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少女『言葉が通じなくても』
- 600 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga]
投稿日:2010/11/16(火) 21:14:16.70 ID:jiFL6EAO
……
侍『――ッハァ…、ハァッ……』ザッ
女王『…ほう』
堕天使『』
催眠鬼『』
羅刹『』
女王『未だ剣を抜かず、か』
侍『スゥ――――ハーッ』
―ッ
女王『刃を見せなかったのはこの時の為の奥の手か? ん?』チキキッ
侍『…くッ』ギチチッ
- 601 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/16(火) 21:24:37.13 ID:jiFL6EAO
女王『お前はやはり逸材じゃ。妾にここまで近付いた者は魔の者でもおらぬ』ビッ
ドガァァッ
侍『―かはッ』ガクッ
女王『さあ立て! 続きを踊ってみせよ』
侍『ぐ…、う』ギリッ
女王『…なんじゃ、もう終わりか?』
女王『…ふむ、これはあの小娘を殺しても構わぬという事に相違ないな?』
侍『! や、やめ…』
- 602 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/16(火) 21:48:04.52 ID:jiFL6EAO
女王『心配はいらん。お前が怒り狂い憎しみに飲まれたとしても、妾が責任を持って相手をしよう』ズズッ
侍『ま、待て!』
少女『仮面さんは言った、迷宮は足止めの手段と』
少女『じゃあ森は迷宮だろうか、確かに足止めはできるけど私は迷宮とは思わない』
少女『だって森に道は無いから。出口への道を探すのではなく、自ら切り開かないといけないから』
少女『迷宮は出口へ到達させない手段、森は入口へも出口へも戻らせない檻だとしたらここは森…』
女王『さあ、かわいいアタマを台無しにしてあげよう!』ズズッ
少女『!』
- 603 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/16(火) 21:56:43.22 ID:jiFL6EAO
ガシッ
少女『ッくぁぁ!』ギリッ
少女(いたい!いたい!いたい!いたい!)
女王『ふふふ…さらばだ小娘!』ギチチッ
ザクッ
女王『…何の真似だ』ドクドク
少女『…道は………自ら切り開くもの』グリッ
女王『…いい言葉だな。褒美に楽にしてやる』ビキッ
少女(アア…)
―ピキンッ
- 604 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/16(火) 22:03:45.80 ID:jiFL6EAO
女王『むッ!? 魔術が!?』
ザザッザザザザッ
女王『これは一体……ん?』
少女『』パァァ
女王『天使の羽根!? いかん!』ブンッ
少女『』ヒュゥッ
侍「ふッ!」トサッ
侍「おい!しっかりしろ!!」
少女「…―」ヒュー ヒュー
侍「息はあるな…」ホッ
- 605 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/16(火) 22:11:55.89 ID:jiFL6EAO
女王『何故あのような小娘が天使の羽根を…』
侍『…』キッ
女王『ほう、先までとは別人の目だな。人質が返ってきて心配事がなくなったか』
侍『――』
女王『おお、魔術が解けたせいで言葉がわからなくなったな。今魔術を』
鋭き事――――
女王『!!』ゾクッ
――――稲妻の如し
侍『…』キンッ
- 606 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/16(火) 22:18:11.14 ID:jiFL6EAO
女王『……今のは流石に驚いたのう。避ける事しか出来ぬとは』ズズッ
侍『…女、避ける事もできておらぬぞ』
女王『なに?』
―ピッ
プシャ―――ッ
侍『南無…』
女王『妾に傷を負わせるとは、余程お前たちは死にたいらしいな』シュゥゥ
侍『! 首が繋がるだと…』
- 608 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/16(火) 22:41:01.10 ID:jiFL6EAO
女王『妾は死なぬ、…死ねぬのだ』
女王『お前が妾を八つ裂きにしようと、「時の止まった体」には意味を為さない』
侍『時の止まった体…』
女王『お前には分かるまい、死ぬ事も叶わず永遠に痛みや苦しみ、生を謳歌できる者への嫉妬、煩わしさばかり味わう妾の気持ちなど…!』
女王『何か言わぬか』
侍『……ッ』ツー
女王『! 泣いておるのか?』
