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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その39
878 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:14:04.12 ID:OAZ+BOzOo


青年兵「なるほど。北関にですか……」

戦士「一旦、逃亡して北の港へ来たんだが、北関の連中にとっ捕まったはずだ」

青年兵「そのような報告は?」

国軍兵「いえ、特に」

青龍士官「また逃げたんじゃないのか?」

青年兵「……。分かりました、とにかくこの件はこちらで引き受けましょう」

戦士「頼む。こっちも何か情報が掴めたら連絡するよ」

青年兵「お願いします」

青龍士官「しかしやはりというか、戦力として招聘するには難しそうだな」

青年兵「ああ。何やら国軍を嫌っているような節もあるし……」

青龍士官「何より使い手なら、魔王討伐戦に参加していてもおかしくないだろうに」

戦士「そういやそうだな。何で今まで共闘する機会がなかったんだろ」

青年兵「おそらくワーカーとして、戦う事に興味がないんでしょうね」

戦士「……なるほどな。そういう事か」


879 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:14:34.31 ID:OAZ+BOzOo
青龍士官「だが、戦士さんに付き纏うとは、何か別の目的があるようにも感じるが」

戦士「うーん……身に覚えはねぇ」

青年兵「まぁ、戦力として断念するのであればこちらも片手間にはなってしまいますね」

戦士「そうだな。俺達にゃもっと大切な事があるわけだし」

青年兵「召喚士さん達はまだお戻りには?」

戦士「どうなんだろうな。ぼちぼち合流できる頃かとは思うけど」

青年兵「討伐戦にはスーパームーンの3日前に予定しております」

戦士「……あと5日か」

青年兵「間に合う日程だとは思いますが、宜しくお願い致します」

戦士「りょーかい! そんじゃ、今日はありがとよ」

青年兵「こちらこそ。それではまた」

 スタスタスタスタ

戦士「……偽名、ワーカー、ほんとに何者なんだ」

門兵「ご苦労様ですっ!」

戦士「おーう」


880 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:15:02.25 ID:OAZ+BOzOo
 スタスタ……

戦士(実力がないわけじゃねぇ。あんだけの召喚獣を持ってんだからな)

 スタスタ

戦士(なのにあいつ、野盗に襲われてた。追い払うくらいどうって事ねぇだろうに)

美女「……」スタスタ

戦士(それに鉱山での判断力。にも関わらず……)

美女「ねーねー」

戦士「うっせぇなぁ。ちょっと黙ってろ」

美女「ちぇーっ」

戦士「って何いいぃぃぃぃ――!?」

美女「おこんばんは〜」

戦士「てんめぇ!!」グアッ

美女「叫びますよ? キャーって」

戦士「!?」ピタッ

美女「んふっ♪ なーんてねっ」


881 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:15:32.53 ID:OAZ+BOzOo
戦士「……いい加減にしろ。何が狙いだ」

美女「今回はたまたまなんですよぉ」

戦士「たまたまだぁ?」

美女「本国に来たら戦士さんがいただけ。追ってきたわけじゃないですよっ」

戦士「北関の連中に捕まったんじゃねぇのかよ? 何でここにいやがる!」

美女「あんなの簡単に逃げられますよぉ。それに本国には自宅もあるし〜」

戦士「何だよ、じゃあさっさと帰れ」

美女「帰りますけど〜、その前に1つ忘れてません?」

戦士「は?」

美女「ほら、鉱山でのお礼っ」

戦士「……そういうとこはしっかりしてんだな。んで、どうすりゃいいんだ?」

美女「そうねぇ〜」

戦士「特にねーんなら、また今度――」

 チュッ

戦士「――――!?」


882 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:16:03.90 ID:OAZ+BOzOo
美女「……くちゅっ、ぷはぁ」

