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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その29
555 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:07:12.85 ID:5NtcQYRGo
バシュウウゥゥ…バサァ

玄武娘「あっ、帰ってきたですの!」

白虎長「どうだった?」

青年兵「河口付近は熱が凄くて近づけませんね」

白虎長「そう……」

召喚士「あれ? 天才さんは……?」

白虎長「一人で穴の中へ入って行ったわよ」

召喚士「大丈夫ですかね?」

白虎長「本人が自分の意思で行ったんだから、大丈夫なんじゃないの?」

青年兵「……」

白虎長「さて、どうしましょうか」

青年兵「ひとまず司令が戻るのを待ちましょうか」

白虎長「そうね。勝手に動いてもしょうがないし」

青年兵「各自、周囲の警戒を続けて下さい」

召喚士「うん」


556 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:08:19.88 ID:5NtcQYRGo
〜火山、内部〜

天才「……」

ザザッ…スタッ

天才「……変化なし、と」

先日の戦いにおいて、タローマティの攻撃を受け、奇しくも魔王の元へと訪れた天才。

その際の記憶を手繰り寄せるように、火山内部の狭い穴を、ゆっくりと進んで行く。

天才(……幾ら動けねぇからといって、仕掛けてくる様子は微塵もねぇ)

ザッザッザ

天才(アンラ・マンユ……何が狙いだ)

ジリジリ

天才「……あっつ」

火口からと思われる熱が、内部にまで伝わり、天才の額に汗をかかせていた。

天才「こりゃ長時間の潜伏は体力勝負だわな……」

言葉を発した後、天才はある2つの事に気が付いた。

天才「狙いは持久戦……いや、それよりもこの熱量……この前はなかっただろうがよっ!」


557 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:09:03.54 ID:5NtcQYRGo
〜火山、西部〜

男隊員「急げよー。ちゃっちゃと布陣しろー」

隊長「……」

女隊員「隊長、険しい顔してどうしたッスか?」

男隊員「険しい顔が更に険しくなってんぞ? ヒャハハ」

隊長「何だこれは」

女隊員「へ……っ?」

隊長「森林浴をしたくなる程、透き通った空気じゃねぇか……」

男隊員「何言ってんだアンタ?」

南方魔道長「……おい」

隊長「ちっくしょう!!」

ダッ!!

女隊員「隊長!?」

隊長「お前らはこのまま布陣を進めろ! 指示書は置いて行く!」

南方魔道長「やってくれるぜ……っ」


558 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:10:05.37 ID:5NtcQYRGo
タッタッタッタッタ

男隊員「な、何だってんだ……?」

女隊員「さぁ、分からないッスよ……」

アマゾネス「……」

おさげ「長……?」

アマゾネス「何か、変な感じがするな」

おさげ「……?」

タッタッタッタッタ

隊長「……」

南方魔道長「……」

隊長(間違いねぇ……! あの霧、あれが出ていたのは……)

タッタッタ…ザザァ

隊長「!?」

南方魔道長「なんつぅ濃霧だ。先が全く見えねぇぞ……」

隊長と南方魔道長の行く手を、尋常ではない濃霧が襲う。


559 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:10:33.29 ID:5NtcQYRGo
オオォォォォ

隊長「……」

ザッザッ…ガシッ

隊長「!?」

南方魔道長「待て」

隊長「何だよ」

南方魔道長「どうもおかしい。様子を見た方がいいと思うが」

隊長「だがな、この先には北東に布陣した600の魔道兵が……」

ズドオオォォォォンッ!!

隊長「――!?」

南方魔道長「何だ!? 魔物の攻撃かっ!?」

隊長「……四の五の言ってる場合じゃねぇ。行くしかないようだな」

南方魔道長「仕方ない。俺が道を作るんで、そこを……」

隊長「助かるっ!」

南方魔道長はその場で両手を掲げ、溜めた魔力を一気に爆発させた。


560 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:11:33.67 ID:5NtcQYRGo
ドドオオォォォォン!!…ゴオウウゥゥゥゥッ!!

