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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
347 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 23:49:05.95 ID:NsBDCG6Do


戦士「くっそ……。何にもねぇな」

盗賊「……うん」

戦士「本当にあるんだろうなぁ」

盗賊「まぁ、今までの感じからすれば……な」

戦士「天才が嘘つくとは思えないし、気長に探すしかね……」

タッタッタッタッタ

戦士「ん?」

魔道士「戦士さん、ちょっといいですか?」

戦士「あったのか!?」

魔道士「いいから」

スタスタスタ

戦士「……な、何だ?」

盗賊「さ、さぁ。とにかく行ってみよう」

戦士「お、おう」


348 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 23:49:44.83 ID:NsBDCG6Do
テクテクテクテク

戦士「んで、何だってんだ?」

魔道士「ここ、見てください」

盗賊「……宮殿か?」

魔道士「あの中央のとこ、大きな穴から風が出ています」

盗賊「……風穴か」

戦士「風? も、もしかして……っ」

タッタッタッタ

戦士「……うっ、すっげぇ風!」

盗賊「……これは、降りるのは難しそう――」

魔道士「さがってて」

盗賊「……?」

キュイイィィィィ…

戦士「お、おいおいっ!!」

魔道士「撃ちます」


349 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 23:50:16.07 ID:NsBDCG6Do
ドッドオオォォォォン!!…ゴッシャアアァァァァ!!

盗賊「……っ」

パラパラパラッ…ゴトッ

魔道士「……これで、進めますね」

戦士「……無茶すんなぁ」

魔道士「行ってみましょうか」

盗賊「あ、あぁ」

戦士「待て待て。何かあったらどうすんだ。俺が先頭で行く」

魔道士「はい」

戦士「んじゃ、行くぞ」

テクテクテク…スタッ

盗賊「魔道士、足場が悪いから気を付けてな」

魔道士「はい」

盗賊「……」

戦士「……お、底が見えてきたぞ」


350 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 23:50:51.21 ID:NsBDCG6Do
ズダッ…テクテクテク

戦士「……おぉーっ!!」

盗賊「こ……れは……っ」

魔道士「どうやら当たりみたいですね」

戦士「……ああっ。こいつは間違いない、鉱石だ」

盗賊「しかしでかいな。どうする?」

戦士「うーん」

コンコンコン

戦士「一部だけ削り取るにも……いけっかなぁ」

魔道士「戦士さんならいけるんじゃないですか?」

戦士「あん?」

魔道士「風の鉱石なら、雷切は相反する属性です」

盗賊「そうかっ。雷の攻撃なら風を打ち破れるかも……」

戦士「なるほどな」

魔道士「でも、この風より力が上回る事が条件ですけどね」


351 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 23:51:21.66 ID:NsBDCG6Do
戦士「そうなのか?」

魔道士「相反する属性は交わる事はありませんから」

盗賊「つまり……下回ればその威力は……」

戦士「自分に跳ね返ってくる……って事か」

魔道士「そうです」

戦士「……やるしかねぇわな」

盗賊「大丈夫なのか……?」

戦士「死にゃしねーだろ。な、魔道士?」

魔道士「……さぁ」

戦士「おいおい、冷てぇな」

魔道士「頑張って下さい」

盗賊「……」

戦士「へいへい。どれ、いっちょやってみっか」

スタスタスタ…チャキッ

戦士「……ふーっ」


352 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 23:52:00.37 ID:NsBDCG6Do
スススッ

魔道士「…………」

盗賊「…………」

戦士「……でりゃああぁぁぁぁ!!」

ヒュオンッ!!…カシンッ

戦士「……」

盗賊「……ど、どうだ?」

魔道士「……っ」

ゴウッ!!

盗賊「くっ!!」

魔道士「きゃあ!!」

戦士「まずったか!?」

盗賊「戦士っ!!」

ドゴオオォォォォ!!

