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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その35
346 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/31(土) 23:05:51.06 ID:K/ad3YEPo
 ガラガラッ ゴトッ

神野「……あー。なんやこう、沸々とこみ上げてくるわなぁ」

東方司令「女剣士、奴と戦っていたのか?」

女剣士「あいつは……何なんです!? 父上……なのですか?」

サル「父上?」

女剣士「剣聖。あの姿……私の父、剣聖の姿です」

魔道士「えぇっ!?」

召喚士「女剣士の父が……剣聖……!?」

女剣士「……ああ。しかし父上のようで父上でない。なんと言えばいいか」

召喚士「あれは思念体。あの魔物が作り上げた幻に過ぎません」

名代「貴方のお父上が屋敷に残した記憶から作り上げているのです」

女剣士「!?」

イヌ「だからこそ奴はまた、ここに戻ってきたわけね?」

キジ「でないと刀が使えないさー」

神野「……ひゃーっはっはっはっはっは!!」


347 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/31(土) 23:06:52.48 ID:K/ad3YEPo
召喚士「……」

神野「ああその通りや。この剣聖ってのはそりゃあ強い。お気に入りや」

女剣士「貴様ぁ……っ」

神野「今まで使こうた体の中でも最っ高に強い。ええ感じや」

帝「貴様に利用される筋合いはない」

神野「はぁ?」

帝「剣聖の魂を、貴様如きが汚してはならぬのだ」

神野「言うやないか、小生意気なガキ」

帝「貴様に言われても、何とも思わんな」

神野「……あ?」

帝「所詮、自分では何も出来ぬ雑魚だからな」

神野「……」

帝「本体ですらない貴様に言われても、何も感じぬ」

神野「……」ピキピキピキィ

 ゴアッ!!


348 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/31(土) 23:07:54.67 ID:K/ad3YEPo
神野「じゃかあしい!! ごちゃごちゃ言うなやボケがぁ!!」

帝「口では勝ち目がないようだな。では、得意の力でねじ伏せてみせたらどうだ?」

神野「ああ、構わへん。望み通り…力でねじ伏せたるわ」

 ゴゴゴゴゴゴ……

召喚士「きますよっ! 戦闘準備!」

魔道士「はいっ!」

東方司令「次は……倒す」

神野「……後悔しても……遅いぞ」

 ゴゴオオォォォォ

サル「や、やっぱり言うだけあって……すげぇ気配だな……っ」

神野「……ハッ!」

 フッ

魔道士「消え――――」

 バスッ

召喚士「……えっ?」


349 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/31(土) 23:08:29.88 ID:K/ad3YEPo
 ポタポタポタッ……ドサッ

イヌ「キジ!?」

サル「……おい、何でキジが倒れてんだよ……っ」

東方司令「……嘘だろ!?」

魔道士「な、何がどうし――」

 フッ

名代「がは……ぁ!!」ドグッ!!

帝「名代!!」

東方司令「奴だっ! 超スピードで移動している!!」

召喚士「スフィンクス、ゴーレム、ガードを!」

東方司令「左ぃ!!」

女剣士「えっ――――」

神野「死ね」ブンッ

 ガッキイイィィィィン!!

神野「……?」


350 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/31(土) 23:09:10.41 ID:K/ad3YEPo
女剣士「……えっ?」

 ザシャッ

神野「邪魔すんなや……ボケ」

女剣士「……っ」

 ググッ

女侍「やらせないよ」

女剣士「!?」

神野「ほんなら、まとめて殺したるわ」

女侍「いい加減に……その姿をやめろぉ!!」

女剣士「ま……さか……」

女侍「二度と、剣聖を語るなああぁぁ!!」

 グルンッ ザッシュウウゥゥゥゥ!!

神野「……何やとぉ……ッ!?」ズザァ

女剣士「ま……さか……っ、姉上……!?」

女侍「……」


355 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/01(日) 00:13:32.35 ID:nVwqIJlto
昨年も大変お世話になりました!
色々あった2011年。本当に大変でした…

今年はとにかく、明るく楽しい年である事をお祈り致します!
皆様も1年間、楽しく頑張りましょう!

