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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その31
117 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/04(木) 17:45:55.97 ID:rcB0pgvZo
… 

ズゴゴゴゴゴッ

コート男「う……ぐおああぁぁ!!」

ユニコーン「召喚士っ!」

召喚士「う……ああああぁぁぁぁ!!」

断片的な記憶は1つとなりて、召喚士は志半ばに散って行った人々の、

そして、召喚士を愛する人々の想いを一身に受け取った。

召喚士「ああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ビリビリビリッ…ゴゴゴゴゴゴ

コート男「――っ!!」

召喚士「……ありがとう……父さん」

ユニコーン「三男、貴様の唯一と言って良い失敗だ」

コート男「やはりお前……白虎次男……っ!!」

ユニコーン「あの時生かした赤ん坊……召喚士……」

コート男「……フッ、ハハ……ッ! そいう事かよ……っ」


118 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/04(木) 17:47:07.17 ID:rcB0pgvZo
召喚士「ああああぁぁぁーっ!!」

ユニコーン「伝説、再来。そして我らの……」

コート男「……う、おお……おおぉぉぉ!」

ユニコーン「その意思を背負った召喚士の……一撃を喰らうがいい!!」

シュイイィィン

コート「……っ!?」

魔道士「……ノ、ノーム……!?」

召喚士「うああああぁぁぁぁぁぁーっ!!」

ズズッ…ズズズッ…シュイイィィィィン

白虎長「ノームが……姿を変え――」

召喚された白虎の基本精霊、ノーム。その召喚獣は召喚士の開放された

魔力の全てを吸い取るように得て、その姿を大きく変化させる。

――「グ……ゴ……アオオオオォォォォ!!」

盗賊「ベ……ヒーモス……!?」

白虎嬢「いいえ……っ、これは……」


119 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/04(木) 17:48:49.31 ID:rcB0pgvZo
シュウウゥゥゥゥ

コート男「あ……ああ……ぁ……」

白虎長「嘘でしょ……っ、こんな事って……」

ユニコーン「三男、お前には分かるか? この召喚獣が……」

コート男「……ぁ」

ユニコーン「言葉を無くすほど、絶望的であろう?」

大軍師「まさかあの召喚獣は……っ!!」

白虎長「白虎最強の召喚獣……白虎よ……っ」

コート男「バ……カな……バカなっ、バカなバカなバカなあぁ!!」

白虎「グゴオオオオォォォォ!!」

ガオンッ!!

盗賊「――っ!?」

大軍師「い、一撃で……ベヒーモスが……食われた……っ!?」

白虎「グルルウウゥゥゥゥ」

召喚士「はぁ……はぁ、はぁ…………はぁ……っ」


120 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/04(木) 17:50:41.68 ID:rcB0pgvZo
ガクガクガクッ…ドサッ

コート男「あ、在り得ない……こんな事はっ、在り得ない……」

フラフラッ

盗賊「逃がすかっ!」

コート男「在り得ない在り得ない在り得ない! 在り得るかああぁぁ!」

ドサッ…ザッザッザ…

コート男「アバドン! 何をやっておるかぁ! 目を、覚ませぇ!」

白虎長「な、何……っ?」

大軍師「……!? まさか、直接魔力を送り込んで……奴を退けるのです!」

白虎嬢「く……っ」

白虎長「させない……わよぉ!」

ゴゴゴゴゴゴ

コート男「早くしろアバドン! 俺を……俺を守れぇ!」

召喚士「か……はぁ……っ、はぁ……はぁ……」

ユニコーン「召喚士、白虎を解除するんだ。お前の身が持たん」


121 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/04(木) 17:52:11.97 ID:rcB0pgvZo
召喚士「かは……っ、はっ、はっ、はぁ……」

ユニコーン「あの2人の力を借りて、共に倒せ」

召喚士「……は……あぁ……っ」

ユニコーン「一族の呪縛を、一族の力で解き放つのだ」

コート男「お、おぉ……っ!」

ゴゴゴゴゴゴ…ビシビシッ…バキィ!!

