27
771 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:24:42.15 ID:2/n8ipHyo
〜次の日〜

エリート「手筈は?」

王宮兵「問題ありません」

エリート「コースは間違えるなよ、それと国軍の警備とも随時、連絡を」

王宮兵「はっ!」

右文官「こちらも準備はいいぞ」

エリート「はい」

ザッザッザッザッザ

エリート「では、パレードに出発致しますぞ……陛下」

皇太子「ああ、行こうか」

スクッ…ザッザッザ

エリート「それえでは、出発!」

ドドォ…パッカパッカパッカ

エリート「新国王の誕生であるっ!派手に振舞えい!」

王宮兵「おぉーっ!!」


772 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:26:32.44 ID:2/n8ipHyo
王宮の正門より真っ直ぐ続く大通り。その左右にはいつも以上に人々が集う。

目的は当然、今まさに颯爽と通り過ぎようとしている豪華絢爛な馬車。

幌を外し、やや身を高く、紙吹雪に包まれながら、皇太子は笑顔で両手を振る。

隣で左右をきょろきょろと、眼光鋭く監視するエリートを時折、

肩を組みながら『お前も笑え』、と言わんばかりに、白い歯を見せて笑う。

やや溜息交じりに微笑するエリートの固い笑顔と屈託のない皇太子の笑顔。

その並び立つ対称的な表情が、集った国民の笑顔をより明るいものとした。

先頭を進む騎馬隊の国旗がゆらゆらと揺れ、それに続く楽隊の奏でる演奏、

そこに交わる人々の歓声。ある者はその光景を目の当たりにし満面の笑みを浮かべ、

ある者はその場に崩れ落ち、ぼろぼろと涙を流す。その喜びの表現は多様であった。

直線の先、最初に突き当たるカーブで、皇太子はふと表情を変える。

目先には魔道士ら、一同の姿。群集に交じりながら笑顔で手を振る彼女らに、

皇太子は優しく手を振り、笑顔で返し、馬車はカーブを曲がって去って行く。

投げ込まれる花吹雪や花弁が大通りを鮮やかに彩り、晴天の空を一層、青くする。

その過ぎ去る馬車を後押しするかのように、優しい風が吹き込んでいた。


777 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:09:45.55 ID:2/n8ipHyo


魔道士「凄かったですねぇ!!」

盗賊「……ああ、見事なものだ」

バーテン「いやいや、わざわざ来た甲斐があったぜ!」

召喚士「本当ですね!」

戦士「さぁて、この後はお楽しみのお祭だぁ〜!」

魔道士「楽しみ〜!」

召喚士「話によると、露店やイベントも盛り沢山みたいですよっ」

盗賊「……露店?食べ物?」

召喚士「もちろんありますよ」

盗賊「……よしっ」

バーテン「それじゃ、裏路地の方から見て回るかぁ」

戦士「大通りじゃねぇのか?」

バーテン「こういう時こそ、裏通りの方が通なものが揃ってるんだよ」

盗賊「……通。よし、行こうじゃないか」


778 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:10:22.79 ID:2/n8ipHyo
――「申し訳ありませんが、ご参加はお控え頂けませんか?」

魔道士「!?」

戦士「……てめぇ」

ザッザッザ

召喚士「青年兵くん」

青年兵「……」

バーテン「今の発言、どういう意味だ?」

青年兵「せっかくお楽しみのところ、本当に申し訳ないのですが……」

召喚士「何か……あった?」

青年兵「……皆様のお力を借りたいのです」

魔道士「え、えっと……っ」

戦士「何をしろって言うんだよ?こんな式典の中でよ」

青年兵「だからこそです。戴冠式に目がいっている隙に……」

盗賊「……」

青年兵「カタを付けたいのです」


779 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:10:51.53 ID:2/n8ipHyo
召喚士「……?」

