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魔王「世界征服も飽きたから株取引でもやろうと思う」
1 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:34:57.36 ID:j4eDbj7L0
側近「そうですか」

魔王「うん」

側近「では早速」

魔王「え?」

側近「は?」

魔王「いや、びっくりしたから」

秘書「何を驚かれているのですか?」

魔王「いや……なんで止めないのかなぁと、そして名前が秘書に変わってる」

秘書「何をおっしゃいますか社長様」

社長「え? ボク社長なの? なんで?」

秘書「気分です」

社長「気分なら仕方ないか……」


2 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:37:43.78 ID:j4eDbj7L0
秘書「ところでま……社長」

社長「今’魔王様’って言いそうになったよね?」

秘書「コホン、株取引の基本はご存じでしょうか?」

社長「ねぇ? 魔王様って言いかけたよね?」

秘書「社長様」

社長「’魔王様’と’社長’が混ざってるよね?」

秘書「社長」

社長「うん……なんかわからないけどそこまで頑張るなら社長でいいや」


3 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:40:44.64 ID:j4eDbj7L0
秘書「では気を取り直して」クイッ

社長「キミ、メガネかけてたっけ?」

秘書「気分です」

社長「どんな気分なのそれ」

秘書「秘書とはメガネをかけるものだと伝え聞きました」

社長「誰に聞いたの?」

秘書「谷間のドラゴンです」

社長「ああ、ドラゴン爺さんか」

秘書「ええ……ところで社長、これを」スッ

社長「これは?」

秘書「我が社の決算報告書です」

社長「決算報告書ってなに?」

秘書「簡単に言うとこの城の家計簿です」

社長「ふーん?」


4 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:41:45.34 ID:zWGcrBow0
上条「やらないか?」

美琴「え?」

上条「や・ら・な・い・か?」

美琴「な、何言ってんのよサラッと!//」

上条「いいか美琴」

美琴「何よ当麻」

上条「俺はヤりたい。」

美琴「なんで急に…」

上条「急じゃ無いだろもう一年たつぞ」

美琴「だからってそういうのは流れで…」

上条「だから俺は一年流れが来るのを待ってたんだ」

上条「だけどな…」

上条「いつそんな雰囲気になるんだよ!!」

上条「なんだ?俺の右手か?右手のせいか?」ゴンゴンゴン

美琴「なんか当麻から黒子と同じにおいがするわ」


5 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:43:54.29 ID:j4eDbj7L0
秘書「御覧ください、我が社は18万年連続で赤字を計上しております。財政は非常に圧迫されていると言っていいでしょう」

社長「18万年ってそりゃまた……よく潰れなかったねこの城」

秘書「城だけは潰してはなるまいと社員一同血を流してきましたから」

社長「そんなに大変だったの?」

秘書「ええそれはもう……ひと月に一度の豆スープがどれだけ楽しみか……」

社長「キミ、食事はとらなくても平気だよね?」

秘書「なんとなく気分です。貧乏といえば豆スープですから」

社長「そっか、気分か」

秘書「ええ」


6 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/16(木) 02:44:48.33 ID:3DlAXA+UO
支援


7 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:46:18.13 ID:j4eDbj7L0
秘書「ところで我が社の今後の経営方針なのですが……」

社長「ちょ、ちょっと待った」

秘書「はい?」

社長「たしかに社長って呼ばれてそれっぽい気分だけど、経営方針? ボクは株取引をしたいだけだよ」

秘書「社長」

社長「はい?」

秘書「未公開株という言葉をご存知でしょうか」

社長「えっと……ごめん、なにそれ?」

秘書「コホン、言うならば市場に出回っていない株式の事です」

社長「ふうん?」


8 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:48:47.82 ID:j4eDbj7L0
社長「でもその未公開株がどうしたの?」

秘書「現在我が社はどこの株式市場にも上場していません」

社長「うんそうだね、というかいつからここは会社になったの?」

秘書「私の力で、つい先ほどをもって」

社長「キミの力なら仕方ないね」

秘書「おわかりいただけたところで説明の続きをさせていただきます」

社長「うん」


9 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:49:49.39 ID:j4eDbj7L0
秘書「この未公開株というのは会社の資本金にあたるものです」

社長「うちの……ええと、その’資本金’っていくらなの?」

秘書「50Gです」

社長「やっす! 50Gやっす!」


10 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:52:01.01 ID:j4eDbj7L0
秘書「当たり前です、空前絶後の財政難ですから」

