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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その23
- 285 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2010/12/28(火) 23:28:37.14 ID:7fpkNkco
…
召喚士「お待たせしました」
盗賊「遅かったな」
召喚士「すみません、薪を割っていたもので…」
盗賊「…?」
テクテクテク…ゴトッ
召喚士「ふーっ。これでよし…っと」
盗賊「…どうする?早速行くか?」
召喚士「そうですね。まだ時間もありますし行ってみましょうか」
盗賊「…うん」
ゴソゴソッ
召喚士「荷物は…こんなもんでいいかな?」
盗賊「……寝泊りするわけではないしな」
召喚士「ですね。それじゃ行きましょうか」
盗賊「…ああ」
- 286 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 23:29:32.35 ID:7fpkNkco
テクテクテク…
召喚士「馬で行きます?」
盗賊「……どちらでも」
召喚士「今が昼だから……時間を考えると馬がいいですね」
盗賊「…ああ」
グイッ…パッカパッカパッカ
召喚士「まずは道の確認と村の確認だけにしておきましょう」
盗賊「……同意」
召喚士「では……っ!」
グイッ…ドドッドドッドドッ…
召喚士(本当に道もないんだなぁ……)
盗賊(太陽の位置と左右の山の形状は把握)
召喚士(おおよそ10分でこの距離か。次の10分はと…)
盗賊(……あの岩は目印になりそうだな。これなら大丈夫、迷う事はない)
召喚士と盗賊の駆る馬は、ひたすら真っ直ぐに廃墟の村を目指し走る。
- 287 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 23:30:21.10 ID:7fpkNkco
ドドッ…パッカパッカパッカ…
盗賊「……ここか」
召喚士「そうみたいですね」
〜廃墟の村〜
スタッ…テクテクテク…
盗賊「……ひどいものだな」
召喚士「ええ…。本当ですね……」
一面廃墟と化した『村』だったもの。その惨状に二人は息を飲み、
更にその奥へと続く陰りの向こうへ、重い足を一歩一歩進める、
召喚士「本当にこんな所にいるんですかね……」
盗賊「…どうだろうな」
召喚士「人の気配とかあります?」
盗賊「……いや」
召喚士「……そうですか」
盗賊「…うん」
- 288 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 23:30:58.09 ID:7fpkNkco
テクテクテク…ザッ
召喚士「……うーん、どこも人が住んでいるような気配はないなぁ」
盗賊「……こっちも…何もなかったぞ」
召喚士「でも、国軍の情報が嘘だとは決して思えないし……」
盗賊「…と、なると」
召喚士「残るは……地下か」
盗賊「…だな」
召喚士「地下へ行けそうな所と言えば……」
盗賊「…あの古井戸か…あっちの丘の辺り」
召喚士「…まずは井戸から調べましょうか」
盗賊「…うん」
テクテクテクテク…
召喚士「……これですね」
盗賊「…これですな」
召喚士「…えぇと」
- 289 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 23:32:04.68 ID:7fpkNkco
足元に転がる小石を拾い上げ、召喚士は古井戸の中へと放る。
ポイッ…………
召喚士「……ん?何も音がしない」
盗賊「……水が枯渇してるようだな」
召喚士「……行ってみます」
盗賊「…大丈夫か?私が行こうか?」
召喚士「いえ、ここは俺が……」
トスッ
召喚士「この縄…切れないだろうな……」
グイグイッ…スタッ
召喚士「よし、行ってき……」
プチンッ
召喚士「まああぁぁーっ!!」
盗賊「召喚士!?」
ドスンッ!!
- 290 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 23:32:42.35 ID:7fpkNkco
召喚士「……ってえぇ!!」
ググッ…ヨロッ
盗賊「おーいっ!大丈夫か!?」
召喚士「だっ、大丈夫…です…っ」
盗賊「……良かった」
召喚士「土で埋まって思ったより浅かったです」
盗賊「…今、助けるっ」
ジャラッ…シュルシュルッ
盗賊「……どうだ?」
パシッ
召喚士「ありがとうございます。大丈夫そう……」
盗賊「…引っ張るぞ」
グイッ…グッ…
召喚士「大丈夫ですか…っ?」
盗賊「…重いけど…何とかなる」
- 291 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 23:33:42.84 ID:7fpkNkco
グッ…グッ…グッ…
盗賊「……っ」
グイイィ!!