- 609 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/16(火) 22:52:19.47 ID:jiFL6EAO
侍『お主は…いつも見送ってきたのだな』
侍『大切な者が生まれ、死に、国が滅び、また生まれ、それが繰り返される様を幾度も、幾度となく』
女王『そうだ! 妾の家族も家来もおらぬ! 人々は妾を化け物、魔女と呼び遠ざける! 話し相手もおらなくなった今では自分の名前すら忘れてしまった!』
女王『これが不幸! 悲劇でなくてなんだ!』
侍『愚か者!!』
女王『!』ビクッ
- 610 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/16(火) 23:02:29.86 ID:jiFL6EAO
侍『では何故人の痛みを知るお主がこの様な真似をする!』
侍『生の尊さを知るお主が! 何故命を弄ぶような事を!』
女王『ゥゥゥゥゥゥゥゥ…』
侍『こたえよッ! 女ァッ!!』
女王『ァアアアアアアアッ!!』
地獄の遣い『むんッ』グォッ
下級悪魔『ゲヒッッ』ブシャァッ
地獄の遣い『ちッ! こいつらどうやったらくたばるんだよ!!』
魔神『フ…大分苦戦シテルナ』
地獄の遣い『ッるせぇ!』ガキンッ
- 611 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/16(火) 23:06:16.95 ID:jiFL6EAO
お久しぶりです
私情により進行ストップしてすいません
支援レス嬉しかったです、ありがとうございます
またチョロチョロ書いていきたいと思います、よろしくお願いします
今日はここまでです
ありがとうございました
- 618 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/19(金) 17:59:17.43 ID:7wTZbsAO
下級悪魔『ニタァッッ』シュッ
地獄の遣い『! くッ!?』
ブシャッ
地獄の遣い『ぐッ…ぅ』ドクドク
魔神『ショウブあったナ』ニヤッ
地獄の遣い『へ…こんなのほんの掠り傷だ』
地獄の遣い(クソが!爪から毒でも出しやがったな…痺れてきやがったぜ)
ザクッ スパッ シュピッッ
地獄の遣い(自由がきかなくなってきやがった…)
ブシャッッ
けど…何だろうな
この透き通った感覚はよォ
- 619 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/19(金) 18:07:59.79 ID:7wTZbsAO
辛うじて動く体で必死に、醜く避け生き長らえる
ゲス共は俺を嘲笑い、聞き苦しい笑い声を上げる
俺の命は奴等の手の中
死を待つばかり
なのにどうしてこんなにも静かなのだろう
こうも頭が澄み切っているのだろう
バケモノの笑い声とか、血の臭いだとかは意識の外っ側…「五感」までの情報
「五感」の内っ側、心だとか気持ちだとか
そこだけは真っ白で何もなかった
- 620 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/19(金) 18:17:15.41 ID:7wTZbsAO
「…」
…なんだ
「…―」
人…なのか
「―――」
邪魔するなよ。今イイキモチなんだ
侍「曇りなき意識は鏡の如く、澄んだ心は水の如し。迷い無き魂から放たれる一刀こそ、天地をも割る剣の極意也―――」
アア、アンタだったか…
低級悪魔『』プシッ 低級悪魔『ゲ…』ブシャァッ
地獄の遣い『これでいいのかいッ 先生さんヨオ!!』
- 621 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage] 投稿日:2010/11/19(金) 19:21:49.47 ID:5Dty7g6o
侍のかっこよさが半端ない
- 622 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/19(金) 19:47:04.32 ID:7wTZbsAO
魔神『ナッ!?』
地獄の遣い『へ……オメェらには感謝するぜ、オメェらのお陰で俺ぁ世界最強になっちまったかも知んねぇんだからなぁ!』
魔神『たかが低級悪魔ヲタオシタグライでチョウシに乗るなッ!』バッ
地獄の遣い『うわッ!?』
ジュウッッ
地獄の遣い『槍がッ クソ!』
魔神『ふ…これでテモアシも出まい』
地獄の遣い『…』
魔神『ソレトモ自慢の拳ヲ試してミルカ?』
地獄の遣い『いや………とっておきがあるぜ』
- 623 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/19(金) 20:02:23.10 ID:7wTZbsAO
