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少女「治療完了、目を覚ますよ」−オリジナル小説
- 510 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga]
投稿日:2012/10/20(土) 22:21:20.11 ID:byJxhkJD0
「ん?」
『……お前は……』
彼が言い淀んだその時だった。
突然、静かに鳴っていたベートーヴェンの音楽が消え、
代わりに救急車のサイレンの音が鳴り響いた。
周囲も赤い光源になり、汀はハッとして周りを見回した。
「トラウマだ。でもどうして……?」
『……トラウマだって? どのくらいのレベルの奴だ?』
「この人の心が警鐘を鳴らしてるくらいだから、
外部からの外的衝撃が加わったってことだと思うけ……きゃあ!」
ズシンッ、とトンネル内に地震が起こった。
バラバラと写真のジグソーパズルが降って来る。
- 511 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:21:53.14 ID:byJxhkJD0
汀は、震度七ほどにも匹敵する地震に抗うことも出来ず、
ゴロゴロと地面を転がって、したたかに頭を壁にぶつけた。
ザァァァッ! と雨のようにジグソーパズルが降って来る。
息も出来なくなり、目の前が確認できなくなった
汀の手の中の小白が、ボンッ、と音を立てて膨らんだ。
そして傘のようになり汀の体を覆う。
ジグソーパズルの落下はとどまるところを知らず、
天井、壁、床全ての写真が崩れ落ち、無残に雪のように積もった。
地震が収まり、時折パラパラとパズルが落ちてくる中、
汀はもぞもぞとその中から這い出した。
体の所々が、パズルの角で切れてしまっている。
小白が空気の抜ける音を立てて元にもどる。
- 512 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:22:26.34 ID:byJxhkJD0
そこで、ドルンッ、とエンジンの音が聞こえた。
汀がジグソーパズルの海の中、サッと顔を青くして振り返る。
そして、彼女は目玉を飛び出さんばかりに見開いて、硬直した。
そこには、ドクロのマスクを被り、
右手に錆びた巨大なチェーンソーを持った男がゆらりと立っていた。
ピーポーパーポーピーポーパーポーと
救急車のサイレンが鳴り響いている。
「いやああああああああああああ!」
汀は、耳を塞いで目を閉じ、絶叫した。
エンジンの音は、チェーンソーが起動した音だったのだ。
『どうした、汀!』
- 513 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:23:01.79 ID:byJxhkJD0
「やだ、やだ、やだ、やだ!」
『落ち着け、何が……』
「やだやだやだやだやだやだ! いやあ! いやあああああ!」
完全にパニックになった汀は、
パズルの海を抜け出そうともがいて、その場に盛大に転んだ。
しかしそれでも、全身をブルブルと震わせながら、
這って逃げようとする。
男が、パズルを踏みしめて足を踏み出した。
ズシャリ。
ギリギリギリギリギリ。
チェーンソーの端が、壁に当たりそこを削り取る。
- 514 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:23:33.58 ID:byJxhkJD0
汀は両目から涙を流し、腰を抜かしてその場にしゃがみこんだ。
「あ……あああ……あ……あ…………」
言葉になっていなかった。
男がゆっくりと近づく。
小白が、男と汀の間に立ち、シャーッ! と牙を剥き出して威嚇した。
その体が風船のように膨らみ、
全長五メートルほどの化け猫の姿に変わる。
『汀、トラウマか? まさかドクロの男か!』
「圭介! 圭介、か、か……回線!
