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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
631 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 00:00:44.19 ID:TfsJe7Weo
盗賊「つまり、北の城からの陸路と……」

戦士「東からの海路に分かれるわけだな」

名代「左様」

青年兵「内訳はお決まりで?」

名代「東方側については、既に考えておりまする」

東方参謀「聞かせて頂きたいな」

名代「主力は東側より海路にて北進致したい考えておりまする」

青年兵「同感です。その為に私達も船を用意したわけですから」

南方参謀「船は最新鋭の大型艦を4隻」

家老「おぉ……っ!」

名代「感謝致しまするぞ」

西方参謀「それで、北の城からはどうするんで……?」

名代「陸路は降雪により行軍が困難な為、少人数での編成とし、進みたいと考えております」

盗賊「確かにあの辺りは、厳しい道のりであった……」

青年兵「少人数の編成というのは……?」


632 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 00:01:12.94 ID:TfsJe7Weo
トントン

名代「北と東以外に、こちらから陸路の援軍が参ります」

召喚士「そ、そこって……」

盗賊「……藤蔵」

名代「左様。こちらから北進し、北の砦を目指します」

召喚士「先日、ヤマタノオロチ戦で訪れた場所ですね」

戦士「しかし、それなら全員で東から行けばいいんじゃないのか?」

名代「先程も申したように、冬の海路はかなり険しいものがあります」

東方参謀「本国の船をもってしてもか……」

名代「ええ。それに妖どもはおそらく、海路という発想はないはずですからね」

南方参謀「そうなんですか?」

帝「東方の船は脆弱ゆえ、今まで開戦の経験など皆無であるからな」

西方参謀「つまり魔王軍は陸路に集中してるって事?」

名代「居れば、ですがね。ここ最近の動向からすれば、可能性は低いと思われますが」

帝「かと言って、楽観視は出来ぬがな」


633 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 00:01:39.61 ID:TfsJe7Weo
戦士「そういう事だったら俺らも陸路から進もうぜ」

盗賊「藤蔵が絡んでおるのなら、むしろ望むところよ」

名代「良いのですか? 今、上様が申した通り、危険を伴う可能性も……」

戦士「どこにいたって危険は危険ってもんだ。それが戦いだろ?」

名代「……確かに」

東方参謀「それで、進軍はいつから行うのだ?」

名代「我らはいつでも構いません」

帝「しかし本国の皆も着たばかり。疲れも癒えておらぬであろう」

青年兵「いえ、私達は問題ありません。いつでも構……」

召喚士「……?」

青年兵「申し訳ありません。やはり、数日頂いても宜しいでしょうか?」

帝「此方の都合は気にせずとも良い。好きにし給え」

青年兵「ありがとうございます」

南方参謀「何かあるの?」

青年兵「特遊の到着もまだですし、ちょっと気になる事が……」


634 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 00:02:12.39 ID:TfsJe7Weo
召喚士「気になる事?」

青年兵「あ、ええ。後でお話致します」

召喚士「……?」

名代「具体的な日程は明日以降、慎重に決めていきましょう」

西方参謀「限られた時間の中だが、焦りはミスを生みますからなぁ……ヒック」

帝「難しい話はこれくらいにして、後の時間は楽しく――」

カラッ

魔道士「……あれ? もう終わっちゃいました……?」

青年兵「魔道士さんっ!?」

魔道士「あ、青年兵さんに……本国の皆さん……っ」

南方参謀「さっきから見かけないと思ったら……どこか行ってたの?」

魔道士「あ、えっと……看病……」

スタスタスタ

東方司令「……いやいや、先程は失礼し――」

東方参謀「……き、貴様は!?」


635 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 00:02:58.94 ID:TfsJe7Weo


