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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
953 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:42:05.72 ID:KvR7+fNFo
〜旅籠〜

女隊員「ただいまーッス!」ガラッ

男隊員「あん? 誰もいねーのか?」

パタパタパタ…

女将「お帰りなさい〜。ごめんねぇ、お待たせして」

隊長「いえいえいいんです。私は待つのが好きでして。いつまでだって待――」グイッ

男隊員「ところで他の連中は?」

女将「お城行きはる言うから、皆さんもてっきりそうなのかと思うたわぁ」

格闘家「城? 作戦会議か何かですかね?」

隊長「聞いてねぇぞそんなん」

男隊員「ま、いいさ。待つべ待つべ……ヒャハハ!」

女隊員「そうッスね。お腹空いたし、汗流したいッスよ」

女将「あらぁ、それじゃあ夕飯の支度するから、先にお風呂入って下さいなっ」

女隊員「そうさせて貰うッス!」

隊長「俺らもひとまず休憩すっか。流石に疲れたろ」

格闘家「ええ。慣れぬ土地ですからね」


954 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:42:31.92 ID:KvR7+fNFo
〜帝の城〜

青年兵「……これが限界ですかね」

名代「そのようですね。これ以上の人員は割けないと思います」

召喚士「戦士の話を聞く限りでは、直接攻撃よりは魔法や召喚術が効果的みたいだし」

戦士「おいおい、だからって何で俺が北なんだよ!」

召喚士「……盗賊さんを、守るんでしょ?」

戦士「……っ」

盗賊「悪いが、私は北へ行く。東方でぐらい、藤蔵と共にありたいものだ」

戦士「……分かったよ」

ドタドタドタッ

家老「名代っ! あったそうじゃぞ!」

名代「まことですか!?」

バサッ…バララララッ

南方参謀「これは?」

東方参謀「巻物、というやつだな。かなり古いように見える」

家老「詳しいな。その通りじゃ。かなり古くから残るものじゃな」


955 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:42:59.19 ID:KvR7+fNFo
名代「確かにこの花押、我が一族のもののようですが、初めて拝見致しますね」

家老「当然じゃ。これは歴史書ではない。国土地理を記したものなのじゃ」

召喚士「……?」

家老「時の帝へ陰陽師が献上した、東方の地図と、名所が描かれたものじゃよ」

東方司令「ふぅん。地図みたいなものか?」

名代「……見る限り、どちらかと言うと旅の日記のようなものですね」

西方参謀「それなら重要書類とは言い難いし、本棚に眠っていてもおかしくはないか……ヒック」

戦士「よく見つけてきたな……」

家老「餅は餅屋。書庫を担っておる者ならば、大体の書物把握しておるものよ」

青年兵「陰陽師というキーワードがあれば、関連書物を見つけ出せるわけですね」

帝「それで、何と書かれておるのじゃ?」

名代「西の旅について記された項目では、このように書かれております」

召喚士「……」

名代「――妖、西の御大将は邪に満ちており、此れを都へ招くは、愚の骨頂」

パラパラッ

名代「都の御大将、東の御大将などと結託する事、恐れ多き事也」


956 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:43:27.72 ID:KvR7+fNFo
魔道士「ど、どういう意味ですか?」

家老「西の妖が東や都の妖と結託されると、非常に厄介です、という事じゃよ」

名代「さすれば西の御大将を封じ、都の御大将を討つが上策也――」

帝「その西の御大将とやらが、神野悪五郎であるという事か」

名代「……どういう事だ?」

盗賊「……?」

名代「都の御大将? 東の御大将……?」

青年兵「言われてみればそうですね。シンノアクゴロウ以外にもいるという事ですか?」

召喚士「……おそらく、東の御大将は、山本さんの事だと思いますよ」

名代「成程。確かにそう捉える事が出来ますね」

戦士「都ってここだよな? ここにも……そんな強い妖がいるってのか?」

家老「そんな話は聞いた事がないぞ?」

名代「……有り得ない。そんな気配は一切ないですし……」

帝「既に討たれたのではないか?」

名代「気になりますね。一応、それも調べておきましょうか」

家老「そうじゃな。そう致すとしよう」


957 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:44:00.22 ID:KvR7+fNFo
帝「それで、他に手掛かりはないのか?」

