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冒剣士「僕は最高の冒険者になる」
402 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:06:53 ID:iY06alOQ
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



…ケンシ…

ボウケンシ…ボウケンシ………!!


女メイジ「冒剣士っ!」

冒剣士「!」ガバッ

女メイジ「わっ!良かった…気がついた…」


403 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:07:31 ID:iY06alOQ
 
僧侶戦士「ただの魔力枯渇だ。俺らのも分けてやったし、大丈夫だろう」

冒剣士「…」ボケーッ

僧侶戦士「冒剣士、大丈夫か?意識はハッキリしてるか?」


冒剣士「…!」ハッ


女メイジ「…」

冒剣士「そうだ…孤高さん…いえ、墜落魔道は…どうなりましたか?」

僧侶戦士「ご苦労だったな…といえば良いか…言葉が見つからない」

冒剣士「いえ…」


404 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:08:07 ID:iY06alOQ
 
…トコトコ

大魔道「…ご苦労様でした。冒剣士くん」

冒剣士「あ、アナタは…?」

大魔道「…私は大魔道と呼んで下さい。…実は、墜落魔道は私の祖先にあたる人なのです」


冒剣士「…」

大魔道「本当は処理は私がせねばならなかった。ですが、偶然という偶然が重なりすぎました」

オーナー「大魔道を恨まないでくれ。次々と過去の魔物たちの封印が解け、その処理をしていたんだ」


405 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:08:43 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「誰も…恨みませんよ」

オーナー「そして、こうなるまで放っておいたのは俺が原因でもある」

冒剣士「オーナーが…?」

オーナー「本当は、あの時見た赤い紙、あれは俺宛の国家反逆をした孤高騎士の調査と監視のクエストだった」


冒剣士「…」

オーナー「だが、心を入れ替えていく孤高騎士を見て、これからも何とかなるんじゃないかと思っていた」

冒剣士「…はい」


406 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:09:31 ID:iY06alOQ
 
オーナー「しかし、宝玉の反応を聞いて緊急的に同志を集った。その前から、孤高騎士の動きは見張っていたんだけどな」

冒剣士「見張って…あ、雪山の山小屋とか、フィルボルグの洞窟…の気配…まさか…」

僧侶戦士「…」


冒剣士「海の遺跡が沈んだとき、連絡をしたのも…?」

武道家「…」


オーナー「結果的には、最悪なものを迎えてしまったな…俺の責任でもあるんだ。すまん」

冒剣士「…誰のせいでもないんです。宝玉の存在が、宝玉さえなければ…」


407 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:11:20 ID:iY06alOQ
 
オーナー「あぁ。孤高騎士も悪くなんかない。腐っていたのは彼の周りの軍人たちと、宝玉だったということだな」

冒剣士「…」

オーナー「そして俺も、お前たちを結果的に不幸に導いてしまった…ってわけだ…」

冒剣士「…」


オーナー「…」

冒剣士「…でも、孤高さんを信じてくれていたんですよね」

オーナー「…言い訳には、なりそうだから言いたくないのだが…そうだな」


408 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:11:55 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「…本当は、孤高さんはどんな人だったんですか?何をしたから反逆罪になったんでしょうか?」

オーナー「…彼の家族に何があったかは聞いたか?」

冒剣士「はい」

オーナー「その恨みの為、支部を一人で壊滅させ、支部長を拷問し、殺害した」

冒剣士「…」


オーナー「確かに裁かれるべき事をした支部長だが…結果的に孤高騎士は、殺人と軍への反逆罪、拷問による罪などで拘束された」

冒剣士「…」

オーナー「だが、支部長のやった事は許されない。孤高騎士は、それを考慮され短い期間で解放されたんだ」


409 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:12:38 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「当たり前です…」

オーナー「だが、軍は一人で実力のある孤高騎士を危険分子と定め、秘密裏に国家クエストを出回した。それが今回のことに繋がった」

冒剣士「宝玉がなければ、今回のことにはならなかったってことですよね」

オーナー「…ああ」


冒剣士「あの時、やはり封印を解除するべきじゃなか…」

女メイジ「…」

冒剣士「いや…女メイジを守るためにも…、いや…でも…!それで結果的に孤高さんは…!」


オーナー「本当に、すまなかったな…」


410 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:13:13 ID:iY06alOQ
  
冒剣士「…いえ、そんなに謝らないでください…」

オーナー「…」

冒剣士「…」


大魔道「ちょっと、シリアスな場面で悪いのですが…冒剣士くんに聞きたい事があります」

冒剣士「…なんですか?」

大魔道「気を悪くするかもしれませんが、孤高さんの体を斬った時、妙に軽くはなかったですか?」

冒剣士「…そ、そういえば…思ったより…は…」ブルッ

大魔道「…それだけ聞ければ十分です、ありがとう」

スタスタ…


411 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:13:50 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「…?」


オーナー「…さて、と。帰ろうか…俺らの家、にさ」

女メイジ「はい…」

冒剣士「…そうです…ね」


僧侶戦士「…なあ」

オーナー「…ん?」


僧侶戦士「いやお前じゃなくて…、冒剣士」

冒剣士「僕?は、はい…?」


412 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:14:21 ID:iY06alOQ
 
僧侶戦士「今回の事、前の冒険から思っていたが…お前の運命ってのは、どうやら厳しいものらしい」

冒剣士「…」

僧侶戦士「お前が冒険を続ける事で、お前自身が幸せになるか…正直俺も分からん」

冒剣士「…何が、言いたいんですか」


僧侶戦士「冒険者を辞めて、一般人へと戻るのも…悪くないんじゃないか」

冒剣士「…」

僧侶戦士「…いや辞めろと言ってる訳じゃない。だが、冒険酒場へ戻って、お前自身が耐えられるかということだ」

冒剣士「…」

僧侶戦士「何にせよ、お前が見てきたもので、いつショック状態に戻るかも分からない…そういう事をいっているんだ」


413 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:14:51 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「ぼ…僕は…」

