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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その38
532 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:16:18.98 ID:nnw6znbio
〜六道門・修羅付近〜

天才「っらああぁぁ!!」ブンッ!!

司令官「……」ヒュオッ

 ナンバーワンワーカー天才と国軍総司令官。知っての通り同一人物である。

 2つの顔を持つ彼は、情熱的で攻撃的な天才の側面と、

 沈着冷静で受け身の司令官という側面と、全く真逆の二面性を持っていた。

 あえて二面性を持たせる事で、自身を客観的に捉え、

 更にはあらゆる物事を正反対の位置から見る事でその整合性を図る。

 彼がそう思っていたかは不明だが、それは非常に効果的な用法であった。

天才「おらおらおらぁ!! どうしたぁ!!」

司令官「……ん」ガキイイィィィィン!!

 起因となる1つに、師の存在が影響した事は容易に想像がつく。

 かつての大元帥であったお師匠という男。彼は幼き頃から天才の面倒を見て、

 教養や学問、更には剣術の師でもあった。そしてもう1人の師がナイトという男。

 彼に魔法や戦術、ワーカーとしての心構えなど、実戦に基づいた知恵を与えた。


533 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:17:19.82 ID:nnw6znbio
天才「テメーも俺様だってんならっ、その程度で終わりなワケねーよなぁ!!」

司令官「……ん。どうかな」

天才「余裕気取りやがって。いけ好かねぇ態度だな!!」

司令官「君がそれを言うか」

 お師匠とナイト。2人は小さな頃から顔見知りであった。

 明るく活発で、どんな事にも物怖じしない村の子供達のリーダーであったお師匠と、

 お師匠の隣に住むいつも1人を好み、掴みどころのない不思議な性格のナイト。

 正反対の彼らは大人数の中でこそ接する事はなかったが、隣同士という縁もあり、

 2人きりの時は大変に仲が良く、互いを理解しあえる大きな存在であった。

天才「まぁどのみち、勝のはこの俺様だけどなぁ!!」

司令官「……どうかな」

 村が魔族に襲われ、ほとんどの人間が死んだ。お師匠とナイトは生き延びたが、

 村はとても人が住めるような状態ではなく、2人きりで村を離れ、生きる事となった。

 やがてお師匠は国軍へ入隊し魔王軍を倒すべく光の道へ。

 ナイトは群れるのが嫌いな性分があってか、ソロワーカーとして影の道を進んだ。


534 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:17:54.90 ID:nnw6znbio
天才「どうもこうもぉ! 分かってんだよ!」

 キュイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!

司令官「……危ないねぇ」

 キュイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!

 立場や場所は違えどその目的は同じ。魔王軍を倒す、魔族を滅ぼす事。

 地上という人間の世界から平和を取り戻す事。ただそれだけ。

 お師匠は国軍の頂点を、ナイトはワーカーの頂点への道をひた進み、

 決して交わる事のない光と影、2つの道は、あるきっかけを起点として交わった。

天才「テメーも俺様だってんならよぉ、見えるんだろ? 予言の力でよぉ!」

司令官「……だとしたら?」

天才「その力でよーく見てみやがれ。見えるはずだ、テメーの最後がな!」

司令官「……」

 天才という1人の存在が、光と影の道をつなぎ、全ての道が1つとなった。

 そこから人類の展望は急激に進展し、加速する事となる。

 3人の打ち出した究極の戦略、五か年計画の始まりである。


535 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:18:21.29 ID:nnw6znbio
天才「見たか? 見えたか? 自分の顛末がよぉ!!」

司令官「それは君かもしれないよ?」

天才「ハーッハッハッハ! そりゃそうだ。だが、俺様にはハッキリと見えてるぜ!」

司令官「……?」

天才「テメーにトドメを差す、この俺様の姿がよぉ!!」

司令官「……ふぅん」

天才「……客観的に相手すると、イライラするヤローだなテメーは!!」

司令官「……ん、同意見だね」

天才「こんな所で戯れてる場合じゃねぇんだよ!!」

司令官「君は、本当に良いのかい?」

天才「あ?」

司令官「この道の先には何が待っているのか、分かっているんだよね?」

天才「当たり前だろ。俺様が自分自身で決めた道だ。ずーっと前からな」

司令官「その為に数多くの犠牲を伴ってきた」

天才「ああそうさ。それもここで全部、清算だ。足りねぇかもしれんけどな」


536 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:19:18.20 ID:nnw6znbio
司令官「その先の道を見たいとは思わないのかい?」

