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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その24
569 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:13:13.04 ID:aIv2thjco
〜次の日〜

ザッザッザッザ…

召喚士「……」

トントン……カチャッ

召喚士「おはようございます」

山師「待っていたよ。入ってくれ」

魔道士「お邪魔します」

パタン…テクテクテク

戦士「それで、どうだ?」

山師「……」

スタスタスタ

山師妹「……お願いします」

召喚士「大丈夫ですか?」

山師妹「…私、やります…っ」

山師「確実、とは言えないが…山師妹を信じよう」


570 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:13:40.81 ID:aIv2thjco
召喚士「……分かりました」

魔道士「が、頑張って下さい……っ!」

山師「では、行こうか」

山師妹「……はい…っ」

スクッ…テクテクテクテク…

召喚士「…じゃあ、お願いします」

山師妹「……はい」

山師「いいか、無理はするなよ?出来る限りで良い」

山師妹「……っ」

盗賊「……」

山師妹「……共に立てっ、ザントマン…!!」

シュイイィィン

戦士「来た…っ!!」

山師「魔力を全てつぎ込むイメージで、そう…そうだっ!」

山師妹「……っ!!」


571 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:14:26.93 ID:aIv2thjco
ズズズッ…

ザントマン「……」

召喚士「それじゃ、いきますよ」

山師妹「……お願いしますっ」

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

シュイイィィン

山師「……コカトリス…っ!!」

盗賊「…いけるのか!?」

召喚士「超至近距離ならば…風の抵抗も問題ありませんっ!」

山師「山師妹っ、ザントマンを抵抗させるなよ!制御するんだ!」

山師妹「……っ」

祈るように両手を組み合わせめを瞑る山師妹。

その横に佇むザントマンは微動だにせず、コカトリスを睨みつける。

コカトリス「……悪く思うなよ」

加速するコカトリスは一挙に石化の吐息を吐き出し、ザントマンを石像と化した……。


572 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:15:19.17 ID:aIv2thjco
ズオオォッ…ゴアアァァ!!

山師「くぅ…っ!!」

召喚士「……っ!」

ビキビキビキッ…ゴガアアァァッ!!

戦士「粉々に……」

盗賊「…砕けた……か」

ゴシャアアァァッ!!…ドドオオォォ…

召喚士「……ふーっ」

山師妹「…………」

フラァッ……ドサッ

山師「山師妹っ!!」

ザッザッザ…ガシッ

山師「……大丈夫だ。気を失っているだけのようだ」

魔道士「良かったぁ……」

召喚士「これで、召喚獣は消滅しました。後は……」


573 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:16:10.23 ID:aIv2thjco
〜山師姉妹の家〜

テクテクテク…スッ

山師「……」

山師姉「…………」

戦士「……どうだ?」

山師「…山師姉、聞こえるか?……俺の声が届くかっ!?」

山師姉「…………」

盗賊「……」

山師「……山師姉……っ」

召喚士「駄目…なのか……っ」

魔道士「そ、そんなぁ…っ」

山師「……ありがとう。いいんだ」

盗賊「……」

山師「……いいんだよ」

召喚士「もう少し様子を見てみましょう。まだ駄目と決まったわけではありません…!」


574 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:16:43.75 ID:aIv2thjco


山師妹「……ん」

モゾッ

山師「気付いたか!?」

山師妹「……山師…さん」

召喚士「大丈夫ですか!?」

山師妹「えぇ…っ。……あ、あの!?お姉ちゃんは……っ?」

盗賊「……」

山師「残念だが……」

山師妹「…そん……な」

魔道士「……っ」

山師妹「お姉ちゃん……っ」

スクッ…フラフラフラ…

魔道士「き、急に立ったら……」

山師「放っておいてあげてくれ。大丈夫さ」


575 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:17:11.23 ID:aIv2thjco
スタスタスタ…パタン

