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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その24
- 529 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/01/26(水) 18:58:36.81 ID:QcMRLlRAo
〜室内〜
メラメラッ…パチッ
山師妹「……」
召喚士「すみません。俺らまで……」
山師妹「……っ」
戦士「…どうだ?」
盗賊「…そんなに強くは打っておらぬし、しばらくすれば目も覚めるであろう」
仰向けに横たわる山師の後頭部へ冷やしたタオルを挟み込む盗賊。
戦士「…そんで、こうなったら話して貰おうじゃねぇか」
山師妹「…………」
召喚士「い、いやっ…あの!もし良かったら、お姉さんの見舞いを……」
目に涙を浮かべる山師妹を見て、召喚士は慌てて口を開く。
魔道士「そうですよっ。私も…お見舞いさせて下さいっ」
山師妹「……っ」
召喚士「無理にとは言いません。……お願い…出来ませんか?」
- 530 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 18:59:03.61 ID:QcMRLlRAo
〜山師姉の部屋〜
カチャッ…キイィ
山師姉「……ど…うぞ」
魔道士「失礼しまーす」
小声で部屋の中へと入る魔道士。召喚士がそれに続き部屋内へ足を踏み入れる。
テクテクテク
魔道士「……こちらが…山師姉さん」
召喚士「……」
ベッドの上で眠る色白の女性。心なしかやや頬がこけ、悲壮さを余計に醸し出す。
召喚士「お姉さんが目を覚まさない、何か心当たりは……?」
山師妹「……」
魔道士「別に…病気とかではなさそうですね」
召喚士「…ええ。やはり山師さんのザントマンが関係しているのかな?」
山師妹「……んっ」
召喚士「え…?」
- 531 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 18:59:31.17 ID:QcMRLlRAo
山師妹「……あの人は…関係ありま…せん……っ」
魔道士「……」
召喚士「…ならば、誰が関係しているんです?」
山師妹「……」
召喚士「あの人『は』、と仰いました。山師妹さん、あなたが関係しているんですか?」
山師妹「……た…しっ」
召喚士「関係……しているんですね?」
山師妹「……わ…私は……っ、私は……ぁ」
ガクンッ
召喚士「!?」
その場に崩れ落ちる山師妹を支える召喚士。
山師妹「私は……っ、そんな……そんなつもりでえぇ…っ!」
魔道士「……山師妹さん…っ」
召喚士「事情があるようですね。……聞きましょう」
山師妹「ごめんなさいぃ…っ!私っ……お姉ちゃ……!」
- 532 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 18:59:57.51 ID:QcMRLlRAo
…
山師妹「……私達姉妹は、この村で生まれ…育ちました」
召喚士「……」
山師妹「姉は16歳の時、魔道学校へ入学し、この村を離れました」
盗賊「……」
山師妹「その間、私の面倒を見てくれたのが……山師さんです」
戦士「なるほどな。身寄りはなかったわけか」
山師妹「…はい。山師さんは私を実の妹のように…可愛がってくれました」
魔道士「なるほど……」
山師妹「でも、私は兄としてではなく……その……」
召喚士「想い人として…見ていた?」
山師妹は黙ってこくりと頷く。
盗賊「…それで?」
山師妹「本当に毎日が楽しくて……幸せでした」
戦士「……」
- 533 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 19:00:33.92 ID:QcMRLlRAo
山師妹「私はずっと…この村で、ずっと暮らしていけたら…と。そう思ってました」
召喚士「……」
山師妹「でも、山師さんは…ワーカーになろうとしていました」
戦士「ほぉ」
山師妹「出て行って欲しくないと…口にした事もありましたけど……」
召喚士「…決意は固かったわけですね?」
山師妹「だったら、私も手助けが出来るようにと、そう考えました」
