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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その20
- 639 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2010/10/20(水) 21:30:13.04 ID:.C3avZ2o
…
魔道士「……はぁ」
盗賊「……」
二人は通りの階段脇に座り、通行人をぼーっと見つめる。
魔道士「…盗賊さーん」
盗賊「…んー?」
魔道士「…いませんねー」
盗賊「…うん」
魔道士「…盗賊さーん」
盗賊「…んー?」
魔道士「あれ…誰ですかねー?」
盗賊「…さぁ」
対面の建物前に止まる馬車。降りてくる男達を魔道士と盗賊がぼーっと見つめる。
魔道士「…と、ととっ盗賊さん!?」
盗賊「…んー?」
- 640 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:30:41.43 ID:.C3avZ2o
魔道士「あ、あの人…!!」
盗賊「…!?」
魔道士が指差す先、対面の通りに一人の男が歩いている。
魔道士「確か…特殊遊撃隊の…」
盗賊「…隊長?」
魔道士「あ…さっきの馬車の所っ、同じ建物に入って行きましたね」
盗賊「…軍の施設か?」
魔道士「盗賊さんっ!!」
盗賊「…こ、今度は何だ…!?」
魔道士「召喚士さんが戻ってきましたよ!ほらっ!」
盗賊「…本当だ」
タッタッタ
召喚士「すみません!今戻りました!」
魔道士「おかえりなさい!」
盗賊「…おかえり。首尾は?」
- 641 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:31:16.84 ID:.C3avZ2o
召喚士「…いえ、特に」
魔道士「そうですかぁ…」
盗賊「…それよりもあれを」
召喚士「…?」
盗賊「…先程からずっと…止まっている」
召喚士「馬車ですか?だいぶ立派な物ですね…」
盗賊「…それに、特殊遊撃の隊長が同じ建物に入って行った」
魔道士「何か、軍の施設じゃないかと思うんですが…」
召喚士「……」
盗賊「…関係はないかもしれんがな」
召喚士「…ですね」
魔道士「…はぁ。あ今日の収穫は偽者が東に逃げた事ぐらいですかねぇ」
召喚士「…いえ、そうでもないですよ」
盗賊「…?」
召喚士「実はさっき、聞き込みをしていて気付いたのですが…」
- 642 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:31:43.19 ID:.C3avZ2o
魔道士「何かありました?」
召喚士「どうも被害者は、さほど根に持ったり…怒ってるわけじゃなさそうなんです」
盗賊「…?」
召喚士「もちろん怒ってる方もいましたけど、窃盗関連の被害者でしたね」
魔道士「それ以外の被害者はあまり怒ってないって事ですか?」
盗賊「…それはつまり?」
召喚士「…偽者が危害を加えなかった、と考えます」
盗賊「…なるほど」
召喚士「喧嘩の当事者は結局見つかりませんでしたが、目撃者はいました」
魔道士「どうでした!?」
召喚士「仲裁に入ったところを殴られ、反撃したようです」
盗賊「…正当防衛だな」
魔道士「じゃあ…本国の方達はなぜそんなに逮捕したがるんでしょうか…?」
召喚士「そうですね…やはり大きいのは…」
魔道士「あっ、あれ…!!」
- 643 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:32:11.53 ID:.C3avZ2o
盗賊「!?」
召喚士「あれは…隊長と…戦士を逮捕した男…っ!!」
魔道士「ウィッチちゃんの…お父様!?」
盗賊「…何やら…口論しているようだが」
召喚士「…聞こえますか?」
盗賊「…無理だな。雑音が多すぎる」
召喚士「少し身を隠しましょう。気付かれると…厄介かもしれません」
魔道士「…はいっ」
三人は階段の淵に身を寄せ、影から二人のやりとりをじっと見つめる。
魔道士「隊長さん…。かなり怒ってますね…」
召喚士「もしかして…戦士の件で…?」
盗賊「……」
魔道士「…あっ、終わったみたいです!」
召喚士「…ここにいて下さい。ちょっと行ってきます!」
盗賊「…分かった」
- 644 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:32:39.51 ID:.C3avZ2o
タッタッタッタ…
召喚士「隊長さんっ!!」
隊長「…?おぉ、朱雀先生か…!」
召喚士「ちょっと…宜しいですか?」
ガシッ!!
