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冒剣士「…冒険酒場で働くことになった」
183 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/12(月) 07:00:25 ID:6/T7pAsg
 
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――――【猛雪山・二合目】


…ヒュウウゥゥ……

…シャクッ……シャクッ…


女メイジ「はぁ…はぁ……」

冒剣士「…はぁ…はぁ…」


孤高騎士「思ったよりも天気が荒れてきてるな。お前ら、脚大丈夫か」


184 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/12(月) 07:00:56 ID:6/T7pAsg
 
女メイジ「アイゼンが重くて…少し辛いです」ハァハァ


孤高騎士「四合目まで登れば山小屋がある。このペースでいけば14時には着けるはずだ」

冒剣士「思ったよりも遠いですね…」

孤高騎士「山は目に見える場所は近いが、実際の距離は半端じゃなく遠いんだ」


女メイジ「空気も薄くなってきてる感じ…」

孤高騎士「もう相当な高さだからな、本当に辛い時は言えよ。仮拠点を張る」


女メイジ「あはは…全然大丈夫ですよ…!」

孤高騎士「…いい覚悟だ。一気に突っ切るぞ!」


冒剣士「はい!」


……ブォォォォォ!!!!!


185 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/12(月) 07:01:42 ID:6/T7pAsg
 
孤高騎士「…ん!?」

冒剣士「今の音…、なんですか?」

女メイジ「遠吠えみたいな…」


…ブオオオオォォォ!!!!!!!


孤高騎士「ち…、イエティだ…」

冒剣士「どこに!」

女メイジ「吹雪がひどくてよく見えない…」


イエティ『…』

孤高騎士「…正面にいるぞ!みんな、一旦屈め!!」


冒剣士「!」

女メイジ「はいっ!」

…スタッ!


186 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/12(月) 07:02:21 ID:6/T7pAsg
 
イエティ『…ブォォォ!!』

…ブゥン!!


…チッ!……

冒剣士「うわっ!かすった!」

女メイジ「くっ…!」


孤高騎士「そのまま屈んでろ!」スチャッ


イエティ『…ブォォ!』

孤高騎士「おりゃあああっ!大突っ!」ビュッ!!!


…ドシュ…!!!

イエティ『ガッ……』


…ドサッ


187 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/12(月) 07:03:06 ID:6/T7pAsg
 
孤高騎士「もういいぞ、顔あげろ」


冒剣士「危なかった…」ハァ

女メイジ「イエティ大きすぎ…」


孤高騎士「今のは奇襲されたが、本来は動きが遅くて弱い魔獣だ。しっかり見切れば簡単に倒せる」


冒剣士「一応、武器は用意しといたほうがいいですよね」チャキッ

女メイジ「…」スッ


孤高騎士「準備も何も…」



…ブオオォォォォ!!!!!!!


188 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/12(月) 07:03:59 ID:6/T7pAsg
 
冒剣士「は、はは…。もしかして、吹雪の向こう側にいる影…」

孤高騎士「2…3…4…、数え切れねえなあ?集団でやってきやがるとは…」

女メイジ「…こんなところで……絶望的…?」


孤高騎士「冗談、こんなの練習相手にすらならないぜ…しっかり着いて来いよ!お前ら!」

冒剣士「もちろんです!」

女メイジ「…はい!」



…ダダダダッ!!!!

……………………


191 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:01:00 ID:juKLMqsg
 
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――――【四合目・山小屋】


冒剣士「はぁはぁ…」


…ガチャッ……


女メイジ「つ…着いた……」

孤高騎士「ふぅ、とりあえず休憩はとれるな」

冒剣士「女メイジ、大丈夫…?」


女メイジ「なんとかね…」

孤高騎士「しかしお前ら、ケガ一つないっていうのは中々だぞ」


192 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:01:33 ID:juKLMqsg
 
冒剣士「当然ですよ…」

女メイジ「あんなのにやられるわけないですよ…」


孤高騎士「はは、そうだな。よし…えーと…開いてる部屋は…」キョロキョロ


冒剣士「思ったより人少ないですね。猛雪山は冒険者も多いって聞いたのに…」

孤高騎士「そりゃ尾根だからなこっちは。新しいルートが開拓されてから、こっちの尾根ルートはほとんど人がいなくなっちまったらしい」


冒剣士「昔はいたんですか?」

孤高騎士「冒険学校のクエストにも使われたり、裏山へ抜けるのはこの道しかなかったからな。商人なんかも多かった」

冒剣士「へぇ…」


女メイジ「それより…腰を降ろしたいんだけど…」


193 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:02:04 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「とりあえず部屋探してくるから待っててくれ」タッタッタ…


