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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その24
692 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:25:46.54 ID:8vI3JnLwo
〜明朝〜

朝6時。一同が再び集合し、陣は全て畳まれた。

左翼長「見ての通り、陣は残さん。下手を打てば潰走は必死だ」

ワーカー「何が何でも勝てってか……っ」

参謀「退却は各々の判断に託します。北方司令部まで退いて下さい」

左翼長「カタパルトは守る必要ねぇ。緊急時は放棄して退却しろ」

投石兵「ははっ!」

左翼長「おーし、それじゃ行くぞ。出陣!」

ドドッ…ガガッガガッガガッ…

魔道士「陣は引き払ってしまうんですね」

戦士「不退転の覚悟なんだろ」

召喚士「それに、空の陣を残しておいても、意味はないですからね」

盗賊「…奇襲がないとも…限らんしな」

魔道士「なるほどぉ……」

戦士「…に、してもだ」


693 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:26:12.16 ID:8vI3JnLwo
召喚士「…うん。やや北方司令部から離れすぎではあるけど」

盗賊「…補給戦が縦に長いしな」

召喚士「まぁ、依頼は大規模ですが戦闘自体は割と小さいですし……」

戦士「心配はいらねぇか」

魔道士「左翼長さんの事です、ちゃんと考えてますよっ」

戦士「まぁそうだろうな」

召喚士「ここから東……」

戦士「あん?」

召喚士「丁度、北の村とかの辺りだよね…?」

盗賊「…ああ。そうだな」

召喚士「……なるほど」

盗賊「……そういう事か」

魔道士「……?」

召喚士「いえ、まぁ今回は必要なさそうですけどね。行きましょう」

魔道士「は、はいっ」


694 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:26:57.22 ID:8vI3JnLwo
1時間程北へ進軍した北方司令軍と召喚士らワーカー達。

山を一つ越え、谷へと差し掛かった矢先、斥候が大慌てで戻ってくる。

斥候「敵を確認ー!!アンデッドの部隊、多数です!!」

左翼長「来たかっ!!」

参謀「配置や距離は!?」

斥候「この先の谷間に布陣しております!ほぼ密集です!」

参謀「弓隊は高所に布陣っ、カタパルトは後方で組み立て用意!」

左翼長「先頭は歩兵とワーカー、それに魔道兵で固めろ!」

ワーカー「いよーし、今日こそケリをつけてやるぜ!」

ヒゲ「……おうよ!」

参謀「騎兵は左右より敵を分散して下さい!」

騎兵長「了解!まずは左方よち突破して、敵を分断するぞっ!」

騎兵「おぉーっ!」

ガガッ…ドドッドドッドドッ…

左翼長「…召喚士!」


695 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:27:24.95 ID:8vI3JnLwo
召喚士「はいっ!」

左翼長「敵さんの大将は多分、一番奥かそこらだ」

戦士「外見は?」

左翼長「全身黒服の人型だ。見れば分かる」

盗賊「…分かった」

戦士「どうする?」

召喚士「まずは話が出来るか判断したいね」

魔道士「……はいっ」

魔法剣士「本当にやるつもりか?」

召喚士「はい。もし向こうに説得の余地があるならば……」

魔法剣士「…分かった。俺は脇で待機していよう」

召喚士「お願いします」

魔法剣士「お前らの危険を感じたら容赦なく攻撃する。いいな?」

召喚士「……お任せします」

左翼長「よぉし…!全軍、戦闘開始ーっ!!」


696 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:27:55.40 ID:8vI3JnLwo
ドドォ…ガガガッ!!

