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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その14
885 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/25(火) 18:14:39.62 ID:evFqAZ.o
テクテクテク…

盗賊「あ、あの…おめでとう」

ズイッ

魔道士「ありがとうございます…盗賊さん!」

差し出されたプレゼントを受け取ると、俯く盗賊に魔道士は笑顔を見せる。

魔道士「開けてもいいですか?」

盗賊「あ、う…うんっ!どうぞ…」

カサカサッ…ゴソッ

魔道士「………あ」

盗賊「……」

魔道士「いつものやつですねっ!」

盗賊「うん…。いつもの…やつ…」

戦士「いつもの?何それ…」

占い師「女性の身嗜み用品よ。ね?」

魔道士「この化粧水、高いのにぃ〜!」


886 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/25(火) 18:15:06.79 ID:evFqAZ.o
盗賊「い、いやっ…いつも借りてるし…」

魔道士「ありがとうございます!!」

盗賊「いえっ…!お気になさらず…!」

戦士「化粧水に…これは乳液って書いてあるな…。あと…」

バーテン「はぁ、色々とあるんだなぁ…」

マジシャン「女性は綺麗になる為に、沢山の努力をするもんなのさ…」

占い師「あら、随分と悟った言い様です事…」

戦士「別に綺麗になる必要ないんじゃねぇの?女優でもあるまい…」

マジシャン「アホだろお前……」

盗賊「あっ…あの、あと…あともう一つ…!」

タッタッタ…

戦士「何だそれ?随分でけぇな…」

盗賊「……」

シュルシュルッ……ハラッ

魔道士「っ!!」


887 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/25(火) 18:32:27.42 ID:evFqAZ.o
盗賊が大きな布を取ると、中から一枚のキャンバスが顔を出す。

キャンバスには見慣れた笑顔が、純白のドレスに身を包み、佇む。

バーテン「……おおぉ!」

占い師「うわぁ!上手〜!!」

魔道士「……あ、あのっ…これって…あの…っ」

マジシャン「ソックリだな!大したもんだ!」

召喚士「流石盗賊さんですね!」

戦士「いつの間にこんなん描いてたんだ!?」

魔道士「…うっ…ひぐ…っ!……と、盗賊さ…っ」

盗賊「おめでとう、魔道士…」

魔道士「……ふぐぅ……っ…ひぐっ」

盗賊「な、泣き過ぎだぞっ」

魔道士「だってぇ…!みんなして……こんな…ひっく…」

召喚士「良かったですね…魔道士さん」

魔道士「皆さん……本当に、ありがとうございます!」


888 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/25(火) 18:32:53.74 ID:evFqAZ.o


バーテン「よいっしょ…と」

バーテンは壁に盗賊の描いた絵を飾る。

占い師「素敵じゃない!ライトアップされると更に映えるわねぇ…!」

マジシャン「……良い絵だな」

バーテン「こうして二枚並ぶと…時代を感じるなぁ…」

バーテンは隣にある自分達の肖像画をまじまじと見つめ、微笑む。

魔道士「なんだか…恥ずかしいです…」

召喚士「そうですか?良いと思いますけど…」

バーテン「ああ。これで来客数も倍増だな!」

マジシャン「間違いねぇ!ハッハッハ!」

占い師「でも…本当に素敵な絵…」

盗賊「……うぅ」

占い師「真っ白なドレスで…何だか花嫁さんみたいねっ!」

マジシャン「おぉ、言われて見れば……」


889 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/25(火) 18:33:44.89 ID:evFqAZ.o
バーテン「この、後ろに咲いてる花は何だ?」

盗賊「……桜」

バーテン「サクラ?」

マジシャン「あれだよ、東方のピンクで綺麗なさ…」

バーテン「ほぉ、初耳だな」

占い師「サクラの木に佇む花嫁…なんてタイトルどうかしら?」

マジシャン「センスなし。却下」

占い師「えぇー!」

戦士「はははっ!!でも…相手がいないなぁ…」

にやにやしながら戦士は絵を見て呟く。

盗賊「だ、だから…花嫁の絵では……」

バーテン「魔道士ちゃんが結婚したらお相手も書き足せばいいじゃないか」

マジシャン「おっ、そりゃいいな!楽しみにしてるよ。ハッハ!」

魔道士「そ、そんな……もうっ、からかわないで下さい!」

マジシャン「ハッハッハ!」


893 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/05/25(火) 19:42:37.82 ID:4oaUPEAO
>>1乙です
召喚士のプレゼントが気になりすぎて夜も眠れない

↓以下、プレゼントを予想するレス


902 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/05/25(火) 23:11:27.43 ID:DHGb7QAO
召喚師のは時間的にということで
酒か?