社長「勇者の初期財産と同じだなんて……」

秘書「で、ここで株式の話になります」

社長「うん?」

秘書「会社は株式を発行してお金を集める事ができるのです」

社長「どういうこと?」

秘書「’この株10Gだから買ってよ’という事です」

社長「???」


11 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:54:15.99 ID:ZbEw3LQn0
期待


12 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:54:38.88 ID:j4eDbj7L0
秘書「失礼、もう少し噛み砕きます」

社長「あ。うん、ごめんね」

秘書「50Gでは事業の継続が困難だとします、さて困ったどうしよう……とココで」

社長「うん」

秘書「会社は株式を発行するのです、株式は言ってみればただの紙切れですからそのものに価値はまったくありません」

社長「そうなんだ」

秘書「ですが’これは将来100Gにも1000Gにも化ける紙切れですよ’と言われればどうでしょうか?」

社長「え? なにそれ欲しい」

秘書「素直な反応ありがとうございます」

社長「えへへ、てれるなぁ」


13 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:55:23.07 ID:xl270APl0
オープンディーゥ


14 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 02:57:32.90 ID:j4eDbj7L0
秘書「今言ったように会社は株式を発行することで市場からお金を調達することができるのです、株式会社という言葉をきいたことはありますか?」

社長「うーん……?」

秘書「会社にはいくつか種類があります、有限会社、株式会社、合弁会社などです」

社長「えっと……色々でてきてチンプンカンプンだよ?」

秘書「お金を集める方法が異なるだけで会社を経営していく事は変わりないのですよ、名前に惑わされないで大丈夫です」

社長「そっか!」

秘書「それで、未公開株の話に戻るのですが」

社長「うん」

秘書「これは……麻薬です」

社長「……え?」


15 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:01:46.64 ID:j4eDbj7L0
秘書「通常、株式を公開している会社であれば株式は’だいたいこれくらいの値段ですよ’というのが決まっています」

社長「平均株価ってやつだよね?」

秘書「まぁそのような言葉で表すこともあります。証券取引所で公開されていますが新聞などで確認することが可能です」パサッ

社長「ええっとスクエアソニックの株価は……、ひゃ……ひゃ……100万Gっ?!」

秘書「ええ、世界に通用するような会社になればそれだけ’他人からの評価’も上がるというもの、それが株でございます」

社長「なるほど……お金で価値を換算するんだね?」

秘書「ええ、多くの人の’あの会社はだいたいこれくらいの値段だろう’という思惑で株価というものは決定されます」

社長「気分なんだ」

秘書「そうです、気分です」

社長「なんだかキミみたいだね」

秘書「コホン」


16 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:05:10.84 ID:j4eDbj7L0
秘書「社長が先ほどおっしゃっていた株取引をしたい……という言葉はおそらく’他社の株を安く買って高く売りたい’という事でキャピタルゲインを得るという事ですよね」

社長「キャピ……?」

秘書「売買益を得るということです」

社長「ああ、うん。そうだね」

秘書「なるほど」

社長「いい考えでしょ? これで一山あてればウハウハだよ」

秘書「それはとても良い考えでございます」

社長「むっふー」

秘書「ですが」

社長「うん?」

秘書「そんなこの城の金はどこにもありません」

社長「……え? 宝箱に色々入ってたでしょ?」

秘書「勇者が来た際に全て持ち去ってしまいました、はっきり言いましょう。うちはいま、とてつもなく貧乏です」

社長「そ……そんなぁ……」


17 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:06:18.83 ID:j4eDbj7L0
>>16

☓秘書「そんなこの城の金はどこにもありません」

○秘書「この城のどこにもそんな金はありません」


18 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:09:32.17 ID:j4eDbj7L0
秘書「だから社長」

社長「……うん?」

秘書「我が社の再建はあなたの双肩にかかっているのです」

社長「ボ……ボクのっ?!」

秘書「ええ、世界征服に飽きたとおっしゃいましたね? ならばすることは一つです」

社長「ひ……ひとつ?」

秘書「ええ」

社長「それは……?」

秘書「ずばり、事業を軌道にのせることです」

社長「え……?」

秘書「です」

社長「ええええええええええええええええええええっ?! 無理だよ無理! そんなのゼッタイむりむり!!!」


19 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:12:21.66 ID:j4eDbj7L0
秘書「なぜですか、株取引をしたいのでしょう?」

社長「だ……だから!」

秘書「はい?」

社長「か……関係ないじゃないか! 株取引と! 会社経営は!」

秘書「社長は儲けたいのですよね?」

社長「え……あ、うん」

秘書「手元にお金もないのに?」

社長「……う」

秘書「軍資金もナシにどうやって株を買うおつもりで?」

社長「だ……だからそれは……」

秘書「それは?」

社長「う……ううううううう」


20 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:17:14.78 ID:j4eDbj7L0
秘書「社長、今までの私の話の中に答えはあります」

