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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その11
254 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:21:10.51 ID:5aL9twAo
ザアアァァッ…

召喚士「……う…っ!」

魔道士「!!…召喚士さんっ!」

盗賊「大丈夫か!?召喚士!!」

戦士「良かった…本当に!」

召喚士「……み、みんな…っ」

北方司令「召喚士くん!」

幼女「……召喚士さん」

お父「召喚士…!」

オーク「し、召喚士…さん!」

召喚士「みんな無事で…!良かった…」

マジシャン「ああ。みんな無事だ…!」

魔法剣士「…なんとかな」

師匠「まぁお前にしちゃ…頑張ったんじゃねーか?ガハハ!」

召喚士「!?」


255 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:21:20.74 ID:5aL9twAo
ガバッ!!

召喚士「……」

チュンチュンッ…チチュンッ

魔道士「すー…すー…すーっ…」

ベッドに寝る召喚士の脇に、椅子に座る魔道士が

ベッドに伏せるように眠っている。

召喚士「…魔道士さん?…あれ…ここ…は?」

魔道士「…う…うん…」

窓からは明るい日差しが差し込んでいる。

召喚士「一体…?」

魔道士「…んっ……!?」

パッ

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「魔道士さん…こ、ここは…?」

ギュッ…


256 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:21:29.69 ID:5aL9twAo
魔道士「…良かっ…た…!うぅ…っ!」

召喚士「!?」

魔道士は涙を浮かべ召喚士に抱きつく。

召喚士「あ、あの…っ!魔道士さんっ!?」

魔道士「ひぐぅ…っ!うっ…うぅ…っ!」

召喚士「あ、えと…あの」

ガチャッ

盗賊「…!!」

召喚士「盗賊さん…!」

盗賊「…あの…す、すいません」

魔道士「盗賊さんー!召喚士さんが…!」

盗賊「…もう大丈夫みたいだな」

召喚士「もしかして…俺、倒れて…?」

テクテクテク…

戦士「おう、起きたかっ!三日も寝てたんだぞ!?」


257 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:21:41.52 ID:5aL9twAo


召喚士「……そっか。三日もかぁ」

召喚士はベッドから降りようとするが、戦士が制する。

戦士「ああ。相変わらず無茶したみたいだな…」

盗賊「……」

召喚士「そんなつもりはなかったんだけど…」

魔道士「な、何か食べますかっ!?」

召喚士「あ…じゃ、じゃあ軽く…」

魔道士「持ってきますね!」

タッタッタッタッタ…

戦士「ずっとアイツが看病してくれたんだぜ?」

盗賊「…うん」

召喚士「……魔道士さん」

戦士「後で礼を言わね〜となぁ?くふふ…!」

召喚士「あ、あの…それで戦いは…?」


258 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:21:55.88 ID:5aL9twAo
――……

女剣士「…退却した…か?…っつう!」

タッ

盗賊「…だ、大丈夫?」

女剣士「ああ。ちょっと肩を貸してくれんか?」

盗賊「…うむ」

グイッ…ガシッ

女剣士「…はぁ…はぁっ」

盗賊「…辛そうだな」

女剣士「…辛い///」

盗賊「…?」

ザッザッザ…

魔法剣士「……」

戦士「…オッサン、大丈夫か!?」

マジシャンは仰向けのまま雨空を見つめる。


259 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:22:03.58 ID:5aL9twAo
マジシャン「先にあっち行ってやれや…」

戦士「ほら、立ちな…」

戦士は左手を差し伸べる。

魔法剣士「…先に行ってるぞ」

戦士「…?」

魔法剣士「…お前も分かるだろう?」

戦士「……あ、ああ」

戦士は伸ばした手を戻し、魔法剣士の後に続く。

ザッザッザ…

マジシャン「………」

幼女「お父…お父っ!?」

お父「……」

オーク「オラが…運ぶです!」

グッ…ガシッ

幼女「ひっ…う!……お父…!」


260 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:22:12.93 ID:5aL9twAo
魔道士「幼女ちゃん……」

剣兵長「司令!?」

北方司令「ごほっ!……ごふ…っ!!」

魔道士「!!」

剣兵「来たぞっ!おーいっ!こっちだぁ!」

パカラッパカラッパカラッ…

参謀「ま、まさか…こんな戦況とは…!!」

剣兵長「敵が予想の範疇を超えた強さだった…」

参謀「………っ!!」

剣兵長「貴方のせいではない。作戦は…」

参謀「…仕方ない…とでも?」

剣兵長「……」

参謀「これだけの被害が仕方ないとでも言うのですかっ!?」

剣兵長「…全滅よりマシだ。結果として防いだんだからな」

参謀「……」


261 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:22:23.91 ID:5aL9twAo
魔道士「……」

