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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その26
875 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:24:15.62 ID:s3dHniQno
16時ごろ。本国、国軍本部正門前にて。

ザワザワザワ

戦士「あん?」

魔道士「何だか騒がしいですねぇ」

召喚士「あれは……新聞社の?」

戦士「まーたあの件かよ」

盗賊「……」

テクテクテクテク

記者「ですからっ、噂は本当なんですか!?」

副司令官「今それを究明しておるところです」

記者「しかし、既に身柄拘束へ向けて出兵しているとの噂も……」

副司令官「ですから、それも含めて後ほど改めて発表を……」

ザッザッザ

青年兵「副司令様、そろそろお戻り頂いて宜しいですか?」

副司令官「うむ。では、これで失礼します」


876 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:25:00.93 ID:s3dHniQno
ザッザッザ

記者「最後に一言っ!本当に内通者は存在するのですね!?」

ザッザッザ

副司令官「……やれやれ。困ったものだ」

青年兵「本当ですね」

ザッザッザ

召喚士「青年兵くんっ!」

青年兵(召喚士さん……っ!?)

正門前に群がる記者の隙間から見える召喚士らの姿。

召喚士「この騒ぎは……一体……っ」

記者「……朱雀先生っ!?」

召喚士「……記者さんっ!」

戦士「何なんだ、この騒ぎは……」

記者「……ええ、実は…ですね」

召喚士「…?」


877 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:26:05.44 ID:s3dHniQno


戦士「なにぃ!?」

魔道士「総司令さんが……内通者!?」

記者「そうなんですよ。それでこの騒ぎで……」

召喚士「……青年兵くん」

呼びかける召喚士の声に反応し、ただ首を横に振る青年兵。

召喚士「……っ」

盗賊「…違う。あの者は断じて…内通者などではない」

魔道士「そうですよっ、きっと誤解に決まってます!」

召喚士「……青年兵くん、僕らも何か――」

青年兵「召喚士さん、黙っていて下さい。これは国軍の問題なのです」

召喚士「そんな……」

青年兵「あなた方、ワーカーの出る幕ではありません。……お引取りを」

副司令官「では、参ろうか」

青年兵「……それでは」


878 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:27:25.69 ID:s3dHniQno
ザッザッザッザッザ

戦士「んだよあの態度……カンジ悪りぃ……」

召喚士「青年兵くん……」

魔道士「でも、やっぱり邪魔しちゃ悪いですよ…」

召喚士「…ええ、そうかもしれませんね」

盗賊「……」

戦士「頼まれたって手伝ってやるかっての!」

魔道士「戦士さんっ!」

戦士「おいおい、先に手を出すなって言ったのはあっちだぜ」

記者「朱雀先生方もご存知ないという事ですか……」

召喚士「…ええ、すみません。俺らも本国へ戻ったばかりで……初耳です」

記者「まさか国軍のトップが……。真実ならば大変な出来事ですよ……」

召喚士「……はい」

盗賊「…私は…信じぬぞ」

魔道士「もちろん私もです!」


879 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:28:35.00 ID:s3dHniQno
〜王宮〜

右大臣「エリート!これはどういう事か!?」

エリート「何のお話でしょうか?」

右大臣「総司令が内通者などと……そんな話があるかっ!!」

エリート「……現に、証拠もそろっているのです」

右大臣「そんなものは左翼でっち上げだ!お前はそれを鵜呑みにするのか!?」

エリート「……申し訳ないが、この件については国軍との共同作戦……」

右大臣「……」

エリート「それに、今更ごちゃごちゃ言われては敵いませんな……右大臣様」

右大臣「……っ」

エリート「では失礼」

スクッ…テクテクテク

右大臣「こ、こらっ!待てエリート!」

テクテクテクテク…パタン

右大臣「……馬鹿者めがっ!」


881 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:30:17.01 ID:s3dHniQno
テクテクテク