青年兵「どちらも知る皆さんだからこそ、証人となって欲しいのです」

戦士「待て待て、話がさっぱり読めんが……」

青年兵「僕を信じてくれた皆さんだからこそ、お願いしたいのです!」

召喚士「……分かった」

バーテン「……」

召喚士「青年兵くんの、そして国軍の助けになるなら喜んで協力するよ」

青年兵「ありがとうございます」

戦士「とりあえず分かったから、事情を説明してくれって」

青年兵「真の内通者を本日、討ちます」

魔道士「!?」

召喚士「真の……内通者!?」

青年兵「はい」

バーテン「総司令じゃねぇってのは分かるが、やはり……」

青年兵「……内通者は、別にいます」


780 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:12:09.81 ID:2/n8ipHyo
召喚士「な……っ!?」

魔道士「……っ!!」

戦士「総司令は……ハメられたってわけか?」

バーテン「まぁ、そんなもんだろうな」

青年兵「これより国軍本部で、新総司令の就任式が行われます」

盗賊「……そこで、討つと?」

青年兵「はい。その為に――」

タッタッタ

国軍兵「青年兵様っ!ご到着なされました!」

青年兵「もう着いたのかっ、早いっ!」

召喚士「……?」

青年兵「時間がありませんっ、これより本部へ向かいます!」

魔道士「えっ、あの……っ」

召喚士「行きましょうっ!」

戦士「ちっくしょ……おい、オッサン?」


781 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:12:50.85 ID:2/n8ipHyo
バーテン「俺はワーカーでも何でもない。部外者は大人しく待ってるぜ」

戦士「……」

バーテン「悪く思うなよ、協力したいのはやまやまだがなぁ」

カチッ…シュボッ

戦士「……っ」

盗賊「……戦士、行くぞ」

戦士「宿で待っててくれ!」

バーテン「おーう、頑張れよぉ」

タッタッタッタッタ

バーテン「……ふーっ」

モクモクモク

バーテン「…………」

クシャッ…グシグシ

バーテン「……何考えてんだよ、逃げた身でまた……戻れってか」

大通りへ駆けていく一行の背中を見送り、バーテンは一人、裏路地へ消えて行った。


782 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:13:24.24 ID:2/n8ipHyo
タッタッタッタッタ

青年兵「……」

盗賊「……」

戦士「おいっ、いい加減に事情をだな……」

タッタッタ

国軍兵「お急ぎ下さい。間もなくです!」

青年兵「……話は、中に入ってからにしましょう」

召喚士「……」

〜国軍本部、副司令室〜

コンコン…カチャッ

隊長「ご準備、出来ました」

副司令官「……うむ」

隊長「では、お待ちしております」

ザッ…カツカツカツ

副司令官「……この部屋も悪くなかったが……くくっ」


783 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:15:42.52 ID:2/n8ipHyo
カツカツカツカツ

副司令官「またせたな、行こうか」

隊長「はっ」

国軍兵「敬礼っ!!」

ザザッ…カツカツカツ

隊長「どうですか?総司令になられる気分は」

副司令官「やる事は変わらんさ、肩書きだけの事よ」

隊長「……確かに」

カツカツカツ

隊長「それでは……入室!」

男隊員「……」

女隊員「……」

カチャカチャッ

隊長「副司令官様……どうぞ」

副司令官「うむ」


784 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:16:19.26 ID:2/n8ipHyo
タッタッタッタッタ

青年兵「副司令達は!?」

国軍兵「お、奥のそう司令室へ……っ」

青年兵「ありがとうっ!」

タッタッタッタッタ

召喚士「青年兵くん」

青年兵「召喚士さんは、知っていますか?」

召喚士「え……っ?」

青年兵「総司令の正体です」

召喚士「総司令!?」

戦士「それが何か関係あんのかよっ!?」

青年兵「総司令は内通者をあぶりだす為に、そして……」

盗賊「……ああ」

魔道士「盗賊さんは、何か知っているんですか?」

盗賊「……そのうち分かるさ」


785 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:17:19.40 ID:2/n8ipHyo
総司令就任に先立ち、副司令室から総司令室へと移動する為、

