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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その25
890 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:42:09.78 ID:bEqCD9QEo
女記者「えっ、夢っすかあぁ?」

青年兵「ええ」

女記者「うーんと、いつかは鬼すっごいスクープとか取りたいっすねえぇ!!」

青年兵「スクープ…ですか?取材で?」

女記者「そうっすよおぉ!記者としては鬼憧れっすううぅぅ!!」

青年兵「なるほどっ。素敵な夢じゃないですか!」

女記者「そそそそうっすかああぁぁ!?鬼照れるっすねええぇぇ!!」

青年兵「ははっ!お互い頑張りましょう!」

女記者「鬼頑張りましょおおぉぉ!!」

青年兵「さてと、そろそろ……」

チョン

青年兵「あ、すすすみません……っ!」

女記者「ここここちらこそおおぉぉ!鬼すみません!!」

青年兵「そ、それでは…っ、おやすみなさい!」

女記者「おおおおやすみなさいっすううぅぅ!!」


891 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:42:50.76 ID:bEqCD9QEo

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第三十九部〜


892 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:43:21.41 ID:bEqCD9QEo
〜南東国、宮殿〜

側近「どうぞ、お掛け下さいませ」

皇太子「うむ」

広間の中央、長机を挟み、皇太子と三男が顔を見合わせた。

その背後には、それぞれの護衛や重鎮が佇み、室内の空気を重くしている。

白銀騎士「形式上のものですので、ご容赦下さいませ」

場の空気を和らげようと、白馬騎士は口元を緩め声を発した。

皇太子「分かっている。お気遣いなく」

白馬騎士「……ははぁ」

老文官「ではこれより、本国、並びに華国における同盟の――」

テクテクテク

戦士父「……?」

剣士「どうしました?……ボソボソ」

戦士父「…失礼」

剣士「……?」


893 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:44:04.97 ID:bEqCD9QEo
テクテクテクテク

戦士父「…どこへ?」

天才「あぁ?帰るんだよ、かったりぃ」

戦士父「自分で悲願の同盟とか、記念すべきとか……」

天才「もう結んだも同然だろ!十分だよ」

戦士父「だからとて途中退室など……」

天才「あんなクソだるい話、聞いてられっかってんだ」

戦士父「……」

天才「それに、まだやる事があるんでな」

戦士父「……はぁ」

天才「殿下の護衛、代わりに頼んだぜ!はーっはっは!」

戦士父「おいっ!?」

シュバッ

戦士父「……相変わらず…勝手な人だ」

腰に手を当てため息を吐くと、戦士父は広間へと戻って行った。


894 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:44:37.56 ID:bEqCD9QEo


若文官「それでは、調印をお願い致します」

皇太子「……」

スクッ

右大臣「殿下…?」

皇太子「この内容、異議を唱えたいのだが」

ドヨッ

老将軍「……異議じゃと?」

側近「あの…っ、内容に何か問題でも……?」

皇太子「この内容によると、互いに無条件での同盟と相成っている」

白馬騎士「如何にも。それが…何か?」

皇太子「本当に良いのか?」

若文官「……と、申されますと?」

皇太子「これでは南東国にとって、メリットがないように思えるが」

ザワザワッ


895 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:45:05.74 ID:bEqCD9QEo
右大臣「殿下っ、何を申しておるのです!?」

三男「私達は同盟を結ぶ事さえ出来れば、満足ですよ?」

白馬騎士「陛下の仰る通りです。何もそれ以上の事など……」

皇太子「しかし、それでは本国の勝手な都合のようにしか思えぬのだ」

側近「……では、どうしろと仰るのです?」

皇太子「そうだな……」

白馬騎士「……」

皇太子「我が国の技術を譲るというのはどうかな?」

右大臣「――っ!?」

白馬騎士「……軍事…技術という事ですか?」

皇太子「いや、それだけではない」

錦将軍「……っ」

皇太子「鍛冶や建築、必要な技術は包み隠す事なくお伝えしよう」

側近「しかしながら、それでは……っ」

皇太子「……ふむ。ならば交易ルートも切り拓こうではないか」


896 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:45:32.12 ID:bEqCD9QEo
ザワザワザワッ

