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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その24
750 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 00:17:48.72 ID:BzF/9Okio
フオンッ

召喚士(何だ……これ……っ)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

召喚士(え……っ!?)

マジシャン『ハッハ!さぁ、ここからだ!』

青龍先生『……ヒョッヒョッヒョ。よぉく見ておれ』

神官『王子……私は……』

玄武娘『私だって……っ!!』

帝『今……この時を以って――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

王子『だから俺は……戦う!!』

占い師『これが私に出来る精一杯の――』

天才『いるじゃねぇか、立派なヤツがよ……っ』

青年兵『……出陣!!』

師匠『行けっ!コカトリス!!』


751 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 00:18:18.36 ID:BzF/9Okio
フオンッ

盗賊(……真っ暗で…いや、真っ白…なのか!?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

盗賊(何が起きて……脳裏に……何かがっ)

影忍『この鎖を……断ち切ってくれぇ!!』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

火忍『いいんです……。これが我らの――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

御館様『なぁ盗賊、私はお前の――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

盗賊(や…めろぉ!頭が……割れるように……っ)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

戦士『盗賊……。俺、俺さ――』

盗賊(……戦士!?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…


752 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 00:18:51.95 ID:BzF/9Okio
フオンッ

魔道士(……へ…っ!?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

魔道士(一体……何っ!?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

大商家『……無礼を……お許し下され!』

魔道士(お父様……っ!?)

エリート『私は貴女に数々の――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

皇太子『……魔道士、これで君は――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

陛下『…………』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

魔道士(何なの……何なのよ…っ!やめてぇーっ!!)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…


753 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 00:19:32.84 ID:BzF/9Okio
フオンッ

魔法剣士(……!?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

魔法剣士(何だこれは!?幻覚……?)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

眼鏡『……僕は君に……心から――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

詩人『頼む……。彼を、どうか私に――』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

魔法剣士(こんなもの……っ!)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

幼女『お父ーっ!!』

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…

魔法剣士(こんなもので……ぇ!!)

ヒュオン……ヒュン…ヒュン…


754 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 00:20:03.58 ID:BzF/9Okio
ブツンッ……ドサッ

召喚士「……う…っ」

モゾッ…グググッ

召喚士「なん……」

キョロキョロ

召喚士「みんな!?……どこなんだここは!?」

スクッ……ザッザッザ

召喚士(幻覚…!?それにしては……)

ズキッ

召喚士「……頭が……痛い…っ」

ヨロッ…ザスッ

召喚士「とにかく……みんなを……」

真っ直ぐ続く、暗闇とも光とも分からぬ一本道を召喚士はひた進む。

召喚士「……みんなを…探さないと…っ」

信じる仲間が待つ、その先へとひたすら真っ直ぐ進み続けた。


755 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 00:21:08.75 ID:BzF/9Okio


コオオォォ…

戦士「……」

ゲーデ「君の運命はどうなのだろう」

戦士「運命?」

ゲーデ「今頃、仲間は己の運命を切り拓いている」

戦士「……」

ゲーデ「まぁ拓けず、力尽きるやもしれんがな」

戦士「てめぇ……」

ゲーデ「そう怒るな。仲間とやらを信じろ」

戦士「……」

ゲーデ「運命は信じるか?」

戦士「……運命なんてものはねぇ。信じるわけねぇだろ」

ゲーデ「…フッククク。そうかそうか、いや…それでいい」

戦士「……」


756 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 00:21:39.61 ID:BzF/9Okio
ゲーデ「運命なんてものはただの道に過ぎない」

戦士「……よく分からんな」

ゲーデ「…フックク。分からぬのに信じぬか」

戦士「分からないから信じねぇんだろうが」

ゲーデ「……それもそうか。君はなかなかに優秀だ」

戦士「…バカにしてんのかテメェ」

ゲーデ「いやいや、褒めているのさ」

戦士「……っ」

ゲーデ「運命は信じぬ君は、宿命は信じるか?」

戦士「宿命?」

ゲーデ「運命は道。道は進む為のもの」

戦士「……」

ゲーデ「しかし道は分かれ、時には立ち止まる事も出来る」

戦士「……はぁ。意味分かんねぇ」

ゲーデ「しかしだ、宿命を変える事は出来ん」


757 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 00:22:46.08 ID:BzF/9Okio
戦士「だから何だっつーんだよ」

ゲーデ「宿命は生まれた時に、既にきまっているのさ」

戦士「……」

ゲーデ「運命は見えても、宿命を見る事など誰にも出来ん」

戦士「あっそ」

ゲーデ「自分の命が終わる時、初めて宿命を知るのさ」

戦士「へいへい。高尚なこって……」

ゲーデ「少し難しかったかな…君には」

戦士「いい加減、召喚士達を返して貰おうか」

ゲーデ「…それは出来ぬな」

戦士「ならば力ずくでも…返して貰うぜ」

ゲーデ「それは一向に構わぬ。構わぬが出来ぬものは出来ぬ」

戦士「……」

ゲーデ「先程も述べたように、彼等は己と戦い、向かい合っている」

戦士「……っ」


758 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 00:24:19.48 ID:BzF/9Okio
ゲーデ「打ち勝ったならば、自然と戻ってくるであろう」

戦士「……」

ゲーデ「それが運命――」

ダンッ!!

