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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
601 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:31:34.51 ID:SHTnWgQfo


ドドドドドドッ

白虎兵「負傷者発見! 救出致しました!」

ドスッドスッドスッ

白虎兵「フェンリル、ここに降ろしてくれ」

剣士「錦将軍様……っ」

弓将軍「既に事切れておる。亡骸は華国へ連れて戻るつもりじゃ」

エリート「……左様であったか。ご冥福をお祈りします」

大軍師「死者を出してしまった事は指揮を担った我らの責務。後日、本国としてきっちりと……」

弓将軍「構わぬよ。錦も他の者もそしてワシも、元より命を賭けて戦っておるのじゃ」

大軍師「……」

弓将軍「戦場で死ねるは武人の本望。ましてや女子の膝の上で逝くとは、奴とて満足じゃろうよ」

エリート「そう言って頂けると、救われる」

大軍師「他に怪我人は?」

白虎長「南方弓長っ!」


602 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:32:35.93 ID:SHTnWgQfo
タッタッタ

南方弓長「……」

白虎長「大丈夫!? 怪我は……?」

南方弓長「……ふっ、ひぐぅ……っ!!」

ガバッ…ギュウウゥゥ

南方弓長「うあぁ……ああぁぁっ!!」

白虎長「ちょっ、ど……どうしたのよ……っ」

弓将軍「本国の司令と蛇のような召喚獣使いは前線へ赴いたぞ」

大軍師「司令が……?」

ゴロツキ「蛇のような召喚獣ってまさか……っ」

チンピラ「あ、姉御っ!!」

南方弓長「……うん」

ゴロツキ「やっぱり! ボスは怪我してるんだ、俺らも助けに行くぞ!」

大軍師「下手に動くと危険です。司令が付いていますから大丈夫でしょう」

南方弓長「いえ、助けに行った方がいいかも……」


603 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:33:40.42 ID:SHTnWgQfo
エリ-ト「どういう事だ?」

南方弓長「司令も怪我してる。経つのもやっとって感じだったわ」

弓将軍「うむ。死にはせんじゃろうが、万が一強いのと当たれば危ういかもしれんぞ」

大軍師「……成程。分かりました、それではこのまま本隊ごと進めましょう」

エリート「赤壁と離れすぎやしないか?」

大軍師「赤壁には騎士団長様もいますし、仮に残党の反撃があっても陥ちる事はないでしょう」

エリート「まぁ、な。先程から消えた光も気にはなるし……南下するとしようか」

大軍師「兵器対と負傷者は速やかに後退。護衛には歩兵が当たって下さい」

助手「頑張ってねぇ〜♪」

大軍師「騎兵と白虎隊を先頭に、本隊はこのまま進みます」

剣士「僕らも一緒に同行致します」

玄武娘「……朱雀嬢ちゃんはどこですの?」

白虎嬢「そういえば見かけないですね。他の方と一緒なのかしら……?」

南方魔道長「爆発のせいで空中で散り散りだったからなぁ」

南方弓長「うん。無事だといいけど……」


604 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:34:52.57 ID:SHTnWgQfo


ゴゴゴゴゴゴ…

ヴァーリン「随分と威勢の良い事だ。小娘1人で勝てると思うておるのか?」

朱雀嬢「さぁ、やってみなくては分かりませんわよ?」

ヴァーリン「フハハッ、口は勇ましいが……小刻みに震えておるではないかっ」

朱雀嬢「……っ」

ヴァーリン「素直にここに居た人間を差し出せ。そうすれば、命だけは助けてやらん事もない」

朱雀嬢「残念ですわね。ここには既におりませんわよ」

ヴァーリン「何ぃ……ッ?」

朱雀嬢「貴方はここで足止めをくって、無駄な時間を過ごすのですわ。ほーっほっほ!」

ヴァーリン「愚弄しおってえぇ……ッ」

グワッ!!

ヴァーリン「殺す!!」

朱雀嬢「ワルキューレ!!」

猛進するヴァーリンの正面に、美しい戦乙女が9人威風堂々と居並ぶ。


605 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:35:55.15 ID:SHTnWgQfo
ズラッ…バシュウウゥゥゥゥ!!

ブリュンヒルデ「一斉突撃ぃーっ!!」

シュヴェルトラウテ「でやぁーっ!!」

ズババシュウウゥゥゥゥ!!

ヴァーリン「……チィ」

空中からのスピアによる攻撃。ヴァーリンの周囲を飛び回り、縦横無尽に繰り出される攻撃は、

美しくもあり、冷酷でもあり、ワルキューレとそして朱雀嬢の心中を表現しているかのようである。

ヴァーリン「……止む無し!!」

ゴゴゴゴゴゴ

ヴァーリン「ヌ……ウアアァァァァ!!」

ズアッ!!…ズズズズッ…ズボオ゙オォォ!!

