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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その39
- 729 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2012/06/20(水) 18:23:53.94 ID:V9R2we8Po
〜東方、都〜
パカラッパカラッパカラッ……ドドォ
盗賊「何とか今日のうちに帰ってこれた」ザッ
飛脚「はいはい、どいたどいた〜!」タッタッタッ
盗賊「賑やかだな」
テクテクテクテク……
盗賊「ここは、静かだけど」
都の入り口にかかる大橋。奥に広がる提灯の明かりとは裏腹に、
朱色の橋はその上に立ち止まる者なく、川のせせらぎだけを響かせていた。
町娘「ねぇねぇ、そういえばここに居た怖〜い顔のお坊さん、最近見かけへんねぇ」
芸者「あ〜そういえば」スタスタスタ
町娘「なーんか怖いお人やったけど、居ないとそれはそれで、何だか寂しいわねぇ。ふふっ」
芸者「そやねぇ。うふふふっ」
盗賊「……」
少し誇らしげに、盗賊は大橋の中央を渡り、城へと向かっていった。
- 730 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:24:23.21 ID:V9R2we8Po
〜帝の城〜
門番壱「どうぞ!!」ササッ
盗賊「うえっ!? あ、どうも……っ」
門番弐「最早、一里先からでも気づくようになりまして御座る!!」
盗賊「はぁ」
門番壱「馬、お預かり致します!!」
盗賊「ど、どうも」
門番弐「おみ足、洗いましょうか!?」
盗賊「いや、いいです」
スタスタスタ……
帝「おお盗賊、戻ったか」
盗賊「上様……?」
帝「どうだ? 似合うか?」ヒラリッ
女剣士「お前も着るんだぞ、早く」
盗賊「へあっ!?」
- 731 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:24:57.52 ID:V9R2we8Po
…
盗賊「……これで……いいですか?」チョコン
帝「浴衣だと言うのにこれ程までに胸を強調されるとはな」フー
女剣士「上様?」
盗賊「あ、あのぉ……これで一体どうしろと?」
帝「街は見てきたか? 祭りじゃ祭り」
盗賊「祭り、ですか?」
女剣士「上様たってのご希望だ。私達が一緒ならば護衛にもなる」
盗賊「なるほど」
帝「さぁ行こうぞ。いざ戦の地へ!」
女剣士「ノリノリだな」
盗賊「ノリノリだね」
帝「ん? 何か言ったか?」
盗賊「い、いえっ!」
女剣士(……可愛い)
- 732 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:25:38.44 ID:V9R2we8Po
…
シャンシャンシャン ピーヒャララー
帝「おおぉぉー!」キョロキョロ
女剣士「上様、あまりきょろきょろなさらない方が……」
帝「むっ!? あれhア金魚掬い! いざ行かん、決戦の地へ!」ピュー
盗賊「上様っ!?」
露天商「はいらっしゃい! お嬢ちゃん達可愛いねぇ。オマケしちゃうよ!」
帝「それはありがたい。では早速」グイッ
女剣士「上さ……帝ちゃん、腕まくりなんてはしたないですよ」
帝「五月蠅い、気が散るっ!」
女剣士「!?」ガーン
帝「……とりゃああぁぁ!!」クワッ
ビリッ!!
帝「――っ!!」
露天商「はい残念」
- 733 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:26:08.60 ID:V9R2we8Po
盗賊「上様、次は私が」
露天商「上様?」
盗賊「……上からサマっと水平に掬うのがコツ……ぶつぶつ」
露天商「……?」
盗賊「精神を研ぎ澄ませ、一点の曇りもない心で。これぞまさに、無我の境地――」
シュバッ!!
帝「おぉっ!!」
ビリッ!!
