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少女『言葉が通じなくても』
- 446 名前:GEPPERがお送りします [sage saga]
投稿日:2010/09/11(土) 22:55:44.68 ID:lxevUAAO
ワイワイガヤガヤ
少女『わー!! 賑やかね! 祭かしら?』
街中に溢れかえった人、人、人
町人と思しき人もいれば荷物を背負った旅人や行商人、芸を披露する大道芸人もいる
街灯にはリボンや風船が装飾され、いかにもお祭りといった雰囲気だ
若者『お! そろそろ時間だぜ!』
娘『早く行かないといい席逃しちゃうわ!』
ドドドド
少女『わっ!? 押されるぅ!』
- 447 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/11(土) 23:04:03.02 ID:lxevUAAO
…
少女『良かったー、はぐれたらどうしようかと思った』
侍『…』ポム
人の波に流され、着いた先は競技場
少女『なるほど、何かの大会があるから街中お祭り騒ぎなのね』
街の熱気を見る限り、かなり知名度のある大会のようだ
大会と言ってもマイナーな物は集客力がなく、街の親睦会程度に収まるのも少なくない
- 448 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/11(土) 23:10:50.01 ID:xtJehAAO
侍無双に期待
- 449 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/11(土) 23:13:48.18 ID:lxevUAAO
有名な大会…国を挙げての規模になれば、優勝者には地位、名誉、富が与えられる
それを目当てに参加する猛者は当然後を絶たない
遠路遥々各国より集いし挑戦者達の闘いは、観衆の胸を躍らせる
娯楽の少ないこんな時代だからこそ、人々はこの勇者の祭典に夢を見るのである
少女『で、これは何の大会なのかな。陸上? それともボールを使った…』
【猛者達による死闘! 勇者の道、開園!】
少女『…はい?』
- 450 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/11(土) 23:19:26.91 ID:lxevUAAO
…
ガキィン!
ヂャギィンッ!
少女『うわぁぁ…見てらんないよ…』
と言いつつ、少女が闘いから目を背ける事はない
少女『あんなの当たったら死んじゃうよ…』
男達はそれぞれ手に戦斧、棍棒を持っている
無論本物、当たればただでは済まない
- 451 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/11(土) 23:28:18.18 ID:lxevUAAO
棍棒の男『ふぃぃッッ!』ブォォッ
ガゴゥンッ
戦斧の男『がッ!? しまった!』ジーンッ
フォンフォン…ザクッ
棍棒に戦斧を弾き飛ばされ、男は武器を失った
棍棒の男『ひひッ! 賞金はもらったぁぁ!!』
会場から悲鳴が上がる
その声は恐怖の、あるいは熱気を帯びた歓喜の声だった
戦斧の男(くっ!? これまでか!!)グッ
頭に飛んでくる棍棒に、申し訳程度に両手で防御をする
戦斧の男(奴も俺の攻撃が当たったら死ぬんだ…! これは当然の報い…! でもッ)ググッ
ベギャッッ
- 452 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/11(土) 23:46:31.29 ID:lxevUAAO
戦斧の男『…』
戦斧の男『…え?』
棍棒が戦斧の男の頭を捉える事はなかった
棍棒の男『ぐううう…ッ』ズシンッ
侍『…』スタッ
侍の放った飛び蹴りであらぬ方向から衝撃を与えられた事で、棍棒の男は手首にヒビが入ってしまったのだ
『おい! 何だオメーは!』
『乱入か!! 面白ぇ!』
『これどうなるんだ? 俺斧ヤローに賭けてたんだけど』
ガヤガヤワイワイ
少女『お兄さんいつの間に…!?』
- 453 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/09/12(日) 00:31:12.07 ID:a.2wW6SO
なぜだ?なぜ侍は乱入したんだ?
