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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その13
793 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 15:36:26.08 ID:8GlirGQo
〜海峡西、川沿いの道〜

チュインッ!!…バシュッ!!…タタッ…シュンッ!!

盗賊「……はぁ…はぁ」

国軍兵「白虎長様は抜けたぞ!後は…」

ルー・ガルー「ハアアァ!!」

ブンッ!!…ドグオォッ!!

国軍兵「ぐわあっ!!」

白虎長「下…がれ…!」

国軍兵「喋ってはなりません!止血は応急処置ですので…!」

ルー・ガルー「手負いで逃げ切れると思うなよ…?」

包囲は突破したものの、なお執拗に攻め立てる魔物がじりじりと間合いを詰める。

国軍兵「まだまだぁ!!お前らは今のうちに白虎長様をっ!!」

盗賊を中心に前衛で身構える国軍兵が叫ぶ。

盗賊「…ここは私たちが食い止める!早くっ!!」

国軍兵「……す、すまないっ!」


794 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 15:42:21.16 ID:8GlirGQo
白虎長「ま…まて…っ!」

国軍兵「手荒な真似、お許しを!」

国軍兵は白虎長を背負いあげ、一気に駆け出す。

その背後を三人の国軍兵が護衛につき、海峡目指し続く。

ルー・ガルー「待ちやがれっ!!」

ダッ!!……ザクゥ!!

盗賊「させないっ!!」

ルー・ガルー「邪魔くせぇ…!まずはテメーからかぁ!」

バキィ!!

盗賊「くぅ…っ!!」

国軍兵「!?…そっちの奴!その子を守れっ!」

盗賊「…だ、大丈夫。かすり傷…」

国軍兵「これで止血を…!!」

後方にいた国軍兵が駆け寄り、包帯を盗賊へ手渡す。

国軍兵「数で押され始めてか…。畜生…っ!」


795 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 15:48:15.44 ID:8GlirGQo
ル・ガルー「ヒャハッ…!だいぶ息も上がってきてるなぁ…?」

国軍兵「ここで力尽きようとも…!白虎長様とこの子は…生かせて帰すぞ!」

盗賊「!?」

国軍兵「そうだ!こんな女の子が頑張ってんだ…!俺だって…!」

グッ…ジャキッ

国軍兵「お前らだけに手柄くれてやるかっての!俺はこの手柄で…将軍目指すんだ!」

ルー・ガルー「ゴチャゴチャうるせぇぞ!やれ!!」

ダダッ!!

ルー・ガルーは再び多勢で兵達に襲い掛かる。

バシュッ!!……キィン!!…ドスッ!!…

国軍兵「ま、まだまだぁ…っ!!」

ルー・ガルー「ちぃ…っ!とっととくたばれやっ!!」

ルー・ガルーは兵の首筋に噛み付き一気に引きちぎる。

ガスッ!!…ブシュウゥゥ……ドサッ…

盗賊「…っ!!」


796 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 15:57:37.10 ID:8GlirGQo
ググッ…

国軍兵「ここはもういいから…。君は海峡へ逃げてくれ」

盗賊「!?…そんな真似…出来るわけっ…」

国軍兵「今ならまだ食い止められる!早くっ!!」

盗賊「…だ、駄目だっ!みんなで…みんなで戻るんだっ!」

盗賊は立ち上がり、蜘蛛切を拾い上げる。

バシュッ!!…ドゴォ!!…

国軍兵「ぐっ!!く……くそ…ぉ…」

盗賊「…まだ!…まだ…やれる!」

ルー・ガルー「まー踏ん張ったところで後続の奴らが来ておしまいって話だけどな」

国軍兵「…!!ま、まだ……来るのか…!」

ルー・ガルー「絶望的状況ってやつだな!ヒャハハ!」

盗賊「…それでも…逃げるわけにはいかない!」

ルー・ガルー「いい度胸だ…!俺が食い殺してやろう!」

ルー・ガルーは腕を振り下ろし、密集して襲い掛かる。


797 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/22(木) 16:05:47.18 ID:8GlirGQo
国軍兵「こうなったら…!道連れにしてでもっ!!」

シャキンッ

国軍兵「くらいやがれぇ!!」

盗賊「……たあぁ!!」

シュバッ!!…キィン!!…ガキイィンンッ!!

