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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
659 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:47:29.06 ID:pLfomXBVo
〜名代の屋敷〜

青年兵「ここが名代様のお屋敷ですか……」

名代「手狭な屋敷で申し訳ありません」

青年兵「い、いえ……。十分大きいです」

名代「さ、どうぞ。お入り下さいませ」

青年兵「お邪魔致します」

召喚士「失礼します」

テクテクテク

小姓「お帰りなさいませ。おや、召喚士様と……」

青年兵「始めまして。本国より参りました、青年兵と申します」

小姓「これはご丁寧に。名代家に仕えております、小姓……と申します」

名代「茶の用意をしてくれ。離れの道場に居る」

小姓「畏まりました」

名代「それでは参りましょう。此方です」

召喚士「はい」


660 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:48:32.90 ID:pLfomXBVo
〜道場〜

名代「どうぞ」カタッ

召喚士「失礼します」

青年兵「ここは……?」

名代「私の稽古場おでも申しましょうか。まぁ気楽になさって下さい」

青年兵「これは、魔方陣ですか?」

名代「召喚術で言うそのようなものですね。さて、早速ではありますがお話を聞かせて頂けますか?」

召喚士「あ、はい。実は……ですね……」

 青年兵より伝言をうけた予言の話を、自身の経験に交え、召喚士は名代へと説明を始めた。

召喚士「つまり、不死の山に陰陽道と召喚術を繋ぐ何かがあるのではないかと」

名代「……成程」

召喚士「手掛かりがない以上、それ以外の方法はやっぱり難しいと思います」

名代「同感ですね。しかし、この時期、不死山への登山は非常に困難ですよ?」

召喚士「ええ……っ。流石に地理も分からず1人で行くのは無謀だと思います」

青年兵「どなたか、案内役になりそうな方はいらっしゃいませんか?」


661 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:49:07.07 ID:pLfomXBVo
名代「……ただですら行く者は限られますからね。ましてやこの時期となると……」

召喚士「やっぱり、居ませんか?」

名代「ええ。せいぜい総本山の僧侶達くらいではないでしょうか」

召喚士「……そっかぁ」

名代「お力になれず、申し訳ありません」

召喚士「いえっ、こっちこそ無理を言ってしまい……すみません」

名代「……」

召喚士「……」

青年兵「あ、あの。もし宜しければ、もう1度、式神を見せて頂く事は出来ませんか?」

名代「え、ええ。構いませんよ。喜んで」スクッ

青年兵「……」

名代「では手っ取り早く、札から使役させて頂きます。……はっ!」

ヒュンッ……ボンッ!!

猫又「あっ、名代さまだ!」

名代「猫又、来客中だ。静かに――」


662 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:49:33.55 ID:pLfomXBVo
トットットッ…ピョコン

猫又「……ふにゅううぅぅ」

名代「……式神……猫又に御座います……っ」

青年兵「おぉ、先日の毘沙門天といい……やはり召喚獣そっくりですね」

召喚士「うん。だからこそ式神こそが五行目の召喚獣だと俺は思ってるんだ」

青年兵「名代様はどのようにして、この式神を入手なさったのですか?」

名代「ええ。陰陽道は代々、限られた一族のみに受け継がれております」

青年兵「なるほど……」

名代「私も父や叔父、そして父らは祖父より、代々受け継がれておるのです」

召喚士「何か、会得には条件が?」

名代「特には。ただ生まれながらにして後継者と決められるようです」

召喚士「……?」

名代「生後間もないうちより、陰陽道を施されるようです」

青年兵「施される!? 術か何かですか?」

名代「左様。太極図と呼ばれる特殊な図円に赤子を寝かせ、術を施すそうです」


663 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:50:33.38 ID:pLfomXBVo
召喚士「……似てる」

