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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その40
837 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:01:49.02 ID:cwfG7R4Ho
 ゴアァッ!!

サタン「だから何だと言うのだ」

召喚士「サタン……。お前にも見えるはずだ」

サタン「一瞬、戸惑いはしたものの何も変わった事はない」

召喚士「みんなの思いが、みんなの力がっ!!」

サタン「それがどうした」 ズアッ!!

魔道士「……っく!!」

サタン「1人1人の思いのみで強くなれると? 馬鹿げているな」

戦士「押し……負けんなぁ!!」

盗賊「は……っああぁぁー!!」

サタン「来い召喚士。このサタン、貴様に敬意を表して全力で相手してやる」

召喚士「思い知れサタンっ、俺達の……みんなの力を……!!」

サタン「他の者などどうでも良い。貴様1人に、全力を注いでくれよう」

召喚士「いっけええええぇぇぇぇーっ!!」

サタン「貴様等の一縷の望み、今ここに断ち切ってくれるわッ!!」


838 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:02:16.44 ID:cwfG7R4Ho
 ゴッガアアアアァァァァ!!

召喚士「う……っぐううぅぅ!!」

サタン「……」

 ズゴガガガガガガガガ!!

大軍師「光が激しくぶつかり合っている……っ」

ジュニア「負けてたまるかよぉ!! 押し返せっ、召喚士!!」

剣士「僕達が、みんなが付いているからっ!!」

帝「何も案ずる事はないな。勝つのは我らなのだ」

王子「そうだっ!! 絶対に負けるはずがない!!」

サモナー「がは……っ」 ガクン

マーメイド『サモナー!?』

サモナー「もう少し……もう……少しだけ……頼――」

マーマン『そうだぞ、あと少しなんだ。しっかりしろよな!』

マーメイド『マーマン……っ!』

サモナー「ありがと……うっ、あと……少し……」


839 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:02:42.55 ID:cwfG7R4Ho
紅孩児「ち……っ」

スグリーヴァ『実際、魔王と対峙してみてどうだ?』

紅孩児「……ま、大した事はないな!」

インドラ『強がるな』

紅孩児「強がってねぇよ!」

スグリーヴァ『対峙してみて、魔王になりたいという思いは変わらないか?』

紅孩児「……」

スグリーヴァ『お前の見てきた魔王は、魔王であったか?』

紅孩児「……うるせぇ」 ボソッ

スグリーヴァ『それで良い。お前は更なる高みを目指すべきだ』

インドラ『サタンの攻撃が再び来るぞ。魔族である貴様なら他の者より分かるであろう?』

スグリーヴァ『サタンの思考を、魔王の思考を察知するのだ』

紅孩児「うるせぇ……っつの。何でもかんでも押し付けやがって」

スグリーヴァ『ありがとうよ。感謝するぞ』

紅孩児「感謝なんかされても……困るんだよ……ッ!!」


840 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:04:02.00 ID:cwfG7R4Ho
 ドッゴオオオオォォォォ!!

召喚士「う……ぐぐ……っ!」

サタン「よく耐える」

召喚士「ぐ……くうぅ……っ!!」

サタン「一体、何をそこまで貴様を突き動かす」

召喚士「背負ってるものが……違うんだ……っ」

サタン「ほう」

召喚士「俺は……1人じゃないっ、勇者は1人じゃない! みんなが勇者なんだぁ!!」

サタン「――!?」

白虎長「ひ……光が……」

名代「召喚士殿の元へ……集まってゆく……っ!?」

召喚士「この五行はっ、みんなが築き上げた1つの力……!!」

サタン「まさか、全ての五行が1つに集約していると言うのかッ!?」

召喚士「俺達の……力をっ! 絆をっ! 魂を!!」

サタン「こッ、この力は……まさかこのサタンに匹敵するとでも言うのかッ!!」


841 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:10:06.24 ID:cwfG7R4Ho
 ズガゴゴゴゴゴゴゴゴ……

召喚士「食らええええぇぇぇぇ!! サタン!!」

 ドッドオオオオォォォォ――――ン!!

