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少女「治療完了、目を覚ますよ」−オリジナル小説
591 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:43:12.95 ID:vW73a+6T0


汀は、きょとんとして目の前の、背の低い女の子を見上げた。

施術室で目を覚ました時、
腕組みをした女の子が仁王立ちになっていたのだ。

脇で理緒がおろおろしている。

「やっと起きたわね、高畑汀。
この私を二時間三十五分も待たせてくれるとは、
いい度胸してるじゃないの」

鼻の脇をひくひくさせながら、女の子――ソフィーが言う。

汀は首を傾げて周りを見回した。

ソフィーのことは完全に無視していた。


592 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:43:49.97 ID:vW73a+6T0
「ここ……どこ?」

理緒にそう問いかける。

理緒はしゃがみこんで汀の頭を撫で、そして言った。

「赤十字の施術室です。これからお仕事ですよ」

「私、そんな話聞いてないよ」

それを聞いて、理緒は少し表情を暗くしたが、慌てて言いつくろった。

「急に決まったんです。汀ちゃん寝てたから、
起こしちゃ悪いと思って……」

「やだ、帰る」

また我侭を言い出した汀に、理緒は息をついてから言った。

「どうして? 患者さんがいるんですよ」


593 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:44:34.32 ID:vW73a+6T0
「今日はそんな気分じゃないの。何か……むしゃくしゃする」

「でも、今日ダイブしないと患者さんが危ないんです」

「知らないよ、そんな赤十字の都合なんて」

赤十字の医師達に囲まれている状況で、汀が大声を上げる。

「帰る!」

「汀ちゃん、落ち着いて……
終わったら一緒にゲームしよ? 折り紙も教えてあげるから……」

「やだやだ! 今帰る!」

駄々をこねる汀を、呆気に取られてソフィーは見ていたが、
彼女はすぐに怒りの表情に代わり、
バンッ、とテーブルを平手で叩いた。


594 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:45:22.42 ID:vW73a+6T0
それに汀がビクッと体を震わせる。

「とんだ侮辱ね……この私を前にして、
よりにもよって『帰る』……?
一体どれだけの労力かけてここまで……」

「汀ちゃん、起きたのか!」

そこで大河内がゆっくりと施術室の中に足を踏み入れた。

汀が一瞬ポカンとした後、慌てて右手で病院服のしわを直す。

「せ……せんせ!」

「心配したぞ。高畑が汀ちゃんに薬を投与したって言ってたから、
今日の施術が出来るかどうかも、分からなかったしな」

大河内はそう言って汀を抱き上げた。


595 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:45:58.17 ID:vW73a+6T0
汀は顔を赤くして、右手を大河内の肩に回した。

そして頭を擦り付ける。

車椅子に取り残された小白がニャーと鳴いた。

「せんせ、会いたかったよぉ。どうしてすぐ来てくれなかったの?」

「仕事が立て込んでいたんだ。悪かったな」

理緒が、大河内の出現で、
とりあえずは安定を取り戻した汀を見て息をつく。

そこで大河内は、
肩をわなわなと震わせてこちらを睨んでいるソフィーを目に留めた。

そして汀を抱いたまま、彼女に片手を向ける。

「紹介がまだだったな。こちらは……」


596 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:46:34.13 ID:vW73a+6T0
「フランソワーズ・アンヌ=ソフィーよ。
よく勘違いされるけど、日本人とフランス人のハーフだから。
高畑汀。会えて光栄だわ」

鼻の脇を吊り上げながら、
彼女は目だけは笑っていない顔で汀に手を突き出した。

しかし汀は、大河内を盾にするように体をひねると、
顔をしかめてソフィーを見た。

「……誰?」

「日本人は自己紹介も出来ないわけ?」

ソフィーがヒステリックに大声を上げる。

それにビクッとして、汀が小さな声で理緒に言った。


597 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:47:17.92 ID:vW73a+6T0
「理緒ちゃん、お家に帰ろうよ……」

