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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その27
749 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 10:55:40.52 ID:2/n8ipHyo
〜鉱山の町〜

テクテクテク

戦士父「……」

ガチャッ

おかみ「いらっしゃい!」

戦士父「どうも」

おかみ「あんたかい。もしかして……」

戦士父「……」

ズイッ

おかみ「……いま、別のお客さん来てるから、ちょっと待ってて」

戦士父「ああ」

テクテクテク

おかみ「あんたー。お客さんだよー」

鍛冶屋「うんっ、こっちも終わったから今行くよ〜」

戦士父「……」


750 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 10:56:19.67 ID:2/n8ipHyo
テクテクテクテク

戦士父「!?」

天才「よぉ」

戦士父「……どうも」

天才「それで、残りは?」

戦士父「素性の分からんものはあと1本だな」

天才「西か……。まぁそっちは焦らずともいいだろ」

戦士父「……?」

天才「近いうちに西国とも共闘する事になる。そん時に便乗しちまえ」

戦士父「そうやって、西方戦線に駆りだすか。狡猾な事だ」

天才「ハーッハッハ!考えすぎだっての」

戦士父「それで、そっちは?」

天才「西から回収してきた。これで残りは東のみ」

戦士父「いよいよ、完成か」

天才「まーな。フィーアの段階でも結構やれそうだけどな。ハーッハッハッハ」


751 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 10:57:03.57 ID:2/n8ipHyo
戦士父「……」

天才「そんじゃ帰るわ。世話になったな」

鍛冶屋「あっ、うん」

戦士父「……本国へ?」

天才「まだやる事ぁ、色々残ってるが……」

ザッ

天才「これが終わりゃあ、始まりだ」

戦士「……」

天才「あーそうだ」

戦士父「……?」

天才「もし暇ならよ、ちょいと北を支えてやってくれや」

戦士父「北?あぁ、そういう事か」

天才「出来れば軍へ戻ってくれりゃいいんだが、ま……贅沢は言わねぇよ」

戦士父「……」

天才「おっと、船が出ちまう。そんじゃあな、一番槍サン」


752 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 10:58:20.65 ID:2/n8ipHyo
〜本国、昼〜

船員「ご利用ありがとうございました。本国、本国へ到着〜」

テクテクテク

戦士「到着〜っと」

船員「お疲れ様でした。こちらにご記入を」

戦士「あん?」

船員「お名前とご職業、どちらに行かれるかなどの詳細を……」

魔道士「今までこんなのありましたっけ?」

召喚士「いえ……」

戦士「何でこんな事しなきゃならねーんだ?」

船員「すみません。パレードがありますので……」

バーテン「成程な、不審者の洗い出しか」

魔道士「……?」

バーテン「内通者問題で過敏になってんだろ、本国の連中もよ」

盗賊「……ああ、そういう事か」


753 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:00:18.27 ID:2/n8ipHyo


戦士「……っと。これでいいか?」

船員「はい、ありがとうございます。宿などはこれからという事ですね?」

召喚士「はい」

船員「ご足労をお掛け致しました。それでは、よい式典を!」

魔道士「さぁ、どうしましょうか!?」

戦士「そういやお前、隠れなくていいのか?」

魔道士「もう大丈夫ですってば。それに、別に悪い事してないですもん」

盗賊「……誰かさんと違ってな」

戦士「俺だって冤罪だっつの!」

召喚士「とりあえず宿の確保をしておきましょう」

バーテン「そうだな。ついでに買い出しの手配もしておくか」

戦士「おっしゃ、そんじゃ大通りの方へ向かうとしますか」

魔道士「はいっ!」

召喚士「ついでに情報収集もしたいところですね」


754 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:01:38.97 ID:2/n8ipHyo
テクテクテクテク

