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少女「男はどうして私と話すの?」男「それが俺のバイトだ」
193 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 22:40:45 ID:lyx.Qd4A



一週間後
喫茶店の厨房
男「オーダー入ります。七番メロンソーダ、BLTサンド、六番ホットサンド二つとコーヒーです。」

マスター「わかったよ。そこにあるナポリタンと、エスプレッソ、二番さんに運んだら休憩していいよ。」

男「………はい。なら、オレンジジュース、注文しておいていいですか?」

マスター「………わかった。準備しておくよ。」

男「………ありがとうございます。」


194 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 22:47:02 ID:lyx.Qd4A
窓際の席。
男「………こちら、オレンジジュースでございます。」

少女「……………」

男「今から休憩だから、話に付き合えよ。」

少女「……………」

男「本を読むのには飽きたんじゃねーのか?」

少女「……………」

男「はぁ………」


195 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 22:53:58 ID:lyx.Qd4A
男「今日さ、あの腹黒女が帰ってくるんだってさ。」

少女「……………」

男「せっかく、いままで平和だったのにな。」

少女「……………」

男「アイツが帰ってきたら、また騒がしくなるな。」

少女「……………」

男「メールにはお土産を期待しておけ、みたいなことかいてあったけど、どうせロクなもんじゃないだろうな。」

少女「……………」

男「……………」

オトコクーン、チョットキテーッ!

男「呼ばれたから、行ってくるな。」タッタッタッ

少女「……………」

少女「……………」

少女「……………ごめんなさい」


196 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 23:01:03 ID:lyx.Qd4A
厨房
男「なんですか、マスター。まだ何か仕事ありました?」

マスター「少女さん、何かあったのかい?」

男「………別に、何でもないですよ。」

マスター「大人に嘘をついたところで、意味があるとも思えないけどねぇ。彼女の秘密でも知ってしまったのかい?」

男「…………マスターも知ってたんですか?アイツが……その……」

マスター「不思議な力を持っている……有り体に言えば、超能力者ってことをかい?」

男「知ってたんですね……。」

マスター「僕はあの娘のお世話役だったことがあるからね。」

男「………もう驚くほどでもないですね。」


197 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 23:06:56 ID:lyx.Qd4A
マスター「ほぅ、……どうしてだい?」

男「………この間のマスターと執事さんの会話で、そんな感じがしたからですよ。」

マスター「お、なかなかいい着眼点だね。」

男「それに、部屋がピンポイントで吹っ飛ばされるなんていう、超ドッキリが最近ありましたからね。その程度、驚くほどでもありません。」

マスター「ははは。確かに、君の言う通りだねぇ。」


198 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 23:09:05 ID:pgFULlz6
それで、嫌ったりしない男はかっこいいな


199 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 23:12:39 ID:lyx.Qd4A
男「ねぇ、マスター。元お世話役だったということで聞きたいんですが、アイツと元通りになることって可能ですか?」

マスター「君はどう思っているんだい?」

男「元通りにしたいです。」

マスター「なら、できるさ。きっとお嬢様……いや、少女さんも同じことを考えているから。」

男「………そうですかね。」

マスター「時間が解決してくれるさ。まぁ、早く直したいって言うのなら、もう一人のバイトの子に頼んでみるとかね。」

男「はい?」

マスター「今日から彼女、復帰するだろ?これで君も、バイトに励めるでしょう?」


200 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 23:21:33 ID:lyx.Qd4A
窓際の席。
魔女「呼ばれず飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!さぁ、悩める子羊ちゃんよ、何でもできちゃうスーパーマルチメイドさんに、悩みを打ち明けちゃいなサーい!」

少女「………魔女さん、帰ってたんですね。」

魔女「相変わらずドライだねー少女ちゃんは。せっかく少女ちゃんに会うために、旅行帰りなのにバイトしてるんだよ?おねーさんは。」

少女「………お疲れさまです。」

魔女「心ここにあらずといった感じねー。なにがあったのさ?」

少女「………何もないです」

魔女「うっそだー。おねーさんは、何でもわかるんだぞ〜。ズバリ、男君のことでしょ?」

少女「……………」ピクリ


201 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 23:28:25 ID:lyx.Qd4A
魔女「図星かな〜?さ、喋っちゃいなよ。おねーさんは、こう見えて経験豊富だからねー。ビシッと答えちゃうよー?」

