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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その30
916 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 18:22:04.23 ID:qIOFSEkSo
ドズウウゥゥン!!

北の森と草原の間、岩場に響き渡るベヒーモスの足音。

大軍師「副司令、正面をお願い出来ますか?」

青年兵「任せて下さい!」

タタタッ…ズザァ

ベヒーモス「グ……ゴアアァァァァ!」

青年兵「来いっ!!」

猛突進を仕掛けるベヒーモスの正面に回りこむ青年兵。

ワイバーン「どうする? このままでは吹き飛ぶぞ?」

青年兵「まだだ、大軍師さんが何かしてくれるはずだ」

ドウッ!!

ベヒーモス「グガアアァァァァ!!」

大軍師「今ですっ!!」

手にする羽扇を振り上げる大軍師。同時に、竜巻のような風が巻き起こり、

跳躍するベヒーモスを掬い上げるように、宙へと放り出す。


917 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 18:22:47.11 ID:qIOFSEkSo
ゴウッ!!…ゴゴオオォォォォ!!

ベヒーモス「グ……ウウゥゥゥ」

砂塵が風邪の中心部へと集まり、砂嵐がベヒーモスを襲う。

青年兵「いっけえぇ!!」

視覚を遮られたベヒーモスの背後より、ワイバーンが襲いかかる。

ワイバーン「ハアアァァァァー!!」

ザシュウウゥゥゥゥ!!

ワイバーン「浅いか? いや、それよりもコイツ……」

前足でベヒーモスの背中を抉るワイバーンの一撃。

しかしベヒーモスはそれに臆する事なく体を捻り、体制を立て直す。

ベヒーモス「オ……オオォォォォ!!」

大軍師「閃光……来ますよ!」

青年兵「っ!!」

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォン!!

打ち放たれた閃光が砂嵐を切り裂き、森の上空へと光線を描く。


918 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 18:23:32.54 ID:qIOFSEkSo
大軍師「……っ」

オオォォォォ…

ベヒーモス「……?」

ズズッ…ゴゴゴゴゴゴ…

大軍師「ワイバーンは……」

収まる砂嵐から現れる青龍召喚獣。しかしそれはワイバーンではない。

青年兵「……これで……終わりだ!!」

バハムート「グゴオオォォォ…アアァァァァ!!」

大軍師「バハムート! そうか、砂塵をカモフラージュにスイッチを……」

閃光が放たれる直前、青年兵はワイバーンの召喚を解除し、

背後を見せたベヒーモスへバハムートを召喚し、仕掛けた。

ベヒーモス「オオォォォォーッ!!」

バハムート「グガアアァァァァ!!」

宙へ投げ出されたベヒーモスの着地と同時に、バハムートの口内より光が迸る。

とてつもない衝撃と爆音の中、ベヒーモスは消滅した。


919 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 18:24:21.20 ID:qIOFSEkSo


コート男「……ふーむ」

後方で立ち上る粉塵と煙を見上げ、コート男は一度足を止めた。

コート男「やはりあの若さで青龍が信頼するだけの事はあるか」

シュイイィィィィン

ベヒーモス「グゴオオォォォォ」

コート男「ま、勉強になっただろ。召喚術は魔力の絶対量ではないという事を」

再召喚されたベヒーモスは咆哮を挙げた。それはまるで、砂塵の元にいる

青年兵とバハムートを嘲笑うかのような笑い声にも聞こえる。



大軍師「どういう……事です!?」

青年兵「……僕が倒す前に……召喚解除したんですよ」

大軍師「馬鹿な……っ、東方副司令ははるか遠方にいるんですよ!?」

青年兵「状況も見えぬ遠隔操作だと言うのに……」

大軍師「化け物ですね。一体どれ程の力を隠しているのか……」


920 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 18:25:40.56 ID:qIOFSEkSo
ザザッザザッ…ザンッ

フェンリル「ガウゥッ!!」

草原を駆ける召喚獣の群れ。無造作に高く伸びる草を隠れ蓑に、

盗賊は身を屈めて、腰より愛刀である薄緑を鞘より抜く。

気配を嗅ぎつけて襲いかかるフェンリルとガルムは、盗賊の前で飛び掛かる。

ガルム「グアウウゥゥ!!」

盗賊は重心低く、矢のように前方へと飛び出し、回転を交えながら

すれ違いざまに上を通過するガルムの腹部を切り裂く。

ザシュウウゥゥゥゥ!!

