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冒剣士「…冒険酒場で働くことになった」
- 332 名前: ◆qqtckwRIh. []
投稿日:2013/08/17(土) 07:32:05 ID:y7pb.ePs
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――――【夜・漁港の冒険酒場】
…ホー…ホー…
女メイジ「…」クゥクゥ
冒剣士(ん…)モゾッ
…ムクッ
冒剣士(…トイレ……)
…トコトコ……ガチャッ…バタン…
- 333 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:32:39 ID:y7pb.ePs
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
…トコトコ……
孤高騎士「…」
冒剣士「あれ、孤高さん…。廊下で何してるんですか?」
孤高騎士「…お?お前こそどうした?俺は海の夜風が好きでな…、涼んできたところだ」
冒剣士「ちょっとトイレに…」
孤高騎士「おぉそうか…、今、何時だった?」
冒剣士「たぶん、0時過ぎるくらいだと思いますが…」
孤高騎士「いい時間だな…、丁度いい。お前、トイレ終わったら俺の部屋に来い。一杯やろうぜ」ニカッ
冒剣士「…?」
- 334 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:33:09 ID:y7pb.ePs
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
…コンコン…ガチャッ
冒剣士「失礼します」
孤高騎士「おー来たか!まぁ座れ、酒飲むか?飲めないか」アハハ
冒剣士「まだ飲めませんよ」ハハ
孤高騎士「それじゃお前はこのジュースでいいな…よし、乾杯だ!」スッ
冒剣士「…乾杯です」
…チンッ
- 335 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:33:45 ID:y7pb.ePs
孤高騎士「…」ングッ…ングッ…
冒剣士「…」ゴクゴク
…プハァッ!!
孤高騎士「旨いなぁ…」
冒剣士「美味しいですね…」
孤高騎士「…なあ冒剣士、ちょっとだけ話を聞いてくれるか?」
冒剣士「…はい」
- 336 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:34:21 ID:y7pb.ePs
孤高騎士「俺が冒険者になったのは…、今からもう20年も前のことなんだ」
冒剣士「20年前…」
孤高騎士「まだ10台の若造でな、軍に所属してそりゃあ無茶ばっかりやったよ」グビッ
冒剣士「…孤高さんらしいですね」
孤高騎士「その頃、俺は早い結婚をして、早く子供が生まれた」
冒剣士「既婚者だったんですか!?」
孤高騎士「なんだよ、その意外だなっていうのは!一応妻子がいたんだよ!」
冒剣士「…"いた"?」
- 337 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:34:56 ID:y7pb.ePs
孤高騎士「…あぁ。死んじまったよ、13年前にな」
冒剣士「…」
孤高騎士「…住んでいた所は小さな田舎だった。いい町だったよ…」グビッ
冒剣士「なんで…ですか?」
孤高騎士「…捨てられたんだ。軍にな」ブルブル
冒剣士「捨てられた…?」
孤高騎士「あぁ…、元々俺らの町は資金力もなく、観光施設もなければ何もない、ただの無駄な土地が広い町だった」
冒剣士「…」
- 338 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:36:04 ID:y7pb.ePs
孤高騎士「軍の支部長は、そこを管轄におく中で"金はないが土地はある"といつも言っていたのを覚えている」
冒剣士「…」
孤高騎士「土地があれば、巨大な軍の施設を作れる。だが、住民たちはそれに反対をしていた。それは当然の話だ」
冒剣士「そうですね…」
孤高騎士「だがな…ある夜、俺らの町に大型魔獣が侵入しやがった。だが、俺らは遠征に出ていて…その連絡を受け取ることができなかった」
冒剣士「…!」
孤高騎士「冒険の扉を使えばすぐにでも帰れた。だが、支部長のやつは……その侵攻を…ただただ見ていやがった!」
冒剣士「…っ!!」
- 339 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:36:41 ID:y7pb.ePs
