■戻る■ 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
460 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/06(火) 23:26:52.44 ID:UTa3v5lpo
ガタッ!!

戦士「盗賊が……死ぬだとぉ!?」

大軍師「戦士殿、落ち着いて下さい」

魔道士「嘘ですよねっ、そんな事!!」

占い師「……」

召喚士「盗賊さんが……そんな……っ」

盗賊「……いいんだ」スクッ

魔道士「盗賊さん?」

盗賊「人はいつか死ぬ。遅かれ早かれ、な」

召喚士「……っ」

盗賊「盛者必衰と言ったところだろう。いや……因果応報、か」

戦士「俺は、信じねぇぞ!!」

盗賊「戦士……」

戦士「そうだろ占い師さんよぉ! 何か、手はあるんだろ!?」

占い師「…………」


461 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/06(火) 23:27:40.84 ID:UTa3v5lpo
戦士「何とか言えよ!!」

占い師「前にもあったわよね」

召喚士「……?」

占い師「北での戦いで、少女が死ぬ予言があったわ」

召喚士「……幼女ちゃんとお父さんの!」

占い師「あの時だって運命は変えられた。私の予言はあくまで運命の道標」

大軍師「宿命でなくば、その運命は変えられる……と仰りたいわけですね?」

占い師「司令の予言は宿命だから変える事は出来ないわ。
     でも私の予言なら、強い意志を持っていれば、きっと変えられるわ」

魔道士「そうですよっ! 盗賊さんが……しっ、死ぬだなんて有り得ませんっ!」

戦士「当たり前だ。誰が信じるかってんだよ、そんなもん」

占い師「あなた達の強さなら、きっと運命を変える事が出来るわ」

召喚士「やってみせますよ、何が何でも」

戦士「もちろんだ。誰が……死なせるもんかよ」

盗賊「戦士……」

戦士「安心しろ。俺が必ず、お前を守る」


462 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/06(火) 23:28:17.27 ID:UTa3v5lpo


占い師「彼らは、帰ったの?」

大軍師「ええ」

占い師「ごめんなさいね、私が……」

大軍師「貴女のせいではありませんよ。予言の結果ですから」

占い師「……」

大軍師「それに、いつかはこのような結果が出る日も来るのではと、思っておりました」

占い師「まだ若いのに、あの4人は過酷なものを背負わせてしまっているのね……」

大軍師「本当に申し訳ないと思います。ですが、彼らの強さは必要なのです」

占い師「まぁ、ね」

大軍師「それ程までにあの4人はお強い。心よりそう思います」

占い師「運命、変えられるわよね」

大軍師「無論です。しかし、変えた運命の結末が幸せなものだとは限りませんよ」

占い師「……そうね。1つの犠牲を防げば、他の犠牲が生じる事にもなるわ」

大軍師「今度の戦いも、過酷なものになってしまうのでしょうか……」


463 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/06(火) 23:28:52.88 ID:UTa3v5lpo
〜東方、藤蔵〜

女剣士「ここが藤蔵……」

くの一「……」

影忍「どうした、行くぞ」

ザッザッザッザッ…

くの一「……っ」

影忍「くの一、お前をここへ連れてきた本当の意味を――」

ピクッ

影忍「……」

ザザザザッ…チャキッ

影忍「……流石だな」

土忍「何者かは知らんが、早急に立ち去るが良い」

風忍「中央の男、人間ではないな? さては妖か?」

土忍「その布を剥いで、顔を見せて貰おうか」

影忍「……」


464 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/06(火) 23:29:33.28 ID:UTa3v5lpo
土忍「どうした、やましい事がないのならば、出来るであろう?」

くの一「と、頭領……っ」

影忍「下がっていろ」テクテクテク

シュルッ…パサッ

影忍「これで良いか?」

土忍「……っ!!」

風忍「ば……馬鹿なっ!!」

影忍「久しぶりだな、土……風」

風忍「わ……若っ!!」

土忍「待て、本当に……本物の若……なのか?」

影忍「土よ、妻子は元気か?」

土忍「!?」

影忍「確か娘は、もう18になるのか。最後に会ったのは15年も前になるな」

土忍「――っ!!」

影忍「風、お主も少しは歌の腕を上げたか?」


465 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/06(火) 23:30:30.71 ID:UTa3v5lpo
風忍「な、な……っ」

