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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その35
- 208 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/12/26(月) 18:08:56.59 ID:PmV7ryl3o
…
魔道士「野宿ですかぁ!?」
東方司令「仕方ないだろう。仕掛けてしまった今、奴を野放しには出来ん」
名代「左様。我ら以外が西へ立ち入る可能性もありますから」
召喚士「見張りも兼ねて、と言う事ですね」
魔道士「……そうですよね……はぁ」
名代「申し訳御座いません。我らはともかく、女子にこのような仕打ちを……」
帝「構わぬ。一度戦場へ赴けば、泥に塗れ、血と汗を流しながら生きるものだ」
魔道士「……そ、その通りです!」
東方司令「おい」
召喚士「ではひとまず、西に拓けた辺りでテントを……」
ピクッ
召喚士「!?」
東方司令「どうした……?」
召喚士「いやっ、気配が……でも魔物じゃない――」
ガサガサッ
- 209 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 18:10:00.13 ID:PmV7ryl3o
魔道士「きゃああぁぁ!!」
ザッ
女侍「……ん?」
召喚士「あ……っ」
魔道士「えっ?」
サル「おぉっ! いたいたっ!」
召喚士「女侍さんっ!!」
女侍「……あんたら、神野悪五郎と戦うんだって?」
召喚士「てかもう戦ってきました」
女侍「まさか倒したのかいっ!?」
帝「いや、倒すには至っておらぬ」
女侍「……あ、あんたぁ……まさか」
名代「……この御方はな」
帝「名代、隠さずとも良い」
女侍「やっぱり……っ」ザザッ
サル「お、おいおい……っ、急にかしこまってどうしたんだよっ?」
- 210 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 18:12:29.30 ID:PmV7ryl3o
とりあえずここまでにて!また後で来ますです!
番外編の感想&ご支援ありがとうございます!
ここからは伏線を消化しきれるかの勝負っ!それではまた後ほど!ノシ
- 212 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [] 投稿日:2011/12/26(月) 20:42:54.23 ID:1hqHhoZf0
いちおつ
天叢雲剣は三種の神器か
- 213 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:41:15.22 ID:H6KRvBdvo
…
サル「上様ああぁぁぁぁ!?」
イヌ「上様って、東方で一番偉い人ね?」
キジ「まさか女で……こんなに美人だとは驚いたさー!」
魔道士「図が高いですよっ、なーんて」
帝「こらこら、やめぬか」
女侍「しかし、上様まで参戦とは……よっぽど人手不足みたいだねぇ」
召喚士「……否定は出来ません」
女侍「おや? ところで残りの2人と国軍の連中はどうしたのさ?」
召喚士「魔王マーラ討伐へ向かいました」
女侍「別行動かい」
サル「てか、同時撃破なのかよっ!?」
名代「事情はややこしいが、そういう事になります」
召喚士「女侍さん。話は戦士から聞きました」
女侍「んー?」
召喚士「そうか、力を貸して貰えませんでしょうか……っ」
- 214 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:41:45.38 ID:H6KRvBdvo
女侍「……」
魔道士「皆さんの力があれば、頼もしい限りですっ!」
サル「……だってさ」
女侍「全く、仕方ないねぇ〜。嫌だけど、とても断れる状況じゃあないねこりゃ」
イヌ「最初から手伝うつもりだったのに、何言ってるね?」
女侍「五月蝿いねお前はっ!!」
テクテクテク
東方司令「……ん?」
キジ「!?」
サル「国軍……っ!」
東方司令「ん? 何だお前ら?」
サル「い、いやっ! 何でもねぇっ!」
キジ「コイツ、知らないみたいさー」
イヌ「じゃあ気にする事ないね」
東方司令「……?」
召喚士「はっ、ははは……」
- 215 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:42:51.77 ID:H6KRvBdvo
…
女侍「なるほどねぇ。そんなにまで強いのかい」
召喚士「……強いです」
サル「でもよぉ、そんな無敵のバケモン……倒す方法はあんのか?」
名代「まずは剣聖の思念体を排除する事です」
女侍「……」
キジ「何でさ? 剣聖モードの時のが弱いんじゃないのさ?」