参謀「……救護班」

プリースト兵「は!!」

参謀「怪我人の治療を急げ……」

プリースト兵「はは!!」

タッタッタ…

戦士「無事か?」

盗賊「…ああ。そっちは?」

魔法剣士「…疲労はあるが問題ない」

戦士「そっちのねーちゃんは大丈夫か?」

女剣士「五月蝿い。殺すぞ」

戦士「なっ!?」

盗賊「…大丈夫…みたい」

女剣士「…大丈夫」

戦士「そ、そうか…」


262 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:22:33.79 ID:5aL9twAo
プリースト兵「急げっ!!」

剣兵「ゆっくり運べ。雨で足場が悪い!」

救護班が次々と怪我人を寝かせ、馬車へと搬送する。

幼女「お父ー…!お父ーっ!!」

プリースト兵「お嬢ちゃん、絶対治してやるからな!」

オーク「お願いしますです!!」

剣兵長「司令…」

北方司令「あとの指揮は…さ、参謀に…」

参謀「お任せ下さい!司令は先に…」

北方司令「す…まん。先に戻る……」

剣兵「いいぞ!司令部へ出発しろーっ!!」

ガラガラガラッ…

参謀「我らも帰参致します。準備を!」

戦士「俺らも行こうか」

魔法剣士「……ああ」

魔法剣士は雨中に倒れるマジシャンをちらりと見つめ、戦場を後にした…。


263 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:23:10.42 ID:5aL9twAo
……――

召喚士「そっか……」

盗賊「……」

戦士「……ああ」

タッタッタ

魔道士「お待たせしました!」

魔道士はパンと紅茶をベッド脇のテーブルへ置く。

召喚士「ありがとうございます」

魔道士「えへへ!お気にせずっ」

召喚士はパンを手に取り、一口食す。

召喚士「……美味しいなぁ」

召喚士は二口、三口と千切り食す。

召喚士「怪我した方達は大丈夫ですか…?」

魔道士「あ…あの……」

盗賊「……」


264 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:23:27.16 ID:5aL9twAo
――……

ガラガラガラッ…パカラッパカラッ…

左翼長「伝令より伺っている!急げっ!!」

騎士長「準備は出来てるぞ。正面の広場へ!」

プリースト兵「救護室では…?」

騎士長「人数が多すぎる。道具は搬送済みだ!」

プリースト兵「は!急げ、こっちだっ!」

ダダッ

幼女「お父……」

魔道士「大丈夫…。一緒に待ってよ?」

幼女「……」

ジャリッ…

戦士「…?もう、行くのか…?」

魔法剣士「…ああ。報酬は全てその子にやってくれ」

戦士「……」


265 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:23:35.28 ID:5aL9twAo


プリースト兵「…!!これは……」

お父「……」

プリースト兵「……左翼長」

ザッザッザ

左翼長「…なんだ」

プリースト「…これを」

パラッ…バサッ…

左翼長「!!……これは…酷いな」

プリースト「おそらく半日ともちません」

左翼長「………」

ザッ

左翼長「戦士、参謀!」

参謀「…?」

戦士「なんだ?ちょっと行ってくるわ」


266 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:23:43.94 ID:5aL9twAo
盗賊「…」

幼女「…お父ーっ…ひぐっ…う!」

タッタッタ…

戦士「おじさん…!」

左翼長「おう…こちらのワーカーだが…」

戦士「う…っ!?」

左翼長「確か…小さな娘がいたな?」

戦士「…嘘…だろ?」

参謀「…どうします?」

左翼長「俺は…最後を看取らせてやりたい…」

参謀「しかし…酷、ではありませんか…?」

左翼長「う…むぅ」

戦士「いや…、看取るべきだ」

左翼長「……」

戦士「あの子だって修羅場潜ってんだ。覚悟は出来てるよ…きっと」


267 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:23:51.56 ID:5aL9twAo


幼女「……」

戦士「自分で決めるんだ」

幼女「…ぐすっ…ぐす…っ…!」

盗賊「……」

魔道士「幼女ちゃん…。あの…」

幼女「…だ…だいじょ…じょうぶ」

戦士「…行こうか」

幼女はこくんと頷く。

魔道士「…わ、私もついてるからっ!」

盗賊「…うん。みんなで…行こう」

ギュッ…ギュウゥ

魔道士と盗賊は幼女の手を握り、前へ進む。

左翼長「……強い子だ」

戦士「……ああ」


268 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:24:01.37 ID:5aL9twAo


プリースト兵「…着衣は戻しました…ボソボソ」

左様長「…ああ。それがいい…ボソボソ」

幼女は横たわるお父の手を握る。

幼女「…お…お、お父…ぅ」

キュッ…

幼女「!?」

お父「………」

幼女の握る小さな両手を、お父の大きな手がか細い力で握り返す。

幼女「お父ーっ!うあ…うあぁっ!!」

幼女はお父の胸にしがみ付く。

お父「…な、何…泣いてる…?」

幼女「お父っ!…あたし…や、やだ…よぅ!!」

お父「……」

お父は無言で幼女の頭を撫でる。


269 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:24:10.99 ID:5aL9twAo
お父「……すまん…な」

