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白剣士「毎日が平和なこと」
117 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/09(月) 10:25:24 ID:JaA2Opxs
 
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――――【2日後・渓谷国】


…ユサユサ

白剣士「おい、朝だぞ。つーか渓谷国着いてるぜ」

悠久姫「…む」パチッ

白剣士「ここで8時間、船の整備と燃料の入れなおしだってよ。港町あるけど、外出るか?」

悠久姫「ん〜…白剣士はどうするのだ?」


白剣士「なんかすげー絶景が近くにあるとか、渓谷の名前は伊達じゃないって話を聞いたから興味はある」

悠久姫「それじゃあ見に行こう」

白剣士「わかった、んじゃ準備していくか」

悠久姫「うむ!」


118 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/09(月) 10:25:54 ID:JaA2Opxs
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…トコトコ

白剣士「すげー。町の周りを緑の山々が覆ってるな…こんなの初めて見た」

悠久姫「人々の笑顔が絶えぬ素晴らしい町だな。我が国もこうありたいものだ」

白剣士「…お前時々、王女モードになるよな」


悠久姫「時々ってなんじゃ、時々って!」


白剣士「ま、いいさ。それよりも近くに休める場所は…」キョロキョロ


…ウ〜!!!

悠久姫「…む?」


119 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/09(月) 10:27:12 ID:JaA2Opxs
 
白剣士「サイレンか?」

悠久姫「何かあったのか?」


…ザワザワ

白剣士「…騒がしくなってきたな」


悠久姫「…そこの者!」

町人「ん?何だ!急いでるんだ!」

悠久姫「一体何があったのじゃ?あのサイレンは何だ?」


120 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/09(月) 10:28:12 ID:JaA2Opxs
 
白剣士「お前は少しは慎みってものを…」

悠久姫「民が困っている時、話が聞けぬ指導者など!」

白剣士「…」


町人「急いでるってのに…、あのサイレンは事故があったってことだ!」

悠久姫「事故!?」

町人「ああ、別の町ともっと簡単に繋ぐ為に道路工事をしてるんだけどな、そこの道は険しくて事故が絶えないんだ」


白剣士「さすがは渓谷国だな」


121 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/09(月) 10:28:48 ID:JaA2Opxs
 
町人「俺たちは俺たち…住民が一丸となって町を仕上げている。俺の息子も働いてるんだよ…もういいか!?」

悠久姫「そうか…引き止めてすまなかった」

町人「ああ、見たところ…あんたらは旅客だよな?あんたらは気にせず、町を楽しんでいってくれ…じゃあな!」

タッタッタッタッタ…


悠久姫「…」

白剣士「おい、姫…」

悠久姫「…行くぞ!」

白剣士「行くってお前…まさか…」


悠久姫「事故現場じゃ!」

白剣士「…マジで」


123 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/09/09(月) 11:00:10 ID:EyNPzUwc
乙乙

>>25
>「…よ」ボソッ
ってどういう事なんだべ気になる


124 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2013/09/09(月) 11:46:27 ID:TEp1G7U6
乙です。馬車商人、いい人だ。

>>123
たぶん、白剣士から英雄剣士に対して、何かしらの悪態ついてたと思う。
なぜそういう悪態つくのかは、今後明かされると勝手に期待してるw
勝手に予想してごめん。しかも間違ってたら恥ずかしいw


126 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/09/09(月) 17:52:58 ID:380yZuow
バイと先は簡単に止めれたんだろうか
忙しそうだったけど


128 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:26:30 ID:.dyIQWbU
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ザワザワ…

…オーイ!!ハヤコーイ!!!…キュウゴハンマダカー!!


