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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その20
684 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:53:29.91 ID:.C3avZ2o
〜警備所、事務室〜

カチャッ…テクテクテク…ドサッ

高官「…………」

コトッ

高官「…一番槍…か」

高官は革張りの椅子に深く腰を降ろし、天井を見上げ目を瞑る。

高官「……」

――……

ズドオオォォンッ!!…ドガアアァァ!!

兵士「…だ、駄目だ…っ!壊滅…退却だ退ー…」

グシャアアァァッ!!

高官「……ひ…っ!?」

ドラゴン「グルオオォォ…ッ!」

高官「う……うわ…あぁ!!」

キュイイィィ……バキャアァッ!!


685 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:54:09.56 ID:.C3avZ2o
ドラゴン「ッ!?」

隊長「…ふーっ!何してやがる!立てっ!!」

高官「…あ、ああ…っ」

隊長「……おらっ、魔道兵!さっさと付加でも何でも手伝えよ!!」

高官「す、すまん…!」

フオオォォ

ドラゴン「グアアァァーッ!!」

隊長「なに…ぃ!?

ビュオッ!!…バゴオオォォッ!!

高官「ぐああぁぁ!!」

隊長「ぐは…ぁ!!」

ドシャアァ…

高官「ぐ……うぅ…っ」

隊長「くそ…っ、仲間はみんな死んだ…。これが限界なのかよぉ…!」

ドズンドズン…ドズン


686 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:54:54.82 ID:.C3avZ2o
高官「い…いやだ…っ!死にたくないっ!!」

隊長「俺だって死にたかねぇよ……っ!!」

ドラゴン「グアオオオォォーッ!!」

キュイイィィ…

隊長「出世して出世して…偉くなりてぇんだよぉ!!」

ドラゴン「ガアアァァ!!」

隊長「くっそおおぉぉ!!」

フォンッ……ビュオオォォ!!

隊長「!?」

高官「……!!」

ドズウウゥゥ…ズグウウゥゥ!!

ドラゴン「ギイィアアァァーッ!!」

ブシュウウゥゥ……ドズウウゥゥンッ

隊長「…い、一撃……っ!?」

高官「…い、今の…槍は…?」


687 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:55:23.15 ID:.C3avZ2o
ザッザッザ…

戦士父「…大丈夫か!?」

隊長「一番槍…戦士父様っ!?」

高官「こ、この人が…噂の…!」

戦士父「他の者らは!?」

隊長「…パーティーの者は全滅致しました…っ」

高官「こちらの魔道隊も…私以外は……」

戦士父「…そうか。ここは引き受ける。後退せよ」

隊長「…し、しかし…っ」

戦士父「早く行くんだ!魔物はまだ来るぞっ!」

高官「…は、はい!行こう…っ!」

隊長「……一番槍殿っ!!」

戦士父「……?」

隊長「ご武運を……!!」

戦士父「…ありがとう!君達も気を付けてくれ……勇敢であったぞ!」


688 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:55:51.56 ID:.C3avZ2o
……――

パチッ

高官「……」

コンコン

高官「…どうぞ」

警備兵「失礼致します。こちら…明日の資料です」

高官「……すまん。戻してくれ」

警備兵「え…っ?」

高官「…資料や証拠が乏しいのでな。明日の公判は延期する」

警備兵「…か、畏まりました…!」

高官「…それから」

警備兵「…?」

高官「戦士殿に対する私の起訴を……取り下げておいてくれ」

警備兵「…よ、宜しいのですか…!?」

高官「…ああ。良いのだ…これで。……良いんだ」


689 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:56:56.64 ID:.C3avZ2o


魔道士「はぁ〜、美味しかったですねっ!」

召喚士「ええ!戦士が戻ってきたらまた行きましょうか」

盗賊「……だな」

テクテクテクテク

召喚士「…あ、あれ?」

警備所の脇に集う顔見知りの存在に気づき、召喚士が駆け寄る。

召喚士「エリートさん!隊長さんも…!」

エリート「召喚士君…!」

魔道士「えっと…こちらの方は…?」

盗賊「…あれ?……この人」

隊長「あれ?お前ら初めてか?初代特遊の一番槍…戦士の親父だ」

魔道士「ええぇぇーっ!?」

戦士父「…初めまして…なのかな?その節は世話になった」

召喚士「髪切って…誰か全然分からなかった…っ」


690 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:57:32.46 ID:.C3avZ2o
盗賊「…に、似てる…!」

