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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その38
635 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/23(月) 18:03:33.04 ID:neZ4rx2/o
〜ネクロマンサーのラボ〜

魔道士「召喚士さん! 召喚士さんっ!!」

召喚士「…………」

東方司令「……止血を……急ぐんだ……っ」ズリッ

魔道士「は、はい……っ!」バッ

 召喚士への止血を促した東方司令であったが、彼女自身も軽傷とは言えない。

 そんな状況から魔道士は下唇を噛み締めながら忙しなく、召喚士へ包帯を巻き始めた。

魔道士「東方司令さんっ、すぐ終わりますから……待ってて下さいねっ!」ギュッ

東方司令「ボクはいい……いいから……」

魔道士「すぐ終わりますからっ! 絶対に待ってて下さいよっ!」

東方司令「いいから……」

魔道士「えぐっ、うぐ……っ」ギュッ

召喚士「…………」

 何故か涙が溢れてきた。まだ戦闘中であるというにも関わらずだ。

 まるでそれは魔道士が誰かの死を感じ取り、暗示しているかのようであった。


636 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/23(月) 18:04:02.26 ID:neZ4rx2/o
 ガッギイイィィィィ!! ズギャギャッ!!

戦士「……っ」ザッ

魔剣士「……」

戦士(こっちは大刀の雷切と言えど、向こうは更にでかいツヴァイハンダー)

魔剣士「……」ジャキッ

戦士(間合いを詰めれば有利なはずが、力、速さ、剣の技術、全てにおいて奴が上)

魔剣士「……」ザッザッ

戦士(だったら遠い間合いから居合いで仕掛けるか)スゥッ

魔剣士「……」キュイイィィィィ

戦士(……すると、魔法で迎撃。ま、そうだわなぁ)スッ

魔剣士「……」スッ

戦士(残された手は……1つか)

魔剣士「……」

戦士「これだけの強敵だ。左腕の1本くらいは覚悟しなきゃ勝てねぇよなぁ」ザッ

魔剣士「……?」


637 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/23(月) 18:04:29.58 ID:neZ4rx2/o
戦士「いくぜぇ……っ」ゴゴゴゴゴゴ……

 高まる戦士の威圧。しかし魔剣士は表情1つ変えず立っている。

 それはアンデッドゆえかはたまた、この程度の威圧は物ともしないと言う事か。

 それは別段、戦士にとっても関係ない事だった。最初から分かりきっている事。

 魔剣士よりも自分が明らかに弱い。魔物相手に逆の立場を散々味わってきた。

 劣る者がいくら威圧を振るおうとも、自分にとっては微塵の恐怖も感じない。

 だからこの威圧は魔剣士に対してのものではない。自分自身に対してともう1つは……。

ネクロマンサー「……ククッ、これでは容易に近づけませんねぇ」

盗賊「戦士には……近寄らせない……っ」ジャリッ

ネクロマンサー「近寄る気は毛頭、ありませんよ」

盗賊「!?」

ネクロマンサー「貴方達は何をしでかすか分かりませんからねぇ」

影忍「まるで今までの戦いを見てきたかのような言い草だな」

ネクロマンサー「ククッ。どうでしょうかね。まぁ、そんな事はどうでも良いです」

 フワァッ パチンッ


638 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/23(月) 18:05:04.73 ID:neZ4rx2/o
盗賊「!?」

ネクロマンサー「だいぶやられてしまいましたが、まだ半数ほど残っています」

影忍「貴様っ、人形を本体ごと……」

ネクロマンサー「残念ですがこのままでは、ラボはもうおしまいです」

影忍「おのれぇ……っ」

ネクロマンサー「であれば、せめて使えるものくらい……使わなくてはねッ!」

盗賊「ど、どうするつもり――」

影忍「盗賊っ! ネクロマンサーから離れろぉ!」

盗賊「!?」

ネクロマンサー「さぁ、人形達よ目覚めなさい。そして私を守るのです」

 バリン!! ガシャガシャン!!

ヒト「ウアウウゥゥゥゥ」

北方司令「……ウゥ」ズシャッ

兄様「……」

影忍「させるかぁ!!」バッ


639 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/23(月) 18:05:33.91 ID:neZ4rx2/o
 ガシィッ!!