召喚士「……っはぁ!!」
盗賊「…お疲れ様」
召喚士「ほんと、すみません……」
ドサッ
召喚士「はーっ、ビックリした……」
盗賊「…縄が駄目になっていたようだな」
召喚士「……本当だ」
盗賊「…もっと用心するべきだった」
召喚士「はは…っ、本当……」
バッ!!
召喚士「……っ!!」
盗賊「……どうした?」
- 292 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 23:40:48.94 ID:7fpkNkco
召喚士「こ……この縄…っ!!」
盗賊「…?」
召喚士「見て下さい!ここ、何か鋭利な物で切った後が……」
盗賊「わ、私じゃないぞ……っ!?」
召喚士「分かってますよっ。これ…予め切れ目を入れてあったんですよ!」
盗賊「何っ!?」
召喚士「そこまで古くないと思って油断してました…っ」
盗賊「…つ、つまりどういう事だ?」
召喚士「俺達が来る前に、何者かが仕掛けておいたと言う事です」
盗賊「……何の…為に」
召喚士「……あ」
盗賊「え…?」
召喚士「女侍さん達のアジト……」
盗賊「……あぁ!」
召喚士「あそこも色々な罠が仕掛けてあった……っ!」
- 293 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/28(火) 23:43:02.63 ID:7fpkNkco
盗賊「……と、いう事は!?」
召喚士「やはり…ここにいる可能性が高いですね!」
盗賊「……ああ」
召喚士(しかし……)
盗賊「……?」
召喚士「…あ、これで地下にいる事は間違いなさそうです」
盗賊「…そうなのか?」
召喚士「地下への警告、という意味じゃないでしょうか」
盗賊「……あぁ」
召喚士「命を奪うつもりはなかったようですけどね」
盗賊「……」
召喚士「とにかく、残るはあっちの丘ですね」
盗賊「…うん」
召喚士「丘には民家意外に……」
盗賊「……教会だな」
- 295 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage] 投稿日:2010/12/29(水) 01:07:24.94 ID:BR59hqY0
>>1乙。
何やら大軍師から某駄肉様成分が…。
- 298 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage] 投稿日:2010/12/29(水) 07:26:52.70 ID:glppmmso
このスレをリメイクしたらラノベが1シリーズかけるなぁ
- 299 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage] 投稿日:2010/12/29(水) 08:33:50.36 ID:Q7mUG2AO
>>1乙
今年は実家へ帰らせていただきます
それまで少しの間お別れだね…愛しの魔導師ちゃん
離れていても寝るときも起きていても僕はずっと君を想っているからね
変な男につかまらないよう気をつけてね
- 300 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/12/29(水) 16:48:37.80 ID:2UAFZNgo
>>295-297
駄肉様?
>>298
リメイク…は死ねますね。冒頭だけでおながいします…
>>299
王子「今年もお世話になりました!来年も宜しくお願いします!えへへ!」
↓続き
- 301 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/29(水) 16:49:23.80 ID:2UAFZNgo
テクテクテク…ザッザッ…
召喚士「これか……」
盗賊「……」
二人の前に佇むは、小高い丘の上にひっそりとそびえ立つ教会。
……とは言っても、屋根や戸は半壊し、面影は割れたステンドグラスや
傾きながらもかろうじて残っている十字架程度である。
召喚士「……」
テクテクテク…ミシッ
召喚士「大丈夫かなぁ……」
盗賊「……また、罠があるやもしれんな」
召喚士「…気をつけます」
テクテクテク…
召喚士「何か……ありそうですか?」
盗賊「……いや」
召喚士「……うーん。ここも違うのかな?」
- 302 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/29(水) 16:50:02.36 ID:2UAFZNgo
テクテクテク
召喚士「左右の通路から奥に繋がってますね」
盗賊「…行ってみるか」
召喚士「はい」
テクテク…ザッザッザ
盗賊「……」
ガチャッ…テクテクテク
召喚士「……何ないですね」
盗賊「…地下への階段も見当たらんな」
召喚士「隣の部屋へ移りましょうか」
何に使っていたのかさえも分からぬ様な状態の部屋。