盗賊「……」
山師妹「そして二年後、私も後を追うように魔道学校へ入りました」
召喚士「優秀な魔道士姉妹だったって、聞きましたよ」
山師妹「魔道学校での一年は、本当に楽しかったです」
魔道士「お姉さんが三年生で、山師妹さんが一年生ですもんね」
山師妹「ええ…。そして、あっと言う間の一年でした……」
戦士「お姉さんは無事に卒業したんだよな?」
山師妹「……はい。卒業し、この村へと帰ったのです」
- 534 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 19:01:01.75 ID:QcMRLlRAo
盗賊「……」
山師妹「……それで……それ…で…っ」
戦士「…?」
山師妹「……二人は…ワーカーに…っ」
召喚士「……」
山師妹「私が卒業し……この村へ戻った時には……」
召喚士「二人は…婚約していた、と?」
山師妹「…………」
戦士「…そんで?」
山師妹「二人は、三人で……この村で暮らそうと言いました」
魔道士「ワーカーにはならなかったのですか?」
山師妹「山師さんは結局、召喚獣を一つしか覚えられなかったようで……」
召喚士「断念したと…?」
山師妹「そのようです……」
盗賊「……なるほどな」
- 535 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 19:01:31.57 ID:QcMRLlRAo
山師妹「結局…村を守る役目も果たす事となり、三人でこの村へ残りました」
召喚士「あの…それで何故、今のような事に…?」
山師妹「……最初は本当に、些細な事でした」
戦士「……」
山師妹「私は、山師さんに教わり…召喚術の練習をして……」
召喚士「まさか……習得したと!?」
山師妹「……」
戦士「マジかよ……っ」
山師妹「本当に……些細なっ、些細な事……っ」
魔道士「まさか……っ」
山師妹「…あの日は、私の誕生日でした」
盗賊「……」
山師妹「三人でお祝いしようって……」
戦士「……」
山師妹「なのに……なのに……」
- 536 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/26(水) 19:02:10.41 ID:QcMRLlRAo
召喚士「……」
山師妹「二人は…私に黙って出掛け…て…」
魔道士「……っ」
山師妹「私は…それまで抑えてきたものが…ものが……」
戦士「爆発しちまったんだろうな。それで、ザントマンを…?」
山師妹「……本当に、イタズラ半分で…っ」
盗賊「……」
山師妹「でもぉ…っ、何故か……お姉ちゃんは起きなくてえぇ…っ!」
召喚士「…そのまま…眠り続けてしまったんですね?」
山師妹「ひぐ…っ、私……私ぃ……っ」
魔道士「山師妹さん……」
山師妹「う…うぅっ、あぁ……っ!」
戦士「…なるほどな。これで謎が全て解けたわけだ」
召喚士「…うん。それを踏まえると山師さんは……」
盗賊「…おそらく気付いていて、隠したんだろうな」
- 539 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/26(水) 19:12:12.97 ID:ikOt2fJVo
乙
ザントマンってイケメンだよな!
http://happytail.up.seesaa.net/img200510/051001_03.jpg
- 540 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/26(水) 19:19:10.68 ID:hW6nsyBDO
清潔で美しくすこやかな毎日を目指す
ザントマン
- 543 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/01/26(水) 22:44:34.43 ID:hI4xfXfso
今となっては他の召喚士が召喚獣と会話してても何の違和感もないな
- 544 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/01/26(水) 22:57:49.41 ID:WmYnB30DO
国軍は、召喚獣と会話させないってだけで、他は違うんじゃないか?
