■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その33
- 707 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/11/14(月) 17:57:03.71 ID:NgA1RRjgo
…
西方副司令「15分経過。魔物の動きは止まったままですね」
召喚士「ええ。このまま止まり続けているとは思えませんが、ひとまずは……」
西方参謀「とりあえず動きを止めるのは成功だわな……ヒック」
盗賊「……どうする?」
男隊員「とりあえず、一旦戻るのが賢明だと思うぜ」
召喚士「ですね。戻って、閃光を止める策を練りましょう」
西方参謀「閃光、やっぱしまだありそうかい?」
召喚士「魔物の口内にはまだ、炎が燻っていましたから……」
格闘家「……」
戦士「前回は何とか軌道を返られたが、直撃すればその地形ごと消し飛ぶぜ」
召喚士「うん……。軌道を変えるにも、方角を決めないと二次被害もありえるしね」
女隊員「防げるに越した事はないって事ッスね」
戦士「そういう事だな」
召喚士「……皆さんご苦労様でした。それでは一度、戻りましょう」
- 708 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 17:57:31.98 ID:NgA1RRjgo
…
ドドッッドドッドドッ
傭兵「おっ、王子! アイツら戻ってきたぜ!」
王子「ご苦労様! 魔物の動きが止まったように見えるけど……」
戦士「ああ。召喚士の攻撃で何とか止まってくれた」
親衛隊「おぉ……っ!」
召喚士「でも、いつまた動き出すか分かりません」
王子「そっか。みんなは一旦、戻るの?」
西方副司令「ええ。肝心の閃光を止める作戦を決めないといけませんので」
王子「じゃあここは僕達に任せておいてよ」
盗賊「……いいのか?」
王子「うん。あのでっかいの相手にするわけじゃないし、見張ってるよ」
親衛隊「奴の動きが戻り次第、すぐにお知らせ致します」
召喚士「……分かりました。それでは王子、お願いします」
王子「うん。みんなもしっかり、作戦の立案頼んだよっ!」
- 709 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 17:58:04.99 ID:NgA1RRjgo
〜西の砦、北側〜
ドドォ…ザッザッザッザ
魔道士「おかえりなさい〜っ」
戦士「おう、ただいま」
神官「如何でしたか?」
召喚士「コカトリスの毒で左前足の動きを封じました」
天才「毒? ほぉ、まさかそんなモンが効くとはなぁ。お前、よく気付いたな」
召喚士「いえっ、試してみたら出来たまでです」
天才「ハーッハッハ! 行き当たりばったりかよっ、まぁいいけどな!」
サモナー「しかし、あの巨体で毒がそれ程効くとは思えませんね」
召喚士「ええ。それは俺も思いました。今のうちに策を練るのが最善かと」
西方参謀「朱雀先生の話じゃ、また閃光が来る可能性は高いそうだ……ヒック」
隊長「……」
召喚士「未然に防ぐには、魔物の口を封じるしかありません」
天才「そんなら早速、策とやらを練ろうじゃねぇか」
- 710 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 17:58:32.33 ID:NgA1RRjgo
…
サモナー「やはり、冷却が一番妥当な策かと思いますね」
西方参謀「しかしだなぁ、それ相応の魔力を要するわけだ。ましてやあの威力だぞ?」
隊長「魔方陣五行のメンバーを除くとすると、戦力になりそうな魔力を持ち合わせているのは……」
天才「お前と……」
男隊員「……」
天才「お前。以上」
西方参謀「しかも俺らは揃って水行苦手ときたもんだ……ヒック」
女隊員「本国から援軍を呼んだらどうッスか?」
天才「使えそうな奴はもういねーよ。みんな出払っちまった」
西方魔道長「ここにいるメンバーでやらないといけないわけだねぇ」
戦士「じゃあどうすんだよ? 物理攻撃かましたって無意味だし、魔法剣だってたかがしれてる」
召喚士「……」
タッタッタッタ…ザザッ
西国兵「ご報告申し上げます!」
- 711 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 17:59:30.24 ID:NgA1RRjgo
…
神官「魔物が動き出した!?」
西国兵「はいっ! 再びゆっくりと前進を始めました」
天才「いつの話だ?」
西国兵「えぇと……ここまでの距離を考えると、今から1時間程度前になるかと……」
天才「逆算」
召喚士「……約、2時間です」
天才「ご大層な毒だなおい」
召喚士「すみません……まさか、これ程短いとは……」
魔道士「ど、どうしますっ!?」
召喚士「もう1度行ってきます!」
天才「頼むわ。まぁ正直、2時間でも貴重っちゃ貴重だしな」
召喚士「行ってきます!」
ダッ…タッタッタッタッタ
召喚士「行けっ、コカトリス!」
- 712 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:00:20.47 ID:NgA1RRjgo
砂漠に足を取られぬよう、つま先でトンと軽く蹴るように疾走し、そのままコカトリスを召喚する。
バシュウウゥゥゥゥ
足を止めずそのままコカトリスの背中へと飛び乗った召喚士は、一気に標的を目指した。
コカトリス「どれ程効いた?」
召喚士「2時間ぐらい」
コカトリス「まぁそんなものだろうな。効いた事自体、奇跡みたいなものだ」
召喚士「……」
コカトリス「それで、もう1度やると言うのか?」
召喚士「……1番簡単で安全な手がこれなんだ。やるしかないよ」
コカトリス「……ま、それもそうだな」
バシュウウゥゥゥゥ…
親衛隊「あっ! コカトリス!」
王子「召喚士兄ちゃん……もう1度やるつもりか」
傭兵「今は頼るしかねぇわな。適材適所ってもんよ」
上空を通過するコカトリスを、王子等は祈るような気持ちで、見つめていた。
- 713 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:01:46.42 ID:NgA1RRjgo
ドッシュウウゥゥゥゥ!!
