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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
444 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:20:50.81 ID:l+ur0MsLo


守るものとか守りたいものとか、そんなんあるわけじゃねぇんだ。

だけどよ、南にゃあ妻も娘も、友人も沢山いるわけよ。

南方司令部の魔道長としても長い事務めてるけどよ、

なんつーか、最近は随分とまぁ忙しくなってまって。

でも、頼られる事に喜びを感じてる自分もいるってんは、悪くねぇもんだよな。

だからってわけじゃねぇけど、こういうでかい戦いに一役買うってのもたまにはいいか。

南方魔道長「……ま、やれる限りやってやるさ」



あたしはとっくに自分で踏ん切りがついたもんだと思ってたさ。

保守こそが最良。そう思って左翼に……左大臣に加担し、未来を託した。

でもそれが誤りだという事に、あいつら……学園長達に改めて気付かされた。

失った息子はもう戻ってこない。でも、今は息子にも等しい連中が沢山いる。

そいつらを守る為にも、残された少ない時間で戦う。そうだろ、青龍先生。

西方魔道長どこまでやれるか分からないけど……やるしかないねぇ」


445 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:21:22.02 ID:l+ur0MsLo


父は狩人で、昔から弓は遊び道具みたいなものだった。

森と動物と、そして南方を守るそんな父が好きだった。尊敬していた。

だから父が魔物に殺されたと聞いても信じられなかったし、

仇を討つべく魔物を倒そうと、国軍に入隊した事だって自然な流れだし、

南方司令部で弓を武器に戦う事だって、それは運命だと思ってる。

父の守ってきた南の自然を守る事だって運命なんだ。

南方弓長「……だから私は、戦う」



国軍の大召喚士が引き起こしたクーデターに巻き込まれた祖父は死んだ。

朱雀本家は没落し、父や母やも虐げられ、親族も引き裂かれた。

それでも上を向いて、明るく暮らしてさえいればきっといい事ある。

諦めず、朱雀本家復興の為に召喚術だって磨いてきたんですわ。

この生まれ育った南方を守る為、朱雀本家の為に私は戦う。

朱雀嬢「それが私に与えられた宿命……ですわ」


446 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:21:50.46 ID:l+ur0MsLo


あの日、召喚士くん達と出会ったあの日から……私は変わった。

剣士と2人、腕を磨いて、そして来るべき刻に備えてきた。

そして、新たな家族。幼女ちゃんとの出会い。

守るべき者が増えた。それはとても喜ばしくもあり、不安でもある。

でも、3人で生活してきて、剣士結婚して、私は気付いたんだ。

幸せは自分達だけのものじゃない。万人の為のもの。その為には……。

弓使い「魔王を倒す。今の私にはそれが全てよ」



お父は死んだ。私達を残して。私達を守って。

身寄りのない私を助けて、拾って、育てて、共に歩んだお父。

物心ついた時から私の全てはお父のもの。お父と一緒に生きていく事。

それが失われて、落ち込んだりもしたけど、それじゃ駄目なんだ……。

今の私には、新しい父と、そして母が出来た。私は本当に幸せ者だ。

幼女「見ててねお父。きっと、世界を平和にしてみせるから……っ!」


