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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その36
33 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/22(日) 23:33:01.96 ID:15TBM9avo
〜???〜

 フワッ……スタッ

夫人「……?」

山本「お前さんも、何だかんだ言って優しいのぉ」

夫人「別にぃ。召喚士に死なれては何かと困るからのぅ」

山本「ほっほ。ま、そういう事にしておくかのう」

夫人「何が言いたいのかしら、このジジイ」

山本「神野悪五郎は倒した。倒したとは言っても、この世界から消えただけじゃ」

夫人「そうね。属性が四つしかなかったからの」

山本「満月の夜、訪ねてくるのは召喚士だけではなさそうじゃのぉ」

夫人「そうねぇ。でもまぁ、丁度良いんじゃない?」

山本「面倒を起こすと、他の連中に睨まれるぞ?」

夫人「野放しには出来ないでしょう? そのくらい許してくれるわよぉ」

山本「乱れるくらいなら其の方が早いやもしれんの」

夫人「そういう事じゃ♪ ともかく、召喚士が来てくれねば何ともならぬからのぅ……ふふっ♪」


34 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/22(日) 23:33:51.76 ID:15TBM9avo
 死者こそ出なかったものの、激しい戦いの直後という事もあり、

 都を目指す岐路の中、一同の足取りは大変重いものであった。

 時刻は既に夕方を回り、寺の鐘が静かに鳴り響く。

 ゴオオオオォォォォン

 冬の空は赤みを増す時間も短く、瞬く間に再び、闇へと姿を変える。

 特に会話はない。張り詰めた緊張もない。今はただ、いち早く都を目指すのみである。

 北での結果など当然知る由もない。だが、敗北したとも思ってはいない。

 木枯らしが枯葉を舞い上がらせてはまた地面へと落とし、ただ繰り返す。

 葉は舞っては落ち、華は咲いては枯れ、人は生まれては死んでゆく。

 それは妖や魔物とて同じ事である。万物の理とは生を得て、即ち死す。

 かつて、古来の者はこんな言葉を残している。

 祇園精舎の鐘の声。諸行無常の響きあり。

 沙羅双樹の花の色。盛者必衰の理をあらわす。

 おごれる人も久しからず。ただ春の世の夢のごとし。

 たけき者も遂には滅びぬ。偏に風の前の塵に同じ。


35 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/22(日) 23:36:16.16 ID:15TBM9avo
〜都〜

帝「……ようやく戻ってきたな」パッカパッカ

名代「ご苦労様でした、上様」

帝「私など何もしてはおらぬさ。此度の戦いは皆の働きがあっての事」

魔道士「そういえば上様の刀、どうして神野悪五郎は嫌っていたのでしょう?」

帝「確かにそうであろうな。不思議であった」

召喚士「考えてたんですけど、おそらく……ヤマタノオロチを斬ったからではないでしょうか」

名代「ヤマタノオロチを……?」

召喚士「奴は龍脈を利用した結界を嫌っていました」

東方司令「そういえばそうだったな」

召喚士「何かヤマタノオロチを斬った事で、聖行に近いものを付加したのではないかと」

女剣士「聖なる力……」

召喚士「いや、憶測ですが……でも、それほど的外れではないかと思います」

帝「成程。合点はいくな」

魔道士「なるほどですねぇ〜」


36 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/22(日) 23:36:41.48 ID:15TBM9avo


 パッカパッカパッカ

くの一「このまま城へ向かって大丈夫なのですか?」

名代「この人数ですし、上様と私の顔が気付かれなくば混乱もないでしょう」

帝「それにこの汚れじゃ。とても私などとは気付かぬまい」

名代「大通りは避けて、西門から入城致しましょう」

 ドドッドドッドドッ……

召喚士「……?」

女剣士「早馬ですね。もしかしてっ、北の戦況報告!?」

帝「城へ向かっておる。そのようだな。我らも急ぐとしよう」

魔道士「何か……あったんでしょうか?」

帝「此方は隠密行動だが、あちらは頻繁に伝令を出しているだろうからな」

名代「にしても、早馬とは何かしらの報せがあったのやもしれませぬ」

東方司令「ともかく、聞いてみない事には分かりませぬな」

帝「……うむ」


37 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/22(日) 23:37:12.79 ID:15TBM9avo
〜帝の城、西門〜

