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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その15
306 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:28:33.14 ID:XMoLGp6o
〜朝〜

召喚士「最後にもう一度確認するけど…良いんだね?」

戦士「ああ。立ち止まるのは一人で充分」

召喚士「…分かった。何かあればワークショップで逐一連絡を」

戦士「了解」

召喚士「じゃあ……また」

戦士「おうっ!」

魔道士「盗賊さん…行きましょう?」

盗賊「………」

俯く盗賊を抱きしめ、魔道士が召喚士の後を追う。

戦士「……」

テクテクテク…

ドクター「良かったんですか…?」

戦士「……ああ。いいんだ…これで…」

両拳を握り締め震える戦士の足元が、ぽつりぽつりと濡れた。


307 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:29:20.45 ID:XMoLGp6o


戦士「ほら…親父、行くぞ?」

野宿者「……うっ…うぅー」

ドクター「これからどちらへ?」

戦士「まずは故郷に帰ろうと思う」

ドクター「…それは良いと思います」

戦士「あそこにゃ顔見知りもいるし、何かきっかけがあればと思ってな」

ドクター「大変だとは思いますが…お気をつけて…」

戦士「おう、世話んなったな…!」

ドクター「あ、そうだ…。これを…」

ドクターは白衣のポケットから紙切れを取り出す。

ドクター「私の自宅…というか診療所です。何かありましたらご連絡を…」

戦士「…本国か」

ドクター「世話役が常駐しておりますので…」

戦士「分かった。助かるぜ…!」


308 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:29:46.77 ID:XMoLGp6o
〜船上〜

盗賊「…………」

デッキの手すりに腕を置き、穏やかに動く海を見つめる。

盗賊「…………」

頭上にはカモメが数匹飛び回り、時に独特の鳴き声を発す。

魔道士「盗賊さん…ずっとあの調子ですね…」

召喚士「しばらくは…仕方ないですかね…」

魔道士「やっぱり四人でお父様の…」

召喚士「そうしたいのは山山ですが…」

魔道士「…」

召喚士「親子二人の方がいい事もあります…」

魔道士「そうですよね…やっぱり…」

召喚士「それに…強引に付いて行っても、戦士は怒るでしょうし…」

魔道士「ずっと負い目背負ってしまいそうですもんね…」

召喚士「だから…今はこれで良いんだと思います」


309 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:30:14.43 ID:XMoLGp6o
スタスタスタ…

召喚士「盗賊さん…」

盗賊「…ん」

召喚士「間もなく西方に着きますよ。そろそろ…」

盗賊「…ん、ああ」

魔道士「何か飲みますか?」

盗賊「…いや…大丈夫」

召喚士「じゃあ戻りましょうか」

盗賊「……ん」

テクテクテク…

魔道士「西方に着いたらどうするんですか?」

召喚士「サモナーさんの所へ行こうと思ってます」

魔道士「サモナーさん…!?」

召喚士「しばらく音信がないので…。心配というわけではないのですが…」

盗賊「……」


310 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:30:58.29 ID:XMoLGp6o
〜西の港〜

魔道士「着きましたねー!」 

盗賊「…うん……そして暑い」

召喚士「えぇと、まずは一気に…西国目指して頑張りましょう!」

魔道士「はいっ!」

盗賊「…暑い」

三人は港を西へ進み、街道沿いを急ぐ。

魔道士「あれ?」

召喚士「どうしました…?」

魔道士「以前より、道が整備されてません?」

盗賊「…確かに…綺麗になってる…?」

召喚士「そうですね…。道幅も広くなってますし…」

魔道士「でもそのお陰で、商人さんも通行しやすそうですねっ!」

魔道士は指差す先には、複数の荷馬車から連なるキャラバンの姿がある。

その更に前方にも、大小さまざまな隊商が、広い街道を行き交っていた。


311 :GEPPERがお送りします [] :2010/06/02(水) 16:46:52.40 ID:Ycoitr.o
えええええ!
戦士がいなくなるなんて…
悲しいな…


