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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その33
489 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:33:17.50 ID:67wNM8hSo
コカトリスの背より地面を見下ろす召喚士と魔道士。

その瞳に映るものは、砕けた山の中より這い出るように顔を上げ、

その背中に乗った土を振り払うように、左右へ体を揺さぶっている魔獣の姿であった。

ドドオオオオォォォォ

男隊員「デカイとか……そんなレベルじゃねぇぞ!!」

格闘家「あんな魔物……見た事も聞いた事もない……っ」

一見すると亀のようなその魔物であるが、ドラゴンにも近しい姿を持っており、

近づけばその大きさはまるで城や小さな山そのものの様相であった。

青年兵「リンドブルム。皆を後方で降ろしてくれ」

リンドブルム「貴様は?」

青年兵「ワイバーンと共に近づいてみる」

男隊員「おい、危ねぇぞ!」

青年兵「大丈夫。ただの偵察です。無茶はしませんから」

女隊員「気を付けるッスよ!」

青年兵「行ってきます!」


490 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:34:12.17 ID:67wNM8hSo
タタタタタタッ…ズザアアァァ

王子「何とか……逃げ切ったぁ!」

傭兵「な、何じゃあありゃあ!!」

親衛隊「!?」

魔獣「ヴァオオオオォォォォォン!!」

盗賊「……こ、こんなにも……っ」

戦士「デカイのかよ……っ!」

隊長「風が……止んだ?」

厳密に言えば止んだ、のでなはく、とてつもなく大きな魔獣の体が壁となって、

その一帯のみ風を防いでいるような状態であった。

傭兵「そ、そんんでどーすんだよっ!?」

王子「あんなの相手にするのは、流石に無理だろ!」

盗賊「……どうするのだ?」

隊長「……退却だ。あっちも無事みたいだしな」

戦士「あれは……コカトリスに、青年兵の召喚獣もかっ!」


491 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:34:38.72 ID:67wNM8hSo
バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「良かった! こっちのみんなも無事みたいです」

天才「おーし。撤退撤退! 西の砦まで引き返すぞ!」

バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

女隊員「隊長っ、みんなも無事ッスか!?」

隊長「ああ。そっちも無事なようだな」

格闘家「はい。全員無事です」

男隊員「しっかし、地上で見ると更におぞましい迫力だな……っ」

召喚士「戦士、盗賊さん!」

盗賊「大丈夫だ」

戦士「しかし……どんだけデカイんだ?」

魔道士「まるで山のようでしたよ……っ。ここからじゃ正面しか見えませんけど……」

天才「……」

召喚士「天才さん? 魔物見つめて……どうかしましたか?」

天才「……いんや、何でもねぇ。砦に戻んぞ」


492 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:35:25.39 ID:67wNM8hSo
バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「よし。みんな撤退したみたいだな」

ワイバーン「我らも退がるとするか」

魔獣「ヴァオオオオォォォォ!!」

ビリビリビリッ

青年兵「……凄い咆哮だな……っ」

ワイバーン「一筋縄でいく相手ではなかろうな」

青年兵「……うん」

バシュウウゥゥゥゥ

〜西の砦〜

神官「ご苦労様でした」

王子「まずい魔物がいるぞ」

神官「ここからでも見えますよ」

サモナー「まさかあんな化物だったなんてね……」

西方魔道長「それで、どうするんだい?」


493 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:36:11.59 ID:67wNM8hSo
天才「作戦会議だ、作戦会議!」

カツカツカツカツ

召喚士「戦士、雷切は通用した?」

戦士「ああ。だが、ちょっとやそっとの傷を与えたところであの巨体じゃあな」

召喚士「だよね」

西の砦では魔獣の全貌が明らかになった事により、今まで以上に慌しくなっていた。

直線上でそう遠くない距離。しかも魔獣はこちらの気配に気付いている状態であった。

魔道士「あっ、青年兵さんも戻ってきましたよ!」

バシュウウゥゥゥゥ…ザザッ

青年兵「お待たせしました」

隊長「よし。これより作戦会議を行う」

神官「大広間を開放せよ。衛兵は城壁より魔物の監視を強化」

西国兵「了解であります!」

盗賊「……忙しくなってきたな」

召喚士「ええ。かなりの大物ですからね」


494 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:37:24.40 ID:67wNM8hSo
〜大広間〜