盗賊「わああぁぁ!!」
帝「何だ、変わらんではないか」クスクス
女剣士「どけ。帝ちゃん、私が取ってみせまする」
帝「ほほう、よほど自信があるとみえ――」
女剣士「ほいっ、えいっ、とあぁ!」
シュバッ!! ヒョイヒョイヒョイッ
盗賊「!?」
- 734 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:26:56.84 ID:V9R2we8Po
帝「何故!?」
女剣士「十九、二十、二十一いいぃぃ!」
露天商「もうやめてくれぇ!!」
女剣士「ふーっ。ざっとこんなもんです」
露天商「もう……やめてぇ……っ」
盗賊「す、凄い……」
女剣士「はい、帝ちゃん」タプンタプン
帝「要らぬ」
女剣士「えぇ!?」
帝「自分で掬ってない金魚など要らぬ」プイッ
女剣士「えぇーっ!?」ガビーン
帝「盗賊、次じゃ次」
盗賊「は、はい」スタスタスタ
女剣士「……返す」ドサッ
露天商「えっ!? あ、どうも……」
- 735 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:27:32.30 ID:V9R2we8Po
…
帝「次はあれじゃっ、あれが食いたいぞ!」
盗賊「太りますよ?」
帝「……」
…
女剣士「お、花火だ」
帝「綺麗だのう。束の間の癒しとはいえ、疲れが取れるな」
盗賊「ええ」
…
女剣士「上様、そろそろ戻りましょう」
帝「むぅ、もうこんな時間か」
盗賊「今日は沢山、楽しみましたね」
帝「まだ遊び足らぬが仕方ない。戻るとしようか」シュン
女剣士「さ、それでは参りましょう」
帝「うむっ」
- 736 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:28:09.79 ID:V9R2we8Po
…
帝「今日は有難うな。感謝するぞ」
盗賊「いえ、こちらこそ上様の共が出来て、楽しかったです」
女剣士「たまにはこうやって、羽を伸ばしても罰は当たらないでしょう」
帝「そうだな。明日からはまた東方の主として、働かねばならぬな」
盗賊「それでは、お休みなさいませ」
女剣士「ごゆっくりお休み下さいませ」
帝「そなたらもな。それじゃお休み。ふわわぁ……」スタスタスタ
女剣士「普段は気丈に振る舞っておられても、年ごろの乙女なのだ」
盗賊「ええ」
女剣士「今日のような日々が、今後も訪れれば良いのだがな」
盗賊「その為に、今こそ戦わねばならぬ」
女剣士「お前もだろう?」
盗賊「へっ!?」
女剣士「上様にも誰か、良き殿方が現れれば良いのだがな」
- 737 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:28:47.08 ID:V9R2we8Po
王子「ぶぇ〜っくしゅ!!」
西国兵「汚ねぇっすね……」
王子「口の聞き方に気を付けるのだな。左遷もも覚悟しておけよ?」
〜西国の城〜
王子「ただいま戻りました」
女王「まぁまぁ、長き戦い……ご苦労様でしたね」
王子「まだ全てが終わったわけではありませんよ」スタスタ
王女「皆もまた、無事なのですか?」
王子「ええ。中には死んだ者もおりますがね」
王女「……っ」
王子「姉上の気にかけている方達は皆、無事ですよ。ご安心を」
女王「少し、休まれたらどうなのです?」
王子「ええ、そうさせて貰いますよ」
スタスタスタ……
王子「……」
- 738 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:29:32.94 ID:V9R2we8Po
バタン
王子「……はぁ」ボフッ
フワアアァァァァ
神官『王子、どうかなさいましたか?』
王子「別に」
神官『悔やんでおられるのですか? 西国兵長を失った事を』
王子「別に」
神官『……アヌビスを使うつもりですか?』
王子「……」
神官『使ったところで、王子は英雄にはなれませんよ?』
王子「そんな事はどうでもいい。僕はこの世界を守りたいだけだ」
神官『魔王サタン相手にアヌビスを使い、どれだけの命が失われると?』
王子「滅亡よりはマシさ。0と1じゃあ全然違う」
神官『残された1は、それで本当に喜びますか?』
王子「だったら!! どうすればいいんだよっ!! みんなやられたら僕がやるしかないんだよ!!」
- 739 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:30:08.16 ID:V9R2we8Po
ガバッ!!
王子「……朝、か」
〜次の日、戦士の故郷〜
戦士「そんじゃ、また」
幼馴染父「必ず、生きてまた会おう」
青年「戦士さん! 絶対に、絶対にまた……っ!」
戦士「ああ。それじゃ行ってきます」ザッ
テクテクテクテク……
青年「……戦士さん……っ」
幼馴染父「戦士くんは強くなった」
青年「そうっすね……」
幼馴染父「あんな目を出来るようになるなんて、本当に強くなったよ」
青年「目、ですか?」
幼馴染父「彼の目は清々しかった。あれはいつでも死を受け入れる、そんな目だ」
青年「っ!!」
- 740 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:31:26.80 ID:V9R2we8Po
テクテクテクテク……
戦士「さーて、次は……」
――「きゃああぁぁぁぁ!!」
戦士「!?」
ガサガサガサッ!!
