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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その38
839 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/07(月) 18:01:29.99 ID:VdRIj4Vyo
〜ネクロマンサーのラボ〜

召喚士「……ん」

 バッシュウウゥゥ!!

ネクロマンサー「ククククッ!! 勝ったッ、私の勝ちだ!!」

 上空の球体へ、ネクロマンサーは自らの身を投げ込むように飛んでいた。

 理由は無論ただ1つ。己が起爆剤となる為である。

召喚士「な……んだ……?」モゾッ

盗賊「止……めろぉ!!」

剣士「くっ!」

ネクロマンサー「もう遅いッ!! 勝ったのだ――」

 バッ

ネクロマンサー「――?」

召喚士「……戦士?」

 何者かがネクロマンサーへ飛びついた。召喚士は戦士とつぶやいた。

ネクロマンサー「クッ!!」


840 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/07(月) 18:01:58.38 ID:VdRIj4Vyo
 ガシィッ!!

召喚士「戦士……戦士っ!!」

戦士「違うっ、俺じゃねぇ!!」

召喚士「!?」

ネクロマンサー「貴様ァ……邪魔を……ッ!」

 戦士の姿をしたその者は、手首から先がない両腕で、

 ネクロマンサーを懸命に球体へ近づけまいとしがみつき、抑えた。

戦士「お……前っ!!」

偽戦士「……ハ、ハハァ!!」グッ

ネクロマンサー「この……死にぞこないがァ!!」ガスッ!!

偽戦士「ナ……メんなよ!! ぜってぇ……離さねぇ!!」

魔道士「あれ……って、ドッペルゲンガー……さん?」

ネクロマンサー「ええいッ、離せぇ!!」

戦士「ドッペルゲンガー……お前っ」

偽戦士「俺だってなぁ、お前の血が流れてるんだ。このくらいいぃぃ!!」


841 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/07(月) 18:03:09.32 ID:VdRIj4Vyo
 ズギャア!! ズッダアアァァァァン!!

ネクロマンサー「グクッ!!」

偽戦士「ハハハッ! ざまぁみろ!」

北方司令「よくやった!」

 バッ!! ガシィ!!

ネクロマンサー「!?」

北方司令「……2人がかりならば、どうだ……っ」ググッ

偽戦士「へ、へへっ」

ネクロマンサー「大した力もない奴らが……何人居ようと変わらぬわッ!」

 ドスドスドスッ!! 

偽戦士「ぐぬ……ぉ!」

戦士「無茶すんな……っ、待ってろ!」ノソッ

偽戦士「来るんじゃねぇ!!」

戦士「!?」

偽戦士「……分かってんだろ……っ、お前が俺ならよぉ……ッ」


842 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/07(月) 18:04:54.41 ID:VdRIj4Vyo
戦士「分かってるに決まってんだろ! だから今、行くんだろうがっ!」

偽戦士「何にも分かってねぇ!!」

戦士「……っ」

偽戦士「俺の覚悟がどんなもんなのか……何にも分かってねぇ!」

戦士「ふ……ざけんなよ……っ」ギリッ

偽戦士「……」

戦士「そのまま死ぬつもりなんだろっ!? ふざけんなよ!!」

偽戦士「……」

戦士「みすみす死なせやしねぇよ。ふざけん――」

偽戦士「分かってんじゃんかよ」

戦士「!?」

偽戦士「だったらよ、大人しくそこで見守っててくれや」

戦士「何言ってんだよっ!!」

偽戦士「お前は俺だって、何度も言わせんなよ!!」

戦士「!?」


843 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/07(月) 18:05:55.03 ID:VdRIj4Vyo
偽戦士「もしよぉ、お前が俺の立場だったらどうしてる?」

戦士「……っ」

偽戦士「お前も絶対、同じはずだ」

戦士「……ああ」グッ

偽戦士「それによ、俺はもう……死んだんだ」

戦士「……何?」

偽戦士「ネクロマンサーにまんまと操られて、俺はあの時死んだんだ」

戦士「お前……っ」

偽戦士「それを戦士、お前が渾身の一撃で目を覚ましてくれた」

戦士「……っ」

偽戦士「だから俺はこうして今、自我を持って、自分の意思で行動してる」

ネクロマンサー「ふざけた事ぉ……ッ」ザシュッ!!

