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囚姫「助けてっ!」詐欺師(ここはどこでしょう?) 落ちた・・・
- 116 名前: ◆wV/dOv7SG. []
投稿日:2010/11/26(金) 07:06:48.05 ID:pwkdxaip0
ガッシャーン!!ゴロゴロゴロ・・・
詐欺師「いてててて・・・」ヨロヨロ
領主「詐欺師殿っ!?どうなされたんですか!」
詐欺師「いえ、持って来る物が多すぎてバランスが・・・さすがに欲張りすぎでしたかね?」
領主「これは・・・?」
詐欺師「ちょっとした小道具ですよ」
領主「これは衣装ですか・・・こっちは武器」
詐欺師「はい、これを集めていただいた100人に配ってください。あとは私のお話した通りにお願いします」
領主「わかりました、もうすでに皆に話はしてありますので大丈夫です」
詐欺師「助かります、では私は王宮に向かいますね。約束の時刻まであと4時間と少し・・・急がなければなりません」
領主「どうか・・・どうか娘をお願いします!」ペコッ
詐欺師「お任せください、一世一代の大芝居の幕、上げさせていただきますよ」ニヤッ
最終章 Rescue and Last Night.(救出、そして最後の夜へ)
─バルバット王国 王宮
詐欺師(ここですね、到着までに時間を食いました・・・あと1時間もありませんか)
詐欺師(ここで失敗すれば全てが水の泡・・・今まで受けてきたどんな危険な仕事よりも怖いですね。なぜでしょうか?)
詐欺師(でも、立ち止まるわけにはいきません。いざ・・・)
- 119 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 07:08:40.11 ID:pwkdxaip0
─王宮 玉座の間
詐欺師「お初お目にかかります、詐欺師と申します。国王様におかれましてはご機嫌麗しゅう」
国王「面を上げよ、詐欺師とやら」ブルッ
詐欺師「はい・・・」
詐欺師(これが・・・人間ですか?醜く太って・・・これでは太らせた豚のほうがまだスリムですよ・・・)
国王「して、何用じゃ・・・我に謁見願うと申すから通したが、知っての通り我は妻を決めるパーティーの準備をせねばならんのだ、愚民の相手をしているヒマなどないぞ、ぶひゃっひゃっ!」
詐欺師「そのような中、私ごときに謁見を許していただきまことに感謝いたしております」
国王「そのような世辞は良いわっ!さっさと用件を申さぬか、切り捨てるぞっ!」
詐欺師「申し訳ございません、それでは率直に申し上げてよろしいでしょうか?」
国王「早く申せ」
詐欺師「その本妻をお決めになる候補の中に、私の恩を受けた方の娘が入っております」
国王「それがどうしたと言うのじゃ」
詐欺師「私としても国王様の幸せを願って止まないのですが・・・願わくばその娘を候補から外すことはできませんでしょうか?」
国王「キサマッ・・・国王の妻候補を奪おうと申すかっ!無礼者がっ!!」ワナワナ
詐欺師「いえ、そのようなことは申し上げません・・・国王様の妻候補を奪おうなどと恐れ多い」
詐欺師「ですが、願わくば平和的な形で、そうですね・・・恩情ということで候補から外していただけませんか?」
国王「恩情・・・だと?我の妻になるのが嫌だと申すのかっ!!」ブルブル
詐欺師「恐らくは・・・本人は望んでいないかと」
国王「ふ、ふふっ・・・ふあっはっはっはっ!!!」
- 120 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 07:11:16.07 ID:pwkdxaip0
詐欺師「何がおかしいのですか?国王様」
国王「キサマはやはりうわさ通りの男よの、詐欺師」
詐欺師「噂ですか・・・何のお話でしょうか?私には覚えがないのですが」
国王「誤魔化しても無駄じゃっ!人さらい共から話は聞いておる。うまく騙して奴隷を巻き上げたモノじゃ」
詐欺師「そうですか・・・そのことがお耳に入っているとは思いませんでした」
国王「人さらい共が何とかしてくれと泣きついてきおったのじゃ、契約書も交わしたというのに全く頭の足りない連中は困る」