312 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/06/02(水) 17:28:21.29 ID:kIH.HgSO
数年後…

そこには元気に庭を走り回る戦士と野宿者の姿が

野宿者「全ては戦士のお陰だよ」

戦士「何を言ってるんだお。僕は当たり前の事をしたまでだお。
僕たちを支えてくれた全ての人…特に召喚士魔導師、そして盗賊というかけがえのない仲間に感謝するお」



313 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 17:51:46.61 ID:XMoLGp6o
〜西国〜

魔道士「すっかり遅くなっちゃいましたね…」

召喚士「でも、一日で西国まで来られるようになりましたよね」

盗賊「…うん」

魔道士「どうします?お城、行ってみますか?」

召喚士「そうですね…。顔を出さないのも失礼ですしね…」

盗賊「……」

召喚士「でも、苦手なんですよね…ははっ」

魔道士「そうそうっ、接待というか…。待遇が…」

召喚士「そうなんですよ…。きっとまた泊まっていけ、って流れに…」

盗賊「…ご飯は…美味しいけど」

召喚士「久々に王子にも会いたいし、今日のうちに行きましょうか」

魔道士「はいっ!!」

盗賊「…同意」

三人はランプの優しい灯りで彩る街並みを抜け、城門へと足早に向かった。


314 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 17:52:13.27 ID:XMoLGp6o
〜城門〜

衛兵「…ふぁあ…早く交代こねーかなぁ…」

スタスタ

衛兵「おぉ…待ってました…」

盗賊「……?」

門兵「何だ…交代じゃなかっ……」

召喚士「へっ…?」

門兵「ままっ、待ってましたぁ!!さぁどうぞ!お入り下さいぃ!」

魔道士「!?」

門兵「召喚士様ご一行、お見えになられましたぁ!!」

召喚士「ちょ、ちょっと…やめて下さいっ!」

タッタッタッタッタ…

衛兵「何っ!?おぉ…!さぁどうぞこちらへ!」

召喚兵「あれが生ける英雄だぞ!」

新兵「おぉ…噂どおり、うつく…お強そうだ…!」


315 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 18:01:14.81 ID:XMoLGp6o
召喚士「…何…これ…?」

魔道士「さ、さぁ…」

衛兵の案内で、三人はあっと言う間に大広間へと通される。

シズシズシズ…

女王「お待ちしておりましたよ。皆様方…」

召喚士「これは女王陛下。ご機嫌麗しく…」

女王「おや…?戦士様のお姿が……」

召喚士「か、彼は今…別行動でして…」

女王「……そうであったか」

テクテクテク…

神官「これは召喚士殿、ご無沙汰しております」

王女「御機嫌よう」

魔道士「王女様っ!御機嫌ようっ」

盗賊「…ご、御機嫌よう」

見様見真似で、盗賊は両手で裾を持ち開き、挨拶をする。


316 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 18:05:12.36 ID:XMoLGp6o
王女「今日は泊まっていかれるのですよね?ねっ?」

魔道士「えっ!?あ…あぁーやっぱり……」

王女「また…色々とお教え頂けますか?お姉様…」

魔道士「!?」

盗賊「お、姉……」

魔道士「……分かりましたっ!エヘヘ!!」

召喚士「ま、魔道士さんっ!?」

神官「召喚士殿も是非、旅の話などをお聞かせ下さい」

召喚士「は、はぁ……」

魔道士「あの…っ、ところで王子様は…?」

神官「今はほとんど城におられませんよ…」

召喚士「そうなんですか…?」

神官「ええ…。お陰で政務は全て私に……」

盗賊「…ご愁傷様です」

神官「まぁ、良い事ではあるんですけれどね…」


317 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 18:09:15.64 ID:XMoLGp6o
魔道士「…?」