偽戦士「うぐっ!!」

召喚士「ネクロマンサー!!」

偽戦士「お前らも来るんじゃねぇ! 始末はもう着くんだ!」


844 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/07(月) 18:07:20.29 ID:VdRIj4Vyo
ネクロマンサー「何だとぉ……ッ」

北方司令「そいつの言う通りだ。もうお前に残された手はない」

ネクロマンサー「残された手? ククッ! 私の手など最初から1つかないッ!」

 ザシュザシュッ!!

ネクロマンサー「あの球体を、魔力をこの場で爆発させる事こそ私の唯一の手!」

偽戦士「だから……させねぇって言ってんだろうが!」

ネクロマンサー「貴様等が喚こうがッ、するのだ! する以外に道はナイイィィィィ!」

 ザッシュウウゥゥゥゥ!! ボトトッ

偽戦士「ぐがああぁぁーっ!」

ネクロマンサー「クハハハハッ! 手首だけでなく両腕を斬り落としてしまえば……ッ」

 バッ!!

ネクロマンサー「もうしがみ付く事も出来まいッ!!」

偽戦士「ナ……メんなああぁぁ!!」

 グアッ!! ガブゥ!!

ネクロマンサー「――!?」


845 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/07(月) 18:08:19.41 ID:VdRIj4Vyo
偽戦士「命ある限りいいぃぃっ! 噛り付いてでもてめぇを……止めるうぅ!!」

ネクロマンサー「しつこい……奴だ!!」グアッ

 ガッシィ!!

北方司令「よくやった。さぁ、これでもう逃げられまい」

偽戦士「んぎぎぎぎっ」

北方司令「俺に羽交い絞められた挙句、足元も封じられた」

ネクロマンサー「……」

北方司令「これでもう飛ぶ事も攻撃する事も出来ん。完全に手は無くなったな」

ネクロマンサー「……本当に死ぬつもりか? ここで? アァッ!?」

北方司令「ああ。消えるつもりだ」ズリッズリッ

ネクロマンサー「……ッ」

北方司令「出来るわけがないと、まだ言うつもりか?」ズリッ

ネクロマンサー「今……私をやれば、貴様等や背後の――」

 バッ!!

ネクロマンサー「……貴様ァ!!」


846 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/07(月) 18:09:43.41 ID:VdRIj4Vyo
北方司令「気づいたかネクロマンサー」ズリッ

ネクロマンサー「先程から引き摺っていたのは……この為かアアァァ!!」

北方司令「直線上に入ったぞ」」

影忍「ご苦労。良くやってくれた」

盗賊「!?」

影忍「さぁ、これでひとたび五行を放てば、まとめて葬る事が出来る」

ネクロマンサー「この私が……これ程までコケにされるとは……ッ!!」

影忍「盗賊、魔道士! 今こそ放て。力を見せてくれ」

北方司令「迷いや情は要らん! ただただ、このチャンスを逃すな!」

偽戦士「ん……ぎぎっ!」

盗賊「……兄様……っ」

魔道士「……盗賊さんっ、いき……ましょう」ザッ

盗賊「……っ」ザッ

戦士「あ……いつら……っ」

召喚士「魔道士さん……盗賊さん……っ」


847 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/07(月) 18:10:12.61 ID:VdRIj4Vyo
〜魔王城前、平野〜

 ザザザザッ……タッタッタッ

青竜士官「急げっ!」

白虎嬢「はいぃ〜」

 ゾクウウゥゥ!!

白虎嬢「!?」ズザッ

魔法剣士「気にせず走れっ!!」

白虎嬢「……は、はいっ」タタッ

 ズゴゴゴゴ……

同門「何を……する気だ!?」

紅孩児「恐れる事ぁねぇ!! 先に潰すッ!!」ガバッ

同門「焦るな……ちぃっ!」バッ

紅孩児「食らええェェェェ!!」ゴアッ!!

