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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その26
954 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:49:51.59 ID:Yaxb9Ndmo
〜本国、王宮近辺〜

バサァッ…シュイィィン

青年兵「走れるか!?」

青龍士官「俺は…いいっ!放って先に行けっ!!」

青年兵「……っ」

青龍士官「いいから行けぇ!国家の……大事なんだぞっ!!」

青年兵「……すまんっ!!」

ダダッ…タッタッタッタッタ

青龍士官「そうだ……それで…いい……」

ズルッ……ドサッ

青年兵「はぁ…はぁ……はぁ……」

タッタッタッタッタ

青年兵「……はぁ…はぁ」

タッタッタ…

青年兵「――っ!?」


955 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:50:27.24 ID:Yaxb9Ndmo
タタッ

青年兵「……召喚士…さん?」

召喚士「青年兵くん…?ど、どうしたの!?こんな所で……」

魔道士「お急ぎ……ですか?」

青年兵「……っ」

ギュッ

青年兵「……運命…ってやつ、ですかね」

召喚士「へ……っ?」

青年兵「だって、本来ならば一日も掛からず着くわけないんですよ……っ」

盗賊「…どうしたというのだ?」

青年兵「人から人へ。そして繋がった鎖は大きく……長く……」

戦士「…話が…読めん。何だってんだよ?」

青年兵「召喚士さんっ、皆さんっ!!僕と一緒に来て下さい!!」

召喚士「う、うんっ!えっと……どこへ…?」

青年兵「王宮……陛下の元へです!」


956 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:50:54.74 ID:Yaxb9Ndmo


タッタッタッタッタ

召喚士「……へ、陛下が……暗殺っ!?」

青年兵「……あくまで可能性の話です」

戦士「でもよ、陛下って…言い方悪いけど…余命少ないんだよな?」

青年兵「分かりません。分かりませんけど……何かあるのですっ」

魔道士「一体……何があるんでしょう……」

〜王宮、正門〜

本国兵「……青年兵様っ!?」

青年兵「すまぬ!急用だ、通るぞ!」

タッタッタッタッタ

魔道士「お、お邪魔します〜……っ」

召喚士「まずは殿下っ!それにエリートさんか!」

タッタッタッタッタ

本国兵「……へっ?今のって…朱雀…先生?」


957 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:51:25.31 ID:Yaxb9Ndmo
タッタッタ…カッカッカッカッカ…

青年兵「その角を曲がれば……」

ズザザッ…ドンッ

青年兵「……っつう」

盗賊「……大丈夫か?」

魔道士「……あっ!!」

皇太子「…どうした?廊下を走るなど行儀が悪いな?」

青年兵「で、殿下っ!これはご無礼を致しましたっ!!」

皇太子「構わぬ。こう見えても胸板は鍛えているからな」

ジッ

魔道士「……?」

皇太子「……」

召喚士「ちょうど良かった…っ。殿下にお話が……」

皇太子「青年兵に朱雀先生らか…。嫌な予感しかしないな」

青年兵「……っ」


958 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:52:10.74 ID:Yaxb9Ndmo
クルッ

皇太子「付いて来たまえ。会議室を――」

青年兵「時間がありません!これを……っ!!」

皇太子「伝令?……東方先生からか」

カサカサッ…パラッ

皇太子「――っ!!」

青年兵「陛下のお命が狙われておりますっ!!迅速にご対応を!!」

皇太子「……くっ!!」

タッタッタッタッタ

青年兵「殿下っ!?……追いましょう!!」

戦士「お前らは先に行けっ!盗賊、俺らはエリートさんを探すぞ!!」

盗賊「……ああ!」

クルッ…タッタッタッタッタ…

皇太子「……父上っ」

タッタッタ…


959 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:52:38.47 ID:Yaxb9Ndmo
薄暗く染まり始めた本国王宮。城内には明かりが灯り始め、夜を知らせる。

その中央に位置する王の間。更にその上部へ位置する国王の寝室。

窓辺に映る三日月。今宵は雲もなく、鮮やかな月光が降り注ぐ。

ベッドに横たわる老人は、か細い呼吸を粗く、しかし苦痛に歪む事もなく、

ただただその月をぼんやりと眺め、小さく息を吸っては吐いていた。

国王「……」

余命いくばくもない彼のここ最近の楽しみといえば、

昇る朝日と沈む夕日。そして優しい光を照らす月の変化を眺めるのみであった。

国王「……」

眺めていた月に突如、もやがかかる。

国王「……?」

スウゥ…

国王「――っ!!」

フワッ…

道士「陛下、御機嫌よう。そして……良い夢を……」


960 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:53:07.90 ID:Yaxb9Ndmo
タッタッタッタッタ…バンッ!!

