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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
143 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/19(月) 01:24:46.39 ID:s/RD/3A7o
ドドドドドド…

西方司令「やるじゃんかよぉ! 他の連中もよおおぉぉぉ!」

南方司令「あとは我らがここで、この者を止めねばならぬ」

アスラ「……」

西方司令「いよぉ旦那ぁ! 昨日は世話んなったなぁ!!」

南方司令「前方へも後方へも、貴様は進ませはせんぞ」

アスラ「……どいつもこいつも……イラつかせる!!」

左足を1歩下げ、力を加えると同時に、正面の南方司令、西方司令が

有無を言わさぬ勢いでアスラめがけ真っ直ぐ突進した。

アスラ「ハアアァァァァーッ!!」

力を入れた足で地面を蹴ると、アスラはその2人へぶつかるかのように、

一気に直進し、前宙から右足で飛び蹴りをそのまま繰り出した。

南方司令「西方司令っ!」

西方司令「おうよ!!」

アスラの飛び蹴りと南方司令の右拳が直線上でぶつかる。


144 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/19(月) 01:25:33.03 ID:s/RD/3A7o
南方司令「押し……返す!!」

アスラ「グヌウウゥゥゥゥ!!」

ズガガガガッ!!

アスラの一撃を食い止めた南方司令はその場に膝を着くが、

その背後より跳躍した西方司令の両手から、巨大な剣が振り下ろされる。

アスラ「――ッ!!」

西方司令「死ねやこらああぁぁぁぁ!!」

バッギャアアァァァ!!…ドゴオオォォォォン!!

アスラ「ガフ……ッ!」

腹部を直撃し地面へ叩きつけられるアスラへ更なる追撃が襲う。

南方司令は片足立ちの状態から下半身へ力を加えると、そのまま跳び上がり、

先程のアスラ同様、右拳を大きく振りかざす。

南方司令「ジャスティイイィィィス……パアアァァァァンチイイィィィ!!」

ギュオォッ!!…ドッズウウゥゥゥゥン!!

アスラ「ゴブゥ……ッ!!」


145 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/19(月) 01:26:47.38 ID:s/RD/3A7o
南方司令の拳がアスラの顔面へ深くめりこんだ。

西方司令「まだまだだぞこるあぁ!!」

巨剣を振り上げ、再びアスラの腹部へと叩きつける西方司令。

ゴッシャアアァァァァ!!

南方司令「ジャスティス…キーック!!」

西方司令「死ねや死ね死ね死ねコラアアァァ!!」

交互にアスラを痛め付ける2人の司令。アスラはその猛攻に溜まらず間合いを取り、

流れる血を振り払うと咆哮をあげ威嚇する。

アスラ「ゴアアアアアァァァァーッ!!」

ビリビリビリッ

アスラ(先程までと強さが違う……ッ。何なのだこれは……)

手を抜いていたわけではない。南方司令、西方司令共に、リミッターが外れたのだ。

それは南方軍の先程見せた突撃により士気上昇と、天才の存在である。

西方司令「お師匠や他の連中があんだけ頑張ってんだ」

南方司令「我らが易々とやられているわけにはいかないな」


146 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/09/19(月) 01:36:44.51 ID:udbddNzIO
燃えてきたぁぁ!


153 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:23:28.94 ID:EKu+XmzUo


戦闘は熾烈をきわめた。午後になると双方被害は減少したものの、

互いに牽制が増え、一進一退の攻防が繰り広げられ、数時間にも及んだ。

本陣のある東の町もさる事ながら、前線にて軍団長と対峙する3名の師弟は、

それらを上回る体力と精神力を消費し、本陣への侵入を防ぐ事に専念していた。

ガキイイィィン!!…ズザザザザァ

西方司令「くっはあぁーっ!!」

南方司令「2人がかりで陥ちぬとは……やはり、一筋縄ではいかぬか」

アスラ(彼奴ら、この小さな体のどこにこれ程までの力を蓄えておるというのだ……ッ)