召喚士「!?」
キョロキョロッ…コソコソ
召喚士「…な、何するんですか!?」
隊長「……他の二人は?」
召喚士「…反対側の…階段の所にいます」
隊長「…分かった。先に行くから戻ってろ」
召喚士「…は、はい」
隊長路地から通りを見渡し、人ごみに紛れるように立ち去って行く。
召喚士「…?」
それを見送った後、召喚士も魔道士と盗賊の待つ階段へと戻っていった。
- 645 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:33:06.22 ID:.C3avZ2o
テクテクテク
魔道士「おかえりなさい。どうでした?」
召喚士「……えぇと」
ザッ
隊長「…おう、待たせたな」
魔道士「隊長さん!」
召喚士「わざわざすみません。お聞きしたい事が…」
隊長「…こっちもだ。願ったりだぜ」
召喚士「…では、場所を変えましょうか」
隊長「…いや、ここでいい」
盗賊「……?」
隊長「むしろここがいい。対面からも死角になるしな」
魔道士「へ…っ?」
召喚士「…分かりました。ではここで」
隊長「まずはそっちの話を聞かせてくれ。ひとまず整理したい」
- 646 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:33:33.23 ID:.C3avZ2o
…
隊長「…大体の事情は飲めた。そういう事か…」
召喚士「戦士は大丈夫でしょうか!?」
隊長「…必ず助け出してやるさ」
魔道士「お、お願いします…!」
召喚士「それで、隊長さんは…?」
隊長「あん?」
盗賊「…先程の男…戦士を逮捕した者だな?」
隊長「…あれは本国の、経済機関所属の高官だな」
召喚士「経済の…っ」
隊長「所属や地位はどうでもいい。問題は奴の先にあるものだ」
盗賊「…先?」
隊長「左翼派だって事さ」
魔道士「そ、それってどういう事なんです?」
隊長「…まずはそこから話すとするか」
- 647 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:34:01.30 ID:.C3avZ2o
…
隊長「今、本国のトップってのは誰だ?」
召喚士「…国王ですか?」
隊長「そうだ。しかし陛下は病床に伏せられている…」
魔道士「え、ええ…」
隊長「そこで代行として実務を執り仕切っているのが…」
召喚士「…皇太子殿下、ですね」
隊長「…ああ。無論陛下が崩御なされれば、殿下が後を継ぐ事となる」
盗賊「…だな。当然だ」
隊長「ところがだ。なんとこれに反対している一派がいる」
魔道士「!?」
召喚士「それが…左翼長派…ですか?」
左翼長「そう。左大臣を筆頭とする政事を担ってる連中だ」
盗賊「…左大臣と言うのは…偉いのか?」
隊長「代々、陛下には両腕とも言うべき大臣が二人付く」
- 648 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:34:28.33 ID:.C3avZ2o
魔道士「あ…っ、エリートさんのお父様が…」
隊長「…そう、右大臣だ。主に軍事や外政を担ってる『右翼』の頂点だな」
召喚士「国軍も右翼所属なんですか?」
隊長「…いんや、国軍は独自権限を持ってるが…まぁ、結局は逆らえないのが常だ」
盗賊「……」
隊長「左右どっちにも…な」
盗賊「…それで?」
隊長「左翼の連中は殿下が後を継ぐって事を快く思ってねぇのさ」
魔道士「何でです!?だって…正当な後継者なんですよ?」
隊長「知ってるか?」
召喚士「え…?」
隊長「殿下は魔法…いや、魔力が一切ないんだよ」
魔道士「!!」
召喚士「…そ、そんな事…有り得るんですか!?」
隊長「現実にあるんだからしょうがねぇさ」
- 649 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:34:58.06 ID:.C3avZ2o
盗賊「…それとどんな関係が?」
隊長「王族ってのは代々、国の象徴として崇められてきた」
召喚士「……ええ」
隊長「その経緯は?」
召喚士「確か…えぇと……」
隊長「初代の王となった者が恐るべき魔力の持ち主で魔王を倒したって話だ」
