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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その29
- 136 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/05/22(日) 22:58:57.48 ID:BBfMNs2qo
〜西方、南の砂漠〜
サルワ「ウオオォォォォー!!」
ビリビリビリッ
男隊員「小さくなったってのに……なんつぅ威圧だよ……っ」
戦士父「ゾディアックは身を封じていたに過ぎない。奴の力自体は落ちていないぞ」
戦士「じゃあどうすんだよ!?」
戦士父「全員後退しろ。ここは俺がもつ」
ザッザッザッザ
戦士「い、いや……っ、おい……親父」
ザッザッザ
戦士父「……」
サルワ「オオォォォォ……ォォ……」
戦士父「……?」
ザッザッザッザ
戦士父「何だ」
- 137 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 22:59:52.60 ID:BBfMNs2qo
隊長「一人で行かせるわけにはいきません」
男隊員「これも仕事だし、しゃーないわな。ヒャハハ」
格闘家「援護します」
女隊員「それで、どうするッスか?」
戦士父「……全く」
隊長「各自、撃破はいい。ある程度の力を削げば火山へ戻るはずだ」
戦士父「……」
隊長「……ですね?」
戦士父「ああ。その通りだ」
男隊員「おっしゃ、行くぞ!」
戦士「おう!」
ザッ
男隊員「お前は西国陛下とここにいろ」
戦士「待てよ、俺も……」
男隊員「要人護衛も重要任務だ。絶対、守り抜けよ」
- 138 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 23:00:52.62 ID:BBfMNs2qo
戦士「……分かったよ」
格闘家「……?」
ザッザッザ
パイク長「ワシも行くぞい」
男隊員「ジーサン、アンタもだな自分の主を……」
パイク長「ここはワシの庭よ。余所者に好き勝手させるかい」
女隊員「……」
パイク長「それに、目の前の敵を放って指を咥えていられるかって!」
西国兵「我らも援護するぞ!」
ザザザッ
王子「よぉし……」
ザッ…グイッ
王子「げっ、ちょっと離せって……」
戦士「お前の護衛を任されたんだ。ここで大人しくしてなって」
王子「……」
- 139 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 23:02:20.97 ID:BBfMNs2qo
戦士「頼もしい限りじゃねーか」
王子「……西国の兵は皆、勇敢さ」
戦士「じゃあ信じてここにいろ」
王子「……分かったよ」
サルワ「ウオオォォォォ!!」
男隊員「くんぞっ!」
ザザッ
隊長「一撃離脱でいけっ、密着はするな!」
格闘家「了解」
まずは先手、格闘家がサルワの元へと走り夜。足場の不安定な砂漠を、
トントンと跳ぶように走り、瞬く間に、一挙に近づく。
格闘家「はあぁ……っ!!」
トンッ…バキャアァ!!
サルワ「何だその蹴りはああぁぁ!!」
格闘家「……」
- 140 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 23:07:30.35 ID:BBfMNs2qo
丁度サルワの膝の裏にあたる部分へ、格闘家の跳び蹴りがヒットするが、
サルワはものともせず身を反転させ、格闘家の身体を掴むべく右腕を伸ばす。
格闘家「……大丈夫、かわせる!」
ヒュオッ…ブンッ…フォンッ
サルワ「猿のように……ちょこまかとおおぉぉぉぉ!!」
格闘家「……どうぞ」
隊員「ご苦労っ!!」
続いて格闘家と入れ替わるように、男隊員がサルワの後頭部へと跳躍する。
右手に握り締めた長剣へ左手から発する炎を付加させ、一気にそれを振り下ろした。
ガシュッ!!…ゴゴオオォォォォ!!
