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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その33
606 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:10:14.56 ID:N23LSmkCo
ゴガッ!!

スフィンクス「へっへーん! おすわり防御っ!」

格闘家「助かりました」

召喚士「格闘家さん、退がって!」

格闘家「……?」

召喚士「スフィンクス、グリフォンを解除。行けっ、ザントマン!」

シュイイィィィィン

ザントマン「ヒヒヒッ」

お父「……」

ボフウウゥゥゥゥ

格闘家「これは……?」

召喚士「いいから退がって! 粉を吸い込むと眠りに陥りますよ!」

格闘家「……っ」

ズザッ

お父「…………」


607 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:11:09.93 ID:N23LSmkCo
ゴキゴキッ…ザッザッザ

召喚士「……やっぱり駄目か」

コカトリス「不死相手に通じるものか」

召喚士「試したかったんだよっ、だめもとで!」

コカトリス「まぁ良い。それよりも奴を追うぞ」

召喚士「うん! 格闘家さん、すみません!」

格闘家「ここは任せて下さい。あなたはネクロマンサーを」

召喚士「ええ」

ガシッ…バシュウウゥゥゥゥ…

格闘家「さて、続きといこう。ブレイクタイムは終わりだ」

お父「……」

ゴッ!!…ドガガガガガッ!!

天才「ハデにやってるねぇ。どれ、こっちもそろそろおっ始めるとすっかね!」

北方司令「……」

魔剣士「……」


608 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:12:44.84 ID:N23LSmkCo
天才「ハーッハッハッハッハ!!」

高らかに笑うと同時に前方へ走り出す天才。それに反応して北方司令、魔剣士の両者も、

左右から間合いを詰めるように天才の前へと走りこむ。

まず、北方司令がツヴァイハンダーを振り下ろす。彼らしい模範のような一撃である。

裏を返せば捻りのないその一振りを、天才は造作もなく避け、大剣で切り払った。

2人の弟子であった者らは、その豪快な切り払いを跳躍でかわし、後方へ1度着地すると、

有無を言わさず再び、師匠であった者の元へと並走で近づく。

天才はにやりと笑いながら、切り払ったツヴァイハンダーをカウンターのように再度振る。

ここまでは読み通りであったが、2人は天才の予想を上回る作戦に出た。

天才「!?」

走りながらツヴァイハンダーを魔剣士へと投げ渡す北方司令。

魔剣士はそれを受け取ると、更に加速し、それを一気に振り下ろした。

ゴッガアアァァァァン!!

響き渡るツヴァイハンダーとツヴァイハンダーの金属音。がら空きとなった腹部に

北方司令の放つ風の魔法が直撃し、天才は苦悶の表情を浮かべ、後方の砂へ背中を付けた。


609 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:13:17.47 ID:N23LSmkCo
ズシャアアァァァァ

天才「……ぐっ」

なおも2人の攻撃は続く。仰向けに倒れた天才の目の前に、魔剣士が飛び込む。

ツヴァイハンダーを垂直に向け、天才の心臓めがけ一直線に突き降ろす。

天才は跳び上げるように身体を起こすと、それをかわし後方で体制を立て直す。

ズッガアアァァァァン!!

激しく舞い上がる砂塵が3人の視界を遮る。魔剣士は顔体の向きを一切変えず、

音のみで天才の居場所を判断しようと試みる。そして微かな足音をその耳に捉えた。

波のように舞い上がる砂を真っ二つに切り裂き、その奥の影をも切り付ける。

魔剣士「……?」

確かに気配は感じた。しかし切りつけた相手は兄弟子、北方司令。

表情は変わらないが、互いに驚きを見せ、すぐさま辺り一面をきょろきょろと見渡した。

ズザァ

突如盛り上がる足元の砂。鋭利な剣先と共に姿を現したのは天才であった。

天才「ペッ、まさか俺様までモグラになるとはなぁ」


610 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:14:47.95 ID:N23LSmkCo
魔剣士「ッ!!」

