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囚姫「助けてっ!」詐欺師(ここはどこでしょう?) 落ちた・・・
1 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:22:31.46 ID:XBs1J/qu0
どうすりゃいいんだ・・・


7 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:29:36.75 ID:XBs1J/qu0
まあ書き溜めは全部できてるから新規で全部投下するわ仕方ない

また長くなるがよろしく頼むぜ


9 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:31:01.37 ID:XBs1J/qu0
詐欺師(確か私は大きな仕事を終えて自宅に帰り、ビールを飲んで布団に入ったはずです)
囚姫「あの、助けてくれます?」ビクビク
詐欺師(それからどうしましたっけ?そこからの記憶が全く無いのはどういう訳でしょうか・・・)
囚姫「人さらいに追われてるのっ!」
詐欺師(ここは見るからにエジプトやアラブといった中東系な土地。さっき
から五月蝿い女性がいますけど、この方はアジア系の顔立ちですね・・・遠くから近づいて
いる男達は中東系でしょうか、ターバンらしきものを巻いてますから)
囚姫「嗚呼・・・もう追い付かれちゃった」
詐欺師(さっき通り掛かった人は白人でした・・・なんなんでしょうこの無茶苦茶な世界は)
囚姫「もうダメ、捕まったらあいつらの思うがままに弄ばれて・・・」\\\
詐欺師「さっきから私に話しかけているのですか?何の御用でしょう?」
囚姫「だーかーらー!人さらいに追われてるんだってば!ちょっとは可哀相だと
思わないの?助けなさいよっ!」プンプン


10 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:32:06.55 ID:XBs1J/qu0
詐欺師「傲慢な方ですね・・・あなたを助けたところで私に何かメリットがあるのでしょうか」
囚姫「メリットって何?」
詐欺師「つまり、あなたを助けることによって私にプラスになることです」
囚姫「えっと・・・そしたら金貨100枚でどう?」
詐欺師「金貨ですか、それは円に換算するといくらくらいになるのですか?」
囚姫「エン?どこの通貨?」
詐欺師「日本という国の通貨ですけど、ご存知ありません?」
囚姫「ニッポン・・・聞いたことない」
詐欺師(やはり、全く信じがたい話ですがここは私が元いた場所とは全く別の場所だと考える
しかないようですね。今時金貨を貨幣として扱っている国などそうないでしょうから)
囚姫「とにかく!金貨100枚払うから助けてよっ!」ソワソワ
ザッ!!
人さらい「見つけたぜ、探したんだからな」
囚姫「ヒッ・・・」コソコソ
詐欺師(人の後ろに隠れないでいただきたい・・・)
人さらい「お兄さんすまないね、うちの子が迷惑をかけたようだ。さあ早くこっちに来い!」グイッ
詐欺師(手にはムチ・・・人さらいの話も本当ですか。時代錯誤もはなはだしい。いや、ここが私の
元いた時代・・・いや、世界でないのならこれが普通なのかもしれませんね)
囚姫「いやあっ!」ジタバタ
人さらい「暴れるんじゃねぇよっ」バシッ


12 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:33:21.44 ID:XBs1J/qu0
囚姫「痛いっ!痛いってばっ」
詐欺師(はあ・・・気が進まないことこの上ないですが、仕方ありませんね。目の前でさらわれよう
としている女性を放っておいては夢見が悪いですから・・・)
詐欺師「ちょっとお待ちいただけますか?」
人さらい「ああ!?なんだよ」
囚姫「・・・」ビクビク
詐欺師「あなた方はこの女性をどうなさるおつもりですか?」
人さらい「なんだ、そんなことも知らないのか。さてはお前さん他所モンだな?」ゲラゲラ
詐欺師「お恥ずかしながら、この国にはさきほど来たばかりなもので」ニコニコ
人さらい「こいつは奴隷として売られるのさ、農奴になったり、娼婦として稼がせたり、まあ使い道
は色々とあらあな」ハッハッハ
詐欺師「そうですか、この国では奴隷が認められているのですね」
人さらい「お前さんの国では奴隷を売り買いできないのかい?」
詐欺師「ええ、法によって禁じられています」
人さらい「そりゃあ不便だろうよ、こんなに便利な`モノ´もないからな!はっはっは!」
詐欺師(人をモノ扱いですか、虫唾が走りますねこれは)


