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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その15
229 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 17:58:41.53 ID:O4iS7VIo


召喚士「…ありがとうございました!」

テクテクテク…

戦士「どうだ?売れたか!?」

召喚士「うん。あとは…包丁とか日用雑貨がちょこっとあるくらい」

召喚士は地面に敷いた布を畳みながら、戦士の問いかけに答える。

戦士「そりゃ結構」

召喚士「戦士は?」

戦士「残り半分!!」

そう言うと戦士は振り返り、背中に背負った武器の束を見せる。

召喚士「おぉー!結構売れたね!」

戦士「召喚士には負けちまったみてぇだけどな!はははっ!」

召喚士「まぁ俺も…魔道士さんには敵わないみたいだけどね…。ははっ」

戦士「…?」

怪訝な表情で横を振り向く戦士の目に、人だかりが飛び込んでくる。


230 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:00:10.01 ID:O4iS7VIo
商人「…んー、じゃあ二本買うから何とかこの値段で…」

魔道士「その値段なら三本で…!!」

商人「……仕方ない。じゃあ三本貰いましょうか」

魔道士「ありがとうございますっ!エヘヘ!」

男ワーカー「お嬢ちゃん!コイツはあと一本ないのかい?」

魔道士「あっ、えぇと…少々お待ち下さい!」

老人「これ、貰おうかの…」

魔道士「お爺さんお目が高いですね!それならこの値段で…」

老人「むぅ…若いのに商売上手じゃのう…。よし、その値で買おうかの!」

戦士「……流石は商人の娘…か」

召喚士「う、うん…」

テクテクテク…

盗賊「…三本売れた…ふふっ」

魔道士「…あっ!?」

手にした小銭を見つめながら、笑みを浮かべる盗賊に、魔道士は声をかける。


231 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:00:40.26 ID:O4iS7VIo
魔道士「盗賊さーんっ!!」

盗賊「……魔道士?」

魔道士「まだ商品余ってますかぁー!?」

盗賊「……う、うんっ」

魔道士「こっち来て、手伝って下さーいっ!」

盗賊「…!?」

魔道士「早くーっ!!」

盗賊「…あっ、う…うん!」

タッタッタッタッタ…

魔道士「助かりました!えぇと…あ、あった!」

魔道士は盗賊の背から剣を一本抜き取り、正面の男へ見せる。

魔道士「もう一本ありましたよぉ、はいっ!」

男ワーカー「おお、わざわざ悪いなっ!じゃあ二本頂くぜ」

魔道士「ありがとうございます!盗賊さんっ、会計お願いします!」

盗賊「…ふぇっ!?」


232 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:01:24.37 ID:O4iS7VIo


青年(…こ…これは凄い!)

老人(……生きてて良かった)

男(…しっとり汗ばみ光る…そのテカリ具合がまた何とも…)

女「ちょっとぉ、いつまで見てるのよー?行こうよー!」

男「あ、ああ…。あまりにも素晴らしいテカリ…い、いや!輝きだったから…」

魔道士「ありがとうございましたー!」

盗賊「…あ、ありがとうっ!」

ゾロゾロゾロ…

魔道士「やりましたねっ!完売です!」

盗賊「う、うんっ!」

魔道士「盗賊さん、ありがとうございました!」

魔道士は両手を前に揃え、笑顔で頭を下げる。

盗賊「こ、こちらこそっ!」

それを見た盗賊も慌てて同様に頭を下げた。


234 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:01:57.17 ID:O4iS7VIo
戦士「……」

召喚士「二人とも…凄いなぁ…」

スタスタスタ…

魔道士「あ…っ、お疲れ様ですっ!」

召喚士「凄いですね!完売じゃないですか!」

魔道士「盗賊さんと二人で頑張りました!エヘヘ!」

盗賊「わっ、私は…何も…っ」

戦士「四人トータルだと…8割近く売ったか…。上出来だなっ!」

魔道士「えぇと…利益も……うんっ!バッチリです!」

召喚士「しかし凄い活気ですね…!」

召喚士は大型船の前に広がる、露店や行商の人々に目をやる。

戦士「西方から北の港…そしてここ経由で本国に行くらしいぜ」

魔道士「それで、色々な人達が……」

盗賊「…成程」

四人は行き交う人々をしばし眺め、鍛冶屋の家へと戻っていった。


235 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:02:42.14 ID:O4iS7VIo
〜鍛冶屋の家〜

