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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その23
- 37 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2010/12/23(木) 21:45:30.69 ID:U/gdp0oo
ザワザワザワ
戦士「今日でようやく終わりかぁ」
盗賊「…長かったな」
魔道士「でも、終わってみればあっという間でしたねー」
召喚士「ええ。いい経験でした」
ガヤガヤガヤッ
記者「それで、明日の議決はどうお考えで?」
司令官「…ん、別に」
記者「右翼に勝ち目はありますか?」
右秘書官「勝ち目のない提案など、ハナからしているつもりはありません」
記者「此度は殿下の代行というお立場でしたが、それについては?」
青年兵「殿下の意志は全て伝えられたと自負しております」
戦士「……今日も凄いな」
魔道士「え、ええ…。こっちまで緊張しちゃいます」
召喚士「いよいよ…明日か……」
- 38 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:45:58.26 ID:U/gdp0oo
迎える朝。昨日までの晴天が嘘のように、この日は朝から生憎の雨に見舞われた。
折りしも天まで歴史的運命の日を見守るかの如く――。
ザアアァァ…
召喚士「雨……か」
戦士「おはよう」
召喚士「戦士、おはよう」
戦士「結構降ってんなぁ……」
召喚士「そうみたい。昨日まであんなに晴れてたのにね」
戦士「……どうする?投票もうすぐだよな?」
召喚士「せっかくだし議事堂まで見に行こうよ」
戦士「……だな。アイツらもそう言うだろうしな」
召喚士「うん」
戦士「今日で王宮ともオサラバだ。荷物まとめてくらぁ」
召喚士「あ、俺も手伝うよ!それ終わったら行こ?」
戦士「だな!」
- 39 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:47:05.49 ID:U/gdp0oo
ザアアァァ…
魔道士「おはようございます!いよいよですね……」
召喚士「ええ、どうなるんでしょうか……?」
盗賊「……」
戦士「お待たせ、荷物預けてきた。そんじゃあ行くか」
召喚士「うん」
魔道士「今朝は……流石に人も少ないですね……」
盗賊「……だな。食堂にもほとんど居なかった」
召喚士「投票当日ですからね。皆、既に向かったみたいですね」
戦士「投票権のない俺らみたいのしか残ってないわけか」
昨晩までの慌しさとは打って変わり、静寂に包まれる王宮内。
召喚士達の足音と、召使いらが雑務をこなす物音のみが響き渡る。
魔道士「それじゃ、行きましょうか」
盗賊「……ああ」
召喚士「そうしましょう」
- 40 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:47:35.59 ID:U/gdp0oo
〜議事堂〜
政治屋「おいっ、押すな!」
ザワザワザワ
男隊員「すっげー混雑……。こんな事ならゆっくり来りゃ良かったぜ」
女隊員「本当ッスね。朝一で本部から飛んできたのに……失敗ッス」
テクテクテク
戦士「うおっ、すっげぇ人……」
魔道士「本当ですねぇ……」
盗賊「……あれか?」
召喚士「みたいですね。次々と紙を投函してる……」
戦士「もうちょい前の方に行けないものか……おっと、ごめんよ〜」
魔道士「戦士さんっ、もう……っ!」
召喚士「俺らも戦士の後に付いて行きましょうか」
盗賊「……そうだな」
魔道士「は〜い」
- 41 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:48:27.98 ID:U/gdp0oo
テクテクテク…ノソッ
戦士「おーおー、って……全然分からん」
ザッザッザ
南方司令「それはそうだろう。開票はまだ先だ」
召喚士「南方司令さん、おはようございます」
魔道士「開票はいつ頃何ですか?」
南方司令「このペースなら昼頃には結果が出るだろうな」
盗賊「……そうか」
魔道士「青年兵さん達、勝つと良いですね」
召喚士「ええ」
ザッザッザ
記者「おぉ!?主役の登場だぞっ!!」
青年兵「……」
記者「おはようございます!昨日は眠れましたか!?」
青年兵「すみません。取材はまた後ほどで。失礼致します」
- 42 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:49:05.61 ID:U/gdp0oo
右翼、左翼ともに黙々と投票作業が続けられる中、
青年兵に続き左翼の大将である左大臣も姿を現す。
左大臣「フッハハハァ。生憎の天気……悲しみの雨か、それとも……」
青年兵「おはようございます」
左大臣「おはよう。さぁて、いよいよだなァ……」
青年兵「ええ。いよいよです」
左大臣「余裕そうだなァ。勝算でもあるのかァ?」
青年兵「どうでしょうね。まぁ、もうじき分かりますよ」
左大臣「……フハハァ。それもそうだなァ」
カツカツカツ…
青年兵「……」
召喚士「青年兵くん」
青年兵「召喚士さん、早いですね」
召喚士「うん。結果が気になっちゃって……」
青年兵「もうじき投票も終了すると思います。それが終われば……」
- 43 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:49:42.07 ID:U/gdp0oo
小一時間程過ぎた後、議事堂内の動きがやや慌しくなり始めた。
右文官「いよいよか」
右秘書官「ええ」
右文官「どうだろうな?多少は上乗せされておれば良いが……」
右秘書官「信じましょう。自分達の努力の結果を」
カツカツカツ…ザッ
議長「開票が終了致した。まもなく発表へと入る」
ザワザワッ…
西方司令「い、いよいよですね……っ。はあぁ、緊張する……」
東方司令「……」
召喚士「ついに結果発表か……」
青年兵「この結果で行く末が決まるのです」
戦士「さぁて、吉と出るか凶と出るか」
魔道士「ド、ドキドキしますっ」
盗賊「……うん」
- 44 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:50:14.89 ID:U/gdp0oo
カツカツカツ…バッ
数人がかりで担がれた巨大な板。そこに両翼の投票結果が記されている。
左側に仕切られた中に無数の丸印。右側に仕切られた中には多少の丸印。
それは左翼、右翼の議決結果が赤く書かれた丸印によって示されていた。
議長「左翼359票、右翼141票。以上が議決結果である」
ドヨッ!!
