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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その35
437 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:31:16.64 ID:Aftj95dAo
〜剣聖の屋敷〜

コオオォォォォ……

サル「どこ行きやがったぁ!?」

名代「全員、中央に!」

召喚士「背を合わせて、四方からの攻撃に備えましょう」

 ザザッ

東方司令「上様は中央へ」

帝「うむ」

キジ「さぁ、どっから来るさー」

 ゾクゥッ!!

女侍「上ぇーっ!!」
女剣士「上だっ!!」

魔道士「――!?」

召喚士「スフィンクス!!」

スフィンクス「はいよ−っ! ちたいくう、げいげきぱーんちっ!」


438 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:31:54.06 ID:Aftj95dAo
ギュバッ!! ドッゴオオォォォォン!!

スフィンクス「へっへーん。どうだ…………」

召喚士「スフィンクス……?」

 ズズズズッ グニュウウゥゥゥゥ

スフィンクス「――っ!?」

魔道士「ス、スフィンクスの姿が……変わ……」

スフィンクス「ど、どうしたというのだ……これはっ、我が姿がどんどん老いて……」

 ズギャッ!!

神野「……クックク」

スフィンクス「召喚士ぃ! 解除せよっ、このままで我が身諸共っ、貴様の魔力をも――」

召喚士「くっ!」

 バシュッ シュウウゥゥゥゥ

サル「な、何がなんだってんだ……っ?」

神野「生あるもの必ず死が訪れる。死への道程、即ちそれこそ……老いたるもの」

召喚士「神野悪五郎……本体だなっ!!」


439 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:32:29.16 ID:Aftj95dAo
 目の前に現れた長上下の高貴な出で立ち。しかしながら下半身は透き通り、

 足の先に至っては、長袴の途中より、背景と溶け込んだかの如く消えていた。

 名を呼んだ召喚士以外の者にとっても、それが人間でない事は一目であった。

 いや、このような場に突如現れたのだから、その時点で分かっていたのかもしれない。

 だからこそ咄嗟に臨戦態勢へと移行する一同であったが、その表情は困惑に溢れていた。

召喚士(何を……したんだ……?)

神野「恐れ、戸惑い、驚愕、そんな表情を見るのは実に心地良い」

魔道士「くっ……!」

 ザッザッザッ

神野「思念体を解かれてしまって、折角の剣術も使えなくなってしまったなぁ」

名代「……っ」

 ザッザッザッ

神野「今度こそ完全なる本体で、相手をしてあげましょう」

召喚士「来ますよっ!!」

イヌ「分かってるね!」


440 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:33:16.87 ID:Aftj95dAo
 ヒュッ!!

神野「んー、堪りませんねぇ」

魔道士「――っ!!」

神野「頂きます」

 ズザァ!! ビュオッ!!

東方司令「させるかっ」

神野「……それは妖刀、村正ではありませんか」

東方司令「貴様などには勿体ないからな。ボクがありがたく頂くよ」

神野「おやおや、勝手ですねぇ。しかし妖刀、人が持てば災いが降りかかりますよぉ?」

東方司令「残念だったな」

神野「……?」

東方司令「ボクはとっくに、魔剣の呪いにかかっているのさ」

神野「呪い? ほぉ、災厄ありてなおも健在。逞しい限りであるなぁ」

東方司令「ごちゃごちゃ五月蝿い奴だな。めんどくさい」

神野「対話は好みませぬか。それは残念」


441 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:34:40.60 ID:Aftj95dAo
召喚士「東方司令さんっ、気を付けて下さい!」

東方司令「分かっている。……女剣士!」

女剣士「!?」

東方司令「この刀を使え!」ブンッ

女剣士「これは、お姉様の……」ガシャッ

東方司令「ボクはこれでいい。今度は本体だ、思い切っていくぞ」

女剣士「……はいっ」

女侍「やれやれ。アタイもいくとするかね」ポリポリ

帝「これで前衛は四名。何とかなりそうだな」ザッ

名代「上様っ!」

帝「無茶はせぬ。しかし黙って指を咥えておるわけにはいかぬであろう」

名代「……っ」

帝「それに、どうも奴はこの刀を嫌っておるようだしな」チャキッ

名代「召喚士殿、申し訳ないが私は上様の護衛に全力を注ぎまする」

召喚士「了解です。こちらの援護は魔道士さんと俺、そして……」


442 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:36:00.69 ID:Aftj95dAo
 ジャリッ

