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召喚士「行けっ!コカトリス!!」
274 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 17:21:38.85 ID:ii7MFeMo
一同はミノタウロス討伐から西方での

旅の話を、酒や食事を交えつつ師匠に話す。

師匠「ガハハハッ!そりゃすげぇな!」

戦士「でしょ!まさか王子だったなんて…ハハハッ!」

召喚士「あ…師匠」

師匠「んー?」

召喚士「朱雀先生って…知ってますか?」

師匠「…知ってるよ」

召喚士「どこにいますか!?」

師匠「…死んだよ」

召喚士「えっ…!?」

師匠「俺の…師匠だ」

召喚士「師匠の師匠が…朱雀先生?」

師匠「あぁ。先生ってのは代々継承する称号でな」

召喚士「継承者はいなかったんですか…?」

師匠「さぁ…知らねぇなぁ」

召喚士「そうですか……」


276 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 17:28:34.85 ID:ii7MFeMo
魔道士「あれ?でも一命と取り留めたって…」

戦士「そうだ!何でも魔王討伐に行ったとか…凄いッスよね!」

師匠「その傷が元で死んだよ。魔王になんて敵うワケもねぇのに…」

盗賊「……魔王」

師匠「自分が力を付けたって…浮かれて過信してたんだろーよ…へっ」

召喚士「……師匠」

師匠「いいか、お前らもこの先何かやろうと考えてるだろ?」

魔道士「え…えぇ、まぁ…」

師匠「勇敢なのは結構だがな、己の力を過信はするなよ?」

戦士「勇敢と無謀を履き違えるな!ってやつですかい?」

師匠「!!…その言葉」

魔道士「マジシャンさんの…口癖です」

師匠「あのクソ魔道士…」

召喚士「いい言葉ですよね…胸に響いて…」

盗賊「……気が…締まる!」

師匠「あぁ…俺も尊敬する人の言葉だよ」

魔道士「そうなんですか?」

師匠「今は亡き…国軍総司令官、大元帥のお言葉だ…」


278 :パー速民がお送りします [] :2009/11/16(月) 17:59:16.65 ID:W/ABXMAO
将軍の親父って元帥かよ
すげえな


279 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 18:09:31.64 ID:ii7MFeMo
召喚士「大元帥…!?」

戦士「国軍のトップかよ…」

師匠「正確にはこうだ。勇敢と無謀を履き違えてはならない!」

盗賊「……」

師匠「慎重と臆病を履き違えてはならない!」

魔道士「…」

師匠「自信と慢心を履き違えてはならない!」

戦士「……」

師匠「勇者は一人であり、全員が勇者である!」

召喚士「…」

師匠「15年前に国軍が最大規模の魔王討伐を行ってな…」

召喚士「……魔王討伐」

師匠「その時のお言葉だよ…まぁ昔から口癖だけどな」

戦士「…深い言葉だなぁ」

師匠「まだ若い。そのうち分かるさ…ガッハハハ!」


280 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 18:20:39.90 ID:ii7MFeMo
召喚士「……」

師匠「おっ、もうこんな時間だ…よしっ!」

召喚士「…やりますか」

師匠「冥土の土産に…しっかり見せてくれ!」

〜師匠の家の前〜

召喚士「……行きます!」

師匠「おう」

盗賊「……」

召喚士「行けっ!精霊達っ!!」

シュイィィンピキィィィン…!!

戦士「きっ、来たぜぇっ!!」

魔道士「凄い…輝きっ…!」

召喚士の前に金色の輝きが照らされる。

師匠「こ…これはっ…!?」

シュウゥゥゥ…


281 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 18:25:06.43 ID:ii7MFeMo
シルフ「じゃじゃーん!」

