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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
694 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:08:01.46 ID:RHqXcVZAo
ズゴゴゴゴゴゴ…

アンラ・マンユ「ヌウウゥゥゥゥ!!」

召喚士「ぐ……うぅ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

アンラ・マンユ(……どういう事なのだ)

力は勝っている。しかし押し切る事の出来ない現実に、アンラ・マンユは戸惑っていた。

アンラ・マンユ(分かっている。人間の力は然程のものではない。そう、前回のもの程では……)

青年兵「何……とかっ、もってくれぇ……っ!」

青龍士官「く……ぐぬぅ……っ!」

アンラ・マンユ(なれば答えは1つ。己の力不足か)

ラーヴァナの力を吸収したとはいえ、アンラ・マンユにとってもそれは始めての経験でもあり、

未だにその力を上手くコントロールしきれていない。魔王はそう解釈していた。

アンラ・マンユ(しかし……それにしてもこの違和感は何なのだ……ッ。不快な違和感が……)

透き通った水の中に混入された泥のような異物アンラ・マンユはその存在を感じ取った。

アンラ・マンユ「まさか……ッ」


695 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:08:41.44 ID:RHqXcVZAo
シュゴオオォォォォ…

――「何百年振りであろうか、我が主……よ」

アンラ・マンユ「やはり貴様か……インドラッ!!」

インドラ「今再び、貴方の下へと帰って来たぞ」

アンラ・マンユ「ええいッ、お前など求めておらぬ! 僕の内から消えよ!」

インドラ「そうはいかぬ。我が力は既にラーヴァナと混同している」

アンラ・マンユ「……ッ」

インドラ「ラーヴァナの力を得た貴方は、よもや逃れられる事は出来ぬ!」

アンラ・マンユ「……やってくれるじゃないか」

インドラ「この刻をどれ程の間、待ち、望み、欲した事か」

アンラ・マンユ「つくづく呆れ果てるよ。貴様といいスグリーヴァといい……」

インドラ「これが世界の為だ」

アンラ・マンユ「魔王なくして魔族の未来はない! 分かっているのか!」

インドラ「それはただの驕りに過ぎぬ。何故、魔王が必要か」

アンラ・マンユ「決まっているだろう。魔王なくばこの地に魔力を汲み取れぬからだ!」


696 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:10:04.34 ID:RHqXcVZAo
インドラ「それが驕りなのだよアンラ・マンユ」

アンラ・マンユ「何……?」

インドラ「この地は魔族のものではない」

アンラ・マンユ「人間のものだとでもぬかすか!」

インドラ「違う。誰のものでもない。自然の形そのものなのだ」

アンラ・マンユ「詭弁だな」

インドラ「魔力などという異質のものを存在させるからこそ、世界はおかしくなるのだ」

アンラ・マンユ「馬鹿が。だからこそ人間共とて魔法を使えるのだろうが!」

インドラ「魔族が居なくば魔法など無用だ」

アンラ・マンユ「どうかな。僕にはそう思えないけれど」

インドラ「魔法がなくば新たな力を生み出す。人間にはそれだけの知恵がある」

アンラ・マンユ「だからこそ滅ぼすのだろうが。人間は欲がある意地汚い欲がな」

インドラ「それはこの世界で留まれば良い。我らが干渉すべき事ではないはずだ」

アンラ・マンユ「……ならばもし、人間がこの世界を終焉へと導いた時、どうするのだ?」

インドラ「……」


697 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:10:33.59 ID:RHqXcVZAo
アンラ・マンユ「奴らはやるぞ。世界を切り取り我がものとし、食い荒らし、荒廃した地が見えるわ」

