■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その15
885 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/15(火) 23:29:20.05 ID:K7pjk8Yo
〜青年兵の故郷〜

戦士「ここかぁ…!!」

青年兵「本当に何にもないでしょう?……ははっ」

戦士「いんや、良い所だ…。潮の香りも心地良いぜ…!」

ウィッチ「風が…気持ちいいでございます…っ!」

テクテクテク…

青年兵「ここが我が家です」

戦士「……おう」

カチャッ

青年兵「ただいまー……」

扉を開ける青年兵の声に、慌てて一人の女性が姿を現す。

母「…青年兵…かいっ!?」

青年兵「……母さん…!ただいま!」

二人はゆっくり歩み寄り、互いの瞳には涙を滲ませている。

青年兵「…か、母…さんっ!」


886 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/15(火) 23:33:31.63 ID:K7pjk8Yo
バシッ!!

青年兵「!?……痛…った…」

母「……何をノコノコ帰ってきたんだいっ!」

戦士「……」

ウィッチ「…えっ…え…っ!?」

母「…・あらっ!お客さんがいたのかい…っ!?これはお恥ずかしいところを…」

青年兵母は慌てて赤面を隠すように、深々と頭を下げる。

母「青年兵の母でございます。いつも息子がお世話に……」

戦士「戦士です。こちらこそお世話になってます!」

ウィッチ「ウィッチでございますわ…っ!」

母「こちらの方々は国軍の…?」

青年兵「いや、ワーカーの方なんだけど…ちょっとワケありでね」

母「そうかいそうかい。ささ、こちらへどうぞ!」

戦士「あ、すんません…!」

ウィッチ「お邪魔しますでございます…!」


887 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/06/15(火) 23:59:06.29 ID:K7pjk8Yo
ちょっと早いですが本日ここまでにて…
多数のご支援ありがとうございました!それではおやすみなさい!ノシ

>>873
ワロタwwお腹痛いww

そしてこ…これは……!?
ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice/aa.html
ななばつ様!最高です!!&更新ありがとうございます!!

〜オマケ>>808〜

拝啓

春爛漫・桜花爛漫のみぎり、貴兄にはますますご壮健とのことと存じ上げます。
さて、あれより幾日かが経ち、戦士殿、お父上様は如何お過ごしでしょうか。
私めも若輩の身では御座いますが、何か手掛かりになるものはないかと日々…

(中略)

…にして、召喚士殿、魔道士殿ともども、お待ち申し上げております。
まだ暫くの間、別離の日々が続きますが、再開の折には、なお一層の疎通…

(中略)

追伸、野に咲く一輪の美しい花を見つけました。摘むには心痛みましたが、
是非ご覧頂きく、押し花として文に同封致します。

                                          敬具

某月吉日                                    盗賊

親愛なる 戦士様


889 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/06/16(水) 00:09:00.95 ID:qys8jQwo
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
       |  盗賊へ            |
       |                    |
       /    ̄ ̄ ̄ ̄      /_____
       /              /ヽ__//
     /      ながい     /   /   /
     /              /  /   /
    /   ____     /  /   /
   /              /  /   /
 /       戦士より /    /   /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /


892 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/06/16(水) 00:38:46.25 ID:qRUxvIDO
盗賊ワロタwwww


893 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/06/16(水) 01:50:37.62 ID:LAcjXcAP
>>889
酷すぎるwwwwいくら戦士でもwwww


・・・・・・


898 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 16:57:08.43 ID:vfHXP7so
母「いまお茶を出しますので、どうぞ腰掛けて」

戦士「失礼しまっす」

青年兵「母さん、俺がやるから座ってなよ」

母「いいからいいから」

青年兵「よくないよ。身体も治ってないんだろ?」

母「なーにを言ってんのさ!この通りピンピンしてるじゃないか」

青年兵「いいからっ!」

母「……はいはい」

呆れて微笑む母を椅子に座らせ、青年兵はしかめっ面で台所へと消えていく。

戦士「どこか…悪いんですかい?」

母「ずいぶん前の話ですよ。今はもう……」

ウィッチ「……」

母「全く…。心配性の息子で困ったもんですよ。あははっ」

戦士「親想いで…いいじゃありませんか」

ウィッチ「…はいでございます」


899 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 16:57:39.56 ID:vfHXP7so
テクテクテク…カチャカチャッ

