■戻る■ 下へ
女商人「勇者が行方不明に?」女武闘家「じゃあ探しに行こ〜」ワクワク
119 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 09:47:03.98 ID:8G6i/pWAO

【ラダトーム城下町 宿屋】


武闘家「あ〜あ。僧侶まで行方知れずなんてどうなってんだろ。」

商人「…多分だけど、偶然なんかじゃない。自然発生的な話じゃない気がする。」

武闘家「おっかしいもんね、勇者がさ、フラフラするのは、まあ分かるとして...」

商人「(…何気にひどくない?)」

武闘家「僧侶みたいなしっかりした子が何もせずにいきなりいなくなるのは、ないよねぇ。」

商人「それは本当に思うよ。一緒に旅してた時も、
一人で買い物する時は私達に断ってから行ってたくらいだし。」

武闘家「律儀だもんね。それこそ私や勇者なんか好き放題だったから、うんうん。」

商人「(……納得してるよ)」



120 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 10:13:14.90 ID:8G6i/pWAO


商人「ねえ、武闘家。ちょっとさ気になる事があるんだけど。」

武闘家「うん、どーぞ。」

商人「あなたがアリアハンのお城で『勇者が行方不明になった』
っていう話を聞いたのは、ラダトームの兵士さんからって言ってたよね?」

武闘家「そうだよ。」

商人「その兵士さんの顔は覚えてる?特徴とか、なんでもいいんだけど。」

武闘家「覚えてるよ、もちろん!衝撃的な話だったからなおさらにね。」

商人「ホント?よかった〜さすがね。」ホッ

武闘家「エッヘン!で、それがどうかしたの?」

商人「明日またお城まで行くよ。その兵士さんに聞きたい事があるから。」

武闘家「?」


121 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 10:50:04.64 ID:8G6i/pWAO

【ラダトーム城下町 道具屋】


店の主人「これでいいのかいお姉ちゃん?」ドサッ

商人「はい、助かります〜!」

主人「薬草30個、毒消し草30個、満月草30個、紙袋、と、しめて1400Gだな。」

商人「え〜?高いよ、おじさん。もっとまけてよー!」

主人「高い?これでも引いたんだぜ?」

商人「だってさ、こんなに沢山買ったんだから、その分を引いてよ〜。
なかなかこんなに買う人なんていないでしょ。ね?ね?」

主人「う、まあ、たしかに沢山買ってくれるしなぁ。じゃあしめて1200Gでどうだ?」

商人「なるほど〜。いいかも〜。」

主人「だろう?なっ?」

商人「んー?待って、たしか昨日って大安売りやってたよね〜?」キラッ

主人「ありゃあ昨日までだな。残念だけど。」



122 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 11:15:23.37 ID:8G6i/pWAO

商人「だって私、別の用事があって来れなかったんだもん!冷たいな〜おじさんってば...」

主人「ダメったらダメだ。」

商人「いじわる。いいも〜ん。あっちのよろず屋さんのおじさんなんかさ、さっき行ったら、
昨日の安い値段でたっくさん聖水オマケしてくれたよ!」

主人「なに?よろず屋の野郎が!」ガタッ

商人「やっぱり今はお客さんがいかに喜んでくれるかが大事だもんね〜。」

商人「たった一日の違いだけでねぇ、やっぱりよろず屋さんで買い直そうかな?」チラッ

主人「くそ、あのスかした野郎にゃ負けらんねぇ。」ブツブツ

商人「ここはサービス精神が足りない
ですよーって言いふらしちゃおうかな〜。ね、お じ さ ん?」

主人「わ、わかったわかった!それだけは勘弁な?じゃあ思い
きってサービスしちゃうぜ。半額700Gでどうだっ!」

商人「買ったぁ〜!!おじさんったら、やっるぅ〜!!」バンザイ

主人「え?そうか?おじさんもやる時ゃやるからな。あーはっはっは!」



武闘家「(……えげつねぇ〜)」


123 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 11:24:50.31 ID:8G6i/pWAO

