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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その27
- 376 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/04/04(月) 18:43:47.66 ID:McVc3/fDo
ブオッ…ドズウウゥゥゥゥン!!
剣士「……」
左秘書官「ほらほらっ、逃げてばかりではどうにもなりませんよっ!!」
剣士「…………」
左秘書官の言う事は、あながち間違いではなかった。
剣士や弓使いの通常攻撃では、致命傷を与える事は難しい。
可能な手段はあくまで、幼女の援護を受けての魔法付加。
幼女「たあぁ!!」
ドドオオォォンッ!!…ゴオオォォォォォ
剣士「っりゃああぁぁ!!」
ズバシュッ!!…ゴアアァァァァッ
左秘書官「再生に無駄な魔力を消費しますが、この程度、大した事はありませんよ!」
剣士「……っ」
炎による魔法剣を浴びせるも、左秘書官の胸部は即座に再生し、
再び反撃へと転じる。剣士はそれを冷静に、そして器用に回避する。
- 377 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:44:40.44 ID:McVc3/fDo
ヒュッ…スタッ…タッタッタッタ
左秘書官「さぁさぁ、どんどんいきますよぉ!!」
キュイイィィィィ…
弓使い「幼女っ!」
幼女「はいっ!」
ビュオッ…ドドオオォォォォン
魔法を放とうと身構える左秘書官の両手に氷の矢が突き刺さる。
ガギキキイイィィ
左秘書官「……」
剣士「はああぁぁーっ!!」
ザシュウウゥゥ
左秘書官「だから、無駄だと言っているでしょう……」
ズザザァ…スタッ
剣士「……はぁはぁ……はぁ」
左秘書官「それとも、私が再生不能になるまで、魔力を削り続けますか?」
- 378 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:45:28.71 ID:McVc3/fDo
剣士「……くっ」
左秘書官「三日三晩戦い続ければ、それも可能やもしれませんねぇ」
右大臣「確かに、左秘書官の言う通りだ……っ」
村長「だがっ、どうする!?」
右大臣「アンデッドを完全に葬り去るには、五行の力以外にない」
村長「……っ!!」
右大臣「だが、我らの魔力ではおろか、あのような少女では……」
村長「負担が大きすぎる!微弱な五行でも命にかかわるぞ!」
右大臣「分かっておる。だからこそ八方塞がりなのじゃ……っ」
村長「ならばっ、奴が言うように三日三晩戦い続けろと!?」
右大臣「…………」
パッカパッカパッカ
白馬騎士「さぁ、お二方もお退き下さいませ」
村長「儂はこの村の長。おめおめと逃げるわけにはいきませぬわ」
白馬騎士「しかしですね……」
- 379 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:46:07.54 ID:McVc3/fDo
村長「この村は我が命。直せば良いやもしれぬが、そんな簡単なものではない」
白馬騎士「……」
村長「それに、ここに住まう者らは我が家族も同様。失えば取り戻せるものではない!」
右大臣「その通りだ」
白馬騎士「……」
右大臣「時に白馬騎士殿、貴公は魔法を扱えるかな?」
白馬騎士「……氷の魔法であれば、多少は」
村長「どうするつもりだ?」
右大臣「残す手は、合体魔法以外あるまい……っ」
村長「どうやって……」
右大臣「私とお前、そして白馬騎士殿」
村長「それに、幼女と……弓使いか?」
右大臣「剣士殿を媒介に、それで仕掛けるしかあるまい」
村長「そんな間に合わせの五行で成功するものかっ」
右大臣「他に手はないのだっ」
- 380 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:46:37.40 ID:McVc3/fDo
