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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その14
336 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:40:39.04 ID:qmewKiso
ザッザッ…

伯爵「さぁ、分かって頂けたかな?至ってシンプルな話だよ」

召喚士「…くっ!」

ザッザッ…

伯爵「何も、死を恐れる事はないよ」

戦士「あぁ!?」

召喚士「……」

伯爵「君らも得たいとは思わないか?」

魔道士「……っ」

伯爵「死の先にある不死…というものを…」

戦士「何をゴチャゴチャと……」

伯爵「君、召喚士だね。君からにしようか…」

召喚士「!?」

伯爵「どうも召喚士という輩は好きになれなくてね…」

伯爵は足を更に進め、召喚士の元へとゆっくり近づき始める。


337 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:41:14.08 ID:qmewKiso
ザッザッザ…ピタッ

伯爵「パズズにしろサタン様にしろ、召喚士に手痛くやられたし…」

スゥッ…

伯爵「何より私自身…いや、まあ良い…」

召喚士「行けっ!コカ……」

伯爵「ふんっ!」

伯爵は召喚士へ向けた右手より黒い雷を放出する。

ドドオオォォンッ!!…ズガアアァァッ!!

召喚士「ぐあぁーっ!!」

電撃は召喚士の右肩を襲い、そのまま後方へ弾き飛ばされる。

ズシャアァァ…ドッ!!

召喚士「う…っ…ぐぐっ…!!」

魔道士「召喚士さんっ!!」

伯爵「……悪あがきを」

伯爵は右腕に絡みついた鎖を振り払い、すぐさま鎖の主に目をやる。


338 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:42:04.83 ID:qmewKiso
盗賊「はぁ…はぁっ…はぁっ……」

伯爵「それに……」

ブオッ!!…ヒュンッ!!

戦士「うおらぁっ!!」

伯爵は後方より迫り来る大斧の残撃を左腕で受け止める。

…はずであったが、己の左腕が動かない事に気付き、残撃を背中に食らう。

ドッ!!……ザシュウゥッ!!

戦士「……ふーっ」

召喚士「はっ……は…っ」

起き上がろうとする召喚士に、魔道士が肩を貸す。

四人は倒れる寸前、上空に飛び上がった伯爵を見上げた。

伯爵「…まさか…召喚前に仕掛けたはずだが…!?」

コカトリス「………」

伯爵は石化した左腕から、目の前に羽ばたくコカトリスへと目を移す。

伯爵「そうか、既に召喚したにも関わらず、フェイクで詠唱したわけか」


339 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:43:18.60 ID:qmewKiso
召喚士「……はぁ……はっ…はぁ…」

魔道士「大丈夫ですか!?」

召喚士「ええ!直撃ではないです。ありがとう盗賊さん…っ」

召喚士は盗賊に目をやり、盗賊はそれに頷いて返す。

伯爵「しかも背への一撃。そうか、結界石を施しているのか…」

コカトリス「恐るべき洞察力だな。……感服するぞ」

伯爵「それはどうも。だが、此方は如何せん怒りに満ちている」

バッ!!

伯爵「素直には受け取れぬな!」

ドドオオォォンッ!!

コカトリス「ぐぅ…っ!!」

召喚士「コ…コカトリスっ!!」

コカトリス「問題ない…!羽を掠めただけだ」

コカトリスは電撃を間一髪かわし、再び羽を大きく広げる。

伯爵「……ふん」


340 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:44:06.74 ID:qmewKiso
ヒュッ…ストッ

伯爵「背の傷から魔力が漏れ出している…。全く手間を掛けさせる…」

戦士「盗賊!立てるか!?」

盗賊「…う、うん!」

盗賊が起き上がり、同時に役目を終えたユニコーンが姿を消す。

召喚士「魔道士さん…」

魔道士「はいっ!」

召喚士「増幅しつつ、状況をみて援護を…っ」

魔道士「……はい!」

伯爵「召喚獣なぞ放っておけば良い。召喚主自体を殺す」

伯爵は自分へ語りかけるように呟き、降ろした右手を開く。

ザッ…ジャリッ…

盗賊「……」

戦士「………」

戦士は大斧を地面へ突き刺し、雷切を抜き、鞘を後方へ放る。


341 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:44:36.08 ID:qmewKiso
伯爵「………」

コカトリス「……」

伯爵の頭上にコカトリスが、更に周囲を四人が囲み、

互いの隙を窺うように、しばし沈黙が流れる。

魔道士「……」

召喚士「………」

ガサッ!!