今年も宜しくですっ!!ノシ


373 名前:SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage saga] 投稿日:2012/01/01(日) 17:56:36.29 ID:nVwqIJlto
沢山のあけおめ有難うございます!
急遽、実家へ帰る事になってしまい次の更新は3日になりそうで…
ほんと申し訳ありません…改めて今年も宜しくです!

〜オマケ〜

盗賊「新年……」

魔道士「あけましておめでとうございます!」

戦士「今年はあれか、辰年だっけな」

召喚士「そうだね。去年はほんと色々とあったから、今年はきっと幸せな1年に……」

戦士「辰年ってのは龍だよな? じゃあ召喚士は関係ねぇか」

魔道士「そうですねぇ。朱雀ですからね」

召喚士「こ、今年はきっと……みんなが幸せで元気な1年に……」

盗賊「あれだな、どうせなら……青年兵や青龍士官の方が良かったな」

召喚士「みんなが……幸せ……」

戦士「だなぁ。青龍先生が生きていれば、バシっと締めてくれるんだろうけどなぁ」

魔道士「確かにっ! あ、召喚士さんじゃ頼りないとかそういう事ではなくって……」

召喚士「幸……せ……」


378 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/02(月) 22:44:10.90 ID:OIj4Oeouo
〜最北端、城の地下〜

ザッザッザッ

戦士「……」

青年兵「戦士さん」

戦士「ん?」

青年兵「その、すみません」

戦士「……?」

青年兵「盗賊さんの事……」

戦士「ああ、別に構やしねぇよ」

青年兵「……」

戦士「お前がベストだと思った編成を組んだんだ。私事で文句言える立場じゃねぇし」

青年兵「……戦士さん」

戦士「それに、藤蔵の連中といた方が、正直生存率は高いと思う」

青年兵「そう……ですか?」

戦士「少なからずあの連中と行動を共にしてきたが、藤蔵は異常だ」


379 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/02(月) 22:44:47.46 ID:OIj4Oeouo
青年兵「……」

戦士「盗賊の為ならば、命を平気で捨てる。そんな連中だ」

鬼丸「武士道ってやつだな」

青年兵「ブシドー……」

戦士「主を守る為ならば、己の命さえ投げ出す、そんな覚悟だ」

男隊員「奴らにとって、盗賊は守るべき主ってわけだ」

戦士「そういう事。俺の戦い方じゃあ、どうしてもあいつを戦力として考えちまう」

女隊員「文化の違いッスかねぇ……」

戦士「ともかく、連中が魔王とぶつかっても、そのまま交戦に入る可能性は低い」

格闘家「ベストは、こっちで魔王と鉢合わせれば――」

 ドオオオオォォォォン!!

男隊員「何の音だ!?」

女隊員「この先ッスね!」

青年兵「行きましょう。戦闘準備を」

戦士「おう」ジャキッ


380 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/02(月) 22:45:17.69 ID:OIj4Oeouo
 ザッ スタスタスタ

鬼丸「さーて、魔王さんのおでましか? グハハッ!」

格闘家「この先、何かいますね」

戦士「……ああ、でけぇ威圧だ。だがこいつは」

 ザッ

戦士「魔王じゃねぇ。1度、この威圧は感じた事がある!」

男隊員「……何だアイツは?」

女隊員「人……じゃないッスね」

鬼丸「妖怪でもねぇな、何モンだ?」

戦士「……ベルゼブブの手下だ。気をつけろ!」

青年兵「!?」

 クルッ ザッザッザッ

アスタロス「……別人。逃がしたか」

青年兵「何……?」

アスタロス「……だが、邪魔者は……排除する」スゥッ


381 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/02(月) 22:45:48.86 ID:OIj4Oeouo
〜城、一階〜

西方参謀「……こりゃあ空振りかねぇ……ヒック」

南方参謀「油断出来ないわよ? でも、本当に何もないわねぇ」

隊長「……そうでもねぇぜ。正面見てみ」

東方参謀「!?」

 バサッバサッ……バサァ

ヤタガラス「何や、わんさか来おったでぇ」

隊長「……お前か。会えてよかったぜ」

槍侶「妖……っ!」チャキッ

夜行「……ヒヒッ。俺を知ってるのかぃ?」

隊長「忘れたとは言わせねぇぞ」チャキッ

夜行「ヒヒッ、知らないねぇ」

隊長「……ま、いいさ。覚える必要はねぇ」

夜行「……あん?」

隊長「今度こそ貴様を倒す。悪いが……覚悟しろ」


382 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/02(月) 22:46:38.15 ID:OIj4Oeouo
〜城、二階〜

