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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その16
- 196 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2010/06/22(火) 17:49:42.78 ID:SMmVimMo
タッタッタ…
青年兵「申し訳ありません。お待たせ致しました」
隊長「おう、ご苦労さん」
男隊員「しっかしあっちではドンチャンやってるっつーのに…」
手にした水筒を顔の上で逆さにし、落ちる水滴を口に含む男隊員。
女隊員「任務なんだから仕方ないッスよ」
隊長「文句言ってんじゃねぇ。ただですら阿呆のせいで一人少ねーんだからよ」
男隊員「分かってますって!ヒャハハ!」
青年兵「では…代わります」
隊長「あーこっちはいい。裏での見張りを頼むわ」
青年兵「休まれなくて宜しいのですか?」
女隊員「気にしなくていいッスよ。いつもの事ッス」
青年兵(凄い人達だ…。これがプロフェッショナルの気構え…か)
隊長「んーじゃ頼んだぞー」
青年兵「かしこまりました。行って参ります!」
- 197 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:50:33.63 ID:SMmVimMo
〜西方司令部〜
フラフラ…
魔道士「あ…っ!大丈夫ですか!?」
副隊長「あ…ええ。ご迷惑をお掛け致しました…」
西方司令「いやっ、こちらこそご迷惑ばかりで…はあぁ…」
西方参謀「この二人…めんどくせぇな…」
盗賊「……」
西方副指令「さぁて、会談はうまくいってるのかしら…」
西方参謀「まーあれだ。互いに結ぶ事で莫大な恩恵があるって事は分かってる」
ウィッチ「……」
西方参謀「あとはどっちが折り合いを付けるか、ただそんだけの話よ…ひっく」
魔道士「なるほどですね…」
盗賊「…同盟って…難しいな」
西方司令「殿下が頑張ってらっしゃるのに…私ときたら…はあぁ…っ」
西方副指令「司令…もう寝たらいかがです?」
- 198 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:51:14.85 ID:SMmVimMo
…
エリート「殿下、そろそろお時間が…」
皇太子「おぉ、もうか。楽しい一時だとついつい時間を忘れてしまうな!ははっ!」
神官「全くです…。ふふっ!」
皇太子「本日はまこと感謝致す。また後ほど改めて…」
神官「ええ。次で結論を出すと致しましょう」
皇太子「…分かった。楽しみにしているぞ!」
両者は立ち上がり、互いに握手を交わし、陣幕を後にする。
ザッザッザ…
戦士「おっと…!神官さん、戻るのか?」
神官「ええ…。一旦仕切りなおして…昼より改めます」
戦士「…そっか。そんじゃ戻るか!」
神官「え…?皆さんとご一緒されては……」
戦士「俺は西国側の人間として来たんだ。最後まで神官さんとともに行動するよ」
神官「戦士さん……」
- 199 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:51:58.33 ID:SMmVimMo
戦士「つぅわけだ。また後でな!」
召喚士「うん。気を付けて…!」
神官「…それでは、失礼致します」
テクテクテク…
サモナー「戦士くんらしいね…」
召喚士「ええ…」
サモナー「僕らも行こうか。他の人達も出発するみたいだよ」
召喚士「あ、そうですね。行きましょう!」
皇太子を中心に隊列が組まれ、先頭の隊長が声を張る。
隊長「おーし、殿下がご帰還されるぞ。護衛に付け!」
女隊員「了解ッス!!」
エリート「では、出発!」
パッカパッカパッカ…
5時間に及ぶ本国と西国の会談は、両者譲らず進展なく事を終えた。
しかしこの日の会談こそが、後の世に訪れる日々の、その第一歩だったのかもしれない。
- 200 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:52:37.15 ID:SMmVimMo
〜西方司令部〜
門兵「殿下お戻りになられましたーっ!!」
西方司令「はあぁ…早く出迎えなくては…!あわわ…」
パッカパッカパッカ…ドドォ
西方副指令「敬礼っ!!」
ザッ
皇太子「ご苦労様」
西方参謀「いかがでしたかな…?ういっく…っ」
皇太子「昼に改めて会談を再開する」
西方参謀「やはり…スムーズにはいきませんでしたか」
皇太子「ああ。相手もなかなかの切れ者でな…。はははっ」
西方参謀「…有意義なお時間だったようで」
