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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その30
176 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:01:16.67 ID:+/1+ofXxo
夕方になると本国の各所では、大勢の人々で賑わいをみせた。

街中はまるで祭りの如く出店やパフォーマーに溢れ、

軍服に身を包んだままの兵らが酒や食事を囲み、大いに盛り上がっている。

国軍本部内もまた、賑わいは同様のものであった。

〜国軍本部、会議室〜

召喚士「失礼しまーす」

青年兵「召喚士さん、お待ちしておりました」

召喚士「遅くなりました」

戦士「盗賊達は来てねーのか?」

大軍師「まだのようですね」

カツカツカツ

天才「おーう、揃ってっかぁ?」

青年兵「お疲れ様です。まだ全員は揃っていないようです」

天才「あーこんだけ居れば問題ねぇ。始めるぞ」

大軍師「それでは、ご着席下さい」


177 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:01:56.29 ID:+/1+ofXxo


天才「えーと……まずはお疲れさんでしたっと」

ジュニア「……」

天才「アンラ・マンユ戦は予想以上の戦果だった」

召喚士「そうなんですか?」

大軍師「シミュレーションではもっと甚大な被害が出ると予想されておりました」

召喚士「……」

天才「しかもだ、眷属もほとんど殲滅出来た。こりゃ期待値以上と言わざるをえんだろ」

戦士「でもよ、サルワだけじゃなくて、アジ・ダハーカとかいうのが残ってんだろ?」

天才「ありゃ魔王の残りカスみてーなモンだ」

ジュニア「はぁ?」

天才「魔力の塊って事だよ。そんなら倒すのは簡単だ」

大軍師「単純な魔力による力押しですね」

天才「五行とかそんなんは必要ねぇ。ひたすら攻撃する、それだけだ……なぁ?」

青年兵「えっ? は、はい」


178 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:02:45.62 ID:+/1+ofXxo
大軍師「それでは本題を」

天才「あーそうそう。そろそろ内通者を始末しようかと思ってな」

青年兵「――!?」

天才「こっからは順序ってモンが大切なんでな。隙を見ながら裏で遂行していく」

大軍師「今回はその為にお集まり頂きました」

天才「本来なら特遊を動かしたいとこだが、1人は役立たず」

格闘家「……」

天才「あとは戦後処理でそれどころじゃねぇ」

大軍師「よって、国軍内部とワーカーの内外部2点からあたりたいと思います」

召喚士「なるほど……」

青年兵「司令」

天才「あん?」

青年兵「その任務、私に仕切らせては頂けませんでしょうか?」

天才「ほぉー。出世欲が出てきたか?」

青年兵「いえっ、そういうわけでは……」


179 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:03:24.60 ID:+/1+ofXxo
天才「冗談だよ。構わん、元からそのつもりだ。存分にやれ」

青年兵「……ありがとうございます」

天才「ただし、1つだけ忠告」

青年兵「……?」

天才「私怨は挟むな。以上だ」

青年兵「……はい」

大軍師「次に魔王討伐の、今後の展望ですが……」

天才「詳細は明日の本会議でいいだろ」

大軍師「はい。それまでに大まかな形だけは作っておこうかと」

ジュニア「確かに気にはなるな」

天才「だから、本会議で決めるっつーの」

大軍師「では、そう致しますか」

天才「内通者の件は他言無用だぞ、分かってんな?」

召喚士「はい」

天才「そんじゃ解散! さーて、祝賀会に向かおうぜ!」


180 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:04:05.32 ID:+/1+ofXxo
〜本国、郊外〜

魔道士「買い物してたらすっかり遅くなっちゃったね」

朱雀嬢「全くですわ、もう……っ」

魔道士「ごめんなさい」

朱雀嬢「い、いえっ! べ、別に構いませんけれど……」

盗賊「……あれ?」

玄武娘「サモナー様!!」

サモナー「やぁ、これから祝賀会なんじゃないの?」

玄武娘「そうですのー! 見て見てっ、このドレス!」

サモナー「可愛いね、よく似合うと思うよ」

玄武娘「ほ、本当ですの!?」

魔道士「サモナーさんは行かないんですか?」

マーメイド「私が居るからって、気を遣って行かないのよ。行けばいいのに……」

サモナー「いやいや、元から出るつもりはないし、ここにいた方が気が楽でいいよ」

朱雀嬢「……っ」


181 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:05:23.07 ID:+/1+ofXxo
盗賊「……なら、いいけど」