エリート「……」

皇太子「少し、強く言い過ぎではないのかね?」

エリート「殿下……」

皇太子「ここまで聞こえてきたぞ?」

エリート「…はぁ、すみませぬ」

皇太子「落胤の件で腹を立てているのは分かるが、それとこれとは別だぞ」

エリート「分かっております。おりますが……」

皇太子「もうじき、一段落もするさ」

エリート「…しかし、総司令は如何なる処分になさるおつもりで?」

皇太子「…国家反逆者は当然、死刑だ」

エリート「……しかしそれでは」

皇太子「そうするしかあるまい。彼には死んで貰う」

エリート「……分かりました」

皇太子「なぁに心配するな。万事、上手くいくさ」


882 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:34:39.67 ID:s3dHniQno
17時20分頃。南方、赤壁にて。

ザッザッザッザ

赤壁兵「ごっ、ご苦労様です……っ」

隊長「南方司令殿は?」

赤壁兵「奥にいらっしゃいます」

隊長「おーう。サンキュ」

ザッ…カツカツカツ…

隊長「ふぅん。だいぶ出来てきてんじゃねぇか」

南方司令「…ほぉ、これは珍しいな」

隊長「んーまぁな」

南方司令「それで、何用かな?」

隊長「あーまぁ……総司令に捕縛命令が出た」

南方司令「……意味が分からんな」

隊長「国家反逆罪だ。内通者のな」

南方司令「…………」


883 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:36:58.47 ID:s3dHniQno
カツカツカツ…グイッ

隊長「……手を離せ。苦しい」

南方司令「意味が分からんと言っている」

隊長「何度も言わせるな。そういう事だ」

南方司令「……」

隊長「ここに来る事はない。そう思うが来た時には……」

南方司令「……」

隊長「事情はどうあれ、捕らえてくれ」

南方司令「誰の差し金だ」

隊長「副司令殿直々のご命令だ。即ちこれは、国軍全体としてのな」

南方司令「……っ」

バッ

隊長「そういう事だ。頼んだぞ、南方司令殿」

カツカツカツカツ…

南方司令「……馬鹿げている…っ。それが正義であってもだ」


884 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:37:49.61 ID:s3dHniQno
18時過ぎ。南東国、東の街にて。

女隊員「――っ!!」

男隊員「……来たな」

大軍師ら国軍の者が東の城を立ち去ってから数時間後、

正門前には単身、総司令がその姿を現した。

男隊員「中に入っていくな……」

女隊員「どうするッスか?……動くッスか!?」

男隊員「……いやっ、まだだ」

女隊員「……」

男隊員「出てきた時を狙う」

女隊員「でも、別の所から逃げられるんじゃ……」

男隊員「いーや、逃げたりはしねぇ」

女隊員「何で分かるんスか?」

男隊員「勘だよ、勘」

女隊員「勘……って」

男隊員「冗談だっての。だが、ここからの逃亡は絶対にねぇ。絶対にな……」


885 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:38:51.51 ID:s3dHniQno
〜本国、宿〜

召喚士「…………」

魔道士「本当に…総司令さんは……」

戦士「なぁ、どう思う?」

盗賊「…何度も言うが、私は信じぬ」

戦士「……召喚士は?」

召喚士「……分からない。分からないけど」

盗賊「……」

召喚士「これは、何か意味があっての事なんじゃないかな…」

魔道士「意味…ですか?」

召喚士「青年兵くんのあの、突き放した言い方…」

戦士「あぁ、あれには……」

召喚士「俺らを巻き込まないように、そう言ったんじゃないかな?」

盗賊「……確かに…そうともとれるな」

魔道士「それじゃあ…どうして総司令さんが……?」


886 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:40:01.88 ID:s3dHniQno
召喚士「…そこまでは分かりません」