東方司令「……いや、だからボクも悪かったと謝っているだろ」

東方参謀「何をぬかすか! いくら遊撃を任されたからとはいえ東方に来るなど」

東方司令「こ……これはだなっ、来るべき決戦に備えてだな……」

戦士「なんつう言い訳だ……」

青年兵「……」

帝「すまぬ。私が剣術の稽古で引き止めてしまったのだ。罪は私にある」

東方参謀「いやいやっ、そんな滅相もない」

帝「どうか許してやっては貰えぬだろうか」

東方参謀「……ええい、帝陛下に言われては仕方あるまい」

帝「良かったの」

東方司令「ええ、良かった良かった!」

東方参謀「貴様は反省というものを知るが良い!」

召喚士「あははははっ!」

青年兵「召喚士さん、ちょっと……宜しいですか?」


636 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 00:03:27.98 ID:TfsJe7Weo
召喚士「ん?」

青年兵「じつはその、予言の事で」

召喚士「!?」

盗賊「……」

青年兵「……ちょっと場所を移しましょうか」

召喚士「……そうだね」スクゥ

戦士「何だ? 連れションか?」

召喚士「戦士……」

戦士「……冗談だよ。難しい話なんだろ? 行ってきな」グビッ

召喚士「……もう」

スタスタスタスタ…

召喚士「あぁ〜っ。外の風が気持ちいいねぇ」

青年兵「東方の夜景、実に素晴らしいですよね」

召喚士「やっぱりそう思う? 俺もいっつも思うんだよね」

青年兵「この美しい景色を、絶対に壊したくないです」


637 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 00:05:14.22 ID:TfsJe7Weo
召喚士「うん……。あ、ごめん、。話があるんだよね?」

青年兵「はい」

召喚士「もしかして……予言の事?」

青年兵「気付いてましたか」

召喚士「うん……。重たい表情してたから……」

青年兵「す、すみません」

召喚士「いや、こっちこそごめん。それで……盗賊さんの……事?」

青年兵「それもありますが、別件です」

召喚士「別件?」

青年兵「盗賊さんの事は伺いましたが、やっぱり心配ですか?」

召喚士「それはもちろん……。でも、戦士に任せておけば大丈夫だと思うんだ」

青年兵「……」

召喚士「もちろん確証はないよ、ないけど……言ったんだ、絶対に守るって」

青年兵「おそらく大丈夫だと思いますよ」

召喚士「青年兵くんもそう思う?」


638 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 00:06:05.16 ID:TfsJe7Weo
青年兵「占い師さんや司令が、絶対に止めるはずですから」

召喚士「そ、そうだよね……」

青年兵「以前、司令も仰ってました。召喚士さん達は五ヶ年計画に不可欠だと」

召喚士「……」

青年兵「魔王を倒せるからと言って、犠牲にするなんて絶対に考えられません」

召喚士「……うん」

青年兵「あ、その! 駒という意味ではなくてっ! ……すみません」

召喚士「大丈夫。そんな事は思ってないよ」

青年兵「でも絶対に大丈夫です。僕が指揮するわけですし、死なせたりなんかしません」

召喚士「ありがとう。青年兵くんに言われると本当にそう思えるよ」

青年兵「……。あっと、それでですね、予言の事なんですが……司令からの伝言でして」

召喚士「天才さんから?」

青年兵「ええ。ぜひ伝えて欲しいと」

召喚士「何の予言……?」

青年兵「召喚術についてです」


639 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 00:07:32.12 ID:TfsJe7Weo
召喚士「……っ」

青年兵「東方での戦いが終われば、最強の召喚士が誕生すると……言っておりました」

召喚士「!?」

青年兵「その意味を僕は考えましたが…・・・1つしか浮かびませんでした」

召喚士「…………」

青年兵「即ちそれは、五行召喚の完成」

召喚士「――っ!!」

青年兵「召喚士さん、あなたはここで……5つ目の召喚術を会得するのです」

召喚士「そ、そんな予言が……っ?」

青年兵「その鍵を伝言として預かってきました。宜しいですか?」

召喚士「……お、お願いしますっ!」

青年兵「司令が仰っていた言葉は……不死の山の双子」

召喚士「!?」

青年兵「鍵はそこにあると。意味は……お分かりですか?」

召喚士「不死の山……もしかして……」


646 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/12(月) 07:00:25.62 ID:30OS24LSO
>>1乙
ついに主人公ぽさを出してきたなー


