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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その30
357 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:16:28.48 ID:tGmviwnqo
〜国軍本部〜

戦士「はあぁーっ!? 3日だぁ!?」

青年兵「はい。大丈夫ですか?」

召喚士「こっちは大丈夫だけど……短すぎない?」

青年兵「青龍先生たっての希望です」

盗賊「……」

召喚士「そういう事なら……」

魔道士「……」

青年兵「明日と明後日はご自由に過ごして下さい」

召喚士「……?」

青年兵「準備などは全て軍で済ませます」

戦士「3日後に合流すりゃいいって事か」

青年兵「はい。皆さんは遺跡にお詳しいようなので、前衛をお願いしたいと……」

盗賊「……喜んで務めよう」

青年兵「ありがとうございます。それでは、失礼致します」


358 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 17:19:30.40 ID:tGmviwnqo
カツカツカツ…

召喚士「……」

戦士「随分と冷静だったな」

召喚士「うん。でも、心中はかなり複雑だろうね……」

魔道士「それはそうですよ……っ」

召喚士「ところで、玄武娘さんと朱雀嬢さんは?」

戦士「先にホテルへ戻ったぜ。玄武娘が滅入っちまっててな」

召喚士「そっか……」

魔道士「……っ」

戦士「お前も滅入るなよ? これで終わりじゃねぇんだからよ」

魔道士「分かってます……分かってますけど……」

召喚士「無理はしないで下さいね。辛ければ今回は――」

魔道士「いえ、参加はします。それが課せられたものだと思ってますから……」

盗賊「魔道士の言う通りだ。頑張ろう、青龍先生の為にも」

魔道士「……はい」


359 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 18:30:27.69 ID:tGmviwnqo
〜海峡、砦内〜

テクテクテク

影忍「どうだ?」

女剣士「先程、寝たとろこだ」

水野先生「ウィッチと顔見知りであたそうですね」

影忍「ああ。以前は共に戦っていたようだ」

火の先生「それで錯乱しておったのか……。辛かったろうに」

水の先生「私とて動揺しました」

火の先生「うむ。まさか元教え子があのような事になぁ」

水の先生「彼女は本国高官の娘でもあります。これはなかなかに……」

火の先生「それは追々になるじゃろ。まぁ……学園長経由で報告はするが」

影忍「もう1人の男は……?」

魔法剣士「念の為、周囲を警戒している……と」

影忍「……そうか」

魔法剣士「……」


360 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 18:30:57.56 ID:tGmviwnqo
〜海峡、外部〜

眼鏡「……」

ザッザッザ

眼鏡「流石にあの中には入れないよね、ふふっ」

タッタッタ

犬「ワンワン!」

眼鏡「異常なしか。ご苦労さん」

犬「ワン!」

眼鏡「あの森かい? あれはいいよ。僕には無理だ」

犬「クゥーン」

眼鏡「バフォメットを倒すには限られた人材が必要」

ザッ

眼鏡「人さえ見つかれば、あとは容易いさ」

犬「ワン!」


361 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 18:32:02.63 ID:tGmviwnqo
眼鏡「そうだね。少し休んでおこうか」

〜海峡、砦内〜

火の先生「それで、あれは一体なんなのだ?」

影忍「結論から言えばアンデッド。ネクロマンサーの作り上げた物だ」

女剣士「……」

影忍「しかし通常のアンデッドとは違い、魔法耐性を持ち、日光にも物怖じしない」

魔法剣士「……」

影忍「そして、本人の記憶はあれど、自我はない」

水の先生「まるで……人形のようだな」

影忍「その表現が一番正しいのだろうな」

魔法剣士「どうやって倒せばいい?」

影忍「本体を倒す以外に方法はない」

女剣士「本体……?」

影忍「……ネクロマンサーの人形には2種類ある」

火の先生「どういう事じゃ?」

影忍「1つは人間の死体自身を利用するもの」


362 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 18:33:12.22 ID:tGmviwnqo
水の先生「……」

