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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その29
507 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:00:41.48 ID:/xnTDmTUo
〜会議室〜

天才「召喚チーム、揃ってんな?」

青年兵「はい」

天才「ほれ、オメーも座れ」

召喚士「……」

スッ

天才「お前らの仕事は、魔王を誘き出す事が第1」

白虎長「……」

天才「第2に眷属の牽制……あわよくば討伐だ」

召喚士「眷属? まさかサルワですか?」

天才「アカ・マナフだ。オメーも知ってんだろ」

召喚士「!?」

天才「アレだきゃ五行で消滅させてねぇ。再登場の可能性も0じゃねーって事だ」

召喚士「なるほど……っ」

青年兵「それで、布陣は……?」


508 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:01:22.17 ID:/xnTDmTUo
天才「0時ジャストに作戦開始。お前らは真っ直ぐ火山へ突っ込め」

青年兵「……」

天才「ビビった?」

青年兵「い、いえ……っ」

天才「安心しろ。魔王はいきなり出てきたりしねぇって」

名代「……」

天才「あ、そうそう。はいコレ」

スッ

召喚士「何ですかこれ? 幼女ちゃんの落書き――」

バゴッ!!

召喚士「いってぇーっ!!」

天才「俺様が描いたアンラちゃんの似顔絵だよ! 何が落書きだっ!」

召喚士「そ、そうでしたか……っ、失礼しました……」

天才「とにかくだ、奴は火山内部に潜んでる。それを外部に引き摺り出せ! いいな!?」

青年兵「は、はいっ」


509 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:03:00.89 ID:/xnTDmTUo
天才「んで、お次は魔道士チーム」

ジュニア「……」

天才「お前らは8方向の魔道隊とは別に、正面で控えててくれ」

魔道士「はいっ」

天才「進軍は北の魔道隊と共に出てくれ。んで、火山の正面で別れろ」

賢者「……それで……ふぅ」

天才「やるべき事は、第1に攻撃被害軽減。第2に眷属の牽制だ」

ジュニア「軽減?」

天才「例えば、火山の噴火とか眷属の攻撃とかだよ」

魔道士「なるほど……っ」

天才「それを起こさないよう務めるが、これも0じゃねぇからな」

ジュニア「了解。んで、何もなかった時は他の連中と同様でいいんだな?」

天才「ああ、お前らの魔力は頼りになる。頼むぜ」

魔道士「頑張りますっ!」

賢者「……ふぅ」


510 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:04:32.46 ID:/xnTDmTUo
天才「23時30に正面集合。そんじゃ健闘を祈る!」

カツカツカツ…

ジュニア「さーて、最後の晩餐でも済ませてくっかね」

魔道士「縁起でもない事言わないで下さいよ……っ」

ジュニア「ハッハ、すまんすまん」

召喚士「あの、ジュニアさん」

ジュニア「ん?」

召喚士「……」

ジュニア「どったの?」

召喚士「絶対に……生きて帰ってきましょう! そうすればいい事もあると思います……」

ジュニア「……?」

召喚士「あ、いや……っ」

ジュニア「ハッハ! よく分からんが、死ぬつもりなんてないよ。互いに生きて戻ってこようや」

召喚士「はい!」

ジュニア「ハッハ!」


511 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:06:12.97 ID:/xnTDmTUo
ザッザッザ…

