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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
715 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:49:35.59 ID:TjyfZ0Gzo
〜旅籠〜

隊長「……」

西方参謀「……」

テクテクテク

女将「はい、お茶が入りまし――」

隊長「いただきますっ!」
西方参謀「いただきますっ!」

隊長「てめぇは酒でも飲んでろこら!」

西方参謀「緑茶割りだこら!」

隊長「んな飲み物はねぇ!」

西方参謀「俺が開発した! 西方司令部ナメんな!」

女将「あらあら……」

南方参謀「気にしないでいいわよ、女将さん」

男隊員「んで、朱雀連中は全員出払ってるってわけかい」

女隊員「隊長〜。私達も観光してきていいッスかぁ?」

隊長「勝手にしろ! あっ、こら酔っ払いてめぇ!」


716 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:50:10.02 ID:TjyfZ0Gzo
〜帝の城〜

魔道士「こんにちはー」

門番壱「あっ!」ササッ

門番弐「さっ、どうぞ!」

盗賊「えっ? あ、どうも…」

魔道士「盗賊さんが居ると、顔パスですね〜」

盗賊「そういわけではないと思うけど」

テクテクテクテク

火忍「ぬおぉ!! 姫ーっ!!」

盗賊「火か」

魔道士「こんにちは〜」

火忍「おぉ、えーと確か……」

盗賊「魔道士」

火忍「そうそう魔道士さん! これから上様の所へ?」

盗賊「うん」


717 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:50:37.77 ID:TjyfZ0Gzo
火忍「成程、それでは俺が案内致しまする」

盗賊「いいよ、任務中だろ?」

火忍「ところがどっこい、もう交代! 終わりました!」

盗賊「そうなのか。それじゃあ……」

ザッザッザッ

旗本「お二方、お見えになられましたか。ささ、上様がお待ちですぞ。此方へどうぞ」

火忍「お、おいっ! 俺が案内――」

旗本「藤蔵の手をわざわざ借りるなど失礼に値する。お気遣いなく」

火忍「いや、だから俺が上様の――」

旗本「さて、それでは参りましょうか」

盗賊「……じゃあな、火」

ザッザッザッ…

魔道士「そ、それじゃあまた……っ」

ヒュウウゥゥゥゥ

火忍「……北風が……冷たいぜ」


718 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:51:07.83 ID:TjyfZ0Gzo
〜庭〜

魔道士「……あの木、何でしたっけ? 松?」

盗賊「何だこの折れた木刀は……」

スタスタスタ

帝「おーっ、待たせたのう」

魔道士「上様っ! 可愛い〜っ」

帝「そ、そうか?」ヒラッ

家老「ではお二方、宜しくお願い致しますぞ」

盗賊「はっ。この命に代えても上様をお守り申し上げまする」

魔道士「不吉な事、言わないで下さいよ……っ」

東方司令「そうだぞ。ボクがいる限り、安心するがよい」スタスタ

魔道士「あれ? 東方司令さんもご一緒ですか?」

東方司令「何だ、ボクがいるとまずい事でもあるのか?」

魔道士「違いますよ〜! 一緒で嬉しいですっ、えへへ!」

東方司令「ふ、ふん!」(……はああぁぁ、最っ高だー! 東方来て良かったぁ!)


719 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:51:45.37 ID:TjyfZ0Gzo
〜海上〜

槍侶「如何ですか、東方は」

召喚士「ええ、凄くいい所ですよね」

槍侶「いつか、本国へ行ったみたいものです」

召喚士「ぜひ来て下さいよ! お待ちしてます」

槍侶「その為にはまず、東方と本国に巣食う妖を成敗せねばなりませんね」

召喚士「ええ。あっ、不死の山がここからでも見える……っ」

槍侶「東方の象徴ですからね」

召喚士「険しい山ですよね。槍侶さん達はずっと、あの頂上で生活しているんですよね」

槍侶「はい。煩悩を断ち切り、腕に磨きをかける為に日々、精進致しております」

召喚士「凄いですよ。とてもまね出来ない……っ」

槍侶「しかし召喚士様の行き方も、我らにとっては到底、真似の出来ぬものでございます」

召喚士「まぁ、そうかもしれないですけど……つらくはないですか?」

槍侶「下界は誘惑が多過ぎます故、私には……し、刺激が強く……っ」

召喚士「……な、なるほど」


720 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:52:17.58 ID:TjyfZ0Gzo
〜都〜