青年兵「はい、どうぞ」

戦士「サンキュ」

ウィッチ「い、いただきますでございます!」

青年兵「どう?こっちは変わりない?」

紅茶を配り終え、着席する青年兵は、母に問いかける。

母「なーんにも変わっちゃいないよ。アンタこそどうなんだい?」

青年兵「ぼちぼち頑張ってるよ」

母「頭足りないんだから肉体労働でお国の為に頑張りな!」

青年兵「…失礼だなぁ」

戦士「あははっ!でも…彼は凄いですよ!」

母「そうですか?ちょっとでも皆さんの助けになればいいけれど…」

戦士「そりゃあもう、いっつも助かってますよ!」

青年兵「ちょっと…戦士さん…っ!」

戦士「ほんとの事さ!照れるなって!!」


900 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 16:58:45.55 ID:vfHXP7so


母「本国務め…!?お前がかい…!?」

青年兵「うん…。出向だけど一応、士官に……」

ウィッチ「す、凄いでございます…!」

戦士「そうだったのかぁ…。北伐までの功績が評価されたんだな!」

青年兵「運が良かっただけですよ……」

母「じゃあ尚更、こんな所に帰ってきてる場合じゃないだろ?」

青年兵「いや、それは殿下が休暇を……」

母「お前は馬鹿かい!いくら殿下の御言葉だからって…他にやる事あるだろうに…」

戦士「いや…でもね、これからはもっと忙しくなるし…なかなかこういう機会は…」

母「いいんですよ。この子ももう21…。親の手はすっかり離れましたから」

ウィッチ「……」

母「それに、国軍へ入ったからには…これからはお国の為に働かなきゃあ…」

戦士「そりゃあそうですが……」

母「いいんですいいんです。親子なんてそんなものですよ」


901 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 16:59:32.46 ID:vfHXP7so
青年兵「ちょっと…母さん!」

母「仕送りも要らないって言ってるのに、ご丁寧に毎月送ってきて…」

青年兵「母さんってば!」

戦士「へぇ…!偉いなぁ!」

ウィッチ「仕送りで…ございますか……」

母「そういうわけだから、もう仕送りも要らないよ」

青年兵「何言ってんだよ!じゃあどうやって暮らすのさ…」

母「一人分ぐらい自分で稼げるさ」

青年兵「それで無理して身体を壊したんだろ?気にしなくていいから…!」

母「分かった、分かったよ…。ほれ…もうこんな時間だ…」

青年兵「いや…今日は泊まって……」

母「連絡もなしに…。お客様もいるんだ、恥をかかせないでおくれ」

戦士「あ、いや…俺達はこれで……」

母「前もって言ってくれれば、おもてなしも出来たんだけどね…すまないね」

ウィッチ「お気にせずでございますっ!」


902 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:00:12.34 ID:vfHXP7so
青年兵「…じゃあ…行くよ」

母「……この国の為に…しっかりね」

戦士「お邪魔しました!」

ウィッチ「失礼致しますでございます」

母「次来る時はちゃーんと言うんだよ?ご馳走用意しておくからさっ!」

戦士「ういっす!楽しみにしてます!」

青年兵「じゃあ…また……」

母「……全く」

カチャッ…パタン……テクテクテク…

戦士「…いい母さんじゃないか」

青年兵「…幼くして父が亡くなり、女で一つで育ててくれました」

戦士「親父さんは病気か?それとも魔物に…」

青年兵「親父は漁師でした…。船ごと魔物にやられて……」

戦士「……そっか」

ウィッチ「……っ」


903 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:02:02.22 ID:vfHXP7so
青年兵「それからは毎日、母は海へ出て…働きづめでした」

戦士「海女さんか……」

青年兵「ええ…。行商もしておりました…」

ウィッチ「そ、それで…お身体を…?」

青年兵「はい…。そんな生活でしたので、僕は奨学生として士官学校へ通い…」

戦士「軍人になったわけだ…。親孝行だな」

青年兵「母の口癖でしたから……」

ウィッチ「……?」

青年兵「自分は不幸でもいい。人を幸せにする為に生きなさい…と」

戦士「……重い言葉だなぁ」

青年兵「ええ…」

テクテクテク…

医者「おや…もしや、青年兵君かな?」

青年兵「先生…!?」

戦士「……先生?」


904 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:02:51.16 ID:vfHXP7so
青年兵「あっ…こちら母を診てくれている医者の先生です」

