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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その24
- 890 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/02/03(木) 18:51:02.02 ID:+txmVDANo
そして二日後、即ち今日だったな。こんな事になったのは……。
格闘家「……」
西の広場というのは……寒いな。
テクテクテクテク
格闘家「……」
天才「ご苦労ご苦労」
格闘家「三度目は怒りますから」
天才「あぁ?ごちゃごちゃこまけぇヤローだな。金玉ついてんのか」
格闘家「……」
天才「ま、お前のお陰でうまくいったよ。サンキュー」
格闘家「どうも」
天才「さーて、残るはあと――」
フォンッ
格闘家「!?」
天才「あん……?」
- 891 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/03(木) 18:51:31.04 ID:+txmVDANo
ドサッ!!
天才「ぐえっ!」
格闘家「師匠っ!……人?」
天才「…っつぅ!何だってんだよ一体……」
フニフニッ
天才「……何だこれ?」
格闘家「どうみても人かと。突然…振ってきましたけど」
天才「……こいつ……っ」
格闘家「……見覚えありますね」
天才「……」
魔道士「…………」
ペチペチッ
天才「おーい」
魔道士「……」
天才「……息はあるな」
- 892 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/03(木) 18:53:56.69 ID:+txmVDANo
格闘家「外傷も特にないようですが……」
天才「何か術を施されてるのか?」
グッ
格闘家「…どうします?」
天才「とにかくこkじゃ何だ。病院へ運ぶぞ」
格闘家「はい」
スタスタスタ
格闘家「……あの」
天才「あ?」
格闘家「病院へ運ぶのでは……」
天才「運ぶよ。お前が」
格闘家「……」
天才「ほれ、早くおぶって病院へ行くぞ!」
格闘家「……はぁ」
やはり師匠は……自由気ままだ。
- 893 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/03(木) 18:54:38.32 ID:+txmVDANo
〜病院〜
天才「急患だぞぉー!」
看護士「!?」
天才「おっと驚かせちまったか……」
看護士「あ、あのぉ……」
格闘家「すみません、この方を診て頂きたく……」
看護士「!?……は、はい!急患ですねっ」
天才「だーから、急患って言っただろうがよ」
タッタッタッタ
ドクター「お待たせしました!患者はどちらに!?」
格闘家「この方です」
ドクター「意識は…?」
天才「ねぇ。それから、広めの個室を用意してくれ」
ドクター「……?」
天才「あーそうだ、その突き当たりに広い手術室あったろ。そこでいい」
- 894 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/03(木) 18:55:05.61 ID:+txmVDANo
…
ギイイィィ…ガシャン
ドクター「……」
ススッ…パラッ
ドクター「……目立った外傷もなく、病気のような症状もないですね」
格闘家「……」
ドクター「ただ眠っているだけのように見えますが……」
天才「はーっはっは!それだけ分かりゃ十分!」
ドクター「…?」
天才「やっぱりな。こりゃあ夢魔の仕業だ」
格闘家「夢魔……?」
天才「ああ。夢の中に入り込んで、魔力も精力も吸い尽くす魔物だよ」
ドクター「……っ」
天才「こいつは厄介だな」
格闘家「どうすれば…いいんです?」
- 895 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/03(木) 18:55:32.39 ID:+txmVDANo
天才「コイツの夢の中へ入り込んで、夢魔を倒す」
格闘家「そんな事…出来るんですか?」
天才「出来る。俺はな」
ドクター「何か、お手伝いする事は…?」
天才「とりあえずここを面会謝絶にしてくれ。余計な邪魔が入ると厄介だ」
ドクター「……それだけ…ですか?」
天才「それだけ…です。だってお前らじゃ役に立たねーし」
格闘家「……」
天才「おい」
格闘家「はい」
天才「お前は一睡もせず、俺とコイツから目を離すな」
格闘家「……?」
天才「夢の中にいられなくなった夢魔は表に飛び出す」
格闘家「それを仕留めろと…?」
天才「はーっはっはっは!そういう事よ!」
- 896 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/03(木) 18:56:02.94 ID:+txmVDANo
格闘家「俺に…出来ますか?」
天才「知らん。いざとなったら俺らを起こせ」
