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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その23
223 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 23:05:34.91 ID:bFmWTrQo
〜次の日〜

テクテクテク…

召喚士「おはようございます」

左翼長「おう、おはようさん。眠れたか?」

召喚士「ええ。いよいよですね」

左翼長「ああ。朝からバタバタやってんぜ」

召喚士「…あ、ほんとだ」

窓から外を覗き込む召喚士と左翼長。その先では正門前にて、

慌しく演説の準備が行われている。

左翼長「……そーて、そんじゃ演説とやらを聞きに伺いますかね」

召喚士「はい。行きましょう」

テクテクテクテク…

召喚士「……あっ、盗賊さん」

盗賊「……おはよう」

召喚士「もうじき始まりますね」


224 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 23:07:10.23 ID:bFmWTrQo
盗賊「…ああ」

参謀「それでは、まもなく議会演説を始めたいと思います」

ザワザワザワ…

左秘書官「左翼の左秘書官と申します。此度における――」

左文官「……で、あるからして彼らの言い分では――」

左翼官「分かりますか!?どれ程の浪費を意味しているのか――」

召喚士「……」

左翼長「…な。熱の入った弁論だが、全然耳に届いちゃいねぇ」

そう言いつつ、左翼長は周囲の兵卒を見渡す。

召喚士「確かに……」

左翼長「そんなモンさ。奴らが悪いってわけじゃねーんだ」

盗賊「……」

左翼長「武官と文官の考え方、言い分の違いってやつさ」

召喚士「……なるほど」

左翼長「戦場に出て戦もしねぇ奴らが口で言ったって伝わらねぇよ」


225 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 23:08:00.85 ID:bFmWTrQo


参謀「以上が演説となります。なお、ご質問や異議のある方は――」

スッ

参謀「……大軍師殿」

大軍師「お聞きしたいのです。何故屯田は不要とお考えか?」

左文官「何度も申しておるだろう。予算がだな……」

左大臣「不要などとはもうしておらんよ」

左文官「……!?」

ザッ

左大臣「経済にも効果があるものであればァ、是非推奨したい」

大軍師「それはどうも」

左大臣「我らは無意味な戦いを減らしたい。そう申しておるのだァ」

大軍師「無意味……ですか」

左大臣「そう。人の命を軽々しか見てはおらぬかァ…?」

大軍師「……そう見えますか?」


226 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 23:08:54.05 ID:bFmWTrQo
左大臣「見える」

大軍師「…ふっふ。では、軽々しくみているのは貴方達のようですね」

左秘書官「…言葉を慎みたまえ、君は左大臣様の前にいるのだ!」

大軍師「では何故、魔物を野放しにしておく必要があるのです?」

左大臣「じっくりやれば良いと申しておる」

大軍師「それで、人々は平和に暮らせるのですか?」

左大臣「今までもそうしてきた事だ。歴史が証明しておる」

大軍師「それは単に滅亡しなかった、という事です」

左大臣「何ぃ…?」

大軍師「歴史を語るにしては、少々薄識でしたな」

左文官「貴様っ!よくもぬけぬけと……」

大軍師「だまらっしゃい!」

左文官「……っ」

大軍師「どの文献を紐解いても、冒頭の言葉は『恐怖』の一言です」

左大臣「……」


227 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 23:10:10.43 ID:bFmWTrQo
大軍師「はるか古より、魔王による侵攻や蹂躙に人々は怯えました」

召喚士「……」

大軍師「そして人々は恐れおののきながら闇と背中合わせに暮らしてきたのです」

左翼官「しかしそうして生き延びてきた事もまた事実」

大軍師「そうです。そうしながらも我々人類は、力を付けてきました」

左大臣「力…?」

大軍師「領地、武力、兵力……そして、科学力です」

左大臣「……ほぉ。それが今まさに刻だと言うのかね?」

大軍師「今ここで立ち上がり、それが失敗に終わっても…最悪良いと思ってます」

左文官「何…!?」

大軍師「その失敗は次の未来、次の平和へと繋がるのです!」

ワアアァァッ

北方兵「そうだそうだ!俺達はやれば出来る!」

魔道兵「失敗なんぞしてたまるかってんだぁ!」

左文官「ぐ……くっ!」


228 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 23:11:53.79 ID:bFmWTrQo
大軍師「己の…いや、自分達の力を信じぬものに……勝利はない!」

ワアアァァ!!

