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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その17
- 793 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2010/07/27(火) 17:31:56.61 ID:mTmxd42o
〜東方、藤蔵家〜
侍女「あ、戻ってきた」
テクテクテク
雷忍「御館様、もうすぐ来ますよ」
盗賊「うん」
侍女「アンタはしばらく休みなの?」
雷忍「まぁ…数日程度は休めるかな?カカッ」
侍女「上様はどう?元気?」
雷忍「…ん、ああ。剣の指南も付いて武芸に勤しんでおられるよ」
盗賊「……」
雷忍「齢十二にして、ありゃ神童だよ」
侍女「雷や姫様だってそう言われてたじゃない」
雷忍「それは武芸だけの話しだろ?文武となると…ねぇ?」
盗賊「…う…っ」
侍女「あ、御館様っ!」
- 794 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 17:32:28.82 ID:mTmxd42o
ザッザッザッザッザ
御館様「待たせた」
盗賊「いえ…っ」
御館様「では、早速見せて貰おうか」
盗賊「…はい」
御館様「…雷」
雷忍「はっ」
御館様「そちが相手せい」
雷忍「…はっ?」
御館様「相手をせい、と申しておる」
雷忍「宜しいのですか…?」
テクテクテク…ザッ
雷忍「手加減出来ぬ性分です。それは姫が相手とて…同様ですよ?」
御館様「だから頼んでおるのだ」
雷忍「……御意に」
- 795 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 17:33:00.75 ID:mTmxd42o
盗賊「……っ」
侍女「そんな…っ、いきなり雷相手だなんて…っ!」
御館様「始めいっ!」
盗賊「っ!?」
ジャリッ…タンッ!!
御館様の合図とともに、まずは雷忍が大きく跳躍する。
盗賊(太陽を背に…っ!!)
侍女「定石ね…」
雷忍「…カカッ!!」
盗賊「っ!!」
ヒュバッ!!…ギキイィンッ!!
雷忍「…よく防ぎましたね。まぁ防いで貰わねば困るのですが…。カカッ」
盗賊「ぐ…っく…!!」
上空より振り下ろされた一太刀を、盗賊は蜘蛛切で水平に受け止める。
ギリギリギリッ…
- 796 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 17:33:41.90 ID:mTmxd42o
雷忍「それに・・・流石は膝丸…っ!小太刀とは思えぬ力だ…」
盗賊「……」
雷忍「……ん…っ!?」
盗賊「はあぁっ!!」
蜘蛛切を勢いよく下に引くと同時に、両足を前方へ突き出す。
そのまま雷忍の腹部を蹴り飛ばし、背転のまま後方へ間合いを取る。
ジャリッ
侍女「さっすが姫!身軽〜!」
雷忍「…しかし、やや非力ですね。これでは敵を仕留める事は出来ませんよ」
侍女「女の子なんだから当たり前でしょっ!」
雷忍「カカカッ!!お前は怪力だろっ!」
侍女「何ですってぇ〜!!」
シュンッ!!
雷忍「っ!?」
侍女との会話、ほんのわずかのその瞬間を、盗賊は逃さず一気に間合いを詰める。
- 797 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 17:34:24.12 ID:mTmxd42o
タンッ!!
盗賊(…この距離とタイミングなら…いけるっ!)
蜘蛛切を自らの後方へ大きく振った刹那、雷忍はゆっくりと微笑む。
盗賊「…っ!!」
雷忍「…カカッ!!」
盗賊からは見えぬ死角。右手に構えた手裏剣がその鋭い刃先を見せ始める。
盗賊(…それはそうだよ…っ。雷ほどの者が油断など見せるはずもない…!)
雷忍(…さぁて…どうします?)
間合いを詰める盗賊に、二本の手裏剣が雷忍の手より放たれる。
盗賊(避ける暇はない…!ならば…っ!!)
ブンッ!!
