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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その25
271 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:43:06.98 ID:9u/A9CzNo
〜西の港〜

魔法剣士「……」

受付「はい、確かに。どうぞお乗り下さい」

玄武娘、朱雀嬢と分かれた魔法剣士は、単身西の港へと来ていた。

魔法剣士「……」

テクテクテク

船員「間もなく巡回船は出航致します。次は鉱山の町――」

魔法剣士「……」

ザザーン

巡回船は西の港を発つと、鉱山の町、本国を経由して大陸港の町へと向かう。

将来的には三日月島をも経由する、いわば本国と西国を結ぶ船となるのだ。

更に果てはターミナルから東方へと伸び、まさに世界を巡回する船となる。

今はまだ願望に過ぎぬ人々の夢。いつかそれが実現する日が来るのだろうか。

魔法剣士「……」

全ては彼のような、魔物と戦う者の手に委ねられているのかもしれない。


272 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:43:40.61 ID:9u/A9CzNo
〜大陸、港の町〜

テクテクテク

魔法剣士「…今日は満月か」

ふと夜空を見上げ、明るい光を放つ月を眺める魔法剣士。

魔法剣士「……」

スッ…テクテクテク…

魔法剣士「……ここ…か?」

カチャッ…チリチリン

バーテン「…ん、お客か。いらっしゃい」

魔法剣士「…バーテンの店、というのはここで良かったか?」

バーテン「…ああ。何だ、ファンか?あの子ならいねーぞ」

魔法剣士「……?」

バーテン「違うのか…?んじゃ、何用かね?」

魔法剣士「…これを」

テクテクテク…スッ


273 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:44:06.97 ID:9u/A9CzNo
バーテン「……ほぉ、お前さんが噂の魔法剣士か」

魔法剣士「…ここへ来いと言われたのでな」

バーテン「そうだったか。生憎、今は外出中だ」

魔法剣士「……」

バーテン「また戻って来る。明日まで待っててくれて構わん」

魔法剣士「全員……無事だったのか?」

バーテン「召喚士は知ってるか?」

魔法剣士「ああ」

バーテン「あいつだけまだだ。今のところ連絡もない」

魔法剣士「……そうか」

テクテクテク…ドスッ

バーテン「あまり心配はしてないみてぇだな」

魔法剣士「あいつがくたばるようなタマか?あんたも知ってるんだろう?」

バーテン「…まぁな。何か飲むか?」

魔法剣士「……そうだな、バーボンを…ストレートで」


274 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:44:33.79 ID:9u/A9CzNo
トクトクトクッ…カランッ

バーテン「…ほれ」

魔法剣士「……どうも」

クイッ

バーテン「そんで、お前さんは大丈夫なのか?」

魔法剣士「ああ、まぁな」

バーテン「どこに飛ばされたんだ?」

魔法剣士「…西方だ」

バーテン「そりゃ災難だったな。全員がバラバラってわけか」

魔法剣士「…ほぅ」

バーテン「魔道士は本国、盗賊は海峡…だとよ」

魔法剣士「……まぁ、無事で何よりさ」

バーテン「だな。おかわりいるか?」

魔法剣士「…ああ、頂こう」

やがて日付は変わり、ようやくその刻は訪れた。


275 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:45:00.28 ID:9u/A9CzNo
〜次の日〜

テクテクテク…

戦士「さーて、召喚士…戻ってるかな?」

魔道士「……っ」

盗賊「…きっと…大丈夫さ」

魔道士「…ですよねっ」

カチャッ…チリチリン

魔道士「ただい――」

戦士「ん?誰かいるのか?」

魔道士「召喚士さんっ!?」

ノソッ

魔法剣士「……残念だったな」

魔道士「魔法剣士さんっ!!無事でしたか!!」

魔法剣士「ああ、まぁな」

魔道士「良かったぁ〜!心配しましたよ〜っ」


276 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:45:26.99 ID:9u/A9CzNo
戦士「俺はしなかったけどな…」

盗賊「…?」

戦士「元より一人で旅してんだ。腕前は確かさ」

盗賊「…それもそうだな」

ガチャッ

バーテン「おう、戻ったか。どうだった?」

戦士「楽しかったぜ。……なっ?」

魔道士「…はいっ!」

バーテン「そいつは何よりだ」

魔道士「バーテンさんの助言があったからですよーっ」

盗賊「…それで、召喚士は?」

バーテン「いや、それがまだ――」

カチャッ…チリチリン

魔道士「――っ!!」

召喚士「……た、ただいま」


277 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:46:00.15 ID:9u/A9CzNo
戦士「召喚士っ!!」

