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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その35
621 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:18:41.45 ID:ideya/3lo
 ゴトゴトゴトッ パラパラ……

盗賊「…………う……っ」ゴトッ

戦士「……」

盗賊「せ……戦士!?」

戦士「……言ったろ。何が何でもお前を……守る……っ」ドシャッ

盗賊「戦士っ!!」

土忍「……姫は……無事か」ガラッ

西方参謀「すまん、助かった」

土忍「なに。彼が姫を庇ってくれたのが見えたからな。此方の防御に回れた」

南方参謀「お、お仲間は大丈夫……?」

土忍「藤蔵の皆伝者が、そう簡単にやられたりはせぬよ」スクッ

東方参謀「おぉ」

火忍「……やってくれんじゃねぇか、この野郎」

風忍「皆、生きているな」ザッ

水忍「しかし攻撃が通じず、しかも跳ね返ってくるとは……如何致すか」


622 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:19:04.57 ID:ideya/3lo
マーラ「……ほおぉ、何て事っ。皆……生きてるじゃない」

火忍「簡単に死んでたまるかっ!」ボキボキッ

風忍「さて若、ここは如何なさいますか?」

影忍「今の藤蔵をまとめているのはお前だ。俺はそれに従うまで」

風忍「……若、貴方は一人ではありません」

影忍「何?」

風忍「今こうして、東方の地で我らと共に戦っておられる」

影忍「……」

風忍「せめて今だけは、藤蔵の若頭として存在して頂きたい」

影忍「……」

風忍「若の判断は的確です。それに、その方が皆の士気も上がります」

影忍「……分かった。よいのだな?」シュルッ

風忍「文句を言う者など、一人もおりませんよ」

兄様「……良かろう。ならば藤蔵を率いる者として、そなたらの命……俺にくれ」パサッ

風忍「喜んで」


623 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:19:34.08 ID:ideya/3lo
兄様「藤蔵に告ぐ。極めし武は最強也!」

火忍「――!?」

水忍「若……っ!」

南方参謀「い、一体……何事なの?」

土忍「合図さ。究極奥義のな」

東方参謀「究極……奥義だと!?」

 ヒュッ スタッ

兄様「本国で言うところの、五行さ」

南方参謀「五行!?」

兄様「まぁ生憎、東方では四行でしかないのだがな」

東方参謀「待て。そんなものを撃ってしまえば……跳ね返ってきた時のダメージは絶大ぞ!」

西方参謀「……いいや、これは有効かもしんねぇぞ」

南方参謀「どういう事よっ」

西方参謀「五行ってのはよ、対象を完全に消滅させる技だ。自己犠牲に等しい行為でな」

東方参謀「四行であれば、完全とはいかぬが消滅は可能」


624 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:20:06.34 ID:ideya/3lo
西方参謀「そうだ。つまり、うまくハマればダメージが跳ね返ってくる前に……」

南方参謀「四行で魔王を消滅出来る……っ」

西方参謀「だがそれじゃあ魔王は死なねぇ。パズズやサタンと同じ状態になるだけだ」

南方参謀「それじゃ意味はないわよっ!」

東方参謀「だが、窮地を脱するには、その方法以外に無さそうだな」

兄様「そういう事だ。万が一もある。しばし退がっておれ」

西方参謀「ちょうどいい。おまえら2人は特遊らの救出に向かってくれ」

東方参謀「確かに帰りが遅い。心配ではあるな」

南方参謀「あんたはどうするのよ!?」

西方参謀「ここに残る。参謀役が必要だ」

南方参謀「でも……っ」

西方参謀「いいから行けっての! なぁに、死んだりしねーっつーの……ヒック」グビッ

南方参謀「……っ」

東方参謀「では行くぞ。特遊を連れて、すぐに戻る」バッ

南方参謀「ちゃんと……生きてなさいよっ!」バッ


625 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:20:38.43 ID:ideya/3lo
西方参謀「だーれが死ぬかっての……ヒック」

兄様「魔王は此方で対処する。盗賊と戦士、それからあそこで転がっている妖の手当てを頼む」

西方参謀「鬼丸……だっけか?」

鬼丸「……ぐく……っ、ぬおぉ」ヨロヨロ

兄様「さぁ、魔王よ。此方が攻撃しない場合は、どうするつもりだっ!」ヒュバッ!!