戦士「う、おおぉぉぉーっ!?」


353 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 23:52:34.35 ID:NsBDCG6Do
ドッガアアァァ!!…ガラガラガラッ

盗賊「だ、大丈夫か!?」

戦士「いってぇ……っ。思いっきり弾き飛ばされたぜ……くそっ」

盗賊「……失敗、か」

魔道士「いえ、待ってください」

戦士「……?」

魔道士「風が……逆風に。鉱石に吸い込まれています」

盗賊「何……っ!?」

ピシッ…ピキピキッ…ボッゴオオォォ!!

盗賊「く、砕けたぞっ!」

戦士「お、おぉ……っ」

ドッズウウゥゥゥゥン…ゴトゴトンッ

盗賊「居合いで一閃した部分が、綺麗に……」

戦士「……ふーっ。何とかうまくいったみたいだな」

魔道士「良かったじゃないで……すね、戦士さん」


354 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 00:08:20.42 ID:dNnmyKnMo
今日はここまでにておやすみなさいです!ノシ
明日か明後日中にはイブちゃん編終わらせまっする!

〜オマケ、三日月島のとある夜〜

魔道士「でもほんと、踊り子ちゃんのくびれ……すっごいね〜」

踊り子「え〜っ? こんなの誰でもなれるって〜。もっと細い子とかだっているし〜」
盗賊「……ほ、本当かっ!?」ムニムニッ
魔道士「つままないで下さいよ……」

踊り子「毎日ねっ、お風呂上りにこうやって〜」

クネクネクネクネ

盗賊「……なんだそれは?」
踊り子「クネクネダンスー! へへ〜っ!」
魔道士「おぉーっ! クネクネダンス!」

踊り子「これを毎日15分やれば、くびれちゃうんだよぉ〜」
魔道士「本当っ!? 踊り子ちゃんありがとーっ!!」

踊り子「いいのいいのっ! これオゴって貰ったお礼っ! ギブアーンドテイクッ! えへへ〜!」
盗賊「ギブアンドテイク……最高」
魔道士「踊り子ちゃ〜ん! 本当にありがとねぇ〜」

踊り子「今度さんっ、是非劇場まで踊り観に来てよねっ!」
魔道士「絶対行くっ!!」

踊り子「2人が来たら、もう気合いマックスで踊っちゃうんだからっ!」
盗賊「うん、楽しみにしてるよ」


357 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage] 投稿日:2011/12/05(月) 01:20:30.46 ID:q5Ia+AXZo
だから童貞なんだよ召喚士は・・・ちゃんと支えてやれよ・・・


358 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/12/05(月) 04:20:11.74 ID:X2ek++rAO
魔道師 ヤンデレ資質◎


360 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です) [sage] 投稿日:2011/12/05(月) 10:02:26.82 ID:/sLwNY6do
だから主人公(笑)なんだよ召喚士はよぅ・・・


363 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:12:17.22 ID:j2Ndd/Soo


戦士「さーて、これをどうやって引き揚げるか……」

盗賊「……私の鎖で持ち上げようか」

戦士「やってみっか」

ガチャガチャッ…シュルッ

盗賊「……よし、いいぞ」

戦士「そんじゃ上に戻るぞ」

魔道士「はい」

トットットッ…ガクンッ

魔道士「きゃ――」

ガシッ!!

召喚士「だ、大丈夫ですか……!?」

魔道士「召喚士さん……っ。ありがとうございます」

召喚士「しっかり捉まってて……下さいっ!」

魔道士「……」


364 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:12:44.38 ID:j2Ndd/Soo
ググッ…スタッ

召喚士「……ふーっ。びっくりした」

魔道士「すみません……」

召喚士「いえ、無事で良かったです」

スタッ

盗賊「魔道士っ! 大丈夫か!?」

魔道士「はい。すみません」

盗賊「気を付けろと言ったであろう」

魔道士「……」

スタッ

戦士「おう、召喚士も来てたのか」

召喚士「うん。何だか物凄い音が聞こえたから、何かと思って」

戦士「なるほどな。大丈夫、無事にゲットしたぜ!」

召喚士「本当っ!?」

盗賊「風の鉱石だ。かなり大きい」


365 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:14:02.50 ID:j2Ndd/Soo
カラカラカラッ

