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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
175 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:06:24.31 ID:spBp7Gwoo


ザッ

剣士「お疲れ様。見張り変わろうか?」

召喚士「……剣士さん」

手にした軽食と飲料を渡し、剣士は召喚士の横へ腰掛ける。

剣士「いよいよだね」

召喚士「はい。頑張りましょう」

剣士「召喚士くんは流石だね」

召喚士「……?」

剣士「いや、この状況でも冷静さを保っててさ」

召喚士「そんな事ないですよ。ほら、見て下さい」

小刻みに震える手を広げ、召喚士は剣士の正面へと突き出す。

剣士「召喚士くん達は、魔王や軍団長と何度も戦ってきたよね。それでも……」

召喚士「何度戦ったってやっぱり怖いですよ。自分が強くなれななる程、余計に感じます」

剣士「そっか……」


176 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:07:28.24 ID:spBp7Gwoo
召喚士「剣士さんは怖いですか?」

剣士「……もちろんさ。自分が死ぬ事もそうだけど、それ以上に弓使いや幼女の事を考えるとね」

召喚士「……っ」

剣士「だから、どんな小さなミスも許されないし、皆の気持ちが団結しないと駄目なんだ」

召喚士「剣士さんの言う通りです」

剣士「それぞれが出来得る限りの事を遂行して任務達成に導く。言わばチームワークだね」

召喚士「……昔、剣士さんが言ってた言葉、今でもずっと響いてます」

剣士「言葉?」

召喚士「人の力。仲間の力が今、本当に大切なんだなって改めて感じてますよ」

剣士「あぁ、そんな事もあったね。もう随分と前の話になるかな」

召喚士「5年ですもんね、長い付き合いです」

剣士「そうだね。最初はお互い、自分達の事で精一杯だったね」

召喚士「今もそうですよ」

剣士「そんな事はないさ。君は既に、人の為に戦っている」

召喚士「……」


177 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:08:12.87 ID:spBp7Gwoo
剣士「損得抜きに、誰かの為、世界の為に戦ってるんだ」

召喚士「そう……ですかね」

剣士「僕は君達に何度も助けられ、何度も世話になった」

召喚士「こちらこそ……」

剣士「今僕や弓使いがこうして生きているのも、君達のお陰なんだ」

召喚士「そんな事っ……」

剣士「僕らだけじゃない。召喚士くんに救って貰った人は沢山いるよ」

召喚士「……」

剣士「ねぇ?」

召喚士「……?」

ザッザッザ

青年兵「僕もそうですよ、召喚士さん」

召喚士「青年兵くん」

青年兵「剣士さんの仰る通りです。ここまで来られたのは召喚士さんのお陰です」

召喚士「そ、そんな……」


178 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:09:08.52 ID:spBp7Gwoo
青年兵「勝手ですけど、僕は召喚士さんを兄のように、そしてライバルのように思っています」

召喚士「青年兵くん……っ」

青年兵「そして仲間であり、友人であり、師匠でもあり……特別な存在なんです」

召喚士「……う、うぅ」

青年兵「5年前のあの時、召喚士さんと出会って、僕の召喚士としての人生は変わりました」

召喚士「……」

青年兵「出会っていなければ、国軍の一青龍兵で終わってましたよ」

召喚士「違うよ、青年兵くんは素質があったからこそ今の立場に……」

青年兵「少なくとも、短期間でここまで来られたのjは召喚士さんのお陰ですよ」

召喚士「……」

剣士「だkら僕は、もしどうしようもなくなった時には、死んでも君を守る」

青年兵「僕もです。召喚士さんは絶対に必要な存在ですから」

召喚士「駄目だよっ、そんな事は……」

剣士「ははっ、もちろん死ぬつもりはないよ。万が一の話さ」

青年兵「はい。誰1人だって死なせるつもりは毛頭ありません」


179 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:09:37.39 ID:spBp7Gwoo
召喚士「剣士さん……青年兵くん……っ」