兄様「!?」

影忍「俺自身の事くらい、俺自身がけじめをつけんでどうするか!!」

 標本のように飾られたガラスが割れ、液体の中から姿を現した兄様。

 まだうつろな目で地に足をつけたその本体を、影忍が背後より羽交い絞めにした。

兄様「……」グッグッ

影忍「貴様だけは、ここから1歩も進ませぬっ!」ググッ

盗賊「兄様っ!!」

影忍「迂闊だったな、ネクロマンサー」

ネクロマンサー「迂闊? 私が? ククッ、笑わせてくれますねぇ」

影忍「……」

ネクロマンサー「別に貴方などもう用済みです。勘違いなさらぬよう」

影忍「それは結構な事だな」

ネクロマンサー「貴方に施した研究は失敗でした。理に適ったものだと思ったのですが……」

盗賊「貴様はっ、兄様を玩具のように……」


640 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/23(月) 18:06:02.94 ID:neZ4rx2/o
ネクロマンサー「どうも自我が強すぎて、うまくコントロール出来ないですからねぇ」

盗賊「貴様ぁ!!」

ネクロマンサー「何故、怒りを見せている? 私は既に死んでいた者を蘇らせたのですよ?」

盗賊「だからと言って、兄様を弄んだ事に変わりはないっ!!」

ネクロマンサー「ククッ。まさお好きなようにどうぞ。幾ら喚こうが何も起きませんから」フワァ

盗賊「逃がすかっ!!」

ネクロマンサー「貴方達の残された力で何が出来ますか?」

盗賊「く……っ」

ネクロマンサー「魔剣士、もう良いでしょう。お遊びはここまでにしてそろそろ……」

魔道士「……グ……クッ!」ガクッ

ネクロマンサー「何ッ!?」

戦士「はぁ……はぁ……はぁ……」ガクン

ネクロマンサー「まさか、何が起きたというのです!?」

 雷切が魔剣士の喉元に突き刺さり、微弱の電撃を刀身に残している。

 膝をついた両者が真っ直ぐ睨み合うが、どちらも中腰から身体を起こす事はない。


641 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/23(月) 18:06:35.76 ID:neZ4rx2/o
戦士(せっかく捉えたってのに……これ以上は身体が動かねぇ……っ)

魔剣士「……ア……グ」グググッ

 ズボオオォォォォ!! カランッ カシャ

戦士「……っ」

魔剣士「……ゴブッ」ポタタッ

ネクロマンサー「まさか彼がここまで痛手を被るとは。余計な真似をしてくれますね」

戦士「情けねぇ……っ」ググッ

ネクロマンサー「ラボは失いましたが十分な成果でしょう」スタッ

魔剣士「……ッ」

ネクロマンサー「さぁ、そろそろ失礼致しましょうか」

戦士「待……て!」ザッ

ネクロマンサー「後始末はお願い致しますね」

北方司令「……」ザッザッ

ネクロマンサー「せっかくですから、召喚士以外の人間は殺して結構ですよ。ククッ」フワッ

盗賊「貴様っ!!」


642 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/23(月) 18:07:03.63 ID:neZ4rx2/o
ネクロマンサー「あまりもたついていると、本当に死んでしまいますよ? クククッ」

盗賊「逃がして……なるものかぁ!!」

影忍「盗賊っ、放っておけ! お前らの目的は奴ではないはずだっ!」

盗賊「……くっ!」

ネクロマンサー「その通り。早くしないと魔王様がお待ちかねですよ? ククッ!」フッ

魔剣士「……ッ」

戦士「く……っそ……」

魔剣士「……」フッ

盗賊「逃げ……られたのか……っ」

影忍「まだ終わったわけではないぞっ!」

戦士「そうだ。もう1人残ってる」

盗賊「っ!!」

北方司令「……」ザッザッ

盗賊「魔道士っ!!」

魔道士「えっ? あっ――」


643 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/04/23(月) 18:08:24.53 ID:neZ4rx2/o
今日はキリよくここまでにします!
ご支援&ご心配ありがとうございました!
少しずつ良くなってきましたので明日には完治だっ!それでは!ノシ


645 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/23(月) 18:18:36.22 ID:g+P9EA0Eo
まだ魔王にも対面してないのにみんな瀕死って……


