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剣「お前は勇者か」 少女「違うよ」
72 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 18:53:41.70 ID:2qpQJqGa0

剣の聖域

幹部「(くだらんな……ママゴトの魔法陣か
   しかしこの聖域の力は本物らしい……)」

木箱

幹部「(剣はこの中か……)」

ズバァ!

幹部「!」

剣士「その箱を……勇者の剣を渡すわけにはいかない!」

僧侶「ようやく見つけました、伝説の勇者の剣!」

幹部「ふん、人間にしてはなかなかの剣の冴えよ……だが、貴様らごときが「勇者」など、この剣を使おうなどと100年早い!」

剣士「うおお!」

幹部「ぬおお!」



73 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 18:54:21.54 ID:2qpQJqGa0



母「新しい包丁はよく切れるわー」トントントン

父「前のは少し錆びてたもんなぁ」

……



74 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 18:55:27.41 ID:2qpQJqGa0

少女「」テクテク

剣「」テクテク

少女「」テクテク

剣「」テクテク

少女「ちょっとまって」

剣「なんだ?」



75 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 18:56:27.54 ID:2qpQJqGa0

……

剣士「ぐああああ!」

僧侶「剣士様!」

幹部「やはりこの程度か……
   今楽にしてやろう」

???「待て!」

ゴウ!

幹部「!? 火の呪文か!」

バフ!(手で火球を砕いた)

剣士「お前は……」

魔法使い「私は魔法使い! 説明は後、今は剣を!」

剣士「あ、ああ!」

幹部「雑魚が増えたところで!!」

……



76 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 18:56:58.18 ID:2qpQJqGa0

商都

少女「よし、王都行きの馬車に……」

剣「………?」

少女「……」

剣「サイフを落としたのか」

少女「」コクリ



77 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 18:57:36.73 ID:2qpQJqGa0

剣「というか勇者を探さんかい」

少女「えー、探さなきゃダメ?」

剣「当たり前だ」



78 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 18:58:20.16 ID:2qpQJqGa0

……

魔法使い「く、コイツ強い!」

幹部「言ったはずだ、ザコが一人増えようと相手になどならん!」

???「もう一人増えたらどうかな!?」

幹部「何!?」

剣士「だ、誰だ!」

盗賊「オレは盗賊! セコい盗みしかできない男だが、協力させてもらうぜ!」

幹部「ち……身の程知らずが!」

……



80 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 18:59:37.50 ID:2qpQJqGa0

少女「えーと……」

勇者求ム!
自分は強いと思っている人!
美しく穢れ無き心を持っている人!
誰にでも優しく、あらゆる生命を愛する人!
世界を救えるのは自分しかいないと思っている人!

噴水前少女まで連絡お願いします!

少女「こんな感じでどうかな」ポスター

剣「こんな広告で来る奴は嫌だ」



81 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:08:48.00 ID:2qpQJqGa0

……

盗賊「ぐはあ!」

剣士「盗賊!」

幹部「そろそろ終わりにするとしようか……」メキメキ!

魔法使い「や、奴の姿が変わっていく!」

僧侶「なんて禍々しい気なの!?」

剣士「ここまで……なのか……」



82 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:11:38.16 ID:2qpQJqGa0

盗賊「へっ、何情けない声出してんだ……」

剣士「! 盗賊!」

盗賊「コイツを、見ろ……」

木箱!

幹部「ゆ、勇者の剣!? いつの間に!」

盗賊「お前なら、使いこなせるはずだ……」ガク

剣士「と、盗賊!」

僧侶「盗賊さん!」

魔法使い「盗……賊……!」



83 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:12:39.97 ID:2qpQJqGa0

幹部「(く……しまった!
   聞けば勇者の剣の与える力は絶大、あの側近が、アバラを4本失くしていたとはいえ倒されるほど……)」

剣士「勇者の剣よ、オレに力を!」

ガパァ!

包丁「」オッス!