盗賊「……次」

着地と同時に今度は大きく飛び上がり、上空より召喚獣の動きを捉える盗賊。

ジャララッ…クルクル

盗賊「……隙あり!」

ビュオッ…シュウウゥゥゥゥ…ガシィ!!

フェンリル「――!?」


921 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 18:27:47.10 ID:qIOFSEkSo
草原を疾走する1体のフェンリルに狙いを定め、盗賊は鎖を投げ放つ。

標的を一撃で鎖の檻に閉じ込めた盗賊は、声高らかに地上の男性へ叫ぶ。

盗賊「戦士!」

戦士「おうよ!」

呼応した戦士は、鎖に身動きを封じられ身体を空中へ浮かせるフェンリルに対し、


手にした戟を出すと、フェンリルは一突きの下に姿を消した。

ズブッ!!…ザシュウウゥゥゥゥ!!

フェンリル「――ッ!!」

次々と打ち倒される召喚獣の合間を、天才と召喚士が駆け抜ける。

ザザザッ…タンッ!!

召喚士「見えたっ!」

天才「おーし……コカトリスを上空からけしかけろいっ!」

召喚士「了解です……って、ベヒーモス!?」

天才「構うな! 今のお前なら……勝てんだろ!」

召喚士「……やってみます!!」


922 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 18:28:44.56 ID:qIOFSEkSo
バシュウウゥゥゥゥ

コート男「……むっ」

コカトリス「……」

コート男「数体やられたか……突破してきたようだな」

上空より迫るコカトリスを見つめ、コート男は即座にベヒーモスをけしかける。

ベヒーモス「ゴアオオォォォォーッ!!}

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォン!!

召喚士「回避だっ、コカトリス!!」

コカトリス「おう!」

空中のコカトリスめがけ放たれた閃光は、空を旋回する召喚獣を追うように、

剣を薙ぎるように、空中で得物を追尾する。

コカトリス「この程度……甘いわ!」

その閃光を華麗に、コカトリスはスルリとかわし、ベヒーモスへと更に近づく。

召喚士「いっけえぇーっ!!」

コート男「ちぃっ!!」


924 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 23:44:43.84 ID:EfOZVdAXo
ベヒーモスの閃光を避け、更にはその巨体の横を抜け、

コカトリスは真っ直ぐにコート男の下へと急降下する。

召喚士「!?」

コカトリス「……何?」

それまで逃走を試みていたコート男が、突如反転し、走り出す。

天才「おい、朱雀!!」

召喚士「な、何をするつもりだ……!?」

コート男「コカトリス? 舐めるなよ、封じ手くらい分かっているわ!」

走るコートの男は2匹の召喚獣を余所目に、一気に召喚士へと近づく。

コート男「召喚主に接近して戦えば、手出しは出来まい!」

召喚士「……ちっ」

コート男「そしてお前は今……思っているはずだ」

召喚士「!?」

コート男「近づいたところで、コカトリスの尾を使い、毒で動きを封じようと」

召喚士「――っ!」


925 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 23:45:33.28 ID:EfOZVdAXo
コート男「ふははははっ! 馬鹿がっ、気付かぬとでも思ったか!」

召喚士「ならば……行けっ――」

コート男「召喚などさせん!」

召喚士「こ……んのぉ……!」

コート男は間合いを詰めた勢いそのまま、召喚士へと蹴りを放つ。

ブオォッ

コート男「避けた……?」

召喚士「見たところ素手のようだな。だったら……」

コート男「だったら何だ? 勝てるってかぁ!?」

召喚士「……」

最近こそずっとレイピアを使用していたしだが、元来は師匠譲りの体術が十八番。

それ故に武器を持たぬ姿をチャンスと考えたが、それは一瞬で吹き飛んだ。

召喚士(何だ……? 格闘技に自信があるのか……!?)

