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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その15
259 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:28:22.31 ID:O4iS7VIo
〜港〜

戦士「何だあれ…?」

召喚士「国軍の船だね。また戦闘があるのかな…?」

戦士「大規模戦闘があったばっかりだってのに…物騒な事で…」

盗賊「……」

国軍の船からは少数の兵と士官らしき数名が出入りしている。

召喚士「じゃあ…船に向かいましょうか」

魔道士「そうですね!」

戦士「大型船なんて久々だなぁ…!」

召喚士「西方行った時以来だよね?」

盗賊「…うん」

戦士「んで、次はどうすんだ?本国行くか…西方か…」

魔道士「何かありますか?」

盗賊「…私は…特にないな」

召喚士「……」


260 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:34:20.14 ID:O4iS7VIo
戦士「はぁ!?遅れてる…?」

係員「はい…。申し訳ありません」

おじさん「おいおい!俺は早く本国へ行かなきゃならねーんだよ!」

男「早くしろーっ!」

召喚士「な、何でまた…」

係員「それが…貨物室に密航者が居た関係で…」

魔道士「密航者…?」

戦士「…まさか、その正体はどこぞの王子でした…なんて事はねーだろうな?」

係員「……?」

船員「いたぞっ!おら…!こっち来い!!」

魔道士「密航者の人ですかね…?」

振り返る一同の前に、密航者らしき人物が船員に引きずられ姿を現す。

船員「おらっ!こっちだこっち!!」

戦士「ありゃあ野宿者だな……」

戦士は汚れた衣服と、長く伸びた髪や髭を見て呟く。


262 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:38:03.23 ID:O4iS7VIo
魔道士「野宿者…ですか?」

戦士「たまにいるんだよ。船に潜り込んで移動しようっつー野宿者が…」

召喚士「北には多いですからね…」

盗賊「…ああ、そういえば」

係員「お待たせ致しました!準備が整いましたので順番にお進み下さい」

戦士「…行くぞ盗賊ー」

盗賊「……」

船員「北で潜り込みやがったな・・・この野郎っ!」

野宿者「…うっ…うぅ…!」

ヨロヨロッ…ドシャァッ

船員「しっかり歩けっ!全く……」

テクテクテク…

船員「な、何だ…!?」

盗賊「…もう…許してやれ」

船員「はぁ!?」


263 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:42:19.29 ID:O4iS7VIo
盗賊「……」

船員「あのな姉ちゃん、コイツはタダで船に潜り込んで…」

スタスタスタ…

戦士「まったく…。厄介事に首突っ込みやがって…」

盗賊「…す、すまん」

戦士「まぁいい。そいつはこっちで引き取る。問題ないな?」

船員「あ、あのなぁ…」

戦士「ほれっ」

ヒョイッ…ジャラジャラッ

船員「!?」

戦士「コイツの舟代だ。足りんだろ?」

船員「そりゃあそうだが…無賃乗船は犯罪……」

ザッザッザ…

声「私に免じて…無罪という事でいけませんかね?」

戦士と盗賊の背後より、羽扇を手にした男が近づき、声を発する。


264 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:45:20.02 ID:O4iS7VIo
タッタッタ…

召喚士「戦士…!?どうし……」

大軍師「こんにちは。朱雀先生…」

召喚士「だ、大軍師…さん!?」

船員「国軍の…大軍師様っ!?」

戦士「……」

大軍師「運賃はお支払頂いたのでしょう?それでは開放して下さい」

船員「…国軍の方が仰られるのであれば…もちろんっ!」

船員は恐縮しつつ野宿者を起こし、戦士へ預ける。

船員「それでは…失礼します!」

タッタッタ…

戦士「…あんがとよ。助かった」

大軍師「いえいえ…。貴方がただから…ですよ」

召喚士「……?」

大軍師「いいえ、何でもありません。ふふっ」


265 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:50:13.92 ID:O4iS7VIo
魔道士「大軍師さんはどうしたんですか?」

大軍師「ええ。ちょっと所用が御座いまして…」

盗賊「……戦か?」

大軍師「いえ。戦はしばらくありませんよ」

召喚士「……」

大軍師「まぁ…戦以外が本来の私の仕事ですから…」

魔道士「な、なるほど…」

大軍師「それでは、そちらの方はお任せ致しますが…宜しいので?」

戦士「ああ…。乗りかかった船だ…仕方ねぇ」

大軍師「ふふっ…。実際の船には乗れませんでしたけどね…」

戦士「え…っ?あぁーっ!!」

振り向く戦士の横を、無常にも船は出発していく。

召喚士「し、仕方ないよ…。ははっ…」

戦士「言ってくれりゃあ良かったのに…」

盗賊「…す、すまぬ」


266 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 18:58:46.91 ID:O4iS7VIo
大軍師「それでは私はこれにて…」

