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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
659 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:16:25.41 ID:zOZ4P1eYo
ドドッドドッドドッ…

白馬騎士「戦士殿っ」

ドドドドドド…

猿兵「ヴァーリン!? 華国を避けたが裏目に出たか……ッ」

華国兵「いや、しかし様子がおかしいぞ……?」

三男「白馬!? それにあれは騎都尉……!?」

華国兵「馬鹿なっ!? いや、しかしあれは騎都尉様なのか……?」

ゴゴゴゴゴゴ…

ヴァーリン「やれるものならやってみるがいいッ!」

戦士「……ああ、遠慮なくやらせて貰うぜ」

ゾクゥ

ヴァーリン(こやつ……先程、対峙した者とは別人なのか……ッ?)

それ程までに、ヴァーリンが躊躇する程に、戦士の内面は変わっていた。

戦士「……いくぜ」

躊躇や手加減は一切ない。ただただ真っ直ぐに戦士の刃は向けられる。


660 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:16:59.23 ID:zOZ4P1eYo
ズアッ

ヴァーリン「……ッ!!」

戦士「うおりゃああぁぁぁぁ――」

ピキイイィィィィン…パアアァァァァ

戦士「――っ!?」

瞬間、戦士の視界が真っ白に開けた。そこには戦士とヴァーリンしか存在しない。

戦士(な……んだこれ……っ!?)

スローモーション。ヴァーリンの動き全てがゆっくりと目に映っていた。

ヴァーリンの振るう右腕が止まっているかのように戦士へと迫る。

戦士は赤兎の手綱を引くと、左へと回り込み、戟を振り下ろしていた。

ボンッ!!

ヴァーリン「なッ――」

宙を舞う右腕をくぐり抜け、赤兎を反転させる戦士。

戦士「次は……」

ヴァーリン「ヌガアアァァァァ!!」


661 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:17:29.49 ID:zOZ4P1eYo
右腕を吹き飛ばされたヴァーリンは、怯む事なくその反動で左腕を振るう。

その時、スローモーションに進む景色の中、戦士の耳には確かに聞こえた。

――「左だ。来るぞ」

戦士「――っ!?」

自身に透過するかのように大きく、太い腕が重なり合った。

赤兎が手足のように動く。馴染む。戟が軽く、早く動く。

――「斬り払え!」

戦士「おぉっ!!」

ザシュウウゥゥゥゥ!!…ボンッ!!

ヴァーリン「ガアッ!!」

休む事なく続けざまに、戦士と赤兎は疾走する。

――「右足」

戦士「はああぁぁぁぁ!!」

ズバシュッ!!…ドボォッ!!

ほぼ同時にバーリンの右腕と右足が空中を待った。


662 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:18:02.09 ID:zOZ4P1eYo
ブシュウウゥゥゥゥ

ヴァーリン「こんな事がああぁぁーッ!!」

――「左足ぃ!」

戦士「うっりゃああぁぁ!!」

ヒュバッ!!…ドボシュッ!!

白馬騎士「…………っ」

ドッズウウゥゥゥゥン

ヴァーリン「……ッ」

四肢を斬り落とされながら、ヴァーリンは倒れる間もなく、地面へと直立させられた。

――「さぁ、トドメだ」

戦士「おぉーっ!!」

白い景色が戻る。戦士の右腕が刹那に輝きを見せた。

戦士「!?」

それは先程の事。ラーヴァナを討った地にてゾディアックを触れた時の事。

僅かな刻ながら、戦士の腕にそれは宿っていた。


663 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:18:55.59 ID:zOZ4P1eYo
……――

戦士『……んっ? これは……ゾディアックか!!』

天才『触るな!!』

戦士『えっ!?』

バチッ!!…ジジジッ!!