伯爵「っ!?」

左の森から発せられる突然の物音に伯爵が目線を向ける。

その瞬間、反対側より盗賊がクナイを4本投げ飛ばした。

シュシュシュンッ…シュバッ!!

召喚士「行けっ!シービショップ!!」

召喚士は後方に飛ぶと同時に、自分の背後へシービショップを召喚する。

盗賊「!?」

ドスドスドスッ!!


342 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:45:06.56 ID:qmewKiso
伯爵「この程度のもの…避けて隙を作るとでも…?」

タンッ!!

戦士「思ってねぇよ!!」

クナイを右半身に浴びながら、攻撃態勢に移る伯爵を、

頭上から戦士の奮う雷切が捉える。

伯爵「…ちっ」

ザシュウゥッ!!……ガカアアァァッ!!

戦士「……っ!?」

ジッ…ジジジッ……

伯爵「雷…この程度の魔力が通用するものか!」

伯爵はその身に刀身を受けながら、右手より黒い電撃を発する。

ドドオオォォンッ!!…ガカアアァァッ!!

盗賊「戦士っ!」

ドシャアァッ……クルッ…スタッ

戦士「も、問題ねぇ…!少し感電しただけだ…!!」


343 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:45:47.90 ID:qmewKiso
伯爵「咄嗟に剣を手離し、避雷針代わりにしたか。面白い」

伯爵は肩より深く突き刺さる雷切りを、抜き取ろうと右手で掴む。

だが、己の頭上より迫る影に気付き、その動作を止め、左へ身をかわす。

ドドオオォォッン!!…ゴオオォォッ!!

コカトリス「……ちっ」

伯爵「厄介だな。石化は……むっ!?」

魔道士「やあぁっ!!」

ドドオオォォンッ!!……ギキイイィィンッ!!

伯爵「っ!!」

魔道士の杖から発せられる氷が、伯爵の全身を凍りつかせる。

巨大な氷塊を成すその光景を確認し、戦士は右方へ飛び、大斧を拾い上げる。

伯爵「………ぬぅん!」

バキャアアァァッ!!

伯爵「雷が効かぬとてこの程度の氷で…」

戦士「っりゃあ!!」


344 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:46:28.60 ID:qmewKiso
伯爵「氷も足止めかっ!?」

戦士は再び伯爵の頭上より襲い掛かる。

大斧の強烈な一撃を、伯爵は右手を差し出し、受け止める素振りを見せる。

ビュオォッ!!…ジャラッ!!

伯爵「くっ!!」

盗賊「……これでっ!」

盗賊が放った鎖が、伯爵の右手を再び封じ、大斧はそのまま伯爵を捉えた。

ズガアァッ!!……バキャアアァァッ!!

斧の一撃はその身を捻った伯爵の左腕に当たり、石化した左腕は粉々に砕け散る。

しかし。それをものともせず、魔物は右腕より炎を放つ。

伯爵「小賢しい…!」

戦士「!?」

ドドドオオォォンッ!!

上空に位置する戦士は避けきれず、両腕で顔を覆い、防御の体勢を取るが、

赤黒く燃える炎は、戦士の目の前に現れた土壁により、放出を遮られる。


345 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:46:55.78 ID:qmewKiso
魔道士「……くぅ…っ!」

伯爵「バカな…っ!?」

戦士「ナイスだ!魔道士!!」

バゴオォッ!!……ザシュッ!!

砕け散る土壁がカモフラージュとなり、戦士は右側面より大斧で攻撃し、

その一撃が伯爵の右肩を斬りつける。

戦士「召喚士!!」

戦士は着地と同時に両足を伯爵めがけ蹴り出し、刺さった雷切りを反動で抜き取る。

後転で着地する戦士と同時に、伯爵も後方へよろけながら体勢を崩す。

召喚士「ああ!…スキュラ!!」

スキュラ「食らえぃ!!」

ドオォォンッ!!……ズドオオォォッ!!

