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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その14
415 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:14:48.89 ID:SqE/MvMo
〜海峡、北の森付近〜

召喚士「……」

戦士「おい、召喚士…」

戦士は警戒の姿勢を崩さず、後方の召喚士へ語りかける。

召喚士「さっきは…ごめん。もう大丈夫」

戦士「……そうか」

ズズッ…ズズズズズ…

盗賊「!!」

召喚士「き…来たっ!」

一同の前へ広がる崖。その下から一匹の魔物がゆっくりと浮上する。

姿はさほど変わらないが、その背に禍々しい翼のようなものを羽ばたかせている。

伯爵「………」

魔道士「詠唱…します!」

伯爵「いや、未熟者とすっかり油断をしてしまった…」

盗賊「…」


416 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:15:15.86 ID:SqE/MvMo
盗賊が蜘蛛切を右手に構え直す。

伯爵「そこの召喚士」

召喚士「……」

伯爵「その若さで三匹同時に召喚とは…。大した腕だ」

召喚士「…」

伯爵「一つ聞きたい。私も召喚獣については疎いのだが…」

バサッ

伯爵「其処の輩、全て属性が違うように見受けるが…?」

召喚士「……」

伯爵「ふっふ…答えなし、か。嫌われてしまったかね?」

コカトリス「召喚士」

召喚士「分かってる。何かを…企んでるのは」

伯爵「やられっ放しは癪だが、本質は違うしなぁ」

魔道士「……?」

伯爵はニヤリと笑い、右手を横へ水平に伸ばす。


417 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:15:56.59 ID:SqE/MvMo
バチバチバチッ…キュイイィィ…

召喚士「しまった!!」

戦士「くそぉ!!」

戦士は瞬時に伯爵の元へと走りだす。それと同時に、

召喚士と付き従う召喚獣達は、伯爵の伸ばした手の先に必死で向かう。

伯爵「私の目的は…結界石の…阻止!!」

伯爵は伸ばした腕の先、近づきつつある将軍率いる兵達を見つめる。

盗賊「くっ!!」

ジャラジャラッ!!……ヒュバッ!!

伯爵「同じ手は何度も食わんよ!」

ヒュンッ……パキイィィンッ!!

盗賊「鎖が…っ!?」

盗賊の投げた鎖を断ち切り、伯爵はそのまま左手を突き出す。

伯爵「はははっ!」

伯爵は笑いながら、左手より雷撃を放つ。


418 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:17:21.82 ID:SqE/MvMo
戦士「ちくしょおぉ!!」

駆け寄る戦士が、盗賊の前へ立ちはだかり盾となる。

無我夢中で咄嗟に取った戦士の行動は、大斧を盾代わりに身を守るというものであった。

戦士「ぐ…うっ!!」

バギイィィンッ!!

雷撃を大斧で防ぎ、直撃は避けた戦士であったが、

その衝撃で後ろの盗賊ともども、後方の森に吹き飛ばされる。

戦士「ぐわ…っ!!」

盗賊「……くぅ…っ!」

ドシャアアァァッ!!

伯爵「結界石の斧…!盾代わりに…!?」

召喚士「魔道士さん!」

魔道士「はい!撃ちますっ!」

伯爵「むっ!?させるか…っ!」

二人の声に気付いた伯爵は、右手に溜めた魔力を一気に放つ。


419 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:17:48.16 ID:SqE/MvMo
ドドドオオォォンッ!!…ズガガアアァァッ!!

召喚士「下がってっ!!」

ダダッ

将軍「!?」

海峡兵「な、なん…っ!!」

召喚士の叫び声も空しく、海峡からの兵達が回避動作を取る前に、

伯爵の放った複数の雷撃が目前まで迫る。

召喚士「みんなぁ!!」

スキュラ「うむ!」

雷撃は着弾間際、突如地面から生えてきた土壁により、

その侵攻を妨げられる。

魔道士「間に…合った!」

ビシッ…ピキッ………ゴガアアァァッ!!

魔道士「っ!?」

一瞬は防いだものの、魔道士の作り上げた土壁は、雷撃により脆くも打ち砕かれた。


420 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:18:21.77 ID:SqE/MvMo
伯爵「悪あがきだったな…!」

召喚士「充分っ!!」

召喚士の声と同時に、スフィンクスとスキュラが雷撃の前へ出る。

スキュラ「はぁ!!」

スフィンクス「両手ぱーんち!!」

ドドオオォォンッ!!……ゴシャアアァァッ!!

