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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その27
669 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:24:58.18 ID:dongO//7o
〜国軍本部、通信室〜

博士「それじゃ、どうぞなのら」

鍛冶娘「……っ」

カチャッ

鍛冶娘「……き、聞こえる?」

鍛冶屋『聞こえる聞こえる!うはぁ、すごいねぇ!!』

鍛冶娘「お父さん……っ!?」

鍛冶屋『ちゃんと聞こえるよ〜。元気〜?』

博士「うむ。うまくいったみたいなのら」

おかみ『ほらっ、さっさと替わりな!』

鍛冶屋「ちょっ――』

おかみ『鍛冶娘……かい?』

鍛冶娘「お母さん……っ」

おかみ『いやぁ、凄いもんだね。離れた場所なのに、ちゃーんと声が届いてるよ!』

鍛冶娘「……うん」


670 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:25:26.65 ID:dongO//7o
おかみ『元気で頑張ってるかい?』

鍛冶娘「……うん」

おかみ『忙しいだろうけど、身体壊さず頑張るんだよっ』

鍛冶娘「うん。ありがとう」

おかみ『まとまった休みが取れたら、顔見せに帰ってくるんだよ』

鍛冶娘「うん、分かってる」

おかみ『……じゃあ、お父さんに替わるね』

鍛冶娘「うん」

おかみ『ほらっ、何すねてるんだい!早く出なよっ』

鍛冶屋『だってぇ、取り上げるんだもの〜』

おかみ『あんたが要点纏めないから代弁したんじゃないのさっ』

鍛冶屋『はいはいはいはい、替わりますよ〜』

鍛冶娘「お父さん?」

鍛冶屋『はいはい。お父さんですよ〜』

鍛冶娘「えっとね、私いま――」


671 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:25:53.24 ID:dongO//7o
ガシッ

鍛冶娘「あっ!?」

博士「おまっ!!」

戦士父「ゾディアック1本追加だ。これから向かう」

鍛冶屋『へぇ!?誰――』

ガチャンッ

鍛冶娘「あ……っ」

戦士「……ん?マズかったか?」

鍛冶娘「……いえ」

博士「デリカシーのない男なのら……」

戦士父「……?」

鍛冶娘「別に……構いませんよ……」



召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第四十四部〜


672 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:26:27.34 ID:dongO//7o
〜???〜

ヒュオオォォォォ

ネクロマンサー「……」

ザッザッザ

北方司令「……宜しかったので?」

ネクロマンサー「何がです?」

北方司令「……」

お父「……」

ネクロマンサー「あぁ、左大臣ですか。別に構いませんよ」

北方司令「そうですか」

ネクロマンサー「勝手に動いて自滅したのです。助け舟を出す義理はありませんよ」

お父「……」

ネクロマンサー「……さぁ、魔王城へ帰りましょうか」

北方司令「もう、良いのですか?」

ネクロマンサー「ええ。一角が頓挫すれば終わりです。もう期待は出来ませんよ」


673 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:26:58.95 ID:dongO//7o
〜本国、ワークショップ〜

タッタッタッタッタ

魔道士「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

カチャッ

店員「いらっしゃいま――!?」

ズイッ

魔道士「てっ、手紙をっ!!」

店員「は、はい……。こ、こちらに必要事項をご記入……下さいっ」



魔道士「……っ」

テクテクテク…パサッ

店員「お待たせ致しました」

ガバッ…タタッ

魔道士「ありがとうございます!」

店員「……い、いえ」


674 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:27:48.58 ID:dongO//7o


魔道士「……やっぱりバーテンさんの所だっ!」

スッ

魔道士「ありがとういございましたっ!!」

店員「い、いえっ!お気をつけ――」

タッタッタッタ…

店員「て……」

タッタッタッタッタ

魔道士(久し振りに……みんなに会える)

タッタッタッタッタ

魔道士(そして……これからはずーっと……)