名代「……龍脈についての記載もありますね」

召喚士「!?」

盗賊「まさか、そんな古くから存在が……?」

名代「私がヤマタノオロチを知ったのも、おとぎ話のような文献の中でしたからね」

東方参謀「ほう」

名代「まぁ、今となっては終わった事ですからね……えっ?」パラッ

召喚士「ど、どうしました?」

名代「――然るに、法力の流れが途絶えるならば、結界もまた途絶えるべし」

家老「何が然るになのだ?」

名代「ですので、龍脈の力が弱まれば、結界の力も弱まるという意味でしょう」

戦士「はぁ!? んな事言ったって、龍脈はもう……」

西方参謀「ああ。ヤマタノオロチを倒して、封じちまったわけだよな……ヒック」

帝「やはり、後回しにしておくわけにはならなくなってきたようだな」

名代「何という事か……っ」

召喚士「……」


958 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:44:32.64 ID:KvR7+fNFo


青年兵「では先ほど、念の為に考えておいた編制を、改めて確認したいと思います」

東方参謀「まさか、本当に使う羽目にあうとは思わなんだがなぁ」

召喚士「ええ……」

青年兵「ではまず、シンノアクゴウロウ……西へ向かう面子ですが……」

帝「……」

青年兵「私の独断ですが、総大将は召喚士さんにお願いしたいと思います」

召喚士「……えっ!?」

青年兵「召喚士さんを筆頭に、名代様、魔道士さん、そして東方司令」

東方司令「ボクもか?」

青年兵「以上のメンバーです」

南方司令「やっぱり無茶よ! 幾らなんでも少なすぎるわっ」

西方参謀「でもなぁ、どう考えてもこれ以上は割けねぇんだよなぁ……ヒック」

帝「仮に加えるならば、私か」

青年兵「上様にはあまり動いて頂きたくはないものですが……」

帝「構わぬ。この状況下で静観していろなどと申す方が腹立たしいものじゃ」


959 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:45:01.17 ID:KvR7+fNFo
青年兵「分かりました。では、お願いしたいと思います」

