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青年剣士「運命ということ・・」
- 250 名前: ◆qqtckwRIh. []
投稿日:2013/07/24(水) 09:14:00 ID:hvUgY9zc
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【夜・酒場】
・・・ガチャッ
酒場の戦士「・・・来たか」
青年剣士「はい。子供たちも落ち着けて、寝かせてきました」
酒場の僧侶「・・・うぅっ・・・くそぉ・・・」グスッ
青年剣士「・・・僧侶さん・・」
- 251 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:14:49 ID:hvUgY9zc
酒場の戦士「・・・俺らは・・、どの道アイツに従うだけさ」
酒場の僧侶「どうやってだ!?リーダーはもういないんだぞ!?」グビグビ
酒場の魔法使い「落ち着きなよ。王傭兵の残したもの・・・しっかりあるだろう」チラッ
青年剣士「・・・」
酒場の僧侶「そうか・・・英雄剣士ぃ・・、英雄剣士・・・、頼む・・・あいつの意思をついでやってくれ・・・・頼む・・・・」
酒場の戦士「それくらいにしておけ・・・青年剣士だって気が気じゃないんだから・・」
青年剣士「いえ・・・大丈夫です・・」
酒場の魔法使い「・・・それで。これからの手筈は大丈夫なのか?」
酒場の戦士「あいつがいつも言ってた事と、今回の計画はこのまま行く」
酒場の魔法使い「王傭兵がいなくなった今・・・あのことは伝えたほうがいいんじゃないか?」
- 252 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:15:25 ID:hvUgY9zc
酒場の戦士「そうか・・・、青年剣士」
青年剣士「はい・・」
酒場の戦士「・・・伝えることがある。王傭兵は、俺らのことをなんて言ってた?」
青年剣士「反乱を起こす同盟だと・・・、友人だと聞きました」
酒場の戦士「あながち間違いじゃないが・・・それよりももっと大きなもんだ」
青年剣士「・・・?」
酒場の戦士「俺らはな、王傭兵をリーダーとする"国家反逆軍"・・・つまり"レジスタンス軍"だ」
- 253 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:16:07 ID:hvUgY9zc
青年剣士「レジスタンス・・・?」
酒場の戦士「おい!みんな!」
・・・ガタッ・・ガタガタガタッ・・・・・・・!!
青年剣士「酒場の・・・全員が立ち上がって・・・・まさか・・・」
酒場の戦士「そう。ここだけじゃない。こんな酒場の点々とした場所に、俺たちの仲間がいる」
青年剣士「・・・・っ!」
酒場の戦士「前行った別の酒場もそうだ。町の中に紛れ込んでいるやつもいる。・・・事の重大さも理解してほしい」
青年剣士「・・・はい!」
- 254 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:16:42 ID:hvUgY9zc
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
酒場の魔法使い「・・・ん?おい、お前」
???「・・・」
酒場の魔法使い「なぜ立ち上がらないんだ?そのフード・・・ちょっと下ろしてみろ」
青年剣士「・・・?」
???「・・・」
酒場の魔法使い「おい!聞いてるのか!」
???「やれやれ・・・、来てみたら本当にこんな場所があったとはな・・・」
酒場の戦士「・・・誰だ?おい、魔法使い、フードを下ろしてみろ」
酒場の魔法使い「・・・」スッ
・・・・パサッ
酒場の戦士「お前は!!」
- 255 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:17:25 ID:hvUgY9zc
白竜人『・・・』
酒場の戦士「白竜人!!!貴様ぁぁ!なぜここに!」
酒場の僧侶「殺す・・・」
酒場の魔法使い「・・・この話、聞かれて無事に帰すつもりはないぞ」
白竜人『・・・』
青年剣士「待ってください皆さん!話を聞きましょうよ!」
白竜人『ふん・・・、王傭兵の言った通りだったな』
酒場の戦士「何・・・?」
- 256 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:18:02 ID:hvUgY9zc
白竜人『今日の最期・・・、あいつが俺に向かって短いながら言ってくれた』
酒場の戦士「何をだ」
白竜人『助けたいならば、この酒場へ行け、それで全てが分かると。青年剣士を頼れとな』
酒場の戦士「そんな戯言が・・・信用できると思うか!?」
青年剣士「いや・・・落ち着いてください。この場所がこうも分かるはずないですし、本当に言ったんでしょう」
