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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その19
910 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/19(日) 20:50:27.95 ID:4PvC42co
〜最北の村、北側〜

ズゴゴオオォォ…

白虎長「・・…く…ぅ!!」

コート男「くーっくっく!やはり未熟…。話にならんな」

コート男のベヒーモスが徐々に口内の火力を上げてゆく。

ギュイイィィィィ…

ぶつかり合う光は少しずつ白虎長のベヒーモス側へと押され始めた。

コート男「そうれ、どうする?このまま吹き飛ばしてやろうか…?」

白虎長「…未熟未熟って、見た目だけで判断しないで頂戴っ!!」

コート男「!?」

その瞬間、突如地面から巨大な二本の腕が、コート男の背後に現れる。

コート男「地中から…!?これはなんという…っ!」

地面より飛び出す腕はそのままコート男のベヒーモスの前足を掴む。

コート男「狙いは…そっちかぁ!」

白虎長「このまま…引きずり倒してやるっ!」


911 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 00:42:13.16 ID:s2vMbYwo
ズガアァ!!……ガシィ

コート男「同時にゴーレムとは…やってくれる!」

白虎長「こ…んのぉ!!」

地中より出でしゴーレムによりベヒーモスの身体が大きくバランスを崩す。

白虎長「村へは…当てさせないっ!」

ベヒーモス「ゴアオオォォ!!」

白虎長のベヒーモスが間合いを詰め、体制を傾けるもう一匹に対し飛びかかる。

白虎長「押し…こんで!!」

ズガガガガッ!!

ゴーレムが力任せに上半身を押し上げ、その身をベヒーモスがめいっぱいに押し込む。

ドズウウゥゥンッ…ゴガアァ

岩場へ背中から叩きつけられた敵のベヒーモス。

もがく顔を更に掴みかかり、白虎長のベヒーモスが空へと押しつける。

ベヒーモス「グガアアァァ!!」

勢い余った閃光は上空へと放たれ、曇り空の中、一筋の光として昇っていく。


912 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 00:57:18.28 ID:s2vMbYwo
ドドッドドッ

北方兵「司令!あの光……」

左翼長「光の元へ急ぐぞ!!」

ドドオオォォ

コート男「……お…のれ!」

白虎長「村への被害はないようね…。良かった」

青龍兵「隊長!今の光は…!?」

白虎長「こっちはいいからっ!そっちは大丈夫なの!?」

青龍兵「交戦中ですが…かなり押されています!」

白虎長「…なんとかしたいところだけど」

ドドッドドッドドッ

左翼長「…白虎長か!手を貸す!!」

白虎長「左翼ちょ…司令!こっちは平気です。それよりもあちらを!」

左翼長「…!?」

白虎長「おそらくアンデッドタイプの人間と思われます。我が隊が劣勢です」


913 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 00:57:48.61 ID:s2vMbYwo
左翼長「……ここは任せていいんだな?」

白虎長は無言でこくりと頷く。

左翼長「……行くぞ!」

北方兵「は、はい!」

ドドッドドッドドッ

コート男「お前一人で余裕だとでも言うのか?舐めた真似を…!」

白虎長「貴方の罪は……私の罪よ」

コート男「……」

白虎長「誰にも迷惑はかけない!私が…終わらせる!」

コート男「……くっく。何をそこまで拘るのか」

白虎長「……」

コート男「まぁいい。お前と言葉を交わす必要など私には…ない」

白虎長「何を…身勝手な事…っ!」

これで終わりなどとは思っていないだろうな?……行くぞ!」

白虎長「こっちだって…。昔の私だとは思わないで欲しいわね!」


914 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 00:58:27.62 ID:s2vMbYwo
ドドッドドッドドッ…ザザァ

左翼長「…あれか」

北方兵「召喚隊、無事か!?」

白虎兵「北方軍か…!アイツだ、手強いぞ!」

左翼長「……くそっ!なんて事だよ…っ」

お父「……」

青龍兵「肉弾だが相当にやります。近づかない方がいい!」

左翼長「弓で牽制しつつ召喚隊の援護だ!」

北方兵「了解っ!!」

左翼長率いる北方軍が一斉に弓を引く。

ギリリッ…シュバババッ!!

