■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その33
315 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 17:52:46.56 ID:e1mSr3JTo
〜西方司令部、開発局〜

鍛冶屋「どう?」

戦士「おっ、いいカンジ! すんげー握りやすい!」

鍛冶屋「でしょ!? 戦士くんの手形に合わせて、グリップをフィットさせたからね!」

戦士「おぉ、俺専用って事すか?」

鍛冶屋「そっ! 握りやすければその分、力も伝わりやすい。結果、威力は最大限発揮出来る!」

戦士「すげぇ……っ!」

鍛冶屋「刃の部分は明日以降だね。今、溶かして形を作ってるから」

戦士「ほんとだ。しっかし、でけー窯だなぁ」

鍛冶屋「バリスタとか、でっかいものも作るからね」

戦士「そっか。剣だけじゃないもんな」

鍛冶屋「あれなんかもそうなんじゃない?」

局長「いいぞーっ! せーの……おっし! ストーップ!」

戦士「うへぇ、見てるだけで暑くなってくるわ……」

鍛冶屋「さ、柄の部分を完成させちゃお!」


316 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 17:53:53.02 ID:e1mSr3JTo


戦士「これ、東方風に出来ないっすか?」

鍛冶屋「ん?」

戦士「いや、刀の柄ってさ、なんていうか……持ちやすいんだよね」

鍛冶屋「ああ。確かに本国の剣より滑りにくい細工が施されてるからね」

戦士「出来る?」

鍛冶屋「うん。それは大丈夫だよ。グリップの部分は以前の雷切も原型のまま残ってるしね」

戦士「良かった」

テクテクテクテク

おかみ「そろそろ日が暮れるよ。今日はここまでにしたらどいうだい?」

戦士「ああ、もうそんな時間かぁ。鍛冶娘の奴……結局、戻って来なかったなぁ」

おかみ「全く、人任せだねぇ。まぁ忙しいのかもしれないけれどね」

戦士「俺、ちょっと探してきます」

おかみ「いいよ、放っておきなって」

戦士「いやいや。ちょっと司令部の人にも用があるし。んじゃ行ってきます」


317 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 17:54:49.65 ID:e1mSr3JTo


テクテクテクテク

戦士「……とは言え、あんまり部外者が司令部内をうろつくのもなぁ」

西国兵「どうも! ご苦労様です!」

戦士「あ、あぁ」

テクテクテク

魔道士「これはこれは。お疲れ様です」

戦士「どうも」

テクテクテク

戦士「普通に挨拶されて素通りってのもそれはそれでどうなんだ?」

テクテクテク

戦士「お、ここだ」

コンコン

西方参謀「あいよー」

戦士「失礼しまっす」


318 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 17:55:53.40 ID:e1mSr3JTo
ガチャッ

西方参謀「おう、どうした? あ、そうだ。寝るとこないだろ。客室キープしといたぞ……ヒック」

戦士「えっ? あぁ、なんかすんません。天才さんから手紙預かってきててさ」

西方参謀「司令から? どれ……」

カサッ

西方参謀「……ふーん。あんがとさん」

戦士「なぁ、鍛冶娘の部屋分かるかい?」

西方参謀「鍛冶娘? あー開発局のお嬢さんかい。だったら西の兵舎だな」

戦士「そっか。サンキュ」

西方参謀「だがあれだぞ? 西のは女子寮だから入れないぜ? ヒック」

戦士「あ、そうなの? うーん……参ったなぁ」

西方参謀「さっきまで一緒だったじゃねぇか。ははぁ、さては喧嘩したか?」

戦士「してねーよ」

西方参謀「どうかねぇ〜。お前さん、女心ってのに心得がなさそうだしなぁ……ヒック」

戦士「……」


319 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 17:56:56.16 ID:e1mSr3JTo