戦士「…りゃあぁ!!」

ギキイィンンッ

戦士「さっきからベラベラと…ワケ分かねぇ事を…っ!」

ゲーデ「いずれ分かるさ!」

戦士「……っ!!」

ガキィ!!……ズザザァッ

ゲーデ「人間、お前は何故戦う?」

戦士「決まってんだろ!皆を守る為だ!」

ゲーデ「……人間をか?」

戦士「だけじゃねぇ!志を共にする仲間をだ!」

ゲーデ「……」


761 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/01(火) 01:00:37.81 ID:ZjLkX8tAO
戦士が主人公っぽい(´・ω・`)
行け!召喚士!


762 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/01(火) 01:08:55.44 ID:YPZ/XytDO
え?戦士さんが主人公だろ?



764 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/01(火) 07:20:30.70 ID:xPLrRtzYo
細々と続いて来た伏線が
徐々に太くなって来たな。

先行き楽しみだ!

>>1乙です。そしてありがとう


767 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:25:18.33 ID:z/J7jBLro
ガインッ…ガンッ…ガンッ!!

ゲーデによる魔力の搾取など気にも留めず、攻め続ける戦士。

総魔力が少ない事が逆に幸いし、いくら奪い取られようと、

疲労が限界に達する事はなく、手は止まらない。

戦士「……」

ゲーデ「……」

それでもこの魔物に対して、戦士の攻撃は無意味なものであった。

物理攻撃も通用せず、魔力も奪い取られ、ましてや不死。

戦士自身も自分一人で勝利を得られるなどとは到底、微塵にも考えていない。

ギィンッ!!…ヒュンッ…ブオォッ!!

戦士「……くっ!!」

ゲーデ「……フッククク」

それでも手を休める事はない。仲間を救う、その一身で攻撃を続ける。

戦士「っあぁ!!」

ゲーデ「……」


768 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:26:34.29 ID:z/J7jBLro
ヒュオンッ!!…ブンッ…ガキィ!!

ゲーデ(……不思議な男だ)

戦士「……だぁっ!」

ゲーデ(勝ち目のない戦いを続け、何になるというのだ)

戦士「……っ!!」

ゲーデ(仲間を助けたい、ただそれが望みなのか……?)

戦士「……決まってんだろっ!!」

ゲーデ「ッ!?」

バッ……スタッ

戦士「…っ、はぁ…はぁ……はぁ…」

ゲーデ「…ついうっかり、口に出ていたか」

戦士「……あ?」

ゲーデ(……いや、思考を読んだのか……?)

戦士「……」

その不自然な出来事に、ゲーデは一瞬悩んだが、結論はすぐに出る。


769 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:27:25.34 ID:z/J7jBLro
ゲーデ「君は、相手の思考が読めるのか?」

戦士「まさか。そんな事出来れば戦うに苦労しねぇ」

ゲーデ「…フックク。それもそうか」

戦士「だが、何を考えてるのかは何となく分かる気がする」

ゲーデ「……」

戦士「相手の目を見てるとな、そいつがどんな事考えてるのか分かる気がする」

ゲーデ「……」

かつて召喚士とアイコンタクトをとり、戦闘した経験がふと、頭をよぎる。

戦士「相手を信じるって事が、大切なんだよっ」

ゲーデ「……信頼か」

戦士の強さの秘密はそこにあった。彼は魔物に対しても、心を開き、

それは初対面であろうが、剣を交えている最中であろうが変わらない。

ゲーデ「君は私に対し、心を開いたというのかね?」

戦士「命のやりとりだ。当たり前だろう」

絶対悪であろうとも命を奪う。それに対する礼儀が信頼という形となっているのだ。


770 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:28:04.88 ID:z/J7jBLro
ゲーデ「……」

戦士「それによ、魔物ったって…悪いヤツばっかじゃねぇって知ったしな」

ゲーデ「……」

戦士「魔族にだって魔王に不満があるヤツもいるし……」

ゲーデ「……」

戦士「今の生活に不満のあるヤツ。戦いたくないヤツだっている」

ゲーデ「……」

戦士「戦ってみて、話してみて、そういうヤツは命を奪いたかねぇし…」

ゲーデ「……」

戦士「一緒に戦ってくれるんなら、種族とか関係ねぇじゃねえか!」

ゲーデ「……」

心を開き、それに心を許す者は助け、そうでない者に対しては、

私利私欲抜きで、全力を以ってして相手する。

戦士より優れた者は多数いる。しかし個での強さで言えば戦士が圧倒する。

それが戦士の強さの秘密であり、個での武力が優れる理由でもあった。


771 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:29:01.37 ID:z/J7jBLro
戦士「……お前は魔王に仕えてないんだろ?だったらよぉ」

