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少女「戦場みたいな街に堕ちてしまった」
190 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 02:45:02.46 ID:YuZpmXq40
男「・・・ん??」

辺りが白い。

白一色に染められている。ペンキでもぶちまけたような毒々しい白。

今、僕は目を開けているのか??それとも閉じているのか??

何も見えない。

??「・・・起きて」

嗚呼、その声を聞いて僕は直感した。

僕は、死んだんだ。


191 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 02:48:43.45 ID:YuZpmXq40
??「ねえ、起きて??」

誰かの声がする。聞いたことのあるような。ないような。

目を開けると、真っ白な空間の中心に、少女が立っていた。

少女「おはよう」

男「君は、誰??」

少女「あたし、リン」

男「そうか、リン。僕は、死んだ・・・のか」

少女「そうよ。ここは天界。言い換えれば天国」

少女「そして、あなたは今から天使になったの」

男「・・・そうか」

理解が付いていかない。ただ、僕のことを知っているような彼女を、僕は知らない。

そして、僕のことも、僕は知らない。


192 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 02:49:49.54 ID:nOK0TspaO
いやあああ男死んじゃいや;;


195 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [3度目の猿でした] :2009/02/07(土) 03:04:04.48 ID:YuZpmXq40
少女「人は死ぬとね、生前の記憶を一切失うの」

少女「だから、誰も名前なんかないし、生前の地位とか名誉も一切関係ないの」

男「でも、君さっきリンだって」

少女「この名前はね、ムサシがつけてくれたのよ」

男「ムサシ??」

少女「そ、ムサシ。あなたの生前の名前」

男「・・・悪いけど、何にも覚えてないな」

少女「・・・うん、しょうがないよね」


196 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 03:06:16.13 ID:tTwQ+LV4O
序盤の名前が無いってあながち嘘じゃなかったんだな


197 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 03:09:47.99 ID:YuZpmXq40
男「君はなぜ僕との関わりを覚えているの??死んだら忘れるんだろ??」

少女「それはちょっとややこしい話があるから、ゆっくり話してあげる」

男「そっか・・・で、僕はこれからどうしたら」

少女「まずは、大天使様に挨拶に」

男「・・・連れてってくれる??」

少女「うん、それがあたしたちの仕事だからね」


198 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 03:10:10.20 ID:/7jrbu9zO
持ち味の切なさがよく出てるな…


199 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 03:12:05.42 ID:nOK0TspaO
少女=妹 じゃないよな…?


200 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 03:13:30.88 ID:VEENLgG0O
予想やめろ


201 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 03:15:51.79 ID:YuZpmXq40
大天使「よく来たな」

男「はぁ・・・」

まあ死後の世界だ。来たくて来たわけじゃあるまいが。

それにしても、大天使というからにはもっとでっかい人を想像してたが、幼女じゃないか。

大天使「まあ素行は良好。人助けもしたし、こちらに来るには十分すぎるほどだな」

少女「・・・」

大天使「なんだ、お前はまだ機嫌を損ねたままか」

少女「・・・」

男「??」


202 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 03:20:31.54 ID:YuZpmXq40
大天使「さ、これからお前のすべきことを説明する」

男「はぁ・・・」

どんなに偉そぶっても、威厳がない。

大天使「まず、お前はこれからヒラ天使として勉学に励むこと」

大天使「魔法学、家事学、スポーツ学、医学、経済学、芸能学、歴史学・・・」

大天使「とまあ色々あるが、これらをある水準まで学べば少しずつ天使としてのランクが上がる」

大天使「最終的にはまた地上に戻り、人間として生活ができる」

男「そういう・・・システムだったんですか」

大天使「まあ天界での記憶は一切消去され、赤ん坊からのスタートだがな」

男「リンは・・・」

大天使「コイツはだめだ。落ちこぼれだからな。10年以上も天使をやってるのはこいつくらいのもんだ」

少女「・・・ふん」


203 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 03:25:32.37 ID:YuZpmXq40
天使1「大天使様」スッ

大天使「ん、どうした」

天使1「Bの北地区で、またあの男が騒ぎを起こしたようです」

大天使「・・・またか・・・性懲りもなく」

大天使「おい、勉学以外の仕事を説明するからよく聞け」

大天使「一口に天使といっても、色々なタイプがいる。中には地獄向きとまでは言わないが、変わった性格のやつもいる」

大天使「そいつらの監視と、制圧だ。男、お前は平凡そのものだったから危険思想もないだろう」

大天使「ちゃちゃっと抑えてきてくれ」

男「は、はあ・・・」

少女「はい。ムサシ、行こ」グィ

男「う、うん」


204 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 03:30:25.19 ID:YuZpmXq40
男「すげー。空飛んでる」

