■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その14
298 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 17:46:57.71 ID:mq67keEo
〜北関北部、山中〜

魔道兵「…各員配置につきました!」

大軍師「ご苦労。それでは…お願いします」

マジシャン「……」

魔道兵「総員!結界用意っ!!」

一人の声を合図に、並び立つ魔道兵達が両手を地面へと置く。

副司令官「……始めよ」

魔道兵「はい!」

ドドドドオオォォンッ!!……キュイイィィ…

彼らの両手から発せられた光は、地中へと吸い込まれ、

それはやがて一つの線となり、光は地中から上空へと上っていく。

マジシャン「…手伝うか?」

大軍師「いえ、この程度であれば問題ないでしょう」

マジシャン「……そか」

二人は上空へキラキラと散ってゆく光を、しばし見上げた。


299 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 17:47:31.20 ID:mq67keEo
副司令官「よし、次の拠点へ移動する」

魔道兵「はっ!」

大軍師「次は個々より東へ2kmほど進みましょう」

マジシャン「伸ばしすぎじゃねーか?」

大軍師「この結界は殲滅ではなく、いわば足止めのもの」

ジャリッ

大軍師「そこまで間隔を詰めて、打ちこむ必要もありませんよ」

マジシャン「ふぅん…ならいいけど」

大軍師「結界石とて数があるわけではありませんし…」

マジシャン「そうだわな…」

大軍師「……」

マジシャン「……あのさぁ」

大軍師「…存じております。先程、閃光弾を放った時…」

マジシャン「ああ。いくらなんでも数が少なすぎる」

大軍師「確か…位置としてはこの少し先…」


300 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 17:48:11.79 ID:mq67keEo
大軍師は後ろを振り向き、来た道を目測する。

マジシャン「ちと、見てみるか…」

副司令官「どうした…?」

大軍師「…この先を探って参ります」

副司令官「……そ、そうか。気をつけてな」

マジシャンと大軍師は馬に跨り、森の中を疾走する。

パカラッパカラッ…ドドォ…

大軍師「この辺りですね」

マジシャン「気配は……既にねぇな」

マジシャンは馬より飛び降り、周囲をぐるりと見渡す。

大軍師も後に続き、足を付けた地面を見つめる。

大軍師「足跡からして…小型の魔物がおおよそ300……」

マジシャン「フンババだけじゃねぇって事だ。しかしコイツら何処へ…」

マジシャンはふと、己の足元を見つめはっと気付く。

マジシャン「……人の…足跡!?」


301 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 17:48:42.44 ID:mq67keEo
思わず自分の足を裏へ向け、靴底を確認する。

自分の物、そして同行した大軍師の物でもないその足跡。

隠すわけでもなく、まるで付いて来いと言わんばかりに

伸びるそれは、森の中を南方面へと続く。

マジシャン「罠か…?なんだってんだ」

大軍師「南……」

マジシャン「南……南!?」

大軍師「………」

マジシャン「おい…っ、まさか!?」

大軍師「南…すなわち……北関…」

大軍師は眉間にしわを寄せ、手にした羽扇を強く握り締める。

マジシャン「…ちぃっ!!」

ダッ!!

大軍師「間に合いませんぞ!」

マジシャン「そういう問題じゃねーだろ!」


302 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 17:49:18.41 ID:mq67keEo
大軍師「それに…地上からの侵攻であれば、関の周辺には結界が…」

マジシャンは黙って足跡を指差す。

マジシャン「なぁ…。これがもし人間の物だったとしたら…どうする?」

大軍師「人間…?それは……はっ!?」

大軍師は顔を上げ、マジシャンを見る。

マジシャン「まさか…っ!……あの野郎!!」

ダダッ!!…グイッ…パッカパッカ…

大軍師「今から飛ばしても30分…いや、もっとっ…」

マジシャン「やるだけの事はやる!お前らは任務を継続しろ!」

大軍師「お、お気をつけて!!」

マジシャンは振り向かず、ただひたすら馬を飛ばし、山を駆け上がる。

パカラッパカラッパカラッ…

大軍師「失策…?いや違う…。何か違和感が……」

テクテクテク…ピタッ

大軍師はふと夜空を仰ぎ、ゆっくりと己の馬へと足を進めた。


303 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 17:49:52.36 ID:mq67keEo
〜北関〜

イヌ「ふんっ!!」

キジ「そりゃあ!!」

バキィッ!!…ドシャアァァッ!!