ゲーデ「何度も言わせるな、魔族と人間は相容れぬ。それが私の価値観だ」

戦士「そんな事は……」

ゲーデ「君は君の価値観を持つ。私は私の価値観を持っている」

戦士「……っ」

ゲーデ「それもまた相容れる事はない」

戦士「……」

ゲーデ「それで良いではないか。双方、損得もない」

戦士「何がそうさせるんだよ…っ」

ゲーデ「答える義務も意味もない。それが運命なのだ」

戦士「運命ってのは変わるんだろうがよぉ!」

ガキイィィンッ

戦士「自分で…言ってたよなぁ」

ゲーデ「……」

戦士「戦ってみて分かるよ。アンタは悪いヤツじゃねぇ」


772 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:29:39.07 ID:z/J7jBLro
ゲーデ「いいや、悪党さ。飛びっきりのね」

戦士「……」

ゲーデ「運命というのはね、変わるものではないよ」

戦士「……?」

ゲーデ「運命は自分で切り拓き、自分で変えるものなのだ」

戦士「…じゃあ、変えればいいじゃねぇか!」

ゲーデ「変えるだけが運命じゃない。受け入れるのも運命だ」

戦士「……何だよそれ…っ」

ゲーデ「…フッククク。君と話していると、本当に不思議に思えるよ」

戦士「…?」

グググッ…バキャアァ

戦士「……ぐ…っ!!」

ゲーデ「君のような輩を好漢と言うのかな」

戦士「…はぁ?」

ゲーデ「……立ちたまえ。気が変わった」


773 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:30:12.86 ID:z/J7jBLro
戦士「……?」

ゲーデ「剣を交えよう。とは言っても、私は死なぬが」

戦士「……」

スクッ

戦士「どういう意味だよ?」

ゲーデ「意味はない、そのままさ。剣を交えたくなった」

戦士「それこそ意味ねーだろ。アンタは死なないんだ」

ゲーデ「だからこそ、やり甲斐があるというもの」

戦士「……?」

ゲーデ「不死と知れば全ての者は逃げる。何故か分かるか?」

戦士「…やるだけ無駄だからだろ」

ゲーデ「その通り。しかしここは特殊な空間、逃げ場はない」

戦士「じゃあ諦めるな。多分、殺してくれるのを待つんじゃないのか?」

ゲーデ「それも正解。普通はそうだろうさ」

戦士「中には無駄な抵抗するヤツもいるだろうがな」


774 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:30:39.97 ID:z/J7jBLro
ゲーデ「そこまで行き着く者は、極々限られる」

戦士「……」

ゲーデ「その中でも最後まで諦めず、ましてや……フッククク」

戦士「……」

ゲーデ「仲間に引き込もうなどと思う輩は…君だけだ」

戦士「……そうかい」

ゲーデ「つまり君は、通常では為しえない運命を切り開いたのだ」

戦士「……」

ゲーデ「だからこそ、運命の分岐に立つ者として、君に機会を与えよう」

戦士「機会…?」

ゲーデ「もし君が、私に一撃与え、伏す事が出来れば君の勝ち」

戦士「……」

ゲーデ「逆に私が一撃与えれば、君は絶命する」

戦士「……っ」

ゲーデ「どうする?この運命、切り拓いてみるか?」


775 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:31:11.75 ID:z/J7jBLro
戦士「…答える必要はねぇな」

ゲーデ「……ほぉ」

戦士「やるに決まってるだろ」

ゲーデ「……フッククク」

戦士「但し、俺が勝ったら召喚士達はすぐに開放しろ!」

ゲーデ「運命を変えるのは自分自身だ」

戦士「……」

ゲーデ「但し、手助けはしてやるか。それで良かろう」

戦士「それで助かるならな」

ゲーデ「…フッククク!心を開くのは良いが、考えた方がいいぞ?」

戦士「……?」

ゲーデ「もしこれが罠だとすれば、君等は全滅だ」

戦士「……そうだな」

ゲーデ「……フッククク」

戦士「……」


776 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:31:41.15 ID:z/J7jBLro
ザザッ

