■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その26
- 234 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/03/02(水) 18:20:36.14 ID:8ii6X30ko
〜本国、国軍本部〜
通信士「ももっ、もし…申し…もし……」
博士「何を言っているのら」
助手『もしもし…?何ですそれ?通信時の合図ですか?』
通信士「えぁ?えっと……も、申し…もし…っ」
博士「何をそんなに緊張しているのら。貸せ」
通信士「あ……っ」
パシッ
博士「申し上げるのら。聞こえるか?」
助手『もしもし?聞こえますよ〜』
博士「もしもしはやめるのら!」
助手『もしもしもしもしー!』
博士「……」
ガチャッ
通信士「!?」
- 235 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:21:23.18 ID:8ii6X30ko
博士「とにかく、無事通信は出来ているようなのら」
カツカツカツ
司令官「……どうかな?」
博士「うむ。問題なしなのら!」
司令官「ついに出来たか。よく間に合わせてくれた」
博士「何を言ってるのら。これからが大仕事なのら……」
司令官「…ん、そうだね」
博士「とにかくこれで、本国と西方司令部間での電話は繋がったのら!」
通信士「す、凄いものですね……。一体どうやって……」
博士「それを事細かに説明すると長くなるから省くのら。あとは軍事機密なのら」
通信士「は、はぁ……」
司令官「……それで、次は?」
博士「無論、北なのら。ここから北方司令部へ繋げるのら」
司令官「間に合うかい?」
博士「知らんのら。それは穴掘りの連中に聞くのら」
- 236 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:22:05.40 ID:8ii6X30ko
召喚士「行けっ!コカトリス!!」
〜第四十部〜
- 237 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:22:35.18 ID:8ii6X30ko
〜ターミナル〜
召喚士「うーん、船はしばらく空きますね」
戦士「しゃーねぇ。軽く食事でも取りながら待つとするか」
魔道士「そうですねぇ」
ターミナルは船の終着地点。言ってみれば超大型のドックのようなものである。
その為、周囲に大きな町村もなく、多ジャンルの店舗がこの中に集約されている。
本国の大通りや北の港の商業地区ほどではないが、それなりの華やかさがあった。
テクテクテクテク
盗賊「…店が増えているな」
戦士「作り途中のもチラホラあるな。何かあったのか?」
召喚士「多分、東方との同盟を見越しての事じゃないかな?」
魔道士「同盟の影響…ですか?」
召喚士「ええ。そうなればここから東への海路が自由に拓けますからね」
戦士「そうすりゃあ、必然とここの利用者も増えるってわけだな」
召喚士「うん。観光に交易に…賑やかになると思うよ」
- 238 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:24:00.26 ID:8ii6X30ko
魔道士「なるほどですね〜!」
戦士「そんじゃ俺らも、店でも出しておくか?ははっ」
――「残念だが、そう簡単にはいかん」
テクテクテク…
魔道士「――っ!?」
召喚士「……高官…さんっ」
高官「久し振りだな、議会の時以来か」
戦士「……」
高官「ところで、本当に出店を考えているのかね?」
召喚士「い…いえっ、冗談ですよ」
魔道士「お店出すのって、そんなに大変なんですか?」
高官「……君は確か、商家の出ではなかったかな?」
魔道士「あ、あの……っ、そういった事は疎くて……」
高官「まず、出店するには場所というものが必要になる」
盗賊「…ああ」
- 239 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:24:34.70 ID:8ii6X30ko
高官「その辺りの平地で露店をするならばいざ知らず、ここは本国の領地だ」
戦士「まぁ、ターミナル内だからな」
高官「そう。そこで出店するには、当然ながら本国の許可がいる」
召喚士「ちなみに、いくらなんです?」
高官「察しがいいな、朱雀先生」
盗賊「…?」
高官「出店にはまず本国から場所を借りる。これにより月々の家賃が発生する」
魔道士「ほうほうっ」
戦士「何メモってんだよ」
