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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その40
272 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/11(水) 18:28:02.58 ID:o5n2OGvwo


マジシャン「さっきの光、間違いねーよなぁ!?」

師匠「間違いだろうがなんだろうが、すがるしかねぇ!」

マジシャン「それも……そうだなぁ!!」

 ズッガアアァァァァン!!

インプ「いつまで逃げ回るつもりだァ!!」ヒュッ

師匠「しつっけぇなーくそ!!」

インプ「じゃあいい加減ッ、諦めなー!!」

師匠「言わせておけばぁ……」ザッ

マジシャン「バカヤロー! 相手にすんなっ!」

師匠「この程度の雑魚っ、召喚出来なくとも問題ねぇ!」ズザッ

インプ「バーカ。ニンゲン如きが地獄で、魔族に勝てるとでも思ってんのかヨッ!!」ヒュバッ

師匠「!?」

インプ「ちょっと本気を出せばほらッ、もう追いつけないジャン!」

マジシャン「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!!」


273 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/11(水) 18:28:54.81 ID:o5n2OGvwo
 ドッゴオオオオォォォォン!!

インプ「ゲピィーッ!!」

マジシャン「だったら最初から本気出しとけや。俺が本気出しゃこんなモンだコラ!」

師匠「……っ」

マジシャン「ったく、何をムキになって相手してやがる」

師匠「仕方ねーだろ。サタンの元へ連れてくわけにはいかん」

マジシャン「アホ。あの程度ならいいんだよ」

師匠「よくねぇよ」

マジシャン「よくなくねぇよ! 問題は交戦してヤバイのが嗅ぎ付けたりしたら……」

 ザンッ

マジシャン「……」

師匠「な……っ!?」

マジシャン「……ほれみろ。来ちまったじゃねぇかよ」

師匠「……っ」

 2人の背後に真っ青な騎馬と、それに跨る魔物が無言で現れた。


274 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/11(水) 18:29:34.10 ID:o5n2OGvwo


青竜士官「これが……魔王、サタン」

ジュニア「見かけによらず、とんでもねぇ威圧だな……ハッハ」

 青白く仄かに光る空間の奥に潜む真っ黒な物体。影。

 人の声を理解し、人間よりもやや大きな本体に生える四肢のようなもの。

 しかし、顔や体のパーツともいうべきものはなく、影としか言い表せないモノ。

サタン「倒す、などという妄言が聞こえた」

召喚士「妄言じゃない! そう言ったんだ!」

サタン「倒す? このサタンを?」

召喚士「そうだ。お前を倒せば、全てが終わる:」

サタン「……」

召喚士「その為に5年もかけて、いや……何百年とみんなが戦ってきたんだ!」

サタン「ひっそりと大人しく、そう、いつ魔族に餌とされるか怯えながら……」フワァ

戦士「くるぞぉ!!」

サタン「小さく蹲り、短い生涯を悔やみながら惨めに終えていれば良いものを」


275 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/11(水) 18:32:26.18 ID:o5n2OGvwo
 カッ!!

召喚士「行けっ! クジャタ――」

 サタンの閃光が召喚したクジャタの暴風を一瞬の内に貫き、

 そして同時に、クジャタ自身をもほんの僅かな瞬間で消し去った。

召喚士「ぐく……っ!!」ズザッ

魔道士「召喚士さんっ!!」

青龍士官「戦闘開始だ!! 召喚しろぉ!!」

 その一言を合図に、、ありとあらゆる召喚獣が一斉にその場へ飛び出した。

ボス「いけええぇぇぇぇ!!」

アマゾネス「はぁーっ!!」

 かつて単体相手に、これ程までの召喚獣が同時に攻撃を行った事があったであろうか。

 その光景はまるで幻想的で、大勢の召喚獣が勇ましく進むさまはまるで絵本のようである。

 しかし現実は絵本のように甘くはない。ましてや相手は魔王サタン。史上最強の相手なのだ。

召喚士「駄……目だ……っ」ヨロッ

サタン「怒りや笑いすら通り越して、最早、哀れだな」


276 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/11(水) 18:33:48.64 ID:o5n2OGvwo
 カッ!! ズゴガガガガガガッ!!