社長「え……?」

秘書「会社は市場からお金を集める事ができます」

社長「それがどうしたの……? …………………………あ」

秘書「お気づきですか? そうです、非公開株です。それまで’10Gだった株式が、公開と同時に100Gにも1000Gにもなるとすれば’どうでしょうか? 売り抜ければ大量の資金を獲得できます、これも立派な株取引ですよ」

社長「で、でも……? そんなのどうやれば」

秘書「簡単です、誰しもいい会社には投資をしたいものです。いい会社というのは成長が見込める会社です、つまり、毎年多くの利益を出す会社です」

社長「利益……?」

秘書「ええ、将来にわたって継続的に利益を上げる会社を創り上げるんです。そうすれば’そこに投資したい’という人も集まるというものです」

社長「で……でも、ボク……会社経営の事なんて全然わかんないよ……?」

秘書「ご安心を、そのための私です」


21 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:20:13.96 ID:j4eDbj7L0
社長「う……」

秘書「社長」

社長「な……なにかな?」

秘書「魔物の数……随分減ったと思いませんか?」

社長「そ……それは勇者が」

秘書「たしかに勇者の影響もあるでしょうが、それ以上に減少する数が多すぎます。ひとえにここ数カ月彼らへの給料が未払いになっている事が原因かと」

社長「給料支払ってなかったのっ?!」

秘書「先程の決算報告書に記載されております」

社長「……」

秘書「このままでは魔物は疲弊し、いづれ滅びる道をたどるでしょう」


22 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:23:12.40 ID:j4eDbj7L0
社長「できる……のかな、ボクに」

秘書「先代の魔王様は非常に勇敢な方でございました」

社長「パパの事だよね」

秘書「ええ。人間どもを恐怖のどん底に突き落とした暴君でございました」

社長「かっこいいなぁ……」

秘書「ええ、ですがあまりに強気だったために財政の事を一切きになさらなかった、そのツケが今になってまわってきております」

社長「…………」

秘書「ようは儲かればいいのです、魔物は潤い、この荒れ果てた城もかつての英華を取り戻す事でしょう」


24 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:26:55.37 ID:j4eDbj7L0
社長「で……でもやっぱりボクには……」

秘書「……そうですか」スッ

社長「ど、どこいくのっ?!」

秘書「どこにも行きません、城の警備ですよ。もはやこの城には私と社長しか生き残ってませんので、雑務が多いのです」

社長「そんな……、そんなの今まで気がつかなかった……」

秘書「社長」

社長「……」

秘書「状況は逼迫しております、ご決断を」

社長「……」

秘書「……そうですか、では私はこれで……」スッ

社長「ま……まって!」

秘書「はい?」


25 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:30:01.94 ID:j4eDbj7L0
社長「な……に、を、すればいいのかな……?」

秘書「魔王様!」ガバッ

社長「わ……わぁ?」

秘書「私は……私は嬉しいです! 魔王様……魔王様が立ち上がって頂けるなら百人力でございます!」ギュウ

社長「いた……いたいよ……」

秘書「た、大変失礼しました。あまりのうれしさに取り乱してしまいました……」

社長「ううん、いいよ。あと、それからね?」

秘書「はい?」

社長「もうボクは魔王じゃなくて、社長だからねっ」

秘書「……は、はい!」


26 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:32:52.14 ID:j4eDbj7L0
社長「でも社長って、何をすればいいのかな」

秘書「まずは事業計画書を書きましょう」

社長「事業計画書?」

秘書「ええ、会社の青地図です’こんな事をしますよ’’こんな部分で社会の役にたちますよ’’こうやって利益をあげますよ’と、融資してくれる人へのアピールですね」

社長「う……うぅん……いきなり難しそうな……」

秘書「いえ、一人なら困難でしょうが二人ならば」

社長「うん、そうだね。キミが居れば百人力だよ」

秘書「恐縮です」

社長「よーっし! がんばるぞー!」


27 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:35:17.62 ID:zWGcrBow0
三行でおけ


28 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:35:30.74 ID:j4eDbj7L0
以上第一部『魔王は株取引に興味を持った』

引き続き第二部『事業計画書と三人の仲間』


29 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:38:49.52 ID:j4eDbj7L0
社長「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん………………………………………………………………」

