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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その20
398 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:31:50.06 ID:6E6qb6oo
〜最北の村〜

ジュニア「さーて、今日もハリキっていきましょー!」

魔道士「おーっ!」

召喚士「お、おーっ」

戦士「……」

盗賊「……」

ジュニア「テンション低いなぁ…」

魔道士「盗賊さん、二人であっちの方…」

ジュニア「ダーメ」

魔道士「え?」

ジュニア「こういう現場では男女ペアってのが基本なの!」

魔道士「そ、そうなんですか!?」

ジュニア「そう!それに前日の状態はやった本人しか把握してない」

召喚士「…確かに」

ジュニア「昨日と同じペアで、同じ場所を作業なさい!」


399 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:32:43.62 ID:6E6qb6oo
テクテクテク

召喚士「ジュニアさん…」

ジュニア「んー?」

召喚士「さっきの話…本当ですか?」

ジュニア「あーもちろん嘘」

召喚士「……やっぱり」

ジュニア「あーでもしないといつまでもあのまんまだろ?荒療治だよ」

召喚士「すみません…」

ジュニア「気にすんなって。それよりほれ…」

ジュニアは召喚士の背後を覗き込み、こちらを見つめる魔道士に笑顔を見せる。

ジュニア「そっちも彼女が待ってんぜ?」

召喚士「か、彼女って…!?」

ジュニア「ハッハ!照れんなって!お似合いだよ、四人ともな」

召喚士「……」

ジュニア「あのなぁ…あんまり深く考え込むなって」


400 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:34:04.35 ID:6E6qb6oo
召喚士「…はい」

ジュニア「よく考えてみ?お前も今年で25なんだろ?」

召喚士「え、あ…ええ」

ジュニア「女の一人や二人、もしろいないとならん年齢だろう」

召喚士「一人や…ふ、二人って……」

ジュニア「それにな、うつつを抜かしちまえば破滅だが…」

召喚士「……」

ジュニア「守るべきものがあった方が、強くなれたりするモンだぞ?」

召喚士「…守るべき…もの」

ジュニア「世界〜とか、人々〜とか、そんな大きなものじゃなくだぞ?」

召喚士「……」

ジュニア「身近なものの方が実感沸くし、守りやすくもあるだろ?」

召喚士「…そりゃ…そうですけど」

ジュニア「質問攻めになっちまったな。ハッハ…すまんすまん!」

ジュニアはおどけた口調でその場を去って行った。


401 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:35:10.83 ID:6E6qb6oo
ザクッ…ザクッ…ザクッ…

戦士「……」

盗賊「……」

ザクッ…ザクッ…ザクッ…

戦士「……」

盗賊「……」

ザクッ…ザクッ…ザクッ…

戦士「……なぁ」

盗賊「え…っ!あ、何……か?」

戦士「お前さ、俺の事どう思う?」

盗賊「!?」

戦士「…くそっ!!」

カランッ……ガシッ!!

戦士「盗賊っ!」

盗賊「っ!!…は、はは…はいぃ…っ!!」


402 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:35:55.30 ID:6E6qb6oo
戦士「…すまん!」

盗賊「――っ!!……え?」

両目をぎゅっと閉じた盗賊が、慌てて目を見開く。

戦士「…分かっちゃいるんだが、いつも感情的になっちまって…」

盗賊「……」

戦士「本国の時もそうさ…。召喚士やお前のように、もっと冷静でいられたら…」

盗賊「……戦士」

戦士「役人に手を出して…みんなに迷惑をかけて……」

盗賊「…大丈夫だよ、戦士」

戦士「……?」

盗賊「…それが、お前の良いところだ」

戦士「盗賊…」

ザッ

ジュニア「おーい、コッチは…っと!す、すまんっ!邪魔したなっ!」

戦士「してないっ!!」


403 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:36:47.84 ID:6E6qb6oo
戦士「…すまん!」