昨日の失態を踏まえつつ、己が攻撃を仕掛けつつも、左右から東の町へと進軍する

ラクシャーサの大群へと目を配らせている為、個としての全力を出せずにいるアスラ。

西方司令「クソが! このままじゃ日が暮れちまうだろうがよぉ!」

最早、剣とは言い難いくらいに刃こぼれが酷く、打撃武器と化した巨剣を担ぎ上げ、

その苛立ちを自身、はたまた南方司令への叫びとして声を荒げる西方司令。

南方司令「……」


154 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:24:05.96 ID:EKu+XmzUo
両拳からは流血し、対峙直後に浴びたアスラの一撃にて既に右腕には傷を負った南方司令。

西方司令の叫びを耳に入れつつも、その右腕を見つめ、目線を再び敵へと向ける。

南方司令(西方司令が言っていた、師匠が五行を開放しっ放しで戦っていると……)

アスラ(1の策はこの2匹を殺し、後方のシヴァと合流し、もう1匹も始末する)

南方司令(それに加え、私はおろか、西方司令とて負傷している事は明白)

アスラ(2の策はこの2匹を捨て置いて、人間の本陣へと突入する)

南方司令(敵はさほどダメージを負ってはいないが、部下に神経を配っている以上踏み込めない)

アスラ(だが、どちらもラクシャーサを捨てる事に相成る)

南方司令(このまま継続か……さすれば時間稼ぎにはなる。その間に……)

アスラ(昨日までならいざ知らず……30万以上の兵を預かっている身とものれば……)

南方司令(赤壁からの援軍が到着すれば、前線への負担も軽減出来る)

アスラ(私は……ラーヴァナ様の代わりなのだ……ッ)

南方司令(ここはこう着状態に持ち込んで退かせるが得策)

アスラ(強攻策は取れない。時間はある。日没まで様子を見て、一旦退かせるか)

理由は違えど双方の思惑は一致し、故に戦線は膠着状態のまま、時間は経過していた。


155 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:24:35.71 ID:EKu+XmzUo
ガシュウウゥゥゥゥ!!

天才「ハァーッ、ハァ……はぁ……はぁ……」

シヴァ「ヌグウウゥゥゥ……ッ!」

天才「……ハーッハッハ、どうしたよ? 随分と苦しそうじゃねぇか」

シヴァ「そういう貴様こそ、全力ではなかったのか? たかがしれてんぜ」

天才「……んだとコラ?」

シヴァ「所詮は人間よ、1匹の力など恐るるに足らんというわけだ」

天才「殺す!」

シヴァ「何度聞いた事か! いい加減……貴様こそ死ねぇい!」

徴発に乗ったわけではないが、天才は無心でシヴァへと突撃していた。

怪我人として他の者らに迷惑を掛けては要られぬ思いが1つと、

軍や重責を背負わずに、ただ1個人として戦える機会が訪れた事、

この2つが天才の闘争心をかき立て、シヴァの徴発が後押しするような形となったのだ。

天才「五行……聖!」

シヴァ「!?」


156 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:25:03.46 ID:EKu+XmzUo
眩い光を放ったツヴァイハンダーの刀身が、シヴァの腹部を側面から捉えた。

