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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その12
643 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 18:17:07.49 ID:qOB8NJco
〜西門前〜

テクテクテク…

朱雀嬢「あ、やっと来ましたわ!」

召喚士「すいません遅くなりました!本当に申し訳ないです!」

朱雀嬢「まぁ…朱雀先生がそう仰るのなら…」

魔道士「お土産はもう大丈夫?」

玄武娘「はい。バッチリですの」

戦士「んじゃ行くかー!」

召喚士「まずは南方…東の町ですね!」

盗賊「…うむ。そしてその後は」

魔道士「スグリーヴァさんのところですね!」

法師「宜しくお願いします」

戦士「それじゃあ出発ー!!」

魔道士「「おーっ!エヘヘ!」

玄武娘「ですの!!」


644 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 18:48:47.32 ID:qOB8NJco
〜分かれ道〜

戦士「全てここから始まったんだよなぁ…」

魔道士「そうですね…」

召喚士「……うん」

盗賊「……」

法師「土地のせいとはいえ、面白い作りになったものです」

召喚士「ええ…」

法師「人は出会い、そして別れてゆく…」

盗賊「……」

法師「しかし道が繋がっている限り…再び出会う事が出来るのです」

玄武娘「なるほど…。その通りですの!」

法師「余計な事でしたね…。さて、先を急ぎましょうか」

白虎嬢「いえいえ、勉強になりますね〜」

召喚士「ええ…」

一同は分かれ道を南下し、南方へと移動する。


645 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/08(月) 18:54:58.52 ID:qqJuwIQo
朱雀嬢が召喚士にデレモードか…


646 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/08(月) 18:57:08.06 ID:Dj6CMsAo
朱雀嬢は召喚士におんぶされてたあたりから何かあると思っていたが……


647 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/03/08(月) 19:04:42.00 ID:qOB8NJco
では一旦抜けます!今日中に突っ走りたいなぁ…
ご支援ありがとうございました!感謝!ノシ


649 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/08(月) 19:36:59.52 ID:TBLjqISO
>>1乙〜。
今日の分はしっかり頂きましたから
焦らなくてもいいですよ^^

法師(…まぁ、兄上が本気で嫉妬して、私に毒を盛った事は黙って置こう…。)


650 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/08(月) 20:28:02.02 ID:Rqr1g2DO
>>1乙!
華国編も面白かったぜー!
剣士と召喚士の絡みが個人的には凄く良かった。
いつか魔王を倒して平和になって二人がまた話を出来る時がくればいいな!


660 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:07:02.61 ID:bBVE5mMo
〜南方、東の町〜

玄武娘「到着ですの!」

白虎嬢「ですね〜」

魔道士「なんとか日没には間に合いましたねー!」

戦士「日も長くなってきたなぁ」

盗賊「…うん」

召喚士「あっ…!?」

戦士「どした…?」

召喚士「あ…いや、何でもない」

盗賊「…?」

朱雀嬢「…では、ここまでで結構ですわ」

召喚士「え?いやいや、送らせて下さい」

朱雀嬢「もうすぐそこですし…大丈夫ですわ」

召喚士「……じゃあ、みんなで一緒に食事を」

魔道士「良いですねー。そうしましょう!えへへ!」


661 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:07:30.47 ID:bBVE5mMo
〜食事処〜

