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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その35
208 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 18:08:56.59 ID:PmV7ryl3o


魔道士「野宿ですかぁ!?」

東方司令「仕方ないだろう。仕掛けてしまった今、奴を野放しには出来ん」

名代「左様。我ら以外が西へ立ち入る可能性もありますから」

召喚士「見張りも兼ねて、と言う事ですね」

魔道士「……そうですよね……はぁ」

名代「申し訳御座いません。我らはともかく、女子にこのような仕打ちを……」

帝「構わぬ。一度戦場へ赴けば、泥に塗れ、血と汗を流しながら生きるものだ」

魔道士「……そ、その通りです!」

東方司令「おい」

召喚士「ではひとまず、西に拓けた辺りでテントを……」

 ピクッ

召喚士「!?」

東方司令「どうした……?」

召喚士「いやっ、気配が……でも魔物じゃない――」

 ガサガサッ


209 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 18:10:00.13 ID:PmV7ryl3o
魔道士「きゃああぁぁ!!」

 ザッ

女侍「……ん?」

召喚士「あ……っ」

魔道士「えっ?」

サル「おぉっ! いたいたっ!」

召喚士「女侍さんっ!!」

女侍「……あんたら、神野悪五郎と戦うんだって?」

召喚士「てかもう戦ってきました」

女侍「まさか倒したのかいっ!?」

帝「いや、倒すには至っておらぬ」

女侍「……あ、あんたぁ……まさか」

名代「……この御方はな」

帝「名代、隠さずとも良い」

女侍「やっぱり……っ」ザザッ

サル「お、おいおい……っ、急にかしこまってどうしたんだよっ?」


210 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 18:12:29.30 ID:PmV7ryl3o
とりあえずここまでにて!また後で来ますです!
番外編の感想&ご支援ありがとうございます!
ここからは伏線を消化しきれるかの勝負っ!それではまた後ほど!ノシ


212 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [] 投稿日:2011/12/26(月) 20:42:54.23 ID:1hqHhoZf0
いちおつ
天叢雲剣は三種の神器か


213 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:41:15.22 ID:H6KRvBdvo


サル「上様ああぁぁぁぁ!?」

イヌ「上様って、東方で一番偉い人ね?」

キジ「まさか女で……こんなに美人だとは驚いたさー!」

魔道士「図が高いですよっ、なーんて」

帝「こらこら、やめぬか」

女侍「しかし、上様まで参戦とは……よっぽど人手不足みたいだねぇ」

召喚士「……否定は出来ません」

女侍「おや? ところで残りの2人と国軍の連中はどうしたのさ?」

召喚士「魔王マーラ討伐へ向かいました」

女侍「別行動かい」

サル「てか、同時撃破なのかよっ!?」

名代「事情はややこしいが、そういう事になります」

召喚士「女侍さん。話は戦士から聞きました」

女侍「んー?」

召喚士「そうか、力を貸して貰えませんでしょうか……っ」


214 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:41:45.38 ID:H6KRvBdvo
女侍「……」

魔道士「皆さんの力があれば、頼もしい限りですっ!」

サル「……だってさ」

女侍「全く、仕方ないねぇ〜。嫌だけど、とても断れる状況じゃあないねこりゃ」

イヌ「最初から手伝うつもりだったのに、何言ってるね?」

女侍「五月蝿いねお前はっ!!」

 テクテクテク

東方司令「……ん?」

キジ「!?」

サル「国軍……っ!」

東方司令「ん? 何だお前ら?」

サル「い、いやっ! 何でもねぇっ!」

キジ「コイツ、知らないみたいさー」

イヌ「じゃあ気にする事ないね」

東方司令「……?」

召喚士「はっ、ははは……」


215 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:42:51.77 ID:H6KRvBdvo


女侍「なるほどねぇ。そんなにまで強いのかい」

召喚士「……強いです」

サル「でもよぉ、そんな無敵のバケモン……倒す方法はあんのか?」

名代「まずは剣聖の思念体を排除する事です」

女侍「……」

キジ「何でさ? 剣聖モードの時のが弱いんじゃないのさ?」

名代「形状で言えばそうですが、剣聖の記憶を基に、剣技があると思われます」

サル「なるほどねぇ〜。そいつは難儀な話です事」

召喚士「まずは奴の攻撃を弱体化させましょう」

東方司令「ああ。奴の本体と剣聖とやらの剣術は最悪の組み合わせだ」

帝「……ふむ」

召喚士「せめて刀だけでも破壊出来ればいいんですけど……」

女侍「いや、どうだろうねぇ」

魔道士「……?」

女侍「剣聖の剣術が身に付いてるんだろ? だったらちょいと厄介かもしれないよ」


216 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:43:57.70 ID:H6KRvBdvo
召喚士「どういう事ですか?」