904 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/05/26(水) 00:18:43.58 ID:G5SoHIDO
>>902
ということは日付が変わって5月26日が魔道士ちゃんのお誕生日ということだな。
魔道士ちゃんお誕生日おめでとう!


905 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:27:03.70 ID:4ARHoNco


魔道士「……そうですよー!」

戦士「そんな事あったなぁ!はははっ」

バーテン「おっ、もうこんな時間か…」

召喚士「あ……本当だ…」

盗賊「……」

バーテンはおもむろに立ち上がり、それに召喚士も続く。

テクテクテク…カタッ…

魔道士「……?」

マジシャン「さぁお待ちかね、最後のプレゼントだ!」

召喚士「全然大した物ではないんですが……」

召喚士は手にした瓶をテーブルの上へ置く。

魔道士「お酒…ですか…?」

召喚士「はい。20年物のワイン…魔道士さんと同い年のワインです」

手元にある瓶のラベルを魔道士へ向け、召喚士は微笑む。


906 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:27:36.47 ID:4ARHoNco
魔道士「同い年の…ワイン…」

バーテン「そう。しかもとびきりのヤツだ…。俺も飲んだ事ねぇような…」

召喚士「せっかくの二十歳ですし、やっぱりお酒が良いかな、と思いまして…」

魔道士「………」

マジシャン「コイツは当たり年の本当に良いワインだ…」

占い師「初飲みには贅沢かしら…?いえ、そんな事ないわね、ふふっ」

魔道士「………っ」

戦士「よっしゃあ、早速飲もうか!」

盗賊「………ちょ、ちょっと…だけ…な?」

魔道士「……う…っく…ひぐぅ…!」

召喚士「ま、魔道士さん!?」

魔道士「だって…だってぇ……私、皆さんと一緒に…飲ん…っ」

占い師「一緒に…飲んで楽しみたかったのよね…?」

占い師は魔道士の頭を優しく撫で、声をかける。

魔道士「……はい…っ」


907 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:28:54.89 ID:4ARHoNco
トプトプトプッ…コトッ

魔道士「……凄い、いい匂いがします」

バーテン「おっと、まだ駄目だぞ?」

バーテンはちらりと時計の針を確認し、呟く。

マジシャン「くぅ…!まだか!まだなのか…!?」

戦士「あ、あと2分だ…!2分の我慢だオッサン!!」

召喚士「は…ははっ…」

占い師「そんなのあっという間じゃない…。ねぇ?」

魔道士「はいっ!」

バーテン「そんな事言ってる間にもう日が変わるぞ?」

盗賊「……4…3…」

マジシャン「にぃ〜!!」

戦士「いーちぃ〜!!」

占い師「ゼロッ!!」

時計の針が0時ちょうどを指し、日付が変わる。


908 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:29:21.34 ID:4ARHoNco
召喚士「魔道士さん、改めておめでとうございます!」

