■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その10
694 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 18:39:40.76 ID:/oJT/Fwo
――起きて…起きてってばぁ!

戦士「……うぅ…ん」

幼馴染「今日出掛けるって言ってたのにぃ〜」

戦士「…もう少し…だけ」

幼馴染「もう…!戦士くんていっつもそう…」

戦士「分かったよ…起きるって…」

ゴソッ…

戦士「…ふぁ……眠…」

幼馴染「おはよっ」

戦士「あぁ、おはよー…」

幼馴染「朝ごはん出来てるから早く着替えてっ」

戦士「はいよー…」

ゴソゴソ…

幼馴染「冷めちゃうから早くねぇー!」

戦士「……うーい」


695 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 18:42:55.48 ID:/oJT/Fwo


戦士「いただきますー…」

幼馴染「召し上がれー」

戦士「あれ?親父は…?」

幼馴染「さぁ…?いなかったけど…」

戦士「ふーん…モグモグ」

幼馴染「今日はお弁当も作ってあるから!」

戦士「ほー、ハリキってんなぁ…モグモグ」

幼馴染「そりゃあ…戦士くんとお出かけだもん」

戦士「へいへい……」

幼馴染「もうー…!」



戦士「オッケー」

幼馴染「はーい。それではしゅっぱーつ!」

戦士「出発ー」


696 :パー速民がお送りします [sage] :2010/01/27(水) 18:48:28.87 ID:zeLqlgDO
(´;ω;`)


697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 18:49:07.79 ID:/oJT/Fwo


戦士「へぇ…。こんな綺麗な場所があったんだなぁ」

幼馴染「この前見つけたの!誰も知らないのよ〜」

戦士「水も…綺麗だ。どれ……」

幼馴染「ねぇ、戦士くん……」

戦士「んー?」

幼馴染「あの……盗賊ちゃんて…戦士くんの…」

戦士「あー…違う違う。ただのパーティー仲間」

幼馴染「でも…なんかいい雰囲気だよ?」

戦士「そうか?」

幼馴染「あの子……ちょっと私に似てるよね…」

戦士「ははっ!どこが…」

幼馴染「髪の色とか…性格とか全然違うけどさ…」

戦士「…・・・」

幼馴染「ちょっと面影…あるかなって……」


698 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 18:54:39.84 ID:/oJT/Fwo
戦士「バカらし…。てかお前なんで急にそんな事…」

幼馴染「この先にね…すっごい綺麗な所があるんだ…」

戦士「……へぇ」

幼馴染「私、そこまで行く事にしたの!」

戦士「一緒に行ってやろうか?」

幼馴染「ううん。戦士くんはダメ…」

戦士「何でだよ?この先なんだろ?じゃあ……」

幼馴染「戦士くんはまだ……なの…」

戦士「お前…何言って…」

幼馴染「ふふっ、いい子じゃない!盗賊ちゃん!」

戦士「…?」

幼馴染「付き合っちゃいなよ!えいっ!えいっ!」

戦士「お前な…いい加減に…」

幼馴染「私なんかに…遠慮しないでさ…」

戦士「……」


699 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 18:58:47.90 ID:/oJT/Fwo
幼馴染「前にも言ったでしょ?遠慮して…」

戦士「分かってるよ。んな事ぁ…」

幼馴染「戦士くん……」

戦士「お前がもう帰ってこないのも…分かってんだよ…」

幼馴染「……」

戦士「ちゃんと言うからさ。そん時はよ……」

幼馴染「……うん」

戦士「ありがとな。わざわざ…」

幼馴染「ううん。私は戦士くんに幸せになって欲しいから…」

戦士「……お、お前は…幸せだった…か?」

幼馴染「……幸せだったよ!!」

戦士「…そう…か?」

幼馴染「だって…戦士くんと出会えたから!」

戦士「!!」

幼馴染「戦士くんが好きだったから…。幸せだったよ!」


700 :パー速民がお送りします [sage] :2010/01/27(水) 19:03:51.76 ID:as3Zdao0
イイハナシダナー


701 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 19:04:30.78 ID:/oJT/Fwo
戦士「そんな事…言うなよ。汚ねぇぞ…」