男隊員「相変わらず固ってぇ!!」
サルワ「ゴミどもがああぁぁぁ!! 消えろおおぉぉぉぉ!!」
キュイイィィィ
戦士「撃つ気か!?」
隊長「焦るなよっ、大した威力は出せん!」
- 141 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 23:08:43.17 ID:BBfMNs2qo
男隊員「わーってる!!」
再び入れ替わるように、今度は隊長が男隊員の左側からサルワの懐へ潜り込む。
隊長「でりゃああぁぁ!!」
ヒュオンッ!!…ドズウウゥゥゥゥッ!!
鈍い音と共に、鋸状の長剣がサルワの右足に直撃する。
サルワ「――ッ!!」
バランスを崩したサルワは、照準が狂い、上空へと閃光を放った。
ドドオオォォォォ
男隊員「確かに大した威力じゃねーけど、喰らったら一溜まりもねーぜ」
隊長「十分避けられんだろ、お前ならな」
男隊員「ヒャハハ、まーな!」
二人はほぼ同時に着地すると、サルワの足元から左右に離れ、走り去った。
サルワ「グヌヌウウゥゥゥゥ……ッ!!」
女隊員「お次はこっちッスよ!!」
去りゆく標的を目で追うサルワの背後から、女隊員が間髪入れず攻撃へと入る。
- 142 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/22(日) 23:11:14.31 ID:8e/i8D6Lo
サルワ 水と風を操る
- 143 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 23:11:35.47 ID:BBfMNs2qo
女隊員「おりゃあぁ!!」
ズガアアァァ!!
サルワ「……小賢しいわあぁ!!」
女隊員「くぅーっ、ハンマー持ってくれば良かったッス」
戦士父「十分だ」
ババッ
戦士父「……ふんっ!!」
サルワ「なっ、ぐああぁぁ!!」
バゴオオォォォォンッ!!…ズザザザアアァァ
王子「流石ゾディアック……!」
戦士「一撃でアイツを吹き飛ばしやがった……っ」
グググッ
サルワ「……たかが、人間如きがああぁぁ!!」
ゴゴゴゴゴゴ
戦士「な、何だ……!?」
- 144 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 23:12:28.77 ID:BBfMNs2qo
サルワ「ガアアァァァァーッ!!」
隊長「力を使う気だな」
格闘家「……どうします?」
隊長「ここでは大した水は使えん。それに力の代償として……」
ブシュウウゥゥゥゥ
女隊員「体が……更に萎んでいくッスよ!?」
隊長「ああ。力を使う代償に、体の維持が出来なくなっている」
戦士父「大きさが縮めばそれだけ間合いも短くなる」
男隊員「懐にゃあ入りにくいが、牽制だけならそっちのが楽だわな」
隊長「そういう事だ。だが風の攻撃もある。油断はするなよ!」
男隊員「眷属相手に油断や手加減なんざぁしてられねーっつの!」
サルワ「まとめて……吹き飛べええぇぇぇぇ!!」
複数の巨大な竜巻が、サルワの周囲を覆い、徐々に軌道を外へ外へと広げていく。
戦士「何つう風だっ、こんな所にまで突風が……っ!」
王子「兵は全員、距離をとって退避しろぉ!!」
- 145 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 23:15:19.84 ID:BBfMNs2qo
ゴオオォォォォ!!
格闘家「……ちぃ、視界が――」
サルワ「ガアアァァァァ!!」
格闘家「何っ!?」
バギャアアァァァァ!!
格闘家「がはぁ……っ!!」
ザンッ…ドザザザザッ
サルワ「フウウゥゥゥゥ……ッ」
男隊員「何だぁ!? 今、誰かが――」
ピクッ…ババッ
サルワ「グラアアァァ!!」
男隊員「あっぶねぇ……っ!!」
砂塵舞う背後より現れたサルワの一撃を、男隊員はかろうじて回避する。
男隊員「しかしこうも風の壁があっちゃあ……回避も困難極まりないぜ……っ」
周囲に気を払いながら、男隊員はサルワの繰り出す攻撃を再び避ける。
- 146 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 23:20:05.35 ID:BBfMNs2qo
ブオッ!!