わっふるわっふる
- 454 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/12(日) 06:57:49.94 ID:wQ0xeAAO
助けたかっただけじゃね
- 457 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/12(日) 19:30:38.23 ID:0vLBEoAO
ガラガラガラガラ…
入場口の鉄格子が開く
中将『乱入は規則違反と、試合毎に注意している筈だが?』
侍『…』
中将『…なるほど、言葉が分からなかったと』
中将『おい』
魔術師『ハッ』
スッ スッスッ バッ
中将『これで一時的に私達の言葉が分かる筈だが』
侍『! 魔術か』
中将『いかにも。なかなか頭が回るようだが、これから連れて行かれる場所も当ててみるかい』
- 459 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/12(日) 20:14:37.84 ID:0vLBEoAO
侍『さてな、ツレもいるので茶でも振る舞ってもらえると嬉しい』
侍が飄々と言う
ぞろぞろと現れた兵士達に取り囲まれて尚、警戒する様子はない
侍『なんなら食事でも良い。むしろそちらの方が有り難いな』
中将の遠回しの訓告を受けたにも関わらず、侍は反省の言葉もない
それどころか、彼にして珍しく図々しい物言いで、どこまでが冗談なのか判断しかねる
中将『却下だ。乱入し、選手を負傷させた罪人が図々しい』
- 460 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/12(日) 20:30:45.83 ID:0vLBEoAO
侍『罪人…? 私は何か悪い事をしたか?』
中将『闘いの最中に手出しされたとあれば、戦士にとって最大の侮辱であろう』
侍『…ほう、これは面白い事を言う』
先程までの飄々とした雰囲気は一瞬にして消え、海の底のような静かな怒りが漂った
中将『…何が言いたい』
侍『このような余興を闘いと呼び、あのような素人を戦士と呼ぶ。悪い冗談だ』
中将『無礼者!! 皇室主催の闘技会を余興だと!?』
侍『余興だ。こんな物は闘技会でも何でもない』
- 461 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/12(日) 20:41:13.09 ID:0vLBEoAO
侍『お主らは三つ程勘違いをしているようだ。折角言葉が通じる故、注意してやろう』
侍『まず一つ、お主らの言う戦士について』
中将『お前は先程、勇敢なる戦士達を素人と言ったな。二人共屈強な肉体、武器の扱い共にかなりの物だったぞ』
侍『節穴だな』
中将『何…ッ?』
- 462 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/12(日) 21:24:35.84 ID:0vLBEoAO
侍『確かに二人共、なかなか頑丈そうな体をしている。だがそれだけだ』
侍『勝負のついた相手に止めを刺すなど言語道断、心の修練が足らん』
中将『戦士に情けをかけ、恥をかかせるのか!』
侍『恥ではない、これは礼節…闘いの掟なのだ』
中将『敗北を喫して生き恥を晒すなど、耐え難い屈辱だ!』
侍『生き恥など…いくらでも晒すがいい。屈辱を味わい、蔑まれようと死んで終わってしまうより遥かに良い。』
侍『耐え難い屈辱は世の中幾らでもある。だが、耐えられぬ屈辱など無いのだ』
- 467 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/13(月) 23:01:39.29 ID:0twj7kAO
中将『…ご高説有難う。残り二つも気になるが、今は大会中だ。続きは牢屋でゆっくり聞こう』
侍『…』
中将『連れていけ』
兵士『ハッ』ザッ
侍『喝ッ!』クワッ
ビリビリビリッ
兵士『…ひッ!?』ビクッ
中将『かっ…体が!?』
侍『…立ち竦む事、蛙の如し』
- 468 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/13(月) 23:10:42.99 ID:0twj7kAO
侍『ほれ、どうした。早く案内せい』
中将『くっ…足がッ!』ガクガク
兵士『震えが止まらない…ッ』ゾクゾク
侍『破ッ!』クワッ
キィィィィンッ
兵士『ッはぁ…! はぁ…!』ガクッ
中将『クッ…! あ、…動く!?』ザッ
- 469 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/13(月) 23:18:08.33 ID:0twj7kAO
中将『お前! 魔術師か!?』
侍『魔術など使っていない』
中将『では何故我々を金縛りにできた! 魔術に相違なかろう!』
侍『私はただ闘気をぶつけただけだ。私の闘気に気圧されたお主らの本能が、恐怖し怯えた…ただそれだけの事』
中将『私が怯えた…?』
侍『お主らのやっている闘いは、死を臭わせ偽りの勇気を引き出すだけの、ただの殺し合いだ』
侍『勇気とは、そんな事では目覚めない』
- 470 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/13(月) 23:35:00.58 ID:dzbxTdAo
侍かっこよすぎ濡れた
- 475 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/14(火) 00:14:16.41 ID:eYXfpoAO
