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真剣士「英雄の…血…?」
- 201 名前: ◆qqtckwRIh. [sage]
投稿日:2013/11/14(木) 20:54:31 ID:8dgSLXyI
ありがとうございます、投下致します。
- 202 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 20:55:09 ID:8dgSLXyI
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――――【黒暖簾の料理店】
ザワザワ…ガヤガヤ…
大魔道「混んでますねぇ」
師匠「昼時ですからねぇ。さて、何か食べたいのはありますか?」
真剣士「メニューはこれか」ペラッ
黒髪乙女「聞いた事ないのばっかり…」
大魔道「そちらと同じメニューもありますよ。うどんとか、そばとか」
真剣士「すっげー和風だな」
大魔道「そちら側の料理はこちら側でも伝わり、有名なのですよ」
真剣士「ふーん」
- 203 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 20:56:02 ID:8dgSLXyI
黒髪乙女「でも、折角だしこっち側でしか食べれないメニューを食べたいな」
師匠「それなら、これがオススメですよ」スッ
黒髪乙女「…カトブレパスのステーキ、ですか?」
師匠「そちら側でいう、牛みたいなものですね」
黒髪乙女「じゃあ、それで♪」
師匠「私もそれにしましょう」
大魔道「真剣士さんはどうしますか?」
真剣士「うーん…、堅実にうどんとかでいいんだけどなぁ」
大魔道「そうですか?」
黒髪乙女「真剣士も珍しいもの食べようよ〜」
真剣士「つったってなぁ…」
- 204 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 20:56:45 ID:8dgSLXyI
大魔道「カルキノスの鍋とかどうです?」
真剣士「何だそりゃ?」
大魔道「蟹、ですね。ざっくりいえば」
真剣士「蟹鍋!?」
大魔道「蟹、好きですよね」
真剣士「だから、何で知ってるんだよ…」
大魔道「僕は色々調べてましてー…」
真剣士「わかったわかった!つかさ、俺ら金ねーよ?」
大魔道「そのくらい出しますから」ハハ
真剣士「じゃあ…"カスキノス"の鍋で…」
大魔道「カルキノスです…わかりました、僕もそれで。店員さーんお願いします」
- 205 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 20:57:17 ID:8dgSLXyI
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ザワザワ…ガヤガヤ…
真剣士「それにしても、師匠」
師匠「はい?」
真剣士「師匠は、人間ですよね?」
師匠「…あぁ」
真剣士「師匠の妹もだったけど…何で、俺らを人間さんって呼ぶんだろ?」
師匠「私たちは、亜人…かな?」
真剣士「亜人?」
- 206 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 20:58:06 ID:8dgSLXyI
大魔道「僕も同じですね」
真剣士「何なんだ?亜人って」
師匠「人間に似て、非なる人。人にあらざる人、ですかね」
真剣士「人にあらざる人…」
師匠「2人とも、よく私の眼の辺りを見てください」
真剣士「おう?」
黒髪乙女「は、はい」
- 207 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 20:59:15 ID:8dgSLXyI
真剣士「…」ジッ
黒髪乙女「…」ジッ
師匠「…」ググッ
ビキッ…ビキビキ……
真剣士「…!?」
黒髪乙女「な、何…?」
師匠「眼の色が変わり、周囲から徐々に硬化しているのわかりますか?」
真剣士「う、うむ…」
師匠「これが、私の一族の魔物との混血の証拠です」スゥッ
黒髪乙女「…どういうことですか?」
- 208 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 20:59:46 ID:8dgSLXyI
師匠「亜人というのは、普通の人や、一般的な魔物よりも特異な性質を持って生まれてくるんです」
真剣士「…?」
師匠「私の場合は、普通の硬化魔法よりも格段に丈夫な硬化を、弱点優先で行う事ができるんです」
真剣士「なるほど…って、大魔道も普通と違う魔法を使えるってことか?」
大魔道「そうなりますね」
真剣士「どんな魔法なんだ?」
大魔道「それは…」
カチャカチャ…
店員「お待たせ致しました、ステーキと蟹鍋です」
大魔道「お、頂きましょうか」
- 209 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:00:26 ID:8dgSLXyI
真剣士「それより…気になるじゃないか、教えろよっ!」
大魔道「僕のは更に特異でしてね。真剣士さん、水に注意してください」
真剣士「水?」
…パシャッ!!!