神官「王子の品行は日に日に良くなる一方でして…」

盗賊「……」

神官「これは直接民と接する場にいるからこそ…身が引き締まるというもの」

召喚士「なるほど…」

神官「今は軍を率い、魔物を西へと追いやる一方で、地域の復興や投資に力を注いでおります」

魔道士「おぉー!凄いじゃないですかっ!」

神官「ええ。王子の戦才は先代を凌ぐ程に優れていらっしゃいます」

女王「ええ。先代もさぞお喜びの事でしょう…」

召喚士「そうでしたか…」

神官「まぁ……政治については…からっきしですが…」

召喚士「それを神官さんが補っている…。いい流れじゃないですか」

盗賊「…うん」

神官「そう言って頂けると救われます…」

神官は申し訳なさそうな表情で苦笑する。


318 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 18:15:48.66 ID:XMoLGp6o
女王「これ、部屋の準備は?」

女官「整っております。ご案内致します」

王女「まずは入浴などいかがですか?うふふっ」

盗賊「…は、はぁ」

半ば強引な接待に戸惑いながらも、魔道士と盗賊は王女と女官に誘われ退室する。

神官「召喚士殿は私の部屋へ…」

召喚士「あ、はいっ…」

女王「食事の用意が整いましたら、お呼び致しますわ」

召喚士「あ、ありがとうございます」

神官「それでは参りましょうか」

召喚士「は、はい!」

テクテクテクテクテク…

神官「戦士殿はどちらへ…?」

召喚士「あ…っ、実は…ですね……」

召喚士は鉱山での出来事を神官へ伝える。


320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 18:27:43.01 ID:XMoLGp6o
〜神官の部屋〜

神官「……そうでしたか…お父上が…」

召喚士「ええ…」

神官「私も何かお手伝い出来れば良いのですが…特に思いつきません…」

召喚士「いえいえっ、お気持ちだけで充分です」

神官「して、最近はどのように?召喚獣収集ですかな?」

召喚士「それについてはひとまず落ち着きました」

神官「そうでしたか。それは結構…」

召喚士「今は…ですね……」

〜風呂〜

王女「……」

フニフニ

魔道士「ど、どうしました…?」

盗賊「……?」

王女「い、いえっ……何でもありません…」


339 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:03:53.27 ID:hObAsVIo
カポーン

盗賊「……ふー」

魔道士「気持ちいいですねぇ〜」

盗賊「…うん。広いお風呂は…久々だ」

王女「……」

盗賊「…な、何だ?」

魔道士「…?」

王女「盗賊様はいつから…そのようなお身体に…?」

盗賊「…と…言いますと?」

王女「あの…ですから…」

ザバッ…タユンッ

魔道士「これの事ですよね!」

盗賊「ちょ、ちょっとっ!…もうっ」

王女「え、えぇ…」

盗賊「……13…かな」


341 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:04:33.88 ID:hObAsVIo
王女「!?」

盗賊「13歳!?」

盗賊「あっ、そ…その頃から…大きくなりだして…その」

王女「私…もう17になりましたわ…」

魔道士「……20になりましたけど」

盗賊「……」

王女「何が違うのでしょうか…。食生活などでしょうか…」

魔道士「牛乳飲むと良いって聞きますよね!盗賊さんも…」

盗賊「…牛乳は嫌い。…すぐお腹痛くなるから」

王女「……」

魔道士「……」

盗賊「……あ、あの…っ」

王女「…私は、そういう事で判断しない殿方を選びたいと思います」

魔道士「……私も…そうします」

盗賊「……う、うん」


342 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:05:03.07 ID:hObAsVIo
チャポッ…パシャパシャッ…

魔道士「でも…凄いですね」

盗賊「…?」

魔道士「王子様もまだ11歳ですよね?」

王女「この前12歳になりましたわ」

魔道士「おぉ、それで戦場に出てるんですもんね…」

盗賊「…うん」

王女「最初の頃はなんというか…ただ猪突猛進で…」

盗賊「……」

王女「でも今はきちんと、自分の事も理解してやっているようですわ」

魔道士「凄いなぁ……」

盗賊「…うん」

王女「私にとってはお姉さまがたの方が…凄いと思いますけど…」

盗賊「…?」

魔道士「そうですか?」


343 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:05:38.81 ID:hObAsVIo
王女「ええ。まだ嫁入り前にも関わらず…世界を旅されて…」