名代「形状で言えばそうですが、剣聖の記憶を基に、剣技があると思われます」
サル「なるほどねぇ〜。そいつは難儀な話です事」
召喚士「まずは奴の攻撃を弱体化させましょう」
東方司令「ああ。奴の本体と剣聖とやらの剣術は最悪の組み合わせだ」
帝「……ふむ」
召喚士「せめて刀だけでも破壊出来ればいいんですけど……」
女侍「いや、どうだろうねぇ」
魔道士「……?」
女侍「剣聖の剣術が身に付いてるんだろ? だったらちょいと厄介かもしれないよ」
- 216 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:43:57.70 ID:H6KRvBdvo
召喚士「どういう事ですか?」
女侍「無刀取り」
帝「無刀取り……?」
女侍「剣聖が作り上げた、最高の剣術さ」
東方司令「待て。無刀取りとはまさか……っ」
サル「知ってんのか?」
東方司令「刀を持たずして相手を制するという幻の奥義……っ」
女侍「へぇ、本国にまで伝わってたのかい」
召喚士「それを、剣聖が使うと……?」
女侍「使うって言うか、剣聖が編み出したものだしねぇ」
魔道士「ど、どんな技なんです?」
女侍「技……っていうか、相手の刀をぶんどるだけさ」
帝「ぶん取る……」
女侍「相手が斬るモーションを起こしたと同時に、超神速で懐に飛び込み……」
クイッ
女侍「相手の刀をもぎ取るのさ」
- 217 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:44:50.93 ID:H6KRvBdvo
名代「な、なんという……っ」
女侍「並大抵の奴にとっては、命を捨てるにも等しい荒業さね」
東方司令「しかしその剣聖にとっては、起死回生の奥義……というわけか」
女侍「そういうこった」
召喚士「それにシンノの身体能力が加われば……」
東方司令「モーションどころか手首の反応だけで懐に飛び込まれるな」
帝「おれでは打つ手なしではないか……」
名代「刀を奪えば攻撃方法は魔法か召喚獣や式神の類のみ」
召喚士「かと言って、刀を奪わなければ……」
魔道士「……斬られてしまいますっ」
名代「そもそもあの刀、妖刀などと申していた……」
魔道士「何か……ご存知ですか?」
名代「いえ。ただ……古来より妖の持つ刀は呪われていると……」
東方司令「……」
名代「妖の刀を人が持てば、たちまちその呪いにより副作用をもたらすと」
- 218 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:46:40.53 ID:H6KRvBdvo
魔道士「それじゃあ刀も奪えないんですかっ!?」
名代「いえっ、それが奴の持つ刀とは限りませんが……」
帝「しかし、神野悪五郎の手を封じるには、刀を奪う以外に方法はないな」
召喚士「……こうなったら」
東方司令「ボクがいく」
召喚士「!?」
東方司令「刀を奪う役目は、ボクに任せろ」
召喚士「し、しかし……っ」
東方司令「1度も2度も変わらん。どうせ呪われた身体だ」
召喚士「……えっ?」
東方司令「お前はボクを見て、不思議に思わないのか?」
召喚士「ま、まさか……っ」
東方司令「お師匠に聞いているんだろう? 魔剣の事……」
魔道士「それじゃあ……東方司令さんも……っ!」
東方司令「そうさ。ボクの身体は魔剣の呪いによって、成長が止まったままなのさ」
- 219 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:51:18.48 ID:H6KRvBdvo
…
名代「それでは神野悪五郎退治は先頭に召喚士殿と私」
召喚士「はい」
名代「上様、女侍殿は中軸にて待機。神野の動きを見て行動を」
帝「うむ」
女侍「はいはい」
名代「後方には残りの皆様。援護をお願い致します」
サル「頑張ろうぜ、魔道士ちゃんっ」
魔道士「はいっ!」
イヌ「腕が鳴るね」ゴキゴキッ
キジ「久々の強敵さー」
名代「そして最後に東方司令殿」
東方司令「奴の刀だろ。任せろ」
名代「明日はとにかく、奴wの弱体化を目指して戦いましょう」
召喚士「……はい!」
- 220 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:54:27.72 ID:H6KRvBdvo
…
ザッザッザッ
女侍「……何か用かい?」
東方司令「お前、随分と剣聖について詳しいな」
女侍「……」
召喚士「そういえばそうですね……」
東方司令「何か、あるのか?」
女侍「……私……は」
サル「そういや、この前からずっとそうだよな」
女侍「あたいはねっ、剣聖の屋敷へ忍び込む為に、ずっと研究してたのさっ」
帝「……」
女侍「ま、無駄になっちまったけどねぇ。さ、明日は早いんだろう? もう寝るよ」
スタスタスタスタ……
魔道士「女侍さん、何か変……ですね」
