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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その41
212 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:31:35.81 ID:HizB5Irno
〜大陸港の町、バーテンの店〜

バーテン「……」 シュボッ

青年「魔道士さんっ!!」 カランカラン

バーテン「いねーよ。今頃は南方だ」

青年「っ!!」 ガーン

母「こんにちはー」

バーテン「おう、どうした?」

少女「これ、さっきあずかったのー」

バーテン「何だこれ……」 ジャララッ

青年「も、物っ凄い大金んんんんー!!」

バーテン「お、おい……こんな大金……っ、一体誰が……」

少女「あのねー。おじさんたちー」

バーテン「!?」

母「2人組の男の人達でした。借りは返した……って」

バーテン「……ったくアイツら。顔ぐらい出してけってんだよ。バカヤロウが」 プカー


213 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:32:05.82 ID:HizB5Irno
〜本会場〜

南方参謀「さぁー間もなく召喚フェス女子の部、決勝戦が始まります!」

美女「おのれ召喚子ぉ〜! 次は絶対に負けないんだからっ!!」

朱雀嬢「1回戦で当たって、ベストな状態で負けたんだから次も同じですわ」

美女「なんですってぇ〜!? アンタだって青年子が辞退しなきゃベスト4じゃなかったわよっ!」

朱雀嬢「んなっ!? 失礼ですわね!!」

白虎嬢「喧嘩はやめましょうねぇ〜。もう始まりますよぉ」

南方参謀「決勝まで勝ち進んだ両者、前へ!」

親衛隊長「ヘイ、始まるぜ番長?」

番長「召喚子さんの居ない決勝なぞ興味ないでゴワスね」

特攻隊長「とか言って、1回戦負けした事を気にしてんじゃねーの?」

番長「していないでゴワス! 」

親衛隊長「まぁクジ運がバッドでしたね。アンラッキー」

特攻隊長「初戦からまた朱雀先生だもんな。もう呪われてるとしか思えねぇ」

番長「あぁ召喚子さん……一体どこへ……」


214 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:32:46.40 ID:HizB5Irno
南方参謀「さぁ、ここからは青龍先生をお招きしてお送りしたいと思います」

青龍士官「どうぞ宜しくお願い致します」

南方参謀「まずは青龍先生、4強入りおめでとうございます」

青龍士官「ありがとうございます。しかし決勝に残れなかった事は悔いが残りますね」

南方参謀「それでもお見事でした。では男女共に決勝戦の解説、お願い致します」

青龍士官「はい、お願い致します」

南方参謀「さてまずは、Aブロックを勝ち抜いた……アマゾネス選手っ!!」

アマゾネス「……」 ザッ

おさげ「長ーっ!! 頑張ってー!!」

色黒「ファイトー!!」

ポニテ「村の為にも優勝あるのみよー!」

ツインテ「そうだにゃー!!」

南方参謀「仲間達からの声援を受けて今、入場! 青龍先生はどう見ます!?」

青龍士官「準決勝で実力者の召喚子選手を倒していますからね。勢いはありますよ」

南方参謀「初戦こそ同士討ちでしたが2回戦では白虎嬢選手も倒していますしね!」


215 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:33:42.57 ID:HizB5Irno
アマゾネス「……勝つ!」

南方参謀「気合は十分! そして対するはBブロックの勝者……玄武娘選手ー!!」

玄武娘「……ふーっ」 ワアアアアァァァァ!!

南方参謀「こちらも準決勝で実力者、朱雀嬢選手を破っての決勝進出です!」

青龍士官「しかも朱雀嬢選手は青年子選手の棄権があって余力のある状態でした」

南方参謀「それを勝ち抜いてきたわけですから流石ですねっ」

青龍士官「ところで青年子選手ですが、一体どうしたんでしょうか」

南方参謀「先ほど入ってきた情報ですと、急病による棄権との事です」

青龍士官「そうですか。なかなか美しい方でしたので楽しみであったのですが」

南方参謀「えっ!?」

青龍士官「……えっ?」

白虎嬢「玄武娘ちゃん、頑張ってぇ〜」

朱雀嬢「そうですわ、さっさと……あれ、待ちなさいですわ」

白虎嬢「……?」

朱雀嬢「アマゾネスさんは同じ朱雀。でも玄武娘にも勝って欲しいし、どちらを応援すれば……」


216 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:34:11.40 ID:HizB5Irno
アマゾネス「あんたの強さは分かってる。胸を借りるつもりだ」

