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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その31
685 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:17:33.78 ID:bwC4I75Ho
〜スグリーヴァの城〜

広大な台地に佇むこの城は、人間の目から見れば砦に近しい形状のものである。

四方を囲むように備わる崖は、城と外界を遮断し、深い谷底に川を為している。

橋などが架かっている様子もなく、初見の者には渡る気すら起こさせぬであろう。

道を知る者は、その四方に存在する目には見えぬ道を渡り、城を訪ねる。

そしてこの日、招かれざる客が始めて足を踏み入れ、この地に血が流れた。

ワアアァァァァ

ラクシャーサ「正面からブチ破ってやるぜぇー!!」

ドガアアァァン!!

トロル「そうはさせるかってんだ!!」

オーガ「ウオオォォォォ!!」

ラクシャーサ「何だぁ!? 急に厚みを増し……グガアアァァ!」

オーク「ここから先は……絶対に通さねぇです!」

ラクシャーサ「ダメだ、左右に回れ! 正面突破は諦めるぞ!」

オーク「逃がさねぇです!!」


686 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:18:56.03 ID:bwC4I75Ho
ザザッ…ドドドドドド…

ガーゴイル「右側、押されてる!」

マーマン「ったく、今行くからもうちょい踏ん張れ!」

ハヌマーン「はあぁーっ!!」

ドドオオォォォォン!!…ゴゴオオォォォォ!!

マーマン「竜巻の次は……洪水だ!」

ドドオオォォォォン…ズガガガガアアァァ!!

ラクシャーサ「ダメだ! 右側もラチがあかねぇ!」

ゴブリン「へっへー! ざまーみろー!」

ラクシャーサ「しだ利が手薄だぞ! あっちから回り込め!」

マーマン「ちっきしょう……次から次へとウゼーなぁ!」

ハヌマーン「ここは私が引き受ける。お主は手薄な北側の防衛にあたれ」

マーマン「おっしゃ、行くぜ――」

ドズウウゥゥゥゥン

ヴァーリン「……誰かと思えば、ハヌマーンではないか」


687 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:20:04.23 ID:bwC4I75Ho
ハヌマーン「ヴァーリン……ッ!!」

マーマン「ちっ、向こうに行く余裕も無くなっちまったじゃねぇか……ッ」

ハヌマーン「構うな! 早く行け!」

マーマン「行けるかよッ! 1人で何とかなる敵じゃねーだろ!」

ヴァーリン「雑魚が何人群がろうと、無意味だ」

バギャアァ!!…ドゴオオォォォォン!!

ガーゴイル「あわわわわっ! 一撃で10人以上やられちまったぞぉ!?」

ヴァーリン「お前も一緒に死ね」

ガシッ…グシャッ!!

ハヌマーン「……ッ!!」

シュバッ…ザザザザッ

マーマン「馬鹿がッ! 真っ直ぐ突っ込んで勝てる相手かよぉ!」

タタッ…キュイイィィィィ…

ハヌマーン「うおおぉぉーっ!!」

マーマン「んなろおぉ!!」


688 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:21:14.51 ID:bwC4I75Ho
ドッドオオォォォォン!!…ドザアアァァァァ!!

ヴァーリン「む……ぬうぅ」

マーマン「おいおい……ッ、合体魔法の水竜巻を片手で……」

ハヌマーン「まだまだぁ!!」

2人の作り上げた水竜巻を片手1本で凌ぎ支えるヴァーリン。

その巨体めがけ、ハヌマーンは重心を低く疾走し、如意棒を振りかぶる。

ハヌマーン「はああぁぁぁぁ!!」

それを一気に振ると、如意棒は長く伸び、ヴァーリンの左足を捉える。

鈍い音と同時に脛を捉えた如意棒は再び短く戻り、ハヌマーンの手元へと帰ると、

高く飛んだ彼の手元から再び長く伸び、ヴァーリンの腹部を突き押した。

ヴァーリン「ぬぅ!」

グラァッ…ザスッ

不意の攻撃によろめき片膝をつくヴァーリンは、唸りながらも態勢を戻そうとするが、

その目の前には先程まで左手で支えていた水竜巻が迫っており、

その巨体は一瞬の内に竜巻へと飲み込まれ、空中へと大きく投げ出された。


689 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:30:48.25 ID:bwC4I75Ho
全然進まない…本当に申し訳ない…とりあえずここまで!
今日もご支援ありがとうございました!みんなが主役!
それでは失礼致します!!ノシ


695 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/31(水) 18:44:15.30 ID:+CwBGYMLo
ドッズウウゥゥゥゥン!!

