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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その20
811 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:21:31.79 ID:bjxoRg6o
〜王宮〜

エリート「……」

コンコン…カチャッ

青年兵「失礼致します」

エリート「急にすまんな」

青年兵「先程、手配が完了致しました」

エリート「ご苦労。知っているのは?」

青年兵「総司令官、特殊遊撃の四名のみです」

エリート「…こちらは右文官殿、右秘書官殿だけだ」

青年兵「やはり殿下には…」

エリート「これ以上、殿下が足を踏み入れるのは危うすぎる」

青年兵「…ですね」

エリート「これだけの緘口を敷いた状態だ。もし左に動きがあればそれは…」

青年兵「内通者が…いる?」

エリート「…そういう事になるな」


812 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:21:59.67 ID:bjxoRg6o
青年兵「……」

エリート「今夜のうちに動けそうか?」

青年兵「特殊遊撃が既に動いているようです。問題はないかと」

エリート「…分かった。問題はどう動くか…」

青年兵「悟られずに動くには…」

エリート「……」

青年兵「……あ、そうだ。司令から手紙を預かっております」

エリート「私に?」

青年兵「はい」

カサッ

エリート「……っ!?」

青年兵「司令は何と…?」

エリート「…病院へ向かうぞ」

青年兵「病院…ですか?」

エリート「占い師さんの容態が芳しくないそうだ…!」


813 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:22:26.40 ID:bjxoRg6o
バサッ…カツカツカツカツ

右文官「おぉ…お二方、丁度良かった。例の件なのですが…」

エリート「すみません。また後ほどにて」

右文官「…?」

青年兵「病院へ行って参ります。占い師さんの容態が良くないそうでして…」

右文官「そ、そうであったか…。それはお気をつけて」

カツカツカツカツカツ…

右文官「…仕方ない。殿下にお渡しするとしよう」

足早に立ち去る二人を呆然と見つめ、右文官は皇太子の部屋へと向きを変えた。

カツカツカツ…ザッ

衛兵「お出かけですか?」

エリート「ああ、病院までだ。案ずるな」

衛兵「ははっ!」

エリート「馬を飛ばすぞ!遅れるなよ!」

青年兵「はいっ!」


814 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:22:57.58 ID:bjxoRg6o
〜皇太子の私室〜

コンコンコン

皇太子「開いているぞ」

右文官「失礼致します。書類をお持ち致しました」

皇太子「書類?」

テクテクテク…パサッ

右文官「高官殿より先日の起訴取消についての写しです」

皇太子「エリートではなく、私にか?」

右文官「エリート殿はおでかけになられたようで…殿下に直接と思いまして」

皇太子「出かけた?」

右文官「ええ。何でも占い師殿の容態が悪化したとか…」

皇太子「なんと…そうであったか。私も後日見舞うとするかな」

右文官「では確かにお渡し致しました」

皇太子「うむご苦労。下がって良いぞ」

右文官「はっ。失礼致します」


815 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:23:40.29 ID:bjxoRg6o
カチャッ…パタン

右文官「……ふーっ」

右秘書官「まさか…話してはおらぬだろうな?」

右文官「!?……お、お主か。脅かすでないっ」

右秘書官「殿下に…」

右文官「声が大きいっ!話せるわけなかろう」

右秘書官「なら良いが…」

右文官「とにかく…殿下には手を引いて頂く。これ以上は危険すぎる」

右秘書官「うむ。実働はエリート殿や青年兵殿…国軍の連中が務めてくれよう」

観日文官「我らに出来る事といえば……」

右秘書官「情報収集と王宮内での牽制」

右文官「殿下のか?」

右秘書官「無論、左翼もだ」

右文官「腕力はなくとも…頭で戦う…か」

右秘書官「…ああ。その通りよ」


816 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:24:20.65 ID:bjxoRg6o
ドドッドドッドドッドドッ…ズザァ

エリート「ここだ。急ぐぞ!」

青年兵「はい!」

タタッ…カツカツカツ

夜分の病院に灯りは少なく、闇が薬品の臭いと交じり合い不気味さを醸し出す。

青年兵「それで……占い師さんはどのような…」

エリート「…あれはおそらく嘘。方便さ」

青年兵「!?」

エリート「おそらくは極力悟られずに皆を集める為の…」

――「流石ですね。ご名答です」

コツコツコツ

青年兵「!?」

エリート「……大軍師殿か」

大軍師「司令がお待ちです。…どうぞ」

カツカツカツ…ガチャッ


817 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:24:57.06 ID:bjxoRg6o
青年兵「手術室…ですか?」