戦士「結構、休みの店もあるなぁ」

バーテン「陛下崩御で自主的に喪に服してるんだろうな」

魔道士「なるほど……」

召喚士「ん……?」

ザワザワザワ

戦士「何の集まりだ?」

バーテン「掲示みたいだな」

召喚士「行ってみましょうか」

スタスタスタ

老人「いやはや、大変な事になっておるのぉ」

男「ああ。本国も大丈夫かねぇ……」

戦士「なんか、お偉いさんらが辞任したみてぇだな」

召喚士「病院ってドクターさんのところかな?」

魔道士「新聞社も……あの……?」


755 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:02:57.53 ID:2/n8ipHyo
戦士「それに加えて、右大臣に左翼官に……結構な数だな」

盗賊「……ああ」

召喚士「これから王宮で会見があるようですね」

魔道士「……行ってみます?」

召喚士「魔道士さんさえ、良ければ……」

魔道士「……行ってみましょうか」

バーテン「そうだな」

一同は王宮前へと向かい、そこへ既に群がっている民衆に混じる。

程なくして王宮内より会見の為に現れたエリートの姿が確認できた。

ザワザワザワッ

記者「来たっ!」

エリート「お待たせ致しました」

記者「早速ですが、此度の騒動を簡潔にお願い致します!」

エリート「……ご存知の通り、数日前に陛下が崩御なされました」

記者「……」


756 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:04:19.16 ID:2/n8ipHyo
エリート「そして、その機を狙い、かねてより懸念されていた事態が起きました」

記者「それは、左翼の反乱ですか?」

エリート「まぁ、そういう事になりますね」

記者「かねてより懸念、と仰られましたが、予測はしておられたのですか?」

エリート「……確信はありませんでしたが」

記者「防ぐ手立てはなかったのですか?」

右秘書官「証拠もない状態で、手を打つことは困難です」

エリート「確かに、皆様へ不安を募らせてしまった事には責任を感じております」

男「気にするな!悪いのは裏切り者だ!」

記者「……それで?」

エリート「左翼の筆頭である左大臣は、魔物と結託しておりました」

ドヨドヨッ

記者「それは、俗に言う内通者という事で?」

エリート「……そうなりますね」

記者「内通者は左大臣のみ、という事で?」


757 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:04:50.91 ID:2/n8ipHyo
エリート「今のところの調査では、他に左秘書官が関与していたと思われます」

記者「成程」

エリート「左大臣は国家の掌握を目論み、偽の後継者を仕立て上げたのです」

ザワザワッ

記者「落胤と噂の、王女の事ですか?」

エリート「……はい」

男「やっぱりでっち上げだったのかよ……」

老人「実はちと、期待しちゃったんじゃがのぅ」

エリート「……」

記者「ご、ごほん。偽者とはどういう事なのでしょうか?」

エリート「いい質問ですね。王女については、王宮に縁のある夫妻の娘であり……」

記者「ほうほう」

エリート「そこに目を付けた左翼が、資料を改ざんし、仕立て上げたのです」

記者「つまり、その女子はなんら無関係の方であったと?」

エリート「ええ。彼女は今――」


758 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:05:45.21 ID:2/n8ipHyo
顔を上げた先に、エリートの目にはふと、魔道士の顔が映りこんだ。

エリート「……っ」

魔道士「……」

エリート「彼女は一般人で、今は既に、故郷の村へと戻りました」

記者「成程。では、後継者は従来の通り……」

右秘書官「殿下です。これは揺るぎないものであり、変わる事はありません」

記者「即位については?」

エリート「戴冠式は明日の昼を予定しております」

男「何ぃ!?こうしちゃいらんねぇ!!」

店主「店を開けないと!大儲けのチャンス!」

記者「事件の直後、理事や王宮勤務者が大量の辞任を表明しておりますが?」

エリート「左翼から不正な献金を受けていたものによる対処です」

記者「実刑はないと?」

エリート「規模が規模ですから、ひとまずは辞任という形で決着をつけます」

記者「いずれ、逮捕もあると?」


759 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:07:31.19 ID:2/n8ipHyo
エリート「それは今後の情勢次第で決定しようと思います」

