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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その37
718 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:36:46.17 ID:mBzbUnljo


大軍師「眼鏡殿が……死んだ?」

伝令「はっ。それにジュニア殿、賢者殿も行方不明……っ。更には……」

エリート「……」

伝令「魔法剣士殿も交戦の末、戦闘不能の状態との事です……っ!」

皇太子「……トップクラスのランカーが……そんなにもか」

伝令「ですが、六道門・地獄は開かれました」

大軍師「そうですか」

 ドドッドドッドドッ……

北方兵「たっ、大変です!」

大軍師「!?」

北方兵「ハヌマーン軍っ、壊滅! 退却しております!」

エリート「何ぃ!?」

大軍師「壊滅? 損害の規模は……?」

北方兵「間もなく、ハヌマーン殿らが到着致します!」


719 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:37:35.04 ID:mBzbUnljo


 ザッザッザッ

ハヌマーン「……」

オーク「…………ん」

ハヌマーン「オーク!? 気付いたか……?」

オーク「こ……こは……?」

ハヌマーン「一夜城だ。我らは今、退却している」

オーク「ハヌマーン……オラ、重いでしょ? 降ろして下さい」

ハヌマーン「良いからそのまま背に乗っておるが良い」

オーク「……ッ」

紅孩児「よぉ、お前……凄かったな」

オーク「へ……っ?」

紅孩児「何だ、覚えてねーのか。お前があの、門番を倒したんだぜ?」

オーク「門番? あ……ッ、そういえばキング……!!」

同門「……」


720 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:38:20.93 ID:mBzbUnljo


大軍師「ハヌマーン殿っ!」

ハヌマーン「済まぬ。此方は皆、限界のようだ」ザッ

皇太子「壊滅と伺ったが?」

ハヌマーン「……貴重な仲間を多数、失ってしまった」

白馬騎士「……っ」

ハヌマーン「だが、六道門・畜生は開いたぞ。後は……頼む」グラッ

オーク「!?」

ハヌマーン「少し……休む……ッ」ドサッ

オーク「ハヌマーン!? ハヌマーン!!」

紅孩児「コイツも限界だったんだろうな」

同門「……」ザッ

紅孩児「どこへ行く?」

同門「魔王城に決まっているだろう」ザッザッ

紅孩児「お、おい! お前だってダメージ受けてんだろ!」


721 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:39:15.27 ID:mBzbUnljo
同門「関係ない」ザッザッ

大軍師「お待ち下さい。まずは現状の把握が必要です」

エリート「大軍師の言う通りだ。開門したからとて突入するのは危険すぎる」

同門「時間がない」

大軍師「それはご尤もですが、適材適所で編制する必要がございます」

同門「……っ」

皇太子「焦りは禁物だぞ、死んでしまっては意味がない」

同門「……どうすればいいっ!」

大軍師「要人を招集致します。しばし小休止を」

エリート「伝令っ! 急がせよ!」

伝令「はっ!」ザザッ

皇太子「いよいよ魔王城突入か……」

大軍師「ええ。ここからが本当の戦いと言えるのかもしれませんね」

皇太子「戦いに真も偽りもないさ。だが、重要な局面である事に違いはないだろうな」

大軍師「……」


722 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:40:13.08 ID:mBzbUnljo


 バシュウウゥゥゥゥ……スタッ

青龍士官「大元帥、状況は!?」

青年兵「これより説明する。あとは上様と名代殿だ」

 ドドッドドッドドッ……

帝「すまぬっ、梃子摺った」

大軍師「いえいえ。これで揃いましたね」

西方参謀「門が開いたらしいな」

白虎長「私も直に見たわっ。確かに……開いていた」

南方副司令「しかし敵が出てくる様子もなかったな」

大軍師「内部にはほとんど、魔物は居ないと言う事でしょう」

王子「全て、外に出払っているという事か……」

大軍師「あとは、1匹で万に相当する魔物が控えているという事です」

エリート「門の護衛もその類だろうな。まぁ、2匹イコール2万は消したわけだ」

大軍師「こちらも1万に匹敵するワーカーを4人も失いましたがね」


723 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:40:46.79 ID:mBzbUnljo


大軍師「では全員揃ったところで始めます」バサッ

青年兵「……」

大軍師「ここ、魔王城を中心に現在の状況を把握したいと思います。
     まず、魔王城より南西に位置するここ一夜城。一夜城には現在、
     我らが集結しており、また、ここより魔王城へめがけて、12万余りの
     兵が南北へ分断するように、魔王軍を抑え込んでおります」