スケルトン「人間だぎゃー!!」

歩兵長「怯むなぁ!敵の足は止まってるぞーっ、突っ込めぇ!!」

ワアアァァ

北方兵「でりゃああぁぁ!!」

ワーカー「うおりゃあぁ!!」

スケルトン「グガアアァァ!!」

互いに突然の装具であったものの、戦況は歴然の差であった。

士気も高く予め編成や作戦を備えておいた人間側が完全に圧倒し、

大将が指揮自体を放棄している魔物側は初撃で混乱を招いた。

魔法剣士「今のうちに背後へ回りこむぞ!」

召喚士「はいっ!」

五人はその間隙を突いて、一挙にアンデッドの群れを突破にかかる。

戦士「気付かれても立ち止まるなよっ!」

魔道士「はいっ!」


697 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:28:54.35 ID:8vI3JnLwo
ザッザッザ…タッタッタッタッタ

副官「朱雀先生一行は抜けたようです」

参謀「…よしっ、カタパルト……発射用意っ!」

グググッ…ガゴンッ

左翼長「……撃てぇ!!」

バシュウウゥゥッ!!……ズドオオォォンッ!!

スケルトン「何だぁ!?……グギャアアァァ!!」

左翼長「味方には当てんなよぉ!順番に射出しろっ!」

ドドンッ!!……スドオオォォ…スガアアァァンッ!!

スケルトン「たかが岩だ!邪魔くせ――」

騎兵長「突撃ーっ!!一挙に駆け抜けるぞ!!」

騎兵「おおうっ!」

スケルトン「横からだとぉ!?」

左翼長「……相変わらず、まるで手ごたえがないな」

参謀「ええ…。しかしながら不死というのが厄介です。長期戦ですね」


698 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:30:07.47 ID:8vI3JnLwo
タッタッタッタッタ…

戦士「突破したなっ!」

召喚士「うん!」

盗賊「……魔物の気配は…ないな」

魔法剣士「どこかにいるはずだ。油断するなっ」

魔道士「……はいっ」

戦士「一体どういうつもりだ……っ」

召喚士「……」

立ち止まり周囲の岩場を見渡す召喚士。

盗賊「……」

召喚士「…誰かに見られている…?」

盗賊「…気配はない。感じるのか?」

召喚士「分かりません……。そんな気がするだけです」

盗賊「……」

召喚士「気をつけて下さい。何か…異様な感じです」


699 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:30:37.18 ID:8vI3JnLwo
ザッザッザ

魔法剣士「……どうだ?」

召喚士「こっちには何も……」

戦士「こっちもだ」

ピクッ

魔道士「……?」

盗賊「…どうした?」

魔道士「こっち……何か空気の流れが違う感じ……」

戦士「……月読か。どんな感じだ?」

魔道士「風向きが…。おそらく、洞窟とかそんな……」

魔法剣士「あれではないのか?」

召喚士「本当だ……っ、洞穴の入り口のようなものが……」

盗賊「……待て」

召喚士「!?」

盗賊「…いる。何かいるぞ。間違いない」


700 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:31:19.36 ID:8vI3JnLwo
戦士「……いよいよい本命か」

盗賊「…おそらくな。単体だ……だが」

魔道士「…?」

盗賊「……気配らしきものはあるが…正体が分からぬ」

召喚士「魔物かどうか分からない…と?」

盗賊「…ああ。気配、としか分からぬ」

魔法剣士「…とにかく行くしかあるまい。他には何もないのだからな」

召喚士「……ええ、行きましょう」

戦士「盗賊、先頭は任せる。俺が後ろを務める」

魔法剣士「いや、最後尾は俺が担う。二人で前を頼む」

召喚士「…ありがとうございます」

ザッ

盗賊「…行くぞ」

戦士「おうよ!」

五人は洞窟らしき入り口に足を踏み入れ、中へと進んで行った。


701 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:31:54.18 ID:8vI3JnLwo
ザッザッザ…コツコツ…

盗賊「……」

魔法剣士「妙だな」

召喚士「…ええっ、洞窟なのに……何故か視界がひらけている…!?」

魔法剣士「…一度出よう。これは罠かもしれん」

戦士「…だな。用心に越した事ぁねぇ」

ザッザッザッザ

魔道士「――っ!?」

盗賊「……馬鹿な…っ」

召喚士「入り口が……ない!?」

魔道士「ど、どこかで道を…!?」

魔法剣士「間違えるはずもない!そんな距離ではないぞ!」

戦士「……罠か…っ」

――『……罠?失礼だな。そんなものではない』

召喚士「っ!?」


702 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:33:02.28 ID:8vI3JnLwo
戦士「何だこの声は!?誰だっ!!」

