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少女「魔王さんなら、ママを生き返せるのかな…」
341 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 15:34:05.36 ID:znoTLrJOO
――――バァン!!


魔女「今帰ったぞッ」
少女「あ、お帰りなさい」
魔女「留守中に死体みたいな見た目の死体みたいな喋り方する死体マニアが来なかったか?」
少女「すごく綺麗で優しい人でしたよ」
魔女「あぁそうだよ、ムカつくぐらい顔はいいよあいつは!
   だから黙ってても勝手に馬鹿な貴族が研究費用出すんだろうよ!」
少女「……」
魔女「僕を見てボロい工房を見回してしかも納得した顔すんなクソガキッ!
   で、あいつはどーした? 一発絞めないと気がすまねぇーッ」
少女「ついさっき出発されましたよ。
   『絶対アレに見付からないルートで帰る。ばーかばーか』って言ってました」
魔女「うがぁあああああ腹立つぅううううう」


342 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/11/23(火) 15:39:36.36 ID:E/okKddn0
この世界の魔女やら魔王やらは本当に仲良いなまったく


343 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 15:44:45.85 ID:znoTLrJOO
魔女「それで召還の方はどうなったんだ?」
少女「あぁ、それなんですけど――――」

侍女「夕食の準備が整いました」ペコリ

少女「はい、今行きますね。
   ……と言うわけです」
魔女「お前がやったのか? 術式は?」
少女「一応これなんですが……」ペラッ
魔女「どれどれ……
   ……なんじゃこりゃあ!
   こんなもん人間にできるわけないだろ!」
少女「あの、裏面に術師さんの注意書きがありますよ。
   この術式を使うにあたっての」
魔女「あぁ?」ペラッ


【単細胞には一生無理。ばーかばーか】


魔女「あいつ殺す。絶対殺す。
   百回ぶっ殺す」

少女「とりあえず夕食にしましょうよ。
   侍女さんの料理、すごく美味しいんですよ」
侍女「恐悦至極でございます」


345 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 15:54:30.34 ID:znoTLrJOO
少女「それじゃあ、わたしと侍女さんは冥界に行って来るんで」
魔女「あー、そう言う話だったな」
少女「冥界はお城の地下から行けるから、そんなに時間は掛からないと思います」
侍女「およそ2日の旅路でございますね」
魔女「はん、そうかよ。
   じゃあ精々役に立つ話聞いて来いよな」
少女「はい。装置の組み上げは任せました。
   行って来ますね」
魔女「おう。土産忘れんなよ」


……バタン。


347 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 16:07:49.46 ID:znoTLrJOO
少女「ちょっと久しぶりですね、お城に戻るのも」
侍女「そうですね。
   すっかり埃がたまってしまって……」
少女「誰かが住んでないと、どんどん廃れてしまいますね。
   冥界から帰って来たら大掃除しましょうか」
侍女「名案にございます。必ずやいたしましょう。
   ……ところで、そちらの方は?」
少女「え?」

妖精「……」ジー…

少女「あれっ、私が一番最初に召還した人工妖精だ。
   拘束魔導式は解除してたし、てっきりどこかに飛んでったと思ったのに」

妖精「……」パタパタ

侍女「……付いて行きたい、と言っているようですね」
少女「うーん……別に好きなところに行っていいんだよ?」
妖精「……」フルフル
侍女「あくまで、自由意志だと」
少女「そうなんですか?
   じゃあ……仕方ないですね」
妖精「……」ペコリ
侍女「よろしくお願いします、だそうです」
少女「こちらこそ」ペコリ
妖精「♪」パタパタ
少女「……ちょっとこの妖精さん、最初の頃の侍女さんと似てますね」
侍女「そう……でしょうか?」


348 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 16:19:24.63 ID:znoTLrJOO
番犬「ガウッ!」「ヴヴーッ」「ガオンッ」ガツガツ

冥王「あーっ!
   『まて』って言ってるのにーっ!」

少女「あのー……」

冥王「あ、魔王の後継ぎちゃんと侍女ちゃんだ」

少女「はぁ。少しお伺いしたいことがありまして……」
冥王「いいよ。上がっていきなよ。
   久しぶりのお客さんだ」
少女「お邪魔します」
侍女「失礼致します」

番犬「「「ヴルル……」」」


349 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 16:22:27.41 ID:znoTLrJOO
ちょっと休憩


354 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/11/23(火) 17:36:34.65 ID:i2EgZhFF0
スレタイを見て少女陵辱ルートしか連想できなかった俺にとってこの流れは目から鱗だ