戦士『うがっ! いってぇ……っ』

天才『まだ膨大な魔力を帯びてる。ヘタすると死ぬぞ』

戦士『……っ』

――……

戦士(そうか……五行の力が俺に……っ)

――「戟を引き、腕をねじるのだ」

戦士(俺にも……微々たるモンだが魔力があったわけだ)

ヴァーリンの体を正面に、赤兎が真っ直ぐ大地を駆けた。

――「いけ、ぶちかませ」

戦士「これで……終いだああぁぁ!!」


664 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:19:32.44 ID:zOZ4P1eYo
ギュルッ…ズゴオオォォォォ!!

華国「あれは……っ!!」

白馬騎士「騎都尉の必殺技っ、螺旋突き!?」

戦士の繰り出した突きは、静かに空を切り裂いた。

その重い一撃はヴァーリンの胸を一突きで正確に捉えた。

ボッ!!

ヴァーリン「ガアアアアァァァァーッ!!」

断末魔の雄叫びと共に、螺旋状の突きはヴァーリンの胸をえぐる。

その威力と風圧で、突きの中心部分よりヴァーリンの体は斬り裂かれていく。

五行の力を纏った螺旋突きは、四肢のないヴァーリンの体を内より消滅させた。

ドッバアアァァァァンッ!!…ドサッ

ヴァーリン「グ……ウゥ……ッ」

パッカパッカパッカ

戦士「……」

首だけとなったヴァーリンの下へ、戦士を乗せた赤兎が近づき、立ち止まった。


665 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:20:27.67 ID:zOZ4P1eYo
ヴァーリン「貴……様……ッ」

戦士「……」

ヴァーリン「何なのだ……お前はッ、人間とは何なのだ……!!」

戦士「お前には一生分からねぇよ」

ヴァーリン「クソ……クソォ、クソがああぁぁぁぁ!!」

戦士「悪いがとどめだ。だが、とどめを刺すのは俺じゃねぇ」

ヴァーリン「クッソオオォォォォーッ!!」

パッカパッカパッカ…

戦士「白馬騎士さん、頼む」

白馬騎士「……」

戦士は赤兎を降りると、そのまま後方に控える法師らの下へと歩いていった。

ヴァーリン「貴様ァ!! トドメも刺さずに退くと言うのかアアァァ!!」

白馬騎士「戦士殿が申してくれたであろう。とどめはこの2人が刺す」

ヴァーリン「……ッ?」

白馬騎士の両手に握られた偃月刀と矛がヴァーリンの頭部を貫いた。


666 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:21:28.60 ID:zOZ4P1eYo
ズバシュッ!!

ヴァーリン「――――ッ」

白馬騎士「兄者、弟者。お主らが決着をつけたのだ」

シュウウゥゥゥゥ…

三男「終わった……」

法師「……お見事です」

戦士「俺じゃねぇさ。これは華国のみんなが導いてくれた勝利だ」

パッカパッカパッカ

白馬騎士「法師様、三男様……ご無事で」

三男「白馬。貴方も無事で何よりです」

法師「その偃月刀と矛は……」

白馬騎士「2人は最後まで、臆する事なく戦い抜きました」

三男「――っ!!」

法師「逝き……ましたか」

戦士「最後まで、立派な武人だったよ。国は違えど仲間として誇りに思う」


667 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:22:16.13 ID:zOZ4P1eYo
華国兵「そんな……っ。兄者様と弟者様が……」

白馬騎士「……無念だ。あの2人を失うとは華国の両腕をもがれた思い」

戦士「……」

白馬騎士「その思いを戦士殿が見事、仇を討って下さった。感謝する」

戦士「い、いや……俺はそんな……」

法師「時に戦士殿」

戦士「……?」

法師「……いえっ、何でもありません」

華国兵「あれっ? 赤兎……?」

三男「!?」

何時の間にか赤兎は集団の輪から外れ、遠くへと離れていた。

戦士「赤兎……」

――「見事だった。ありがとう」

戦士「!?」

その声は先程よりも力強く、そしてはっきりと戦士の耳に響き渡った。


668 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:23:59.27 ID:zOZ4P1eYo
パッカパッカ…ドドッドドッドドッ