先程は物音のみであった森の中より、スキュラが姿を現し、

背を仰け反らせ、バランスを崩す伯爵の背後を、強烈な水圧の一撃が捉える。

ズシャアアァァッ………ババッ…ストッ


346 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:47:45.20 ID:qmewKiso
勢い余り、前方へ叩きつけられた伯爵が即座に飛び起き、距離を置く。

伯爵「………ふん」

パンパンッ…スゥッ…

伯爵「いや…二度も斬り付けられたのは初めてだぞ。これはなかなか…」

伯爵は己の衣服を右手で払い、ぐるりと首を回す。

召喚士「ありがとう。シービショップ」

シービショップ「ほっほっ…」

シュイィィンッ…

召喚士「ふー…」

魔道士「召喚士さんっ、平気ですか!?」

召喚士「ええ。お陰様で傷は……」

召喚士は肩をさすり、笑顔で魔道士へ返す。

戦士「これだけかましても…流石に一筋縄じゃいかねーな…」

コカトリス「……」

盗賊「………ああ」


347 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:48:36.55 ID:qmewKiso
伯爵「余計な魔力を使わせてくれるものだ…」

伯爵は左肩を見つめ、失われた左腕に溜息を漏らす。

伯爵「……ぬぅ…ん!!」

シュイイィィン……ズズズズ…

召喚士「やはり…アンデッドか…」

伯爵「アンデッド…。もう少し崇高な言葉を選んで貰いたいものだ」

盗賊「……」

伯爵「例えば…不死、とか…永遠の命、とか」

再生した左腕をぐるぐると回し、その腕を右手で撫でると、衣服が再び腕を包む。

伯爵「君らも興味はないかな…?永遠の命、というものに」

召喚士「…ない」

伯爵「そうか。それは残念…」

召喚士「永遠の命なんてものは…存在しない…」

伯爵「それはそうかもしれんな。我らとて日の光を浴びれば消滅してしまう」

召喚士「……命あるものは、いつか終わるんだ!」


348 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:49:31.38 ID:qmewKiso
伯爵「興味深いな。その、何でも知っているような思考…」

召喚士「………」

伯爵「この先、そのような存在に出会ったら…君はどのような顔をする事やら…」

召喚士「……」

戦士「召喚士、耳を貸す必要はねーぞ!」

召喚士「……分かってる」

伯爵「つくづく人間は面白い生き物だね。君のような考えの持ち主もいれば…」

魔道士「……」

伯爵「我に跪き、自ずから永遠の命を求める輩もいる…」

召喚士「…!?」

伯爵「ほら、何と言ったかな…。西の…西高原国だったか」

盗賊「!?」

魔道士「西…高原国…!?」

伯爵「既に滅んでしまったようだが…ふっふ、かの地はなかなか楽しめたぞ」

戦士「ま……まさか、てめぇが…」


349 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:50:20.32 ID:qmewKiso
伯爵「勘違いするな。願いを聞き入れたまでだ」

召喚士「………そんな…」

伯爵「一国の主となる者がわざわざ国を差し出し…永遠の命を欲す。ふっふ…」

召喚士「そんな……そんなっ!」

伯爵「自分を慕う民を、魔族に差し出し生贄とし……」

召喚士「そ…・・・んな・・・っ事…!!」

伯爵「しかしそれが人間の本質ではないのかね?…ん?」

召喚士「そんな事あるわけっ!貴様ああぁぁーっ!!」

戦士「召喚士っ!!」

魔道士「召喚士さん!!」

伯爵「ほう…っ!つくづく面白い男だな…!!」

一歩二歩と足を進める召喚士を見つめ、伯爵は笑みを浮かべる。

伯爵「怒りに身を任せ……魔力が増幅するとは」

召喚士「コカトリスッ!!」

コカトリス「…ああ!」


350 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:51:41.84 ID:qmewKiso
バサァッ!!……キュイイィィ…

伯爵「石化だけは厄介だ。悪いが…」

ドウンッ!!