359 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 19:10:40.92 ID:znoTLrJOO
冥王「地獄にねぇ……」
少女「はい」
冥王「魔王のことだから、多分地獄ででもそれなりに快適に過ごしてるとは思うけどね。
   会いに行くとなると……」
少女「やっぱり厳しいですか?」
冥王「そもそも地獄って無茶苦茶広いし、どこにいるやら」
侍女「地獄の地図と言うのはございませんか?」
冥王「あるにはあるけど、8000年前の誰かがほとんど空想で書いたやつだよ」
少女「それでもいいんで、見せて貰えますか?」
冥王「えっとね……どこに直してあったかな」

妖精「!」パタパタ

冥王「ん? あぁここか。
   よくわかったね」ガサゴソ
妖精「♪」エッヘン

侍女「どうやらちょっとした魔術を無意識のうちに使ってるようです」
少女「すごいね……」


360 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 19:12:32.05 ID:znoTLrJOO
冥王「そもそも地獄では空間の連続性がこことは全く違うし、
   自然法則も魔導法則もめちゃくちゃになってるから地図なんてあてにならないんだけど……」バサッ

少女「これが地獄……」
侍女「……」
冥王「真ん中に小さい正方形が書いてあるよね?」
少女「はい」
冥王「この四角が、人間界と冥界と魔界と妖精界を全部足した面積なんだって。
   その地図だと、地獄全体の1024分の1ぐらいってことになってるのかな」
少女「はぁー。すごい広さですね」
侍女「想像がつきません」
冥王「しかも、地獄はどんどん大きくなってるって話らしいよ。
   それだけ地獄に堕ちるやつが多いってことなんだろうけどさ」
少女「8000年前でこれなのに、今はどんなことになってるんだろう……」
冥王「さっぱりだね」
侍女「この赤い部分と青い部分は何なのでしょうか?」
冥王「それはそれぞれ炎獄と氷獄を表してるんだって。
   その間には、地獄の端っこからでも見えるすんごい高い壁がそびえてるそうだよ」
侍女「なるほど……」
少女「……」


362 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 19:30:34.42 ID:znoTLrJOO
侍女「この北の方の黒い山は?」
冥王「『灰の山』としか書いてないね。
   ものすごい悪臭がする風が吹き下ろしてるらしいから、
   多分地獄のゴミ捨て場か何かじゃないかな?」
侍女「ゴミの山ですか……それだけでこの正方形の200倍以上あるのですね」
冥王「何にせよあんまり行ってみたくない所だね。
   大体地獄はその灰の山と炎獄と氷獄の三つのエリアに分かれてるって噂だよ」
少女「魔王さんだったら……この中のどこに行くでしょう?」
冥王「そうだねぇ。寒いのは苦手らしいよ」
侍女「暑いのもお嫌いのようでございました」
少女「だからって臭いところに行くような人でもないし……」

妖精「!」ツンツン

少女「え? そこは壁……あ、そっか。
   灰の山から一番離れた所で、炎獄と氷獄の丁度真ん中の壁の上なら、
   暑くも寒くも臭くもない……のかな?」
冥王「うーん……どうだろうね。
   そもそも、そう言う不届き者が出ないように高い壁になってるんだろうし」
侍女「しかし、魔王様ならあるいは……」
冥王「……うん。なんか十分ありえる気がする」
少女「ですね」


363 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 19:41:16.85 ID:znoTLrJOO
少女「この辺に当たりを付けて探せば見つけやすいかも知れませんね」
冥王「まぁ、この地図の信憑性にも拠るけどねぇ」
侍女「そう言えば……冥界から地獄を調査しに入った方と言うのは、
   どう言うルートで入られたのですか?」
冥王「冥界のずっと西の方に、むちゃくちゃ深い谷があって、
   その谷底が地獄に通じてるって言う伝説があるんだよね。
   確かに底から火柱が上がったり、吹雪が吹き出したり、
   なんかよくわかんない化け物が漏れ出したりはしてるけど、
   実際の所どうなってるのかはわからないままなんだ。
   谷を降りてる途中でそう言うのに出くわしたらアウトだし」
少女「むしろこの地図を書いた人がどうやって行って帰って来たのかが気になりますね……」
冥王「それが冥界七不思議の一つなんだよねー」