戦士「祝、成人!!」

マジシャン「さぁ、酒も解禁だー!飲むぞー!!」

魔道士「はいっ!いただきますっ!!」

魔道士は赤紫に染まるグラスを傾け、液体を口内へと流し込む。

コクッコクッコクッ…

バーテン「どうだい…?酒の味は?」

魔道士「…っはぁ!……美味しいです!!」

召喚士「良かった…!!」

戦士「……お前は無理すんなよ?」

盗賊「……うぇ…苦い…っ」

魔道士「もう一杯頂いても…いいですかっ?」

召喚士「もちろんです!どんどん飲んで下さい!」

魔道士「ありがとうございますっ!エヘヘ!」

召喚士は魔道士のグラスへワインを注ぎ入れる。


909 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:29:49.00 ID:4ARHoNco


召喚士「魔道士さんはお酒強いんですね……」

魔道士「そうなんですかね…?ふふっ!」

盗賊「……くーっ…くーっ……」

占い師「すー……すーっ…」

召喚士「バーテンさん、手伝いましょうか?」

バーテン「あぁ?気にすんなぁ!」

バーテンは厨房から顔を出し、洗い物を進めながら大声で叫ぶ。

マジシャン「そこで…だ、こうグイッとだな……」

戦士「な、なるほど……。勉強になります…」

魔道士「あの二人はまだ…語ってるんですか?」

召喚士「みたいですね……。ははっ…」

魔道士「はーっ…楽しかったぁ…!」

召喚士「良かったです。楽しんで貰えて…」

魔道士「本当にありがとうございました…!召喚士さんっ」


910 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:30:15.98 ID:4ARHoNco
魔道士は屈託のない、満面の笑みで召喚士に微笑みかける。

召喚士「………」

魔道士「…召喚士さん?」

召喚士「えっ!?あ、ああ…すいませんっ!」

魔道士「……ふふっ!」

召喚士「そ、そうだ…!魔道士さんっ!」

魔道士「はいっ」

召喚士「ちょっと……外、行きませんか…?」

魔道士「外ですか…?いいですよっ」

召喚士「じゃ、じゃあ……」

魔道士「すみません、ちょっと外へ行ってきます!」

マジシャン「はーい。ごゆっくり〜」

戦士「何だ、下品な笑い方して……」

マジシャン「えー…だってよぉ…ウヒヒヒ!!」

戦士「……?」


911 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:31:00.38 ID:4ARHoNco
テクテクテク…

魔道士「んー!夜風が気持ちいいですねぇ!」

召喚士「本当ですね!」

魔道士「……私、ずーっとこの日を迎えたかったんです」

召喚士「そうなん…ですか?」

魔道士「だって…、私だけ未成年でしたもの…」

召喚士「そうでしたか…。すみません…気づきませんでして…」

魔道士「あ、いえいえっ。それは仕方ない事ですから…ふふっ」

召喚士「でも、やっと迎えられましたね…!」

魔道士「はいっ!それも最高の形で……」

魔道士は手を後ろで組みながら、夜空を見上げる。

魔道士「今まで…こうして祝って頂いた事なんて…なかったから…」

召喚士「…でも、自宅は大商家はわけですし…」

魔道士「それは…パーティーなんかもありますよ?ありますけど……」

召喚士「……」


912 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:32:11.28 ID:4ARHoNco
魔道士「見知らぬ人達に『お嬢様おめでとう』…なんて言われても…」

召喚士「そっかぁ……」

魔道士「ええ。嬉しい…ですけど、実感はないですし……」

召喚士「じゃあ尚更、今日はこうして祝う事が出来て…良かったです!」

魔道士「こちらこそ…っ。ありがとうございましたっ!」

召喚士「まだ最後のプレゼントが…」

魔道士「え…っ?……まだ…あるんですか!?」

召喚士「はい…」

魔道士「えっと…一体……」

召喚士「……行けっ!コカトリス!!」

魔道士「!?」

シュイィィンッ…

魔道士「コカトリス……さん!?」

コカトリス「…本当にやるのか?」

召喚士「……もちろん!」


913 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:32:56.92 ID:4ARHoNco
魔道士「あのっ…な、何を……」

召喚士「…30分はもつ…よね?」

コカトリス「……おそらくな」

召喚士「…・・魔道士さん」

魔道士「は、はいっ!」

召喚士「……どうぞ、乗って下さい」

魔道士「…………へっ!?」

召喚士「コカトリスの上へ、乗って下さい」

魔道士「の……乗る…んですか!?」

召喚士「ええ」

魔道士「乗るって…一体……何を…?」

召喚士「空の散歩へ行きましょう!」

魔道士「えぇ!?」

召喚士「大丈夫!任せて下さい!!」

コカトリス「……最初で最後だからな」


915 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:33:31.14 ID:4ARHoNco


魔道士「お、お邪魔…します」

魔道士は恐る恐る、コカトリスの背中へと登る。

コカトリス「振り落とされぬよう、しっかり掴まっておれ」

魔道士「は、はいっ!!」

召喚士「魔道士さんから魔力吸わないでよ?」

コカトリス「…召喚獣をこのような使い方した輩は…お前が初めてだ」

コカトリスは呆れた口調で声を漏らし、翼を大きく広げる。

コカトリス「さぁて……行くぞっ!!」

バサッ……バサッ…バサッ…ゴウッ!!