盗賊「…無事…だったか!」

魔法剣士「……」

召喚士「良かった。みんなは無事…?」

タッタッタ

魔道士「召喚士さんーっ!!」

召喚士「ま、魔道士さん…っ」

ダキッ

魔道士「心配しましたよ…っ、もうっ!!」

召喚士「す、すみません……っ」

戦士「……大胆になったもんだな」

盗賊「……ああ」

魔道士「良かった……本当に……っ」

召喚士「えっと…改めて、ただいま」

魔道士「……おかえりなさい!えへへっ!」


278 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:46:29.81 ID:9u/A9CzNo


コトッ

召喚士「ありがとうございます。いただきます」

ズズーッ

召喚士「……はぁ〜久々だなぁ。美味しい!」

戦士「感動するほどのコーヒーか?」

バーテン「…おい、こう見えてもかつてはバリスタとだな……」

召喚士「いやぁ、ここ数日…まともな食事も取ってなかったもんで」

盗賊「…何があったのだ?」

魔法剣士「ああ、気になるな。連絡もせずどうしたというのだ?」

召喚士「えっと……」

魔道士「あ、それじゃあ順番に話しましょうよ!」

召喚士「は、はい」

魔道士「それじゃ戦士さん、どうぞ」

戦士「うぇっ!?お、俺からかよ……っ」


279 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:46:59.82 ID:9u/A9CzNo


召喚士「そっか…。じゃあゲーデは……」

戦士「見逃してくれたっつーのかな…」

魔法剣士「……」

戦士「俺が思うに、ゲーデはかつて人間だったんだよ」

盗賊「……人間」

戦士「何か思うところがあって、人間が許せなかった……」

召喚士「だから、魔族化して…人間を…?」

戦士「自発的にしたかどうかは分からんけどな」

バーテン「…悲しい話だな」

戦士「また会う機会があれば……」

召喚士「救いの手を差し伸べられるといいね……」

戦士「…ああ」

魔道士「きっと、助けてあげましょう!」

戦士「…ああ、そうだな」


280 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:47:36.69 ID:9u/A9CzNo


召喚士「……っ」

盗賊「…そういう事だ」

召喚士「国軍の…内通者…っ」

バーテン「一応、その話は伏せておいてくれ」

召喚士「…それが良さそうですね」

戦士「話すなら青年兵兵がいいかと話してたところだ」

召喚士「…うん。青年兵くんなら動いてくれそうだね」

盗賊「…信頼も出来るしな」

召喚士「しかし……」

盗賊「…?」

召喚士「あまり、無茶しないで下さいね」

盗賊「……すまない」

魔道士「そうですよっ。これ以上お肌に生傷増えたらどうするんです!?」

召喚士「…いやっ、まぁ…それも重要な事ですが……」


281 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:48:09.04 ID:9u/A9CzNo
戦士「いいんじゃねーの?」

魔道士「へっ?」

戦士「俺とコイツは命を張る役」

盗賊「……」

戦士「そこにコイツの援護があって……」

魔道士「コイツって言わないで下さいよぉ」

戦士「んで、飛びっきりの切り札と頭脳がいる。それが俺達だろ」

召喚士「き…切り札と頭脳って……」

戦士「でも、それは四人揃っての話だ」

盗賊「……」

戦士「金輪際、一人で無茶するんじゃねぇぞ。いいな?」

盗賊「……はい」

戦士「お前にもしもの事があれば、悲……」

盗賊「……」

戦士「……東方の連中や悲しむ輩が…多数いるからな!」


282 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:48:36.44 ID:9u/A9CzNo
魔道士「……ふふっ」

召喚士「……」

戦士「…何がおかしいんだよ!」

召喚士「い、いやっ別に……」

魔道士「えっと、それじゃ次は私ですね!えっと、まずは――」



魔道士「それで――」



魔道士「結局――」



召喚士「……っ」

魔法剣士「夢魔か……。よくもまぁ倒せたものだな」

召喚士「流石は天才さんですね」

バーテン「そうそう出来る芸当でもないからな」

魔法剣士「口煩いが、相変わらず実力は確かな男だ」


283 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:49:09.20 ID:9u/A9CzNo
魔道士「それで、召喚士さんは何があったんですか?」

