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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その29
39 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/18(水) 18:39:27.48 ID:hxIeMsmVo
〜北の村〜

召喚士「もう着いちゃった……」

テクテクテク

おじさん「お、おいっ。あの馬車……飛んでなかったか?」

青年「まさか。目の錯覚だろ……うん、きっとそう」

テクテクテク

ヒゲの男「うん? 国軍の方々かい?」

天才「おう。占い師はいるか?」

ヒゲの男「占い師ちゃんならそこの家にいるぜ」

天才「あんがとよ」

テクテクテク

ヒゲの男「……あれ? いま……魔物いなかったか?」

テクテクテク…ガチャッ

天才「しっつれーい」

占い師「きゃあぁーっ!!」


40 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/18(水) 18:42:51.43 ID:hxIeMsmVo


天才「……いってーなぁ、頬が腫れたぞおい」

スリスリ

占い師「着替え中にノックもせず入ってくるからでしょ」

天才「誰がオバハンの着替えなんぞ見て喜ぶかっての……」

占い師「……」

副官「そそそ、それででっ! 総司令様ががっ、直々にどういった何用でそのぉ!」

天才「大軍師に頼まれてたアレ、無事なんだろうな?」

占い師「……当たり前でしょ」

天才「ならよし。コイツ連れて来た意味は分かるよな?」

召喚士「……?」

朱雀嬢「……うん」

天才「それにしてもお前、グッジョブだぜ」

召喚士「へ……?」

天才「付いてきな。お前の意地が成し遂げた結果だ。誇っていいぞ」


41 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/18(水) 18:44:19.72 ID:hxIeMsmVo
テクテクテクテク

召喚士「あれっ!? 魔法剣士さんに眼鏡さん!!」

魔法剣士「……奇遇だな、どうした?」

召喚士「ちょっと付き合いで……

眼鏡「そう。こっちは順調だよ、そっちは?」

召喚士「順調ですよ……多分」

眼鏡「それなら良かったよ」

テクテクテクテク

名士「……」

ニコッ

眼鏡「……?」

名士「ちょっと、いいかな?」

眼鏡「……君は?」

名士「来れば分かるよ。君となら……色々と話せると思うけど」

眼鏡「……分かった。ちょっと行ってくる」


42 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/18(水) 18:45:11.24 ID:hxIeMsmVo
テクテクテク

マーマン「何だ?」

ハヌマーン「さぁな」

天才「さてさて、こっちも行くとするか。あんたらはそこの家で待っててくれ」

法師「ええ、ごゆっくり」

オーク「オラ……腹減ったです」

天才「なんか適当に用意してやってくれ」

副官「は、はいぃ!」

ハヌマーン「ふむ。北もだいぶ暖かくなってきたようだな」

マーマン「俺にとっちゃあ、シンドイ季節だよ」

ハヌマーン「それもそうだな。ん、如何した?」

副官「い、いえっ! 魔物様方はそういった物をお食べにに……っ」

法師「人間と同様のもので構いませんよ」

オーク「美味しければ何でもいいです!」

副官「はははいぃ!」


43 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/18(水) 18:46:03.25 ID:hxIeMsmVo


眼鏡「……君、魔族なのかな?」

テクテクテク…ザッ

名士「ケルベロスか。これまた凄い者と会えたなぁ」

眼鏡「……何者だ」

名士「貴公とは二千年前くらいに一度、顔を会わせた事があったか」

眼鏡「……」

ゴゴゴゴゴゴッ

名士「住む地域が違うと、同じ眷属でも会う機会などそうそうないからね」

眼鏡「……お前、ダエーワの一人か……っ」

名士「かつては『ノーンハスヤ』と名乗らせて貰っていたっけね」

眼鏡「……ノーンハスヤ……あの名高きノーンハスヤか」

名士「それは光栄」

眼鏡「確か、インドラと共にアンラ・マンユの元を離れたと聞いていたが」

名士「ああ。随分と昔の事になる」


44 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/18(水) 18:47:02.26 ID:hxIeMsmVo
眼鏡「……」

