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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その24
478 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/25(火) 18:28:51.24 ID:stc+OzV3o


ザッザッザッザッザ

盗賊「……!?」

魔道士「あれって…屋根じゃないですか!?」

吹雪の中目を細め、崖下の人工物らしきものを見つけた四人。

召喚士「……そう見えますね、行ってみましょうか!」

戦士「…降りられそうか?」

盗賊「…こっち、緩やかな所がある」

ザッザッザ…

戦士「……緩やかっつーか、道みたいになってるな」

魔道士「人が住んでいるんでしょうか…?」

召喚士「かもしれません」

ズザザァ…ザッザッザ…

盗賊「……間違いない」

戦士「ああ。こりゃあ……家だな」


479 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/25(火) 18:29:54.42 ID:stc+OzV3o
吹雪荒れる山奥。ひっそりと高地の下に佇む、一軒の民家らしきもの。

召喚士らはゆっくりと近づき、扉を叩いた。

トントン

召喚士「……」

戦士「誰もいないのか?」

召喚士「でも、灯りも付いているし、暖も取っているようだけど……」

カチャッ

召喚士「あ……」

ノックから少し間を空けて、一人の女性がドアの隙間より顔を見せる。

召喚士「あの、すみません……」

女「……はい」

召喚士「この辺りに、召喚士はいらっしゃいますか…?」

女「……」

戦士「…すまねぇ、怪しいモンじゃないんだ。ちょっと人探し……」

――「何をしている」


480 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/25(火) 18:30:40.88 ID:stc+OzV3o
四人の背後より一人の男が現れ、声をかける。

盗賊「!?」

ザッザッザ

魔道士「あ、あの……っ」

召喚士「すみません。人探しをしておりまして……」

男「人…?」

召喚士「はい。この辺りに白虎召喚士がいらっしゃると……」

男「……それで?」

召喚士「召喚獣についてご相談が……」

男「ふぅん。……入れ」

魔道士「へ…っ!?」

男「入れ、と言ったんだ。構わないよな?」

女「う、うん…っ」

召喚士「あ、あのぉ…」

男「いいから入れ。俺に用があるんだろう?……召喚獣の事で」


481 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/25(火) 18:32:11.20 ID:stc+OzV3o
〜屋内〜

テクテクテク…カチャッ

女「……どうぞ」

魔道士「ありがとうございます」

召喚士「……あの、えぇと…」

男「……山師だ」

召喚士「あの、山師さんが…白虎召喚士なんですね?」

山師「…そうだ」

戦士「…妹さんかい?」

女「……っ」

山師「いいや、赤の他人だ。面倒を見ているにすぎん」

盗賊「……」

山師「便宜上、名乗らせてはいるがな」

女「……山師妹…です」

魔道士「魔道士です。宜しくお願いしますっ」


482 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/25(火) 18:33:13.45 ID:stc+OzV3o
戦士「俺が戦士。んでそっちが盗賊と召喚士」

盗賊「…宜しく」

山師「それで、召喚獣とは何の話だ?」

召喚士「山師さんが所有する召喚獣…ザントマンですよね?」

山師「……どこで得たかは知らぬが、随分詳しいじゃないか」

召喚士「そこでお願いがあります」

山師「ザントマンを会得したいと?」

召喚士「……いかにも」

山師「なるほどな」

召喚士「……お願い出来ますか?」

山師「……」

スクッ

召喚士「…?」

山師「そろそろ水をやる時間だろう?」

山師妹「…う、うん」


483 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/25(火) 18:34:36.77 ID:stc+OzV3o
山師「少し席を外す」

召喚士「は、はい」

テクテクテクテク

戦士「……病人か何かか?」

盗賊「…かもしれんな」

しばらくの後、二人は再び召喚士らの前へと姿を現した。

テクテクテク

山師「すまないな」

召喚士「いえ。どなたかご病人ですか?」

山師「こいつの姉だ」

魔道士「お姉さん…ですかっ?」

山師妹はただ黙って、二度ほど小さく頷く。

戦士「ひどいのか…?」

山師「寝たきりさ。目も覚まさん」

召喚士「……」


484 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/25(火) 18:36:15.59 ID:stc+OzV3o
山師「……さて」