幼馴染「ふふっ!ちょっとイジワルしちゃった?」

戦士「うっせぇ…!」

幼馴染「それじゃあ…私はもう行くから」

戦士「行っちまうのか…本当に…」

幼馴染「うん!いつまでも戦士くんに迷惑かけられないし…」

戦士「迷惑なわけねぇだろ…!」

幼馴染「……じゃあね。戦士くん」

戦士「……」

幼馴染「お弁当……食べ…――」

ザッザッザ…ガサッ…

戦士「……こんな量…一人で食えっかよ…っ!」

戦士はうずくまり、弁当の入ったカゴを抱える。

戦士「………ちっくしょぉ…っ!」


703 :パー速民がお送りします [sage] :2010/01/27(水) 19:28:49.68 ID:2KisyMDO
泣いた


706 :パー速民がお送りします [sage] :2010/01/27(水) 21:56:48.09 ID:KXULY/Ao
このシーンに合うBGM探してこよう


707 :パー速民がお送りします [sage] :2010/01/27(水) 22:45:14.58 ID:SOuuwLIo
FF5の思い出のオルゴールだな
読みながら既に鳴ってた


709 :パー速民がお送りします [sage saga] :2010/01/27(水) 23:15:31.87 ID:EXsogyIo
フロントミッションのサントラと真赤な誓い聞いてました
すいません…↓続き


711 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 23:16:40.59 ID:EXsogyIo
――起きて…起きろぉー

戦士「…うぅ…ん」

ガバッ!!

戦士「…!!……おはよう」

盗賊「…お、おはよう」

戦士「悪りぃ、もうこんな時間か…!」

盗賊「…いや」

魔道士「戦士さん起きましたー?」

盗賊「…あ、ああっ!」

魔道士「もう朝ごはん出来ますから〜!」

盗賊「……だ、そうだ」

戦士「…あ、ああ」

盗賊「先に…行ってるぞ」

戦士「おう…」

テクテクテク…


712 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 23:17:35.16 ID:EXsogyIo
戦士「悪い…。寝過ごしちまった…」

召喚士「あ、おはよう!別にいいよ。急ぐわけでもないし…」

魔道士「そうですよ!疲れてるでしょうからゆっくり寝て下さい!」

魔道士は食卓代わりの板に、朝食を載せていく。

盗賊「…どうした?」

戦士「いや、なんか…夢見てた…」

盗賊「…そう」

戦士「何だろうな…?思い出せないけど…」

盗賊「……」

戦士「すっきりしたっつーか……」

召喚士「良い夢だったのかもね…!」

戦士「そう…だな」

魔道士「はい!準備出来ましたっ。食べましょう〜」

召喚士「いただきます!」

盗賊「…いただきます」


713 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 23:18:28.43 ID:EXsogyIo


戦士「さって…と、メシも食ったし…」

召喚士「必要な物だけ持って行こうか」

魔道士「私と盗賊さんはこっち見ますね」

戦士「おう、頼む」

盗賊「…え…と」



戦士「……す、すげぇ」

召喚士「うん…」

戦士「見事な程…ガラクタしかねぇ…」

召喚士「う、うん…」

魔道士「こっちも特に…」

盗賊「…だな」

戦士「はぁー。来た意味なしってか…?」

戦士は後ろに手をつき、足を伸ばしながら溜息をつく。


714 :パー速民がお送りします [sage] :2010/01/27(水) 23:19:02.48 ID:HUSEIsDO
同一IDにしてやられた…


715 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 23:19:36.97 ID:EXsogyIo
戦士「……まったく」

パサッ…パラパラパラ…

召喚士「それって昨日の…?」

戦士「…そっ」

魔道士「でもぉ…生活必需品もほとんどないんですね…」

戦士「貧乏だったしなぁ…」

召喚士「でも立派な家だよ。温泉もあるし…」

ガバッ!!

召喚士「ど、どうしたの!?」

戦士「……っ!!」

盗賊「…?」

戦士「……これだ…っ!」

魔道士「え?…え…っ!?」

戦士は三人に手記を開いて見せる。

戦士「この手記……始まりは30年前からだ…!」


721 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/27(水) 23:55:29.03 ID:EXsogyIo
○月○日

ようやく―――の奴―――…

ろくでもない――の地――…

しかし、国軍に――は――…

苦労するばかりか―才の協…

寝る間も惜しんでの―事が続…

×月×日

特殊遊撃強襲隊につい――…

別働隊も魔王アンラ・マン―…

だが、ついに白虎先生も討―…

よって私はバーテンと共――…

つまり大元帥はそう仰―――…



戦士「うーん…古い日記はにじんで全然読めねぇや…」

召喚士「本当だね…」


724 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 00:06:38.42 ID:dKWukZwo
パラパラッ…