剣士「君が居てくれるだけで頼もしい。それぐらい大きな存在だって事、忘れないで欲しい」

青年兵「召喚士さんは救世主なのかもしれませんね」

召喚士「……っ」

剣士「それじゃ、見張りは僕が代わるから」

召喚士「で、でも……」

青年兵「僕らは仮眠も取りましたし、召喚士さんも休んで下さい」

召喚士「……っ。じゃあ、お言葉に甘えて……っ」

剣士「ゆっくり休んでくれ」

青年兵「おやすみなさい」

召喚士「……おやすみなさい」

テクテクテクテク…

召喚士「……」

2人の言葉が頭から離れなかった。誰かの為にやってきた事ではないにしろ、誰かを救っていた。

その事が召喚士の心に溜まった不安を、ほんの少しだけ軽くした。


180 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:10:10.68 ID:spBp7Gwoo
〜東の町〜

南方兵「動きはないな!?」

西方兵「ないけど……不気味なモンだぜ……っ」

防壁の上から闇の先に蠢く光に目を凝らしながら、兵らは小声で不安を吐き出す。

わずか2キロ程度の距離に控える数十万の魔物。その動きははっきりとしたものではないにしろ、

見張りを務める彼らの目にも存在が確認出来る程度には映っている。

ザッザッザ

南方副司令「兵もかなり疲労が見えているな」

南方参謀「こう取り囲まれていては、精神的な疲労が大きいわね……」

南方副司令「ああ。連日の勝利で士気は高いし、食糧や物資も問題はないしな」

南方参謀「負傷者も予想以上に抑えられているわ。ここまでは明らかに順調」

南方副司令「問題はここからだ。さっさと決めてくれないとな」

南方参謀「そうね。この状態が数日も続けば、明らかに士気も落ちてくるわ」

南方副司令「赤壁の増援が来たところで、ここの士気が低けりゃ連携も取れん」

南方参謀「……頼むわよ、討伐隊のみんな」


181 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:10:48.74 ID:spBp7Gwoo


ザッザッザ…

南方司令「……捜索隊は?」

大軍師「何度か往復しておりますが、今のところ何も動きはありませんね」

西方司令「まさか……ひ、ひいいぃぃぃぃ!!」

西方副司令「大丈夫よ、ねぇ……そうでしょ?」

占い師「あの人は大丈夫よ。私を信じて」

南方司令「君が言うなら間違いない。ならば、安心して待つとしよう」

大軍師「分かっているとは思いますが、これ以上は時間を掛けていられません」

西方参謀「だわな。増援が到着次第、仕掛けた方がいいな……ヒック」

西方副司令「でも仕掛けるって、ここには貯水池もないしどうやって殲滅するの?」

南方司令「力押しか? 被害が甚大だぞ?」

大軍師「……火計、ですかね」

西方副司令「それは無茶ですよ、今は東南の風が吹いてますから火を使えば……」

南方司令「全てこちらに降りかかってしまうぞ」


182 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:11:25.14 ID:spBp7Gwoo
大軍師「簡単な話です。吹かぬなら吹かせるまでですよ」

占い師「!?」

西方参謀「だわな。まぁもっとも、簡単な話とは思えないけれどな」

西方副司令「吹かせるって……そんなおまじないみたいな事出来る訳……」

大軍師「まじない……それは面白いですね。天に祈ってみましょうか、ふふふっ」

南方司令「任せて良いのか?」

大軍師「お任せ下さい。その為の……軍師ですから」

カツカツカツカツ…

騎士団長「伝令が到着したぞ。明朝には赤壁の増援も到着するようだ」

西方参謀「整ったな」

大軍師「ええ、ではいよいよ明日……総力戦に入りますよ」

西方司令「総力……もう無理だぁ……はああぁぁ!」

西方副司令「大丈夫よ、司令にかかってるわ。頑張って!」

西方参謀「やるしかねーわな。みんなで生きて帰んぞ! ヒック!」

南方司令「我々は絶対に負けない。何故ならば……正義だからだ!」


183 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:11:55.10 ID:spBp7Gwoo
〜最南、山脈〜

南方弓長「……ふーっ」

テクテクテク

錦将軍「よぅ、デカパイのねーちゃん」

南方弓長「……どうも」

錦将軍「いいね〜その表情、やっぱり無愛想でソソるわ」

南方弓長「用がないなら邪魔しないで貰えます?」

錦将軍「悪い悪い、褒めたつもりなんだが……機嫌損ねちまったか! ハハハ!」

南方弓長「……」

スクッ…ザッ

錦将軍「おい待て待て!」

南方弓長「何なんですか?」

錦将軍「んーあーえーとだな……お前、男いんのか?」

南方弓長「……いないですけど、何か問題あります?」

錦将軍「いや、ないない。むしろ全く問題ない」


184 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:12:50.42 ID:spBp7Gwoo
南方弓長「だから、何なんですか」