お父「……」

猛威を振るう一斉射撃。お父はものともせずその弾幕をかわし、射撃元へと迫る。

北方兵「う…うわぁ!!」

矢を装填する間もなく、お父の手にかかり、北方兵らは次々と打ち倒されていった。


915 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/09/20(月) 01:19:28.75 ID:IGxHM0Ao
お父・・・


918 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 22:58:21.59 ID:s2vMbYwo
青龍兵「間合いが取れたんだ!召喚獣で囲め!!」

白虎兵「そうは言っても…的が小せぇからよぉーっ!」

ビュオッ!!

青龍兵「そっち行ったぞ!」

お父「……」

ザザザッ

左翼長「撃てぇ!!」

バシュシュシュッ!!

お父「……!?」

左翼長「そう簡単に突破させっかよ…!」

お父「……」

左翼長「この先はお嬢ちゃんが一人で頑張ってんだ…」

北方兵「次っ!発射準備ーっ!!」

左翼長「合流させるわけにはいかんのだ!一気に押し込め!!」

お父「……」


919 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 22:59:35.18 ID:s2vMbYwo
左翼長「……ってぇ!!」

ギリィ…バシュシュシュシュンッ!!

お父「……っ」

タンッ

青龍兵「よーし!更に後退させろぉ!!」

号令とともにワイバーンとフェンリルが一斉に襲いかかる。

北方兵「目標……更に後退しています!」

左翼長「今の内に負傷兵を拾い上げ、中央へ連れて行け!」

北方兵「了解!」

白虎兵「連携を怠るなよ!せっかく牽制してくれてんだ。タイミングを図ろう!」

青龍兵「おうよ!」

左翼長「……待て、何だあれは!?」

北方兵「人…?戦っているように見えますが……」

左翼長「マズイな…。あっちにも合流させない方が懸命か…」

左翼長の見上げる先、二人の剣を持つ男が攻防を繰り広げていた。


920 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 23:00:28.86 ID:s2vMbYwo
ギキイィンッ!!…チュインッ!!

魔法剣士「……はぁ…はぁ」

北方司令「……」

魔法剣士「これで……っ!!」

魔法剣士の繰り出す左右二本の長剣が北方司令へと仕向けられる。

一撃目、燃えさかる刀身に対し身を屈め、それを容易にかわす。

更に二撃目の冷たく凍る刀身を自らの剣で受け止め、力任せに押し返す。

ギキィ!!……グオッ!!

北方司令「……」

魔法剣士(……あれを…かわすのか!)

長剣を振り払い再び近づく北方司令。魔法剣士はそれを見つめ両剣を構え直す。

魔法剣士(初動が鈍いというのが…唯一の救いか…。おそらく慣れた得物ではないな)

魔法剣士は身構えつつもちらりと背後の崖下を望む。

魔法剣士(……村との距離が狭まってきている。これ以上は…押されたくない!)

二本の刀身に炎と氷を纏い、魔法剣士は再び眼前の敵へと走りだした。


921 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 23:01:27.97 ID:s2vMbYwo
〜最北の村、北側〜

ゴゴオォ

ネクロマンサー「……」

盗賊「……」

ネクロマンサー「この程度の炎で…」

盗賊「…倒せるとは思ってないさ」

ネクロマンサー「成程ね。背後の男を逃がす為の時間稼ぎ…と言ったところですか」

盗賊「……」

ネクロマンサー「しかし、逃げる様子はありませんがね…ククッ」

盗賊「……早く退け」

大軍師「……」

ググッ…スタッ…パンパンッ

大軍師「女性を一人残して逃げるなんて…外道な真似は出来ませんよ」

盗賊「…何を言って……」

ネクロマンサー「クククッ。随分紳士的じゃあありませんか」


922 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 23:02:17.10 ID:s2vMbYwo
大軍師「ましてや、国軍の幕僚長である私がワーカー一人を残し敵前逃亡などと…」