シヴァは必死で後方へと間合いを取るが、その巨大な刀身はシヴァの間合いを容易く捉え、

とても避けきれるものではなかった。そこでシヴァは咄嗟に、左足を大きく前に突き出した。

その足で天才を蹴り飛ばすと、ツヴァイハンダーは左足首を一閃し、シヴァの左足は落とされた。

と、同時に、天才は蹴りの反動で転がるように突き飛ばされ、地面に身を擦り付けられた。

ザシュウウゥゥ!!…ズザザザザザアァ

シヴァ「――ッ!!」

天才「がっはぁ……っ、はぁ……はぁ……っ、はぁ」

シヴァ「貴……様ぁ……ッ!!」

天才「結構シンドイがよ、割と清々しい気分なんだよな……ハーッハッハ」

シヴァ「よくも……タダでは済まさんぞおぉ!!」

天才「やーっと若いのも育ってきた。総司令としての俺様もいよいよを以ってお終いだ」

シヴァ「ぶっ殺す!!」

天才「総司令の復活はあと1度。それまでは最強ワーカー……天才様の全開だああぁぁ!!」

更なる五行を蓄え、付加したツヴァイハンダーを掲げた瞬間、天より巨大な雷が降り注いだ。


157 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:25:34.22 ID:EKu+XmzUo
天才「何ぃ――っ!?」

シヴァ「――ッ!!」

初撃の落雷はシヴァの動きを制止させる、もう少し言葉を付け加えるなら、

本攻撃に向けた照準を定める為の、標的を麻痺させる為の落雷であった。

キュイイィィィィ

シヴァ(まさかこの雷……ッ!! 間違いない……奴かああぁぁ!!)

2撃目の雷は明らかに初撃とは打って変わったものであり、その轟音、放出量、大きさ、

全てにおいて、1撃目に放たれたものとは比べ物にもならぬ光の裁きであった。

天才(っざけんなバカヤローが!!)

巻き添えを避ける為に天才は必死でその場を離脱する。一瞬視界に入ったシヴァの姿が、

ふと、視界から途切れ、そこへ新たな魔物が目に飛び込んだ。

天才(アジ・ダハーカ!?)

アジ・ダハーカ「グゴオオォォォォーッ!!」

ドッスウウゥゥゥゥン!!

シヴァ「――ッ!!」


158 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:26:09.19 ID:EKu+XmzUo
シヴァを体当たりで突き飛ばし、その勢いで落雷の麻痺から開放すると共に、

己自身と次の本攻撃を避ける為に、突き飛ばされた威力そのまま、後方へと退く2匹。

その直後、戦場へ2撃目となる本攻撃の轟雷が、上空より地面へと撃ち放たれた。

チカッ!!……ズッゴゴオオォォォォン!!

天才「――っ!!」

とてつもない爆風と電撃が辺り一面へと散る中、天才やシヴァらはおろか、その周囲に点在する、

進軍中のラクシャーサらをもその衝撃にて吹き飛ばされた。

結果、雷の落ちたその周囲には、おびただしい量の粉塵と、生えていた草木へ電撃が迸り、

その影響で発火した炎がゆらめくのみであった。

パラパラパラッ…ゴトッ

アジ・ダハーカ「グウウゥゥゥゥッ」

シヴァ「……イ、インドラ……ッ」

岩をどけて起き上がるシヴァは、目を細めて上空を見つめたが、落雷を放ったと思われる者は、

既にそこにはなく、立ち昇る白と黒の煙が周囲を漂っていた。

苦虫を噛み潰したような表情をしたシヴァは、無言のままその場を離脱した。


159 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:26:37.98 ID:EKu+XmzUo


天才(……何が起きた?)

暗闇の中でゆっくりと目を開けた天才は、まず頭の中でその言葉が浮かび上がった。

天才(確か……サルワと交戦してて……んで、仕掛けようと思ったらいきなり落雷が……)

状況を把握してゆく中、徐々に身体にも変化が訪れる。

ズキィ!!

天才「……っ!!」

身動きの取れぬ状態。それは身体にダメージを負ったから、というわけではなかった。

天才(……岩、か? どうやら埋まっちまったみてぇだな……っ)

爆風の衝撃で岩石の下敷きとなってしまった天才は、身動きを封じられていたのだ。

天才(ったく、しかたねぇな……)

グググッ…ググッ

天才「……おいおい……っ、これしきの……岩ぁ……っ」

グググッ…ガクンッ

天才「――っ!?」


160 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:27:34.31 ID:EKu+XmzUo
岩を持ち上げようと両手を上げるが、岩はやや動くものの、移動するには至らなかった。

今度は両足も用いて岩をなんとかしようとするが、これもやはりうまくはいかない。

天才「……冗談じゃねぇぜ……おいおい」

思いの外、ダメージを負った天才の肉体。自力での脱出も困難な状態であった。

天才「……ん……ぬおおぉぉぉぉ!」

グググッ…ググッ…グッ…

天才(……ははっ、俺様とした事が情けない限りじゃねぇか……!)

