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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その30
- 136 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/06/23(木) 00:31:10.12 ID:Gv1er5xqo
青年兵「……」
テクテクテク
召喚士「……青年兵くん」
青年兵「召喚士さん」
2人は飾られた遺影を、しばし無言でぼんやりと見つめていた。
召喚士「いい……笑顔だね」
青年兵「ええ……。本当に」
瞑る目には涙が滲む。だが、零れる事はない。
召喚士と青年兵はぐっと堪え、すぐにまた、そして懸命に笑顔を作る。
青年兵「……行きましょうか」
召喚士「うん」
さようなら。その言葉を胸中で呟き、2人は講堂を後にする。
写真の中の青龍先生は屈託のない笑顔で2人を見つめていた。
そして……『伝説』はその名の通り、まさしく『伝説』となった。
- 137 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:32:24.90 ID:Gv1er5xqo
召喚士「行けっ!コカトリス!!」
〜第四十九部〜
- 138 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:33:17.66 ID:Gv1er5xqo
アンラ・マンユとの戦いを終えた討伐隊は、各方面へと帰還した。
召喚士らを乗せた1番艦も、本国へと入港していたのであった。
〜本国〜
戦士「生きて帰ってきたな」
盗賊「うん」
玄武娘「くあぁ……疲れたですのぉー」
朱雀嬢「我慢なさいな。もうすぐ休めますわよ」
白虎嬢「そうそう〜」
召喚士「あれ? そういや戦士の親父さんは……?」
戦士「なんか機能の夜に出発したらしいぞ」
魔道士「どこにですか?」
戦士「さぁ、誰も聞いてないってよ」
召喚士「そっか……」
戦士「全く、冷てぇもんだよな」
召喚士「心配かけたくなかったんじゃない?」
- 139 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:33:52.93 ID:Gv1er5xqo
戦士「そんな年かっつーの……お互いよ」
盗賊「……さて、どうする?」
魔道士「このあとすぐに、凱旋パレードがあるみたいですよ」
戦士「あー。だからみんな待機してんのか」
召喚士「参加する?」
戦士「めんどくせーなぁ」
盗賊「……ああ」
召喚士「だよね……」
戦士「国軍付ったってどうせワーカーだし、参加しなくてもいいだろ」
召喚士「そうだね」
テクテクテクテク
天才「ほっほーう」
召喚士「天才さん!?」
天才「魔王を討伐した凱旋パレードをバックレるとは……いい度胸じゃねぇか」
召喚士「い、いや……その……っ」
- 140 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:35:38.92 ID:Gv1er5xqo
天才「ま、いいんじゃねぇの」
魔道士「い、いいんですか?」
天才「バックレる気マンマンだったじゃねぇか」
魔道士「そ、それはそうですけどぉ……」
天才「冗談だよ。いいぜ、好きにしな」
盗賊「……」
天才「その代わり、パレード終了後には本部で会議がある」
戦士「参加しろって事だな」
天才「……ついでにそこの奴らも連れてってやれ」
召喚士「へ……っ?」
ビクゥッ!!
