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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
934 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:22:14.55 ID:U0w9Vl8go
〜南方、東の町〜

朱雀嬢「んっ!」

グググッ…ドサッ

朱雀嬢「……重いですわねぇ〜。このっ」

ゲシゲシッ

玄武娘「朱雀嬢ちゃーん! こっち終わったですのー!」

朱雀嬢「どうしてあのちっこい身体にあれ程の怪力が……はっ!」

ジーッ…ペタリンコ

玄武娘「……服の中、ゴミでも入ったですの?」

朱雀嬢「うるさいですわね。貴女には一生分からない悩みですわ」

玄武娘「……ほえ?」

朱雀嬢「とにかく玄関前の瓦礫を片さないと、出入りすら不便ですわ」

玄武娘「手伝うですの」

朱雀嬢「結構重いわよ?」

玄武娘「……うっ、確かに……これは……重い……ですのぉ」


935 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:25:04.46 ID:U0w9Vl8go
ヒョイッ

玄武娘「あっ!」

朱雀嬢「!?」

ゴーレム「ゴフーッ

番長「大丈夫でゴワスか? 瓦礫はゴーレムに任せるでゴワス」

玄武娘「おぉーっ、召喚獣ですの!」

朱雀嬢「成程っ。召喚獣に手伝って貰えばいいんですわ!」

玄武娘「あっ、そうですの!」

朱雀嬢「よーし、それなら早速……」

シュイイィィィィン

ブリュンヒルデ「……何、また戦争? 野蛮ねぇ」

ゲルヒルデ「ていうか〜魔力全然残ってないしぃ〜」

オルトリンデ「でーも、何だか様子が違うみたいだわね」

玄武娘「……大丈夫ですの?」

朱雀嬢「……さぁ」


936 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:28:06.86 ID:U0w9Vl8go


ヴァルトラウテ「これどっちー?」

朱雀嬢「そっちそっち! 右側に置いて頂戴っ」

ヴァルトラウテ「はぁ〜い」

老女「すまないねぇ、手伝って貰っちまってさ」

朱雀嬢「この程度、容易いですわよ」

玄武娘「よーし私も……」

朱雀嬢「!?」

玄武娘「おいで、ウンディ……」

朱雀嬢「ち、ちょっとバカッ、駄目ぇ……って、え!? ウンディーネ……」

玄武娘「ウ、ウンディーネ……駄目ですの? あ、リヴァイアサンの方が……」

朱雀嬢「だから駄目ーっ! ウンディーネがいいわっ! ウンディーネが一番いい! 最っ高ですわ!」

玄武娘「はぁ」

シュイイィィィン

玄武娘「よーし、道路を水洗いして瓦礫を押し流すですのー!」


937 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:29:39.35 ID:U0w9Vl8go


老人「助かったよ、ありがとうさん」

子供「どうもありがとーっ!」

朱雀嬢「……いえっ、感謝されるような立場ではありませんわ」

老人「……?」

朱雀嬢「私達のせいでこうなってしまったんですもの……。だから……」

老人「何を言っておるか、君達が居てくれたから、この町も形が残っておるんじゃ」

老女「そうそう。お嬢さん方が居なかったら町ごと無くなってたかもしれん」

朱雀嬢「……っ」

老人「国軍には腹が立つ事もある。でも、間違った事はしとらんよ」

老女「もうすぐなんだろ? 魔物を倒して平和な世が訪れるのはさ」

玄武娘「そうですの! もうすぐですの!」

老人「この子達が平和に暮らせるように、儂らが望んでいるのはそれだけじゃ。頑張ってな」

子供「頑張ってねっ、お姉ちゃん!」

朱雀嬢「……あ……りがとっ」


938 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:31:19.36 ID:U0w9Vl8go


番長「そっちは全て終わったでゴワスか?」

親衛隊長「ホワッツ? なぜ彼女はクライング?」

朱雀嬢「……何でも……ないですわよっ」

番長「うぅむ」

玄武娘「朱雀嬢ちゃんは悔しいんですの」

朱雀嬢「……」

玄武娘「町の人達はああ言ってたけど、悔しいんですの!」

特攻隊長「よく分かんねーが、悔しい気持ちがありゃいいんじゃねぇか?」

