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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その25
- 444 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/02/14(月) 18:09:33.09 ID:6p13LX+Do
書家「……ふぅん。朱雀先生ねぇ」
バサッ
書家「しっかし……クソつまんねぇ記事だな」
バサッ…ポイッ
書家「…どーれ、俺がちょちょいと書いてやっか!」
バラバラッ…パシッ
書家「出だしのインパクトがねぇな……」
カキカキッ
書家「……くっく!!こいつぁいい!!」
カキカキカキッ
書家「コカトリスとかけて……くっく!」
カキカキッ
書家「ぶっ!!……くくっ!!これはベストセラー間違いなしだわ!!」
キュッ
書家「タイトルはズバリ……『行けっ!コカトリス』だな!!」
- 445 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:10:23.83 ID:6p13LX+Do
召喚士「行けっ!コカトリス!!」
〜第三十七部〜
- 446 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:16:27.42 ID:6p13LX+Do
〜本国、夜〜
戦士「…んで、どこだ?」
召喚士「多分この辺りだと思うんだけど……」
魔道士「…あっ、もしかしてあれですかね…!?」
盗賊「……凄いな」
戦士「えっ!?あれって灯台じゃねぇのかよ!?」
召喚士「俺もそう思ってた……」
テクテクテク
記者「お待ちしてましたよ!さぁ、どうぞ!」
魔道士「こ、こんばんは」
記者「さぁ、お入り下さい」
召喚士「これって…レストランだったんですね……」
記者「はい!超高級展望レストランですよ」
戦士「……高そ」
盗賊「…う、うん」
- 447 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:17:04.47 ID:6p13LX+Do
〜店内〜
カツコツカツコツ…
魔道士「お、おぉ……っ」
召喚士「高そうなシャンデリア……」
盗賊「…すごっ」
魔道士「うわぁ〜!綺麗な夜景……っ!!」
記者「どうです、この眺め!気に入って頂けましたか?」
魔道士「凄いですねっ」
召喚士「ええ…!」
戦士「しっかし……本当にいいのか?」
記者「構いませんよ!取材を受けて頂けるのです!」
盗賊「……」
記者「お会計など気にせず、お好きな物を食して下さい!」
召喚士「……は、はぁ」
戦士「じゃあ、お言葉に甘えて……」
- 448 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:17:38.12 ID:6p13LX+Do
カラカラカラッ…
ウェイター「飲み物をお持ち致しました」
戦士「来たっ!これ…一度飲んでみたかったんだよなぁ〜」
魔道士「また高そうですね……」
戦士「高いのなんのって、そりゃあもう……」
盗賊「…容赦ないな」
戦士「そういうお前もすげぇの食ってんじゃねぇか!」
盗賊「……うっ」
記者「まぁまぁ、どんどん食べて飲んで下さい!」
召喚士「なんだか本当にすみません……」
記者「いえいえ。それでは早速、本題宜しいですかな?」
召喚士「簡単な事であれば……」
記者「そりゃモチロン!あ、ちょっと待ってくださいね」
魔道士「…?」
記者「おーい!」
- 449 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:18:10.79 ID:6p13LX+Do
カチャッ…テクテクテク
記者「こっちは絵師。気にせず召し上がってて下さい!」
絵師「勝手に描かせて頂きますんで、お気にせずどうぞ」
魔道士「……何だか見られてると…緊張して…っ」
記者「ではまず、パーティーのリーダーは……」
盗賊「…ん」
戦士「これ」
魔道士「召喚士さんですっ」
三人が発言と同時に召喚士を指差す。
召喚士「……みたいです」
記者「やはり朱雀先生ですか!では、出会いの馴れ初めなどは?」
召喚士「馴れ初め……えぇと、パーティーを募集して…」
記者「それは誰が?」
召喚士「俺…ですかね?」
戦士「みんなワーカーになったんだけど、あぶれててさ」
- 450 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:18:54.42 ID:6p13LX+Do
記者「今や屈指の実力を持つ皆さんが、最初はあぶれていたと!?」
魔道士「…え、えぇ」
記者「いやーっ、当時の奴ら…勿体無い事をしましたね〜」
召喚士「そ、そうですか?」
記者「これは衝撃の事実……と」
カキカキ…
記者「それで、パーティー結成は確か……」
召喚士「もうじき4年目ですかね」
記者「なんと!?4年でこれだけの功績を……」
戦士「功績っつっても、今は国軍付だけどな」
記者「こちらでざっと計算した感じですと……」
盗賊「…計算?」
記者「ええ、皆さんが一般ワーカーだった場合の功績は……」
スッ
記者「パーティー総計だと4位ですね」
- 451 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:19:38.08 ID:6p13LX+Do
魔道士「えぇっ!?」
戦士「でもそれって総計だろ?」
記者「ちなみに朱雀先生単独だと……だいたいこんなものかな?」