青年兵「それでは始めます」

天才「まずは全員、確認したと思うが……あのデカブツについてだ」

男隊員「引っ張り出したはいいが、ありゃとんでもねぇバケモンだぞ」

格闘家「どうやって倒します?」

サモナー「小細工は無意味に近いでしょうね。やるならば強烈な一撃で沈めるしかない」

天才「……」

戦士「五行か?」

天才「他人事だと思って簡単に言ってくれるよなぁ」

戦士「いや、そういうつもりじゃねぇけどよ……」

隊長「とにかくだ、今はあれの足を止める事が先決だろう」

男隊員「だよな。サンドワームみてぇに放置しておきゃいいってもんでもねーし」

格闘家「しかし、具体策は今のところ見当たらず」

天才「とにかくあの手この手試してみるしかねぇな。あとは時間との勝負だ」

召喚士「……っ」


495 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:37:55.25 ID:67wNM8hSo


神官「魔物の動きはどうだ?」

西国兵「ほんとんどうごいていません」

天才「裏を返せば少しずつだが動いてるって事だ」

神官「リミットは如何お考えで?」

天才「青年兵、どうんくらいか試算できっか?」

城壁から正面の魔獣を見つめ、一同は青年兵の答えを待つ」

青年兵「……ざっと、3日といったところでしょうか」

神官「3日以内に駆逐……いや、倒さねばなりませんね」

魔道士「3日……ですか?」

神官「ええ。およそ3日でここ、西の砦へ魔物が到達するという事ですよね?」

天才「そういう事だ。まぁ避難すれば犠牲はないだろうが、拠点を失うのは痛い」

召喚士「魔王討伐に支障をきたしますね……っ」

天才「理解したか? 魔王を倒すにはデカブツを3日以内に始末するのがクリア条件だ」

盗賊「……了解」


496 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:39:12.61 ID:67wNM8hSo


バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「……速度はだいたい把握できたね」

青年兵「ええ。しかし上空から見ると、本当にとてつもなく大きいですね……」

召喚士「うん……っ。こんなに大きな魔物の動きを止めるなんて、本当に出来るのかな……」

青年兵「コカトリスの石化ではどうでしょうか?」

コカトリス「前足1本でも、召喚士の魔力をどれだけ食う事だろうな」

召喚士「……だよね」

青年兵「そろそろ戻りましょうか」

召喚士「うん」



ゴオオォォォォ…スタッ

天才「ちょうどいい、青年兵」

青年兵「はい」

天才「疲れてるところ悪りーが、西方司令部まで飛んでくれや」


497 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:39:56.36 ID:67wNM8hSo
青年兵「!?」

天才「先に行って、あっちの準備が整い次第積んで来い」

青年兵「西方司令……ですか?」

天才「以外に何があるんだよ」

青年兵「り、了解です。今夜中に早速、西方司令部へ向かいます」

天才「頼んだぜ。デカブツ倒すには必要かもしんねーしな」

召喚士「……?」

テクテクテク

神官「天才殿、ちょっと宜しいか?」

天才「おう、今行く」

スタスタスタ

召喚士「忙しくなってきたね」

青年兵「ええ。あ、僕も出発の準備をしてきます」

召喚士「うん。気を付けてね!」

足早に立ち去る青年兵を見送った召喚士は、大広間へと向かった。


498 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:40:48.16 ID:67wNM8hSo
テクテクテク

戦士「おう、おかえり」

召喚士「準備はどう?」

魔道士「まだ打ち合わせ中で、何も通達されてないですよ〜」

召喚士「そうですか……」

テクテクテク

王子「魔道士お姉ちゃんと、あと隊長さんと西方魔道長さんっている?」

西方魔道長「ここにいるよ」

隊長「何かご用か?」

王子「天才さんが呼んでるよ。司令部まで来て貰える?」

魔道士「わ、私も……ですか?」

王子「うん」

魔道士「すぐに行きますっ。それじゃ……行ってきます!」

バタバタッ…タッタッタッタッタ…

召喚士「い、行ってらっしゃい!」


499 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:55:19.63 ID:67wNM8hSo
戦士「……何かの作戦か?」

召喚士「あのメンバーだと、何となく察しはつくけどね」

盗賊「……五行合体か」

召喚士「ええ。ただ、相手が相手だけにどうなんでしょうね」

戦士「効かないって事か?」

召喚士「それも魔力次第ってところはあるけど、間合いというかタイミングが難しいと思う」

盗賊「……大きさか」

召喚士「ええ」

戦士「でもあれ相手じゃあ、魔法に頼らざるを得ないよな」

召喚士「召喚獣でも出来る限りはやってみるけど、正直効くとは思えないしね……」

盗賊「……ゾディアックはどうだ?」

召喚士「うーん……厳しいかもしれませんね。今回は魔法使用者が少ないので」

戦士「それに、おれだってそんなにばかすか使いたくねぇよ。一応だが命にかかわるんだぞ?」

盗賊「それもそうだな……」

召喚士「とにかく、今は作戦の通達を待ちましょう」


500 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:55:52.00 ID:67wNM8hSo
〜司令部〜