447 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:22:37.93 ID:l+ur0MsLo


私には記憶がない。だから何も覚えてないし分からない。

それでも1人で生きていける力は持っていた。だから1人で生きてきた。

ワーカーとして魔物と戦ってきたけど、それは生きていく為のもの。

少しずつだけど、変わっていく自分が好き。ない思い出は作っていけばいい。

だから今はとても楽しい。生きている実感がある。頼られる喜びがある。

全てが終わった時、自分はどうなっているんだろう。それを見る為に私は戦う。

女賢者「さぁ、一気に決めましょ。んふっ♪」



いつだって仲間なんてものは居なかったし、必要を感じなかった。

俺の目標は父の証明できなかった、最強の召喚獣フェニックスを示す事。

それもあの男に負けた。自分が不甲斐ないし許せなかった。

青龍のジジイが言っていた。守る強さ。それを得た。共に戦う仲間。

そして失った。また1人になった。もう誰も失いたくない。この命に代えても……。

同門「あんたらは絶対に死なせない。俺と……フェニックスがいる限りな」


448 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:23:03.28 ID:l+ur0MsLo


私達はずっと燻ってたのかもしれない。自分達の生きている意味を見出す為に。

政府高官の娘、双子というだけで好奇心の目で見られ続けてきた。

何もなくとも、決められた道を、決められた人生を、レールの上を進むだけ。

そんな生き方が嫌だとは言わないけれど、自分達だけがそんな生活は出来ない。

すこしくらいレールを外れたって、人々の為に出来る事があるはずなんだ。

双子姉妹「自分の為じゃない、今は誰かの為に戦うの!」



村の掟とかしきたりとか、縛られている事に疑問を感じたのは私だけじゃない。

母だってそうだったし、祖母もきっとそうだった。でも、前に進む事はしなかった。

私は前に進んだ。幼い頃から共に暮らす友人……ううん、家族がいたから。

村を出て本国に来た時、私は自分の道を進んで良かったと再認識したんだ。

世界は本当に広い。色んな物があって、色んな人が居て……。

そんな世界を絶対に壊したりさせない。家族と一緒に、見る為にも絶対に。

アマゾネス「私達の力は……魔王にだって絶対に負けない!」


449 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:23:57.99 ID:l+ur0MsLo


名目上は退役って話だが、結局俺は逃げたに過ぎねぇ。誰も言わねぇがな。

逃げて逃げて、行き着く先は港町でバーのマスター。ま、それも悪かねぇけどなぁ。

何度も来た服役の話は断り続けてきたが、徐々に受け入れちまったわけだ。

あぁ、保管庫でご丁寧に飾られてたクロスボウを見た時は正直感動しちまったけどな。

五ヵ年計画が終わったら今度こそ大声で言ってやるさ。退役だってな。

バーテン「今は戻ってやるよ。見せてやる、初代特遊……バーテン大佐の力をな」



今は生きてる事が不思議でならねぇ。あの時はマジで魔剣士と死ぬつもりだった。

でも生きた。生かされた。召喚士に助けられた。多分、宿命ってやつだろうな。

結局のところ、俺もアイツらもサタンの呪縛から逃れらねぇでいるんだよなぁ。

なぁ師匠よぉ、お前の弟子に命……貰ったぜ。俺も……お前もな。

自分の死に場所迎えるまでは、くたばるわけにゃあいかねぇもんなぁ……。

ちゃっちゃとラーヴァナ片付けて、次へ進もうや……ハッハ!