幼女「やだやだ…っ!……ひぐぅ…っ!」

魔道士「…う…うぅ…っ!!」

お父「…自…分勝手で…すまんな…!」

幼女「違うもんっ!そ…そんな事ない…っ!」

お父「……お前と会…って、もう4年…か」

幼女「うん…うんっ!もう4年…だよぅ!ひ…ぐぅ!」

お父「辛い…お、思い……させたな。すまんな…」

幼女「うぅ…っ!そんな事…ないもんっ…!」

参謀「これ以上喋ると……」

左翼長は参謀を手で制し、首を横に振る。

お父「そ…そうか…。あり…がとな…」

幼女「だ…っから…こ、これからもぉ…うあぁ…っ!」

お父「ごふっ!…お…父と呼んでくれて…あり…がと…な」

幼女「これからも呼ぶよぅー!呼ぶ…っから!ぐす…っ」


270 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 15:24:26.29 ID:5aL9twAo
お父「お…れも……幼…女の事……娘…―――」

コトッ…

戦士「――っ!!」

盗賊「…う…ぐぅ…っ!!」

魔道士「……ひぐ…ぅ…うあ…っ…!」

幼女「う…うあ…ぁ…!お…父っ…お父ーっ!!」

幼女は己の頭を離れ、床へと下がったお父の腕を持ち上げる。

幼女「うあぁ…っ!お父ーっ!あた…し…っ!ひぐっ…ひぐ…っ」

左翼長「……」

左翼長と参謀は目を瞑り、黙祷の後一礼し、場を後にする。

戦士「……っ」

幼女「お父ー…あっ、あ…あり…がとねっ!ありがと…っね!」

ギュウゥゥッ

幼女「あっ…あたし…っ!…頑張る…からぁ!!」

幼女はお父の手を握りながら、顔を覗き込む。

幼女「ありがとねっ!…お父…っ…あ、あり…ひぐっ」

お父の笑顔に覗き込む幼女の、大粒の涙が零れ落ちた…。


279 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/02/04(木) 16:44:41.23 ID:yPhqL/E0
召喚士が3日も寝込むの久しぶりだな
召喚獣がやられるとかなり魔力もってかれるのかな?


280 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/02/04(木) 16:45:32.74 ID:we3vZsMo
きっと召喚獣はオーバーソウルみたいな感じなんだよ


283 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 17:01:58.11 ID:5aL9twAo
……――

召喚士「………」

戦士「…あの子は強いよ」

盗賊「…うん」

魔道士「……」

召喚士「…俺は」

盗賊「…」

召喚士「俺はなんでいつも…っ」

ガンッ!!

魔道士「っ!!」

戦士「…誰のせいでもないよ。自分を責めるな」

壁に拳を叩きつける召喚士に、戦士は声をかける。

盗賊「…ああ。覚悟の上での…事だ」

召喚士「……」

魔道士「召喚士さん…」


284 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 17:02:09.36 ID:5aL9twAo
コンコン…ガチャッ!!

左翼長「…いいか」

戦士「おじさん…?」

左翼長「朱雀先生も意識が戻ったか」

召喚士「あ、あの…」

左翼長「すまんな。話は後だ。来れるか?」

盗賊「…?」

一同は立ち上がり、左翼長の後を急ぐ。

〜二階、救護室〜

カチャッ

左翼長「……」

参謀「朱雀先生…ご無事で何よりです」

召喚士「司令は…!?」

参謀「……」

参謀はベッドの上へ横になる司令へ目配せする。


285 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/04(木) 17:02:19.02 ID:5aL9twAo
左翼長「…いよいよだ」

召喚士「…!!」

北方司令「…お…おぉ、朱…雀…先生」

剣兵長「司令!喋られますと…!」

北方司令「参謀…」

参謀「……はっ」

北方司令「事後の…へ、編制を…」

参謀「…畏まりました」

北方司令「……左翼長」

左翼長「……」

北方司令「北を…お、お願…い…します…」

左翼長「お断りだよ…。自分で何とかしな」

北方司令「ふふっ…さ、最後まで厳しい…人だ…」

左翼長「…師匠や…いや、アイツらによろしくな」

北方司令はにこりと微笑み、息を引き取った…。



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