365 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 19:51:33.65 ID:znoTLrJOO
少女「……あれ?
   じゃあ、死んで地獄に堕ちる人はどうやって地獄に行くんですか?」
冥王「それも冥界七不思議の一つだよ。
   一応、ここを通ってるのは確かなんだけどね。
   たまに虹みたいに亡者の橋が掛かってるよ。
   でも、それこそ虹の根元を探せないみたいに、
   亡者がどこに行くかもわからないんだ」
少女「そうなんですか……」
冥王「まぁあえて魔導の論理で考えるなら、この世界そのもの、
   森羅万象すべてが巨大な魔導式と魔法陣によって運営されてるもので、
   その設定された書式の中に『死んだらどこに行くか』って言うのも組み込まれてるのかもね」


366 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 20:02:57.45 ID:znoTLrJOO
少女「では、お忙しいところお邪魔してすみませんでした」ペコリ
冥王「いいっていいって。冥王って意外と暇だし」
少女「いえ、そんな……」
冥王「またいつでも来なよ。
   あ、これお土産ね」ヒョイ
少女「これは……?」
冥王「炎獄から拾って来た水晶のかけらだってさ。
   本物かどうかはわからないけど、大概の炎ならそれが吸い込んでくれるから、
   もしかしたら役に立つかもしれないよ。
   はい、侍女ちゃんにもあげる。あなたにもね。あと魔女ちゃんの分も」
妖精「♪」ペコリ
侍女「よろしいのですか? そんな貴重なものを頂いてしまって」
冥王「ここにあってもしょうがないからねぇ。
   まぁ、もし地獄から帰って来れたらまた色々教えてよ」
少女「はい、必ずまた来ます」

冥王「ばいばーい」ヒラヒラ
番犬「「「ガウッ」」」


368 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 20:13:10.73 ID:znoTLrJOO
魔女「ほー。それがこの水晶か」
少女「はい。
   まだ試してませんけど、かなり強力な魔力を秘めてるみたいですね」
魔女「まぁなかなか有意義な話を聞いて来たみたいだし、
   とりあえずはよしとするか」
少女「装置の方は?」
魔女「九割方完成してる。あとは試運転と、細かい調整だな。
   それは明日やるか」
少女「わかりました。
   じゃあ今日はもう休みますね」
魔女「おう」
侍女「おやすみなさいませ」ペコリ
妖精「……」パタパタ


369 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:13:41.43 ID:q/NmR2jT0
これ番犬の言葉が三重になってるってことはケルベロスの類か。
そういえば地獄の番犬だっけあれ。


370 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 20:38:22.57 ID:znoTLrJOO
ドッドッドッドッ……
フシュゥウーッ……

魔女「よっしゃ、準備出来たぞ。
   魔導回路は可能な限り最適化してるが、必要に応じて適当に術式足してくれ」
少女「わかりました。
   では、魔導式詠唱入ります」

侍女「……」
妖精「……」パタパタ


371 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 20:39:24.65 ID:znoTLrJOO
少女「――――我を過ぐれば憂いの都あり、
   我を過ぐれば永遠の苦患あり、
   我を過ぐれば滅亡の民あり」

ゴゴゴゴゴ……

少女「義は尊きわが造り主を動かし、
   聖なる威力、比類なき智慧、第一の愛我を造れり」ポゥ…

ゴゴゴゴゴゴッゴッゴッゴッゴッ

少女「永遠の物のほか物として我よりさきに造られしはなし、
   しかしてわれ永遠に立つ――――」バチッ…バチバチッ…

ゴッゴッゴッガギッゴッゴッガッゴッゴッゴッギギッゴッ


少女「――――汝等ここに入るもの一切の望みを棄てよ」


…ゴギンッ!
ズドォォォオオオォオオンッ!!


372 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 20:50:02.63 ID:znoTLrJOO
ゴォオオオォオォォ……


魔女「……こいつか地獄の門か。
   まさか一発で成功するとはな」
侍女「凄まじい魔力を感じます」
少女「術式には門の形に関する指定はなにも無かったのに、
   ずいぶん仰々しいデザインと言うか……」
魔女「そりゃまぁあんな魔導式読んだらこうなるのが当然だろ。
   それっぽくていーじゃねぇーか」ザッ
少女「えっ、今から行くんですか?」
魔女「当たり前だろ。なんで今行かないんだ?」
少女「……それもそう……なのかなぁ」
侍女「わたくしは地獄の果てまでお供致します」
妖精「!」コクコク

