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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
- 302 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/12/03(土) 02:38:52.61 ID:hGuwR1sgo
〜次の日〜
戦士「おはようさん」
召喚士「……おはよう」
魔道士「……おはようございます」
戦士「2人揃って、ひでぇ顔してんなぁ」
盗賊「……」
戦士「まぁ仕方ないか。さてと、天才様がお呼びだ。医務室に行こうぜ」
盗賊「……ああ」
テクテクテクテク…
戦士「ういーす」
天才「おーう」
召喚士「……大丈夫なんですか?」
天才「何がだよ、この通り無事だ」
召喚士「無事……って。包帯だらけに車椅子じゃないですか……」
天才「だが生きてる。生きてる限りは無事なんだよ」
- 303 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:39:34.11 ID:hGuwR1sgo
魔道士「……」
戦士「んで、用ってのは何だ?」
天才「これから古代遺跡に行く。お前ら付き合え」
戦士「はぁ!?」
盗賊「……まだ、何かあるのか?」
天才「お前らの報告が気になったんでな」
召喚士「報告って、遺跡の港の話……ですか?」
天才「決まってんだろ」
戦士「何も今日じゃなくてもだな……」
天才「もう西方に来る事はねぇだろうからな」
盗賊「……そうなのか?」
天才「残りは北と、東だけだ」
盗賊「……東」
天才「そういう事で付き合って貰うぜ。ハーッハッハ――痛っ!」
召喚士「……」
- 304 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:40:01.35 ID:hGuwR1sgo
…
青年兵「本当に行かれるのですか?」
天才「魔物ちゃんいねぇんだろ? 好都合じゃねぇか」
青年兵「……馬車の手配を」
西国兵「はっ!」
青年兵「司令、無茶をすると容態が悪化します。決して……」
天才「んな事、お前に言われんでも分かってんだよ。いいからさっさと西方軍の見送りでもしてろ!」
青年兵「それじゃ召喚士さん、宜しくお願い致します」
召喚士「うん。行ってきます」
戦士「んじゃ車椅子持ち上げんぞー」
グイッ
天才「痛ってぇな!!」
戦士「文句言うな! 平気なんだろ?」
天才「ちっ」
戦士「ったく、何で俺達がこんな事……」
- 305 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:40:30.79 ID:hGuwR1sgo
天才「いいのか?」
戦士「あ?」
天才「テメーにとっても朗報があんだぞ?」
戦士「な、何だよ朗報って……」
天才「お前よ、俺様の武器持って返ってくる時、重いって言ってたよな?」
戦士「あ、あぁ。それが何だよ」
天才「あれが武器の重さに思えるか?」
戦士「まさか。あんな重てぇモン振り回してたらすぐにバテ……」
魔道士「……何ですか?」
戦士「まさかっ、何か……あるってのか!?」
天才「ありゃ魔王とマーマンから付着した魔力の重さだ」
召喚士「!?」
戦士「そ、それがどういう……」
天才「拡散する事なくその場に留まる事が出来る。それは何故だ?」
魔道士「え……っと」
- 306 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:41:01.08 ID:hGuwR1sgo
召喚士「結界石や鉱石で……留めて置く事が出来るからです……っ!」
天才「んでだ、魔王様が鎮座する場所ってのは……」
盗賊「鉱石が……ある!!」
戦士「お、おいおいっ!!マジかよ!?」
天才「どうだ? 行く気になったか?」
戦士「おう!! ぜひお供します!!」