皇太子「旨い酒を土産に頂戴した。明日にでも楽しもうじゃないか」
西方参謀「おぉ!それは楽しみ!…ひっく…キヒヒヒ!!」
皇太子は高らかに笑い、司令部内へと入っていった。
- 201 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:53:13.74 ID:SMmVimMo
…
召喚士「すっかり朝日が昇ってしまいましたね…」
サモナー「ええ…。昼には再度会談です…」
召喚士「一息ついたらもう出発か…」
ザッザッザ…
青年兵「お疲れさまでした」
召喚士「青年兵くんもお疲れさま!」
青年兵「お部屋までご案内致します。どうぞ」
召喚士「うんっ、ありがとう!」
テクテクテクテク…
魔道士「召喚士さーんっ!!」
召喚士「魔道士さん!」
ウィッチ「おかえりなさいでございます!」
盗賊「…どうだった?」
召喚士「ええ…。実はですね……」
- 202 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:54:09.41 ID:SMmVimMo
…
魔道士「そうでしたかぁ…。やっぱり簡単にはいかないんですね…」
盗賊「…難しい」
召喚士「…それより、とびっきりの朗報です!」
盗賊「…朗報?」
召喚士「神官さんと一緒に来た人が…戦士だったんです!」
魔道士「戦士さんがっ!?」
盗賊「!!」
ウィッチ「…戦士…って…」
青年兵「戦士さんですよ。ほら、この前……」
ウィッチ「戦士様でございますか!?え…?知り合い…?」
召喚士「戦士は俺らのパーティー仲間ですよ!」
魔道士「ウィッチちゃんも…知ってるの!?」
ウィッチ「え、えっと……!」
青年兵「それについては僕からお話させて頂きます」
- 203 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:54:58.66 ID:SMmVimMo
…
魔道士「じゃあ…その助けてくれた人っていうのが…戦士さんだったんだ」
ウィッチ「そうみたいでございます…!」
召喚士「そ、そうだったのか…!」
サモナー「世間は狭いとはよく言うけど…。は、はは…っ」
盗賊「…それで…戦士は?」
召喚士「ええ…一旦神官さんと戻りました」
盗賊「…そうか」
召喚士「明日には合流出来ると思いますよ!」
盗賊「……ん」
青年兵「…では、また出発前にお伺い致します」
召喚士「うん。ありがとう」
魔道士「ありがとうございます!青年兵さんっ!」
青年兵「で、では…っ!失礼致しますっ!!」
慌てて頭を下げる青年兵は、ドアを閉めた退室した。
- 204 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:55:55.23 ID:SMmVimMo
〜司令部〜
皇太子「……ふーむ」
エリート「……」
皇太子「どう見る?」
エリート「…噂以上の男ですね。正直、感服致しました」
皇太子「ああ。自国の内情を包み隠す事なく曝け出すとはな…」
エリート「殿下」
皇太子「ん?」
エリート「北半分…明け渡そうとお考えでは…?」
皇太子「どうしようかな」
エリート「私の考えと致しましては、出来れば明け渡したくはないのですが…」
皇太子「お前が言いたい事は分かる。魔王討伐の…その先の事だろう?」
エリート「……ええ」
皇太子「…鶏肋…か」
エリート「…!!」
- 205 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:56:41.93 ID:SMmVimMo
〜三日月島、北側〜
戦士「どうでした?」
神官「…思った以上に、真っ直ぐでしたね」
戦士「…?」
神官「いえ…本国、特に国軍というのはどうにも裏があるのですが…」
戦士「ああ…」
神官「本国…特に皇太子殿下においては、清々しい方でした」
戦士「…ええ」
神官「しかし西国としては、なんとしてもこの地が欲しい」
戦士「そうすれば西国も…ますます発展するもんなぁ…」
神官「この地に来て改めて確信しました」
戦士「次はどうするんです?」
神官「特に手はありませんよ。正直な気持ちを伝えるだけです」
戦士「そっか…。嘘偽りなく意見を言えば、きっと分かって貰えますよ!」
神官「そうあって欲しいものですね。ふふっ」
- 206 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/06/22(火) 17:56:58.61 ID:Gq11Zm2o
胸が熱くなるな
- 207 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:57:28.37 ID:SMmVimMo
