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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その29
165 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:08:16.56 ID:7TxUulMCo
〜アマゾネスの村〜

アマゾネス「それでは、次の試合だ」

ザッザッザ

朱雀嬢「今度の相手は貴女かしら?」

ポニテ「私はポニテ。宜しくね、朱雀嬢ちゃん」

アマゾネス「それでは朱雀嬢対ポニテ……始め!」

ザザッ

朱雀嬢(さぁて、今度はどんな召喚獣かしら?)

ポニテ「行けっ、ペガサス!」

シュイイィィン

青年子「ペガサス……!?」

ポニテの召喚獣ペガサス。汚れ一つない真っ白な毛並みを風に靡かせ、

更には背から生えた翼を優雅に広げ、空を駆る。

魔道士「うわぁ……素敵っ」

白虎長「白虎のユニコーンに似ているな」


166 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:09:20.30 ID:7TxUulMCo
白虎嬢「そうですねぇ〜」

ポニテ「さぁ、勝負!」

朱雀嬢「……出て来いっ! ハーピー」

シュイイィィン

玄武娘「おぉ、ハーピーを出したですの!」

盗賊「……相手の特性が掴めないからな。汎用性のい高いハーピーなんだろう」

玄武娘「なるほどですの〜!」

朱雀嬢「ハーピー、まずは上空で様子を!」

ハーピー「はいなっ♪」

バシュッ!!

ペガサス「……」

ハーピー「ペガサスの力……何だっけ? あぁん、こっちだと全然思い出せないのよねぇ」

ポニテ「……さーて。来ないのなら、こっちから行っくわよぉ〜」

朱雀嬢「来るっ!」

静観していたペガサスが突如羽ばたき、空高く舞い上がる。


167 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:11:01.25 ID:7TxUulMCo
バシュウウゥゥゥ

朱雀嬢「どうするつもりかしら……っ!?」

ポニテ「そ−れっ!」

キラッ

朱雀嬢「!?」

ドガガガガガッ!!

白虎長「何あれっ!?」

魔道士「流星……?」

盗賊「……いやっ、あれは風圧だ!」

魔道士「風圧!?」

朱雀嬢「くぅ……っ!」

太陽の中に隠れるペガサスの元より、風圧で生み出された無数の衝撃波がハーピーを襲う。

ハーピー「凄い数……っ、まだ増える……のぉ!?」

朱雀嬢「お、音が遅れて聞こえるなんて……まさか……っ」

ズガガガガガッ…バゴオオォォォォン!!


168 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:11:54.83 ID:7TxUulMCo
朱雀嬢「きゃああぁぁーっ!!」

白虎長「ハーピーが吹き飛ばされたっ!」

ドシャアアァァ

ハーピー「うぅ……っ」

ガクッ

朱雀嬢「はぁ……はぁ……っ」

ポニテ「だいぶ、魔力を消費してしまったらしいわね」

朱雀嬢「……くぅっ」

白虎長「朱雀嬢、無理する事はないわよ。これは殺し合いではないの」

玄武娘「そうですの! まだ、4人もいるですの!」

朱雀嬢「……っ」

ザザッ

朱雀嬢「……そうね、私の負け……ですわ」

目を瞑りながらゆっくりと起き上がる朱雀嬢は、少しはにかみながら降参を宣言した。

朱雀嬢「悔しいけれど、あとはお任せ致しますわ。……大切な仲間に」


169 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:15:59.25 ID:7TxUulMCo
テクテクテク

朱雀嬢「……ごめんなさいですわ」

玄武娘「凄かったですのー!」

白虎嬢「ほんと、かっこ良かったよ〜」

朱雀嬢「……」

白虎長「さぁ、あとは私達に任せて休んでなさいな」

青年子「まだこちらが有利、問題ありませんよ」

朱雀嬢「みんな……」

盗賊「……よくやったな」

魔道士「朱雀嬢ちゃん、偉いっ!」

朱雀嬢「……ぐすっ」

アマゾネス「さぁ、次の相手は誰だ?」

白虎嬢「よしっ、行ってきます!」

玄武娘「白虎嬢ちゃん、頑張ってですのっ!」

白虎嬢「うん、頑張るね〜」


170 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:17:16.12 ID:7TxUulMCo
テクテクテクテク

ポニテ「お次はあなた?」

白虎嬢「そうみたいです」

ポニテ「……ふふん、私はこのままでいいわ。さぁ……」

アマゾネス「それでは、白虎嬢対ポニテ……始め!」

白虎嬢「うふふっ♪」

ゴゴゴゴゴゴ…

ポニテ「な、何!? この威圧は……っ」

ゴゴゴゴゴゴ…

青年子「で、出た……ベヒーモス!」

ドズウウゥゥゥゥン

アマゾネス「あれがベヒーモス……っ! デカイな」

ポニテ「えぇいっ、見かけで優劣決まるものですかっ!」

ペガサスは先程同様、上空より風圧の流星を放つ。

ズドドドドドッ


171 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:18:00.41 ID:7TxUulMCo
ポニテ「か、固いぃ!!」

ベヒーモス「グオオォォォォ!!」

2本の角を突き上げるかのように顔を上げるベヒーモス。

その一撃でペガサスの風圧は悉く打ち消され、完全に隙だらけとなった。

キュイイィィィィ

ポニテ「まず……っ、回避――」

ベヒーモス「ガアアァァァァッ!!」

ズドオオォォォォン!!…ボシュッ!!

