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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その14
504 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 00:39:32.11 ID:GDmK1jMo


マジシャン「遅っせぇなぁ…!」

バーテン「あ…?」

マジシャン「酒だよ、酒!」

騎士長「え…!?」

マジシャン「食料庫なんてすぐそこじゃねーか…」

騎士長「お前…ワザと行かせたんじゃなかったのか…?」

マジシャン「はぁ!?何で俺がそんな真似すんだよ…」

騎士長「何だよ…てっきり若い奴らへの世話焼きかと思っちまったぜ…」

バーテン「そうに決まってんだろ。何照れ隠ししてんだよ」

マジシャン「ゴチャゴチャうるせぇなぁ…」

バーテン「他人事は放っておけないんだよな。自分は失敗…」

マジシャン「うるせぇ!!」

騎士長「あー…。そっかぁ…」

マジシャン「うるせえぇー!!」


505 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 00:44:21.37 ID:GDmK1jMo
テクテクテク…

召喚士「も、戻りました」

マジシャン「いよっ、待ってました!んで…どうだった…?」

召喚士「あ、はい…」

召喚士は手にした三本の酒瓶を手渡す。

マジシャン「あ、うん……

バーテン「ん?嬢ちゃんはどうした?」

召喚士「あ…ちょっと体調が優れないそうで…。部屋に戻りました」

バーテン「……そっか」

召喚士「とりあえず寝て落ち着いてくれれば…」

騎士長「落ち着く…?」

ゴンッ!!

騎士長「いってぇ…!」

マジシャン「……黙ってろ」

騎士長「な、何なんだよ…ったく」


506 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 00:48:52.02 ID:GDmK1jMo
スタスタ…

戦士「ただいま…」

盗賊「……」

召喚士「あ、おかえり」

マジシャン「……コッチも…ダメ…か」

戦士「…?」

マジシャン「何でもねぇ…。ほら、飲み直しだ!」

マジシャンは酒の蓋を開け、戦士へ器を渡し、酒を注ぎ入れる。

マジシャン「ま、若いうちは色々あるさ…お二人さん」

召喚士「は、はぁ…」

バーテン「説得力あるな…」

マジシャン「てめぇはいい加減にしろよ…?」

バーテン「…・悪かったよ」

騎士長「がはははっ!!」

戦士「……?」


507 : [sage] :2010/05/16(日) 00:51:44.88 ID:AgWI0Bwo
はがゆいいいいいいい


508 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 00:56:25.81 ID:GDmK1jMo
青年兵「いやぁ…、参った参った……」

エリート「戻ったか。遅かったな」

皇太子「済まなかったな」

青年兵「いえいえっ、南の食糧庫まで行っておりまして…」

エリート「南?北の食糧庫にはなかったのか?」

青年兵「!?…あっ、な…何故か食糧庫が壊れており…酒も…」

皇太子「そういえば戦いにおいて破壊されたと言っていたな…。これは申し訳なかった」

青年兵「いえっ!滅相もっ…」

青年兵は恐縮し、手にした酒を皇太子に告ぐ。

皇太子「気を遣わせてしまったな…。すまん」

青年兵「いえっ…!それより…もう大丈夫です…か?」

エリート「…?ああ、彼女か…!彼女ならほら…そこに…」

エリートは背後を指差し、その先を見つめた青年兵は、深い溜息をつく。

白虎長「あんな男いいのよっ!殿下と結婚しちゃえば…玉の輿でうふふ〜っ!」

占い師「はいはい…。でもアンタの未来はね、ま……いいか…」


509 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 01:05:39.46 ID:GDmK1jMo
トクトクトク…

青年兵「でも、殿下はご結婚されないのですか…?」

皇太子「……ふむ。まぁまだ焦る歳でもないしなぁ…」

青年兵「こ、これは失礼を…!」

皇太子「気になる人は…いるかな」

青年兵「そうなんですか?」

皇太子「以前、一目見た時にどうにも気になってしまってなぁ」

エリート「一目惚れ…というやつですね

皇太子「ただその方も…誰かのフィアンセだしなぁ…」

皇太子はちらりとエリートを見つめる。

エリート「!?」

皇太子「まことに残念…」

エリート「親同士が…決めた事ですから」

皇太子「そうなのか?それなら私にもチャンスが……」

青年兵「…いや、失礼ながら…ないかと思われます」


510 : [sage] :2010/05/16(日) 01:09:41.08 ID:rGygK2DO
青年兵wwwwww


511 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 01:10:24.43 ID:GDmK1jMo
皇太子「そう…なのか?」