ガチャッ

王子「連れてきた」

天才「おう、助かる」

神官「とりあえずこの地図を中心にお座り下さい」

天才「さっきざっと描いた地図だが、ここが西の砦。んでこっちがデカブツだ」

魔道士「……天才さん……絵、上手いんですね……っ」

天才「あ? んな事ぁどーでもいい。んでだ、お前さんらにお願いしたいのは……ここ」

隊長「何だこれは? 魔方陣……?」

天才「正解」

西方魔道長「この魔方陣は……五行じゃないかい!?」

天才「そ。、名付けて……天才プロデュース、ネズミ捕り大作戦!」

王子「ださっ」

魔道士「ど、どういう作戦何ですっ!?」

天才「それを今から説明する。至ってシンプルなもんだ。よーく聞けい」


501 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/04(金) 17:56:46.89 ID:67wNM8hSo
ザッ

天才「まずこのデカブツだが、綺麗に直進してここに向かってる」

神官「先程から探りを入れていますが、軌道を変える事はまずありませんでした」

西方魔道長「根拠は?」

天才「進路上のサンドワームが1匹も見当たらなくなった。恐らく逃げたんだろうな」

隊長「まぁ、このままではつぶされかねないからな」

天才「つまりデカブツはただただゆーっくりと、真っ直ぐここを目指してるって事になるわな」

神官「そこで、砦の前方にこの魔方陣を敷きます」

魔道士「……っ」

天才「するとどうなる?」

隊長「真っ直ぐ進んできた魔物は、勝手に魔方陣に入り込む事になるわな」

天才「そこで合体五行発動! ネズミ捕りがガブッ! って寸法よ」

王子「モグラ叩きやらネズミ捕りやら忙しい限りだね……はぁ」

天才「ハーッハッハ! いいじゃねぇか。たまにはこういうのも楽しいだろ?」

王子「楽しくないよっ!」


503 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/11/04(金) 18:37:11.79 ID:6fc857AAO
成長してもお姉ちゃんって呼んでる王子がかわいい

しね


507 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage] 投稿日:2011/11/04(金) 21:10:31.07 ID:F207HsMdo
スピリットオブマザーウィル級?


512 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage] 投稿日:2011/11/05(土) 16:43:21.56 ID:GKI/rtYpo
FFのアダマンタイマイだろ。13あたりの。かめだしでかいし


513 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage] 投稿日:2011/11/05(土) 19:47:59.50 ID:/jVPCzGNo
モンハン2の老山龍だろう


517 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/11/06(日) 09:27:09.78 ID:7o+cPNRAO
ジローラモ
じゃなくて
ジエンモーランみたいな感じって壱が言ってなかったけ?


518 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 21:53:03.10 ID:UNyxYKIwo


天才「まずは俺様とお前で魔方陣を敷く」

西方魔道長「了解だよ」

王子「待て待て。サンドワームを忘れたわけじゃないでしょうね?」

天才「その為にあんたらがいるんだろ。陛下様よぉ」

王子「ほぉ、オイシイところは持っていって、雑魚は押し付けようって魂胆か!」

神官「これまでサンドワームと戦い続けてきた陛下には適任かと思ったのですが……」

王子「……おいおい、誰もやらないとは言ってないぞ」

神官「ほお。やって頂けますか。流石は陛下」

王子「まぁ、何も心配はせずに魔法陣へ取り組んでくれたまえ。はははははっ!」

天才「いやぁ、手馴れたもんだな。ハーッハッハッハ!」

神官「ずっと見てきましたから。今までずっと」

天才「そうだわな。今までご苦労さんだったな」

王子「何か言ったぁ?」

天才「……いんや。そんじゃ大広間に戻って本作戦の詳細を詰めるぞ」


519 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 21:53:41.58 ID:UNyxYKIwo
テクテクテク