召喚士「……俺達も今日はもう寝ましょう」
- 221 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 00:37:02.06 ID:Zzo7xwNDO
奴wwwwww
- 228 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:41:11.89 ID:oPMcgJsDO
まさか名代がvipperだったとはな…
- 229 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 12:42:50.34 ID:1G6DjMYKo
上様の俺発言もなかなかww
- 230 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:21:55.52 ID:96ZSS+TYo
ヒュウウウウゥゥゥゥ……
男隊員「ぐおぉ……っ、さっぶい゛い゛ぃぃ!!」
ドザザッ ドザザッ ドザザッ
格闘家「馬の足取りも重くなってきましたね」
隊長「うーむ」
女隊員「どうしたッスかぁ!?」
隊長「真っ白で何も見えん」
男隊員「おいっ! まさか迷ったんじゃねぇだろうな!?」
隊長「んなわけあるか、アホ。お前と一緒にするな」
男隊員「んなこと言ってもよぉ、もうかなり駆けてんぞぉ!」
隊長「おーおー。そうだったそうだった」
格闘家「……」
隊長「この平野で戦ったんだっけか。じゃあもうちょいだな、もう着くぞ」
男隊員「マジかっ!」
女隊員「やったッス! 寒くて死にそうッスよ」
隊長「……そんなに寒いか?」
- 231 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:22:31.33 ID:96ZSS+TYo
ドザザッ ドザザッ ドドォ
隊長「見ろ。ここが最北の塔だ」
男隊員「ひいぃ寒い寒いっ! ちゃっちゃと暖を取ろうぜ……ヒャハハ」
隊長「おい、魔物が中にいるかもしれんだろ」
ゾクッ
格闘家「……何か……いるっ!?」
男隊員「えっ――」
シュバッ……ピタッ!!
男隊員「……あ、怪しいモンじゃねぇ……っ」
影忍「……人間か」
男隊員「は、早くその物騒なモンを引っ込めてくれ」
影忍「すまんな」スッ
女隊員「な……何者ッスか……?」
格闘家「人間ではない……っ!?」
影忍「待て。確かに人ではないが、味方だ」
隊長「……本当か?」
- 232 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:22:57.20 ID:96ZSS+TYo
…
隊長「なるほど。ネクロマンサーか」
影忍「ああ。アンデッドと化したが、精神までは乗っ取れなかったようだな」
男隊員「現実離れした話だ事」
影忍「だが現実の事よ」
女隊員「じゃあ、魔物だけど人間って事ッスか?」
男隊員「何を言ってんだお前は」
影忍「この体は借り物にすぎん。本体はまた、別の所にある」
隊長「魔王城か」
影忍「察しが良いな。その通りだ」
隊長「確かネクロマンサーの人形にゃ2タイプあったよな?」
影忍「俺の様な、あくまで借り物の体を元にした人形と……」
隊長「本体を直接改造した、人形……」
影忍「どちらも不死だが、前者は何度でも作り、蘇らせる事が出来る」
格闘家「後者は?」
影忍「一度きりではあるが、性能をフルパワーで利用する事が可能」
- 233 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:23:28.23 ID:96ZSS+TYo
男隊員「どちらにせよ厄介だって事にゃ変わりねぇよな……ヒャハハ」
隊長「ネクロマンサー……」
影忍「東方で何か動くかと思っていたが、特に動きはないようだ」
隊長「アイツなら西に来たよ」
影忍「何……?」
隊長「交戦したが……圧倒された。今は恐らくだが、北に逃げたと思う」
影忍「下手に関わらぬ方が身の為よ。奴は戦闘を快楽か何かと勘違いしている」
ザッ
格闘家「どこへ?」
影忍「一階より上には藤蔵の結界が張ってある。其方で休むが良い」
男隊員「おぉ、そいつは助かる」
隊長「どうりで見張りがいないわけだ」
女隊員「影忍さんは行かないッスか?」
影忍「この体では結界より先へは入れぬ。気にするな」
女隊員「……っ」
隊長「それじゃお言葉に甘えて、上で外の連中を待つとしようか」
- 234 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:24:25.01 ID:96ZSS+TYo
ザッ スタスタスタ
男隊員「しっかし、ここまで魔物との遭遇はなかったな」
女隊員「その代わり、人間の反乱とかはあったッスけどね」
男隊員「魔王軍の連中も警戒してんのかもな……ヒャハハ」
バチィッ!!