雷忍「!?」
侍女「小太刀を投げた!?」
両者の中央で手裏剣と蜘蛛切が激しくぶつかり合い、互いを相殺する。
盗賊「……」
- 798 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 17:35:28.56 ID:mTmxd42o
雷忍「これでぇ…丸腰っ!!」
宙を舞う蜘蛛切を打ち払いに、雷忍は刀を振り上げる。
ヒュンッ!!
盗賊「……っ!!」
ジャララッ…ビュオッ!!
雷忍(鎖…!?仕込んでいたのか…っ!?)
盗賊の腰より素早く解かれた鎖が、一直線に雷忍へと向かう。
雷忍「当たりませんよっ!!」
クイッ…ギュルギュルッ!!
雷忍「な…っ!!」
侍女「違うっ!狙いは小太刀!!」
盗賊「……」
鎖の先は軌道を変え、蜘蛛切の柄へと巻きつく。
御館様「……」
左手首をくいっと返すと、盗賊の手元に再び蜘蛛切が戻る。
- 799 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 17:36:19.29 ID:mTmxd42o
盗賊「はあっ!!」
雷忍「ちっ!」
ギキイィンッ!!
両者は再び鍔迫り合いの様相で相見舞える。
盗賊「……っ」
雷忍「…カカッ。どうしま……」
ゴソゴソッ
雷忍「…な…っ!?」
己の懐をまさぐる盗賊に対し、仰天の表情を見せる雷忍。
盗賊「…あった」
侍女「煙玉っ!?」
盗賊「はぁ!!」
ブンッ!!…ボウゥンッ!!
雷忍「ごほ…っ!くっそ…人の煙玉を使うとは何とまぁ…」
シュバッ…スタッ
- 800 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 17:37:49.75 ID:mTmxd42o
雷忍(この煙幕に乗じて来るハズだ…どこから……)
キラッ
雷忍「こっちか!!」
煙幕の中、僅かに光った刃の明るみ。それを素早く雷忍は捉える。
タタッ…ガシィッ!!
雷忍「……鎖…か」
盗賊「残念だったな」
鎖の先に付けられたクナイを握り締めた雷忍。その背後より盗賊の声が響く。
侍女「鎖を囮に…背後に回ったのね!?」
盗賊「とどめっ!!」
雷忍「…俺じゃなきゃあ…終わりでしたね…。カカッ!」
盗賊「…!?」
その瞬間、盗賊の身体に激しい電撃が走る。
ガカアアァッ!!
盗賊「きゃああああぁぁーっ!!」
- 801 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 17:39:26.36 ID:mTmxd42o
バシッ…ビリビリビリッ…ドシャアァッ
盗賊「…っ…くぅ…!!」
侍女「姫っ!?」
タッタッタッタッタ
雷忍「…おや、抑えたつもりが…失礼っ」
倒れこむ盗賊の元に、侍女と雷忍が駆け寄る。
御館様「構わんっ!放っておけい!」
雷忍「…!?」
侍女「御館様っ、そんな悠長な…」
御館様「直撃ではない。鎖を通して間接的な感電だ」
盗賊「……う…っ」
御館様「それに…物理攻撃のみで単調な攻撃…。話しにならん」
侍女「……御館様」
御館様「どれ程のものかと思うていたが…期待外れだな」
盗賊「……っ」
- 802 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 17:41:15.16 ID:mTmxd42o
ザッ
侍女「御館様…?」
御館様「最早、見るまでもない。戻るぞ」
雷忍「…は、ははっ」
ザッザッザッザッザ
侍女「……姫、大丈夫?」
盗賊「…ありがとう。大丈夫だから…っ」
ググッ…フラッ
侍女「姫っ、そんな急に立ったら……」
盗賊「大丈夫…だから……」
フラッ…テクテク…テク…
侍女「……姫…っ」
ふらふらと立ち去る盗賊を、黙って見守る侍女。
盗賊「……」
その視線を背後に受け、盗賊は俯いたままその場を後にした。
- 803 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 17:59:20.67 ID:mTmxd42o
〜北方、泉〜
マジシャン「たっだいまー!」
魔道士「あっ、おかえりなさいーい!!」
マジシャン「いいなぁ…こうして出迎えてくれる人がいる生活…」
魔道士「どうでした!?」
マジシャン「あん…?あぁ、手紙?……一通もなし」
魔道士「……そうですかぁ〜残念…っ」
マジシャン「全く…白状な奴らだよな。俺なら毎日だって書いちゃうのに…」
