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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その22
85 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/28(日) 23:33:02.01 ID:bh6fBrYo
タッタッタッタッタ

召喚士「…!?」

水忍「此方は私達が引き受ける。真っ直ぐ進め!」

魔道士「助かりますっ!」

召喚士「この先の…戦士と鬼丸をお願いします!」

風忍「心得た!」

シュバッ…タッタッタッタッタ…

ネクロマンサー「……来たか、召喚士」

召喚士「ネクロマンサー!」

魔道士「マジシャンさんの……仇っ!」

ネクロマンサー「仇…?それはこちらとて同じ事……」

召喚士「……」

ネクロマンサー「君らのお陰で大切な人形を何体も失った……」

召喚士「身勝手を…!ここでお前を…倒す!!」

ネクロマンサー「来るがいい…。見せて貰おうか、コカトリスの力とやらを!」


86 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 00:06:45.48 ID:JsdfA7go
ザザッ

風忍「無事か!?」

鬼丸「まぁ…なんとかな!」

戦士「アンタらも大丈夫か?」

水忍「…ああ。しかし、これがヤマタノオロチか…っ」

戦士「なんとか首二つは退けたが…時間の問題だ」

鬼丸「とにかく強い。トドメを刺すにゃあ骨が折れるぜ」

風忍「二行以上を併せなければならんのだな…?」

戦士「…ああ。出来るかい?」

水忍「……やろう」

風忍「…行くか」

戦士「俺らが正面から囮になる。裏を取ってくれ」

水忍「承知した。任せるぞ!」

戦士「鬼丸!もう一丁…突っ込むぞ!」

鬼丸「おうよ!!」


87 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 00:19:26.09 ID:JsdfA7go
ザザッ

水忍「……さて、そっちはいいか?」

風忍「…ああ」

水忍「…いくぞ!!」

ババッ!!

風忍「風遁……秘奥義!」

水忍「水遁、秘奥義!」

二人は同調するように、同時に印を結び両手を組み合わせる。

風忍「疾風……」

水忍「……怒涛!!」

ギュオオォォッ!!

水流を伴う竜巻が水忍の身体を包み込む。

水忍「ぐ……く…っ!!」

それはやがて水忍の纏わり付くように吸収され、身体全体を飲み込んだ。

風忍「すまんな…水、私が手負いのばかりに……」


88 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 00:23:30.82 ID:JsdfA7go
ザザザッ…スタッ

雷忍「あれは…水と風か」

火忍「そんじゃ、こっちもいくかい」

雷忍「…うむ」

火忍「お前はその身だ、俺がやる」

雷忍「…すまんな」

火忍「さぁ、いつでもいいぜ!」

雷忍「…よし、雷遁秘奥義…!!」

火忍「火遁っ、秘奥義!」

ババッ!!

雷忍「電光……」

火忍「……石火ぁ!!」

ギュオオォォッ!!

火忍「ぬ…ぐぐ…うぅ!!」

先程と同様、稲妻を伴う炎が一気に火忍の身体を飲み込み、包み込んだ。


94 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:00:09.59 ID:E5lNbkko
『遁術』。忍法として用いられる術の名称であり、五遁三十法とも呼ばれる。

五遁は即ち、火、水、土、風、金の五行に基づき構成されている。

『遁』とは即ち、逃げる為の術を意味し、通常、忍びの用いる術に於いては、

諜報活動や暗殺を生業とする彼らにとって、非常時における脱出手段に過ぎなかった。

かつては数多の流派が存在した忍。その中でも藤蔵と影が

大きくのし上がった理由の一つに『遁術』を逃走術から格闘用、実戦向けの

忍術へと昇華させた事がその一つとして大きく取り上げられる要因であろう。

その中でも数代前より築き上げられてきた『遁術の合体』。

その膨大な力は度々、要人の危機を救い、戦の形勢を逆転させるに及ぶ

切り札として、代々藤蔵の権威と名声をささえ続けている。

しかしその代償は、使用者に対する莫大な魔力と力を蓄積、

それを開放する事による肉体への膨大なる負担。

下忍はもとより、上忍でさえ下手をすれば命を落とすかもしれない。

そんな荒業を躊躇う事なく使用する彼等、五忍。

それを為すは、奥義伝承者としての自信か、己が担う使命の重さか。


95 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:00:40.53 ID:E5lNbkko
ゴゴゴゴゴゴッ…

火忍「はああぁぁ…」

水忍「……こおおぉぉ」

火忍と水忍。二人の身体が通常とは異なり、それは敵にとって、

風貌や状態のみにおいても、危機を感じさせるに至る。

ネクロマンサー「な…なんだ、あれは…!?」

ヒミコ「…!?」

キィン!!

