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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
751 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:08:12.57 ID:KwPg8L5Ho
〜不死の山〜

ビュオオォォォォ!!

召喚士「――っ」

槍侶「大丈夫ですかぁ!?」

召喚士「えっ!? なにっー!?」

槍侶「大丈夫ですかああぁぁ!!」

召喚士「大丈夫ーっ!!」

ザッザッザッ

召喚士(しかしこの吹雪は強烈だな……。鉱山北の山より激しいかも……)

槍侶「召喚士さん!! こっちに!!」クイクイッ

召喚士「了解ーっ!!」

ザッザッザッ…ザザッ

槍侶「……ふーっ」バサバサッ

召喚士「よ……っと。はぁ、凄い吹雪だね」

槍侶「ええ。ここまで悪天候なのは久し振りですね」


752 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:08:38.44 ID:KwPg8L5Ho
召喚士「ここは、洞窟?」

槍侶「空洞を利用して設営した、簡易的な休憩所とでも言いましょうか」

カチカチカチッ…シュボッ

槍侶「ここで一旦、暖を取りつつ、一休み致しましょう」

召喚士「うん」

槍侶「雪崩などに備えて、内部は木造りですので、暖かいでしょう?」

召喚士「そうだね。火をおこすだけで洞窟内がかなり暖かくなったよ!」

槍侶「茶を沸かしますので、しばしお待ちを」コポコポコポッ

召喚士「ありがとうございます」

槍侶「召喚士様が目的とされる場所まではあとどの程度で?」

召喚士「実は下山の際に偶然遭遇したもので、頂上からでないと分からないんだよね……」

槍侶「そうでしたか。ならば一先ずは、総本山までご一緒に」

召喚士「すみません……」

槍侶「いえいえ。なんなら吹雪が止むまで総本山にて休まれるのが宜しいかと」

召喚士「い、いえっ! そこまでは……」


753 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:09:09.86 ID:KwPg8L5Ho
槍侶「私が預かった大切な客人です。なにかあっては私の面目が立ちませぬ」コポコポ

召喚士「……」

槍侶「さ、まずは茶でも飲んで、身体を温めて下さいませ」

召喚士「……助かります」ゴクッゴクッ

槍侶「風が弱まるのを見て、再び総本山を目指しましょう」

召喚士「ええ、そうしましょうか」カサッ

槍侶「……?」

召喚士「チョコレートです。甘くて美味しいですよ」

槍侶「い、いただきます」パクッ

召喚士「疲れた時には糖分がいいって言いますから」

槍侶「もぐもぐ……こ、これはっ!?」

召喚士「お口に合いませんでしたか!?」

槍侶「な、何と言う美味……っ! この世のものとは思えぬ美味さ……!!」

召喚士「……もっと……食べます?」

槍侶「宜しいのですか!? ぜ、是非っ!!」


754 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:09:38.22 ID:KwPg8L5Ho
〜帝の城〜

帝「よく来てくれたな。どうか楽に」

青年兵「恐れ入ります」

帝「早速ではあるが、戦についての意見を聞かせて貰いたいのじゃ」

青年兵「はい。まずは明日にでも、軍船を全て東へ移そうかと思います」

家老「ほう、先に軍船を?」

青年兵「はい。先に入港させ、いつでも発てる手筈を整えておけば、時間のロスは防げます」

名代「確かにその通りですな」

帝「ふむ。では早速、そう致そうか」

青年兵「もし先に回せる兵が居れば、一緒に乗せていくのも宜しいかと」

帝「訓練……と言うか、慣れにもなるか」

名代「本国の船と東方の船では、技術的な違いもありますからね」

青年兵「差し支えなければ、本国の兵も明日には東へ向かおうかと思います」

帝「本国が向かうと言うのに、我らが遅れるなど恥だぞ」

名代「左様ですね。では、こちらの兵も世話になると致しましょう」


755 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:10:09.37 ID:KwPg8L5Ho
青年兵「それから、北への行軍ですが……」

