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スト2のリュウが娼館で働くようです
85 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:16:26.37 ID:kLwxlBNT0
二日後、娼館、夜―――

女主人「さあ、仕事の再開だよ。皆、張り切って行こうじゃないか」

リリー「はぁい」

女主人「…何その気の抜けた返事。しゃきっとしなさいよ」

リリー「だってさぁ、リュウがいないんだもん」

女主人「仕方ないだろう。あれだけの騒ぎを起こしたんだから」

リリー「マダムったらひどいんだ。薄情者!」

女主人「はいはい、何とでも言って頂戴。あたしはここさえ守れれば鬼にでも何でもなるわよ」

リリー「ちぇ! 鬼ババァ」

女主人「うるさいよ、デカチチ」


87 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:18:47.12 ID:kLwxlBNT0
リリー「アニーさぁん」

アニー「まあ、街もいくらか平和になったし。尊い犠牲と思えば良いんじゃない?」

リリー「アニーさんまでぇ…」

ロック「けっ、ウブなネンネじゃあるめぇし。男一人くらいでガタガタ言うんじゃないよ」

リリー「そりゃ幸せ者のロクサーヌさんには分からないでしょうよ」

ロック「ばっこの、ビッチ! 表でろ!」

リリー「あんたもビッチでしょう!」

女主人「おやめ! もうすぐ客が来る。店じまいしてた間に溜まったものを出しに来るんだ」
    「忙しくなるよ」

リリー「はぁい」


88 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:19:41.81 ID:kLwxlBNT0
ガチャッ

女主人「いらっしゃい…て、女かい。なに? うちで働きたいの?」

春麗「ICPOのものです」

ロック「げっ警察!」

女主人「あらまぁ、刑事さんが何か御用かしら?」

春麗「お届けものがあります」

リュウ「……」

娼婦たち「「「リュウ!」」」

リリー「リュウだ! リュウが帰ってきた!」

リュウ「…ただいま」

リリー「リュウ!」
ガバッ!

リリー「リュウ! 会いたかったよぉ。私ちゃんとリュウが書き残したとおりにしたよ! えらい?」

リュウ「ああ、ありがとう。リリー」
ポンッ

リリー「…リュウ」


90 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:20:56.53 ID:kLwxlBNT0
春麗「おほん、取調べの結果、彼の潔白が証明されましたのでお返しします」

女主人「お手数おかけしましたね」

春麗「いえ、ただ…」

リリー「?」

春麗「彼は就労ビザを持たずここで働いていたため、不法就労として国外に強制退去になります」

娼婦たち「「「ええー!」」」

ロック「ちょ、ちょっと待て!」

アニー「なんとかならないの?」

春麗「こればかりはどうにも。本当はここにこうして帰ってくることすら難しかったのですが…」

ヴィラ「ありがとう、刑事さん。リュウを連れてきてくれて」

女主人「ヴィラ、起きてたのかい」

春麗「こんばんは、お嬢ちゃん。身体は大丈夫?」

ヴィラ「うん。大丈夫」

春麗「そう。怖い目にあったのに、強いわね」

ヴィラ「リュウはいつまでいれるんですか?」


91 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/07/27(火) 02:21:10.43 ID:MuozqWdYO
大団円か


92 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:22:03.16 ID:kLwxlBNT0
春麗「明日の朝までです。八時には迎えが来ます」

リリー「そんな…そうだ! あたしと結婚しようよ! そうしたら国籍が変わって…」

女主人「無理だよ。わかってるだろ」

リリー「ううう…」

春麗「それでは、私は失礼します。マダム、あとはお願いします」

女主人「まかせて。あ、ちょっと刑事さん」

春麗「なんでしょう?」

女主人「リイワーのことなんだけど」

春麗「リイワーファミリーは再起不能でしょう」
   「もっとも私たちの目的は彼らの後ろ盾である組織です。しかしそれもトカゲの尻尾切り」
   「その組織がここにやって来ることもないでしょう」

女主人「尻尾切られるとわかって、あんたここに来たの?」
    「リュウからの伝言だけで?」
 
春麗「それは、私はICPOの捜査官ですから」

女主人「そういう事にしとくか。ありがとう、女刑事さん」

春麗「では」
ガチャバタン


93 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:23:12.00 ID:kLwxlBNT0
女主人「さてと、今日も店は休むか。リュウとの最後の夜を盛大に楽しもうじゃないか!」

娼婦たち「わぁぁぁ!」

リリー「ふぇーん、リュウゥゥゥ! 行っちゃやだァァァ!」

ロック「けどまあ、良く戻ってきたよ。約束も守ったしな」

アニー「ええ、お疲れ様。おかえり、リュウ」

リュウ「ああ、ただいま」

アニー「でも、去る時は自分で決めるんじゃなかったの?」

リュウ「いや、それは…すいません」

リリー「なんで敬語!?」

ロック「なんだ、なんかあったのか?」

アニー「秘密よねぇ、リュウ」


97 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:23:58.86 ID:kLwxlBNT0
リュウ「いや、別に」

リリー「うわぁぁん、あたしだって頑張ったのにぃぃ!」

ロック「聞き出してやる! ちょっと俺の部屋に来い! 道具使って聞き出してやる!」

リュウ「いや、本当になにもないぞ」

女主人「リュウ! こっち来な。主賓が端っこにいたんじゃ始まらないじゃないか」

リュウ「ああ、そうだな」

宴会は深夜まで続いた。
一人また一人と酔いつぶれていく。
皆が酔いつぶれ、娼館は心地よい酔いの眠りに落ちた。
彼と彼女以外は。


99 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:24:37.44 ID:kLwxlBNT0
地下室―――

