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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その26
52 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:13:27.61 ID:QMQV7h+3o
〜東方、都〜

戦士父「……おぉー」

シャンシャンシャン

魔道士「夜なのに、随分と活気がありますねぇ!」

召喚士「おそらく、都付近の魔物が居なくなったからでしょうね」

戦士「やっぱいいよな…この、夜の東方の雰囲気!」

盗賊「……ああ、華やかだ」

テクテクテクテク

客引き「兄ちゃん達っ、どうだい?酒に女…揃ってるよぉ〜」

戦士「おぉー」

魔道士「戦士さんっ!」

戦士「冗談だっての」

召喚士「まずは宿を確保しないといけませんね」

戦士「…と、なると」

盗賊「……あそこか」


53 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:14:02.95 ID:QMQV7h+3o
〜旅籠〜

女将「まぁまぁ、いらっしゃいまし」

召喚士「夜分遅くすみません」

女将「あら、うちは全然構いませんよ」

魔道士「また、お世話になりますーっ」

女将「…あら、こちら初めてお目にかかるお顔やわぁ」

戦士父「…どうも。世話になります」

女将「いいえ〜。こちらこそ」

魔道士「こちらの戦士父さんは、戦士さんのお父さんなんですよっ」

女将「あらまぁ、そうだったの」

戦士「…はぁ、まあ」

女将「親子で有難いわぁ。それじゃすぐに仕度してきますわね」

ササッ…パタパタパタッ

戦士父「……何だ?」

戦士「…別に」


54 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:14:38.44 ID:QMQV7h+3o


召喚士「さて、明朝からの予定ですが……盗賊さん」

盗賊「…ん?」

召喚士「槍の使い手とか、情報は分かりますか?」

盗賊「…聞いた事ないな」

戦士「…となると、まずは情報収集からか」

戦士「どこに聞きゃいいんだ?」

魔道士「あっ、盗賊さんのおうちなら何か分かるんじゃないですか!?」

戦士「情報収集も生業だもんな」

盗賊「…うん」

召喚士「最終手段はそれですね」

魔道士「という事は…後はぁ……」

戦士「鬼丸にも聞いてみっか。相当数の武器を溜め込んでるみてーだし」

召喚士「そうだね。あとは……あの人か」

戦士父「……?」


55 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:15:10.31 ID:QMQV7h+3o
〜朝、名代の屋敷〜

戦士父「ここは…?」

魔道士「名代さんのお屋敷です」

召喚士「こちらの方は本国で言う、右大臣様のような役職の方です」

戦士父「…ほう、大物だな」

召喚士「さて、いるかな…?」

ザッザッザ

召喚士「すみませーん」

小姓「……?」

召喚士「あの、名代さんはいらっしゃいますか?」

小姓「名代様ですか?生憎、おりませんが……」

召喚士「いつ頃お戻りで?」

小姓「…戦ですから、いつになることやら」

召喚士「……そうですか」

小姓「何か、ご伝言などあれば伝えますが…?」


56 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:15:37.69 ID:QMQV7h+3o
召喚士「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」

ザッザッザ

戦士父「戦…?」

召喚士「おそらく、帝が東方平定に動いているのではないかと…」

テクテクテク

戦士「名代はどうだった?」

召喚士「それが、不在で……」

戦士「そっちもか」

召喚士「え…?という事は……」

盗賊「…鬼丸も…いなかった」

召喚士「……みんなで払ってるって事か」

戦士「どういう事だ?」

戦士父「どうやら、戦いが始まっているらしい」

魔道士「名代さんも、それでいらっしゃらないみたいなんですよ」

戦士「……そういう事か」


57 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:16:06.85 ID:QMQV7h+3o
盗賊「…どうする?」

