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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その37
913 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 00:46:39.02 ID:vCbJkugco
〜六道門・修羅〜

隊長「立て。一撃で楽にしてやる」ジャキッ

男隊員「……っ」ポタポタポタッ

女隊員「隊長っ!!」

隊長「……」

女隊員「隊長っ、私達が分かるんスよねっ!?」

隊長「五月蝿い奴だな。先にお前から殺してやるか」

女隊員「隊長っ! だったら……目を覚ますッスよぉ!」

隊長「……死ね」ビュオッ!!

 ググググッ

格闘家「……っ」

隊長「邪魔をするな。お前から死にたいのか?」

ボス「来いっ! ヨルムンガンドおぉ!」

 シュイイィィィィン……ゴッゴオオォォォォ!!

隊長「ぬ……っぐ!」


914 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 00:47:10.76 ID:vCbJkugco
 ドシャアアアアァァァァ……

ボス「頭冷やして、目ぇ冷めたか!」

格闘家「話して分かる状況とは思えない。ここは――」

男隊員「あれは……隊長なんだろ?」ガシッ

女隊員「!?」

男隊員「俺は……俺達はっ、隊長によぉ……」

隊長「……」ザッザッザッ

男隊員「隊長に救われてっ、命貰って……ここまできたんだろうがよっ!!」

女隊員「……そんなの分かってるっ! 分かってるッスよ……っ」

男隊員「だったらぁ!!」ザッ

女隊員「!?」

男隊員「俺は……隊長に殺されるなら、それで本望だ」スッ

隊長「それで守っているつもりか? 仲間を……」ジャキッ

男隊員「両手を広げる意味は……受け入れるって事だろうが! アンタが言った事だろうがっ!」

隊長「……」


915 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 00:47:50.39 ID:vCbJkugco
……――

兵士『……おいガキ、生きてるか?』ツンツン

少年『生きてるよっ! つっつくな!』

兵士『元気そうだな、じゃあ心配はいらんか』ザッ

少年『おっちゃん!』

兵士『……まだ26だ!』

少年『俺の村……どうなっちまったんだよ……』

兵士『残念だが壊滅だ。見ろ、もう何も残っちゃいねぇ』

少年『……』

兵士『家族は?』

少年『孤児だからっ、そんなのいねーし!』

兵士『そうか。まぁ気の毒だったな。もうこの村は放棄するしかねぇ』

少年『……俺は……どうなるんだよっ』

兵士『本国の孤児私設行きだな。しばらくはタダメシが食えるぞ』

少年『……っ』


916 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 00:48:47.01 ID:vCbJkugco


少年『……なぁ、おっちゃん』テクテク

兵士『おっちゃんじゃねぇって言ってんだろ!』テクテク

少年『名前』

兵士『……あ?』

少年『おっちゃんの名前!』

兵士『ああ……俺は隊長だ。つーか名前聞くならテメーから名乗るモンだぞ』

少年『そうなの?』キョトン

隊長『……そうか。勉強もままならん状況だったんだな』

少年『勉強なんて役に立たないよ。なぁ隊長さん、俺に……剣を教えてくれよっ!』

隊長『だったらお前も国軍に入るんだな。そしたら嫌でも教えてやるよ』

少年『国軍……?』

隊長『まぁ、バカなお前にはちょっと無理かな? 勉強が必要だし〜』

少年『――っ!! 勉強するっ、勉強するよ!』

隊長『そうだな。まずはしっかりと卒業する事だ。出来るもんならな。ハハハッ!』


917 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 00:49:56.39 ID:vCbJkugco
少年『するよっ! 絶対する!』

隊長『孤児施設なら、模範児童になれば奨学金も出る』

少年『何それ?』

隊長『タダで学校に行けるって事だ。但し、優秀な奴だけな』

少年『……』

隊長『学校行くって言ってもだ、金がかかる。金なんざねーだろ?』

少年『……ない』テクテクテク

隊長『だったらイイ子にしてな。模範児童になりゃタダで学校に行けるぜ』

少年『……頑張る!』ムスッ

隊長『ハハハッ! ああそうだ、そういやお前の名前を聞いてなかったな』

少年『俺は男隊員! しっかり覚えておきたまえっ!』

隊長『んだとぉ!? 生意気なヤローだな!』

男隊員『ヒャハハ!』

隊長『お、着いた着いた。ここが孤児施設だ』

男隊員『おぉーっ、デケー!!』


918 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 00:50:51.03 ID:vCbJkugco