帝「どこを見ておる!」

ヒミコ「…こ…の……っ!」

ネクロマンサー「あれはちょっと…いけませんねぇ」

フワッ

ネクロマンサー「……!?」

コカトリス「どこへ行く…?」

ネクロマンサー「……」


96 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:01:13.60 ID:E5lNbkko
ザザッ

召喚士「逃がすか!」

魔道士「……」

ネクロマンサー「コカトリス程の召喚獣が…何故、人間に従うかね?」

コカトリス「……」

ネクロマンサー「何百年…何千年と見てきたのであろう?」

コカトリス「貴様は元々、人間であったのだろう?」

ネクロマンサー「……」

コカトリス「臭いで分かる。純粋な魔族のものではない」

ネクロマンサー「そのような事はどうでもいい」

コカトリス「いや、人間を捨てた貴様には…分からぬ事よ」

ネクロマンサー「……?」

コカトリス「何故…私が、人間と共におるのかをな…!」

ネクロマンサー「ちぃ…っ!」

コカトリス「……喰らうがいいっ!!」


97 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:01:39.75 ID:E5lNbkko
ゴアオオォォッ!!

コカトリスの放つ石化の吐息がネクロマンサーの頭上より降り注ぐ。

ネクロマンサー「……ッ」

ヒュオッ

コカトリス「……邪魔はさせぬ」

ネクロマンサー「どうあっても通さぬつもりか」

召喚士「勿論だ」

ネクロマンサー「……小賢しいぃ!!」

大きく背を仰け反らせ、勢い良く針状の触手が地面を走る。

ズガガガガッ!!…バシュウウゥゥ

コカトリス「召喚士!!」

召喚士「……っ!」

魔道士「やぁっ!」

ドドオオォォンッ!!…ボゴオオォォ!!

ネクロマンサーの触手を魔道士が起こす土壁が弾き返す。


98 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:02:31.88 ID:E5lNbkko
バギイイィィッ!!

魔道士「くう…っ!」

ネクロマンサー「…ククッ!」

タンッ!!

召喚士「逃がすかっ!!」

コカトリス「おう!」

ネクロマンサー「甘いですよ…!」

ザッバアアァァッ!!

召喚士「な…っ!?」

名代「またしても…ヤマタノオロチ…!」

コカトリス「もう復活したか…っ」

ネクロマンサー「さぁ、こやつらを始末するのだ」

召喚士「……くっ」

ネクロマンサー「おっと、その娘は生かしておきましょう。ククッ」

魔道士「……っ!!」


100 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:03:08.24 ID:E5lNbkko
コカトリス「させぬっ!!」

ギュオッ…バシュウッ!!

ヤマタノオロチ「……オオォォ」

コカトリス「はあぁーっ!!」

ドドオオォォンンッ!!…バキバキバキィ!!

両者の吐息が空中で激しくぶつかり合う。

コカトリス「…ぐ…うぬ!」

召喚士「押し…切れぇ!!」

バゴオオォォンッ!!…パラパラパラッ

召喚士「相殺…したか……っ」

魔道士「召喚士さん!」

召喚士「しまった!!」

その隙を突いて、ネクロマンサーは火忍と雷忍の元へ移動する。

ネクロマンサー「させませんよぉ…っ!」

帝「…雷っ、右方から来ておるぞ!」


101 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:03:37.58 ID:E5lNbkko
雷忍「…火っ、お前はそのまま…首に仕掛けよ!」

火忍「……頼…むぜぇ…っ!」

バチバチと電撃を纏い炎に包まれた火忍が、どっしりと重心を構える。

刹那、電撃は徐々に足元へと移動し、地中の小石が激しく跳ね上がる。

ネクロマンサー「くらえぃ!」

バシュウウゥゥ!!

雷忍「しま…っ!」

ドドオオォォン!!…ボゴオオォォ!!