646 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/23(月) 18:27:51.81 ID:ZW7qOYRDO
いちょつ


ネクロ持ち越しか…


649 名前:NIPPERがお送りします(愛媛県) [sage] 投稿日:2012/04/23(月) 19:24:47.80 ID:fEFIwzKeo
ひどい誤字を見た


650 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/23(月) 19:47:11.46 ID:3YdaDebDO
1乙
まさおwww
ここにきてまさかの新キャラ(笑)
そんな1好きです


652 名前:NIPPERがお送りします [sagesaga] 投稿日:2012/04/23(月) 21:48:19.85 ID:erxHBQTlo
>>1乙
青龍は解るが、白虎が足りないって
王子涙目


653 名前:NIPPERがお送りします(東海) [] 投稿日:2012/04/23(月) 23:09:38.75 ID:qBr0hfyAO
王子は受け継いだだけで魔翌力配分とかがきっと…
負傷してた気もするし
まぁなんにしろ戦力外ざまぁ


654 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/24(火) 00:01:41.25 ID:bPaoblRDO
おまいらいい加減王子許してやれよwwwwww


658 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/24(火) 06:37:34.40 ID:KxavwNYDO
きっと王子は国のトップ()だから召喚獣の五行みたいな危険なことはやらせないんだよ!だよ!


660 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 17:56:30.70 ID:gRJXo37bo
〜ラボの入り口〜

ネクロマンサー(バカなバカなバカなバカな……ッ!!)

剣士「もう、終わりのようだな」

ネクロマンサー「こッ、こんな奴らに……ッ。こんな……少女如きに……ッ」

幼女「もう大した魔力もないみたいだね。今、とどめを差してあげるから」

ネクロマンサー「この私が、まさか……敗北を喫するとでも言うのか……ッ」

幼女「敗北じゃないよ。ここで……死ぬの」

弓使い「あなたは私達から、大切なものを数多く奪っていった……」

剣士「僕らだけじゃない。数多くの人々から奪っていった」ザッ

ネクロマンサー「……奪ってなどいないッ! 私は新たな命を生み出したのだッ!」

幼女「違う」

ネクロマンサー「そうだッ! 私は神なのだッ! 人間を作り出す事の出来る神――」

幼女「違うっ! あなたは神なんかじゃないっ! ただの可哀相で、惨めな人よっ」

ネクロマンサー「何だとォ!?」

幼女「誰にも信用だれず理解されず孤独で……っ、神なんかじゃないっ!」


661 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 17:57:03.83 ID:gRJXo37bo
ネクロマンサー「年端もいかぬガキがにイイィィ! 何が分かるかアアァァ!」ゴアッ

幼女「確かにガキだよっ。でも、私はあなたとは違うっ! だから分かるっ!」

ネクロマンサー「小賢しいわッ、クソガキがアアァァーッ!!」バシュッ!!

幼女「私には沢山の友達が居て……」

弓使い「幼女っ!!」

剣士「……」スッ

弓使い「!?」

剣士「大丈夫。もう、終わりだ」

幼女「沢山の家族が居て……だから……」

ネクロマンサー「――ッ!?」

幼女「あなたに利用された人達のっ! 痛みが分かるもんっ!」

ネクロマンサー「……こんな……ガキがッ、まさかここまでの魔力を」

 幼女の生み出した光。ネクロマンサーはその光の正体を勿論、知っていた。

ネクロマンサー「そうかッ! 道理でこんなガキが簡単に五行を制すると思えば……」

幼女「みんなの想いがこもった一撃、受けて悔い改めなさいっ!」


662 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 17:58:14.90 ID:gRJXo37bo
ネクロマンサー「あの詩人めが……ッ! 奴の狙いは……やはり――――」

 ガッカアアアアァァァァッ!!

弓使い「きゃっ!」

剣士「伏せろぉ!」ババッ

 ドッドオオオオォォォォ……

 天高く輝きを放つ五行。その場にネクロマンサーの姿はなくなっていた。

幼女「……」

 五行の光を見上げるように、幼女は天井を見つめ、呟いた。

幼女「……ありがと……お父。女賢者さ――」

 ドサッ

剣士「幼女っ!!」ダッ

弓使い「幼女! しっかりっ!」

剣士「幼女ぉーっ!!」

幼女「……」

 気を失った少女の笑顔から、ひとしずくだけ涙がこぼれた。


663 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 17:59:10.59 ID:gRJXo37bo
〜ネクロマンサーのラボ〜

東方司令(……あれ? 何で兄くんがここに……?)