召喚士「…ひとまず、城へ向かってみましょう」

盗賊「…上様も…いないのでは?」

召喚士「ええ。ですが、他の方ならいる可能性はあります」

戦士「行くだけ行ってみるか」

召喚士「うん」

テクテクテクテク

門番壱「……ややっ!?」

門番弐「あ、あなた方は…っ!」

召喚士「ど、どうも……」

門番壱「藤蔵の姫ではござりませぬかっ!」

門番弐「生憎、上様はご出兵なされておりまして……」

召喚士「ええ、そのようですね」

盗賊「…藤蔵の者はおるのか?」

門番壱「はい。今は土忍様がおられますが……」


58 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:16:33.25 ID:QMQV7h+3o
盗賊「…ちと会わせて貰えぬか?」

門番壱「勿論です。さぁどうぞ、お通り下さいませ」

魔道士「ありがとうございますっ!」

テクテクテク

戦士父「…凄いものだな。この国でも顔パスか」

戦士「大したモンだろ?」

戦士父「お前の力じゃないだろ」

戦士「……けっ」

一同は正門を抜け、そのまま西門へと向かい、藤蔵の詰所を訪ねた。

盗賊「……おーい」

土忍「……姫っ!?」

戦士父「…なぁ」

戦士「んー?」

戦士父「さっきから姫って言っているが、何なんだ?」

戦士「あー、あいつ…東方の姫様なんだよ」


59 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:17:02.93 ID:QMQV7h+3o
戦士父「!?」

召喚士「領主の娘のようです。東方ではかなりの地位かと……」

戦士父「……そうだったのか」

盗賊「土、ちと聞きたい事があるのだが……」

土忍「…何なりと。戦の事ですか?」

盗賊「それも気になるが、別件だ」

土忍「…?」

盗賊「東方で槍の使い手と言えば、何か情報はないか…?」

土忍「槍…ですか?そうですね……」

盗賊「……」

土忍「使い手は存じませぬが、総本山などはどうでしょうか?」

魔道士「総本山?」

盗賊「…ああ、全国に建立されてる寺の本拠と言ったところだ」

召喚士「なるほど。そこは槍で有名なのですか?」

土忍「…うむ。東方における槍術の頂点と言っても、過言ではないな」


60 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:21:51.32 ID:QMQV7h+3o
戦士「なるほど。その…総本山てのに行けば槍の手がかりが……」

土忍「…ああ」

召喚士「盗賊さん、場所は分かりますか?」

盗賊「…一応」

土忍「この時期はなかなかきついものがありますぞ?」

盗賊「分かってるよ」

召喚士「…?」

盗賊「とにかくありがと」

土忍「あ、姫……」

盗賊「…?」

土忍「もしなんでしたら、一度御館様にご相談なされては?」

盗賊「父上に…?」

土忍「御館様であれば、総本山の法主様とも懇意であられます故……」

盗賊「なるほどな。どうせ通り道だ、寄ってみよう」

土忍「それに……」


61 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:25:58.93 ID:QMQV7h+3o
盗賊「…?」

土忍「いえ、何でもありませぬ」

盗賊「土、ありがとな」

土忍「姫様もお気を付けて」

召喚士「ありがとうございました」

戦士「そんで、まずは盗賊の家へ行くのか?」

盗賊「…ああ。そうする」

魔道士「それじゃ、はりきって行きましょーっ!」

テクテクテクテク

土忍「……喜ぶなどと申せば、御館様に咎めを受けてしまうやもしれんからな。ふっ」

五人は土忍より話を伺い、城を出て都を離れる。

その足でまず目指すは、都より北に位置する藤蔵の屋敷。

戦士「お前も久々に、親父に会えて嬉しいんじゃないか?」

盗賊「…べ、別に嬉しくはないし…久しくもないっ」

道中、東方の風情を楽しみながら夜には藤蔵へと到着したのであった。


62 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/02/26(土) 03:30:24.62 ID:QMQV7h+3o
PSPとマウス握って落ちてましたごめんなさい…
ちょっとだけだけど投下。そして寝ます…
ご支援ありがとうございましたーおやすみー!ノシ