白虎長「きゃああぁぁっ!!」

青龍士官「バ……バカな……っ、あれだけの召喚獣が……たったの一撃で」

サタン「次は本体だ。直ぐ、楽にしてやる」

 カッ!!

戦士「うりゃああぁぁ!!」

男隊員「戦士に続けぇ!! 魔法で壁をっ!! 盾を作るんだ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!!

ジュニア「防げるとは……思わねぇけどよ……っ!」

サタン「無駄な抵抗をするな。苦しむだけだ」

サモナー「抵抗しないと生きていけないのさ。人間はね」

玄武娘「リヴァイアサン!!」

水の先生「食らえぇーっ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ズガガアアアアァァァァ!!

サタン「……」


277 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/11(水) 18:34:36.41 ID:o5n2OGvwo
 夥しい大量の水がサタンを襲う。黒い影を後方へと押し流す。

 かに見えたが、サタンは全く動じない。水が自ずからの意思で避けるかの様に、

 黒い影を左右にすり抜け、背後の闇の中へと消えてゆく。

戦士「通じてねぇ!!」

サタン「通じると思うその考えが、既に死を連想させるな」

魔法剣士「減らず口を……ゴチャゴチャとぉ!!」

火の先生「水が駄目ならばっ、火じゃい!!」ゴウッ!!

大軍師「いけませんっ!」

魔法剣士「魔法剣……」

大軍師「サタン相手には少なくとも4行以上でなくば――」

魔法剣士「……4行!!」ジャキジャキッ

西方司令「片手に2本ずつの剣だぁ!? そんなんで振れっか――」

魔法剣士「おおおおぉぉぉぉ!!」

サタン「……」

 魔法剣士の4行を付加した4つの刃が、黒い影をほんの少しだけ掠め取った。


282 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/07/11(水) 20:16:46.55 ID:bGlP7D+8o
戦争、飢餓、疫病、そして死
 〜黙示録の4騎士〜

青はデスじゃないか・・・
勝てるのかよ


287 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/12(木) 17:35:57.14 ID:CRefBJ6Uo
 シュンンンン……

魔法剣士「!?」

サタン「やるではないか。このサタンに単身、触れるとは」

魔法剣士(渾身の一撃だぞ……っ、それを……触れるだとぉ!?)

サタン「触れただけで良かったな。災厄は微量なものだ」

 ドクンッ!!

魔法剣士「――!?」

 突如、呼吸が乱れる。身体の内部に異常をきたしている事は明白だった。

魔法剣士「か……はぁ……っ!!」

サタン「肺を蝕まれたか? 呼吸が難しかろう」

魔法剣士「貴……様ぁ……何を……」ガクッ

召喚士「……っ」

 苦悶に陥る魔法剣士を見て、召喚士はある事を思い出した。

召喚士「師匠やマジシャンさんは、サタンを傷つけた代償に持っていかれたんだ……っ」

 それと同時に召喚士の脳裏には、ある疑問が1つ浮かび上がった。


288 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/12(木) 17:37:30.95 ID:CRefBJ6Uo
召喚士「戦士!!」

戦士「!?」

召喚士「前に来た時っ! ここには宮殿があったはずだよね!?」

戦士「……そういやそうだな。何かおかしいぞ、これ」

召喚士「師匠はかつて、サタンの頭部をコカトリスで石化したと言っていた」

盗賊「……頭部? そんなものは見当たらないぞ」

召喚士「そうなんです。あの影は、サタンであってサタンじゃない!」

大軍師「成程。つまるベルゼブブのように、本体は別にあると」

召喚士「……分からないんです。あの影も本体のような気がするし」

戦士「とにかく、現状打破するしかねぇ。どうすんだ?」

召喚士「……」

大軍師「五行、ですね」

召喚士「……ええ。それしか通じないって事でしょう」

大軍師「畏まりました。速やかに編成致しましょう。魔法チームはこちらへ」

魔道士「はいっ!タッ


289 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/12(木) 17:40:19.64 ID:CRefBJ6Uo
サタン「しかし、不思議な事象だな」