スクッ

山師「ザントマンの件は分かった。明日にでも俺の家を訪ねてくれ」

戦士「明日!?」

山師「今日は所用があるんでな。家はここから道伝いの一番奥だ」

テクテクテク

戦士「お、おいっ…ちょっと」

山師「……」

パタン

魔道士「……行っちゃいましたね」

召喚士「え、えぇ……」

山師妹「……っ」

召喚士「あの……」

山師妹「……っ!」

召喚士「山師さんは一体……」


485 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/25(火) 18:36:58.09 ID:stc+OzV3o
山師妹「……っ」

戦士「……召喚士」

召喚士「…うん」

スクッ…スクッ

召喚士「お邪魔しました」

魔道士「お茶、ご馳走様でしたっ」

テクテクテクテク…パタン

戦士「相当な人見知りだな、ありゃ……」

召喚士「うん。あれ以上は失礼だよね」

盗賊「…しかし、どうする?」

戦士「参ったな。まさか日を跨ぐ事になろうとは……」

魔道士「こんな中で野宿したら…死んじゃいますよ!?」

召喚士「……何とかしないとなぁ」

ザッザッザッザッザ

盗賊「……ん?」


486 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/25(火) 18:38:39.08 ID:stc+OzV3o
ザッザッザ…

山師「……何だ、外出か?」

戦士「いやいや、あの家に泊まるワケにはいかんだろ」

山師「この先に村長の家がある。相談でもしてみたらどうだ?」

召喚士「本当ですか!?ありがとうございます」

戦士「……これから狩猟か?」

山師「ああ。この時期は食糧もロクにないからな」

ザッザッザッザッザ

戦士「…だったら住まなきゃいいのにな」

魔道士「色々あるんですよきっと。故郷だってそう簡単には離れられないものですっ」

戦士「……まぁ、それは確かに」

召喚士「ひとまず、村長さんの所へ行ってみましょうか」

盗賊「…だな。それが賢明だ」

戦士「この先って言ってたよな。行きゃ分かるかな?」

辺りが薄暗くなる中、召喚士達は村長の家を目指し吹雪の中を進んだ。


493 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 00:05:52.79 ID:9b+uM0Svo
〜村長の家〜

コンコン……カチャッ

村長「……?」

召喚士「こんばんは」

村長「どなたかな?」

召喚士「始めまして。ワーカーの召喚士と申します」

村長「ワーカー。今時珍しいのう。それで、何用かね?」

召喚士「実は山師さんに用があったのですが、外出されるとかで……」

村長「山師……ねぇ」

召喚士「はい。それで明日まで待って欲しいとの事でして……」

村長「成程、泊まり先を探しておるのだな。まぁ、入ってくれ」

召喚士「すみません。ありがとうございます」

村長「さぁ遠慮なさるな。寒かろうて……」

魔道士「お邪魔致します」

戦士「すんません」


494 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 00:08:05.76 ID:9b+uM0Svo


召喚士「……と、いうわけなんです」

村長「成程のう。それはそれは、ご苦労じゃったのお」

魔道士「それで、泊まる所をご紹介頂ければと……」

村長「構わぬよ。ここへ泊まりなさい」

召喚士「えっ!?い、いいんですか……?」

村長「ああ。この辺りには宿なぞないし、野宿も到底出来ぬ」

戦士「それは助けるけど、いいんですかい?」

村長「何も君達が初めてというわけでもない」

盗賊「……」

村長「この付近を尋ねるワーカーはよく泊めたものじゃよ」

召喚士「へぇ、そうなんですか」

戦士「じゃあ……お言葉に甘えるとすっか…?」

魔道士「何だかすみません…本当……」

村長「構わん構わん。気にせず休んでいってくれ」


495 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 00:08:34.98 ID:9b+uM0Svo


村長「部屋はここを自由に使っておくれ」

召喚士「ありがとうございます」

村長「他に何かあるかの?」

盗賊「……特に…ないか?」

魔道士「あの……」

村長「ん?」

魔道士「山師妹さんのお姉さんは、ずっとご病気何ですか?」

村長「……」

召喚士「先程、そう病気だと伺ったもので……」

村長「…いつぞや、一切の眠りから覚めなくなってしまっての」

戦士「眠り…?ずっと眠ったままなのか?」

村長「……うむ」

魔道士「何だか、眠り姫のお話みたい」

戦士「眠り姫?」


496 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 00:09:10.81 ID:9b+uM0Svo
魔道士「童話ですよ。小さい頃、絵本で読んだりしませんでした?」