特殊遊撃に連れられ、副司令官はその扉を開いた。

カチャッ…キイィィ

そこには無人の空間が広がり、新たな主の訪問を歓迎するかのように、

少し開いた窓から、さわやかな風が流れ込んでいる……はずだった。

副司令官「――っ!?」

正面奥に位置するデスク。その高級そうな革作りの椅子がゆらゆら動く。

副司令官「……っ」

裏を向いた椅子がくるりと回転し、言葉もなく呆然と立ち尽くす副司令に、

その見覚えのある仮面姿の男は静かに声を掛けた。

総司令「……やぁ、久し振りだね」

副司令官「な……ぜっ!?」

隊長「総司令っ!?」

男隊員「臨戦態勢っ!」

女隊員「……は、はいッス!!」


786 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:20:09.01 ID:2/n8ipHyo
副司令官「これは……どういう事だ!!」

総司令「どうって?」

副司令官「内通者である総司令が、何故ここに……いや、それよりも……」

総司令「何故生きているかって?」

副司令官「ワーカーの処刑されたのではないのか!?」

総司令「じゃあ、そのワーカーが嘘ついたんじゃないの?」

副司令官「ワーカーは誰だ?」

隊長「……天才です」

副司令官「功績1位の……!?そのような者が嘘を吐くとは……はっ!」

総司令「……」

副司令官「謀ったな……貴様っ!!」

総司令「……んー」

副司令官「この国賊を捕らえよ!!」

チャキッ

隊長「……」


787 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:21:05.88 ID:2/n8ipHyo
タッタッタ…ザザッ

召喚士「……っ!!」

隊長「お前ら……っ」

青年兵「……」

総司令「おや、これは勢ぞろいで」

魔道士「総司令……さんっ!?」

戦士「一体……どういう……」

副司令官「えぇい、誰でもいい!反逆者を始末しろっ!」

青年兵「……副司令官」

副司令官「……!?」

青年兵「総司令を内通者に仕立て上げ、罪を着せた上での謀殺」

副司令官「何を言っておる……っ」

ザッザッザ

青年兵「真の内通者、それは貴方だ!!副司令官っ!!」

副司令官「――っ!!」


788 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:22:00.53 ID:2/n8ipHyo
魔道士「副司令さんが……」

戦士「内通者!?」

副司令官「馬鹿な事を申す――」

ジャキッ

隊長「チェックメイトだ、内通者さんよ」

ザッ

男隊員「……」

女隊員「……っ」

副司令官「貴様ら……っ」

男隊員「ヒャハハ!観念しな、もう逃げられんぜ」

総司令「彼らにはね、二重スパイとしてつけさせて貰ったよ」

副司令官「……くっ」

青年兵「逃げ道はありませんよ」

副司令官「……くっ、くくっ」

盗賊「!?」


789 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:22:49.70 ID:2/n8ipHyo
特殊遊撃に囲まれ、身動きの取れぬ副司令官は、その場で指笛を鳴らした。

隊長「!?」

盗賊「くっ!!」

指笛と同時に室内へ入り込んできた人影。盗賊が咄嗟に反応し捕らえようとするが、

軽装で固めた侵入者は身軽にかわし、部屋の奥へと到達する。

ザザッ…チャキッ

侵入者「……動くな」

男隊員「ちぃ……・っ」

隊長「……」

総司令の首筋に突きつけられたナイフを見て、特殊遊撃の三人は武器を捨てた。

カランカランッ…ゴトッ

侵入者「……いいぞ」

ザザザザッ

隊長「まだいやがんのか……」

戦士「なんつう数だよ」


790 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:23:30.52 ID:2/n8ipHyo
侵入者の声を合図に、武装した集団が次々と総司令室へとなだれ込む。

その数30余りは、即座に副司令官を除く者達をぐるりと囲った。

召喚士「……」

副司令官「チェックメイト……か」

カツカツカツ

副司令官「いやはや、確かにそうかもしれんな」

戦士「おい」

副司令官「動くな、彼がどうなってもいいのかな?」

総司令「……」

戦士「ち……っ」

青年兵「魔物は……入れないはずだぞ……っ」

副司令官「確か総司令室は、結界石が施されていたものな」

総司令「……よく見てみ、そいつら全員、人間だよ」

男隊員「!?」

侵入者「……静かにしていろ」


791 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:24:32.43 ID:2/n8ipHyo
チャキッ