大軍師「ええ。正確には手術室手前の控え室ですがね」

先を進む大軍師の案内に、エリートと青年兵が手術室への通路を進む。

大軍師「エリート殿、青年兵殿がご到着なされましたよ」

エリート「失礼致します」

司令官「…ご苦労さん」

青年兵「隊長…!」

隊長「これで全員か…?」

大軍師「特殊遊撃の各隊員は任務に出ておりますので…これで全員ですね」

ギイィ…バタンッ

司令官「忙しいところ…すまないね」

エリート「こちらこそ。ご協力感謝致します」

大軍師「ご存じの通り、事は内密に進めたいのでこのような場をお借り致しました」

隊長「まぁ気休め程度の目くらましだが、多少は効果があるだろう」

大軍師「まずは状況を整理させて下さい。…エリート殿」


818 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:25:25.84 ID:bjxoRg6o
エリート「はい」

大軍師「先程、貴方から司令宛の文を読ませて頂きましたが…まことですか?」

エリート「確証はありません。しかしそう考えるのが妥当かと」

司令官「…ふむ」

隊長「今、ウチの連中がそれについては探りを入れてる」

青年兵「動きはありましたか?」

隊長「昨日の話だが、警備所から左翼の一派が何か運び出していたらしい」

エリート「……」

隊長「布で隠れていた為、何かは分からんそうだ」

エリート「大きさは…?」

隊長「2メートルないくらいのモノらしい」

大軍師「……ビンゴかもしれませんね」

エリート「問題はもし、そうだとしても…誰が動くか…ですね」

隊長「空振りだった時が痛い。国軍や本国の者は無理だろうな」

大軍師「運び出した場所は?」


819 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:25:58.05 ID:bjxoRg6o
隊長「左翼長の屋敷だ。だからこそヤバイのさ」

司令官「…外部の者に委託するしかないねぇ」

青年兵「外部の者…。ワーカーですか?」

大軍師「それも足のつかない方ですね。そう、例えば…」

エリート「ワーカー登録していない者や引退した者…ですか」

隊長「そう都合良く……」

司令官「……」

隊長「…いた。心強いのが一人…!」

大軍師「所在は掴めますか?」

隊長「先日まで本国にいた…。そう遠くには行ってないとは思うが…」

司令官「もしかして…彼、かな?」

隊長「……待てよ?確か…いきつけの情報屋があった…っ!」

エリート「まさか…っ、一番槍殿…では?」

隊長「それ以外に頼める人はいないだろう…」

司令官「……ふふ」


824 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:33:56.86 ID:bjxoRg6o
>>819
あぶないあぶないっ!セ、セフセフ…?

× 隊長「左翼長の屋敷だ。だからこそヤバイのさ」
○ 隊長「左大臣の屋敷だ。だからこそヤバイのさ」


820 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:26:26.92 ID:bjxoRg6o
エリート「引き受けてくれますかね…?」

大軍師「大丈夫でしょう。自分の息子の問題ですから」

司令官「しかし、一人では心細いな」

大軍師「……ダメ元で一人声をかけてみますか」

青年兵「どなたか心当たりが…?」

大軍師「…まぁ、一番槍殿にお願いして頂いた方が効果的かもしれませんね」

青年兵「は、はぁ…」

隊長「それでも二人か…。あと一人くらいは何とかしたいな」

司令官「…いいよ。そこは引き受けよう」

エリート「どなたかいらっしゃいますか?」

司令官「ワーカーだけどね。動かせるから」

大軍師「……」

青年兵「一応、これで三人か…」

隊長「基本軸はその三人で、特遊がフォローに入ろう」

大軍師「では、実動部隊はその面々にてお願い致します」


821 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:27:00.29 ID:bjxoRg6o
エリート「決行は…?」

大軍師「三名が揃った段階で始めましょう」

隊長「だな。早速手配してみる」

エリート「…宜しくお願い致します」

大軍師「お二人は殿下の動きと左翼の動き、それぞれに十分ご注意を…」

エリート「はい。心得ております」

大軍師「では以上で。当日も此方の場より決行致します」

エリート「分かりました」

隊長「二人は先に出てくれ。全員同時だと怪しまれるからな」

青年兵「…分かりました。それではまた、後日」

大軍師「くれぐれもお気をつけて」

エリート「失礼致します」

カツカツカツ…ガチャッ…パタン

大軍師「それでは、我らもしばらくの後に出るとしましょう」

隊長「ああ」


822 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:29:47.47 ID:bjxoRg6o
〜バーテンの店〜

