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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その36
66 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:43:01.09 ID:KrMb1W/io
〜次の日〜

 ドドッドドッドドッ

城主「開門願おうーっ! 開門っ、開門ーっ!」

 ギッイイイイィィィィ……

御館様「……」ザザッ

家老「ご苦労であった。大事ないか?」

御館様「うむ。魔王討伐の報を受けて、内乱も収束へと向かっておる」

家老「左様か」

御館様「思わぬ時間がかかって、到着が遅くなった。して、上様は?」

家老「天守にてお待ちだ。参られい」

 ザッザッザッ

家老「上様、藤蔵の御館と城主が参られましたぞ」

帝「……うむ」

御館様「上様、ご無事で何より」

帝「……そなたも」


67 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:43:39.04 ID:KrMb1W/io
家老「まずは北の戦況報告を……」

帝「構わぬ。大事無いと既に聞いておる」

城主「はっ。賊徒など含め、既にほとんどは潰走、若しくは降伏致しておりまする」

帝「ご苦労であった」

城主「ははっ」ザザッ

帝「御館、既に伺っておるな?」

御館様「……伺っておりまする」

帝「……済まぬ」

御館様「勿体なきお言葉。あやつ等も覚悟の上での事」

帝「……」

御館様「武士道。意味はお分かりかな?」

帝「武士道……難しいな」

御館様「藤蔵では、武士道なる言葉は使いませぬが、このように解釈致しておりまする」

帝「……」

御館様「命を惜しんで守るべき者を亡くすくらいであれば、喜んでその命、差し出そうと」


68 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:44:06.92 ID:KrMb1W/io
帝「……」

御館様「ただ死ねば良い、というものではありませぬ。如何にして死すべきか」

帝「……」

御館様「己の最後さえ華々しく散る。それこそが武士道」

帝「やはり……難しいものだ……」

御館様「あやつ等は魔王を道連れに命を落とした」

帝「……うむ」

御館様「魔王させ倒せば、もはやこの東方に、武士など不要で御座ろう」

帝「……そうだな。これからは争いなどない、平和な時代が訪れるであろうな」

御館様「乱世に生きる藤蔵が、治世に生きる事はありませぬ」

帝「……」

御館様「あやつ等は乱世そのもの。己が命を以ってして、乱世を終えたのです」

帝「武士道とは……」

御館様「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」

帝「……難しくて、深くて、そして……儚いものだな」


69 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:44:41.68 ID:KrMb1W/io


 ザッザッザッ

御館様「……」

盗賊「……」

御館様「任務、ご苦労であった」

盗賊「父様……っ」

御館様「酷い顔をしておる。しっかりせぬか、たわけが」

盗賊「……申し訳御座いませぬ……っ」

御館様「最後は見届けたのか?」

盗賊「……はい」

御館様「ならば良い。あやつ等も成仏出来たであろう」

盗賊「……っ」

御館様「奥義書は?」

盗賊「……ここに」スッ

御館様「良い。お前が持っておれ」


70 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:45:08.99 ID:KrMb1W/io
盗賊「私には……」

御館様「まだ、戦が終わったわけではなかろう」

盗賊「私には……重すぎます……」

御館様「泣き言を申すな!」

盗賊「!?」

御館様「お前に託されたものだ。盗賊、お前が担わねばならぬのだ」

盗賊「……」

御館様「良いか? 乗り越えられるのは、自分自身しかない。誰も助ける事は出来ぬ」

盗賊「……は……い」

御館様「藤蔵家の血が流れておるお前ならば、あやつ等の力を借りる事が出来よう」

盗賊「……」

御館様「しっかりと務めるのだぞ」スタスタスタ

盗賊「父様……っ」

 スタスタスタ……ピタッ

盗賊「……?」


71 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:47:30.82 ID:KrMb1W/io
御館様「すまんな。追い出しておきながら」

