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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その35
653 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/13(金) 18:45:57.57 ID:2hVQkQkLo
〜竜宮城、地下〜

兄様「まさか、四行が効かぬだと……!? そんなはずはない……っ」

マーラ「あーら、予想外れで御免なさいねぇ〜」

火忍「じ、冗談じゃねぇぞ! まさかまた、蓄積したってのか!?」

西方参謀「それはねぇ。何かトリックがあるはずだ」

マーラ「……ククッ、ほーっほっほっほっほっほ!」

兄様「……そうか、そういう事か」ギリッ

盗賊「兄様、何か分かったので?」

兄様「貴様、先程の大蛇といい……最初から盾を仕込んでしたわけか!」

マーラ「盾、盾ねぇ……。まぁそういう事に近しいかしら」

戦士「何だってんだよ」

マーラ「見たい? 仕方ないわねぇ、なら……見せてあげるわよ」グイッ

 ズズッ……ズググググググッ

戦士「――っ!?」

盗賊「……な……っ」


654 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/13(金) 18:46:26.80 ID:2hVQkQkLo
女「……オオ……ヲヲヲヲ……おおォぉォぉ」グチャッ

犬「アオおオおオおおオオぉぉォォン」ドロォ

少女「ご……ろじてェ……」ズグッ

ヤタガラス「見てみぃ! これが魔羅様の体内に飼われてる八百万の生き物達や」

男「いだいいイイぃィぃィ!!」

老人「やめで……くレエぇェ!!」

土忍「……酷いものだ」ギリッ

風忍「つ、つまりこれは……攻撃を全てこの者らが……っ」

兄様「そういう事だ。最初から魔王に攻撃など与えてはいなかったと言う事だ」

火忍「て……めぇ!!」ギリッ

マーラ「怒りに満ち溢れたその表情、堪らないのぅ! どうする? 掛かってくるか?」

老人「イタイのハ……いやじゃ……ああアアぁぁァァ」

女「もウ……ころじてよおおォお……!!」

鬼丸「てめぇ、とことんクズだな」

マーラ「はぁ?」


655 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/13(金) 18:46:58.54 ID:2hVQkQkLo
鬼丸「外道にも程があんぜ。妖にだってなぁ、やっていい事と悪い事くらいあんだよ」

マーラ「お前みたいな下等な妖に説法されるとは甚だ遺憾」

鬼丸「テメーは何が何でもぶっ殺す!!」

マーラ「やってみぃ! こやつ等が盾となり、苦しみを味わうだけの事よ」

戦士「なぁ、何か手はないのかよ!」

西方参謀「四行が通じてないんじゃなく、取り込まれてるだけってのが分かったが……」

盗賊「……あれでは手の出しようがないな」

西方参謀「まぁ厳密に言えば、なくもない」

兄様「如何なる手段だ?」

西方参謀「1つは、魔王が再び、蓄積……っつーか、取り込んだ四行を放出する瞬間」

戦士「……?」

青年兵「放出の瞬間は蓄積出来ないはずです。そこを叩けば直接、ダメージを与えられる」

盗賊「無理だな……っ。時でも止まらぬ限り、そんな事は不可能だ」

兄様「しかも、よりによって風林火山。誤れば確実に死ぬ」

戦士「……もう1つは?」


656 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/13(金) 18:48:28.62 ID:2hVQkQkLo
西方参謀「……五行だよ」

戦士「何……だとぉ!?」

西方参謀「四行が通じなかったわけじゃねぇって事は、まだ残ってるっちゅー話だ」

盗賊「……確かに」

西方参謀「だったら、同威力の残る金行をブチ込めば、魔王の内部で五行完成だ」

戦士「……同威力か。いっそ俺がと思ったが、そいつは無理な話だ」

兄様「同威力でなくとも、雷の秘伝書があれば究極奥義は使えるのだがな」

盗賊「……あるよ」

兄様「何……?」

 スッ

盗賊「雷が……残してくれた。これならいける」

兄様「駄目だ」

盗賊「!?」

西方参謀「知ってるだろ。五行の威力は使用者の命をも奪う程だ」

兄様「もし四行が滞っている中、お前が最後の雷を放てば……」


657 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/13(金) 18:49:00.61 ID:2hVQkQkLo
西方参謀「最後を務めた者に、すべての負荷がかかる」

