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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その21
41 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 17:42:30.70 ID:avwfA5go
コオオォォ…

屋根の上から路地裏めがけ矢を放った男が、煙草を吹かし一息つく。

バーテン「……ふー」

ジャキッ

バーテン「久々だったが…照準バッチリだな」

右手に構えたボウガンをポンッ、と一度叩き、バーテンは携帯灰皿へ煙草を押し込む。

バーテン「さーて、あっちはどうなったか…」

タタッ…タッタッタ

バーテン「…こっちもいよいよい大詰めか」

そう言いながら見下ろす左大臣の屋敷内には、国軍が突入を開始していた。

ザザッ…タッタッタッタッタ

国軍兵「負傷したワーカーの搬送が終わりました!」

隊長「ご苦労。……お前らも屋敷の外まで下がりな。あとは俺らの仕事だ」

ワーカー「あ…あぁ…っ」

隊長「さーてと…」


42 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 17:43:21.98 ID:avwfA5go
ザッザッザ

隊長「そろそろ出られますかい?」

戦士父「ああ…大丈夫だ」

タッタッタ…スタッ

天才「よっと、待たせたな。んじゃ出るとすっか」

戦士父「…行くぞ、立てるか?」

戦士「お、おう…」

男「戦士…っ!」

戦士「おぉ…っ、男隊員に隊長……」

スタスタスタ…ガシッ

隊長「…無事で何よりだ!」

戦士「……すんません…っ」

天才「あ、そーだ。これ被っとけ」

ポイッ…パサッ

戦士「…覆面?これ…っ、マスク・ド・ジーニアスのか!?」


43 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 17:44:46.85 ID:avwfA5go
ザッザッザッザッザ

男隊員「おらっ、どいたどいた!下がってくれ!」

野次馬「アイツが犯人か…。覆面してて顔分かんねーぞ!」

男「そうだそうだ!んなもん剥いじまえっ!!」

老人「今回の強盗といい先日といい、物騒になってきたのぅ…」

ヨロヨロッ

天才「…お、ナイス演技」

戦士「演技じゃねぇ…。本当にふらつくんだよ…っ」

戦士父「このまま抜けるか?」

天才「だな。左大臣も戻ってねぇし…さっさとトンズラかますぞ」

キラッ…キラキラッ

戦士父(手鏡!?……バーテンか!)

一瞬光り輝いた方向へと戦士父が慌てて振り向き、屋根の上を見つめる。

天才「…どした?」

戦士父「…・・マズイ…っ、戻ってきたようだぞ!!」


44 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 17:45:35.42 ID:avwfA5go
タッ…タッ…タッッタッ…

左大臣「はァ…はァ…はァ」

左文官「ま、まさか…走る羽目にあうとはな…」

エリート「左秘書官殿は身体が軽そうですね」

左秘書官「ええ。デスクワークですが毎朝ジョギングしてますので」

青年兵「見えてきましたっ!す…凄い人だかりだな…」

左大臣「はァ…はァ…ひぃ…っ」

左秘書官「すまんが通してくれ…!そこ、道を開けてくれっ」

左文官「えぇい、早くどかぬかっ!」

野次馬「おいアレ!左大臣様だ…!」

隊長「…ちっ」

老人「左大臣様、災難でしたなぁ…。しかし犯人は無事、逮捕されましたぞ!」

左大臣「そうかァ。皆にも迷惑をおかけたなァ…。すまぬ」

左文官「して、犯人はいずこに?」

エリート「……」


45 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 17:50:10.82 ID:avwfA5go
カツカツカツ

隊長「これは左大臣様」

左大臣「…特遊かァ。ご苦労であったァ」

左秘書官「強盗はどちらに…?」

隊長「はい。今しがた護送の準備に取り掛かり…」

左文官「護送…!?我等に説明もなくか…!?」

男隊員「ワーカー数名を病院送りにした猛者です。野放しは危険かと」

左大臣「だがァ、捕らえたのだろう?」

隊長「…それは…そうですが」

左大臣「それで…被害は?」

隊長「…特にありません。敷地内で捕らえましたので」

左大臣「……」

隊長「優秀なワーカーをお雇いのようで」

エリート「被害がなくて良かったですね」

左大臣「…あァ」


46 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 17:50:46.45 ID:avwfA5go
カンカンカンッ…スタッ

