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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
495 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:38:00.55 ID:E6ey+zHVo
〜次の日、本国の港〜

召喚士「それじゃ直行便で、東方まで行きたいと思います」

魔道士「……」

戦士「……」

盗賊「……どうした?」

召喚士「そ、そうですよ。久々の東方なんですから」

魔道士「分かってますよ……」

召喚士「戦士も……」

戦士「……ああ」スタスタスタ

魔道士「戦士さん、昨日からずっとあんな調子ですね」

召喚士「まぁ、仕方ないですけれど……」

盗賊「……」

魔道士「励ますにも、何て声をかけたらいいのか……」

盗賊「放っておけばいいさ。自分で立ち直るよ、戦士なら」

召喚士「……ええ」


496 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:38:32.25 ID:E6ey+zHVo
ボーッ…ボーッ

戦士「……」

召喚士「ひえぇっ、寒い!」テクテクテク

戦士「召喚士」

召喚士「お酒でも、と思ったけど……甲板は冷えるねぇ」

戦士「……ああ」

召喚士「はい、戦士の分」

戦士「サンキュ」

召喚士「……いよいよだね」

戦士「……」グイッ

召喚士「戦士は、どう思う?」

戦士「ん?」

召喚士「盗賊さんの事」

戦士「…………」

召喚士「俺は、絶対に大丈夫だと思うよ」


497 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:38:59.48 ID:E6ey+zHVo
戦士「……」

召喚士「まぁ根拠はないけれど、盗賊さんが死ぬだなんて、絶対に想像出来ないもん」

戦士「当たり前だ」

召喚士「それに戦士が『絶対に俺が守る!』って言ってたし」

戦士「っ!?」

召喚士「ごめんごめん、冗談」

戦士「……ったく」

召喚士「本当にそうなら、天才さんが動いてるはずなんだ」

戦士「……?」

召喚士「前に天才さんは言ってた。俺らの力は五ヵ年計画には絶対に必要不可欠だって」

戦士「召喚士……」

召喚士「ここまで計画的に進めてきたあの人が、予言で出たからって何もしないわけないもん」

戦士「そうかねぇ」

召喚士「それに、東方の人達は強い人ばかりだし」

戦士「……でも、ヤマタノオロチん時は雷忍が死んだ」


498 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:39:26.88 ID:E6ey+zHVo
召喚士「……」

戦士「陰陽頭や老中相手の時は、武士さんが死んだんだ」

召喚士「あの時は、俺らも弱かった。でも今は違う。戦える力がある」

戦士「最悪、盗賊は前線から外そうぜ」

召喚士「それは駄目だよ」

戦士「盗賊に死ねって言うのかよ!」

召喚士「そうじゃないっ! 盗賊さんの性格からして、納得するとは思えない」

戦士「……」

召喚士「外したら逆に、単独行動をして……危険な目に遭う可能性がある」

戦士「……ちっ」グビッ

召喚士「盗賊さんは前線に配置する。だから戦士、君が守ってくれ」

戦士「……」

召喚士「一時も離れず、盗賊さんを守ってくれ」

戦士「召喚士……」

召喚士「戦いになれば、多分行き届かないだろうから……」


499 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:40:02.00 ID:E6ey+zHVo
戦士「……はっははは!!」

召喚士「……?」

戦士「そうだよな、守るっつったんだ。俺が守れば盗賊は死なねぇんだ」

召喚士「そうそうっ」

戦士「よし、盗賊の事は任しとけ!」

召喚士「うんっ!」

戦士「お前はしっかりと、魔道士の事……頼んだぜ!」バシッ!!

