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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その13
165 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/30(火) 17:59:06.50 ID:ITkxzsAo
〜鉱山の村〜

ウロウロウロ…

マーマン「……う〜ん」

ウロウロ…ピタッ…

マーマン「………」

動きを止め、水面に映る自分の顔を見つめる。

クルッ…タッタッタッタッタ…

マーマン「なーんでこんな事してんだ俺は…」

タッタッタ…

マーマン「別に…得することなんてなーんもねぇじゃんよ…」

タッタッタ…

マーマン「なのに……んっ?」

少女「!?」

マーマン「あー悪い…。ちょっと聞きたいんだが…」

少女「ひっ…!!」


166 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/30(火) 17:59:37.33 ID:ITkxzsAo
マーマン「ってまぁ…そりゃそうだわな…」

タッタッタ…

青年「な、何のようだ!あまり村へ近づかれると…」

マーマン「俺と一緒に来た人間達はどっちに行った?」

青年「…それをき、聞いて…どうする?」

マーマン「いや、どーするって……」

青年「彼らの帰りを大人しく待てんのか」

マーマン「あのなぁ…そうは言っても、もう日も暮れ初めてる」

青年「ああ…そうだな」

マーマン「あーそうだなって…魔物もいるんだろ?」

青年「それを始末するのが彼らの役目だろう!」

マーマン「分かった分かった。とにかくお前と問答する気はねぇ…」

ザッ

青年「…?」

マーマン「ここを通してくれや」


167 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/30(火) 18:04:54.05 ID:ITkxzsAo
青年「さっきも言ったが村へ近づけるわけにはいかん」

マーマン「他に道はねぇんだろ?じゃあ通してもらう」

青年「…ダメだ。皆が怯える」

青年は背後で怯える少女を見つめる。

マーマン「じゃあどうしろって…」

ザッザッザ

村長「何を騒いでおる」

青年「村長…!」

マーマン「アンタお偉いさんだな?頼む!」

村長「……」

マーマン「ここを通してくれ!」

村長「なぜ…?」

マーマン「は?」

村長「お主…魔物であろう?なぜそこまで…」

マーマン「ダチが危ないかもしんねーんだ!なぜもクソもあっかよ!」


168 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/30(火) 18:05:25.41 ID:ITkxzsAo
村長「!?」

マーマン「……ちっ」

村長「人間である彼らを…友人と?」

マーマン「向こうはどう思ってるか知らねーがな…」

青年「お前……」

マーマン「そうでもなきゃノコノコこんなとこまで付いて来るかっての」

村長「………付いてきなさい」

青年「村長!!」

村長「ここまで言われては断る事も出来まい」

マーマン「……」

村長「私達と一緒に同行していれば…皆も納得するじゃろう」

青年「まぁ…村長が仰られるのであれば…」

村長「……さあ、こっちだ」

マーマン「ああ……!!」

マーマンは少し照れ臭そうに、村長らの後に続いた。


169 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/30(火) 18:05:57.09 ID:ITkxzsAo
〜鉱山地下二階、祭壇〜

ドズウゥンッ…ジュウゥゥ!!

戦士「くっ…なんて…威圧だ…!!」

盗賊「うぅ…あ…っ…」

戦士と盗賊はその身をなんとか奮い立たせる。

ドズウゥンッ…ジュウゥゥ!!

燃えさかる巨体が足の形を模し踏み出すと、

その高熱に耐え切れず、地面はあっという間に溶け始める。

魔道士「な…何ですか…あれ…!?」

召喚士「逃げろーっ!!」

召喚士の叫び声に反応し、戦士と盗賊がハッと後方に下がる。

コカトリス「咄嗟に叫んだのは…勝てないと直感で悟ったか…」

召喚士「……退路を確保するまで…せめて食い止める!」

コカトリス「……ああ」

ヒュイイィィン……ゴアオオオォォォ!!