彼の脳裏が一瞬でどこまでの憶測に辿り着いたのかは分からない。

だが、自信とも取れる口調、仕草、何よりここまで辿り着いた経緯。


926 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 23:49:20.34 ID:EfOZVdAXo
北の森を突破するには魔力を使わずして追手を倒すか振り切らねばならない。

そして追手はおそらく体術としては最強の使い手である、格闘家なのだ。

召喚士(危険な感じがする……っ)

コート男「ん? かかってこんのか?」

ザザッ

召喚士「……っ」

ベヒーモス「グゴアアァァァァ!!」

コカトリス「ぬうぅ!!」

コート男「来ぬなら……失礼しようか」

天才「誰が逃がすかコラァ!!」

コート男「馬鹿がっ!!」

シュイイィィィィン

召喚士「召喚獣が来ます!!」

天才「……ちっ」

逃走を図るコート男が見せる召喚の素振り。召喚士と天才は警戒し立ち止まる。


927 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/26(火) 23:56:03.58 ID:EfOZVdAXo
ズザザァ

召喚士「……っ!?」

ノーム「……んお?」

天才「――っ」

召喚士「ノ、ノーム……?」

天才「ナメやがってこのクソボケがああぁぁ!!」

コート男「はーっはっはっは! 召喚術にはこういう使い方もあるのだよ!」

天才「ハッタリかまして調子乗ってんじゃねぇぞ!!」

シュバッ!!

召喚士「天才さんっ!」

戦士「あんのバカ! 深追いすんなって自分で言っておいて……」

盗賊「……まぁ、あれは1人でも大丈夫だろう」

コート男「しつこい、しつこいが……」

タタタタッ…ズシャアァ

コート男「チェックメイトだ……ふはは!」


929 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/07/27(水) 01:08:29.31 ID:fELbqdFAO
コート無双すぎる
ネクロマンサーより強いんじゃない


930 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2011/07/27(水) 01:32:54.73 ID:4Zec9wDgo
体術、召喚術があって、知略もあるからなぁ。
召喚術と魔法が両立しないとなると、密教まで持ってるコートは一応、
人間の中ではかなり強い部類になるんじゃないの?


934 名前:NIPPERがお送りします(関東) [sage] 投稿日:2011/07/27(水) 23:57:27.76 ID:TUeKZWZAO
↓>>1降臨


935 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/07/28(木) 00:27:08.56 ID:VhypUviAO
  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ


936 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 17:56:38.06 ID:x7jSQNm2o
召喚士「チェック……メイト?」

コート男「相手してやってもいいが、なかなか手間がかかるようだしなぁ」

召喚士「何を言っている!」

天才「待て」

召喚士「!?」

天才「……」

コート男「ほぉ、流石だな。気付いたか?」

天才「なんだここは? どーもイヤな気配しか感じねぇ」

正面に広がる景色。青々と生い茂る草原の先はどす黒い沼地が広がっている。

タッタッタッタ…ザザッ

戦士「どうした!?」

天才「動くな! 止まれっ!!」

盗賊「……?」

コート男「ふは……っ、ふはははははは!!」

暗い沼の底から巨大な影が地上に姿を見せ始める。


937 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 17:57:11.75 ID:x7jSQNm2o
ズズッ…ズズズズズズ…