女メイジ「山登りなんて久しぶりだから…疲れたぁ…」

冒剣士「足がジンジンするよ…」


…タッタッタ

孤高騎士「部屋は空いてるみたいだったな。とりあえず今日はここで休んで、明日の朝早く出発するぞ」


冒剣士「まだ時間ありますが、向わないんですか?」

孤高騎士「あほ、山舐めるな。それに吹雪が遮って、普通よりも離れたルートを行くと危険なんだ」

女メイジ「それに体力もだいぶ削られちゃったし、今行ったら死ににいくようなものでしょ…」


冒剣士「なるほど…」


194 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:03:04 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「さて…、冒険の前の豪華な晩餐だ!」

女メイジ「?」

冒剣士「?」


…ゴソゴソ……ドサッ

孤高騎士「高級フィレ肉、猛雪山の雪解け酒、調味料とか調理道具は山小屋にあるのを借りてやるぞ!」


冒剣士「わっ、どうしたんですかこの食材…」

孤高騎士「バーカ、こういう時こそ旨いもん食って、力つけて、後悔のない戦いをするんだ」

冒剣士「…?」


孤高騎士「……俺らはな、生死が関わる稼業をしているんだ。戦いの前は景気づけするのが普通なんだ」


195 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:03:41 ID:juKLMqsg
 
冒剣士「…そう、でしたね……」

孤高騎士「女メイジ、あそこにある調理器具持ってきてくれ」

女メイジ「あ、はい」


…タッタッタ……カチャカチャ…


孤高騎士「明日の夜にはもうこの世にはいないかもしれない、もう二度と戦えない体になっているかもしれない…」

冒剣士「…」

孤高騎士「っと、まぁ怖いことばっかじゃないんだが…、とにかく戦いの前夜、冒険の前夜には旨いもん食っておくってのが良いんだ!」ニカッ


196 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:04:13 ID:juKLMqsg
 
冒剣士「は、はい!」


女メイジ「お待たせしました、これでいいですか?」ドンッ

孤高騎士「おおう上等上等、ありがとよ。それじゃ、旨いモン食わせてやるからな!」

…カチャカチャ……

……ボワッ………


女メイジ「火…あったかいね」

冒剣士「…うん」

女メイジ「…」

冒剣士(…本当に、僕の全てが始まったんだ…!がんばるぞ…)


197 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:04:48 ID:juKLMqsg
 
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198 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:05:20 ID:juKLMqsg
 
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……モゾモゾ…


冒剣士「…」

……


冒剣士「…」ハッ


…ガバッ


199 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:05:51 ID:juKLMqsg
 
冒剣士「…」キョロキョロ


女メイジ「…」スゥスゥ

孤高騎士「…」グー…グー…


冒剣士「…今、何時だろ…」

…コチコチ…


冒剣士(午前4時か…、折角だし、朝の山景でも見るか…)

…スッ

……ギシ……

トコトコ……ガチャッ……バタン


200 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:06:27 ID:juKLMqsg
 
……ヒュウウゥゥ…

冒剣士(寒っ…、陽は出てるけど…完全に風がとろんだ訳じゃないみたいだね…)


…ガタッ……

冒剣士(ん?)チラッ


………シーン


冒剣士(今何かいたような…、気のせいかな?)キョロキョロ

…シーン………


冒剣士(気のせいか…)

…ガチャッ

冒剣士(ん?)


