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村娘「あなたはどちら様ですか」
1 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:07:14.95 ID:XCm9F/nR0
男「傭兵だ」

娘「ヨウヘイさんですか?」

男「そうだ」

娘「ヨウヘイさんは何をしている人なんですか?」

男「村を守っている」

娘「それは頼もしいです」

男「そうか」

娘「でもなんで守っているのですか?」

男「頼まれたからだ」


2 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 04:08:14.53 ID:XCm9F/nR0
娘「誰に頼まれたのですか?」

男「この村の村長に」

娘「それはそれは、ご苦労様です」

男「ありがとう」

娘「いえいえ」

男「………」

娘「………」

男「………」

娘「話しかけてくださいよ」

男「俺が話す必要なんて無い」

娘「会話は大切です、コミュニケーションは大事です」


3 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 04:08:40.15 ID:sL6nUBatO
ちっ!そっち系か


4 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 04:08:53.36 ID:nQtGmjXJ0
期待age


5 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:09:09.52 ID:XCm9F/nR0
娘「もし明日にでもあなたが病気になったらどうするんですか」

男「そんなもの、要らない心配だ」

娘「その間、あなたの畑の手入れはどうするんですか?生活は?」

男「……お前は色々勘違いしていないか?」

娘「何をですか」

男「俺は傭兵だぞ?」

娘「ヨウヘイさんなんですよね?」

男「………」

娘「………」

男「いや、もうどうでもいい」

娘「よくわかりませんが、わかりました」


6 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:10:19.65 ID:XCm9F/nR0
娘「ともかく、会話は大事ですから話ましょう」

男「俺に話せることなんて無いぞ」

娘「あなたに口は無いのですか?」

男「俺の口は物を喰う為にある」

娘「それは詭弁と言うものだと思います」

男「話なんぞ殆どしたことない」

娘「だからこそ、話すいい機会と考えるべきなのでは?」

男「そう考える人ではないんだ」

娘「まったく、男らしくないひとですね」

男「ペラペラ喋る男の方が少ないと、俺は思っている」

娘「まったく…」

男「すまないな」


7 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:11:12.20 ID:XCm9F/nR0
娘「さて、そろそろ日も落ちてきましたし」

男「ああ、帰れ」

娘「なに命令してるのですか、あなたも帰りなさい」

男「何を言っている」

娘「あなたこそ何を言っているのですか」

男「……ともかく、帰れ」

娘「……ハッ!!」

男「どうした?早く帰れ」

娘「なるほど、そういうことですか……」

男「なんだ?」

娘「仕方ありません、私の家に来てもいいですよ?」

男「何トチ狂っている」


8 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:12:07.42 ID:XCm9F/nR0
娘「あなた、居場所がないのでしょう?」

男「まぁ、そうだな」

娘「ですから、作ってあげましょうと言っているのですよ」

男「別に要らん」

娘「なるほど、ヨウヘイさんは意地っ張りさんなのですね」

男「………」

娘「まぁいいでしょう、それではまた明日」

男「………」

娘「無返事は失礼ですよ?」

男「……じゃあな」

娘「ま、追及点としておきましょう。では」


9 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 04:12:39.50 ID:UKgJlGpeO
様子見


10 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 04:13:04.91 ID:jh7tmcw8O
アリだ


11 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:13:09.75 ID:XCm9F/nR0
娘「おはよう御座います」

男「……おはよう」

娘「いい天気ですね」

男「まったくだ」

娘「こんなに晴れていると心もぽかぽかです」

男「それはよかった」

娘「ヨウヘイさんは晴れて良いと思うことはないんですか?」

男「遥か遠くまで見える、何が起こっているか解り易くなるところだな」

娘「それは、目が悪い私には羨ましいです」

男「……そうか」

娘「この前も鍬とモップを間違えて土にピッタンピッタンと」

男「お前は何をやっているんだ……」


12 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 04:14:18.11 ID:0hgbLa4pO
いやナシだ


13 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:14:26.16 ID:XCm9F/nR0
娘「さて、私は田畑を耕してこなければなりませんが」

