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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その22
403 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:51:37.95 ID:9zXvfgEo
〜昨日、東の城壁にて〜

ザッザッザッザ

皇太子「これが噂の……」

エリート「月の宴はつい先日終えたばかりでしたか?」

東方副司令「ええ、その通りです」

右文官「本国の城壁より…遥かに堅固だな…っ」

皇太子「それはそうだ。海風や嵐からも守らねばならん」

東方司令「殿下の申す通りです」

皇太子「…それ、上に登ってみるか」

グッ…テクテクテク…

東方副司令「殿下!?」

エリート「一度言い出したら聞きませぬ。我らが付きます……」

東方司令「…副司令は戻っていろ。ボクが行くよ」

東方副司令「は、はぁ…」

テクテクテクテク…ザッ


404 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:52:12.29 ID:9zXvfgEo
皇太子「……これは絶景!」

右文官「ひ、ひえぇ……高い…っ!」

エリート「右文官殿も下で待たれては?」

右文官「そ、そうさせて貰う……ひいぃ…っ」

ザッザッザ

東方司令「……いかが…ですか?」

皇太子「…凄いな。世界は広いという事を痛感させられるよ」

東方司令「……」

皇太子「あの…遠方に見える陸が、東方か?」

東方司令「…あれは東方の手前に広がる小島です」

皇太子「そうか。ここから見ても東方はまだ遠いか…」

エリート「……」

東方司令「あの……殿下…」

皇太子「ん?」

東方司令「不躾ながら…東方に何か思惑でもおありで…?」


405 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:52:51.83 ID:9zXvfgEo
皇太子「……あるよ」

エリート「!?」

東方司令「……」

皇太子「東方だけではないさ」

東方司令「…?」

皇太子「いつかは国などという隔たりなく…世界で繋がりたいと思っている」

東方司令「世界……」

皇太子「ああ、世界だ。飢えも戦いもない…平和な世界だ」

エリート「……殿下、そろそろ戻りましょう(これ以上は心臓に悪すぎる…っ)」

皇太子「…ん、ああ」

ザッ

――「うわーっはっはっはっは!!」

エリート「っ!?」

東方司令「…あの……バカッ」

皇太子「この声…っ!」


406 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:53:31.61 ID:9zXvfgEo
ババッ!!…ビュオオォォ…

東方参謀「ワシはここだ!ここにおーる!!」

エリート「上か…っ!?」

バッ!!…ギュオオォォ…スタッ

東方参謀「殿下、ご機嫌麗しく……」

皇太子「やはり君か、東方先生!」

エリート「あれは…東方参謀殿か…!」

東方参謀「いやはや…見ぬうちにまた凛々しくなられましたなぁ!」

皇太子「そういうお前は変わらんなぁ…はははっ!」

東方司令「…知っておるのか?」

エリート「え、えぇ。まぁ……」

東方参謀「陛下の容態は…?思わしくないと伺うが……」

皇太子「最近じゃお前のような口煩い者達が消えて…すっかり弱っているよ」

東方参謀「…ワシとて何も好きで離れたわけではありませんぞ」

皇太子「分かっている。君のような者が前線に居てくれるからこそ助かってるのだ」


407 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage] 投稿日:2010/12/06(月) 18:24:21.92 ID:JARy.16o
豪快な羽ばたきと共に、ワイバーンが大空高く飛び立つ。

ドウッ!!…バサッ…バサァ…

王宮兵「……す、すご…っ!!」

ギュオオオォォ

右秘書官「――っ!!」

青年兵「しっかり掴まっていて下さい!飛ばしますよ!!」

ドウンッ!!

右秘書官「サラマンダーより、ずっとはやい!!」

青年兵「え?」

右秘書官「え?」


408 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 18:27:08.03 ID:9zXvfgEo
東方参謀「…うわはははっ!口も上手くなりましたなぁ!」

皇太子「全く…折角褒めていると言うのにこれか…はははっ」

ザッザッザッザッザ

皇太子「視察といっても、我らに出来る事はこの程度か」

エリート「…ですね。あまり関与しすぎると国軍本部の顔を潰しかねません」

皇太子「だな。さて…戻るとしようか」

テクテクテクテク

右文官「…ふーっ。終わりましたか」

皇太子「右文官、頭脳以外も鍛えた方が良いぞ」

右文官「良いのですっ!私の仕事は城壁の上へ登る事ではございませんっ!」

皇太子「…はははっ。それもそうだな」

エリート「さぁ行きますぞ」

右文官「…んっ?何やら正門のあたりが騒がしいな……」

皇太子「……?」

東方司令「…誰か、何があったのか報告致せ」


410 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 18:32:45.00 ID:9zXvfgEo
ドドォ…