マジシャン「絞りカスみてーなもんだが、少しの足しにはしてみせるさ」


450 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:24:43.87 ID:l+ur0MsLo


華国を守る為、私は戦い続けてきた。それが私の全てだった。

魔物の手で崩された華国。長男様、次男様、三男様。……騎都尉。

決して魔物に恨みがないわけではなかった。だが今は、少し違う。

魔物も人間も心の奥底に在る悪は等しいもの。それが害の全て。

害の根源である魔王討てば、その先にあるものとは……。

白馬騎士「争いのない世界。その為の争い……か」



一度は華国を捨て、世を捨て、弓をも捨てたわが身。

復興した華国からの勧誘に乗るべきか、何日も迷った。

華国を裏切ったワシが今更のこのこ戻って良いものかどうか。

長い事生きた。余生は若い連中の為に使うとしようか。そう思った。

それは華国の為だけではない。だからこそ華国に戻ってきたのじゃからな。

わしは錆びても華国と共に歩んだ弓矢だけは決して錆びぬ。

弓将軍「ワシは死んでも、若い連中は逝かせんよ」


451 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:25:20.55 ID:l+ur0MsLo


実は、この戦いが始まる前、大軍師さんから一通の手紙を受け取った。

差出人は母さんを診てくれている医者からだった。

母さんの容態は更に悪化しているらしく、本国の病院へ移ったそうだ。

会おうと思えば会える距離。でも、互いにそれは望まない。

前に約束したんだ。次に会う時は大元帥になった時。胸を張って誇れる時。

その日の為に1日も無断は出来ないんだ。今日で南での決着を……。

青年兵「僕らの力が1つになれば、必ず魔王にだって勝てる」



多分、俺だけじゃねぇ。ここにいるみんなが感じてるはずだ。

魔王は強い。それも他に類を見ねぇくらいとてつもなくだ。

だが、今回は俺達の勝ちだ。みんなの思いが、気合いが気持ちいいくらい感じ取れる。

この思いは絶対、力になる。簡単に打ち崩せるモンじゃねぇ。

俺がやるんじゃねぇ。1人じゃねぇ。俺の力もみんなの力。全ての力なんだ。

戦士「これが終わりじゃねぇ。通過点なんだ。こんな所でもたついててたまるかよ!」


452 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:25:51.08 ID:l+ur0MsLo


私は1人じゃ何も出来ない。それは分かっているし、それは事実。

だからこうやってみんなの力になれるって事は本当に喜ばしいし、ありがたい。

私のワガママで色んな人を困らせてきた。両親や陛下やエリートさん。そして……。

自分の人生や運命なんて分からないけど、きっと今がそうなんだ。

私が弱くてもみんなで頑張ればいいんだよね。ねぇ、召喚士さん。

魔道士「……撃ちますっ!!」



正直、ここ数年で色んな事がありすぎて……今でも信じられない事も沢山ある。

考えたい事も色々あるし、気持ちの整理がつかない事だってないわけじゃない。

でも、立ち止まってる暇はない。自分1人が立ち止まってる場合じゃないんだ。

見渡せば頼もしい仲間がこんなにもある。信じあえる仲間が……。

だから自分の事は後でいい。今はみんなの為に生きていきたいんだ。

きっと後悔はしない。後悔なんてするわけない。前に歩き続けている限りは。

召喚士「まだ先に進む為にも……ラーヴァナ、お前を倒す!」


453 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:26:25.82 ID:l+ur0MsLo
キュイイイイィィィィ

その光は、知る限りで最も光り輝いた。

5ヶ所から織り成すその光は対象者の頭上で1つに集い、完成した。

一同はその僅か一瞬輝いた五行で勝利を確信した。それ程までに強い力だった。

バシュッ

言葉は要らない。併せ示したかのように音が1つに重なった4本の矢。

そこへ中心となるゾディアックの投擲。全てが揃った。奏でた。

巨大な1つの大きな矢となった光が、ラーヴァナの頭上に放ち落とされた。

ドンッ!!

シンプルながら巨大な音が響いた。それ以外の音が止まった。

ラーヴァナ「…………」

ジジッ…ズゴゴゴゴゴゴッ…

五行の光を一身に受けたラーヴァナは無言のまま直立していた。倒れない。

ラーヴァナ「……フハッ、ハハハハハハアアァァーッ!!」

確かに直撃した五行の光の行く末は、南方軍への絶望の光となった。


454 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:30:26.32 ID:l+ur0MsLo
ズザァ

天才「……おぉ」

ドズウウゥゥン

アスラ「ラーヴァナ様……ッ!!」

天才「アイツ……っ!」

ゴゴゴゴゴゴ…

ラーヴァナ「フハハハハハッ!! 残念だったなぁ……人間共ォ!!」

アスラ「おぉ……ッ!!」

召喚士「な……っ!?」

青年兵「失敗!? い、いや・・・…そんな馬鹿な……っ!!」

ラーヴァナ「人間の手でこの魔王ラーヴァナが滅ぼせるものかああぁぁ!!」

アスラ「……ッ」

ラーヴァナ「五行? そんなもので……俺は更にその高みに存在すべし者。五行如きでぇ……」

アスラ「……ラーヴァナ様」

ラーヴァナの言葉が暗示のような、何か不吉なもののような感じをアスラは覚えた。


455 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/02(日) 23:38:30.07 ID:htOtdesIO
おぉ…!!


456 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:39:05.14 ID:l+ur0MsLo
アスラ「今、お傍に……」

ラーヴァナの下へと向かうアスラの、不吉なる暗示は的中した。

アスラ「――ッ!?」

チカッ…ガカアアァァァァッ!!

魔道士「きゃっ!!」

青龍士官「……っ!!」

剣士「な、何の光――」

ズッドオオォォォォン!!

