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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その35
33 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:53:49.77 ID:0qGF7Iupo
〜西の寺〜

名代「建物が見えますな。あれでしょうか」ドドッドドッ

帝「そのようだな」ドドッドドッドドッ

ドドォ…パッカパッカパッカ

魔道士「凄い……っ。崖に面して建物が……」

名代「まさかこのような所に寺があるなど、思いもよりませんでした」

帝「全くだな。さて行ってみるとしよう。その石段より上れそうだ」

魔道士「召喚士さん、行きましょっ」

召喚士「はい」

 僅かな紅葉を残し、既に枝のみとなった木々に囲まれ、ひっそりとした石段が遥か上へと続く。

東方司令「しかし長い階段だな……。上るだけで疲れてしまう」

帝「こんな時に言うのも何だが、私は風情があって好きだぞ?」

魔道士「ひえぇ……っ、しんどい〜」

召喚士「頑張って下さいっ、見えてきましたからっ」

名代「着きましたぞ、ここが西の寺か……」


34 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:54:57.59 ID:0qGF7Iupo
〜西の寺、本堂〜

坊主「いやはや、まさか上様直々にお越し頂けるとは……恐悦至極で御座います」

帝「いや住職、此方こそ急な訪問ですまんな」

坊主「いえいえ、このような奇特な場所へ来て頂けるだけでも光栄で御座います」

東方司令「……」

坊主「それで、お越しになられましたのは、神野悪五郎の件ですかな?」

名代「如何にも。先日、友人二人が住職の世話になり、話を伺ったと」

坊主「二人? 六人ではなかったですかな?」

召喚士「あ、女侍さん達を交えると6人ですね」

坊主「折角お越し頂いたものですが、先日お話した以外には特に何も……」

帝「構わぬ。己の耳で聞いておきたいのだ」

坊主「……?」

名代「我らはこれより、神野悪五郎を討伐しにゆくのです」

坊主「な、何と……っ」

名代「この事、どうかご内密に願いますぞ」


35 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:56:01.64 ID:0qGF7Iupo


帝「ふむ。直に聞けて良かった。感謝する」

坊主「多少でもお力になれたのならば、それに越した事は御座いませぬよ」

名代「召喚士殿、今の話を伺って、どうお考えで?」

召喚士「そうですね。鬼丸の話と照らし合わせても先ず優先すべきは思念体の開放」

東方司令「……」

召喚士「シンノが剣聖という方を媒介にしているのならば、まずはそれを開放しないと」

名代「まさか剣聖そのものとは……。これは厄介な話だな」

東方司令「剣聖とはそんなにも強いのか?」

名代「ええ。恐らく近年においては東方一と言える使い手でしょう」

帝「……っ」

東方司令「なら安心だな。ボクは世界で2番目の使い手だ」

魔道士「本当ですか……?」

東方司令「お師匠の次に強い! お師匠が世界一なんだからボクが2番目だよ」

召喚士「……」


36 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 17:56:53.07 ID:0qGF7Iupo
名代「と、ともかく……神野悪五郎を解放する手段を考えねばなりませぬな」

召喚士「ええ。最悪、コカトリスで身動きを封じる事が出来れば……時間は稼げます」

魔道士「効きますかね?」

召喚士「おそらくシンノは奴と同じようなものでしょう」

魔道士「……?」

召喚士「ネクロマンサー。実体を持たないけれど、実体があるかのように動ける」

魔道士「……っ」

召喚士「だとすれば、不死ですが攻撃を続ければ魔力を消耗するはずですし……」

名代「石化させしてしまえば、身を封じる事が可能、と」

召喚士「はい」

東方司令「あとは最悪、五行か?」

魔道士「……その時は」

召喚士「五行は使いませんよ。ただ最終手段の時には名代さん」

名代「申したはずです。断じて無理はなさらぬようにと」

召喚士「……分かってます」


53 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:15:17.03 ID:NBhbkqyro
 名代にとって、召喚士との付き合いは、さしょど長くはない。だが、薄くはない。