戦士「そんじゃ何か?総司令を囮にしてるって事か?」

魔道士「……囮?」

戦士「だってそうだろ。総司令がシロなら囮に使ってるって事になる」

盗賊「……つまり」

召喚士「本当の内通者は……別にいる……!?」

魔道士「え……っ!?」

戦士「そう考えると、まぁ辻褄は合うわな」

魔道士「でもっ、それじゃ一体誰が……っ」

召喚士「そこまでは分かりません…。しかし……」

盗賊「……?」

召喚士「総司令ほどの方を囮に使う意味……」

戦士「おいおい……っ、それって……」

召喚士「…………」

そしてついに、本国全土に激震の走る出来事が訪れる。


887 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:40:39.47 ID:s3dHniQno
21時40分頃。南東国、東の街。

男隊員「……」

タッタッタ

女隊員「……あんぱんと牛乳、買ってきたッスよ」

男隊員「……おーう」

パシッ

男隊員「なんだこりゃ!?粒あんじゃねぇか!!」

女隊員「だって、それしか売ってなかったッスよ」

男隊員「ちゃんと探したのかよ。ったく……」

女隊員「文句言うなら自分で買ってくればいいッス」

男隊員「あんっ!?」

スタッ

男隊員「――っ!!」

女隊員「隊長っ!?」

隊長「てめぇら気配丸出しすぎだ。もっと抑えろ」


888 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:41:35.00 ID:s3dHniQno
男隊員「目標は城内。かれこれ3時間以上になりますわ」

隊長「……随分と長いな。他は?」

女隊員「大軍師さん達は、随分前にここを離れてるッス」

隊長「何?……ははぁ、そういう事か」

女隊員「……?」

隊長「お前ら二人は正門の左右に回れ」

男隊員「隊長は?」

隊長「正面から行く。合図と同時に左右から挟め、いいな?」

男隊員「……ヒャハハ!りょーかいっ!」

女隊員「……了解ッス」

隊長「……さーて、もうそろそろ……んっ!?」

女隊員「来たッス!!」

隊長「おーし、そんじゃ……作戦開始だっ!!」

男隊員「行くぞっ!」

女隊員「はいッス!!」


889 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:42:18.72 ID:s3dHniQno
ザザッ…タタタタタッ

隊長「……よし」

ザッザッザッザッザ

司令官「……おや?」

隊長「……」

パラッ

隊長「罪状は……お分かりですな?」

司令官「……意外と遅かったね」

隊長「……」

司令官「それで、どうしたらいいのかな?」

隊長「……確保ぉ!!」

ババッ

女隊員「……っ」

男隊員「……失礼致します」

司令官「……ん」


890 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:42:53.33 ID:s3dHniQno
グイッ…ググッ

隊長「21時46分。同時刻をもって、国軍総司令官を……」

司令官「……」

隊長「……国家反逆の罪により、捕縛!」

男隊員「馬車を」

女隊員「ういッス」

タッタッタッタッタ

隊長「……抵抗なさらず、光栄であります」

司令官「抵抗して欲しかったのかな?」

隊長「い…いえっ、そういうわけでは……っ」

司令官「…真面目だね、君は」

隊長「……私は、根っからの軍人であります」

司令官「…ん、頼もしいよ。君みたいな人はね」

隊長「……よし、連れて行け。すぐに本国まで護送するぞ」

国軍総司令官が内通者。次の日の新聞はどれを見てもその見出しであった。


891 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:43:20.65 ID:s3dHniQno
〜次の日〜

パッカパッカパッカ…

記者「来たぞっ!!あの馬車だ!!」

国軍兵「こらっ、下がれ!!」

記者「その馬車には総司令官が乗っておられるのですよね!?」

国軍兵「下がれと言っているのだ!通行の妨げになる!!」

記者「一言っ!どうか一言!!」

パッカパッカパッカ…ドドォ

青年兵「……」

ガチャ…スタッ

隊長「……」

青年兵「総司令は……?」

隊長「後ろだ。ひとまず地下の牢獄に移送する」

青年兵「ええ。お願い致します」

隊長「…馬車を裏に回せ」


892 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:44:04.42 ID:s3dHniQno
〜国軍本部、副司令室〜

