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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その7
578 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:21:10.49 ID:PLfae5wo
〜第九部〜

関を離れふもとの町に辿り着いた彼らは、

盗賊団の元を訪れる事にしたのであった…。


579 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:22:21.35 ID:PLfae5wo
〜盗賊団のアジト〜

コンコン

サル「はいは〜い!」

ガチャッ

戦士「アジトのくせに……」

魔道士「ふ、普通すぎません?」

サル「はぁ?よく分かんねっけど、家だし…」

召喚士「あ、あのっ……」

サル「まぁまぁ!入りなって!!」

四人がアジトの中へ通される。

女侍「……おや?どうしたんだい?」

召喚士「あの…昨日はありがとうございました」

女侍「あはははっ!勘違いも甚だしいよっ!」

イヌ「…そ。お前らの為じゃないね」

キジ「まぁ、サルは違ったみたいさぁ〜」


580 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:23:20.63 ID:PLfae5wo
サル「うーるせぇ!何勝手に…」

女侍「んで、まさかそれを言いにだけ来たのかい?」

戦士「……まぁな」

女侍「盗賊団相手に…律儀なヤツらだよっ!あはは!」

召喚士「ところで…、関の宝物庫から……」

サル「宝物庫〜?なんだぁそりゃ?」

召喚士「書物を盗みましたよね…?」

女侍「そりゃ盗賊だからね。盗んでも文句ないだろ?」

イヌ「そりゃそうね」

キジ「そりゃそうさ」

召喚士「……まぁ」

戦士「別に咎めやしねぇよ」

キジ「咎められる筋合いもないさぁ」

盗賊「…コイツにはあるがな」

サル「だーかーらー、悪かったって!なっ…?」


581 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:24:47.62 ID:PLfae5wo


戦士「んじゃ、行くか…」

召喚士「そうだね」

魔道士「では、お邪魔しました!」

テクテクテク…

女侍「あのさ…」

戦士「…ん?」

女侍「アンタ…戦士って言ったっけ…?」

戦士「…あぁ」

女侍「このままじゃ、どうみても死ぬよ。」

戦士「…!?」

魔道士「え…っ?」

女侍「自分でも分かってんだろ…?」

戦士「……」

女侍「実力不足だって……」


582 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:31:43.62 ID:PLfae5wo
魔道士「ちょ、ちょっと…!?」

戦士「いや、いい…」

召喚士「……」

戦士「……分かってるよ」

召喚士「戦士…っ!」

盗賊「……」

戦士「とっくに気付いちゃいるさ…そんな事」

女侍「……」

盗賊「…そんな事は」

戦士「…だから何だよ?」

女侍「あははははっ!!」

戦士「…?」

女侍「己の力量を認めた上で…その道を選ぶのかい…」

戦士「仕方ねぇよ…選んじまったもんは…」

召喚士「……」


583 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:33:08.45 ID:PLfae5wo
女侍「ま、いいんじゃないかい?」

イヌ「諦めるよりよっぽどマシね」

サル「んふふふっ!強えぇなぁ〜…」

女侍「よしっ!…全員表へ出なっ!!」

召喚士「…?」

戦士「…表へ?」

〜アジトの外〜

ザッザッザッザッザ

女侍が距離を取り、戦士に話しかける。

女侍「…構えな」

戦士「!?」

女侍「少しは強くなっておいて…損はないだろ?」

召喚士「…!!」

戦士「お…お前…」

女侍「但し…、手は抜かないよっ!」

戦士「……あぁ」


584 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:34:48.98 ID:PLfae5wo
戦士は雷切を鞘から抜き、構える。

女侍「死なないように気をつけなっ」

戦士「…分かった」

ダンッ!!

戦士は勢いよく女侍へ斬り掛かる。

ガイィィン!!

女侍は鞘から刀を抜き、雷切を弾き上げる。

戦士「…こ、これだ…っ!!」

女侍「居合術…一の太刀」

盗賊「!?」

サル「一撃目で相手の攻撃を弾き…隙を作る」

イヌ「簡単そうに見えて、結構難しいね!」

召喚士「…凄い…!!」

女侍は刀を鞘に収める。

女侍「…分かったかい?」


585 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:36:31.23 ID:PLfae5wo
戦士「……あぁ。」

戦士は雷切を鞘に収める。

戦士「そこまでは…な」

女侍「ふふっ…イくよぉ…?」

タンッ!!……ガイイィィン!!

女侍の振るった刀は、雷切に弾き上げられ、

返す刀で女侍の喉下に刀身を突きつける。

女侍「…!?」

戦士「…後の先…だろ?」

女侍「…いいじゃない?ソソるねぇ…!!」

女侍が身震いし、戦士は刀を鞘に戻す。

戦士「ただ…分からない部分がある…」

女侍「どうやって後の先に以っていくか…」

戦士「…そうだ」

女侍「教えようじゃないか…ふふっ」


586 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:38:19.11 ID:PLfae5wo
戦士「……すまねぇ」