戦士「たっだいまー!」

おかみ「おかえり!もうじき日が暮れるから迎えに行こうかと思ったとこだよ」

鍛冶屋「どうだったどうだった?」

魔道士「……じゃーん!!」

魔道士は、両手に抱えた布の袋を二人へ見せる。

おかみ「おや!?…凄いじゃないか!!」

鍛冶屋「えっ…!?こ、こんなに…売れたの…?」

召喚士「全て完売とまではいきませんでしたが…」

鍛冶屋「いやいやいやいや!充分!充分だよ!」

おかみ「ありゃあ…。しばらくあの二人は仕事無くなっちまったねぇ…」

戦士「やべ…っ、在庫分売り切っちまったか…!」

おかみ「なぁに嬉しい悲鳴さね!さ…夕飯にしようじゃないか!」

魔道士「はーい!えへへっ!」

おかみ「荷物片付けたら、すぐ食卓に来るんだよっ」


237 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:05:47.26 ID:O4iS7VIo
カチャカチャッ…コトッ…

盗賊「……モグモグ」

戦士「それで…親父さん、盾はどうっすっか?」

鍛冶屋「うん。さっき打ち終えて、あとは組み上げて微調整するだけ」

召喚士「えっ!?もう…ですか…?」

鍛冶屋「うん、そうだけど?」

盗賊「…は、早いな」

戦士「親父さんは一日…しかも一人で鍛錬まで終えちまうからなぁ」

召喚士「相槌も一人……で?」

鍛冶屋「えっ?うん…。そうだけど…

魔道士「な、なるほど…!東方にまで噂が広がるわけですね…」

戦士「親父さんの師匠ももの凄い人だったんだよな?」

鍛冶屋「え…?あ、まぁ…うん」

おかみ「……ほら、喋ってないでさっさと食べちゃいなっ!」

戦士「おっと…すんません」


238 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:06:21.91 ID:O4iS7VIo
〜工房〜

テーブルに置かれた武具を挟んで、鍛冶屋と四人が並ぶ。

鍛冶屋「明朝の船で出るようだし、まとめて説明するね」

召喚士「お願いします」

鍛冶屋「まずは…魔道士さん」

魔道士「はいっ」

鍛冶屋「魔道士さんの武具については、ほぼ変化はありません」

魔道士「はいっ!…えぇ!?そうなんですかぁ…」

鍛冶屋「既に完成されていますので、ヘタにいじる必要はないですね」

魔道士「なるほど…」

鍛冶屋「ローブについては…私ではどうにも出来ませんし…」

召喚士「裁縫師の仕事ですもんね…」

鍛冶屋「せめてもと思い、杖をですね…」

ゴソゴソ…

魔道士「!?」


239 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:06:50.48 ID:O4iS7VIo
机上に置かれた杖の先端はハート型を模し、中央に結界石が埋め込まれている。

戦士「何…これ…?」

魔道士「かわいいじゃないですかっ!ありがとうございますー!!」

魔道士は杖を手に取り、くるくると回りながら笑顔でそれを振る。

鍛冶屋「一応…女の子らしく…ね」

戦士「……布団叩きみてぇ」

魔道士「ちょっと!失礼ですよっ!!」

盗賊「……いい」

召喚士「!?」

鍛冶屋「次は…盗賊さん」

盗賊「は、はい!」

鍛冶屋「蜘蛛切については研いだだけです」

盗賊「……」

鍛冶屋「これを作った刀工は大した者ですね。施しようがありません」

盗賊「…成程」


240 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:07:19.69 ID:O4iS7VIo
鍛冶屋「せめてもと思い…鍔の部分をハート型に…」

戦士「!?」

盗賊「…そ、それは…ちょっと」

鍛冶屋「そう思ってしませんでした。ははっ」

盗賊「……そ、そう」

鍛冶屋「あまりそういうイメージではないですもんね。はははっ」

盗賊「……う、うん」

鍛冶屋「そして鎖ですが……」

ジャラッ…ゴトッ

鍛冶屋「思ったより武器としての使用頻度が高そうなので強化しました」

召喚士「見た目は…あまり変わらないように見えますが…」

鍛冶屋「鎖部分における結界石の比率を高めました」

魔道士「おぉーっ!」

鍛冶屋「これで強度による破損の不安はないでしょう」

盗賊「……凄い…!」


241 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:08:02.03 ID:O4iS7VIo
鍛冶屋「盗賊さんの魔力によっては…弱い魔物なら一撃かも…」