青年兵「あの方には…常にお傍でお守り下さる方がいらっしゃいますから…」

エリート「………」

皇太子「……そうかぁ」

青年兵「ええ」

皇太子「彼女を見てると…なんだか不思議な気持ちになるんだよな」

エリート「…素敵な方です」

青年兵「……」

皇太子「まあそれなら仕方ないか…。しばらくは独身だな。はははっ」

皇太子は手にした酒を一気に飲み干し、立ち上がる。

エリート「…どちらへ?」

皇太子「ああ、守兵を労ってくる」

皇太子は酒瓶を持ち上げ、笑顔を見せる。

青年兵「それならばお供致します」

皇太子「いや、大丈夫。ゆっくり楽しんでくれ」


512 : [sage] :2010/05/16(日) 01:14:11.37 ID:AgWI0Bwo
青年兵、エリートの前でその発言はしどい


513 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 01:16:00.57 ID:GDmK1jMo
テクテクテク…

青年兵「……」

エリート「殿下はな、いつも自分と戦っておられるのだ」

青年兵「…?」

エリート「知っての通り、皇族は魔道系の家柄……」

青年兵「…ええ」

エリート「しかし、殿下はその中でも異端でな…。魔法が一切使えないのだ」

青年兵「そう…なのですか!?」

エリート「ああ。だからなのか…幼い頃よりひたすら武芸を磨かれていてな…」

青年兵「道理で…お強いわけだ」

エリート「魔法以外の事に関しては超一流だよ。剣に兵法に…政治も」

青年兵「……」

エリート「あの方の心中をお聞きした時…私は一生この方に付き従うと決めた」

青年兵「エリート様……」

エリートは目を細め、ゆらゆらと揺れる器の中の酒を見つめた。


514 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 01:22:17.19 ID:GDmK1jMo
エリート「出来れば…恋愛も成就させてあげたいところだが…」

青年兵「…宜しいのですか?」

エリート「いやっ、魔道士さんは私の事をフィアンセとは、もう思われていないよ」

青年兵「……」

エリート「君の言う通りさ。彼女に必要なのは、常に傍にいてあげられる事の出来る者…」

青年兵「す、すみません…」

エリート「良い…。全てを捨て、再び冒険者の道を選んだ彼女は…本当に強いよ」

青年兵「エリート様…」

エリート「結局私は…家も軍も捨てる事など出来ない…」

青年兵「……」

エリート「そう…。直接援軍に伺う事すらも…な」

青年兵「しかし…それは…」

エリート「まぁそういう事さ。あ…そうだ青年兵くん」

青年兵「は、はいっ!」

エリート「婚期…というものは逃がさない方が良いぞ?年を取るのはあっという間だ!あははっ!」


515 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 01:44:02.90 ID:GDmK1jMo


マジシャン「いやぁ…!飲んだ飲んだ!!」

戦士「明日への活力ってやつかな!はははっ!」

副司令官「さて、お開きに致しますかな」

皇太子「うむ。皆の者、此度は本当にご苦労であった」

召喚士「……」

皇太子「明日よりまた…気を引き締め、それぞれの任務にあたって欲しい」

エリート「……」

皇太子「今日はゆっくり休んで、疲れを癒すように!以上!」

占い師「ほら、行くわよ…?」

白虎長「へぇ〜い…」

戦士「さて、俺らも行くか…」

召喚士「うん…」

参謀「…あの」

大軍師「……うむ」


516 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 01:49:05.07 ID:GDmK1jMo
テクテクテク…

大軍師「それで…どうであった?」

参謀「仰せつかった通り、動きを調べましたが…」

大軍師「……」

参謀「北方には特に内通者は居らぬかと思われます」

大軍師「…・そうか。ご苦労様」

参謀「や、やはり、内通者は…」

大軍師「ああ。間違いなくいる…」

参謀「…そう…ですか」

大軍師「北方を頼んだぞ」

参謀「はい…っ!あ、あの……」

大軍師「……?」

参謀「兄上も…お気を付けて……」

大軍師「ああ、ありがとう。お前もな…」

曇り顔の参謀を横目に、大軍師は微笑み、その場を後にした。


517 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 01:54:01.66 ID:GDmK1jMo
北関より北部に位置する山脈。その一角…結界石が打ち込まれた場所。

パカラッパカラッパカラッ…

フンババ「………うぅ」

パッカパッカ…スタッ…

フンババ「おで…待ってました」

将校「………」

馬を寄せ、将校がフンババの元へ近づいた瞬間、フンババの体が二つに分かれる。

フンババ「……!?」

将校「!!」

ザシュッ…ドンッ!!

