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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その30
341 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 16:56:17.05 ID:tGmviwnqo
〜海峡〜

眼鏡「行くよ」

魔法剣士「ああ」

ダッ!!

ツヴァイハンダーを構える魔剣士めがけ、2人の男が攻撃を仕掛ける。

魔法剣士の持つ2本の剣が、舞いのように目まぐるしく踊る。

剣士「……」

魔法剣士「はあぁーっ!」

ヒュババババ!!…チュインッ…キィン!!

眼鏡「あんな剣でよくもまぁ往なせるものだよ」

魔剣士の技量を感心しながらも、眼鏡は魔法剣士の助太刀に加わる。

合計で3本の剣が魔剣士を襲う。しかしながら直撃はない。

女剣士「……っ」

タンッ

女剣士「はあぁ!」


342 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 16:56:50.28 ID:tGmviwnqo
ネクロマンサー「これ以上はさせませんよ」

ヒュバッ!!…サクッ

ネクロマンサー「……?」

影忍「邪魔立てはさせぬ。貴様の相手は俺だ」

ネクロマンサー「小賢しい」

ババババババッ!!

魔剣士を囲む4つの刃。それらは空を切り裂き乾いた声を残す。

時に金属音が弾け、ツヴァイハンダーが盾のように3人の攻撃を防いでいた。

魔法剣士(これだけの攻撃を……)

女剣士(全て、防ぎきっているだと……!?)

魔剣士を取り囲む魔法剣士と女剣士は、対峙する男の力量を改めて認識した。

魔法剣士(だが、手を止めるわけにはいかん)

キュイイィィィィ

魔法剣士「魔法剣……4行!!」

ズガガガガッ!!…ガオンッ!!


343 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 16:57:36.86 ID:tGmviwnqo
魔法剣士「……」

魔剣士「……」

シュウウゥゥゥゥ

挟み込む2本の長剣を大検本で器用に防いだ魔剣士。

魔剣士「魔法剣……触れねば無意味」

女剣士「はあぁーっ!!」

眼鏡「……」

ザザッ…ビュオッ!!

魔剣士は態勢そのままに、まずは背後から斬りかかる女剣士を、

回し蹴りで弾き飛ばすと、右方より迫る眼鏡めがけツバイハンダーを捻り、

魔法剣士の身体を眼鏡の眼の前へと差し向ける。

眼鏡「ち……っ」

更には魔法剣士を大きく蹴り飛ばし、自身は後転しつつ間合いを離す。

バキィ…スタッ

魔剣士「……」


344 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 16:59:17.67 ID:tGmviwnqo
魔法剣士が受け身をとり再び駆け出す時、その先にいる眼鏡は

左手に赤黒い炎を携え既に魔剣士へと迫っていた。

眼鏡「……」

チリッ…ボボボボボボッ!!

眼鏡の放つ炎が魔剣士の周囲を取り囲む。

ゴウッ!!

魔法剣士「く……っ!」

女剣士「げほげほ……っ」

魔法剣士「何だこの炎は!? しかもこの勢い……これでは中に入れん」

壁のように立ち塞がる炎。魔法剣士と女剣士はその熱量にやや退き、

中に残る眼鏡を心配そうに見つめている。

ゴアァッ!!…ドウッ!!

魔法剣士「炎が更に……っ」

女剣士「す、少し離れた方がよさそうだ……ごほっ」

魔法剣士「あ、あぁ……っ」


345 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:00:15.87 ID:tGmviwnqo
ゴオオォォォォ

水の先生「何だ、あの炎は……!?」

火の先生「……人間のものではないな」

水の先生「するとあの大剣使いか……っ」

ウィッチ「先生、一緒に行こ?」

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォン!!

水の先生「水壁!!」

ドドオオォォォォン!!…ザザアアァァァァ…

火の先生「しかしアンデッドなのに魔法も効かぬとはの」

水の先生「どうすれば……」

スタッ

影忍「あれは人形だ、どうにも出来ん」

水の先生「それでは、勝ち目がないではないか!」

影忍「ない。一先ず退かせる以外に方法はな」

火の先生「……」


346 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:01:05.87 ID:tGmviwnqo
ゴアッ…ボボボボオオォォ…

眼鏡「……」

魔剣士「……」

眼鏡「君も、可哀想な男だね」

魔剣士「……」

眼鏡「己の意思でもなく、魔族の手先にされてしまうなんてね」

魔剣士「……」

眼鏡「君の呪いは、魔剣と共に開放されるのかな? それとも……」

ザッザッザ…チャキッ

眼鏡「本体を滅ぼさぬ限り、永遠に彷徨い続けるのかな」

魔剣士「……」

眼鏡「……行くよ」

ザッ…ビュオッ!!

