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少女「治療完了、目を覚ますよ」 セカンド −オリジナル小説
- 308 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga]
投稿日:2012/11/09(金) 19:46:11.64 ID:uvzKjyfN0
「私は本気よ、意識だけのマインドスイーパー。
彼の刀から手を離しなさい」
「あらあら……網原さん。少し見ない間に、すっかり大人びちゃって」
面白そうにフフフと笑い、真矢は一貴の刀から手を離し、
白衣のポケットに手を突っ込んだ。
軽く目を閉じて、一貴と汀に刀を突きつけられながら、
しかしそれを全く意に解していないように、彼女は続けた。
「自殺病は完全に治ったみたいね。良かった」
「自殺病……?」
汀はそう呟いて、怪訝そうな瞳を真矢に向けた。
「私のこと……?」
「なぎさちゃん、聞く耳を持つな!
こいつはただの意識の集合体、プログラムの塊だ!」
- 309 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:46:48.33 ID:uvzKjyfN0
「人間の意識なんてプログラムのようなものよ。
所詮機械で制禦できる。
あなた達子供には、難しすぎる話かもしれないけど」
「僕は子供じゃない……!」
一貴はそう吠えて、日本刀を振りかぶった。
金属音がして、火花が散った。
真矢が、いつの間に何を変質させたのか、
一貴のものと全く同じ日本刀を片手に持って、
彼の斬撃を受け止めていた。
瞬きをする間に、今度はもう片方の手で汀の刀を受け止め、
彼女は二人のマインドスイーパーを簡単に押し戻し始めた。
「患者の治療を、邪魔しないでもらえるかな?」
「させるか! 僕の目的はあんたの消滅だ!」
- 310 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:47:28.07 ID:uvzKjyfN0
一貴がそう叫んで日本刀を持つ手に力を込める。
マイクの向こうで圭介が息を呑むのが汀には分かった。
しかし、真矢の力は物凄く、両腕に力を入れて踏ん張っていても、
徐々に体が押されて後ろに下がっていく。
「網原さん、あなたは自殺病にかかって全ての記憶と過去を失ったようね」
真矢はそう言ってまたくぐもった声で笑った。
「私は自殺病になんてかかって……」
「まだそれは思い出していないのね。いいわ、教えてあげる……」
一貴を吹き飛ばし、彼が床に開いた大穴を飛び越えて壁にぶつかり、
もうもうと土煙を上げてめり込んだのを確認し、
真矢は汀の刀も簡単に捻り上げて吹き飛ばした。
汀はくるりと回って壁を蹴り、床に降り立った。
そして真矢を挟んだ対角側で、一貴が床に崩れ落ちて大量に血を吐き出したのを見る。
- 311 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:48:03.85 ID:uvzKjyfN0
「いっくん!」
「おっと、動かないほうがいいよ」
真矢がそう言って、日本刀を振った。
「ただのスカイフィッシュと小娘ごときに、どうせ私は止められない」
彼女は両腕に、自分の身長よりも大きな連装機銃……
つまるところガトリング銃を構えていた。
本能的に危険を察知した汀がその場に停止する。
「……網原さんは生きてる『私』が、
最後に治療した重度の自殺病患者。だから私も覚えてる」
「なぎさちゃん……自殺病にかかってたのか……」
無理やり起き上がろうとした一貴に無数の銃口を向け、
真矢は引き金を引こうとして……。
- 312 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:48:48.15 ID:uvzKjyfN0
「やめて!」
汀の叫び声で、指を止めた。
いつの間にか、汀は両手で小さな短銃を構えて真矢に向けていた。
そのちっぽけすぎる抵抗を受けて、真矢は面白そうにまたフフフと笑った。
「何、それ。せっかくの夢の中なのに、
そんなものくらいしか具現化できないの?」
「あなたのしようとしてるのは、治療じゃない!
患者の精神内に入って、完全に区画……理性ごと
自殺病のウィルスを破壊するつもりなんでしょ?
そんなことはさせない! 私を惑わせようとしても無駄よ!」
「別に惑わせようとしてるつもりもないし……
あなた達じゃ止められない。
だって『私』はもう既に、患者の中に入っているのですもの」
汀の背後から声が聞こえ、彼女は慌てて振り返ろうとして、
首を掴まれ、壁に叩きつけられた。
- 313 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:49:23.22 ID:uvzKjyfN0
空気を吐き出した汀の目に、
少し離れたところでガトリング銃を構えている真矢と……
自分のことを壁に押さえつけている真矢が映る。
一貴の脇にも三人目の「真矢」がどこからか現れていて、
彼を羽交い絞めにして首を押さえつけていた。
「ど、どうして……」
呟いた汀に、もがきながら一貴が怒鳴った。
「こいつらはプログラムだ!
