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冒剣士「…冒険酒場で働くことになった」
127 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:34:28 ID:T02ZkGx.
 
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―――【次の日・冒険酒場】


オーナー「…と、いうわけで。今日も宜しくお願いします」

聖剣士「よろしく!」

魔法使い「よろしく〜」

女メイジ「宜しくお願いします」ペコッ

冒剣士「よろしくです」


128 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:35:10 ID:T02ZkGx.
 
オーナー「と、1つ報告があったんだ。今日から女メイジが、うちの専属になってもらったよ」


聖剣士「…!」

魔法使い「え、本当!?でも何で急に…?」

女メイジ「…」


オーナー「まあちょっと色々あってね」

魔法使い「まぁ何でかは大体分かるけど…」

オーナー「はは…でしょ?そういうこと。それじゃ、仕事にはいろっか」


女メイジ「皆さん改めてよろしくお願いします!」

聖剣士「うん、おめでとう」ニコッ


129 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:35:40 ID:T02ZkGx.
 
冒剣士「あ…そうだ、女メイジ…」

女メイジ「…何?」


…コンコン


オーナー「ん?こんな朝早くからお客…?」


…ガチャッ


孤高騎士「ちっす」


オーナー「孤高さん…いらっしゃいませ。朝ごはんでも食べにきましたか?」

孤高騎士「はは、そうそう。聖剣士の朝ご飯を…」

オーナー「仕方ないですね、用意してください」


孤高騎士「って、違うわ!クエスト受けにきたんだよ!」


130 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:36:10 ID:T02ZkGx.
 
オーナー「あ、なるほど」

孤高騎士「どんだけ俺が食い意地はってる人間なんだよ…、で。いいクエスト入ってるのか?」

オーナー「国家はないですが、軍事レベルのクエストならば」

孤高騎士「オーケー。で、相談なんだが…」


オーナー「はい?」


孤高騎士「パーティも選別したい」

オーナー「パーティ…といっても、今は冒険者たちはまだ…朝早いのでいませんが…」


孤高騎士「いるだろ…?新人クンと女メイジちゃんが」ニカッ


女メイジ「え?」

冒剣士「ん?」


131 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:36:57 ID:T02ZkGx.
 
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オーナー「こちらが今回のクエスト内容です。北部の猛雪山の調査ですね。洞窟の探索です」パサッ

孤高騎士「ほほう。すると、イエティ関連だな…女メイジはイエティ討伐の経験あるか?」


女メイジ「ないですね。ただ、それと同位のゴーレムなら遠征討伐に参加した経験が」

孤高騎士「上等。冒剣士はどうだ?」

冒剣士「いえ、ないです…が、あの…」

孤高騎士「なんだ?」


冒剣士「なんで僕なんですか?女メイジは経験があるとはいえ、僕はまだ白プレとやらですし…」


オーナー「あ、忘れてた、プレート渡すの…はいっ」スッ

冒剣士「あ、ありがとうございます」


孤高騎士「簡単な理由だ。手合わせして実力が分かった。擬似武器じゃなく、使い慣れた得物ならもっと戦えるんだろ?」


132 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:37:27 ID:T02ZkGx.
 
オーナー「…」


冒剣士「そ…それはそうですが……」


孤高騎士「…お前さ、冒険者になんだろ?」

冒剣士「え?」

孤高騎士「何で冒険のパーティに誘われてるのに、喜べないんだ?1日、2日の宿の仕事で、安定した職に就きたくなったのか?」


冒剣士「い、いやそういうわけじゃないんです」

孤高騎士「じゃあどういう訳だ?」

冒剣士「あの、何ていうか…実感がないというか…」


孤高騎士「あー…確かにな」

冒剣士「それに、オーナーの了解を得てませんし…」チラッ


133 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:37:59 ID:T02ZkGx.
 
オーナー「ん…了解?」

冒剣士「専属とはいえ、僕はここの従業員ですよね…?」

オーナー「あぁ。従業員だけど、専属冒険者。パーティに誘われた冒険者を、むげには出来ないよ」

冒剣士「そ、それじゃ?」


オーナー「うん、もちろん行ってきていいよ。ただし、安全には最善の配慮を…、ね?孤高さん」

孤高騎士「はっはっは、わかってるさ。俺の実力も知ってるだろ?」

オーナー「付き合いは長いですからね」アハハ


冒剣士「よ、よろしくです!」


134 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:38:29 ID:T02ZkGx.
 
