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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その38
417 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:36:01.34 ID:f74we3Nto
〜六道門・修羅〜

天才「……」

 タッタッタッタッタッ……

天才(あのウォッチマンとかいう雑魚、やってくれんじゃねぇか)

 走れど走れど出口の見えぬ道。時間の感覚さえ分からぬ天才は、

 これが先程、対峙したウォッチマンの幻術か何かであると悟っていた。

天才(半永久的なモンじゃねぇな。おそらくは、時間稼ぎか何かか)

 情況を冷静に見据える天才であったが、やがて生じる変化に驚きを見せた。

 ズオオォォォォ……

天才「……!?」ズザッ

 突如、目の前に現れた1人の男に、天才は立ち止まり声をかけた。

天才「客観的に見ても、テメーとは1番戦いたくねーんだよなぁ。強えぇからよ」

 他人事のように、立ちはだかる仮面を付けたツヴァイハンダーの男に歯を見せて笑う。

司令官「……ん」ジャキッ

天才「俺様の模倣だってんならよぉ、あっさりくたばんじゃねぇぞ!」ジャキッ


418 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:36:35.47 ID:f74we3Nto
〜六道門・地獄〜

白虎長「また来るわよぉ!! 迎撃ーっ!!」

白虎兵「いけぇーっ!!」ドゴオオォォォォ!!

白虎長「城内になんて……戻させないんだからっ!」

 タッタッタッタッ……

白虎兵「白虎先生っ! あれを!」

白虎長「あれは……特遊!?」

 タッタッタッ……ズザッ

男隊員「おーおー頑張ってんじゃねぇの」

白虎長「そっちは!?」

女隊員「……っ」

格闘家「裏門、無事に突入しました」

白虎長「歯切れが悪いわね。何かあったの?」

男隊員「……馬、あるか? 伝令でもいいぞ」

白虎長「こんな戦場のど真ん中にいるわけないでしょ。本陣に戻るの?」


419 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:37:04.45 ID:f74we3Nto
男隊員「ああ。報告しなきゃならんからな」

白虎長「そう。それじゃあ馬はないけど、ベヒーモスならあるわよ?」

 ズッシイイィィィィン

ボス「……っ」

男隊員「持ち場離れて、大丈夫なのかよ」

白虎長「白虎隊がそんなヤワだとでも思っているの? ねぇ?」

白虎兵「おぉーっ! この程度、少しぐらいなら凌いでみせますよっ!」

白虎長「だ、そうよ」

男隊員「んじゃ、頼むわ」ザッ

白虎長「全員乗った? しっかり掴まっててね!」

女隊員「了解ッス」

 ドウッ!! ドドッドドッドドオオォォォォ!!

男隊員「ヒャハハッ! すっげーなおい……っ」

白虎長「ここまで円滑に動けるのは、皆が一夜城までの道を拓き続けてくれているからよっ」

格闘家「確かに。上から見るとその陣形がはっきりと分かりますね」


420 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:37:39.01 ID:f74we3Nto
〜一夜城〜

