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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その31
650 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:11:49.34 ID:FIUpBJvyo
南方大戦3日目。午前4時を回った頃、各地で小規模ながら動きが見え始めた。

〜スグリーヴァの城〜

ワアアァァァァ!!

ラクシャーサ「進め進めーっ!!」

ゴブリン「来たぞー! こわいー!」

マーマン「ったく、とんでもねー数だなオイ」

ハヌマーン「ヴァーリンめ。下衆な真似をしてくれる」

マーマン「あん?」

ハヌマーン「我らが領土へ踏み込むには、道なき道を進む必要がある」

マーマン「……あーそういやそうだな」

ハヌマーン「お陰でこの城も寡兵ながら守られてきたのだ」

マーマン「確かにそうだわな。つー事は、何でまっすぐ突っ込んできてんだ?」

ハヌマーン「兵を犠牲に、道を暴こうという魂胆よ」

マーマン「……なるほどな、そいつはえげつねぇわ」

ハヌマーン「……何れ突破される。全軍、今のうちに配置へ付け!」


651 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:13:31.99 ID:FIUpBJvyo
ドドドドドド…

ラクシャーサ「な、何……ウワアアァァーッ!!」

ズガアァ!!…ドシャアアァァァァ

ラクシャーサ「ダ、ダメです! 崖を渡りきれません!」

ヴァーリン「いいから進め」

ラクシャーサ「……は?」

ヴァーリン「このまま進めと言っている。何れ道は開かれる」

ラクシャーサ「し、しかし……」

ヴァーリン「早く行け」


ドンッ

ラクシャーサ「ウ……ウワアアァァァァ!!」

ヴァーリン「役立たずが。目の前にまで差し掛かっているというのに」

ラクシャーサ「申し上げます! 右方にて、崖の上を突破したとの報告が!」

ヴァーリン「何ぃ!? よーし案内致せ!」
ラクシャーサ「ははっ!」


652 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:14:44.56 ID:FIUpBJvyo


ヴァーリン「……」

ラクシャーサ「こ、ここです……! 一見ただの崖ですが……」

ソローッ…スタスタスタ

ラクシャーサ「こ、この通り……渡れます!」

ヴァーリン「ようし、全軍突撃だ。憎きスグリーヴァの腸を引き裂いてくれようぞ!」

ドドッ…ドドドドドド…

ラクシャーサ「いっけぇーっ!!」

バサッバサッ…バサッ

ラクシャーサ「……な、何だ!?」

ガーゴイル「来やがったなぁ! オニ野郎!」

ゴブリン「弓くらえー!」

バシュシュシュッ!!

ラクシャーサ「ぐあぁーっ!!」

ヴァーリン「馬鹿が慌てるな! ガーゴイルにぶら下がっているゴブリンを狙え」

バギャアッ!!

ゴブリン「ぎひぇーっ!!」

ガーゴイル「あっ! お、おい!?」

ヴァーリン「怯むな。貴様等は高等なる魔族、鬼神ラクシャーサであろうが!」

ラクシャーサ「お、おおぉぉぉ!!」

ヴァーリン「下等な魔族など恐れるに足らず! ただ蹴散らすのみだ!」


653 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:15:39.17 ID:FIUpBJvyo
ドドオオォォォォ

マーマン「突破されたみてーだな」

ハヌマーン「オーク、準備はいいか?」

オーク「いつでも行けるです!」

ハヌマーン「よし、歩兵隊……進め!」

オーク「いっくぞぉ! みんな付いて来いです!」

トロル「何がラクシャーサだ、恐れる必要はねぇぞグハハ!」

オーガ「ブチコロス……ラクシャーサ!」

ズドドドド…

マーマン「おぉ、すっげー迫力」

ハヌマーン「さて、我らも出るとするか」

マーマン「おうよ」

ザッ

法師「……2人共、行くのですか?」

ハヌマーン「法師様……」


654 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:16:53.68 ID:FIUpBJvyo
法師「良いですか? 無駄な殺生は控えるのです。最小限に留めなさい」

マーマン「しかしな法師様、悲しいけどこれ戦争なんだぜ?」

法師「分かっております。分かっておりますが……」

ハヌマーン「心得ました。敵味方、被害は出来るだけ最小限に留めましょう」

マーマン「お、おい……っ!」

ハヌマーン「なぁに、敵の頭を叩けば良いだけの事」

マーマン「……ったく、それが1番シンドイんじゃねぇかよ」

法師「彼らとて話せば分かります。争うよりは、互いに手を取り合うべきなのです」

マーマン「……話が通じれば、そうしますよ! ちくしょう、行くぜ!」

ハヌマーン「……うむ」

シュバッ…タタタタタッ…

法師「……」

スグリーヴァ「すまぬな法師殿。さてここも危険だ、宮殿内に下がるが良い」

法師「いいえ。私もここで……彼らと共に戦います。それが私の宿命ですから」

スグリーヴァ「……法師殿」


655 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:18:05.44 ID:FIUpBJvyo
ズガガガガッ!!…ドドオオォォォォン!!