男隊員「何の音だ?」
格闘家「……隊長、どうしました?」
隊長「ん、ああ……。何でもない」
女隊員「……?」
隊長「お前らは上で休んでいろ」
格闘家「隊長は?」
隊長「影忍と共に、下で見張りを務める」
格闘家「それなら俺が……」
隊長「構わん。今のうちに休んでおけ」
男隊員「そんじゃお言葉に甘えて。隊長職も大変っすね……ヒャハハ!」
格闘家「……」
- 235 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:25:13.69 ID:96ZSS+TYo
…
ザッザッザッ
影忍「どうした? 休まんのか?」
隊長「あまり休んでいると、実戦の際に身体が鈍るからな」
影忍「そうか」
隊長「なぁ」
影忍「ん?」
隊長「その、ネクロマンサーにアンデッド化されちまうと、結界を突破出来ねーのか?」
影忍「ああ。本国の結界石も然り、魔物と同様だ」
隊長「ふぅん。そいつは不便なもんだな」
影忍「まぁな。仕方あるまい。それが何か?」
隊長「……いや、別に」
影忍「そうか」スクッ
隊長「どこか行くのか?」
影忍「最後の下準備があるのでな。先に失礼する」
隊長「そうか。ま、気を付けてな」
- 236 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:25:49.21 ID:96ZSS+TYo
…
女隊員「……おっ、日の出っすよ」
男隊員「もうそいろそろ外の連中も到着すんじゃねーかな」
格闘家「あれ、船じゃないですか?」
男隊員「……間違いねぇ。国軍の船だ!」
女隊員「迎えに行くッスよ!」
タタッ タッタッタッタッタッ
隊長「……ん、どうした?」
女隊員「船が着いたッスよ!」
隊長「来たか」
ザッ テクテクテクテク
隊長「ご苦労さん。優雅な船旅はどうだった?」
西方参謀「寒くて酒が進んだよ。がははっ」
隊長「そいつは何よりだな」
青年兵「ここが最北の塔ですか」
隊長「ああ。上には結界、地下は最北の地への通路だそうだ」
- 237 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:26:52.96 ID:96ZSS+TYo
南方参謀「盗賊ちゃん達はまだ来てないの?」
男隊員「みてーだな。藤蔵に立ち寄ったから、もうちょいかかるんじゃねーか?」
西方参謀「ひとまずこの地で、待つとしようかねぇ……ヒック」
東方参謀「物資の最終確認と、編制や陣形の再確認を忘れぬように」
国軍兵「はっ!」
槍侶「不死の山中に勝るとも劣らない雪ですね」
僧兵長「うむ。しかしこの程度の雪ならば慣れておる。心配であったが問題なさそうだな」
西方参謀「頼もしい限りだ事……ヒック」
テクテクテク
女隊員「皆さんが総本山の方ッスね! ヨロシクッス!」
槍侶「――っ!?」
女隊員「……ど、どうしたッスか? 東方は挨拶で握手しないッスか……?」
槍侶「い、いえいえいえっ! すすっ、すみまします……っ!」
ゴシゴシゴシッ ギュッ
女隊員「女隊員ッス。ヨロシ――」
槍侶「よよよっ、よろよろ……よろろー」ヨロヨロッ
- 238 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:27:36.12 ID:96ZSS+TYo
…
ドドッドドッドドッ
戦士「おい盗賊、寄り道ってどこに行くんだよ」
火忍「最北の塔までそう遠くないな。妖は居ないみてぇだ」
風忍「ああ。しかし姫はどこへ向かっておるのだ?」
盗賊「……見えたっ、あの村だ!」
戦士「……村?」
〜最北の村〜
盗賊「……確か、ここだ」バサッ
海女「……?」
盗賊「ご無沙汰してます。その節はどうも」
海女「……あ……れ!? えっと確か……盗賊ちゃんだったっけか!?」
盗賊「お元気そうで何より」
海女「あんたこそあれから元気だったかい!? 良かったよぉ本当に!」
スクッ
海女「おーい! あんたぁ、おとっつあーん! ちょいと来ておくれー!」
- 239 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:28:38.77 ID:96ZSS+TYo
…
老人「おぉ、あの時の娘さんじゃったかい」
漁師「元気そうで何よりだ!」
盗賊「皆さんもお元気そうで、一安心しました」
海女「それで、今日はどうしたんだい?」
漁師「村は見ての通り、以前よりずーっと良くなったよ!」
老人「妖怪もほとんど来なくなったし、何より賊の類も上様の兵がやっつけてくれるからのぅ」
盗賊「それは良かった」
漁師「あんたらのお陰だよ! 恩はいつでも返すから、困った事があったら言ってくれ!」
盗賊「……あの」
漁師「ん?」
ズザッ
盗賊「どうか、私達にお力を貸して頂きたい!」
海女「そ、そんな頭なんて下げないでおくれよ……っ!」
老人「私達ってのは……どういう……」
