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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その13
744 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 00:23:39.64 ID:rJttKSAo
〜北関付近の山道〜

騎兵「押せーっ!!」

国軍兵「うおぉ!!」

ズズッ…ゴトン……ゴトン…

副司令官「結界石の輸送も一苦労だな…」

大軍師「しかしこの山を越えない限り…意味はないですからね」

騎兵「一斉に押せ!一斉にだぞっ!!」

テクテクテク…

マジシャン「しっかし…何とかならんのかねぇ」

大軍師「仕方ありませんよ。予定の7割程度の人員ですからね」

副司令官「関の防備に割いてしまったからな…」

マジシャン「それこそ術中に嵌ってるんじゃねーのか?」

大軍師「……かもしれませんね。ふふふっ」

副司令官「何を…。それでも備えねばなるまい」

マジシャン「そりゃそうですわな」


745 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 00:24:15.16 ID:rJttKSAo
大軍師「関が陥落してしまっては元も子もありません」

マジシャン「一回手放そうとしやがったけどな」

副司令官「あれはだな…本国からの援軍が来ず…」

マジシャン「そうか…。今思えばあの時からか…」

大軍師「…ええ。初めて明るみに出たのが…あの時です」

マジシャン「それでここを選んだわけか…」

副司令官「…?」

大軍師「この地ならば、何かしら分かるものもあるかと…」

副司令官「本当にいるのか…?内通者は…」

大軍師「それは確実です。どちらかは分かりませんが…」

副司令官「どちらか……?」

大軍師「人間に成りすました魔物なのか……」

マジシャン「……イカれちまった人間なのか、だな」

大軍師「前者なら幾らでも対応は出来ますが…後者だと厄介ですね…」

副司令官「判別方法はないのか?」


746 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 00:24:45.31 ID:rJttKSAo
大軍師「今のところはありませんね…」

副司令官「そうか…」

タッタッタ…

国軍兵「司令っ!!宜しいでしょうか?」

副司令官「ん…?どうした?」

テクテクテク…

マジシャン「お前…副司令官まで疑ってんのか?」

大軍師「…はて、何の事でしょうか…?」

マジシャン「トボけるなよ…。判別方法なんぞ幾らでもあんだろ」

大軍師「……本当に怖い御方だ。ふふふっ」

マジシャン「こっちの台詞だよ…」

大軍師「はっきり言いましょう。南方の者と青龍先生以外は信用出来ません」

マジシャン「はぁ!?」

大軍師「一人とは限らない、と言っているのです」

マジシャン「なるほどな……あ、そうか…!」


747 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 00:28:45.20 ID:rJttKSAo
大軍師はニヤリと笑い扇子を扇ぐ。

マジシャン「だから外から分かるように…討伐進めてやがんのか!」

大軍師「貴方のような方々頼み、という事ですよ」

マジシャン「さっすが大軍師様だわあ。恐れ入るよ…」

大軍師「いえいえ。ちなみにお伺いしたいのですが…」

マジシャン「あん?」

大軍師「判別方法…。結界石以外に何かご存じで?」

マジシャン「結界石押しつけりゃ解決だろうよ」

大軍師「いやしかし…、殿下や司令にそんな事をするわけには…」

マジシャン「そりゃそうか。首が飛びかねないわな!ハッハ!」

大軍師「笑い事で済めば良いですけどね…」

マジシャン「…占い師」

大軍師「占い師……。!!…成程」

マジシャン「アイツは人間以外の結末は分からん。意味は分かるよな?」

大軍師「感謝致します…!流石お詳しいですね。ふふふっ」


749 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/21(水) 00:45:46.06 ID:wSMpovA0
>>1乙
人気投票以外でも内通者予想投票とかやったら盛り上がりそうだよね
俺は大軍師が怪しく見えてしょうがない、おもに喋り方が…ふふふっ


750 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/04/21(水) 01:01:36.31 ID:rJttKSAo
では寝ますです!多数のご支援感謝でございます!!
それでは、おやすみなさい!ノシ

〜オマケ(久々すぎて合ってたかな…?)〜

召喚士、嶺上牌から引いたのはなんと發!

召喚士「…カンッ!!」

スケル「!?」

ゴルリン「連続で…っ!?」

キュッ…パタンッ…

ドラ表示牌はなんと驚くべき事に、二索。

リザード「ド…ドラ7だとぉ!?」

スケル「こんな事が…ありえるのかよ…!」

召喚士「残念…リンシャンは無しか…」

ゴルリン(ど、どうすんだよ?緑一色はなくても…これじゃあ数えまであんぞ!?)