侍『二つ目。お主らのやっている殺し合いで目覚めるのは修羅、心に棲む鬼だ』
中将『では一つ訊く。お前は、勇気とはどうすれば示せるというのだ』
侍『そのような事に意味はない』
中将『な!?』
侍『人間の内面にある物を人に見せびらかして、何の意味がある』
侍『勇気に限らず、どれだけ優しさや根気強さを示しても、それは仮でしかない』
侍『心など、水面に映る月の如く揺れ移ろい、変わりゆく物なのだ』
- 476 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/14(火) 00:35:11.53 ID:eYXfpoAO
中将『それはお前が未熟なだけだろう! 真の達人は常に平常心、揺らぐ事などない!』
侍『達人とて人間、森羅万象と共に在り、移り行く時の中に生きている』
侍『明鏡止水に至るのは一瞬、全霊を掛ける一瞬のみ』
『そこまで語るのなら、さぞ自信があるのだろうな』
中将『!』
大将『のう、達人殿』
侍『…』
- 478 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 23:44:53.83 ID:xpssMkAO
大将『お主がどれだけ金言を並べようと、それももっともらしい言葉の羅列に過ぎない』
大将『お主の言う仮…だな』
侍『…』
大将『お主が己の正しさ…我々の主張を否定するならば、その力を持って示してみよ』
侍『…私に戦えと』
大将『お主に言わせれば力の証明も無意味に当たるのだろう』
大将『しかしそれを力無き者が言っても負け犬の遠吠え。発言権は常に力有る者にのみ許されるのだ』
- 480 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 23:53:34.16 ID:xpssMkAO
『オイ…さっさと再開しろよ!』
『その変な奴捕まえちまえよッ!』
少女『何なのこの人達…』
少女は居心地の悪さを感じていた
熱に中てられた会場、人々の勝負への執着心からは僅かながらも確かな狂気を感じた
少女『…、それにしても、お兄さんは何してるんだろ』
見たところ、大会の主催者側と対立しているように思える
立派な鎧を着た二人は恐らく国軍の中心人物だろう
- 481 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/21(火) 23:58:31.92 ID:xpssMkAO
それに帽子を深く被った人物…魔術師だろうか
少女『会話しているとしたら、あの人の魔術なのかな』
少女は僅かに期待した
いつか、侍と会話出来る日が来るかもしれない
ガラガラガラガラ
少女『あ、話し合い終わったのかな』
格子が再び開き、軍人達と魔術師が退場する
- 482 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/22(水) 00:05:10.71 ID:VQ/zqEAO
侍はそれに続かない
少女『またこっちに飛んできたりして…』
はは、と乾いた笑いを浮かべる少女
脳裏には侍がこちらに振り返り、跳躍する画が浮かんでいた
が、物語は少女の予想の斜め上を行く
ガラガラガラガラ
『予定を変更して、新たな挑戦者の試練を執り行います!』
少女『…え』
- 483 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/22(水) 00:12:46.50 ID:PKf9AKAo
久々な気がするな
面白いからがんばって欲しい
- 484 名前:>>483thx [sage saga] 投稿日:2010/09/22(水) 00:24:07.61 ID:VQ/zqEAO
ガシャ ガシャ
侍「…」
『勇者の列に数えられし11番目の男の入場!』
ガシャ ガシャ
鉄仮面の大男『…』ガシャ
『おい…アイツって一昨年の』
『ああ、武器の扱いもさることながら、数々の名刀、名槍を所持してるっていう』
『間違いない、決勝以外全員殺しちまった「地獄の遣い」だ…』
少女『なんか物騒なのが出てきたんだけど…』
- 485 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/22(水) 00:34:09.31 ID:VQ/zqEAO
『でも前となんか違うぞ』
『あ! 背中の籠が無い!』
『相手によって替えてた無数の武器はどうした』
地獄の遣い『…我が魔槍の錆になるのはお前か』
鉄仮面の大男は禍々しく光る槍を侍に向ける
その槍から溢れる微光は憐憫な紫色、人を憑き殺す禁忌の色
侍「…ふむ、いきなり鬼退治か」
地獄の遣い「…――――――」チャキッ
侍「槍の自慢話か、すまんが全然興味ない」ザッ
- 487 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/22(水) 00:54:47.61 ID:VQ/zqEAO
『で、あの黒髪は何を使うんだ?』
『格闘家じゃないか? なんかすげぇ跳んでたし』
ガラガラガラガラ
『あ、なんか出てきた』
係員『どうぞ』
侍『―』ペコ
『なんだ…?』
『木の棒だぁ!?』
- 488 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/22(水) 01:01:24.42 ID:VQ/zqEAO
地獄の遣い『……なんだそれは』
鉄仮面の大男は久しぶりに、本当に久しぶり我慢をした
地獄の遣い『まさか、武器ではあるまい』
この質問をするのに、目の前の男をグチャグチャにしたい欲求をグッと堪えた
それ程に憤慨していた