下忍「……?」

 ザッザッザッ

名代「藤蔵の方ですかな。私は名代と申します」

下忍「名代殿であられたかっ。これはこれは。五忍が不在につき、失礼致しました」

名代「事情は分かっておりますゆえ、こちらこそ助かりまする」

下忍「ささっ、どうぞ」

 テクテクテクテク

帝「火忍や土忍が居らぬというのは、何やら不思議なものだな」

名代「左様ですね。居る事が最早、当たり前のような感覚でしたからね」

帝「それももう終わる。妖などが襲ってくる事もなくなるであろうからな」

名代「ええ。大橋の鬼丸も同様。彼らには自由に生きて貰いたいものです」

帝「今まで苦労を務めて貰ったからの。多数の褒美と共に務めも終わりだ」

名代「鬼丸も今や人間と違いありませぬ。屋敷など与えて、人の世を楽しんで貰えれば……」

帝「ふふっ。楽しみだな。春には桜など見ながら、皆で楽しく宴を催したいな」


38 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/22(日) 23:37:39.21 ID:15TBM9avo


家老「今……何と申した……」

伝令「北の戦線は熾烈を極め、外部の兵だけでも20名以上の死者が」

名代「魔王はどうなったのです!?」

伝令「分かりませんっ。未だ交戦中との噂もありますし、それに……」

名代「それに?」

伝令「一部では……隊長殿が戦死したとの噂も……っ」

召喚士「えっ!?」

魔道士「……せ、戦死って……隊長さんが……っ」

帝「馬鹿を申すな。貴様の仕事は何だ」

伝令「で、伝令に御座いまする……っ」

帝「それであれば、不確かな情報を伝えてどうするかっ!」

伝令「ご、ごもっともにて……っ!」

帝「もっと確かな情報を集め、いち早く此処へ届けるのだっ。良いな!」

伝令「ははぁ!!」ザザッ


39 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/22(日) 23:38:28.41 ID:15TBM9avo
魔道士「し、召喚士さんっ。さっきの人……隊長が……って」

召喚士「……上様の言われた通り、不明瞭な情報です。そんなはずはありませんよ」

東方司令「そうだ。特遊の隊長が死ぬなどと、有り得ぬ話だな」

名代「同意権ですね。あれほどの強者が死ぬなどと……それが例え魔王であろうと……」

帝「考えにくい……いや、考えたくもない話だな」

召喚士「……っ」

 ダダダダダッ ガタッ

家老「何事じゃっ! 騒がしいぞ!」

旗本「――っ」バンッ

名代「旗本殿?」

旗本「……港に……船が」

召喚士「船……って、まさか……っ!」

帝「急ぎ、出迎えに参ろうぞ!」

魔道士「はいっ!!」

 ダダッ!! 


40 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/22(日) 23:39:00.38 ID:15TBM9avo


足軽「負傷者は!?」

国軍兵「こっちっす! 応急処置はしたが、早く手当てを!」

僧兵「もうすぐだっ、もうすぐだぞ!」

魔道兵「……ぐ……ぅ」

 タッタッタッタッ ザザッ

召喚士「!?」

魔道士「……っ」

女剣士「……ひ、酷いものだな」

帝「皆、無事なのか?」

魔道士「あっ! 盗賊さん!」

 テクテクテク

盗賊「魔道士……召喚士……っ」

召喚士「盗賊さんっ、戦士!」

戦士「……おう。無事みたいで何よりだ」


41 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/22(日) 23:40:05.11 ID:15TBM9avo
召喚士「そっちは!? みんな無事……」

盗賊「……ふ……っうぅ」

魔道士「盗賊さん……?」

 ガバッ!! ギュウウゥゥ

魔道士「盗賊さんっ!?」

盗賊「ふっ、ううぅぅ……!!」ボロボロボロッ

召喚士「ど、どうし――」

戦士「緊張の糸が切れたんだろうな。お前らが無事でさ」

召喚士「えっ? いや、そうだけどどういう事……?」

青年兵「魔王マーラは、完全消滅致しました」ザッザッ

召喚士「青年兵くんっ!」

青年兵「しかし……代償に……」

召喚士「……?」

青年兵「その代償に……藤蔵の4人と鬼丸が……犠牲となりました」

召喚士「――――っ!!」


42 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/01/22(日) 23:55:11.00 ID:15TBM9avo
明日こそか必ずや…
本日ここまでにて!多数のご支援ありがとございました!
今回からかぎまとめ様をテンプレの加えましたよ
ななばつ様と共にほんと御世話になっておりますですよ
それではおやすみなさい!また明日!ノシ