天才「……」

司令官「君やお師匠やナイトさんが望んだ、本当の景色を見たいとは思わないのかい?」

天才「……愚問だな」

司令官「……」

天才「だがこれでいいんだよ。別に自分の為にやってきたわけじゃねぇ」

司令官「……」

天才「そっから先は生きる連中がどうするか、だ」

司令官「……ん。そうだね」

天才「少なくとも俺様が考えてた世界とは、すこ〜しずつ様子も変わってるしなぁ」

司令官「……」

天才「どのみち俺様みてーな古い考えじゃ、生きていけるか不安だわ。ハーッハッハ!」

司令官「魔物を排除し、滅ぼす事で、人間が幸せになれると思っていた」

天才「ああ。だがよー、蓋を開けてみりゃどうだい。何と共存してるじゃねぇか」

司令官「そうだね」


537 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:19:57.09 ID:nnw6znbio
天才「勝手に魔物を悪と決めつけて、分かり合う事ぁなかった」」

司令官「それはちょっと違くない?」

天才「あぁ?」

司令官「分かり合おうとしなかった……でしょ?」

天才「……」

司令官「君は分かっていた。人間の考えが理解出来る魔物も居るって事」

天才「……」

司令官「でもそれじゃあ、あまりにも時間が掛かり過ぎるし、ごく僅かの
      そんな魔物を、優先するわけにはいかなかったんだよね?」

天才「だとしたら、どうだってんだよ」

司令官「だから君はあえて魔物と接する事なく、戦いに身を投じた」

天才「……」

司令官「それが後世に悪行と罵られようともね」

天才「ゴチャゴチャうるせぇなコラ! 何が言いてぇんだよ!」

司令官「君、本当は生きたいんじゃないの?」


538 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:20:59.99 ID:nnw6znbio
天才「……!?」

司令官「自分の予想に反した今、生きたいと思ってるんじゃない?」

天才「勝手な事をホザいてんじゃねぇぞ!」

司令官「ここまで変わったのは誰のお蔭だろうねぇ」

天才「うるせぇって言ってんだろうが――」

司令官「……召喚士かな」

天才「――!?」

司令官「やっぱり、因果の外にいるのは召喚士かな?」

天才「……っ」

司令官「彼が絡んでから、歯車がずれ始めたよね? 結果的に良い方向にだけど」

天才「……知るかよ」

司令官「お陰で君は稀代の悪党から英雄へと様変わりだ。良かったじゃない」

天才「死ねばな」

司令官「だから死ぬのかい? 英雄になるべく」

天才「そうじゃねぇよ。これは俺様のケジメと、志半ばに散った同志との……堅い約束だ」


539 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:22:33.96 ID:nnw6znbio
司令官「君らしからぬアンサーだね。ま、別に気にしないけど」

天才「次代の為に多大な犠牲を払ってきたんだ。中には死んで貰ったに等しい連中だっている」

司令官「……ん」

天才「予言で死ぬと分かってて、戦地に送り出してきた」

司令官「全ては魔王軍を倒す為、だね」

天才「そんな犠牲を払っておいて、自分はのうのうと生きて英雄気取りだぁ?」

司令官「……」

天才「んなモン、許されるわけねーだろうが、アホ」

司令官「深く考えすぎだと思うけどねぇ。君の苦労は誰もが承知だよ」

天才「そういう問題じゃねぇ。俺様のワガママに付き合せたんだ」

司令官「……」

天才「テメーのケツくらい、テメーで拭かねぇでどうすんだよ」

司令官「不器用だよね」

天才「テメーだって俺様だろうが。そんくらい理解しろや」

司令官「そのつもりなんだけど、どうしても君の中に迷いが見えるんだよねぇ」


540 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:23:24.74 ID:nnw6znbio
天才「うるせぇって言ってんだよ!!」ギュアッ

 ザシュウウウウゥゥゥゥ!! ズザザッ

司令官「……」

天才「もうお遊びはこれまでだ。その仮面の裏にある偽りのツラ、拝ませてもらうぜ」

司令官「偽りは、君の方じゃないの?」チャキッ

天才「やってみりゃあ分かる。何度も言わすな。俺様のビジョンにゃ見えてるんだよ」

司令官「……」

天才「テメーが真っ二つになって死ぬ光景がよぉ!!」

 タァンッ!! ガギギイイィィィィン!!

天才「いい加減、予言の力で見てみろよ」

司令官「……」

天才「拝めるはずだぜ? テメーの死にっぷりがよぉ!!」

司令官「……君の死にっぷりも見えるよ」

天才「ああ見えるな! だがそれはこの場所じゃねぇ。もっと遥か高みにおいてだ!」

司令官「……ん」


541 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:24:04.52 ID:nnw6znbio
〜六道門・餓鬼〜

賢者「……ふぅ」パアアァァァァ

東方参謀「これで、あらかたの治癒は終えたか」

賢者「疲れたな、少し休むとするよ……ふぅ」ザッ

南方司令「さて、そろそろ開聞といこうか」

西方司令「力ずくっつー事は、俺らの出番か……もしくは違うか」

東方参謀「我ら3人ならばなんとかなるやもしれんな」

西方副司令「手伝いますよ?」

南方司令「構わん。ここは任せておけ」

師匠「そうそう。こういう力仕事はむさっ苦しい野郎どもに任せとけって」

東方参謀「……ふん。死にぞこないは退がっておれ」

師匠「へいへい」ザッザッ

エリート「陛下、どうしました?」

皇太子「いや、外の状況を見ていたのだが。まぁ大事ないようだな」

エリート「そのようで」


542 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:24:43.53 ID:nnw6znbio
 ザッザッザッ

