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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その27
325 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/03(日) 01:51:59.36 ID:lymar0u0o


ガキイイィィンッ…バチィッ!!

皇太子「……っ」

教頭「さぁ、どうしました?もう鬼ごっこは終わりですかな?」

水の先生「まだまだぁ!!」

教頭「ふんっ」

キュイイィィ…ガカアアァァ!!

水の先生「ぐわあぁーっ!!」

皇太子「水のっ!!」

教頭「ククッ、貴方と何年……一緒に過ごしたとお思いかな?」

ドシャッ…ズズッ

水の先生「ぐ……くっ」

教頭「手の内は全て、把握済みですよ……水の先生」

ザッザッザ…ザッ

教頭「……では、死になさい」


326 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/03(日) 01:54:26.69 ID:lymar0u0o
キュイイィィ……ドドオオォォォォンッ!!

教頭「――っ!?」

皇太子「……魔道士っ!!」

魔道士「はぁ…はぁ……はぁ……っ」

教頭「……性懲りもなく、戻ってきたか」

皇太子「何故、戻ってきた!?」

魔道士「生徒さんなら……みんな大丈夫です!」

皇太子「……」

魔道士「あとはお二人だけ……」

皇太子「退くわけにはいかぬな」

水の先生「……あ、あぁ。ここまでやられて……黙っていられるかっ」

教頭「しつこい奴等ですね。まぁいいでしょう」

スッ

グール「……ググゥ」

教頭「三人まとめて、片付けてしまいなさい」


327 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/03(日) 02:00:38.71 ID:lymar0u0o
皇太子「魔道士っ、炎を!!」

魔道士「はいっ!!」

キュイイィィ…ドドオオォォォォ!!

皇太子の手にする長剣が灼熱の炎へと染まりはじめる。

教頭「ちぃ……っ」

皇太子「すまんな……。土に還ってくれ!」

ズバシュッ!!…ゴアオオォォ

グール「ギイアアァァーッ!!」

ズシャアァ

皇太子「はあぁーっ!!」

次々と襲い掛かるグールを、炎の剣で一刀の下に斬り伏せていく皇太子。

炎に包まれ灰と化すかつては人間であった魔物。その消滅を眉間に皺を寄せ、

無念の表情で一人一人を見送る。それは即ち、魂を開放するに同じであった。

その隙を突いて皇太子を狙うグールにおいても、魔道士と水の先生の援護で徐々にその数を減らした。

水の先生「……まだ、この程度の事は出来るっ!」


328 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/03(日) 02:10:25.33 ID:lymar0u0o
教頭「…………」

魔道士「やあぁ!!」

水の先生「でっりゃあぁ!!」

皇太子「……次っ!!」

教頭「……くそっ、くそっ、くそおおぉぉ!!」

ゴゴオオォォッ!!

魔道士「っ!?」

水の先生「魔力が……上昇している!?」

教頭「貴様等如きにワイトと化した……この私がああぁぁ!!」

ズザァッ…キュイイィィィィ

教頭「負けるわけが……ないのだああぁぁ!!」

皇太子「まずいっ!!」

水の先生「全魔力を撃ち放つつもりか……っ」

教頭「死ねええぇぇーっ!!」

――「……させないよ……ふぅ」


329 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/03(日) 02:13:14.63 ID:lymar0u0o
教頭「――なっ!?」

膨大な魔力を練りこみ、一挙に解き放とうとした教頭。

しかし、突如足元に現れた魔法陣により、その魔力をかき消される。

教頭「力が……消え……」

ザッザッザ

皇太子「あれは……っ」

水の先生「ようやく来てくれたか…!!」

魔道士「……賢者さんっ!?」

ザッ

賢者「……面倒な事は嫌いだ……ふぅ」

教頭「貴様……っ」

賢者「これでもう魔法は使えないよ……ふぅ」

教頭「くっそおおぉぉーっ!!」

ガバッ!!…ダンッ

教頭「ならばぁ!!魔物と化した肉弾で貴様を……潰すぅ!!」


330 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/03(日) 02:16:37.74 ID:lymar0u0o
魔道士「賢者さんっ!!」

賢者「やれやれ。これはどうしようもないな……ふぅ」

迫り来る教頭の攻撃をかわすでもなく、賢者は無表情のままその攻撃を受ける。

受けるといっても防御するわけでもなく、ただその攻撃を棒立ちで待つのみであった。

教頭「ハーッハハハハハアアァァ!!」

グオッ……ザシュウゥッ!!

