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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その39
958 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 17:52:50.23 ID:5xqeYui3o
〜本国、豪邸〜

戦士「……俺、この家知ってるぞ」

盗賊「私も」

大軍師「大通りから抜けて正面ですし、ホテルなんかも近いですからね」

戦士「ここって赤い彗星ってやつの家だったのか……」

大軍師「さて、参りましょうか」

 テクテクテク

衛士「何か用か?」

大軍師「赤い彗星殿にお目通り願いたい」

衛士「ふむ。しばし待たれい」ザッ

戦士「経験でモノを言うが、金持ってて私兵まで連れてるような奴はだいたい性格が悪い」

盗賊「すごい偏見だな」

戦士「だから経験でモノを言うって前置きしたろ」

衛士「許可が出た。入りたまえ」

大軍師「お邪魔致します」


959 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 17:53:29.36 ID:5xqeYui3o
 スタスタスタ

戦士「でけぇ庭……」

盗賊「うん」

戦士「でもまー、ひと昔前なら言葉を失うほどビックリしてたんだろうが」

盗賊「……?」

戦士「お前んちとか見てるからもうへぇーっ、程度にしか思わん」

衛士「総帥はこちらの離れでお待ちだ」

戦士「……総帥?」

大軍師「彼はワーカー組合を取り仕切っておられるのですよ」

盗賊「組合?」

戦士「一部のワーカーが互いに協定結んで助け合ってんのさ」

盗賊「ほぅ」

戦士「成果稼ぐにゃその方が手っ取り早いからな」

盗賊「……?」

戦士「俺らみたいなワーカーは自分の手で魔物をブッ倒してナンボだろ?」


960 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 17:54:19.22 ID:5xqeYui3o
盗賊「ああ」

大軍師「しかし成果重視のワーカーは、大人数で数をこなした方が得なんですよ」

戦士「例えば遺跡の発掘とか。1人でチマチマやってたら何十年もかかっちまう」

盗賊「それを……皆で手分けしてやるわけか」

戦士「そゆこと」

大軍師「赤い彗星殿は組合の中でも最も大きいグループの長ですからね」

戦士「そうだったのか……」

大軍師「皆様もご利用なされているでしょう? 郵便システムのあれですよ」

戦士「何っ!?」

大軍師「他にも道の開拓や補修、地図の作成など多岐に渡ります」

戦士「……そりゃ金持ちなわけだ」

盗賊「私達の生活を、支えてくれているんだな」

大軍師「そういった見えない部分で戦っているのが、成果ワーカーですよ」

戦士「フィールドは違えど、互いに頑張って来たわけだ」

盗賊「うん」


961 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 17:54:58.14 ID:5xqeYui3o
 テクテクテク……ジャリッ

衛士「お連れ致しました」

大軍師「失礼致します」

 離れ、と言っても十分な大きさの一室。その中央に円卓があり、男が座っている。

 高齢ながら凛々しく、しかしながら穏やかなその表情は安心感を与えていた。

赤い彗星「よく来てくれたな。まぁ座りたまえ」

大軍師「お目にかかる事ができ光栄です、赤い彗星殿」

赤い彗星「赤い彗星か。懐かしい通り名だな」

大軍師「こちらは戦士殿と盗賊殿。朱雀パーティーをご存じですかな?」

赤い彗星「勿論だ。彼らがそうだと?」

盗賊「……一応」

赤い彗星「驚いたな、まだ若いではないか」

大軍師「ご自身とて、30の頃には名高きワーカーであられたのでは?」

赤い彗星「時代が違うよ」

大軍師「ご謙遜なさいますな。さて、本題に入らせて頂きましょう」ヒラヒラ


962 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 17:55:30.67 ID:5xqeYui3o


赤い彗星「確かに。ア・ドライグ・ゴッホは私の召喚獣だ」

大軍師「今も所有されている、というわけではありませんね?」

赤い彗星「ああ。既に息子、孫へと代々、受け継がれているよ」

戦士「やっぱりそうか……っ」

大軍師「それではそのお孫さんについてなのですが……」

赤い彗星「また、何かやらかしたのかね?」

戦士「また?」

赤い彗星「少々、ヤンチャでね。私も息子もてを焼いているよ」

大軍師「今はどちらに?」

赤い彗星「さぁ。見当もつかないな」

戦士「ここには帰ってきてないんすか?」

赤い彗星「……帰って来たのか?」

衛士「え、ええ。何やら荷物だけ取りに来られたようで、すぐに出て行きましたが……」

赤い彗星「だ、そうだ」


963 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 17:56:05.66 ID:5xqeYui3o
 スタスタスタ