青年兵「――っ!!」
戦士「大差で……負け、か」
魔道士「せっかく頑張ったのに……残念です」
召喚士「青年兵くん……」
青年兵「……やった……っ」
盗賊「……?」
口元を緩め左拳を握る青年兵の下に、右翼陣営の者々らが駆け寄る。
右大臣「青年兵っ!やったぞ!!」
右文官「予想以上の成果だ!やったぞおぉ!」
- 45 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:50:43.24 ID:U/gdp0oo
魔道士「え……っ!?」
戦士「だってよ……左翼に半分以上差を付けられ……」
ザッザッザ…
大軍師「これで良いのですよ」
召喚士「大軍師さん」
大軍師「本国における議会での票数は全部で500」
盗賊「……みたいだな」
大軍師「各司令部がそれぞれ100.トータルで900の票があります」
召喚士「――!!そ、そうかっ!!」
青年兵「やった……やったぞおぉ!!」
ワアアァァッ!!
魔道士「えっとぉ……つまり……?」
大軍師「東を除く300票はほぼ右翼。残る東の100票で如何に獲得出来るかです」
召喚士「東方司令部で三割得れば……この議会は勝てる!」
大軍師「……ふっふ、そういう事です」
- 46 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:51:15.84 ID:U/gdp0oo
ダンッ!!
左大臣「ど、どういう事だァ……!?」
左翼官「馬鹿なっ!?右翼が141票だとぉ!?」
左秘書官「……これは、苦しい展開になって参りましたね」
左文官「高官っ!貴様……右翼になぞ投票しておらんだろうなぁ!?」
高官「……」
左秘書官「お止めなさい。無記名投票では根拠もない事です」
左大臣「おい」
左秘書官「はっ」
左大臣「急ぎ、東方司令部の工作に入れ」
左翼官「畏まりました。早急に」
左大臣「万が一の事もある。東がひっくり返れば……負けるぞ」
左秘書官「磐石の備えで挑みまする」
左文官「い、急ぎ手配するのだっ!」
左大臣「……おのれ、右翼のヒヨッコめがァ……!」
- 47 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:52:04.98 ID:U/gdp0oo
〜王宮、来賓室〜
戦士「えーと、すまん。もう一度説明してくれ」
青年兵「つまり、僕らは勝ったんです」
魔道士「票数は負けてましたけど、勝ちなんですか?」
右秘書官「うむ。分かりにくいと思うが……そうだ、図で説明しよう」
ガサッ…キュッキュッ
右秘書官「まず、本国での議会で総数500の議決権がある」
盗賊「……うむ」
右秘書官「それ以外に各司令部でそれぞれ100ずつ」
青年兵「総票で900あるという事です」
右文官「つまり451票以上獲得出来れば、勝ちというわけだ」
魔道士「つまり……今回が141票でしたから、あと310票得ればいいんですね?」
右秘書官「そういう事です」
戦士「でもよぉ、あと310なんて気の遠い話だぞ」
召喚士「そこで、各司令部というわけですか……」
- 48 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:52:41.44 ID:U/gdp0oo
右文官「左様。周知の通り、東方司令部は右翼一辺倒と予想される」
盗賊「……」
右秘書官「しかし逆もまた然り」
戦士「……?」
右秘書官「東を除く三司令部は右翼がほとんどを占めると思われます」
キュキュッ…
右秘書官「そこで三司令部の予想票数を280としましょう」
戦士「えーと、310引く280で……30!?」
魔道士「つ、つまり東方司令部で30票獲得出来れば……」
青年兵「僕らの勝ち、という事です」
魔道士「なるほどですねー!そういう事だったんですかっ」
盗賊「……把握」
戦士「しっかしギリギリだなぁ……。本当に30票取れんのか?」
左秘書官「それは青年兵、君次第だな」
青年兵「……自信はあります」
- 49 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:53:08.73 ID:U/gdp0oo
召喚士「青年兵くんならきっと大丈夫!」
青年兵「ありがとうございます」
右文官「しかし、本国で思った以上に票が得られたな」
右秘書官「ええ、100いけば良いものと思っておりましたが」