647 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/12(月) 07:13:14.31 ID:oHCN2/YDO
>>1乙っす
召喚士もついに主人公になるのか……胸熱


650 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/12(月) 15:39:16.18 ID:NL/jE8yDO
>>1乙!
青年兵と召喚士とか、特遊と戦士のようにパーティー以外にも信頼関係みたいなのが出来て来てるのがいいね
東方編も楽しみにしています。


651 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:43:40.61 ID:pLfomXBVo
青年兵「ご存知ですか?」

召喚士「うん。東方で1番大きな山で、そこに……そこ……」

青年兵「……」

召喚士「待……てよ……?」

青年兵「何か、ありましたか?」

召喚士「そこにあったものは……総本山と……双子山、影不死」

青年兵「不死の山の双子。予言の意味は場所を示すもののようですね」

召喚士「……っ」

青年兵「召喚士さん?」

召喚士「いたんだ。そこに……」

青年兵「いた? まさか召喚士ですか!?」

召喚士「いや、魔物。しかも……南東国を破滅に追いやったあの……夫人が」

青年兵「――っ!?」

召喚士「あの時感じた違和感は……やっぱり何か鍵があったんだ……っ」

 かつて不死の山を訪れた際の事を、召喚士はぼんやりと思い出していた。


652 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:44:07.24 ID:pLfomXBVo
……――

召喚士『…はぁ……はぁ』

魔道士『召喚士さん、大丈夫ですか…?』

召喚士『……はい』

どれ程歩いたか。景色は相も変わらず変わらないが、

いつの間にか寒さはなくなっていた。

戦士父『……!?』

盗賊『……視界が…開ける』

大雪の影響で真っ白だった視界。それが突如真っ白な視界へと変わる。

同じ白い景色でもそれは全く別物であり、雪も他の景色もない完全なる白。

戦士『なんだ……ここは…っ!?』

魔道士『い、一体どういう事なんでしょうか…?』

パーティーの中で唯一人、かつて似たような景色を経験した覚えがあった。

召喚士『……召喚獣の世界みたいだな』

五人はその先へ吸い込まれるように、ゆっくりと前進した。


653 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:44:33.61 ID:pLfomXBVo
――……

青年兵「召喚獣の世界の様な感覚、ですか?」

召喚士「うん。いきなり景色が変わって、夫人は棲み処だって言ってた……」

青年兵「ど、どういう事なんでしょう? それって……」

召喚士「分からない。分からないけれど、行ってみるしか方法はないよね」

青年兵「……っ」

召喚士「大丈夫。夫人も戦う気はなさそうだったし、むしろ危険なのは登山かも……」

青年兵「登山……。雪ですか?」

召喚士「前の時は猛吹雪だったからね……。ましてやこの時期じゃ……」

青年兵「危険が伴いますね」

召喚士「クジャタである程度は軽減出来るけど、メインは討伐戦だし、これで怪我でもしたら……」

青年兵「でも、単身で乗り込むのは自殺行為ですよ」

召喚士「……うん。せめて1人、道案内が可能であれば……」

ザッザッザ

名代「御二方、如何なされました? 間もなく宴も終えようかと思いまするが?」


654 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:45:00.30 ID:pLfomXBVo
召喚士「名代さん、すみません。今、戻ります」