火忍「なぁ」

土忍「何だ」

火忍「俺、すっげーやな予感がするんだよな」

風忍「まぁ……そうだな」

水忍「下とは打って変わって、豪華絢爛な装飾の数々」

盗賊「これは……」

火忍「どうみても、魔王様の間ってやつだよな」

土忍「どうする?」

風忍「この扉の向こうに、魔王がいるかもしれない」

水忍「一度、引き返した方が良いのではないか?」

火忍「まだ魔王かどうか分からんだろうが。開けてからにすんぞ」

盗賊「魔王相手に、逃げ切れるかどうかだな」

風忍「……とにかく、開けてみましょうか」

盗賊「ああ。魔王か否か、まずは確認だ」


383 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/02(月) 22:47:58.00 ID:OIj4Oeouo
 ガチャッ ギイイイイィィィィ

火忍「割と普通に開いたな」

土忍「……居るな」

水忍「ああ。居る」

 ザッザッザッ

風忍「……人間のようだが、ま……間違いなく妖だっ」

火忍「な、なんだよこの殺気はよぉ……っ!」ズザッ

土忍「……どうやら……大当たりのようだなっ」

水忍「大当たり? 大外れの間違いであろう……っ!」

盗賊「貴様が、魔王マーラか?」

 ドンッ!!

マーラ「……んふふ。ここまでよぉーく、来れたねぇ」

盗賊「……っ」

マーラ「まさかこのアタシを、倒しにきたなんて言うんじゃないだろうねぇ?」

盗賊「やはり貴様が……魔王マーラ!!」


384 名前:以下、あけまして、おめでとうございます [sage] 投稿日:2012/01/02(月) 23:45:09.11 ID:MFL5e8GIO
このグループが魔王とかちあうのかよ…


388 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:18:38.09 ID:boPts1dto
〜剣聖の屋敷〜

 バシィッ!! ザザァ

神野「邪魔すんなや。順番に相手してやる」

女侍「……」

女剣士「……嘘……っ」

女侍「……ちっ」ツツーッ

女剣士「姉上……なの……?」

女侍「退がれっ!!」

女剣士「っ!!」

神野「邪魔すんなら、お前から先に殺したるでぇ!!」

女剣士「姉上――」

神野「ひゃーっはっはっは――」

 ザッシュウウゥゥゥゥ!!

召喚士「そうはさせないよ」

神野「……小僧」


389 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:19:48.27 ID:boPts1dto
 ググッ

ブリュンヒルデ「動くだけ無駄よ」

神野「何やとぉ?」

 ヒュバッ!! グサグサドグッ!!

神野「……ッ」

グリムゲルデ「お姉様1人だと思ったら、大間違いよっ!」

ジークルーネ「さぁ、これで身動きは封じたわよ!」

 ワルキューレのスピアによって串刺しとされた神野悪五郎は、やや顔を曇らせた。

 その横で左肩より血を流し直立する女侍の下へ、女剣士が素早く駆け寄った。

女剣士「姉上ぇ!!」

 バシッ!!

女剣士「……!?」

女侍「何だいアンタは? 気安く触るんじゃあないよ」

女剣士「姉……上?」

女侍「アンタ、姉と勘違いしてるみたいだけどさ……悪いが、人違いだね」


390 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:21:05.50 ID:boPts1dto
 ズザッ

イヌ「お頭っ! 無事ね!?」

女侍「こんなもん、かすり傷さ。それよりもキジは無事なんだろうね?」

イヌ「今、サルが止血してるね。急所は外してるね」

女侍「そりゃ何よりだ。さぁて、やられっぱなしは性に合わないからねぇ」

 スクッ

女侍「それじゃ行くよ。ハナっから全力さね!」

イヌ「了解ね」バキバキッボキッ

女侍「サル! キジ!」

 シュバッ スタッ

サル「一撃で決めんぞぉ〜! しくんなよっ!」

キジ「さっきの分は……百倍返しさー!」

女侍「……ふーっ」チャキッ

女剣士「姉上……っ」

女侍「……」


391 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:21:57.45 ID:boPts1dto
 ゴゴゴゴゴゴ……