影忍「風の読む歌は全く風情がないからな」ザッザッザッ

風忍「そ、そんな事まで存じているとはやはり……」

土忍「わ、若なのか……っ」

ザザッ…スタッ

水忍「何を騒いでおる?」

火忍「……んっ?」

影忍「水に火か。お主らも変わらんな」

火忍「若ぁ!?」

水忍「こ、これはどういう事か……っ」

影忍「それにもう1人……」

スタッ

侍女「……っ!?」

影忍「ふっ、まるで迎えにきてくれたかのような賑わいだな」

侍女「わ……若っ!?」


466 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/06(火) 23:31:07.29 ID:UTa3v5lpo
火忍「待てっ、若なはずがない! 若は死んだ! そして、妖の手に……」

影忍「火よ、お主は相変わらず、盗賊の尻を追い回しているのか?」

火忍「!?」

影忍「昔よく相談された事を思い出すな。盗賊の好きな物などをこっそりと――」

火忍「わっ、わーわー!!」

水忍「誑かすのは止めにして頂きましょうか」

影忍「お主の思慮深さは昔から変わらんな」

水忍「くっ」

影忍「しかし、かねてからの夢は叶ったのか?」

水忍「夢? 戯言は止めて頂こうか、偽者――」

影忍「ふむ、まだ叶ってはいないようだな」チラリ

侍女「……へっ?」

水忍「若っ! 本物の若だ!!」

侍女「本当に……若……なのねっ!?」

兄様「ああ、ただいま」


467 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga] 投稿日:2011/12/06(火) 23:37:47.10 ID:UTa3v5lpo
それでは本日ここまでにて失礼致します!
誤字で混乱を招いてしまい、ご迷惑をお掛け致しました…
それではまた明日!おやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

出番のないお父さんズは嘆いていた。

戦士父「めっきり出番が減った」

御館様「良いではないか。私に比べれば出番がある」

大商家「非戦闘員は辛いですよ」

白虎次男「生きてるんだからいいでしょう! 私なんか死んじゃったんですから」

大商家「はぁ、イヌですらお父さんとして大活躍なご時世に……」

白虎次男「ワーカーとしてなら活躍してますよ?」

大商家「そういう話ではないです!」

御館様「むっ!?」

戦士父「どうなさった?」

御館様「出番の臭いがする……それでは失礼」

大商家「くうぅ!! 羨ましい!! 私なんて最近、会ってすら居ないのにいぃ!!」


469 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です) [sage] 投稿日:2011/12/06(火) 23:42:31.36 ID:b6tfQjJDO
しかしこの場合御館様にはもれなく死亡フラグが……


472 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/12/07(水) 01:57:47.20 ID:VBto6OWAO
戦士はパーティーの中でも飛び抜けてお子様な気がする…


474 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(山梨県) [sage] 投稿日:2011/12/07(水) 02:46:52.89 ID:yQWZ03YEo
>>472
それが戦士のいいところでもある


475 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage] 投稿日:2011/12/07(水) 06:34:55.90 ID:FhAjM5MHo
>>472
主人公だからいいよ、それくらいで


481 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:25:43.75 ID:E6ey+zHVo


風忍「お連れの方々は此方へ。部屋をご用意致しまする」

女剣士「あ、あの……」

兄様「2人は休んでおれ。今日は泊まるとしよう」

くの一「……」

兄様「くの一、お主も……」

バシッ

くの一「……っ」

火忍「こらこら、若をはたくとは何事か!」

くの一「五月蝿いっ、馬鹿!」

火忍「なん……このっ」

兄様「火、下がっておれ」

火忍「若っ」

兄様「良いから下がっておれ。くの一、少し話をしようか」

くの一「……」


482 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:27:27.18 ID:E6ey+zHVo


火忍「……ちっ、せっかく若も帰ってきたっていうのによ」

水忍「だからとて、深い詮索も出来まい」

火忍「何でだよ」

水忍「何かあれば、若がご自身で話して頂けるはずだ」

火忍「……くそ」

土忍「今は若君を信じるしかあるまい」

風忍「伺いたいのだが、あの女子……影の者ではないのか?」

女剣士「そのようだ」

侍女「影……!?」

風忍「やはりそうか……」

土忍「影は滅びた。よもや、生き残りがおったとはな」

水忍「しかもまだ若い。姫と年端も変わらぬ程度ではないか?」

火忍「一体なんの為に藤蔵へ連れてきたんだ?」

風忍「……」


483 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:28:33.22 ID:E6ey+zHVo


ザッザッザ…

兄様「……」

くの一「お聞きしたい事がございます」ピタッ

兄様「藤蔵の事か? 俺の事か?」

くの一「両方です」

兄様「私は、藤蔵の者だ」

くの一「……噂は……本当でしたか」

兄様「ああ、本当だ」

くの一「信じたくはなかった……っ。頭領があの、憎き藤蔵の者だなどと……」

兄様「俺はな、あえて藤蔵を抜け、影へとやってきたのだ」

くの一「間諜の為ですか」

兄様「それは違う。影を変えたかった、藤蔵を変えたかったのだ」

くの一「何を言うっ! 影は滅びた! それは藤蔵のせいではないかっ!」

兄様「……そうかもしれぬ」


484 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:30:50.86 ID:E6ey+zHVo
くの一「私の全てを奪った……藤蔵が憎い」