マーラ「何か企んでいるように見えたけど、まぁいいさね」ザッ

兄様(奥義発動まで、何とか時間を稼がねばな……)

マーラ「悪いけど、攻撃出来ないんじゃなくて、しないのよぉ!」グアッ

兄様「!?」

マーラ「お望みならばぁ、この通りいいぃぃ!」

 ガシィ!! ギュルルルッ!!

兄様「があ……ぁ……っ!!」ミシィ

ヤタガラス「魔羅様の体内にゃ、八百万の生き物が飼われてるのさぁ」

兄様「この……大蛇もその一つか……っ」

 ミシミシミシッ……ベキィ!!


626 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:21:08.47 ID:ideya/3lo
マーラ「このまま、絞め殺してア・ゲ・ル!」

兄様「ぐああぁぁぁぁ!!」ミシミシミシィ!!

マーラ「ほーっほっほっほ! もっとよ、もっと悲鳴をあげ――」

兄様「……きゃああぁぁぁぁ!! いやああぁぁぁぁん!!」

盗賊「!?」

火忍「姫ぇ!? って……何だ、若かよ」

盗賊「兄様っ、おやめ下さいませ……っ!」

兄様「ああ、すまん。こやつが悲鳴を聞かせろと言うのでな」

盗賊「だからって……何故、私の声でやりますか……っ」

マーラ「……どういう……事よぉ!」

兄様「忍びたる者、声色程度、自由に変えられる」

マーラ「おちょくるにも大概にせいっ! そうではないっ、何故貴様は……死なぬっ!」

兄様「ああ、そちらか。残念ながら、俺は不死だ」チャキッ

 ズバシュウウゥゥゥゥ!! ボトッ

兄様「……ま、この程度ならば蓄積されても、大した事はあるまい」


627 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:22:35.23 ID:ideya/3lo
マーラ「……おのれ、おのれぇ……っ!」ピキピキピキッ

兄様「時間は稼いだ。俺とのお遊びはここまでだな」バッ!!

 ボウウゥゥゥゥン!!

マーラ「な、何をしたぁ……ッ!?」

兄様「ただの煙玉さ、案ずるな」ギュルッ

マーラ「ごほっ、逃がすかぁーっ!!」

兄様「疾風怒濤!!」

 ズギャッ!! ドッドオオォォォォ!!

ヤタガラス「魔羅様ぁ!!」

マーラ「……ちぃっ、まぁ良い。逃げたところでどうにもならぬわ」

 シュウウウウゥゥゥゥ……

マーラ「……ん?」

ヤタガラス「なんやコイツら……ご丁寧に並んで……」

兄様「さぁ、藤蔵の誇りを……見せてやれっ!」

盗賊「……っ」


628 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:23:34.81 ID:ideya/3lo
 ジャリッ

風忍「其の疾きこと風の如く」

水忍「其の徐かなること林の如く」

火忍「侵掠する事ぉ……火の如く!」

土忍「動かざること山の如く」

風忍「風遁、究極奥義!」
水忍「水遁、究極奥義……!」
火忍「火遁、究極奥義いいぃぃ!」
土忍「土遁、究極奥義」

 ババッ!!

風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
土忍「山」

 キュイイイイィィィィ……

戦士「……な……んだ……っ」

盗賊「戦士っ!! 大丈夫っ!?」

兄様「これぞ藤蔵の究極奥義、風林火山よ」


629 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:24:00.42 ID:ideya/3lo
 ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「――――ッ!!」

ヤタガラス「魔羅様ああぁぁ!!」

 その巨体を押し上げる程の大竜巻。その内部で暴れまわる氷柱。

 鋭い切れ味を持つナイフの如く、風と水による刃は敵を容赦なく痛めつける。

 多大なる攻撃のさなか、残撃部分より次第に発火が巻き起こる。

 炎と氷が共存する不可思議な現象ではあるが、それこそが四行による恩恵か。

 切り傷を作ってはそこから高熱を発し、また更に深い傷を抉り、また発火を繰り返す。

 攻撃の音は無い。ただ、竜巻による風の轟音が辺りには響き渡るのみである。

 やがて風が弱まり始め、内部における氷と炎も落ち着きを見せ始めた頃、

 止めと言わんばかりに、最後の攻撃である山が動く。地面が隆起し、竜巻をも飲み込んだ。

 ズッドオオオオォォォォン!!