伝令「北関での防衛線、魔王軍壊滅によりこちらの勝利とご報告っ!」

参謀「ご苦労様です。引き続き、防衛と輸送に務めるようお伝え下さい」

伝令「ははっ」ザッ

北方兵「南西側へ突破した魔物は大丈夫でしょうか?」

参謀「数は如何程でしたっけ?」

北方兵「肉眼で把握する限り、20数匹かと」

参謀「ならば後方に備えている副官らが掃討してくれる事でしょう」

北方兵「陣形も維持出来ていますし、このまま凌げそうですね」

参謀「まぁ油断は禁物です。完璧な策などこの世にはないのですから」

北方兵「……っ」

参謀「神算と名高い、我が兄ですら……ね」

北方兵「……ん?」

 ドドオオォォォォ……

参謀「あれは、ベヒーモスですか……っ」


421 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:38:27.05 ID:f74we3Nto


男隊員「大軍師は?」スタッ

参謀「城内に侵入致しました。今は私が代理で後方の指揮を執っております」

男隊員「そうかい。んじゃ報告だ。まずは元司令官率いる別働隊だが……」

参謀「突入出来ましたか?」

男隊員「ああ。無事、城内に入った。裏手も開門済みだ」

参謀「成程」

男隊員「それから……」

参謀「……?」

男隊員「特遊隊長、敵との交戦において死亡した」

参謀「!?」

北方兵「し、死亡した……って、既に死……」

女隊員「隊長は生きてったッスよぉ、でも……死んだんスよぉ……」

参謀「すみません、どういう事なのでしょうか?」

男隊員「えぇとだな……」


422 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:38:55.20 ID:f74we3Nto


参謀「……成程」

男隊員「隊長はアンデッドになっても、その職務を全うしたんだ」

参謀「凄い方ですね。いや、そんな一言では片付けられるものではありませんか」

男隊員「そこでだ、1つ頼みを聞いちゃくれねーか?」

参謀「……?」

男隊員「えぇと……あったあった。こいつの許可を」ガサッ

参謀「これは……」

男隊員「内示だ。特遊隊長就任のな」

参謀「しかし既に貴方は隊長職のはずですよ?」

男隊員「正式に受けちゃいねぇよ。隊長の安否が分かるまではな」

参謀「つまり、安否が分かった今、正式に就任なさると?」

男隊員「指揮権のあるアンタなら承認出来るよな?」

参謀「……まぁ、そうですね」

男隊員「んじゃここにサインを書いてくれ。あとは提出も頼むわ」


423 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:39:44.23 ID:f74we3Nto
参謀「承知致しました。確かに、お預かり致します」カキカキ

男隊員「とりあえずベルゼブブまでの道はもうすぐ繋がる」

参謀「そのようですね。よし、出来ました」カキカキ

男隊員「ヒャハハ、サンキュ。んじゃコッチは頼んだぜ」ザッ

参謀「……?」

男隊員「俺らは魔王城内に戻る。こっちの面倒は見てらんねーんだ」

格闘家「そういう事です」

参謀「しかしっ、貴方達の任務は終わったのです。危険を承知で認められません」

白虎長「そうよ。流石に無茶があるわよ」

参謀「指揮官として待機を命じます。これは命令です」

男隊員「……ヒャハハ! そうくると思ったんだよ」

ボス「……?」

参謀「……はっ!! ま、まさか……っ」ガサッ

男隊員「特遊隊長の権限、知ってるよな?」

参謀「……くっ」


424 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:40:33.73 ID:f74we3Nto
男隊員「有事の際、独断において特務を遂行する事を認める……だよな?」

白虎長「何それ!? 勝手に行動してもいいって事?」

参謀「……そ、その通りです……っ」

男隊員「そいうわけで、我ら特遊は魔王城内の『偵察』を特務として遂行致します!」バッ

白虎長「そんなのっ、ただのこじつけじゃない!」

男隊員「だが間違ってねぇ。大義名分だ。そんじゃな!」ザッ

参謀「お待ち下さい!」

男隊員「あん? おいおい、止める権限はねーぞ?」

参謀「違います。命令です」

女隊員「命令……ッスか?」

参謀「必ずや、皆を連れて……無事に帰還して下さい」

ボス「……っ!」

参謀「そしてどうか……」

男隊員「ああ。魔王討伐の行く末、それに……」

格闘家「師匠の最後を……見届けてきます!」


425 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:41:08.77 ID:f74we3Nto


白虎長「それじゃ、戦場に戻るわよっ!」ザッ

男隊員「思いっきり飛ばしてくれや! ヒャハハ!」

 ドウッ!! ドドッドドッ……

女隊員「あれ見るッス!!」

ボス「あれは確か……」

 ドドッドドッドドッ……

女剣士「召喚獣? デカイな、また魔王城へ向かっているのか……」

占い師「こっちも交戦は続いているのね……っ」

女剣士「ああ。数はだいぶ減ったが、こう着状態さ」

くの一「見えましたっ!」

 ドドッドドッドドッ……ザザァ

参謀「占い師殿っ!!」

占い師「なんとか無事、帰還ってとこね……っ」

参謀「ご苦労様です。一先ず、一夜城でお休み下さいませ」ササッ


426 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:41:55.33 ID:f74we3Nto
 ドドッドドッ……ドドオオォォォォォ

白虎兵「隊長っ!!」

オーガ「グアアァァァァ!!」

白虎兵「どけぇ! 邪魔……すんじゃねぇ!」バギャッ!!

