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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その36
- 632 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2012/02/06(月) 18:18:32.09 ID:NciMU0i1o
〜北の森〜
バフォメット「……ファファファ」
占い師「ど、どうして陛下の姿を……っ」
皇太子「持ち得る武具まで同一。これはどうやら術の類か」
占い師「幻って事……ですか!?」
皇太子「見たまえ。我が剣まで同一のものだ」
占い師「……っ」
皇太子「王家に代々伝わるこの剣。世界に2本とあるわけもない」
占い師「でもいっ、自分の姿を斬るだなんて……」
皇太子「これは試練かもしれぬな」チャキッ
占い師「……?」
皇太子「自らを見つめ直せと言う事なのだろう」
バフォメット「……ファファファ」
皇太子「退がっていたまえ。交戦する」
占い師「陛下……っ」
- 633 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/06(月) 18:19:00.33 ID:NciMU0i1o
皇太子「はああぁぁーっ!」
バフォメット「……ファファファ」
轟く喚声。煌く残撃。まるで演舞かの如く、全く同じ動きを繰り返す皇太子とバフォメット。
同調するそれは、一挙手一投足が全て、鏡のように繰り広げられる。
キィンキィンチュインッ!! ガキィンッ!! キィンキィンッ……ヒュバッ!!
皇太子「……っ」
バフォメット「……ファファファ」
占い師「何て事……っ」
皇太子「これではキリがないな。さて、どうしたものか」
バフォメット「……ファファファ」
占い師「陛下っ!」
皇太子「……?」
占い師「私も、お手伝い致しますっ!」
皇太子「しかしだな……」
占い師「このままでは決着がつくとは思えませんっ。でも、こちらは2人! きっと打開策があるはず!」
- 634 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/06(月) 18:19:33.56 ID:NciMU0i1o
皇太子「……」
バフォメット「ファファファ」
皇太子「……確かに、一理あるな」
占い師「ならば――」
皇太子「だが、女性を戦いに巻き込むなど、騎士道精神に反する」
占い師「今更ですよ。ここまできて巻き込むも何もありません」
皇太子「……ははっ、それもそうか。無礼を詫びるぞ」
占い師「お詫びは……後に致しましょう」
皇太子「そうだな。ならば占い師よ、君の力を貸してくれっ!」
占い師「はいっ!」
皇太子「行くぞ!」ダダッ
バフォメット「……ファファファ」
占い師「私の力があれば……っ」ズザッ
バフォメット「……ファファファ!」グオッ
占い師「……右ぃ!!」
- 635 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/06(月) 18:20:01.28 ID:NciMU0i1o
皇太子「はぁーっ!」
ガイイィィィィン!!
占い師「……くっ、駄目か……っ」
皇太子「良いぞ、続けるのだ!」
占い師「!?」
皇太子「今わずかだがズレが生じた。ほんの刹那ではあるがな」
占い師「本当ですかっ!?」
皇太子「数合では無理かもしれないが、何十合、何百合の内には一撃与えられるかもしれん」
占い師「気の遠くなりそうな話ですね……」
皇太子「だが、勝ち目がないわけではない」
占い師「……ええ」
皇太子「さぁ、もう一度いくぞ!」
占い師「はいっ!」ザッ
皇太子「はあぁーっ!」
バフォメット「……ファファファ!」
- 636 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/06(月) 18:20:59.43 ID:NciMU0i1o
〜北方、川中島〜
伝令「ご報告致しますっ! 先鋒、既に28の小隊が壊滅との報告!」
青年兵「……っ」
大軍師「流石は最強の魔王軍。苦しいですね」
青年兵「魔王軍の損害は?」
伝令「およそ2000近くは撃退したかと」
青年兵「こちらの死者は?」
伝令「100から150名と予想されます。正確な数字は後ほど別の伝令より……」
ドドッドドッドドッ
伝令「ご報告っ! 左翼、魔王軍の奇襲を受け、被害拡大!」
大軍師「やれやれ。少し、西に寄らせますか?」
青年兵「……いえ。信じましょう。彼らなら持ち堪えてくれるはずです」
大軍師「畏まりました。主力はこのまま北上させると致しましょう」
青年兵「……各員、川中島はもうすぐ確保完了だぞ! 奮起せよっ!」
国軍兵「おおぉぉぉぉーっ!!」
- 637 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/06(月) 18:21:30.13 ID:NciMU0i1o
〜川中島、西側〜
西方兵「食い止め……ごはぁ!!」ガシャアアァァ!!
