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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その41
32 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 17:57:31.29 ID:lN6++97go
〜封印の森〜

白虎嬢「あっ、馬車が来ましたねぇ〜」

 ガラガラガラッ ドドォ

本国兵「ご苦労様ですっ!! お待たせ致しました!!」

大軍師「それでは一先ず、大陸港の街まで移動致します」

男隊員「おい、行かねーのか?」

同門「……戦いは終わったんだ。もう群れる必要もない」

白虎長「寂しいこと言わないでよぉ。一緒に戦った仲じゃない」

大軍師「褒賞もございますし、一度本国へ来て頂けると……」

美女「うそっ!! マジ!?」

同門「そんなものの為に戦ったわけじゃない」

大軍師「ですが……」

同門「もういいだろう。1人にしてくれ」 ザッザッザッ……

紅孩児「……おい」

同門「……」 ピタッ


33 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 17:58:18.10 ID:lN6++97go
紅孩児「次に会う時は、どっちが本物の炎か……ケリつけっからな」

同門「また返り討ちにしてやる」

紅孩児「また!? おいコラ!! 俺様はテメーごときに1度も負けてねぇぞ!!」

同門「……」 ザッザッザッ……

紅孩児「……ケッ!」

剣士「紅孩児、君はどうするんだ?」

紅孩児「魔王が居なくなったってのに、ウロつくわけにもいかねーだろ」

弓使い「そりゃそうだけど……」

紅孩児「しばらくは安全な所へ避難してるよ。力が戻るまでな……ククク」

西方司令「何がクククだ。強がりやがって」

紅孩児「んだとぉ!? ウグッ……痛……っくねぇッ」

南方司令「はっはっは! 紅孩児、正義になれ! お前ならばなれる!」

紅孩児「うるせーバーカバーカ!! 二度と関わるな!!」 ババッ!!

幼女「あ……っ」

剣士「大丈夫……彼も分かってるよ」


34 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 17:59:19.73 ID:lN6++97go
大軍師「安全な場所など1つしかありませんからねぇ。ふっふ」

ジュニア「そんじゃ行こうぜ。もうクッタクタだよ。……あ、そうだ親父――」

戦士父「……そういえばどこへ行った?」

バーテン「さぁ。見てねーぞ?」

ジュニア「――!?」

 ババッ タタタッ……キョロキョロ

ジュニア「……っ」

戦士父「師匠の姿もないな」

バーテン「くたばったわけじゃねぇ。そのうち会えんだろ」

ジュニア「…………くそっ」

王子「さぁ行きましょうか」 スッ

帝「おお、すまぬ」 ススッ

王子「せっかくの美しい手が……汚れてしまいましたね」

帝「ふふっ、何だか照れくさいのう。もうマメやら傷やらでぼろぼろじゃ」

王子「今後はもう傷付く事もありませんよ。はははっ」


35 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 17:59:49.91 ID:lN6++97go


 バシュウウウウゥゥゥゥ

コカトリス「見えてきたぞ」

召喚士「……良かった。もう着きますよ、サモナーさん」

サモナー「うん……そうだね」

召喚士「……着地出来る?」

コカトリス「木々が多いが何とかなろうだろう」

召喚士「あっ!! あそこっ!! あの泉の所なら降りられる!?」

コカトリス「ああ。問題ない」

 バシュウウウウゥゥゥゥ……バサァ

召喚士「サモナーさんっ、着きましたよ!」

サモナー「……うん」

召喚士「さぁ、背中に」

サモナー「…………うん」

召喚士「よいっしょ! とりあえず泉のベンチに……」


36 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 18:00:16.70 ID:lN6++97go
サモナー「…………」

召喚士「サモナー……さん……?」

 ヨロッ……ヨロッ……テクテク……ザッ

召喚士「…………」

サモナー「…………」

召喚士「今……紅茶、淹れてきますね……」 テクテク

 バシュウウウウゥゥゥゥ!! ズザアアァァ

青年兵「召喚士さんっ!」

玄武娘「サモナー様!!」 ダッ

サモナー「…………」

玄武娘「サモ……ナ……様ああああぁぁぁぁ!!」 ガバッ!!

