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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
- 815 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/10/14(金) 23:43:27.47 ID:cQDRZDp2o
天才「聞こえなかったか? 足手纏いになるから降りろって言ったんだよ」
召喚士「そ、そんな……っ」
天才「朱雀先生を襲名して、数々の戦功立てて、いっぱしの英雄気取りか?」
召喚士「違います! そんな事は……」
天才「勘違い甚だしいぜお前」
召喚士「……っ」
ザッ…ジャキッ
召喚士「!?」
天才「おう、ちょっくら殺り合おうや。本気で掛かって来い」
召喚士「天才さんっ!?」
天才「俺様はてめぇを殺すつもりで攻撃する。テメーも本気出さないとマジで死ぬぜ」
召喚士「ち、ちょっと……っ!!」
天才「はああぁぁぁぁ……」
ゴゴゴゴゴゴ
召喚士「っ!!」
- 816 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:44:12.87 ID:cQDRZDp2o
ヒュッ…ザザザザッ
召喚士「くぅ……っ!!」
天才「遅せぇぞコラァ!!」
驚異的な瞬発力で間合いを詰め、召喚士の腹部へ蹴りを見舞う天才。
バギャッ!!…ドザザザザアァ
召喚士「げっ、げふ……っ!!」
天才「休んでんじゃねぇぞボケ!!」
蹴りの反動で地面へ転がる召喚士へ、天才は続けざまに攻撃を仕掛けた。
天才は飛び上がると、そのままツヴァイハンダーを地面へ突き刺すように構え、
召喚士の顔の前へと勢いよく落下、そしてツヴァイハンダーでの突きを放つ。
召喚士「行けっ! コカトリス!!」
シュイイィィ…シュウウゥゥゥ
召喚士「――っ!?」
ザッシュウウゥゥゥゥ
召喚士「…………っ」
- 817 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:44:47.23 ID:cQDRZDp2o
真横に突き刺さるツヴァイハンダーの刀身に映った自身の顔。
覇気無く虚ろなその表情は、天才が言うのも一理ある。そんな顔だった。
ズボッ
天才「召喚獣なんぞ出るわけねぇだろ。枯渇の挙句、そんな精神力じゃあよ」
召喚士「……天才……さん」
天才「次は殺すぞ。死にたくなかったらいつまでも泣いてねーで戦え!」
召喚士「……」
天才「ま、その調子じゃ俺様が殺す前に魔物にやられてはいサヨーナラだろうけどな」
召喚士「お、俺……」
天才「泣き言は聞きたくねぇ。後はテメー自身で何とかするんだな。ハーッハッハッハ!」
ザッ…シュバッ!!
召喚士「……」
去りゆく天才を追う事もなく、召喚士は身体を起こすとその場にうずくまった。
召喚士「……畜生……畜生っ!!」
言葉は誰にかけたものでもない。召喚士の自分自身へ繰り返す声だけが森の中に響き渡った。
- 818 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:45:25.10 ID:cQDRZDp2o
ザザザザッ…スタッ
天才「……ふーっ」
大軍師「あれで宜しかったのですか?」
ビクッ
天才「……てめぇ、居たのかよ」
大軍師「司令ともあろう方がお気付きにならないとは、ふっふ」
天才「久々に爆睡したんでまだ神経研ぎ澄まされてねーんだよ」
大軍師「成程」
天才「
天才「しっかしこの位置から覗き見たぁ悪趣味なヤローだ」
大軍師「ふっふ。しかし意外でしたね、てっきり叱咤激励するものかと思いましたが」
天才「叱咤してやっただろうが」
大軍師「鞭だけですか……」
天才「下手に激励しても一時的なモンだ。先の事を考えたら中途半端な事はしない方がいい」
大軍師「確かにそうかもしれませんね」
- 819 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:46:04.29 ID:cQDRZDp2o
天才「ここで徹底的にどん底まで叩き落す。そしたらあとは上がるだけだ」