男「そうか」

娘「他に言うことは無いのですか」

男「……?」

娘「こんな貧相な娘が、今から鍬を持って畑に向かうのですよ?」

男「……あぁ、頑張れ」

娘「あなたは人として大事な何かが欠落しています」

男「そうか」

娘「ちなみに、胸が貧相とか思いましたらこの鍬で叩きますよ」

男「娘、それは箒だ」


14 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:15:43.18 ID:XCm9F/nR0
男「……平和、だな…… 今は……」

娘「まったく、その平和を食い潰すのは悪いと解らないのですか」

男「どうした、まだ昼だぞ」

娘「お昼休みです、この暑い日にずっとやってられません」

男「朝は気持ちいいと」

娘「朝のあの瞬間と、今は時間が違いますよ」

男「そうか」

娘「しかし、誰か手の空いている人が手伝ってくれませんかね」

男「………」

娘「仕事もせずに、ダラダラしている人とかいませんかね」

男「………」

娘「毎日のんびりしているだけで、食い潰している人とかいませんかね」

男「………」


15 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:16:49.69 ID:XCm9F/nR0
娘「さて、そろそろ仕事の時間です」

男「そうか」

娘「それでは、失礼します」

男「ああ」

娘「……まったく、本当に働かない方ですね」

男「それは済まない」

娘「貴方がそれでいいならもういいです、では」

男「ああ」

………

娘「ところで、鍬はこんなに重かったでしょうか?」

男「ちゃんと見て掴め、杭を抜こうとするな」


16 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:17:37.10 ID:XkRW+74B0
素直クールが流行っているな


17 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:17:47.00 ID:XCm9F/nR0
男「……今日も、何事もなかったな」

娘「ただ立っているだけで何かが起こると思っているのですか」

男「時々な」

娘「まったく、そんなでは貴方はそのうちに死んでしまいますよ?」

男「その覚悟は出来ている」

娘「な、なんて覚悟をっ!!」

男「?」

娘「貴方は親に恥ずかしいと思わないのですかっ!!」

男「そんなことは何回も考えた」

娘「……駄目だこの人、筋金入りです…」

男「……?」


18 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:19:22.80 ID:XCm9F/nR0
娘「世の中にあなたの様な人がいるなんて…」

男「まぁ、住む世界が違うってことだ」

娘「そんな世界感は知りたくありません」

男「俺も知って欲しくないと思っている」

娘「そんな他人事みたいに」

男「……」

娘「貴方は労働の素晴らしさを知らないだけです」

男「ふむ」

娘「あの開放感や充実感を味わったことがないのです」

男「なるほど」

娘「まぁ、私は面倒ですとかつまらないですとか思いますが」

男「お前は何が言いたいんだ」


19 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:20:42.10 ID:N8o/8U700
ここは見だな


20 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:20:47.43 ID:XCm9F/nR0
翌日

娘「おはよう御座います」

男「おはよう」

娘「さて、今日は働いてもらいますよ」

男「わかった」

娘「昨晩私なりに……ってあれ?」

男「どうした?」

娘「いや、わかった、と聞こえたような気がして…」

男「聞えたもなにも、そう言ったんだ」

娘「本当ですか!」

男「ああ」

娘「お母様、私はやりましたよ…」

男「そこまで喜ぶものなのか」


21 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 04:21:38.53 ID:Ufe/xxZFP
ただの素直クールじゃ惹かれない
このぶん殴りたくなるようなボケ具合に惹かれた

しえん


22 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:21:46.59 ID:XCm9F/nR0
男「で、俺は何をすればいい」

娘「では、この鍬で畑の残り半分を耕してもらいます」

男「わかった、お前は?」

娘「私は、この種を蒔いております」

男「そうか、ところで種って釜の中に入っているのか?」

娘「そんなわけないでしょう」

男「わかったから一度家に帰れ」


23 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:23:00.41 ID:XCm9F/nR0
ザクッ、ザクッ…

男「終わったぞ」

娘「全然駄目ですね」

男「駄目出しか」

娘「ただ力任せに振り下ろしてるだけですね、それではいけません」

男「なら、どうすればいい」

娘「叩きつけるのではなく、掘るようにするんです」

男「ふむ」

娘「ちょっと貸してください」


24 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:24:19.51 ID:XCm9F/nR0
ザクッ、ズッ… ザクッ、ズッ…