侍『…』サス
侍は棒の状態を目視、そして一撫でして確認すると
侍『…』スッ
鉄仮面の大男に向かって構えた
地獄の遣い『―――――ッ!!』ブチッ
- 489 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/22(水) 01:10:26.70 ID:VQ/zqEAO
地獄の遣い『アアアアアアアアアアッッ!!』グァッ
侍『―』スッ
ズガガガァァッ
鉄仮面の大男の突きを回避する侍
元居た場所は深く抉れ、石畳が豆腐の様に削れていた
地獄の遣い『フーッ! フーッ!』
荒い息遣いをする鉄仮面の大男
その仮面の奥には狂気に満ちた瞳があった
- 490 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/22(水) 01:18:11.09 ID:VQ/zqEAO
『おいおい…石畳が抉り取られたぞ』
『叫んでるぞ! まるで猛獣だ!』
『あの武器、相当マズい物じゃないか!?』
酔いが覚めたようにざわつき始める会場
そして次の瞬間、会場は大きなどよめきに包まれる
キィンッ
地獄の遣い「――――!?」ギギッ
侍「相殺しただけだ、驚く程の事ではなかろう」グッ
- 492 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/22(水) 21:28:38.69 ID:VQ/zqEAO
キンッ キィンッ キンッッ
鉄仮面の大男の繰り出す怒涛の乱れ突き
強力な魔力を帯びた魔槍に対し、侍は何の変哲もない木の棒を突き出す
鋭く、真っ直ぐ、狂わない
魔槍と棒の先端がぶつかる度、鉄を打つような音が鳴り渡る
ただ、それだけ
魔槍の突きの轟音と衝撃波が水に溶けるかのように消える、正に相殺
その様は喩えるならば
大将『鏡のようだな』
地獄の遣い『ハッ―ハッ――!!』
- 493 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/24(金) 23:39:19.36 ID:ZnWPd6AO
―何故
何故、奴はこの魔槍を防げる
人の手で造られた物では満足出来ず、祈祷師の集落を襲い強奪してきた封印されし魔槍…
太古の時代、これを手にしたが為に堕天使にされた天使がいたという禁忌の槍
地獄の遣い『それが―何故棒切れに防がれるッッ!!』ビキビキッ
鉄仮面の大男の全身に血管が浮かび上がる
地獄の遣い『ハァァァァアアア…』ギギッ
槍の基本、突きの構えを取る
そこから切っ先を地面につけ、重心を前へ―
ドンッッ
- 495 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/24(金) 23:50:38.63 ID:ZnWPd6AO
闘技場に突風が突き抜けた
先程までとは比べ物にならない速さで鉄仮面の大男が突進する
切っ先に全体重が乗った瞬間、魔槍を侍に向ける
つっかえのなくなった身体は前に倒れるが、それと同時に地面を蹴る
魔槍により肉体を限界まで強化された鉄仮面の大男は弾丸と化し、侍に襲い掛かる―
バラッ ガラガラッ
地獄の遣い『……手応えがない』
ピキッ
地獄の遣い『なッ!?』バカッ
- 496 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/24(金) 23:57:49.72 ID:ZnWPd6AO
カランカランッ
真っ二つに割れた鉄仮面が地面に落ちる
侍「縮地の応用か。なかなかいい技だったぞ」ザッ
地獄の遣い「――!!」
侍「ああ、あまり動かない方がいい」
プシッ
地獄の遣い「―!?」ブシュッ
すれ違い際に放たれた侍の斬撃
地獄の遣い「――!? ――――!!」ダラダラ
侍「安心せい、皮一枚斬れただけだ」
- 497 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/25(土) 00:08:14.35 ID:R5oDucAO
一太刀目で鉄仮面を真っ二つに
二太刀目で首の皮をぐるっと切り裂き
侍「ああ、そういえば勘違いの三つ目をまだ言ってなかったな」
地獄の遣い「―――――!!!!」グァッ
バキィインッッ
音を立てて砕ける魔槍
三の太刀を浴びたそれはまるで硝子の柱が潰れるかのように、先から崩壊した
侍「必殺の一撃ならば、真剣も竹光も当たれば同じ事だ」
- 498 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/25(土) 00:14:57.57 ID:95Nfo2DO
かっこいいww
- 499 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/09/25(土) 00:23:48.10 ID:R5oDucAO
地獄の遣い『……』ガクッ
大男は膝をついた
魔槍を持った自分、鬼と金棒
誰にも負けぬ確信があった、のに
地獄の遣い『負け…た』
魔槍が砕けた瞬間、自分の中の何かが砕けた気がした
勝ち続ける、それだけが生きる意味だったから―
ザッ
侍『…』
地獄の遣い『…』
- 500 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/09/25(土) 00:26:25.71 ID:R5oDucAO
スッ
侍『…』
侍は喋らない
ただ、黙って自分の「刀」を大男に差し出した
地獄の遣い『…』
地獄の遣い『…』ガッ
侍『…』コク
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