三男「赤兎が……」

白馬騎士「なっ!?」

走り去る赤兎の馬上に、確かにその大柄な身体はあった。

黒い甲冑の人影は、振り向く事なく赤兎の手綱を握り、駆けてゆく。

白馬騎士「騎都尉!!」

華国兵「騎都尉様……騎都尉様だぁ!!」

戦士「……まさか……嘘だろ!?」

一同が瞬きをした後見直すと、そこには赤兎の姿のみであった。

戦士「バカ……ッ!! そっちは崖――」

ドドッドドッドドッ

赤兎「ヒヒイイィィィィン!!」

赤兎は崖を大きく跳ぶと、そのまま姿を消した。還って来る事は決してなかった。

法師「いってしまったようですね。主人の下に……」

戦士「……ありがとよ騎都尉、赤兎」


669 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 01:33:48.88 ID:zOZ4P1eYo
〜オマケ〜

東方司令「ついに到着、東方〜!」

町娘「あら、本国の方? 今日は観光どすかぁ〜?」

東方司令「!?」

団子屋「良かったらお立ち寄り下さいまし〜♪」

花魁「あらぁ〜。異国の方もお綺麗ねぇ」

東方司令「……パラダイス」

町娘「はぁ?」

東方司令「い、いやっ! 私の目的はそうではないだろっ!」

バシバシッ!!

東方司令「さて、いきなり上様の下を訪ねるのは気が引ける。まずは……」

ついに東方へと上陸した東方司令。運命や い か に ! ?

帝「へっち!!」

名代「……お風邪でも召されましたか?」

帝「いや、ちょっとむずむずしただけだ」


680 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 23:26:33.17 ID:zOZ4P1eYo


朱雀嬢「……ぅ」

戦士「おいっ、しっかりしろ!」

法師「大丈夫ですか?」

朱雀嬢「……終わりましたの……?」

戦士「ああ。お前が頑張ってくれたお陰でな」

白馬騎士「見事でした。しかし、何故このような危険な真似を……」

朱雀嬢「……急にヴァーリンが来たので」

戦士「だからって無茶すんなよな」

朱雀嬢「時間が……なかったから」

戦士「……ま、よく頑張ったよ」

朱雀嬢「……どうも」

法師「おや、ところで彼が見当たらないようですね」

戦士「彼?」

法師「ええ、炎使いの……紅孩児と言いましたか」


681 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 23:27:12.45 ID:zOZ4P1eYo
〜スグリーヴァの城、玉座〜

紅孩児「……」

ボウッ

紅孩児「……何だよ、まだ居たのか」

――『此度の事、感謝するぞ』

紅孩児「アイツらにも言ったが、別にお前らの為じゃねぇよ」

――『魔王になる為か?』

紅孩児「ああ。ラーヴァナもヴァーリンもクソ親父も、そしてアンタも消えた」

――『……』

紅孩児「だよな、スグリーヴァ」

スグリーヴァ『ヴァーリンは、君の救いになったかね?』

紅孩児「いいや。かつては目にかけて貰った事もあったけどな……ハハッ」

スグリーヴァ『善悪のそれに気付いたか?』

紅孩児「んなモン興味ねぇし分かんねーよ」

スグリーヴァ『お主はまだまだ強くなれる』


682 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 23:28:10.59 ID:zOZ4P1eYo
紅孩児「あったりめーだ。俺は魔王になるからな」

スグリーヴァ『強さとは魔王になる事か?』

紅孩児「……あ?」

スグリーヴァ『それは真の強さとは言えぬ。それではお主は強くなれぬ』

紅孩児「じゃあ魔王は弱いってのかよ?」

スグリーヴァ『魔王などというものは、ただの言葉だ』

紅孩児「言葉?」

スグリーヴァ『言葉に囚われては、真の強さは得られぬ』

紅孩児「魔王は絶対の存在なんだろ? だったら……」

スグリーヴァ『ならば何故、魔王は人間に討たれた?』

紅孩児「……ッ」

スグリーヴァ『紅孩児、お主は真の強さを求めよ。その道は自ずと見え始めている』

紅孩児「真の強さ……何なんだよそれは!」

スグリーヴァ『言ったであろう。お主には見え始めている』

紅孩児「……」


683 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 23:28:37.17 ID:zOZ4P1eYo
スグリーヴァ『新たな世界の為に、お主がその道歩むのだ』