ポニテ「きゃああぁぁーっ!!」

青年子「……い、一撃で消滅……っ」

魔道士「凄い魔力……っ」

ドサッ

ポニテ「……ま、参りました」

アマゾネス「し、勝者、白虎嬢」

白虎嬢「……よしっ!」


172 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:18:40.43 ID:7TxUulMCo
玄武娘「白虎嬢ちゃん、凄ぉーいですの!」

朱雀嬢「相変わらず、えげつないですわ……」

アマゾネス「……次っ」

ザッザッザ…ザッ

アマゾネス「白虎嬢対……ツインテ。始めぇ!」

ツインテ「よろしく〜」

白虎嬢「こちらこそ〜」

青年子「白虎嬢さん、ベヒーモスを下げませんね」

白虎長「今回も瞬時に片付けようって作戦みたいね」

ツインテ「……ふふっ、そうはいきませんよぉ〜」

白虎嬢「……」

ツインテ「行け、セイレーン!」

シュイイィィィンン

魔道士「セイレーン……!?」

盗賊「……初めて見るな」


173 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:19:17.82 ID:7TxUulMCo
朱雀嬢「ま、まずいですわっ!!」

玄武娘「ほへ?」

朱雀嬢「皆さん、耳を塞いで!!」

青年子「!?」

ツインテ「そーれっ」

セイレーン「〜♪」

ベヒーモス「グガアアァァァァーッ!!」

ガクンッ

白虎嬢「な、何……この歌は……っ!?」

ツインテ「ふふっ、一度耳に入ってしまえば……こっちのものよ〜」

セイレーン「〜♪」

ベヒーモス「ググ……ガアアァァァァ!!」

シュウウゥゥゥゥ

白虎長「ベヒーモスが小さくなって……」

朱雀嬢「歌のせいですわっ!」


174 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:20:46.88 ID:7TxUulMCo
魔道士「!?」

朱雀嬢「セイレーンの歌には、相手の力を徐々に奪うんですわっ!」

セイレーンの音色が辺りに響き渡る。その美しい歌とは裏腹に、

直撃を食らったベヒーモスとその主である白虎嬢は、徐々にその魔力を奪われていく。

盗賊「……そ、そうか……だから耳を塞げと……うぅっ」

更には聴覚が発達している盗賊においても、耳を塞いだ上から微弱ながら効果が出ていた。

白虎嬢「きゃああぁぁ!」

ツインテ「今頃、耳を塞いでも……遅いですわよ〜」

白虎嬢「くぅ……っ」

ベヒーモス「……グ……ググ……ゥ」

シュイイィィィィン

魔道士「ベヒーモスがっ!?」

白虎長「白虎嬢っ、もういいわ! 棄権してっ!」

白虎嬢「……ごめんなさい、棄権ですわ……っ」

アマゾネス「そこまでっ! 勝者……ツインテ」


175 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:21:27.01 ID:7TxUulMCo
フラフラ

白虎嬢「うぅ〜。ごめんなさい〜」

魔道士「大丈夫!?」

白虎嬢「少し休めば大丈夫だと思いますぅ」

青年子「まだこちらが勝っています。このままいきましょう!」

ザッ

白虎長「そうね、さーて……行ってくるわ」

アマゾネス「では、白虎長対ツインテ……始めっ!」

魔道士「白虎長さん、頑張ってーっ!」

玄武娘「ファイトですのー!」

白虎長「白虎先生の名において、一人も倒せずに負けるなんて出来ないわ」

ツインテ「……行け」

白虎長「セイレーンならもう効かないわよっ!」

白虎長は布などを合わせ簡易的に作った耳栓を、ちらりとツインテへ見せた。

ツインテ「……ちっ」


176 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:22:09.50 ID:7TxUulMCo
白虎長「出でよ、フェンリル!」