201 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:07:10 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「おお、寒い寒い」フゥッ

冒剣士「あ、孤高さん…もしかして起こしちゃいましたか?」


孤高騎士「ん?あぁ違う違う、単に早起きなだけだ」

冒剣士「そうですか、それならよかったです」ハハ


孤高騎士「お前も早いじゃないか…」

冒剣士「ちょっと眼が冴えてしまって…、あはは」


孤高騎士「しっかり休むことも冒険者、戦士の基本なんだがなあ」ジロッ

冒剣士「うっ…す、すいません…」


202 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:08:27 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「ま、仕方ねーわな」フゥッ

冒剣士「…」

孤高騎士「…」

冒剣士「…」ジー

孤高騎士「……ん?どうした?」


冒剣士「いえ、孤高さん、かっこいいなって何か…」ヘヘ

孤高騎士「…そうか?ありがとよ」フッ

冒剣士「…孤高さんって、孤高って感じ、しませんよね」


203 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:09:26 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「ん?あぁ……コリャもともと俺自身がつけた名前じゃないからな」

冒剣士「そうなんですか?」

孤高騎士「あぁ。ま…いいじゃねえか、気にするな」


冒剣士「…」

孤高騎士「…」

冒剣士「…は…はい」


孤高騎士「…はぁ、参ったね。そんなに気になるのか?」


冒剣士「不本意…ながら」


204 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:10:06 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「ん〜…。じゃあ一つだけいえば、この名前は俺のキズ、みたいなもんだ」

冒剣士「キズ…」

孤高騎士「すまねえな、それ以上はまだ言う気にならないんだ」


冒剣士「いえ…、キズだなんて…。訊こうとした僕も浅はかでした…」

孤高騎士「はっは、気にするな。ま…、そのうちふっと言うさ」

冒剣士「はいっ」


…ヒュウウッ!!!


孤高騎士「お…風がまた少し出てきたな」

冒剣士「…ちょっと寒くなりました。まだ時間がありますし、僕はもう一眠りしてきます」ペコッ


205 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:10:43 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「ああ、時間になったら起こす。ゆっくり休んどけ」

冒剣士「はい、また後でです…」


…ガチャッ…バタン


孤高騎士「…」

…ヒュウウウウッ……


孤高騎士「……キズ、だよな」


206 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:11:49 ID:juKLMqsg
  
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孤高騎士「おはよう、諸君!」

女メイジ「おはようございます、いよいよ今日ですね」

冒剣士「不謹慎ながら、ちょっと楽しみな気がしてきました」ワクワク


孤高騎士「はは、不謹慎じゃないさ。探索…冒険することは、俺たちの血、元気の源だ!」

冒剣士「…」ウズッ


孤高騎士「生死の問題っていうのは、昨日は重く言ったが、あくまでも"一つのエンディング"っていうだけで、本質は戦う事、冒険することにある」

冒剣士「そうですよね!」

孤高騎士「結構重く受け止めすぎないか心配してたが…、心配無用だったみたいだな」


207 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:13:26 ID:juKLMqsg
 
冒剣士「あったりまえですよ!」

孤高騎士(ま、そういやさっきもそんな様子はなかったしな…)


女メイジ「それで、どうしますか?もう出発します?」

孤高騎士「えーと…、外の風も穏やかになってるしな。出発だ!」


冒剣士「はいっ!」

女メイジ「はい!」


208 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:14:28 ID:juKLMqsg
 
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――――【猛雪山・洞窟前】

…ザッ…ザッザッザ…


冒剣士「ふぅ、思ったより遠かったですね」

孤高騎士「だから言っただろ?遠いんじゃなく、雪に足を取られて…山の傾斜やらで体力を奪われるんだ」

女メイジ「それで…ここが洞窟なんですね…」


…オォォォォ…


女メイジ「暗っ…、全然中が見えない…」

冒剣士「雰囲気もなんか怖いね…」


209 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:15:18 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「まぁな、"白坊主"だっけ?あの女が入り口付近まで入った以外、未踏の地だからな。何が出るか分からないワケだ」

冒剣士「白魔道さんです…。女性ですよあの人…」

女メイジ「未踏…か」


孤高騎士「君ら、そして俺はこの未開の洞窟の…第一探検者になるわけだな!」


冒剣士「第一…探検者!」

女メイジ「…」ドキドキ


孤高騎士「よし、いざ出発だ!魔力の消費を抑える為に、ランタンを使って進むぞ」

冒剣士「…わかりました」


210 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:16:21 ID:juKLMqsg
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