サタン「――――!?」

召喚士「おああああぁぁぁぁーっ!!」

サタン「させぬ……これ以上はさせぬぞ召喚士ィ!!」 チカッ!!

弟者『それはこっちの台詞じゃあーっ!!』

サタン「!?」

眼鏡『彼らは……やらせないよ』

サタン「邪魔をするな……幻影風情がッ」

隊長『行けっ!』

騎都尉『いけぇーっ!!』

武士『頑張れっ!』

短髪『頑張れ!!』

天才『ブチかましてやれぇーっ!!』


842 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:10:32.36 ID:cwfG7R4Ho
 キイイイイィィィィン……

召喚士(……力が1つになっていくのが分かる)

召喚士(みんなの思いが1つになって……それが力に変わっていくのが分かる)

召喚士(サタンを倒して、世界を救うって思い……それが今1つになってる)

召喚士(そして、その力が俺の中に……暖かいなぁ)

召喚士(うん……、勝てるよみんな。この力を俺が1つにするから)

召喚士(みんなから受け取ったこの力を1つにするから)

召喚士(みんなの力が、魔力が、絆が……1つになるから)

召喚士(こんなにも大勢のみんなが……見守ってくれてたんだね……)

召喚士(ありがとう。心から……ありがとう)

 キイイイイィィィィン!!

ヒゲのオッサン『いけぇーっ!』

ドワーフ『我が想いは斧と共に有り、じゃ』

白虎弟『兄さん、見えるかい? 我が一族の誇り高き勇者が』

白虎兄『ああ。クジャタだけではない。我らの志も全て、受け継いでくれた勇者だ』


843 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:11:02.08 ID:cwfG7R4Ho
サタン「――――!!」

召喚士「行っけええええぇぇぇぇ!!」

青龍士官「!?」

朱雀嬢「出た……っ、金色の龍……」

青年兵「今までのものとは比べものにもならない……っ。あれは紛れもなく……龍だ」

サタン「何だ……この力は!? このサタンが知り得ぬ力があると言うのか……ッ!?」

 召喚士が金色の光に包まれ、輝きを帯びている。その力はまさしく五行。

 だがこれまでのものとは違い、光は明らかに召喚獣の形を成していた。

 今まで未完成でありながら姿を見せていた金色の龍。

 その本当の姿が今ここに解き放たれたのだ。

 朱雀、青龍、白虎、玄武、そして麒麟。その五属性が全て交わる時、

 唯一無二、絶対であるその召喚獣が現世に姿を現した。

 その名は黄龍。全てであり無でもある存在。光であり影でもある存在。

サタン「…………ッ」

黄龍「…………」 シュウウウウゥゥゥゥ


844 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:11:31.18 ID:cwfG7R4Ho
ボス「召喚獣……なのか……?」

同門「あんな召喚獣は初めて見る……っ」

戦士「お、おい……召喚士!!」

剣士「召喚士くんの身体がっ!」

 黄龍に飲み込まれるように、召喚士は光と一体となり、

 神々しい輝きを見せながら魔王サタンへと一直線に向かっていった。

召喚士「おおおおぉぉぉぉーっ!!」

サタン「その肉体、精神の全てを……打ち砕いてくれるッ」

 ズッギャアアアアァァァァ!! ズゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

召喚士「っ!!」

サタン「確かに、大した力ではある。あるが……まだ足りぬ」

召喚士「まだ……まだああああぁぁぁぁ!!」

サタン「分かっているぞ。五行の力が欠落しておる。足りぬのはそれだな」

ジュニア「あと1つはどうなってんだ!!」

戦士「……親父っ」


845 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:12:05.41 ID:cwfG7R4Ho
 ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

戦士父「……ぐ」

バーテン「何してんだよこんな時に! 立てっ! 立てよ!」

戦士父「わ……分かって……いるっ」 ググッ

バーテン(とは言えここまで重症じゃ……投擲は無理かもしれんな)