マーマン「おぉ……っ!」

ハヌマーン「まだまだぁ!!」

ババッ…ズドドドドドド!!

横たわるヴァーリンへ間髪いれず飛び掛ったハヌマーンは、

休む間もなく如意棒を連打し追撃を仕掛ける。

マーマン「……ッ」

それを見たマーマンも慌ててその後に続くが、両者の追撃は数秒で終わった。

ギロッ…ゴゴゴゴゴゴ…

ハヌマーン「!?」

マーマン「ク……ッ!!」

ババッ…スタッ

マーマン「……なんて威圧だよっ、まだ力を余してんのか」

ハヌマーン「まさか……これだけやって無傷とはな……っ」

ヴァーリン「無傷ではないさ」


696 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/31(水) 18:45:00.07 ID:+CwBGYMLo
ムクリ…ズシイイィィン

ヴァーリン「チンケなものだが、ダメージはある」

ハヌマーン「……っ!」

ヴァーリン「だからこそ余計に、腹が立って仕方がないのだ!」

ゴウッ!!

マーマン「ちぃ、お前らは城まで退がれっ! 勝てる相手じゃねぇ!」

ゴブリン「ひ、ひええぇぇ!!」

ハヌマーン「これ以上は近づけさせぬ!」

ヴァーリン「無駄だ!」

咆哮と同時にほとばしる衝撃波。それはハヌマーンはおろか、

後方のマーマンやゴブリンらをも飲み込み、大きく吹き飛ばす。

ゴッガアアァァァァ!!…ズザザザザアアァァ

マーマン「う……っ」

ヴァーリン「先程の礼だ。威力は格段に違ってしまったがなぁ」

ハヌマーン「……ッ」


697 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/31(水) 18:45:57.34 ID:+CwBGYMLo
ピクッ

ハヌマーン「……?」

ヴァーリン「諦めてそこをどけい雑魚共」

ガーゴイル「つ、強すぎるぞぉ……」

ヴァーリン「そうだ、貴様等……今、降伏するのならば、受け入れてやるぞ?」

マーマン「なん……だとぉ!?」

ヴァーリン「ラーヴァナ様、そしてこの私に忠誠を誓え。さすれば命は助けてやろう」

ゴブリン「オ……オレ……」

マーマン「聞く耳持つな! お前らは心を入れ替えたんだろ!?」

ヴァーリン「さぁどうする? 大体が人間の味方をする事こそ、おかしな話なのだ」

マーマン「違げぇ!! 種族とかそういう事はねぇんだよ!!」

ヴァーリン「……」

マーマン「お前らここに来るまで、楽しかったか? つまんねー日々だっただろ?」

ガーゴイル「……」

マーマン「俺らを理解してくれる人間に出会うまで、生きてるって言えたか!?」


698 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/31(水) 18:47:07.16 ID:+CwBGYMLo
ゴブリン「……ッ」

マーマン「今のお前らは生き生きしてるじゃねぇか! 幸せじゃねぇか!」

ヴァーリン「よくもまぁ詭弁をベラベラと……」

マーマン「コイツらは所詮、俺らを利用する事しか考えてねぇ!」

ヴァーリン「いい加減……黙れ」

マーマン「生きるってのは従う事はねぇ! 自ら生きる事だろうがっ!」

ヴァーリン「もういい、死ね」

グアッ!!…ガギイイィィィィン

マーマン「…………ッ?」

グググッ

オーク「マーマンさんの言うとおりだ。オラ達は駒じゃねぇです!」

ヴァーリン「手を離せ。それとも、このまま押し潰してやろうか?」

ググッ…ズズズ

オーク「生きるって言うのはぁ、みんなが一緒に笑って暮らせる事だあぁ!!」

ヴァーリンの巨大な拳を、オークの小さな両腕が力強く押し返した。


699 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/31(水) 18:48:18.49 ID:+CwBGYMLo
バキイイィィィィ!!