盗賊「でもっ! 奴を倒すのにはそれしかないのです!」

兄様「盗賊、お前が死ぬ事になる。それは無理なのだ」

戦士「盗賊が……死ぬ……?」

 兄様の言葉によって、戦士の脳裏には天才の予言がよぎった。

盗賊「だったらどうすれば――」

兄様「お前だけは絶対に、死なせるわけにはいかんのだ」

盗賊「どうしてっ!」

兄様「それが、藤蔵だからだ」

青年兵「……っ」

兄様「藤蔵を捨てた俺や、皆伝者の四人が死したとしてもだ。お前は生きねばならん」

盗賊「そんなの……っ」

兄様「それが藤蔵であり、東方の……武士道なのだ」

戦士「ふざけんな! 誰が生きて、誰が死んでもいいなんて事はねぇんだよ!」

盗賊「戦士の言う通りです! 絶対に、誰も死んだりしてはいけないんだ……っ!」


658 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/13(金) 18:49:30.13 ID:2hVQkQkLo
 ザッザッザッ

火忍「誰が死ぬって? ははっ! 姫の為に死すならば本望!」

水忍「そうだ。我らは主を守るため、そして東方を守るために生きている」

土忍「その為に命を失う事など、むしろ本望よ」

風忍「若、如何なさいます? やりますか……?」

戦士「ちょっと待てよ! 何を考えて……」

兄様「生憎俺は不死。しかも本体は此処にない」

西方参謀「……まさか、五行撃つ気か!?」

兄様「五行か。そんな生易しいものではないかもしれんな」

盗賊「……兄様っ!!」

兄様「なに、あくまで最後の切り札だ。使う前に魔王を殲滅する手立てを考えよう」

戦士「でもよ、放出と同時に攻撃ってのは不可能だぜ?」

兄様「西方参謀殿と言ったか。お主の見立てでは?」

西方参謀「無条件で盾を取り込んで、攻撃を蓄積出来るなんて事ぁないはずだ」

青年兵「ですね」


659 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/13(金) 18:51:13.11 ID:2hVQkQkLo
西方参謀「龍脈なき今、無尽蔵に魔力があるとも思えんしなぁ」

青年兵「魔力を使い、取り込んでいると判断して良いと思います」

西方参謀「そこでだ、奴の魔力を上回るダメージを与えて、放出前に暴発させる」

戦士「……出来るのか?」

西方参謀「やるしかねぇ。しくじれば何倍もの四行が降りかかってくるだけだ」

戦士「……気軽に言いやがる」

青年兵「リスクが高すぎますが、手はそれしかない……か」

兄様「どれ程放てば、そこへ辿り着くかも分からんがな」

戦士「でも、みんなが生きるにはそれしか手はねぇんだろ?」

西方参謀「今のところはな」

戦士「じゃあやるしかねぇよ。やってやる!」スクッ

盗賊「ああ。誰も……死なせはしないっ!」ギュッ

兄様「……聞いたか? 風林火山を撃てるだけ撃つのだ」

火忍「最高じゃないですか。全く、最高すぎて……武者震いが止まらねぇよ」

風忍「よし。倒れるまで風林火山を撃ち続けるぞ」


660 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/13(金) 18:51:46.44 ID:2hVQkQkLo
召喚士「奴の動き、何とか封じられますか?」

魔道士「やってみます!」

召喚士「すみませんっ!」ダダッ

魔道士「ううん、違うっ。召喚士さんが頼んでくれたんだもん……っ」

 キュイイイイィィィィ

魔道士「絶対に、やらなきゃいけないのっ!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ズガガガガガッ!!

神野「――クッ!?」ババッ

キジ「なんつー魔力さー」

イヌ「どれ程の力を隠し持ってるね……」

召喚士「行けっ! ワルキューレ!」

シュイイィィィィン

オルトリンデ「……嫌よっ」

召喚士「!?」

ジークルーネ「おばーさんになるなんて、嫌っ!」


661 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/13(金) 18:52:23.73 ID:2hVQkQkLo
ブリュンヒルデ「私がオバサンになっても、召喚してくれる……?」モジモジ

召喚士「そんな事言ってる場合――」

神野「ヒャーッハッハッハ! また召喚獣というやつですかぁ!?」

召喚士「くっ!」バッ!!

東方司令「何をチンタラやっているのだっ!」ガキイイィィン

召喚士「す、すみませんっ!」

東方司令「貴様の召喚獣はムラがありすぎて、使い物にならんな」

シュヴェルトラウテ「まあっ、言ってくれるわね!:」

東方司令「事実だろっ! 再召喚すれば済む話だっ!」ザシュッ!!

神野「効かぬ効かぬ効かぬ効かぬううぅぅ!!」ザシャッ

東方司令「早くっ、何とかしろ!」

召喚士「分かっています!」

名代「仕方ありませんね。虎穴に入らずんば、虎子を得ず……ですかね」

帝「……どうするつもりだ?」

名代「神野悪五郎へ触れずに、懐へ潜り込んでみせましょう」バッ!!