タッタッタ…ガツッ…ドテッ

魔道士「一緒にいぃ……いたたぁ〜」

スリスリ…スクッ

魔道士「え、えへへ……っ」


675 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:28:25.82 ID:dongO//7o
〜師匠の家〜

召喚士「うぅ〜ん……」

テクテクテク

戦士「おはよう」

召喚士「あっ、おはよう。朝ご飯出来てるから食べてて」

戦士「お、悪いな」

ザッ

戦士「……あれ?盗賊は?」

召喚士「朝稽古ついでにふもとの町まで買い物に行ったよ」

戦士「ふぅん」

召喚士「もうすぐ帰ってくると思うけど」

戦士「そんじゃ、あいつが帰ってきてからメシにすっか」

召喚士「先に食べてていいって言ってたけど」

戦士「いいよいいいよ。待ってようぜ」

召喚士「それもそうだね。そうしよっか」


676 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:28:53.27 ID:dongO//7o


盗賊「……ただいまー」

召喚士「あっ、おかえりなさい」

戦士「何買いに行ってたんだ?」

盗賊「……ん」

戦士「りんごジュース?」

盗賊「……だって、牛乳嫌いだし」

戦士「あっそ」

召喚士「それじゃご飯にしましょうか」

戦士「おう、食おうぜ!」

盗賊「……先に食べてて良かったのに」

戦士「みんなで食べた方がいいだろ、お前の為に待ってたんだよ」

盗賊「……あ、ありがとっ」

召喚士「ははっ。それじゃ、いただきます」

戦士「いっただっきまーす!」


677 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:29:47.10 ID:dongO//7o
〜本国、街道〜

魔道士「……」

キョロキョロ

魔道士「よしっ、誰も居ないっ!!」

タッタッタ…ザザッ

魔道士「――!?」

王宮兵「……お、お待ちを!」

魔道士「……っ」

ザッザッザ

エリート「やはりこちらでしたか」

魔道士「エリート……さん……」

エリート「魔道士さん、挨拶もなしに……」

魔道士「お願いしますっ!見逃して下さい!!」

エリート「……」

魔道士「私、どうしても……」


678 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:30:28.27 ID:dongO//7o
エリート「……ふふっ、引きとめる事など出来ませんよ」

魔道士「え……っ?」

エリート「但し、この方達のお話だけは、聞いてあげて下さい」

魔道士「……?」

カチャッ…スタスタスタ

魔道士「……!!」

大商家「…………」

魔道士母「……」

エリート「では、私と馬車はあちらで待っておりますので」

テクテクテクテク

大商家「何と……申せば良いか……」

魔道士「……」

大商家「私は……貴女をずっと、騙し続けていた……」

魔道士母「……」

大商家「もちろん、その償いをせよと言われれば……覚悟は出来ております」


679 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:30:56.82 ID:dongO//7o
魔道士「……」

大商家「但し、これだけは信じて欲しい」

魔道士母「私達夫婦は、貴女の事をずっと……」

魔道士「あの」

大商家「……?」

魔道士「お二人は、陛下の命で私をお育てになられていたのですか……?」

大商家「……残念ながら」

魔道士「……っ」

大商家「残念ながら、違います」

魔道士「!?」

大商家「元来、子供の出来なかった私達二人……」

魔道士母「実の……我が子と思って育ててきました」

魔道士「……っ」

大商家「だから、貴女が王女の立場を捨てると言うならば……」

魔道士母「私たちは貴女を王女などとは呼びません」


680 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:31:31.18 ID:dongO//7o
大商家「我らが名付けた、魔道士……と呼ばせて貰います」