スフィンクスの両拳により、地面は粉砕し、無数の岩石が飛び散る。

それを飲み込むようにスキュラの水流が壁のように上から下へと流れ落ちる。

召喚士「魔力を…っ…!」

コカトリス「充分!事足りる!!」

コカトリスは上空より、勢いよく石化の息を吐き出す。

黒ずんだ吐息は岩石と水流を飲み込み、そびえる壁を形成した。

伯爵「……ちっ!」

コカトリス「もう一息…!!」

ドドオオォォンッ!!……ゴアオオオォォ…


421 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:18:48.91 ID:SqE/MvMo
召喚士「頼む!!防いでくれぇ!!」

バチバチィッ!!……ゴッシャアアァァンッ!!

激しい音とともに、石壁は崩れ去り、埃と白煙を巻き起こす。

召喚士「やっ…た…か…?」

同時に、伯爵の放った雷撃も、その場より存在を消した。

召喚士「よぉし!!」

スフィンクス「大成功ー!!」

ザッ!!

召喚士「さあ、次は……!?」

召喚士は崖の上空を見上げるが、伯爵の姿はない。

コカトリス「召喚士!!」

召喚士「!?」

コカトリスの声により振り向く召喚士。

そこには魔道士のすぐ背後に迫る伯爵の姿が飛び込む。

召喚士「ま……魔道士さんっ!!」


422 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:19:14.09 ID:SqE/MvMo
魔道士「……えっ!?」

バッ!!

伯爵「やられっ放しは…癪だと言っただろう?ん?」

魔道士「っ!!」

バチバチバチバチッ…

伯爵は右手を大きく振り上げ、その手に雷撃が発生する。

伯爵「……まずは一人」

ダダッ!!

召喚士「ま、間に合わっ……」

魔道士「きゃああぁっ!!」

即座に走り出す召喚士。だが距離は遠く無常にも伯爵の腕は振り下ろされる。

魔道士「ーっ!!」

シュンッ………ドドオォッ!!

伯爵「………!?」

雷撃は魔道士の真横すれすれへ落下し、魔道士と周囲の地面を吹き飛ばした。


423 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:20:09.54 ID:SqE/MvMo
シュウゥゥ……バチッ…バチチッ…

伯爵「……おのれぇ」

伯爵はえぐられた右肩を押さえ、頭上を見上げる。

召喚士「魔道士さんっ!!」

魔道士「う…うぅ…っ……」

召喚士は倒れる魔道士を抱きかかえ、正面の上空を見上げる。

召喚士「召……喚獣…!?」

リンドヴルム「グアオオオォ!!」

ガガカアァァッ!!……ドドオオォォンッ!!

伯爵「ぐっ…!!」

リンドヴルムにより落雷が直下へ降り注ぎ、伯爵はたまらず身をひねり位置を変える。

伯爵「新手…。雨で気配が…だから雨は嫌いなのだ」

伯爵は乱れた髪を手で整えなおし吐き捨てるように声を出す。

ザッ……

青年兵「リンドヴルム…二人の前へ。……召喚士さん達を守るんだ」


424 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:22:50.71 ID:SqE/MvMo
ドドドドドド…

伯爵「……」

召喚士「青年兵…君!?」

青年兵「遅くなり申し訳ありません!」

魔道士「うっ…!」

召喚士「魔道士さんっ!?」

魔道士「だ…大丈夫です…。石と…し、衝撃が…あっただけで…っ」

魔道士は擦り傷や出血を気にする素振りもなく、胸元の着衣を掴む。

魔道士「………っ」

青年兵「リンドブルム!!」

リンドヴルム「おうっ!!」

青龍兵「隊長に続けぇ!!」

青年兵のリンドヴルムを筆頭に、召喚獣達が一斉に伯爵へ襲い掛かる。

召喚士「…スフィンクス!コカトリスッ!!」

バッ


425 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:23:16.85 ID:SqE/MvMo
コカトリス「これだけいれば…!」

スフィンクス「トドメは僕がっ!!」

ダンッ!!……バシュッ…ザシュッ…ゴシャアァッ!!

伯爵「くっ…!な、なんという…!!」

青龍兵「押せ押せぇ!包囲を解くなよ!」

青年兵「全召喚獣っ!配置へ!!」

青龍召喚隊率いる召喚獣達が、伯爵を輪になって囲む。

青年兵「………」

伯爵「こしゃくなっ!」

青年兵「いけぇ!!」

青年兵の号令を合図に、龍達が一斉に炎と雷を放つ。

ドドッ!!…ドドドドオオォッ!!