天才「……けっ、都合のいいヤローだ」
戦士「そうと決まりゃ、急ぐぜっ!」
ダダッ
魔道士「ちょっと……もうっ」
召喚士「はは……っ」
天才「それによ」
召喚士「……?」
天才「お前らには今後の事、じっくり話しておかにゃならんからよ」
召喚士「えっ? 天才さん……?」
- 307 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:41:30.22 ID:hGuwR1sgo
…
ガラガラガラガラッ…
召喚士「あの、天才さん……」
天才「んー?」
召喚士「さっき言ってた……話っていうのは……」
天才「ああ、いいかよく聞けお前ら」
盗賊「……」
天才「俺様は見ての通り、このザマだ」
魔道士「……っ」
天才「次のマーラちゃんにゃあ、到底間に合いそうもねぇ」
戦士「マジ……かよ……っ」
天才「それに北での戦いは文字通り、総力戦になる」
召喚士「……はい」
天才「俺様は北での戦いまでに完治する為に、東方は捨てる」
盗賊「!?」
- 308 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:42:00.98 ID:hGuwR1sgo
天才「そこでお前らに頼みだ。東方戦にはお前らが先頭に立って、戦ってくれ」
召喚士「――っ!?」
戦士「お、俺達がか……っ!?」
天才「ああ。悪いが東方に関しちゃ、本国は西方以上に関与してねぇ」
盗賊「……確かに」
天才「可能な限りの支援は無論、行うが……本国が中心になってってのは無理な話だ」
召喚士「いくら同盟を結んだからとて、政治的なものもありますしね」
天才「そうだ。それにお前らは東方に詳しい。何より、東方の姫もいる事だしなぁ」
盗賊「……っ」
天才「勝手な話なのは百も承知だが、頼まれてくれるか?」
魔道士「……」
戦士「まぁ俺は……構わんぜ」
盗賊「……無論だ」
召喚士「魔道士さんは……」
魔道士「……やるしかないって……分かってますから」
- 309 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:42:29.74 ID:hGuwR1sgo
天才「んじゃ決まりだな。ヨロシク頼むぜ」
戦士「んで、その東方戦てのはいつから何だ?」
天才「別にいつでもいいぜ。東方の連中さえ良ければ、だけどな」
戦士「もう休んでる暇は本当にねぇって事か……」
天才「五ヵ年計画完了まであと2ヶ月程度。そういう事だ」
魔道士「……っ」
天才「もう次の戦いは始まってんのさ」
戦士「やれやれだぜ」
盗賊「……東方は私の故郷だ。願ってもない事」
天才「それだけ分かってりゃいいさ。お前らに余計な心配はしてねぇよ」
魔道士「……」
天才「精神的なモンが克服されりゃあな」
召喚士「えっ?」
天才「いんや、何でもねぇ。さてもう着く頃だろ」
召喚士「ええ、見えてきましたよ……古代遺跡が」
- 310 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:44:18.91 ID:hGuwR1sgo
〜最西端、古代遺跡〜
ザッ
戦士「んで、まずは?」
天才「俺様は朱雀と港ってのを見に行ってくる」
盗賊「私達は?」
天才「鉱石を探してくれ」
魔道士「どこに……あるんです?」
天才「だからそれを探せって言ってんだよ。この地にあるのは間違いねぇ」
戦士「おいおい……っ、この遺跡をくまなく探せってか!?」
天才「まーそういう事だな。あくまで鉱石が欲しければ、の話だがな」
戦士「……ちっ」
盗賊「それじゃ……行くか」
魔道士「何かあったら、すぐに言ってくださいね」
召喚士「ええ、魔道士さん達も」
天才「さぁ、出発〜っと」
- 311 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:45:04.23 ID:hGuwR1sgo
ガラガラガラッ
天才「ふふんふーん」
ガラガラッ…ガツン!!