サル「んふふふふっ。こ〜いう緊迫した場面って……苦手なんだよなぁ」

イヌ「何をゴチャゴチャいってるね」

キジ「お頭、こっちはいつでもいいさー」

くの一「……くっ」カチャッ

召喚士「魔道士さん、ちょっと大変だとは思いますけど……」

魔道士「はいっ、付加と後方支援ですね! 大丈夫、どっちもいけますっ!」

神野「いやいや、自信に満ち溢れた表情だ。これは困りました」

召喚士(女侍さん達や女剣士さん達が加わった事で、手数は整った……)

神野「いやはや、各々方の困り顔を拝見したいのですがねぇ」

召喚士(問題はさっきの能力だ。あれは一体……何だったんだ?)

神野「仕方ない。力ずくにて拝むと致しましょうか。クックク」

召喚士(スフィンクスは言った……『老い』。確かにスフィンクスの姿が変化して……」

神野「なぁに、死にはしませんよ。ですが、死に近づくと言うものです」

召喚士(……老い? 死への道程……? ま、まさか……っ)


443 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:37:05.13 ID:Aftj95dAo
 バッ!!

召喚士「接近戦はダメだっ!!」

神野「もう遅いですよぉ、クックク!」

東方司令「むっ!?」

 妖刀村正の間合いへと完全に入り込んだ神野悪五郎。それを改めて確認する必要もなく、

 東方司令はいつものように得物を振り下ろす。が、村正は空振り、空を斬った。

東方司令「――っ!?」

神野「申し上げませんでしたか? 移動など体躯の挙動は不要、精神のみで行える」スッ

東方司令(後ろ――っ!)

 分かってはいても神野悪五郎の速度は早く、とても追いつけない。

 振り向きざまに右手で首を掴まれた東方司令の瞳に、うっすら笑みを浮かべる妖が映った。

神野「良い表情だぁ。それですよそれっ」

 ズズズズッ……ズギュウウゥゥゥゥ!!

東方司令「――――!!」

神野「クックク……」


444 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:37:39.53 ID:Aftj95dAo
東方司令「……くくっ」

神野「……?」

東方司令「お前の技、ボクには通用しないみたいだな」

神野「一体……っ、何をしてくれました?」

東方司令「言っただろ、僕は魔剣で呪われてるってなぁ!」

 ヒュオッ!!

神野「……ッ」ツツーッ

東方司令「朱雀、お前の見立ては?」

召喚士「……恐らく、寿命を早めるか何かかと思いましたが……っ」

東方司令「ボクは無事だ。つまり……」

神野「ぬっ!?」

東方司令「命までは奪えないっ!!」ビュオッ!!

神野「……洞察力が宜しいですねぇ。あまり心地良い気は致しませんが」

くの一「つまり……どういう事……?」

召喚士「奴の能力は触れる事で、肉体に何らかの影響を及ぼすと考えられます」


445 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:38:08.88 ID:Aftj95dAo
神野「……」

召喚士「それは恐らく、スフィンクスの言っていた……老い」

神野「……クックク」

召喚士「触れた対象者の肉体を強制的に老いさせる能力ではないかと」

神野「凄いものだ。驚き、称え、感嘆を覚えます」

女侍「つまり、アタイが突っ込んでたら……ババアになっちまってたわけかい。おぉ怖い怖い」

帝「……っ」

神野「各々方、慎重でよかったですね。奇遇か意図か、前衛は全て女性でいらっしゃる」

女剣士「……だから、何だ」

神野「お年を召したら、大変でしょう? クックク」

東方司令「君、ツイてなかったな」

神野「……と、申されますと?」

東方司令「生憎、ボクは不老だ。その技は効かないよ」

神野「なんとっ!? 不老っ、老いないと申されるのか!」

東方司令「バケモノじみた呪いがこんな所で役立つとはね。人生、何があるか分からんな」


446 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:39:33.65 ID:Aftj95dAo
神野「たかが人間が……そのような境地に辿り着くとは些か不愉快」

召喚士「東方司令さん!」

東方司令「ああ。ボクを起点に戦うとしよう」

神野「痛みを伴わず引導を渡してやろうかと考慮致しましたが……」

 ゴゴゴゴゴゴ……

神野「命への冒涜、苦痛を伴って……地獄へ落ちるが宜しい」

サル「くんぞぉ!!」

召喚士「行けっ! ゴーレム!!」

 シュイイィィィィン

神野「味わったでしょう、人間でなくともそれは対象!」

 ギュイイィィィィ!!