魔道士「石化がっ!?」

大軍師「アバドンが蘇りますよ! 迎撃態勢――」

ザッ

大軍師「……?」

白虎長「言ったでしょ、責任は私達にもあるの……っ!」

白虎嬢「お父様……もう、終わりに致しましょう!」

シュイイィィィィン

ベヒーモス「ゴガアアァァァァ!!」

コート男「手負いの身でどうするつもりだ! 2匹と言えどアバドンの前では――」


122 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/04(木) 17:52:57.58 ID:rcB0pgvZo
ヨロ…ヨロ…ザッ

召喚士「はぁ……はぁ……はぁっ」

白虎嬢「召喚士……さん!?」

コート男「ぐく……っ、貴様まだ……」

ユニコーン「出来るはずだ、我が息子ならば……白虎の一族ならば!」

召喚士「……行け」

ユニコーン「見せてみよ! お前の……力を!」

召喚士「行け……っ! ベヒーモス!!」

シュイイィィィィン

コート男「何だとおぉーっ!?」

召喚士「撃ち……ますよ……」

白虎嬢「は、はいっ!」

白虎長「3体いれば……アバドンだってまとめて……」

コート男「ア、アババ……アバドン! 早くしろ! アイツらを――」

アバドン「ヴヴオオオオォォォォ!!」


123 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/04(木) 17:53:59.24 ID:rcB0pgvZo
キュイイィィィィン

コート男「う、嘘だ……嫌だ! そんなの! 嘘だ嘘だ嘘だぁ!!」

大軍師「今です!」

魔道士「はいっ!!」

ドドオオォォォン!!

コート男「!?」

魔道士の放つ風の矢がコート男の首元をかすめる。

コート男「な、何!? 奇襲? ハッ、そんなの今更効くかよ……フハハ……」

アバドン「ヴオオォォォォ!!」

ユニコーン「させんっ!!」

ドッガアアァァ!!…ガシィ!!

大軍師「今ですよっ!!」

白虎長「……撃てぇ!!」

白虎嬢「お父様……ごめんなさい……っ、さよなら……」

召喚士「……うおああぁぁぁぁ!!」


124 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/04(木) 17:54:30.87 ID:rcB0pgvZo
3体のベヒーモスが放つ閃光は、明らかに通常よりも乏しい輝きであった。

しかしそれは、個の強さを遥かに凌駕する、一撃と力を変える。

1本の矢は折れても、3本の矢は集い、そして1つの大きな矢となる。

コート男「お、おお……おああぁぁ……」

人々の想い。怒り、憎しみ、悲しみ……その全てを吸収し、ぶつける。

コート男「アバドンごと……まさか……そ、そんな……」

石化した下半身を穴からもぎ取るように、光はアバドンを包み、

そして更にはコート男ともども空中へと吹き飛ばした。

ズッガアアアアァァァァ!!

盗賊「……いけ!」

大軍師「終わりです……っ!」

魔道士「……っ」

ユニコーン「三男……地獄で詫びろ」

コート男「ち……っくしょおおぉぉぉぉ!!」

ユニコーン「そして次こそは、正しき道へと生まれ変わるがいい」


125 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/04(木) 17:55:45.89 ID:rcB0pgvZo
ドドオオォォォォン!!

白虎長「……はぁ……はぁ、どうよ……っ」

大軍師「……完璧です。対象は森まで吹き飛びました」

白虎嬢「……うっ、うぅ……ひぐっ」

盗賊「……辛いな」

白虎嬢「……大丈夫です……ひぐっ、ありがとう……っ」

魔道士「召喚士さんっ!」

召喚士「……もう、魔力……枯渇です」

フラッ…トスッ

召喚士「……!?」

ユニコーン「……よく……やったな」

召喚士「……うぅ……っ! と……さん! 父さん!」

ユニコーン「召喚士、済まなかったな」

召喚士「父さん……父さああぁぁん!!」

倒れそうになる召喚士を支え、ユニコーンは静かに微笑んだ。


126 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/08/04(木) 17:59:46.16 ID:rcB0pgvZo
18時からネットつかえなくなるそうなので、本日ここまでにて!
ご支援ありがとうございました!もうちょっとで終わると思います!