名代「……ふむ」

大軍師「12万の兵は現在、各司令部、本国、東方、西国、そしてワーカー、
     これらが総力をもって対応致しております。この均衡が破られれば、
     それは即ち戦線を絶たれ、今作戦の大幅な遅れを意味します」

皇太子「つまり、この状態を保ち、崩すわけにはいかぬと言うのだな?」

大軍師「そうです。その為には魔王城へ大軍を進める事も出来ません」

エリート「どのみちそのつもりもないのだろう?」

大軍師「ふっふっふ、まぁそうですね。さて、ここで戦力の把握です。
     先にここ以外の状況をご説明致しましょう。まずは魔王城の裏手。
     こちらには天才殿と朱雀先生パーティー。更には剣士殿パーティー、
     東方司令、特遊の面々が北の森を抜け、対応しております」

南方参謀「そんな数で大丈夫なの?」


724 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:41:22.87 ID:mBzbUnljo
大軍師「何度も申し上げますが、個々の強さは格段ですから」

青年兵「それに、隠密ですから少人数の方が有利ですね」

大軍師「他にも斥候を務める国軍兵やワーカーが数名、魔王城近辺を探っております」

帝「ふむ」

大軍師「そしてここより南東にあたる北関。こちらには将軍殿を中心に、
      軍の者とワーカーがおよそ3万〜5万ほど駐屯しております」

博士「ずいぶnアバウトなのら」

大軍師「遊撃に出ているワーカーもいますでしょうし……」

左翼長「死んでるのもいるだろうからな」

大軍師「離れている為、伝令の回数も少なく、明確な数は把握出来ません」

騎士長「主戦場ではないし、まぁ問題にはなるまい」

バーテン「重要なのは輸送だ。これを潰されると長くはもたん」

大軍師「仰る通り。先程、北関から物資の輸送がありましたが、今後もこれを継続致します」

西方副司令「食糧はともかく、武具や結界石は不足がちだしね……」

大軍師「問題なのは魔王軍の進軍を許すかどうか、それだけです」

エリート「そうだ。魔王軍を食い止め、北関にさえ向かわせなければそれで良いのだ」


725 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:42:13.46 ID:mBzbUnljo
大軍師「そして此処より南西に位置する……北方司令部。
     此方には参謀殿率いる若干の兵らが万が一に備え、
     最終防衛線として、護衛に務めております」

西方参謀「ここが打撃を受ければ最終防衛線なぞ無意味だ。押し上げたらどうだ?」

大軍師「頃合いを見てですね。ワーカーもまだ、全てが揃っているわけではありませんから」

東方参謀「どうせ今から来る連中なんぞ、大した役にも立たぬわ」

大軍師「まぁまぁ。役に立つかどうかは使い方次第ですよ」

皇太子「現状はおおよそ理解した。それで、どうするのだ?」

大軍師「いよいよ突入に関しての作戦を申し上げます」

青龍士官「……」

大軍師「華国は現状通り、一夜城の護衛をお願い致します」

白馬騎士「了解致しました」

大軍師「次に初代特遊の皆様は、一夜城を中心に兵の指揮を」

左翼長「俺らをダシに士気を上げようってか?」

騎士長「相変わらず抜け目ない策士だな」

大軍師「……ふっふ」


726 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:42:47.38 ID:mBzbUnljo
バーテン「ま、ワーカーでも軍人でもねぇ俺らはそれが丁度いいわな」