回線切って! 助けて! 助けて! 助けてえええ!」
いつもの飄々とした威勢はどこに行ったのか、汀が泣き叫ぶ。
- 515 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:24:07.38 ID:byJxhkJD0
彼女は後ずさって逃げようとしたが、
壁に追い詰められてしまっていた。
『分かった、今すぐに回線を……ブブ……』
そこで圭介の声がノイズ混じりになり、
ヘッドセットから、砂画面の音が流れ出した。
『何…………ザザ…………これ…………ブブブ…………』
「圭介!」
汀の悲鳴が、虚しく響く。
「一分…………逃げろ……し……待って…………ブブ…………」
プツン、と音が消えた。
次いで、突然ヘッドセットからの音がクリアになった。
- 516 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:24:49.25 ID:byJxhkJD0
そして面白そうに笑う、少年の声が聞こえる。
『なぎさちゃん』
踊るようにその声は言った。
マスクの男が顔を覆うドクロの口元をめくり、
裂けそうなほど広げた。
ヘッドセットと、マスクの男両方から、声が聞こえた。
『みーつけた』
そこで、小白がマスクの男に飛び掛った。
男がチェーンソーを振り回し、小白のわき腹をなぎ払う。
ドパッと鮮血が散り、
小白が地面を、パズルを飛び散らかせながら転がった。
- 517 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:25:44.71 ID:byJxhkJD0
次いで男は飛び上がると、
小白の脳天に向けてチェーンソーを振り下ろした。
「小白!」
汀が震えながら悲鳴を上げる。
そこで、しゃがみこんでいた汀の両腕に、
壁から飛び出た鉄の枷が嵌められた。
あっ、と思う間もなく、彼女は壁に引き寄せられ四肢を磔られた。
首と両足にも枷がはまり、汀は涙をボロボロと流しながら、
横に目をやった。
彼女は、縦にした棺のような場所に磔られていた。
そして、ドアを連想とさせる脇の部分には――。
沢山の長い針が、内側に伸びた棺の裏部分が見えた。
- 518 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:26:19.01 ID:byJxhkJD0
頼りなげに揺れている。
棺の扉が閉じたら、中にいる汀は、
その沢山の針で串刺しになってしまう。
そういう寸法だった。
暴れることも出来ずに、汀はただ、呆然と体を震わせていた。
彼女の股の間が熱くなる。
あまりの恐怖に、小さな少女は、
年齢相応に恐怖し、そして失禁してしまっていた。
マスクの男が飛び上がる。
そして小白の脳天にチェーンソーを突き立てる。
しかし小白は、頭を強く振ると、男を跳ね飛ばした。
- 519 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:27:00.06 ID:byJxhkJD0
飛ばされた男は、まるで無重力空間の中にいるかのように、
天井に「着地」すると、そこを蹴って、小白に肉薄した。
そしてパズルの一つを手にとる。
それがぐんにゃりと形を変え、ジグザグの鋲のようになった。
男は、それを小白の腕にたたきつけた。
小白の右腕がを鋲が貫通して、地面に縫いとめる。
もがく化け猫に次々と鋲を打ち込み、
四肢を地面に磔にしてから、男はチェーンソーを肩に担いだ。
そして紐を引っ張って、
ドルンドルンとエンジンを空ぶかししながら、
ゆったりと汀に近づく。
- 520 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:27:41.21 ID:byJxhkJD0
「や……嫌あ…………」
口を半開きにさせて、ただひたすらに恐怖している汀に近づいて、
男はマスクを脱いだ。
「ひっ!」
思わず顔をそらした汀の前で、男は
「あは……ははははは!」
と面白そうに笑うと、チェーンソーを脇に投げ捨てた。
汀が恐る恐る目を開くと、そこには白い髪をした、
十五、六程の少年が立っていた。
「はは……あっはっはははははは!」
爆笑だった。
- 521 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:28:20.78 ID:byJxhkJD0
少年は腹を抱えて、汀が恐れおののいている様子を指差して笑うと、
しばらくして、呆然として色を失っている彼女に、
息をつきながら言った。
「はは……はははは……面白かった!
なぎさちゃんがこんなに驚くなんてさ!
どう? 似てた? 僕演技すげぇ上手いでしょ?」
少年――ナンバーXは汀の前をうろうろしながら、
彼女の顔色を伺うように、チラチラと視線を投げてよこした。
「どのくらい似てた? 百点? 二百点?
僕は三百点は固いと思うんだけどな」
「だ……」
汀は小さく、か細い声で呟いた。
「誰……?」
まだ彼女の両目からは涙が溢れている。
- 522 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:29:00.44 ID:byJxhkJD0
ナンバーXは少しきょとんとした後、ポン、と手を叩いた。
「もしかして、僕悪いことしちゃったかな?
そっか。GMDの副作用を忘れてたよ。うっかりしてた」
彼は顎に手を当てて考え込むと、せかせかと歩き回りながら言った。
「でもグルトミタデンデオロムンキールのA型だと仮に仮定したとしても、
そこまで急激な記憶の喪失ってあるのかな?