秘書「どうされたのですか社長」

社長「事業計画書なんだけど」

秘書「はい」

社長「この’事業内容’ってさ」

秘書「はい」

社長「例えば勇者だと何になるの?」

秘書「そうですね、勇者ならば事業内容は’保安サービスの提供’でしょうか?」

社長「ふぅん」


30 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:41:04.25 ID:j4eDbj7L0
社長「その’保安’とか’サービス’とかってのが事業になるんだ?」

秘書「そうですね。需要あるところに供給あり、供給あるところに需要ありです」

社長「魔物からの被害に困っている人が多いから、勇者という事業が成り立つわけ?」

秘書「ざっくり言うとそうです」

社長「だったら魔物がいなくなったら勇者は困るよね〜、なんちゃって、あはは」

秘書「…………………………社長!!」ガバッ

社長「え? え? なに?」

秘書「そこに気がつくとは! 天才でございます!」


31 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:44:07.55 ID:j4eDbj7L0
社長「く……くるしいよう……」

秘書「これは失礼……」

社長「けほけほっ……、でもそうか。だったらさ」

秘書「はい?」

社長「勇者に対抗するには、魔物がいなくなればいいわけだから……つまり僕らが居なくなればいいということ?」

秘書「それを’戦略的撤退’と呼んだりすることもあります」

社長「なるほど……いままでは勇者に立ち向かうことで逆に勇者の’事業’を伸ばしていたのか」

秘書「わざわざ自分で自分の首を締めていたとも言えますね」

社長「あははっ」

秘書「あっはっはっは」

社長「あはははははははっ」

秘書「あっはっはっはっはっはっは」

社長「……笑い事じゃない……気がする……」

秘書「そうですね」


32 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:46:08.54 ID:QxWD4pim0
事業内容は人材派遣か


33 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:46:50.56 ID:j4eDbj7L0
社長「勇者は他にどんなことをしているんだろう」

秘書「香辛料の交易などを行っているようですね」

社長「へぇ、コショウとか?」

秘書「そうですね、コショウは大金で取引されますがコショウそのものは非常に軽いために持ち運びが安易ですからね」

社長「勇者も色々考えてるんだなぁ」

秘書「悔しいですが人間の知恵というものでしょうね」


34 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:49:48.29 ID:j4eDbj7L0
社長「知恵かぁ……」

秘書「小賢しい限りです」

社長「知恵といえばキミ、大魔法使いだったよね」

秘書「ええ、太古の魔法から禁術・回復魔法まで幅広い魔法を使用できます」

社長「小さいころ、魔法の稽古をよくしてもらった思い出があるよ」

秘書「それがどうかされたのですか?」

社長「あの……ちょっと思ったんだけどいいかな、思っただけだよ?」

秘書「はい?」


35 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:52:27.32 ID:j4eDbj7L0
社長「キミのその知識を本にする……とかはどうかな」

秘書「……」

社長「その本をたくさんつくって売るんだ」

秘書「……たくさん? たくさんとはどのくらいですか?」

社長「えっと……いっぱい?」

秘書「……社長……」

社長「や……やっぱりダメだよねこんなの、ごめんナシ、いまのナシ」

秘書「いえ、非常に良い考えかと」

社長「……へ?」


36 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 03:57:19.19 ID:j4eDbj7L0
秘書「南蛮では活版技術というものがあると聞きます」

社長「活版……?」

秘書「簡単に言うならば同じものを製造する機械です」

社長「その機械って……もしかして」

秘書「ええ、当然オリジナルのものを一つ作ってしまえば、あとはその機械でいくらでも模造品が製造できるという寸法です」

社長「……す、すごい」

秘書「本……本でございますか……たしかに目の付け所がいいのかもしれませんね、マンパワーを使えない我々ならなおさらです」

社長「マンパワー?」

秘書「人的リソース……ようは人海戦術がとれないという事です。以前の魔王城ならいざ知らず、今は私と社長の二人しか居ないわけですから、牛乳を全ての人間に配る……というような事はあまり現実的とは言えません」


37 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:00:39.35 ID:j4eDbj7L0
秘書「その点、本は良い。オリジナルさえ作ってしまえば後はコピーしたものを売ればいいという話ですからね」

社長「それじゃあ!」

秘書「ええ」

社長「じゃあ後は本を書くだけだね!」

秘書「ところがそうは上手くいきません」

社長「え?」

秘書「本を作ったまではいいでしょう、この城にも紙とペンくらいならありますからね」

社長「そうだよ、だから……」

秘書「落ち着いてください、よしんば本ができたとしましょう。その後はどうしますか?」

社長「その後……? その後は売って売って、たくさん売って……お金を沢山儲けるよ!」

秘書「具体的な話をしましょう、たくさん売るためにはたくさん本を生産する必要があります」


38 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:03:08.88 ID:j4eDbj7L0
社長「……あ」

