■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その29
591 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/05(日) 23:56:23.70 ID:6NMDaJKVo
〜火山、北西部〜

魔道兵「ヒ……ヒヒヒアアァァァァ!!」

ドドオオォォォォン!!

南方魔道長「何とかしろよ!!」

隊長「いやぁ、無理だろ」

南方魔道長「このままじゃ仲良く火だるまになっちまうぞ!?」

隊長「いーや」

南方魔道長「……?」

隊長「氷のオブジェかもしれんぜ?」

南方魔道長「馬鹿な事言ってないで何とかしろ!」

隊長「そうは言ってもなぁ……」

スラッ…チャキッ

隊長「俺だって、そんな簡単に人を斬りたかねぇんだよ……」

南方魔道長「来るぞぉ!!」

隊長「ちぃ……っ!!」


595 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:07:18.22 ID:yHYfa9mAo
いつ頃からだったか、人を斬るようになったのは……。

最初は、北での内通者による反乱の鎮圧だったっけか。

国軍の中でも選ばれた、特遊だからこその仕事。そう言い聞かせて手を汚してきた。

それも気が付けば、当たり前の様に命のやり取りをするようになっていたっけかなぁ。

先代の隊長は、その過酷さと罪の意識に苛まれて、自らその命を絶った。

引き継いだ俺は、今も手を汚し続けている。流石に、副隊長斬った時は参ったけどな……。

気心知れた仲間が内通者で、ましてやそれを斬る。いや、それだけじゃない。

当時、皇太子であられた陛下にまで危険を及ぼしてしまったのは一生の不覚だろうな。

何事もなく終えたからこう思えるが、本当に自分が情けなかった。ただそれだけだ。

あの時、戦士が同行したいと訪ねてくれたのは幸いだったな。自分を見つめ直す、

いい機会になった。そして何とか吹っ切る事が出来たわけだが……。

隊長「目の前に、あの憎き魔物がいる」

込み上げる怒りは自分へのもの。だが、それをぶつけるには申し分のない相手。

その為には、眼の前に立ち塞がるコイツらを切り捨てなくちゃならねぇ……。

……出来るのか……俺に。


596 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:08:02.19 ID:yHYfa9mAo
ザザッ…スタッ

隊長「……すーっ」

肺の中へ大きく息を吸い込み、黒いモヤの中へと再び潜り込む隊長。

後方からは南方魔道長による追い風が援護となる。

ゴウッ!!

黒煙が晴れた一瞬の隙間で、互いを攻撃し合う魔道兵。隊長はその間へ割り込むように、

体を忍び込ませると、剣を鞘ごと担ぐ背中から降ろし、そのまま右手で握り締める。

鋸上の刀身を納める為に、通常の剣よりもかなり大きい鞘。その平坦な部分で、

隊長は力任せに魔道兵を側面より殴りつける。

バゴオオォォォォ!!…ゴシャアァッ!!

鈍い音と共に、一人の魔道兵が吹き飛ばされ、土の上で意識を失った。

隊長(骨の数本は、覚悟してくれやっ!)

反転して振り向きざま、後方で戸惑う魔道兵へも同様、鞘での殴打を一撃浴びせる。

ゴガアアァァ!!…ズシャアアァァ!!

地面へ転がる魔道士兵など見向きもせず、隊長は次なる標的の元へと走っていた。


597 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:09:02.19 ID:yHYfa9mAo
南方魔道長「もう一丁……っ!」

ドドオオォォン!!…ゴゴオオォォ!!

隊長(いい風だっ!!)

まさに追い風の如く、駆けるその背中を後押しするように吹き付ける風魔法。

その勢いのまま隊長は、数人の魔道兵が集まる場所へと大きく跳躍した。

隊長(地面を叩き割って身動きを――)

ブワッ

アカ・マナフ「……お前……見覚えがあるな」

隊長「――!?」

もやの一部が人型の魔物、即ちアカ・マナフへと変化し、隊長の眼の前へと立ちはだかる。

アカ・マナフ「この瘴気の中……正気とはね」

隊長(魔物のギャグは……笑えねぇな!!)

