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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その28
980 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:46:23.92 ID:PxOEeJJGo
〜アマゾネスの村〜

テクテクテク

女「どうぞ♪」

青年子「ありがとうございます」

女「ふふっ♪」

テクテクテク

女「素敵な方ねぇ〜」

女兵「おい、外界の女性と床を交わすはご法度だぞ」

女「分かってるわよぉ〜。でも、勿体ないなぁ」

女兵「……ああ」

ジーッ

青年子「何だか……視線が痛いですね」

魔道士「そうですか?」

青年子「それに、なぜ急に態度が軟化してのでしょうか」

盗賊「……確かにな」


981 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:47:25.29 ID:PxOEeJJGo
テクテクテク…ストッ

アマゾネス「楽しまれておるか?」

魔道士「はいっ!」

アマゾネス「食べ物もまだまだあるぞ」

玄武娘「はいですのー! まだまだ入りますの!」

朱雀嬢「……」

白虎嬢「玄武娘ちゃん、相変わらずねぇ〜うふふ」

青年子「あのー」

アマゾネス「ん?」

青年子「なぜ見ず知らずの僕……私達に、このような持て成しを?」

アマゾネス「私があなた達を気に入ったからなんだけど、理由にはならない?」

青年子「い、いえ……っ」

アマゾネス「それに……」

青年子「……?」

アマゾネス「何でもない。さぁ、どんどんやってくれ。遠慮は要らんぞ」


982 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:48:46.42 ID:PxOEeJJGo


ドコドコドコドコッ

魔道士「うわぁ〜!」

アマゾネス「この村に古くから伝わる伝統的な踊りだ」

青年子「あ、あのあの……っ」

アマゾネス「ん?」

青年子「ふ、服を着ておりませんけれど……っ」

アマゾネス「着ているではないか」

盗賊「……下半身はな」

アマゾネス「あの服は、この村での言わば正装」

朱雀嬢「へぇー」

アマゾネス「皆も着てみるか?」

白虎長「結構です」

アマゾネス「そうか」

魔道士「でも、どうして上半身は隠さないんですか?」


983 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:49:56.67 ID:PxOEeJJGo
アマゾネス「古くはこの村の噂を聞きつけて、女装してまで入り込む不届き物がいたそうだ」

青年子「……」

アマゾネス「その為、乳房を露にする事で、女性の証としていたようだな」

青年子「……」

白虎嬢「もし、男性である事がばれたら……?」

アマゾネス「ああ、それは簡単だ」

玄武娘「ほえ?」

アマゾネス「その場で虚勢し、女性として暮らして貰うだけの事よ」

青年子「――っ!?」

アマゾネス「まぁ今ではそのような事も……ん、どうした?」

青年子「少し、気分が優れなくて……っ」

アマゾネス「おそ、それはいかんな。これ誰か――」

青年子「だ、大丈夫! 少し夜風に当たってきます」

アマゾネス「……そうか」

青年子「失礼致しますわ、ほほほっ」


984 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:51:07.34 ID:PxOEeJJGo
テクテクテクテク

アマゾネス「……おい」

女兵「はっ」

ボソボソッ…ゴニョゴニョ

アマゾネス「……後をつけろ。不審な動きをすれば多少痛めつけても構わん」

女兵「ははっ」

タッタッタッタ

盗賊「……」

アマゾネス「ん? どうされた?」

盗賊「……いや」

アマゾネス「お前も召喚士なのか?」

盗賊「……違う」

アマゾネス「召喚士は何人いるのだ?」

盗賊「……5人かな。それがどうした?」

アマゾネス「いや、別に」


985 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:52:07.01 ID:PxOEeJJGo
タッタッタッタ…スタッ

青年子「……はぁ」

テクテクテク…

青年子「全く、とんでもない事になってしまったなぁ」

草むらに寝そべる青年子は夜空を見上げ、ぽつりと呟く。

青年子「まだ、大事な作戦中だと言うのに……ん?」

ススッ

女兵(……気付かれた?)

青年子「……出でよ、ワイバーン」

シュイイィィン…ドシュウウゥゥ!1

女兵「あっ!!」

タッタッタ

女兵「くそっ、逃げられたか……っ?」

バシュウウゥゥゥゥ

青年子「何だ、今の光は?」


986 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:53:02.93 ID:PxOEeJJGo
夜空に飛び上がるワイバーン。青年子はその背で、先程目撃した光を探す。

青年子「魔物とは思えないけれど」

――「魔物? あら、嫌ねぇ……」

青年子「!?」

バッ!!