天才「ここがイブリースの寝床だったわけだな」

戦士「みてぇだな」

召喚士「どう? 使えそう?」

戦士「ああ。あとは鎖に巻きつけた鉱石を引き揚げるだけだ」

召喚士「それなら召喚獣の力を借りて、一気に引き揚げよっか」

戦士「おぉっ! そいつは助かる!」

天才「枯渇してんじゃねぇのかお前?」

召喚士「このくらいなら大丈夫です。見てて下さい」

魔道士「……」

召喚士「行けっ! コカトリス!!」

シュイイィィィィン

戦士「小っさ……」

召喚士「コカトリス、これを引き揚げて欲しいんだけど」

コカトリス「ふむ、やってみよう」


366 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:14:30.48 ID:j2Ndd/Soo
バサァッ…グググッ

コカトリス「……いくぞ」

召喚士「うんっ!」

グイィッ!!

コカトリス「……おいっ、もっと魔力を送らんか」

召喚士「でもぉ……っ、これが限界……ぃ!」

コカトリス「ぬぐっ!」

ズズズッ…ゴトンッ!!

天才「ほれ見ろこのバカ。強がりやガって」

召喚士「いけると思ったんですけど……すみません……」

魔道士「いいですよ、私やりますから」

召喚士「へ……っ?」

魔道士「土行と風行を組み合わせれば、この程度……」

キュイイィィィィ…

天才「バカ……っ!! 退がれぇ!!」


367 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:15:00.71 ID:j2Ndd/Soo
ドッドオオォォォォン!!…ゴガガガガガガッ!!

盗賊「う……おっ!」

戦士「あっぶねぇなおい!!」

ドッガアアァァァァン…ゴトンッ!!

