■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その23
204 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:44:41.96 ID:0HRLvVco
パッカパッカパッカパッカ…

召喚士「おぉーっ!北関もだいぶ立派になりましたね!」

左翼長「やっと予算が出たからな。ここだけじゃねーぞ?」

盗賊「……?」

左翼長「地獄の壁も突貫で急がせてる」

召喚士「間に合うんですか?」

左翼長「一応、前からそういう計画で進められちゃいるが……」

盗賊「……」

左翼長「魔王軍の妨害が思ったより多くてな。正直五分五分だよ」

召喚士「そうですか…」

左翼長「さぁ到着だ。降りてくれ」

トスッ…テクテクテク

召喚士「ほんと、なんだか久し振りだなぁ…」

盗賊「…だな」

左翼長「おーい何してんだ〜。行くぞー」


205 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:46:23.90 ID:0HRLvVco
〜北関、司令室〜

北関兵「お疲れ様ですっ!!」

左翼長「おーう」

テクテクテク

召喚士「失礼しまーす」

左翼長「しっかし…因果なモンだよ」

召喚士「何がです?」

北関「コーヒーです、どうぞ」

盗賊「……ありがとう」

左翼長「お前らと出あった時、俺はここの左翼長でしか過ぎなかった」

召喚士「そういえば…そうですよね!」

左翼長「それが今や北方の司令だよ…」

盗賊「……あちっ」

左翼長「ガラでもねーのに、重てぇモン背負わせられちまったわ…」

召喚士「でも、いいじゃないですか」


206 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:47:08.25 ID:0HRLvVco
左翼長「良かねーよ。司令の大変さなんてだいたい把握出来んだろ」

召喚士「まぁ、そうですけど…。俺も最初は嫌でしたよ」

左翼長「朱雀先生か?」

召喚士「はい…。でも、なってみて初めて分かりました」

盗賊「……」

召喚士「朱雀先生じゃないと出来ない事って、沢山あるんだな…って」

左翼長「…ほぉ」

召喚士「世界でたった一人じゃないですか。朱雀先生も北方司令も」

左翼長「……まぁな」

召喚士「だからそう思うと、少しやり甲斐湧いてきません?」

左翼長「……沸かねぇな」

召喚士「……」

左翼長「まぁ、でも…言いたい事は分かるよ」

召喚士「…なら…いいですけど」

左翼長「こればっかりは性格の問題だ……はははっ」


207 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:48:48.35 ID:0HRLvVco


左翼長「…よし、そろそろ発つか」

召喚士「はい」

盗賊「……」

ザッ…テクテクテク

召喚士「どうしました?盗賊さん…?」

盗賊「…いや、ここで…色々な者に出会った」

召喚士「……そうですね」

ザッザッザ

召喚士「左翼長さんや騎士長さん。青龍先生に天才さんや魔法剣士さん…」

盗賊「…女侍と盗賊団と出会ったのもここだ」

召喚士「そうでしたね…」

盗賊「……」

召喚士「……行きましょうか」

盗賊「…うん」


208 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:50:02.94 ID:0HRLvVco
昨日の降雪により険しい北の道は往来を更に困難とする。

パッカパッカパッカ…

急ぎで馬車を飛ばした彼らもまた時間を要し、

北方司令部への到着は夜間と相成ったのであった。

〜北方司令部〜

北方兵「司令、ご帰還ーっ!!」

ザッ…ドドォ

左翼長「ご苦労さん」

盗賊「……北方司令部」

召喚士「すっかり夜になっちゃいましたね」

ザッザッザッザ

騎士長「おう、遅かったな」

左翼長「すまんな。雪で手間取った」

騎士長「……来てるぜ」

左翼長「ああ、分かってる。すぐに向かう」


209 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:50:44.81 ID:0HRLvVco
召喚士「…?」