魔道士「じ、じゃあ……」

サモナー「うん。遠慮しないで行っておいで」

玄武娘「……サモナー様」

サモナー「ん?」

玄武娘「まだ……いるですの?」

サモナー「ああ。しばらくはみんなと一緒に戦うよ」

玄武娘「……分かったですの」

朱雀嬢「それじゃ、失礼するですわ」

テクテクテク

盗賊「……いいのかな?」

魔道士「……?」

盗賊「サモナーさん。魔力を使えばそれだけ……」

玄武娘「サモナー様の意思ですの。止める事は……出来ないですの……」

朱雀嬢「……そう、ね」


182 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:06:03.26 ID:+/1+ofXxo
〜本国ホテル、大ホール〜

玄武娘「おぉーっ!!」

朱雀嬢「凄いですわね……」

玄武娘「おぉーっ!!」

盗賊「……美味しそう」

玄武娘「おぉーっ!!」

魔道士「綺麗〜っ」

テクテクテク

エリート「ようこそお越し下さいました」

魔道士「エリート様、お招き頂き、光栄でございます」

スッ

玄武娘「あれは何をやってるですの?」

朱雀嬢「ドレスの裾を持ってご挨拶ですわ! 前に教えたでしょっ」

玄武娘「お、おぉ……っ」

盗賊「……こう?」

クイックイッ


183 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:07:18.25 ID:+/1+ofXxo


戦士「何で俺らはこんな格好しなきゃいけねーんだよ」

天才「祝賀会なんだからしょーがねぇだろ。ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇ」

戦士「だってよ、そっちは軍服のままなのに……」

天才「あのな、俺様達はこれが正装なの」

大軍師「そういう事です」

戦士「……せめて蝶ネクタイくらい外させてくんない?」

召喚士「あっ、魔道士さん達ですよ!」

テクテクテク

魔道士「こんばんはーっ!」

召喚士「こんばんは」

青年兵「よく似合ってらっしゃいますよ。お綺麗です」

朱雀嬢「!? そそ、そんな事……ありませんわっ!」

青年兵「あっ、何か飲み物をお持ち致しましょう」

朱雀嬢「は、はいですわ! あっ、いや……自分で取りに行きますですわっ!」


184 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:08:13.48 ID:+/1+ofXxo
ジュニア「おやおやぁ〜?」

盗賊「……?」

ジュニア「全く、いつの間に……」

戦士「何がだよ」

ジュニア「ハッハ! 全く、羨ましいモンだよ」

戦士「だから何が……」

ジュニア「じゃあ玄武娘ちゃん、一緒に――」

支配人「これより当ホテルのシェフによる、フィレステーキの実演ー―」

玄武娘「行くですのー!!」

タタッ

盗賊「わ、私も……」

コソコソ

戦士「ったく、仕方ねーなぁ」

テクテクテク

ジュニア「…………」


185 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:08:48.44 ID:+/1+ofXxo
召喚士「みんないっちゃいましたね」

魔道士「ですね……」

ジュニア「仕方ない。こうなったら開拓だ!」

魔道士「ジュニアさん……どうしたんです?」

召喚士「さ、さぁ……」

テクテクテク

ジュニア「うおっ!?」

白虎長「ふふーん」

ジュニア「これはステキなおっ……ご婦人。ご一緒にどうです?」

白虎長「ほぁ? おーっ、飲め飲めー!」

ジュニア「!?」

白虎長「なぁに〜? 飲めないってのぉ〜?」

カツカツカツ

白虎長「あっ! 陛下〜!」

ジュニア「…………」


186 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:10:12.49 ID:+/1+ofXxo


ドクター「皆様、此度はご苦労様でした」

大軍師「これはこれは院長先生。怪我人の受け入れ許可、誠にありがとうございます」

ドクター「いえ、当たり前の事です」

天才「すまんな、世話をかけて」

ドクター「出来れば私も反対したいのが本音です」

大軍師「お気持ちは重々承知。しかし、無意味な戦いではありませんので」

ドクター「ええ……」

天才「格闘家、どうだ?」

ドクター「彼は凄いです。驚異的な回復力ですよ」

天才「……ん、そんならいい」

ドクター「困った事があれば、遠慮なく仰って下さい」

大軍師「助かります」

ドクター「では、失礼致します。改めて、討伐おめでとうございます」

テクテクテク


187 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:11:42.53 ID:+/1+ofXxo
大軍師「お医者様の本音と言ったところですか」

