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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その30
699 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 08:53:50.07 ID:ea+F8nHRo
パアアァァァァ!!

青龍先生「魔力はうまく押さえ込まれているな。完璧だ……」

ズズッ

青龍先生「よぉ、パズズ。久々だなぁ」

オオォォォォ…ガシィ!!

青龍先生「このまま握りつぶせりゃあ楽なんだがなぁ」

キュイイィィィィ

青龍先生「残り僅かの魔力で放つ五行。情けねぇもんだよ全く……」

パアアァァァァ

青龍先生「さぁーて……受け取りな! 全身全霊、最後のプレゼントだ!!」

ドドオオォォォォン!!

青龍先生「……これで……終わる」

ガカアアァァァァ…

青龍先生「……?」

辺り一面を包む光の中から3つの小さな影が徐々に大きく形成されていく。


700 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 08:54:21.26 ID:ea+F8nHRo
青龍先生「お……お前ら……っ!!」

朱雀先生「待ってたぜ、青龍」

白虎先生「1人で美味しいところ持っていこうだなんて……させないよ!」

玄武先生「最後まで良く頑張ってくれた。ありがとう」

青龍先生「何がありがとうだよ、お前らの為に頑張ったわけじゃねぇ!」

玄武先生「それもそうだね……ははっ!」

青龍先生「さっさとくたばりやがって……本当に役立たずな連中だよ」

朱雀先生「んだとぉ!?」

白虎先生「おいおい! 久々の再開で喧嘩はやめてくれよ!」

玄武先生「そうそう。どうせこの先、ずっと一緒にいなきゃいけないんだよ?」

青龍先生「最悪だよ……っ」

朱雀先生「こっちの台詞だ!!」

玄武先生「さぁ、そろそろいこうか」

白虎先生「ああ! いこうじゃないか!」

青龍先生「……ちょーっと待ってくれ。ほんのちょっと、すぐ終わる」


701 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 08:55:06.79 ID:ea+F8nHRo
スゥッ

青龍先生「……おう」

サラマンダー「……なんじゃい」

青龍先生「会話するのも50年以上振りか」

サラマンダー「お前さんが置いてったせいでな」

青龍先生「本当に済まないと思ってるよ」

サラマンダー「まーいいけどよ」

青龍先生「長い事世話になったな。他の召喚獣にも宜しく伝えてくれ」

サラマンダー「てめーの不味い魔力も……まー悪くはなかったぜ」

青龍先生「はっはっは! 言ってくれるわ!」

サラマンダー「ほれ、仲間が待ってんぞ」

青龍先生「……ありがとうな」

サラマンダー「……じゃあな。伝説の青龍先生」

青龍先生「ひょっひょ――――」

そして光は静かに、天へと昇る。


702 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 08:56:25.14 ID:ea+F8nHRo
ガカアアァァァァ!!…ドドオオォォォォ…

魔道士「っ!!」

名代「……これは……五行の光!!」

青年兵「あ……うぁ……ああぁぁぁぁ!!」

青龍士官「ありが……とぉ、ございましたああぁぁーっ!!」

オオォォォォ…

召喚士「……青龍……先生」

ググッ

召喚士「……?」

シルフ「……きゃ……ああぁぁぁぁ!!」

朱雀嬢「どっ、どうなさったのです!?」

召喚士「収縮する魔力に引きずり込まれ……シルフ!?」

パアアァァァァ

玄武娘「な、何ですの……っ」

白虎長「召喚士……くん……!?」


703 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 08:58:13.83 ID:ea+F8nHRo
キィン…キィン…キィン

召喚士「この光……金色の……っ」

シルフの小さな姿が光に取り込まれ、少しずつ拡大を始める。

戦士「何なんだ!?」

盗賊「分からない……っ、でも召喚士がっ!」

召喚士「う……うぅ!!」

朱雀嬢「朱雀先生っ!」

召喚士「大丈夫……っ、ただシルフが……」

ズズッ…ゴゴゴゴゴゴ

名代「周囲の魔力を吸収している……?」

白虎長「召喚士くんっ、危険よ! 魔力のコントロールを!」

召喚士「……何とか……やってますっ!」

ググググッ…ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「……な……何だこれは……!?」

シルフはまるで羽化するように、光の中より別の姿となって現れた。


704 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 08:58:52.11 ID:ea+F8nHRo
バサァ…

朱雀嬢「鳥……?」

青年兵「何……だ? 召喚獣……なのか!?」

召喚士「……っ」

――「……朱雀」

召喚士「!?」

パキイイィィィィン!!…ドドオオォォォォン!!