魔道士「…あ、絵本で読んだ事がありますよっ」
隊長「誰もが知ってる…絵本にもなるくらい有名な逸話だ。真実かどうか置いといてな」
召喚士「…つ、つまり…っ」
隊長「王族の持つ魔力ってのは権威の象徴。人々への希望そのものなのさ」
召喚士「…しかし、殿下は魔法が無くとも立派に魔物の討伐を…」
隊長「今は…な」
盗賊「…?」
隊長「今後の魔王討伐には絶対と言っていい程、魔力が必要となる」
魔道士「じゃあ…私達のような魔道士が補佐をすれば…」
- 650 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:35:25.16 ID:.C3avZ2o
隊長「……出来ないんだよ」
盗賊「…出来ない?」
隊長「戦士みてぇに魔力が皆無でも、魔力を持ってさえいれば扱う事が出来る」
召喚士「……」
隊長「付加した魔法剣であれ、その刀みてぇな媒介であれ…な」
隊長は盗賊の背負う雷切を指差し、話を続ける。
隊長「ところが、魔力が全くないんじゃ…付加しようがそれを扱う事が出来ないのさ」
魔道士「そ、そんな…っ」
召喚士「だからっておかしいじゃないですか!そんな事…っ!」
隊長「ああ、おかしいんだよ。それを盾に正当化しようとしてるアイツらがな」
召喚士「…止められないんですか…?」
隊長「左翼の連中は、それを餌に…本国を乗っ取ろうと画策してるんだよ」
盗賊「何っ!?」
隊長「その為に殿下を失脚させようとゴチャゴチャやってるわけさ」
召喚士「だから、止められないんですか!?」
- 651 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:36:06.10 ID:.C3avZ2o
隊長「…現状じゃ難しいわな」
魔道士「…そんなぁ」
隊長「まず証拠がない。左が汚ねぇのは、それを表に出さねぇところだ」
盗賊「…厄介だな」
召喚士「でも、早くなんとかしないと…」
隊長「右の連中も必死で動いてるさ。だが証拠が掴めない限りどうしようもねぇ」
盗賊「……」
隊長「それに、殿下に対する国民の指示は非常に高い。簡単には納得させられまい」
召喚士「確かに…外征の時とか凄かったですもんね…」
隊長「ひとえに殿下の人柄さ。あの方には人を惹き付ける何かがある」
召喚士「確かに…。素晴らしい方ですよね」
隊長「国民を納得させるには殿下のイメージをドン底まで落とすか…」
魔道士「そんなの…無理だと思いますっ!」
隊長「ああ、後は…殿下自身に即位を辞退して貰うかだ」
盗賊「…確かにそうだが…それこそ不可能」
- 652 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:36:32.81 ID:.C3avZ2o
隊長「……殿下のカリスマ性はとにかく凄い」
盗賊「…あ、ああ。聞いたよ」
隊長「実は陛下自身はさほど国民からの支持が高くはない」
魔道士「そうなんですか!?あんまり聞かないですけど…」
隊長「当たり前だ。そんな噂話でもしてみろ。即座に逮捕されんぞ」
召喚士「…で、ですよね」
盗賊「…しかし、何故…?」
隊長「殿下は決して己から前線に立つような性格ではない」
召喚士「…まぁ、本来はそうあるべき姿ですが…っ」
隊長「だが、魔力は大変…目を見張るものがあるそうだ。俺も直に見た事はねぇが」
盗賊「…で?」
隊長「更に左の連中の功績により、先代の王から飛躍的な経済成長があった」
召喚士「なるほど…。民政において支持を集めたと…」
隊長「そういうこった。人々が豊かな暮らしが出来る。そんな国や街を整えていった」
盗賊「…では何故…評判が?」
- 653 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:37:09.14 ID:.C3avZ2o
隊長「短気なところがあり、若い頃は人や場所を選ばず問題を起こしたらしい」
魔道士「……」
隊長「それと…女癖が悪くてなぁ……」
召喚士「それは…マズイですね」
隊長「まぁさっき言ったように、それを差し引いても政治手腕での評価が高い」
魔道士「なるほどですね…」