魔道士「――!?」

皇太子「くそっ!!」

賢者「……ごふぅ」

鋭くとがった教頭の右腕が賢者の腹部を容易く貫く。

教頭「……バカめっ、よけもせぬとは自殺願望か?」

賢者「……」

キュイイィィ…パアアァァ

皇太子「あれは……」

水の先生「回復魔法!!」


331 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/03(日) 02:20:13.93 ID:lymar0u0o
魔道士「すご……っ。水があっという間に癒えて……」

賢者「……悪いが、よけるまでもないのさ……ふぅ」

教頭「そうだったな、貴様は賢者であったな」

ズボォ…ビシャッ

教頭「だが、知っているぞ」

賢者「……」

教頭「賢者は攻撃と回復、どちらの魔法をも駆使する事が可能」

賢者「……そうだよ……ふぅ」

教頭「しかしそのスイッチの為、攻防の間にラグが生じるっ!!」

ヒュオッ…ズボォ!!

教頭「つまりはぁ!攻撃し続けておればぁ、貴様は手出し無用っ!!」

賢者「……だから?」

教頭「その間に……あの3人を殺す」

再び腹部を貫いた右腕をそのままに、左腕に魔力を溜める教頭。

教頭「奴等葬った後にぃ……貴様を!!」


332 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/03(日) 02:23:26.01 ID:lymar0u0o
ガシッ

教頭「……?」

賢者「悪いね……ふぅ」

キュイイィィ…

教頭「な……に……!?」

賢者「僕を、世間の常識で……」

教頭「何故っ、攻撃魔法が……!?回復魔法を使っているのではないのかあぁ!?」

賢者「比べないでくれ……ふぅ」

教頭「やっ、やめ……っ!!許し――」

賢者「さよなら……ふぅ」

ドドオオォォォォンッ!!…ガカアアァァァァ!!

魔道士「あれは……五行の光……っ」

水の先生「完全に……消滅した……」

皇太子「何と言う魔力の使い手かっ」

賢者の撃ち放った聖行。それは微弱ながら教頭を消滅させるに十分な一撃となった。


339 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 05:20:15.78 ID:3hywo0l2o
>>1乙

ふぅ…


341 名前:NIPPERがお送りします(鳥取県) [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 09:29:47.13 ID:KpSoub1b0
いちょつごふぅ


344 名前:NIPPERがお送りします(北海道) [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 18:51:47.01 ID:W3+aEIGAO
>>1おふぅ…


345 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 00:21:14.79 ID:TFj1pllFo
オオォォォォ…

賢者「……ふぅ」

水の先生「倒した……のか……」

皇太子「そのようだな」

タッタッタ

魔道士「賢者さんっ、大丈夫……」

賢者「問題ない……ふぅ」

ザッ…スタスタスタ

皇太子「しかし、あの男も教師の一人なのか?」

水の先生「ああ。学園長の孫さ」

皇太子「何っ!?」

魔道士「じ、じゃあ……天才さんの言ってた孫って……」

皇太子「……道理で、大した男だ」

水の先生「俺達も校舎へ向かおう。まだ完全に終わったわけではないからな」

魔道士「……はいっ」


346 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 00:22:10.85 ID:TFj1pllFo
タッタッタッタッタ

魔道士「あぁっ!?」

水の先生「学園長!!」

学園長「……く……くうっ」

火の先生「いいところに来てくれた!手を貸してくれっ!」

皇太子「!?」

水の先生「あの塊は……!?」

ザッザッザ

賢者「魔力同士が均衡し、燻っているのさ……ふぅ」

魔道士「あ、あれが全部……魔力!?」

人間側と魔物側、双方の間に浮かぶ巨大な球体。

さまざまな色を発し、空間は歪み、時に火花を散らし、時に雷鳴を轟かせている。

皇太子「あんなものが降りかかってきたら……」

水の先生「結界石などお構いなしに……全てが消し飛ぶぞっ!」

魔道士「ど、どうすれば……っ」


347 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 00:23:00.95 ID:TFj1pllFo
賢者「押し返す以外に方法はないね……ふぅ」

