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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その28
641 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:02:32.81 ID:7AMTh4jXo
〜火山、東側〜

召喚士「……」

朱雀嬢「……ごめんなさい」

召喚士「いや、俺こそ本当にすみませんでした」

名代「まぁ、無事倒せたし良いではないですか」

神官「ええ」

召喚士「しかし、俺がもっとうまくやっていれば……」

朱雀嬢「いえっ、私が足手纏いにならなければ……」

召喚士「そんな事ないですよっ、俺に責任が……」

朱雀嬢「違いますわっ、全ては私が……」

マーマン「……めんどくせぇなぁ」

ハヌマーン「人間の感情や思考は不思議なものよ」

青年兵「と、とにかく……目的は果たしました。他の救援へ向かいましょう」

召喚士「そ、そうだよね……。まだ終わったわけじゃないんだ」

朱雀嬢「で、ですわね……。反省は後回しですわっ」


642 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:03:03.30 ID:7AMTh4jXo
神官「それで、どう致します?」

青年兵「そうですね、先程の光柱から考えると……」

召喚士「ザリチュも五行によって、倒されたみたいだね」

名代「つまり、救援すべき場所は……」

青年兵「西の海岸方面ですね」

召喚士「うん。おそらくザリチュ討伐のチームもそちらへ向かっているでしょう」

玄武娘「そうなんですの?」

朱雀嬢「こちらが光柱を確認出来たって事は、あちらも同調召喚が見えたはずですわ」

玄武娘「なるほどですのー!」

紅孩児「おいおい、魔王倒しに行くんじゃないのか?」

玄武娘「!?」

召喚士「俺達の目的は、眷属を倒す事。まずはそれだ」

紅孩児「んだよー。てっきりアンラ・マンユを倒しにきたのかと思ったのによー」

青年兵「悪いが、今回はそれが目的はないんでね」

紅孩児「ふぅん」


643 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:03:42.64 ID:7AMTh4jXo
神官「さて青年兵殿、それでどうするのだ?」

青年兵「南西砦まで後退し、そこから西へ進みたいところですが……」

召喚士「少し、時間がかかっちゃうね」

青年兵「ええ。かといってこのまま西を目指すのも同様……」

名代「しかし、他に方法がないのでは?」

青年兵「そこで、可能ならばなのですが……」

朱雀嬢「……?」

青年兵「空から一気に西を目指したいと……」

玄武娘「空……ですの?」

青年兵「はい。ただこれは魔力次第なのと……」

召喚士「俺は……大丈夫だよ」

朱雀嬢「私もですわ」

神官「我らは飛行タイプの召喚獣を持たぬからな」

玄武娘「ですの」

青年兵「負担や交戦を考えれば、1匹につき2人までですかね」


644 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:04:12.22 ID:7AMTh4jXo
朱雀嬢「私は玄武娘を乗せて行くわ」

玄武娘「よろしくですのっ!」

青年兵「なら僕は……神官さんを」

召喚士「俺が名代さんを乗せて行けば大丈夫だね」

名代「世話になりまする」

ハヌマーン「お主はどうする?」

紅孩児「魔王目的じゃねーなら、興味ないな」

マーマン「あのな、魔王を倒すにはまずは眷属どもを……」

紅孩児「そんな事は分かってるよ。無駄な力は使いたくないだけ」

マーマン「さっき散々やられてたくせに」

紅孩児「はぁ!? 相性の問題だろ!! お前こそボロクソだったじゃねーか」

マーマン「んだとぉ!?」

紅孩児「やんのか? テメーとは相性抜群だぞ?」

マーマン「こっちの台詞だ!」

ハヌマーン「何でもいいからさっさとしてくれ」


645 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:04:51.82 ID:7AMTh4jXo


青年兵「それじゃ行きましょうか」

ハヌマーン「我らはこのまま、火山へと向かってみる」

青年兵「助かります」

マーマン「……けっ。何でこんな奴と一緒に」

紅孩児「じゃあ来んなよ。お前らが勝手に決めたんだろうが」

玄武娘「魔物さんも、顔は怖いけど楽しい方々ですの」

朱雀嬢「そ、そうね……」

名代「召喚士殿?」

召喚士「すぐ、行きますから」

テクテクテクテク

召喚士「……同門さん」

同門「……」

召喚士「あの、ありがとうござ――」

同門「勘違いするな。貴様を助けたわけではない」


646 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:05:30.60 ID:7AMTh4jXo
召喚士「……」