朱雀嬢「……っ」

魔道士「そ……んなぁ……っ」

サモナー『玄武娘』

玄武娘「っ!?」


37 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 18:00:43.11 ID:lN6++97go
サモナー『玄武娘、ありがとう』

玄武娘「そんな言葉ぁ!! 聞きたくないですのっ!!」

サモナー『ありがとう……ありがとう……』

玄武娘「嫌っ! 嫌っ! 嫌っ!! 嫌――」

朱雀嬢「玄武娘」

玄武娘「…………」

朱雀嬢「ちゃんと……挨拶なさいですわ……」

玄武娘「……ううぅぅぅぅ……ううぅぅっ」

サモナー『ありがとう……玄武娘』

玄武娘「どうしたしまして……ですの……」

サモナー『ありがとう玄武娘』

玄武娘「どういたしましてですのおおおおぉぉぉぉ!!」 ブワッ

サモナー『ありがとう……』

玄武娘「こちらこそおおぉぉ!! ありがとうですのおおぉぉ!!」 ボロボロボロッ

サモナー『……ありがとう』 スッ


38 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 18:01:11.93 ID:lN6++97go
魔道士「うっ、うぐ……っ。うっ、ひぐっ!」

盗賊「……っ」 グスッ

サモナー『召喚士くん』

召喚士「紅茶、ここに置いておきますね」 カチャッ

サモナー『ありがとう召喚士くん』

召喚士「ここに……ここ……っに……」 カチャカチャカチャ

サモナー『本当にありがとう……召喚士くん』

召喚士「……俺っ」

青年兵「……っ」

召喚士「サモナーさんと出会えていなかったら、ここまで来られなかった!!」

青龍士官「……くっ」

召喚士「召喚獣とこんなにも真剣に向き合って、理解して……っ!!」

戦士「……」

召喚士「サモナーさんのそんな姿を見たからこそっ、一人前の召喚士になれましたっ!!」

玄武娘「ひぐううぅぅぅぅ!! ぐすっ、ううっ、ううぅぅぅぅ……っ」


39 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 18:02:28.79 ID:lN6++97go
召喚士「だから一緒に見たかった!! このあとの世界を一緒にぃ!!」

さもなー『……ありがとう……召喚士くん』 パアァ

戦士「!?」

盗賊「い、泉……輝いて……っ」

玄武娘「サモナー様ああぁぁ!! 行っちゃ――」

マーメイド『みんな、本当にありがとう』 パアァ

召喚士「マーメイドさん……っ! サモナーさんを宜しくお願いしますっ!!」

サモナー『ありがとう……ありがとう……』 パアァ

マーメイド『さぁ、行きましょう……サモナー』

サモナー『これからはずっと一緒だ――』

マーメイド『ええ。いつまでもずーっと一緒に――』

 バシュウウウウゥゥゥゥン――――

召喚士「ありがとう……そして、さようなら……サモナーさん」

 光り輝く泉の中に、2人の男女が今……夫婦となりて消えゆく――。

 サモナー。享年34歳。


56 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 23:36:32.39 ID:k/ElQoYJo
魔道士「うぐっ、うっうっ……うぅ」

盗賊「……」

青龍士官「…………」

朱雀嬢「玄武……娘……っ」

玄武娘「うああああぁぁぁぁ……っ!!」

青龍士官「整列ううぅぅーっ!!」

青年兵「……?」

青龍士官「竜騎士隊ぃ! 英雄サモナー殿に……敬礼っ!!」

竜騎士兵「……」 ザザッ

青龍兵「……っ」 バッ

戦士「サモナーさんに……悔いはねぇよな」

召喚士「……うん……うんっ」

玄武娘「サモナー様ぁ! 私……頑張るっ、頑張るですのおおぉぉ!!」

召喚士「どうか見守って……照らして下さい。俺らの……道を」



57 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 23:37:57.21 ID:k/ElQoYJo
 それぞれの信念を貫いたそれぞれの戦い。

バーテン「あー疲れた……。しばらく休業だわこりゃ」 ガチャッ

戦士父「悪いが横にならせてくれ。もう動きたくない……」 ドサッ

青年「ままま魔道士ちゃああぁぁぁぁん」 ガチャッ!!