青年兵「いっその事、名代様に相談してみてはどうです?」

召喚士「……うん」

名代「……?」

テクテクテクテク

戦士「やっと戻ってきた。随分と長かったなぁ」

魔道士「トイレ……じゃないですよね? 怪しい……」

東方司令「!?」

南方参謀「よく分からないけれど、あなた達の発想力が怪しいわ……」

帝「今宵はそろそろお開きと致したいが、宜しいか?」

青年兵「はい。私達はお呼び頂いた身なのですから」

帝「それでは明日、改めて話をさせて頂こう」スクッ

西方参謀「本日はお招き、誠に有難う御座いました」

帝「うむ、苦しゅうない。それでは先に退がらせて頂くぞ」

青年兵「それではまた明日」


655 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:45:29.84 ID:pLfomXBVo
スタスタスタスタ

家老「申し訳御座らぬ。上様はまだ子供ゆえ、どうにも睡魔が襲ってきたようじゃ」

青年兵「そ、それならば仕方ないですね……」

東方参謀「さて、我らも引き揚げるとするか」

西方参謀「宿は俺に決めさせろ!」

南方参謀「……?」

名代「今宵は遅い。城に泊まられては?」

西方参謀「いえっ、結構!」

名代「……?」

戦士「んじゃ、俺らも宿に戻るとしようかね」

魔道士「そうですねっ」

召喚士「あの、名代さん」

名代「はい」

召喚士「少しお話を、宜しいでしょうか?」

名代「……ええ。なれば場所を、私の屋敷へと移しましょう」


656 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:45:58.75 ID:pLfomXBVo


テクテクテクテク

魔道士「それで結局、召喚士さんと青年兵さんは名代さんの所へ?」

盗賊「ああ、そのようだな」

戦士「……ってか、何であんたらが付いてくるんだよ」

西方参謀「方向が一緒なだけだ……ヒック」

南方参謀「ねぇ、どこまで行くのよ?」

西方参謀「もうじき見えてくる。そこの角を曲がった所だ」

戦士「……おいおい、まさか」

西方参謀「あったあった! ここ!」

魔道士「えっ!? 女将さんの宿に止まるんですか!?」

西方参謀「おう。前回もここで世話になったし……まぁあれだ、色々あれなんだよ……ヒック」

盗賊「あれ?」

カラッ

女将「あれ?」


657 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:46:29.25 ID:pLfomXBVo
〜旅籠〜

女将「外が騒がしいと思ったら、ようこそ大勢さんで」コポコポッ

スッ

女将「寒かったでしょう? お茶、温まりますわよ」

東方参謀「ふむ、頂こう」

西方参謀「いやぁ女将さん、相変わらずお美しい……」

女将「あらやだっ、お上手です事っ」

西方参謀「いや、本当に…・・・あ、そうそう。これ……土産です。つまらんものですが」

女将「あらあら、わざわざ気を遣って頂いて……」

カサッ

女将「あらっ、これは……?」

西方参謀「エプロンです。調理なんかの時に服を汚さないように遣うんですよ」

女将「割烹着のようなものかしら? なんや照れるわぁ〜」

東方参謀「いい年してフリルのエプロンとはな」ゴクゴク

西方参謀「バカヤロウ! フリルのエプロンは男のロマンだ……ヒック!」


658 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:46:59.55 ID:pLfomXBVo
テクテクテク

サル「ん〜ふふふふっ。女将〜っ、風呂上がりのミル……ク……」

盗賊「あ……」

サル「――っ!?」ササッ

南方参謀「あら? 他のお客さんもいらっしゃるのね。それなら静かにしないと」

魔道士「そっ、そうみたいですねー! あはははー!」

サル(あ……あの軍服は国軍!? 何でこんな所にっ!!)

西方参謀「なんなら一緒に一杯どうだい? ガハハハッ……ヒック」

サル(まさか捕まえに!? いや、それはない。だがとにかく、お頭に知らせね〜となっ)

ササッ

戦士「い、行っちゃったみてーだな! 残念!」

魔道士「で、ですね〜! あはははー!」

西方参謀「……?」

女将「さぁさぁ、風呂も空いたようですし、まずは身体を流されてはどうです?」

南方参謀「いいわねぇ〜。そうしましょっか!」



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