大きく口を開け、吐息を仕掛けようとする召喚獣のはるか高くへ、

伯爵は跳躍し、その攻撃を回避するよう飛び回る。

コカトリス「かあぁっ!!」

伯爵「上空へは精度も低かろう…!」

ゴアオオォォッ!!…ビュオオォォ…

コカトリスの放つ石化の息は、空しくも伯爵の横を通過し、空へと消える。

伯爵「かわしたが…次っ」

すかさず伯爵は、地上にて身構えるスキュラの姿を確認する。

スキュラ「はあっ!」

ドドオオォォンッ!!

伯爵「両手ならこの程度の水…ふっふ」

スキュラの放った水流を、伯爵は両手より発した炎で相殺する。


351 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:52:33.37 ID:qmewKiso
ドドオオォォンッ!!…バシュウウゥゥッ!!

辺り一面には大量の水蒸気が覆い、視界を遮る。

伯爵「………」

伯爵は素早く地上へ降り、一気に召喚士の元へと走り寄る。

伯爵「……食らうがいい」

キュイイィィン………ドッゴオオォォンッ!!

伯爵「なっ……!?」

両手より雷を起こし、放つ寸前、伯爵の身体が何者かにより大きく弾き飛ばされる。

伯爵「ぐっ…!」

召喚士「もう一撃いぃ!!」

スフィンクス「くらえーっ!!」

ドゴオオォォッ!!

伯爵「くあ…っ!何だ…これは!?」

ドッ!!…ドドッ!!…ズシャアァッ!!

濃霧のような水蒸気の中、伯爵の身体は崖へと激しく吹き飛ばされた。


352 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:53:33.93 ID:qmewKiso
召喚士「はぁっ……はぁっ…!!はぁっ!!」

盗賊「し、召喚士…!?」

戦士「一人で無茶しすぎだ!落ち着けっ」

召喚士は右手で額の汗を拭い、一つ大きく息をつく。

魔道士「召喚士……さん…」

召喚士「まだだ…。まだ、終わりじゃない…」

盗賊「…ああ」

戦士「今のうちに態勢…整え直すぜ」

盗賊と戦士は刀を一振りし、両手でしっかりと握り直す。

召喚士「補助をお願い…します」

魔道士「は、はいっ!」

召喚士「………」

前方に身構える戦士と盗賊。その背後に召喚士と魔道士。

コカトリス、スキュラ、そしてスフィンクスが周囲を固めるように立ちはだかっている。

彼らの身体を、空からの雨粒がポツポツと濡らし始めた。


353 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:54:28.63 ID:qmewKiso
〜北方司令部、山間部〜

参謀「……雨、か」

タッタッタッタッタ…

北方女兵「参謀様、北側の結界終了致しました!」

北方兵「南側、もうまもなくにて完了の予定!」

参謀「ご苦労様です。…雨が降ってきましたね」

北方女兵「ええ…」

参謀「水が溜まると馬の足を取られます。早めに切上げましょう」

〜北関北部、山中〜

魔道兵「…これにて、完了です!」

大軍師「ご苦労様でした」

副司令官「何はともあれ…ようやく終わったな」

大軍師「ええ…」

副司令官「しかし、あれっきり魔物は現れんな…」

大軍師は無言で雨の降る空、そしてその先に見える山頂を見上げた。


354 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:55:08.75 ID:qmewKiso
〜北関北部、山頂〜

パカラッパカラッパカラッ…

マジシャン「くっそぉ…雨まで降ってきやがったか!」

まもなく山頂に差し掛かり、雨は更に強さを増し始める。

マジシャン「さーて……」

マジシャンは馬から降り、山頂より北関を見つめる。

マジシャン「……はぁ」

テクテクテク…

マジシャン「前ん時は…左腕骨折だっけかなぁ…」

テクテクテク…

マジシャンは溜息交じりに左腕を撫でる。

テクテク…ピタッ

マジシャン「ぜってぇ大金ふんだくってやる…くそっ!」

クルッ……タッタッタッタッタ…ダンッ!!