魔道士「何か、あったんですか?」

召喚士「えっ? あぁ、いえ……」

魔道士「……?」

マジシャンの事を今すぐにでも伝えたかった。

しかし召喚士はそれをグッと胸の奥に押し込め、沈黙を貫いた。

魔道士「召喚士さん、私達も何か食べておきましょうかっ」

召喚士「あっ、そうですね」

魔道士「あっちに色々と置いてありますから、行きましょっ!」

召喚士「はい。あ、青年兵くん達は……」

白虎長「最後の下準備が残ってるから。気にしないで済ませてきて」

召喚士「はい」

魔道士「あ、あれ?」

召喚士「……」

魔道士「玄武娘ちゃん達は……?」


512 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:06:43.86 ID:/xnTDmTUo


召喚士「……」

魔道士「……」

朱雀嬢「いい加減っ、離しなさいなっ!」

玄武娘「まだ食べるですのー!」

白虎嬢「すっごい食欲よねぇ〜」

南西砦兵「あ、あのー」

召喚士「はい」

南西砦兵「えぇと、大変申し訳ないのですが……残るは軽食のみでして……」

召喚士「俺らは構いませんよ」

魔道士「はいっ」

南西砦兵「お、恐れ入ります……っ」

玄武娘「まーだー腹3分目でーすーのー!」

朱雀嬢「この……っ、テーブルにしがみ付くなですわっ! 恥ずかしい!」

白虎嬢「うふふふ〜っ」


513 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:07:46.89 ID:/xnTDmTUo


伝令「失礼致します!」

大軍師「何か報告は?」

伝令「はっ。中継所の博士様より書を預かっております!」

天才「んで、電話はどうなんだ?」

伝令「現在、森に差し掛かった辺りまで工事が進んでおります」

天才「ふぅん。んで、何だって?」

大軍師「各方面からも増援が続いているようですね」

天才「……ったく。防ぎきれるんだろうな?」

大軍師「各司令の判断でしょうから、問題はないかと思いますが」

天才「こっちとしちゃ人手不足でありがてぇけど、それで潰れちゃ意味ねーからな」

大軍師「今の布陣は絶妙だと思いますよ。将兵共に」

天才「まぁな。この先を見越してだが……とにかく眼前の魔王を始末せにゃーなぁ」

大軍師「ですね。それで、各方面への伝令は?」

天才「俺様からは作戦開始の報告だけだな。あとは任せる!」


514 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:08:51.61 ID:/xnTDmTUo


テクテクテク

戦士「おっ」

召喚士「戦士、盗賊さん」

盗賊「……食事は済んだのか?」

魔道士「はいっ。今しがた終わりましたよー」

戦士「そっちはどうなんだ?」

召喚士「俺は召喚隊として、火山で魔王を誘き寄せる役目」

戦士「おぉ……っ」

魔道士「私は、ジュニアさんや賢者さんと正面で万が一に備えますっ!」

盗賊「……そうか」

戦士「みんなバラバラか」

盗賊「……でも……戦場は一緒」

魔道士「ですねっ。みんなが頑張ってるの、見えますよね……」

召喚士「ええ、大丈夫ですよ」


515 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:09:31.40 ID:/xnTDmTUo
戦士「さーて、もうすぐ時間だ」

召喚士「もう23時15分か……」

盗賊「……魔道士、気を付けてな」

魔道士「盗賊さんもですよ!」

盗賊「……ああ」

戦士「召喚士」

召喚士「ん?」

戦士「また……会おうぜ!」

召喚士「……うんっ!」

戦士が突き出した拳に、召喚士が拳を重ねる。

盗賊「……終わったら、みんなでご飯を食べよう」

魔道士「はいっ! えへへ……っ!!」

2人の拳に盗賊と魔道士の拳がコツンとぶつかる。

重なり合う拳は次第に開かれ、4人は重なった掌の温もりを感じながら笑った。

そして23時25分。南西砦正面には、援軍を含めた総勢6000名の兵が集結した。


516 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:10:03.06 ID:/xnTDmTUo
テクテクテク

召喚士「剣士さん!?」

剣士「僕らも行くよ」

魔道士「で、でも……っ」

弓使い「3人で決めた事ですもの。私達だけ待ってるなんて出来ないわ」

魔道士「幼女ちゃん……」

幼女「心配しないで、お姉ちゃん」

魔道士「うん……」

戦士「剣士さん達はどこで戦うんだ?」

剣士「僕らは魔道士さんやジュニアさんと一緒に別働隊を務めるよ」

召喚士「はい」

剣士「くれぐれも気を付けて」

召喚士「ありがとうございます。剣士さん達も」

魔道士「頑張ろうねっ、幼女ちゃん!」

幼女「……うんっ!」


517 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:10:37.16 ID:/xnTDmTUo
〜23時30分、南西砦前〜

歩兵「見ろよこの鎧……っ!!」

南西砦兵「あぁ! 何でも開発機関の最新作らしいじゃないか!」

魔道兵「本部の精鋭より先に俺らが着ちゃって……いいのかな?」

男隊員「構わねぇよ」

歩兵「男隊員様っ!」

男隊員「対魔王用の甲冑だ。絶対に死ぬなよ」

ザッザッザ…

南西砦兵「……っ」

大軍師「間もなく出陣となります。その前に司令より皆にお言葉あります」

ザッ

天才「あー、よくぞこんだけの数が集まってくれた。まずは礼を言う」

南方魔道長「……」

天才「分かってると思うが、これから戦う相手は魔王、アンラ・マンユ」

隊長「……」


518 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:14:44.77 ID:/xnTDmTUo
天才「今までの雑魚相手とはワケが違う。そこんところはしっかり覚えておくよーに」

