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少女「治療完了、目を覚ますよ」 セカンド −オリジナル小説
148 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:18:48.26 ID:AkVLIwar0


 「B級とA級のマインドスイーパー達が
ダイブできない状況が続いているわ。
あなたたちに『治療』をお願いしたいの」

会議室に集められた少女達がジュリアを見ていた。

理緒は、大事そうに汀の車椅子を持っている。

汀は、どこか暗い瞳でジュリアを睨んでいた。

その膝には小白が丸まって眠っている。

最近、とみに眠っていることが多くなった。

まだ子猫だというのに、あまり活発な動きをすることがない。

大河内は、汀の精神世界の中で長時間過ごしすぎたためだと言っていたが、
それも汀の心を暗くしている一つの要因だった。


149 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:19:56.66 ID:AkVLIwar0
「何よ……完全なテロ行為じゃない。
医療行為の妨害なんて、信じられない……」

その隣の椅子に腰掛けた、ソフィーが口を開いた。

彼女は、左肩から下をギプスで固定して、
三角巾で首から吊っている。

汀の精神世界でスカイフィッシュに斬られてから、
彼女の左腕は機能しなくなっていた。

「フランスの赤十字は何て言ってるの?」

ソフィーがジュリアにそう問いかけると、
彼女は頷いて資料をめくった。

「今は、ソフィーさんの身柄の安全を確保することを最優先に、
ということよ。だから、危険なダイブは当然あなたには避けてもらうわ」


150 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:21:04.47 ID:AkVLIwar0
「相手は、日本の赤十字のセキュリティを潜り抜けて、
精神遠隔操作までしてきて、強制的にダイブしてくるのでしょう?
ネットワークを通じてマインドスイープする機構がある以上、
その脅威はどんな状態でも避けることは出来ないわ。
今、狙われているこの二人をマインドスイープさせることが一番危険だと、
私は思うのだけれど」

ソフィーに指差され、汀が眉をひそめる。

ジュリアが少し考えて答えた。

「そうね……でも、こうしている間にも、一般外来の自殺病患者の
死亡数は増えていくばかりだわ。
一定以上の成果が期待できるマインドスイープを行えるスイーパーは、
あなた達しか、現状残っていないの」

「フランス赤十字から、増援の派遣は?」


151 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:22:09.57 ID:AkVLIwar0
「世界中に要請しているわ。警察も本格的に動いてる。
ここ数日の辛抱だと思うけれど、私達が医者である以上、
目の前で苦しんでいる人を助けなければいけない使命は
変わらないと思うの。だから、あなた達の意思に任せることにしたわ」

ジュリアがそう言うと、ソフィーは鼻を鳴らして馬鹿にしたように笑った。

「ていのいい言葉ね。結局はダイブを強制したいんじゃない」

「そう受け取るならそれでもいいわ。汀さん、片平さんはどうかしら?」

汀はしばらくジュリアを睨んでいたが、息をついて答えた。

「……私は人を助ける。重篤な患者からダイブしていくわ」

「汀ちゃんが行くなら、私も行く」

理緒が微笑みながら頷く。

ジュリアがそれを聞いて、安心したように息をついた。


152 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:22:41.77 ID:AkVLIwar0
しかし汀は、低い声で続けた。

「人体実験をしたいなら、いくらでもすればいい。
あなた達の思惑には乗らない」

「……どういうことかしら?」

「とぼけるつもり?」

ジュリアと汀が数秒間睨み合う。

そこで部屋の扉を開けて、大河内が入ってきた。

「重度の患者が、また死亡した。今日助けられる見込みがあるのは、
あと三人だ。早くしてくれ」


153 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:23:08.23 ID:AkVLIwar0
「二人とも、行きましょう。私達しかダイブできないなら、
どの道ダイブしなければ患者は死ぬわ。
たとえ中が『戦場』になったとしても、仕方がないことだと思う」