迎撃態勢をとる間もなく、2人の弟子は師匠より手厳しい指導を浴びる。

天才「ハーハッハッハ! どうしたぁ!? ここまでかぁ!?」

いかに不死と言えど、力量は格段に差があった。しかも2対1であってもだ。

感情の起伏もなく、ただ黙々と攻撃を受け止め、隙あらば反撃に打って出る2人。

それは人形と呼ぶに相応しく。淡々と決まった動きを繰り返すのみであった。

天才「……」

生前の師である天才は、それが哀れであり、無情であり、不愉快であった。

天才「死んでもなお、戯れに利用されて……馬鹿なだよテメーらは」

キュイイィィィィ

天才「今日ところはこれで勘弁してくれや。近いうちにゃ、きっちり成仏させてやっからよ」

2人の頭部を掴む天才の両手が白く激しい輝きを見せる。

ゴゴゴゴゴゴ…

天才「五行……聖」

闇の砂漠を照らし出すかのように、魔剣士、北方司令の体を包み込み、激しい光の柱となった。


611 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:15:33.02 ID:N23LSmkCo
ゴッゴオオォォォォ…

ネクロマンサー「……?」

光柱を見つめ、ネクロマンサーは少しの間考え、大きく溜息をついた。

ネクロマンサー「オリジナルでないと分かっていながら、五行まで使いますか……ククッ」

ズバァ!!…バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「ネクロマンサー!!」

ネクロマンサー「しつこいですねぇ、貴方は」

コカトリス「召喚士っ、まずいぞ!」

召喚士「!?」

ネクロマンサー「あまり不用意に近づくと、この者に始末されてしまいますよぉ?」

魔獣「ヴオオオオォォォォーッ!!」

召喚士「貴様ぁーっ!!」

ネクロマンサー「ククッ、ハハハハ。この魔獣は太古の昔より、この地を守りし者なのです」

召喚士「……」

ネクロマンサー「そう。言うなれば東方のヤマタノオロチと同様にね」


612 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:16:23.00 ID:N23LSmkCo
召喚士「ヤマタノオロチ……?」

ネクロマンサー「東西対極に位置する、龍脈の守り主とでも言いますか」

召喚士「だが、ヤマタノオロチは倒した」

ネクロマンサー「ですね。大したものだぁ」

召喚士「悪いが、貴様と話をしている暇はない!」

ネクロマンサー「ククッ、まぁいいでしょう。魔王ですらその制御を諦めたというその力……」

召喚士「何っ!?」

ネクロマンサー「さぁ、みせてみよ! 焼き払え!」

魔獣「オオオオォォォォ……ッ」

キュイイィィィィ…

コカトリス「召喚士!! 回避しろぉーっ!!」

召喚士「――っ!?」

魔獣「コオオオオォォォォ」

ネクロマンサー「どうしました、かつて西方を焼き尽くしたと言うのは偽りか?」

魔獣の咆哮と共に、赤く燃える光が徐々に徐々に、大きくなり始めた。


613 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:17:20.87 ID:N23LSmkCo
ズザッ

戦士「それじゃ、頼んだぞ!」

神官「畏まりました」

ガシッ

王子「僕も……行く……っ!」

サモナー「陛下、無理です。ここで休んでいて下さい」

王子「みんな……戦ってる」

神官「陛下。陛下は既に十分戦いました。今は休んで下さいませ」

王子「……っ」

神官「貴方にはまだ、すべき事があります。それは魔王イブリースを倒すと言う事」

王子「……くっ」

神官「戦士殿、サモナー殿。こちらは引き受けます。どうかお気を付けて」

戦士「ああ。行こうぜサモナーさん!」

サモナー「うん」

隊長「……くっ」


614 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:18:35.82 ID:N23LSmkCo
タッタッタッタッタ

男隊員「隊長!?」

女隊員「だ、大丈夫ッスかぁ……!?」

魔道士「隊長さん、それに……王子も……っ」

隊長「お前ら……手を……貸してやってくれ」

傭兵「俺らも行くぞ! まだ外で交戦中みてぇだ」

親衛隊「おうっ!」

ズザッ

男隊員「そういう事なら、こっちもチンタラしてる場合じゃねぇな」

女隊員「そうみたいッスね!」

タッタッタッタ

魔道士「あっ、戦士さん! 私達も行きます!」

戦士「お前ら……そうだな。相手が相手だ、数は大いに越した事はない」

サモナー「でも相手は不死。くれぐれも気を付けて」

魔道士「はいっ。分かってます!」


615 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage] 投稿日:2011/11/09(水) 18:23:50.21 ID:kpA8bXpDO
なんとゆう巨神兵