盗賊「…大丈夫…ですか?」

法師「ええ。前において頂ければ問題ありません」

盗賊が目の前に差し出した料理を、法師は器用に箸で口元へ運ぶ。

戦士「しっかし…、相変わらずよく食うな…」

玄武娘「そうでもないですの。ダイエッ……」

朱雀嬢「毎度毎度不愉快ですわ!」

白虎嬢「まったくですね〜」

魔道士「本当です…」

盗賊「……皆…目が怖い」

戦士「ちくしょー!久々の酒だぁ、飲むぞーっ!!」

魔道士「ほどほどにして下さい!」

戦士「何だよ!いいじゃんか!」

召喚士「はははっ!」

盗賊「…ふふっ!」


662 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:07:56.48 ID:bBVE5mMo


白虎嬢「ご馳走様でした〜」

玄武娘「腹八分目ですの」

朱雀嬢「貴方はねぇ…」

魔道士「皆さん本当にありがとうございました!」

召喚士「ええ。お陰で助かりました」

法師「感謝致します。ありがとう」

玄武娘「私たちは仲間ですの!いつでも駆けつけますの!」

玄武娘は指輪を召喚士達へ向ける。

それを見た朱雀嬢も照れ臭そうに指輪を見せる。

召喚士「…ははっ!そうですね!!」

朱雀嬢「朱雀先生…。また、お会いしましょう」

召喚士「勿論です!」

玄武娘「それでは…御機嫌ようですの!」

魔道士「元気でね!またねーっ!!」


663 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:08:22.97 ID:bBVE5mMo


テクテクテク…

召喚士「本当に良かったんですか?」

法師「ええ。泊まらずとも問題ありません」

戦士「俺達は別に何ともないけど…」

法師「私も平気ですよ。それにいち早く会ってみたい…」

盗賊「……」

法師「心の通じる魔物…。興味深いです」

魔道士「凄いいい方達ですよ!」

戦士「そっか。お前らは親分に会ったんだっけか」

盗賊「…ああ」

召喚士「それじゃあ…先を急ぎましょうか…!」

魔道士「はいっ!頑張りましょう!」

法師「…ええ」

一同は再び足を進め、スグリーヴァの居城を目指す。


664 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:11:28.06 ID:bBVE5mMo
ザッザッザッザッザ…

戦士「こんなところに入り口があんのか?」

魔道士「はい。ねぇ…盗賊さん?」

盗賊「…ああ。確か…このあたり…」

召喚士「崖下は霧で何も見えないな…」

テクテク…

法師「……もしや、ここか?」

法師は崖の前に立ち、足元を指差す。

盗賊「…確かにそのあたりだ」

魔道士「す、凄いですね…!!」

法師「いや…見えぬ故、逆に何かを感じるのだ」

戦士「……へぇ」

召喚士「心の眼…と言ったところですかね…」

盗賊「…心眼」

法師「…そうかもしれませんね。では、行きましょうか」


665 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:12:01.14 ID:bBVE5mMo
〜スグリーヴァの居城〜

戦士「……すげぇ…!」

召喚士「まさか…あの細い橋の先に、こんな城があるなんて…」

戦士「誰も思わないわな…」

法師「崖下なら、空からの襲撃にも備えられる…」

召喚士「天然の要塞ですね…!」

盗賊「……こっちだ」

ザッザッザッザッザ…

盗賊を先頭に、一同は城門前へと辿り着く。

召喚士「誰も見当たりませんね…」

盗賊「…行こう」

コヴンッ…ギイイィィ…

魔道士「勝手に入っちゃって…大丈夫ですかね…?」

戦士「っても、誰もいねーしなぁ……」

盗賊「…!?」


666 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:12:28.86 ID:bBVE5mMo
シュバッ!!…スタッ…

盗賊「…剣を納めてくれ…勝手に入ってすまない」

召喚士「…お久し振りです!」

チャキッ…

ハヌマーン「お主らか…?」

魔道士「ただいま戻りました!!」

ハヌマーン「…無事、終わったようだな」

戦士「おうよ!色々とすまなかったな!!」

ダッダッダッダッダ…

オーク「おかえりなさい!!」

魔道士「オークさん!」

戦士「よぉ!元気そうだな!!」

オーク「戦士さんも無事で…良かったです!」

戦士「今回はちょっと危なかったけどな…」

召喚士「……うん」


667 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:14:05.73 ID:bBVE5mMo
ハヌマーン「そちらの御仁は?」

法師「お初にお目にかかります。法師、と申します」

ハヌマーン「これはどうも。失礼、もしや目を…?」

法師「ええ。しかし、そのお陰で…よく感じ取る事が出来ます」

魔道士「…?」

法師「貴方が魔物であるという事…」

ハヌマーン「……」

法師「そして…ここにいる魔物に敵意の無い事が」

召喚士「法師さん…」

ハヌマーン「成程…。そして貴公が此処を訪ねられた理由は…」

法師「はい。貴方の主、スグリーヴァ殿にお会いしたく…」

ハヌマーン「……分かりました」

盗賊「……」

ハヌマーン「召喚士殿、戦士殿も是非ご一緒に」

召喚士「ありがとうございます」


668 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:14:46.05 ID:bBVE5mMo


盗賊「……」

法師「……」

ハヌマーン「……」

ドズゥンッ…ドズゥンッ…

戦士「…で、でけぇ…!!」

召喚士「この方が…スグリーヴァ様…!」

ハヌマーン「我らが猿王、スグリーヴァ様にあらせられる」

スグリーヴァ「ご苦労…」

ハヌマーンは頷き、スグリーヴァの脇へと控える。

法師「初めてお目にかかります…」

スグリーヴァ「このような所まで…奇特な人間であるな」

法師「俗世を捨てた身であります故…」

スグリーヴァ「ふぅむ…。良かろう、語られよ」

法師「有難く……」


669 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:15:24.74 ID:bBVE5mMo
スグリーヴァ「その前に……」