店員「あっ、す、すいません!」
真剣士「冷たっ!あ、いや、いいッスよ」
店員「本当にすいません、今、おしぼり持ってきますね」ダッ
真剣士「あ…じゃあお願いします」
大魔道「と、言うように。少し先の未来が見えるんですよ」
真剣士「便利だな…」
大魔道「だからといって…何ができるわけではないのですが…」フゥ
- 210 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:01:02 ID:8dgSLXyI
真剣士「…?」
大魔道「さっ、それより温かいうちに頂きましょう。美味しいですよ」
真剣士「そ、そうだな。頂きます」
大魔道「頂きます」
師匠「頂きます」
黒髪乙女「いただきます〜」
- 211 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:01:42 ID:8dgSLXyI
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――――【 午 後 】
大魔道「食べましたし、午後も気合を入れていきましょうか」
師匠「ですね。そちら側も頑張って下さい」
大魔道「もちろんです」
黒髪乙女「それじゃ、真剣士…頑張ってね」
真剣士「当たり前だ。お前も、自分を守る技くらい身につけておけよ?」ハハ
黒髪乙女「真剣士こそっ!」
真剣士「おう」
- 212 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:02:14 ID:8dgSLXyI
師匠「それじゃ、午後は基本の動きからやりましょうか」
真剣士「はい」スチャッ
師匠「あなたは動いて覚えるタイプみたいだしね」クスッ
真剣士「昔から、体を動かすのは得意だったからなぁ」
師匠「…」
真剣士「でも…、本当に俺が幻王を倒せるんですかね?」
師匠「…貴方には、自身でも理解できないほどの力があるんですよ」
真剣士「そう…なんですかね」
師匠「えぇ。大魔道さんや、これでも歴戦の私が言うんです。間違いありません」
- 213 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:02:48 ID:8dgSLXyI
真剣士「…あの、未来のビジョンも…本当なんですよね」
師匠「はい」
真剣士「わかった…信じます」
師匠「ありがとうございます。今は、目の前の事に集中しましょう」
真剣士「…」スチャッ
師匠「さて…行きますよ」
真剣士「…はい!」
- 214 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:03:37 ID:8dgSLXyI
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- 215 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:04:27 ID:8dgSLXyI
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――――【 夜・湯治場 】
カポーン…ザバザバ…
真剣士「ふあ〜…しかし良い温泉だ…」ブクブク
師匠「本当に、疲れが癒えますよね」ヌッ
真剣士「し、師匠!?」
師匠「ふふ、よく温泉で会いますね」
真剣士「お、俺そろそろあが…」
師匠「まぁまぁ、今入ったばかりじゃないですか」
グイッ…ザボォンッ!!
- 216 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:04:59 ID:8dgSLXyI
真剣士「…ぷはっ!師匠、力強いよ!」
師匠「私に引っ張られるようではまだまだですよ。精進あるのみです」
真剣士「…」
師匠「…」
真剣士「…」チラッ
師匠「?」
真剣士「…っ!」プイッ
師匠「どうしました?」
- 217 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:05:41 ID:8dgSLXyI
真剣士「し、師匠は恥ずかしくないんですか!?」
師匠「え?あ、あぁ…」
真剣士「…」
師匠「こっちの世界では、人という存在自体が珍しいですからね…」
真剣士「な、なるほど…」
師匠「女風呂と男風呂…でしたっけ?分かれているほうが珍しいんですよ」
真剣士「で、でも…」
師匠「…おや、早速お客のようですよ」
真剣士「え?」
- 218 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:06:12 ID:8dgSLXyI
ガラガラッ!