酒場の僧侶「何ィ・・・?」
酒場の戦士「だが、あいつがここを教える道理がないだろう」
青年剣士「いえ、今言いましたよね。助けたいならば、と」
白竜人『あぁ』
青年剣士「あなた、人質がいるんじゃないですか」
- 257 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:18:32 ID:hvUgY9zc
白竜人『・・・』
酒場の戦士「人質だ・・・?」
青年剣士「俺は白竜系と居合わせたことがあります。彼らは確かに暴力的な面もありました。ですが、自分の信念を貫き通す魔物たちだった」
酒場の戦士「・・・」
青年剣士「今日の戦いでも、聞き取りは難しかったですが・・・白竜人はトドメを刺す気がなかった」
白竜人『・・・っ』
青年剣士「それは、彼らが高いプライド、信念があるから。人間に意のままに操られるのが気に食わなかったから・・・そうですよね?」
白竜人『・・・さぁな』
青年剣士「ということは、エリート魔法使いが言った言葉で、"いいのか"というのは・・・おそらく人質がいるということ」
酒場の戦士「・・・」
- 258 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:19:20 ID:hvUgY9zc
青年剣士「王傭兵さんも、簡単な思いでココを教えたり、白竜人もココに来たりはしないでしょう?」
白竜人『ふん・・・、無駄に推理力がありやがるな・・・』
酒場の僧侶「だからといって!王傭兵の命を奪っていいわけじゃなかっただろう!」
白竜人『・・・』
青年剣士「それは・・・」
・・・ガタッ・・トコトコ・・・・・・・
酒場の僧侶「おい、白竜人・・・・」
白竜人『なんだ』
- 259 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:19:56 ID:hvUgY9zc
酒場の僧侶「一発、殴らせろ」
白竜人『断る・・・わけにはいかないだろう。やれ』
酒場の僧侶「・・・そうかよ・・・」ビュッ
・・・・バキッ!!!
白竜人『・・・』
酒場の僧侶「いって・・・何て硬いんだよ・・・・」
白竜人『・・・』
酒場の僧侶「・・・王傭兵が信じてお前をここへ引き寄せたんだろう。だったら・・・」
酒場の戦士「俺らも信じる・・・しかないだろうが!悔しいけどよ!!」
酒場の魔法使い「・・・そうだな・・」
白竜人『・・・!』
- 260 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:20:32 ID:hvUgY9zc
青年剣士「皆さん・・・・」
酒場の戦士「・・・これで、心強い味方ができたな。よろしくな白竜人」
白竜人『あぁ・・・よろしく頼む』
青年剣士「じゃあ、1つ聞いておきたいのですが。あなたの捕られている人質とは・・・」
白竜人『俺の弟だ。エリート魔法使いの部屋に監禁されててな・・・、俺が逆らうと・・・』
青年剣士「・・・そうですか」
酒場の戦士「一応、俺らが考えていた予定も話したほうがいいな。白竜人との手合わせがなくなれば・・・これほど楽なことはない」
- 261 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:21:03 ID:hvUgY9zc
白竜人『・・・手合わせか。それを作戦に入れていたのか?』
青年剣士「・・・そうですね。それと、エリート家の屋敷から奪い返すのも考慮にいれなければ・・・」
酒場の戦士「改めて作戦を練り直そう」
酒場の僧侶「・・・あぁ」
白竜人『ちなみにだが・・・明日の試合内容が変わった。俺とお前が戦うのは決勝になる』
青年剣士「へ?」
白竜人『どうやら、エリートのやつは決勝の花舞台で俺とお前を当てたいらしい』
青年剣士「ってことは・・」
白竜人『俺が明日、4回戦でウルフと戦う。問題はない。その後に決勝で俺とお前だ』
青年剣士「・・・わかりました。情報ありがとうございます」
- 262 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:21:35 ID:hvUgY9zc
白竜人『で・・・・、作戦とやらを聞かせてもらおうか・・・」
青年剣士「はい・・・」
酒場の戦士「・・・ええと・・まずは・・」
- 263 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:22:05 ID:hvUgY9zc
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・・・・・・・
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・・・
・・
・