まぁ、なぎさちゃんなら、そんなこと関係ないよね!」
ナンバーXはそう言って笑うと磔られて失禁している少女の周りを
伺うようにうろついた。
怖気が汀の背を走る。
何故、彼がこんなに怖いのか、それは汀には分からなかった。
しかし彼女は、あまりの恐怖と、嫌悪感に、
彼の視線から何とか逃れようと、体を無理にねじらせて抵抗していた。
- 523 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:29:44.16 ID:byJxhkJD0
その様子をクスクスと笑いながら見て、彼は言った。
「無駄だよ。僕の空間把握能力と構築能力は、
なぎさちゃんなら良く知ってるでしょ?
僕の『白金の処女』は絶対に破れない」
そう言って、ナンバーXは、キィキィと、
わざと音を立てて針がついた扉を動かし、
汀の泣き顔を楽しむと、怪訝そうに眉をひそめた。
「どうしたの? まさかおしっこもらすほど驚くとは思わなかったけど、
僕はそんなこと気にしないよ?
あ……! そうだ、この前、会ったことも忘れちゃってるか。
てゆうことは、僕のことも分かんない?
そんなわけないよね? ね? どう? 僕のこと思い出せない?」
ナンバーXが顔を近づける。
汀は、必死にそれから目をそむけようとした。
- 524 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:30:30.59 ID:byJxhkJD0
そこで、汀の脳裏に、
今よりも少し幼いナンバーXの顔がフラッシュバックした。
笑顔で、右手に何かを包んでいる。
その何かを、差し出している。
笑顔で。
「い……」
汀は、引きつった声で、しゃっくりのように呟いた。
「いっくん……?」
「ほら来た! やっぱりなぎさちゃんだ!
GMDなんてクソ喰らえだね!
僕達の絆に比べたら、そんなもん屁でもないさ!
そりゃそうさ! 僕達は『前世から結ばれる運命にあった』二人なんだからさ!
ね? なぎさちゃん!」
- 525 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:31:04.19 ID:byJxhkJD0
一人でヒートアップして騒ぐ、ナンバーX。
みぎわはそれを呆然と見つめ、しかし自分が、
彼の名前以外思い出せないことに気づいて青くなった。
それ以前に、本当にいっくんというのか。
それは名前から取ったあだ名なのか、苗字から取ったものなのか。
いや、それよりも。
私達に、苗字なんてあったのか?
「……ッは!」
そこで、汀の右即頭部に凄まじい痛みが走った。
汀は、歯を噛み締めてそれに耐えながら、かすれた声を発した。
- 526 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:31:54.54 ID:byJxhkJD0
「あなたが……『いっくん』……?」
「ん? そうだよ。今更どうしたの?」
「な……なぎさって……誰?」
そう問いかけた彼女を、きょとんとした顔で見て、
ナンバーXは答えた。
「君だよ」
「私……? 違う、私は……」
「あー、そういうのいいから。大事なのは過去や未来じゃなくて、今。
今僕と君はこの空間に二人きりでいる。
それが重要じゃないか。
なぎさちゃんが、自分のことを知らなくても、僕は全然構わない。
だって、僕はなぎさちゃんのこと、何でも知ってるもん」
怖気の残るような台詞をすらすらと笑顔で言って、無邪気に彼は扉を動かした。
- 527 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:32:26.72 ID:byJxhkJD0
「だから、ね。ちょっとだけなぎさちゃんに痛い思いをして欲しいんだ。
大丈夫。死にはしないから。
『機関』が君の事を探してる。
僕もだ。だから、君のいる位置を逆探知させてもらうよ」
「い……いや…………」
扉の針が迫ってくる。
訳が分からない。
分からないが。
このままでは、自分は殺されてしまう。
もがくが、「白金」と彼が形容した通りに、枷はびくともしなかった。
「大丈夫。すぐに済むから。痛いのはほんの五秒くらいさ」
- 528 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:32:57.63 ID:byJxhkJD0
「待って……!」
汀は悲痛な声を上げた。
「ん?」
扉を止めて、ナンバーXは汀の顔を覗き込んだ。
「どうかした?」
「一つだけ教えて……! お願い……私達に何があったの……!」
「…………」