インドラ「人間はそこまで愚かじゃあない。道を外してもすぐに修正出来る。それが人間だ」

アンラ・マンユ「それでもし人間が魔界や召喚界に手を伸ばしてきたらどうするのだ?」

インドラ「その時は滅ぼせば良い。貴方の考えは早すぎるのだ」

アンラ・マンユ「……」

インドラ「餌だと言いながら、人間に捕食される事を恐れていたのだ貴方達はな」

アンラ・マンユ「馬鹿を言え! どうして僕らが人間を恐れなくちゃならんのだ!」

インドラ「それは魔王である貴方達しか知らぬ事よ」

アンラ・マンユ「……ッ」

インドラ「この地上で六芒星を敷き、魔力を組み上げて、何かを企んでいたのだろう?」

アンラ・マンユ「……」

インドラ「しかし魔力は自分達に留まらず、人間へも影響を与えてしまった」

アンラ・マンユ「貴様……」

インドラ「誤算は徐々に脅威へと変わっていった。違うか?」

アンラ・マンユ「貴様ァ! さっさと消えろぉーッ!」


698 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:11:07.54 ID:RHqXcVZAo
インドラ「皮肉なものだ。餌であるはずの人間に力を利用され、地上支配の邪魔をされ……」

アンラ・マンユ「消えろと言っている!」

インドラ「挙句、分け隔てた召喚獣は人間との共存、協力を選択し、魔族に対抗している」

アンラ・マンユ「召喚獣は愚かなだけだッ! 並べて語るなぁ!」

インドラ「愚かさと賢さを履き違えていては、こうなる結果も目に見えていたわけだ」

アンラ・マンユ「もういい。貴様は所詮、僕の一部に過ぎない。戯れも程にしろ」

インドラ「さぁ終わりだ。帰る事も生死もない地で永遠を過ごすのだ、アンラ・マンユよ!」

アンラ・マンユ「!?」

シュゴオオォォォォ…

召喚士「う……ぐぐううぅぅ!!」

青年兵「くあ……っ、くぅ!!」

青龍士官「ぬ……くぐっ、ぐぅ……っ!!」

アンラ・マンユ「カスがッ! 塵がッ! 虫ケラがッ! ゴミがッ! 貴様等如きがぁ……ッ!」

ゴゴゴゴゴゴ…

アンラ・マンユ「この魔王アンラ・マンユ様に敵うはずなど断じて有り得んのだああぁぁぁぁ!!」


699 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:11:50.68 ID:RHqXcVZAo
ズガオオォォォォン!!

召喚士「絶対に……負けられないんだああぁぁ!!」

弓使い「また押し返したっ!」

魔道士「召喚士さんっ! 頑張ってぇ!」

タッタッタ…ザザッ

魔道士「天才さんっ!?」

天才「……よく踏ん張ってる。だが、かなり苦しいな」

ボス「援護したいところだが、玄武召喚獣では……」

同門「……っ」

ドドドドドド…

白虎長「見えたわっ、ようやく到……」

大軍師「司令っ!!」

エリート「負傷していると聞いたぞ。大丈夫なのか?」

天才「俺様の事はいい。召喚隊で援護出来る奴はいないか!?」

白虎長「まだ、余力はあります」


700 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:12:30.41 ID:RHqXcVZAo
天才「頼む。援護してやってくれ」

白虎長「でも、白虎召喚獣でどうやって……」

天才「空まで上がればいけんだろ?」

白虎長「……まぁ」

大軍師「竜騎士隊の中で、まだ召喚可能な者はおりますか?」

青龍兵「は、はいっ。短時間であれば召喚程度は可能です」

竜騎士兵「私もいけますっ!」

天才「ワイバーンでこいつを上空まで乗せてくれ」

青龍兵「畏まりました。それでは私が……」

竜騎士兵「いや、私が……」

白虎嬢「私も行けます。従姉さ……白虎先生と共に戦わせて下さい!」

青龍兵「……では、白虎先生はお前に託すぞ!」

竜騎士兵「いや、私がこちらを……」

白虎嬢「あ、あのぉ……」

天才「ゴチャゴチャぬかしてねーで早くしろ!」


701 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:12:58.94 ID:RHqXcVZAo
ザッ