戦士父「……皆がっ、瀕死ながら頑張っていると言うのに……な、情けないっ」 ヨロッ

バーテン「……しゃあねぇ。こうなったら……俺がやる」

戦士父「無理言うな……っ」

バーテン「だったらどうする」

戦士父「俺が……っ」 ガクン

バーテン「!?」

戦士父「――っ」

 フワァ……

戦士父「……?」

――『何をしてるのよ……もうっ』


846 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:12:33.03 ID:cwfG7R4Ho
バーテン「……お……おいっ、マジ……かよっ」

戦士父「お……前……」

戦士母『ほらっ、しっかり! 戦士が見てるわよっ』

戦士父「……っ」

戦士母『あとあ少しじゃない。これで最後なのよ? ねっ』

戦士父「……ああ、そうだよな」

戦士母『隊長、彼を支えてあげて』

バーテン「あ、ああ……っ」

戦士母『さぁ自信を持って。あなたは死なないわ。私が守るもの』

戦士父「……ありがとう」 ボソッ

戦士母『あなたに感謝の言葉を言われるなんて、初めてかしら』

戦士父「ずっと言えなかった。後していた」

戦士母『……』

戦士父「やっと君に伝える事が出来たよ。ありがとう」

戦士母『ふふっ。私は幸せ者ね』


847 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:13:06.74 ID:cwfG7R4Ho
 ザシャッ

バーテン「いいか!? 方角と軌道は俺に任せろ」

戦士父「……しくじる……なよ?」

バーテン「誰に言ってやがる。バリスタの発射に比べりゃこんなもんは朝飯前だ」

戦士父「……ふっ、それもそうだな」

バーテン「威力は期待できねぇが、放つ事に意義がある」

戦士父「ああ」

バーテン「さぁ構えろ。行くぞ!」

戦士父「……」 ザッ

バーテン「少し右……もうちょい、そう。そこだ」

戦士父「……ふーっ」 ギュッ

バーテン「5秒後いくぞ……3、2、1……」

戦士父「……っ」

バーテン「今だっ!!」

戦士父「うおおおおぉぉぉぉーっ!!」


848 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:13:35.73 ID:cwfG7R4Ho
 ズザッ!! バッシュウウウウゥゥゥゥ――――!!

戦士父「うぐ……っあ」 ズキィ!!

バーテン「軌道はいいが、威力が弱すぎる……っ」

戦士「親父ぃ!!」

戦士父「く、そ……っ。情けない……」

 タッタッタッタッ……

戦士父「こんな……事で……っ」

 タッタッタッ……ズザァ!!

戦士父「……?」

バーテン「っ!?」

マジシャン「何やってんだよ馬鹿野郎!!」

バーテン「てめぇこそ何してやがったんだよ!!」

マジシャン「うるせぇっ! 色々あったんだよ!!」

 キュイイイイィィィィ……ズゴゴゴゴゴゴゴ……

マジシャン「間に……合ええぇぇぇぇーっ!!」

 第12五行、発動。


849 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:14:04.68 ID:cwfG7R4Ho
 ドッドオオオオォォォォン!!

召喚士(マジシャンさん……っ!?)

魔道士「五行っ!!」

盗賊「だけではないっ! あれは……っ」

青年兵「ついにゾディアックが……!」

サタン「何ッ!? 伏兵か……ッ」

召喚士「これで……っ、五行の力が全て揃った……!!」

サタン「甘いな」

召喚士「!?」

サタン「例え全て揃った所で、1つにさせねば良いだけの事だ」

召喚士「何っ!!」

サタン「着弾点をこのサタンにした事が第1の失敗」

召喚士「……っ」

サタン「そして、投擲手を一流にしなかった事が第2の失敗だ」

召喚士「何……だと……」


850 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:14:33.66 ID:cwfG7R4Ho
マジシャン「くっそぉ!! 軌道がズレてやがる!!」

バーテン「やっぱり瀕死のこいつじゃ無理があったか……っ」

 ギュオオオオォォォォ!!

