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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その25
911 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:56:02.04 ID:bEqCD9QEo
タッタッタッタッタ

青年兵「……」

触れた指先をじっと見つめると、少し震えていた。

青年兵「……」

別に意識を持ったつもりもなかったけど、昨晩の言葉が頭をよぎった。

戦士『……ほーっ。少佐殿はああいうのが好みか!』

召喚士『へぇ〜っ』

青年兵「……あはは」

見つめた指先を折り曲げると、拳が出来た。震えは止まった。

青年兵「そんな事している場合じゃないだろっ、青年兵!」

……俺、何言ってんだろ。何考えてんだろう。

青年兵「……ばーか」

緩んだ口元を閉めなおし、右足を一歩前へと出した。

ドズウウゥゥンッ!!…グラグラグラッ

青年兵「――っ!?」


912 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:56:38.69 ID:bEqCD9QEo
タッタッタッタッタ

東方兵「火災発生っ!!火災発生ーっ!!」

東方参謀「何事かぁ!?」

当方兵「西地区より火災発生!状況確認中ですっ!!」

東方参謀「……っ!!」

ババッ

東方参謀「魔道兵っ、消化班を作り、即座に西へ回れいっ!!」

魔道兵「ははっ!行くぞーっ!!」

タタタッ…スタッ

女剣士「何が起きているのだ……っ!?」

ドンドンドンッ

女剣士「お姉様ーっ!?」

ガチャッ

東方司令「何事かっ!?」

女剣士「分かりませんっ!爆発音と火の手が……」


913 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:57:18.65 ID:bEqCD9QEo
ゴアオォッ!!…ドドオオォォ…

青年兵「……ぐ……うっ」

パチパチパチッ

青年兵(何が……起きた!?)

グッ

青年兵「痛……っ!!」

炎に包まれた四方。倒れた青年兵は痛みの走る足元を見つめる。

青年兵「……ちぃ……っ」

崩れた天井の破片が突き刺さる左足。

青年兵「……う……あぁーっ!」

ググッ…ブシュッ!!

青年兵「……はぁ……はぁ…はぁ…っ」

カランッ…ヨロヨロッ

青年兵「……誰かーっ!誰かいるかーっ!?」

足を引き摺りながら、青年兵は他に人が居ないか必死で叫んだ。


914 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:57:50.04 ID:bEqCD9QEo
ゴウッ!!…バチバチバチバチッ

崩れた西の塔。その内部で一人の男が笑う。

東方魔道長「……くっくくく!」

パキッ…ザッザッザ

東方魔道長「!!」

ザッザッザ

――「…………」

東方魔道長「ご命令通りに――」

ザッザッザッ……ガシィッ

東方魔道長「――!?」

――「派手にやりすぎなんだよ」

東方魔道長「が……は……っ」

――「……確かに足はつかないが、美しくないんだよ」

東方魔道長「……ごあ……ぁ」

――「……」


915 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:58:16.94 ID:bEqCD9QEo
東方魔道長「……ぐ……ぶ…ぁ」

ガクガクガクッ……ゴキイィ!!

――「……」

ドサッ

東方魔道長「…………」

首の骨をへし折られ、床へ崩れ落ちた東方魔道長が炎に包まれる。

――「……フン」

パキィ

――「……?」

クルッ…ザッザッザッザ

――「……何故、このような所へいる?」

ザッザッザッザッザ

――「見たからには……生かしてはおけないな」

女記者「あ……あぁ……っ!!」

――「……死ね」


916 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:58:51.60 ID:bEqCD9QEo


ゴウッ!!

東方参謀「馬鹿者ぉーっ!!早く消化せんかぁー!!」

魔道兵「撃てぇーっ!!」

ドドオオォォン!!…ギキイイィィンッ!!

東方参謀「ええいっ、どけえぇい!!」

キュイイィィ…

右手を握り締め、東方参謀はそれを勢いよく突き出し開く。

東方参謀「かああぁぁーっ!!」

ドオオォォンッ!!…ガギギギギイイィィンッ!!

東方参謀「……爆発っ!!」

ドゴオオォォンッ!!

