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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その26
- 205 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/03/02(水) 00:03:42.66 ID:S35AjapIo
テクテクテクテク
戦士「やっぱり山を下ると、少し暖かいな」
魔道士「もうすぐ春ですねぇ〜」
召喚士「ええ」
戦士父「だが、季節が過ぎれば過ぎる程……」
戦士「……決戦の時は近い、ってか」
盗賊「…だな」
魔道士「あっ」
タッタッタッタッタ
飛脚「こんばんはっ!」
魔道士「こんばんは〜」
戦士父「今のは…?」
盗賊「…飛脚。手紙を運ぶ仕事の者だ」
戦士「ふーん。ワーカーの依頼みてぇなもんか」
盗賊「…まぁ、そうだな」
- 206 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 00:04:29.73 ID:S35AjapIo
…
召喚士「盗賊さん、都までどの程度かかりそうですか?」
盗賊「…ここからだと、数時間は」
戦士「うげ…っ」
魔道士「と、とにかく頑張りましょうよ!」
戦士父「どうする?野宿するかそれとも、夜通し歩くか」
魔道士「うーっ、究極の選択ですねぇ」
召喚士「俺はどちらでも……。任せますよ」
戦士「ちゃっちゃと行って、ゆっくり休んだ方がいいんじゃねぇか?」
魔道士「…うぅ、そうかもしれませんね」
戦士父「それじゃこのまま頑張って、歩くとしようか」
盗賊「…ああ」
戦士「おーし、気合入れて行くぞーっ!!」
魔道士「おーっ!!」
掛け声響く中、一同は夜通し都を目指し、海岸沿いの道を進んだ。
- 207 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 00:05:09.06 ID:S35AjapIo
〜東の砦〜
タッタッタッタッタ
飛脚「……都より、書状をお持ち致しました」
名代「ご苦労」
カサッ
名代「……老中殿からですね。西の諸侯はこちらに靡く気配との事」
帝「そうか。何よりだ」
名代「先達て平定した、西の大名家が降った事が大きいですな」
帝「それに、この東征も功を奏しておるようだな」
名代「無駄な血を流さずに済みそうですね」
鬼丸「ちぇっ、つまんねーの」
名代「鬼丸、何も殺し合いのが戦いなのではないぞ?」
鬼丸「……へいへい」
飛脚「そういえば道中、怪しげな異国の者らを見かけました」
帝「異国の者…?」
- 208 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 00:06:26.09 ID:S35AjapIo
飛脚「ええ…っ。五人かそこからの…旅人のような格好でしたが…」
帝「反抗勢力が異国と組む可能性は皆無に等しい。捨て置け」
飛脚「はっ。それでは失礼致します」
シュバッ
名代「関の解放、もう少し遅らせても良かったかもしれませんな」
帝「…いや、平定して直ぐだからこそ意味があるのだ」
名代「……」
帝「これからは東方同士、隔たりなどない国を作り上げなくてはならん」
名代「それが東方の団結に繋がりまするな」
帝「……ああ」
名代「…さて、間もなく火忍殿と水忍殿も戻りましょう」
帝「あと一息だな。この戦いが終われば……ようやく落ち着けるか」
名代「ですな」
鬼丸「美味いモンたらふく食って、爆睡してぇわ」
帝「……ふふっ、そうだな。うん」
- 209 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 00:07:16.13 ID:S35AjapIo
〜次の日、都〜
戦士「だぁ〜着いたぞー!!」
召喚士「お疲れ様」
魔道士「すっかり遅くなっちゃいましたね〜」
戦士父「これでも早いものさ。四人とも大したものだよ」
魔道士「ありがとうございます。えへへっ!」
盗賊「…さて、と」
戦士「飯だ、飯っ!」
盗賊「…だな」
召喚士「盗賊さん、何かお勧めはありますか?」
盗賊「…そうだなぁ」
魔道士「あっ、じゃあ……私食べたいものが……」
召喚士「…?」
戦士「美味いのか!?何だ!?」
魔道士「えへへ〜っ、それじゃ行きましょうか!」
- 210 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 00:08:01.33 ID:S35AjapIo
〜寿司屋〜
ガラッ
板前「らっしゃい!」
戦士父「ここは…?」
盗賊「…寿司屋。魚料理…かな」
戦士父「…ほぉ」
板前「さっき漁港から仕入れた、新鮮なタネが揃ってるよ!」
魔道士「冬の魚と言えば……」
板前「鰤にカンパチ、それに鮭もいいよっ!」
魔道士「じ、じゃあ……それをっ!」
戦士「それも美味そうだなぁ」
板前「冬は脂が乗ってて、一番旨い時期だからねぇ〜」
召喚士「よ…読めない…」
板前「もしなんなら、こっちで適当にオススメ握らせて貰いやすぜ?」
召喚士「じゃあそれでお願いします」
- 211 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 00:08:54.49 ID:S35AjapIo
…
板前「へいっ、お待ち!」
戦士「どれ……」
魔道士「…んーっ!!美味しい〜っ!!」
戦士「うほぉ…っ、脂が乗ってて…たまんねぇ!」
戦士父「確かにこれは…格別だな」
召喚士「……ええ」
盗賊「…どうした?……モグモグ」
召喚士「えっ、いえ…何でもないですよっ」
盗賊「……?」
召喚士「…ワサビ、でしたっけ?ちょっと目にしみて…ははっ」
盗賊「…そうか」
板前「山葵駄目でしたかい?もし言って下されば抜く事も出来ますんで!」
召喚士「はいっ、ありがとうございます」