シュイイィィィィン

ツインテ「行けっ、グリフォン!」

シュイイィィィィン

白虎長「グリフォンか……」

ツインテ「あなたも白虎のようね。それなら……」

バサァ…バサッバサッ

ツインテ「空中の届かないところから、一方的に攻撃しちゃうわ〜」

グリフォンはツインテの合図と同時に急降下し、鋭い爪を振りかぶる。

フェンリルはそれを素早くかわし、円を描くように地面を疾走する。

白虎長「さーて、どうしようかしら……」

ツインテ「チョコマカと逃げるなぁ〜!」

盗賊「……確かに、白虎は朱雀と相性悪いな」

青年子「白虎の場合、飛行タイプの召喚獣を持たないですからね」

魔道士「確かにそうですよね」


177 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:22:51.88 ID:7TxUulMCo
青年子「そのぶん、攻撃力は4属性でも最も高いんですが……」

盗賊「……そうなのか?」

青年子「ええ。飛行などに無駄な魔力を使わずに済みますから」

盗賊「……なるほどな」

ザザッ

白虎長「ねぇ」

アマゾネス「……?」

白虎長「複数の召喚獣を出すのは、反則なんて言わないわよね?」

アマゾネス「勿論だ。召喚獣同士の戦いであれば他には何もルールはない」

白虎長「ありがとっ!」

ツインテ「えーいっ!!」

ズガァッ…ドゴォッ

白虎長「出でよ、ガルム!」

シュイイィィィィン

ツインテ「ふふっ、召喚獣を増やしたところで……」


178 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:23:37.35 ID:7TxUulMCo
白虎長「出でよ、ゴーレム! カトブレパス!! スレイプニル!!!ベヒーモス!!!!」

ツインテ「え……えっ、えぇーっ!?」

シュイイィィィィン…ゴゴゴゴゴゴ

ツインテ「ち、ちょっと! 数多く出せばいいってもんじゃあ……」

白虎長「それっ」

朱雀嬢「あんないっぺんに出して……大丈夫なの!?」

魔道士「……?」

青年子「数多く出せばそれだけ魔力は分散されます」

盗賊「……つまり、1体あたりの強さが落ちる……という事か」

青年子「ええ。そこは白虎長さんなので問題ないと思いますが……」

白虎嬢「難しいのは、全てに指令を出さなければいけないところですね〜」

青年子「そうなんです。数多くいればそれだけ、数多くの指令を同時に出さなくてはいけない」

魔道士「な、なるほどっ。確かにそうですね……」

青年子「でも、それを為し得るのが白虎長さん。白虎先生を引き継ぐ実力の所以ですよ」

ツインテ「そっ、そんなに制御出来るわけええぇぇぇぇ」


179 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:24:42.91 ID:7TxUulMCo
白虎長「試してみる?」

ツインテ「ひっ、ひええぇぇぇぇ〜っ」

ガルムとフェンリルが左右よりグリフォンの元へと駆け寄る。

ツインテ「ひ、ひいぃ!!」

グリフォンはたまらず上空へ回避するが、そこkへベヒーモスの閃光が撃ち放たれる。

ツインテ「ひ、ひああぁぁぁぁーっ!」

閃光も回避し、グリフォンは態勢を整えようと試みるが、そこへカトブレパスの一撃が撃たれる。

ツインテ「わっ、わわっ!!」

カトブレパスの一撃は、グリフォンの片翼を石化させ、グリフォンは地上へ着地した。

ツインテ「くうぅーっ!」

そこへすかさずスレイプニルが走り寄り、電光石火の如く体当たりをブチかます。

ツインテ「にゃああぁぁぁぁーっ!!」

吹き飛んだ先で待ち受けるゴーレムは、両拳を重ね合わせ、グリフォンを地面へ叩きつけた。

バッゴオオォォォォンッ!!…ドシャアアァァ…

ツインテ「ま、参りましたぁ〜」


180 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/23(月) 18:26:48.49 ID:7TxUulMCo
アマゾネス「勝者……白虎長」

白虎長「……う〜ん。半分くらいでも良かったかしらねぇ、ふふっ」

玄武娘「す、凄いですの……」

朱雀嬢「魔力だけなら玄武娘も可能だけれど……頭がねぇ」

魔道士「一体……どこにそんな頭脳が……っ」

盗賊「……さぁ」

玄武娘「分かった!」

白虎嬢「……?」

玄武娘「きっと、あの胸の中に詰まってるですの!」

バイーン

白虎長「……ん?」

朱雀嬢「貴女、本当に頭空っぽですわね……」

魔道士「……確かに、盗賊さんも頭いいし……ぶつぶつ」

盗賊「……おい」

青年子「…………」


187 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/24(火) 17:24:54.68 ID:21IVfiAWo
〜南西砦〜