剣士「」

僧侶「」

魔法使い「」

幹部「」

……



84 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:13:18.94 ID:2qpQJqGa0

少女「あ、じゃあ、こういう作戦どう?」

剣「なんだ?」

少女「剣がそこら辺のガタイのいい男の体乗っ取って、私を人質にするの!
   助けに来て、剣が操る男を倒した人が勇者!」

剣「……いや、さすがにそれは……」



85 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:13:50.19 ID:2qpQJqGa0

……

剣士「こ、これが勇者の剣……?」

幹部「(あ、アレが勇者の剣……なのか?)」

僧侶「こ、これって勇者の剣なんですか?」

魔法使い「ほ、ホントに……?」



86 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:14:56.39 ID:2qpQJqGa0

幹部「(クソ、オレは側近のやつと違って魔王様と勇者の戦いを知らん……
   アレが勇者の剣なのかどうか……)」

僧侶「あ、そうです! これ、勇者の剣で間違いないですよ!」

魔法使い「え、そ、そうなの?」

幹部「(そ、そうなのか!?)」

僧侶「だってあの人、この箱指して「勇者の剣」って言ってましたもの!」

幹部「(オレ!?)」

剣士「た、たしかに! この剣を使うなど100年早いとか言ってたな!」

幹部「(言ったけど! 確かに言ったけども!)」

……



87 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:15:24.28 ID:2qpQJqGa0

商人「ご、強盗だー!
   人質とって、立てこもりやがった!」

少女「!」

剣「!」



88 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:15:51.49 ID:2qpQJqGa0

女「助けてぇ!」

強盗「ギャーギャー喚くんじゃねぇ!」

強盗B「ち、人が集まってきやがった!」

強盗C「てめえら近づくなよ!」



89 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:17:00.84 ID:2qpQJqGa0

少女「」

剣「」

ヒュン!

強盗A「グフ!?」ゴス!

強盗B「ゴフ!?」ベキ!

強盗C「アゲ!?」メキ!

バタバタバタ……



町民「な、なんだあの女の子!
   傭兵くずれの強盗三人を一瞬で!!」



90 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:17:38.54 ID:2qpQJqGa0

少女「ホイト」

剣「」

強盗「」シッカリ ニギラサレル

強盗「」ムク! ガシ!

少女「たすけてぇ!!」

町民「えええええ!?」



91 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:18:42.70 ID:2qpQJqGa0

町民「ど、どうする!」

町民B「みたろ! あんなすごい動きができる女の子の剣をアッサリ奪って捕まえたんだぞ!
   俺達でどうこうできる相手じゃない!」

町民C「・・・いや、ダメだ!」

町民D「ああ、その通りだな」

町民E「あんな女の子が果敢にも強盗に挑んだんだ、俺達が黙っているわけにはいかねぇ!」

町民F「いくぞみんな!」

オオオオオオオオオ!

少女「え、ちょっと」

剣「」



92 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:19:29.36 ID:2qpQJqGa0

町民「大丈夫だったか!?」ホラ ケン

少女「いえ私は大丈夫なんですが……」アリガトウゴザイマス

強盗たち「」ボコボコ……



93 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:20:17.72 ID:2qpQJqGa0

……

剣士「言われてみると、なんか手にした途端力が湧いてくるような……」

僧侶「でしょう!」

魔法使い「もしかして、本当に?」

幹部「(な、なんかアレが本物の方向で話が進んでいる!?)」




剣士「いくぞ!」チャキーン!

幹部「(来るの!?)」

……



94 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:21:22.99 ID:2qpQJqGa0

少女「えーと、じゃあ私はこれで!」

???「待て!」

少女「え」

騎士「私は王国に仕える騎士!
   今、我が国は魔族の危機にさらされている!
   先ほどの手並み、実に尋常ではない剣の腕を持っているらしい!」

少女「は、はあ……」

騎士「是非その力を、我が国のために使って欲しいのだ!」

少女「」

剣「」



95 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:21:50.40 ID:2qpQJqGa0

王国行きの馬車

少女「なんかすごい話になったね」

剣「そうだな……」

少女「……王国って、やっぱり強い人とかいっぱいいるのかな」

剣「それはそうだろう」

少女「……」



96 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:28:18.22 ID:2qpQJqGa0

……

剣士たち「」ボロボロ……

幹部「チッ! やはり偽物ではないか!」バキバキン!

包丁「」ギャアア!

幹部「まあいい、ここに剣があったのは間違いないんだ……過去視魔法!」




少女「この箱、捨てずに置いといてよかったぁ」コト

剣「(さすがに包丁のまま置いておくのは気が引けたか)」




幹部「このガキ……このオレをこんなもんで騙すとはバカにしやがって……!」シュンカンイドウ!