670 名前:sage [] 投稿日:2012/01/14(土) 21:54:07.74 ID:UnDo7exo0
>>1乙

スマホに変わったが、見にくいな…


671 名前:NIPPERがお送りします(静岡県) [sage] 投稿日:2012/01/14(土) 22:04:15.49 ID:RSeUk3sKo
>>670
2chMateオススメ


673 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:18:45.22 ID:4KS5IRsjo
〜竜宮城、地下〜

 ゴッガアアアアァァァァ!!

マーラ「虎の威を借る狐とは、まさにお前達の事よのぉ!」

戦士「言ってろ!」

マーラ「貴様等なぞ、己自身は大した事もに存在に過ぎぬくせに……」

鬼丸「引きつけるぞ!」

マーラ「徒党を組んで、大義を掲げる事で、強者になったつもりでいる」

風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
土忍「山」

 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「……ぬうぅ!」

兄様「御託はいい。貴様の言う大義、絆の力がどれ程のものか……」

盗賊「皆っ、魔王は私が近づけさせぬ! 安心して撃つのだっ!」

兄様「その身を以って、推し量るが良い」


674 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:20:03.68 ID:4KS5IRsjo
 ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「しつ……っこい連中ね!」

戦士「それがウリでなぁ!」シュバッ!!

マーラ「ほっほっほ。仕掛けてくるかいっ!?」

 スタッ

戦士「……今すぐにてめぇをブッ叩きてーけどな」スチャッ

マーラ「……」

戦士「他の奴らの努力は、無駄にしたくねぇんだよ」

マーラ「ぬうぅ! 敵の背後を取りつつ逃げると言うのかっ!」

戦士「ありがたく思いな。逃げてやるよ」タンッ

マーラ「貴様――」

風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
土忍「山」

 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!


675 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:21:05.27 ID:4KS5IRsjo
マーラ「……ぐ……クゥ!!」

風忍「……化物め」

火忍「あと、何発撃ちゃいいんだよっ!」

土忍「折れれば此方の負けだぞ」

火忍「わぁってるよ!」

 スタッ

兄様「いいか、風林火山もあと数発といったところであろう」

盗賊「……ええっ」

兄様「もしその間に、奴が暴発するようであれば、一気に懐へ一撃を放り込む」

戦士「どうやって?」

兄様「……俺が盾になる」

西方参謀「1人じゃあ無理だな。幾らアンタが不死だろうと防げるとは思えねぇ」

兄様「しかし、それ以外にはない」

戦士「だったらよ、俺も盾になんぜ」

兄様「何?」


676 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:22:16.51 ID:4KS5IRsjo
戦士「この盾がありゃ、死にはしねぇはずだ」

青年兵「ですが、下手をすれば致命傷にもなりかねない……っ」

戦士「何度も言ってるはずだ。死ななければ勝ちなんだよ」

青年兵「……っ」

鬼丸「いいじゃねぇか。だったら俺だっていくぜ」

戦士「鬼丸、お前は無理だろ」

鬼丸「おいおい、人間と鬼丸様を比較して物を語るなよ?」

兄様「……良かろう。ならば三人で盾となり、暴発を潜り抜ける」

盗賊「……っ」

兄様「盗賊、雷の奥義書があると言っていたな?」

盗賊「……はい」

兄様「ならば迅雷で奴の懐に飛び込めるはずだ」

風忍「風!!」
水忍「林」
火忍「火あぁ!」
土忍「山」


677 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:23:32.75 ID:4KS5IRsjo
 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「しつ……こいわねえぇ!!」ググッ

兄様「時間がない。いいな?」

盗賊「……分かりました」

戦士「落ち着いてやればいい。失敗は出来ねぇからな」

盗賊「……うん」グッ

西方参謀「青年兵殿よ、お前さんもいけるな?」

青年兵「懐に飛び込むのは五分ですが、召喚獣を使えばいけるでしょう」

西方参謀「問題は威力か」

青年兵「バハムート……いや、もっと……」

西方参謀「……出来んのか?」

青年兵「やるしかありません。いや、必ずやってみせます!」

西方参謀「……お前」

青年兵「全てを託されましたから。青龍先生に」ザッ

西方参謀「分かった。出来る限りの援護はしてみせるつもりだ」


678 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:24:47.68 ID:4KS5IRsjo
兄様「……では、行くぞ」

