■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その11
106 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:34:19.69 ID:MrMGduoo
――第13次北方防衛戦。

トロル隊総勢300匹は隊を三つに分け、
 国軍の各拠点へ向け侵攻する。

これに対し国軍は隊を二つに分け、
 総数のほとんどを北関へ進める。

この動きを察知したトロル隊は全隊を合流、
 北方司令部一点を叩く作戦へと変更する。

しかしこの動きは国軍の想定内であり、
 北関の守備に備えるワ−カーを入れ違いで
 司令部へと移動。数の不利をカバーする。

北関方面からのトロル隊は、
 朱雀先生率いるワーカーの奇襲、
 及び本陣の奮闘により壊滅。

港方面への備えについては、
 司令部による篭城からの牽制、及び
 二人のワーカーによる援護を受け、
 無被害にて戦力を削る事に成功する。

両軍共に既存部隊は、
 北平原にて交戦中の本隊へと
 合流し、交戦を開始した…。

パサッ…


107 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:34:30.22 ID:MrMGduoo
総司令官「……それで?」

大軍師「はい」

総司令官「……しかし」

大軍師「…?」

総司令官「随分…面倒な戦略だね」

大軍師「確かに」

総司令官「……」

大軍師「しかし効率は良いですよ?」

総司令官「……ん」

大軍師「兵に被害を出さず、ワーカーに働いて貰う…」

総司令官「…」

大軍師「双方の思惑が合致した、合理的な戦略です」

総司令官「…そういうの…好きじゃないけどねぇ」

大軍師「…そうでしょうね。ふふふ」

総司令官「ん…まぁいいや。続きを……」


108 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:34:43.52 ID:MrMGduoo
〜北の平原〜

北方司令「……」

トロル「何か…『こんなバカな!』って顔してるな」

北方司令「……っ!!」

北方司令は左肩を押さえ、地面に肩膝をつく。

トロル「裏でゴチャゴチャ動いてたみてぇだが…」

ザッザッザ…

トロル「コイツらはただの数合わせだよ。バーカ」

剣兵長「本隊がこれ程…強いとは…!」

剣兵「別格だ…!勝てるわけがない…」

ドズッ…ドズッ…ドズッ!!

中央に立つ、一際大きなトロルが口を開く。

大将「グッハハハ!力量を見誤ったなぁ…」

北方司令「…ぐ…うぅ…っ」

周辺には無残にも散った兵達の亡骸が転がる。


109 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:34:53.18 ID:MrMGduoo
トロル「あんだけいた餌もあと20ってとこか」

大将「やめとけ。マズくて食えたもんじゃねぇや」

トロル「ガハハ!仰る通りで!!」

ザッ

立ち上がろうとする北方司令に、大将は見下し呟く。

大将「やめとけやめとけ。死に急ぐな」

北方司令「皆…、下がれ…」

剣兵「!?」

北方司令「早くっ!!」

ドズッ…ドズッ…ドズッ…

大将「立つのもやっとじゃねーか…」

大将は北方司令の腕を掴み、身体を起こす。

ガシッ……ブンッ!!…バギャアァッ!!

北方司令「―――!!」

剣兵長「司令ーっ!!」


110 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:35:02.33 ID:MrMGduoo
ザンッ…バシャッバシャッ…ドシャッ…

大将に起こされそのまま殴り飛ばされた司令が、地面を転がる。

大将「心配するなって。殺してねーよ」

剣兵「…う…あぁ…!!」

大将「ま、これから殺すけどな」

大将は右手をゆっくり挙げ、前方へ振り下ろす。

トロル「行けぇーっ!!」

突撃の合図を受け、多数のトロルtが一気に襲い掛かる。

バシャバシャバシャッ…ドドオォンッ!!…バキバキバキィ!!

トロル「何だぁー!?」

大将「土の…壁…?」

トロル達は突如目の前に現れた巨大な土壁に動きを止める。

壁の反対側よりかすかに声が聞こえる。

トロル「な…なんだってんだ…?」

大将「めんどくせぇ!回り込め!!」


111 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:35:10.73 ID:MrMGduoo
メキメキッ!!……バゴオオォォンッ!!

トロル「ぐわっ!!」

大将「か、壁がっ!!」

土壁は勢いよく破壊され、岩石がトロルの群れに降り注ぐ。

トロル「な、なん…ぐげぇ!!」

大将「下がれ!何か来……」

壊れゆく土壁の中心から、巨大な右拳が顔を出す。

ドゴオォォンッ!!…バキッ…ガシャッ!!…バキィ!!…

その巨大な拳と吹き飛ぶ岩により、トロルが次々と後方へ吹き飛ぶ。

大将「……なんだ…お前らは…?」

ザッ

スフィンクス「さぁー!かかってこぉーい!!」

北方司令は身体を起こし、一同の先頭にいる男に声をかける。

北方司令「朱雀……先生…っ!!」

召喚士「…お待たせしました」


112 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:35:18.06 ID:MrMGduoo
ジャリッ…

戦士「さーてテメェら、覚悟しやがれ!!」

盗賊「……ふーっ」

戦士が十字槍を前方へ構え、その横に盗賊が立つ。

ボキッ…ボキボキッ!!

お父「………」

召喚士「では…陣形は手筈通りに!」

ワーカー「おう!行くぞおらぁ!!」

ダッ!!

大将「たかがその数で何を粋がる!当たれっ!」

トロル「グラアアァァッ!!」

両軍の前衛が互いにぶつかる。

剣兵長「魔法が効かねぇぞ!!」

戦士「分かってるよ!!」

北方司令「朱雀先生…っ」


113 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:35:25.94 ID:MrMGduoo
召喚士「…はい」

北方司令「気をつけろ…。魔法付加も通じんぞ…!」

召喚士「…!?」

戦士「うおりゃあっ!!」

ブオンッ!!…ザシュザシュッ!!

