■戻る■ 下へ
少女「こんばんは、お兄さん。今日の夕飯はコンビニ弁当?」
1 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 03:21:53.65 ID:kjmLZtlq0
少女「あんまり体にいいものじゃないね」

男「ほっとけ。ってか君誰?」

少女「私は魔法少女だよ」

男「はあ? あれか、電波って奴か」

少女「ちがうもん! 電波じゃないもん!」

男「はいはい……お、新しい弁当出てるな。今日はこれにするか」

少女「なんで無視するのー!?」

男「バイト帰りで疲れてるんだよ。さっさと帰ってご飯食べたいの。じゃな」

少女「あ、待ってよう。ちょっとでいいから話聞いてー」


3 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 03:22:53.26 ID:fUuXk7S20
セックスシーンまだー?


4 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 03:25:35.91 ID:kjmLZtlq0
男「疲れてるって言ってるのに……だいたい君小学生でしょ? こんな時間に外に出てちゃダメじゃないか」

少女「ちょ、話聞いてってば」

男「ほら、親御さんも心配するから早くおうちに帰りなさい」

少女「だーかーらー、私は魔法少女だってば! お兄さんに用事があってここまで来たの!」

男「まてまて、そんな大声出すなって。店の中だぞ……うわ、みんなこっち見てるよ……」

少女「信じる? 信じる?」

男「ったくもう……信じるかどうかはおいといて、とりあえず外に出よう。話なら聞くから」

男「会計してくるから、ちょっと待っててくれよ」

少女「うん、わかった」ぐぅぅぅぅ

男「…………」

少女「…………お腹すいた」

男「はぁ、わかったよ。君のも買ってあげるから、好きなの選びな」

少女「わぁい! ありがとう、お兄さん!」


5 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 03:26:50.36 ID:S+8aXDVv0
コンビニ行って来る、セブンでいいのか?


6 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 03:31:52.69 ID:kjmLZtlq0
男「で、話って何?」

少女「へー、このあたりにこんなきれいな公園とかあったんだねー。ちょっと感動かも」

男「……聞いちゃいねー」

少女「あ、ごめんごめん。話ってのはね……これ食べてからでいい?」

男「あー好きにしろ。俺もハラ減ってるし。ほらお茶」

少女「飲み物まで! うぅ、ありがたやー」

???「すまぬな、私からも礼を言うぞ」

男「うわぁ! ななな、なんだ今の声!?」

???「驚かせてしまったか、申し訳ない」

少女「あ、ダメだよ獣ちゃん。ちゃんと隠れてなきゃ」

男「君の肩に乗ってるその、フェレットみたいなのが……喋ってるのか?」

少女「うん、この子は私のお友達だよ。名前は……」

獣「獣という。以後、お見知りおきを」

男「あ、ああ。こちらこそよろしく」


7 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 03:39:30.49 ID:kjmLZtlq0
少女「もぐもぐ……どう? 魔法少女って信じてくれた?」

男「口にもの入れたまま喋るんじゃありません。行儀の悪い」

男「でもまあ、少しは信じる気になったかな」

少女「むー、まだ信用を勝ち得るには至りませんか。魔法少女の必須オプションまで晒してるのに」

男「まあそれはいいとして、魔法少女が俺に何の用なんだ?」

少女「えーっとね、獣ちゃん、コレここで言っていいのかな?」

獣「問題あるまい。むしろ今以外のどのタイミングで言うのだ」

少女「おk、じゃあ言っちゃう」

男「おい、丸聞こえだぞ。内緒話はもっとこそこそやれ」

少女「おおぅ、これは失礼しました。で、私の用事ってのはね……えっと」

男「怒らないから言ってみ」

少女「お兄さんを、その、幸せにしてあげることでーす! いぇーい!」


8 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 03:44:21.86 ID:h/l7oJObO
いぇーい!