同門「俺は……俺の為に、魔族を皆殺しにする。ただそれだけだ」

召喚士「同門さん……」

同門「だが、今の俺では……魔王を倒すには遠く及ばん」

召喚士「……」

同門「その為に、貴様等を利用するだけだ。忘れるな」

召喚士「……同門さん。それならば、一緒に戦って貰えませんか?」

同門「……俺は、群れるのが嫌いでな」

ザッ

同門「……またな」

召喚士「魔物にも、良い魔物はいますよっ!」

同門「……ちっ」

ザザッ…ヒュンッ

青年兵「それでは、行きましょうか」

召喚士「……うん」


647 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:06:36.90 ID:7AMTh4jXo
〜火山、中央〜

タッタッタッタッタ

天才「…………」

ジュニア「……どうなってんだ!? こんなに……距離あったか?」

魔道士「い、いえっ。多分……なかったと思います」

ジュニア「……迷ったかな……ふぅ」

大軍師「おや? あれは……」

タッタッタ…ザザッ

格闘家「……師匠!?」

盗賊「……魔道士っ!」

魔道士「盗賊さんに格闘家さん!?」

天才「……おいおい、なんでお前らがまだこんな所にいるんだよ?」

格闘家「それが、俺にもよく分からず……」

盗賊「……進んでも戻っても、一向に駄目なのだ」

ジュニア「ど、どういう事だぁ……!?」


648 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:07:15.23 ID:7AMTh4jXo
天才「こいつはやられたな」

魔道士「……?」

天才「分断したつもりが、分断されてたっつー事か」

ジュニア「どういう事だ?」

大軍師「幻術の類ですかね……」

ジュニア「何ぃ!? 一体誰が……っ」

天才「決まってんだろ。最後の眷属様だよ」

賢者「……タローマティ……ふぅ」

盗賊「……しかし、交戦はしておらんぞ?」

天才「幻術くらい交戦しなくてもかけられる。お前だってよく分かってんだろ」

盗賊「……あっ」

大軍師「しかしこれ程の人数に、不自然さを感じさせぬ幻術とは……」

天才「流石は眷属様ってか? ハッ!」

魔道士「ど、どうします……!?」

天才「いや〜どうしようもないわなぁ。ハーッハッハ!」


649 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:08:24.41 ID:7AMTh4jXo
バシュウウゥゥゥゥ

ジュニア「!?」

盗賊「……あれは」

魔道士「コカトリス!? 召喚士さんっ!!」

大軍師「それにワイバーンやグリフォンも……」

ジュニア「おぉーいっ!! ……って、行っちまったか」

天才「発光弾っ!!」

格闘家「はい」

ボシュシュシュシュッ!!

格闘家「……気付きませんね」

天才「上空からは変化なしみてぇだな。術者を見つけ出さねーと、どうにもなんねぇな」

ジュニア「手分けして突破を試みるかい?」

天才「いーや、それじゃ相手の思う壺だ」

賢者「……どうするかな……ふぅ」

天才「こうなったら……ここいら一帯、吹き飛ばしてみっかぁ? ハーッハッハ!」


650 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:09:16.50 ID:7AMTh4jXo
バシュウウゥゥゥゥ…バサッバサッ

召喚士「……ん?」

青年兵「どうしました!?」

召喚士「いや、下の森から何か気配を感じたような……」

青年兵「降りますか?」

召喚士「いや、青年兵くんの作戦通り行こう」

名代「罠という事も考えられるしな」

召喚士「ええ」

青年兵「では、このまま一気に西へ!」

朱雀嬢「はいですわっ!」

グンッ…ドシュウウゥゥゥゥ

召喚士「タルウィとザリチュは葬った。あとは無理せず退却すればいいだけなんだ」

神官「他の部隊も、気付いていれば良いが……」

青年兵「ええ……」

召喚士「みんな……無事でいてくれ……っ」


651 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:10:38.08 ID:7AMTh4jXo
〜南西砦〜

衛生兵「ご苦労様ですっ!」

隊長「怪我人だ、頼む」

衛生兵「はっ。どうぞこちらへ」

戦士「いいって、自分で歩けるよ」

隊長「首尾は?」

南西砦兵「波状攻撃でよく凌いでますよ。ただ……」

隊長「……?」

南西砦兵「南西砦長様がかなり深く入っていて、孤軍奮闘状態です」

隊長「大丈夫なのか?」

南西砦兵「援護はしていますが、自軍の指揮がやや下がっておりまして……」

男隊員「どこかやられたのか?」

南西砦兵「いえっ、敵の操るアンデッドに混乱をきたしておりまして……」

男隊員「……ちっ、アレか」

隊長「……どちらへ?」


652 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:11:42.55 ID:7AMTh4jXo
ザッザッザ…