魔道士「…………」

大商家「そして許されるならば、父と母として、接していきたい!」

魔道士母「貴女の育った家も、屋敷の者らも……そして私達も貴女の家族よっ!」

魔道士「……ひっ、ひぐ……っ」

大商家「許してくれるかい……魔道士?」

タッタッタッタ…ガバッ

魔道士「お父様……っ、お母様ぁ!!」

大商家「魔道士……っ!!」

魔道士母「ありがとう……本当にありがとうっ!」

魔道士「うあぁ……っ!こちら……っこそ、ありがと……!!」

大商家「今は辛い時だと思うが、全てが終わったら……」

魔道士「ひぐっ……うん……っ、うんっ」

大商家「待っているよ。魔道士、君の育った……君の家で」

魔道士「うんっ!私……頑張る、頑張るから……っ!!」


681 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:32:02.33 ID:dongO//7o


魔道士母「ほら、お化粧が台無しよ?」

魔道士「……ありがと」

フキフキ

大商家「では、改めて……頑張ってな」

魔道士「はいっ、行ってきます。お父様、お母様」

魔道士母「お肌に傷など付かぬよう、気を付けるのですよ?」

大商家「お金や武具に困ったら、気軽に相談しなさい」

魔道士「大丈夫、大丈夫だから」

魔道士母「強い子になったわね」

ギュッ

魔道士「……お二人の……お陰です」

キュッ

魔道士それでは、魔道士……行ってまいりますっ!えへへっ!」

タッタッタッタッタ


682 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:33:21.93 ID:dongO//7o
大商家「……行ってしまったな」

魔道士母「……ええ」

大商家「これで……良かったのだろうな」

魔道士母「……ええ」

ザッザッザ

エリート「無事、旅立たれたようですね」

大商家「何かと辛い思いをさせてしまった」

エリート「お二人のせいではございませんよ」

大商家「では、我らも失礼するよ。世話になったね……右大臣殿」

エリート「……いえ、こちらこそ。お元気で」

魔道士母「それでは」

カチャッ…パッカパッカパッカ…

エリート「……他言無用だぞ」

王宮兵「……心得ておりますっ!」

エリ−ト「ならば良し。さて、私達も王宮へ戻るぞ」


683 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:34:25.00 ID:dongO//7o
〜新聞社〜

コンコン…カチャ

編集長「あー失礼します」

社長「……」

編集長「号外は予想以上の反響でした」

社長「……」

編集長「明日の一面も左翼崩壊の特集でいきますんで」

社長「……」

編集長「それじゃ、失礼します」

パタン…テクテクテクテク

記者「どうでした?」

編集長「……特に何にも言われなかった」

記者「急にどうしたんでしょうね、今まで随分と報道規制を敷いてたのに」

編集長「さぁな。帰ってきてからすっかり抜け殻みてぇになっちまったわ」

記者「まぁこれで、ようやくですが……女記者の仇をとれそうですね……」


684 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:35:27.06 ID:dongO//7o


社長「……」

フワァ

社長「……?」

スクッ

社長「窓など開けていたか?いつの間に……」

天才「よう」

社長「――っ!!」

天才「よっと」

スタッ

社長「な……なな……っ」

天才「こーしてマトモにツラ合わせんのは、随分と久々だわなぁ」

社長「何者だ貴様……っ!?どうやってここに……」

天才「どうやってって、窓からだよ」

社長「なっ、何階だと思っているのだ!?バカな……っ」


685 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:36:31.29 ID:dongO//7o
天才「んな事ぁ、どーでもいいんだよ」

社長「……っ」

天才「まぁ、その様子じゃあ何も覚えてなさそうだわな」

社長「……なっ、何が目的だ!?金かっ!?」

天才「はぁ。そんな品のないナリに見えますかねぇ?」

社長「何だと言うのだ……っ、もう勘弁してくれぇ……!」

天才「……はー、もういいわ」

社長「……ひっ、ひいぃ!?」

天才「そんじゃ用件だけ言わせて貰うわ。……引退してくれ」

社長「!?」

天才「社長を降りろって言ったんだよ。な、汚職でどうせ逮捕なんだからよ?」

社長「なっ、なん……」

天才「権力に固執しちまうと……人間堕ちるもんだねぇ」

社長「……っ」

天才「昔のアンタ、もっとギラギラ輝いてたぜ?」


686 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:37:35.21 ID:dongO//7o
社長「っ!?」

