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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その36
- 737 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2012/02/09(木) 18:09:10.44 ID:RlrsU4Qho
…
ドラゴン「ギャオオウウウウゥゥゥゥ!!」
青龍士官「回り込んだぞ! ドラゴンを食い止めてくれ!」
アマゾネス「囲まれてっ、なかなか手が出せぬ……っ」
ヴァンパイア「貴様等の狙いはわかっていますよォー!」ゴウッ!!
ツインテ「ふにゃああぁぁ!」
ポニテ「ツインテっ! 退がって!」
ヴァンパイア「ドラゴンを我等を分離して、叩こうと言うのでしょう!?」
青龍士官「スイッチされたか……。仕方ない、バハムートを退げる」
竜騎士兵「了解です! 隊長が乗り換えるまで防衛線を張るぞ!」
青龍兵「おおう!」バシュウウゥゥゥゥ
ヴァンパイア「そらそらそらそらあぁーッ!」ドガガガッ!!
サンダーバード「ググゥ……ッ」
色黒「……長!」
アマゾネス「どうした!?」
- 738 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/09(木) 18:10:11.94 ID:RlrsU4Qho
色黒「あれ……何?」
アマゾネス「……?」
竜騎士兵「何だ……あれは……!?」
オオオオォォォォ……
青龍兵「隊長ぉ! 正面北側より何かが近づいてきます!」
竜騎士兵「ガーゴイルの群れ……っ。何かを運んでいる……?」
青龍士官「……?」
月明かりの中、夜空に黒光りしたガーゴイルの皮膚が無数に見え隠れしている。
ガーゴイル達は紐のような物を持ち、くくりつけた巨大な何かを運んでいる。
巨大な何かはモゾモゾと動き、生物である事は遠めでも一同にとって分かった。
おさげ「な、何か……嫌なカンジ……っ」
アマゾネス「おい!」
青龍士官「分かっているっ! 出でよ、ワイバーン!」
シュイイィィィィン……バシュウウゥゥゥゥ!!
青龍士官「竜騎士隊はドラゴンを牽制しつつガーゴイル達に備えよ!」
- 739 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/09(木) 18:10:44.97 ID:RlrsU4Qho
竜騎士兵「ハードな仕事だぜクソッ!!」
ガーゴイル達はやがて、地獄の壁より数百メートル北側にて、輸送を終える。
即ち、運んでいた巨大な物体を手離し、。地上へと落下させたのだ。
アマゾネス「な、何が狙いなのだ……!?」
ブリュンヒルデ「これは……召喚獣? いや、人間のようで……魔物の気配も……」
ドッズウウウウゥゥゥゥン!! シュウウウウゥゥゥゥ……
轟音と共に地上へと落下した黒い物体。やや近づいて全貌を目の当たりにした青龍士官は、
ようやくその正体に気が付き、刹那の内に号令をかけた。
青龍士官「回避いいぃぃーっ!!」
キュイイイイィィィィ……ガカアアアアァァァァ!!