――「たっ、助けて!!」
戦士「あん?」
野盗「もう逃がさねぇぞ〜。その美しい顔をぐしゃぐしゃの泣き顔に変えてやるぜぇ〜!」ガサッ
戦士「何……なんだよ……」
野盗「ちっ、どけ! そのアマこっちに渡し――」
バギャアアァァ!! ドグシャアアァァ……
戦士「何やってんだよコラァ!!」
野盗「こんの野郎ぉーっ!!」
戦士「何やってんだって言ってんだろうがああぁぁ!!」ドゴォ!!
――「……んふ〜。強いジャン♪」
- 741 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/20(水) 18:32:11.02 ID:V9R2we8Po
…
戦士「……」
野盗「ど、どうせ……世界は終わりなんだ……っ」
戦士「だからってこんな真似が許されるとでも思ってんのか!? あぁ!!」
野盗「どうせ死ぬんだ! みんな死ぬんだよ!!」
戦士「死なねぇよ!! そのためにみんな、頑張って戦ってんだろうがっ!!」
野盗「知るかよ!!」
戦士「てめぇも何とかしようと思わねーのかよ!! 何かできんだろうが!!」
野盗「……っ」
戦士「……ちっ。おい大丈夫か? 行くぞ」
――「ありがとうございます……っ」ペコペコ
戦士「気にすんな。ほれ、行くぞ」ザッ
テクテクテクテク
戦士「そういやお前、名前は? 俺は戦士ってんだ」
――「私、美女って言います。本当にありがとうございましたっ」モジモジ
- 743 名前:NIPPERがお送りします(富山県) [sage] 投稿日:2012/06/20(水) 18:42:38.17 ID:mCTSQBtw0
>>1おつ
王子爆ぜろ
- 746 名前:NIPPERがお送りします(長崎県) [sage] 投稿日:2012/06/20(水) 18:51:17.11 ID:MfeVzC+fo
>>1おつ
戦士もげろ
- 752 名前:NIPPERがお送りします(大阪府) [] 投稿日:2012/06/21(木) 08:00:12.82 ID:Nf/coYVY0
死亡フラグだろ
爆発しろ
- 753 名前:NIPPERがお送りします(石川県) [sage] 投稿日:2012/06/21(木) 10:03:15.59 ID:5OOJPHlJo
お前らの王子嫌いは根深いものがあるなww
俺も嫌いだ
- 756 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 17:58:03.09 ID:aBy1Xk5To
〜本国、ホテルのロビー〜
魔道士「おはようございますっ!」
召喚士「おはようございます。ゆっくり休めましたか?」
魔道士「はいっ! 久々の広いベッドでぐっすり寝ちゃいました! えへへっ」
召喚士「それは良かったです」
魔道士「今日はどうします?」
召喚士「さっきワークショップへ行ってきたんですが、まだ2人から連絡はありませんね」
魔道士「そうですかぁ。じゃあ今日も2人っきりですね〜」
召喚士「どこか行きたい所はありますか?」
魔道士「私は特に。もう実家にも帰りましたし。召喚士さんはないですか?」
召喚士「……もし良かったら、付き合って貰えませんか?」
魔道士「……え……っ!?」
召喚士「ちょっと行きたい所があるんです」
魔道士「えっ、あ……ええ! いいですよっ、お付き合いいたします……っ!」ドキドキドキ
召喚士「良かった。ありがとうございます」
- 757 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 17:58:54.48 ID:aBy1Xk5To
〜南東国、東の城〜
三男「よくぞ来てくれた」
剣士「こちらこそお声をかけて下さり、有難うございます」
白馬騎士「本日お集まり頂いた理由は、お分かりですかな?」
ハヌマーン「南方における、今後の動向と言ったところか」
白馬騎士「その通りです」
剣士「しかし本国抜きで協議して宜しいものでしょうか……?」
白馬騎士「本国はまだ多忙であられる。一先ずは我らで意見をまとめておきたいのです」
ハヌマーン「その方が伝わりやすくて良かろう」
剣士「なるほど」
三男「では任せるぞ」
白馬騎士「陛下もご参加下され」
三男「国政は白馬に任せている。私が口出す問題ではない」
白馬騎士「しかし……っ」
三男「案ずるな、さじを投げているわけではない。最終判断は私が下す」ザッ
- 758 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 17:59:24.49 ID:aBy1Xk5To
…
三男「……」カツカツカツ
幼女「もう、終わったのですか?」
三男「幼女さん、貴女も来ておられたか」
幼女「ええ。お邪魔してます」ニコッ
三男「会議は君の父上らに任せたよ」
幼女「宜しいんですか?」
三男「……正直、私は武力も政治も持ち合わせておらぬ」