リザード(とにかく…!この曲はさっさと流すぞ!!)

スケル(ああ…!!)

〜行け、一索(コカトリス)!!続く〜


753 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/21(水) 01:15:35.31 ID:adRJgtko
ry


758 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/21(水) 07:30:30.46 ID:.ptT2cAO
サモナーっていきてるよな?


759 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/21(水) 09:40:20.14 ID:fzzrqZQo
>>758
生きてるよ。
死んでるのはサモナーの仲間の短髪とか。


761 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 17:27:48.92 ID:gv5X/2so
マジシャン「おい…どういう意味だ…?」

大軍師「いえ、これは失礼を…。お気になさらず…」

マジシャン「だから何なんだよ…!」

ザッザッザ…

副司令官「……うぅむ」

大軍師「どうなさいました?」

副司令官「海峡へ派遣した伝令が未だに戻らないそうだ」

マジシャン「何ぃ…?」            

大軍師「…それはおかしいですね」

副司令官「放ったのは21時前…。もう戻ってもおかしくない頃だ」

マジシャン「何かあったか…」

大軍師「そう考えるのが妥当でしょうね…」

副司令官「どうする!?」

マジシャン「どうするったって…状況も何も分からんしなぁ…」

大軍師「引き返すにしても此処まで来ては…逆に労力が大きいですよ」


762 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 17:28:37.30 ID:gv5X/2so
伝令「……ぐ…ぅ」

ガスッ!!

横たわる伝令の上へ、鋭い爪を持つ右足が圧し掛かり、

その衝撃なのかか偶然なのか…伝令はそのまま息を引き取った…。

ザッ…バッ…ババッ!!

海峡までそう遠くない川沿いの道。正面の谷底からは川の流れる音が響く。

その崖を一匹…また一匹と、獰猛な牙と爪を持つ魔獣が姿を見せる。

ルー・ガルー「……けっ、他愛ねぇ」

ザッザッザッザ…ゾロゾロ…

ルー・ガルー「さぁ、残るはお前さんがただけだ」

正面に蹲る眼鏡を掛けた女性…。その周囲で長剣を構え、

護衛に務める本国兵に、ルー・ガルーは語りかける。

本国兵「くそっ…!また増えやがった…」

白虎長「……っ!!」

本国兵「大丈夫ですか!?」


763 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 17:29:27.99 ID:gv5X/2so
白虎長「……くっ」

スッ…

白虎長は正面の兵に掴まり立ち上がる。

本国兵「!?」

白虎長「ちょっと…肩を貸して頂戴…っ」

本国兵「しかしその傷では…!」

白虎長「大丈夫よ…。しっかり休んで…魔力も蓄積させて貰ったわ」

ルー・ガルー「さて……。一気に片付けるぞ!」

中央に構えるルー・ガルーが腕を前方へ振り下ろすと、

左右に立つルー・ガルーの群れが腰を落とし、四本足で駆け出す。

本国兵「白虎様を守れっ!!」

ルー・ガルー「雑魚の分際で…!まとめて死ねぇっ!」

白虎長「不意打ちでこの程度…。たかが痴れるわねっ!」

ジャリッ…!!

白虎長「来てっ!ベヒーモス!!」


764 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/21(水) 17:34:08.87 ID:LFeHxQDO
>>1乙!
俺が前に名前有りモンスターだと勘違いしたルー・ガルーさんじゃないか。
相変わらず強そうで何よりだ!

…いや、よくないな。


765 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 17:41:13.54 ID:gv5X/2so
シュイィィン…

向かい迫る魔獣の前に、巨大な召喚獣が姿を現す。

キュイイィィ……

ルー・ガルー「マズイ!!避けっ……」

ドドオウゥンッ!!

ルー・ガルー「…っ!!」

ベヒーモスの口から閃光がほとばしり、右方に位置したルー・ガルーは

光に飲み込まれ、その数匹が形なく姿を消した…。

ルー・ガルー「コイツ召喚士だ!気を付け……」

バシュッ!!

国軍兵「続けーっ!!今のうちだぁ!!」

一人の国軍兵がルー・ガルーの頭部を突き、仲間に呼びかける。

国軍兵「行けぇ!!ベヒーモスがいりゃあコッチのもんよっ!」

ルー・ガルー「粋がるなぁ!!」

ガスッ!!…シュッ…ザシュッ!!