盗賊「父様……?」

御館様「もう頼るべきは……お前しかおらんのだ……」

盗賊「!?」

御館様「生きて会う事があらば、晩酌に付き合え」

盗賊「……喜んで……承りまする……っ」

御館様「……」

 スタスタスタスタ……

盗賊「……っ」

 普段はあれ程、大きく見えた父の背中であったが、今日ばかりは小さく見えた。

 盗賊はそんな父の背中を見て、目に涙を浮かべ視界が濡れていたが、

 それはまるで、父である御館様の背中が泣いているかのようであった。

 後日、藤蔵が守り抜いた西門からは駐屯する忍が居なくなった。

 代わりに、西門には名前が名付けられた。都より西の天領へと続く道を守る門。

 その門は藤蔵門と呼ばれ、人々に親しまれ続けた。


72 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:48:27.61 ID:KrMb1W/io


召喚士「えっ!? 今日……これから?」

青年兵「はい。隊長の件もありますし、次の事を考えれば早い方がいいかと」

召喚士「そっか……」

青年兵「いやいや、皆さんはお疲れでしょうし、休んでいて下さい」

戦士「……いや、俺は行く」

盗賊「私も行きたい」

魔道士「召喚士さん?」

召喚士「俺も行きたい……。でも、満月の夜まで時間が……」

魔道士「あ……っ」

戦士「召喚士はこれから、総本山に行かなきゃいけないんだよな」

召喚士「そうなんだよね」

青年兵「では、召喚士さんは別行動という形で?」

召喚士「ごめん……っ」

青年兵「いえいえ。歴史的瞬間が訪れるかもしれないんですから」


73 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:49:34.67 ID:KrMb1W/io
魔道士「……っ」

盗賊「魔道士はどうする?」

魔道士「私も……盗賊さんや戦士さんと一緒に行きます!」

戦士「いいのか?」

魔道士「はいっ!」

青年兵「では2時間後に港へ。総本山も通りますから、良ければ途中までどうです?」

召喚士「そうだね。槍侶くん達と相談してみるよ」

青年兵「はい。宜しくお願い致します」スタスタスタ

戦士「ついに5属性の召喚獣か……」

盗賊「……いよいよだな」

召喚士「まぁ、うまくいくか分かりませんけど」

戦士「さて、準備してくるか」

盗賊「そうだな」スタスタスタ

魔道士「……召喚士さん」

召喚士「はい?」


74 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:50:06.20 ID:KrMb1W/io
魔道士「ちょっとこっちに」

召喚士「へっ!? は、はい……」

 スタスタスタスタ

召喚士「あ、あの……何でしょうか?」

魔道士「おまじないしますから、ちょっと目を瞑ってて下さい」

召喚士「おまじない……ですか?」

魔道士「悪いキツネが憑かないようにっ、おまじないですっ!」

召喚士「へっ? は、はぁ」スッ

魔道士「……ん、もう少しかがんで……そう」

召喚士「……?」

 チュッ

召喚士「!?」

魔道士「……はいっ! いいですよっ!」

召喚士「い、今……おまじ……まじ……っ」

魔道士「おまじないですっ! えへへ!」


75 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:50:38.04 ID:KrMb1W/io


召喚士「……」ボケー

戦士「……どうしたんだこいつ?」

盗賊「さぁ。ずっとこんな調子だぞ」

戦士「魔道士、何か知ってるか?」

魔道士「さ、さぁ……っ」

盗賊「あれ?」

戦士「西方参謀? あぁ、旅籠に行くのか」

 スタスタスタ カラッ

西方参謀「……女将さん、居ますかい?」

女将「はぁい。あらぁ、お帰りなさいませ〜」パタパタパタッ

西方参謀「ただいま帰りましたぜぇ」

女将「大変でしたわねぇ。何か食されます?」

西方参謀「あ、いやいや。宿賃を払いにきたんですわ」

女将「……?」


76 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:51:08.29 ID:KrMb1W/io
西方参謀「戦いは終わっても、仕事は尽きないってね。ガハハッ」

女将「あらまぁ。お忙しい事」

西方参謀「てなわけで、世話んなりましたわ……ヒック」

女将「あら? そういえば……隊長さんは?」

西方参謀「……ああ、アイツなら一足先にいっちまいましたよ! 全く薄情な奴だ! ガハハ!」

女将「そうですかぁ……。なんや、振られてしまいましたなぁ」

西方参謀「男の風上にもおけんヤローですわ。こんなイイ女を残していっちまうなんてね」

女将「……」

西方参謀「ま、あいつが居ないんじゃあ抜け駆けは出来んので、俺も今は失礼しますわ」

女将「……ずっとは待ちませんよ。そう伝えて下さいな」

西方参謀「必ず。きっと……すっ飛んで来るかもしれません」

女将「うふふっ、それじゃあ……気ぃ付けて」ヒラヒラ

 スタスタスタ……

西方参謀「……先に逝っちまって……どうすんだよ馬鹿ヤローが」

 旅籠を立ち去る西方参謀の背後から、女将のすすり泣く声が残った。


77 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:51:49.33 ID:KrMb1W/io


 ガクンッ!!