詐欺師「・・・」
国王「キサマはどうせその娘とやらを取り戻せば金が入るのであろう?そんな詐欺師の言うことなんぞ一片足りとも信用ならぬわっ!」
詐欺師「では・・・私は今から国王様を騙させていただきたいと思います」
国王「くくっ、どうやらキサマもあの人さらい共と同じように頭の足りない人間らしいの」
詐欺師「一応・・・ですが、やってみる価値はあると思いますので」
国王「ふんっ、キサマの言うことは信用せんわっ!やれるものならやってみるがいい、その代わり・・・その与太話が終わったら生きて帰れると思うなよ?」ゲゲゲッ
詐欺師「結構です」
詐欺師(さて、ここからですね・・・ここからが本番です)
- 121 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 07:14:15.55 ID:pwkdxaip0
詐欺師「私はその娘を取り戻すためにこの3ヶ月努力してまいりました」
国王「無駄な努力だったな」ゲラゲラ
詐欺師「そして、バルバットを取り囲む5カ国に協力を要請して回りました、すべてはバルバット王国以外の国の結束を高めるため」
詐欺師「2ヶ月かかりましたが、結果的に全ての国が私の計画に賛同し、来るべき時に5カ国同盟を設立することを約束していただきました」
国王「かかかっ!ヤケになって大嘘に走ったか、もう少しマシな嘘をつかぬか・・・くくっ」
詐欺師「もう1つ、5つの国に約束していただいたことがあります」
国王「なんじゃ?」クスクス
詐欺師「バルバット王国の奴隷制度・・・これはひどいものです。国民はいつ自分が奴隷になるかもしれないという恐怖に怯え、人さらいはいきなり現れては根こそぎ人間を狩って去ってゆく」
詐欺師「そして何より問題なのが、その制度を国王が認めているということです。人道的観念からしてこれは人間社会で到底許されるべきことではない」
国王「我がバルバットは他の国と交流を断っているのだ、どこの馬の骨とも知れん連中に干渉される筋合いはないわ!」
詐欺師「そしてこれが約束の内容ですが・・・来るべき時、5カ国同盟が結成された瞬間にある決議を採択していただけるように約束したのです・・・内容は、『バルバット現国王の即時退位と、バルバット王国全土における奴隷制度の廃止』」
- 123 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 07:16:35.95 ID:pwkdxaip0
国王「ぶあっはっはっはっはっ!!!!」バタバタ
詐欺師「どうかなされましたか?」
国王「キサマには感心したわっ!よくもそのような馬鹿馬鹿しい話を大真面目な顔で話せるものだ・・・ぐふふふふっ」
国王「我の即時退位だと!?馬鹿馬鹿しくて笑うしかできんっ!我はこの国の国王、この国の頂点!誰が我に命令できる?誰が我をひきずり降ろせるというのだっ!」ダンッ
詐欺師「誰が?そんなもの決まっていますよ・・・私がです」
国王「・・・ふふっ・・・与太話はそこまでか?」
詐欺師「ああ、もう1つ言い忘れていたことがありました」
国王「遺言か?聞いてやろう」
詐欺師「私は詐欺師です、詐欺師とは人を騙して金品を巻き上げる職、決して人に誇れるようなものではありません」
詐欺師「ですが国王様は勘違いなさっている」
国王「我が何を勘違いしているというのだっ!」
詐欺師「詐欺師とは、嘘を付く者のことを指すのではなく・・・人の心を騙す者のことを言うのですよ」
詐欺師「例えその話が全て真実であったとしても、相手の心を騙し、自分の思う方向に話を持っていければ、それは立派な『詐欺師』なのですよ」ニヤリ
- 124 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 07:20:07.52 ID:pwkdxaip0
国王「もうよい、キサマの与太は聞き飽きた。殺してしまえ」
近衛「ハッ!」シャキンッ!
詐欺師(将軍はまだ来ないのですか・・・仕方ありませんね)
近衛「覚悟っ!」
詐欺師「ふっ!!」スパッッ!