……………………


武闘家「遠くから見てて、異様な風景だったよ、さっきの。」ジロ

商人「やだな〜あれは営業用なんだから、間に受けないでよ。だってほらこんなに安く買えたよ。」

武闘家「(道具屋のおじさん、ごめん。もうこいつ来させないから。)」

商人「さて、これで準備万端。お城に行こうか、武闘家。」

武闘家「はいはい。」



よろず屋、道具屋で買い物を済ませた二人はラダトーム城に向かった。


124 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 11:40:52.84 ID:8G6i/pWAO

【ラダトーム城内 兵士休憩所】


商人「はいはーい。特別セールですよ〜!」

兵士A「なんだ。今日はお仲間を探してるんじゃないのか?」

商人「いえ。もう一人が探しに出てるもんですからねー。」

商人「私はせっかく久々にラダトームに来たので頑張ってる兵士
のみなさんに日頃の感謝として役に立つお薬を安く提供しようと思いまして。」

兵士B「へえ〜いくら勇者様の仲間とはいえ商売人なんだな、あんたは。」

兵士A「おーいみんな、来てみろ。なにやら商人様が俺らに感謝の品を提供してくれるみたいだぜ。」

兵士達「なんだなんだ。」

兵士達「何を売ってくれんだ?」


商人「(しめしめ、作戦成功。)」


125 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 12:00:56.73 ID:8G6i/pWAO

商人「大魔王がいなくなったとはいえ、アレフガルドには魔物はまだまだいます。」

商人「些細な数ですが、傷を癒す薬草。解毒できる毒消し草。痺れを治す満月草。魔除けの聖水。」

商人「これら4つを1セットで提供します、お値段通常68Gのところ....34Gです!」ビシッ

兵士達「おお〜!安いな、そりゃ。」

兵士達「半額じゃないか。」

兵士達「お得だ、道具屋行くの面倒だしな。よし買おう!」

商人「毎度!ありがとうございます〜。」ニッコリ

武闘家「(…独壇場だな。)」

商人「ねぇ?あの時の兵士さんはこの中にいるの?」ヒソヒソ

武闘家(消え去り草使用中)「ちょっと待っててよ〜。」ヒソヒソ

武闘家「これさ、効果切れたらマズイでしょ?」ヒソヒソ

商人「あ、まあ。危なくなったら言って。レムオルかけてあげるから。」ヒソヒソ



126 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 12:35:46.22 ID:8G6i/pWAO

商人「はい、お釣り6Gでーす。ありがとうございます。」ニコ


商人「お仕事頑張ってくださいね〜!応援してまーす。」ニコ

武闘家「あ!いたいた。左にいる、背の高くて、もみ上げが長いその人だよ!」ヒソヒソ

商人「いた。間違いない?」ヒソヒソ

武闘家「うん。間違いない。」ヒソヒソ

商人「(よし、カマかけて確認してみるか。)」


商人「あれぇ〜?そこのもみ上げの長くてダンディな兵士さん?」

もみ上げの兵士「ダンディ?私か?」

商人「そう、ダンディなあなた!私の故郷アリアハンにいる知り合いにそっくり〜!もしかしてご兄弟?」

もみ上げの兵士「アリアハン?いや、私は兄弟もいないし、行った事もないぞ。見間違いであろう。」

商人「!?」

商人「あ、そうですか〜。じゃ私の見間違いかな。ごめんなさいね。」ペコリ


127 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 12:54:04.21 ID:8G6i/pWAO

武闘家「え?この人なのは絶対間違いないよ。」ヒソヒソ

商人「ん……まさかとは思ったんだけど。」ヒソヒソ

武闘家「まさかって?」ヒソヒソ

商人「後で説明するよ。とにかくこれは売っちゃわないとね。怪しまれないように。」ヒソヒソ


商人「他人の空似っていうんですかね〜!失礼しました。
時折私の目は節穴になったりするんですよね〜、困ったもんです。」

兵士達「はっはっは〜!」

兵士達「面白いぞー姉ちゃん。」

商人「じゃあ皆さん、残りわずか。買っていってくださいな。」

がやがや


………………………

突如始まった、商人の啖呵売りは大盛況のうちに終了した。だが、二人は少しながらの儲けと、疑問を同時に持ち帰る事になってしまった。



128 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 12:55:30.37 ID:8G6i/pWAO
一度、ここで中断します。


129 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 15:23:26.48 ID:8G6i/pWAO