ネクロマンサー「!?」

雷忍「土の…壁…っ!?」

召喚士「魔道士さん、流石です!」

魔道士「い、いえ…っ!私じゃありません…っ」

召喚士「…!?」

火忍「……いいところに…来てくれたぜぇ!」

火忍は正面後方の崖上を見上げ、ニヤリと笑う。


102 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:04:04.28 ID:E5lNbkko
ザッ

土忍「…待たせたな」

雷忍「土…っ!!」

ネクロマンサー「まだ鼠が…っ、小癪な……」

ビュオォッ!!…ギュルギュルギュルッ!!

ネクロマンサー「…!?」

空中のネクロマンサーを制するように巻きつく鎖。

ネクロマンサー「この鎖…見覚えがある…!!」

ザスッ

盗賊「……貴様…ぁ」

魔道士「盗賊さん!!」

召喚士「ご無事で!!」

盗賊「ネクロマンサー。貴様は私が…っ!!」

雷忍「今だ!!ゆけぃ!!」

火忍「奥義…っ!電光石火ああぁぁ!!」


103 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:04:31.07 ID:E5lNbkko
足元の電撃がふと、地面で弾ける。

バシュンッ!!

召喚士「消え……」

名代「いやっ、あの落雷…!!」

それは一本の稲光となりて、頭上高くで小さく光り、再び弾ける。

ネクロマンサー「ッ!?」

今度は大きく光り輝き、一本の落雷となりて降下する。

ピシャッ!!…ドドドドオオォォォォンッ!!

魔道士「きゃあぁ!!」

召喚士「くぅ…っ!!」

バチバチバチバチッ!!…ズガアアァァンッ!!

ネクロマンサー「…ぐく…っ」

ヒミコ「っ!!」

女剣士「隙あり!!」

タンッ!!…バシュッ!!


104 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:05:01.99 ID:E5lNbkko
ヒミコ「……っ」

帝「はあっ!」

ザシュッ!!

ヒミコ「ぐぅ……」

スタッ…ポタポタポタッ

女剣士「お見事!」

帝「お主もな」

右肩を押さえるヒミコは、火忍による電光石火の一撃を浴びた

ヤマタノオロチの首を見上げ、一度後方へと退く。

女剣士「待て…っ!」

帝「いや、深追いするでない。手負い猪という言葉もある」

女剣士「…御意に」

ズガアアァァンッ!!

帝「…!?」

女剣士「ヤ、ヤマタノオロチが…っ」


105 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:05:37.93 ID:E5lNbkko
グラァ……ズドオオォォンッ!!

縦真二つに切り裂かれたヤマタノオロチの首一本。

もたげるように地面へと叩きつけられ、やがてはピクリとも動かなくなった。

ネクロマンサー「……」

盗賊「…………」

土忍「……」

召喚士「……」

魔道士「や…った…!?」

バチバチバチィ…シュタッ

火忍「…へ、へへ…っ。……がはっ!」

雷忍「火!!」

火忍「…や、ったぞ…ざまあみやがれ…っ」

雷忍「…よくやった。退がって今しばし休むが良い」

火忍「わり…っ。そうさせて貰うわ……」

雷忍の肩へもたれ掛かるように担がれ、火忍は後方の石床へと腰を落とした。


106 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:06:04.69 ID:E5lNbkko
鬼丸「…すっげぇ!」

戦士「…まずは、一つ取ったな!」

風忍「こちらもいきますよ」

戦士「おう!盾は心配するな!」

鬼丸「死ぬ気で守ってやるぜ!」

ダンッ!!

ヤマタノオロチ「…アアァァ」

戦士「動き押さえるぐらいなら…っ!」

鬼丸「なんとかしてやらぁ!!」

ビュオッ!!…ガギイイィィンッ!!

戦士「……ほおぉ、イカした籠手…付けてるじゃねーか」

鬼丸「鬼の籠手ってな。相棒こそ良い趣味してんな!」

戦士「…こいつか?コイツはこういう使い方もあるんだ…ぜ!」

上顎をかち上げ支える炎の盾が、斧へと形状を変化させる。

ガシャンッ!!


107 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:06:32.04 ID:E5lNbkko
戦士「……でっりゃあぁ!」

左手に斧、右手に雷切。両手に武器を構え、戦士は右足で踏みつけた

ヤマタノオロチの下顎を更に踏み込み、二つの得物を交差させ、放つ。

ブオォッ…ドッグオオォォ!!

