■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その29
878 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 00:40:17.78 ID:ueVt8kiZo
北方魔道兵「撃て撃て撃てぇ!!」

東方参謀「手を止めるな! 撃ち続けよ!」

天才「お前の言ってた援軍か。頼もしいじゃねぇか」

皇太子「……ふむ」

青年兵「……?」

皇太子私の言った援軍とは、やや違うようだがな」

天才「何……?」

大軍師「どういう事でしょうか……?」

名代「あれは……何です?」

スッ

召喚士「!?」

青年兵「あ、あれは……っ!!」

――「我に力を、セクメト!」

シュイイィィィィン

セクメト「ゴオオォォォォーッ!!」


879 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 00:42:40.86 ID:ueVt8kiZo
ドズウウゥゥゥゥン!!

召喚士「神官さんっ!」

大軍師「西国の国王……っ!」

王子「遅くなりました! 西方からの援軍……ただいま到着〜っ!」

西方魔道兵「魔道隊一斉攻撃……開始ぃ!!」

神官「魔道兵以外は負傷者の救護を優先しなさい!」

ドッドオオォォォォン!!…ズガアアァァァァ!!

天才「……あんのババア!」

西方魔道長「ほらっ、しっかり踏ん張りな!」

ジュニア「いいぞっ、押し始めてる!」

隊長「この数なら……いけるぞ!」

男隊員「このクソヤロー!!」

女隊員「まだまだいくッスよぉ!!」

魔道士「凄い……凄いですよっ、これならいけますよねっ!」

召喚士「ええっ、いけますよ!」


880 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 00:43:36.28 ID:ueVt8kiZo
ズガガガガッ…ジュウウゥゥゥゥ!!

天才「ゾディアックが途中で止まる事はねぇ。力尽きる時は魔力が切れた時だ」

隊長「つまり、こっちの魔力が切れるのが先か……」

ジュニア「魔王まで到達するか……だな」

天才「しかし、頼もしい援軍も来た事だ。これでどうにか……」

皇太子「いや、私の言った援軍はあれでもないんだがな」

天才「あ?」

ボゴォ!!…ボボボボボボッ

魔道兵「う、うわああぁぁぁぁ!!」

突如、球の一部に異変が起き始める。

噴出したマグマが生き物のように縦横無尽に、上空を飛び交い始めた。

男隊員「何だありゃあ……っ!?」

女隊員「まるで……生き物みたいッスよ!」

名代「まるで……鬼火だな」

召喚士「……?」


881 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 00:49:44.15 ID:ueVt8kiZo
名代「東方の妖で、火の玉が生き物のように飛び交うのです」

天才「そんだけならましなんだがなぁ」

名代「……?」

天才「見ろ。火の玉が化物に姿を変えてやがるぜ」

飛び交う炎は激しくぶつかりあい、獣の姿へと形を変える。

ズザァ

ヘルハウンド「グルルウゥ」

隊長「何だとぉ!?」

魔道兵「退避っ、退避――」

ヘルハウンド「ガウアァッ!!」

ガブッ…ブシュウウゥゥゥゥ

北方魔道兵「ひ、ひいぃ!!」

青年兵「ここに来て何て事だ……っ」

天才「動ける奴は食い止めろぉ!!」

神官「セクメト、前へ突出せよっ!」


886 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:23:57.11 ID:9QlRjCN1o
飛び散るマグマが空中でヘルハウンドへと姿を変え、次々と地上へ降り注ぐ。

ジュニア「何なんだよこれはよぉ!!」

大軍師「おそらく、ゾディアックが衝突した事により、魔王の魔力が散っているのでしょう」

東方参謀「ふーむ。これも魔王の一部という事か」

隊長「だったら話は早い。殲滅するのみだ」

名代「しかし……百鬼夜行のような、おぞましい光景だな」

ダダッダダッダダッ

ヘルハウンド「ガアアァァーッ!!」

魔道兵「ぐわあぁーっ!!」

騎兵「左、いや右!! あぁっ、くそ……キリがねぇ……!!」

流星のように降り注ぐマグマや火の粉。更にそれらは姿をヘルハウンドと化し、

地上の至る所へ無数に着地する。そしてそれを地上で迎撃する者達。

着地前に空中で墜落させる者達。無数に飛び交う魔法の数々。

あまり良好とは言えないその光景に、何か幻想的なものを天才は感じていた。

天才「……おっと、んな場合じゃねーわな」


887 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:25:00.59 ID:9QlRjCN1o
ドドオオォォォォ