神野「……じゃかあしい」

シュヴェルトラウテ「マスター!!」

ブリュンヒルデ「召喚士様っ、このままでは……っ」

召喚士「分かってる。女侍さん、召喚解除しますよ!」

女侍「ああ。いつでもいいよ」

サル「バカッ! さっきのスピードでこられたら付加が間に合わ――」

神野「大人しく……寝てろやボケェ!!」

召喚士「くぅっ!! 召喚解除します!!」

 フッ

神野「ヒャーッハッハッハッハッハッハッハッハッハァ!!」

 ドウンッ!! バシュンッ

東方司令「上えぇーっ!!」

サル「んのやろおおぉぉ!!」

 ビュオッ!! ガッキイイィィィィン!!


392 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:24:12.77 ID:boPts1dto
女剣士「姉上の邪魔は……させないっ!!」ギリギリッ

神野「……どけええぇぇ!!」

 バゴォッ!! ダンッ!!

女剣士「あぐ……っ!!」

魔道士「女剣士さんっ!!」

神野「ヌアアァァァァーッ!!」

女侍「はあぁーっ!!」

 バキイイィィィィン!! クルクルクルッ

イヌ「刀がやられたねっ!!」

神野「とどめええぇぇ!!」

女剣士「姉上……ぇ」

 ググッ

女剣士「姉上ぇ!!」

 ブンッ!!

女侍「……!?」


393 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:24:58.90 ID:boPts1dto
 パシッ

女侍「こ……れはっ、三日月!?」

女剣士「どうか……父上を……父上……を」

帝「女剣士!!」

名代「し、召喚士殿……っ。彼女の回復を……」ズズッ

召喚士「すみません!」ダダッ

神野「刀が変わったところでええぇぇ!!」

女侍「お前に……この刀は壊せないよぉ!!」

 ガキイイイイィィィィン!!

神野「ッ!!」

サル「イヌ!!」

イヌ「分かってるね!!」

 ビュオッ バキィッ!!

神野「ぐぬっ、だがこんな蹴り……効かへんでぇ」

サル「そんなん百も承知だっつの。全ては……この為よ」


394 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:27:11.14 ID:boPts1dto
 そう言うとサルは、臭いの付いた煙幕を地面へと叩きつける。

神野「――!?」

 ほんの僅か一瞬ではあるが、これにより神野悪五郎は女侍の気配を見失う。

 その隙が好機を生む。神野悪五郎が次に気付いた時には、左右に壁が出来ていた。

 イヌが地面を両拳で殴りつけた威力で、土が隆起し、妖の左右に壁を作ったのだ。

 更に土壁は上空をも覆い、それはまるでトンネルのような空間が出来上がる。

 トンネルの入り口で構えるは、名刀、三日月宗近を携えた女侍。

 その背後から脇腹を左手で押さえながら、キジが凄まじい量の雷を右手に帯びている。

サル「んじゃ、いくぞ!」

 再び声と共に玉をトンネルへと投げ込むサル。しかし今度は煙幕玉ではない。

 玉はトンネル内ですぐさま激しい閃光と轟音を放ち、神野悪五郎の視界と耳を遮った。

神野「小賢しいわああぁぁ!!」

 しかしそこは神野悪五郎、僅かの内に視覚、聴覚、嗅覚を捨て、触角のみで女侍を捉える。

 だが、お構いなしとばかりに女侍はトンネルの中で待ち構える敵めがけ、地面を蹴った。

 それを追うように、キジの手元からおびただしい雷の魔法が解き放たれた。


395 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:28:23.17 ID:boPts1dto
 バッシュウウゥゥッ!!

女侍「はああぁぁぁぁ!!」

神野「返り討ちやああぁぁ!!」

女剣士「姉上ええぇぇ!!」

女侍(父上、どうか……どうか……っ!)

神野「ヒャーッハッハッハッハッハッハハハハハハハ!!」

女侍「この刻だけもいい……私を……)

神野「ハハハハハハ――」

女侍「私を……思い出してぇ!! 父上っ!!」

神野「……な、んでやねん……なんでやねん!?」

 ビタァッ!!