朱雀嬢「……」

番長「その悔しさをバネに、もっと強くなればいいんでゴワス」

親衛隊長「ミー達ももっとパワーアップするつもりさ!」

玄武娘「そうですの! だから朱雀嬢ちゃん、泣かないで頑張ろうですの!」

朱雀嬢「……分かってるわよっ」

番長「東の町は少しずつ落ち着きを取り戻してきたでゴワス。他所は大丈夫でゴワスかねぇ……」


939 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:32:15.06 ID:U0w9Vl8go
〜南方司令部〜

南方副司令「……あ?」

南方参謀「今、何て言ったの?」

南方弓長「ですから、軍を辞めさせて下さい」

南方副司令「あのなぁ、そんな急に……」

南方弓長「私はこれ以上、戦いを続ける事は不可能です」

南方参謀「貴女……っ」

南方弓長「別に逃げるわけじゃないんです。でも……国軍として戦うのはもう……」

南方参謀「……どうしても?」

南方弓長「軍人としての無能さを痛感しました」

南方副司令「思い込みも甚だしい。士官としてここまでやってきたであろう」

南方弓長「……共に戦う仲間や、守りたいものを守れずして軍人は務められません」

南方参謀「ねぇ、もう1度時間をおいて考え直して……」

南方副司令「分かった。但し直ぐには回答出来ん。ひとまず辞表は預かる」

南方弓長「ありがとうございます」


940 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:33:36.25 ID:U0w9Vl8go
カツカツカツカツ…

南方参謀「ちょっと……いいの?」

南方副司令「今は戦後の傷心が大きいだけだ。そのうち吹っ切れる」

南方参謀「だと良いけど……」

南方副司令「当面は休職という形で休ませよう。どのみちあれでは、今後の戦いには無理だ」

南方参謀「……そうね」

南方副司令「幸い、南での戦いは終えたし、後は北への援軍だけだからな」

南方参謀「……うん」

南方副司令「それで、復興はどうなっている? 問題はないか?」

南方参謀「ええ。ここまで魔王軍の手は届かなかったし、東の町も犠牲者は居ないわ」

南方副司令「建物の損害だけか。物資は既に送っているし、数ヶ月内に完了しそうだな」

南方参謀「そうね。ただ……森や自然は1からまた作り上げるしかないわ」

南方副司令「……こう言っちゃ何だが、人間のエゴなのかねぇ」

南方参謀「かと言って放っておけば、自然はおろか私達だって魔物にやられるわよ」

南方副司令「未来の為の今の犠牲。今を生きる俺達は歴史が評価する……か」


941 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:36:04.72 ID:U0w9Vl8go


カツカツ…ザッザッザ

南方弓長「……何?」

ボス「いいのかよ」

南方弓長「別に逃げるわけじゃないわよ」

ボス「それは……分かってるがよ。姉御がそんな奴じゃねぇ事ぐらい分かってる」

南方弓長「じゃあ放っておいて頂戴」

ボス「……なぁ姉御」

南方弓長「……」

ボス「俺、本国に行く。司令から特遊にならないかって誘われたんだ」

南方弓長「知ってる」

ボス「近いうちに南を去ると思う。次は北で戦いがあるし……」

南方弓長「うん」

ボス「姉御は……残るのか?」

南方弓長「残るわ。私はこの地が好きだもの」


942 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:36:59.99 ID:U0w9Vl8go
ボス「……そっか」

南方弓長「頑張ってね。あなたならなれるわよ、特遊」

ボス「お、おう」

南方弓長「それじゃ、元気でね」

ボス「……おう」

ザッザッザ

南方弓長「……私ね」

ボス「……?」

南方弓長「軍を抜けて、ワーカーになろうと思うの」

ボス「え……っ?」

南方弓長「そうすれば、南方の自然を守る事が出来るでしょ」

ボス「あ、あぁ……」

南方弓長「だから、逃げるわけじゃないから。目を背けて……逃げるわけじゃないから」

ボス「……姉御!」

南方弓長「……何?」


943 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:37:59.22 ID:U0w9Vl8go
ボス「俺、絶対に特遊になって……南方に戻って来っから!」