【ドムドーラ 宿屋】


商人「ふぅ。お疲れさま、武闘家。」ドサッ

武闘家「お疲れさま!ってか、なんでわざわざドムドーラに来たの?」


商人「じゃあ座って。説明するから、よく聞いてね。」

武闘家「わかった〜。聞いてます。」トスッ


商人「まずは今朝のラダトームのお城でわかったことだけど。」

商人「武闘家がアリアハンで見た、あの兵士さんは偽者だってこと。」

武闘家「あの兵士はアリアハンに行った事はない、って言ったもんね。」

商人「うん。別に事前に質問をされる事を予期してるはずはないはずだから、あの反応は本物の反応ね。」

武闘家「その為だけのあの商人の演技だったってわけか〜。リアルリアル。」



130 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 15:40:32.23 ID:8G6i/pWAO

商人「リアルというか、商売モードの私はあんな感じだけどね。」

武闘家「あ、まあ、そうか。」

商人「そして、この事で私はある確信をした。」

武闘家「ある確信?」


商人「ラダトームのお城には絶対何か秘密がある。」

商人「あの兵士さんが偽者だったって事は別の誰かが化けているに違いないと思うの。」

商人「そんな事をした理由がわからないけど、この事実は変えられない。」

商人「偽装をしてまで隠したい何かがあると思っていいはず。」

武闘家「ね、ねえ。もしかして、勇者や僧侶がいなくなったのも、ラダトームの城に関係してるとか....」


商人「……考えたくはないけど、ね。」


131 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 15:58:02.92 ID:8G6i/pWAO

商人「なんとなくだけど、私達がラダトームにいるのも
危ない気がしたから、ドムドーラに来たのよ。」

武闘家「そうだったんだ。じゃあ私の存在を消してたのも?」

商人「まあね。念には念を、かな。もし普通に二人して城内
に入って聞き込みをしたら警戒されかねない。」

商人「だから、お城の人間には『仲間より自分の商売を優先する奴』
っていうイメージを植え付けたかったのよ。」

武闘家「私達がいかにも仲間達を必死に探してるぞ、って警戒されないためか〜。」

商人「でもこれで、解らない事が増えちゃったなぁ。」ポリポリ

武闘家「ラダトームの城の秘密か。う〜ん別な意味でワクワクするね〜。」



132 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 16:12:55.07 ID:8G6i/pWAO

商人「こら、そこ。ワクワクしない!」ビッ

武闘家「はい、不謹慎でした。」ペコ

商人「まったくも〜。」


商人「明日は一度、魔法使いの所に戻ってみようか。何か新しい情報があるかもしれないし。」

武闘家「おー。そっかそっか。忘れてた。行ってみよー。困った時の大先生だ。」


商人「(魔法使いが何か掴んでいてくれると助かるけど...)」


商人「(まさか、単なる勇者の行方不明がこんな事にまで発展するだなんて。)」


武闘家「ね〜商人、ご飯食べに行こうよ〜。私お腹減っちゃったぁ。」


商人「あ、わかったー!今行くよー。」タッ



133 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 16:28:28.34 ID:8G6i/pWAO

【ラダトーム城 隠し牢屋】


僧侶「(ここに閉じ込められて、おそらく2ヶ月ほど...)」

僧侶「(あの男は私を殺そうともせずに、何を考えてるんだろう。)」

僧侶「(実際、餓死しないように最低限の食事はできる。)」

僧侶「(両手は使えるけどこの結界牢のせいで魔法の類いは使えない。)」


僧侶「(魔法か………魔法使い。旦那さんと仲良くやってるかな。)」

僧侶「(武闘家さん、商人さん、元気かな。)」

僧侶「(勇者様、あなたはどこにいるのですか?)」


僧侶「みんなに会いたいよぅ...」ポロポロ


134 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 16:54:35.18 ID:8G6i/pWAO