魔道士「あ、はいっ!ありがとうございました!」

大軍師は一礼し、その場を去って行った。

召喚士「そ、それで…この人どうしようか…?」

野宿者「…うぅ…っ…!!」

戦士「あーあー、ほら…倒れた時に小物散らばせてんじゃねーか…」

戦士はしゃがみこみ、地面に落ちる野宿者の私物を拾い集める。

戦士「…しっかしガラクタばっかりこんなに持って……ん…?」

古びたペンダントを手に、戦士はぴたりと立ち止まる。

戦士「……」

カパッ…

召喚士「……どうしたの?…戦士?」

魔道士「戦士さん?」

戦士「そ…そんな…っ!?なんで…なんでっ!!」

古びたロケットペンダントの中には、幼き日の戦士と、母の姿が描かれていた…。


267 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/06/01(火) 19:06:18.03 ID:O4iS7VIo
ここまでにて失礼致します!
ご支援ありがとうございました!では!ノシ


269 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/06/01(火) 19:11:00.38 ID:nBcrVcDO
ねぇ?>>1はSなの?生粋のSなの?


270 :GEPPERがお送りします [] :2010/06/01(火) 20:04:29.02 ID:Xk9uHlUo
野宿者「そ、それは北の奥地で出会ったお方から預かったモノ」

戦士「北の…」

野宿者「そう、とても大事なモノなんだ…返してくださらんか」

戦士「そいつはどこにいったんだ!!」

野宿者「北の魔王を倒すと言って…」



的な定番展開?


272 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/06/01(火) 20:28:44.37 ID:9gRxYIco
      .'``・* 。
      |     `*。
     ,。∩      *   
    + ζ(゚ー゚*ζ *。+゚ 布団ふわふわにな〜れ♪
    `*。 ヽ、  つ *゚*
     `・+。*・' ゚⊃ +゚
     ☆   ∪~ 。*゚
      `・+。*・ ゚


276 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/01(火) 23:56:04.79 ID:FXI4BnQo
〜鍛冶屋の家〜

コンコン…

おかみ「はいはい…。今日は営業し……」

大軍師「…どうも…こんにちは」

おかみ「っ!?」

鍛冶屋「ん…?お客さんかい…?」

玄関まで顔を出す鍛冶屋の表情が一瞬のうちに硬くなる。

大軍師「鍛冶屋殿、ご無沙汰しております…」

鍛冶屋「……何か用かい?」

大軍師「……例の物を」

衛兵「ははっ!」

ザッザッザ…ゴソゴソッ…ゴトッ

鍛冶屋「…随分大きいね。武器かな?」

鍛冶屋は、二人の衛兵が運んできた、大きな布に包まれた物を見つめる。

大軍師「……この二つの物を…合成して頂きたい」


278 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 00:03:51.39 ID:dnjqW1co
おかみ「!!」

鍛冶屋「ゾディアックなら申し訳ないがお断りだよ」

大軍師「いえいえ、あれはもはや我らの手に負える物ではありませんよ…」

鍛冶屋「じゃあ一体…」

シュルシュルッ…パサッ…

大軍師は二つの布を剥ぎ、不敵な笑みを浮かべる。

鍛冶屋「こ……これは…っ!?」

おかみ「ちょ、ちょっと…!話なら余所でしようじゃないか…」

おかみは玄関先に集まる人々を見ながら、不安そうに話す。

大軍師「確かに…人が集まってしまいましたね。申し訳ありません…」

鍛冶屋「……」

大軍師「お二人は我らの船へ。…お連れしなさい」

衛兵「はは!…では、こちらです」

鍛冶屋「……行こう」

おかみ「う…うん……」


279 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 00:07:42.43 ID:dnjqW1co
〜船着き場〜

魔道士「お……父さん…ですか!?」

召喚士「!!」

戦士「……」

盗賊「…こ、この人が…!?」

戦士「……ああ、間違いない」

三人は同時に、野宿者の顔を見る。

野宿者「……うっ……うぅ」

戦士「だが、どうも様子がおかしい…。さっきから意識がはっきりしないというか…」

召喚士「う、うん…っ」

魔道士「一度医者に診て貰いましょう!」

盗賊「…とりあえず…鍛冶屋の家へ行こう」

召喚士「それが良いですね…!戦士、背負える?」

戦士「あ、ああ…っ」

戦士は地面へ座りこむ野宿者を抱え上げ、その身体を背負う。


280 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 00:11:47.16 ID:dnjqW1co
タッタッタッタッタ…コンコンコン……コンコン

