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冒剣士「…冒険酒場で働くことになった」
263 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:53:10 ID:OgzuRa1E
 
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――――【8日後・中央国冒険酒場】


オーナー「…なるほどね。そりゃ報告できないね」

孤高騎士「命を助けられたのは本当だし、今回の調査は失敗扱いになっちまうよなあ?」

冒剣士「…申し訳ないです、僕のせいで…」


孤高騎士「いやいや、あのフィルボルグも俺ら気絶してて話聞けなかったが…、俺らが生きてる事が、お前の話が真実だって伝えてるだろう」

オーナー「しかし参ったな、どう報告するべきか…」


264 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:53:56 ID:OgzuRa1E
 
女メイジ「失敗したと報告すれば…」

オーナー「ダメだ。そうすると、そのフィルボルグさんに改めて別の冒険者が向かってしまう」

女メイジ「謎の解明はしたけど、そういう理由じゃあね…」

冒剣士「うん…」


孤高騎士「どうしたもんかね…」

冒剣士「アイスタイガー…」ボソッ

オーナー「ん?」


冒剣士「アイスタイガーの巣にして、アイスタイガーが原石を食べていたとか…そういう話じゃ…ダメですかね…?」

オーナー「…ふむ!」

冒剣士「そうすれば、一般冒険者も近づかないし、原石のなくなった鉱脈は掘られなそうだし…」


265 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:54:40 ID:OgzuRa1E
 
オーナー「なるほど!異種がいたってことにすればいいか!」

冒剣士「い…異種?」

オーナー「魔獣、魔物には必ず異種がいてね。普通と違う特性を持つ相手なんだ。原石を吸収する力を持つアイスタイガーがいたってことにしよう!」


冒剣士「…!」

孤高騎士「はっは、お前も考えるときは考えるじゃねーか!」

女メイジ「ちょっとだけ見直したかも?」アハハ


266 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:55:11 ID:OgzuRa1E
 
オーナー「そういえばさ、さっきの話で出た…玉っての見せてくれる?」

孤高騎士「おお、そうだ。俺らもまだ見てなかったんだ。見せてくれ」


冒剣士「あ、はい…」ゴソゴソ

…コロンッ


オーナー「…っ」

女メイジ「宝石みたい…」

孤高騎士「…すげえな……引き込まれそうだ…」


冒剣士「一体何をするものなんですかねぇ」


267 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:55:41 ID:OgzuRa1E
 
オーナー「…うーん、ちょっと調べたいから少し貸しててくれるかな?」

冒剣士「別に、いいですが…」

オーナー「よし、ありがとう。それじゃ、冒剣士はプレートの手続きがあるから俺の部屋まで来てくれる?」

冒剣士「あ、はい。じゃ皆、ちょっといってくるよ!」


女メイジ「はーいっ」

孤高騎士「おう!」


……トコトコトコ…


268 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:56:18 ID:OgzuRa1E
 
…ガチャッ

冒剣士「失礼します」

オーナー「…まあ座って」

冒剣士「…はい」


オーナー「さて…ここなら誰もいないな。この玉なんだけど…」


冒剣士(え?プレートの話じゃない…?)