魔道士「だって、いつか役立つかもですよっ?」
高官「もちろん立地の良い場所であればある程、家賃も高い」
盗賊「…目立つしな」
高官「更に、実際出店をした場合、売上に応じて本国へマージンを支払う」
戦士「マージン?」
高官「販売手数料の事さ」
- 240 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:25:15.22 ID:8ii6X30ko
戦士「家賃払ってんのに手数料も取るのかよっ!?」
高官「これが売上の5%。それが本国への支払いだ」
召喚士「結構取られますね……」
高官「そうか?安いものだぞ」
盗賊「…?」
高官「ターミナルという特異な場所と性質を考えてみろ」
魔道士「えっと……つまり……」
高官「ターミナルはたまたま通りかかるような場所ではない。必然と来ているのだ」
召喚士「…そうかっ。結果、値段は高くても買う人はいるんだ…!」
戦士「そうなのか?」
召喚士「例えば今の俺らがそうだよっ」
戦士「は?」
召喚士「次の船まで時間が空いてるから、軽食を取ろうとしていた」
魔道士「…そっか!それは多少割高でも使わざるを得ないっ!」
召喚士「そういう事です」
- 241 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:25:47.45 ID:8ii6X30ko
高官「他にもそうだな、例えば……旅の道具をつい忘れてしまったりとか」
戦士「船内じゃ手に入らないものだってあるもんな」
高官「そういう意味では5%など高いものではないのだよ」
戦士「ふぅん。なんか難しそうな話だわな」
盗賊「…ああ」
召喚士「まぁ他にも、人件費や諸経費はかかりますけどね」
高官「しかし一から店舗を立てて商売するよりはコストダウンが図れうだろう」
召喚士「ですね」
高官「我々はこうしった手法を『テナント』と呼んでいる」
魔道士「テナント……」
高官「テナントの確立で、小額の資本金でもビジネスが起こせるという事だ」
召喚士「商業支援の一環ですね」
魔道士「土地やお金がある人だけが、設けられるというわけではないんですねっ」
高官「そうだ。それが経済機関が行っている政策の一つさ」
盗賊「……」
- 242 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:26:36.94 ID:8ii6X30ko
戦士「しかしよ、何で俺らには難しいんだ?」
高官「知っていると思うが、我が国は東方との同盟を結んだ」
盗賊「…ああ」
高官「今後、最も多くの往来が見込まれておるのだ」
魔道士「西国や南東国もそうなんじゃないですか?」
高官「東方は最近まで、国同士の交流を閉ざしていた」
召喚士「他の国に比べ、異国の者にとっては未知なる国……」
高官「そうだ。本国とは違う数々の文化。興味を惹かれる者はすくなくないだろう」
戦士「えぇと、そんで?」
高官「言わば本国で今、最も注目されている土地。それがターミナルなのだ」
召喚士「商売にはうってつけな環境になるわけですからね」
高官「だからこそ、もう飽いているテナントもほぼ皆無なのだよ」
戦士「…そういう事か」
高官「それに……」
召喚士「…?」
- 243 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:27:53.66 ID:8ii6X30ko
高官「先程も述べた通り、政策は経済機関が管轄している」
盗賊「……」
高官「裏を返せば、権限は全て……左翼にある」
魔道士「!!」
高官「君達が仮に出店希望したところで、申請が降りると思うかね?」
戦士「あーそういう事ね……」
高官「だから私は、簡単ではないと言ったのだよ」
召喚士「高官さんは、ターミナルの政策担当なんですか?」
高官「……まさか。担当であればこんな所にはおらんよ」
盗賊「…?」
高官「先日の一件でな、左翼でのポジションを失ったよ」
魔道士「え…っ!?」
高官「役職こそそのままだが、たかが一地方の現場監督さ」
召喚士「……そうでしたか」
高官「別に良いさ。因果応報と言ったところだろう」
- 244 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:28:53.97 ID:8ii6X30ko
戦士「……すまねぇな」
高官「君のせいではない」
戦士「でも、俺だって絡んで……」
高官「元凶を作り出したのは私だ。目が覚めたよ」
戦士「……っ」
高官「君達親子には本当に感謝しているよ」
戦士「……親父を?」
高官「まぁな」