錦将軍「……えーと、あれだよあれ」

南方弓長「失礼します」

錦将軍「待った! あーえーと……いいわ、やっぱ終わってからにするわ!」

南方弓長「……はぁ」

錦将軍「あ、その代わりよ、ちょっとお願い!」

南方弓長「……?」

錦将軍「膝枕してくれ! 膝枕!」

南方弓長「おやすみなさい」

スタスタスタスタ…

錦将軍「……」

弓将軍「ひょっひょ、フラれちまったのぉ」

錦将軍「!? ジジイ……てめぇいつから!!」

弓将軍「気にするな、若いんじゃから機会はまだあるわい。ほっほっほ!」

錦将軍「まだフラれてねぇだろ!!」


185 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:13:53.02 ID:spBp7Gwoo


召喚士「……休めと言われても、緊張しちゃって寝られないよなぁ」

テクテクテク…ザッザッ

召喚士「……あれ? マジシャンさん?」

マジシャン「おーう。どした、寝ないのか? ならちょっと付き合え」

召喚士「酒ですか……。構いませんけど、少しですよ?」

マジシャン「分かってるよ。二日酔いで戦闘不能なんて後世に残る恥だ。ハッハ!」

テクテクテク…ストッ

マジシャン「ほれ」

召喚士「ありがとうございます」

マジシャン「……いやーようやくお前と話せる機会が出来たわ」

召喚士「……?」

マジシャン「まだきちんと礼を言えてなかったからな。ありがとうよ」

召喚士「何言ってるんですか! 礼だなんて……っ」

マジシャン「いや、お前のコカトリスがなければ確実に死んでた。本当に感謝してるよ」


186 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:15:23.21 ID:spBp7Gwoo
召喚士「そんな……」

マジシャン「お陰でほんの僅か、こうして余命に繋がった」

召喚士「……っ」

マジシャン「俺にはまだやらなきゃならん事がある」

召喚士「……サタン……ですか」

マジシャン「それもそうだが、かつての仲間を救ってやらねばならん」

召喚士「……あの、ツヴァイハンダーの人ですか?」

マジシャン「そうだ。魔剣士……お前も知っているだろうが、再来の1人さ」

召喚士「……どうして、魔剣士さんは魔物化してしまったんです?」

マジシャン「自分が許せなかったんだろうなぁ」

召喚士「……?」

マジシャン「最も大切な者を守れなかった。その事が自分を追い詰めたんだろうな」

召喚士「大切な……者」

マジシャン「プリースト。魔剣士の恋人で同じく再来の1人さ」

召喚士「……師匠にも少し、教えて貰った事があります」


187 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:16:31.95 ID:spBp7Gwoo
マジシャン「元々あの2人は俺と師匠みてーにツーマンセルで仕事しててな」

召喚士「……」

マジシャン「お互い2人同士だから、結構色々な任務で鉢合わせて顔見知りだったわけだ」

召喚士「そうだったんですね……」

マジシャン「フォーマンセル限定ん時はお互い組んだりもしてて、割と気心知れた仲だったよ」

召喚士「……なるほど」

マジシャン「いつぞや、もういっその事4人でやるか、みたいな話になってな」

召喚士「それでパーティーを……」

マジシャン「ああ、そうだ」

召喚士「それからは……再来ですもんね」

マジシャン「元からバランスの取れた面子だし、自分で言うのも何だが個々の力も強かった」

召喚士「そうですよね、分かりますよ」

マジシャン「トップランカー達の仲間入りもあっと言う間さ。まぁ頂点にはアレがいたけどな」

召喚士「……ああ、天才さんですか」

マジシャン「ちなみに魔剣士は天才の最後の弟子だ」


188 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:17:26.13 ID:spBp7Gwoo
召喚士「え……っ!?」