コンコン…カチャッ

青年兵「総司令、今…到着致しました」

副司令官「よくやった!それで、生死は?」

青年兵「当然、生きております」

副司令官「そうか」

青年兵「それが何か?」

副司令官「いや、尋問等あるだろうしな……」

青年兵「今日の間は、地下牢獄にいれておきます」

副司令官「それが良かろう。誰も近づけるな、無論……君もだ」

青年兵「警備の者は宜しいので?」

副司令官「あそこからはどう足掻いても、脱獄出来んよ」

青年兵「……分かりました。伝えておきます」

副司令官「……うむ、それともう一つ」

青年兵「……?」


893 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:44:41.56 ID:s3dHniQno
副司令官「……総司令の座が空く」

青年兵「…はい。そういう事になります」

副司令官「まぁ、私が就く事になろうな」

青年兵「ええ、それが妥当……というか、勿論の事かと」

副司令官「そうすると、今度は副司令の座が空くわけだ」

青年兵「はい」

副司令官「青年兵、君は私に従うかね?」

青年兵「仰る意味が判りかねます」

副司令官「何があっても、私に従うかと聞いているのだ」

青年兵「勿論です。それが軍人としての務めかと」

副司令官「……良かろう。ならば、君を副司令としよう」

青年兵「――っ!?」

副司令官「あくまで、まだ先の話だ。確約は出来んが……約束しよう」

青年兵「……し、しかし他に適任者がいると思われますが」

副司令官「……君だって、偉くなりたいのだろう?」


894 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/20(日) 19:46:03.60 ID:s3dHniQno
青年兵「…………」

副司令官「悩む事はない。それだけの事はしてきたであろう?」

青年兵「私は……」

副司令官「それに、弱肉強食。強い者だけが生き残るのだ」

青年兵「……」

副司令官「私は君を買っている。覚えておきたまえ」

青年兵「……あ、ありがとうございます……っ」

副司令官「…では、事務処理は任せる」

青年兵「はっ。……失礼致します」

ザザッ…カツカツカツカツ

副司令官「……くくっ」

コツコツコツ

副司令官「……これで好きに動けるだろう?左大臣に伝えよ」

スゥッ

導士「……」


902 名前:NIPPERがお送りします(三重県) [sage] 投稿日:2011/03/21(月) 00:19:31.93 ID:n1WN6cJZo
朱雀先生パーティが総司令は内通者じゃないって断言できるようなエピソードって何かあったっけ?


903 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/21(月) 02:19:04.41 ID:SoUv6uYSO
1乙!

>>901俺が最強青龍召喚獣になったら一瞬で楽にしてやるから待ってろ

>>902議会編の投票前あたりに盗賊と総指令が……
のような気がした。盗賊以外は特にないかな?


907 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/21(月) 20:25:56.43 ID:sQRb2ASwo
カツカツカツカツ…

隊長「お入り下さい」

司令官「……」

カツカツカツ…ガシャアァン

隊長「ここの強固さは…ご存知ですよね」

司令官「もちろん。私が携わったものだもの」

隊長「……」

司令官「まさか、こんな事になるとは予想だにしなかったけどね」

隊長「早ければ、明日にでも尋問が行われる予定です」

司令官「……そう」

隊長「……」

司令官「何か言いたげだね、遠慮は要らないよ」

隊長「……いえ。ご武運を」

司令官「…ん、ありがと」

クルッ…カツカツカツカツ…


908 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/03/21(月) 20:26:28.20 ID:sQRb2ASwo
〜国軍本部、正面入り口〜

青年兵「…あっ、どうです?」

隊長「今、獄へ入ったところだ。警備はどうする?」

青年兵「副司令が不要だと……」

隊長「……ほぉ」

青年兵「どうします?」

隊長「…お前はどう思うんだ?指揮官はお前さんだろ?」

青年兵「…上がそう言うのであれば、それは絶対です」

隊長「……ほぉ」

青年兵「それに、捕縛までが私の仕事。そこから先は管轄外ですよ」

隊長「……変わったな、お前」

青年兵「そうですか?変わったのは役職ですよ」

隊長「……そうかもな」

カツカツカツカツ…

青年兵「変わってなんかいないよ……僕は……」



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