村長「魔力を均一に押さえ込まねば……暴走するぞ」
右大臣「……」
村長「そしてしくじれば、それは媒介者の元へ、全て跳ね返る……っ」
右大臣「……」
白馬騎士「……剣士殿なら大丈夫でしょう」
村長「……?」
白馬騎士「あの者の強さはその柔軟性にある」
村長「ど、どういう事かな……?」
白馬騎士「微量の誤差ならきっと、修正可能なはずですよ」
右大臣「……どうする?決断はお主が下すが良い」
村長「……っ」
右大臣「この村や、彼らはお前自身も同じなのだろう!?」
村長「……剣士っ、弓使い……幼女!!」
剣士「!?」
弓使い「な、何っ!?」
- 381 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:47:38.26 ID:McVc3/fDo
剣士「……行くぞっ!」
幼女「えっ!?」
弓使い「でもっ、魔物が……」
白馬騎士「突撃ぃーっ!!」
騎馬兵「おぉーっ!!」
ドドッドドッ…
左秘書官「何だ……?」
村長の呼び掛けに応じ反転する剣士らと同時に、白馬騎士の号令にて
騎馬隊が入れ替わるように左秘書官へと一気に突撃する。
白馬騎士「しばしの間で良い!華国騎馬隊の意地を……見せてやれっ!」
騎馬兵「おおうっ!!」
ドドッドドッ…ガキイィィン
左秘書官「何かするつもりだな……?小賢しいっ!!」
騎馬兵「進ませるかっ!!足止め程度なら……我らとてっ!!」
左秘書官「無力な蟻のような分際で……生意気な口を叩くなぁ!!」
- 382 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:48:37.09 ID:McVc3/fDo
ドドオオォォンッ!!
剣士「!?」
白馬騎士「振り返るな!」
剣士「……っ」
タッタッタッタッタ…ザザッ
右大臣「良いか、時間がない。手短に話すぞ」
弓使い「……」
右大臣「奴はアンデッドと化している。倒すには五行以外にない」
幼女「……っ」
右大臣「剣士、君を媒介として他の者で同調五行を放つ」
村長「おそらく、完全に均一するとは思えぬ」
白馬騎士「剣士殿、最終調整は君自身の魔力で均等化してくれ」
剣士「……僕に、出来るでしょうか?」
白馬騎士「君なら出来る。間違いなくな」
剣士「……」
- 383 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:49:29.81 ID:McVc3/fDo
右大臣「良いか、奴は狡猾な男だ。チャンスはたった一度きり」
白馬騎士「私が水行を担当します」
弓使い「私は……風以外、自信がないわ……っ」
村長「儂が金行……雷を引き受けよう」
右大臣「幼女ちゃん、君は?」
幼女「じゃあ……土」
右大臣「では、私が火。これでいこう」
白馬騎士「合図はいかがなさるので?」
村長「弓使い、お前がまず、矢を空へ放ってくれ」
弓使い「……?」
村長「それが着地を合図に、一斉に放つ」
弓使い「……分かりました」
村長「魔力は一番弱いと思われる、弓使いにベースを合わせるぞ」
右大臣「では各々、準備にかかってくれ」
幼女「……う、うんっ!」
- 384 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:50:01.19 ID:McVc3/fDo
ザザザッ
左秘書官「そうらっ、ひとたび当たれば……死に繋がるぞぉ?」
騎馬兵「くそっ、弄びやがって……っ」
左秘書官「そろそろまとめて消し去ってくれようか!」
騎馬兵「ただで……死ぬかってのおぉ!!」
左秘書官「無力だなっ、己の無力さを噛み締めるがいいわっ!」
白馬騎士「散っ!!」
騎馬兵「――!?」
左秘書官「何だ……っ?」
白馬騎士の叫び声は号令の合図。その指示に従い、各騎馬兵は
即座に四方へと散開し、一斉に騎馬を反転させる。
白馬騎士「爆っ!!」
騎馬兵「はああぁぁーっ!!」
ジャキジャキジャキッ…ドシュシュシュシュッ!!