兄様「藤蔵は今の当主になってから、大名になった事は存じておるな?」

くの一「……無論です。それで影はますます、虐げられる事になったと聞きます……っ」

兄様「だが、藤蔵は影をも救おうとしていた。本当だ」

くの一「……信じられませぬ」

兄様「15年前、俺は藤蔵を抜け、影へと移った。全ては両家の為にな」

くの一「……」

兄様「光や影などという隔たりなく、1つの血族として、今後暮らしてゆける事を目指してな」

くの一「だったら……っ」

兄様「だがな、影にも自尊はある。そう簡単にいくものではなかった」

くの一「……っ」

兄様「それでも俺は耐えたさ。耐えて、ついには副頭領にまで上りつめた」

くの一「……」

兄様「しかし影の内部は、俺の想像を遥かに超えたものであったのだ」

くの一「何です」


485 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:31:23.61 ID:E6ey+zHVo
兄様「影は……妖と結託しておったのだ」

くの一「――――っ!?」

兄様「それに気付いた俺は、頭領の首を刎ね、事態を収拾させた……はずだった」

くの一「……?」

兄様「しかし影は、もう止める事は出来なかった」

くの一「……」

兄様「俺が頭領になってからというもの、それを良く思わぬ連中が、更に妖を呼び寄せ、
    ついには俺の命を狙い、血で血を争う事態を招いてしまったのだ」

くの一「そ……んな……っ」

兄様「そして俺は、殺された」

くの一「――っ!!」

兄様「あとは周知の通りだ。ネクロマンサーの手によって不死の妖と化し、今に至る」

くの一「じゃあ……頭領は……」

兄様「幼い連中を逃がす事が出来たのは、不幸中の幸いであったな」

くの一「……くっ」

兄様「信じられなくばしんじなくとも良い。だが、これだけは信じて欲しい」


486 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:31:55.27 ID:E6ey+zHVo
くの一「…………」

兄様「藤蔵は影の事を、本当に考慮しておったのだ」

くの一「……」

兄様「同じ一族でありながら、陽の目を浴びぬ影を、どう救うかとな」

くの一「う……っく」

兄様「その為には大名となり、地盤を固める必要がどうしてもあったのだ」

くの一「頭領は何故っ、そこまで影の事を――」

兄様「藤蔵の長兄だからさ」

くの一「……え……っ?」

兄様「次期当主であったからこそ、現状すら放ってはおけなかった。それだけだ」

くの一「と、頭領が……藤蔵の次期……?」

兄様「くの一、お前は影の大切な生き残りだ」

くの一「……っ」

兄様「どうか俺の願いを聞き、一族として……藤蔵へ迎え入れさせてはくれぬか?」

くの一「――っ!?」


487 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:32:30.11 ID:E6ey+zHVo
兄様「藤蔵にはお前を暖かく迎え入れてくれる仲間が沢山居る。だから――」

くの一「私はっ!」

兄様「……」

くの一「そんな事言われても私は、易々とは……受け入れられませぬ……っ」

兄様「何れ、時が解決してくれる」

くの一「……」

兄様「今すぐに、とは言わぬ。今後は藤蔵を頼るが良い。俺からの最後の命令だ」

くの一「……ずるいですよ、そんなの」

兄様「ああ、そうかもしれんな」

くの一「……っ」

兄様「忍とは汚いものだ。さて、戻るぞ」スタスタ

くの一「……卑怯です」

ザッザッザ…

火忍「おっ、戻ってきたぜ!」

兄様「くの一、女剣士と共に部屋へ」


488 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:33:23.26 ID:E6ey+zHVo
くの一「……っ」

女剣士「行くぞ、くの一」

風忍「では、ご案内致しまする」

くの一「…………」

ザッザッザ

水忍「若、あの者……影だそうですね」

兄様「ああ、影の生き残りだ。本国で拾った」

土忍「如何にするおつもりで?」

兄様「藤蔵で面倒を見てやってくれ」

火忍「なっ!?」

兄様「それが藤蔵の責任であろう? 頼むぞ」

ザッザッザ

水忍「ど、どちらへ?」

兄様「父上は自室か?」

水忍「御館様と面会なさるので……!?」


489 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:33:58.61 ID:E6ey+zHVo
土忍「なれば、お供を」