ガーゴイル「ギャアアァァーッ!!」

ヴァーリン「雑魚が、どいていろ」

ゴブリン「こいつ、ちっとも通用しないぞ! 強すぎる!」

ラクシャーサ「ヴァーリン様の護衛は必要なさそうだな」

ザッ

ラクシャーサ「するつもりもねぇよ。くそっ、俺らを駒みてーに扱いやがって」

ヴァーリン「はあぁーっ!!」

ゴブリン「うっぎゃあぁーっ!!」

ラクシャーサ「俺達はラーヴァナ様の兵だ。あんな奴に従う必要はねぇ!」

ダダッ

ラクシャーサ「おうよ! こっちはこっちで手柄取らせてもらおうじゃねぇか!」

スグリーヴァの領内に侵入した第2軍は、領内への突撃において、

ここまでにおよそ5000余りの兵を消耗していた。

そして、身勝手で傲慢な指揮官に対し、僅かにほころびが出始めていた。


656 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:19:15.61 ID:FIUpBJvyo
〜南方、最南〜

アスラ「……」

ラクシャーサ「第1軍、第4軍出ます」

ラーヴァナ「アスラ」

アスラ「はっ」

ラーヴァナ「俺を失望させるなよ?」

アスラ「……私は誇り高き、ラーヴァナ様の部下にございます」

ラーヴァナ「……」

アスラ「我が主は不敗。故に私も不敗であらねばならない」

ラーヴァナ「うむ」

アスラ「必ずや、吉報を持ち帰りましょうぞ」

ラーヴァナ「お前は本当に美しい。他の誰よりも信頼に値するぞ」

アスラ「私如きに勿体なきお言葉! では、参ります」

ラーヴァナ「人間に見せてやれい。絶望……恐怖……負の全てをな」

アスラ「……出陣!!」


657 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:19:50.26 ID:FIUpBJvyo
〜南方、南西平野〜

青龍兵「隊長! 見えました!」

青龍士官「あれが西方司令部からの援軍か。よし、降下するぞ!」

バシュウウゥゥゥゥ

西方副司令「ふんふふ〜ん……えっ!? な、何!?」

西方兵「上空より何かが……あれは、召喚獣のようです!」

シュウウゥゥゥゥ…ズザアアァァ

青龍士官「竜騎士隊の青龍士官です。ここの指揮官は……」

西方副司令「あ、はい! 私です私!」

青龍士官「ご苦労様です。この先、今のところ魔物はおりません」

助手「本当〜? あぁ、良かった〜」

西方副司令「私達はこのまままっすぐ東の町へ行けば良いのかしら?」

青龍士官「はい、そうして下さい。総司令や南方司令部の皆が待っております」

西方副司令「分かったわ。ありがとう」

青龍士官「それでは、ご武運を」


658 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:20:53.77 ID:FIUpBJvyo
西方副司令「南の街にも少しばかし兵器があるから、緊急事態には活用して!」

青龍士官「伝えておきます!」

スタッ…バシュウウゥゥゥゥ

助手「ねーねー今の誰?」

西方副司令「青龍隊の隊長、ってか……今は青龍先生じゃない!」

助手「ふ〜ん」

西方副司令「ふ〜んってアンタ……。それが何よ?」

助手「いや、なかなかカッコ良くなかった!?」

西方副司令「はぁ〜!? そんな事言ってる場合!?」

助手「徹夜だから顔とかヤバめだったかな……」

西方副司令「アンタは博士がいるでしょ!」

助手「そうなんだけどさぁ〜最近冷たいんだモン〜」

西方副司令「全く、よくこんな時にそんな事言ってられるわねぇ……」

西方兵「あ、あのー出発しても……宜しいでしょうか……?」

西方副司令「えっ!? あ、ごご……ごめんなさい! 出発進行〜!」


659 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:22:28.46 ID:FIUpBJvyo
〜赤壁〜

