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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その20
597 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:16:25.53 ID:84Qhv6Qo
ジャーッ…バシャバシャ

魔道士「おはようございます!早いですね」

盗賊「…おはよう。何だか…眠れなくてな」

魔道士「…あー」

盗賊「…?」

魔道士「やっぱりそうですよね…。私もです…」

盗賊「……行くか」

魔道士「え…?」

盗賊「…早めに出て、朝食でも買いに」

魔道士「…そうですね!召喚士さんの分も買いに行きましょうか!」

盗賊「…すぐ…準備しよう」

魔道士「はいっ!…あ、盗賊さん」

盗賊「…ん?」

魔道士「私に気を遣わなくて大丈夫ですから…。もう…挫けたりしませんから」

魔道士の言葉に少し間を置き、盗賊は「うん」と一言だけ呟いた。


598 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:17:08.47 ID:84Qhv6Qo


盗賊「……」

魔道士「……あ、あの…何ですこれ?」

召喚士「えっ?朝食ですけど…お二人の…」

盗賊「…買って…きたのか?」

召喚士「ええ、早く目が覚めてしまったので…」

盗賊「……ふ…ふふっ」

召喚士「え!?…あ、あの…っ」

魔道士「なーんだ!私達と同じ事考えてたみたい…!」

召喚士「あれ…?じゃあもしやお二人も…?!」

盗賊「…ああ」

召喚士「…す、すみません。余計な事してしましましたね…」

盗賊「…気にするな」

魔道士「そうですよ〜。ありがとうございます!えへへ!」

召喚士「…は、ははっ」


599 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:17:52.33 ID:84Qhv6Qo
〜大通り〜

テクテクテク

盗賊「…モグモグ…それで?」

召喚士「…ええ。聞き込みをしてはみたのですが、特にこれといって情報は…」

魔道士「そうですかぁ…」

召喚士「…あ、あったあった。ここですね」

コンコン

女「…はーい」

召喚士「すみません。ワーカーの者ですが…」

女「……何か…?」

カチャッ…キイィ

召喚士「おはようございます。実は昨日の事件についてお話を…」

女「……」

召喚士「あ、あの…怪しいものではありません。お話はこちらの女性二人に…」

魔道士「宜しければお聞かせ願いませんか?」


600 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:18:43.15 ID:84Qhv6Qo


トポトポトポ…カチャッ

女「…どうぞ」

盗賊「…頂きます」

魔道士「それで、昨日の事を…」

女「…ええ。あれは夕方頃…入浴中の事でした…」

盗賊「……ズズー」

女「窓の方から人の気配がしたので不審に思い、近づいてみると…」

盗賊「…この男が覗いていた」

盗賊は手配書を机の上に置き、女へと向ける。

女「…はい。ニヤつきながら覗いてました…っ」

魔道士「…サイテーですね」

盗賊「…そして?」

女「分かりません…。悲鳴を上げるとそそくさと逃げて行きました…」

盗賊「…なるほど。ありがとうございました」


601 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:19:41.59 ID:84Qhv6Qo
カチャッ…パタンッ

召喚士「…あ、おかえりなさい!どうでした!?」

玄関前の階段に腰掛ける召喚士が慌てて立ち上がり、二人に問う。

盗賊「…特に…なし」

魔道士「戦士さんの偽者には間違いなさそうですが…それ以上は…」

召喚士「……そうですか。では、次に行きましょうか」

〜八百屋〜

主人「そうそう!コイツだよ!いきなり店先で果物パクって逃げやがった!」

召喚士の右手に摘まれた手配書をバンバンと叩き、主人は声を荒げて言い放つ。

召喚士「この男はどちらへ逃走しましたか?」

主人「あっちだ。東の方へ走り去って行った!」

召喚士「…なるほど」

魔道士「あ、ありがとうございます!」

主人「絶対とっ捕まえてくれよーっ?」

魔道士「は、はーいっ!」


602 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:20:32.40 ID:84Qhv6Qo


召喚士「聞き込みはこれで以上ですね」

盗賊「…お疲れ」

魔道士「何も得られませんでしたね…」

召喚士「…いや、そうでもないですよ?」

魔道士「そうなんですか!?」

盗賊「…逃走経路」

召喚士「そうです。偽者の逃走ルートですが…」

召喚士は鞄より本国の地図を広げ、それを魔道士と盗賊が覗き込む。

召喚士「まず、偽者は本国の北側から犯罪を行っています」

魔道士「…なるほど」

盗賊「…北方から来た故だな」

召喚士「そうです。そして中央…即ちここ、大通りにぶつかり…」

スーッ…トントン

召喚士「東へ進み、再び犯罪を繰り返してます」


603 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:21:01.77 ID:84Qhv6Qo
魔道士「つまり…逃亡先は……」