南方魔道長「一時的に吹き飛ばしているだけだっ、無茶はしないよう」

隊長「…………」

南方魔道長「よし、いいぞ」

隊長「お前はそこで待機してろ」

そう言うと隊長は大きく息を吸い込み、息を止める。

南方魔道長「……?」

ググッ…タタタッ…シュバッ

隊長(濃霧の奥で一瞬だが見えた……)

タッタッタッタッタ…

隊長(魔道兵が……同士討ちしていた)

タッタッタ…

隊長(あれは……。そしてこの霧……忘れもしねぇぜ)

進めば進むほどその霧は薄黒く変色し、濃度は更に濃いものとなっていく。

隊長(……アカ・マナフ……!!)


561 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:12:15.65 ID:5NtcQYRGo
〜北東、奥の山〜

戦士「大丈夫か?」

盗賊「……ああ」

戦士「ほれ、掴まれ」

盗賊「……うん」

ギュッ…グイッ

戦士「……」

盗賊「……」

戦士「何だかんだ、お前も女だよなぁ」

盗賊「へっ!?」

戦士「いや……手がさ。毎日、剣を握ってるのにやっぱ柔らかい」

盗賊「な、何を言っているのだお前はっ!!」

戦士「あ、わりぃわりぃ」

テクテクテクテク

盗賊「……っ」


562 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:13:06.06 ID:5NtcQYRGo
ザッ

戦士「よ……っと。ここが頂上か」

盗賊「……足場は?」

戦士「ああ、大丈夫。わりかし平坦だわ」

盗賊「そっか、良かった」

戦士「細かい石だけどけておくか……」

ザッザッザ

戦士「えぇと、方角は……こっちか」

盗賊「あの山が戦士の父上がいる山だろう」

戦士「じゃあここでオッケーだな」

ストッ

戦士「さーてと。しっかり準備運動しておかなくちゃな」

盗賊「うん」

戦士「盗賊、ちょっと背中押してくれ」

盗賊「えっ!? あ、うん……っ」


563 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:14:09.38 ID:5NtcQYRGo
〜北東手前の山〜

戦士父「……」

ザッ

戦士父「!?」

ババッ!!

戦士父「……お前……っ」

バーテン「分かったらそのナイフを下ろせ」

戦士父「敵かと思うだろう。それよりも、何故ここに居る?」

バーテン「いや、一大決戦だって聞いてな」

戦士父「それは分かっている。どうしてここが分かったかと聞いているんだ」

バーテン「南西砦で聞いたんだよ。お前が一人で寂しがってるってな」

戦士父「馬鹿らしい」

バーテン「まぁそう言うな。そうだ、コーヒー飲むか? 持って来たんだ、冷めてるだろうが」

戦士父「……」

バーテン「おっ、まだ微妙に暖かいな。ほれ、最後になるかもしれんからな」


564 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:14:43.12 ID:5NtcQYRGo


戦士父「……」

ズズッ

戦士父「……本当の目的は?」

バーテン「別に」

戦士父「魔王討伐作戦は秘密裏だ。一般人が簡単に、耳に出来るわけがない」

バーテン「……力が戻ったんだとさ」

戦士父「……?」

バーテン「んで、お前が山の上から槍をブン投げる姿が脳裏に浮かんだんだとさ」

戦士父「……まさか、占い師か?」

バーテン「……お前は口が堅いし、先に知らせといてやる」

戦士父「……」

バーテン「マジシャン、還って来たぞ」

戦士父「!?」

バーテン「地獄の底から還ってきたんだよ!」


565 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:15:34.96 ID:5NtcQYRGo
戦士父「……マジシャンが」

バーテン「全く……再来とはよく言ったもんだぜ」

戦士父「そうか……そうだったか……っ」

バーテン「30年前、アイツらと俺らで挑んだアンラ・マンユ戦……」

戦士父「魔王の顔すら拝めなかった……」

バーテン「みんな死んだ」

戦士父「……ああ、死んだ」

バーテン「お前の……いや、アイツの妹も死んだ」

戦士父「……」

バーテン「俺はな、初代隊長として、そして今は来れないアイツらの為に……」

戦士父「……」

バーテン「この目でアンラ・マンユの最後を見届けようと、そう決心したのさ」

戦士父「俺は、必ずこの手で魔王を討つ」

バーテン「ああ。お前にしか出来ない、お前がやらないと駄目なんだ」

戦士父「……」


566 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:16:03.66 ID:5NtcQYRGo
左翼長「ぶぇっくし!!」