彼は動きを止めて少し考え込んだ。
そしてポケットに手を入れて、クローバーの葉を一枚取り出した。
「持ってるでしょ?」
端的に問いかけられ、汀は首を横に振った。
- 529 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:33:27.33 ID:byJxhkJD0
ナンバーXは怪訝そうな顔をして、汀を見た。
「嘘ついてもすぐに分かるよ。これは特別な空間に続く鍵なんだ。
『僕』が、『絶対に外れないように』なぎさちゃんの心の中に、
縫いつけたじゃないか。忘れたとは言わせないよ?」
汀の脳裏に、ある光景がフラッシュバックした。
- 530 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:33:56.24 ID:byJxhkJD0
燃える家。
悲鳴。
断末魔の絶叫。
ドルンドルンと鳴り響くチェーンソーの音。
紙芝居のように揺らめく景色。
マスク。
頭蓋骨。
頭蓋骨の形をしたマスクを被った男。
血まみれのチェーンソーを持って、もう片方の手に、
髪の毛を掴んだ人間の頭を持っている。
そう、頭部だけ。
その頭部は。
- 531 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:34:29.08 ID:byJxhkJD0
そこまで思い出した時、汀のヘッドセットの電源がついた。
『再アクセス完了。
全ての設定をニュートラルにして自動構築開始。汀、聞こえるか?』
「圭介!」
汀が悲鳴を上げる。
「助けて、圭介!」
『もう大丈夫だ、サンプルZを投与した。効果開始まで、あと三秒』
「チッ!」
そこで、ナンバーXが扉を引いた。
「ごめん、なぎさちゃん! 君のためなんだ!」
- 532 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:35:07.42 ID:byJxhkJD0
「……!」
バタン。
ドアが閉まった。
強くそれを押し込み、息を切らしてナンバーXは歯噛みした。
「くそ……あの医者か! 僕のなぎさちゃんに……くそ! くそ!」
地団太を踏む彼。
汀は、その彼を、冷めた目で見つめていた。
後方、二十メートル程後ろに、彼女は立っていた。
今まで拘束されていた部分が、青黒いあざになっている。
- 533 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:35:37.45 ID:byJxhkJD0
いつの間に脱出したのか。
いつの間に枷を外したのか。
全く分からないほどの、一瞬の移動だった。
ナンバーXは、ポカンとした顔で汀を見ると、
急いで白金の処女の扉を開けた。
中には、何も入っていなかった。
「え……」
呆然と呟き、彼は汀に向き直って、言った。
「ど……どうしたの? 何、したの?」
「…………」
汀は、妙に落ち着いた表情で彼を睨んでいた。
- 534 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:36:15.64 ID:byJxhkJD0
「なぎさちゃん! 君じゃないか!
僕の構築から抜け出せる人はいないって、
褒めてくれたの、君じゃないか!
なのに……なのにどうして? ずるいよ!」
喚くナンバーXの耳に、汀がスライドさせたヘッドセットから、
圭介の声が流れて飛び込んできた。
『クソガキが』
汀が首の骨を、コキ、コキ、と鳴らす。
瞳は光を失っており、不気味な様相を呈していた。
『俺より早く鯨の居場所に気づくとは、
たいしたもんだが、一手遅かったな』
汀が軽く笑って、見下したように彼を見て言う。
- 535 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/20(土) 22:37:08.80 ID:byJxhkJD0
「マインドジャック……?」
ナンバーXが唖然として呟く。
「なぎさちゃんの意識を乗っ取ったな! ヤブ医者!」
『ジャリが。オトナへの口の利き方というものを、
どいつもこいつも知らんらしい』
汀の口を通して圭介はそう言い、彼女の体を一歩、動かした。
汀の意識は、なくなっていた。
圭介はいつもの柔和な様子とは裏腹に、黒い声調子で続けた。
『いい加減にしろよ変態野郎。こいつは俺のものだ。誰にも渡しはしない』
「なぎさちゃんは僕のものだ! てめぇの玩具じゃねぇんだよ!」
ナンバーXが、そこで吼えた。
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