戦士父「苦戦しているんだろう? 救援に行く」

隊長「……よし、特遊も救援に出るぞ」

女隊員「了解ッス!」

男隊員「……覚悟、決めるか」

ザッ

戦士「俺も行くぜ」

衛生兵「無茶言わないで下さい。とても戦える状態ではありませんよ……っ」

女隊員「そうッスよ。戦士くんはここで待機してるッス」

戦士「あのなぁ……」

グイッ

戦士「――ぐあっ!!」

衛生兵「軽く捻っただけでこの状態」

戦士「……っ」

衛生兵「左腕……これ以上駆使すると、使い物にならなくなりますよ」


653 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:12:45.36 ID:7AMTh4jXo


隊長「他の隊から連絡は?」

南西砦兵「特にありません。しかし、妙な光がありました」

隊長「光……?」

南西砦兵「はい。火山付近と中央の森で、柱のような光が……」

戦士「……五行だ」

戦士父「……」

戦士「五行の光だっ! アイツら……倒したんだよ!!」

隊長「……だと、いいがな」

男隊員「伝令飛ばして確認しとけ」

南西砦兵「了解です」

隊長「ついでに、沿岸部の偵察も頼む。無理しない程度にな」

南西砦兵「はっ、お任せ下さい!」

隊長「よし、出るぞ!」

女隊員「了解ッス!!」


654 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:14:11.37 ID:7AMTh4jXo
〜火山〜

タタタッ…ザザッ

ハヌマーン「……」

紅孩児「なぁ」

マーマン「んだよ」

紅孩児「このまま俺達で魔王ぶっ殺しちまうってのはどうだ?」

マーマン「バカか。出来るわけねーって分かってんだろ」

紅孩児「やってみなちゃ分かんねーだろ」

ハヌマーン「無理をするな。お主だって分かってるいるのだろう?」

紅孩児「……」

ハヌマーン「魔王の強さは桁外れだ。眷属など比にならんくらいにな」

マーマン「ああ。眷属ですらよく倒したもんだと、俺は感心してるくらいだよ」

紅孩児「確かになー。どうせならまとめてやっちまえばいいのに」

ハヌマーン「いとも容易く倒したように見えるが、それは違うぞ」

紅孩児「そうなのか?」


655 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:15:20.87 ID:7AMTh4jXo
ハヌマーン「彼らは策を練りに練って、そして時機を見据えて行動したのだ」

紅孩児「面倒な事」

ハヌマーン「だが、そうでもせねば魔王を倒すなど遠い夢のまた夢」

マーマン「お前だって魔王の強さが分からんわけじゃないだろ」

紅孩児「そりゃ分かってるさ。でも、こんな好機を逃すわけにゃいかんからねぇ」

ハヌマーン「お主の、本当の目的は何だ?」

紅孩児「本当? 言ったろ、俺は魔王の座を手に入れるのさ!」

ハヌマーン「ならば、パズズやサタンを狙えば良いではないか」

紅孩児「……」

ハヌマーン「お主も、自由の身を得た。そして、居場所が欲しいのではないか?」

紅孩児「……ハハッ、何だよそれ」

ハヌマーン「だからこそ、わざわざ東から横断して、加勢に来てくれたのであろう?」

紅孩児「都合のいい解釈だなぁ。そんなんじゃないっての」

マーマン「照れんなって」

紅孩児「照れてねーよ、馬鹿河童!!」


656 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:16:29.11 ID:7AMTh4jXo
マーマン「河童だぁ!? あんな変なのと一緒にすんじゃねぇ!!」

ピクッ

ハヌマーン「……?」

マーマン「な、何だ……!?」

紅孩児「……」

ゴゴゴゴゴゴ…

ハヌマーン「……ッ!!」

マーマン「デカイぞ……この気配は……っ」

紅孩児「……この中だ。誘ってやがる」

マーマン「どうする?」

ハヌマーン「どうしようもないな。到底勝てる相手ではない」

紅孩児「これ、魔王か?」

ハヌマーン「まさか。眷属の一人であろう」

紅孩児「これでも眷属クラスか。はぁ、自信なくすわ」

マーマン「眷属にしちゃ相当なモンだ。おそらく側近のタローマティだろうよ」


657 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/09(月) 18:17:25.04 ID:7AMTh4jXo
フッ

天才「!?」

大軍師「……何か、空気が変わりましたね」

天才「幻術を解いたみてーだな」

魔道士「何故でしょうか……っ?」

天才「分からん……が、これはチャンスだ。今のうちに森を抜けるぞ」

盗賊「……ああ」

魔道士「盗賊さん!?」

盗賊「……道は私が切り拓く。後を付いて来い!」

ジュニア「レディのお尻を追いかけるのは性に合わんが、たまにはいいかもね。ハッハ!」

格闘家「俺も前衛を務めます」

天才「おう、そんじゃ行くぞぉ! 遅れんなよっ!」

賢者「……走るのは苦手だけど……仕方ないね……ふぅ」

ダダッ…タッタッタッタッタ

魔道士(召喚士さん……みんなっ、無事でいて……っ!)



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