トロル「俺らもいるぞ! 続けぇ!」

オーガ「ヴァーリン……コワクナイ!!」

ヴァーリン「このカス共がぁ、まんまと洗脳されおってぇ」

マーマン「オーク! 今、手を貸す――」

ガシッ

ハヌマーン「もう1度だ」

マーマン「あ!?」

ハヌマーン「水竜巻、もう1度仕掛けるぞ」

マーマン「通用すっかよ! さっきの一撃だって簡単に……」

ハヌマーン「通用するなどと思ってはおらぬ。目晦ましと奴が濡れればそれで良い」

マーマン「は?」

ハヌマーン「いいから時間がないのだ、早くしろ!」

マーマン「分かったよ! やりゃあいいんだろっ!」

ハヌマーン「いくぞっ!!」


700 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/31(水) 18:49:11.22 ID:+CwBGYMLo
キュイイィィィィ…

マーマン「オーク!! ヴァーリンから離れろぉ!!」

オーク「!?」

ハヌマーン「はああぁぁ!!」

ドドオオォォォォン!!…ズガガガガガガッ!!

ヴァーリン「2度目は通じるとでも思っているのか? 阿呆が」

ハヌマーン「思わぬ!」

ヴァーリン「ならば血迷ったか」

ハヌマーン「……そうかもしれぬな」

ヴァーリン「笑わせる。そら、今度はそっくりそのまま貴様等に――」

パリッ…バリバリバリッ

ヴァーリンの背後に突如輝く稲光。それは空間を引き裂くかのように広がると、

その奥より出現した巨大な魔物がヴァーリンの背後から襲いかかる。

ヴァーリン「なっ――!!」

ズガシュウウゥゥゥゥ!!


701 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/31(水) 18:50:13.96 ID:+CwBGYMLo
雷鳴と共に刃のように研ぎ澄まされた雷の一閃が、ヴァーリンへと打ち放たれる。

バリッ…バチバチッ…ドシャアアァァ

ハヌマーン「…………」

ヴァーリン「……スグリーヴァ!!」

スグリーヴァ「久しいなヴァーリン。恐れて攻めて来ぬと思っておったわ」

ヴァーリン「ほざくな、時機を見据えていただけの事よ」

スグリーヴァ「……」

ヴァーリン「その気にならば貴様如き、瞬く間に消し去ってくれるわ」

マーマン「片腕落とされて、強がってんじゃねぇよ」

ヴァーリン「貴様は馬鹿か?」

マーマン「んだとぉ!?」

ヴァーリン「渾身の一撃が直撃出来ず、片腕を落とすのみ」

マーマン「!?」

ヴァーリン「スグリーヴァ、力の差は歴然だな」

スグリーヴァ「…………」

ハヌマーン「スグリーヴァ様……ッ」


702 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/31(水) 18:51:22.64 ID:+CwBGYMLo
〜南方、南西平野〜

召喚士「……」

青年兵「……」

見晴らしの良い平野からやや後方へ移動する事、数キロの距離。

南方特有の、泉とそれを囲むように生い茂る木々の場所。言わばオアシスである。

そこへ布陣した召喚士らは、障害物となる小高い丘や岩の影でじっと息を潜める。

盗賊「……来るぞ」

ドドドドドド…

青年兵「今だっ! 出でよ、ワイバーン!」

召喚士「行けっ! コカトリス!!」

シュイイィィィィン…バシュウウゥゥゥゥ!!