盗賊「…連絡も…取れなかったのか?」

召喚士「ええ…っ、実は……」

どこまで話すべきか、召喚士は迷った。

それでも、ありのままを全て、仲間に話すべきだとそう思った。

それは召喚士以外の、彼らにとっても胸を締め付けられるような、そんな想い。

召喚士「……と、いうわけです」

魔道士「…………っ」

盗賊「……そんな事が」

バーテン「……」

戦士「そのジーサンも、最後は幸せだっただろうな」

召喚士「……」

魔法剣士「ああ。最後にその魂は救われたのだからな」

召喚士「……」

召喚士の中で、依然答えが出る事はなかった。


284 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:49:37.10 ID:9u/A9CzNo


戦士「それで、そのクジャタってのは強いのか?」

召喚士「どうなんだろ。気候を操るとしか聞いてないけど……」

戦士「…ははっ、急な雨には大助かりだな」

魔道士「そういう使い方なんですかぁ〜?」

戦士「違うのか?」

召喚士「ははっ。さて、最後は魔法剣士さんですね」

魔法剣士「……朱雀嬢と玄武娘を知っているよな?」

召喚士「!?」

魔道士「な、何でその二人を……っ!?」

戦士「まさか……」

魔法剣士「俺が飛ばされたのは、遥か西方の地だった」

盗賊「……」

召喚士「西方……っ」

魔法剣士「そこで俺は……」


285 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:50:06.77 ID:9u/A9CzNo


戦士「…なるほどな。形としては二人に助けられたってわけか」

魔法剣士「…ああ。まさにその通りだ」

召喚士「……」

魔道士「そっかぁ…。二人も元気にやっているんですね」

盗賊「…そのようだな」

召喚士「…しかし、まさか会ってくれないとはなぁ」

魔道士「気持ちは分かりますよ…。朱雀嬢さんの……」

召喚士「……?」

バーテン「…ははっ、まだまだガキだって事さ。いい年して全く……」

召喚士「…は、はぁ」

バーテン「嬢ちゃんも大変だな」

魔道士「なっ、何がですか!?」

バーテン「いーや何でもねぇさ。どれ、全員揃った事だし…パーっとやるか!」

戦士「いよっ!待ってました!!」


286 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:50:51.93 ID:9u/A9CzNo
テクテクテク…

青年「……貸切っ!?何てこ事だあぁ!!」

老人「やれやれ…。楽しみにしておったのに……」

ワイワイ

戦士「…ん?誰か覗いてんぞ?」

バーテン「ほっとけ。どうせ冷やかしだろう。今日は貸切だ、好きに使え」

魔道士「はーいっ!お待たせしましたー!!」

召喚士「おぉ、いい匂いですね!」

魔道士「たっくさん食べて下さいねーっ!えへへ!」

戦士「そうそう。雑草とか食ってたんだろ?」

召喚士「……よく分かったね」

戦士「しっかしそのジーサンもよく永らえたもんだよな」

召喚士「魔力で延命していたからね……」

魔法剣士「それに、水だけでも摂取していれば生き延びられる」

戦士「そうなのか!?」


287 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:51:23.83 ID:9u/A9CzNo
魔法剣士「ああ。仙人と言われる類はそうして生きているらしい」

戦士「なんだよ…噂話かよ」

バーテン「いや、実際そういう輩もいるみたいだぞ」

召喚士「そうなんですか?」

バーテン「まぁ俺も直に見たわけじゃないけどな。そういう奴もいる」

魔道士「へぇ〜っ、世界は広いですねぇ」

戦士「しかしつまんねぇ生活だな。酒もないんだろ?」

魔道士「そうですよねっ。やっぱり美味しい物食べる方が幸せですよ!」

盗賊「…よし、食べよう!」

召喚士「ですね。いただきます!」

魔道士「魔法剣士さんも遠慮せず、どうぞ!」

魔法剣士「…ああ、頂くとしよう」

召喚士「…そういえば、大丈夫でした?」

魔法剣士「……?」

召喚士「……懐が」


288 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:51:51.74 ID:9u/A9CzNo
魔法剣士「…ああ。だいぶ散財したよ」

