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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その39
344 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:44:27.33 ID:CNKwJS11o


玄武娘「サモナー様ぁ!!」

サモナー「ごほごほっ!!」

朱雀嬢「……凄い人数ね」

西方副司令「ええ。これでも順番に、本国へ搬送してるんだけどね」

鍛冶娘「これで最後の箱ですっ。どこに置きますかぁ!?」

ドクター「空いている所へ適当に積んでおいて下さい!」

博士「死傷者数えるのもままならんのら。公表は推定値になるのら」

参謀「構いませんよ。報道向けには少ない方が好都合かと」ザッ

博士「もう戻ると思うのら」

参謀「ええ。ですので、出迎えに行って参ります。失礼」バサッ

博士「……」

助手「博士〜。次の馬車まだぁ〜?」

博士「ああ、もう手配出来てるのら。任せたのら」

助手「はぁーい♪ そんじゃま、怪我人を積んできまーすっ」


345 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:45:13.99 ID:CNKwJS11o


大軍師「……」ザッザッ

参謀「お帰りなさいませ。ご無事何より」

大軍師「被害状況は?」

参謀「楽観出来るものではないとだけ申しておきます」

大軍師「おおよその人数と主たる戦死者が判明次第、連絡を」

参謀「はい」

青年兵「あ……」

大軍師「どうなさいました?」

青年兵「あ、いえっ。先に戻ってて下さい」

大軍師「承知致しました。大元帥殿も速く戻られるよう」

青年兵「お気遣いありがとうございます」ザッ

参謀「戦後処理にあたる兵を残し、北関へ移動致します。宜しいですね?」

大軍師「任せるよ。少し疲れた、仮眠を取らせて貰います」スッ

参謀「……ごゆるりと」


346 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:45:48.96 ID:CNKwJS11o


青年兵「はっ、はっ、はぁ……っ」

 タッタッタッ……ズザッ

青年兵「あのっ!!」

師匠「……?」

マジシャン「おーう。大元帥様じゃんかよ」

青年兵「どちらへ……?」

師匠「悪いけど休ませてもらうよ。ちょいとばかし疲れちまった」

マジシャン「力を使いすぎた。これじゃサタンまでもたんぜ……ハッハ!」

青年兵「お会いにはなられないんですかっ!? 召喚士さんにっ!!」

師匠「今、会っちまったら……いや、あいつはとうに、俺なんぞ越えてる」

青年兵「……」

師匠「今更あいつと会う必要なんてねーのさ。そんじゃな」クルッ

マジシャン「次はサタンだろ? また会おうぜ」ザッ

青年兵「……っ」


347 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:46:19.38 ID:CNKwJS11o
 ザッザッザッザッ……

マジシャン「会っちまったら、決意が揺らぐってか?」

師匠「……さぁな」

マジシャン「ハッハ。まー分からんでもないけどな」

師匠「……あ?」

マジシャン「俺も息子にバッタリと、会っちまったからよ……ハッハ」

師匠「何っ!?」

マジシャン「やっぱ揺らぐよ。だが、会って良かったぜ」

師匠「会っても会わなくても辛いんだったら、楽な方を選ぶってもんだ」スタスタ

マジシャン「後悔しねーのか? それでよ」

師匠「……うるせぇな。1度は死んだ身なんだ、どのツラ下げて会えってんだよ」

マジシャン「そっちが本音か? 下らねぇー意地張ってると、後悔すんぞ?」

師匠「うるせぇな!!」

マジシャン「ハッハ! まぁいいや、ちゃーんと考えておけよ」

師匠「……っ」


348 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:47:07.26 ID:CNKwJS11o


おさげ「あっ!! 戻ってきたぁ!!」

召喚士「こっちもボロボロだなぁ」

魔道士「ですねぇ。大変だったみたいですね……」

アマゾネス「お帰りなさい」

召喚士「皆さんもご無事ですか?」

色黒「何とか、ね」

朱雀嬢「でも、サモナーさんが……」

魔道士「え……っ!?」

戦士「まさか、やられたのか!?」

朱雀嬢「いえっ、生きてますけれど……その……」

盗賊「……召喚士」

召喚士「……?」

盗賊「あそこ。呼んでるみたいだ」

召喚士「……行ってきます」


349 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:47:37.30 ID:CNKwJS11o
 タッタッタッタッタッ……

