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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その25
424 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:18:24.21 ID:6p13LX+Do
〜司令室〜

ダンッ!!

副司令官「一体どうなっておるのですっ!」

司令官「……」

副司令官「重要機密でないとはいえ、漏洩するなど有り得ぬ話ですぞ!」

司令官「……だねぇ」

副司令官「これは特遊や、ひいては司令の進退問題にすら成りかねぬ……」

司令官「…まぁ、近いうちに対応は取るさ」

副司令官「……っ」

司令官「…君、誰の仕業だと思う?」

副司令官「…検討もつきませぬ。しかし……」

司令官「しかし?」

副司令官「左翼…ですか?」

司令官「…左翼ねぇ」

副司令官「ですが、左翼にとってメリットがありません」


425 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:18:54.08 ID:6p13LX+Do
ピクッ

司令官「……ほぉ」

副司令官「ただでさえ両翼の確執が表面化しているのです」

司令官「……」

副司令官「そこへ火種を投じるなど、彼らにとっては不利……」

司令官「じゃあ、誰の仕業なんだい?」

副司令官「それが分かれば…苦労はしません…っ」

司令官「それもそうだね」

副司令官「…それで、如何にするおつもりで?」

司令官「……仕方ないね。大軍師を呼ぼうか」

副司令官「…かしまりました」

司令官「屯田も進んだ事だろうし、そろそろご帰還願うかな」

副司令官「……」

司令官「じゃあ、任せたよ」

副司令官「……はっ」


426 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:19:55.12 ID:6p13LX+Do
〜応接室〜

戦士「左翼にとって不利?」

召喚士「うん」

魔道士「何故なんですか!?」

召喚士「そもそも内通者の存在なんて、左翼としては明かしたくないはずです」

盗賊「……確かにな」

召喚士「表立って内通者がいるなんて事を謳ってしまえば……」

戦士「左翼が怪しまれるってか?」

召喚士「彼らは保守派だ、戦いを望んでいない」

盗賊「…対して右翼は」

召喚士「ええ、五ヵ年計画もありますし、魔王軍と徹底抗戦を考えています」

戦士「右翼にとっちゃあわざわざ魔王軍と通じる必要はないって事か…」

召喚士「だからこそ不思議なんだ。何故、この情報が今頃になって――」

カチャッ

占い師「お待たせ。呼んできたわよ」


427 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:20:27.17 ID:6p13LX+Do
召喚士「ありがとうございます。お久し振りです」

白虎長「なぁに?どうしたの…?」

召喚士「実は、召喚獣の事でお伺いしたくて……」

白虎長「召喚獣?ええ、答えられる事であれば…」

カツカツカツ…トスッ

召喚士「白虎召喚獣で、ケツァルコアトルってご存じですか?」

白虎長「ケツァル…?聞いた事ないわね……」

召喚士「そうですか」

白虎長「それがどうかしたの?」

召喚士「いえ、ちょっと耳にしたもので。もしご存知ならばと…」

白虎長「そう、ごめんなさいね。聞いた事がないわ」

召喚士「いえいえ、気にしないで下さい」

白虎長「もしかして、召喚獣集めをしているのかしら?」

召喚士「ええ」

白虎長「そうね。私も教えてあげたいのは山々だけど……」


428 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:21:05.58 ID:6p13LX+Do
召喚士「お立場もあるでしょうし、無理しないで下さい」

白虎長「もっとも、朱雀先生に渡せるような召喚獣もいないけどね」

召喚士「そんな事は……」

白虎長「あなたクラスになると、せいぜいベヒーモスぐらいしか実用度はないわ」

召喚士「……」

白虎長「でも、あれは一族の者にしか渡せない門外不出の召喚獣…」

召喚士「……」

白虎長「どうしても使いたかったら、私と結婚でもする?」

召喚士「えつ!?」

魔道士「それは駄目ですよっ!!」

白虎長「冗談に決まってるでしょ」

魔道士「わ、分かってますよ……っ!」

白虎長「ちなみに、今は何か増えた?」

召喚士「そうですね。ザントマンとクジャタと…ゴーレムですね」

白虎長「クジャタ!?」


429 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:21:57.80 ID:6p13LX+Do
召喚士「え、えぇ…っ」