召喚士「……」

戦士「あれから何時間だ?変化はないか……」

山師「今は二人きりにさせてやろう」

盗賊「……そうだな」

召喚士「一晩様子を見て、変化がなければ……」

山師「変化がなければいいんだ。もう、大丈夫だ」

召喚士「……」

山師「所詮は俺の弱さが生んだ事故だ。全て俺の責任さ」

魔道士「山師さん……」

山師「一生かかっても、彼女は俺が見守る。それが償いだ」

戦士「祈ろうぜ…。奇跡をよ……」

召喚士「……ええ」

山師「……」

五人は閉まったままの扉を見つめ、しばし無言で時を過ごした。


576 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:17:39.89 ID:aIv2thjco
〜山師姉の部屋〜

山師姉「…………」

山師妹「……お姉ちゃん」

スッ

山師妹「…ごめんなさい。私……私は……っ」

涙を浮かべ、必死に両手で姉の左手を握る山師妹。

山師妹「私が……あんな事を…っ、馬鹿な事をしなければ……」

ピクッ

山師妹「ごめん……なさ――」

キュッ

山師妹「……?」

キュッ……ギュウゥ

山師妹「――っ!!」

山師姉「…………っ」

山師妹「お姉……ちゃ……」


577 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:18:13.23 ID:aIv2thjco
山師姉「……山師……妹…っ」

ガバッ!!

山師妹「お姉ちゃんっ!?」

山師姉「……っつ」

山師妹「お姉ちゃああぁぁん!!」

ギュウウゥゥ

山師姉「山師妹…?なんだか……大きくなった……?」

山師妹「お姉ちゃあぁん!!ごめんな…っ、ごめんなさいいぃぃ!」

山師姉「……ふふっ、どうしたの…?」

山師妹「…ひぐっ、ひぐうぅ!うっ……!」

山師姉「よしよし…泣かないの。ねっ?」

山師妹「……ひぐっ、ひんっ……ひっ…」

山師姉「なんだか……ずっと夢を見ていたわ……」

山師妹「ひぐぅ…っ、ひん…っ……ひん…っ」

山師姉「私と貴女と山師さん……三人で一緒に暮らす夢……」

山師妹「ひぐぅ…!!うっ……うぅ……」


578 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:19:21.17 ID:aIv2thjco
山師姉「……そうだ」

ググッ…ヨロヨロッ

山師妹「……っ!!」

山師姉「……ごめんなさいっ、何だか…眩暈が……」

山師妹「寝ててっ!ねっ?……立ったりしたら……」

山師姉「大丈夫よ。よ……っと」

フラフラ…テクテクテク

山師姉「……えぇと」

ゴソゴソッ

山師妹「……ひぐっ」

山師姉「あったあった。これだわ」

山師妹「……?」

テクテクテク…スッ

山師姉「……お誕生日おめでとう。はい、プレゼント」

山師妹「――っ!!」


579 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:20:09.15 ID:aIv2thjco
山師姉「ゴメンね。驚かそうと思って、山師さんと二人、内緒で買いに行ったの」

山師妹「……ふ、ふえぇ…っ……うああぁぁ…っ!」

山師姉「もうっ、そんなに泣かないでよっ」

ナデナデ

山師妹「お姉ちゃ……ぁ!!」

山師姉「私……ずうっと寝ていたのかしら?」

ガチャッ

山師「……っ!!」

山師姉「……山師さん…っ」

山師「山師姉……山師姉っ!!」

グッ…ギュウウゥゥ!!

山師姉「…ち、ちょっと……痛いわよ、もうっ」

山師「良かった……っ。本当に……!!」

山師姉「……?」

山師「本当に……っ!!」


580 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:20:59.04 ID:aIv2thjco
テクテクテク

戦士「奇跡は起きたみてぇだな」

召喚士「…うん。でも、奇跡なんかじゃないよ」

戦士「まぁそうだな。狂った歯車が元通りになった…ただそれだけか」

盗賊「……」

山師「良かった……本当に…っ!!」

山師姉「…一体どうしたの!?それに……お客様?」

ササッ

山師姉「ちょっと、お客様が来ているのにこんな格好で…恥ずかしいわよっ」

魔道士「す、すぐに出ますのでっ!ごめんなさいっ!」

ササッ

召喚士「……行きましょうか」

戦士「そうだな。俺らは邪魔になっちまう」

盗賊「…それがいい」

魔道士「……っ」


581 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:21:31.80 ID:aIv2thjco
テクテクテク…ドンッ

戦士「!?」

山師妹「……っ!!」

タッタッタ…バタンッ!!

