■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その21
479 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:04:42.35 ID:nGQi6t6o
――雪空に 雷鳴止みて 輝くは 東の空の 二つ星かな



召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第二十六部〜


480 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:05:24.57 ID:nGQi6t6o
ザザーン…ザザーン…

松の木の立ち並ぶ港の関。その浜や街道には、

下船する観光客を待ち受ける行商らの姿で大いに賑わう。

魔道士「着きました〜!」

隊長「ここが東方、南の島か……」

召喚士「ここで確か本島行きの船に乗り換えて…」

西方参謀「おぉーすっげぇな!なんだありゃ!?」

魔道士「あ、えぇと……何でしたっけ?」

盗賊「…舞妓」

隊長「うおぉ!?なんじゃこの食べ物…!」

戦士「それ旨いんだぜ!」

盗賊「……わたあめ」

召喚士「やっぱり…みんな同じ反応なんだなぁ…ははっ」

盗賊「…そんなに…珍しいかな?」

召喚士「俺らにとっては珍しいですよ。盗賊さんは大陸に来た時、どうでしたた?」


481 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:06:47.37 ID:nGQi6t6o
盗賊「…ああ…そっか」

召喚士「国や環境が違えば、色々と変わりますからね」

盗賊「…そうだな」

隊長「うぉ!?船ってあれか…!?」

西方参謀「なかなかシャレたデザインしてんなぁ〜ヒック」

召喚士「あ、行きましょう」

盗賊「…うん」

戦士「本島行きかい?」

船乗り「いんや、都直通よ」

盗賊「都に…?」

船乗り「都も最近じゃ平穏になってなぁ…。船も安心して通せるようになったのよ」

召喚士「へぇ…っ」

船乗り「こう言っちゃなんだが、先代の老中様が亡くなってからだわな…」

戦士「……」

船乗り「おっと…6人でしたな。さぁ、どうぞどうぞ!」


482 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:07:25.39 ID:nGQi6t6o
ザザーン…ザザーンッ

隊長「……そうか。東方司令部へ、ねぇ」

西方参謀「どうだったよ?気味悪いとこだろ?がはは!!」

召喚士「気味悪いと言うか…異色ですね」

隊長「だろ?しっかし…青年兵も無茶しやがる。焦りすぎだ」

戦士「……人の事言えんのか?」

隊長「う…っ」

盗賊「…それで、上様と…話すつもりか?」

西方参謀「だなぁ。もしくは代理人かだな…ヒック」

魔道士「盗賊さんなら大丈夫ですよねっ?」

盗賊「…どうだろうな」

隊長「とにかくこうして観光で入国するからな。プライベートでアポるしかねぇ」

西方参謀「そういう事だわな」

召喚士「ですね……」

盗賊「……」


483 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:07:54.68 ID:nGQi6t6o
戦士「んでよ、同盟結んでどーするつもりだ?」

隊長「決まってんだろ。共同作戦でヤマタノオロチを叩く」

魔道士「!?」

戦士「叩くって…。そんな簡単に出来んのか?」

隊長「出来るわけねーだろ。だからこその同盟だ」

西方参謀「いいか?ヤマタノナンタラを倒すだろ?」

隊長「ヤマタノオロチだ」

西方参謀「そうするとどうなる?」

戦士「どうって…。東方が平和になる?」

召喚士「竜脈が…途絶える…!?」

西方参謀「正解。送り込む主が消えるわけだぁな」

隊長「そーすると?」

魔道士「あ…っ!?月の宴…っ!!」

西方参謀「正解。次の宴が必要なくなる。それはつまり…」

盗賊「…東方司令部が…不要になる!?」


484 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:08:39.04 ID:nGQi6t6o
隊長「厳密に言や、不要ってわけでもないんだが…」

西方参謀「少なくとも大量の魔道兵は用無しってこった…ヒックゥ」

戦士「な、なぁ…それってよ……」

隊長「ヤマタノオロチが終わりじゃあねぇ。その先には魔王がいる」

西方参謀「その為にゃ今みてぇな偏った編制じゃ勝てねぇからなぁ」

召喚士「大幅な…人事異動が…っ」

隊長「左大臣派も…残念ながら散っちまうだろうなぁ」

西方参謀「そいつは残念だ。がっははは!!」

戦士「いい事づくめじゃねーかよ…っ」

魔道士「ほ、本当ですね…!」

隊長「だーから必死になってんだろうが」

西方参謀「それもこれも…同盟が成立せにゃ話にならん」

召喚士「……ですね」

盗賊「……」

夕暮れ染まる海上。まもなく一同を乗せた船が、都へと到着する。


485 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:09:59.39 ID:nGQi6t6o
〜東方、都〜