召喚士「!?」

戦士「戦いの最中でも、そんくらいは行き届くだろ?」

召喚士「そ、そんな事一言も言ってな――」

戦士「ありがとな」

召喚士「……戦士」

戦士「一番つらいのは盗賊なのに、俺がヘコんでてどーすんだって話だよな」

召喚士「うん、戦士らしくないもの」

戦士「だよなっ! んじゃ早速、盗賊の事からかってくるわ!」


500 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:40:32.98 ID:E6ey+zHVo
〜東方、藤蔵〜

くの一「え……っ?」

侍女「若はもう、藤蔵より去ったわ」

くの一「どういう事っ!? 頭領は……」

女剣士「あの人はお前をここに託し、死地へと戻っていったのだ」

くの一「……っ」

女剣士「分かるであろう? あの人はもうアンデッドなのだ」

くの一「だからって……何なのよ……っ」

侍女「そういうわけで貴女の面倒を見るよう、若に頼まれました。侍女ですっ、宜しくね!」

くの一「……」

侍女「……ふふっ。さて、お腹空いたかしら? ご飯にしましょうか」

くの一「要らない。空いてな――」グーギュルギュルッ

女剣士「……ぷっ、ふふ!! ははははははっ!!」

侍女「さっ、ご飯にしましょ! ふふふっ」

くの一「……うぅ」アセアセッ


501 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:41:01.04 ID:E6ey+zHVo
〜東方、都〜

帝「はっああぁぁぁぁー!!」

バシッ…バシッ…ブンッ!!

東方司令「もっと踏み込んでっ! そうっ!」

帝「くっぬううぅぅ!!」

東方司令「競り合う時は懐へ潜り込んで下から押すようにっ!」

帝「ぬっぐぐぐ……っ!!」

東方司令「押し負けてますよ!」(はあぁ〜流れる汗! 飛び散る汗! 滴る汗!!)

帝「負けぬ……ぞぉ!!」

東方司令「もっと強く! それでははじき返されますよ!」(もっと密着してぇ〜はあんっ!)

帝「……っりゃああぁぁ!!」

東方司令「!?」

バシィッ!!…カラカランッ

帝「……はぁ、はぁ。私の負けだな」

東方司令「日に日に上達しておりますよ、上様」


502 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:41:27.97 ID:E6ey+zHVo
ザッザッザッザッ

名代「朝から精が出ますな」

帝「名代。おはよう」

名代「しかし、仮にも一国の主。お陰でもされた日には……」

東方司令「おいおい、ボクが望んでやっている事ではないぞ?」

帝「そうだ。私が望んで稽古して貰っておるのじゃ。文句なら私に言え」

名代「文句など言うつもりはありませぬ。しかし加減をですね……」

帝「加減などしては稽古にならぬ。行くぞ、東方司令」

東方司令「ど、どちらへ!?」

帝「風呂じゃ。背中を流せ」

東方司令「ふひぃーっ!!」ブシュッ…バタン

帝「ぬっ!? どうした? 鼻血を出して卒倒したぞ!?」

名代「稽古の打ち所が悪かったやもしれませぬな。医務室へ運びましょう」

帝「大事なければ良いがの」

名代「ご入浴後、天守までおいで下さいませ。お話が御座いまする」


503 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:41:58.51 ID:E6ey+zHVo
〜本国、国軍本部〜

大軍師「ご足労、まことに感謝致します」

西方参謀「ったく、西へ東へ……人使い荒すぎんぜ……ヒック」

南方参謀「全くよ、こっちもまだ片付いてないのよぉ」

東方参謀「それで、東方での戦闘に参加せよとの事だったが?」

青年兵「皆様のお力を是非、お借りしあちのです」

天才「人手不足なのは百も承知の上だ。悪いが頼むぜ」

西方参謀「しかも明日だなんて急すぎやしねぇか?」

大軍師「これまでの戦況からして、魔王軍に悟られるのも厄介ですからね」

南方参謀「仕方ないわねぇ」

大軍師「各参謀殿にはこのまま東方へ向かって頂きます」

天才「その上で各司令部より100名ずつ、増援を送る」

青年兵「本国軍100名、本部100名を加えて計500の兵で、援軍と致します」

東方参謀「足りるのか?」

青年兵「それはぬかりなく。ですよね?」


504 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:42:28.49 ID:E6ey+zHVo
カツカツカツカツ