…
神官「では、参りましょうか」
戦士「ういっす!すぐに準備して……」
神官「いえ、このまま向かいます」
戦士「…!?」
神官「船で中心部まで隣接しましょう」
戦士「船で…行くんすか!?」
神官「はい」
戦士「そりゃまたなんで…」
神官「こちらの技術力を包み隠さず公にする為です」
戦士「船を出す事が…?」
神官「恐らく海洋技術は本国が遥かに上…。だからこそです」
戦士「まぁ、確かに船は本国の方が立派……あ…っ」
神官「いえいえ構いませんよ。実際そうですから」
戦士「……」
- 208 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:58:32.10 ID:SMmVimMo
〜西方司令部〜
皇太子「それでは参ろうか」
エリート「はい。一つ…宜しいですか?」
皇太子「ん?」
エリート「今回は船で向かおうと思います」
皇太子「ほぉ…。何が狙いだ…?」
エリート「西国が内情を公にしている以上、こちらも隠すものはありません」
皇太子「……」
エリート「更にはこちらの技術力、軍事力を見せ付ける事が一つです」
皇太子「そっちがメインだろ?」
エリート「……そう取って頂いても結構です」
皇太子「……良質のカカオ…か」
エリート「……は…っ?」
皇太子「はっはっは!何でもない。さぁて…行こうか」
一つ背伸びをし、皇太子はマントを羽織りながら司令部を後にする。
- 209 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:59:15.92 ID:SMmVimMo
コンコンコン…ガチャッ
青年兵「まもなく出発です。今回は船で向かうそうですよ」
召喚士「分かりました。今行きます」
サモナー「船…ですか?」
青年兵「はい。会談後は一度司令部へ戻るので、荷物はそのままで良いそうです」
盗賊「…私達は…今日もここで待とう」
魔道士「今日も頑張って下さいねっ!」
召喚士「はい!ありがとうございます」
盗賊「…ちゃ、ちゃんと…連れて帰ってくるんだぞ!」
召喚士「…もちろんです!」
青年兵「では参りましょうか」
サモナー「今日で決まるといいね」
召喚士「ええ。微力ながら頑張りましょう」
ウィッチ「いってらっしゃいでございます!」
青年兵の案内の下、召喚士とサモナーは船へと向かった。
- 210 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 17:59:41.64 ID:SMmVimMo
…
ザザーン
召喚士「船だとあっと言う間ですね」
サモナー「ええ…。潮の流れにも沿ってますしね」
召喚士「もう中心部のすぐ近くまで……」
タッタッタッタッタ…
召喚士「ん…?エリートさんと青年兵くん?」
船の前方部分に、兵に誘導され、エリートと青年兵が駆け急いでいる。
テクテクテク…
召喚士「どうしました?」
青年兵「召喚士さん。……前方を」
身を乗り出し前方を見ている一同。それに続き召喚士も甲板より身を乗り出す。
召喚士「…船…!?」
サモナー「あれは…西国の船!?」
エリート「……なかなかやってくれる!」
- 211 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 18:00:34.40 ID:SMmVimMo
…
西国兵「前方っ!国軍のものと思われる軍船が!!」
神官「やはりそう来ましたか…」
戦士「あっちも船で来るとはな…」
神官「想定内…というか好都合ですよ」
戦士「…?」
神官「最先端の技術を導入し、潮の流れに沿ってやってきた軍船…」
戦士「……」
神官「今だ人手に頼り、潮の流れを逆流してきた軍船…」
戦士「あ…っ」
神官「恩を着せるわけではありませんが、どちらが誠意的ですかね?」
戦士「…神官さん、アンタって人は…!」
神官「些細な事でも貸しにしておけば、後々有利になるというものです。ふふっ」
戦士「弱者なりの戦い方ってやつか…!」
神官「ふふっ。さぁて…参りましょうか」
- 212 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 18:01:22.19 ID:SMmVimMo
両国の船が錨を降ろし、要人達が陣幕へと入って行く。
会談2日目。ある種の戦争とも言える攻防が、再び始まった…。
エリート「神官殿は、同盟についての必要性は感じておられるわけですね?」
神官「勿論です。両国間にとって素晴らしい利益をもたらすものとなるでしょう」
サモナー「ええ。どちらの国も見てきた身とすれば、大いに有意義なものです」
召喚士(…!?サモナーさん…早いな…っ!)