魔道兵「道が開けたぞっ!!」

東方兵「衛生兵っ、後に続けぇ!」

中央にぽっかりと出来た氷の道。救援の兵らが一斉になだれ込んだ。


917 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 19:00:07.25 ID:bEqCD9QEo
ドガァッ!!…メラメラッ…バチッ

青年兵「……ぐっ」

ズリッ…ズリッ…

青年兵「――!?」

キラッ

青年兵「誰かっ!?……いるのか!?」

――「……ちっ」

タタッ…バッ

青年兵「そっちは危険だぞっ!!」

ガラガラガラッ…ゴウッ!!

青年兵「……っ!!」

窮地であるにも関わらず、青年兵は冷静に現状を把握していた。

青年兵(……何故、逃げる必要がある!?)

前方を走り去る影の正体。その結論を見出すと共に、既に行動は為されていた。

青年兵「出でよっ!ワイバーン!!」


918 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 19:01:28.56 ID:bEqCD9QEo
シュイイィィン

ワイバーン「カアァァーッ!!」

ゴウウゥゥッ!!

ワイバーンの両翼より繰り出される突風が一瞬にして周囲の炎を吹き飛ばす。

青年兵「……」

一瞬、炎の中に垣間見えた、横たわる女性。

青年兵「…………」

炎は再び勢いを取り戻し、景色はまた戻る。

ワイバーン「青年兵っ、ターゲットが――」

ドドオオォォンッ!!…スガアアァァァァッ!!

ワイバーン「なっ――」

ドッゴオオォォンッ!!

青年兵「…………」

一撃の元に消滅するワイバーン。それと同時に膝をつく青年兵。

人影はにやりと笑い、炎の中へと姿を消した……。


919 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 19:03:53.71 ID:bEqCD9QEo
タッタッタッタッタ

東方兵「青年兵様っ!!」

青年兵「…………」

東方参謀「無事かっ!?」

魔道兵「撃てぇ!!消化しろーっ!!」

ドドオオォォンッ!!…ギキイイィィンッ!!

青年兵「…………」

東方参謀「衛生兵っ、こやつの足を……」

グイッ

東方参謀「……?」

青年兵「……だって、さっきまで……笑顔だったじゃないか」

東方参謀「青年兵……?」

青年兵「あんなに元気でさ……笑ってたじゃないか……」

東方兵「人が倒れているぞっ!!衛生兵ーっ!!」

青年兵「夢だって……言ってた……じゃ……」


920 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 19:06:25.14 ID:bEqCD9QEo
うわぁ…凄い中途半端になっちまった……
絶対言われるんだろうなこれ。先に謝りますごめんなさい

>>879
ありがとうございます!
国軍は2本。一つは南東、もう一つは騎士団長の槍っす

では、失礼致します!ご支援ありがとうございました!ノシ


923 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/23(水) 20:04:24.25 ID:Bj8/B75DO
>>1先生は焦らしの天才や!!


927 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 00:22:23.12 ID:WYQV+q5yo


東方兵「いいぞ、そのまま束で担いでくれっ」

ガラガラッ…ゴトッ

魔道兵「こっち、まだ小火が残ってるからなぁ!」

ザッザッザ…パキッ

東方司令「酷いものだな……」

衛生兵「司令…っ!」

東方司令「状況は?」

東方参謀「西地区及び、塔はほぼ全壊」

女剣士「……っ」

東方司令「他は?」

東方参謀「副司令が確認しておるそうだ」

カラカラカラッ

東方副司令「被害はどうやら、西地区のみのようですね」

東方司令「……そうか」


928 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 00:23:02.50 ID:WYQV+q5yo
ザッザッザッザ…

東方参謀「……青年兵」

青年兵「…………」

東方司令「…ん?どうした、どこかやられたか?」

東方参謀「…足を少々な。だがそれよりも……」

東方司令「……?」

クイッ

東方副司令「あれは……」

東方参謀「女記者……と言ったか」

東方司令「……っ」

東方参謀「……即死だ。駆けつけた時にはもう…な」

東方司令「……そうか」

東方副司令「何故……っ」

東方参謀「火事のせいではなさそうだ。手を加えた形跡がある」

東方司令「……」


929 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 00:23:32.67 ID:WYQV+q5yo
ザッザッザッザ…スッ

