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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その16
- 530 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2010/06/30(水) 23:47:59.56 ID:w5N7ySwo
召喚士「行けっ!スキュラ!!ユニコーン!!スフィンクス!!」
サモナー「おいで…シーサーペント!!」
神官「我に力を貸したまえ!バステト!!テフヌト!!」
青年兵「出でよっ!ワーム!!リンドブルム!!」
ゴゴゴゴゴゴ…シュイイイイィィンッ…
隊長「なに…ぃ…!?」
戦士「こ…こいつは……っ!!」
盗賊「……凄いっ!!」
アカ・マナフ「……馬鹿な…っ」
四人の呼びだした召喚獣達。その数は合計で12体にも及ぶ大勢力である。
召喚士「はぁ…はぁ…っ。さぁ…いくぞ!!」
青年兵「みせてやる…っ!僕らの力を!!」
サモナー「頼むよ…。召喚獣達!」
神官「……行けぃ!!」
四人は同時に号令をかけ、天地問わず、多数の召喚獣がアカ・マナフへと遅いかかる。
- 547 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:36:17.24 ID:MWrP/1co
ドドドオオォォ…
アカ・マナフ「……」
青年兵「いけぇ!!」
ドドオオォォンッ!!
アカ・マナフ(…これは…なかなか)
サモナー「逃がすかっ!」
ヒュンッ!!……ズガアァッ!!
アカ・マナフ(短期決戦でカタを付けるつもり…か)
神官「セクメト!右方より回りこめ!」
ドズウゥンッ!!……ブンッ!!
アカ・マナフ(注意すべきは…石化のあいつ…)
猛攻をものともせずその身に吸収し、はたまた上空を無尽に飛びまわり、
攻撃のことごとくを無効化していくアカ・マナフはただ一点のみを追い続ける。
アカ・マナフ「……」
コカトリス「……」
- 548 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:37:48.72 ID:MWrP/1co
バシュウゥゥ
召喚士(相手も分かっている…。コカトリスの石化の事…)
召喚士は上空を動き回るアカ・マナフを必死に目で追う。
召喚士(そして常に警戒している。…即ち、石化は無効化出来ない…!)
ヒュンッ!!
アカ・マナフ「……おっと」
コカトリス「…ち…っ」
召喚士(そしてそれは、他の三人も分かっている事…!)
神官(ここに来て合体魔法のない召喚獣ばかりとは……)
サモナー(召喚士君に頼らざるを得ない…。情けない話だ…)
青年兵(でも…!囮になるぐらいの事は…出来るっ!)
三人の召喚獣がアカ・マナフを取り囲むように接近する。
サモナー「攻撃を受ければ…おそらく一撃で消し飛ばされる…」
神官「魔力は失うのは厳しいでしょう…。回避重視で牽制して下さい」
青年兵「召喚士さんとコカトリスには…近づけさせないっ!!」
- 549 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:38:51.64 ID:MWrP/1co
神官が呼び出した三匹の召喚獣。セクメト、バステト、テフヌト。
外見は近しいが、各々の能力は当然ながら異なるものである。
テフヌト「ゴオオォォッ!!」
テフヌトの雄叫び。それは支援にあたり、魔物の動きを硬直させる。
そうは言ってもこの強大な敵においては、一瞬の戸惑いを与えるにすぎない。
セクメト「ガアアァァー!!」
セクメトの火の息。それは攻撃にあたり、魔物の体を瞬時に焼き尽くす。
そうは言ってもこの強大な敵においては、一瞬のめくらましにすぎない。
神官(あの時と同様。握りつぶしても煙となり…四散するだけだろう…)
あの時。神官は即ち、西方…ピラミッドでのヴァンパイア討伐を思い返す。
アカ・マナフ「…君、しつこいね」
炎の中よりアカ・マナフが現れ、もやを収縮し一気に周囲へ放つ。
…が、それは一匹の召喚獣によりガードされ、あっけなく雲散霧消する。
バステト「……」
バステトの両前足。それは防御にあたり、魔物の攻撃を防ぐ盾となる。
- 550 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:40:21.39 ID:MWrP/1co
召喚士「す…ごっ!」
サモナー「好守にバランスの取れた…良い召喚ですね」
青年兵「でも…相当の魔力を消費するのでは…?」
事実その通りであった。神官の魔力ではこの三匹がほぼ精一杯の状態。
それでも以前は同時召喚など容易ではなく、戦うなどもっての他。
アカ・マナフ「…本当に…しつこいな」
神官「逃がすか…っ!」
ここまでの戦闘をこなせる様になったのは、神官自身のたゆまぬ努力による賜物。
青年兵「ワイバーン、リンドブルム!左右から援護だ!」
サモナー「地上は僕に任せて…っ!」
召喚士「スフィンクス!正面で盾になるんだ!」
スフィンクス「うんっ!任せて!!」
召喚士(ここでコカトリスを一度下げて……)
神官(召喚士殿、狙う気だな…?ようし……)
召喚士の動きに連動するように、神官は召喚獣を更に前進させる。
- 551 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:41:01.12 ID:MWrP/1co
ギィンッ!!…ガキイィンッ!!…ギィンッ…ギィンッ!!