天才「どーだかねぇ。医者なんて怪我人病人がいなきゃ商売にならんだろ」

大軍師「それはそうですが……」

天才「アイツだって院長の座を受け継いだばっかだ。稼ぎたいところだろうさ」

大軍師「まぁ、養う医者の数も相当ですしね」

天才「それでもああ思ってんだから、頼もしい話じゃねーか。ハーッハッハ!」

大軍師「……おや?」

テクテクテク

編集長「アンラ・マンユ討伐おめでとう。まずは無事で何より」

大軍師「社長も精が出ますね」

編集長「お陰でネタに困らず助かるよ! はっはっは!」

天才「まーな。こっから先は毎日ネタのオンパレードよ」

編集長「平和な世になれば、新聞社は商売上がったりだからな」

天才「今のうちにしっかりと、稼いでおく事だな! ハーッハッハッハ!」

編集長「その為にも、ドンドン魔王を倒してくれ! はっはっは!」


188 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:12:39.00 ID:+/1+ofXxo
テクテクテク

大軍師「平和な世……ですか」

天才「確かに新聞も面白味はなくなんだろうな」

大軍師「そうですね」

天才「せいぜいお偉いサンのスキャンダルくらいか? ハーッハッハ!」

大軍師「ふっふ、毎日そんな記事ではげんなりしてしまいますよ」

天才「ところで、明日の本会議」

大軍師「既に手配は完了しております」

天才「ならいい」

大軍師「明日の昼頃には、幕僚は全て集まる事でしょう」

天才「これが最後の顔合わせかな」

大軍師「おそらく」

天才「今生の挨拶も済ませておくかねぇ……ハーッハッハ」

大軍師「……」

天才の笑い声に乗せて、中央のホールでは優雅な演奏が始まった。


189 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:13:44.78 ID:+/1+ofXxo
〜♪

青年兵「朱雀嬢さん」

朱雀嬢「は、はいっ!?」

青年兵「宜しければ一曲、お願い出来ますか?」

朱雀嬢「よ、喜んで……ですわっ」

スッ…

魔道士「召喚士さん、私達も行きましょうか」

召喚士「へっ!?」

魔道士「ダンスですよっ、えへへ!」

召喚士「……は、はい」

魔道士「盗賊さんっ、戦士さんもほら!」

戦士「俺らはいいっつーの」

魔道士「駄目ですよっ、ほらほら!」

盗賊「ち、ちょっと……っ」

音楽に合わせ、一同がペアになり華麗なステップを踏み始める。


190 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:14:33.86 ID:+/1+ofXxo
〜♪

スッ

エリート「宜しくお願い致します」

魔道士「こちらこそっ♪」

エリート「……魔道士様」

魔道士「様はやめて下さいよぉ……」

エリート「す、すみません……」

魔道士「何です?」

エリート「貴女とは、婚約者の間柄でした」

魔道士「……そう……ですね」

エリート「私の想いは代わる事はありませんでした」

魔道士「……あの……私は」

エリート「分かっております。ずっとお礼を言いたかった」

魔道士「……!?」

エリート「貴女を好きになって本当に良かった。ありがとう」


191 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:15:22.93 ID:+/1+ofXxo
スッ

魔道士「……あ」

皇太子「良いかな?」

魔道士「は、はい……っ」

皇太子「こうして踊るのは初めてだな」

魔道士「ええ」

皇太子「魔道士、君が妹だと聞いた時……私は残念でならなかった」

魔道士「……っ」

皇太子「嫌だという意味ではないぞ。それは勘違いしないで欲しい」

魔道士「は、はい」

皇太子「君を始めて見かけたのは……そう、王宮内であったかな」

魔道士「……はい」

皇太子「まだ幼さの残る表情であったが、妙に魅力的でもあった」

魔道士「……!?」

皇太子「やはり、君の母上に良く似ている。美しくなったな」


192 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:16:10.08 ID:+/1+ofXxo
スッ