大軍師「時間的にも丁度良いかもしれません」
天才「それにアイツ、マゾッ気があるからな。褒めるより叱った方が伸びるだろ」
大軍師「……はぁ」
天才「とにかくだ、ここでアイツに潰れて貰ったら……俺らに勝ち目はない」
大軍師「ですね。代わりなど居りませんからね」
天才「今やアイツ1人で戦局はおろか、魔王を倒せる可能性も秘めてやがる」
大軍師「それ、素直に言ったら喜ぶと思いますよ?」
天才「誰が言うか」
大軍師「ふっふ、素直じゃありませんねぇ」
天才「……テメーも俺様と一手交えるか? あ?」
大軍師「遠慮しておきます。まだ死にたくはありませんから」
天才「ああそうだ。おめーにゃ治世でもしっかりと働いて貰わにゃならんからな」
大軍師「……分かっております」
天才「おし、そんじゃとっとと本国に帰んぞ」
- 820 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:46:44.06 ID:cQDRZDp2o
…
召喚士「…………」
無言のまま右手で前方を指差し、召喚を試みる召喚士。
シュイイィィン
召喚士「……」
シルフ「何?」
召喚士「……いや、別に」
シルフ「だーかーらー、用がないなら呼ぶなってあれ程言ってるでしょお?」
召喚士「ごめん」
シルフ「何、落ち込んでんのよ」
召喚士「俺、何なんだろ」
シルフ「はぁ? 知らないわよ。私にとっては餌くれる人! それ以外の何者でもないし!」
召喚士「そっか」
シルフ「何? アンタ慰めて欲しいわけ?」
召喚士「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
- 821 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:47:14.08 ID:cQDRZDp2o
シルフ「あぁもうっ! うじうじウザったらしいわねー!」
召喚士「……」
シルフ「何を落ち込んでんのか知らないけれど、アンタ何かミスったわけ?」
召喚士「……いや、どうなんだろ」
シルフ「アンタがいつまでもウジったところでミスは取り返せないのよ?」
召喚士「うん……」
シルフ「だったらさーシャキって次に頑張りなさいよ!」
召喚士「……うん」
シルフ「アンタの事必要とも思ってない奴は声もかけたりしないわよっ」
召喚士「……!?」
シルフ「誰かの為もいーけどさ、たまには自分の為に頑張ったら?」
召喚士「シルフ……」
シルフ「ってアンタ! 魔力全然ないじゃないっ! もう終わりなワケ〜?」
シュイイィィン
召喚士「……そうだよな。ありがと、シルフ」
- 822 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:48:07.13 ID:cQDRZDp2o
夕刻。召喚士と天才らを除く一同を乗せた馬車は再び東の町へと戻ってきた。
パッカパッカパッカ…ドドォ
魔道士「到着〜!」
西方参謀「はぁ腰痛てぇ……。酒飲んで寝よ」
戦士「おっ、付き合うぜ!」
盗賊「……おい」
西方副司令「残念だけれど、南からの撤退準備をしなきゃいけないのよ」
西方参謀「げぇー」
西方副司令「ほらっ、司令もシャキっとなさいな」
西方司令「うひぇ……っ」
盗賊「……召喚士達…まだなのかな」
魔道士「どうしたんでしょうね?」
戦士「説教でもされてんじゃないのか?」
魔道士「そんな事ないですよっ! 召喚士さん悪い事してないですもん」
盗賊「……まぁ、な」
- 823 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:48:45.65 ID:cQDRZDp2o
テクテクテク
戦士「おっ」
南方弓長「ねぇ、南方司令部のみんな知らない?」
戦士「それならラーヴァナの城に行ったぜ。戦後処理だとさ」
魔道士「南方魔道長さんなら魔道兵を連れて赤壁に戻ったみたいですよ」
南方弓長「そうなの? 何で言ってくれないのかしら……」
戦士「体調不良で休んでたんだろ? 気を浸かっての事だろ」
南方弓長「……」
テクテクテク
バーテン「おう、ちょうど良かった。手伝ってくれ」
盗賊「……?」
