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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その18
773 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 17:30:03.86 ID:/UbKcjIo
ザザザッ

道士「…僵尸」

僵尸「……」

特殊遊撃の三人が、飛び掛かる僵尸の下半身を次々と切り捨てる。

隊長「足を止めろ!それから札を狙えばいいっ!」

男隊員「獰猛な牙と爪…。まるで獣じゃねぇか」

女隊員「死んでも…ああはなりたくないッスねぇ」

隊長「じゃあ必死で生きろ!ここで死んだら奴らの仲間入りだぞ!」

女隊員「頑張るッスよぉ!」

道士「…ふぅむ。僵尸では止められないか」

ズバッ!!……スタッ

隊長「さて、どうする?」

道士「うーん、どうしましょうかねぇ」

道士が口を開くと同時に、隊長の足元、即ち地面より多数の手が伸びる。

隊長「なに…ぃ!?」


774 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 17:30:47.12 ID:/UbKcjIo
ボコォッ!!……ガシッ

隊長「ぐ…っ!」

道士「動きは封じました」

隊長「ど…うするつもりだ!?」

フワッ…スタッ

道士「…何度も言いますが、私は戦いが苦手です」

道士は右腕を隊長の前に構え、長く垂れた袖から掌を出す。

隊長「……っ!!」

道士「自分自身と…戦って頂きましょうか」

フワァ……トンッ

隊長「!!」

ガクンッ

女隊員「隊長ーっ!?」

道士「ご安心下さい。死んではいませんよ」

男隊員「てめぇ!何をしやがった!?」


775 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 17:32:15.75 ID:/UbKcjIo
道士「まぁ、精神をやられて…廃人同然かもしれませんがね」

男隊員「んだとぉ…っ!」

男隊員が飛び掛かる瞬間、その行く手を僵尸が阻む。

男隊員「邪魔だああぁぁ!!」

ザシュウゥ!!…ドスッ!!

道士「下にも…いますよ?」

男隊員の足元を指差す道士。隊長の時と同様に、無数の手が伸びる。

ガバッ!!

男隊員「う…っぜぇ…!!」

僵尸「……」

女隊員「は…なせ…っ」

道士「……あとは」

ヒュオッ!!

盗賊「やあぁ!!」

道士「奇襲のつもりでしょうが…バレバレですよ」


776 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 17:33:05.91 ID:/UbKcjIo
ガシィッ

盗賊「……く…っ」

道士の背後から襲い掛かる盗賊であったが、既にその動きを察知していた道士により、

あっけなく無数の僵尸に囚われ、身動きを封じられる。

道士「駄目ですよ。貴方のような者が急に気配を消したりしたら…」

盗賊「……っ」

道士「すぐに悟られてしまいますよ」

スススッ……トンッ

盗賊「あう…っ!」

ゆっくりと人差し指で盗賊の額を押す道士。盗賊の視界が徐々に白み始める。

グラァ……ガクンッ

道士「…貴方達はどうします?」

男隊員「そうか…っ、くそっ…幻術かよ…!!」

道士「…ふふっ、ご名答。もう手遅れですがね」

女隊員「隊長ーっ!二人とも…目を覚ますッスよぉ!!」


777 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 17:33:50.38 ID:/UbKcjIo


盗賊「……ん」

パチッ……ガバッ

盗賊「ここ…は!?どこかの屋敷のようだが…」

テクテクテク

盗賊「……だ、誰…?」

正面に座らされた鎖に繋がれた人影。盗賊は目を凝らして様子を伺う。

ジャラッ…

盗賊「…せ、戦士っ!!」

スゥッ…ザッザッザ

盗賊「…だ、誰だ!?」

影忍「…経緯は覚えていないようだな」

盗賊「兄…様……っ!?」

影忍「いや、知らぬ方が良い事もあるというものか…」

盗賊「あ…あの…っ」


778 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 17:34:44.31 ID:/UbKcjIo
ザッ