戦士「な……んだぁ!?」

天才「構えろぉーっ! 魔物だぞ!」

沼地から現れる特大の口を持つ馬のような顔。更には刺々しい翼を広げ、

奈落の底より出でし悪魔がその全貌を地上に現した。

コート男「ふはははあぁ! 5番目のラッパは吹かれたのだ!」

盗賊「……何!?」

コート男「これで貴様等は終わりだな! ざまあみろ、ふははははっ!!」

天才「5番目の……ラッパだとぉ!?」

ヴヴヴヴヴヴ…

召喚士「な、なんだ……!?」

タッタッタ

青年兵「空が真っ黒に染まっていますよ!」

魔道士「何ですか……あれは!?」

大軍師「あれは……虫? 生き物のように見えますね……」


938 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 17:57:59.09 ID:x7jSQNm2o
ザザッ

戦士「あれは……イナゴだ!」

召喚士「――っ!?」

ブウウゥゥゥゥン!!…ヴヴヴヴヴヴ

天才「うっぜぇ……っ!!」

大軍師「焼き払いますよ」

魔道士「は、はいっ!」

ドドオオォォォォン!!…ゴアオオォォォォ

盗賊「火遁……焔!」

天才「腐れコートが……っ、どけぇ! 逃がしてたまるか!」

空をびっしりと埋め尽くすイナゴの群れは、一同の視界を遮り、その身動きを分断し

そして封じている。当然の如く東方副司令はその隙に姿を眩ました。

召喚士「……な……っ!?」

それと入れ違うように現れたのは、沼地の主。奈落の王。

天才「……アバドン!!」


939 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 17:59:31.31 ID:x7jSQNm2o
ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「ア……バドン?」

戦士「なんだよそれ!」

天才「かつて人間に害為す魔物と恐れられていた悪魔だ」

魔道士「……っ」

大軍師「まさか、あのイナゴもアバドンの仕業ですか」

天才「だろうな。イナゴは農業被害の代表格だったモンだ」

戦士「にしても……なんつうデカさだよ」

青年兵「どうします!?」

大軍師「やるしかありませんね。しかし……」

アバドン「ヴオオオオォォォォ!!」

ビリビリビリッ!!

盗賊「……くっ」

天才「前衛は俺様の左右、残りは二手に分かれてアバドンを挟め!」

召喚士「……はい!」


940 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 18:00:15.66 ID:x7jSQNm2o
魔物辞典。それは古より三日月島にそびえる西方司令部にて保管されていた、

人類が把握しうる限りの魔族のおける情報を記した書物である。

太古よりの情報を蓄積し、膨大に記されたその本は当然ながら極秘裏。

それが五ヵ年計画の実行に伴い、永らく陽の目を浴びなかった存在が、

再び姿を現す事となった。そしてほぼ全てに等しい記録を頭に詰め込んだ。

大軍師(……アバドン。勝てる相手なのか?)

手にした羽扇を口元にあて、大軍師は心の中で思わず呟いた。

その名は確かに、魔物辞典の中に存在した。

存在したと言っても記されていたのはその名と、サタンに近しい者だと言う事。

そしてアバドンを現すキーワードは「破壊」、「滅亡」、「奈落」、「冥界」、「死」など。

到底、他の魔物と一線を画した扱いであるのは間違いなかった。

大軍師は記述を思い返す。アバドンはサタンを束縛する獄。

地の底に在る獄を、人々は地獄と呼ぶ。

大軍師(奈落……地獄……沼の主か。しかし何故、司令はそれを……)

先頭を駆けるツヴァイハンダーの男を見つめ、大軍師は疑問を抱く。


941 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 18:02:18.84 ID:x7jSQNm2o
ズザザッ