戦士(いっちょ捲し立てようって事か…。しかしうまくいくかな…)
サモナー(どちらも優秀な人物です。言い包める事は不可能でしょう)
召喚士(あくまで……挑発と誘導に留めておくレベルか…)
戦士「…そうだなぁ。本国と西国、互いのいい部分をカバー出来るんじゃないかな」
召喚士「ええ…。魔王討伐だけでなく、それ以上のものを得られるのは大きいですね」
皇太子「……まさにその通りだ」
神官(…ほう、召喚士殿に戦士殿…やってくれますね)
エリート(この者らをうまく利用した側が、有利に事を運べるようだな…)
召喚士「……」
- 213 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 18:01:51.28 ID:SMmVimMo
神官「本国では、どういった評価なのでしょうか?」
皇太子「…・と、申すと?」
神官「この島の重要性は重々承知しました。しかし北側の評価がないように思えます」
エリート「現状ではその通りです」
神官「今後に於いては何か予定でも…?」
エリート「い、いえ…っ。それはまだ特に…」
神官「……成程」
エリート(痛いところを突いてくるな…くそ…)
神官「殿下は本国にとって、必要だとお考えですか?」
皇太子「島自体に勝ちは見出してはいないな」
神官「……!」
皇太子「島の周囲における海域、これが本国にとって重要なのだ」
神官(……来たか)
エリート「ご存知の通り本国から北方への海上ルートはまさにこの海域です」
神官「…ええ」
- 214 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 18:02:17.96 ID:SMmVimMo
エリート「西国のものとなっては、融通が利かなくなってしまう恐れが…」
神官「それは有り得ない、とだけ申しておきましょう…」
エリート「しかし口上のみではやはり…その…」
神官「当然、書面ベースでの誓約書などもご用意させて頂きますよ?」
エリート(この男…。そこまで権威を託されているのか…!)
皇太子「成程。それは保証して頂けると」
神官「それだけではありません」
召喚士「……?」
神官「北側が西国のものとなれば、当然、港を建造する事となるでしょう」
エリ−ト「港…ですか?」
神官「はい。西国と本国を繋ぐ中間地点ですから」
召喚士「……農地の開墾が進めば、出荷もしなくてはいけませんしね」
戦士「確かに…」
神官「北方までの航海。現状では緊急時の入港は…どうなさっているのですか?」
エリート「……っ!!」
- 215 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 18:02:51.55 ID:SMmVimMo
皇太子「…どうなのだ?」
エリート「今は海岸沿いにある村を頼っております…」
神官「北の先端、ここに港を置けばドックも設置可能です」
サモナー「両国にとって非常に有意義な港となりますね」
神官「ええ。しかも発展著しい北の港にも直接船が行き来出来ますしね」
エリート(…マズイな…っ。これについては同意せざるを得ないぞ…?)