766 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 17:41:55.27 ID:gv5X/2so
〜北関、北の山〜

マジシャン「!?」

副司令官「今…何か光らなかったか!?」

大軍師「海峡方面ですね…」

マジシャン「まさか……っ!」

大軍師「伝令っ!!」

タッタッタ…

伝令「はは!」

大軍師「今すぐ北関へ向かって下さい!」

大軍師は紙にすばやく文を記し、伝令へと手渡す。

伝令「かしこまりました!」

タッタッタッタッタ…

副司令官「これ以上兵を割いて大丈夫なのか!?」

マジシャン「他にワーカーはいねぇのかよ!!」

大軍師「此度は…ワーカーへの依頼も制限しましたので…」


767 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 17:42:22.85 ID:gv5X/2so
マジシャン「制限だぁ?」

副司令官「此度の北伐…、総大将が誰なのか考えてみよ」

マジシャン「……!!」

大軍師「軍規や規律を低下させるわけにはならないのですよ」

マジシャン「裏目に出てんじゃねーか…このクソ軍師が…!」

大軍師「仰る通りで…」

マジシャン「んで肝心の精鋭ワーカーさんはどうしたんだよ?」

大軍師「海峡への撹乱作戦を実行中です」

マジシャン「……後は」

大軍師「…まだ、見えてないようです」

副司令官「幾ら実力があっても遅参されてはな…」

マジシャン「俺が言えた義理じゃねーが…遅れ…!?」

大軍師「……」

マジシャン「……アイツか」

大軍師は扇子を仰ぎ、静かに笑みを浮かべた。


768 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 17:42:48.14 ID:gv5X/2so
〜海峡付近の橋〜

南北を結ぶ巨大な橋は、両脇より輝く白い光の柱が無数に連なり、

それは上空より左右に広がり、まるで白い羽のように伸びている。

魔道士「眼鏡さん…!?大丈夫ですか!?」

眼鏡「う、うん…。気に…しないで」

具合悪く歩き進む眼鏡の顔を、魔道士は心配そうに覗き込む。

召喚士「荷車で休まれますか…?」

眼鏡「いや…余計に具合悪くなりそうだし…大丈夫だよ」

魔法剣士「もうすぐ抜けるな」

戦士「ああ…」

将軍「ようし…!進軍停止!」

海峡兵「進軍停止ーっ!!停まれーっ!!」

号令により、結界石を積んだ三台の荷車は橋上で停止する。

ザッザッザ…

将軍「…輸送隊はここで待機。まずは進路を切り拓く!」


769 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 17:43:32.81 ID:gv5X/2so
海峡兵「おぉ!!」

魔法剣士「先鋒は任せろ」

戦士「さーて…行きますか!」

将軍「まずは北の森を目指してくれ」

魔道士「森…ですか?」

将軍「撹乱のワーカーがこちらに兵を追いやっているはずだ」

召喚士「なるほど…。押し込まれ、森からでてきたところを…」

パシンッ!!

戦士「……叩く!」

戦士は右拳を左掌へ打ち付ける。

将軍「では、気をつけてな!」

召喚士「はいっ。そちらも…!」

海峡兵「橋は結界で守られています。危険時は此処まで後退下さい!」

魔道士「ありがとうございますっ!」

召喚士「では……!行きましょう!!」


770 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 17:57:19.47 ID:gv5X/2so
白虎長「…はーっ……はーっ……はぁ…っ」

グラァ……ドズウゥゥン!!…シュイィィン

国軍兵「ベヒー…モスが…っ!!」

あえなく力尽き、その姿を消したベヒーモスに意気消沈する兵達。

その前方に、血の滲む肩を押さえ膝立ちで息を切らす白虎長が正面を睨む。

ルー・ガルー「まずは…お前からか」

ザッザッザ…

ルー・ガルー「いや…こいつは生きたまま食おう。美味そうだ…!」

国軍兵「ちぃ!!」

ダダッ!!……ヒュンッ…バシュンッ!!

白虎長「…!!」

威勢良く飛び出した国軍兵の首がいとも容易く宙を舞い、地に転げ落ちる。

ルー・ガルー「焦るなって…!すーぐ楽にしてやっからよ!」

手に付いた血を舐めとり、再びその爪を白虎長へと振りかざす。

ルー・ガルー「……ヒャハハ!…死ねっ!」


772 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 18:02:35.61 ID:gv5X/2so
ヒュンッ……ザクゥ!!