魔道士「……留守みたいです」

召喚士「…しまったな。どうする…!?」

盗賊「…この町に…医者は?」

戦士「鉱山の町だ。一人や二人はいるだろうが…所在までは…」

盗賊「…そうか」

召喚士「……!!そうだっ、国軍!!」

魔道士「!?」

召喚士「軍船なら軍医はいるはずだ!大軍師さんに頼んでみよう!」

盗賊「…成程…妙案だ!」

タッタッタッタッタ…

衛兵「だから…大軍師様は取り込み中で、お繋ぎする事は出来んのだ…」

召喚士「そこを…何とかっ!」

衛兵「申し訳ないが……」

魔道士「そ、そんなぁ……」


281 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 00:14:50.42 ID:dnjqW1co
召喚士「やぱり町医者を探すしかないね…」

戦士「そうみたいだな…」

魔道士「町の人に聞いてみましょう!」

テクテクテク…

男「あ、あのぉ……」

突如、召喚士達に一人の若い男が話しかける。

召喚士「は、はい……?」

男「そちらの方……御病人…ですか?」

戦士「あ、まぁ……」

男「良かったら…診させて頂けませんか…?」

魔道士「…えっ!?」

ドクター「あ……申し遅れました。私、ドクタート言います」

盗賊「……ど、どうも」

ドクター「今年から医者になった新米ですが、全国を渡り歩いてます。どうぞ…宜しく…」

召喚士「…よ、宜しく…です」


282 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/06/02(水) 00:24:22.86 ID:dnjqW1co
こんばんは、どSです。熱が下がらないので寝ます…ごめんなさい

>>270
この発想はなかったですwこっちも面白かったかもですね!

>>272
魔道士!?


今更ですがあぷろだの戦士斧見させて頂きました!
ああいうギミックもカッコイイですね!
ご支援ありがとうございました!それではおやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

魔道士「急に科学の話とか…難しいですよぉ」

盗賊「う…うん」

魔道士「書いてる本人も熱で何書いてるか分からない状態らしいです」

戦士「な、なんつー無責任な……」

魔道士「話も…ブレまくりだとか…親子対面までこんなに長くなっちゃって…」

召喚士「え、えぇ。まぁ…いいんじゃないですか…?いや、ダメ…か」

魔道士「とりあえず…杖がハートになりました。どこに向かっているのでしょうか…」

戦士「魔道士…。遠い目やめろ……」

召喚士「と、とりあえず…これからも宜しくお願い致しますっ!」


291 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:19:40.17 ID:XMoLGp6o
〜診療所〜

キィッ…

看護士「ごめんなさい…午前の診察は…あら?」

ドクター「…こんにちは」

看護士「先生ーっ!ドクターさんが見えられましたよー!」

慌しく走り回る看護士が、奥の部屋めがけ大声を出す。

医者「入って貰えー!」

看護士「先生は置くにいるからっ!…あっ!こら、待ちなさい!」

子供「やだよーっ!」

タッタッタッタッタ…

ドクター「行きましょう。こちらです…」

戦士「なにやら…賑やかだな…」

魔道士「ええ…」

ドクター「賑やかでは…困るんですけどね……」

召喚士「…?」


292 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:20:07.80 ID:XMoLGp6o
テクテクテク…

医者「おう!来てくれたかっ!」

ドクター「はい。急患がいらっしゃるので終えたら手伝います」

医者「頼む!昼過ぎまでビッシリだ…!」

ドクター「……ではこちらの部屋へ」

ドクターの誘導で隣接する診察室へ移り、戦士は野宿者をベッドへ寝かせる。

野宿者「……うっ……うぅ…」

戦士「……」

ドクター「…では、失礼します」

スッ…ゴソゴソッ…トントン…

ドクター「……」

盗賊「……」

スゥッ…

ドクター「外傷や目立った傷はなし…」

召喚士「はい。それは確認しました」


293 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:20:33.87 ID:XMoLGp6o
ドクター「…?」