南方弓長「……」

ボス「だからさ、そしたら……結婚してくれ!」

南方弓長「……っ」

ボス「1年……いやっ、半年! この戦いが終わったら迎えに来っから!!」

南方弓長「……馬鹿。付き合ってもいないのにいきなり結婚だなんて」

ボス「だから、待っててくれ!!」

南方弓長「……」

ザッザッザッザッザ

南方弓長「……あんまり……待てないわよ」

ボス「!?」

南方弓長「いいから早く行ってらっしゃい! 半年なんてあっと言う間なんだからねっ!」

ボス「お、おうっ! 行ってくる! 姉御も……頑張ってな!」

タッタッタッタッタ…

南方弓長「……ほんと……馬鹿なんだから……っ」


944 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:39:06.93 ID:U0w9Vl8go
〜赤壁〜

南方魔道長「ラクシャーサの遺体はハヌマーン軍が引き取ってくれるそうだ」

南方司令「そうか。助かるな」

南方魔道長「次は西か。南方司令部としてはどうするんだ?」

南方司令「どうも出来まい。南を安定させる事こそが正義の為の急務」

南方魔道長「それもそうだわな」

南方司令「明後日、華国で合同葬儀が行われるそうだ」

南方魔道長「行くのか?」

南方司令「本国の代表として行くさ」

南方魔道長「華国にしてみりゃ盾にされたようなもんだ。恨まれてるかもしれんぜ?」

南方司令「だから何だ。我らも華国も間違った事はしていない」

南方魔道長「……まぁ、な」

南方司令「その上で咎めを受けるなら甘んじて受けよう。それは恥でも何でもないのだからな」

南方魔道長「……たまーにいい事言うよな」

南方司令「……何の話だ?」


945 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:40:09.46 ID:U0w9Vl8go
〜華国、東の城〜

老文官「葬儀の手筈は一通り完了した」

若文官「名高き五虎将が3名ですから、残り2つの街からも多くの民が来る事でしょう」

三男「……ああ」

側近「本国への連絡は宜しかったのですか?」

白馬騎士「本国は引き続き、戦を控えております。手間をかけてはいけませんから」

老文官「だがな、彼らが亡くなったのは本国の……」

三男「老文官、やめぬか」

老文官「……っ」

三男「もし彼らが拒めば、回避する事とて出来たはずだ。受け入れたのは彼ら」

老文官「し、しかし……っ」

三男「そして彼らの主は私だ。罪は私にある。裁くのであれば私を裁け」

老文官「……失礼致しました……っ」

三男「苦しいのは私達だけではない。本国や他の連中とて多数の犠牲を払っておるのだ」

白馬騎士「……陛下の仰る通りです。今はもう、国や人の隔たりすらないのですから」


946 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:41:10.62 ID:U0w9Vl8go
〜旧スグリーヴァの城〜