戦士父「ああ、そうだな」

大軍師「宜しくお願い致します。次にハヌマーン軍」

ハヌマーン「うむ」

大軍師「ハヌマーン軍の損害は大きい。ここはひとまず遊軍に徹して下さい」

ハヌマーン「承知した。数も減ってしまった事だし、撹乱に努めるとしようか」

オーク「はいです!」

大軍師「東方、西国の皆様は、魔王軍迎撃に集中して頂けますか?」

王子「お言葉だが、それは魔王城突入の戦力として不足という事か?」

大軍師「いえいえ、そうではありません、あくまで余力を残して頂きたいのです」

帝「余力……?」

大軍師「この戦いは確かに、世界中から見ればまさに最終決戦」

名代「……いかにも」

大軍師「しかし、まだ最後の最後には本当の敵が待っているのです」

王子「……っ!!」


727 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:43:26.25 ID:mBzbUnljo
大軍師「それは即ち、魔王サタン」

青年兵「……っ」

大軍師「サタンを討つべく指名されたのは、皆様もご存知の通り……」

王子「召喚士さん達か」

大軍師「……どうか、彼らのお力になって頂きたいのです」

帝「……そうい事ならば、今回は自重する以外になさそうだな」

僧兵長「旗本殿の仇は……この手で討ってみせるぞ……っ」ググッ

王子「分かりました大軍師殿。そういう事情ならば最初から言ってくれれば良いものを」

大軍師「すみません。どうも回りくどい性格でして」

白虎長「私達、召喚隊はどうするの?」

大軍師「魔王城の前に布陣して頂きます」

青龍士官「!?」

大軍師「内部、外部ともに連携、援護が出来るよう。過酷な任務ですが……出来ますか?」

白虎長「やるしかないんでしょう? いいわよ」

青龍士官「……それだけ我らの実力を買ってくれているという事だな」


728 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:44:01.53 ID:mBzbUnljo
大軍師「さて、残る本国、各司令部の面々は……」

皇太子「魔王城だな?」

エリート「やるしかないか。まぁここまで来れば、どこに居ても危険に代わりはない」

南方司令「腕が鳴るな。正義の為に」

西方司令「意味不明なんだよテメェは。殺すぞ! あ?」

大軍師「博士、西方魔道長らは一夜城にて支援攻撃を」

博士「了解なのら」

西方魔道長「精鋭魔道兵もまだ健在さね」

大軍師「これで以上ですね」

青年兵「あの、他のワーカーはどうしますか?」

大軍師「大元帥殿にお任せ致しますよ。ご自由に指示なさって下さい」

青年兵「……了解です」

西方参謀「よーし。そうと決めればすぐに準備へ取り掛かれ! 時間は限られてるぞ!」

東方参謀「……雨も止んできたか?」

大軍師「恵みの雨だったのかそうでないのか。終わってみないと分かりませんかねぇ」ヒラヒラ


729 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:44:46.22 ID:mBzbUnljo
 天からの涙が止んだ時、魔王城の門が3つ開いた。

 雨があがっても哀しみが止まるわけではない。人の宿命<さだめ>か。

 ここに集いし一同の数奇なる宿命と、そして別れ。その先にあるものとは?

戦士「おっし、行くぞ」

盗賊「ああ」

東方司令「「……魔王城……か」

男隊員「門の先は……1本道か」

女隊員「何だか、気味悪いッスねぇ……」

女賢者「それじゃ、本陣に戻ります〜」

幼女「お、お気を付けてっ!」

天才「……」

召喚士「どうしました? 天才さん」

天才「……皮肉ってか、こういうモンなのかねぇ。ま、そうなんだろうな」

召喚士「……?」

天才「おら、さっさと行くぞ」

召喚士「は、はいっ!」


730 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:46:41.20 ID:mBzbUnljo



 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      〜第六十部〜


731 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:48:41.49 ID:mBzbUnljo
〜一夜城、医務室〜

魔法剣士「…………」

 意識はある。しかし目はうつろに見知らぬ天井を眺め、終始無言であった。

衛生兵「あ、あの……どこか痛みますか?」

魔法剣士「…………」

 ただ先程の出来事を、頭の中がぐるぐるとよぎっていた。

 ふと、犬の鳴き声が聞こえ、魔法剣士はそれに反応してベッドから身体を起こした。

衛生兵「あっ! あの……まだ傷が……」

魔法剣士「こんなもの、傷のうちに入らん」

 上半身に巻かれた包帯を撫で、その上から上着を羽織り、医務室を出た。

犬「ワンワンッ」

魔法剣士「ケルベロス……」

犬「……ワンッ!」フリフリ

魔法剣士「腹が減ったのか? 何か……食いに行くか」ザッ

犬「ワンッ!!」


732 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:49:26.82 ID:mBzbUnljo
 功績ランク2である眼鏡の死。それに加え3位のジュニアが魔物の手により失踪。