騎士長「きたねぇな……」

左翼長「初夏になろうかってのに……今日はよく冷えやがる」

〜北方司令部〜

参謀「司令」

左翼長「伝令か?」

参謀「アンラ・マンユ攻略ですが、予定通り0時に開始するようですね」

左翼長「何もなければ、もう作戦は始まってるか……」

参謀「こちらも間もなく、牽制の為の兵を北進させます」

左翼長「おう。あくまで牽制だ。結界石の打ち込みと要所の確保に努めればいい」

参謀「はっ。それでは失礼致します」

騎士長「始まったか」

左翼長「みてーだな」

騎士長「……信じようぜ。お前の……義弟をよ」

左翼長「……」


567 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/06/03(金) 18:33:49.30 ID:5NtcQYRGo
ひとまずここまでにて!
本日もご支援ありがとうございました!
それでは失礼致しますですー!ノシ

>>538
すみません…ちょっと忙しくてペースが落ちたりで…
なるべく毎日投下出来る様にはがんばりますので!


569 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2011/06/03(金) 23:20:11.37 ID:m+77aOjno
>>1乙

そうか、弓のおじさんはほんとにおじさんだったのか


570 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/03(金) 23:49:53.28 ID:dCKkE/rJo
>>1乙
んで剣士の結婚式で家にあった達人の弓、弓使いにプレゼントしてたよね
あれ、弓のおじさんのじゃなくてカーチャンの形見だったんじゃ……


573 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/04(土) 23:08:44.63 ID:f/BxDrl3o
〜火山、北のふもと〜

朱雀嬢「あら……?」

タッタッタ…ザザッ

天才「敵は!?」

召喚士「いえっ、まだ見えませんが……」

天才「ここは駄目だ、一旦後退すんぞ」

青年兵「!?」

白虎長「ちょっと……何が……」

天才「いいから退くぞ!!」

召喚士「あ、あの……一体何が……」

天才「アンラのヤロー、やってくれんぜ」

青年兵「内部で何か動きが……!?」

天才「火山の熱量が上がってやがる」

青年兵「……!!」

天才「待ってたワケじゃねぇ……っ! 既に動いてやがったんだ!」


574 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/04(土) 23:09:16.93 ID:f/BxDrl3o
玄武娘「どういう事ですの……?」

天才「上空の様子は?」

青年兵「火口付近はかなり暑くて近づけませんでした……」

天才「やっぱりな……」

白虎長「……?」

天才「アンラ・マンユは火山を噴火させるつもりだ」

色黒「えぇーっ!?」

召喚士「あ……っ」

朱雀嬢「どうなさいました?」

召喚士「言われてみれば……」

玄武娘「ほえ?」

召喚士「火口付近、見た目とは裏腹に熱量が高かったですね……」

青年兵「確かにそうですね。遠目からだとそうでもなかったんですが」

天才「やっぱりな。つまり、内部で凝縮してるって寸法だろうよ」

朱雀嬢「ど、どうなさらるの……!?」


575 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/04(土) 23:09:45.65 ID:f/BxDrl3o
天才「さーて、どうすっかねぇ……」

白虎長「ちょっと……」

天才「冗談だよ。やる事は至ってシンプルだ」

ツインテ「……」

天才「火山の噴火を押さえ込みながら、アンラちゃんを引きずり出す」

白虎長「た、確かにシンプルだけど……」

召喚士「やる事……増えてますね……」

天才「しょーがねぇだろ。噴火したら全滅だ。ゲームオーバーだ」

青年兵「しかし、どうやって……」

天才「どーもこーもねぇ。召喚獣使う以外ねーだろって」

召喚士「まぁ、それしかないですね……」

白虎長「水系の召喚獣なんて持ってないわよ……っ」

天才「水系持ってる奴は火山優先。それ以外の奴は内部への潜入ルートを探るぞ」

青年兵「了解です。それでは手分けして作業にあたりましょう」

召喚士「……うん!」


576 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/04(土) 23:10:39.02 ID:f/BxDrl3o
〜火山、南西部〜