サルワ「ガアアァァァァ!!」
男隊員「しかも眼前にゃあ……っ」
ヒュオンッ…ブゥンッ!!
男隊員「直々のご指名だしよぉ!!」
ゴウッ!!
男隊員「しまっ――」
サルワの猛攻を回避し続けるが、男隊員は背中より迫る竜巻に飲み込まれ、
その身体を大きく空中へと投げ出された。
男隊員「ぐあぁ……っ!!」
サルワ「とどめだ」
バキャアアァァァァ!!
サルワ「!?」
パイク長「……ふん、足元がお留守じゃぞい」
サルワの腰に突き刺さる長槍。その使い手であるパイク長が大きく息を吸い込んだ。
- 147 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 23:21:50.28 ID:BBfMNs2qo
パイク長「そおぉりゃああぁぁ!!」
ズグッ…ゴシャアアァァ!!
サルワ「ぬぅ……ッ!!」
パイク長「さぁ、もう終わりかぁ!?」
サルワ「ほざけええぇぇぇぇ!!」
隊長「!? いやがった……っ!!」
戦士父「あそこかっ」
タタタッ
女隊員「……っ」
サルワは怒りに身を任せ、パイク長めがけ突進する。
パイク長「馬鹿めがっ! パイク相手に突進などぉ――」
ドドオォ…ドッグウウゥゥ!!
パイク長「……愚の骨頂よ」
突進の勢いを利用し、パイク長はしっかりと地面に柄をつけたパイクを突き出し、
サルワの腹部へとその穂先はものの見事に突き刺さった。
- 148 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/22(日) 23:22:42.99 ID:BBfMNs2qo
パイク長「……ぬっ、しぶとい奴じゃ」
サルワ「……どいつもこいつも」
グアッ
サルワ「目障りだあぁ!! 死ねええぇぇぇぇ!!」
戦士「!?」
王子「ジーサン!! 離れろっ!!」
サルワは再び力を溜め、身体が縮小する代償として、両腕より水を生み出す。
戦士父「まずいっ!」
ザザザッ…タタッ
サルワ「ガアアァァァァーッ!!」
ドドオオォォォォンッ…ゴボォッ!!
パイク長「ぐ……ぶふぅ……っ!!」
王子「パイク長っ!!」
サルワの攻撃により、全身を水で覆われたパイク長。水は柱のように高く伸び、
その中にパイク長は閉じ込められた格好となった。
- 152 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/23(月) 06:25:10.14 ID:tc9umfwDO
>>1乙
噛ませ臭ぷんぷんだったサルワが最後まで生き残るとは……
- 153 名前:NIPPERがお送りします(鳥取県) [sage] 投稿日:2011/05/23(月) 07:17:05.03 ID:MXD7dKWb0
>>1乙
フラグ撒きまくったパイク長が最後の人質になるとは……
- 154 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 17:56:14.55 ID:7TxUulMCo
ガボォッ
パイク長「……っ」
サルワ「とっととその槍を抜けぇ!!」
パイク長「……ゴボッ」
グググッ
サルワ「……」
パイク長の手にする長槍は、さらに深くサルワの腹部へと突き刺さる。
サルワ「ヌゥ……ッ」
グッグッ
パイク長(ざまぁみろ……貴様こそ力を抜かねば、槍も抜けんぞい……っ)
サルワ「よぉしいいだろう。ならば溺死するまで続けているがいいわぁ!!」
ゴボッ…ゴボゴボォ!!