名士「人間は本気で、魔王を倒そうとしているそうじゃないか」

眼鏡「そのようだね」

名士「貴公は最後まで、人間に組する気かな?」

眼鏡「だとしたら?」

名士「いや、別に意味はないさ。真意を伺いたかっただけの事」

眼鏡「貴方はどうするつもりなのだ?」

名士「私は何もしないさ。ただ同じ毎日を過ごすだけ」

眼鏡「……」

名士「下らぬしがらみや揉め事が嫌で逃げ出した身。戦にはどちらの肩入れもせぬよ」

眼鏡「成程」

名士「貴公は強いな。完全に人間と見間違う程だ」

眼鏡「そんな事はない。僕は……弱者だよ」

名士「……」

眼鏡「ただこうして罪滅ぼしをする事で、逃げているだけの臆病者さ」


45 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/18(水) 18:48:14.96 ID:hxIeMsmVo


カツカツ…ザッザッザ

召喚士「……地下、というより洞窟のようですね」

天才「……」

口数の減った天才の様子を見て、召喚士は事の重大さに気付き始める。

占い師「……っ」

天才「……あれか」

ザッザッザ

そこには薄暗い松明に照らされた石の壁と、石棺が横たわっていた。

召喚士「これは……?」

天才「開けるぞ」

ゴゴッ…ゴガガガッ

占い師「……」

ズウウゥゥン

召喚士「――っ!!」


46 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/18(水) 18:49:17.98 ID:hxIeMsmVo
石棺の中には人の姿をした石像が眠っていた。

召喚士「こ……れ……」

天才「どうしても知られたくなくてな。今日の今日までずーっと隠してきた」

石像は左腕を失い、全身もひどく傷を負っている。

しかしその顔は幸福に満ちたような、そんな笑顔だった。

天才「お前が最後の最後で勝ったんだよ」

召喚士は膝を落とし、その場で泣き崩れる。

天才「最後の最後でコカトリスを召喚して、石化させたんだ」

召喚士「……んだ……っ!」

ポタポタ…ボロボロボロッ

召喚士「あの時……間に合ったんだ……!!」

天才「五行で自爆を図ったコイツも、石化のお陰で肉体までは朽ち果てちゃいなかった」

占い師「……う、うぅ……っ!」

天才「確立半々だが、石化解除すりゃ可能性はある。相応しいじゃねぇか、再来の通り名によ」

召喚士「……マジシャンさんっ!!」


47 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/18(水) 18:52:27.98 ID:hxIeMsmVo
天才「ほれ、生き返らせてやれ。出来んだろ?」

召喚士「……うっ、ひぐぅ……っ!!」

ズザッ

召喚士「行……っけ、コカトリス……!!」

シュイイィィン

占い師「……うぐぅ」

召喚士「コカトリス……石化解除を……」

コカトリス「ああ」

普段は見せぬコカトリスの別の顔。石像と化しているマジシャンを、

コカトリスはやや暖かな吐息でその石化を解除し始めた。

コオオォォォォ…ピシッ…ピキピキッ

崩れる石の下から、脱皮のように現れたマジシャンに色が付く。

トクン…トクン…トクン…

占い師「生……きてるわっ、彼……生きてるわよぉ……!!」

召喚士「おかえりなさい……マジシャンさん……っ」


48 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/05/18(水) 18:54:40.00 ID:hxIeMsmVo
新スレでもご支援&いちおつありがとうございますー!

>>12
うおーっ、ありがとうございます!!
本人は駄文ですが、皆様は楽しい方ばかりなのでごゆるりと!

それではここまでにて!失礼致しますです!ノシ


49 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/18(水) 18:56:27.73 ID:+L7wGN+IO
乙!
マジシャン…ちょっと泣いちまったwwwwwwwwww


50 名前:NIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage] 投稿日:2011/05/18(水) 18:59:46.37 ID:Q3nVq3Eoo
>>40
朱雀嬢が紛れ込んでます!

>>1おつ!


52 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/18(水) 19:08:38.46 ID:2FbiVLUDO
>>1乙!!
マジシャン!マジシャン!!マジシャン!!!
くっそ!生きてたのかよ!なんだよ 超嬉しいじゃねぇか!