女侍「無刀取り」

帝「無刀取り……?」

女侍「剣聖が作り上げた、最高の剣術さ」

東方司令「待て。無刀取りとはまさか……っ」

サル「知ってんのか?」

東方司令「刀を持たずして相手を制するという幻の奥義……っ」

女侍「へぇ、本国にまで伝わってたのかい」

召喚士「それを、剣聖が使うと……?」

女侍「使うって言うか、剣聖が編み出したものだしねぇ」

魔道士「ど、どんな技なんです?」

女侍「技……っていうか、相手の刀をぶんどるだけさ」

帝「ぶん取る……」

女侍「相手が斬るモーションを起こしたと同時に、超神速で懐に飛び込み……」

 クイッ

女侍「相手の刀をもぎ取るのさ」


217 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:44:50.93 ID:H6KRvBdvo
名代「な、なんという……っ」

女侍「並大抵の奴にとっては、命を捨てるにも等しい荒業さね」

東方司令「しかしその剣聖にとっては、起死回生の奥義……というわけか」

女侍「そういうこった」

召喚士「それにシンノの身体能力が加われば……」

東方司令「モーションどころか手首の反応だけで懐に飛び込まれるな」

帝「おれでは打つ手なしではないか……」

名代「刀を奪えば攻撃方法は魔法か召喚獣や式神の類のみ」

召喚士「かと言って、刀を奪わなければ……」

魔道士「……斬られてしまいますっ」

名代「そもそもあの刀、妖刀などと申していた……」

魔道士「何か……ご存知ですか?」

名代「いえ。ただ……古来より妖の持つ刀は呪われていると……」

東方司令「……」

名代「妖の刀を人が持てば、たちまちその呪いにより副作用をもたらすと」


218 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:46:40.53 ID:H6KRvBdvo
魔道士「それじゃあ刀も奪えないんですかっ!?」

名代「いえっ、それが奴の持つ刀とは限りませんが……」

帝「しかし、神野悪五郎の手を封じるには、刀を奪う以外に方法はないな」

召喚士「……こうなったら」

東方司令「ボクがいく」

召喚士「!?」

東方司令「刀を奪う役目は、ボクに任せろ」

召喚士「し、しかし……っ」

東方司令「1度も2度も変わらん。どうせ呪われた身体だ」

召喚士「……えっ?」

東方司令「お前はボクを見て、不思議に思わないのか?」

召喚士「ま、まさか……っ」

東方司令「お師匠に聞いているんだろう? 魔剣の事……」

魔道士「それじゃあ……東方司令さんも……っ!」

東方司令「そうさ。ボクの身体は魔剣の呪いによって、成長が止まったままなのさ」


219 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:51:18.48 ID:H6KRvBdvo


名代「それでは神野悪五郎退治は先頭に召喚士殿と私」

召喚士「はい」

名代「上様、女侍殿は中軸にて待機。神野の動きを見て行動を」

帝「うむ」

女侍「はいはい」

名代「後方には残りの皆様。援護をお願い致します」

サル「頑張ろうぜ、魔道士ちゃんっ」

魔道士「はいっ!」

イヌ「腕が鳴るね」ゴキゴキッ

キジ「久々の強敵さー」

名代「そして最後に東方司令殿」

東方司令「奴の刀だろ。任せろ」

名代「明日はとにかく、奴wの弱体化を目指して戦いましょう」

召喚士「……はい!」


220 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/26(月) 23:54:27.72 ID:H6KRvBdvo


 ザッザッザッ

女侍「……何か用かい?」

東方司令「お前、随分と剣聖について詳しいな」

女侍「……」

召喚士「そういえばそうですね……」

東方司令「何か、あるのか?」

女侍「……私……は」

サル「そういや、この前からずっとそうだよな」

女侍「あたいはねっ、剣聖の屋敷へ忍び込む為に、ずっと研究してたのさっ」

帝「……」

女侍「ま、無駄になっちまったけどねぇ。さ、明日は早いんだろう? もう寝るよ」

 スタスタスタスタ……

魔道士「女侍さん、何か変……ですね」

召喚士「……俺達も今日はもう寝ましょう」


221 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 00:37:02.06 ID:Zzo7xwNDO
奴wwwwww


228 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:41:11.89 ID:oPMcgJsDO
まさか名代がvipperだったとはな…


229 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 12:42:50.34 ID:1G6DjMYKo
上様の俺発言もなかなかww