ヤマタノオロチ「……ァァ!」

戦士「雷と…炎で、簡易的二行だ!」

鬼丸「…グハハッ、荒々しいなぁ。刀折れちまうぞ?」

戦士「そんときゃそん時だ。腕の良い鍛冶屋がいる!」

鬼丸「…グハハ!そりゃいいや」

戦士「動きは封じてる!今だっ!!」

水忍「こおおぉぉ…っ」

戦士「!?」

鬼丸「…何だぁ、ありゃあ…?」

風忍「細氷・・・いやっ、氷霧と言うべきか」

水忍の足元に風が巻き起こり、全身はキラキラと氷の結晶に包まれた。


108 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:07:01.19 ID:E5lNbkko
雷忍「…水、決めろよ」

火「……っ」

召喚士「あれは…ダイヤモンドダスト!?」

魔道士「で、でも…もっと小さい…目にも見えない氷の破片みたいですよ」

ゴゴゴゴゴゴッ

水忍「秘奥義……疾風怒濤っ!!」

声を荒げる水忍の足元の風が、一挙に爆発する。

ドウンッ!!

突風の勢いを利用し、水忍の身体は高く跳躍され、

纏った粒子状の氷が、まるで鋭い刃物のように回転され、一気に降下する。

バシュンッ!!

ネクロマンサー「…放…せぇ!!」

盗賊「!?」

ググッ…バチィンッ

魔道士「鎖が…っ!」


109 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:07:31.00 ID:E5lNbkko
盗賊「…ちっ」

召喚士「コカトリスー!!」

ゴウッ!!

コカトリス「逃がさぬと…言っておろう!」

ネクロマンサー「しつこい…っ!」

コカトリスよりまたも放たれる石化の吐息。

ネクロマンサーは身体をねじるように、それを間髪かわす。

召喚士「まだまだぁ!」

スフィンクス「ぱーんちっ!!」

ゴオッ!!

ネクロマンサー「くっ!」

チュインッ

スフィンクス「やばっ、かすっただけだ!」

ネクロマンサー「これ以上は…させぬぞっ」

水忍とヤマタノオロチの間へ、懸命に割り込もうとするネクロマンサー。


110 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:08:01.01 ID:E5lNbkko
シュバッ

ネクロマンサー「……はっ!」

背後より迫る飛来物にネクロマンサーは顔色を変える。

その後方にて飛来物、即ちクナイを投げ飛ばした盗賊の姿が目に入る。

ネクロマンサーは咄嗟に空中で軌道を変え、クナイを必死でかわす。

土忍「ただのクナイに…随分警戒心の強い輩だな」

ネクロマンサーの脳裏に一瞬、わずか一瞬ではあるがフラッシュバックする。

最北の村で盗賊に一撃食らわされた五行をの施されたクナイ。

なんの変哲もないクナイと分かっていながらも、過剰に反応し回避を選んだ。

わずかその刹那の刻が、水忍の一撃を許す結果と相成った。

ネクロマンサー「しま…っ……」

ズシャアアァァァァ!!

ヤマタノオロチ「グ……ギャアアァァーッ!!」

鬼丸「いよっしゃあ!!」

戦士「これで…二匹目!」


111 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:08:31.85 ID:E5lNbkko
ドッズウウゥゥンッ……バタバタバタッ

伸ばした首の中間部分より、真っ二つに落とされたヤマタノオロチの首。

その斬り落とされた部分がのた打ち回り、やがて動かなくなった。

ヒュオッ…スタッ

水忍「…ごほごほっ!がは…っ……!」

戦士「大丈夫か!?」

水忍「あ、ああ…。すまない」

ザッ

風忍「水、掴まれ」

戦士「任せるぜ」

風忍「ああ。すぐに戻る」

戦士「鬼丸っ!次は中央…名代さんの援護だ!」

鬼丸「おうよ!!」

タッタッタッタッタ

風忍「…水、よくやったな。見事也」


112 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:09:01.10 ID:E5lNbkko
ザッ…ドサッ

水忍「…う…っ」

風忍「ここで休んでおれ」

雷忍「さぁて、そろそろ行くか」

風忍「その怪我で、休んでなくて良いのか?」

雷忍「…カカッ、こんなもの…怪我の内に入らないさ」

風忍「……」

タタタッ

火忍「…いよぉ、ざまぁないな」

水忍「…人の事が申せるのか?」

火忍「…けっ、俺はすぐに…戻るさ」

水忍「その割には立つ事もままならぬようではないか…」

火忍「…言ってろ。黙って休んでるんだな!」

水忍「…その台詞、そっくりそのまま返させて貰うぞ」

火忍「……けっ!!」


113 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:09:31.15 ID:E5lNbkko
ザザッ…フワァ