魔神『クフ…なんだそれハ! ただの棒切れではナイカ!』
地獄の遣い『確かにこれはただの棒切れだ』
地獄の遣い『だが俺の魂のっける事で聖剣にも勝る武器になるッッ!!』クワッ
魔神『!? ナンダこの気迫! 本能がコイツハキケンだと言っているッ!』
地獄の遣い『オオオオオオオ…!!』ググッ
魔神『キエウセロ!! 人間ガァァァッ!!』パウッ
- 624 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/19(金) 20:19:19.90 ID:7wTZbsAO
瞬間、目の前が真っ白になった
多分、あんとき俺は死んだんだと思う
魔人『ハッハハハハッ!! 跡形もないッ!! トンダ虚仮威しだったなァ!!』シュゥゥゥ…
『ああ、とんだ虚仮威しだったぜ』
魔人『!?』
- 625 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/19(金) 20:27:53.34 ID:7wTZbsAO
魔人『バカナ!? 直撃だった筈!』
地獄の遣い『ああ、直撃だ、当たったよ。当たって死んだ………「生き長らえよう」なんて考える弱ぇ俺はなァ!!』
魔人『クッ!』バッ
――――――ポタッ
魔人『……え』
地獄の遣い『あんま動かねぇ方がいいぞ』
魔人『黙れ人ゲ』ビッ
ブシャァァッ
魔人『ァ―』
ドシャッ
地獄の遣い『言わんこっちゃねぇ』
- 626 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/19(金) 20:28:29.27 ID:7wTZbsAO
魔人が魔神になってましたね
脳内補完お願いします
- 627 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage] 投稿日:2010/11/19(金) 22:02:07.36 ID:QnFRChQo
ktkr!侍にマジ濡れた
- 630 名前:三日目東R59Aがお送りします [] 投稿日:2010/11/22(月) 17:32:21.66 ID:hGZyNYSO
一々侍のセリフがカッコイイ
- 631 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 14:43:29.45 ID:XGt8kEAO
ドガァァッッ
ズガァァァッ
女王「――ッ!! ――ッッ!!」バッ バッ
侍「破れかぶれかッ」ザザッ バッ
ズドォンッ
女王『ァァアアアアアアッッ』ゴォッ
侍『!』
ピッ
ドォォォォオオンッッ
少女『……うっ』ビクッ
侍「無事か?」
少女『…お兄さん』
- 632 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 14:54:54.70 ID:XGt8kEAO
少女『! お兄さん! 血が!!』
侍「これしき大した事はない。それより、しっかり掴まってろよッ」
少女『え―』ギュ
タン― ズガガァンッ
女王『ウウ――ッッ』
少女『あの人……』
侍「哀しい目であろう、心が孤独なのだ」ズザッ
- 633 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 15:04:03.98 ID:XGt8kEAO
……け…
少女『!』
…助け…
独りぼっちはもうイヤ
…お母…様
侍「現世(うつしよ)に縛られし孤独な魂、…僭越ながら私が介錯仕り申す」チャキッ
ギュッ
侍「!」
少女『待って!』
- 634 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 15:17:40.59 ID:XGt8kEAO
少女『殺せばあの人は救われるの!? 哀しみから解放されるの!!』
私は初めてお兄さんに向かって怒鳴った
言葉が通じる通じないなんて関係なかった
少女『あの人は私達と同じ!! この世に独りぼっちなの!!』
そう、同じだった
だから、お兄さんがあの人を斬るのは私達が離ればなれになるみたいで我慢がならなかった
少女『死んで楽になるなんて事は…』
生きてなきゃ私達は出逢わなかった
あの街で行き倒れてたら、お兄さんとだって旅立てなかった
少女『…生きなきゃ…何もならないんだよ…!』
- 635 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 15:24:18.91 ID:XGt8kEAO
侍「…」
少女『…グスッ』
私は流れ落ちる涙を拭う事なくお兄さんを見つめた
お兄さんは何も言わない
ただ、私の訴えを受け止めていた