いくらでも複製がきくんだ、早く抜け出して!」
「あなた達の精神を、麻痺させてもらうわ」
三人の真矢が同時にそう言って、ニヤリと醜悪に笑う。
『くそ……汀、「T」を投与した! 効果時間の間に何とかしろ!』
圭介の声がマイクから響く。
- 314 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:50:01.77 ID:uvzKjyfN0
押さえつけられていた汀の姿が消えた。
「え……」
呆然とした背後の真矢の首が、落ちた。
凄まじい勢いで血液が噴出し、辺りの壁を真っ赤に染める。
崩れ落ちた首なし死体に構うことなく、
汀は地面を蹴って、片手に日本刀を持ち、
もう片手に短銃を持ちながら飛び上がった。
実に人間には不可能な程の勢いで、彼女は床に開いた大穴を飛び越えがてら、
一貴を押さえつけている真矢に短銃を向けた。
次の瞬間、汀の銃が火を吹き、二人目の真矢がもんどり打って地面に倒れた。
そのまま汀は、目にも留まらぬ勢いで日本刀を振りかぶって、
反応が遅れているガトリング銃を構えている真矢に振り下ろした。
袈裟斬りに斬られて、三人目の真矢が胸から血を吹き出しながら崩れ落ちる。
- 315 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:50:36.81 ID:uvzKjyfN0
荒く息をついて膝をついた一貴の脇に着地して、
汀は四つん這いになり、ものすごい勢いで胃液を吐き出した。
血が混じっている。
「なぎさちゃん!」
慌てて一貴が汀を助け起こす。
汀は体を細かく痙攣させて震えながら、
一貴を吐き出した血と胃液で濡れた手で掴んだ。
そして自分の方に向けて引き寄せる。
一貴の背後から伸びた手が、彼の首を掴もうとしていた。
手が空を切り、一貴は振り向きざまに日本刀で、
背後から来た四人目の真矢を斬り飛ばした。
しかしそこで、汀と一貴、二人の目が見開かれた。
- 316 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:51:19.09 ID:uvzKjyfN0
彼女達はいつの間にか、ポケットに手を突っ込んだ
数十人の真矢に囲まれていた。
彼女達全員が一斉にポケットから拳銃を取り出し、二人に向ける。
「今患者全員の『治療』を『私』が開始したわ。
あなた達は間に合わなかった。タイムオーバーね」
数十人が一度に口を開く。
巨大なスピーカーからの音のようにウワンウワンと響く
真矢の声の中で、汀は悲鳴のような声を上げた。
「どうすればいいの!
増殖するプログラム相手じゃ勝ち目がない!」
『分裂してるのか……! 汀、そこから離れて帰還しろ!』
「でも患者が……」
『もう止められない! 安全な場所まで逃げろ!
回線を強制遮断するまでの時間を稼げ!』
- 317 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:51:51.66 ID:uvzKjyfN0
圭介が怒号を発する。
『真矢! 満足か……お前はそれで、満足なのか!』
数十人の真矢は、圭介の声に反応するでもなくフフフと不気味に笑った。
「大丈夫、なぎさちゃんだけは逃がす。僕以外の奴に君が殺されるなんて、
そんな未来まっぴらごめんだ!」
一貴はそう怒鳴って、壁を背にしながら汀をかばいつつ立ち上がった。
その時だった。
不意に数十人の真矢の動きが一斉に止まった。
「くっ…………電力供給量が圧倒的に足りない…………」
一人の真矢がそう呟くと、別の彼女が続いた。
「全てのシステムを一時凍結。強制切断、ラインの暗転を確認」
- 318 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:52:19.86 ID:uvzKjyfN0
「MAYAシステムのシャットダウンを開始。切断まで残り三十秒」
「駄目……また、また暗闇は嫌……やっと出れたんじゃない……
やっと外に出れたんじゃないの?
私をまたあそこに閉じ込めるの?