青年子「――!?」

白い翼を広げ、銀色の甲冑を身に纏い、右手に携えたスピアが月明かりに光る。

青年子「な、何者……っ」

ワイバーン「……こやつ、召喚獣だ」

青年子「えっ!?」

――「そうさ、私は召喚獣……ワルキューレ」

青年子「っ!!」

ワルキューレ「ここで何をしているのかな?」

ジャキッ

ワルキューレ「返答次第では……」


987 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:54:47.10 ID:PxOEeJJGo
青年子「待って下さい! 僕らは敵じゃありませんよっ!」

ワルキューレ「……」

青年子「それよりもあなたこそ何故、こんな上空で……」

ワルキューレ「不審者が近寄れぬよう、見張っているのだ」

青年子「……なるほど」

ワルキューレ「本当に、敵意はないのだな?」

青年子「勿論です! すぐに、失礼致しますから」

ワルキューレ「……」

青年子「で、ではっ」

ペコッ…ドシュウウゥゥゥゥ

青年子「あれが……ワルキューレ……」

ワイバーン「朱雀の高等召喚獣だったかな」

青年子「……少しだけこのまま、そしたら帰ろう」

ワイバーン「ああ。奴に見つからんよう飛ぶさ」

春の夜風に当たりながら、相棒を背にワイバーンは優雅に洞を泳いだ。


988 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:55:37.19 ID:PxOEeJJGo
〜海上〜

ザザーン

召喚士「元……眷属……!?」

天才「まぁ、俺様もそれを知ったのはつい最近だけどな。なぁ?」

ヒュッ

ハヌマーン「先日会った時だったかな、正体を明かしたのは」

召喚士「ハヌマーンさん、それにマーマンさんにオークも……」

オーク「法師様を守るのが、オラたちの役目です!」

マーマン「何故かコイツも一緒だけどな……」

紅孩児「……フン」

天才「そんで、お前は何でその名士様を存じ上げてんだよ」

召喚士「えぇと……以前、人探しをしている時にたまたま……」

天才「よく会えたよな、お前」

法師「確かに。滅多に人前へ姿を見せないと伺いましたが……」

天才「あん? お前さんも会ってないのか?」


989 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:56:10.83 ID:PxOEeJJGo
法師「私の場合……元来、目が見えませぬ故」

天才「あ、そっか」

法師「しかし、召喚士殿はよく名士様の所在を突き止めましたね」

召喚士「いや、北の富裕層が住む地域でも有名なようですよ」

天才「ほぉ」

召喚士「由緒ある家柄だとか聞きましたけど……」

天才「ふーん」

マーマン「とにもかくにも、あってみりゃ分かるんじゃないの?」

天才「そりゃそうだ。よーしそんじゃ、船を飛ばしてくれ」

ハヌマーン「この帆に後ろから風を当てれば良いのか?」

天才「おう!」

ハヌマーン「加減が難しいな……」

ドドオオォォン!!…ゴオウッ!!

召喚士「うわっ!!」

天才「おっほぉ、早えぇ早えぇ!!」


990 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:56:41.18 ID:PxOEeJJGo
〜アマゾネスの村〜

魔道士「あ、帰ってきた!」

盗賊「……どこへ行っていたのだ」

青年子「い、いえ……。ちょっと……」

魔道士「もう宴も終わっちゃいましたよー」

青年子「それは良かったです。ははっ」

盗賊「……?」

魔道士「それじゃ私達も休みましょうっ」

青年子「そうですね。えぇと、休むのはどちらで……」

アマゾネス「こっちだ」

魔道士「あっ、まだ起きてらっしゃったんですか?」

アマゾネス「皆が休むまで起きて見張っているのが長の務めだ」

魔道士「へぇ〜っ、偉いですねぇ!」

アマゾネス「そうか? それが長として当然の務めではないのか?」

青年子「仰る通りですわ」


991 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:57:10.25 ID:PxOEeJJGo


青年子「…………」

玄武娘「……むにゃむにゃ」

朱雀嬢「くーっ、くーっ」

白虎長「もっと飲む〜飲むぞ〜っ、むにゃ」

白虎嬢「すーっ、すーっ」

フワァ…

青年子「――っ」

魔道士「それじゃ、おやすみなさい〜」

盗賊「……おやすみ」

モゾモゾッ…バフッ

青年子「ここで……寝るの!?」

フワァ…

青年子(匂いが……っ。いや、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ……っ!!)