盗賊「…東側」

召喚士「でも、半日経ってますし…追うのは難しいでしょう…」

魔道士「ど、どうします!?」

召喚士「本国より東には特に何もありません…」

盗賊「……」

召喚士「西には海沿いの村のみ」

魔道士「つ、つまり…?」

召喚士「偽者はきっと…本国に戻って来るのでは、と踏んでいます」

盗賊「…ならば」

召喚士「街の東側で待ち伏せましょう」

魔道士「…何としても捕まえましょうね!」

盗賊「…ああ!」

召喚士「では行きましょうか」

魔道士「はいっ!」


604 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:21:51.38 ID:84Qhv6Qo
〜警備所〜

ガンッ!!

戦士「……?」

警備兵「メシだ!さっさと食えっ!」

戦士「…いらねー」

警備兵「何だと!?」

カツコツカツコツ…

高官「そう目くじら立てるな。下げたまえ」

警備兵「…は、ははぁ!」

ガチャガチャッ…タッタッタッタ

高官「おはよう。よく眠れたかね?」

戦士「…お陰さんで。野宿せずに済んで大助かりだよ」

高官「…それは良かった。さぁ、出ろ」

戦士「……釈放かい?」

高官「お楽しみの取調べタイムだよ」


605 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:22:38.21 ID:84Qhv6Qo
〜取調室〜

ガチャッ

高官「入れ」

戦士「……」

高官「安心したまえ。その男はただの書記だ」

書記「……」

高官「そこの椅子に座れ」

戦士「…へいへい」

ガタッ…ドサッ

高官「名前、年齢、出身地」

戦士「戦士、えーと…もうすぐ28。北方の故郷の村だ」

高官「一連の騒ぎ、お前の仕業だな?」

戦士「…どこからどこまでが一連だ?」

高官「最初から最後までだ」

戦士「…本国での事は知らん。それ以外は…そうだ」


606 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:24:15.74 ID:84Qhv6Qo
高官「本国の事件は君ではないと?」

戦士「ああ、偽者だ。話ぐらい聞いてんだろ」

高官「偽者…ねぇ」

戦士「ドッペルゲンガーっつーんだっけ?そいつだよ」

高官「証拠は?」

戦士「……ない。証人はいる」

高官「お前のワーカー仲間だろ?他にいないのか?」

戦士「……北方司令部の副官って人と、数名の兵士」

高官「……すぐに連絡をとれ」

書記「警備兵、聞いたか?」

警備兵「了解致しました!」

戦士「もういいだろ?他に話す事なんてねーよ」

高官「……何故、あの時ウィッチ庇ったのだ?」

戦士「…あのなぁ、何度も言わせるなよ。自分の信念を貫いたまでだ」

高官「……」


607 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:25:37.51 ID:84Qhv6Qo
戦士「実の父親に…絶縁も同然にボロクソに言われて……」

高官「……」

戦士「そんな事って許せるのかよ…!?」

高官「事実を述べたまでだ。貴様には関係のない事だろう?」

戦士「ああ!関係ねーよ!関係ないから公平な目で見られるんだろうがっ!」

書記「お静かに」

戦士「……あんな…あんな突き放す言い方で」

高官「私はあいつに小切手も渡し、自由に金も使わせてやっていた」

戦士「……」

高官「それに、国軍の試験にも落ちるような無能をいつまでも面倒見ろと?」

戦士「それが親の義務だろ」

高官「勘違いするな。私は野垂れ死ねとは言っていない」

戦士「……」

高官「無能は無能らしく、しかるべき所へ嫁にでもだすつもりだ」

戦士「…あいつがそれを望むのかよ!?」


608 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:26:33.38 ID:84Qhv6Qo
高官「望むかどうかは関係ない。ウィッチにはそんな権利はない」

戦士「何で!?」

高官「私の娘だからだ」

戦士「…そうかよ」

高官「そうだ」

戦士「……」

高官「とにかくだ。お前が私に対し手を上げた事に関しては立派に罪が成立する」

戦士「……好きにしろよ」

高官「そうさせて貰うさ。判決を楽しみに待っているがいいさ」

戦士「……」

高官「…広報発表をしろ」

書記「……?」

高官「一連の騒ぎを起こした犯人を逮捕。判決は明日だとな」

戦士「!?」

書記「…畏まりました。早急に取り掛かります」


609 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:27:38.04 ID:84Qhv6Qo
〜北方司令部〜