スグリーヴァは召喚士と戦士を見る。

スグリーヴァ「ハヌマーンより全て伺っておるぞ」

召喚士「召喚士と申します」

戦士「戦士…です」

スグリーヴァ「先の羅刹について…、まこと感謝致す」

召喚士「こちらこそ…!」

スグリーヴァ「聞いておると思うが、我らはお主等の味方だ」

召喚士「……はい」

スグリーヴァ「今後も互いに力となれば…と考えておる」

召喚士「俺もです…!!」

スグリーヴァ「ふむ。良き目をしておる…!」

召喚士「そ、そうですか…?」

スグリーヴァ「はーっはっはっは!!よろしくな召喚士殿!」

スグリーヴァは高らかに笑い、大声は部屋中に響き渡った。


670 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 18:59:18.23 ID:bBVE5mMo
キイィ…バタンッ

戦士「何時間話す気だよ、あの二人…」

魔道士「熱心な議論になってましたねぇ」

盗賊「…うん」

ハヌマーン「まもなく日の出か…」

召喚士「…ええ」

戦士「さーてと、ぼちぼち行くかね?」

召喚士「そうだね」

盗賊「……」

ハヌマーン「法師殿は我らに任されよ」

魔道士「はいっ」

召喚士「…宜しくお願い致します」

ハヌマーン「かの者となら…良好な関係が築けるであろう」

戦士「そうだな!!」

召喚士「うん」


671 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 19:02:19.05 ID:bBVE5mMo
〜城の前〜

ハヌマーン「では…!」

召喚士「また、会いましょう!!」

魔道士「お邪魔しましたー!」

ダッダッダッダッ…

オーク「おぉーい!!」

戦士「オーク!?」

オーク「もう行っちまうんですか?」

召喚士「ええ。いつまでもお世話になってるわけには…」

オーク「そうですか……。あぁ!!」

盗賊「…?」

オークは慌てて城門の脇より多股の槍を持ってくる。

オーク「戦士さん!これ…返さないと!!」

戦士「…あ、そうだったな!!」

オークは槍を戦士に手渡す。


672 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 19:05:03.12 ID:bBVE5mMo
戦士「……」

ズイッ…

オーク「……え?」

戦士「これはお前が持っててくれや」

オーク「え…えぇっ!?」

戦士「俺には三本も使いこなせねぇよ…」

戦士は立てかけてある十文字槍と戟を見つめる。

召喚士「増えちゃったもんね…」

戦士「その槍…お前に託したぜ…!」

オーク「う…うぅ…っ…!!」

魔道士「オークさんなら使いこなせますよっ!エヘヘ!」

盗賊「・・・あぁ。・・・きっと」

オーク「ありがとう…ありがとうございます!!」

戦士「じゃあな…!!」

ゴソゴソッ…バタバタバタッ…


673 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/09(火) 19:07:46.52 ID:bBVE5mMo
騒がしい物音に一同は上を見上げる。

ゴブリン「おーい!!お気をつけてー!!」

戦士「あ…あいつら!」

ゴブリン「剣士さんにーよろしくねー!!」

魔道士「わかりましたー!!」

召喚士「皆さんも頑張って!」

ゴブリン「お達者でー!!」

ハヌマーン「道は分かるか?」

盗賊「…うん。大丈夫」

ハヌマーン「そうか。旅の無事を…!」

召喚士「はい!」

魔道士「さよーならー!」

オーク「また来て下さいねー!」

ゴブリン「じゃあねー!!」

魔物達は四人の姿が見えなくなるまで、笑顔で見送った…。


674 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/03/09(火) 19:09:03.14 ID:bBVE5mMo
こんばんは!昨日は夜来れなくてすいませんでした!
あとちょっとで十二部も終わりますです!ノシ


