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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その25
- 102 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/02/07(月) 23:55:09.38 ID:PoLE2F0Zo
〜最北の宿泊所〜
老人「……良いな?」
召喚士「…お願いします」
ベッドへ横たわる召喚士は、大きな呼吸を一つ吐き、目を瞑る。
老人「方角は西。うむ、問題ない」
召喚士「…………」
老人「良いか?ユニコーンの姿を想像して……ゆっくりと呼吸を整えるのじゃ」
召喚士「…すーっ……ふーっ」
老人「…良いぞ。もっと力を抜いて……そうじゃ」
召喚士「……」
老人「良いか?導かれるままに……光を求めよ……」
召喚士(……光を……光……)
スウウゥゥ…
老人「……聞こえるか?……の……声…………――」
召喚士「……」
- 103 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/07(月) 23:55:47.12 ID:PoLE2F0Zo
ガバッ
召喚士「……!?」
意識が戻り飛び起きる召喚士は、辺りをきょろきょろと見渡す。
そこはお世辞にも綺麗とは言えない小屋とは大きくかけ離れており、
言うなれば楽園のような、緑と心地よい風に包まれた場所であった。
召喚士「……来た……のか!?」
スクッ…ザッザッザ
召喚士「ここが……白虎の世界…?」
ガサッ
召喚士「!?」
――「……お前……っ」
召喚士「……ユニコーン!!」
ユニコーン「……召喚士っ」
召喚士「やっぱり……ここは白虎の世界なんだ…!」
ユニコーン「……」
- 109 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 00:25:47.42 ID:a4Iay5lDO
>>1乙!
白虎の世界って、スフィンクスとユニコーンと今回で三回行った事になるんだよな?
召喚獣の世界って、行く度に違うのか?それとも、四属性とも同じような世界なのかな?
- 124 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:35:49.88 ID:iO1tzJWRo
召喚士「……」
ユニコーン「……何だ?」
召喚士「…あの…もしかして」
ユニコーン「……」
召喚士「えっと……ユニコーン…だよね?」
ユニコーン「以外に何だと言うのだ」
召喚士「……」
ユニコーン「……」
召喚士(こっちの世界だと性格が戻ってるのか?)
ユニコーン「…それで、何用だ?」
召喚士「…あ、えっと……クジャタに会いに」
ユニコーン「クジャタ?」
召喚士「うん。クジャタに話がしたいんだ」
ユニコーン「……乗れ」
召喚士「……!?」
- 125 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:36:28.47 ID:iO1tzJWRo
…
ユニコーン「良いか?飛ばすぞ」
召喚士「お、お願いします……」
ザッ……ドゥンッ!!
召喚士「くぅ…っ!!」
ユニコーン「振り落とされるなよ」
バシュウウゥゥ
ユニコーン「それで、クジャタに何用なのだ?」
召喚士「えっと……」
人間界での出来事を有りのままユニコーンへと伝える召喚士。
自分でも何を言っているか分からない出来事だが、事実は事実である。
ユニコーン「数十年間、召喚し続けているのか……。信じられんな」
召喚士「でも、。実際…そうみたいなんだ」
ユニコーン「…大した召喚士だな。計り知れぬ魔力よ」
召喚士「それが……召喚者は既に他界してるらしくて……」
- 126 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:37:14.45 ID:iO1tzJWRo
ユニコーン「…成程。それで直々に訪れたわけか」
召喚士「うん。それしか脱出方法は今のところないからね」
ユニコーン「……」
召喚士「あのさ、ユニコーン」
ユニコーン「……?」
召喚士「変な事聞くけど、どうして性格が変わったの?」