冒剣士「…」

女メイジ「…」

孤高騎士「…」


ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


冒剣士「心なしか、外より寒い気がします」ブルブル

女メイジ「ぼ、冒剣士も…?私も…」ブルブル


孤高騎士「いや、気のせいじゃないな」


211 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:17:16 ID:juKLMqsg

 
冒剣士「え?」

孤高騎士「これを見てみろ…」スッ


…ガリガリ……キラッ…


女メイジ「わっ…小さな石が光ってる…?」

孤高騎士「…明かりを消すぞ。周りを見てみろ」


…フッ………


冒剣士「わあ…」

女メイジ「っ…!」


212 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:17:48 ID:juKLMqsg
 
……キラキラ…

ピカッ……サァァ…キラッ…


冒剣士「洞窟の中全体が…小さな輝きが…」

女メイジ「これって…もしかして…」


孤高騎士「白坊主が言ってた氷の魔石の原石だ。岩肌に隠れてるが、巨大なもんがゴロゴロしてやがる」


女メイジ「それで冷気を放って…寒いんだ…」

冒剣士「白魔道さんです…」


孤高騎士「まだ裏側に隠れてるからいいが、表に突起し始めたら、さすがに"抵抗魔法"の展開がないと進めなくなるな」

冒剣士「とりあえずゆっくり進んで状況を見ましょう」

孤高騎士「ああ、そうだな」


…ザッザッザッザ…


213 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:18:44 ID:juKLMqsg
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


…ズルッ!!

冒剣士「うわっ!」ドテッ


女メイジ「ちょっと、大丈夫?」スッ

冒剣士「いてて…ありがとう」ギュッ


孤高騎士「大丈夫か…って、うおっ!」ズルッ


女メイジ「孤高さんまで…って、きゃあ!」ズルッ


冒剣士「この辺…よく滑るね…」


214 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:19:22 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「んー…?…確かにこの辺がぬかるんでるな…」ヌルヌル

女メイジ「おかしいですね…」イタタ

孤高騎士「そうだな…」


冒剣士「何がおかしいんです?」


女メイジ「あのね…さっきあった氷の魔石の冷気がここにはないのよ」

冒剣士「あ、あーー!」

孤高騎士「…もう1度明かりを消すぞ」


…フッ……

冒剣士「あっ…!」


215 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:19:59 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「…みろ!」

女メイジ「冒剣士が転んだ辺りから、途切れたように魔石の輝きがない…」

孤高騎士「鉱脈が途切れてるのか…?」


女メイジ「…」スッ

ガリガリ…ヒョイッ…


女メイジ「いえ…、原石の魔力が失われてるだけみたいです。これ…原石ですよね」スッ

孤高騎士「天然の魔力が失われるだと…?どういうことだ?」


冒剣士「天然の原石が失われることって、珍しいことなんですか?」


216 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:20:31 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「少なくとも、有り得ないな。原石は、魔力を溜め込むのが普通だ。放出なんて聞いたことないが…」