魔道士「っ!!」

天才「よっ」

魔道士「こ、こんばんは……っ!」

天才「だりーけどちょっと我慢しろ」

魔道士「天才さん、上手ですね」

天才「ハーッハッハ! 何やっても天才すぎて怖いくらいだな」

魔道士「えへへ!」

天才「……」

魔道士「……あ、あの?」

天才「何でもねぇよ。あーあれだ」

魔道士「へっ?」

天才「この先の戦いも、頑張れよ」

魔道士「はいっ、頑張りますよっ!」

天才「……へっ」


193 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:17:01.65 ID:+/1+ofXxo
スッ

召喚士「お、おかえりなさい」

魔道士「た、ただいま……えへへっ」

召喚士「なんだか、慣れないもので緊張してしまいますね」

魔道士「本当ですよ〜。ドッキドキです」

召喚士「俺も……あっ、ごめんなさい! 掌……汗が」

魔道士「大丈夫です。このまま……」

召喚士「あ……っ」

魔道士「……」

召喚士「…………」

魔道士「召喚士さん」

召喚士「は、はいっ!」

魔道士「明日からも、頑張りましょうね! えへへ!」

召喚士「はいっ、頑張りましょう!!」

〜♪


194 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:18:29.53 ID:+/1+ofXxo


右秘書官「それでは、本日はご足労頂き、ありがとうございました」

右文官「裏手に馬車をご用意致しております。さぁ、どうぞ」

戦士「なんか俺らはこのままホテルに泊まっていいんだってさ」

召喚士「なんだか申し訳ないね。こんな高級な……」

天才「気にすんな。労いだよ」

盗賊「……ありがとう」

大軍師「久々に、ゆっくり休んで下さい」

天才「明日は余裕もって午後からの会議になる。昼に本部へ来てくれりゃいい」

魔道士「分かりました」

天才「んじゃな」

大軍師「それでは、また明日」

召喚士「お、お疲れ様でした!」

戦士「さーて、俺らも部屋に向かうとすっかね」

魔道士「そうしましょう!」


195 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:19:46.12 ID:+/1+ofXxo
テクテクテク

戦士「あん?」

白虎長「うぃ〜。もう……飲めない〜」

ジュニア「くそぉ……何でなんだ……俺は、俺は!」

魔道士「……」

戦士「おーい酔っ払いども、お開きだってよー」

ジュニア「うっせー! ほっといてくれ!」

盗賊「……行こうか」

召喚士「じ、じゃあ……お先に失礼します」

テクテクテク

支配人「あのーお客様……」

白虎長「なぁに〜? あぁもう暑いわねぇ〜!」

ジュニア「何で俺は……女運がないんだよおおぉぉ!」

支配人「……おい、つまみ出せ」

ボーイ「はい」


196 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:20:21.71 ID:+/1+ofXxo
〜マジシャンの別荘〜

占い師「大丈夫?」

マジシャン「ハッハ、ありがとさん」

占い師「……」

マジシャン「お前ももう、寝て構わんぞ」

占い師「まだ大丈夫よ、マジシャンが寝るまでは――」

マジシャン「おっと」

ガシッ

占い師「……」

マジシャン「す、すま……ん……」

占い師「……」

マジシャン「……」

占い師「……あっ、ご……ごめんなさい」

マジシャン「いや、こっちこそすまん」

占い師の右肩から手を離すと、マジシャンはリビングを後にした。


197 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:22:31.84 ID:+/1+ofXxo
テクテクテク…カチャッ

マジシャン「……」

シュボッ

マジシャン「ふーっ」

バルコニーで吸うタバコの煙が暗闇へと消えていく。

マジシャン(傷は回復しつつある。しかし、今の魔力じゃ俺は……)

正面に見える草木の隙間からは、虫の鳴き声が響き渡る。

マジシャン(やっぱり……返して貰うしかねぇ……か)

1度だけ口をつけたタバコはジリジリと音を立てて、灰を落とす。

マジシャン「……アイツを一緒に、最後の忘れ物を」

テクテク

占い師「……っ」

マジシャン「……おう、どうし――」

振り返るマジシャンの唇に、占い師の唇が触れた。

マジシャン「――っ!!」


198 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:26:46.13 ID:+/1+ofXxo
パアアァァァァ!!