戦士父「…?」

魔道士「記憶戻って…良かったですねぇ!」

戦士父「本当にありがとう。感謝している」

召喚士「気にしないで下さい!」

戦士父「今回の件も……息子が申し訳ない…っ」

魔道士「そんな事ないですよ!戦士さんは正しい事をしたんだと思います!」

盗賊「…ああ」

隊長「だが相手が悪すぎた」

エリート「しかし、これで一段落着きそうですね」

召喚士「一段落…ですか…?」

エリート「たった今動きがありまして…。高官殿が公判を引き伸ばしてくれると…」

盗賊「まことか…っ!?」

隊長「いーや、それだけじゃねぇ」

魔道士「……?」


691 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:58:20.08 ID:.C3avZ2o
隊長「うまくいけばアイツ…起訴を取り下げてくれるかもしれん…」

エリート「なんと…っ!」

隊長「そのぐらい俺達には…こちらの旦那に借りがあるって事さ」

戦士父「……」

魔道士「じゃあ…戦士さんは…」

エリート「高官殿の罪が無くなれば余財は大したものではない」

隊長「しかも偽物さえとっ捕まえちまえば、晴れて無罪ってワケだ」

魔道士「完璧じゃないですかっ!」

召喚士「…あとは…偽物がどこにいるのか」

戦士父「そういう事だな」

隊長「話はシンプルになったが…一筋縄じゃあいかねぇな」

魔道士「ど、どうします…!?」

エリート「手分けして探す以外ないでしょう」

盗賊「……だな」

隊長「…待て」

召喚士「…?」


692 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:58:55.93 ID:.C3avZ2o
隊長「他の奴らが左の動きを探ってる。その報告を待ってからでもいいだろう」

召喚士「…なるほど。そうですね」

エリート「…して、他の方々は?」

隊長「向こうもぼちぼち戻ってる頃だろう。本部へ向かおう」

エリート「分かりました」

隊長「……構いませんね?」

戦士父「……ああ」

エリート「では、本部へ参りましょうか」

召喚士「はい」

〜国軍本部〜

ザッザッザ

門兵「隊長殿っ!お疲れ様です!!」

隊長「他の連中は戻ってるか?」

門兵「はっ!戻られておりますよ。……そちらは?」

隊長「知人だ」


693 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:59:29.18 ID:.C3avZ2o
魔道士「こ、こんばんはー」

門兵「おぉ…朱雀先生のご一行に…エリート様!」

召喚士「ど、どうも…」

エリート「失礼するぞ」

テクテクテク

門兵「…ど、どうぞ」

戦士父「ああ、すまんな」

門兵(……誰だっけ?)

スタスタスタ

門兵「あ…っ!!」

盗賊「…?」

門兵「あ、いえ…っ。何でもありません…!」

盗賊「……はぁ」

スタスタ

門兵「……相変わらず…かわいい」


694 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:59:59.68 ID:.C3avZ2o
〜会議室〜

カツカツ…カチャッ

隊長「おう、いるかぁ?」

男隊員「遅っせーな!」

女隊員「おかえりなさいッス!…これまた大勢ッスなぁ」

格闘家「…あれは…朱雀先生か?」

魔道士「あーっ!皆さんお揃いで…!お久し振りです!!」

隊長「時間がねぇ…手短に話す。各自着席を」

女隊員「ういッス!」

戦士父「……」

ガタガタッ…ストッ

隊長「ますは報告」

女隊員「はいッス。左の連中は今のところ、特に動きはないッス」

男隊員「つーか左大臣が直々に警備所へ出張っちったもんだから収穫ナシだわ」

隊長「……そうか」


695 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 22:00:26.86 ID:.C3avZ2o
格闘家「…どちらかと言うと、気になるのはそれまでの動きです」

エリート「それまで…とは?」

格闘家「ええ。公判を控えたにしては、警備所への出入りが少なく…」

戦士父「……」

隊長「高官に任せっきりって事か」

女隊員「そういう事ッスね」

男隊員「よっぽど信頼されてんだなぁ…ヒャハハ!」

召喚士「……」

エリート「…どうみる?」

召喚士「…殿下を陥れようという連中にしては…妙に軽率というか能天気というか…」

エリート「既に綿密な計画は立ててあるのかもしれんな…」

戦士父「もし戦ならば…」

盗賊「……?」

戦士父「大事な捕虜を本陣の奥ではなく、前線の砦に放置しておくであろうか…」

召喚士「しかも砦にはごく僅かの兵…。幾ら国相手言えど奪還がないとは限らない…」


696 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 22:01:00.80 ID:.C3avZ2o
エリート「…居なかったのではなく……居られなかった!?」