隊長「……へぇっ、こりゃすげぇわ」

西方参謀「なんつうか…街並みに妖艶さを感じるなぁ〜」

三味線や琴の音色が響き、左右の店からは香や食物の匂いが漂う。

召喚士「盗賊さん」

盗賊「…ん?」

召喚士「このまま城へ…?」

盗賊「……時間が時間だからなぁ」

戦士「明日一番に改めた方がいいんじゃねぇか?」

召喚士「俺も、それがいいと思います」

西方参謀「おぉ、わざわざ悪いね〜観光の時間作って貰っちまってよぉ」

召喚士「違います!!」

魔道士「ま、まぁまぁ…。先に宿を手配しましょっか!」

戦士「…ったく。そうすっかねぇ」

盗賊「……それなら、あそこだな」


486 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:11:12.48 ID:nGQi6t6o
〜旅籠〜

魔道士「こんばんはー」

シズシズシズ…

仲居「ようこそおいで下さいましたぁ」

召喚士「6人なんで…部屋でいいかな」

仲居「はいはい。ご案内致します」

隊長「宿もいい作りしてんなぁ…」

西方参謀「あれ、着物ってんだっけか?いいよなぁ〜」

戦士「おいオッサンども。目的忘れんなよ?」

隊長「わーってるよ。今日は観光だ、明日から本気出す」

盗賊「……」

仲居「さぁさ、どうぞ。こちらです」

魔道士「はぁい!」

戦士「いよっと。んじゃ俺と召喚士はこっちの部屋だな」

隊長「しゃーねぇな。んじゃ俺は盗賊ちゃんと……」


487 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:12:26.61 ID:nGQi6t6o
〜隊長と西方参謀の部屋〜

隊長「……一緒になるわけないわな」

西方参謀「あぁ〜うんめぇなこれ!」

隊長「…くっせぇな。お前よ、室内では酒控えろよな」

西方参謀「だってよ、これ…すんげぇ旨いぜ!?」

隊長「おま…っ、何時の間に買ったんだよ!?」

西方参謀「東方の酒も悪くねぇな……ヒック」

隊長「……ったく」

ゴロンッ

西方参謀「まぁまぁ、お前も飲んでみろって!イケるぜ?」

隊長「あぁ?」

西方参謀「飲んでみてーんだろ?ほれ、遠慮すんなって!」

隊長「……」

西方参謀「……あっそ。んじゃ、一人で全部頂い…」

隊長「だぁー!分かったよ!飲めばいいんだろ飲めばよぉ!」


488 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:13:13.46 ID:nGQi6t6o
〜魔道士と盗賊の部屋〜

魔道士「はぁ〜。お疲れ様でした!」

盗賊「…うん、お疲れ」

ズイッ

魔道士「ありがとうございます。えっと……」

盗賊「…浴衣」

魔道士「そうそう!パジャマですよね!」

盗賊「…まぁ…そうかな」

魔道士「でも…この時期はちょっと寒いかなぁ…」

盗賊「…ん」

魔道士「これは?」

盗賊「……半纏」

魔道士「はんてん…ですか?」

盗賊「…着てみろ。暖かいぞ」

魔道士「……んっ、本当だ!あったかぁ〜い…!」


489 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 18:14:51.99 ID:nGQi6t6o
ゴソゴソッ…モゾッ

魔道士「久々の東方ですねぇ」

盗賊「…私はこの前来たけどな」

魔道士「あ、そっか…。修行で……」

盗賊「…うん」

魔道士「……」

盗賊「…あ、いや…すまん」

魔道士「大丈夫ですよ!」

盗賊「……」

魔道士「…お兄さんもきっと無事です!」

盗賊「…死んでるけどな」

魔道士「あっ!えっと…そ、その…っ」

盗賊「…気にしなくていいよ。……ありがと」

魔道士「……盗賊さんっ!!」

ダキッ!!…ギュウウゥゥ

盗賊「な、何をするっ!?馬鹿者っ!!」


496 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 23:14:14.67 ID:s.ptjNUo
〜召喚士と戦士の部屋〜