ラクシャーサ「正面から何か来んぞぉ!」

召喚士「っ!!」

青年兵「眷属がいない!?」

ラクシャーサ「空中の奴はどうせ狙えねぇ! 構うなっ、強引に突っ切るぞ!」


703 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/31(水) 18:54:51.37 ID:+CwBGYMLo
青年兵「仕方ないっ、作戦続行だ!」

コカトリスとワイバーンは正面より迫り来るラウシャーサの大軍に、

低空飛行で真っ直ぐに召喚主を背中に乗せて突進する。

それを合図に、脇で潜んでいた竜騎士隊が召喚獣を羽ばたかせ、

ラクシャーサの群れを左右から押し潰すように攻撃を開始する。

青龍士官「あとは任せろ! 2人は後方に戻ってくれ」

青年兵「サルワとアジ・ダハーカが見当たらない!」

青龍士官「了解した。ひとまずは地上の魔物を掃討する」

青龍兵「隊長に続けぇ! 左右より魔物を押し込むぞ!」

竜騎士隊「でりゃああぁぁぁぁ!!」

ラクシャーサ「くっそぉ、伏兵かよ……ぐああぁぁーっ!!」

青年兵「よし、ここは任せたぞ」

青龍士官「眷属が現れたら知らせてくれ!」

青年兵「了解だ、では戻りましょう召喚士さん」

召喚士「うん!」


707 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/01(木) 18:00:21.07 ID:Re3CSQQ6o
〜赤壁、城壁〜

ヨロッ…フラフラ

占い師「……っ」

マジシャン「おっと、大丈夫か? 体調でも優れんか?」

占い師「……ふふっ」

マジシャン「あん? 俺の顔に何か付いてるか?」

占い師「ううん、満身創痍の貴方に心配されるなんて……ダメだなって」

マジシャン「……あのなぁ、まぁ元気ならいいさ。ほれ、中に戻るぞ」

占い師「うん」

テクテクテク…

マジシャン「……何か、見えたのか?」

占い師「……みんな曇った顔をしていたわ」

マジシャン「まさか……っ」

占い師「ううん。曇り顔だけど空は晴れていて、手を取り合って……そんな感じかしら」

マジシャン「よく分からんが……負けなきゃいいさ。明日があれば生きてるって事だ」


708 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/01(木) 18:15:07.59 ID:Re3CSQQ6o
〜赤壁東、渓谷〜

パッカパッカパッカ

本国兵「騎馬5千、配置につきました」

大軍師「ご苦労様です」

本国兵「……しかし、深い谷ですね。崖上から狙われては逃げ場がありませんよ」

大軍師「かつてこの地で、ラクシャーサとの戦闘がありました」

本国兵「あ……っ、数年前の……ですか?」

大軍師「私も資料でしか存じませんが、寡兵で大軍相手に見事、勝利したようです」

本国兵「今回と似ていますね」

大軍師「ええ。なかなか衝撃的でしたよ」

本国兵「……?」

大軍師「罠を用いて奇策で相手を叩く。まぁ小が大を制するには常套手段ですか」

本国兵「は、はぁ」

大軍師「さて、ここはお任せ致します」

本国兵「はっ。ご武運を!」


709 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/01(木) 18:20:13.93 ID:Re3CSQQ6o
〜赤壁南、渓谷〜

ドドッドドッドドッ…

大隊長「各騎、並列にて展開致しました!」

エリート「いいか、仕掛けるのは敵が通過してからだ。早まるなよ」

大隊長「了解であります!」


エリート「さぁ、間もなくだ。気合いを入れて行くぞ! 決して死ぬなよ!」

騎兵「おおう!」

エリート「ここには本国の人間も南方の人間も西方の人間もいる」

南方兵「……」

エリート「だが皆、仲間だ。手を取り合い……今日を生き抜こうではないか!」

本国兵「おぉーっ!!」

エリート「明日、また会おう! それでは各自、戦闘態勢に入れ!」

ザザザッ…ズザッ

大隊長「お見事です」
エリート「この程度で士気が上がれば容易いものさ。それに、本音を言ったまでだよ」


710 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/01(木) 18:22:27.62 ID:Re3CSQQ6o
ォォォォオオ…

地響きを通して、ラクシャーサの数が甚大ではないという事は容易に想像がつく。

人はおろか、馬でさえも、その尋常ではない有様に、息を潜めるように静かである。

エリート「…………」

大隊長「…………」

エリートは丘の傾斜部分で、生える木々の間からじっと様子を伺う。

そして右方に構える1人の大隊長と目を合わせると力強く頷き、それを合図に

総大将であるエリートを残し、兵らがゆっくりと後方に移動を開始する。

エリート(近すぎれば気配で勘付かれる。厄介なものだ……)