- 264 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:22:48 ID:hvUgY9zc
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――【同時刻・王城】
王様「うはは!あの顔、見たか!?」モグモグ
側近「えぇ・・・最期のこちらを睨んだあの顔、印象深かったです」
官僚「確かに愉快でございましたな!」
エリート魔法使い「ははは!ご協力、ありがとうございました」
王様「何、お前らにはワシも世話になってるからな。あの王傭兵とかいうのは、強さばかりで忠誠心がなかったのでな、丁度よかったわ」
エリート魔法使い「そうですねぇ、王様に従わないなど言語道断です!」
- 265 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:23:40 ID:hvUgY9zc
メイド「・・・お待たせしました。天然の赤ブドウのワインと、ゴルゴン牧場のチーズでございます」カチャカチャ
王様「おうご苦労、まあメイドもワシの膝の上に座れ」ポン
メイド「きゃっ・・・は・・はい・・・」
王様「うはははは!」ナデナデ
メイド「・・・」ギリッ
側近「・・・」
エリート魔法使い「それはそうと、明日は面白い試合を見られますぞ」
王様「ほう?」
官僚「興味深い、教えていただきたい」
- 266 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:24:25 ID:hvUgY9zc
エリート魔法使い「は!?い、いやしかし・・・」
王様「そろそろあいつの人気も低迷になるだろう。それに、今日の対戦を見てわかった。あいつの実力は落ち始めている」モグモグ
エリート魔法使い「・・・ふむ」
王様「そろそろ魔界のほうからアイツほど・・・とはいわずとも、もう少しマシなやつを引っ張ってこよう」
エリート魔法使い「魔界のほうの調子はいかがですか?」
王様「うはは!サキュバスやら、女性型の魔物がすばらしくてな!!」
エリート魔法使い「さすがですね!」
王様「うはははは!そこまで褒めるでない!」
エリート魔法使い「王様、毎回気になっていたのですが・・・魔界をどうやって未だに制圧してるのですか?」
- 267 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:24:57 ID:hvUgY9zc
王様「なぁに、あいつらは上下関係がしっかりしていてな。リーダーさえ抑えれば、何の問題もない」
エリート魔法使い「と、いうと・・・」
官僚「赤竜王のことですな」
王様「当時の部隊は非常に強くてな。それに加え、赤竜王が弱りはじめていた時期だったのだ」
エリート魔法使い「単純な相手ですな!」
王様「ははは!そして縛り上げ、あとは近くの魔物から順繰りに人質として捕っていったのだ」
エリート魔法使い「それが今のうちにいる白竜子ですな。どんなに強いやつも、情には弱い!」ハハハ
王様「左様!」
- 268 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:25:41 ID:hvUgY9zc
・・・コンコン
王様「ん?・・・入れ」
・・・ガチャッ
白竜人『エリート魔法使い様がこちらにいると聞いて。ただいま戻りました』
エリート魔法使い「おせぇ!どこで道草食ってたんだ!」ビュッ
・・ベチャッ!!
白竜人『・・・失礼しました』ドロッ・・
王様「1個2万ジェムもするチーズを投げるとはな!心して食せよ白竜人!」
白竜人『・・・ありがとうございます』
側近「・・・」
- 269 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:26:11 ID:hvUgY9zc
エリート魔法使い「で、頼んでいた・・のは受け取ってきたんだろうな」
白竜人『はい、こちらに・・』スッ
エリート魔法使い「王様に渡せ」
白竜人『・・・どうぞ』カチャッ
王様「エリート魔法使い、これはもしや・・・・」
エリート魔法使い「えぇ、手に入りました。東方の錬金術一族から買い取った・・・、"ショットガン"と呼ばれる代物です」
白竜人『・・・』
王様「なるほどなるほど!素晴らしいフォルムだ・・・・、ここを・・・こうか・・・」カチャカチャ
官僚「さすがです王様!博学ですなぁ!」
- 270 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:26:42 ID:hvUgY9zc
エリート魔法使い「そうです・・・そう、よし、それで撃てますよ!」
王様「わはは!よし、白竜人、そこに立て」
白竜人『・・・』
エリート魔法使い「何やってるんだ!早く立てぃ!!」
白竜人『仰せのままに・・』スッ
王様「く・・・くく・・・・」カチッ
・・・ドォン!!!