616 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:29:10.48 ID:N23LSmkCo
激しい筋肉と筋肉のぶつかり合い。武器はおろか、言葉も無用。

拳で語り合うとはよく言ったもので、しかし相手は死人。心在らざる者に言葉はない。

格闘家はまるで目の前に相手など存在せず、自身が作り上げた強者のイメージ、

それが余りにも現実的過ぎて、実体して見えている。そんな錯覚にも思えて仕方がなかった。

だがお父の鍛え上げられた腕に殴られれば痛みが生じ、丸太のような脚で蹴られれば、

その身に激痛を伴う。辛く苦しいものであるが、そこに生を感じるにもまた確かであった。

格闘家「ああぁぁーっ!!」

お父「……」

バキッ…ドカッ!!…ズギャッ!!…バッゴオオォォン!!

格闘家「……?」

そんな血湧き肉躍るような戦いは、西に輝く赤い光で終わりを迎えた。

格闘家「……な、何だ!?」

タッタッタッタッタ

戦士「盗賊っ! あれは何だ!?」

盗賊「分からないっ、私も今……確認したところだ!」


617 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:39:18.41 ID:N23LSmkCo
キュイイイイィィィィ…

魔獣「ヴオオオオォォオオォォォォ!!」

コカトリス「至近距離すぎるっ!!」

召喚士「――っ!?」

コカトリスに無理矢理引っ張られるように、召喚士とコカトリスは急上昇する。

理由は無論、魔獣がこれより放つであろう赤く輝く光に備えてである。

カッ!!

夜空に浮かぶ星かの如く、赤い光は強く輝いた。

天才「!?」

格闘家「う……っ」

瞬き1つ程度の呼吸を置いて、光源である魔獣の口内より、閃光が真っ直ぐに伸びた。

盗賊「なっ――」

戦士「!?」

音を立てる事もなく静かに、しかし確実にその光は西の砦目掛け伸びている。

光が通過する大地を削り、抉り、燃やし、地獄への道を形成するかのように。


618 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:43:57.44 ID:N23LSmkCo
イイィィィィ…

魔道士「――っ!!」

全員が咄嗟に動けば、その閃光を防ぐ事が出来たかもしれない。

しかしあまりに唐突すぎる事であり、誰もが反応出来なかった。ただ1匹を除いて。

ドッゴオオオオォォォォ!!

凄まじい威力の閃光を、巨大な水の壁が立ちはだかり、かろうじて食い止めていた。

サモナー「マーメイド……!?」

マーメイド「くううぅぅーっ!!」

ジュウウゥゥゥゥ!!

天才「……よ、よくやった! 手の空いてる奴ぁ援護しろぉ!!」

その言葉に反応し、魔道士を始め、各々が一斉に水行を放ち、マーメイドを援護する。

ゴゴゴゴゴゴ

魔道士「ううぅぅ……っ!」

盗賊「くっ!」

天才「まだだぁ!! もっとだ、もっとおぉ!! こんなんじゃ破られんぞおぉーっ!!」


619 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/09(水) 18:48:36.67 ID:N23LSmkCo
ゴゴゴゴゴゴ

男隊員「んな事言ったってよぉ……っ」

女隊員「結構……精一杯ッスよ……ぉ!」

この壁を破られれば、砦は跡形もなく消え去るだろう。それは全員が理解していた。

しかしその威力はとてつもなく、最終防衛ラインとも言える水の壁は徐々に薄れてゆく。

マーメイド(駄目……っ、これ以上は…・・・サモナーが死んじゃうっ!)

サモナー「……構うなマーメイド。僕に構わず、集中するんだ……っ!」

魔道士「お……願いっ! 持ち堪えてえぇ!」

ズッガオオォォォォン!!