大軍師「今こそ人類が団結し、勝利を…栄光を掴み取るのです!」

騎士長「…ふっ、流石は大軍師先生だ」

左翼長「……全く、敵には回したくねぇぜ」

左秘書官「……ちっ」

左大臣「…もう良い、行くぞ」

ザッ!!…カツカツカツ…

召喚士「……凄い迫力」

盗賊「…あ、ああ」

北方兵「大軍師様ーっ!!」

魔道兵「我ら北の力、見せてやりましょう!!」

参謀「……兄上」

大軍師「…ふっふ。少しやりすぎましたかねぇ」

口元を緩める大軍師は、手にした羽扇をひらひらと扇いだ。


229 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 23:56:26.95 ID:bFmWTrQo


参謀「総数100.有効票100、無効票0」

騎士長「さぁ……来いっ!!」

参謀「右翼……92票、左翼8票」

ワアアァァ!!

召喚士「おぉーっ!!」

盗賊「……すご」

左大臣「……」

左秘書官「…くそっ、結局こうなったか…っ」

左大臣「……次だァ。次こそは勝負をかけるぞ」

左翼官「次は…如何なさいますか?西ですか?」

左大臣「……いや、南だァ。最後に西で右翼の連中と真っ向からぶつかってやろうじゃあないかァ」

左秘書官「…畏まりました」

左大臣「馬車を出せっ!南へ向かうぞ」

左文官「……ははっ」


230 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage] 投稿日:2010/12/28(火) 02:53:08.69 ID:DJM6zoDO
>>1乙っす
大軍師は確かに便りになるけどなぜか時折不安になる


234 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage] 投稿日:2010/12/28(火) 13:50:29.11 ID:r38dUd.o
> 左秘書官「…言葉を慎みたまえ、君は左大臣様の前にいるのだ!」

どこのラピュタ王かとww


235 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:08:32.81 ID:YTHhJDEo
ドドッドドッドドッ…

伝令「南方司令部より伝令ーっ!!」

左大臣「!?」

左翼長「どうした!?」

ザッ…タッタッタッタッタ

伝令「議会演説の結果報告を預かってまいりました!」

左文官「何ぃ!?早すぎる…!!」

左秘書官「これはやられましたな…。我らが北へ居るうちに済ませるとは…」

左翼官「殿下が不在なので後日と踏んでいましたが…っ」

左大臣「それで結果はァ…!!」

伝令「…ど、どうぞ」

左翼長「おう」

カサッ

左翼長「……っ!!」

召喚士「……」


236 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:09:15.86 ID:YTHhJDEo
左大臣「だからァ、結果はどうなのだァ!?」

左翼長「…読み上げろ」

参謀「…はっ」

カサッ…

参謀「……右翼…97票。左翼…3票」

左大臣「――っ!!」

ワアアァァ!!

盗賊「……97票!?」

騎士長「おいおい……」

大軍師「いやはや…恐れ入りましたね」

左秘書官「たった……たったの3票だとぉ!?」

左翼官「…急ぎ、西方司令部へ向かいましょう!」

左秘書官「ええ…っ。これ以上先手を打たれるのは非常にまずいです」

左大臣「……っ」

下唇を噛み締め、左大臣は無言のまま馬車へと乗り込む。

左翼派は北方、更には南方にて大敗を喫し、足早に西方司令部へと向かって行った。


237 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:09:45.57 ID:YTHhJDEo
騎士長「左大臣の奴ら、尻尾を巻いて逃げて行ったな!」

左翼長「まぁな。だが『死すれば再びは生きず、窮鼠猫をかむ』って事もある」

騎士長「賢人なお言葉です事…」

伝令「あの……」

左翼長「ん?他にも何か報告か?」

伝令「こちらに朱雀先生がいらっしゃると…」

騎士長「召喚士、呼んでるぞ!」

召喚士「俺ですか…?」

タッタッタ

伝令「朱雀先生ですかっ。こちらを預かってまいりました」

カサッ

召喚士「何だろ…?ありがとうございます」

大軍師「ついでに北の投票結果も南へお伝え下され」

参謀「それと左翼が西へ移動した…という事もですね」

伝令「かしこまりました!それでは失礼致します!」


238 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:10:24.47 ID:YTHhJDEo
騎士長「何だそれ…?」

召喚士「さぁ……」

パラッ

召喚士「あ……っ!!」

盗賊「……どうした?」

召喚士「戦士と魔道士さんからの手紙です!!」

盗賊「…何っ!?」

召喚士「…えぇと……とりあえず無事南方へ到着したようですね」

盗賊「…そうか」

召喚士「演説も無事終えて……えっ!?」

盗賊「…?」

召喚士「青年兵くんが倒れた…!?」

左翼長「…無茶しすぎだ、あのバカ…っ」

参謀「大事ないのですか…?」

召喚士「…えぇ。どうやら過労で倒れたとの事です」


239 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:11:08.70 ID:YTHhJDEo
大軍師「張り切るのも良いですが、身体を壊しては意味がありません」