竜騎士兵「それでは行きます! しっかりおつかまり下さいませ!」

白虎嬢「は、はいっ!」

ギュウゥ

竜騎士兵「はうぅ、生きてて良かったあぁ!!」

白虎嬢「へっ?」

バシュウウゥゥゥゥ

青龍兵「それではこちらも行きます」

白虎長「……いつでもいいわよ」

ザッザッザ

エリート「何卒、お気を付けて」

白虎長「へぇ!? は、はぁ……どうも……でございますっ!」

エリート「くれぐれもご婦人の安全を第一に頼むぞ」

青龍兵「は、はいぃ! 了解でありますっ!」

バシュウウゥゥゥゥ


702 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:13:28.73 ID:RHqXcVZAo
玄武娘「が、頑張ってですのー!」

オオォォォォ…

大軍師「落ち込む事はありませんよ。貴女は十分に戦ったのですから」

玄武娘「玄武召喚獣も空を飛べたらいいですのに……」

ザッザッザッザ

ゴロツキ「あぁーっ!? ボ、ボスー!!」

チンピラ「やっと見つけた! 無茶しやがって全くもう……!」

ボス「……どけ」

ゴロツキ「!?」

ボス「なぁ玄武先生よ」

玄武娘「はえ?」

ボス「これじゃあ玄武は恥晒しだ。このまま黙って終わっちまっていいのか!?」

玄武娘「……でも、どうしようもないですの」

ボス「諦めたら終いだろ! 俺に考えがある、手を貸して貰えないか?」

玄武娘「……?」


703 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:13:59.65 ID:RHqXcVZAo
バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「ぐくく……っ!!」

青年兵「あ……れは……っ」

青龍兵「隊長ーっ!」

青龍士官「お……前ら!」

竜騎士兵「助っ人をお連れ致しました!」

白虎長「大丈夫!? 持ちそう?」

召喚士「白虎長……さん……!」

青年兵「厳しいですっ、何とか……持ち堪えますが……ぁ!」

白虎長「上空でベヒーモスを召喚するわ」

青龍士官「!?」

白虎長「でも勿論、落下があるから持って3秒! 何とか出来そう!?」

青年兵「召喚士さんっ、出来ますか?」

召喚士「……3秒かっ、となると手は1つ……!」

白虎嬢「……?」


704 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:14:37.42 ID:RHqXcVZAo
シュイイィィィィン

シルフ「召喚士ちゃん、大変そうだから私が代弁しまーす!」

青年兵「!?」

シルフ「いい? もうこうなったら最後の力で、魔王をぽーんと遥か上空へ飛ばしちゃいましょー!」

白虎嬢「上空へ?」

シルフ「そうそうっ! お星様にしてやるのです大作戦! ん〜シビレるぅ〜!」

白虎長「うまくいくの?」

シルフ「コカトリスの石化を限界まで放って魔王を固めた後、一気に押すわ」

青龍士官「……ぐくっ!」

白虎長「召喚士くんはどうすんの?」

シルフ「解除後は……どうすんの?」

召喚士「いい……から……早くっ!!」

シルフ「とにかくやるしかないのっ! いいわねっ!?」

シュイイィィィィン

青年兵「3秒間……かっ!」


705 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:15:42.37 ID:RHqXcVZAo
ズゴゴゴゴゴゴ…

アンラ・マンユ「石化の中和に魔力を……ましてやインドラのせいで……クソッ!」

青龍士官「そろそろ……こちらも持たないぞ!」

アンラ・マンユ「こうなればやはり、この地上なぞ不要! 消し去ってくれるわ!」

ズアボッ!!…ゴゴゴゴゴゴ…

白虎長「来たわよ!」

召喚士「コカトリス! フルパワーだ!」

コカトリス「おうっ!」

ズッガアアァァァァ!!…ドッドオオォォォォン!!

幼女「す、凄い……っ」

マジシャン「あの野郎、あんなペースじゃ枯渇まであっと今だぞ!?」

バーテン「……? お、おい!?」

ザッ

ボス「行くぜ!」

玄武娘「はいですの!」


706 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:16:16.22 ID:RHqXcVZAo
ズザッ

ボス「はああぁぁぁぁ!!」

玄武娘「おいでっ、リヴァイアサン!!」

シュイイィィィィン…ゴッボオオオオォォォォン!!

2人の召喚が重なり合い、リヴァイアサンとヨルムンガンドの2匹が強烈な水の竜巻を作り上げる。

その巨大な水柱は地面より一気に伸び、アンラ・マンユの元へと垂直に突き進む。

ゴオオォォォォ!!