戦士「……ん……なっ」

美女「お礼、貰っちゃった」

戦士「お、おま……っ」

美女「でも、私の初めてもあげちゃった……っ」

戦士「――っ!?」

美女「なーんて、純情じみた事は言いませ〜ん。焦ったぁ?」

戦士「て……めっ!」

美女「叫びますよ?」

戦士「ぬぐ……っ!」グッ

美女「それじゃ戦士さん、またね〜」

戦士「ちょっ、待てよ!」

美女「私、実家はここだけど今は南方にいるから。会いたくなったら来てね〜♪」タンッ

戦士「……ちっ」

 女性とは思えぬ身のこなしで走り去ってゆく美女を、戦士は悔しがりながら眺めていた。


883 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:16:32.92 ID:OAZ+BOzOo
〜次の日、西国〜

魔道士「今日も天気良くて、良かったですね〜」

召喚士「魔王城攻略の日以降は、天気に恵まれてますね」

魔道士「まずは……お城ですか?」

召喚士「そうですね。西国の戦後状況も気になりますし」

魔道士「それじゃ早速、行ってみましょう〜!」

 テクテクテクテク……

魔道士「こんにちは〜」

召喚士「陛下に面会をしたいのですが」

西国兵「では、こちらを記入の上、武器をお預かりさせて頂きます」

魔道士「あれ? こんなに厳しかったでしたっけ?」

召喚士「いや、でもこれが普通ですよね」

魔道士「確かに……」

召喚士「国軍とか顔パスっておかしいですもん、普通……」

西国兵「それではしばし、お待ち下さい」ザッザッ


884 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:17:21.78 ID:OAZ+BOzOo


西国兵「お待たせ致しました、どうぞ」ザッ

召喚士「失礼します」テクテク

魔道士「何だかお城も少し小さくなったような気が……」

王子「ええ。必要のない箇所は取り壊しました」

召喚士「陛下!」

王子「召喚士さん、魔道士さん。よくお越し下さった」

魔道士「どうして壊しちゃったんですか?」

王子「必要もないのに残していても、無駄な費用が掛かるだけですからね」

魔道士「おぉ……っ」

召喚士「だから警備も……」

王子「それもありますが、国としてもっと規律を持たねばと思いましてね」

召喚士「いい心掛けですね」

王子「さ、王宮内へ。大した持て成しも出来ませんが」

魔道士「いえいえっ、お構いなく!」


885 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:18:13.08 ID:OAZ+BOzOo


女王「よくぞ来てくれました」

王女「お姉様、お会いしとうございましたわ」

魔道士「王女様もお元気そうで何よりですっ。えへへ!」

王子「食事の用意を」

召喚士「何だかすみません……っ」

王子「何を今更、申されるか。気にする方が無礼ですぞ?」

召喚士「ははっ、それならばお言葉に甘えて」

王子「さぁ、存分に食して下され」

魔道士「美味しそう〜っ」

女王「最近では交易のお陰で、食卓も彩りが良くなりました」

王女「皆様方のお陰ですわ。本当に心より、感謝致します」ペコリ

召喚士「い、いえっ! 陛下や他国の皆さんが頑張ってくれたからこそですよっ」

王子「またまたっ。ご謙遜を」

召喚士「いや本当に……っ! は、はは……っ」


886 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:18:49.94 ID:OAZ+BOzOo


魔道士「ご馳走様でした〜」

女王「お口には合いましたかしら?」

魔道士「それはもうっ! とっても美味しかったです!」

王女「ちゃーんとデザートもご用意してありますのよ?」

魔道士「それは嬉しいっ!」キラキラ

王子「召喚士さん、少し……宜しいか?」

召喚士「えっ? あ、はい」ガタッ

 カツコツカツコツ……

召喚士「えぇと、どうしまし――」

 ガバッ!!