ユニコーン「私は私だ。何も変わってはいない」
召喚士「でも、以前とはなんていうか…雰囲気が……」
ユニコーン「それは別のユニコーンへ代わったのだろう」
召喚士「別…?入れ替わったって事?」
ユニコーン「……」
召喚士「それに、鉱山での時…何か言いかけてたよね……?」
ユニコーン「……」
召喚士「それからしばらく、召喚出来なくなって……」
ユニコーン「……」
- 127 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:37:44.30 ID:iO1tzJWRo
召喚士「何かあったのかと……」
ユニコーン「……色々あるのさ」
召喚士「あの時は助かったよ。ユニコーンが自分から出てきてくれて」
ユニコーン「……そうか」
召喚士「ずっと、礼が言いたかったんだ」
ユニコーン「…そんなものは無用だ。それ、もう間もなく到着するぞ」
召喚士「……うん」
ドウッ……バシュウウゥゥ
白虎界において召喚士は時間の感覚があやふやであった。
数分とも数時間とも取れるような不思議な経過の中で、
ユニコーンは小高い丘の上でその足を止めた。
ザザァ…ドッ
ユニコーン「……着いたぞ」
召喚士「……ここが…クジャタの」
ユニコーン「…いや、これがクジャタだ」
- 128 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:38:34.07 ID:iO1tzJWRo
召喚士「へっ!?」
ユニコーン「我らが今、立っているそれこそがクジャタ」
召喚士「山…じゃないの!?」
ユニコーン「クジャタの顔はこの先にある」
召喚士「――っ!?」
ユニコーン「私が案内出来るのはここまでだ。後はお前が……」
シュイイィィン
――「人間か?」
召喚士「!?」
ユニコーン「……失せろ。お前に用ではない」
――「……ケッ。この俺に偉そうな口を利くじゃあないか」
召喚士「あ、あの……」
ユニコーン「放っておけ。お前は早くクジャタの下へ……」
――「クジャタ?あぁ、契約でもしにいくのか?」
召喚士「……」
- 129 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:39:11.04 ID:iO1tzJWRo
――「あんなヤツぁ放っておいて、俺と契約しねぇかい?」
ユニコーン「……」
――「魔力、腹いっぱい食わせてくれよ!」
ユニコーン「戯れが過ぎるぞ、ケツァルコアトル」
召喚士「……!?」
ケツァルコアトルと呼ばれた、羽毛を携えた蛇のような巨大な召喚獣。
口の両端から漏れる息が渦を巻き、突風のように周囲へと漏れている。
ケツァルコアトル「おい、角野郎。テメェはさっきから何なんだ?」
ユニコーン「召喚士、早く行け」
召喚士「で、でも……」
ユニコーン「いいから行け。こいつは私が話をつけておく」
ケツァルコアトル「おいおい、お前さんはコイツの専属かい?違うよなぁ?」
ユニコーン「彼はクジャタに会わねばならんのだ。時間がない」
召喚士「す、すみません……っ!」
ダッ…タッタッタッタッタ
- 130 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:39:41.57 ID:iO1tzJWRo
ケツァルコアトル「あーあ、行っちまった……」
ユニコーン「彼の力を欲するならば、後日改めよ」
ケツァルコアトル「俺に指図すんじゃあねぇ」
ユニコーン「事情があると申したであろう」
ケツァルコアトル「クジャタなんぞ役にも立たねぇ召喚獣……」
ユニコーン「……」
ケツァルコアトル「……そうかそうか。そういやそうだったなぁ」
ユニコーン「……」
ケツァルコアトル「道理でお前、人間の肩を持つわけだわな」
ユニコーン「そういうつもりではない」
ケツァルコアトル「そうかよ。じゃあせいぜい大人しくしてろや新参者!」
ドウッ!!…バシュウウゥゥ
吐き捨てるように言葉を浴びせ、ケツァルコアトルは立ち去ってゆく。
ユニコーン「……」
その場に一人残ったユニコーンは、遠目に映る召喚士の背を1人見つめた。
- 131 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:40:09.16 ID:iO1tzJWRo
〜北の村〜