玄武娘「胸ならアマゾネスさんの方が強いですの」

アマゾネス「そういう事ではないっ!」

玄武娘「ほえ?」

南方参謀「さぁっ、いよいよ決勝戦の開始です……っ!!」

青龍士官「朱雀と玄武。国軍の身としては不本意ですが、そういう時代なのでしょう」

アマゾネス「例え負けても悔いはない」

玄武娘「もちろんですのっ。でも、勝つのは私ですの!!」

おさげ「いっけー!」

色黒「絶対優勝!!」

ポニテ「私達の分も頼むわよっ、長ぁ!!」

ツインテ「気合だにゃあ!!」

南方参謀「では、召喚フェス女子の部……決勝戦……始めぇ!!」

アマゾネス「行けっ! ワルキューレ!!」 シュイイィィィィン

玄武娘「おいで、リヴァイアサン!!」 シュイイィィィン


217 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:34:50.51 ID:HizB5Irno
〜東方、藤蔵〜

くの一「たああぁぁーっ!」 バババッ

侍女「……甘いっ!」 キンッ

くの一「……参りました」

侍女「ふーっ。くの一ちゃん、いい動きなんだけどちょーっと無駄が多いかなぁ〜」

下忍「侍女様、姫より文が……」

侍女「貸しなさいっ!!」 ババッ

下忍「……」

くの一「何と?」

侍女「変わらず元気みたい。近いうちに来るって!!」

くの一「そうですか。御館様もお喜びになられるでしょうね」

上忍「ところで御館様はまだ、話をしておるのか?」

侍女「大切なお客人なんだし、今日はずっとこのまんまじゃない?」

くの一「大切な……客?」

侍女「そっ。御館様にとっても藤蔵にとっても、大切なお客様っ!!」


218 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:35:26.54 ID:HizB5Irno
〜御館様の部屋〜

御館様「……さ、どうぞ」

戦士父「どうも」 グビッ

御館様「……」
戦士父「……」

御館様「「あの」
戦士父「あの」

御館様「……っ」
戦士父「……っ」

御館様「その」
戦士父「その」

御館様「お先にどうぞ」
戦士父「いえ、どうぞ」

御館様「……盗賊を頼みまする」

戦士父「こちらこそ、戦士が世話になります」


219 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:36:17.28 ID:HizB5Irno
御館様「彼は良い男ですな。貴方の教育が良かったのでしょう」

戦士父「いや、私など何もしておりません。あいつが自分で育ったのです」

御館様「……」 グビッ

戦士父「誰に似たのか、自分の思いを曲げない不器用な男です」

御館様「だが、それがいい」

戦士父「代わりに芯は強い。生涯、盗賊さんを守ると私が保証します」

御館様「盗賊も同じです」

戦士父「……」 グビッ

御館様「人の意見を聞かず自己中心的で困ったものです」

戦士父「しかしそれも裏を返せば、信念を持っている強さと言う事です」

御館様「似た者同士なのやもしれませぬな」

戦士父「ええ。だからこそ合うのかもしれません」


220 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:37:09.47 ID:HizB5Irno
御館様「どうか本国では父代わりとして、盗賊を頼みまする」

戦士父「東方に住むのでは?」

御館様「いや、藤蔵は私の代で終いと致します」

戦士父「……何と」

御館様「忍など元より戦の中で生まれた日陰の生業」

戦士父「……」

御館様「戦なき世には無用のもの。それで良いのだ」 グビッ

戦士父「……寂しくはありませぬか?」

御館様「もう慣れ申した。それに、世界は近くなり申した」

戦士父「なるほど。ごもっともだ」 グビッ

御館様「盗賊には好きに生きて貰いたい。これからは自分の為に」

戦士父「ですな。しかし御館様は今後どのように?」

御館様「しばらくは儂もゆっくりさせて貰いまする」

戦士父「何か趣味などするのも良いかもしれませんね」

御館様「趣味……。成程」


221 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:37:49.10 ID:HizB5Irno
〜南方、本会場〜