盗賊「……」

王女「ましてや凶暴な魔物を…。尊敬致しますわ」

魔道士「そ、そんな事ないですよ!ねぇ…?」

盗賊「そ、そうだっ」

王女「あ、あのぉ…」

魔道士「は、はい…!」

王女「……お二方はその…と、殿方との経験など…」

盗賊「っ!?」

魔道士「け、けけ…経験とぉ…言いますと…っ!?」

王女「あっ、い…いえっ!私とした事がはしたない…!申し訳…」

魔道士「いっ、いえ…!おお気になさららずっ!!」

盗賊「う、うんっ!」

魔道士「な、なんだかのぼせてきましたねっ!あ、上がりましょうか!」

盗賊「そ、それがいい!うんっ!」


344 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:06:10.11 ID:hObAsVIo
〜神官の部屋〜

神官「…成る程。国軍もかなり本腰ですね」

召喚士「ええ。数年以内にカタをつけるつもりのようです」

神官「…あまり事を急ぐのも…危険かとは思いますが」

召喚士「ええ。でも…滅多に訪れない好機なのも間違いはないです」

神官「……分かりました。我ら西国も出来る限りのご協力は致しましょう」

召喚士「!?」

神官「…と、言っても…本国から話があれば…ですがね」

召喚士「……ええ」

神官「西国と本国は、西方諸国のような険悪な状態というわけではありません」

召喚士「……」

神官「しかしそれはあくまで交易に基づいた友好関係と言えます」

召喚士「それが軍事同盟となれば…」

神官「まぁ…いずれその日は来るかとは思いますが…」

召喚士「…?」


345 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:06:37.48 ID:hObAsVIo
神官「ご存知ですか?ここよりはるか西に位置する…砂漠の果て…」

召喚士「いえ…。何か…あるのですか?」

神官「普段険悪な我ら西方諸国が、唯一…団結するのです…」

召喚士「……?」

神官「その古代遺跡に棲まう…一匹の魔物のために…」

召喚士「ま……まさか…」

神官「最後に戦ったのは21年前だそうです」

召喚士「魔王……っ!!」

神官「その名を…魔王『イブリース』……」

召喚士「――っ!!」

神官「…とは申しても、私自身…見た事もありませんが…」

召喚士「……」

神官「西国は西方諸国の中でも、最も東に位置する国です」

召喚士「え、ええ…」

神官「そのせいもあってか、連合の際には後方支援がメインでした」


346 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:07:37.33 ID:hObAsVIo
召喚士「…でした…?」

神官「ええ…。今までは、です。しかし現状は全く違う」

召喚士「今後は西国が盟主となり……」

神官「西高原国、西海岸国と…立て続けに滅んでしまいましたから…」

召喚士「そうか…。前線を務める国が…既に…」

神官「そうです。もし今後…イブリースを討伐する話しがあるならば…」

召喚士「……必然的に西国が筆頭となるわけですね…」

神官「国軍のみに任せっきり…というわけには参りませんから」

召喚士「だからと言って、西方のみでは力が…」

神官「その通りなのです」

召喚士「…でも、今まで魔王が侵攻してきた事はないのですか?」

神官「私が文献で知る限りはありません」

召喚士「……何か…理由があるのでしょうか…?」

神官「さぁ、そこまでは何とも……」

召喚士「……」


347 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:08:16.14 ID:hObAsVIo
神官「とにかく、こちらから手を出さない限り…イブリースは動きません」

召喚士「…時間はある…と?」

神官「…その刻までに、西国も早急に下準備を整えましょう」

召喚士「……頑張ってください」

神官「…召喚士殿、きっと貴方の力も必要になりますよ」

召喚士「…?」

コンコン…カチャッ

女官「お食事の準備が整いました」

神官「おっと…。話が長くなってしまいましたね…」

召喚士「あっ、もうこんな時間か…」

神官「それでは広間へ戻りましょうか」

召喚士「あ、はいっ…」

席を立つ神官の後を追うように、召喚士も椅子から腰を上げる。

召喚士「あ、そうだ…。神官さん……」

神官「……?」


348 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:10:11.58 ID:hObAsVIo
召喚士「アヌビスの方はどうですか?」