〜オマケ〜

御館様「むっ!?」

侍女「…どうなさいました?」

御館様「見ろ、茶柱が立っておる」

侍女「おぉー、良い事あるかもしれませんね」

御館様「しかも、先程から何か悪寒のようなものが……」

侍女「あら、風邪ですか?」

御館様「たわけ。忍が風邪など引くものか」

侍女「でも、火は体調不良で寝込んでますよ?」

御館様「……」

侍女「…あっ、言わない方が良かったかしら…っ」

御館様「……火はどこにおる?」

侍女「えっと、離れの屋敷に……って、どうするおつもりですか!?」

御館様「…なぁに、すぐに任務へ向かうか切腹するかは選ばせてやるつもりだ」


64 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/26(土) 03:32:12.35 ID:4yjuLDguo
>>1乙
ここでご両親顔合わせか……これで色々と円滑に進められるな……


74 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/26(土) 15:32:04.84 ID:5ataSmzgo
スレ民の迷走


84 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/02/26(土) 20:06:55.12 ID:j70Uf5IAO
レスを控えろ
もうすぐで>>1登場。


85 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/26(土) 20:21:36.55 ID:0YJ8OfFAO
  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ


86 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:44:12.00 ID:mLnmhV20o
〜藤蔵〜

盗賊「…着いた」

戦士父「これは…家なのか?」

召喚士「まぁ、城と言った方が近いかもしれませんね……」

ザッザッザ…

男忍「……姫っ!?」

盗賊「ただいま」

男忍「おかえりなさいませ!ささっ、どうぞ」

魔道士「失礼しますーっ」

テクテクテクテク

風忍「……姫っ!!」

侍女「おかえりなさーい!」

タッタッタッタ…ガバッ!!

侍女「最近、頻繁に帰ってきてくれて…嬉しいわぁ〜!」

盗賊「……」


87 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:44:48.82 ID:mLnmhV20o
風忍「…こちらの御仁は?」

戦士「ああ、俺の親父だ」

風忍「――っ!!」

侍女「……っ!!」

ズザッ

侍女「とうとうこの刻が…来てしまったのね……」

戦士「はぁ?」

風忍「姫……っ、お気持ちは…変わらないのですか…?」

盗賊「…何が?」

侍女「あとは……御館様を口説き落とせるかどうかね…っ」

風忍「…うむ。こうなったら我らも、出来る限りの協力はしようではないか」

侍女「そ、そうね……っ」

盗賊「さっきから何を言っておる」

侍女「ご安心を…!私達は姫の味方ですからっ」

盗賊「だから、何の話だっ!!」


88 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:45:14.27 ID:mLnmhV20o


風忍「御館様のお成りである」

スッ…スタスタスタ

御館様「一同、面を上げい」

スッ

盗賊「この度はお目通り頂き、恐悦至極」

御館様「うむ。して、今日は何用じゃ?」

盗賊「父上にお力添え頂きたく……」

御館様「……申してみよ」

盗賊「槍の総本山、我らはそこへ向かいたく…」

御館様「…ほう。理由を申してみよ」

盗賊「それはこちらの方より…」

スッ

戦士父「始めまして」

御館様「そなた、見ない顔だな。何者だ?」


89 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:45:41.33 ID:mLnmhV20o
戦士父「……一介の旅人です」

風忍「こちらの、戦士殿のお父上にあられるそうです」

御館様「何…?」

戦士父「戦士父、と申します」

御館様「何故、総本山へと向かわれる?」

戦士父「私は、とある理由の為…世界中を回っております」

御館様「……」

召喚士「ゾディアックと呼ばれる、12本の槍を探しているんです」

御館様「それが総本山にあると?」

戦士父「東方に存在する、とまでしか分かりませぬ」

戦士「土忍の話によると、総本山が槍術に長けていると…」

盗賊「そこに手がかりがあるのでは、と踏んでおります」

御館様「それで、どうしろと?」

盗賊「もし面識がおありならば、事を円滑に進める為……」

御館様「助力せよと申すか」


90 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:46:07.64 ID:mLnmhV20o
盗賊「……いえ、その…っ」