召喚士「さぁ、射程圏内だ!」
コカトリス「直進は流石に厳しい。少し旋回して敵を翻弄するぞ」
召喚士「うんっ!」
魔獣の前後左右、いやそれだけではない。頭の上や足の隙間などを高速で飛行し、
コカトリスは魔獣を弄ぶかのようにその動きをものの見事に翻弄する。
召喚士「今だっ!」
先程と同様、コカトリスの尾が今度は右前足にグサリと突き刺さった。
魔獣はまたも雄叫びをあげ、表情からこそ汲み取れないが、いかのも苦しそうなものであった。
コカトリス「効いているな。やはり効果はあるという事か」
召喚士「よし、このまま離脱しよう。これでまた2時間は稼げるはずだ」
魔獣「ヴオオォォォォ−ッ!!」
バシュウウゥゥゥゥ
コカトリス「しかしこんな地道な作業を繰り返しても、無意味なのでは?」
召喚士「そんな事はないよ。時間は稼げるに越した事はないからね」
- 714 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:02:42.27 ID:NgA1RRjgo
…
隊長「んっ、おぉ……早かったな」
召喚士「攻撃成功です。それで作戦は……」
サモナー「今、天才さんと神官さんが話をしているよ」
召喚士「話? 何の話ですか?」
魔道士「よく分からないです。何だか、魔王討伐の作戦だって言ってましたけど……」
召喚士「……」
戦士「とりあえずこっちは今のところ、発射口を潰すか、角度を変えるかで議論してる」
西方参謀「潰すにゃ相当の魔力が必要となる……ヒック」
男隊員「角度変えるのも、前回みてーに防いで変えるか、本体をずらすしかねぇ」
女隊員「本体をずらすと言ったって、ビクともしないッスよ?」
西方副司令「落とし穴はどう?」
西方参謀「アホ。あの巨体を落とすのに、どれだけの穴を掘れってんだよ……ヒ〜ック」
隊長「とりあえず幾つかの案は出たわけだし、司令と神官殿が戻るのを待とう」
格闘家「それがいいと思います」
- 715 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:03:26.77 ID:NgA1RRjgo
〜別室〜
天才「んで、どうなんだ? イブリースは叩けるのか?」
神官「下準備は全て出来ております。あとは……」
天才「満月待ちか」
神官「ええ。召喚界へ行くには、満月の夜しか狙えませんからね」
天才「そこでお前さんは……」
神官「はい。それさえ済めば、アヌビスは完成と言えるでしょう」
天才「……アヌビス単身でイブリースとガチンコ出来るのか?」
神官「どうでしょうね。多少の援護は必要になるかとは思いますけれど」
天才「魔方陣五行をぶっ放せば、おそらく2、3人は戦力から外れる」
神官「貴方達の予言では、イブリースは倒せたのでしょう?」
天才「まぁな」
神官「でしたらご゙安心下さい。きっとうまくいきますよ」
天才「……お前さん、そんな強気な性格だったか?」
神官「いえ。何故だかここ最近、自分でも不思議なくらい変わってしまいましてね。ははっ」
- 716 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:04:17.38 ID:NgA1RRjgo
…
テクテクテク
盗賊「戻ってきた」
天才「おーう。うまくいったか?」
召喚士「ええ。何とか抑える事は出来ました」
天才「おし、そんじゃあのデカブツについてだが――」
タッタッタ…ザザッ
西国兵「魔物っ、再び前進を始めました!」
召喚士「!?」
サモナー「いや、待ってくれ。まだ1時間程度しか経っていないよ……?」