ガチャ
ギィ〜

僧侶「(賢者?)」


賢者「おや、僧侶さん。泣いていたのですか?」

僧侶「こ、これは違います。」キッ

賢者「どうやら貴方の仲間が来たようです。」

僧侶「えっ?」

賢者「勇者の行方を追ってね。王より貴方の行方もわからない
と知らされ、さらに動揺してたのが傑作でしたが。」ニヤッ

賢者「黒髪の威勢のいい小柄なお嬢さんと、凛とした表情をした赤い髪のお嬢さんが。」

僧侶「武闘家さんと商人さん。」


賢者「ただ。あまり切羽詰まった感じは受けませんでしたがねぇ。」

僧侶「(…………)」

賢者「今日は赤い髪のお嬢さんが城内で兵士相手に商売してましたよ。呑気なもんだ。」

賢者「黒髪のお嬢さんはいませんでしたが、彼女は別の町にでも行っていたのでしょう。」


僧侶「(違う。商人さんは相当頭がキレる人。城内の人間に真意を悟られないようにしてるんだ。)」ニッ

賢者「ん?その笑みは失望の笑みですか?あまり美しくない。」


135 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 17:18:00.78 ID:8G6i/pWAO

僧侶「ここまで来てあなたは私を殺さないのですか?」

僧侶「あなたの考えてる事くらいわかる。ずっと考えていたわ。」

賢者「ほう。」ニヤ

僧侶「あなたは大魔王を倒した私達が邪魔なのでしょう?英雄視されている私達が。」


僧侶「王様は少し違う、勇者様をただ自分の国のシンボルとして留まらせたいと思ってる。権力のためでしょうけどね。」

僧侶「それだけ『勇者』という名前は強く重いもの。」

賢者「………………」

僧侶「ただあなたを含め、一部の人間は勇者の存在が邪魔に思ってる。殺してしまった方が...」


コツコツコツ

ドスッ!

僧侶「ぐあぁっ....」グラッ

賢者「お仲間が来たと聞いて、饒舌になりましたか。」


136 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 17:31:47.64 ID:8G6i/pWAO

賢者「あまり怒らせない方がいいですよ。私は今の貴方のような目をした女性は好きではない。」

僧侶「ごほっ。くっ...」ハァハァ

賢者「まあ、近いうちにはあの世に行ってもらわないといけなくなりそうですがね。」

僧侶「!!」ハァハァ

賢者「神に選ばれし賢者だった貴方も今やただの人。」

賢者「貴方は私と同じではなかったようですね。非常に残念だ。」

コツコツコツ
ガチャ



僧侶「痛っ!」

僧侶「(な、なんとかしないと。みんな...)」ハァハァ


137 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 17:41:28.73 ID:8G6i/pWAO

ドムドーラから一度、魔法使いに会うため上世界の
レーベに戻る予定だった商人と武闘家の二人。


戻る前に、僧侶の住んでいる家に手掛かりが何かないか調べる
為にラダトームに再び行き、城下町外れにある僧侶の小さい一軒家に来ていた。


しかし、城の人間も捜索に来た後だったせいか、これといった
手掛かりもなく。諦めようとしていた。



138 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 17:55:41.03 ID:8G6i/pWAO

【ラダトーム 僧侶の家】


ガチャガチャ

武闘家「う〜ん、これといって手掛かりになりそうな物はないね。」

商人「そうねぇ。あの子らしいこじんまりとした可愛らしいお家だね。」

武闘家「定期的に掃除もしっかりしてるみたいだし、すごいね〜。」

商人「尊敬しちゃう、僧侶の事。どうしたらこんなにキレイに掃除できるんだろう。」

武闘家「私もあなたも苦手だもんね掃除...」

商人「よし、とりあえずこの辺にしよ。すぐに魔法使いの所に行かないと。」

ガチャ


賢者「おや?お二人は?先日の...」ヒョイ

武闘家「あ〜!お城の賢者さん!」パァ

商人「え?あ、賢者さん?」

商人「(どうして、ここに...?)」

賢者「こんにちは。武闘家さん、商人さん。」ニコッ


144 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/01(金) 22:50:56.92 ID:5rmVhmTL0
先週、ブッ○オフでSFC版のDQ3公式ガイドブック
を100円(驚)で購入しました。鳥山先生の絵はいいですね〜。

てか、女商人さん。髪の色、赤色じゃなく、桃色だな。
どこでどう勘違いしたのか…今さらな話ですが(笑)

どちらかといえば魔法使いさんの方が髪、赤いのかな。


149 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/02(土) 23:03:16.23 ID:MALT+urR0