少女「………わからないんです」

魔女「わからないって、なにが?アイツの好きなものとか?それはおねーさんも知らないなー。」

少女「………………」イラッ

魔女「イラつかないでよ少女ちゃーん。おねーさんが悪かったから、続きを話してー」

少女「………どうして、男が私と話すのか。」

魔女「好きだからじゃないの?」

少女「…………え?」


202 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 23:38:17 ID:lyx.Qd4A
魔女「まぁ、素直じゃないからねー、きっとそうは答えないと思うけど、うん。男君は少女ちゃんのこと、好きだと思うよー。」

少女「………でも、私、男を怖がらせた。ひどいことした……。」

魔女「それくらいで、アイツが少女ちゃんのことを嫌いにはならないと思うなー。こう言うのはなんだけど、多分、おねーさんのほうが、少女ちゃんより、男君を怖がらせてるし、ひどいことしてると思うよー。」

少女「………それは。」

魔女「それに、少女ちゃんの思っているひどいことって、男君にとっては、ひどいことじゃなかったりするんじゃないかな?」

少女「……………」

魔女「まぁ、気になるんなら男君に直接きいちゃいなさいな。さっき、チラッと見たけど、あそこまで無反応決め込んでる今の少女ちゃんのほうが、ひどいことしてると思うなぁ〜。」


203 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 23:45:15 ID:lyx.Qd4A
少女「……………」

魔女「ま、頑張ってくれたまえよ、お嬢さん。女の子が曇り顔してると、おねーさん、テンション下がっちゃうからねー。」

少女「……………」

魔女「なにか言いたげだねー。下がって、このテンションなのかー的なこと言いたそうな目をしてるねー。」

少女「………そんなことない、です。」

魔女「嘘つかなくていいよー。あ、そうだ。」

少女「……………?」

魔女「男君の話ばかりしてたけど、少女ちゃんはどうなの?男君のこと、好きなの?」

少女「す、すす………」アワアワ

魔女「もういいよー、わかった、ご馳走さま〜。じゃー、あとは若いお二人の時間ということで。ファイトだよー、少女ちゃん♪」


204 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 23:52:40 ID:lyx.Qd4A
厨房
魔女「さて、発破はこれくらいでいいかな?」

マスター「お疲れさま。どうだい?こちらで一杯やらないかい?」

魔女「いんにゃー、遠慮しておきます。それよりもあの二人の行く末を見ないと………」

マスター「………そのような下世話なことをするのは、淑女としてどうかと思うよ。」

魔女「なんたって私は魔女ですからね。淑女足りうる素質はないんですよ。生憎とね。」

マスター「仕方ないな……では、僕も若いお二人を見守るとしますか。」

魔女「人にはダメといっておいて……」

マスター「紳士は特別に許されるのさ。」

魔女「男女差別だ………」


205 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 23:58:21 ID:lyx.Qd4A
窓際の席
少女「………ねぇ、男。」

男「お、やっと口聞いてくれたな。どうした?」

少女「……………その…」

男「なんだよ。」

少女「………私、ひどいことをしたよね?」

男「さぁ、どうだったかな。」

少女「………どうして、…そんなことをした私と………。」

男「……………」



少女「男はどうして私と話すの?」

男「それが俺のバイトだ。」


206 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 00:01:18 ID:c.wC5sxc
スレタイ回収もらいましたあああああああああああああ


207 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 00:12:29 ID:E7sev0AU
少女「………バイトだから、話すの?怖くても?ひどいことしても?」