天才「なぁ神官さんよ」

神官「何でしょう?」

天才「ご覧の通りなんだが、何とかならんか?」

神官「天才殿に隊長殿。西方魔道士長殿に魔道士殿。1人足りないと言うわけですか」

魔道士「……どうしたんです?」

天才「先に行っててくれや。皆を集めといてくれ」

魔道士「は、はいっ」

タッタッタッタッタ…

天才「合体五行の場合、それぞれの魔力を均等にする必要がある」

神官「魔法陣の場合は、それが不要と?」

天才「逆だよ。ピッタリ合わせなきゃならねーんだ」

神官「!?」

天才「手元を離れてるから自分に跳ね返る事はねぇが、僅かな狂いも許されない」

神官「合体魔法とはまた違った難しさがあるわけですね」


520 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 21:54:18.40 ID:UNyxYKIwo
天才「だからこそ、並の魔法使いじゃあ話にならねーんだ」

神官「……残念ですが、西国にはそれ程までの使い手はおりません」

天才「やっぱダメか」

神官「目星は付いているのですか? このままでは1人の欠員が……」

天才「付いてねーからお願いプリーズしてんだよ」

神官「如何なさるのです? 本国からお呼びに……?」

天才「最終手段はな。しかし前回の戦いが疲弊してるし、誰かいたかな」

神官「こちらも手を尽くしてみるとしましょう」

天才「いや、いいさ。最悪、俺様が二行担えばいい」

神官「出来るのですか……?」

天才「……1度溜めてから3日充電がいる」

神官「それまで、あの魔物を食い止められるかどうか……」

天才「他の連中次第だな。ま、俺様の心配もなくはないけどな」

神官「……」

天才「ほれ、続きは大広間でだ」


521 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 21:55:59.17 ID:UNyxYKIwo
〜大広間〜

召喚士「……魔法陣……ですか?」

隊長「そうだ。明日から司令と西方魔道長で準備を進める」

盗賊「……だが、砂漠には魔物が」

王子「それを僕達で退けるのさ!」

戦士「なるほどな。やってやろうじゃねぇか」

格闘家「期限は?」

テクテクテク

天才「3日だ。砦ギリギリのところでに敷く。3日ってのはデカブツの到達時間だよ」

女隊員「3日間、凌げばいいんスね?」

天才「シンプルな作戦だろ? ヨロシク頼むぜ」

王子「よーし、やってやろうじゃないかみんなっ!」

魔道士「おーっ! やってやりましょうっ、召喚士さん!」

召喚士「ええ、や……やってやりましょう……っ」

闇の中に浮かぶ月は、少しずつその形に丸みを帯びていた。


522 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 22:05:05.41 ID:UNyxYKIwo
〜???〜

遥か西に存在する古代遺跡。その混沌とした暗闇の奥で漏れる吐息。

フッ…スタッ

ネクロマンサー「……ククッ」

コツコツコツ…コツコツ

ネクロマンサー「貴方達はここで待っていなさい」

魔剣士「……」

コツコツコツコツ…

ネクロマンサー「……おぉ」

――「フシュウウゥゥゥゥゥ……」

ネクロマンサー「ようやくお会いする事が出来ましたね、イブリース様」

たった今、イブリースと呼ばれた大柄な魔物は、ゆっくりと口を開く。

イブリース「誰だ、貴様は」

ネクロマンサー「始めまして。ネクロマンサーと申します」

イブリース「……知らんな。失せろ」


523 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 22:06:47.07 ID:UNyxYKIwo
ネクロマンサー「ククッ、これは失礼を。本日は近くまで来たもので、立ち寄らせて頂きました」

イブリース「誰の差し金だ。差し詰め臆病者のアンラ・マンユかそれとも……」

ネクロマンサー「いえいえ。私の独断です。本当にたまたまなのですよ……ククッ」

イブリース「独断? 貴様は、どこの者だ?」

ネクロマンサー「ベルゼブブ様の下でお世話になっております」

イブリース「ベルゼブブ、ああ道理で胡散臭いわけだ。納得した」

ネクロマンサー「それは何よりです。クククッ」

イブリース「で、この俺様に何の用だ」

ネクロマンサー「この地を脅かそうと、人間が迫っております」

イブリース「……で?」

ネクロマンサー「貴方様が助力を嫌う事は百も承知。せめて情報だけはと思いまして」

イブリース「分かっておきながら訪ねるとは、死は覚悟の上か」

ビュオッ…グッシャアアァァ!!