男隊員「ど、どういう事だぁ?」
召喚士「まさか、効果が薄れているのか……っ?」
魔道士「でもっ、早すぎませんか!?」
召喚士「……確かめてきます!」
魔道士「あ……っ」
- 717 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:04:58.55 ID:NgA1RRjgo
ズザッ…タッタッタッタッタ…
魔道士「召喚士さん……」
天才「構わねぇよ。朱雀に任せておけばいい」
魔道士「……っ」
天才「ところであのバカ共はまだ来ねーのか?」
隊長「馬鹿? あぁ、青年兵と西方司令か」
西方参謀「そういや遅せぇな。もういい加減着いてもいい頃だと思うがなぁ……ヒック」
西方副司令「確かに遅すぎますね。伝令出しますか?」
ピラピラ
天才「伝令は来てる。とっくに司令部は出てるんだよ。ったく、どこで油売ってやがんだ」
女隊員「まさか……」
格闘家「それはないでしょう。あの2人を倒せるなど軍団長クラスでもそう簡単にはいかない」
女隊員「そうッスよね……」
天才「ともかく、朱雀の帰りを待って、それ次第じゃもう1度出撃もあるからな。準備しとけ」
戦士「了解っ!」
- 718 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:05:31.75 ID:NgA1RRjgo
…
バシュウウゥゥゥゥ
召喚士「……王子っ!」
シュウウゥゥゥゥ…スタッ
王子「あっ、兄ちゃ……朱雀先生か」
召喚士「魔物は?」
王子「さっきよりも1時間くらい早く復活したよ!」
傭兵「明らかにおかしい。免疫でも付いてるか、攻撃が浅かったんじゃないのか?」
召喚士「分かりません。これから探ってみます」
親衛隊「お気を付けて!」
召喚士「みんなもそろそろ後退して下さい!」
王子「うん、もうじきしたら戻るよ! ありがと!」
召喚士「コカトリス、行くよ」
コカトリス「おう」
傭兵「しっかり頼むぜぇ」
- 719 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:06:16.27 ID:NgA1RRjgo
スタッ…バシュウウゥゥゥゥ
召喚士「……攻撃は完全に直撃してたよね?」
コカトリス「ああ、間違いないだろう」
召喚士「と、なると考えられるのは……」
コカトリス「毒が効かなくなっている」
召喚士「……」
コカトリス「どうするのだ?」
召喚士「もう1度試して、時間を計ってみよう」
コカトリス「承知した」
ゴウッ!!…バシュウウゥゥゥゥ
魔獣「……ヴゴオオオオォォォォ」
コカトリス「ほぉ、見事に警戒しているな」
召喚士「潜りこめる?」
コカトリス「私を舐めるな。それに、お前の魔力次第だ」
召喚士「……よし、やってやるさ!」
- 720 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:06:49.89 ID:NgA1RRjgo
3度目となる召喚士とコカトリスによる攻撃。魔獣は2度の毒撃によって、
かなりの警戒心をもっていた。しかし召喚士らにとって、それはさほど大したものではなかった。
先程と同様、コカトリスは低空飛行しながら旋回し、魔獣を翻弄する。
巨大な体の周りで、虫のように飛び交う召喚獣は、魔獣にとって鬱陶しくも、
その小さな標的を捉える事は出来ず、かろうじて目で追うが精一杯であった。
コカトリス「よし、もういいだろう」
召喚士「いっけぇーっ!」
シュバッ!!…ドズウウゥゥゥゥ!!