皇太子「……はぁ…はぁ…はぁ……はぁ」

カツカツカツ…

皇太子「……」

青年兵「殿下っ!陛下は……っ」

皇太子「…………」

魔道士「そ、そんな……っ」

皇太子「眠っている。特に……変化ないようだ」

青年兵「間に…合った……」

召喚士「良かった…!!」

皇太子「この部屋に近づける者は限られている。警備を増やし、注意しよう」

青年兵「国軍としても出来る限り、協力致します!」

皇太子「うむ。頼もしい限りだ」

召喚士「しかし、どうして陛下のお命を……」

魔道士「え、ええ……っ」


961 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:53:42.06 ID:Yaxb9Ndmo
皇太子「……父の余命は、長くとも2ヶ月余り」

召喚士「……っ」

皇太子「3ヶ月の期間があるのと、突発的な死では、全然違うのさ」

青年兵「……それは、そうですが」

皇太子「例えば……跡を継ぐ者の準備……」

魔道士「え…っ?」

タッタッタッタ

戦士「無事か……!?」

エリート「殿下っ!!」

青年兵「陛下も殿下も、ご無事です」

召喚士「どうやら魔物の手はまだ届いていないようです」

ザッザッザ

盗賊「……いや」

魔道士「盗賊さん……」

盗賊「…既に…入り込まれている!」


962 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:54:13.20 ID:Yaxb9Ndmo
エリート「何……っ!?」

青年兵「し、しかし現に陛下は……」

盗賊「…魔物の気配を感じる。いや、残り香と言ったところか」

召喚士「既に…魔物が潜入していた!?」

エリート「バカなっ!どうやってこのような場に……っ」

皇太子「……」

カツカツカツカツ

皇太子「……父上、父上っ」

国王「…………」

エリート「確かに…息はしている……。仕損じたのか…?」

召喚士「……ま…さか……っ」

スッ…テクテクテク…

青年兵「召喚士さん?」

召喚士「陛下は……昏睡状態なのですか?」

皇太子「…まさか。朝には目を覚ますさ」


963 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:54:42.74 ID:Yaxb9Ndmo


テクテクテクテク

皇太子「エリート、早速兵の増強を進めてくれ」

エリート「はっ。念の為、明日には寝所も移動致しましょう」

皇太子「そうだな。それに常駐兵も配備した方が良い。場合によっては私が…」

青年兵「…召喚士さん?」

召喚士「あの、俺も朝まで…居てもいいですか?」

皇太子「それは勿論構わんが……何かあったか?」

召喚士「……どうにも気になるんです」

エリート「……と、言うと?」

召喚士「無抵抗の陛下を前に、寝所にまで忍び込んで……」

皇太子「何もしなかった。確かに私も、それは気になったな」

召喚士「何もしなかったのではなく……何もしないように見せた…のでは?」

青年兵「つ、つまり……」

召喚士「眠っているように見えているけれど、実際は……」


964 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/22(火) 18:55:57.49 ID:Yaxb9Ndmo
戦士「夢魔かっ!!」

召喚士「…もしくは幻術かもしれない。とにかく、そういう類の可能性はあるよ」

魔道士「たっ、確かに…そうかもしれませんね……っ」

戦士「どうすんだよ!?」

エリート「夢魔ならばもって一晩。幻術ならばどの手のものか分からぬ限り…」

盗賊「…手は…出せぬか」

召喚士「だからこそ、目覚めるかどうか…まずは確かめたいのです」

皇太子「…良かろう。玉座手前の控え室を利用するといい」

召喚士「…ありがとうございます」

盗賊「…では、行くか」

魔道士「……っ」

テクテクテクテク

エリート「まさか…こんな事まで……。卑劣にも程があるぞっ!!」

皇太子「…とにかく、今は静観するしかあるまい」

数時間後、日が昇る中、召喚士の悪い予感は的中する事と相成った。


968 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 00:17:11.40 ID:+CDaTqixo
カチャッ