9 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 03:49:10.46 ID:kjmLZtlq0
男「その言い方だと俺が今現在幸せじゃないように思えるが」

少女「あ、いやいや、そういうことではなくてですね……」

獣「貴方の環境をよりよい状態にしていく手助け、といったところか」

少女「そうそう、そんな感じ!」

男「俺の環境をねえ」

少女「お兄さん、今の暮らしに不満とかない? ほんとにこのままでいいと思ってる?」

男「聞きようによっちゃ大変失礼な言い草だな」

少女「何でもいいんだよ。給料安いとか、彼女欲しいとか」

男「魔法少女のくせに随分と現実味のあるやなこと言いやがる」

少女「そんなお兄さんの願いを私がサポート。びしびし行っちゃうから期待してー!」

男「しかもこっちの話一切聞きやしない」

少女「さあ、覚悟が決まったのならこの契約書にサインを! ……ってお兄さん?」

男「悪いな、確かに今の生活は良くないかもしれないが、俺が選んできた道なんだよ」

男「他人にどうこうされたっておもしろくないからな。他当たってくれ」


11 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 04:00:30.42 ID:kjmLZtlq0
女「ああっ、待ってー! ……獣ちゃん、こんな時はどうしよう?」

獣「マニュアル通りにだ。『タゲに逃げられそうになったら……』の項を読め」

少女「おk。えーっと……あった、これだ」

少女「せーの、待ってえええええぇぇぇぇ! お父さーーーーーーーーーーん!!!」

男「ぶっ!」

少女「いい子にするからああああ! おいてっちゃやだああああああぁぁぁぁ!!」

獣「うむ、それでいい」

男「ちょっ、まてまてまて! 誰がお父さんだ!!」

少女「だって、お兄さん帰ろうとするから……」

男「だからってそういうのはダメだろう! 人に迷惑かけちゃいけません!」

男「俺も困るし、あんなに騒いじゃ周りの人たちにも迷惑だろうが」

少女「うぅ、ごめんなさい……」

男「とりあえずだな……」

外野「おまわりさーん、こっちです! さっきここから女の子の声が!」

男「げっとんでもないことに!」


12 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 04:06:50.72 ID:kjmLZtlq0
少女「お兄さん、逃げなきゃ大変だよ!」

男「ああもう、誰のせいだと!」

獣「議論は後回しだ。厄介ごとになる前にこの場を離れるぞ」

少女「とりあえずお兄さんの家に隠れよう!」

男「なんで俺んちなんだよ!」

獣「適当な場所が他にないのだ。仕方あるまい」

男「くっそー、なんか俺流されすぎだぞ!」

少女「ほらほらお兄さん、速く走らないと追いつかれちゃうよ」

男「これで全力だよ! お前足はえーなオイ!」

少女「日頃の鍛錬がこういうときにモノをいうんだよー」

獣「運動不足は体に良くないぞ、男殿」

男「少女ちゃんの肩に乗ってるお前に言われたくねー!」


13 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 04:14:00.36 ID:kjmLZtlq0
男「さて、なんとか無事家に帰り着いたわけだが」

男「女の子と一緒にいるところをアパートの住人に見られでもしたらえらいことになってしまう」

少女「だいじょーぶだよ。私が言いくる……納得させるから」

男「……君、実は黒魔法少女なんじゃないのか?」

少女「やだなー、そんなことないですよ。みんなを幸せにするため、日々がんばってますよ?」

男「まあいいけどな」

男「今日一晩くらいは泊まってってもいいけど、明日になったらちゃんと家に帰るんだぞ?」

少女「……うち、ない」

男「は?」

少女「おうちないの。魔法少女の仕事しながら、あちこち飛び回ってるから」

獣「そのときどきの場所で間借りをする、といった感じだな」

獣「時には公園の土管の中だったりもする」

男「おいおい、マジかよ……」


14 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 04:24:26.72 ID:kjmLZtlq0
獣「案ずるな。とうに慣れた」

少女「ねー、結構すごしやすいんだよね」

男「……はあ」

男(そんなこと聞いたらほっとけなくなるじゃないかよ……)

