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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その13
595 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/15(木) 21:53:27.43 ID:fLZRPXoo
〜北方司令部〜

左翼長「……はぁ!?」

騎士長「行くって…北関へか!?」

マジシャン「あったり前だろ。堅苦しい…」

左翼長「…?」

マジシャン「本国のお偉いさんが残るんだろ?」

騎士長「詳しいな…」

マジシャン「今さっき聞いたよ」

テクテクテク…ドスッ

マジシャン「とにかく俺はあっちでノンビリやらせて貰うわ!」

皇太子「承知した。頼んだぞ」

マジシャン「!!」

縁に腰掛けるマジシャンの背後から両肩を掴み、皇太子が声をかける。

マジシャン「は…い…。頑張ります…」

皇太子「うむっ。宜しくなっ」


596 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/15(木) 21:54:00.58 ID:fLZRPXoo
カツカツカツ…

エリート「殿下っ、勝手にうろつかれては困ります!」

皇太子「もうまもなく出陣なのだろう?」

エリート「そうですが…」

皇太子「私は見送る事も出来ないのかね?」

青年兵「それならそうとお申し付け頂ければ…」

皇太子「そうか?口煩いのがおるからのう。はははっ!」

エリート「殿下にもしもの事あらば…ここにいる全員が…」

皇太子「悪かったよ。さて、では一旦戻るとしようか」

青年兵「一同ーっ、敬礼ー!!」

ババッ!!…カツカツカツ…

一同は皇太子に敬礼し、去りゆくその姿を見送る。

左翼長「…どうした?ボーっとして」

マジシャン「いや……化けるモンだなぁ…って」

騎士長「……?」


597 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/15(木) 21:54:28.80 ID:fLZRPXoo
ゴウンゴウンゴウンゴウンゴウン・・・

衛兵「開門ーっ!開門ーっ!!」

ザッザッザッザッザ…

騎兵「国旗を掲げよっ!」

号令と共に、数人の旗手が巨大な旗の付いた棒を担ぎ上げる。

ググッ……バサァッ!!

騎士長「流石は国軍本隊。清廉かつ華々しい」

左翼長「……皮肉満載だな」

騎士長「ん?そうか…?素直な感想だぞ」

二人は北関へと出陣する国軍本隊を、正門前の広場にて見送る。

左翼長「泥にまみれてこそ本物じゃなかったのか?」

騎士長「そりゃ現役での話だろう…」

左翼長「まだ枯れてねーぞ。…枯れかけたけどな」

騎士長「違いねぇや…。ま、いい刻に水と養分が来てくれたかな」

左翼長「枯れかけてた老木には…ちと刺激的だがな」


598 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/15(木) 21:54:56.07 ID:fLZRPXoo
ザッザッザ…

騎士長「おっ、噂をすれば…」

マジシャン「あん?」

左翼長「何でもねーよ。…頼んだぞ」

マジシャン「お前の為に働くわけじゃねーよ!ハッハ!」

左翼長「んな事分かってるよ。おらさっさと行け!」

マジシャン「俺らの帰る場所…しっかり守れよ」

騎士長「おう。美味い酒付きでな…!」

マジシャン「そりゃあいい!ハッハ!」

ザッザッザ…

副司令官「ようし。…出陣!目標は北関なり!」

騎兵「おぉ!!」

副司令官の号令を合図に、隊列は正門を抜けて行く。

パッカパッカパッカパッカ…

大軍師「……ふっふふふ」


599 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/15(木) 22:00:11.46 ID:fLZRPXoo
副司令官「おぉ軍師、どこに行っておったのだ?」

大軍師「彼との話が長引いてしまいました」

大軍師は進む馬上より、後方をチラリと振り返る。

参謀「……」

左翼長「作戦はバッチリか?」

参謀「…ええ。問題ないかと」

騎士長「そうか…」

参謀「さあ、こちらも準備を整えましょう」

左翼長「ああ。殿下の元へ行くぞ」

参謀「はいっ」

ザッザッザッザッザ…

〜司令室〜

バルコニーからは皇太子が出陣する兵を見つめている。

エリート「……」

コンコン


600 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/15(木) 22:00:42.25 ID:fLZRPXoo
青年兵「はい」