>>93
そんなお酒があるんですか!?凄い!!

沢山レス返したいとこですが時間ががが…ごめんなさい!ノシ


130 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/08/04(木) 18:28:21.16 ID:oecl1HZAO
召喚士脇役なのに目立ってんな


132 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/08/04(木) 18:48:58.39 ID:W2XCe2P+o
白虎ばっか集まったのはそういう訳だったのか
>>1乙


135 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/08/04(木) 19:35:09.76 ID:+Dv2uRjAO
>>1乙

白虎の血筋って凄まじいな…
どんだけ優秀な人材を輩出してるんだ
問題があるとするなら変態ユニコーンの存在…


138 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/08/04(木) 21:10:31.33 ID:2IuMtLJJo
変態ユニコーンを見て
ユニコーンになりたいという父親...


143 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/08/04(木) 22:32:21.01 ID:szWWzfhDO
召喚師と白虎嬢ちゃんは、いとこだったのか……


うらやましいぜ…


144 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/08/04(木) 23:06:31.48 ID:zZeus9X3o
クジャタも白虎兄弟の兄が変身したのかね


149 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [] 投稿日:2011/08/05(金) 04:58:35.53 ID:fZbaq3BR0
いちおつ
玄武娘とも いとこになるのか


152 名前:NIPPERがお送りします(千葉県) [sage] 投稿日:2011/08/05(金) 09:36:37.36 ID:KISNMgqq0
召喚獣集めのとき、白虎長がベヒーモスは渡せない、でも私と結婚すれば(略
的なこと言ってたの思い出すと感慨深いな

白虎嬢、玄武娘の召喚士への反応と呼称の変化も気になるぜ


153 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [sage] 投稿日:2011/08/05(金) 14:48:20.24 ID:0lyLccLeo
白虎嬢「お兄さん♪」
玄武娘「お兄ちゃん♪」


156 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:16:33.01 ID:xErNxTvko
コオオォォォォ

天才「……いいか?」

青年兵「……はい」

戦士「……っ」

ザッザッザ

先の見えぬ暗い穴。3人はその淵に立ちしばしその闇を覗きこむ。

天才「感じるか? サタンの吐息を」

青年兵「う……ぁ……」

戦士「おえ……っ! う……っぐ」

天才「上等だ。そんだけ実感してりゃ無茶も出来んだろ」

言いようもない恐怖。それは力を付けたからこそ感じ取れるものであり、

天才はそれについて咎めはしない。もしろ安堵した。だからこそ出た言葉だった。

戦士「姿形も見えねぇのに……この……威圧」

天才「しかも魔王サタン様は封印されてんだぜ? 笑えてくるよなぁ」

青年兵「……っ」


157 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:17:55.55 ID:xErNxTvko
ザッ

天才「んじゃ行くぞ、しっかり……付いて来いよぉ!」

バッ…タンッ!!

青年兵「続きましょう、戦士さんっ!」

戦士「お、おう!」

ババッ!!

戦士「く……おぉ……!」

青年兵(凄……い! 身体が引き裂かれるような感覚だ……っ)

天才「いいか、身体の力を抜け! 意識を保つ事に集中しろぉ!」

戦士「今更……っ、言うなっつうのおおぉぉ!!」

青年兵「…………っ」

オオオオォォォォ…

戦士(なんつぅ重圧だよくそ……っ!!)