影忍「…刀を抜け、盗賊」

盗賊「……え…っ?」

影忍「俺を倒さん限り、先へは進めんぞ」

盗賊「あ、あの…何を言って」

テクテクテク…シュバッ!!…サクッ

盗賊「っつう…!」

いきなり歩み寄り、盗賊の左腕を斬り付ける影忍。

一瞬の出来事に、盗賊は戸惑いと困惑の表情を浮かべる。

影忍「それとも…このまま死ぬか…?」

盗賊「…な、なんで…兄様と…っ」

影忍「俺はお前の敵だ。兄などではない…!」

盗賊「……」

影忍「貴様に殺された怨み…今、ここで晴らす!」

盗賊「……っ!!」


779 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 17:36:38.26 ID:/UbKcjIo
タタタタッ…ヒュンッ……ガキイィンッ

影忍「…小太刀でようやりおる」

盗賊「私が…殺したなんて……」

影忍「いいや、お前のせいだ。お前のような足手纏いさえいなければ…」

ブンッ…ドカァッ!!

影忍「俺はあの時、逃げおおせる事が出来たのだ」

盗賊「……っ」

影忍「貴様に殺されたも同然であろう…?」

盗賊「……兄…様」

影忍「それとも…既に死人である以上、罪悪感は湧かないか…?」

盗賊「……」

影忍「兄殺しの罪…償うがいいっ!!」

チャキッ

盗賊「……いいよ」

影忍「……?」


780 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/18(水) 17:43:52.03 ID:DE.QdsQ0
盗賊「兄様なら……してもいいよ……」

影忍「……?何の事だ……?」

盗賊「兄様になら初めてを……あげても……つらくない……」


781 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 17:51:57.63 ID:/UbKcjIo
>>780
ちょっとww


782 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 18:03:04.39 ID:/UbKcjIo
盗賊「でも…そんな事、償いにはならないよ」

影忍「…自分を正当化する為の詭弁だな」

盗賊「違う…!兄様はそんな事言ったりはしないっ!」

影忍「……」

盗賊「確かに私は足手纏いだった。でも、兄様は……」

影忍「……」

盗賊「私は…生きて兄様の意志を継ぐ…っ!」

ザッ

影忍「…ほう」

盗賊「それに…兄様はまだ諦めてない!!」

影忍「……盗賊」

盗賊「…お前は偽者だ!兄様なんかじゃないっ!!」

影忍「……ならば、刀を取って俺を倒してみろ」

盗賊「……言われなくてもっ」

薄緑を拾い上げ、盗賊は影忍の前でゆっくりと身構えた。


783 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/18(水) 18:06:07.74 ID:DE.QdsQ0
ごめんなさいwwwwwwwwww


784 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 18:12:11.31 ID:/UbKcjIo


隊長「……この空間…作り、明らかに異常だ」

ザッザッザ

隊長「……そうか、幻術か。……どのタイプだ?」

ザッザッザ

隊長「……ああ、一番最悪なヤツか」

ピタッ

隊長の前に立ちはだかる一人の男。その手に構えるは二本の槍。

隊長「己の思考を具現化して、しかも…最も過酷な……」

戦士父「……」

隊長「尊敬に値する初代の一番槍様か…。勝てるかねぇ…」

戦士父「構えろ」

隊長「……お手柔らかに」

隊長は長剣を鞘から抜き、身体の横へゆっくりと身構える」

隊長「倒さなきゃ…開放はねぇよな…っ!!」


785 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 18:19:51.51 ID:/UbKcjIo
〜火焔山、洞窟〜

ヒュンッ……トンッ

ネクロマンサー「……幻城を抜けましたか」

使い魔「さぁ、お急ぎを…!」

バッ…スタッ

マジシャン「……」

ネクロマンサー「宜しいのですか?」

マジシャン「…あん?」

ネクロマンサー「私なんぞ追うより、他の者の助けにいかなくて…」

マジシャン「…んなヤワな連中じゃねーよ」

ネクロマンサー「…そうですか。それなら良いですけど…ククッ」

マジシャン「魔剣士、今は来たにいるんだな?」

ネクロマンサー「…さぁ、多分いるのではないでしょうか」

マジシャン「……」

ネクロマンサー「からかっているわけではないんですよ。あの人形は自律してないものでね」


786 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 18:27:25.04 ID:/UbKcjIo
マジシャン「いるんだな?」

