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女商人「やっと私の出番ね」ルイーダ「あ、登録しただけよ」女商人「えっ?」
- 138 名前:NIPPERがお送りします [saga]
投稿日:2013/01/09(水) 16:07:05.96 ID:gcZHpXzAO
町に酒場ができて4ヶ月
ホープバーク 町長の家
商人「だいぶ、住民も観光客もだいぶ増えてきたし、また増税したいところよね。」
老人「……ふむ。またかの。」
商人「なにか不満がありますか?これからも町の発展のためにはお金は必要ですよ。」
老人「おぬしが酒場が出来てから町長として就任して4ヶ月ほど。自分の店いいのか閉めて。」
商人「最初はやれるかとは思ったけど、忙しくて無理ってわかったのよ。私が町長として専念できる方がいいと思うけど。」
老人「……そうじゃの。」
- 139 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:08:31.80 ID:gcZHpXzAO
ガチャ
兵士「失礼します、町長。お客様がいらしていますが。」
商人「客?わかりました。通してください。」
老人「商人、ワシは小屋戻るぞ。ではの。」
商人「ええ、引き続きお願いしますね。」
老人は客人として見えた、商人風の男とすれ違った。軽く会釈をしたが、その口元には小さく笑みが見えた。老人はふと胸騒ぎを覚えた。
- 140 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:10:30.40 ID:gcZHpXzAO
商人風の男「いやぁ〜はじめまして!ワタクシ、世界中を商売しながら旅して回っている者です。風の噂で耳にしたこのホープバークを作ったという商人様にお会いしたく来させていただいた次第です。」
商人「はい、それはありがとうございます。ごゆっくりしていってください。」
商人風の男「はい。ぜひとも。商人さま、いや町長さまに良いお話がありまして、いかがでしょうか?」
商人「良い話?それは商売の話ですか?」
商人風の男「ええ、まさにそうです。」
商人「兵士さん、あなたは席を外していてくれますか?」
兵士「え、わかりました。失礼します。」ササッ
商人「それでどんな話なんですか?」
商人風の男「これです。」サッ
- 141 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:13:44.99 ID:gcZHpXzAO
男は掌に1つ小さく黒光りする四角いものを乗せて、商人に見せた。かすかに甘い香りがする。
商人「これは、たしか。チョコレートというものでは?」
商人風の男「おお、ご名答!そうです。よくご存知でいらっしゃる!」
商人「以前、私の仲間が遠方の国で食べたと言っていたので、そのことかと。」
商人風の男「なかなかに高級な菓子でして、ロマリア、ポルトガ地方で作られているものです。」
商人「へぇ〜、すごく美味しそうですね。そしてこのチョコレートをなぜ?」
商人風の男「そこです。なんでもこの町にある酒場の中のカジノは、大盛況のようですな。」
商人「ええ、おかげさまで。辺境の町にあるカジノ、という珍しさが受けているようです。」
- 142 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:14:58.21 ID:gcZHpXzAO
商人風の男「そのカジノで楽しむ皆さんにお菓子として提供するのです。」
商人「カジノのお客様限定で、ということですか?」
商人風の男「ええ、高級感のある菓子ですから、カジノで楽しむ裕福な方々に受けるのではと思いましてね。」
商人「なるほど...(上手くいけばさらに利益を上げられるかもしれないわね)」
商人「ただ、高級なものでは安定した仕入れができますか?」
商人風の男「その事はご心配なく!私の息のかかっている業者がポルトガ近辺にございます。」
商人「そうですか。では早速契約をさせてください!きっと大きな話題にもなるでしょう。」
商人風の男「あ、ありがとうございます!さすがにお若いのにお目が高いですな〜。」ニヤッ