女王『ガァァッ!!』フッ
侍「何ッ!?」バッ
少女『え!?』
ドンッ
- 636 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 15:32:16.66 ID:XGt8kEAO
少女『いたっ!?』ズザァ
少女『! お兄さ』
ドカァァァンッッ
侍『』
少女『…!!』
女王『ヒ…ヒャァアハハハハハハハハハッ!!』
女王『ヒトリ!! コレデワタシハマタヒトリ!! ヒトリボッチッ!!』
少女『そ、そんな…私のせいで』
- 637 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 15:46:22.10 ID:XGt8kEAO
女王『アハハハハハ!! オロカな小娘! ワラワに同情したがタメに剣士を失うなんてねぇ!!』
女王『「持たざる者」は自らの為に必死になっておればよいのだ!』
少女『…ッ』
少女『私が…余計な事を言わなければ…』
―信じなさい
少女『!』
―貴女の見据えた未来を、そして彼の信じた貴女の未来を
- 639 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 16:00:23.31 ID:XGt8kEAO
少女『そうだ! 私は逃げない! 私は私の信じた未来の為に戦うんだ!!』
ピカァァアッッ
少女『! お姉さんの羽根が光って!?』
―行きなさい、貴女達なら彼女を救えるわ
少女『…うん!』
女王『ク…!! 魔力が乱れる!』
少女『うああああああああ!!』
女王『! 天使の加護ごときで調子に乗りおって!』バッ
少女『突っ込む!』バシュッ
女王『なにッ!?』
- 640 名前:三日目東R59Aがお送りします [] 投稿日:2010/11/23(火) 16:09:41.66 ID:XGt8kEAO
少女『えい!!』
女王『くぅ!』バッ
ダキッ
女王『………え』
少女『…いい子、いい子』ギュ
女王『無礼者ッ! 離れよ…!』
少女『今まで一人にしてごめんね』ナデ
女王『…止めよ、離してくれ』
- 641 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 16:25:07.41 ID:XGt8kEAO
女王『妾は…! 妾は人を虫けらの如く扱い、殺してきた! 今にもお前を捻り潰すやもしれぬ!』
少女『違う、貴女がしたいのはそんな事じゃないでしょ』
女王『…!』
少女『いい子、いい子』
女王『う…うぁぁぁぁ………!』
女王は少女の胸の中で泣いた
自分より幼い少女の胸で泣く事に、何の躊躇いもなかった
人の温もりが、髪を梳く感触が、伝わる鼓動が…全てが愛おしかった
- 642 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 16:51:06.83 ID:XGt8kEAO
…
大将『チッ! 千年生きても人の情を捨てきれないか』
大将『…そうだ、あの娘を目の前で惨殺すれば、女王の心に二度と光は差すまい』
大将『名案だろ? なあ』
侍『…ペッ』ドクドク
大将『何だその目は、凡人の癖に』
侍『…』チャキッ
大将『また肉弾戦か? 今度は手加減せんぞ』スッ
- 643 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 16:54:42.99 ID:XGt8kEAO
侍『…』ジリッ
大将『…ふ』ニヤリ
侍『…ッ』ダッ
大将『「停止」』カチッ
侍『』
大将『さて、どういたぶってやろうか』
- 644 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 17:31:05.49 ID:XGt8kEAO
大将『時間停止。女王を実験台にして完成させた時の大魔術…』
大将『この術さえあれば俺は誰にも負けない!』
それはどうかな?
大将『なに!?』
ザクッ
大将『ぐァッ!? 痛ぇ!!』ブシャァッ
- 645 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 17:46:01.76 ID:XGt8kEAO
侍『時は決して止まらぬ。例え神が望もうともな』ピッ
大将『なっ!? 何故時間停止中動ける!?』
大将の集中力が切れ、再び時間が動き出した
脇腹を切られた大将が、怯えた表情でうずくまる
侍『言っただろ、止まってなどおらぬと。限りなく停止に近くとも、時は流れておったのだ』
大将『ばっ! 馬鹿なッ!! そんな馬鹿なァ!!』
大将は認めなかった
女王の時間は確かに止まっていたし、街の人々も歳をとらなかった
だが、もしもほんの僅かずつでも時間が進んでいたとしたら…?