ネクロマンサー「何もなければ…ね」

マジシャン「…分かった」

ネクロマンサー「どうするつもりですか?まさか…消すとでも?」

マジシャン「……あれ、器は魔剣士そのものだよな?」

ネクロマンサー「…ほぉ、よく分かりますね。あなた才能ありますよ」

マジシャン「……」

ネクロマンサー「私と人形作りでも如何ですか?クッククク」

マジシャン「殺すぞ」

ネクロマンサー「これは失礼…」

マジシャン「不死身の人間か…。皮肉なモンだな……」

ネクロマンサー「まさか五行でも放つつもりですか?」

マジシャン「…だとしたら?」

ネクロマンサー「あの人形を葬る程の五行…。貴方も死にますよ?」

マジシャン「……」


787 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 18:30:59.25 ID:/UbKcjIo
ネクロマンサー「…成程。そこまで執着する理由が分かりましたよ」

マジシャン「……」

ネクロマンサー「貴方…道連れに死ぬおつもりでしょう?」

マジシャン「……」

ネクロマンサー「クックク…やはり。しかしそうはさせませんよ」

スゥッ

マジシャン「…!?」

ネクロマンサー「私も悉く…二体の人形を失ったのです。これ以上は…」

使い魔「ネクロマンサー様っ!!」

ネクロマンサー「そういう事で、お先に失礼しますよ」

マジシャン「くそ…っ!待ちやがれっ!!」

ネクロマンサー「では…クッククク!!」

ネクロマンサーはにたりと笑い、使い魔と共に闇の中へと姿を消した。

スウゥッ…シュンッ

マジシャン「……ち…っくしょう!!」


788 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 18:36:36.27 ID:/UbKcjIo
ガンッ!!

マジシャン「……」

岩壁を殴りつけるマジシャンの拳から、血が滴り落ちる。

マジシャン「……っ」

マジシャンは一度、来た道を振り返るが、すぐさま正面を向き直し歩き始めた。

マジシャン「……すまねぇ」

搾り出すように謝罪の言葉を吐くマジシャン。

テクテクテク

マジシャン「ここは……任せたぞ!」

ダッ…タッタッタッタッタ

マジシャン「これ以上逃がすわけにゃいかねぇんだ…!」

タッタッタ

マジシャン「…待ってろよぉ、ネクロマンサー」

タッタッタッタッタ

マジシャン「……魔剣士!!」


789 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 18:42:41.04 ID:/UbKcjIo


ギインンッ!!…ギキイィンッ!!

隊長「……りゃあ!!」

戦士父「……」

遮二無二斬りかかる隊長。それを容易にかわし間合いを取る戦士父。

隊長(駄目だ!すぐに間合いを離されちまう…!!)

戦士父「……」

ブンッ!!…ヒュオッ…フォンッ!!

隊長「…かわすのが…精一杯かよっ、くそぉ!!」

戦士父の次々と繰り出される槍撃。隊長はかろうじてそれをかわし、剣で弾く。

隊長「俺の中の一番槍ってのは…美化されすぎてんだなぁ!!」

ブンッ!!…ガキイィィンッ

戦士父「…これが…実力差だ」

隊長「うっせぇ!!」

頭上より襲い掛かる隊長の一撃を、二本の槍が交差しそれを受け止める。そして両者の声が交差する。


793 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/18(水) 22:46:43.96 ID:sUAEgADO
盗賊は毎回やられ役だな

雷は浴びるし腹は貫かれるし他にも色々


794 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:07:31.29 ID:.aXN6Jso
ガキイィンッ!!

隊長「……っ!!」

戦士父「……」

隊長(あれは……何十年前になるかな…)

ヒュバッ…シュンッ

隊長(俺がまだ新米兵卒だった頃…)

タタッ…ブオォッ…ヒュンッ

隊長(大規模な魔王軍討伐の折、一番槍を始めて見たっけか…)

スタッ…タタタッ…ギキイィィンッ!!