私のことを、また閉じ込めるの……?」
真矢達が肩を抱いて銃を取り落とし、絶叫するように苦しみ始める。
「榊……健吾……助けて! 私また戻りたくない!」
『…………』
「圭介!」
呆然としていた圭介に、マイク越しに汀が怒鳴る。
『回線を強制遮断するぞ!』
ハッとして圭介が叫ぶ。
- 319 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:53:10.72 ID:uvzKjyfN0
「待って、なぎさちゃん!」
慌てて一貴が汀に向かって手を伸ばした。
汀はそっとそれを握り返そうとして……その姿がフッと消えた。
沢山の真矢は、いつの間にか消えていた。
一貴はしばらくの間停止していたが、
やがて目の前で一人に戻って、肩を抱いてしゃがみ込み、
震えている真矢に近づいた。
「……真矢先生、お久しぶりです。
夢の中で、前は何度もお会いしていましたね。
僕に、変質のイロハを叩きこんでくれたのも、あなただった」
真矢の体がピシピシと音を立てて石灰のように
白い塊になり、崩れて落ちていく。
「……まだ、システムは未完成なんだ……いける……」
- 320 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:53:37.12 ID:uvzKjyfN0
一貴はニヤァ、と口を裂けるのではないかと言わんばかりに開いて、
パンッ、と壁を平手で叩いた。
そこに古びたドアが出現する。
それを開き、彼はクックと笑い呟いた。
「なぎさちゃん、すぐに迎えに来るからね……」
一貴が扉の中の黒い空間に体を踊らせる。
そこで、天井の蛍光灯が一斉に、音を立てて消えた。
- 321 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:54:10.11 ID:uvzKjyfN0
★
「そんな……システムエラー……ダウンだと……?」
大河内が呆然と呟いて、膝をつく。
圭介はそれを冷めた目で一瞥してから、周囲に声を張り上げた。
「片平理緒さんの手術を開始してください!
治療術式は中止だ! 患者の脳接続を全て切るんだ!」
「馬鹿な! システムは完璧だったはずだ!」
大河内が後ろ手に手錠をかけられたまま、大声を上げる。
圭介は頭からヘッドセットをむしりとると、それを床に叩きつけた。
そして大河内に近づいて、
ためらいもなくその腹に無事な方の足の爪先を叩き込む。
- 322 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:54:37.97 ID:uvzKjyfN0
「ドクター高畑! 何をするんですか!」
ジュリアが慌てて彼を抑えて止める。
「よくも……よくも真矢を……」
ギリギリと歯を噛み締めながら、
圭介は殺気を帯びた視線を大河内に落とした。
しかし彼はそれ以上言わずに言葉を押し殺すと、
無理やりにそれを飲み込んで背中を向けた。
- 323 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:55:23.46 ID:uvzKjyfN0
★
圭介は薄暗い病室の中で一人、備え付けの電話の受話器を手に取り、
しかし思い直してそれを元の位置に戻した。
そして懐から携帯電話を取り出し、窓際に移動してからダイヤルする。
しばらくコール音が鳴り響き、やがて人を食ったような
朗らかな調子の青年の声が聞こえた。
『やあ、大変だったようじゃないか。聞いてるよ』
「…………」
『機関は彼女とテロリストを交戦させようとする筋書きまでは
組んでいたけど、まさかシステムが自壊してダウンするとまでは
予想できなかったようだ。大騒ぎだ』
「……知ってたな。ナンバーIシステムの凍結が解除されたことを。
何故俺に黙っていた!」
- 324 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:55:58.56 ID:uvzKjyfN0
『僕は君の協力者であって、奴隷じゃないからね。
聞かれてもいないことを答える義理はない』
淡々と冷たく返され、圭介は口をつぐんだ。
『相変わらず真矢ちゃんのことになると見境なくなるな。
今回の君の軽率な行動で、網原汀という大事なコマが、
自分自身の持つ贖罪の意味に気づき始めてる』
「…………」
『冷静になれよ、高畑。僕達が「真矢」と呼んだ人間はもう死んだ。
僕のように』
クックと笑い、電話の向こうの声は続けた。
『僕達は生きてはいない存在だ。
人間の本質が肉体になるのなら、もうとっくに死んでる。
いつも思うよ。僕達って、一体何なんだろうって』
「…………」
- 325 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:56:30.67 ID:uvzKjyfN0
『高畑……いや、中萱(なかがや)、僕は君のことが嫌いだ。
大前提として、それを忘れないでもらいたいね』
「坂月……」
歯ぎしりして声を絞り出した圭介に、
電話口の向こうの青年は面白そうな笑い声を返した。
『おっと、「中萱榊」という名前はもう捨てたんだっけか?