名代「……?」

召喚士「召喚術で言う、召喚界へ行く行為と似ているんです」

名代「何と……っ」

召喚士「もしかして、それは満月の夜に行うのでは!?」

名代「えぇと……しばしお待ちを」

スクッ…スタスタスタ

猫又「ふわぁ〜」

青年兵「こ、こんばんは」

猫又「すんすんっ。初めて嗅ぐ匂いだな。誰っ?」

青年兵「青年兵って言います。宜しくね」

猫又「興味ないのじゃ。ぷいっ」

青年兵「…………」

スタスタスタ

名代「お待たせ致しました。……どうかなさいましたか?」


664 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:51:02.90 ID:pLfomXBVo


召喚士「これは?」

名代「陰陽道を記した書です。と申しても、代々受け継いだ手記ですが」

パラッ…パラパラ

名代「ちなみに門外不出ですので、何卒、口外無用と言う事で」

召喚士「わ、分かりました」

名代「……ありました。やはり召喚士殿の申す通り、満月の夜に限るようですね」

召喚士「やっぱり! これで1つ、道は繋がった!」

青年兵「召喚獣も式神も、同じような別の世界が存在し、そこに住んでいる……」

召喚士「サモナーさんが言っていた、生物は等しいという説……」

青年兵「……っ」

召喚士「それに、マーマンさんが言っていた……魔物と召喚獣の関係……」

名代「つまり、妖は式神であり、式神は妖。召喚術も陰陽道でありその逆も然り……ですか?」

召喚士「え……っ?」

青年兵「あ……」


665 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:51:29.59 ID:pLfomXBVo
名代「……?」

召喚士「……そ、そうだよ。何で……気付かなかったんだ……っ」

青年兵「マーマンさんは召喚獣から……魔物になったんだ……」

召喚士「俺の父は人間から召喚獣に……」

青年兵「ネクロマンサーや左大臣は……人間から魔物に……」

召喚士「じゃあ……魔物だって……召喚獣に……」

青年兵「なってもおかしく……ありませんよ!」

名代「ど、どういう事でしょうか……?」

召喚士「不死の山に居た夫人。そして、別の世界……繋がった……っ!」

青年兵「つまり召喚獣と魔物。東方で言えば、式神と妖は密な関係にあるという事です」

名代「密……っ、しかしそれでは……」

召喚士「確かに両者は住む世界も違う。召喚界と地獄……」

青年兵「何かしらの条件や理由で、区別されるという事でしょうかね」

名代「陰と陽は表裏一体。陰陽とはまさに光と影を表す言葉です」

召喚士「光あれば影がある。表裏……それが、召喚獣と魔物?」


666 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:51:59.18 ID:pLfomXBVo
青年兵「確かにそれならば、マーマンさんが魔物になった理由も説明がつきますね!」

召喚士「じゃあ俺が式神を手に入れるには……」

青年兵「不死の山にある、別世界というのが……式神の棲む場所」

召喚士「式神かどうかはまだ分からないけれどね」

名代「ついに、掴めてきましたな!」

召喚士「ありがとうございます! 名代さんのお陰ですよ……いや……」

青年兵「……?」

召喚士「名代さんだけじゃない。青年兵くんやサモナーさん、マーマンさん……そして」

名代「……」

召喚士「師匠、父さん。みんなのお陰で……真実に辿り着けそうなんだ」

青年兵「でも、ここまで来られたのは、召喚士さんの力があったからです」

名代「これは召喚士殿に託された宿命。生まれもってのものなのかもしれませぬ」

召喚士「……」

名代「あとは不死山へさえ行く事が出来れば……」

トントントン…カタッ


667 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:52:29.73 ID:pLfomXBVo
小姓「失礼致します。茶をお持ちいたしました」

名代「有難う。そこへ置いてくれ」

小姓「それと、客人がお見せになられておりますが」

名代「こんな時間にか?」

小姓「早朝より城へ行かれるとの事で、事前に挨拶をと申されまして……」

名代「城へ? 一体何者だ」

小姓「例の、総本山の槍侶殿です。戦が近日中と聞きつけ、打ち合わせに参られたと」

名代「何っ!?」

召喚士「総本山の……槍侶さんって……!」

名代「はーっはっはっはっは!!」

小姓「……み、名代様?」

名代「これは何と言う機運かっ! 召喚士殿、貴方はやはり宿命を背負っておられるようですな」

青年兵「も、もしかして……っ」

名代「槍侶殿の帰路に共すれば、不死山を登る事が出来まするな」

召喚士「……っ!!」


668 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:52:59.38 ID:pLfomXBVo
〜旅籠、風呂〜

カポーン

西方参謀「い〜い湯だなぁ〜ヒック」

戦士「浸かりながら飲むと酔いが回ってぶっ倒れるぞ?」

西方参謀「バカヤロー。本国1の酒呑みナメんなぁ〜ヒック」

東方参謀「放っておけ。こやつは酒でなど倒れたりはせん」ムキッ

戦士「……はぁ」ムキッ

南方参謀「たまらないわねぇ〜。もう最っ高!!」ムキッ

戦士「……暑苦しいからもう少し離れてくんねーか? こんだけ広いんだからよ」

南方参謀「だって夜中よ〜? 怖いじゃないっ」

戦士「怖いのはその二の腕だよ……」

カサッ

南方参謀「きゃーっ!! 覗きぃー!!」

ギュバッ…バキィ!!