大軍師「視察、ご苦労様でした」
左大臣「いやはやァ、思ったより時間が掛かってしまったなァ」
大軍師「1日で見回るには、ちと厳しかったですな」
左大臣「あァ。。思ったよりも充実しておったからなァ」
大軍師「まだまだお見せ出来ておらぬ部分もございますぞ?」
左大臣「……フッハハハァ、それはこやつに任せるとする」
左秘書官「左大臣様はご多忙な方。数日の日程はご用意出来ませぬ」
大軍師「存じております。本日はお忙しいところ感謝しておりますよ」
左大臣「なぁに、構わん。して、どうだァ?経済効果はァ?」
左秘書官「国軍の資料を拝見する限り、この手順で進めていけば……」
青年兵「……」
左秘書官「効果は抜群ですね。経済に於いてもです」
左大臣「……だ、そうだァ。良かったなァ」
青年兵「……」
- 132 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:40:37.28 ID:iO1tzJWRo
左大臣「さて、このまま本国へ戻るとするかァ」
大軍師「泊まってはいかれないので?」
左大臣「忙しいと申したであろう」
左翼長「……」
左大臣「そちらの日程を、もっと調整してくれれば良かったのだァ」
大軍師「ご尤もにて。申し訳ありません……」
左大臣「ではあとは任せるぞ。左翼官らも明日には到着するだろう」
左秘書官「はっ」
左翼長「左大臣様がご帰還だ。護衛は北の港まで同行せよ」
騎兵長「ははっ!!」
ザッザッザ
左秘書官「それでは、私も休ませて頂きます」
大軍師「では、部屋へ案内致しましょう。どうぞこちらです」
ザッザッザッザ…
青年兵「……」
左翼長「…終わったな」
- 133 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:41:04.58 ID:iO1tzJWRo
青年兵「ええ……」
左翼長「どうした?拍子抜けか?」
青年兵「いえ、何事もなく終了して幸いです」
左翼長「左大臣も屯田については何か企んでる素振りもなかったな」
青年兵「はい」
ザッザッザ
大軍師「屯田の効果は経済的にも大衆的にも受けが良いですからね」
青年兵「お疲れ様でした」
大軍師「こちらこそ。何事もなく終わり、まずは一安心ですね…ふっふ」
左翼長「大衆的ってのは…失業者支援政策って意味合いでか?」
大軍師「そういう事になりますね。効力は時の運ですが」
左翼長「民衆に指示されてる政策を潰すわけにゃならんもんなぁ」
大軍師「……ふっふ」
青年兵「…ところで、今回はどういった御用でしょうか?」
左翼長「…用?」
- 134 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:41:34.64 ID:iO1tzJWRo
青年兵「ええ。大軍師さん、何か私に用があったのでは?」
大軍師「……ふっふ、鋭いですねぇ」
青年兵「わざわざ東方司令部から呼び出されれば、勘付きますよ」
大軍師「まぁ、議会立案者としての立場もあったのですがね」
青年兵「そうかもしれませんが、それならば本国の方でも良かったはずです」
左翼長「そういう事だったのか……」
青年兵「それに、わざと左大臣の予定が厳しい日程を組まれた」
大軍師「…ほぉ、そこまでお気付きでしたか。これはお見それ致しました」
左翼長「まさか……視察を密会の場に利用したのか…!?」
大軍師「あくまでついでですよ。勘違いなされますな」
左翼長(恐ろしいな……っ。好機とあらばどんな事でも利用する……)
大軍師「……ふっふっふ」
左翼長(それが……大軍師という男か……)
大軍師「さぁ、お二人はこちらへ」
青年兵「はい。ありがとうございます」
- 135 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:42:01.62 ID:iO1tzJWRo
テクテクテク…パタン
大軍師「では、この家をお使い下さい」
青年兵「なかなか立派ですね」
大軍師「そうですか?まぁ、皆…頑張っておりますから」
青年兵「僕の実家よりしっかりしてますよ…ははっ」
大軍師「青年兵殿なら、建て直せば宜しいのに」
青年兵「一応、仕送りもしてますし、検討したのですが……」
大軍師「断られましたかな?」
青年兵「ええ……まぁ」
