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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その12
- 574 : ◆1otsuV0WFc [saga]
:2010/03/06(土) 23:12:19.14 ID:XJd.Ri.o
〜南東国、東の街〜
崩れた街並の復旧に、兵が忙しなく行きかう。
その中央に位置する宮廷には、召喚士を始め一同が集まる。
次男「皆の者、まずはご苦労であった」
白馬騎士「はっ…」
側近「此度は皆の働きもあり、防衛に成功した」
召喚士「……」
側近「しかしながら我が国は長男様を失う事と相成った…」
三男「……」
側近「幾ら魔王軍と共謀したとて…華国の殿下であらせられた」
次男「ああ…」
側近「この損失はまこと大きく、また遺憾である」
魔道士「……」
次男「更には重臣である弓将軍…そして騎都尉を失った…」
戦士「………」
- 575 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/06(土) 23:12:46.20 ID:XJd.Ri.o
次男「私は今ここに誓おう…。本日をもって…内乱を終結する!」
若文官「…三男様、宜しいですね?」
三男「もちろんだ…。この国が平和であれば…何も要らない!」
側近「魔物を追い払う事も出来た…。華国は新しく生まれ変わる!」
次男「ああ…。華はまた咲くだろう…!!」
魔道士「…良かったですね」
盗賊「……ああ」
玄武娘「はいですの!」
側近「それではお客人方はこちらへ…」
白虎嬢「はい〜」
召喚士「…いいんですか?」
白馬騎士「お疲れでしょう。お休み下され」
剣士「……助かります」
朱雀嬢「お言葉に甘えますわ」
魔道士「行きましょうか!」
- 576 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/06(土) 23:13:51.28 ID:XJd.Ri.o
〜大広間〜
白虎嬢「なるほどですね〜」
召喚士「…こちらも理解しました」
魔道士「南方司令部の皆さんが…玄武娘ちゃん達を派遣してくれたんですね!」
朱雀嬢「そういう事ですわ」
玄武娘「でも、まさかこんな事になってるなんて…ビックリですの」
剣士「こちらも全くの想定外でした」
戦士「ああ。だがお陰で助かったぜ…」
召喚士「戦士…?」
戦士「ちょっと…抜けるわ……」
盗賊「……」
戦士はドアを開け、広間を後にする。
魔道士「戦士さん……」
玄武娘「どうしたんですの…?」
召喚士「………」
- 577 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/06(土) 23:28:12.52 ID:HYdZ8cDO
戦士…
- 578 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/06(土) 23:53:11.98 ID:XJd.Ri.o
…
側近「し、しかしっ…!!」
次男「いや…私もこの身だ。それに…」
白馬騎士「本当に…宜しいのですか…?」
次男「ああ。国主の座は三男に託す」
三男「で…でもっ」
次男「ふっ…そもそも私は国主の座など毛頭興味はないのだ」
白馬騎士「次男様…。やはりそのようなお考えで…」
次男「すまんな…。三男を補佐してやってくれ。これからも…」
若文官「勿論そのつもりです」
白馬騎士「しかし…次男様は一体…!?」
次男「……華国を頼む」
三男「兄上…!?」
白馬騎士「何を…仰って…」
次男「もっと早く決断すべきであった…。すまぬ、兄上」
- 579 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/06(土) 23:58:15.50 ID:XJd.Ri.o
ちょっと仮眠を…すいません
そのまま落ちる可能性もあるので、おやすみなさい言っておきます!ノシ
- 584 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/07(日) 12:34:42.89 ID:AW3WqsSO
これはユニット召喚娘。結成フラグ?
女装召喚士姉さんハァハァ
- 585 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/07(日) 12:41:52.64 ID:gOdxwSMo
すいません…やっぱり寝落ちしました…
いつもご支援ありがとうございます!