 共に死地を乗り越えれば、時にそれは数年以上の信頼を築く事すらある。

 だからこそ名代は、召喚士の意図を大いに汲み取っていた。

名代「切り札は、召喚士殿の4属性召喚士に、私の式神を合体させる気ですね?」

召喚士「……五行ではないですから、命にかかわるものじゃないですよ」

名代「だが4行。召喚士殿の負担を考慮すれば、確実に安全とは言い難き事です」

召喚士「でもっ、シンノアクゴロウは不死です。万が一、思念体の開放が出来ない場合は……」

名代「五行詠唱。魔道士さん……ですか」

召喚士「彼女に五行を使わせるわけにはいかないんです。そうなれば切り札は……」

名代「……」

召喚士「大丈夫です。俺は死にませんよ」

名代「……?」

召喚士「予言で出てましたから。俺は死なないって」

名代「予言、ですか」

召喚士「ええ、だから安心して下さい。必ずうまくいきます」

 そんなやりとりがあったのは寺の住職との会談直後。女性人が入浴へと向かった最中であった。


54 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:15:54.91 ID:NBhbkqyro
カポーン

東方司令「…………っ」

魔道士「東方司令さんも一緒に入りましょうよ〜っ」

帝「そうだぞ。何時もの様に、背中を流してくれ」

東方司令「いえっ、今日は……すみません……」

帝「ああ。あの日か」

魔道士「ごめんなさい、気を遣わなくて」

東方司令「違うっ! あ、いえ……お構いなく」

魔道士「……?」

東方司令(そうだよ、思い出した。あの魔道士とかいう子……前国王の落胤じゃないかっ!)

魔道士「上様〜っ。お背中流しまする〜!」

帝「ち、ちとくすぐったいぞ……馬鹿者っ」

東方司令「東方の王に……本国の王女。そんな状況で私が一緒に入るなど……)

魔道士「上様……とっても綺麗……っ」

帝「……や、やめぬか……もうっ」

東方司令「……それよりもボクが死ぬ。多分」


55 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:16:31.01 ID:NBhbkqyro


召喚士「あーいい湯だったぁ」

名代「それでは召喚士殿、私は先に失礼致しまする」

召喚士「あ、はい。おやすみなさい!」

テクテクテク

召喚士「召喚士さんっ」

召喚士「魔道士さん、まだ……寝ないんですか?」

魔道士「何だか、なかなか眠れなくて」

召喚士「分かります。寺ってなんだか雰囲気が……それに独特の臭いが苦手で……ははっ」

魔道士「それもありますけど……」

召喚士「……?」

魔道士「盗賊さん……大丈夫ですよね……?」

召喚士「予言……ですか?」

魔道士「はい……」

召喚士「俺は信じてますよ、戦士を。信じる思いはきっと力になります。だから信じましょう」

魔道士「そうですよね。盗賊さんは強いですし、戦士さんだって強いですもん。大丈夫ですよね!」


56 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:16:58.29 ID:NBhbkqyro
〜藤蔵〜

盗賊「……」

戦士「よっ。心配か? 暗い顔して」

盗賊「戦士……」

戦士「心配だろうけどさ、大丈夫だって」

盗賊「うん。分かっているよ」

戦士「前にゲーデが言ってた。生への渇望、運命は変えられるってな」

盗賊「生への渇望……」

戦士「生きたいって思いが運命を変えるんだ。最後まで諦めちゃならねーんだよ」

盗賊「生きたいという思い……そうだな。それに戦士が居れば大丈夫だよね」

戦士「お、おう……っ」

盗賊「あ……」

戦士「……と、とにかくだ! 俺が……守るかんよ!」

盗賊「うん。宜しく」

戦士「じゃあ寝るわっ! 明日からは頑張ろうぜ!」

盗賊「……おやすみ」


57 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:17:25.85 ID:NBhbkqyro
カコーン

御館様「何か不届きな声が聞こえたな」

侍女「そうですか? ししおどし以外には何も聞こえませんけど」

御館様「……幻聴か」

侍女「御館様も御年を召されましたからねぇ〜」

御館様「たわけが。冗談も程々にせい」

侍女「うふふっ。でも御館様、今回は大人しくしていて下さいね」

御館様「……」

侍女「上様や名代様からも、御館様は待機、と強く言われておりますからね」

御館様「分かっておる。それが藤蔵当主としての務めだ」

侍女「此処の事は私達にお任せ下さいませ。それよりもやはり、心配なのは……」

御館様「北の連中か?」

侍女「姫も居るし、皆……無事ならいいんですけど……」

御館様「奴らも付いておる。心配は無用。それよりも己の身を案じるが良い」

侍女「そうですよね」

御館様「……」


58 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:18:00.63 ID:NBhbkqyro
〜北の城〜