近衛「な・・・なん、だとっ!?」ガシャン
国王「タルワールを・・・切っただと・・・っ!?」
詐欺師「この国の製鉄技術はまだ低いようですね、日本の、いえ世界の刃物の頂点『刀』の前では無力なものです」
国王「キサマ・・・何者だっ!」ブルブル
詐欺師「今はもう亡くなってしまったのですが、私の父は剣術の達人でしてね、今のは抜刀術という剣術の1つです。それに、私は仕事でヤクザといわれる方々と付き合いがありまして・・・その方々は親のためなら命なんて簡単に捨てられる連中です」
詐欺師「対面を大切にしますから誰よりも強く見せようとする、そんな本職の『筋者』に鍛えられた私は、こんなところでは死にませんよ?」
国王「愚民風情が生意気なっ・・・出会え!国王を暗殺しようとするくせ者だっ!出会ええっ!!」
ガシャン・・・ドカッ!
ギイイイイ・・・・
将軍「それには及ばないぜ!」ドシャ
流水女王「突然の来訪お詫びいたしますわバルバット国王殿」スッ
国王「我の近衛を・・・キサマら・・・何者だっ!?」
将軍「5カ国同盟が槍、鋼の国より参った、将軍だ」
流水女王「5カ国同盟が癒し、泉の国より参りました、流水女王と申しますわ。以後お見知りおきを」
- 127 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 07:21:57.05 ID:pwkdxaip0
国王「まさか・・・まさか・・・!!」
詐欺師「お気づきになられましたか?そうです、今までの話、全て時間稼ぎのためのもの」
国王「キサマぁっ!!謀ったな!!!」ドンッ
詐欺師「言ったでしょう?話が真実であろうと相手の心を騙せば詐欺師だと・・・」
「ぐっ・・・」
将軍「詐欺師、待たせたな!ガハハ」
詐欺師「本当に死ぬかと思いましたよ・・・刀での切り合いなんて何年もしてませんから、もう少し遅くなっていたらどうなっていたことか・・・」
流水女王「お怪我がないようで何よりです」
詐欺師「お気遣いありがとうございます」
将軍「さて、本題に戻るとしよう。バルバット国王!」バッ
国王「な、なんじゃ!?」ビクッ
将軍「お前をこのバルバット王国の王の座より退位してもらうことにした」
国王「キ、キサマらに勝手に決められる筋合いは無いっ!」
将軍「なんだあ?俺様の言うことに従えないってのか!!」
詐欺師「ちょっと・・・それは・・・」
流水女王「私が代わりましょう、将軍様は少し下がっていてくださいますか?」
将軍「チッ・・・仕方ねえな」スゴスゴ
- 128 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 07:24:05.16 ID:pwkdxaip0
流水女王「さて、バルバット国王様・・・我々、泉の国、鋼の国、海辺の国、緑園の国、火の国の5カ国は
あなたのバルバット王国政権での情勢の悪化・・・端的に言えば奴隷制度に対して大きな懸念を抱いています」
流水女王「そして、5カ国同盟が結成された今、我々はこのバルバット王国の長に退位していただくことにいたしました」
国王「そんな勝手があるか!我の国に・・・」
流水女王「命の保障はいたします、ですが・・・抵抗があるようであれば武力行使も辞さない構えであることをご理解いただきたいですわ。奴隷制度で国民が疲弊しているバルバットが、
鋼の国を筆頭とする5カ国に戦争で勝利するなど・・・後は言わなくてもわかりますわよね?」ニコニコ
将軍「おうよ!俺たちは戦闘民族だ、お前らなんか1日と持たずに皆殺しにしてやらあ!」
国王「・・・・・・・・」
詐欺師「年貢の納め時、ってやつですね。国王様・・・いえ、元国王様?」
将軍「連れて行け」
鋼兵「はっ!!」
・・・・・・・・・
詐欺師「終わりましたね・・・随分と長かったですが、どうにか無事に治めることができました」
将軍「しかしお前も大したもんだぜ!普通はたった2ヶ月で5つの国をまとめようなんて思わねえもんだぜ?しかも新国王だなんて俺まで騙しやがって!」グリグリ
詐欺師「痛いですよ・・・ただひたすらに必死でしたからね」
将軍「バルバットの広大な土地はまだまだ開発の余地が残っている、それを餌に俺たちをうまく釣りやがったからな、がっはっは!」
- 131 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/26(金) 07:55:55.18 ID:sj6t2+H+O
さるって時間切れか
- 132 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/26(金) 08:23:03.42 ID:IiCG/8esO
いいところなのに……続きは夜かよ……orz
- 134 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 08:59:54.56 ID:pwkdxaip0
寝れなくて舞い戻ってきたww
昼過ぎから仕事なのにどーしよーm9(^д^)
投下再開する?