左翼長「左大臣ご一行様だよ。先に東を出たろ」

召喚士「あ…っ、そういえば……」

騎士長「あちらさんも来るのにだいぶ手こずったらしい。演説は明日だ」

左翼長「どっちでもいいさ。結果は見えてる」

騎士長「そりゃそうだけどよ…。万が一って事もあんだろ」

左翼長「奴らもいるんだろ?」

騎士長「奴ら…?あぁ、来てるぞ」

左翼長「じゃあ尚更、問題ねぇよ」

騎士長「……まぁな」

召喚士「お久し振りです」

騎士長「おぉ!……今日は二人か?」

左翼長「南に二人持って行かれた」

騎士長「持ってかれた?」

左翼長「詳しい話は中でする。とりあえず休ませてくれ」


210 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:51:59.66 ID:0HRLvVco


北方兵「それでは、こちらのお部屋を宿泊にご利用下さい」

召喚士「ありがとうございます」

カツカツカツ…

騎士長「大丈夫そうか?」

召喚士「はい、ありがとうございます」

パタン…テクテクテク

盗賊「…お待たせ」

騎士長「そんじゃお疲れのところ悪いが、司令室に来てくれ」

召喚士「はい」

テクテクテク

盗賊「……!?」

召喚士「……っ」

カツカツカツ…

左大臣「……おやァ?」


211 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:53:37.10 ID:0HRLvVco
騎士長「これは左大臣様、どうしましたかな?」

左大臣「自室に戻るところでなァ。それよりも……」

カツカツカツ…

左大臣「…朱雀先生…であったかなァ?」

召喚士「ど、どうも……」

左大臣「今度は北かァ。軍属は大変だなァ……」

召喚士「……」

左大臣「せいぜい頑張ってくれたまえよ、フハハァ」

カツカツカツ…

騎士長「面識あるのか?」

召喚士「話すのは初めてですが……」

盗賊「……」

騎士長「気にするな。元来ああいう方だ」

召喚士「はい」

盗賊「……」


212 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:55:03.49 ID:0HRLvVco
〜司令室〜

騎士長「連れてきたぞ」

左翼長「おう、入れ」

テクテクテク

召喚士「……あっ」

大軍師「ふっふっふ、先日はどうも」

召喚士「大軍師さんに……参謀さん」

参謀「お元気そうで何よりです。此度はお二人のようですね」

盗賊「……ああ」

左翼長「さて、全員揃ったか。とりあえず適当に座ってくれ」

召喚士「…失礼します」

大軍師「現在、北では二つの問題に直面しています」

盗賊「……」

大軍師「一つはご存知の通り、議会演説の件です」

騎士長「さっき左大臣殿に会ったぜ…」


213 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:56:24.32 ID:0HRLvVco
左翼長「演説は明日の午前に行われる。投票はその夜だ」

参謀「演説終了の2時間後、予定では17時を目処としております」

大軍師「こちらはご安心下さい。私と弟で何とか致しましょう」

騎士長「頼もしい限りだ、この兄弟がいればな!」

参謀「買い被りすぎですよ…。私ではなく……」

大軍師「ふっふ。この者がおれば何も心配は御座いません」

ポンポン

参謀「……!?」

大軍師「さて、もう一つの問題ですが……」

左翼長「その為に召喚士と盗賊に来て貰った」

騎士長「話は聞いているな…?」

召喚士「簡単にですけど…」

大軍師「あの者らは一度、贖宥状を発行したにも関わらず反故に致しました」

左翼長「罪を軽くしたのか?」

大軍師「かつて北関での戦いの折、功績がありましたからね」


214 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:57:09.48 ID:0HRLvVco
騎士長「今までの容疑も含め罪を軽くしたんだっけか?」