ドドッドドッドドッ

男隊員「随分と賑やかだな」

旗本「篝火の数が尋常ではないな。何かあったのやも……」

ドドッドドッドドッ

旗本「都よりの救援である。城主殿に面会を所望致す!」

足軽「旗印は……旗本様かっ! これは良い所に来て下すった!」

格闘家「まるで戦闘中かのような慌しさですね」

隊長「……あながち、そうなのかもしんねーな」

ガチャガチャガチャッ

城主「よくぞ来てくれた旗本殿! おぉっ! それに貴殿は……隊長殿かっ!」

隊長「ヤマタノオロチ以来だな。それで、この騒ぎはどうした?」

女隊員「ま、まさか……魔王軍が!?」

城主「いや、もっとタチが悪い話でござる。蜂起に略奪に一揆……何と言い表せば良いか……」

旗本「まさか、東の残党が蜂起をしたと?」

城主「東だけではござらぬ。かつての北の残党や賊徒。妖と手を組んでおる連中も……」


59 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:19:29.46 ID:NBhbkqyro


パチッ…バチバチッ

旗本「賊に残党に……僧侶もか」

城主「此度の戦で上様の下へ総本山が回った事で、敵対する宗派が一斉に蜂起したのだ」

旗本「くそっ! 敵は妖だと言うのに、忍玄武娘同士が足を引っ張ってどうするかっ!ダンッ

城主「この事態、予想はしていた。その為に、東側の藤蔵へも要請はしておいたのじゃ」

男隊員「藤蔵? どういうこった?」

城主「北へ兵を回せば、都や東の城は手隙となり、しかも距離も離れておる」

隊長「なるほど。反逆者やクーデターを起こしやすいって事か」

城主「その為に此処と藤蔵で中央を担うつもりであったが、なにぶん数が多すぎる……っ」

旗本「平和なようにみえて、実際はこの有様か……」

城主「ともかくじゃ、これでは北の兵は動かせぬ。それどころか足りないくらいで御座る」

隊長「いいよ。あんたらは東方の人間だ。東方の為に戦ってくれ」

旗本「隊長殿っ!?」

隊長「魔王は俺らが引き受ける。東方を1つにまとめあげる事が、お前さん達の仕事だよ」

城主「……っ」


60 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:20:22.88 ID:NBhbkqyro


隊長「それじゃ俺らはこのまま北へ向かう」

旗本「大丈夫ですか?」

隊長「一度行ってるからな。まぁ何とかなるさ」

城主「すまぬ隊長殿……っ」

隊長「構わないさ。吉報を待っていてくれ。そして、あんた達の吉報も待ってるぞ」

旗本「早々に鎮圧し、駆けつける所存にて!」

格闘家「それでは」

グイッ

男隊員「さぁいよいよだ。他の連中に遅れちゃあ特遊の示しガつかねぇぜ……ヒャハハ!」

女隊員「行くッスよぉー!」

城主「法螺貝に陣太鼓を打ち鳴らせ!隊長殿らを盛大に見送るのだ!」

ドドッドドッドドッ

男隊員「本当に道は分かってんだろうなぁ!?」

隊長「星の位置は前回覚えた。それに一度進んだ道は二度と忘れん。お前と一緒にするな」

 たった4人の特遊は、騎馬を飛ばし、徐々に白みを増してゆく北へとひたすら駆けて行った。


61 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:21:11.17 ID:NBhbkqyro
〜次の日、東の海上〜

西方参謀「うっほおぉ、寒みぃ〜っ!!」

東方参謀「常日頃から酒が入っておるくせに情けない」

西方参謀「それとこれとは話が別だ……ヒック」

南方参謀「このまま北上すれば魔王のアジトなのよね……?」

槍侶「そう伺っております」

東方参謀「その前に最北の砦なる場所で他の者らと合流だ」

西方参謀「そっからは険しい道のりなんだよな? んで、船頭は見つかったのかい?」

南方参謀「そうよ。船が最新鋭だとしても舵取りがいないんじゃあどうしようもないわよ?」

東方参謀「それは任せてある。手掛かりがあると本人たっての希望だ」

西方参謀「ならいいけどよ……ヒック」

南方参謀「今のところ魔物の気配もないし、順風満帆てとこかしらね」

東方参謀「いつ敵が来るとも限らぬ。警戒は怠ってはならぬぞ」

槍侶「承知しております」

西方参謀「合流は明朝。順風満帆とは言ったが向かい風だし、慎重に遂行しようぜ……ヒック」

南方参謀「ええ、そうしましょう」


62 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:21:49.65 ID:NBhbkqyro
〜藤蔵〜

