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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その37
112 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:27:51.54 ID:9iZRs5oAo
 ドドッドドッドドッ

剣士「どけどけどけぇ!!」ブンッブンッ

幼女「……っ」

弓使い「幼女っ、しっかりつかまっててね!」

 2頭の馬が木々を右へ左へと避けながら疾走している。

 先頭を駆る剣士。その後ろに弓使いとそれにしがみ付く幼女。

 極力、魔物の少ない道を北へ北へと突き進んでゆく。危険を避けているわけではない。

 勿論、そういう意味合いもあるが、魔物は最初から少ないわけではなく、

 何者かにやられ、地に伏せ、数が減っているのだ。しかし人間の姿はない。人の仕業ではない。

 剣士は確信する。これは魔物同士が戦った末の事。つまりその先に、探すべき者はいる。

 ワアアァァァァ

剣士「!?」

弓使い「何っ!? 戦闘中……?」

剣士「この先に……いる!」

 馬を走らせると、その先に見覚えのある魔物らが戦っていた。


113 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:29:07.82 ID:9iZRs5oAo
 ザシュッ ドウッ

ハヌマーン「……」

猿兵「ハヌマーン様」

ハヌマーン「……?」

 ドドッドドッドドッ

剣士「ハヌマーン様!」

ハヌマーン「剣士殿か……っ!」ザッ

剣士「こちらは大丈夫ですか!?」

ハヌマーン「ああ、大事ない。内から崩せば意外と脆いものよ」

剣士「良かった。大軍師様より話を伺い、駆けつけました」

ハヌマーン「それはご苦労。此方も撹乱と情報収集はあらかた終了したところだ」

剣士「では……」

ハヌマーン「うむ。このまま北へ抜けて、西側より合流致そう」

剣士「了解ですっ! それではまた後ほど……!」ザッ

幼女「お気を付けてっ!」


114 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:29:28.53 ID:9iZRs5oAo
 ザザッ ドドッドドッドドッ……

ハヌマーン「……さて、もう一仕事だぞ」

猿兵「了解です。集合させまするか?」

ハヌマーン「いや、合流場所は指示した。このまま各々、切り抜けるとしよう」

猿兵「その方が撹乱にも都合が良いですな」

ハヌマーン「そういう事だ。さぁ、行くぞ」ババッ

ドオオォォォォン

ラクシャーサ「前線は潰れたぁ! もうダメだ、逃げろー!」

ワーウルフ「つ、潰れたってあんだけいたのにか……?」

ラクシャーサ「ああ! 人間共め、ありゃあ100万はいるぞ!」

オーガ「ナニィ!? 聞イテナイゾォ!?」

ラクシャーサ「特に西側は危険だ! 城に戻るか東側に逃げた方がいい!」

ワーウルフ「ど、どうするよ……?」

オーガ「グヌウウゥゥ……ッ」

ラクシャーサ「俺ぁ命が惜しいんでなっ、城まで逃げるぜ……ケケッ!」


115 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:30:58.22 ID:9iZRs5oAo


 バッシュウウゥゥゥゥ

青年兵「はあぁーっ!!」ドガアアァァァァ!!