東方司令「護衛はボクがいます。安心して下さい」

帝「大丈夫……と言いたいところだが、頼りにしておるぞ」

東方司令「……は、はいっ」

青年兵「そして、残るメンバーが魔王マーラへとあたります」

戦士「俺、盗賊、鬼丸、青年兵、参謀ズ。あとは……藤蔵の連中と総本山」

青年兵「それに東方の兵と本国の兵、そして特遊ですね」

西方参謀「これで勝てなきゃ、もうどうしようもねーわな……ヒック」

青年兵「以上で宜しいでしょうか?」

名代「やるしか……ありませんな」

帝「ああ。現状で、最善の策だ。これ以上はない」

青年兵「では出兵日を決めましょう。同時に動いた方が、都合が良いでしょうからね」

帝「だな。其方は如何程かかる?」

青年兵「……3日あれば」

帝「良し。ならば出兵は三日後じゃ。各々、心してかかれっ」

一同「おぉーっ!!」


960 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:45:31.15 ID:KvR7+fNFo


家老「いやはや、面倒な事になったのう」

名代「……っ」

家老「気持ちは分かる、名代……」

名代「いえ。先祖の書に気付けなかった己が悔しいのです」

家老「……」

名代「もっと早くこの事に気付いておれば、こんな事には……」

家老「まだ終わってもいなければ始まったわけでもない。これからではないか」

名代「……それに青年兵殿、なかなかの策士よ」

家老「んっ?」

名代「東方司令殿や私を西へ回せば、上様も必然的に西へ参加すると言うに決まってますからね」

家老「……足りぬ戦力を引っ張り出したのか……っ」

名代「……まぁ、都に居たところで安全な確証はありませぬが」

家老「若いのに大した切れ者よ」

名代「もう後戻りは出来ませぬ。あとは……やるしかありません」

家老「そうじゃな……。全ては、東方の為じゃ」


961 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:46:02.05 ID:KvR7+fNFo


西方参謀「おめぇよ、なかなかやるじゃねぇか……ヒック」

青年兵「何がですか?」

西方参謀「すっとぼけやがって。まぁいいや、んで……勝算は?」

召喚士「分かりません。対峙したわけでもないですからね」

戦士「やたら陽気な奴だ。ペース惑わされんようにすりゃ、何とか押さえ込める」

盗賊「思念体と申していたな?」

戦士「ああ。ようはアンデッドみてーなもんじゃねーかな」

召喚士「とにかくあと3日。出来る限りの情報を集めよう」

戦士「だったら鬼丸にも聞いてみるといい。少しは知ってるみてーだし」

召喚士「うん、そうするよ」

魔道士「いよいよ……ですね」

盗賊「ああ。東方の平和の為に……いや、この世界の平和の為に」

戦士「負けるわけにはいかねぇ。何としてもな」

青年兵「負けませんよ。僕達は……何度も死地を乗り越えてきましたから」

召喚士「……うん」


962 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:46:40.99 ID:KvR7+fNFo
〜旅籠〜

魔道士「ただいま戻りましたーっ」カラッ

女隊員「おぉっ、お帰りさないッス!」

西方参謀「あぁーっ! てめぇ……っ」

隊長「んだよ……もぐもぐ」

西方参謀「まさかそれっ、女将の……」

隊長「お前らは城で美味いモンでも食ってきたんだろ? だったら――」

西方参謀「よこせこらっ! 食わせろ!」

隊長「ふざけんなっ! 死ね!」

女将「あらまぁ、賑やかです事」

格闘家「申し訳ありません」

青年兵「出兵が決まりました。3日後です」

男隊員「おーう。ま、いつでもいいぜこっちはよ……ヒャハハ」

東方参謀「我らは明朝より、東へ向かうとする」

青年兵「特遊はどうしますか?」

隊長「俺らは一旦、北の城に入ってから合流する」


963 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:47:15.59 ID:KvR7+fNFo
青年兵「分かりました」

南方参謀「こっちがもし、早く片付いたら、すぐ西に駆けつけるからねっ」

男隊員「あん? 西ってなんだ? 別行動なのか?」

青年兵「詳細は後ほどご説明しますが、西にも魔物がいるんです」

召喚士「魔王と同時に倒さないと厄介なんですよ」

女隊員「うへぇ、面倒ッスなぁ」

盗賊「……すまんな」

魔道士「えっ?」

盗賊「本来ならば、召喚士と魔道士の力になりたいところなのだが……」

召喚士「気にしないで下さい。盗賊さんは藤蔵の人なんですから」

魔道士「そうですよっ。お互い、絶対に無事……再会しましょう!」

盗賊「……ああ」

戦士「せめてアイツらがまだ居ればなぁ」

召喚士「あいつら……?」

戦士「女侍達だよ。まだ東方に居るとは思うんだが……って、やば……っ」

青年兵「女侍?」


964 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:47:46.40 ID:KvR7+fNFo


東方参謀「東方司令部に入った賊ではないか!」

南方参謀「そんな連中がいたのっ!?」

戦士「い、いやぁ……東方司令部にちょっかい出してるとは知らず……すまん!」

西方参謀「まぁ本部からも捕まえろと命令が出てるわけじゃねーからなぁ……ヒック」

青年兵「なるほど。戦力にはなるんですよね?」

魔道士「女侍さん達は強いですよ!」

青年兵「……西方参謀さん、上様に連絡して、都の港に警備網を張りましょう」

西方参謀「……お前、本当に策士になったもんだよなぁ……ヒック」

魔道士「ど、どういう事ですか?」

男隊員「そいつら国外逃亡させずに。東方に留めておこうってんだろ?」

隊長「それで協力させる気か。従うとは思えないがなぁ」

青年兵「僕らが言っても無理でしょうね。でも、召喚士さんや戦士さんならば……」

戦士「なるほどな。うまく会えりゃいいけどよ」

盗賊「西に居たのであろう? ならば、チャンスはあるはず」

召喚士「……」


965 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:48:20.54 ID:KvR7+fNFo
〜西の小さな村〜