ロスヴァイセ「腕が生えたっ!? キ……キモ……」

ヴァーリン「おぉ、この腕……我が両腕っ! 素晴らしいぞフハハハッ!!」

朱雀嬢「来ますわよ! 迎撃してっ!」

ブリュンヒルデ「さぁ来なさい。次はその首をおとしてやるわっ!」


606 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:37:35.45 ID:SHTnWgQfo
ダァンッ!!…ズゴアアァァ!!

ヴァーリン「ハーッハッハッハッハアアァァ!!」

右拳を振り上げ突進するヴァーリン。それを正面と背面から同時にワルキューレが襲う。

9本のスピアは狙いすましたかのように狂いなく、ヴァーリンの首へと突き刺さった。

ガシュッ!!……ボトォ!!

ジークルーネ「やった! 首を刎ねたわっ」

ブリュンヒルデ「待てっ! 終わりじゃない!」

ジークルーネ「へっ――」

ガシッ!!…ボシュッ!!

グリムゲルデ「ジークルーネ!!」

ゴゴゴゴゴゴ…

ヘルムヴィーゲ「ちょっとまさか……っ、嘘でしょ」

ズボオオォォォォ!!

朱雀嬢「……っ!!」

ヴァーリン「……グハハハハッ! 見よっ、我が顔も取り戻したぞおおぉぉ!!」


607 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:38:34.40 ID:SHTnWgQfo
斬り落とされたスグリーヴァの首を見下ろし、己の首を取り戻したヴァーリンは声高らかに笑う。

再生した顔と両腕を誇らしげに見つめ、地に転がるスグリーヴァの顔を蹴り飛ばした。

ヴァーリン「さぁどうするウゥ! 次は足でも落とすかあぁ!?」

ブリュンヒルデお望みとあらば……やってやろうではないかっ!」

バシュウウゥゥッ…ザシュザシュウウゥゥ!!

ヴァーリン「小賢しいわグハハハハアアァァ!!」

ガシィッ…ボシュンッ!!

オルトリンデ「ゲルヒルデ! くっそぉ……」

ヴァルトラウテ「オルトリンデ!! 後ろっ!!」

オルトリンデ「――ッ!?」

ヴァーリン「グハハァ!!」

バゴォ!!…ボシュッ

ヴァーリン「残り6匹か。まだ続けるかねェ〜?」

ブリュンヒルデ「はああぁぁーっ!!」

ザシュウウゥゥ…ボトッ


608 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:39:41.49 ID:SHTnWgQfo
ブリュンヒルデ「……次は右足だ」

ヴァーリン「なかなか威勢が良い。悪くないぞぉ?」

シュヴェルトラウテ「なめんじゃないわよぉ!!」

ヘルムヴィーゲ「さっさとくたばりなさい!!」

ブオッ…ズバシュウウゥゥゥゥ

ヘルムヴィーゲ「へんっ、どーだ!!」

ズウウゥゥゥゥン

ヴァーリン「……ククッ、ご苦労ご苦労」

朱雀嬢「……?」

ヴァーリン「ヌウアア……アアアアァァァァ!!」

ズルウウゥゥ…ズボオオォォォォ!!

ロスヴァイセ「りりっ、両足も再生したぁ!」

ヴァーリン「見よっ、この腕この足ィ! ヴァーリン様の完全復活だ! グッハハハハアアァァ!!」

朱雀嬢「まだ……始まったばかりですわよぉ!!」

ヴァーリン「もう終わりだぁ!! 安らかに眠れぃ!!」


609 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:40:08.58 ID:SHTnWgQfo
グアッ…バシュウウゥゥゥゥ

ヴァーリン「フハハハハハハ!! 死ねエエェェ――」

ドクンッ

ヴァーリン「――ッ!!」

朱雀嬢「サンダーバード!!」

ガカアアァァァァ…ドッドオオォォォォン!1

ヴァーリン「ガフアァーッ!!」

ドッズウウゥゥン

朱雀嬢「隙だらけですわよ」

ヴァーリン「何だ……今のは……ッ」

ググッ…ザッ

ヴァーリン「ええぃ……邪魔をするでない!」

朱雀嬢「……?」

ヴァーリン「ヌアアァァァァ!!」

朱雀嬢「出て来いっ、ペガサス!」


610 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:41:30.16 ID:SHTnWgQfo
ドクンッ

ヴァーリン「グアッ! ま……また……」

ペガサス「ペガサス……流――」

朱雀嬢「それ以上はいいですわっ!」

ブリュンヒルデ「叩き込めぇーっ!」

ドドドドドドッ…ドッシャアアァァァァ

ヴァーリン「……ククッ、クハハハハッ!」

朱雀嬢「……」

ヴァーリン「そうかそうか、そこまで邪魔をするかスグリーヴァよ」

グググッ

ヴァーリン「ウヌアアアアァァァァーッ!!」

ドズッ!!…ズブブッ

ヘルムヴィーゲ「み、自らの心臓をえぐり……」

ボトッ…グシャッ

ヴァーリン「ガハァーッ、ハァーッ、ハアアァァァァ……」


611 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:42:16.95 ID:SHTnWgQfo
ドクンッ…ゴゴゴゴゴゴ…

ヴァーリン「……爽快爽快、ようやく邪魔者が消え去ったわ」

朱雀嬢「雰囲気が……変わった……っ」

ヴァーリン「小娘、よく頑張ったが……いよいよをもって終いだ」

朱雀嬢「ワルキュ――」

ヴァーリン「小賢しいわ!!」

ズガガッ!!…ボシュン!!

