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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その28
181 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:21:25.63 ID:4GFEWSL1o


魔道士「たっだいまー!」

戦士「おっ、お前らも帰ってきたか!」

王子「そっちも?」

戦士「ああ。ちょうど今しがた……」

テクテクテク

盗賊「……ただいま」

魔道士「あっ、皆さんも今お戻りですかっ?」

帝「ああ。すっかりのんびりしてしまった」

王子「本国はどうでした?」

帝「いやぁ、大変有意義であったぞ、楽しかった。なぁ?」

東方司令「ええ、そりゃあもう」

三男「私も堪能出来ました。本当にこのような機会を設けて頂き有難く思う」

戦士「今度は、ゆっくりと楽しみましょうぜ」

魔道士「そうですよっ!みんなでの〜んびり、もちろんプライベートでですよっ」


182 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:22:03.38 ID:4GFEWSL1o


召喚士「あっ、お帰りなさい」

魔道士「ただいま戻りました〜」

青年兵「ご無事で何より。さぁ、皆様方はエリート様がお待ちですよ」

帝「うむ。すっかり待たせてしまったようだな」

三男「戦士殿、今日は本当にありがとう」

王子「お姉ちゃんもありがと!またデートしようね!」

魔道士「うんっ!えへへ!」

テクテクテク

戦士「さーて、俺達も……」

召喚士「実は天才さんが、本部まで来いって」

戦士「マジかよ。仕方ねーなぁ」

盗賊「……最後の……確認か?」

召喚士「みたいです」

魔道士「……っ」


183 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:23:29.59 ID:4GFEWSL1o
〜国軍本部、作戦会議室〜

テクテクテク

召喚士「お待たせしました」

天才「おい、来たか。んじゃ始めるぞー」

バサッ

大軍師「それでは、地図をご覧下さいませ」

集った一同が着座する事もなく、中央のテーブルに広げられた地図に目をやる。

大軍師「今回の作戦は本国が南北、更に同盟国により東西と4方向同時進行です」

左翼長「兵站が伸びすぎだな。連携が取れるとは思わん方がいい」

南方司令「だな。各地、各々の判断で動くべきだと思う」

天才「その通りだ。頼りの電話は……」

博士「三日月島から本国。そしてそこから中継で鉱山の町までは通じてるのら」

天才「南は?」

博士「突貫で進めているが、陸を越えるのが精一杯なのら」

天才「構わん。そこにひとまず基地局を設置しよう」


184 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:24:11.06 ID:4GFEWSL1o
南方司令「了解した。戻り次第すぐに取り掛からせよう」

左翼長「そんで、作戦開始日時は?」

天才「明日にでも構わんぞ」

左翼長「……随分とまた、急な話だ」

天才「キーパーソンの行方が掴めたからな。それに、各国足並み早かったし」

大軍師「そうですね。というか、分かってたんじゃないんですか?」

天才「まさか。あ、そうそう、それで思い出したが……予言の小娘はどうした?」

大軍師「……吹っ切れたようですが、力はまだ戻っていないようですね」

天才「ちっ、仕方ねーなぁ」

青年兵「……」

天才「ま、安心しな。今回の戦いじゃ誰も死なねぇからよ」

召喚士「嫌な……言い方ですね」

天才「……っと」

大軍師「そうは言っても、その予言もかなり昔の事。何があるか分かりません」

天才「まーあんまり力むな。魔王討伐前の、最後の修行だとでも思え」


185 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:25:12.68 ID:4GFEWSL1o
盗賊「……」

天才「さて、本命は三日月島で待機して、南北の連絡を待つとするか」

大軍師「そうですね。早くて3日後、遅くとも1週間後には開始したいと思います」

左翼長「それまでに合わせろってか」

天才「既に伝令飛ばしてんだろ?テメーらの支部にゃ雑魚しかいねーのか?」

南方司令「……まさか」

天才「だろ?じゃあ問題ねぇ」

大軍師「実際の指揮は青年兵殿、君にお任せ致しますよ」

青年兵「……はい」

大軍師「私も参謀として同行致します。何かあればどんどん助言を求めて下さい」

青年兵「ありがとうございます」

天才「あとは現地次第だ。各自、備えだけは怠るなよ!」

戦士「おう」

盗賊「……いよいよか」

魔道士「いよいよですね」


186 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:26:24.20 ID:4GFEWSL1o


天才「以上、最後にこの言葉を送る」

戦士「……?」

天才「勇敢と無謀を履き違えてはならない!」

盗賊「……」

天才「慎重と臆病を履き違えてはならない!」

魔道士「…」

天才「自信と慢心を履き違えてはならない!」

召喚士「……」

天才「勇者は一人であり、全員が勇者である!」

ダンッ!!

天才「……勝つぞ、何がなんでもな」

一同「おぉーっ!!」

魔道士「頑張りましょう……っ!」

召喚士「……はい!」


187 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:27:25.34 ID:4GFEWSL1o


ザッザッザ

天才「おう」

召喚士「……?」

天才「必要なものがあったら言え。こっちで手配する」

召喚士「そうですね……」

天才「物資じゃなくてもいいぞ」

召喚士「俺らが必要なものは……」

天才「召喚獣か?」

召喚士「……それも……ありますね」

天才「分かった。出来る限りの情報は収集しておく。あとは?」

召喚士「戦士」

戦士「あん?」

召喚士「鉱石の事、どうする?」

戦士「おぉ、そうだな」


188 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:28:22.24 ID:4GFEWSL1o
天才「鉱石?」