若文官「……」

皇太子「南東国は海に面しておらぬ分、陸路にはなってしまうが……」

三男「……」

皇太子「南方から街道を引けば、問題はなかろう」

白馬騎士「……何故」

皇太子「ん?」

白馬騎士「何故、そこまで…っ。これでは逆に華国が――」

皇太子「それだけ、この同盟には価値があるという事だ」

白馬騎士「……っ」

三男「本当に宜しいのですね?」

皇太子「うむ。こちらにとっても好都合だ」

三男「……では、お言葉に甘えると致しましょう」

皇太子「うむ」

三男「それと、もう一つ……」


897 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:45:59.67 ID:bEqCD9QEo
皇太子「何かな?」

三男「ここより南の地、山を越えた遥か南の地です」

皇太子「……」

三男「その地を、本国の領土とは扱わないで頂きたいのです」

右大臣「……南東国の領土と、認めろと……?」

三男「そうではありません。誰も、どの国も統括しない地にして頂きたいのです」

皇太子「……成程。相分かった」

三男「ありがとうございます」

老文官「そ、それでは……以上の項目を追記する形で宜しいですかな?」

皇太子「異論はない」

三男「頼みます」

老文官「……では、追記の上で調印をお願い致します」

皇太子「うむ」

三男「はい」

たかが紙切れ一枚。されどそこに、人々の未来が詰まっていた。


898 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:46:30.60 ID:bEqCD9QEo


側近「それでは、以上にて調印式を終了致します」

老文官「それでは会食の手筈を整えます故、今しばしお待ちを……」

ザワザワザワ

弟者「終わった終わった」

兄者「これで、我らの務めも終わりだな」

弟者「……?」

錦将軍「おいおい、武器奪われたくらいでそんな……」

兄者「そうではない。今後は本国主体の戦いとなる」

老将軍「そういう事じゃ。我らの戦い方では魔族にゃあ勝てん」

弟者「んな事ぁねーだろっ!」

兄者「では何故、華国は魔物の手に落ちたのだ?」

弟者「……っ」

老将軍「本国のような、新しい戦い方を持ってせねば…太刀打ちできんのじゃよ」

錦将軍「……ちっ!」


899 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:47:03.38 ID:bEqCD9QEo
カツカツカツ…

白馬騎士「しかし、務めが終わり…というわけではありませんよ」

兄者「白馬の……」

白馬騎士「貴方達は個々の武を持っておられる」

弟者「……」

白馬騎士「それは他国にはなき力です」

兄者「…つまり、我らが指南役になれと?」

白馬騎士「一人一人が個々の武を高め、その上で近代戦術が用いられる…」

老将軍「成程のぉ。そうすればその威力は数倍にも増す、というわけじゃな?」

白馬騎士「それだけではありません」

弟者「…?」

白馬騎士「スグリーヴァ様の下に集う魔物達……」

兄者「まさか…っ。魔物らにも指南を…!?」

白馬騎士「彼らは既に、個々の武を有しております」

錦将軍「戦い方させ覚えりゃ、その力は更に……」


900 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:47:32.19 ID:bEqCD9QEo
白馬騎士「ええ。そしてそれを率いるのも我らだと思っております」

弟者「魔物の軍勢を率いるってのか!?」

白馬騎士「おや、不服ですか?」

弟者「……まさか。楽しみでならねぇよ!」

錦将軍「……」

弟者「異形の奴らを従えて戦なんざぁ、想像にも及ばねぇ!」

白馬騎士「貴殿ならそう言ってくれると思ってましたよ」

錦将軍「でも、本当に魔物と……」

白馬騎士「私とて信じられませんよ。未だにね」

錦将軍「……っ」

白馬騎士「しかし、私は信じますよ。あの方が切り拓いてくれた道……」

兄者「……」

白馬騎士「次男様が切り拓いてくれた、新たな道を」

老将軍「……一介の、旅の法師ではなかったかの?」

白馬騎士「……ははっ、そうでしたね」


901 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:47:59.60 ID:bEqCD9QEo


皇太子「……天才はどうした?」

戦士父「…去りました」

右大臣「あやつ、勝手な真似を……っ!」

皇太子「まぁ良い。ここまでくれば心配もなかろう」

戦士父「念の為、本国まで私が同行します」

皇太子「すまんな。世話をかける」

戦士父「キミはどうする?」

剣士「はい。折角ですので、華国へ少し滞在してから村へ帰ります」

皇太子「そうか。此度は本当にご苦労であった」

剣士「いえいえっ、結局お力にもなれず……」

右大臣「そのような事はない。大変、助かったぞ」

剣士「……あ、ありがとうございます」

皇太子「さて、皆がお待ちかねだ。我らも行こう」

剣士「はい!」


902 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:48:34.73 ID:bEqCD9QEo
〜東方司令部〜

