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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その40
500 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:06:35.54 ID:QFSNz+JBo
〜サタンの宮殿〜

召喚士「…………」

 砕けた柱に身体を預け、召喚士はうつろな目で戦闘を見つめている。

戦士「おるああぁぁ!!」

盗賊「しっ!!」

 ドガガガガッ!! ズガアアァァァァァ!!

サタン「脆弱なものだ。残された力は気力という程度か?」

王子「何をぬかすかぁ! まだまだだ!」

セクメト「ゴガアアァァァァ!!」

サタン「まだ? 違うな、もう既に終わっているのだ」

 チカッ……ズバシュウウウウゥゥゥゥ!!

セクメト「――――!!」ボシュッ

盗賊「風林火……」

サタン「させぬよ」ヒュバッ

盗賊「!?」


501 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:07:53.45 ID:QFSNz+JBo
 ズガアアァァ!! ズザザアアァァ……

青龍士官「どうやって……倒せばいいと言うのだ……っ!!」ググッ

大軍師「万策尽きましたね。流石にこれは……」

ジュニア「……」

 ザッザッザッ……グイッ

ジュニア「何を諦めてんだコラァ!! テメーが策を練らねぇでどーすんだよ!! あぁ!?」

大軍師「……っ」

ジュニア「命ある限り戦うんじゃねぇのかよ!!」

青年兵「ジュニアさんの言う通りです。そして大軍師さんとて重々、それは分かっている」

ジュニア「……」

青年兵「2択です。最後の力を賭して、全員で全ての魔力を放つか、それとも……」

大軍師「西国陛下のアヌビスに賭けるか」

ジュニア「!?」

大軍師「どちらにせよ策とは言えません。ただの自己犠牲です」

青年兵「……それでもやらねば、世界は終わりです」


502 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:09:06.53 ID:QFSNz+JBo
ジュニア「本当に……それしか方法はねぇのかよ……っ」グッ

大軍師「五行を撃ち続けさえすれば勝てると考えていました。しかし結果はこれです」

ジュニア「……っ」

大軍師「何か手はあるのかもしれません。しかし、見つける事は難しく……」

青年兵「……再来」

賢者「……?」

青年兵「鍵は再来が握っているのかも」

大軍師「かつてサタンの動きを封じた、唯一の戦いですか」

青年兵「大軍師さん、当時と今で何か欠けている事は?」

大軍師「……魔剣」

ジュニア「!?」

大軍師「サタンの核には確か、魔剣が刺さっていたはずです」

青年兵「そうだ……っ。それを元司令が抜いた事で、サタンは蘇った」

ジュニア「魔剣たって、んなモンどこに……」

魔法剣士「避けろぉ!!」


503 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:09:34.68 ID:QFSNz+JBo
 ゴッガアアアアァァァァ!!

ジュニア「ぐあっ!!」

青年兵「大軍師さんっ! 策を!」タタッ

大軍師「あなたは!?」

青年兵「とにかく今は体制を立て直し、備えます!」

大軍師「「……」

アマゾネス「援護を頼む!!」

美女「アンタが援護しろっ!」バッ

大軍師(魔剣。思い当たるべきは伝説のナイトが持っていたという魔剣)

玄武娘「リヴァイアサン……っ」

朱雀嬢「玄武娘、無理はしないでですわ。ゆっくり落ち着いていきますわよ」

大軍師(ベルゼブブ討伐後は確か北関に……。使い手は不在)

白虎嬢「立てますかぁ?」

サモナー「お構いなく……っ」ヨロッ

大軍師(それ以外の何か……。魔剣……魔物の持つ剣……)


504 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:10:25.18 ID:QFSNz+JBo
青年兵「召喚士さんっ!」ザッ

召喚士「…………ぅ」

大軍師「……魔剣士」

青年兵「召喚士……さんっ」

召喚士「誰……戦士……か?」

大軍師「……いや、両者共に此方へ引き込む事は不可能に近い」

青年兵「……立てますか?」

召喚士「うん、いつでもいいよ。でも回復は必要ないから」

大軍師(かと言って、魔剣を入手する方法は他になし。参りましたね)

 天を仰ぐ大軍師。上空には暗い闇がただ広がっている。

大軍師「司令……貴方の見た未来とは如何なるものだったのでしょうか……」

サタン「もう立ち向かえる者も居らぬか」

戦士「ちくしょう……ちくしょう……っ!」

盗賊「……こんなものか、私の力は……っ」

サタン「……?」


505 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:11:05.12 ID:QFSNz+JBo
魔道士「……」ザッ