名代「昨晩のお話通り、藤蔵を主体にこちらは出るつもりです」

青年兵「こちらは召喚士さん達と特殊襲撃隊に参加して頂くつもりです」

家老「召喚士……藤蔵の姫君も一緒か。それは丁度良いやもしれんな」

名代「有難う御座います」

青年兵「本人達も望んでいる事ですから」

帝「名代、総本山の連中には、直に東へ向かうよう伝えてくれ」

名代「畏まりました」

家老「それで、行軍は何時から開始と致すのじゃ?」

青年兵「そうですね、個人的な意見としては……3、4日以内には」

帝「以前にも伝えたように、此方の手筈は既に出来ておる。何時でも良いぞ」

青年兵「了解致しました」

名代「今は最小限の動きに留め、両国の絆を固くしつつ、刻を待つと致しましょう」

帝「そうだな。予め互いが意思疎通出来ておれば、今後の戦も楽になろう」

青年兵「ええ、私もその通りだと思います」


756 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:11:03.91 ID:KwPg8L5Ho
〜不死の山、総本山〜

ビュオオォォォォ!!

槍侶「見えてきましたーっ! 総本山です!」

召喚士「おぉ……っ!」

ザッザッザッザッザッ…

僧兵長「……? 槍侶、か!?」

槍侶「ただいま戻りました。しかし、凄い吹雪ですね」

僧兵長「ああ。まるで不死の山が怒りを露にしているかの如く……おや?」

召喚士「はぁ、と……到着」

槍侶「以前、総本山へ異国の方が訪れた事、覚えていらっしゃいますか?」

僧兵長「……ああ、一年近く前になろうか。そのような事があったな」

槍侶「その際、お越し頂いた一人の、召喚士様です」

召喚士「こ、こんばんは。ご無沙汰しております」

僧兵長「これはこれは。このような時にわざわざお越し頂き」

槍侶「一先ず中へ入らせて頂きます」


757 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:11:30.85 ID:KwPg8L5Ho
僧兵長「今、道を作っておる。もう少し待ってくれ」

召喚士「何をしてらっしゃるんです?」

槍侶「雪掻き、つまりは雪を除けて、道の確保や建物の倒壊を防ぐのですよ」

召喚士「なるほど」

槍侶「しかし掻いても掻いてもこの吹雪では、あまり意味もないかもしれませんね」

僧侶「そうなのだ。吹雪が激しく、雪掻きも捗らぬ」

召喚士「風が止めば、多少は変わりますか?」

僧兵長「それは勿論。一気に進められますからな」

召喚士「……なるほど」ザッザッザ

槍侶「召喚士様?」

召喚士「お礼、とまではいきませんが、この程度の事はさせて下さい」

僧兵長「な、何事……っ?」

召喚士「行けっ、クジャタ!!」

シュイイィィィィン

クジャタ「…………」


758 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:11:58.69 ID:KwPg8L5Ho
僧侶「お、おぉ……っ!?」

僧兵長「これはっ、式神というやつか……っ」

召喚士「そんなところです」

槍侶「しかし何故っ、今それを……」

召喚士「まぁ、見てて下さい!」バッ

クジャタ「……オオォォ」

ゴアアァァッ!!

僧侶「な、何ぃーっ!?」

僧兵長「風が……止んだ!? いやっ、一部分のみが無風に……」

召喚士「召喚獣クジャタの能力です。この召喚獣は、気候を部分的に操る事が出来るんです」

槍侶「な、何とそのような事が……。凄いものですな、召喚獣とやらは」

僧兵長「お、おぉ……っ。何と言う事かっ、まさに御加護とでも言うべきものよっ!」

召喚士「い、いや……そんな大層なものでは……」

僧兵長「皆の者、見よっ! これぞまさに天よりの助けではないか!」

召喚士「あ、あのぉ……」


759 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:12:28.54 ID:KwPg8L5Ho
ザワザワザワ