大軍師「…どうでした?」

地上へ繋がる梯子より地下水路へと戻ってきた格闘家に大軍師が問う。

格闘家「脱出は成功のようです。まもなく馬車が来ます」

大軍師「左大臣殿は?」

格闘家「…隊長らが食い止めておいりますが…既に」

大軍師「そうですか。素性を調べられると厄介ですね…」

格闘家「…どうします?」

大軍師「…隊長に、この真上に馬車を止めるよう誘導して下さい」

格闘家「…了解です」

大軍師「それと…怪我はなく、意識のないワーカーを一人…」

格闘家「…?」

大軍師「それをうまく……それで……」

格闘家「…なるほど。行って参ります」

大軍師「…ふふっ。うまくいくといいですねぇ」


47 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 17:51:28.33 ID:avwfA5go


男隊員「屋敷内はもう安全です。どうぞお入り下さい」

隊長「屋敷外と敷地一部はまだ、国軍の警備と事後処理を行っておりますので…」

タッタッタ

格闘家「…隊長」

隊長「!?おう…どうした?」

格闘家「間もなく護送の馬車が参ります。誘導を…」

隊長「…誘導?ああ、あの辺りでいいか?」

格闘家「…いえ、あちらの方が周囲にも迷惑もかからんでしょう」

隊長「…了解した」

格闘家「…あと…ワーカーは?」

隊長「そこら辺にいるぞ。怪我人は順次、病院へ向かわせてる」

左大臣「おい、屋敷に戻っても良いのだなァ?」

隊長「…どうぞ」

左大臣「…行くぞ」


48 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 17:51:57.83 ID:avwfA5go
ザッザッザッザッザ

隊長「……ったく」

格闘家「……」

隊長「それで、大軍師殿の手筈か?」

格闘家「はい。意識のないワーカーを一人手配し、予め馬車に積み込めと」

隊長「…またかよ」

格闘家「…?」

隊長「いんや、何でもねぇ。悟られる前に急げ!馬車は西の通りから来るはずだ」

格闘家「…了解です」

タッタッタッタッタ

隊長「……」

ザッザッザ

エリート「順調ですか?」

隊長「ええまぁ…。あとは最後のひと踏ん張りってとこっすね」

エリート「…成程。私達も屋敷内にて待機させて頂きましょう」


49 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 17:52:34.04 ID:avwfA5go
ザッザッザ

左大臣「戻ったぞ!」

執事長「お帰りなさいませっ!」

左大臣「内部は無事なのだなァ…?」

執事長「一時的に犯人を拘束してはおりましたが…それ以外は特に…」

左大臣「犯人はどんな奴だったァ?」

執事長「それが…覆面を身に着けておりよく分からず…」

左大臣「……地下には誰も通してないだろうなァ?」

執事長「え、ええ…。何かあるので?」

左大臣「…貴様の知るところではない」

執事長「…失礼致しました」

左秘書官「…念の為確認致しましょう。一連の動き…狙いはもしかしたら…」

左大臣「…まさかとは思うがァ…」

カツカツカツカツ…

執事長「っ!!」


50 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 17:57:26.85 ID:avwfA5go
左大臣「……どういう事だァ…!?」

左秘書官「じ…錠が壊れているっ!?」

ダッ!!

左大臣「貴様はここで待て!」

執事長「は、はい…っ!」

左大臣「まさかァ…やはりっ!」

左秘書官「……くっ!」

カンカンカンカンカンッ…タタッ

左大臣「はァはァ…何だァ、ちゃんといるではないかァ…」

左秘書官「ここも壊れて…」

ジャリッ…ザッザッザ

左大臣「おい、どうしたァ?」

左秘書官「…様子がおかしい…っ!?」

左大臣「…?」

グイッ


51 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 18:18:20.01 ID:avwfA5go
左大臣「…こんな…顔してたかァ?」