黒髪乙女「ひゃ〜っ!」
竜少女「わーい!」
真剣士「く、黒髪乙女!?」
黒髪乙女「…」
真剣士「…」
黒髪乙女「…き…」
真剣士「…っ!!」
- 219 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:06:46 ID:8dgSLXyI
黒髪乙女「きゃああ〜〜〜っ!」
- 220 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:07:55 ID:8dgSLXyI
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真剣士「」プシュー…
黒髪乙女「鉄拳制裁!」
真剣士「…いってえなぁ!」
黒髪乙女「こっち向かないでよ、バカァ!」ゴツッ
真剣士「いて!くそっ!」
竜少女「ダメだよ〜ケンカしちゃっ!」
師匠「…」クスッ
- 221 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:08:39 ID:8dgSLXyI
真剣士「…お、俺だって混浴だって知らなかったんだよ!」
黒髪乙女「…とにかくあっち向いててよねっ!」
真剣士「へいへい…」
師匠「仲がいいんですね、二人とも」
真剣士「…」
黒髪乙女「まぁ…長い付き合いですからね…」
真剣士「ふんっ」
竜少女「仲良くするのが一番だよっ!」
真剣士「なー。暴力はいけないよなー?」
竜少女「うん、暴力はダメだよ!」
- 222 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:09:10 ID:8dgSLXyI
黒髪乙女「…」
師匠「…」
真剣士「はぁ…」
黒髪乙女「ねえ、真剣士」
真剣士「ん?」
黒髪乙女「真剣士は、幻王を倒せると…思う?」
真剣士「知らん」
黒髪乙女「知らんって」
真剣士「…そりゃ、やれる事なら倒したいと思うよ?」
師匠「…」
真剣士「こんな体験滅多にできないし、平和の為に戦うとか誰しも1度は考える事じゃん?」
- 223 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:09:43 ID:8dgSLXyI
黒髪乙女「それは…まぁ…」
真剣士「でも、実際そうなったら…何も考えられなくなるんだなって分かったよ」
黒髪乙女「…」
真剣士「だけどまぁ…」
竜少女「〜♪」バシャバシャ
真剣士「…、俺の存在で、こういう子が安心できるなら、助けたいとは思う」
師匠「…」ニコッ
黒髪乙女「真剣士…」
- 224 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:10:41 ID:8dgSLXyI
真剣士「まぁ…出る。熱い」ザバザバ
黒髪乙女「きゃあっ!前隠してよ、バカ!!」
真剣士「おっと、うっかり。最初に殴られてボーっとしてたよ!」
師匠「…」ジッ
竜少女「?」キョトン
黒髪乙女「いいから早く出て行けーっ!」
- 225 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:11:27 ID:8dgSLXyI
真剣士「へいへい!わかったっつーの!」
タッタッタッタ…ガラガラッ…ピシャッ
黒髪乙女「ふぅ…やっと落ち着けた」
師匠「ふふ」
黒髪乙女「いつも落ち着く暇がないんだから…全く」
師匠「…キレイな星空ですね」
黒髪乙女「ですね…今日は温泉にも浸かってよく眠れそうです」
師匠「ゆっくり休んでください。明日からは本格的な修行になるでしょうしね」
黒髪乙女「はい…でも…」
師匠「…」
- 226 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:15:59 ID:8dgSLXyI
竜少女「どうしたのー?」
黒髪乙女「ううん。竜少女ちゃんは気にしなくてもいいのよ」ニコッ
師匠「…」
竜少女「むぅ〜」
黒髪乙女「…」
師匠「こんな事にまで巻き込んでしまって、本当に申し訳ないです」
黒髪乙女「いえ…そんなことっ」
師匠「お互い、頑張りましょうね」
黒髪乙女「…はいっ」
- 227 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/14(木) 21:16:37 ID:8dgSLXyI