少女「でねでね、さっきの契約の事なんだけど……」

男「ストップ!」

少女「えー」

男「はじめに言ったけど、俺は今の生活に困ってるわけじゃないんだ」

男「裕福じゃなくても、自分で働いた金で食って行けてる、それで満足なんだよ」

少女「むー」

男「でももし俺を変えられる自信があるって言うなら、しばらくはここにいてもいいよ」

少女「……?」

獣「ほう」

男「俺を心変わりさせることが出来れば、契約してもいいってこと」

男「それまでの猶予期間を一ヶ月あげよう」


15 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 04:34:31.56 ID:kjmLZtlq0
少女「それってつまり、私に対する挑戦?」

男「そう受け取ってもらってもかまわないよ」

少女「いいいいいいぃぃぃよっしゃーーー! なんか燃えてきたよーーーーーー!」

男「ちょ、うるさいから。静かにしなさい」

少女「絶対にお兄さんのことぎゃふんと言わせてみせるからね! 覚悟してて!」

男「ああ、がんばってみろ」

男「とりあえず今日はもう遅いから、シャワー浴びて寝な」

少女「うん、じゃあお風呂先にいただくねー」

男「ああ、ほらよタオル」


獣「……とりあえず、礼は言っておこう」

男「よけいなお節介かと思ったけど」

獣「そうでもない。あの子も喜んでいるようだしな」

男「まあ、そうだな。それとあんたともゆっくり話をしたいな」

獣「考えておこう、では、これで休ませてもらう」

男「ああ、お休み」


16 :VIPがお送りします [sage] :2009/09/23(水) 04:37:02.95 ID:O5v63tWYO
いぇーい


17 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 04:41:06.09 ID:kjmLZtlq0
少女「遊園地に行こう」

男「唐突だな、おい」

少女「お兄さん、今日バイト休みでしょ? 私とデートしようよ」

男「確かにバイトは休みだが、家のこと色々しなきゃ……」

少女「私が毎日やってるから、何も溜まってないでしょ?」

男「そういやそうか」

少女「てなわけで、遊びに行こうよー」

男「デートから遊びになったな」

男「ま、いいか。準備するから待ってろ」

少女「わあい! お兄さん大好き!」

男「こら、ひっつくな。着替えられん」


18 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 04:49:39.50 ID:kjmLZtlq0
男「うおぉぉ……酔った……」

少女「もー、コーヒーカップぐらいでだらしないなあ」

男「お前、回しすぎ。どんな腕力してんだ」

少女「むっ、女の子に対してなんたる言い草。罰として次はジェットコースターね!」



男「いやー、意外と楽しかったなジェットコースター」

少女「うおぉぉ……怖かったよぅぅ……」

男「なんだよ、自分から誘っておいて」

少女「実は……私も初めてで……獣ちゃんも……」

獣「…………」

男「毛むくじゃらなのになぜか顔色悪い気がするな」

獣「案ずるな……これしきのこと……」

少女「つ、次は気を取り直して定番だって言うお化け屋敷で!」

男「俺はかまわんが。ちびるなよ」

少女「そっ、そんなことしないもん! お兄さんのデリカシーなし!」


20 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 04:52:19.89 ID:dCzl24YMO
なのはかとww

再放送するからか?


21 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 04:56:57.58 ID:kjmLZtlq0
少女「うぅぅぅ…………」

男「崩壊寸前だな。泣き出さなかったのは評価してやろう」

男「向こうは向こうで完全に凍り付いてるし」

獣「…………」

男「だいたい魔法少女って、悪い奴らと戦ったりするもんじゃないのか?」

男「悪霊たいさーん! とかはやらんのか」

少女「それは巫女さんとかでしょ」

少女「私たちはそんなんじゃなくて、人を幸せにするお手伝いをしてるの」

男「その言い方もすごく抽象的だよな」

少女「うーん、そうだね。直接目に見えるものじゃないし……」

男「ま、別にいいけどな」

男「ビーム出したりとかそんな派手なのはなさそうだし」

少女「お兄さん、アニメの見過ぎだよ」

男「魔法少女にそんなツッコミもらいたくないわい!」


23 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 05:07:35.29 ID:kjmLZtlq0
男「はー、今日は良く遊んだなー」