677 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/09(火) 19:30:12.76 ID:dueo7wSO
>>1乙〜。

法師(猿に豚…あとは河童ですね…。)


679 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/09(火) 20:09:10.64 ID:nNVKj6E0
>>677
そういう話じゃねえからwwwww


680 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/09(火) 21:29:04.90 ID:Ow8fdcDO
そういや西遊記の河童って日本の改変なんだよね
元々顔色の悪い妖怪ってだけで河童でも何でも無いとか


681 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/09(火) 23:09:47.71 ID:h/YpSPMo
……

ザッザッザ…

戦士「ふぁーっ!賑やかなのもやっと終わったかぁ!」

魔道士「久々に四人揃った!って感じですねっ!!」

盗賊「……うん」

召喚士「偶然なのか…不思議ですけどね!」

戦士「んあ?」

召喚士「覚えてない?」

魔道士「……あっ!!」

召喚士「今日は俺達が四人出会って、ちょうど一年なんだ」

盗賊「……そうか」

戦士「ほー!良く覚えてたなぁ〜

召喚士「昨日東の町に着いた時、日も長くなったなぁ…って」

盗賊「……」

召喚士「そう考えてたら、そういえば…ってね…!」


682 :GEPPERがお送りします [] :2010/03/09(火) 23:24:01.93 ID:fxcgcoDO
刀に槍に斧に戟か
いよいよ大荷物だな
ほかになんかあったっけ

赤兎でないにしても馬車のひとつくらい欲しいところだな


683 :GEPPERがお送りします [] :2010/03/09(火) 23:30:10.10 ID:TY0Viloo
ファンタジーだから『ふくろ』1個あれば何でも入るよ


686 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/10(水) 00:03:31.45 ID:8wSDvMYo
魔道士「それじゃあお祝いしないとですねっ!」

戦士「そうだなぁ……」

召喚士「じゃあ、南方司令部まで行きましょうか!」

盗賊「……うん」

魔道士「お礼も言わなきゃいけませんからね!」

戦士「ああ。そこでパーっといくか!!」

召喚士「そうしようか!」

魔道士「一年…色々ありましたね…」

盗賊「…うん」

戦士「あっという間だったなぁ…」

召喚士「…そうだね」

魔道士「沢山の人と会って…」

戦士「分かれもあったな…」

盗賊「…人間だけじゃない」

召喚士「魔物も倒し…そして出会いもした…」


687 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/10(水) 00:10:28.02 ID:8wSDvMYo
戦士「次はどうするんだ?」

召喚士「とりあえず南方でゆっくり考えようか」

魔道士「そうですね」

戦士「だな。少し羽を伸ばすのもいいかもしんねぇ!」

盗賊「……ああ」

召喚士「じゃあ向かいましょうか!南の街へ!」

戦士「おうっ!!」

魔道士「出発〜!エヘヘ!!」

盗賊「……ふふっ」



時は遡り、夜明け前の事…

〜南東国、東の街正門前〜

シュンッ…スタッ…ザッザッザッ

闇の中、真っ暗な人影が騎都尉の墓へと近づく。

ネクロマンサー「………」


698 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/10(水) 17:34:45.45 ID:Si/wOLoo
馬貰っときゃ良かったのにww


702 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/10(水) 18:22:10.52 ID:CQ5UiESO
海渡ったり山登ったり砂漠越えたりするわけだから居たら逆に大変になっちゃうべ


703 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/10(水) 18:27:31.39 ID:qS0eEd.o
ススッ…

ネクロマンサー「……何者です?」

ザッザッザッザッザ…

羅刹女「おやアンタは確か…

ネクロマンサー「おやおや、これはどうも」

羅刹女「こんな所に何のようだい?」

ネクロマンサー「少しお手伝いをと思ったのですが…」

ザッ

ネクロマンサー「間に合わなかったようですね…ククッ」

羅刹女「ふぅん…。それで順調なのかい?」

ネクロマンサー「…ええ。まあ」

羅刹女「頼むよ。ラーヴァナ様も心待ちにしておられる」

ネクロマンサー「勿論です。クククッ…」

羅刹女「ほっほっほ…」

ネクロマンサー「ところで…貴女はどのようなご用件で?」


705 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/10(水) 18:30:00.74 ID:qS0eEd.o
羅刹女「………」