オーナー「本当にその巨人族から貰ったんだね?その洞窟の奥で…」

冒剣士「そ、そうですけど…」

オーナー「フィルボルグにあった場所からそこから出口は近かったのかな?」

冒剣士「いえ、少しだけ歩きました」


269 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:56:56 ID:OgzuRa1E
  
オーナー「と、すると裏山のほうか…。裏山の調査はそれなりだし…巨人族やアイスタイガーの住む穴ならすぐ分かるはずだ…」ブツブツ

冒剣士「…?」

オーナー「おかしいとは思わないかな?」

冒剣士「何がですか?」


オーナー「俺らが任されたクエストは"未踏、未開発の洞窟の調査"だったはず」

冒剣士「そうですね…」

オーナー「なら、なぜ……人工物のような"コレ"がそこにあったんだ?」

冒剣士「あ…!」


270 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:57:29 ID:OgzuRa1E
 
オーナー「吹雪で隠していた…という話もおかしい。それはフィルボルグがおこした嵐だろう?」

冒剣士「はい」

オーナー「なら、目覚める以前にそんな巨大な洞窟は見つかってもいいはずだ」

冒剣士「…!」


オーナー「つまり、吹雪はその前から吹き続けていた…ということになる。わからないな…」

冒剣士「…」

オーナー「…いや、宛がないという訳じゃない。この玉の存在も…」


冒剣士「その玉、何か知ってるんですか?」


271 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:58:08 ID:OgzuRa1E
 
オーナー「知ってるというか、聞いたことがある。今はないが、魔力を肥大化させる"宝玉"という存在があると」

…コロコロ…キラッ…


冒剣士「宝玉…」

オーナー「もちろん、魔力が増大する技術は今日という日に存在していない」

冒剣士「昔はあったんですか?」


オーナー「古代にはあったらしい。使い方も分からないけどね…」

冒剣士「…じゃあ、その宝玉が"ソレ"だと?」


オーナー「確証はないけど、昔読んだ本にそれに近いことが書いてあった。自然に隠された秘宝だってね」


272 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:58:40 ID:OgzuRa1E
 
冒剣士「…でも、まさかそんな簡単に秘宝が見つかるはずが…」

オーナー「宝物や、歴史の残るものは…ひょっこり出てくるものさ」

冒剣士「…」


オーナー「未来で……見たことが…あ、いや。何でもない。つまり、もしかしたらコレは歴史に名を馳せるモノかもしれないってことさ」

冒剣士「…歴史に名を馳せるモノ…」


オーナー「ま、使い方が分からないんじゃ意味がないけどね!…返すよ」スッ

冒剣士「これ…僕が持ってていいんでしょうか…?」

オーナー「君が貰ったものだからね…大事にするんだよ」ニコッ

冒剣士「わかりました…」


オーナー「彼らは本来戦いを好まない優しい素晴らしい種族なんだ。だから、そのプレゼントにもきっと意味があるはずだよ」


273 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:59:14 ID:OgzuRa1E
 
冒剣士「オーナーは巨人族のことを知ってるんですか?」

オーナー「あーいや、直接的にかかわったことはないけど、同位の他の神獣らとは交流があった時もあったよ」

冒剣士「神獣…!」


オーナー「ああ。ま、色々やってきたからね〜」アハハ

冒剣士「凄いんですねオーナー…もしかして、ものすごい冒険者だったんですか…?」

オーナー「あっはっは、いやいや、俺はただの冒険酒場の親父だよ」


冒剣士「…」

オーナー「しかしこの部屋暑いな…、ちょっと窓あけようか」


…ガラッ


274 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 06:59:46 ID:OgzuRa1E
 
……ビュウウウッ!!!

オーナー「うわっ!風が!」


…カランッ……カランカラン…

バサバサッ!!


冒剣士「オーナー、書類と何か落ちましたよ…」

オーナー「あらら…、よいしょ…」


冒剣士(…何だこれ、プレート…?)

…キラッ

冒剣士(銀…じゃない。白でもない…、金色でもない、何だこの色…)

オーナー「よいしょっと…、ごめんごめん、そこらへんに散らばってる書類も拾ってくれる?」


冒剣士「あ、は、はい」


275 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 07:00:18 ID:OgzuRa1E
 
…パサッ…ペラッ…

冒剣士(クエスト受諾書…、予約証明書…、納税報告書…、色々大変なんだなオーナーも…)


…ペラッ…

冒剣士(ん?なんだこの真っ赤な封筒…)

オーナー「あ、それは国家クエストの受諾書だね。最重要書類だから…」

冒剣士「わかりました」


…チラッ

冒剣士(内容…人物の調査、探偵…、密偵…?これが国家クエスト…?)