召喚士「…?」

鍛冶屋「結界石の比率を上げたという事は、魔力の流れも強力になります」

戦士「……それで?」

鍛冶屋「つまり、予め魔力を流しながら放てば……」

召喚士「そうかっ!縛り上げたりするだけで魔物を…」

鍛冶屋「そうそう!そういう事です!」

魔道士「凄い…凄いじゃないですか!」

鍛冶屋「もっと言うと…魔力を高めれば、自分の石で操れますよ」

戦士「操る…?鎖をって事…?」

鍛冶屋「そう。自分の手の延長みたいに自由自在に…」

盗賊「…そ、そんな事まで…!」

鍛冶屋「まぁこれは相当量の魔力がないと難しいですけどね…ははっ」

盗賊「…あ、ありがとう…ございますっ!」

盗賊は鎖を大事そうに抱え込み、深々と頭を下げる。


242 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:08:46.25 ID:O4iS7VIo
鍛冶屋「じゃあ次は…召喚士くんかな?」

召喚士「はい」

戦士「お楽しみは最後ってか…!」

鍛冶屋「召喚士くんも特に変化なしだね。レイピアを研ぎなおして終わり」

召喚士「いえいえ、充分です」

鍛冶屋「何もないのも寂しいから、これをオマケで…」

コトッ

魔道士「何ですかこれ?短剣?」

戦士「これは…マンゴーシュだな…」

魔道士「マンゴーシュ?」

召喚士「レイピアを持つ反対側…利き手以外の手で持つ短剣です」

魔道士「剣を二本で戦うんですか?」

鍛冶屋「これはね、防御用の剣なんだ」

魔道士「防御用…ですか…」

召喚士「相手の攻撃をこれでいなしたり、受け止めて防ぐんです」


243 :GEPPERがお送りします [] :2010/06/01(火) 18:09:34.60 ID:Xk9uHlUo
魔法少女マジカル魔道士☆


244 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:11:18.26 ID:O4iS7VIo
魔道士「へーっ!」

鍛冶屋「近接用だから体術が絡んでくるけど…」

戦士「召喚士なら大丈夫だな!こうみえて体術、剣術なかなかのもの…」

鍛冶屋「なら良かった!うんうん!」

召喚士「助かります!ありがとうございます!」

鍛冶屋「いやいやいやいや!さぁてラストは…戦士くん!」

戦士「待ってました!!」

鍛冶屋「雷切は結構消耗があったけど、昨日見せた通り問題なく元通り」

戦士「うっす!」

鍛冶屋「元がしっかりしてるし、戦士くんのメンテも良かったから…」

戦士「ドワーフのジーサンもきっと喜んでくれてるよな…」

召喚士「うん……」

鍛冶屋「お待ちかねの斧だけど…」

鍛冶屋は後ろにしゃがみ、床から斧の刀身部分を持ち上げる。

鍛冶屋「よいっしょ……っと」


245 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:11:46.45 ID:O4iS7VIo
ゴトッ

召喚士「!!」

魔道士「だいぶ形状が変わりましたねぇ!」

鍛冶屋「水平のままだと、盾として使用した時に傷つくし…」

盗賊「……」

鍛冶屋「刃の部分も削れてしまう恐れがあるからね…」

魔道士「なるほどですねぇ…」

鍛冶屋「こうして少し山なりにしておく事で、それを防ぐんだ」

戦士「それに山なりの盾だと、武器の軌道もいなせるしな!」

鍛冶屋「そういう事!!」

召喚士「色々考えて作られているんですね…」

鍛冶屋「火の鉱石については、細かくして刃に錬りこもうかとも考えたけど…」

戦士「…けど?」

鍛冶屋「後の四行も考えて、とりあえず両刃の軸に埋め込んであるよ」

鍛冶屋の指差す先には、両刃を支えるように、赤い鉱石がきらきらと輝く。


246 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:12:13.07 ID:O4iS7VIo
盗賊「…かっこいい」