召喚士「…でしょうね」

魔法剣士「あの身体のどこへ入るのか…全く理解出来ん」

戦士「…こいつもな」

盗賊「…そんなに食べてない…もん」

バーテン「そんで、四人揃ったところで次はどうするんだ?」

召喚士「朱雀嬢さんが駄目だとすれば…ハーピーは別の人か……」

戦士「いっその事ゴーレム目当てで南へ行くのも手だな」

召喚士「そうだね。ボスさんは南へいるようだし…」

魔道士「それじゃ南方へ行きましょうか!」

盗賊「…同意」

魔道士「魔法剣士さんもどうですか?」

魔法剣士「…いや、遠慮しておく」

戦士「遠慮なんて無用だぞ?」

魔法剣士「俺は北の地から離れるつもりはない」


289 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:52:20.82 ID:9u/A9CzNo
盗賊「……」

魔法剣士「…すまんな」

グビッ…コトッ

召喚士「…いえ、互いに目的がありますもんね」

魔法剣士「……ああ」

戦士「…そういや魔法剣士さん」

魔法剣士「……?」

戦士「少し…表情が柔らかくなったか?」

魔法剣士「……」

魔道士「言われてみれば……」

魔法剣士「…そうか」

魔道士「たまには笑顔もいいですよ!ねっ?」

召喚士「ええ。そうですよね」

魔法剣士「…全てが終われば、笑顔になれるかもしれんな」

召喚士「……頑張りましょう、きっとなれますよ!」


290 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:52:55.43 ID:9u/A9CzNo
〜最北の村〜

ガラガラガラッ

左翼長「遅かったな」

大軍師「いやいや、落盤から思わぬ収穫がありまして」

青年兵「何です?結構な大きさですね」

大軍師「結界石ですよ。これは役に立ちそうです」

ヒゲの男「……」

左翼長「ふぅん。そういやこの辺りは鉱物も盛んなんだっけか?」

大軍師「ええ。いずれは大きな収益へと繋がるでしょう」

左翼長「……さて、あちらさんもお待ちだ。北の村へ戻ろうかね」

大軍師「ええ、そう致しましょう」

ヒゲの男「コイツはあとから運びますんで、先に行ってて下さいや」

大軍師「ええ、お願いしますね」

左秘書官「こちらはいつでも出発出来ますよ」

左翼長「いよーし、それじゃあ北の村へ戻るぞ!」


291 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:53:28.50 ID:9u/A9CzNo
〜北の村〜

パッカパッカパッカ

副官「あっ、戻ってきたようですよ!」

ドドォ…カチャッ

左秘書官「すまないな。すっかり遅くなってしまった」

左翼官「いやいや、こちらも先程…視察を終えたところ」

左秘書官「早速、報告書を纏め上げるとしようか」:

左翼官「ですな」

ザッザッザ

大軍師「ご苦労様です」

左翼官「これは大軍師殿。世話になりますぞ」

大軍師「部屋は左秘書官殿と一緒で宜しかったですかな?」

左秘書官「構いませんよ」

左翼長「それじゃあ俺らはこれで失礼する」

大軍師「お疲れ様でした」


292 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:54:00.22 ID:9u/A9CzNo
青年兵「……私も、東方司令部へ戻ります」

大軍師「此度はありがとうございました」

青年兵「いえ」

ザッザッザ

大軍師「……ボソボソッ」

青年兵「!?」

大軍師「…では、お気を付けて」

ザッザッザッザ

左翼長「…おーい、どうした?行くぞー」

青年兵「は、はい…っ!」

タッタッタッタッタ

左翼官「彼らは帰ったのかな?」

大軍師「護衛の必要はなくなりましたからね」

左秘書官「我らも明日の朝一で本国へ戻るとしよう」

大軍師「畏まりました」


293 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:54:33.20 ID:9u/A9CzNo
左翼官「では」

大軍師「おやすみなさい」

ザッザッザ…

大軍師「……」

ガラガラッ…ガラッ

ヒゲの男「……ふいーっ」

大軍師「思ったより早かったですね」

ヒゲの男「そうすか?んで、どーします?」

大軍師「私の屋敷へ。丁重に地下へ降ろして下さい」

ヒゲの男「了解っす!おーい、誰か手伝え!!」

青年「ういーっす」

タッタッタ…ザッザッザ…

大軍師「…そうか、そういう事でしたか」

ザッザッザ

大軍師「成程、あの方も人が悪い……ふっふっふ」


294 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:54:59.63 ID:9u/A9CzNo
〜空き家〜