隊長「だからこそ、甲冑を身に纏い前線で剣を振るう殿下が人気なのさ」
盗賊「…そういう背景が…あるのだな」
隊長「んで、ここからが最も重要な問題だ」
隊長はトーンを一つ下げ、三人を近くに手招く。
召喚士「……?」
隊長「女癖の悪さが仇となって、落胤がいるんだよ」
召喚士「っ!!」
盗賊「……っ」
隊長「何が言いたいか、お前なら分かるよな?」
- 654 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:37:44.49 ID:.C3avZ2o
召喚士「…も、もしその腹違いの落胤が現れ…」
盗賊「……」
召喚士「しかも…魔力を持っていたら……」
魔道士「…こ、後継者として成立する…?」
隊長「しかもだ、前線に立つ事を好む殿下は、執政や補佐にうってつけの存在となる」
盗賊「…なんと…いう…っ」
召喚士「しかも…殿下なら……同意しかねないっ!」
隊長「分かったろ?左の連中の狙いってのがよ…?」
魔道士「……っ」
隊長「奴らの魂胆はこうだ。まずは落胤を何が何でも手中にする」
召喚士「……」
隊長「んで、即位推進派の右翼連中を失脚させて、殿下を丸裸にする」
盗賊「……」
隊長「そうすりゃ殿下は自ずと即位を辞退するってシナリオさ」
魔道士「…そ…そんな…っ」
- 655 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:38:10.30 ID:.C3avZ2o
隊長「今回の件、確か高官から隠すために国軍付ワーカーになったんだよな?」
召喚士「…はい」
隊長「その支持を出し、協力者となったのは…誰だ?」
召喚士「……殿下とエリートさんです…っ」
隊長「…左翼の連中はその情報をどこかしらから掴んでやがる」
盗賊「…ま…さか…!?」
隊長「戦士の逮捕。真の狙いは…右翼連中を封じる事だ」
魔道士「!!」
召喚士「一体…誰が左大臣に…!?」
隊長「…ちなみに俺は戦士から直に聞いて初めて知った」
召喚士「つまり…国軍内では情報が流れていない…と?」
隊長「少なくとも通達はなかった。知っていても上層部ぐらいだろうな」
召喚士「…本国では?」
隊長「可能性として大きいのは、右翼の中にスパイがいるって事だな」
盗賊「…確かに…それが妥当か」
- 656 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:38:36.29 ID:.C3avZ2o
魔道士「ど、どうするんです!?」
隊長「だからこそ俺達が動いてるのさ」
魔道士「…?」
隊長「総司令の命でな。特遊で戦士を救出する」
魔道士「出来るんですか!?」
隊長「簡単にはいかんだろうな。なんせ魔物相手じゃねーんだ…」
召喚士「…あの、隊長さん」
隊長「…?」
召喚士「先程、高官さんと何を…?」
隊長「…ちょっと顔見知りでな。目を覚ませって一喝してやったが…無駄だったよ」
盗賊「……」
隊長「あれでも昔は夢に燃えてたんだがな…。人間変わっちまうもんさ」
魔道士「……」
隊長「さっきから止まってるあの馬車、あれは左大臣のモンだ」
召喚士「え…!?」
- 657 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:39:29.59 ID:.C3avZ2o
盗賊「…あの…建物は?」
隊長「あれは警備所。あの中に牢屋もある」
召喚士「じゃあ…あそこに戦士が!?」
隊長「そういうこった」
魔道士「そ…そうだったんですね」
隊長「…お前らは知ってて見張ってたんじゃねーのか?」
召喚士「いえ、俺達は偽者を探しててここに…」
隊長「…ああ、そういう事か」
ザッ
魔道士「…?」
隊長「…いいか?救出は特遊でやる。お前らは何としても偽者を捕まえてくれ!」
召喚士「…分かりました」
隊長「何かあったら本部まで頼む」
魔道士「はいっ!」
隊長は険しい顔のまま、その場を走り去っていった。
- 658 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:39:56.51 ID:.C3avZ2o
召喚士「……」
盗賊「……」