東方司令「…………」

女剣士「……」

ザザッ…クルッ

東方司令「…キミは、黙祷したのか?」

青年兵「……」

東方司令「青年兵、キミに話しかけているのだが?」

東方副司令「…司令、今はそっと――」

スクッ…ザッザッザッザ

青年兵「……顔を」

衛生兵「し、しかし…っ、火傷や破損が酷く……」

青年兵「顔を」

衛生兵「は、はい……っ」

ファサ…

青年兵「…………」


930 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 00:24:17.38 ID:WYQV+q5yo
スッ…クルッ…ザッザッザ

東方参謀「……大丈夫か?」

青年兵「ああ、足ですか?それならほら、衛生兵のお陰でこの通り」

プラプラ

東方参謀「そうではない。お前自身――」

青年兵「僕ですか?他には問題ありませんよ」

東方副司令「……っ」

青年兵「……たかが、記者が一人死んだだけではないですか」

女剣士「……」

青年兵「それ以上の何があるっていうんです?」

東方司令「……全員、司令室へ来い」

ザッザッザ

東方副司令「現場はそのまま保存、立ち入り禁止にするように」

東方兵「かしこまりました!」

東方参謀「消火班も完全に鎮火するまで急ぐのだぞ!」


931 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 00:24:56.93 ID:WYQV+q5yo
〜司令室〜

東方司令「…つまり、何者かを見たというのだな?」

青年兵「はい、間違いありません。それが犯人でしょう」

東方参謀「ただの火事ではないな。故意に引き起こされたものだ」

女剣士「内部の…人間でしょうか?」

東方副司令「それは分かりませんが、人間である事は間違いないですね」

東方参謀「ああ。結界石の壁の……しかも内部だからな」

東方司令「一応聞くが、人型だな?」

青年兵「はい。シルエットからして女性ではないと思います」

東方副司令「か、顔は見ておられないのですか?」

青年兵「……残念ながら。フードのような物も被っていたようですし」

東方司令「損害は?」

東方副司令「人の少ない場所が幸いし、死者は2名。一人は身元確認中です」

東方参謀「あとは…全壊した西の塔に保管してある、内部資料のほぼ全てだな」

青年兵「内部資料……?」


932 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 00:25:33.45 ID:WYQV+q5yo
東方参謀「うむ。それから軍馬と食料の一部といったところか」

青年兵「……」

東方司令「ところで、東方魔道長はどうした?」

東方副司令「それが、先程から行方不明でして……」

女剣士「まさか……犯人とは……」

東方参謀「もしくは身元不明のどちらかだな」

東方司令「前者なら見つけ次第拘束、無理なら処刑。後者なら丁重に葬れ」

東方副司令「はっ」

東方司令「本部への連絡はこちらで行う。キミ達は復旧作業に注力してくれ」

東方副司令「畏まりました」

東方参謀「ふむ、早速……行くとしようか」

カツカツカツカツ…カラカラカラッ…

東方司令「青年兵、キミはしばらく……」

青年兵「お気遣いなく。本当に大丈夫ですから」

東方司令「……そうか」


933 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 00:26:00.71 ID:WYQV+q5yo
青年兵「では、失礼します」

カツカツカツ…パタン

女剣士「……大丈夫でしょうか?」

東方司令「本人が大丈夫だと言っているのだ。放っておくしかないだろう」

女剣士「……っ」

カツカツカツカツ…

青年兵「……」

カツカツ…ザッサッザ

東方兵「お疲れ様ですっ!」

青年兵「どうも」

ザッザッザ

東方兵「あ、あのっ……現場は立ち入り禁止……」

青年兵「……」

東方兵「あ、あの……っ」

青年兵「いいから」


934 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 00:26:36.21 ID:WYQV+q5yo
グイッ…ザッザッザ

東方兵「お、怒られても……知りませんよっ」

青年兵「…………」

ザッザッザッザッザ

女記者『うーんと、いつかは鬼すっごいスクープとか取りたいっすねえぇ!!』

ザッザッザ

女記者『そそそそうっすかああぁぁ!?鬼照れるっすねええぇぇ!!』

ザッ…

青年兵「――!!」

ガァンッ!!……ポタポタポタッ

青年兵「うああああぁぁぁぁーっ!!」

ガァン!!…ドガァッ!!…ガスッ…ボタボタッ…ポタッ

青年兵「……う……ぐ…っ」

ドサッ…

両拳から流れる血に大粒の水滴が混じり、青年兵の座る地面へ零れ落ちた。


935 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 00:30:25.18 ID:WYQV+q5yo
残りレス次第でオマケ挟むか考えるとします!
>>823を予定です!仕事量に余裕があればですが…