隊長「…つまり、何かをしていたって事か」

男隊員「その何かってのは…?」

隊長「…そこまでは知らん。何か情報はねーのか?」

女隊員「申し訳ないッス…」

隊長「…まぁいい。高官が言うには二日は伸ばせるって話だ」

召喚士「つまり、判決は明後日…!」

エリート「そういう事だな。明後日までに偽物が見つかれば…」

盗賊「…晴れて…無罪」

隊長「見つからなくても、高官のヤローが起訴を取り下げれば…」

召喚士「罪は偽物が起こした些細なものばかり…っ!」

戦士父「おそらくそんなものは執行猶予で実刑には出来まい」

男隊員「権威があろうと法律までは突然変えられねーだろ」

エリート「しかもそれが自分達の作ったものであれば…尚更だな」

魔道士「……と、いう事は…?」


697 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 22:01:27.11 ID:.C3avZ2o
召喚士「執行猶予中に罪を犯さなければ…問題ありません」

隊長「しかもだ。その最中に偽物を捕まえちまえば…」

盗賊「…晴れて…無罪」

魔道士「す、凄いじゃないですかっ!完璧ですよ!!」

隊長「この勝負、俺達の勝ちだ」

エリート「…ええ。しかし最後まで油断はなさらないように」

戦士父「……相手があの左大臣だからな。何かしら妨害してくる恐れもある」

召喚士「ええ…。気を引き締めて挑みましょう!」

男隊員「おうっ!」

隊長「明日の予定だが、朱雀先生達は偽物を当たってくれ」

召喚士「分かりました」

隊長「俺らは最後まで左の動きを追う。いいな!」

格闘家「…はい」

エリート「では、解散と致しましょうか」

女隊員「はいッス!…お疲れ様でしたッス!!」


698 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 22:02:01.32 ID:.C3avZ2o
カチャッ…テクテクテク

隊長「宿は…どうする?」

召喚士「あ、俺らは既に用意してあるので…」

エリート「私は王宮へ戻ります。それではお先に」

魔道士「おやすみなさーいっ!えへへ!」

隊長「戦士父さんは…どうします?」

戦士父「気にしなくていい。大丈夫だ」

隊長「…そうっすか」

召喚士「明日は本部に集合で宜しいですか?」

隊長「おう、頼む!」

盗賊「……では」

魔道士「お先に失礼しまーす!」

戦士父「…俺もここで失礼する」

隊長「あ、お疲れさんです。また明日…!」

戦士父「…ああ」


699 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 22:03:01.28 ID:.C3avZ2o
テクテクテクテクテク…

隊長「…出口…こっちですよ?」

戦士父「分かってるよ。昔は一応ここにいたんだぞ」

隊長「は、はぁ…。それじゃあ…失礼します」

テクテクテクテク

秘書官「……?」

戦士父「いるか?」

秘書官「お、おりますが…あのぉ、どちら様で…」

ガチャッ

秘書官「ちょ、ちょっと…っ!」

戦士父「……」

司令官「…これは珍しいお客様だ」

戦士父「外してくれ」

秘書官「…し、しかし」

司令官「…構わないよ。外してくれ」


700 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 22:03:28.41 ID:.C3avZ2o
秘書官「……は、はい」

カツカツカツ…パタン

司令官「今日は一体、どういう風の吹きまわしかな?」

戦士父「探してたんだろう?捜索依頼の件、左翼長に聞いたぞ」

司令官「……北は既に君と会っていたのか」

戦士父「奴らに罪はない。俺が逃げ出したまでだ」

司令官「別に問おうなどとは思ってないよ。まぁ掛けたまえ」

ギシッ…ドカッ

戦士父「それで、何の用だ?」

司令官「五ヶ年計画。耳にした事は?」

戦士父「なんとなくは…」

司令官「……ゾディアック」

戦士父「……」

司令官「ある程度は所在も掴めているんだが、どうしても分からない物があってね…」

戦士父「…それが何か?」


701 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 22:04:06.65 ID:.C3avZ2o
司令官「以前、君が南方で使っていた三叉の鉾…」

戦士父「…どうだったかな。記憶にない」

司令官「それは…困ったなぁ」

戦士父「…今更あんな物を集めてどうする!?あれは危険すぎる!」

司令官「……今更?今だからこそ集めるのだよ」

戦士父「あんなものは人の手におえるものではない」

司令官「だが、魔王をも葬り去る代物には違いない」

戦士父「誰かが犠牲になったとしても…か?」

司令官「……一人の命で何千何万もの命が救える。違うか?」

戦士父「仮にそうだとしても…扱える者などおらんぞ」

司令官「いるよ。今…目の前にね」

戦士父「……!?」

司令官「何万もの命の為だ。…死んでくれ」

戦士父「……っ!!」

司令官「かつてその為に命を預けた。そうだろう?一番槍」



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