魔道士「これでオッケーですね」

盗賊「……」

天才「ハーッハッハ! 朱雀先生の面目丸潰れだな!」

召喚士「天才さん……」

盗賊「……ところで、そちらはどうだったのだ?」

召喚士「あ、えぇとですね……」

チラッ

天才「休憩にすっか。休みながら話してやるよ」

召喚士「そうしましょうか」

戦士「んじゃひとまず、どっか休めそうな場所に移るか」

盗賊「あっちに広場があったぞ」


368 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:15:27.61 ID:j2Ndd/Soo


テクテクテクテク

盗賊「ここでどうだろうか」

召喚士「いいと思いますよ!」

戦士「よ……っと。どれ、そんじゃ早速お聞かせ頂こうかね」

召喚士「魔道士さん、何か飲み物は……」

魔道士「大丈夫です」

天才「また1から話すのはメンドクセーな。おい朱雀、お前が説明しろ」

召喚士「えぇっ?」

天才「さっき話したんだからいいだろ。ほれ早くしろ」

召喚士「えぇと、実は天才さんが世紀の大発見を致しまして……」

天才「何言ってんだてめぇ!!」

召喚士「そ、そんな照れなくても……」

天才「そうじゃねぇ! 世紀のじゃねぇだろ、人類史上最大の発見にしろ!」

召喚士「……天才さんが、人類史上最大の発見を致しました……」


369 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:16:03.48 ID:j2Ndd/Soo


盗賊「ほ、本当……なのか?」

天才「だから言ってんだろ。あくまで俺様、個人の意見だって」

魔道士「……っ」

戦士「でもよ、そう考えると……魔物の布陣にも説明がつくよな……」

召喚士「うん。そうだよね」

魔道士「どういう事ですか?」

戦士「龍脈から一番遠い西方にイブリースっつー強い魔王を配置してる」

召喚士「しかも魔物が少ない。これは龍脈との距離を考慮してなのかもしれないね」

盗賊「確かに……合点がいくな」

魔道士「その点、龍脈に近い東方は、魔物の姿も独特という事ですか?」

戦士「なるほど……っ!」

天才「んで中央にサタン。南北には大軍を擁するベルゼブブとラーヴァナ」

召喚士「そこは万が一、東西が破られても。影響は少ないですからね」

戦士「はぁ、よく考えてやがんぜ魔王様がたはよぉ」


370 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:16:33.33 ID:j2Ndd/Soo
魔道士「それで、もし魔王マーラを倒したら、世界はどうなるんですか?」

天才「元通り、グーンと伸びる」

盗賊「世界が広がる……と言う事か」

天才「ま、それは人それぞれだろうな」

盗賊「……?」

天才「本国の連中にとっちゃ広がるし、東方や西方にとっちゃ近くなるからな」

召喚士「西方と東方の移動は物凄く近くなりますもんね」

戦士「でもなぁ、やっぱりにわかには信じられないよなぁ……」

天才「まーな。俺様だって胸張って言える説じゃねぇからな。だったらいいなって理想だ」

召喚士「でも俺は、天才さんを信じたいです」

魔道士「私もです」

戦士「そりゃもちろんだよ」

盗賊「でも、確かに……」

魔道士「……?」

盗賊「些細な事を思い返せば……やはりあながち……可能性は大いにある、よな」


371 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:17:00.36 ID:j2Ndd/Soo
戦士「例えば?」

盗賊「……言語」

天才「いいところに気付くな。確かにそうだ」

戦士「どういう事だ?」

天才「東の果てと西の果て、交わる事もなさそうな場所で、何故か基本言語は同じ」

魔道士「あ……っ」

天才「若干、固有名詞やニュアンスの違いに不自由はあるが、あんまり困らないだろ?」

召喚士「文化は全く違うのに、そういえばそうですよね……」

天才「考えうる可能性として、世界が繋がっていた時点で地盤の言語が形成されていた」

召喚士「そして世界が平面に別れ、それぞれが独自の進化を遂げていった……と?」

天才「まぁそう考えると、割としっくりくるよな」

召喚士「そう考えると、五行の存在や召喚獣ももしかして……っ」

戦士「何か分かるのか?」

召喚士「龍脈が出来たのは、魔王が世界を切り取ってからですよね?」

天才「そうなるな」


372 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:17:37.84 ID:j2Ndd/Soo
召喚士「そして人間の魔力も確か……」

天才「龍脈の影響、それを利用する事で魔法や召喚獣の餌を捻出できてる」

魔道士「つまり、魔法や召喚術が確立したのは……」

盗賊「……龍脈が出来てからか」

召喚士「だとすれば、東方の式神が独特な事も、召喚術が統一されていない事も説明がつく」

天才「だから言語や進化は大差なくとも、文化や術、武具の違いがはっきり出てるわけだな」

戦士「おいおい……っ、そこまできたらもう信じるしかないぜ」

魔道士「確かに、これだけ立証出来れば、空論ではないですよっ!」

天才「ま、これを述べたところでどれだけの奴が信じるかって話だわな」

召喚士「きっと信じて貰えますよ!」

天才「仮に信じて貰ったところで、今更だから何だって話だ」

盗賊「……」

天才「そうだろ? それが何の解決になる? 結局は魔王を倒すしかねぇんだよ」

召喚士「……だから、天才さんはこの事を誰にも話さなかったと?」

天才「それも一理あるけどな」


373 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:18:05.92 ID:j2Ndd/Soo
戦士「他に何があるんだよ?」