娘「こうです、わかりましたか」

男「良く出来ているな」

娘「当たり前です、これで生活しているのですから」

男「そうか」

娘「むしろ、なぜ貴方は出来ないのですか……」

男「こんなこと、殆どやったことがないからな」

娘「なにとんでもないことを言っちゃってるんですか」

男「おかしいか?」

娘「おかしいに決まってるでしょう」

男「そうか」


25 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:25:30.75 ID:XCm9F/nR0
娘「さて、お昼休みです」

男「やっとか、中々大変だな」

娘「そうでもないですよ、慣れれば簡単です」

男「そうか」

娘「今日のお昼ご飯です、どうぞ」

男「いいのか?」

娘「いらないなら捨ててしまいます」

男「なら貰う」

娘「はい、どうぞ」


26 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:26:17.08 ID:XCm9F/nR0
モクモク……

男「上手いな」

娘「しっかり体を動かせて働いた後の食事は美味しいものです」

男「そういうものか」

娘「そういうものです」

男「そうか」

モクモク……

娘「お茶をどうぞ」

男「ありがとう」

……

娘「いい天気ですね」

男「そうだな」

娘「先日より今日の方が気持ちいいでしょう」

男「……そうだな」


27 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:27:14.34 ID:XCm9F/nR0
娘「今日は一日、お疲れ様でした」

男「ああ」

娘「お陰で仕事もはかどりましたよ」

男「それはよかった」

娘「ということで、お礼をさせてもらいたいとおもいます」

男「別にいらん」

娘「他人の好意を無碍にするのは失礼ですよ」

男「そうか」

娘「ということで、家に招待しましょう」

男「わかった」


28 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 04:28:01.83 ID:Ufe/xxZFP
しえん


29 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:28:07.03 ID:XCm9F/nR0
娘「こちらが私の家です」

男「普通の家だな」

娘「私は普通の人ですから」

男「そうだな、俺は何を言っているんだか」

娘「偶然話しかけてきた女性が、実は高貴な生まれであわよくば結婚して」

男「それは何の話だ」

娘「貴方の脳内計画を」

男「それは無い」


30 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:29:15.14 ID:XCm9F/nR0
娘「お食事の時間ですよ」

男「ありがとう」

娘「いえ、余りかたくならずにしてください」

男「そうか」

娘「これは昼間のお礼ですから、気を使われると寧ろ嫌です」

男「そうか、なら出来る限り楽にさせてもらうよ」

娘「そうしてもらえると、こちらも楽です」

男「ところで、お前の食事はパンだけなのか?」

娘「失礼な、ちゃんとスープもありますよ」

男「そうだな、俺にはスープだけしかくれないのかと思った」


31 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:30:13.15 ID:XCm9F/nR0
男「ご馳走様」

娘「はい、お粗末さまです」

男「美味しかったよ」

娘「それは体をしっかり動かしたからですよ」

男「いや、それだけじゃないだろう」

娘「他に何があると言うのですか」

男「お前の料理が上手かったからだろ」

娘「にゃにおにぃってるのですか」

男「噛んでいるぞ」

娘「コホン、何を言っているのですか」

男「思ったことをそのまま言っただけだが」

娘「でしたら、その言葉を素直に受け取っておきます」

男「そうか」


32 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:31:14.84 ID:XCm9F/nR0
男「本日はありがとう」

娘「いやいや、しかし大丈夫なのですか?」

男「世話になりっぱなしは悪いし、これくらいの方が丁度いい」

娘「そうですか、まぁベッドで寝たい時がありましたら部屋を貸してあげますよ」

男「ありがとう、その時はよろしくお願いするよ」

娘「はい、それでは御自愛を」

男「あぁ」

バタンッ

………

娘「家ってこんなに暗いところでしたっけ?」

男「お前は何をしてる」

娘「あれ?ヨウヘイさんはなぜ室内にいるのですか?」

男「娘、ここは外だ」


33 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:32:08.72 ID:XCm9F/nR0
娘「おはよう御座います」