召喚士「ぐわぁ!!」

朱雀嬢「きゃああぁぁぁぁ!!」

戦士「吹っ飛ばされた!? 盗賊!」

盗賊「うんっ!」

タタタッ…

戦士「召喚士!!」

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「……ぐ……くっ」


705 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 08:59:27.41 ID:ea+F8nHRo
盗賊「大丈夫か!?」

朱雀嬢「……え、えぇ。大丈夫……ですわ」

召喚士「光が……消えていく……」

魔道士「……はい」

戦士「終わったんだな」

盗賊「……ああ」

バゴォ!!

ネクロマンサー「……フーッ」

影忍「……下がっていろ、俺が相手をする」

召喚士「影忍……さん!?」

ネクロマンサー「……まさか……まさかこんな事になるとはなぁ!」

影忍「貴様も完全に予想外だったようだな」

ネクロマンサー「……」

影忍「マリオネットを1体も用意していない。単身とはな」

ネクロマンサー「全くですよ。ああ、そうさ! 私の誤算だ!」


706 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 09:00:52.27 ID:ea+F8nHRo
影忍「……」

ネクロマンサー「私の責でパズズ様は消えてしまわれたのだ……おおぉぉ」

召喚士「ネクロマンサー。貴様もいい加減に観念するんだな」

ネクロマンサー「観念? ククッ、決めました。決めましたよ」

盗賊「……」

ネクロマンサー「新たな目標が立った今、生まれました」

青年兵「……」

ネクロマンサー「貴様等を必ずや殺す。どんな手段を使ってでもね」

魔道士「……っ」

ネクロマンサー「魔王を倒すのでしょう? あぁ好きにするがいい!」

戦士「……てめぇ」

ネクロマンサー「ならばこちらは迎え撃ってあげましょう! 徹底的にね!」

影忍「深追いは良い。こやつは退くつもりだ」

ネクロマンサー「ククッ、貴様もいずれは始末します。覚えておきなさい!」

影忍「……好きにするが良い。但し、貴様も必ずや道連れだ」


707 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 09:01:54.49 ID:ea+F8nHRo
ネクロマンサー「……」

ヒュッ

玄武娘「消えたですのっ!?」

白虎長「……退いた……みたいね」

青龍士官「……っ」

青年兵「……皆、無事ですか?」

名代「ええ、私は大丈夫です」

白虎長「こっちも平気。玄武娘は?」

玄武娘「……大丈夫ですの」

戦士「こっちも全員……大丈夫だよな?」

盗賊「……ああ」

魔道士「召喚士さん、掴まって下さい」

召喚士「ありがとうございます」

青年兵「……では、死者1名をも……って、パズズ討伐作戦成功と……致します」

張り上げる声のところどころ、詰まりそうになる言葉を、青年兵は搾り出した。


713 名前:NIPPERがお送りします(埼玉県) [sage] 投稿日:2011/07/15(金) 16:21:23.10 ID:ouQfPB0do
今日の晩酌は伝説って名前の焼酎にするか…


714 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:09:02.62 ID:ea+F8nHRo
〜赤壁〜

ピーッ!!…ピピピ-ッ!!