男「まさか、そんなわけねーだろ。労働者には権利というもんがあるんだ。割りに会わないと思ったら、異議申し立てるに決まってるだろ。」

少女「……………」

男「それにな、お前が超能力者だろうが、なんだろうが、別に俺はなんとも思わねーよ。」

少女「ぇ………?」

男「正直言えば、お前よりも俺のクラスメイト達の方が数百倍は怖いし、もっと言えばあの腹黒女は、その数千倍は怖い。」

少女「……………」

男「だから、俺はお前なんか怖くない。お前はバケモノなんかじゃない。ただの普通なかわいい女の子だよ。」


208 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 00:26:30 ID:E7sev0AU
少女「………でも、私の力、危ないよ?……普通の女の子は危ない力なんか持ってないよ?」

男「お前がこけたとき、お前は俺に怪我させないために力を使ったじゃねーか。」

少女「ぁ………」

男「要は力なんて使いようだ。お前が俺を助けるために使った力が、危ないものだとでも言うのかよ?」

少女「……………」ブンブン

男「だから、お前は普通の女の子なんだよ。」

少女「……………おとこぉ」ダキッ

男「おわっ!ちょ……急に抱きつく――」

少女「………よかった、……よかったよぉ……グスッ」

男「…………泣くなよ。好きなだけ抱きついてていいからさ。」ナデナデ

少女「うん……ぅん……」グスッ


209 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 00:35:42 ID:E7sev0AU
厨房
魔女「うわぁ………熱いなぁ……。茶々いれる気になれないよ。」

マスター「今日は臨時休業かな。」

魔女「気が利きますねー。」

マスター「貸しきりでパーティーでもするかい?」

魔女「誰持ちでやります?」

マスター「ここは、僕が出しておこうかな。君、旅行帰りでお金あんまり持ってないんだろ?」

魔女「その通りですねー。はいー。是非是非参加させてくださいなー。」

マスター「その代わり準備は手伝ってもらうよ?」

魔女「ほいさ、りょうかいー。あー、そうだ。聞きたいことがあったんですけど〜。」

マスター「ん、なんだい?」

魔女「少女ちゃんが超能力者って、どう言うことですかー?」

マスター「あー、うん……おいおい話すよ。」


210 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 00:45:58 ID:E7sev0AU
窓際の席
男「あー、そうだ。少女。」

少女「………なぁに?」

男「俺の家って原因不明で半壊したじゃん?」

少女「………うん、そう、だね。」

男「でさぁ、そこの修理費用をさ、親切な人が無金利無期限無担保で立て替えてくれたんだけど………」

少女「………うん、それで?」

男「なるべくなら、早めに返したいんだ。でも、今のバイトだと、俺の生活費でかつかつになってしまうから、あんまり余裕がないわけだ。」

少女「………ふむふむ。」

男「今現在、寝る場所もロクに確保できないし、どこかに住み込みで働ける場所ないかな?」

少女「………それなら」

男「それなら?」

少女「………私の家で働けばいい。」


少女「私の話し相手になってよ。」

おしまい。


211 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 00:49:48 ID:E7sev0AU
最後蛇足っぽくなりましたが、これでおしまいです。

雑談特化のままにしておけばよかったなぁ、と後悔しております。はい。

ともあれ、ここまで読んでいただきありがとうございました。
後日談的なものも、一応あるにはありますが、眠いので今日はここら辺で。

質問とかありますか?


214 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 08:53:10 ID:E7sev0AU
後日談
学校
男「そう言えば友はさ、何でアイツのことが見抜けたわけ?」

友「あー、うん。そうだなー。端的に言えば、同族は同族を見抜くってとこか?」

男「………お前も超能力者だったのか。」

友「いや、そんなもんじゃねーよ?超能力者っつーよよりは、魔法使いって感じか?」

男「………その違いがわかんねーよ。」

友「コントロールできてるかか、できてないかの違いだ。コントロールできてないうちは、テレキネシス系しか、発現しない。」

男「………なんか、漫画の話みたいになってきたな。」


215 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 09:02:55 ID:E7sev0AU
友「現実なんてそんなものさ。………俺なんか、魔法少女やらさせられてたときだってあるんだ。」