アンラ・マンユ「――ッ!?」

召喚士「あれは……っ!」

ドッゴオオォォォォォ!!

アンラ・マンユ「まだ邪魔をするかああぁぁ!! 召喚獣――ッ!!」

エリート「いけるのかあれは……」

天才「あとはもう気迫の問題だな。やってくれるのを祈るしかねぇよ」

マジシャン「ダメならてめーと心中だ。ハッハ!」

この一撃が駄目ならば天才との命を掛けた五行で幕を閉じる。マジシャンはそこまで理解していた。


707 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:16:59.34 ID:RHqXcVZAo
ズゴゴゴゴゴッ

青龍士官「あい……つら……っ」

召喚士「今……だあぁぁ!」

青年兵「はああぁぁーっ!!」

白虎長「3秒よっ! 頑張ってね!」

白虎嬢「いらしてっ! ベヒーモス!!」

シュイイィィィィン

ベヒーモス「ゴガアアァァァァーッ!!」

弓使い「来たっ!」

タッタッタ

剣士「弓使いっ! 幼女!」

幼女「お父さん……っ!!」

弓使い「良かった……無事だったのね! 怪我はない!?」

剣士「ああ、2人も無事で何よりだ。さぁ……今は祈ろう!」

幼女「……うんっ」


708 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:17:48.78 ID:RHqXcVZAo
タタッ…ズザァ

魔道士「盗賊さんっ!」

盗賊「……勝てるぞ、召喚士」

魔道士「ええっ! もちろんですよ!」

残された時間は3秒。召喚士はベヒーモスの登場と入れ替わりでコカトリスの召喚を解除した。

落下する召喚士の両脇から、2匹のバハムートが特攻する。

その背に召喚主の姿は既になかった。バハムートの突撃によりアンラ・マンユの軌道は斜めに変わる。

吸い寄せられるかのように、吸い付くように、地上からの水撃が軌道を修正している。

召喚士「……すぅーっ」

大きく息を吸い込み、召喚を開始した瞬間、ベヒーモスの閃光を掻い潜り、

アンラ・マンユが決死の一撃を見舞った。

スゴアオオォォォォッ!!…ボッシュウウゥゥゥゥ!!

アンラ・マンユ「まとめて滅べええぇぇぇぇーッ!!」

青年兵「――っ!?」

アンラ・マンユの放った光が青年兵のバハムートを飲み込み、覆い尽くした。


709 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:19:42.69 ID:RHqXcVZAo
ドッガアアアアァァァァン!!…バシュウウゥゥゥ…

南方司令「やられ――」

大軍師「いやっ!!」

シュイイィィィィン

アンラ・マンユ「ッ!!」

青年兵「再……召喚っ!!」

瞬時に召喚を解除し、バハムートを再召喚する青年兵。しかしその威力は最早、ないに等しい。

そしてほぼ同時に3秒が経過。2匹のベヒーモスは存在するものの、落下は早まり、

閃光の威力も徐々に弱いものとなり始めていた。

召喚士「駄目だっ、間に合わない!!」

落下する召喚士は完全に召喚のタイミングを外され、足並み揃わぬ召喚獣らは

完全に劣勢となり、空中での攻防はアンラ・マンユの攻撃が押し戻す形となっていた。

召喚士「く……っそおぉ!!」

チカッ…ゴオオォォォォ!!

召喚士(……光?)


710 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:20:52.31 ID:RHqXcVZAo
その光は赤く輝き、燃えさかる炎を纏い、鳳凰は翼を広げ天へと翔けた。

召喚士(フェニックス!?)