ノーム「…」

召喚士「はぁっ…はぁっ…はぁ…」

サラマンダー「あーもーええわ…好きにしぃ」

ウンディーネ「うふふ…」

師匠「全属性の精霊が…一度に…!!」

召喚士「約束…守りましたよ…はぁ…はぁ」

師匠「……お前は…最高の弟子だ!」

戦士「へへっ!」

魔道士「良かったですね!召喚士さんっ!エヘヘ」

召喚士「…うぅっ…グスッ…!」

師匠「何…泣いてんだよ…!」

召喚士「師匠…こそっ…!」

師匠「泣いて…ねぇよ!バカヤロウ!」

召喚士「うっ…!……ひぐっ!うぅっ…」

盗賊「……グスッ」


282 :パー速民がお送りします [sage] :2009/11/16(月) 18:29:12.49 ID:o8f30Mg0
じわりときた


283 :パー速民がお送りします [sage saga] :2009/11/16(月) 18:29:36.15 ID:ii7MFeMo
続きは後ほど!ノシ


302 :パー速民がお送りします [sage saga] :2009/11/16(月) 21:09:59.77 ID:sXQOcLgo
っぐわ!…くそ!…また同一IDが暴れだしやがった…
死にたくなかったら早く俺から離れろ!!」

さて…いよいよです。皆様ハンカチの用意を(泣けねぇよ)
悲しいけど…これ、戦争なのよね…


303 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 21:11:55.52 ID:sXQOcLgo
師匠「でも本当に…よくやった!」

召喚士「…はい」

師匠「皆も…ありがとう」

魔道士「いえっ…グスッ」

盗賊「……」

戦士「でもこれで…何か?」

師匠「…ちょっと昔話をしてやろう」

召喚士「…はい」

師匠「かつて…伝説、と呼ばれたパーティーの話だ」

魔道士「伝…説…」

師匠「今から50年程前、4人のパーティーが魔王を倒した…」

戦士「倒した…!?」

召喚士「だって魔王はまだ…!?」

師匠「あー…そっから説明するか」

盗賊「……」

師匠「魔王ってのは1体だけじゃないんだよ」


304 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 21:13:06.32 ID:sXQOcLgo
魔道士「…!!そんな…!!」

師匠「人間だって何人も王様がいるだろ?」

召喚士「……言われてみれば…確かに」

師匠「その中の1体、魔王パズズを見事倒した…」

戦士「魔王パズズ…」

師匠「なんと彼らはな…4人全てが召喚士だった」

召喚士「!?」

魔道士「全員…召喚士…」

盗賊「…そんな」

師匠「今では非現実的で考えられねぇが、とにかく強かったそうだ」

召喚士「確かに魔力さえ持てば…」

師匠「しかも伝説はな、それぞれバラバラの属性だった…」

戦士「4属性全てが揃って…!?」

魔道士「…信じられない」

召喚士「まさか…その…伝説が…!?」

師匠「そう…先生方だよ」


305 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 21:15:20.98 ID:sXQOcLgo
召喚士「魔王をも倒す…先生…」

師匠「さて、話の本題だ。その先生方が古代の召喚術からある研究に成功した」

盗賊「……ほう」

魔道士「それは一体…?」

師匠「召喚術はな…四属性じゃない…」

召喚士「……!?」

戦士「四属性…じゃない!?」

師匠「あぁ…召喚術も五行だったのよ…」

盗賊「!!」

魔道士「召喚術が…!?五行!?」

召喚士「バカなっ!?しかし…!!」

師匠「そう、あくまで伝承で…証明も出来ない」

戦士「だから…伝説か…」

召喚士「でも…どうやって5つ目の属性を…」

師匠「四属性を合体させるらしいが…詳しくは…」


306 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 21:17:28.47 ID:sXQOcLgo
盗賊「…そんな…事が」

師匠「お前なら…それが出来る!!」

召喚士「!?」

師匠「俺はそんな気がしてならねぇ…」

魔道士「た、確かに…全ての属性を持つ召喚士さんなら…」

戦士「魔王をも倒す…召喚獣を…!」

召喚士「でも…手掛かりもないんじゃ…」

師匠「いるだろ…一人、生ける伝説がよ」

盗賊「…青龍…先生!?」

師匠「そう…あのジジイはまだ生きてやがる」

召喚士「白虎先生は…知ってますか?」

師匠「…今のか?」

召喚士「えぇ…」

師匠「知ってはいるが…居場所は知らねぇし…」

魔道士「……」


307 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 21:18:37.38 ID:sXQOcLgo
師匠「会っても…まぁ無理だろうな…」