サル「……何で東方から脱出しねーんだよ?」

女侍「行きたきゃ勝手に行きな」

キジ「まだ何か、やる事あるさー?」

女侍「あの屋敷にはね、お宝が残されてるのさ」

イヌ「それっ、本当ね!?」

サル「本当にお宝なんだろうな……?」

女侍「アタイにとっちゃあ……お宝だよ」

〜西の浜辺〜

くの一「……」

ザッザッザッ

女剣士「魚獲ってきたぞ。焼いて食おう」

くの一「うん……」

女剣士「妖の気配が薄れたな。何か動きがあったのかもしれんな」

くの一「……どこに……行くの?」

女剣士「もうじき着くさ。それまでは何も聞かず、付いてきてくれ」


966 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 16:49:29.59 ID:KvR7+fNFo
 それぞれの思いが交差する中、東方での魔王討伐戦がいよいよ始まろうとしている。

槍侶「魔王……か」

 魔王マーラと神野悪五郎の同時撃破。そして山本五郎左衛門との誓い。

鬼丸「…………」

 導き出す予言とその行く末。彼らに待ち受ける真実と宿命。

御館様「いよいよ、か」

 それは後の世まで語り継がれる壮絶な物語を生み出す事となる。

影忍「…………」

 そしてついに、決戦の時……。



アスタロス「……」

マーラ「ベルゼブブの援軍? ハッ、笑わせるんじゃあないよっ」

夜行「……ヒヒッ」

マーラ「このあたしを誰だと思っているんだい? 魔王……マーラ様だよっ!」



〜第五十五部、完〜


971 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 17:51:06.83 ID:uAHSCrrDO
>>1乙
マーラって女だったのか


976 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [] 投稿日:2011/12/20(火) 20:32:01.32 ID:8waN4zdZ0
いちおつ
女剣士も西に来てたのか…そろったな


977 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 21:08:33.49 ID:QPcqZO7u0
1おつ
部下からは魔翌羅様だけど一人称はマーラなんだな
まさかその辺も伏線!?


978 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 21:22:29.79 ID:u5FbVRpMo
東方と本国の言語の差じゃねえの


979 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 22:11:25.34 ID:KoSUuk8Uo
>>1乙
マーラにはカーマっていう愛を象徴する側面もあるんだよな


981 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 23:15:39.83 ID:+Hd4C9B/0
今回の戦いは魔法使い少ないから西も北も五行キツイな


983 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage saga] 投稿日:2011/12/20(火) 23:50:18.36 ID:P+a7l/T/o
すんません。遅くなりました!

35スレ目です。35とか…あほすぎる…
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324391535/

とりあえず残りあんまないので、オマケはクリスマス用と
また次スレで合間に挟んでいきまする!

それではおやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

師匠「ほほーう。俺の全盛期が見たいとな!」
マジシャン「別にいいよ」
師匠「うるせー腐れ酔っ払い。どいてろ!」ドカッ
マジシャン「てめぇもだろ!」ゲシゲシッ

〜全盛期の師匠伝説〜

・3詠唱5召喚は当たり前、3詠唱8召喚も
・師匠にとってのコカトリスは朱雀の出しそこない
・9人対100万匹、チームメイト是認負傷の状況から1人で逆転
・一回の召喚でコカトリスが三匹に見える
・シルフで魔物討伐が特技
・戦場に立つだけで魔物が泣いて誤った、心臓発作を起こす魔物も
・完全討伐でも納得いかなければ功績報酬を貰わないで帰ってきた
・魔物を一睨みしただけで魔物が真っ二つに飛んでいく
・戦闘のない日でも2討伐
召喚獣を使わずに素手で討伐したことも
・グッとガッツポーズしただけで5匹くらい魔物が死んだ

マジシャン「……ふーん」
師匠「何だよ。文句あんのかよ」

マジシャン「ふーん」


987 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/21(水) 01:59:07.72 ID:vBR+g8xAO
>>1おつ

マーラで検索したらチンコの化物が出てきたぞ…


988 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage saga] 投稿日:2011/12/21(水) 04:43:37.11 ID:UmWDnYJDO
>>987
それはご立派様、メガテンシリーズお馴染みのマーラ様だろうな。
マーラつったら、ブッダが菩提樹の下だかで瞑想してたら「そんなことはいいからSEXだ!」つって誘惑してきた悪魔だろ。
確か美女……だったかどうかは記憶が曖昧だが、とりあえず女の姿で描写されていたはず。


1000 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/21(水) 17:53:14.65 ID:5GtheQcDO
1000なら盗賊は死なない



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