戦士「……」

ブンッ…ゴトッ

ゲーデ「盾を捨てたか。思い切りの良い……」

戦士「どうせ一撃決まれば終わる。小細工なしだ!」

ゲーデ「本当に…不思議な男だ」

戦士「こいつ一本ありゃあいい」

チャキッ

ゲ−デ「では、始めようか」

戦士「……ああ」

ザッ…ゴゴゴゴゴゴ

ゲーデ「まだまだ力を隠していたか」

戦士「……」

ゲーデ「……」

返事もなく無言で威圧を放つ戦士。ゲーデの顔から笑顔が消えた。


777 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:32:11.97 ID:z/J7jBLro
漆黒の山高帽に燕尾服で身を固めたその男。

手にした十字架のステッキに仕込んだ、細く鋭い刀身を抜く。

戦士「……」

それを受けて戦士は、無言のまま雷切を鞘から抜き、

その鞘を後方へと放った。居合いはなし。真っ向勝負の証である。

ザッ…ススッ

互いの力量を計るかの如く、両者は横に移動し、間合いを取り合う。

対峙する者の力量が尋常ではない。それが共通の思惑。

戦士「……」

踏み込めば一刀に伏せる。しかし伏す事も出来るかもしれない。

戦士の脳裏に風景としてよぎるは、一瞬での決着であった。

その想像を払拭するかのように、男爵は戦士の懐へと飛び込んで来た。

ヒュンッ!!

ゲーデ「うおおおおぉぉぉぉ!!」

戦士「でりゃああぁぁーっ!!」


778 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:32:39.02 ID:z/J7jBLro
互いの初動は得物を水平にしての薙ぎ。

それは刀身同士が触れる事も、互いの身体に触れる事もなく空を切る。

身を屈めた両者は見合わせ、互いの思考を読む。

戦士(すっげぇ……っ、動きが止まって見える……)

視界の全てがスローモーションに見え、思考だけが著しい早さで動く。

ゲーデはその場で独楽のように回転し、再び剣を薙ぎ払いに放った。

戦士(……だろうな)

既に動きを読んでいたかの如く、戦士はさも当然のように上半身を逸らせ、

ゲーデの一振りを見事にかわす。

フォンッ!!

ゲーデ「!?」

戦士「……っし!!」

ゲーデの右腕が振り切られる前、つまりは薙ぎのモーション途中で、

戦士の両足が絡みつき、その右腕の動きを奪う。

ゲーデ「な……っ――」


779 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:33:09.65 ID:z/J7jBLro
戦士はそのまま身体を捻り、ゲーデの右腕を関節技のように絡め取る。

ゲーデ「っ!!」

戦士「っだぁ!!」

右腕に比例するように、ゲーデの体が宙で回る。

それを視認すると戦士はすばやく両足を離し、地面へ足をつけた。

戦士「はああぁぁーっ!!」

ゲーデ「おおぉぉーっ!!」

ヒュバッ…ガキイイィィンッ!!

戦士、渾身の一撃もゲーデが宙にて逆さで放った剣により防がれる。

そして次の一瞬は、まさに刹那の判断であった。

ゲーデ「……っ!!」

戦士「……っ」

ゲーデは着地する事なく、その身を上空へと浮遊させる。

羽も持たず人型であるにも関わらず、飛行が可能であるからだ。

ゲーデ「!?」


780 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/01(火) 18:33:43.83 ID:z/J7jBLro
ゲーデにとってそれは通常の判断だが、戦士にとっては違った。

羽も持たない人型が咄嗟に飛行するなどとは思わないのが普通。

しかし、戦士の脳裏には先程の光景がしっかりとしがみ付いていた。

地面がいきなり真っ暗な落とし穴と化し、ゲーデにぶら下がった出来事が。

ゲーデ「……な…っ!?」

それはまさに心を開いていたからこそ、瞬時の外見に囚われず、

経験則に基づいて行動させた、戦士の本能であった。

戦士「っりゃあ!」

ゲーデが空へ逃げると同時に、戦士も既に宙へ跳躍していた。

三度、今度は空中にて両者の剣がぶつかり合う。

ガギギイイィィ…

戦士「く…うぅ……っ!」

ゲーデ「まだこんな……力が…っ?」

鈍い衝撃音を残し、戦士とゲーデは地上へと落下する。

着地の瞬間、二人の運命が今、決まった……。


782 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/01(火) 19:32:11.97 ID:xTrpKlkXo
さすが主人公…こういう熱い展開だいすきだ
タイトルは戦士「行くぜっ!雷切!!」でしたよね?


788 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/01(火) 20:59:57.30 ID:7FfQLyQDO
熱くなってる所悪いけど結界石の斧はアンデッドにダメージ与えられるはずじゃなかったか


790 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/02/01(火) 22:00:51.25 ID:yHrtg9Ig0
>>788
言わないお約束


792 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/01(火) 23:22:18.05 ID:6dlxo7r8o
>>788
多分アンデッドじゃなくてイモータル


793 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/01(火) 23:33:09.81 ID:WbXuzSKSO
ゲーデ先生には斧でやったらスピードで負けそう



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