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少女「男はどうして私と話すの?」男「それが俺のバイトだ」
- 161 名前:深夜にお送りします []
投稿日:2012/03/17(土) 23:23:53 ID:0Ua20qO.
喫茶店、窓際の席
少女「………男。」
男「……………」
少女「………おーい。」
男「……………」
少女「………とりゃっ」ブンッ
男「いてっ!」ガツッ
少女「………大丈夫?」
男「お前、さすがに本の角は危険だ。」
少女「………男が私の話聞かないのが悪い。」
男「だからって、暴力に訴えるな。」
- 162 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/17(土) 23:33:52 ID:0Ua20qO.
少女「………なんだか、今日は難しい顔してる。」
男「そうか?」
少女「………してる。ちょっと怖い。」
男「そうか………」
少女「……………」
男「……………」
少女「………ほら、その顔。………なにか悩んでるの?」
男「悩み事っつーか、考え事かな。」
少女「………話してみて。」
男「ま、気が向いたら話すよ。」
- 163 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/17(土) 23:47:14 ID:0Ua20qO.
男(もし、アイツの言ったことがホントなら、この話はするべきじゃないんだよな………。)
男(この話をしてしまえば、今の関係を変えてしまうことになる。………でも、それでいいんだろうか。)
男(なぁなぁの、ズルズルとしたままのぬるま湯に浸かってるみたいな関係。)
男(俺はこのままだし、コイツも変わらない。………けれど、コイツにとって変わらないということはいいことなのだろうか。)
男(本の世界に引きこもり、少ない人としか関わりを持たない。いや、意図的に関わろうとしない、というのが正しいな。)
男(関わりたくない理由があるんだろうか………。そしてその理由が友が言っていたことだとすれば。)
男(コイツは……コイツは…………)
- 164 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/17(土) 23:49:03 ID:0Ua20qO.
引っ張るだけ引っ張って寝る。
さて、ここからどうしよう
- 166 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/03/17(土) 23:53:34 ID:KzqA9Lq2
魔女とマスターが何か粋な計らいをするんですね
- 167 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 07:24:05 ID:lyx.Qd4A
以下回想。
屋上
男「………そんなもの、信じられるわけないだろ。」
友「………だよな。」
男「からかってんのか?」
友「そのつもりはない。………けどよぉ、普通ならこんな話、笑い捨てるとこだろ。そうしないってことは、なにか思いあたる節とかあるんじゃねーのか?」
男「……………」
友「………頭の片隅にでも、入れておいてくれよ。あの娘と、関わるってことは……多分、お前にとっていいことにはならない。」
男「………忠告どうも。全部信じた訳じゃねーけど、とりあえず、気がかりになってるところが一つ解決した。」
友「ま、どういう決断しようが助けるくらいはしてやるよ。友達だからな。………じゃ、ゆっくり考えろ。俺は教室に戻るから」
男(どうしたらいいんだよ……)
イタゾォ、ウラギリモノダ!
エッ,チョッ!
トラエロォ!
オィ,オマエラナニヤッテ……ウワーー!
男「………あ、団長に連絡するの忘れてた。」
- 168 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 07:34:11 ID:lyx.Qd4A
回想修了
喫茶店
男「……なぁ、少女。」
少女「………なぁに?」
男「………いや、何でもない。」
少女「………気になる」
男「下らないことだから気にすんな。」
少女「………教えて。」
男「……戦争における科学の発展について議論を交わそうと思っただけだ。」
少女「………はぐらかした?」
男「すまん………。何でもないんだ。」
少女「むぅ………」
男(やっぱり、訊けねーよ。“お前、超能力者なのか?”なんてさ)
- 169 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 07:43:28 ID:lyx.Qd4A
男「………今日調子悪いから、帰る。」
少女「………ぇ?」
男「なんか、風邪引いたかもしれないし、うつしたら悪いからな。」
少女「………でも、男、一人暮らし。」
男「大丈夫だ。多分、引きはじめとか、そういうんだから、体は動く。………安静をとるってやつだよ。」
少女「………なら、また、私のところに……」
男「それは遠慮する。俺は、あの執事の運転する車には乗りたくないからな。」
少女「………楽しいのに。」
男「そう言えるのは、お前だけだ。」
- 170 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 08:22:11 ID:lyx.Qd4A
男宅
男「………ただいま」ドサドサ、ボスッ!