盗賊「皆、顔を見せよ」
- 240 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:29:43.20 ID:96ZSS+TYo
…
老人「……っ」
漁師「あ……あぁ……っ」
海女「ま、まさか……盗賊ちゃんが……藤蔵……藤蔵の……っ」
風忍「姫が話された通り、我らはこれより魔王討伐へと向かう最中なのだ」
盗賊「この先、最北へは船で行かねばならぬ」
漁師「へ、へへーっ!!」
盗賊「船はあるのだが、優秀な舵取りが居ない。そこでなのだが……」
青年兵「なるほどっ。この方達の力をお借りするわけですね……!」
盗賊「あなた達の実績は以前に体感している。どうか、お力を貸して頂きたいのです」
海女「こんなんで良ければっ、喜んで差し出しますぅ!!」
漁師「勿論ですっ!! 死ぬ気でやらせて頂きますっ!!」
老人「いつ死んでも良い身じゃっ、上様や姫様の為に喜んで!!」
盗賊「あの……そんなに畏まられても……」
漁師「ど、どうかこれまでのご無礼は水にお流し下さいませぇ!!」
盗賊「……はぁ」
- 241 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:30:25.19 ID:96ZSS+TYo
…
土忍「これで船頭も確保した。後は……行くのみ」
戦士「ったく、先に言っておけよな」
盗賊「だって、確証はなかったし……」
鬼丸「まぁよ、上手くいったわけだし、最北の塔へ急ごうぜ」
漁師「それじゃあ、行ってくる」
海女「頑張ってね! 姫様、どうか宜しくお願い致します……っ!」
盗賊「……うん。任せて」
火忍「……ん? なんだガキ、何か用か?」
少女「お姉ちゃん……?」
盗賊「……!!」
テクテクテク
盗賊「久し振り。元気?」
少女「うんっ! お姉ちゃんも元気?」
盗賊「ああ元気だ。そうだ、またお菓子をあげよう。ほら……みんあで分けて食べるんだぞ」
少女「わぁっ! こんなにいっぱい!? ありがとーっ!!」
- 242 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:31:13.58 ID:96ZSS+TYo
タッタッタッタッ
戦士「あんな量、どこに隠してたんだお前は」
盗賊「……秘密だ」
風忍「それでは参りましょう」
盗賊「うん」
ザッ パッカパッカパッカ…
土忍「しっかり捉まっておれ」
老人「へ、へいぃっ!」
戦士「なんつーかさ」
盗賊「……ん?」
戦士「何の変哲もない小さな村なんだけど、のどかでみんなが笑って暮らしてた」
盗賊「……ああ」
戦士「いい村だな。ぜってぇ、守ってやらねーとなっ!」
盗賊「無論だ。その為にも……魔王マーラを討つ」
鬼丸「おうよ! やってやろうぜ……相棒!」
戦士「ああ、やってやるさ!」
- 243 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:31:59.20 ID:96ZSS+TYo
〜最北の塔〜
格闘家「……!? 来ましたっ、来ましたよ!」
ドドッドドッドドッ ドドォ
戦士「すまねぇ、遅くなった!」
隊長「いや、問題ない」
テクテクテクテク
盗賊「途中で船頭を連れてきた。この者らなら、渡航も問題ない」
漁師「ひっ、ひえぇ……」
南方参謀「それは助かるわぁ。それでは早速、軍船へ」
老人「へ、へいっ!」
男隊員「これで討伐対は全員、揃ったわけか」
隊長「途中で魔物はいたか?」
戦士「いや、いなかった。そっちは?」
女隊員「こっちも遭遇しなかったッスよ」
東方参謀「海上もだ。不気味な程、静かなものよ」
青年兵「すると考えられる事は1つ。魔王軍は……最北に集結している」
- 244 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:32:30.11 ID:96ZSS+TYo
鬼丸「簡単でいいぜ。まとめてブチのめしゃいいんだからよ」
火忍「鬼丸の言う通りだ。手間がかからなくていいわ」
戦士「それで、あとは船で向かうだけか?」
隊長「塔から繋がる通路経由でもいけると聞いたが」
風忍「それはやめておいた方が良いかもしれませぬ」
隊長「……?」
戦士「その奥は龍脈だ。ヤマタノオロチがいた所だよ」
格闘家「!?」
水忍「見ておきたいのであれば構いませぬが、物見遊山には危険すぎますぞ」
男隊員「ここは素直に、船で渡るのが定石のようだなこりゃ……ヒャハハ!」
青年兵「では、出航準備を進めましょう」
戦士「いざ、最北……マーラのもとへってか」
盗賊「……東方の……魔王」
最北の塔へと集った魔王討伐軍。これより本国の軍船にて渡航を開始する・
目指すは地理すらも分からぬ最北の地、魔王マーラの居城である。
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