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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その26
685 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 00:32:40.62 ID:NYlszuIJo
〜西方、西の港〜

戦士「本当に行かねーのか?」

玄武娘「はいですの」

朱雀嬢「私達も…やるべき事が分かってきましたわ」

盗賊「……そうか」

召喚士「これから、どちらへ行くんです?」

朱雀嬢「それはまだ分かりませんわ」

玄武娘「でも、立ち止まってる場合じゃないですのっ」

魔道士「…そうね……そうだよねっ」

戦士「お互い、頑張ろうぜ」

玄武娘「はいですの!」

召喚士「それじゃ、俺らは三日月島へ……」

朱雀嬢「朱雀先生……っ!」

召喚士「…?」

朱雀嬢「ちょっと……宜しいかしら?」


686 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 00:33:14.95 ID:NYlszuIJo
召喚士「な、何でしょうか…?」

朱雀嬢「……お教え致しますわ」

召喚士「……?」

朱雀嬢「ハーピー。お役に立つと思いますわ」

戦士「!?」

双子姉妹「ハーピー?」

召喚士「ほっ、本当ですか…!?」

朱雀嬢「ええ。宜しくてよ」

召喚士「ありがとうございますっ!!」

朱雀嬢「ここでは人が多いので……あちらへ行くですわ」

召喚士「ええ、それじゃ行ってきます!」

魔道士「はいっ!」

スッ…テクテクテク

魔道士「良かったですねぇ、召喚士さんっ」

盗賊「…ああ。そうだな」


687 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 00:34:02.96 ID:NYlszuIJo
テクテクテクテク

朱雀嬢「この辺りでいいかしら」

召喚士「…はい。お願いします」

朱雀嬢「じゃあ早速、いくですわよ」

召喚士「……はい」

スゥッ

朱雀嬢「出て来いっ、ハーピー!」

シュイイィィン

召喚士「……おぉ…っ」

現れた女性の顔を持つ召喚獣、ハーピー。

両手の代わりに持つ羽を大きく広げ、背伸びのように大きく身を反らす。

ハーピー「んんーっ!!」

朱雀嬢「ご存知の通り、ハーピーですわ」

ハーピー「そうよんっ。ハーピーですわ〜」

召喚士「……ど、どうも」


688 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 00:35:53.21 ID:NYlszuIJo
朱雀嬢「さて、ハーピーはご存知の通り……」

フワッ…バサッバサッ

朱雀嬢「飛行能力と……」

ヒュンッ…ヒュンヒュンッ

朱雀嬢「スピードを生かした物理攻撃。これが基本能力ですわ」

召喚士「他にも能力が……?」

朱雀嬢「……ハーピー」

ハーピー「はいなっ!」

ヒュイイィィ……ゴウッ!!

召喚士「――っ!!」

朱雀嬢「威力は弱いですけれど、風も操れますわっ」

召喚士「す…凄……」

ハーピー「ちょっと〜っ、弱いって何よ〜」

朱雀嬢「事実ですわ」

ハーピー「何ですってぇ〜っ!?……ひどいっ!」


689 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 00:36:35.87 ID:NYlszuIJo


朱雀嬢「…さぁ、召喚してみて下さいですわ。イメージは大丈夫のはずですわ」

召喚士「……ええ」

ハーピー「な〜に?貴方も召喚するの〜?」

召喚士「……行けっ!ハーピー!!」

シュイイィィン

召喚士「……っ!!」

シュウウゥゥ…

朱雀嬢「……お見事ですわっ!」

ハーピー「……」

召喚士「…は、始めまして」

ハーピー「貴方が……呼んだの?」

召喚士「……は、はい」

ハーピー「……ふふっ、イイ男じゃない……イジめ甲斐があって」

召喚士「えっ!?」


690 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 00:37:27.87 ID:NYlszuIJo
バサッ…バサッ…ストッ

召喚士「……あ、あの…っ」

ハーピー「ふふふっ、貴方……」

召喚士の前に舞い降り立つハーピーーは右の羽で召喚主の顎を撫でる。

サワッ…ツツーッ

召喚士「――っ!!」

ハーピー「攻められるの……好きデショ?」

召喚士「!?」

ハーピー「照れちゃって……ふふっ」

召喚士「そ、そんな事……」

ハーピー「そうなのぉ?そー見えるけどぉ……」

サワサワサワッ

召喚士「ち、ちょっと……っ!」

ハーピー「……あぁ、もしかして……まだなのかしら?」

召喚士「っ!!」


691 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 00:38:15.17 ID:NYlszuIJo
ハーピー「顔真っ赤。ふふっ、カッワイイー!」