記者「エリート様の父上であられる、右大臣様も辞任を表明しておりますが……」

エリート「残念ながら、右大臣も事件に関与しておりましたので」

記者「内通者だったのですか?」

エリ−ト「いえ、不正な献金を受けていた、という事です」

記者「右翼にもそのような事が?」

エリート「直接絡んでいたわけではなく、別の機関においての理事としての話です」

記者「王宮内でも重要なポストが幾つか空いてしまったわけですが……」

エリート「それは……」

右秘書官「丁度良い機会です。新体制をご報告致します」

エリート「しかし、まだ殿下の即位が……」

右秘書官「殿下からも混乱を招かぬよう、先んじての発表をと言われておる」

エリート「……っ」

記者「今、ご発表頂けるので!?」

右秘書官「はい」


760 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:08:47.31 ID:2/n8ipHyo


右秘書官「新生本国の右大臣には、エリートが就任致します」

戦士「おぉ……っ」

召喚士「エリートさんが右大臣に……」

右秘書官「また、多少の人事異動はあるものの右翼の体制は変わりません」

右文官「我らも基本的な役職は変更なし、という事で」

記者「左翼はどうなるのです?解散ですか?」

エリート「いえ、一党独裁制は専横を招きかねます。左翼は維持したいと考えております」

記者「ならば、新たに左大臣を置くと?」

右秘書官「……どうぞ」

ザッザッザッザ

エリート「彼らが新たな左翼を支える者達です」

右秘書官「左大臣へ就任なされる、左文官様」

左文官「改めて、宜しくお願い致す」

右秘書官「左翼の中核を担う高官殿、双子父殿」


761 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:10:46.93 ID:2/n8ipHyo
高官「我らは、辞退したのですが……」

エリート「他者に比べると罪は軽い故、留まって頂きました」

記者「左大臣の反乱とは無関係と?」

エリート「因果関係がない、とは言い切れませんが、あくまで利用されていた立場です」

双子父「もちろん、許しがあればの話です」

男「アンタらも騙されてたんだろ?そりゃ仕方ねぇよ」

老人「これからは仕事という形で、償いを見せてくれ」

双子父「……有難い……お言葉」

エリート「ひとまずは落ち着くまで、この新体制で取り組む所存です」

記者「その後の展望は?」

エリート「議会制度を民政にも適用したいと考えております」

記者「具体的に、どういう意味でしょうか?」

エリート「限られた空間内での選挙など無意味です」

右文官「議会の裾野を広げ、国民も参入出来るよう、配慮したい」

ザワザワザワ


762 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:12:21.58 ID:2/n8ipHyo
男「どういう意味だ?」

老人「さあのぅ……」

エリート「簡単に言えば、誰もが立候補でき、誰もが投票出来るという事です」

ドヨッ

記者「つまり、民間からの起用を考えていると?」

エリート「限られた身分の者が限られた道を通り、職務につく。これは不平等です」

右秘書官「世界には多くの有能な人物がおります」

記者「その者らを雇用なさると……?」

エリート「もちろん強制ではありません。志のある者が率先して立候補して頂きたい」

男「やっべ、俺も応募しようかな……」

老人「やめとけ。無学を晒すだけじゃぞい」

エリート「今は難しいですが、今後はそういった政治を用意していきたいと思います」

記者「成程」

右秘書官「ではひとまず、会見を終了とさせて頂きます。ありがとうございました」

エリート「ありがとうございました」


765 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:15:49.07 ID:2/n8ipHyo


戦士「いやぁ、なんか……凄いな」

召喚士「うん。休む間もなく動いてる感じだね」

バーテン「まぁな、休んでる暇なんぞねーからな」

召喚士「そうですよね」

戦士「しかし、女王陛下にならなくて良かったな」

魔道士「本当ですよ、もう頭の中パンクしそうです……」

バーテン「餅は餅屋ってな。あんなもんは専門家に任せておきゃいいんだよ」

魔道士「そうですよね。私なんかがいても、何も役に立てそうもないですよ」

召喚士「そんな事はないですよ」

バーテン「そうそう。餅屋がやるのは政治。王様がやるのはまた別の事だ」

魔道士「そうなんですか?」

バーテン「明日になりゃ分かるよ」

魔道士「……はぁ」

召喚士「さて、それじゃあ宿の予約をして、食事にでもしましょうか」


766 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:17:17.39 ID:2/n8ipHyo
〜国軍本部〜