副隊長「ぬ…っ!うぐっ…!」
隊長(だいぶ引き離したな……)
戦場を見渡し、各々の動きを確認する隊長。その表情には余裕が見られる。
隊長「ヒヨッコと思いきや…意外にやるじゃねぇか」
目線の先で剣を交える戦士。その遠く背後には盗賊の姿。
西門前へでは魔道士とウィッチが、それぞれ対峙している。
隊長「こいつを沈めるのは容易い…。だが……」
殺したくはない。その言葉を飲み込み、隊長は眼前に迫る剣を捌く。
チュインッ!!……ザザッ
戦士「はぁ……はぁ…はぁ…」
ザッザッザ
男隊員「……」
戦士「体力も長く続くわけじゃねぇ…っ。ボチボチやるしかねぇか…!」
戦士は額の汗を拭い、手にした雷切を鞘の中へと納めた。
- 552 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:41:45.63 ID:MWrP/1co
タンッ…ザザァ
盗賊「…!?」
戦士の納刀に、盗賊が反応する。
盗賊(戦士…やる気か…)
雷切の鞘を再び逆さに構える戦士。同調するように盗賊も腹部の鎖をほどく。
戦士(魔法が来たら後ろに跳ぶ…。向かって来たら……)
男隊員「……ヒヒッ」
ダンッ!!
戦士「その場で…抜く!!」
長剣を振りかぶり、一気に間合いを詰める男隊員。戦士に動きはない。
タタッ……ヒュオッ
顔の前に振り下ろされた剣を、すんでのところで半歩、右に身体を進める。
振り下ろされた刀身を掻い潜るかのように、居合いによる雷切の一撃が
稲光を伴い、男隊員の脇腹へめり込み、その身を大きく後方へと吹き飛ばした。
戦士「……みね打ちじゃ。安心せい…ってか」
- 553 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:42:18.38 ID:MWrP/1co
ドシャアァッ…ズザアァ…
男隊員「が…っは…あぁ…!!」
盗賊「…どこがみね打ちだっ、馬鹿者っ!」
強撃によりもがき苦しむ男隊員を見て、思わず怒鳴る盗賊。
しかしその身体は女隊員へと向けられ、手にした鎖を小気味良く振り回す。
ヒュンヒュンヒュンッ…
女隊員「……!?」
盗賊(あとは…私の魔力次第…っ!)
ジャラララッ……ビュオッ!!
盗賊の手から離れた鎖は、一直線に女隊員めがけて放たれる。
女隊員「……っ!!」
ジャララッ……チッ!!
間一髪、その鎖をかわしながら、女隊員は上空より盗賊めがけ飛んだ。
盗賊「読んでる…っ!」
女隊員「……!?」
- 554 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:43:09.05 ID:MWrP/1co
ビュンッ!!
左手にしたクナイを三本、上空の女隊員へ投げ飛ばす。
女隊員が小剣で二本弾くと同時に、盗賊は右手の鎖を強く引く。
三本目のクナイは捌ききれず、女隊員は身を懸命にひねり、それをかわす。
バッ!!