「汀ちゃん、それは……」

言いよどんだ理緒の言葉を、
やんわりと遮りながら大河内が口を開いた。

「ソフィー、最初から喧嘩腰なのはいけないな。
ほら、二人とも怯えてしまっている」

「ドクター大河内。
彼女達の態度は、とても仕事に向かう姿勢だとは思えません。
そんな人達と、この私が一緒にダイブするなんて、
考えられないことです。ナンセンスだと思います」

はきはきと大河内にそう言うソフィー。

大河内は、汀を車椅子に戻し、彼女の膝に小白を戻してから言った。


598 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:47:56.24 ID:vW73a+6T0
「この子達の解決した案件は、説明したとおりだよ。
今現在、日本で一番確実な力を持っているマンンドスイーパーさ。
どうか、仲良くしてやってくれないか?」

彼にそう諭され、ソフィーが眉をひそめて二人を見る。

大河内はその視線を無視して、汀に言った。

「フランスの赤十字から派遣されてきた、
A級マインドスイーパーだよ。今回は協力して……」

「お断りします」

そこで、ソフィーが声を上げた。

医師たちがざわついて顔を見合わせる。


599 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:49:25.92 ID:vW73a+6T0
二人のSPにフランス語で何かを言い、
しかし彼らに止められ、しばらく口論してから、
ソフィーは向き直った。

そして、腕組みをして馬鹿にするように理緒と汀を見る。

「それでは、こうしましょう。私と、あなた達二人。
どちらが早く患者の中枢を見つけることが出来るか、競争しましょう」

「ソフィー、何を言い出すんだ」

大河内が息をついて彼女の方を向く。

「今回は協力すると、契約書にも……」

「どうです? 競争、しませんか?」


600 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:50:21.38 ID:vW73a+6T0
ニヤ、と笑い、彼女はきょとんとしている汀に言った。

「それとも、二人がかりでも、私に敵わないんでしょうかね?
『特A級スイーパー』の高畑汀さん」

挑発的にそう呼びかけられ、汀は、
そこで初めてはっきりとソフィーを見た。

そして眉をひそめて、彼女に言う。

「敵うとか敵わないとか、何の話をしているの?」

「実力に差があると、そう言いたいまでです。あなた達と、私には」

「面白いじゃないか。いいだろう。今回は競争だ」

圭介がそう言いながら、白衣を着て施術室に足を踏み入れる。

両手はポケットに突っ込まれていた。


601 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:50:53.42 ID:vW73a+6T0
「高畑……何を勝手な……」

大河内が止めようとしたが、圭介は柔和な表情でソフィーに向き直った。

「そんなに自信があるなら、
一回挑戦してみてもいいんじゃないかな?
フランスのマインドスイーパーさん」

「ドクター高畑……」

そこで、ソフィーは彼を汚物を見るような目で見て、吐き捨てた。

「元老院の子飼いと話すことは何もありません」

「つれないな。俺はただ、君を応援しようと……」

圭介はそう言いながら、包帯を巻かれた手を彼女に伸ばす。


602 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:51:35.53 ID:vW73a+6T0
ソフィーは怯えたように喉を鳴らすと、いきなり

「触らないで!」

と怒鳴って、その手を勢いよく振り払った。

「……ッ!」

圭介が顔をしかめて一歩下がる。

傷口を直撃したらしく、包帯にじんわりと血がにじんでいる。

「圭介……?」

不思議そうに、汀が口を開いた。

「どうしたの、それ……」

「……お前には関係ない」

「……圭介に何をしたの!」


603 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:52:18.16 ID:vW73a+6T0
汀が大声を上げて、ソフィーを睨みつけた。

豹変した彼女の調子に合わせることが出来ず、
ソフィーは言いよどんだ。

「わ……私はただ、振り払っただけで……」

「圭介に危害を加える人は許さない……!
競争でも何でも受けてやるわ。
あまりいい気にならないことね……!」

「ふ……ふん! 大概じゃない。
後で泣き面晒しても、私は責任を取らないから」

「二人とも落ち着いて……」

理緒がおろおろしながら汀を落ち着かせようとしている。


604 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:53:04.47 ID:vW73a+6T0
大河内はため息をついて、横目で圭介を睨んだ。