13 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:34:24.96 ID:XBs1J/qu0
詐欺師「でもこの国では買えるのですね?」
人さらい「ああ、問題ない、お上が認めてるんだからな。さてはお前さんこいつが気に入ったな?」
詐欺師「さてどうでしょう?」ニコニコ
人さらい「こっちが逃がしたせいでお前さんには迷惑もかけたしな、特別価格で売ってやろうか?」
詐欺師「本当ですか?ありがたい申し出ですが、いくらで売っていただけるのでしょう?」
人さらい「そうさなあ・・・こいつほどの器量良しなら大体金貨400が相場だが、今回は
特別だ、金貨350か王家承認紙幣3万5千でいい」
詐欺師「すみません、その金貨というのは物に例えるとどれだけの物が買えるのでしょう?
あいにく今は持ち合わせがないもので・・・他に変わりになるものがあればと思うのですが」
人さらい「そうだな・・・大体ラクダ一頭で金貨150ってところだな」
詐欺師(生身の人間がラクダ3頭とほぼ同じ値段・・・なんという腐った制度でしょう、奴隷というのは)
人さらい「で、どうすんだあんちゃん」
詐欺師「すみませんが今は金貨も紙幣もラクダも持っておりません、ですがこちらで変わりになる
でしょうか?」ゴソゴソ
人さらい「これはなんだ?金貨・・・じゃねえな。銀色だけど光ってない」
詐欺師「ええ、これは私の住む国の通貨で『円』と申しまして、とても珍しい材質でできております」


14 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:35:50.58 ID:XBs1J/qu0
人さらい「ちょっと貸してみな・・・なんだこりゃあ!?」
詐欺師「軽いでしょう?」ニコニコ
人さらい「ああ、俺たちの使う金貨と大して変わらない大きさなのに重さが全然違う・・・こいつはすげえ!」
詐欺師(やはり・・・金を貨幣として使っているならこれは知りませんよね)
詐欺師「私の国ではこの軽くて丈夫な材質を利用して重要な物を作っておりまして・・・これは
金よりもはるかに希少価値の高いものでございます」
人さらい「ああ、わかるぜ。金貨みたいに噛んでも歯型がつかねえのに鉄のように重くねえ」ガジガジ
詐欺師「私は今この硬貨を4枚持ち合わせております、国ではこの硬貨は金の約100倍の値段が付けら
れますから、この4枚とこの人を交換ということでいかがでしょうか?」
人さらい「こりゃあ珍しいモンを出してくれたな、文句はねえぜ!キャラバンに戻れば自慢もできるしな!」ガハハ
詐欺師「ありがとうございます。いい買い物をさせていただきました」
人さらい「あばよ!お前もちゃんと新しい主人のために稼ぐんだぞ!がははは」
囚姫「いーっだ!」ベー


15 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:37:01.89 ID:XBs1J/qu0

・・・・

詐欺師「さてと、これでいいのでしょうか?」
囚姫「助かった!ホントにありがとうっ」
詐欺師「いえ、私は契約の元にあなたを助けたに過ぎませんから」
囚姫「たははっ、そうだったねっ。金貨100枚はちゃんと払うよ、だけど今は持ってないから私のお父さん
のいる町まで一緒に来てくれる?」
詐欺師(ふむ、この娘には人を騙せるほどの知恵はなさそうですし、今私がいる状況を把握しておきたい。
ここは素直に付いていってみますか)
囚姫「来てくれる?」
詐欺師「わかりました、行きましょう」
囚姫「わーい!私は囚姫っていうんだ、あなたはっ?」
詐欺師「詐欺師と申します」
囚姫「詐欺師さんか、よろしくねっ!旅は靴ずれ世はお酒っていうし!」
詐欺師「旅は道連れ世は情けです」
囚姫「はうっ・・・」
詐欺師(この子はちょっと頭が弱いみたいですね・・・いや、ただのアホかもしれませんが)
囚姫「とにかくっ!私の町まではちょっと距離があるからどこかで乗り物を手に入れないと・・・
あの人さらい共め、こんなとこまで引っ張りまわしやがって!」プンプン
詐欺師「この近くに人がいるところはないのですか?」
囚姫「確か近くにオアシスがあったと思うよ、行ってみよっ」