天才「……沼には入るなよ!」

アバドンの股下を門のようにくぐり抜け、天才は疾走する。

5番目のラッパが吹かれた。コートの男は確かに、そう口にした。

それが意味する事を知っているのは、この中では天才のみであった。

天才がかねてより国軍の資料室に出入りし、調べていてもの。

古の人々はこう言った。「黙示録」……と。

天才が黙示録を目にした時、しきりに引っ掛かるキーワードがあった。

それは即ち、7という数字。7体の魔王。7つの大罪。

最初はただ、偶然であろうと考えていたが、黙示録に基づく資料を解き明かすうち、

それは段々と意味のある数字だという事を確信した。

そしてその考えは、彼の師達も同様に考えていた。

黙示録に記される預言者や古の賢者らが残した言葉。

7つの封印、7人の天使が吹くラッパ。7つの災い。

ほとんどの者が見向きもしないおとぎ話のような文献を、彼らは漁り続けた。


942 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 18:03:15.31 ID:x7jSQNm2o
……――

天才「んで、これらが意味するものは?」

大元帥「分からんよ。それが分かれば苦労はしない」

天才「……ま、そりゃそうだわな」

ナイト「……五行」

天才「……あん?」

ナイト「5つの大いなる力に……2つが加わればこれもまた7つ」

天才「どういうこっちゃ……?」

大元帥「成程、五行成立で聖行。これが即ち6つ目の魔法」

ナイト「更に魔物の力、魔行とでも言うべきか。これが7つ」

天才「どういう事だよっ!?」

大元帥「五情や五感の更に高みを得るという事か?」

ナイト「第六感……いや、更にその上をいく……末那識」

天才「何だそれ?」

ナイト「意識して身に付くものではない。得るべきものだけが得る感覚」


943 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 18:06:04.72 ID:x7jSQNm2o
大元帥「結局よく分かってないって事だよなぁ」

天才「ダメじゃん」

大元帥「でも、7というキーワードが重要だっていうのは分かる。それは確かだ」

天才「7……ねぇ。んじゃ召喚術も同様ってか?」

ナイト「……」

天才「じ、冗談だってば」

大元帥「召喚術……? そうか、考えてもみなかったな」

ナイト「7種類? いや、それは在り得ないのは確定的に明らかだ」

大元帥「調べてみる価値はあるな。それは玄武先生に任せるとしようか」

天才「んで、このラッパだか災厄だかってのはどう読み取ればいいんすか?」

大元帥「魔王に歯向かえば災厄が降り注ぐって事だろう」

ナイト「全ては魔王サタンを根源とする魔の世界からの災害」

大元帥「魔王を相手にすれば、地上に災いが降りかかる……」

天才「じゃあ結局、魔王には勝てねーって事ですわな」

ナイト「……そうかな」


944 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 18:15:52.47 ID:x7jSQNm2o
天才「え?」

ナイト「サタンの動きさえ抑える事が出来れば、災いは免れるのではないか?」

大元帥「過去何百年か何千年かは分からんが、サタンを倒した事例はない」

天才「じゃあやっぱ無理じゃん」

ナイト「何も消滅させる必要はない」

大元帥「封印か?」

天才「どうやって?」

ナイト「7つの力を使えばいい。容易ではないだろうけれどな」

天才「7つの力って……。一体誰が……」

ナイト「俺にはあの剣があるんだが?」

大元帥「魔剣か……。確かにそうだが……出来るのか?」

ナイト「1人では無理だな」

天才「そんなら俺が――」

ナイト「駄目だ。お前らは千年王国の礎となれ」

大元帥「千年王国……っ。サタンとの最終決戦の後に訪れるという


945 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 18:18:28.83 ID:x7jSQNm2o
――……

天才(当時はワケの分からねー事ばっかだったな)

黙示録自体は公でもなく、ましてや信憑性も事欠く存在である。

故に天才は公的に調査を進めなかった。そしてこの事実が重要であった場合、

知られては人類の大事に関わると踏んだからである。そう、内通者にだ。

天才自身も内通者の存在は把握していた。しかし素性は掴めなかった。

それ程までに首謀者は存在を消し、影として暗躍し続けていた。

そして彼の師達は、彼に最終決戦のタクトを預け、先立って逝った。

だから天才は戦い続ける。背負ったものの大きさを知っているから。

天才(第5のラッパが鳴った時、アバドンが災厄を率いてやってくる)