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- 228 名前: ◆qqtckwRIh. [sage] 投稿日:2013/11/14(木) 21:17:45 ID:8dgSLXyI
本日はここまでです、ありがとうございました。
- 232 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/11/15(金) 00:59:40 ID:xU7699Hw
更新おつ
今更だけど大魔道っていまだ学生で通せるほど見た目若いままなんだな
ハーフ以上に血を体内に入れた2代目英雄剣士は
見た目20代に見えるって微妙に老けてる描写あったけど
- 233 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/11/15(金) 01:57:39 ID:KKaixGg6
>>232
その辺は、肉体的にはただの人間な2代目と、もともとハーフである大魔道とでは根本的に違うのだろう
単に魔界での滞在時間の違いかもしれないけど
- 234 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/11/15(金) 18:40:45 ID:q5AscCLY
あっ、大魔道って中級魔道本人なんか
子孫だと思ったわ
- 235 名前: ◆qqtckwRIh. [sage] 投稿日:2013/11/15(金) 20:47:59 ID:L2hp453M
皆さま有難うございます。投下致します。
- 236 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:48:36 ID:L2hp453M
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ドクン…ドクン…
「…あとは、俺がやる…」
「まだ、早すぎました…!」
ドクッドクッドクッ…
「…や、やめてくれぇぇっ!」
『所詮…この程度…ハッハッハッハ!』
「あぁぁぁ…っ…!」
…ドクンッ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 237 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:49:06 ID:L2hp453M
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――――【 次の日 自室 】
チュンチュン…
真剣士「…!!」
…ガバッ!!
真剣士「はぁっ…はぁっ…!ゆ、夢…?朝か…」
黒髪乙女「…うーん」モゾモゾ
真剣士「…」
黒髪乙女「むにゃ…真剣士…?起きてたの…?」
真剣士「…あ、あぁ…」ドクン…ドクン…
- 238 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:49:39 ID:L2hp453M
黒髪乙女「…凄い汗。どうしたの?」
真剣士「い、いや…、何か悪い夢を見てたみたいなんだ…」
黒髪乙女「大丈夫…?顔色、悪いよ…」
真剣士「…ちょっと汗流してくる」
黒髪乙女「うん…」
真剣士「…」
黒髪乙女「まだ少し早いから、私は休んでるね」
真剣士「…行ってくる」
- 239 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:50:38 ID:L2hp453M
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 湯治場 】
ジャボジャボ…カポーン…
真剣士(…)
真剣士(何ともいえない、夢だった。思い出せない…)
真剣士(ただただ、寂しくて、冷たくて…一体あれは…)
ジャバジャバ…
真剣士「…何の音だ?」クルッ
- 240 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:51:14 ID:L2hp453M
師匠「悩んでいるようですね、真剣士」カポーン
真剣士「姉剣士さ…し、師匠!?」ザバッ!!