水の先生「押し返すとは言っても、劣勢……」

火の先生「だから、手伝えと申しておろうっ!」

魔道士「……やりましょう!」

水の先生「私はおろか、魔道士と賢者が加われば……っ」

賢者「仕方ない……ふぅ」

キュイイィィィィ

火の先生「おぉっ!押し返し始めたぞ!!

学園長「このままっ、一気に……」

ザザッ!!

火の先生「なぁっ!?」

皇太子「あれは……先程のグールかっ!」

水の先生「まだいたのか……っ」

グール「ゲギャアアァァーッ!!」

残党のグールが加わり、押し始めた魔力は再び、劣勢へと傾く。


348 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 00:23:44.97 ID:TFj1pllFo
火の先生「馬鹿もんっ、押されておるぞ!気合い入れんかっ!!」

水の先生「……文字通り、腐っても元国軍の魔道兵か」

魔道士「くうぅ……っ!」

グール「グガガアアァァ!!」

学園長「やられて……なるものですかっ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

賢者「手強いね……ふぅ」

水の先生「賢者がいてこれか……。アイツら、大したもんだよ」

火の先生「死してなお、これ程の魔力……」

水の先生「生前にかなりの鍛錬を繰り返したのだろうな……」

火の先生「ああ。魔王を倒す事を夢見てなぁ」

水の先生「賢者っ、それで全力なのか!?」

賢者「さっき、結構な魔力を消費したからね……ふぅ」

水の先生「何か……決め手があれば……」

皇太子「……私が行こう」


349 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 00:25:43.14 ID:TFj1pllFo
魔道士「!?」

水の先生「皇太子!?」

バッ

皇太子「……」

ザザザッ…タッタッタッタッタ

水の先生「何してるっ!?戻るんだ!!」

皇太子「奴らは今、魔法で全力を注いでいるっ!」

ザザッ…チャキッ

皇太子「つまり、剣による攻撃に於いては……」

ズバシュッ…ドシュッ…ズババッ!!

皇太子「隙だらけだっ!!」

グール「グギャアアァァーッ!!」

皇太子「はあぁーっ!!」

ザシュッ…ドシュッ…キィン…ザシュウウゥゥ

皇太子「……次ぃ!!」


350 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 00:26:24.81 ID:TFj1pllFo
火の先生「殿下……っ!!」

魔道士「え、援護を……っ」

水の先生「駄目だっ!」

魔道士「!?」

水の先生「今ようやく、魔力が均衡したのだ。一人でも抜ければまた押される」

魔道士「……っ」

水の先生「それに奴とて、魔法が使えないなりに、自分の出来る事をしているのだ」

学園長「……」

水の先生「今は皇太子を信頼し、魔法に集中するんだ!」

魔道士「……はいっ!」

賢者「……しかし、困ったねぇ……ふぅ」

学園長「あと少しっ、少しでいいから魔力があれば……」

ブウウゥゥン…キュイイィィィィ…

魔道士「え……っ!?」

水の先生「あ……れは……っ!!」


351 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 00:29:22.15 ID:TFj1pllFo
宙で均衡し燻っていた魔力が、徐々にグールの群れへと押し返し始める。

学園長「何……故っ!?」

火の先生「……あやつらっ!!」

その押し返す力は校内の至る窓から輝きを放ち、球体へと伸びていた。

学生「先生方が頑張ってるんだ……っ!俺だって……」

女学生「助けになるか分からない。でもっ、私だって将来は魔道士にぃ!!」

ドドオオォォンッ

学園長「あの子達……っ」

水の先生「バッカやろう……。危険だって言うのに……」

火の先生「……こんの、馬鹿者がぁ!!」

学生「――!?」

火の先生「いつも言っておるだろう!?魔法は心の強さっ!!」

女学生「……っ!!」

火の先生「もっと気合いを入れて、感情を高めんかぁ!!」

学生「……はいっ!!」


352 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 00:33:24.54 ID:TFj1pllFo
空が白く光っていた。