サタン「何か用か、小娘?」

魔道士「あなたは……何でこんな事をするの?」

サタン「面白い事を言うな。君達が挑んでくる、だから反撃する。それ以外に何かあるのか?」

魔道士「どうして……地上に危害を……」

サタン「ああ、そういう事か。逆に聴こう、何故だと思う?」

魔道士「どうして人を傷つけるんです……っ」

サタン「それが真理だからだ。到底、理解など出来ぬであろうがな」

魔道士「私の……大切な仲間を……どうしてっ!!」

 ゴアッ!!

サタン「ほぉ」

魔道士「許さない……絶対にっ!!」

サタン「許しを請う請わないの問題ではないのだ。そういうものだと受け入れろ」

魔道士「絶対に……ぃ!!」

サタン「……どういう事だ?」


506 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:12:32.51 ID:QFSNz+JBo
 キイイイイィィィィ!!

サタン「ただの五行ではない……?」

魔道士「やああああぁぁぁぁーっ!!」

 ドッドオオオオオォォォォン!! ガカアアアアァァァァ!!

サタン「……ッ」ズゥン

魔道士「ああぁぁぁぁーっ!!」

サタン「中和出来ぬだと? いや、そんなはずはない」

 ドッズウウウウゥゥゥゥ!!

サタン「……確実に、このサタンへ攻撃を当てている」

ジュニア「ど、どういう事なんだ? どうして魔道士ちゃんの攻撃が……」

賢者「五行による五行さ……ふぅ」

ジュニア「!?」

賢者「彼女は五行に……五行を付加しているのさ……ふぅ」

水の先生「五行に五行!? つまり……外側の五行で中和を消して、中の五行で……」

火の先生「冗談じゃないぞ……っ、そんな事をすれば負担は計り知れぬ!」


507 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:14:49.78 ID:QFSNz+JBo
魔道士「やああぁぁぁぁ!!」

サタン「ヌグッ、まさかこのサタンが……両腕を使う事になろうとはな」

魔道士「ああああぁぁぁぁぁ!!」

サタン「ましてや、これ程までに連続で五行を叩き込まれるなど初めての事だ……ッ」

魔道士「ぁぁーっ!!」

サタン「どこに……このような力が――」

 ガカアアアアァァァァ!! ガッオオオオォォォォン!!

魔道士「――――っはぁ!! はぁ!! ん……っはぁ!!」

 ドドオオオオォォォォ……

盗賊「魔……道士……っ」

魔道士「はぁっ!! はぁ……っ!! は……っ」ガクガクガク

戦士「魔道士っ!!」

サタン「おそらくもう、痛みも感じぬであろう」フッ

戦士「!?」

ジュニア「あいつ……っ、まだ……」


508 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:17:55.59 ID:QFSNz+JBo
サタン「このサタンに多少なりとも手間をかけさせたのだ。その代償は相当のものであろう」

魔道士「う……あぁ……ぁ……」

サタン「己の全てが空になるまで撃ち続けた根性はなかなか興味深いものがある」

戦士「て……んめええぇぇ!!」ガシャッ!!

大軍師「5つの鉱石を全て斧に!? 死ぬつもりですかっ!!」

戦士(言ってたよなジーサン。もうずいぶんと前の話になっちまったけどよ……っ!)

サタン「魔力も持たぬ人間如きが、如何なるものだと申すか」

戦士「コイツは切り札だってよ……魔王を倒す……斧だってよぉ!!」

サタン「むッ!? 鉱石かッ」

戦士「見てるかジーサン!! 五行全て付加したんだぞ! 魔王を倒すこの斧によぉ!!」

 ズッガアアアアァァァァ!!

戦士「うおおおおぉぉぉぉ!!」

サモナー「なんという威力っ、サタンが縦に真二つ……切り裂かれてゆく……っ!」

戦士「っらああああぁぁぁぁーっ!!」

サタン「……」


509 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:18:55.54 ID:QFSNz+JBo
 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

戦士「がはっ!!」ゴロゴロゴロッ

サタン「全くもって不可解なものだ。どこからこのような力が湧いてくるのか」

戦士「これでも……駄目なのかよ……っ」

サタン「闇に痛みや苦しみは感じぬ」

 フッ!! ガキイイィィィィン!!