魔道士「す…すご…い!」

青年兵「これで…終わりだっ!」

最後に一際大きな火球が放たれ、輪の中心部分は大きな爆発に見舞われる。


426 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:23:50.77 ID:SqE/MvMo
ズドオオォォンッ!!………シュウゥゥ…

爆発により黒煙が徐々に晴れ、伯爵の姿が浮かび上がる。

青龍兵「まっ、まだ生きて…」

青年兵「……!?」

青年兵は魔物の影を見て驚く。影は先程と比べ物にならないほど大きく、

黒煙の上部からは巨大な翼の先端が顔を出している。

召喚士「一体何…が…・・・!?」

ヒュイィンッ………カッ!!

召喚士「まずい!!召喚獣をっ……」

ドズオオォォンッ!!

青龍兵「ぐわあぁ…っ!!」

青年兵「……ぐ…ふっ!!」

召喚士「…な…なんっ…一撃…!?」

黒煙の中から光が一閃し、その直後に起きた爆発…。

その一撃により、召喚士を始め、全召喚獣が一斉にその姿を消した。


427 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:24:46.14 ID:SqE/MvMo
フラッ……ドサッ…

召喚士「コカトリス…。ス、スフィンクスまで…まとめて…」

シュウウゥゥ…

黒煙の中の影は縮小し始め、煙が晴れると同時に、中より伯爵が姿を現す。

伯爵「………」

青年兵「……く…うっ!」

魔道士「ぜ、全然…効いてない…!?」

召喚士「もう…ま、魔力が……」

伯爵「まさか力を使うまでに至るとは…な」

伯爵は己の右手を広げ掌をじっと見るめる。

ググッ……

召喚士「ま…まだだっ…!」

魔道士「召喚士さんっ!」

伯爵「おそらく君らに残された力はないだろう…」

召喚士「……っ」


428 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:25:13.75 ID:SqE/MvMo
伯爵「私はこの通り…。もはや全滅は免れぬな」

召喚士「……まだ…っ」

伯爵「と、言いたいところではあるが…」

魔道士「……?」

伯爵「残念。タイムアップだ」

伯爵は右手を握ると人差し指を立て、空を指差す。

青年兵「……!?」

伯爵「まもなく日の出だ。私の負けだよ」

召喚士「……」

伯爵「誇りに思うがいい。君らの健闘…賞賛に値する」

召喚士「何…言って……っ…」

伯爵「だが、何度も言うようだが…やられっ放しは癪、でね」

伯爵は少し口元を緩め、放しを続ける。

伯爵「次の機会があれば、その時は楽しみに…。ふっふふふ…!」

伯爵は上空を見上げると、瞬時に上昇し、雨の中へその姿を消した。


429 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:25:42.57 ID:SqE/MvMo
ヨロッ…

戦士「と…盗賊…っ」

盗賊「…大丈夫…ご、ごめん!」

両手で盗賊を抱きしめ、庇うようにして倒れる戦士。

その腕の中で盗賊が恥ずかしげに小声で返答する。

戦士「うんにゃ、気にすんな…」

ガサガサッ

戦士「!?」

盗賊「!!」

ババッ!!

戦士「魔法…剣士……さんっ!?」

魔法剣士「…君たちか」

戦士は咄嗟に拾い上げ、構えた枝を放り捨てる。

戦士「その傷は一体…!!」

魔法剣士「………」


430 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:26:24.92 ID:SqE/MvMo
召喚士「!!」

魔道士「戦士さん!!盗賊さんっ!!」

盗賊「…大丈夫…ありがとう」

召喚士「魔法剣士さん!?」

魔法剣士「こちらも終わったようだな…」

召喚士「一体何が……」

魔道士「あのっ…め、眼鏡さんは!?」

魔法剣士「…!?やはり、戻っていないのか…」

盗賊「……?」

ザッザッザ…

青年兵「怪我人の方はこちらへ。まもなくプリーストが参ります」

魔道士「あ、ありがとうございます…!」

将軍「もう日の出も間近だ。後はこちらに任せてゆっくり休んでくれ。…ありがとう」

青年兵「怪我人はおりますが…死者なく、結界石も全て無事です」

召喚士「………ええ」

召喚士は降り注ぐ雨の中、ぼんやりと明るくなり始める空を見上げた。


431 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:26:51.07 ID:SqE/MvMo
〜北関、北部の森〜

ギギィ!!…ギチッ…

魔剣士「……」

天才「………っ」

ジャッ…カサッ

天才「!?」

横からの物音に反応し、天才は顔を向ける。

そのわずかな一瞬の隙を逃さず、魔剣士は大剣を引き、一気に振り下ろす。

ビュオッ!!……ガキイィィンッ!!