カチャッ

参謀「失礼致します。まもなく準備を始めようかと…」

皇太子「うむ。そうしよう」

参謀「では会議室にてお待ち致しております」

エリート「すぐ行きます。ありがとう」

参謀「では……」

…パタン

青年兵「…行きましょうか」

皇太子「ああ」

エリート「……」

皇太子「無傷……なんて事は難しいだろうね」

青年兵「一人も失う事無く終えるのは…皆無かと…」

皇太子「……悲しいね」

皇太子は小さくなる兵と国旗から目を離し、マントと剣を手に取った。


601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/15(木) 22:01:15.42 ID:fLZRPXoo
〜会議室〜

カツカツカツ…カチャッ

参謀「敬礼ーっ!!」

皇太子「いや…そのままで良い」

左翼長「……」

皇太子「開戦まで半日あるとは言え…そう優雅にもしていられぬだろう…」

エリート「では…始めてください」

エリートは皇太子の椅子を引き着座させると、

己も真横の椅子に座る。前方では北方の面々と青年兵がそれに続く。

一人席に着かず、テーブルの地図を広げた参謀が、ゆっくりと口を開く。

参謀「我ら本陣においては、第一の目標を拠点の防衛と考えます」

エリ−ト「ふむ、当然であるな…」

参謀「第二に北へ進軍の後、進路を北東に向け防衛線を敷きます」

青年兵「西は宜しいのですか?」

参謀「ええ。先日の戦いにおいて結界石を重点的に打ち込みましたから」


602 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/15(木) 22:02:19.49 ID:fLZRPXoo
左翼長「左様。奴らも北の港方面への進軍は難しいはず…」

参謀「相当の迂回をして、尚且つ西方から侵入しなくてはなりませんから…」

騎士長「ふむ……」

皇太子「それで…夫人は如何なものか?」

参謀「はっ。殿下にはこちらの防衛を…」

皇太子「いや、それは北方の諸兄にお任せしたい」

左翼長「は…!?」

皇太子「性格が出てしまうのか…どうも守戦は苦手でな」

騎士長「しかし…っ!」

青年兵「……問題ないかと存じます」

参謀「!?」

エリート「殿下の戦術は一級品です。ご安心下さい」

左翼長「しかし…!!」

エリート「……その為の我らです!」

青年兵「…はい」


603 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/15(木) 22:03:21.24 ID:fLZRPXoo
参謀「では……宜しいのですか?」

皇太子「くどいぞ」

参謀「申し訳御座いません。では、殿下を主として進軍を…」

エリート「……」

参謀「司令部の防衛については我らが努める。宜しいですかな?」

騎士長「ああ…」

左翼長「まあ……問題あるまい」

参謀「かしこまりました。そのように手筈を整えさせます」

参謀は一人の兵を呼び、細かな指示を与える。

エリート「………」

青年兵「…いよいよか」

エリート「なぁ、青年兵くん」

青年兵「はっ」

エリート「……頼みを聞いて貰えないかな?」

青年兵「…?な、何でしょうか……」


606 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/15(木) 23:53:15.64 ID:fLZRPXoo
エリート「君は彼らと顔見知りのようだね」

青年兵「彼…?ああ、召喚士さんですか?」

エリート「彼らに付いてやってはくれんか?」

青年兵「え…っ!?」

エリート「私が行きたいところなのだが…」

エリートは振り返り、背後の皇太子をチラリと見る。

エリート「それに大局での能力は、私が上だが…」

青年兵「……」

エリート「個の力は君の方が優れている」

青年兵「そんな事…っ!」

エリート「精鋭50名を付ける。どうか頼む…!」

青年兵「エリート様……っ」

エリート「どうか……彼女を…」

青年兵「………わ、分かりました」

エリート「…すまぬ!」


607 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/16(金) 00:05:40.23 ID:2bDXde2o
身体が痛い…。寝ますです!おやすみなさい!ノシ


608 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/16(金) 00:14:43.00 ID:yjboUEDO
乙でした。
無理なさらず、御自愛下さい。


609 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/16(金) 00:17:45.19 ID:d2fiycDO
身体が痛いって大丈夫かー?
週末に見所が来そうで今から楽しみだぜ!

>>1乙!
おやすみ


610 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/16(金) 01:15:07.21 ID:6sa.RQAO
>>1乙

やっと復活したとおもったら次は>>1の体に異変が…
無理しないでくれよな!