盗賊「――っ!!……え?」

両目をぎゅっと閉じた盗賊が、慌てて目を見開く。

戦士「…分かっちゃいるんだが、いつも感情的になっちまって…」

盗賊「……」

戦士「本国の時もそうさ…。召喚士やお前のように、もっと冷静でいられたら…」

盗賊「……戦士」

戦士「役人に手を出して…みんなに迷惑をかけて……」

盗賊「…大丈夫だよ、戦士」

戦士「……?」

盗賊「…それが、お前の良いところだ」

戦士「盗賊…」

ザッ

ジュニア「おーい、コッチは…っと!す、すまんっ!邪魔したなっ!」

戦士「してないっ!!」
盗賊「してないっ!!」


404 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:37:33.00 ID:6E6qb6oo
ザクッ…ザクッ…ザクッ…

魔道士「召喚士さん」

召喚士「はい?」

魔道士「召喚士さんは…どう思ってるんですか?」

召喚士「えっ!?」

魔道士「……召喚士さん、私は…その……」

召喚士「えっ、あ…っあの…っ」

魔道士「言い辛いんですが……」

召喚士「お、俺は…その…っ!魔道士さんさえ…よ、よけ」

魔道士「マジシャンさんは…もう、もう…いないんだと思います」

召喚士「れれ……え…っ?」

魔道士「私…必死にずっと、マジシャンさんは生きてる…きっと帰ってくる…」

召喚士「……」

魔道士「そう思ってました。だから笑顔で、みんなと笑顔で待っていよう…って」

召喚士「…魔道士さん」


405 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:38:02.72 ID:6E6qb6oo
魔道士「でも、虚勢を張ればば張るほど…悲しみの反動も大きくて…」

召喚士「ええ…」

魔道士「本当は受け入れなくちゃいけないんだ…。マジシャンさんの死を…って」

召喚士「魔道士…さん…」

魔道士「この村に来て、それがやっと出来そうです…」

召喚士「…強いですね。魔道士さん」

魔道士「そんな事ありませんよ…。今でもほら…」

魔道士は小刻みに震える右手の掌を広げ、召喚士の前へ開く。

魔道士「弱いですよね…私……」

ギュッ

魔道士「え……っ」

召喚士「…弱くてもいいじゃないですか。それを受け入れられる強さがあるんですから」

魔道士「召喚士…さん…っ」

キュッ

震える魔道士の手を握る召喚士の手。それをまた魔道士が優しく握り返した。


406 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:39:11.20 ID:6E6qb6oo
テクテクテクテク…

ジュニア「おーい、こっちはどう…」

召喚士「!?」

魔道士「っ!!」

ジュニア「…ったく、あっちもこっちもイチャコラ…」

召喚士「ち、違いますよ!」

魔道士「そ、そうですっ!勘違いしないで下さい!!」

ジュニア「…んで、こっちはどうよ?」

召喚士「いえ…何も……」

ジュニア「キリがねーなぁ…」

魔道士「……」

ジュニア「今日いっぱい、ダメだったら諦めるぞ」

召喚士「そうですね…あまり時間を費やしていても…いけませんよね…」

魔道士「……」

ジュニア「まぁ国軍の連中もいるし、後は奴らに任せるとしようかね」


407 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:41:37.84 ID:6E6qb6oo
ザッザッザ…

魔道士「あの、どちらへ?」

ジュニア「おしっこアーンド休憩。お前らも休みつつやりなよ〜?」

テクテクテク

ジュニア「ふふんふんふーん」

テクテクテク…ピタ

ジュニア「ん…?何だこの音…?」

ジュニアは森を更に奥へと進み、音の原因である、小さな川へと差し掛かる。

ジュニア「川…か」

ザッ…ジャバジャバッ

ジュニア「…んー、飲めるみてぇだな。こりゃいい」

両手で水をすくい、ふと顔を上げるジュニアの目に、湯気が飛び込む。

ジュニア「……?」

テクテクテク…

ジュニア「……ははぁ、なるほどな…!!」


408 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:43:31.83 ID:6E6qb6oo
ザクッ…ザクッ…ザクッ…

戦士「おい……っしょおぉ!」

ザクッ…ザクッ…ザクッ…

盗賊「……くっ!」

戦士「どした?」

盗賊「…この岩…固い」

戦士「おっし…どきな」

戦士はつるはしをその場に置き、左腕の盾を斧の形状にし、右手に持つ。

ググッ……ヒュオッ!!…バゴォッ!!