左翼長「しっかり親孝行しとけ。気付いた時に親はなし…ってな」
青年兵「そうですね。久々に顔を見せたいと思います」
左翼長「しかし今日は人が少ないな。何かあったのか?」
大軍師「いえ、最北の村も屯田に入りましたので…人手を……」
左翼長「ああ、そういう事か」
大軍師「明日、左秘書官殿が視察に向かいます。宜しければ……」
- 136 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:42:34.09 ID:iO1tzJWRo
青年兵「そうですね、是非お願い致します」
大軍師「こちらこそ。とは言っても、まだ何も始まっておりませんがね」
左翼長「しかもあの村、何やらいわくつきだからな」
青年兵「……?」
左翼長「白フードの謎の召喚士。書物の盗難事件……」
大軍師「再来のマジシャンも…逝きましたね」
青年兵「……っ」
大軍師「今は魔物もいませんし、特にさしたる警戒も不要でしょう」
左翼長「それならいいけどな」
大軍師「……さて、そろそろ本題へと入りましょうか」
青年兵「…はい」
大軍師「議会以降、両陣営共に動きは停滞しております」
青年兵「ええ」
大軍師「これは互いに、攻め手を欠いているという構図です」
青年兵「その通りです」
- 137 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:43:01.46 ID:iO1tzJWRo
左翼長「右翼はいざ知らず、左翼にとっては好機なんじゃないのか?」
大軍師「好機ではありますが、虎穴に踏み込む程勇ましい連中ではありませんよ」
左翼長「虎穴…?あぁ、虎子は殿下ってか」
大軍師「内容は別としても、議会で敗北した事は左翼にとって大打撃ですからね」
左翼長「まぁな。再度、議会を起こしても、数で劣る可能性もある」
青年兵「どうでしょうね。今回は僕のせいで、票数も……」
大軍師「厳密に言えば、そうかもしれませんね」
左翼長「北は何ら影響なかったけどな」
大軍師「そうなんですよ。それがポイントです」
青年兵「……?」
大軍師「正直、議会での票数が変わるなど東方司令部ぐらいのもの」
青年兵「…ええ」
大軍師「それが今回、あれだけ票数が移動しました」
青年兵「……」
大軍師「これは左翼にとって、脅威なのです」
- 138 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:43:31.19 ID:iO1tzJWRo
青年兵「…そう思います」
大軍師「今件でどれだけ票が戻ったのか、左翼も掴めてないのですよ」
左翼長「なるほどな」
大軍師「その上、青年兵殿が東方司令部へ異動しては…ねぇ?」
青年兵「……凄いですね」
大軍師「…何がですかな?」
青年兵「まさか、そこまで見透かされているとは……」
左翼長「するってぇと、お前はその為に東方司令部へ…!?」
青年兵「それだけの為ではありませんけどね」
左翼長「……っ」
大軍師「それに、左翼はかなり無茶もしておりますしね」
左翼長「無茶?」
大軍師「戦士殿の偽者の件ですよ」
左翼長「あれか…っ!!」
大軍師「あれでは魔物と結託したと思われても同然」
- 139 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:44:01.56 ID:iO1tzJWRo
左翼長「確かにな……」
大軍師「早期に事態が収拾したので、大事にはなりませんでしたが…」
左翼長「それでも、不審に思う輩は少なくないだろうな」
大軍師「ええ。何と言っても事件現場が私邸ですからね」
青年兵「……」
大軍師「つまり、あちらは手を打ちたくとも打てない状況なのですよ」
左翼長「決めてを探してるってわけか」
大軍師「それに加え、イメージアップでしょうね」
左翼長「……今回の視察もそれが目的か」
大軍師「大衆的には……ですがね」
左翼長「そんで、右翼はどうすんだ?」
大軍師「どうしましょうかねぇ」
左翼長「おいおい…随分と悠長な……」
大軍師「目には目を……と、いきましょうか」
青年兵「……?」
- 140 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:44:38.48 ID:iO1tzJWRo