鞘から長剣を抜きかけたその時、隊長の腹部に激痛が走った。

隊長「がは……っ……!!」

魔道兵「ケケ……ケキャキャキャキャッ!!」


598 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:09:43.89 ID:yHYfa9mAo
メキッ…ボゴオオォォォォ

地面より突き出したハンマーのような土の柱。隊長の体は押し上げられ、

そのまま一気に後方へと激しく吹き飛ばされた。

ザンッ…ズザザザッ…ゴロゴロゴロッ

隊長「かはっ、は……ぁ……っ!!」

ヒューッ、ヒューッ、と苦しそうな呼吸を繰り返す隊長の元へ、

異変に気付いた南方魔道長が走り寄り肩を貸す。

南方魔道長「どうしたっ!?」

隊長「……流石国軍が誇る……魔道兵……っ」

南方魔道長「はぁ!?」

隊長「ちきしょう、これじゃあキリがないな。……霧だけに」

南方魔道長「馬鹿な事言ってる場合か」

隊長「おいおい、魔物よりは面白いだろ?」

南方魔道長「どうすんだよ!? このままじゃここは壊滅するぞ」

隊長「何とか止めるしかねぇが……止めるしかねぇんだが、参ったなこりゃ……」


599 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:10:56.20 ID:yHYfa9mAo
ザッ

隊長「まぁ、遮二無二やるしかねーわな」

南方魔道長「おい、また行くつもりか?」

隊長「それしか手はねぇ。時間は掛かるが一人ずつ気を失わせるしか方法はない」

南方魔道長「肝心のアカ・マナフはどうする?」

隊長「……俺は、そんなに魔法ってのは得意じゃないんだよなぁ」

南方魔道長「……」

隊長「土行には多少、自信はある。お前レベルには引き上げられる」

南方魔道長「……まさか」

隊長「ヤローと心中ってのは気が進まんよなぁ。お互いによ」

南方魔道長「そりゃそうだ。死ぬなら妻子に看取られて死にてーモンだよ」

隊長「何!? お前子供もいんのかよ!?」

南方魔道長「今年で3歳になる。かわいいぞ」

隊長「……聞くんじゃなかったよ全く……っ」

南方魔道長「どっちの意味かは聞かないでおくぜ」


600 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:11:41.04 ID:yHYfa9mAo
ジャリッ

隊長「魔力練っておいてくれ。合図とともに合体五行だ」

南方魔道長「その前にくたばるなよ」

隊長「おうよ」

バッ!!…タタタタッ!!

南方魔道長「……結婚するならああいう男を選んで貰いたいもんだな」

タッタッタッタ…ズザザザ

隊長「すーっ」

ピタッ…シュバッ!!

隊長(このモヤを警戒して姿を見せれば、さっきの二の舞だ……)

ザザザッ…タンッ

隊長(視界が悪いが、ここはモヤの中を進むに限る!)

魔道兵「俺の魔法を喰らええぇぇ――」

ゴシャッ!!…ゴロゴロゴロ

隊長(寝てろ!)


601 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:13:50.48 ID:yHYfa9mAo
アカ・マナフ「いつまで続けるつもりだ?」

隊長(出やがったか……っ。もう少し準備させろよな)

アカ・マナフ「何かしようと企んでいるようだが、それは筋違いというもの」

ブワッ

アカ・マナフ「一瞬で……楽にしてやる」

隊長「……っ!!」

ザザッ

魔道兵「敵っ、敵っ、敵いいぃぃぃぃ!!」

隊長(囲まれた!? どうする……っ!!)

キュイイィィィィ

魔道兵「敵は……討ツウウゥゥゥゥ!!」

隊長(殺るしか……ねぇか)

チャキッ

隊長(後世の為だ、悪く思うなよ……っ!)

アカ・マナフ「!?」


602 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:14:32.37 ID:yHYfa9mAo
ドサドサドサッ

隊長「……」

アカ・マナフ「……何だ……これは」

隊長(俺はまだ……斬ってねぇぞ!?)