- 587 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/07(日) 19:07:56.27 ID:gOdxwSMo
〜大広間〜
魔道士「じゃあ…明日には南方へ?」
朱雀嬢「ええ。戻らせて頂きますわ」
白虎嬢「ですわね〜」
盗賊「…そうか」
剣士「僕も明日…故郷の村へ戻るとするよ」
召喚士「明日ですか…?」
剣士「うん…。弓使いや幼女ちゃんを心配させるわけにもいかないしね」
召喚士「そうですよね…」
魔道士「なんだかせっかくみんな揃ったのに…寂しいですね…」
玄武娘「そうですの…」
召喚士「まぁ…仕方ないですね。それぞれの道がありますから…」
朱雀嬢「じゃあ…、今日はみんなで晩餐ですわね!」
白虎「いいですねぇ〜!」
盗賊「……ああ」
- 588 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/07(日) 19:10:47.06 ID:gOdxwSMo
魔道士「…戦士さん…遅いですね」
召喚士「そう言えば……」
盗賊「……」
召喚士「…俺、見てきます!」
剣士「どこにいるかは分かってるのい?」
召喚士「…ええ。おそらく」
〜厩舎〜
戦士「………」
戦士は赤兎の頭を撫でる。
テクテクテク…
召喚士「……戦士」
戦士「…おう」
召喚士「良い…馬だよね…」
戦士「……ああ」
戦士はもう一度、赤兎の頭を優しく撫でた。
- 589 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/07(日) 19:11:34.25 ID:gOdxwSMo
…
日は暮れ、華国に穏やかな夜が訪れる。
大広間には次々と料理が運びこまれていた。
魔道士「本当に良いんですか…?」
白馬騎士「話は伺いました」
側近「どうせやるなら皆で楽しくしようではありませんか!」
タッタッタ…
衛兵「老文官様、無事救出!ただいま到着されました!」
三男「…よ、良かった!」
若文官「老文官殿…!!」
次男「……老文官」
老文官「次男様…三男様…!」
次男「済まなかったっ…老文官!私は…っ!!」
老文官「いえっ…。貴方様のせいではありません…」
側近「さぁ、皆様方…お席に着いて下され。ご準備が整いましたぞ」
- 590 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/07(日) 19:23:07.97 ID:gOdxwSMo
次男「……では」
一同はグラスを掲げ、高々と乾杯をする。
次男「此度の戦いによって…我が国に巣くう魔物は全て消えた…」
白馬騎士「……」
次男「これも全ては諸君らのお陰である」
剣士「……」
次男「しかしながら…その被害も大きかった」
戦士「…」
次男「優秀な人材、そして兄を失った…」
召喚士「……」
次男「だが…これで全て、全てが終わったのだ…!」
三男「…兄上!」
次男「さぁ、祝いとそして…弔いの杯を…!!」
召喚士「…乾杯」
一同は掲げたグラスを口元へ移し、飲み干した。
- 591 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/07(日) 19:25:16.24 ID:gOdxwSMo
…
テクテクテク…
召喚士「どうしました?このような夜分に…」
次男「……」
召喚士「何か…ご用でも…?」
次男「少し夜風に当たりたくて…。ご一緒に如何ですかな?」
次男は中庭へ降りると、夜空を見上げる。
次男「…この国を出ようと思っております」
召喚士「!?」
次男「どうせ光を失ったわが身…。三男に継がせるが適任だろう」
召喚士「そうですか…。しかし、本当に宜しいので?」
次男「国主の座など毛頭興味もありませんからな…」
召喚士「……」
次男「それは私だけではない。三男も…そして兄上も…」
召喚士「…そ、それは…!?」
- 592 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/07(日) 19:26:21.36 ID:KIu3IBco
弔いの杯なら・・・献杯じゃね?