賢者「……ふぅ」

魔法の巨大な球体は生徒らの援護により、一気に校外へと弾き出された。

水の先生「皇太子っ!!戻れぇ!!」

皇太子「……ああっ」

いつのまにか淀んだ色は、球体から消え去り、煌びやかに輝いていた。

火の先生「うおおぉぉーっ!!」

学園長「これで……おしまいよっ!!」

そして球体は、グールの群れが身構える、その頭上に降り注いだ。

グール「ギギャアアァァァァ――」

魔道士「……っ!!」

空が白く光っていた。

その白い光に包まれ、軍服を着た元魔道兵達が包まれていった。

表情は変わらなかったし、言葉も発す事はなかった。

だが、彼らから『ありがとう』、という想いが確かに発せられていた。


355 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:26:31.88 ID:McVc3/fDo
コオオォォォォ…

学園長「…………」

皇太子「終わったな」

魔道士「……ええ」

ドサァ

火の先生「ふはぁ、しんどいわい……っ」

水の先生「まさかこのような所まで狙われるとはな……」

皇太子「これは由々しき問題だな」

魔道士「……?」

皇太子「まさか、実力行使で挑んでくるとはな」

水の先生「魔王軍も本気って事か?」

皇太子「いや、今まであれだけ秘密裏に進めていたのだ……」

魔道士「つ、つまり……?」

皇太子「これは焦り、だな」

魔道士「焦り……」


356 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:26:57.59 ID:McVc3/fDo


皇太子「さて、行くとしようか」

水の先生「おいおい、まだ1時間も経ってないってのに……」

皇太子「うむ。しかし、本国の方も気になるのでな」

学園長「賢者、貴方は殿下にお付きなさい」

賢者「断る権利はなしか……ふぅ」

皇太子「すまんな、短い期間だが宜しく頼む」

魔道士「賢者さんが居れば、怖いものなしですよっ!」

賢者「……ふぅ」

皇太子「再度仕掛けてくる事はないと思うが、くれぐれも気を付けてな」

火の先生「ええ。生徒は校内へ避難したし、他の先生方も出勤するでしょうから……」

水の先生「もう大丈夫だろう。俺達の学園だ。あとは任せてくれ!」

皇太子「うむ。すまんな」

水の先生「何を言っている、自分のすべき事をしているだけさ」

皇太子「……」


357 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:27:26.96 ID:McVc3/fDo


水の先生「それじゃ……またな」

皇太子「ああ」

魔道士「行ってきます!」

学園長「賢者、二人をしっかりね」

賢者「……お婆様の頼みだ、分かっているよ……ふぅ」

水の先生「生きて必ず会おう。そして……」

皇太子「同窓会、誘ってくれよ」

水の先生「無茶言うなよっ、国王陛下になるんだろ?こっちから誘えるものか」

皇太子「そうか、ならば王宮で催すとしようか」

水の先生「それも……キツイな」

皇太子「それでは失礼するぞ」

バサッ…ザッザッザッザ

火の先生「殿下っ、人目だけでも振り向いてやって貰えませんかっ!?」

皇太子「……?」


358 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:27:59.41 ID:McVc3/fDo
クルッ

皇太子「……っ!!」

ワアアァァァァ

学生「殿下っ、殿下っ、殿下ー!!」

女学生「私達も頑張りますからっ!!」

水の先生「あいつら……っ」

皇太子「……頼もしい限りではないか」

魔道士「ええ……!」

皇太子「あの子らの暮らす世を平和にする為にも、頑張らねばならんな」

魔道士「はいっ!」

ザッザッザッザッザ

魔道士「それで、これからどこへ……?」

皇太子「先程の魔物、おそらくは学園狙いではない。我らを狙ったのであろう」

魔道士「!?」

皇太子「一箇所に留まるのは危険だ。それに……他の地も何もなければ良いが……」



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