突如その場に倒れだす魔道兵達。その刹那、突風がアカ・マナフの黒煙を吹き飛ばした。

ゴゴオオォォォォ…

バサッバサッバサッ

隊長「――!?」

スタッ…ザッザッザ

アカ・マナフ「……貴様は」

召喚士「ご無事ですか? 隊長」

隊長「朱雀先生に……司令か」

天才「ハーッハッハ! ハデにやってくれんじゃないの? 眷属ちゃんよぉ!」

アカ・マナフ「……何をした?」

召喚士「やっぱり、アカ・マナフにはザントマンは利かないか」


603 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:15:18.28 ID:yHYfa9mAo
天才「十分だ。無駄な死は防げたってもんよ」

チラッ

天才「もっとも、残ってるのは何十人だって話だけどな」

600名程いた魔道兵は、その全てが地面へとその身体を寝かせていた。

そのうち意識のあるものは限られており、同士討ちの被害を物語っている。

隊長「アカ・マナフです」

天才「わーってるよ。んじゃ、ちょっくらやりますか」

アカ・マナフ「あの、わけの分からぬ召喚獣で……」

召喚士「……」

アカ・マナフ「……我が肉体を……消し去った輩!!」

召喚士「何人もの命を弄んだ罪、ここで償ってもらうぞ!」

タッタッタ

南方魔道長「何が起き……!?」

アカ・マナフ「まとめて……葬り去ってくれるわ!」

召喚士「望むところだ!!」


604 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:15:54.03 ID:yHYfa9mAo
ババッ

召喚士はザントマンとクジャタを退け、コカトリスとワイバーンを空中からあたらせる。

それに呼応し、天才が素早くアカ・マナフの懐へと飛び込んだ。

コカトリス「はあぁーっ!!」

ドドオオォォォォン!!…ゴアオオォォォォ!!

アカ・マナフ「石化……」

コカトリスの息を素早くかわし、正面切って突撃するワイバーンへと振り向くアカ・マナフ。

ワイバーンは直前で上昇し、攻撃は仕掛けない。

アカ・マナフ「……下か」

天才「ご名答っ!!」

ザシュッ!!…ボフゥッ

天才「……ちっ、魔法剣でも手ごたえほとんどなし」

隊長「直接攻撃は厳しい。召喚獣との連携が必要です!」

天才「はいはい!」

態勢を整える天才は、隊長の隣に並び、大剣を構え直した。


605 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:16:23.51 ID:yHYfa9mAo
スゥッ…

アカ・マナフ「……」

召喚士「後ろっ!!」

その声に反応し振り向く隊長と天才。背後からは黒いもやがその身体を襲う。

南方魔道士長「させるかっ!」

ドドオオォォォンッ!!…ゴゴオオォォォォ!!

隊長「ナイス!」

天才「お前はそれだけに専念してくれ!」

南方魔道長「了解っ!」

アカ・マナフ「……そのような小細工が……いつまで続くか」

天才「テメーを倒すまでだよ!!」

キュイイィィィィ

南方魔道長「五行かっ!?」

天才「吹き飛べやオラァ!!」

ドドオオォォォォンッ!!


606 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:17:26.55 ID:yHYfa9mAo
アカ・マナフ「――ッ!!」

ガカアアァァァァ!!…ズズウウゥゥゥゥン

隊長「無茶しやがる……っ」

天才「……魔王討伐からは全力だ。長年溜めてきた魔力……全て出す!」

召喚士「……っ」

それはイコール、死に繋がる。天才を除く誰もが分かりきった答えであったが、

その場でそれを止められる者は一人もいない。いや、止める事は不可能だった。

アカ・マナフ「グ……フゥ……」

天才「流石にあの程度じゃ、致命傷までにゃ程遠いか……」

アカ・マナフ「主より頂し肉体と魔力……これ以上の無駄は許されぬのだ……!」

天才「知るかよ」

アカ・マナフ「……ふざけるなよ……人間ッ!」

天才「大真面目だっつーの」

アカ・マナフ「オアアァァァァーッ!!」

召喚士「……ここだっ」


607 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:18:35.45 ID:yHYfa9mAo
バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「次は外さん!」

アカ・マナフ「!?」

ドドオオォォォォン!!…ゴゴオオォォォォ!!