男「おはよう」

娘「今日もいい天気ですね」

男「そうだな」

娘「気分もいいので、張り切ってご飯を作りましょう」

男「それは楽しみだ」

………

娘「ところでなぜヨウヘイさんがここに?」

男「一々夢遊病の者を連れて行くのが面倒でな」

娘「それはお疲れ様です、大変でしたのですね」

男「誰のせいだと思ってるんだか」

娘「ところでなぜここに?」

男「自覚なしか、そうか」


34 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:32:52.48 ID:2JtzNfnO0
和むな


35 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:33:30.06 ID:XCm9F/nR0
娘「さて、今日も働きに行きましょうか」

男「あぁ、頑張れ」

娘「………」

男「なんだ」

娘「貴方もですよ」

男「なに?」

娘「働かざる者喰うべからず、です」

男「ふむ」

娘「朝食を食べた貴方に拒否権はありません」

男「なるほど、今度から気をつけよう」


36 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 04:33:39.04 ID:Ufe/xxZFP
ただこれはニータイムに立てるべきじゃなかったと思う

でもしえん


37 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:34:28.56 ID:XCm9F/nR0
娘「さて、畑までやってきました」

男「今日は何をするんだ」

娘「主に水撒きと苗植えです」

男「なるほど」

娘「ヨウヘイさんはバケツで水を汲んできてください」

男「わかった、ところでバケツはどこだ」

娘「あそこにあるじゃないですか」

男「あれはゴミ箱だ」


38 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:35:23.35 ID:XCm9F/nR0
ドスンッ

男「水だ」

娘「有難う御座います、やはり力仕事は男手が一番ですね」

男「否定はしないがな」

娘「それは、不本意であるということですか」

男「安易だということだ、現に俺は俺よりずっと力の有る女性を見たことがある」

娘「それは女性といいませんよ」

男「そうか、素晴らしい女性だったぞ」

娘「そうですか」

男「最初会って、80歳の婆さんに投げとばされた時はショックだったがな」

娘「それは人間ではありません」


39 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:37:10.21 ID:XCm9F/nR0
男「さて、水が余ったな」

娘「本当ですね、こういう時は」

男「どうするんだ」

娘「道に水撒きでもしましょう、涼しくなりますし重いものを持たずに済みます」

男「なるほど」

娘「ということで、水撒き先に居ると濡れてしまいますから気をつけてください」

男「ああ、わかった」

娘「行きますよ、えいっ!」バシャッ ドンッ

ギギギギ………

ドゴォ ザッバァァァ……

男「……水撒きとはこんな豪快なものだったか」ポタポタ…

娘「ゴメンナサイ、悪気はありませんでしたが水溜を倒してしまいました」

男「そうだな、ついでに俺も巻き込まれた」ポタポタ…

娘「そうですね」


40 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:38:11.28 ID:XCm9F/nR0
娘「さて、お風呂の準備が出来ました」

男「ありがとう」

娘「いえ、私が悪いので気にしないで下さい」

男「それでは、湯を貰っていくぞ」

娘「どうぞ」

ザバッ…

男「ありがとう、では」

娘「ちょっとなに考えてるのですか」

男「なにとは?」

娘「片手のバケツにお湯を汲んで、なにかのギャグですか」

男「え?」

娘「え?」


41 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:39:11.56 ID:XCm9F/nR0
娘「ちょっと待ってください、いつもお風呂はどうしているのです?」

男「いや、そこの川で水を汲んで、布で体を」

娘「なるほど、それで今日は目の前にお風呂がありますよ」

男「だから、湯を貰って今日は暖かい布で体が拭けると」

娘「冗談はいいのでお風呂に入ってください」

男「……?」

娘「え、じゃなくて」

男「……そういえば、風呂とはなんだ」

娘「………え?」


42 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:40:46.07 ID:XCm9F/nR0
男「……なんともいえんな」ホカホカ

娘「どうでしたか」

男「落ち着かん、今度からは遠慮する」

娘「なんと贅沢な」

男「ところで俺の服はどうしたんだ」

娘「今洗って乾かしてあげてますよ」

男「このヒラヒラした服はなんだ」

娘「それは、私の父のものです」


43 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:41:42.77 ID:XCm9F/nR0
男「なんか落ち着かんな」