召喚士「どうでしたかっ!?」

皇太子「……やはり駄目だな。目覚めん」

青年兵「……っ」

エリート「くそ……っ」

魔道士「でも、どうしたら……」

戦士「お前ん時は、確か……」

魔道士「天才さんが夢の中へ入って、助けてくれました」

召喚士「でも、今回はいない……」

盗賊「…どうするのだ?」

青年兵「話を聞く限り、陛下の夢の中へ入り込む……と言う事ですか?」

皇太子「そんな事が可能なのか?」

カツカツカツ

右大臣「可能だ。いや、それ以外に手はあるまい」

エリート「父う……右大臣様…っ」


969 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 00:18:09.93 ID:+CDaTqixo
カツカツカツ

東方参謀「伝令は無事、届いたようだな」

青年兵「……しかし、守れませんでした。申し訳ありません」

東方参謀「なぁに、陛下とて命を失われたわけではない。最悪の事態は免れた」

右大臣「それで、陛下は目を覚まさぬという事か……」

皇太子「うむ。朱雀先生の見解では、夢魔ではないか……とな」

東方参謀「……夢魔か。考えにくいがな」

魔道士「そうなんですかっ!?」

東方参謀「いいか?夢魔というのはな、その宿主の性を糧とする」

戦士「性…?」

東方参謀「そうだ。陛下と言えどあのお歳では性もあるまい」

召喚士「なっ、なるほど……」

東方参謀「しかし、症状は夢魔のようにも思える……」

右大臣「一度、容態を確認してみよう」

東方参謀「……うむ。それが良かろう」


970 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 00:18:41.19 ID:+CDaTqixo
カチャッ…カツカツカツ

右大臣「へ、陛下……っ」

東方参謀「…確かに、眠っているようにしか見えぬな」

皇太子「先程から声をかけても、揺すっても、何ら反応しない」

東方参謀「だが、やはり夢魔ではないようだな」

戦士「…分かるのか!?」

東方参謀「魔物の瘴気のようなものを感じぬ。ここには存在しないという事だ」

盗賊「……確かに」

召喚士「すると…夢魔ではない?しかしこれは……」

東方参謀「近しい何かであろう」

魔道士「幻術…ですか?」

エリート「しかし、このような幻術は聞いた事がありませぬ……」

右大臣「禁呪か……」

東方参謀「…やもしれん。これは一か八かだな……っ」

皇太子「……そうか」


971 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 00:21:00.49 ID:+CDaTqixo
東方参謀「……右大臣殿」

右大臣「…?」

東方参謀「関係者を集めておけ。今日が山場だ」

右大臣「……っ」

青年兵「助からないと……仰るのですか?」

東方参謀「先程も言ったであろう。一か八か、確立は半々だ」

盗賊「……」

東方参謀「とにかく手段は一つ、陛下の夢へ入り込む事だ」

エリート「誰が行くのです?」

東方参謀「……絶対条件として、高魔力の持ち主……」

皇太子「私は消えたな」

戦士「俺と盗賊もだな」

東方参謀「二つ目は……肉親者か限りなく近しい者」

エリート「な……っ!」

皇太子「……とんだ皮肉だな。肉親者が無魔力とは……っ」


972 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 00:24:16.41 ID:+CDaTqixo
右大臣「…………」

エリート「…………」

皇太子「どうし……」

魔道士「……?」

エリート「……父上、まさか」

右大臣「陛下のお命がかかっているのだ……っ」

カツカツカツ

魔道士「…あ、あの……っ」

右大臣「……頼む。陛下の中へ、君が行ってくれたまえ」

魔道士「え……っ?」

右大臣「身勝手は百も承知!しかし今は……今だけは……」

東方参謀「確かにその娘、高魔力の持ち主ではあるが……」

召喚士「魔道士さん…?」

東方参謀「……ま、まさか……っ!?」

魔道士「えっ、え……っ!?」


973 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 00:27:46.24 ID:+CDaTqixo


魔道士「……と、とにかく…やってみますっ」

東方参謀「一度経験もあるようだし、適任やもしれん」

右大臣「事情は必ず話す。今は…陛下のお命だけに集中貰いたい…っ」

エリート「魔道士さん……っ」

東方参謀「……陛下、ご無礼」

ズズッ

東方参謀「では、陛下の隣に寝て、手を握ると良い」

魔道士「へ、陛下のお隣にですか……っ!?」

東方参謀「密接している方が伝心しやすいからな」

魔道士「は、はい……っ」

ススッ

魔道士「でも、こんな状態では……眠れませんよ…っ」

召喚士「それは安心して下さい。こいつを使います」

魔道士「……?」


974 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/23(水) 00:53:11.45 ID:Eeprac0DO
もはや睡眠の召喚獣の名前すら思いだせん