バーテン「休業中だバカヤロー!!」

 長いとも、短いとも言える人間と魔族の戦い。

ジュニア「お前はこれからどうすんだ?」

賢者「……そうだね……ふぅ」

火の先生「学園長の下に、我らと帰ろうぞ」

水の先生「そうだよ。君達も来てくれ。未来を繋ぐその為に」

 交錯する互いの想い、紡ぎだされる一筋の道。

女隊員「それじゃ帰るッスかね、隊長!」

男隊員「おうよ。帰ってガッツリ……そうだな、1ヶ月は有給取っかな。ヒャハハ!」

格闘家「そうですね。ゆっくりしたいですね」

ボス「戦い以外のことも、色々とね」


58 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 23:39:02.28 ID:k/ElQoYJo
 1つ1つの輝きは小さいけれど、それは世界中に散らばっている。

白虎嬢「おかえりなさい〜」

玄武娘「ううぅぅぅぅーっ! 白虎嬢ぢゃああぁぁん!」 ダキッ

白虎長「彼もやっと、ゆっくり出来るんだよね……」

朱雀嬢「自らが望んだ道ですわ。きっと……幸せですわよ」

 1つ1つは小さな光であろうとも、1つに集えば大きな光となる。

女王「お帰りなさい……王子っ」

王女「無事で……無事で何よりです……っ」

王子「ただいま母上、姉上」 ニコッ

 大きな光となった絆は、更なる大きな輝きを増す。

美女「……ただいま」

赤い彗星「……私はな、お前を今改めて、誇りに思うぞ」

 決して失われる事のない大きな輝き。消える事のない大きな光。

東方司令「司令部は解散。ボクは国軍を抜けるよ」

東方参謀「奇遇だな。ワシもそう考えていたところだ」


59 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 23:39:52.48 ID:k/ElQoYJo
 また再び闇が迫ろうとも、光は道を照らし続ける。

西方副司令「お帰りなさいっ、司令!」

西方魔道長「これでぜーんぶ、終わったんじゃよな?」

西方司令「ああ終わり終わり! もう何もしたくねぇぞクソバカヤロウチクショウ!!」

秘書「えーっ!? 私達も廃業〜?」

博士「何を言っているのら。これからがもっと大きな仕事になるのら!」

 人々の信じる力がある限り、決して終わる事のない。永遠に。

南方参謀「さぁーお祭りよっ、お祭り!」

南方副司令「気が早えぇっつーの」

南方魔道長「何はともあれご苦労さんだ」

南方司令「だから言ったであろう? 正義は勝つと!」

 誰かが不安を抱こうと、隣には必ず救いの手があるように。

弓使い「あーっ!! 洗濯物……干しっぱなし!!」

幼女「大丈夫だよ。いーっぱい報酬貰えるもんっ」

剣士「それもそうだね。これで故郷の村にも大きな恩返しが出来るよ。あははっ」


60 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 23:41:05.86 ID:k/ElQoYJo
〜本国、王宮〜

大軍師「以上、ご報告を終了致します」

エリート「全員無事、本当に最高の結果だ」

皇太子「ご苦労であった。皆には本国より多大なる報酬の手配を」

高官「勿論でございます。世界を救ったのですから」

右大臣「これでようやく、長い戦いから解放されたのだな」

占い師「ええ。私にも良い未来しか見えません……っ」 ウルウル

双子姉「ついに魔王サタンを倒して……」
双子妹「……世界が救われたのですわねっ」

〜王宮内〜

アマゾネス「ただいま、みんな」

おさげ「長ーっ!! おっかえりー!!」

色黒「やったやったやったぁ! 長が帰ってきたぁ〜!」

ポニテ「ねぇ長っ! アマゾネスの村に帰れるんだよねっ!?」

ツインテ「ふにゃあ〜っ、良かったにゃあ〜!!」


61 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 23:42:09.55 ID:k/ElQoYJo
〜とある小さな村〜

魔法剣士「……」

ケルベロス「ワンワンワンッ!」 タッタッタッ

魔法剣士「ただいま、ケルベロス」

ケルベロス「クゥ〜ン」 ペロペロ

魔法剣士「ありがとう。これでやっと……父さんや母さんや妹に報告出来るよ」 ニコリ

〜国軍本部〜

国軍兵「大元帥万歳ーっ!!」

竜騎士兵「青龍先生万歳ーっ!!」

白虎兵「白虎先生万歳ーっ!!」

青龍士官「やめてくれ。喜ばしい事ばかりじゃないんだ」

白虎長「今はいいじゃない。みんな苦労してここまで来たんだから」

青年兵「そうですね。身中はどうあれ、世界中の人々が歓喜に湧いているのですから」

青龍士官「青龍先生や総司令もきっと、喜んでいるよな」

青年兵「ああ。みんな笑顔だった。あれは幻影だったのかもしれないけれどね」 ニコッ


62 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 23:43:02.90 ID:k/ElQoYJo
〜東方、都〜