盗賊「……9位……っ」
召喚士「そ、そんなにですか!?」
記者「そうですよ。戦士さんは12位。盗賊さんが16位で魔道士さんが21位」
戦士「へぇ、結構バラつきがあるんだな」
記者「単独行動を追いきれたわけではありませんが……」
戦士「そっか。個別に倒した敵とかいるもんな…」
召喚士「ど、どこでこんな情報を手に入れるんです…!?」
記者「色々いますよ〜。国軍幹部からワーカー、果ては一般人まで!」
盗賊「……凄いな」
記者「それが記者ってモンですよ!エッヘン!」
戦士「はぁ」
記者「おっと、本題本題!なはははっ!!」
- 452 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:20:16.18 ID:6p13LX+Do
…
記者「そうですか〜。父代わりであった先代、朱雀先生が……」
召喚士「……ええ」
記者「そして召喚士さんが、その名を継いだというわけですね!」
召喚士「はい。そういう事になりますね」
記者「……あの、噂では…朱雀先生は全属性の召喚が出来るとか…?」
召喚士「……え、えぇ」
記者「やはり……本当だったのか……っ」
召喚士「自分でも何故だか分かりませんけど…」
記者「生まれ持っての力、というわけですね!」
召喚士「そ、そうなんですかね……」
記者「いやぁ、色々とありがとうございます!」
召喚士「い、いえ…っ」
記者「では、お次は…パーティー屈指の剛の者、戦士さんですね!」
戦士「俺…?」
- 453 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:21:46.46 ID:6p13LX+Do
…
記者「…ふむふむ、成程。それで、お父上があの一番槍だとか?」
戦士「ああ。らしいな」
記者「ご自身も知らなかったと…?」
戦士「なーんにも聞かされてなかったぜ」
記者「すると、知らずにワーカーとなり…戦場で再会したわけですね!」
戦士「ん、ああ」
記者「生まれ持っての素質に、己の努力で…今やトップクラスの腕前!」
戦士「ど、どうも」
記者「さぞかし…女性にも多々、迫られるのでは?」
戦士「そんな事はねぇし、興味ないな」
記者「それは意外ですな!……あ、あぁ〜!なーるほど!!」
戦士「な、何だよ…っ」
記者「いえいえ、やっははは!ではお次はその……盗賊さんに!」
盗賊「!?」
- 454 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:22:18.79 ID:6p13LX+Do
…
記者「東方の出だそうですが、何ゆえに単身、本国へ?」
盗賊「……まぁ…色々と」
記者「そうですか。女一人で…なかなか出来るものではありませんよ!」
盗賊「……」
記者「東方ではどのような生活を?」
盗賊「……普通に」
記者「家はどういったお仕事を?」
盗賊「……忍…要は盗賊みたいなもの」
記者「成程!それで腕が立つわけですね!」
盗賊「……」
記者「そして無口。いやぁ、見事な職人ぶりだ!」
盗賊「……はぁ」
記者「ありがとうございます。では最後となりましたが…魔道士さん!」
魔道士「は、はいっ!頑張ります!」
- 455 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:22:46.62 ID:6p13LX+Do
…
記者「魔道士さんは商家のご出身だそうで」
魔道士「はい」
記者「それがまた何故、魔道士になろうと?」
魔道士「えっと……人の役に立ちたくて……」
記者「なんとなんとっ、偉い!」
魔道士「あ、ありがとうございます」
記者「わざわざ危険な道を進み、今は押しも押されぬ大魔道士!」
魔道士「そ、そんな事ないですよ…っ」
記者「ご両親もさぞ、喜ばれているのでは?」
魔道士「え、ええっ。喜んでくれました!」
記者「でしょう!お父上と言えば、あの大商家さんですからね!」
魔道士「……え、えぇ」
記者「皆さん、素晴らしい人生を歩まれているようですね!素晴らしい!」
魔道士「…へ、へへ……っ」
- 456 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:23:17.74 ID:6p13LX+Do
…
記者「じゃああとは四人でお答え下さい」
召喚士「…はい」
記者「今までの旅で、一番強かった敵は何ですか?」
戦士「俺は牛魔王だな。二度と戦いたくねぇ」
魔道士「私はあの……火山の……」
召喚士「タルウィですか…」
魔道士「そうです!とにかく強くて…手も足も……」
記者「盗賊さんは?」
盗賊「……ヤマタノオロチかな」
記者「おぉ!皆さんを一躍有名にしたあの……」
召喚士「一番強かった……」
記者「朱雀先生はどうですっ?」
召喚士「一番強かったのは……ミノタウロスですね」
記者「ミノタウロス…ですか?」
- 457 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:23:43.71 ID:6p13LX+Do
召喚士「……ええ」
盗賊「……っ」
記者「確かに強いですが、他の方に比べるとランクが落ちるようですが…」
召喚士「もちろん、今の力ならおそらく倒せるでしょう」
記者「……ほうほう」
召喚士「でも、当時の事を思うと…あの時が一番……苦しかったですね」
魔道士「……っ」
召喚士「そういう意味で、一番強かった敵です」
記者「成程〜。私も当時、海峡防衛線は取材した事ありますよ」
魔道士「そうなんですか?」