賢者「僧侶さんの行方の手掛かり探しですか?心中お察しいたします。」

武闘家「賢者さんは、どうしてここに来たのー?」

商人「(…武闘家いいタイミング!)」

賢者「私は時折、城下町の見回りを任されているもので。
    つい先ほどたまたまお二人を見かけまして...」

賢者「私も何か手伝う事はないかと思い、お邪魔しました。」ニコ

商人「そうだったんですか。それはありがとうございます!」ペコ


賢者「私もこの僧侶さんの家には、城の兵士さん達と以前来ましたが。」

賢者「僧侶さんの居場所に繋がるような手掛かりは見つからなかったです。」

武闘家「そっか〜、困ったよねぇ。これじゃ私達が探しても何もないはずだよ。」


商人「…あの、賢者さん?僧侶の手帳はここに無かったですか?」

賢者「手帳ですか?いえ。前回の捜索時にはそのような物は無かったと記憶しています。」



150 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/02(土) 23:21:47.11 ID:MALT+urR0

商人「そう、ですか。……彼女、以前から思った事や、
      気が付いた事とか何でも手帳に書いているんです。」

賢者「手帳に?」ピクッ


商人「例えば『昨夜食べたご飯が美味しかった』とか
    『○○の王様が昨日より鼻声だった』とか。些細な事なんですけど。」

賢者「なるほど。好奇心旺盛なのですね。素晴らしい事です。」


商人「その手帳が無い、というのはおかしい気がして。
    まだどこかに隠してあるのかもしれないけど、私達にも隠し場所はわかりません。」

武闘家「へぇ〜あの子そんな事してたんだ?さっすが司書さん!
     じゃあさ色んな秘密とかも書かれてたりしてねー。人には言えないようなさ。ヒヒヒ。」


賢者「………乙女の秘密を無闇に覗いてはいけませんよ、武闘家さん。」

商人「まったく、賢者さんの言う通りだよ。とにかく私達は次の場所に行かないとね。」


賢者「別の場所に探しに行かれるのですか?」

武闘家「うん、上の世界のね...もがっ!う〜〜」ジタバタ

商人「はいはい、無駄口はいいから次に行くわよ、武闘家。」

商人「それでは賢者さん、すみません。私達は行く所がありますのでこれでっ!」


151 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/02(土) 23:42:33.86 ID:MALT+urR0

賢者「そうですか。残念です、もう少しお二人とお話したかったのですが...」

武闘家「ぐぅ〜〜(口から手を離せ〜〜!)」

商人「はい。じゃあまた次の機会に〜失礼しまぁす!」スタスタ




賢者「あ、最後に一つ...」

賢者「商人さん。『元賢者』、の貴方にお聞きしたいのですが……」

商人「!!??」ピクッ


賢者「何故、賢者を辞めて商人に戻られたのですか?神に選ばれし稀有で偉大な職だというのに。」


商人「(こ、この人...何を...?)」

商人「…………」

商人「私は根っからの商売人だからです。でも賢者だった事に悔いはありません。」


賢者「わかりました...余計な事をお聞きしました、忘れてください。」ペコ


商人「いえ。いいんです。それでは。」ペコリ


ガチャ
タッタッタ


152 名前:gaku ◆p5aHKPi6K9ce [saga] 投稿日:2013/02/03(日) 00:02:49.09 ID:h2htnqIP0

【ラダトーム 郊外 西の平原】


武闘家「も〜〜、思いっきり口押さえつけられて跡ができちゃったじゃん!」プンプン

商人「ああ、ごめんね武闘家。つい力入っちゃって。」

武闘家「なんでいきなりあんな事したのさ?」

商人「私達の行動を知られたくないから。」

武闘家「え?だってあの人は私達にも協力してくれようとしてる賢者さんだよ。」

商人「そうかもしれない。でもあの人もラダトーム城の人間だから。」

武闘家「疑いすぎだよ〜商人ったら。あんな風に協力的なのにさ。」

商人「そうかなぁ。まあ思い過ごしならそれに越した事ないんだけどね。」



商人「(それにしても、あの人。『賢者』に異様に執着があるみたい。)」

商人「(『賢者』の事を語っていた時のあの一瞬の冷たい目、何か嫌な感じだった。)」


武闘家「商人、ほら早く〜、レーベに行って魔法使いに会わないとさ。」ギュ

商人「あ、はいはい。分かったわよ。……『ルーラ』!」


二人は再びレーベに向かった。



次へ 戻る 上へ