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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その38
- 321 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2012/04/06(金) 17:45:51.14 ID:+sVzkBK9o
青年兵「……っ」ヨロッ
ジュニア「そんじゃま、一気に決めんぞ!」
青年兵(違う……っ)
賢者「……ふぅ」
青年兵(違うっ、奴は分かっている。こちらが五行を放つ事を分かっているんだ……っ)
大軍師「陛下らが必ずや、活路を見出してくれます」
青年兵「大軍師さん!」ザッ
大軍師「……大元帥とは、国軍の統括を務める最高責任者です」
青年兵「……っ」
大軍師「私の策にご不満あらば、いつ止めて下さっても結構なのですよ?」
青年兵「……」
止められるはずもなかった。権限は上でも経験と知識は遠く及ばない。
それでも青年兵は、自身が感じた違和感を言葉にする。
青年兵「五行の存在を知りつつ何も行動を起こさないのは不自然です」
大軍師「それは承知の上ですよ。いやむしろ、既に行動を起こしているのやも……ふふふ」
- 322 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:46:29.64 ID:+sVzkBK9o
青年兵「……っ!!」
そこで初めて青年兵は悟った。これより放つ五行が覚悟の上である事を。
そして大軍師の言葉をふと、思い出す。『お2人の魔力ならば、2発程度は放てますか?』
大軍師「大元帥殿のお陰で奴は真の姿を晒す事となりました」
青年兵「……っ」
大軍師「ゆっくりと、力を癒して下さい、あとは我らにお任せを」スッ
青年兵「……大軍師さんっ!」
大軍師「……?」
青年兵「あなたに……託します……っ!」
大軍師「ふっふっふ。軍師冥利につきますねぇ」ヒラヒラ
キュイイイイィィィィ……ズゴゴゴゴゴゴ……
ジュニア「オッサンよぉ、こっちはいつでもイイぜ……ハッハ」
賢者「同じくだね……ふぅ」
大軍師「アスタロスが隙を見せた瞬間を狙います。いつでも放てるという準備を」
不動のアスタロスに重々、警戒しながら一同は距離を取り、狙いを定め始めた。
- 323 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:47:00.42 ID:+sVzkBK9o
ズギャギャギャッ!!
南方司令「ハートブレイク……ワンダージャスティスパアアァァンチ!!」
西方司令「スーパーウルトラツヴァイハンダー死ね死ねぶっ殺す!!」
ズッガガアアァァァァ!!
エリート「……ぐっ、ごほっ!」
皇太子(即死はないにしろ、やはり瘴気が強いな……)
エリート(何なのだあの2人は……っ。本当に……人間か?)
南方司令「ファイナルミラクルジャッジメントオオォォ……ジャスティスキーック!!」
西方司令「荒らぶる風を巻き起こし毒の霧を消し去ーる!! そして死ね剣!!」
ズガッシュウウゥゥゥゥ!!
アスタロス「……まだ……遠い」
南方司令「ヘビーデンジャラスえぇと……ジャスティスパーンチ!!」
西方司令「思い浮かばねぇならイチイチ言うんじゃねぇ剣!!」グアッ
アスタロス「……ここだ」
西方司令「!?」
- 324 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:47:35.85 ID:+sVzkBK9o
アスタロス「貴様の弱点……喜びを知らぬ、乾いた風か」
ゴアッ!! ドッドオオオオォォォォン!!
西方司令「ぐお……ああぁぁ!!」ピシッ
南方副司令「あの竜巻は何だっ!? 奴の攻撃か!?」
西方副司令「あれは……司令!?」
ドドオオオオォォォォ……
南方司令「貴様ぁーっ!!」ダッ
大軍師「まずいっ、近づいてはなりません!」
アスタロス「貴様は……悲しみを知らぬ、憂いの涙」
ドッドオオオオォォォォン!! ギッキイイイイィィィィン!!
南方司令「――っ!!」
エリート(風の次は氷!? バカなっ、奴は五行を操れるとでも言うのか……っ)
皇太子「エリート! 西方司令が築いた道を進むぞ!」
エリート「陛下!」
皇太子「霧散した今ならば、容易に近づける……っ!」
- 325 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:48:10.04 ID:+sVzkBK9o
ズシャッ ザザァ!!