女隊員「…!?」
盗賊「詰みだっ!」
盗賊の回し蹴りが女隊員の腹部へ直撃し、更に上空へと吹き飛ばす。
ドゴォッ!!
女隊員「くぅ…っ!!」
ジャラッ…
盗賊「はあぁ…っ!!」
グイィッ!!…ジャララッ!!
女隊員「!?」
盗賊(魔力を高めれば…自在に操れる…はずっ!)
- 555 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:44:03.84 ID:MWrP/1co
鎖は女隊員の周囲を囲み、瞬時の内にその輪を狭め始める。
ギュルギュルギュルッ!!
全身へ纏わりつくように身動きを封じる鎖。それはまるで意思を持った生物の様相。
ギュルルッ…ギチィッ!!
女隊員「くあ…ぁ…っ!!」
盗賊「捉えた……」
クイッ…ドサァ
女隊員「ん…っ!く…くぅ…っ!」
盗賊「…ふー。……完了」
戦士「終わったみてぇだな…!」
戦士は親指を突きたて、笑顔で盗賊へ向ける。
盗賊「……ん」
盗賊は恥ずかしそうに右手を上げ親指を立て、返す。
戦士「へっへ…!」
盗賊「……ふふっ!」
- 556 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:44:49.74 ID:MWrP/1co
ジャリッ…ズシャァ
隊長「ほぉ…、片付けたか」
副隊長「……!?」
隊長「しかも軽症たぁ…大した奴らだ」
ギキィンッ!!
隊長「しかし…情けねぇ部下を持ったもんだよ、ほんと…」
剣を交えながら、隊長は溜息交じりにぼやく。
副隊長「く…っそぉ」
隊長「そんじゃこっちも…行くか!」
ブンッ……ドッゴオオォォッ!!
隊長の一振りにより地面が割れ、小石や岩の破片が舞い上がる。
戦士「また…ギアを入れ始めたな」
盗賊「……」
戦士「盗賊、魔道士の援護に回るぞ!あっちは放っておいても大丈夫だろ」
盗賊「…うん!」
- 557 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:45:45.68 ID:MWrP/1co
魔道士とウィッチ。つい2年前までは、さほど魔力差もなかった。
ウィッチ「……たぁっ!!」
魔道士「…っ!!」
ドドオォンッ!!…ゴオオォォッ!!
ウィッチの放つ火と風の合体魔法。それを魔道士は容易に相殺する。
魔道士「ウィッチちゃん…っ」
ウィッチ「……くぅ!!」
その魔力差は、2年の経験によるものか、はたまた互いの才能によるものか。
タッタッタ
戦士「援護…。特に不要みたいだな」
盗賊「……ああ」
明らかに力を抑え、ウィッチと対峙する魔道士を見つめ、二人は呟く。
魔法がメインではない両者が、傍から見てもその実力差は歴然であった。
戦士「盗賊、頼むわ」
盗賊「……ん」
- 558 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:46:33.13 ID:MWrP/1co
ドドオオォォンッ!!
ウィッチは手を休める事なく魔法を放ち続ける。
だが、疲労は目に見えて分かる状態で、その威力自体も落ちていた。
盗賊「……」
タタッ
魔道士ただ一点を狙い、攻撃を続けるウィッチ。その背後に盗賊が息を殺し、迫る。
魔道士「……っ」
魔道士は表情を曇らせ、受け身一辺倒であった魔法を、攻撃に転じる。
右手に握られた杖が一瞬光ると、ウィッチの身体は浮かび上がり、
当人が風の魔法だと認識する頃には、その身を上空へと投げ出していた。
ウィッチ「……!?」
ダンッ!!