召喚士「そういえば、先日ウィッチさんに会いましたよ」
高官「…ウィッチに!?」
魔道士「はいっ!元気で旅してましたよっ。仲間も居て……」
高官「そうか」
召喚士「次会う時は、笑顔で抱きしめてあげて下さい」
魔道士「きっと…ウィッチちゃんも喜びますよっ」
高官「……ああ、そうだな」
- 245 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:30:27.93 ID:8ii6X30ko
…
高官「済まなかったな、引き止めてしまって…」
盗賊「…お気になさらず」
魔道士「色々とお話が聞けて、勉強になりましたっ!」
戦士「だな。こちらこそありがとうございます!」
高官「しかし、大変だったな」
召喚士「…?」
高官「おや、東方司令部へ居たと聞いたが……」
戦士「ああ、えぇと…ちょろっと……な」
魔道士「その後は東方に行ってましたから」
召喚士「あの、何かあったんですか…!?」
高官「大規模な火災があったらしいではないか」
盗賊「!?」
魔道士「火災……っ!?」
高官「知らなかったか?何でも東方魔道長と民間人が亡くなったと……」
- 246 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:30:55.05 ID:8ii6X30ko
ゾクッ
召喚士「…………」
確信はなかったが、召喚士の身に悪寒が走った。
召喚士「民間人……?」
高官「ああ、新聞社の記者が巻き込まれたとか」
目の前の男が次々に言葉を発しているが、召喚士の頭には入らなかった。
高官「西地区と西の塔も全焼だとかいう話でな。お陰でこの辺りも慌しい」
頭の中はただ真っ白になり、景色も音も止まり、心音だけが脳裏に響いた。
高官「青年兵は本国へ戻され、更に近々東方司令部解体の噂も出ている」
ドクドクと脈打つ鼓動は徐々に早まり、呼吸が乱れ始めた。
召喚士「…は…はっ、は……っ……は……っ」
盗賊「……女記者が」
戦士「死んだ……っ!?」
魔道士「嘘……っ」
重く圧し掛かる現実が数分かけて整理され、四人を再び現実へと引き戻した。
- 247 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:31:58.94 ID:8ii6X30ko
…
盗賊「…………」
戦士「…………」
魔道士「ひっ、ひぐ…っ!うっ……うっ」
召喚士「……」
ギリッ
戦士「…何で、アイツが死ななきゃなんねーんだよ」
盗賊「……っ」
戦士「あと一日……俺らが居てやれば……っ」
召喚士「…どうだろうね」
戦士「…?」
召喚士「俺らが居たからって助けられたとは限らない」
ガタッ…グイッ
戦士「……助けられなかったってのかよ」
召喚士「……」
- 248 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:32:34.57 ID:8ii6X30ko
魔道士「戦士さんっ、やめて下さい!」
戦士「…ちっ」
パッ
召喚士「それに、タイミングが良すぎる」
盗賊「……?」
召喚士「俺らが去った矢先に火災だなんて。早々起きるものでもないだろうし」
盗賊「…つまり、どういう事だ?」
召喚士「犯人は何かしらの証拠を隠滅したかったんじゃないかな?」
魔道士「……証拠…ですか?」
召喚士「海峡北の森に居たという事実ですよ」
戦士「じゃあ…っ、俺らが青年兵に与えた情報が漏れたってのか!?」
召喚士「分からない。分からないけど……」
ググッ…ギリッ
召喚士「そう考えれば、辻褄があうんだよ……っ」
盗賊「……青年兵が……そうは思えんが」
- 249 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:33:41.92 ID:8ii6X30ko
召喚士「青年兵くんだとは思っていませんよ。ですが……」
スクッ
召喚士「彼が何か知っているのは事実。急いで本国へ向かいましょう!」
魔道士「ええ…っ。ぐす…っ」
戦士「……ぜってぇ…見つけ出してやる」
盗賊「…ああ」
軽食を済ませた四人は本国への船へと乗り込み、ターミナルを出航した。
ザザーン
戦士「人間てのは、呆気ないもんだよな」
召喚士「……」
戦士「少しだけ…ほんの少しだけどよ、不死を求めるバカ共の気持ちも分かるわ」
召喚士「……不謹慎だよ」
戦士「……分かってるよ。でも、やるせないんだよ」
召喚士「……」
悲しみを乗せた船は、本国へと入港した。
- 250 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:35:52.07 ID:8ii6X30ko
