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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その27
638 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:45:11.84 ID:tOc0+JkLo
チュンチュンチュン

ジュニア「……」

賢者「……朝だね……ふぅ」

眼鏡「うん。朝だね」

朝の光に反射した寝惚け顔のジュニアが、小声で口を開く。

ジュニア「結局、何もなかったな。取り越し苦労だったか……」

眼鏡「まぁ、何もないにこした事はないけどね」

ジュニア「……まぁな」

テクテクテクテク

ジュニア「こっちの見解じゃ、もう戦闘配備を解除してもいいと思うんだが……」

エリート「……そうですね。時間も時間ですし、そう致しましょうか」

ジュニア「だってさ、お偉いさん方。良かったな」

社長「……っ」

院長「たっ、助かったぁ……っ」

双子父「……」


639 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:46:07.79 ID:tOc0+JkLo
チュンチュンチュン

ジュニア「……」

賢者「……朝だね……ふぅ」

眼鏡「うん。朝だね」

朝の光に反射した寝惚け顔のジュニアが、小声で口を開く。

ジュニア「結局、何もなかったな。取り越し苦労だったか……」

眼鏡「まぁ、何もないにこした事はないけどね」

ジュニア「……まぁな」

テクテクテクテク

ジュニア「こっちの見解じゃ、もう戦闘配備を解除してもいいと思うんだが……」

エリート「……そうですね。時間も時間ですし、そう致しましょうか」

ジュニア「だってさ、お偉いさん方。良かったな」

社長「……っ」

院長「たっ、助かったぁ……っ」

双子父「……」


640 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:47:06.39 ID:tOc0+JkLo
カツカツカツ

エリート「失礼致します」

皇太子「うむ」

エリート「……」

皇太子「議会の話か?」

エリート「……如何、致しますか?」

皇太子「如何も何も、やらざるを得ない状況だろう?」

エリート「……まぁ、そうですが」

皇太子「それにな……」

エリート「……?」

パサッ

皇太子「読んでみたまえ」

エリート「……陛下からの……手紙ですか」

皇太子「私宛てのものだ。本人も議会での決を望んでいる」

エリート「……」


641 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:47:58.15 ID:tOc0+JkLo
カツカツカツ

右大臣「私が預かった皆への手紙。確かに有用なものではあるが……」

エリート「それだけで、議会に勝てるなどとは到底、考えにくいかと」

皇太子「まぁ、それが本音だろうな」

エリート「……」

皇太子「父の手紙に加え、今回は別の一手も投じられた」

右大臣「不当な献金、汚職の実情ですな」

皇太子「運が良かった。これによって、議会にも勝ち目が見えてきたわけだ」

エリート「執念ですよ。亡き陛下や総司令の……」

皇太子「うむ。そして私はこの議会こそ、天命だと思っている」

エリート「天命……」

皇太子「勝てばそれも天命。負ければまた、それも天命」

右大臣「殿下……」

皇太子「私が魔力を持たぬものもおそらくは天命。きっとそうなのであろう」

エリート「……」


642 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:48:29.28 ID:tOc0+JkLo
皇太子「だから私は、この議会を天命と思い、どんな結果であろうと受け入れよう」

エリート「……成程、ならば私の天命は……」

皇太子「ん?」

エリート「この命ある限り、殿下に付き従う事ですね」

皇太子「エリート、お前……」

エリート「……さぁ、最後の日と踏ん張りです。議会の準備を始めましょう」

右秘書官「……ああ」

右文官「よぉし、こうなったら……とことんやってやろうじゃないか!」

エリート「では父上、手筈を……」

右大臣「……」

エリート「父上……?」

右大臣「エリート、今日からはお主が右翼を支えるのだ」

エリート「……!?」

右大臣「昨晩もレポート、見たであろう?」

エリート「父上っ、しかしですね……」


643 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:49:07.03 ID:tOc0+JkLo
右大臣「左翼や彼らのみが積荷問われるなど不平等があってはならぬ事」