- 143 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:15:58.86 ID:gcZHpXzAO
町長となった商人は、旅の商人という男から高級菓子であるチョコレートを仕入れることを決めた。老人はこの件はよい顔をせずに反対したが、商人の強い説得で容認した。
数日後、カジノ限定でのみこの高級菓子チョコレートが客に出されはじめた。するとその美味なる香りと甘さと味が客の間で話題となり、口コミにより世界中に拡大した。
町長の思惑通り、カジノが産み出す利益はさらに増えていく。ただやはりそれに比例するように、一般町民からは反発が起きるようになっていた。
- 144 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:19:13.35 ID:gcZHpXzAO
カジノにチョコレートが出されるようになって2ヶ月
ホープバーク 町長の家
町長「ねえ、これは一体なんなの?こんなに投書が来てるのはなぜ?」
兵士「連日、表の投書箱に意見が入れられているようです。」
『カジノができてから、町の雰囲気が悪くなった』
『毎日観光客がひっきりなしで、のんびり過ごせない』
『カジノで利益が上がってるはずなのに、我々の税金負担が増えるのはなぜ?』
『カジノを閉鎖してほしい 酒場だけでいい』
『町長は私達一般民を大切にしてくれない』
『夜になると町の隅で男たちがたむろしていて物騒だ』
『チョコレートの味が落ちた』
町長「………なんで?私は町を大きくしたいだけなのに。」
老人「商人よ、この最後の投書はどういう意味なんだ?」
町長「ん?チョコレートの味が落ちた?どういうことなのかな...」
町長「っ!?まさか...」ガバッ
老人「どうした?」
町長「ちょっとカジノに行ってきます。確かめたいことがあるから!」
- 145 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:21:09.10 ID:gcZHpXzAO
ホープバーク 酒場内
ドンッ
町長「ごめん!誰かいる?」
マスター「あ?まだ昼間だぞ。誰かと思えば、町長さんじゃねえか。」
町長「マスター、お久しぶりです。あの、下のカジノは...」
マスター「ああ、まだじゃないか。カジノはここより遅くからだから今は誰もいないだろうさ。それよりもさ、もっと税金を下げてはもらえないか?俺たちはギリギリの生活なんだぜ?」
町長「...それはできない相談、です。」プイ
タッタッタッ
マスター「ふう、前はあんな女の子じゃなかったのにな。この町はそろそろ危ないな...」
町長は酒場を通り、奥にあるカジノに通じる階段を下りていった。
- 146 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:24:54.20 ID:gcZHpXzAO
ホープバーク 町長の家
老人「あいつ大丈夫だろうか。ワシ心配」
宿屋の青年「大丈夫ですよ。おじいさん。ただ彼女は忙しすぎるだけですよ。」
老人「最初はあんな風にお金に執着するようなやつじゃない。もっと柔軟なやつだった。」
青年「う〜ん。僕ら一般民から徴収する税金が高すぎるのはたしかです。」
青年「僕の宿屋も最近はカジノに来るお客さんが泊まることがほとんどです。宿泊費も高騰してるのもあるとは思うけど。」
老人「ううむ、そろそろワシ達で商人にはっきり言った方あいつのためだな。」
コンコンッ
兵士「失礼します。老師どの、町長さま宛にお手紙が届きました。」スッ
老人「手紙?どれ。これは?」
青年「誰からなんですか?」
老人「これはおそらく商人の....」
- 147 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:26:07.11 ID:gcZHpXzAO
ホープバーク カジノ内
カジノ内は静まりかえっていた、まだ誰1人いないようだ。町長は1人、暗い中カジノ内を歩いていた。
カジノ内はこの建物ができた直後に入ったきり一度も来ていなかった。そんな暇がなかったからだ。
コイン購入カウンターの裏にバックヤードに繋がるドアがあるのを見つけ恐る恐る入っていく。
