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少女「ねえ、夏休み。どこ行こっか?」
45 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 03:35:27.01 ID:sY4s8WFh0
少女「……」

少女「……おばあちゃん、今年も来ました。お邪魔します」

少女「私は元気に育ってます。おばあちゃんは元気ですか?」

少女「……それはよかったです」

少女「あの人が好きだと言っていた、おばあちゃんの作った煮物がもう食べられないのがとても残念ですが……」

少女「でも、私たちは元気にやっています」

少女「……」

少女「お線香の匂い、これも夏ですね」

少女「じゃあおばあちゃん、数日、お邪魔します」


47 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 03:37:49.33 ID:gILXAcs80
>>47
今日だけは泣いていいよ


48 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/07/17(日) 03:39:58.42 ID:S67UWN7P0
子供の頃のことなんて全然覚えてないや


49 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 03:40:38.98 ID:sY4s8WFh0
少女「……」

少女「あ、見えるよ。デパートが前あったとこ」

少女「建物はそのままみたい……だね」

少女「……デパート、楽しいよね」

少女「まずはおもちゃ屋さんのある階に一直線で、そのあとパパやママのお買い物に付き合って……」

少女「最後は地下の食品売り場で夕ごはんを買うな」

少女「……」

少女「今は、自由におもちゃも買えるしご飯だってここで選ぶ必要も無いもんね」

少女「自由だけど……こうやってデパートから離れちゃうんだよね」

少女「……」

少女「だからあの建物も、あんな風に忘れられてしまったのかなあ?」


50 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/07/17(日) 03:44:39.61 ID:srz09QJw0
昔、たま〜に連れて行ってもらったデパートは本当にキラキラして見えた
大人になって、あのキラキラを自分で見に行けるようになっても、あのお店はもうないんだ・・・・・・


51 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 03:49:52.19 ID:y88bu0R30
>>50
デパートの片隅にあったゲームコーナーがやたら輝いて見えたな

今はもっとデカいゲーセンはいくらでもあるのに当時ほどwktkすることはなくなったな


52 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 03:52:26.95 ID:sY4s8WFh0
少女「おばあちゃん、今日行った繁華街はとても楽しかったです」

少女「ああいう場所だけは、いつも変わらずにあるのだと感じました」

少女「もちろん、お店とか色々変わったりはしてるんだろうけど……たまにかしか行かない私にはよくわかりません」

少女「だから、私の思い出の中ではあの繁華街は変わっていません」

少女「きっと大人になれば見方も変わるんだろうけど……今の私にはよくわからないです」

少女「では、おやすみなさい」


53 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 03:54:45.21 ID:dFaV0lhC0
なんと言う精神攻撃


54 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 03:56:01.65 ID:sY4s8WFh0
少女「暑い〜暑い〜……コンクリートばっかで全然緑が無い〜」

少女「……ずいぶん慣れてるね。あ、そっか、しばらくこういう場所で暮らしてたんだもんね」

少女「いいなぁ、一人暮らし。やっぱり楽しかった?」

少女「友達たくさん呼んで、騒いで……でもそのうるささが何だか心地よくて」

少女「一人暮らしって、そんなイメージ」

少女「……」

少女「どうして、そんな寂しそうな顔をするの?」

少女「友達、いなかったの?」

少女「……」

少女「いても、寂しい時があるんだね」


55 名前: 忍法帖【Lv=1,xxxP】 [] 投稿日:2011/07/17(日) 03:56:21.12 ID:RnFyQA3w0
>>1は俺をどうしたいんだ
新手のプレイか


56 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 04:00:04.93 ID:sY4s8WFh0
少女「へえ……徹夜で遊んだりとかもやっぱあったんだ!」

少女「友達とずっと遊んでいられるのって、楽しかった?」

少女「朝になって、お腹がすいたからそろそろ帰ろうってなって……」

少女「じゃあ、また明日って言って朝焼けの中でバイバイするの」

少女「……え、お友達とのお別れってそうじゃないの?」

少女「私には、子供だからまだその別れ方しか知らないや」

少女「朝焼けが夕焼けになるだけで、友達とのお別れってそんな感じかなって」

少女「あはは、大人だもんね。挨拶だって変わってくるよね」


57 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 04:04:53.47 ID:sY4s8WFh0
少女「……友達かあ」