僧侶戦士「…」


冒剣士「…負けません」

僧侶戦士「…」

冒剣士「負けませんよ。大丈夫です。僕は、周りがどう言おうと孤高さんを最高の冒険者だと思ってます。そして、あの人のように…」

僧侶戦士「…」


冒剣士「僕は最高の冒険者になる」
 
 
僧侶戦士「…そうか。その思い、忘れるなよ」ニカッ

冒剣士「…はい」


414 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:15:56 ID:iY06alOQ
 
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415 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:16:26 ID:iY06alOQ
 
――――あれから数日たち、母親と別れを告げると…再び冒剣士は冒険酒場へと戻った

…あっという間の出来事だったが、冒剣士と女メイジのショックはしばらくの間続いていた


冒剣士は孤高騎士の座っていた…いつもの"席"を見るたび

小さく、小さく、「はぁ」とため息をつく

女メイジも、それを見て同じようにため息をついた


そして…更に…幾日がたち…


416 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:16:57 ID:iY06alOQ
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ガランガラン!

冒剣士「いらっしゃいませ!」

オーナー「いらっしゃいませー」


女メイジ「お泊りのお客様でしょうか?」

お客「そうそう。はい、これ連泊証」

女メイジ「ありがとうございます、少々お待ちください」


417 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:18:08 ID:iY06alOQ
 
女メイジ「では、また夕食の時間になったらお呼び致します」ペコッ

お客「はいよ」

…ギシッ……トコトコトコ…


女メイジ「…」

冒剣士「あそこの席、誰が座ってても…まるで空席のようにしか見えません」

オーナー「…」

女メイジ「私も…」


418 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:18:39 ID:iY06alOQ
 
オーナー「人が人と別れる事は、出会った時からの始まりでもある」

冒剣士「…」

オーナー「終わりの始まりっていうのかな、必ず始まりには終わりがある」

女メイジ「哀しい…言葉ですね」


オーナー「だけどな、人は人の中で生き続ける事が出来る。それは終わり…だと思うか?」

冒剣士「人が人の中で…」

オーナー「俺も昔、沢山の人の死と向き合ってきた」


419 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:19:10 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「オーナー、英雄剣士…だったんですよね。本、読みました」

オーナー「ああ、俺が書いた自伝だね。色々あったよ。本当は…書いてない事、書けない事がいっぱいある」

冒剣士「…」


オーナー「だけど、出会ってきた人の心は俺の中でもしっかり生きてる。明日の希望に繋がってる」

冒剣士「…」

女メイジ「…」

オーナー「何より、別れた人々が、今の自分を見て"どう思うか"が大事でもあると思うんだ」


420 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:19:52 ID:iY06alOQ
 
 
冒剣士「…」

オーナー「今すぐにでもとは言わない。毎日が辛いのも分かる。だけど、もう1度会った時、"自分は立派になった"と言える人間でありたいと思わないか?」

冒剣士「…確かに、そうですね」

女メイジ「…」


オーナー「今は目の前の事に真剣に。1日の積み重ねが、より良い明日の自分を作るんだ」

女メイジ「…はい!」

冒剣士「…はい!」


421 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:20:45 ID:iY06alOQ
 
…コンコン


オーナー「お…ほら、お客さんだ。精一杯の笑顔で、お客さんも幸せにしてあげよう、ね」

冒剣士「そうですね、幸せを与える立場が、いつまでも元気がなかったら…ダメですよね」

女メイジ「うん、冒剣士…一緒に、頑張ろう…!」

冒剣士「うん…!」

オーナー「その意気だよ。さ、元気良く…!お客様…どうぞ!」


…ガチャッ

冒剣士「…いらっしゃいませ!」

女メイジ「いらっしゃいませ!」


422 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/31(土) 10:21:16 ID:iY06alOQ
 
【Still, does not end】
PLUS STORY……

…"SPECIAL STORY"…


423 名前: ◆qqtckwRIh. [sage] 投稿日:2013/08/31(土) 10:22:06 ID:iY06alOQ
本日はここまでです。
明日、朝7時程に最終回を投稿しておきます。ありがとうございました。


424 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/08/31(土) 10:35:28 ID:SX.CjxXs
おつー
大魔道って中級魔導?
中級魔導と英雄騎士が2強ってかんじ?


426 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2013/08/31(土) 13:27:59 ID:Zo/UVHcU
いよいよ明日か、乙!

>>424
そうだね。

確か前シリーズの、青年剣士「運命ということ・・」
の時点で大魔道になってたと思う。

彼も魔族の血があるから見た目若いだろうし、かなり強いかも。


427 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/09/01(日) 01:10:44 ID:HSOZN2VA
学校時代から割りと強かったような


428 名前: ◆qqtckwRIh. [sage] 投稿日:2013/09/01(日) 07:13:12 ID:cUnJwn8Y
皆様、ありがとうございます。
>>424 "人"としてはそうなります
>>426 主人公と類似している点が非常に多いですね(A´ω`)

それでは最終回です



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