眩い閃光が八方へと撃ち放たれ、光は上空の敵味方、種族を問わず撃墜する。
拡散した閃光は木々を焼き、山を崩し、そして照明のように光り輝いた。
光で照らされた巨大な物体が、苦痛とも快楽とも憤怒とも言い難い雄叫びを上げる。
青龍士官「……黒い……ベヒーモス……っ!!」
黒い物体「オアアアアァァァァオオオオォォォォ!!」
- 740 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/09(木) 18:11:13.61 ID:RlrsU4Qho
〜北の森〜
ザッザッザッザッ……
占い師「……ん」
天才「気付いたか」
占い師「あ……れ……?」
天才「あれ? じゃねーよ。いつまでおぶられてる気だ」
魔道士「具合はどうですか!?」
占い師「魔道士ちゃん……みんなも……あっ!」
天才「安心しろ。バフォメットはアイツが倒したよ」
占い師「陛下は無事なの!?」
天才「今頃は西の川辺りじゃねーか?」
召喚士「東方軍と合流して、川中島方面へ向かいましたよ」
占い師「……そう」
戦士「しかしまだなのか? その、予言の民っていう連中が住む所は」
盗賊「もうかなり歩いたな」
- 741 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/09(木) 18:12:23.22 ID:RlrsU4Qho
天才「方角的には間違ってねーはずなんだが……滅んじまったかな?」
召喚士「何か手掛かりはあるんですか?」
天才「古文書」ヒラヒラ
召喚士「!?」
天才「誰も入る事の出来ねー森なんだからこんなのに頼るしかねーんだよ。仕方ねーだろ」
召喚士「それはそうですけど……」
占い師「古文書ってわりには、結構新しいわね」
天才「んな事はどうでもいいんだよ」
魔道士「あれっ、何か……見えてきましたよっ!?」
戦士「何だありゃ……」
ザッザッザッ……ザッ
召喚士「……結界石だ!! しかも……物凄い数の……っ」
天才「なるほどな。結界石をまるで城壁のように囲って、その中で暮らしてるってわけか」
占い師「何て言うか……別世界ね……」
盗賊「どうするのだ? 入るのか?」
- 742 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/09(木) 18:12:58.78 ID:RlrsU4Qho
天才「そりゃ入るだろ。それが目的なんだからよ」
ザッザッザッ
戦士「……行っちまったぞ?」
召喚士「お、俺らも行こう!」
魔道士「はいっ!」
ザッザッザッ
天才「……家は幾つかあるが、ずいぶんとヒッソリしてやがんなぁ」
占い師「使ってない家も結構ありそうね」
天才「人口が減ったんだろ。今じゃ何人住んでる事やら……」
ザッザッザッ
天才「ん?」
――「!?」ササッ
天才「ガキがいたな。とっ捕まえるか」
ヒュバッ!!
天才「いよう。始めましてこんにちはじゃねぇ、こんばんは。私は天才あなたはだーれ?」ムンズッ
- 743 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/09(木) 18:13:52.49 ID:RlrsU4Qho
子供「……っ」ビクビクッ
魔道士「ビックリしてるじゃないですかっ、もう!」
占い師「ごめんなボク。このオジちゃん、人とコミュニケーションとれない人なの」
天才「ぶっ殺すぞオメーは!!」
子供「――っ」ビクビク!!
魔道士「天才さんっ!!」
天才「へいへい。テメーらに任せるよ」
占い師「ねえねえ、お父さんかお母さんは今いるかしら?」
子供「……」ブンブン
占い師「……じゃあ、誰かここで偉い人の所へ案内して貰える?」
子供「……」コクコク
戦士「喋れねーのかな? 言葉は通じるみてーだが」
召喚士「さ、さぁ……」
子供「……」クイクイ
魔道士「えっ? 付いて来いって事……?」
- 744 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/09(木) 18:14:30.08 ID:RlrsU4Qho
子供「……」コクコク
盗賊「警戒心は低いみたいだな」
召喚士「ですね。見ず知らずの俺らにあっさりと……」
戦士「約1名は嫌われたみてーだが」
天才「あぁ?」
子供「……」プルプル
戦士「ほれ」
天才「――っ」
占い師「それじゃ行きましょっ」
ザッザッザッザッザッッ
魔道士「お名前は?」
子供「……」
魔道士「……え、えっと……年はいくつかなっ?」
子供「……」ビシッ
魔道士「5歳ねっ。ありがと!」
- 745 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/09(木) 18:15:11.71 ID:RlrsU4Qho
…
ザッザッザッ……ピタッ
子供「……」クイクイッ
占い師「ここ? この家?」
子供「……」コクコク
占い師「それじゃ、早速……」テクテク
コンコン
子供「……」ジーッ
カチャッ
魔道士「始めまして、私は――」
――「お入り。あんたは帰っていいよ。ご苦労さん」
子供「……」コクコク
魔道士「あっ」
子供「……」ブンブン
タッタッタッタッタッ……
- 746 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/09(木) 18:15:57.43 ID:RlrsU4Qho
魔道士「行っちゃった……」
天才「邪魔するぜ」スタスタ
戦士「バーサン、あんたはここの村長ってとこか?」
――「まぁそうだね。ほれ、椅子に座りって、冷めないうちに飲みな」
盗賊「!?」
戦士「5人分の……紅茶が予め……っ」
天才「テメーがババ様かい?」
ババ様「そうだよ。あんたは預言者の息子だね」
天才「!?」
ババ様「預言者は妹を産んで間もなく死んだかい……。残念だったねぇ
天才「てめぇ、んな事まで……っ」
戦士「ど、どういう事なんだよ……っ!」
召喚士「……予言だ、全て……予言の力で分かっているんだ……っ」
天才「じゃあ俺様の望みも分かってるよな?」
ババ様「その為に待ってたんだからね。順に話すからしっかり聞きな」
- 747 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/02/09(木) 18:19:56.06 ID:RlrsU4Qho
それではひとまずこの辺にて失礼致します!