皇太子「まずはその尾を……斬る!!」ジャキッ
アスタロス「背後であろうと問題はない。貴様の弱点は……」
皇太子「はあぁーっ!!」
アスタロス「……な、何だこの感情はッ。貴様は何も……ないとでも言うのか!?」
ザシュウウゥゥゥゥ!!
アスタロス「他者の為に喜怒哀楽を分かち合い……決して人を恨む事もない……と?」
皇太子「浅かったかっ、もう1度――」
バギャッ!!
皇太子「っ!!」
アスタロス「尾は毒を吐くだけの為に在らず。振り払える事を忘れるな」ブンッ
皇太子「……ごほごほっ」
エリート「陛下っ!」タタッ
アスタロス「貴様の弱点は見えている。本当の楽しみを知らぬ無情なる炎よ」
ドッドオオオオォォォォン!! ゴゴオオオオォォォォ!!
- 326 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:48:56.97 ID:+sVzkBK9o
アスタロス「主を助けた事で、逆に巻き込んでしまったな」
皇太子「ぐ……っく!」
エリート「陛下……だけは……っ」
ドドオオォォォォン!! ジュジュウウゥゥゥゥ……
アスタロス「ほぉ、その体勢から水行を放ち、中和するか」
エリート「……陛下……っ」
皇太子「エ、エリート……」ドシャア
アスタロス「己が捨て身で主を助けるとはなかなか大した人間よ」
エリート「……っ」ブスブス
アスタロス「免じて、命は今しばらく助けてやろう。そこで散りゆく仲間を見届けているが良い」
南方参謀「陛下っ! 右大臣!」
南方副司令「生きているっ、大丈夫だ!」
東方参謀「まさか魔物でありながら、五行を制御しているのか……っ?」
西方参謀「残念だがそういう事らしいな」
南方副司令「万策……尽きたか」
- 327 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:49:53.88 ID:+sVzkBK9o
青年兵「……いえ、まだチャンスはあります」
南方参謀「……?」
青年兵「五行は均等の魔力を放ってこそ成功するもの」
西方参謀「そうかっ、つまりヤローさんに、何か一行だけでも集中させとけば……」
青年兵「五行で五行を守る事は出来ないはずです」
西方副司令「つまり、敵が魔法を放っている瞬間にこっちが五行を放つわけ?」
東方参謀「そういう事になるな」
西方参謀「だがなぁ、そう生易しいモンじゃあねぇぞ……ヒック」
青年兵「南方司令や西方司令ですら一瞬でした」
南方参謀「数秒すら持たないわよっ。一体、どうやって……」
青年兵「……っ」
スッ ザッザッザッ
西方副司令「大元帥……?」
青年兵「僕がもう1度、青龍を召喚します」
南方参謀「無茶よっ!! 今だってフラフラじゃない……っ!」
- 328 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:50:54.13 ID:+sVzkBK9o
西方副司令「いくらなんでも魔力だってまだ……」
青年兵「やれますよ」ズズズズッ
西方参謀「お、おい……っ」
青年兵「自分自身を全て、内なる力を全て出せばもう1度、召喚士くらい……」
ズゴゴゴゴ……
東方参謀「やめぬかっ!!」
青年兵「!?」
東方参謀「貴様は自分が何をしているのか、分かっておるのか!」
青年兵「東方先生、しかしこれしか手はないのです」
東方参謀「命を魔力に変える事が、如何なるものかわかっているのかっ!!」
西方副司令「命って……まさか……っ」
南方参謀「あなたっ、寿命を削ってまで召喚するっていうの!?」
青年兵「すみませんがこれは命令です。大元帥としての」
東方参謀「若造が自惚れるなぁ!!」
青年兵「ここは、私に任せて頂きたい!」
- 329 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:51:31.99 ID:+sVzkBK9o
――「嫌だね……ガハハッ!」
青年兵「!?」
スタッ ザッザッザッ
――「どいてな、小僧」
青年兵「……あ、あなたは」
東方参謀「ば……馬鹿なっ、いや……そんなはずはない……っ!」
――「ハッハ。東方先生。アンタも随分と老いたもんだなぁ」
西方参謀「……酔いが……覚めた」
大軍師「再来の大魔道士に、朱雀先生……いや、元と言うべきでしょうか……っ」
師匠「ヤローの気を引きゃいんだろ? ガハハッ、後は任しとけ」ドンッ!!