戦士「入れねぇんなら仕方ない。戻るとするか」

テクテクテク

戦士「……あ」

鍛冶娘「……」

戦士「探したぜ、何してたんだよ?」

鍛冶娘「具合悪くなったから仮眠」

戦士「大丈夫か?」

鍛冶娘「……」

戦士「熱でもあんのか? どっか痛いとか……」

鍛冶娘「……あのさ」

戦士「……?」

鍛冶娘「私って、あんたにとって……どんな存在なの?」

戦士「へっ!?」

鍛冶娘「……だからっ、どう思ってんのかって聞いてんのよ……っ!」


320 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 17:57:27.59 ID:e1mSr3JTo
戦士「ど、どうって……どういう事だよ?」

鍛冶娘「ただ一時、世話になった家に居た、娘程度にしか思ってないの?」

戦士「言いたい事がよく分からないんだが……」

鍛冶娘「だからっ! あんたは……その、私の事……好きなのか嫌いなのかってこと!」

戦士「!?」

鍛冶娘「は、はっきり言いなさいよね……っ」

戦士「いや、極端だなぁ。んーまぁ、そりゃ嫌いなわけないだろ」

鍛冶娘「……っ」

戦士「お前は悪い奴じゃねぇし、前はあんま話す事なかったからあれだけど、今はそうでもねぇし」

鍛冶娘「……じゃあさ」

戦士「俺、1人っ子だからさ。なんつーか……勝手に妹みたいなカンジで接しちゃってるのかもな」

鍛冶娘「――!?」

戦士「だからまぁ、他の奴よりも色々と心配っていうか……まぁ、そんな感じか?」

鍛冶娘「妹……」

戦士「悪りぃな。俺もなんかよく分からんわ。はははっ」


321 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 17:58:06.76 ID:e1mSr3JTo
テクテクテク…ズイッ

戦士「……な、何だよ……っ」

鍛冶娘「キ、キスしなさいっ!」

戦士「はあぁ!?」

鍛冶娘「もし出来なかったら、剣作るのやめるから」

戦士「おいっ! 何言ってんだよ!」

鍛冶娘「どーせ妹にしか見れないんだったら、そのくらい余裕でしょ!」

戦士「あ、あのなぁ……」

鍛冶娘「勘違いしないでよねっ! さっさとしなさい!」

スッ

戦士「……っ」

鍛冶娘「――っ」

戦士「…………すまん」

グイッ

戦士「俺には出来ねーわ。剣はなんとかするよ。悪かったな」


322 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 17:58:50.52 ID:e1mSr3JTo
鍛冶娘「……っ!?」

戦士「なんの意図があってか知らんが、やっぱり気軽にしちゃいけないもんだろ」

鍛冶娘「……」

戦士「初めてなんだろ?」

鍛冶娘「バ、バッカじゃないの!? キスくらいした事あるんもん……っ」

戦士「本当か? すっげー震えてたぞ?」

鍛冶娘「うっ、うるさいわねぇ! バカッ!」

戦士「本当に大事な相手が見つかるまで、勿体無いからとっとけよ」

鍛冶娘「……あんたは……いるの?」

戦士「ん?」

鍛冶娘「その、大切な……人」

戦士「ああ、いるよ」

鍛冶娘「……盗賊……さん?」

戦士「そうだよ」

鍛冶娘「……そう」


323 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:00:24.03 ID:e1mSr3JTo
ハッ

戦士(あれ……? このカンジってもしかして……っ)

鍛冶娘「そう、だよね……っ」

戦士(俺、思いっきり鍛冶娘フッた……てか、鍛冶娘が……俺の事を!?)

鍛冶娘「……」

戦士(……て事は、すっげぇ傷付くような事を言っちまったんじゃねぇか!?)