天才「もし本国としてんな事を公式に発表してみろ。どうなる?」

魔道士「……さ、さぁ」

召喚士「おそらく……人々は混乱し、本国へ押し寄せてくるでしょう……っ」

戦士「そうなのか?」

召喚士「世界が外側から徐々に、地獄が近づいているんだ……っ」

魔道士「……っ」

天才「正解。東西南北問わず、本国へわんさか押し寄せてくるだろうな」

召喚士「仮にこなくとも、混乱は必死ですね……」

天才「結局は確証があっても、あんまり公には出来ねぇのさ」

戦士「じゃあ何でそんな事、俺達に話したんだ?」

天才「俺様は東へは行けん。北での最終決戦に備え、治療に専念する」

戦士「やっぱり……駄目なのか……」

天才「メインはお前らだ。お前らが自らの手で道を切り拓いて……」

盗賊「……」


374 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:18:32.00 ID:j2Ndd/Soo
天才「そして自らの目で、真実を見てくれ。そして、伝えてくれ」

魔道士「天才さん……」

天才「さーてと、んじゃぼちぼち行くとするか。日が暮れる前にな」

戦士「おいおいっ、この鉱石はどうすんだよ?」

天才「持って帰るにも大きすぎる。後で西国の連中に頼むとしよう」

盗賊「……それしか……ないか」

戦士「ちっ、まぁ仕方ないわな」

召喚士「それじゃ、行きましょうか」

天才「おう、先に行って馬車の準備しといてくれ」

戦士「んだよ、一緒に行かねーのか?」

天才「魔道士」

魔道士「……?」

天才「俺様と残れ。つーか車椅子押してけ」

召喚士「あっ、それなら俺が……」

天才「お前ヘタクソだからクビ。役立たずは早く行け」


375 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:19:00.09 ID:j2Ndd/Soo


カラカラカラッ

天才「そうそう! うまいじゃねぇか、ハーッハッハッハ!」

魔道士「はぁ……」

天才「あのクソ朱雀は全く人の心ってモンが分かってねぇ。そう思わんか?」

魔道士「……どうなんでしょうね」

天才「……なぁ」

魔道士「はい?」

天才「いつまでそうやって、突っ張ってるつもりだ?」

カラカラッ…ピタッ

魔道士「…………」

天才「お前が痩せ我慢したって何にも変わりゃしないぜ」

魔道士「……っ」

天才「別にいいけどよ。だが、お前の仲間は逆に心配すんぞ?」

魔道士「私だって……嫌なんです」


376 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:19:27.43 ID:j2Ndd/Soo
天才「……」

魔道士「大切な人が亡くなって……なのにっ、自分だけ笑って過ごすなんて……」

天才「んじゃお前は、一生暗いまま行き続けるってのか?」

魔道士「そうじゃないですけど……」

天才「忘れたのか? この地で伝説を残した魔道士の事をよ」

魔道士「……」

天才「サンドウィッチは、怨み、怒り、憎しみを溜めて土行とし、イブリースを倒した」

魔道士「……」

天才「その勝利の先に、幸せがあったと思うか?」

魔道士「……っ」

天才「それにな、お前の笑顔が皆の力になる事だって、もちろんあるんだ」

魔道士「笑顔……」

天才「人は怒りや悲しみだけじゃ強くなれん。喜びや楽しみがあって、相乗効果を為す」

魔道士「喜怒……哀楽……」

天才「お前は怒りと悲しみを覚えた。それを、喜楽で乗り越えるんだよ」


377 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:19:58.43 ID:j2Ndd/Soo
魔道士「……私」

天才「もういいだろ。早く進んでくれ、仲間が待ってんぞ」

魔道士「……はい」

スッ…カラカラカラ…

魔道士「あの、天才さん」

天才「あん?」

魔道士「あなたは……何者なんですか?」

天才「……随分とアバウトな質問だな」

魔道士「前に、夢魔の時……助けてくれましたよね?」

天才「ああー。んな事もあったなぁ」

魔道士「憑依を解く為に、確か私の中へ入りましたよね?」

天才「そうだったな」

魔道士「どうしてですか?」

天才「……」

魔道士「身内でないと、出来ないって聞きました」


378 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:20:27.69 ID:j2Ndd/Soo
天才「……ふーん」