苦笑する天才はやがて、両手両足の力を抜き、暗闇の中でゆっくりと目を閉じた。

天才(はぁ……単身で良かったわ。こんな情けねぇ姿、誰にも見せらんねーよ……)

背中にあたるツヴァイハンダーを、居心地悪そうにもぞもぞと姿勢を整え、仮眠に入る。

天才(ひとまず休憩だ。あの威力じゃサルワもすぐには動くまい……)

体力を戻しつつも現在、そして明日以降の作戦の為、天才の脳内は目まぐるしく働いていた。

天才(読みが正しければ今日の交戦はこれで終わる。そして……勝負は明日……)

次第に呼吸を整えると、天才はそのまま眠りについた。

そして訪れる日没と同時に、彼の読み通り、4日目の交戦は終わりを迎えた。


161 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:28:08.54 ID:EKu+XmzUo


アスラ(これ以上はやはり戦う意味がない。後方の混乱も放ってはおけぬしな)

ザッ

西方司令「んだぁ!? 逃げるかコルァ!!」

アスラ「逃げる? 違うな、助かったのは貴様等であろう?」

西方司令「何だとぉ!!」

南方司令「待て」

西方司令「あぁ!?」

アスラ「其方の人間は多少、頭が働くようだな」

西方司令「馬鹿にしてんのかテメーは!! 死ね!!」

アスラ「今日で貴様等の行動は理解した。明日は……覚悟しておくが良い」

ススッ…バッ!!

西方司令「待てコラ逃がすかああぁぁ!!」

南方司令「待てと言っただろう、深追いするな!」

西方司令「じゃあこのままみすみす逃がせってのかぁ!? あぁ!?」


162 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:28:36.70 ID:EKu+XmzUo
テクテクテク…グイッ

西方司令「!?」

南方司令「今日はもういい。その方がこちらにとっても好都合だ」

西方司令「ひ、ひいいぃぃぃぃ! 死ぬううぅぅ!!」

南方司令「そうそう、死ぬから今日はもう退くぞ」

西方司令「はああぁぁぁぁ!!」

ラクシャーサ「後退だっ! 全員、速やかに後退ーっ!」

騎士団長「……敵が退いていくな。今日はこれまでか」

騎兵「追いますか?」

騎士団長「いや、無用だ。余計な被害を出す事もあるまい」

騎兵「了解であります!」

ドドドドドド…

南方副司令「敵さん退いたか。なかなかやるな。こちらも動く気配はないようだし兵を退くぞ」

南方兵「はい!」

アスラ主導の下、ラクシャーサ全軍においても撤退を始めた。


163 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:29:05.87 ID:EKu+XmzUo
〜東の町〜

南方参謀「撤退したわね……」

大軍師「ええ、そのようですね」

西方参謀「奴ら、思ったより手強いな」

大軍師「力押しで来るかと思いましたが、ラーヴァナはどこまでも真似事がお好きなようで」

西方参謀「気味悪いな、まるで……人間の軍隊を相手にしているようだわ……ヒック」

大軍師「あながち間違ってはいないでしょうね。余計な入れ知恵をしてくれたものです」

南方参謀「……?」

大軍師「さて、兵器の射出物を回収に入りましょう」

南方参謀「そうね、弾数も底を尽きそうだし、回収出来る者は再利用しましょ」

西方司令「射出人も回収か?」

南方参謀「そういえば……っ。総司令、無事かしら……」

大軍師「……帰還を待ちましょう」

西方司令「戻らなかったら?」

大軍師「総司令時代から何百回と出撃致しましたが、1度も帰って来なかった事はありませんよ」


164 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:29:32.84 ID:EKu+XmzUo
西方参謀「そりゃそうだが、今回はケースが違うだろ」