西方参謀「バッカヤロー! 魔道兵っ、弾幕薄いぞぉ……ヒック」
西方副司令「司令はっ!?」
西方兵「前線にて敵を食い止めておりましたがっ、苦戦中です!」
西方副司令「……っ」
西方参謀「奇襲だろうと立て直せばこっちが上だ!! 押し負けるなぁ!!」
西方魔道長「やれやれ……。魔道隊が援護するから、負傷者を後方に連れていきなっ」
ドゴオオォォォォ!!
ミノタウロス「……どうしたァ!? もう武器はないぞオオォォォォ!!」ブフウウゥゥ
西方司令「おやおや、ほつれていおる。縫ってやろう」チマチマ
西方兵「司令いいぃぃぃぃ!! 後ろっ、後ろおおぉぉぉぉ!!」
ミノタウロス「ブワッハハハハハ!! 死ねええぇぇぇぇい!!」
グワッ……ドゴッシャアアアアァァァァ!!
ミノタウロス「……ゲブ……ウウゥゥッ!」ズッズウウゥゥゥゥン
- 638 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/06(月) 18:22:05.55 ID:NciMU0i1o
西方兵「……!?」
ザッザッザッ
魔法剣士「戦場のど真ん中でしゃかみこんで、何をしているっ!!」
西方兵「たっ、助かりましたああぁぁ!!」
西方司令「こらこら動くな。まだ縫い終わってない」
魔法剣士「何だこいつは?」
西方兵「西方司令殿でありますっ!」
魔法剣士「……?」
タッタッタッタッ
西方副司令「いたいたっ! 司令ーっ!」
西方参謀「武器が全部散乱してんじゃねぇか!」
西方兵「マチ針だけは無事でしたぁ!!」
西方参謀「んなもんはどうでもいいんだよ! おっ、この斧でいいじゃねぇか……ヒック」
魔法剣士「待て。ミノタウロスの斧だぞ? そんなもの重すぎて使い物になら――」
ズッシイイィィィィン
- 639 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/06(月) 18:22:45.50 ID:NciMU0i1o
西方司令「……この重さは正義の重さ。散っていった同胞の命そのものよ……」ツツー
魔法剣士「!?」
西方司令「この重さ……その身を以ってして味わうが良い」ブワッ
グオオォォ……ドグッシャアアアアァァァァ!!
トロル「グブアアァァーッ!!」
ワーウルフ「ゴアァ……ッ!!」ドチャッ
魔法剣士「一振りで……数十の魔物を……っ」
西方参謀「これがうちの司令だ……ヒック」
西方副司令「敵が怯んでいるわよっ、今のうちに立て直してっ!」
西方参謀「敵の奇襲隊も退がってやがる……深追いは無用だ……ヒック」
魔法剣士「ふっ。無駄な手助けだったか」
西方参謀「いんや。あんたのお陰で持ち直す事が出来た。感謝するぜぇ……ヒック」
魔法剣士「……では、俺は戻らせてもらうぞ」
ザザッ……タッタッタッ……
西方司令「重い……。奴は重いものを背負っている……っ!!」ブワァッ
- 646 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/02/06(月) 20:14:30.22 ID:cl5T/nfIO
ゴルリンさん強えwww
つーかネクロこんなの量産出来るとか魔王より厄介だろ
- 650 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/02/07(火) 16:02:18.31 ID:FdaYCYGIO
初めの頃はミノタウロス一体にフルボッコにされてたのが懐かしい
- 651 名前:NIPPERがお送りします(富山県) [sage] 投稿日:2012/02/07(火) 16:49:05.02 ID:iYVeW3EJ0
ふとおもったけど魔剣士って最初の頃軍団長としてかかれてなかったっけ・・・?