東方参謀「何か落ちて行ったな。本当に覗きだったのか?」


669 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:53:36.99 ID:pLfomXBVo
ガサガサッ…ドサッ

サル「ってぇ〜。な、何だってんだちっくしょー」

テクテクテク

イヌ「何してるね。早く行くね」

サル「ったく、何もこんな急にでてかなくてもよぉ〜」

キジ「仕方ないさー。国軍の連中と同じ宿だなんて、ただの度胸試しさ」

サル「ちっくしょー! カワイ子ちゃん達がいんのによぉ〜」

ザッザッザ

女侍「何だい、その青アザは?」

サル「知らん! 草むらに隠れてたらいきなり何かが飛んできたんだよっ!」

女侍「あははっ! 大方、除きでもしようと思って返り討ちにあったんだろう?」

サル「う、うるせーっ!」

女侍「ほら、日の出が近いよ。暗い内に都を離れようじゃあないか」

イヌ「さっさと起きるね」

サル「へいへい……。行きますよっ、けっ!」


670 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:54:04.64 ID:pLfomXBVo
〜部屋〜

魔道士「召喚士さん達、遅いですねぇ」

盗賊「召喚術について、話し込んでおるのだろう」

魔道士「うまくいくといいですね」

盗賊「そうだな」

魔道士「えへへ〜。あ、どうですかこれっ? 浴衣に合わせて髪の毛上げてみたんですけど」クルッ

盗賊「よく似合ってるよ。可愛い」

魔道士「……えへへ〜っ! 盗賊さんもやってみましょうか!」

盗賊「い、いいよっ!」

魔道士「やりましょうよ〜! ねぇ〜っ」ドタバタ

盗賊「い、いいいってばぁ!」ドタバタ

魔道士「逃がしません……っよぉ!」フニッ

盗賊「んあぁ! ちょっ、どこ触って……こらっ!」サワッ

魔道士「ふあっ! と、盗賊さんこそ……あっ、やん!」

盗賊「は、離……っくぅ! んんーっ!」


671 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:54:31.31 ID:pLfomXBVo


魔道士「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

盗賊「……はぁ……はぁはぁっ」

魔道士「……寝ましょっか」

盗賊「……ああ」

魔道士「盗賊さん」

盗賊「ん?」

魔道士「次も、頑張りましょうね」

盗賊「ああ」

魔道士「4人で、絶対にまた本国に帰りましょうね」

盗賊「もちろんだ」

魔道士「約束ですよ? はい、指きり」ギュッ

盗賊「うん。約束だ」ギュッ

魔道士「それじゃ盗賊さん、お休みなさい」

盗賊「おやすみ……魔道士」


672 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:55:00.38 ID:pLfomXBVo
〜名代の屋敷。居間〜

スタスタスタ…カラッ

名代「お待たせ致しました」

槍侶「此方こそ急な訪問、誠に申し訳御座いません」

名代「構いませんよ。ただ、居間は来客中でしてな」

槍侶「先客がいらっしゃいましたか。これは失礼を。では日を改めて……」スッ

名代「いやいやお待ち下され。槍侶殿にも是非、会って頂きたいのです」

槍侶「わ、私に……ですか?」

名代「ええ。お1人は以前、お目にかかってると伺いましたがね」スッ

テクテクテク

召喚士「以前、総本山を訪ねた事がありました。覚えておいでですか?」

槍侶「……? あ、あぁ!! 思い出しました! 確かお手合わせを……っ」

召喚士「はい。あの時の1人です。召喚士と言います。改めて宜しくお願いします」

槍侶「そうでしたか……っ、いやいやその節はご無礼を」

召喚士「い、いえいえ」


673 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:55:35.18 ID:pLfomXBVo
名代「それと、こちらの青年兵殿は、次の戦の指揮官であられる」