男隊員「み、水の勢いが……っ!? 隊長、俺の事いいから……」
隊長「水圧が強まったんだ。悪いがここに置いていくぞ。自力で何とかしろ」
男隊員「……了解っ」
- 155 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 17:56:49.78 ID:7TxUulMCo
王子「パイク長!!」
戦士「……くっそぉ」
王子「兄ちゃん、俺は行くぜ」
ザザッ
戦士「……っ」
ググッ
戦士「止めるような度量、持ち合わせちゃいねーよなぁ!!」
ダダッ…ザザザッ
戦士「王子っ!!」
王子「!?」
戦士「いいか? お前の事は俺が絶対に守りぬく!」
王子「……うん」
戦士「必ず助け出すぞ!」
王子「うん!!」
戦士と王子、二人は前方で交戦しているパイク長とサルワの元へ必死に走った。
- 156 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 17:57:19.90 ID:7TxUulMCo
ガボッ…
サルワ「まだ続けるつもりか?」
パイク長「……っ」
ザッザッザ
西国兵「撃てぇ!!」
ドドオオォォンッ!!
サルワ「……何だそれは? 攻撃か何かのつもりかあぁ!!」
ギュルルッ…ドドオオォォォォン!!
西国兵「ぐあぁーっ!!」
魔道兵「竜巻が来るぞぉ!!」
召喚兵「くそっ、ムシュフ……ぐわぁ!!」
ドドオオォォォォン!!
隊長「馬鹿野郎っ、下がってろ!!」
戦士父「だが、奴の体も更に小さくなっている」
隊長「ええ。今なら追い払えるかもしれませんね」
- 157 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 17:58:10.39 ID:7TxUulMCo
ズグゥ…ググッ
サルワ「……ヌアアァァァァ!!」
パイク長「……」
サルワ「先程の槍といい、何故だっ! 何故……抜けんのだぁ!!」
パイク長(力を入れれば抜けるものも……抜けんよ……)
サルワ「アァ!?」
パイク長(王子……いや、陛下)
タッタッタッタ
王子「……っ」
パイク長(我らの……勝ちじゃ――)
サルワ「ガアアァァァァーッ!!」
ゴボォッ!!…ビシャビシャビシャッ!!
サルワ「ハァーっ、ハァーッ、ハァ……ッ」
水の柱が上空に伸び、霧のような雨を降らせる。
パイクはサルワの腹部から抜ける事なく、パイク長の手に握り締められたままであった。
- 158 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 17:59:26.45 ID:7TxUulMCo
ドドオオォォォォ
王子「パイク長っ!!」
戦士「……」
ザザッ
戦士「……王子、早くっ!!」
王子「……」
戦士「王子!!」
王子「…………っ」
戦士「……?」
王子「パイク長はずーっと言ってた。戦場で死ねたら本望だ……って」
戦士「……お、おい」
王子「だからって……だからってさぁ!!」
サルワ「……グ……ゴアアァァァァ!!」
疲労を回復する為か、サルワは周辺の竜巻を解き、自身へと吸収させる。
そして呼吸は正常に戻り、再び目の前の標的に眼光を鋭く向けた。
- 159 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:00:21.07 ID:7TxUulMCo
オオォォォォ…
女隊員「竜巻が無くなって……」
隊長「!?」
格闘家「…………」
女隊員「格闘家くんっ!?」
隊長「お前はそいつを頼む! あっちにもう一人転がってる、そっちもだ!」
女隊員「り、了解ッス!」
ザザッ…タタタッ
サルワ「……こんな槍で……この俺を」
グッ
サルワ「……?」
戦士「……今、抜いてやるよ」
ズボォ!!
サルワ「グゥ……ッ」
パイク長の手に自分の手を添え、戦士は力任せにその槍を引き抜いた。
- 160 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:01:33.92 ID:7TxUulMCo
戦士「てめぇは許さねぇ」
サルワ「アァ?」
戦士「俺らが、倒す!!」
サルワ「!?」
ヒュバッ
サルワ(そういえばあのガキッ、どこへ行――)
王子「りゃああぁぁーっ!!」
サルワ「後ろかぁ!!」
ズバシュッ!!…ガカアアァァァァ!!