魔獣「ヴオオオオォォォォン!!」
3発目の尾による攻撃は、魔獣の左後ろ足へ深々と突き刺さった。
そこから送り込まれた毒は一気に足全体へと行き渡り、魔獣の膝が崩れ落ちた。
ドッズウウゥゥゥゥン
魔獣「ヴウウゥゥゥゥ……ッ」
コカトリス「さぁ、どうか」
召喚士「……」
- 721 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:08:13.48 ID:NgA1RRjgo
30分余り経過した頃、上空を旋回していたコカトリスが叫んだ。
コカトリス「召喚士、見ろ」
召喚士「!?」
そこへ飛び込んできたのは、沈んでいた体をゆっくりと持ち上げ起こす魔獣の姿。
召喚士「やっぱり……時間が短くなっている……っ!」
コカトリス「次は20分……いや、15分程度しか効かぬだろうな」
召喚士「くそ……っ!」
コカトリス「どうする? もう1度いくか?」
召喚士「……ここは戻ろう。これじゃあキリがない」
コカトリス「だろうな。よし、掴まれ」
召喚士「……っ」
魔獣「ヴオオオオォォォォォ!!」
バシュウウゥゥゥゥ…
けたたましい音を響かせながら、魔獣の行進は再会された。
その音を下唇を噛みながら、召喚士は背で受け止め、皆の元へと帰還した。
- 722 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:08:59.98 ID:NgA1RRjgo
〜西の砦、北側〜
松明に炎が灯される。西方の砂漠にまた、暗い夜が訪れた。
メラメラッ…パチッ
西方魔道長「おや、帰ってきたみたいだねぇ」
バシュウウゥゥゥゥ…スタッ
魔道士「どうでしたっ!?」
召喚士「駄目です。やはり効き目が薄れていました」
天才「ちっ。動きを止めるのはこれまでか」
召喚士「すみません」
天才「いいさ。トータルで3時間くらいは稼げた。お陰でまぁ……」
シュルッ…グルグルグル
隊長「うむ。もう大丈夫だ」
天才魔方陣五行は間に合う。それだけでも意義はあったさ」
召喚士「すみません……」
神官「本陣をもう少し移しましょう」
- 723 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:09:43.67 ID:NgA1RRjgo
王子「でもさぁ、それじゃ砦と離れすぎちゃうよ?」
神官「昨晩の閃光の威力から考えれば、もし真っ直ぐ砦へ放たれても、ここでは被害が出ます」
戦士「賛成だな。目の当たりにした観想から言わせると、10キロ離れても惜しくないくらいだ」
傭兵「そんなにかよ……っ」
魔道士「でも本当に凄い跡でしたよ」
天才「よーし。夜通しになっちまうが、本陣を更に北へ移す。30分後に開始するぞ」
ザザッ…ザワザワザワ
天才「傷はもう本当にいいのか?」
隊長「もう問題ないです。心配無用」
天才「……ふぅん。ま、それならいいけどな」
ザッザッザ
天才「……」
30分後、西国及び本国討伐軍は、徹夜で本陣の移動を行った。
事実上、西の砦を放棄し、北へ新たに拠点を構えた作戦である。
そして夜が明け、新たな日を迎える事となった。
- 724 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:10:18.52 ID:NgA1RRjgo
〜満月まであと8日。本陣〜
ザッ
神官「……」
天才「デカブツの動きはどうだ?」
神官「依然、砦へ向かって真っ直ぐ進んでおりますね」
天才「人間が狙いじゃないのか? 何なんだ一体……」
神官「ともあれ、このまま進まれては海を越えて、本国に到達しかねませんよ」
天才「……」
隊長「どっちにしろ撃たれりゃタダじゃ済まねぇさ」
神官「隊長殿の仰る通りですね。とにかく敵の攻撃を何が何でも食い止めるしかありません」
天才「ったくよぉ、何なんだあのデカブツは。これほど情報のねぇ魔物も初めてだぞ」
西方参謀「確かにそうだわな……ヒック。しかし、うちの司令はいつになったら来るんだか」
天才「今日の夜にはデカブツも砦に到達する。そこで討てなきゃどうなるか分からんぞ」
西方副司令「司令……無事だといいんですけど」
西方魔道長「青年兵もいるんだ。なぁに、余計な心配はいらないよ」
- 725 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:11:03.42 ID:NgA1RRjgo
〜砂漠〜
青年兵「……っ」
西方司令「大丈夫……ですか?」
青年兵「あれ……ここは……?」
ガバッ!!