そして距離を取り、助走をつけて山頂より飛び降りた。


355 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:55:43.72 ID:qmewKiso
ビュオオォォッ……

マジシャンの眼前に岩山が迫る。

マジシャン「はあぁ……っりゃああぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォッ!!

岩山めがけ突き出した両手より、激しい突風が巻き起こり、

衝突直前に再び、マジシャンの身体は宙へと浮き上がる。

マジシャン「……っならあぁ!次ぃー!!」

繰り返し両手より風を巻き起こし、浮上と降下を繰り返す。

その身体は猛スピードで落下し、一気に北関へと迫る。

マジシャン「…っく…!!」

ビュオォォッ!!…ゴオオォォッ!!

マジシャン「ラ……ラストオォー!!」

ドドドドオオォォンッ!!…ゴアオオオォォッ!!

叫びとともに、更に巨大な突風を起こし、森の木々へ放たれる。

マジシャンの身体はバネのように、北関の上空へと飛び上がった。


356 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:57:13.92 ID:qmewKiso
〜北関〜

コボルト「ケケケッ!!」

ゴブリン「聞いた通り、随分手薄だな!」

北門より魔物達が続々と近づき始める。

キジ「ボスッ!!」

女侍「分かってる!………一撃でいくよっ!」

女侍は北門の前へ立ち、魔物達を睨みつける。

占い師「あんな数…どうやってっ!?」

国軍兵「そ、それより結界があるハズなのに…何故!?」

女侍「サルッ!キジッ!イヌッ!」

サル「へいへい…」

キジ「アイサー!!」

イヌ「任せるね!」

ゴブリン「……は?」

女侍「奥義………『雷神』!!」


357 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:58:15.53 ID:qmewKiso
ススッ…ジャリッ

女侍は目を瞑り、左腰に携えた刀の柄に右手をかける。

女侍「……」

コボルト「なんだぁ?…構わねぇ!!ブッ殺しちまいなぁ!」

サル「アンタらももうちっと頭使いなよなぁ〜んふふふっ!」

サルは一直線に迫る魔物の群れめがけ、複数の閃光弾を放り投げる。

チッ!!……ガカアアァァッ!!…カアァッ!!

ゴブリン「うおぉ!?目潰しか!!」

占い師「なっ、何…っ!?」

イヌ「ふんがああぁぁっ!!」

イヌは雄叫びをあげ、地面へ両拳を叩きつける。

ドドズウウゥンッ!!…ボコボコオォッ!!…ビキィッ!!

コボルト「う…うおぉ…っ!!」

地面は激しく隆起し、左右二手から魔物の群れを壁のように閉じ込める。

更には左右が上空で一つに繋がり、空洞のトンネル状を成した。


358 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:58:51.10 ID:qmewKiso
ゴブリン「くそぉ!!暗くて目が・・・っ!!」

コボルト「何が起きて……」

女侍は目を見開き、そのままトンネルの中へと勢いよく飛んだ。

女侍「はあぁ…・・・っりゃあ!!」

キジ「ほいさあぁ!!」

勇ましく突撃する女侍の背後から、キジが巨大な雷を放つ。

女侍は抜刀すると、その刀身に雷を受け、再び地面を一度蹴る。

タンッ………シャキイィンッ!!…シュバアアァァッ!!

トンネル内を一挙に斬り抜け、北門の外へ飛び出す女侍。

腰を上げ姿勢を正した瞬間、背後のトンネル内が激しく光りだす。

カアァァッ!!……ドドオオォオンッ!!…ズガアアァァッ!!

ゴブリン「ギャアアァァッ!!」

コボルト「……ッ!!」

トンネル内には雷が生き物のように動き回り、魔物の群れを悉く感電させる。

激しい雷鳴とともに魔物達の身体が衝撃で飛び跳ね回っている。


359 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 17:59:36.77 ID:qmewKiso
サル「うぇ…っ、相変わらず怖えぇ技だこと…」

占い師「ーっ!!」

ドドオオォォンッ…シュウウゥゥ…ゥゥ…

キジ「はぁ…はぁ…っ、一丁上がりさ…!」

イヌ「疲れるから…これキライね…」

女侍は刀を一度振り下ろし、腰の鞘に納め振り返る。

女侍「……んふふっ!絶頂絶頂…!!」

身体をゾクゾクと震わせ、再び北関内へと足を進めるが、上空の何かに気付く。

女侍「……ん!?」

ヒュオオオォォォ…………ガッシャアアァァンッ!!