- 593 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/07(日) 19:32:13.30 ID:gOdxwSMo
>>592
すいません。祝いと弔いなのでまとめちゃいました…
ってかデジャブだな…。前にもこれあった…orz
乾杯使わないように考えてたのに申し訳ないです
- 597 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/07(日) 23:46:57.88 ID:gOdxwSMo
次男「父上は存命中…時期国主を三男に継がせる事を決めておった」
召喚士「……なんと」
次男「それについて私も兄上も、特に反対はなかった」
召喚士「……」
次男「いや、先程も述べたように…興味がなかったと言うべきか」
召喚士「…なるほど」
次男「父も三男を後継ぎとする事を望んでいたしな」
召喚士「ならば…何故?」
次男「まだ幼き三男を兄と私で支えていくと決めた…」
召喚士「……」
次男「だが、面白くないのは各々の部下達よ…」
召喚士「!?……なるほど」
次男「自分の指示する皇太子が国主になれば…」
召喚士「……己の地位も安泰…!」
次男「そういう事だ…」
- 598 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/07(日) 23:47:45.78 ID:gOdxwSMo
召喚士「なんという……」
次男「しかしそれが政治というものだ…」
召喚士「……」
次男「それでも私は次男。私が継ぐ可能性は低い…」
召喚士「…そう…ですね」
次男「まず目を付けられたのが兄上であった…」
召喚士「……ま、まさか」
次男「ああ。どこから嗅ぎつけたのか、魔王軍が介入し…」
召喚士「…実権を…掌握した!?」
次男「そう。肝心の重鎮は騎都尉を残し、皆…殺されたよ」
召喚士「…!」
次男「それからだ…。兄上がおかしくなってしまったのは…」
召喚士「……」
次男「兄上は既に人間ではなくなっていたのかもしれぬな」
召喚士「……」
- 599 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/07(日) 23:50:25.42 ID:gOdxwSMo
次男「あの時も…そうであった」
召喚士「…?」
次男「私はこの国を離れ…旅に出る事を伝える為、此処を訪れた…」
次男は池の前にしゃがみ、小石を投げ込む。
次男「そして…、私は…毒殺されたのだ」
召喚士「!?」
次男「…と言っても、一命を取りとめはしたのだがな」
召喚士「ま、まさか……!?」
次男「そう。その時に私は光を失った…」
召喚士「……!!」
次男「それからはもうこの国を離れる事も出来なくなってしまったよ」
召喚士「なんて…事…」
次男「まぁそのお陰で、私は北の街にて不戦の立場を貫く事を決めた」
召喚士「まさか…それは…!」
次男「ああ。三竦みの拮抗した状態を作る為にね」
- 600 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/07(日) 23:51:41.34 ID:gOdxwSMo
召喚士「三つに分かれる事で…動きをとめた…」
次男「そう。どの街も牽制が精一杯の状況を作る事が出来た」
召喚士「だが、今回の騒ぎで…それが……」
次男「……結果的には良かったのさ」
召喚士「……」
次男「全ての罪は我ら一族にある…」
召喚士「次男様…」
次男「この国の者に罪はない。全ては我らが招いた不始末…」
召喚士「………」
次男「召喚士くん…。頼みがあるんだ」
召喚士「え…っ?」
次男「明日…私も南方へ連れて行ってくれないか?」
召喚士「!?…な、南方へ…?」
次男「ああ。その、スグリーヴァという魔物に引き合わせ頂けないだろうか?」
召喚士「……南方へ…ですか」
- 601 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/07(日) 23:56:32.28 ID:gOdxwSMo
次男「お願い出来ないだろうか…?」
召喚士「俺は構いませんけど…他の方は?」
次男「実は先程…既に了承は得ているんだ」
召喚士「そう…でしたか」
次男「今回の件で魔王軍の恐ろしさ、そして強さを知った」
召喚士「…はい」
次男「だが逆に人間と共存を考えてくれている…。そんな魔物がいる事も知った…」
召喚士「……」
次男「同じ命を持つ者同士…殺し合う事もない」
召喚士「その通りです」
次男「私はその架け橋になれれば…。そう考えている…」
召喚士「…素晴らしいお考えだと思います」
次男「ふっ…。一朝一夕とはいかぬだろうがな…!」
召喚士「そう…ですねっ」
次男「ふふっ…ふふふ…はっはっは!」
- 602 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/08(月) 00:14:14.67 ID:G9ovtYAo
週末で終わらせたかったのですが、
バタバタとしてて本当にすみません…!
