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少女「匿ってください!」
- 958 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga]
投稿日:2012/07/16(月) 20:55:18.57 ID:/tnAK0PN0
―――高校入試発表日―――
妹「毎回このイベント事に参加できるなんてラッキーですね」
男「あぁ、もしかして俺ニートなのではと思うくらい予定無いな」
妹「・・・」
男「・・・」
妹「受かってますかね?」
男「このタイミングで落ちてるだろ、何て言えるか」
妹「まあ、そうですよね」
ドタドタ・・・
妹「あ、通知来たんじゃないですか?」
男「宅配便かもよ」
ガチャ
ミツアミメガネ「宅配物受けとりました・・・って男さん!」
男「おっす」
ミツアミメガネ「いらしてたんですね」
男「合格発表と聞いて」
妹「通知来てませんか?」
ミツアミメガネ「ちょっと前に、『受け取りにいってきます!』って出掛けていったみたいですけど・・・」
妹「あ、直に取りに行くんですね」
男「どのくらい前?」
ミツアミメガネ「30分くらい前です」
妹「私たちが来た20分も前ですね」
男「そりゃ、出会わないな」
ミツアミメガネ「わかり次第電話してくるはずなので、みんな電話の前にいますよ、来ますか?」
妹「そうしましょう」
- 959 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 20:57:27.63 ID:/tnAK0PN0
妹「ちなみにその高校までは何分くらいですか?」
ミツアミメガネ「3、40分らしいので、もう着いてるかもしれませんね」
ガラガラ
ミツアミメガネ「戻ったよー」
幼馴染「何だった?」
ミツアミメガネ「え?・・・あ、荷物、これです」
幼馴染「ありがと!」
男「やほー」
少女「あ、男さん!」
大胆な子「全然気づきませんでした!」
背の高い子「誰も気づかなかったんじゃない?」
幼馴染「私は気づいてたよ!」
モヒカン「なんで?」
男「いや、誰にも気づかれずに侵入しないでしょ普通」
妹「だれかに挨拶しますよね」
モヒカン「なるほどね」
プルルルル
僕っ子「来た!」
幼馴染「男、出てあげてっ!」
男「俺でいいのか?」
幼馴染「もちろん!早く出てあげて!」
男「お、おう・・・」ガチャ
妹「拡声拡声・・・」ポチ
ポニテ『ふぇぇぇぇ』
男「な、泣いてんのか?」
ポニテ『ふえっ、お、男さん!?』
男「是非その涙が嬉しくて出たのか悲しくて出たのか教えてほしい」
ポニテ『ぐずっ、・・・受かりましたっ!』
男「マジか!」ガタッ
ポニテ『こ、こんなときに、嘘なんてつきません!』
お母様「買い物行ってくる」バタン
妹「またパーティーですか?」
幼馴染「もうあんまりお金ないからケーキだけかな?」クスクス
妹「何かある度にパーティーしてましたからね」
ポニテ『この後配布物があるみたいなので、受け取ったら帰ります!』
男「おう、気を付けてな」
ポニテ『じゃあ、また後で!』ピッ
妹「ホッとしましたね」
僕っ子「しましたねー」
- 960 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 21:03:15.55 ID:/tnAK0PN0
大胆な子「ほら、やっぱりそんなに勉強しなくて良かったんだよ!」バシバシ
恥ずかしがり屋「いっ、いたっ」
大胆な子「お姉ちゃんたら心配させやがってー!」バシバシ
男「いや、早めの勉強をするに越したことはないよ」
大胆な子「へ?」ピタ
恥ずかしがり屋「いたかった・・・」
男「よしよし」サスサス
恥ずかしがり屋「あ、あぅ・・・///」
大胆な子「お姉ちゃん、反撃のつもりで私を叩いて!」
男「魂胆が丸見えです」
大胆な子「うぬぬ」
―――――――――――――――
ポニテ「ただいま!」