多数のご支援ありがとうございました!それではフォメっと!ノシ
- 748 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/02/09(木) 18:21:11.71 ID:OqRnCkDWo
乙ファメット
- 752 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/02/09(木) 19:07:17.09 ID:Tu1v2oxIO
乙ファメっと
- 759 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/02/09(木) 23:15:16.62 ID:z+bzaS/xo
天才の妹って魔道士のかーちゃんだよな
- 763 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/10(金) 18:20:23.31 ID:nfSLcMuIo
〜北方、川中島〜
騎士団長「踏みとどまれっ! これ以上押されるなぁ!」
騎士団「うおおぉぉ!!」ドガァッ!!
大軍師「魔王軍も退きませんね」
青年兵「ええ。数といい強さといい、流石に北はすんなりとはいきませんね」
大軍師「出来れば初日より、川中島への着工を開始致したいところなのですがねぇ」
青年兵「夜が明けてしまいますよ。それから築城では間に合わない……」
大軍師「そうですか? むしろその方が、好都合ではないでしょうか」
青年兵「日が出てから築城を開始すれば、的になりますよ……?」
大軍師「どうせ暗闇でも目の利く連中ですよ? それに夜しか動けない魔物もいる」
青年兵「っ!! そ、そうか……っ、どうせ代わらない状況なのであれば……」
大軍師「我等にとっては、日中の方が有利とも考えられます」
青年兵「……よし。それならばここは退却せず凌ぎきり、日の出を待ちましょう」
大軍師「ええ。その頃には東西からn援軍も到着する事でしょう……ふっふっふ」ヒラヒラ
青年兵「騎士団長を中心に押し返せっ! 援護を絶やさず続けるのだ!」
- 764 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/10(金) 18:20:50.17 ID:nfSLcMuIo
ドドッドドッドドッ
伝令「ご報告いたします!」
青年兵「どうした!?」
伝令「後方、地獄の壁付近に、謎の魔物が出現との事!」
大軍師「謎の魔物? 何ですかそれは、確認を急ぎなさい」
伝令「は、ははぁ……っ!」
ドドッドドッドドッ
エリート「青年兵っ、最北の村に魔王軍の強襲隊が向かっているとの報告だ!」
青年兵「!?」
ドドッドドッドドッ
伝令「ご報告致しますっ! 東側の魔王軍が大隊規模で北関方面へ進行中!」
北方兵「伝令ーっ! 北方司令部付近で魔王軍との交戦を開始致しました!ドドッドドッ
エリート「ええい、次から次へと……っ!」
大軍師「これは弱りましたね。中央にて持ち堪えなくば、どこかが落ちてもおかしくはないですね」
青年兵「どのみちそのつもりです。まだ窮地ではない、援軍が来るまで奮迅するよう伝えよ!」
- 765 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/10(金) 18:21:47.66 ID:nfSLcMuIo
〜最北の森〜
青年「来たぞー! 東側の傾斜だ!」
ヒゲの男「何としても追い払うぞ! ここは補給物資の拠点なんだ」
青年「国軍の姉ちゃんよ、作戦を指示してくれっ!」
副官「……敵の数は?」
青年「よく分からんけど、50や100の数じゃねぇのは確かだ」
副官「村の西側へ、村民を非難させて」
ヒゲの男「いいのか?」
副官「ええ。西側から魔王軍が来る可能性は低いわ。ここは賭けるしかないのっ」
ヒゲの男「了解だ」