少女「・・・」

男「なーリン、大天使様と口利かなかったのはなんで??」

少女「別に」

男「機嫌悪いのか??」

少女「ちょっとね」

男「あ、あれか。人だかりできてる」


206 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 03:36:18.65 ID:YuZpmXq40
大天使「10年以上・・・か」

大天使「そういえば、あの男も、同じ頃からいるな・・・」

天使「あの、『ハカセ』がですか??」

大天使「ああ、懐かしいなw思えば、こっちに来た時からずっと勉学そっちのけで・・・w」


少女「ハカセ!!」

博士「おお、どうした」

少女「どうしたーじゃないよ。何やってんの!?」

博士「いや、新しい研究に目処がついたから、実験しようかと思ってね」

少女「って周り瓦礫だらけじゃん。死者が出るよ!?」

博士「大丈夫だって。天使はめったなことじゃ死なないだろ」

少女「ったく」

博士「おや??そっちの君は、新入りかい??見ない顔だね」

男「あ、どうも、初めまして。僕は―」


★おしまい★


207 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 03:40:39.88 ID:/Lu1WxPs0
乙!これでやっと寝れる……

こういう終わり方凄く好み
どっかで母親とも会うのかな?


208 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 03:44:53.20 ID:YuZpmXq40
母親については想像してくれ あえて出さなかった

さて・・・もう1時間程付き合ってくれる元気がある人がいたら、ムサシ生存END貼っていきます


209 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 03:47:44.75 ID:h1dbdk9WO
いちおつ


チョコミントアイス食ったみたいな読後感だ


210 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 03:49:00.50 ID:YuZpmXq40
もう人いないのかな・・・でも貼る


男「・・・ん??」

辺りが白い。

白一色に染められている。レースのカーテンでも引いてあるかのように、儚い白。

今、おれは目を開けているのか??それとも閉じているのか??

何も見えない。

??「・・・起きて」

嗚呼、その声を聞いておれは直感した。

おれは、生き延びたんだ。


211 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 03:50:07.18 ID:nOK0TspaO
いちおつ、非常におもしろかった
まじかよ
俺は見てるぞ


212 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 03:52:19.30 ID:nIh3bbHMO


213 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [少ねえwでも超感謝] :2009/02/07(土) 03:56:19.95 ID:YuZpmXq40
少女「ムサシ・・・」

男「リン・・・あれ??おれ死んだんじゃ」

少女「大天使様がね、最後の最後に、魔力を全部戻してくれたんだ」

男「大天使様が・・・??そっか・・・そっか・・・」

少女「助かって・・・よかった」

男「ありがとう」

少女「いいよ、お礼なんて」

男「ありがとう」


214 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 04:01:45.03 ID:YuZpmXq40
男「な、これって膝枕??」

少女「う、うん、一応ね」

男「・・・照れるなー」

少女「・・・うっさい」

男「空が青いな」

少女「そう・・・だね」

男「??」

少女「ん??」


216 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 04:06:41.21 ID:YuZpmXq40
男「なんか元気ないな」

少女「気のせい気のせい」

男「ほんとか??」

少女「ほんとほんと」

男「2回言うと嘘っぽいよな」

少女「・・・」


217 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 04:10:00.00 ID:ZjIh6hLhO
男「弾が切れた・・・畜生、死にたくねぇよ・・・・・」



女「なら生きな、ほら弾だ」
男「女!なんでここに・・・」
女「なんで?だ、お前を殴りに来たんだ、アイツラ掃討したら一発殴るからな」


218 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 04:12:04.18 ID:nOK0TspaO
誤爆か?


とにかく支援


219 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [>>217素晴らしいスナイパー] :2009/02/07(土) 04:14:14.32 ID:YuZpmXq40
少女「これから・・・どうしようっかな」

男「・・・え??」

少女「もう、魔法、使えないかもしれないんだ」

男「なんで??」

少女「・・・てゆーかね、もう、天界に帰れないかもしれない」

男「・・・え??」


220 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 04:17:07.65 ID:YuZpmXq40
少女「お父さんの機械、壊れちゃったね」

男「あ、ほんとだ・・・」

少女「・・・」

男「まあ、最後に役に立ったし、父さんの研究は完成したし、いいさw」

少女「・・・」

男「あ、あのさ」


221 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 04:21:02.33 ID:YuZpmXq40
男「さ、さっきのって、どういうこと??」

少女「いや・・・えっと・・・忘れて」

男「ゴメン・・・おれのせいか・・・ゴメン・・・」

少女「まあ・・・お互い、無事でよかったじゃん。ね」

男「でも、リンお前、天界に帰れなくなったって・・・よかったのか??大丈夫なのか??」


222 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 04:24:42.81 ID:YuZpmXq40
少女「見て・・・この手」