戦士「実はよ、これ以外にも付属出来ないかと思ってさ」

大軍師「その斧には、確か火の鉱石が……」

天才「ほー。全身五行の武具で固めようってか」

戦士「……まぁな」

天才「ハーッハッハ!魔力の乏しいお前にしちゃ、なかなか優秀な発想だ」

戦士「何か、手がかりあるか?」

天才「デカい鉱石っつーのは、大抵が因果のある場所に転がってる」

召喚士「そういえば、火の鉱石もあの火山だったよね?」

戦士「ああ」

天才「片っ端から魔王やら眷属始末してりゃ、見つかるんじゃねーか?」

戦士「……なるほど。やっぱりそれクラスにならんと落ちてねーか」

大軍師「小さい物であれば、鉱山でも発掘は出来ますけれどね」

天才「まぁいい。そっちも併せて調べといてやる」

戦士「すまねぇ。助かるぜ」


189 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:29:23.06 ID:4GFEWSL1o
天才「そんじゃ明日明後日はゆっくりしとけ。その後は三日月島だ」

召喚士「分かりました」

天才「あーっと、そうそう」

戦士「……?」

天才「一応、ちゃんと用意はしておけよ?」

召喚士「用意……ですか?」

天才「遺書だよ」

召喚士「……っ」

天才「さっきも言ったが、予言じゃ誰も死なねぇが、万が一って事もある」

戦士「……ああ」

天才「こっから先の戦いってのはそういう事だ。忘れんなよ」

カツカツカツカツ

大軍師「言い方はきついですが、心配しているんですよ」

戦士「そうは思えないけどな」

召喚士「……」


190 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:30:34.81 ID:4GFEWSL1o
ザッザッザ

ジュニア「……おっ?」

天才「お前らもちゃんと準備しとけよ」

賢者「……ふぅ」

ジュニア「日程、決まったのか?」

天才「悪いが余裕かましてる時間はなくなったぞ。すぐだ」

ジュニア「……そうか」

賢者「……」

天才「ほんじゃ頼んだぜ。お前ら二人の力は大きいからな」

ジュニア「買い被りすぎだよ」

天才「……あーそうそう」

ジュニア「……?」

天才「……何でもねぇ。やっぱいいわ」

ザッザッザッザッザ

ジュニア「何なんだよ……」


191 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:31:25.67 ID:4GFEWSL1o


召喚士「……」

スッ…ピトッ

召喚士「!?」

魔道士「はい、どうぞっ。暖まりますよ」

召喚士「ありがとうございます。いい匂いですね」

クイッ…ゴクッ

魔道士「……どうしたんです?一人で公園なんかに」

召喚士「いえっ」

魔道士「……やっぱり……不安ですか?」

召喚士「えぇ、まぁ……」

魔道士「召喚士さんでも、やっぱそうですよねぇ……」

召喚士「魔道士さん……」

魔道士「私も、実はすっごい……怖いんです」

召喚士「……」


192 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:32:17.95 ID:4GFEWSL1o
魔道士「あっ、でも……もちろん、ちゃんと戦いますよっ」

召喚士「えっ、あ……えぇ」

魔道士「最初は、ワーカーになって戦って……」

召喚士「……」

魔道士「でも、だんだんと本当にこれでいいのかなって、思った時もありました」

召喚士「……でも、今は」

魔道士「ええ。やっぱり戦う事は怖いし、出来れば避けたいですけれど」

召喚士「……」

魔道士「人間も魔物もどちらも平和に暮らす為には、倒さなきゃいけない敵がいるんです」

召喚士「その通りですね」

魔道士「だから、怖いけど……戦います、私」

召喚士「はい。頑張りましょう」

魔道士「……っ」

テクテクテク

召喚士「……?」


193 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:33:34.55 ID:4GFEWSL1o
ピトッ

召喚士「――っ!?」

魔道士「ちょっとだけ……こうさせて下さい」

召喚士「ちちっ、ちょ……」

魔道士「召喚士さんの勇気、少し欲しいから……」

ギュッ

召喚士「……っ」

魔道士「心臓の音、よく聞こえる……」

召喚士「……」

魔道士「……ずるいです」

召喚士「へ……っ」

魔道士「私だけ……。召喚士さんもして下さい」

召喚士「!?」

魔道士「……ぎゅって、して」

召喚士「魔道士さん……っ」


194 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:34:36.21 ID:4GFEWSL1o
ソーッ……ギュッ

魔道士「……えへへ」

召喚士「……っ」

魔道士「ごめんなさい。今日だけですから。こうしてたいの……」

召喚士「……はい」

テクテクテクテク

戦士「……何してんだ?」

王子「しーっ!」

盗賊「……あれ、召喚士と魔道士か」

王子「やっぱり、お姉ちゃんには召喚士お兄ちゃんかぁ」

戦士「あん?」

王子「何でもないよ。男はこうして強くなってくんだって」

盗賊「……?」

王子「お二人さんも頑張ってね!それじゃおやすみっ!」

タッタッタッタッタ


195 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/23(土) 23:35:37.00 ID:4GFEWSL1o
戦士「頑張る?……何をだ?」

盗賊「……さぁ」

これより4日後。国軍本部に南方司令部より第一報が電話にて入る。

その内容は、南方軍、約4万の軍勢が赤壁にて集結。半日内に南下侵攻予定。

遅れること数時間、鉱山の街に臨時本部を設置した北方軍より同じく入電。

北方軍約6万5千が数時間内に北方司令部へ集結予定との内容。

これを受けた国軍本部はついに、アンラ・マンユの眷属討伐作戦を開始。

総大将である青年兵を筆頭に、集った精鋭が三日月島へと出陣した。

気の長くなるような、休む事のない一年弱を要する戦いの毎日。

それは即ち、後世にまで長く伝えれる一年戦争の幕開けであった。



〜第四十五部、完〜



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