魔道士「なんかあの二人…楽しそうですね」

盗賊「……」

召喚士「…似ているっていうか…なんでしょうね」

サル「俺らも見てるだけじゃヒマだぁな」

キジ「うん。俺達もやるさぁ!」

魔道士「えっ…?」

サル「よっし!シノビのネーチャン、俺とコッチ来い!」

盗賊「…え、…あ」

テクテクテク

キジ「お嬢さんは魔道士さぁ、俺っちがアドバイスするさ!」

魔道士「はっ、はい!お願いします!!」

イヌ「じゃあ俺はお前さんね」

召喚士「えぇっ!?だって…格闘家、ですよね…?」


587 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:39:20.50 ID:PLfae5wo
イヌ「体術経験は?」

召喚士「師匠から…基礎のみは…」

イヌ「お前さん召喚士ね。体術あって損はないね」

召喚士「…な、なるほど」

イヌ「打撃は要らないね。護身術ね」

召喚士「そうですよね…!確かに…!!」

イヌ「召喚した後は無防備。隙だらかになるね!」

召喚士「自分で身を守らなきゃいけませんよね…!」

イヌ「さ、かかってくるね!!」

召喚士「……はい!!」



女侍「…いいかい?」

戦士「…あぁ」

女侍は唐突に柄から刀を抜く。

戦士「!?」


588 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:40:14.84 ID:PLfae5wo
戦士は咄嗟に雷切を抜き、身構える。

だが、女侍の刀は、鞘から刀身を少し出した状態で止まる。

戦士「そうか…!フェイント…!!」

女侍「何もそれに限った事じゃないよぉ?」

戦士「…?」

女侍「挑発だろうがなんだろうが、相手に手を出させりゃいいのさ」

戦士「…なるほど」

女侍「後の先ってのはそういう事さ…あははっ!」

戦士「……」



サル「なぁ忍者娘ちゃん…」

盗賊「…?」

サル「お前、飛び道具はクナイだけか?」

盗賊「……ん」

盗賊は懐よりまきびしをサルに見せる。


589 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:41:15.79 ID:PLfae5wo
サル「ふーん…」

盗賊「…何か?」

サル「消耗品ばっかだな」

盗賊「……」

サル「今後は長期戦も増えんだろ」

盗賊「…」

サル「消耗しない飛び道具、考えた方がいいぜぇ〜?」

盗賊「…消耗しない…飛び道具?」

サル「例えば…よいっしょ…」

サルは背中より武器を手に取る。

サル「じゃじゃ〜ん!!」

盗賊「…ブーメラン!?」

サル「そ。別にコレじゃなくてもいい…」

盗賊「……」

サル「とにかく手元に戻せる飛び道具…これは重要だぜぇ?」


590 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:43:02.78 ID:PLfae5wo
盗賊「…確かに」



キジ「そうそう!右から左へ…スムーズに!」

魔道士「…はいっ!」



イヌ「ふんっ!!」

召喚士「…ぐぅっ!!」



サル「目で追うな!軌道を読んで投げるんだっ!」

盗賊「…しっ!!」



戦士と女侍が刀を納め、近寄る。

戦士「感謝する。ありがとよ!」

女侍「感謝するなら…」

ムギュッ…モミモミ


591 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:44:41.02 ID:PLfae5wo
女侍「コッチで払ってくれよぉ〜?うふふ…」

盗賊「!?」

魔道士「…な、何してるんですか!!」

女侍「ナニって…まだナニも…ねぇ?」

戦士「…っ!」

サル「ほらほら、お嬢ちゃん方が照れちゃってんぞ!」

イヌ「からかいすぎねっ!ボス!」

女侍「あらぁ?からかってるつもりはないんだがねぇ…」

女侍は戦士の股間から手をどける。

女侍「ま、いつでも待ってるよっ!あははっ!」

サル「んじゃ、気ぃつけてなぁ〜、んふふふふっ!」

召喚士「はい!ありがとうございました!!」

魔道士「…で、では!!」

キジ「またいつでも来るといいさぁ!」

盗賊団は手を振り、四人を見送った。


592 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:45:35.32 ID:PLfae5wo


召喚士「うぅ…身体中が痛い…」

魔道士「だうぶ投げられてましたねぇ…」

戦士「…大丈夫か?」

召喚士「うん。ちゃんとした受身も教わったし…大丈夫」

魔道士「盗賊さんもバッチリですか?」

盗賊「…ああ。…勉強になった」

戦士「…何よりだな」

召喚士「…魔道士さんは?」

魔道士「魔法の自然な流れを教えて貰いました!」

戦士「流れ?」

魔道士「はい!魔法も水みたいなものですから」

盗賊「…水」

魔道士「それをいかに一箇所に溜める事が出来るか…」

召喚士「なるほど。ダムのように一気に放出すれば…」


593 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:46:48.25 ID:PLfae5wo
戦士「すげぇ威力になるって事か!!」

魔道士「後は…溜める為の何かあれば…」

盗賊「…?」

魔道士「結界石のような、魔力を蓄積出来るものです」

召喚士「……なるほど」

戦士「しかし、ホント世話になりっぱなしだわな…」

召喚士「今度、恩返ししないとね」

盗賊「……」

戦士「ま、金は盗まれてるからいいんじゃねぇか?」

召喚士「それもそうだね…あはは!」

魔道士「なんか…悪い人達に見えないですよね…」

召喚士「はい。あれが義賊…ですね」

盗賊「…ああ」

戦士「……」

召喚士「さぁ、港を目指しましょう!!」

戦士「…おうっ!!」

盗賊「……」



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