 4位の魔法剣士もオルトロスとの激しい交戦の末に魔力枯渇で戦闘不能。

 その報は戦場を瞬く間に駆け巡り、各戦地での士気を著しく下げた。

 ドッドオオオオォォォォン!!

左翼長「何だってんだ! 急に動きが鈍くなりやがった……っ」

騎士長「眼鏡らの情報が広まって、混乱を招いてるらしいぞ」

左翼長「バカヤロウ! すぐに収拾しろ!」

エリート「南側の魔王軍が押し込んでいる! 抜かれれば北関だぞ! 兵を回せっ!」

騎士団「了解でありますっ!!」ドドッ

青年兵「六道門の開門よりも、やはり眼鏡さんの死が影響しましたね」

大軍師「ええ。噂というものは良い噂よりも悪い噂が広まるものです」

青年兵「しかしここで崩れるわけにはいかない。何とか堪えなくては」

大軍師「少し早いですが、突入隊を進めましょう」

青年兵「……ええ、そうしましょう」

大軍師「では皆様、突入準備を」


733 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:51:29.66 ID:mBzbUnljo


大軍師「突入隊、前衛は南方司令、西方司令、東方参謀、南方副司令。
      後衛に陛下、右大臣殿、南方参謀、西方副司令、そして私」

西方参謀「全滅したら本国は権力取り放題だな……ガハハッ」

南方参謀「笑い事じゃないわよ……っ」

皇太子「構わんさ。これだけ密集していた方が、むしろ清々しい」

南方司令「陛下の申す通り。清々しい正義の力だ!」

西方司令「やっぱりテメェは殺す!!」

エリート「静かにせんか! 全く……」

大軍師「大元帥殿。ワーカーは貴方にお任せ致しますよ」

青年兵「了解です。どちらの門を行かれますか?」

大軍師「我らは奥の、六道門・畜生を進みます」

青年兵「分かりました。それではお気を付けて」

大軍師「では参りましょう」

皇太子「出発だ。あとの指揮は任せる」


734 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 17:52:15.42 ID:mBzbUnljo
王子「了解した」

帝「ご武運を」

 ザザッ ドドッドドッドドッ……

王子「あれだけ本国要人達の本気を見せられてしまうと……」

帝「此方もやるしかないな」

王子「……西国の者らよ、本国の皆は陛下や要職の者が先陣切って戦っているぞ!」

帝「東方の皆、我らもまけてはいられぬぞっ」

名代「上様に続けっ、お守りするのだ!」

槍侶「おぉーっ!!」

西国兵「スフィンクス! 突撃ーっ!」

王子「さぁ、我らも」

帝「うむ。参ろうぞ」ザッ

王子「彼らの為に、道を切り拓けぇ!!」

帝「露払いじゃっ! 妖を蹴散らし、道を作るのだっ!」

 西と東。それぞれの王が共に居並び、突入隊の道を大いに作り上げた。


735 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/03/12(月) 18:01:25.49 ID:mBzbUnljo
第六十部突入というところでひとまずここまでにて
しかし全然進まないですね…なんとか4年目突入は避けたい…

本日もご支援ありがとうございました!そいではっ!ノシ


736 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [sage] 投稿日:2012/03/12(月) 18:04:49.75 ID:c3+hhXIvo
いちおつ
4年程度で終わるわけないじゃないか


740 名前:NIPPERがお送りします(長崎県) [sage] 投稿日:2012/03/12(月) 19:08:40.38 ID:/MUcXgmBo
>>1ヲツ
3年かけてプロローグ終盤とか壮大過ぎワロリ


743 名前:NIPPERがお送りします(愛媛県) [sage] 投稿日:2012/03/12(月) 20:03:15.84 ID:SIO24Ni5o
いやいやペニスからは想像できんわ



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