バーテン「これから夕食意でな。人手が足りねぇんだ」
魔道士「そういう事なら任せて下さいっ! 行きましょっ、盗賊さん!」
盗賊「えっ、あ……うん」
バーテン「悪いな、毎度毎度」
- 824 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:49:29.20 ID:cQDRZDp2o
ザッ…テクテクテク
戦士「……」
盗賊「……っ」
テクテクテクテク…
南方弓長「……みんな行っちゃったけど、いいの?」
戦士「俺が行ったところで役に立たないし、邪魔になるだけだよ」
南方弓長「……そう」
戦士「んじゃ、俺は武具の手入れでも……」
南方弓長「ねぇ」
戦士「ん?」
南方弓長「ちょっと……いい?」
戦士「何かあんのか?」
南方弓長「ううん。ちょっとだけ話がしたいなって思って」
戦士「……あ、ああ。まぁ構わねぇけど」
南方弓長「……ありがと」
- 825 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:50:27.08 ID:cQDRZDp2o
……――
戦士『んーっ!!』
戦士は宿の前に立ち、大きく背伸びをする。
パカラッパカラッ…
戦士『んっ?あれは確か…』
早朝の道を駆ける一頭の馬は、騎上の手綱により速度を弱める。
南方弓長『……貴方!?』
戦士『よぉ、もう足はいいのかい?』
ザッ…スタッ…カツカツカツ…
南方弓長『あの時は本当にありがとう…』
戦士『別に。まぁ…お互い様だろう』
南方弓長『……』
戦士『昨日は顔見なかったが…治療に専念してたのか?』
南方弓長『それもあるけど…ああいうノリって苦手なのよ』
南方弓長は照れるように後頭部を掻き、はにかむ。
- 826 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:51:11.95 ID:cQDRZDp2o
戦士『そっか…』
南方弓長『お酒も苦手だし〜』
戦士『へぇ、意外だな…』
南方弓長『あら?どういう意味かしら…?あ…っ!』
南方弓長の左足が、バランスを崩しよろける。
ガシィッ
戦士『だ、大丈夫か…?』
南方弓長『……あ』
南方弓長は顔を横に背け、目線を逸らす。
戦士『やっぱまだ完治してないんじゃ……』
南方弓長『とにかくありがとう…!お礼はまた…』
カツ…カツ…
戦士『ところで…こんな朝っぱらからどこ行くんだ?』
南方弓長『……貴方も…来る?』
戦士『…?』
- 827 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:51:38.35 ID:cQDRZDp2o
パカラッパカラッ…
馬は風を切り、街道を真っ直ぐ駆ける。
南方弓長『良かったのか!?突然来てー』
戦士『ああー!フロントにも伝言したし問題ねー!』
南方弓長『そうか〜!!』
戦士『悪いなー!狭くてっ!!』
南方弓長『いや!大丈夫ー!』
戦士『ツラかったら降りるからー!言えよ〜!』
南方弓長『いやっ!……このままで…いいよ』
戦士『あーん?風で聞こえねぇーっ!!』
戦士の前で窮屈そうに南方弓長が呟く。
南方弓長『……こういうの…いいな』
戦士『何だーっ?』
南方弓長『何でもない〜!!』
二人を乗せた一頭の馬は、平野を駆け抜け東の森を目指す。
- 828 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:52:09.77 ID:cQDRZDp2o
〜東の森〜
ザッザッザ…
戦士「昨日の事が嘘みたいだな…」
森は小鳥が囀り、葉の隙間からキラキラと朝日が差し込む。
南方弓長『……うん』
南方弓長はしゃがみ、地面に落ちる枝を手に取る。
戦士「……」
南方弓長『いくら戦いとはいえ…私達は身勝手よね…』
戦士「……森の事か…?」
南方弓長『ええ…』
南方弓長の手にする枝は焼け焦げ黒く染まり、微かに焼けた臭いを漂わせる。
戦士「……」
南方弓長『例え傷つけてしまったとしても…それを正さなければ…』
戦士「……ああ』
南方弓長『そうでなければ人も魔物と変わらないもの…」
- 829 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:52:51.82 ID:cQDRZDp2o