秘書「総帥、そろそろお時間です」

赤い彗星「そうか。すまない、仕事が入っていてね。この辺で失礼したいのだが」

大軍師「季重なお時間をありがとうございました」

赤い彗星「いや、気にする程の事でもない」

戦士「あの、最後に1つだけ」

赤い彗星「……?」

戦士「お孫さんは、女……ですか?」

赤い彗星「……男だ」

戦士「……ありがとうございます」

赤い彗星「……困ったものだよ。我が一族としても、な」スッ

戦士「……」

赤い彗星「しかし、赤い彗星も地に落ちたものだな」

盗賊「……?」

赤い彗星「今、若い連中が頑張っているというのに、何も出来んとはな」


964 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 17:57:54.40 ID:5xqeYui3o
秘書「では」スッ

 赤い彗星は秘書に車椅子を押されるまま、離れを後にした。

戦士「男……」

盗賊「男だとどうかしたのか?」

戦士「い、いや……っ」

大軍師「外見が完全に女性であったという事でしたので」

衛士「……やはりか」

大軍師「何か、ご存じのようですね」

衛士「総帥も頭を悩ませておる。お孫さんにはな」

盗賊「……」

衛士「どうやら女装癖があるらしく、自分を偽って……」

戦士「……や、やっぱりそう……なのか」

盗賊「そんなに肩を落とす事もないだろう?」

戦士「……うるせぇ」

大軍師「何やら思い出したくない記憶でも――」

戦士「うるせぇ!!」クワッ


965 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 17:58:51.41 ID:5xqeYui3o


大軍師「それではもしまた、訪ねてくるような事があればお知らせ下さい」

衛士「うむ」

大軍師「それでは」ザッ

戦士「はぁ」

盗賊「まぁ、そう落ち込むな」

戦士「いや落ち込むだろ」

盗賊「何故だ?」

戦士「……いや、いい」

大軍師「とにかくこれで、召喚獣の正体は判明しましたね」

戦士「まぁな」

大軍師「赤い彗星が駆った、かの名高きア・ドライグ・ゴッホとなれば……」

戦士「サタン戦に引っ張り出すってか?」

大軍師「本人の力量次第ですがね」

戦士「いかに召喚獣が凄いといえど、使い手が大した事ないんじゃ力も半減だもんな」


966 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 17:59:37.97 ID:5xqeYui3o
大軍師「そのあたりはどう思います? 一度ご覧になられたのですよね?」

戦士「一瞬だったけどな。でもまぁ……強かったよ」

大軍師「成程。では本人の意思を確認致しましょうか」

盗賊「場所が分かるのか?」

大軍師「確か南方にお住まいと言っていたのですよね?」

戦士「ああ。間違いねぇ」

大軍師「であれば、南方、北の街で間違いないでしょう」

戦士「東の町は?」

大軍師「東の町や他の村は元からの南方出身者がほとんどですから」

盗賊「移住者は場所が限られるわけか」

大軍師「港街など北側も商業区域がメインですし、考えられるのは北の街だけですね」

盗賊「……なるほどな」

大軍師「それに……」

戦士「……?」

大軍師「偶然とはどうしても、思えないんですよねぇ……ふふふっ」ヒラヒラ


967 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 18:00:27.21 ID:5xqeYui3o


 バシュウウウウゥゥゥゥ

コカトリス「見えたぞ。海峡だ」

召喚士「ほんとだっ!」

 シュウウゥゥゥゥ……バサァ

魔道士「コカトリスさんっ、今日もありがとうございました!」

コカトリス「もう慣れた。気にするな」

召喚士「……さて」

魔道士「花、バッグから出さなきゃ」ゴソッ

 もう何度目だろうか。見慣れた墓に献花し、目を瞑り祈る2人。

東方司令「誰の墓だ?」ザッザッ

召喚士「東方司令さん!」

東方司令「こんな所で何してんだ?」

魔道士「ちょっと各地を回っている最中で……っていうか、東方司令さんは何で……?」

東方司令「東方司令部はもう、必要ないからな。全軍こっちに移してきた」


968 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 18:00:55.69 ID:5xqeYui3o
召喚士「そういう事でしたか」

東方司令「何やら北で魔王軍の残党もコソコソしてるみたいだしな」

魔道士「魔王軍がまだ……っ」

東方司令「なんなら手伝っていくか?」

召喚士「必要ならば」

東方司令「……要らん。どうせ雑魚だろうし、勝手にお前ら使ったらボクが怒られそうだ」

召喚士「はは……っ」

東方司令「それで、その墓はなんだと聞いているんだ」

魔道士「あ、えっと……」



東方司令「ふぅん。律儀な奴だなお前らも」

召喚士「そうですかね……」

東方司令「だって親しくもなかったわけだろ? たった1回、共闘したからって」

召喚士「でも、初めての事でしたし……俺らにとってはどうしても忘れられないんです」

東方司令「ふーん。まぁそれならここは保護しておいてやろう」


969 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 18:01:25.98 ID:5xqeYui3o
魔道士「……?」