剣士「一斉投擲!?」
- 385 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:50:30.85 ID:McVc3/fDo
左秘書官「目晦ましか何かのつもりか……?」
白馬騎士「今ですっ!」
ザザッ…ギリギリギリッ
弓使い「……んっ!」
ビシュッ!!
弓使い「頑張って!」
剣士「ああ、君達もっ!」
幼女「うんっ!」
タッタッタッタッタ
左秘書官「勝てぬと分かって逃げ出したか……」
タッタッタッタ…
左秘書官「ん……?」
剣士「……」
左秘書官「(一人だけどこへ向かうつもりだ……?)
キュイイィィィィ
- 386 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:50:58.38 ID:McVc3/fDo
左秘書官「何っ!?……あれは……五行かっ!!」
ババッ
左秘書官「いや、待てよ。あの男……そうか、そういう事か。ククッ!」
クルッ
左秘書官「貴様の剣を媒介に、五行を撃つつもりだなぁ?」
剣士「――っ!?」
村長「しまった……読まれたっ!!」
右大臣「構わんっ!もうじき矢が……」
剣士「弓使いぃーっ!!」
弓使い「!?」
そして弓使いの放った矢がぽとりと地面に突き刺さる。
右大臣「撃てぇーっ!!」
ドドオオォォォォンッ!!
左秘書官「……手遅れだ」
剣士の目の前に移動した左秘書官の両手から、赤黒い闇の炎が放たれた。
- 387 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:51:37.71 ID:McVc3/fDo
ズガガアアァァァァッ!!…ドドオオォォォォ…
村長「け……剣士……っ」
左秘書官「フッククク!!ハハハハッ!!」
黒煙の中から崩れた土の壁と共に、人影が浮かび上がる。
左秘書官「何……っ?」
ガラガラガラッ…ゴトン
剣士「……ぐ……ふっ」
左秘書官「な、何故だ!?至近距離で……バカなっ、直撃のはずだっ!」
剣士「……よ、幼女……っ」
右大臣「!?」
村長「幼女っ、お前……咄嗟に切り替えたのか……っ」
幼女「……ごめんな……さい」
白馬騎士「人の命には変えられんさ」
左秘書官「ククッ、しかしこれで……策は尽きたというわけだな」
剣士「……どうかな」
- 388 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:52:55.10 ID:McVc3/fDo
左秘書官「何……っ?」
攻撃をかわす刹那、必死で叫んだ弓使いの名。
その叫びだけで両者の間には、想いが伝わっていた。
弓使い「……」
ギリギリギリッ
村長「!?」
右大臣「こぼれた四行を……矢で……!?」
白馬騎士「あの矢は最初に放った……」
剣士「拾って投げるだけで精一杯だった……攻撃の回避も……」
フラッ
剣士「助かったよ……ありがとう、幼女」
幼女「お父さんーっ!!」
左秘書官「させるかああぁぁ!!」
ザクッ…ガクンッ
左秘書官「……?」
- 389 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:53:50.35 ID:McVc3/fDo
踏み出そうとした己の右足を、突如封じる長剣。
剣士「倒れこむくらいはまだ……出来るさ」
秘書官「――ッ!!」
最後の力、とは最早言えないかもしれない、剣士の一撃。
その場に倒れこみながら突き刺さった剣は、左秘書官の身動きを封じ込めた。
弓使い「……っ!!」
剣士より受け取った四行の魔法が付加した矢を、弓使いは放つ。
バシュウウゥゥ!!…キイイィィィィンッ
左秘書官「……ちぃ」
最初は事の起こりに焦りを生じた左秘書官であったが、その頭脳はかつて
経済機関で培われてきたもの。咄嗟に、そして冷静に状況を判断する。
左秘書官「……」
それは四行である事を踏まえた上での防御。相当の魔力を失う事は必須だが、
五行ではない分、完全消滅には至らないと判断したのだ。
そして、その選択は結果、失敗に終わった。
- 390 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:54:32.37 ID:McVc3/fDo
ィィィイイイイ…
左秘書官(…………?)