△月△日

息子が旅立つと言いだした。

まだ16であるが故、反対したのだが…。

既に決心は固く、飛び出して行った。

やはり血は争えぬものなのだろうか。

おそらくはもう会う事も叶わぬだろうが、

願わくば、ただ旅の安全を祈る。

どうか同じ過ちを繰り返さぬよう…。



手記はここで終わっている。

戦士「……」

召喚士「…戦士」

盗賊「…」

戦士は静かに手記を閉じた。


726 :パー速民がお送りします [sage] :2010/01/28(木) 00:10:46.93 ID:TZYTGgAO
なんか召還士パーティーの親ってみんな良い人だな
素直に受け止められなかった過去の召還士達残念


727 :パー速民がお送りします [sage saga] :2010/01/28(木) 00:12:12.79 ID:dKWukZwo
すいません…寝させて頂きます!
ご支援ありがとうございました!
体調宜しくない皆様は、安静になさって下さい!><
それではまた…おやすみなさい!ノシ

〜次回予告〜

占い師「戦士の故郷で得た新たな回答…」

占い師「そして…過去との決別…」

占い師「北の地に待ち受ける試練とは…!?」

占い師「次回、第88話【雨、逃げ出した後】」

占い師「この次も、サービス、サービスゥ!」


741 :パー速民がお送りします [sage] :2010/01/28(木) 16:24:56.21 ID:.VzDprM0
  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ


743 :パー速民がお送りします [sage saga] :2010/01/28(木) 16:32:18.65 ID:Heo6YZ.o
この流れは…一体?wこんにちは!ノシ
本日もご支援ありがとうございます!↓続き


744 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:33:10.69 ID:Heo6YZ.o
ボーッ…

戦士父「たかが16の小僧に何が出来ると思ってんだ」

戦士「うるせぇ!俺の勝手だろうがっ!!」

戦士父「焦って進んだ道が正しいとは限らん」

戦士「んな事分かってんだよ!」

戦士父「今の生活から逃げるのか…?」

戦士「そうじゃない!俺は自分のやりたい道を…」

戦士父「その道が本当に自分の道なのか?」

戦士「ああ…。そうだよ!」

戦士父「分かってねぇな…。もう一度頭冷やして…」

戦士「分かってねぇのはどっちだ!!」

戦士父「……勝手にしろ!」

戦士「ああ!するさ…!!」

戦士父「だが、二度とこの家には戻るな…!」

戦士「ハナっからそのつもりだ。あばよ…!」


745 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:34:02.32 ID:Heo6YZ.o
ボーッ…

戦士「……」

テクテクテク

召喚士「どうした…?ボーっとして…」

戦士「ん、ああ……」

戦士は外壁に寄りかかり、青空を見つめる。

召喚士は水の入った器を手渡し、戦士の横に腰掛ける。

召喚士「親父さんの事…?」

戦士「別に、嬉しくないわけじゃねーんだ…」

召喚士「……」

戦士「ただ、俺は何にも分かってなかった…」

召喚士「……うん」

戦士「親父の素性すら、知らなかったんだもんな…」

召喚士「若かったんだよ…きっと…」

戦士「……バカだっただけさ」


746 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:34:55.66 ID:Heo6YZ.o
テッテッテ…

魔道士「戦士さーん!」

戦士「んー?」

魔道士「この辺の本はどうしますー?」

魔道士は何冊かの本を抱え、玄関より顔を出す。

戦士「どれ…」

召喚士「見た限りじゃ、専門書が多かったよ」

スタスタ…

戦士「ふーん…」

戦士は書物を受け取り、表紙を見比べる。

戦士「槍術書…?」

召喚士「親父さん…国軍一の槍使いって言ってたよね」

魔道士「バーテンさんが言ってましたね…」

戦士「槍…ねぇ…」

戦士は槍術書をパラパラと捲り読む。


747 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:35:57.82 ID:Heo6YZ.o
召喚士「そういえば戦士って槍は…?」