鍛冶娘「……ま、まぁ……分かってはいたんだけどね」

戦士(俺のバカ! 思い返してみれば……あぁ、ほんと俺って奴は……)

鍛冶娘「少し時間置いて良かった。覚悟してたし、思ったよりダメージないや」

戦士「鍛冶娘、俺……すまん!」

鍛冶娘「はぁ? な、何よ今更……」

戦士「いやっ、なんていうかその……全然気が付かなくて、傷付けちまったかな……って」

鍛冶娘「……ほんと、鈍感なんだから」

戦士「……すまん」

鍛冶娘「謝らないでよっ、私が駄目みたいじゃんか」


324 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:01:34.52 ID:e1mSr3JTo
戦士「わ、わりぃ」

鍛冶娘「だからっ、謝るなって!」

戦士「……お、おう」

鍛冶娘「あんたなんかよりいい男をとっ捕まえてやるんだから!」

戦士「ああ。世界にゃいっぱいいるぜ」

鍛冶娘「戦士も、盗賊さん泣かせちゃ駄目だからね」

戦士「お、おう。雷切の剣は悪かったな。色々と無茶言っちまって」

鍛冶娘「……本気にしないでよ。たかがキスくらいで、やめるわけないでしょっ!」

戦士「じ、じゃあ……」

鍛冶娘「それはそれ。これはこれっ! ちょっとからかってみただけなんだからねっ!」

戦士「……サンキュ」

鍛冶娘「……ってか、ななっ、何で私があんたの事好きな設定になってるのよ!!」

戦士「へっ!? あ、違ったか……?」

鍛冶娘「か、勘違いも甚だしいわよっ、このバカーッ!」

戦士「い、いてぇな。ははは……っ」


325 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:02:16.43 ID:e1mSr3JTo
鍛冶娘「……あっ。そろそろ夜勤行かなくちゃ!」

戦士「お、引き止めて悪かったな」

鍛冶娘「ううん。こっちこそ今日は手伝えなくてゴメン……っ」

戦士「いいさ。仕事もあんだし、そっち優先にしてくれよ」

鍛冶娘「明日は空いてるから顔出すわね」

戦士「おう。あ、具合はもういいのか?」

鍛冶娘「……うん。すっかり良くなった」

戦士「そっか」

鍛冶娘「ちょっとキッツイ薬だったけどね」

戦士「……」

鍛冶娘「それじゃ、行ってくる」

戦士「おう、行ってこい!」

タッタッタッタッタ

鍛冶娘「ふふっ。あいつなんかより顔が好みで将来性あって、趣味が合う人探してやるんだからっ!」

走って開発機関へと向かう鍛冶娘の顔は、言葉とは裏腹に晴れやかなものであった。


326 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:02:50.07 ID:e1mSr3JTo


男隊員「ぶわ〜っくしゅ!!」

女隊員「汚いッスねぇ」

男隊員「しょーがねぇだろ。この砂嵐なんだ、鼻もズタボロだよ」

女隊員「本当ッスかぁ? 誰かが悪い噂でもしてるんじゃないッスかねぇ」

男隊員「あのな、俺のどこに悪い噂があるんだよ。なぁ?」

格闘家「……はぁ」

男隊員「生返事やめろ」

〜西方、西の砦。会議室〜

ガチャ

女隊員「お帰りなさいッス」

男隊員「変化なし?」

隊長「ああ。特にない。日に日に風が強まってる感じはあるな」

格闘家「確かに」

隊長「そんじゃサクッとミーティングするか」


327 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:03:30.10 ID:e1mSr3JTo


隊長「今日までの情報をまとめると、とにかく最も困難だと思われるのは進軍だ」

男隊員「だな。視界は悪いわ、音は聞こえないわで苦戦は必死」

女隊員「かと言って迂回しようにも、風上が西じゃあ手打ちようがないッスよ」

隊長「おまけに砂の中にゃサンドワームがウジャウジャいやがる」

格闘家「山へ辿り着くまでに、被害を出しかねませんね」

隊長「すると、出来得る作戦は……」

男隊員「強行突破か、囮作戦だな。ヒャハハ!」

格闘家「以外にはなさそうですね」

隊長「今のところ考えられるのは強行突破だが、司令がどう考えているかだな」

女隊員「どうって、突破の方法ッスか?」

男隊員「隊長みてーな土行とか、大軍師ばりの木行がありゃ何とかなるかもしんえーけどさぁ」

格闘家「上空……という手も」

隊長「何にせよ次の満月までは約3週間。それまでに可能な限りの情報を収集するぞ」

女隊員「了解ッス!!」


328 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:04:25.02 ID:e1mSr3JTo
〜西国の城〜