女隊員「……」

天才「……まぁ、当然ながら被害は0とはいかんだろう」

格闘家「……」

天才「特に、歩であるお前らは、どれ程死ぬか見当もつかん」

歩兵「……っ」

天才「だから言っておく。いいか、死にたくなかったら必死で足掻け」

南西砦兵「……」

天才「もがいて逃げ惑って、戦って……歩から金に成り上がれ」

魔道兵「……」

天才「死にたくない奴は逃げてもいい。懲罰なんぞ設けねぇ」

大軍師「……」

天才「最後まで戦って生き抜いた奴には、たらふく褒賞をくれてやる!」

青年兵「……」

天才「最後にいつものこの言葉を贈る!」


519 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:17:19.73 ID:/xnTDmTUo
ザッ

天才「勇敢と無謀を履き違えてはならない!」

盗賊「……勇敢と無謀を履き違えてはならない」

天才「慎重と臆病を履き違えてはならない!」

魔道士「慎重と臆病を履き違えてはならない!」

天才「自信と慢心を履き違えてはならない!」

戦士「自信と慢心を……履き違えてはならない」

天才「勇者は一人であり、全員が勇者である!」

召喚士「勇者は一人であり、全員が勇者である!」

天才「お前らは勇者だ。誇りだ。国の為じゃねぇ、自分の為に戦え!」

一同「おぉーっ!!」

大軍師「0時です」

天才「……おーし行くぞ……出陣!!」

大軍師「全軍、出陣!!」

0時00分。アンラ・マンユ討伐軍が出陣を開始した。


520 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:18:36.87 ID:/xnTDmTUo
ザッザッザ

天才「召喚隊!!」

青年兵「飛行タイプの保持者は上空から偵察を!」

朱雀嬢「了解ですわ!」

召喚士「行けっ、コカトリス!!」

シュイイィィィィン…バサッ

青年兵「その他は地上の偵察を!」

白虎長「いくわよっ!」

玄武娘「はいですの!」

天才「もっとだ、もっと出せ!!」

召喚士「じゃあ……行けっ! ワルキューレ!!」

シュイイィィィィン

大軍師「おぉ……っ、あれが……ワルキューレ」

女隊員「素敵ッスねぇ……!!」

天才「……なかなかいいじゃねぇか、ハデに行けハデに! 軍楽隊!!」


521 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:20:02.77 ID:/xnTDmTUo
ザッザッザッザッザ

男隊員「随分とまぁ派手な出陣だな」

隊長「魔王討伐だしな。これぐらいでいいんじゃないか?」

大軍師「士気もあがりますしね。それに、相手に気付かせる必要もありますから」

天才「そーいう事だ。魔道兵の布陣とゾディアックを悟られたら終わりだからな」

男隊員「なるほど」

天才「んーいい曲じゃねぇか。ワルキューレの騎行ってところだな」

従軍した通信兵の記録と、その様子を撮影したカメラが後年、発表された。

その新聞によれば以下のような記述がある。

――それは優雅で絢爛なものであった。先陣を切るは白銀の甲冑に身を包んだ騎兵。

上空にはワルキューレやペガサスが護衛につき、脇にはベヒーモスといった、

強固な召喚獣がそれを支える。そこへ5000名以上の兵が連なるのだ。

軍楽隊の華やかな演奏に足並みを揃え、兵らは皆、自信に満ち溢れた顔をしていた。

士気は極めて高く、舞これから魔王と一戦交えようなどという様子はない。

言うなれば、パレードか、はたまた凱旋のような威風堂々としたものだ――。


522 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:21:12.48 ID:/xnTDmTUo
〜南西砦〜