魔道士「皆さん、修行で忙しいんですよね…きっと!」
マジシャン「……前向きだねぇ。魔道士ちゃんは」
魔道士「…それだけが取り得ですから…っ!」
マジシャン「そんな事ないぞ?他にもいーっぱいあるでしょ…ハッハ!」
魔道士「お世辞でも嬉しいですっ、えへへ!」
マジシャン「本当だってのに…。さて、修行再開といいますか!」
魔道士「はいっ、よろしくお願いします!」
- 804 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 18:02:44.26 ID:mTmxd42o
〜南東国、南の山〜
戦士「……」
女隊員「…いくッスよ?」
戦士「…いつでも」
女隊員「ジャンケンポイ!!」
戦士「あぁっ!!」
女隊員「勝ったッスー!!」
戦士「ちぇ…っ」
隊長「はい、そんじゃ買い出し行ってらっしゃ〜い」
男隊員「あ、俺……」
戦士「トマトジュースでしょ?分かってますよ」
男隊員「物覚えが良くて宜しい!ヒャハハッ!!」
戦士「そいじゃ、行ってきまーす!」
女隊員「行ってらっしゃーいッス!!」
隊長「寄り道すんなよー?」
- 805 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 18:06:19.70 ID:mTmxd42o
テクテクテク…タンッ…スタッ…トンッ…タンッ
戦士「…へへっ、修行の甲斐あって…慣れたもんだ」
戦士は身軽な動きで、険しい崖を次々と降り進んでいく。
戦士「よっと…ほ…っ、おぉっと…」
タンッ…タタッ……スタッ
戦士「……ふーっ!」
〜南東国、東の街〜
戦士「……よいっしょ…っと」
グイッ…ゴソゴソ
戦士「買い出し終了!……ざっと二時間てとこか」
テクテクテク
戦士「この調子なら一時間半…いや、一時間…は無理か…」
ぶつぶつと独り言を呟きながら歩く戦士。目の前にワークショップが見え始める。
戦士「……そういやぁ」
何かを思いついたように、戦士はワークショップへと入っていった。
- 806 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 18:17:32.14 ID:mTmxd42o
〜ワークショップ〜
店員「いらっしゃいませ」
戦士「えぇと……」
店員「…?」
戦士(やっべ…。国軍付になったから…どうすりゃいいんだっけか?)
店員「あの…なにかご依頼でしょうか?」
戦士「あ…っつーか、手紙が来てないかなぁってな…はははっ」
店員「そうでしたか。お名前と所属を申しつけ下さいませ」
戦士「実はこないだ、国軍付になってだな…」
店員「国軍…?あぁ、本国の兵隊さんでしたか。それならこちらにリストが…」
ゴソッ
戦士「えぇと……あぁ、これこれ。この召喚士って奴のグループで戦士分を」
店員「はい。ではこちらの書類にご記入を…」
戦士「はいよっ」
カキカキッ…サラサラサラッ
- 807 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 18:22:01.72 ID:mTmxd42o
戦士「……ほいっと」
店員「ありがとうございます。少々お待ち下さい」
戦士(よく考えたら南東国なのは好都合だったな…)
テクテクテク
戦士(下手に本国内だったら…。一応カタは付いたみたいだけど…)
店員「お待たせしました。一通預かっております」
戦士「おっ、どれどれ…」
ゴソッ…パラパラッ
戦士「魔道士か…!てか、今日の朝分かよ…早えぇな…っ」
店員「迅速、正確をモットーにしておりますから」
戦士「…そらどうも」
魔道士からの手紙を開き、戦士はそれをまじまじと読む。
戦士「……ほぉ。マジシャンと北方で修行中か!順調みてーだな!」
しばらく天井を眺めると、思いついた様に店員へ声を掛ける。
戦士「おい、紙とペンをくれ!」
- 810 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 18:41:20.82 ID:mTmxd42o
中途半端ですが…ここらで失礼を。ご支援ありがとうございました!ノシ
>>774
魔道士「だが…断る!」
魔道士って絵はお上手じゃない気がします。多分ですけど…
>>785
時間があったらやってみたいですね!召喚士…うーん…
あっちのスレが余ったらやってみましょうかね!