ウィッチ「お医者様でございますね」

医者「今日はお母さんの看病かな?」

青年兵「まぁ…思ったより具合は良さそうで安心しました……」

医者「……具合が良さそう?」

青年兵「ええ。足取りもしっかりしていましたし…」

医者「……それは、よくないのう」

青年兵「…!?」

医者「いやな、ここ数ヶ月間…あまり芳しくないのじゃよ…」

戦士「でも…元気そうに……」

医者「一人息子の前じゃ。無理して気丈に振舞っておったのじゃろう…」

ウィッチ「……っ!」

青年兵「……か、母さん…っ!」

医者「この際正直に言っておくが…そう長くは持たぬかもしれん…」

青年兵「!?」


905 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:04:06.62 ID:vfHXP7so
医者「もって…あと数年……」

戦士「…なんとか…ならんのか?」

医者「もっと早く施術出来ておればのう…残念じゃ……」

ウィッチ「そ……そんな…っ!」

医者「……追い出されたみたいじゃの」

青年兵「……」

医者「これから診察じゃ。きっと見せたくなかったんじゃろう…」

青年兵「……母…さん…っ」

医者「これからもちょくちょく顔を見せてやると良い…。最良の薬じゃ」

医者は微笑み、青年兵の母が待つ家へと歩いていった。

青年兵「……

戦士「……いいぜ、待ってるよ。ここで」

青年兵「……!?」

戦士「戻るんだろ?しっかり互いの心中を明かしてきな!」

青年兵「……すいません!行ってきます!!」


906 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:04:49.93 ID:vfHXP7so
タッタッタッタッタ…

青年兵「はぁ…はぁはぁっ…」

青年兵がドアノブに手をやると、中より声が聞こえてくる。

医者「さっきそこで、青年兵君に会ったよ」

母「……病状は…話されたので?」

医者「ああ…。正直に伝えておいた」

母「……そうですか」

医者「我慢する事はない。会いたい時に会えばいいじゃないか」

母「……邪魔はしたくありません」

医者「……」

母「あの子は今、やっと自分の事を頑張っているんです…」

医者「……」

母「今まで私の看病をしながら…勉強に学校に……」

医者「……うむ」

母「ようやく手離れして…自分の人生を歩んでいるんです」


907 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:05:56.13 ID:vfHXP7so
青年兵「――っ!!」

母「頑張っているあの子を邪魔したくない…それに…」

医者「……」

母「苦労をかけた分、あの子には幸せになって貰いたいんです…」

医者「貴方は強いお人じゃのう…」

母「不器用なだけですよ…。ごほっ……こほっ!!」

医者「ほれ、無理なさるな…。少し横になるといい」

母「こほこほ…っ。す、すみま…せん…っ」

フルフルフル…

青年兵「……か…あ…さん…っ!」

ポロポロッ…ポロッ…

青年兵「あり…ありがとう…!ごめん…っ…俺行くよ…っ」

ゴシゴシ……タッタッタ…

溢れる涙を拭い、青年兵はその場を後にする。

そのドアを開けるべきだったのかは、誰にも分からない事である。


908 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/06/16(水) 17:11:15.01 ID:bIULSxoo
     。。
   。     。 +   ヽヽ
゜ 。・ 。 +゜  。・゚ (;゚`Дフ。
            ノ( /  
              / >


909 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:50:36.30 ID:vfHXP7so
〜海峡、北の森〜

副隊長「だ、だいぶ暗くなってきちゃいましたね…」

女隊員「まーたビビってるんスかぁ?」

隊長「うーむ…そうは言ってもぼちぼち戻った方がいいかもなぁ…」

召喚士「ええ…。日没前には森から出たいですね」

男隊員「今回も戦闘はなしかぁ…。楽な仕事…ギャハッ!」

魔道士「じゃ、じゃあ戻りましょうか」

隊長「おし、隊列変更なし!このまま帰還する!」

男隊員「アイアイサー」

ガサガサッ

盗賊「…!?」

サモナー「……風か」

一同が振り向き、帰路に着こうとした矢先であった。

盗賊「!?」

隊長「っ!!」


910 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:51:34.08 ID:vfHXP7so
女隊員「…な、なんスかぁ!?この…気配っ!!」