幼馴染「おかえりー!」
妹「もうすぐケーキが来ますよ」
お母様「すまない!お金なかったからとりあえずケーキだけ買ってきた!」
男「ぶっ」
幼馴染「ね?」
妹「見事な推理能力ですね」
お母様「?」
男「そうそう、大学のはいつ分かるの?」
背の高い子「3月4日だったと思います」
男「卒業式は?」
背の高い子「3月2日です」
ポニテ「卒業式より後なの!?」
妹「国公立だとそういうところが多いみたいですね」
背の高い子「・・・なんでだろ、ダメって分かりきってるのに期待してる私がいる・・・」
- 961 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 21:06:25.43 ID:/tnAK0PN0
―――卒業式―――
妹「なんで被るんですか!」
男「中学と高校は被らないよう設定してほしいよね」
妹「全くです!」
少女「それで、どっちに行くんですか?」
男「中学に行く」
男「そして中学の卒業式を見る」
男「そして高校に行き」
男「高校から一緒に帰る約束になっています」
少女「た、大変ですね」
妹「兄さんは人気者ですから」
男「じゃあ行くか!」
少女「私も学校行かないとっ」
―――――――――――――――
幼馴染「久しぶりだねぇ、二人きりで並んで歩くなんて」
男「もはや小学校以来だよな」
幼馴染「思春期になると男女二人でなんて帰れないもんねぇ」
男「そうだよな・・・」
幼馴染「男、誘ってくれなくて寂しかったんだぞ!」
男「いや、確か幼馴染が恥ずかしがって断ったんじゃなかったか?」
幼馴染「あれ?そうだっけ?」
男「俺がいつもの癖で誘ったら『男となんて帰れるか!』って」
幼馴染「あれー?じゃあ、男が誘ってくれなくて寂しかったんじゃなくて、男と帰れない状況が寂しかったのかな?」
男「かもな」
幼馴染「それに引き換え、うちの子達は楽しそうにやってるねぇ」
男「そうだなぁ・・・。あんまり男性陣の話聞かないけど」
幼馴染「そりゃあ、男性陣が男LOVEだったらキモいでしょ?」
男「そうだけど、妹LOVEになるとか」
幼馴染「妹さんは、ショタくん以外確固として許してないからね!」
男「ここ右?」
幼馴染「いや、次右」
- 962 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 21:14:21.42 ID:/tnAK0PN0
―――中学―――
男「ついたついた」
幼馴染「保護者の行列だねぇ」
男「並ぶか」
幼馴染「並ぶしかないね」
男「並ばざるをえないな」
幼馴染「男ってさ」
男「ん?」
幼馴染「というか男性ってさ、機械強いよね?」
男「ひどい偏見だな・・・。ただ、お前よりは強いかもしれない」
幼馴染「頼んだ!」パシッ
男「ビデオカメラ・・・って、ボタン押すだけじゃないのこれ」
幼馴染「初期設定ができてなくて」
男「大問題だ・・・」ポチポチ
男「・・・」ピッピッ
男「できたぞ」
幼馴染「早っ!さすが!機械強いね!」
男「たった3回指示された通りにすりゃいいだけだったんだが・・・」
幼馴染「ついでにこのままカメラマンも頼めないかな」
男「赤いボタン押すだけだぞ・・・」
幼馴染「そうじゃなくて、私涙腺が脆くて、手ぶれしちゃったらかわいそうでしょ?」
男「え、ひょっとして三脚とかないの」
幼馴染「三脚・・・」
幼馴染「てへぺろ!」
男「おい・・・まぁ、任されるけど」
幼馴染「頼りになるー!」
男「で、どこにいる、とか分かるの?」
幼馴染「2組らしいよ。入場のときに〇組入場!って言ってくれるみたいだし、その中で見つけられれば」
―――――――――――――――
司会「これより、第43期、卒業証書授与式を開始いたします。卒業生、入場」
代表「1組、37名」
幼馴染[よかった、言ってくれるみたい]ヒソヒソ
男[おう]ヒソヒソ
代表「2組、38名」
幼馴染「・・・」キョロキョロ
幼馴染「・・・」キョロキョロ
幼馴染「んー・・・?」キョロキョロ