家老「上様っ、上様〜っ!!」

帝「皆、心配をかけたな」

女剣士「ご無事で何よりで御座りまする」

門番壱「万ー歳っ!!」

門番弐「万ー歳っ!!」

〜藤蔵〜

侍女「姫ーっ!! おかえり、おかえりー!!」 ギュウウゥゥ

盗賊「……た、ただいま」

くの一「良かった……本当に良か……っ」 グスッ

御館様「務め、ご苦労であった」

盗賊「父上……」

御館様「お前は藤蔵の、そして私の大切な宝だ。誇りに思うぞ盗賊」

盗賊「……ありが……っと御座りまする……っ」 ギュッ

御館様「大きくなったな。お前を抱きしめるのも……何年ぶりであろうかなぁ」


63 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 23:45:28.00 ID:k/ElQoYJo
〜魔道士の家〜

使い「お嬢さん!!」

魔道士「ただいまぁ」

大商家「魔道士……っ、よくぞ帰ってきてくれたっ。よくぞ……っ!」

魔道士母「あなたが無事、帰ってきた事が……私の最高の幸せですよ……!!」

魔道士「お父様、お母様。今まで本当に……ありがとう」 ギュッ

大商家「魔道士……前は私達の大切な、大切な娘だ……っ」

魔道士母「ええっ、そうよ! 私達の大事な宝物!」

魔道士「もちろんだよっ。私の尊敬する……大好きなお父様とお母様だものっ! えへへ!!」

〜戦士の故郷〜

青年「戦士さんっ!! やったね戦士さんっ!!」

幼馴染父「幼馴染は、力になってくれたかい?」

戦士「ええ。とても沢山の力をもらいました」

村長「良かった。戦士はこの村の……いーや、世界中の誇りじゃわい!」

戦士「おれもやっと、この村に恩返しができそうだよ。本当にありがとう。そしてただいま」


64 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 23:46:33.61 ID:k/ElQoYJo
〜師匠の家〜

召喚士「……」

コカトリス「……戦友は戻らんな」

召喚士「うん」

コカトリス「いいのか? 探さなくて」

召喚士「もし師匠が会いたければ、きっと自分から来るよ」

コカトリス「……ま、そういう輩だな」

召喚士「それに離れていても、生きてさえいてくれればそれでいいんだ」

コカトリス「またいつか会える……か」

召喚士「うん。会えるよ。いつだって会える。もう恐れるものなんて何もないんだから」

コカトリス「……そうだな」

召喚士「さて、少し休むとするよ」

コカトリス「ああ。ゆっくりと休むが良い」

召喚士「おやすみ……コカトリス」

コカトリス「ああ……おやすみ、召喚士」


65 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/08/13(月) 23:47:20.80 ID:k/ElQoYJo
 魔王サタン討伐の日。朝刊は少しだけ遅れて人々の手元へと届いた。

 その一面には大きく、太陽の写真が掲載されていた。

 その一面には大きく、世界に真の平和が訪れたと掲載されていた。

 英雄や救世主の名前はない。それは全員の意思であり、

 世界中の全ての人々がそうであったから。

 この日を境に魔族はひっそりと姿を消した。それは滅んだわけではない。

 負の力が消え、魔族は無意識に自然と、最南の地を目指していた。

 この日を境に国境という概念の意味は消えた。

 北関の長い地獄の壁も取り壊される事が決定付けられた。

 世界は文字通り1つとなった。まだ本当の1つではないけれどそれも時間の問題だ。

 そして長い歴史に終止符が打たれた。五カ年計画に終止符が打たれた。

 魔王討伐作戦に終止符が打たれた。魔王サタン攻略戦に終止符が打たれた。

 そして……召喚士達4人の冒険にも終止符が打たれた。



〜第六十三部、完〜


67 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/08/13(月) 23:50:07.60 ID:YFc7e13vo

長い間見守って来たけどついに終わりか
最後まで頑張ってくれ



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