幼女「そんな事は……」
三男「いや、良いのだ。事実そうであるのだから」
幼女「陛下……」
三男「だがそれでも、華国の王族として生まれ、王位を継ぐことと相成った」
幼女「……」
三男「兄が2人も居るにも関わらず、数奇な運命だ」
幼女「……ええ」
- 759 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 17:59:54.55 ID:aBy1Xk5To
三男「過程ははともかくとしても、今現在、私が王で在る事に変わりはない」
幼女「はい」
三男「王は存在だけで良いのだ。存在する事に意味がある。力などなくても、な」
幼女「確かに、そうなのかもしれませんね」
三男「孤独ではあるが、王で在り続ける事こそが王の務め」
幼女「……本当は支えがあれば、良いんですけれどね」
三男「そうだな。まぁ私もまだ若い。支えになってくれる相手はゆっくり探すとするよ」
幼女「ふふっ、それもそうですね」
三男「それとも、幼女さんが支えになってくれますか?」
幼女「えっ!? えっ、あ……いやっ、そそっそんな滅相もない……っ!!」
三男「ははっ。こんな頼りない男性はお断りですか?」
幼女「そっ、そうではなくてっ! 一国の主に嫁ぐにはもっとちゃんとした女性が……っ!!」
三男「幼女さんはちゃんとしておられないと?」
幼女「ちゃんとしておられないですっ!!」
三男「……ぷっ、ははっ。あははははっ!」
幼女「……うぅ……っ///」アセアセ
- 760 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 18:00:29.99 ID:aBy1Xk5To
…
白馬騎士「ほぉ、法師殿が?」
ハヌマーン「うむ。投降した魔族を見事に諭し、騒ぎの1つも今のところは起きておらぬ」
剣士「流石ですね……っ」
ハヌマーン「しかもその魔族らが今度は仲間らを説得し、拡散しておる」
白馬騎士「良い傾向ですね。今後も増える可能性は十分、ありますしね」
ハヌマーン「スグリーヴァ様の残した土地は広大だ。何万いようと迷惑かけずに住む事が出来る」
剣士「迷惑だなんて……」
ハヌマーン「いや、やはり違う種族、しかもついこの間までいがみ合っていた間柄だ」
白馬騎士「……」
ハヌマーン「多少の距離感をもって共存する事が、現状は望ましいだろう」
剣士「……確かに言われてみれば、そうかもしれませんね」
白馬騎士「人間側が魔物を迫害する恐れとてありますからね」
ハヌマーン「家族を殺され、魔族に恨みを持つ人間も少なからず居るであろうしな」
剣士「……」
- 761 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 18:01:08.11 ID:aBy1Xk5To
ハヌマーン「なぁに、何れは時が解決してくれるさ。尤も、その頃にはそなた等は居らぬであろうが」
白馬騎士「行く末を見届ける役目は、ハヌマーン殿にお任せ致しますよ」
ハヌマーン「承知した。何百年先とて、しっかりこの目に焼き付けてくれようぞ」
剣士「であれば、あえて国境などは引かず、しかし過度な干渉は避けるという事で」
白馬騎士「条約とまではいきませんが、文面にして互いにまとめておきましょう」
ハヌマーン「うむ。それを本国の連中へも伝えてやってくれ」
白馬騎士「承知致しました」
ハヌマーン「……感謝するぞ、剣士殿」
剣士「えっ?」
ハヌマーン「国境の件だ。気を利かせてしまったようだな」
剣士「いやいや。国境なんてものがあるから、国や種族で争いが起きるんです」
ハヌマーン「うむ。しかしなければ起きる争いもある」
剣士「はい。ですから必要のない所に設ける事はありませんし、完全に撤廃する必要もないんです」
ハヌマーン「お主のように柔軟な人間が増えれば、共存の日も一層近しくなるな」
剣士「ははっ。だといいですね!」
- 762 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 18:01:34.41 ID:aBy1Xk5To
〜本国、中央広場〜
召喚士「……んーっ、今日は天気が良くて気持ちいいですね〜」
魔道士「あの、召喚士さんが来たかった場所って……ここですか?」
召喚士「ええ。駄目でしたか?」
魔道士「いえいえいえっ! そんな事はないですけど……意外だなって」
召喚士「そうですか?」
魔道士「だって、ここはいつでも来られるじゃないですか」
召喚士「う〜ん。言われてみればそうですね。はははっ」
魔道士「何か理由でもあったんですか?」
召喚士「……ここは、俺にとって特別な場所なんです」
魔道士「特別……?」
召喚士「覚えてますか? 今から5何前の事」
魔道士「……あ……っ」
召喚士「あの日、俺はこの辺りで1人、ぽつんと立ってたんですよね」
魔道士「……っ」