〜オマケ〜

 チュンチュンチュン

剣士「ふあぁ……。流石にこの時期は朝も寒いなぁ」

弓使い「おっはよー。ん〜いい朝ねぇ」

剣士「おはよう。何だか皆が世界の為に戦っているのに申し訳ないよね」

弓使い「もうじきしたら北での最終決戦でしょ? もちろん行くつもりなのよね?」

剣士「勿論さ」

弓使い「だったら今だけでも、いいんじゃない?」

剣士「そうだよね」

弓使い「ついでにこれ、干しておいてねぇ〜」ドサッ

剣士「はいはいっ。よっこいしょ……」

 パサッ ヒラヒラヒラ

剣士「こ、この……ブラは……」ゴクッ

幼女「お父さ〜ん! 朝ご飯出来るよ〜」

剣士「お、大きくなったなぁ……ははっ」


43 名前:NIPPERがお送りします(愛媛県) [sage] 投稿日:2012/01/23(月) 00:08:03.55 ID:Al2trzxTo
…何が大きゅうなったのか言うてみい


44 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/01/23(月) 00:15:00.80 ID:3MX3wJNso
>>1乙!
謎の順位表は更新されたばかりなのに、幼女ちゃんが早速ランクアップ…か?


54 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:36:59.10 ID:KrMb1W/io
青年兵「彼らと鬼丸は五行を……いや、更にその上の……」

戦士「影忍を加えた五行を撃って……全員、消えちまったよ」

召喚士「今……何て……五行を? 消えた……っ?」

青年兵「それから……隊長が……」

男隊員「死んだよ」ザッザッ

召喚士「……っ」

女隊員「隊長は……私達を助ける為に……っ」

格闘家「……くっ」

召喚士「隊長が……本当に……」

盗賊「ふっぐ……ぅ、うぅ……うっ!」

魔道士「……っ」ギュッ

青年兵「召喚士さん、ちょっと……宜しいですか?」

召喚士「……うん……っ」

戦士「俺は魔道士と一緒に、盗賊を休ませてくる」

召喚士「うん、お願い……っ」


55 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:37:30.48 ID:KrMb1W/io


召喚士「……隊長は……死んでいた……?」

青年兵「はい。おそらくですが、イブリース戦の際に」

召喚士「どういう事!? 死んでいたって……生きてたじゃん!!」

青年兵「生きていたけれど、既に死んでいたんです」

召喚士「……ごめん……全く理解が出来ない……っ」

青年兵「イブリース戦の際に、隊長はネクロマンサーと交戦したと聞きました」

召喚士「……っ!!」

青年兵「つまりは、そういう事かと……」

召喚士「……隊長はどっちだった?」

青年兵「えっ?」

召喚士「ネクロマンサーの人形には2種類ある! 隊長はどっちだった!?」

青年兵「わ、分かりません……っ」

召喚士「もし本体でないなら影忍さんと同じ、北の魔王城に本体があるはずだ」

青年兵「……なるほど」


56 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:37:58.80 ID:KrMb1W/io
召喚士「もし本体ならば、五行でない限り……死ぬ事はないはず」

青年兵「!?」

召喚士「大ダメージならば肉体を負傷するかもしれないけれど、不死だからね」

青年兵「もしそうであれば……隊長は……」

召喚士「生きている可能性もある。いや、でも何故……操られていて自我を……?」

青年兵「それなんです。だからこそ僕らも全く、気付かなかったわけで……」

召喚士「ネクロマンサーが失敗したのか? それとも何か……別の目的が……」

青年兵「今となっては分からずじまいですね」

召喚士「……いや、もしかしたらまだ奴は、何か企んでいるのかもしれない」

青年兵「!?」

召喚士「戦後処理の際に、隊長の捜索を行った方がいいかもしれないね」

青年兵「なるほど。そう致しましょう」

国軍兵「青年兵様っ、宜しいですか?」タッタッタッ

青年兵「今行く。すみません、それではまた後ほど」

召喚士「うん」


57 名前:忘れてたぁ… ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:38:40.96 ID:KrMb1W/io
〜大広間〜

帝「…………」

東方参謀「マーラは消滅致したが、ご報告の通り……被害は大きく」

名代「藤蔵の忍が……全滅とは……っ」

盗賊「……」

魔道士「盗賊さん……っ、少し休んだ方が……」

盗賊「大丈夫。辛いのは皆も同じ事だ」

魔道士「……っ」

名代「鬼丸……までもが……」

戦士「……すんません!!」バッ!!

