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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その22
726 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 18:21:17.69 ID:BLsOipko
カタッ…カタカタガタガタガタッ…ドサッ

資料室長「地震か……?」

パラパラパラ…パラッ

資料室長「……落ちないよう新しい棚でも手配して頂くか」

パラッ…

『議会』

◆議会の可決、否決については議決権の多数決により決定する。

◆議決権は士官以上の職務者が保有するものとする。[1]

◆議会の進行は本国内、議事堂に於いて本会議をするものとする。

◆本会議後、各司令部又は要所にて答弁、演説を行い投票を促すものとする。[2]

◆議会の開会においては各機関の責任者、又は代行者の承認を必要とする。

[1]但し、士官以上でなくとも、一部要職者に於いては議決権を得る場合がある。

[2]但し、必須事項ではない。

パタンッ

資料室長「…よいっしょ。これで全部かな」


727 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 18:22:50.37 ID:BLsOipko



召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第二十八部〜



728 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 18:23:55.95 ID:BLsOipko
〜東方司令部〜

青年兵「……あ…っ」

カツカツカツ

東方司令「ん?」

青年兵「ご、ご苦労様です…!」

東方司令「…はぁ」

青年兵「……っ」

タッタッタッタッタ

東方司令「……何だ?」

俯き気味に走り去る青年兵を目で追い、東方司令は首を傾げた。

タッタッタ…テクテクテク

青年兵「…はぁ、何だか気まずいなぁ」

テクテクテク

青年兵「……さーて。頑張れよー青年兵っ!」

両手で己を頬を叩き、青年兵は食堂の扉をゆっくりと開いた。


729 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 18:24:42.81 ID:BLsOipko
〜食堂〜

青年兵「…流石に昼時、混んでるなぁ。えぇと……」

キョロキョロ

青年兵「……いたっ!!」

カツカツカツカツ…ザッ

東方伍長「…おっ、青年兵じゃねぇか」

青年兵「先輩、偶然ですね」

東方伍長「コイツは魔道学校の後輩でよぉ」

東方兵「へぇ」

東方伍長「なぁ、青年兵……」

スクッ

青年兵「……」

東方伍長「どうした…?険しい顔して……」

青年兵「失礼ですが先輩、あなたは伍長ですよね?」

東方伍長「……?」


730 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 18:25:37.18 ID:BLsOipko
青年兵「申し訳ないが、僕は中尉です。士官にその言葉遣いはいかがなものか」

東方伍長「な…っ!」

青年兵「伍長が中尉である僕にその態度はいかがなものかと申しているのだ」

東方伍長「……っ」

ザワザワザワッ

東方兵「ご、伍長…っ」

青年兵「直属ではないにしろ、立場をわきまえて頂きたいな」

東方伍長「……くっ!」

カツカツカツ

東方参謀「どうした?」

魔道兵「何やら、本国の士官と伍長が揉めている様です…!」

東方参謀「……ほぅ」

青年兵「あなたが東方司令部に居る間に、私はあなたの上になったのです」

東方伍長「ちっ」

青年兵「しかも今の私は近衛所属。先輩とは大違いなのですよ」


731 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 18:26:24.50 ID:BLsOipko
東方伍長「…お、俺だって…好きで東方司令部なんかに……」

青年兵「何か?」

東方伍長「本国に居れば…ち、中尉殿と同様の立場だったと自負…します」

青年兵「なら、戻れば宜しかろう」

東方伍長「戻れるもんならなぁ、とっくに戻って……お、おります…っ」

青年兵「…はははっ。負け惜しみにしか聞こえませんな」

ザワザワザワ

青年兵「…皆さんもですよ。こんな若造に先を越されて、悔しくないのですかね」

魔道兵「……っ」

青年兵「己で動こうともしなければ道は拓かれない…。お忘れなく」

テクテクテク

青年兵「…チャンスは逃さぬものですよ。いつ転がってくるか分かりませんからね」

テクテクテク

東方伍長「あの野郎…っ、ナメやがって…!」

魔道兵「……本国にさえ戻れりゃ、くそ…っ」


732 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 18:27:06.34 ID:BLsOipko
カツカツカツカツ…