南方参謀「さぁーお待たせ致しました! 女子の部の熱気冷めやらぬ会場ですが……」

戦士「いよいよだな」

盗賊「ああ」

魔道士「召喚士さんっ、頑張ってー!!」

戦士「おーおー。彼氏へ熱の入った応援ですこと」

盗賊「ふふっ」

魔道士「そういうお2人はどうなんですっ!?」

盗賊「へっ!?」

魔道士「もう住む場所とか決めたんですか?」

戦士「いやー。候補がありすぎてまだ迷ってんだよな」

盗賊「うん……」

魔道士「早くしないと御館様も戦士父さんも気にかけてますよ」

戦士「うっ」

盗賊「ほっ、ほら! もう始まるぞ!」


222 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:38:40.44 ID:HizB5Irno
南方参謀「それでは召喚フェス男子の部、決勝戦を始めます!!」

青龍士官「いよいよですね」

南方参謀「まずは、ここに居る青龍先生を準決勝で破り、見事Aブロックを勝ち抜いてきた……」

青龍士官「……耳が痛いですね」

南方参謀「謎の青龍召喚士……マスク・ド・ブルードラゴン選手!!」

青龍士官「まぁ……謎かどうかが謎ですがね」

南方参謀「実際に戦われた青龍先生、この選手をどう見ますか?」

青龍士官「そうですね。一言で語れば……強いですよ」

南方参謀「ほぉ!」

青龍士官「実直で冷静でいて、しかしながら心に熱いものを持っている」

南方参謀「ふふっ。まるでずっと昔から知っているような口ぶりですね」

青龍士官「そうですね。知っているのでしょうね。ずっと……」

南方参謀「さぁ、マスク・ド・ブルードラゴン選手……入場しました!!」

青龍士官「勝てよ。俺の分……いや、亡き青龍先生の為にもな」

青年兵「……」 ザッ


223 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:39:34.58 ID:HizB5Irno
〜妖界〜

夫人「きーっ!!」

山本「わっはっはっは。見事に振られたな」

夫人「わらわはまだ振られておらぬっ!」

山本「しかし、召喚士の心はすっかり魔道士のものよ」

夫人「ふふんっ。色恋は障害のある方が燃えるのじゃ!」

山本「そうやってまた、人間界に迷惑をかけるなよ?」

夫人「かけぬっ。もう怒られるのは懲り懲りじゃ。それに召喚士にも言われておるしのっ♪」

山本「ならば良い。それにしても……大嶽丸め、一向に戻って来ぬな」

陰陽師「時が来れば何れ、戻ってくるんですねぇ」 スタスタ

山本「陰陽師か」

陰陽師「きっと、戻ってくる事が照れ臭いんでしょうねぇ」

夫人「照れ臭い?」

陰陽師「ねぇ、鈴鹿御前さん?」

鈴鹿御前「戻って来てくれさえすれば、私はそれで満足です」 ニコリ


224 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:41:47.54 ID:HizB5Irno
〜南方、本会場〜

南方参謀「さぁ続きまして、Bブロックを勝ち上がってきた勝者のご紹介っ!!」

戦士「おっ、出るぞ!!」

魔道士「あのマスクマン……いいマスクのデザインしてる……っ。サイン貰っておこうかな」

盗賊「どちらの応援をしているっ、たわけ!」

南方参謀「準決勝で優勝候補の1人、同門選手を倒し……」

同門「……ふん。次は負けん」 ムスッ

アマゾネス「良いファイトだったぞ」 スタスタ

同門「……貴様もな」

アマゾネス「同じ朱雀として応援しようじゃないか」

同門「……ちっ。青龍なんぞに負けるよりはマシか」

南方参謀「もう説明不要でしょう! 誰もが認める最強の召喚獣使い……」

青龍士官「この勝負、解説を忘れてしまうやもしれません。それ程までに興奮しますよ」

青年兵「……」

南方参謀「朱雀先生、そして世界の救世主!! 召喚士選手!!」


225 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:42:37.17 ID:HizB5Irno
〜地獄〜