土忍「準備は出来ましたか?」

盗賊「ああ、こちらはいいぞ」

戦士「鬼丸、お前は?」

鬼丸「いつでもいいぜ」

風忍「ではこのまま真っ直ぐ、北上致します」

侍女「みんな気を付けてね……っ」

水忍「侍女、お前も俺達の帰るこの藤蔵を、しっかり守るのだぞ」

侍女「分かってます」

ザッザッザッ

火忍「御館様……!?」

御館様「お前等はこの藤蔵が誇る、最高の忍だ」

盗賊「……っ」

御館様「存分に力を発揮し、そして生きて再び藤蔵へと帰って来い。命令である」

盗賊「はっ。必ずや」

風忍「よし、それでは行くぞっ!」


63 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:22:57.22 ID:NBhbkqyro
〜西の寺〜

帝「住職、大変世話になったな」

坊主「此方こそ。まさか上様にご来訪頂けるなどと思いもよらぬ事で御座います」

召喚士「いよいよ、剣聖の屋敷へ出発ですね」

魔道士「はい……っ」

坊主「拙僧から心ばかりでは御座いまするが、これを……」コトッ

東方司令「これは?」

魔道士「えぇと、コンブにクリに……アワビですか?」

名代「打ち鮑にかち栗、昆布……出陣式における三献の儀ですな」

坊主「左様。敵に打ち勝ち、喜ぶ。語呂合わせですが縁起物です」

帝「有り難く頂戴しよう。確か、南を向くのであったか?」

名代「簡略ですが一応、形だけでも行うと致しましょうか」

 本堂の隅に立てかけられた床机へ腰掛け、南を向いた帝。

 その左右に名代、東方司令、召喚士、魔道士、座り、坊主が膳を帝の前へと運ぶ。

 帝はまず鮑を口に含むと、一同は酒代わりに茶を一度飲み干し、栗、昆布と同様に続ける。

 三献を終えたところで一同が立ち上がり、帝の声に合わせ、威勢良く掛け声を放った。


64 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:23:46.40 ID:NBhbkqyro


ザシャッ…パッカパッカ

坊主「皆様のご無事を、微力ながらこの地より祈らせて頂きましょう」

名代「世話になりました。それでは、失礼」

帝「行くぞっ」

東方司令「はい」

グイッ…ドドッドドッドドッ

帝「まずは剣聖の屋敷手前、3里の所まで一気に進むとしよう」

名代「はっ。神野悪五郎が動くやもしれませぬ。警戒はお忘れなきよう」

魔道士「はいっ!」

ピクッ

東方司令「……?」

名代「どうか致しましたか?」

東方司令「……いや、何でもない」

帝「妖だとしても捨て置けい。どうせこの時間では人前に姿を現さぬ」

東方司令「はい」


65 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:24:32.55 ID:NBhbkqyro
ドドッドドッドドッ…

サル「……馬?」

イヌ「西へ向かってたね。何かあるね?」

キジ「西は無法地帯って言ってたさー。どうせ悪党か何かさ」

女侍「……」ザッザッ

サル「おいおい待てっつーの」

女侍「ついて来いなんて言った覚えはないよ」

キジ「別に俺らが好きで付いて行ってるだけさー」

イヌ「そうね。お頭の事は関係なく、好き勝手にやってるだけね」

女侍「ああそうかい」

サル「んで、寺に戻ってどうしようってんだ?」

女侍「屋敷に行くのさ」

サル「そんなお宝が大切なのか? 今回ばかりは命に関わるぜ?」

女侍「あたいにとっちゃあ命を賭ける価値のあるお宝なのさ」

サル「……ふーん。気〜になっちゃうねこれまた」

女侍「……」


66 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:25:14.48 ID:NBhbkqyro
ザッザッザッ

坊主「……おや、お主等まだこの近くにおったのか?」

女侍「今、出て行った馬はなんだい?」

坊主「さてのぅ」

女侍「とぼけるんじゃあないよっ。まさか、剣聖の屋敷へ行ったんじゃあないだろうね?」

坊主「もしそうだとしても、お主には関係のない事であろうよ」

女侍「関係あるね。あたいはこれから剣聖の屋敷に行くんだよ」

坊主「何っ!? 先日、妖におそわれたばかりではないのか!?」

女侍「だからこそ行くのさ。借りは必ず返すのがあたいの主義なのさ」

坊主「……むぅ」

女侍「だから一般人や冷やかしみたいな連中がいたら邪魔になるのさ」

坊主「……それであれば、力を貸してやるが良い」

女侍「何だって?」

坊主「先程、西へ向かった面々はな、神野悪五郎を討伐する為の者らじゃよ」

女侍「!?」

坊主「内密にと言われていたが、向かう先が同じではどうせ鉢合わせるだろうしな」


67 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:25:49.96 ID:NBhbkqyro
女侍「誰だい、誰が向かったのさ」