女メイジ「…」


冒剣士「あ、そういえば白魔道さんが"雪が解けて露出してる部分がある"って、これが原因なんじゃないですか?」

女メイジ「そういえば言ってた!」

孤高騎士「ハハーン…ってことは、万年雪山になっている原因は、この大量の原石たちってことか…」


女メイジ「でも何で放出が…?」

孤高騎士「難しい問題だな…だが、雪山の問題の1つになっていた"謎の融解地区"っていう原因は分かったわけだ」


冒剣士「こういうのを、報告していくのが僕らの役割でもあるんですね」


217 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:21:49 ID:juKLMqsg
 
孤高騎士「ま、そうだな」

女メイジ「探索での成果はまずは少しだけ挙げれたかな…」


孤高騎士「しかし…放出か…原石が…。そういや、魔石の特性で、強制的に魔力が失われた石は、もろいって聞いたが…」

ググッ……ボロッ…


孤高騎士「っ!?」

冒剣士「握ったら…石が砕けた!?」

女メイジ「ってことは…もろい…石?」


孤高騎士「はは…おいおい、洒落にならないぞこりゃ…。…何かが、原石の魔力を奪い取ったんだ…」


218 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:23:02 ID:juKLMqsg
 
冒剣士「何かがって…何がです?」

孤高騎士「分からないな、少なくとも入り口からココまでは原石の魔力が残っていた」

女メイジ「と、すると…逆ですね」

孤高騎士「そう…、この魔力の失われた原石が続く道の先に…何かがあるってことだ」


冒剣士「…」ゴクッ


女メイジ「…どうします?」

孤高騎士「危険かどうかは全く分からないが…、ここからは慎重に進もう」

冒剣士「…はい」


…ザッ……ザッ…ドロッ………

…………………………………


219 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:23:34 ID:juKLMqsg
 
…ザッ…ザッ…ドロッ……ドロッ…


孤高騎士「下へ向ってるな。深いぞ…」

女メイジ「さっきより道のぬかるみが酷い…完全に氷の魔力が失われてるんですね」

孤高騎士「…」


……ドロッ…ドロッ…


冒剣士「…」


…ドロッ…ドロッ…


女メイジ「…」


ドロッ…ドロッ………ザッ…ザッ…


220 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:24:18 ID:juKLMqsg
 
女メイジ「あれ?道のぬかるみが…」

孤高騎士「ん?また道が凍り始めてるな」


冒剣士「融解地区を抜け…うわっ!」ツルッ

…ズザザーッ!!


冒剣士「ちょ!急に氷が…すべ…うわああああっ!」


女メイジ「冒剣士!!」

孤高騎士「おい!そこ穴になってるぞ!!落ちちまう…早く止まれ!」


冒剣士「って言ってもつかまる場所がないですうぅ!」


221 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:24:55 ID:juKLMqsg
 
女メイジ「このロープに捕まって!」ビュッ

…ビューン…ガシッ!!


冒剣士「たすかっ…」グイッ

…ドサッ

冒剣士「どさっ…?」


女メイジ「ちょっとおお!強く引っ張ったから転んじゃったじゃない!」

…ズザザザザーッ!!!

冒剣士「女メイジまで滑ってきたー!?」


孤高騎士「お、お前ら…」


2人「穴に落ちるーーーーっ!」


222 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/13(火) 07:25:26 ID:juKLMqsg
 
…スポッ……ヒュゥゥゥ…

…ウワアアアアアアッ!!
…キャアアアアアッ!!!



孤高騎士「って、見てる場合じゃねえな!今行くぞ!!」ダダダッ

…ズザザッー!!!

……スポッ………ヒュウウウ!!!


227 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/08/13(火) 12:21:26 ID:Ch4qzel.
冒剣士と女メイジが死んでまた孤高騎士か…


228 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2013/08/14(水) 09:34:14 ID:l293yS7Q
今日はお休みかな?
まあ毎日あのボリューム更新し続けるだけで凄いと思うw


229 名前: ◆qqtckwRIh. [sage] 投稿日:2013/08/14(水) 10:06:49 ID:QV/N3g.g
皆さんありがとうございます。
>>228 
いえいえw一応毎日朝6時〜昼12時までの間の更新ですので。
休むときは前日かその日に言います(A´ω`)


230 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/14(水) 10:07:32 ID:QV/N3g.g
 
…ドサドサッ!!!


冒剣士「いってて…」

女メイジ「あんたがクッションになってくれて助かった…」

冒剣士「重いって!早くどいてって!」ググッ


女メイジ「なっ…重いって何よ!って、どこ触ってんの!!」

冒剣士「脚が圧迫されて痛いんだって!」

女メイジ「ちょっ…そこはダメだってば!」

冒剣士「わかんないから!」


…ヒュウウウウ!!

女メイジ「!」ハッ


231 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/14(水) 10:08:02 ID:QV/N3g.g
 
…スッ

冒剣士「やっとどいてくれた…」


…ドスン!!!

冒剣士「…」ピクピク


孤高騎士「ん?おお…冒剣士、下敷きにしてしまったか…大丈夫か!」

冒剣士「お…重いんで早くどいてください…」


女メイジ「せ…セーフ!危なかった…」

冒剣士「僕は…アウトだけどね…」



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