騎士長「全くだ。まだ西方司令部もあるってのに…」

左翼長「ん?青年兵が倒れたのに演説を行ったのか?」

大軍師「右翼の文官殿と秘書官殿ですかね」

召喚士「…………」

左翼長「どした?」

召喚士「右文官さんと右秘書官さんと……魔道士さん…って」

盗賊「は…っ?」

左翼長「えっ?」

騎士長「何で…?」

召喚士「さ、さぁ……」

大軍師「ふっふっふ。面白い事を考えますねぇ……」

盗賊「…?」

大軍師「魔道士さん、決して口の達者な方ではありません」

召喚士「…はぁ」


240 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:12:00.05 ID:YTHhJDEo
大軍師「ですが本国の議会においての答弁。あれは何でしょうね」

左翼長「……何かあったっけか?」

大軍師「いえ、右翼はおろか左翼の連中まで耳を傾け、何かこう……」

盗賊「……」

大軍師「心惹かれる…言うなればカリスマというやつですかね」

参謀「魔道士さんから…ですか?」

左翼長「あのポワポワした娘からか?そうは感じねぇけどな…」

騎士長「想像が付かん……」

大軍師「…まぁ、とにかく勝ったのです。良いではありませんか」

左翼長「……だなぁ」

参謀「祝賀会の準備を致します」

騎士長「そう言っても俺らしかいねーんだ、簡単でいいぞ」

召喚士「しまったな…。伝令の人、もう行っちゃった……」

盗賊「…返事か?」

召喚士「ええ…。明日にでもお願いしましょうか」


241 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:13:07.49 ID:YTHhJDEo


騎士長「そんじゃ、乾杯ー」

チィンッ!!

主役なき演説の勝利。その祝賀会は当日の夜にひっそりと行われた。

左翼長「だから何度も言ったろ。案ずるに及ばんってな」

騎士長「分かってるよ。でもな、自分の立場を考えろってんだ!」

召喚士「あははっ」

騎士長「えぇと……これで……」

大軍師「右翼371票、左翼429票です」

参謀「残すところ西方司令部の100票ですね」

左翼長「残り80票取ればいい。……勝ったな」

召喚士「でも、結構接戦じゃないですか?」

騎士長「毎度の事さ。ある程度はそう出来上がっちまってる」

召喚士「そうなんですか」

左翼長「そういうモンさ。派閥ってのはよ……」


242 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:14:03.85 ID:YTHhJDEo


騎士長「……いやぁ、久々に飲んだわ」

召喚士「そういえば北方で飲む機会ってあんまりないですよね」

左翼長「そりゃそうだろ」

盗賊「……?」

大軍師「常に魔王軍の侵略に悩まされておりますからねぇ」

参謀「飲んでも嗜む程度。休日以外はなかなか機会がないんですよ」

召喚士「……た、大変ですね」

左翼長「その分出世も早いし給料もいい」

召喚士「はぁーやっぱり司令部によってまちまちなんですね」

盗賊「…だな」

騎士長「渡り歩いてるお前らが一番実感するだろうな」

参謀「当の本人達は他の司令部なんて伝ですからね」

左翼長「まぁそんだけ北方司令部は重要拠点だって事さ」

召喚士「……ですね」


243 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:14:49.06 ID:YTHhJDEo


騎士長「そんじゃお休み」

参謀「あすは9時に会議室までお願い致します」

召喚士「はい。おやすみなさい」

テクテクテク

召喚士「じゃあ盗賊さん、おやす……」

ギュッ

召喚士「…あ、あああのぉ…!?」

盗賊「…ちょっといいか?」

召喚士の裾を引っ張る盗賊は上目遣いで問う。

召喚士「な、何か…?」

盗賊「……部屋へ行こう」

召喚士「!?」

盗賊「…召喚士の部屋で…いい」

召喚士「――!?!?」


244 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:15:29.45 ID:YTHhJDEo


パタン

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「…あ、あのぉ」

盗賊「…ん?」

召喚士「ど、どうしたん…ですか…?」

盗賊「…ん、ああ」

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「そ、そうだ!さっきの手紙見ます?見ましょうかっ!」

盗賊「…うん」

召喚士「えーっと」

ゴソゴソッ…ピラッ

盗賊「……」


245 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:17:03.25 ID:YTHhJDEo
魔道士と戦士からの手紙。それを両手で広げ読む召喚士。

脇から覗き込むように頬杖をつき、盗賊がじっと見つめる。

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「……あ、あのぉ」

盗賊「…ん?」

召喚士「読みます?」

盗賊「…ありがと」

カサッ

召喚士「あっちも任務は明日からみたいですね」

盗賊「…うん」

召喚士(……な、何だこれ!?どうしたらいいんだろ…っ)

盗賊「……なぁ、召喚士」

召喚士「は、はいぃ!?」

盗賊「……あのさ」


246 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:18:37.09 ID:YTHhJDEo
召喚士「な、何でしょうか……?」