一斉に襲い掛かるルー・ガルーに対し、盗賊と兵達も同じく密集し、

正面を中心にその攻撃をなんとか迎撃する。

国軍兵「みくびんじゃねーぞ!この野郎!!」

盗賊「…はぁ…はぁっ……次」

国軍兵「まずいっ!?上っ!!」

体勢を整える盗賊の頭上に、数匹のルー・ガルーが飛びかかる。

ルー・ガルー「ヒャハ………!?」

ドンッ!!…………ゴシャアアアァァッ!!

ルー・ガルー「グブアァッ!!」

突如上空より振り下ろされた剣撃により、半数以上の魔獣が無残に散った。

ザッザッザッザッザ…

着地と同時に巨大なツヴァイハンダーを担ぎ上げ、盗賊の前に歩み寄る。

天才「ピンチには正義のヒーローが登場!…ってか。はーっはっはっは!」


799 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/22(木) 16:18:22.59 ID:YGPO/i.o
天才キタ!これで勝つる!


803 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/22(木) 18:43:20.30 ID:F2PZQ2wo
ジェットストリームアタックはまだですか?


808 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/22(木) 22:36:40.39 ID:I1ahC.wo
死亡フラグがビンビンしてますなww


812 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 00:08:23.22 ID:NHn3kDgo
ル−・ガルー「な…なんだ!?……何が……」

ドンッ!!……ブシュウゥゥ…

天才「人が喋ってんだろ。黙ってろよ」

天才は振り向きざまに巨大な剣を一振りする。

その先にいた魔物は瞬く間に顔のうえ半分が吹き飛んだ。

盗賊「……あっ」

天才「大丈夫か?」

盗賊「…だ、大丈…夫」

天才「そっか。んじゃ退がれ」

盗賊「えっ…?」

天才「早く退がれっつったんだよ」

国軍兵「ア…アンタは…?」

ジャリッ……ブンッ!!

天才「分かんねーかな…。俺一人で十分だっつってんだよ」

男はツヴァイハンダーを身体の前に構え、高らかに笑った。


813 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 00:12:24.45 ID:NHn3kDgo


白虎長「……ぐぅ…っ!!」

国軍兵「すみません!もうしばらくの辛抱ですから!」

背中で苦悶の表情を浮かべる白虎長に、国軍兵が励ましの声をかける。

タッタッタ…

国軍兵「もうじきだっ…もうじき…!!」

白虎長「……?」

国軍兵「背後から……何か…来る?」

……ッタッタッタ

国軍兵「…く、くそぉ!追いつかれたかっ!?」

三人の国軍兵が剣を抜き立ち止まり、足音の方向へと身構える。

国軍兵「………あっ!?」

タッタッタッタッタ…

盗賊「……!!」

国軍兵「白虎長様!!良かった…!無事だったか!?」


814 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 00:18:51.86 ID:NHn3kDgo
盗賊を先頭に少数の兵達が白虎長の周りへと集まる。

国軍兵「結局切り抜けられたのは…これだけか…」

背負った白虎長を丁寧に降ろしながら国軍兵が呟く。

国軍兵「ああ。30名といったところか…」

盗賊「………」

国軍兵「敵は全滅したのか…?」

盗賊「……いや」

国軍兵「なんだかもの凄げぇワーカーが助っ人に来て…命拾いした」

兵は口を進めながら背後の暗闇を見つめる。

国軍兵「アイツ…一人で大丈夫かな…?」

盗賊「……きっと…大丈夫」



天才「さーてさて……いっちょ殺りますか!」

ルー・ガルー「……くっ!たった一人で粋がりやがって…!」

天才「よーし…まずはお前からだな!はーっはっはっは!」

タンッ!!


815 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/23(金) 00:56:02.56 ID:Gbirf8Yo
どっちが魔物かわかんねえww


816 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/23(金) 01:00:56.30 ID:RpwriwDO
正義のヒーローには決めポーズと必殺技が不可欠
天才にも決めポーズと必殺技があると、もっとカッコいいのにな


822 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/23(金) 13:13:18.20 ID:.yK/QP2o
最後はおばあちゃんになった魔道士が「こういうお話だったのじゃ」と孫に言い聞かせるENDに1票


823 :GEPPERがお送りします [] :2010/04/23(金) 13:18:03.27 ID:lKD1f3Mo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           O 。
                 , ─ヽ
________    /,/\ヾ\   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/'''  )ヽ  \_________
||__|        | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\  /   ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/        =完 =

完全にこのAAじゃねーか


828 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/04/23(金) 15:39:00.74 ID:IwU39yYo
こんにちは。本日もご支援ありがとうございます!
昨日はオマケ書いたつもりだったのですが書き込まれてないですね…

>>822-823
これはwwなかなかアリですね!