幼馴染[いたっ!あそこ!]ヒソヒソ
男[よし・・・]ヒソヒソ
男[ぽちっとな]ポチッ
- 963 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 21:23:36.32 ID:/tnAK0PN0
―――式終了―――
幼馴染「全く、使えないなー、男は!」
男「なんだよ・・・」
幼馴染「男が泣いたら手ぶれしちゃうでしょ!」
男「俺だって涙腺脆いんだよ・・・」
幼馴染「まぁ、私より後に泣いたから、私よりは強固だけどね」
男「むしろ、なんでお前は1組の授与中に泣き出すんだよ・・・。知り合いでもいたのか?」
幼馴染「いやぁ、前の人が泣いたから・・・」
男「もらい泣きかよ」
ポニテ「おっとこさーん!」
男「おわっ!」
ポニテ「見ててくれました?」
男「もちろん」
ポニテ「退場の時、ちょっと探したんですけど、見当たらなくて」
男「ちょっと遠かったからな」
幼馴染「聞いて聞いて!男ったら、ずっと泣いてたんだよ!」
ポニテ「本当ですか!?」
男「嘘をつくな!」
幼馴染「ごめん。男ったら、卒業証書授与の後ずっと泣いてたんだよ!」
男「まだ嘘がある」
幼馴染「細かいなぁ・・・。男ったら、卒業証書授与の後泣いて、その後一回泣き止んで、PTAとかの話は泣かずに聞いてたけど、その後の『旅立ちの日に』と『仰げば尊し』てまた号泣したんだよ!」
ポニテ「へぇー・・・」
男「一方幼馴染は」
幼馴染「1組の卒業証書授与からずっと泣いてました!」
ポニテ「もらい泣きですか?」
幼馴染「ご明察」
- 964 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 21:30:37.22 ID:/tnAK0PN0
男「じゃあ俺は高校に行きます」
幼馴染「いってらっしゃー」
男「あれ、お前は来ないの?」
幼馴染「察せよっ!」
男「いや、分かってたけどさぁ・・・」
幼馴染「あれ、鈍感さに定評のある主人公にしては珍しい」
男「あんだけ色々あれば気付くわ」
幼馴染「・・・そっか!」
男「じゃ、行ってくる」
- 965 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 21:36:08.13 ID:/tnAK0PN0
―――高校前―――
男「式は40分前に終わってるだと・・・」
背の高い子「来てくれたんですね―!」
男「悪い、待たせた」
背の高い子「いいえ、今終わったところです!」
男「嘘つけ、40分も前に終わってるじゃんか」
男「なんでそんな嘘の時間教えたんだ?」
背の高い子「ひょっとして・・・卒アルの白紙のページの使い方を知らない人でしたか・・・?」
男「あ・・・うん、なるほど、今理解した」
背の高い子「よかったです」
背の高い子「それじゃあ帰りましょう!」
男「最後なんだし友達とかと帰ればいいのに・・・。俺でいいのか?」
背の高い子「みんな部活に入ってて、この後部活の方でパーティーとか打ち上げとかに参加するみたいです」
男「そうなのか」
背の高い子「だから男さん独占で帰宅です!」
男「・・・そうだな」
背の高い子「えへへ〜♪」
男「幸せそうで何より」
- 966 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 21:43:23.41 ID:/tnAK0PN0
男「俺がそうだったんだけどさ、この道ももうあんまり通らないんだな、って思うと悲しくならない?」
背の高い子「少し、思いますね」
男「なんか、もうこの学校の生徒じゃないんだな、って自覚させられた気分」
背の高い子「・・・はい」
男「卒業式・・・泣いた?」
背の高い子「・・・ちょっと」
男「俺、今まで中学のに出てたけど、自分の事でもないのに泣いちゃったよ」
背の高い子「男さんが?」
男「意外か?」
背の高い子「・・・結構」クスッ
男「旅立ちの日に、とか反則だよなー」
