■戻る■ 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
- 799 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/12/15(木) 17:47:13.99 ID:zBtG4LWuo
〜西の森〜
ぬらりひょん「儂を知らんだとぉ?」
鬼丸「知らん」
ぬらりひょん「馬鹿めがっ、妖の長に楯突いた事……後悔するが良いわっ」ヒョイッ
戦士「てめぇっ、偉そうなこと言って逃げんのかよ!」
鬼丸「ほっとけ! それより来んぞっ!」
ズザザザザザ…ドドドドオオォォ
鬼丸「百鬼夜行がなぁ!!」
一つ目小僧「ひゃーははは! 人間だ人間だぁ!」
油すまし「喰っちゃお喰っちゃお」
戦士「ちっ、やるしかねぇのか……」
鬼丸「どいてな。ここは鬼丸様一人で十分よ!」チャキッ
戦士「鬼丸……」
鬼丸が持つ、通常の刀よりも刀身部分が大きく反り上がったその得物は、
かつての主が手にした名に己の名を加え、今はこう呼んでいた。鬼丸国綱と。
- 800 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:48:05.89 ID:zBtG4LWuo
鬼丸「色んな得物を手にしてきたが、何故か不思議とコイツがしっくりくるんだよなぁ」
戦士「お前……っ」
鬼丸「さーて、近寄る奴ぁ……容赦なく叩っ斬るぜぇ」
一つ目小僧「妖のくせにっ、人間の味方する気かよぉ――」
ザシュウウゥゥゥゥ
一つ目小僧「あ……がっ」
鬼丸「言った筈だぜ、近寄ったら斬るってなぁ」
油すまし「こ、ここ……このぉ!!」
戦士「一斉に来たぞっ!」
鬼丸「雑魚の分際で……調子に乗んじゃねぇ!!」
ブオンッ…ズッシャアアァァァァ!!
戦士「お、おぉ……っ」
鬼丸「だから言ったろ? 俺一人で十分……」
戦士「……どした?」
鬼丸「いや、俺一人じゃねぇや。この刀には、アイツの思いが篭ってっからなぁ。グハハッ!」
- 801 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:48:51.38 ID:zBtG4LWuo
〜不死の山、影富士〜
召喚士「妖の……長……?」
夫人「そうじゃ。こう見えても、偉い人なの」
召喚士「えっと……山本……五……郎左衛……門さん」
山本「山本で良いよ。お前さん、人間にしちゃあなかなかお強いんだってねぇ?」
召喚士「い、いや……っ」
山本「何でもこの女狐を一度、退治したそうじゃあないかい」
夫人「あれは多勢に無勢じゃ。召喚士に負けたわけではないわっ」
山本「だがお前さん、魔力枯渇して幼女にされておったではないか。ひょひょひょっ」
夫人「うるっさいわねぇ! わらわとて好きで縮んだわけではないっ」
山本「その召喚士とやらが此処へ来た理由は何かな?」ザッ
召喚士「……!?」
山本「もしや、我らの首を取りに来たとでも申すのかな?」
ゴゴゴゴゴゴ
召喚士「……っ!!」ザザッ
- 802 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:49:28.75 ID:zBtG4LWuo
山本「やられる前に……やるとしようか」コキコキッ
召喚士「ち、違……っ」
山本「さーて、いちに〜の〜」
召喚士「……くっ」バッ
夫人「や、やめぬか……っ!」
召喚士「行けっ、コカトリス!!」
シーン
召喚士「えっ!?」
山本「ひょっひょひょひょ! 冗談じゃよ。だが、それなりの覚悟で来ておるようだのぉ」
召喚士「……な、何で……っ」
山本「ん? どうかしたか?」
召喚士「コカトリスが……出ない!?」
山本「……」
召喚士「やっぱりここは召喚界と同じなんだ! だから、召喚術が使えない……っ」
山本「お前……」
- 803 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:49:58.82 ID:zBtG4LWuo
召喚士「あの……山本さん、単刀直入に言います」
山本「……何だ」
召喚士「ここはあなた達……えぇと、妖が住む世界ですよね?」
山本「ああ、そうだ」
召喚士「人間の世界とは別の、特殊な世界」
山本「……」
召喚士「どういう理屈で行き来出来るかは分かりませんが、とにかく別の世界なんですよね?」
山本「だとしたら?」
召喚士「そしてあなた達、妖と……式神は同一のものである。そうですよね?」
山本「……」
夫人「んふっ、んふふふ……っ! ふふふふっ!」
召喚士「本国で言う召喚獣と魔物であるように、式神と妖は表裏のものなんですよね?」
夫人「召喚士、お前は本当……面白い人間じゃのぅ」
山本「何が言いたいんだ? 小童」
召喚士「……俺に、力をっ! 力を貸して貰いたいんです!!」
- 804 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:51:01.90 ID:zBtG4LWuo
〜西の森〜
鬼丸「でっりゃああぁぁ!!}
戦士「おっらああぁぁ!!」
ザッシュウウゥゥゥゥ…スタッ
戦士「何が任せておけだっ! 囲まれてんじゃねぇか!」
鬼丸「グハハッ! すまんすまん、思ったより数が多すぎた!」
火車「ヒヒヒヒヒーッ!!」
戦士「後ろっ!!」ザシュウッ!!