獣「うむ、割と楽しめたな」

男「あんたは半分ぐらい固まってたじゃないかw」

獣「むう……少女が楽しそうだったので、つい無理をしてしまったのは認める」

男「ははは。いいお父さんだな」

獣「我をこの子の親だと?」

男「ああ。あんたに人間の体があれば、今疲れて眠ってるこいつを背負うのはあんたの仕事だろう」

獣「ありがたいことを言ってくれるが、我と少女の関係はそのようなものではない」

獣「魔法少女とその相棒、それだけだ」

男「そうか。でも、大事なんだろ?」

獣「当然だ、少女は我の半身に等しいからな」

男「そんだけ想ってりゃ十分だよ。きっと少女ちゃんもそう想ってるだろうしな」

獣「……すこしお喋りがすぎてしまったな」

獣「悪いが、我も少し休ませてもらうぞ。今日は些か疲れた」

男「ああ、そうしてくれ」


24 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 05:15:51.22 ID:kjmLZtlq0
少女「お兄さーん、朝だよー」

男「むーーー」

少女「おーい、お兄さーん。今日はバイトの日じゃないの? 遅刻するよー」

男「う、ああ、朝か……」

少女「お兄さん、汗びっしょりだけど大丈夫? 具合悪いとか?」

男「……いや、やな夢見てちょっと寝覚めが悪いだけだよ」

少女「だったらいいんだけど……無理しないでね?」

男「ああ、ありがとう。さて、今日も張り切ってバイトに行きますか!」

少女「んじゃご飯の準備してるから、シャワー先に浴びてきてー」

男「うん、頼むよ」


男(ちょっと熱っぽいかな……?)

男(ま、体は動くし平気だろ)

男(少女ちゃんたちの食い扶持稼ぐためにも、休んでなんかいられないしな!)


25 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 05:30:57.18 ID:kjmLZtlq0
少女「ねえ獣ちゃん、お兄さんはどうして私たちを家においてるのかな?」

少女「約束の一ヶ月はもう半分過ぎちゃってるけど、あれ以来そのことには触れてこないし」

獣「お前も同じだろう? 男殿と契約をする、という強い意志はあまり見受けられないが」

少女「うっ、それは……」

獣「そのことが悪いとはいうまい。実際、男殿はおそらく好意で我々に食住を提供しているのだろうしな」

少女「それって、私たちはおうちがないって言ったから?」

獣「それがすべてではないだろうが、理由の一つだろうな」

少女「…………」

獣「皆を幸せにするはずの魔法少女が、逆に無償の好意を受けるのはいけないことだと思うか?」

少女「そうは思わないけど……」

獣「なんだ?」

少女「お兄さん、最初に言ってたよね。生活はそんなに楽じゃないって」

少女「それなのに私たちを家に置くのは、けっこう苦しい事じゃないかと思う」

獣「この前の遊園地は、男殿を外に連れ出すのが目的だったのだろう?」

少女「うん……お兄さん、仕事以外全然外でないから……」


27 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 05:41:15.31 ID:kjmLZtlq0
少女「お兄さんに少しでも元気になってもらえたらと思ったんだけど……」

獣「よけいな負担をかけたのではないか、と?」

少女「うん……」

獣「案ずるな。男殿はおそらくすべて承知の上だ」

少女「えっ?」

獣「ただ、男殿は他人の好意を受け取るのにあまり慣れていないような気がするな」

少女「私が何かしてあげたいって思うのは、迷惑になるって事?」

獣「そうではない。ただ、他人と触れ合うのが多少苦手なだけだろう」

獣「常に一本境界線を引いているような、そんな感じだ」

少女「あ、それは何となくわかるかも」

獣「それでも我らに良くしてくれているのだ。そんな人間の好意も、たまには受け取っても良かろう」

少女「……うん、わかった。ありがと、獣ちゃん」

獣「理解できたのなら、仕事から帰った男殿のために出来ることを考えておくとしようか」

少女「うん! 今日はフンパツ……はできないけど、いつもよりがんばって夕飯作るよ!