影忍「それ自体を利用する事で、結界石や五行を封じる役目がある」

火の先生「成程な。確かに人間相手には通じんわな」

影忍「しかし、利点ばかりではない」

女剣士「どんな不都合が?」

影忍「死んだ人間が意識を持つ事など、当然ない」

火の先生「当たり前じゃ。死んでおるのだからな」

影忍「そこで奴は別の魂を生成し、それを死体に入れるのだ」

魔法剣士「何……!?」

影忍「つまり中身は完全な別物。器だけの存在というわけだ」

水の先生「酷い事を……」

影忍「但し、肉体がそのままという事は、技量も変わらぬ」

魔法剣士「魔法は効かなくとも、力さえ上回れば……」

影忍「倒せない事もない。まぁ相手は不死、完全に死ぬ事はないけれどな」

女剣士「……」


363 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 18:33:42.79 ID:tGmviwnqo
影忍「奴の持つ人形では別の2体を確認している」

魔法剣士「……あの2人か!?」

火の先生「知っておるのか?」

魔法剣士「先日、北で剣を交えたばかりだ」

影忍「手っ取り早い方法は特殊攻撃で封じてしまう事だな」

水の先生「特殊……なるほど、石化といった類か」

影忍「そしてもう1つの種類。これが厄介なのだ」

女剣士「先程の連中か」

影忍「あれは死体そのものを使用せず、本体を元に複製を作り上げる」

火の先生「何ぃ!? コピーという事か……っ」

影忍「当然見た目は同様でも肉体は別物。力など幾らでも調整出来る」

水の先生「……っ」

影忍「そして極めつけは、何度でも作る事が出来るという事だ」

女剣士「馬鹿なっ!! そんな話があってたまるか!!」

影忍「現実にあるのだ」


364 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 18:35:21.52 ID:tGmviwnqo
火の先生「もしや、同じものを何体も……?」

影忍「それは出来ない。消滅するまでは生成出来ない」

水の先生「そんな事が出来るなんて……」

影忍「奴は『賢者の石』などと呼んでいた」

火の先生「賢者の……石!?」

水の先生「……古に伝わるエリクサーというものか……っ」

影忍「方法までは存ぜぬが、奴は各所にあるラボでそれを行っている」

魔法剣士「しかし、五行が効かないというのはどういう……」

影忍「……ここまでの話は以前のネクロマンサーの話」

女剣士「……?」

影忍「今回のタイプは信じられん事に、その2種類を融合させたものだ」

魔法剣士「――っ!?」

火の先生「馬鹿なっ!? 不死身で五行も効かぬ挙句……複製まで……」

影忍「本体を倒さぬ限り、完全なる不死身という事だ」

水の先生「それで、肝心の本体というのは……」


365 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/30(木) 18:40:03.41 ID:tGmviwnqo
影忍「……魔王城」

女剣士「……え?」

影忍「最北に位置する、ベルゼブブの魔王城内にある」

ダンッ!!

火の先生「手も足も出ぬではないかっ!!」

水の先生「魔王城? かつて数千年と人間が踏み込んだ事のないと言われる?」

ググッ

水の先生「不可能だ……そんな事っ。救いもないとは」

影忍「救いはある」

女剣士「!?」

影忍「幸い、ネクロマンサーの狙いは人間の抹殺ではない」

魔法剣士「確かに、奴は何か……戦いを楽しんでいる節がある」

影忍「真の目的は分からんが、無益な戦闘は行わない。それが唯一の救いだ」

火の先生「結局は、傍観しろという事じゃろ……くそっ」

水の先生「ウィッチ……。出来る事なら何とかしてやりたいが……」


369 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/07/01(金) 00:44:52.26 ID:ySYwEJpzo
1乙
海峡の砦って結界石の橋とかあって、眼鏡さんには鬼門なんだっけ
せっかく活躍したのにみんなと一緒に砦に入れないとか、なんかかわいそう


370 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [] 投稿日:2011/07/01(金) 04:25:25.65 ID:wuoLLY0c0
いちおつ
ドッペルはどうなっちゃったんだろ?


371 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/07/01(金) 08:27:16.00 ID:atZ1rDRIO
いちおつ!
眼鏡がかっこいいなあwwwwww

>>370
不死身って言ってたからまだ生きてるんじゃね?