召喚士「…無理?」

師匠「協力してくれるようなヤツじゃねぇってこった」

戦士「じゃあ…青龍先生に会うのが先決か」

魔道士「みたいですね!」

召喚士「師匠……」

師匠「ん?」

召喚士「しばらくここに居ても…いいですか?」

召喚士「!?」

魔道士「私も…そうしたいです!!」

盗賊「…同意!」

戦士「世話…させてくれませんか…?」

師匠「……お前…達?」

召喚士「居させて…下さい…!!」

師匠「……」


309 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 21:24:35.43 ID:sXQOcLgo
その日から召喚士達は、師匠の家で世話をしながら、

修行と団欒の日々が続いた…。

〜数日後、大陸の港〜

タッタッタ…カランカラン

バーテン「おう…遅かったな…」

占い師「さぁ、すぐに向かうわよ!」

マジシャン「はぁっ…はぁっ!!」

〜師匠の家の前〜

――その日は肌寒い夜だった…。

召喚士「師匠…冷えますよ?」

師匠「なぁペニス…」

召喚士「…ペニスはやめて貰えますか?」

師匠「あぁ…わりぃわりぃ、そうだな…」

召喚士「それで…なんです?」

師匠「俺はこうみえても、女にはモテる」

召喚士「ははっ…何度も聞きましたよ」


311 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 21:34:43.32 ID:sXQOcLgo
師匠「まぁでも…なんつーかな…」

召喚士「…?」

師匠「酒なんて飲んで呼んで貰ったり…なぁ」

召喚士「…あぁ。…そうですね」

師匠「ゴホッゴホ…!」

召喚士「師匠っ!?」

師匠「あぁ、そうだ…コカトリス呼べるか…?」

召喚士「…?えぇ、呼べます…けど?」

師匠「ちょっと…呼んで…くれや」

召喚士「…分かりました。…では、あっちで」

召喚士は師匠をおぶると、脇の森へ歩く…。

師匠「ははっ…情けないなぁ…弟子におぶられて…」

召喚士「……軽くなりましたね…師匠」

師匠「……情けない…なぁ」

ザッザッザッザ…


312 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 21:41:47.72 ID:sXQOcLgo
召喚士「ふーっ…行けっ!コカトリス!!」

シュイィィン

師匠「悪い…二人きりにしてくれ…」

召喚士「……はい」

ザッザッザ…

師匠「また会えたな…コカちゃんよ」

コカトリス「……戦友…か」

師匠「…世話になったな」

コカトリス「…色々あった」

師匠「あぁ…あった。迷惑もかけちまったな…」

コカトリス「…何千年と人間を見てきた」

師匠「……?」

コカトリス「お前が一番だよ…戦友、いや……親友」

師匠「俺も…幾多の召喚獣を見てきた…」

コカトリス「……」

師匠「お前が一番だ……親友…」


313 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 21:44:56.05 ID:sXQOcLgo
コカトリス「……ついに…か」

師匠「あぁ、最後の頼みだ。聞いてくれ」

コカトリス「……」

師匠「アイツは最高の…弟子だ…」

コカトリス「…あぁ」

師匠「救世主になれるかもしれない…」

コカトリス「……あぁ」

師匠「……アイツを…守ってやってくれ」

コカトリス「……あぁ、約束だ」

師匠「頼んだぞ……親…友……」

ドサッ…

コカトリス「………召喚士!!」

――コカトリスの声が、あたりに響き渡った…。

召喚士「…!?」

ガチャッ!!

戦士「……なんだ!?」

魔道士「行きましょうっ!!」


316 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 21:50:07.63 ID:sXQOcLgo
タッタッタッタッタ…

召喚士「師匠!!!」

師匠「………」

召喚士「師匠…師匠っ!!」

タッタッタッタ…

マジシャン「どけっ!!」

――マジシャンは師匠を抱きかかえ、走る。

戦士「おっさん!!」

盗賊「……!!」

魔道士「マジシャンさん!師匠さんはっ!?」

――家に入り、マジシャンは師匠をそっとベッドに寝かせる。

召喚士「…うっ…し…師匠…!」

占い師「……師匠…!」

――師匠がゆっくりと目を開けた…。

師匠「…何だ…みんなして……ははっ」


320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 22:00:27.83 ID:sXQOcLgo
魔道士「し、師匠さんっ!…グスッ…」