986 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/23(水) 13:09:35.62 ID:++6im/UCo
皆名前間違えて眠らされたか・・・
この召喚獣ってあれだろ袋から雪粒当てて眠らせる…サンタサンだ


988 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/03/23(水) 15:06:35.75 ID:hoxfPseDO
スレ埋まっちゃうからそろそろ自重しよう


989 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:11:31.10 ID:YVPYbLUmo
召喚士「……行け!ザントマン!!」

シュイイィィン

戦士「そうかっ、こいつがいたか!」

召喚士「これで、魔道士さんを眠りにつかせます」

盗賊「……大丈夫か?」

召喚士「加減が難しいですが、最低限の魔力であれば眠りも浅いですから」

魔道士「お、お願いしますっ!」

召喚士「では……いきます」

パアアァァ…キラキラキラッ

エリート「これは……っ」

召喚士「ザントマンの能力、対象者を眠りにへと誘う粉です」

青年兵「す、凄い……っ」

魔道士「……ん……っ」

皇太子「眠りについたようだな」

召喚士「……はい」


990 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:12:24.11 ID:YVPYbLUmo
東方参謀「さて、我らはここで迎撃態勢を取るぞ」

青年兵「……?」

東方参謀「もし夢魔であらば、あちらに居られなくなれば必ず姿を現す」

エリート「出てきた瞬間を狙い打つと……?」

東方参謀「下手に逃がせば厄介。ましてやここで暴れられては……」

右大臣「陛下が危うい……っ」

東方参謀「そういう事だ」

皇太子「彼女は……大丈夫なのか?」

東方参謀「夢の中では腕力は無用よ。大切なのは魔力と……」

盗賊「……」

東方参謀「精神力。己の心の強さよ」

皇太子「成程」

東方参謀「右大臣殿、この件が片付いたら、全てを語って貰うぞ?」

右大臣「分かっておる。関係者も招集をかけた。それより今は集中しよう」

召喚士「……はい」


991 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:13:50.12 ID:YVPYbLUmo


戦士「しかし、お前もちゃんと研究してんだなぁ」

召喚士「え?あぁ、ザントマンの事?」

戦士「ああ」

召喚士「今の内にやれる事をやっておかないといけないからね」

戦士「……そっか」

召喚士「そういう戦士だって、色々と調べてるじゃん」

戦士「…知ってたか」

召喚士「最近、熱心に本を読んだりしてるのを見たから」

戦士「まぁな」

召喚士「例の、功績の件?」

戦士「ああ。各、防具への付加は問題なさそうだ。問題があるとすれば……」

盗賊「……在り処か」

戦士「まぁ、色々と旅しながら探そうぜ。みんな頑張ってんだ……魔道士だってな」

召喚士「……うん」


992 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:14:22.64 ID:YVPYbLUmo


魔道士「……んっ」

ムクリ

魔道士「……ここが……陛下の?」

白くもやがかかった、あたり一面の景色。魔道士はきょろきょろと

その風景を眺めると、地面に転がる杖を手に取り、ゆっくりと歩き出す。

テクテクテクテク

魔道士「……うぅ。気味悪いなぁ……っ」

ただただ霧のような風景が広がる中、手探りでゆっくりと前へ前へと進む。

音も気配も、人影も建物もない、白くぼんやりと光る世界。

魔道士「…………」

テクテクテクテク

魔道士「陛下〜っ。誰か、いますか〜?」

テクテクテク

魔道士「…………」


993 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:22:15.48 ID:YVPYbLUmo
何で、私が選ばれたんだろう……。

そういえば、さっき東方参謀さんが言ってたっけ。

東方参謀『二つ目は……肉親者か限りなく近しい者』

陛下のご親族って、殿下だけなのかな?

でも、殿下は魔法使えなくて、それで高魔力の私が……って。

高魔力なんかじゃないのになぁ……はぁ。

……え? でも、何で私何だろう?

えっと、そう言えばいつだっけ。バーテンさんが同じような事言ってたっけ。

バーテン『普通は肉親者が入り込むか、逆に引っ張り出すんだがな』

魔道士『引っ張り出す?』

バーテン『肉体から精神だけを引っ張り出してどうこうってやつだよ』

魔道士『色々と方法があるんですねぇ……』

今回は夢魔か確信が持てないから、引っ張り出すというのは難しいんだ、うん。

それで、それで、それで、だって、別に魔力なんて高くないじゃない。

そうだよ、だから全然大丈夫。頭の中に入り込んでくるのなんて気にならないもの!