――『そのまま進みたまえ。それが君等の運命……』

盗賊「……」

――『命においてやり直しは利かぬ。まして……戻る事など断じてな』

魔道士「……っ」

――『さぁ、真っ直ぐ進むのだ。私はそこで待っている』

魔法剣士「……行く以外に、なさそうだな」

召喚士「……っ」

ザッザッザ…ザッザっ…

戦士「何者かしらねぇが…ナメた真似しやがって…っ」

魔法剣士「いつ襲われるとも分からん。油断はするなよ?」

盗賊「…無論」

魔道士「はい……っ!」

間もなく五人は洞窟の突き当たりへとぶつかる事となる。

そこには一人の……いや、一匹の黒い衣装に身を包んだ魔物が立って笑っていた。


704 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:46:13.49 ID:8vI3JnLwo
ザッザッザ…ザッ

戦士「……黒い服……あれか」

盗賊「……」

――「待っていたよ」

召喚士「……どういう意味だ」

――「……私の名は『ゲーデ』。男爵とも呼ばれているがね」

ゲーデと名乗る魔物は山高帽を取り、丁寧にお辞儀をする。

召喚士「待っていた、とはどういう意味だ?」

ゲーデ「君等が伯爵を葬ったのだろう?」

召喚士「……」

ゲーデ「私はね、探し……待っていたのだよ。君等の事……」

魔法剣士「……」

チャキッ

ゲーデ「伯爵の仇を討てる……この日をね」

召喚士「……っ」


705 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:50:48.18 ID:8vI3JnLwo
魔法剣士「……」

召喚士「待ってください、魔法剣士さん」

魔法剣士「……」

静止する召喚士の一言に従い、魔法剣士は手にした両手の剣を降ろす。

召喚士「ゲーデ…さん、でしたか。あなたは伯爵の仇を討つために…?」

ゲーデ「そう。それ以外に興味はないし、人間と剣を交える必要もない」

盗賊「……」

ゲーデ「とは言っても、向かってくる輩には手傷を負わせ、命をうばってしまったがね。フッククク」

召喚士「それも魔王の命令ですか?」

ゲーデ「魔王?そんなものに私は興味ないよ」

召喚士「……どういう意味です?」

ゲーデ「私が使える主は、あくまで伯爵様のみ。魔王なぞ関係ない」

召喚士「……」

ゲーデ「外の兵だって私の部下ではないよ。あれは魔王の手下だ」

魔道士「……っ」


706 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:55:31.86 ID:8vI3JnLwo
召喚士「ならば何故、魔王の下に身を寄せているのです…?」

ゲーデ「簡単な事だ。私が魔物だからだよ」

召喚士「……」

ゲーデ「人間と魔物は決して相容れぬ存在。君等も経験あるだろう?」

召喚士「経験?」

ゲーデ「人間同士とていざこざはある」

盗賊「……」

ゲーデ「相容れぬ者同士であっても、同種族ならば共存せねばなるまい」

召喚士「それが秩序です」

ゲーデ「秩序?……フッククク、面白い事を言う」

召喚士「……」

ゲーデ「秩序なんてものは、自分達が生み出した詭弁に過ぎぬだろう?」

戦士「何をゴチャゴチャと……」

ゲーデ「私とて君等と問答するつもりはないよ」

戦士「召喚士、コイツは説得出来るような奴じゃねぇぞ」


707 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/30(日) 23:58:56.75 ID:8vI3JnLwo
ゲーデ「説得…?私を説得するというのか?」

召喚士「あなたが言った事、今は違います」

ゲーデ「……ほぉ」

召喚士「人間と魔物、共存する事だって可能なのです」

ゲーデ「……」

召喚士「あなたは魔王に仕える気はないのでしょう?」

ゲーデ「仕える気はない。しかし不満があるわけでもない」

召喚士「……」

ゲーデ「魔族にとって人間は邪魔な存在であり、餌。これは永遠に変わる事はない」

召喚士「……」

ゲーデ「君等にとっての家畜やゴキブリと同様だ」

戦士「もういい。……やるぞ」

魔法剣士「賛成だな。論じて納得するような奴でもなさそうだ」

ゲーデ「フッククク。つくづく……人間は面白い」

召喚士「……っ」


708 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/31(月) 00:04:06.08 ID:zU3dRK8uo
ゲーデ「いいですよ。かかってきなさい。勝ち目のない戦いに……」

戦士「……!!」

ダンッ!!