 スローモーションのようにゆっくりと剣を振りかぶる北方司令の姿が、

 魔道士と召喚士のやや後ろで座る東方司令の瞳に飛び込んだ。

東方司令「!?」

 朦朧とした意識の中、ようやく事を把握した東方司令は、

 瞬く間にその場を飛び起き、駆け出していた。

 視界が真っ暗になった。流血に伴う貧血で、立ち眩んだようだった。

東方司令「……」ドッ

 視界が戻り気づくと、誰かに抱きついていた。懐かしい匂いがした。そんな気がした。

 ようやく自分の足でバランスを保つと、抱きついた者の顔が見えた。

東方司令「……っ」

北方司令「喋るな」ボソッ

 東方司令の両腕は真っ赤に染まっていた。そして血が滴っていた。

東方司令「――っ!?」


664 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 18:01:05.25 ID:gRJXo37bo
 自分のものではない。北方司令の腹部より大量に流れ落ちている。

 何が起こったのか全く理解出来ずにいた。それもそのはず、

 東方司令が立ちくらみ、視界を失っている瞬間の出来事であったのだから。

魔道士「う……嘘……っ」

 あたかも魔道士から見れば、東方司令の背中越しに見る事となり、

 その血が誰のものか、いや、魔道士にとっては東方司令のものに見えただろう。

魔道士「東方司令さんっ!!」

 『ボクは無事だ』、そう声を発したかったが、目の前の男が言った。喋るな……と。

北方司令「……」

東方司令「……っ」

 つい先ほどまで戦っていた兄とは違う。生気と言うべきか目の色と言うべきか。

 同じ者とは思えぬほ程の違いが感じ取れた。だからこそ従った。

 北方司令は自分の腹へと当てた張剣をゆっくりと引き剥がし、

 そして背中越しに視線を一度確認すると、しばらく微動だにせず、

 ネクロマンサーの視線が消えるのを確信した後、ようやく長剣を床へと放った。


665 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 18:02:14.08 ID:gRJXo37bo
 カラアアァァン ガシャッ

東方司令「兄……くん……」

北方司令「東方司令、何だかまた……若返ってやしないか?」

東方司令「……っ」

北方司令「安心しろ。私は紛れもなく本物の、お前の兄だ」

東方司令「兄……く……んっ」

北方司令「事情は察している。ここにはもう何もない、早く先へ……」

魔道士「東方司令さんっ!」タッタッタッ

東方司令「大丈夫だ、彼は敵じゃない。本物の兄くんだ」

魔道士「えっ? あ……北方司令……さんっ!?」

北方司令「ああ。彼は無事だ?」

魔道士「え、は……はいっ。止血は終えました……っ」

東方司令「兄くん、血は……」

北方司令「既に死んだ身だからな。別に何ともないさ」

東方司令「……っ」


666 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 18:04:40.39 ID:gRJXo37bo
北方司令「それよりも東方司令、自分自身の心配が先だろう?」

東方司令「ボクは……」

魔道士「そうですよっ。とりあえず止血だけでもしなすね、東方司令さん!」

東方司令「あ……っ」グイッ

北方司令「しかしネクロマンサーも誤算だったな」

ヒト「ウアウウゥゥゥゥ……ッ」

北方司令「後始末を託した私が、まさか意識を取り戻すとはな」

ヒト「アウウゥゥゥゥ」

魔道士「でもっ、どうして急に……?」

北方司令「東方司令の顔を見たからさ」

魔道士「顔……?」

北方司令「何だお前、話してないのか? 東方司令と私は兄妹――」ピクッ

魔道士「えぇっ!? そ、そうなんですか!?」

東方司令「言わなかったか?」

魔道士「は、初めて知りましたよ……っ」


667 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 18:05:35.64 ID:gRJXo37bo
東方司令「まぁ言う必要もなかったしな……って、包帯キツすぎるっ!」