アバドン「ヴオオオオォォォォ!!」

天才(だがラッパは鳴っていない! アバドンは出るべくして出たわけじゃない)

黙示録による記載との相違。天才はそこに着目する。

天才(そうだ。コイツは地上に出るべく魔物じゃねぇんだ。ならばやれる)

回り込んだ背後から放った炎は、沼地を迸り、アバドンへと直撃する。


946 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 18:23:57.18 ID:x7jSQNm2o
天才の放つ炎が着弾すると同時に、大軍師は突風を巻き起こし、

その風にあおられ、炎は更なる勢いを増す。

大軍師(…………)

魔物図鑑に記されたアバドン。巨大な口を持ち、馬のような顔に蠍の尾。

更には鎌を持ち、その姿を見たものは耐え切れず瞬く間にショック死するという。

大軍師(だがどうでしょう、死はおろか……立ち向かえるではないか)

確信はないが直感で何かズレがある。大軍師はそう感じ取った。

大軍師(なれば、司令を信じるのみ)

天才であれば何かを知り、そして何か手段を持っている。

そう信じて、大軍師は物怖じする事なく加勢へと買って出た。

大軍師「援護を頼みます!」

青年兵「了解です! ワイバーン!!」

召喚士「行けっ! コカトリスー!!」

大軍師の呼びかけに呼応し、一同が瞬時に援護する。

そして天才は倒すべく手段に繋がる1つの故事を頭に浮かべていた。


947 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 18:30:45.29 ID:x7jSQNm2o
天才(……矛盾)

最強の矛と最強の盾がぶつかり合ったとき、結果はどうなるのか。

天才「やってみるか……っつーか、それが一番効率いいわなぁ!」

炎を盾にアバドンの右方へ回り込む天才。

天才(最強同士ならともかく、最強の盾にそれなりの矛をぶつけたら……)

結果は当然、盾が勝るであろう。天才は無論の事、そう考える。

天才(アバドンっつー矛をぶつけたら……)

最初にそれを思いついたのは、黒の三騎士がそれに討ち取られたと知った時。

天才(魔力が高ければ高い程効果は絶大。となれば、コイツなら……)

ザザッ

天才「いいか聞け! アバドンを沼から引き摺り出せ!!」

魔道士「!?」

戦士「何ぃ……!?」

天才「そしたらそのまま……森ん中にブチ込むぞおぉ!!」

大軍師「な、何と……っ」


948 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/28(木) 18:36:32.62 ID:x7jSQNm2o
バフォメット。その魔物は魔力が高ければ高い程、己の力を増す。

それは人間、魔物、召喚獣に問わず、万物の全てに於いてである。

何故バフォメットがそこに佇むのか、それは一同の知る由もない。

矛盾。魔王がバフォメットと遭遇したら?

最強の矛である魔王が、最強の盾とぶつかったら?

天才の考える真理はそこにあった。そしてこの作戦に辿り着いた。

だが、魔王は己の魔力を瞬時に0とする事が可能であった。

容姿が変化したり、眷属などを生み出すのもそういった部分から為せるものである。

天才は当然そんな事は微塵たりとも知り得ない。

それでも、そんな突拍子もない発想が今作戦を生み出した。

天才「どんな手段でも構わねぇ! とにかく沼から出すんだ!」

盗賊「……魔道士、援護を頼む!」

天才「いいか、沼には近づくなよ!」

戦士「近づかねーで引っ張りだせってのかよ! 無理言いやがるぜ……っ」

召喚士「……やるしかない!」


950 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/07/28(木) 18:43:39.01 ID:viMUDtBAO
>>1乙

天才かっこよすぎだろ…ゴルリンがいた頃はカマセ臭がハンパなかったが



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