 ドッグオオオオォォォォン!!

魔物「グギャアアアアァァァァーッ!」ドジュウウゥゥゥゥ


848 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/07(月) 18:11:06.20 ID:VdRIj4Vyo
同門「こいつは、奴が乗っていたドラゴンかっ」

紅孩児「邪魔しやがってェ、どけェーッ!!」

 バチイイィィィィ!!

紅孩児「!?」

アスモデウス「見せてやると言ったでしょう? 我が最終形態をッ!!」

 ゴゴゴゴゴゴ……

白馬騎士「な、何と……っ! 合体するというのか……っ!?」

アスモデウス「合体? んんーそんなものではない。取り込むのでぇす!!」

白馬騎士「くっ! 誰かっ、老将軍殿を頼む!」バッ

華国兵「白馬騎士様っ!?」

同門「紅孩児! 止めるぞ!」

紅孩児「分かってらぁーッ!!」バッ

アスモデウス「無ッッッッ駄アアァァァァ!!」

 ガッカアアアアァァァァ!!

色黒「あ……あぁ……っ」


850 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2012/05/07(月) 19:09:27.64 ID:loe9ic9oo
>>1乙

ネクロさん結局自分の駒のほとんどに歯向かわれてる…


852 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/05/07(月) 19:36:13.92 ID:uKdBziGDO
同門さんかが紅孩児の名前を呼んだだと!?

おつんぽ!


857 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/05/08(火) 15:46:08.04 ID:OjDyD+NIO
同門ついにデレたかwwww


858 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:16:16.93 ID:KLIzicD8o
 アスモデウスとドラゴンらしき魔物は溶けるように一体と化し、

 丸い防御壁のようなものに包まれた。それはまるで卵のようにも見えた。

同門「攻撃が効かん……っ!」

紅孩児「っざけんな! んなモン、ブチ破ってやんぜェ!」ゴアッ

バチイイィィィィ!!

紅孩児「くおッ!」

白馬騎士「どうなっているっ! 近づく事すら出来ぬとは……っ」

師匠「ヤロー、中で融合してやがるな」

アマゾネス「えっ?」

師匠「さっきのドラゴンの力を取り込んでやがるんだ。早く何とかしねぇと……」

おさげ「そんなこと言ったってぇ、攻撃効かないしぃ〜!」

 シュウウゥゥ シュウウゥゥ シュウウゥゥ

同門「何の音だ?」

魔法剣士「……まずいぞ」

師匠「くそがぁ!! 魔法を撃つ気だっ、防ぐぞ!」


859 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:16:45.83 ID:KLIzicD8o
アスモデウス「……」

 ゴゴゴゴゴゴ……

師匠「全員、縦に連なって固まれぇ!!」

 ズザザッ!! ジャリッ

同門「どうするつもりだ?」

師匠「どうもこうもねぇ。捨て身で魔法を防ぐ!」

紅孩児「はぁ!?」

師匠「でねーと背後の連中が狙い撃ちされる! それだけは絶対に避けにゃあならん!」

白馬騎士「……確かに。勝機は彼らの召喚以外にない」

師匠「もう時間稼ぎも限界だ。全ての力をここに集中させて、何がなんでも食い止めんぞ!」

魔法剣士「やむなし、か」チャキッ

色黒「ホントに……止められるのぉ!?」

アマゾネス「やるしかあるまいっ!」

紅孩児「来んぞオオォォ!!」

師匠「意地でも止めろおおぉぉぉ!!」


860 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:17:23.12 ID:KLIzicD8o
 カッ!! バッシュウウウウゥゥゥゥン!!

 アスモデウスより放たれた1つの光が、真っ直ぐに向かってくる。

師匠「うおおぉぉぉぉ!!」

同門「ぬあ――っ」

 バシュンッ!! ズッギャアアァァァァ!!