戦士「……っしゃあ!」

盗賊「…流石」

ゴトゴトッ…ドドォ…

盗賊「……?」

戦士「…何だ?奥に空洞が…洞窟?」

二人は一度、顔を見合わせ、すぐに洞窟の中を覗き込んだ。


409 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:44:15.68 ID:6E6qb6oo
テクテクテク…カラーン

盗賊「…一度…引きかえした方が良くないか?」

戦士「…そんなに深くなさそうだし…この先まで行ってみよう」

盗賊「……」

テクテクテク…ザザァ

盗賊「…待て、何か音が聞こえる!」

戦士「!?」

ザッ…ザッ…ザッ

戦士「魔物か…!?」

盗賊「…いや、水の音だ」

戦士「地下水脈でもあんのかな?」

ザッ…テクテクテク…

戦士「おっ、道が開けたぞ」

盗賊「……」

洞窟内には地下水脈が川のように流れ、それを地上からの光が差し込み照らす。


410 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:45:10.32 ID:6E6qb6oo
中央部分で泉のように溜まる水脈が反射し、幻想的な光景を生み出していた。

戦士「おぉ…っ!?」

盗賊「おぉ…!」

テクテクテクテクテク

戦士「すんげ…。あれ…何だ?」

盗賊「…井戸のようだな」

戦士「なるほどな。生活用水にも使ってたってわけか…」

盗賊「…道理で地滑りが起きるわけだ」

戦士「…?」

盗賊「…引き返そう」

戦士「…だな。特に異常もなさそうだし…」

チャポッ

盗賊「…どうした…行くぞ?」

戦士「あ、待てって」

戦士は覗きこんだ水面から顔を上げ、歩き出す盗賊の後を追った。


411 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:45:51.43 ID:6E6qb6oo


魔道士「…ジュニアさん、遅いですねぇ」

召喚士「……確かに。何してるんでしょうか」

魔道士「探しに行きます?」

召喚士「そうですね、休憩がてら行きましょうか」

テクテクテク…

魔道士「…んーっ!」

召喚士「ははっ、お疲れ様です」

森の中を歩きながら両手を伸ばす魔道士を見て、召喚士が微笑みかける。

魔道士「召喚士さんこそっ、お疲れ様です!」

魔道士も労いの言葉をかけ、笑顔で言葉を続ける。

魔道士「でも、ほーんと気持ちいいですねぇ」

召喚士「ええ…。ただ北に限りなく近い場所ですから…やはり心配ですね」

魔道士「そうですよね…」

召喚士「今は攻めてくる事もなさそうでうが、偵察との遭遇は考えられますね」


412 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:46:37.50 ID:6E6qb6oo
魔道士「気をつけないといけませんね…!」

魔道士の顔から笑顔が消え、同時に左右をきょろきょろと伺いながら歩き始める。

召喚士「…ふふ…はははっ」

魔道士「……?」

召喚士「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ」

魔道士「だってぇ……」

召喚士「……ま、まぁ…いざという時は俺」

魔道士「あーっ!!」

召喚士「!?」

魔道士「ジュニアさん!」

魔道士の指差す先には、川辺で寝転ぶジュニアの姿があった。

テクテクテクテク

魔道士「ジュニアさんっ!!」

ジュニア「…ん……うぉ…っ!」

召喚士「心配しましたよ…。もう…っ」


413 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:47:14.49 ID:6E6qb6oo
ジュニア「あん…?あ、結構時間経っちまったか…ハッハ」

魔道士「そうですよ〜!一人で昼寝なんかしちゃってぇ〜」

ジュニア「すまんすまん!いよ…っと…」

召喚士「こんな所に川なんてあったんだ……」

ジュニア「ああ。西からずっと続いてるみてぇだな」

召喚士「川下は…南東の方かな」

魔道士「あれ…?川なのに湯気が出てる気が…」

ジュニア「ありゃ天然の温泉だな」

魔道士「温泉!?」

ジュニア「ああ。源泉ってやつだな。川の水と混ぜれば、即興の露天風呂になるぜ」

召喚士「へぇ〜!あ、そうか……」

魔道士「…?」

召喚士「戦士の故郷。温泉あったじゃないですか!」

魔道士「そういえば…!て事は、北方は温泉が沢山あるって事ですか!?」

召喚士「戦士の故郷はここより南東、北関へ向かう途中にありますからね!」


414 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:48:48.97 ID:6E6qb6oo
ジュニア「ま、温泉は置いといて…ひとまず戻ってメシにすっか!」