召喚士「……へぇっ!?」

王子「……ごめん……少し……このままでいさせて」

召喚士「あ、あの……陛下……?」

王子「今は、今だけは……陛下じゃなくって、王子って……呼んで」ギュッ


887 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:19:40.26 ID:OAZ+BOzOo


召喚士「……王子」

王子「ずっと僕は、西国の王なんだ、しっかりしなきゃいけないんだ……って頑張ってきた」

召喚士「……うん」

王子「神官も居ない今、僕がやるしかないんだ……って」ギュウ

召喚士「うん」

王子「でもっ、怖いんだ……! 本当は世界が滅んじゃうんじゃないかって!」

召喚士「……」

王子「そんな事、思っちゃいけないのに……! 強くなきゃいけないのにっ!」

召喚士「王子、それでいいんだよ」ナデナデ

王子「……?」グスッ

召喚士「みんな誰でも、不安を抱えて生きてるんだ」

王子「お兄ちゃん……っ」ウルッ

召喚士「でも、1人では解決出来ない。だから家族や友人や、仲間がいるんだ」

王子「……っ」

召喚士「1人じゃ駄目かもしれないけれど、俺がいる。みんながいる。だから、頑張ろ」

王子「……うん。ありがと、お兄ちゃん」ギュッ


888 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:20:45.43 ID:OAZ+BOzOo


魔道士「美味し〜い!!」

女王「これは元々、東方のデザートを改良したものなのです」

魔道士「へぇ〜っ! 凄いですねっ!」

王女「こういった事も、本当にお姉様方のお蔭ですわ」

魔道士「いえいえ。さっき召喚士さんも言ってましたけど、みんなのお陰ですよっ!」

女王「その皆の中に、魔道士さんも含まれているんじゃなくって?」

魔道士「……そうかもしれませんけど、私の力なんてちっぽけなものです」

女王「そんな事はありませんわ。貴女は、西国を救ってくれたではありませんか」

王女「そうですわっ。自信をお持ちになって、お姉様!」

魔道士「……は、はいっ」

女王「さぁ、どんどん召し上がって。たんと用意致しましたから」

魔道士「……えへへ〜」ニマー

王子「お待たせしました」カツカツ

魔道士「あっ、おかえりなさ〜い。先にいただいてます!」


889 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 17:21:59.68 ID:OAZ+BOzOo
召喚士「何ですかこれ?」

魔道士「東方のデザートを改良した、西国の新しいデザートだそうですっ」

召喚士「へぇ〜」

王女「あら、どうかなさった? 目が赤いけれど」

王子「ちょっとゴミが。それより召喚士さん、その東方の話ですが」

召喚士「東方が何か?」

王子「魔王イブリースを倒し、世界が繋がったと聞きます」

召喚士「ええ。つまり西国から西へ西へ進めば、おそらく東方に繋がっているかと」

王子「……なるほど。東方がより一層、近くなったわけだ」

召喚士「そうですね。本国を介さなくとも、東方へ行けるようになるんですからね」

王子「試してみる価値はあるな。最後の戦いが終わったら、海路を開いてみようか」

女王「あら、それは素敵ではないですか」

魔道士「楽しみですねっ!」

召喚士「絶対に、生きて帰ってこないと」

王子「……」


894 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 18:48:58.81 ID:6f8f0TOIO
魔導士が薄い本を描くな…


896 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 21:00:15.75 ID:+Ncf0qGyo
航海王子か
相変わらず微ネタを混ぜてくるな


901 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:09:57.99 ID:v0kMEv1Mo
いやまて、もしかしたら>>898は美女(♂)の可能性を示唆しているのかもしれない


903 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:35:39.27 ID:q0vAcfWZo
なんという名前詐欺・・・これは戦士でも訴訟も辞さないレベル


904 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 23:13:54.48 ID:QtOYiIIuo
南方にいるからね(意味深)


905 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 23:34:27.18 ID:NxxDIDYZo
〜本国、ホテル〜

戦士「……」スタスタ

フロント「おや、眠れませんでしたか? 何か不備でもございましたでしょうか」

戦士「いや、単に寝付けなかっただけだ。すまんな」

 スタスタスタ

戦士「……ちっきしょう。あいつのせいでペース狂っちまったぜくそっ」

 スタスタ……ピクッ

戦士「あ……」

盗賊「戦士」

戦士「と、盗賊……っ」

盗賊「どうした?」

戦士「いやっ、別に。それより早かったな。もういいのか?」

盗賊「うん」

戦士「その表情だと、何か収穫があったみてーだな良かった良かっ……」

盗賊「……くふっ、ふふふっ」


906 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 23:35:23.59 ID:NxxDIDYZo
戦士「!?」