鬼丸「すまねぇ!」
戦士「相棒だからな、お前の背後は任せておけ!」ザッ
鬼丸「おうよっ。頼むぜ相棒!」ジャリッ
ぬらりひょん「うーむ……これは困った困った。まさかここまでやりおるとはのぉ」
戦士「あっ! いやがったぞ!」
鬼丸「何っ!? どこだ……あの木陰かっ!!」
ぬらりひょん「おお怖い怖い。逃げるが勝ちよ……ひょひょひょ」
- 805 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:52:28.46 ID:zBtG4LWuo
〜不死の山、影富士〜
夫人「力を貸せ……?」
召喚士「もちろんタダでとは言いません。式神と同じように……」
夫人「あーっはっはっは! 召喚士は面白いと言うより馬鹿じゃなっ」
召喚士「……」
夫人「山本五郎左衛門さん、力を貸してあげたら?」
山本「阿呆。儂が力を貸せば、妖全員が力を貸す事と同意じゃぞ?」
夫人「あら、それもそうじゃの」
召喚士「あの、何故お2人は式神ではないんですか?」
夫人「は?」
召喚士「式神と妖……違いは何なんですか!?」
夫人「……悪党かどうかじゃない?」
召喚士「悪党……」
山本「儂らはなぁ、悪事を働くから妖なのよ。それ以上でも以下でもない。そういう事じゃ」
召喚士「……」
- 806 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:53:10.80 ID:zBtG4LWuo
山本「良い奴は良い世界に住み、悪い奴は悪い世界に住む。それだけの事よ」
召喚士「でも、俺にはあなた達が悪い人には見えない……」
山本「ひょひょひょっ、そいつは嬉しいのぉ。ま、世辞を言うたところで手は貸さんがの」
召喚士「大切な仲間に、かつて召喚獣から魔物になった方がいました」
山本「……ほぉ」
召喚士「俺の父や神官さんは、人から召喚獣になった」
夫人「だから、わらわ達も使役出来ると言うのかえ?」
召喚士「……原理は同じはずです。でも、この場所だけ説明がつかない……っ」
山本「普通ならば辿り着けぬはずだがのぉ。お前さん、ようも辿り着いてくれたもんじゃわ」
召喚士「ここは別世界なんですか? それとも、俺らの住む地上と同じ世界なんですか?」
山本「そうでもあり、そうでもない。これでは答えになっておらんかのぉ」
召喚士「召喚界でありながら……地上でもある……?」
夫人「此処はねぇ、山本五郎左衛門さんが無理矢理――」
山本「良い良い。儂が説明してやるわい。その前に場所を変えようぞ。付いて来るが良い」
召喚士「……はい」
- 807 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:53:39.93 ID:zBtG4LWuo
〜西の森〜
ザザッ…タッタッタッタッ
戦士「キリがねぇぞ!」
鬼丸「あのジジイ、すばしっこいなおい」
ぬらりひょん「ひょひょひょ。追いつけるもんなら追いついてみぃ」
鬼丸「ナメやがってジジイ!!」ダッ!!
ぬらりひょん「しかし言うだけあって、二匹とも強いではないか」
鬼丸「待ああぁぁてやああぁぁ!!」ダダッ!!