カツカツカツ…

羅刹女「この鬼はもともとラーヴァナ様の持ち物でね」

ネクロマンサー「なるほど……」

羅刹女「まぁ…石になっちまったのなら仕方ないか」

ネクロマンサー「……戻しましょうか?」

羅刹女「おや、お願い出来るかい?」

ネクロマンサー「すぐに…というわけにはいきませんが…」

羅刹女「……」

ネクロマンサーは騎都尉の墓より瓢箪を拾い上げる。

ネクロマンサー「これは使えそうですね…」

羅刹女「…そんなものどうするんだい?」

ネクロマンサー「この中に…」

ゴソゴソッ…コロンッ

羅刹女「…?」


706 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/10(水) 18:32:26.88 ID:qS0eEd.o
ネクロマンサー「…ちょっと失礼を」

ズバシュッ!!…ポタポタッ…

羅刹女「…っ痛!」

ネクロマンサーは突如羅刹女の腕を斬る。

ネクロマンサー「貴女の血…頂きますよ」

羅刹女「そうならそうと言ってからにしなよ。乱暴な男だね」

ネクロマンサー「これは、失礼…クククッ」

ネクロマンサーは瓢箪を近づけ、羅刹女の血を注ぎ、瓢箪を振る。

チャポチャポッ…

ネクロマンサー「ふむ…。良さそうですね」

スッ…

ネクロマンサー「後はお名前を呼ぶだけです」

羅刹女「………」

羅刹女は瓢箪を受け取り、石化した大鬼へ向けて叫ぶ。

羅刹女「金角!銀角!」


707 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/10(水) 18:34:28.69 ID:qS0eEd.o
シュイィィンッ…ギュルルルッ!!……スポンッ!!

羅刹女「!?…瓢箪の中に入っちまったよ」

ネクロマンサー「このまま石化解除と分離を待ちます」

羅刹女「…どれほど?」

ネクロマンサー「数年で全快ではないですかね…」

羅刹女「……ふぅん」

ネクロマンサー「まぁ声は聞こえますから、そしたら出して下さいな」

羅刹女「どうやって?」

ネクロマンサー「また名前を呼べばいいだけですよ。ククッ」

羅刹女「……大したものだねぇ」

ネクロマンサー「ありがとうございます…。クククッ!」

羅刹女「それじゃ私は行くよ」

ネクロマンサー「ご苦労様です」

羅刹女「龍脈の心配はせずとも良いからな」

ネクロマンサー「心得ました…。クククッ」


708 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/10(水) 18:36:09.72 ID:qS0eEd.o
コツコツコツ…ヒュンッ

羅刹女は振り向き歩くと、そのまま姿を消した。

ネクロマンサー「……さて」

ザッザッザ…

ネクロマンサー「これまた素晴らしき人形…ククッククク!」

ゴソッ…シュルシュルッ…

ネクロマンサー「ただの墓泥棒ではなんとも下品ですねぇ…」

ネクロマンサーは包帯を外し、首を捻って呟く。

ネクロマンサー「代わりの死体でも用意して…埋めておきますか。ククッ」

ガシィ…ザッザッザ…

ネクロマンサー「うーん…。しかしこの地ならば顔を見せるかと思いましたが…」

ザッザッザッザッザ…

ネクロマンサー「残念です。不良品は早く回収しなくてはいけませんからね」

シュバッ……

ネクロマンサーの姿が消え、再び静寂が訪れた…。


709 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/10(水) 18:39:53.97 ID:qS0eEd.o
〜東の町、宮廷の朝〜

魔物は退散し、南東国は一応の平穏を見せた。

しかしながら長兄は魔王軍との結託を図ったとされ、

止む無く密葬での処置と相成り、汚名を被っての崩御となった…。

更に次兄は、此度の動乱を招いたとして、形式上は追放の処置。

(しかしながら、実際は弓将軍の暗躍によるものらしい)

残った重臣は白馬将軍を大将軍に据え、側近らを三公に据えた。

これでしばらくは国内もまとまり、平穏が訪れるであろう。

私は華国の皇帝として、再び繁栄に努めるつもりである。

パラッ…

三男「……ふう」

コンコン

三男「…はい」

側近「陛下。まもなく会議が始まりますぞ」

三男「うん。今行くよ」

三男は手記を机に置き、部屋を後にした。

注ぎ込む風に吹かれ、手記はぱらぱらと花弁のように開いて揺れた。



〜第十二部、完〜



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