天才「ま、50年以上も経っちゃ、人間変わるってか」

社長「あ、あんた一体……」

天才「歳も歳だ、今のうちに辞任して罪を認めりゃ、逮捕は逃れるかもしれんぜ?」

社長「……くっ」

天才「そろそろ、若い奴らに時代を譲ろうじゃねぇか」

社長「……」

天才「新しい時代が、待ってるぜ」

社長「時代……?」

天才「……そんだけだ。んじゃ、あばよ!ハーッハッハ!」

社長「――っ!!」

バッ!!

社長「今の笑い声……まっ、まさか……っ」

窓より外へ飛び降り立ち去る天才を、慌てて追いかけて覗きこむ社長。

社長「新しい……時代、か」


687 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:38:33.95 ID:dongO//7o
〜病院〜

院長「……」

ドクター「僕は、この病院の在り方に、常に疑問を抱いておりました」

院長「……」

ドクター「世界の各地には病人や怪我人が大勢います」

院長「……ああ」

ドクター「だったら渡り歩いて、救ってやろう。そう思い、旅に出ました」

院長「……救えたか?」

ドクター「救えた命も多数あります。ですが、救えなかった命も多数です」

院長「……」

ドクター「それは何故か?簡単な事です。設備、そして医者が足りないのです」

院長「……」

ドクター「当院だけがこのような設備を持って、中央に君臨する」

院長「……それが、気に食わないか?」

ドクター「いえ違います」


688 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:39:13.92 ID:dongO//7o
院長「……?」

ドクター「見聞し、改めてここの重要さは認識致しました」

院長「……」

ドクター「しかし、ただ偉そうに踏ん反り返っているだけでは駄目なのです」

院長「……」

ドクター「政界との結びつきだけを持ち、保身の立場であるというだけでは駄目なのです」

院長「ドクター、お前……」

ドクター「これだけの力がありながら、何もしないわけにはいかないのです」

院長「……お前は何を望む?」

ドクター「陣頭に立ち、今の在り方を変えねばなりません」

院長「……」

ドクター「ここで優秀な医師を、設備を作り上げ、輩出せねばいけません」

院長「……成程な」

ドクター「それこそが、僕達のすべき……宿命なのではないでしょうか?」

院長「宿命……か」


689 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:39:50.99 ID:dongO//7o


カチャッ

院長「……兄上」

院長兄「出来立てのフィナンシェ、持って来たぞ」

院長「……」

院長兄「ドクターも自分の考えを、しっかり持つようになったじゃあないか」

院長「聞いていたのですか?」

院長兄「まさか。さっきすれ違っただけさ」

院長「……」

院長兄「以前のような優男の顔付きではなかった。あれは強い意思を持った瞳だ」

院長「……ええ」

院長兄「そろそろ、か?」

院長「……私は、家名に傷を付けぬ様、ただそれだけに必死でした」

院長兄「……」

院長「それがどうだ。結果としてこのような事を……汚名を残して……っ」


690 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/11(月) 18:40:27.72 ID:dongO//7o
院長兄「お前が悪いわけではない。お前に押し付けた私にも責任がある」

院長「我らが夢見た医療、それをドクターは為しえてくれるでしょうか?」

院長兄「私は挫折し逃げた。お前は挫折し見てみぬフリをした」

院長「……」

院長兄「しかし、この病院は大きく力を付けて保たれた」

院長「はい」

院長兄「あとはそれを託して、身を引こうじゃないか」

院長「……」

院長兄「菓子作りもなかなか、楽しいものだぞ」

院長「我が始祖はどんな思いだったのでしょうか……」

院長兄「さあなぁ。そればかりは分からぬ事よ」

スッ…パクッ

院長「……美味い。やはり兄上の作られたフィナンシェは美味いですね」

院長兄「ちょっとコツがあってな。お前には特別に教えてやろう」

院長「……ははっ、それは有難いです」



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