170 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/30(火) 18:08:13.61 ID:ITkxzsAo
召喚士「!?」

ゴゴオォォンッ!!…ドドオォォ…

炎の魔物はくちを大きく開けるように蠢き、

放たれた一閃が四人の後方へ着弾する。

魔道士「入り口が…っ!!」

召喚士「くぅ…っ」

ドドオォンッ!!…ゴオォォォ…

戦士「うおぉ…!火の手が…っ!?」

盗賊「…一撃で…なんという」

一同は火の海と化した周辺を見渡し、動揺する。

――「コオオォォォ…」

召喚士「!?」

――「タ…ル…ウィ……」

魔道士「……!?」

タルウィ「我が…名は…タルウィ……」


176 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/30(火) 22:41:42.17 ID:D1QW6.Io
ズズウゥンッ…ドジュウゥゥ!!

その巨体から噴き出すマグマが周囲に炎をともし、岩をも溶かす。

戦士「こいつはヤバイ…!!だめだ!!」

盗賊「なんとか退路をっ!!」

召喚士「どうする…!くそっ…どうすれば…!!」

タルウィ「人間…人間が…何用か…」

魔道士「なんとか炎を…!!」

召喚士「魔道士さん!詠唱を!!」

魔道士「はいっ!!」

タルウィ「我が主…主アンマ・マンユ様…に…」

キュウイィィ…

戦士「来るぞっ!!」

ボシュウゥッ!!……ドドオオォォンッ!!

タルウィの口から再び光が放たれ、四人の頭上を通り抜け、

後方の壁へとぶつかると一挙に爆発し、爆風が巻き起こる。


177 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/30(火) 22:47:45.23 ID:D1QW6.Io
魔道士「きゃあぁっ!!」

召喚士「くう…ぅ!!」

ドドオォンッ…ドシャッ…ガラガラッ…ゴトッ…

戦士「火の手が増す一方だ!どうする!?」

召喚士「一点だけでも消化して…そこを突破するしかない!」

盗賊「……っ!!」

タルウィ「そう…力ある人間は…人間は…始末する」

キュイィィンッ…ドドオォンッ!!

盗賊「くそぉ!!」

戦士「しゃあねぇ!!」

ダッ!!

三度放たれた閃光をかいくぐり、戦士と盗賊が前に出る。

召喚士「コカトリス!!」

コカトリス「うむっ!!」

ドシュウッ!!


178 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/30(火) 22:52:59.75 ID:D1QW6.Io
その後を追うようにコカトリスが上空を高速で飛ぶ。

タルウィ「…逆らう…それは許されざる…許すまじ…!」

タルウィは迫る二人へ拳を振り下ろす。

それは隕石が落下するかの如く、激しく燃え上がり地面を粉砕する。

バゴオォォッ!!…ドドオォンッ!!

戦士「触れれば一瞬だ!ぬかるなよ!!」

盗賊「分かってる!!」

シュバッ!!

召喚士「魔道士さん!」

魔道士「はいっ!撃ちます!!」

ドドオオォンッ!!…キキイイィィンッ!!

戦士「おりゃあ!!」

盗賊「はあっ!!」

二人の刀が同時にタルウィの腕へめがけ振り上げられる。

ほぼ同時に魔道士の放つ氷が刀身を冷たく輝かせる。


179 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/30(火) 22:57:34.07 ID:D1QW6.Io
ブオンッ!!…ザシュドシュッ!!……ギキイィィンッ!!

タルウィ「…!?」

スタッ

戦士「一旦下がるぞ!」

盗賊「ああ!」

互いに一撃を放った戦士と盗賊は目配せし、後方へ退く。

タルウィ「……コオオォ」

凍りついたタルウィの腕はちぎれ落ち、地面へ叩きつけられると

液状と化し、大量のマグマが流れ始める。

コカトリス「うおぉ!!」

ドドオォンッ!!…ゴアオオオォォ!!

タルウィ「コオオオォォアアアア!!」

キュイイィィッ……ボシュッ!!