ぬらりひょん「ひょひょひょ。止む無し、妖では止められぬか……」
戦士「鬼丸っ、深追いは危険だぞ!」
鬼丸「アイツを潰せば百鬼夜行も止まるはずだ!」
戦士「……ちっ、仕方ねぇ」
ぬらりひょん「やれやれ。このまま引き込むとしようかの」
鬼丸「くぉらあぁ! 待て待て待てぇーい!」
戦士「……だいぶ森の奥に来ちまったが……大丈夫だろうな」
- 808 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:54:19.74 ID:zBtG4LWuo
〜不死の山、影富士〜
テクテクテクテク
召喚士「あの、ここは……?」
夫人「山本五郎左衛門さんの棲む所じゃ」
召喚士「あ、あれ? 山本さんは……?」
山本「ここだ、近こう寄れ」
召喚士「……籠?」
突如として置かれている駕籠の中より、山本五郎左衛門の声が聞こえる。
呼びつけるその声に応じ、召喚士はゆっくりと籠に近づいた。
召喚士「あの……」
ズウウウウゥゥゥゥン!!
召喚士「うわああぁぁーっ!!」
駕籠から突然、巨大で毛むくじゃらの右足が飛び出す。
夫人「あはははっ、さしもの召喚士も驚いておるのぅ」
召喚士「そ、そりゃあ驚きますよっ! い、一体……」
- 809 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:55:19.02 ID:zBtG4LWuo
夫人「あの中に居るのが、山本五郎左衛門さんの真の姿じゃ」
召喚士「――っ!?」
山本「わっはははは! 驚かせたか、済まぬ済まぬ!」
召喚士「あ、あの……これは……」
山本「儂は巨体ゆえ、普段は翁の格好や武士の格好をしとるんじゃ」
召喚士「そ、そうだったんですか……っ」
山本「格好に理由はないぞ。強いて言うなら好みかな、うわははははっ!!」
召喚士「……は、はぁ」
山本「召喚士、お前は単身で此処へ来たその勇気に免じて話を聞いてやる。話せ」
召喚士「……あ、あのっ」
山本「……ん?」
召喚士「山本さん……妖の長と、言ってましたが……な、何者なんです?」
山本「此処に来て素性はもう良いだろう?」
夫人「山本五郎左衛門さんはね、魔王なのよん」
召喚士「…………はい?」
- 810 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:57:06.14 ID:zBtG4LWuo
〜西の森〜
ぬらりひょん「本当にしつこい奴等よ、全く……」
ヒョイヒョイッ…スタッ
鬼丸「おいっ、何か見えるぞ!」
戦士「建物だな……」
ザザザッ…
戦士「城、にしちゃあ小さいな。でかい家か?」
鬼丸「武家屋敷ってやつだな。それなりの身分を持った奴らが住んでたんだろ」
戦士「なるほど。ダイミョウってやつか?」
鬼丸「その下だ。大名の家来だったりした連中だろ」
戦士「しかし、随分と廃れてるな。今は空き家か?」
鬼丸「みてぇだな。お陰で妖の棲み処……ってか」
戦士「さっきのジジイ、あの屋敷ん中に入っていったな」
鬼丸「相棒、お前はどうみる?」
戦士「……ま、罠だろうな」
- 811 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:58:50.81 ID:zBtG4LWuo
鬼丸「だよな」
戦士「んで、どうする?」スタスタスタ
鬼丸「罠じゃあ危ないだろ」スタスタスタ
戦士「じゃあ止まれよ!」スタスタスタ
鬼丸「お前こそ止まれよ」スタスタスタ
スタスタスタスタ…タタタタッ
戦士「一気に突入すんぞ!」
鬼丸「おうっ、男なら正面突破だ!」
ダダッ…バゴオオォォン
戦士「お前なぁ、何も扉ブチ破る事はねぇだろ」
鬼丸「別にいいだろ、空き家なんだからよぉ」
戦士「……そりゃそうだけどよ」
鬼丸「それよりも、すっげぇプンプン臭いやがるぜ……!」
戦士「さっきのジジイか?」
鬼丸「……いーや、もっと強烈な悪臭だ」
- 812 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 18:42:28.76 ID:zBtG4LWuo
〜不死の山、影富士〜
召喚士「ま、魔王……っ!?」
山本「違う違う。遠ーい昔の話だ」
召喚士「えっ!? 昔……魔王だったって事ですか!?」
夫人「そうよん。驚いたかの?」
召喚士「え、えっと……」
山本「今はただの妖。魔王なんて何の関係もないわい」
召喚士「つ、つまり……以前は魔王だったけど、今はもう違う……?」
山本「だからそう言うとるだろう。取って喰ったりせんから安心せい」
召喚士「な、何故……魔王でなくなったんですか?」
山本「別に理由はないよ。魔王が面倒になっただけじゃわ」
召喚士「……っ?」