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冒剣士「準備はこれでいいんですか?…重いですね」ヨイショ

オーナー「猛雪山はかなり天候が激しいから準備万端で望まないとね」


孤高騎士「防寒具、食料、武器のメンテ具、サブ武器…」


冒剣士(考えたら、本格的なクエストはこれが初めてだ。ドキドキしてきた…)ワクワク


オーナー「洞窟の前に、確か山小屋があるはずです。そこは結構広いし、他の冒険者が多いから中継地点にするといいですよ」

孤高騎士「あーあったな」


女メイジ「山小屋があるって…オーナーは猛雪山に登ったことがあるんですか?」


135 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:39:26 ID:T02ZkGx.
 
オーナー「うん、あるよ。もう25年も近く前になるかな…、冒険者としてね」アハハ

孤高騎士「へえ…そういや、オーナーって何歳なんだ?だいぶ若く見えるが…」

オーナー「俺?俺は今年で41になりますよ」


孤高騎士「はー!?見た目は20台なのになあ…」

オーナー「はは、よく若いって言われます」


魔法使い「私より、旦那さんが若いっていうのも…悲しい気分なんだけど…」

オーナー「そんなことないさ、まだまだキレイだよ」ニコッ

魔法使い「…もー」


孤高騎士「歳とっても仲いい夫婦か、素晴らしいことだと思うがね…」


女メイジ「…」ブスーッ


136 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:39:58 ID:T02ZkGx.
 
冒剣士「あ、あのー…それでいつ出発を…」


孤高騎士「あ、悪い悪い。それじゃ、出発するかあ…オーナー、大切な従業員、預からせて頂きます」ペコッ

オーナー「うむ!よろしくお願いします」


魔法使い「いってらっしゃいな!」

オーナー「気をつけてなー」

聖剣士「行ってらっしゃい!」


3人「行ってきます!」


137 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:40:35 ID:T02ZkGx.
 
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…トコトコ

孤高騎士「歩いて7日くらいだな…」

冒剣士「結構遠いですね」

女メイジ「……ゲートを使えれば楽なんですけどね」


冒剣士「ゲート?」


138 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:41:21 ID:T02ZkGx.
 
女メイジ「冒険の扉のこと」

冒剣士「…何それ」

女メイジ「…」


孤高騎士「簡単に言えば、ワープゲートだ。軍の支部同士を繋いでいる、瞬間移動装置のことだ」

冒剣士「へええ、そんなものあるんですね。一般人は使えないんですか?」

孤高騎士「なんだったかな…、生活に著しく影響を与え兼ねないから、一般公開は抑えてるとか聞いたぞ」


冒剣士「そんな影響与えますかね?」


女メイジ「…たとえば」

冒剣士「?」


139 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:42:00 ID:T02ZkGx.
 
女メイジ「その技術、それが一般普及したとして…、今"商人"をやっている人たちはどうなると思う?」

冒剣士「あ…」

女メイジ「それと、あれを設置するには相当数な魔石が必要になるの。だから、作られる場所も限定される」


孤高騎士「多大な魔力の影響は、周辺にも色々及ぼすからな」

女メイジ「そうですね。それを悪用してしまう人が現れてしまうかもしれませんし」


冒剣士「なるほどなー…」

女メイジ「それと、60年くらい前にも起きた魔王軍の侵攻…、20年前の塔の暴走とか…、そういう対応に関するところもあると思うけど」

冒剣士「いわゆる天災みたいなやつ?なんで?」


女メイジ「普段から多数の一般人が出入りしちゃうと、軍の緊急出動が対応できなくなるでしょ」

冒剣士「…そうだね」


140 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:42:35 ID:T02ZkGx.
 
女メイジ「ちょっと考えればわかるでしょ」

冒剣士「う…、そうだね……」


孤高騎士「はは、まぁまぁ。旅は長いんだ、仲良くいこうや」


女メイジ「…そうですね」

冒剣士「…はい」


孤高騎士(やれやれ、パーティはこんなピリピリした空気だと痛い目みるぞ。若いってことなんだろうが…ね)


141 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:43:26 ID:T02ZkGx.
 
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―――【6日後】


孤高騎士(あれか歩き続けて6日。もうすぐ着くし、少しは良くなると思ったが…)


女メイジ「…」

冒剣士「…」


孤高騎士(相変わらずの無言か…、きっついなー。リーダーとしても…)シクシク


女メイジ「あの…」

孤高騎士「ん?」


142 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:43:58 ID:T02ZkGx.
 
女メイジ「今回の調査は、どういった内容なんですか?"調査"としか聞いてないので…」

孤高騎士「ああ、猛雪山の山小屋から歩いて数キロの場所に洞窟が発見されたんだ。それの内部調査だよ」

女メイジ「なるほど…、イエティの巣だったりしません?」


孤高騎士「猛雪山はイエティの巣窟だからねえ…、猛雪山の裏側、裏山のほうはアイスタイガーが住んでるけどね」


女メイジ「アイスタイガー…か。洞窟は危険じゃないんですかね?」

孤高騎士「どうだろう。表側の猛雪山は、長年にわたってイエティ程度しか確認されてないから、軍事レベルなんだと思うよ」


冒剣士「軍が調査するわけにはいかなかったんですかね?」

孤高騎士「そうだなー…、正直"探索"は軍の処理じゃないからな。イエティの掃除とかなら軍処理になるんだろうけど…」

冒剣士「そうなんですね」


143 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:44:30 ID:T02ZkGx.
 