副官「それと、戦える者は全て東側の高台へ集結!」
ヒゲの男「高台!? まさか……やるつもりか……?」
青年「魔王軍の侵攻速度だとギリギリ……いやっ、間に合わないかもしれないぜ!?」
副官「それでもやるしかないのっ! ここを凌げば……必ず来るから!」
ヒゲの男「……」
- 766 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/10(金) 18:22:21.46 ID:nfSLcMuIo
副官「早く行って!」
青年「お、おう……っ。行くぞ!」
ヒゲの男「……」
タッタッタッタッタッ
青年「俺はこっちをやっから、お前はあっちを頼む!」
ヒゲの男「……」
タッタッタッ……ピタッ
ヒゲの男「ここ、任せるわ」クルッ
青年「お、おいっ!?」
ヒゲの男「姉ちゃん1人で……どうにかなるわけねーだろっ、チクショウ!」
青年兵「くっ! 仕方ねぇ……お前らっ、西側へ移動しろ!」
子供「魔物が来たの!? だったら俺も戦うっ!」
青年「バカ言ってんじゃねぇ! さっさと逃げるんだよぉーっ!」
ダダッ タッタッタッタッ……
女「ちょっとぉ!? 西側からも魔物が来てるじゃないっ!!」
- 767 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/10(金) 18:22:51.13 ID:nfSLcMuIo
青年「にゃにぃーっ!?」
ドドドドドド……
子供「……あれ……魔物じゃなくない!?」
青年「ほ、本当だ……あれは……っ!!」
ドドッドドッドドッ……
王子「遅くなった! 魔王軍は!?」
青年「グッドタイミングっすよぉ! 東側からすげぇ数が来てます!」
王子「ようし、このまま突撃するぞ! 続けぇ!」
西国兵長「おぉーっ!」
ドドッドドッドドッ……
女性「あれ……何?」
青年「西国の王様だよ! 援軍に来てくれたんだ!」
少年「でも、行っちゃったよ? 大丈夫なの?」
青年「西国軍が西から来たって事は、西側の敵はもう倒したって事になるだろ?」
少年「あ、そっか! だから村の西側に避難するんだねっ!」
- 768 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/10(金) 18:23:32.14 ID:nfSLcMuIo
ドドオオォォォォ
副官「……くっ」ソォーッ
ガクンッ!! ガラガラガラッ
副官「――っ」
ヨジヨジ……グイッ
副官「ふ……っ、んんーっ! やぁ!」ガシッ
ヒゲの男「おい」
副官「きゃああぁぁぁぁ!!」
ヒゲの男「待て待てっ! 俺だ! 手を離すなバカっ!」
副官「ビビ、ビックリさせないで下さい……って、何でここにいるの!?」
ヒゲの男「姉ちゃんが心配だったら戻ってきたんだが……案の定だったな」ヒョイッ
副官「……ど、どうも」
ヒゲの男「アンタ文官だろ? しかも女。こんな崖を1人で登るなんて無理があんぜ」
副官「でも、登らないとどうにもならないじゃない……っ」
ヒゲの男「んなもん俺らに任しておけっての。アンタはここの総大将なんだ」
- 769 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/10(金) 18:24:02.59 ID:nfSLcMuIo
副官「……っ」
ヒゲの男「総大将は1番後ろでドーンと構えてるもんだぜ?」ガシッ
ググググッ……グイイィィ!!
ヒゲの男「ふん……ぬりゃああああぁぁぁぁーっ!!」
ズボオオォォォォ!!
副官「抜けたっ! ありがとう!」
ヒゲの男「これで水の流れは勢いを増す。次は下流の堰だ。急ぐぞ!」
副官「ええっ!」
タッタッタッタッタッ
ヒゲの男「まずいなっ、魔王軍がかなり迫ってるぞ!」
副官「ええ……っ。何とか間に合えば……いやっ、間に合わせてみせるっ!」
ヒゲの男「もうすぐだっ! 先に行ってるぞ!」ダッ!!