ゴーレム「――グ……ゴオオォォォォ!!」

召喚士「駄目だっ、やはり力がどんどん落ちてゆく……っ」

名代「召喚獣や式神の方が、顕著に出るのやもしれませんっ」

召喚士「確かに……っ。魔力を利用している分、力の衰えはそれに比例するのか……」


447 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:40:08.09 ID:Aftj95dAo
東方司令「理屈は分からんが、とにかくボクに援護を集中しろっ!」

召喚士「了解です!」

魔道士「やあぁっ!!」

 ドッドオオォォォォン!!

神野「ぬっ!? 刀に炎を付随して攻撃とは……っ」

東方司令「魔法剣は初めてか? だったら……存分に味わうがいいっ!」

魔道士「もうひとつ!!」

 ドッドオオォォォォン!! ゴオオォォォォ!!

神野「今度は炎と風ですかっ、これは堪りませんねぇ」

東方司令(しかしあの魔道士とか言う小娘、凄いものだな……っ)

魔道士「やあぁーっ!!」

東方司令(ボクと共闘するのは初めてに近いはず。にも関わらず……)

神野「仕方ありません、他の手段も考慮せねばならぬとは……」ズザァ

東方司令(完璧に魔法付加をこなしている。才能かそれとも……王家の血と言うやつか)

神野「致し方なし。これは姿を変えてでも、攻撃に転ずるしかありませんねぇ」


448 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:41:19.46 ID:Aftj95dAo
〜竜宮城、地下〜

戦士「ぐはっ!」

 ギャギャッ!! ズザザアアァァ

戦士「……ぺっ」

男隊員「だいじょぶか?」

戦士「ああ。しかしあいつ……全く攻撃を受け付けねぇ!」

女隊員「表面に防御壁があるような、そんな感じッスよ」

格闘家「ええ。直接、奴にまで攻撃が届いてません」

青年兵「……っ」

アスタロス「……人間は……排除する」

男隊員「排除排除ウルセェな! さっさとやってみろや!」

格闘家「しかし妙と言えば妙ではありますね」

戦士「何がだ?」

青年兵「先程より、一向に攻撃してくる気配はない……」

戦士「……構うかよ、だったら今のうちにぶっ倒しちまおうぜ」


449 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:42:00.54 ID:Aftj95dAo
男隊員「んな簡単に行く話かよ」

女隊員「だから何とかする方法を考えてるんじゃないッスか!」

青年兵「戦士さんの言う通りです。攻撃に転じる前に始末した方がいいでしょう」

男隊員「……」

青年兵「あまり体力を消耗したくはない。僕らの目的は別にあるはずです」

男隊員「そうだったな。俺達ゃ魔王マーラを討伐しにきたんだったわな……ヒャハハ!」

格闘家「どうします?」

青年兵「最も楽なのは逃走ですが、出来ればここで倒しておきたいのが本音です」

女隊員「魔王と合流されたら厄介ッスもんね」

鬼丸「だがよ、他の連中も心配だぜ……」

青年兵「ええ、そうですよね。なので作戦はこうです」

格闘家「……」

青年兵「これより短時間、全力で戦います」

男隊員「もしそれで倒せなかった時にゃあ……」

青年兵「一度ここを離れ、他の方々と合流致します」


450 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:42:44.68 ID:Aftj95dAo
格闘家「了解です」

鬼丸「分かりやすくていいぜっ、なぁ相棒!」ガシッ!!

戦士「……ああ。さっさと片付けて……他の奴らと合流すんぞ」

鬼丸「とか言って、本当はあの盗賊とかって娘が心配なんだろ〜?」

男隊員「妬けるねぇ……ヒャハハ!」

戦士「だったら何だよ」

格闘家「……」

戦士「好きな女と戦地で離れて、心配じゃねぇ奴がいんのかよ」

女隊員「せ、戦士くん……っ!?」

鬼丸「グハハッ! 悪かったよ相棒!」

戦士「冷やかしてねぇで、目の前の敵をさっさと叩くぞ!」

鬼丸「おうよ! お前の真っ直ぐな本気は俺も受け取ったぜ!」

格闘家「頼もしい限りですね」

青年兵「ええ。だが、故に危うい……」

格闘家「……?」


451 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:43:23.13 ID:Aftj95dAo
 ジャリッ ギュオオォォォォ!!