白虎嬢「にゃ〜ん」
朱雀嬢「誤魔化せるわけないでしょっ!」
玄武娘「おぉ、本物の猫みたいでしたのー!」
召喚士「は、ははは……っ」
- 141 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:36:44.14 ID:Gv1er5xqo
…
天才「そんんじゃ、また後でなー」
召喚士「天才さんはどちらへ?」
天才「1人で酒でも飲みながら仮眠でもしてるわ」
テクテクテクテク
戦士「そんなら一緒にくればいいのに」
ジュニア「1人になりたんだろ」
魔道士「ジュニアさんっ!」
ジュニア「あの戦いの後だからな。そういう気分の時だってあるさ」
戦士「ふぅん、ああ見えて意外な一面もあるんだな」
魔道士「そりゃそうですよぉ」
戦士「さーて、そんじゃ俺らも行くか」
召喚士「うん」
ジュニア「……」
召喚士「……えっと……ジュニアさんも……行きます?」
- 142 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:37:32.15 ID:Gv1er5xqo
〜酒場〜
ジュニア「ぷっはーっ!! 生き返るわぁ〜。命の水とはよく言ったものだな!」
戦士「きっと寂しかったんだろうな」
召喚士「戦士、聞こえてるって!」
ジュニア「……」
戦士「だってよ、普通付いてこなくねーか?」
召喚士「ちょっと戦士っ!!」
ジュニア「…………」
戦士「友達とかいねーんじゃないか?」
召喚士「……」
ジュニア「……それより女子共はどこに行ったんだ?」
召喚士「えっと……買い物に」
ジュニア「あっそ……」
戦士「……ヤロー3人で昼っから酒だよ」
召喚士「……」
- 143 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:38:00.18 ID:Gv1er5xqo
〜大通り〜
魔道士「ちょっとこれっ、カワイイ〜!」
玄武娘「ほんとですのーっ!」
朱雀嬢「何でもいいですわよ」
盗賊「……全くだ」
白虎嬢「でもぉ、やっぱり女の子なら可愛い物も身に付けないと〜」
朱雀嬢「お金の無駄ですわ」
盗賊「……動き辛い」
朱雀嬢「あれ? あの方は確か……」
白虎嬢「確か、天才さん……でしたっけ?」
盗賊「何をしているのだろう」
朱雀嬢「どこかへ行くみたいですわね」
盗賊「……」
玄武娘「あっ、これ見て下さいですのーっ!」
魔道士「うわぁ、素敵〜っ」
- 144 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:38:45.28 ID:Gv1er5xqo
ザッザッザ
天才「……ここか」
コンコン
天才「……」
――「はい」
天才の訪れた一軒の家。ドアの置くより1人の女性が顔を出す。
天才「南西砦長の配偶者……かな?」
妻「ええ、そうです……」
天才「国軍総司令官、天才と言う」
妻「!? こ、これは……わざわざありがとうございます」
天才「今日は……いや、何で来たかは分かっているか」
妻「……どうぞ。お入り下さいまし」
天才「ああ、失礼す――」
息子「どうぞ」
天才「……ああ」
- 145 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:39:25.04 ID:Gv1er5xqo
…
妻「どうぞ」
カチャッ
天才「すまんな」
息子「それで、父は?」
妻「……っ」
天才「……」
ゴソッ…コトッ
天才「南西砦長の遺骨だ。それと……」
ゴソッ
天才「遺品。他にも持ち帰られる限りは全て回収した」
妻「ありがとう……ございます」
天才「……」
息子「……」
妻「……っ」
- 146 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:39:59.20 ID:Gv1er5xqo
天才「……それじゃ、失礼する」
妻「今日は、ありがとう御座いました……」
息子「遺骨、しまってきます」
スクッ…ゴトッ
息子「……」
小さな箱は、見かけによらず、ずっしりとした重さだった。
その重さが箱を通して、息子の手に重くのしかかる。
それは紛れもなくつい先日まで生きていた人間だったもの。
息子はその重みを感じて、我慢し続けていた涙が一気に溢れ出した。
息子「……ぐ……うぅ……っ」
妻「……っ」
それでも気丈に上を向いて、背中越しに一礼すると、リビングを立ち去った。
天才「……強いな。まだ若かろう」
妻「今年で16になります」
天才「……そうか」
- 147 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:41:05.57 ID:Gv1er5xqo
妻「主人は、本国からのお話を伺ってから、既に覚悟を決めておりました」