あの頃もそう言ってたな……君はいいよな。
そうやって自分に都合の悪いものを全て僕達に押し付けて、
自分だけはのうのうと安全な場所に居続けようとする。
腐った根性だ』
「…………」
『だから真矢は死んだんだよ。僕も、それに巻き込まれた。
君は一加害者の一人であって、被害者面をしてほしくないものだ』
坂月と呼ばれた声は、淡白な調子で吐き捨てた。
- 326 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:57:08.45 ID:uvzKjyfN0
『網原汀にすべてを悟らせるのはまだ早い。
テロリストとも、もう接触をさせない方がいい。
あの少年は、知らなくてもいいことを知りすぎてる。
多分真矢のコピーが教えたんだ』
「……コピーでもいい。真矢を助けたい。協力しろ」
押し殺した声でそう呟くように言った圭介に、少しの沈黙の後坂月は言った。
『僕に助けを求めるなんて、君も相当追い詰められてるな』
「するのか、しないのかどっちだ」
『……いいよ。真矢ちゃんのことは、僕にも責任がある。
赤十字グループの思うとおりにはさせない』
「…………」
『網原君を、テロリストが動きを止めている隙に
「三十五番のエーゲ海」にダイブさせるんだ。
そこで、僕は彼女と話をしたい』
- 327 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:57:41.17 ID:uvzKjyfN0
「分かった」
圭介はそう言うと、ブツリと一方的に電話を切った。
そして苛立ったように携帯電話をベッドに投げ捨て、
どっかと椅子に腰を下ろす。
病室の隣に、ガラス張りの無菌室が設置されている。
精神と肉体の傷は、時として連動することがある。
そこには体中いたるところに包帯を巻かれた汀と理緒が、
多数の点滴と機材に囲まれて静かに眠っていた。
中にはまだ医者や看護師が動いている。
そこで圭介は、入り口のベルが短く鳴ったのに
気がついて立ち上がった。
そして松葉杖を鳴らしながら鍵を開ける。
- 328 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:58:16.94 ID:uvzKjyfN0
そこには、SPも連れずに青い顔をしたソフィーが立っていた。
「何だ……君か」
呟いた圭介に、ソフィーはぶっきらぼうに手に持った資料を差し出した。
「随分前にあなたに依頼された人間の、
夢座標の位置を割り出したわ。受け取って」
「天才にしては随分遅かったじゃないか」
「私も暇じゃないから」
髪をかきあげ、ソフィーは嘲るように圭介を見た。
「……あなたも随分悪趣味なことするわね。
他人の夢座標を勝手に割り出すのは、犯罪よ」
「だが医者ならばそれが許される」
暗い表情のまま、圭介は資料をめくって目を通した。
- 329 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:58:48.66 ID:uvzKjyfN0
その口元がニヤァ、と開かれる。
ソフィーが一瞬それを見てビクッとした程、不気味な表情だった。
「……成る程、『三十五番のエーゲ海』か……」
圭介はそう呟いて、ソフィーに目をやった。
「なぁ、暇なら俺達のことを手伝わないか?」
「暇じゃないわ。もう金輪際こんなことはご免よ」
「つれないな……君のその左腕を治してやれると言ってもか?」
「え……?」
スカイフィッシュのチェーンソーで斬られてから、
機能しなくなっている自分の腕をソフィーは見た。
「……どういうこと?」
「とりあえず中に入れ。話はそこでしよう」
- 330 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 19:59:25.88 ID:uvzKjyfN0
圭介は戸惑うソフィーを招き入れ、小さく笑った。
「赤十字を、ただじゃ済まさない。
君も個人的に恨みがあるようだな。協力体制といこうじゃないか」
「…………」
「俺達の『治療』の開始だ」
暗がりで圭介の表情をよく見ることができない。
だがソフィーは、彼の目を直視することができなかった。
それほど圭介の目は、激しい殺気と狂気を帯びていて。
およそ常人がすることのできない表情をしていたからだった。
眠っていた小白が頭を上げて、彼のことをじっと見上げた。
汀の腕に繋がれた点滴が、ピシャンと水滴を落とした。
- 331 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/09(金) 20:00:21.22 ID:uvzKjyfN0
☆
お疲れ様でした。
次回の更新に続かせていただきます。
ご意見やご感想などがございましたら、
ぜひ一言いただけますと嬉しいです。
それでは、今回は失礼させていただきます。
- 333 名前:NIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage] 投稿日:2012/11/10(土) 01:09:11.81 ID:9nE9Fnjq0
乙!!
戦闘中、緊張感の表現がすごいといつも思う。
- 335 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2012/11/10(土) 06:50:32.34 ID:yzbLDYNAO
ナンバー1と大河内の本性が明らかになった訳だが、まだまだ裏切りの予感が止まらない。
ソフィーに手を出すな!SP仕事しろ!
- 336 名前:NIPPERがお送りします(埼玉県) [sage] 投稿日:2012/11/13(火) 06:10:09.55 ID:zPW5NPBFo
乙乙!
ドロドロやなぁ
分からなさそうで分かりやすい
文才あり過ぎワロタ
- 337 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/11/16(金) 18:13:09.15 ID:eG6RqRhIO
一歩間違えばわけが分からなくなるのに、よく破綻しないもんだ
- 342 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/11/30(金) 19:07:49.19 ID:GZXfwDir0
こんばんは。
遅れてしまい申し訳ありませんでした。
体調を崩したりしておりまして、なかなか続きが書けませんでした。
18話から再開いたしましたので、書けた部分から掲載させていただきます。
少しずつの投稿になりますが、ご了承いただければと思います。
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