孤高騎士「明日にはふもとの町に着くし、そこで一旦休憩だ」

冒剣士「わかりました」

女メイジ「わかりました」


孤高騎士「それじゃ、もうすぐだからさっさと行くか」


2人「はいっ」


144 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:45:01 ID:T02ZkGx.
 
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145 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:45:31 ID:T02ZkGx.
 
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――――【ふもと・雪降町】


…ワイワイ……ガヤガヤ…


孤高騎士「おー、久々だなこの町も!」

冒剣士「さ……寒い、この時期に雪を見るなんて思わなかった…」

孤高騎士「東方出身だったな、あっちは暖かいんだろ?」

冒剣士「いえいえ、四季があって春はサクラが咲いたり、そりゃまあ見事な…」


孤高騎士「サクラかあ、桜花っていうんだっけか?一度見てみたいんだよなぁ」


146 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:46:08 ID:T02ZkGx.
 
冒剣士「あはは…、それで、これからどうするんです?」

孤高騎士「ここにも冒険酒場があるからな、そこで宿泊する。出発は明日の朝だ」

冒剣士「今13時くらいですし、だいぶ時間ありますね」


女メイジ「孤高さん…だめ、ちょっと寒すぎる…」


孤高騎士「あー…やっぱり持ってきた防寒具だけじゃ無理だったか…俺は大丈夫なんだがな…」

女メイジ「防寒具売ってますよね…買ってきます…」


孤高騎士(あー…そうか)チラッ

冒剣士「?」


孤高騎士「よしっ!お前らっ!……」


147 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:46:39 ID:T02ZkGx.
 
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…トコトコ…

女メイジ「…」

冒剣士「…」


…トコトコ

女メイジ「…」

冒剣士「…」


…トコトコトコ…

女メイジ「…」

冒剣士「…」


148 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:47:09 ID:T02ZkGx.
 
…トコトコ

冒剣士(き…気まずい!しかしなんで…)


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孤高騎士「お前ら!荷物預かっておくから、2人で近くの店で買い物してこい。俺は飲んでる」
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冒剣士(むっせきにんだなぁ…、女メイジに謝りそびれてから何て声かければいいか分かんないし…)

女メイジ「…」


冒剣士(こういう雰囲気苦手なんだよな…どうしたらいいんだろ…)


女メイジ「ねぇ…」

冒剣士「!?」ビクッ


149 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:47:40 ID:T02ZkGx.
 
女メイジ「私、何かした?この間から、距離感も微妙だし…」

冒剣士「へっ?あ、いや…」

女メイジ「確かに日は浅いとは思うけど、あからさまに避けられてるような気がするんだけど…私のこと嫌いなの?」

冒剣士「ち、違うよ!」

女メイジ「じゃあ何で?」


冒剣士「そのー…えっとさ…、出発する前の日…実は…、トイレに起きて…聞いたんだよ…」

女メイジ「何が?」

冒剣士「僕のせい…なんでしょ?女メイジが悲しんだ理由って…」


女メイジ「…あぁ、あのこと……」


150 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:48:21 ID:T02ZkGx.
 
冒剣士「だから、謝ろうと思ってたんだけど、中々いい出せなくてさ…」

女メイジ「あのね…、あの…冒剣士…バカなの?」

冒剣士「バ…なんで!?」


女メイジ「確かに冒剣士のせいかもしれないけど、それは実力の世界でしょ。私だって冒険者なの…それくらいは理解してる」

冒剣士「…」

女メイジ「逆にそんな事されたら私怒ってるわよ?なんで負けた相手に情けをかけられないといけないんだって」

冒剣士「…」


女メイジ「だからそういうのは気にしないで。わかった?」

冒剣士「わかった…ごめん」

女メイジ「また!そうやってすぐ謝るクセ、やめたほうがいいよ?」ハァ


151 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/11(日) 06:49:08 ID:T02ZkGx.
 
冒剣士「うん、気をつけるよ…ごめん」

女メイジ「…」

冒剣士「……あ、ああ!また間違った…ごめん!」


女メイジ「あなたのクセ、治りそうにないってのは分かった…」


冒剣士「う〜ん…気をつけてみるよ…ごめん」

女メイジ「………それじゃ、さっさと服買って戻りましょっ。寒くてしょうがないの…」ブルブル

冒剣士「そ、そうだね…」



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