魔道士「え…えっ!?」

山師「山師妹っ!?」

戦士「な、何なんだ!?」

山師姉「急に飛び出して……」

召喚士「……っ!!」

ダダッ!!

戦士「召喚士!?」

盗賊「まさか死ぬつもりかっ!?」

戦士「何ぃ!?」

盗賊「追うぞ!」

魔道士「は、はいっ!!」


582 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:22:14.08 ID:aIv2thjco
ザッザッザッザッザ

山師妹(これで私は……やっと……)

ザッザッザッザ

山師妹(やっと……死ぬ事が出来る……)

ザッザッザ

山師妹(本当にごめんなさいっ、山師さん……お姉ちゃん……)

ザッザッ…ガシィ!!

山師妹「――っ!?」

召喚士「どこへ行くつもりですかっ!?」

山師妹「離してっ!!」

召喚士「いえ、離しません!」

山師妹「……っ!!」

召喚士「あなたが命を絶っても、喜ぶ人は一人もいませんよっ!」

山師妹「でもっ、私は生きてちゃいけないのよっ!」

召喚士「誰が決めたんですっ!!」


583 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:22:43.60 ID:aIv2thjco
山師妹「!?」

召喚士「誰がそんな事……言ったんです!」

山師妹「……っ」

召喚士「お姉さんも目を覚ましました。これからは三人で暮らせばいいじゃないですか」

山師妹「今更……そんな事出来るわけ……」

召喚士「出来ますよ!二人の事好きなんでしょ!?見守ってあげる事…出来るでしょ!?」

山師妹「……わっ、私…ぃ……」

召喚士「あなたにはその資格があります。そしてそれが償いなんです」

山師妹「う…あぁ……うああぁぁ…っ!!」

ザッザッザッザ

戦士「召喚士っ!」

召喚士「……大丈夫」

魔道士「……良かった…っ」

盗賊「……」

山師妹「私……どうすれば……ぁ」


584 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:23:17.28 ID:aIv2thjco
召喚士「それはこれから、自分で決める事です」

山師妹「……っ」

召喚士「生きて、自分で償いを見出す事です」

山師妹「うああぁぁ…!!わああぁぁ……っ!!」

戦士「まずいな…。だいぶ錯乱してる……」

召喚士「……」

スクッ

魔道士「召喚士さん…?」

召喚士「……行けっ!ザントマン!!」

シュイイィィン

戦士「おぉ…っ!!」

召喚士の呼び出したザントマンが、無言で山師妹を眠りへと誘う。

盗賊「……」

その場で眠りに落ちた山師妹を抱き上げ、召喚士はザントマンを見つめる。

ザントマンはただ笑って、その場から姿を消した……。


598 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/28(金) 00:14:32.48 ID:oLE1Q3+2o


召喚士「……」

ザッザッザッザ…

山師「はぁ…はぁ……はぁっ」

ザッザッザ

山師「山師妹っ!!」

召喚士「…大丈夫です。気を失っているだけです」

ザッザッザ…ザザッ

山師「……っ」

山師姉「……山師妹…っ」

ギュウゥ

山師「…………」

召喚士「……」

クルッ…ザッザッ…

山師「…まっ、待ってくれ……っ!」


599 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/28(金) 00:15:06.68 ID:oLE1Q3+2o
ザッザッザ…ピタッ

山師「い……行くのか!?」

召喚士「……ええ」

戦士「もう、俺らは不要だろ」

山師「そんな事は……っ」

召喚士「いえ。他人が出来るのはここまでです。後は……」

山師姉「山師妹!!……山師妹っ!!」

山師妹「…………」

盗賊「……行こう」

山師「待ってくれ!まだ…礼も何も……」

戦士「いいって。礼なら……こいつの師匠が既に受け取ってるよ!」

グイッ…ガシガシッ

召喚士「……痛いよ、戦士…っ」

戦士「ははっ。さぁ、行こうぜ」

魔道士「お元気で…山師さん。……お二人も!」


600 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/28(金) 00:15:40.55 ID:oLE1Q3+2o
山師「……っ!」