ソフィーがそう言う。

汀はしばらく考えて

「……そうね」

と呟き、表情を暗くした。


154 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:23:35.26 ID:AkVLIwar0


★Karte.15 医者と患者★



「僕らの記憶を共有しよう」

いっくんがそう言った。

私達は、手を繋いで円を作り、その花畑の中に立っていた。

四葉のクローバーが無限に広がるその空間に。

「共有……ってどういうこと?」

みっちゃんが首を傾げる。

いっくんは笑い、そして続けた。


155 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:24:28.20 ID:AkVLIwar0
「この先、何かがあって、僕らの中の何かがどう狂うか分からない。
だから、僕らは、今のままの僕らでいられるように、
忘れない一つの記憶を共有するんだ。
そうすれば、離れ離れになっても、また会ったときに思い出せる。
お互いのことを」

たーくんが苦笑しながらそれに続けた。

「一貴と話したんだけどさ、俺たちはいつ離れ離れになるか、
いつここに集まることが出来なくなるか、
分かんないらしいんだ。特に、なぎさちゃんなんてそうだろ?」

問いかけられ、私は頷いた。

「うん……」

みんなと会えなくなる。

この世界が、現実ではなくなる?

そう考えるだけで、私の胸は張り裂けそうだった。


156 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:25:08.73 ID:AkVLIwar0
だから、私は乗った。

彼の、悪魔の提案に。

分かってはいた。

分かってはいたはずなのに。

私は、孤独でいるよりも、その「恐怖」を共有する道を選んだ。

みんなを忘れないように。

いつか、きっとまた。

ここで、みんなと遊べますようにと、単純な願いのために。

だから、私は。

笑って、いっくんの手を握った。

「いいよ。同じ夢を見よう」


157 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:25:42.75 ID:AkVLIwar0
「私も。いっくん達と同じ夢を見れるなら、悪夢でも構わない」

「俺も、それでいいよ」

みっちゃんとたーくんがそう言う。

いっくんは頷いて、そして目を閉じてから言った。

「僕は今から、みんなの心の中に僕の記憶……
僕の悪夢の元を埋め込む。
最初はそれに苦しむだろうけど、身を任せるんだ。
悪夢に逆らおうと考えずに、悪夢になるんだ。このように」

いっくんの体がざわつく。

髪がひとりでに風になびいたように逆立ち、
服が体に巻きついて形を変える。

髪の毛はドクロのマスクに。

病院服は薄汚れたジーンズとシャツに。


158 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:26:10.14 ID:AkVLIwar0
思わず後ずさった私達を見回して、いっくんは息をついた。

「そう怯えなくてもいいよ。すぐに見慣れる」

瞬きする間に、いっくんの姿は元に戻っていた。

彼は、私達の手を握りなおすと言った。

「さぁ、僕と同じところに、みんなも早く来るんだ。
待ってるから。ずっと」


159 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:26:51.52 ID:AkVLIwar0


「高畑汀!」

フルネームで名前を叫ばれ、汀はハッとしてその場を飛びのいた。

今まで汀が立っていた場所に、首狩り鎌のような、
巨大な、湾曲した鎌が突き刺さった。

「汀ちゃん!」

理緒が大声を上げて、汀を引き寄せて地面を転がる。

鎌がザリザリと音を立てて地面を抉り、脇に大きく振られたのだった。

二人の頭の上を、鋭く尖った鎌が通り過ぎる。

「え……? え!」

汀は動揺しながら周囲を見回した。


160 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:27:20.83 ID:AkVLIwar0
今に至るまでの記憶が全くない。

頭に残っているのは、一貴の声。

そして岬、もう一人……忠信の顔だった。

「思い出した……私……?」

そう呟く。

「ドクタージュリア、高畑汀の意識が戻ったわ!」

「汀ちゃん、来るよ!」

頭を振って無理やり現実に照準を合わせる。

いや、「夢の中」に意識を集中させた。

巨大な鯨が浮かんでいる。

一頭、二頭……三頭。


161 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:28:04.39 ID:AkVLIwar0
真っ赤に着色された、気味の悪い空に、
ひれを動かしながら浮かんでいる。

あたり一面、人間の首が据えられていた。

十字架を象った墓標の前に、人間の頭部が無造作に置かれている。

そのどれもが舌を出し、目を見開き、無残な様相を呈していた。

全て日本人だ。

汀達は墓地の中にいた。

どこまでも、果てしなくその墓地が続いている。

そして目の前には……奇妙なモノがいた。

鯨人間とでも言うのだろうか。

巨大な鎌を持った、頭部だけが鯨の男が、
髭歯をむき出しにして笑っている。


162 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:28:42.76 ID:AkVLIwar0
上半身は丸出しで、下半身は血まみれのシーツの
ようなものでくるまれている。