御館様「構わん」

盗賊「……っ」

御館様「総本山は元より、来る者拒まず。まぁ問題はあるまい」

盗賊「…はっ」

御館様「しかし、法主への書状の一つでもあれば話は早かろう」

盗賊「……」

御館様「明日にでも整える。今日は泊まっていくが良い」

盗賊「…有難う御座いまする」

戦士父「助かります」

御館様「うむ」

スッ…スタスタスタスタ…

盗賊「……良かった」

召喚士「無事、いきそうですね」

盗賊「…ああ」


91 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:46:34.13 ID:mLnmhV20o


ホーッ…ホーッ

戦士父「東方も、夜は冷えるな」

戦士「だな。ま、どこに居ても世界は一緒って事だろ」

戦士父「その通りだな」

スタスタスタ

魔道士「いいお湯でしたねーっ」

召喚士「魔道士さん、ええ…やっぱり天然の温泉はいいですね」

風忍「そうであろう?」

召喚士「風忍さん」

スタスタスタ

風忍「まだ、眠らんのか?」

召喚士「あの、風忍さん。お聞きしたい事が……」

風忍「……もしや、戦の事かな?」

召喚士「……ええ」


92 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:47:06.07 ID:mLnmhV20o


ジャリッジャリッジャリッ

盗賊「……父様」

御館様「……」

縁側に座り、夜空を見上げ佇む盗賊の元へ、

石庭の脇を歩き、父である尾館様が無言で歩み寄る。

盗賊「…上様は、大丈夫ですか?」

御館様「……ああ。あの方の強さは本物だ」

盗賊「……」

御館様「物理的なものではない。芯の強さだ」

盗賊「…ええ」

御館様「物理的なものは、我らが補えば良い」

盗賊「……火と、水が付いているそうですね」

御館様「流石に此方も、全員を派遣するわけにはいかんからな」

盗賊「あの二人、大丈夫でしょうか……」


93 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:47:32.91 ID:mLnmhV20o
御館様「……ふっ」

盗賊「……?」

御館様「お前に心配されるようになるとは。二人も落ちたものよ」

盗賊「あ、いえ…っ、そうではなく……仲が…悪いから」

御館様「たわけが。戦の最中に私情を挟むほど愚か者ではないわ」

盗賊「……っ」

御館様「名代や鬼丸も付いておる。何も心配はあるまい」

盗賊「ええ……」

御館様「槍の総本山。強いぞ」

盗賊「……」

御館様「心してかかれよ」

ジャッジャッジャリッ…

盗賊「父上…っ!」

御館様「…?」

盗賊「……おやすみ…なさい…っ」


94 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:48:05.02 ID:mLnmhV20o


召喚士「…なるほど、火忍さんと水忍さんが…っ」

戦士「それに名代さんと鬼丸だろ?まぁ安心だわな」

戦士父「反抗勢力は強いのかな?」

風忍「いえ、数はさほどでもありません。徐々に平定も進んでおるようです」

魔道士「おぉーっ」

風忍「この調子でいけば、半年とかからず東方も平定される事でしょう」

召喚士「そうすればいよいよ……」

風忍「はい。本国と正式な同盟へと進みます」

戦士「そこでついに……」

戦士父「ああ。五ヵ年計画の…最後が始まる」

風忍「…?」

召喚士「最後…即ち、魔王討伐……」

戦士父「そういう事だ。心してかかれよ」

召喚士「……はいっ」


95 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:48:32.34 ID:mLnmhV20o
魔道士「それじゃ、おやすみなさーい!」