戦士「そんで、あとは柄の部分をつけておしまいか…」

鍛冶屋「まぁそういう事になるかな。明け方までには何とか…」

召喚士「…手伝いますよ!」

戦士「おうっ!」

鍛冶屋「いやいやいやいや!大丈夫大丈夫!」

魔道士「でもぉ…」

鍛冶屋「難しい作業でもないし、今日は売る手伝いもして貰ったからね!」

召喚士「本当に…いいんですか?」

鍛冶屋「うん。明日からの冒険に備えてゆっくり休んで!」

召喚士「なんだかすみません…本当に…」

鍛冶屋「気にしないで!僕が好きでやってる仕事だからね!」

戦士「おやじさん…」

魔道士「ありがとうございます!」

鍛冶屋は目を細め、微笑みながら何度も頷いた。


247 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:12:40.85 ID:O4iS7VIo


おかみ「おや、終わったかい?紅茶入ってるよ」

盗賊「…いただきます」

戦士「俺らは先に上に行って、明日の準備してるわ」

召喚士「じゃあ…おやすみなさい」

魔道士「おやすみなさいっ!」

おかみ「んーっ、あたし達も一息ついたら寝ようかねぇ…」

魔道士「……」

テクテクテク…

おかみ「…?」

魔道士「…おかみさん、結構凝ってますね…!」

おかみの背後に回り、魔道士が肩を揉み始める。

おかみ「そんな気を遣わなくたっていいのに…」

魔道士「こうみえても結構上手いんですよ!ねっ、盗賊さん?」

盗賊「えっ!?あ…う、うん」


248 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:13:07.52 ID:O4iS7VIo
おかみ「はぁ〜、なんだか悪いねぇ…」

魔道士「いえいえっ!ふふっ」

おかみ「二人のお母さんは元気なのかい?」

盗賊「…私は…幼い頃に…死別した」

おかみ「そうかい……。そりゃお気の毒に…」

魔道士「私は…健在で元気です…」

おかみ「しっかり親孝行してあげないと駄目だよ?」

魔道士「……はい」

おかみ「……何かあるみたいだけど、母親なんだからね?」

魔道士「…はいっ」

おかみ「んー!ありがとっ、楽になったよ!」

魔道士「あっ、良かったです…!」

おかみ「さぁ今日はしっかり寝て、明日からまた頑張らないとね!」

魔道士「…はいっ!」

盗賊「…・・・」


249 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:13:40.99 ID:O4iS7VIo
〜次の日〜

ソーッ…コソコソッ…カチャッ…パタンッ

戦士「……よぉし、ちょっくらさがしてくるわ!」

召喚士「うん、頼む!こっちは任せて!」

戦士「おうっ!」

タッタッタッタッタ…

召喚士「さて……。行けっ!シルフ!!」

シュイィィン

シルフ「あのさぁ…だからこういう事に…」

召喚士「しーっ!しし、静かに…!」

シルフ「…アンタねぇ、ぶっ飛ばすわよ?」

召喚士「そこを何とか!お願いします!」

シルフ「全く…行けばいいんでしょ行・け・ば・!」

ヒュイーンッ

召喚士「……はぁ」


250 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:14:06.84 ID:O4iS7VIo
コンコンコンッ

魔道士「すーっ…すーっ…」

コンコンコンコンコンコンコ

盗賊「…!?」

物音に飛び起き、窓を見る盗賊の目に、シルフの姿が飛び込む。

盗賊「…?」

シルフ「――!!」

盗賊「…な、なに…?」

魔道士「うぅ…ん…。とうぞくさぁん…?」

盗賊「…下?」

シルフは勢いよく何度も頷く。

盗賊「…なんか…下に来いって」

魔道士「……?」

シルフ「――!!」

盗賊「…し、静かに…?あ、う…うん!」


251 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:14:46.94 ID:O4iS7VIo
テクテクテク…ソーッ…カチャッ

魔道士「あ、召喚士さん」

家の前の木陰から、召喚士は二人を手招きする。

タッタッタ…

魔道士「おはようございます」

盗賊「…どうした?」

召喚士「実は昨晩、戦士と二人で…」

ヒュイーンッ…

シルフ「これでいいの!?」

召喚士「あ、ありがとうございました…」

シルフ「全く…。召喚獣使いが荒いんだからっ!ぷんっ!」

召喚士「……」

シルフ「次やったらタダじゃおかないんだからねっ!」

シュイィンッ…

召喚士「……はぁ」


252 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:15:41.45 ID:O4iS7VIo


戦士「早朝だがそれなりにいたよ」

走り戻ってきた戦士がにこやかに話す。

魔道士「よし…!行きましょう!!」

盗賊「…行きましょう!」

召喚士「やはり女性は頼りになりますね」

戦士「全くなこって……」



魔道士「これなんかどうですか!?」

召喚士「悪くないと思いますよ!ペアだし…!」

盗賊「…これ…かわいい」

戦士「……自分が欲しいモン見てねぇか…?」



魔道士「これで…バッチリですね!!」

召喚士「はい!じゃあ急いで戻りましょう!」


253 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:16:08.75 ID:O4iS7VIo
〜鍛冶屋の家〜