東方司令「東方司令部を解体したら、海峡を増築しなきゃならないからな」

魔道士「そうなんですか?」

東方司令「砦だけじゃ狭すぎて、寝泊りも窮屈だろ」

召喚士「まぁ、確かに」

魔道士「じゃあ東方司令さんも今後は海峡に?」

東方司令「……いや。ここは将軍にでも任せるつもり」

魔道士「えっ!?」

東方司令「ボクはもう、国軍を辞めるよ。どうせお師匠も居ない事だし」

召喚士「そうですか……っ」

東方司令「サタンを倒したら戦いも終わりだろ? あとは好きに生きるさ」

魔道士「……それもありかもですねっ」

東方司令「んじゃ、頑張ってこいよ。ボクの為にもな」ザッザッ

魔道士「はいっ! 行ってきます!」

召喚士「必ず、勝ってきますから!」


970 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 18:01:57.19 ID:5xqeYui3o
〜本国、軍港〜

大軍師「宜しいのですか? 私1人でも構わないですが」

戦士「ここまできて引き下がれるかってんだよ」

盗賊「……まぁ、私は戦士に付いて行くだけだし」

大軍師「そうですか。ならば共に参りましょうか」

戦士「満月まであと5日しかねーけど、どうせやる事もねーし、スッキリさせてやらぁ!」

盗賊「おー」

戦士「んで、まず向かうは?」

大軍師「南方司令部です」

戦士「司令部? なんか許可でも必要なのか?」

大軍師「いえいえ。キーマンがいるでhないですか」

盗賊「キーマン……誰だろ……」

戦士「……あ」

大軍師「どうも私には、関連性がないとは思えないのですよ」

戦士「あぁーっ!!」


971 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 18:02:39.61 ID:5xqeYui3o
〜南方司令部〜

南方参謀「……うーん」

南方副司令「どした?」

南方参謀「私が留守の間に、お店がヒドい事になっちゃってね」

南方副司令「そうか、分かった。頼むから仕事しろ」

南方参謀「してるわよっ。失礼ねぇ」

南方副司令「んで、何がどうしたってんだ?」

南方参謀「不在の際に任せておいたコがトンズラして、大赤字&お客からクレーム三昧よ……」

南方副司令「そりゃお前が悪い。ナンバー2には信頼出来る確実な人間をつけるべし」

南方参謀「他に居なかったのよ」

南方副司令「そう。強いて言うなら俺みたいな?」

南方参謀「……話、聞いてる?」

南方副司令「それで、何だって?」

南方参謀「もういいわよ」

南方副司令「そうか。じゃあ仕事しろ」


972 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 18:04:01.16 ID:5xqeYui3o
〜次の日、国軍本部〜

青龍士官「あと4日だぞ!? 大軍師も居ないというのに大丈夫なのか?」

青年兵「焦っても仕方ないさ。招集はかけたんだし」

青龍士官「さすが大元帥殿ですな。こんな状況下におかれましても落ち着いて……」

 カタカタカタカタ……

青龍士官「……そうでもないか」

青年兵「貧乏ゆすりじゃないぞ? 下半身の運動だ」

青龍士官「ほぉー」

白虎長「お邪魔するわよ」ガチャッ

青年兵「どうしました?」

白虎長「この子が大元帥に話がしたいって」

青年兵「……アマゾネスさん?」

アマゾネス「……」

青年兵「分かりました。お伺い致しましょう」

アマゾネス「すまん」


973 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 18:05:34.34 ID:5xqeYui3o


青年兵「……なるほど。あなたもサタン戦に参戦したいと」

アマゾネス「どこまで力になれるか分からないけれど、じっとしているのは嫌なんだ」

青年兵「……他の皆さんも、ですか?」

アマゾネス「行くのは私だけでいい」

青年兵「……なるほど」

アマゾネス「無理強いはしない。あくまで、判断は委ねる。戦力として適切であれば――」

青年兵「構いませんよ」

アマゾネス「!?」

青年兵「ですが1つだけ約束して下さい」

アマゾネス「……何だ」

青年兵「何があっても、後悔はしませんね? 我々とて自分の身を守る事で精一杯ですから」

アマゾネス「分かってる。覚悟の上だ」

青年兵「決意は固いようですね。分かりました、宜しくお願い致します」

アマゾネス「こちらこそ」


974 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/06/29(金) 18:10:25.60 ID:5xqeYui3o
ちょっとまたあとで来ます!ひとまずこれにて!
もう残りわずかですね。2か月以内に消費出来そうで良かった良かった!

今日もたくさんのご支援ありがとー!それでは!ノシ


975 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/06/29(金) 18:32:24.50 ID:Ecxltkrio
おつおつ!
盗賊ちゃんはプロポーズされたのに割りとナチュラルだな・・・!
オマケで悶々とした夜の盗賊ちゃんとか書いてもいいのよ(チラッ


984 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/06/30(土) 00:08:20.69 ID:cFZVZ21vo
先に立ててきました!

祝!40スレ目突入!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1340982413/


1000 名前:NIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage] 投稿日:2012/06/30(土) 22:17:07.82 ID:0SavrNRYo
>>1000なら
塩銀シャリ



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