女侍「いくら弱いったって…こりゃキリがないね!」

サル「弱いかぁ!?十分…強いっての!!」

シュンッ!!…ザクゥ!!

天才「………」

サル「おいおい兄さん!ボケ〜ッとサボってんじゃねぇ」

天才はツバイハンダーを振り下ろし、関の北門をじっと見つめる。

女侍「……!?」

その時、背後のドアが突如開き、一人の女性が飛び出す。

ガチャッ!!……バッ

占い師「っ!!」

天才「!?……出てくんじゃねぇ!!まだ戦闘中だ!」


304 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 17:50:59.61 ID:mq67keEo
天才の怒声が周囲に響き渡る。

国軍兵「占い師様、ここは危険です!早く建物内へ…!」

占い師「で、でもっ…!」

天才「でももクソもあるかっ!お前は立場をわきまえろ!」

占い師「っ!!」

ビュオオォォッ!!

天才「!?」

北門の外より関内へ迫り来る衝撃に、天才は咄嗟に大剣でそれを弾く。

天才「ちっ…!剣圧か…!?」

ビュオッ!!……ギキイイィィンッ!!

天才「……ここは任せたぞっ!」

ダンッ!!

サル「あっ、おい!?」

女侍「新手…?まぁいい、こっちはこっちで踏ん張るよ!」

キジ「あいあいさー!!」


305 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 17:51:41.86 ID:mq67keEo
タタタッ……シュンッ!!…スタッ

天才「………」

天才は北門のすぐ外へ立ち、向かい来る気配へ意識を研ぎ澄ます。

ザッザッザッザッザ…

天才「………人間…?」

ザッザッザ…

天才「……ああ、何だ。…てめぇか」

ザッ

黒い甲冑に身を包み、ツヴァイハンダーを手にした男がゆっくりと近づく。

魔剣士「………」

天才「…いい剣持ってんじゃねぇか」

魔剣士「通して…貰えないだろうか…」

天才「……はーっはっはっは!!」

魔剣士「………」

天才「…死ね!」


306 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 18:09:10.74 ID:mq67keEo
天才は大剣を大きく振りかぶり、一気に魔剣士へと叩きつける。

ブンッ!!……ドドオオォォンッ!!

天才「っらぁ!!」

魔剣士「!?」

空中へと避けた魔剣士へ、天才の二撃目が振り上げられる。

鋭い残撃は魔剣士の持つツヴァイハンダーにより防がれ、

両者のツヴァイハンダーが空中で交差する。

魔剣士「……っ」

天才「……く…っ」

ババッ!!……スタッ

魔剣士「………」

天才「なんつぅ顔ししてやがんだよ…!」

天才は右手を突き出し、瞬時に突風を巻き起こす。

ドドドオオォォンッ!!…ゴオオォォッ!!

魔剣士「……くっ…!!」


307 : [sage] :2010/05/11(火) 18:09:49.89 ID:e4gjjcDO
魔剣士相手じゃ天才でさえかませになりそうだ


308 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 18:10:07.69 ID:mq67keEo
ゴオオォォッ!!

天才「ここは人が多すぎる!二人っきりでデートしようや!」

天才は後方へ吹き飛ぶ魔剣士を追い、大きく飛び上がる。

ブオォッ!!…バキッ……ドシャアァッ

魔剣士「………」

魔剣士は突風により吹き飛ばされた身体を、ゆっくりと起こす。

上半身を起こした時、上空に光る刀身に気付き、背後へ素早く飛ぶ。

ヒュンッ!!……ズガァ!!