コカトリスの吐息とタルウィの口内から放たれた光が空中で激突する。

炎は石と化し、その石を再び炎が溶かし地面へと滴り落ちる。


180 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/31(水) 00:33:10.82 ID:CURE62AO
タルウィって何とかかんとかの悪神だよな
>>1は刀やら神話やら色んな分野で博識だな
尊敬するわ


181 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/03/31(水) 00:36:07.15 ID:.JdvQYAO
深夜にテンション上げさせないでくれww
ともあれこの緊迫感はたまらんね


182 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/03/31(水) 00:45:35.29 ID:vl5eLXso
あああこんな時間になってしまった…すみません!寝ます!
ご支援大変感謝です!それではおやすみなさい!ノシ

>>180
ゾロアスター教とかダエーワでググってみて下さい!

>>181
もう少しいきたかったんですが…すみません


184 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/31(水) 18:23:16.30 ID:sNuXSego
コカトリス「うおおおぉっ!!」

タルウィ「カアアァァァッ!!」

ドウンッ!!…ボシュウゥゥ…

上空から大量の火の粉が降り注ぐ中、

コカトリスはそれを縫うようにタルウィへと近づく。

戦士「支援すんぞ!」

盗賊「ああっ」

タッ!!

コカトリスの下を同じく火の粉を払いのけ、戦士と盗賊が駆ける。

コカトリス「右だっ!!」

戦士「分かってる!」

ダンッ!!

戦士「悪く思うなよ?死角から襲うのは定石……」

ドロォ…グシュッ…ジュルジュルッ…

召喚士「う…腕が…っ!?」


185 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/31(水) 18:23:45.15 ID:sNuXSego
戦士「再生!?不死身かコイツ…!?」

ちぎれ落ちたタルウィの右腕が再び再生を始め、

あっという間に元通りの姿へと形を戻した。

タルウィ「始末…始末する。お前らを…!」

盗賊「うっ…!!」

ブオッ!!……ドゴオォォンッ!!

戦士「あっぶね…っ!!」

タルウィ「コアオオオォォ!!」

タルウィは振り下ろした右腕を瞬時に引き上げ、再び構える。

戦士「盗賊!!まだだっ!!」

盗賊「!?」

ヒュボッ!!

魔道士「やあぁっ!」

ドドオォンッ!!…ギキイィィンッ!!

盗賊めがけ放たれたタルウィの拳を、

魔道士が放った氷の壁が防ぐ。


186 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/31(水) 18:24:26.01 ID:sNuXSego
召喚士「よし…っ!」

魔道士「くう…ぅ!!」

戦士「盗賊!飛べっ!!」

盗賊「…っ」

ダンッ!!

盗賊が戦士の呼びかけに応じ飛び交わすと同時に、

タルウィの拳が魔道士の氷を粉々に打ち砕く。

ボゴオォッ!!…ゴシャアァァッ!!

戦士「魔道士!助かった!!」

召喚士「お見事です!」

魔道士「…はぁ…はぁっ…はぁっ」

召喚士「……?」

魔道士「凄い…魔力…!!」

魔道士は息を荒らげ、タルウィを見つめる。

ジャッ!!


187 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/31(水) 18:25:00.39 ID:sNuXSego
戦士「大丈夫か…?」

戦士は抱きかかえた盗賊の身体を起こし、地面の蜘蛛切を拾い上げる。

盗賊「…ありがとう」

戦士「……参ったな」

盗賊は蜘蛛切を受け取り、戦士の顔を見上げる。

盗賊「…うん」

戦士「だが…太刀打ち出来んってわけでもないみたいだな」

盗賊「…魔道士の…援護があれば」

戦士「ああ…」

バサッ……シュンッ!!

コカトリス「……かあっ!!」

タルウィ「…召喚獣…召喚獣は始末せねば…!」

ドドオォンッ!!…ジュウウゥゥッ!!…

戦士「だが何度斬っても再生しちまうんじゃ…」

戦士は呟き、少し悩んだ後に召喚士の顔を見る。


188 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/31(水) 19:37:23.47 ID:HPkfzIAO
召喚士(戦士……)

戦士(分かってる。倒そうなんて気はねぇ…)

