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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その16
573 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:05:05.90 ID:BHExu3Yo
〜西方司令部、中央〜

タッタッタッタッタ

伝令「ご報告っ!西門に魔物出現!現在交戦中です!!」

皇太子「……来たか…っ!」

西方参謀「予想的中…ですなぁ」

皇太子「動けるか…?」

エリート「はい…。私は大丈夫です」

西方参謀「こっちの二人は気を失ったままだ…。どうします?」

皇太子「博士、ひとまずこの二人を鍵の付いた部屋へ」

博士「うむ!分かったのら!」

エリート「武器は司令部内で保管しておいてくれ」

西方兵「かしこまりました!」

皇太子「では、我らも西門へ向かう。ここでケリをつけようじゃないか」

西方参謀「ここは任されようか。お気をつけて」

エリート「うむ!増援はないと思うが…くれぐれも注意してくれ」


574 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:05:46.77 ID:BHExu3Yo
〜西方司令部、西側〜

アカ・マナフ「……」

召喚士(司令部からは…だいぶ離した)

サモナー(あとはここでカタを付けたいところだが…)

サモナーの目配せでスキュラとシーサーペントが水撃を放つ。

案の定、それらはアカ・マナフの体内に吸収され、ダメージはない。

青年兵「こ…のぉ!!」

空中旋回し、真っ直ぐアカ・マナフへと突撃するワイバーン。

アカ・マナフ「……」

その目の前で突如上昇し、背後に潜んでいたリンドヴルムが尾で振り払う。

ヒュバッ!!……ボシュウゥゥ

アカ・マナフ「いつまで続ける…?無駄な行為を……」

アカ・マナフは左腕をもや状に変化させ、それがリンドヴルムへと伸びる。

青年兵「!?」

召喚士「青年兵くんっ!」


575 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:06:35.20 ID:BHExu3Yo
トォ゙ン!!……チリッ!!

横から割って入ったユニコーンがアカ・マナフのバランスを崩す。

左腕のもやはリンドヴルムを若干かすめ、再びその形状は腕へと戻る。

青年兵「…っ!!」

召喚士「大丈夫!?」

青年兵「すみません!かすっただけです!!」

ユニコーン「どうすんの!?キリないよぉ!」

神官「……」

召喚士(コカトリスに魔力を溜めてはいるが……)

アカ・マナフ「……」

召喚士(この人数相手に…スキが見られない…っ!)

アカ・マナフ(狙いは分かるよ。コカトリスの使い手クン…)

召喚士「……」

アカ・マナフ(いくら数で出たところで…攻撃が効かないんじゃ意味はないよね)

召喚士(止むを得ない…か)


576 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:07:09.72 ID:BHExu3Yo
シュイィンッ…

アカ・マナフ「……?」

青年兵「え…っ!?」

サモナー「召喚獣を…消した?」

神官(召喚士殿…。何か狙っているのか…?)

突如、召喚獣を戻した召喚士。それの意味を最初に気付いたのは、青年兵であった。

青年兵「……っ」

シュイィンッ…

サモナー(青年兵君も…!?これは……)

神官(続け、という事か…)

サモナー、神官も一度召喚を解除し、場には一匹の魔物と四人の人間のみとなる。

召喚士「……行けっ!コカトリス!!」

シュイィン

コカトリス「はあぁっ!!」

アカ・マナフ「小細工はやめて…魔力を集中したか…」


577 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:07:56.05 ID:BHExu3Yo
召喚士「コカトリスだけに集中すれば…っ!」

ゴウッ!!

アカ・マナフ「そんなスピードじゃあ、当たらないよ」

コカトリス「……く…っ」

アカ・マナフ(…なーんてね。何か狙ってるんだろ?)

召喚士「…コカトリス!上から攻めるんだ!!」

コカトリス「おうっ!」

アカ・マナフ(そうでなきゃ、彼意外も召喚獣を下げた意味はないからね)

必死にその姿を追うコカトリスだが、その姿を正面に捉える事はなく、

アカ・マナフは余裕を含んだ表情で、コカトリスに微笑みかける。

コカトリス「…癪に触る輩だ」

アカ・マナフ「それは…どうも」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォ…

アカ・マナフ「当たらなければ…どうという事もないよ」

召喚士「やっぱり…駄目か…っ」


578 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:09:05.15 ID:BHExu3Yo
シュイィィン…

アカ・マナフ「……!?」

突如、眼前より姿を消したコカトリス。異形の魔物は怪訝な表情で召喚士を見つめる。

召喚士「行けっ!スフィンクス!!ユニコーン!!スキュラ!!」

シュイイィィンッ

青年兵(来た…っ!!)