- 545 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/26(水) 23:38:51.10 ID:MBblX+QBo
>>540
大正年間だな
ttp://spider-man1965.up.seesaa.net/image/kaologo.JPG
- 549 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/27(木) 18:21:21.01 ID:NZldc3NIO
乙乙なんだぜ
そろそろここで>>1登場
↓
- 550 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/01/27(木) 18:23:19.84 ID:HZ9yba5ao
__
/。 \
|ノ ゚|
ノ ゴ ハ
- 552 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:01:50.94 ID:aIv2thjco
ヘタッ
山師妹「…うっ…うぅ……。私っ、どうしたらいいか分か……っ」
召喚士「……」
山師妹「私は……なんて事を……っ」
魔道士「……っ」
山師妹「うああ……あぁ…っ!」
魔道士「……召喚士さん…っ!」
召喚士「!?」
魔道士「……どうにか…してあげられませんか…!?」
召喚士「……」
戦士「どうにかったってよ、どうしようもねぇぞ?」
魔道士「でも……こんなのって、可哀想じゃないですかっ!」
戦士「……出来んのか?」
召喚士「……分からない。せめて、ザントマンの特性が分かれば……」
盗賊「…それは…彼に聞けば良かろう」
- 553 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:02:34.37 ID:aIv2thjco
魔道士「え…っ?」
盗賊「…起きているのだろう?」
山師「……」
山師妹「山師……さぁん…っ」
モゾッ…スクッ
山師「……」
テクテクテク
山師妹「……っ」
山師「然したる事もない。能力は眠り、ただそれのみだ」
召喚士「睡眠解除の方法は?」
山師「……自然と解ける以外は経験がないな」
盗賊「……」
魔道士「じゃあ…どうしようも……」
召喚士「……賭け…ですね」
山師妹「……っ!?」
- 554 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:03:02.10 ID:aIv2thjco
山師「どういう事だ?」
召喚士「通常、召喚は本体と召喚獣が互いにリンクをします」
盗賊「……ああ」
召喚士「もしどちらか片方がやられると、それは自然と消滅します」
山師「……それは分かる」
戦士「つまり…どうすんだ?」
召喚士「おそらく、正しい形でリセット出来ていないんじゃないかな?」
盗賊「…どうするのだ?」
召喚士「それを一度、リセットする必要があります」
山師「出来るのか?」
召喚士「……っ」
スッ
召喚士「……山師妹さん」
山師妹「……っ」
召喚士「覚悟は……ありますか?」
- 555 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:03:30.20 ID:aIv2thjco
魔道士「!?」
山師「命に関わるような事ではあるまいな!?」
召喚士「いえ、それは大丈夫です。しかし……絶対ではありません」
戦士「……」
召喚士「山師妹さんがザントマンを召喚し、それを一度攻撃します」
山師「!!」
召喚士「そうすれば消滅という形で、召喚獣は一度リセットされるはずです」
魔道士「でも…それって……」
召喚士「ええ。山師妹さんの肉体にも影響を及ぼします」
山師妹「……」
召喚士「それは命を奪ったり、や外傷を与えるものではありませんが……」
戦士「魔力を持っていかれて、気を失ったりはするよな」
山師「危険ではないのか?」
召喚士「だから賭けなんです……」
山師「……保証は…あるのか?」
- 556 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:04:01.49 ID:aIv2thjco
召喚士「俺は何度か経験しています。一時的なものです」
山師「……」
召喚士「それでも、保証があるわけではありません」
山師妹「……っ」
召喚士「やるかやらないかは、お二人が決めて下さい」
山師「俺は……」
山師妹「……やります…っ!」
盗賊「……」
山師妹「私っ、お姉ちゃんを助ける為なら……命なんて……」
山師「…やめろ。そういう事を言うな」
山師妹「……」
召喚士「…どうします?」