魔女「決まりだな。
   『ハイパーかっこいい魔女と不愉快な仲間達の冒険・地獄篇』だ」


373 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 20:54:08.68 ID:Hs5Yh75JO
俺も着いていきたい
みんなの盾くらいにはなるだろ


375 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 21:12:03.78 ID:pWOw5p5EO
嘆きの壁か……


377 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 21:47:43.42 ID:znoTLrJOO
カツン、カツン、カツン、カツン、……

魔女「この139段の下り階段の一段一段には、
   生身の生き物を可能な限り極限環境や魔力汚染から防護する術式が埋め込んである。
   飛ばすんじゃねぇーぞ」
少女「はい」
侍女「かしこまりました」

妖精「っ、っ、っ」ピョンッ、ピョンッ、ピョンッ

魔女「とは言っても、冥王の言に従えば、
   そんな小細工がどこまで通用するかもわからねぇーがな」
少女「魔導法則が乱れた世界、ですからね……」
魔女「どうなってんのか皆目見当もつかん。
   まぁなるようになるだろ。
   見ろ、言ってる間に出口が見えて来たぞ」
少女「……」
侍女「……」


コォオォォ……


378 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 22:00:51.21 ID:znoTLrJOO
少女「ちなみに地獄のどこに出るんですか?」
魔女「一応いきなり溶岩にドボンは避けたいから、
   氷獄エリアに出るようにはしたつもりだけどよ」
侍女「……微かに冷気がしますので、おそらくは氷獄のいずれかの地点かと」
魔女「さすが僕。
   てめぇーらも気を引き締めて――――」


ビュオォォオオォオオッ


少女「うわっ! 寒っ!」
妖精「ーっ!」ブルブル
侍女「わたくしの後ろへ」
魔女「魔導人形は便利だな」


381 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 22:22:30.79 ID:znoTLrJOO
ビュゴォオオオォオォッ……


魔女「吹雪吹雪、氷の世界だな。ドンピシャだぜ」
少女「寒い……雪で前が見えませんよ」
侍女「わたくしも駆動系が少し鈍っていますね」
魔女「贅沢言うなよ。生身だったら一瞬で氷漬けだ」
少女「さすが地獄……あれ、魔女さんのローブの裾が光ってますよ」
魔女「ん? なんだこりゃ?」
侍女「……魔力が熱と光に変換されて放出されています」
魔女「こりゃあの水晶だな。
   蓄えた魔力を勝手に出すようになってるのか」
少女「わたしのも光ってます。
   ……すごい、ここだけ雪が避けて行きますよ」ポゥ…
魔女「よし、これをランプ代わりにして、とりあえず例の壁を探すか」
少女「よく見たら、ここ森の中なんですね」
侍女「地図には『樹氷の森』とあったと記憶しています。
   あの地図が正しいなら、壁はそう遠くないはずです」
魔女「朗報だな。
   凍りつく前にさっさと行こう。
   風向きがむちゃくちゃで、木の後ろに隠れても意味がねぇー」


383 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 22:36:13.92 ID:znoTLrJOO
……ズゥウン……


侍女「……?」


……ズゥウンゥン……


侍女「お待ちを」
魔女「おい、どうした?」
侍女「何か聞こえます。
   吹雪の音ではありません」
少女「え?」


……ズゥウウゥウンン……


侍女「……何か近付いて来ているようです」
少女「足音……?」
魔女「さっそくヤバそーな気配がプンプンするぜ」


385 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 22:40:29.80 ID:znoTLrJOO
……ズゥウンゥウウゥウンッ……


魔女「さぁどうする?
   この感じは多分逃げられないやつだぞ」
少女「とりあえず視界を確保したいですね。
   この水晶を上に投げて、魔力を一瞬だけ高出力で放出してみます」
魔女「照明弾ってわけだな。やってみろ」
少女「はい」ポゥ…


…ズゥウゥウウゥウウゥウンッ


少女「えいっ」ブンッ


――――ピカッ!