槍侶「な、何と……っ、これは失礼を。槍侶と申します。以後、お見知りおきを!」

青年兵「青年兵と申します。魔王討伐戦ではお世話になります」

名代「総本山の耳にも、戦の事は届いておられたか」

槍侶「ええ。飛脚の話で港に本国の軍船が来たと、偉い騒いでおりましたのでもしやと……」

名代「全く、あまり騒いで欲しくはない事なのだがなぁ」

槍侶「申し訳ありません」

名代「いやいや、総本山が悪いわけではありません。しかし一介の飛脚にまで話が出ておるとは」

召喚士「魔王軍に悟られると厄介ですね……」

青年兵「やはりそれほど悠長には構えていられそうもありませんね」

名代「ええ。ところで槍侶殿、この後、城に行かれると聞きましたが」

槍侶「はい。大僧正より預かった文と、我らの意思を上様へお伝えにあがります」

名代「総本山はお力添え頂けるという事で、宜しいですかな?」

槍侶「無論です。無益な殺生は致しませぬが、我らの東方を守るのは当然の務めですから」


674 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:56:31.00 ID:pLfomXBVo
召喚士「……」

名代「在り難き事。総本山の武力が加われば、さぞかし頼もしい事でしょう」

槍侶「お役に立てるか分かりませんが、精一杯やるつもりです」

名代「ちなみに帰路へは何時頃に?」

槍侶「上様の面会が終われば、すぐにでもと考えておりますが」

名代「ほほぅ、それは何より」

槍侶「えっ?」

名代「召喚士殿、思ったより早く……辿り着く事が出来そうですよ」

槍侶「……あ、あの」

召喚士「槍侶さん! 俺を道中お供させて頂けませんか!?」

槍侶「お供……ですか? えぇと、入山したいと?」

召喚士「違いますっ! ちょっと……不死の山に用がありまして」

名代「この時期の不死山は登山も困難。槍侶殿に案内役を務めて頂きたいのです」

槍侶「ああ、そういう事でしたか。それならば問題ありませんよ。共に参りましょう」

召喚士「ありがとうございますっ!!」


675 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:57:07.96 ID:pLfomXBVo
青年兵「やりましたね、召喚士さん!」

召喚士「うんっ! 何とか手掛かりを手に入れられそうだよ!」

青年兵「いやっ、場合によってはそのまま会得にも繋がるかも……」

名代「左様ですね。その式神が棲むと言う世界で、交渉出来ればですが」

召喚士「……うん。とにかく行ってみます。まずはそれからですもんね」

名代「それでは槍侶殿、宜しくお願い致しまする」

槍侶「はい。あ、登山の身支度のみ済ませておいて下さい。単身で来たもので予備がなく……」

名代「承知仕った。では召喚士殿、街にて下準備といきましょうか」

召喚士「はい!」

青年兵「魔道士さんや国軍の連中には僕から伝えておきます」

召喚士「ありがとう」

青年兵「ちなみに、何日程度かかりますか?」

槍侶「そうですね。登山経験もあるようですし、登山に1日、下山に1日あれば十分かと」

名代「あとは式神の棲み処次第。一応、五日程度は見ておくと致しましょうか」

青年兵「開戦目標は1週間から10日程度。時間はまだ十分にあります」


676 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:57:48.93 ID:pLfomXBVo


青年兵「では、お世話になりました。また後ほど」

召喚士「色々とありがとう、青年兵くん」

青年兵「こちらこそ。それでは」

名代「何かあれば城に居りますゆえ、お訊ね下さいませ」

スタスタスタ

槍侶「それでは拙僧もこれにて」

名代「我らも直ぐに、しろへ向かいますので」

スタスタスタ

名代「それでは早速、身支度を整えると致しましょうか」

召喚士「助かります。ありがとうございます」

名代「此方こそ。召喚術と陰陽道が繋がれば、私にとってもまた道が開けるやもしれません」

召喚士「ええ、必ず」

名代「……では着替えだけ済ませて参ります。しばしお待ち下さいませ」

召喚士「はいっ」


677 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:58:29.74 ID:pLfomXBVo
〜大橋〜