青龍士官「攻め続けろぉ! 怯むなぁ!」

玄武娘「はいですのっ!!」

サタン「魔族、人間、召喚獣。別世界の住人が一堂に会し、戦っている」

帝「何としても隙を作り出すのだ!」

王子「我に力を貸したまえ……セクメト!!」

サタン「本来ならば決して有り得ぬ事象が有り得ている」

大軍師「五行、行きますよ!」

水の先生「ああっ。水ならば……任せてくれ!」

サタン「魔族は人間を支配し、肉体を食らう選択をした」

召喚士「戦士っ! 前衛頼む!!」ザッ

戦士「任しとけっ!!」

サタン「召喚獣は人間に深く介入せず、精神同士を共有し得る選択をした」

南方司令「我らも続くぞ!」

西方司令「おおぉぉ!! 剣なぞ要らん!! 拳で語ってくれらああぁぁ!!」


290 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/12(木) 17:41:17.76 ID:CRefBJ6Uo
サタン「元は同じであろうに、支配と共存でこうも差が出たものか?」

召喚士「行けええぇぇぇぇ!!」

サタン「……そんな事は最早、どうでも良い事だな」

召喚士「コカトリスーッ!!」

 シュイイイイィィィィン

サタン「……?」

召喚士「初めて戸惑いを見せたなっ、サタン!」

サタン「戸惑い……。そう見えるのならば戸惑いなのかもしれぬな」

コカトリス「この感覚……かつて味わった覚えがある」

サタン「出たか、コカトリスよ」

コカトリス「サタン……!? そうか、ここは地獄か。道理で嫌な感覚なわけだ」

サタン「かつて貴様には苦汁を舐めさせられた。礼はするつもりだ」

コカトリス「ならば再び、味わうがいいっ!!」

サタン「奇跡は二度と起こらぬ。肝に銘じて挑む事だ」

コカトリス「笑止っ!!」


291 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/12(木) 17:41:55.09 ID:CRefBJ6Uo
 もう20年も前に遡る。魔王サタンへ挑んだ再来の朱雀先生。

 その男の最も得手とした召喚獣がこのコカトリスである。

 コカトリスは邂逅する。あの時の情景を。そして重ねあわせ、即座に判断する。

コカトリス(あの時とは違う。そして、サタンは私を恐れている。警戒している)

サタン「……」

 かつて共に戦った戦友とは、既に別れを告げた。今は新たな戦友が居る。

 朱雀先生の名を引き継ぎ、ここ数年間ずっと、苦楽を共に過ごしてきた。

 前の戦友ほど長い間、居たわけではない。だが中身は負けぬくらい濃密なものであった。

 だからこそ召喚士をかたせてやりたい。コカトリスにはそんな思いが芽生えた。

 普段ならばそこまでの事は決して、思ったりはしないであろう。

 だが何故かこの時ばかりは、そんな思いに駆られた。

 地獄というフィールドであるが故に、いつものような力が発揮出来ない。

 それでも強い思いがそれを打ち消すかの勢いで湧き出してきた。

 あの時と同じように、コカトリスは冷たい灰色の吐息を放った。

 あの時と同じように、両翼を大きく広げ、一直線にサタンへと羽ばたいた。


292 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/12(木) 17:42:48.44 ID:CRefBJ6Uo
コカトリス「はああぁぁぁぁーっ!!」