職員『かしこまりました。それでは、お預かり致しましょう』

隊長『これが国軍からの書類と……身元引受書だ』

職員『身元引受人は隊長さん……つまり、あなたですか?』

男隊員『……!?』

隊長『何か問題あるか?』

職員『い、いえ……っ。しかし問題を起こした場合など、全てあなたに……』

隊長『ああ構わんさ。コイツと約束したからな』

職員『……?』

男隊員『俺っ、頑張って模範自動になるからさっ! 問題なんて起こさねーし!』

隊長『だ、そうだ』

職員『わ、分かりました……』カキカキ

隊長『んじゃ頑張れよ。たま〜には会いに来てやるよ』

男隊員『隊長こそ死ぬなよな! んじゃ色々とありがと!』

隊長『おう』スタスタスタ


919 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 00:52:07.51 ID:vCbJkugco
〜数年後〜

男隊員『隊長っ!!』タッタッタッ

隊長『入学が決まったんだってな、おめでとさん』

男隊員『へへっ、見ろよ! しっかり模範児童の資格も得たぜ!』

隊長『よく頑張ったな。ほれ、前祝いだ』ポイッ

男隊員『……?』

 バサッ……ガサガサッ

男隊員『……こ、これ……っ!!』

隊長『国立の制服、それで合ってたよな?』

男隊員『隊長……っ』

??『……ぐすっ』テクテク

隊長『……?』

男隊員『ああコイツ、女隊員ってんだ。俺より5つ下で11歳』

女隊員『うぅ……っ』

隊長『何で泣いてるんだ? 誰かにイジめられたか?』


920 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 00:53:14.84 ID:vCbJkugco


隊長『なるほど。まだ施設に来たばかりの新米だったのか』

男隊員『毎日コレなんだよ……。膝抱えて、泣きっぱなし』

女隊員『……ぐすっ、ぐすっ』

隊長『気持ちは分かるぜ。辛いよな、哀しいよな』

女隊員『うぐぅっ、ひ……っぐ』

隊長『でもな、甘ったれんな。ここにいる奴らはみんなお前と一緒なんだ』

女隊員『……っ!?』

隊長『お前以上に酷い目にあった奴だっている。見てみろ』

男隊員『……』

隊長『まだ幼いのに家族を失った奴。家族だけじゃなく目の光まで失った奴……』

女隊員『ひっく……ひ……っぐ』

隊長『それでもみんな笑って、元気で、そして必死に生きてるんだ』

 ザッザッザッ スッ

隊長『その両手は膝を抱える為にあるんじゃねぇ。広げて、受け入れる為にあるんだよ』

女隊員『うあ……っ、うああぁぁぁぁ』ポロポロポロッ


921 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 00:54:59.52 ID:vCbJkugco
――……

隊長「……」

女隊員「そうッス。両手は広げて、受け入れる為にあるんスよ! 隊長っ!」

男隊員「アンタが教えてくれた事なんだっ! だから俺はっ、アンタを受け入れる!」

隊長「…………」

男隊員「それでもまだ俺を斬るってんなら……好きにしろ」

隊長「……」チャキッ

男隊員「どうせアンタに救われた命だ。アンタにやられるならそれで本望」

ボス「お、おい……」

男隊員「だが、特遊隊長として、託された任務がある! だから他の連中は見逃してくれっ!」

格闘家「……っ」

男隊員「アンタなら分かるはずだろっ! 特遊の誇りがっ! 任務にかける魂がよっ!」

隊長「……言いたい事は……それだけか?」スッ

男隊員「……ああ。それだけさ、隊長!!」

隊長「……死ね」


922 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 00:56:27.88 ID:vCbJkugco
 ジャキッ……ビュオオォォッ!!