それではおやすみなさい!ご支援感謝!ノシ


937 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/24(木) 01:00:01.61 ID:2MbfN0sDO
>>1乙っす

女記者も簡単に死んじゃったなあ


944 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/02/24(木) 09:42:34.22 ID:eHFMGRQro
女記者・・・はじめはうぜぇと思ったが、いなくなると寂しいな


948 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/24(木) 11:21:03.20 ID:6dNVAifjo
おまけはやぁああああく!!!
師匠達と女記者はやくあわせてあげてえええええええ


949 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/24(木) 12:17:03.52 ID:UYCamwJIO
女記者の鬼細かいメモが
きっと何かの役にたってくれるはずっす


953 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 17:45:05.43 ID:VUgZ7Dgao


青年兵「…………」

フラッ…テクテク…テク…

青年兵「…?」

東方兵「これはどうする?」

魔道兵「何だ?手帳じゃないのか……?」

ザッザッザ

青年兵「どうしました?」

東方兵「青年兵様…。どうやら遺品か何かのようでして…」

青年兵「……」

東方兵「どう致しましょうか。半焼状態で良好とは言えませんし……」

青年兵「僕が預かりましょう」

魔道兵「宜しいのですか?」

青年兵「ええ。構いませんよ」

東方兵「……では、お願い致します」


954 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 17:45:34.78 ID:VUgZ7Dgao
スッ

青年兵「確かに」

東方兵「……あ、あの…っ」

青年兵「…?」

東方兵「一体、どうなってしまうのですか…?」

青年兵「何も心配はいりませんよ。今、司令が動いてくれていますから」

魔道兵「俺達は言われた事をやるだけだ。そうだろ?」

東方兵「そ、そうだな。失礼しました…!」

タッタッタッタ…

青年兵「……」

カサッ…パラパラパラッ

青年兵「……」

煤けた手帳をそっと開く。所々消失しているものの、手帳の中には、

女記者が懸命に書きとめた取材の記録が羅列されている。

青年兵「……」


955 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 17:46:08.11 ID:VUgZ7Dgao
……――

女記者『ほおおぉぉ!?困っている人を助ける為に軍人にいぃ!?』

青年兵『ええ。そうなんですよ』

女記者『鬼素晴らしいっすよおぉ!なかなか出来ないっすよおぉ!?』

青年兵『そ、そうですかね…。でも、大切な事ですよ』

女記者『鬼同感っすうぅ!!』

青年兵『一人でも多くの人を救ってあげたい。本当にそれだけなんです』

女記者『はぁ〜っ、鬼感心するっすねええぇぇ!』

青年兵『女記者さんだって、偉いじゃないですか』

女記者『ええぇぇ!?そんな事は鬼全然ないっすよおぉぉ!』

青年兵『新聞という媒体だって、人助けじゃないですか』

女記者『そ、そういう鬼解釈もあるっすねえぇ!!』

青年兵『手段は違えど、志は同じだと思いますよ。ははっ』

女記者『鬼励みになるっすよおおぉぉ!ありがとうございますううぅぅ!!』

――……


956 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 17:46:53.93 ID:VUgZ7Dgao
青年兵「…………」

余白をぱらぱらと捲り、最後のページに辿り着く。

そこに記された、女記者最後の取材。それはただ一言。

青年兵「……っ」

記された文面は半焼し欠落しているものの、完全に分からないわけではない。

パタン…ザッザッザ…

おそらくそれはダイイングメッセージ。彼は直感的にそう感じ取る。

青年兵「……」

死の間際、炎に包まれながら必死に書き記した事は筆跡から容易に想像がつく。

青年兵「…………」

普段から常に冷静さを欠かすことなく、怒りを抑えてきた青年兵。

その初めてと言っても過言ではない憤りを、どうして良いのか分からない。

青年兵「――っ!!」

ズガアァンッ!!……パラパラパラッ

青年兵「……必ず……殺してやる」


957 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 17:47:23.74 ID:VUgZ7Dgao
〜司令室〜