右文官「……っ」

右大臣「先述通り、私は政界より身を退く」

エリート「……」

皇太子「右大臣、決意は固いのだな?」

右大臣「殿下、これまで色々とご迷惑をお掛け致しました……」

右秘書官「……」

右大臣「息子を、エリートを何卒、宜しくお願い致します」

エリート「……父上」

皇太子「……相分かった。右大臣、本日までの勤め、まことにご苦労であった」

右大臣「勿体なきお言葉」

皇太子「後の事は何も心配は要らぬ。エリートは君に劣らず優秀だ」

エリート「……」

右大臣「ええ、私の自慢の……息子です」

エリート「父上、いえ……右大臣様。有難う御座いました」


644 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:50:32.12 ID:tOc0+JkLo
〜国軍本部〜

タッタッタッタッタ

国軍兵「博士様よりお届けものです。写真が出来上がったとの事」

青年兵「ありがとうございます」

カサッ

隊長「……どうだい?」

青年兵「……っ」

男隊員「よく写ってるじゃねぇか。こりゃあ確定だな」

青年兵「ええ、左大臣様は内通者。クロ確定ですね」

隊長「さぁ、どうする?」

青年兵「……各員、準備を。これより左大臣様の屋敷に向かいます」

女隊員「了解ッス!」

男隊員「ヒャハハ!ついに尻尾を出しやがったか!」

隊長「よぉし、10分で仕度しろ!一気に突入するぞ!」

青年兵「……」


645 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:52:10.94 ID:tOc0+JkLo
〜左大臣の屋敷〜

青年兵「……」

タッタッタッタッタ

国軍兵「青年兵様っ、こちらです!」

青年兵「……」

ザッザッザッザッザ

隊長「……こいつはまたひでぇな」

青年兵「どうですか?」

男隊員「目を潰された挙句、四肢を切断。一見すりゃ猟奇的なモンだわ」

女隊員「……うぅ……っ」

隊長「中途半端に魔族化してるが、こりゃあ間違いなく……」

青年兵「左大臣様ですね……」

隊長「んで、これをやったのは……?」

格闘家「師……天才です」

青年兵「……」


646 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:53:56.50 ID:tOc0+JkLo
隊長「殺りやがったか」

男隊員「殺す必要はあったのか?」

隊長「さぁな。まぁ、証拠も出たし……生かしておく必要はないと踏んだんだろう」

女隊員「でも、他の内通者の情報を……」

男隊員「そうだぜ。拷問にでもかけて喋らせた方が良かったんじゃないか?」

ザッザッザ

天才「その必要はねぇ」

格闘家「師匠!?」

隊長「……どういう意味だ?」

天才「内通者は割れた。安心しろ」

青年兵「……誰なんです?」

天才「3人目はまだいい。次は2人目を潰す」

青年兵「……」

天才「コイツも哀れなヤローだ。最後の最後までなぁ」

隊長「哀れ?」


647 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:55:41.21 ID:tOc0+JkLo
天才「テメーが全てを牛耳っていると錯覚し、空回り……」

青年兵「……」

天才「挙句にゃ魔物にも愛想を尽かれ孤立……」

隊長「……」

天才「のくせに、自分は最後まで魔族化を拒絶」

隊長「魔物と手を組んでおきながら、人間である事に固執した……か」

天才「全てを逆手に取られ、自滅した大馬鹿モンだよ」

青年兵「天才さんは、この人に何か仇でもあったのですか?」

天才「……そう思うか?」

青年兵「……何となくです」

天才「ハーッハッハ!あろうがなかろうが、小悪党を切った。ただそんだけだ」

青年兵「2人目……どうするのです?」

天才「そうだなぁ。あーあれだ、あれ」

青年兵「……?」

天才「部下の責任は、上司が取るってモンが筋だ。ハーッハッハッハ!」


648 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:56:13.66 ID:tOc0+JkLo


青年兵「では私は、王宮へ報告へ行ってきます」

男隊員「俺らは検分を続けるぞ」

女隊員「うえぇ……了解ッス……」

ザッザッザ

隊長「……何で残ってたんだ?」

天才「あ?」

隊長「何か……してたのか?」

天才「まーな。物色したが、大したモンは出なかったわ」

隊長「……」

天才「あんだよ、そんなに乱してねーっつの。安心しろ」

隊長「……いいんすね、2人目」

天才「一応スタンバっておけ。まぁ、出番はねーだろうが」

隊長「……了解」

天才「議会やらあるだろうし、ヤボ用済ましてまた戻る。そんじゃあな」


649 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:56:44.42 ID:tOc0+JkLo
それから30分程度経った後、王宮内にも衝撃が走った。