将校「な…何故お前がここに…!?」

ザッザッザ…

天才「さぁな〜。何でだと思う…?」

将校「くっ…!!」

天才「……裏切り者は…てめぇだな?」


518 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 01:57:22.53 ID:GDmK1jMo
将校は慌てて剣を抜くが、その剣は瞬時に弾かれ、地面へと突き刺さる。

チュインッ…ヒュンヒュンヒュン…サクッ

将校「っ!!」

ガシッ!!

天才「お前が指示したとは思えねぇ…。吐け」

将校「……ぐ…っ!」

天才「親玉は誰だ?」

将校「………」

天才「言わねぇと…命はないぞ」

チャキッ…

将校「………ふ、ふんっ!!」

天才「!?」

取り押さえられた将校は、口から血を流し息絶えた。

天才「……舌噛み切りやがったか…くそっ!」

天才は身体を起こし、ツヴァイハンダーを担ぎ上げ、舌打ちを鳴らす。


519 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 02:03:50.09 ID:GDmK1jMo
天才「仕官が口割らねぇとなると…更に上か」

ザッザッザ…

天才「あーめんどくせぇ…」

天才の元へ一頭の馬が駆け寄ってくる。

パッカパッカパッカ…

親衛隊「……ワーカーの方、か?」

天才「見ての通りだ。内通者は口を割らずに命を絶った」

親衛隊「そう…か」

天才「皇太子に言われて、つけてたんだろ?」

親衛隊「……いかにも」

天才「言っとけ。主犯は高位だってな」

親衛隊「………」

親衛隊は地に倒れる将校とフンババの姿を見つけ、言葉をなくす。

親衛隊「あ、あんた一体……」

ようやく声を出し振り返ると、そこに天才の姿はなく、ただ深い森だけが広がっていた。


520 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 02:08:17.12 ID:GDmK1jMo
〜北方司令部〜

北方兵「………!!」

テクテクテク…

魔道兵「ど、どうした…?」

北方兵「これを……っ」

北方兵は破損した墓地の一角を指差す。

魔道兵「あぁ…こりゃヒドイ。急いで修復を…」

北方兵「遺体が……ないんだよっ!」

魔道兵「…何だと!?」

バッ!!

魔道兵「…二か所!誰の墓だ!?」

北方兵「……元司令と、ワーカーのものだ…」

魔道兵「ワーカー?ああ、先日のトロル戦の……」

北方兵「一体何故…!?」

二人はしばし呆然と、掘り返された墓の前に立ちつくした。


521 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 02:14:19.40 ID:GDmK1jMo
ヒュンッ…ストッ……

ネクロマンサー「やあ、お帰り」

魔剣士「………」

ネクロマンサー「任務ご苦労様」

魔剣士「……いえ」

ネクロマンサー「すまないが、一つ持ってくれないかな?」

ネクロマンサーは二つの布に包まれた大きな荷物を見つめ、笑う。

ネクロマンサー「なかなか素晴らしい素材が二つもあってね。欲張ってしまったよ…ククッ」

魔剣士「………」

魔剣士は黙って、一つのそれを担ぎ上げる。

ネクロマンサー「さざ戻ろうか。どうやら伯爵も駄目だったようだし…」

魔剣士「…はい」

ネクロマンサー「やはりオーケストラは、優れた指揮者でないと…駄目ですねぇ。クククッ!」

魔剣士「………」

ネクロマンサーを追うように魔剣士が後に続き、二人は森の中を北へと消えて行った。


523 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/16(日) 02:31:38.09 ID:GDmK1jMo
この日、国軍が総力を挙げて達成した任務は、

この先、長い魔族との戦いにおいて大きな成果を挙げる事となる。

しかし、それはまだ…先の話である。



第一次北伐(結界石設置、及び魔王軍鎮圧作戦)

国軍:死者104名、負傷者221名(重軽傷)

ワーカー:死者不明、負傷者7名(重軽傷)、行方不明4名

魔王軍:死者、及び負傷者多数(未調査)

国軍の記録には以上のように残されている…。



〜第十五部、完〜



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