マジシャン「冗談じゃねぇぜ。まだこんな魔物が残ってるってのかよ……ハッハ!」ドドンッ!!
ジュニア「…………」ゴクッ
マジシャン「あん?」チラッ
ジュニア「……っ」
マジシャン「……あいつ」
- 330 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:52:34.06 ID:+sVzkBK9o
師匠「おら、行くぞ!」
マジシャン「おうっ」ダッ
南方参謀「ど、どうするつもりなの……っ?」
大軍師「援護っ!!」
南方副司令「お、おうっ!」ズダッ
マジシャン「五行は俺が担う! テメーは回復に努めろいっ」
賢者「……ふぅ」
師匠「行っくぜぇ!」シュイイイイィィィィン
青年兵「――っ!?」
西方副司令「なっ、なんて数なの……っ!!」
師匠「シルフ、ハーピー、フェアリー、ニンフ、セイレーン、グリフォン、
カラドリウス、ペガサス、リャナンシー、モーショボー、サンダーバード」
マジシャン「いっくぞおおぉぉ!!」
大軍師「ジュニア殿っ、準備は!?」
ジュニア「お、おう……っ」
- 331 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:53:34.26 ID:+sVzkBK9o
キュイイイイィィィィ……
師匠「さぁーっ、どの召喚獣が当たりかなぁ〜?」
バッシュウウウウゥゥゥゥ!!
アスタロス「全てが対抗しうる召喚獣などという事は在り得ぬ」
師匠「だーからそう言ってんだろうが、ガハハ!」
アスタロス「……まずは、これだ」スッ
ニンフ「――ッ」
バチュン!! ボンッ!!
アスタロス「……次」
師匠「その前に、一斉突撃だ!!」
ゴウアッ!! ズガガガガガッ!!
南方参謀「すっごいコンビネーション! あんなの避けられないわよっ!」
アスタロス「違う。これも違うな」バシュッ!!
師匠「そっちが仕掛けてこねーならば、距離を取って召喚獣で攻撃するのみだっ」
アスタロス「……」
- 332 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:55:03.26 ID:+sVzkBK9o
師匠「とは言っても、お前さん……随分と召喚獣に精通してるみてーだなぁ」
アスタロス「……」ズバッ!!
セイレーン「〜♪」
アスタロス「これは音による知覚経由での精神攻撃」
師匠「本当に詳しいな、おい」
アスタロス「朱雀の召喚獣など、過去何百回戦った事か……」
師匠「おーおー、そんじゃあコイツもご存知だろうなぁ!」
シュイイイイィィィィン
アスタロス「全召喚解除……?」
師匠「本気の本気だっ、行けっ! コカトリス!!」
アスタロス「――――ッ!!」
コカトリス。その言葉にアスタロスの身は、一瞬ばかし硬直する。
その召喚獣がどういうものなのか理解していたからだ。しかしそれは今世の事ではない。
アスタロス(あの人間、コカトリスと言った。コカトリスとは確か……)
東方を含め何度か対峙してはいるが、召喚士とは1度も相見えていなかった。
- 333 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 17:56:09.13 ID:+sVzkBK9o
つまりアスタロスはそれ以前から知っていたという事になる。
アスタロス「能力は確か……石化っ!!」
最良の判断であった。コカトリスの石化は五行関係なく、
相手を一方的に石と化す恐るべき能力である。
ドッドオオオオォォォォン!! ズゴゴゴッ!!
せり上がる地面、そして凄まじい勢いで吹き付ける突風は、
明らかにコカトリスの石化を意識しての防衛手段であるのは明白であった。
アスタロス「……?」
それだけ警戒していた。間髪入れず、素早い行動であった。
しかしコカトリスが姿を見せる素振りは一向になかった。
アスタロス以外の一同にとって、それは当たり前の話であった。
大軍師「今ですっ!!」
マジシャン「力の限り、ぶっ放せええぇぇ!!」
ジュニア「……くっ!!」
ジュニアの火行、金行めがけ、大軍師の木行とマジシャンの水行、土行が付加される。
- 334 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/06(金) 18:00:57.04 ID:+sVzkBK9o
ドッドオオオオォォォォン!!