山師「本人がやる、と言っているのだ。止めは出来ない」
魔道士「……」
山師「しかしだ、命の危機に及ぶような事があれば、即座に中止するぞ」
- 557 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:04:27.32 ID:aIv2thjco
召喚士「構いません」
山師「それで、まずは何をすればいい?」
召喚士「山師妹さん、ザントマンを召喚して下さい」
山師妹「……っ」
山師「…出来るな?」
山師妹「……はい」
召喚士「では、外へ行きましょう」
ザッ…スタスタスタ…
盗賊「…先程は…すまなかったな」
山師「構わん。元はといえばこちらが悪いのだ」
盗賊「……っ」
テクテクテク…ザッザッザ
山師「…この辺りでよかろう。では…いいな?」
山師妹「…はい」
召喚士「……」
- 558 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:05:16.18 ID:aIv2thjco
ザッ
山師妹「…共に立てっ、ザントマン」
盗賊「……」
山師「……」
戦士「……ん?何も起きねぇぞ?」
山師妹「……共に立てっ、ザントマン!」
召喚士「……」
魔道士「……?」
山師妹「…出……ない…っ!?」
戦士「…こういう時は…どうすんだ?」
召喚士「召喚出来ない時は、魔力枯渇か……」
魔道士「精神的なもの…ですね」
戦士「魔力は枯渇してる…わけ、ないよな」
盗賊「……後者か」
山師妹「何で……何でっ、出ないの……っ!」
- 559 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:06:02.42 ID:aIv2thjco
山師「落ち着け、焦る事はないんだ」
山師妹「何でっ、何でぇ…っ!」
召喚士「山師妹さん、落ち着いて下さい」
山師妹「…うっ、うぅ…っ!」
召喚士「山師さん、今日はやめておきましょう」
山師「それが良さそうだな」
召喚士「とりあえず、一晩様子をみましょう」
山師「分かった」
召喚士「山師妹さんをお願いします。大切なのは…」
山師「心を落ち着かせる事だな。承知した」
戦士「…よし、ひとまず俺らは戻るとするか」
盗賊「…それが良さそうだな」
山師妹「……っ」
山師「すまんな……」
召喚士「…いえ。それでは、また明日」
- 560 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:06:43.83 ID:aIv2thjco
〜村長の家〜
村長「…………」
メラメラメラッ…パチッ
村長「……そうであったか。そんな…事情がのぅ」
盗賊「……」
召喚士「山師さんも一人で苦しんでいたんだと思います」
村長「話してくれれば…良いものを……」
戦士「話せば彼女が責められると思ったんだろうよ」
魔道士「……ええ」
村長「……それで、二人は?」
召喚士「今日は休んで貰っています」
村長「そうか……。山師姉は何とかなりそうなのかの?」
召喚士「…山師妹さん次第ですね」
村長「……」
召喚士「明日、様子を見て試みてはみますが…」
- 562 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:07:50.04 ID:aIv2thjco
村長「そうか。……ありがとう。わしからも礼を言わせて貰うよ」
召喚士「いえっ、まだ成功したわけではありませんから…」
村長「赤の他人の為に、そこまでしてくれる心意気だけで十分じゃよ」
スクッ…テクテクテク
村長「……いける口かの?」
トスッ
魔道士「お酒…ですか?」
戦士「いける口です!」
村長「それは良かった。さて、ちと早いが夕食も兼ねて……」
魔道士「お手伝いしますっ」
村長「よいよい。座っていておくれ」
魔道士「そうはいきませんよ。こんなお世話になっているわけですし…」
召喚士「ですねっ。俺らも手伝います!」
戦士「よーし、力仕事は任せてくれ!」
村長「……若いのに、大した気遣いじゃ」
- 563 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:08:51.12 ID:aIv2thjco
…
村長「献立も変わりなく、すまんのお」
召喚士「いえいえ、ただで頂いているだけで十分助かります」
戦士「そうそうっ。これがありゃあ……」
盗賊「…ニシンの卵の…塩漬けか」
魔道士「戦士さん、お気に入りですね…」
ヒョイッ…パクッ
戦士「…ん〜!んめぇ!……そこにコイツで」
クイッ…ゴクッ
戦士「…っかぁ〜!!」
召喚士「オッサンだなぁ……」
戦士「あ?……ん、あれ…!?」
魔道士「どうしました!?」