230 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:21:55.52 ID:96ZSS+TYo
 ヒュウウウウゥゥゥゥ……

男隊員「ぐおぉ……っ、さっぶい゛い゛ぃぃ!!」

 ドザザッ ドザザッ ドザザッ

格闘家「馬の足取りも重くなってきましたね」

隊長「うーむ」

女隊員「どうしたッスかぁ!?」

隊長「真っ白で何も見えん」

男隊員「おいっ! まさか迷ったんじゃねぇだろうな!?」

隊長「んなわけあるか、アホ。お前と一緒にするな」

男隊員「んなこと言ってもよぉ、もうかなり駆けてんぞぉ!」

隊長「おーおー。そうだったそうだった」

格闘家「……」

隊長「この平野で戦ったんだっけか。じゃあもうちょいだな、もう着くぞ」

男隊員「マジかっ!」

女隊員「やったッス! 寒くて死にそうッスよ」

隊長「……そんなに寒いか?」


231 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:22:31.33 ID:96ZSS+TYo
 ドザザッ ドザザッ ドドォ

隊長「見ろ。ここが最北の塔だ」

男隊員「ひいぃ寒い寒いっ! ちゃっちゃと暖を取ろうぜ……ヒャハハ」

隊長「おい、魔物が中にいるかもしれんだろ」

 ゾクッ

格闘家「……何か……いるっ!?」

男隊員「えっ――」

 シュバッ……ピタッ!!

男隊員「……あ、怪しいモンじゃねぇ……っ」

影忍「……人間か」

男隊員「は、早くその物騒なモンを引っ込めてくれ」

影忍「すまんな」スッ

女隊員「な……何者ッスか……?」

格闘家「人間ではない……っ!?」

影忍「待て。確かに人ではないが、味方だ」

隊長「……本当か?」


232 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:22:57.20 ID:96ZSS+TYo


隊長「なるほど。ネクロマンサーか」

影忍「ああ。アンデッドと化したが、精神までは乗っ取れなかったようだな」

男隊員「現実離れした話だ事」

影忍「だが現実の事よ」

女隊員「じゃあ、魔物だけど人間って事ッスか?」

男隊員「何を言ってんだお前は」

影忍「この体は借り物にすぎん。本体はまた、別の所にある」

隊長「魔王城か」

影忍「察しが良いな。その通りだ」

隊長「確かネクロマンサーの人形にゃ2タイプあったよな?」

影忍「俺の様な、あくまで借り物の体を元にした人形と……」

隊長「本体を直接改造した、人形……」

影忍「どちらも不死だが、前者は何度でも作り、蘇らせる事が出来る」

格闘家「後者は?」

影忍「一度きりではあるが、性能をフルパワーで利用する事が可能」


233 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:23:28.23 ID:96ZSS+TYo
男隊員「どちらにせよ厄介だって事にゃ変わりねぇよな……ヒャハハ」

隊長「ネクロマンサー……」

影忍「東方で何か動くかと思っていたが、特に動きはないようだ」

隊長「アイツなら西に来たよ」

影忍「何……?」

隊長「交戦したが……圧倒された。今は恐らくだが、北に逃げたと思う」

影忍「下手に関わらぬ方が身の為よ。奴は戦闘を快楽か何かと勘違いしている」

 ザッ

格闘家「どこへ?」

影忍「一階より上には藤蔵の結界が張ってある。其方で休むが良い」

男隊員「おぉ、そいつは助かる」

隊長「どうりで見張りがいないわけだ」

女隊員「影忍さんは行かないッスか?」

影忍「この体では結界より先へは入れぬ。気にするな」

女隊員「……っ」

隊長「それじゃお言葉に甘えて、上で外の連中を待つとしようか」


234 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:24:25.01 ID:96ZSS+TYo
 ザッ スタスタスタ

男隊員「しっかし、ここまで魔物との遭遇はなかったな」

女隊員「その代わり、人間の反乱とかはあったッスけどね」

男隊員「魔王軍の連中も警戒してんのかもな……ヒャハハ」

 バチィッ!!