南方参謀「警笛!? 何があったの!?」

赤壁兵「北東……おそらくは遺跡と思われます!」

タッタッタ…ババッ

南方参謀「あれは……っ!」

南方弓長「あの光……もしかして」

ザッザッザ

天才「……五行だな。うまくいったみてーだ」

南方副司令「……?」

天才「青龍のジジイだよ。パズズの消滅完了だ」

南方司令「……見事なり!」

天才「さーて、これで残るは5体。次は……ここだぞ」

大軍師「魔王ラーヴァナですか」

天才「今回はアンラ・ちゃん程、甘くはねーぞ」


715 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:11:03.96 ID:ea+F8nHRo
〜南西砦〜

チカチカッ

男隊員「お、おい……今の光、見えたか?」

女隊員「……はいッス」

男隊員「あれってもしや……」

隊長「青龍先生だろうな」

男隊員やっぱりそうか……」

女隊員「うまく……いったって事っすよね……?」

隊長「だな。そして裏を返せば青龍先生が逝った、という事だ」

女隊員「……っ」

隊長「全員集まれぇ!!」

南西砦兵「!?」

ザザッ…タッタッタ

隊長「一同北東へ整列! 青龍先生に……敬礼ーっ!!」

微かに昇り消えていった光へ向けて、一同は規律正しく敬礼を捧げた。


716 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:12:19.39 ID:ea+F8nHRo


戦士「ほれ、掴まれ」

召喚士「……ありがとう」

盗賊「……終わったな」

戦士「ああ、終わった」

魔道士「青龍……先生……ぇ」

召喚士「……っ」

テクテクテク

魔道士「……?」

玄武娘「魔道士さん、泣いちゃ駄目ですの」

魔道士「玄武娘……ちゃん?」

玄武娘「私達がくよくよしていたら、青龍先生やお爺ちゃんが浮かばれませんの」

朱雀嬢「玄武娘、あなた……っ」

玄武娘「お爺ちゃん達の意思を継ぐ。それが私達のするべき事ですの」

魔道士「……そうよね、そうだよね……!!」


717 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:13:49.86 ID:ea+F8nHRo
ザッ

盗賊「……兄様!?」

影忍「これで封印の地は役目を終えた」

盗賊「はい」

影忍「では、また会おう」

盗賊「どこへ……?」

影忍「ネクロマンサーを追う。奴だけは野放しに出来ぬからな」

盗賊「……っ」

影忍「奴は此処と魔王城の他に活動拠点を持っていた」

盗賊「ま、まさか!?」

影忍「次なる仕込みをするとあれば、おそらくは……東方」

盗賊「……っ!!」

影忍「安心しろ、我らの東方を好きにはさせんよ」

盗賊「……兄様」

影忍「また何れ会うだろう。……元気でな」


718 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:14:54.62 ID:ea+F8nHRo
ザッ

青年兵「……」

青龍士官「……」

ジャリッ…ザッザッザ

青龍士官「青年兵……」

青年兵「……」

結界石の前で下を向き、方を振るわせる青年兵。

青龍士官「……」

それを背後から青龍士官が無言でじっと見つめている。

青龍士官「……?」

フワッ…ヒラヒラッ…ヒラッ

名代「あ……れは?」

青龍士官「先生の……マント……」

空から入り込む光に照らされひらひらと舞い落ちる青龍先生のマント。

それは偶然にも青年兵の背中の上へと、そっと着地した。


719 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:15:50.45 ID:ea+F8nHRo
ファサッ…

青年兵「……?」

ギュッ

青年兵「……ふ……っう、うぐぅ……っ!」

青龍士官「青年兵―ー」

ガシッ

名代「……駄目です」

青龍士官「……っ」

名代「彼は今、自身で乗り越えようとしているのです」

白虎長「……」

名代「手を差し伸べてじゃいけません。それが……信じるという事です」

青龍士官「青年兵……」

名代「それにあの羽織物、何か運命的なものを感じます」

白虎長「ええ、偶然なんかじゃないですよ」

名代「きっと青龍先生からの思いなのでしょうね」


720 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:16:43.94 ID:ea+F8nHRo
バサァッ