「……どういうつもりだ?」

小声で彼に問いかける。

圭介は柔和な表情のまま、口の端を吊り上げて笑った。

「いや、何。
フランスのマインドスイーパーとやらの『性能』を見てみたくてね」

彼の呟きは、大河内の耳にはっきりと届いた。

「それだけさ」

そう言った圭介を見て、大河内は息を呑んだ。

彼が、どこか暗い、表情の読めない不気味な顔つきをして、
ソフィーを見下ろしていたからだった。


605 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:53:34.43 ID:vW73a+6T0
ソフィーと汀が睨みあう。

圭介は柔和な表情に戻り、汀の頭を、
血が出ていない方の手で撫でた。

「あまり怒るな。俺は大丈夫だから。じゃ、準備を始めるぞ」

「高畑先生! 本当に競争なんて……」

理緒に頷いて、彼は続けた。

「ああ、勝った方には、ご褒美をあげよう」


606 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:54:14.24 ID:vW73a+6T0


ムスッとした表情のまま、汀は目を開けた。

そこは、地下室のような空間だった。

広さ十畳ほどの小汚い壁、床。

出口などはどこにも見られない。

天井には裸電球がゆらゆらと揺れながら、
時折点滅しつつ光を発していた。

「汀ちゃん……」

どこかおどおどしながら、理緒が後ろから近づいてくる。

「どこですか、ここ……?」


607 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:54:46.57 ID:vW73a+6T0
「表層心理壁の、煉獄に繋がる通路よ」

そこで、はっきりとした声が、二人の後ろから投げつけられた。

汀の肩の上で、小白がニャーと鳴く。

振り返った二人の目に、
腕組みをして高圧的にこちらを見ているソフィーの姿が映った。

「日本には馬鹿しかいないるのかしら?」

「フランスには礼儀知らずしかいないのね……」

汀が低い声でそう返す。

ソフィーは鼻を鳴らして、現実世界とは異なり、
しっかりと自分の足で地面に立っている汀を見た。

「へぇ……『かたわ』のままダイブしてきたらどうしようかと思ったけど、
そこら辺は特殊なのね、あなた」


608 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:55:24.01 ID:vW73a+6T0
平気で差別用語を口にし、
ソフィーは眉をしかめた理緒に目を向けた。

「何ボサッとしてるの? マインドスイーパーなら、
やらなくてはいけないことがあるんではなくて?」

「……あなたに言われなくても、分かっています」

理緒はそう言ってソフィーから視線を外し、
ヘッドセットのスイッチを入れた。

汀も遅れてスイッチを入れる。

「ダイブ完了しました」

「…………」

無言でソフィーを睨んでいる汀の横で、理緒が圭介に状況を説明する。


609 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:55:58.01 ID:vW73a+6T0
『今回のダイブでは、俺が三人のナビゲートをすることになっている。
だが、このダイブは「競争」だ。ひいきはしないから、そのつもりでな』

圭介がそう言うと、理緒が少し言いよどんだ後、言いにくそうに口を開いた。

「あの……先生。患者さんの命がかかっているんですよ?
競争だなんて……みんなで協力した方が……」

『出来るならそうしたらいい』

投げやりに圭介が言う。

突き放されて、理緒は何かをゴニョゴニョと呟こうとしたが、
失敗して口をつぐんだ。

不満そうな彼女の脇で、ソフィーは足を踏み出すと、扉の一角に目をやった。

そこだけ、鋲が打ちつけられた扉のようになっていた。


610 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:56:43.24 ID:vW73a+6T0
壁に、手の平大の窪みがある。

正方形だ。

そして、床には薄汚れたルービックキューブが転がっていた。

色がバラバラになっている。

ソフィーがそれを拾い上げた途端、
ガコンッ、という音がして四方の壁が一センチ程、
三人に向かって『近づいて』きた。

そう、壁と壁の距離が、狭まったのだ。

理緒がビクッとして肩をすぼめる。

汀は、まだ暗い視線でソフィーを睨んでいた。

ソフィーはそれを意に関することもなく、
ヘッドセットの向こうに言った。


611 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:57:31.00 ID:vW73a+6T0
「ドクター高畑。あなたのナビゲートを受けるのは心外だけど、
この際仕方ないわ。一時的に会話をしてあげます」