召喚士「!?」ユラユラ

女隊員「あ、目に光が戻ったッス」

戦士「召喚士、大丈夫か?」

召喚士「あれ? えっ!? 船の上……?」

男隊員「何をスッとぼけてんだてめぇは」

青年兵「少し、横になりますか?」

召喚士「い、いやっ! 大丈夫……ですっ」

青年兵「このまま富士の山付近の岸に船を寄せますので、小船で上陸して下さい」

召喚士「うん、ありがとう。助かるよ」

青年兵「まだしばらく時間がかかりますから、もし具合が悪いようでしたらいつでも……」

召喚士「大丈夫! 大丈夫です!」

青年兵「そ、そうですか」

召喚士「ははっ、はははは……っ」


78 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:52:17.17 ID:KrMb1W/io


東方参謀「そうだ。もっと気を練るイメージを作り……体内に留めるのだっ!」

格闘家「……」

槍侶「……」

東方参謀「ふぅむ」

召喚士「……?」テクテクテク

東方参謀「こやつら、凄いものであろう」

召喚士「あれ……? 2人とも魔力が……!?」

東方参謀「会得する機会がなかったから身に付かなかっただけで、これ程の力を持っておる」

召喚士「……瞑想しているだけなのに、凄い威圧を感じます」

東方参謀「魔法に頼らず、己の心技体を鍛えた結果だ」

召喚士「なるほど。しっかりとした基礎の上で、魔力が乗れば……」

東方参謀「まぁ無属性と言ったところであろうが、打撃や槍に必然と付加させるわけだ」

召喚士「……ええ」

東方参謀「波動、といった類であろうか。こやつら、もっと強くなるぞ」


79 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:52:43.98 ID:KrMb1W/io


召喚士「みんな、どんどん強くなってるなぁ。俺も頑張らないと」スタスタ

戦士「そう思わねぇか?」

女隊員「まぁ言われてみればそうッスね」

召喚士「……?」

魔道士「あ、召喚士さんっ。召喚士さんはどう思います?」

召喚士「えっ?」

戦士「帰りの船で思ったんだけどよ、なんか……遅くねぇか?」

召喚士「遅い? 船が……って事?」

盗賊「いや、全体的にだ。行きと帰り、時間がどうもずれている感じがする」

魔道士「でも言われてみればそうですよね。私達も帰り、随分と時間がかかったし」

召喚士「……確かに。疲労があったとはいえ、都までやけに遠く感じましたよね」

男隊員「船も北風だから、本来は帰りの方が早そうなもんだけどな」

召喚士「……っ」ハッ

魔道士「召喚士さん?」


80 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:53:21.44 ID:KrMb1W/io
召喚士「もしかして……世界が……っ」

戦士「世界? あぁ、何だっけか? 天才が言ってたヤツか?」

召喚士「世界が……繋がった……元通りに……!?」

女隊員「なんの話ッスか?」

召喚士「天才さんの言っていた話です……」

 イブリース戦後、西の果てを探索していた時の天才の会話を、召喚士は一同に伝えた。

男隊員「何ぃ!?」

南方参謀「世界が繋がっている……ですって!?」

西方参謀「……いや、確かにそういう捉え方が出来なくもない、ないが……っ」

召喚士「でもそれを裏付ける出来事が、現実に起きています」

青年兵「測量と航海の必要がありますね」

女隊員「な、何だか……ロマンのある話ッスねぇ!!」

魔道士「世界が繋がったなら、東方と西方も簡単に行き来出来るんですよねっ!?」

召喚士「そういう事になりますね」

魔道士「うわぁ〜っ! すごいすご〜い!」


81 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:54:04.52 ID:KrMb1W/io


国軍兵「まもなく不死の山付近にさしかかります!」

青年兵「準備は宜しいですか?」

僧兵長「世話になりました」

槍侶「召喚士さん、それでは参りましょうか」

召喚士「ええ。それじゃ、皆さんもお気をつけて」

魔道士「頑張って下さいね……っ!」

戦士「満月は明後日か。無事に終わるといいな」

召喚士「うん」

盗賊「じゃあまた、都で」

召喚士「行ってきます!」

 タッ

僧兵「小船で岸まで向かいます。召喚士殿はこちらの船に」

召喚士「お願いします!」

僧兵長「……っと、よし。それでは行こう」


82 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:54:30.33 ID:KrMb1W/io
 キィッ……キィッ……キィッ