白虎長「ただいま! こっちはどう!?」

白虎兵「すみませんっ! 少し押し込まれてしまいました……っ」

白虎長「この程度だったら、問題ないわっ!」

男隊員「世話んなった。んじゃ、あとはヨロシクな!」バッ

女隊員「行ってくるッス!」タタッ

白虎長「気を付けてねっ!!」

白虎兵「また、城内へ戻るのか……っ?」

格闘家「すこし下がってくれ」ザッ

白虎兵「……?」

格闘家「こおおぉぉぉぉ……っ」ゴゴゴゴゴゴ

ボス「ヨルムン……ガンドオオォォォォ!!」


427 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 17:42:44.74 ID:f74we3Nto
格闘家「石破ああぁぁ!!」

ヨルムンガンド「ゴガアアアアァァァァーッ!!」

 ゴゴガアアアアァァァァッ!! ドッグオオォォォォン!!

白虎兵「――っ!!」

白虎長「すっ、凄い威力……っ」

格闘家「……ふーっ」ズザッ

ボス「これで少しは押し戻せたはずだ」

男隊員「何してる! 早く行くぞ!」

格闘家「では」ザッ

白虎兵「助かったぜ! サンキュー!」

ボス「同じ国軍の召喚士だろ? 当たり前だ」

 タッタッタッ……

白虎兵「……昔は青龍と白虎ですらいがみ合ってたってのにな」

白虎長「今じゃ召喚獣と話すのだって当たり前。時代が変わったのね。さぁ、戦闘再開よっ!」

白虎兵「おぉーっ!!」


428 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 18:45:40.60 ID:f74we3Nto
〜六道門・餓鬼〜

南方司令「ジャスティスカモフラージュパンチ!!」

西方司令「おい馬鹿! 何バラしてんじゃこらぁ……って待てよ? 裏の裏をかいて裏の――」

アスタロス「フッ。何を企もうが、貴様等にはもう切り札はないのだ」

南方副司令「あんのバカ共が……っ」

西方副司令「構わないわよ、別に悟られようともすべき事は1つなんだからっ」

南方参謀「そういう事っ!」ドドオオォォォォン!!

西方参謀「さぁ、頼んだぜぇ……ヒック」

 ザッ

皇太子「では、参ろうか」

エリート「……っ」

大軍師「右大臣殿、ご心配は分かりますが、此処にいる限りは何をしようと結果は同じですよ」

青年兵「勝つか負けるか。生きるか死ぬか……ですね」ザッ

師匠「準備出来たかぁ!?」

マジシャン「おーう! ハッハ!」


429 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 18:46:09.20 ID:f74we3Nto
 それは少し前の事……。

大軍師「前衛を1度、戻して頂けますか?」

南方副司令「了解だ。その間、俺らがスイッチで盾になるぞ!」

西方参謀「盾じゃ無理だが、牽制くらいは出来るわな……ヒック「

師匠「オラ、休んでんじゃねぇ。俺らもだ」

マジシャン「……ったく、魔力消費するこっちの身にもなれってんだ」ガバッ

ジュニア「……っ」

師匠「前衛共ぉ!! 大軍師様がお呼びだぞぉ!!」

皇太子「何?」

エリート「陛下、1度退きましょう」

皇太子「うむ」ダッ

マジシャン「てmぇらもだぞっ!」

南方司令「仕方ない。これは敗北ではない、正義の為の後退――」

西方司令「分かったからさっさとしろや! いや、ゆっくりの方がいいのかもしれない……」ブツブツ

師匠「早く退がれっ、アホ!!」


430 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 18:46:42.39 ID:f74we3Nto
 タッタッタッ……

エリート「大軍師、何用だ?」

大軍師「次なる作戦を展開致します」

皇太子「しかし五行が破られた今、手があるとは……」

大軍師「再度、五行を撃ち放ちます」

エリート「何!? 大丈夫なのか……?」

青年兵「今度は外部からではなく直接、内部へ撃ち込みます」

エリート「そうではない。もう1度、五行を放てるのかと聞いている」

大軍師「それならばゴ安心を。予め、確認済ですので。ねぇ?」

賢者「……ふぅ」

ジュニア「仕方ないけど、やるしかないね……ハッハ」

皇太子「それで、内部へはどうやって放つのだ?」

大軍師「無論、武器による五行付加です」

エリート「正気とは思えんな。リスクが大きすぎる」

大軍師「ですが、これが最が高確率かつ効果的な作戦です」


431 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/11(水) 18:48:22.06 ID:f74we3Nto
エリート「誰が犠牲になるというのだ! しくじればその魔力は全て――」

大軍師「1人だけその魔力を受ける事のない方がおられます」

エリート「……貴……様、もしや」

大軍師「はい。付加する対象は陛下、お願い出来ますか?」

エリート「大軍師っ!!」ガシィ!!