男隊員「――――っ」

女隊員「隊長おおぉぉぉぉ!!」

 ビタアアァァッ!!

男隊員「…………っ?」

隊長「……ぐ……くく……っく!」ガチガチ

 ガシャンッ……ドサッ

隊長「体が……くそっ、コイツ……どうして……っ!!」

女隊員「隊……長……?」

格闘家「様子がおかしいですよ」

男隊員「……」

隊長「う……うう……うおおおおぉぉぉぉ!!」

 ガバァッ!!

隊長「……はぁ、はぁ、はぁっ、はぁーっ!!」

男隊員「隊長……?」


923 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 01:00:14.46 ID:vCbJkugco
隊長「……くぞ」

男隊員「!?」

隊長「行くぞ、テメーら。こっから脱出すんぞ!」カシャッ

女隊員「隊長っ!!」

ボス「意識が……戻ったのか……っ?」

隊長「……」

男隊員「……」

 ザッザッザッ……ガシッ

隊長「強くなったな、お前はもう……立派な隊長だよ」

男隊員「……バッカヤロウ」ゴシゴシ

格闘家「しかしどうやって、ここから脱出を?」

隊長「ゴリ押しだ。一定以上の付加をかければブチ破れる」

女隊員「そ、そうなんスか?」

隊長「魔物になったからよく分かる。俺を信じろ」チャキッ

男隊員「いつだってアンタの事は信じてんだよ。そんじゃあやるかっ、ヒャハハ!!」


927 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/03/20(火) 15:21:11.08 ID:Cg5pRx/DO
根暗さんが自分の手駒全然操れてなくてわろた


929 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2012/03/20(火) 17:31:59.40 ID:6fC064fzo
>>1乙

隊長さん、涙ぐむじゃないか…

さすが根暗マンは人の心がわかっちゃいないと散々モブ喚士に言われ続けてたからな
ザマミロだな


930 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 23:56:43.11 ID:vCbJkugco
〜ネクロマンサーのラボ〜

 ズババババッ!! ジャキイイィィィィン!!

戦士「ちいいぃぃーっ!」ズザザァ

偽戦士「……」

戦士(だっ、ダメだ……っ)

偽戦士「……」ザッザッ

戦士(中身どころか、外見まで騎都尉に見えてきやがった)

偽戦士「……」

戦士「情っさけねぇな、俺……っ」

偽戦士「……」ニヤッ

戦士「そりゃ笑いたくもなるよなぁ」

偽戦士「……オオォォォォ」

戦士「笑いたきゃ笑うがいいさ。笑われるなんて百も承知だ!」

偽戦士「……」スチャッ

戦士「笑われようが罵られようが、俺は生きてる限り……闘い続けるんだよっ!」


931 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 23:57:15.34 ID:vCbJkugco
 ゴウッ!! ゴゴゴゴゴゴ……

戦士「まだだっ、まだ足りねぇ……っ」

 ゴゴゴゴゴゴオオォォォォ

戦士「こんなモンかよ! 俺の力はぁ!!」

 ズッゴオオオオォォォォ!!

戦士「騎都尉を……親父を……そしてぇ、自分を越える!!」

 ダァンッ!!

戦士「その先にこそっ、俺の求める本当の強さがあるんだろうがよぉ!!」

 自分の姿をしたモノが戟での強烈な突きを繰り出す。

 戦士は顔を右へ傾け、それを紙一重でかわすと、一気に懐へと飛び込む。

 そのまま戟を振りかぶると、自分の姿はそれに呼応し、戟を払う為に振り上げる。

戦士「何度も味わった感覚だ!」

 己自身の戦術、技量を受け止めていれば自ずとその答えは見えていた。

 カウンターの更にカウンター。戦士はがら空きになった腹部を強く蹴り飛ばし、

 ドッペルゲンガーはバランスを崩しながら大きく後方へ仰け反った。


932 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 23:57:45.55 ID:vCbJkugco
戦士「ここだああぁぁーっ!!」ダンッ!!

 再び一気に間合いを詰める戦士。対応するドッペルゲンガー。

 戦士は勢い良く戟を下から一気に振り上げた。そして……。

 ブオオォォォォン!!