女隊員「召喚士くん、大丈夫ッスかねぇ」

魔道士「大丈夫ですっ! おまじないしましたから!」

盗賊「おまじない?」

魔道士「はいっ! ふふっ、えへへ!」

戦士「よく分からんがまぁ、大丈夫だろ。戦うわけじゃねぇんだし」

青年兵「こちらはこのまま北へ向かいます」

男隊員「漁師らが居なくて大丈夫なのか?」

青年兵「ご心配なく。最北の塔で合流予定です」

東方参謀「あちらに置いて来た兵らもおるし、心配は無用であろう」

南方参謀「あら、どこ行ってたのよ。探したのよ? 東方司令部、人が少ないんだから」

東方参謀「甲板で稽古を見てやっていたのだ。文句ならば東方司令に言え」

南方参謀「しっかし、おたくの司令は自由人にも程があるわね」

西方参謀「ガハハッ、違いねぇ。気楽なモンだぜ……ヒック」

東方参謀「あれは好き勝手やらせておいた方が良い。どうせデスクワークは出来ん」


83 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:55:12.23 ID:KrMb1W/io
〜帝の城〜

東方司令「ふぇ〜っくし!!」

女剣士「お姉様、大丈夫ですか?」

東方司令「ん。どうせアホヒゲが文句でも言っているんだろ」

女剣士「……?」

東方司令「それよりも、お前の姉の行方……分かったのか?」

女剣士「……いえ。おそらくは本国へ戻ったのではないかと」

東方司令「そうか。ならいずれ、また会う機会もあるかもしれんな」

女剣士「……だと、いいですけどね」

東方司令「兄弟姉妹は、大切にした方がいいぞ」

女剣士「はい。あの時、無理にでも引き止めておけばと後悔しています……っ」

東方司令「居なくなってからでは、伝えたい事も伝えられんからな」

女剣士「はい」

東方司令「ボクは先に本国へ戻って待っている。東方司令部を訪ねるといい」

女剣士「有難う、お姉様」


84 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:55:40.60 ID:KrMb1W/io
〜不死の山〜

槍侶「今日は雪が止んでおりますね。これならば比較的、楽に登れそうです」

僧兵長「そうだな。先の戦に比べれば、不死の登山など楽に思えてしまうな」

召喚士「……ええ」

僧兵長「では、防寒具は身に付けたな? 参るぞ」

 ザッザッザッ

召喚士「そういえば1つ、お聞きしたかったんですが」

僧兵長「ん?」

召喚士「総本山はいつ頃からあるのですか?」

僧兵長「分からぬ。書物によれば千二百年前頃とも言われているが」

召喚士「そんな昔からですか!?」

僧兵長「建立は東で暴れていた妖を自由にさせぬ為のものであったと聞くが」

召喚士「……なるほど。それだけ歴史ある、由緒正しき場所なのですね」

僧兵長「そうだな。だからこそ我らも、後世に伝え続けねばならぬのだ。なぁ、槍侶よ」

槍侶「その通りですね。総本山の教えも、この……槍も」


85 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:56:09.93 ID:KrMb1W/io
〜船上〜

盗賊「……」

青年兵「盗賊さん、少し、宜しいですか?」

盗賊「……ん」

青年兵「今回の事、藤蔵の皆様については僕が……」

盗賊「予め、予言の話……してくれていたんだろ?」

青年兵「……すみません」

盗賊「伝えてくれていたのであれば、何を謝る必要がある」

青年兵「……っ」

盗賊「予言を知った上での彼らの行動なのだ。何も悪い事はない。むしろ、感謝する」

青年兵「盗賊さん……」

盗賊「結果が分かっていたからこそ、彼らは悔いのない最後を……武士道を遂げる事が出来たのだ」

青年兵「……そうだったら……僕も僅かながら救われます」

盗賊「お前は戦の大将なのだ。大将は過去の非を悔いたりしない。前に進むのみだ」

青年兵「ありがとう……ございますっ」


86 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:56:39.43 ID:KrMb1W/io
〜不死の山、総本山〜