リュウ「これでよしっと」

コンコン、ガチャ

ヴィラ「リュウ、起きてる?」

リュウ「ああ」

ヴィラ「良かった」

バタン

リュウ「どうした? 眠れないのか?」

ヴィラ「うん、そんなところ」

リュウ「明日も早い。寝たほうが良いぞ」

ヴィラ「うん、そうだね」


100 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/07/27(火) 02:24:45.39 ID:MuozqWdYO
不法就労とか割と現実的だな


101 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:25:15.42 ID:kLwxlBNT0
リュウ「…」

ヴィラ「……て」

リュウ「ん?」

ヴィラ「一緒に寝て、ほし…い」

リュウ「なんだそんな事か。いいぞ、眠るまでここにいてやる」

ヴィラ「う、うん」

リュウ「やけに動きが固いな。どうした?」

ヴィラ「そ、そんな事ないよ。普通だよ」

ヴィラがベッドに横になる。リュウはそのそばに胡坐をかいた。

リュウ「いつでも寝て良いぞ」

ヴィラ「……落ち着かない」


103 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/07/27(火) 02:26:01.51 ID:MuozqWdYO
ヴィラかわいいよヴィラ


104 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:26:05.70 ID:kLwxlBNT0
リュウ「じゃあ部屋に戻るか?」

ヴィラ「そうじゃなくて、リュウも横になって」

リュウ「? こうか?」

ヴィラ「うん」

横になったリュウの胸元にヴィラが顔をうずめる。

リュウ「ヴィラ?」

ヴィラ「……」

リュウ「ふむ」

ヴィラ「リュウ、行っちゃうの?」

リュウ「ああ」


106 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:27:06.96 ID:kLwxlBNT0
ヴィラ「…あたしも連れて行って欲しい」

リュウ「それは無理だ」

ヴィラ「嫌だ」

リュウ「そう言われてもな」

ヴィラ「嫌。私リュウと離れたくない」

リュウ「どうしたんだ、急に?」

ヴィラ「急にじゃない。一緒に買い物に行った帰りからずっとリュウの事が…」
   
リュウ「……ヴィラ、聞いてくれ」

ヴィラ「私なんでもする。だって娼婦だもん。リュウが望む事ならなんでもする」
    「強くなれって言うんだったら強くなる。修行だって…!」

リュウ「ヴィラ!」

ヴィラ「っ!」


109 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:28:53.54 ID:kLwxlBNT0
リュウ「俺の行く道はヴィラの歩む道じゃない。ヴィラの気持ちは嬉しい。けど違うんだ」
   「俺はヴィラを幸せに出来ない。ヴィラが望むものを与えてやれないと思う」

ヴィラ「そんなのいらない! リュウがいればいい! リュウといたい。一緒にいたい」

リュウ「だが、それを俺は望まない」

ヴィラ「……」

リュウ「ヴィラ、いつかわかる。自分の行く道が」
     「その道がまた交わる事があればまた会えるさ」

ヴィラ「…駄目なんだね」

リュウ「ああ、そうだ」

ヴィラ「わかった。でもお願い。今夜だけはこのままでいて…」
    「ただ、一緒に寝てくれるだけでいいから」

リュウ「わかった…」


111 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/07/27(火) 02:29:32.82 ID:MuozqWdYO
せつねぇ


114 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:30:22.78 ID:kLwxlBNT0
部屋の外―――

リリー「…」

ロック「なにしてんだよ。入らないのか?」

リリー「…いい」

ロック「えらくあっさり引き下がるんだな。じゃあ、俺が」

アニー「はい、ロックちゃぁん。駄目でしょう?」

ロック「わかってるよ。冗談だよ、冗談…」

アニー「リリー、あなたの気持ち、少し分かるわ」

リリー「…戻ろっか」

アニー「そうね。一晩中付き合うわよ」

ロック「なんだ、やけ酒かよ。仕方ねえなぁ」

リリー「幸せな人にはわかりませんよ、この気持ち。あんたは店主とよろしくやってなさいよ!」

ロック「な、この、てめぇ! 表でろ!」

アニー「うん、その元気があれば大丈夫。飲みましょう!」


115 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/07/27(火) 02:30:32.50 ID:mW2B2Hqv0
強いとモテるなぁ・・・


116 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:31:25.90 ID:kLwxlBNT0
翌早朝―――玄関ホール

リュウ「行くか」

女主人「時間にはまだ早いんじゃないかい?」

リュウ「起きてたのか、マダム」

女主人「まあね。これで元高級娼婦さ。酒に飲まれるなんて事ないよ」


117 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:32:22.36 ID:kLwxlBNT0
ュウ「世話になったな」

女主人「お互い様さ」

リュウ「ここに来たおかげで良い経験が出来たよ」

女主人「拳は正しかったってとこかね」

リュウ「ああ」

女主人「じゃあ、元気でね。楽しかったよ」


119 名前:◆pw4Po6J6Frgk [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 02:33:09.69 ID:kLwxlBNT0
リュウ「俺もだ、マダム」

女主人「ところで、リュウ。そのダッサイ格好で次はどこに行くの?」

リュウ「そうだな…」

ガチャ

リュウ「俺より強い奴に会いに行く」

バタン

―――おわり



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