青年兵「こ……れが……地獄……っ!!」

3人の身体は深い闇の穴へと消えて行った。


158 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:19:00.56 ID:xErNxTvko
〜北方、北の森西部〜

盗賊「……これで、よし」

白虎嬢「ありがとうございます」

盗賊「……大丈夫か?」

白虎嬢「ええ、ただの打撲ですから」

盗賊「あ、いや……っ、そうじゃなくってその……」

白虎嬢「……あぁ、大丈夫ですよ。少し、覚悟はしていましたから」

盗賊「……」

白虎嬢「父は普段から私やお母様に、大変厳しい人でした」

盗賊「……」

白虎嬢「でもそれとは別に、時折見せる顔が……怖かった」

盗賊「……そうか」


白虎嬢「人前では決して見せない……裏の顔が……」

盗賊「……もう大丈夫だ。これからはもう……大丈夫だから」
白虎嬢「……ありがとう、盗賊さん」


159 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:19:38.44 ID:xErNxTvko
テクテクテク

白虎長「傷は大丈夫?」

白虎嬢「従姉さん……。私は平気、従姉さんこそ大丈夫?」

白虎長「ええ、個の程度でクヨクヨしていられないわよ」

大軍師「閃光弾で知らせましたので、衛生兵もいずれ到着するでしょう」

魔道士「良かったぁ……」

大軍師「本来でしたら司令が居れば、回復も問題はなかったんですがね」

魔道士「あっ! そうですよ! 3人とも大丈夫かなぁ……」

白虎長「司令が付いていれば問題はないと思うけれどね」

大軍師「とにかく、無事の帰還を祈るしか出来ませんね……」

盗賊「……召喚士は?」

魔道士「召喚士さんなら……」

盗賊「……?」

大軍師「ユニコーンと2人で、お話へ行きましたよ」

盗賊「……あ……そうか」


160 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:20:35.41 ID:xErNxTvko
テクテクテク

召喚士「……」

ユニコーン「この辺りで良かろう」

召喚士「……あ、あのっ!」

ユニコーン「済まなかった。まずはその言葉しか……言えぬ」

その一言だけで、召喚士の目からは大粒の涙が溢れ出していた。

ユニコーン「分かっていると思うが、私はお前の……父だ」

召喚士「父……さん……っ」

ユニコーン「かつて人間であった時の名は白虎次男。白虎先生の息子だ」

召喚士「うん……うん……っ!」

ユニコーン「詳しい話は語らずとも、もう理解はしているな?」

召喚士「……多少は」

ユニコーン「俺は今から25年前、白虎長男を装った白虎三男に殺された」

召喚士「……」

ユニコーン「お前の母、玄武長女を守る事も出来なかった……」


161 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:21:23.54 ID:xErNxTvko
召喚士「……母さん……っ」

ユニコーン「兄は生前、大召喚士様が反乱など起こすはずがないと言っていた」

召喚士「う、うん……。俺の記憶にも流れ込んできたよ」

ユニコーン「俺もそう信じていた。しかし、結果は違っていた」

召喚士「……」

ユニコーン「だから俺も兄も、真犯人がいるのではないかと睨んでいた」

召喚士「……うん」

ユニコーン「そして兄は大召喚士様の元へ行き、帰らぬ人となった……」

召喚士「殺され……たんだね」

ユニコーン「ああ。だがそれは兄が大召喚士を殺した事にすり替えられてしまった」

召喚士「それが……」

ユニコーン「三男の証言だ。奴は現場にいた」

召喚士「つまり、白虎大三男が大召喚士を……そして……」

ユニコーン「……白虎長男を殺した」

召喚士「……っ」


162 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:22:21.39 ID:xErNxTvko
ユニコーン「俺と父は三男の証言を信じるしかなかった」