盗賊「……うぐっ…!」

マジシャン「どうにか…ならんのか…?」

師匠「…どうにも…ならんな…」

召喚士「…ぐっ!……師匠っ…うぐっ…!」

占い師「………」

師匠「俺は……幸せ者…だな…」

マジシャン「……あぁ。最高の幸せモンだよ…!」

師匠「こんなに……みんなに……見守られて…」

魔道士「ひぐっ!……うっ…うぅ…」

戦士「………ぐっ!」

――師匠は優しく微笑んで、召喚士を見る。

師匠「なぁ……呼ん…で……くれないか…?」

召喚士「うぐっ…グスッ…うっ……うんっ…」

師匠「………」

召喚士「あっ…ありがとっ…う……父さん…!」

師匠「…ありが…と…う……息子…………」

――師匠はにっこりと微笑み、ゆっくりと…目を閉じた…。


327 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 22:15:56.64 ID:sXQOcLgo


マジシャン「なぁ…俺とお前が最初にであったのは…魔導学校だったけな」

――マジシャンは墓を見つめている。

マジシャン「30年か…よく頑張ったよなぁ…俺ら…」

カチッ…シュボッ

マジシャン「後は……任せておけ…やれる限りやってやるよ」

コツコツコツ…

占い師「………」

マジシャン「さて…行くかね…」

占い師「……それじゃあね…朱雀先生…」

マジシャン「あばよ……」

ザッザッザ…

召喚士「…マジシャンさん」

マジシャン「じゃあ行くわ…またな」

占い師「召喚士くん……はい」

召喚士「…何です?」

占い師「…師匠から貴方への…預かり物よ」

マジシャン「またな……」

ザッザッザッザッザ…


329 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 22:21:13.00 ID:sXQOcLgo
テクテクテク…

魔道士「…あれ…マジシャンさん達、帰っちゃったんですか?」

戦士「昨日来たばっかりなのに…なぁ」

盗賊「……」

――四人が墓の前で手を合わせる。

魔道士「師匠さん…ゆっくり…休んでください」

盗賊「……グスッ」

戦士「しばらく飲んでないだろうからな…」

――戦士は瓶の蓋を開け、墓にかける。

トポットポットポッ…

戦士「いつか…こんな旨い酒作って…持ってくるよ…」

召喚士「……」

魔道士「…召喚士さん」

召喚士「…?」

戦士「俺ら…先に戻ってるぜ…」

召喚士「……ありがとう」

テクテクテク…


331 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 22:36:23.56 ID:sXQOcLgo
――召喚士は預かった手紙の封を切る。

ガサッ…

――――――――――――――――――――

召喚士へ

20年間共に過ごしたが、俺は不器用で、

何ものこしてやる事が出来ない…。

コカトリスと、この家が、お前の助けになればと思う。

楽しい事、つらい事、その色々が今では懐かしく思う。

この20年は俺にとって、本当に贅沢で幸せで…。

それもお前がいてくれたからこそ、心よりそう思う。

勇敢と無謀をはき違えず、慎重と臆病をはき違えず、

自信と慢心をはき違えず、勇者は一人で、全員が勇者。

自分の為に、人の為に、強く強く…歩いていけ。

俺は父親のような事を、全くしてはやれなかったが、

お前は俺の自慢の…誇れる息子だと心より思う。

20年間ありがとう…。おれの宝物…。

――――――――――――――――――――


336 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/11/16(月) 22:40:56.06 ID:sXQOcLgo
召喚士「……ひぐっ!…うあっ…うっ…!」

ポタポタ

召喚士「ふっ…うっ……っ…あ」

ポタポタ

召喚士「あっり…がとっ…!ありが…と…っ」

ポタポタポタ

召喚士「ありがっ…とう…父さん…父…さ…!」

――召喚士は手紙を胸に強く抱き締めた…。

――昨日の寒さが嘘のように…優しく温かい風が吹いた…。



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