戦士「んー…あんま使った事ないなぁ」

盗賊「……」

戦士「人並みじゃねーかな」

魔道士「才能あるんじゃないですか?」

召喚士「そうですね。国軍一番槍の息子だもん」

戦士「そーかねぇ…。あんま好きじゃないけど」

召喚士「そうなの?」

戦士「どっちかってーと、近接武器のが得意だな」

盗賊「……」

魔道士「普段は剣か斧ですもんね!」

戦士「そうだなぁ…」

召喚士「でも戦士って凄いよね!」

戦士「んー?」

召喚士「あらゆる武器は一通り使いこなせるじゃん!」


748 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:36:49.86 ID:Heo6YZ.o
戦士「使いこなせてねーよ。嗜み程度だって…!」

魔道士「剣と斧と槍と…」

盗賊「…飛び道具…短剣…刀」

召喚士「体術と…前に弓も使ってたよね?」

戦士「だから、どれも一応って話であって…」

魔道士「でも凄い事ですよ!」

盗賊「…うん」

召喚士「改めて考えると…ほんと凄いな」

戦士「なんだよ、お前まで…」

盗賊「……凄い」

戦士「何なんだよ急に…。気持ち悪りぃ…」

魔道士「尊敬〜!」

召喚士「尊敬ー!」

盗賊「…尊敬ー!」

戦士「や、やめろっ!!」


749 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:37:40.65 ID:Heo6YZ.o
ドサッ

戦士「よし…。これでオッケー」

魔道士「これ全部捨てちゃうんですか?」

戦士「残しておいてもしょうがねーしな…」

盗賊「…」

戦士「ガラクタばっかりだし…」

召喚士「必要な物は確保したしね…」

戦士「もうこの家に来る事もねーだろ…」

盗賊「…良い…家だけどな」

戦士「…まぁな」

召喚士「…また来ようよ!みんなで!」

魔道士「そうですよっ!」

戦士「……」

盗賊「…それがいいと…思う」

戦士「……そうだな」


751 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:38:33.89 ID:Heo6YZ.o
〜幼馴染の家、外〜

戦士「……」

召喚士「じゃあ俺達はここで待ってるから…」

戦士「おう…。すぐ戻るわ…」

コンコン…カチャッ…パタン

盗賊「……」

魔道士「…」

召喚士「幼馴染さんは…戦士にとって特別な人なんです」

盗賊「……みたいだな」

召喚士「戦士もずっと葛藤してました…。過去の自分に…」

魔道士「…言ってくれれば…良かったのに」

召喚士「そうですね。でも…こればかりは彼自身が…」

魔道士「……」

召喚士「戦士が一人で…越えなきゃいけないんです…」

盗賊「…うん」


752 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:39:48.04 ID:Heo6YZ.o
〜幼馴染の家〜

幼馴染父「もう行くのか…?」

戦士「…はい」

幼馴染父「荷物は片付いたかね…」

幼馴染父はティーカップを運びながら口を開く。

戦士「ええ…。お陰様で…」

幼馴染父「そうか…」

戦士「……」

幼馴染父はティーカップをテーブルの上へ置く。

戦士「…いただきます」

幼馴染父「……」

カチャッ…コクッ…コクッ…

戦士「……」

幼馴染父「……」

しばし二人の間には沈黙が流れる。


754 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:41:20.81 ID:Heo6YZ.o


戦士「では…行きます」

幼馴染父「うん。最後に…」

戦士「勿論です。行きましょう」

二人は席を立ち、家を出る。

ガチャッ…パタンッ

魔道士「戦士さん…」

盗賊「……」

戦士「…」

召喚士「おはようございます」

幼馴染父「おはよう。君達も良かったら…」

召喚士「…はい。そのつもりです」

テクテクテク…

戦士と幼馴染父を先頭に、丘の上の教会へと足を進める。

教会の脇にある丘に、幾つもの墓が並んでいる。


755 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:42:22.90 ID:Heo6YZ.o
ザッザッザ…

雑草もなく綺麗な墓は、以前と変わらず毎日清掃されている。

戦士「……」

幼馴染父「ここが娘の墓だよ」

召喚士「…はい」

魔道士と盗賊は静かに目を瞑る。

戦士が墓前に座り込み、墓を見つめる。

戦士(………ありがとう)

目を閉じると墓地には静寂な、

そよ風で動く木々の微かな音だけが過ぎる。

戦士「…」

戦士は首にぶら下げたお守りを取り出し、中を開ける。

戦士「……あれ…?」

盗賊「…?」

戦士「……ない」


756 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:43:23.71 ID:Heo6YZ.o
召喚士「…どうしたの?」