魔道士「きゃっ!!」

召喚士「大丈夫ですか!?」

魔道士「は、はいっ………うわぁ!!」

勢いよく飛び立ったコカトリスの背から、魔道士は小さくなる地面を見下ろす。

魔道士「高い……すごーい!!」


916 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:34:19.13 ID:4ARHoNco
ゴウッ!!……バサッ…バサッ…

魔道士「空から見る景色って……凄いんですね…!」

召喚士「ちょっと暗くて見辛いですけどね…ははっ」

魔道士「でもはっきり分かりますよ…!海に…空も凄く近い…」

召喚士「神秘的ですよね…普段は決して味わえない……」

魔道士「ええ…本当に……」

たなびく髪をかき上げ、魔道士はぽつりと呟く。

コカトリス「もうすぐ海上だ……!」

魔道士「…!!うわぁ、海が広がって……綺麗…」

召喚士「潮風が気持ちいいですねっ!」

魔道士「ええっ!それに波もキラキラ輝いて…」

グラァ…

コカトリス「…むっ!そろそろ…厳しいか?」

召喚士「ご、ごめん……」

コカトリス「……それでは、戻るとしようか」


918 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:35:33.42 ID:4ARHoNco
ヒュウゥゥ……バサッ…バサッ………バサッ…

魔道士「到着ーっ!」

召喚士「…・・ふーっ」

コカトリス「…大丈夫か?」

召喚士「うん。ありがとうコカトリス」

魔道士「本当にありがとうございました!」

コカトリス「気にするな。……祝いの席だ」

シュイィィン…

召喚士「…流石に…疲れましたね…ははっ」

魔道士「あっちの砂浜で少し休みましょうか…?」

召喚士「すみません……」

二人はゆっくりと砂浜へと歩き、平らな岩に腰掛ける。

魔道士「はぁ〜!楽しかったぁ!!」

召喚士「良かったです…喜んで…貰え…て……」

魔道士「エヘヘッ!本当に楽しかったですよ!……?」


919 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:39:44.99 ID:4ARHoNco
召喚士「……すーっ……すーっ」

魔道士「召喚士…さん…?」

召喚士「……すー…っ…すーっ……」

ズルッ……ススッ…

魔道士「あっ!…ちょ、ちょっと…っ」

眠りにつく召喚士は魔道士に寄りかかり、そのままずるずると膝の上へと倒れ込む。

魔道士「…も、もうっ」

召喚士「…・・・すーっ…すー…・・すーっ」

魔道士「今日…だけ…ですからね…」

召喚士を乗せた足を前へ伸ばし、膝枕に乗る頭をそっと撫でる。

魔道士「ふふっ……」

ドキドキドキ…

魔道士「………」

ドキドキドキドキドキ…

魔道士は唇をそっと召喚士の唇へと近づける。


920 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/05/26(水) 00:42:42.85 ID:Q1hXWrgo
あー、見てられないよ;;


924 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/26(水) 00:52:30.60 ID:4ARHoNco
魔道士「………」

ソーッ

盗賊「あーいたぁ!!」

ビクッ!!

魔道士「っ!!」

盗賊「魔道士〜どこ行っちゃったかと思ったよぉ〜!」

ギュウウゥ

魔道士「と、盗賊さんっ!?」

盗賊「寂しかったんだからぁ〜」

スリスリッ

魔道士「もしかして…よ、酔ってます!?」

盗賊「酔ってません!酔ってませんよぉ〜」

テクテクテク

戦士「おぉーい…あ、いた。…あれ?魔道士と召喚士も一緒か」

魔道士「あ…戦士さん…!」


925 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/05/26(水) 00:57:55.89 ID:4ARHoNco
うー終わらなかった。すいません…寝ますです
あんまりニヤニヤ出来ない展開…ラブラブシーン下手だなぁ…ははっ
ご支援まことに感謝!それではおやすみなさい!ノシ

とりあえず5月26日が魔道士の誕生日になりました!
とりあえず魔道士さん、おめでとうございます


931 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/05/26(水) 05:17:18.19 ID:/VhI5USO
やっぱ平和な話は和むなぁ


932 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/05/26(水) 10:19:05.07 ID:rVFyQIDO
あまずっぺー
>>1さん、乙です。



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