鯨人間は、手近な人間の頭部を掴むと、口の中に入れた。

バリ、ボリ、と良く分からない液体を飛び散らせながらそれを咀嚼する。

汀の肩にくっついていた小白が、シャーッと声を上げた。

「私、意識を失ってたの?」

慌てて立ち上がり、鯨人間から距離を取る。

理緒が頷いて、近くの人間の頭部を蹴り飛ばして、墓石を手に掴んだ。

墓石が形を変え、出刃包丁に変わる。

「三十秒くらいかな。大丈夫。汀ちゃんはじっとしてて。
私があれ、ブッ殺してくる!」


163 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:29:16.65 ID:AkVLIwar0
そう言って、ソフィーが制止しようとする間もなく、
理緒は鯨人間に踊りかかった。

「片平理緒! どうしたの? 様子がおかしいわ!」

『片平さんは人格欠損を起こしているわ。
二人とも、彼女が暴走しているようだったら止めて!』

ジュリアの声が耳元のヘッドセットから聞こえる。

丁度そこで、理緒が包丁で鎌を受け止め、横に吹き飛ばされた。

人間の頭部を巻き込んでゴロゴロと転がりながら、
理緒が墓石にしたたかに背中を打ち付ける。

しかし理緒は、それに全く構うことなく、
地面を蹴ってすぐに鯨人間に肉薄した。

そして自分に鎌が振り下ろされる直前に、鯨人間の首に、包丁を突き立てる。

どう、と音を立てて鯨人間が倒れた。


164 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:29:53.55 ID:AkVLIwar0
「きゃははは! あはははははは!」

狂ったように笑いながら、理緒は何度も、何度も、
倒れた鯨人間に包丁を振り下ろした。

やがて包丁を突き立てられているモノが痙攣し、
動かなくなったところで、やっと汀は理緒に追いつき、
血まみれの彼女を引き剥がした。

「理緒ちゃん、もう死んでる! 死んでるよ!」

荒く息をつきながら、
理緒は返り血で真っ赤になった顔で汀を見て、ニコリと笑った。

「汀ちゃんもやろうよ。人殺しって楽しいんだよ」

「酷い……赤十字に何をされたの?」

ソフィーが、動かない左腕を庇うようにして走って来て口を開いた。

問いかけられ、汀は目を伏せた。


165 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:31:02.28 ID:AkVLIwar0
ソフィーが舌打ちをして、汀の胸倉を、右腕で掴み上げる。

「……何とか言いなさいよ! こんなの片平理緒じゃないわ!」

「汀ちゃんに何してるの?」

そこで、ゾッとするような低い声で、理緒が呟いた。

彼女は焦点の合わない目でソフィーを見ると、
立ち上がって包丁をゆらゆらと振った。

「汀ちゃんに何してるの?」

もう一度問いかけられ、ソフィーは汀から手を離して、理緒に言った。

「……あなたはダイブできる状態じゃない。ドクタージュリア。
すぐに片平理緒の接続を切ることをオススメするわ」

『そこは異常変質心理壁の中よ。すぐには切れないわ!』

「理緒ちゃん、落ち着いて」


166 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:31:36.55 ID:AkVLIwar0
汀は慌てて、ソフィーを守るように立った。

そして理緒の肩を掴んで、力を込める。

「落ち着いて。この子は敵じゃないわ。
私を守ってくれたんでしょう? ありがとう。
だから、少し落ち着こう、ね?」

「私は落ち着いてるよ」

「落ち着いてないから言ってるの。包丁を手から離して」

「分かった」

ガラン、と音を立てて包丁が手から離れ、地面を転がる。

息をついた汀とソフィーの目に、しかし二人が反応できるよりも早く、
鯨人間の持っていた鎌を掴み上げた理緒の姿が映った。

身を守ることも出来ずに、ただ呆然とその鎌が振られるのを見送る。


167 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:32:20.17 ID:AkVLIwar0
奇妙な手ごたえと共に、断末魔の声が上がった。