パッカパッカパッカ…ドドッ

従者「お待たせ致しました」

天才「あんがとさん!」

ゾロゾロ

法師「うーむ、戻っていないようですね。紅孩児はどこへ行ってしまったのでしょうか……」

マーマン「あんな奴ぁ、放っておきましょうよ」

召喚士「名士さん、本当にありがとうございました」

名士「いや、礼には及ばんよ。それよりも……」

召喚士「……?」

名士「本当に、アンラ・マンユを倒すのだな」

正面にそびえる火山を見上げ、名士は目を細めながら呟く。

名士「頑張れよ。手強いぞ」

召喚士「はい」

名士「……うむ」


188 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/24(火) 17:25:20.93 ID:21IVfiAWo
天才「安心しな。何の為にここまでやってきたと思ってるんだ?」

名士「……」

天才「魔王の配置ずらして、龍脈絶って、ようやくここまで遭ぎ着けたんだ」

ハヌマーン「……」

天才「この世代じゃ間に合わねーかと思ったが、やっとなんだよ」

召喚士「……っ」

天才「魔族にゃ悪いが、キッチリとカタ付けさせて貰うぜぇ」

名士「ああ、健闘を祈るよ」

クルッ…スタスタスタ…

名士「戻るぞ」

従者「はい」

ガチャッ…パッカパッカハッカ

名士「……さぁて、高みの見物といこうかね」

フワッ…パッカパッカパッカ…

召喚士「……」


189 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/24(火) 17:25:51.17 ID:21IVfiAWo
タッタッタッタッタ

大軍師「司令っ!!」

天才「おーう、戻ったぞ」

南西砦兵「い、今……馬車が飛んでなかったか?」

歩兵「まさか……はは……っ」

大軍師「いかがでした?」

天才「大収穫だな。あれも無事生き返った」

大軍師「……おぉっ」

天才「詳しい話は中に戻ってからだ」

大軍師「はっ」

天才「全員まとめて会議室へ集めとけ」

大軍師「……えっ?」

天才「それに本国と南方軍にも伝令、大急ぎでだ」

大軍師「あ、あの……」

天才「行くぜ……アンラ・マンユ討伐だ!」


190 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/24(火) 17:26:16.26 ID:21IVfiAWo


天才「おい」

大軍師「はい」

天才「誰もいねーってのはどういう事だ!」

大軍師「ですから、まだ誰も帰ってきてないと……」

天才「なーにをチンタラやってんだバカ共がっ!!」

名代「確かに、遅いですね」

ジュニア「おいおい、まさかやられちまったなんて事はねーだろな」

賢者「……そこまで弱くないだろう……ふぅ」

天才「仕方ねぇ。ちゃっちゃと人だけかき集めて、準備だけは整えておくぞ」

大軍師「はい」

天才「伝令は送ったな?」

大軍師「送りました。ありったけの魔道兵を此方へ送り込め……と」

天才「ご苦労ご苦労」

召喚士「……魔道兵?」


191 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/24(火) 17:27:39.23 ID:21IVfiAWo
〜西方、南の砂漠〜

王子「……くそぉ!!」

ダンッ!!…ズシャッ

戦士「……」

王子「また……目の前で……っ」

戦士父「あの者も戦場で逝けて、本望であろう」

王子「だからって……死んじゃったらそれまでじゃんかよ……」

隊長「それが王の務めです」

王子「……」

隊長「王や国、家族を守るために、みな戦い……死んでいくのです」

戦士父「それをなくす為に、今こうして戦っている」

王子「……っ」

戦士父「早く終わらせよう。そしてその先に待つ未来を見ようじゃないか」

戦士「……だな」

王子「……ありがとう。パイク長」


192 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/24(火) 17:28:36.94 ID:21IVfiAWo


王子「遺体は収容したか?」

西国兵「……はい」

王子「あのジーサンは、生涯の半分以上を砂漠で過ごしてきた」

戦士「……」

王子「あとはゆっくり、西国で休ませてあげよう」

西国兵「……くっ」

ザッザッザ

隊長「傷は?」

男隊員「こっちは軽傷だ。だが……」

隊長は後方にて運ばれていく担架へ、目線を移す。

女隊員「格闘家くん……っ」

格闘家「…………」

男隊員「肋骨をかなりやられてる。ちょっと間違えば危なかったぜ」

隊長「急所を外したのか。よくもまぁ咄嗟に……。よし、急いで船へ運んでくれ」


193 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/24(火) 17:29:04.86 ID:21IVfiAWo


戦士「船の方角、行きと違ってないか?」

隊長「一旦、三日月島へ立ち寄るからな。幾つかの亡骸もある事だし」

戦士「……ああ」

隊長「それに、こいつの手当ても――」

格闘家「……う……っ」

戦士「!?」

隊長「気付いたかっ、おい!?」

格闘家「……隊……長」

隊長「喋るな。あばらをやられてる」

格闘家「……ここは?」

戦士「船の上。安心しな、サルワは蹴散らしたぜ!」

格闘家「……そうか」

隊長「もうじき三日月島だ。今はゆっくり休んでおけ」

格闘家「……すみません」



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