白剣士「すげえ人だな」

悠久姫「事故現場はこの辺なのか?」

白剣士「みたいだが…」


町人A「おーい!救助隊は何やってんだ!」

町人B「向こう側で手一杯だ!早く戦闘班と救助班呼んで来い!」


129 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:28:00 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「戦闘班とな…」

白剣士「そもそも、どんな事故が発生したか聞いてなかったな」


悠久姫「おい!そこの者!」

青年「へ?何スか?」

悠久姫「どのような事故が起きたのだ?」

青年「あー…道整備のために洞窟掘ってたみたいなんですけど、天然洞窟とぶち当たったらしいです」


悠久姫「それでこの騒ぎか?」

青年「いや、そこから魔獣が飛び出したとか。簡単なゴブリンみたいですけど、この町には一大事なんスよ」


130 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:28:31 ID:.dyIQWbU
 
白剣士「ゴブリンごときで一大事って…戦闘技術の心得くらいあるだろう?」

青年「どうッスかねえ…自分が言うのもなんですが、この町の戦闘技術は低いと思いますよ」

白剣士「軍の配備は?」

青年「中央から離れてますし、ここまではきてないっスよ。だから自分らで何とかするしかないんです」


…ドゴォン!!…キャー!!


白剣士「なんだ?」

悠久姫「なんじゃ!?」


131 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:29:06 ID:.dyIQWbU
 
戦闘員「ゴブリンの群れだ!皆離れろ!」

町人A「息子はどこですか!」

戦闘員「後で確認しろ!相手は魔法を使ってきて、洞窟自体が崩れかねない!」


…キャーキャー!!ウワー!!


悠久姫「…ここは私が…!」

白剣士「姫、戦闘の心得あるのか?」

悠久姫「ない!」

白剣士「おい」


132 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:29:46 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「だが、民が困ってる時に動かないでどうする!」

青年「民…?姫?」

白剣士「あ、ああ!こいつは将来、王子のお嫁になるのが夢で、その練習なんだ!」

青年「へえー、夢はでっかいほうがいいッスよね」


悠久姫「なにぃ!私はな、悠久国の…」モガモガ


白剣士「ばっかやろう!正体バラして大事になったらどうする!」ボソボソ

悠久姫「そ、そうか…すまん」ボソボソ


青年「?」


133 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:30:35 ID:.dyIQWbU
 
…ドサッ!!

悠久姫「!」

白剣士「!」


…キィン!!キキィン!! 

戦闘員A「うわあー!」

戦闘員B「相手はたかがゴブリンだ!いけえ!」

戦闘員C「ですが、あんな真っ赤なゴブリン見たことないですよ!」


赤ゴブリン『…』


白剣士「…異種か」


134 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:31:32 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「し、白剣士、次々とやられているぞ!」

白剣士「見たところ、普通のより強めだな。面倒なやつ掘り当てやがって」

悠久姫「なんとかならないのか!?」

白剣士「…無理だろ。俺らは町に戻っておこうぜ、戦闘員が何とかしてくれるだろ…多分」


悠久姫「うう…」


戦闘員A「うおおおっ!」

…ズバシュッ…ドサッ


戦闘員B「隊長!くそお…うおおおっ!」ブンッ

ゴブリン『フンッ』ヒョイッ

…ズバッ……ドシャッ……


135 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:32:16 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「…」ブルブル

白剣士「ん?」

悠久姫「もう、止めぬか!このゴブリンども!」ダッ

白剣士「ばっ…!」


悠久姫「剣を借りるぞ!」

青年「えっ、ちょっ、俺の剣」


悠久姫「やあああっ!」

…タタタッ


136 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:32:56 ID:.dyIQWbU
 
ゴブリン『…女ガ、舐メルナヨ?』

悠久姫「…っ」ブンッ


…キィン!!…カランカランッ

悠久姫「うぐっ!」

ゴブリン『…フフッ、気ノ強イ女ハ嫌イデハナイゾ?』グイッ

悠久姫「くっ…」


…スパッ!!……ドサッ…

ゴブリン『…ハ?』


137 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:33:33 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「…え?」

ゴブリン『オ、俺ノ手ガ!!テメェ…!!』


白剣士「はー…だから、勝手に突っ走るなっつーの、このバカ姫が!」

悠久姫「なっ…バカとはなんじゃ!私は民の為を思って…」

白剣士「民、民、民…うっせえな!お前が立派なのは分かったが、自分が倒れてたら意味ねーって言っただろうが!」

悠久姫「…そ、それは…」


ゴブリン『…殺ス、覚悟シロ…』

白剣士「おっと、怖い怖い」


138 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:34:11 ID:.dyIQWbU
 
ゴブリン達『ヨクモ同胞ノ腕ヲ…殺ス…』ジリッ


…ザワザワ…アイツ…コロサレルンジャ…

ニゲロー!!