戦士「俺らも寝るか」

召喚士「うん、おやすみなさい」

スタスタスタ

戦士「…親父、行かねーのか?」

戦士父「ああ、もう少ししたら戻る」

戦士「……んじゃ、おやすみ」

戦士父「……」

ジャッジャッジャ…

戦士父「……どうも」

御館様「…まだ、起きておられたのか」

戦士父「…東方の夜空は始めてでしてな」

御館様「本国とは違いますかな?」

戦士父「違うようで同じようで……。何とも言えませんな」

御館様「……宜しければ、一献傾けるかな?」


96 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:49:02.93 ID:mLnmhV20o


戦士父「すみません。酒は弱いもので…一杯だけ……」

御館様「構わぬ。此方こそ下戸なのに申し訳ない…」

戦士父「いえいえ、では…頂きます」

コクッ

戦士父「……効きますなぁ」

御館様「…ふっ」

戦士父「……失礼ですが、奥方は?」

御館様「…既に死別しておる」

戦士父「それは失礼……っ」

御館様「構わん。……貴殿は?」

戦士父「…私もです。随分と前に」

御館様「そうであったか……」

戦士父「…実は、妻も軍人でしてね」

御館様「…もしや、戦死なされたのか…?」


97 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:49:46.73 ID:mLnmhV20o
戦士父「……ええ」

御館様「それは…気の毒な」

戦士父「…私は、妻を救ってやれなかった」

御館様「……」

戦士父「だから軍より身を引いたのです」

御館様「そうであったか……」

戦士父「そして、息子には同じ道を歩んで欲しくなかった」

御館様「…親の背を見て、育ったのでしょう」

戦士父「いえ、私は何も語っておりませんし、見せてもいません」

御館様「……」

戦士父「あいつは自分の意思で、戦いの中に身を置いたのです」

御館様「そうであったか」

戦士父「血は争えぬ…と言ったところか」

御館様「しかし貴殿も、今は戦いの中にその身をおいておられる」

戦士父「学んだのでしょうね」


98 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:50:51.35 ID:mLnmhV20o
御館様「……ほぅ」

戦士父「しかも息子から。学んだのでしょうね」

御館様「……」

戦士父「ただ、逃げているだけだと思い知らされたのです」

御館様「それもまた、一つの道なのでしょうな」

戦士父「貴殿は強いですな」

御館様「……?」

戦士父「一人娘なのでしょう?」

御館様「あれも勝手に、飛び出しただけの事」

戦士父「……」

御館様「それを制する道理など、某には持ち合わせておらぬ」

戦士父「…成程。しかし、その身に何かあれば……」

御館様「父である前に藤蔵の長。長である前に…東方の忍」

戦士父「……」

御館様「某とてそうして生きてきた」


99 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/27(日) 00:51:18.94 ID:mLnmhV20o
戦士父「……」

御館様「兄弟もそうやって死んでいった。今更の事よ」

戦士父「しかし逃げなかった。やはり貴殿は強い」

御館様「強さの形など一つでは御座らん」

戦士父「確かに、そうかもしれませんな」

御館様「……盗賊を頼みます」

戦士父「保障は出来ませぬ。この先の戦いは、熾烈を極めます」

御館様「……」

戦士父「しかし、目に届く限りは…出来るだけの事は致しましょう」

御館様「忝い……」

戦士父「……良い娘さんをお持ちで。羨ましい限りです」

御館様「…ただの世間知らぬな小娘ですよ」

ジャリッ

御館様「…さて、そろそろ失礼致そうか。……話せて良かった」

戦士父「……こちらこそ」


102 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/27(日) 01:26:56.23 ID:RrJR7ZcAO
>>1おつ

そういえば昔は戦士父がホームレス状態なのを最近の活躍ですっかり忘れてたわ


104 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/27(日) 02:00:17.37 ID:l+YLImiDO
>>1乙!
パパ会談が平和に終わって良かったwwww


106 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/02/27(日) 06:14:26.54 ID:xWrKh6yDO
>>1乙
結局戦士父はどんな強敵に出会ったんだろうか



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