天才「…さーて、ダンスタイムといこうかね」

魔剣士「……」

ジャキッ…ススッ…

天才「はぁ!!」

魔道士「っ!!」

ズガアァ!!…ブンッ!!…キィンッ…ガキィ!!…ヒュオッ…

二本のツヴァイハンダーが目まぐるしく動き回り、それはつむじ風の様である。


309 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 18:11:19.56 ID:mq67keEo


サル「一人抜けた分…手ぇ抜けなくなっちまったなぁ〜」

イヌ「手を抜いてたね?」

サル「ジョーダンに決まってんだろっ!」

サルは両手のナイフを素早く、迫るヴァンパイアへと投げ飛ばす。

サル「あーの野郎、まさか逃げたんじゃ……」

女侍「そんなわけないだろ、ほらっ…右から来てるよ」

サル「うげっ!こんにゃろっ!!」

キジ「ボスッ!残念なお知らせさー!」

キジは正面の北門を指差し、叫ぶ。

女侍「ありゃりゃ…。いくらアタシだって、こんなには相手出来ないよ〜ふふっ」

サル「楽しそうだな…」

女侍「ああ…!ゾクゾクしちゃうねぇ!!」

門外から迫り来る魔物の群れに目を向け、

刀を鞘に納めた女侍は、意味深な笑みで北門へと歩き始めた。


310 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 18:11:54.34 ID:mq67keEo
〜北方司令部〜

ズズウウゥゥ……

オーガ「一撃…!?たった一撃で!」

バーテン「…さて、次」

バーテンはバリスタの切れた縄を再び付け直し、巨大な矢を手に取る。

バーテン「もっと…自動でポーンといきゃ良いんだがな…っと」

ガチャッ…カチカチカチ…

バーテン「ようし…おい!次いくぞ!」

騎士長「おうっ!てかそれ撃ち終わったら中へ入れ!」

バーテン「……中、ねぇ」

バーテンは司令部のそびえ立つ城壁と塔を見上げ、一つ息を吐く。

騎士長「左から近づいてるぞ!寄せ付けるな!」

北方兵「は、はいっ!!」

城壁上の兵が一斉に弓を放つ。手つきはあまり慣れた様子がなく、

中には慌てふためくあまり、弓ごと地へ落としてしまう兵もいる。


311 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 18:12:20.50 ID:mq67keEo
バーテン「ったく…。兵の教育はどうなってやがんだ」

騎士長「こっちが聞きてぇよ…!」

バーテン「ま、自分の事だけ専念させてもらうさ…」

ギリギリギリッ……バシュッ!!

騎士長「魔道兵!バリスタが飛んだぞ!!」

魔道兵「撃てぇ!!」

ドドオオォォンッ!!……ギキイイィィ!!

オーガ「うわ…ぁ!!グブ…ッ!!」

三度放たれた巨大な氷の矢は、またもオーガの身体を貫き、森へと着弾する。

ドズウウゥンッ!!

騎士長「よしっ命中!!早く司令部内へっ!!」

バーテン「はいはい…」

バーテンはバリスタを引き、司令部の門へと歩く。

テクテクテク…

バーテン「……んっ!?」


312 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 18:12:46.56 ID:mq67keEo
ふと見上げた上空にそびえる塔。その屋根に人影を見つける。

バーテン「何だ!?おいっ、上に何かいるぞ!!」

騎士長「!?」

騎士長は慌てて塔を見上げるが、既に影はなく、闇がただ広がっている。

騎士長「……?」

バーテン「くそっ見失った!用心しろっ!何かいるのは確かだ!」

騎士長「弓隊!歩兵とともに司令部内の警備を強化せよ!」

北方兵「はは!!」

数名の兵が急ぎ城壁を降り、司令部塔の方向へと駆ける。

バーテン「……」

バーテンはもう一度塔を見上げ、そのまま司令部内へと足を運んだ。

ヒュウウゥゥ……ストッ

塔より先にある建物の屋根、そこに一つの影が再び姿を見せる。

その影は徐々に形を成し、黒いローブが風に揺れ、ひらひらと靡く。

ネクロマンサー「くくっ…。いやはや…気付かれてしまいましたかねぇ」


313 : [sage] :2010/05/11(火) 18:25:58.58 ID:nEFdEADO
>>1乙!
その文書力濡れるぜ
リアルタイムしえーん


315 : [sage saga] :2010/05/11(火) 18:29:22.19 ID:mq67keEo
貼り忘れてた…orz
あぷろだ作って頂きました!駄作地図もあります…
ttp://ux.getuploader.com/cockatrice/

>>313
ありがとうございます!今回の部はちょっと地の文増やしてます!