 第1陣、師匠と同門の召喚獣が、一瞬の内に消滅した。

アマゾネス「くうぅーっ!」

色黒「やっぱりいいぃぃ――」

おさげ「無茶よおおぉぉぉぉ!」

 第2陣、アマゾネスらの召喚獣が、一瞬の内に消滅した。

紅孩児「でっりゃああぁぁぁぁーッ!!」

白馬騎士「はああぁぁーっ!!」

 ズギャギャギャギャッ!! バシュウウゥゥゥゥ!!

 第3陣、紅孩児と白馬騎士の防衛も空しく、閃光は止まらない。


861 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:18:11.50 ID:KLIzicD8o
魔法剣士「魔法剣っ、4行おおぉぉぉぉ!!」

女剣士「父上、どうか私に力をお貸し下さい」ジャキッ

 バッシュウウゥゥゥゥ!! ズギャギャギャギャギャッ!!

 第4陣、魔法剣士と女剣士の防衛も空しく、閃光は止まらない。

ハヌマーン「我らが最後の砦ぞ!」

ラクシャーサ「身を挺してでも……止めてやるッ!」

オーク「オラ……負けないですッ!!」

 ズゴアアアアァァァァ!!

オーク「フン……ヌウウゥゥゥゥ!!」

ハヌマーン「もうッ、一押しだぞ!!」

 ドッガアアアアァァァ!!

白虎長「止めたっ!?」

青竜士官「いやっ、まだだ……!」

 第5陣、ハヌマーンらの奮闘により閃光は、か細くなったが止まらない。

朱雀嬢「仕方ありませんわね」ザッ


862 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:18:49.27 ID:KLIzicD8o
名代「なりませぬっ、召喚に集中を」

朱雀嬢「くっ」

玄武娘「来たですのぉー!」

 ババッ!!

青竜士官「!?」

白虎長「だ、誰――」

チャンプ「サマソオオオオォォォォォ!!」

 ギュバッ!! バッゴオオオオォォォォン!!

玄武娘「は、弾いた……ですの……っ」

名代「な、何と……っ」

 スタッ ジュウウゥゥゥゥ

チャンプ「……ヘッ。これがチャンプ様……最後の蹴り――」ドサッ

白虎長「ち、ちょっと!」

青竜士官「白虎先生、そいつは任せる! 俺らは召喚に入るぞ!」

白虎嬢「は、はいぃ〜」タッタッタッ


863 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:19:21.18 ID:KLIzicD8o
 シュウウウウゥゥゥゥ……

白馬騎士「ぐ、っく……。止まった……か」

師匠「や、やりゃあ出来んじゃねーか……がはは……っ」ゴトッ

同門「何とかなったな……ふーっ」ズサッ

白馬騎士「怪我人は? 負傷者は居るか……?」

色黒「長っ!?」

アマゾネス「大丈夫……っ、折れてはいない。少しかすっただけだ……っ」

同門「立てるか?」

紅孩児「何とかな……ッ」ヨロッ

師匠「満身創痍とはこの事だなっ、さて……後は奴らに任せ――」

アスモデウス「……」

 ピシッ……ピキピキッ

白馬騎士「防御壁が……割れる!?」

 バッコオオオオォォォォン!! シュウウウウゥゥゥゥ……

アスモデウス「……」


864 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:20:13.45 ID:KLIzicD8o
 現れた魔物は、今までのそれとは違い、非常に小さく、人間のようであった。

 頭をゆっくりと上げると、長く前に垂れた髪の奥から、鋭い眼光が見えた。

 ゾクウウゥゥゥゥ!!

ハヌマーン「……ッ」

 魔族同士だからこそ分かるものがある。威圧や殺気に等しいその感覚は、

 命を摘み取る側か、摘み取られる側か、それが一瞬で分かるようなものであった。

オーク「ハ……ハヌマーン……ッ」

ハヌマーン「……ああ。もう、逃げる術も……ない」

 絶望に打ちひしがれる一同の下へゆっくりとゆっくりと、魔物は歩み寄る。

 褐色の肌に白銀の長髪。そして背に生える黒い翼が魔物だと認識させていた。

アスモデウス「……」ザッザッザッ

同門「く……っそ――」

アスモデウス「立つな」

同門「……何?」

アスモデウス「立つ必要はない」


865 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:21:14.18 ID:KLIzicD8o
 キュイイイイィィィィ……ズゴゴゴゴゴ!!