戦士「いや…ここに入れて置いた…」

魔道士「何か…無くしたんですか?」

戦士「貰った手紙と一緒に入ってた…四葉のクローバー…」

幼馴染父「……」

戦士「ここに入れておいたんだけど…」

召喚士「どこかで落とした!?でも…それはないか…」

戦士「ああ。しっかり閉まってるし…枯れちまったのかな」

幼馴染父「役目を終えたのかもしれないね」

戦士「役目……」

幼馴染父「うん。見守る必要のないくらい、強くなった…」

盗賊「……」

幼馴染父「そういう事なのかもね…」

戦士「そんな事……っ」

言葉を発しながら、戦士は幼馴染父に続き、立ち上がる。


758 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:44:13.94 ID:Heo6YZ.o
幼馴染父「……」

盗賊「……」

幼馴染父「何だろう…不思議なんだが…」

盗賊「…?」

幼馴染父「髪の色や瞳の色…性格なんかも違うと思うが…」

盗賊「……」

幼馴染父「娘に似ているんだ…雰囲気なのかな…」

戦士「そ…そうですか?」

幼馴染父「いや、親の贔屓目かもしれんな。こんな美人と比較して…」

盗賊「!?そ、そんな事…っ!」

幼馴染父「宜しくね。戦士君を……」

盗賊「あ…っ、は……はい!」

幼馴染父「君らも」

召喚士「…はい!」

魔道士「頑張りますっ!」


759 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:45:08.84 ID:Heo6YZ.o
戦士「…また。…また来ますから!!」

幼馴染父「うん。待ってるよ…!」

幼馴染父はニッコリと笑い、教会を後にした…。

召喚士「いい人だね…」

戦士「ああ…。昔からずっと世話になりっぱなしだよ…」

盗賊「……」

魔道士「美人ですって!良かったですねっ、盗賊さんっ!」

盗賊「ちち…違…っ!!」

召喚士「さぁ、行こうか!」

戦士「ああ。ありがとうな!!」

魔道士「いいえっ!こちらこそ!エヘヘ!」

盗賊「…うん」

戦士「あ…そうだ。ちょっと寄り道していいか…?」

召喚士「…?」

戦士の案内で一同は教会の裏手より山の中へ進む。


760 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:46:38.11 ID:Heo6YZ.o
ザッザッザッザッザ…

戦士「…着いた」

魔道士「……うわぁ!!」

召喚士「す、すご…っ」

盗賊「……綺麗」

四人の眼前には、美しい池が広がる。

戦士「俺らの秘密の場所でな……」

テクテク…

戦士「よくこのあたりで……!?」

召喚士「…あ…っ」

魔道士「ウ…ウソ…!!」

盗賊「…これ…全部」

ザッザッザ…

戦士「……四葉の…クローバー…!?」

池のほとりの一画に、四葉のクロバーが広がっていた…。


761 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:47:57.25 ID:Heo6YZ.o
召喚士「不思議な事もあるもんだね…」

魔道士「きっと…幼馴染さんが…」

ザッ

戦士「丁度この辺だった……」

戦士はクローバーを一つ摘み取り、クルクルと指で回す。

戦士「二人で弁当食って…昼寝して…」

盗賊「……」

戦士「自分の夢…語り…あったりし…て……」

ザッザッザ…トスッ

盗賊「……良い眺めだ。美しい」

戦士「………ああ」

魔道士「召喚士さん。先行ってましょうか」

召喚士「…そうですね」

魔道士「村の入り口で待ってますから…」

戦士の隣に腰掛けた盗賊がそっと微笑んだ。


763 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/01/28(木) 16:49:39.10 ID:Heo6YZ.o


戦士「悪いな!待たせちまって…」

召喚士「ううん。行こうか!」

魔道士「忘れ物はないですね?」

盗賊「…うん。あ……」

魔道士「何か忘れましたか?」

盗賊「…ううん。違うんだけど」

盗賊は腰に付けた巾着を漁る。

盗賊「…ん。二人…にも」

魔道士「あ…クローバー!!」

召喚士「…お守りですね」

盗賊「…ん」

召喚士と魔道士はクローバーを受け取り、

各々大事にしまい込んだ。

盗賊「…さぁ、行こうか」



次へ 戻る 戻る 携 上へ