フェニックス「グガアアァァァァーッ!!」

同門「負けられないんだよおぉーっ!!」

女賢者「もう魔力ないのに、なんて無茶な――」

ガクンッ…ガクガクガクッ

同門「まだ……倒れるわけにはいかねええぇぇ!!」

アンラ・マンユ「ガアアアアァァァァ!!」

フェニックス、リヴァイアサン、ベヒーモス、バハムート。個々の力はその最強とも謳われた

召喚獣のものとは思えぬ程に弱々しく、威力は微々たるものとなっている。

それでも、各属性の召喚獣が揃うと共に、召喚主達の気迫が高まっていた。

各自、枯渇寸前の魔力を振り絞り、その最後となる召喚士が召喚を始めた。

召喚士(……何とか踏みとどまった。最後の一押しは瞬発力のある一撃でないと駄目だ)

シュイイィィィィン…ゴゴゴゴゴゴ…

召喚士「約束守れなくてすみません!、青龍先生っ!」


711 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:21:52.02 ID:RHqXcVZAo
……――

青龍先生『朱雀先生』

召喚士『は、はいっ!』

青龍先生『お主も、バハムートは見ておったよな?』

召喚士『……はい』

青龍先生『こやつらにもしもの事あらば、頼んだぞ』

召喚士『……俺は……使う気はありません』

青龍先生『……』

召喚士『青龍先生の魂は、この2人がきっと担っていくと信じてますからっ!』

青龍先生『……ひょっひょ、そうじゃな。ああ……そうじゃ』

――……

召喚士「使うけれど……見えますか先生っ、魂はあの2人がしっかりと引き継いでますよ!」

バッ!!

召喚士「行けぇーっ! バハムート!」

曇る空へ3匹目のバハムートが今、大きく羽ばたいた。


712 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:22:41.62 ID:RHqXcVZAo
ズガオオオオォォォォ!!

青年兵「これで最後ぉーっ!!」

青龍士官「死んでも……全力でぇ……」

白虎長「全てをぶつけるっ!!」

白虎嬢「絶対に……絶対に……」

玄武娘「魔王をーっ!!」

ボス「俺達の手で……」

召喚士「倒すんだああぁぁーっ!!」

ドッガアアアアァァァァンッ!1

アンラ・マンユ「こんな……こんな事があってたま――――」

インドラ『人間の強さ、分かってであろう……アンラ・マンユ』

アンラ・マンユ「……フッ、強さか」

インドラ『ああ。人間の持つ多々なる強さ。破壊や暴虐だけが強さではない』

アンラ・マンユ「見ててやるよカス共。貴様等、人間が……どこまで……やれるか……を――――」

斜めに迸る光は、まるで太陽へとぶつかるように、空高くへと雲を突き抜け、消えた。


713 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:23:31.68 ID:RHqXcVZAo
オオォォォォ…

召喚士「……や……ったか?」

バタバタバタッ…バサアアァァ

召喚士「……ああ、何とかなる……かな」

朦朧とした意識の中で、召喚士は大空に両手を広げ、太陽を見つめていた。

先程までの曇り空を魔王もろとも吹き飛ばし、嘘のように晴れ渡っていた。

盗賊「召喚士っ!!」

魔道士「召喚士さん!!」

召喚士(2人の声が聞こえる……っ)

魔道士「盗賊さん!」

盗賊「分かっている!」

弓使い「あなたじゃ受け止められないわよ!?」

盗賊「……やるだけやってみる……っ!」

木の上に飛び乗り、太い枝を見つけると、盗賊はそこで待機し、落ちてくる召喚士を見つめる。

盗賊「……よしっ、今だ!」


714 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:24:09.05 ID:RHqXcVZAo
ジャララッ…ビュオッ!!

召喚士「!?」

ガシッ!!…グルグルグルッ!!

召喚士「うわああぁぁ!!」

盗賊「……やあぁーっ!」

鎖は勢いよく枝に絡みつき、召喚士は蓑虫のようにえだへと吊るされていた。

盗賊「……ふーっ!」

召喚士「……あの……もう少しこう……なんと言うか」

盗賊「文句を言うなっ、たわけ!」

召喚士「あっ! 他の2人は……!?」

盗賊「……ん」

召喚士は盗賊の指差す先を見つめた。

召喚士「!?」

盗賊「……青年兵は……木に括り付けられてる」

召喚士「あれ……括り付けられてるっていうのかなぁ」


715 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:25:23.42 ID:RHqXcVZAo
ガサガサッ…ザッザッザ