イブリース「……ちっ、不死か。全くもって好かぬ」

ネクロマンサー「これは……失礼を……」


524 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 22:07:52.65 ID:UNyxYKIwo
ズルゥ…ドチャッ

イブリース「用件はそれだけか? ならばさっさとその臓物を拾い、失せろ」

ネクロマンサー「ククッ、床を汚してしまいましたね……申し訳ありません」

ススッ

イブリース「人間。無駄と分かっていても、何度も挑んでくるか細き生物」

闇に溶け込み、光すら当たらぬこの間で、魔王は1人、不敵に笑う。

イブリース「力ある者が支配し、弱者が喰われる。それが生物の理来るなら来い、人間」

ススッ…フワッ

ネクロマンサー「さて、やはり無駄足でしたね。去りましょうか」

北方司令「……御怪我が」

ネクロマンサー「ああ、イブリース様に怒られてしましましたよ。ククッ」

お父「……」

ネクロマンサー「あの様子では、共闘は無理ですね。しかしこれ以上好き勝手されるのも癪」

魔剣士「北へ……戻りますか?」

ネクロマンサー「……いえ、折角なので少し遊んでいきましょう。クククッ!」


525 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 22:08:59.30 ID:UNyxYKIwo
〜満月まであと11日。西の砦〜

ドドオオォォォォ…

魔獣「ヴァオオオオォォォォ!!」

天才「おーおー、元気に雄叫びあげっちゃって」

西方魔道士「こんなもんでいいかい?」

天才「いいんじゃねぇか? おい、そっちはちゃんと出来てっかぁ?」

男隊員「結局俺らも手伝うのかよ……」

天才「穴掘るだけなんだから文句言ってんじゃねぇ」

隊長「とりあえず司令の図面通りには進めちゃいるが……」

天才「おーい、上からはどうだぁ? ズレてないかぁ?」

バサァ

召喚士「ええ、大丈夫ですよ!」

天才「おーう。そろそろサンドワームの方、手伝ってきてくれや」

召喚士「はいっ。行こう、コカトリス」

コカトリス「召喚獣使いの荒い人間だな、あやつは」


526 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 22:11:34.55 ID:UNyxYKIwo
バシュウウゥゥゥゥ…

コカトリス「いたぞっ」

召喚士「順調そうだね」

ドドドドドド…

王子「そっちだ! そっちから回り込め!」

傭兵「そっちってどっちだよぉ!」

王子「だーかーらーそっちぃ!」

親衛隊「後ろから来てますよぉーっ!!」

ズザァ

戦士「どりゃああぁぁ!!」

ガシュウウゥゥゥゥ!!

サンドワーム「グゴアアァァァ!!」

ドッズウウゥゥン

盗賊「順調そうだな、雷切」

戦士「ああ。だいぶ馴染んできたぜ!」


527 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 23:50:26.55 ID:UNyxYKIwo
〜西方司令部〜

西方司令「ひええぇぇ!! す、すみませんんー!!」

青年兵「い、いえ……っ。別に西方司令のせいではありませんから……」

ゴゴオオォォォォン

鍛冶娘「……オッケーです!」

局長「おーし、出来たぞぉ!!」

青年兵「おぉっ!」

テクテクテク…バサッ

局長「すまんな、待たせてしまって」

青年兵「いえいえ。完成しましたか」

局長「ああ。予想以上に時間はかかっちまったが、その分、納得のいくものが出来た」

鍛冶娘「こんな代物、後にも先にもないですよね……」

局長「だろうなぁ。そんじゃ受け取りな、兵器の為の兵器だ」

青年兵「……!?」

巨大な台車に乗せられたその物体は、青年兵の度肝を抜いた。


528 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/06(日) 23:51:21.59 ID:UNyxYKIwo
ドウンッ…バッサアアァァァァ

西方司令「ギャーッハッハッハッハ!!!!」

青年兵「流石にこれは、バハムートじゃないと運べないもんなぁ」

西方司令「コイツがバハムートか!! 最っ高にハッピーじゃねぇか!!!!」

青年兵「このまま一気に西方まで向かいます」

西方司令「いいぜいいぜぇ! 魔王だろうが何だろうが……ブチ殺してくれらああぁぁ!!」

オオォォォォ…

鍛冶娘「大丈夫ですかね……」

局長「まぁ使いこなせるだろ。あの人ならってか、あの人の為のもんだ」

鍛冶娘「……っ」

局長「あー疲れた。やっとゆっくり寝られるわ」

鍛冶娘「そうですね。ご苦労様でした」

局長「お前もな。さっさと寝ろよ、肌荒れんぞ」

鍛冶娘「ご忠告どーも」

多忙を極めた開発機関はひと時の静寂が訪れた。


529 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [sage] 投稿日:2011/11/07(月) 01:17:58.66 ID:giXAkPRAO
そういえば、まだボスは特遊に配属されてないのかな



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