マジシャン「天才の弟子は4人の司令に魔剣士。全部で5人いた」

召喚士「そうか……それで、ツヴァイハンダーを!」

マジシャン「オリジナルを一行ずつに解体して、弟子に預けたんだったか」

召喚士「今は全て1つに戻ったようですけれど……」

マジシャン「だな。まぁオリジナルでないと魔王は倒せないさ」

召喚士「……」

マジシャン「先に言っておくが、天才はおそらくサタンまではいけないだろうな」

召喚士「……え……っ?」

マジシャン「どういう順序で行くか知らんが、ラストはサタン、その手前はベルゼブブだろう」

召喚士「……っ」

マジシャン「サタンもだが、ベルゼブブがとんでもなく厄介だ。天才はおそらく、そこで死ぬ」

召喚士「――っ!!」

マジシャン「天才だけじゃない。ベルゼブブ戦でかなりの死んでいくだろうな」

召喚士「…………」


189 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:18:33.65 ID:spBp7Gwoo
マジシャン「もしお前がそれをどうにかしようと思っているなら、お門違いだ」

召喚士「……っ」

マジシャン「お前にはサタンを倒すっつぅ、でっかい仕事があるんだ」

召喚士「俺が……サタンを……?」

マジシャン「そろそろ気付いてもいいだろ。お前は特別な存在、言わば救世主なんだ」

召喚士「……俺が……救世主……?」

マジシャン「世界中にたった1人、全ての召喚属性を扱える存在。それがお前だ」

召喚士「……」

マジシャン「他の奴に代わりは利いても、お前の代わりは居ない」

召喚士「……そんな」

マジシャン「自覚して、認識して、自分の存在をどういったものか捉えるんだ」

召喚士「マジシャンさん……俺……」

マジシャン「いや、お前も薄々は気付いてたはずだ。だが、あえて受け入れずに拒否してた」

召喚士「俺……俺……っ」

マジシャン「辛いだろうな。苦しいだろうな。でもな、お前がやらないといけないんだ」


190 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:19:33.20 ID:spBp7Gwoo
召喚士「俺……っ」

マジシャン「お前にしか出来ないんだ。それを自覚して、そんな自分を好きになってやれ」

召喚士「……俺……出来ますかね」

マジシャン「月並みな台詞だが、お前なら出来る」

召喚士「……」

マジシャン「お前の師匠は誰だ?」

召喚士「……っ!」

マジシャン「お前の親父は? 2人共……弱い男だったか?」

召喚士「……いえ。強くて偉大な男でした」

マジシャン「そうだろ? お前が不甲斐ない事してたら、化けて出てくんぞ? ハッハ!」

召喚士「……そうですよね、ここまで来て泣き言なんか言ってられませんよね」

マジシャン「そうそう。それによ、振り返ればいつも、お前を支えてくれる奴らがいるだろ?」

召喚士「……っ!!」

クルッ

マジシャン「……な。だから何も心配せず、がむしゃらにやればいいんだよ」


191 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:20:10.45 ID:spBp7Gwoo
召喚士「……はい」

マジシャン「よく似てるよ」

召喚士「えっ!?」

マジシャン「俺ら再来とお前ら……救世主ってとこか?」

召喚士「……っ」

マジシャン「だから心配でもあるけどな。お前は失ったりするなよ」

召喚士「……はい。死んでも守ります」

マジシャン「それは違う。死んだら駄目だ。4人全員で生きろ、それが俺からの命令だ」

召喚士「……はい」

マジシャン「……よし。さーて、そんじゃ少し休むわ。晩酌付き合ってくれてありがとうな」

召喚士「こちらこそ、ありがとうございました」

マジシャン「早く行ってやれ。待ってるぞ」

召喚士「……はい」

テクテクテクテク

召喚士「……震え……止まってる。は……ははっ」


192 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:21:14.46 ID:spBp7Gwoo
テクテクテクテク

戦士「なに話してたんだ?」

召喚士「うーんと、いや……秘密」

魔道士「え〜っ、ずるいですよー!」

召喚士「あははっ」

盗賊「……休んだのか?」

召喚士「はい、もう大丈夫です。魔力もだいぶ戻りました」

戦士「決行予定は次の夜だし、ギリギリ間に合いそうだな」

召喚士「うん」

魔道士「うー緊張してきたぁ……っ」

召喚士「魔道士さんならきっとうまくやれますよ、大丈夫です」

魔道士「そう……ですかね……?」

召喚士「はい。俺が支えますから。何があっても……必ず」

魔道士「――っ!?」

召喚士「あ、ちょっと作戦の配置を確認してきます」


193 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:22:13.62 ID:spBp7Gwoo
ザッ…タッタッタ…