剣士「弓使いっ!?」

弓使い「ごめん……もう、魔力がもたないわ……っ」

ヨロッ…ドサッ

幼女「お母さん……っ」

名代「天狗、地上へ降り立つ前に迎撃を」

天狗「うむ」

バシュッ…バサァ

オルトリンデ「あら、異国のお仲間さん」

天狗「……」

アマゾネス「ブリュンヒルデ」

ブリュンヒルデ「全員、突撃」

バシュシュシュッ!!

青年兵「僕らも続きましょう!」

朱雀嬢「はいですわっ!」


888 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:26:36.95 ID:9QlRjCN1o
天才「召喚獣のお陰で空中迎撃が増えた。だいぶ楽になったな」

ジュニア「楽になったってなぁ、10や20の数じゃねぇんだぞ!」

大軍師「司令、如何致しますか? ご判断を」

天才「……」

ぐるりと戦場を見渡す天才。ヘルハウンドは親である魔王、アンラ・マンユの球を

守るかの如く、魔道兵から集中的に攻撃を仕掛けている。

天才「魔道兵を自己防衛優先に当たらせろ」

大軍師「宜しいのですね?」

天才「命には変えらねぇよ。急げ」

大軍師「はっ」

皇太子「魔道兵の戦力を抜けば、付加は減るぞ?」

天才「んな事ぁ分かってんだよ! 他に手はねーだろ」

皇太子「ならば、魔道兵を守れば良いのだろう?」

天才「だから、その兵がいねーんだっつの」

皇太子「いるではないか」


889 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:27:51.27 ID:9QlRjCN1o
天才「……?」

ザッザッザッザ

皇太子「出るぞ、用意しろ」

天才「おいおい……っ、まさか陛下直々出陣しようなんて考えじゃねーだろうな?」

皇太子「では他に誰がいる?」

大軍師「おやめ下さい。幾ら陛下のお考えと言えど、それだけは同意致しかねます」

皇太子「ならば、みすみす魔道兵を見殺しにしろと?

大軍師「いえ、そうではありませんが……」

皇太子「それに魔道兵の数が減れば、結果は同じ事ではないのかな?」

天才「……いけるのか?」

皇太子「自信なくば、大口は叩けまいよ」

天才「ハーッハッハ!」

皇太子「……双子姉妹、いけるな?」

双子姉妹「……はいっ!」

皇太子「宮廷魔道兵は……そこの君、此処の指揮を頼めるかな?」


890 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:29:00.21 ID:9QlRjCN1o
ウィッチ姉「!?」

皇太子「頼むぞ。球を攻撃し続けてくれれば良い」

ウィッチ姉「ははははいいぃ!!」

皇太子「各員、乗馬始め!」

ザザッ…ガシッ

皇太子「よし、私を中心に、鶴翼の陣であたるぞ。双子姉妹は最後尾から援護を」

双子姉「お任せ」
双子妹「下さい!」

近衛兵「全員、陛下を命がけで御護りするのだ。いいな?」

ザザッ…パッカパッカパッカ

天才「死ぬなよ?」

皇太子「……出るぞ。まずは正面の群れを狙う! 続けっ!」

ドドツドドッドドッ…

大軍師「……っ」

天才「……ったく、ここにきて小覇王再び……か」


891 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:29:57.04 ID:9QlRjCN1o
ドドッドドッドドッ

皇太子「突撃ーっ!!」

近衛兵「おおぉぉぉぉ!!」

双子姉「魔法でぇー」
双子妹「援護しますわ!!」

ドドオオォォォォン!!