ジュニア「……っ」ビリビリビリッ
合体する五行の白い光が周囲に広がり、ジュニアの身体をも包み込む。
ジュニア(暖けぇ……。何だか、懐かしい感じだな……ハッハ……)
何も聞かなかった。聞いたところでどうにかなるものではないと分かっていたから。
ジュニア(やっぱりあれは……そうなんだよな……)
時折、その事を口にする母は幸せそうだった。生活に不自由もなかったから。
ジュニア(色々とあたんだけどなぁ……サッパリ出てこねぇや……ハッハ)
自分自身で直接会い、尋ねたかった。色々な思いを。自分への感情を。
ジュニア(やっぱ、面と向かって会っちまうと駄目なのかもなぁ……)
怒りであり哀しみであり怨みであり、そして目標であり尊敬であり、強大な壁である者。
ジュニア(ま、今はそんな事を言ってる場合じゃねぇわな……ハッハ)
恐らく、今はもうジュニアの魔力がマジシャンを圧倒しているであろう。
ジュニア(全てが終わったら、ゆっくりと話そうぜ……親父)
それでもなお自分を包み込む魔力のその寛大さに、ジュニアは尊敬の念を抱いていた。
- 336 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/06(金) 18:15:40.49 ID:ORMfNtxKo
やはり主人公はおっさんだったか
- 342 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/06(金) 18:43:44.61 ID:3mZqNyPDO
>>1乙
オッサンズかっこよすぎだろwwwwwwwwwwwwwwww
- 344 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/06(金) 19:37:21.71 ID:CApnaanPo
>>1乙!
やべーwwwwww
オッサンズの老獪さに超鳥肌たったwwwwwwwwww
- 346 名前:NIPPERがお送りします(三重県) [sage] 投稿日:2012/04/06(金) 20:51:29.74 ID:zRZ57HL10
>>1乙
オッサンズかっこよすぎだ・・・
これからはオッサンズの時代かwwwwww
- 350 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/06(金) 22:50:49.57 ID:EVP66qVIO
マジシャンはこれでも魔翌力半分なんだよな…
- 357 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/09(月) 17:52:49.52 ID:8IIsSSTao
南方参謀「出来たっ、五行よ!」
南方副司令「いっけぇ! ブチかませぇ!」
ジュニア「ぐ……っううぉ……っ」ズズゥ
マジシャン「集中しろっ! 惑わされず己の魔力だけに集中しろ!」
ジュニア「……!?」
マジシャン「でなけりゃ……命まで持ってかれるぜ? ハッハ!」
ジュニア「……っ」
ズゴゴゴゴゴゴ……
アスタロス「あれは……聖なる光か……ッ」
師匠「残念だったな、門番ちゃんよぉ」
アスタロス「……?」
師匠「あの光を浴びれば……いや、本当はあんなモン、使っちゃいけねぇんだろうけどよ」
アスタロス「……残念だ」
大軍師「……っ!?」
アスタロス「所詮、この程度とは……残念だ」
- 358 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/09(月) 17:53:16.63 ID:8IIsSSTao
ゴアァッ!!
ジュニア「な――っ!?」
青年兵(……やはり……っ)
東方参謀「こ、こやつ……まさか……っ!」
青年兵(やはりアスタロスは……五行を封じる為の、何かしらの術を持っている……っ!)
アスタロス「ハハッ、ハハハハッ!! ハーッハッハッハッハ!!」
ズオオォッ!! ドッドオオオオォォォォン!!
西方副司令「これは……っ!!」
大軍師「……先出の土行、木行に続き……残りの3行ですか……っ」
アスタロスは高らかに笑いながら、次なる魔法を自身の前へと放つ。
師匠「てんめぇ……」
アスタロス「まさかコカトリスがブラフとは予測出来なんだ」
青年兵「……っ」
アスタロス「しかしだ、此方の手も予測は出来なかったであろう?」
師匠のコカトリス防衛に撃ち放った魔法に加え、火行、水行、金行が放たれる。
- 359 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/09(月) 17:53:53.29 ID:8IIsSSTao
その意味は誰しもが理解する通り、言わば五行の完成である。
マジシャン「まずいぞっ! このままじゃ……」
アスタロス「貴様等の五行と此方の五行、それがぶつかり合えば……答えは1つ」
ズッガカアアアアァァァァ!!