アカ・マナフ「ほう…。今度はコカトリスを温存か…」

青年兵「出でよっ!ワイバーン!!ワーム!!リンドブルム!!」

神官「我に力を貸したまえ!セクメト!!バステト!!テフヌト!!」

サモナー「おいで、ケルピー!シービショップ!…ヒュドラ!!」

シュイイィィン……ドドドドドドオオォォ

アカ・マナフ「総勢12体…大したものだね」

一人三匹ずつの総攻撃。空と地から集中砲火のように、炎や氷が飛び交う。

戦士「す…っげぇ…!!」

隊長「アンデッドでなきゃあ瞬殺だわな…」


579 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:10:34.19 ID:BHExu3Yo
ドドッ…ドドオオォォッ!!…ズガアアァァンッ!!

アカ・マナフ「いやはや…凄まじい威力だ」

爆風と煙の中、もやとなったアカ・マナフは、形状を元に戻す。

アカ・マナフ「これでコカトリスもいたら…流石にやば……」

ゾクゥッ!!

アカ・マナフ「……っ!!」

殺気を感じ取ったアカ・マナフはゆっくりと背後を振り向く。

アカ・マナフ「何故だ…っ、いなかった…ハズだ…!!」

予想の範疇を超えた出来事。適切に言うなれば、ゆっくりとしか反応出来なかった。

アカ・マナフ「なぜ…いるのだ!……コカトリス!!」

振り向き終えた目の前には、大きなくちばしを開き、息を吸い込むコカトリスの姿。

アカ・マナフ「全ては……布石…!?」

コカトリス「…もう遅い」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォ!!

砂嵐のような石化の息が、アカ・マナフへ向けて一気に放たれた。


580 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:12:28.90 ID:BHExu3Yo
オオオオォォ……

サモナー「やった…か…?」

青年兵(召喚士さんは罠を張った…)

神官(一度全ての召喚獣を引き上げて、コカトリスの召喚を印象付けさせる…)

サモナー(そこに続いて、コカトリスを除く召喚獣の…召喚)

青年兵「でも、それは違う…。そう見えただけで…実際は……)

召喚士「詠唱がなくたって…はぁ…はぁ…っ、召喚出来るんだ…!」

サモナー「うまく…いったね…っ」

青年兵「流石です。アカ・マナフも反応出来なかったぐらいに!」

神官(土壇場であのような一か八かを…。脱帽…以外に言葉が浮かばんな…)

召喚士「あとは……」

攻撃の手を止めた召喚獣達。その先にある黒煙が徐々に晴れていく。

バサッ…バサァ

召喚士「コカトリス!手応えは…っ!?」

コカトリス「……化物め…っ!!」


581 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:13:17.10 ID:BHExu3Yo
オオオオォォ……

召喚士「え…っ……!?」

煙が晴れる。その先に浮かぶアカ・マナフ。

サモナー「ふ、不死身か…っ…」

アカ・マナフ「コカトリス使い…!」

アカ・マナフは石化し、吹き飛んだ下半身を一度見つめ、視線を召喚士へ移す。

青年兵「でも…なんとか下半身を……」

神官「違うな……」

青年兵「え…?」

神官「おそらく自分で吹き飛ばしたのだろう。上半身への石化を食い止める為に…」

青年兵「…っ!!」

神官の予想は当たっていた。形状変化に間に合わないと悟ると、

アカ・マナフは石化した下半身を自ずから吹き飛ばし、石化の侵攻を食い止めた。

アカ・マナフ「く…くふっ…。くふふ……っ!!」

召喚士「……!?」


582 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:15:18.68 ID:BHExu3Yo
アカ・マナフ「あははははははっ!!」

サモナー「!!」

召喚士「……」

アカ・マナフ「あー…だからキライなんだよ…」

ゴゴゴゴゴゴ…

アカ・マナフ「アンラ・マンユ様より賜った大切な魔力を…っ」

ゴゴゴゴゴゴ…

アカ・マナフ「足止めだけのつもりだったが…もういい…」

神官「来る…っ!!」

ドオオオオォォンッ!!