戦士は十字槍を大きく振り回し、道を開く。

戦士「行けぇ!」

盗賊「ああっ!」

タタッ

その隙間を盗賊が潜り抜け、密集するトロルを

中より斬り払い、混乱させる。

戦士「まずは散らすぞ!押し戻せぇ!」

ワーカー「おうよっ!」

戦士の横を続々とワーカーが武器を片手に走りぬける。

魔道ワーカー「補助は任せろ!」


114 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:35:35.11 ID:MrMGduoo
魔道士「いきますよーっ!!」

ドドオォンッ!!

ワーカー「風で…雨が!?」

盗賊「…視界が…開ける!」

タンッ!!…バシュッ!!…ザバッ!!

召喚士「出だしは順調…!次は…」

グイッ

召喚士「……」

北方司令「後方の…トロル……」

召喚士「あの大きな…?」

北方司令「奴が…大将だ。気をつけろ…!」

召喚士「…分かりました」

ザッ

召喚士「オークさん!」

オーク「はははひいぃ…っ!」


115 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:35:43.41 ID:MrMGduoo
召喚士「この方を後方へ。頼みます」

オーク「は、はいっ!」

幼女「…私も…手伝う」

テッテッテ…

召喚士「さて…」

ザッザッザ…

トロルは徐々に混乱を収めるが密集はなく、

ワーカーが左右へ分断する形となる。

戦士「よぉーし…!」

召喚士「戦士!いいぞっ!」

戦士「全員!左側のトロルへ当たれーっ!」

ワーカー「おうっ!」

女ワーカー「たあっ!!」

前衛のワーカーが中央から一斉に、

左側のトロル達へ斬り込む。


116 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:35:51.37 ID:MrMGduoo
大将「何をしてる!挟撃しろ!」

トロル「リャアアアア!!」

ダダダッ!!

召喚士「スフィンクス!!」

スフィンクス「はいはーい!」

反転したワーカーを追う右側のトロルへ、

スフィンクスの両拳が直撃する。

スフィンクス「両手ぱーんちっ!!」

ブオォッ!!…グシャバキイィィッ!!

トロル「ご…がぁ…っ!」

戦士「入った!クリーンヒットってか!!」

右側に位置するトロルの群れは、強烈な

スフィンクスの一撃で遥か後方まで吹き飛んだ。

召喚士「残るは左側…っ」

盗賊「……20ぐらいか」


117 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:35:59.35 ID:MrMGduoo
ドズッ…ドズッ…ドズゥンッ!!

大将「どけい…。俺が殺る」

召喚士「……」

盗賊「…強いな」

戦士「持久戦は不利だな。一気にいくぞ…!」

召喚士「…うん」

ダッ!!

戦士「っりゃあ!!」

戦士は勢いよく飛び、頭上で槍を回転させた後、

大将めがけ一気に振り下ろす。

ビュオッ!!…ガンッ!!

戦士「な…にぃ!?」

しかし戦士の槍は容易く、大将の斧に弾かれる。

大将「……ふんっ!!」

バギャアァッ!!


118 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:36:09.69 ID:MrMGduoo
大将は左手の斧を構えたまま、右手で拳を作り殴りつける。

戦士「…っ!!」

ドシャッ!!…バッシャアァッ!!

戦士「…ぐ…っ!!」

魔道士「戦士さんっ!大丈夫ですか!?」

戦士「ああ。お陰で助かった…!」

戦士は土の壁を貫き殴られた腹部をさする。

召喚士「戦士の腕力でも押されるのか…!」

盗賊「はぁっ!」

シュルッ…ビュオオッ!!

盗賊の放つ鎖が、大将の右足に絡みつく。

魔道ワーカー「おらよぉ!!」

ドドォンッ!!…ドドドド…ボゴォッ!!

大将「ちぃ…っ!足元を…」

雨に濡れた地面から蔓が伸び、大将の足元に絡みつく。


119 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:36:16.91 ID:MrMGduoo
ワーカー「うりゃあ!」

お父「はぁ!!」

キィンッ!!…バギィッ!!

お父「!?……硬いっ!」

ワーカー「け…剣がっ!?」

大将「グハハハァ!!叩き潰してくれるっ!」

召喚士「今だーっ!」

スフィンクス「とぉーっ!!」

大将「!?…こっちが狙いかっ!」

スフィンクスは再度両腕を伸ばし上空を飛び、

その両拳は大将一匹に焦点を合わせる。

スフィンクス「ぱーんち……」

大将「ッガアアアァァァ!!」

ドゴオオォォ!!…バチバチッ!!…

スフィンクス「お兄ちゃん…」


120 : ◆1otsuV0WFc [saga] :2010/02/02(火) 16:36:25.29 ID:MrMGduoo
スフィンクスの拳が到達する前に、

大将の拳がスフィンクスを捉えた。

大将「………」

スフィンクス「負けちゃったよぉー…」

シュイィィン…

魔道士「蔓が…!?」

魔道ワーカー「嘘だろ…?全部引きちぎられ…」

盗賊「…くっ」

ジャララッ!!

盗賊は無理やり引っ張られた鎖を解き戻す。

召喚士「スフィンクスでも…だ…駄目…」

フラッ…ドシャアァ…

魔道士「召喚士さんっ!!」

戦士「くっそぉ…!今ので魔力のほとんど持ってかれたな…」

ドズッ…ドズッ…



次へ 戻る 戻る 携 上へ