兄様「無用。侍女、お前だけ付いて参れ」

侍女「は、はいっ!」タタッ

兄様「お前達は下がってて良いぞ」

火忍「しかし……っ」

兄様「心配するな。喧嘩をしに来たわけではないのだ」

ザッザッザッザッザ

水忍「若……」

火忍「若は、一体どういうおつもりなんだ?」

土忍「さぁな。だが、考えあっての事には違いあるまい」

火忍「そりゃ……そうだけどよ」

水忍「信じるしかあるまい。妖であろうがなかろうが、若には変わりないのだ」

火忍「ちぇっ、分かったよ」

土忍「若が戻るのを待つとしよう。話はそれからだ」

水忍「……ああ」


490 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:34:40.16 ID:E6ey+zHVo
〜御館様の部屋〜

御館様「……どこの妖かと思えば」

兄様「襖越しであると言うのに、流石ですね父上」

御館様「察知させるお主が未熟だと言う事だ、このたわけが」

兄様「相変わらず手厳しいですな」

御館様「それで、妖に成り果ててまで、何しに来た」

兄様「間もなく、東方にて戦が起きまする」

侍女「……っ!!」

兄様「藤蔵も何卒、上様や本国にお力を……」

御館様「藤蔵が何も知らぬとでも思っておるのか?」

兄様「……」

御館様「既に手筈など整っておるわ。今か今かと待っておったぐらいだ」

兄様「……流石ですね」

御館様「何時でも構わぬ。そう伝えておけ」

兄様「残念ですが、私は誰とも組んではおりませぬ」


491 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:35:34.07 ID:E6ey+zHVo
御館様「……左様か」

兄様「近いうちに、本国の者らが訪ねて来る事でしょう。盗賊も」

御館様「……」

兄様「それでは、これにて」

御館様「お前はどうするつもりだ?」

兄様「妖となった今、藤蔵に留まる事も出来ませぬ」

御館様「そうだな」

侍女「……っ」

兄様「私は私で、やるべき事をやるだけです」

御館様「そうか。ご苦労であった」

兄様「……では」

侍女「若っ!」

兄様「侍女よ、くの一の事……頼んだぞ」

侍女「……っ」

兄様「彼女は孤独だ。一族として、暖かく迎え入れてやってくれ」


492 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:36:18.54 ID:E6ey+zHVo
侍女「若……っ」

兄様「父上、宜しいですな?」

御館様「影は藤蔵、無論だ」

兄様「良かった。これで悔いは無し」

侍女「悔いだなんて……申さないで下さい……っ」

兄様「……お前も強くなったな。そして、美しくなった」シュルシュルッ…ギュッ

侍女「……っ!」

影忍「さらばだ」シュバッ!!

侍女「若っ!!」

御館様「……」

サアアァァァァ

侍女「……っ」

御館様「行ったか」

侍女「御館様っ、若は……」

御館様「言うな。奴はもう死んだのだ。それ以上も以下も無しよ」


493 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:36:44.23 ID:E6ey+zHVo


水忍「……んっ?」

テクテクテク

侍女「……」

火忍「終わったのか? 若は?」

侍女「……もう、行ったわ」

火忍「何ぃ!?」

土忍「どういう事だ? 帰ってきたのでは……?」

侍女「ううん。若はもう……居ないのよ」

水忍「どういう事だ!?」

侍女「若はもう……この世には居ないのよっ」

土忍「妖となった今、共に歩む事は無理と言う事か」

火忍「何だよそれっ!! 一言くらい言ってくれてもいいじゃねぇかよ!!」

水「やめておけ。一番辛いのは……若、本人なのだからな」

侍女「……っ」


494 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/07(水) 18:37:28.48 ID:E6ey+zHVo
〜客間〜

くの一「……」

女剣士「ふーっ、良い湯であった……ん?」テクテク

くの一「……おかえり」

女剣士「どうした? 外など眺めて」

くの一「別に。ただ、風にあたっていたいだけ」

女剣士「冷えるぞ。くの一も風呂に浸かってくるが良い」

くの一「……」

女剣士「あの男が心配か? それとも、藤蔵に留まる事が……」

スクッ

くの一「風呂へ入ってくる」

女剣士「それが良い。しっかりと暖まって、洗い流してくるが良いさ」

くの一「洗い流せるなら……流したいよ……」テクテクテク

女剣士「……くの一」

くの一「それじゃ、行ってくる」



次へ 戻る 戻る 携 上へ