先遣隊「魔王軍、目標地点まで進軍しております!」

エリート「よし、それでは我らも出るぞ! 全軍出撃!」

ズザザッ

西方参謀「いや〜この眺め、圧巻だねぇ」

大軍師「総勢5万の兵ですからね」

西方参謀「逆を言えば赤壁にはたったの5千足らず」

大軍師「工作用の兵を除けば3千が関の山ですね」

西方参謀「しくじれば流石の赤壁と言えど、もつかどうかねぇ……ヒック」

大軍師「ふっふ。失敗は出来ませんねぇ」

西方参謀「……ったく。オメーさんには緊張ってモンがねーのかよ」

大軍師「嫌ですねぇ、緊張してますよ」

西方参謀「……うまくいくといいな」

大軍師「ええ。それでは私も行ってきます。後はお任せ致しますよ」

西方参謀「へいへい。無事に帰って来いよ……ヒック」


660 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:23:54.68 ID:FIUpBJvyo
ドドッドドッドドッ…

エリート「良いか、布陣した後は合図と同時に突撃せよ」

騎兵「おぉーっ!!」

エリート「その後の2度目の合図で逆時計回り! 右翼から大きく回るぞ!」

騎兵「おぉー!!」

エリート「3度目の合図は撤退だ! 素早く高台へ避難せよ!」

騎兵「おぉう!!」

エリート「行くぞ! 本国の……人間の誇りをもって戦えい!」

騎兵「おおぉぉぉぉーっ!!」

ドドッドドッドドッ…

騎兵「丘です! 丘が見えました!」

エリート「全軍停止ー!!」

小隊長「ここで敵を迎え撃つ! 息を潜め……時機を待てーい!」

騎兵「……っ」

エリート「さーて……真っ直ぐ来てくれよ、魔王軍」


661 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:25:07.20 ID:FIUpBJvyo
〜南方、南西平野〜

ドドッドドッドドッ

南方兵「青年兵様! 竜騎士隊が見えました!」

青年兵「よし、全軍あの位置で停止させよ」

南方兵「ははっ! 全軍停止ーっ! 目印は竜騎士隊ぞー!」

ドドォ…スタッ

戦士「ここが戦場か」

青年兵「東の町と南の街の中間地点にあたります」

召喚士「ここならどちらにも動きを取れるね」

青年兵「はい。そういうポイントを選んで貰いました」

バシュウウゥゥゥゥ…ズザッ

青龍士官「先程、西方司令部の援軍に遭遇したぞ」

青年兵「首尾は?」

青龍士官「ここより北側から東の町へ向かっている」

青年兵「そうか。ここまでは順調だな」


662 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:27:07.12 ID:FIUpBJvyo
ザッザッザッザ

召喚士「……」

魔道士「何も……ないですね」

召喚士「ええ。南風が生温いくらいですね」

魔道士「そろそろ日の出かな?」

盗賊「……だな。ぼんやりと地平線が明るくなっている」

魔道士「よく見えますね……」

盗賊「……この程度なら見えるだろう。ほら……あそこに――!?」

戦士「敵か!?」

盗賊「……ああ、そのようだ」

青年兵「敵が来ているぞ! 戦闘態勢に入れ!」

召喚士「青年兵くん、少し退がった方がいいかもしれない」

青年兵「ですね。ここでは障害物がなさすぎます」

召喚士「大人数相手には目立ちすぎるし、ちょっと不利だね」

青年兵「よし、戦闘態勢を維持しつつ、北へ移動する!」


663 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/08/29(月) 18:32:37.54 ID:FIUpBJvyo
それではこおまでにて失礼致します!
毎日のご支援、まことに感謝!それではまた!ノシ

>>633
すみません、寝落ちしてました…

>>634-635
ありがとうございます!!

>>636
召喚士「…………」


664 名前:NIPPERがお送りします(鳥取県) [sage] 投稿日:2011/08/29(月) 21:38:38.62 ID:XsP2d36s0
あれ?主人公って一体誰だ……?


670 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/08/30(火) 00:02:22.19 ID:27L90mNAO
作戦が軍主導だから天才達が目立つのは仕方ないな


674 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:05:00.66 ID:bwC4I75Ho
〜本国、国軍本部〜

パッカパッカパッカ…ドドォ

白虎長「到着〜」

朱雀嬢「着いたわよ、起きなさいですわ」

玄武娘「……くあっ、うぅー」

白虎長「白虎嬢は付いて来て。書類提出と簡単な身体検査があるから」

白虎嬢「はい。宜しくお願いします」

白虎長「2人も一緒に来て。適当にくつろいでで頂戴」

朱雀嬢「え、ええ……。でも、宜しいのかしら?」

白虎長「そのくらい遠慮しないでしょ。せっかくだし朝食もここで一緒に――」

玄武娘「本当ですのっ!? やったぁ!!」

朱雀嬢「……」

白虎長「……さ、行きましょっか」

玄武娘「はいですのー!」

朱雀嬢「……全くもう」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/


675 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:05:51.57 ID:bwC4I75Ho
スタスタスタ