 けたたましい低い音を立てて、地面は全てを飲み込んだ。そして山を成した。

 風が止み、音が止み、静けさを取り戻すと、そこには墓石を模したかのような、

 小さな丘のように、地面がせり上がり、固まり、魔王マーラを閉じ込めるに至った。


630 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:24:27.21 ID:ideya/3lo
 オオオオォォォォ……

ヤタガラス「魔羅……様……」

西方参謀「これが究極奥義、風林火山……っ」

鬼丸「す……っげぇモンだな」

兄様「全員、無事だな?」

 シュバッ スタッ

火忍「……し、しんど……っ」

水忍「流石に……堪えるな」

土忍「だがこれで、魔王の動きは封じたであろう」

風忍「だと、いいがな……っ」

兄様「……俺が調べる。皆は退がって、少し休むが良い」タンッ

戦士「やった……のか?」

盗賊「分からない、分からないけど……」

戦士「あの威力だ。流石に無傷ってわけにはいかんだろうな」

盗賊「ああ」


631 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:25:09.45 ID:ideya/3lo
ヤタガラス「魔羅様が……いやいやいやっ、そんな阿呆なっ」バサッ

兄様「次はお前か?」ヒュバッ

ヤタガラス「わああぁぁ!!」

兄様「どうやら、うまく封印出来――」

 コトンッ……パラパラパラッ

兄様「……?」

 ゴゴゴゴゴゴ……

兄様「まさか……くっ!!」バッ!!

 ゴゴゴゴゴゴ……ドドドドドド……

鬼丸「な、なんだぁ!?」

西方参謀「おいおい……冗談だろぉ!!」

 バッゴオオオオォォォォン!! ドシャアアァァ

盗賊「マーラがっ!!」

戦士「……そう簡単に、終わりにはしてくれねーみたいだな……くそっ!」

マーラ「……ここまで追い込まれたのは、あの妙な亀に乗った人間以来か……ククッ」


632 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:25:39.82 ID:ideya/3lo
〜剣聖の屋敷〜

サル「……ちっとも見当たらんぜぇ」

帝「いっその事、亀でも居れば良いのだがな」

魔道士「カメ……ですか?」

名代「おとぎ話ですよ。兎と亀が競争をして、どちらが勝つかと言う……」

キジ「そんなの、ウサギが勝つに決まっているさー」

女侍「ははっ、残念ながら亀が勝つんだよ」

イヌ「何でね? 亀なんて遅いのに勝てるわけないね」

女侍「兎はね、走っているうちに大差付いたからって、サボって寝ちまうんだよ」

魔道士「へぇ〜っ」

名代「その間、地道に進んでいた亀は兎を追い抜き、勝利すると言う話です」

帝「何事も地道に努力すれば、報われるという事を謳ったおとぎ話だ」

召喚士「なるほど……」

サル「そんじゃあウサギちゃ〜んは、居眠りでもしてるのかねぇ〜」ガサガサッ

イヌ「そんなんだったら笑わせるね」


633 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:26:09.88 ID:ideya/3lo
 ガサッ

サル「……ハアアアアァァァァ!?」

女侍「何だい? 奇声あげて」

サル「ウサギイイイイィィィィ!!」

召喚士「えっ!?」

 バッ!!

神野「……ククッ」

 ピョンッ!! ダッ!!

女剣士「逃げた!?」

くの一「くっ!」

召喚士「追うのは危険ですっ! 触れない方がいい!」

サル「でも逃げちまうぞっ!?」

名代「被害を被るよりは遥かに良いです。どうせ、遠方へ逃げる気もないでしょう」

帝「脱兎の如くとは、まさしくこの事だな」

魔道士「まさか、これで終わりなんて事は……」


634 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:26:35.75 ID:ideya/3lo
名代「考えにくいですね。神野悪五郎は少なくとも、あと三回、変身を残していると思います」

召喚士「十二支、というやつですか?」

名代「ええ。残るは虎、牛、そして……」

サル「な、なぁ。その虎ってぇのはよ……アレの事かい……?」

召喚士「なっ!?」バッ

神野「お待たせ致しましたね」

東方司令「くるぞぉ! 後ろへ退がれぇ!」ズザァ!!