ソフィーの後ろに立っていた、
先ほどの鯨人間と全く同じ形のトラウマが、
袈裟切りに両断されて地面にドチャリと着地した。

周りを見回した二人の目に、十……二十体近くの鯨人間がこちらに、
鎌を持って近づいてくるのが映る。

「トラウマに囲まれてる……」

ソフィーが歯噛みする。

顔についた鯨人間の血を手で拭いながら、
汀は理緒の落とした包丁を拾い上げて、腰のバンドに刺した。

そして口を開く。

「理緒ちゃん、無駄に殺してもキリがない。
少し待って。ソフィー、中枢への扉を持ってるトラウマを特定できる?」


168 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:32:52.44 ID:AkVLIwar0
名前を呼ばれ、ソフィーは頷いた。

「挙動がおかしいトラウマがいる。左後方の、三十メートル先の鯨」

丁度それが、足元の人間の首を口に入れて噛み砕いたところだった。

「おかしいってどこが?」

「他のものは規則的に動いてるのに、あれの動きは不規則だわ」

「聞いた? 理緒ちゃん、殺すならアレにして」

「うん。汀ちゃんがそう言うならそうするよ」

理緒は微笑んで、鎌を構えて、こちらに向かって
踊りかかってきた鯨人間達を見回した。

「ま、どの道皆殺しにしそうだけど」

楽しそうにそう、彼女が言った時だった。


169 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:33:28.25 ID:AkVLIwar0
凄まじい爆音、そして熱風が彼女達を襲った。

とっさに小白が化け猫の形に膨らみ、汀達を覆い隠す。

蛇のように、飛び掛ってきた炎は周囲を舐めると、
瞬く間に墓地を火の海にした。

鯨人間達が苦しそうに咆哮を上げ、火に飲まれていく。

『外部からのハッキングよ! 回線を緊急遮断するわ。
遮断まで残り二分!』

ジュリアの声が聞こえる。

「いつもいつも対応が遅い!」

汀が、ところどころ焦げた小白の皮の下から這い出て、怒鳴る。

ソフィーが歯を噛んでから言った。


170 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:34:07.45 ID:AkVLIwar0
「それは違うわ、高畑汀。ドクタージュリア達は、
私達とテロリストを交戦させたいのよ。そんなことも分からない?」

言われてから、汀は言葉を飲み込んで歯軋りした。

「……どこまでも最低な奴らね……!」

『…………』

ジュリアが押し黙る。

そして、しばらくして彼女は、ノイズ交じりの音声と共に言った。

『ハッキング対象は、一人のようよ。三
人で協力して撃退して頂戴。患者の命を第一優先に』

「詭弁を」

ソフィーが鼻で笑う。


171 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:34:39.16 ID:AkVLIwar0
「日本赤十字は患者の脳をバトルフィールドに使う集団ね!
医者ってみんなそう!」

「その通りだよお嬢さん。赤十字病院のそれが本来の姿さ」

そこで、落ち着いた声が周囲に響いた。

熱気から汀達を守るようにしていた理緒が立ち上がり、首を傾げる。

「あれ……? 工藤さんじゃない」

彼女の呟きに、マイクの向こう側が緊張するのが分かる。

ソフィーが特定した鯨人間……既に事切れているその死体を
ズルズルと引きずりながら、背の高い猫背の少年が、
墓地の向こうの火を掻き分けて、姿を現した。

ぼさぼさの白髪をしている。

目は鷲のように尖っていて、眼光が異様に鋭い。


172 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/31(水) 07:35:10.25 ID:AkVLIwar0
口元はだらしなく開いていて、ガムでも噛んでいるのか、
クチャクチャと音を立てていた。

右手にはバタフライナイフを持っていて、カチャン、カチャン、
と音を立てながら、刃を出したり引っ込めたりを繰り返している。

「やあなぎさちゃん。殺しに来たよ」

どこか狂気を感じさせる、ゆったりとした口調でそう言うと、
彼はドサッ、と鯨人間の死体を放り投げた。

「あなたは……忠信君……たーくん……?」

汀が呟く。

忠信と呼ばれた少年が、にっこりと微笑む。

そこで、彼女達の意識はホワイトアウトした。



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