白虎長「……あら?」

皇太子「やぁ、これはレディーがお揃いでどうしたのだ?」

白虎長「この娘が新しく入隊しますので、その手続きを」

皇太子「そうであったか。ご苦労様」

白虎長「陛下こそ、このような所でどうなさったのです?」

皇太子「ん、ああ。指揮官が出払ってしまったのでね。私が臨時で指揮を執っている」

白虎長「そうでしたか……」

皇太子「北の次は南、南の次は北。皆も休む暇なしだな」

白虎長「まぁ、仕事ですから。それに今やらねばなりませんからね」

皇太子「君の言う通りだ。流石は白虎先生だ。士気も志も高い」

白虎長「……はい。白虎先生ですから」

皇太子「ははっ。私も見習わなくてはな」

朱雀嬢「……強いですわね。貴女も頑張らないとですわね」

白虎嬢「ええ。私も強くならないとね」


676 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:06:28.62 ID:bwC4I75Ho
テクテクテクテク

双子姉妹「陛下〜っ」

皇太子「どうした?」

双子姉「責任者はいるかと」
双子妹「お客様です」

皇太子「……客?」

スタスタスタ

バーテン「殿……陛下!?」

皇太子「君は確か、元軍人の……」

バーテン「そうか。軍の連中は不在ってわけだな」

皇太子「うむ。よって私が責任者となるが?」

バーテン「いや、参ったなぁ」

双子姉「陛下が責任者では」
双子妹「問題があるとでも?」

バーテン「いや、そういうわけじゃねぇんだが……」

皇太子「事情があるのならば、伺うが?」

バーテン「……実は、総司令殿に頼まれ事されちまってな」


677 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:07:11.18 ID:bwC4I75Ho
白虎長「……頼まれ事?」

バーテン「ああ。そんで必要なモンを拝借しに来たってワケよ」

皇太子「因みに、何が必要なのだ?」

バーテン「……ボウガン」

白虎長「!?」

皇太子「クロスボウの事か? それが必要なのか?」

バーテン「……かつて、もう30年近くも前になるが……手に馴染むっつーのかな」

玄武娘「……?」

バーテン「色々なボウガンを扱ってきたが、やっぱりアレが1番だわ」

皇太子「もしや、現役時代に使っていたボウガンか何かか?」

バーテン「ああ。ここでカビ臭く眠ってるはずなんだ」

白虎長「だったら問題ないはずです。だって、元々バーテンさんの物なんだし」

バーテン「まぁ、そりゃそうだがなぁ」

白虎長「それに、本国で1番偉い方がいらっしゃるんだから、大丈夫ですよね?」

皇太子「そういう事だ。私が全責任をもって承認する。安心したまえ」


678 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:08:29.04 ID:bwC4I75Ho
〜武器庫〜

衛兵「ごっ、ご苦労様です!!」

白虎長「ちょっと失礼するわね」

衛兵「どどっ、どうぞ!!」

カチャッ…ギイィ

皇太子「ここが武器庫か。初めてだな」

バーテン「えーと、どっか端っこに転がってりゃいいんだが……」

テクテク…ゴソゴソゴソ

玄武娘「ふぉー! カッコイイ武器が並んでるですのー!」

朱雀嬢「こらっ、ガラスケースに触るんじゃないですわ!」

白虎嬢「きっと高貴な物なんでしょうねぇ。綺麗に保管されてますもの〜」

白虎長「どんなボウガンなんです?」

バーテン「ああ。んーと……弓部分が青くて……」

玄武娘「これ何ですの? 青い弓みたいなのが付いてるですの」

バーテン「土台は黒の下地に金の模様を施してあって……」


679 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:09:15.24 ID:bwC4I75Ho
朱雀嬢「多分、クロスボウじゃないかしら? 黒色に金って随分豪華ね」