潤んだ瞳を擦りながら、召喚士は遠い日の思い出を寿司と同時に飲み込んだ。
- 212 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 00:12:18.29 ID:S35AjapIo
…
戦士「あー食った食ったぁ!」
板前「毎度どうもっ!また来て下さい!!」
魔道士「ご馳走様でした〜っ」
戦士父「寿司か……。なかなか美味であった」
召喚士「ええ、本当に美味しかったですね」
盗賊「…さて、次は」
魔道士「お茶屋さんですねっ」
盗賊「…え、う…うん」
〜茶屋〜
看板娘「いらっしゃいまし〜」
召喚士「えぇと、お茶5つと……」
盗賊「…団子。みたらしとあんこで」
看板娘「はいっ!毎度〜っ」
戦士「よく食うなぁ」
盗賊「…甘い物は…別腹だ」
- 213 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 00:24:16.22 ID:S35AjapIo
…
看板娘「はいっ、お待たせ〜!」
カチャカチャッ…コトッ
魔道士「…はーっ、暖かくて美味しい〜」
戦士「んで、手がかりなしでどーするよ?」
戦士父「ここからは俺一人で大丈夫だ」
戦士「はぁ!?」
戦士父「心強い情報源も得る事が出来たしな」
盗賊「……あ、あぁ」
召喚士「でも、宜しいんですか?」
戦士父「お前らだってやらねばならん事が多々あるのだろう?」
戦士「まぁ、そりゃあそうだけどよ……」
戦士父「だったらいつまでも縛り付けてるわけにはいかんさ」
魔道士「そ、そんな事は……」
戦士父「いやいや、心配せんでくれ。元々一人の身だ」
- 214 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 00:27:15.22 ID:S35AjapIo
中途半端ですが…タイムアップにて寝ます!
ご支援ありがとうでした!おやすみなさい!ノシ
〜オマケ〜
火忍「ぶぇ〜っくしょん!!」
水忍「…まだ風邪が治らんのか?」
火忍「……さぁ…ひ、ひえぇ〜っくしょい!!」
ゴシゴシッ
火忍「…いや、これは違うな。風邪じゃない」
水忍「…?」
火忍「…きっと姫が噂をして……ぶふぇっくし!!」
水忍「…ああー」
火忍「…なっ!?だろっ……ぶひぇーっくしょん!!」
水忍「成程な。火よ……」
火忍「……あん?」
水忍「それ、花粉症だ」
火忍「何ぃ!?……は、はーっくしょいぃ!!」
- 215 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/02(水) 00:29:44.47 ID:O1H6v3STo
磁場ときいてノームさんようやく活躍かと思ったらそんなことなかったぜ!
- 219 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/02(水) 01:06:43.93 ID:Vmy91bXio
召喚士は武士に寿司をおごってもらったのを思い出してたんだな
- 225 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:12:05.73 ID:8ii6X30ko
…
店主「毎度どうもー」
召喚士「えぇっと……」
バサッ
戦士「ほー、これが東方の地図か」
召喚士「どうみます?」
盗賊「…本国の地図と比べると…そこまで精巧ではないと思う」
召喚士「測量技術の問題ですかね」
盗賊「…多分。でも…問題はないと思う」
召喚士「えっと、藤蔵の位置は……」
盗賊「…ここ」
キュッ
召喚士「…よし。ここが都で……不死の山が……」
盗賊「…ここだ」
召喚士「なるほど」
- 226 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:12:44.90 ID:8ii6X30ko
魔道士「この辺りが樹海ですかね?」
召喚士「……そ、そうか」
戦士「ん?」
召喚士「夫人の居た場所……影不死なんだ!」
魔道士「!?」
盗賊「…なるほど…そういう事か」
召喚士「魔物も住んでて登山も困難って言う意味がやっと分かりましたよ」
戦士父「確かに、言われて見れば合点がいくな」
戦士「でもよ、下山した時は一つしか山はなかったぜ?」
召喚士「そうなんだけど、不死山の山頂からは確かに見えたよ」
戦士「どうなってんだかなぁ」
魔道士「隠れ家みたいな感じなんですかね……」
盗賊「…スグリーヴァの城もそうだしな」
魔道士「確かにそうかもしれませんねぇ」
召喚士「……なるほど」
- 227 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:13:15.05 ID:8ii6X30ko
戦士父「では、地図は頂くぞ」
召喚士「はい。この程度しかお役に立てませんけど」
戦士父「いやいや、十分に助けて貰ったさ」
盗賊「…何かあれば…藤蔵へ」
戦士父「ああ、そうさせて頂こう」
ザッ
召喚士「もう、行かれるのですか?」
戦士父「ああ。日が暮れぬうちにもう一度、藤蔵を訪ねたいと思ってな」
魔道士「そうですか……」
戦士父「これを、総司令に渡して置いてくれ」
盗賊「…手紙。確かに預りました」
戦士父「ああ、頼んだよ」
魔道士「それでは、お気を付けて!」
戦士「……あのよっ」
戦士父「……?」
- 228 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:14:00.81 ID:8ii6X30ko
戦士「……えぇとだな。あの…あれだ、総本山で戦った時にさ」
戦士父「ああ」
戦士「親父はあいつに、避けられない一撃を放ったよな?」
戦士父「…ああ、あれか。おそらくこういう事だろう」
スッ
戦士父「正面に構えて、槍を俺の左足に添えてくれ」
戦士「……こうか?」
戦士父「そこから素早く、左肩へ振り上げてくれ」
戦士「…いいのか?」
戦士父「早くしろ」
戦士「……っ」
ビュオッ!!