女侍「なっ、何だい!?」

飛来物は北関内の食料庫へと直撃し、外壁がパラパラと崩れ始める。

サル「ま…また新手かっ!?」

ゴトッ……ガラガラッ…ドシャアァッ!!

マジシャン「…い……いって…ぇ…っ!!」


360 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 18:00:47.07 ID:qmewKiso
イヌ「ひ…人!?」

女侍「人が振ってきたよっ!あははっ!!」

ガラッ…ゴトンッ!!

マジシャン「うぅー…。と、とりあえず着いた…か」

マジシャンは瓦礫をかき分け、ゆっくりと食料庫のドアを開ける。

マジシャン「お…さ、酒じゃねぇか…。頂いてくか」

床に転がった酒瓶を拾い上げ、唇から垂れる血を拭う。

女侍「凄いねアンタ。どんな魔法だい?…あはははっ!」

マジシャン「…気合っつー魔法だ。笑い事じゃねぇ…」

タッタッタ…

占い師「ま、マジシャン!?」

マジシャン「おう…生きてたか。お前はキーマンなんだから大人しく…っ!」

占い師「血が…っ!!」

マジシャン「んなモン大した事ねぇ…!!」

マジシャンは口で酒瓶のフタを開け、腕にかけ始める。


361 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 18:01:34.68 ID:qmewKiso
マジシャン「いちちっ!!…いってぇ…!!」

占い師「ちょ、ちょっと…っ!」

マジシャン「いいから避難してろ!…おいっ!!」

国軍兵「!?」

マジシャン「こちらのレディを建物内へお連れしろ」

国軍兵「う…占い師様!こちらへ!!」

占い師「……無茶、しないでよね…っ」

マジシャン「へいへい……!?いっつぅ!」

女侍「ご登場のところ申し訳ないけど、コッチはあらかた終わったよ」

マジシャン「………」

キジ「あとは不死身の奴を叩き続けて、日の出を待つだけさー」

マジシャン「人間が…来なかったか…?」

女侍「ああ…来たね。デカイ剣持った奴とどっか行っちまったよ」

マジシャン「……そうか」

マジシャンは酒瓶を口に当て、一気に飲み干し、瓶を放り投げる。


362 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 18:02:29.52 ID:qmewKiso
マジシャン「誰だか知らねーが…ココは任せたぞ」

女侍「……仕方ないねぇ」

サル「なんで人間と魔物が一緒にいたんだ!?」

マジシャン「……さぁね。コッチが聞きてーよ」

マジシャンは首を左右に鳴らし、北門より去って行った。

イヌ「………」

女侍「今日はイイ男によく会うねぇ……」

サル「ま〜たコレだよ……」

女侍「雨はあんまり好きじゃないんだ。ちゃっちゃと終わらせて帰ろうかね!」

キジ「あいあいさー!!」

サル「とりあえず早くメシ食って寝させてくれぇ〜」

イヌ「だったら頑張るね!もうじき日の出ね!!」

三人は散り散りに別れ、再びヴァンパイアへの攻撃を再開する。

女侍「…ふんっ、イイ男達だよ……ほんと!」

女侍は笑みを浮かべ、前方へと走り出した。


363 : [sage saga] :2010/05/12(水) 18:11:46.31 ID:qmewKiso
こんにちは!少し多めに更新出来たような気がします!
誤字はお恥ずかしい限りで本当に申し訳ありません…orz

うまくいけば今週中には第十五部完ッ!!です!
次はどうしよう…そろそろ魔道士が20歳に…

それでは失礼致します!!ノシ


364 : [sage] :2010/05/12(水) 18:37:37.55 ID:y1CGfoDO
成人か……胸が熱くなるな……


367 : [sage] :2010/05/12(水) 20:23:40.72 ID:IjmL7sDO
召喚士PTのチームワークすげぇ



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