ネクロマンサー「…ほぉ。貴方のような者が国軍の幕僚長なのですか」

大軍師「……何か」

ネクロマンサー「…いえ、ね。今の国軍も堕ちたものだと思いましてね。ククッ」

大軍師「……それはどうも」

ネクロマンサー「道理で手ごたえ無いわけですよ…クククッ!」

盗賊「……よく喋る」

ネクロマンサー「まぁね。このような機会でもない限りお話する事もないでしょうから…」

盗賊「…その減らず口…叩いてくれるっ!」

ヒュバッ!!

ネクロマンサー「…早いですね。しかし…っ!」

ガシィ

盗賊「!?」

ネクロマンサー「貴方の動きは読んでいますよ。これで何度目だと思っているのです?」

盗賊「……ちぃ!」


923 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 23:14:09.24 ID:s2vMbYwo
盗賊の両手首を掴むネクロマンサーの両手に力が込められる。

ググッ…ギリギリッ

盗賊「……くぅ!」

ネクロマンサー「こうみえて意外と力、あるんですよ」

余裕の笑みを浮かべ、ネクロマンサーは更に力を加える。

ネクロマンサー「クックク!このまま…握り潰すなんて真似は下衆ですかねぇ」

その時、ネクロマンサーの両腕めがけ風の塊が纏わり付いた。

ネクロマンサー「なっ!?」

ギュルギュルギュル!!…ズバシュウゥ!!

ネクロマンサー「くあぁ…っ!!」

ザザッ

大軍師「言いましたよね?退くわけにはいかないと…!」

ネクロマンサー「手負いの分際で…舐めた真似を…!」

大軍師「その両腕では最早、力も加えられまい!」

ネクロマンサー「……小賢しい奴だ」


924 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 23:27:49.33 ID:s2vMbYwo
盗賊「……やぁ!!」

ネクロマンサー「む…っ!!」

ファサッ…ストッ

ネクロマンサー「……」

盗賊「……はぁっ…はぁ」

ネクロマンサー「……何か…狙っていますね?」

盗賊の蹴りをかわし間合いを取るネクロマンサーは呟く。

盗賊「……」

ネクロマンサー「…まぁいいでしょう。近づかなければ良いだけの事」

ググッ

ネクロマンサー「言い忘れましたが、両手が使えなくとも…手段はあるのですよ?」

突如発生し、二人の元へと伸びる無数の触手。鋭い針状に変化し一気に襲いかかる。

シュバッ…シュシュンッ!!…ドスドスドスッ!!

盗賊「くあぁ…っ!!」

大軍師「ぐ……っ!!」


925 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/20(月) 23:33:08.40 ID:s2vMbYwo
ドシャアァ

ネクロマンサー「…直撃は避けましたか」

ザッザッザ

ネクロマンサー「素早い動きで急所を外し…小刀で軌道を逸らした」

盗賊「……ぅ…っ」

ネクロマンサーは倒れる盗賊の手元からクナイを蹴り飛ばす。

ガシッ…キィンキィン

ネクロマンサー「かたや、風を起こし軌道と威力を和らげ…クリティカルを防いだ」

大軍師「……っ」

ネクロマンサー「……ま、両者とも無駄な抵抗でしたねぇ。ククッ」

ザッ

ネクロマンサー「命のやり取り、直接は好まないんですがね…」

ネクロマンサーは倒れる二人に鋭い触手をゆっくりと近づける。

盗賊「……お…のれぇ!」

ネクロマンサー「まぁ…すぐに生き返らせてあげますよ。私の人形として…ね!」


927 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/21(火) 01:46:10.11 ID:FnfEooco
>>1乙!
ネクロマンサーは能力自体は軍団長には遠く及ばない感じだな
ただの単行の魔法で効いてるし
何か企んでる事を大成させるだけの実力はあるのか…


931 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:43:36.30 ID:GS/dbhUo
ズズズッ…

ネクロマンサー「……ククッ!!」

ヒュオッ!!……ゴアアァァッ!!