少女「でも、こっちに戻って来ちゃったらもうその人たちとは遊ばないの?」

少女「ん〜……私は今の友達と遊べなくなったら、寂しいかなあ」

少女「寂しくて、泣いちゃうよ」

少女「……」

少女「でも、時間が経ったらそうは言ってられないんだね」

少女「……うん。私は悔いのないよう遊んでおくね、友達と」

少女「それで、もし離れたりしても会いに行って、いつまでもずっと友達でいるんだ」

少女「えへへっ」

少女「……いられる、よね? そんな顔してたら、不安になっちゃうよ……」

少女「みんな、私の事覚えていてくれるかなぁ」


58 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 04:08:57.01 ID:sY4s8WFh0
少女「……昔、この広場でお祭りあったの?」

少女「う〜ん、何となくは覚えている……かも」

少女「え〜、指輪なんておねだりしてたっけ? 覚えてないや」

少女「……」

少女「その指輪、どんな形してた? 色は、ついていた宝石の種類は?」

少女「……忘れちゃったんだ」

少女「あ、ううん。どんなのかな〜って気になって」

少女「私がそれを買ってたら、今ここで指輪の思い出話も出来たかもしれないけど……買わなかったんだよね」

少女「指輪、その後どうなったのかな〜」


60 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 04:12:45.54 ID:sY4s8WFh0
少女「誰かに買われたのかな。それとも、売れ残ったりとか」

少女「……もしかしたら、まだ余り物として今年も売られるかも、なんてね」

少女「……」

少女「もし私がそるを手に入れていたら……」

少女「なんだか、そんな指輪があったなんて夢や幻みたいだね」

少女「そうやって思い出って、取り零して行くのかな」

少女「……」

少女「指輪一つで、こんな気持ちになるなんてね、不思議」

少女「……帰ろっか。何もない広場にいても、なんだか寂しいよ」


61 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/07/17(日) 04:13:58.47 ID:srz09QJw0
>>51
凄く良く分かるなぁ
ゲーム一回やるだけでも、随分悩んで金を入れたもんだ・・・


今の思考、今の目線を持ったまま、あの頃に戻りたいな
今見たら、あの頃の景色や風景はどう見えるんだろう


62 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 04:15:19.23 ID:gILXAcs80
>>61
魯迅の故郷みたいになる


63 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 04:16:31.86 ID:sY4s8WFh0
少女「おばあちゃん、私たちは明日帰ります」

少女「今までお邪魔しました。お盆にはおばあちゃんがぜひ家に来て下さい」

少女「あ、あと……明日はお昼くらいに出発するつもりです。よければ見送りに来て下さい」

少女「車の後ろの窓から、おばあちゃんたちが手を振ってるのを見るのが……私は大好きです」

少女「ちゃんとお別れ出来た気持ちになるから……」

少女「正直、ずっとその風景を見ていられると、昔の私は思っていました」

少女「……でも、時間はそれを許してくれなかったみたいです」


64 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 04:21:05.30 ID:sY4s8WFh0
少女「こういう時だけは、あの人の普段考えてる事がわかる気がします」

少女「たまに寂しい顔を見せるのが大人なら、私も大人に近付いた証拠なんでしょうか?」

少女「……」

少女「私には、もうちょっと時間が経たないとわかりそうにありませんね」

少女「では、おやすみなさい。また今度……」


65 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 04:24:14.15 ID:sY4s8WFh0
少女「お盆の次は、冬休みにまた……遊びに来ます」

少女「私は、ちょっとだけ大人なっているでしょう」

少女「……寂しい顔は出来ませんけど」

少女「正直、大人になるってわかりません」

少女「あの人もわかっていないから……あんな悲しい顔をするのかな、って」

少女「……」

少女「多分、誰にもわからないのでしょう」

少女「それが大人だと思います」

少女「……こういう風に、考えを誤魔化して話す」

少女「ちょっとだけ、わかったような気がします」

少女「……」

少女「ずっと真っ直ぐでいられなくなるのは……夏が来るからでしょうか」

少女「……」

少女「なんだか、よくわかんなくなっちゃった」


66 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/07/17(日) 04:26:14.79 ID:sY4s8WFh0
少女「大人は毎日こんな事考えてるのかな、偉いな〜」

少女「……」

少女「偉い、のかな?」

少女「……」

少女「……おやすみなさい、おばあちゃん」

少女「……」


翌日、私たちはおばあちゃんのいない風景を窓から見ながら、元の町へと帰って行きました。

途中で見える海が……なんだかとてもキラキラしてました。



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