左秘書官「しまった…っ、すり替えられたんだ!!」

左大臣「…おのれぇ!!」

ダッ!!…カンカンカンカンカンッ

執事長「お、お帰りなさ…」

左大臣「どけぃ!!」

左文官「如何なされました!?」

左秘書官「やられた…!犯人を護送させるな!」

タッタッタッタッタ

男隊員「おっ、馬車が来たな!ここだ、ここで止まれー!」

パッカパッカパッカ…スタッ

格闘家「…何とか間に合いました」

男隊員「ご苦労さん!いいぞー誘導しろぉ!!」

天才「…おっし、行くぜ」

戦士父「……ああ」


52 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/28(木) 19:29:48.13 ID:sqO3m.DO
>>1乙

寒いから体調管理気を付けて!


53 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/10/28(木) 20:14:57.53 ID:CZ6vFf60
1乙
天才はいい加減、戦士に回復魔法かけてやれよ


54 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/28(木) 20:53:10.50 ID:NjubNako
戦士を負傷ワーカーとして搬送するのか。。。
やるなwwwwwwwwww


55 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 23:32:38.84 ID:2SAE8owo
天才「立てるか?」

戦士「ああ、もう大丈夫」

男隊員「これより護送すんぞ。各員、道を作れ」

国軍兵「ははっ!」

ザザッ…ザザザッ

戦士父「両脇から支える。衰弱したフリをしておけ」

戦士「…おう」

天才「はいはい通るぜ」

テクテクテク

格闘家「…こちらです。その馬車の中へ」

戦士父「…うむ」

天才と戦士父は格闘家の誘導で戦士を馬車へと導く。

ダダダッ!!

左大臣「その馬車ァ待てぇい!!」

隊長「!?」


56 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 23:34:58.37 ID:2SAE8owo
タッタッタッタ…

エリート「どうされました左大臣殿…?」

左大臣「その馬車を待たせろと言ったのだァ」

青年兵「あの…何か…?」

左秘書官「貴方達には関係のない事だ!」

隊長「そうはいきませんよ。犯罪者ですよ?」

左大臣「だからだァ。当事者同士なのだァ。問題なかろう」

隊長「だからこそです。それに…身の危険もあります」

左大臣「…えぇい、どけい!」

ガッ…ダダッ

エリート「左大臣殿っ!」

隊長「マズイな…っ」

タッタッタッタッタ

男隊員「!!…急げっ、来たぞ!!」

天才「ちっ、早く乗れ!」


57 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/28(木) 23:36:01.04 ID:O2jVSYSO
続ききたぁ♪

1乙


58 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 23:36:43.83 ID:2SAE8owo
格闘家「こっちです!馬車の中に…!」

戦士「お、おうっ!」

グイッ…ガバッ

戦士「……コイツは…!?」

格闘家「この男と衣服を取り替えて下さい」

戦士「え…?ま、またかよ…っ」

格闘家「いいから早くっ!」

戦士「お、おう…っ!」

ガバッ…ゴソゴソッ

天才「さーて、俺達はズラかるとすっかぁ」

戦士父「…だな。奴らには顔が割れてる」

天才「んじゃ…またな。例の件頼んだぞ!」

戦士父「…後は頼む」

天才「あいよっ!お疲れさん!!」

二人は馬車の前で左右に分かれ、人ごみの中へと姿を消した。


59 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 23:45:03.36 ID:2SAE8owo
タタタッ

左大臣「…はァ…はァはァ」

男隊員「…ど、どうも」

左秘書官「犯人と引き合わせて頂きたい」

男隊員「…いや、そうは言われましてもねぇ」

ザッザッザ

隊長「…構わん。幌を開けろ」

男隊員「…へいへい。でも衰弱して意識あるか分からんので…無茶せんで下さいよ」

テクテクテク…ガバッ

左大臣「……」

格闘家「…何か?」

左秘書官「…顔をこちらに向けろ」

格闘家「…はぁ」

グイッ

左大臣「……そのふざけたマスクを取れ」


60 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 23:47:52.22 ID:2SAE8owo
格闘家「マスクをですか?……はぁ」