僧侶「いやはや、お陰様で雪掻きも目処がつきましたぞっ!」

召喚士「そ、それは良かったです……っ」

僧兵長「しかし素晴らしいお力。召喚士様は天よりの使いであられるのですな!」

召喚士「で、ですから……」

槍侶「先輩方、召喚士様がお困りではありませんか」

僧兵長「むっ、これは失礼致しました」

槍侶「さ、こちらへ」

召喚士「すみません……」

テクテクテク

槍侶「悪く思わないで下さいませ。皆、信仰深いが故の事ですので」

召喚士「ええ、分かってます。でも、本当に特別な力とはではないですから」

槍侶「我らにとっては、神格的な力ですよ。私も驚きました」

召喚士「でも、召喚士にとって召喚術は当たり前ですし、陰陽道だって……」

――「今でこそ当たり前やもしれぬが、かつてはそれを天の力と読んだのかもしれぬなぁ」


760 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:12:59.24 ID:KwPg8L5Ho
槍侶「大僧正様」

大僧正「陰陽師は限られた一族の者のみが使役出来ると言うが、まさに神通力よな」

召喚士「大僧正様、ご無沙汰しております」

大僧正「よくぞおいでなすった。何か、ご助力頂いたそうじゃな」

召喚士「そんなつもりでは……。当たり前の事をしただけですよ」

大僧正「ふむ。そう思える事こそお主の持つ仁徳じゃ。皆も見習うが良い」

召喚士「……っ」

槍侶「召喚士様は式神……えぇと、召喚術の件にて総本山を訪れたのです」

大僧正「ほう、不死の山に何かあると?」

召喚士「はい。あくまで推測ですけれど」

大僧正「古来より神仏が集うと謳われ続けてきたこの山であれば、確かに何かあるのやもな」

槍侶「やはり大僧正様もそうお考えで?」

大僧正「何より山がざわついておる。この猛吹雪もその影響じゃて」

召喚士「山が……?」

大僧正「お主を待っておるのであろう。それは吉兆か、はたまた凶兆か……」


761 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:13:30.26 ID:KwPg8L5Ho
〜西の森〜

ホーッ…ホーッ

戦士「何だか薄気味悪いなぁ」

鬼丸「なぁ、地図の道はこっちで会ってんだろうな?」

戦士「んー多分な」テクテク

鬼丸「それならいいけどな」

ピクッ

戦士「……!?」

鬼丸「この気配、妖怪の類だな」

戦士「結構……多くねぇか?」

鬼丸「多いな」

戦士「……どうする?」

鬼丸「どうしたい?」

戦士「そりゃ、面倒は避けたいぜ」

鬼丸「じゃあ逃げるに限るわな。グハハッ」


762 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:14:04.81 ID:KwPg8L5Ho
戦士「そんじゃ……」

鬼丸「せーの……」

ダダッ!!

鬼丸「待てっ! 伏せろ!」

戦士「!?」

ガサッ!!…ズザァ

戦士「……な、何だよ急に」ヒソヒソ

鬼丸「黙ってろ。あれ見えるか?」

戦士「……?」

オオォォォォ…

戦士「――っ!?」

鬼丸「妖怪の行列だ。ありゃあ……百鬼夜行だな」

戦士「ヒャッキ…ヤ?」

鬼丸「妖怪が大軍で移動すんだよ。規模はマチマチだがぁ、百から千までとにかく多いぜ」

戦士「……っ」


763 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:14:30.46 ID:KwPg8L5Ho
〜不死の山、総本山〜