『それは光栄だ』

「心理壁に繋がる道を開きました。次の指示をお願いします」

カチャカチャとルービックキューブを動かし、
彼女は無表情でそれを壁の窪みに嵌めた。

色は、六色全て揃っていた。

また、ガコン、という音がして、
今度は十センチ程壁と壁の距離が狭まる。

「汀ちゃん! 壁が近づいてきますよ!」

「当たり前のことをいちいち喚かないで」

理緒の悲鳴を冷たく汀が打ち消す。


612 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:58:12.29 ID:vW73a+6T0
「それじゃ、お先に」

ソフィーがニッコリと笑って手を振る。

シャコンッ、と音を立てて、鋲がかかっていたはずの扉が開いた。

向こう側は白い空間になっている。

「え……? ちょ、ちょっと待って!」

理緒が大声を上げる。

しかしソフィーは口の端を吊り上げて笑った後、
壁からルービックキューブを抜いて、床に叩きつけた。

プラスチックが砕ける音がして、
ルービックキューブがバラバラになる。

また、壁が今度は十五センチほど近づいてきた。


613 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:58:50.16 ID:vW73a+6T0
かなり狭くなった部屋を見回し、
ソフィーは余裕の表情で白い空間に体を躍らせた。

次の瞬間、またシャコンッ、という音がして扉が閉まった。

そして鋲が内側からせり上がり、しっかりと扉を固定する。

「嘘……」

理緒が呆然として、砕けたルービックキューブに駆け寄る。

また、壁が狭まった。

「壊されちゃった……!
これ、多分この人の心の中に入る鍵なのに……!」

「選別してるのね。マインドスイーパー用のトラップだわ。
この患者、私たちのことをよく知ってる」


614 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 19:59:20.28 ID:vW73a+6T0
冷静に言う汀に、ルービックキューブの欠片を拾い集めながら、
理緒が青くなって言った。

「汀ちゃん手伝って! これを早く直さなきゃ……」

「そんな必要はないよ」

汀は肩の上の小白を撫でてから、不思議そうに理緒を見た。

「どうして、この人の心が作ったルールに、
わざわざ合わせなきゃいけないの?」

「でも合わせなきゃ扉が開かないんですよ。
他に、どうすればいいっていうんですか!」

「こうすればいいんだよ」

汀はそう言って、扉の前に立った。


615 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 20:00:02.63 ID:vW73a+6T0
部屋はもう、二人が立っているだけで
やっとといったくらいの四方の狭さになっていた。

汀は、軽く助走をつけると、右足を強く鉄の扉にたたきつけた。

凄まじい音がして、
次いで部屋のいたるところから、血液が噴出した。

それを浴びて、面白そうに汀は何度も、何度も扉を蹴った。

「汀ちゃん、何してるの……やめて!」

血の雨を浴びながら、理緒が悲鳴を上げる。

しかし汀は、扉を蹴るのをやめようとしなかった。

そして、遂に鋲と扉の継ぎ目から、大量の血液があふれ出す。

それが溜まって、二人の腰までを血が覆い隠す。


616 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 20:00:42.16 ID:vW73a+6T0
「あは……あはははは!」

血のシャワーを浴びながら、汀は嬌声を上げた。

そして、十数回目の蹴りで、扉がひしゃげ、どろりと溶けた。

汀は、そこで理緒の手を掴んで、
胸の高さまで上がって来た血液を掻き分けながら、歩き出した。

「行こ」

「汀ちゃん、これって不味いんじゃ……
だって、心の表層心理壁を物理的に破壊してるわけだから……」

「知らないよ、この人のことなんて」

汀は簡単に言って理緒を切り捨てると、その手を引いた。


617 名前:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY [saga] 投稿日:2012/10/21(日) 20:01:14.52 ID:vW73a+6T0
「早くしないと、あの女が一位取っちゃうでしょ?」

その無邪気な笑顔を見て、理緒は口を閉ざした。

言い知れない、何か邪悪なモノを感じたからだった。

しかし、体を包む生ぬるい血液の感触に、
汀の手を握り返してしまう。

彼女にニッコリと笑いかけ、汀は白い空間に身を躍らせた。



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