町長「ここかな?なんだか乱雑に書類が散らばってるわね。」
町長「どこかに、どこかにあるはず。」
町長「ん?この箱。あの時のチョコレートの箱に似てる...でも、なにか違う。」
町長「あっ、これは。」ペリッ
町長「やっぱり....騙されたのねわたし。」
- 148 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:27:05.35 ID:gcZHpXzAO
町長がカジノのバックヤードで見つけた、チョコレートの箱はニセモノだったのだ。箱にプリントされていたチョコレートのブランドのロゴが違うのである。
一見しただけではわからないが、ニセのロゴの上からホンモノのロゴのシールが貼られているのだ。
実際に客に出すときは中身のチョコレートだけを別の容器で出すので誰も気が付かなかったのだ。ただ味だけはホンモノとニセモノでは歴然の差があり、それに違和感を持った客が投書したのだろう。
- 149 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:29:12.27 ID:gcZHpXzAO
町長「いったいいつから、ニセモノに入れ変わったんだろう?」
町長「どこかに仕入れの帳簿がないかしら。」
町長「....どこにもないわね。仕方ない、一度引き上げよう。」
町長「あの男、許せない。ちくしょう、ちくしょう...」グスッ
町長はカジノから引き上げて、家に戻った。
- 150 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/09(水) 16:32:09.01 ID:gcZHpXzAO
ホープバーク 町長の家
ガチャ
老人「おお、心配したんだぞ。大丈夫だったか?」
町長「………………」
青年「どうしたの?おじいさんとあなたの事心配してたんですよ。」
町長「…………りにして。」
青年「え?」
町長「ごめん、ひとりにして。二人は出ていって、お願い。」
老人「おい、なに言ってるんだ。お前に手紙が来て...」
町長「いいから!お願い。」
青年「....おじいさん、行きましょう。」
老人「むう……」
町長「……………」
バタン
《そしてこの日の夜中 この町で革命が起こった》
- 151 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 01:41:26.17 ID:UhTBKY0AO
続きはまた日中に投下していきます。ついに革命が起きて商人はどうなるのか。お楽しみに。
- 153 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 10:13:11.29 ID:UhTBKY0AO
革命発生から1週間
ホープバーク 入口
僧侶「ねえ、なにか変な感じがしない?」
武闘家「え?なにが?」
賢者「……そうね、僧侶の言う通りで町の雰囲気がなにか変ね。勇者さまはなにか感じません?」
勇者「う〜ん。なんかどんよりしてるよね。人は多いんだけど。」
武闘家「じゃああそこにいる兵士さんに聞いてみようか〜。あのうすみません!」
兵士「ん?観光客か?悪いことは言わん、今この町は革命が起きてな、町を統べる者がいないのだ。」
勇者「えっ!?」
僧侶「か、革命ですって?」
- 154 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 10:31:02.07 ID:UhTBKY0AO
賢者「一体なぜ?革命なんてそう起こることじゃないですよ!」
兵士「うむ...私も少し前に雇われてここに来たので詳しい事はわからないんだが...すまない。」
武闘家「…………」
勇者「わかりました。どうしようか、おじいさんも小屋にいないし...」
賢者「…そうだ。宿屋の青年さんならなにか知ってるかもしれませんよ!」
僧侶「そうね、行きましょう!」
勇者達は急いで宿屋に向かった。
- 155 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 10:40:21.64 ID:UhTBKY0AO
ホープバーク 宿屋
ガチャ!