…
戦士「おっし、と…。こんなもんでいいか?」
戦士はかき集めた枝葉を端に避ける。
南方弓長『ありがと。後は輸送兵が来てから』
戦士「おう」
二人は高台へ登り、遠景を見据える。
南方弓長『綺麗でしょ?』
戦士「…だなぁ」
南方弓長『私、生まれはここじゃないんだけどさ…』
戦士「……」
南方弓長『この景色を初めて見た時、何が何でも守りたいって思ったの…』
戦士「…へぇ」
南方弓長『そう…。まるで自分を包み込んでくれる故郷みたいな感じ…』
戦士「確かに…。自然も多いし、海も綺麗だわ』
戦士は左右を見回し、大きく深呼吸をする。
- 830 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:53:40.60 ID:cQDRZDp2o
南方弓長『私はこの土地が大好き…』
戦士「ちょっと湿度は高いけどな…ははっ!」
南方弓長『そうね…。うふふっ』
二人の間に、心地良い風が流れる。
南方弓長『次は……どこへ行くの?』
戦士「まだ決まってないけど…、多分北かな…』
南方弓長『そう……」
戦士「……?」
南方弓長『……あのさ』
戦士「…ん?」
南方弓長『…‥ううん、何でもない』
戦士「何だよ…」
南方弓長『いいの…。うふふっ』
戦士「…そうか?はは…っ!」
二人はしばらく朝日を浴びながら、その美しい景色を楽しんだ。
- 831 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:54:21.86 ID:cQDRZDp2o
――……
戦士「……そういやそんな事もあったなぁ!」
南方弓長「覚えてた?」
戦士「そりゃ覚えてるよ。南に来て始めての大きな戦いだったし」
南方弓長「あれから5年近く経つけど、結局成長してないよね……私」
戦士「……」
南方弓長「守るって言ったのに私……っ、結局……」
戦士「仕方ないさ」
南方弓長「仕方ないからいいの!? 仕方ないからってこんな事……っ」
戦士「それは……そうだけどよ……」
南方弓長「……ごめんなさい。貴方が悪いわけじゃないのに」
戦士「……いやっ、別に」
南方弓長「あーあ。私ってほんと……嫌な女ね」
戦士「……」
南方弓長「……もう、何が良くて悪いのか分かんない。不安ばっかりなのよ……っ」
- 832 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:55:13.15 ID:cQDRZDp2o
フワッ…ガシッ
戦士「お、おい……っ」
南方弓長「私のせいで人が死んで……私のせいで森が犠牲になって……」
戦士「……」
南方弓長「私、どうしたらいいか分かんないのよっ!」
戦士「……みんなそうだって」
南方弓長「……」
戦士「俺だって何が良くて悪いのなんか分かんねぇ。生きるのに精一杯だよ」
南方弓長「…………」
戦士「環境や生きてる世界は違っても、みんなもがいて苦しんで生きてるんだ」
南方弓長「……うん」
戦士「あんたも1度、自分と向き合って考えるってのも必要なんじゃないか?」
南方弓長「私……が?」
戦士「何も今のままじゃなくたって、出来る事はあるんだし」
南方弓長「……!!」
- 833 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:56:08.43 ID:cQDRZDp2o
戦士「……っと、俺も偉そうな事言えた義理じゃないけどな。はははっ」
南方弓長「ううん、ありがとう。すっごく楽になったかも」
戦士「ははっ、そりゃ良かった」
南方弓長「……」
戦士「……」
南方弓長「……」
ススッ
戦士「……悪い」
南方弓長「……ううん」
戦士「俺にはあんたは受け入れられねぇ」
南方弓長「……分かってる」
戦士「それに、あんたの事を抱き締めるのは、俺の役目じゃねぇ」
南方弓長「……?」
戦士「……んじゃ、俺は行くよ」
南方弓長「……!?」
- 834 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:56:37.93 ID:cQDRZDp2o