魔道士「まずはどこへ行きましょっか?」

盗賊「そうだな……」

ギュッ

魔道士「へっ?」

盗賊「!?」

帝「でえと……とは、手を繋ぐものと聞いたぞ?」ギュウッ

盗賊「そそ、そんな上様が私の手などと……っ、滅相もないっ!」

魔道士「上様……っ!」キューン

帝「や、やはり何か不味かったか……?」

魔道士「きゃああぁぁ!!」

盗賊「ど、どうし――」

魔道士「東方司令さんっ!?」

東方司令「……血が……足りない」ガクガクガク

帝「……だ、大丈夫か?」


721 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:53:08.74 ID:TjyfZ0Gzo
〜不死の山付近〜

召喚士「あっ、陸地が見えてきた!」

槍侶「あの砂浜から上陸致します」

召喚士「もう不死の山が目の前だね」

槍侶「まだ時間も早いですし、問題なければこのまま登山へと入りましょうか」

召喚士「そうだね。いくら時間があるとはいえ、あまり悠長にはしていられないですから」

ザザーン…ドシャアァ

槍侶「登山道まではすぐです。このまま向かいましょう」

召喚士「了解っ」

槍侶「防寒具なども五合目までは無用ですので」

召喚士「とりあえずこのまま登るって事だね」

槍侶「はい。他にご質問がなくば、出発致します」

召喚士「大丈夫。お任せします」

槍侶「それでは参りましょう」

召喚士「うん!」


722 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:53:48.53 ID:TjyfZ0Gzo
〜都〜

東方司令「食ったー!」

魔道士「食ったー!」

盗賊「さっきまで鼻血出して倒れてたくせに……」

帝「食ったー」

盗賊「上様っ!?」

魔道士「次はどうしましょうか?」

帝「この先にな、私が大好物の御汁粉があるぞ」

東方司令「行きましょう!」

魔道士「行きましょう!」

盗賊「先程から食べてばかり……」

帝「盗賊はもう、食べるのは嫌か?」

盗賊「……行きましょう!!」

東方司令「さぁ早くしないと日が暮れてしまいますぞ!」

魔道士「へへい、親分っ!」


723 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:54:22.86 ID:TjyfZ0Gzo
〜五合目〜

召喚士「もう夕方ですね」

槍侶「ええ。どう致しますか? ここで一夜越す事も可能ではありますが」

召喚士「槍侶さんはこのまま行けますか?」

槍侶「無論です。昼夜問わず、何百と往復してきた道のりですから」

召喚士「だったら行きましょう」

槍侶「宜しいので?」

召喚士「俺の身勝手で遅れさせるわけにはいきませんよ」

槍侶「いえ、私は別に……」

召喚士「……行きましょう!」

槍侶「は、はいっ。なれば、此処から先は防寒具等を……」

ゴソゴソッ…ザッ

召喚士「これでいいですか?」

槍侶「……流石です。では、行きましょう」

召喚士「ええ、行きましょう!」


724 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:54:53.89 ID:TjyfZ0Gzo
〜都の西〜

テクテクテクテク

戦士「しっかし、こっちは人が少ねぇなー」

鬼丸「妖はいっぱいいるぜ?」

戦士「それは遠慮願いたい……ってか、お前道知らねぇって……」

鬼丸「道は知らんが、何度も来た事はあるぞ」

戦士「そうなのかよ」

鬼丸「ずーっと昔は、道なんてなかったしな」

戦士「ああ、そっか」

鬼丸「人間の村を襲ってはよく喰ったもんだ。グハハッ」

戦士「……」

鬼丸「安心しろって。もう喰ったりしねーからよ」

戦士「……分かってるよ」

鬼丸「もうじき日が暮れるな。妖どもも姿を見せ始めるぜ」

戦士「ちっ、面倒にならなきゃいいけどな」


725 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:55:25.33 ID:TjyfZ0Gzo
〜都〜