男「………誰もいないけどな。」
男(今日はあんまりアイツと話さなかったよな………)
男「はぁ………」
男(………俺は、避けてるのか?アイツのこと。お嬢様だからといって、関係ない……とは考えていたけど。)
男「………それも建前なのかな。」
男(………ちょっと寝るか。考えても仕方ないことだし……)
男「………すぅ〜」
………ピロリロリン
- 171 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 08:40:50 ID:lyx.Qd4A
二時間後
男「………ん。よく寝た…かな?」ゴシゴシ
男「………メールが来てるな。差出人は………あの女か。」
『件名・元気?
本文・風邪気味らしいじゃん。おねーさんが特別にナースを手配してあげたよん。
感謝するよーに。』
男「………あの腹黒女、まだイタリアにいるんだよな………。」
少女「………そのはずだよね。」
男「……………ォィ」
少女「ん………?」
男「なぜここにいる?」
少女「……魔女さんが、この服着て看病したら一瞬で治るって……。」ナース服着用中
男「あの腹黒女ぁ………」
- 172 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 08:55:00 ID:lyx.Qd4A
少女「治った………?」
男「………治るも何も、元から、風邪引いてる訳じゃないんだから。」
少女「………風邪は引きはじめが肝心。看病する。」
男「いや、別にそんな大したものじゃないよ。」
少女「………看病する。」
男「いや、別に………」
少女「………看病する。」
男「だからさ………」
少女「するの……」グッ
男「はぁ………」
- 173 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 09:00:06 ID:lyx.Qd4A
少女「………おかゆ、作る。」
男「いや、そこまでしなくていいって………」
少女「………作る。」
男「もう好きにしてくれ………」
少女「………頑張る」
男「そこはかとなく不安だな………」
- 174 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 09:18:49 ID:lyx.Qd4A
男(アイツから離れるために、早退したのに………これじゃ意味ないよな。)
ドンガラガッシャァーン
男(場合によってはいいことなのかな………。話を聞くタイミングができたとか……)
ズバコォーン
男(でも、聞いてどうするんだよ。………これはさっきも考えたけど、この関係を変えることにいいことなのかって………。)
ゴォォォォォォォッ!
男「そして、アイツはなにやってんだっ!おかゆを作ってる音じゃねーぞ、これ!」
- 175 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 09:36:50 ID:lyx.Qd4A
五分後
少女「………できた。」プルプル
男「決して、重いとも言えない一人用の土鍋をそこまで重そうに持ってるあたりに、お前の非力さが際立ってるよな。」
少女「は、……話しかけないで………」ソロォ〜
男「不安すぎる………」
少女「…………うぅ。」 ブルブル
男「そこ、気を付けろよ、足元に鞄あるから」
少女「…………ぇ?」コケッ
男「うわっ!鍋がこっちに!」
- 176 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/03/18(日) 11:26:39 ID:8dXN8b4A
計画通り!!C
- 177 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 11:55:09 ID:lq9GXy3I
一緒にお風呂ですねわかります
- 178 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 19:41:20 ID:lyx.Qd4A
再開は2100頃に。
期待している展開とは限らないよ?
- 179 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 19:42:32 ID:lC.EIjHI
楽しく読んでるから好きなようにやってくれ
- 180 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 20:15:11 ID:JelJ5A8E
>>1の発想と才能に嫉妬。C
- 181 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 21:21:58 ID:lyx.Qd4A
ガッシャァン
男「…………え?」
少女「………どうしたの?」
男「………今、鍋は俺の顔に直撃ルートだったよな?」
少女「………見間違い。私はあっち向きにこけた。鍋、ごめんなさい……。」
男「いや、それはいいけど………怪我してないか?」
少女「………おでこうった。」
男「拭くものと、冷やすもの持ってくるから、大人しくしてろ。」
少女「………うん。」
男(間違いない、今、コイツは何かした。)
- 182 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 21:35:54 ID:lyx.Qd4A
キッチン
男「氷……はもったいないから保冷剤でいいか。……あとは床を拭く雑巾と……」
男(アイツが何かしたってのは、わかったんだが………肝心のところは目を閉じていたから見てないんだよな………)
男「人間っつーのは、反射的に目を閉じてしまうもんだからな………」
男(けど、これで友のヤローの言ってたことは信憑性がますんだよな………。つまり。)
男「アイツが超能力者かもしれないってなぁ………」
男(だから、なんだって話だけど………。それがアイツのコンプレックスなのかな?例えば、他人とは一線を画した力を持つということ。他人と違うってことは………)
ゴンガラガッシャァン!