国軍兵「白虎長様ーっ!!」

白虎長「………」

ルー・ガルー「………ぐ…うぅ…!!」

スタスタスタ…

ルーガルー「痛てぇ…!な、何だ…!テメェ!?」

右手を押さえ苦悶の表情を浮かべるルー・ガルーは、

正面より刀とクナイを手にした女に怒声を浴びせる。

盗賊「……語る必要は…なし」

タンッ!!…ヒュンッ!!

国軍兵「早いっ!!」

ルー・ガルー「!?」

ザシュッ!!…ズバッ!!ドシュッ!!…

盗賊「……次」

蜘蛛切の血を振り払う盗賊の足元では、一匹の魔獣が無残な姿で力尽きた…。


773 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/21(水) 18:08:26.23 ID:6EgZzsDO
一撃とか噛ませすぎワロタ
いや、それほど成長したってことか……胸が熱くなるな


774 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 18:13:00.45 ID:gv5X/2so
国軍兵「一瞬で…!援軍…なのか!?」

白虎長「貴方…!!」

盗賊「大丈夫か!?」

盗賊は白虎長を抱え、詰め寄った兵達に託す。

ルー・ガルー「何だこいつは…!?」

盗賊「……」

チャキッ…

ルー・ガルー「囲めっ!一気にやるぞ!!」

ブンッ!!…ザクゥ!!

国軍兵「させるかよぉ!!」

ルー・ガルー「手負いの雑魚が…!」

白虎長「…し……正面」

国軍兵「…?」

白虎長「正面を抜けて…か、海峡まで…っ」

兵の肩に寄りかかりながら、白虎長は正面の暗闇を指差す。


775 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 18:21:26.03 ID:gv5X/2so
白虎長「さっき…確認した…。この先が海峡だ…」

ザッ

盗賊「…ここを抜ければ良いのだな?」

白虎長「ああ……」

盗賊「………よし!」

ジャララッ…ヒュンッ

盗賊は鎖を頭上で振り回し、その円えお徐々に大きくしていく。

国軍兵「護衛するぞ!お前らは白虎長様をっ!」

四人の兵を残し、全員が身を低く盗賊の後方へ近づく。

ルー・ガルー「構うな!行くぞ!!」

ダッ!!

盗賊「はあっ!!」

魔物の群れが襲い掛かると同時に、盗賊は鎖を正面へと放つ。

鎖はルー・ガルーに容易くかわされ、一直線に正面へと伸びた。

ルー・ガルー「そんなもん当たるか!よおし、このまま……!?」


776 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/21(水) 18:41:01.63 ID:gv5X/2so
国軍兵「うおぉー!!」

ジャッ!!…キィン!!…ガキィィンッ!!

ルー・ガルー「コイ…ツら!!」

伸びた鎖を追うように国軍兵達が正面へなだれ込み、

左右に分かれたルー・ガルーを押し出し、道を拓く。

盗賊「今だっ!!」

国軍兵「白虎長様っ!しっかりお掴まり下さい!!」

グイッ…

盗賊「よし…!」

タタッ…ザシュッ!!

白虎長を抱えた四人の兵が足早に正面を駆け抜ける。

その周辺へ襲い掛かる魔物を、盗賊は素早い動きで翻弄し斬りつけ続ける。

国軍兵「…ようし!もうじき抜け……ぐはぁ!」

ルー・ガルー「逃がすかよ!!このっ……ごふっ!」

両軍は一進一退の攻防で互いの数を減らしていく。


777 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/04/21(水) 18:48:43.88 ID:gv5X/2so
こんばんは!ご支援ありがとうございますです!
では失礼致します!!ノシ

>>764
おお、そんな事もありましたね!懐かしいです!

>>773
はい!成長しました!!


787 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 15:23:55.27 ID:8GlirGQo
〜海峡、北の森付近〜

魔法剣士「………」

魔道士「なんだか…気味が悪いですね…」

魔道士は正面に広がる暗い森を見て恐る恐る口を開く。

召喚士「ええ…。森には入らず出てきた魔物を叩きましょう」

戦士「撹乱ってのがうまくいってりゃいいが…」

ドオオォォン…

戦士「何の音だ…っ!?」

眼鏡「この先みたいだね」

召喚士「行きましょう!!」

タッタッタ…

戦士と魔法剣士を先頭に、五人は森沿いを西に走る。

音は徐々に大きくなり、それが剣撃と馬の蹄、そして魔物の咆哮だと気づく。

ドドッ!!…ガササッ!!