- 652 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 17:52:59.65 ID:BxrQWjFvo
>>651
根暗マンが何やら不穏な事をゴニョゴニョしてた&失態が多いので
アスタローがこっそりチクって軍団長クビになりました!
↓続き!
- 653 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 17:53:27.82 ID:BxrQWjFvo
〜北の森〜
皇太子「はああぁぁーっ!!」
ガキイイィィィィン!!
皇太子「……ちぃ」ズザッ
占い師「……はぁ……はぁ」
皇太子「大丈夫か?」
占い師「え、ええ……っ。大丈夫……ですっ」
皇太子(予言の反動であろう。かなり息があがっているな……)
バフォメット「……人間は……排除する」
皇太子「ほう。話が出来たのか。てっきり理性がないものかと思っていた」
バフォメット「……ファファファ」
占い師「陛下。続けましょう」
皇太子「いけるか?」
占い師「この程度……苦でもありませんっ」
皇太子「……良し。君の勇ましさ。我が力に変え、打ち破ってくれようぞ」
- 654 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 17:54:03.66 ID:BxrQWjFvo
ザザッ
皇太子「はぁーっ!!」
占い師「上っ!」
ガキイイィィィィン!!
皇太子「もう……一撃ぃ!!」
占い師「右ぃ!」
皇太子「でりゃああぁぁ!!」
バフォメット「……」
ブンッ!! ザザァ
占い師「!?」
皇太子「……いいぞ。完全にこちらの攻撃が上回った」
バフォメット「…………」
皇太子「次で……決める」チャキッ
ジリジリジリッ ザザッ
皇太子「……はああああぁぁぁ!」
- 655 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 17:55:06.37 ID:BxrQWjFvo
占い師「左いぃ!!」
皇太子「ここだっ!!」
ザッシュウウゥゥゥゥ!!
バフォメット「……」
ズザザアアァァ
皇太子「……どういう事だ?」
ブシュウゥ……ポタポタッ
皇太子「肩を貫いたはずだが……何故っ、私の肩から血が……っ」ガクン
占い師「陛下っ!!」
皇太子(いつ攻撃を受けた? いや違う、これは……)
バフォメット「……我、汝なり。ファファファ!」
占い師「血がっ!」タッタッタッ
皇太子「来るなっ! 大丈夫だ……っ」ググッ
占い師「……っ」
皇太子「私であるのは姿だけではなかったという事か」
- 656 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 17:55:44.48 ID:BxrQWjFvo
〜北の森、入り口〜
戦士「っりゃああぁぁ!!」
ブンッ ヒュオンッ
戦士「ちぃっ、急に素早くなりやがって!」
天才「この動き……」
リザード「フゥハハハ!!」
召喚士「天才さんっ」
天才「黒の三騎士と魔物のいいとこ取りだな。動きを封じるのも厄介だわ」
召喚士「どうします?」
天才「アンデッド、人間ベースで五行も無効化。互いの利点のみ生かした身体能力」
召喚士「かと言って、状態異常も効きそうにありませんよ」
天才「唯一はコカトリスくらいか」
召喚士「一時的な石化ならば」
天才「とりあえず241通りの作戦を思いついたが、効率良く、かつ有効そうな3つを提言する」
ゴルリン「ゴルアアァァ!!」ブンッ!!
- 657 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 17:56:14.56 ID:BxrQWjFvo
天才「1つ目。コカトリスで石化の上、粉々に粉砕。風に乗せて森へポイ」ヒョイッ
スケル「ガアアアアァァァァーッ!」ビュオッ!!
天才「2つ目。3匹まとめて1ヶ所に集めて力押し。森へポイ」ヒョイッ
リザード「ゴゴアアァァァァ!!」ズッガアアァァ!!