オーナー「おーい、まとまったらこっちに持ってきて!開いて読んじゃだめだよ!」

冒剣士(ま、いっか)


…トコトコ…パサッ


276 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 07:00:54 ID:OgzuRa1E
 
オーナー「ありがとありがと!それじゃ一旦戻ってて、今日は休んでもらうからね」

冒剣士「仕事はしなくていいんですか?」

オーナー「さすがにクエスト帰りじゃ休ませるよ」アハハ

冒剣士「そうですね…さすがに疲れました」アハハ


オーナー「聖剣士がきたら、初クエストのお祝いに盛大なパーティを開かせよう!」

冒剣士「…そうやって、騒ぎたいだけじゃ……」ジー


オーナー「…ばれた?」


冒剣士「ばれますよ!あははっ!」

オーナー「はははっ!」


277 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 07:01:27 ID:OgzuRa1E
 
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278 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 07:01:59 ID:OgzuRa1E
 
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――――【数日後】


…ガヤガヤ……

お客A「こっちに酒と、今日のオススメメニュー!」

お客B「こっちは鴨肉と、スモークサーモンくれー!」


冒剣士「はーい、ただいまー!」

女メイジ「豚肉のソテーを注文されていた方、お待たせしましたー!」


オーナー「…で、彼はまた倒れちゃって」アハハ

お客C「そりゃ面白い!」アハハ


279 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 07:02:30 ID:OgzuRa1E
 
女メイジ「オーナーも忙しいんだから働いてくださいよっ!」


オーナー「お、おおすまん!」

お客C「部下に叱られてちゃ世話ないな!」

オーナー「まったくですね!」アハハ


冒剣士「こちら、オススメメニューです!」

お客A「おお、来た来た!」


…ガヤガヤ…


280 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 07:03:02 ID:OgzuRa1E
 
女メイジ「もーっ!猫の手も借りたいくらい!」

冒剣士「今日は吟遊詩人さんが留守だから余計ね…忙しい」


…ガチャッ


孤高騎士「いやー!今日は大繁盛じゃねーか!」

冒剣士「孤高さん!」

女メイジ「いらっしゃいませ!」


孤高騎士「よいしょ…オーナー、今回の報告書だ」パサッ

オーナー「お、ありがとう」


冒剣士「今回は短期で砂漠の調査に行ってきたんですよね?」

孤高騎士「そうだな、暑かったぜ。軍との合同だったから、冒険の扉で楽できたし…まあチョロイ調査だった」


281 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 07:03:41 ID:OgzuRa1E
 
女メイジ「冒剣士!話すのは後で…今は働いて!」

冒剣士「わわ、じゃあ孤高騎士さんまた後で!」

孤高騎士「怒られないようにしっかりやれよ〜」ハハハ


お客A「そういや聞いたか…?」

お客B「何をだ?」

お客A「西の港の地殻変動。海の様子がおかしいんだってよ」


孤高騎士「…」


282 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 07:04:17 ID:OgzuRa1E
 
お客B「海の様子って、何がおかしいんだ?」

お客A「魚が獲れないんだってよ」

お客B「へええ…西の港って、世界で有数の漁港なのにな。調査されないのか?」

お客A「どうだろうな、どこかしらにクエストは来てそうだが…」


孤高騎士(へぇ…お?)


オーナー「えーと…、大剣傭兵さんどこだろ…」キョロキョロ

大剣傭兵「どうした?」

オーナー「いたいた、確かこの間、銅プレートに昇格しましたよね?」


283 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 07:04:48 ID:OgzuRa1E
 
大剣傭兵「ああ、したが…」

オーナー「軍事クエストで遺跡調査のクエストがあるんですが、いかがですか?」

大剣傭兵「遺跡調査?」

オーナー「西の漁港の遺跡です」パサッ

大剣傭兵「ほう、新しい遺跡が見つかったのか」


オーナー「海の異変に関連する可能性がゼロじゃないですから、危険は伴いますよ」

大剣傭兵「出発はいつだ?」

オーナー「調査隊の入り口周辺の調査が完了次第ですから、公開は2週間先ですね」


孤高騎士「俺、やるぜ!」ガタッ


大剣傭兵「…ん?」

オーナー「ん?」


284 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/15(木) 07:05:44 ID:OgzuRa1E
 