サタン「今度はお前が試してみるか?」

戦士「……魔法剣士さん」

魔法剣士「退がれ……っ」グググッ

サタン「庇うだけ無駄な事よ。逆に死が近づくだけの話だ」

魔法剣士「誰も死なせやせん! 俺自身もな!」

サタン「試してみるが良い」チカッ

 ドッゴオオオオォォォォン!!

魔法剣士「……ご……ふっ」ガラッ

サタン「所詮は口だけよ。理想と現実の違いに気付いたであろう?」


510 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:19:58.87 ID:QFSNz+JBo
 ヨロッ……ザッ

サタン「……」

魔法剣士「まだ……生きてるぞ……っ」

サタン「それは何よりだな」

 ゴアッ!! ズッギャアアアアァァァァ!!

魔法剣士「ごはっ!!」ドゴォ!!

サタン「威勢の割には攻撃する事すらままならぬ。面白みもない事だ」

魔法剣士「……」

 フラァ……ジャリッ

戦士「立つなっ! もう無理だ……っ!」

サタン「もう良い。つまらぬ、と申しておる」

魔法剣士「悪いが、俺の運命を貴様が決める権利はない……!」

サタン「ならば今ここで、貴様の運命を決めてくれよう」ゴアッ!!

 ドッゴオオオオォォォォ!!

戦士「馬鹿やろ――」


511 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:20:54.72 ID:QFSNz+JBo
 シュウウウウゥゥゥゥ……

火の先生「……何じゃとぉ!?」

サタン「剣が浮いている。いや、違う。これは……」

魔法剣士「がは……っはぁ……はぁ」ジャッ

サタン「火柱が剣を支えている? 器用な真似をする」

 勿論、魔法剣士が狙って行ったわけではない。無我夢中の上での偶然に過ぎない。

魔法剣士「お……おぉ……っ」

 しかしその偶然が、魔法剣士に大いなる力を与える事となった。

魔法剣士「おおぉぉぉぉーっ!!」

 ゴアァッ!! ザザザザザザッ!!

青龍士官「炎だけではないっ! 風に氷……雷までもが……っ」

大軍師「4本の件が4つそれぞれの属性に支えられて……」

 魔法剣士を護衛するかのように、4本の剣と4つの柱が伸びる。

 炎、風、氷、雷。それが地面と剣の束の間に立ち、主を守る生物のようである。

魔法剣士「魔法剣……五行おおぉぉぉぉ!!」


512 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:22:01.62 ID:QFSNz+JBo
 キュイイイイィィィィ……

 魔法剣士は両手に剣を携える。1つは神々しく輝く聖なる剣。

 もう1つは鋸状に欠けた刃を持つ、どことなく悲しげな剣。

水の先生「6刀流……とでも称せばよいのだろうか」

魔法剣士「はあぁ!!」ダァンッ!!

盗賊「早いっ」

サタン「常軌を逸している」

 ガキキキキキッ!! ズババババッ!! ドガガガガアアァァァァ!!

サタン「人間が単身で6本もの剣を操り、五行を司るのか」

戦士「すっげぇ。4本の剣が空中でサタンの攻撃を防御してやがる」

青龍士官「それだけじゃない……っ、それぞれが意思を持ったかのように攻守を……」

魔法剣士「っああああぁぁぁぁ!!」

 ズッシャアアアアァァァァ!!

魔法剣士「ぐっ……ぬうぅ……っ」ガクンッ

サタン「このサタン、少し過ちを犯しているのかもしれぬな」


513 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/25(水) 18:23:19.13 ID:QFSNz+JBo
召喚士「……っ」ヨロッ

サタン「ここまで全員が瀕死。瀕死であるにも関わらず、全員が生きている。生がある」

青年兵「……っ」

サタン「運や実力ではない。もっとこう曖昧な、何かが起きている」

魔道士「……っ」

盗賊「魔道士……」グッ

サタン「このサタンがやられるなどとは思えぬが、また封じられるのも厄介」

大軍師「……まさか」

サタン「なれば手間を掛けずに、全てを無に帰すとしよう」

 フオオオオォォォォ……ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

青年兵「ま……ずいっ、まずい!!」

大軍師「いよいよ始まりましたか。恐れていた事が……っ」ツツー

サタン「これより地上は闇と化す。スーパーノヴァの始まりだ」

召喚士「……っ」

 一同が地獄で交戦する中、地上では満月の明かりが次第に闇へと掻き消されていった。



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