槍侶「一向に弱まる気配を見せませんね」

召喚士「ええ……」

槍侶「やはり今日は総本山にて一夜を過ごされては?」

召喚士「でも、大僧正様のお話を聞く限りでは、変わりそうもありませんから」

大僧正「山の怒り。即ち、不死の山に住まう妖の仕業であるならば、な」

召喚士「俺、行きます」

槍侶「!?」

召喚士「やっぱり天候が回復するとは思えないし、俺がいてはずっとこのままですよ、きっと」

槍侶「召喚士様……っ」

大僧正「うーむ。行くも留まるも困難なる道か……」

召喚士「大丈夫ですよ。俺にはクジャタがありますから」

槍侶「お供、致しましょうか?」

召喚士「いえいえご心配なく。それに、たぶん1人で行った方がいいと思うんです」

大僧正「うぅむ、十分にお気を付けなされよ? 危うい時は直ぐにでも此処へ戻ってくると良い」


764 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:15:00.98 ID:KwPg8L5Ho
召喚士「はい。ありがとうございます」

テクテクテク…

召喚士「それじゃ行ってきます。お世話になりました」

槍侶「御武運をお祈り申し上げます」

召喚士「はい。また、会いましょう!」

槍侶「次は下界、戦の時に……ですね」

大僧正「どうか召喚士殿に、天の祝福を」

僧兵長「総本山一同、貴殿の無事を祈りましょうぞ」

ザッ…テクテクテク

僧侶「開門っ!!」

ゴゴンッ…ギギイイィィィィ

召喚士「うっ!」

ビュオオォォォォ!!

召喚士「この程度で、負けてられるか……っ!!」

槍侶「どうかっ、ご無事で!!」


765 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:15:42.04 ID:KwPg8L5Ho
〜西の森〜

戦士「……なっげぇ」

鬼丸「もうじき通り過ぎるって」

戦士「うーん……」

ガサッ

――「……ふむ、百鬼夜行じゃのぉ」

戦士「…………」

 いつの間にか居たその老人は、戦士と鬼丸が振り向く前に言葉を続けた。

老人「ひょひょひょっ。お主等、こーんな所で何をしとるんじゃ?」

戦士「て――」

ザッ

鬼丸「待ちな。おいジジイ、てめぇ……」

老人「……人間と妖が一緒に居ると思うたら、そういう事かいな」

戦士「――っ!?」

鬼丸「戦士、このジジイは人間じゃねぇ。妖だっ!」


766 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:16:06.65 ID:KwPg8L5Ho
戦士「ちぃっ!」ガバッ!!

 起き上がりざまに雷切を居合いにて抜刀する戦士。しかし老人は軽やかにそれをかわす。

老人「ひょひょひょっ、怖い怖い。これだから人間は野蛮で嫌じゃ嫌じゃ」

戦士「こ……んのっ」

鬼丸「ジジイ、俺達ゃ忙しいんだよ。さっさとどきな!」

老人「儂の事も知らんくせに、よう歯向かうわい」

戦士「鬼丸っ! 一旦離れて応戦すんぞ!」

鬼丸「構わねぇよ。このままブチのめしてやんぜ」

戦士「だがよ……っ」

鬼丸「どうせ大した妖でもなさそうだ。グハハッ!」

老人「お主こそ鬼丸、と言ったか? 聞かぬ名前じゃ」

鬼丸「だろうな。俺は生まれ変わったんだ。鬼丸なんだよ」

老人「何を言っているかさっぱり分からんわい。どれ、仕方ない……」

戦士「来るぞっ!」

老人「おぉーい、助けてくれーい!!」


767 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:17:00.93 ID:KwPg8L5Ho
戦士「…………は?」

老人「こっちじゃこっちじゃ、人間がおるぞー」

戦士「……ナメてんのかてめぇ!」チャキッ

鬼丸「待て! 面倒な事をしてくれるぜ……ったく」

戦士「ど、どういう……」

オオォォォォ

戦士「!?」

鬼丸「せっかく通り過ぎてくれそうだったモンをよぉ……」

老人「百鬼夜行と戦うか? どう足掻いても勝ち目はぁないぞ?」

鬼丸「てめぇの一声で妖どもが従うたぁ、ジジイ……何モンだ!!」

老人「儂か? 儂はなぁ、妖の長よ」

戦士「長!?」

老人「そうじゃ。妖で一番偉い……ぬらりひょんと申す」

戦士「――っ!?」

鬼丸「ぬらりひょん……? グハハッ、知らねーなぁ!!」


768 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:17:35.74 ID:KwPg8L5Ho
〜不死の山、山中〜

ビュオオオオォォォォ!!