994 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:23:13.66 ID:YVPYbLUmo
……――

――『しかしだな……っ』

――『露見すれば、我が国は確実に滅びまする!』

――『殿下も17歳になる。最早これから先、開花するとは思えませぬ……』



――『君達に頼みたいのだ。引き受けてくれるか?』

――『…………』

――『そのような、恐れ多い事……っ』



――『すまない。私が殺したも同然だ……っ』

――『関係ねぇよ。全ては妹が自分から望んだ事だ』

――『…………』

――『だがな、子供に罪はねぇぞ?』

――『分かっている。安全な場へ移す。争いに関わる事もなく、平和な暮らしをな」

国王『……魔道士』


995 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:23:49.82 ID:YVPYbLUmo
――……

キイイィィンッ

魔道士「ーーっ!!」

ペタッ…ペタッ…ペタッ

魔道士「だ、誰!?」

霧掛かった正面の景色から、人影が近づき、足、下半身、そして全体が見え始める。

魔道士「……陛下っ!?」

その姿は裸足で、寝具に身を包んだ、先程までベッドに横たわっていた老人。

国王「…………」

魔道士「陛下っ、ご無事ですか!?」

国王「……お、お主は」

魔道士「…?」

国王「そうか、これは夢か」

魔道士「ええ。夢の中です」

国王「夢の中とは言え、このような場を設けてくれるとは……有難い事よ」


996 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:24:39.59 ID:YVPYbLUmo
魔道士「え……っ?」

国王「許してくれ、魔道士」

魔道士「あ、あの……っ」

国王「今でもあの選択が正しかったのか、私も分からぬ」

魔道士「何を……」

国王「平和な生活を与えたつもりが、結果的にはこのような事になってしまった」

魔道士「何を言って……いるのです……?」

国王「分かってくれ、許してくれとは言わない。しかし、信じてくれ」

魔道士「陛下っ、何を仰っているんです……っ!?」

国王「本国を守る為、お前を犠牲にしてしまったとは言え、信じて欲しいのだ」

魔道士「だっ、だから……何を……」

国王「私はお前を捨てたわけではないのだ。どうか、それだけは信じて欲しい」

魔道士「陛下っ!!」

国王「……あぁ、凄く眠たいな。また……眠りにつくとしよう……」

魔道士「へっ、陛下!!」


997 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:25:13.70 ID:YVPYbLUmo
国王「ありがとう魔道士。最後に、お前に会えて良かった」

魔道士「……あ、あの」

国王「こちらに、来て貰えぬか?」

魔道士「……っ」

テクテク…テク…

国王「大きくなった。健やかに、そして美しくなった」

ギュッ

魔道士「っ!?」

国王「目元などは、母親に似てきたな」

魔道士「あ、あの……っ」

国王「もしも許してくれるのならば、守っておくれ」

魔道士「陛下……?」

国王「皇太子と二人、この国を守っておくれ」

スウウゥゥ

魔道士「へ、陛下っ!?」

国王「さらばだ……」

魔道士「行っちゃ駄目ですよぉーっ!!」

国王「我が……娘よ……」

魔道士「――っ!?」


998 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:26:31.74 ID:YVPYbLUmo
ガバッ!!

召喚士「うわっ!?」

魔道士「……召喚士……さん!?」

右大臣「戻ったか!して、どうであった!?」

魔道士「……」

エリート「うまく…いきましたか?」

魔道士「…………」

東方参謀「魔物はおったのか?」

魔道士「……分かりません」

皇太子「父上!?」

右大臣「陛下!!」

国王「…………ぉ」

皇太子「父上っ!お気を、お気を確かに……」

国王「…………ぬ」

右大臣「……っ」


999 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:27:39.41 ID:YVPYbLUmo
国王「……す……まぬ」

エリート「医者を呼べっ!!」

青年兵「はいっ!!」

ダッ!!

皇太子「いや、それには及ばん」

エリート「え……っ!?」

スッ

皇太子「……どうやら、眠りについたようだ」

召喚士「眠り……って……」

右大臣「陛下……陛下ぁ!!」

盗賊「……くっ」

皇太子「深い眠りについた。ゆっくり……寝させてあげようではないか」

エリート「うっ、くく……っ!」

東方参謀「何と……いう事か……っ」

皇太子「安らかに眠られよ、父上」


1000 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 18:28:48.96 ID:YVPYbLUmo
凄く伸びてて慌てました。でも大丈夫です。盛り上がるのは良い事!
次スレでも宜しくお願い致しますです!ノシ

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/



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