青年兵「…はぁ、心が痛む」

東方参謀「ならば、やらなければ良かろう」

青年兵「!!……東方先生」

東方参謀「なかなか大胆な手を打ったな」

青年兵「士官でない皆様には反感を買いましたが……」

東方参謀「あの場に居合わせた士官は危機感を抱いただろうな」

青年兵「…だと良いのですが」

東方参謀「議会はいつ開くつもりだ?」

青年兵「これより本国へ戻ります。明日には提案致します」

東方参謀「……早いな」

青年兵「今回ばかりは後手に回っては手遅れですからね」

東方参謀「と、いう事は……」

青年兵「ええ。これで失礼します」

東方参謀「次に会うのは…本会議後の各部演説の時か」


733 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 18:29:18.72 ID:BLsOipko
青年兵「おそらくは…」

東方参謀「…ふん。せいぜい気を付ける事だな」

青年兵「ありがとうございます」

カツカツカツカツカツ…

青年兵「……あっ」

東方副司令「これはどうも」

青年兵「ご苦労様です」

東方副司令「先程、士官達が動揺しておりましたよ?」

青年兵「申し訳ありません……」

東方副司令「ふふっ、お手柔らかに頼みますよ。中尉殿」

青年兵「はい…。では、失礼致します」

カツカツカツカツ…

東方副司令「……」

東方司令「…帰ったのか?」

東方副司令「これは司令…。そのようです」


734 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 18:42:25.99 ID:BLsOipko
東方司令「…全く。右だ左だと騒がしい事だ」

東方副司令「ええ…っ」

東方司令「それで、お前はどうするんだ?」

東方副司令「私ですか?…あまり、興味がありませんなぁ」

東方司令「…そうなのか。てっきり左翼派かと思っていたぞ」

東方副司令「そういう司令はどうなさるのです?」

東方司令「ボクはいつも白紙さ。そんなものは上が好き勝手すればいい」

東方副司令「う、上って…。司令も十分上の立場で……」

東方司令「ボクだってやりたくてやってるわけじゃない。そんなものは要らん」

東方副司令「はぁ……」

東方司令「まぁいいさ。ここも暇になった事だし、少しくらい揉め事も構わんか」

東方副司令「ふ、不謹慎ですぞ!」

東方司令「デカイ声を出すな…っ。頭に響く……」

東方副司令「ま、また二日酔いですか…!?」

東方司令「……うるさい!」


736 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 23:44:01.99 ID:MHDVLKQo
〜東方、都〜

テクテクテク

盗賊「……」

テクテクテク

盗賊(お土産……買っておこうかな)

テクテクテク

盗賊(でも…欲しい物ないし、渡す人もいないか)

女剣士「おい」

盗賊(戦士…何買ったんだろ。あとで聞いてみようかな…)

女剣士「おい!」

盗賊「!?」

女剣士「忍のくせに鈍感な奴だな」

盗賊「…確か……女剣士?」

女剣士「…頼みがある」

盗賊「……?」


737 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 23:44:37.75 ID:MHDVLKQo
〜港〜

右秘書官「では、間もなく出航致します」

戦士「アイツ…どこほっつき歩いてんだか……」

魔道士「盗賊さん、帰ってこないですねぇ…」

召喚士「あっ、帰ってきましたよ!」

テクテクテク

盗賊「…すまん…待たせた」

西方参謀「おや?その嬢ちゃんは確か……」

女剣士「……」

盗賊「…頼みが…あるそうだ」

右秘書官「…?」

女剣士「本国まで乗せて行って貰えないか…?」

隊長「あぁ?東方から出るのか!?」

召喚士「う、上様はいいんですか…?」

女剣士「承知の上だ。案ずるな」


738 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 23:45:16.70 ID:MHDVLKQo


右文官「では、出航するぞ!」

戦士「おう!」

魔道士「忘れ物…ないですよね?えぇと……」

召喚士「盗賊さん」

盗賊「……ん?」

召喚士「何か…ありましたか?」

盗賊「…え?」

召喚士「いや、少し…スッキリしたような感じが…」

盗賊「…そうかもな」

召喚士「え…?」

盗賊「…いや、何でもない」

戦士「おぉーい、船内で食事済ませるってよー!」

召喚士「うんっ!今行くよーっ。行きましょう、盗賊さん!」

盗賊「……ああ」


739 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 23:46:07.08 ID:MHDVLKQo
〜本国、王宮〜