53 名前:NIPPERがお送りします(静岡県) [sage] 投稿日:2011/05/18(水) 19:16:58.10 ID:jLmz78qpo
>>1乙!
天界にいたからてっきりぽっくりだと思ったらwwwwwwwwwwwwww


64 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/18(水) 21:24:17.63 ID:5g8sBH5/o
オマケのあの世にはマジシャンは実は一瞬だけ出てそれ以降出てないんだぜ
さりげにそれも伏線なんだぜ
と言ってる俺のドヤ顔ったら


65 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/18(水) 21:58:06.41 ID:FlAw6s7DO
石化中は仮死状態みたいなもので一時的にあの世にいたんじゃね


67 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/18(水) 22:57:22.32 ID:WCkX0UyEo
マジシャンが死んだときのを見返してみたが(その20)
左腕は魔剣士にやられたんだな


72 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/19(木) 01:22:20.26 ID:rAGBCia9o
やべぇ、今後マジシャンとジュニアが出会う機会があるかと思うと胸熱


73 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [] 投稿日:2011/05/19(木) 05:21:48.03 ID:3WCpVSxp0
1おつ
魔剣士も生きてたから、もしかしてって思ってたけど


76 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:49:00.97 ID:tPGUQS6/o
ずっと長い夢を見ていた。何だったっけか? あぁくそ、思い出せねぇ。

天才「いつまで泣いてんだテメーはよ」

占い師「だって……だってぇ……」

アイツらと笑って、くだらない会話をしてたっけか。

天才「さて、回復魔法の治癒で意識は戻るはずだが……」

召喚士「……」

天才「まぁ、魔力は貯金があるだろうからそれを返して貰えば多少は戻るだろ」

そうそう。そん時、誰かに呼ばれたんだよな。いや……。

占い師「マジシャン」

ずっと、呼んでくれてたのかもしれないなぁ。ハッハ。

微かな心音と呼吸。仮死状態にあった男は、ゆっくりとその瞳を開いた。

マジシャン「……」

占い師「マジシャン!? マジシャン!!」

召喚士「良かった……本当に……っ」

マジシャン「……た……だいま。ハッハ」


77 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:49:37.15 ID:tPGUQS6/o
ガバッ

占い師「うぐっ、ふえぇ……っ」

マジシャン「……ハッハ、レディに抱きつかれるなんて……久々かな」

召喚士「マジシャンさぁん……っ」

マジシャン「男は遠慮しとくぜ、ハッハ」

天才「よぉ」

マジシャン「……おう。すまんが状況が把握出来ない。説明してくれ」

天才「立てるか?」

マジシャン「……ん、あぁ」

ヨロッ…ググッ

召喚士「肩、貸します」

マジシャン「すまんな……。全く、情けない話だよ。むぐっ!」

ズキッ

マジシャン「……あぁ、そうだっけか。左腕……やられたんだっけなぁ」

占い師「……帰りましょう。太陽の下へ」


78 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:50:35.55 ID:tPGUQS6/o


名士「君は、これからどうするつもりなのかな?」

眼鏡「分からないさ。でも、戦うよ」

名士「……主とか?」

眼鏡「……どうかな」

名士「ベルゼブブは強いよ。尤も、君が一番よく分かっているか」

眼鏡「……」

ヒュッ

眼鏡「!?」

名士「……何者かな?」

ザッザッザ

紅孩児「へぇ、そういう事か」

名士「魔族……君もお仲間かな?」

紅孩児「どういう意味?」

名士「人間側に組するお仲間かな、という意味だよ」


79 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:51:23.95 ID:tPGUQS6/o
紅孩児「ハハッ、そりゃ勘違い甚だしいよ」

名士「……ほぉ」

紅孩児「俺はな、魔王になるのさ」

眼鏡「……」

紅孩児「その為には今の魔王共が邪魔で邪魔で仕方ない」

名士「だから人間側の加勢をしようと?」

紅孩児「加勢じゃないよ。利用してるのさ」

眼鏡「何故そこまでして、魔王になりたいんだい?」

紅孩児「何故……って、魔王だぞ? 普通はなりたいと思わないのか?」

眼鏡「……どうなんだろうね」

紅孩児「じゃあアンタらは何の為に、人間に手を貸してるのさ?」

名士「……人間が好きだからさ」

紅孩児「好き? ハハッ、そいつは面白いや!」

名士「そうかな?」

紅孩児「餌や玩具に対して、そんな感情持ち合わせるなんてさ!」


80 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:52:19.19 ID:tPGUQS6/o
眼鏡「君は人間が好きじゃないのかい?」