青年兵「ああああぁぁぁぁーっ!!」

魔道士「!?」

召喚士「青年兵……くん……?」

青年兵「……あースッキリしたぁ!」

クルッ

青年兵「この結果石、持ち帰りましょうか!」

戦士「こんな……バカでかいのをか!?」

青年兵「でかいと言ってもだいぶ砕けましたし、大丈夫だと思いますよ」

白虎長「持ち帰って……どうするのよ」

青年兵「この大きさは何かに使えそうですよ。それに……」

青龍士官「……」

青年兵「伝説の思いが篭ってるんです。役立たないわけないですよ!」

玄武娘「そうですのっ! それがいいですの!」

朱雀嬢「そうですわね、私も賛成致しますわ!」


721 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:17:57.25 ID:ea+F8nHRo
テクテクテク…ザッ

青年兵「はい、青龍先生」

バサッ

青龍士官「……?」

青年兵「マント、君が受け取ってくれ」

青龍士官「……いや、断る」

青年兵「!?」

青龍士官「これは青龍先生から君への贈り物だ」

青年兵「……」

青龍士官「それを俺はこう解釈する。お前らは2人で一人前だ……ってね」

青年兵「青龍士官……」

青龍士官「だから互いに切磋琢磨し、いずれはどちらかが継ごうじゃないか」

青年兵「……なるほど。分かった、そういう事なら……負けないよ!」

青龍士官「俺も負けるつもりはない。暫定だが、青龍先生の名にかけてな!」

青年兵「ははっ!」


722 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:19:20.66 ID:ea+F8nHRo


名代「宜しいですか?」

戦士「おう、一気に押してくれ」

召喚士「せーのっ!!」

ズズッ…ズズズ……ゴトォン!!

魔道士「これ、運べます?」

戦士「さすがに1人じゃ無理だが、何人かならいけんだろ」

タッタッタ

朱雀嬢「木の枝、集めて来ましたわよっ」

玄武娘「どうするんですの……?」

青年兵「これでソリを作ります」

召喚士「担げるようにもしておくと便利だね」

青年兵「そうですね。それでは早速、取り掛かりましょう」

召喚士「俺も、手伝うよ」

青年兵「ありがとうございます」


723 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:20:14.11 ID:ea+F8nHRo


魔道士「出来たーっ!」

盗賊「……うん、大丈夫だろう」

戦士「おっしゃ、それじゃ地上まで担いでいくかぁ!」

青年兵「それじゃいきますよ、せーっの!!」

盗賊「……神輿みたいだな」

名代「ふむ、これならばいけそうですね」

召喚士「帰りは正門から出ればいいんじゃないかな?」

青龍士官「正門……ですか?」

召喚士「ここの内部は城の形状をしてて、2つ上がればそこが城の1階なんだ」

戦士「そういやそうだったな」

白虎長「もう封印する必要もなくなったしね」

魔道士「ええ……そうですよ」

青年兵「それじゃ、行きましょうか」

朱雀嬢「はいですわ」


724 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:25:36.17 ID:ea+F8nHRo
遺跡より立ち去る道中、召喚士はふとかつての記憶がよぎった。

召喚士「俺らの冒険って、ここから始まったようなものだよね」

戦士「ん? あぁーそういやそうだよなぁ」

パーティーとして始めて、大きな依頼を受けた想い出の地。

盗賊「彼も……ようやく解放されたな」

魔道士「ええ……っ」

剣士らと出会った思い出の地。

戦士「ネクロマンサーにやられた奴らの思いもな」

召喚士「うん」

ネクロマンサーを始めて対面した地。

魔道士「本当に、色々な事がありすぎて……」

召喚士「ええ。でもこれでようやく、ここへ来る事もなくなりそうです。いや……」

そして今、魔王パズズを倒した地。青龍先生が眠る地となった。

召喚士「青龍先生達へ華を添えにこなくてはいけませんね」

魔道士「……はいっ」


725 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:26:54.75 ID:ea+F8nHRo
〜本国、国軍本部〜