〜本国、国軍本部〜
召喚士「えっと……7時か。まだ早いかな?」
戦士「いいんじゃねーか?軍人なんて24時間営業だろ」
召喚士「いや、そうかもしれないけどさ……」
テクテクテク…
門兵「ご苦労様ですっ!」
召喚士「ど、どうも……」
テクテクテクテクテク…
召喚士「あの、すみません」
受付「朱雀先生っ!?」
召喚士「えっ、は……はい」
受付「司令ですか?いらっしゃいますよ」
戦士「今日はすんなりだな」
盗賊「…みたいだな」
テクテクテクテクテク
- 251 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:43:34.15 ID:8ii6X30ko
召喚士「あの……」
受付「はい」
召喚士「青年兵く……殿はいらっしゃいますか?」
受付「はい。召喚兵舎の方へいらっしゃるかと」
召喚士「召喚兵舎?」
受付「裏手の、講堂の脇ですよ」
召喚士「へぇ。ありがとうございます」
受付「いえいえ」
テクテクテクテクテク
秘書官「朱雀先生…?」
受付「では私はこれで」
秘書官「司令、朱雀先生がお見えです」
カチャッ
召喚士「失礼します」
司令官「……ん」
- 252 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/03/02(水) 18:49:29.82 ID:8ii6X30ko
すっげー中途半端…。ごめんなさい…
ノームさんはきっと出番があるはずです。きっと!
それでは失礼致しまっす!ご支援ありがとうでした!ノシ
- 253 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/02(水) 19:06:21.87 ID:GeurxHnDO
>>1先生乙です(。・x・)ゞ
明日はひな祭りですなぁ、きっと帝が出てくるオマケがあると期待するであります!!
- 259 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/03(木) 17:37:11.30 ID:GHSy577/o
召喚士「ただいま、東方より戻りました」
司令官「ご苦労さん。戦士父は?」
召喚士「まだ滞在中です。実は…ゾディアックは未だ見つかってなくて……」
司令官「そうなの」
盗賊「…彼より…文を預かってきました」
スッ
司令官「…ん。ありがと」
召喚士「東方の有力者への橋渡しは済んでおります。問題はないかと…」
司令官「…ん、ご苦労だったね」
召喚士「……あの」
司令官「…ん?」
召喚士「東方司令部、大変だったようで…」
司令官「…ああ、君らが病む必要はないよ。こちらの問題だ」
召喚士「……」
司令官「ま、色々と失った代わりに…得たものも大きいしね」
- 260 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/03(木) 17:37:47.96 ID:GHSy577/o
戦士「大丈夫なのか?」
司令官「予定外の出来事だけど、計画に支障はきたさないよ」
魔道士「……っ」
司令官「報酬は後日、ワークショップ経由で受け取って」
召喚士「…分かりました。それでは失礼します」
スッ
司令官「…あ、そうそう」
召喚士「…?」
司令官「朱雀先生に一つ、聞きたい事があるんだ」
召喚士「何でしょうか?」
司令官「……コカトリスってさ、石化以外の力…あるの?」
召喚士「…………」
俯いた顔の前で両手を組み静かに語る総司令の姿を見て、
召喚士は素直に答えるかどうか、一瞬躊躇した。
盗賊「……この人は…大丈夫」
- 261 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/03(木) 17:38:25.34 ID:GHSy577/o
それを察してか、横に立つ盗賊が後押しするようにぽつりと呟いた。
召喚士「……いえ、石化だけではありませんよ」
司令官「……」
召喚士「尾に毒を持ってます。勿論、解毒作用も……」
司令官「石化解除も出来るの?」
召喚士「……え、えぇ。あの…それが何か?」
司令官「…ん。興味本位…かな」
召喚士「そうですか……」
司令官「国軍本部の…ましてやトップが訪ねるんだ。何かあると思うよね」
召喚士「…えっと……まぁ」
司令官「あるよ。でもね、悪い事じゃないんだ。信じてくれ」
召喚士「……」
司令官「そのうち分かると思うよ。切り札だから今は教えられないけどね」
召喚士「……信じますよ」
司令官「…ん、ありがと」
次へ 戻る 戻る 携 上へ