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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その29
796 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 00:35:33.45 ID:cgl6wyWJo
ゴゴゴゴゴゴ…

天才「真下に着いたな」

ザザッ

大軍師「私達だけですがね」

天才「ああん?」

タッタッタッタッタ

ジュニア「お、追いつけるかっての……!」

賢者「……ふぅ」

天才「朱雀はどこ行った?」

大軍師「上空から攻撃に移りました」

天才「上空?」

バシュウウゥゥゥゥ

魔道士「くぅ……っ」

召喚士「しっかり捉まっていて下さいね!」

魔道士「はいっ!」


797 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 00:36:13.16 ID:cgl6wyWJo
ドシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「これ以上は近づけんぞ」

召喚士「……よし。コカトリス、攻撃を」

コカトリス「ああ」

バシュウウゥゥ…ゴゴオオォォォォ!!

魔道士「石化しましたよっ!」

召喚士「……いやっ、駄目ですね」

コカトリスの石化はマグマの一部分を石と変えるも、

一瞬のうちに新たなマグマがそれを飲み込み、石化部分は消えた。

コカトリス「幾ら繰り返したところで、これは無意味だな」

召喚士「うん……っ」

魔道士「それにしても……暑いですね……っ」

召喚士「ええ……っ。しかも明るくて状態もよく確認出来ない……」

コカトリス「どうする?」

召喚士「一旦下がって、次なる手を打とう」


798 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 00:36:42.56 ID:cgl6wyWJo
ドシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「それで、どうするのだ?」

召喚士「……行けっ、クジャタ!」

シュイイィィィィン…ドスウウゥゥゥゥン!!

召喚士「天候は……雨っ!!」

クジャタ「……オオォォォォ!!」

ザザアアァァァァ…ジュウウゥゥゥゥ

魔道士「おぉ……っ!」

天才「あんの馬鹿っ! 水蒸気で何も見えねぇ!」

大軍師「これでは投擲の邪魔になりますね……」

ブシュウウゥゥゥゥ

魔道士「これは結構……」

召喚士「いや、これも駄目ですね」

魔道士「……?」

召喚士「視界がかなり悪化します。戦士達の迷惑になってしまいますね……」


799 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 00:37:12.77 ID:cgl6wyWJo
魔道士「あ……っ、そっか……」

召喚士「結局、下から押し上げるしか方法はないか……」

コカトリス「戻るとするか」

召喚士「そうだね。ここからは地上戦だ」

魔道士「はいっ」

バシュウウゥゥゥゥ…

大軍師「どうでした?」

召喚士「上空からは無理です。やはり、下からの勝負になりますね」

玄武娘「はぁ……はぁ……んくっ!」

ジュニア「あと何分持たせりゃいいんだよ!!」

天才「魔力もそろそろ限界を迎えるかねぇ」

大軍師「残り10分は切ってます。その間に……」

天才「あの球のどてっ腹に穴開けて、魔王様のお姿を……ってか」

大軍師「いけますかね?」

天才「いって貰わにゃ困る。アカ・マナフも封じてるみてーだしな。今しかねぇんだ」


802 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/06/14(火) 08:23:20.19 ID:Ffufy9LAO
>>1乙

やっぱ魔王ともなるとヤバいな
何もしなくてもみるみる人間の魔翌力が減っていく


804 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:00:25.96 ID:3waOB5W6o
〜火山東部〜

魔道兵「今にも落下しそうな勢いだぞ……っ」

現地ではないにしろ、当然ながら火口での攻防ははっきりと目に移る。

魔道兵「本当に大丈夫なんだよな……」

魔道兵長「現場の人間を信じろ。俺達なんかよりよっぽど、力を持った方々だ」

魔道兵「そ、そうですよね……」

魔道兵長(だが、不安は分かる。このままで良いのだろうか……)

バサッバサッ…バシュウウゥゥゥゥ

魔道兵長「……?」

魔道兵「あれは……ワイバーン!?」

ドシュウウゥゥゥゥ…スタッ

青年兵「良かった、間に合った!」

隊長「魔物が来るぞ。眷族、アカ・マナフだ。これより俺らが指揮を執る。指示に従え!」

魔道兵長「アカ・マナフ!? り、了解でありますっ」

隊長「武器は一切持つな。それから、各々離れて布陣しろ!」


805 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:01:14.76 ID:3waOB5W6o
青年兵「ツインテさん、セイレーンの準備を」

ツインテ「はーい!」

朱雀嬢「私は上空から様子を伺いますわっ」

バシュッ!!