テクテクテク…ポン
戦士「後は任せたぜ」
ボス「……」
ザッザッザ…
南方弓長「貴方……っ」
ボス「姉御」
南方弓長「な、何よ……っ」
ボス「今はしがない一兵卒だし、大した力も持ってねぇ」
南方弓長「……そ、そうねっ」
ボス「だがよ、必ず強くなる、強くなってみせる」
南方弓長「……っ」
ボス「姉御を守れるよう、抱き締められるようになってみせる」
南方弓長「……そ、それで……っ?」
ボス「だからもう少しだけ時間をくれ! 待ってて欲しい! 俺……姉御の事、好きだ!」
南方弓長「――っ」
- 835 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:57:12.96 ID:cQDRZDp2o
ボス「俺……絶対に姉御の事、守るから」
南方弓長「…………」
ボス「絶対、先に死んだりしねぇから」
南方弓長「……生意気」
ボス「……?」
南方弓長「下っ端のくせに生意気なのよ……っ!」
ポロポロポロッ
ボス「あ、姉御っ!?」
ギュッ
ボス「――っ!!」
南方弓長「貴方、抱き締める力はもう十分あるわよ……っ」
ボス「……お、おう……っ」
ギュウウゥゥ
ボス「あ、姉御……あの……っ」
南方弓長「しーっ」
- 836 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:58:07.21 ID:cQDRZDp2o
ススッ…チュッ
ボス「――――っ!!」
南方弓長「……今はここまで」
ボス「……っ」
南方弓長「予約、承りましたっ」
ボス「姉御……」
南方弓長「ありがと。なんか、少し吹っ切れたかも」
ボス「そ、そっか……良かった」
南方弓長「あんまり……待たせるんじゃないわよ?」
ボス「お、おうっ」
南方弓長「ふふっ」
ボス「は、はは――」
天才「何してんのお前ら?」
ボス「――っ!?」
南方弓長「し、司令っ!」
- 837 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/14(金) 23:59:02.21 ID:cQDRZDp2o
天才「なーに戦地でサカってんだこら」
南方弓長「ちっ、違います!」
天才「まぁいいけどよー。若いのだっていんだし程々にしとけよ? ハーッハッハッハ!」
大軍師「司令、あまり男女の色事をからかうのは宜しくないですよ?」
南方弓長「だからー!」
天才「あ、そうそう。お前よ」
ボス「……っ!?」
天才「何畏まってんだよ。別に罰するわけじゃねえっての」
ボス「……は、はい」
天才「お前さ、出世したかったら……ちょいと本国に来てみねーか?」
ボス「お、俺が……ですか!?」
天才「1枠空いてんだよ。お前の精神力ならまー何とか滑り込めるかもしれん」
ボス「……え、えっと……あの」
天才「お前、特遊になる気ねぇか?」
ボス「――っ!?」
- 838 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/15(土) 00:00:03.98 ID:OLrncsqoo
…
召喚士「……」
テクテクテク…
俺は弱い。毎度毎度、同じ事の繰り返し。同じ事でいつも悩んで、同じ事で後悔する。
だったら……天才さんの言う通り、舞台から降りて逃げてしまうのだって手かもしれない。
でも、それだけは絶対に後悔する。後で絶対に、自分自身が許せなくなる。
今はいい。もう余計な事は一切考えない。がむしゃらにすすむだけだ。
どうせ大した力も持ってない俺なんだ。何やったって、後悔なんてするもんか。
誰かの為もそうだけど、自分が後悔しない為にも……戦い抜いてやる。
先の事なんて分からないけど、自分に納得出来るまで戦い抜いてやる。
守りたい人がいる、守りたい仲間がいる。守りたい世界がある。
どんな敵が現れようと、もう恐れない。くじけない。負けない。それが俺の役目。
将来の為に、未来の為に、生きてきた過去の為に……今の精一杯生きる。
それが……俺。そうだろ、召喚士。
召喚士「……やってやる……やってやるぞおおぉぉぉぉ!!」
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