大軍師「……」

エリート「貴様ぁ! 自分の言っている事が分かっているのかぁ!!」ググッ

大軍師「右大臣殿、お気を鎮め下さいませ」

エリート「貴様は――」

青年兵「エリート様、大軍師さんの申す事、もっともです」

エリート「……何だと?」ジロッ

青年兵「陛下であれば魔力の影響を受けない可能性が高いのです」

大軍師「それに、此処に居続ける限り、何をしようが死は紙一重ですよ」

皇太子「エリート、彼らの言う通りだ」

エリート「――っ!?」


438 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2012/04/12(木) 02:05:20.15 ID:6Bl3YDDAO
>>1おつ

エリートはいろいろ大変だな。皇太子守ろうとしてもほとんど無視するし、他の人も皇太子使いまくりだし、魔道士にはフラれるし


439 名前:NIPPERがお送りします(愛媛県) [sage] 投稿日:2012/04/12(木) 07:18:27.06 ID:b6dH8qhco
上級管理職の悲哀だねぇ


442 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2012/04/12(木) 12:24:12.80 ID:38RmXJdgo
アレ?
右大臣さん、誰かとフラグ立ててなかったっけ?


444 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/12(木) 17:27:35.51 ID:62tS7Guso
男隊員と鍛冶娘のフラグ回収はよ!>>1乙!!


445 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/12(木) 18:10:02.56 ID:Eal8XwnFo
皇太子「ただ傍観して死を待つくらいならば、私も戦うぞ」

エリート「……っ」

皇太子「皆が私の力を求めているのだ。嬉しい限りではないか」ニコッ

エリート「……陛下……っ」

青年兵(エリートさんだって分かっているはずなんだ……。そんな事は……)

大軍師「……」

青年兵(でもエリートさんは己の命よりも陛下の命を上に見ている……だからこそ……)

エリート「……くっ」

 青年兵の言う通りであった。魔王城に突入するという策に、陛下は参加した。

 それがどういう意味か。即ち、死と隣り合わせの道を進むという事である。

 エリートは自らの命を投げ捨ててでも、皇太子を守らなければならない。

 それは感情や任務だからだけの話ではなく、幼き頃から当たり前の生活であった、

 皇太子の側近、第一優先は皇太子という無意識の意識に他ならない。

 自身の人生は皇太子の為にあり、その人生、幸福の為になければならないのである。

 そしてエリートは絶望の中の微かな光を求めて、古き記憶の中から回答を導き出す。


446 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/12(木) 18:10:30.73 ID:Eal8XwnFo
……――

皇太子『なぁエリート』

エリート『はいっ!』

皇太子『私達は兄弟のようなもの。それはこれからもずっと変わらないと思う』

エリート『はいっ!』

皇太子『私は王様になる。亡き母上の為にも絶対に』

エリート『はいっ!』

皇太子『その時、君は側近として、私の傍にずっといるんだ』

エリート『はいっ!』

皇太子『その時、君は何をする?』

エリート『はいっ!』

皇太子『いや、はいではなくて、君は何をするために私の傍にいるのだ?』

エリート『はいっ! 皇太子さまを守るためですっ!』

皇太子『そうだな。でも違う』

エリート『はいっ! え……?』


447 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/12(木) 18:11:02.69 ID:Eal8XwnFo
皇太子『守るためじゃない。私を助けるためにいるんだ』

エリート『守るのと助けるのは、ちがうんですか?』

皇太子『守るのはエリートが盾になること。でも助けるのは一緒に進むことだ』

エリート『一緒に……?』

皇太子『王様は不自由だから、勝手に行動もできないんだ』

エリート『ほうほう!』

皇太子『だからその時は、エリートが先に進んで、私がついていくんだ』

エリート『なるほどっ! 全然分かりません!』

皇太子『まだ私達には難しい話かもしれないな』

エリート『はいっ!』

皇太子『きっとそういう刻が来たら、分かるかもしれないね』

エリート『はいっ!』

皇太子『これからもずっと宜しくな、エリート』

エリート『はいっ! 陛下!!』

――……


448 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/12(木) 18:11:34.29 ID:Eal8XwnFo
エリート「……大軍師!!」

大軍師「はい」

エリート「……陛下を起点に、作戦を決行する!!」

ジュニア「おいおい……いいのかよ……っ」

青年兵(分かっているからこそ、真意なんだ……)

エリート「次の一撃で必ずや、敵を仕留めるぞ!」

青年兵(陛下の思い、皆の思い、本国や世界の……そして……自分の思い……)