盗賊「……」
上空で盗賊が待ち構える。普段は逆手に構える蜘蛛切を、右手で握り締める。
そのまま柄の底をウィッチの首へ、少し力を加えながら振り下ろした。
- 559 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 17:47:15.84 ID:MWrP/1co
ヒュッ…トンッ
急所を突いたその一撃によりウィッチは意識をなくし、それを盗賊が抱きかかえる。
ガシッ……スタッ
魔道士「盗賊さんっ!?」
盗賊「…大丈夫。気を失っている…だけ」
魔道士「良かったぁ…っ」
戦士「これでこっちは片付いたか…」
盗賊「…ああ」
戦士「あっちで倒れてる二人も門まで運んでこよう」
盗賊「…だな」
戦士「んで、二人はここで見張っててくれや」
魔道士「戦士さんは…?」
戦士「まぁ心配ないと思うが、あっち見てくるわ!」
魔道士「あ…っ!ちょっと……っ!」
戦士は隊長と副隊長の攻防を指差し、そのまま駆け出した。
- 560 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 18:06:19.06 ID:MWrP/1co
タッタッタッタッタ…
隊長「あん?」
戦士「……」
隊長「ほぉ、お勉強熱心だ事…」
ギキィンッ!1
隊長「部下に欲しいぐらいだねぇ〜」
戦士(親父の時もそうだが、達人の戦いぶりを身近で見て学ぶ…)
キィンッ!!…ガキイィィ!!
戦士(上達にはそれが一番手っ取り早い…!)
副隊長「お…っのれぇ!!」
副隊長は間合いを取り、火行による炎を放つ。
ドドオオォォンッ!!…ゴオオォォ!!
隊長「だ…っりゃああぁぁ!!」
戦士「!?」
隊長は避ける素振りも見せず、炎の中へと突撃した。
- 561 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/07/01(木) 18:23:53.20 ID:IRB5wEAO
なんでお前らそんなにラブストーリー読みたがるの?
優しさなのか漢字の間違えをバカにしてるのか…しかし、どちらにしても
メルシィ!!
- 562 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 18:26:37.45 ID:MWrP/1co
戦士「熱く…ねぇのか!?」
炎の中より姿を現し、隊長が大声で叫ぶ。
隊長「熱いに決まってんだろぉがっ!!」
バッ!!
副隊長「くっそ……っ!!」
隊長「そろそろ終わりにしようや」
目の前に現れた隊長により、副隊長の右腕がへし折られる。
ゴキィッ!!
副隊長「ぐあ…ぁ…っ!!」
ザザッ…バッ!!
隊長「逃がすかっ!!」
副隊長「…!?」
バキィッ!!…ドサァッ
隊長「おいっ、手伝え」
戦士「!?……お、おう…っ!」
- 563 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/07/01(木) 18:32:34.15 ID:O.GfP1k0
なんか今日は・・・地の分が語り部っぽいっかんじだな
- 564 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/07/01(木) 18:44:58.66 ID:MWrP/1co
こんばんは!多数のリクエストありがとうございました!
>>534
サモナーをヒュドラにしようと思ったらスキュラでした…。合掌…
>>535
いえいえ!こちらこそ嬉しい限りです。ありがとうございます!
>>541
>>410-411なのですが、西方といえど国軍だらけなので、
ちょっと気まずそうな雰囲気を出そうとしたら…
表現力が足りませんでした…すみません!
>>561
人気に嫉妬!!
>>563
毎度毎度、稚拙な地の分で申し訳ないので、変化を付けてみました!
読み辛かったら言ってくださいねっ!
ご意見、要望、リクなどなど…本当に感謝感謝でございます!
それでは失礼致します!ノシ
- 572 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/02(金) 17:04:10.08 ID:BHExu3Yo
ドサッ…
副隊長「うぐ…っ!」
隊長「しばらくそこで寝てろ」
ワイヤーのようなもので縛り付けられた副隊長は、西門前に放り出され、
先程掴まった二人の隊員と、気を失っているウィッチと共に横たわる。
魔道士「ついさっき、伝令が向かいました!」
隊長「てぇ事は…衛生兵ももうじき来んだろ」
戦士「……」
男隊員「…う…っ」
隊長「別にお前は悪くねぇぞ。責任感じる必要はねぇ」
戦士「…?」
隊長「コイツの…そして俺の甘さが生んだ結果だ。責任は俺にある」
戦士「……」
隊長「今は奴らの勝利だけを信じて…祈ってやろうぜ」
隊長は正面を向き、アカ・マナフと交戦する召喚士達を見つめた。
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