鬼丸「ちなみによ、アイツらが暴発まで持たなかったらどうすんだ?」

兄様「その時は、神仏にでも祈るしかないな」スクッ

戦士「……生憎、頼るのは自分の力と仲間だけなんでな」ジャキッ

兄様「それで良い。運命とは自身で切り拓く事だ」

戦士「ああ。今までだって何度もそうしてきたさ!」

盗賊「……ふーっ」グイッ

兄様「いいか、あと二発の風林火山、それが合図だ」

鬼丸「おうっ!」

青年兵「……魔力を……限界まで」ググッ

風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
土忍「山」

 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「……ッ!!」


679 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:26:17.90 ID:4KS5IRsjo
 この時、マーラに蓄積する風林火山の魔力は膨大なものとなっていた。

マーラ「……忌々しい連中……ッ」

 奇しくもマーラが蓄積出来る限界は残り1発がやっとの状態であった。

女「ご……ろじでエエぇぇ……」グジュッ

老人「死に……タクないいイイぃぃィィ!!」

盗賊「……っ」

兄様「気にするな、と言っても……そうはいかぬだろうか」

盗賊「兄様っ、あの者らは……」

兄様「あれも既に死人。気休めかもしれぬが、楽にしてやった方が彼らの為だ」

盗賊「…………」

 マーラは一度、ここで蓄積した力を解放するか、判断に躊躇していた。

 今、蓄積している力を放てば、一網打尽に出来る可能性はある。

マーラ(蓄積出来る魔力は限界を迎えようとしている。もしそうなれば……)

 ハッ!!

マーラ(こやつ等、そうかそうか! それを狙っておったのか……ッ!)


680 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:27:42.03 ID:4KS5IRsjo
水忍「……次……ゆくぞ」

火忍「お、おうよ!」ガクガクッ

マーラ「ほっほっほ。満身創痍とはこの事……」

風忍「どうかな?」

マーラ「馬鹿がっ! 最早、立つのもようやくじゃないの!」

 4人の疲弊を見て、マーラは判断した。次の一撃を蓄積し、限界で放つ。

マーラ「さぁ! それならば見せてみぃ……ッ!!」

風忍「言われなくとも……っ、風」
水忍「林!」
火忍「火ああぁぁ!」
土忍「山っ!!」

 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「ご……おうっ、ククッ! ほっほっほ!」

 グゴゴゴゴゴッ

マーラ「来たわ来たわっ! さぁ……この力、そっくりそのままお返し――」

風忍「……ふーっ」スクッ

マーラ「…………?」


681 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:29:05.41 ID:4KS5IRsjo
土忍「火、お前の演技はわざとらしすぎる」コキッ

火忍「はぁ!?」

水忍「そのように膝が震えたりするものか、馬鹿者」

マーラ「……ハアアアァァァァ!?」

風忍「魔王よ、あまり……我等を見くびるでないぞ!」

マーラ「計りおったわねええぇぇぇぇーッ!!」

 ズラッ キュイイイイィィィィ……

風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
土忍「山」

 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「マ、マズイわっ! これじゃあ……蓄積出来な――」

兄様「あいつ等……っ」

西方参謀「構わねぇ!! 近づいて、魔王へ一撃を叩き込めぇ!」

青年兵「そうすれば、暴発する四行の力を全て魔王にぶつける事が可能っ!」


682 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:30:57.50 ID:4KS5IRsjo
鬼丸「そんなら急ぐぜっ!」

戦士「でっりゃああああぁぁぁぁーっ!!」ダンッ!!

マーラ「マズイマズイマズイマズイッ!!」

老人「オあアあアあアぁぁァァーッ!!」

少女「痛いひぎいいいいィィィィ!!」

盗賊「すまぬっ、許せ!」

マーラ「ヌアアアアアアァァァァァァーッ!!」

西方参謀「暴発すんぞおおぉぉ!! 伏せろーっ!!」

土忍「くっ!!」

風忍「若っ! 姫……っ!!」

 カアアアァァァァッ!!

 迸る閃光が最前列の兄様を容赦なく襲う。

兄様「……が……ぐうぅ!!」

 そのやや背後を掛ける戦士は、その瞬間を見届け、すぐさま盾を身体の前へと差し出す。

戦士「……ぐ……ぬああぁぁぁぁぁ!!」


683 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:34:38.93 ID:4KS5IRsjo
 ドッジュウウウウゥゥゥゥ!!