372 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/01(金) 18:08:39.36 ID:QgPRf5l6o


影忍「では、くの一を頼む」

魔法剣士「あんたはどうするんだ?」

影忍「ネクロマンサーを追う。これ以上好きにはさせん」

魔法剣士「……」

水の先生「打開策でもあるのか?」

影忍「先程言った通りだ」

火の先生「では……魔王城へ?」

影忍「……いや、それは無理に近しいだろうな」

女剣士「……」

影忍「とにかく奴の動きを追い、動きを制限するつもりだ」

魔法剣士「分かった。それで……彼女が起きたらどうすればいい?」

影忍「故郷で待つ、と伝えてくれ」

女剣士「故郷……東方か?」

影忍「ああ、頼んだぞ」


373 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/07/01(金) 18:09:29.55 ID:n+Kzft5DO
>>1乙
眼鏡は結界石があるから皆と一緒にいれないだけでぼっちな訳ではないからな!!!!


374 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/01(金) 18:10:41.60 ID:QgPRf5l6o
シュバッ

火の先生「消え……た!?」

女剣士「奴は忍だ。それぐらい容易い」

魔法剣士「知っているのか?」

女剣士「同じ東方の出、素性はともかく技量程度は分かるさ」

水の先生「とりあえず、何とか凌いだ……か」

火の先生「凌いだと言えるかどうか分からんがな」

魔法剣士「いいさ。被害は最小限に食い止めた。それでいいさ」

女剣士「……彼女を見てくる」

魔法剣士「頼む」

火の先生「ワシらは砦内の巡回をしてくるか」

水の先生「そうしましょう」

テクテクテク

魔法剣士「眼鏡……遅いな。見てくるか」

スクッ…テクテクテク


375 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/01(金) 18:13:22.92 ID:QgPRf5l6o
〜海峡、外部〜

スタッ

影忍「……?」

眼鏡「やぁ」

影忍「……」

眼鏡「君、不思議な生き物だね」

影忍「どういう意味だ?」

眼鏡「アンデッドのように見受けるけど」

影忍「……俺は人形さ。但し……操る糸を断ち切ったがな」

眼鏡「ネクロマンサーのマリオネットか」

影忍「色々あったお陰で、自我や肉体も取り戻せたがな」

眼鏡「そういえば、結界石も通過出来るようだね」

影忍「ああ。五行も結界石も効かぬ完全体だ」

眼鏡「へぇ、便利な体だね」

影忍「……1つ聞きたい」


376 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/01(金) 18:13:58.24 ID:QgPRf5l6o
眼鏡「……?」

影忍「お前は、魔族なのか?」

眼鏡「……僕は鍵さ」

影忍「鍵?」

眼鏡「来るべき日に門を開ける為の鍵。それだけさ」

影忍「……そうか」

眼鏡「君の本体、魔王城にあるんだろう?」

影忍「ああ」

眼鏡「また、会えるといいね」

影忍「……そうだな」

シュバッ

眼鏡「人間も魔物も……大変だ。ははっ」

テクテクテク

魔法剣士「ここにいたのか。異常は?」

眼鏡「もう大丈夫みたいだ。さぁ、北へ戻ろうか」


377 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/07/01(金) 18:14:57.13 ID:QgPRf5l6o
〜???〜

ネクロマンサー「……」

ヒュッ

ネクロマンサー「アンラ・マンユの次は北か東あたりと思いましたが……」

魔剣士「……」

ネクロマンサー「どうやら違うようですねぇ。これは困りました」

ウィッチ「……」

ネクロマンサー「まさかとは思いますが、いや……有り得ない」

ヒュオッ…フワッ

ネクロマンサー「まぁいい。彼からの連絡をまつとしましょうか」

魔剣士「……はい」

ネクロマンサー「行き先変更。魔王城へ戻りますよ」

ウィッチ「はい」

ネクロマンサー「パズズ様がやられるような事があれば、その時は……」

不気味な笑うネクロマンサーらは、静かに闇の中へと消えて行った。



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