386 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 22:46:27.61 ID:5/W6iTSf0
 \                    /
   \  丶       i.   |      /     ./       /
    \  ヽ     i.   .|     /    /      /
      \  ヽ    i  |     /   /     /
   \
                                  -‐
  ー
 __          わ た し で す            --
     二          / ̄\           = 二
   ̄            | ^o^ |                 ̄
    -‐           \_/                ‐-

    /
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   /   /    /      |   i,      丶     \
 /    /    /       |    i,      丶     \ 


388 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 22:49:39.52 ID:znoTLrJOO
魔女「……見たか?」
少女「……はい。
   めちゃくちゃでっかかったです。お城ぐらいありました」
魔女「水晶拾ったら、よーいドンで走るぞ」
少女「逃げられるとか逃げられないとかの問題じゃ無さそうですね」
侍女「走りながら打開策を考えましょう」

ズゥウゥウウゥウウゥウンッ


氷竜「フシュウゥヴ……フシュウヴゥウヴ……」


少女「……拾いま――――」
魔女「よーいドンッ!!」ザッザッザッ
少女「ちょっ」
侍女「急ぎましょう」スッ
少女「あ、ありがとうございます」ザッ、ザッザッザッ
侍女「滅相もございません」ザッザッザッ


氷竜「ヴォオォォオォオオォォッ!!」メキメキメキッ!


389 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 22:55:31.08 ID:lNtw6J6nO
魔王早く出て来ーい


390 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 23:11:03.59 ID:znoTLrJOO
魔女「なんだありゃあ!
   何食ったらあんなんになるんだ?!」
侍女「罪を犯した者でしょう。
   食料には困らなさそうです」
魔女「冷静に答えてんじゃねぇーよアンポンタンッ!
   何か撃ってくるぞアイツッ!」
少女「結界張ります!」バリバリバリッ
魔女「ついでに僕もオマケだッ」ビリビリビリッ


氷竜「ヴヴォアッ!!」ドーンッ


バキィィイイインッ!!


魔女「うっわギリギリだなありゃ!
   結界に沿って氷の壁が出来てるぞ!」
侍女「あれは冷気ではなく、魔力その物ですね。
   魔力が冷気の性質を有しているようでございます」
少女「結界が浸食されてますよ!」


ビシッ……ビキッ……


魔女「まじぃなこれ、畜生!」


391 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 23:11:10.02 ID:ueHf+EoP0
ウカムルバスか


392 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 23:15:14.46 ID:+IN88YgC0
死人が死んだらどうなるんだろうな


394 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 23:18:05.71 ID:znoTLrJOO
侍女「誰かが囮になってる間に何か術式を組むか、
   結界をどんどん重ねて行くしかなさそうですね」
魔女「いくら結界張ってもあれ以上距離縮められたら終いだぞッ」
侍女「では、わたしめが囮役を勤めさせて頂きます」
少女「そんな……!
   何か方法が他にっ」
魔女「考える暇はねぇーぞッ!
   やっこさんはこっちの話がまとまるのを待つつもりはこれっぽっちもないみたいだ!」
侍女「大丈夫です。
   きっと上手くいきます」
少女「でも侍女さん……!」


397 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 23:26:04.80 ID:znoTLrJOO
妖精「!」ツンツン

少女「え……?」
侍女「自分に任せてほしい、と言っています」
少女「で、でも……」

妖精「!」ブンブン

侍女「……あいつをやっつけるからみてて、と」
魔女「なんかしらねぇーが、やるなら早くしてくれッ!
   次のが来るぞッ!」

妖精「っ!」ビュンッ!

少女「あっ!」


氷竜「ヴヴゥヴ……ゴァアアウゥヴッ」ゴォオオォ


妖精「ーッ!」ビュッ!


398 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 23:39:02.21 ID:EFRpNUWu0
ほぅ、妖精もチート仕様ですか


399 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 23:40:45.31 ID:znoTLrJOO
氷竜「ヴッ……グゥウゥウウヴ……」


魔女「お? なんだ、動きが止まったぞ?」
少女「一体何を……?」
侍女「……」


氷竜「……グヴゥヴウッ! ヴォオォォオォオッ!!」


魔女「あいつ、腹が光ってるぞ!」
侍女「どうやらあの人工妖精が、水晶を氷竜の口に投げ入れたようです」
魔女「水晶の中の魔力が一気に解放されて、氷竜の体内で暴走してるのか!」


氷竜「ヴッ……ヴヴゥヴ……ヴォ――――」


――――ジュッ
……ドッグォォオオオォォオォオオォォオオオンッ!!!


401 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 23:43:49.40 ID:znoTLrJOO
少女「い、一瞬で蒸発した……」
侍女「数千年か数万年か、溜め込み続けた地獄の業火ですので、
   あれほどの威力になったのかと」
魔女「えらいもんを土産にしてきたなぁオイ」

妖精「♪」パタパタ

侍女「どんなもんだ、と言っています」
魔女「はぁ。なかなか大したもんだよ、お前」
少女「人工妖精ってみんなこんなすごいのかな……」



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