パッカパッカパッカ…ドドォ

青年兵「ご苦労様でした」

ガチャッ

青龍士官「……?」

タッタッタッタッタ

青龍兵「……っ」

青龍士官「青龍先生は無事、任務を遂行された」」

青龍兵「――っ!!」

白虎兵「つまり先生はもう……っ」

青龍士官「先に逝って待っていると皆への伝言だ」

青年兵「青龍先生の名は青龍士官が継ぐ。今後は青龍士官の指示を仰ぐよう」

青龍兵「……はっ! 宜しくお願い致します……っ!」

青龍士官「……ああ、頼むぞ」

号泣する青龍召喚隊の面々を、青龍士官は肩を叩いて慰め歩いた。


726 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:33:08.92 ID:ea+F8nHRo


国軍兵「これも講堂で宜しかったですか?」

青年兵「ええ。ここにある物は全て講堂で構いません」

衛兵「よし、急いで運べ」

テクテクテク

白虎長「何……してるの?」

青年兵「あ、ええ。事前に下準備はしておいたんです……本人には悪いけど」

白虎長「……ああ」

青年兵「やっぱり、一番好きな場所にいるべきですから」

白虎長「そうよね。肉体はなくとも魂はきっと……」

青年兵「帰って来てくれると思います」

タッタッタ

国軍兵「青年兵様っ、この……絵はどうします?」

青年兵「ははっ、それは写真ですよ。写真も一緒に講堂へ運んで下さい」

国軍兵「はっ!」


727 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:34:15.34 ID:ea+F8nHRo
……――

博士「それでは撮るのらー」

青龍兵「押すなっての!」

青年兵「こら、揉めてないで早く並んで下さい」

青龍士官「何で青龍隊でもないのにお前が……」

青年兵「いいじゃないか、僕だって写真に入りたいもん」

青龍士官「……全く」

青龍先生「ひょっひょ! 賑やかで何よりじゃわ」

博士「それじゃいくのら〜」

ジーッ…

青龍士官「……?」

青年兵「もう……終わりました?」

博士「終わったのら。現像はまた後日、完成したら見せるのら」

青龍先生「楽しみに待っとるぞ、ひょっひょ」

――……


728 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:36:44.47 ID:ea+F8nHRo
テクテクテクテク

青龍士官「あの時の写真が、こんな形になるとはなぁ」

青年兵「……ああ」

青龍士官「やっぱりここを選んだんだな」

青年兵「講堂は青龍先生ゆかりの場所だからね」

青龍士官「だな。講義も世間話も、叱られたのも全てここだった」

青年兵「ここに来れば先生に会えた。だから今後も変わらないよ」

青龍士官「……だな」

クルッ…スタスタスタ

青年兵「もう行くのか?」

青龍士官「青龍先生ってのは色々と忙しいみたいでな」

青年兵「そっか、そうだよね……」

青龍士官「お前も明日からはまた忙しくなるんだろう? それじゃ、お先に」

青年兵「……うん」

講堂に残り写真を見つめる青年兵。その背後を青龍士官は去っていった。


729 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:39:09.60 ID:ea+F8nHRo
青年兵「……」

テクテクテク

召喚士「……青年兵くん」

青年兵「召喚士さん」

2人は飾られた遺影を、しばし無言でぼんやりと見つめていた。

召喚士「いい……笑顔だね」

青年兵「ええ……。本当に」

瞑る目には涙が滲む。だが、零れる事はない。

召喚士と青年兵はぐっと堪え、すぐにまた、そして懸命に笑顔を作る。

青年兵「……行きましょうか」

召喚士「うん」

さようなら。その言葉を胸中で呟き、2人は講堂を後にする。

写真の中の青龍先生は屈託のない笑顔で2人を見つめていた。



そして……『伝説』はその名の通り、まさしく『伝説』となった。



〜第四十九部、完〜


730 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/07/15(金) 17:50:14.58 ID:ea+F8nHRo
ドタバタしてて何か抜けてるような気がしますが、
ひとまず四十九部完でございます

次回は記念すべき(?)五十部!
ついに最後の内通者と知られざる秘密が明らかに!?

それではひとまずここまでにて!昨日は本当にすみませんでした!
そしてご支援感謝でございます!それでは!ノシ


739 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 03:18:13.31 ID:0piDFMjIO
青龍先生に敬礼(○・`д・)vキリ



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