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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その27
359 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:28:33.06 ID:McVc3/fDo
〜剣士の村〜

パッカパッカッカ

少年「おっ、立派な馬車だ!きっと金持ちだぜ!」

少女「村長のお客さんかなぁ?」

カチャッ…テクテクテク

少女「こんにちはっ!」

右大臣「おぉ、こんにちは。元気かな?」

少年「おうっ!おっちゃん何者だい?村長に用?」

右大臣「ああ。村長はいるかな?」

少女「家に居ると思うよー!」

右大臣「そうか、ありがとうよ」

テクテクテクテク

右大臣「……」

コンコンッ…カチャッ

村長「……!?」


360 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:29:01.51 ID:McVc3/fDo


右大臣「すまんな、急な来訪で」

村長「いや、構わんさ」

カチャカチャッ…コトッ

村長「それで、今日は一体どうしたというのだ?」

右大臣「……」

村長「陛下が亡くなったそうだな。その件についてか?」

右大臣「……もう伝わっておったか」

村長「こんな田舎の村にまで入っている。おそらくは全土に伝わっておるよ」

右大臣「そうか……」

村長「何か深刻な事態のようだな」

右大臣「……かつて、お前に預けた箱を覚えておるか?」

村長「箱……あぁ、随分前に預かったな。確か誰にも知られてはならんと……」

右大臣「ようやく必要な時が来た。それを貰いにきたのだ」

村長「……あの箱、一体何なのだ?」


361 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:29:58.25 ID:McVc3/fDo
右大臣「あれは世界をも変える力を持つ、危険なものだ」

村長「……」

右大臣「さぁ、あまり時間がない。頼む」

村長「……ついてくるが良い」

スクッ…テクテクテク

二人は村長の家を離れ、村外れにある小さな教会へと向かった。

右大臣「ここに……?」

村長「お前の頼みだ。決して知られる事のないように保管しておるよ」

右大臣「……ありがたい」

村長「こっちだ」

テクテク…ザッザッザ

村長「礼拝堂の壇の下。少し安直やもしれんがな」

右大臣「!?」

ズズッ…ゴトンッ

村長「……これだったな」


362 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:30:27.72 ID:McVc3/fDo
コトッ

右大臣「……おぉ」

村長「これはどういった物なのだ?」

右大臣「……亡き陛下の意思を記したものよ」

村長「!?」

カチャッ…

村長「紙の束……手紙かっ!?」

右大臣「重臣へ一人一人向けた、陛下の想いを込めた直筆の手紙よ」

村長「何と……っ」

右大臣「陛下ほど人の和というものを重んじた方もおらなんだ……」

村長「……」

右大臣「こうなる日が来る事も全く考えてなかったわけではない」

カサッ

右大臣「自身亡き後に生じる派閥問題、後継者争い……」

村長「その時を見越して……これを……っ」


363 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:31:03.22 ID:McVc3/fDo
右大臣「そういう事だ。陛下の御心を知れば皆とて――」

バンッ…カツカツカツ

右大臣「――っ!?」

左秘書官「そういう事でしたか……」

右大臣「貴様……っ」

村長「な、何事だ……!?」

左秘書官「左大臣様の命により、このような辺境の地へ来てみれば……」

カツカツカツ…コツ

左秘書官「何やら、面白い事になっておりますね」

右大臣「貴様には関係のない事であろうっ!」

左秘書官「……ふっふ、クッハハハハ!!」

村長「!?」

左秘書官「どうでしょう、それを大人しくお渡し頂けませんかね?」

右大臣「馬鹿な事を申すなっ!」

左秘書官「大人しく渡せば、痛い目は見ずに済みますよ?」


364 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:31:33.30 ID:McVc3/fDo
村長「右大臣、これは……っ」

右大臣「……っ」

左秘書官「左大臣様から、魔族化解禁の承認は得ている」

カツカツカツ

左秘書官「しかしね、私も手荒な真似は極力したくはないのですよ」

村長「どうせ渡したとしても、村を滅ぼすつもりなのだろう!?」

左秘書官「お望みとあらば……」

村長「貴様は……人ではない!恥を知るがいいっ!」

左秘書官「人ではない……クハハッ、それは褒め言葉ですね」

右大臣「貴様らは何をそこまで……」

左秘書官「左大臣様のお考えは存じ上げません」

右大臣「……」

左秘書官「しかし、あの御方が魔物と通じていると知った時、衝撃が走りましたよ」

村長「何じゃとぉ……っ!」

左秘書官「人と魔物が共存するこの世界、必要な物は……戦い!」


365 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:32:46.34 ID:McVc3/fDo
右大臣「……」