 コオオォォォォ……

召喚士「……っと。ふーっ」

僧兵長「深夜になる前になんとか着けたな」

槍侶「開門願おう!」

 ゴゴンッ ギイイィィィィ……

僧兵「帰ってきた……。総本山に……」ギュッ

召喚士「それは……?」

僧兵長「戦にて亡くなった者らを火葬した骨だ。この者らも帰ってきたかったであろうからな」

召喚士「……っ」

僧兵長「さぁ、入ろう。今宵はゆっくりと疲れを癒すが良い」

召喚士「お世話になります」

 ザッザッザッ

槍侶「大僧正様!」

大僧正「よう戻った。さぁ、此方で暖をとるが良い」


87 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:57:06.72 ID:KrMb1W/io


 メラメラッ パチッ

大僧正「……そうか。激しい戦いであったな」

僧兵長「同志も少なからず、天へと召されました」

大僧正「悲しき事じゃ。法を説く我らが、いつぞや武器を手に持ち、
      世の為と言えど、殺生を行うとは破戒の極みじゃ」

槍侶「しかしそれももう終わります。東方には真の平和が訪れる事でしょう」

大僧正「そうじゃのう。償いはこれからじゃ。これから正しき行いをするのみじゃな」

僧兵長「それが、召されていった者達への供養にもなる事でしょうな」

大僧正「召喚士殿」

召喚士「はい」

大僧正「東方の為によう戦って下さった。総本山からも礼を言わせて頂くぞ」

召喚士「俺1人の力ではありません。総本山や、東方の方々がいてこそのものです」

大僧正「まだ、召喚士殿の戦いは続くのじゃな?」

召喚士「もう少しで終わるとは思いますが、正真正銘、最後の戦いです」

大僧正「うむ。儂も遠方より微力ながら、無事を祈り、唱えさせて頂こうぞ」


88 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:57:32.67 ID:KrMb1W/io
〜次の日〜

召喚士「……ふあぁ」

槍侶「はぁっ!!」シュバッ!!

僧兵「はっ!」バババッ!!

召喚士「……おぉー」

槍侶「召喚士殿、お早うございます!」

召喚士「皆さん早いですね」

槍侶「総本山の起床は日の出前と決まっておりますから!」ニカッ

召喚士「……健康的で……何よりです」

 スタスタスタ

召喚士「鍛錬ですか?」

槍侶「はいっ。最終決戦へ向けて、少しでも強くならねばと」

召喚士「えっ!?」

槍侶「召喚士殿は東方の為に戦って下さった。今度は我らがご恩を返す番です!」

召喚士「槍侶くん……っ」


89 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:58:01.53 ID:KrMb1W/io
僧兵長「上様もそのつもりであろうしな」スタスタ

召喚士「あ、おはようございます」

僧兵長「総本山とて護衛も兼ねて、参戦するつもりだ」

召喚士「頼もしい限りです。でも、いいんですか?」

僧兵長「東方だけが平和になっても無意味」

槍侶「その通りです。全ての世界が平和で、平等でなくば意味がありません」

僧兵「それこそ開祖の教えに通ずる精神也!」

召喚士「ありがとうございます」

槍侶「いえいえ。互いに助け合う。それこそ人の力というものです!」

召喚士「仰る通りです。妖や魔物にはない、人間の武器ですよ」

槍侶「ははっ! 如何にも!」

僧兵長「ならばまずは鍛錬はこの辺りにして、朝食の支度と掃除に励めい」

槍侶「うぇ……」

召喚士「あ、俺も手伝いますよ! 互いに助け合い……です!」

槍侶「ありがたいっ!!」ニカッ


91 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/01/23(月) 19:01:25.69 ID:QgkkoYaH0
いちおつ!

召喚士モブのくせにモテ過ぎ。。


94 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2012/01/23(月) 19:31:28.60 ID:fRYDfae0o
>>1乙

ヤバイヤバイヤバイ
物語がだいぶ終わりに近づいてきたと言う実感が急にわいてきた!寂しいな



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