娘「そうですか?案外似合ってますよ、可愛く見えて」

男「可愛くなんかない!!」

娘「ひっ、どどどうしましたか!?」

男「可愛くなんか、僕は、違う!俺は可愛くない、可愛く……」

娘「あ、あの、ヨウヘイさん?」

男「………取り乱した、すまない」ガクガクブルブル

娘「は、はぁ」


44 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:42:41.27 ID:XCm9F/nR0
娘「さて、そろそろ遅いですし寝ましょう」

男「あぁ、そうだな」

娘「寝る時はソチラの部屋を使ってください」

男「わかった」

娘「それでは、おやすみなさい」

男「おやすみ」

バタンッ

男「……そういえば、なんで俺はここに居るんだ?」

………

男「夜の偵察もしていなかったな、この頃」


45 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:42:55.51 ID:N8o/8U700
wktk


46 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 04:43:02.74 ID:cfa0lr+vO
なぜこの時間なんだ…


47 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:43:41.87 ID:XCm9F/nR0
ザザザッ……

男「A点、異常なし」

ザザザッ……

男「B点、異常なし」

ザザザッ……

男「C点、異常なし」

ザザザッ……

男「人影……?」スッ…

コツッ……コツッ……

男「歩幅、格好から女性と認識、というか……」

娘「クー、クー……」コツッ…コツッ…

男「なにやってるんだ」

娘「ここは農民の村です……クー、クー…」

男「どんな寝言だ」


48 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:45:06.89 ID:XCm9F/nR0
チュン……チュンチュン…

娘「おはよう御座います」

男「ああ、おはよう」

娘「さて、朝食の準備をしましょうか」

男「いや、いらん」

娘「え、どうしましたか?」

男「今日は手伝わん」

娘「なるほど、でしたら今日の食事は一人分の支度でいいんですね」

男「あぁ、では」

ガチャ バタン

………


49 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:46:16.43 ID:XCm9F/nR0
男「異常はなし、と……」

………ぐぅ〜

男「……そういえば、飯を取ってなかったんだったな」

………

男「まぁ、一日食わなかったくらいで死ぬこともないだろう」

娘「ですが、心を貧しくします。食事は大切ですよ」

男「……こんにちは」

娘「まったく、こんなことだと思ってましたよ」ホイッ

男「……これは?」

娘「お昼ごはんの余りです」

男「貰っていいのか?」

娘「食べないのでしたら、捨てるだけです」

男「……ありがとう」

娘「どう致しまして」


50 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:47:30.15 ID:XCm9F/nR0
男「ムグムグ……」

娘「まったく、働かずに食べる食事は美味しいですか?」

男「美味いとは思うよ」

娘「そうですか」

………

娘「私は、考えを変えました」

男「なんだ」

娘「色々と、大目に見ようと思います」

男「………」

娘「貴方に野垂れ死にされると私の心によくありませんからね」

男「それは有難う」

娘「まぁ、食事には来て下さい。無理矢理働けなんていいませんから」

男「いいのか?」

娘「好意を無下にするのは無礼ですよ?」

男「……ありがとう」


51 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:48:29.08 ID:XCm9F/nR0
娘「まったく、私はなにを考えているのでしょうか……」

コツコツ………

娘「ああいう人は、甘い顔をすればその分駄目になるというのに」

コツコツ………

娘「でも、ほおっておけませんし……貧乏くじですよ」

コツコツ……

娘「明日からまた二人分作らなければならないのですか」

コツコツコツ……

娘「まぁ、せっかくですから頑張りましょうか」

コツコツコツ……

娘「って、なんで頑張らなきゃならないんですか……まったく…」


52 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:49:52.96 ID:XCm9F/nR0
娘「よし、完璧です」

グツグツ……

娘「パンもありますしスープも、でも他に一品くらいつけちゃったりしても…」

………

娘「って、私はなにを考えているんですか! たかが夕食になにしちゃってるんです!!