バーテン「おぉ、いたいた!」

マジシャン「うおっ!? 首筋ギリギリじゃねぇか!」

バーテン「バッカ、お前……精密射撃と言えよな。なぁ?」

青年兵「ど、どうも」

天才「まさか矢で射られるとはなぁ。鳥の気分を味わえたか? ハーッハッハ!」

青年兵「ええ。今度から食す時は、今以上に感謝する事にします」

バーテン「んじゃ抜くぞー」

ズボッ…ドサッ

天才「ご苦労だった。大手柄だぞ?」

青年兵「じゃあ……」

大軍師「ええ。見事、魔王アンラ・マンユは消滅致しましたよ」

青年兵「……やった……良かった……良か……った!」

マジシャン「おいおい、泣く奴があるかよ……ハッハ」

天才「今は泣かせてやれ。そんだけ過酷な戦いだったんだ。特にコイツらはな」


716 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:26:42.46 ID:RHqXcVZAo
バシュウウゥゥゥゥ

青龍士官「……すまんな、助かった」

青龍兵「いえっ!」

青龍士官「……しかし、もう少し何とかならなかったのか?」

ワイバーンの口に咥えられた青龍士官は、しかめっ面で愚痴をこぼす。

青龍兵「すみません……。ワイバーンの上は定員オーバーでして」

白虎長「ごめんなさいね、青龍センセっ」

青龍士官「……まぁ、いいですけど」

白虎長「でもお見事だったわ。トリプルバハムートだなんて驚いたわよ」

青龍士官「青年兵や朱雀先生のお陰ですよ」

白虎長「そんな事ないわよ〜」

青龍士官「同じバハムートでもその戦い方は……やはりあの2人、並外れている……」

白虎長「これからは私達2人が国軍の召喚隊を担うの。弱音は禁物よ?」

青龍士官「ですね。とにかく、無事倒せて良かった……」

白虎長「さぁ、地上でみんなが待ってるわよ!」


717 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:28:58.27 ID:RHqXcVZAo


盗賊「……よっと」

召喚士「助かりました。ありがとうございます」

タッタッタ…ガサガサッ

魔道士「召喚士さーんっ!」

召喚士「魔道士さんっ!」

剣士「召喚士くんっ、無事――」

ギュウウゥゥゥ

召喚士「!? 魔道士さんっ!?」

魔道士「無事で良かったぁ〜っ! もう……心配しましたよぉ〜!」

幼女「ほらほらっ、先に戻りましょ!」

弓使い「えっ!? あ、うん……っ!」

召喚士「魔道士さん、俺らもひとまず戻りましょう」

魔道士「えっ、は……はいっ! すみません!」

この時、笑顔だった俺らはまだ他の戦地で起きた色々な事を知る由もなかったんだ。


718 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/11(火) 18:34:17.49 ID:RHqXcVZAo
〜北の港〜

パリンッ!!

名士「……」

従者「失礼致しました。すぐに新しいカップを……っ」

フキフキ…ササッ

名士「……最後の別れかい? インドラ」

――南の脅威は取り除かれたぞ。魔王も3体がこの地上より消え去った。

名士「そうだね。ご苦労様」

――北はお前に託す。正しき世に導いてくれ。

名士「前も言っただろう? 魔族と人間の争い事などに興味はないよ」

――そうか。それでもお前は動くだろう?

名士「この美しい景色が壊されるような、そんな危害があればね」

――フッ、頼もしいかぎりだよ。先に行くぞ……友よ。

名士「ああ、元気で」

名士の体へと吹き付ける風は秋を感じさせる、少し冷たい風だった。


723 名前:NIPPERがお送りします(鳥取県) [sage] 投稿日:2011/10/11(火) 21:00:12.64 ID:ov3pH5Y00
おいおいお前らスレタイに主人公が書いてあるだろ?
ほら格好よくコカトリスってさ


730 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/12(水) 05:40:38.91 ID:uhYn/BhSO
>>1乙
最近召喚士さんが主人公やってて戸惑うwwww


732 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/10/12(水) 08:31:26.35 ID:94ituafAO
>>1乙

今回はいつも以上に沢山散ったイメージだな
華国ボロボロだ



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