山本「人とてそうじゃろ。王も居れば王じゃない者も居るし、王が嫌になる者も居る」
召喚士「じゃあ、山本さんは魔王が嫌になったと?」
山本「うーん……なんて言うのかのぉ、他の連中が嫌になった……って事かのぉ」
- 813 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 18:43:02.48 ID:zBtG4LWuo
召喚士「他の連中?」
山本「居るじゃろ。他の魔王が」
召喚士「あ、あぁ……っ」
山本「特にサタンを担ぎ上げ取るベルゼバブやらアンラ・マンユみたいな連中じゃい」
召喚士「!?」
山本「自分達の私利私欲で別の世界にまで手ぇ出しよって。本当に節操のない連中よの」
夫人「だから山本五郎左衛門さんは、魔王を辞めたのじゃ」
召喚士「そ、そんな簡単にいくものなんですか?」
山本「いくわけないじゃろ。そりゃあ揉めに揉めた。大戦の有様だよ」
召喚士「……っ」
山本「でもなぁ、それでも慕ってくれる連中が居るからな、戦わんわけにはいかんのよ」
召喚士「そ、そうか……っ。それで……妖と魔物には、差が出たわけか……」
山本「んでな、不思議とそんな事をしとると、妖でもなくなってきたわけよ」
召喚士「!?」
山本「魔族も元と召喚獣は同一。お主はそう言っとったわな?」
- 814 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 18:43:31.06 ID:zBtG4LWuo
召喚士「え、ええ……」
山本「妖と式神も同じじゃ。地上で悪事を働き続ける者も居れば……」
夫人「人助けみたいな事をして、妖じゃなくなった者も居るのじゃ」
召喚士「……っ!」
山本「その一部が何らか、人間に手を貸しとるようじゃわな」
召喚士「そ、それが……式神……!?」
山本「どうして人間に手を貸しとるのかは知らんが、何かあるんだろうなぁ」
召喚士「山本さんや夫人は……違うんですか?」
山本「他の連中とは別の道を歩んでおるが、人に手を貸す道理はないからのぉ」
夫人「そうそう。わらわは好きな事をして好きなように生きていたいのじゃ♪」
召喚士「……っ」
山本「召喚士、お主はどうして、儂らの力を欲すのかえ?」
召喚士「……魔王を、討つ為です」
山本「ほぉ、魔王をなぁ」
召喚士「既にパズズ、アンラ・マンユ、ラーヴァナ、イブリースは倒しました」
- 815 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 18:44:07.85 ID:zBtG4LWuo
山本「何とっ、それは驚きじゃのぉ!」
夫人「へぇ、人もやるのぅ。まさか魔王を倒すとはのぅ」
山本「魔王は消滅したのか?」
召喚士「はい。残る魔王もそのつもりで、戦っています」
山本「成程じゃわ。それで東に来た理由ってのが見えてきたわ」
召喚士「魔王……マーラを討つ為です」
夫人「あらっ、マーラを?」
召喚士「はい」
山本「……ふむ」
召喚士「俺は……召喚術を通じて、4つの属性を召喚出来るんです」
夫人「……へっ? そうなの?」
召喚士「はい。でも召喚術は……いや、魔法は元来、五行から成るものです」
山本「……」
召喚士「五行目の召喚術。それが式神であり、東方の陰陽道だと踏んでいます」
夫人「ふぅん、そういう事」
- 816 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 18:44:37.27 ID:zBtG4LWuo
山本「だったら、直接その陰陽道を会得すれば良かろう」
召喚士「それが出来ないからこそ、お願いしているんです……」
山本「わーっはっはっは! それもそうか」
召喚士「とにかく、まずはその通り道さえ作る事が出来れば、会得は出来るはずなんです」
夫人「通り道って……何の事じゃの?」
召喚士「召喚術は通常、基本精霊と呼ばれる召喚獣を会得して、その道が拓かれます」
山本「何だかややこしいのぉ」
召喚士「だからっ、まずはその基本精霊となるべき者を会得したいんです」
夫人「それでわらわを訪ねたわけか」
召喚士「はい。何か知っているかもと思いまして」
夫人「残念だけど、知らんのぅ」
召喚士「……そうですか」
山本「なぁ夫人よ、お前さん……力を貸してやってはどうじゃ?」
夫人「はぁ? わらわがどうして……」
山本「おや、儂への恩を忘れたか? わーっはっはっは!」
- 820 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/15(木) 18:55:45.08 ID:+Ur1HsuAO
ふぅ…薄い本期待