アカ・マナフ「ヌ……グ!!」

ビキビキビキッ…ピシッ

隊長「おらぁ!!」

石化したアカ・マナフの一部を隊長の剣が一閃する。斬る、というよりは鋸上の刃で、

岩の塊を破壊するといったような表現が正しいだろうか。

ズッガアアァァァァン!!

アカ・マナフ「この……程度……っ!!」

ボフンッ!!…シュウウゥゥゥゥ…

南方魔道長「本体ごと霧状に……っ!」

天才「待てっ、吹き飛ばすな! 本体まで見失う事になる!」

南方魔道長「……了解っ」


608 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:19:15.50 ID:yHYfa9mAo


隊長「……」

召喚士「……」

シュウウゥゥゥゥ

南方魔道長「……」

天才「……おかしい」

召喚士「えっ?」

天才「何で仕掛けてこねぇ……。気配が薄れてねぇか?」

隊長「確かに」

天才「ヤロォ……そういう狙いかよっ!!」

召喚士「ま、まさか……っ!」

天才「場所を変えやがった!! どっちだ!?」

隊長「手分けするしかねぇ!」

天才「お前ら二人は北側へ向かえ! 俺らは南だ!」

召喚士「はいっ!」


609 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:20:49.49 ID:yHYfa9mAo
〜火山、南東側〜

男隊員「ここから行けるんだよな?」

アマゾネス「ああ。そんなに遠くはない」

女隊員「どうするッスか?」

男隊員「本来なら俺らも同行せにゃならんところだが……」

女隊員「南方魔道長に隊長まで抜けちゃったッスからね……」

アマゾネス「案ずるな。自分達の事は自分達出来る」

おさげ「そうそうっ♪」

男隊員「……」

アマゾネス「お前らは敵へ、全力で当たってくれ」

男隊員「大丈夫……なのか?」

アマゾネス「ああ。少し気になるしな」

女隊員「……?」

アマゾネス「森、というか空気全体が……何か変な感じがするのだ」

男隊員「……」


610 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:21:22.56 ID:yHYfa9mAo


女隊員「それじゃ、気を付けるッスよ」

おさげ「安心なさいなっ、ここは私達の庭みたいなものよ〜」

男隊員「だがなぁ、平時とは状況が違う」

アマゾネス「分かっている。そちらこそ気を付けろよ」

女隊員「もちろんッス!!」

魔道兵「それでは、ご武運を!」

男隊員「おーし、残り2ヶ所だ。気張って行くぞー!」

女隊員「おぉーっ!」

ザザッ…パッカパッカパッカ

おさげ「長っ、私達も……」

アマゾネス「ああ。召喚獣、いつでも出せるようにしておけよ」

おさげ「はいなっ♪」

アマゾネス「……」

国軍の部隊と別れ、アマゾネスとおさげは村を目指し走って行った。


611 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:22:17.40 ID:yHYfa9mAo
〜火山、北側〜

タッタッタッタッタ

ジュニア「おっ!?」

隊長「無事か!?」

大軍師「隊長……? どうなさったので?」

隊長「北西側でアカ・マナフが出現した。負傷者多数だ! 衛生兵とプリーストを!」

大軍師「!?」

南方魔道長「こっちが無事って事は、アカ・マナフは南か……」

隊長「あとはあの2人に任せるしかねぇ。とにかく南西砦からありったけの衛生兵を!」

大軍師「了解です。斥候、急ぎ……南西砦へ向かって下さい」

伝令「了解でありますっ!」

グイッ…ドドッドドッドドッ

大軍師「賢者殿、ひとまず応急処置へ向かって頂けますか?」

賢者「……仕方ないね、ふぅ」

大軍師「宜しくお願い致します」


612 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:23:12.78 ID:yHYfa9mAo
隊長「急を要する。急ぐぞ!」