隊長「さぁ、来るならきやがれ」

青年兵「……」

ピクッ…ババッ

隊長「……?」

青年兵「気のせいか……?」

同時に背後を振り向いた隊長と青年兵。しかしその先に気配はない。

その刹那、上空から激しい羽ばたきの音と悲鳴が響き渡った。

朱雀嬢「きゃああぁぁーっ!!」

ペガサス「グオオォォォォン!!」

隊長「何だ!?」

朱雀嬢「ど、どうしたの急に……っ!!」


806 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:02:39.39 ID:3waOB5W6o
ブンブンッ…ブオンッ!!

青年兵「ペガサスが暴れていますね。制御出来ていないような――」

隊長「まさかっ!?」

青年兵「間違いないっ! ワイバーン!」

バシュウウゥゥゥゥ

朱雀嬢「お、落ち着きなさいっ! ペガサス!」

ペガサス「グオオォォォォン!!」

朱雀嬢「解除が……出来ないっ!?」

青年兵「朱雀嬢さん、ペガサスを戻して!」

朱雀嬢「戻したいのだけれど、戻せませんわっ!」

青年兵「おそらくアカ・マナフの仕業です」

朱雀嬢「!?」

青年兵「別の召喚獣を! ペガサスを倒すしか方法はなさそうです」

朱雀嬢「わ、分かりましたわ!」

ペガサスの背中へ必死にしがみ付きながら、朱雀嬢は咄嗟にグリフォンを召喚し、

タイミングを見計らうと、空中でペガサスからグリフォンの背へと飛び移った。


807 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:03:36.74 ID:3waOB5W6o
ババッ…ガシィ!!

朱雀嬢「くっ!!」

青年兵「喰らえぇ!!」

ワイバーン「ガオオォォォォンッ!!」

ペガサス「グオオォォォォ!!」

ワイバーンの炎を吹き飛ばすかの如く、ペガサスの周囲より流星が飛び交う。

その流星は凄まじい速さをみせ、次第に無数の流星が一つに束ねられ始めた。

青年兵「な、何だ……っ!?」

朱雀嬢「!?」

ペガサス「グオオォォォォン!!」

青年兵「流星が一つに……いやっ、これは……彗星!?」

バゴオオォォォォン!!

青年兵「ぐわあぁーっ!!」

朱雀嬢「青年兵さんっ!?」

シュウウゥゥゥゥ


808 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:04:33.88 ID:3waOB5W6o
青年兵「ぐ……くっ」

隊長「無事か!?」

青年兵「なんて強さだ……っ」

隊長「操られて制御が外れてんだろうな」

青年兵「それよりも、アカ・マナフ本体が見当たりません」

隊長「さっきの嫌な気配……そうかもしれん。下は任せろ」

青年兵「はい。行ってきます」

色黒「私も援護っ!」

バシュッ!!

隊長「さぁ、どっからきやがる……」

ボフゥ…

魔道兵「グ……アアァァァァ!!」

隊長「きやがった!」

ポニテ「ツインテ! セイレーンよ!」

ツインテ「はいにゃ!」


809 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:06:53.44 ID:3waOB5W6o
シュイイィィィィン

ツインテ「それーっ!!」

セイレーン「〜♪」

魔道兵「ギイヤアアァァァァ!!」

ドサッ

隊長「お気の毒なこったが、ちいとばかし眠っててくれや」

セイレーン「……」

ツインテ「はにゃ? セイレーン?」

クルッ

セイレーン「〜♪」

ツインテ「にぎゃああぁぁぁぁーっ!!」

ポニテ「ツイ――きゃああぁぁぁぁ!!」

ドサドサッ

隊長「ぐっ! な……何だ!? まさか……っ」

突如セイレーンの歌声に倒れるツインテとポニテ。


810 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:08:36.16 ID:3waOB5W6o
アカ・マナフ「……いい加減しつこいにも程がある」

隊長「てめぇ……っ!」

アカ・マナフ「なかなかに便利な……召喚獣よ」

セイレーン「〜♪」

隊長「ぐぅ……っ!」

アカ・マナフ「耳を塞いでいれば……剣は振るえまい」

セイレーン「〜♪」

隊長「くそ……っ」

アカ・マナフ「力は衰えたが、お前も操って終わりとしようか」

隊長(こうなりゃ……鼓膜ブチ破ってでも戦うしかねぇか……っ!)