孤高騎士「理由は簡単だ。住民が消えれば、施設を作り、地位があがる。それだけの…理由のために!」
冒剣士「…そんな……」
孤高騎士「その数日後、俺らが戻って見た光景は…凄惨すぎるものだった…」
冒剣士「…」
孤高騎士「この話は、その時の支部長の近くにいた同僚がバラしたんだ。それからほどなくして、支部長は謎の死をとげた」
冒剣士「それは…殺された…んですかね」
孤高騎士「…さぁな。俺らとしては、ざまぁみろって感じだったけどな」
- 340 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:37:15 ID:y7pb.ePs
冒剣士「…」
孤高騎士「…それと当時、俺は特級の称号を受け特級騎士と名乗っていたんだ。だが、その事件があって軍をやめた」グビッ
冒剣士「そりゃ…そうですよね」
孤高騎士「それからは人との付き合いも億劫になった。そりゃ態度も変わるさ…、友人らと距離を置いて、俺はひっそりと暮らした」
冒剣士「…」
孤高騎士「やがて、人々は俺の事を"孤高"の騎士と呼び始めたんだ」
冒剣士「それが、孤高さんの由来…ってことですか」
孤高騎士「俺もそれに慣れちまった。やがて、俺自身がそう名乗るようになっていった」ゴクゴク
冒剣士「…、でも、今は皆に囲まれて……、"孤高"なんて似合いませんね」アハハ
孤高騎士「はは…そうかもな」
- 341 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:38:35 ID:y7pb.ePs
冒剣士「…でも…なんでその話を急に僕に…?それが前、まだ話せないって言ったやつですよね…」
孤高騎士「……息子と娘、もし生きていたら…息子と娘は今日…、13歳の誕生日を迎えていた…」
冒剣士「…そう、なんですか。あ!だから0時を過ぎて丁度いいって…」
孤高騎士「一人で…あいつらにおめでとうというのは…寂しかったんだ…って言うのは、情けないか?」
冒剣士「…いえ、全然そんなこと!」
孤高騎士「…」
冒剣士「おめでとうございます、13歳の…誕生日」
孤高騎士「…おめでとう」
…チンッ
孤高騎士「ありがとよ…」
冒剣士「こちらこそ、誕生日に孤高さんとお祝い出来て…よかったていうのも変で…何ていえばいいか分かりませんが…」
- 342 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:39:06 ID:y7pb.ePs
孤高騎士「言いたいことは分かるさ。歳をとると、色々と…感慨深くなるもんだな」
冒剣士「そうかもしれませんね」
孤高騎士「いつの間にか、お前らを俺の息子と娘に重ねていたのかもしれない」
冒剣士「僕も孤高さんは、身内のようで…優しくて、頼りにしています」ニコッ
孤高騎士「そういわれると…もっとお前らと旅に行きたくなっちまうな」
冒剣士「どんどん誘ってください!僕らも楽しいんですから!」
孤高騎士「…そうか。ありがとうな」
冒剣士「いえ…そんなこと…」
- 343 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:39:38 ID:y7pb.ePs
…ボーン…ボーン…
孤高騎士「おっと、もうこんな時間か…そろそろ寝ようか。こんな時間まで、話付き合ってもらって悪かったな」
冒剣士「いえ、お話ありがとうございました」
孤高騎士「明日も朝早くおきて、一番に調査に向かう。お互い、がんばろうな!」
冒剣士「はい!」
孤高騎士「それじゃ…おやすみ」
冒剣士「おやすみなさい」ペコッ
…ガチャッ……バタン…
孤高騎士「俺が優しい人…か」
…グビッ………
- 344 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/17(土) 07:40:10 ID:y7pb.ePs
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- 348 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/08/17(土) 19:54:05 ID:8DUhtY1c
もうちょい下の頼れる兄貴的年齢化と思ってたぜ
オーナー達前作キャラに近い年齢なんだな
- 349 名前: ◆qqtckwRIh. [sage] 投稿日:2013/08/18(日) 08:37:04 ID:f1xfYmI6
皆様ありがとうございます
>>348 そうですね、イメージはそれに近い感じなのですが。
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