魔道士「それとも、天才さんだから出来たんですか?」

天才「あーそうかもなぁ」

魔道士「……じゃあ、出来ます?」

天才「あ?」

魔道士「知り合いに夢魔で苦しんでいる人がいるんです。助けてあげて貰えませんか?」

天才「おう、いいぜ。任せておけ」

魔道士「それじゃ早速行きましょうか。西国に居るんで」

天才「……」

魔道士「ほら、やっぱり嘘だ」

天才「……嘘つきはお前だろ」

魔道士「……ごめんなさい」

天才「俺様はいつでも話す。話すが、包み隠して話す事は出来ない」

魔道士「……」

天才「お前は全てを知る事になる。その覚悟が出来ているなら、聞け」


379 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:20:59.13 ID:j2Ndd/Soo


戦士「お、来た来た。何してたんだよ全く……」

天才「足場が悪いんだよ、うるせーな」

魔道士「お待たせしました」

召喚士「それじゃ、行きましょうか」

魔道士「……はいっ! えへへ!」

盗賊「……おぉ」

魔道士「何ですか〜盗賊さーん」

盗賊「いや、魔道士だな……って」

魔道士「意味分かりませんよもうっ。えいっ!」

モミモミッ

盗賊「ひやあぁっ! やめ……っ! あんっ!」

魔道士「えへへ〜っ」

召喚士「あ、あの……行きましょう……」

天才「ハーッハッハッハ!!」


380 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:21:31.24 ID:j2Ndd/Soo
〜北方司令部〜

左翼長「何ぃーっ!? 本当なんだろうな!?」

伝令「もちろんです!」

騎士長「そうか……っ、イブリースを倒したか……!!」

左翼長「これで残るは東のマーラと……」

カツカツカツ

大軍師「北のベルゼブブですね。そしてそれが終わればいよいよ……魔王サタンです」

左翼長「大軍師、戻ってたのか」

大軍師「一先ずは迎撃に成功致しましたので、補給です」

騎士長「他に何か報告はないのか?」

伝令「えぇとそうですね……。死者は1人も居ないものの、重軽傷者が多数との事です」

左翼長「西国か?」

伝令「双方ですね。特に総司令と西方司令が重傷との事です」

左翼長「何っ!?」

大軍師「……詳細確認の為、本国へ戻ります」


381 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:21:59.18 ID:j2Ndd/Soo
〜西方、西の砦〜

女隊員「おかえりなさいッス」

隊長「司令、大丈夫ですか?」

天才「心配すんな。死にゃしねーよ」

隊長「今にも死にそうじゃねぇか……。どれ、肩につかまって下さい」

天才「ハーッハッハ、てめぇこそ死にかけたくせに言いやがるぜ」

ガシッ…ピキイイィィン!!

天才「……っ」

隊長「どうしました?」

天才「……いや、何でもねぇ。いいぞ」

隊長「……?」

テクテク…カツカツカツ

女隊員「さぁ、みんなも休むッスよ! 食事もあるッス!」

盗賊「……腹減った」

戦士「先にメシ食おうぜ、俺も限界だわ」


382 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/05(月) 18:22:32.41 ID:j2Ndd/Soo
召喚士「うん。じゃあそうしようか」

テクテクテクテク

魔道士「……天才さん」

天才「あん?」

魔道士「私、やっぱり今は聞きません。やっぱり、そんな気になれないです」

天才「……」

魔道士「前もそうでしたけど、私の父母は、大商家ですから」

天才「……ああ、そうだな」

魔道士「それじゃ、失礼しますっ!」

タッタッタッタッタ…

隊長「何だ?」

天才「何でもねぇよ。ほれ、はよ連れてけ」

隊長「……」

カツカツカツカツ…

天才「似てきたのは、外見だけじゃあねぇ……か。ハーッハッハ!」



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