秘書「そうです、いわゆる量産ですね。残念ながらその活版機械はこの城にはありません」

社長「じゃあ……機械を買って……あ、でも……そんなお金どこにもないし……」

秘書「ふふ」

社長「……うぅ」

秘書「社長」

社長「な。なに?」

秘書「何も私たちが活版機械を買う必要はないのですよ?」

社長「え? それってどういう……?」


39 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:06:20.40 ID:j4eDbj7L0
秘書「世の中は非常に上手くできています、農家で取れた牛乳は農家が配っているワケではないのですよ」

社長「???」

秘書「活版機械を使ってお金を設けている人物がいる……ということです、彼らはオリジナルの本を量産することで本の売上の数%を得ているのです」

社長「……あ」

秘書「そうです」

社長「だったら……橋を作る人と、木材を切る人も……ちがう?」

秘書「そうです、何も全てを一人で行う必要は無いということです」


40 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:12:50.23 ID:j4eDbj7L0
秘書「製品とよばれるものは消費者……客の手元に届くまで非常に多くの人物が関与しています、山で木を切る者、それを運ぶ者、それを組み立てる者、そしてそこに住む者……すべてを一人で行うのはむしろ非効率と呼べるでしょう」

社長「そうか……そういうことか」

秘書「ですから」

社長「まずは本を書くのは前提として、印刷してくれる協力者が必要ということだねっ」

秘書「そうです、この協力関係の事を業務提携とも言います」

社長「なるほど……業務提携……」

秘書「もちろん印刷された後は流通に乗せなければなりません、より多くの街へ、より遠くの街へと」

社長「そしたら運んでくれる人が必要だ」

秘書「ええ、そうですね。そしてなにより本屋に我々の本を置いてもらわなければなりません」

社長「本屋さんにお願いしなきゃいけないんだね? 僕らの本を置いてくださいって」

秘書「必要に応じて行う事もあるかもしれませんが、それは流通業者の仕事です。蛇の道は蛇……その道に詳しい者に行ってもらうのが一番でしょう」


41 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:15:24.38 ID:j4eDbj7L0
社長「うぅん……会社経営ってムズカシイんだなぁ……」

秘書「そうでしょうか?」

社長「うん……わからないことだらけだよ」

秘書「今はまだそれでいいのです、世間を知らないが故に出るアイデアというのも有ることでしょう」

社長「なんかバカにしてない?」

秘書「滅相もございません。一緒に頑張りましょう、社長」

社長「うんっ!」


42 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:18:07.19 ID:j4eDbj7L0
秘書「では私は早速執筆にとりかかります」

社長「うん、それじゃあ仲間が必要だね」

秘書「そうですね、業務提携してくれる印刷屋、本を運んでくれる運送業者、本を陳列してくれる本屋……まぁ、最初は印刷屋からの協力と取り付けることが第一でしょう」

社長「わかった! ボク、いってくるよ!」

秘書「一人で大丈夫でしょうか?」

社長「大丈夫! キミが頑張ってるんだから、ボクもがんばるよ!」


43 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:18:56.91 ID:j4eDbj7L0
>>42
☓秘書「そうですね、業務提携してくれる印刷屋、本を運んでくれる運送業者、本を陳列してくれる本屋……まぁ、最初は印刷屋からの協力と取り付けることが第一でしょう」

○秘書「そうですね、業務提携してくれる印刷屋、本を運んでくれる運送業者、本を陳列してくれる本屋……まぁ、最初は印刷屋からの協力を取り付けることが第一でしょう」


44 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:20:40.48 ID:j4eDbj7L0
社長「それじゃあ行ってくるね!」

秘書「お気をつけて」

社長「ぶっとべ! 移動魔法!」

ギューン

……………………
…………
……


45 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:21:13.81 ID:j4eDbj7L0
寝ます


46 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:22:40.78 ID:+CuSSSpiO
はい


47 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:24:25.10 ID:MGTN0wP/O
面白かった


49 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 04:29:28.76 ID:q5IAkfVMO
秘書が体を売って運営資金を得る展開はいつごろですか


54 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/16(木) 06:35:24.44 ID:bfckSRrlO
合名合資合同出さずに有限とな


55 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/06/16(木) 07:37:45.40 ID:nP9m86hg0
てs



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