名代「……?」

戦士「俺が……俺が不甲斐ないばかりに……っ!」

名代「戦士殿。おやめ下され」

戦士「鬼丸を殺したも同然です……! 俺が鬼丸を……」

名代「自身を責めるのはおやめ下され。私とて同罪、誰の責任でもありません」


58 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:39:10.53 ID:KrMb1W/io
西方参謀「其方の、神野悪五郎は……」

帝「倒した。召喚士や皆の働きによってな」

南方参謀「これで、東方の魔物は倒したわけですよね……?」

名代「そういう事になりますね。残るは北の城近辺の内乱のみ」

旗本「其方もじきに制圧するでしょう。藤蔵のお陰でかなりが内応しております」

名代「無駄な血を流さずに済めば、それに越した事はありませんね」

帝「これで残るは本国北方の魔王軍のみであるな」

東方参謀「既に本国では北への進軍を開始しております。近いうちには開戦となるはず」

帝「我ら東方の兵も、すぐに手筈を整えよう」

西方参謀「いやしかし、東方では戦い直後。そんな急には……」

帝「案ずるな。ある程度の準備は出来ておるし、参戦せぬわけにはいかぬであろう」

名代「左様。これだけ世話になりながら、本戦に兵を出さぬなど恥です」

東方司令「あまり無理はなさらぬよう。臨機応変に出兵して頂ければ結構です」

帝「心遣い、痛み入る」

名代「細かな報告と処理は私を筆頭に行う。他の者は、まずはゆっくりと疲れを癒して下され」


59 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:39:37.21 ID:KrMb1W/io


 テクテクテク……

盗賊「ここで大丈夫」

魔道士「でも……っ」

盗賊「魔道士も疲れただろう? 今日は1人でいいから」

魔道士「盗賊さん……」

盗賊「それじゃ、おやすみ」テクテク

魔道士「……おやすみなさい」

盗賊「……」

 テクテクテクテク

盗賊「……?」

帝「……盗賊か」

盗賊「う、上様。このような所で如何なさいました?」

帝「ここは、西門がよく見えるからの」

盗賊「……はい」


60 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:40:04.79 ID:KrMb1W/io
帝「お主もそれで来たのであろう?」

盗賊「お見通しですね。その通りです」

帝「……すまぬ」

盗賊「!?」

帝「恨むのであれば、誰でもなくこの私を恨んでくれ」

盗賊「上様っ!?」

帝「どうか、他の者らに罪はない。許して欲しい……この……私をっ」ポロポロ

盗賊「う、上様っ!」

帝「盗賊……近こう寄れぇ」ポロポロポロ

盗賊「は、ははぁっ!!」ササッ

帝「……」ギュウゥ

盗賊「――!?」

帝「すまぬ……すまぬっ! しばしの間……胸を……貸してくれ」ポロポロポロ

盗賊「上様……っ」ギュッ

帝「私は……弱いな。一国の主として本当に情けない……」


61 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:40:37.55 ID:KrMb1W/io
盗賊「そんな事は御座いませぬ。上様はご立派であられます」