魔道士「まだ何にもしてないじゃないですかっ!」

ジュニア「二人で仲睦まじく進めてくれたんだろ?ん?」

召喚士「ま、まぁ…。仲睦まじくって何ですか…」

ジュニア「ほれほれ、戻んぞー」

魔道士「仕方ないですねぇ…全く」

頬を膨らませ歩き出す魔道士に続いて、召喚士とジュニアが後を追った。

テクテクテク…

魔道士「あ、戦士さんと盗賊さんも戻ってたんですね!良かった!」

盗賊「…?」

召喚士「これからちょうど食事にしようかと…」

戦士「おう、いいタイミングだったな!そっちはどうだ?」

ジュニア「そりゃあもう、バッチリよ!」

盗賊「……?」

戦士「バッチリって……意味が分からん…」


415 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:51:25.79 ID:6E6qb6oo


戦士「…ふぅん。川と温泉がねぇ」

戦士はライスにかけたビーフシチューを頬張りながら話を聞く。

召喚士「戦士の故郷にもさ、温泉があったじゃない?」

戦士「あの辺りは掘れば湧くような温泉地帯だからな…」

魔道士「やっぱりそうなんだ!」

召喚士「この一帯はきっとどこもそうなんですね」

盗賊「……モグモグ」

ジュニア「んで、そっちの地下水脈ってのは何もないのか?」

戦士「ああ、何の変哲もない川……」

召喚士「川……」

戦士「もしかして……」

召喚士「繋がってる…?」

ジュニア「あー、可能性はあるだろうなぁ」

盗賊「……モグモグ」


416 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/06(水) 17:52:56.33 ID:6E6qb6oo
戦士「とりあえず国軍の連中にも報告して調査しようと思ったんだ」

魔道士「なんだか目的が変わってませんか?」

戦士「いや、まぁ…確かにそうだけどよ…」

盗賊「…しかし…調査は早い方がいい」

魔道士「え…?」

盗賊「…地下水がある地形は…地滑りが起きやすい」

ジュニア「その通りだ。おそらく大雨による水害の土砂もその影響だろう」

召喚士「整備さえすれば…対処方はあるって事か…」

戦士「…なるほどな」

ジュニア「んじゃ、メシ食い終わったら、さっそく軍の奴らに報告だ」

魔道士「ですね!」

戦士「あ、おかわり」

盗賊「…私も」

召喚士「じゃ、じゃあ俺も……」

魔道士「…はいっ、沢山ありますからね…えへへ!!」


417 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/10/06(水) 18:40:22.55 ID:TelJYgDO
>>402、>>403ときて>>404ですまんこってしないところが>>1のダメなところだよ


418 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/10/06(水) 20:02:24.72 ID:Pb8Gz9Mo
召喚士の故郷の秘密…まさか!温泉を独占しようと…!?


419 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/06(水) 20:47:01.83 ID:MiGz6ZUo
魔王を全部倒し終わったらみんなで温泉宿か…たまらないな


420 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/06(水) 21:33:01.33 ID:g99po7k0
男二人組は髪の色って茶髪だったっけ?
盗賊と魔道士はわかるんだが


421 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/06(水) 21:46:22.32 ID:tINWz3Uo
>>420
髪の色なんて出てたっけ?
男二人組というか二人は戦士父と猿(盗賊団)じゃないのか。


422 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/06(水) 23:43:51.95 ID:Z5F0BMko
最初は召喚士23歳だよな、作中では2年ぐらいたつのか


433 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:44:44.67 ID:ozAxWtko
登場〜!最近仕事が忙しい&腰痛でして…ほんとスミマセン…

>>417
しまった…!すまんこ!

>>420
髪型とかはご自由にどうぞって感じです!

>>422
もうすぐ2年ですね!

↓続き



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