では続き↓


829 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:39:29.69 ID:IwU39yYo
常人ならば両手で担ぎ上げるのも容易ではないであろう大剣を、

いとも容易く片手で振り上げ、一直線に魔物へと向かって行く。

ルー・ガルー「…!!」

天才「遅いって」

ブオンッ!!……バスッ!!

半ば狼に近しいこの魔物とて当然鈍重なわけではない。

しかしながらこの計り知れない常人を越えた動きに間に合わず、

あっさりとその命を失う羽目となった…。

ズザァ!!…

天才「次ィー!!」

ルー・ガルー「全員でかかるぞ!ただの人間じゃねぇ!!」

眼前の事象に一瞬戸惑う魔獣達だが、大声と共に

その動きを再び一人の人間に向けて実行する。

ルー・ガルー「上下から一斉に潰せぇ!!」

天才「そうそう!まとめてかかってこいやっ!!」


830 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:39:55.68 ID:IwU39yYo
地上と上空、双方から襲い掛かる魔物に対し、余裕の表情で叫ぶ。

それと同時に大剣を左手へ持ち直し、右手の中指が輝き出す。

天才「五行…雷!!」

天才は両手でツヴァイハンダーを振り上げ、そのまま地面へと振り下ろす。

叩きつけた地面からは激しい稲妻が大地を走り、ルー・ガルーを襲う。

ドドオオォォンッ!!…ガカカアアァァッ!!

ルー・ガルー「グギャアアァァ!!」

天才「お次は…上っ!!」

素早くツヴァイハンダーを引き上げると、今度は右手の薬指が光る。

天才「五行……木!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォ!!

天才の突き出された右掌から激しい突風が巻き起こる。

ルー・ガルー「グブゥ……ッ!!」

ザンッ!!……ドシャアァッ…

二方向から攻め立てたルー・ガルーは、その悉くを失った。


831 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:40:44.49 ID:IwU39yYo
ルー・ガルー「チィ!!」

辛うじてかわした魔獣達は天才の背後から攻撃を再開する。

ルー・ガルー「この間合いなら避け……」

天才「んじゃ、避けない」

そう笑顔で返す天才は、右手の小指を突き出し、そこから光が放たれる。

ドドオオォォンッ!!……ボゴオォォ!!

ルー・ガルー「土の壁…!?」

天才の前に突如巨大な土の壁が現れ、行く手を遮る。

ルー・ガルー「こんな子供騙しが通用すっかよ!!」

二匹のルー・ガルーが勢いよくその壁を破壊する。

天才「あらら…破っちゃったか」

ルー・ガルー「何度も言わせるな!こんな子供騙……」

天才「二手に周りこんでた方が良かったんじゃないの?」

皮肉染みた問いかけをしてみせる天才は右手の人差し指を突き立てる。

天才「五行……水」


832 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:42:53.64 ID:IwU39yYo
パシンッ!!…ググッ…

指先が光り続ける中、両手で構えた大剣を身体の後ろに勢いよく引く。

天才「おぉりゃあぁ!!」

ブオンッ!!…ドドオオォォンッ!!

ルー・ガルー「剣から氷が…っグガアアアア!!」

キキイイィィンッ!!…ドスドスドスッ!!

ルー・ガルー「避けきれ…っ」

ドドオオォォン……シュウゥゥ……

ルー・ガルー「……バ…バカ…な!?」

ザッザッザッザッザ…

ルー・ガルー「あれだけいた…のに…」

ガシッ

天才「お前一人になっちまったなぁ…?」

天才は唯一息のある手負いの魔物の前に立ち、

右手でその頭を軽々と持ち上げる。


833 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:43:21.37 ID:IwU39yYo
ルー・ガルー「…!!」

天才「五行……火」

天才が呟くと同時に右手より炎が発せられ、魔物の頭部が火に包まれる。

ルー・ガルー「―――ッ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴオオォォッ………ドサッ

天才「グッバイ…アーンド、パーフェクト!!」

したり顔でツヴァイハンダーを担ぎ上げ、天才はニヤリと笑う。

ザッザッザ…

天才「………あん?」

………ゥゥゥウ……バサッ…・

微小な物音に勘付いた天才は慌てて上空を見上げる。

天才「………何か…いるな」

月の無い夜空は包み込むような黒さがあり、肉眼でそれを認識する事は困難である。

天才「方角は……くそっ、面倒くせぇな…!」

軽く舌打ちすると、天才はすぐさま北関へと駆け出して行った…。


834 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:44:03.50 ID:IwU39yYo
〜海峡、北の森付近〜