格闘家「……はい」
天才「そんじゃ頼んだぜ」
テクテクテク…バサッ
格闘家「…師匠?」
天才「寝る!おやすみ!」
格闘家「……」
ドクター「……」
格闘家「…………」
ドクター「本当に…寝てしまわれましたね」
格闘家「夢魔…。夢の中に魔物とは……」
ドクター「にわかには信じ難いですが……」
格闘家「師匠が嘘をつくとは思えません」
ドクター「そうですね……。一応、もう一度検査しておきましょうか」
- 897 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/03(木) 18:56:34.68 ID:+txmVDANo
…
格闘家「……」
そして今に至るわけだよな。
格闘家「……」
あれから1時間……。はたしてどうなっているのだろうか。
格闘家「……」
俺に力があれば、師匠の補佐程度にはなったかもしれない。
格闘家「……」
己の無力さに怒りがこみ上げる……。
格闘家「……」
何故、俺は魔力を持たないんだ。何故……助けになれないんだ……っ。
格闘家「……」
もっと強く、もっと強くなりたい。いや、ならならくてはいけない。
格闘家「……」
あと一年程度しかないんだ。魔王……討伐作戦まで……。
- 898 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/03(木) 18:57:02.66 ID:+txmVDANo
〜夢の中〜
ドサッ
魔道士「……っ!!」
ムクッ……フラフラッ
魔道士「……うぅ」
召喚士「魔道士さんっ!大丈夫ですか!?」
魔道士「召喚士さんっ!!」
召喚士「……怪我は…していないようですね」
魔道士「……他の皆さんは!?」
召喚士「分かりません…。どうやら俺達だけのようです…」
魔道士「!!」
召喚士「何か嫌な予感がしますね。ここを離れて外へ――」
ザッ
天才「……待ちな」
魔道士「天才……さん!?」
- 899 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/03(木) 18:57:45.64 ID:+txmVDANo
ザッザッザ
天才「久し振りだな嬢ちゃん。そいつから離れな」
魔道士「え…っ!?そ、そいつ……って?」
天才「その朱雀先生もどきからだよ」
魔道士「へっ!?」
召喚士「天才さん…!?一体、何を言って……」
天才「おーおー、気安く人様の名前を呼ぶんじゃねーよ」
召喚士「……っ!?」
天才「そいつは魔物だ。いいから離れろっ!!」
召喚士「一体……な、何が……」
魔道士「召喚士さん…っ」
召喚士「魔道士さん、俺の後ろに…退がって下さい!」
天才「魔道士っ!早くこっちへ来い!!」
召喚士「お前こそ魔物だな…!?化けの皮を…剥がしてやる!!」
魔道士「……っ!!」
- 900 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/03(木) 18:59:06.78 ID:+txmVDANo
天才「…図に乗るなよ…夢魔の分際でよぉ…!!」
不敵な笑みを浮かべる天才は右手で引き摺る大剣を身体の前へ起こす。
召喚士「く…っ!!」
ザザッ
魔道士「召喚士さんっ!」
召喚士「…やるしか…ないのかっ!」
天才「……ブッ殺す!」
召喚士「行けっ!コカトリス!!」
シュイィン
暗闇に響く掛け声と共に、コカトリスが召喚士の頭上へと姿を現す。
天才「そこまでやるかよ……っつーか……でけぇなおい!」
召喚士「コカトリス!天才さんの偽者を倒すんだ!!」
天才「ちっ。……ちょうどいい、コイツの斬れ味……試してみるか」
迫り来るコカトリスを睨みつけ、天才は手にした大剣を振りかぶる。
天才「……この……ツヴァイハンダートライのなぁ!!」
- 901 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/02/03(木) 19:02:31.70 ID:+txmVDANo
こんばんはー。今日もお疲れ様です!
>>857
そうなんです!最初悩んだのですが
召喚獣バハムートだと竜のイメージが強いと思って竜にしました
>>865
つまりこういう事でした!ややこしくてすみません…
今回はオマケどうしようかな…。何かあればお願いします
週末に>>950差し掛かるようなら頑張ってみますです!
では、失礼致します!ご支援感謝感謝!ノシ
- 904 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/03(木) 20:15:13.02 ID:DaIk93UFo
同一IDに期待せざるを得ない
- 913 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/04(金) 07:53:33.32 ID:nNpohdbAO
>>1乙
おまけは魔物側の魔物同士の恋物語を希望
てか、魔物ってどうやって子孫と言うか、同族増やすんだろう…?