魔道士「皆さんのお話がきちんと伝わったんですよっ、きっと!」
右文官「そ、そうかのう……はっははは」
右秘書官「これで当初の予定通り、東方の三割というところまではきた」
青年兵「はい。かと言って決して油断出来る数字ではありません」
右文官「だな。気を引き締めて取り掛かるとしよう」
右秘書官「それで、演説はどうする?」
青年兵「当然、明朝から行います……東方司令部にて」
右文官「おぉ……っ」
召喚士「東方……司令部……」
右秘書官「了解した。すぐに準備を進めるとしよう」
青年兵「はい」
- 50 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:53:35.33 ID:U/gdp0oo
…
青年兵「では、お疲れ様でした」
戦士「おうっ、お前も頑張ってな!」
魔道士「応援してますよっ」
青年兵「ありがとうございます」
召喚士「あの、青年兵くん」
青年兵「はい?」
召喚士「明日の東方司令部、俺らも同行出来ないかな?」
青年兵「同行ですか?それは一向に構いませんけど……」
魔道士「やったぁ!」
青年兵「但し、僕らは深夜のうちに発つと思いますので、直接現地にお越し下さい」
召喚士「分かった。時間は何時頃?」
青年兵「おそらく8時だと思います。演説自体は10時頃ではないかと」
召喚士「それじゃ、その時間に合わせて行くね!」
青年兵「はい、お待ちしてます!それでは……」
- 51 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:54:02.11 ID:U/gdp0oo
カチャッ…カツカツカツ…
魔道士「な、何だか青年兵さん……別人のように見えますね」
戦士「ああ、俺も思った」
盗賊「……元から責任感の強い男だからな」
召喚士「ええ。でも、無理してなければいいけど……」
盗賊「……疲れているようだったしな」
戦士「みんな行っちまたったし、俺らもぼちぼち行くか?」
魔道士「そうですね。いつまでも居たらご迷惑ですし」
召喚士「そうしましょうか」
テクテクテク…カチャッ
左翼長「おっ、いたいた!」
南方司令「探したぞ、我が正義の使者達よ!」
戦士「はぁ?」
召喚士「どうしたんですか?二人して……」
左翼長「ほら、先日依頼したろ。議会が終わったら手を貸してくれってよ」
- 52 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:54:29.44 ID:U/gdp0oo
戦士「終わったっつってもいきなりかよ……っ」
魔道士「でも、私達これから東方へ行かなくてはいけないんですよ〜」
南方司令「東方?まだ何かあるのか?」
召喚士「青年兵くんの、演説の行方だけ見たいんです」
戦士「この前言ったろ……」
南方司令「そうだったか?」
左翼長「まぁいい。それじゃ俺も同行するとしようか」
盗賊「……いいのか?」
左翼長「東経由で北方司令部に戻れば問題ねぇ」
南方司令「ならば、私も共に行こう!」
左翼長「はぁ!?お前さんは全然方向違うだろ」
南方司令「そう言って四人全て横取りしようって魂胆だな?」
左翼長「……阿呆か」
召喚士「わ、分かりましたっ。それでは皆で当方司令部へ行きましょう」
南方司令「そうしよう。出発は夜で良いか?馬車も軍の物を使うといい」
- 53 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/23(木) 21:54:57.23 ID:U/gdp0oo
盗賊「……夜?」
左翼長「これから国軍会議があってな。すぐに終わるとは思うが……」
魔道士「じゃあ、夜になったら本部を訪ねますねっ!」
南方司令「うむ、そうしてくれ。それでは待っているぞ!」
戦士「はいよー」
左翼長「んじゃ、また後でな」
カツカツカツカツ…
戦士「せっかちなオッサンどもだ事……」
召喚士「どこも忙しいみたいだね」
盗賊「……仕方ないのかもな」
魔道士「それじゃ、夜までどうしましょうか?」
戦士「まぁ、あんまり遠くにも行けないし、街でもブラ付いてるとすっか」
盗賊「……同意」
召喚士「荷物は預かってくれるかな?聞いてみよ」
魔道士「あっ、私も行きますっ!」
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