魔道士「……へっ!?」

祈りが通じたわけではない。だが、水の壁は急激に厚みを戻していった。

いや、それ以上に厚みを増し、閃光は徐々に軌道を変え始めていた。

マーメイド「だ、誰……何なの!?」

背後から現れたその影は、この状況において、最も適任とも言える者であった。

マーマン「……苦戦してるみてぇだな。だが、俺っちが来た以上……水は任せておきなっ!」


621 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage] 投稿日:2011/11/09(水) 18:51:41.00 ID:kpA8bXpDO
マーマンさんになら抱かれてもいいわ

乙!


631 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage] 投稿日:2011/11/09(水) 21:46:06.55 ID:Ihwrd5qao
いちおつ
やっとマーマンさんの正体がわかるのか


635 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage] 投稿日:2011/11/10(木) 09:14:51.88 ID:QSQkfCvWo
さすがは名脇役の召喚士さんやなー


636 名前:NIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage] 投稿日:2011/11/10(木) 11:29:50.85 ID:l+uGWpFDO
>>1乙!

マーマン△


637 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:17:44.53 ID:Qt6nhP2Go
戦士「な……っ」

魔道士「マ、マーマンさん……!?」

ズダッ

マーメイド「……あ」

マーマン「余所見してんなよ。集中しろ」

マーメイド「マーマン……」

マーマン「集中しろって!」

マーメイド「……っ」

ゴシュッ!!…ジュウウゥゥゥゥ

赤い閃光の眩さに、目の前は憎たらしい程輝かしい赤色以外には何もない。

ただ一同の目に映る確かな事は、それを懸命に水の壁が堪えているという事。

その直下に立つマーメイドとマーマン。召喚獣と魔物でありながら、どことなく似た面影もある。

そんな水のスペシャリストとも呼べるであろう2匹に、人間らが必死で援護の水行を放ち続ける。

魔物の攻撃を魔物と召喚獣と、そして人間が食い止めるという不思議な光景。

所属を越えた懸命の防御。その甲斐あってか、やがて閃光は砦より南へと軌道を逸らせ始めた。


638 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:18:47.30 ID:Qt6nhP2Go
ジュジュウウゥゥゥゥ

天才「あと……一息だっ、踏ん張れよぉ!」

魔道士「う……ううぅぅ!!」

マーマン「ぎぎいぃ!!」

ズッゴオオォォォォ!!

男隊員「押し……返したぞおらああぁぁ!!」

天才「勝った――」

ガクンッ

マーメイド「!?」

サモナー「……っはぁ、はぁ、はぁ」

魔道士「サモナーさんっ!?」

マーメイド「魔力の……限界……ぃ」

天才「あとちょっとなんだ! 何とか持ち堪えろおぉ!」

女隊員「まっ、まずいッスよおぉ!!」

形勢逆転かと思われたその瞬間、マーマンとマーメイドの前に新たな召喚獣が現れた。


639 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:19:14.60 ID:Qt6nhP2Go
ズッゴオオォォォォ!!

スキュラ「召喚士っ、もっと魔力を出さぬか!」

バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「今……やってますよぉ!」

ゴアッ!!

盗賊「再び押し返したっ!」

タッタッタ…ズザッ

神官「……あ、あれは……っ」

西方魔道長「あんたらはいいから、怪我人達を避難させなっ!」

西方副司令「は、はいっ!」

隊長「……ぐっ」

西方参謀「おらババア。さっさと助っ人行くぞ!」

西方魔道長「分かってるよ。そんじゃ、早速おっ始めるかい!」

神官「陛下、立てますか? 直線上の砦は何かあっては危険です。避難を」

王子「ほ、他の連中も……避難は忘れるなよ」


640 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:21:15.64 ID:Qt6nhP2Go
タタッ

西方参謀「水かよ……苦手なんだよなぁ……ヒック」

西方魔道長「つべこべ言ってないで、さっさと撃ちなっ!」

魔道兵「我らも続けぇ!!」

ドッドオオォォォォン!!