魔道士「いらっしゃいませー!!」

男「…まま、魔道士さんっ!?」

盗賊「……こちらへどうぞ」

男性客「サーカスで興奮したせいで喉が乾いちまったぜ…酒くれ!」

戦士「あいよ!」

召喚士「魔道士さん、注文いいですか?」

魔道士「はいっ、よろこんでー!えへへ!!」

バーテン「……うーむ…大成功」

戦士「あん?」

バーテン「何でもない」

老人「…相変わらず美味いのぅ。ずっとおればいいのに…」

魔道士「ありがとうございます!ふふっ!」

男性客「酒おかわり!!」

召喚士「はい!すぐにお持ち致します!」


823 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:32:19.10 ID:bjxoRg6o
〜本国、路地裏〜

隊長「…確か…ここを右?」

テクテクテク…

隊長「あったあった!」

ザッ

隊長「邪魔するぜ」

情報屋「……」

隊長「すまんが急ぎで一番槍とコンタクトを取りたい」

情報屋「…北にいる」

隊長「…ちっ、もう出た後だったか」

情報屋「…書面にまとめろ。すぐに飛ばす」

隊長「……?」

情報屋「伝書鳩だよ。早くしろ…急ぎなんだろ?」

隊長「あ、ああ…。すまん、すぐに書く!」

情報屋「……」


825 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:37:11.79 ID:bjxoRg6o
〜左大臣の屋敷付近〜

ザザッ

男隊員「…動きは?」

女隊員「特にねッス」

格闘家「……静かなものです」

男隊員「…そっか」

ガサガサッ

女隊員「…なんスか、それ?」

男隊員「アンパンと牛乳だよ。ほれっ」

格闘家「……どうも」

女隊員「なんつう組み合わせッスか…」

男隊員「バーカ!昔から張り込みにはアンパンと牛乳って決まってんだよ!」

女隊員「こんな屋根の上で…呑気なもんスね…」

男隊員「気ぃ張り詰めててもしょーがねぇだろ!ヒャハハ!」

格闘家「……言い得て妙です」


826 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/21(木) 23:41:08.37 ID:bjxoRg6o
男隊員「あと少し粘って動きがなければ、今日は一旦引き揚げんぞ」

女隊員「了解ッス」

格闘家「…待って下さい!あれは…!?」

格闘家の指差す先、左大臣の屋敷の庭へ馬車が入って行く。

女隊員「大型ッスね。人が乗ってるみたいッスよ?」

格闘家「…降りましたね」

男隊員「…ワーカー…用心棒だな」

女隊員「用心棒!?」

格闘家「私設警備を増やした…という事ですね?」

男隊員「…やっぱり何かあるな」

女隊員「ものタイミングで警備の増加…。入られたくないって事ッスね」

格闘家「…どうします?今のうちに潜入しますか?」

男隊員「…いーや、俺らで判断出来る範疇じゃねぇ。一旦引き揚げんぞ」

女隊員「あ、ちょっと…アンパンと牛乳は…!?」

男隊員「んなモン走りながら食えっ!行くぞオラ」


827 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/10/21(木) 23:53:44.81 ID:SaCrGZ.o
戦士一人のせいで、色々面倒なことになっちまったな

チッ…


828 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/21(木) 23:55:20.12 ID:JaokKboo
これってもし召喚士のドッペルだったら同時召喚とか出来んのかな?
つまり魔翌力までコピーできんの?


829 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/22(金) 00:11:43.98 ID:3bz5W8Yo
左翼=魔物と繋がってる→図書館(?)ですれ違った召還士たちのことを左翼が調べる→
北のほうに行ったことを知る→ドッペルは左翼が洞窟に配置した

現在召還士たちと一緒に居るのはドッペル


830 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/10/22(金) 00:13:05.75 ID:TVwiCjIo
短いですが、ここまでにて失礼致します…
ご支援感謝です!おやすみなさい!ノシ

>>828
えぇと…後々分かる…かもしれまん

>>827
〜オマケ〜

左翼長「戦士被害者の会によくご参加頂いた」

騎士長「……」

隊長「ったく、困ったモンだぜ」

エリート「ええ」

バーテン「その上、女にモテてやがる…」

男隊員「ゆ…許せねぇ!」

召喚士「うんっ!うんっ!」

青年兵「!?」

ザッ

戦士父「…馬鹿息子がご迷惑をお掛けして…本当にすまん!」

隊長「よし…許す!いや、こちらこそ許して下さい!」

左翼長「…ダメだこりゃ」


831 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/22(金) 00:17:51.14 ID:s7s0A8go
戦士父が頭を下げれば何でも許されるのか
アレとかアレとか


834 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/10/22(金) 00:39:35.04 ID:k4g7.oc0
1乙
王宮の魔物は、ほんとやっかいだなあ



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