副隊長「まずい…っ!退きましょう!!」

魔道士「え…?え…っ!?」

数人が感じた…森の奥より発せられる、強大で恐ろしい気配。

盗賊「…近づいて…来るっ!」

男隊員「何だよコレ…!?こんな気配…初めて……」

隊長「結界張れぇ!!」

副隊長「はいっ!」

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

サモナー「おいで、シーサペーント!」

シュイイィィン…

隊長「いいかっ!戦うな!とにかく退けっ!!」

魔道士「は、はいっ!!」

召喚士「コカトリス!頼む!」

コカトリス「……ああ」


911 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:52:23.55 ID:vfHXP7so
ザッザッザッザッザ…

隊長「振り返るなよ!真っ直ぐ走れっ!」

副隊長「あと…少しですっ!」

ザッザッザ…タッタッタ……

召喚士達の退路を塞ぐように、二匹の召喚獣が立ちはだかる。

ザザザザザッ…

コカトリス「……」

その場を囲むように、渦巻く風の音とともに、

暗い森の奥から、赤く光る巨大な目が二つ浮かび上がる。

コカトリス「……これは…マズイな」

シーサーペント「…キシャアアァァッ!!」

姿を現す羊の顔をした魔物。その手には巨大な剣。

ズズズッ…

バフォメット「…ファファファ。人間では…ない…か」

コカトリス「残念だったな」


912 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:54:21.59 ID:vfHXP7so
バフォメット「汝…人間の手先……召喚獣…」

言葉の途中でバフォメットの体に石化の息が吹き付けられる。

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオオォォ!!

バフォメット「……ッ!!」

シーサーペント「シャアアァァッ!!」

それと同時に、シーサペントによる水流の竜巻が、バフォメットを飲み込む。

ドドオオォォ…

コカトリス「……!?」

バフォメット「……ファファファ!!」

コカトリス「無傷だと…っ!?」

バフォメット「……我…には…無効なり…!」

ヒュオッ………ザシュウウゥゥッ!!

シーサーペント「……!!」

コカトリス「な、なんと…いう…っ……」

巨大な剣が二度…左右に動くとともに、二匹の召喚獣はその姿を消した。


913 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:56:42.16 ID:vfHXP7so
タッタッタッタッタ…

サモナー「…っぐ!!」

召喚士「が…っ…は!!」

グラッ…ドサァ…

魔道士「召喚士さんっ!?サモナーさん!!」

隊長「どうしたぁ!?」

召喚士「……か…かは…っ!」

倒れる二人の元へ副隊長が慌てて駆け寄る。

副隊長「…召喚獣をやられましたね。魔力を持っていかれています」

隊長「ちぃっ!それほどかよ…!」

隊長が召喚士、男隊員がサモナーを抱え、森の外へと走り出す。

盗賊「魔道士っ!急げ!」

魔道士「はいっ!!」

女隊員「もうすぐッスよ!頑張るッス!」

決死の逃亡により一同は森の外へと抜け出し、難を逃れた。


914 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/06/16(水) 17:57:36.91 ID:vfHXP7so


召喚士「……う…っ」

魔道士「召喚士さんっ、大丈夫ですか!?」

召喚士「…え、ええ…っ」

サモナー「……はぁ…はぁ…っ」

盗賊「……くっ」

副隊長「…隊長」

副隊長はじっと森の奥を見つめる隊長へ声をかける。

隊長「追って…来ねぇな…」

副隊長「ええ…。時間も経ちますし、これは諦めたか…」

隊長「……もしくは、追えない事情がある…か」

女隊員「どうするんスか?一旦…海峡へ退くッスか?」

隊長「まぁ、それが賢明だわな。一応…周囲の結界、強化しとけ」

副隊長「了解致しました…!」

日没を迎え漆黒の森を背に、一同は海峡へと退却した。



次へ 戻る 戻る 携 上へ