背の高い子「白い光のなーかにー♪」
男「それ!あのムードで、合唱されるともうダメ」
背の高い子「私たちの卒業式だと、COSMOSって歌も歌いました・・・。ご存じですか?」
男「あぁ」
背の高い子「あ、そうだ、なんでコスモスなんでしょうね?英語ならcosmosって書いて、カゥズモス!って発音するじゃないですか」
男「いや、知らないけど」
男「と、いうかなぜこのタイミングでそんな」
背の高い子「今ちょっと、泣いちゃいそうだったから、こんな話題で流しちゃおうかなって・・・」
男「泣いていいのに」
背の高い子「恥ずかしいです・・・」
男「俺だって泣いたし」
背の高い子「恥ずかしいです・・・」
男「ちょっ」
背の高い子「ふふっ」ニコッ
- 967 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 21:50:22.61 ID:/tnAK0PN0
―――駅―――
男「泣きたいときはさ、泣いちゃっていいと思うんだ」
背の高い子「・・・そうですか?」
男「泣くって感情表現の一種だしさ」
男「そりゃあ男性が泣いてたらちょっとカッコ悪いけど」
背の高い子「そんなことはないと思います」
背の高い子「感情豊かなやさしい人なんだな、とも思いますよ」
男「あっ、いま『とも』ってつけた!」
背の高い子「そりゃあちょっとはカッコ悪くも思いますし」テヘヘ
男「でも、さ」
男「女の子なら、そういうのないし、泣いちゃってもいいんじゃない?」
背の高い子「・・・そうですね、でも」
背の高い子「4日にはどうせ泣いちゃうんでしょうし」
男「受かった嬉しさのあまり、だよな?」
背の高い子「・・・そうだとどんなに良いことでしょうか」
<2バンセンニ デンシャガ トウチャクシマス
背の高い子「電車、来ましたね」
男「・・・ああ」
- 968 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 21:57:50.17 ID:/tnAK0PN0
ガタンゴトン…
男「その制服ももう着なくなるんだな」
背の高い子「男さんが着てほしいって言うならいつでも着ますよ?」
男「そうじゃなくて!」
背の高い子「わかってますよ・・・」
男「また泣きそうなの隠してるの?」
背の高い子「・・・はい、少し」
男「まぁ、ここで泣かれたら俺がちょっと立場的にやばい気もするけど」
背の高い子「・・・手、握っていいですか?」
男「!・・・あぁ」
背の高い子「ぎゅうう」ニギ
背の高い子「幸せです」
男「よしよし」ナデナデ
背の高い子「超幸せです!」
<ツギハー ●●、●● オデグチハ ヒダリガワデス
背の高い子「あ、もう降りなきゃですね」
男「あぁ」
背の高い子「早いなぁ・・・いつも、億劫な道のりだったのに」
男「そういうものさ」
- 969 名前: ◆e2qiR6vDkY [sage saga] 投稿日:2012/07/16(月) 22:05:52.09 ID:/tnAK0PN0
背の高い子「もう着いちゃいますよ」
男「もう、か・・・」
背の高い子「男さんと話してると時間経つのが早いです」
男「そうなのか?」
背の高い子「はい、かなり」
男「よかった」
背の高い子「・・・今日はありがとうございました」
男「気にするなよ、俺も楽しかったしさ」
背の高い子「こっ、これ、お礼です!」チュッ
男「!?」
背の高い子「えへへ、背が高いと男さんに屈んでもらわなくてもほっぺにちゅー出来ていいですね!」
男「おい・・・!」
背の高い子「今だけ、幸せの絶頂に居させてください・・・」
背の高い子「不合格発表の後、もれなく不幸せになるんですから」
男「そういうこと言うなって・・・」
背の高い子「・・・そうですね」
男「気持ちだけでも、さ」
背の高い子「はい」
背の高い子「ただいま!」
男「ただいま」
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