天才「痛ってぇ!! てめぇ、段差に気をつけろ!!」
召喚士「す、すみません……っ!」
天才「ったく」
召喚士「……天才さん」
天才「あん?」
召喚士「それで、何の話です?」
天才「……」
召喚士「俺に話があって、わざわざ2人きりの状況をつくったんですよね?」
天才「……お前も成長したモンだなぁ。国軍にいりゃ、青年兵や大軍師とタメ線を張れんぜ」
召喚士「ありがとうございます。それで、何ですか?」
天才「忙しいヤローだな。ま、いいや。今回の戦い……ちょいとした収穫があった」
召喚士「……?」
- 312 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:45:40.21 ID:hGuwR1sgo
天才「魔道士の事だ」
召喚士「魔道士さん……ですか?」
天才「ああ。あいつ、踊り子が死んでキレただろ」
召喚士「……あ、ああ。はい」
天才「盗賊が気絶させて事無きを得たが、ありゃ五行だ」
召喚士「みたい……ですね」
天才「それもただの五行じゃねぇ。全魔力開放の上での五行だ」
召喚士「――っ!?」
天才「何が言いたいか分かるか?」
召喚士「……っ」
天才「あのまま放ってたら、魔道士は死んでたぞ」
召喚士「…………」
天才「まずお前に言いたい事の1つは、今後も同じような状況があり得るって事だ」
召喚士「ええ……」
天才「必ず止めろ。でなくば、魔道士は死ぬぞ」
- 313 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:46:09.81 ID:hGuwR1sgo
召喚士「……はい」
天才「それほどに強烈な魔力だった。おそらくあれを放てばイブリースは消滅してたよ」
召喚士「そ、それ程にですか……っ」
天才「人の死ってのは、周りを強くする」
召喚士「……」
天才「人の死による怒りや悲しみで魔力が開放される」
召喚士「それが魔道士さんの……」
天才「だが所詮、それはその場限りの事だ」
召喚士「ええ」
天才「それを受け入れ、乗り越えて初めて自分のものになる。人間ってのはそうやって生きてくのさ」
召喚士「……はい」
天才「魔道士を支えてやれんのは、お前しかしねぇ」
召喚士「……っ」
天才「王家の血は必ず、最後の戦いに役立つ。頼むぜ」
召喚士「……はい」
- 314 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:46:49.92 ID:hGuwR1sgo
〜高台〜
戦士「まずはこっからだな」
盗賊「……ここは」
戦士「爆発の中心地だ。それに剣はここに刺さってたわけだしな」
魔道士「……」
戦士「……さて、問題はどうやって掘るかだ」
盗賊「かなりの労力だな」
戦士「なぁ魔道士、ちょっと魔法でド−ンと――」
ドドオオォォォォン!!…ゴゴゴゴゴゴ…
盗賊「……」
魔道士「これでいいですか?」
戦士「お、おう……っ」
魔道士「それじゃ早速、探しましょう」
戦士「……なんかあいつ、変わったよな」
盗賊「……うん」
- 315 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:47:18.27 ID:hGuwR1sgo
…
天才「ここか」
召喚士「霧がかってますけど、この先に海のようなものがあるみたいなんです」
天才「進めるか?」
召喚士「えぇと、ちょっと待って下さい。あ、こっちからなら何とか……」
キィッ…ガラガラガラッ
召喚士「……っと、下見えますか?」
天才「確かに水が染み出してんな」
召喚士「……」
天才「ちょっと舐めてみろよ」
召喚士「えぇ!?」
天才「しょっぱかったら海だろ。ほれっ、早く!」
召喚士「……だ、大丈夫かなぁ」
チョンチョン…ペロッ
召喚士「こ、これは……っ!?」
- 316 名前:寒すぎるので寝ます…おやすみなさい ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:48:06.67 ID:hGuwR1sgo
天才「勿体ぶってねぇで早く言えよ」
召喚士「……間違いなく海です!」
天才「やっぱりそうか。これで、見えてきたな」
召喚士「え……っ?」
天才「お前、この先に何があると思う?」
召喚士「えっと……海だから、島とか陸とか……ですかね」