召喚士「俺…召喚士なんです。怪我なら召喚獣で治癒出来るので…」

ドクター「そうでしたか…医学的知識もおありのようですね…」

召喚士「書物レベルの知識ですから…。役には…」

戦士「それで…っ、どうなんだ!?」

ドクター「特に病んでいる様子もなく…意識もはっきりしています」

戦士「本当かっ!?」

ドクター「ただ…何日も食事を摂っていないようですね」

魔道士「……」

ドクター「何か食べる物を…。それから入浴もした方が…」

戦士「お、俺が買ってくる!」

盗賊「…わ、私もっ行く!」

ドクター「それではお願いします」

戦士「おう!」

盗賊「い、いってきますっ!」


294 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:21:10.48 ID:XMoLGp6o
〜市場〜

戦士「……」

テクテクテク…

盗賊「……」

戦士「……」

チラチラッ…

盗賊(戦士…折角父上が見つかったというのに…)

テクテクテク…

盗賊(なんて…声をかけてあげればいいのかな…)

テクテクテク…

盗賊(と、とりあえず…私が笑顔で…頑張らなくちゃ…うんっ)

テクテクテク…

盗賊「…せ、戦士っ!」

クルッ

盗賊「い、いないっ!!…あれっ!?」


295 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:21:58.07 ID:XMoLGp6o
戦士「じゃあこれ一つくれ」

店員「毎度っ!」

タッタッタ…

盗賊「はぁ…はぁっ」

戦士「どこ行ってたんだお前は…」

盗賊「…ご、ごめんっ」

店員「はいよっ、お待たせ!」

戦士「ほれ、帰るぞ」

盗賊「…あ、うん」

テクテクテク…

盗賊「……」

戦士「……」

盗賊「せ、戦士…あのぉ…」

戦士「…気にすんな。落ち込んだりしてねーからよ」

盗賊「……うん」


296 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:22:25.29 ID:XMoLGp6o
〜診療所〜

戦士「どうだ…?」

魔道士「あっ、おかえりなさい!いまお風呂に…」

戦士「そっか…」

ドサッ…スタスタスタ

戦士「風呂ってこっちか?」

魔道士「えっ、あ…はい!」

戦士「サンキュ」

スタスタスタ…

盗賊「……」

魔道士「戦士さん…やっぱりいつもと感じが違いますね…」

盗賊「…うん。しばらくは…仕方ない」

魔道士「なんとか…してあげたいけど…」

盗賊「…余計な事はしない方が…良さそうだな」

魔道士「ええ……」


297 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:22:55.06 ID:XMoLGp6o


野宿者「……うぅ…」

召喚士「戦士、担げる?」

戦士「おう。よっ……と」

ドクター「降ろしていいですよ。拭き終えました」

召喚士「ふーっ…とりあえず食事かな…」

戦士「バナナとかそういうので良かったんだよな?」

ドクター「ええ。絶食状態だったと思うので、胃に優しい物ならば…」

ガサゴソッ…トンッ

戦士「ほれ…食ってくれ」

野宿者「…っ……うぅ!」

バナナを差し出す戦士の手から、野宿者は奪い取るようにそれを食す。

野宿者「…ふっ……うぅ…っ」

戦士「……」

召喚士「……」


298 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:23:22.03 ID:XMoLGp6o


ドクター「とりあえず食事も済ませ、落ち着きましたね」

戦士「……」

ドクター「大丈夫。ただ寝ているだけですよ」

ドクターはベッドへ横たわる野宿者を見つめ、微笑む。

召喚士「戦士…本当に親父さんで間違いないんだね?」

戦士「…幾らバカな俺でも、親の顔忘れる程…愚かじゃないさ」

魔道士「……一体何があったんでしょうか…?」

ドクター「…記憶喪失」

召喚士「え……っ?」

ドクター「恐らくですが、全生活史健忘…それも重度の…」

魔道士「そ、そんな…」

戦士「……」

戦士「……どうすりゃ…治るんだ?」

ドクター「……今のところ、治療法はありません」


299 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:23:53.22 ID:XMoLGp6o
盗賊「……」

魔道士「そんなのって…どうしたら…」

ドクター「とりあえずは、身内である貴方が傍にいてあげて下さい」

戦士「……」

ドクター「自宅や、思い出の地へ赴くのも良いと思います」

召喚士「環境の変化から記憶を取り戻す手掛かりにするわけですね」

ドクター「それでも確実に…とは言い切れません」

戦士「…分かった。ありがとう」

ドクター「今日はここに泊まると良いでしょう。何かあれば私も対処します」

戦士「……助かる」

ドクター「では…他の方の診察に行きますので…失礼します」

召喚士「あのっ、ありがとうございました!」

ドクター「いいえ、それでは…」

戦士「……」

立ち去るドクターに、戦士は深く頭を下げ、三人もそれに合わせ一礼した。


300 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:24:31.16 ID:XMoLGp6o
〜夜〜