召喚士「ベヒーモス……だよね?」

ユニコーン「ああ。一族以外には伝わる事のない召喚獣だからな」

召喚士「……うん」

ユニコーン「もし白虎長男が犯人でないとすれば、真犯人は俺か……」

召喚士「白虎先生か……そして、白虎三男だけ」

ユニコーン「……正直なところ、俺も父も三男を疑ってなかったと言えば嘘になる」

召喚士「……っ」

ユニコーン「だが信じたくはなかった。弟が実の兄を殺すなど……っ」

召喚士「父さん……っ」

ユニコーン「ましてや年端もいかぬ子供がそんな事を……」

召喚士「……でも……違った」

ユニコーン「己は歩行不能と見せ、1人2役まで演じるとはな」

召喚士「なぜそんな事が……っ」

ユニコーン「文字通り、奴は悪魔に魅入られたのさ」


163 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:23:15.17 ID:xErNxTvko
召喚士「!?」

ユニコーン「大召喚士様は、ある研究を行っていた」

召喚士「研究……?」

ユニコーン「魔族、召喚獣、動物、植物、そして人間」

召喚士「……」

ユニコーン「全ての生物は等しく、繋がりのあるものだと言っていた」


召喚士「……っ!!」

ユニコーン「人間は召喚獣にもなり、召喚獣は魔族にもなり得るという事だ」

召喚士「……」

ユニコーンの話を聞きながら、召喚士はある事を思い浮かべていた。

召喚士(そういえばマーマンさんはあの時……マーメイドさんの……)

ユニコーン「結論から言えば、その研究は成功した」

召喚士「!?」

ユニコーン「お前の目の前に、その証拠が居るではないか」
召喚士「あ……っ」


164 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:23:55.13 ID:xErNxTvko
ユニコーン「俺は大召喚士様の意思を継ぎ、研究を続けていた」

召喚士「そして……完成したんだね」

ユニコーン「ああ、完成した。それがこの姿さ」

召喚士「……どうして、ユニコーンに?」

ユニコーン「……お前を守る為さ」

召喚士「!?」

ユニコーン「白虎では唯一の回復可能な召喚獣だからな」

召喚士「でも……っ」

ユニコーン「元来、ユニコーンは女性の回復しか出来ない」

召喚士「うん……」

ユニコーン「しかしそれは、人間界での話だ」

召喚士「え……っ?」

ユニコーン「最大限の力が出せる召喚界では、決してそんな事はない」

召喚士「でも、どうして……」

ユニコーン「分からぬ。だが召喚獣はそれもそうだ。人間界では力が制限される」


165 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:24:55.85 ID:xErNxTvko
召喚士「そう……なんだ」

ユニコーン「だから禁呪を使った俺は、お前の回復とてこなせたわけだ」

召喚士「……そうだったんだね。あっ、でも……!」

ユニコーン「……」

召喚士「どうして、ある時を境に入れ替わって……」

ユニコーン「……ああ。あれは俺が罪を犯したからさ」

召喚士「罪……?」

ユニコーン「召喚士は普通、術士の召喚なしでは人間界へは辿り着けぬ」

召喚士「あ……っ!!」

ユニコーン「しかしあの時、俺は……お前の召喚なしで現れてしまった」

召喚士「……っ」

ユニコーン「お前の、仲間を救いたいという気持ちに呼応してしまった」

召喚士「だから……あの時……」

ユニコーン「因果を乱せば法則も乱れる。お陰で他者と入れ替わったわけさ」

召喚士「じ、じゃあ……今回も……」


166 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:26:53.28 ID:xErNxTvko
ユニコーン「これで3度目。もう次はないだろうな」

召喚士「……っ」

ユニコーン「仏の顔も三度までというやつだ。俺はこれで仏の元へ……」

召喚士「そんな……っ、そんなのって……!!」

ユニコーン「おいおい、俺は元より死んだ身なのだ。今が異常なのだよ」

召喚士「でも……父さんは……!!」

ユニコーン「恐らくは、こういう宿命だったのだろうな」

召喚士「……っ」

ユニコーン「息子であるお前と、討つ事が出来た……」

召喚士「父……さん……っ」

ユニコーン「白虎一族の責を果たす事が出来たのだ」

召喚士「父さん……俺は……っ!」

ユニコーン「俺はその為に、ユニコーンとして存在したのだろうな」

召喚士「嫌だっ!!」

ユニコーン「……召喚士」


167 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:28:15.96 ID:xErNxTvko
召喚士「そんなの嫌だよっ、父さん!」