女記者「ささっ!鬼遠慮せずどうぞおおぉぉ!!」

東方司令「……」

女記者「……どうしたっすかああぁぁ!?」

東方司令「キミさ、ボクの取材じゃないの?」

女記者「そうっすよおおぉぉ!!」

東方司令「何でボクが自発的に喋らなきゃいけないんだよっ!」

女記者「鬼心配なくううぅぅ!!一字一句、鬼書き止めるっすよおぉ!」

東方司令「だからっ、違うだろ!!」

女記者「違くないっすよおぉ!さぁさぁどうぞおおぉぉ!!」

東方司令「……キミ、馬鹿にしてるだろ?」

女記者「鬼真面目っすよおぉぉ!!」

東方司令「…………」

女記者「まずは生い立ちから現在までどうぞおおぉぉ!!」

東方司令「何時間かけるつもりだ!!」


903 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:49:37.53 ID:bEqCD9QEo
〜ターミナル〜

召喚士「いやぁ、助かりました。ありがとうございます」

御者「へへっ!虫の知らせってやつです!」

戦士「本当かよ……?」

御者「実はそろそろじゃないかと、張っていたんですよっ」

盗賊「…!?」

魔道士「そ、そうなんですか…!?」

召喚士「そんないつになるのか分からないのに…わざわざ……」

御者「いえいえっ、日の出とともにですから、そんな時間は……」

戦士「日の出!?何時間待ってたんだよ……っ」

御者「気にしないで下せぇ!旦那らが乗ってくれりゃあ、こっちも鼻が高い!」

召喚士「……はぁ」

戦士「どーせまた、宣伝に使おうって腹だろ」

御者「う…っ。ま、まぁ…持ちつ持たれつって事で!わははっ!」

盗賊「…貪欲だな」


904 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:50:11.06 ID:bEqCD9QEo


船員「まもなく出航致します。お乗りの方は――」

召喚士「本当にありがとうございました」

御者「いえいえ、また宜しくお願いします!」

盗賊「…それじゃ」

スタスタスタ

御者「お気を付けて〜っ!!」

魔道士「はーいっ!ありがとうございますー!」

戦士「これで懸念材料はスッキリしたワケだが……」

召喚士「次はどうしようかね?」

魔道士「召喚獣はもういいんですか?」

召喚士「ええ、今のところは大丈夫…ですかね」

戦士「とりあえず、本国に戻って考えるとしようか」

盗賊「…そうだな」

召喚士「うんっ!」


905 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:51:05.95 ID:bEqCD9QEo
〜南東国、宮殿〜

皇太子「では、此度はまこと…感謝致す」

三男「こちらこそ。もっとゆっくりなされば良いのに……」

皇太子「いやいや、こちらもやらねばならぬ事があるのでな」

若文官「そうですか……」

皇太子「それに、いち早くこの事を皆に伝えたい」

右大臣「そうですな」

白馬騎士「では、落ち着きましたらまた後日、ゆっくりと……」

皇太子「ああ。そうさせて頂こう」

三男「必ずや」

皇太子「うむ。それに落ち着いたら、顔合わせもせねばならんな」

側近「……?」

皇太子「各国の首脳が集まり、一度話し合わねばならん」

三男「楽しみにしております」

皇太子「宜しく頼むぞ」


906 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:52:27.44 ID:bEqCD9QEo
ザッザッザ