召喚士「だ、駄目だぁ! 何にも見えない……っ!」

ビュオオオオォォォォ!!

召喚士「し、仕方ない……っ! 行けっ、クジャタ! サラマンダー!」

シュイイィィィィン

サラマンダー「なんやねんっ!?」

クジャタ「……」

召喚士「クジャタ、またお願いっ!」

ズバァッ!!…ゴオオオオォォォォ!!

サラマンダー「おぉーっ。吹雪が止んだで!」

召喚士「確かこっちだ。サラマンダー、一緒に来てくれっ!」

サラマンダー「へいへい。明かり代わりっちゅう事やな?」

召喚士「うんっ!」

サラマンダー「うんっ、じゃねぇ!! このダァホッ!!」


769 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/14(水) 18:18:04.29 ID:KwPg8L5Ho
ジュッ!!

召喚士「あっちぃ〜!!」

サラマンダー「ほな、さっさと行くで!」

召喚士「……ちょっと待ってよ!」

ザッザッザッ

サラマンダー「すんすん。何か臭うなぁ」

召喚士「やっぽり!? 魔物の気配……?」

サラマンダー「いんや、焦げクサーイ臭いや」

召喚士「……それ、さっき燃えた俺の髪の毛だよ……多分」

サラマンダー「冗談や。魔物とも何とも言えぬ臭いや。ただ、人外なんは間違いないわ」

召喚士「……道は……分かる?」

サラマンダー「このまま真っ直ぐや。ちゅうか、お出迎えが来とるわ」

召喚士「!?」

ヒュウウゥゥゥゥ

夫人「……うふふふっ。わらわに会いに来たかの……人間よ」


771 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/14(水) 18:23:47.73 ID:27FCw/Q5o
いちおつ
向こうのスレで召喚士と夫人の初夜ですよね


774 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/14(水) 19:53:23.73 ID:Rn7UuTYAO
召喚士のモテ期くるー?


782 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [] 投稿日:2011/12/15(木) 01:25:01.86 ID:xZbWDdUp0
いちおつ
妖の長…ぬらりひょん軍団長クラスか…


790 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/15(木) 13:38:58.41 ID:ovGeejBDO
なんか雰囲気悪いね…誰が困るって>>1が一番困るんだからもうやめようぜ


793 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/15(木) 15:54:30.01 ID:TPZLTguqo
>>1乙
毎度毎度寸止めされて我慢が上手になりそうですう

んで、皆の気持ちはわかるがもうちょっとオブラートに包んでも言いたい事は伝わるんでないかね?
公共の場は気持ちよく使おうぜ


794 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:43:13.40 ID:zBtG4LWuo
ズザッ

サラマンダー「出たでぇ! やったれ朱雀ぅ!」

召喚士「……いや」

ザッザッザッ

サラマンダー「お、おいっ!?」

召喚士「そうさ。俺はあなたに会いに来たんだ」

夫人「ほぉ、それはそれは嬉しい限りじゃのう」

召喚士「……」

夫人「ほれどうした? 付いて参れ」

ザッザッザッ…

夫人「のう、お主……名は何と申したかの?」

召喚士「……召喚士です」

夫人「召喚士か。召喚士……ふむ、覚えたぞ。うふふっ」

召喚士「……?」

夫人「さ、こっちじゃこっちじゃ。早う来い」


795 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:43:59.05 ID:zBtG4LWuo
 ほんの少し先も分からぬような猛吹雪。その真っ白な視界は、
 
 クジャタの力により若干、開けたものの、周囲は相変わらず閉ざされていた。

 だが閉ざされていたはずの景色が急に変わり、白い景色のキャンパスに色が染まる。

召喚士「――っ!?」

サラマンダー「おいっ、ちょっと待――」バシュッ!!