28 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 05:43:18.38 ID:h5rhk3ToO
いぇーい


30 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 05:52:20.33 ID:kjmLZtlq0
男「ただいま……」

少女「お帰りなさい、お兄さん! 今日のごはんね……」

獣「待て、様子がおかしいぞ」

男「ちょっと体調崩しちゃったみたいだな……」

少女「お兄さん、大丈夫!? 待ってて、今お布団敷くから!」

男「ああ、ごめんね少女ちゃん、迷惑かけて」

少女「迷惑だなんて思ってないよ! むしろ私たちの方が……」

獣「少女、男殿を休ませるのが先だ」

少女「あっ、うん……」

男「……おっと」

少女「あ、お兄さん気をつけて。ほら、つかまって」

男「ありがと、少女ちゃん」


31 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 05:58:44.58 ID:kjmLZtlq0
少女「38.5℃……結構あるね……」

男「あらら、そんなに上がってたのか。そりゃ苦しいわけだ……」

少女「あんまり無理しないでね、お兄さん」

男「そうだな、ちょっと我慢しすぎたかも」

少女「……私たちのために……」

男「ん? なんか言った?」

少女「ううん、なんにも! 今おかゆ作って来るから、ちょっと待っててね!」


少女「はい、お兄さん。一人で食べられる? あーんしようか?」

男「それはちょっと恥ずかしいな。大丈夫だよ、ありがと」

男「それよりもごめんな、夕飯」

少女「えっ? 夕飯?」

男「今日、けっこう張り切って作ったんだろ? 台所見ればわかるよ」

少女「……もう、お兄さんはそんなこと気にしないでゆっくり休んで。具合良くなってから、またがんばって作るから」

男「そっか、ありがとな。期待してるよ」

少女「うん、だから早く良くなってね」


32 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 06:00:27.38 ID:P+hHMF6HO
待っとるぞ


35 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 06:10:39.24 ID:kjmLZtlq0
少女「うーん、なかなか熱下がらないね」

獣「もう二日か。そろそろ病院などの世話になった方が良いのではないか?」

少女「そうなんだけど、お兄さん病院は絶対行かないって言うんだよ。なにか理由があるのかなあ」

獣「金銭的なことではなく、か?」

少女「うん、話した感じじゃお金は関係なさそうだったよ」

獣「なら、今は男殿の事情を優先しておこう。状態が酷くなれば、またそのときに考えればいい」

少女「……うん、わかった」

獣「とりあえず、滋養のある食べやすい食事だな」

少女「任せて、そのへんは得意だから!」

ピンポーン

少女「あれ? お客さんかな?」

獣「男殿は寝ているが?」

少女「えーっと……あ、今日アパートの回覧が回ってくる日だ。お隣さんなら顔知ってるし、出てくるね」

獣「ああ」

少女「……はーい、今開けまー……ひゃああああぁぁぁ!」


38 :VIPがお送りします [] :2009/09/23(水) 06:21:38.08 ID:kjmLZtlq0
少女「あ、あの、どちら様ですか?」

黒服「失礼、私こういうものですが、ここは男様のお宅で間違いありませんか?」

少女(名刺……病院の院長さんの秘書……?)

少女「はい、そうですが。何かご用でしょうか?」

黒服「男父様の言いつけで、男様をお迎えに上がりました」

少女「お兄さんのお父さん……って、この名刺の院長先生がってことですか?」

黒服「左様です。失礼ですが、お嬢さんはなぜこちらのお宅に?」

少女「それは……」

男「なんだよ、もう嗅ぎつけてきたのか」

黒服「男様! ……お久しぶりでございます。少しやつれましたな」

男「大きなお世話だ。帰って親父に伝えろよ。戻る気はないってな」

黒服「かしこまりました。今日はこれで失礼します」

男「今日は、じゃねーよ。もうくんな」

黒服「それは約束できかねます。では」



次へ 戻る 上へ