大軍師「……」

西方参謀「怪我した状態で単身出て行って、軍団長とぶつかってる」

大軍師「……」

西方参謀「そもそも、五ヵ年最後の年だからってあれ、ほとんど休んでないだろ……ヒック」

大軍師「では、貴方は司令に何かあったと申したいのですか?」

西方参謀「お前も見ただろ? さっきの落雷。あれは自然なものじゃねぇ、明らかに魔法だ」

大軍師「……」

西方参謀「しかも、とびっきりの、人間のモンじゃあない。魔物のモンだ……ヒック」

大軍師「間違いないでしょう」

西方参謀「この戦場は奇妙だ。どうも普通じゃない。だからこそ心配なんだよ」

大軍師「では、総司令を止められますか、あの方抜きで魔王軍を抑えきれますか?」

西方参謀「……予言か。まぁお前さんが言うなら、俺はこれ以上口出ししねぇさ」

大軍師「ハッキリと諫言する。貴方のそういう所……私は好きですよ」

西方参謀「野郎に褒められてところで嬉しくも何ともねーよ……ヒック」


165 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:30:00.56 ID:EKu+XmzUo
日没より30分も経たないうちに、魔王軍は東の町より後退し、

2キロ程度離れた平野に横一列で布陣を敷いていた。

人間側へ隠す事もなく松明の灯りや武器、そして瞳と牙や爪を月明かりに光らせて、

東の町から眺める一同を恐怖と不安へとかき立てていた。

ザッザッザ…

南方司令「まだ……戻らんのか?」

南方副司令「これから捜索隊を出すつもりだ」

南方参謀「司令は見かけなかったの?」

南方司令「出現から数分で姿を消したからな。かなり敵陣深くいったように思える」

西方参謀「総司令が死ぬタマかよ。そうだろ?」

大軍師「……帰還を待ちましょう。我らにはまだやるべき事が残っているはずです」

西方参謀「そうそう、人様の心配もいいが、自分達の心配した方がいいぜ……ヒック」

大軍師「おそらくですが、明日は総力戦となるでしょう」

西方副司令「あっちも決着を付けようって考えね」

南方副司令「なぁ、夜襲なんかは考えられないか?」


166 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:30:34.03 ID:EKu+XmzUo
南方参謀「確かに気になるところね」

大軍師「いえ、今宵はないと思いますよ」

騎士団長「断言出来るのか?」

大軍師「断言、と言われますと難しいところですね」

西方参謀「夜襲があるならハナっから夜に仕掛けてるはずじゃねぇか?」

南方参謀「確かにそうね。魔物は夜の方が得意なわけだし」

南方副司令「それをしないって事は……何かあるな」

大軍師「気づきませんか?」

西方副司令「え……っ?」

西方参謀「……そうかっ! 畜生……最初からそういう魂胆かよ……っ」

南方司令「どういう意味だ?」

西方司令「ひいいぃぃ!! 明日は満月……もう終わりだああぁぁぁぁ!!」

西方副司令「あ……っ!!」

大軍師「夜襲は明晩、しかも魔王ラーヴァナ直々に出陣する事でしょう」

南方参謀「道理で時間を掛けてくるわけよ! やってくれるじゃない魔王軍……っ!」


167 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:31:20.18 ID:EKu+XmzUo
〜ラーヴァナの城〜