戦士「……行ったな」

戦士父「……」

戦士「さて、こっちもそろそろ向かうか」

盗賊「……うん」

戦士父「そうするか」

スクッ…ザッザッザ

戦士父「お前が持って行け」

戦士「……あ、ああ」

ズシッ

戦士「……重いなぁ」

戦士父「重いぞ。色々なものが詰まっているからな」

戦士「全くだ」

戦士父「さて、まずは北東の山を目指すぞ」

戦士「おうっ!」


523 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:23:32.52 ID:/xnTDmTUo


隊長「さてと、ここらで俺らは本軍と別れるぞ」

女隊員「ういッス!」

隊長「任務内容は?」

男隊員「魔道兵の各布陣の補佐、及び……」

アマゾネス「……」

女隊員「アマゾネスの村人を非難させるッスね」

隊長「宜しく頼む」

アマゾネス「こちらこそ」

南方魔道長「いいか?」

隊長「ああ。戦闘の騎兵に続いてくれればいい」

南方魔道長「北の魔道兵らはここで待機。指示は大軍師殿から仰ぐように」

魔道兵「了解致しましたっ!」

隊長「それじゃ行くぞ」

南方魔道長「……全軍、騎兵に続け」


524 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:25:30.37 ID:/xnTDmTUo


大軍師「ここが火山の真北にあたりますね」

天才「魔道兵は?」

大軍師「布陣致しました。他の7部隊は特遊指揮の元、出発致しました」

天才「おーし、順調順調」

大軍師「火山を囲むように、逆時計回りに布陣……」

青年兵「何故、遠回りを?」

天才「いや、別にいいっちゃいいんだが……」

青年兵「……?」

天才「東側の森は面倒事があっただろ。念の為だよ念の為」

大軍師「……成程」

天才「ゾディアック親子も出ただろうし、召喚隊もそろそろ突入準備しといてくれや」

青年兵「はっ」

天才「おーい」

ジュニア「……?」


525 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/01(水) 18:28:59.57 ID:/xnTDmTUo
天才「お前らは魔道兵の前で待機」

魔道士「はいっ」

天才「あれ? そーいやアイツどこ行ったんだ?」

魔道士「あいつ……?」

天才「またどっか彷徨ってんのか、クソ方向音痴がよ……」

弓使い「幼女は常に、剣士の後ろにいなさいね?」

幼女「……分かった」

天才「なぁなぁ」

ジュニア「あん?」

天才「お前ってさ、親父と面識あんの?」

ジュニア「親父……? 会った事もねーよ」

天才「ふぅん、そっか。会いたいとか思うか?」

ジュニア「別に今更だな。それに……次会う時は死んだ時だ」

天才「そうかい。そんじゃ、ぜってぇ死ねねーわな」

ジュニア「そこまで会いたくねーわけじゃねーって、ハッハ!」


531 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/01(水) 19:12:12.16 ID:R1Aa86cDO
>>1乙
いよいよ魔王討伐か……天才のいつもの言葉でぐっと来た。
コカトリスの毒で仕留めた魔物の毛皮を売って生計を立ててた頃はこんな展開になるなんて思いもしなかった。
キモいって言われるかもしれないけれど感慨深いものがあるなー


540 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/02(木) 21:55:12.84 ID:M/awKYnvo
火山北側、魔道兵600名が布陣。及び魔道士やジュニアらのワーカーと、

200名の魔道兵が緊急時に備え、別働隊として待機、布陣した。

天才「ここは任せたぞ」

大軍師「はっ。作戦決行までは、およそ3時間といったところでしょうかね」

天才「夜明けまでにはカタをつけたいけどな」

大軍師「ですね」

天才「……青年兵!」

青年兵「はっ!」

天才「こっからは真っ直ぐ突っ込むぞ。お前が指揮を執れ」

青年兵「……はい」

ザッ

青年兵「空と陸、2方向から進みます。布陣は先程と同様で!」

召喚士「うん」

青年兵「飛行タイプを複数持っている者は、他の者も上空へ!」

朱雀嬢「分かりましたわ」


541 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/02(木) 21:55:41.72 ID:M/awKYnvo


玄武娘「おぉーっ、高いですのー!」

バシュウウゥゥゥゥ

朱雀嬢「グリフォンの乗り心地はいかが?」

玄武娘「すっごいですのー!」

ペガサスに跨る朱雀嬢は、横へ並ぶグリフォンの背にしがみつく玄武娘を見つめ、微笑む。

その後ろにはコカトリスに身を預ける召喚士と、そのすぐ横を飛ぶワイバーン。

名代「申し訳御座らぬ……某まで……」

ワイバーンの背に乗る名代が、恐る恐る下を覗き込みながら話しかける。

召喚士「いえいえ、上空からの方が見晴らしもいいですしね」

バサッバサッ

天狗「……?」

オルトリンデ「あらぁ、羽が生えてるって事はお仲間かしらぁ?」

天狗「異国の妖か」

ロスヴァイセ「お鼻おっきいーっ!」


542 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/02(木) 21:56:18.83 ID:M/awKYnvo
シュヴェルトラウテ「なかなか素敵じゃない」