召喚士「…再生させない為には」

戦士「氷で斬った後に…石化する…?」

召喚士はキョトンとした顔を見せる戦士めがけ頷く。

戦士「…で、出来るか?」

召喚士「四人のタイミングがピッタリあえば…だね」

魔道士「あ、あの…?」

召喚士「あ…すいません。……魔道士さん」

魔道士「はい…?」

召喚士「あと一発だけ、何とかいけますか?」

魔道士「……頑張ります!」

魔道士は両手で杖を握りしめ、力強く頷く。

召喚士「…お願いします!」


189 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/31(水) 19:43:58.04 ID:HPkfzIAO
魔道士「魔力さえ蓄積出来る暇があれば…大きいのも撃てるんですが…」

召喚士は一呼吸置き、タルウィとコカトリスの動向を見つめる。

召喚士「大丈夫…。大丈夫です」

スッ…

召喚士「コカトリス!」

コカトリス(攻撃を止め…牽制?)

召喚士が振るうレイピアを確認しコカトリスが一瞬驚きを見せる。

コカトリス(……ヤツの事だ。何か思い付いたか)

コカトリスは吐息を止め、タルウィの周囲を旋回する。

コカトリス「さぁ…こっちだ!」

バサバサッ!!…シュンッ!!

コカトリス(なんとか気を引き付けられれば良いが…)


190 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/31(水) 20:03:04.87 ID:HPkfzIAO
タッタッタ…

戦士「んで…?」

盗賊「……」

召喚士「手短に説明するよ。コカトリスと入れ違いで囮が一人…」

戦士「……」

召喚士「一瞬動きを止める役が一人。これについては戦士と盗賊さんで分担を…」

戦士「囮は俺が…」

盗賊「……私が行く」

戦士「いや、危険すぎる…」

盗賊「…だからこそだ」

戦士「…!?」

盗賊「…片腕では限りがある」

召喚士「確かに…」

戦士「おいっ、お前まで…!」

召喚士「盗賊さんには足もあるし、いざとなれば俺も…」

盗賊「…決まりだな」

戦士「……」


191 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/31(水) 20:16:18.98 ID:HPkfzIAO
召喚士「戦士は?……何秒いける?」

戦士「…三秒ぐらいでみといてくれ」

召喚士「……分かった!」

ザッ…

盗賊「……行くぞ」

戦士「…ああ!」

召喚士「魔道士さん」

魔道士「はい…。既に増幅中です!」

召喚士「……よし!全員無事にここを切り抜けよう!」

盗賊「…ああ!」

戦士「当たり前だ!!」

魔道士「そうですよっ!」

四人は拳を突き出し、ニッコリ笑う。

戦士「任せたぞっ!」

盗賊「あぁ!」

タンッ!!

返事をした盗賊が勢いよく走り出す。

戦士「さーて…どうすっかな…」

ジャリ…

戦士「つってもアレしかねーわな…」

ザッザッザ…カシャッ

戦士はゆっくりと前に歩き、雷切を鞘に納める。


192 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/31(水) 20:30:48.91 ID:HPkfzIAO
タタタッ…

盗賊「…よし!」

コカトリス「…気をつけろよ」

盗賊「…承知!」

盗賊と入れ違いでコカトリスがタルウィより離れる。

タルウィ「人間も…召喚獣も…始末せねばならぬ!」

キュイィィ……

盗賊「……焦るな…かわせる!」

ドドオォン!!

タルウィから放たれた閃光を盗賊は直前で右に回避する。

盗賊「次っ!!」

戦士「粘ってくれよ…!」

召喚士「…頼むっ!」

タルウィ「コオオォォ!!」

キュイィィ……ドドオォン!!

盗賊「しっ!!」

タンッ!!……ドゴオオォォンッ!!

魔道士「盗賊さん…っ」

盗賊「まだまだっ!」

戦士「よし…いいぞ!」

二発目の閃光を回避した盗賊を確認し、戦士は柄に手をかける。


193 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/03/31(水) 20:39:23.83 ID:HPkfzIAO
召喚士「コカトリス!!」

コカトリス「おうっ!!」

コカトリスは向きを再びタルウィへ正し、大きく息を吸い込む。

戦士「っりゃあぁぁ!!」

ダンッ!!…バシュッ!!

戦士は力強く踏み込み一気に抜刀する。

雷切の刀身からは強い輝きが放たれ、雷鳴が轟く。

ガカアアァァッ!!…ドドオォン!!