ゲーデ「私がどのような存在なのか分かっているでしょう?」

ヒュインッ…ザシュウゥ!!

ゲーデ「斬られようとも殴られようとも……」

魔法剣士「はぁっ!!」

ダンッ!!……ヒュオッ!!

ゲーデ「死する事はない。滅びぬ事はない……」

盗賊「…ちっ」

タタッ…タタタッ

召喚士「やるしか……ないのか…っ」

戦士「魔道士!援護しろっ!!」

魔道士「は、はい……っ!」

ゲーデ「伯爵の仇……討たせてもらいますよ」


709 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/01/31(月) 00:09:49.16 ID:zU3dRK8uo
それではこの辺りにて…ご支援ありがとうございました!
地図を更新してUPしておきました!宜しければどうぞ!ノシ

〜オマケ〜

テクテクテク

青年兵「……?」

キャッキャウフフ

青年兵「司令の部屋……?何の声だ?」

キャッキャウフフ

東方司令「……さぁ、ボクのも洗って…っ」

女剣士「お姉様……。綺麗……」

青年兵「――っ!!」

東方司令「キミこそ……あぁ、いつまでも触っていたい」

女剣士「んっ、くすぐった……」

東方司令「ボ、ボクのと……絡み合って……」

青年兵「……っ!!」

ダダッ…タッタッタッタッタ

東方司令「…絡み合って…ほどけなくなった……」

女剣士「だからシャンプーは離れてした方が良いと……」

東方司令「……キミの髪はさらさらでいつまでも触っていたいんだよっ」

女剣士「……意味が分かりません」


714 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/01/31(月) 03:41:06.65 ID:mQ/RfZUDO
主である伯爵もアンデットなのに召喚士たちにやられてるのに関わらずこの余裕・・・何かあるな
洞窟なのは5行やでかい魔法を撃たせないためなのかな?


717 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/01/31(月) 13:45:18.27 ID:WfjY7TZ/0
1乙
伯爵のときは詩人がこなきゃどうなったかわからんかったしな



718 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/31(月) 15:51:19.00 ID:cTxufxoAo
しかしどんな物語でも爵位持ちのキャラって大体伯爵だな
ドラキュラ伯爵の印象が強いんかね


720 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/31(月) 17:34:10.50 ID:cxjjm95lo
っていうか、伯爵があの強さだと
公爵のレベルとか考えると…

魔王とか更にその…

っていうか、ヤマタノオロチは伯爵以下の強さだよなぁ…そんなのが源って…

つまり細かいことはいいんだよ!単純に面白ければおk


721 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/01/31(月) 17:38:41.15 ID:+vxqnPuOo
::::::::        ┌─────────────── ┐
::::::::        |   伯爵がやられたようだな….    │
:::::   ┌───└───────────v───┬┘
:::::   |フフフ…奴は爵位ファイブの中でも最弱 …. │
┌──└────────v──┬───────┘
| 1回戦ごときで消えるとは     │
| 爵位の面汚しよ…        │
└────v─────────┘
  |ミ,  /  `ヽ /!    ,.──、
  |彡/二Oニニ|ノ    /三三三!,       |!
  `,' \、、_,|/-ャ    ト `=j r=レ     /ミ !彡      ●
T 爪| / / ̄|/´__,ャ  |`三三‐/     |`=、|,='|    _(_
/人 ヽ ミ='/|`:::::::/イ__ ト`ー く__,-,  、 _!_ /   ( ゚ω゚ )
/  `ー─'" |_,.イ、 | |/、   Y  /| | | j / ミ`┴'彡\ '    `
   公爵          侯爵       子爵     男爵



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