紅孩児「何とも思わないね。好きでも嫌いでもないさ」

名士「魔王になってどうするつもりなのだ?」

紅孩児「決まってる。この世界を自分の物にしてやるのさ! 理想のままにね!」

名士「そうか。なれるといいな、魔王」

紅孩児「アンタらは野心もないみたいだから、放っておいてやるよ」

眼鏡「ありがたい話だね」

紅孩児「そんじゃ、精々頑張ってな」

ヒュオッ…メラメラメラッ

名士「……若いな」

眼鏡「うん。羨ましいよ、そんな感情はとうの昔に消し飛んださ」

名士「だな。魔王などと、なりたくても手は愚か、光すら届かなかったわ」

眼鏡「でも、人間と一緒なら……光も見える気がするし、届くと信じてるよ」

名士「ああ。この世界は美しい。やはりそれを壊す存在が間違っているのだろうなぁ」

眼鏡「……そうだね」


81 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:53:39.57 ID:tPGUQS6/o
ザッザッザ…ザッ

マジシャン「……っ」

天才「直視すると目ぇやられんぞ」

マジシャン「あったけぇな。こんなに明るいもんだったかねぇ」

天才「失って初めて実感する暖かみってやつか?」

マジシャン「……ハッハ」

4人は大きな家を出て、他の者が待つ家へと移動する。

テクテクテク…カチャッ

オーク「戻ってきたです!」

ハヌマーン「ん、その者は……」

マジシャン「これまた大層なお出迎えだな。ハッハ」

占い師「奥のソファーを空けて」

副官「は、はい!」

召喚士「さ、マジシャンさん。座って下さい」

マジシャン「ん……っむ、すまんなぁ」


82 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:54:51.98 ID:tPGUQS6/o


天才「そんで、お前はいつ死んだんだっけか?」

マジシャン「死んだって……えぇと、北での戦いで――」

当時の記憶がマジシャンの脳裏を横切る。

マジシャン「そうだ。魔剣士と俺は……」

天才「お前、あん時現地にいたんだよな?」

召喚士「……ええ。マジシャンさんは五行で敵と相打ちに」

天才「そこでお前は、無我夢中でコカトリスを出した」

召喚士「はい。まさかこういう結果になるとは思いませんでしたけど……」

天才「偶然なのか狙ったのかは知らんが、ともかくお前は石化して一命を取り留めた」

マジシャン「そういう事だったのか……」

天才「あれからだいぶ経つ。今は魔王討伐の段階に入った」

マジシャン「……お前」

天才「あぁ、もう素性も全て曝け出した。気にする事はねぇ」

続けざまに天才は、これまでの経緯をマジシャンへと説明した。


83 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:55:31.72 ID:tPGUQS6/o


マジシャン「なるほど。既にそんなところまで進んでいるのか……っ」

天才「お前さんにゃ、まだまだ仕事して貰わにゃ困る」

マジシャン「……」

天才「しばらく療養してろ。刻は必ず来る」

マジシャン「……ああ、流石に今のままじゃ戦力にもならんしな」

天才「分かってんじゃねーか」

マジシャン「ハッキリ言うね……ハッハ」

天才「お前はしばらくの間、コイツの面倒見てやれ」

占い師「……はい」

マジシャン「そんじゃ、俺の別荘で療養させて貰うよ」

天才「ああ。あとで場所を連絡してくれ」

ザッ

天才「さて、南に戻るかね」

召喚士「……はい」


84 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:56:36.33 ID:tPGUQS6/o
テクテクテク