男隊員「よーし、布陣は終わったな?」

魔道兵「はっ。ここはお任せ下さい!」

男隊員「頼むぜ。無茶はすんなよ」

魔道兵「お互い様ですっ!」

男隊員「へっ、言ってくれるぜ」

女隊員「それじゃ、次に行くッスよ!」

騎兵「出発!」

パッカパッカパッカ…

オオォォォォ

女隊員「今……何か聞こえたッスよね……?」

男隊員「……北側みてぇだな」

女隊員「まさか、隊長達に何か……」

男隊員「駄目だ、引き返すわけにはいかん。このまま進むぞ」

女隊員「……っ」


577 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/04(土) 23:11:46.96 ID:f/BxDrl3o
〜火山、北西部〜

隊長(……ちぃっ!)

魔道兵「死ね……死ねええぇぇ!!」

ドドオオォォォォン!!

隊長(何とかこの同士討ちをやめさせねぇと……)

魔道兵「フハハハハアアァァーッ!!」

隊長「!?」

ドドオオォォォォンッ!!…ゴゴオオォォォォ!!

隊長「――っ!!」

ババッ…ゴロゴロゴロゴロッ

隊長「ぶはぁっ!! はぁ……はぁ……っ!!」

南方魔道長「無事かっ!?」

隊長「……ああ。濃霧の中でちょいと火だるまになっただけだ」

南方魔道長「そ、そうか……」

隊長「この霧はまずい。こいつに侵されると自我の制御が利かなくなる」


578 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/04(土) 23:13:53.50 ID:f/BxDrl3o
南方魔道長「洗脳って事か?」

隊長「簡単にいや、そういう事だな」

南方魔道長「対処法は?」

隊長「……倒すしかない」

南方魔道長「……?」

隊長「こいつを発生させてる張本人だよ」

南方魔道長「……」

隊長「眷属、アカ・マナフだ」

南方魔道長「……ほぉ、あれか」

隊長「!?」

南方魔道長が指差す上空。濃霧の上を歩くように怪しげな影が姿を見せる。

アマ・マナフ「……」

南方魔道長「そんで、どうやって倒すんだよ?」

隊長「……まさか、倒せるわけねーだろ。俺らだけでよ……っ!」

そう言うと同時に、白い発光弾が一つ、夜空へと打ち上げられた。


580 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [] 投稿日:2011/06/05(日) 03:11:23.54 ID:+L5AXOxW0
1乙
さすがに魔王相手にすんなりいかんわな


582 名前:NIPPERがお送りします(関東) [sage] 投稿日:2011/06/05(日) 15:39:50.63 ID:H+6hKh4AO
自我の制御がきかなくなるって怖い(´・ω・`)


584 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/05(日) 19:14:49.74 ID:6NMDaJKVo
〜火山、北側〜

魔道兵「今のは……シロイチでしょうか?」

大軍師「そのようですね。しかし何故白の一番が……」

ザザザッ…タッタッタッタッタ

魔道士「あっ!! あれって……天才さんっ!?」

ジュニア「それだけじゃねぇ……っ!」

剣士「召喚士くんに……他のみんなも」

タッタッタ…ズザザッ

大軍師「どうかされましたか?」

天才「今のはシロイチか?」

大軍師「そのようで。特遊に何かあったかもしれませんね」

召喚士「……っ」

大軍師「それで、其方はどうなされたので?」

天才「アンラ・マンユが厄介な事になった。ちょいとお前らの力も借りる事になるぞ」

魔道士「へ……っ!?」


585 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/05(日) 19:16:19.96 ID:6NMDaJKVo


大軍師「成程……っ。確かにそれは厄介ですね」

天才「お前は別働隊とコイツら率いて、魔王と火山を頼むわ」

大軍師「畏まりました」

青年兵「司令はどうなさるので?」

天才「シロイチ上がったんだろ? あっちも何かあったと考えるべきだろうが」

大軍師「全くその通りだと思います」

天才「つーわけで、ちょっくらカタ付けてくるわ」

ガシッ

天才「なっ?」

召喚士「えっ!?」

天才「え、じゃねーよ。お前以外に誰がいんだよ」

召喚士「……っ」

天才「お前の召喚獣があれば押さえ込める。行くぞ!」

召喚士「は、はいっ!」


586 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/05(日) 19:17:25.79 ID:6NMDaJKVo