召喚士「かわした…っ!?」
戦士「……なんでそんなアッサリと」
戦士父「簡単な事だ。全ては下半身の体重移動だよ」
- 229 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:14:39.47 ID:8ii6X30ko
魔道士「体重移動!?」
戦士父「東方の槍術は、言わばしなやかな自然の動きを主体としている」
盗賊「……」
戦士父「南東国の槍が剛であれば、東方の槍は柔」
戦士「要は、そのしなやかな動きでかわしたってのか?」
戦士父「最初の左下への攻撃。この時、重心をあえて左にかけていたんだ」
召喚士「!!」
戦士父「そうする事によって、素早く身体を右に移動させる事が出来る」
戦士「でもよ、普通に右方向への攻撃がきたらどうすんだよ」
戦士父「言ったろ。柔軟な動きだからこそ、どこに重心があろうと防御出来るんだ」
召喚士「凄いな…っ、そんな事まで…」
戦士父「事実、奴は次の攻撃も防ぐつもりでいたのだろう」
盗賊「…そうなのか?」
戦士父「ああ。しかし思いがけぬ左方向への攻撃により、回避という行動をとった」
戦士「ハナっから避けるつもりだったんじゃないのか?」
- 230 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:16:54.79 ID:8ii6X30ko
戦士父「もしそうなら、その後の間に説明がつかん」
召喚士「あ……っ」
戦士父「もし奴が回避を前提としていたならば、すかさず距離をとるか……」
召喚士「場合によっては、攻撃していたかもしれない…っ」
戦士父「…そういう事だ」
召喚士「しかしあの場面、両者共に不意を突かれたような間に……」
戦士「言われてみればそうだな。確かに不自然だった……」
戦士父「互いに予想外だった、という事さ」
戦士それがあいつの…強さの秘密か」
戦士父「一朝一夕で身に付くものではない。若いのに相当鍛えているな」
魔道士「でも、勝った戦士父さんは…やっぱり強いですよね!」
戦士父「強い…か。まぁ真理で言えばそうなのかもしれんな」
魔道士「え…っ?」
戦士父「99回負け続け、泥水をすすり生き長らえたとしても……」
盗賊「……」
- 231 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:17:38.27 ID:8ii6X30ko
戦士父「最期の1回、100回目で勝てば、その者が勝者という事さ」
召喚士「……なるほど」
戦士父「今回は技術ではなく、肉体面と経験でこちらが勝った」
戦士「だな…」
戦士父「次は分からぬし、奴がこのまま経験を積んでいけば、負けるかもしれん」
魔道士「……深いですね」
戦士父「戦いにおいての勝利とは、命あってのもの。忘れるなよ?」
召喚士「…はい」
戦士父「それじゃ、そろそろ……」
戦士「あ、あのよ……っ!」
戦士父「何だ、まだ何か――」
戦士「親父も…気を付けてな……っ!」
戦士父「……ふっ。息子に心配されるなど、俺もヤキが回ったかな」
戦士「……っ」
戦士父「……それじゃあな」
- 232 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:18:17.69 ID:8ii6X30ko
スッ…テクテクテクテクテク…
召喚士「……」
魔道士「行っちゃいましたね…」
戦士「……さ、これで任務終了だ!こっちも本国へ戻るとすっか!」
盗賊「…そうだな。一先ず手紙を届けねばならぬしな」
召喚士「ええ」
戦士「ほれ、行くぞ」
召喚士「うん」
魔道士「あっ、はい……っ!」
タッタッタッタッタ
本国、南東国間での同盟。東方司令部の内通者による事件の処理。
そして東方での一連の動き。全てはバラバラであるが、思いは一つである。
それは無意味な命のやり取りなどなく、安心して暮らせる平和な世界。
それを脅かす根源である魔王を討つべく、世界は急激に変わりつつあった。
〜第三十九部、完〜
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