それとも雑談でもする?
物語はあと5/1くらいなんだ
- 136 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:04:21.93 ID:pwkdxaip0
本当のラストは夜になってからにするよ
なるべく見て欲しいからねw
- 137 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:05:29.04 ID:pwkdxaip0
流水女王「しかも我々の持つ特産物を相互交換してバルバットを含む6カ国全体での利益を追求する・・・今まで考え付いても誰もやろうとしなかったことですわ」
詐欺師「それぞれに得意な分野があるのに協力しないなんて馬鹿らしい話です、例えば鋼の国には強い兵士が沢山いるのに武器の生産は不得意」
将軍「恥ずかしい話だがその通りだ」
詐欺師「そして火の国は武器の製造が得意だが水が足りず、その能力を存分に発揮できない」
詐欺師「泉の国は水と食料は沢山あるがそれを外敵から守る武力が圧倒的に不足している」
流水女王「我々の民は争いごとを好みませんから・・・」
詐欺師「お互いに補い合える場所があるというのに、この5カ国は今まで協調性を持たなかった。これはとてももったいないことです」
将軍「お前に言われるまで気づかなかった俺も馬鹿だったがな!」
詐欺師「『詐欺師』は10枚の金貨を餌に100枚の金貨を釣る仕事です。お互いに利益がある、100枚の金貨と100枚の金貨の取引なら失敗するわけがありませんよ」ニヤリ
将軍「はっはっはっ!大した自信じゃないか!ええっ?でもそれでしっかり成功してるんだからやっぱりお前はすげえよなあ!」
流水女王「その通りですわ、たった一人で、しかも2ヶ月という短い期間でここまでの大きな流れを巻き起こすとは・・・驚嘆しますわね」
詐欺師「いえいえ・・・皆様の協力があってこそのことですから」
- 138 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:07:09.86 ID:pwkdxaip0
詐欺師「さてと、私はこれで失礼いたします。姫君をお迎えに行かなければいけないので」
将軍「おお、今度は酒でも飲みながらゆっくり話そうじゃねえか!」
流水女王「ところで詐欺師殿?」
詐欺師「なんですか?」
流水女王「もう、気づかれましたか?」
詐欺師「・・・わかりません、ですが・・・何かがわかりそうな気がします」
流水女王「そうですか・・・では、いってらっしゃいませ」ニコッ
詐欺師「はい、いってきます」
─パーティー控え室
バタンッ!