皇太子「それは我が国もやりたかった事なのだがな…」
神官「…?」
皇太子「いや、もし港を作ってしまうと…西方諸侯に迷惑だったのでな」
神官「な、成程…。そのようなお気遣いを…」
皇太子「北の港ですら西高原国にはあまりよく思われていなかったしな…ははは」
エリート「西方の場合は連合国全てに気を使わなければなりませんでしたからね」
皇太子「今は西国のお陰で非常に助かっているよ」
神官「……」
召喚士(殿下のファインプレーだ…。うまく話を持っていった)
- 216 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 18:05:13.94 ID:SMmVimMo
皇太子「まぁ過去の話は構わぬ。それよりも今後の未来に繋がる話だ」
神官「仰るとおりでございます」
皇太子「一つ確認したい」
神官「はい」
皇太子「もし来た半分を譲渡すれば…港の建設はしてくれるのだな…?」
神官「お約束します。我々にとっても要所となりますゆえ…」
皇太子「当然本国の船、もちろん軍船もだが…許可すると…?」
神官「…・・・無論でございます」
皇太子「ふむ…。南半分は不要と考えて良いのか?」
神官「頂けるのであれば当然頂きたいところですが…現状は…」
エリート(殿下…っ!)
皇太子「私なりの道が見えてきたな……」
神官「……?」
皇太子「…さて、昼食と致そうか。はははっ!」
膝をポンと叩き、皇太子は大声で笑った。
- 217 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 18:06:17.01 ID:SMmVimMo
…
隊長「よーし、いいぞ!運べ!」
西方兵「ゆっくり進め!平坦な地面ではないからなー」
青年兵「こっちから入れますよー!どうぞーっ!」
陣幕の中へと食事を運ぶ兵達が、忙しなく動き回る。
男隊員「今日は俺らも美味い飯にありつけるぜっ!ヒャハハ!!」
女隊員「副隊長は残念スね。船酔いとか信じられないッス」
ガラガラガラッ…
皇太子「質素な物で申し訳ないが…是非食して頂きたい」
神官「お気遣いありがとうございます」
戦士「おぉ、美味そう!!」
サモナー「……午後にはケリがつきそうだね」
召喚士「そう見えますか…?」
戦士「……」
サモナー「うん。僕にはどうも……」
- 218 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 18:06:43.16 ID:SMmVimMo
ザッザッザ…
エリート「殿下は北半分を明け渡すつもりだろう」
召喚士「エリートさん」
サモナー「やはりそう感じられますか…?」
エリート「ここへ来る前、殿下は『鶏肋』…と呟いていた」
戦士「けいろく…?何だそりゃ!?」
サモナー「鶏の肋骨の事です。主にダシを取る食材に使われる…」
召喚士「鶏ガラの事だよ」
戦士「んで、その鶏ガラが何か?」
エリート「食すには身がなく大した事はないがその骨からはダシが取れます」
戦士「はぁ…」
エリート「大した役には立たないけれど、捨てるには非常に勿体無いものです」
召喚士「…な、なるほど…っ!!」
サモナー「三日月島の北半分…。この地がまさに鶏肋…!?」
戦士「……そういう…事か!!」
- 219 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/22(火) 18:07:09.17 ID:SMmVimMo
エリート「しかも困ったことに、捨てる先は料理人ときました」
召喚士「鶏肋を得て、そのダシで良い料理を作り上げる…」
サモナー「しかも…それを御持て成し頂ける…」
エリート「ただの鶏肋ではなくなってしまいました……」
エリートは苦笑し、半ば諦めたような表情で呟く。
戦士「じゃあ…もう決まりって事か…?」
エリート「本国の最後の望み…それは、貴方がたです」
召喚士「!?」
エリート「贔屓しろとは言いません。最後まで平等な目でみて頂きたい」
サモナー「それはもちろんです。僕らはどちらの味方でもあり、どちらの敵でもあります」
エリート「……」
召喚士(サモナーさんも…ズバっと言うなぁ…はは…っ)
エリート「…ありがとうございます。ではまた後ほど」
召喚士「あ、はいっ!」
エリートは一礼し、皇太子の下へと戻って行った。
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