戦士「……この…酒っ!!」
盗賊「…酒?」
- 564 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:09:49.00 ID:aIv2thjco
戦士「召喚士!!飲んでみろ!!」
召喚士「……?」
トクトクトクッ……クイッ
召喚士「……っ!!」
戦士「これって……師匠酒…!?」
村長「師匠酒…?なんじゃそれは?」
召喚士「…本当だっ、全く…同じ味…!」
魔道士「ど、どういう事ですか!?」
戦士「なぁ村長、この酒ってのはこの村にずっとあるものなのか?」
村長「うむ、そうじゃ。古くよりこの村で作られておる」
盗賊「……」
村長「それがどうかしたかの?」
召喚士「いえ、実は…以前にも飲んだ事がありまして……」
村長「なんと!?……しかし、それは不思議じゃのお」
魔道士「…?」
- 565 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:10:42.85 ID:aIv2thjco
村長「この酒は古くからこの村の特産品のようなものじゃて」
戦士「……て、事は」
召喚士「他に、村を出た出身者が作ったなんて事は…?」
村長「こんな奇特な酒、誰も好んで作らんわい…」
盗賊「……」
召喚士「じゃあどうして……」
戦士「何で師匠が作り方知ってんだ?」
村長「作り方を知っている者がおったのか?」
召喚士「ええ、俺の…父代わりだった人が……」
村長「不思議な事もあるもんじゃ…」
魔道士「ですねぇ…。師匠さんはどこで情報を得たんでしょう…?」
村長「……そうじゃ」
盗賊「…?」
村長「かつて一度だけ、作り方を教えた者がおったぞ!」
戦士「何っ!?」
- 566 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:11:29.72 ID:aIv2thjco
…
村長「もう数十年も前の事になるかの」
盗賊「……」
村長「その男は召喚士で、旅の途中にこの村を訪れたのじゃ」
召喚士「一人で…ですか?」
村長「うむ。一人であったわい」
戦士「……それで?」
村長「かつてはこの村も、魔物の危機に度々遭わされておってなぁ…」
魔道士「もしかして……」
村長「そうじゃ。その男がこの辺りの主を倒してくれたのじゃ」
戦士「…ほぉ」
村長「それからすっかり、魔物は恐れて…この村には近寄らなくなってのお」
召喚士「師匠……っ」
村長「村中が感謝したものじゃ。皆…英雄のように崇め、心から喜んだ」
盗賊「……」
- 567 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:12:05.50 ID:aIv2thjco
村長「しかしその男、不思議な事に、一切の礼を受け取らなかったのじゃ」
魔道士「へぇ〜っ」
村長「その代わり、村で持て成した酒の作り方を教えろと……」
戦士「なるほどな…。酒好きの師匠っぽい見返りだわ」
村長「それ以来、この村では召喚士は英雄であり、誰しもが憧れたものじゃ」
召喚士「なるほど…。それで山師さんも召喚士を目指して…ワーカーに…」
村長「まさかそれが……お主の義父であったとはのお」
召喚士「これも、何かの縁かもしれませんね」
村長「うむ。全くじゃわい」
魔道士「流石、師匠さんですね……」
戦士「生前は全然、そんな素振りもなかったけどなぁ」
村長「なんと…っ、すでに没しておるのか…っ!?」
召喚士「ええ…。3年ほど前に……」
村長「なんと……。それはお気の毒な事じゃ……」
召喚士「……飲みましょう。……師匠の為にも」
- 568 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/01/27(木) 19:12:44.56 ID:aIv2thjco
…
魔道士「それでは、おやすみなさいっ」
盗賊「…おやすみなさい」
村長「うむ。寒かったら言いなさい。布団をもう一枚出すからの」
召喚士「ありがとうございます」
テクテクテク…パタン
戦士「…いやぁ、何だか不思議な縁もあるもんだなぁ」
召喚士「師匠もワーカーだったわけだし、各地で活躍していたんだろうね」
魔道士「探せばもっと、出てくるかもですねっ!」
戦士「俺らもそういう風に、語り継がれるくらいになりたいわなぁ」
盗賊「……」
召喚士「頑張ろうよ!別にそれが目的ってわけじゃないけどさ」
魔道士「そうですよ!やっぱり喜ばれるって幸せな事ですものっ」
盗賊「…だな」
戦士「よーし!そんじゃまずは……明日、人助けだな!!」
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