帝「世辞はよせ……今とてほれ、涙が止まらぬ。震えが止まらぬのじゃ……っ」

盗賊「世辞などでは御座りませぬ。上様は若くして一国の長とし、立派に務めておられますっ」

帝「私は……盗賊らのように強くはない。それが情けないのじゃ……っ」ポロポロ

盗賊「強さなどというものは、人それぞれで御座います」

帝「……うぐぅ」ボロボロボロ

盗賊「上様の強さは、人を思いやる気持ちと透き通った心」

帝「ふ……っふぇ……ぐぅ!」ボロボロ

盗賊「上様は東方を動かし、東方を守っておられる」

盗賊「……っぐ」

盗賊「私達の強さは、そんな上様を守る為にあるのです。上様は東方そのものなのです」

帝「ふえぇ……っ」ボロボロボロ

盗賊「藤蔵の皆や鬼丸も、思いはきっと同じです。だから泣いてはなりませぬ」

帝「わ、分かってる……っ。分かっておるが……涙が……止まらぬのじゃ……っ」

盗賊「……っ」


62 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:41:06.21 ID:KrMb1W/io


青年兵「本国への伝令は?」

国軍兵「既に手配完了致しました」

青年兵「ご苦労様。負傷した兵を明日、1番艦にて本国へ先行させよ」

国軍兵「了解であります」

青年兵「2番艦はいつでも出航出来るようメンテナンスを」

国軍兵「3番艦はいかが致します? 若干、損傷がみられますが……」

青年兵「東方の許可を得た上で修理にかかれ。その後は東方にて待機させる」

国軍兵「ははっ!!」

西方参謀「こっちの調子はどうだい? ヒック」スタスタ

青年兵「お疲れ様です。順調……と言っていいのか分かりませんが」

西方参謀「ハハッ。順調でなくば困る。指揮官ってのは先を見てるモンだぜ?」

青年兵「……ええ」

西方参謀「戦後処理にはいつ出るんだ?」

青年兵「可能であれば、明日にでも向かいたいと考えております」


63 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:41:39.22 ID:KrMb1W/io
西方参謀「明日とはまた急な話だな」

青年兵「少し気になる事が」

西方参謀「……隊長か」

青年兵「……流石ですね」

西方参謀「手数があるならいいけどよ。せわしいと後で綻びが出たりするモンだぜ……ヒック」

青年兵「はい。でも、その為の参謀役ではないですか?」

西方参謀「ブッハハハ! 言ってくれやがるぜ……ヒック」

青年兵「それに、次の戦いが控えておりますから」

西方参謀「それもそうだわな。本国の連中は来週にも開戦に踏み切りたい意向だ」

青年兵「そのようですね」

西方参謀「あとは大将待ちだとよ」

青年兵「……?」

西方参謀「どこぞの総司令がトンズラしやがったからなぁ」

青年兵「!?」

西方参謀「ガハハハッ! 20年振りに復活だよ。青年兵大元帥さんよ……ヒック」


64 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:42:06.93 ID:KrMb1W/io
〜大橋〜

 ザアアァァァァ

戦士「…………」

女性「最近、大橋の怪僧を見ないわねぇ」

おばさん「ありゃ不気味だったからねぇ。夜なんかは怖いもんだよぉ」

女性「そうねぇ。でも、居ないとそれはそれで、何だか寂しいものだけれど」

おばさん「夜中に抜け出そうとする子供達を止めてくれたり、何だかんだいい奴なのかもねぇ」スタスタ

戦士「……」

召喚士「鬼丸、立派に橋の守り役を務めてたんだよね」スタスタスタ

戦士「召喚士……」

召喚士「鬼丸は死んでなんかいないよ、きっと」

戦士「……」

召喚士「だって鬼丸は妖なんだ。いまはこの地上から居なくなっただけなんだ」

戦士「……お前」

召喚士「約束する。マーマンさんと一緒に、鬼丸だって絶対に召喚してみせるから!」


65 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/23(月) 18:42:33.79 ID:KrMb1W/io
戦士「……そうか、そうだよな。お前がいてくれりゃあ鬼丸だって」

召喚士「うんっ。だから悲しむ必要なんてないよ。いつか必ず……会えるから」

戦士「……ああ、そうだな」

名代「召喚士殿ならば、きっと成し得る事が出来るでしょう」ザッザッ

召喚士「名代さん」

名代「鬼丸に、と思いまして」チャプッ

戦士「名代さん。こいつを」チャキッ

名代「これは……鬼丸国綱!?」

戦士「鬼の籠手は託されたが、コイツは託されてねぇ。奉納してくれ」

名代「宜しいのですか……?」

戦士「鬼丸だけじゃねぇ。武士さんの魂も宿ってる。今の俺には……重すぎて振れねぇよ」

名代「……左様ですか。それならば、そうさせて頂きましょう」カチャッ

召喚士「酒は、ここから川に撒こうか」

名代「それが良いでしょう。さ、戦士殿」チャポッ

戦士「……あばよ、鬼丸」



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