左秘書官「人は戦う為に武具を生み出し、魔物を狩る」

村長「……っ」

左秘書官「そして失えば再び作り上げ、それを売り、そして買う」

右大臣「何を……」

左秘書官「経済を発展させ、町を築き生活を始める……」

カツカツ…カツ

左秘書官「そして魔族はそれを遅い、人間は再び町を作り直す」

右大臣「何を言っている!何が望みだっ!」

左秘書官「この卓越した経済!それを操る事こそが我らのようなものにとって……」

カツ…ザッ

左秘書官「至福の時とは思えませんか!右大臣殿っ!」

右大臣「お前は狂っておる……。人間の命を何だと思っているのだ」

左秘書官「人はいずれ死にます。魔族のようにはいかない」

右大臣「だから守るのであろうっ!!」


366 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:33:25.43 ID:McVc3/fDo
左秘書官「守ったところで直ぐに死ぬっ!!」

ザッ

左秘書官「……このようにね。クククッ」

村長「――っ!!」

教会の扉から光が入り込む。そこに立つ数人の国軍兵、であった者。

彼らの右手には鋭い剣。そして左手には……小さな子供達。

少年「離……っせよぉ!お前ら国軍だろ!?」

少女「やだよぉ、降ろしてっ!!」

村長「やっ、やめろぉ……やめてくれっ!!」

左秘書官「さぁ、大人しく箱を渡す気になりましたかね?」

右大臣「……っ」

左秘書官「守ってみせるのでしょう?人間の命とやらを」

右大臣「……下衆が」

ポイッ…ゴトゴトゴトッ

右大臣「約束しろ、村の者らには手を出さぬとな」


367 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:38:24.55 ID:McVc3/fDo
左秘書官「……」

カツカツカツ…コトッ

左秘書官「これが箱……。ククッ、確かに頂きましたよ」

スゥッ

左秘書官「引き揚げるぞ」

ゾンビ「……」

ザッザッザッザッザ

村長「まっ、待て!!」

ザザッ…タッタッタッタッタ

村長「子供達を……解放しろっ!!」

右大臣「箱は渡したぞ!!」

左秘書官「……」

クルッ

左秘書官「……不愉快だな」

右大臣「!?」


368 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:39:02.56 ID:McVc3/fDo
左秘書官「もっと絶望的な顔を見せて下さいよ」

ザッザッザ

左秘書官「最早、打つ手なしなのですよ?貴方達……右翼はね」

ザッザッザ

左秘書官「何故、いつまでも諦めぬのか。何故、そのような顔でいられるのか」

右大臣「諦めたらそこで終わりだからじゃよ」

左秘書官「……」

右大臣「一抹の希望がある限り、諦めるわけにはいかんのだ!!」

左秘書官「……おい」

ザッ

ゾンビ「……」

左秘書官「この思想家に現実を突き付けてやろう」

村長「!?」

左秘書官「……まぁ、元よりそのつもりではあったがね」

右大臣「くっ!!」


369 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:39:38.40 ID:McVc3/fDo
左秘書官「辺境の村が1つなくなったところで、また作り直せば良いだけの事です」

村長「たっ、頼む……やめてくれっ!!」

左秘書官「その方が、経済も豊かになる。フッククク」

ゾンビ「……」

左秘書官「……殺れ」

ゾンビ「……ギヒッ!」

右大臣「――っ!!」

村長「やめ――」

ドドオオォォォォンッ…シュウウゥゥ

左秘書官「……?」

ゾンビ「……グ……ギャアアァァ!!」

抱え挙げた少女を突き刺そうと、ゾンビが長剣を振りかざした途端、

その両腕が吹き飛び、煙を上げて地面へと落ちる。

左秘書官「何が……起きた……!?」

それは魔法によるもの。その主は剣を向けられていた少女であった。


370 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:40:09.17 ID:McVc3/fDo
右大臣「何と……っ」