カチャッ…テクテクテク…

盗賊「!?」

おかみ「みんな揃ってどこ行ってたんだい?」

ドアを開けると、正面に立っていたおかみが声をかける。

戦士「い、いやぁ…ちょっと…」

鍛冶屋「おはよう〜」

魔道士「おはようございます!」

召喚士「あの、あれです!朝の露店を見に…!度の準備です!」

おかみ「そうだったのかい!言ってくれればいいのに…」

召喚士「す、すいません…」

鍛冶屋「さぁさぁ!朝食だよ。食べましょう食べましょう!」

おかみ「これ運んでいっておくれっ」

魔道士「あ、はいっ!」

六人は食卓に着き、一時の団欒を終えた。


254 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:16:41.50 ID:O4iS7VIo


戦士「魔道士ーっ!これ持っていけるかぁ?」

魔道士「あっ大丈夫ですよー!」

盗賊「…よいしょ」

テクテクテク…

鍛冶屋「戦士くんっ!出来たよ!!」

戦士「おぉ!!本当ですか!?」

鍛冶屋は斧とガントレットを手に、戦士の元へ歩み寄る。

戦士「すげぇ…!本当に出来たんだ…!!」

鍛冶屋「じゃあ、このガントレットを…腕に…」

戦士「ういっす」

カチカチ…カチャッ

鍛冶屋「そして……はい」

鍛冶屋は両手で斧を持ち上げ、戦士へ手渡す。

戦士「……これが…新しい俺の武具…!」


255 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:17:11.89 ID:O4iS7VIo
戦士は嬉々とした表情で斧を逆手に持ち、柄の底を押す。

カチッ……バチンッ!!

戦士「……すっげぇ!!」

召喚士「やったね…戦士!」

盗賊「…か、かっこいい!」

鍛冶屋いやいやいやいや、頑張った甲斐があったかな…はははっ」

魔道士「本当にありがとうございました!」

戦士「…親父さん、おかみさん。ありがとうございます!」

おかみ「そんな、かしこまらなくたっていいんだよ!」

深く頭を下げる戦士に、おかみが苦笑で声をかける。

戦士「…と、そこで。…召喚士!」

召喚士「うん」

スタスタスタ…

鍛冶屋「…?」

おかみ「…な、なんだい?」


256 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:18:27.73 ID:O4iS7VIo
ガサッ…

召喚士「大した物でないですけれど…。お二人にこれを…」

鍛冶屋「な…何これ!?…えっ!?」

戦士「世話になりっぱなしだからな。心ばかしのプレゼントっつー事で…」

魔道士「開けてからのお楽しみですよー!」

おかみ「あ…あんた達…」

盗賊「…ありがとう…ございました」

おかみ「ま、全く…!余計な事するんじゃないよっ!あははっ!」

おかみは指で涙を拭いながら笑う。

召喚士「さて…行きましょうか!」

魔道士「本当に色々と…ありがとうございました!」

鍛冶屋「またいつでも来てね!」

戦士「ういっす!助かります!」

おかみ「みんな気をつけるんだよ!!」

盗賊「…はいっ」


257 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:23:17.31 ID:O4iS7VIo


おかみ「…全く。困ったモンだねぇ…!あははっ」

鍛冶屋「いい子達だよ、本当…うんうん」

カサッ…

おかみ「…!!」

鍛冶屋「お揃いの…エプロンに、ひざ掛けかぁ」

おかみ「あらやだ、こっちには化粧品まで…」

鍛冶屋「へぇー、何だか色々貰っちゃったね。ははっ!」

おかみ「でも…このエプロンは付けられないよ…」

おかみが広げる二つのエプロンには、大きなハートマークが描かれている。

鍛冶屋「はははっ!仕返しされちゃったかな…?」

おかみ「……?」

鍛冶屋「さぁーて…久々にゆっくり寝ようかな!」

おかみ「しっかり休んでおくれ。在庫はもうないんだからさ!あははっ!」

鍛冶屋「そうだったそうだった…!あはははっ!」



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