〜王宮〜

エリート「……っ!!」

右文官「左大臣が……死んだじゃとぉ!?」

青年兵「はい。間もなく公式発表があると思いますが……」

右秘書官「一体……何が……」

青年兵「魔物と内通し、魔族化したところで、ワーカーに斬られました」

皇太子「……そうか」

右文官「それでは議会は……」

エリート「最早、形だけのものとなりましたね」

右秘書官「現時点を以って、事実上我らの勝利です」

右文官「という事は……次期国王陛下は……」

エリート「……おめでとうございます」

皇太子「まだ早いさ。議会を終わらせてからにしようじゃないか」

右文官「急ぎ、開会の準備を整えるんだっ!!」


650 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:57:31.64 ID:tOc0+JkLo
コンコン…カチャッ

魔道士「エリートさん……」

エリート「……左大臣殿が……亡くなりました」

魔道士「――っ!?」

エリート「これで事実上、殿下の即位が確定的となりました」

魔道士「本当……ですかっ!?」

エリート「形だけですが、これより議会を行います。ご参加を」

魔道士「……分かりました」

エリート「では、後ほど迎えを遣します。それまでしばしお待ちを」

魔道士「……はい」

エリート「では、失礼致します」

パタン…カツカツカツ…

魔道士「……っ」

この数十分後、王宮内議事堂にて議会が開会された。

それは議論の一つも起きる事なく、ただ静かに票だけが投じられるものであった。


651 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/10(日) 23:58:27.07 ID:tOc0+JkLo


エリート「それでは、開票の結果を申し上げます」

双子父「……」

高官「……」

エリート「まぁ、述べるまでもありませんね」

右文官「ついに……ついに……っ」

エリート「今、この時を以ってして、皇太子殿下を正式な跡継ぎとし……」

左文官「……」

エリート「新、国王陛下へ即位するものと致します!」

ワアアァァァァ!!

右秘書官「終わった、全てが……」

右文官「……いや、これからが本当の始まりだ」

エリート「ええ、その通りです」

魔道士「殿下、おめでとうございまっ!」

皇太子「有難う。魔道士、そして……皆のお陰である!」


653 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 00:00:05.98 ID:L77iVjhlo


皇太子「何とか戴冠式は省けないものかな」

エリート「何を仰いますか、重要な儀式です。それに……」

右秘書官「全国民がその刻を心待ちにしておるのです」

皇太子「しかしだな、父上の葬儀も終えておらぬと言うのに……」

右秘書官「だからこそです。国民は自立的に喪に服しておりました」

エリート「皆を奮起させるに当たっても、これは重要な行為かと」

皇太子「……気が進まぬが、仕方ないか」

エリート「そこでなのですが……」

右文官「魔道士王女はいかがなさいましょうか……?」

右秘書官「王宮として、公に発表致しますか?」

皇太子「……彼女なら、望みは一つであろう」

エリート「……」

皇太子「ところで、その本人はどうした?」

エリート「ああ、彼女でしたら今……」


654 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 00:00:38.82 ID:L77iVjhlo
〜個室〜

魔道士「……」

コンコン

魔道士「あ、はいっ」

双子父「失礼致します」

魔道士「ど、どうも……」

双子父「先程お話致しました、王女付の我が娘達を連れて参りました」

魔道士「……あ、あのっ」

双子父「……?」

魔道士「私は……その……」

双子父「とにかく、挨拶だけでも……どうかお願い致します」

魔道士「……」

双子父「では、私はこれにて。おぉい、入って良いぞ」

テクテクテクテク

魔道士「――っ!?」


655 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 00:01:14.98 ID:L77iVjhlo
双子姉「始めまして王女様っ」
双子妹「私達がお世話させて頂きます――」