紅孩児「――ッ!?」

 先程のものに勝るとも劣らない魔力が、アスモデウスの正面に増幅する。

白馬騎士「ま、まだ……あれだけのものを撃てると言うのか……っ」

女剣士「まだか……っ」

 ゴゴゴゴゴゴ……

玄武娘「朱雀嬢ちゃんっ! あれ……っ!」

朱雀嬢「!?」

白虎長「まさか……もう1発……!?」

青竜士官「くそっ!! もう一歩だと言うのに……ッ」

名代「とにかく急ぎましょう。限界まで何とか……」

白虎嬢「……っ」

白虎長「5人とも! あとはしっかり頼むわよっ!」

白虎嬢「従姉さん……?」

白虎長「私が最後の……砦になるわっ!!」


866 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:22:04.37 ID:KLIzicD8o
 シュイイィィィィン

ベヒーモス「グゴオオォォォォ……ッ」ザッ

青竜士官「無理だ! さっきの威力ならいざ知らず……」

名代「そうです。先程は前衛が威力を弱めてくれたからこそ、既の所で防げたというものっ」

白虎長「やってみなくちゃ分からないわよっ!」

白虎嬢「従姉さんっ!!」

白虎長「……他に居ないのよ。やるしか……ないでしょっ!」ダッ!!

玄武娘「あっ!」

白虎嬢「従姉さーんっ!!」

名代「……っ。仕方ありません、一刻も早く召喚を……っ!」

朱雀嬢「……ふーっ。私は出来ましたわ」

玄武娘「こっちもオッケーですの!!」

青竜士官「もう少し、もう少しだけ待ってくれ……!」

白虎嬢「戦いっぱなしで、魔力が溜められなかったですからねぇ……っ」

名代「……っ」


867 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:22:51.11 ID:KLIzicD8o
 ズゴゴゴゴゴゴ……

師匠「2発目を防ぐ手立てはねぇ。ここまで……か」

アスモデウス「時には諦めると言うのも良い事だ」

 ズゴゴゴゴゴゴ……ゴアァッ!!

アスモデウス「死ねッ!!」

 ガカアアァァァァッ!!

帝「はあぁーっ!!」ザッシュウウゥゥゥゥ!!

アスモデウス「――ッ!?」

王子「いっけぇ!!」

西国兵「おおおおぉぉぉぉ!!」

 アスモデウスが閃光を放った瞬間、帝が下から斬り上げるように刀を振るい、

 それにより若干ではあるが、閃光の角度が上へと軌道を変えた。

アスモデウス「ゴミ共がァ……ッ」

 更に王子を筆頭とした西国の兵らが、召喚獣を盾に決死の防御にあたる。

竜騎士兵「まだまだああぁぁーっ!!」


868 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/05/08(火) 18:23:24.65 ID:KLIzicD8o
足軽「戦場で死ねる事こそぉ!! 武士の本望なりぃ!!」

 遮二無二、誰でもない、全員が一丸となり、捨て身で防御に当たる。

 いや、防御などと言えたものではない。ただただ人間が壁となっているだけである。

 それでももう、残された手段といえば、こんなものしかなかった。

 深く掘り返せば、後顧の憂いに対する備えが不十分であったとも考えられるが、

 流石にここまでの展開を読んでいた人間など1人も居ない。予言ですら、だ。

 そんな絶望的な状況下であったが、一同の覚悟が功を奏した。

白虎長「逸れたけどまだ射程内っ、それでも……っ!」

ベヒーモス「ゴガアアアアァァァァ!!」ビリビリッ

白虎長「全力の一撃ぃ、味わいなさいっ!!」

 カッ!! ズッゴゴオオォォォォ!!

 アスモデウスの閃光とベヒーモスの閃光が空中で激しくぶつかり合う。

アスモデウス「……」

白虎長「くぬううぅぅ……っ! いっけええぇぇーっ!」

 2つの閃光は、互いが押し上げられるように、空高くへと昇って行った。



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