召喚士「サラマンダー?」

夫人「着いたぞ。召喚士も一度、来た事があったかの」

召喚士「……ここ、やっぱり似ている」

 一面に彩られる花々。青空の中、穏やかに流れる雲と風。囀る小鳥。

召喚士「召喚界にそっくりだ。でも何で……っ、満月でもなければここは地上……」

夫人「それで、今日は何用なのじゃ?」

召喚士「やっぱりこの山自体に不思議な力があるのか? それとも……」

夫人「もしや、わらわの美貌に惹かれ、床を共にしとうなったかの?」ススッ…スリスリ

召喚士「わああぁぁぁぁ!!」

夫人「何じゃ、召喚士はまだ初物かえ? どうやら女子に慣れておらぬ様じゃ……うふっ」


796 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:44:35.79 ID:zBtG4LWuo
召喚士「そうじゃなくって!! 夫人さんにお伺いしたい事がありますっ!!」

夫人「良かろう良かろう。召喚士の態度次第では答えてやらぬ事もないぞ?」

召喚士「あ、あの……」

夫人「良し良し。さ、ならば早速……わらわの部屋まで行こうぞ」

召喚士「えっ?」

夫人「つべこべ言わず来るのじゃ!」シュルシュルッ

召喚士「!?」ギュウウゥゥッ

夫人「暴れても無駄無駄。わらわの尾は九つもある。抜け出す事など出来ぬ」スタスタスタ

召喚士「むぐーっ!!」

夫人「久々の男じゃっ、久々の人間じゃっ♪」スタスタスタ

召喚士(な、何なんだくそぉ……っ! いきなり捕まってこんな目に……)

夫人「着いたぞ、ほれ……大人しくするが良い」ポイッ

召喚士「くっ」ボフッ

夫人「……んふふふーっ。召喚士、わらわの瞳をじーっと見つめるが良い」ジーッ

召喚士「!?」


797 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:45:06.39 ID:zBtG4LWuo
夫人「そうじゃ。ふふっ、そのうちお前は……わらわの虜となるのじゃ……んふっ」

召喚士「……あ……っ」フラフラッ

夫人「さぁ、布団の上へゆっくり寝るが良い」

召喚士「あ……ぁ……」ファサッ

夫人「ふふっ、愛い奴よ召喚士。どれ……味見させて貰おうかのぅ」パサッ

スタスタスタ

夫人「よい……っしょ」ノソッ

召喚士「あ……あっ」

夫人「召喚士、ああこのまま一気に……喰ろうてやろうかの」

召喚士「あ……ぐくっ!!」パチッ

夫人「……?」

召喚士「あ、ぶなかった……。催眠魔法か……っ」

夫人「ほぉ、わらわの幻惑を耐えたか。見かけによらず図太いの」

召喚士「そっちに主導権は……わ、渡さない!」

夫人「……うふっ、たまにはそれも……良いかもしれんな」


798 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/15(木) 17:45:44.93 ID:zBtG4LWuo
ゾクッ!!…ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「――――っ!?」

夫人「……良いところで、くそっ」

――「なーにをしとるか女狐。あまり人間をいじめるでないぞ?」

スタスタスタ

召喚士(な、何だこの威圧……いやっ、そんなものじゃない! 存在そのものが……)

――「おやおや? お主、前にも一度……感じた事があるのぉ」

召喚士(そ、そうだっ、これだ。あの時感じた夫人以外の……もう1つの気配……っ)

 目の前に現れた小柄な老人。姿はまるで人間と違わぬものである。

夫人「……もうっ、食事の邪魔しないでよ」

召喚士「あ、あの……この方は? 魔物……ですか?」

夫人「……ああ、この方はね、山本五郎左衛門さん」

山本五郎左衛門「ひょひょひょっ、宜しくのぉ」

召喚士「さ、さんもと……さん?」

夫人「……そ、山本五郎左衛門さん。ちなみに妖の長。一番偉い妖じゃ」



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