ハルファス「……」

サブナック「……」 ズザッ

ハルファス「サブナック、久しぶりじゃな……久しぶりじゃの」

サブナック「まさかサタンが消滅するとは、些か驚きました」

ハルファス「そうじゃな、そうじゃの」

サブナック「人が人の業を自ら打ち消すとは。何か変化が起きておるのやもしれぬ」

ハルファス「人間も我ら悪魔も、そして召喚獣や魔族も……変化しとるんじゃな、しとるんじゃの」

サブナック「……何やら嬉しそうにお見受け致しますが?」

ハルファス「フッフ。そうじゃな……そうじゃの」

サブナック「我らも、変われますかな?」

ハルファス「既に変わりつつあるんじゃな。あるんじゃの」

サブナック「……ほぅ」

ハルファス「地獄を離れた悪魔も少なからず居る。きっとそう言う事じゃな、そういう事じゃの……」

サブナック「不思議なお方だ。フッ」


226 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:43:42.69 ID:HizB5Irno
〜南方、本会場〜

青年兵「いよいよですね、召喚士さん」

召喚士「ああ、青年兵くん」

青年兵「召喚士さんを倒す為に前哨戦は棄権までしてきたんです」

召喚士「……ずるいなぁ」

青年兵「全力でなくば倒せない。そういう相手だと思ってますから」

召喚士「俺もだよ」

青年兵「この数ヶ月で鍛えた腕……お見せします!!」

召喚士「うん。お互い手加減はなしだ!」

魔道士「召喚士さん!! 頑張って!!」

戦士「召喚士も青年兵も、どっちも負けるなぁ!!」

盗賊「!?」

朱雀嬢「朱雀先生にも頑張って欲しいけれど……」

白虎嬢「やっぱり青年兵さんの応援ですよねぇ〜」

朱雀嬢「……う、うるさいですわっ」


227 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:44:31.61 ID:HizB5Irno
〜平原〜

師匠「……さーて、借りっぱなしのモンは全部返してきた」

マジシャン「貸してたモンも全部、帰ってきたしな。ハッハ!」

師匠「サタンが消滅したことで災厄もまとめて返済だ。ガハハッ」

マジシャン「とは言え、俺らに残された余命は……どうだかねぇ」

師匠「ま、残りの人生……パーっと行こうじゃねぇか」

マジシャン「だな。ハッハ!!」

師匠「さてと、ここらで別れるとすっか」

マジシャン「……ああ。そうしますか」 ザッ

師匠「んじゃ、元気でな」

マジシャン「テメーこそ死ぬなよ?」

師匠「ガハハッ! てめぇより先にゃぜってー死なん!!」

マジシャン「そりゃこっちの台詞だバカヤロー! ハッハ!!」

師匠「また、生きて会える事を祈ってるぜ。じゃあな……再来のマジシャン」 ザッザッザッ……

マジシャン「じゃーな。俺の最も信頼する……再来の朱雀召喚士サンよ」 ザッザッザッ……


228 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:47:30.92 ID:HizB5Irno
 これは、5年に及ぶ人間と魔族の戦いを記した物語である。

魔道士「召喚士さんっ、絶対に勝ってね! えへへっ!」

朱雀嬢「青年兵さん、負けちゃ駄目ですわよっ!」

 しかしその5年は、ずっと昔から続いてきた道の、ほんの僅かな物語。

戦士「朱雀先生の意地、見せてやれぇ!!」

盗賊「お前なら勝てるぞっ、頑張れっ!」

 この世界に勇者は居ない。英雄なんて居ない。救世主なんて居ない。

南方参謀「それでは決勝戦……開始っ!!」

青龍士官「歴史に残る戦いが始まるっ、目が離せないぞこれは!!」

 それでも人々は、後世へ語り継ぐだろう。全員が勇者で、英雄で、救世主だって。

青年兵「出てよ……っ! バハムート!!」

 これはたった5年の、ほんの僅かな人間と魔族の戦いを記した物語――――。

コカトリス「さて、我らの力を見せてやるか」 シュイイィィィィン

召喚士「うんっ、見せてやろう」 ザッ

コカトリス「さぁ命じろ、我が……戦友よ」











召喚士「行けっ!コカトリス!!」


229 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/17(金) 21:48:42.68 ID:HizB5Irno
〜エピローグ&召喚士「行けっ!コカトリス!!」、完〜


230 名前:NIPPERがお送りします(福岡県) [sage] 投稿日:2012/08/17(金) 21:49:26.14 ID:kC/FDIVzo
乙でしたああああああ!!


231 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/08/17(金) 21:49:44.40 ID:qBkkJeXno
>>1乙!

畜生!もっと続けてくれー!

最高だったぜ!今までありがとう!!



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