魔道士「静かですね…」

召喚士「ええ…。静かすぎてちょっと怖いくらいです」

魔法剣士「……」

犬「……!!」

眼鏡「ん…?」

犬「ワンワンワンッ!!」

………ォォォオ……ズウゥゥン…

戦士「来たかっ!!」

身構える戦士の前方に二匹のマンティコアが飛び出す。

召喚士「二手に分かれて!!」

魔法剣士「ああ!」

魔法剣士は両手に剣を取ると、左へと走り出す。

戦士「ようし…!俺はこっちだ!」

召喚士「魔道士さんは戦士の援護を!」


835 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:44:53.96 ID:IwU39yYo
魔道士「はいっ!!」

召喚士はレイピアを手に戦士の後を追う。

眼鏡「僕はこっちだね。よろしく」

魔法剣士「……ああ」

マンティコア「グルオオオオォォ!!」

戦士「後ろは頼んだぜ!」

召喚士「うん!」

戦士は大斧を両手に握り、勢いよく飛ぶ。

マンティコア「ゴアアアァッ!!」

召喚士「炎か!?」

赤く輝くマンティコアの口元を確認し、召喚士はレイピアを奮う。

その刀身からほとばしる疾風がマンティコアへと襲い掛かる。

マンティコア「ガアアア!!」

魔獣の口内から打ち出された炎の塊は、上空の戦士へと放たれるが、

横から割り込む疾風により、その進路を大きく逸らす。


836 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:46:00.20 ID:IwU39yYo
ドドオォンンッ!!

戦士「ナイス!!」

ブンッ!!…ズガァッ!!

宙より強烈な斧の一撃が赤い体毛を貫き、魔物の背中へと突き刺さる。

マンティンコア「グガアアァァ!!」

スタッ…ザッ

戦士「堅ってぇ…!!」

召喚士「戦士!尾に気をつけて!」

戦士「尾…?ああ、ありゃ毒か何かだな」

戦士はマンティコアの持つ先端が多数の針で出来た尾を覗き込む。

召喚士「シービショップでは解毒出来ないからっ!」

戦士「あいよっ!」

威勢良く返答し、戦士は再び大斧をしっかりと握り締める。

召喚士「……行けっ!コカトリス!!」

召喚士の声に応じ、光の中より巨大な翼が左右に開いた。


837 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:46:31.79 ID:IwU39yYo
ザッ…タタッ…

魔法剣士「……」

マンティコア「ゴアアァァ!!」

ドドオォンッ!!

自身めがけ迫る炎を、魔法剣士はすばやくかわす。

眼鏡「はあ…っ!」

ザシュッ!!

魔法剣士「…こっちだ!」

眼鏡の一撃に気を取られ隙を見せた魔獣に二本の剣が交互に襲い掛かる。

マンティコア「グガアアアア!!」

魔法剣士「付加しないと駄目みたいだな…」

眼鏡「こいつらは頑丈さが取り得だからね…」

眼鏡の位置を指で直し、言葉を続ける。

眼鏡「僕が一撃見舞う。援護を頼む」

魔法剣士「……承知した」


838 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:47:57.69 ID:IwU39yYo
ジャリッ…

眼鏡「……」

マンティコア「……グウウウ!!」

タンッ!!…ヒュバッ!!

眼鏡は左右に身体を振り、フェイントをかけマンティコアの背後へ回り込む。

眼鏡「はあ!!」

ブンッ!!……ドズッ…

眼鏡「…!!」

だが、その動きを読んでいたかの如く、猛毒を持った尾が眼鏡の腕へと突き刺さる。

魔法剣士「ちぃっ!!」

マンティコア「グラアアアアァァ!!」

続けざまに口内から巨大な炎を放つマンティコアだが、

そのはいごから魔法剣士の青白く光る剣撃が相殺する。

ドドオオォォンッ!!…ジュウウゥゥ!!…

眼鏡「氷か…!?助かったよ」


839 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:48:42.58 ID:IwU39yYo
魔法剣士「立て!今のうちに…」

眼鏡「ああ、すまない。…しかし生温い炎だね」

魔法剣士「…同感だ」

二人は両手で剣を構え、その手が光り輝く。

マンティコア「……ウ…ウウウ…ガアア!!」

何かを悟ったようにマンティコアは特攻を仕掛ける。

二人の剣士は左右に分かれ、赤く燃えた剣を大きく振りかぶる。

眼鏡「炎というものは……」

チャキッ

魔法剣士「こういうものだ!!」

ヒュバッ!!……ザンッ!!…バシュウゥッ!!