召喚士「マーメイドさんっ」

マーメイド「召喚士くん、無事のようね」

召喚士「あのっ、サモナーさんが大変だと……」

マーメイド「今は医務室で寝ているみたい」

召喚士「そう、ですか……っ」

マーメイド「ねぇ、見て」スッ

召喚士「……?」

マーメイド「私の手、前より透けて見えない?」

召喚士「……本当だ……っ!」

マーメイド「これがどういう事か、あなたになら分かるわよね?」

召喚士「……っ」

 マーメイドの言わんとするそれは即ち、召喚主による魔力の低下が原因であった。

召喚士「サモナーさんが……」

マーメイド「……1か月」


350 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:48:03.90 ID:CNKwJS11o
召喚士「――!?」

マーメイド「もって、そのくらいかもしれないわ……っ」

召喚士「……くっ」

マーメイド「彼の臨んだ事とはいえ、私……っ」

召喚士「……大丈夫です。もう残る敵はただ1人ですから」

マーメイド「召喚士くん……」

召喚士「せめてっ、短い時間だったとしても……」

マーメイド「……」

召喚士「お2人がゆっくり過ごせる時間を、俺が用意しますからっ!!」

マーメイド「ありがとう、召喚士くん」

召喚士「だから、どうかサモナーさんにはこの先、ゆっくりと休んで貰うようにして下さい」

マーメイド「ええ。悪いけどそうさせて貰うわね」

召喚士「……っ」

マーメイド「残る魔力はサモナーの生命維持に……」

召喚士「ええ……っ」


351 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:48:35.90 ID:CNKwJS11o


 スタスタスタ……

戦士「おう、この後はどうすんだ?」

青年兵「ひとまず北関へ移動致します。皆様もご一緒に」

盗賊「承知した」

大軍師「既に各自、移動を始めております。ご自由なタイミングで移動して下さいませ」

魔道士「はいっ。ありがとうございます」

鍛冶娘「戦士ーっ!!」タッタッタッ

戦士「おう、どうした?」

鍛冶娘「どうだった?」

戦士「ああ、ベルゼブブなら天才が――」

鍛冶娘「違うわよっ!! 違くないけど」

戦士「はぁ?」

鍛冶娘「鉱石っ!! 魔王が居たならあるはずでしょ!?」

戦士「あ……っ!!」


352 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:49:02.43 ID:CNKwJS11o


戦士「……てなわけなんだが」

青年兵「そうですね……」

参謀「流石に直後は危険が伴いかねませんね」

大軍師「戦後処理もありますし、それと並行して行わせましょう」

戦士「すまんっ!!」

大軍師「良いな?」

北方兵「ははっ!」

大軍師「あと、瓦礫の中に黒いステッキが見つかるかもしれません」

北方兵「ステッキ……ですか?」

魔道士「あ……っ」

戦士「正確には十字架みてーなステッキ型の剣だ」

大軍師「もし発見しても、決して触れぬように厳命を」

北方兵「了解致しました! 現場指揮の特遊隊長にお伝え致しますっ!」ザザッ

青年兵「宜しく頼みます」


353 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:49:30.17 ID:CNKwJS11o
 テクテクテク……

召喚士「青年兵くんに大軍師さん。それに参謀さんも……」

戦士「戻ったか」

召喚士「あ、うん……」

盗賊「皆は北関へ移動するようだ。我らも向かうとするか?」

召喚士「……そうですね」

青年兵「馬車も手配してありますので、ご自由にお使い下さい」

魔道士「ありがとうございます。助かりますっ!」

戦士「顔色が優れんが、大丈夫か?」

召喚士「うん、大丈夫。みんなにも後で話さなきゃならない事があるんだ」

魔道士「……?」

盗賊「まさか、サモナーの事か?」

召喚士「……ええ」

戦士「……分かった。とにかく、北関へ移動して一息ついてからにしよう」

召喚士「うん」


354 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:50:01.41 ID:CNKwJS11o
 魔王ベルゼブブ率いる最大最強の魔王軍。