戦士「絵本なんてなかったし…なぁ?」

召喚士「う、うん…」

魔道士「えぇー!?じゃあ魔物と老人とかも知りません?」

戦士「なんじゃそりゃ?」

魔道士「森に怖〜い魔物が棲んでて、人間を襲って食べちゃうんです」

盗賊「……っ」

魔道士「でも、日頃良い行いをしているお爺さんは、魔物にも教われずに済むんです」

召喚士「善行を積めば徳を得るという教えですね」

戦士「哲学的だなぁ」

村長「まさに眠り姫じゃよ」

召喚士「眠り姫…というのは、その名の通りですか?」

魔道士「はい。眠り続ける姫が王子のキスで目覚めるというお話です」

戦士「…王子の…キス、ねぇ」

魔道士「ロマンチックじゃないですかっ」


497 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 00:12:52.07 ID:9b+uM0Svo
召喚士「どれくらいそのような状態が続いているんです?」

村長「うぅむ…。もう1年、いや…もっとか」

戦士「そんなに…?」

村長「…うむ。あの姉妹もかつては将来を嘱望された魔道士姉妹だったのじゃが…」

盗賊「…そうなのか」

村長「全てはあの、山師と山師姉が婚約を結んでからじゃ…」

召喚士「婚約…ですか」

村長「そう。そのしばらく後からあんな事になってしまった……」

盗賊「……」

召喚士「眠り……か」

村長「ここだけの話じゃがな、皆は山師が何かしたと思うておる」

魔道士「山師さんがですか!?」

村長「そう。奴の持つ召喚獣は、眠りを司るものなのじゃよ」

戦士「……ザントマンか…っ!」

召喚士「……」


498 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 00:13:56.31 ID:9b+uM0Svo


魔道士「それでは、おやすみなさいですっ」

村長「わしは居間の方におるから、何かあったら声を掛けてくれ」

召喚士「はい」

テクテクテク…パタン

盗賊「……」

戦士「さっきの話だが、どう思う?」

召喚士「……うぅん」

戦士「確かにザントマンは、資料によると敵を眠らせる力を持ってるんだよな?」

召喚士「…うん」

魔道士「でも、何で自分の婚約者にそんな事…っ」

召喚士「そこなんですよね。まるで話がおかしい……」

戦士「でもよ、他に原因はあるのか?」

盗賊「…明日にでも――」

ピクッ…ガタッ!!


499 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 00:14:52.97 ID:9b+uM0Svo
戦士「どうした!?」

盗賊「……」

ササッ…

盗賊「……人の気配がしたのだが」

戦士「窓の外か!?……誰もいねぇぞ?」

魔道士「この吹雪ですし、ましてや夜中ですよ…?」

盗賊「……獣か…?」

召喚士「魔物ではないんですね?」

盗賊「…ああ。少し過敏になっているのかもしれぬ。……すまん」

召喚士「いえいえ。とにかく、今日は休んで明日…改めるとしましょう」

戦士「だな。四の五の考えててもしょーがねぇや」

魔道士「山師さんに聞けば、何か解決方法が見つかるかもですねっ」

召喚士「ええ。そうしましょう」

魔道士「それでは、おやすみなさーいっ!」

盗賊「……おやすみ」


500 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/01/26(水) 00:20:59.23 ID:9b+uM0Svo
召喚獣集めとか、よく考えたら新キャラ出さないといけなかった…
あんまり増やすつもりなかったんですが、すみません…

ほんと無駄に多くてすみません…
なんとなく必要な時に設定まとめて下さった方のレスを
ななばつ様で見て頂ければ幸いです…
そしてななばつ様、まとめ更新ありがとう!

では、おやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

ゴルリン(俺は知っている……)



ケルベロス『酒だーっ!!酒持ってこーい!!』

ゴルリン『ケルベロス様っ!も、もうその辺にて……』

ケルベロス『うーるせぇ!!酔いはこれからよっ!!』

ゴルリン『ひいいぃぃーっ!!』

ケルベロス『グワーッハッハッハ!!血が滾ってきやがったぜえぇ!!』



ゴルリン(そう言って、一晩で街を三つ程焼け野原にした事もありました……)

眼鏡「ちっ、違うんだよ!あ、あれは…その……ごめんなさい」


502 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/26(水) 00:39:44.76 ID:N2fFRf4Uo
>>1乙
これが真相だったら魔法剣士どうすんだろ……




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