迫り来る矢を見つめ、左秘書官は違和感を覚えた。
左秘書官(何だ、あの……周囲に漂うものは……っ)
イイイイイイ…
左秘書官「……バカなっ!?ま、魔法だとおぉ!?」
四行の矢を追うように、周囲に付随する魔力。それは左秘書官の見据える、
弓使いの更に後方、教会の脇から流れていた。
キイイィィィィ…
――『……れた……かな』
弓使い「……えっ?」
左秘書官「光が……五行の光――」
ボシュンッ!!…ズシャアアァァァァ!!
五行の光を形成した矢は、紙を貫くように左秘書官を突き破り、消失した。
それと同時に発生した光の柱へ吸いこまれる様に、左秘書官も、消失した。
- 391 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:55:02.73 ID:McVc3/fDo
…
剣士『…………』
――『おーい』
剣士『……くっ』
――『生きてるか?』
剣士『……魔道士!?』
男『やっと、君らに力を貸せた』
剣士『何を言ってる。君にはいつも力に……』
男『……いや、ずっと心残りだったんだ』
剣士『そんな事はないさ、僕の方こそ……』
男『いいや、剣士。君は立派に頑張っているさ』
剣士「僕はただの……臆病者さ』
男『でも、再び立ち上がったじゃないか。僕とは違う』
剣士『お、おいっ!!魔道士!?』
男『弓使いを泣かせるなよ?その時は化けて出てやるからな。はははっ――』
- 392 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:55:48.23 ID:McVc3/fDo
剣士『待てっ、待ってくれ!!魔道士――』
ガバッ
剣士「……っ!?」
村長「おぉ!!気付いたかっ!!」
幼女「うっ、ひぐぅ……うわああぁぁんっ!!」
ガバッ
剣士「幼女……痛っつぅ!!」
村長「これ、まだ傷は癒えておらんのだ。抱きつくでない」
弓使い「……良かった。無事で良かった……っ」
白馬騎士「剣士殿、まことに見事であったぞ。貴殿の力があってこその勝利だ」
剣士「勝った……のか……」
弓使い「でもっ、無茶はしないでよぅ……」
剣士「弓使い……。ちょっと、泣かないでくれよ……っ」
弓使い「だって、そんな事言ったってぇ……」
剣士「君に泣かれると……彼に叱られてしまうからね……」
弓使い「……?」
- 393 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:56:51.84 ID:McVc3/fDo
…
騎馬兵「……問題ありませんっ!死者はおりません!」
白馬騎士「負傷者も数名程度。皆、無事のようだな」
剣士「しかしこれ程の被害で済むとは……っ」
右大臣「全て、彼女のお陰だ」
剣士「彼女……?」
スクッ…テクテクテクテク
女「始めまして、たまたま通りかかったもので」
剣士「……?」
女「魔物の気配を感じて来たのだけれど、既に戦いは……ごめんなさいね」
右大臣「この者が皆の治癒を施してくれたのだ。無論、君の治癒もな」
白馬騎士「我が隊の者も大いに助かりました。ありがとう」
女「いいえ、この程度の事しか出来ませんから」
剣士「え、えっと……お名前は……」
女賢者「功績ランク5位、女賢者と申します。うふっ♪」
〜第四十二部、完〜
- 403 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/04(月) 22:34:48.63 ID:OknFpN1DO
いちおつ
もう四十三部かぁ
これって魔王倒すまでがプロローグだっけ?
- 404 名前:NIPPERがお送りします(石川県) [sage] 投稿日:2011/04/04(月) 23:27:26.19 ID:eBFTyRaPo
魔王倒してプロローグ終わり
それから始まる召喚士と魔道士の二人の生活に戦士と盗賊が来て楽しく騒いだり
朱雀嬢が来て修羅場ったりする話が本編
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