白虎長「よく手に入ったわね…。長年、使い手の居ない希少な召喚獣よ?」

召喚士「色々と……ありまして」

白虎長「…まぁ、事情は聞かないけれど。私も見たのは一度きりかしらね」

召喚士「そうなんですか!?」

白虎長「祖父である初代白虎先生の弟子に使い手がいたわ」

召喚士「……」

白虎長「とても強くて…でも、随分と前に亡くなったと聞いたわ」

召喚士「そうですか……」

白虎長「弟さんも弟子でね、兄弟揃ってとても強かったのよ」

召喚士「兄弟…ですか」

白虎長「ええ。白虎兄弟と言えば、結構有名なワーカーだったみたいよ?」

召喚士「……なるほど」

白虎長「ごめんね。余計な話しちゃったわね」

召喚士「あ、いえいえ。ありがとうございました」


430 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:22:29.51 ID:6p13LX+Do


占い師「次は…講堂?」

召喚士「ええ、すみません…あっちこっち……」

占い師「まぁ、構わないけどね」

スタスタスタ

盗賊「……ねぇ」

占い師「ん?」

盗賊「…その…あれから……どう?」

占い師「ん?あぁ、力の事?」

盗賊は黙って頷く。

占い師「まだダメね。もしかしたら…ずぅっとこのままかもね〜」

戦士「いいのかよ……?」

占い師「あるに越した事はないけど、そればっかりじゃないからね」

戦士「そうか?便利な力だと思うけどな」

占い師「便利…か。確かにそうよね」


431 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:23:20.05 ID:6p13LX+Do
戦士「あ、いや……っ。……悪い」

占い師「いいのよ。力を買われて入隊したわけだし、それを含めての私だもの」

戦士「……」

占い師「でも、何もいい事ばっかりじゃないのよ?」

戦士「……?」

占い師「例えばね、この手袋を外して対象者に触れると……」

盗賊「……」

占い師「その人の未来が私の中に入り込んでくるのよ」

魔道士「へぇ……っ」

占い師「ま、今は力もないから大丈夫だけどね」

スゥッ…トンッ

占い師「え……っ!?」

パアアァァッ!!

戦士「お、おいっ!?」

手袋を外し、戦士の肩に触れた占い師の掌が一瞬光る。


432 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:23:58.19 ID:6p13LX+Do


紅孩児『……ちっ!』

戦士『悪いな!』



鬼丸『これが俺の……役目だろ』

戦士『お前……』



火忍『……おい』

戦士『……何だよ』



戦士父『……!?』

戦士『これで……』



盗賊『……戦士、私は――』



433 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:25:19.93 ID:6p13LX+Do
パキイイィィンッ!!

戦士「お、おいっ!?」

占い師「……っ!!」

戦士「大丈夫か…?」

占い師「え、えぇ……っ」

召喚士「一瞬……光ったようにみえましたけど」

占い師「……」

盗賊「……」

占い師「…いえっ、力は戻ってないわ…っ」

戦士「…?」

占い師「あなたの中にあった、何かが私の中に流れ込んできた……」

戦士「俺の中に…?何だそりゃ……」

占い師「……分からない。でも、普通なら有り得ない……」

戦士「何が何だってんだ……っ」

占い師「……っ」


434 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:26:14.49 ID:6p13LX+Do
召喚士「何か…見えたんですか?」

占い師「…見えたというより、断片的な何かが……」

魔道士「断片的……」

召喚士「……はっ!!」

盗賊「…?」

召喚士「ゲーデの……」

占い師「ゲーデ?」

召喚士「戦士だけ、飛ばされなかったよね!?」

戦士「…ああ。それが何か関係してんのか?」

召喚士「あの時、何か断片的な記憶のようなものが脳裏に……」

魔道士「…私は何にも覚えてないです……っ」

盗賊「……同じく」

召喚士「個人差があるのか?いや、俺もよくは分からないんですけど…」

戦士「そんで、何か…あったか?」

占い師「さっきも言ったけど、断片で何も分からないわ……」


435 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:26:51.62 ID:6p13LX+Do
戦士「そっか」

占い師「ごめんなさいね」

戦士「ん、あぁ…気にしないでくれ。こっちこそ」

召喚士「……」

カツカツカツ

占い師「さ、講堂へ着いたわよ」

魔道士「ここで、どうするんですか?」

召喚士「いますよね?」

占い師「ええ」

魔道士「あっ、もしかして……」

ガチャッ…ギイイィィッ

召喚士「……」

カツカツカツカツ…コツ

召喚士「……お久し振りです。青龍先生」

青龍先生「……ひょっひょ。お主か」


436 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:27:31.74 ID:6p13LX+Do
召喚士「お身体の具合はいかがですか?」