>>1が書けない日は魔導師(男)編を何度も読み返すから
漫画も含め読み物の中で一番読み返したかもしれん…それくらい好きな話だ


614 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/16(金) 17:49:59.54 ID:Qw9Wu/oo
〜山脈〜

テクテクテク…

召喚士「この山を越えれば北関ですね」

魔道士「良かったんですか?」

戦士「ん?」

魔道士「せっかく故郷の近くを通ったのに…」

戦士「立ち寄ってノンビリしてるような時間はねーだろ…」

召喚士「うん…」

戦士「それに…次帰る時は…笑顔で帰りてーんだ…」

盗賊「……」

戦士「いい土産話持ってな…!!」

召喚士「…うん。そうだよね」

眼鏡「…帰る場所がある。…良い事だね」

召喚士「ええ…」

召喚士は悟ったように、眼鏡へ同調した。


615 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/16(金) 17:50:55.71 ID:Qw9Wu/oo


戦士「はぁ〜」

召喚士「魔道士さん、手を…っ」

魔道士「あ…ありがとうございます」

グイッ…トスッ

盗賊「…山頂だ」

眼鏡「…良い眺めだね。北の地も良く見える。

召喚士「眼鏡さんの生まれは北なんですか…?」

眼鏡「…よく分かったね」

召喚士「なんとなく…そんな気がして」

眼鏡「召喚士くんもそうなのかな?」

召喚士「ええ。更に北へ進んだ…。今はもうありませんけど…」

眼鏡「………そっか」

召喚士「…行きましょうか」

眼鏡「うん…そうだね」


616 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/16(金) 17:53:58.94 ID:Qw9Wu/oo
ヒュオオォォ…

魔道士「風が…強くなってきましたね…っ!」

盗賊「…うん」

戦士「こっちは盆地だからなぁ…」

召喚士「吹き降ろす風が強いからね…」

戦士「さーて、ここを下れば…」

盗賊「…森か」

召喚士「この森を抜ければ北関の北面に出ますね」

魔道士「下の方、ところどころ森が荒れてますね…」

盗賊「……この前の」

魔道士「…?」

召喚士「前回の戦いで…焼かれてしまったんですね…」

盗賊「……」

眼鏡「戦いにおいては仕方のない事…なのかな」

魔道士「でも…それでは悲しすぎます…!」


617 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/16(金) 17:59:11.36 ID:Qw9Wu/oo
眼鏡「…ほう。聖者のような事を言うね」

魔道士「そんなつもりは…」

眼鏡「いや、褒めているんだ。なかなか思えない事だよ」

召喚士「ええ。確かに…」

戦士「自然を破壊して魔物を壊滅させる…か」

盗賊「…正義」

戦士「…?」

盗賊「…勝者こそが…正義」

戦士「ほんと…そうかもな。やだやだ…」

眼鏡「気負い過ぎると身体に毒だよ?さ、行こう…」

召喚士「ええ…。早くこの森を……」

ピタッ

眼鏡「………」

召喚士「……どうしました…?」

召喚士は立ち止まり、右を向く眼鏡に声を掛ける。


618 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/16(金) 18:04:24.16 ID:Qw9Wu/oo
眼鏡「………ん、いや。何でもない」

魔道士「…?」

眼鏡「さぁ、行こう」

眼鏡は顔を戻し、笑顔で四人に声を掛け、歩き始める。

テクテクテク…

一同の過ぎ去った後、眼鏡が見つめていた方向より、

ゆっくりと足音がひとつ、微かに森へと音を上げる。

テクテク…パキッ…テクテクテク…

その音は山からの風にかき消され、人間はおろか動物にさえ

感じ取る行為を困難にさせるような、微かな音である。

テクテク…

サル「何で…気付きやがったんだ!?」

サルは眼鏡の立ち止まった位置から、己の居た方角を見つめる。

サル「コッチだって人間だってのを認識出来る程度の距離だってーのによ…」

サルは身震いを一つした後、再び森の奥へと姿を消した。


624 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/16(金) 23:59:22.76 ID:2bDXde2o
こんばんはー遅くなりました!週末なので夜更かし投下にて失礼致します!
ノンビリ行きますので、後ほどまとめ読み下さいませ!

>>608-609
ご心配掛けまして申し訳ありません。大丈夫です!

