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女商人「やっと私の出番ね」ルイーダ「あ、登録しただけよ」女商人「えっ?」
- 169 名前:NIPPERがお送りします [saga]
投稿日:2013/01/10(木) 14:06:23.53 ID:UhTBKY0AO
ホープバーク 商人収監の牢屋
商人「あ、れ?みんなもどって、きたの?」
武闘家「うん!商人に渡したいものがあって急いで来たんだ。」
商人「わた、したい、もの?わたしに?」
武闘家「そう。ほら、渡すからちゃんと受けとるんだぞ。」スッ
商人「う、ん」カサッ
商人「これ、はなんだ、ろう?てが、み?」カサカサ
武闘家「うん、手紙だよ。あなたのお父さんからのね。」
商人「お、とうさん?」バサ
商人は父親からの手紙をゆっくり読み始めた。
- 170 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 14:17:39.42 ID:UhTBKY0AO
拝啓 商人さま
お元気ですか?
私は元気でやっています。
んーやっぱりだめだ。堅すぎるな。娘に出す手紙じゃねえな。すまんな、もう一度。あ〜ゴホン
商人よ、元気でやってるか?
親父は元気でやってるぞ。
お前がアリアハンを発ってどれくらいになるだろうな?なんか随分経ってるような気がするけどな。そんなこと考えるのは俺が歳くったって事かな。
こちらはなにも問題なくやれてるよ。店の皆も時折、お前の事を話題にしてるぞ。ちゃんとやれてるか、とか。風邪引いてないか、とか。どうなんだ?
- 171 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 14:33:42.66 ID:UhTBKY0AO
それはそうと、アリアハンにもお前がもうひとりのじいさんと作ってる町の広告が届いたぞ。《ホープバーク》か、自分の名前を付けたりしないのはお前らしいよな。あの宣伝文句もよかったと思うな、つい読みふけっちまった。
よろず屋と庭師にも協力要請したんだってな。よろず屋の兄ちゃんが言ってたよ。「娘さんは立派にやってた。親父さんは心配しすぎだ」って、はっはっは。でもな親としても鼻が高いぜ。
ただな、気をつけてほしいのはな、町作りに限らずな、なんでもそうだが、なにかを始める時は最初はなんでもかんでも意気込んで頑張っちまうだろ?それはいいんだ、お前もそうだろう。
ただある程度、成果が出てくると人間ってのは油断や慢心が顔を見せる。これが怖いんだ。俺もそうだったからよくわかる。
- 172 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 14:51:30.08 ID:UhTBKY0AO
お前にはそうなってほしくないんだ。一度その深みにはまるとなかなか脱け出せないからな。自分が正しいと思い込んで、周りが見えなくなっちまう。他人を思いやることもできず、信頼を失う。こんなに恐ろしいことはないぞ。
そうなる前に、心を落ち着けて、最初のころの気持ちを思い出すんだ。よくお偉いさんが言うだろ?『初心忘れべからず』ってな。常にそれを心がけてりゃ心配することはないぜ。
とまあ、長々と説教みたくなったな、すまん。
あと改めて18歳おめでとう。いつかお前と酒を呑めたらいいな。武闘家ちゃんたちも世界中回って頑張ってるんだ、お前もほどほどに頑張れよ。
じゃあこの辺でペンを置くとするか。誤字脱字はないとは思うが、あったらスルーしてくれ。では、体に気をつけて、ちゃんとメシ食べて、たっぷり寝てやってくれ。
追伸:じいさんとかにはセクハラされたりしてないか?男には気をつけるよーにな。
アリアハンより 父
- 173 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 15:15:59.40 ID:UhTBKY0AO
商人「……………」カサ
武闘家「読んだ?どうだった?」
商人「……とう。」
武闘家「ん?」
商人「……ありがとう。お父さん。えっぐえっぐ、ぐすん」
商人「武闘家、手紙ありがとう!うわあぁぁん〜」
武闘家「えへへ!どういたしまして〜。」パアッ
勇者「よかったね。」
僧侶「うんうん、父は強しね。」
賢者「ぐすっ、ううう。商人さんよがっだ、よがっだです〜」ポロポロ
商人は自分をとりもどした。
- 174 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 15:27:33.58 ID:UhTBKY0AO
その後、商人は食欲を取り戻し、勇者達の差し入れをペロリと平らげた。商人は町作りを始めた頃のまっすぐな瞳に戻り、いつもの柔らかな物腰に戻っていた。
しかし勇者達は牢屋の鍵を手に入れていた最後の鍵で開けたが、商人は出ることを拒み、牢屋に残ると決意した。まだここで反省しなければならないこと、町の皆に謝って受け入れてもらえるまでは精一杯に努力すると勇者達に約束をした。
- 175 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 15:49:05.40 ID:UhTBKY0AO
商人「あっ!そうだ!あなた達が来たら渡そうと思ってたんだけど。」
勇者「なにをくれるの?」
商人「オーブよ、オーブ!イエローオーブ!」
賢者「え〜っ!?しょ、商人さんが持ってるんですか?」
商人「うん、いつだったかな〜。この町に旅のキャラバン隊が来たことがあったんだけど、滞在中の寝床とか食事を提供したら、お礼にってキラキラした黄色い玉をもらったんだよね。」
武闘家「それだー!商人グッジョブ!」グッ
商人「もしもの時を考えて私の家の庭に埋めてあるんだ。掘り出して持っていってね。」
僧侶「やったわね。これで全部のオーブが集まったことになる。」
勇者「苦労した甲斐があったよね〜!よっしレイアムランドに行って伝説の鳥を復活させよう!」
商人「こんな私でもみんなのお役に立てたかな?...よかった。」
- 176 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 16:01:27.64 ID:UhTBKY0AO
勇者「ありがとう商人、私達のために。」
武闘家「そうそう、あのね商人。あとで宿屋の兄ちゃんが顔出しに来るってさ」ニコニコ
商人「青年さんが?そっか嬉しいな、彼にもすっごく迷惑かけたし謝らなきゃ。怒ってるんだろうな...」
賢者「ふふふ、怒るどころか優しくしてくれますよ、きっと。」ニコッ
商人「え?なんで?」
僧侶「まあまあ細かいことはいいから、ね。」
武闘家「(案外鈍いんだな。)」
- 177 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/10(木) 16:06:30.64 ID:UhTBKY0AO
勇者達は商人の家の庭に埋められていたイエローオーブを無事掘り出して、その足で再び旅立っていった。
そしてさらに1ヶ月あまりが過ぎた。
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