鬼丸「……おっ?」

スタスタスタ

女侍「昨晩は世話になったねぇ」

鬼丸「なぁに、こっちこそイイ女と飲めて最高だ」

女侍「ふふっ、ありがとうよ」

サル「イイ女……?」

女侍「何か文句あるのかい?」

サル「……別に」

鬼丸「何だ、もう行っちまうのか?」

女侍「ちょっと急な用件でねぇ。あ、そうそう。アンタ本国の連中と縁があったよね?」

鬼丸「本国? 限られた奴だけだぜ?」

女侍「刀を持った本国の男がもし、アタイを訪ねるような事があったら……」スッ

鬼丸「何だこりゃ? 地図か?」

女侍「ここで待つって伝えとくれ。それじゃまた、会えるといいね」


678 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:58:59.18 ID:pLfomXBVo
スタスタスタスタ…

サル「ま〜たな〜っ!」

鬼丸「刀を持った本国の奴って、戦士くらいしか知らねぇぞ?」

カサッ

鬼丸「一応、戦士にも伝えてみっか。グハハッ!」

スタスタスタスタ…

イヌ「それでお頭、どこに行くね」

女侍「んー? ちょいと西の方にねぇ」

キジ「西? 何かあるさー?」

女侍「あっちは田舎で人も少ないし、隠れるには好都合さ」

サル「ふぅん」

女侍「それに……」

サル「あん?」

女侍「いんや、何でもないよ。ほれっ、さっさと歩きな」

サル「……へいへい」スタスタ


679 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:59:29.06 ID:pLfomXBVo
〜旅籠〜

戦士「何ぃ!? 不死の山に行くだぁ!?」

盗賊「この時期に……大丈夫なのか?」

青年兵「槍侶さんという総本山の方が案内役を務めてくれる事になりました」

戦士「槍侶……槍侶……って、あの親父と戦った坊主か!」

魔道士「でも、言ってくれれば一緒に行ったのに……」

青年兵「盗賊さんも仰られた通り、登山は命懸けになります」

盗賊「ああ。むしろ少ない方が楽に行けるであろう」

魔道士「むぅ〜。それなら仕方ないかぁ……」

戦士「それに召喚士にはクジャタもあるしな。いざとなれば吹雪を弱める事も出来るだろ」

魔道士「あ、そうですよねっ」

テクテクテク…

西方参謀「あ〜昨日は飲みすぎた。おっ、青年兵殿! 朝帰りかいっ? ヒック」

青年兵「……おはようございます。西方参謀殿は迎え酒ですか?」

西方参謀「迎え酒? いやいや、朝の一杯ですわ……ヒック」


680 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 17:59:58.70 ID:pLfomXBVo


南方参謀「ふぅん、召喚獣と魔物の関連性ねぇ……」

東方参謀「信じられぬな」

西方参謀「学会で発表すりゃあ本国勲章モンだぞ! ガハハッ!」

青年兵「確かに信じがたい話です。しかし、そうとしか説明がつかないんですよ」

戦士「うーん……難しい話はよく分からんが、召喚士がそう言ったんだろ?」

青年兵「はい」

戦士「だったら俺は信じるぜ。あいつが言った事で間違いは1つもないからな」

魔道士「そうですよねっ! 召喚士さんはずーっと研究してきたわけですし」

盗賊「……ああ」

南方参謀「ともかく、召喚士くんが帰ってくるまで待つしかないわけね」

東方参謀「そういえば今日辺り、特遊も着くのではないか?」

青年兵「ええ。だと思います」

西方参謀「だと思いますってなぁ……ヒック」

青年兵「隊長が東方の事は俺に任せておけと、独自行動なもので……」


681 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/12(月) 18:00:30.82 ID:pLfomXBVo
〜海上〜

ザザーン

女隊員「おぉっ!? 陸地が見えてきたッスよ!」

男隊員「あれが東方か? いや、違うようにも見えるな……ま、どっちでもいいか。ヒャハハ」

格闘家「隊長、まずはどうなさるので?」

隊長「まずは宿の確保だな」

女隊員「野宿で良くないッスか?」

隊長「宿の確保が最優先だ」

女隊員「いっつも野宿じゃないッスか。何で今回に限って……」

隊長「宿の確保が最重要なんだ! いいから上陸準備しとけ!」

女隊員「何で怒ってんスか?」

男隊員「知らん。マーラ戦に関しちゃ、やたら気合い入ってんだよなぁ」

格闘家「やはり我らの不甲斐なさに腹が立っているのでしょうかね……」

隊長(……待っていろよ東方、マーラ。そして……女将さん!)

ザッパーン!!



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