戦士「でっりゃああぁぁーっ!!」

 ガゴオオォォォォン!! ジジジジッ

戦士「ぐ……くっ」

アスタロス「吹き飛べ」

 ガカァ!! ドシャアアァァ

鬼丸「相棒っ!」

戦士「……大丈夫っ、攻撃は大した事ねぇ」

女隊員「あの見えないシールドを何とかしないといけないッスね」

戦士「青年兵っ、どうすりゃいい!」

青年兵「何となく掴めてはいますが、まだ確証はありません」

格闘家「攻撃を続けますか?」

青年兵「お願いします。出来れば一斉攻撃で」

男隊員「それで掴めるんだなぁ!?」

青年兵「はいっ。やってみせます」


452 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:43:57.40 ID:Aftj95dAo
男隊員「その言葉を信じて、全員でかかるぞ!」

女隊員「てか、元から指揮官は青年兵くんなんだから逆らえないッス」

戦士「鬼丸、お前は右側からあたれ!」

鬼丸「おう!」

格闘家「はああぁぁ……っ!!」

 ズギャッ!! バッゴオオォォォォン!!

アスタロス「……無駄だ」

 ジジジジッ バキィッ!!

格闘家「ぐっ」ズザァ

青年兵(……やはりそうだ)

戦士「おるああぁぁ!!」ビュオッ!!

鬼丸「でやああぁぁーっ!」シュバッ!!

 ジジジジッ……ドドォッ!!

青年兵(あのシールドは、奴が意図したものではない)

男隊員「付加すんぞぉ!」


453 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:44:37.39 ID:Aftj95dAo
女隊員「よろしく……ッスううぅぅ!!」

 グアッ!!……ドッズウウウウゥゥゥゥン!!

アスタロス「……諦めて……死ね」

 ジジジジッ バギャアアァァッ!!

男隊員「分かったかぁ!?」

青年兵「……ええ。確信しました」

格闘家「……」グイッ

青年兵「あれは自動的に発動するタイプのようです」

戦士「んじゃ、攻撃しようがないってのか?」

青年兵「いえ。但し、通じるかどうか……」

戦士「四の五の言ってる場合かよっ! やるしかねぇだろ!」

鬼丸「相棒の言う通りだ。やらなきゃ何も始まらねぇ。失敗を恐れてどうすんだよ」

男隊員「魔物のくせに良い事言うじゃねぇか! その通りだ……ヒャハハ!」

格闘家「青年兵様は師匠に代わる指揮官です。あなたの命令に誤りはありません」

女隊員「そうッス。どーんと構えて、私達が何とかするッスよ!」


454 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:45:10.10 ID:Aftj95dAo
青年兵「皆さん……っ」

戦士「てわけだからよ。早速、作戦を言ってくれ」

青年兵「……はい」

男隊員「待て! 奴が仕掛けてくるぞ!」

アスタロス「排除する」

 シュバッ!! ズドドドドドッ!!

鬼丸「何だこりゃあ!?」

男隊員「魔力を弾にして飛ばしてるんだっ! 触れると手痛いぞ!」

戦士「んなもん、よけるまでもねぇ!」

 バシイイィィィィ!!

格闘家「盾で……吹き飛ばした!?」

女隊員「す、凄いッス……!」

戦士「俺が引きつける、早く策を!」ドドドドッ

青年兵「奴のシールドは自動的に発動します。それも、それぞれの属性に合わせてです」

鬼丸「どういう意味だぁ?」


455 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:45:51.67 ID:Aftj95dAo
青年兵「例えば炎で攻撃すれば、シールドも炎を付加し、中和するのです」

男隊員「おいおい……嘘だろっ」

青年兵「そうする事で威力を無と化し、攻撃を防いでいると思われます」

戦士「洞察眼とかそんなレベルじゃねぇぞおい……」

男隊員「確実なんだろうな?」

青年兵「ボクはそう思います。通常の魔力による障壁などとはどうみても違いますから」

格闘家「はああぁぁーっ!!」

鬼丸「おるぁ!!」ズガシュッ!!

 ジジジジッ バゴオオォォ!!

戦士「確かに……何か無理矢理止められてるとか、そんな感覚だな」

男隊員「付加でも物理攻撃でも無理。んで、何が通じるんだ? 召喚獣か?」

青年兵「効くとは思えませんが、試す価値はあると思います」

女隊員「それじゃ他に――」

 ドシャアアァァ!!

格闘家「く……っ」ググッ


456 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:46:36.73 ID:Aftj95dAo
男隊員「俺が代わる。格闘家はここにいろ」ダッ!!