賢者「……ふぅ」

タッタッタッタッタ

魔道士「だ、大丈夫ですかね……っ」

大軍師「事は、予想以上に動いているようですね」

剣士「……っ」

大軍師「予言も、残酷なものですね……」

魔道士「……?」

大軍師「これ以上の被害は避けたいところです。仕方ありませんね、駒を進めましょうか」

青年兵「どうするのですか?」

大軍師「火山の様子を伺いつつ、魔王を刺激しましょう」

白虎長「早すぎませんか……?」

大軍師「そう思います。しかし、これ以上の被害は甚だ見逃せません」

ジュニア「確かに、魔道兵が減れば減るほど、威力は落ちるだろうしな……」

大軍師「別働隊の皆様、進軍致しますよ」


613 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:24:05.83 ID:yHYfa9mAo
〜火山、西側〜

バシュウウゥゥゥゥ

天才「……しっかし、召喚獣ってのは便利だなぁ」

ワイバーン「貴様、乗り物か何かと勘違いしておらぬか?」

天才「ハーッハッハ!」

ワイバーン「……おい、コイツ振り落としていいか?」

召喚士「ち、ちょっと……っ!?」

コカトリス「むっ」

召喚士「どうしたの!?」

コカトリス「あれではないか?」

天才「いやがった!」

ザッ

ワイバーン「お、おい……!?」

天才「振り落とされるのは怖いから、先に飛び降りちゃう」

召喚士「!?」


614 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:24:52.21 ID:yHYfa9mAo
バッ…ヒュウウゥゥゥゥ…

ワイバーン「何という人間か……っ」

召喚士「お、俺らも急ごう!」

コカトリス「ああ」

バサッ…ドシュウウゥゥゥゥ

天才「おらおらおらああぁぁぁぁ!!」

アカ・マナフ「!?」

ザシュウウゥゥゥゥ!!…スタッ

アカ・マナフ「利かぬと何度言えば分かる」

天才「バーカ。挨拶代わりだよ。やっぱ登場はカッコよく――」

ズドオオォォォォン!!

天才「――っ!!」

シュウウゥゥゥゥ

魔道兵「敵は殺す!!」

ザッザッザ


615 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:25:26.00 ID:yHYfa9mAo
魔道兵「ケヘッ! クハハハハッ!!」

天才「てめえら……」

アカ・マナフ「さぁ、どうする?」

天才「俺様に手をかけるたぁ、どうなるか分かってんだろうなぁ!!」

召喚士「天才さんっ、殺しちゃ駄目だっ!!」

天才「まとめて減給だぞこらぁ!!」

キュイイィィィィン…ドドオオォォォォン!!

魔道兵「がはあぁーっ!!」

ドサドサッ

召喚士「……っ」

天才「頭冷やして、少し反省してろ」

凍りつく魔道兵らの甲冑。その奥で彼らは苦痛の表情を浮かべる。

召喚士「生きてる……?」

天才「何の為の新装備だよ。ちょっとくらいの魔法じゃ、致命傷にはならんっての」

召喚士「……そ、そうかっ!」


616 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/06(月) 18:26:23.50 ID:yHYfa9mAo
〜火山、北西側〜

シュウウゥゥゥゥ…

賢者「……これはひどいね……ふぅ」

隊長「重傷者から優先的に治癒していこう」

南方魔道長「そうだな。軽傷者は衛生兵がくるまで、応急処置で絶えて貰うしかあるまい」

魔道兵「……ぐ……うぅ」

隊長「……っ」

魔道兵「いてぇ、いてぇよぉ……っ!!」

隊長「ザントマンの眠りは幸いだな。麻酔代わりというか何というか……」

南方魔道長「そのまま静かに、息も引き取れるしな……」

賢者「儚いものだね……ふぅ」

パアアァァァァ

魔道兵「……ぐ……あぁ」

隊長「しっかりしろよっ! もうっちょっとの辛抱だ!」

下唇を噛み締め、隊長と南方魔道長は、負傷者の身体を寝かせ必死で励まし続けた。



次へ 戻る 戻る 携 上へ