詐欺師「囚姫、いますかっ!?」
囚姫「えっ・・・詐欺師・・・さんっ」
詐欺師「良かった、無事でしたね・・・」
囚姫「詐欺師さん・・・詐欺師さんっ詐欺師さんっ詐欺師さんっ!!」ダキッ
詐欺師「本当に良かった・・・何もされませんでしたか?」
囚姫「だい・・・じょ・・・ぶ・・・っ」ぼろぼろ
詐欺師「すみません、準備に手間取ってかなり来るのが遅れてしまいました。申し訳ありません」
囚姫「許さないっ・・・からっ・・・」
- 139 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:07:54.74 ID:roCcgdLaO
楽しみにしてるはぁと
- 141 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:09:27.56 ID:pwkdxaip0
詐欺師「えっ・・・」
囚姫「今度・・・勝手にっ・・・いなくなったら・・・」
囚姫「許さないからっ!」ウエーン
詐欺師「すみません・・・本当に・・・」
候補娘「よかったわねえ、囚姫ちゃん」
囚姫「ありがとうございますっ!」ニコニコ
詐欺師「そうそう、忘れるところでした」
候補娘・囚姫「・・・?」
詐欺師「バルバット国の国王はつい先ほど退位なされました、あなた方は自由の身ですよ」
候補娘「そんな・・・嘘でしょ?」
詐欺師「本当ですよ、嘘だと思うなら部屋から出て見に行ってもかまいません。玉座には誰もいませんから」ニコニコ
候補娘「本当・・・なの?」
詐欺師「ええ」
候補娘「やったああ!!」
詐欺師「ふふ、囚姫を助けようと思っていたのに思わぬ拾い物・・・でしょうか」
─ハンバル領 領主の家
囚姫「お父さんっ!」ダダッ
領主「おお、囚姫!無事だったか!!」ウルウル
囚姫「大丈夫、詐欺師さんが助けてくれたからっ」
領主「本当に・・・何とお礼を申し上げてよいやら・・・」
詐欺師「礼などいりませんよ、今回は私が勝手に助けたことですから」
- 142 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:10:43.28 ID:pwkdxaip0
詐欺師「それに、まだ終わっていません。これから国王がいなくなったことでこの国は一時期荒れるでしょう。それを集めていただいた100人で制圧します」
領主「しかし・・・やはり広大なバルバット国内・・・たった100人、しかも兵でもない人間だけで抑えきれるものでしょうか?」
詐欺師「この混乱で暴れると思われるのは不利益をこうむる人さらいと国王派の数人だけです。他はおおむねこの革命に賛成でしょうから、100人で十分ですよ」
詐欺師「私が黒い服を用意したのも意味があるからです。私の世k・・・国ではSWATと言われる特殊な訓練を受けた兵隊がいまして、彼らはみんな黒い装備なんですよ、なんでかわかりますか?」
領主「黒い装備・・・すみません、わかりません」
詐欺師「森に隠れるなら緑がいい、街で戦うとしても黒は案外目立つものなのです。では何故か?理由は簡単です、黒服の連中が訓練された動きで近づいてきたら怖いからですよ。見慣れないスーツという服装でも同じことです」
領主「ほう・・・なるほど、理解しました」
詐欺師「この100人の指揮はお任せしていいでしょうか?」
領主「このくらいの仕事はさせていただかないと困りますよ、お任せください」
─数日後 領主の家 リビング
詐欺師「最初の1〜2日はさすがに騒ぎがありましたけど、それも落ち着きましたね」
領主「ええ、各領も積極的に協力してくれたお陰です」
詐欺師「あとは・・・バルバット国を含めた6カ国での合衆国設立、これを果たせば少なくとも数百年は問題ないはずですが」
- 144 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:11:58.29 ID:pwkdxaip0
領主「合衆国・・・ですか、私も話を聞いたときは驚きましたよ」
詐欺師「まだこの世界には無い国の形ですからね、驚かれるのも無理はありませんよ」
領主「でも、まさか私の娘を助けるために国全体を巻き込んで革命を起こすなんてことは考えもしませんでした」
詐欺師「ははは、腐っても国が相手ですからね。ならばこっちも国を味方に付けるしかないという安易な考えでした」
領主「それを現実にやってしまうところがあなたの恐ろしいところだ」ハハハ
詐欺師「恐れ入ります」クスクス
囚姫「ねえねえっ!難しい話してないで遊ぼうよっ」グイッ
詐欺師「おっと、そうですね。では領主様、失礼します」
領主「ああ、気をつけてな」
囚姫「はーいっ」
- 145 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:14:34.27 ID:pwkdxaip0
─最後の夜 領主亭 6月25日