記者「ええ。確かに国軍の兵もワーカーも少なかったですからねぇ」
戦士「そうそう。召喚隊やらマジシャンのオッサンがいてやっとだったもんな」
記者「五ヵ年計画が始まったばかりでしたからねぇ」
戦士「ああ。ワーカーも兵も人手不足に脆弱で。当然、俺もだけどな……」
召喚士「……」
- 458 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:24:20.47 ID:6p13LX+Do
記者「しかし今や、各地で功績を残されて…さぞ感謝もされるでしょう?」
召喚士「そんな事は…っ。別にそういった目的が主なわけではないですし」
記者「つい先日も北で大活躍でしたよね!かと思えば西でも……」
召喚士「ど、どうも……」
記者「取材してるとね、結構聞きますよ〜。助けられたって」
魔道士「でも、嬉しいですね。そういうのって」
記者「北の戦いでも助かった商人が随分と感謝してましたよ!」
召喚士「……?」
絵師「記者さん、そろそろお時間が」
記者「おっと、それじゃあ最後に…五ヵ年計画について聞かせて下さい」
召喚士「軍の計画ですから、何か言える立場ではありません」
戦士「ああ。でも、力になれる事は何でもやるつもりだ!」
盗賊「…ああ。本国だけでなく、東方や華国…そして西方の為にも」
魔道士「沢山の人が笑顔で暮らせるよう、頑張りますっ!」
記者「……はい!ありあがとうございました!」
- 459 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:25:01.53 ID:6p13LX+Do
…
記者「まだ召し上がられてて構いませんよ?」
召喚士「いえ、俺らも一緒に失礼しますよ」
記者「そうですか、では出ましょうか」
魔道士「本当にご馳走様でした」
記者「いえいえ。こちらこそ有意義な記事が書けそうです!やっははは!」
戦士「ちゃんと書いてくれよ?」
記者「もちろんです!近日、一面で大々的に……」
盗賊「…それは…やだ」
テクテクテク
記者「では、お疲れ様でした!」
絵師「ありがとうございました」
魔道士「こちらこそ。ありがとうございましたっ」
召喚士「それでは、失礼致します」
取材は終わり、一同は高級レストランを後に解散した。
- 460 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:25:29.85 ID:6p13LX+Do
〜ホテル〜
戦士「へぇ……疲れた……」
召喚士「何だか普段より疲れた気がする…」
盗賊「…全くだな」
戦士「早く休もうぜ。もう寝たいわ、俺」
魔道士「そうしましょっか」
盗賊「…それじゃ、おやすみ」
召喚士「あ、おやすみなさい……」
テクテクテク…
戦士「俺らも部屋に行こうぜ」
召喚士「うん」
テクテクテク…
召喚士「ねぇ、戦士」
戦士「ん〜?」
召喚士「あのさ……ちょっといい?」
- 461 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:26:15.87 ID:6p13LX+Do
〜ホテルのバー〜
戦士「かんぱーい」
チィン
召喚士「何に乾杯なんだろ。ははっ」
戦士「そうだなぁ…。祝、新聞掲載記念?」
召喚士「戦士はこの前乗ったじゃん」
戦士「犯罪者としてだろ!しかも冤罪で!!」
召喚士「はははっ」
戦士「んで、話ってのは何だ?」
召喚士「あのさ、どうもおかしくない?」
戦士「おかしい?何がだ?」
召喚士「記者さんの話」
戦士「そうか?最初は疑ったけど、胡散臭い感じはしなかったけどなぁ」
召喚士「いやいや、記者さんがじゃなくって…」
戦士「何だよ」
- 462 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:27:04.55 ID:6p13LX+Do
召喚士「最後に言ってたよね、俺らが各地で大活躍…って」
戦士「…ああ」
召喚士「確かに各地で戦ったりしたけど、最近そうだったかなぁ」
戦士「誇張されてんのかもな」
召喚士「一番不思議なのは、感謝されるって事なんだよね」
戦士「……?」
召喚士「ここ最近、誰か助けたりしたっけ?」
戦士「……言われてみりゃ…記憶にねぇな」
召喚士「南方でも言われたよね」
戦士「…あー言ってたなぁ」
召喚士「でも、全然記憶にないんだよね…」
戦士「……どういう事なんだ?」
召喚士「分からない。でも、勘違いされてるのかも」
戦士「もしくは間接的に助けてた…とかか?」
召喚士「可能性はあるけど、俺達だって分かるものかなぁ」
- 463 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/14(月) 18:27:44.86 ID:6p13LX+Do
カランッ…ゴクゴクッ…コトッ
戦士「……確かにちょっと気になるわな」
召喚士「あのさ、明日新聞社に行ってみない?」
戦士「確認するって事か?」
召喚士「うん。誤解なら解かないといけないしね」
戦士「別に悪い噂じゃねーし、いいんじゃねぇか?」
召喚士「でも、誰か別のワーカーなら……」
戦士「評判を奪っちまってるって形になんのか」
召喚士「うん……」
戦士「そんじゃ…ひとまず明日、記者さんに聞いてみるとしよう」
召喚士「うんっ!そうしよう!」
戦士「さーてと、そろそろ寝るとするか。グッタリだよ…」
召喚士「そうだね。部屋に戻ろうか」
戦士「おう!」
二人はバーを離れ、自室にて就寝の時を得た。
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