アスラ「……」

ラーヴァナ「今日も陥ちぬ、か。人間もなかなか頑張るではないか。楽しみな事だ」

アスラ「……ラーヴァナ様、やはりご自身で出られると……?」

ラーヴァナ「アスラ、貴様に慎重策を取らせた意味、分からぬとは言わせんぞ?」

アスラ「……明日は満月です」

ラーヴァナ「ふっふっふ。ところでシヴァの姿が見えぬが……まさか死んだか?」

アスラ「いえ、そうは思えませぬが……」

ラーヴァナ「失踪……逃亡か? いや、まさかな。まぁ良い、好きにやらせてやれ」

アスラ「その件について、1つ気掛かりが……」

ラーヴァナ「申してみよ」

アスラ「人間との交戦中、上空より巨大な落雷が起こりました」

ラーヴァナ「落雷……」

アスラ「インドラの仕業かと」

ラーヴァナ「……ほぉ」


168 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:31:55.40 ID:EKu+XmzUo
アスラ「人間以上に厄介となる可能性もあります」

ラーヴァナ「全く、アンラ・マンユも余計な遺物を残してくれたものだ」

アスラ「奴の……インドラの矢は、ラーヴァナ様の身へも危害を加えかねません」

ラーヴァナ「確かになぁ。あれは厄介なものよ……」

アスラ「……もし、ラーヴァナ様がご出陣なされるのであれば、私はインドラに注力する事となります」

ラーヴァナ「スグリーヴァが消えた今、インドラを撃てば最早、南に厄介者は居らぬなぁ」

アスラ「必ずや、ジャガーノートをお傍から離さぬよう」

ラーヴァナ「フハハッ! アスラ、貴様の思慮深さには感心させられる」

アスラ「……」

ジャガーノート「……ゴフゥ」

ラーヴァナ「ん? どうしたジャガーノート。貴様も昂っておるのか?」

城の外部をじっと見つめるジャガーノート。闇夜は月に照らされ、連なる山々を写し出していた。

ラーヴァナ「さぁて、明日はいよいよ本番だ。それまでは下手な事をさせるなよ?」

アスラ「はっ。ラクシャーサにもシヴァにもきつく申し付けておきまする」

戦場へ戻るべく姿を消すアスラを見送り、ラーヴァナは高らかに笑った。


169 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:33:32.86 ID:EKu+XmzUo
ホーッホーッホーッ

盗賊「……っ」

錦将軍「何だ……今の、見られたような感覚は……っ」

弟者「まさか……バレたか?」

兄者「いや、それはあるまい。この距離では例え魔王ですら勘付くとは思えぬ」

白馬騎士「あのぼんやり見えるのがラーヴァナの城ですか?」

ラクシャーサ「あ、あぁ……っ。悪いが俺達はもうここまでにしてくれ……ッ」

山の頂上から遠方にある米粒のような城を、一同は息を飲み込み眺める。

青年兵「本来は闇に乗じたいところですが、流石に情報もなく進むのは愚策です」

青龍士官「青年兵の言う通りだ。ここはひとまず、様子を伺った方が良い」

1人も欠かせぬ討伐隊だからこそ、慎重に為らざるを得ない事は全員が承知の上であった。

故に反論は一切なく、各々はその刻に備えて下準備を進め、身体を休めるに留まった。

戦士「……いよいよだな」

盗賊「ああ」

魔道士「絶対に失敗は出来ませんね……っ、頑張りましょう!」

召喚士「……ええ、頑張りましょう」


170 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/09/20(火) 18:34:32.72 ID:EKu+XmzUo
それではここまでにて失礼致します
ご支援ありがとうございます!それではまた!ノシ


173 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/09/20(火) 20:58:13.11 ID:apUcHbwAO
>>1乙

俺は天才だぁ〜!とか名乗っちゃった時はカマセ臭がハンパなかったけど
本当に頼りになる男だな天才さん

ゴルリンらへんでちょっと苦戦してるようにも見えたけど
本当に頼りになる男だな天才さん


174 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [] 投稿日:2011/09/21(水) 03:28:54.17 ID:8mJ5cZIB0
1乙
インドラすごいなあ、魔王にもやっかいって言われるほどかよ



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