幼女「う……ん……」パッカパッカ

剣士「起きたかい? 戦いはもう終わったよ」

弓使い「幼女もほんと……よく頑張ったね。お疲れ様」

 人類にとっても類を見ない大戦は今、終わりを告げた。

紅孩児「なぁ、当然サタンも殺るんだろ? 俺も参加するぜ。そうすりゃ魔王は居なくなる!」

同門「勝手にしろ。俺は自分の意思で動くだけだ」ザッザッ

 甚大な被害を被った一同であったが、その代償に魔王ベルゼブブは完全に消滅した。

西国兵「撤退の準備、整いました」

王子「いざ北関へ出発する。……西国兵長、安らかに眠ってくれ」ザッ

 そして告げられた真実。スーパームーンとスーパーノヴァ。

槍侶「痛……っ」

帝「大丈夫か?」ナデッ

槍侶「――――!?」ブシュッ!!

名代「傷が開いたぞっ! 包帯を!」

僧兵長「槍術を磨く必要な無くなった。今後は精神を鍛える事に没頭すべし! 喝っ!」


355 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:50:31.64 ID:CNKwJS11o
 残る日数はあと2週間余り。はたして人類は滅亡を免れる事は出来るのであろうか。

三男「老将軍の様子は?」

白馬騎士「未だ目覚めませぬ。今は安静にする事が最優先かと」

 その方法はただ1つ。魔王サタンを討つべし。

魔道士「召喚士さん?」

戦士「どうした、行くぞ」

盗賊「……」

召喚士「行きましょうか」

〜???〜

ヒュオオオオオォォォォ……

ネクロマンサー「……終わったようですね」

魔剣士「……」

ネクロマンサー「さて、いよいよ最後の魔王です」

魔剣士「……」

ネクロマンサー「彼らならばきっと、真理の扉を……開いてくれるでしょうねぇ。ククッ」


356 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:51:04.61 ID:CNKwJS11o


青年兵「……」

博士「皆、行ったみたいなのら」

青年兵「博士は行かれないんですか?」

博士「もう少し、この光景を目に焼きつけておきたいのら」

青年兵「なるほど」

博士「絶対に忘れてはいけない、2度と起きてはいけない光景なのら」

青年兵「全くですね。でも、これでようやく終わり――」

博士「なのら」

 ドサッ

博士「……?」

青年兵「……」

博士「しっ、しっかりするのら!! おいっ、誰か!!」

青年兵「…………」

博士「大元帥っ、大元帥ー!!」


357 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:51:32.04 ID:CNKwJS11o
……――

――「大元帥っ!!」

大元帥「……?」パチッ

――「おぉ! 全く、心配させるのじゃ」

大元帥「こ……こは……?」

――「病院なのじゃ。大元帥は演説の後、疲労で倒れて気を失っていたのじゃ」

大元帥「そう……か」

大参謀「式典は滞りなく無事、閉会致しました」

大元帥「世話をかけたな、大参謀。それに……博士も」

博士「いや、儂はたまたま通りかかっただけなのじゃ」

大元帥「そうであったか」ムクリ

大参謀「まだ、あまり動かれぬ方が……」

大元帥「構わん構わん、それよりも何か軽食を持ってきては貰えぬか? 腹が減った」

大参謀「食欲があるようならば心配はなさそうですね。承知致しました」スタスタ

大元帥「しかし博士、君と2人っきりで話すもの久しいな」


358 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:52:23.06 ID:CNKwJS11o
博士「そうなのじゃ。こうして2人きりでいると、あの日の出来事が目に浮かんでくるのじゃ」