青年兵「ここを抜ければ、いよいよ……」

大軍師「そう踏んでおりますが、まだ何があるか分かりませんよ」ヒラヒラ

青年兵「司れ……天才さんも来ませんしね。もう向かったのかな?」

大軍師「六道門がすべて開聞しない限り、ベルゼブブの元へは辿り着けないと聞きました」

青年兵「だったらまだ、交戦中とか?」

大軍師「あり得ますが、とにかく今はここを突破する事ですよ」

青年兵「……そうですね。召喚士さんらの動向も気になりますし」

大軍師「皆、目指す場所は同じですから」

青年兵「……魔王……ベルゼブブ」

大軍師「この戦いが終われば、ほぼ我らの勝ちと思って良いでしょう」

青年兵「残るはサタン……ですね?」

大軍師「サタンはこの地上へ姿を見せる事は出来ませんから」

青年兵「……なるほど」

大軍師「さて、いよいよ門を攻撃するようですよ」


543 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:25:28.18 ID:nnw6znbio
 ザッ

ジュニア「……な、なぁ」

マジシャン「あん?」

ジュニア「……」

マジシャン「お前、俺が誰か分かってんだよな?」

ジュニア「……当たり前だろ」

マジシャン「そうか」

ジュニア「1度、アンタの家へ行った事がある」

マジシャン「家? ああ、山にある別荘か」

ジュニア「そこでアンタの肖像画と……魔道士ちゃんのお尻を触ったっけなぁ」

マジシャン「!? な、何だとぉ!?」

ジュニア「ハッハ! ありゃ事故だったし仕方ねぇわな!」

マジシャン「……笑い声までソックリじゃねぇか、くそっ!」

ジュニア「さて冗談はこのくらいにして、アンタに色々と聞きたい事がある」

マジシャン「……ああ、今は戦闘中だから手短にしろよ」


544 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:26:10.83 ID:nnw6znbio
 ザッ

東方参謀「それじゃあ行くぞ」

南方司令「いつでも」ギュッ

西方司令「何が何でも……ブチ破る! いや、無理かもしれない……」

西方参謀「誰か使ってない得物持ってないか?」

 キュイイイイィィィィ……ゴゴゴゴゴゴ……

東方司令「……石破―ー」

 ガッゴオオオオォォォォン!! ゴゴゴゴゴゴ……

南方副司令「流石は東方先生だな」

南方参謀「ちょっと待って。いくらなんでも早すぎない?」

南方副司令「……言われてみれば確かに様子がおかしいな」「

南方参謀「行ってみましょ!」タッ

西方参謀「おいおい、どうしたってんだぁ? ヒック」

マジシャン「……?」

ジュニア「えっと……んじゃ、手短に聞くけどよ。アンタは――」


545 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/18(水) 18:27:30.64 ID:nnw6znbio
マジシャン「くっそぉ!!」

 ドンッ!!

ジュニア「!?」

 突如、突き飛ばされたジュニアは目を丸くしながら、光に飲み込まれるマジシャンを見た。

ジュニア「――っ!!」

 マジシャンだけではない。門の前にいた南方副司令、南方参謀、

 西方副司令、西方参謀の4人も、同時に閃光に包まれ、姿を消した。

 逆に至近距離で直撃した東方参謀、南方司令、西方司令の3人は地に伏せている。

 その様子は一目で重傷だと分かった。大量の出血と傷が遠目からでも見て取れる。

青年兵「ど、どういう事ですか……? 一体、何が……」

大軍師「……わ、分かりません……っ」

 神算と謳われる大軍師ですら予想だにしていない事態であった。

 六道門・餓鬼は外からではなく内から開いた。それは一体、何故か。

 答えは1つであった。アスタロスの次に控える魔物が存在したからである。

アスモデウス「んんーそうだねぇ、まずはここまで健闘した事を褒め称えるとしようかぁ」

 魔王ベルゼブブ配下、軍団長クラスの魔族、アスモデウスである。


547 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/18(水) 18:31:15.22 ID:Gf0S9ziDO
/(^O^)\ナンテコッタイ

おつんぽ!


552 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2012/04/19(木) 01:23:19.72 ID:6leNlC8AO
>>1おつ

と言いたいところだが一気に4人も死んでしまったん?ここで終了とか鬼畜すぎるぞオイ


553 名前:NIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage] 投稿日:2012/04/19(木) 02:04:02.19 ID:YBkIsFBy0
アブドゥル・・



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