ヴァーリン「……残る召喚獣はワルキューレとやらが2匹。他が2匹」

朱雀嬢「出そうと思えば、まだ幾らでもいますわよ」

ヴァーリン「召喚獣の特性は知っておる。討たれれば貴様にも被害が及ぶのであろう?」

朱雀嬢「……」

ヴァーリン「さしずめ、このワルキューレとやらは全て倒さねばならぬようだがなぁ」

朱雀嬢(コイツ……っ)

ヴァーリン「最早、決定打に欠く貴様の負けなのだよ! 小娘ェ!」

朱雀嬢「勝負は最後まで……分かりませんわよおおぉぉ!!」


612 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:42:57.55 ID:SHTnWgQfo


バサッバサッバサッ

法師「……んっ」

ガーゴイル「法師様、気付いたか?」

法師「ここは……そうだっ、私は」

ガーゴイル「変な姉ちゃんが逃げろって。そんで召喚獣に殴られて気を失ったんだ」

法師「そうだ! 今すぐ城に戻りなさい!」

ガーゴイル「ダメだって! 法師様を無事に逃がさないと俺が怒られる」

法師「何が駄目なものですかっ! ここで単身、おめおめと逃げる事の方こそ恥です」

ガーゴイル「そ、そうなのか?」

法師「少女が1人、懸命に戦っているというのに……私が逃げるなど許されません」

ガーゴイル「人間の事はよく分からないけど、法師様は偉いから逃げるんじゃないのか?」

法師「人に偉いも何もありません。皆、平等なのです」

ガーゴイル「ふーん。よく分からないけど、じゃあ戻ればいいんだな?」

法師「はい。ハヌマーンらが戻るまで、皆で城を守るのです。スグリーヴァ様の大切な城を」


613 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:44:06.75 ID:SHTnWgQfo


ドドッドドッドドッ

戦士「ちっ、オークの奴一体どこまで……」

白馬騎士「戦士殿っ! あれは……っ!」

戦士「!!」

ドドッドドッ…ドドォ…パッカパッカ

戦士「こ……れは……」

白馬騎士「兄者っ、弟者!!」

スタッ…タッタッタ

白馬騎士「……くっ、何という事だ……っ」

戦士「お、おいっ! 兄者さんはまだ息があるぞ!」

白馬騎士「!?」

兄者「……お……おぉ」

戦士「しっかりしろ! 何があった!?」

兄者「華国が危ない……急……げ」


614 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:45:31.27 ID:SHTnWgQfo
白馬騎士「ヴァーリン……!」

戦士「分かってる。俺らも奴を追って来たんだ。華国は必ず……」

兄者「ごほぉ……がはっ!!」

戦士「……っ」

兄者「白馬……華国を……」

白馬騎士「……はい」

兄者「華国を……頼……む――」

白馬騎士「あれほど言ったではないですか……。死んではならぬと……っ!」

ダァンッ!!

戦士「……」

スクッ…ザッザッザッ

戦士「白馬騎士さん、行くぜ」

白馬騎士「……」

戦士「弔ってやりてぇが、今はそんな時間はねぇ。あのクソヤローをぶっ殺す」

白馬騎士「戦士殿」


615 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/07(金) 17:46:53.77 ID:SHTnWgQfo
ザッ

戦士「……お前も力になってくれるよな」

赤兎「……ブルルウウゥゥ」

グイッ…ゴゴゴゴゴゴ

戦士「おおおおぉぉぉぉ!!」

白馬騎士「……っ!!」

ビリビリビリッ

戦士「はああぁぁーっ!」

ドウッ!!…ドドッドドッドドッ

白馬騎士「戦士殿っ! く……っ」

兄者と弟者の得物を拾い上げ、先走る戦士を慌てて追う白馬騎士。

白馬騎士「戦士殿っ! はやまっては――」

正面を疾走する戦士の背中を見た時、白馬騎士は確かに感じた。

赤兎に跨り、右手に戟を携えた咆哮する男を。怒りに打ち震える攻撃的な威圧を放つ男を。

先程まで共に並走していた男ではない。それはかつて自らの前を先陣切って進む男の姿であった。



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