天才「半分正解。半分アホ」
召喚士「!?」
天才「そりゃ海なんだから何もねぇなんて事は有り得ねぇだろ」
召喚士「じゃあ、何があるんですか? まさか魔王の……」
天才「そうじゃねぇよ。この先には間違いなく、人の住む陸地がある」
召喚士「えっ!?」
天才「それもお前がよーく知ってる場所だよ」
召喚士「……っ」
天才「……東方だ」
- 320 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です) [sage] 投稿日:2011/12/03(土) 10:18:20.07 ID:gWyvfnyIO
乙
召喚獣を使えば一日で一周できそうだな
- 321 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [] 投稿日:2011/12/03(土) 10:24:58.09 ID:Z1gnGiMq0
いちおつ
魔道士の魔翌力すごいことになってきたな
さすが王家の魔翌力
- 331 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:08:24.87 ID:NsBDCG6Do
召喚士「……え……っ?」
天才「聞こえなかったのか? 東方だっつったんだよ」
召喚士「と、東方……!?」
天才「だからそうだって言ってんだろ」
召喚士「いや……でもっ、東方って東の果ての……」
天才「テメーは本当に頭いいんだかわるいんだか分からねぇな」
召喚士「す、すみません……」
天才「しゃーねぇ、分かり易く説明してやっか。お前、何か紙持ってるか?」
召喚士「えっと……こんなのでいいですか?」
天才「きったねぇ紙だな。まぁいいや、んじゃこれに……」
キュッ…カキカキッ
召喚士「……これ……なんですか?」
天才「世界地図だよ。うまく書けてんだろ」
召喚士「えっ? あ、ええ……っ」
天才「……なんだよ、文句でもあんのか?」
- 332 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:09:42.41 ID:NsBDCG6Do
…
天才「まずこれが、俺様達も知ってる世界。平面な状態だ」
召喚士「はい」
天才「さっき見た霧の奥の暗闇。無の世界。それは世界の果てと呼ばれている」
召喚士「世界の果て……」
天才「これが世界の通説であり、この地図と全く同じ状態だわな」
召喚士「ですね。でもそれが何か……?」
天才「……遥か昔からそう言われているし、そうであった」
召喚士「……?」
天才「だがいつの時代も異端児ってのはいるもんでな」
カサッ
天才「この説を真っ向から全否定した学者がかつていたそーだ」
召喚士「……!?」
天才「そいつはこう言った。世界は丸いんだ……とな」
召喚士「っ!!」
- 333 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:10:36.78 ID:NsBDCG6Do
天才「それがどういう意味か分かるか?」
クルクルッ…カサッ
天才「こういう意味だ」
召喚士「地図を……丸めた……っ?」
天才「まぁこの状態だと正確には円柱だがな」
召喚士「た、確かにこうすれば、西と東が……」
天才「1つになんだろ? 西の果ての西は東って事になるんだよ」
召喚士「でもそれじゃあ、あの暗闇は一体……?」
天才「そこが本題だ」
召喚士「……?」
天才「結局その学者も、それを証明する事が出来ず、無念ながらに死んだ」
召喚士「……っ」
天才「それから数百年、そんな説は戯言の1つとして闇に葬られた」
召喚士「それをどうして……天才さんが?」
天才「あれはいつだったっけかなぁ、本部の騎士団長に任命された時だったか……」
- 334 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:11:25.72 ID:NsBDCG6Do
カサッ
天才「たまたま資料室の整理をしてた時だ。その学者の資料を見つけた」
召喚士「!?」
天才「確かにバカげてた。俺様も普通なら、全否定してその辺に放ってただろうな」
召喚士「でも、なぜ……」
天才「ちょうどそん時は、魔王に関する資料を集めててな」
召喚士「もしかして……五ヵ年計画の為、ですか?」