男「手??」

少女「苦しくて、怖くて・・・ほら、震えてる。帰りたいけど、帰りたくない・・・そんな気持ち」

男「だ、大丈夫か??」

少女「さっきまで・・・平気だったんだよ??でも・・・」

少女「理由は・・・なかったよ。ただ、ムサシを助けたかった。一緒にいるのが・・・心地よかったから・・・かな」


223 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 04:30:24.92 ID:YuZpmXq40
男・少女「あ、あのさ・・・」

男・少女「・・・」

男「リンから、言っていいよ」

少女「頑張って、さ。魔力戻すよ。そしたら、色々できるし」

少女「友達が家にきたら・・・隠れてるしさ」

男「うん。友達いないけどなw」


224 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 04:36:04.68 ID:YuZpmXq40
少女「だから・・・もう少しだけ・・・一緒にいさせて」

男「・・・いいよ。おれも、さ・・・お前のこと」

少女「・・・」

男「好き、だし・・・多分」

男「きっと上手くやっていけると思うし」

少女「!!」


225 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 04:37:31.38 ID:oMhYRkmpO
頑張れ>>1、俺は全部読んでるぞ


226 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 04:41:05.71 ID:YuZpmXq40
少女「・・・ありがとう」

男「うん」

少女「・・・安心したら、お腹すいたな」

男「うんw」

少女「リュック貸して」ゴソゴソ

少女「ほら、これ食べよ」

男「サンドイッチ!!お前・・・いつの間に入れ・・・」

男「・・・いや、お前今魔法で出したろw」

少女「あは、ばれたw」

男「魔法使えるじゃん」

少女「ん??・・・そうだね。これは使えるみたいだね」


228 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 04:44:28.94 ID:YuZpmXq40
少女「ね、なんか唄ってよ」

男「ここで??」

少女「なんか楽しい唄」

男「・・・じゃあ、さ。お前の唄作ってやるよ」

少女「あたしの??」

男「そ。唄いだしは・・・」

男「戦場みたいな、街に堕ちてしまって♪」

男「とかどう??」

★今度こそ、おしまい★


230 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 04:50:04.58 ID:nOK0TspaO
乙乙乙乙乙乙乙
おもしろかった
ありがとう


231 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 04:54:53.71 ID:oMhYRkmpO
乙、読んでて楽しかったW


232 :1 [] :2009/02/07(土) 04:56:07.93 ID:SIUnixZDO
ここまで付き合ってくれた人どうもありがとう
>>221-224 は最後におれからのメッセージなんだぜ


233 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 04:59:29.43 ID:nOK0TspaO
気付かなかったw
粋なはからいだな 乙


234 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 05:17:16.06 ID:NDxHE2viO
メッセージ?よくわからんが乙でした


235 :HAM ◆HAM/FeZ/c2 [] :2009/02/07(土) 05:21:00.62 ID:YuZpmXq40
>>234
VIPPERならわかるはず
I
P


236 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 05:28:53.48 ID:NDxHE2viO
あ、なるほどね
改めて乙でした


237 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 05:32:18.69 ID:wiTieMVXP
乙!
俺も大好き!


238 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 05:55:19.99 ID:bdzFAwE6O
うむ 良かった


239 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 06:27:22.46 ID:YuZpmXq40
朝まで残っててくれって言ってた人はいつか来るだろうか


240 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 06:31:59.63 ID:bdzFAwE6O
読みたきゃ来るだろう


241 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 06:41:31.10 ID:YuZpmXq40
残しといてあげたいと思ったが限界
おやすみ
みんなありがとー


248 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 09:21:44.98 ID:tTwQ+LV4O
いちおつー
最後よく作ったなw


249 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 09:33:43.86 ID:S28mDOI90
せりふ縦読みか。
さいごまでみてくださりありがとうだいすき!


255 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 12:04:43.49 ID:/7jrbu9zO
この作品の元ネタは皆知っているのだろうか


256 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 12:12:34.76 ID:h1dbdk9WO
いちおつ

寝起きにカフェモカ飲んだような読後感だ


257 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 12:46:24.98 ID:S7xqj/l70
>>255
元ネタ知らないけど面白かったぜ


258 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 12:57:23.22 ID:dvD7GaNzO
今追い付いた。乙だよ乙
元ネタ知らないから、ずっと男→前原圭一、少女→なぎで脳内変換されていたw


260 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 13:26:00.15 ID:qc1hH6iZ0
おぉ、完結乙!
凄く面白かったぜー、最後よかった!



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