天狗「し、しかしなんとまぁ……天女のようであるな……」

名代「天狗、顔が真っ赤だぞ?」

天狗「それは元からだ!!」

召喚士「はははっ!」

談笑する横をアンフィスバエナとリンドブルムが速度を上げる」

白虎長「もうすぐ火口付近ね」

青年兵「ええ」

アンフィスバエナの背中からジッと正面の火口を見つめる青年兵。

リンドブルムに乗る白虎長は不安そうに同じく火口を見つめている。

バサァ

色黒「村は……見えないっか」

サンダーバードを器用に操る色黒がその背中から目を細めて眺める。

その後ろをペガサスとグリフォンが続き、その召喚主であるポニテとツインテが、

背中の上で声を揃えて溜息混じりに呟いた。


543 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/02(木) 21:56:58.72 ID:M/awKYnvo
ポニテ「私も長と一緒に行きたかったなぁ〜」

ツインテ「ふにゃあぁ……」

色黒「おさげの奴、1人でズルイ……っ!」

優雅に、そして力強く空を飛ぶ召喚獣達。その真下にあたる地上では、轟音を立て、

大きな物影がゆっくりとその足を進めていた。

ズズウウゥゥゥゥン

ベヒーモス「グルウウゥゥゥゥ……ッ」

リバイアサン「…………」

天才「中央にリヴァイアサン。その両脇にゃベヒーモス。ハーッハッハ! 豪華だ事!」

ザッザッザ

天才「さて、アンラちゃんよ、こっちの動きにゃ気付いてんだろぉ?」

ザッザッザ

天才「面倒な手を煩わせないで……さっさと出てきやがれっての

背中のtヴァイハンダーを右手で抜き構え、天才はにやりと笑った。

やがてその足は火山の目の前に到達し、まもなく登山を開始しようとしていた。


544 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/02(木) 21:58:10.29 ID:M/awKYnvo


歩兵「魔道兵、布陣完了致しました!」

南方魔道長「地図で槍の方角だけは確認しておくように」

魔道兵「はっ」

隊長「発射1時間前、30分前、10分前に発光弾で知らせる」

男隊員「これで2ヶ所目か」

女隊員「そうッスよ」

男隊員「何だか、えらく長く感じるよ」

隊長「何言ってんだ、まだ始まってもいねぇよ」

男隊員「まぁ……そうなんだけどよ」

南方魔道長「それじゃ頼んだぞ」

魔道兵「了解致しました」

隊長「……少し霧が出てきたな」

女隊員「そうッスね。あんまり濃くならなきゃいいッスけど……」

隊長「……だな」


545 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/02(木) 21:58:50.40 ID:M/awKYnvo


戦士「ここが北東の山か」

戦士父「ああ。ここでお別れだ」

盗賊「……うん」

戦士「親父」

戦士父「……何だ」

戦士「……あのよ」

戦士父「……」

戦士「……いや、しくじったりすんなよ」

戦士父「誰にものを言っている。お前こそ失敗は許されんぞ」

戦士「ああ」

戦士父「いいか? 手加減など無用だ。俺を狙って、貫くつもりで投げろ」

戦士「……」

戦士父「絶対に……受け取ってやる」

戦士「……ああ」


546 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/02(木) 21:59:28.69 ID:M/awKYnvo
ザッ

戦士父「それじゃあな」

戦士「……おう」

戦士父「戦士を頼む」

盗賊「…あ、あぁ」

ザッザッザ…

戦士「……」

盗賊「……良かったのか?」

戦士「あん?」

盗賊「……何か……言おうと思ったのだろう?」

戦士「別に」

盗賊「……そっか」

戦士「ほれ、俺らも早く行くぞ!」

盗賊「あっ、うん」

入山する戦士父の姿を見送ることなく、戦士は更に先へと進んだ。


547 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/02(木) 22:01:22.31 ID:M/awKYnvo


バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「青年兵くん、そっちはどう?」

青年兵「特に問題はありませんね」

召喚士「こっちも変化なし」

青年兵「……」

召喚士「ちょっと不気味な感じだね」

青年兵「ええ。相手は動かないと言えど……不気味ですね」

召喚士「あっ、火口部分か……」

ゴウッ

召喚士「熱……っ!! 噴煙が出てるのか……」

青年兵「上空からはこれ以上近づくのは難しそうですね」

召喚士「うん。一度、地上の天才さんと連絡を取ろうか」

青年兵「はい。僕もちょうどそう考えてました」

召喚士「それじゃ、一旦降りようか」



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