カツカツカツ

隊長「失礼する」

大軍師「……どうも」

隊長「んで、緊急ですかな?」

大軍師「ええ、まぁ」

隊長「……」

大軍師「明日、殿下の戴冠式がございます」

隊長「警備なら親衛隊長の方で手筈を……」

大軍師「そちらは心配しておりませんよ。ふふっ」

隊長「……?」

大軍師「戴冠式のパレードが終わったあと、国軍も発表に移ります」

隊長「んで?」

大軍師「そこで……討ちます」

隊長「――!?」


767 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:19:03.20 ID:2/n8ipHyo
〜宿〜

バーテン「そんじゃおやすみ」

戦士「早いな、飲まないのか?」

バーテン「寝られる時はしっかり寝るようにしてんだ。そんじゃまた明日な」

盗賊「……おやすみなさい」

スタスタスタ

戦士「んだよ、つまんねー」

盗賊「……」

戦士「あれ、召喚士は?」

盗賊「……なんか、ワークショップ行ったり……準備するって」

戦士「真面目だねぇ。致し方なし、一人で飲みに行くとするか」

盗賊「……」

戦士「……行く?」

盗賊「……いや、寝るよ。おやすみ」

戦士「へいへい、おやすみさん」


768 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:20:46.30 ID:2/n8ipHyo
スタスタスタ…カチャッ

盗賊「……?」

スタスタスタ

盗賊「……魔道士ー」

スタスタ…ピタッ

盗賊「……いない。出掛けたのかな?」

〜大通り〜

召喚士「……お金の手配よし、必要な道具もよし……と」

テクテクテクテク

召喚士「あれ……?」

魔道士「あっ、いたいたっ!」

召喚士「魔道士さん?どうしたんです……?」

魔道士「一人で出掛けたって聞いたので……探しに」

召喚士「何かありました?買い物ならちょうどお金を下ろした……」

魔道士「特に買いたいものがあるわけじゃ……ないですよ」


769 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:22:13.35 ID:2/n8ipHyo
召喚士「そう……ですか」

魔道士「迷惑……ですか?」

チラッ

召喚士「!?」

魔道士「一緒にいたら、迷惑ですか?」

召喚士「ままっ、まさか!!」

魔道士「良かった」

召喚士「……は、はははっ」

魔道士「他の人達から見たら、どう見えますかね?」

召喚士「え……っ!?」

魔道士「いやっ、変な意味じゃなくって!!えっとえっと……」

召喚士「……っ」

魔道士「普通の男女に、見えますよね」

召喚士「……ええ」

魔道士「……っ」


770 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/14(木) 11:23:25.73 ID:2/n8ipHyo
バッ

魔道士「ごめんなさいっ!!」

召喚士「!?」

魔道士「知らなかったとは言え、私の事でご迷惑を……っ!!」

召喚士「全然気にしてないですよ……っ」

魔道士「本当……ですか?」

召喚士「はい。魔道士さんは魔道士さんですから」

魔道士「……」

召喚士「俺にとって、魔道士さんは……魔道士さんですよ」

魔道士「私も、召喚士さんは召喚士ですっ!」

召喚士「そうですよっ」

魔道士「そうですよね、えへへっ!!」

召喚士「はははっ!」

魔道士「それじゃ、帰りましょうか」

召喚士「はい、明日に備えて休みましょう」



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