召喚士「っ!?」

激しい轟音と爆風。それと共にアカ・マナフは巨大なもやの塊へと姿を変える。

紫色の毒々しいもやは、次第に巨大かし、四方より触手のようなに伸び始める。

サモナー「あ…れが……」

召喚士「アカ・マナフの…本体か…っ!!」


583 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:18:50.21 ID:BHExu3Yo
キュイイイィィ……

青年兵「何だ…っ!?」

神官「まずいっ!!」

ドウンッ!!

召喚士「くぅ…!!」

アカ・マナフから無数の閃光がほとばしる。

光は地面を吹き飛ばし、水平に向けられた閃光は、司令部の塔へと命中する。

ドッゴオオォォンッ!!…ゴゴゴゴ……ゴシャアアァァッ!!

魔道士「きゃあぁ!!」

戦士「なんつう威力だよ…!」

隊長「転がってる奴らを非難させろっ!」

盗賊「ああっ!」

オオォォ……

アカ・マナフ「くふっ…ふふふっ!」

閃光を放った魔物は、巨大な一つ目を輝かせ、不敵に笑う。


584 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:19:53.01 ID:BHExu3Yo
〜西方司令部、西門手前〜

エリート「南の…塔が!!」

皇太子「……急ぐぞ!」

エリート「は、はっ!」

タッタッタッタ…

〜西方司令部、屋内〜

ドオォォンッ!!…ドサッ…バサバサッ

博士「な、なんなのら!?」

博士と西方兵らは衝撃により、足場を崩し倒れる。

西方兵「と、塔が…っ!!」

博士「なんて事なのら…っ!」

博士は慌てて散らばった資料と本をかき集める。

博士「……?」

手にした魔物図鑑をじっと見つめ、開かれたページを見つめる博士。

博士「パズズ…?」


585 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:21:43.08 ID:BHExu3Yo
西方兵「博士っ!お急ぎください!!」

博士「四人の召喚士…パズズを倒す。手段とは…?」

パラパラッ

博士(四つの属性を持つ召喚術…。同調…?)

パラッ…

博士「……そ、そうか…っ!!」

西方兵「博士!?」

博士「西門に向かうのら!ここは任せるのらっ!!」

西方兵「博士!!お待ちをっ!!」

ダッ!!…タッタッタッタッタ

博士「そうか…そうなのら!」

タッタッタッタ

博士「奴も魔王の眷属…。ならば…っ!!」

タッタッタ

博士は急ぎ、西門へと向かう。


586 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:22:48.69 ID:BHExu3Yo
〜西方司令部、西側〜

タッタッタ…ザシャッ

皇太子「…こ、これは…!?」

魔道士「殿下、エリートさん!」

エリート「皆さん、ご無事で…!?」

盗賊「…なんとか」

盗賊は取り憑かれた四人を見つめ、呟く。

男隊員「……く…そ…」

副隊長「くくっ…。貴方達の勝機は完全になくなった」

隊長「……」

皇太子「あれが奴の…真の姿か…!」

隊長「……おい」

戦士「…?」

隊長「……ボソッ」

戦士「!?…・・・わ、分かった」


587 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:23:26.28 ID:BHExu3Yo
盗賊「……?」

魔道士「どうしましょう!?私達も援護に…」

隊長「やめとけ」

魔道士「…!?」

エリート「ここは彼らに任せておきましょう」

皇太子「下手に人員を増やし、操られてしまっては逆効果だ」

魔道士「あ……っ」

戦士「指を咥えて見てるだけってか…!くそ…っ」

盗賊「…不甲斐ないな」

隊長「なぁに、お前らはよくやったよ」

盗賊「……」

隊長「今は仲間を信じろ。出来る事はただ、それだけだ…」

魔道士「召喚士さん…っ」

エリート「衛生兵、この者らの回復を!」

皇太子「……頼むぞ、召喚士の諸君っ!」



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