大元帥「あの日……ああ、ちょうど今日であったなぁ」

博士「あれから50年。もう戦いの事を知る人間も僅かになったのじゃ」

大元帥「……そうだな」

博士「寂しい話なのじゃ」

大元帥「だが、それで良い」

博士「……」

大元帥「戦を知らぬ若い連中が、戦のない時代を作ってくれる」

博士「……そうなのじゃ」

大元帥「それで、博士は何故ここに?」

博士「ああ、実は南東国の王が病に伏せておるのじゃ」

大元帥「何と……っ」

博士「南東国の医療も決して劣ってはおらぬが、念には念を入れて本国へ移ってきたのじゃ」

大元帥「そうであったか」

博士「さっき、王と夫人に顔を見せに行ったのじゃ。君も行くと良いのじゃ」


359 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:53:18.62 ID:CNKwJS11o
大元帥「ああ、そうさせて貰うよ。2人に会うのも久しいしな」

博士「……さて、儂はもう行くよ。南東国王の為に薬を作らなくてはならんのじゃ」

大元帥「ご苦労様。博士も元気でな」

博士「ああ。君もな、青年兵大元帥殿」

 スタスタスタ……ピタッ

博士「ところで、彼らは元気でやっておるのじゃ?」

青年兵「今日の招待状も出したんだが、音沙汰なくてな」

博士「まぁ便りがないのは無事な証拠とも言うのじゃ」

大元帥「……そうだな」

博士「じゃあ、失礼するのじゃ」パタン

大元帥「……」

 サアアアアァァァァ……

 風が吹いた。病室から見える中央広場の緑。そこに佇む黒ずんだ銅像。

 笑っていた。口を開けて高らかに。その肩にツヴァイハンダーを担いで。

 カーテン越しに風が走り去って行った。長く長く、風と共に去りぬ。


360 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:54:02.71 ID:CNKwJS11o
【第87次北伐、魔王ベルゼブブ攻略大戦 ※但し、聖王時代からの数値とする】

北伐成功。魔王城陥落、及び魔王ベルゼブブの完全討伐を確認。

また、魔王ベルゼブブ眷属であるアスタロス、アスモデウス、ウォッチマン、

オルクス(真偽不明)、オルトロスの完全討伐を確認。

併せて、ネクロマンサーのラボについての破壊も完了を確認。

上記戦闘に準じて、北の森、川中島をはじめとする複数個所の魔王軍領土を奪還。



【各被害推定人数、及び主たる戦死者一覧】

国軍戦死者:1693名(推定)、負傷者:29887名(推定)、行方不明者:8091名

西国戦死者:490名(推定)、負傷者:3668名(推定)、行方不明者:181名

東方戦死者:904名(推定)、負傷者:447名(推定)、行方不明者:67名

華国戦死者:220名、負傷者:2066名(推定)、福江不明者:1415名(推定)

ワーカー戦死者:330名(推定)、負傷者:1014名(推定)、行方不明者:193名(推定)

その他、一般人戦死者:90名(負傷者、行方不明者は記述なし)

魔王軍死者:多数(推定80万と記す手記あり)


361 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:54:38.38 ID:CNKwJS11o
【主たる国軍戦死者】

隊長(本国国軍特殊遊撃強襲隊 隊長)

騎士団長(本国国軍騎士団 団長)

北方司令(本国国軍北方司令部司令)

【主たるワーカー戦死者】

天才(功績ランク1位。元本国国軍総司令官、元UFRチャンピオン)

眼鏡「(功績ランク2位)

女賢者(功績ランク5位)

お父(功績ランク1188位)

ウィッチ(功績ランク3470位)

偽戦士(功績ランク3470位、ドッペルゲンガー)

【主たるその他、一般人戦死者】

西国兵長(西国軍、士官)

影忍(元藤蔵若頭、影 頭領)

イヌ(女侍盗賊団 団員)

ヒゲの男(最北の村屯田兵)

詩人(吟遊詩人)


362 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 16:56:00.30 ID:CNKwJS11o
 勇敢と無謀を履き違えてはならない。

 慎重と臆病を履き違えてはならない。

 自信と慢心を履き違えてはならない。

 勇者は一人であり、全員が勇者である――――。





〜第六十一部、完〜


364 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/06/01(金) 17:12:17.75 ID:CNKwJS11o
今日はなんだか自分で書いててしんみりきちゃった…なんてキメェww
本日はとりあえずここまで…かな?ご支援ありがとうございました!
それではまた!次回よりサタン編!いよいよラストバトルでっす!ノシ



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