ちょっと今月はスローペースになってしまいそうな感じです…orz
ずっとご支援頂いている中、本当に申し訳ないです
- 619 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/08(月) 14:40:06.55 ID:4S2NzMDO
喧嘩はよせよ……>>1が書きにくくなるだろ
- 628 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/03/08(月) 17:30:54.42 ID:qOB8NJco
こんにちは!ご支援ありがとうございます!↓続き
- 629 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:32:18.92 ID:qOB8NJco
〜東の街、正門付近〜
パッカパッカパッカパッカパッカ…
白馬騎士と戦士が、赤兎の背中より大きな木箱を降ろす。
白馬騎士「すまんな…。こんな場所になってしまって…」
次男「天涯孤独だ。入れる墓もないしな」
戦士「ましてや魔物に加担した事になっちまってる…」
次男「やむなき事とは言え…心痛む」
白馬騎士「しかしそのような処罰をせねば、民も納得は…」
次男「分かっておる」
召喚士「…この辺りで良さそうですかね」
白馬騎士「ええ。それでは…」
白馬騎士は穴の手前で木箱の蓋を開ける。
箱の中には全身を包帯に巻かれた人の形が横たわる。
次男「では皆の者…。騎都尉に最後の別れを…」
白馬騎士「……」
- 630 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:33:08.90 ID:qOB8NJco
各々が装飾品などを納め、最後に戦士が宝剣を胸の部分に置く。
次男「では蓋を…」
ゴトゴトッ…カタン
白馬騎士「ゆっくり降ろしてくれ」
剣士「ええ」
木箱は穴の中へと納められていく。
一同は更に土を被せ、木箱を地中へと埋めた。
次男「…経は私が引き受けよう」
白馬騎士「何も次男様が直々になさらずとも…」
次男「今日より法師として行脚する身…」
召喚士「そうですよね。その初仕事として…!」
次男「騎都尉には呆れられそうだがな…ははっ」
白馬騎士「いえ…。きっと喜んでおる事でしょう」
次男「……」
一同が並び黙祷する中、次男の経が静かに辺りを包んだ…。
- 631 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:34:35.14 ID:qOB8NJco
〜東の街〜
玄武娘「でも…良かったんですの?」
盗賊「……?」
魔道士「埋葬は男性の皆さんで済ませるそうですから」
朱雀嬢「そうそう。せっかく来たのに観光もなしだなんて…」
白虎嬢「そうですよね〜」
朱雀嬢「何がそうですよね〜…よっ!貴方のせいですわよ!」
白虎嬢「でも〜すぐに戻らないとお父様が〜」
玄武娘「国軍さんの家は大変ですのー」
朱雀嬢「高貴なお家柄で結構な事ですわ!」
白虎嬢「朱雀嬢さんだってご立派なおうちじゃないですか〜」
玄武娘「そうですの!」
朱雀嬢「そんな事はどうでもいいですわ。それより…」
魔道士「…?」
朱雀嬢「さっさと観光してお土産買いにいきますわよっ!」
- 632 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:36:20.48 ID:qOB8NJco
……
次男「…心経〜」
白馬騎士「……」
召喚士「………」
次男「では…御直り下さい」
ザッ
白馬騎士「廟は明日にでも早速取り掛かりましょう」
召喚士「…戦士?」
戦士「…武器も一緒に納めてやりたかったな」
剣士「そうだね…」
白馬騎士「武器…。もしかしたら…まだあるんじゃないか!?」
一同は後方の崩れた岩壁に目を移す。
戦士「!!」
ダッ!!
剣士「戦士くんっ」
- 633 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:37:10.82 ID:qOB8NJco
タッタッタ…ガラガラッ…ドシャッ…
召喚士「大丈夫!?」
戦士「ああ…。なんとか入れそうだ」
戦士は岩を取り除き、塞がった穴へと入っていく。
白馬騎士「……」
次男「………」
ゴトッ…
戦士「……」
召喚士「どうだった…?」
ヒュッ…ガシィッ
白馬騎士「…!?」
戦士「あんたの槍だろ?」
白馬騎士「……確かに」
戦士「へっ。本当に残ってるとはな…!」
戦士は輝く戟の刃を眩しげに見上げた。
- 634 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:38:30.09 ID:qOB8NJco
…
白馬騎士は瓢箪の栓を開け、墓標に酒を注ぐ。
次男「では、行こうか…」
戦士「この戟は…どうすんだよ?」
召喚士「埋める為にまた堀り返すのも…何だか…」
白馬騎士「………なぁ」
戦士「…?」
白馬騎士「君が持っていってはくれないか?」
戦士「え…!?」
白馬騎士「生前は騎都尉に色々と伝授されたのだろう?」
戦士「………」
次男「師から弟子へ…。うむ、良いかもしれんな」
召喚士「また…重い物を頂いちゃったね…」
戦士「……じゃあな。騎都尉のおっさん…」