タッタッタッタッタッ……ザザッ
ヒゲの男「……おーし! 何とか間に合――」
ドスッ!! ポタポタポタッ……
- 771 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/02/10(金) 18:35:50.69 ID:pqPIaKJDO
ヒゲのおっちゃぁぁぁぁん!
1乙
- 779 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/11(土) 02:16:18.90 ID:GP63oW0Vo
ヒゲの男「……な……ん」
ズルゥッ……ドサッ
リザードマン「なんでぇ、たった1匹かよ」
コボルト「おう、こんな所はもういいからよ、本隊と合流しようや」
リザードマン「だーな。行くとすんべや――」
ガシィ!!
リザードマン「……?」
ヒゲの男「……はぁっ、はぁ……っ、はぁ……っ」
リザードマン「コイツ、まだ……ッ」
コボルト「離せやこのボケエエェェ――」
ゴキィッ!! ドシャッ
リザードマン「――――」ピクピク
コボルト「てっ、てんめぇ……ッ」
ヒゲの男「こ……の村……はっ、やらせねぇぞ……っ!!」
コボルト「死にぞこないがぁ……ッ!」ザッ
- 780 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/11(土) 02:17:05.56 ID:GP63oW0Vo
タッタッタッタッ
副官「――っ!?」
ヒゲの男「ぬおああぁぁーっ!!」
コボルト「大人しく死んどけやあぁーッ!!」
ガシュウウゥゥッ!!
コボルト「……チッ」
ヒゲの男「……ごはっ、が……ぁ」ドサッ
コボルト「汚ねぇなー。返り血付けやがってヨォ――」
副官「ああああぁぁぁ!!」
コボルト「――ッ!?」
ザシュウウゥゥゥゥ!!
副官「はああぁぁ……はぁ……はぁっ!!」
コボルト「何しやがる……このッ、クソアマアアァァ!」ポタポタポタッ
副官「う……うぅ……っ」
ヒゲの男「ぐっ、ぬう……ぅ」グググッ
- 781 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/11(土) 02:17:42.61 ID:GP63oW0Vo
コボルト「タダじゃ済まねぇぞ……! 嬲りたおして骨まで食い尽くしてやんゼ」
ヒゲの男「どこ見て……やがるぅ!!」
ガッシイィ!! ドサッ
副官「っ!!」
ヒゲの男「は……やくっ、逃げろおぉ……っ」
コボルト「しつけぇんだよ……テメェ!」ガスッ!!
副官「うっ、うぅ……っ」ガクガク
ヒゲの男「早く……しろ……ぉ!」
コボルト「離せっつってんんだろうがよッ!!」
ドガァッ!! ゴロゴロッ……ドサッ
コボルト「……ふー。ったく、てこずらせやがってぇ」コキコキ
副官「あ……うぁ……っ」
コボルト「さーてさて、お待たせぇ――」
青年「待ってねぇよこのボケがぁ!!」
コボルト「!?」
- 782 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/11(土) 02:18:25.52 ID:GP63oW0Vo
ザッシュウウゥゥゥゥ!!