神野「ヒャーッハッハッハ。ここからは、今まで以上の力を発揮致しますよぉ!」

召喚士「行けっ! ワイバーン!」

シュイイィィィィン

神野「ほぉ、今度は此方が虎で、其方が龍ですかっ! 面白いっ!」

召喚士「な……んだ……?」クラッ

魔道士「ど、どうしました!?」

召喚士(魔力を消費しすぎた? いや、計算して消費していたはずなのに……っ)

神野「ククッ、ヒャーッハッハッハッハッハ!!」


635 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:27:54.99 ID:ideya/3lo
召喚士「……貴様っ、何をした!!」

神野「ん? いやはや、何もしてはおりませんよぉ?」

召喚士「そんなはずはないっ! 何かしていたはずだ!」

くの一「ど、どういう事!?」

東方司令「……朱雀、どういう事だ?」

召喚士「どうやったかは知らないが、気付かぬうちに魔力を吸い取っていたんです」

帝「何だとっ!?」

神野「察しがいいじゃないですか。随分と切れ者ですねぇ」

女侍「どういう事だい? そんな素振り、全くなかったじゃあないか」

召喚士「だから不思議なんです。さっきのウサギがそういう能力だったとでも言うのか……」

神野「……ヒャーッハッハッハッハ! 本当に切れ者ですねぇ。そう、その通りですよ!」

魔道士「つ、つまり……召喚士さんの魔力は……」

神野「残念ながら、我が力として吸収させて頂きましたよぉ!!」

召喚士「……っ」

神野「付け加えると、残念ながら……全員の魔力を、ですがねぇ!」


636 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:28:26.00 ID:ideya/3lo
東方司令「何だとぉ!?」

神野「気付く事はなかったでしょう!? 君達の言う龍脈とやらを使ってねぇ!」

名代「何と言う事か……っ」

神野「龍脈自体から新たな魔力が生まれる事はない。しかし、通り道にはなります」

キジ「なかなか、やってくれるさー」

サル「じ、じゃあ何か? ここまで頑張った苦労が、水の泡ってか……?」

神野「だから言ったでしょう? ここからは、今まで以上の力を発揮するとねぇ!」

女剣士「小賢しい真似を……っ!」チャキッ

召喚士「大丈夫。全ての魔力を奪われたわけではありません!」

魔道士「召喚士さんの言う通りです! まだ、魔力はありますっ!」ゴウッ!!

東方司令「元より魔法に頼った戦い方などしてはいないっ」ジャキッ

名代「此方とて、既に札として用意しておりますからね」バサッ

神野「ククッ、いいでしょう。ならば全てを失うまで、お相手致しましょうかっ!!」

召喚士「きますよっ! 正面、気を付けてっ!」

魔道士「はいっ!」


637 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/01/12(木) 18:34:46.42 ID:ideya/3lo
それではここまでにて失礼致します!
ご支援どうもありがとうございます!では!ノシ


638 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2012/01/12(木) 18:36:58.05 ID:MFmneaLAO
乙!
雷忍は究極奥義に参加できないのか


645 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/01/12(木) 19:27:18.77 ID:620i8Ro+o
>>638
兄様も雷役で参加しないということは、雷は混ざらんのだろう…
東方でも5属性合体は危ないから自然と禁止されてたんじゃなかろうか


647 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/01/12(木) 21:20:40.45 ID:IDjDkQAIO
二行で大蛇倒す威力あんのに四行でも消滅しないとか…
東方の術で五行出来ないなら兄様の五行クナイはどういう事だったんだ?


648 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/01/12(木) 21:57:25.89 ID:ZJ2IYtSuo
>>647
武器に五行付加なら負荷を受けるのは武器だけだし
奥義五行はリスクが高くてやらなかっただけじゃない?
鬼丸の力量も知らないのに高難易度の合体技に使えないでしょ


650 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [] 投稿日:2012/01/13(金) 00:48:56.91 ID:FNjfCXrf0
いちおつ
孫子の兵法では風林火山の後に
知り難きこと陰の如く 動くこと雷霆の如し
って続くからな まだこれから何かあるんじゃないの



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