天才「3つ目。俺様がツヴァイハンダーと魔剣で7行発動して抹殺。
ベルゼブブちゃんはお前らが倒す。さぁ選べ、どれでもいいぞ」ヒョイッ
戦士「3つ目は……却下!」ザシュッ!!
召喚士「まとめては困難です……っ。1体ずつ確実し仕留めましょう!」
天才「んじゃまずはあのやたら俺様に絡んでくる変態からにしよう」
魔道士「り、了解です……」
天才「さぁ朱雀先生! お願いします!」
召喚士「……」
シュイイィィィィン
コカトリス「……どれを狙えばいい?」
召喚士「あの右のから」
コカトリス「承知した。空中から回り込む。敵の動きを封じろ」
- 658 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 17:56:45.97 ID:BxrQWjFvo
召喚士「……だそうです! 天才大先生!」
天才「こいつ……」
ゴルリン「ゲギャーッ!!」グオォッ
戦士「どいてろっ!」
バキィッ!! ズザザザザアアァァ……
ゴルリン「……ッ」
スケル「……しぶとい。こうなったら奥の手だ」
天才「おいおい。それ以上に手があるのかよ」
スケル「違う! 実際の話ではない。切り札がある、という意味だ馬鹿めがっ」
天才「……なんかフツーに返されたぞ。しかもすげー馬鹿にされたみたいでムカツク」
盗賊「放っておけ」
帝「一体、何をするつもりなのだ……?」
リザード「クックックッ。みせてやるぜ……切り札を!」
スケル「リザード、ゴルリン! マッハストームアタックをかけるぞ!」
召喚士「――!?」
- 659 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 17:58:18.99 ID:BxrQWjFvo
戦士「マッハ……何だって?」
天才「黒の三騎士が得意にしてたコンビネーション技だ」
盗賊「何っ!?」
スケル「いくぞっ!」バシュッ!!
帝「早いっ!」
戦士「いくら早かろうが……正面から突っ込んでくるだけだろうがっ」チャキッ
天才「仕掛けるな! 餌食になんぞっ!」
戦士「!?」
スケル「クカカカカッ、バカめッ!!」
天才「目晦ましがくる。目ぇ瞑っとけ!」
戦士「!?」
天才「魔道士は俺と土行!!」
魔道士「はいっ、撃ちます!!」
スケル「死ねエエェェェェ!!」ガカアアァァァァ!!
天才「五行……土ぃ!!」
- 660 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 17:58:52.77 ID:BxrQWjFvo
ドッドオオゴォォォォン!! ゴガガガガガガアアァァ!!
ゴルリン「じっ、地面がギャアアァァァ!!」
リザード「こ……のおおぉぉぉぉ!!」
ヒュバッ!!
リザード「――!?」
盗賊「はあぁーっ!!」
バギャアアァァァァ!! ガサガサガサッ
盗賊「……しまった。蹴り飛ばしすぎたか」スタッ
戦士「いや……結果オーライじゃねぇの……?」
奥義であるマッハストームアタックを仕掛けたものの、天才と魔道士の土行により、
地面ごと空中へと押し上げられたリザードは、盗賊の蹴りを痛打し、森の中へと落ちていった。
天才「ハーッハッハッハ! タナボタ1体撃破ぁ!」
スケル「グクッ、おのれ……よくも!!」
ゴルリン「どうする!? もうMSA(マッハストームアタック)は使えないゾ!?」
スケル「正攻法だッ! 魔力全開……ッ!」ゴゴゴゴゴゴ
- 661 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 18:00:04.13 ID:BxrQWjFvo
〜北の森〜
バフォメット「汝、我を倒す事は不可能……ファファファ!」
皇太子(仮に攻撃が当たったとしても、ダメージは全て自分に跳ね返ってくる)
占い師「……」
皇太子「……どうしたものかな」ポタポタッ
ガサッ ガサカサッ
皇太子「……?」
占い師「な、何の音……!?」
皇太子「真後ろだな。まさか、もう1匹居るなどという冗談ではなかろうな」
バフォメット「……」
フッ!!