戦士「!?」


788 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 15:24:23.21 ID:8GlirGQo
魔道士「魔物…っ!!」

魔法剣士「……」

右方の森より勢いよく飛び出してきた魔物に対し、

魔法剣士がすぐさま二本の剣を鞘より抜き、構える。

眼鏡「…マンティコア」

戦士「デケェな…!」

そう言い放ち、戦士も巨大な斧を両手に構える。

マンティコア「…コオオオォォ」

ヒュンッ…ザスッ!!…バシュッ!!

マンティコア「グギャアアアァァッ!!」

ゴオオォォ…ドズウゥゥンッ!!

魔法剣士「……」

召喚士「い…一撃…!」

魔法剣士の瞬撃により燃え焦げ倒れるマンティコアを見つめ、召喚が呟く。

魔法剣士「…既に深手を負っていたな…。余計な世話だったか…」


789 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 15:25:12.43 ID:8GlirGQo
〜北関、北の山あい〜

マジシャン「黒い三騎士…?」

大軍師「ご存知ですか?」

副司令官「上位ランカーだな…確か、成果ランク…」

大軍師「成果ランク三位。通称『黒い三騎士』…です」

マジシャン「知ってるも何も大ベテランじゃねーか…」

大軍師「ええ。もうかれこれ30年近くワーカーをされているかと…」

マジシャン「そんな奴らまで来てんのかよ…」

副司令官「危険度の高い戦闘に成果ランカーがよく来てくれたな…」

大軍師「四の五の言っていられませんからねぇ…」

マジシャン「……」

大軍師「それだけ国費も手間も掛かっていると言う事ですよ」

マジシャン「ま、実力者がいるってのは頼もしい限りだわな」

大軍師「…ええ。さて、まもなく山頂です。こちらも迅速に行軍致しましょう」

国軍本隊はまもなく北の山頂に差し掛かろうとしていた。


790 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 15:25:39.64 ID:8GlirGQo
〜海峡、北の森付近〜

ガサッ…パッカパッカパッカ…

地に伏せるマンティコアの奥より、一騎の馬が近づく。

馬はおろか馬上の人物が身に着ける装飾品まで全てが漆黒の作りである。

魔法剣士「…要らぬ事をしてしまったか」

黒騎士・一「…がははっ!ようやく来たか」

魔道士「ワーカーの…方!?」

パッカパッカパッカ…

黒騎士・二「……若いな」

黒騎士・三「俺らだけで終わっちまうかと思ったぜ!」

後ろに続く二人の騎士も同様に黒備えの武装で森より姿を現す。

戦士「あんたらが…撹乱の?」

黒騎士・一「いかにも。我ら黒の三騎士、と申す」

召喚士「召喚士です。よろしくお願いします」

黒騎士・三「ワーカーは五人だけか?」


791 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 15:26:06.03 ID:8GlirGQo
魔道士「みたいです…」

黒騎士・二「ふぅん…。まあ手間は全て国軍がやってくれるだろう」

戦士「そんで、俺達は何をすればいい?」

黒騎士・一「我らが森よりこちら側へ敵をあぶり出す」

黒騎士・三「アンタらはその敵をパパっと片付けてくれや」

召喚士「…分かりました」

黒騎士・二「それじゃもう一働き…行くかね」

黒騎士・三「…だな!」

眼鏡「……」

黒騎士・一「それじゃ、後は頼むぞ」

魔道士「はいっ!頑張ります!」

召喚士「この先の橋が本営です。何かあったら…」

黒騎士・一「承知した。はぁ!」

グイッ!!…パッカパッカ…パカラッパカラッ…

召喚士「黒の…三騎士…」


792 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 15:26:34.25 ID:8GlirGQo
戦士「豪快な連中だな…」

魔法剣士「ああ。だが腕は確かなようだ」

魔道士「やっぱり上位ランカーですかね?」

召喚士「おそらくは…」

戦士「…具合は大丈夫か?」

眼鏡「…ああ、すまない。もう大丈夫」

声をかける戦士の顔を見て、眼鏡は微笑む。

戦士「よし…そんじゃ敵さんが出てくるまで…力蓄えておきますかね!」

魔道士「はいっ!」

魔道士は両手でぎゅっと杖を握る。

眼鏡「そうだね。そろそろ備えておこうか」

眼鏡は右手を口元にあて、甲高く口笛を吹く。

タタッ…タタッ…タタタッ…

戦士「!?…ど、どこに潜んでやがったんだよ…!」

無数の犬に囲まれ微笑む眼鏡は、そのうちの一頭を抱き上げ頭を撫でた。



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