隊長(……第一次討伐で見た怒涛の一番槍。エゲつなかったわなぁ…)

ザザァ…

隊長(その夜…声かけて貰ったんだよなぁ…)

チュインッ…バスッ…ガキィィンッ

隊長(第二次討伐じゃ…俺のパーティーは全滅した…)

クルクルクルッ…スタッ…ババッ


795 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:19:18.71 ID:.aXN6Jso
隊長(もう終わりだと思った瞬間…背後から魔物を串刺した、矢のような投擲…)

その瞬間、正面に構える戦士父の手より、隊長めがけ槍が放たれる。

ボシュッ!!…ウウゥゥゥゥ

隊長(後ろからだったが…今でもハッキリ覚えてるぜ…)

ゴオオォォォォ…

隊長(ややカーブがかった軌道で、魔物の喉元めがけて真っ直ぐ飛んでった…)

向かい来る矢を潜るようにかわし、更に前進する隊長。

隊長(幾度も何十年も…脳裏から消える事のなかった軌道…っ)

ブオォッ!!

隊長「かわせねぇワケ…ねぇんだよぉ!!」

ガッ……ズバシュウゥッ!!

隊長「……俺は…更なる高みを目指す。それだけさ」

戦士父「……ああ」

隊長の右手に握られた長剣。その刀身が、戦士父の右側部へめり込む。

無言で振り抜くと、戦士父の体は砂のように、さらさらとその姿を消した…。


796 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:27:30.16 ID:.aXN6Jso


影忍「……」

盗賊「……」

ジリジリッ

刹那の立ち会い。刀身同士がぶつかり合い、火花を散らす。

盗賊「……ふっ……ふ…っ」

その鮮やかな金属音と、盗賊の細かな呼吸が辺りに響く。

兄妹であるが故、その似たような斬撃の応酬は、まるで剣舞のように流れる動きを見せる。

盗賊(兄様…見てくれたよね…。私は強くなったよ)

盗賊の抱く兄の面影。それは強大で勇猛で、気高いもの。

盗賊(だから…目の前の兄様が偽物ならば、…私は…負けない!)

盗賊の呼吸が徐々に短い間隔へと変わりゆく。それと同時に影忍の動きも徐々に鈍さを見せ始めた。

盗賊(この兄様は、きっと自分が作り上げた偽物なんだ…)

ヒュッ…タタタッ

盗賊「……だから、自分の強さを信じる…っ!」


797 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:31:07.12 ID:.aXN6Jso
影忍「……っ」

盗賊「はあぁっ!!」

術を使おうと間合いが離れた瞬間、盗賊の鎖が影忍へと素早く伸びる。

ジャララッ……ギュルギュルッ…ガシィ!!

盗賊「……捉えた…っ」

影忍「…………」

盗賊「……兄様、終わりです」

影忍「…お前に俺が殺せるのか?」

盗賊「……っ」

影忍「どちらかが死せぬ限り…この戦いは終わらんぞ」

盗賊「……」

影忍「さぁ、どうした!?」

盗賊を睨みつける影忍。その目を慈しみにも似た眼差しで盗賊は見返す。

盗賊「……私は…っ」

影忍「……出来ぬなら、お前とあの男が死ぬだけよ」


798 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:35:38.30 ID:.aXN6Jso
盗賊「戦…士……」

影忍「貴様一人の問題ではない。さぁ、俺を殺せるなら頃敷いてみせろ!」

盗賊「……兄…」

影忍「覚えておけ…」

盗賊「…え…っ?」

影忍「いつかまた…このような刻が訪れる……」

盗賊「……」

影忍「お前は俺を…殺せるのか?」

盗賊「……そんな…事」

影忍「その刻に決める…か?……愚かな奴よ」

盗賊「……」

影忍「……覚悟」

盗賊「……?」

影忍「直前での判断など愚の骨頂。……予め覚悟しておくのだな」

盗賊「……兄様」


799 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/18(水) 23:35:55.67 ID:JOSksMQo
尊敬してる相手とかかつてのあこがれの対象を相手に戦うって展開は燃えるな


800 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:39:48.95 ID:.aXN6Jso
影忍「…今日のところは見逃してやる」