大軍師「分かりました。では陛下に五行を付加し、アスタロスを倒します」

南方司令「本当に大丈夫なのだな?」

大軍師「バフォメットを倒したという陛下のご報告を聞き、私は確信致しました」

東方参謀「……」

大軍師「陛下であれば、五行の反動を受けない。何故ならば――」

皇太子「魔力が無であるからな。帰る場所がないのだろう」

ジュニア「ちょいと待ってくれ。だったらもし、弾かれた場合にゃ……」

大軍師「我らにその反動は、かかってくるでしょうねぇ」


449 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/12(木) 18:12:17.95 ID:Eal8XwnFo
ジュニア「……っ」

賢者「結局は、こちらが危ないという話さ……ふぅ」

ジュニア「陛下の一存に俺の命がかかってるなんて、本国民冥利に尽きるねぇ……ハッハ」

皇太子「案ずるな。必ずや成功させてみせよう」

南方司令「五行は分かった。しかし武器は?」

皇太子「それも心配は無用であろう」

青年兵「……?」

皇太子「どうやらこの剣、普通ではないようだからな」

エリート「王家に代々伝わる、聖剣ですからね」

南方司令「聖剣?」

エリート「古くはかの聖王が所持し、数多の魔物と激闘を繰り広げたと言われている」

皇太子「その聖剣なのだが先程、妙な事があってな」

青年兵「妙……ですか?」

皇太子「うむ。奴の尾を斬ったのだが、その時、毒の力が弱まった気がしたのだ」

エリート「いや、気のせいではありません。紛れもなく放出量が減っていた」


450 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/12(木) 18:12:43.42 ID:Eal8XwnFo
大軍師「……ふむ」

エリート「私が思うに、これは聖剣の力ではないかと踏んでいる」

青年兵「……有り得ますね」

西方参謀「あん?」

青年兵「東方の上様も同様の事があったと聞きます」

大軍師「確か、報告書にありましたね」

皇太子「この剣ならば確実にダメージを与えられるのではないかと思うが」

東方参謀「普通の得物よりは、効果的やもしれんな」

青年兵「攻撃はこれで、整いましたね」

西方司令「問題はどう仕掛けるか……いや、そうでもないかな?」

南方司令「どうするつもりだ? まさか陛下に単身、攻撃させるとでも?」

大軍師「いえいえ。ここは総力戦ですよ」

南方司令「……?」

大軍師「陛下が攻撃を仕掛ける為の、道を切り拓きます」

ジュニア「……どうやって?」


451 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/12(木) 18:13:15.21 ID:Eal8XwnFo


 ザッ

南方司令「さぁ行くぞ。正義は我らにあり!」バシッ

西方司令「生きるか死ぬか、デッドオアアライブ。生か死か……ですね」

東方参謀「おい、どれも同じだぞ」

南方副司令「南じゃみんな待ってんだ。生きて帰ろうぜ」

南方参謀「そうよ。こんな所で終わりだなんて、イイ男と結婚もしてないのにイヤよっ」

西方副司令「……」

西方参謀「ガハハッ。でもまぁ、死ぬわけにゃあいかねーよなぁ……ヒック」

エリート「当たり前だ。誰も死なん!」ジャキッ

師匠「俺達ぁ、もうちーっとばかし生きなきゃなんねぇんだよっ」

マジシャン「ハッハ! その通りだ!」

ジュニア「……ふーっ」

賢者「……ふぅ」

大軍師「では、行きますよ」


452 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/12(木) 18:13:46.47 ID:Eal8XwnFo
青年兵「陛下、どうぞお乗り下さい」

皇太子「うむ」ガシッ

ワイバーン「……」

青年兵「ワイバーン、陛下を頼む。僕も後方から支援するから」

ワイバーン「保証は出来ん。だが、やるだけの事はやるさ」

青年兵「宜しく。さ……こっちも行こうか、アンフィスバエナ」

アンフィスバエナ「魔力が空に近しいな。持つのか?」

青年兵「攻撃はしない。飛行だけだから」

アンフィスバエナ「……」

大軍師「狙いは1点。それ以外は無視して下さい」

アスタロス「狙いは分かっている。五行を直接、撃ちこもうと言うのだろう?」

青年兵「作戦……」

アスタロス「近づく事すら不可能な貴様等に、何が出来ると言うのだ」

大軍師「開始っ!」バッ

アスタロス「そんな幻想は、この私が……打ち壊してくれようッ!」



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