天才「あ、そーだ」

法師「……?」

天才「ちょいと先に行っててくれ。すぐに向かう」

法師「はい」

ゾロゾロ

天才「お前は残れ」

召喚士「は、はぁ」

天才「そろそろ力も戻ってんだろ」

占い師「でも……」

天才「コイツでいいよ。どうせこの先、連れ回す予定でだし」

召喚士「……?」

占い師「……やってみます」

天才「おう」

占い師は手袋をおもむろに外し、召喚士の前へと立つ。


85 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:57:11.21 ID:tPGUQS6/o
召喚士「あ、あの……っ」

占い師「静かに、目を瞑ってて」

召喚士「はい」

言われるがまま、召喚士は目を閉じ、その頭の上に占い師が手を重ねる。

占い師「…………」

召喚士「…………」

占い師「ありがと。目を開けてもいいわよ」

召喚士「……何か、見えました?」

占い師「さぁ」

召喚士「……?」

占い師「今は力も落ちているし、私の能力は断片的なものだから」

天才「おら、早くしろよ。こっちはさっさと南に戻ってだな……」

占い師「はいはい」

召喚士の頭から手を離すと、占い師は愚痴る天才の元へと歩み寄る。

占い師「いくわよ」


86 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:58:13.79 ID:tPGUQS6/o
スッ

天才「……」

占い師「……」

先程と同様、天才の頭の上へ占い師の手が伸び、しばし二人は硬直する。

キィン…キィン…キィン…

天才「……ほぉー」

占い師「もういい?」

天才「おう」

スッ

天才「よし、そんじゃ帰るか」

召喚士「あ、あの……」

天才「あん?」

召喚士「一体……今のは……」

天才「予言だよ、よ・げ・ん!」

召喚士「……それは分かってますよ」


87 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 17:58:57.68 ID:tPGUQS6/o
天才「占い師が見た断片を俺様が汲み取る。んで、未来が見える。以上」

召喚士「……」

天才「……なんだよ」

召喚士「だって、気になるじゃないですか……」

天才「安心しろ。死にゃしねーよ。死ぬときはちゃーんと教えてやる」

召喚士「それも……やだなぁ」

天才「そんじゃ、しっかり養生しろよ? 再来のマジシャン殿!」

マジシャン「ご期待に沿えるよう頑張るよ……ハッハ」

占い師「気を付けてね」

天才「おーう」

召喚士「天才さんて、本当に何者なんです……?」

天才「あん? 野暮な事はいいじゃねーか」

召喚士「いや、だって……」

天才「しつこい男は嫌われますよぉ、召喚士さんっ。えへへ!」

召喚士「……誰の真似ですか」


88 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 18:00:06.03 ID:tPGUQS6/o
天才「いちいち言わんと分からんか? お前の大好きな大好きな――」

召喚士「わーわー!! 早く行きましょう!!」

天才「ハーッハッハッハ!!」

召喚士「ちょっと似ていると思ってしまった自分が嫌だ……」

テクテクテクテク

ハヌマーン「おっ、来たな」

召喚士「そういえば名士様が見えませんが……」

マーマン「さっき眼鏡の男と二人でどこかへ行ったぞ?」

召喚士「眼鏡さんと……?」

オーク「あっ、戻ってきたです!」

ザッザッザ

名士「おや、事は済んだのかな?」

天才「待たせたな。つーか、何してたんだ?」

名士「ああ、ちょっとして馴染みでね。少し話し込んでしまったよ」

召喚士「そうだったんですか!?」


89 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/19(木) 18:01:25.87 ID:tPGUQS6/o
眼鏡「うん。とは言っても、面識程度だけどね」

召喚士「へぇ〜」

天才「そんじゃ、しっかり頼んだぜ。北の皆様方!」

魔法剣士「ああ」

副官「おおおお気をを付けてえぇ!」

名士「あぁ、行こう」

スクッ…パッカパッカパッカ…ゴウッ!!

副官「馬車が……飛んだ……」

魔法剣士「もう今更、何が起こっても驚かん」

眼鏡「そうだね……」



マジシャン「色々と、世話をかけたようだな」

占い師「ううん、マジシャンが無事で本当に良かった……っ」

マジシャン「ハッハ! モテる男はつらいねぇ。さぁて、別荘に向かうとするかね」

占い師「……はいっ」



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