眼鏡は勢いよく地面を蹴り上げ、右手の長剣を炎の壁へと接触させる。

刀身は一瞬で赤黒い炎に包まれ、そのまま魔剣士へと振りかざされた。


347 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:01:50.86 ID:tGmviwnqo
ブオッ…ゴアアァァァァ

眼鏡「次っ」

剣を振りぬくと身体を反転させ、眼鏡は再び炎の中へと刀身を突き刺す。

再度、禍々しい炎を得た長剣は、魔剣士を下から一気に斬り上げる。

チリッ

眼鏡「……」

魔剣士「……」

眼鏡「どうした? 仕掛けてこないのか?」

魔剣士「……」

眼鏡「片鱗だけど、ようやく見えてきたよ。君達の正体」

魔剣士「貴様、魔族か」

眼鏡「だとしたら?」

魔剣士「……」

眼鏡「さぁ、どんどんいくよ」

三度、炎の中へと刃を突き刺す眼鏡。魔剣士はただじっと見つめていた。


348 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:03:07.01 ID:tGmviwnqo
ドザアアァァァァ

ウィッチ「……先生、邪魔しないでよぉ」

水の先生「……っ」

くの一「……お……うえっ」

目が回る。吐き気がする。血の気が引く。脂汗が止まらない。

だがそんな事よりも、胸を思いっきり締め付けるような痛みが、くの一を襲う。

影忍「その者を連れて退け」

火の先生「お前さんは!?」

影忍「こやつを野放しには出来ぬ」

ネクロマンサー「何を言うかと思えば」

フワッ

ネクロマンサー「勘違いしないように。殺そうと思えばいつでも殺せるのですよ?」

影忍「貴様こそ勘違いするなよ」

ザシュウウゥゥゥゥ!!

ネクロマンサー「……?」


349 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:03:48.69 ID:tGmviwnqo
魔法剣士「魔法剣……四行!」

ネクロマンサーの胴体を分断する魔法剣士の一撃。

影忍「手数は再び上回ったのだぞ」

ネクロマンサー「……」

ズバッ!!…ザシュッ!!

魔法剣士「……ふーっ」

クルクルッ…スタッ…ガクン

魔法剣士「!?」

影忍「無理をするな、膝にきているぞ」

浮遊するネクロマンサーを数度斬りつけ、着地する魔法剣士。

バランスを崩した彼に、居並ぶ影忍が声を掛け手を貸す。

魔法剣士「……すまん」

影忍「……」

魔法剣士(やはり四行数発は肉体的に堪えるな……っ)

影忍「そろそろ幕引きとしようではないか」


350 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:05:07.12 ID:tGmviwnqo
ネクロマンサー「ほぉ、どういう意味です?」

影忍「退け、と申しているのだ」

ネクロマンサー「おやおや、先程まで意気込んでいた方とは思えませんね」

影忍「貴様はこの手で必ず殺す。だが、今宵はそうもいかんようだ」

ネクロマンサー「一方的ですねぇ」

影忍「貴様とて決定打はないのだろう?」

ネクロマンサー「……」

影忍「目的があるわけでもない。貴様の場合はな」

ネクロマンサー「ククッ、どうも見透かされてしまっているようですねぇ」

ズドオオォォォォン!!