ネクロマンサー「まさか……まさか、ヤマタノオロチの首が…二つも」

ヒミコ「ヤマタノオロチ様…っ」

召喚士「これで残るは…」

ザッ

名代「……六つですね」

魔道士「えっ!?」

名代「ヤマタノオロチとはそもそも、『八岐大蛇』と申す」

召喚士「……」

名代「……『八岐』とは、八つに分岐している事を意味します」

召喚士「!?」

名代「それは即ち、『八つ岐を持った大蛇』…という意味合い」

召喚士「つまり…先程からいる五つ以外に……」

名代「まだ三つ……首があるはずです」

ネクロマンサー「……ククッ、ご名答」


114 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:10:01.17 ID:E5lNbkko
召喚士「!?」

ネクロマンサー「諸事情でね、今は三つ程お出し出来なかったのですよ…」

盗賊「…出せなかった?」

ネクロマンサー「ヤマタノオロチを完全体へ仕上げるには……」

チラリ

魔道士「……っ」

ネクロマンサー「良質な生娘が必要なのです」

言葉を続けながら、ネクロマンサーは右手で合図を促し、

毘沙門天と組するヤマタノオロチを一度、引き揚げさせる。

ススッ…ズズズッ

名代「!?」

ネクロマンサー「しかも、一つの首につき一人の生娘……」

召喚士「貴様…っ」

ネクロマンサー「これがまた、骨の折れる作業でしてねぇ…ククッ」

土忍「……」


115 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:10:30.86 ID:E5lNbkko
ネクロマンサー「ただの生娘なら数多おりますが…良質となると…ねぇ」

名代「ま…さか…っ!」

ネクロマンサー「そう。彼女のように素晴らしい力を持った、生娘がね」

巫女であった者、ヒミコを指差しネクロマンサーは静かに笑う。

ネクロマンサー「半分はあっさりと見つかりました」

召喚士「身勝手な事を言うな!」

ネクロマンサー「……」

召喚士「見つかった?お前が攫ったんだろう!」

ネクロマンサー「…だから何です?弱いから捕食される。それだけの事」

召喚士「貴様という奴は…っ」

名代「召喚士殿、落ち着くのだ」

召喚士「……っ」

ネクロマンサー「クククッ、冷静ですねぇ。この娘…お知り合いのようですが」

ヒミコ「…うふふふっ」

名代「……」


116 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:11:00.79 ID:E5lNbkko
ネクロマンサー「この娘を食わせて残り三つ。十分と思いましたが……」

フワッ

ネクロマンサー「計算外でしたね。ここまでやるとは……」

鬼丸「ざまぁみやがれってんだ!」

ネクロマンサー「二つの首を失い、残り六つ……」

ヒミコ「御労しや……」

ネクロマンサー「ですが、まだチャンスは我々にあるようですねぇ」

召喚士「……?」

ネクロマンサー「まさか三つも揃うとは……私は運がいい」

名代「何を…企んでいる…っ!」

召喚士「何かまずい…!魔道士さん、後ろに下がって下さい!!」

魔道士「は、はいっ!」

召喚士「盗賊さんも!!後方へ!!」

土忍「姫……指示に従うべきかと」

盗賊「……ああ」


117 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/29(月) 19:11:30.47 ID:E5lNbkko
ヒュオッ…スタッ

召喚士「……三つ?」

魔道士「……?」

召喚士「三つ…って……何だ……?」

名代(確かにおかしい……。何が三つなのだ!?)

召喚士と名代は周囲を見渡し、一つのある仮定を導き出した。

召喚士「……ま……さか…っ」

名代「以外に…考えられん!!」

ダッ!!

ネクロマンサー「此方が喰らうか、貴様等が打ち倒すか…最後の勝負だ!」

ヒミコ「ヤマタノオロチ様の邪魔はさせぬっ!」

召喚士「戦士、鬼丸!上様を守れーっ!!」

名代「魔道士殿と盗賊殿は最後尾まで退かれよ!!」

魔道士「は、はいっ!」

盗賊「…行くぞ、魔道士」



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