詐欺師「・・・ということです、そろそろ」
領主「そうですか・・・名残惜しいですが仕方がありませんね」
詐欺師「ええ・・・私としてもここは離れたくないのですが」
領主「詐欺師殿には並々ならぬ恩がある、どうにかして返したいのですが、何も上手い手が思いつきません・・・」
詐欺師「いえ、私こそ楽しい時間を過ごさせていただきました。感謝していますよ」
囚姫「んー?なんのおはなしー?」ゴシゴシ
領主「起きてしまったか」
詐欺師「・・・私は帰らなくてはいけません、国に戻るんですよ」
囚姫「えっ?」パチクリ
詐欺師「すみません、ここにずっといることはできないもので・・・」
囚姫「戻ってくるよね・・・?」
詐欺師「多分・・・もう戻っては来ません・・・」
囚姫「やだっ!」ダンッ
領主「わがままを言うんじゃないよ、囚姫」
囚姫「やだっ・・・もういなくならないって言ったもんっ・・・いなくなったら許さないって言ったもんっ!」ダダダッ
領主「囚姫っ!」
詐欺師「やはり・・・怒られてしまいましたね」
領主「娘には私から言っておきますよ・・・出発はいつですか?」
詐欺師「明日の晩には出ます。囚姫に飛ぶ姿を見られるわけにはいかないので、歩いて少し遠くまで行ってから飛ぶとこになりますが」
領主「そんなに急に・・・仕方ありませんね、事情がおありなら」
詐欺師「スーツと刀はそのまま置いていきます、何に役立つかわかりませんが、お使いください」
領主「では、明日の晩は豪華な料理を用意しましょう」
詐欺師「お気遣い痛み入ります・・・」
- 146 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:15:52.09 ID:pwkdxaip0
・・・・・・・・・
詐欺師「結局、囚姫は一度も顔を出してくれませんでしたね・・・」
領主「すみません・・・ちゃんと顔を出してお見送りするようにと言ったのですが、どうしても行きたくないと・・・」
詐欺師「仕方ありませんよ・・・約束を破ることになってしまったのですから」
領主「あの子が後悔しなければいいのですが・・・」
詐欺師「領主様、これを囚姫に渡しておいていただけますか?」スッ
領主「これは?」
詐欺師「私の世界で絵本というものです、絵物語ですね。囚姫にプレゼントしようと思っていたのですが・・・チャンスを失ってしまったようですから」フッ
領主「わかりました、渡しておきましょう」
詐欺師「よろしくお願いします・・・では、私はそろそろ・・・長い間、お世話になりました」サクッ
領主「はい、どうかお気をつけて・・・こちらこそお世話になりましたっ!」ペコッ
サクッ・・・サクッ・・・サクッ・・・
- 148 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:17:32.11 ID:pwkdxaip0
バンッ!!
囚姫「詐欺師さんっ!」
詐欺師「っ!?」ビクッ
領主「これっ!」
囚姫「行っちゃやだっ!行かないでっ!!」バタバタ
領主「引き止めてはいけないよっ!」グッ
囚姫「お願い!行かないでっ!いなくなったら許さないって言ったじゃないっ」ポロッ・・・
囚姫「行かないでよお・・・私を置いて行かないで・・・」ポロポロ
囚姫「おね・・・がい・・・っ・・・戻って・・・きて・・・よおっ!」ガクッ
詐欺師(振り向くわけにはいきません・・・私のためにも・・・囚姫のためにも・・・)ポロポロ
囚姫「詐欺師さんっ!!!
- 149 名前: ◆wV/dOv7SG. [] 投稿日:2010/11/26(金) 09:18:43.85 ID:pwkdxaip0
・・・・・・・・・
─砂の共和国伝記より抜粋─
満天の星空が照らす砂漠の国で、とある男が革命を起こした。
その男は国を揺るがし、革命を先導しながら、誰に知られることも無く消えていったと伝えられている。
この男を知るものは誰しもがこう言う。
「まるで別世界の人間のようだった」と・・・。
男がどこに消えたか、誰も知らない。
もし知っている者がいるとしても、きっとその思い出を心の奥にしまって、そして今を大切に生きていることだろう。
最終章 〜完〜
- 154 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/26(金) 10:01:13.05 ID:pwkdxaip0
さるくらってたんだぜwww
寸止めで申し訳ないが朝はここまでだ、っつかもう昼かおい
仕事あんのに寝れネーよちくしょう
- 155 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/11/26(金) 10:26:57.73 ID:pwkdxaip0
よし、気合で寝る
おまいら保守は頼んだぞ、ちゃんと完結させるから
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