悠久姫「…囲まれたぞ…」

白剣士「まあ、そうだな」

悠久姫「私たちは…死ぬのか?」

白剣士「さあな。この剣に聞いてくれ」

悠久姫「…剣に?」


139 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:34:43 ID:.dyIQWbU
 
白剣士「ああ。この剣がな…」


ゴブリンA『シネィ!!』ブンッ

ゴブリンB『覚悟シロ!』ビュンッ


…ヒュッ……ズバ…ズバァン!!!

……ドサドサッ


ゴブリンA『』

ゴブリンB『』


白剣士「この剣が、最後まで壊れず無事だったら…って事だ」


140 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:35:21 ID:.dyIQWbU
 
ゴブリンC『ナッ…カカレ!』

ゴブリンD『…オオオッ!』


悠久姫「お、お主…」

白剣士「ま、願っておいてくれ……おらあっ!」

…タタタタッ…タァンッ!!


…ズバァンッ!!

キィン……キキキィン!!……ズバッ…ドサドサッ…ドサッ…


141 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:35:58 ID:.dyIQWbU
 
ゴブリン達『…』
 
赤ゴブリン『貴様…』


白剣士「ふむ、いい剣だ。軽くて使いやすいな」キラッ


戦闘員C「す…すげえ…」

青年「なんなんスか…あんた…」

町人達「う…うおおおおっ!」


悠久姫「…白剣士」

白剣士「ん?」


142 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:36:31 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「お主、強いのだな…」

白剣士「まー少しだけね。強いって言われる程ではないな」


赤ゴブリン『ゴチャゴチャと…俺の同胞をよくも…」

白剣士「あのね…お前らだって人間殺してるだろうが。そんな理屈通ると思うか?」

赤ゴブリン『貴様らが我が住処を侵すのが悪いのだ!』


白剣士「だからって殺すことないだろうが」


赤ゴブリン『…死ね!』ブンッ!!

白剣士「…ふん」


…ズバズバッ!!!