青龍先生「ひょっひょ、もう限界じゃわい」

占い師「もうっ、またそーやって同情を買うんだからっ」

青龍先生「ひょっひょっひょ、相変わらず手厳しいのう」

魔道士「でも、本当に大丈夫ですか?」

青龍先生「若い女子の顔を見ると元気になるんじゃよ」

占い師「はいはい。どーせ私は若くありませんよー」

青龍先生「ひょっひょ、拗ねるでない。それで、何用かな…朱雀先生よ?」

召喚士「先生に一つ、お伺いしたい事がありまして」

青龍先生「…何じゃ?」

召喚士「召喚界へ行く儀式、ご存知ですよね?」

青龍先生「……教えんぞ」

召喚士「え…っ!?」

青龍先生「あれは誰かがやるからこそまだ安全なのじゃ」

召喚士「……」


437 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:28:09.10 ID:6p13LX+Do
青龍先生「己一人で行おうなどと、危険極まりないわい」

召喚士「……」

青龍先生「二人でも危険な行為。お主一人でなどと……死ぬぞ?」

召喚士「……すみません」

青龍先生「もしどうしてもの場合は、儂が儀式をしてやろう」

召喚士「…ありがとうございます」

青龍先生「しかしお主、青龍界に用などあるのか?」

召喚士「……え?」

青龍先生「青龍界に何か用などあるのか、と聞いたのじゃ」

召喚士「青龍界……ですか?」

青龍先生「当たり前じゃろ」

召喚士「そうか……っ。言われてみれば…そうだよ……っ」

戦士「…?」

青龍先生「要件は以上か?」

召喚士「え、あっ……はい!ありがとうございました!」


438 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:28:45.57 ID:6p13LX+Do


魔道士「先生、それではご自愛下さいねっ」

青龍先生「魔道士ちゃんがまた見舞ってくれれば、良くなるわい」

魔道士「それじゃ、また来ますね!えへへっ!」

青龍先生「おう。今度は盗賊ちゃんと二人で来なさいな」

盗賊「……はぁ」

召喚士「では、失礼します」

青龍先生「うむ」

スタスタスタスタ

戦士「さっきの話は何だったんだ?」

召喚士「いや、召喚獣界へ行く為の方法を学ぼうと思ったんだけど…」

戦士「…断わられたってか」

召喚士「うん。それもあるし…属性ごとに違ったのか……」

盗賊「…?」

召喚士「考えてみれば、当たり前なんですけどね…。はは…っ」


439 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:29:46.45 ID:6p13LX+Do
テクテクテク

魔道士「そっかぁ〜。朱雀召喚獣へ会う為には、朱雀界へ……」

戦士「スフィンクスやらに会うには白虎界へって事か」

召喚士「その上で、それぞれの属性ごとに儀式の中身が違うみたいだね」

占い師「召喚術っていうのは、ほんと手間がかかるわねぇ〜」

盗賊「…同意」

占い師「さーて、これで要件は全部おしまい?」

召喚士「ええ。ありがとうございました」

占い師「いーえっ。それじゃ戻りましょ」

魔道士「はいっ!」

戦士「……あー」

占い師「なに?」

戦士「戻ったら、何だか取材だか受けにゃならねーんだよなぁ」

占い師「取材?」

召喚士「ええ。さっき表にいた記者さんに声を掛けられまして……」


440 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:30:41.53 ID:6p13LX+Do
占い師「ついに新聞デビュー!?凄いじゃないっ!!」

召喚士「いや、違いますよ…多分…」

魔道士「あっ!!もしかして……!!」

盗賊「…?」

魔道士「前の…戦士さんの偽者事件の……」

戦士「げっ!!勘弁してくれよ……っ」

占い師「まぁとにかく、余計な事は言わない方が賢明よ?」

召喚士「そのつもりです。変な混乱を招きたくないですから……」

カツカツカツ…

占い師「ここで大丈夫?」

魔道士「はいっ!ありがとうございました!」

召喚士「それでは、失礼します」

盗賊「……元気で」

占い師「…ふふっ、ありがと」

四人は占い師と別れ、本部正門へと向かった。


441 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:31:54.39 ID:6p13LX+Do
テクテクテクテク…

戦士「…まーだあんなにいやがんぜ」

魔道士「凄いですねぇ……」

ザッザッザ

記者「あっ、朱雀先生!!」

召喚士「ど、どうも」

記者「待ってましたよ!!」

召喚士「あのぉ……一体どういった……」

記者「注目度ナンバーワンのワーカーとして是非、記事に!」

盗賊「!?」

記者「ここ最近のご活躍、大変素晴らしい限りです!」

召喚士「い、いやぁ……他にもいらっしゃるかと……」

記者「もしお暇であれば、夜にでも是非是非!!」

召喚士「……は、はは……っ」

かくして召喚士達四人は、何故か新聞の取材を受ける事となったのでした。


442 名前:入れ忘れた…恥ずかしい… ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 17:32:38.81 ID:6p13LX+Do
〜第三十六部、完〜


443 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/02/14(月) 17:34:45.77 ID:LKIzPv+4o
乙!
段々有名になって、召喚士が遠くなっていく・・・



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