男隊員「何の音だ?」

格闘家「……隊長、どうしました?」

隊長「ん、ああ……。何でもない」

女隊員「……?」

隊長「お前らは上で休んでいろ」

格闘家「隊長は?」

隊長「影忍と共に、下で見張りを務める」

格闘家「それなら俺が……」

隊長「構わん。今のうちに休んでおけ」

男隊員「そんじゃお言葉に甘えて。隊長職も大変っすね……ヒャハハ!」

格闘家「……」


235 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:25:13.69 ID:96ZSS+TYo


 ザッザッザッ

影忍「どうした? 休まんのか?」

隊長「あまり休んでいると、実戦の際に身体が鈍るからな」

影忍「そうか」

隊長「なぁ」

影忍「ん?」

隊長「その、ネクロマンサーにアンデッド化されちまうと、結界を突破出来ねーのか?」

影忍「ああ。本国の結界石も然り、魔物と同様だ」

隊長「ふぅん。そいつは不便なもんだな」

影忍「まぁな。仕方あるまい。それが何か?」

隊長「……いや、別に」

影忍「そうか」スクッ

隊長「どこか行くのか?」

影忍「最後の下準備があるのでな。先に失礼する」

隊長「そうか。ま、気を付けてな」


236 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:25:49.21 ID:96ZSS+TYo


女隊員「……おっ、日の出っすよ」

男隊員「もうそいろそろ外の連中も到着すんじゃねーかな」

格闘家「あれ、船じゃないですか?」

男隊員「……間違いねぇ。国軍の船だ!」

女隊員「迎えに行くッスよ!」

 タタッ タッタッタッタッタッ

隊長「……ん、どうした?」

女隊員「船が着いたッスよ!」

隊長「来たか」

 ザッ テクテクテクテク

隊長「ご苦労さん。優雅な船旅はどうだった?」

西方参謀「寒くて酒が進んだよ。がははっ」

隊長「そいつは何よりだな」

青年兵「ここが最北の塔ですか」

隊長「ああ。上には結界、地下は最北の地への通路だそうだ」


237 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:26:52.96 ID:96ZSS+TYo
南方参謀「盗賊ちゃん達はまだ来てないの?」