占い師「消えた!?」
皇太子「……何かあるな。行くぞ!」ザッ
占い師「えっ!? は、はいっ!」タタッ
タッタッタッタッタッ……
- 662 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 18:00:41.79 ID:BxrQWjFvo
…
リザード「……チクショウ、ナメやがって……ッ」ノソッ
ゾクゥッ!!
リザード「……!?」
ゴゴゴゴゴゴ……
バフォメット「……ファファファ」
リザード「待て待て待てぇ! オレは人間じゃねぇ! 魔族――」
バフォメット「汝……人間なり。我、汝を……排除する者」
ゴアッ!!
リザード「ギィアアアアァァァァ――――」
タッタッタッタッ……ズザァ
皇太子「!?」
占い師「陛下……っ、何か――」
皇太子「見るな!」
占い師「!?」
- 663 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 18:01:25.46 ID:BxrQWjFvo
皇太子「山羊の頭部……貴様が本体か、バフォメットとやら」
バフォメット「……ファファファ」チラッ
しゃがんだまま背を向け、顔だけを背後の皇太子に見せる食事に夢中のバフォメット。
皇太子「……!?」
バフォメット「……ファファファ!」
ズズッ シュウウウウゥゥゥゥ……
皇太子「……再び……私の姿に」
バフォメット「我、汝なり……ファファファ」
占い師「……っ」チラッ
皇太子「成程。そういう事か」
占い師「い、一体……何がどういう……」
皇太子「憶測ではあるが、奴はより魔力の高い者を狙うのではなかろうか」
占い師「!?」
皇太子「今そこに、別の人間が居た。いや、人間ではなかったかもしれん」
占い師「つ、つまり……?」
- 664 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 18:02:05.97 ID:BxrQWjFvo
皇太子「そやつを餌食とする際、本体の姿へと戻っていた」
バフォメット「……」
皇太子「もしまた本体を見せれば……勝ち目はあるな」
占い師「どうやって本体を……引きずり出すんです……っ?」
皇太子「手段を考えても良いが、そこを簡潔に打破する事こし君の力ではないのか?」
占い師「あ……っ」
皇太子「遠慮はいらん。触れ給え」
占い師「……失礼……します」シュルッ
皇太子「ここまでで分かった事がいくつかある」
占い師「……」
皇太子「バフォメットは対象者の魔力に応じて反応している」
占い師「はい」
皇太子「大きければ大きい程、優先的に狙っているようだな」
占い師「……はい」
皇太子「そして我らのような魔力の反応がない者に対しては……攻撃すら仕掛けてこない」
- 665 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 18:02:42.88 ID:BxrQWjFvo
占い師「……見えました」
皇太子「結論は?」
占い師「鏡」
皇太子「ほぅ」
占い師「申し訳ありません……っ。あとは魔物が死ぬ……くらいしか」
皇太子「……十分だ。ご苦労」スチャッ
バフォメット「……ファファファ」
皇太子(音のした方角、人間もどきの倒れていた場所……あの辺りか)
ザッザッザッ ススッ
占い師「陛下……?」
皇太子「鏡か。確かに、自らの姿と対峙しているうちに、己を見つめ直す事が出来たかもしれん」
占い師「……?」
皇太子「まぁ、どんな意味で持たせたのかは分からぬがな」
チカチカッ チカッ
皇太子「僅かな月明かりだが、問題はなさそうだ」
- 666 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 18:03:12.20 ID:BxrQWjFvo
〜北の森、入り口〜
スケル「リザードの気配が……消えた……ッ」
ゴルリン「よくも……やりやがったなああぁぁ!」
盗賊「自業自得だ」
ゴルリン「ブッコロス!!」
ズゴゴゴゴゴ……
天才「ほぉ、言うだけあってなかなかの威圧――」
チカチカチカッ チカッ
天才「……?」
ゴルリン「余所見してんじゃねエエェェ!!」
ギュオッ!! バゴゴゴゴゴッ!!