坊主「……上様じゃ」

女侍「――――っ!?」

坊主「それと名代殿。あとは異国の武者であったな。男が一人と女子が二人」

女侍「国軍か? どんな奴だった?」

坊主「まだ若い連中じゃったな。男は召喚士、女子の一人は魔道士と申しておったが」

女侍「……あいつらかい」

坊主「顔馴染みか?」

女侍「軍の連中でないなら、いや……妖退治でしかも上様とはねぇ……」

坊主「いかに強いと言えどたかが五人、どうか力になってやってくれ」

女侍「言われないでもなってやるさ。あたいだってやらなきゃならないんだからねぇ」

坊主「無理はするなよ。お主、賊徒と申しておったが……とても悪党には」

女侍「余計なお世話さ。ま、死んだら経の一つでも唱えておくれ」

坊主「……」

女侍「それと、妖を退治したら頼みたい事があるんだ。ま、それは帰ってきてからでいいかねぇ」

坊主「……?」


68 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:26:32.17 ID:NBhbkqyro


ザッザッザッ

サル「おっ、戻ってきたぞ」

イヌ「どうだったね?」

女侍「さっきの連中はコカトリスの召喚連中と、東方の王様だとさ」

キジ「!?」

サル「な、何だってんだよおい……っ」

イヌ「お頭、やっぱり何か隠してるね?」

女侍「隠してようがなんだろうが、あんたらには関係のない事だろう?」

イヌ「ま、それもそうね」

キジ「何だろうが、お頭についてくだけさー」

サル「てか屋敷な」

女侍「勝手にしな。どうなっても知らないからね」

イヌ「死ぬ時は死ぬ時ね。今日であれ明日であれ、10年後であれ死ぬね」

女侍「……分かったような事、言うんじゃないよ」

サル「よ〜やく笑ったな。それでいい、そうでなきゃらしくね〜ぜ! ん〜ふふふふっ!」


69 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:26:58.76 ID:NBhbkqyro


ドドドッドドドッ…

名代「上様、そろそろかと」

帝「うむ、そうだな」

ドドォ

名代「ここより三里程の所に、剣聖の屋敷跡があると思われます」

 地図を広げ召喚士らに見せる名代は下馬し、周囲をぐるりと見渡した。

名代「妖の気配は特になさそうですね。しかし何があるか分かりませぬ」

 そう言うと、懐より取り出した2枚の札を右手で構えると、前方へと投げ飛ばした。

シュバッ……ボンッ!!

天狗「……」

雪女「……ふふっ」

名代「天狗と雪女に上空から偵察させましょう。頼むぞ」

ババッ…ヒュウウゥゥゥゥ

帝「さて、ここからは徒歩で前進だな」

東方司令「ボクが先頭を行きます。上様はボクの傍から離れぬよう」


70 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:34:17.18 ID:NBhbkqyro
ザッザッザッ…

東方司令「……」

帝「……」

魔道士「……っ」

召喚士「……んっ」

名代「どうし――」

バシュンッ!!

天狗「――――っ!!」ボンッ!!

名代「天狗っ!!」

東方司令「きたかっ。どこだ……?」チャキッ

召喚士「行けっ、コカト――」

神野「そう身構えんなや。わいと戦いにきたんやろ?」

ゴゴゴゴゴゴ…

召喚士「――っ!?」ゾクゥッ!!

 背後の岩に腰掛ける神野悪五郎は、にたりと笑い、ゆっくりとした口調で語った。


71 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage saga] 投稿日:2011/12/22(木) 18:39:51.69 ID:NBhbkqyro
今日はここまでにて失礼致します!
ご支援いつもありがとうございます!それでは!ノシ

こちらこそもはや誤字と投下は日課になってしまいましたね…ごめんなさい


73 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/22(木) 18:48:48.72 ID:yXXwGjLDO
いちおつ!
忍玄武娘って人間の打ち間違いだよな…?wwww


77 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/22(木) 20:12:24.91 ID:QbRSu8N1o
忍者ごっこしてる玄武娘想像してテンション上がってきた
オマケ期待だな


82 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/23(金) 11:55:19.55 ID:xpAek98Io
忍玄武娘レギュラー化きぼんwwwwww



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