しばらくすると、丘の上には木々の隙間から漏れる光を遮る何かが現れた。

それは1つ、また1つと数を増やし、あっと言う間に木々の隙間を埋めた。

ラクシャーサの大軍、およそ5万の影である。

若き右大臣は口内に溜まった唾液を飲み込むと、額の汗を1度拭った。

エリート(対峙してみると、想像以上に凄まじい威圧だな……っ)

数秒目を閉じ、大きく息を吐き出すとエリートは大軍の先頭めがけ、馬を飛ばした。


711 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/01(木) 18:27:07.79 ID:Re3CSQQ6o
ドドッドドッドドッ

エリート「精鋭は私に続けぇ! 一気に行くぞ!」

ピクッ

ラクシャーサ「何だ……? 何か気配が近づいているぞ!?」

ドドッドドッドドッ

ラクシャーサ「人間だ! しかし数は少ないぞ!」

エリート「退けぃ! 退かねばどうなっても知らんぞ!」

ラクシャーサ「たかが数匹で何をほざくか! かまうな、やっちまえ!」

ワアアァァァァ

騎兵「交戦開始したようだな、行くぞぉ!」

南方兵「おおぅ!!」

エリートが仕掛けるのを合図に、最後尾から待ち伏せていた兵らが一気に飛び出す。

ラクシャーサ「後ろからっ!? バカッ、前の連中をとめろ!」

大隊長「突撃ぃーっ! 魔物らを一気に押し込めえぇーっ!」

伏兵の奇襲により、ラクシャーサの群れは早くも乱れ始めた。


712 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/01(木) 18:33:32.76 ID:Re3CSQQ6o
ドドドドッ…ズガァ!!

ラクシャーサ「何だコイツら……次から次へとぉ!」

小隊長「押せ押せ押せぇーっ! 左右の騎馬とタイミングを合わせろよ!」

魔物達にとっては、ただ闇雲に突撃してくる人間の集団にしか見えないが、

統制された人間側の騎馬突撃は、上空から見れば高波が押し寄せるように、

最後尾から流れるように、順番に、丁寧に繰り広げられていた。

本国兵「うおああぁぁーっ!!」

突撃した騎馬は足を止める事なく、更に進路を変える。

先頭を駆る小隊長をを必死で追い、その縦列は螺旋状に疾走する。

ラクシャーサ「動きが読めねぇ! くっそ……グギャアアァァ!!」

螺旋状に渦巻く騎兵は幾多にものぼり、高波は大嵐の大海へと姿を変えた。

ラクシャーサ「後ろは塞がれたっ! もう前方で合流するしかねぇぞ!」

騎兵「逃がすな! 出来る限りここで打ち倒せ!」

南方兵「うおおぉぉーっ!!」

混乱は更なる混乱を招き、5万の軍隊は最早、半分近くの機能を失っていた。


713 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/01(木) 18:37:56.23 ID:Re3CSQQ6o
ドドッドドッドドッ

大隊長「奇襲突撃、成功のようです!」

エリート「よし、我らも前線より後退する!」

ザザッ…ドドッドドッドドッ

本国兵「しかしよく持ってくれる。どこの騎馬隊も大したものだ」

南方兵「それもあるが、やはりこの新しい甲冑……! 軽い上に頑丈この上ない!」

エリート「五ヵ年計画は何も、時機だけを狙っていたわけではないのだ」

騎兵「全くです! 馬用のものもそうですし、ランスやスピアだって……」

エリート「だからとて油断はするな。所詮、魔王や軍団長クラスには通じぬ代物だ」

本国兵「……っ」

エリート「だが、1番は自身の力量。皆、本当に良くやってくれている」

騎兵「ええ……っ!」

エリート「さぁ、我らの仕事はほぼ終えた。あとは大軍師に任せようではないか」

大隊長「了解です! もうひとふん張りだぞ! さぁ頑張れ!」

南方兵「おぉーっ!!」



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