ズー「ゲキャアアァァァァーッ!!」

ワイバーン「おい青年兵、あれを見ろ」

青年兵「!?」

ワイバーン「あのガーゴイル……飛び方が変だぞ」

青年兵「8の字を描いている……何か知らせようとしているようだな……っ」

 バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「おいっ! お前はどっちだ?」

ガーゴイル「おぉ、ニンゲンか! 俺はハヌマーン様の手下だ!」

青年兵「味方か。それで、ハヌマーン様は?」

ガーゴイル「敵をかき回して、北に抜けてえぇと何だっけ? ああそう、そのまま合流するってよ!」

青年兵「了解した! 君達もそれに続いてくれ。気を付けて!」

ガーゴイル「あいあい。ありがとさんよー!」バサァッ


116 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:31:37.12 ID:9iZRs5oAo


 ドドオオオオォォォォ

大軍師「……」

西方参謀「順調じゃあねぇか……ヒック」ザッザッザッ

大軍師「西方司令部は北側へ回ったのではないのですか?」

西方参謀「メインはな。俺は精鋭魔道兵の護衛だよ」

大軍師「西国軍に白虎隊もいますからね、安心ですか」

西方参謀「安心は出来んけどなぁ。あれだろ? 魔王様が直々に現れたって聞いたぜ」

大軍師「ええ」

西方参謀「もう1度出張ってきたらどうすんだよ? 凌ぎ切れんのか?」

大軍師「どうでしょうね、総力戦ならば押し切れるかもしれませんが」

西方参謀「まぁ確かに、いちいち篭城されるよりは、野戦で葬った方が早いわな……ヒック」

大軍師「もし魔王もそう考えているのならば、もう出て来る事はないでしょうねぇ」

西方参謀「あくまで様子見……って事かい」グビッ

大軍師「でなくば、全力でこちらを殲滅するよう、攻撃している事でしょうからね――」


117 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:32:08.54 ID:9iZRs5oAo
 ズッドオオオオォォォォン

西方参謀「おーおーっ、騒がしくなってきやがった」

大軍師「いよいよ出てきましたね」

 ドドッドドッドドッ

伝令「東側にて火災が発生! 木々が燃え、炙り出される形で魔王軍がこちらに――」

西方参謀「んなモン見りゃあ分かんだよ!! 的を射た報告をしろっ!!」

伝令「し、失礼致しましたぁ!!」ガカッ

西方参謀「ったく、若いのが多いから体力はあるが、戦慣れしてねーってのが困るわなぁ」

大軍師「仕方ありませんよ。これだけ大規模な戦いは、私達とて始めての経験ですし」

西方参謀「そりゃあそうだけどな……ヒック」

大軍師「陛下率いる遊軍と兵器隊がいくようですね」

西方参謀「どーれ、支援に動くかねぇ……ヒーック」

大軍師「助かりますよ、西方参謀殿」

西方参謀「お前さんに褒められても不気味なだけだガハハッ! んじゃ西方隊、行くぞぉ!」

大軍師「これで出せるカードはほぼ全て切りました。あとは……引きの強さを信じるしかありませんね」


118 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:34:15.05 ID:9iZRs5oAo
 ズドドドドオオォォォォ

エリート「さぁ、来たぞ!」

博士「バリスタっ、照準を定めるのら」

 ガゴッ キリキリキリッ……

博士「狙うのはアンデッドだけなのら。特に上空の奴。数に限りがあるから無駄撃ち出来ないのら」

助手「りょ〜かいっ♪」

騎士団「来たぞぉ!!」

博士「外すなよー。バリスタっ、一斉射撃……放つのらぁ!!」

助手「はいは〜い!」

 ズドドドドドドッ!! バッシュウウゥゥゥゥ

ヴァンパイア「な、なん……ゴグアアァァァァ――」ドッズウウゥゥゥゥ!!

博士「ちぃっ、3発も外れたのらっ! バカ! バカっ!」

助手「バカって言われた〜」シュン

ヴァンパイア「フウゥーッ。危ない危ない、結界石で出来ていましたか」

 ゴウッ!! ビョオオオォォォォ!!


119 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:34:41.39 ID:9iZRs5oAo
ヴァンパイア「――ッ!?」

エリート「突風……?」

ヴァンパイア「グヌウウゥゥ! か、体が……押され――」

  ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

工兵「ぜ、全弾命中っ!!」

博士「神風……? まさかなのら」

 ヒュオオオオォォォォ

大軍師「ちょっと遠くてうまくコントロール出来るか心配でしたが、うまくいったようですね。ふふっ」

皇太子「バリスタの第2波に合わせて突撃するぞ。城には近づけるな!」

騎士団「おぉーっ!!」

博士「次っ、装填急ぐのら!」

助手「オッケー!」ガゴッ

ヴァンパイア「まだきますかッ! ええい、射程外まで浮上しますよぉ!」ブワッ

 ゴウッ!! ビュオオオオォォォォ!!