猿兵「ハヌマーン様、南方司令部への通達完了致しました」

ハヌマーン「うむ。敵とは言えかつては我らの同士だ。この地に葬ってやろうではないか」

ラクシャーサ「すまねぇな……本当に」

ハヌマーン「お主らの為ではない。魔族としての事だ」

ラクシャーサ「……ッ」

ハヌマーン「さて、オークの様子を見てくる。ここは任せるぞ」

猿兵「はっ」

スタスタスタ…

猿兵「ハヌマーン様、辛いであろうに気丈に振舞われて……」

ラクシャーサ「すげぇ奴だよ、ほんと」

猿兵「スグリーヴァ様亡き今、それでもハヌマーン様に頼らねばならぬとは……」

ガーゴイル「なっさけねぇよな俺達……ッ。もっと頑張ろうぜ!」

ラクシャーサ「俺らだって何でもする。アンタらにこの命貰ったようなモンだからな」

猿兵「……よし、早速取り掛かろう」


947 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:42:27.86 ID:U0w9Vl8go


スタスタスタ

ハヌマーン「オークの様子はどうだ?」

マーマン「んにゃ、ピクリともしねぇ。本当に生きてるかどうかも俺っちにゃ分からんよ」

法師「生きていますよ。オークは間違いなく生きています」

ハヌマーン「お前はお主は法師殿の申す事が信じられぬのか?」

マーマン「いや、そうじゃねぇけどよ」

ハヌマーン「だったら落ち着いて待っていられぬのか」

法師「いつ目編めるかは分かりません。明日かもしれませんし、何百年後かもしれません」

マーマン「そんなに待つのか……気が滅入るな」

法師「待てるだけ良いではないですか。私などせいぜい5、60年しか待てませんよ」

マーマン「あーあ。なーんかポッカリと穴が空いちまったみてぇだなぁ……」

ハヌマーン「あれだけ激しい戦いであったからな。そう思うのも仕方あるまい」

法師「暇潰しに何か始めてみたらどうですか?」

マーマン「うーん……。別にやりたい事も特にないしなぁ」


948 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:43:14.29 ID:U0w9Vl8go
ハヌマーン「旅にでも出たらどうだ?」

法師「それは良いかもしれませんね」

ハヌマーン「南方以外にはまだ多くの魔族が居る。中にはまだ同志に為り得る者も居るだろう」

マーマン「うーん……」

ハヌマーン「それに人間達はまだ、他の魔王と戦っているのだ。お主が助力したらどうだ?」

マーマン「なーんか気が乗らねぇんだよな〜」

ハヌマーン「お主と言う奴は……」

法師「まぁまぁ。休んで心を整える時間を大切ですよ」

マーマン「……おっしゃ、まぁ行くだけ行ってみるか〜」

法師「良いのですか?」

マーマン「ここでボーっとしてても始まらねぇし、気晴らしにもなるってもんだ!」

法師「……まぁ、無茶はせずいつでも戻って来るように」

ハヌマーン「しっかり働いてくるのだぞ」

マーマン「分かってますって! じゃあオーク、帰ってきたらまた美味いモンでも食おうな!」

オーク「…………」


949 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:44:31.85 ID:U0w9Vl8go
〜三日月島、西国側の港〜

ザザーン

魔道士「到着〜っ」

召喚士「すっかり日が暮れ始めてますね」

戦士「もう冬も近いしなぁ……。こっちは暑ちぃけど」

盗賊「……うん。じめじめはしなくなってきたかな」

魔道士「まずはどうしますっ?」

召喚士「西国の拠点へ行ってもいいですか?」

盗賊「……何かあるのか?」

召喚士「神官さんが居るなら、会って話をしたいと思いまして」

戦士「俺は全然構わんぜ」

魔道士「私もですっ!」

盗賊「……ならばm、、まずは行ってみようか」

召喚士「ええ、すみません」

三日月島へと到着した4人は、西国の拠点を目指し馬車へと乗り込んだ。


951 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:45:14.19 ID:U0w9Vl8go


パッカパッカパッカ

魔道士「わぁっ、夕日が綺麗〜っ!」

盗賊「……本当だ、神秘的だな」

赤く染まった空と海。夕日が暮れる光景と西国独特の砂を含んだ大地の景色。

馬車から見えるその不思議な景色に、4人は無言で心を奪われる。

戦士「こんな景色、大事にしたいよな」

召喚士「うん。その為にも……早く戦いを終わらせなきゃ」

魔道士「えぇ……っ」

パッカパッカパッカ

盗賊「……おっ、見えてきたぞ」

戦士「以前来た時より作りもしっかりしてきたなぁ!」

召喚士「うん。お店の数も増えてるし賑わってるね!」

魔道士「楽しそう〜っ。私達も早く行ってみましょうよっ、えへへ!」

召喚士「そうですね、行ってみましょう!」


952 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/10/18(火) 17:57:21.96 ID:U0w9Vl8go
よし!残り50切りましたので久々にオマケ投下して、
本編は次スレから再開致します!

33スレ目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318927989/

今回はちゃんとあっちのスレもテンプレに入れ忘れずに出来た!
それでは引き続き、ご支援よろしくお願いします&ありがとうございます!ノシ



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