戦士「さーて、明日はいよいよ東方の国王と会うわけだ」

召喚士「うん……」

戦士「会えるかね?」

召喚士「どうだろうね。場合によっては…」

戦士「…?」

召喚士「名代さんあたりに頼むしかないかもね…」

戦士「あーそうだなぁ…。もしくは盗賊の親父さんか…」

召喚士「……だね」

スッ

仲居「失礼致します。お食事の準備が整いました」

戦士「お〜!待ってましたぁ!」

召喚士「すぐに行きます〜!」

仲居「では、一階の広間にてお待ちしております」

召喚士「他のみんなを呼びに行こっか」


497 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 23:15:22.20 ID:s.ptjNUo
テクテクテク…スッ

戦士「……くっせぇ!!」

隊長「おーう、なんだぁ?お前らも飲むかぁ?」

西方参謀「……何だぁ、もう空じゃねーか…っ」

戦士「……コイツら」

召喚士「あ、あのー食事の準備が出来たそうです…」

隊長「食事ー?おぉー楽しみだわぁ」

西方参謀「んじゃあ行くかぁ」

呆れ顔の召喚士と戦士を余所に、千鳥足で部屋を出る中年二人。

テクテクテク

召喚士「あ、魔道士さん盗賊さん。ちょうど良かった!」

魔道士「夕食ですよねっ、今聞きましたよ!」

隊長「おう〜食事だ食事〜!

盗賊「……大丈夫か?」

戦士「……ほっとけ」


498 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 23:15:49.50 ID:s.ptjNUo
〜広間〜

魔道士「うわぁ〜!豪華ーっ!!」

隊長「コイツは美味そうだ!頂きまーす!」

戦士「全員座ってからに……おいっ!食うなって!!」

召喚士「は、はは……っ」

シズシズシズ

女将「この度は当旅籠をご利用頂き、ありがとうございます」

西方参謀「……」

ポロッ

女将「この宿の主、女将…と申します」

隊長「……う、美しい…っ」

魔道士「お久し振りです!女将さん!」

女将「……はて?以前もお越しに…?」

召喚士「覚えてらっしゃいませんか…?……武士さんの…」

女将「……あ…っ」


499 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 23:16:50.88 ID:s.ptjNUo


女将「……そうでしたかぁ。あの節は色々と…」

召喚士「こちらこそ、お世話になりました」

女将「此度はどのような?観光でいらっしゃいますか?」

隊長へ酌をしながら、女将は問い訪ねる。

隊長「いえ…っ、我らは大事な国家の任務を携えて参りました」

女将「…まぁ、そうでしたの」

隊長「はい…!この国の…未来の為に!!」

ズイッ

西方参謀「そうそう。この私めが大役を仰せつかりましてね…ははっ」

女将「それはそれは…。頼もしい限りですわ、うふふふっ」

戦士「……何だコイツら」

盗賊「……放っておけ」

魔道士「女将さんも元気そうで何よりです!えへへ!」

召喚士「あれからお変わりはありませんか?」


500 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/09(火) 23:18:40.41 ID:s.ptjNUo
女将「ええ。私も皆も元気でございますよ」

召喚士「…良かった」

女将「特に…あれ以来、都も平和になりました」

戦士「そいつは何よりだ」

女将「何でも大橋に佇む鬼が妖怪を退治してくれているとか……」

戦士「……ほぉ!」

女将「そんな噂が流れる程、ここも平和になりましたわ」

隊長「しかし、この平和は仮初に過ぎません!その為に我らが……」

盗賊「…さっき…聞いたよ」

西方参謀「明日…私が国王に会見し、和平交渉を進める所存です!」

女将「まぁ!東方と皆様が…!?これは頼もしいわぁ」

隊長「……その暁には、更なる平和が…いや、魔物などいない太平の世をですね…」

西方参謀「まぁこの者は前線で朽ち果てるのでお構いなく。私がですね…」

女将「は、はぁ…。面白い方々ですねぇ」

戦士「ブン殴ってもいいいすよ」


501 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:32:04.30 ID:SkN0KQSO
おっさん達も男やもめが長いから…



次へ 戻る 戻る 携 上へ