マジシャン「……っ」

バッ!!

マジシャン「バカヤロ……っ」

占い師「……ごめんなさい」

マジシャン「直に触れたりしたらお前の精神が……」

ギュッ

占い師「でも私……もう、もう……想いを止められないのよぉ……っ!」

マジシャン「占い師……」

占い師「……お願い、マジシャン」

マジシャン「これ以上触れたら、全部見えちまうんだぞ?」

占い師「……」

マジシャン「俺の……過去も未来も……全て」

占い師「……っ」

マジシャン「……それでも……いいのか? 後悔しないのか?」


199 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:27:53.45 ID:+/1+ofXxo


マジシャン「……」

占い師「……」

マジシャンの咥えた煙草の煙が、照明の周辺をもやもやと漂う。

寄り添う2人は無言のまま、しばし天井を見つめていた。

マジシャン「……何が見えた?」

占い師「……」

マジシャン「俺の事はいいさ。それよりもこの先……」

占い師「……先生」

マジシャン「……?」

占い師「青龍……先生が……」

マジシャン「……そうか」

占い師「おそらく止められない……っ。先生はきっと……」

マジシャン「……」

占い師の言葉に、マジシャンはそれ以上返さなかった。


200 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:29:48.55 ID:+/1+ofXxo
〜本国ホテル、部屋〜

玄武娘「お腹いっぱいですのー!」

朱雀嬢「……」

魔道士「さぁさぁ、それではお風呂に入りましょうか〜」

盗賊「……あれ? 白虎嬢は?」

玄武娘「白虎嬢ちゃんは国軍本部にいるですのー」

朱雀嬢「お偉いさんの娘ですわ。私達とは管理が違うみたい」

盗賊「……大変だな」

魔道士「せっかく一緒だと想ったのに……残念」

朱雀嬢「それじゃ、お先にどうぞ」

魔道士「何言ってるの! みんな一緒ですよっ!」

朱雀嬢「!?」

玄武娘「おーっ、みんなで入るですのー!」

朱雀嬢「やっぱりそうなるんですわね……」

盗賊「なるんです……」


201 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:30:27.29 ID:+/1+ofXxo
カポーン

魔道士「はぁ〜。最高……」

玄武娘「生き返るですの〜」

朱雀嬢「ゆっくり浸かるのなんて、何日振りかしらね」

盗賊「ああ」

魔道士「みんな、傷だらけだねぇ……えへへ」

朱雀嬢「本当ですわ。でも、仕方ないかしらね」

盗賊「……うん」

魔道士「それにしても……」

バイーン

玄武娘「ほへ?」

朱雀嬢「また大きくなってる……」

玄武娘「食べる子は育つですの!」

盗賊「ちょっと違くないか?」

夜は更けた。


202 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/06/24(金) 18:35:12.88 ID:+/1+ofXxo
それではここまでにて!
本日もご支援ありがとうございました!
週末は投下減るかもなので、まとめ読みでもして頂ければ…ひぃ

それでは失礼致します!ノシ

〜オマケ〜

エリート「演説お疲れ様でした」

皇太子「うむ」

エリート「緊張しましたか?」

皇太子「いや。何故だ?」

エリート「いえ、途中――」

皇太子「噛んでないぞ」

エリート「えっ!?」

皇太子「噛んでなどおらん。くぐり抜けた、と申したのだ」

エリート(まだ……何も言ってないのに……)


208 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/25(土) 02:59:31.93 ID:UBEvWWADO
>>1乙!
ジュニアが良いキャラしてるよなww
戦士達のつかの間の休息って感じだなー
休息が終わったらまた死闘が待っているんだよな

白虎嬢はずっと別行動してるのかな?
そういや白虎嬢の父親って東方副司令だったっけ……


210 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [] 投稿日:2011/06/25(土) 06:27:37.26 ID:ox8Nz3nr0
1乙
玄武娘は最初つるぺただったのに
どんどん成長してるな



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