魔道士「ご飯食べてきました」

盗賊「…看病変わるから…行ってきて」

召喚士「ありがとうございます。それじゃ行こうか。戦士…」

戦士「……ああ」

テクテクテク…

召喚士「食欲…ある?」

戦士「…いんや、あまりないなぁ」

召喚士「じゃあバーで飲みながら簡単に…」

戦士「そうするか…」

召喚士「あ…鍛冶屋さんの所、寄る…?」

戦士「…世話かけたばかりだしな。無関係だし…いいだろ」

召喚士「そう…だよね」

戦士「港のとこにあるバーでいいよな?」

召喚士「あ、うんっ!問題ないよ」


301 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:25:01.33 ID:XMoLGp6o
〜港のバー〜

召喚士「……」

戦士「……」

コクコクッ…コトッ

召喚士「あ、あのさ…」

戦士「大丈夫。別に落ち込んだりしてるわけじゃないから」

召喚士「そ、そっか…」

戦士「自分でも不思議なほど落ち着いてるよ」

召喚士「……そう」

戦士「正直言うと、不安だったんだろうなぁ…」

召喚士「…?」

戦士「親父はきっと生きてる。自分でもそう信じてたし…みんなそう言ってくれた」

召喚士「うん…」

戦士「でもやっぱり、万が一の事を考えちまってたんだろうなぁ…」

召喚士「戦士…」


302 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:25:28.29 ID:XMoLGp6o
戦士「だからさ、怪我だろうが病気だろうが…生きてた事でほっとした」

召喚士「そっか…」

戦士「何だかんだ言っても、唯一の肉親だしな…!」

召喚士「そうだよね。しかも…会えた事が奇跡だよ!」

戦士「あぁ、そうかもしんねぇ…!あんな偶然そうそうあってたまるかよっ」

召喚士「ほんとだよ…。俺達ラッキーだよね!」

戦士「…あんがとな」

召喚士「…え?」

戦士「いや…色々と気ぃ遣って貰っちまって…」

召喚士「そんな今更…。お互い様だって」

戦士「あぁ…」

召喚士「人の繋がり…。これがあってこそだもん」

戦士「そう…だよな!」

召喚士「うんっ!あはははっ!」

戦士「はははっ!」


303 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:26:00.08 ID:XMoLGp6o
〜診療所〜

魔道士「あっ、おかえりなさい…」

戦士「親父はどうだ?」

盗賊「…まだ…寝てる」

戦士「そうか。よし…代わるわ!サンキュ」

盗賊「…うん」

召喚士「さて…これからどうしようか……」

魔道士「まずは戦士さんのお父様の記憶を…」

戦士「……その事についてだが」

召喚士「…うん」

戦士「しばらく…パーティー抜けるわ」

盗賊「!?」

召喚士「え…っ!?い、今なんて……」

戦士「迷惑かけちまうのは申し訳ないと思ってる…。すまんっ」

魔道士「せ、戦士さん…!?」


304 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:26:28.78 ID:XMoLGp6o
召喚士「なんで!さっき話したばかり…」

戦士「だからこそだ!」

召喚士「!?」

戦士「オッサンから聞いたろ?あと数年しかねーんだ…」

盗賊「……」

戦士「こんなところでみんな揃ってもたついてる暇はねぇ」

召喚士「……」

戦士「何も今生の別れってワケでもねーんだし…」

魔道士「で…でもぉ……」

戦士「親父の記憶が戻るとも限らねぇ…。いつ戻るかも分からねぇ…」

戦士は右拳を強く握り締め、膝の上へ置く。

戦士「でもな、たった一人の肉親なんだ。ここで放り投げて…旅を続けるわけには」

召喚士「……それは…もちろんだよ」

戦士「そしてお前ら三人まで付き合わせるわけにゃいかないんだ」

盗賊「わ、私はっ…」


305 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/02(水) 16:27:20.20 ID:XMoLGp6o
戦士「頼むっ!」

盗賊「っ!!」

戦士「…必ず……必ずまた一緒に旅すっから…さ」

召喚士「戦士……」

戦士「今は……行かせてくれ…」

魔道士「……」

召喚士「……分かった」

盗賊「!?」

召喚士「その代わり、一つ約束してくれ」

戦士「……ああ」

召喚士「必ずまた…帰ってきて。他の人に代わりは務まらないから」

戦士「召喚士…っ」

魔道士「四人一緒には…駄目なんですか…?」

盗賊「…戦士。すぐ戻って来いよ!」

戦士「当たり前だ!ピンチの時にゃ真っ先に駆けつけてやる!」



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