ラーヴァナ「……?」

五行の光に包まれたラーヴァナの頭上へ降り注ぐもう1つの光。

ジジッ…ジジジジッ…

ラーヴァナ「貴様……ッ、イン……ドラ」

インドラ「五行では足りぬか。ならばこれで良かろう……ラーヴァナ」

ラーヴァナ「貴……様あぁ!!」

インドラの矢がラーヴァナを貫き、その直後、とてつもない大爆発が周囲を巻き込んだ。


458 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/10/02(日) 23:43:38.41 ID:l+ur0MsLo
ご支援&オマケリクありがとうです!徐々にやってきます!
それではまた明日、おやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

東方司令「東方司令部に帰ってきた……」

足軽「ややっ、これは本国の司令殿!」

東方司令「首尾は上々か?」

足軽「ええ、我らが居る限り、何も心配は無用――」

東方司令「そうか! それならば引き続き任せるぞ!」バヒューン!!

足軽「ははっ! 畏まり…………はい?」

東方司令「さぁ、いざ東方! ビバ東方! 夢の酒池肉林! 桃源郷! 黄金の国!」

東方兵「司令!? 何故ここに……」

東方司令「小型船借りるぞ! よし出せ!」

海兵「へぇ!?」

〜東方〜

女剣士「へっくち!!」

くの一「……大丈夫ですか?」

女剣士「悪寒が……。風邪引いたかな……?」


459 名前:NIPPERがお送りします(埼玉県) [sage] 投稿日:2011/10/03(月) 00:53:51.33 ID:+Vou2wE+0
熱いのに鳥肌たった。


468 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:08:51.74 ID:X13xpMg4o
アスラ「ラーヴァナ様ァ!!」

ドウッ!!

ラーヴァナ「インドラアアアアァァァァ!!」

ジジジッ…ズゴゴゴゴゴゴ…

インドラ「ラーヴァナ……貴様そこまで……」

ラーヴァナ「ニンゲンがゴギョウだけデ……上乗セはスグリーヴァかとヨンデいたガナァ!!」

インドラ「自身を起爆剤に相討つつもりか……ッ」

アスラ「なりませぬラーヴァナ様!!」

ラーヴァナ「オレはマケヌ……決シテ負ケヌ!! 勝たズともマケヌウウゥゥゥゥ!!」

インドラ「……させぬ!」

ヒュバッ…ガシィ!!

ラーヴァナ「――ッ!?」

インドラ「ならばこの私と……相討つが良いわッ!」

ラーヴァナ「死ヌ気か貴様アアァァ!!」

インドラ「アンラ・マンユは死んだ。そして貴様も死ぬ。私の役目は終わったのだ」


469 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:11:39.83 ID:X13xpMg4o
キュイイィィィィ…

召喚士「あの魔物……何者なんだ……っ?」

天才「インドラ……っ」

ハヌマーン「あれは……インドラッ、インドラ様かッ!!」

アスラ「インドラアァ!! やめろおおぉぉーッ!!」

ダァンッ!!

天才「あんの野郎っ!!」

インドラ「さぁ、共に逝こうではないかラーヴァナ」

ラーヴァナ「グオアアアアァァァァ……ッ!!」

ヒュンッ…ザシュウウゥゥゥゥ!!

アスラ「……グフゥ、フウゥ……フゥーッ」

インドラ「……アスラ」

アスラ「ラーヴァナ様は討たせぬ。この私が居る限りイイィィ!!」

インドラ「手遅れだな。ご苦労な事よ」

アスラ「腹を貫かれて減らず口叩くかアアァァ!」


470 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:12:37.34 ID:X13xpMg4o
イイイイィィィィ…

インドラ「我が魔力は全て、ラーヴァナに撃ち込んだ。起爆は免れんよ」

アスラ「――ッ!?」

インドラ「ラーヴァナだけでなく貴様の右腕も手土産に増えたな」

アスラ「ラーヴァナ様アアァァ!!」

ラーヴァナ「ハハははハハハはッ!! ニンゲンよ……今回ハ貴様ラの勝ちダ……ッ」

青年兵「……っ」

ラーヴァナ「果タシテこの先……無事ニ……ミモノよなアアァァァァ」

ハヌマーン「インドラ様……ッ」

インドラ「私とスグリーヴァの意思……ハヌマーンよ、貴様に託す!」

ラーヴァナ「次会ウ時ハアァ、地獄かソレトモ地上か――――」

アスラ「ラーヴァ――!!」

カッ…ゴッゴオオオオォォォォン!!

ラーヴァナの目論んだ爆発はインドラの手により規模は小さくなったものの、

あたり一面を荒廃させるに足る威力となり、爆風は東の町の南部にも行き届いた。



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