 とんとんからりっ……しゃんしゃんしゃんっ

帝「むぅーっ。もう夜になってしまったか」

盗賊「残念ですが、今日はここまでのようですね」

魔道士「楽しかったですっ。上様、今日は本当にありがとございました」

帝「いやいや、此方こそ礼を言いたいくらいじゃ。感謝するぞ」

魔道士「くぅ〜。上様〜っ!」ギュッ

盗賊「こ、こらっ! 無礼者!」

帝「良い良い。私とて今日くらいは、一人の少女で居たいのじゃ」ギュッ

魔道士「上様……っ」

帝「盗賊、東方司令、そなた達にも感謝するぞ。有難う」

盗賊「い、いえっ。私はその……ありがとうございます」

東方司令「今は……耐えるのだ東方司令よ……ぶつぶつ」トントントン

帝「さて、城へ戻ると致そうか」

魔道士「……は、はいっ」


726 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:56:03.83 ID:TjyfZ0Gzo
〜旅籠〜

隊長「な、何か手伝いましょうか!?」

女将「お客人なんですから、ゆっくりなさってて下さいな〜」

女隊員「隊長ー。下調べとかいいんスかぁ?」

隊長「うっせ。勝手にやってろ」

女隊員「……はぁ。東方hに来てからどうも隊長の様子がおかしいッス」

男隊員「そうかぁ? 普段からあんなモンだろ。幻影だよ幻影。誇大妄想。拡張――」

ゴンッ!!…カラカラカラ

男隊員「……」ドタッ

格闘家「お鍋の……蓋」

隊長「特遊足るもの、どんな物でも武器として扱うが当然の事」

女将「まぁ、凄いですけど……部下はん、大丈夫?」

隊長「はっはっは。そんなヤワには鍛えておりませんよ!」

女隊員「あ、分かった!! 隊長……女将さんが好きなんスね!?」

隊長「ぶっ!!」


727 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:56:27.82 ID:TjyfZ0Gzo
女将「へぇ……っ?」

隊長「あ、いやあのっ! お、女隊員クン! 何を言っておるのかね!?」

男隊員「はっはーん……そういう事か……いっちち」ナデナデ

格闘家「そうかっ、それで宿の話に繋がるわけか」

女隊員「そうならそうと言ってくれればいいッスのに」

隊長「この単細胞女が……べらべらと……ぐっ」

女将「あ、あの……あのぉ」

隊長「ええい! 恥のかきついでだ! 女将さんっ!」

女将「は、はいぃ!?」

隊長「……そのっ、一目見た時から何と言うか……その」

男隊員「おら頑張れ隊長!」

隊長「やかましい!」

ズザァ!!

西方参謀「ちょーっと待ったぁ!!」

隊長「!?」


728 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:56:58.07 ID:TjyfZ0Gzo
西方参謀「抜け駆けとはいい度胸じゃねぇか……ヒック」スタスタ

女将「……?」

西方参謀「第一印象から決めてましたっ! 東方に住む覚悟だって出来てます!」ビシッ

男隊員「おぉーっと、ここで西方参謀が1歩リードか!?」

女隊員「隊長……」

隊長「ぶ、不器用な人間ですがっ、こんな酔っ払いに負けるつもりはありません!」

女将「……っ」

隊長「魔王を倒したら……い、一緒に東方で暮らしましょう!」ビシッ

女将「…………」

男隊員「さぁ、女将はどちえらを選ぶ!? それとも……!?」

女隊員「声が大きいッスよバカ!」

女将「あ、あの……っ」

隊長「……」

西方参謀「……」

女将「あのっ、うち……一人を選ぶ事は出来ないわぁ」


729 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:57:37.62 ID:TjyfZ0Gzo
男隊員「おっとぉ!? まさかの多夫一妻制!?」

女隊員「あんたはさっきから何を言ってるんスか?」

格闘家「……」

女将「うちな、自分で言うのもあれやけど……昔は都一の太夫やったんです」

南方参謀「太夫?」

東方参謀「東方一のスーパーモデルと言ったところだ」

南方参謀「まぁっ、ステキ!」

女将「幾人もの殿方が慕ってくれはって、結局……帰ってこなかった」

隊長「……」

女将「もう待つのは限界。うちを欲するなら……刀を置く覚悟が出来ますか?」

隊長「……そいつは、いくら女将の頼みでも無理だな」

西方参謀「ああ」

女将「……そうでしょうね」

隊長「すまない。俺達にはどうしても、この軍服を脱ぐ事は出来ないんだ」

西方参謀「残念……だけどな」


730 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/13(火) 18:58:23.14 ID:TjyfZ0Gzo
女将「……振られてしまいましたなぁ」