エリート「東方かにおける兵力は既に5000を超えると聞きます」

南方参謀「エリ……右大臣様」

エリート「本国の兵はあくまで支援。問題はないかと」

天才「そーいう事だ」

東方参謀「ふむ」

青年兵「明日、軍船にて直に東方へ向かいます」

西方参謀「船を使うのか?」

青年兵「はい。マーラの居城は東方の北にある島と聞きますから」

大軍師「最新鋭の船を4隻ご用意致しました。それを輸送願います」

南方参謀「1人1隻ずつって事ね……」

エリート「本国の軍船は無許可で入港出来るよう、話をつけてある」

青年兵「明日、日の出と共に出港し、夜には本国の都へ入港致します」

大軍師「今日中に立案を終わらせ、手筈を整えますので」

天才「慌しいが頼むぞ。テメーらには俺様の代理を務めて貰うんだからな! ハーッハッハッハ!」


505 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:42:58.92 ID:E6ey+zHVo
〜南方、スグリーヴァの城〜

法師「今……何と申した……?」

伝令「で、ですから……マーマン殿が戦死――」

グイッ!!

ラクシャーサ「フザケタ事ぬかしてんじゃねぇぞ!!」

伝令「お、俺は言われた事を伝えに来ただけで……っ」

ハヌマーン「やめぬか」

ラクシャーサ「……ちっ!」バッ

ハヌマーン「オーク、お主には……分かっていたのか?」

オーク「……マーマンがさ、来てくれたんだ」

法師「……っ」

オーク「オラを起こしに……っ、それで……お、お別れをきっと……」

法師「マーマン……」

ハヌマーン「マーマンは、最後までお主の身を案じておったのだろうな」

オーク「……ッ」


510 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [] 投稿日:2011/12/08(木) 01:41:57.86 ID:THrYrUgv0
いちおつ
天才がいないと さすがに苦戦するだろうな


511 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage] 投稿日:2011/12/08(木) 02:27:18.48 ID:dfaG7pJ/0
東方司令、前のおまけの東方移動からギャグ扱いになってて流してたけど
帝に稽古つけてるってことは、女剣士の元々の目的が達成できてるわけだな


516 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/08(木) 17:23:48.96 ID:JYbXvhUlo


法師「オークは?」

ハヌマーン「外に行くと申していた。1人になりたいのであろう」

法師「そうですか……」

ハヌマーン「法師殿、私は……どうしたら良いのだ……」

法師「マーマンの願いは、種族の隔てなく暮らせる、そんな世の中です」

ハヌマーン「……」

法師「私達がマーマンの意思を継いで、彼の夢を叶えましょう」

ハヌマーン「その為には、この戦いに終止符を打たねばな」

法師「ええ。南も落ち着きを見せ始めています」

ハヌマーン「いつまでも傍観しているだけにはいかぬな」

法師「無益な争いは禁物ですよ?」

ハヌマーンあ「分かっておる。マーマンとスグリーヴァ様もそうであったように……」

法師「ええ」

ハヌマーン「我らも行こうではないか、北へ」


517 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/08(木) 17:24:27.77 ID:JYbXvhUlo
〜東方、都〜

帝「して、わざわざ天守にて何用じゃ?」

名代「本国より開戦の旨を記した文が届きました」

帝「ほう、いよいよか」

名代「数日内には、本国の方々と軍船が到着すると書かれております」

帝「こちらもぬかりはないな? 自国が遅れるなど恥であるぞ」

名代「それはご心配なく。各地、何時でも動ける様、備えておりまする」

帝「うむ、それならば良い」

名代「本国の皆々にお会いするのも、久方振りでございますね」

帝「お主も嬉しいであろう?」

名代「ええ、召喚士殿がどれ程までにお強くなられたのか、楽しみで仕方がありませぬ」

帝「そうだな」

名代「上様はそれよりも、本国からの土産物が待ち遠しいのでは?」

帝「な、何を言うかっ! そんな事はない……ぞっ」

名代「ふふっ。まぁ到着を楽しみに致しましょう」


518 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/08(木) 17:24:58.69 ID:JYbXvhUlo
〜夜、ターミナル〜