サタン「落下に入ったか」

召喚士「戦士父さんは……一流なんだぞ……っ」

サタン「あとは先にあの槍を我が肉体で受け止め……」

 ズズズッ……

召喚士「――――!?」

プリースト『……っ』

魔剣士『…………ぅ』

サタン「代償として、五行の力を拡散する。それで終いだ」

召喚士「くそぉ……っ、くそぉ!!」

サタン「中和が防がれ不便ではあったが、対処出来ぬ攻撃ではなかったな」

召喚士「くそおおぉぉ!! 諦めるなっ!!まだ……まだっ、何か手が――――」

 その瞳に飛び込んだのは、幼き頃よりずっと追い続けていた背中であった。


851 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:15:02.53 ID:cwfG7R4Ho
師匠「召喚士いいぃぃぃぃ!!」

召喚士「し……師匠……っ、師匠…………」 ジワァ……

師匠(ほんの僅かしか時間がねぇ! だがお前なら……言わなくても伝わるよなぁ!!)

召喚士「師匠……っ、師匠おおおおぉぉぉぉ!!」 ブワァッ

サタン「何だとッ!?」

師匠「行けぇーっ!!」

 その時召喚士の取った行動は、師匠の期待通りのものであった。

召喚士「師匠……お返ししますよ、ずっと預かっていたものを……お返ししますっ!!」

師匠「コカトリスー!!」

 シュイイイイィィィィン

魔法剣士「なにぃ!?」

大軍師「そ、そうかっ!! 専属解除を……っ!!」

師匠「長い事待たせたな……戦友!!」

コカトリス「……ふっ。この一撃で決めてくれようじゃないか、戦友」

サタン「コカ……トリス!!」


852 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:15:32.92 ID:cwfG7R4Ho
 師匠の放ったコカトリスは大いに羽ばたいた。

 ただ真っ直ぐに、魔王サタンを目指し羽ばたいた。

サタン「ウ……グヌゥーッ!!」

 コカトリスの突撃と同時に、サタンの胸部が石化する。

師匠「がははっ、ざまあみろ……っ!!」

魔剣士『師匠、君の力……確かに受け取ったぞ』

プリースト『あとは任せて。ありがとう、師匠』

サタン「石化で……五行の力を拡散させぬと――――」

師匠「再来を……ナメんじゃねぇぞ……!!」 ドシャッ

マジシャン「いけええぇぇぇぇ!!」

 師匠のコカトリスが石化を促し、魔剣士とプリーストがその力を留め、制御する。

 そしてマジシャンの五行を付加したゾディアックがそこへ静かに、突き刺さった。

 ズグゥッ……ズズズズッ

サタン「――――ッ!!」

召喚士「これで……っ、最後だああああぁぁぁぁーっ!!」


853 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/08(水) 18:16:52.85 ID:cwfG7R4Ho
 黄龍がサタンを飲み込む。光が弾け大きく輝きだす。

サタン「……まさか……まさかな」

召喚士「ああぁぁぁぁ――」

サタン「このサタンが……敗れるとでも……言うのか……ッ」

 黄龍の光はサタン、召喚士、そしてコカトリスを包み込んだまま、

 激しく爆発を起こし、天高く舞い上がるように金色の柱を生み出した。

戦士「召喚――うぐあっ!!」

魔道士「――――っ!!」

盗賊「う……っああぁぁぁぁ!!」

 ゴッガアアアアァァァァ――――!! ドッドオオオオォォォォ――――……

 サタンの宮殿は原型を留めぬ程に損傷し、そこに立つ者は1人も居ない。

 瓦礫の中で微かな呼吸と呻き声が響くのみである。だが、生きていた。

 奇跡か神の加護か、それとも絆の力か。命を失った者は1人も居なかった。

 他の者の無事も分からぬまま、一同はかろうじて、ただ召喚士とサタンの安否を見つめた。

 だがそこに、サタンの姿はおろか召喚士の姿も見えなくなっていた。


860 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/08/08(水) 19:15:14.40 ID:L9lpGhf/o
>>1乙

・・・やったか?


861 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/08/08(水) 19:46:10.81 ID:FJMu/URA0
>>860
そのフラグをぶち壊す



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