参謀「執行猶予期間を設けていましたよね?」

大軍師「それをまんまと破りました」

召喚士「なるほど……」

左翼長「そこで例の最北の村での事件さ」

召喚士「黒マントさんの疑いは晴れたんですね」

騎士長「黒マントさん…?」

召喚士「あっ、いや……」

左翼長「前からちょーっと気になってたんだけどよ」

召喚士「な、何でしょう…?」

左翼長「お前ら、女頭目の一派と顔見知りなんだよな?」

召喚士「えーっと、まぁ……」

左翼長「……ツルんでるわけじゃねーよな…?」

召喚士「ま、まさか…っ」

左翼長「……ふーん。ならいいけどよ」


215 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:57:54.78 ID:0HRLvVco


召喚士「…それで、アジトへ行って…というわけです」

大軍師「成程…。そんな事情があったんですね…」

召喚士「あの時はほんと困ったんですよ……」

騎士長「ほほぉ、ならここで恨みを晴らしてやろうぜ」

召喚士「……でも、悪い人達ではなさそうなんですよね」

盗賊「……ああ」

左翼長「そうは言っても犯罪者に変わりはねぇ」

召喚士「それはですけど……」

大軍師「あの、何か目的があると踏んでるのですか…?」

召喚士「それは分かりません。でも……」

参謀「……」

召喚士「そういえば…あの時も何かを探してたな……」

大軍師「何……か?」

召喚士「何だったっけ…っ、確か…そう!本を探してた!!」


216 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 17:58:56.39 ID:0HRLvVco
騎士長「何ぃ!?……っつか、それって…」

左翼長「今回最北の村で盗まれたモンは……」

参謀「……一冊の書物です」

左翼長「他に何か言ってたか!?」

召喚士「……えぇと」

……――

赤サル『俺達ゃな、クライアントから探し物を頼まれてる』

魔道士「探し物ですか…?」

赤サル『あぁ…。とある本なんだがな…』

召喚士「本…ですか」

赤サル『そいつがちょっと厄介で、召喚関連の本なんだわ』

戦士「……なるほどな」

召喚士「だから俺が召喚士だと知って…っ!」

赤サル『そーいう事。数打ちゃ当たる…ってね!』

――……


217 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 18:00:47.75 ID:0HRLvVco
召喚士「…………」

左翼長「……どうした?」

召喚士「俺は…何て事……」

騎士長「だ、だからどうしたんだよ!?」

召喚士「女侍さん達は…召喚関連の本を探していました……っ」

参謀「な、何と…っ!!」

召喚士「そうだ…。何で俺、見落としてたんだよ…っ」

大軍師「……」

左翼長「…ん?」

大軍師「……あ、いえ」

騎士長「そんで女頭目…女侍って言ったか、そいつらが……」

参謀「どうやら西方に潜伏していたのですが、最近戻ってきたという事です」

盗賊「…場所は?」

大軍師「屯田を敷いている北の村の一つです。今は廃墟と化していますが」

召喚士「……なるほど」


221 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 23:04:03.39 ID:bFmWTrQo
左翼長「とにかくそっちは明日以降だ」

騎士長「ああ。左翼の連中がうろついてる以上、目を光らせておかんとな」

左翼長「だーから、心配してねぇっての」

騎士長「ったく…司令だろ。呑気な事言ってんじゃねぇ」

カツカツカツカツ…

召喚士「あ、あの……っ」

大軍師「はい?」

召喚士「女侍さん達の所在、分かってるんですよね」

大軍師「ええ。それが何か?」

召喚士「大軍師さんが行かれればいいんじゃないですか…?」

大軍師「私もそうしたいのですが、それで下手に逃げられると厄介ですから」

参謀「おそらく次はありません。完全に北から姿を消すでしょうね…」

盗賊「……なるほどな」

召喚士「そこで…顔見知りの俺達を…っ」

大軍師「……ふっふっふ。どうでしょうかねぇ」


222 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/27(月) 23:04:45.26 ID:bFmWTrQo


カチャッ…コトッ

召喚士「ご馳走様でした」

左翼長「軽いもんですまんな」

盗賊「……お構いなく」

騎士長「さーて明日はいよいよ演説だ。先生方、頼みますぜ」

参謀「先生って……」

大軍師「まぁやれる事はやりますよ…ふっふ」

左翼長「疲れたろ。そんじゃゆっくり休んでくれ」

召喚士「ありがとうございます」

盗賊「……では」

テクテクテク

召喚士「それじゃ、お休みなさい」

盗賊「…ああ、おやすみ」

召喚士「……魔道士さんと戦士、頑張ってるかな」



次へ 戻る 戻る 携 上へ