ネクロマンサーの放つ鋭利な棘が風に舞い上げられる。

大軍師「!?」

ネクロマンサー「なに…!?コイツじゃない!背後か…っ!」

ババッ!!

盗賊「…っ!!」

ザッザッザ

ネクロマンサー「……ククッ。そろそろ…この劇も終幕ですか?」

召喚士「…ああ。お前を倒してハッピーエンドだ!」

戦士「盗賊……無事か?」

盗賊「…あ、うん」

魔道士「退がって下さいっ!ここは私達が……」

大軍師「み、皆さん…っ」


932 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:44:54.80 ID:GS/dbhUo
ネクロマンサー「……ふぅん。成程成程」

召喚士「……」

ネクロマンサー「貴方…確か、召喚術使いでしたよね?」

召喚士「…それが?」

ネクロマンサー「召喚術使いが召喚術を使わずに風…ねぇ…」

召喚士「……」

ネクロマンサー「魔法使いも居るようなのに…ククッ」

魔道士「……っ」

ネクロマンサー「伯爵をやったのは貴方か。それと同時に魔力も尽きた…と」

召喚士「……」

ネクロマンサー「…おや、図星のようですね。クックク!」

召喚士「…だから?」

ネクロマンサー「……?」

召喚士「勘違いしてないか?俺らは別に主軸なんて存在しないよ」

ネクロマンサー「……」


933 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:45:21.60 ID:GS/dbhUo
召喚士「全員が主軸で…全員が一つなんだ!」

ネクロマンサー「わけの分からない事を……」

召喚士「分かってたまるか。お前みたいな身勝手な奴に…」

ネクロマンサー「まぁいい。それで?どうするつもりなのかね?」

ググッ

盗賊「…せ、戦士」

戦士「…動かん方がいい」

盗賊「…私が……やる」

戦士「出来んのか?」

盗賊「…やる」

戦士「……分かった」

ザッ

戦士「俺が盾になる。何があっても止まるな。突っ込め」

盗賊「……ありがとう」

召喚士「魔道士さん。大軍師さんを…」


934 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:46:12.94 ID:GS/dbhUo
魔道士「は、はいっ!」

タッタッタ

魔道士「大丈夫ですか!?」

大軍師「……助かります。しかし…私とて退くわけには参りませんよ」

魔道士「大軍師さん…」

大軍師「魔道士さん。貴方の魔法、少しお借りしますよ」

魔道士「…?」

ザッ

ネクロマンサー「さて、些か数が多いですが…まぁ問題ないでしょう」

召喚士「……」

ネクロマンサー「手負いの輩が数人。…ククッ、どちらが有利かは極めて明白」

召喚士「…戦士」

戦士「盗賊がやるってよ。援護すんぞ!」

召喚士「盗賊さん…!?」

盗賊「…頼む。やらせてくれ」


935 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:46:55.13 ID:GS/dbhUo
召喚士「……分かりました」

ネクロマンサーに対し、召喚士と戦士が前に歩み出る。

戦士「俺が盾になる」

大軍師「私の合図で…頼みます」

魔道士「…はいっ!」

ネクロマンサー「…貴方の言う一つの力、見せて貰いましょうか!」

ネクロマンサーが叫びを上げ、再び無数の触手を体中から吐き出す。

その数は前出のものとは桁外れに多く、五人を一度に襲う。

ダンッ!!…タタタッ

戦士「止まるなよっ!走り続けろぉ!!」

盗賊「……ああ!」

ネクロマンサー「相打ち狙いの特攻ですか…!」

ただひたすらに真っ直ぐ進む戦士と盗賊。そこへ集中的に鋭利な触手が迫る。

召喚士「そんな…命を粗末にするような事はしないっ!!」

真横から振り上げられる召喚士のレイピアが、襲いかかる触手の矛先を変える。


936 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:47:33.02 ID:GS/dbhUo
ズシャアァ…ヒュヒュンッ!!…ヒュオッ!!