煩悩を絶ち祓い、一人の男が悟りを開こうとしている中、夜は更けた。


992 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:57:49.66 ID:PxOEeJJGo
〜西方、南海岸部〜

海兵「いいぞーっ!碇を下ろせー!!」

ザザーン…ドオオォォォォ

王子「到着っ! ここからは左手に見える崖から登れます」

戦士父「なるほど」

王子「登ればあとは砂漠。でも駐屯所に馬も用意してありますから」

戦士「気が利くじゃねーか!」

王子「もっちろん! 任せておいてよね!」

隊長「それじゃ行くぞ。各自、無駄な交戦は避けるように」

女隊員「了解ッス!」

男隊員「お前もだぞ」

戦士「分かってるって。しつこいなぁ」

格闘家「上も異常はないようです」

隊長「おーし、一気に進めぇ!」

王子「おーっ!!」


993 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 17:59:14.75 ID:PxOEeJJGo
〜北の港〜

天才「よーし」

スタッ

天才「完全な日の出前に、住宅街まで一気に行くぞ」

ハヌマーン「確かに変装したとは言え、怪しまれるといかんからな」

マーマン「お前はそれ、何とかならんのかよ……」

メラメラメラッ

紅孩児「あぁ?」

マーマン「服の裾が小火起こしてんじゃねーか!」

紅孩児「仕方ないだろう」

マーマン「お前、ちょっと別行動してろよ」

紅孩児「……あぁ?」

法師「これこれ、いい加減にせぬか」

バッ

紅孩児「あぁ。そんなら勝手にさせて貰う」


994 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 18:00:05.06 ID:PxOEeJJGo
タンッ…ヒュバッ

オーク「あーあ」

ハヌマーン「マーマン、お主が言い過ぎたのだぞ」

マーマン「んーな事言ったってよぉ」

天才「おら、さっさと行くぞ」

召喚士「行きましょう? 紅孩児だって分かってますよ」

マーマン「……ったく、世話が焼けるぜ。炎だけに」

タッタッタッタッタ

召喚士「あっ、あの家です!」

天才「……随分とまぁ、普通のお屋敷じゃねーか」

召喚士「そうですか? かなり大きな――」

天才「そういう事じゃねぇ。人間と同じだって事だよ!」

召喚士「あ、あぁー」

天才「さーてさて、会って頂けますかね〜」

丘を上がった赤い屋根の屋敷前。天才がゆっくりとそのドアをノックする。


995 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 18:00:55.96 ID:PxOEeJJGo
コンコンコン

召喚士「……」

カチャッ

従者「はい」

天才「どうもどうも、名士さんはいらっしゃるかい?」

従者「……何の御用でしょうか?」

天才「ちょっとお話を伺いたくて、来た次第でございますよ」

従者「……」

天才「アンタらのお友達も……来てるぜ」

スッ

ハヌマーン「……」

法師「……」

従者「……しばしお待ちを」

天才「へいへーい」

従者は一度、玄関の扉を閉め、しばらくの後、再び顔を出す。


996 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 18:01:33.36 ID:PxOEeJJGo
カチャッ

従者「……どうぞ」

召喚士「失礼します」

天才「中もなんら変わらないんだなぁ」

スタスタスタ

従者「……ここでお待ち下さい」

天才「何だあの布?」

召喚士「名士様はあの奥に。姿は見せませんでした」

天才「アンタらの時も?」

ハヌマーン「いや、我々の時は……」

テクテクテク

従者が一同の前に再び姿を見せると、手際良くカーテンをするすると剥ぎ取る。

召喚士「!?」

そしてその奥に立つ青年姿の者が、ゆっくりと口を開いた。

名士「やぁ、よくぞ来てくれたね」


997 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/05/17(火) 18:06:30.77 ID:PxOEeJJGo
おぉ危ない!いつのまにか1000間近…!
29スレ目です。なんかもう、本当にすみません…
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305623043/

それでは次スレでもご支援宜しくお願い致します!ノシ


1000 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/17(火) 18:28:52.10 ID:KfUcWu0SO
>>1乙!

これからも頑張ってください!



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