東方副司令「小火も全て消し止められ、鎮火致しました」

東方司令「そっちは?」

東方参謀「刃物を扱った形跡はなかった」

東方司令「……他には?」

東方参謀「爆発直後に出火が起こり、そのしばらく後に閃光を見た者がいる」

東方司令「閃光?」

東方参謀「おそらく魔法だろう。推測するに犯人は魔法……」

カツカツカツ

青年兵「閃光は僕に向けられてのものですよ」

東方参謀「青年兵……っ」

青年兵「僕がワイバーンを召喚し、その閃光にて一撃で葬られました」

東方副司令「なんと……っ」

青年兵「油断していました。彼女に目を奪われていた隙に一撃です」

東方司令「…気にするな。そこで平静を保てていれば、もはや人間ではない」


958 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 17:48:02.18 ID:VUgZ7Dgao
東方参謀「それで、結論は?」

東方司令「人間の手による犯行。しかしながら犯人、目的は不明」

コンコン

東方司令「何だ」

東方兵「失礼致します。焼死体の件ですが、やはり東方魔道長の可能性が…」

東方司令「…そうか。ご苦労」

東方兵「はっ。失礼します!」

パタン

東方司令「さて、どう見る?」

青年兵「おそらく、女記者さんと同様…口封じに殺されたものかと」

東方参謀「で、あろうな」

青年兵(……妙だな)

東方副司令「まずは内部の人間で失踪者がいないか調査致しましょう」

東方参謀「うむ、そうだな。それから――」

青年兵(何故東方魔道長が……。左翼の仕業ではないのか?)


959 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 17:48:45.31 ID:VUgZ7Dgao
東方司令「青年兵?」

青年兵「……っ!!」

東方司令「大丈夫か?」

青年兵「え、ええ。失礼致しました」

東方副司令「それで、如何致しましょうか……?」

青年兵「調査の件ですか?」

東方参謀「その話はもう終わったわ馬鹿者。女記者の件だ」

青年兵「……」

東方司令「とりあえず、このままにしておくわけにもいかんだろう」

東方副司令「身内の者が分かれば良いのですが、最悪こちらで火葬……」

青年兵「本国の新聞社にお勤めだったようですし、一度本国へ移送しては?」

東方参謀「本国へか?しかし手間も……」

青年兵「僕が行きますよ。いや、行かせて貰えないでしょうか?」

東方副司令「し、しかしですね……っ」

東方司令「……構わん、行ってこい」


960 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 17:49:14.81 ID:VUgZ7Dgao
青年兵「ありがとうございます」

東方司令「参謀、遺体を凍結保存しておくように」

東方参謀「うむ。相分かった」

東方副司令「客室の遺品も、すぐに準備させましょう」

東方司令「頼む。青年兵は準備が整い次第、本国へ向かえ」

青年兵「はい」

東方司令「西地区には今晩より警備を配置する。不要な者は立ち入らせるな」

女剣士「…はっ」

東方司令「以上、解散。青年兵はこのまま残れ」

青年兵「はっ」

ゾロゾロゾロ…パタン

東方司令「……キミ、何か知っているんじゃないのか?」

青年兵「……?」

東方司令「もしも、知っているのなら……」

青年兵「すみません」


961 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 17:49:54.53 ID:VUgZ7Dgao
東方司令「……」

青年兵「今は何も言えません」

東方司令「……それは、司令であるボクにも言えないというのか?」

青年兵「申し上げられません」

東方司令「……」

青年兵「……」

東方司令「分かった、もういい」

青年兵「失礼致します」

クルッ…カツカツカツ…パタン

青年兵「……まぁ、違うとは思うけど」

カツカツカツカツ…

青年兵「…?」

東方副司令「おぉ、丁度良かった」

青年兵「これは…?」

東方副司令「亡き女記者さんの遺品だ」


962 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 17:50:22.52 ID:VUgZ7Dgao
青年兵「これだけ…ですか?」

東方副司令「そのようですね。この量であれば……」

青年兵「ええ、一緒に運んでしまいますよ」

東方副司令「それでは、一緒に積んでおきます」

青年兵「お願いします」

東方副司令「……身内の方、見つかると良いですね」

青年兵「……ええ」

東方副司令「青年兵殿、君が気に病む必要はありませんよ」

青年兵「……」

東方副司令「貴方に責任がない…とは言いませんが…」

青年兵「……」

東方副司令「私も含め、皆の責任です」

青年兵「……はい」

東方副司令「…それでは、出発の準備を進めてきます」

悲しみに包まれる東方司令部を覆うかのように、夜の闇が訪れた。



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