孤高騎士「遺跡調査だろ?それ、俺にやらせてくれねーか?」

オーナー「いやしかし…この調査は大剣傭兵さんに…」

大剣傭兵「あー…まあいいよ、そいつに譲ってやってくれ。その代わり割のいい仕事、俺に紹介してくれよ!」

オーナー「そうですか…孤高さん、それじゃ2週間後に出発ですので準備はしといて下さい」


孤高騎士「おうよ!それと、今回もあいつら…」チラッ


冒剣士「っ!」

女メイジ「!」


孤高騎士「お願いするかな!」ハハ


285 名前: ◆qqtckwRIh. [sage] 投稿日:2013/08/15(木) 07:06:22 ID:OgzuRa1E
本日はこれで終了です(A´ω`)


286 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/08/15(木) 07:33:01 ID:XHwQErlE

オーナーにプレートがあるって事は冒険者か…


287 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/08/15(木) 07:40:26 ID:BT.NfY3Y


>>286
そりゃオーナーって色々としてただろうしねぇ?・

てか、してたしねぇ…


288 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/08/15(木) 07:59:50 ID:/0E9PzWA
多分世界一の有名人だしな
割と顔は知られてないっぽいけど


289 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/08/15(木) 12:45:56 ID:z44iZISs
そりゃこのシステム自体がねぇ


290 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/08/16(金) 07:57:59 ID:1rfN5Px6
白、青、赤、銅、銀、金じゃないならレインボーだな


291 名前: ◆qqtckwRIh. [sage] 投稿日:2013/08/16(金) 08:16:11 ID:t1dcqwe.
皆様ありがとうございます(A´ω`)
>>290 虹w


292 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/16(金) 08:16:43 ID:t1dcqwe.
 
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――――【2週間後】


孤高騎士「それじゃ、再確認してくれ」

冒剣士「西の漁港から離れた場所にある遺跡の調査。敵はマーマン等が考えられる…ですね」

女メイジ「雪山の次は海…、中央国はこんなに暑いのに涼しい場所ばっかりで温度感覚が…」


冒剣士「雪山は最早"寒い"だったけどね…」ハハ…


293 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/16(金) 08:17:31 ID:t1dcqwe.
 
オーナー「今回は既に調査済みだった部分もあるけど、再調査のお願いも来てるからしっかりよろしく!」


冒剣士「はい!」

女メイジ「わかりました!」

孤高騎士「それじゃ、行ってくる。しっかり預からせてもらうぜ」

オーナー「はい、よろしくお願いします」


…ガチャッ…バタン


294 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/16(金) 08:18:02 ID:t1dcqwe.
 
孤高騎士「漁港までは全然時間はかからないし、今回はリゾート気分でのんびり行こうぜ」

冒剣士「はい」

女メイジ「それにしても、また誘ってくれるなんて…冒険の機会が増えて本当に嬉しいです」


孤高騎士「…まあな、お前ら見てると…ちょっとな」

女メイジ「?」

冒剣士「僕らを見てると…ですか?」

孤高騎士「ああ、なんつうか…思い出すっていうか…生きてたらっていうか…な」


295 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/16(金) 08:18:33 ID:t1dcqwe.
 
女メイジ「…?」

冒剣士「どういうことですか?」

孤高騎士「ははっ、まぁ気にするなよ。ただお前らのことを気に入ってるだけだ!」

冒剣士「そうですか…楽しいです、ありがとうございます!」

孤高騎士「おうよ!」


女メイジ「しかし最近暑いですね…もうすぐ10月だというのに…」

孤高騎士「異常気象っぽいな」


冒剣士「まあ海に行くってことだけでも、ちょっとしたリゾート気分に…」

女メイジ「遊びに行くんじゃないの!」ゴツッ

冒剣士「あいたっ!」


296 名前: ◆qqtckwRIh. [] 投稿日:2013/08/16(金) 08:19:05 ID:t1dcqwe.
 
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