また後ほど現れます!それでは!ノシ


319 : [sage] :2010/05/11(火) 21:04:39.87 ID:.w3OXt20
天才対魔剣士とか熱すぎるぞ!
脇役がしっかり活躍出来る物語は面白い!


320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/11(火) 23:59:25.50 ID:HPdLvzwo
〜海峡、北の森付近〜

盗賊「……うん、気配はない」

魔道士「結構進みましたねっ」

召喚士「ええ。ちょっと本隊と離れすぎましたかね…?」

戦士「いいんじゃねーか?どうせ戦うのは俺らなんだし…」

魔道士「それはそうですけど……」

召喚士「あまり離れ過ぎて分断しちゃうと厄介かな」

盗賊「……まぁ」

戦士「っつってもこっちは森でこっちは崖…」

魔道士「遅いですね…皆さん…」

魔道士は森を見つめ、溜息をつく。

召喚士「ええ…」

戦士「ここいらで待機して、みんなを待つかね」

盗賊「…ああ。後続も…」

ドスッ


322 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 00:14:39.87 ID:qSM79Iko
盗賊「……え…っ」

盗賊はうつむき、己の腹部を見る。

背後から貫かれたはりのようなそれから、赤い血が滴り落ちる。

盗賊「なっ…!?け…気配なん…て…」

戦士「!!」

魔道士「きゃああぁぁ!!」

召喚士「行けっ!ユニコーン!!」

シュイィィン

召喚士が咄嗟にユニコーンを召喚し、盗賊の元へと走らせる。

戦士「盗賊ーっ!!」

伸ばした針のような尖端を抜き取り、ゆっくりと魔物は近づく。

ザッザッザ…

盗賊「……う…っ!」

ドサァ…

伯爵「ほう…生きているか。これはなかなか…」


323 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 00:23:07.46 ID:qSM79Iko
戦士「うああぁぁっ!!」

ダンッ!!…シュバッ!!

召喚士「戦士っ!」

伯爵「おぉっと…!」

戦士は大斧を振りかぶり、勢いよく伯爵へと叩きつける。

ブオッ!!……ヒュンッ……ドゴオォォッ!!

伯爵「…勇ましい事だ」

伯爵は後方へ飛びかわし、不敵な笑みを浮かべる。

召喚士「はあっ!!」

ゴウッ!!

伯爵「むっ…!?」

召喚士も後に続き、レイピアによる風で伯爵を後方へ退かせる。

召喚士「今のうちにっ!」

ユニコーン「お姉ちゃん!大丈夫!?」

盗賊「……っぁ…う……!」


325 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/12(水) 00:46:34.98 ID:qSM79Iko
ヒュイイイィィン…

ユニコーンの角から発せられる光が盗賊を包み込む。

盗賊「……うぅっ」

ユニコーン「これなら…大丈夫そうだ!」

戦士「てめぇ…!何だってんだ!!」

伯爵「何だ、か…。その疑問にはどう答えれば良いものか…」

伯爵は顎に手をやり、物思いにふける。

召喚士「………」

伯爵「私は魔族であり、君達の敵。つまり殺す…」

魔道士「……っ!」

伯爵「そういう事で如何だろうか…?」

伯爵は両腕を組み、一歩前へ近づく。

召喚士「戦士……!」

戦士「分かってる!……こいつは異常だ。普通の魔物とは違う」

戦士は額から流れる汗を左手で拭った。


326 : [sage saga] :2010/05/12(水) 00:47:40.41 ID:qSM79Iko
>>324をあぼーんして頂けると大変ありがたく思います…
ダメだ…寝ます!おやすみなさい!ノシ


327 : [sage] :2010/05/12(水) 00:53:43.82 ID:lACdOEAO
>>1乙
俺は寧ろゴルリン藤蔵などのミラクルが出てきたりするから誤字が好きになっきちゃっている

召還士もタイプミスだったんだよきっと…


328 : [sage] :2010/05/12(水) 01:09:45.37 ID:lcNtKmMo
魔剣士が一度だけ魔道士ちゃんにクラスチェンジしちゃってるのもタイプミスさ!

ボスクラスの敵がじゃんじゃん出てきて、まさに総力戦な感じで燃えるぜ!
次回も楽しみにしてます!



次へ 戻る 戻る 携 上へ