神官「……えぇ。まぁ」

召喚士「…?」

神官「西高原国にて発掘した文献のお陰で、解析は進んでおります」

召喚士「そうですか。良かった」

神官「まだ不明瞭な部分が多いので何とも言えませんが…」

召喚士「…なるほど」

神官「西高原国にはまだ書物も多数存在するようです」

召喚士「じゃあ…それを回収出来れば…」

神官「はい。今現在も徐々に回収は進めているところです」

召喚士「そうでしたか…!」

神官「ただ……」

召喚士「……ただ?」

神官「いえ、失礼。行きましょう。皆…待っておられる事でしょう」

召喚士「あっ、はい…っ」


349 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:11:37.54 ID:hObAsVIo
〜大広間〜

盗賊「……おぉ」

魔道士「凄いご馳走…っ」

女王「東西に貿易路が拡張した事で、様々な食材が手に入るようになりました」

魔道士「確かに…。魚介類も豊富に…!」

召喚士「本当だ…」

王女「さぁ召喚士様、こちらへお座り下さいませ」

召喚士「あ、ありがとうございます」

王女「ふふ…っ!」

盗賊「…いただきます!」

神官「酒もありますよ。あっ、魔道士さんはまだお酒が飲め…」

魔道士「飲めますっ!」

神官「…!?そ、そうでしたかっ。失礼…」

魔道士「いただきますっ!!」

召喚士「あ、あの…魔道士さん。あまり飲みすぎないように…」


350 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:12:41.43 ID:hObAsVIo


魔道士「ご馳走様でしたっ!美味しかったぁ!」

王女「喜んで頂けて光栄ですわっ、お姉様!」

女王「こちらこそ旅のお話など、ありがとうございました」

召喚士「いえっ、とんでもないです…!」

神官「いつかは私も世界、というものを見てみたいものですね」

魔道士「楽しいですよー!…大変な事もありますけど」

盗賊「…うん。世界は…広い」

王女「私もご一緒しようかしら…」

召喚士「えっ!?」

女王「これ、皆様を困らせるでない…」

王女「分かっております。ふふっ」

召喚士「で、では…おやすみなさい」

神官「明朝、見送らせて頂きますので」

魔道士「おやすみなさい!」


351 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:14:20.77 ID:hObAsVIo
〜部屋〜

召喚士「……はぁ」

ベッドに横たわり、天井を見つめる召喚士から溜息がこぼれる。

召喚士「……」

ゴソッ…モゾッ…

召喚士「寝付けない…」

バサッ…スタッ……テクテクテク

個室を出ると左右に長い通路が伸び、その正面にはテラスが見える。

召喚士「……」

テラスに向かう召喚士は、扉をあける前に先客の存在に気づく。

カチャッ…キィッ…

召喚士「…盗賊さん」

盗賊「……召喚士…まだ、寝ないのか?」

召喚士「何だか…寝つけなくて。ははっ…」

盗賊「……そうか。私もだ」


352 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/03(木) 18:43:05.90 ID:hObAsVIo
召喚士「何だか…いつもより部屋が広くて…」

盗賊「……ん」

召喚士「……」

盗賊「……」

召喚士「戦士…故郷へ戻ったんですかね…?」

二人はテラスより外を眺めながら話し続ける。

盗賊「…どうだろうな」

召喚士「早く良くなるといいですね…」

盗賊「……召喚士」

召喚士「は、はい…?」

盗賊「…私達は…私達の出来る事を頑張ろう」

召喚士「…盗賊さん」

盗賊「…戦士に…笑われないように」

召喚士「……そうですね」

テラスに広がる夜景はただただ暗く、月だけがぼんやりと浮かんでいた。



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