墓標にかかる瓢箪が、風に揺れコロコロ…と音を立てた。
- 635 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:40:57.11 ID:qOB8NJco
〜宮廷前〜
召喚士「色々とお世話になりました…!」
側近「こちらこそ。何日も足止めしてしまったの…」
若文官「またいつでもお越し下され!」
魔道士「はいっ!ありがとうございます!」
盗賊「…ありがとうございます」
ザッザッザ…
次男「お待たせいたしました。では参りましょうか」
側近「次男様…!本当に行かれてしまわれるのですか…?」
次男「もう次男ではない。ただの法師さ…」
タッタッタッタッタ…
三男「兄上…!!」
次男「三男…!」
三男「はぁ…はぁっ…はぁ…!」
次男「この国を頼んだぞ…!」
- 636 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:43:01.74 ID:qOB8NJco
三男「……」
次男「皆と共に…。この国の華を再び咲かせてくれ」
三男「ぼ、僕には…無理だよ…」
次男「………あのな」
三男「前はそう言って逃げてたかもしれない…」
次男「…!?」
三男「でも…兄上が…兄上が戻ってくるまで…頑張るよ!」
次男「ああ…。頼んだぞ!!」
老文官「我らも全力を尽くし、再興に務めましょうぞ!」
次男「頼んだぞ。どこからでも見守っておるからな」
側近「これは気が抜けませぬな…!!」
次男「ふっ…ははっ。ははははっ!!」
召喚士「はははっ!」
剣士「ところで白馬騎士殿は…?」
戦士「そういやいねーな…」
- 638 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:45:00.50 ID:qOB8NJco
魔道士「どこいっちゃったんでしょうね…?」
パッカパッカパッカッカ…
白馬騎士「……」
召喚士「あ、白馬騎士さ…」
盗賊「……その…馬は!?」
戦士「赤兎……」
パッカパッカパッカ…
白馬騎士「師から弟子へ…だったな?」
白馬騎士は赤兎の手綱を戦士へ手渡す。
戦士「あっ…でもよ…」
白馬騎士「受け取ってやれ」
次男「名馬三傑の一頭だ。お受け取りなさい」
戦士「いや…そうじゃなくてだなっ」
魔道士「…?」
戦士「その…気持ちは嬉しいし、大変ありがたいんだけどさ…」
- 639 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:47:06.08 ID:qOB8NJco
盗賊「……」
戦士「俺らは四人で一つなんだ」
召喚士「戦士…」
戦士「俺一人馬に乗ってってワケにはいかねぇし…」
白馬騎士「……」
戦士「何より…やっぱり四人でゆっくり、自分の足で進みたいんだ」
召喚士「……戦士…」
次男「はははっ!これは一本取られたな。白馬騎士よ」
白馬騎士「…全くですね」
召喚士「あっ!なら…剣士さんが預かって頂けませんか!?」
剣士「僕が!?いやいや…っこんな立派な馬、僕には…」
白馬騎士「それは良いかもしれませんね!」
側近「うむ。この者…騎士団長としての資質を備えておられる」
剣士「!?…そ、そんな事は全然っ!!」
次男「では決まりだな。頼みます剣士殿…!」
- 640 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:49:46.71 ID:qOB8NJco
剣士「そ、そんな…!!」
魔道士「剣士さんなら安心ですねっ!エヘヘ!」
盗賊「…ああ」
剣士「ま…参ったなぁ」
次男「ではそろそろ…」
戦士「三人娘も待たせてるしな…また怒られんぞ?」
召喚士「そ、そうだね…!」
剣士「では僕も…失礼します」
召喚士「剣士さんっ!ありがとうございました!!」
剣士「こちらこそ!幼女ちゃんと赤兎は心配なく!!」
魔道士「はいっ!また行きますから!」
戦士「元気で!」
盗賊「…また」
剣士「ああ!きっとまた…!それじゃ」
剣士は赤兎に跨り、東へと走り去って行った…。
- 641 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/08(月) 17:51:12.22 ID:ByeshsDO
弓使いの反応が気になる
- 642 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/08(月) 17:56:39.12 ID:qOB8NJco
老文官「次男様…いや、法師様も皆様方もお気をつけて…」
法師「北の我が寺は任せたぞ」
側近「いつでもお戻りになれるよう、手入れをしておきます故…」
三男「兄上。それでは…また」
法師「…お前の顔が見れぬのが残念だが…」
三男「兄……上…っ…!!」
法師「泣くなよ?お前はもう華国の長なのだぞ…?」
三男「……はい」
戦士「それでは…行きますか!!」
白馬騎士「…また会おう」
召喚士「必ず…!!」
魔道士「それでは、失礼します!」
盗賊「……では」
五人は宮廷前を後に、西へと去って行く。
その姿が見えなくなるまで、華国の一同は見送り続けた。
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