盗賊「…魔道士の事、好きなのか?」

召喚士「――!!」

盗賊「…召喚士は魔道士の事…好きなのか?」

召喚士「ななななな、何を言ってて……」

盗賊「…違うのか?」

召喚士「いやっ、えぇと…好きとか嫌いとかではなくてえっと……」

盗賊「……?」

召喚士「盗賊さんは、戦士の事…今でも好きなんですかっ!?」

盗賊「――!?」

召喚士「以前から戦士さんの事好……」

盗賊「私の話はいいだろっ!」

召喚士「だって急にそんな話っ、何かあるんですか?」

盗賊「…な、何もないよっ」

召喚士「じゃあ……あ…っ」


247 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:19:17.42 ID:YTHhJDEo
盗賊「……」

召喚士「もしかして…気遣って……」

盗賊「…別に」

召喚士「……そんな気にしなくていいですよ」

盗賊「……」

召喚士「魔道士さんと一緒がいいとか、そういう事ないですから」

盗賊「……そう」

召喚士「盗賊さんは戦士と一緒が良かったですか?」

盗賊「そんな事言ってないっ!」

召喚士「す、すみません…」

盗賊「……い、いや…気にするな」

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士(……どうしよ…会話が続かないぞこれ)

盗賊「……も」


248 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:20:07.46 ID:YTHhJDEo
召喚士「…え?」

盗賊「…好きか……も」

召喚士「戦士がですか…?」

盗賊「……ち、ちょっとだけ…だぞ?」

召喚士「……ははっ」

盗賊「な、何故笑うっ!?」

召喚士「えっ?あ、すみません……」

盗賊「…い、いや…いいけど」

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「俺も…好きかもしれないです」

盗賊「……!?」

召喚士「あんまり自分自身に問い詰めた事ないですけど…」

盗賊「……」

召喚士「意識しちゃうんですよね…。魔道士さんの事……」


249 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:21:59.11 ID:YTHhJDEo
盗賊「…やっと素直になったか」

召喚士「内緒ですよ?」

盗賊「……分かってる」

召喚士「でも、だからって今すぐどうこうしたいってわけじゃなくて…」

盗賊「……」

召喚士「な、何でそこで顔を赤らめてるんですかっ!」

盗賊「……ど、どうこうって」

召喚士「変な意味はありませんよっ!ただ、付き合ったりとか……」

盗賊「…あ、あー。そうだよね」

召喚士「……何か変な想像してませんでした?」

盗賊「するかっ!たわけ!」

召喚士「す、すみません…」

盗賊「……いえ、気にしないでいいです」

召喚士「……」

盗賊「……」


250 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:22:27.27 ID:YTHhJDEo
召喚士「何だか盗賊さん、明るくなりましたよね?」

盗賊「!?」

召喚士「以前はなんかこう…無表情で固いイメージがありましたけど…」

盗賊「…そ、そうか?」

召喚士「ええ。口数も少なかったですし……」

盗賊「……そうかぁ」

召喚士「やっぱりニンジャの掟とかですか?」

盗賊「……いや」

召喚士「じゃあ、修行の……」

盗賊「……別に」

召喚士「…じ、じゃあ何だろうなぁ〜?」

盗賊「…何もないよ」

召喚士「……そうなんですか?」

盗賊「……ただ、恥ずかしいから」

召喚士「へっ?」


251 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:23:06.28 ID:YTHhJDEo
盗賊「し、初対面の人とかその…っ、恥ずかしいから……」

召喚士「……」

盗賊「……緊張しちゃうし…特にその…異性だと」

召喚士「でも、東方では普通ですよね?」

盗賊「…慣れてるモン」

召喚士「あ、そうか…」

盗賊「……わ、悪かったな」

召喚士「いやっ、別に悪いなんて事はないですよ!」

盗賊「……だって」

召喚士「盗賊さんも意外とカワイイですよね!」

盗賊「――!!」

召喚士「……あ」

スクッ

盗賊「……ね、寝るっ!おやすみっ!!」

召喚士「あっ、え……っ」


252 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 18:23:34.47 ID:YTHhJDEo
スタスタスタ…バタン!!

召喚士「し、しまった!……怒らせちゃったかな」

勢いよく閉められたドアを呆然と見つめ、召喚士は大きく息を吐く。

召喚士「明日謝ろ……」

テクテクテク…カチャッ…パタン

盗賊「……っ」

テクテクテク…ボフッ

盗賊「……私が可愛いとか……ないよ」

ゴロンッ

盗賊「……」

ゴロンゴロンッ

盗賊「……うーっ」

ゴロゴロゴロッ

盗賊「……お風呂入ろ」

……夜は更けていった。



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