繰り出される突風。しかし幾多の触手は風を押し切り、再び戦士めがけ迫る。

ネクロマンサー「本業でない者の魔法など…力押しで……」

大軍師「なら、見せてあげましょう。本業の魔法というものを…!」

ネクロマンサー「!?」

大軍師「今です!!」

魔道士「やあぁーっ!!」

ドドオオォォォォンッ!!…ゴガオオォォッ!!

魔道士の放つ激しい炎。それを大軍師の放つ竜巻が一体となり猛威を振るう。

ズガガガガアアァァッ!!

ネクロマンサー「……ッ!!」

炎を纏った竜巻は触手を分断し、なおもネクロマンサーへと差し迫る。

ネクロマンサー「クク…ッ。まだまだこの数ならどうですっ!!」

ビュオッ!!…シュシュシュンッ

更に追撃の触手を伸ばすネクロマンサー。それは四方から針となり降り注ぐ。


937 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:48:46.25 ID:GS/dbhUo
戦士「うりゃあぁ!!」

ギキイイィィ!!

戦士「うおおぉぉーっ!!」

戦士は左手を身体の前に押し出すと、盾で懸命に触手を遮る。

ネクロマンサー「いつまで…持つかなぁ!」

戦士「普段なら……防ぎきれない数かもしれねぇ…!」

グググッ

ネクロマンサー「…なに…っ!?」

戦士「でもなぁ、防御だけに集中してりゃあ…この程度、防ぎきれるんだよぉ!」

一歩、また一歩と戦士の足が歩みを続け、徐々にネクロマンサーへと距離を縮める。

戦士「…で…りゃあぁ!!」

戦士の頬や腕を触手が掠め血飛沫が飛ぶ。

盗賊「……っ」

戦士「……もう…一歩おぉ!!」

盗賊「…戦士…っ!」


938 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:49:46.41 ID:GS/dbhUo
ダンッ!!

戦士「いけぇ盗賊!ブチかましてやれぇ!!」

盗賊「はあぁ!!」

戦士の頭上を盗賊が飛ぶ。目の前に立つ標的のネクロマンサーが迎撃態勢に入る。

ネクロマンサー(先程からこの小娘…何かを狙っている)

ネクロマンサーは頭上の盗賊を一睨みすると、触手を身体の前へと固め始めた。

戦士「防御体勢を取るつもりか…っ!」

召喚士「破れるか…っ!」

大軍師「いえ、破りましょう!」

羽を畳むように触手を身体の前へ重ね、壁を作るネクロマンサー。

魔道士「盗賊さんっ!」

戦士「お前ならいける!やれるはずだっ!!」

盗賊は雷切を抜き、右手でしっかりと構える。

盗賊「食らえぇ!」

ヒュバッ……ガキイィィンッ!!


939 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:50:56.89 ID:GS/dbhUo
ネクロマンサー「…クックク!効かぬ効かぬ…」

戦士「いや、それでいい…っ!」

ネクロマンサー「何…っ!?ぐあ…っ!!」

突如発生する稲妻。雷切から迸るそれがネクロマンサーの触手をこじ開ける。

ガカアアァァッ…ジジッ…バチバチバチッ!!

ネクロマンサー「だが…ダメージはないぞっ!」

ほんの僅かな一瞬の隙。それは盗賊の補佐に入る者にとって十分な時間であった。

ネクロマンサー「!?」

すかさず巻き起こるつむじ風。ネクロマンサーはそれに一瞬視覚を遮られる。

ゴウウゥッ!!