魔剣士「……!!」

天才「アホか。わざわざ隙なんぞ作るかよ」

ザッ

天才「つーかお前…デートの邪魔すんなよ」

マジシャン「はぁ……?」

茂みから姿を現したマジシャンは天才の軽い口調にやや戸惑う。


432 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:27:19.24 ID:SqE/MvMo
天才「まあいい…チェックメイトだ」

ザスッ

天才はツヴァイハンダーを地面に突き刺し、腰に手を当てる。

魔剣士「……」

マジシャン「チェックメイト……?」

天才「ああ…もう日の出だ。これでこのアンデッドも……」

マジシャン「……やろう」

天才「…あん?」

マジシャン「バカヤロウ!こいつはアンデッドじゃねぇ!!」

天才「何っ!?」

天才はマジシャンの発する言葉に驚き、魔剣士を見る。

魔剣士はツヴァイハンダーを横へ振り、一気に間合いを詰める。

天才「ちぃ…!!」

迫る魔剣士の大剣を、慌てて引き抜いた大剣でかろうじて防ぐ天才。

その衝撃で後方へ吹き飛び、なんとか体勢を整え直す。


433 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:27:48.14 ID:SqE/MvMo
天才「……何だよ。日の出まで時間稼いだ意味ねーじゃんか」

マジシャン「……」

魔剣士「……」

天才「ヤメだヤメ。デートは終わり。解散」

ザッザッザ…

魔剣士「……」

マジシャン「お、おい…」

天才「魔法も効かねぇ物理攻撃も効かねぇ…オマケに日光浴びても何の問題もねぇ」

ザッザ…ピタ

天才「どうやって倒すんだよ。時間の無駄だ」

天才は振り返り、魔剣士を睨む。

魔剣士「……」

天才「関は落ちん。お前ももうお役御免だろ」

魔剣士「……俺は…」

天才「それとも本当に…二人仲良くあの世へベッドインするか?」


434 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:28:19.09 ID:SqE/MvMo
引き返し、魔剣士の元へ足を進める天才の右手の指が光り始める。

マジシャン「待て…。そいつは俺の役目だ」

天才「てめぇの五行なんかで葬れんのか?」

マジシャン「何だとてめぇ…!」

魔剣士「………」

クルッ…スタスタスタ…

マジシャン「おいっ!待てコラッ!!」

天才「いいじゃねぇか。退いてくれるってんだからよ」

マジシャン「あのなぁ…!」

天才「それとも何か?あの馬鹿倒せる得策でもあるってのか?」

マジシャン「……い、いや…っ」

スタスタスタ…

天才「オリジナルは頂いた。あんがとよ!はーっはっはっは!」

魔剣士「………」

天才の笑い声に一度振り返る魔剣士だったが、再び歩き出し森の中へと去って行った。


435 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:29:03.15 ID:SqE/MvMo


天才「ふー。流石に疲れたわ…」

マジシャン「……」

天才「お前も随分手こずったみたいだな!」

マジシャン「……まぁな」

天才「……んで、なんか知ってんのか?」

マジシャン「魔剣士の事…か?」

天才「それ以外に何があるんだ」

マジシャン「俺も詳細は分かってねぇよ…」

天才「あっそ」

マジシャン「……北関に魔物が入り込んだ」

天才「知ってるよ」

マジシャン「そうじゃない。地上からだよ」

天才「……ふぅん」

マジシャン「結界が張られてた…。にも関わらずだ」


436 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 18:29:30.08 ID:SqE/MvMo
天才「………」

マジシャン「アイツからは魔物の気配がしねぇ…ありゃ紛れもなく人間だ」

天才「…・・・そうか、読めてきたぞ」

マジシャン「そういう事さ…」

天才「だーが、一つ解せないのは……」

マジシャン「不死身のくせに日光浴びても何ともないって事だ」

天才「人智を超えた何かがある…」

マジシャン「そっからは国軍の仕事だ。俺にゃ関係ねぇ」

天才「………あ、そうだ」

マジシャン「…?」

天才「北関頼む。もう終わってるとは思うが…」

マジシャン「アンタは?」

天才「最後に一仕事だけ…な」

ザッザッザッザッザ…

去りゆく天才の姿を、マジシャンは黙って見送り、自身もまた北関へと足を速めた。



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