97 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:51:21.67 ID:2qpQJqGa0

魔物「幹部様!」

幹部「いますぐアレの準備をしろ!
   人間の国に攻め入る!」

魔物「はっ!」

幹部「(過去視でやつらの動向をさぐった……
   日の経過を考えれば、今頃は王都……ふん、側近のヤツを倒したらしいが、目にもの見せてくれる!)」

……


98 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:51:49.98 ID:2qpQJqGa0

騎士「! なんだあれは!」

少女「……王都が、燃えてる?」



99 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:52:19.72 ID:2qpQJqGa0

ドラゴンゾンビ「オォォ……」

幹部「さあドラゴンゾンビよ、この国のものすべてを朽ち果てさせてしまえ!」



100 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:52:47.77 ID:2qpQJqGa0

騎士「何があった!?」

兵士「魔王軍の攻撃です!
   突然、あのバケモノが……!」

騎士「くっ、王と将軍が最接近領へ応援に行かれた時を狙われるとは!」



101 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:53:36.62 ID:2qpQJqGa0

剣「ドラゴンゾンビ! やつらはそんなものまで準備していたのか……」

少女「やばいの?」

剣「やばいどころではない
  竜が一匹いれば、人間の国一つを滅ぼすなど造作も無いことだ」

少女「弱点とか無いの?」

剣「竜に弱点など無いが、アレは見たところアンデッド……自然死した竜の躯でも使ったのだろう
  術者を倒すか、アレを操る魔力の源を奪えば……」



102 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:54:10.94 ID:2qpQJqGa0

幹部「!」





少女「逃げる?」

剣「それしかあるまい、残念だが、竜は剣術が通用する相手ではない」





幹部「ようやく見つけたぞ、勇者!」



103 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:54:38.22 ID:2qpQJqGa0

兵士「勇者?」

騎士「勇者だって!?」



104 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:56:21.00 ID:2qpQJqGa0

幹部「」トン(竜の背から降りた)

幹部「小娘、あの時はナメた真似をしてくれたな……」

少女「え、私?」

幹部「……まあいい」

言っても恥にしかならなかったので黙る



105 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:56:48.80 ID:2qpQJqGa0

少女「な、なんか勘違いされてない?」

剣「……この状況、見ようによっては都合がいいぞ……
  ドラゴンゾンビを操っているのはヤツで間違いあるまい
  奴さえ倒せば……」



106 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:57:31.69 ID:2qpQJqGa0

幹部「側近を退かせたらしいが、コイツはどうかな!」

ドラゴンゾンビ「グオォォォ!」

ズン!

兵士「! お、尾の一撃で敷石があらかた吹き飛んだ!?」

騎士「あの少女は!? 潰されたのか!」

少女「」クルクル ストン!

騎士「飛んで躱していた!」

兵士「なんて身のこなしだ!」



107 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:58:05.49 ID:2qpQJqGa0


幹部「ドラゴンゾンビ! ファイアブレスで焼き尽くせ!」

ドラゴンゾンビ「」ゴゥ!

少女「」シャッ!

兵士「あの炎を剣で切り飛ばした!」

騎士「な、何者なんだ一体!」



108 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:58:35.34 ID:2qpQJqGa0

少女「うあっつっつ! かわしきれてないよ!!」

剣「チィ、竜を相手取りながらヤツを倒すのは無理があるか……!
  ヤツもうまいものだ、一撃一撃でお前との距離を離している」



109 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:59:18.59 ID:2qpQJqGa0

幹部「ん?」

兵士「うおお!」

ガシ!

幹部「ふん、ゾンビを操るオレを倒そうというわけか……だが」

ドス!

兵士「」ガク!

幹部「知っているぞ、ここの戦力は多くが最接近領へと送られている……
   俺の相手になるヤツなどあの小娘以外残ってはいまい!」

騎士「くっ……」



110 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 20:59:46.86 ID:2qpQJqGa0

少女「騎士さん!」





騎士「え?」



111 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 21:00:17.18 ID:2qpQJqGa0

少女「パス!」

剣「」ビュン!



ヒュンヒュンヒュン!



騎士「え?」パシ!

幹部「!?」



112 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 21:01:22.38 ID:2qpQJqGa0

騎士「!」ギュン!

幹部「何!?(う、動きが違…)」

ザン!



113 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 21:01:50.15 ID:2qpQJqGa0

幹部「ぐうぅ!?」

騎士「???」

剣「戻るぞ!」

騎士「え?(な、なんで私は剣を振りかぶっているんだ!?)」

ビュン!



114 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 21:02:23.98 ID:2qpQJqGa0

ガキィ!

剣「」(床石に突き刺さった)

少女「」アタフタ!

キャッチに失敗した

少女「」チャキ!

ドラゴンゾンビ「オオオオオオオ……!」

剣「よし、術者の混乱が竜の動きを鈍くしている」

少女「やああ!」

ザク!

ドラゴンゾンビ「グオォォォォォ……」

バタン!



115 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 21:03:27.42 ID:2qpQJqGa0


兵士「あ、あの竜の首を、叩き斬った!」

幹部「(ば、バカな……こんな傷を負わされ、とっておきのドラゴンゾンビまで失っただと……
   く、このダメージではもうまともに戦えんか!)」シュン!

兵士「! 消えた……」

騎士「……勇者、か……」

兵士「? 騎士殿……?」

騎士「魔王蘇り、魔族の侵攻始まる時、勇者の剣を携え希望が現れる……」

兵士「ま、まさか!」

騎士「あの魔族も言っていただろう、あの少女こそ、勇者……!」



116 名前:NIPPERがお送りします(SSL) [saga] 投稿日:2013/12/03(火) 21:04:25.83 ID:2qpQJqGa0

……

側近「な、何!
   人間たちに勇者が現れた!?」

魔物「はい!
   王城に現れたドラゴンゾンビを一刀の元に斬り伏せ、今は最接近領にいると!」

側近「ドラゴンゾンビ……幹部の奴、しくじったか!
   ヤツを呼び出せ!」

……




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