ユニコーン「なぁ、召喚士」

召喚士「……」

ユニコーン「俺はお前を守る為に生まれてきたんだ」

召喚士「……っ」

ユニコーン「少しは役に立てただろうか?」

召喚士「少しなんてものじゃないよ! 父さんには……ずっと……」

ユニコーン「だがな、子はいつか……親の元から離れていくものだ」

召喚士「っ!!」

ユニコーン「お前は十分すぎる程、強くなった」

召喚士「なってないよ!!」

ユニコーン「もう1人の力でも、やっていけるはずだ」

召喚士「――っ」

ユニコーン「そしてお前には、素晴らしい仲間がいる」

召喚士「う……うぅ……ぐぅ」


168 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:29:26.28 ID:xErNxTvko
ユニコーン「なぁ召喚士、俺が思うに平和な世界というのは……」

召喚士「うぐ……っ、う……うぅ」

ユニコーン「生きる者全てが1つの世界で、平和に暮らす事なんじゃないかな」

召喚士「……父さぁ……ん」

ユニコーン「1つの種族が他者を追いやるのでは駄目だと思うのだ」

召喚士「うんっ、うん……!」

ユニコーン「他者と手を取り合い、共存する事こそ本当の平和ではないだろうか」

召喚士「そうだよっ、父さん……! だから一緒に……」

ユニコーン「だからこそ魔王は、魔以外の全てを滅ぼそうとする魔王は……」

召喚士「父……さん?」

ユニコーン「召喚士……お前には辛い宿命を背負わせてしまった……」

召喚士「父さんっ!? 身体が透けて……父さぁん!!」

ユニコーン「全属性召喚の……だがそれも宿命なのかもしれないな」

召喚士「……父さん!? 何を言って……父さん!!」

ユニコーン「どうやら……これまでのようだな」


169 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:30:23.25 ID:xErNxTvko
召喚士「――っ!?」

ユニコーン「お前の蓄積魔力も……いよいよ限界のようだ……」

シュウウゥゥゥゥ

召喚士「父さん!! 嫌だっ、そんなの嫌だぁ!!」

ユニコーン「済まない……本当に……」

召喚士「父さぁん!! 頼むよっ、傍に……傍にいてよおぉ!!」

ユニコーン「最後に……お前に背負わせてしまった宿命を……」

召喚士「くそおおぉぉ!! 頼むよ!! 俺の魔力っ、もっと魔力を!!」

ユニコーン「我が記憶……受け取ってくれ……」

パアアァァァァ

召喚士「!?」

ユニコーン「召喚士、俺はお前を誇りに思うぞ」

召喚士「父さん……俺……」

ユニコーン「お前の血は……宿命なのだろうな」

召喚士「……俺の……血」


170 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/08/05(金) 18:32:47.97 ID:xErNxTvko
ひとまずここまでにて!ご支援多謝!
週末なのでまた後で投下できるかもです!

それでは失礼致します!離脱っ!ノシ


175 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/08/05(金) 19:36:48.60 ID:zjjWtx6AO
でも正直言って年齢設定ミスってるよね


176 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/08/05(金) 20:20:17.33 ID:TDem8zaDO
>>1乙!
まだ戦士達の危機が去ってないけれどとりあえずは一段落だな。
召喚士って今26(童貞)くらいじゃなかったっけ?
25年前に大召喚士殺害事件があってその後北の村へ避難したんだから
大召喚士が死んでから北の村襲撃までどのくらい期間があったかわからないけれど、ちょうど合うくらいじゃないのかな?

そういえば物語開始時は魔道士未成年だったんだよなー


177 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/08/05(金) 21:37:35.80 ID:kX1iIhPQo
はやくしないと主人公ご一行が三十路になり子供の物語が始まってしまう!



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