ググッ

アカ・マナフ「……さぁ、諦めて……死ね」

セイレーン「〜♪」

隊長「ぐあっ!!」

セイレーン「〜♪」


811 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:09:37.00 ID:3waOB5W6o
バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「おおぉぉぉぉ!!」

アカ・マナフ「無駄だ」

セイレーン「〜♪」

青年兵「ぐっ!」

ワイバーン「グギャアアァァァァーッ!!」

バタバタバタッ

青年兵「僕は大丈夫でも……ワイバーンが……っ!」

朱雀嬢「うぅ……っ」

ペガサス「グガオオォォォォーッ!!」

ヒュルルルル…ドシャアアァァァァ

色黒「あ……ぐぅ……」

アカ・マナフ「全滅だな……では、じっくりと操り、嬲り、殺してくれよう」

青年兵「させ……ない……」

隊長「くそったれええぇぇぇぇ!!」


812 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:11:45.87 ID:3waOB5W6o
フッ

アカ・マナフ「……?」

セイレーン「あ……っ」

ドサッ

アカ・マナフ「何が……起きた?」

色黒「う……ぅ」

朱雀嬢「何これ……力……抜け――」

ドサドサッ

隊長「!?」

青年兵(これは……ザントマン!? いや、しかし……っ)

異変に気付いた隊長と青年兵は咄嗟に息を止める。いや、セイレーンが操られていた頃から、

この2人だけはアカ・マナフのもやに警戒し、呼吸の頻度を減らしていた。

故に、この咄嗟の場面においても、ザントマンの粉を吸う事無く済んだと言える。

ザッザッザッザ…

青年兵(召喚士さん…? いや、違う!)


813 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:12:24.71 ID:3waOB5W6o
ザッ

山師「……」

ザントマン「ヒヒッ」

隊長(何者だ……?)

アカ・マナフ「貴様か……余計な邪魔を」

山師「それはすまなかったな」

アカ・マナフ「……クッ」

ボフウウゥゥゥゥ

隊長「その煙を吸うな! 操られるぞ!」

山師「2人共っ、下がっていろ!」

山師姉「はいっ!」

山師妹「……っ」

山師「共に立てっ! ゴーレム!!」

ゴーレム「オオォォォォン!!」

ガシィ!!


814 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:13:16.41 ID:3waOB5W6o
青年兵(うまいっ! 風向きを計算し、ゴーレムでもやを防いだ!)

山師「ザントマン!!」

ヒュッ

ザントマン「……ヒヒッ、逃がしたねぇ」

山師「そうか」

スクッ

青年兵「助かりました。ありがとうございます

山師「いえ……」

隊長「あんた、何者だ?」

山師「北からの増援に参加して、お手伝い出来ないかと」

隊長「北からの増援……?」

山師「はい。北方軍の――」

山師姉「山師っ、応急薬を!」

山師「あ、あぁ」

隊長「北の増援……? 聞いてねぇぞ、そんな話は……っ」


815 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:14:22.23 ID:3waOB5W6o
〜火山、火口付近〜

召喚士「ぬぐ……ぐぅ!!」

スキュラ「――っ!!」

ボシュッ!!…シュウウゥゥゥゥ

召喚士「くはっ!!」

魔道士「大丈夫ですか!?」

召喚士「え、ええ。間一髪で召喚解除出来ました……」

テクテクテク

ジュニア「ほれっ、水だ」

召喚士「ありがとうございます」

ジュニア「よーし、最後のひと踏ん張り……いくかぁ!」

召喚士「ジュニアさん、タフですね」

ジュニア「ハッハ! もう空っぽに近いよ。でもな……全て出し尽くすまでは倒れねーぞ!」

魔道士「……もちろんですっ!」

召喚士「それじゃ、行きましょうか!」


816 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:14:58.24 ID:3waOB5W6o
ザザッ…タッタッタ

魔道士「やあぁ!!」

召喚士「行けっ! スキュラー!!」

シュイイィィィィン…ドッドオオォォォォン!!

大軍師「……司令、もう少しお下がりになられた方が」

天才「いや駄目だ。誰か1人が真下で支えねぇと……潰れる」

大軍師「……」

天才「ぐ……おおぉぉ!」

グググッ…ゴゴゴゴゴゴ

賢者「参ったね……ふぅ」

名代「……」

召喚士「名代さん?」

名代「すまぬ……。この札が最後の1枚だ」

召喚士「……っ」

ババッ…ボンッ!!