大軍師「…私の手助けは…ここまでですね…っ」

フラァ…ガクンッ

召喚士「大軍師さん!?」

ネクロマンサー「お…のれぇ…っ!」

たまらず防御姿勢を崩し、一度跳躍するネクロマンサー。


940 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:51:36.88 ID:GS/dbhUo
タンッ!!

ネクロマンサー「…!!」

背後に感じる気配。ネクロマンサーはそれを逃さず捉える。

無数触手を伸ばし、気配の主めがけ一斉に突き刺す。

ドスドスドスッ!!…ガシュッ!!

ネクロマンサー「……クック」

ゆっくりと背後を振り返るネクロマンサー。同時にその感触へ違和感を覚える。

ネクロマンサー「…ま…さかっ!!」

目線に入るは多数の触手により串刺しとなった岩の塊。

ネクロマンサー「岩石…だとぉ!?」

魔道士「…ふーっ!」

魔道士の撃ち放った土行により岩石は、触手の餌食となり粉々に散る。

ネクロマンサー「や、奴は……っ!?」

盗賊「……」

ネクロマンサーの着地と同時に背後へ現れる盗賊。その手にクナイを握りしめる。


941 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:52:27.20 ID:GS/dbhUo
ジャリッ!!

盗賊「……これで…どうだぁ!!」

ネクロマンサー「――ッ!?」

ドズウゥ!!……ズズッ

間合いに入り込みネクロマンサーの胸元へ深く突き刺されたクナイ。

それは東方にて影忍より受け取った、一際大きな一本のクナイ。

ドクンッ!!

ネクロマンサー「…な……んだ…っ…!?」

ドクンッドクンッ…シュウウゥゥ…

ネクロマンサー「ま…さかっ!?五……行…!?」

盗賊「…兄様の一撃だ。存分に味わうがいい!」

ネクロマンサー「か、身体が…あ…熱い!!」

ヨロヨロッ…ズシャアァ

戦士「あ、あれは…!?」

召喚士「ご…五行なのか?」


942 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:52:56.51 ID:GS/dbhUo
ネクロマンサー「バカなっ!?許されん…そのような事は…っ!!」

大軍師「……」

魔道士「盗賊さん…」

ネクロマンサー「ぐ…うおああぁぁ!!くぅ…っ!!」

ズシャッ

ネクロマンサー「…かはぁ…っ!はぁっ!はぁっ!!」

大軍師「…やりましたね」

召喚士「…ええ」

大軍師「…しかし、どうやら完全ではないようですね」

召喚士「……!!」

ググッ

ネクロマンサー「まさか…まさか私がこのような…ぐ…うぅ!」

盗賊「……っ!」

再び起き上がるネクロマンサーに戦士と盗賊が同時に身構える。

ネクロマンサー「この私が…このような……くそ…ぉ!!」


943 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 17:54:02.19 ID:GS/dbhUo
ヨロッ…ヨロッ…

ネクロマンサー「し、仕方…ありませんね…っ」

召喚士「待てっ!!」

ネクロマンサー「今日のところは…こ、これで…舞台から降りると致しましょう」

フワァ

戦士「逃がすか!!」

ネクロマンサー「……貴方、名は?」

召喚士「……召喚士だ」

ネクロマンサー「……覚えておきましょう。召喚士さん」

盗賊「くっ!逃げるか!!」

ネクロマンサー「貴方達とは因縁もありますし…また会う事もあるでしょう…ククッ!」

シュオオォォォォ…

魔道士「消え…た…」

戦士「…ちぃ!あと一歩のところでっ!」

盗賊「…あの傷なら…しばらくは動けまい」

召喚士「…ええ。今のうちに村へ戻りましょう。まだ交戦中の所もあるはずです」


944 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/21(火) 18:03:23.29 ID:b/PasAAO
五行の決定力の無さに毎度毎度ショックを受けてしまう…
今回こそあの糞ネクロマンサーが死ぬと思ったのにおしい


945 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/21(火) 18:05:46.81 ID:zCxZf7ko
悪い奴ほど死ににくいものだよ



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