門兵「ご苦労様であります!」

青年兵「……どうも」

カツカツカツカツ

青年兵「右大臣様はいらっしゃいますか?」

近衛兵「青年兵殿!…少々お待ちを」

青年兵「……」

カチャッ

右大臣「…戻ったか」

青年兵「ただいま帰還致しました」

右大臣「それで、如何にするつもりだ?」

青年兵「殿下らへは既にご報告済みであります。あとは……」

右大臣「…私の力が必要か」

青年兵「…申し訳ありません。それにもう一人……」

右大臣「……あやつか。良かろう…迅速に伝令を送ろう」


740 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/16(木) 23:59:55.01 ID:MHDVLKQo


青年兵「…では、失礼致します」

右大臣「うむ。こちらの事は任せておけ」

青年兵「…お願い致します」

カツカツカツカツカツ…

右大臣「まだまだヒヨッコと思っておったが…なかなかどうして…。ふっふ」

カツカツカツ…

青年兵「……もうこんな時間か」

冬の日没は早く、辺りはあっという間に暗闇が包み込む。

タッタッタ

門兵「青年兵様!!」

青年兵「…?」

門兵「港に……東方からの船がっ!!」

青年兵「何っ!?すぐに行く!!」

門兵「あっ!せ…青年兵様!」


741 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/17(金) 00:20:12.04 ID:KX.F2cAo
〜本国、港〜

戦士「……帰ってきたぜ、本国!」

魔道士「帰ってきましたね〜!」

戦士「しかし帰りはあっという間だったな…」

召喚士「潮の流れがあるからね」

盗賊「…それに…東方は日没が早いからな」

魔道士「なるほど…っ」

右文官「ゆっくりしたいのは山々だが、急ぎ王宮へ向かうぞ」

隊長「俺らはひとまず、国軍本部に戻るとする」

西方参謀「報告が山ほどあるからな」

右秘書官「はい。それでは…ご苦労様でした」

召喚士「ん…?あれ……」

タッタッタッタッタ

青年兵「皆様、ご無事で!!」

召喚士「青年兵くん!」


742 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/17(金) 00:25:20.30 ID:KX.F2cAo
青年兵「噂はこちらでも伺っておりますよ。お疲れ様でした!」

召喚士「青年兵くんこそ……色々大変だったみたいだね…」

青年兵「…ま、まぁ。あまり思い出させないで下さい…っ」

西方参謀「がっははは!是非、拝みたいものですな〜」

魔道士「西方参謀さんっ!」

西方参謀「おっと、んじゃ…行くとすっか」

隊長「ああ。それじゃあな、失礼する」

戦士「お疲れっした」

スタスタスタ…

右文官「それで、こちらの首尾は?」

青年兵「はい。王宮でご説明致します」

右秘書官「うむ。殿下とエリート殿は東方に留まっている」

青年兵「はい。好都合です」

右秘書官「……流石だな。殿下の仰られた通りだ」

青年兵「……?」


743 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/12/17(金) 00:32:19.47 ID:KX.F2cAo
こんばんは!なんとかポジティブに生きたいです
此度もご支援ありがとうございました!

>>723
増えすぎて分かり難いですね…申し訳ない…
投票所はそうだったのですね。なるほど…

それでは、おやすみなさい!ノシ

〜次回予告〜

占い師「本国へと戻った召喚士達」

占い師「そこではついに、右翼と左翼の激突が始まる」

占い師「互いの信念と理想を掛けて…向かえる人類の運命とは!?」

占い師「次回、第417話【右翼、魂の座】」

占い師「この次も、サービス、サービスゥ!」


749 名前:三日目東R59Aがお送りします [] 投稿日:2010/12/17(金) 08:52:47.43 ID:EwDK7RcP
青年兵「どうした伍長?私は中尉だぞ?」

東方伍長「青年兵・・・様・・・くっ!・・・」

召喚士(国軍付きワーカー)「おーい!せいねんへいく〜ん!」

青年兵「あ、召喚士さん!」

東方伍長「え?」

ってならないかな?