817 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:15:45.79 ID:3waOB5W6o
天狗「……」

名代「せめて、後方から風で援護を致す!」

召喚士「はい!」

ジュニア「後ろの連中も踏ん張ってる! ここが折れるわけにゃいかねぇぞ!」

ゴオオォォォォ

弓使い「……っ」

幼女「う……うぅーっ!」

女賢者「無理しちゃ駄目よっ」

幼女「……うんっ!」

玄武娘「もっと……召喚獣……出さな――」

フラァ…ドサッ

弓使い「玄武娘ちゃん!?」

女賢者「魔力枯渇ね……。この位置から遠隔で召喚獣出すから……」

弓使い「……もう、何とかしてよおぉーっ!」

キュイイィィィィ…ドッドオオォォォォン!!


818 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:17:07.23 ID:3waOB5W6o
弓使い「……え?」

幼女「今の……なに?」

ザザザッ

魔道兵「第2波……撃てぇ!!」

ドドオオォォォォン…ガキイイィィィィン!!

ジュニア「何だぁ!? どっから援護が……」

大軍師「まさか、魔道兵!?」

天才「あんの馬鹿ども……! 魔力の無駄遣いすんじゃねぇ!」

剣士「あっ!!」

名代「背後からだけではない……。左右、正面からも……っ!」

北部の魔道隊による援護魔法。その氷がマグマの球へ着弾するのを合図とするかの如く、

各部に散った魔道兵らが、触発され、一斉に氷と風の魔法を火口上部の球へとぶつける。

シュゴオオォォォォ

天才「とりあえず落下はほぼ止まったが……」

そして、天才が言葉を発しかけた途中で、夜空が一瞬、明るみを見せた。


819 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:17:37.06 ID:3waOB5W6o
バシュッ…パアアァァァァ

大軍師「……10分前です」

天才「今ので魔道兵の逆算出来るか?」

大軍師「各部半数ほどを援護に回しているようですね。そこから……」

天才「北西が壊滅。あと、南東部が援護なしに見えたが」

大軍師「南と東もですね。これは何かあった可能性が高いでしょう」

天才「アカ・マナフか……」

大軍師「推測ですが、魔道兵の推定人数は……」

天才「……」

大軍師「おそらく、多く見積もっても3000程度が妥当かと」

実際、大軍師の推測はほぼ正解に近かった。北西の600名はほぼ壊滅し、

南部、南東部、東部の3ヶ所で、アカ・マナフの攻撃により半数以上の被害が発生していた。

更には今現在の支援攻撃を除くと、ゾディアック用の魔道兵はおよそ1500名となる。

天才「絶望的な数字だ。そんなんで討つに値すっかねぇ……」

大軍師「どうでしょうね。それは司令の方が把握されているのではありませんか?」


820 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:18:50.42 ID:3waOB5W6o
天才「……ハーッハッハッハ!!」

大軍師「……?」

天才「俺様がブレる? 何をやってんだっつー話だ」

大軍師「……」

天才「この何十年、この日の為に築き上げてきたんだ」

ザッ

天才「やるしかねぇだろうが。信じた道を突き進むのみ!」

大軍師「ふっふ、それでこそ司令です」

天才「チャンスはあるはずだ。このまま押すぞ!」

大軍師「はっ。皆も聞きましたね? あと10分を切っています。凌ぎますよ!」

ジュニア「あとでたっぷり……報奨金貰うからなああぁぁ!!」

賢者「……ふぅ」

魔道士「全部出し尽くしますよぉーっ!」

召喚士「いっけええぇぇ!!」

今までで最大となった攻撃がマグマの球を包み込み、そして巨大な球は再び落下を始めた。


821 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:21:27.56 ID:3waOB5W6o
ゴゴゴゴゴゴ

剣士「馬鹿なっ!!」

召喚士「なんで……っ! これだけやってもまだ……」

アンラ・マンユ「……」

マグマの球の真下部分、赤く煮えたぎる一部分が空洞化する。

天才「――!?」

アンラ・マンユ「ここまでよく頑張っている」

天才「出やがったな……っ」

アンラ・マンユ「だが、力の差は歴然だったな。儚いものよ」

黒い影のようなものだけが姿を現し、それが魔王なのかは把握出来ない。

だが、脳へ直接響くかのような低い声。それだけでアンラ・マンユが出現したと認識は出来た。

アンラ・マンユ「打つ手なし、だな」

天才「どーかな」

アンラ・マンユ「……」

天才「最後までやってみなくちゃ……分からんぜぇ?」


822 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:24:00.38 ID:3waOB5W6o
アンラ・マンユ「物事には限度というものがある」