紅孩児「……ちっ」

スグリーヴァ『最後に1つ。ハヌマーンに後事を託すと伝えてくれ』

紅孩児「ハヌマーン? あぁ、そんなもん自分で伝え――」

シュウウゥゥゥゥ

スグリーヴァ『お主の道、じっくりと見させて貰うぞ』

シュウウゥゥゥゥ…パアアァァァァ

紅孩児「……」

スグリーヴァ『感謝するぞ、紅孩児――』

バシイイィィィィン!!

紅孩児「……ッ!?」

再び静寂に包まれた部屋には、ただぽつんと玉座が残されていた。

紅孩児「勝手な奴だ。何でもかんでも押し付けやがってよ……ッ」

否定的な言葉を口にしながらも紅孩児の顔は晴れやかだった。

スグリーヴァは死んだ。しかしその魂は確かに残っていた。


685 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 23:48:06.27 ID:zOZ4P1eYo


華国兵「それでは……兄者様、弟者様の遺体改修へ向かいます」

白馬騎士「頼む」

ドドッドドツドドッ…

戦士「なぁ、オークの容態はどうなんだ?」

法師「……」

戦士「お、おい……っ!?」

法師「仮死状態とでも言いましょうか。息はありませんが、魂は存在しています」

戦士「……?」

法師「蘇るかどうかはオーク次第です。信じて待ちましょう」

戦士「……オーク」

三男「それで、戦は無事、終わったのか?」

白馬騎士「いえ、まだです。まだ最後の戦いが残っています」

法師「……」

戦士「こっちはやったぜ。後は……頼むぜ、召喚士!」


670 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/10/10(月) 01:37:00.36 ID:ungFDFSAO
祝日だからといって深夜まで起きて余裕ぶってる1の運命や い か に ! ?


671 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/10(月) 02:01:52.74 ID:5LGKIpuSO
>>1乙です!

主人公の戦士は流石の活躍ぶりwwww


673 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/10/10(月) 10:27:35.85 ID:L3jdFTZAO
>>1乙
華国は犠牲がひどいな…


674 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/10(月) 12:42:11.26 ID:1WCcVomDO
どっかで「予言では本国の要人は死なないけど華国は・・・」みたいなのあったよね?


675 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/10(月) 13:29:53.29 ID:vl5RWbUho
法師「その偃月刀と矛は……」
法師様目見えてるのかしら・・・?


676 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [] 投稿日:2011/10/10(月) 13:31:27.36 ID:3NP/Ua4Ao
一緒にいた武人の使ってたものなら感じ取れるんだろ
並みの人間じゃないんだし


678 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/10(月) 19:41:22.54 ID:CLXedboDO
そういや戦士父と戦った拳法使いみたいな奴はまた出るのかな?


679 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/10(月) 19:42:00.89 ID:CLXedboDO
拳法使いじゃなくて棒術使いだった


686 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/10/10(月) 23:55:09.19 ID:zOZ4P1eYo
連休終わった。お仕事だった皆様はお疲れ様でした!
それでは明日よりまたよろしくです!おやすみなさい!ノシ

>>670
お腹壊しました

>>671-672
ありがとうございます!主人公は今回も大活躍!

>>673-677
華国は今回大活躍という事で…!
法師は心眼で感じました!多分

>>678-679
槍侶でしたっけ?た、多分東方編?で出るかなぁと…


690 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/11(火) 06:02:27.98 ID:J8mnT18Lo
>兄者様、弟者様の遺体改修
改造人間か


691 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/10/11(火) 07:15:13.27 ID:xLr1yP3AO
ネクロマンサーがアップを始めました



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