御者「お待たせしやした!」

右秘書官「有難う。助かった」

御者「いえいえ!」

青年兵「では、ありがとうございました!」

右秘書官「…んっ?」

ドドッドドッ…ドドォ…

青年兵「…反対側にも馬車が…。殿下…ですかね?」

右秘書官「い、いや…あの馬車は…!!」

ガチャッ…ゾロゾロゾロ…

左翼士官「…右秘書官か。お前も来ていたのか」

青年兵「あ…あれは…っ!」

右秘書官「…左翼の連中だ」

左翼士官「お前らは先に入っていろ。すぐに行く」

左翼兵「はっ」


415 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 23:37:12.64 ID:1OW6cvso
カツカツカツ…

左翼士官「…ん?見ない顔だな」

青年兵「は、始めまして……」

左翼士官「新米か。頑張りたまえよ」

青年兵「……はい」

左翼士官「それで、殿下のお手伝いかね?」

右秘書官「…だとしたら?」

左翼士官「…何を企んでいるかはしらんが」

右秘書官「……」

左翼士官「好きにはさせんよ。まぁ大人しくしている事だな…」

カツカツカツ…

青年兵「あの方は……?」

右秘書官「裏方だよ。経済機関の実務を担っている連中さ」

青年兵「実務…っ?」

右秘書官「厄介だぞ。奴らには感情論や同情は一切ない」


416 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 23:37:44.75 ID:1OW6cvso
カツカツカツカツ…

左翼士官「…おや、これは殿下。もう演説は終えたのですか?」

皇太子「演説?そんな大層な事はしてないさ」

左翼士官「そうですか。てっきり東方司令部を篭絡されに来たのかと思いましたよ」

エリート「貴様、言葉に気を付けよ。殿下に対し何という……」

皇太子「構わん。少し時期が悪かったようだな。これで失礼するとしよう」

左翼士官「……そう願いたいものですね」

エリート「……」

左翼士官「…何か?」

右文官「い、行きましょう…っ」

カツカツカツ

左翼士官「…ふん。コバンザメの青二才め」

左翼兵「会見の準備が整いました」

左翼士官「ご苦労。僅かに芽生えた芽であろうと…摘まねばな。くくっ」

左翼兵「さ、左様で御座いますな……っ」


417 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 23:38:18.76 ID:1OW6cvso


右文官「…全く。相変わらず無礼な輩だっ」

エリート「……」

皇太子「そう目くじらを立てるな。相手の思う壷ではないのか?」

エリート「それはそうですが…礼節弁えぬ振る舞いには些か……」

ザッザッザ

右秘書官「殿下!」

皇太子「お前ら…来ていたのか!?」

青年兵「たった今、到着致しました」

エリート「…立った今?」

皇太子「早いな。それで、何か急ぎの用件か?」

右秘書官「お耳を……」

ボソボソッ

皇太子「……そうか。高官が」

右秘書官「今しがた左翼士官にも会いました」


418 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 23:40:01.67 ID:1OW6cvso
皇太子「ああ、私も会った。左翼も動きが早いものだな」

右秘書官「関心している場合ではないですぞ?」

右文官「それで…如何なさるつもりだ?」

エリート「予定は変えませぬ。東方へ向かいます」

青年兵「……」

右秘書官「しかし、ここにきて…ただそれで終わりというのも味気ない」

右文官「…?」

右秘書官「一石投じてみては…?」

エリート「何か策があるのですか?」

右秘書官「殿下のお声は届いたのですよね?」

右文官「…まぁ、説得に至るまではいかぬがな」

右秘書官「それでも、みすみす逃さぬ手はありますまい」

右文官「それもそうだが……」

皇太子「何をしようと言うのだ…?」

右秘書官「まずはですね……」


419 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 23:45:10.72 ID:1OW6cvso
〜都、現在〜

皇太子「…あぁ、美味かった!」

看板娘「ありがとうございましたっ!」

皇太子「これは帰りに土産として買っていこう」

エリート「……はぁ」

皇太子「青年兵には悪い事をしたからなぁ」

右文官「…くくっ」

右秘書官「……」

右文官「…あっ、いや……失礼」

隊長「何かあったのですか?」

エリート「…えぇと、まぁ…色々と」

西方参謀「左翼…ですかね?」

右秘書官「……東方滞在中に手を考えねばなりませぬ」

皇太子「まぁ、今は観光を楽しもうじゃないか。次はどこだ?ん?」

エリート「……」



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