143 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:37:10 ID:.dyIQWbU
 
赤ゴブリン『…』

白剣士「…」


悠久姫「…」ゴクッ


赤ゴブリン『…くそが…』ドサッ


悠久姫「!」

白剣士「おっし。これで全部か?」キョロキョロ


ゴブリン達『』


144 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:37:51 ID:.dyIQWbU
 
白剣士「いないみたいだな。姫、立てんのか?」

悠久姫「お主は平然としてるな…私は腰が抜けてしまった…」


白剣士「ああ!?…背負ってやるよ、ほらよ」スッ


悠久姫「う、うむ…すまない…」ギュッ

白剣士「気にするな」ヨイショ


…トコトコ

白剣士「ほら、えーと…剣。お前のだったな。返す」

青年「あの…何者…なんスか…?」

白剣士「俺か?」


145 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:38:31 ID:.dyIQWbU
 
青年「はい…」

白剣士「何者でもねーよ。普通の人だ」

青年「旅客さんスよね?」

白剣士「ああ、それとこいつもな」


悠久姫「よろしく!」

青年「はは…お名前を聞いても?」

白剣士「俺は白剣士。こいつはえーと…」


悠久姫「悠久ひ…」ゴツッ

白剣士「お、女剣士だ!」


修正 名前: ◆qqtckwRIh. [sage] 投稿日:2013/09/15(日) 10:53:00 ID:3mByo3oY
 
悠久姫「〜…っ!ひあ…かんらっ…!(したかんだ!)」ズキズキ


青年「そうッスか。ありがとうございました、それと…」

白剣士「ん?」

青年「船で来てるなら今は悠久行きだけだし、あと数時間かかりまスよね?」

白剣士「まあそうだが…」


青年「しばらく、白剣士さんはこの町でヒーローになりまスよ?」チラッ

白剣士「ん?」チラッ


147 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:39:48 ID:.dyIQWbU
 
戦闘員達「…」

町人達「…」

救助隊「…」

…ザワザワ


白剣士「な、なんだ…!?」

悠久姫「?」


148 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:41:02 ID:.dyIQWbU
 
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――――【渓谷国の港町・酒場】


町人A「うわーっはっはっはっは!」

町人B「まあ飲めよ!」

白剣士「だから飲めねーんだよ!」

悠久姫「あっははは!」


町人C「よくやってくれた、あんたすげーよ!」


149 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:41:34 ID:.dyIQWbU
 
白剣士「別に礼されるようなことはしてねーよ」フン

町人A「いやいや、あのまま俺たちだけじゃ被害も半端ないことになってただろうしな」

白剣士「お前らさ、もうちょっと戦いに関して覚えろよ…。このご時世、魔法や戦闘技術の一つないと…」

町人A「覚えたいんだが、軍はいないし戦闘に長けた人らもいねえんだよ」


悠久姫「ふーむ…悠久国からはそう離れていない場所…、いっそのこと私の国の騎士団をこの場所に…」ブツブツ

町人A「ん?何だって?」

悠久姫「あ、ああいや!何でもないぞ、気にするな!」


町人A「しっかし嬢ちゃん、ローブそんな深く被って前見えてるのか?」


150 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:46:39 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「ああ、ちょっとした趣味でな…き、気にするな」

町人A「趣味ね…若い人のファッションはわからんなあ」


白剣士はは…」


町人A「それにしても、兄ちゃんは何だってあんなに強いんだ?」

町人B「そうだ、それ気になったぜ」

悠久姫「私もじゃ」


白剣士「強いって…ゴブリン程度倒すくらいならな…うーん」


151 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:47:10 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「いやいや、普通の人はあそこまで剣も武器も使えぬものだぞ?」

白剣士「まー、昔…冒険学校とか通ってた時期があったからな。自然と体が覚えてるんだよ」

悠久姫「ほう!」


町人A「ほー!なるほどな、そりゃ強いわけだ。戦いのエキスパートじゃないか!」

白剣士「…ふん」

町人A「ま、それはそれだ!とりあえず…飲め!食え!」


白剣士「食うけど飲まねえっつってんだろ!」


152 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:47:41 ID:.dyIQWbU
 
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153 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:48:14 ID:.dyIQWbU
 
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――――【数時間後・船の中】


白剣士「ててて…あいつら…、無理やり飲ませやがって…」キーン

悠久姫「本当に酒に弱いのだな」

白剣士「血だ血。親父もそんな飲めなかったらしいしな」


悠久姫「なるほどの。白剣士の父上はどのような方だったのじゃ?」

白剣士「…さあな」

悠久姫「…聞かせてはくれぬのか?」


白剣士「聞きたいのか?」


154 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:48:44 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「言いたくないなら…いいのだが…」