青年「姉ちゃんっ、無事か!?」
副官「……あ、ああ……あぁ」
青年「しっかりしろっ! ヒゲの旦那は!?」ペチペチッ
副官「はっ!! そ、そうだっ!!」タタッ
青年「旦那っ!?」
副官「傷っ、傷薬……っ! 回復しなきゃっ! 早くしなきゃっ!」
青年「慌てるな! 俺が行くからアンタはここで――」
ドドドドドド……
青年「ちぃっ、水が迫ってる! 姉ちゃん、戻って来い!」
副官「回復……回復しなくっちゃ……私が……っ!」フラフラ
ドンッ
副官「……?」
ヒゲの男「……く……るな」
青年「旦那ぁ!!」
- 783 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/11(土) 02:19:20.04 ID:GP63oW0Vo
ヒゲの男「もう……時間……ないっ。早く連れて……逃げ……」ガクン
副官「!?」
青年「旦那っ! 水が迫ってるがまだ間に合う! アンタも一緒に……」
ヒゲの男「時間ねぇって……言っただろ」ガバッ
副官「――っ!!」
ヒゲの男「この傷じゃあどうみても……助からん……っ」
青年「時間がねぇのは……アンタの方かよ……っ」
ヒゲの男「魔物の本隊……も……来てる」
副官「置いて逃げるなんて……無理よ!」
ヒゲの男「最後の堰……杭……抜かなきゃなんねぇ……」ヨロッ
副官「何で……何で……っ」
青年「魔物の本隊がきやがったっ! ちっくしょおぉ!」
ヒゲの男「頼むっ、早く……行ってくれ」
青年「……姉ちゃん、行くぞ! もう時間切れだ!」
副官「何でよぉ……何で……」ズルズル
- 784 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/11(土) 02:20:04.22 ID:GP63oW0Vo
ドドドドドド……
青年「旦那ぁ! あとは……あとは任せるぞおおぉぉ!」ダッ
副官「嫌よおぉ!」
ザザザザザザッ
ワーウルフ「ニンゲンだ! ニンゲンがいるぞォ!」
スケルトン「殺せええぇぇーッ!」
ドッガアアァァ!! ザシュウウゥゥゥゥ!!
王子「何をしているっ! 早く退け!」
西国兵長「かかれぇーっ!」
ドガガアアァァァァ!!
王子「……あそこにまだ1人、残っているな」
副官「たっ、助けて! 彼を……助けて下さいっ!」
青年「駄目だっ! もうじき水が来る!」
王子「……」
青年「ここももうヤバイ! 早く高台に逃げるんだ!」
- 785 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/11(土) 02:22:59.24 ID:GP63oW0Vo
副官「そんなの……っ」
王子「……行こう。時間がないのであろう?」
副官「陛下っ!」
王子「闘いは時に非情なものだ。これはきっと、彼の宿命でもある」
副官「……っ」
王子「だが決して、無駄死にではないぞ」
青年「時間切れだぁ! 来るぞぉーっ!」
ドドドドドドオオォォォォォ!!
王子「乗れっ!」グイッ
副官「――――」
水の音に副官の叫びは掻き消された。しかし、ヒゲの男は笑っていた。
ヒゲの男「……この村は……俺の……誇りだ、宝だ……っ」
ドドオオオオォォォォ!!
ヒゲの男「楽しかったぜ……あばよ――――」
激流に飲み込まれ、ヒゲの男の笑顔は散った。
- 788 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [] 投稿日:2012/02/11(土) 05:22:36.00 ID:MffBZ5mV0
>>1 おつ
ヒゲ…最後かっこよかった
- 796 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/11(土) 23:37:11.23 ID:GP63oW0Vo
ドドオオオオォォォォ……
スケルトン「なっ、なん……グアアァァァァ!!」
ワーウルフ「ゴブァ……ッ! グハァーッ!」
ドドドドドドオオォォォォ
西国兵長「み……水がっ、魔物を……っ」
王子「水計か。堰止めていた水で一気に敵を殲滅したな」
青年「旦那のお陰だ……っ。命を賭けて村を守ってくれたんだ」
副官「……」
王子「だが、これでまだ終わったわけではないぞ」
西国兵長「高台の連中も奮闘しているようですね」
王子「東側はも大丈夫であろう。早く救援に向かってやるが良い」
青年「姉ちゃん、行くぞ」
副官「……」ペコッ……タッタッタッ…・・・
西国兵長「大丈夫ですかね、彼女」
王子「仮にも軍人だぞ、無用な心配だ。さて、我らも北へ急ぐぞ!」
- 805 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/02/12(日) 00:38:16.55 ID:HQgbSLvDO
>>1乙!
ヒゲさんは開拓村最初期からいるんだったっけ?
始め集められた人たちは訳ありだったり何も持ってないような人たちだったよな
それが「俺の村」を命を懸けて守ったっていうのも感慨深いね…
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