- 817 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 22:01:16.39 ID:SHixaEDO
野暮なこと突っ込んで悪いけどなんでまどうしちゃんは戦士の居場所知ってるん?逆も然り。
- 818 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 22:07:50.18 ID:5hgsN7co
超適当に予想すると貰った手紙沢山複製して各ワークショップに送りつけてんじゃね?そんでどこのワークショップでも見られるとか
……すごい無理あるなこの予想
- 820 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/07/27(火) 22:19:54.90 ID:DKgYUPMo
直接配達じゃなくて委託形式の手紙だから、東方のワークショップ宛などの地域指定で
その地域内ならどこでも見られる様になってるんじゃない?(その分料金はかさむ)
このタイプはショップ内で紙貰って書いてるでしょ?
手紙というより統一フォーマットで作成する書類みたいなものなんだよ
- 821 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 23:45:39.82 ID:pZ2uim.o
大軍師「宜しい、ならば私がお答え致しましょう」
召喚士「……」
大軍師「この手紙、紛れもなく魔道士殿直筆の物です」
ザワザワザワッ
大軍師「お忘れですか?戦士殿は国軍の特殊遊撃隊と同行しているのですよ…?」
戦士「……はぁ」
大軍師「つまり、居場所は分かっている為、手紙などはそれはもうマッハで…」
魔道士「す…凄い…っ!」
大軍師「青龍先生、青年兵殿と同行している朱雀先生も同様ですね」
召喚士「!!」
大軍師「魔道士殿は…マジシャン殿次第でしょうか…」
魔道士「マジシャンさん…?」
マジシャン「ど、どうだったかなぁ…?ハッハ……」
大軍師「まぁ今回は、既に10日以上同じ場所に滞在しているからこそ成せる技であって…」
盗賊「…あの…っ、私…は?」
- 822 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/07/27(火) 23:56:55.21 ID:pZ2uim.o
大軍師「ちなみに、簡単な伝言や軍令などは>>818殿や>>820殿の通りですね」
戦士「へぇ…」
盗賊「あ、あのっ…だから私は…?」
大軍師「あと…忘れがちですが、大きな街や通りには関所もありますから…」
召喚士「……へっ?」
大軍師「いや…2スレ目の>>145とか見て頂ければ……」
戦士「…お、おいっそんなのあったか?…ボソボソッ」
魔道士「さ、さぁ…どうでしたっけ?…ゴニョゴニョ」
大軍師「と、とにかく…関署を通れば、当然どの地方にいるかは絞り込めるのですっ!」
召喚士「…な、なるほど」
大軍師「これで大体分かって頂けましたかね…!?」
戦士「要するに、細けぇ事はい……」
大軍師「分かって頂けましたかね?」
戦士「…は、はい」
盗賊「…あのー、だから…私はぁ…?」
- 828 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/28(水) 17:10:55.79 ID:jHmys.Qo
スラスラスラ…ピタッ
戦士「…うーん」
カキカキッ…ピタッ
戦士「何書きゃいいんだろ…。普段書かねぇから難しい…」
スラスラ…ピタッ……スラスラスラ
戦士「……」
トントントントン…スラスラ…
戦士「…………」
カキカキッ…
戦士「…んー、ま…こんなモンでいっか…」
店員「それではお預かりします」
戦士「おう、よろしく〜」
荷物を抱え、軽い口調で答える戦士。そのままワークショップを後にする。
戦士「やっべ、結構…時間食っちまったな…っ。急いで戻ろ」
戦士は足早に東の街を去り、南の山へと戻っていった。
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