タルウィ「!!」

稲妻は一直線にタルウィに襲い掛かり、マグマが飛び散る。

コカトリス「退けっ!!」

盗賊「うむっ!」

バッ!!

戦士「もう一丁!!」

振り下ろした刀を斬り上げ、再び稲妻がタルウィ目掛けほとばしる。

タルウィ「…コオオォォ!!」

バシュゥ!!…ガカアアァァッ!!

召喚士「魔道士さん!!」

魔道士「はいっ!いきます!!」


204 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/01(木) 18:36:07.47 ID:zgb70Rso
戦士「これで・・・3秒だ!」

ガカアァァッ!!

タルウィ「…オオオォォ」

召喚士「電撃でうまく動きを止めたっ!今のうちに!」

魔道士は杖を高々と掲げ、同時に指先から全身が光り輝く。

魔道士「……んっ!」

光は身体の中心に集まり、腕から杖へ抜けて一つに集約される。

盗賊「……よし!」

タタタッ…スチャッ…

盗賊は魔道士の動きに合わせ、複数のクナイを手に走り出す。

そのまま大きく跳躍すると、手にした全てのクナイを連続で投げ放った。

盗賊「はあぁっ!!」

シュババババッ!!

無数のクナイがタルウィの全身へと一挙に襲い掛かる。

魔道士「いっけぇー!!」


205 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/01(木) 18:36:38.70 ID:zgb70Rso
小さな光の塊は反動を見せるように大きく弾け、

複数の光が盗賊のクナイめがけ飛び、着弾する。

キイイィィ……ドッドオオォォンッ!!

タルウィ「!!」

ザクザクザクゥ!!…ザシュゥ!!

魔道士「まだ…行きますよぉ!」

戦士「おっしゃあっ!!」

盗賊「まだまだ!」

ジャラララッ…ビシュッ!!

盗賊はクナイを投げ終えた直後、素早く鎖を続けざまに放つ。

それと同時に魔道士の左手から氷、右手からは風が巻き起こる。

ドンッ!!…ドドオォンッ!!

召喚士「鎖に……っ!」

戦士「二行合体付加!?」

魔道士「アイス……ストーム…チェーン…です!!」


206 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/01(木) 18:37:50.90 ID:zgb70Rso
タルウィへと伸びた鎖がすかさず凍りつき、

その周りを螺旋状の風が激しくまとわりつく。

タルウィ「!?」

ビュオォッッ!!…ボンッ!!

盗賊「外し…!?」

召喚士「いや…!十分!!」

召喚士は吹き飛ぶタルウィの左上半身を見つめ叫ぶ。

魔道士「これが…最後ですっ!!」

戦士「外すなよぉ!!」

戦士は雷切を一挙に抜刀し、三度雷撃をタルウィへと放つ。

戦士「三度目ともなると…もう情けないもんだわな」

魔道士「いえっ、問題ありません!」

ドドオォンッ!!…ガゴオオォォッ!!

タルウィ「…!?」

魔道士「マジシャンさん直伝…更に倍!ですっ!」


207 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/01(木) 18:38:20.23 ID:zgb70Rso
雷切から放たれた稲妻を、魔道士の放った稲妻が取り込まれ、

更に付随した冷気が、青白い氷の雷を生む。

召喚士「す…ご……!!」

バチバチバチィ!!……ゴシャアァァッ!!

盗賊「…右も…飛ばしたっ!」

戦士「トドメは頼んだぞ!!」

召喚士「ああ!」

召喚士は上空で魔力を増幅したコカトリスへと目配せする。

コカトリスはコクリと一度頷き、タルウィへと急降下する。

シュンッ!!

コカトリス「……喰らえっ!!」

ドドドオオォォンッ!!…ゴアオオオォォ!!