天才「そこまでキッチリはしてねぇよ。もうちょい漠然としたモンだったけどな」
召喚士「その魔王と関係が?」
天才「ああ。聞いた事あるよな、魔王の配置の謎ってのを」
召喚士「え、ええ。確か……六芒星になっていると」
天才「配置の意味するものと、龍脈の違和感がどうしても気になってな」
召喚士「龍脈の違和感……? どういう事ですか?」
天才「魔王の配置については、まぁそれ程不思議でも何でもねぇんだ」
召喚士「周囲から人間を包囲しているわけですからね」
- 335 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:12:34.75 ID:NsBDCG6Do
天才「ところがだ。龍脈だけは何故か東方に存在してた」
召喚士「ん? 確かにそうですね。普通であれば、中央にあった方が……」
天才「魔力の根源になってんなら、魔物にとってはその方が楽だろ」
召喚士「そうですよね。均等に行き渡るわけですし……」
天才「龍脈の存在は古くから分かってた。だが、誰も位置までは気にしなかった」
召喚士「そこにあるものだと思ってましたから……」
天才「……んで、話は地図に戻る。1人の学者が残した謎の説」
召喚士「……あ……っ!!」
天才「もし、世界が本来は丸いものであり、東西が繋がっていたのならば……」
召喚士「こ、この地図の……」
トントン
天才「そうだ。この繋がった部分。ここに龍脈があった。んでここを……」
パサッ…パラッ
天才「縦に切り取ると、どうだ?」
召喚士「さっきの地図と同じです!! 東西が切り取られて……っ」
- 336 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:13:05.29 ID:NsBDCG6Do
天才「まぁここまでじゃ理論だけであって、何の解決にもなってねぇ」
召喚士「……ええ」
天才「ここから魔王は各地に別れ、配置についた」
召喚士「……っ」
天才「魔王の中でも大将と思われるサタンを世界の中心に……」
トンッ…トンッ…トンッ
天才「北と南に1体ずつ。東と西に2対ずつ」
召喚士「上からみると、そのような配置になってますよね」
天才「どんなものにも意味のないモンなんてのはねぇ」
召喚士「天才さんは、それで何か掴んだんですね」
天才「……まぁな」
ガサッ
天才「丸い世界から平面の世界と変えられたこの地上……」
召喚士「……っ」
天才「外側より無が迫り、世界がどんどん真ん中へと縮んでるんだ」
- 337 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:13:36.56 ID:NsBDCG6Do
召喚士「――っ!?」
天才「まぁこれは俺様の勝手な解釈であって、まだそうと決まったわけじゃない」
召喚士「世界が……真ん中に縮んでいる……!?」
天才「魔王軍の連中が言う、世界を地獄に変える」
召喚士「……っ」
天才「そう考えると、その意味も全く別のモンになってくるわけだ」
召喚士「ど、どういう事です?」
天才「殺戮と蹂躙で世界を地獄の様に変える」
召喚士「そ、そうですね」
天才「そうじゃなく、文字通りの地獄に変えるって意味もあるとしたら?」
召喚士「……えっ?」
天才「地獄の存在はお前も把握してるよな?」
召喚士「ええ……。この前戦士が言ってました。シャレになんねーって」
天才「地獄とこの地上の存在は言わば表裏」
召喚士「……」
- 338 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:14:31.14 ID:NsBDCG6Do
天才「地獄に変える。その本質が表裏であるならば……」
バサッ
召喚士「っ!?」
天才「ひっくり返した地図の裏面。これが地獄」
召喚士「ま、まさか……っ」
天才「あの無は地獄だ。魔王どもの狙いは、文字通り地上を地獄へと変える事だ」
召喚士「……っ!!」
天才「それなら魔王の配置も分かる。切り取り線を入れた東方から」
ススーッ
天才「中央へ縮めるように、世界を無に……地獄へと変えてゆく」
召喚士「そんな事を……魔王が……」
天才「何百年もかけて、世界を縮めてやがんのさ」
召喚士「でもっ、やっぱりそんな事……信じがたいですよ……っ」
天才「だろうな。俺様だってそう思うさ。確証は全くねぇんだし」
召喚士「……っ」