  ……で、でも、食べてくれるのでしたら美味しいと言ってもらいたい、そう!そういうことです!!」

トントントン……

娘「それに、男の人はたくさん食べるって……」

トントン ガチャ

男「夕食を貰いに来たのだが、迷惑か?」

娘「そういう事を言ってしまうと、本当に迷惑だと思ってても言えないものですよ」トントン……

男「そうか」

娘「しかし、貴方も間が良いですね。丁度準備が終わりましたよ」カタッ

男「カツオブシはナイフで作るものなのか」


53 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:50:04.67 ID:N8o/8U700
ほほう


54 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:50:57.04 ID:XCm9F/nR0
男「ご馳走様でした」

娘「お粗末様でした」

男「相変わらず美味しかったよ」

娘「褒めたところで何も出ませんよ」

男「そんな期待、していない」

娘「まぁどうでもいいです」

男「明日は手伝うぞ」

娘「そうですか、でしたら早めにお休みになった方が良いですよ」

男「そうだな」

娘「では、お先におやすみなさい」

男「うん、おやすみ」


55 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:52:07.55 ID:XCm9F/nR0
………

男「………」

娘「………」

男「なんでここに居る」

娘「私の家です、どこに居ようと勝手です」

男「そうだが、さっき寝ると」

娘「いつ寝るかも私の勝手です」

男「そうか」


56 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:53:07.40 ID:XCm9F/nR0
………

娘「何か話してください」

男「いきなりなにを言う」

娘「会話は大事なコミュニケーションです」

男「まったく…」

娘「つまらないのです、何か娯楽を提供してください」

男「俺をなんだと思ってるんだ」


57 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:54:15.30 ID:XCm9F/nR0
娘「……つまり貴方のご両親はご立派な方だったと」

男「立派なんてものじゃない、俺の為に生きて、死んでいった」

娘「ご立派ですよ、それなのに貴方はこんな……」

男「そうか、でも俺と親父は似たようなものだったぞ」

娘「ダメ息子は大抵そういう事を言うものですから」

男「耳の痛いことだ」

娘「少しは自覚してください」

男「そうだな、すまない」

娘「私に謝られても困りますよ」

男「それじゃ、俺はどうすれば良いんだ?」

娘「そうですね、父親さんに笑われないようにしろ、としか言えませんね」

男「なるほど」


58 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:55:27.11 ID:XCm9F/nR0
娘「さて、本当にそろそろ寝ます」

男「そうか」

娘「ヨウヘイさんも早く寝てくださいね」

男「あぁ」

………

娘「……ヨウヘイさん」

男「なんだ」

娘「話し相手になってくれて、ありがとう」

男「……あぁ」

娘「では、おやすみなさい」

バタン

………

男「…………仕事に行こう」


59 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:56:16.66 ID:XCm9F/nR0


娘「おはよう御座います」

男「……おはよう」

娘「今日はヨウヘイさんより早く起きられました」

男「そうだな」

娘「ということで、食事に手間をかけてみました」

男「それは楽しみだ」

娘「そういってもらえると嬉しいです」

男「ところで今は何時だろうな」

娘「お昼時ですかね……」

男「寝すぎだな」

娘「貴方もですね」


60 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:57:04.11 ID:N8o/8U700
ふむ


61 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 04:57:08.45 ID:XCm9F/nR0
娘「さて、朝の分を取り戻すために頑張りましょう」

男「あぁ、そうだな」

娘「ヨウヘイさんにもたくさん仕事を回しますので、そのつもりで」

男「あぁ……」

娘「どうしましたか?」

男「なんでもないぞ」

娘「そうですか、それではこのスコップをもって下さい」

男「それは物干竿だ」


62 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 05:02:44.65 ID:XCm9F/nR0
さて、書き溜めがなくなったと言ったらどれだけ叩かれる事やら……

というかごめんなさいorz


63 :VIPがお送りします [] :2009/07/19(日) 05:06:28.66 ID:0hgbLa4pO
私怨


64 :VIPがお送りします [age] :2009/07/19(日) 05:07:24.86 ID:eGiiNzGFO
おい!!!


65 :VIPがお送りします [sage] :2009/07/19(日) 05:07:39.48 ID:15w8exZW0
追いついた
この時間帯が俺にとっての昼だから困る



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