751 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/17(金) 17:14:27.17 ID:kd3YQy6o
〜経済機関、庁舎〜

左文官「何っ!まことか…!?」

左翼官「間違いありません」

左文官「……」

コツコツコツ…

左大臣「何かあったかァ?」

左翼官「左大臣様…!」

左文官「東方より船が戻ったそうです」

左大臣「何ぃ…?」

左翼官「しかしながら、殿下はまだお戻りないとの事で……」

左大臣「……ほぉ」

左文官「おそらく議会を引き伸ばす為に、滞在を延期したようですな」

左大臣「悪あがきだなァ、愚策よ。私なら逆手にとる」

左翼官「逆手…ですか?」

左大臣「そう。先に議会を開いてしまうのさァ。ふっははは!」


752 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/17(金) 17:15:04.34 ID:kd3YQy6o
左翼官「な、成程……」

左文官「ひとまずは、左秘書官殿らを東方司令部より引き揚げさせましょう」

左大臣「そうだなァ。下準備も進めておかねばならん」

左翼官「早速、手配致します」

左文官「うむ」

左大臣「他の連中の動きはどうだァ?」

左文官「青年兵が何やら動いておりましたが、気にする事もないでしょう」

左大臣「…些細な事でも後の憂いになる事もある。目は離すなァ」

左文官「…ははぁ」

左大臣「本会議と東方司令部さえ落とさねばァ…負ける事はない」

左文官「ですね。そこは徹底的に固めております」

左大臣「無論だァ。もしここで左翼が負けるような事があればァ…」

左文官「ま、万に一つも……っ」

左大臣「もしもの話だァ。負ければ今後、左翼に勝ち目はなくなるという事だァ」

左文官「……胆に命じておきまする…っ!」


753 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/17(金) 17:15:55.55 ID:kd3YQy6o
〜王宮〜

門兵「おかえりなさいませ!!」

右秘書官「ご苦労様です」

魔道士「そういえば…女剣士さんは!?」

右文官「途中のターミナルで降りたぞ?」

召喚士「え!?そうなんですか…?」

魔道士「船内でも全然見かけませんでしたし…。お話したかったなぁ…」

右文官「うむ。挨拶くらいと思ったのだが…さっさと行ってしまったわい」

盗賊「……不器用なのだろう。察してやれ」

戦士「……ほー」

盗賊「…な、何だよ…っ」

戦士「別に」

青年兵「さて、こちらです」

右文官「私は報告を上げねばならん。あとは皆に任せたぞ」

右秘書官「はい。報告はお任せ致します」


754 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/17(金) 17:16:36.55 ID:kd3YQy6o
〜会議室〜

右秘書官「それで、本国の動きはどうなのだ?」

席に着くやいなや、開口一番で右秘書官は青年兵に問いかける。

青年兵「順調……と言うわけではありませんが、難航もしてはおりませんね」

右秘書官「ほぅ…」

青年兵「つい先程、右大臣様にご依頼を致しました」

戦士「依頼…?」

青年兵「ええ。明日には事が動くかと思います」

右秘書官「早いな…っ。お見それした」

青年兵「いえ…。それで、殿下とエリート様は何と…?」

右秘書官「こちらに一任するそうだ。一応書面も頂いてきた」

青年兵「……畏まりました」

右秘書官の差し出す書面を受け取り中を読む青年兵は、力強く頷く。

青年兵「あとは…役者が揃えば……」

盗賊「…?」


755 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/17(金) 17:17:10.68 ID:kd3YQy6o
右秘書官「この直前となって、まだ手を打つのか…っ」

青年兵「策は二重にも三重にもあった方が良いものです」

右秘書官「我ら政治屋には浮かばぬ発想よ…っ」

青年兵「……すみません」

右秘書官「いや、褒めておるのだ。頼もしい限りだよ」

青年兵「ありがとうございます」

右秘書官「……さて、朱雀先生方には議会に出席して頂こうと思っている」

召喚士「え!?」

青年兵「僕も考えておりました」

戦士「俺らが話し合いに参加すんのかよ…っ。めんどくせぇ……」

右秘書官「難しい事を述べる必要はない。目で見たものを伝えてくれれば…」

魔道士「目で見た…もの?」

青年兵「東方の情勢です」

召喚士「…なるほど」

右秘書官「東方司令部に対しての牽制だ。怖がらせてやってくれ…ふふっ」



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