隊長「いや、きっと帰ってくる。俺は必ず帰ります! だからその時には……」

西方参謀「俺もだ。その時にはどちらか2人、ハッキリ決めて貰いましょうか!」

女将「……ふふっ、勝ってやわぁ。待っているとは限りませんよ……?」

隊長「ぬぐっ」

西方参謀「……五ヵ年だか何だか知らねーが、一瞬で片付けてやる!」

南方参謀「おぉ暑い暑い……」

東方参謀「思わぬところで士気も上がったし、良いのではないか?」

女将「あー恥ずかしっ。顔真っ赤やわぁ……」

南方参謀「女将さん、夕飯にしましょ。手伝うわよっ!」

男隊員「残念だったな隊長。ヒャハハ!」

女隊員「何が何でも死ねないッスね!」

格闘家「隊長……漢ですね」

隊長「やめろ。元はと言えば誰のせいだと思ってやがるっ!!」

女隊員「ひぇーっ!」


732 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/13(火) 19:04:59.02 ID:rHkC0pqY0
>>1乙
隊長からなんかフラグがみえかくれしてるきがする・・・・


748 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:06:30.46 ID:KwPg8L5Ho
〜帝の城〜

門番壱「お帰りなさいませ!」

門番弐「ご無事なようで何より」

帝「そんな遠出するわけでもあるまい。心配は要らぬ」

魔道士「上様、今日は本当にありがとうございましたっ!」

帝「此方こそ、二人には礼を言うぞ。有難う」

盗賊「勿体無きお言葉に御座いまする」

東方司令「それでは上様、行きましょう」

帝「明日からは城を出られぬ。それでも構わなければ、いつでも待っておるぞ」

魔道士「はいっ!」

スタスタスタ

盗賊「上様、楽しんでくれて良かったな」

魔道士「本当は、色々と遊びたいんですよね……年頃の女の子なんだもん」

盗賊「……境遇は似ているな、私達と」

魔道士「ええ。私達は自由の身を選びましたけど、上様はそうもいかないですもんね……」


749 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:07:10.54 ID:KwPg8L5Ho
盗賊「……上様に兄弟はおらぬ。ましてや親族も」

魔道士「……っ」

盗賊「今の立場を捨てたくとも、そうはいかぬのだよな……」

魔道士「……うん」

盗賊「さ、戻ろう魔道士。皆は心配しておるだろうし」

魔道士「はい」

テクテクテクテク

魔道士「召喚士さん、大丈夫ですかね……?」

盗賊「心配は無用だろう。あいつは1人でも強いよ」

魔道士「ええ、まぁ……そうですけど」

盗賊「きっとまた強くなって帰ってくるさ。だから私達も、頑張らねばな」

魔道士「……そうですね。召喚士さんだけに任せてはおけないですもんね」

盗賊「情報収集、鍛錬、買い出し。出来る事は沢山ある」

魔道士「明日から早速、私達も何か頑張りましょうっ!」

盗賊「ああ、そうしよう」


750 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:07:41.24 ID:KwPg8L5Ho
〜旅籠〜

魔道士「えーっ!? 召喚士さんだけじゃなく戦士さんもですか?」

青年兵「ええ、そうなんですよ」

盗賊「全く、困ったものだな」

魔道士「大丈夫ですかね?」

盗賊「まぁ2人共、大丈夫だとは思うけれど」

魔道士「うーん……。仕方ない、私達だけでやりましょっか」

盗賊「そうだな」

青年兵「何かなさるんですか?」

魔道士「ずっと遊んでるわけにはいきませんからっ! 戦いに向けての下準備です」

青年兵「おぉ……」

男隊員「だ、そうですよ。どこぞの隊長さん?」

隊長「うるせーな」

青年兵「おっと。上様は城に戻られたんですよね? それじゃ僕もそろそろ行ってきます」

魔道士「あ、はいっ! お気を付けて!」



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