召喚士「行けっ! コカトリス!! ワイバーン!!」

シュイイィィィィン

天才「よーし、いっちょかっ飛ばして行くぞぉ!」

魔道士「召喚士さんっ、気を付けて……っ!」

召喚士「はい。行ってきます」

天才「いいか、むりする必要はねぇ。あくまで――」

大軍師「無謀ではなく勇敢に、ですね」

天才「……んじゃ、頼んだぜ」

バシュウウゥゥゥゥ!!

ジュニア「そんで、どーすんだ?」

大軍師「とにかく魔道隊の布陣まで耐えるしかありません」

剣士「噴火か……。それだけは何としても阻止しないといけないな」

弓使い「そうね……」

青年兵「召喚獣を再度、偵察に派遣致しましょう」


587 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/05(日) 19:18:27.98 ID:6NMDaJKVo
ドシュウウゥゥゥゥ

召喚士「……」

天才「おーい!」

召喚士「あっ、はい!」

天才「何でお前を連れてきたか、分かるか?」

召喚士「……アカ・マナフですか?」

天才「シロイチは通常、特遊の一番乗りを意味する発光弾だ」

召喚士「……」

天才「だがシロイチには、もう一つの意味がある」

召喚士「何ですか?」

天才「白の一大事って事だ」

召喚士「それは……どういう……」

天才「白は特遊のパーソナルカラー。それの大事を意味している」

召喚士「っ!!」

天才「白の発光弾だけが上がる理由ってのを考えりゃ、結論は簡単」


588 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/05(日) 19:20:52.07 ID:6NMDaJKVo
召喚士「特殊遊撃隊のみに危険が及んでいると……?」

天才「そういう事。そこから導き出されるアンサーは……」

召喚士「眷属、アカ・マナフの出現……っ!」

天才「それが濃厚って事だ」

召喚士「なるほど……っ」

天才「アカ・マナフと闘ったことのあるお前なら、何をすべきか分かっているな?」

召喚士「……はい。あの時よりカードは増えていますから」

天才「ハーッハッハ!! 頼もしいじゃねぇか朱雀先生よぉ!!」

召喚士「やれる事を頑張るだけです」

天才「それでいい。自信は力に繋がる。それに……」

召喚士「……」

天才「お前はもう、十分強い。これは慢心じゃねぇ。自信だ」

召喚士「……珍しいですね、天才さんが褒めてくれるなんて」

天才「ハーッハッハ!! 社交辞令の一つでもあった方が、やる気も出んだろ?」

召喚士「茶化さないで下さいよ……っ」


589 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/05(日) 23:50:01.96 ID:6NMDaJKVo
〜火山、上空〜

パッカパッカパッカ…

従者「……?」

ドドォ…

名士「……どうした?」

従者「……あ、あの……っ」

名士「……?」

空飛ぶ馬車の正面に、黒い巨大な影が現れる。

名士「……」

ズズッ…ズズズズッ

名士「……何百年。いや、千年以上振りか……?」

従者「……っ」

ズズッ…ドドドドオオォォォォ

名士「……インドラ」

インドラ「……」


590 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/05(日) 23:54:44.97 ID:6NMDaJKVo
コオオォォォォ

インドラ「何をしておる」

名士「いや、高みの見物さ」

インドラ「人間へ手を貸すわけではないのか」

名士「手を貸す? 私がか……?」

インドラ「長年、姿を見せなかった貴様が出てきたのだ」

名士「私はどちらの味方もせぬよ」

インドラ「……」

名士「敵を作れば敵は増える。その敵を叩けば次なる敵が現れる」

インドラ「だから敵は作らない……か」

名士「貴様とは違う」

インドラ「……それで、貴様はその先に何を見るのだ?」

名士「別に大したものでもないよ。好きな景色を残したい、ただそれだけの事」

インドラ「そうか」

名士「まずはお手並みをみようじゃないか。人間がどこまでやれるのかを、ね」



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