ザッザッザッザッザ…

山師「…………」

山師姉「……っ!!山師妹っ!?」

山師妹「……んん…っ」

山師「意識が戻ったか!?」

山師姉「山師妹っ!聞こえる!?大丈夫……っ!?」

山師妹「……お姉……ちゃん…?」

山師姉「良かった……っ、良かっ……」

山師妹「お姉ちゃん……っ、お姉ちゃん…っ!!」

山師姉「……馬鹿っ!心配させないでよぉ……っ!!」

山師妹「ごめんなさいぃ…っ!私…っ、私…ぃ…!!」

山師「……っ」

山師姉「…いいのっ、もう……いいのよ…っ!」

山師妹「う……ああぁぁ…っ!」


601 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/28(金) 00:16:26.59 ID:oLE1Q3+2o
ザッザッザ…テクテク…

村長「……彼らは…行ったのか?」

山師「村長……」

村長「話は全て聞いた」

山師「……ご迷惑を…お掛けしました」

村長「…何故、相談してくれんかった?」

山師「……」

村長「わしらに迷惑がかかる…。そう思うたか?」

山師「……すみません」

村長「しかし……これでようやっと、やっと全てが終わったかの」

山師「……いえ」

村長「……?」

山師「終わりではありません。これからが…始まりです。私達の……」

村長「……そうじゃの。確かにそうじゃ」

山師「……ええ」


602 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/28(金) 00:17:29.57 ID:oLE1Q3+2o


ザッザッザッザッザ

魔道士「村長さん、居ませんでしたけど…大丈夫でしたかね?」

戦士「別に俺らの荷物なんだし、置き手紙もした。大丈夫だろ」

盗賊「……さて、どうする?」

召喚士「ザントマンも会得出来ましたし、ひとまず……」

戦士「バーテンさんのとこらで…パーっといくか!」

魔道士「戦士さんっ!」

戦士「冗談だよ……」

召喚士「ははっ。それもいいけど、とりあえず北の港まで抜けようか」

盗賊「それが良さそうだな。こちらからなら道も緩やかそうだ」

戦士「そうすっか!んじゃあ…北の港でパっと……」

魔道士「戦士さんっ!!」

波乱万丈の末に新たな召喚獣、ザントマンを手に入れた召喚士一行。

更なる召喚獣を得る為、四人は次なる冒険へと旅立つのであった……。



〜第三十三部、完〜


585 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/01/27(木) 19:25:37.16 ID:aIv2thjco
>>549-551
出たwwというか今更ですが…もう少し可愛いAAになりませんかね?><

>>561
こちらこそいつもご愛読、ありがとうございます!

いっぱい書いたわりには三文芝居の昼ドラみたいでワロタ……
ひとまずこれにて。ご支援ありがとうございました!では!ノシ


586 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/27(木) 19:38:59.29 ID:HZ9yba5ao


かわいいAAかー



|
|⌒彡
|冫、)
|` /
| /
|/
|


604 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/01/28(金) 00:30:25.29 ID:oLE1Q3+2o
ひとまずここで区切っておきます
ご支援ありがとうございました!

>>586-597
でも私が馬鹿でした。もう贅沢は言いません…
ありがとうございました!



〜次回予告〜

占い師「悲しい姉妹と一人の男の物語は終わった…」

占い師「そして得た…新たな召喚獣、ザントマン…」

占い師「彼ら四人を迎える、次なる人物とは…!?」

占い師「次回、第452話【せめて、人間らしく】」

占い師「この次も、サービス、サービスゥ!」


609 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/28(金) 02:20:48.68 ID:C4EvGHoAO
イケメンのほうのユニコーンさんがいつ出てくるのか気になって夜も眠れない



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