サルワ「この程度の……雷でええぇぇー!!」
戦士「ジーサン、槍……借りるぜ!」
ガシッ…
パイク長の固く握られた手が、優しく開く。その手から離れた槍を、戦士が握る。
王子が雷切で打ち込んだ一撃は、それを十分にこなす時間を稼いだ。
そして、戦士はパイクを右手一本、渾身の力を込めて振り抜いた。
- 161 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:02:23.66 ID:7TxUulMCo
グググッ…バッギャアアァァ!!
サルワ「ゴハァ……ッ!!」
ザンッ…ドザザザザッ…ズシャアアァァ
サルワ「クソがぁ……ッ」
大きく吹き飛ばされ起き上がろうとする刹那、サルワの顔に影がかかる。
サルワ「――!?」
戦士父「……」
戦士「親父っ!!」
叫び声を上げると同時に、戦士はパイクを戦士父へと投げる。
ブンッ!!…パシィッ!!
戦士父「……くらえ」
空中で2本の槍をくるくると回し持ち直すと、戦士父はその双槍をサルワの両肩へ、
それぞれ突き降ろしながら、サルワの胸部へと着地した。
ザシュウウゥゥゥゥ!!…ブシュウウゥゥッ
サルワ「ガアアアアァァァァァァーッ!!」
- 162 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:05:36.40 ID:7TxUulMCo
ズボッ…ヒュッ…スタッ
のた打ち回りながらも懸命に起き上がるサルワ。しかしその両腕は既になく、
足元の砂漠へと転がり、大量の血を噴き出していた。
サルワ「クソォ、クソォ、クソオオォォォォ!!」
戦士「よーし、あと一息だ」
戦士父「待て」
戦士「……?」
戦士父「無理に深追いする必要はない」
戦士「でもよっ」
隊長「五行もないのに、どうやって仕留めるつもりだ?」
戦士「……っ」
隊長「手負いの魔物が一番恐ろしい。今は退かせるだけで構わんさ」
戦士父「そういう事だ」
戦士「……ちっ」
サルワから目線を外した瞬間、立ち膝のままであったパイク長が横になるのを戦士は見た。
- 163 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:06:46.56 ID:7TxUulMCo
ドサァ…
西国兵「パイク長……っ」
戦士「……やっぱりよぉ、納得――」
サルワ「ゴアアァァァ−ッ!!」
ブワッ
隊長「各自、戦闘態勢!!」
ババッ
サルワ「……ク……クククッ、ハッハッハアアァァァァ!!」
女隊員「……っ」
サルワ「貴様等、この俺が退く事を望んでいるんだろう?」
隊長「ああ。是非そうして頂きたいもんだな」
サルワ「良かろう」
戦士「……?」
サルワ「退いてやろうじゃないか! この俺が退却する! 人間相手に退却をだ!!」
男隊員「ぐ……く……っ」
- 164 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:07:28.38 ID:7TxUulMCo
サルワ「生涯初めてだ、このような……屈辱はなああぁぁ!!」
戦士父「……」
サルワ「そしてぇ! 再び力を取り戻した時はぁ! ……皆殺しだ」
戦士「……」
サルワ「地上の人間ッ、全てを皆殺しにしてくれるわああぁぁ!!」
ゴウッ
女隊員「う、腕が……っ!」
西国兵「ちぎれた腕が……浮いて……っ」
サルワ「時間はかけん。貴様等の寿命は短いからなぁ!!」
フワッ…ヒュウウゥゥゥゥ
サルワ「せいぜい束の間の人生を、楽しんでおくがいいわああぁぁ!!」
隊長「追うなっ! このまま放っておけ!」
サルワ「ハッハッハッハアアァァァァ!!」
地鳴りのような笑い声と共に、サルワは南へとその姿を消した。
魔物の消えた砂漠では、時折り吹く風と、苦痛に耐える呻き声だけが響いた。
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