ヴァンパイア「んな……ッ! う、上から風が……押し……」


120 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:35:15.88 ID:9iZRs5oAo
大軍師「逃がしませんよ。風の蓋で押し込んであげましょう。ふっふっふ」バッ

博士「チャンス到来なのらっ! 撃――」
助手「発射〜っ♪」

 バシュシュシュシュッ!! バシュウウウウゥゥゥゥ

エリート「弾道が低いぞ!? 大丈夫なのか?」

皇太子「構わぬ。突撃だ!!」

騎士団「おおぉぉぉぉ!!」

 ドドッ ドガガガガッ!!

ワーウルフ「大した数じゃねぇッ! 突き抜けろぉ!」

トロル「いやダメだッ、こっちの数が少ねぇ!」

ワーウルフ「何でこれしかいねぇんだよオオォォ!」ザシュッ!!

トロル「東が安全……って、みんな東にグベッ――」ドシュッ!!

皇太子「大した数ではないぞっ、一気に畳み掛けろ!」

エリート「随分と小規模だな。これはらっきーなのか、それとも……」

皇太子「どうしたエリート、行くぞ」

エリート「……どちらでも良い、か。重要なのは結果だ」ザッ


121 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:36:01.67 ID:9iZRs5oAo


 ワアアアアァァァァ

ジュニア「あっちは随分とまぁ、盛り上がってるじゃないの……ハッハ!」

眼鏡「そうだね。やはり信じてこちらへ来て、良かったよ」

賢者「……どうだろうね……ふぅ」

ジュニア「あん?」

賢者「来たよ……ふぅ」

魔法剣士「……今までの雑魚とは違う連中だな」

 ドドオオォォォォ

サイクロプス「虫ケラ共ォ! ここから先が魔王城と知ってやってきたのかァ!?」

魔法剣士「ほぉ、そうだったのか。それはよいいい事を聞いた」

眼鏡「僕は知ってたけどね」

ジュニア「俺は初耳だな」

賢者「どちらでもいいさ……ふぅ」

サイクロプス「……ナメやがってエエェェ!!」ドンッ!!


122 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:36:42.55 ID:9iZRs5oAo
魔法剣士「1体1体がかなりの強さだぞ! 気を付けろ!」

ジュニア「わぁってるよ! 気配がビンビンだぜ……ハッハ!」

 キュイイィィィィ……ドドオオオオォォォォン!!

眼鏡「こいつらの弱点は視野の狭さだ。背後に回り込めば……そう怖くはない!」

 ザシュウウゥゥゥゥ!!

ジュニア「かと言って、簡単に倒せるわけでもねぇけどなっ!」ドウンッ!!

サイクロプス「こざかしいいぃぃ!!」

ジュニア「眼鏡が囲まれたぞっ!」

魔法剣士「ちぃっ」

サイクロプス「グハハハハアアァァ!!」ブオンッ!!

 ヒュヒュッ ズバシュウウゥゥゥゥ!!

サイクロプス「な……何ィ!? よけただとぉ……ッ!!」

賢者「避けるどころか、反撃までしているよ……ふぅ」

サイクロプス「正面しか見てなかったってのにッ、まるで顔が複数あるみてぇな……」

眼鏡「残念だったね。君達と違って僕は、視野も広い方なんだ」


123 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:37:31.18 ID:9iZRs5oAo
 ズザザザザザザッ

サイクロプス「何だぁ!? 援軍か……ッ?」

ハヌマーン「はああぁぁーっ!!」

 バギャッ!! ドッゴオオォォォォン!!

ガーゴイル「いっけーっ! 殴れ殴れぇ!」

オーク「ふんぬーっ!!」ドゴオオォォォォン!!

魔法剣士「何だ……!? 仲間割れか?」

賢者「いや、あれはどうやら味方のようだね……ふぅ」

眼鏡「味方……」

 ドドッドドッドドッ

王子「戦闘中だぞっ、援護しろぉ!」ドドッドドッ

白虎長「陛下っ、ハヌマーン軍がいますのでどうしましょう!?」ドドッドドッ

ジュニア「1つ目ヤローが敵っ! あとは味方だ!」

王子「了解した!!」

白虎長「ベヒーモスっ、このまま突っ込むわよぉ!」


124 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:40:05.70 ID:9iZRs5oAo
 ドウンッ!! ドッズウウゥゥゥゥン!!