16 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:38:10.88 ID:XBs1J/qu0
─オアシス

商人「えーっらっしゃい!取れたてのサソリをつかったサソリ酒、一杯で銀貨5だよっ!安いよー」
詐欺師(サソリ酒・・・これ飲んでも大丈夫なんでしょうか・・・)
囚姫「詐欺師さんっ、こっちこっち」テッテッテ
詐欺師「そんなに急がなくてもいいじゃありませんか」
囚姫「え?別に急いでないよー」
詐欺師(元から落ち着きの無い性格なんですね・・・)
囚姫「これこれっ!ラクダがないと始まらないからねっ」
詐欺師「ラクダを借りて行くのですか?」
囚姫「そうそうっ、おっちゃん!2頭貸してー」
ラクダ屋店主「あいよっ、お金は着払いかい?」
囚姫「うんっ、そんなに遠くないから大丈夫だよー」
ラクダ屋店主「そうかい、じゃあ好きなの2頭持っていきな」
囚姫「ありがとー」
詐欺師(これは日本でいうタクシーみたいなものですね、運転手は自分ですけど)
囚姫「ラクダも手に入れたし水も確保おっけいっと・・・あとはちょっと食料が必要だねっ」
詐欺師「食料はさっきの人さらいの方に少しわけていただきましたよ?」
囚姫「あ、そうなんだ・・・そういえば珍しいものをもらったって喜んでたもんね」
詐欺師「準備が済んだのなら向かいましょう、いろいろとここについて聞いておきたいこともあるので」
囚姫「おっけー!行こう行こうっ」


17 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:39:19.05 ID:XBs1J/qu0
─道中 ラクダの上

囚姫「・・・ということなんだよっ」
詐欺師(なるほど、大体は理解できました。ここはバルバット王国という国で、近くにアラブやエジプト
といった国は存在しない・・・気候や環境はほぼ同じですから、やはり私が元いた世界とは一線を隔す
世界のようですね)
詐欺師「参考になります、助かりました」
囚姫「いえいえっ!ところで詐欺師さん」
詐欺師「なんでしょう?」
囚姫「さっき人さらいに渡してたお金、見せてくれない?あんなすごいお金私も触ってみたいっ」
詐欺師「いいですよ」ゴゾゴソ
囚姫「うわー、これが金よりももっと高いお金かー・・・ホントに軽いっ」
詐欺師「くくくっ・・・馬鹿言っちゃいけません、それが金よりも高いわけがありませんよ」
囚姫「えっ?どういうことっ?」
詐欺師「これはアルミニウムという金属です、私の国では普通に見られる物ですよ。値段は金の5000分の1
といったところでしょうか?」クスクス
囚姫「もしかして・・・騙したのっ?」
詐欺師「ええ、私は詐欺師ですから。人を売り買いするような神経の持ち主ならちょろいものです」


18 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/25(木) 22:40:32.00 ID:XBs1J/qu0
囚姫「詐欺師って、あの詐欺師っ?」
詐欺師「ええ、『あの』詐欺師です」
囚姫「詐欺師ってかっこいいんだねえ・・・」
詐欺師「そうですか?所詮人を騙して金品をすすり上げる悪党に過ぎませんよ」
囚姫「でも私を助けてくれたもんっ!悪い人じゃないよっ」
詐欺師(なんという純粋さでしょう・・・騙す気も失せますね)
囚姫「詐欺師さんって何歳なの?」
詐欺師「今年で23になります」
囚姫「へえー、私は今年で15」
詐欺師「っ!?」
囚姫「そんなに驚くところ?まだ旦那さんもいないから安心して良いよっ」
詐欺師(この世界では15歳で結婚というのは当たり前みたいですね、しかしこれで15とは・・・最近の
娘は発育がいいというかなんというか・・・)
詐欺師「いえ、年齢よりも大人びて見えたので少し驚いてしまいました、すみません」
囚姫「謝らなくてもいいのに、変な詐欺師さんっ!詐欺師さんはお嫁さんはいないの?」
詐欺師「ええ、私なんかと連れ添ってくれる人はなかなか現れませんよ。神様は意地悪ですね」
囚姫「そっかあ・・・いないんだ・・・」ポッ
詐欺師(なんか妙なフラグが立ちそうな雰囲気ですね・・・何も無ければいいですが)



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