皇太子「待たせたな、行こうか」

戦士父「はっ」

右大臣「では剣士殿、我らはこれにて失礼するぞ」

剣士「はい。道中、お気を付けて」

門兵「馬をお連れ致しました!」

皇太子「ご苦労。では参ろうか」

ザザッ

皇太子「ご家族にも宜しく伝えてくれ」

剣士「ありがとうございますっ!」

皇太子「はぁっ!」

グイッ…ドドッドドッドドッ…

白馬騎士「……本国の殿下、器の大きいお方だな」

剣士「白馬騎士さん…。ええ、僕もそう思います」

二人は去りゆく馬が見えなくなるまで、その姿を見送った。


907 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:53:07.37 ID:bEqCD9QEo
〜東方司令部〜

東方司令「……はぁ」

女剣士「お疲れのようですね」

コトッ

東方司令「ありがとう」

女剣士「食べる物もお持ちしますか?」

東方司令「要らない。食欲ない」

女剣士「珍しいですね、お姉様が食欲ないなんて」

東方司令「どういう意味だ。普段だってそんな食べてないだろ」

女剣士「……そういう事にしておきます」

東方司令「キミは食事、済ませたのか?」

女剣士「ええ。入浴も先に失礼致しました」

東方司令「そっか……。ボクももう寝るよ。おやすみ」

テクテクテク

女剣士「……本当に…珍しい」


908 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:53:37.75 ID:bEqCD9QEo
テクテクテクテク

青年兵「……あっ」

女記者「おぉ!?お疲れ様っすうぅ!!鬼警備っすかああぁぁ!?」

青年兵「い、いや……っ。まぁそういう事にしておきます」

女記者「鬼流石っすねええぇぇ!!」

青年兵「ど、どうも。東方司令の取材は終わったのですか?」

女記者「もう鬼バッチリっすよおぉ!!」

青年兵「それは何より。いい記事かけそうですか?」

女記者「うぅん……それは鬼難しい質問っすねえぇ!」

青年兵「!?」

女記者「いやぁ、鬼頑張るっすよおぉ!」

青年兵「え、ええ…っ。頑張りましょう」

女記者「青年兵さんはっ、鬼頑張ってるっすよねえぇ?」

青年兵「ま、まぁ……一応……」

女記者「鬼偉いっすよおぉ!夢のために頑張ってるなんてええぇぇ!」


909 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:54:20.31 ID:bEqCD9QEo
青年兵「あ、ありがとうございます」

女記者「将来は大元帥っすよねえぇぇ!?」

青年兵「いやっ、まぁ…なれたら…ですけどね。ははっ」

女記者「鬼志高いってのはあぁ、良い事っすよおおぉぉ!!」

青年兵「そうですね。手に届く夢より、もっと…遥かな高み……」

女記者「うんうんうんっ!!」

青年兵「でも、全ては一つの想いの為です」

女記者「ほうほうっ!!」

青年兵「人の為に生きろ。……小さい頃から母に言われてきた言葉です」

女記者「おおぉぉ!!良いお母様っすねええぇぇ!!」

青年兵「口煩いだけですよ。はははっ」

女記者「いやいやいやっ、そんな事ないっすよおぉぉ!」

青年兵「でも今は、僕もそう思ってます。本当にその通りだな…って」

女記者「人の為に……なかなか出来る事じゃないっすからねえぇ!」

青年兵「頑張りますよ!……女記者さんは夢、何ですか?」


910 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/23(水) 18:55:12.57 ID:bEqCD9QEo
女記者「えっ、夢っすかあぁ?」

青年兵「ええ」

女記者「うーんと、いつかは鬼すっごいスクープとか取りたいっすねえぇ!!」

青年兵「スクープ…ですか?取材で?」

女記者「そうっすよおぉ!記者としては鬼憧れっすううぅぅ!!」

青年兵「なるほどっ。素敵な夢じゃないですか!」

女記者「そそそそうっすかああぁぁ!?鬼照れるっすねええぇぇ!!」

青年兵「ははっ!お互い頑張りましょう!」

女記者「鬼頑張りましょおおぉぉ!!」

青年兵「さてと、そろそろ……」

チョン

青年兵「あ、すすすみません……っ!」

女記者「ここここちらこそおおぉぉ!鬼すみません!!」

青年兵「そ、それでは…っ、おやすみなさい!」

女記者「おおおおやすみなさいっすううぅぅ!!」



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