召喚士「やめて下さいっ!!」

朱雀嬢「……あ、あのあのっ……その…っ!」

召喚士「あっ、す…すみません!」

ハーピー「あっ!!ちょっと――」

シュイイィィン

召喚士「……何なんだ一体…っ」

朱雀嬢「……あ、あの…っ」

召喚士「は、はははっ!困ったもんですね…!」

朱雀嬢「……っ」

召喚士「……はぁ」

朱雀嬢「あの……」

召喚士「す、すみませんっ!気にしないで下さいっ!」

朱雀嬢「いえっ、そうじゃなくって……」

召喚士「……?」


692 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 00:47:41.96 ID:NYlszuIJo
テクテクテクテク…スッ

召喚士「…あ、あのっ」

朱雀嬢「…………」

召喚士「何でしょ――」

朱雀嬢「……私、まだ…諦めたわけではないですわ」

召喚士「…へっ?」

朱雀嬢「……最後まで…諦めませんですわっ」

スッ……チュッ

召喚士「――っ!?」

朱雀嬢「……お、お元気でっ!また近いうちに…ですわっ!」

召喚士「あ……っ」

タッタッタッタッタ

召喚士「……」

一人残された召喚士。唇の触れた頬を手で押さえ呆然と立ち尽くす。

しばらくの後、ふと我に返り、朱雀嬢の後を追うように皆の下へ戻って行った。


693 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 00:52:01.56 ID:NYlszuIJo
被災地ではないですが、色々と大変な事になってきました…
とにかく頑張りましょう!それでは失礼致します!ノシ


697 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/03/14(月) 03:43:19.01 ID:mt9VBZlc0
1乙
ようやくコカトリス以外の朱雀召喚獣ゲット


700 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:04:03.41 ID:99/CZB6Oo
テクテクテクテク

魔道士「あっ、おかえりなさーい!」

召喚士「……どっ、どうも」

魔道士「どうでしたっ!?」

召喚士「え、えっと……はい」

魔道士「…?」

戦士「とりあえず、ハーピーはゲット出来たんだよな?」

召喚士「うん。……朱雀嬢さんは?」

盗賊「…さっき、玄武娘と去ったぞ」

召喚士「そう…ですか……」

双子姉「何か」
双子妹「ありました?」

召喚士「えっ!?い、いや…っ、何もないですっ!」

魔道士「……?」

召喚士「お、俺達も行きましょうか!はははっ!」

魔道士「はいっ!えへへ!」


701 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:05:11.47 ID:99/CZB6Oo


ザザーン

双子姉「三日月島とは」
双子妹「どういった所なのですか?」

戦士「今は本国と西方が半々の持ち物になってる島だ」

双子姉妹「へぇ〜っ!」

召喚士「いい所ですよ。緑が沢山あって」

魔道士「そうなんですよ〜」

双子姉「それは」
双子妹「楽しみっ」

戦士「西方からの船も開通したみたいだし、楽になったよなぁ」

盗賊「…うん」

召喚士「とにかく神官さんに会わないと……」

魔道士「ですねぇ……」

盗賊「……何もなければ良いがな」

召喚士「ええ……」


702 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:06:28.63 ID:99/CZB6Oo
船に揺られる事数時間あまり、一同は三日月島へと到着した。

〜三日月島、北の港〜

魔道士「到着です〜!」

双子姉「ここが」
双子妹「三日月島……」

召喚士「神官さんはおそらく、ここより南の砦にいるはずです」

戦士「おっしゃ、そんじゃ早速、行ってみますか!」

盗賊「…だな」

双子姉「これは」
双子妹「何です?」

魔道士「ほんとだっ!カワイイ〜!」

戦士「……おい、お土産なんぞ後回しにしろ」

召喚士「いいんじゃない?そんなに急ぐものでもないし…」

戦士「そりゃま、そうだけどよ」

双子姉「これは」
双子妹「買いですね」

魔道士「私も買っちゃお!えへへっ!」


703 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:07:30.60 ID:99/CZB6Oo


盗賊「…すっかり夜だな」

戦士「…ったく、チンタラしてっから」

魔道士「ごめんなさい……」

双子姉妹「ゴメンナサイ」

戦士「いいんだけどさ、何かと気を遣われるのがなぁ…」

召喚士「うん……」

戦士「…おっ、見えてきた!あれかっ!!」

召喚士「うん!」

目の前にそびえ立つ強固な城壁。その先にちらほらと光が見える。

魔道士「ここが西国のとりでですね〜」

召喚士「さて、神官さんはいるかな……?」

テクテクテクテク

召喚士「あの、すみません」

西国兵「…はい?」


704 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:08:22.32 ID:99/CZB6Oo
召喚士「神官さんはいらっしゃいますか?」