- 824 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/15(木) 20:13:56.02 ID:OSwme3CAO
>>1乙
まぁいろんな意見を持ってる奴らが居ますが気にせず連載頑張ってください
- 832 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/16(金) 10:55:08.02 ID:wkkhBFA+0
1乙
山本さんとかでるとは詳しいな
神野とか出てきたら渋すぎる
- 834 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/16(金) 15:53:24.52 ID:v+t3krXWo
夫人「恩って……それとこれとは話が別じゃ」
山本「そうか。そんなら天狐の元に帰るが良い」
夫人「嫌じゃ嫌じゃっ!」
山本「だいたいお前もこの召喚士は気に入っておるんだろ? ならば良いではないか」
召喚士「……っ」
夫人「それとこれとは話が別じゃ。何故わらわが人の僕にならねばならんのじゃ!」
山本「理由は召喚士が語ったじゃろ」
夫人「何よ」
山本「魔王を倒してくれるそうだからな。手を貸して損はないじゃろ」
夫人「だったら、山本五郎左衛門さんが自分でやれば良いのじゃ!」
山本「だから、儂が手を貸したら、他の者に示しガつかないと言っただろうに」
夫人「だからって押し付けるなっ!」ギャーギャー
山本「何ぃ?! 恩を仇で返しおってからに!」ギャーギャー
夫人「しつこい爺ぃじゃっ、やるか!?」
山本「おーおー。勝てると思うてかぁ?」
- 835 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/16(金) 15:53:56.78 ID:v+t3krXWo
召喚士「ち、ちょっと……っ」
夫人「覚悟致せっ!」ギュオッ
ゴゴゴゴゴゴ…ドンッ!!
夫人「――っ!?」
召喚士「ま、またさっきの……足だ……っ」
山本「本気でこの俺とやろうってのか? 狐如きが図に乗るんじゃあねぇぞ」
夫人「……っ」ズザッ
ヒョコッ
山本「ほれ、分かったらお前が力を貸してやれ。ひょひょひょっ」
夫人「ああもうっ! この爺ぃ、頭に来るのじゃ!」
山本「まぁそうかっかするな。魔王が去ねば儂らも安心じゃろが」
夫人「知らないわよっ、わらわは自由気ままに国を築いて、酒池肉林の生活を送りたいのじゃ!」
山本「だーからって、人間に迷惑かけるでないわ」
夫人「……むぅー」
山本「さて召喚士、夫人もどうやら力を貸してくれるようじゃ。これで良いか?」
- 836 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/16(金) 15:54:33.38 ID:v+t3krXWo
夫人「ちょっと! まだ貸すって言って……」
召喚士「夫人、ありがとう」
夫人「!?」
召喚士「これで五行召喚への道が開けそうだ」
夫人「……そ、そう?」モジモジ
山本「他の式神に見当はついとるんか?」
召喚士「それは大丈夫です。だからこそ、道さえ出来れば可能なはずなんです」
山本「お前の術ってのは不思議なもんじゃなぁ」
召喚士「……?」
山本「お前は世界と世界を繋ぐ、橋渡し役のようじゃな。ひょひょっ」
召喚士「……橋渡し」
山本「しかも複数の世界を行き来出来るんじゃろ? 不可思議な存在じゃのぉ」
召喚士「そ、そんな事はないと思いますけど……」
山本「ひょひょひょっ。面白い奴じゃ。して夫人よ、どうするんじゃ?」
夫人「手を貸す代わりに条件を設けようかの。そうでなくば、割りに会わぬ」
- 837 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/16(金) 15:55:14.47 ID:v+t3krXWo
召喚士「条件……ですか?」
夫人「そうじゃ。ただで手を貸すなど馬鹿じゃからの。見返りを貰わねばのぅ」
召喚士「ど、どうすればいいんですか?」
夫人「そうじゃのぅ……そうだ、わらわと三日三晩、肌を重ねるのじゃ!」
召喚士「――!?」
夫人「そうすれば、わらわの精気も養われる。損はなしじゃ!」
山本「阿呆っ。お前と三日も床を共にしたら、召喚士が死んでしまうわい」
夫人「えー」
山本「私利私欲ではなく、もっと他者の事も考えんかい」
夫人「そんな事、わらわの知った事ではない」プンッ
召喚士「あ、あの……」
山本「そうじゃな、まずは儂らが自由に動けるよう、手助けして貰うとするかのぉ」
夫人「ちょっとっ! 勝手に決めないでよっ!」
召喚士「つ、つまり……どうすればいいんですか?」
山本「魔羅とその一味を倒してきておくれ」
次へ 戻る 戻る 携 上へ