ぼんやりと満月が薄れ始め、東の空より明るみが帯び始める。
新たなる朝。視界に捉える事こそ出来ぬものの満月は在りし。空高く。
〜白虎界〜
召喚士「はぁ…はぁ…はぁ……っ」
タッタッタッタッタ
時の感覚が薄れ、どれ程走ったのか、微塵ともすすんでいないのか、
その区別も付かぬ召喚士。彼はただただ、丘のような背を走る。
タッタッタッタッタ
その甲斐あってか、ようやく頂きを越え、下りへと差し掛かった。
召喚士「う……おわっ!!」
下りと言ってもそれはもはや崖のような傾斜。召喚士は宙を舞い、
そのままの勢いで塔のように伸びた草原地帯へと落下した。
ボフッ…バフンッ…ドサッ
召喚士「…………っ」
痛みはない。起き上がりながら召喚士はただそう思った。
- 141 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:46:15.57 ID:iO1tzJWRo
地面や塔のように伸びているもの、それはラグのような、肌触りである。
召喚士「……毛?」
今の召喚士は、人間にとっての微生物や極少な生物のようなもの。
塔のように伸びたそれはクジャタの体毛であったのだ。
召喚士「……」
モフッモフッモフッ…ヒョコッ
召喚士「……ここ、どこなんだろ」
――「何だ貴様は?」
体毛を掻き分けうろついていると、周囲に声が鳴り響いた。
――「何だと聞いておる」
召喚士「クジャタ……ですか?」
――「……如何にも。我に用か?」
召喚士「良かった……!話を…聞いて頂けませんか!?」
クジャタ「……話だと?」
召喚士「はい。今、人間界で起きている出来事について……」
- 142 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:46:41.73 ID:iO1tzJWRo
クジャタの地鳴りのような声がぴたりと止む。
召喚士「……?」
クジャタ「述べよ」
召喚士「……あっ、はい」
クジャタ「それと貴様、声が小さい。耳元に近寄れ」
召喚士「……えっと、耳元って」
クジャタ「貴様がおるところが耳じゃ。真っ直ぐ進めい」
召喚士「!?」
言われた通り、召喚士は体毛の森を真っ直ぐ進んでゆく。
そしてふと気付く。目の前に広がる景色だと思われていた部分。
それこそがまさに耳そのものであった。
召喚士「――!!」
クジャタ「述べよ」
召喚士「……っ」
ごくりと息を飲み、召喚士はここへ来た目的と経緯をクジャタへ伝えた。
- 143 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:47:08.04 ID:iO1tzJWRo
〜魔道士の家〜
盗賊「…お邪魔…しました」
魔道士母「もっとゆっくりなされたら良いのに……」
戦士「まだ、ゆっくり出来る状況じゃないもんで。すみません」
魔道士「では、行ってきます」
大商家「此度は久々に顔を見る事が出来て、嬉しかったぞ」
魔道士母「またいつでも帰ってきなさいね…?」
魔道士「…はいっ。ありがとうございます……!」
戦士「…それじゃ、行きますか」
魔道士「はいっ!」
大商家「気を付けてな」
魔道士母「皆様の無事を、祈ってますわ」
盗賊「…失礼…します」
魔道士を先頭に、三人は魔道士の家を後にする。
バーテンの店へ、四人目がいる事を願いながら。
- 144 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/08(火) 18:47:33.37 ID:iO1tzJWRo
ザッザッザ
戦士「……さて、今日でもう…4日目か?」
盗賊「…ぐらいになるな」
戦士「いい加減、戻って来てくれねぇと……」
魔道士「どうしました?」
戦士「あれって…左翼のヤツらか?」
魔道士「……本当だっ」
ザッザッザ…パッカパッカパッカ
左翼官「…ん、あれは……」
政治屋「どうか致しましたか?」
左翼官「…いや。それよりあの屋敷は……?」
政治屋「あぁ、確か大商家ですね」
左翼官「大商家…。あの王宮とも繋がりがあるとかいう豪商か」
政治屋「最近では、あのようなワーカーも抱え込んでおるのでしょうかね」
左翼官「……まぁいい。飛ばしてくれ、視察に間に合わんぞ」
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