男「なんだっ!?」
- 183 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 21:44:33 ID:lyx.Qd4A
少し戻って男の部屋
少女「………危なかった。」
少女(………さっきはコントロールできた。ちゃんと動かせた。)
少女「………バレて、ない。」
……モノメッ!
少女「………違う。」ギュッ
………オゾマシイ
………キミノワルイ
………ヒトジャナイ
………バケモノダ
バケモノッ!バケモノッ!
少女「違うっ!」キュイーン
- 184 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 21:50:10 ID:lyx.Qd4A
少女「…………ダメ。」シュゥゥ
少女「………………」
少女「………………」ブンブン
少女「………男を手伝う。ここにいては、ダメ。」
- 185 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 21:57:20 ID:lyx.Qd4A
廊下、キッチンの死角
男「………から保冷剤でいいか。……あとは床を拭く雑巾と…」
少女「…………いた。」
少女(難しい顔してる。声をかけづらい………怒ってる?)
男「アイツが超能力者かもしれないってなぁ………」
少女「ぇ………?」
少女(バレてる……?)
- 186 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 22:03:10 ID:lyx.Qd4A
男の部屋
少女(………バレてるの?)
……バケモノメッ!
少女「あ、ぁぁ………」
………カカワリタクナイ
………チカヨルナ
………キケンジンブツ
バケモノ……バケモノ……
少女「いや………」
『――バケモノ』
少女「いやっ!」キュイーン
ゴンガラガッシャァン
- 188 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 22:13:23 ID:lyx.Qd4A
そして現在
男の部屋だった場所
男「おいっ!なにが…………っ!?」
少女「……………」フラフラ
男「なんだ……これ。俺の部屋が……」
少女「……………」フラフラ
男「おい、少女、怪我してないか!?………少女?」
少女「……………」ブツブツ
男「………何をいってるんだ?」
少女「………わたしはばけものじゃないばけものなんかじゃないそんなめでみないでおいてかないでいやだいやだいやだいやだいやだいやだ……」ブツブツ
男「………っ!?」ゾクッ
- 190 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 22:19:47 ID:lyx.Qd4A
少女「どうしてみんなこわがるのわたしはばけものじゃないのに………でもこわがるならかくさなきゃおとこがこわがるのはだめでもばれた……」ブツブツ
男「お、おいっ、落ち着けっ!」
少女「ばれたからおしまいおとこもわたしをこわがるきっとそう……」ブツブツ
男「…………?」
少女「ばけものっていうほかのみんなとおなじになるわたしがすきになったひととおなじになる……」ブツブツ
男「………はぁ?」
- 191 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 22:24:12 ID:lyx.Qd4A
少女「もういやだきらわれるのはいやだばけものっていわれるのいやだいやだいやだいやだいやだ……」ブツブツ
男「…………」スゥゥ
少女「いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ……」ブツブツ
男「…………」ハァァ
男「…………」スゥゥ
男「―――落ち着けっ、つってんだろうがっ!!!!」
少女「っ!?」ビクッ
- 192 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/03/18(日) 22:33:52 ID:lyx.Qd4A
少女「………ぁ、………男?」
男「……………落ち着いたか?」
少女「ぁ、私……ぁ……いや………いやぁぁぁああああ!」フッ
男「え、ちょっ!倒れんなよっ!」トサッ
男「………ギリギリセーフ。お前さぁ………」
少女「……………」グッタリ
男「………少女?おいっ!しっかりしろっ!少女!おいっ―――」
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