神野「だから何でっ、思念体が言う事効かんねん!!」

女侍「ありがとう……父上……っ!」

神野「思念体が意志を持つなど……あ、ありえへん」

女侍「剣聖流……最終奥義……土竜!!」


396 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:31:47.63 ID:boPts1dto
……――

女侍「モグラ……ですか?」

剣聖「ああ、そうだ」

女侍「何だか、あまり強そうではありません」

剣聖「そうか? しかし剣術として学ぶ部分も、人間として学ぶ部分もあるのだぞ」

女侍「モグラからですか?」

剣聖「土竜はな、目が見えぬ。これは剣の道において、心眼に通ずるものがある」

女侍「はぁ」

剣聖「そして地に暮らす土竜のように、ひっそりと剣の道を極めてゆくのが儂の夢だ」

女侍「父上……」

剣聖「女子であるお主らまで巻き込んでしまって、本当に済まないな」

女侍「良いのです父上。私は、剣聖家の子ですから」

剣聖「女侍……」

女侍「父上と共に、剣聖家の……剣の道を極めたいと思いまする」

剣聖「いつの日かお前には、きちんと礼が言いたいものよ」

女侍「その時までには、父上を越えてみせまする!」


397 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:33:16.69 ID:boPts1dto
――……

 三日月宗近が女侍の手より放たれる。眩い輝きの中、彼女は確かに見た。

女侍「――っ!?」

剣聖『……有難う、女侍――』

女侍「父上……父上ええぇぇ!!」

神野「バ……バカ……なああぁぁ!!」

 ズザザアァ!!

女侍「……っ」

 放たれた刃が止まる事はなかった。剣聖の姿をした神野悪五郎は、

 三日月宗近の抜刀により真っ二つと化し、光の中へと溶け込んでゆく。

神野「こん……な……はずは……」

 居合いを終えた女侍は神野悪五郎を斬ると、その反対側へと抜ける。

 土の壁を抜け、再び三日月宗近を鞘へと仕舞い込んだ女侍はそっと呟いた。

女侍「……ありがとう……父上」

 頬を伝った雫は、汗か涙か、それは女侍以外の誰にも分からなかった。 


398 名前:以下、あけまして [sage saga] 投稿日:2012/01/03(火) 23:40:39.51 ID:boPts1dto
明日からは通常モードで頑張ります!!
それではおやすみなさい!年末年始もご支援ありがとーです!ノシ


400 名前:以下、あけまして [] 投稿日:2012/01/04(水) 01:45:10.88 ID:wIMxvXyH0
いちおつ
剣聖の思念体は解放出来たかな…?


405 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/04(水) 17:57:20.22 ID:T0d6Eq/vo
 カシャンッ

女侍「……っ」

 ドッドオオオオォォォォン!! ゴゴゴゴゴゴ……

帝「何と言う……威力かっ」

東方司令「まさか……これ程の奴がいるとは……っ」

サル「どうでぇ!」

イヌ「完璧に捉えたね」

 タッタッタッ

召喚士「女剣士さんっ!」

ユニコーン「このまま治療するよっ!」

女剣士「あ、姉上は……?」

召喚士「姉……?」

女剣士「無事……みたいだな」

女侍「キジッ、生きてるかい?」

キジ「当たり前さー。お頭より先には死ねないさー」


406 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/04(水) 17:58:11.72 ID:T0d6Eq/vo
 ドドオオオオォォォォ……

魔道士「……い、一撃で凄い威力……っ」

東方司令「やや強引とは言え、魔法付加があるからな」

魔道士「……?」

東方司令「土行と金行。しかも土による壁で相手の進路を防ぎ、
        その内部に雷を発する事で、威力を高めている。理に適った攻撃方法だ」

魔道士「なるほど……っ」

東方司令「炎は自身が発したという事か。合体三行プラス、回避不能の物理攻撃」

魔道士「これなら……」

東方司令「さて、問題は効いたかどうか」

 次第に晴れる煙。土のトンネルはそのほとんどが吹き飛ばされ、砂埃を巻き上げている。

 それらとサルの煙幕が晴れ、景色は平常を取り戻したが……。

召喚士「な……っ!?」

帝「……居ない!!」

名代「思念体は開放されたと見て良さそうですね」

召喚士「ええ。ここからが本番ですよ……!」



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