魔道士「…………」

盗賊「……だ、大胆な事を……申したな」

戦士「あ、ああ……。ビックリしたぜ……っ」

魔道士「……っ」

盗賊「……良かったな……魔道士」

魔道士「そそっ、そんなんじゃないですよきっと……っ!」

戦士「どうかねぇ〜? 本人に確認してみっか?」

魔道士「大丈夫ですからっ!」

盗賊「……ふふっ」

戦士「ま、そんだけアイツも気合い入ってるって事だろ。負けてらんねーな」

盗賊「……そうだな」

魔道士「みんなで絶対に、成功させましょうね!」

戦士「おうよ!」

盗賊「……無論だ」


194 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:23:00.61 ID:spBp7Gwoo
〜東の町、南東部〜

ザッザッザッ…

ラクシャーサ「そっちは異常ないかぁ?」

ザッザッザッ…

ラクシャーサ「ああ。そっちの崖はどうだ?」

ズザザッ…ゴトッ

ラクシャーサ「しっかしヒデェ有様だな。がけ崩れみてーになってんぞ?」

パラパラッ…コトン…

ラクシャーサ「何でもよ、インドラが人間の味方してるらしいじゃないか」

コロコロコロッ…カツン

ラクシャーサ「ふぅん……人間の味方ねぇ」

ザッ

ラクシャーサ「……ん? 何か匂わないか? なんかこう……人間みてぇな――」

ボゴォ!!…ゴシャアアァァァァ!1

ラクシャーサ「どうしたぁ!?」


195 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:24:06.45 ID:spBp7Gwoo
ヒュオッ…ザシュッ!!

ラクシャーサ「……ア……ッ」

ドサッ…ゴロゴロゴロ…

崖の中より突如飛び出し、偵察のラクシャーサ達を一瞬で始末した後、

その転がった首を見つめ、肩ををぐるぐると回すツヴァイハンダーを手にした人間。

天才「……ふーっ。仮眠終了〜」

ザッ

天才「……ま、悪かねぇな。そこそこイケんだろ」

周囲の様子を伺いながら、天才は崖を登り、夜空を見つめていた。

天才(深夜3時……おいおい、7時間近く寝てたのかよ……)

気だるそうに背伸びをし、ツヴァイハンダーを背中に担ぐと、その目つきは鋭くなった。

天才(魔王軍が偵察を出してるって事は夜襲はない。やはり狙いは満月か)

ザッザッザ

天才(と、なると……明日の日中は互いに総力戦は免れねぇ)

ザッザッザ


196 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:25:22.53 ID:spBp7Gwoo
天才(そっちは大軍師に任せておきゃ問題ねぇ。問題は……討伐隊)

ザッザッザ

天才(ラーヴァナ単体ならともかく、軍団長共がどう動くかが鍵だな)

ザッッザッザ

天才(アスラとシヴァ、それにアジ・ダハーカか。もう何枚か手札があればいいんだが……)

ザッ

天才(四の五の言っても仕方ねぇか。あとは奴らの習性に賭けるしかねぇ)

ヒュバッ…ザザザザッ

天才(……そういやそうだよな)

木々を縫うように疾走しながら、天才はふと、自問自答していた。

天才(軍団長クラスがあれだけって事があるか? ラーヴァナの側に居るんじゃねぇか?)

改めて浮かび上がる疑問。こちら同様、魔王軍とて全軍が出撃しているとは限らない。

天才(やっぱりここは、ラーヴァナの城へ乗り込むのが賢明だな)

目の前に布陣する30数万の魔王軍を迂回し、天才は単身、ラーヴァナの本拠へと向かった。

いよいよ夜は明け、5日目となる交戦が始まった。


197 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/09/21(水) 16:28:58.70 ID:spBp7Gwoo
台風で早退になりました。失礼致します!
これからの皆様もお気を付けて下さいませ!では!ノシ


201 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/09/21(水) 18:16:37.65 ID:P8RSzgODO
1乙
色々なキャラが着々と死亡フラグを立ててるのがすごい辛いな…


206 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/09/22(木) 00:04:17.53 ID:l+nbB8olo
1おつ
天才最後の弟子って…
格闘家くんの立場は…


209 名前:NIPPERがお送りします(千葉県) [sage] 投稿日:2011/09/22(木) 05:45:27.23 ID:wnmxKDcJ0
>>206
弟子は基本みんなツヴァイハンダー使いだからなー

ツヴァイハンダーを使う“天才”の弟子ではない、ってことで
格闘家“マスクドジーニアス”としての弟子なんだよ



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