勇者「お兄さん、いませんかー?」
青年「!?あ、勇者さん!」
僧侶「よかった、いてくれたみたいね。」ホッ
青年「皆さん、来てくれたんですね!助けてください、彼女が!商人さんがっ!」
賢者「えっ?」
武闘家「商人が!?どうしたの?ねえ!ねえってば!」
青年「今は町外れの牢屋に投獄されています....」
- 156 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 10:53:10.22 ID:UhTBKY0AO
勇者達がホープバークを訪れた7日前の夜中、町では革命が起きた。
町の一部の住民が結託して、夜中に町長である商人の家と、老人の小屋を襲撃したのだった。当時、商人は眠りに入っていなかったが、襲撃を寸前まで気付けずに数名の男に捕らえられた、なぜかまったく抵抗はしなかったようだ。
そのまま、町外れに商人自身が作った牢屋に入れられたのだ。
老人は小屋で寝ていたが、襲撃を受け、かなりな抵抗をしたようだが、屈強な男たちには敵わず、そのまま気絶してしまった。
- 157 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 11:10:30.84 ID:UhTBKY0AO
翌朝、革命を起こした男達のリーダーが町全体に対し、声明を出した。
『我々はこんな抑圧された生活に耐えることはできない!』
『カジノをたしなむ富裕層ばかり優遇し、一般民である我々に高い税を課し、苦しめた町長は投獄した!』
『しかも町長は密かに莫大になった利益を自分のものとし、隠していたのだ!断じて許されるべきではない!』
『町の皆。これからは自由な生活が待っている!この私が新たな町長となり皆を先導していこうと思う!』
町の住民は、男の声明を聞き、一斉に賛同した。たった数時間で商人と老人が一から作り上げた町が終わりを告げたのだった。
- 158 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 11:29:51.46 ID:UhTBKY0AO
ホープバーク 町外れの牢屋
見張り「ん?なんだお前らは。あの女に面会か?」
勇者「そうです。商人に合わせてください!」
見張り「だめだな。あんな犯罪者に簡単に合わせるわけにはいかねぇな。」
武闘家「なんだと!?私の親友をそんな風に言うと許さない!」ガバッ
賢者「ぶ、武闘家さん。落ち着いて。暴力はだめですよ。」
武闘家「くっ、だけど賢者。」
見張り「くっくっく、出直しな。」
僧侶「………」スッ
見張り「ん?なんだ姉ちゃん、やんのか?」
- 159 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 11:44:05.74 ID:UhTBKY0AO
僧侶「これで面会させてくれないかしら?」スッ
見張り「あ?これっぽっちじゃ足りねえなぁ。」
僧侶「じゃあこれでどう?」スッ
見張り「だからこれっぽっちじゃ足りねえと何度もいわ...あっ!」ダラダラ
ブツブツブツブツ
僧侶「私を怒らせないで、死にたい?ザキをプレゼントしてあげようか?」ヒソヒソ
賢者「(あ、まさか僧侶ったら...)」
見張り「あ、ああ。そ、そこの階段を下におりな。」ガクガク
僧侶「そう、ありがとう。みんな行きましょう。」ニコ
武闘家「う、うん。(こわ...)」
賢者「またやっちゃった...」
勇者「よし行こう。」
- 160 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 11:57:06.87 ID:UhTBKY0AO
ホープバーク 商人収監の牢屋
勇者達は牢屋の前に来た。目の前の冷たい牢屋の中には、商人がいた。膝を抱え座っている姿は以前の商人とは別人に見えた。目は虚ろ、頬はこけており真っ先に声をかけようとした武闘家を躊躇させた。
足音に気が付いた商人が顔を上げると、目の前に懐かしい顔ぶれが並んでいた。
商人「あ、みんな。きてくれたの?」
- 161 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 12:13:23.51 ID:UhTBKY0AO
武闘家「商人………」
商人「ごめん、なさい。みんながきてくれたのに、わたしが、こんなことに、なって」
勇者「驚いたよ、こんな事になっていて。」
賢者「私達が来なかった間に革命なんて...」
商人「わ、たしのせいなんだ、ぜんぶ。わたしがいいきぶんに、なってまちのみんなを、くるしめたから」
僧侶「ねえ!商人。ちゃんと食べ物はもらってるの?体が弱ってるわ。」
商人「う、ん。いちおうね。でも、わるいこと、したから、しかたないね」
賢者「(商人さん、あちこちに傷が...傷だけでも)僧侶。」
僧侶「(わかってる。)」
賢者・僧侶『ベホマ!』パァー
- 162 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 12:31:45.04 ID:UhTBKY0AO