偽戦士「……アアァァ!!」

 空振った戟がドッペルゲンガーの眼前で空を切った。戦士の攻撃は当たらなかった。

 隙だらけとなった戦士の胸部に戟が真っ直ぐ突き放たれる。

戦士「……っだりゃああああぁぁぁぁ!!」

 突きつけられた戟を、絡め取るように両腕を伸ばす戦士。

 ギュルッ!! ガッシイイイイィィィィ!!

偽戦士「――!?」

戦士「外したんじゃねぇっ。外れるように放った一撃だ!」

 偽戦士「……っ」グッグッ

 間合いを離れぬよう懸命に戟を抑える戦士は言葉を続けた。

戦士「疑問に思わねぇのか? どうして俺が戟を持ってねーのか」


933 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 23:58:45.07 ID:vCbJkugco
偽戦士「……?」

 戟を振り上げ空振った瞬間、戦士は既に戟を手放していた。

 いや、最初から劇を上空に放り投げたという表現の方が自然であろう。

戦士「だからこうして、テメーの間合いを離さねぇようにしてんだよ!」

 上空から微かに聞こえる空を切り裂く金属の音。そして、それは到達する。

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

 戦士が上空へ放った戟が、ドッペルゲンガーの突き伸ばした両腕に落ちた。

 突き刺さる戟。両腕はその投擲で肘の下辺りより切断される事と相成った。

 ドサッ……ドサッ

偽戦士「ウ……ググウウゥゥ……ッ」

戦士「……はぁ……はぁ」ザシャッ

偽戦士「……グウウゥゥ」

戦士「普通のやり方じゃあ勝ち目はねぇ。俺もお前も考えはさほど変わらねぇんだからな」

 ザッザッザッ……グイッ

戦士「勝負……あったな」


934 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/20(火) 23:59:31.54 ID:vCbJkugco


東方司令「……っ」

北方司令「……」スッ

東方司令(まさか……兄くんが相手とはね)

北方司令「……?」

東方司令(負けるはずもないけれど、やはり気が重い……)

北方司令「……な……ん」

東方司令「……?」

北方司令「東方……司令……?」

東方司令「!?」

北方司令「私……だっ、北方……司令……」ガクッ

東方司令「兄くん……っ!」

北方司令「頭が……割れるように痛い……っ!」ググッ

東方司令「意識があるのかっ!? ボクが……分かるのか!?」

北方司令「当たり前だろう……ッ、たった1人の妹なのだから」


935 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/21(水) 00:01:35.03 ID:wNm5PD/Oo
東方司令「兄くん……っ」フラッ

 タッタッタッタッ……ドズッ

東方司令「……え?」ポタタッ

北方司令「……甘いんだよ、お前は」ズググッ

東方司令「かっ、は……っ」

北方司令「洞察力、行動力、情報収集。この3つが何か分かるか?」

東方司令「ごほっ、ごほ……っ!!」ビチャッ

北方司令「この3つ、弱者が強者に勝つ為の必須条件だ」

東方司令「貴様……ぁ」

北方司令「ツヴァイハンダー、持っているか? いないだろう?」ドカァッ!!

東方司令「ごほぉっ!」

北方司令「腕力のない私が間合いを詰め易く、小剣を持っているッ!」ドゴォ!!

東方司令「がはぁっ!!」ビチャッ

北方司令「洞察力、観察力を働かせれば簡単に推測出来る事だッ!」バキィッ!!

東方司令「――っ!!」ドシャッ


936 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2012/03/21(水) 00:38:46.21 ID:3uDjNiBIo
東方司令がちょろすぎんだろおい
まあ北方司令がちょろったのがいけないけど


941 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/03/21(水) 13:56:45.49 ID:R8BxsgmW0
>>1おっつっつ


根暗の操り人形って生前よりはるかに強いよな


942 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2012/03/21(水) 14:07:50.78 ID:THPzxbjAO
>>1乙

>>941
生物が無意識下で掛けてるリミッターが、根暗が操る事で意識も無意識も消えて外れる
と俺は思ってる



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