師匠「よっぽど温泉好きですね。私もなんですよ」フフ
真剣士「昨日の俺じゃないけど、師匠も前隠して下さいよ!」
師匠「私は別に気にしませんよ」
真剣士「そ、そんなこと言っても…」
師匠「…悪い夢でも、見ましたか?」
真剣士「な、何でそれを」ドキッ
師匠「やっぱりですか。いえ、引っ掛けただけですよ。顔色が悪かったもので」
真剣士「…」
- 242 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:52:45 ID:L2hp453M
師匠「…どんな夢でした?」
真剣士「…冷たくて、怖くて、寂しくて…。でも、何も覚えてない…そんな…」
師匠「…」
真剣士「温泉に入れば、温まると思ったけど…全然冷たいままで…」
師匠「分かりますよ。その気持ち」
真剣士「…」
師匠「哀しい事があった時、温かいお風呂に入ると、心が逆に冷たく感じてしまうんですよね」
真剣士「…」
師匠「…真剣士」
ジャボジャボ…
- 243 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:53:15 ID:L2hp453M
真剣士「わわっ、し、師匠…ちょっと…」
師匠「あなたのハートは、誰よりも強いはずです」ポンッ
真剣士「…」
師匠「見知らぬ土地で、どんな事にも全力で、誰よりも信じる力を持っている」
真剣士「…」
師匠「どんな夢かは分かりませんが、その不安からでしょう。ですが、必ず不安もなくなりますよ。大丈夫です」ニコッ
真剣士「…ちょっと、元気が出てきた…かな」ハハ
師匠「まだフワついている所もあるでしょうけど、そのうち慣れていきますよ」
真剣士「はい…。それと、思ったんですが…師匠とか大魔道で、その幻王は倒せないんですか?」
師匠「私や大魔道が、ですか?」
- 244 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:53:51 ID:L2hp453M
真剣士「少なくとも、魔界でもかなりの腕を持つんですよね」
師匠「確かに、同位に立つ相手は少ないでしょうね」
真剣士「だから…俺じゃなくても、師匠とかが倒せる…のではないかなと」
師匠「…もし倒せるなら、今のように隠れ里などにいませんよ」
真剣士「あ…」
師匠「…」
真剣士「でも、俺に師匠を倒せる姿が浮かばないんですが…」
- 245 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:54:41 ID:L2hp453M
師匠「…人の成長は、きっかけと、努力。魔力の面においては、その人に流れる"血"も重要です」
真剣士「…血、ですか」
師匠「そう。貴方に流れる…英雄の血が、この戦争を終わらせる鍵なのです」
真剣士「英雄の…血…」
- 246 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:55:29 ID:L2hp453M
師匠「はい。英雄の血…それは何にも変えられぬ貴方だけ持つ"力"なんですよ」
真剣士「大魔道も似たような事言ってたっけ…」
師匠「本来なら、あちら側で何も知らず…幸せに暮らしていてほしかったといつも言ってますよ」
真剣士「大魔道が…?」
師匠「ですが幻王の力はあまりにも強大で、そちら側にも影響を及ぼし兼ねなくなってしまった」
真剣士「…」
師匠「そこで、強大な魔力…それを保持する一族の"英雄"が再び必要になったんです」
真剣士「…」
- 247 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:56:04 ID:L2hp453M
師匠「もう戦いと魔法が忘れた世でしたが、貴方に流れる"血"は、必ず覚醒するはずです」
真剣士「…っ」
師匠「実をいえば…私も怖いんです。死ぬことは」
真剣士「…え?」
師匠「…死ぬ事は怖いし、誰かを失うのも嫌です。真剣士さんが目覚めてほしいのも、自分の欲望のせい…」
真剣士「…」
師匠「分かっています。自分が助かりたいから。きっと…良い格好で真剣士さんに話していることも」
真剣士「そ、そんなこと…!」
師匠「ですが、私は誰よりも世界が再び平和であってほしい。真剣士さんの力を信じています」
真剣士「…」
師匠「そして、貴方の幸せも願っている。矛盾していますよね…」
- 248 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:56:36 ID:L2hp453M
真剣士「い…いえ!!」ザバンッ!!
師匠「…」
真剣士「死にたくないのは普通だし、誰かを失うのが嫌なのも、当たり前ですっ!」
師匠「…真剣士さん」
真剣士「もし、俺を信じて安堵を得られるなら、信じてください」
師匠「ふふ、優しいんですね」
真剣士「女の人が哀しい顔は、どうも苦手なんです。何よりも耐え難いので…」ハハ
師匠「…」
ザバザバ…ギュウッ
- 249 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/11/15(金) 20:57:10 ID:L2hp453M
真剣士「し、師匠…?」
師匠「有難うございます。貴方がそういう人で、本当に良かった…」
真剣士「恥ずかしいですって、ちょ、こ…これでも俺は男なんですから!」
師匠「ふふ、分かっていますよ」
真剣士「う、うぅ…」ブクブク…
師匠「さて、そろそろ上がりましょうか」ザバァッ…
真剣士「…」ブクブク…
師匠「…真剣士さん?」
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