男隊員「みてーだな。藤蔵に立ち寄ったから、もうちょいかかるんじゃねーか?」

西方参謀「ひとまずこの地で、待つとしようかねぇ……ヒック」

東方参謀「物資の最終確認と、編制や陣形の再確認を忘れぬように」

国軍兵「はっ!」

槍侶「不死の山中に勝るとも劣らない雪ですね」

僧兵長「うむ。しかしこの程度の雪ならば慣れておる。心配であったが問題なさそうだな」

西方参謀「頼もしい限りだ事……ヒック」

 テクテクテク

女隊員「皆さんが総本山の方ッスね! ヨロシクッス!」

槍侶「――っ!?」

女隊員「……ど、どうしたッスか? 東方は挨拶で握手しないッスか……?」

槍侶「い、いえいえいえっ! すすっ、すみまします……っ!」

ゴシゴシゴシッ ギュッ

女隊員「女隊員ッス。ヨロシ――」

槍侶「よよよっ、よろよろ……よろろー」ヨロヨロッ


238 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:27:36.12 ID:96ZSS+TYo


 ドドッドドッドドッ

戦士「おい盗賊、寄り道ってどこに行くんだよ」

火忍「最北の塔までそう遠くないな。妖は居ないみてぇだ」

風忍「ああ。しかし姫はどこへ向かっておるのだ?」

盗賊「……見えたっ、あの村だ!」

戦士「……村?」

〜最北の村〜

盗賊「……確か、ここだ」バサッ

海女「……?」

盗賊「ご無沙汰してます。その節はどうも」

海女「……あ……れ!? えっと確か……盗賊ちゃんだったっけか!?」

盗賊「お元気そうで何より」

海女「あんたこそあれから元気だったかい!? 良かったよぉ本当に!」

 スクッ

海女「おーい! あんたぁ、おとっつあーん! ちょいと来ておくれー!」


239 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:28:38.77 ID:96ZSS+TYo


老人「おぉ、あの時の娘さんじゃったかい」

漁師「元気そうで何よりだ!」

盗賊「皆さんもお元気そうで、一安心しました」

海女「それで、今日はどうしたんだい?」

漁師「村は見ての通り、以前よりずーっと良くなったよ!」

老人「妖怪もほとんど来なくなったし、何より賊の類も上様の兵がやっつけてくれるからのぅ」

盗賊「それは良かった」

漁師「あんたらのお陰だよ! 恩はいつでも返すから、困った事があったら言ってくれ!」

盗賊「……あの」

漁師「ん?」

 ズザッ

盗賊「どうか、私達にお力を貸して頂きたい!」

海女「そ、そんな頭なんて下げないでおくれよ……っ!」

老人「私達ってのは……どういう……」

盗賊「皆、顔を見せよ」


240 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:29:43.20 ID:96ZSS+TYo


老人「……っ」

漁師「あ……あぁ……っ」

海女「ま、まさか……盗賊ちゃんが……藤蔵……藤蔵の……っ」

風忍「姫が話された通り、我らはこれより魔王討伐へと向かう最中なのだ」

盗賊「この先、最北へは船で行かねばならぬ」

漁師「へ、へへーっ!!」

盗賊「船はあるのだが、優秀な舵取りが居ない。そこでなのだが……」

青年兵「なるほどっ。この方達の力をお借りするわけですね……!」

盗賊「あなた達の実績は以前に体感している。どうか、お力を貸して頂きたいのです」

海女「こんなんで良ければっ、喜んで差し出しますぅ!!」

漁師「勿論ですっ!! 死ぬ気でやらせて頂きますっ!!」

老人「いつ死んでも良い身じゃっ、上様や姫様の為に喜んで!!」

盗賊「あの……そんなに畏まられても……」

漁師「ど、どうかこれまでのご無礼は水にお流し下さいませぇ!!」

盗賊「……はぁ」


241 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:30:25.19 ID:96ZSS+TYo


土忍「これで船頭も確保した。後は……行くのみ」

戦士「ったく、先に言っておけよな」

盗賊「だって、確証はなかったし……」

鬼丸「まぁよ、上手くいったわけだし、最北の塔へ急ごうぜ」

漁師「それじゃあ、行ってくる」

海女「頑張ってね! 姫様、どうか宜しくお願い致します……っ!」

盗賊「……うん。任せて」

火忍「……ん? なんだガキ、何か用か?」

少女「お姉ちゃん……?」

盗賊「……!!」

 テクテクテク

盗賊「久し振り。元気?」

少女「うんっ! お姉ちゃんも元気?」

盗賊「ああ元気だ。そうだ、またお菓子をあげよう。ほら……みんあで分けて食べるんだぞ」

少女「わぁっ! こんなにいっぱい!? ありがとーっ!!」


242 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:31:13.58 ID:96ZSS+TYo
 タッタッタッタッ

戦士「あんな量、どこに隠してたんだお前は」

盗賊「……秘密だ」

風忍「それでは参りましょう」

盗賊「うん」

 ザッ パッカパッカパッカ…

土忍「しっかり捉まっておれ」

老人「へ、へいぃっ!」

戦士「なんつーかさ」

盗賊「……ん?」

戦士「何の変哲もない小さな村なんだけど、のどかでみんなが笑って暮らしてた」

盗賊「……ああ」

戦士「いい村だな。ぜってぇ、守ってやらねーとなっ!」

盗賊「無論だ。その為にも……魔王マーラを討つ」

鬼丸「おうよ! やってやろうぜ……相棒!」

戦士「ああ、やってやるさ!」


243 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:31:59.20 ID:96ZSS+TYo
〜最北の塔〜

格闘家「……!? 来ましたっ、来ましたよ!」

 ドドッドドッドドッ ドドォ

戦士「すまねぇ、遅くなった!」

隊長「いや、問題ない」

 テクテクテクテク

盗賊「途中で船頭を連れてきた。この者らなら、渡航も問題ない」

漁師「ひっ、ひえぇ……」

南方参謀「それは助かるわぁ。それでは早速、軍船へ」

老人「へ、へいっ!」

男隊員「これで討伐対は全員、揃ったわけか」

隊長「途中で魔物はいたか?」

戦士「いや、いなかった。そっちは?」

女隊員「こっちも遭遇しなかったッスよ」

東方参謀「海上もだ。不気味な程、静かなものよ」

青年兵「すると考えられる事は1つ。魔王軍は……最北に集結している」


244 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/27(火) 17:32:30.11 ID:96ZSS+TYo
鬼丸「簡単でいいぜ。まとめてブチのめしゃいいんだからよ」

火忍「鬼丸の言う通りだ。手間がかからなくていいわ」

戦士「それで、あとは船で向かうだけか?」

隊長「塔から繋がる通路経由でもいけると聞いたが」

風忍「それはやめておいた方が良いかもしれませぬ」

隊長「……?」

戦士「その奥は龍脈だ。ヤマタノオロチがいた所だよ」

格闘家「!?」

水忍「見ておきたいのであれば構いませぬが、物見遊山には危険すぎますぞ」

男隊員「ここは素直に、船で渡るのが定石のようだなこりゃ……ヒャハハ!」

青年兵「では、出航準備を進めましょう」

戦士「いざ、最北……マーラのもとへってか」

盗賊「……東方の……魔王」

 最北の塔へと集った魔王討伐軍。これより本国の軍船にて渡航を開始する・

 目指すは地理すらも分からぬ最北の地、魔王マーラの居城である。



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