 更にすぐ傍へ控えていた鬼丸も、懸命に鬼の籠手を着用した両手を広げ、

 マーラの体より暴発された風林火山の威力を食い止めようと試みる。

鬼丸「……なんつぅ……重さああぁぁ!!」ズジュウウゥゥ

 最後方、西方参謀の作る炎の壁の両脇より、盗賊と青年兵が一気に走り出す。

青年兵「盗賊さんっ! ワイバーンを出します! それを盾に……走って下さい!」

盗賊「承知っ!!」ザッ

青年兵「出でよっ! ワイバーン!! サラマンダー!!」

 シュイイィィィィン

西方参謀「……い、っけええぇぇ!!」

青年兵「ワイバーン、頼むぞ!」

ワイバーン「おうっ!」

盗賊「……はあぁっ!」タァンッ!!

ワイバーン「グ……ヌヌウウゥゥ!!」

青年兵「すまない……っ、ワイバーン」


684 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:36:20.27 ID:4KS5IRsjo
 威力は落ちたとはいえ、怒涛の勢いで襲い掛かる風林火山。

 その攻撃にワイバーンの羽ばたきも止まり始める。

ワイバーン「ここまでが……限界かアァ!!」

盗賊「……雷遁奥義っ、迅雷いいぃぃ!!」

 チュインッ!! バッシュウウウウゥゥゥゥ!!

盗賊「おおおおぉぉぉぉーっ!!」

マーラ「――――ッ!?」

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

盗賊「……が、ああぁぁ!!」ゴロゴロゴロッ

マーラ「ま、さか……こんなっ、制御……まさか……」

 ヨロヨロッ……ドッ

マーラ「お……オオおおああぁぁァァ!!」

戦士「ど……なった……?」

西方参謀「内部に蓄積した四行が放出されず、あばれてるのさ……」

盗賊「倒せ……たのか……?」


685 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:37:19.64 ID:4KS5IRsjo
西方参謀「あと一撃……一撃ありゃ……」

青年兵「出来るはず、出来るはずだ……青年兵っ!」

戦士「……青年兵?」

青年兵「青龍先生の教えは……この刻の為にいいぃぃ!!」

 キュイイイイィィィィィン

風忍「な……んだ……っ?」

サラマンダー「……ヌッ!?」

青年兵「僕の全魔力よっ、もっとだ、もっと昂れええぇぇ!!」

サラマンダー「グ……ゴゴオオォォォォ!!」

鬼丸「ゴホゴホッ! な、何だってんだ……ッ?」

戦士「まさかアイツ、召喚――」

青年兵「出でよおおぉぉぉぉ!! 青龍ううううぅぅぅぅーっ!!」

 ゴシャアアァァァァ!! ドドオオオオォォォォン!!

マーラ「――ッ!!」

青龍「…………」


686 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/14(土) 23:39:43.98 ID:4KS5IRsjo
 シュウウゥゥゥゥ ゴゴゴゴゴゴ……

西方参謀「な、なんだこの召喚獣は……っ!!」

青龍「……」

 バスンッ!! 

マーラ「早――」

 ズッガオオオオォォォォン!!

マーラ「ごああぁぁぁぁーッ!!」

戦士「やった……っ!!」

 青年兵が召喚した青龍の一撃。それは今までの青龍召喚獣の中で最も早く、

 最も強く、最も美しくあり、魔王マーラの巨体を一瞬の内に叩き上げた。

 バッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「はっ、反撃……間に合わ――」

 追い討ちの如く上空で何度も暴れまわる青龍。やがてマーラの体内が光り輝き、

 天井の岩に打ちつけられたと同時に、風林火山は内部より大きな爆発をみせた。

 マーラは声を発する間もなく爆発に巻き込まれ、激しい瓦礫と煙の中へと包まれた。


687 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/01/15(日) 00:10:49.03 ID:Zhhd+crIO
うおおぉぉぉぉあぉぉ!!!!


696 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:41:53.79 ID:A9SCtQD3o
〜北関〜

パリンッ!! ポタポタポタッ

青龍士官「……」

コンコン カチャッ

青龍兵「失礼し……青龍先生っ、拭く物をすぐにお持ち致します!」

青龍士官「いや大丈夫。衣類にはこぼれていない。それよりも謝っておいてくれ」

青龍兵「へ……っ?」

青龍士官「折角のアンティークが、真っ二つさ」プランプラン

青龍兵「か、かしこまりました……っ」

青龍士官「それで、何か動きがあったのか?」

青龍兵「え、ええっ! 北東の山岳地帯に魔王軍が出現致しました!」

青龍士官「よし、竜騎士隊出撃する。すぐに各員を正門前へ!」ガタッ

青龍兵「はっ!」

 タッタッタッタッタッ

青龍士官「……青年兵。何もなければ良いが」



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