天才「……ったく、やーっときやがったか」

魔道士「す、凄い魔力がっ!!」

天才「これで……決める!!」

壁の角度が完全に南側へと形成され、赤い閃光は壁を滑るように軌道を変えた。

どれ程か分からぬくらいに伸びた光は、遥か南の地点に着弾した。

ゴッ…ドッドドッドドドド…

僅か一瞬、まるで昼間のような輝きを見せた後、赤黒い衝撃が山のように膨らんだ。

そして、その衝撃は大爆発を起こし、天にも衝き昇る様な煙を吐き出した。

声も出せず唖然とする一同。安堵の間もなく今度は、爆風が襲いかかる。

まるで魔法のような強烈な突風は、離れた西の砦にまで砂嵐として激しく吹きつけた。


641 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:22:32.66 ID:Qt6nhP2Go
ゴアアアアァァァァ!!

召喚士「う……あっ!」

コカトリス「ちぃっ、一旦……着地するぞ」

バサバサバサッ…バシュウウゥゥゥゥ

魔道士「く……っうぅ!!」

女隊員「飛……ばされるッスうぅ!!」

ゴアッ!!…ドドオオォォォォ…

格闘家「……っ」

天才「ぺっ、ぺっ。口ん中……砂だらけだぜ」

男隊員「何とか……生きてるみてぇだ……っ」

西方参謀「油断すんなよ? 2発目があるかもしんねーだろ……ヒック」

魔道士「……っ!!」

天才「酔っ払いの言う通りだ。砦内の奴らは全員、避難したな? こっちも一旦、距離を取るぞ」

格闘家「……あの男がいない。逃げたか……?」

天才(予言での結果は死者0。おそらく2発目はないと思うけどな……)


642 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:23:20.52 ID:Qt6nhP2Go
コオオォォォォ

ネクロマンサー「……素晴らしい」

魔獣「オオオオォォォォ……ッ」

ネクロマンサー「さて、もう1発いけますかねぇ?」

魔獣「ヴオオォォォォ……ッ」

ブシュウウゥゥゥゥ…

ネクロマンサー「駄目、ですか。残念……どうしゃら早すぎたみたいですね」

魔獣「ヴヴウウゥゥゥゥ」

ネクロマンサー「ま、いいでしょう。目的は果たせました」

スゥッ

ネクロマンサー「魔方陣は消えた。また、1から頑張って下さい。ククッ」

閃光を放ち、全身より煙を吐き出している魔獣は、再びその足を進め始める。

ネクロマンサー「もうじき夜が明けますね。満月の夜まであと9日ですか」

魔獣の傍に佇む黒い影は音も立てず姿を消してゆく。

ネクロマンサー「ククッ、サタンを含めあと4体。せいぜい頑張って下さいね」


643 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:24:44.92 ID:Qt6nhP2Go
ヒュオオォォォォ

戦士「大丈夫……みてぇだな」

盗賊「……ああ。もうじき夜も明けるな」

ザッ

マーメイド「サモナーっ!!」

マーマン「早く行ってやれ」

マーメイド「……ごめんっ」

ヒュッ

マーマン「謝るなよ。俺っちが……哀れみてぇじゃんか」

テクテクテク

召喚士「マーマンさん……」

マーマン「おう、助っ人に来たぜ……へへへっ!」

召喚士「もう、南は大丈夫なんですか……?」

マーマン「ああ。敵もいねーし、みんな復興作業に熱を入れてるよ」

召喚士「マーマンさんはいいんですか?」


644 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/10(木) 18:25:37.89 ID:Qt6nhP2Go
マーマン「ハヌマーンや法師様たっての頼みでな。各地を回ってんだわ」

召喚士「そう……でしたか」

マーマン「しっかし、なんて威力の攻撃だよ。肝心の敵はどこにいやがるんだぁ?」

召喚士「……あの、マーマンさん」

マーマン「あん?」

召喚士「率直にお伺いしますが、あなたは一体……何者なんです?」

マーマン「……」

召喚士「今さっき、マーメイドさんと話してましたよね? いや、以前にも……」

マーマン「いいじゃねぇか、何者だろうがさ。別に種族なんて関係ないだろ?」

召喚士「……」

マーマン「少なくとも俺は、人間のお前らをマブダチだと思ってる。それじゃ不服かい?」

召喚士「……いえっ」

マーマン「誰にでも色々な人生はあるのさ。ほれ、戻って一休みしようや。肌がガッサガサだよ……」

召喚士「……っ」

一時の窮地を脱し、疲弊した彼らの頬に、昇った太陽の光が暖かさを与えた。



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