- 763 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 18:02:04.90 ID:aBy1Xk5To
召喚士「ワークショップでパーティー募集の告知をして、ここで待ってたんです」
魔道士「……そっか。そうでしたよね……っ」
召喚士「何人かが来ては、初心者だと知っては去っての繰り返しで……」
魔道士「そんな時、私が……」
召喚士「はい。声をかけてくれました。俺にとって初めての仲間でした」
魔道士「私にとっても初めてでした……」
召喚士「それからまたしばらくして、戦士が声をかけてくれて」
魔道士「そうでしたねぇ。その前に何人も来ては笑われましたけど」
召喚士「戦士が仲間になった直後、盗賊さんも仲間になったんでしたよね」
魔道士「そうそうっ。いきなり居てビックリした覚えがありますよ。ふふっ」
召喚士「sここで初めて、俺らはスタートラインに立ったんですよね」
魔道士「はいっ。あの時はこんなところまで来れるとは思いませんでしたけれど」
召喚士「……俺、もう1回辿ってみたいんです。自分達が歩んできた道を」
魔道士「はいっ! お付き合いしますよっ」
召喚士「……ありがとうございます。じゃあ早速、行きましょうか」
- 764 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 18:02:30.55 ID:aBy1Xk5To
〜南東国、東の城〜
三男「……うむ。良いと思うぞ」
白馬騎士「それではこの内容にて、本国と協議に入りたいと思います」
ハヌマーン「宜しく頼む。それではそろそろ失礼する。また後日」スッ
剣士「もう行かれるんですか?」
ハヌマーン「うむ。まだ魔族の受け入れも最中であるしな」
剣士「……サタンとの戦いには?」
ハヌマーン「残念だが我らは参加出来ぬ」
剣士「そうですか……」
ハヌマーン「手を貸したいとは山々なのだが、地獄はちと、辛いのでな」
白馬騎士「辛いとは……?」
ハヌマーン「瘴気が濃すぎる。地上に居る時とは桁違いにな」
白馬騎士「ハヌマーン殿らにも影響が?」
ハヌマーン「理性を保てなくなる、というか本来の魔族に戻るといったところか」
剣士「ハヌマーンさんでも、ですか?」
- 765 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 18:03:06.13 ID:aBy1Xk5To
ハヌマーン「制御する自信はない。下手に踏み入らぬが吉よ」
ザッ
ハヌマーン「お主らと戦う事になるなど、愚の骨頂であるからな」ヒュバッ!!
剣士「……ハヌマーンさん」
白馬騎士「剣士殿は行かれるのか?」
剣士「可能であれば、何かしらの役には立てるかと」
白馬騎士「そうか」
剣士「老将軍様の容態は?」
白馬騎士「未だに意識不明のままです。回復すれば良いのですが」
剣士「そうですか……」
白馬騎士「私とて行きたい気持ちはある。あるのだが……っ」ギリッ
剣士「気になさらないで下さい。すべき事が沢山あるはずです」
白馬騎士「……すまぬっ。せめて華国より、出来る限りの支援はしたいと思います」
剣士「ありがとうございます。そのお気持ちだけで、皆も力になると思いますよ」
白馬騎士「……っ」
- 766 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/21(木) 18:04:18.35 ID:aBy1Xk5To
…
剣士「それではまた」
三男「幼女さんも行くのか?」
幼女「はい。役に立てるか分かりませんけれど」
三男「……そうか。くれぐれも気を付けてな。無理をしないよう」
幼女「ありがとうございます」
白馬騎士「吉報を、お待ち申し上げております」
剣士「必ずや」
ザッ……カツカツカツ……
三男「……華国は情けない、などとは思わぬぞ」
白馬騎士「……」
三男「背伸びしても仕方がないのだ。出来ない事に時間を費やすよりも出来る事をすべき」
白馬騎士「陛下の仰る通りだと思います」
三男「華国の本当の役目は、サタンを倒した後の世にある。私はそう思う」
白馬騎士「……本当に、その通りだと私も思いますよ」
- 767 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/06/21(木) 18:19:30.77 ID:RNZqUcQDO
三男爆発しろ!
- 768 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/06/21(木) 18:25:27.79 ID:RS+kpH9DO
ここに来て美女という新キャラが出たというのに、まぁ大体どんな奴かわかったが
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