- 339 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:15:13.55 ID:NsBDCG6Do
天才「古代の学者もそうだったんだろうな。たった1人でもがいてたわけだ」
召喚士「何か、手がかりになりそうなものはないんですか?」
天才「小さな違和感をかき集めりゃあ、無くもない。決定打にはならんがな」
召喚士「た、例えば……?」
天才「1つ気になる事は、昔の地図がやたら少ねぇって事だ」
召喚士「地図……?」
天才「軍や民間含め、古い地図ってのがあまり残ってねぇ」
召喚士「!?」
天才「まぁ今ほど航海術も測量技術もなかったから、当然っちゃ当然なんだろうけど」
召喚士「でも、少ないっていうのはおかしいですよね?」
天才「だろ? 魔物が多かった昔は、今以上に地図の重要性があったはずだ」
召喚士「そうですよねっ!」
天才「民間に少ないってのはまぁ分からんでもねぇんだ。だがなぁ……」
召喚士「軍に残っていないというのは、不思議ですよね」
天才「今みてーなユルイ軍や国ならいざ知らず、古くはモロ帝政だったんだ」
- 340 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:15:54.02 ID:NsBDCG6Do
召喚士「……っ」
天才「そんな中で地図がねぇのは危険性を高める愚考だ」
召喚士「つまり、かつては間違いなくあった……という事ですよね」
天才「そう。何者かが意図的に抹消したって事だ」
召喚士「……あっ! まさか副司令が……!?」
天才「いーや、さっきも言ったが、俺様ですらようやくたどり着いた結論だ」
召喚士「あ、そっか……。古くにも学者1人しか言ってなかったですもんね」
天才「つまり、これは個人的な話じゃねぇ。都合の悪い連中がそうさせてたんだよ」
召喚士「……っ」
天才「魔物に加担する内通者だよ。それも歴代ずーっとだ」
召喚士「っ!!」
天才「あと1つは、世界の果てを目指したものは……その大半が行方不明になってる」
召喚士「!?」
天才「つまり無の中へ入ったものは帰ってこないわけさ」
召喚士「……っ」
- 341 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:16:27.77 ID:NsBDCG6Do
天才「そう考えると、全ての辻褄が合うんだよ。歴史と世界のな」
召喚士「確かに……っ」
天才「この地図みてぇにひっくり返されたら、世界は終わりだ」
召喚士「無が……訪れる……」
天才「ま、これが俺様の説だ。信じるか信じないかはテメー次第」
召喚士「確かに信じ難いです。でも……」
天才「……」
召喚士「でも、信憑性があると思います。説得力があるっていうか……」
天才「……ほぉ」
召喚士「でも何より、天才さんの説だから信じたい。俺はそう思います」
天才「……ハーッハッハッハ!! まぁな」
召喚士「ははっ」
天才「真実が明らかになるには、マーラ討伐が必須だ」
召喚士「……はいっ」
天才「俺様が生きているうちに、証明できるように頼むぜ」
- 342 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:17:05.43 ID:NsBDCG6Do
召喚士「……っ」
天才「そんじゃ、行くか」
召喚士「は、はい……っ」
カラカラカラッ
召喚士「あの、天才さん?」
天才「あーん?」
召喚士「天才さんはどうして、その学者を信じようと思ったんですか?」
天才「別に。だって可哀想じゃねぇか」
召喚士「……?」
天才「大昔から誰にも相手にされず、しまいにゃ埃かぶって本棚の片隅だぜ?」
召喚士「……」
天才「1人ぐらいは誰かが信じてやってもいいんじゃねぇかな」
召喚士「天才さん……っ」
天才「ま、俺様だって似たようなもんさ。ほれ、行くぞ」
召喚士「……はいっ」
- 344 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です) [sage] 投稿日:2011/12/04(日) 21:00:02.90 ID:zbO3GR1s0
天才さんマジ主人公
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