神官「召し上がらないのですか?」

王子「これ、ブドウジュースじゃないの?」

神官「そうですよ?」

王子「そうですか?」

神官「陛下、ふざけないで下さい。これからしばし禁酒して頂きます」

王子「はあぁ!?」

神官「陛下は武力に優れておりますが、魔力に安定性を欠いております」

王子「はぁ」

神官「今から3週間、みっちりと精神を整え、魔力を安定させましょう」

王子「3週間!? 3週間も禁酒するの!?」

神官「はい。それではいただきます」

王子「おいこらぁ!」

盗賊「……賑やかだな……もぐもぐ」

魔道士「そ、そうですね……えへへ」


329 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:05:54.14 ID:e1mSr3JTo


天才「なぁ神官ちゃんよ」

神官「はい」

天才「今日中に砦まで案内出来っか?」

神官「ええ、まぁ行こうと思えば行けますが、もう少しゆっくりなさっては?」

女王「そうですよ、旅の疲れもあるでしょうし」

天才「早いに越した事はねぇ。善は急げって言うだろ」

王子「でも、踊り子連中も呼んじゃったしなぁ」

神官「!?」

テクテクテク

西国兵「陛下、踊り子らが到着致しましたので、こちらへ通します」

王子「おう」

ズラズラズラッ

踊り子「連日のお招き、まことにありがとうございますっ♪ えぇと、この度は……」

魔道士「あーっ!!」


330 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:06:39.50 ID:e1mSr3JTo
踊り子「……?」

盗賊「……あの時のっ」

踊り子「あぁーっ!!」

召喚士「し、知り合いですか……?」

盗賊「ちょっと、色々あってな」

魔道士「踊り子ちゃ〜んっ! 良かった、また会えたー!」

踊り子「魔道士ちゃんに盗賊ちゃん!」

テクテクテク…バシッ!!

踊り子「痛っ!」

元締め「何を騒いでおるか! これは陛下、ご機嫌麗しゅう……」

王子「昨日に続き世話になるぞ」

元締め「ええそれはもうっ。ところで昨晩、うちのダンサーが本国の大切なお客人を誑かしたと……」

青年兵「――っ!!」

元締め「私めの教育がなっておらず、大変なご迷惑をお掛け致しました! おら、来い!」

ダンサー「あぐぅ……っ」


331 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:07:13.90 ID:e1mSr3JTo
ドサッ…ジャラジャラジャラ

元締め「盗んだお金は慰謝料も含め、倍にしてお返しさせて頂きます」

青年兵「い、いえっ。何もそこまで……落ち度はこちらにもあったわけですし……」

元締め「いえ。それでは示しがつきませぬ。こやつもこの通り痛めつけておきましたので」

サモナー「!?」

魔道士「ひ、ひどい……っ」

元締め「さぁ、今宵もどうぞ、心ゆくまでお楽しみ下さいませ」

天才「……なぁ」

スッ

天才「……?」

王子「……あなたは出なくていい」

天才「ほぉ」

スクッ

王子「君、ちょっといいかな」

元締め「はい?」


332 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:08:01.63 ID:e1mSr3JTo
王子「その踊り子、随分と酷い暴行を受けたような形跡がるけど」