盗賊「これ」ズイッ

戦士「……猫さん……剣士、だっけか?」

盗賊「そうっ!」ニンマリ

戦士「それが、どうした?」

盗賊「貰った!!」

戦士「「へっ?」

盗賊「作者に貰った!」

戦士「そ、そうか……。良かったな」

盗賊「……あげないぞ?」

戦士「いらねーよ」

盗賊「戦士はもう、いいのか?」

戦士「ん、ああ。俺もやる事はやったよ。あとはあの2人が帰ってくるのを待つだけだ」

盗賊「そうだな」

戦士「ま、それまではノンビリ待ってるとすっか!」


907 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 23:45:35.18 ID:NxxDIDYZo
〜鉱山の町〜

魔道士「到着〜っ」

召喚士「……」

魔道士「どうかしましたか?」

召喚士「いえ、ちょっと眼鏡さんとの事を思い出してしまって……」

魔道士「あ……っ」

召喚士「初めて会って時から、不思議な人でしたよね」

魔道士「……ええ」

召喚士「でも、イヌが凄く懐いてて、とても悪い人とは思えませんでした」

魔道士「はいっ。案の定、とってもいい方でしたね……」

おかみ「ありゃ!? 今度はあんたらかいっ!」

魔道士「おかみさんっ! お久し振りです〜」

召喚士「今、何て?」

おかみ「ああ、ついこないだ、戦士くんが来てたからさぁ」

召喚士「えっ!?」


908 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 23:46:10.37 ID:NxxDIDYZo
〜鍛冶屋の家〜

召喚士「そういう事でしたか」

鍛冶屋「やはははっ。どうやら行き違いだったみたいだね」

召喚士「いいんです。お互い、色々と考えがあっての行動ですから」

おかみ「ねぇ、召喚士くんや魔道士ちゃんから見て……あいつどう思う?」

魔道士「へっ?」

おかみ「昔はただ、猪突猛進みたいなとこがあったけどさ、今は何て言うか……」

召喚士「戦士は、俺が言うのもなんですけど……凄く強くなりましたよ」

鍛冶屋「……」

召喚士「昔からほんと、頼もしいですけど、今はそれだけじゃないんです」

おかみ「……あんたらがからその言葉が聞けて良かったよ」

召喚士「え……っ?」

鍛冶屋「正直、戦士くんの手前だから受けたけど……ゾディアックはね……」

魔道士「っ!」

鍛冶屋「やっぱり気が引けると言うか、使い方1つで身をも滅ぼすから」


909 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/26(火) 23:56:45.84 ID:NxxDIDYZo
召喚士「確かに。でも戦士は大丈夫だと思います」

鍛冶屋「うんうんっ。そうみたいだねぇ」

召喚士「むしろ危ういのは……彼の父親」

魔道士「戦士父さんですかっ!?」

召喚士「雷切はなくとも戦士には、五行の斧があります」

鍛冶屋「うん、そうだね」

召喚士「ともなれば、おそらくゾディアックは……」

魔道士「戦士父さん、来ますかね?」

召喚士「必ず来ると思いますよ。あの人ならば……」

おかみ「息子やあんたらを守る為ならば、死をも厭わないってかい?」

召喚士「あの人はそういう人です。だから、無茶して欲しくない……」

おかみ「全く、厄介な親子だこと……」ズズーッ

召喚士「まぁ2人とも分かってはいると思いますけどね」

鍛冶屋「窮地、いざと言う時には……って事だよね」

召喚士「そうはさせませんよ。俺が絶対に、誰1人として死なせませんから」


910 名前:NIPPERがお送りします(愛知県) [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 00:23:16.29 ID:81NWYIe9o
1乙
>俺が絶対に…
脇役が調子に乗ってんな。


911 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 00:31:29.95 ID:1uzYmpqDO
美女♂は南方参謀の店の子だな


913 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 11:15:33.71 ID:QlrHgp810
まさか男の娘がでるとは(歓喜)



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