白竜人『ぐっ・・・!』ブシャッ
- 271 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:27:13 ID:hvUgY9zc
王様「おぉ・・・竜のうろこにキズがつくとは・・、素晴らしい威力だ!」
エリート魔法使い「お見事です!」パチパチ
官僚「素晴らしい腕前ですな!!」パチパチ
側近「・・・」
白竜人『・・・く』
王様「満足満足。下がってよい」
エリート魔法使い「くく、先に部屋に戻っていろ」
白竜人『・・・失礼します』ペコッ
・・・ガチャッ
- 272 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:28:16 ID:hvUgY9zc
側近「・・・あ、自分もちょっと仕事をやりのこしたので・・・先に処理してきますね」
王様「そうかそうか、ワシのために精一杯働いてくれ」
側近「失礼します」ペコッ
・・・ガチャッ
・・・・・タッタッタッタ・・
側近「白竜人!」
白竜人『・・・側近』
側近「大丈夫か?血が出てるぞ・・・」
白竜人『どうってことない』
- 273 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:29:06 ID:hvUgY9zc
側近「はぁ・・・あの肥えた豚どもが・・、あんな生活をしていたら国民から斬られるぞ・・」
白竜人『・・・それも近いかもしれぬ』
側近「何?」
白竜人『・・・』
側近「・・・青年剣士が動いたのか?」
白竜人『明日、だ。お前も青年剣士を知っていたんだったな・・』
側近「・・・"レジスタンス"に所属してるんだぜ?当たり前だろ・・・それとな・・・」
白竜人『なんだ?』
側近「青年剣士"さん"がの事は、まだ子供の頃から俺は知っているぞ?」
白竜人『・・・そうだった・・・俺の親父の時のことか』
- 274 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:29:46 ID:hvUgY9zc
側近「あぁ・・・。青年剣士さんは、歳をとりすぎた私に気づいてはいないようだったがな」
白竜人『・・・転生術なんてあるほうが間違いだろう』
側近「元々生命力の強い魔族にしか出来ない秘技だからな・・・」
白竜人『赤竜王の様子はどうなんだ』
側近「まだ元気でいる。あとは青年剣士さんが暴れてくれるのを待つだけだ」
白竜人『・・・』
側近「王傭兵のことは残念だった・・・。すまなかった」
白竜人『別に・・・お前のせいじゃない。人は俺らよりもずっと早く死ぬ・・・、友も皆・・な」
側近「・・・」
白竜人『用事は、それだけか?』
- 275 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/07/24(水) 09:30:17 ID:hvUgY9zc
側近「700年前、いや・・・私らはもう・・数え疲れる月日・・・になるか」
白竜人『・・・』
側近「かの少年剣士が、我らの王女を助けてくれ、彼が竜の血を引いた。そしてまた私たちを助けてくれる。今度は魔界の全てを」
白竜人『・・・あぁ』
側近「運命とは不思議で、皮肉なもの。分かっていても変える事が出来なかった」
白竜人『・・・あぁ』
側近「彼が過去に戻って、過去の私らに未来を託す。だが、結局未来の手は彼自身に託されてしまった」
白竜人『そんなもんだろ。結局、運命を変えるのは難しいってことだ』
側近「逆に言えば、世界は彼に変えられる事を望んでいた・・・そう思う」
白竜人『・・・そうかもな』
竜側近「私が"竜側近"であること、彼に出会えていたこと、これは全て仕組まれていた事だった・・か」
白竜人『・・・あぁ』
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