>>610
おお…!そういった感想を頂けると凄く嬉しいですね!
こちらこそありがとうございます!!


625 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/17(土) 00:43:24.97 ID:MckrIMAO
眼鏡さん格好良すぎるだろ…

早く実績じゃない方の上位ランカーを拝みたいな
今回の北の重要な作戦ならひょっとしたら出て来てくれるのでは?と密かに期待している


626 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/17(土) 02:34:49.27 ID:UzrBU2ko
ザッザッザ…ガサッ…

盗賊「…抜けた」

魔道士「あっ、もう関が見えますね!」

召喚士「ではこのまま関に入りましょう」

戦士「おうっ!」

テクテクテク…

〜北関〜

戦士「久々だな…ここも…」

召喚士「……うん」

眼鏡「……」

テクテク…

召喚士「あの、司令部からの指示でこちらに来ました」

衛兵「お待ちしておりました。どうぞ!」

衛兵の一人が関内へと足早に案内する。

盗賊「……?」


627 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/17(土) 02:35:26.20 ID:UzrBU2ko
〜北関、司令部〜

ザッザッザ…

衛兵「お連れ致しました」

戦士「……なるほどな」

一同が司令室へと足を踏み入れた矢先、女性の声が響く。

白虎長「待ってたわよ!」

占い師「ぴったしね!」

召喚士「白虎先生…!それに占い師さんも…」

魔道士「私たちが来る事…わかってたんですね!」

眼鏡「……?」

占い師「まぁね。時間通りよ…うふふ」

白虎長「来て早々申し訳ないけど……」

召喚士「海峡…ですか?」

白虎長「ええ。私達も本体が到着次第すぐに向かうわ」

召喚士「…分かりました。すぐに向かいます」


628 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/17(土) 02:35:59.72 ID:UzrBU2ko


白虎長「護衛と馬は本当に良いの?」

戦士「ああ。こっちの方が順応に動けるしな」

魔道士「ええ」

白虎長「ごめんなさいね。合流して進軍出来ればいいのだけど…」

盗賊「…構わぬ」

白虎長「せめて叔父様が居れば良かったのだけれど…」

占い師「まあ…仕方ないわねぇ…」

戦士「…?」

白虎長「ううん、こっちの話よ。それや宜しく頼むわねっ」

占い師「また後で…うふふっ」

魔道士「はいっ、それでは!」

召喚士「そちらもお気を付けて…!」

テクテクテク…

白虎長「彼らだけで大丈夫かしら…」


629 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/17(土) 02:36:36.19 ID:UzrBU2ko
占い師「あら…?私の事信じてないの?」

白虎長「そうではないけど…」

占い師「大丈夫よ。それに……」

白虎長「…それに?」

占い師「いえ…。何でもないわ」

白虎長「…?」

〜北方司令部〜

パッカパッカパッカ…

青年兵「それでは、行って参ります!」

エリート「うむ。頼んだ…!」

青年兵「はいっ!」

参謀「関へ立ち寄らず直進すれば海峡には間に合うはずです」

騎士長「だが魔王軍の先遣隊にぶつかる可能性もある」

青年兵「問題ありません…」

左翼長「大した自信だ」


630 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/17(土) 02:37:04.97 ID:UzrBU2ko
参謀「先遣と言ってもおそらくは物見…。数は少数でしょう」

エリート「お前なら敵ではないはずだ」

青年兵「やれるだけの事は…」

ザッザッザ…

エリート「殿下…!?」

皇太子「死ぬなよ。若き勇者よ」


631 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/17(土) 02:37:37.07 ID:UzrBU2ko
青年兵「…有り難き御言葉…!!」

左翼長「開門っ!!」

ゴウンゴウンゴウン…

青年兵の背後に50騎ほどの兵が位置づける。

青年兵「……出陣!!」

精鋭騎兵「おぉっ!!」

パカラッパカラッパカラッ…

エリート「青年兵……魔道士さん…」

皇太子「……」

参謀「殿下、まもなくご出陣の手筈を…」

皇太子「そうだな。まずは食事だ!」

騎士長「…?」

皇太子「腹が減っては戦は出来ぬ…!はははっ!」

左翼長「…ふははっ!御尤もで…!」

高々に笑う皇太子に続き、一同が後に続く。



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