天才「!?」
ゴルリン「このまま殴り殺してやるぜええぇぇ! ヒャッハー!」
戦士「調子に乗ってんじゃねぇ!」バギャッ!!
ゴルリン「ギエピー!!」ドシャッ
- 667 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 18:04:03.76 ID:BxrQWjFvo
召喚士「コカトリス!」
コカトリス「おうっ」ゴゴオオォォォォ
魔道士「天才さんっ! 大丈夫ですか!?」
天才「お取り込み中に不意打ちかましやがってクソヤローが……直々に始末してやる」スクッ
召喚士「もう、石化しちゃいました」
戦士「もう1匹くんぞ!」
天才「相手しとけ! お取り込み中だ!」
盗賊「くっ」ババッ
スケル「ハァーッハッハッハ!」ブオオッ!!
戦士「二刀流だろうが使い手がイマイチじゃあ……大した事はねぇな!」
スケル「スケルトンの王であるこの……っ、スケル様に向かって何をほざくかアアァァ!」
戦士「初耳だな」
天才「召喚士!」
召喚士「は、はいっ!」タタッ
天才「鏡持ってっか?」
- 668 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 18:10:48.44 ID:BxrQWjFvo
召喚士「いや、ないです。魔道士さんなら多分……」
魔道士「呼びました?」
天才「鏡貸してくれ」
魔道士「あ、はいっ!」ズイッ
天才「……でか。戦闘中にこんなでけぇ手鏡持ち歩いてんじゃねぇ!」
魔道士「お、女の子は身嗜みが大切なんですよっ!?」
天才「……ちっ、まぁいい。えーと……この辺か?」
チカチカチカッ チカチカッ
魔道士「何してるんですか?」
召喚士「これって、光で信号を送ってるんですよね……?」
天才「いや〜軍事に優れた陛下で良かったと初めて思ったわ」
召喚士「……」
チカチカチカッ……チカッ
天才「……っし、これでオッケー」
魔道士「何て送ったんですか?」
- 669 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 18:12:25.30 ID:BxrQWjFvo
〜北の森〜
キラッ チカチカッ
皇太子「!?」
占い師「えっ!? な、何……?」
皇太子「軍事用暗号だ。手鏡が役に立ったようだな」
占い師「あ……っ、さっきの光は……」
皇太子「こちらの状況を暗号で連絡したのだ。外部にな」
占い師「そ、それじゃ今の光は……」
皇太子「……『人間と融合した魔物を1体、森の中に撃墜した。こっちにはあと2体いる』らしい」
占い師「!?」
皇太子「えぇと、『まずは1体放り込むからそれで試せ。本番は3体目だ! ハーッハッハ!』だそうだ」
占い師「……な、なるほど」
皇太子「良し。次の魔物が放り込まれた際には、また予言で的の動きを予測してくれ」
占い師「わ、分かりました……っ」
皇太子「そこで倒せれば御の字。駄目ならば予定通り、最後の1体でケリをつけよう」
- 670 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/07(火) 18:15:30.71 ID:BxrQWjFvo
占い師「そ、それでももし駄目だったら……?」
皇太子「その時はどうするかな、退位したところで許しては貰えそうもないな」
占い師「!?」
皇太子「私財もなげうって、平民となるかな。あはははっ」
占い師「そ、そんな! 陛下の責任ではありませんよっ! それならば私だって……」
皇太子「ならば失敗したら、平民として共に暮らすか?」
占い師「――!? そ、そうではなくて……っ!!」
皇太子「分かっている。それに安心せよ、失敗は断じて有り得ない」ザッ
バフォメット「……ファファファ」
皇太子「失敗など許されないのだからな!」
占い師「そ、そうですよね……っ!」
皇太子「君の予言に、失敗の未来はあるか?」
占い師「……まさか」
皇太子「ならば安心した。必ずやうまくいくだろう」チャキッ
占い師「陛下ならば……必ずやっ!」
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