バーテン「んで、矢羽は弓と同じく青を基調とした……」

白虎嬢「矢の羽も青色で、オシャレねぇ〜」

バーテン「それだよ!!」

玄武娘「ふぇっ!?」

ガタッ…テクテクテク

白虎長「このガラスケースに入って、飾られてるやつ?」

朱雀嬢「さっきからずっとありましたわよ?」

皇太子「君の功績を称えて、ずっと保管されていたようだな」

バーテン「……ったく、たかがこんなボウガンごときで」

ガパッ…ゴトン

バーテン「保存状態も良好。マメにメンテしてくれてたのかよ……っ」

白虎長「それだけ初代特遊は国軍の支えになってたって事じゃないですか?」

白虎嬢「でも良かったですねぇ。これなら問題なさそうですね」

バーテン「ああ、助かる。腕が鈍った分、武器でカバーするしかねぇからな」


680 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:10:27.44 ID:bwC4I75Ho


バーテン「さーてと、そんじゃ行ってくるかね」

皇太子「そうだ……双子姉妹、君達も付いて行ってやると良い」

双子姉妹「えっ!?」

皇太子「護衛には心許ないかもしれないが、魔法付加は役立つであろう」

バーテン「しかしだな」

皇太子「構わんさ。本国に兵を残す必要は、今はないのだからな」

バーテン「まぁ確かにそうか。結局、南北が押し込まれたらここも終わりだしな」

白虎長「それなら、私達も一緒に……」

バーテン「いいよ、お前らは休んでいてくれ」

白虎長「そんな……」

バーテン「あんな事があった後なんだ。無理する必要はないし、無理しちゃいかん」

白虎嬢「……っ」

バーテン「な? ここは俺の顔を立てて、本国で待っててくれや」

白虎長「……はい」


681 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:11:26.31 ID:bwC4I75Ho


バーテン「すまないな。わざわざ船の手配まで」

皇太子「この程度、助力にもなりはしないさ。では頼むぞ」

バーテン「了解。んじゃ、行ってくる」

双子姉妹「行ってきます!」

ザザッ…パッカパッカパッカ…

白虎長「大丈夫……ですよね?」

皇太子「使い手が結集しているからな。問題ないだろうさ」

朱雀嬢「……ええ」

皇太子「本国、南方、西方。それに朱雀先生や他のワーカーもいる」

玄武娘「そうですの!」

皇太子「みなの実力は、君も十分分かっているだろう?」

白虎長「まぁ、そうですね……」

皇太子「それに、彼女等も丁度良く居合わせているようだしな」

白虎長「……?」


682 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:13:08.44 ID:bwC4I75Ho
〜三日月島、西方司令部〜

サモナー「……何だか慌しいね」

マーメイド「みたいね。南で大きな戦いがあるんでしょう? だからじゃない?」

サモナー「うん。多分そうだと思うよ」

ザッザッザッザッザ

西国兵「失礼だが、何者か」

サモナー「あ、すみません。僕はサモナーと言いまして……あれ? 西国の兵士?」

西国兵「それが何か? ここは今、緊急態勢となっている。部外者は……」

パッカパッカパッカ

王子「どした? 揉め事か?」

西国兵「あ、陛下。何やら不審な男が……」

サモナー「これは陛下、一体なぜ司令部に?」

王子「サモナーさん!? サモナーさんこそ何でこんな所に!?」

西国兵「……あの……えっとぉ」

王子「上客だバカッ! 早く本陣へ案内しろい!」


683 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:15:04.42 ID:bwC4I75Ho
〜西方司令部、会議室〜

王子「おーい神官、客だぞー」

神官「客……ですか?」

テクテクテク

サモナー「どうも、ご無沙汰してます」

神官「サモナー殿! 一体どうされたのです?」

王子「お前に話があるんだってさ」

神官「私に? 何かありましたか?」

サモナー「……しかし、大変ですね。西国までもが兵を動かすとは」

神官「何を言われる。本国に比べたら、我らは戦いにもならぬよ」

サモナー「しかし現に、司令部の防衛に務めておられるではないですか」

神官「このくらいは同盟国として、最低限の仕事ですよ」

王子「そうそう。今日からは補給物資もジャンジャン南に送るぜ!」

神官「それで、お話というのは?」

サモナー「召喚術、特に古の禁呪についてです」


684 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/08/30(火) 18:16:00.66 ID:bwC4I75Ho
神官「……」

王子「何だそれ?」

サモナー「宜しいですか?」

神官「陛下、席を外して頂けますか?」

王子「は? お前何言ってんの? 何で王である俺が関を――」

神官「支援物資の手配は終わったのかと言っているのです」

王子「……さーてと。サモナーさん、ごゆっくり〜」

テクテクテク

サモナー「すみませんね」

神官「いえ。それで、禁呪が何か?」

サモナー「あなたが、とある書物を入手した事は既に存じております」

神官「……」

サモナー「今日は召喚士くんの代わりにここへ来ました。ある話をする為に」

神官「でしょうね。召喚士殿とも以前、話をしましたから」

サモナー「それともう1つ、これは個人的な話なのですが――」



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