元締め「ええ、そりゃもう本国の軍人、しかも士官であられる方からお金を巻き上げるなど……」

王子「あのさ、変な事聞くけど、今いくら貰ってるの?」

踊り子「へっ!?」

王子「いや給料。月々いくら貰ってるのって言ってんの」

踊り子「給料……? いや、貰ってないですけど……」

王子「貰ってないのに何で働いてるの?」

踊り子「一応、住む所と食事は用意して貰ってますし……」

王子「君たちもそう?」

踊り子の後ろに控える一同が、揃って首を縦に振った。

王子「食事は満足してる?」

踊り子「えっと……あの……」

元締め「陛下、野暮なお話はこれくらいにして、そろそろ余興に――」

王子「黙れ!!」

元締め「!?」


333 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:08:36.77 ID:e1mSr3JTo
王子「悪いが、貴様にはこうして宮殿で催して貰う為に、不自由ない金を渡したはずだ」

元締め「え、えぇ。そりゃもう……っ」

王子「それが何故、彼女らに還元されていない? その金は一体どこにいったのだ!」

元締め「あの陛下、お言葉ですが……それがビジネスというものですので」

王子「何?」

元締め「彼女らの主はこの私。私は頂いたお金で彼女らを養っているのです」

王子「……」

元締め「他にも衣装代やら移動費やら、これがまたお金のかかる事ばかりでして……ヘヘッ」

ザッ…スタスタスタ

神官「陛下」

王子「分かってる。一国の主たるもの、一般人に手は出さん」

元締め「あ、あのそのこのぉ……っ」

王子「……金を」

元締め「は、はい?」

王子「金を持って来い。そうだな、催事料の30年分でいい」


334 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:09:33.30 ID:e1mSr3JTo
元締め「――!?」

西国兵「は、はいっ!」

王子「この踊り子達は私が引き取る。異論はないな?」

元締め「あ、あの……30年分というのは……」

王子「彼女らの実働年数を考えれば十二分であろう? 不服か?」

元締め「い、いえっ!! 滅相もございません!!」

王子「ならば金を受け取り次第、すぐに消えろ。もう用はない」

元締め「は、ははぁ」

ザザッ…テクテクテク

元締め「いやぁ、これでようやく貴様らの面倒も見ずに済むわい。ウヘヘッ」

踊り子「……っ」

元締め「まぁお前らの身体を楽しめなくなるのは心残りだが、今度は金で買ってやるぞ」

テクテクテクテク…

王子「……はぁ危なかった。もう少しで斬り殺していたかもしれない」

召喚士「王子……っ」


335 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:09:59.18 ID:e1mSr3JTo
神官「陛下、ご立派でしたよ。見直しました」

天才「ああ。危うく俺様が先に手を出すところだったぜ」

王子「いやぁ、だって可哀想じゃん。幾らなんでも酷すぎるよ」

ダンサー「うぅ……っ」

青年兵「大丈夫ですか? 立てますか?」

ダンサー「す、ずびません……っ」

青年兵「いいんです。貴女にも事情があったわけですし。罪を憎んで人を憎まずですよ」

ダンサー「ううぅぅ……っ」

踊り子「あ、あのっ!」

王子「ん?」

踊り子「アタイ達……どうしたら……っ」

王子「決まっているだろ。君達の仕事は躍る事。さぁ、私や客人を存分に楽しませてくれ!」

踊り子「――っ!! は、はいっ!! みんな、準備はいいっ!?」

みんな「おーっ!!」

踊り子「それでは、今日はいつも以上に歌って躍らせて頂きます〜っ!」


336 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:10:33.78 ID:e1mSr3JTo
〜♪