天才「……」
妻「私達2人に対しても、生前に自分の口から……遺言を……」
天才「……そうか」
妻「ですから、私達も既に覚悟を決め、生きていく決心は出来ております
天才「生涯の補償は国軍が担う。安心してくれ」
妻「……」
天才「安心ってのも不謹慎な言い方だな。すまん」
妻「……いえ」
天才「何か困った事があったら、すぐに連絡してくれ」
スクツ
天才「……それじゃ失礼する」
妻「……あの」
天才「……?」
妻「主人は……主人は、立派に務めましたか?」
- 148 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:41:54.54 ID:Gv1er5xqo
天才「……ああ。見事だった」
妻「――っ!!」
天才「奴がいなければ負けていた。お世辞でも何でもねぇ」
妻「そう……ですか……っ」
天才「……では」
ザッザッザ
天才「!?」
息子「……本日は……ありがとうございました」
天才「……これから、頑張ってな」
息子「ありがとうございます」
天才「おう。えーと、今16だっけか?」
息子「はい」
天才「親父の代わりに、お袋さんの面倒をしっかりな」
息子「……」
天才「……ん、どした?」
- 149 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 00:42:50.56 ID:Gv1er5xqo
息子「僕は、決めている事があるんです」
天才「……?」
息子「16になったら、魔道学校へ入学しようと思っています」
天才「!?」
息子「そして卒業したら、そのまま国軍へ入隊します」
天才「……っ」
息子「そして、ゆくゆくは拠点を守る兵長になりたいと思っています」
天才「……そうか」
息子「その時は、共に戦わせて下さい」
天才「……ああ、待ってるぜ」
ザッザッザ
天才「見てるか南西砦長。お前の魂は……しっかりと引き継がれたぜ」
晴れる事のなかった心の雲は、青空のように澄みきった。
天才「やっぱり、これで良かったんだよな……お師匠」
青空を見上げる天才の耳に、凱旋パレードの賑やかな声が優しく届いた。
- 153 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/06/23(木) 09:27:47.53 ID:nC+zb4XDO
とうとう青年兵がバハムートを受け継ぐのか
胸熱
- 154 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 15:08:05.76 ID:yMPemDCto
…
近衛兵「前進ーっ!!」
ザザッ…パッカパッカパッカ
本国の港から大通りへ抜けると、そこには既に大勢の人々が、
紙吹雪や楽器、手拍子に歓声と様々な手段で一同を出迎える準備をしていた。
男「きたぞーっ!!」
老人「本国万歳ーっ!! 陛下ぁ!!」
女性「……あっ!! ほらっ、お父さんよ!!」
娘「お父さぁん! おかえりなさーい!」
魔道兵「……っ!!」
家族の無事を確認するや否や、中央の通りを離れ脇道で抱き合い涙する。
そんな兵らの姿を見て、規律こそ正しくないが人間味溢れてて良い、
などと皇太子は思いつつ、大衆に笑顔で手を振る。
涙を浮かべる者、笑みを浮かべる者、痛みに顔を歪める者。
表情は様々であったが、全員が胸を張って、大勢の出迎えに喜びを分かち合った。
- 155 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 15:09:10.98 ID:yMPemDCto
ワーッワーッワーッ
記者「……くそっ、凄い人だかりだな」
書家「……」
記者「おっ、陛下だ! 陛下〜っ、一言、一言お願いしますー!」
書家「こんな位置からじゃ無理だっつの」
記者「次は総大将を務めた青年兵か! あのー今回の総評を――」
書家「だーから無理だって」
記者「くそーっ。あれ、そういえば朱雀先生方は……?」
書家「そういやそうだな。参加しててもおかしくないんだがなぁ」
記者「よーし……こうなったら他紙とは違った切り口を狙うか」
書家「……」
記者「さぁ〜。ワーカーのみんなはもうじきかぁ〜?」
書家「俺は飽きたからもう帰るわ」
記者「先輩は相変わらず飽きっぽいですねぇ……」
書家「そんじゃ頑張ってなぁ〜。新編集長サン」
- 156 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 15:09:50.10 ID:yMPemDCto
テクテクテクテク
書家「……バーカ。だからおめーはいつまで経っても甘チャンなんだよ」
沿道の大衆に紛れスクープを狙う記者を嘲笑うかのように、