西方副司令「きゃああぁぁーっ!!」
青年兵「くっ!」
ドッドオオオオォォォォン!! ズドドオオオオォォォォ……
アスタロス「そう。答えは相殺。これで貴様等の五行は封じた」
ジュニア「バ……カなっ、五行を相殺……だとぉ!?」
マジシャン「やってくれるねぇ……ハッハ」
南方副司令「かつて居たか、五行を相殺する魔物など……」
師匠「コイツはちーとばかし、勝手が違うみてぇだな……くそっ」
青年兵「大軍師さん……っ」
大軍師「……っ」
アスタロス「これで、打つ手なしだな。切り札も最早、あるまい」
- 360 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/09(月) 17:54:13.54 ID:8IIsSSTao
ドドオオオオォォォォ……
賢者「……ふぅ」
パアアァァァァ
エリート「ぐ……っく」
皇太子「すまぬ、助かった。ごほごほ……っ」
賢者「他の3人も無事だね……ふぅ」
南方司令「……五行も利かぬとはな」ザッ
西方司令「クソヤローが!! 次こそぶっ殺す!! いや……殺されるかな?」ドキドキ
エリート「……ツヴァイハンダーが折れ――」
西方司令「まだ半分残ってる! 気にすんな……いや、気にしないとまずいかなぁ?」
皇太子「さて、次なる手はどうするか」
エリート「ひとまずは距離を取り、大軍師の動きを待ちましょう」
皇太子「うむ。近づかねば攻撃を食らう事もないからな」
南方司令「それはそれで楽なのだが、これでは均衡を破れぬぞ」
西方司令「だがよぉ、さっきよりも毒が減ってねぇか? いや、減ってないか……」ソワソワ
- 361 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/09(月) 17:54:45.10 ID:8IIsSSTao
エリート「何?」ジーッ
皇太子「……確かに、気持ち減っているような気がしなくもない」
南方司令「どういう事だ?」
エリート(五行により魔力が低下したか? いや、そうは思えない。別物のはずだが……)
アスタロス「万策尽きたか。これで、貴様等の敗北は必死」
南方副司令「おいおい、こっちはまだ誰も死んでねぇ。それに、お前さんだって攻撃出来んだろうが」
西方参謀「だからこそだよ」
西方副司令「へ……っ?」
西方参謀「分からねーか? 敵さんはよ、間合いに入って仕掛けねぇ限り動かねぇ……ヒック」
東方参謀「言わば城なのだ。これは1匹の魔物に対する掃討戦というより、攻城戦に近しい」
南方参謀「こっちの勝利条件は開門。向こうの勝利条件は……」
南方副司令「そ、そうか……っ。結局のところ、均衡したままじゃ相手の思うツボ……!」
西方副司令「門を守る事があの魔物の任務ならば、開門出来ない限りこっちは……」
青年兵「そうです。自分の能力もあるでしょうが、だからこそ奴は動かない」
大軍師「門さえ守ればそれでいいのですからね……」
- 362 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/09(月) 17:55:55.26 ID:8IIsSSTao
アスタロス「理解したか? 私はここを動かぬ。何年だろうと、何十年だろうとな」
マジシャン「ハッハ! そんなに時間かけてらんねぇんだよ」
ジュニア(だが五行は通じない……っ。どうすればいいんだ……っ)ザッ
東方参謀「どう見るのだ?」
大軍師「あれは五行が利かない、というよりも、五行を相殺していましたからねぇ」
西方参謀「五行が通用しないなんて事は在り得ねぇんだ。絶対によぉ……ヒック」
大軍師「如何にも。それが万物の真理というものです」
西方副司令「でもっ、実際に通用しなかったじゃないっ」
西方参謀「ありゃあ、同等の魔力で作り出した五行に相殺されただけだって言ってんだろ」
南方副司令「えぇとだな、つまり……」
青年兵「外部からではなく、内部より五行を叩き込めば良いんです」ザッザッ
東方参謀「そういう事だな」
西方副司令「な、内部……? どうやってそんな事……」
大軍師「シンプルな話です。付加してアスタロス自身に放てば良いのです」
西方参謀「シンプルかつ最も過酷な策だけどなぁ……ヒック」
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