魔道士「あぁっ! ごめんなさい!」

北方司令「……」

東方司令「なぁ兄くん。……兄くん?」

北方司令「何か来る」

魔道士「えっ!?」

 タッタッタッタッ……

剣士「あっ!!」

弓使い「みんなっ、無事!?」

魔道士「剣士さんに弓使いさんっ!」

剣士「良かった。こっちは何かあった?」

東方司令「まぁ色々とな」

魔道士「幼女ちゃん!?」

弓使い「大丈夫。気を失って眠っているだけだから」

魔道士「良かったぁ……っ」


668 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 18:12:39.26 ID:gRJXo37bo
北方司令「……違う」

東方司令「兄くん……?」

北方司令「彼らじゃない、別の何かだ……!」

魔道士「っ!?」

 いつからだろうか。気が付けば一同の脇を、黒いもやがすぅーっと通り抜けていた。

 明らかに自然のものではない。それは何か黒い布を覆いかぶせたようなものであった。

弓使い「なっ、何? どういう事?」

東方司令「兄くん、何だというのだ!?」

北方司令「そんなまさかっ、謀られたとでも言うのか……っ」

ヒト「ウアウウウウゥゥゥゥ」

 黒いもやはまるで苦しそうに、地を這うように、ゆっくり前へ前へと進んで行く。

北方司令「くそっ!!」

 慌てて北方司令が手にした長剣で斬りかかるも、もやは2つに割れ、

 やがてゆっくりと声にならない声を絞り出すかのように呻いた。

ネクロマンサー「……ワレニ……チカラヲ……ッ」


669 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 18:19:47.71 ID:gRJXo37bo
剣士「な……っ!!」

弓使い「う……嘘……っ」

ネクロマンサー「ワレニ……チカラヲ……」

ヒト「アウウゥゥゥゥ……」ズズッ

東方司令「どっ、どういう事だ!? 黒い霧が飲み込んでいくぞ……っ?」

影忍「馬鹿な……まだ居たのかっ」

盗賊「兄様っ、あれは……」

影忍「ネクロマンサーだ!」

盗賊「!?」

戦士「あれがネクロマンサーだと? だが奴はさっき……」

影忍「ああ逃げた。だが最初からもう1体、ネクロマンサーはここに居たのだ!」

戦士「はぁ!?」

影忍「そんな事は後でいいっ! とにかくあれを止めるのだ!」

盗賊「止める……?」

影忍「奴は人形を取り込む事で、己の魔力を回復しているのだ!」


670 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 18:21:01.26 ID:gRJXo37bo
盗賊「!?」

戦士「なん……だと……!?」

影忍「見ろ。食っているのさ。人もどきを……魔力を生み出す装置自体をな」

盗賊「くっ!」

戦士「待てっ、俺も――」ヨロッ

盗賊「無理するなっ! そこで休んでいろ」タンッ

戦士「……っ。情けねぇ」

ネクロマンサー「モットダ……モット……ヨコセ」

ヒト「アウアウウゥゥゥ」グジュッ

魔道士「ひ……っ!!」

東方司令「どうすればいい……っ!?」

北方司令「もう無理だ。不死な挙句、あれだけ魔力を蓄積されてしまってはな……」

魔道士「……っ!?」

 黒いもやは何匹かのヒトを自らに取り込むと、やがて見覚えのある姿へと変わっていった。

ネクロマンサー「……ククッ」ズズズッ


671 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/04/24(火) 18:22:59.36 ID:gRJXo37bo
今日は忙しいのでここまで!どうもすみませんね!ぷん!
いつも暖かいご支援ありがとうございます!
それではここいらで失礼致しますよ!ノシ

まさおってww
と思ったら本当でした…これはひどい。ゴメンナサイ…


673 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/04/24(火) 18:50:03.65 ID:RXtDbA+wo
幼女△


674 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2012/04/24(火) 20:16:01.09 ID:xOaDop6AO
それに比べて主人公は……


682 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2012/04/25(水) 08:19:59.83 ID:I0TdE/muo
>>1乙

誤字に慣れすぎて誤字がどこだかも言われるまでわからなくなってきた。
人間の適応力ってすごいんだな。


683 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2012/04/25(水) 08:45:28.86 ID:jeXAPvdAO
物語を楽しみつつ誤字脱字探しも楽しめる。一粒で二度楽しい。



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