格闘家「すみません……っ」

女隊員「……それじゃ他に、何が通用するんスか?」

青年兵「他属性による同時攻撃です」

戦士「そうかっ! シールドが自動なら2つの属性は同時に防げないはずだよな!」

格闘家「同時……攻撃ですか?」

女隊員「そんなの、可能なんスか……?」

戦士「……?」

青年兵「理論的にはそういう事です」

戦士「おいおい、何を悲観的になって――」

 ズザザザザアアァァ

鬼丸「終わったか!?」

戦士「もうちょいだ。んじゃ次は俺が……」

女隊員「私が行くッス! 戦士さんはここに!」ダダッ

戦士「お、おう」


457 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:47:27.31 ID:Aftj95dAo
青年兵「戦士さん」

戦士「ん?」

青年兵「同時攻撃と言いましたが、同時に攻撃するわけではありません」

戦士「あ、ああ。分かって……」

青年兵「同時に攻撃をあてるのです」

戦士「……おい、つまり」

青年兵「刹那の狂いもなく、ほぼではありません。完全に同時となる攻撃を叩き込む」

戦士「……無理だ! んなもん不可能に等しいだろっ!」

青年兵「ええ、そうです。でも戦士さん、不可能ではありません。不可能に等しいんです」

戦士「あのな、天才とかならいざ知らず、誰がそんなトンデモな離れ業――」

 ドシャッ!! ゴロゴロゴロッ

男隊員「いってぇ……っつーかよぉ、まだか?」

女隊員「あっちの攻撃、威力はないけど地味〜に効くんスよね……っ」スリスリ

青年兵「僕も召喚士さんとなら同時攻撃出来る気はしますが……ここはやはり……」スッ

鬼丸「……あん?」


458 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:48:11.71 ID:Aftj95dAo
青年兵「戦士さんと鬼丸さんにやって頂くしかないでしょう」

戦士「俺と……鬼丸!?」

鬼丸「ほぉ」

青年兵「お2人は何度か戦ってらっしゃるようですし、何より心から通じ合っている」

戦士「だったら男隊員と女隊員でも……」

男隊員「そりゃ無理だな。俺とコイツじゃ身体能力が違いすぎる」

女隊員「そうッス。ヤワな男隊員じゃあタイミング合わないッスよ」

男隊員「……それに、どうやら心も通じ合ってねぇみたいだわ」

格闘家「何年も一緒なのに……」

戦士「とりあえず理解はしたけどよ、何をどうすりゃいいんだ!?」

青年兵「何も策はありません。ただ無心で、同時攻撃を仕掛けて下さい」

戦士「……っ」

男隊員「どうせなら他属性の付加をブチ込んだ方が効果ありそうだ。出来るか?」

鬼丸「他属性? どういうこっちゃ……?」

戦士「……ああ。分かったよ」


459 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:49:29.04 ID:Aftj95dAo
 ゴゴゴゴゴゴ

男隊員「んじゃ俺らが奴の気を引く。その間に頼むぞ!」

女隊員「頼りにしてるッスよ! 戦士くんならやれるッス!」

格闘家「はあぁーっ!」シュバッ!!

アスタロス「……無駄だ」

 ジジジジッ ドゴオオォォォォ!!

格闘家「……ぐくっ」

戦士「格闘家……っ」

格闘家「成功するまで……何度だって、援護しますから」グググッ

戦士「……っ」

青年兵「攻撃完了と同時に、すぐさま回避して下さい」グッ

鬼丸「回避だぁ?」

青年兵「シールドが解けた瞬間、僕のバハムートで奴を直接攻撃します」ゴゴゴゴ……

戦士「了解っ。鬼丸、お前は……雷でいいか?」

鬼丸「おうよっ。お前こそ雷切じゃなくていいのかよ?」


460 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/06(金) 17:50:08.47 ID:Aftj95dAo
 ズイッ

戦士「俺にはこれがある」

鬼丸「炎の斧か!!」

戦士「しくじるなよ?」

鬼丸「なぁに、コイツがある限り……しくじったりしねぇよ」

戦士「……籠手?」

鬼丸「雷忍が言ったんだ。頼む……てなぁ」ギュゥ

戦士「……そうだったな」

鬼丸「約束通り、藤蔵の連中に指南は受けた!」

 ドンッ!! バチバチバチバチイイィィ

鬼丸「鬼の雷は……ちょいとやばいぜぇ?」

戦士「……青年兵っ! 後は任せたぜ!」

青年兵「必ず……倒します!」

戦士「行くぞぉ!!」

鬼丸「おうよっ!!」



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