魔道兵「へ……陛下だっ! 陛下が自ら……っ」

騎兵「国王陛下……万歳ーっ!!」

天才「おーおー。士気が上がっちゃってまぁ」

大軍師「まさか陛下は、そこまでお考えで……・」

天才「どーだかな。だが、ありゃあもう小覇王なんかじゃねぇわ」

大軍師「……」

天才「王の器そのものだ。生まれながらにしての将器ってモンだわな」

大軍師「ええ。陛下が剣を振るうお姿、それだけでこれだけの士気が……」

皇太子「右方っ、脇が甘いぞ! もっと当たっていけ!」

近衛兵「ははっ!!」


892 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:30:59.49 ID:9QlRjCN1o
ドドッドドッドドッ

隊長「各員、陛下が先陣を切っているのだ! 気合いを入れろぉ!!」

魔道兵「おおぉぉぉぉ!!」

ヘルハウンド「グガアアァァァァー!!」

魔道士「しまった――!!」

ザシュウウゥゥ!!

ヘルハウンド「ギャウンッ……」

ドサッ

王子「大丈夫か!?」

魔道兵「あ、ありがとう……ございます……っ」

王子「本国の陛下にばかり、手柄を取られては西国の恥であるぞ!」

西国兵「いけぇ!!」

セクメト「……ガアアァァァァー!!」

ドドオオォォォォン!!…ゴッガアアァァァァ!!

王子「セクメトを前面に押し出し、その左右からあたっていけ!」


893 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:34:08.88 ID:9QlRjCN1o
皇太子「おぉ、あれは西国の……」

近衛兵「西の連中もよくやります」

皇太子「ああ。負けておれんな」

グイッ

皇太子「西側は西国の者らに任せ、我らは東側の敵にあたる!」

近衛兵「おぉーっ!!」

ザッ…ドドッドドッドドッ…

魔道兵「う……あぁ、がはっ」

衛生兵「頑張れよっ、今……助けてやる!」

騎兵「馬がやられたぁ!? だったら歩兵と合流して剣で戦えば良いっ!!」

天才「状況は?」

大軍師「投擲からおよそ5分近く経過。魔道兵は50名程が死傷の模様です」

天才「まずいな」

大軍師「はい……。こちらはよく持っていますが……」

天才「……」


894 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:34:51.32 ID:9QlRjCN1o
ググググググッ

マーマン「ちぃ……っ!!」

ハヌマーン「かなりやられているようだな……っ」

マーマン「落とすわけにゃいかねーけどよぉ!」

ハヌマーン「……」

マーマン「まだかよちくしょおぉ!」

ズザッ

ヘルハウンド「グルルルウウゥゥ」

ハヌマーン「何っ!?」

マーマン「こんな時にぃ!!」

ハヌマーン「ちっ、どうするか……」

マーマン「そのイヌっころ共……何とかしてくれっ!」

ハヌマーン「しかしだな……」

マーマン「1人で支える! だから、ちゃっちゃとカタ付けてくれえぇ!」

ハヌマーン「……っ」


895 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:35:29.59 ID:9QlRjCN1o
シュバッ

ハヌマーン「すぐに戻る!」

マーマン「当たり前だぁ! でないと……」

ガクンッ…ググググッ

マーマン「灰になっちまうぞおおぉぉ!!」

ジュウウゥゥゥゥ!!

マーマン「ぐあぁ……っ!」

ハヌマーン「雑魚が何匹群れようとも……」

ヒュバッ…バキィ!!…ズガァッ!!

ハヌマーン「我らを伏せられると思うなよっ!」

ヘルハウンド「ガウアッ!!」

ジュニア「まずいぞっ、高度が下がった……っ!!」

女賢者「も……駄目ぇ……っ」

フッ

ジュニア「ちっくしょおおぉぉ!!」


896 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/16(木) 18:36:16.59 ID:9QlRjCN1o
ゴゴゴゴゴゴ…

召喚士「スキュラ……持ち堪えてくれぇ!」

魔道士「くうぅーっ!!」

幼女「……う……ううぅ……っ」

剣士「幼女……くそっ、僕も……もう力が……っ」

ガクン

天才「!?」

アンラ・マンユ「……一時は……どうなる事かと思ったが」

皇太子「……っ!」

アンラ・マンユ「総動員でこれか。無駄な努力だったな」

天才「まだ……終わっちゃいねぇだろうがよっ!」

アンラ・マンユ「もう残り僅かなのだろう? 力不足――」

グッ……グググッ

アンラ・マンユ「……?」

大軍師「な、何です? また……盛り返して……」



次へ 戻る 戻る 携 上へ