盗賊「……王子、凛々しくなったな」

召喚士「ええ。もうすっかり西国の王として立派にやってますよ」

魔道士「私、感動しちゃいました……っ」

サモナー「西国にはああやって、まだまだ差別のような風潮があるんだ」

天才「経済は急成長しても、そう簡単に風習は変わらんからな」

神官「しかし、本国の風が入り込んできた事により、徐々にそれも薄まってはおりますよ」

青年兵「本国だけの力ではありませんよ。陛下のお力が本当に大きいと実感しました」

王子「いやぁ〜そんな事はないですよ。あはははっ!」

神官「ふっ、そうですね。陛下には今以上にもっと頑張って頂かねばなりません」

王子「……上げておいて一気に落とすよなお前」

神官「アメとムチと言って下さい。陛下はすぐに調子に乗りますからね」

王子「う……っ」

召喚士「あははははっ!!」

王子「へ、へへへっ!!」


337 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:11:00.55 ID:e1mSr3JTo
〜♪

踊り子「……ふーっ! 以上、ありがとうございましたっ♪」

魔道士「踊り子ちゃん素敵〜! やっぱりスタイルいいし、かっこいいよーえへへっ!」

踊り子「良かったら魔道士ちゃん達もどう!?」

盗賊「遠慮します」

召喚士「いや、しかし素晴らしい踊りでした。ありがとうございます」

青年兵「僕も昨日見ましたが、今日は更に素晴らしかったですよ!」

踊り子「こちらこそっ! 好きでやってる事ですからアタイがお礼を言いたいくらいですっ!」

魔道士「なんかこう、力が湧いてくる感じですよね!」

召喚士「ええ、ほんとその通りです」

踊り子「でへへ〜っ! あ、ところであの……っ」

王子「……?」

踊り子「アタイ達、住む場所とかそういうのはどうしたら……」

王子「君たちは私の下で働いて貰う」

踊り子「そ、それはモチロンっ、喜んで……」


338 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:11:29.56 ID:e1mSr3JTo
王子「つまり、君達は国王の部下。国王の部下はここに住んで貰う事になるな」

踊り子「――っ!!」

ザワザワザワ

王子「これは命令だから。今日からこの城で暮らす事。良いな?」

踊り子「ほ、本当にいいんですかそんな……」

王子「何度も言わせるな。神官、部屋や衣類は大丈夫だよな?」

神官「ええ。必要とあらば何でもご用意致しますよ」

王子「母上や姉上もさぞ喜ぶ事だろうな。よし、今日はもう休むが良い」

踊り子「ほっ、本当に何から何まで……ありがとうございます!! アタイ……何て言ったらいいか」

天才「ほっほーう。流石は一国の主、さては身体目当てだなぁ?」

王子「違う!! 断じて違う!!」

踊り子「……お、お望みとあらばっ」

王子「えっ!? いやっ、違ーう!! 断じて違うんだぁー!!」

召喚士「分かってますよ王子。あはははっ!」

神官「ふふっ、ははははっ」


339 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/10/28(金) 18:12:11.24 ID:e1mSr3JTo
今日も沢山のご支援、ありがとうございました!
それではひとまずここまでにて失礼致します!ではでは!ノシ


342 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage] 投稿日:2011/10/28(金) 19:38:49.27 ID:OLjNtDzso
>>1乙!

王子は思春期らしい子供っぽいところと大人びたいところが入り混じってて良いキャラに成長したなぁ
昔は歳に似合わずマセてて嫌いだったけど、微笑ましくなった


343 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/10/28(金) 19:48:59.26 ID:OsfhE2Aso
>>1乙

王子よくやった・・・!許した


345 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [sage] 投稿日:2011/10/28(金) 20:44:05.54 ID:2Bm81394o
王子[ピーーー]はネタかと思ってたがガチで嫌いな奴いたのかww


353 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/10/29(土) 09:34:11.28 ID:/MBoJBuAO
王子も経験を重ねて西国に必要な人物となったと言うことだろうね。

だからしねとは言わない…もげちまえっ!


357 名前:NIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage] 投稿日:2011/10/30(日) 08:43:32.72 ID:KkxmNpeAO
>>1さんお疲れ様です
連載2周年おめでとうございます!
またロダに何枚かキャラ画像進呈させていただきます。
これからも完結に向けて頑張って下さい。



次へ 戻る 戻る 携 上へ