戦士「1時間後にここを出て、そのまま東方の都に入港するみてぇだ」

魔道士「じゃあ、ターミナルで少し休憩ですね」

召喚士「今のうちに食事を済ませておきましょう」

盗賊「……ああ」

戦士「いよいよ、東方だな」

盗賊「うん」

戦士「お前の故郷だ。何としても勝とうぜ」

盗賊「……うん」

戦士「まだ北方も残ってる。絶対に……帰ってくるぞ」

盗賊「ああ、もちろんだ」

召喚士「……」

魔道士「きっと……大丈夫ですよね」

召喚士「ええ。戦士には守れって言いましたけど、最悪、どんな手を使ってでも死なせはしません」

魔道士「……?」


519 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/08(木) 17:25:27.95 ID:JYbXvhUlo
〜国軍本部、司令室〜

コンコン…カチャッ

天才「……おう、何だよ」

占い師「今日で最後……でしょ?」

天才「何だ? 慰めにでも来たのか? 生憎この身体だ、相手は出来ねぇぜ」

占い師「違うわよ……っ」

天才「ハーッハッハ! 予言の事だろ? 聞いたよ、大軍師と青年兵にな」

占い師「……」

天才「んで、心配になって、改めて見に来たってとこか」

占い師「あなたさえ良ければ」

天才「このナリ見て言うんだから大したモンだよテメーは」

占い師「……ごめんなさい」

天才「まーいい。秘書官、居るんだろ?」

秘書官「はい」

天才「衛星兵と包帯の代え、用意しとけ」


520 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/08(木) 17:26:15.45 ID:JYbXvhUlo


占い師「……それで、何でバルコニーなの?」

天才「部屋ん中汚したら、次期総司令に申し訳ねぇだろ」

占い師「……っ」

天才「んじゃ頭出せ」

占い師「ん……」スッ

天才「さて、吉と出るか凶と出るか……」ピトッ

占い師「…………」

天才「…………っ」

ピキイイイイィィィィ

占い師「!?」

天才「――っ!?」バッ!!

ブシュウウゥゥゥゥ…ボタボタボタッ

占い師「っ!!」

天才「……かはっ、すっげぇ……反動……っ」


521 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/08(木) 17:26:29.79 ID:JYbXvhUlo


衛生兵「……全身の血管から流血してます」

天才「言わんでも分かるっての」

衛生兵「無茶しないで下さい! まだ骨もくっ付いてない箇所だって……」

天才「うるせーな。明日から無職だ。ゆっくり養生する」

衛生兵「……っ」

天才「予言の結果はお前にも見えたか?」

占い師「……全部じゃ……ないけど」

天才「伝えるも伝えないもお前に任せる。伝える内容も、相手もな」

占い師「嫌な事、押し付けるわね……っ」

天才「お前が望んで見にきた事だろ。俺様は知らねーよ」

占い師「……分かってるわよ」

天才「東方の事はともかく、朱雀の件は伝えとけ。役に立つだろ」

占い師「うん……。青年兵くんに伝言を頼んでおくわ」

天才「ああ、そうしろ。東から帰ってきた頃にゃあ……最強の召喚士が誕生だ」


522 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/08(木) 17:27:04.09 ID:JYbXvhUlo
〜東方、都〜

サル「思わぬ大金が手に入って、こうして寝床も出来た」

キジ「美味い酒もたらふくあるさー!」

イヌ「しかも、宿のオーナーは美人さんね」

女将「うふっ、有難う御座います〜」

サル「そーいや、お頭はどこ行った? 風呂か?」

キジ「風呂から帰ってきて、夜風にあたるって出て行ったさ」

サル「……ふーん。久々の故郷だしな、思うところでもあんのかねぇ……」グビッ

 とんとんからりっ……しゃんしゃんしゃんっ

女侍「……」スタスタスタ

――「よう姉ちゃん、1人かい? お前さん……いい匂いがするねぇ」

女侍「おやおや、アタイも捨てたもんじゃないね。声かけられるなんてさ」

――「あんたイイ女だよ。東方のもんに見えるが、東方とは違う懐かしい匂いがする。魅力的だ」

女侍「ははっ、アタイもあんたみたいな人間離れした男、嫌いじゃないよぉ?」

鬼丸「グハハッ! そりゃあいい、1杯オゴるぜ。付き合いな!」



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