魔道士「…何だか…凄い話でしたね…っ」
召喚士「ええ…。整理するまでしばらく時間がかかりそうです…」
盗賊「…飯にしよう…腹が減った」
召喚士「…そうしましょう」
魔道士「はいっ!」
ヨロッ
魔道士「きゃ…っ!!」
フラッ…ガシィッ
魔道士「あ…っ、すす…すみませんっ!」
バランスを崩し転びかけた魔道士。それを階段の下で支え微笑む、フードを被った男。
フード男「大丈夫か?」
魔道士「ありがとうございました…!急に立ったら…足が痺れてしまって…」
フード男「気を付けてな」
- 659 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:40:26.24 ID:.C3avZ2o
テクテクテク…
魔道士「…あ、あの…っ」
タッタッタ
召喚士「だ、大丈夫ですか!?」
魔道士「え、ええ…。あの方が助けてくれて……」
盗賊「…今の男」
魔道士「…?」
召喚士「知り合い…ですか?」
盗賊「……いや、何でもない」
魔道士「ご心配かけました。行きましょうか!」
盗賊「…ああ」
召喚士「どうします?何か食べたい物とか…」
魔道士「あっ、お任せしますよ〜!」
召喚士「…では、念の為この周辺で済ませましょうか」
盗賊「…うん。それがいいだろう」
- 660 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:41:14.38 ID:.C3avZ2o
タッタッタッタッタ
――「…隊長っ」
隊長「っ!?」
ズザァ!!…タッタッタ
細い路地から小声で自分の名を呼ぶ女性の声。
隊長は慌てて向きを変え、声の主の元へと駆け寄る。
ザッザッザ
隊長「…すまん。待たせた」
女隊員「いえいえ、問題ないッス!」
男隊員「んで…どーなんだ?」
隊長「警備所の牢屋に捕まってるのは確かだな」
格闘家「…どうします?」
隊長「お前は偽者探しに専念。街の東側にいる可能性が高い」
格闘家「…了解」
隊長「頼んだぞ。見つけ次第…交戦も許可。だが…殺すなよ」
- 661 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:41:41.27 ID:.C3avZ2o
格闘家「……了解」
ザッ…タッタッタ…
隊長「お前ら二人は警備所と左の連中の動きを探れ」
男隊員「ラジャー」
隊長「悟られるなよ?特に…左大臣にはな」
女隊員「…了解ッス!」
男隊員「隊長は?」
隊長「王宮に向かい、殿下に謁見を求めてくる」
男隊員「…無理すんなよ?」
隊長「そっちもな。よし…行け!」
女隊員「ういッス!!」
ババッ!!…タタタタタッ…
隊長「…さーてと」
ゾクゥ!!
隊長「――っ!!」
- 662 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:42:18.99 ID:.C3avZ2o
ゴゴゴゴゴゴ
隊長(……は、背後だ…っ)
ザッザッザ
隊長(振り向けねぇ…!なんだこの…威圧は…っ!?)
ザッザッザ…ピタッ
隊長「……な、何者だ…っ」
フード男「……」
フッ
隊長「!?」
ガクンッ
隊長「…はぁ…っ、はぁ…はぁ…っ!」
フードの男が威圧を解く。同時に、隊長は金縛りから解かれるように上半身を脱力させた。
隊長「…一体…っ」
クルッ…
隊長「な…っ!?」
- 663 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:42:49.63 ID:.C3avZ2o
ザッザッザ
フード男「……」
驚愕の表情で立ち尽くす隊長の元に、フードを上げながら男がゆっくりと歩み寄る。
隊長「……あ…なたは…っ!」
ザッザッ……ザッ
戦士父「…付いて来い」
隊長「初代……一番槍!!」
戦士父「ほう…?俺を知ってるのか?」
隊長「……無論です」
戦士父「……」
クルッ…ザッザッザ…
隊長「…どちらへ?」
戦士父「とにかく付いて来い」
隊長「……はい」
先へ進む戦士父に従い、隊長は薄暗い路地裏を立ち去った。
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