総司令「人質に取る相手、間違ってない?」

副司令官「……?」

総司令「こんな命、失ったところで価値ないでしょ」

副司令官「……」

カツカツカツ…チャキッ

副司令官「いい武器ですね。よく手入れされている」

隊長「……まぁな」

副司令官「どれ、ちょっとお借り致しましょうか」

スッ…カツカツカツカツ

総司令「どうする?斬るつもり?」

副司令官「貴方は内通者なのです。これは紛れもない事実」

男隊員「何が事実だ!でっち上げだろうがよっ」

女隊員「そうッスよ!」

副司令官「魔物と接触している写真は既に出回っている」


792 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:26:00.58 ID:2/n8ipHyo
カツカツカツ

副司令官「死人に口なし、と言ってね」

隊長「ここにいる全員、葬るつもりか?」

副司令官「テロリストとして処断するよ」

隊長「そう簡単にやられるとは思えないがな」

副司令官「彼らを甘く見ない方がいい」

召喚士「……」

副司令官「国軍の者ではない。幼少の頃より戦闘訓練を徹底されたエリート達だ」

青年兵「どこにそんな輩が……」

総司令「邪教徒だよ」

魔道士「……っ」

副司令官「邪教邪教と、聞き捨てならん」

総司令「事実は事実でしょ」

副司令官「そうやって長年の間、蔑まれてきたのだっ!」

手にした長剣を副司令官は振り下ろし、それは総司令を頭上より捉えた。


793 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:30:07.04 ID:2/n8ipHyo
ガギイイィィンッ

魔道士「――っ!?」

副司令官「さぁ、顔を見せろ。いつまでも強気でいられると思うなよ?」

斬りつけた残撃は総司令の仮面を真っ二つ割り、うな垂れた頭部からは血が滴る。

召喚士「くっ!」

副司令官「動くなよ朱雀の。下手な動きをしたらその瞬間、全員を――」

総司令「ハーッハッハッハ!」

副司令官「……?」

総司令「お前、本当にバカだなぁ」

戦士「そ、その……笑い声……っ」

魔道士「まっ、まさか……っ!!」

総司令「この俺様相手に勝とうなんざぁ、1億年早いんだよっ!!」

俯いた金髪の奥から鋭い眼光が副司令官へと向けられる。

その額を上げると、年配の者とは思えぬ、よく知った顔が姿を現した。

その顔は功績ランク1位。最強と謳われた天才、まさにその人であった。


794 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 18:36:03.35 ID:2/n8ipHyo
昨日分は午前中にフライング投下しちゃいました。すみません
それでは失礼致します!ご支援感謝ですー!ノシ


795 名前:NIPPERがお送りします(大阪府) [sage] 投稿日:2011/04/14(木) 18:39:57.14 ID:YZSykMl+o
まさか天才が総司令だったなんてー!!!(棒)
胸が熱くなる展開


803 名前:NIPPERがお送りします(神奈川県) [sage] 投稿日:2011/04/14(木) 21:33:29.43 ID:T2bF5uaYo
>>795
えっ!?
天才が総司令に成りすましているんだろ?
総司令は天才に討たれたんだし(棒)


804 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/04/14(木) 22:45:24.66 ID:B/12cmiAO
>>1乙

まさか総司令が天才だったなんて…
って事はマスクドジーニアスの正体はいったい……!?
いやむしろ天才の正体って…マスクド総司令?ジーニアス天才?ああもう訳わからなくなってきた!


810 名前:NIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage] 投稿日:2011/04/15(金) 00:19:01.39 ID:GAI2l0/uo
天才がツヴァイハンダー持ちだったから
司令部と何かしらあるのかと思ったらそうきたか


811 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/04/15(金) 01:43:32.67 ID:MDH0uFNDO
天才と総司令一緒にいた時なかったけ?


813 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2011/04/15(金) 02:08:14.13 ID:/GUyFXCYo
>>811
それに関してはかなり最初の方で盗賊が説明してるよ
確か初めて、国軍本部入ったときかな


816 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/04/15(金) 02:44:08.87 ID:XBxZ8H2AO
>>1乙!
ちょっとこれは予想してなかった。心震えて熱いやばい。



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