魔道士「双子姉妹さんっ!?」

双子姉妹「魔道士さんっ!?」

魔道士「二人が……王女付……っ!?」

双子姉「魔道士さんが……」
双子妹「お、王女……っ!?」

魔道士「え、えっ!?」

双子姉「魔道士さんが……」
双子妹「王女だなんて……っ」

タッタッタ

双子姉妹「感激ですぅ!!」

魔道士「い、いえ……っ。私はその……」

双子姉「初めて会った時から……」
双子妹「只者ではないと思っておりましたが……」

双子姉妹「王女様だったなんて……素敵っ!」

魔道士「……はぁ」


656 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 00:01:44.19 ID:L77iVjhlo


魔道士「だからっ、新しい陛下は皇太子殿下が即位して――」

双子姉「あらっ、でも魔道士王女は」
双子妹「妹君として政務を――」

魔道士「……だ、だからっ」

双子姉妹「冗談ですわっ!」

魔道士「へ……っ?」

双子姉「魔道士王女のお気持ち……」
双子妹「私達は……分かりますわ」

魔道士「双子姉妹さん……」

双子姉「魔道士王女の望み……」
双子妹「……それは、ただ一つ」

魔道士「……っ」

双子姉「王女のお世話もしたかったのですが……」
双子妹「仕方……ありませんわねっ」

魔道士「二人とも……ありがとうっ!」

双子姉妹「いえいえっ!」


657 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 00:02:16.82 ID:L77iVjhlo


本国兵「たっ、大変ですーっ!!」

右文官「何だ、騒がしい」

本国兵「魔道士王女が……失踪致しましたっ!!」

右秘書官「何ぃ!?」

エリート「……」

皇太子「あっはっはっは!!」

右文官「……?」

エリート「相変わらず、アクティブな方ですね」

皇太子「ああ、全くだ」

本国兵「……あ、あのぉ」

エリート「構わぬ。追う必要はない」

右文官「しかし……宜しいので……?」

皇太子「良いではないか。元より落胤などなかったのさ。なぁ、そうだろう?」

エリート「私が存じているのは、王女のように素敵な魔道士のワーカーが居る事です」


658 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 00:02:59.30 ID:L77iVjhlo
タッタッタッタッタ

魔道士(本当にごめんなさい……っ)

タッタッタッタ

魔道士(でも、みんな分かってくれている。そう思ってます)

タッタッタ

魔道士(だからっ、次会う時はきっと……きっと……)

タタッ

魔道士(今以上に強くなって、頼って貰えるような……)

ザッ

魔道士(そんな魔道士になって、帰ってきますからっ!!)

だから今は、ごめんなさい……。



この日の夜、左大臣の背信行為、及び魔族化による交戦での死亡。

そして、議会の結果における皇太子の国王への即位が正式に発表された。



〜第四十三部、完〜


660 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 00:11:55.38 ID:L77iVjhlo
週末全然進まなくてごめんなさい!
そして多数のご支援、本当にありがとうございます!

話もいよいよ佳境といった感じで、あと少しだけお付き合い頂ければと…
本当、無駄に長いだけで申し訳ないです…それでは、おやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

召喚士「……すぴー」



青年兵『まぁ、出番からしたら次回からは【出でよ、ワイバーン】で!』

隊長『はぁ!?【密着、特遊24時!】だろ!!』

天才『だっせぇ!ここはビシっと【レジェンド・オブ・ジーニアス】』

皇太子『困るな。ここは気品高く、私が主人公ではないかな?出番的にも』

青年兵『まぁ、殿下が仰るのなら仕方ないですね』

隊長『うーん、惜しいところだが……ここは譲るとしましょう』

天才『しゃーねぇなあ。即位した事だし、譲ってやるよ!』

皇太子『決まったな。では、主人公はこの私――』

ガバッ!!

戦士「……んー?どしたぁ?」

召喚士「……すっごい怖い夢……見た気がする……っ」


668 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/04/11(月) 18:07:38.16 ID:Z+tBDOyAO
>>1乙

いやァ、殿下が無事即位出来てよかったよかったァ

いよいよ世界中が一丸となって平和を勝ち取る時ですなァ



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