ウィッチ「みんな、一緒に行くでございますのぉ」

水の先生「ウィッチ……やめるんだ!」

くの一「……っ」

ウィッチ「早く……行こうよぉ!」

女剣士「させるかっ!」


351 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:06:49.52 ID:tGmviwnqo
ザシュッ!!…スタッ

ウィッチ「……うぅ」

女剣士「……化物め」

ウィッチ「ひどい……ひどいよぉ!」

袈裟斬りに振り下ろされた女剣士の刀は、ウィッチの胴をバッサリと斬りつけた。

しかしぶら下がる左腕は再び元通りとなり、傷1つ付く事はない。

火の先生「キリがないな……」

影忍「そやつはいい。攻撃を集中する」

女剣士「……?」

影忍「狙いはネクロマンサー。ただ1人だ」

火の先生「しかし、あれとて不死身なのじゃろう?」

影忍「ああ、不死身だ」

水の先生「だったら……」

影忍「不死身だが、奴は魔力の消費を恐れている」

ネクロマンサー「……」


352 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:08:37.68 ID:tGmviwnqo
影忍「故に……」

ザッ…シュバッ!!

影忍「はあぁーっ!!」

ガインガイン!!…キィン!!

魔法剣士「続くぞ!」

女剣士「ああっ!」

火の先生「こっちは援護じゃ!」

水の先生「ええ……っ」

ズザッ…ブオォッ!!

女剣士「くらえっ!」

魔法剣士「……っ」

ガクガク…グッ

魔法剣士「いけるっ、やってみせる!」

ネクロマンサー「……ぬぅ」

影忍「貴様は自身を守るにあたり、過剰防衛なのさ」


353 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:10:15.66 ID:tGmviwnqo
ピクッ

魔剣士「……」

眼鏡「……隙ありっ」

ブオンッ!!…ズザザァ

眼鏡「!?」

魔剣士「……」

燃えさかる炎の中を悠然と歩いてゆく魔剣士。その姿に眼鏡は戸惑う。

眼鏡「馬鹿な……。触れるだけでば魔力を失う……」

ザッザッザ

眼鏡「それを大量に、ものともせずに……?」

音を立てて燃えながら炎の壁を突破する魔剣士。

その姿はあっけなく炎の中へと消えて行った。

眼鏡「……そうか!」

何故、そのような奇妙な行動を取ったのか、眼鏡はようやく理解する。

眼鏡「ネクロマンサーの加勢か……っ。させないよ!」


354 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:11:32.19 ID:tGmviwnqo
ザッザッザ…ヒュッ

魔法剣士「何っ!?」

魔剣士「……」

ブンッ!!

水の先生「ウィッチ!?」

タタッ…ドドオオォォォォン!!

着地するネクロマンサーの前へ、魔剣士とウィッチが立ち塞がる。

魔法剣士「なるほど、過剰防衛と言うのはこれか」

影忍「そうだ。遠隔でない限り、奴を守るよう作られている」

くの一「作られている……って……」

影忍「だからこそ、ネクロマンサー1人を狙えば良い」

くの一「作られるって……何だよぉ……!!」

ネクロマンサー「ククッ、そこまで気付くとは……やはり貴方は素晴らしい」

影忍「この地より消えろ。最早、用はないはずだ」

ネクロマンサー「……全く、困ったものですね」


355 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:13:27.89 ID:tGmviwnqo
ブワッ

ネクロマンサー「兵隊連中が消えて、少し探りを入れるつもりだったのですが」

女剣士「逃がすか!」

影忍「構うな!」

女剣士「……っ」

ネクロマンサー「でも、思った以上に楽しめました。良いゲームでしたよ」

水の先生「何を……言うかっ!」

ネクロマンサー「忠告しておきましょう」

影忍「……」

ネクロマンサー「先日からチョロチョロと北へ遊びに来ているようですが……」

スタッ…ザザッ

眼鏡「……」

ネクロマンサー「あまり、深入りしない方が身の為ですよ……ククッ」

眼鏡「どうするんだい? 追う?」

魔法剣士「……いや、放っておいて構わないそうだ」


356 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:15:22.25 ID:tGmviwnqo
眼鏡「分かった」

ネクロマンサー「ベルゼブブ様は大層、嘆いておられる」

女剣士「……」

ネクロマンサー「人間には餌場で静かに暮らしていて欲しい、と」

火の先生「ふざけるでないわいっ!!」

ネクロマンサー「アンラ・マンユを倒したそうですね」

魔法剣士「それがどうした」

ネクロマンサー「……いえ、まぁせいぜい……頑張って下さい。クククッ!」

フッ

水の先生「消え……た!?」

魔剣士「……」

ウィッチ「……」

フッ…フッ

影忍「……」

くの一「ウィ……ッチ……」



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