大軍師「……っ」

アンラ・マンユ「為すだけではどうにもならない事とて、あるだろう?」

天才「うるせーな。説教垂れてんじゃねーぞ」

アンラ・マンユ「やはり……人間なぞ対話するに値せぬ、か」

フッ…ゴゴゴゴゴゴ

ジュニア「きやがった!」

召喚士「ぐ…ぐぐっ!」

残り5分といったところか。マグマの球ももはや火山へ衝突するぐらいの位置まで迫っていた。

天才「ちっきしょ……っ!」

魔道士「や……あぁーっ!!」

剣士「もう少し、もう少しなんだぁ!!」

ジュウウゥゥゥゥ!!

天才「……全員、退避!」

大軍師「!?」


823 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:24:47.97 ID:3waOB5W6o
天才「ここは俺様が預かる! 全員、後方支援に回れ!」

大軍師「しかし、それでは司令が……っ」

天才「いいから早くしろぉ! 全員潰れたらそれこそ打つ手なしだ!」

大軍師「……っ」

魔道士「天才さんっ!」

大軍師「全員、後退します!」

剣士「!?」

召喚士「……くそぉ!」

天才「ハーッハッハ! 安心しろ……俺様は死なん!」

魔道士「……っ」

天才「予言でだってそんな結果は出ちゃいねぇ。信じろっ!!」

召喚士「魔道士さん、行きましょう!」

魔道士「絶対ですよっ、絶対に……っ!」

タタッ…ザッ

天才「……さぁ、どんといこいやあぁ!!」


824 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:25:34.72 ID:3waOB5W6o
ズズウウゥゥゥゥン

天才「ぐぬぅ……っ!!」

一人球の下へと残った天才へ、全ての負荷が一身に降り注ぐ。

衣服は発火を始め、身体中からはその熱により湯気が立ち昇っていた。

天才「五行……水!!」

ドドオオォォォォン!!…ガッキイイィィィィン!!

懸命なる水行の氷魔法。それらで身を守り、球を支える柱を為す。

ゴゴゴゴゴゴ…ジュウウゥゥゥゥ!!

その周囲からは魔道兵や召喚士らによる風と氷の魔法が、東西南北より伸びている。

天才「いいぜ、てめーらの想い……バッチリ伝わってらぁ!」

タッタッタ…ザザッ

男隊員「おりゃああぁぁぁぁ!!」

女隊員「はああぁぁーっ!!」

ドドオオォォォォン!!…バシュウウゥゥゥゥ!!

青年兵「あそこかっ! いっけええぇぇ!!」


825 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:27:06.19 ID:3waOB5W6o
そこには人間も魔物も、国も性別も何もかも関係なく、ただ平和な世界を築きたい、

その想いを1つに集った者達が力を合わせ、手を取り合って戦う。そんな光景しかなかった。

ザザッ

天才「!? てめぇら……っ!!」

マーマン「うおりゃああぁぁぁぁ!!」

ハヌマーン「はあぁーっ!!」

ドドオオォォォォン!!

マーマン「1人で頑張っても……ロクな事はねーぜ?」

ハヌマーン「マーマンの水と私の風で、少しは足しになるだろう」

天才「……へっ、頼もしい限りじゃねぇか!」

ズゴゴゴゴゴッ

大軍師「残り……3分!」

ドドドドドド!!

天才「何の音だ……!?」

ゴッガアアァァァァ!!


826 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/14(火) 18:28:18.46 ID:3waOB5W6o
ベヒーモス「グオオォォォォーッ!!」

天才「ベヒーモス!?」

突如、天才らの前に現れたベヒーモス2匹。その瞬間、足元の山が崩れ始めた。

ズッガアアァァァァ!!

天才「うおぉ!?」

ハヌマーン「な、何事かっ!?」

召喚士「これは……」

タッタッタ

白虎長「「どう? 間に合った!?」

大軍師「白虎長殿に、白虎嬢殿」

白虎長「時間かかっちゃったけど、山の一部を切り崩したわ」

白虎嬢「これで着弾地点も低くなりました〜。少し時間も稼げるますわね」

大軍師「お見事ですっ!」

召喚士「いけますよっ、これだけみんな……頑張ってるんですから!」

魔道士「……はいっ!」



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