カラーンッ
侍『では試してみよ。我が太刀が止まるか否か…!』スッ
大将『ひッ!?』
- 646 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/23(火) 18:06:05.94 ID:XGt8kEAO
侍は刀を頭上に構えていた
諸手で柄を握り、天に刀を掲げる
振り下ろせば大将は真っ二つに―斬れる
大将『てっ「停止」!!』
侍は「居合」を常としている
鞘から素早く抜き、斬り、そして収める神速の剣である
威力は諸手に劣るが、太刀の速さと正確な角度からの斬りつけによりそれを補っている
その侍が今諸手に構えた
ズドンッッ
大将『―ァッ…かはァァ』ブシャァァッ
侍『駆け出した時は止まらぬ』
- 648 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:49:18.35 ID:sPR7ntYo
この厨二臭さがたまらないぜ
- 664 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/12/04(土) 23:30:36.50 ID:Mqqmt2AO
女王『あ…』パァァ
少女『体が光って…』
女王『そうか…誰ぞが妾の呪いを解いてくれたのか』
少女『それってつまり…』
女王『止まっていた時間が一気に流れ、妾の体は消滅する』
少女『そんな…!』
女王『そのような顔をするな。この死は妾の悲願なのだ』
少女『…』グスッ
女王『…しかし、いざ時が来ると…グスッ、何と別れ難きことかっ』ポロポロ
- 665 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/12/04(土) 23:46:22.87 ID:Mqqmt2AO
女王『妾はずっと不死を嘆いてきた。何故妾ばかりが苦しむのか、と』
女王『だが、この期に及んでようやっと分かった気がする。妾はお前達に会う為にここでずっと待っていたのだと』
少女『女王様…』
女王『……手を離しておくれ』
女王『お前達はこれから大きな運命の流れに巻き込まれてゆくであろう。それは時に多くの人間の運命を左右する決断を迫るやも知れぬ』
女王『だが、決して選択を他人に委ねてはならん。敢然として己が手に取るのだ』
女王『…頑張りなさい』スゥ
少女『女王様!』
- 666 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/12/04(土) 23:50:50.02 ID:Mqqmt2AO
女王『あ…父上、母上………』ポロポロ
少女『女王様ー!』
―アリガトウ、お嬢ちゃん
お嬢ちゃんに良き巡りあれ――
少女『女王様…お幸せに……』グシッ
侍「…」ギュゥッ
- 669 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/12/05(日) 00:08:53.78 ID:UixtiEAO
―地理学者と歴史学者、それに一部の魔術師は頭を抱えた
地図にも年表にも載っていない国が突然現れた
大平原のど真ん中、幾つかの国境が交わる場所に都は姿を現した
各国の学者は、この発見を国民に、有識者に、あるいは国王に知らせた
しかし彼らは「はて?」と首を傾げる
そして決まって
「あの国は昔からあっただろう」
と言う
学者と魔術師は頭を抱えた
- 670 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/12/05(日) 00:22:53.79 ID:UixtiEAO
=出会いと別れの国 燈春=
西の大陸有数の自由商業都市として名を馳せているこの国には、多くの謎がある
何故、新通貨の導入が一番遅かったのか?
何故、暦の普及率が低いのか?
何故、墓地が狭いのか?
何故、武闘大会を年中開催しているのか?
些細な問題かも知れないが、これらの答えを知っている者は一人もいない…
そして、燈春最大の謎
「国王はどこにいるのか?」
を教えてくれる者も―
- 671 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/12/05(日) 00:28:08.86 ID:UixtiEAO
少女『これでこの国ともお別れだね』
侍『…』
少女『…』
ギュッ
侍『!』
少女『いっしょだよ』
侍『…』フッ
『おーい!』
少女『あ!』
地獄の遣い『黒髪! 今度戦う時は俺が勝つからなァ!! それまで死ぬなよ!』
侍『…』スッ
地獄の遣い『嬢ちゃんも達者でなぁ!!』
少女『仮面さんも! 幸あれ!』
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