盗賊「……!?」

影忍「…その刻を…楽しみにしててやる…っ!」

シュウウゥゥ

影忍「せいぜいその葛藤に苦しむがいいさ…」

ウウゥゥゥゥ…

影忍「ふははははっ!!」

サラサラサラッ…

盗賊「……私は」

突如視界が乱れ、辺りが眩く白み始める。

盗賊「……っ!?」



盗賊「……ん」

パチッ

盗賊「こ……こは…?」


801 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:44:54.07 ID:.aXN6Jso
男隊員「くっそぉ…っ!!」

女隊員「二人を…v助けなくっちゃ…っ!」

道士「…無駄ですよ。しばらく…いえ、永久に目覚める事はないかもしれませんね」

フワッ…ストッ

道士「まずは貴方達の命…。頂きましょうか」

僵尸「……」

道士「心臓を一突き…。楽に殺して差し上げます」

道士の両脇に身構える二匹の僵尸。するどい爪を顔の前へと突き出し、二人の心臓を狙いすます。

道士「……ふっふふ」

ヒュオッ…ザクゥッ!!

女隊員「――っ!!」

男隊員「!!…………え…っ?」

突如倒れる二匹の僵尸。その事態に道士が顔を強張らせ、ゆっくりと背後へ振り向く。

ザッザッザッザッザ

隊長「……あの程度が幻術だぁ?…笑わせんじゃねぇぞ!」


802 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:47:21.45 ID:.aXN6Jso
道士「な……ぜ…っ!?」

シュバッ…ザクッ…ドシュッ

女隊員「足元の僵尸が!?」

男隊員「クナイ…!?まさか…っ!!」

道士「なぜだ…っ!!」

スタッ

盗賊「……」

隊長「これで逃げ場はない。さぁ…どうする?」

道士「まさか…二人揃ってあれを抜けたというのか…っ!?」

盗賊「……よくも」

ザッ

道士「……くっ!」

ババッ

隊長「逃がすかよぉ!!」

盗賊「…はぁっ!!」


803 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:50:18.40 ID:.aXN6Jso
上空へと逃げる道士の足元に、盗賊の放つ鎖が絡みつく。

隊長「……礼は…タップリくれてやるっ!!」

身動きの取れぬ道士へ振り下ろされる隊長の強烈な一撃。

ズガアアァァッ!!…ドグシャアアァァッ!!

道士「ごは…っ!!」

男隊員「燃え尽きろぉーっ!!」

女隊員「凍え死ぬッスー!!」

ドドドドオオォォンッ!!…ゴガアアァァッ!!

道士「がはぁ……っ!!」

ドシャアアァァッ

道士「……な…ぜっ、術が…術…が……」

隊長「……何だ!?」

フオオォォォォ

女隊員「視界が…変わるッスよ!?」

盗賊「……!?」


804 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:54:30.84 ID:.aXN6Jso
道士が倒れると同時に、周囲の景色が姿を変える。

洞窟内であった景色は、一本の長い石階段へと表情を変えた。

男隊員「…これも…幻だったのか…!?」

隊長「ようやく本物の城がお目見えってワケだ」

隊長は階段の先、山の頂上にそびえる禍々しい城をみあげ呟く。

道士「…げ…幻城が……っ」

盗賊「……」

僵尸「……」

ザザッ

隊長「あくまでボスは殺させないってか?」

道士「…今日は…退くとしましょう。完敗ですよ」

道士は残り僅かの力で起き上がり、僵尸の壁の向こうから声を絞り出す。

道士「その顔…覚えておきますよ」

隊長「…ちっ!」

道士が姿を消すと同時に、僵尸の群れは赤黒い土へとその姿を変えた…。


805 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/08/18(水) 23:57:11.46 ID:.aXN6Jso
〜火焔山、城内〜

魔道士「…こっちにもいません!」

青年兵「どうなっているんだ…!この城は…っ!」

シュイィィィィン

青年兵「な…なんだ!?」

魔道士「城が…消え…っ……」

フオオォォォォ

魔道士「!!」

青年兵「み…道が…っ!?」

魔道士「今までのお城は…偽物だった…!?」

青年兵「……そのようですね。あれが、本物…っ!」

魔道士「あっ!青年兵さん!」

魔道士が指差す先に見えるは、探す張本人である大鬼の姿。

青年兵「いたっ!……追いましょう!」

魔道士「……はいっ!」



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