西国兵「神官様……ですか?」

召喚士「召喚士、と申します。お会いしたいのですが…」

西国兵「しばしお待ちを」

ザッ…テクテクテク…

双子姉「神官さんという方は」
双子妹「偉い方なのですか?」

戦士「ああ。西国のナンバー2だからな」

双子姉妹「――っ!!」

しばらくの後、先程の兵が慌てて戻ってくる。

タッタッタッタッタ

西国兵「どっ、どうぞ!お入り下さいませ!!」

召喚士「ど、どうも……」

魔道士「失礼します〜」

双子姉「凄い……」
双子妹「態度の急変…」

戦士「…いつもの事だ。気にすんな」


705 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:09:13.61 ID:99/CZB6Oo


カツカツカツ

西国兵「お連れ致しました!!」

召喚士「……神官さんっ!」

神官「これは皆様、遥々どうなさいましたか?」

魔道士「ご無沙汰してます〜」

召喚士「実は…神官さんにお伺いしたい事がありまして…」

神官「私に、ですか……?」

召喚士「はい」

神官「何でしょう?」

召喚士「……西方で妙な噂を聞きました」

神官「噂……ですか?」

召喚士「何やら、古代の召喚術の書物を探している者がいるとか…」

神官「古代の……?」

召喚士「はい。本国にあったものです。盗賊団に依頼し、それを…」


706 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:09:48.87 ID:99/CZB6Oo
神官「もしやそれは、アヌビスの手掛かりになるのでは…?」

召喚士「……?」

神官「どこにあるのです!?」

召喚士「い、いやっ。俺もそれが知りたくて……」

神官「何と、そうでしたか……」

戦士「神官さんじゃねーのか?」

神官「残念ながら……私ではありません」

召喚士「……そうでしたか」

魔道士「良かったです〜」

神官「良かった…?」

召喚士「…何でも、その召喚術は禁呪と言われるものらしく……」

神官「……禁呪」

召喚士「ええ。自己犠牲の元に、召喚獣を呼び出すと……」

神官「……何とも物騒な話ですね」

召喚士「ええ、そうなんです」


707 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:11:12.73 ID:99/CZB6Oo
神官「……成程、理解出来ました」

盗賊「……」

神官「それが私の仕業ではないかと……」

戦士「…ああ。ぶっちゃけその通りだ」

神官「……そうでしたか」

召喚士「少し、心配してしまって……」

神官「ありがとうございます。しかし、私ではないようです」

魔道士「良かったですよ〜」

戦士「つー事は、他に禁呪を用いようとしている奴が……?」

召喚士「いるって事だね……」

神官「……ふむ。西方にそのような召喚士がいるとは聞きませんが」

召喚士「とにかく、もし会う事があったら伝えて下さい」

神官「分かりました。心得ておきましょう」

魔道士「これでひとまずは…安心ですねっ!」

召喚士「ええ、良かったですよ!」


708 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:11:41.19 ID:99/CZB6Oo


戦士「……」

盗賊「……」

双子「凄い…」
双子妹「ご馳走です」

神官「さぁ、遠慮せずに御寛ぎ下さい」

召喚士「……何だか…すみません」

魔道士「いつもいつも本当に……」

神官「良いのですよ。我々がこうしているのも皆様のお陰です」

戦士「じゃあ…遠慮なく……」

盗賊「…いただきます」

双子姉「この人達……」
双子妹「本当に何なの」

魔道士「こっちが聞きたいです……」

召喚士「ええ…本当に……」

いつもの如く、大層な持て成しを受け、夜は更けた。


709 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:13:42.67 ID:99/CZB6Oo
〜次の日〜

召喚士「それでは、お世話になりました」

双子姉妹「なりました〜!」

神官「いえいえ。また是非、お越し下さいませ」

戦士「そっちも頑張って下さい」

神官「ええ、ありがとうございます」

盗賊「……それじゃ、行こう」

魔道士「失礼しまーす!」

召喚士「では、また」

テクテクテクテクテク

神官「……」

クルッ…ザッザッザッザ

副官「お帰りになられたようですね」

神官「…ああ」

副官「思ったより…情報が漏れているようで」


710 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/14(月) 13:17:11.93 ID:99/CZB6Oo
神官「……きにする事はない。地下の施設は見られておらぬ」

副官「アヌビスの研究ももうじき官僚致します。そうすれば…」

神官「…ああ。完成してしまえばもう、どうする事も出来ぬ事さ」

副官「……しかしっ、本当に宜しいのですか……?」

神官「……私の問題だ。君達が心配する必要はない」

副官「しかし……」

神官「私一人の命で、何百の犠牲が救えるのだ」

副官「……」

神官「それで良いではないか」

スッ…テクテクテクテク

副官「神官様……っ」

西方での一件も、ひとまずは収束し、召喚士らは本国へと戻る。

その裏では人々の想いが交差し、事態はその刻へとむかっている。

彼らが全てを知る時、迎える結末とは如何なるものなのか。

それはまだ誰も知らない……。



〜第四十部、完〜



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