商人の体にある傷がすべて治った。
商人「あ、きずが。ふたりともありがとね。」ニコ
勇者「食べるもの食べなきゃダメだよ、死んじゃうよ!」
商人「あまり、たべた、くないよ。はんせいしなきゃ、わたし。」
武闘家「………グズ」ヒクヒク
賢者「武闘家さん?(泣いてる?)」
僧侶「本人が食べる気がないのはよくないわ。なんとかしないと....」
商人「お、じいちゃん、にもあやまらなきゃ。つらく、あたったりしたから」
- 163 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 12:41:08.65 ID:UhTBKY0AO
賢者「!そうだ。おじいさんは今どこにいるんでしょうか?」
勇者「小屋にはいなかったよね。」
僧侶「青年さんに聞いてみましょう!知ってるかもしれない。」
勇者「よし。ひとまずすぐに行こう!ホラ、武闘家泣いてないで行くよっ!」
武闘家「………グイ」コクッ
賢者「商人さん、待っていてくださいね。すぐに戻ってきます。」
商人「あり、がとう、みんな。」
- 164 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 12:59:38.96 ID:UhTBKY0AO
スーの村 老人の家
牢屋を出たあと、宿屋の青年に聞いたところ老人は革命後に、故郷のスーに療養のために戻ったという。
勇者「おじいさん、大丈夫?良くなった?」
老人「皆久しぶり、体はなんとか大丈夫じゃよ。」
僧侶「無理しちゃだめよ。歳なんだし。」
老人「ふん。まだまだ若いモンには負けん。」
賢者「あの、おじいさんは商人さんが今、町の牢屋にいることは....」
老人「あ、ああ。知っとるよ。すごく心配。あいつも少しやりすぎてしまった。」
武闘家「あの子、食べ物をほとんど口にしないままなんだよ!あのままだと弱くなって死んじゃうよ...」
老人「なに?そこまで弱くなってるか?まずいの。」
- 165 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 13:10:53.76 ID:UhTBKY0AO
僧侶「だからおじいさんや青年さんが会えばと思ったんだけど、おじいさんがまだ動けないしね。」
老人「おお、あの宿屋の青年でもダメか?」
賢者「青年さんは自分のことを責めていました。もっと自分が力を貸せていれば、と。」
勇者「今は商人に合わせる顔がないって言ってたね。」
老人「それはワシも同じ。商人にもっとしっかり言ってやるべきだった。」
武闘家「おじいちゃん...」
老人「あの青年は、もしかすると商人の事を好いているのかもしれんな。」
僧侶「青年さんが?商人さんを?」
- 166 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 13:30:08.78 ID:UhTBKY0AO
老人「ただのジジイの想像だがの。あの青年の商人を見る目が、商人が徐々にに変わっていく度に悲しそうになっていた。」
勇者「そう、なんだ。だったら余計に商人を助けなくちゃ。」
賢者「ええ。なんとかしないと。あまりにも商人さんが痛々しくて。」グス
老人「そうじゃのう………あ!そういえば!」
武闘家「おじいちゃん、どしたの?」
老人「大切な事忘れとった!商人にな、手紙届いてたんじゃ!」
勇者「手紙?いつ?」
老人「あの革命が起きた日じゃよ!手紙が来た時はあいついなかったからワシが預かってた。」
老人「そのあとあいつが戻ってきた時は1人にしてくれって突っぱねたから渡せなかったんじゃよ!」
僧侶「そうだったのね。でその手紙は誰からなの?」
老人「あいつの父親じゃよ。」
- 167 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 13:41:35.26 ID:UhTBKY0AO
武闘家「!?(おじさんが?)」
老人「ちょっと待っとれよ。たしかここに....」ガサゴソ
老人「おお、あったあった。こいつがそ....」
ヒュン
バシッ
武闘家「ありがとう!おじいちゃん!もらっていくね〜!」
老人「うお!い、いつの間に?」
武闘家「ほらほら、みんな早く町に戻るよ!早くしないと置いてくぞ〜!」
賢者「あ、待ってくださいよ〜!」タッタッ
僧侶「急に元気になったわね、あの子。」タッタッ
勇者「じゃあおじいさん。ありがとね、また!」タッタッ
バタン
- 168 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 13:50:20.11 ID:UhTBKY0AO
武闘家「(これで絶対大丈夫!商人の目を覚ましてくれるはず)」
武闘家「(おじさん、ありがとう)」
武闘家「(今行くよ。待っててね商人!)」
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