書家は1人その場を後にし、小さな通りの奥へと姿を消す。
テクテクテク
書家「ここ最近はでかい戦いもなかったし、左翼絡みでパレードもなかったが……」
テクテクテク
書家「通例ならば、本国軍のあとにワーカー。最後に国軍のはずだ」
テクテクテク
書家「ワーカーがいねーってのは自主的にバックレたって事」
テクテクテク…ザッ
書家「……だったら、今頃は大衆酒場で一杯やってる頃かねぇ」
カチャッ…キイィ
書家「……ビンゴ」
酒場に入る書家は、奥の席で団欒している召喚士らを即座に見つけ出した。
- 157 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 15:10:30.35 ID:yMPemDCto
テクテクテク…ザッ
書家「いよぉ、これはこれは朱雀先生!」
召喚士「あっ、書家さん!?」
戦士「何してんだ?」
書家「こっちの台詞だよ。アンラ・マンユ討伐にゃ参加しなかったのか?」
召喚士「いや、しましたけど……」
戦士「パレードって気分でもなかったし、国軍じゃねーからな」
書家「なーるほどな! んで、どうだったよ?」
戦士「……取材か?」
書家「おいおい、フリーでツテもねぇよーな奴のスクープなんざ、誰も相手してくれねーよ」
ジュニア「……」
書家「んで、どうたったんだよ!?」
召喚士「……ひどいものですよ」
書家「ひどい?」
召喚士「ええ……死傷者も多数で……」
- 158 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 15:15:09.98 ID:yMPemDCto
書家「……」
召喚士「この次は必ず……」
書家「……あのさ」
召喚士「はい?」
書家「お前、何か勘違いしてる?」
召喚士「え……っ?」
書家「右翼だの左翼だのが終わって、本国は今、一丸となってる」
戦士「……」
書家「誰がそんなネガティブな感想を喜ぶと思ってんだよ」
召喚士「……っ」
書家「これは取材云々の話じゃねぇぞ。一般論としてだ」
ジュニア「ぁ、そりゃそうだわな」
書家「パレードだってそうだろ。ああやって余計な不安を与えないようにやってんだ」
召喚士「そうかもしれませんが……」
書家「あーあ。なんか幻滅だなぁ」
- 159 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 15:17:57.69 ID:yMPemDCto
戦士「おい、失礼じゃねーか?」
書家「失礼なのはそっちだろ。泣き言で死者を冒涜してんじゃねぇか」
戦士「何だとっ!?」
召喚士「戦士」
戦士「……っ」
書家「大体よ、お前らは選ばれた人間なんだよ」
召喚士「……」
書家「人間の中から魔王と戦うに値する選ばれた人間」
ジュニア「……」
書家「更にはその中から主力として戦える力を持った、選ばれた人間」
戦士「……」
書家「言い方を換えれば、お前らを生かす為に、雑魚は死んだんだ」
召喚士「……そんなのって」
書家「それが事実だ。受け入れろよ」
召喚士「……っ」
- 160 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/23(木) 15:21:48.50 ID:yMPemDCto
書家「なのにお前ときたら、何が『ひどいものでした』、だ。馬鹿じゃねーの?」
召喚士「……俺は」
書家「もっと胸を張ってよ、こうこうこうして魔王を倒しましたって言えよ」
戦士「現場にも居なかった奴が何を言うんだよ」
書家「現場にいなかったから俺らがいるんだろうが」
戦士「……?」
書家「それを大衆に伝えるってのが俺らの仕事だろうがよ」
戦士「ちっ」
書家「じゃあ何か? 魔王討伐は大変でした。次はダメかもしれません。そう書けってか?」
戦士「そうじゃねぇけどよ」
書家「ったく、無駄足だったわ。じゃあな」
スクッ…テクテクテク
戦士「……何なんだよアイツはよ」
召喚士「でも、書家さんの言う通りなのかもしれない」
ジュニア「ああ。俺らが胸張って、誇りを持ってねーと……死んだ連中が浮かばれんよ」
- 162 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/23(木) 19:09:49.34 ID:NvRGrMyDO
>>1乙
実際目の前で人がゴロゴロ死んでしまったらキツイわな
しかもその作戦に中心人物として参加したら間違いなく責任は感じるよね。
天才や皇太子ですら自分の判断は本当に正しかったのか迷ったくらいだもんな。
- 163 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/06/23(木) 19:22:49.98 ID:Kuxa2tYAO
書家さん、圧倒的正論っ!