ベヒーモス「グッガアアアアァァァァーッ!!」

 キュイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!

サイクロプス「うおのれえぇぇ!! 召喚獣めがああぁぁぁぁ――」ドジュウウゥゥゥゥ

魔法剣士「これなら何とか、押し切れそうだな」

眼鏡「……」

魔法剣士「どうした?」

眼鏡「流石に、そう簡単には踏み入らせて貰えないか」

賢者「……ふぅ」

眼鏡「城を空にしたわけじゃない。最初から数なんてどうでも良かったんだ……っ」

魔法剣士「どういう事だ……?」

眼鏡「魔王城に入る以前の問題と言う事さ。一旦、退こう」

ジュニア「おいおい、ここまで来てかぁ!?」

眼鏡「事情はあとで説明する。サイクロプスを殲滅したら、戻ろう」

魔法剣士「……いいだろう。指示に従う」


125 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/21(火) 18:41:19.53 ID:9iZRs5oAo


西国兵「逃げた魔物は追いますか?」

王子「……いや、放っておけ。今は主力を叩くのが先決だ」

ジュニア「俺らは一旦、後退するぞ」

白虎長「了解。ご苦労様っ」

王子「我らも退がるか。流石に連戦で魔力が厳しい」

西国兵「そうですね。西国兵長も戻っている頃かと思いますし」

 ザッザッザッ

ハヌマーン「大軍師殿はどちらに?」

白虎長「あらっ? あなたは確か……ハヌマーンさん!」

王子「おぉ、噂のハヌマーン軍か! 無事のようで何より」

白虎長「大軍師なら南の本隊にいると思うわ。一緒に行きましょ」

ハヌマーン「すまんな。助かる」

ラクシャーサ「オーク、行くぞー」

オーク「はいですっ」


131 名前:NIPPERがお送りします(千葉県) [sage] 投稿日:2012/02/21(火) 19:22:02.75 ID:2qznwNiqo
ラクシャーサがハヌマーン軍に馴染んでるのがすごくいい


133 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [sage] 投稿日:2012/02/21(火) 21:54:18.04 ID:sF1r+9540
>>1 おつ
こう戦闘が続くと体力魔翌力が心配
特に王子・帝・幼女とかまだ子供だからな


137 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/22(水) 17:57:34.63 ID:Y4ScXgJXo


騎士団「突撃いいぃぃ!!」

 ドッガアアァァァァ!!

皇太子「騎士団の騎馬突撃は、相変わらず凄まじい威力だな」

エリート「聖王時代から続く、伝統と積み重ねですからね」

ワーウルフ「クッソオオォォ!!」ガシュウウゥゥ!!

騎士団「騎士団長への手向けだ」

皇太子「大半は追討した、引き揚げるとしよう」

エリート「怪我をしているな。大丈夫か?」

騎士団「……騎士団長の痛みに比べれば、この程度……造作もありません」

 グググッ

ヴァンパイア「せ、せいぜい……勝ち誇っているが良いわッ。ベルゼブブ様が必ずや貴様らを――」

 ドンッ!! ボトッ

エリート「騒がしい首だな。バリスタの矢に貫かれて動けぬと言うのに」

皇太子「放っておくが良い。朝になれば消滅するさ。さて、後退するぞ」


138 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/02/22(水) 17:58:20.04 ID:Y4ScXgJXo


 パッカパッカパッカ

大軍師「ご苦労様です。大事ありませんか?」

皇太子「ああ。諸君らもご苦労であった」スタッ

エリート「青年兵はどうした?」

大軍師「上空より戦況を見据え、指揮しておられますよ」

皇太子「あれか? あれは指揮と言うより、完全に戦闘行為だと思うがな」

 バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「くらえぇ!!」

ワイバーン「はあぁーっ!!」ズッガオオォォォォン!!

青年兵「……よし、ズーのほとんどは殲滅したか」

ワイバーン「ヴァンパイアも他の連中が封じたようだな」

青年兵「地上での掃討も落ち着いたみたいだし、そろそろ引き揚げようか」

ワイバーン「了解した」バシュッ

青年兵「あとは築城完了まで、何事もなく進めばいいけど……」



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