白剣士「…俺は親父が嫌いだ。家族が嫌いだ。これでいいか?」

悠久姫「何故じゃ?」


白剣士「…お前、本当にずかずか入ってくるな」

悠久姫「気になった事は、聞きたくなるのじゃ。この性格、父上にも直せとは言われてるのだが…」

白剣士「ふん…そういうお前はどうなんだよ」


悠久姫「私か?」


155 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:49:22 ID:.dyIQWbU
 
白剣士「どうせ、お前は愛されて育てられたんだろ?不自由なくな」

悠久姫「…」

白剣士「羨ましいぜ。ちやほやされてたんだろ?」

悠久姫「…それは良いものだと思うのか?」


白剣士「あ?」

悠久姫「お主、幼い頃から王の下に生まれ、友人は周りの使用人だけ…、対等な立場がいないという人間が…どれほど辛いか…」

白剣士「…」

悠久姫「本では良く読んだ。友達、冒険、遊び…じゃが、私はいつも勉学ばかりだった」


156 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:49:52 ID:.dyIQWbU
 
白剣士「…」

悠久姫「たまに同じ年代の子と会っても、私の前には敬語と頭を下げるばかり。ケガなんて知らないで育ってきた」

白剣士「…」

悠久姫「そんな時だった。剛闘家と知り合ったのは」

白剣士「あぁ…」


悠久姫「剛闘家は、他の者と違って私を対等に見てくれたのじゃ。楽しかった…」

白剣士「…へえ」

悠久姫「それから色々教えられて、成長していくうちに、今のようになったのだ」


白剣士「ほほう、おてんばなバカになってしまった、と」


157 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:50:22 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「…うるさいわ!バカバカ言うでない!」

白剣士「はは、悪い悪い。思ったよりシリアスな感じでびっくりしたぜ」


悠久姫「…まあ、そんなわけで…白剣士のような友達が出来て…その、嬉しいぞ…」モジモジ

白剣士「友達?」

悠久姫「え…ち、違うのか…?」シュンッ


白剣士「…あー……まあ、友達、だな」

悠久姫「そ、そうなのか!?」パァァッ


白剣士「お前自分で言ったんじゃねーか…、そうだな。友達だろ」

悠久姫「うむ!うむうむ!好きだぞ白剣士!」

白剣士「うっせ!」


158 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:51:37 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「うふふ」ニタニタ

白剣士「んま…なんつうの。俺もお前みたいなもんだから、気持ちは分からないでもねーよ」


悠久姫「そうなのか?」


白剣士「ああ。俺の親父、母親、叔父…、爺ちゃん…全員が冒険者の一家なんだわ俺の家」

悠久姫「なんと…」

白剣士「しかも何だかんだで、全員強いときたもんだ。そんな家系だから、冒険学校に入学した時も期待されてた」

悠久姫「そうなるな…」


白剣士「俺だって必死に頑張った。だけどな、残せるような結果はなかったんだ」


159 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:52:32 ID:.dyIQWbU
  
悠久姫(あんなに強ければ十分だと思うのじゃが…)


白剣士「自分の限界に気づいてきた歳になると、周りの期待がプレッシャーになった。思い出すだけで…嫌な気分になる」

悠久姫「…」

白剣士「だから俺は…逃げた。冒険学校を卒業後、軍を蹴って一人暮らしを始めたんだ」

悠久姫「…なるほど」


白剣士「そこから数年。まともに口も聞いてねえ。どこで何してるくらいかは聞いてたけどな」


悠久姫「寂しくは…ないのか?」

白剣士「さあな。俺も分からんよ。……ま、この話はこれで終わりだ」


160 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:53:03 ID:.dyIQWbU
 
悠久姫「そうか…話てくれて嬉しかったぞ、ありがとう」

白剣士「お前も話したんだから、どっちもどっちだろうが」


悠久姫「そう…なのか?」


白剣士「お前本当に世間知らずだな。そうなんだよ、覚えておけ」

悠久姫「…うむ、わかった」

白剣士「それより今日は色々あって疲れてるだろ。寝ておけよ」


悠久姫「そうじゃな、少々眠い…」


白剣士「あと、子供じゃねーんだからちゃんと毛布をかけて寝…」

悠久姫「…」スゥスゥ


白剣士「…」


161 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/09/10(火) 10:53:33 ID:.dyIQWbU
 
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166 名前: ◆qqtckwRIh. [sage] 投稿日:2013/09/10(火) 10:59:04 ID:.dyIQWbU
本日はここまでです。ありがとうございました。

遅れながら 
>>123>>126様に言いますと、
おっ?ん?、など、少し違和感や何か変な部分があったら
それは物語の中に繋がる1つだと思ってください(A´ω`)


170 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/09/11(水) 02:32:57 ID:vAm4qUnA
なるほど
白剣士は彼か なら英雄剣士に対して思うところもあるわな



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