西方司令「良かった。死ぬかと思ったら生きてた。これは喜ばしい事この上ない」
青年兵「西方司令さん……えっと……」
西方司令「いやぁ、青年兵さん気を失って倒れてしまって……どうしようかと私は考慮しましたよ」
青年兵「倒れて? そうでしたか……」
西方司令「いや何、もうかれこれ丸1日以上寝ていらして、それはもう至福の時……」
青年兵「1日!? な、何で起こしてくれなかったですかっ!!」
ユサユサッ
西方司令「いいややいいやや!! 眠りは安堵。その喜びは妨げてはなりません」
青年兵「――っ」
ガクッ
- 726 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:11:59.74 ID:NgA1RRjgo
青年兵「……いや、看病ありがとうございました」
西方司令「何を申されますか。こんな素晴らしい長剣を頂いたのです。この程度の事……」
青年兵「貸しているだけですからねっ!」
西方司令「……ふふっ、ギブアンドテイク……ぼそぼそっ」
青年兵「何か?」
西方司令「何でもありません!」
青年兵「もういいや。先に砦へ行こうかと思ったけど、ここまで来たら探し出してやる!」
西方司令「おぉ、やる気に満ち溢れている青年兵さんを私は見守りたい」
青年兵「あなたも探すんです!」
西方司令「ひいぃ!」
青年兵「とは言え、もう探すべき場所はここしかない……」
西方司令「ここって……覗き込むは水の中ですけど?」
青年兵「ええ。この突如出来上がった湖。残るはこの中しかありません」
西方司令「なははっ。またまたご冗談を〜」
青年兵「冗談で言えますか! 僕が召喚獣で探ししますから手伝って下さい!」
- 727 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:12:47.94 ID:NgA1RRjgo
…
時刻は夕方。魔王討伐隊に、この戦い1番の慌しさが舞い込んで来た。
隊長「何だとぉ!?」
男隊員「間違いねぇのか!?」
西国兵「ええ、間違いありませんっ!」
格闘家「――っ」
ザッザッザ
天才「どうした?」
隊長「まずい事になったぞ。閃光が発射されるかもしれんそうだ」
天才「あぁ?」
西国兵「前線の陛下からのご報告ですっ。魔物の口内が輝いていると……」
天才「クソがっ!! ここで撃たれてみろ、閃光は間違いなく本国に――」
ハッとした顔を見せる天才。その場に居合わせた特殊遊撃隊の面々は呆然とそれを見つめる。
占い師の予言。天才は何故かそれがずっと引っ掛かっていた。
自身の予言と照合すると、確かに討伐軍の死者は0であった。
- 728 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:14:19.15 ID:NgA1RRjgo
しかし、戦いに携わっていない者に関しては全くの未知。言わば予言上にはカウントされない。
魔王相手に死者が0。天才は確信した。死者0の対象者はあくまで討伐軍の人間。
天才「ザケやがってぇ。この俺様として事が……っ!」
格闘家「師匠……?」
天才「魔方陣五行だ云々言ってる場合じゃねぇ。ぶっ殺す」
ザッ
神官「お待ち下さい。貴方が行かれては、誰が五行を担うのです?」
天才「あのな、悠長な事言ってたら五行の前に全滅だぞ」
神官「しかしここで力を使っては、天才殿とて危ういのでは?」
天才「……予言で出てんだよ。誰も死なねぇってな」
神官「いつの予言です? 貴方が最後に見た予言ですか? 違うでしょう?」
天才「……テメー。何が見えてやがる」
神官「私は何も見る事は出来ません。しかし、貴方が無理をしようとしている事は分かります」
隊長「司令のあんな姿を見るのは初めてだな……っ」
格闘家「ええ……」
- 729 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/11/14(月) 18:17:03.22 ID:NgA1RRjgo
天才「……ちっ」
ザッ
召喚士「天才さん」
天才「んだよ」
召喚士「俺達に任せて下さい。必ず、何とかしてみせますから」
天才「……」
戦士「そうだ。その為に俺は、新しい武器まで用意したんだ」
盗賊「……ここは任せておけ」
神官「西国の皆も居ます。今も戦っているのです。信じましょう、皆を」
男隊員「俺らだっているんだ。そう易々と国軍の名に傷は付けねぇよ!」
女隊員「そうッスよ! やれる限りとことんやってやるッスよぉ!」
格闘家「師匠」
天才「……あーはいはい分かったよ。雑魚も積もれば何とやらだ」
戦士「なんつー言い草だよ……」
日が暮れようと赤く染まった砂漠に、魔獣との再戦が始まった。
- 734 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です) [sage] 投稿日:2011/11/14(月) 21:36:21.95 ID:HY1EqdBNo
いちおつ
マジで西方司令×青年兵ルート来た!?
- 736 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2011/11/15(火) 02:09:31.16 ID:sSIMpERAO
閃光を反らすなら上が最適だがしかしどうするものか
- 737 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [] 投稿日:2011/11/15(火) 04:54:02.72 ID:Lww3e33h0
魔方陣五行の人抜きで閃光を防ぐの?
かなりきついな
いちおつ
次へ 戻る 戻る 携 上へ