- 164 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/06/23(木) 20:42:00.13 ID:0Gvr8fqAO
>>1乙
リア充完全論破!!さすが俺たちの書家さんだぜ!!
- 166 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 00:06:11.35 ID:cih2/+3qo
.パッカパッカパッカ…
少年「かっこいい〜!」
女性「陛下〜っ!」
大通りを進むパレードは、間もなく王宮前へと辿り着く。
ワアアァァァァ!!
エリート「お帰りなさいませ」
皇太子「ああ、ただいま」
右秘書官「さぁ、壇上から離れよ。これより陛下のお話があるぞ」
右文官「ほれっ、そこの記者共! もっと下がらぬか!」
高官「陛下の馬をこちらに」
パッカパッカパッカ…ドドォ
皇太子「……」
青年兵「全員っ、整列ー!!」
ザザザッ!!
エリート「陛下、お願いします」
- 167 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 00:06:40.93 ID:cih2/+3qo
カツカツカツカツ
皇太子「……」
壇上に皇太子が立ち、周囲をぐるりと見渡すと、人々は一斉に無言となった。
皇太子「今日ここに立つ、その意味を皆も知っていると思う」
青年兵「……」
皇太子「我らは、ある1つの大きな始まりを迎えた」
白虎長「……」
皇太子「魔王との戦い。つまりそれは……最終決戦である」
大軍師「……」
皇太子「そして試練の刻は、7回訪れる」
アマゾネス「……」
皇太子「そのうちの1回、我らは無事、その門をくぐり抜けた」
記者「……」
皇太子「しかしくぶり抜ける事のなかった、多大な命がある事も事実である」
ドクター「……」
- 168 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 00:07:29.93 ID:cih2/+3qo
皇太子「それをどう受け止めるか。それは各々の思うところであろう」
格闘家「……」
皇太子「私は悩んだ。しかし、それと同時に教えられた」
右大臣「……」
皇太子「今は辛い。絶えるべき刻であろう」
エリート「……」
皇太子「残り6つの門を開いたその先に、我らの未来が待っていると信じている」
ザッ
皇太子「我らはその為に、命を賭けている。だから皆も信じて……付いて来て欲しい」
パチ…パチパチパチ…
皇太子「次代を担う、子や孫達の為に! 人類の未来の為に!」
パチパチパチッ…ワアアァァァァ!!
皇太子にとって何も変わった事を言ったつもりはない。
ありのままの心中を言葉にしただけである。しかし、それは確かに伝わった。
人々は歓声と拍手で、皇太子の演説を通し、戦う者達の魂は解き放たれた。
- 170 名前:NIPPERがお送りします(埼玉県) [sage] 投稿日:2011/06/24(金) 03:42:13.10 ID:hUe0542o0
皇太子も王らしさが出てきたな。こうやって登場人物の成長が見られるとなんか嬉しい。
いちょつ
- 171 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/24(金) 06:18:22.75 ID:GzXNPRqDO
しかし大勢の前で噛んじゃう
- 175 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:00:10.37 ID:+/1+ofXxo
…
エリート「お疲れ様でした」
皇太子「夜は祝賀会だったかな」
エリート「はい。しばし休息後、本国ホテルの一画を借りて開催致します」
皇太子「分かった」
カツカツカツ…パタン
右文官「司令はどうしたのだ?」
青年兵「パレードは不参加で祝賀会から合流すると」
未日文官「全く。軍の大将が何をしておるのだ」
青年兵「本人はワーカーだから参加しないと……」
大軍師「それ以前にお疲れなのでしょう。ここのところ出ずっぱりでしたから」
エリート「構わないさ。国民がパレードでみたいのは陛下なのだから」
右文官「それもそうか」
大軍師「さて、我々も移動し、準備に取り掛かりましょう」
青年兵「はい」
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