タルウィ「…コオ…ッオオォォ!!」

魔道士「そのまま…っ!!」

戦士「一気に石化しちまえ!!」


208 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/01(木) 18:39:07.88 ID:zgb70Rso
コカトリスの吐息は炎の巨体を取り囲むように、

大量に吐き出され、タルウィを丸々と飲み込む。

シュウウゥゥゥ…

盗賊「……」

召喚士「やっ……たか…?」

煙に覆われたタルウィの姿が徐々に一同の前へと現れる。

真っ赤に燃えさかる炎は面影もなく、ただ黒ずんだ石と化していた。

魔道士「やっ…た……」

戦士「……マジ…かよ」

魔道士「よ…良かった!今のうちに……」

フラァ…

召喚士「!?」

力が抜けたようにふらつく魔道士を、召喚士が慌てて支える。

召喚士「魔道士さんっ!?」

魔道士「すい…ません…。魔力を使いすぎた…みたいで…」


209 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/01(木) 18:39:35.00 ID:zgb70Rso
召喚士「…もうしばらくの辛抱です!すぐに脱出を…!!」

タッタッタッタッタ…

戦士「大丈夫か!?」

召喚士「うん。戦士は?」

戦士「ん?ああ…腕か。まぁ…何とかなんだろ。それより早く!」

召喚士「そうだね!今のうちに……」

盗賊「……ああ」

盗賊は再び鎖を腹部に巻き、残り一本となったクナイを手に持つ。

戦士「どうすんだ!?」

召喚士「コカトリスを戻してスキュラの水で退路を…!」

戦士「よし…頼む!」

召喚士「うんっ!」

コカトリス「……急げよ」

召喚士「うん…。ありがとう!コカトリス!」

コカトリスは少し微笑み、翼をゆっくりと閉じた。


210 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/04/01(木) 18:40:43.84 ID:zgb70Rso
シュイィィン…

召喚士「…ふーっ。行け!スキュラ!!」

シュイィン…

スキュラ「……今日は忙しないな」

召喚士「ごめん!とりあえず背後の炎を消化……」

ドクンッ…ドクンッ…ドクンッ…

戦士「!?」

盗賊「…っ!!」

ババッ!!

召喚士「な……何だ…っ!?」

召喚士は瞬時に背後を振り向き、黒ずんだ石像を睨む。

戦士「嘘だろ…!!そ、そんな……っ」

盗賊「………う…うぅ…!」

パキッ…ピシピシピシッ…バキィッ

召喚士「まだ…なのか……!?」


215 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/04/01(木) 20:36:08.79 ID:vgarZA.0
召喚士「やっ……たか…?」
これは代表的な死亡フラグ


221 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/04/02(金) 00:26:31.26 ID:oCF78Fko
ブシュウウゥゥ!!……バキィ…バキッ!!

巨大な石の塊が激しくひび割れ、中から溶岩が溢れだす。

魔道士「……はぁっ…な、何…?」

盗賊「!?」

灼熱に化した岩の隙間より、ゆっくりと手が伸びる。

ズ…ズズッ………キラッ

召喚士「っ!!」

ヒュイイィッ!…ドドオオォォンッ!!

戦士「うぐ…ぉ…っ!!」

盗賊「……!!」

伸びた右手の平から閃光がほとばしり、

後方に待機していたスキュラが一瞬のしてけし飛んだ。

召喚士「・・・・・・っ…がはっ!!」

ドッ

戦士「召喚士っ!!」


222 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/04/02(金) 00:32:29.05 ID:oCF78Fko
召喚士「だ…大丈夫・・・・・・!」

片膝をつき、息を乱す召喚士は苦しそうに声を振り絞る。

ボゴォ!!…バキバキッ…ゴシャアァッ!!

盗賊「……き…来た!!」

粉々に砕けた岩の中から、赤黒い炎を纏った魔物が現れる。

戦士「…う…っ!!」

タルウィ「…………」

ザッザッ…

タルウィ「……ふむ」

召喚士「……くっ」

タルウィ「そう怯えるでない…。主ら四人足らずか…?」

魔道士「……」

タルウィ「たったの四人で…。いや、これはなかなか」

戦士「だ…だから、どうした…!!」

タルウィ「ん?いや…単純に凄いな、と。そう感じただけの事よ」


223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage] :2010/04/02(金) 00:44:09.72 ID:CtU9lAco
急に知性を感じさせるタルピーさん



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