男「ぶっ!……なんだよ、それ。」

友「中学時代にな、叔母に無理矢理………」

男「今、やっても似合うんじゃねーのか?背がちっとばかし高いけど、その銀髪は、マッチしてんじゃん。」

友「二度とやらねーよ。」

男「そうか、……それは残念だ」ククク

友「………ところで、すべて解決したのか?」

男「ぁ?」

友「いや、女の子のことだよ。」

男「………まぁ、解決したかな。ただ、まぁ、アイツは先週のことを引き摺ってるだろうけど。」

友「お前んちブッ飛ばした件か。」

男「そう、それ。」


216 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 09:09:40 ID:E7sev0AU
男「感情が昂って………というか、絶望して、力が暴走したっていうのが、アイツを知ってる人の見解らしい。」

友「ふぅん………。なぁ、それ。よければ俺がレクチャーしてやろうか?」

男「レクチャーってなんだよ……」

友「だから、力の使い方を、だよ。………暴走させないようにできるなら、それに越したことはないだろ?」

男「………アイツを魔法少女にはさせないよ?」

友「しねーよ、そんなことはっ!」

男「そうか……てっきり、友の魔法少女引退にともなった、後任魔法少女の育成を………」ククク

友「ブッ飛ばすぞてめぇ……」


217 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 09:16:37 ID:E7sev0AU
男「デメリットはないのか?」

友「んー、まぁ、ある、といえばあるな。」

男「曖昧だな。」

友「便利になりすぎるっていうのがなぁ………。」

男「どういうことだ?」

友「超能力者の力は、型に当てはめることで、制御するのが一般的な方法だ。」

男「胡散臭いから、話し半分に聞こう。」

友「いいか、―――」


218 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 09:17:11 ID:DTZ5B03w
なんだ友も超能力者だったのか。


(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー !! (`・д´・ (`・д´・ ;)


219 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 09:25:45 ID:E7sev0AU
放課後、喫茶店
男「―――という訳なんだが、どうだ、少女?」

少女「……………」

男「別にそんなことしないでも大丈夫っていうなら、構わないけど………」

少女「……………」

魔女「ハイハイハーイ、やるべきだと思いまーす。コスチュームは任せてよね。オーソドックスなものからちょっぴりエッチなものまで、幅広く用意するよー。」

男「………アンタには聞いてない。っていうか、仕事しろよ。」

魔女「なによー、それ、男君にも言えることじゃない。」

男「俺はコイツの話し相手することがバイトだからいいんだよ。」

魔女「なーにさ、ヒモのくせして。」

男「んだとぉ?」

魔女「だってそうじゃーん。今、男君、少女ちゃんの家に住んでるんでしょー?」

男「ぐっ………」

少女「………やる。」

男・魔女「「え?」」


220 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 09:44:34 ID:E7sev0AU
少女「………やる。制御できる方がいい。………男をあんな目に会わせないためにも。」

男「あ、いや、あの事は気にすんな………。もう、過ぎたことだしさ。」

少女「………でも、頑張る」

魔女「くぅぅ〜健気、少女ちゃんかわいすぎるよぉ」ダキッ

少女「きゃ………」ジタジタ

男「端から見ると姉に甘えてる妹にしか見えない不思議………」

魔女「あぁっ?」ギロッ

男「ホント、ちっさいもんな。」

魔女「………ブッ飛ばす!」ブン

男「おぉっと、アブねー。けど、まだまだ甘いっ!」

魔女「避けるなぁっ!」シュン,シュン,ヒュッ

ギャーギャー!

少女「………制御できたら便利なんだよ、ね。」

少女「…………」

少女「…………ふふっ」ニヤリ
後日談おしまい。


221 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 09:47:53 ID:E7sev0AU
はい、ということでホントにおしまいです。
後日談に関しては次書くときの布石ですので。

喫茶店で男と少女がなんかやらかしてたら、生暖かい目で見守ってやってください。
この四日間、読んでいただき、本当にありがとうございました。


224 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/19(月) 19:59:21 ID:Eqrg27YA
乙!いい話だった!次回作も是非読ませてくれ!


228 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/21(水) 11:36:59 ID:jOxRg0Iw
2人のデート姿みてみてぇなぁ・・・



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