召喚士と盗賊は一つ一つ、それらを警戒しながら調べていく。
…
召喚士「……何もないですね」
盗賊「…だな」
- 303 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/29(水) 16:50:43.42 ID:2UAFZNgo
ザッザッザ
召喚士「予想が外れたか。でも、村の外とも思えないし……」
盗賊「召喚士っ!!」
召喚士「何かありましたか!?」
タッタッタ
礼拝堂の最奥部分。盗賊がしゃがみ込みじっと見つめている。
召喚士「どうしました!?」
盗賊「…見てくれ」
召喚士「…これは…っ!?」
盗賊「…机の下、うまく隠しているが埃の切れ目がある」
召喚士「机をどかしてみましょう!」
盗賊「…ああ」
ズズッ…ズズズッ
召喚士「……あった」
盗賊「…開けるぞ」
- 304 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/29(水) 16:51:17.78 ID:2UAFZNgo
ギギッ…ドスン
盗賊「……」
召喚士「…大丈夫そうですね」
盗賊「…罠がないという事はつまり」
召喚士「ここが正解……」
シュタッ…キョロキョロ
盗賊「…うん。中も問題ない」
召喚士「奥はどうです?」
盗賊「…一本道だな。風がある…先に開けた場所がありそうだ」
召喚士「行ってみましょうか」
テクテクテク
召喚士「行けっ!サラマンダー!!」
シュイィィン
サラマンダー「…あのな、人様を松明か何かと勘違いしとらんか?」
召喚士「い、いえ…。でもこういう使い方もあるのかなぁ…と」
- 305 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/29(水) 16:51:44.60 ID:2UAFZNgo
サラマンダー「じゃかあしい!」
召喚士「…ご、ごめんなさい」
盗賊「…行くぞ」
スタスタスタ
サラマンダー「仕方ない。今回は巨乳のネーチャンに免じて……」
盗賊「よ、余計な事を申すなっ!」
サラマンダー「へいへい……」
スタスタスタ
サラマンダー「そーいや、今日は二人なんやなぁ」
召喚士「ええ。別行動です」
サラマンダー「…ふーん。まぁどうでもいいけど」
召喚士「……」
盗賊「…ん?」
召喚士「ありましたかっ!?」
盗賊「……多分この奥、空洞になってる」
- 306 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/29(水) 16:52:13.48 ID:2UAFZNgo
フワッ
サラマンダー「ほな、ちょーっと見て来てやるわ」
召喚士「ありがとうございます」
サラマンダーが炎の尾を引き、正面の暗闇を照らしながら舞い進む。
召喚士「……あっ、本当だ」
盗賊「…一瞬見えたな。進もう」
召喚士「ええ」
スタスタスタ
サラマンダー「おーう、部屋になっとるぞ」
盗賊「…気配はないな」
召喚士「確かに……誰かが住み着いている形跡がありますね」
盗賊「……ああ。しかも古くはない」
ザッザッザ…コトッ
盗賊「…ごく最近だな」
召喚士「……」
- 307 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/29(水) 16:52:40.11 ID:2UAFZNgo
スタスタスタ…
召喚士「一人ではないですね。複数です」
サラマンダー「ほー、そんな事まで分かるんか」
召喚士「一人にしては食器の量が多すぎます」
水に付けられたコップを指差し、召喚士はサラマンダーへ答える。
盗賊「…それに毛布や――」
召喚士「!?」
盗賊「……し、下着…っ」
サラマンダー「なるほどなぁ。そーいう物で分かるっちゅー事かい」
召喚士「しかし誰もいないんじゃ仕方ないですね」
盗賊「…待つか?」
召喚士「そうですね。物色するのも悪いですし……」
盗賊「…金目の物もなさそうだ」
召喚士「一度、出ましょうか……」
盗賊「…ああ」
- 308 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/29(水) 16:53:06.90 ID:2UAFZNgo
テクテクテク
召喚士「しかし、待つにしてももうじき日没…」
盗賊「…あまり費やしたくはないな」
召喚士「ええ…」
盗賊「……」
召喚士「もう一度周囲を見てきます」
盗賊「…それなら私が行ってくるよ」
スクッ…テクテクテク
召喚士「盗賊さん!?」
盗賊「…大丈夫。任しておけ」
テクテクテク…シュバッ!!
召喚士「……」
タタッ…タタタッ
盗賊「……」
日は暮れ始め、黒く淀んだ村も、更にその闇を増してゆく。
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