村長「……幼女!!」

幼女「……許せない」

ストッ…テッテッテ

幼女「みんなを……離しなさいっ!!」

キュイイィィィィ

左秘書官「ちぃ……っ!!」

ドドオオォォォォンッ!!…ゴアオオォォォォ

ゾンビ「ギヒアアァァーッ!!」

ボトボトボトッ…ズシャアアァァ

幼女「みんなっ、大丈夫!?」

少女「けほけほっ!」

少年「さっすが幼女ちゃん!助かったぜぃ!」

幼女「早く離れてっ!」

少年「おうよっ!みんな、逃げるぞー!」


371 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:40:40.52 ID:McVc3/fDo
タッタッタッタッタ

左秘書官「ガキがぁ……っ」

幼女「はああぁぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ガカアアァァァァ

右大臣「炎の次は落雷っ、しかも何という魔力か……っ」

幼女「みんなには、近づけさせないんだからぁ!」

ドドオオォォンッ!!…ズガアアァァァァ

左秘書官「ぐ……がああぁぁ!!」

ブスブスブスッ…ヨロッ

左秘書官「く、くく…っ。肉体が持たぬ……」

ズザッ

幼女「はぁ……はぁ……っ」

左秘書官「躊躇なく攻撃してくるとは。子供は無邪気なものよ……ククッ」

村長「なっ、何だ!?」

左秘書官「良かろうっ、どうせ肉体は持たぬ。私は……人間をやめるぞおぉ!!」


372 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:41:22.11 ID:McVc3/fDo
グアッ…メキメキメキッ…ボゴォッ!!

右大臣「魔族化かっ!!」

幼女「えっ、えぇ!?」

村長「幼女っ、お前も早く逃げるんじゃ!!」

右大臣「……っ!!」

左秘書官「……さぁ、楽には殺さんぞ。己の無力さを痛感するがいいわっ!!」

ザッ

左秘書官「まずは……この箱を消し去ってくれるわ」

右大臣「――っ!!」

左秘書官「クッハハハ!!灰と化すが良いわぁ!!」

フォンッ!!

左秘書官「何ぃ!?」

風を切る音と共に、一本の矢が左秘書官の腕を射落とす。

ドシュッ!!……ゴトンッ

右大臣「箱が……っ!!」


373 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:41:57.21 ID:McVc3/fDo
タッタッタッタ…ガシィッ

左秘書官「貴……様ぁ!よこせっ!!」

ヒュオンッ…ドスドスッ!!

左秘書官「ぐうっ!?……な、何だ……この矢は!?」

――「結界石でこさえた鏃よ。そう簡単には抜けないでしょう?」

ザッザッザ

左秘書官「何者だぁ…?」

村長「お、お主……っ」

幼女「……お母さんっ!!」

弓使い「幼女、下がっていなさい」

幼女「いやっ!」

弓使い「!?」

幼女「私も……戦うっ!」

弓使い「あなたねぇ……」

幼女「……」


374 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:42:30.97 ID:McVc3/fDo
弓使い「……分かったわ。でも、後ろに下がってて頂戴ね」

幼女「うんっ」

弓使い「そして、お父さんの援護をお願いねっ!」

幼女「うんっ!!」

ガバッ!!…ジャキッ

剣士「はあぁーっ!!」

左秘書官「何ィ――!?」

突如背後から現れた剣士は、そのまま剣を振り下ろす。

虚を突かれた左秘書官は回避するコトが出来ず、その一撃を肩に受けた。

ザシュウウゥゥ

村長「やったか!?」

剣士「……いやっ、この手ごたえ……やはり不死か」

左秘書官「……グ…ヌヌゥ」

ヨロッ……スタッ

左秘書官「まだゴミが居たのか。全く気付かなかったわ……」


375 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/04(月) 18:43:19.99 ID:McVc3/fDo
ザザッ

剣士「村長っ、右大臣様!ご無事でっ!?」

右大臣「かたじけない……っ」

村長「ま、まだ子供達が……」

剣士「それならばゴ安心下さい」

村長「……?」

パッカパッカパッカパッカ

白馬騎士「子供達は我が騎馬隊が無事、保護致しました」

村長「お、おぉ……!!」

右大臣「あれは南東国の……!!」

剣士「残るは貴様だけだ」

左秘書官「……クッフフフフ。小賢しい、実に小賢しい!」

グアッ

左秘書官「不死となったこの私相手に……どう戦うというのかねっ!!」

剣士「……っ」



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