格闘家は倒れる男の覆面を剥ぎ取り、左大臣らに顔を見せる。

グイッ

格闘家「……これで宜しいですか?」

左秘書官「…あの男ではありませんね…っ」

左大臣「他に仲間はァ!?共謀者はァおらんのかァ!?」

隊長「…コイツ一人でしたよ」

左秘書官「間違いないですね?」

男隊員「へぇ。くまなく捜索しましたし、警備もこの通り厳重でしたんで…」

左大臣「……」

エリート「何か問題でもありましたか?」

隊長「あるなら…詳しい事情をお聞かせ頂きたいですなぁ…」

左大臣「…まさか、貴様らァ…!」

エリート「…何か?」

左大臣「……くっ!」


61 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/28(木) 23:59:49.48 ID:2SAE8owo
ザッ…クルッ

左大臣「……もうよいっ!その男の取り調べはこちらで行う…いいなァ!」

隊長「そりゃ構いませんが…お手間を取らさずともこちらで…」

左大臣「こっちでやると申しているのだァ!」

ザッザッザ

左秘書官「…で、では今日のところはこれにて…失礼致します…っ」

タッタッタッタッタ

男隊員「馬車を出せ。真っ直ぐ警備所へ向かわせろ」

格闘家「…出発」

ドドッ…パッカパッカパッカ…

エリート「左大臣殿、念の為王宮で休まれますかな?」

左大臣「…屋敷に戻るっ!明朝向かうと警備所の連中へ伝えておけぃ!」

青年兵「……手品のようでしたね」

隊長「ほれ、アレだよ」

隊長は地面に蓋をされた、地下水路へと続く潜孔を指差し、ほくそ笑んだ。


62 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/29(金) 00:09:43.66 ID:ljvH0D6o
〜地下水路〜

カンカンカンカンカン…スタッ

戦士「へぇ、街の下にこんな水路があったんだな…」

ザッ

大軍師「ここは下水路ですよ。有事の際の避難路も兼ねてますがね」

戦士「大軍師さんか…。助かったよ…ありがとう」

大軍師「いえいえ、ご苦労様でした」

戦士「しかし…何が何だかさっぱり…」

大軍師「…どうやら利用されたようですねぇ」

戦士「利用…?」

大軍師「まぁ歩きながらご説明致しましょうか」

戦士「…これからどこへ?」

大軍師「このまま地下水路を進み、埠頭まで出ましょう」

戦士「…分かった」

羽扇を仰ぎ微笑む大軍師の後を、曇り顔の戦士がゆっくりと追った。


63 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/10/29(金) 00:13:57.39 ID:ljvH0D6o
>>52>>57
ありがとうございます!皆様もお風邪など引かれぬようお気をつけて!

>>53
心労とか空腹的なものだったと思われます…

>>54
大軍師「ふふっ、ありがとうございます」

〜オマケ〜

魔道士「知ってます!?もうすぐ一年経つらしいですよっ!?」

盗賊「…へぇ、よくもまぁそんなに…やるよな」

召喚士「…あの」

魔道士「はい?」

召喚士「このままだと記念すべき一年に出番無しとか…」

魔道士「えっ?知らないんですか?」

召喚士「…?」

魔道士「この物語はイケメンモテモテ主人公の戦士と、そのお供でオマケの三人が織りなすお話なんですよ?」

召喚士「えっ?」

盗賊「…えっ?」

魔道士「え…っ?」


64 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/29(金) 00:24:22.14 ID:3zS.9YAO
>>1乙
召喚士涙目ww


66 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/10/29(金) 01:39:04.31 ID:A8.HeQDO
>>1乙
あえて公で戦士の顔晒して無実への証明に繋げるかと思ってた


67 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/29(金) 03:55:41.59 ID:k5qsAOUo
さて、次はドッペル戦士を束縛して話を聞く番だな


68 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/29(金) 04:54:09.12 ID:syMPR2DO
>>1乙
魔道士は腹黒キャラも似合いそうだな


69 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/29(金) 07:44:25.48 ID:AUcLQIco
いちおつおつ
戦士のフラグっぷりはなんという主人公



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