- 917 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/04(金) 17:48:49.12 ID:2ZiLQH9uo
〜海峡〜
盗賊「…………」
ピクッ
盗賊「……っ」
衛生兵「気付いたっ!?大丈夫……っ!?」
盗賊「…ん……!?」
パチッ……ガバッ
衛生兵「起きられる?大丈夫…?」
盗賊「……こ…こは?」
衛生兵「ここは海峡よ」
盗賊「海峡……!?」
ヨロッ…スタッ
盗賊「…海峡……何故?私は……」
衛生兵「一体何があったの?」
盗賊「……」
- 918 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/04(金) 17:49:25.46 ID:2ZiLQH9uo
…
将軍「ひとまずは、無事で何よりだ」
盗賊「…ありがとう…ございます」
将軍「聞けば、空から突如降ってきたとの報告」
海峡兵「はいっ!私は間違いなく見ました!」
将軍「何があったのだ…?」
盗賊「……」
出された紅茶を一杯すすり、盗賊はゆっくりと一部始終を口にする。
海峡兵「……っ!!」
将軍「なんと……っ」
盗賊「…何故…ここへ来たかは分からぬ」
海峡兵「一体…どういう事なのでしょうかね?」
将軍「そのゲーデとかいう魔物、運命やら人生やらと言っておったのだろう?」
盗賊「……ああ」
将軍「ここへ来たのは、君の運命なのかもしれぬな」
- 919 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/04(金) 17:50:12.84 ID:2ZiLQH9uo
盗賊「……」
将軍「何か重要な事があるのかもしれん。ふははっ」
海峡兵「……将軍っ、そんな楽観的な事言わないで下さい」
将軍「……むぅ」
軽い気持ちで発言した将軍であったが、あながち間違いではない。
この日の出来事において、後に起こる大戦果に繋がるとは、
盗賊はおろかこの時点ではまだ誰も知る由はなかった。
将軍「とにかく、今日は1日ここで休むといい」
海峡兵「そうですね。是非、そうなさって下さい!」
盗賊「…しかし」
将軍「皆が心配か?案ずるな、むしろ1日置いた方が良いと思えるが」
盗賊「…?」
将軍「他の者もきっと同様なのであろう?ならば今頃……」
海峡兵「そうですよ、ワークショップに連絡がいくかもしれませんし」
盗賊「…なるほど…確かにそうだな」
- 920 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/04(金) 17:50:57.39 ID:2ZiLQH9uo
…
衛生兵「…うん。傷は特にありませんね、大丈夫」
盗賊「…ありがとうございます」
衛生兵「但し、魔力が枯渇してますから。しばらくは気を付けて下さい」
盗賊「…分かりました」
スクッ…スタスタスタ…ガチャッ
盗賊「…!?」
兵長「!!……お、お身体は…大丈夫で…!?」
盗賊「……え、えぇ」
兵長「良かった……っ。盗賊さんがいらっしゃったと聞いて…慌てましたよ」
盗賊「…?」
兵長「あ、覚えて…らっしゃらないですよね……ははっ」
盗賊「……ああ、いつぞやの時の」
兵長「決死の突破で白虎長様を救った姿……感動したものです」
盗賊「……ど、どうも」
- 921 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/04(金) 17:51:46.82 ID:2ZiLQH9uo
兵長「何かお手伝い出来る事があれば、何なりと!!」
盗賊「…ありがとう…ございます」
兵長「では、失礼します!」
カツカツカツカツ…
盗賊「……」
私は、今回の戦いでも……役に立てたのだろうか?
テクテクテクテク…
結局、自分のせいで皆をこのような目に合わせてしまった……。
盗賊「……」
占い師を蔑まれ自制心を抑えられなかった自分を悔やむ盗賊。
かつての盗賊であればいとも思わず感情を露にする事もなかった。
それは召喚士、魔道士、そして戦士と出会い、旅をする事で生まれた感情。
盗賊の笑顔は何も全てが良い方向に進むものではなかった。
テクテクテク…ザッ
悔しいし今回の事は反省する。でも私は、感情を再び得た事に……恥はない。
- 922 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/04(金) 17:55:07.97 ID:2ZiLQH9uo
テクテクテク…
盗賊「……」
皆と再会したら……謝ろ。うん。
盗賊「……?」
ザッザッザ
盗賊「…いつのまにか…こんな所まで」
橋を抜けた先、考え事をしながら盗賊は森の手前まで歩いていた。
盗賊「……確か」
その森はかつて、北での戦いにおいて一度訪れた場所……。
盗賊「……っ」
当時の記憶が蘇り、盗賊の身体に緊張が走る。
キラッ
盗賊「!?」
森の木陰の隙間、盗賊は何かが光るのを目撃する。。
優れた洞察力と視力の為せる技。それが光の主をすぐに捉えた。
- 923 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/04(金) 17:56:02.31 ID:2ZiLQH9uo
盗賊「……今のは!?しかし……っ」
タタッ…
この森に踏み込んだ上位ワーカー三人は……帰ってこなかった。
ザッ…
そして、魔法剣士や……コカトリスまでが一撃で粉砕された。
ザッ…
魔力も枯渇している私が、勝てるなどとは……。
ザッ
盗賊「……っ」
違うっ!これは無謀なんかじゃない!勇敢だっ!!
ザッザッザ…タタタッ
確認しなくちゃいけないんだっ!今、ここで……私がっ!!
ガサッ…タタタッ…
盗賊「勝てなくたっていい。諦めずに進む。……それが私だっ!」
強い口調で自分に言い聞かせる盗賊。同時に、北の森へと足を踏み入れた。
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