マンティコア「グギィアアアアアア!!」

ゴオオオォォ……ドズウウゥゥンッ…

首を斬り落とされたマンティコアは間もなく横たわり、

燃えさかる炎の中で灰と化した…。


840 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:49:20.38 ID:IwU39yYo
シュイィィン…

召喚士「コカトリス!背後を!」

コカトリス「毒の尾か…。なるほど」

戦士「りゃあ!!」

マンティコア「グルアオオオオオ!!」

ギィン!!……ガスッ!!…キィン!!

戦士「なんとか押してるが…仕方ねぇ…!」

戦士は振り向き、後方に控える魔道士の顔を見る。

魔道士「……」

魔道士は無言でコクリと頷き、両手で杖を握った。

コカトリス「あの尾さえ封じれば…懐に入れるであろう?」

戦士「もちろんよ!」

シュンッ!!

コカトリス「ならば話は…早い!」

コカトリスは上空より一気に急降下し、マンティコアの背後を取る。


841 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 15:49:48.48 ID:IwU39yYo
更に間髪入れず、石化の吐息を勢いよく放った。

ゴアオオオォォ!!

マンティコア「!?」

コカトリス「おや…勢い余ったか」

下半身が完全に石と化し、地面と同化したマンティコアを見つめ、

コカトリスは皮肉を込めたように溜息混じりで呟く。

戦士「サービスいいなおい!」

ダンッ!!

戦士「魔道士!氷だっ!!」

魔道士「はいっ!撃ちます!!」

ドドオオォォンッ!!

閃光は一直線に戦士の持つ斧へ衝突し、大斧は青白く光り輝く。

戦士「っりゃああぁ!!」

ブオンッ!!…ドズンッ!!……キキイイィィンッ!!

一刀両断されたマンティコアの身体は二つの巨大な氷塊となり地に転がった…。


846 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 17:22:33.43 ID:IwU39yYo
魔道士「やったぁ!」

召喚士「さすが戦士…!」

戦士「……」

召喚士「戦…士?」

スタスタスタ…

魔法剣士「こんな手こずっていては駄目だ…」

魔道士「…?」

魔法剣士「そんなところか…」

戦士「ああ、その通りだ」

召喚士「……」

魔道士「で、でも…ちゃんと倒しましたし…」

戦士「内容が問題だ」

眼鏡「確かに序盤でちょっと油断しすぎたかもね」

召喚士「……確かに」

眼鏡「今日が新月で良かったよ」


847 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 17:23:09.97 ID:IwU39yYo
魔道士「新月…?」

眼鏡「ほら、今日はまったく月明かりがないだろ?」

召喚士「そうか…!」

眼鏡「うん。ご存知の通り魔物は満月で本領を発揮するからね」

召喚士「…わざわざ…この日を選んだんだ」

戦士「ちゃんと考えてるんだな。国軍も」

魔法剣士「…ところで、傷は大丈夫なのか?」

眼鏡「え…?ああ、これか」

眼鏡は右腕を見つめ苦笑する。

召喚士「まさか毒に!?」

眼鏡「ああ…心配しないでいいよ」

魔道士「…?」

眼鏡「毒は効かない体質なんだ」

召喚士「き、効かない…!?」

戦士「……便利な身体だな」


848 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/23(金) 17:23:37.07 ID:IwU39yYo
眼鏡「まぁ傷は痛いけどね。ははっ」

召喚士「治療しましょう」

眼鏡「いや、そこまでのものではないし…いいよ」

召喚士「でも…」

眼鏡「さっきも言ったけどまだ序盤だ」

魔法剣士「……」

眼鏡「魔力は温存しておいてくれ。いざという時の為に…」

召喚士「………分かりました」

眼鏡「さ、次に備えて準備しておこう」

魔法剣士「ああ」

魔道士「盗賊さんも…もうじき来ますよね!?」

戦士「ん…そうだな」

召喚士「コカトリス。念の為上空から周囲の様子を見て貰えないかな?」

コカトリス「…容易い事だ。任せろ」

コカトリスは両翼を大きく広げ、上空へと飛び立った。



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