サタン「芸のない奴だな」

 余裕を持ったような口調のサタンではあるが、コカトリスの石化に対し、

 これと言って打てる手は持ち合わせていなかった。

 サタンは五行、最低でも四行より劣る攻撃をほぼ無効とする事が出来る。

 仮に攻撃を当てたとしても、その代償として価値のある力を相手より奪い取る。

 再来の例で言えば、師匠が頭部石化の引き換えに臓器の半数以上を、

 マジシャンが強大な四行を放った事により、魔力の半数を剥奪された。

 先程の魔法剣士も同様に、かすり傷を負わせた代償に、肺の一部を奪われたのだ。

 そう。つまりコカトリスの攻撃は、どういう事か、サタン対しても通用するのだ。

 石化攻撃は五行属性を持たぬ無属性である事が要因とも取れるが、推測に過ぎない。

 理由はともかく、サタンに通用する武器の1つである事に変わりはない。

 そして通用するという事は、裏を返せば代償、災厄を得るという事にも置き換えられる。

 仮にコカトリスの攻撃がサタンに通じたとしても、その代書はコカトリスには降りかからない。

 全ては召喚主である召喚士に及ぶのだ。そしてそれを、コカトリス自身も理解している。


293 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/12(木) 17:43:30.75 ID:CRefBJ6Uo
コカトリス(このまま直撃すれば、召喚士に被害が及ぶ)

召喚士「……」

コカトリス(だが、だからとて遠慮などすれば、それこそ召喚士にとって無礼というものだ)

召喚士「頼む……コカトリス!!」

 コカトリスは召喚士の気持ちを十二分に理解していた。

 理解した上で、召喚士の出す魔力の全てを力に代えて、攻撃を放った。

サタン「……」

 魔王に避ける術はない。コカトリスの身体はサタンの物体を貫き、

 その背後でくるりと旋回し、追撃の吐息を打ち放った。

青年兵「石化の連続攻撃っ!!」

男隊員「……どうだ!?」

 ズッガオオオオォォォォ!! ビキキイイィィ!!

サタン「……」

コカトリス「……」バシュウウゥゥ

召喚士「……手ごたえは……ある!」


294 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/12(木) 17:44:41.20 ID:CRefBJ6Uo
 黒い影が瞬く間に石化を始める。攻撃が通じたという証拠だ。

 だがそれと同時に、召喚士の身体も蝕まれ始めたのである。

召喚士「――――っ!!」ドクン

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「か……っは……!!」

 蹲り吐血を繰り返す召喚士。その異変に周囲の皆が慌てて駆けよった。

戦士「しっかりしろぉ!!」

召喚士「ぐ……っぶ」

サモナー「治療を!」

賢者「……出来るかな……ふぅ」

 召喚獣を除けば、この中では唯一とも言える回復技術を持つ賢者。

 彼のその言葉に嘘偽りはなく、回復魔法を施すものの、やはり召喚士に変化はない。

賢者「……駄目だね。傷のたぐいじゃないよ……ふぅ」

南方司令「護衛するぞ」ザッ

大軍師「サタンの動きは封じました! 今ですっ!」バッ


295 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/07/12(木) 17:47:02.45 ID:CRefBJ6Uo
魔道士「やあぁーっ!!」

水の先生「いけぇ!!」

火の先生「手は抜くなよぉ!!」

幼女「くぅーっ!!」

ジュニア「これで……終わりだぁ!!」

 白く輝く五行の光が、岩の塊と化したサタンめがけて放たれた。

 ドッドオオオオォォォォン!! ガガアアアアァァァァ!!

戦士「いけ!! 決めちまえっ!!」

大軍師「1人が 五行を担えば負荷は大きい挙句、反撃も大きいですが」

青年兵「合体五行ならそれも緩和できる、ですね?」

大軍師「ええ。あとはこれがどの程度通用するのか……」

召喚士「駄……目だ」

青年兵「!?」

召喚士「もっと、もっと撃たないと……っ」フラッ

 五行の光は空間の天井を貫き、遥か上空へと立ち昇っていった。


299 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [sage saga] 投稿日:2012/07/12(木) 20:24:19.35 ID:fu9UgtEBo
>>1乙

お、召喚しはどこが持ってかれたんだ?


300 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 21:40:09.50 ID:gJk3yjMTo
やっぱりペニスじゃねーの


301 名前:NIPPERがお送りします(関東) [sage] 投稿日:2012/07/12(木) 23:29:40.84 ID:34XKKcKAO
そして召喚子へ



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