左翼官「……」

左秘書官「どうした?」

左翼官「いや、別件なのだがな……」

左秘書官「…?」

左翼官「ここへ来る途中、ちょっと引っ掛かる事があってな」

左秘書官「…右翼か?」

左翼官「まぁ、無関係とは言えないだろう」

左秘書官「どんな案件だ?」

左翼官「実はな――」



左秘書官「……ふむ、さしたる事もなさそうではあるが」

左翼官「そうなんだが、不思議でならんのだ」

左秘書官「…まぁいい。本国へ戻り次第、探ってみよう」

左翼官「…ですな」


295 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:55:47.04 ID:9u/A9CzNo


パッカパッカパッカ

副官「どうなされました?」

青年兵「……いえ」

左翼長「あんまり深く考え込まん方がいい」

青年兵「……」

左翼長「どうせあと1年もせんうちに戦争だ」

青年兵「……」

左翼長「ああだこうだ言ってる暇もなくなるよ」

青年兵「そうですね……」

左翼長「初めて人間側が先手を取る、大規模な戦役だ」

青年兵「……」

左翼長「もっとも、それまでに内部のいざこざは解決するだろうがな」

青年兵「……だと、思いますよ」

左翼長「期待してるぜ」


296 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:56:35.38 ID:9u/A9CzNo
〜北方司令部〜

ガガッ…ドドォ

門兵「ご苦労様です!」

左翼長「おーう。今戻ったぞー」

ザッザッザ

騎士長「視察はどうだった?」

左翼長「何て事はねぇ。左翼様方も大層、お気に召したようだ。なぁ?」

副官「ええ、そうですね」

青年兵「……参謀さんは?」

騎士長「あ?大軍師の命令で本国へ向かったぞ?」

左翼長「聞いてねぇぞ。何か企んでやがるな……」

青年兵「…任せておきましょうか」

左翼長「まぁそうだな。俺らが出張っても、足引っ張るだけだ」

騎士長「青年兵はどうする?今日は泊まっていくか?」

青年兵「いえ、このまま東方司令部へ向かいます」


297 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:57:23.90 ID:9u/A9CzNo
左翼長「あの女は待たなくていいのか?」

青年兵「女剣士さんも、左大臣様の護衛を終えたらそのまま戻るようにと…」

騎士長「かぁー。さっすが、手際がいいねぇ」

青年兵「やめて下さいよ…っ」

副官「謙虚なのですね、青年兵様は」

青年兵「……っ」

ザッ

青年兵「それでは、お世話になりました。失礼致します!」

左翼長「おう。任務ご苦労」

騎士長「またな!」

バッ…ザザッ…ザッザッザ

青年兵「……買い被りすぎだよ…っ」

ザッザッザ

北方兵「あっ、青年兵様!」

青年兵「…?」


298 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 18:57:57.78 ID:9u/A9CzNo
魔道兵「本当だ!ご苦労様であります!」

青年兵「…あ、ありがとうございます」

北方兵「青年兵様は、我らが星です!頑張って下さい!」

歩兵「そうそう!アンタの出世が俺らにも火をつけるってモンよ!」

青年兵「皆さん……っ」

北方兵「我ら北方の兵は、青年兵様の味方ですよっ!」

魔道兵「力が必要な時は、いつでも仰って下さい!」

歩兵「右翼のひ弱なヤロー共に負けんなよぉ?」

青年兵「……っ」

僕は、これだけのものを背負っていたんだ……。

ザッザッザッザ

いつまで甘えているつもりなんだ、僕は……。

ザッザッザッザ

もはや、甘えてなんかいられないんだ。やるしか……ないんだ!

青年兵「……頑張れよ、青年兵!」


300 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/10(木) 19:02:37.07 ID:nnAY1nfNo


>>298
>歩兵「右翼のひ弱なヤロー共に負けんなよぉ?」

いつから左翼になったんだろうwwwwww


305 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/10(木) 20:12:27.07 ID:UrY7UEKSO
>>300軍人として、右翼のお役人共より活躍してくれ 的な事じゃね


307 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/02/10(木) 20:21:38.90 ID:VA01jemDO
>>300

俺もそう思ったけど、

歩兵「(同じ右翼でありながら、左翼に騙されて青年兵を敵視する)右翼のひ弱なヤロー共に負けんなよぉ?」

って事じゃないか?


318 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/02/11(金) 15:43:56.20 ID:xMbu7zeSo
何だこの流れ…。昨日は色々とすみません

>>298は完全にミステイクですが、
>>305さん、307さん説がカッコイイおでそれで…
なんか…フォローありがとうございます

↓続き



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