左翼長「何ぃ!?それは本当か…?」

伝令「はっ!間違いありません!」

騎士長「…ちっ。一足遅かったか…」

左翼長「全捜索隊に引き上げ命令を出せ!」

北方兵「了解です!」

騎士長「よりによって本国かよ…」

左翼長「面倒事にならなきゃいいけどな…」

騎士長「これ…どうする?」

山積みとなった捜索隊からの報告書を指差し、騎士長が呆れて言う。

左翼長「…もう用無しだ。後で軽く目を通して破棄」

騎士長「…だよな。了解」

左翼長「偽者の件は本部に任せて、こっちは最北の盗人探しだ」

騎士長「それについては大軍師から報告書が届いてるぞ」

左翼長「…どれ」


610 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:28:56.27 ID:84Qhv6Qo
パサッ

左翼長「…………」

騎士長「何だって?」

左翼長「容疑者と思しき女リーダーの一派は既にアジトを破棄…だとよ」

騎士長「何で大軍師がアジト知ってんだ?」

左翼長「先の戦いで協力者だったらしい。偶然だろうがな」

騎士長「恩赦か…?」

左翼長「まさか。猶予を与えたが今回の件だ。本格的に指名手配だよ」

騎士長「そんじゃあもう北にはいねーだろ」

左翼長「…コイツらの行方はいい。捜索隊に指示を」

騎士長「…?」

左翼長「一派が最北から何の目的で書物を持ち出したのか…調べろ」

騎士長「…了解っ!北の村と最北の村にも伝えておく!」

左翼長「…頼む」

左翼長は書類を無造作に机へと投げ、暮れ始める太陽を窓から眩しそうに見つめた。


611 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:29:48.43 ID:84Qhv6Qo
〜本国〜

召喚士「……」

盗賊「……」

魔道士「…もう…夕方ですね」

召喚士「…ええ」

盗賊「…動きは…なし、か」

魔道士「通りすがる人達も…何も知らないようですし…」

召喚士「…時間だけが過ぎていく」

ダッ

魔道士「召喚士さん!?」

召喚士「周囲を探してきます!お二人はこの辺りを…!」

盗賊「お、おいっ!?」

召喚士「すぐに戻りますからっ!!」

魔道士「……っ」

盗賊「…召喚士」


612 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/13(水) 18:32:27.11 ID:84Qhv6Qo
〜警備所、牢屋〜

カツカツカツ…ガシャンッ!!

戦士「……」

高官「あと半日あまり、大人しくしてるんだな」

戦士「……へいへい」

高官「実刑は覚悟しておけ」

戦士「…どんぐらいだよ?」

高官「本国の役人を殴ったのだ。一年いや…三年としておこうか」

戦士「…!?」

高官「明日の答弁で泣き叫べば、裁判長も軽くしてくれるかもしれんぞ?」

戦士「……っ」

高官「夕飯は食した方がいいぞ?刑務所の食事はもっと質素なものだからな」

戦士「…ちっ!」

高官「…はっはっは!それでは…また明日」

声高らかに笑う高官は、下唇を噛む戦士をちらりと見た後、その場を去って行った。


613 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/13(水) 21:52:58.82 ID:m/t4imco
これは・・・西国のどこぞの王子のイライラを感じさせるな


614 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/13(水) 22:12:22.47 ID:6c2GekAO
>>613
この高官に匹敵するなんて、いったいどんな玉子なんだろうな


615 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/13(水) 22:17:19.65 ID:1alZeHUo
でもさ、裁判は殿下の権限で中止なり延期できるんじゃね?
左大臣よりは権限上なんでしょ?


616 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/13(水) 22:54:58.82 ID:TwadHUDO
上もクソも鶴の一鳴きだろ
中世なんかじゃ王族に逆らったら国外追放、左遷、死刑当たり前だしな


619 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 00:40:48.34 ID:.NkVshw0
1乙
でも皇太子は、ちょっとリーダーシップが足らない感じかな
まだ国王じゃないから遠慮してんのかな


620 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 03:46:45.08 ID:tJWRiek0
>>619
魔法が使えないことにコンプレックスがあるからじゃなかった?


627 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/20(水) 19:07:29.43 ID:F/O/XRI0
一週間近く落ちてたのかwwwwwwwwwwwwww


638 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/10/20(水) 21:29:36.25 ID:.C3avZ2o
こんばんはー!ようやく復活ですね!
しかしここで謝罪をしなくては…
全然書き溜めてません…すみません↓続き



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