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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その35
- 697 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2012/01/15(日) 18:42:24.66 ID:A9SCtQD3o
〜竜宮城、最深部〜
ドドドドドドオオォォ……
東方参謀「随分と激しくなってきたな」
南方参謀「居たわよぉ!! こっちこっちぃ!!」
タッタッタッ……ガチャガチャ
南方参謀「ここ見てっ! 大きな岩で塞がれてるけど隙間にほらっ!」
東方参謀「むっ! 確かに……」
グラグラグラッ
東方参謀「しかし危ういな。上で行われている戦闘の衝撃で、岩場がいつ崩れてもおかしくない」
南方参謀「でも、早く助けないと手遅れに……」
東方参謀「分かっておる。お前は反対側から岩を押し上げえるのだ」
南方参謀「了解よっ!」タタッ
ゴゴゴゴゴゴ……
南方参謀「な、何……? 何の音!?」
東方参謀「まずいっ!」
- 698 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:42:58.18 ID:A9SCtQD3o
ゴッシャアアァァァァ!! ズズウウウウゥゥゥゥン!!
南方参謀「きゃあぁーっ!」
東方参謀「ぬおおぉぉぉぉ!」
ドドオオオオォォォォ……ゴトゴトッ
南方参謀「……うっ」
パラッ
南方参謀「東方先生……っ?」
東方参謀「大事……ないか……っ?」
南方参謀「――!?」
東方参謀「なに、倒した傷ではない。それよりも見よ……っ」ゴトッ
南方参謀「あぁっ!!」
東方参謀「今の衝撃で、うまく隙間が出来てくれたわ……」ヨロッ
南方参謀「みんなぁーっ! 無事!? 無事なら返事してっ!」
格闘家「……南方……参謀さん」
南方参謀「格闘家くんっ!!」
- 699 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:44:00.17 ID:A9SCtQD3o
ゴトンッ!! ザザアアァァ……
南方参謀「ちょっと待ってね! 今、手を……」ググッ
格闘家「……んっ」
グイイィッ……ドサッ
南方参謀「良かった! 怪我は? 他の人達は?」
格闘家「この、瓦礫の下に」
東方参謀「動けるならば、ワシの言う通りに岩をどけよ」
格闘家「東方先生……っ!? そ、その怪我は……」
南方参謀「急に降ってきた瓦礫の直撃を受けて……っ、先生が身を挺して……」
東方参謀「たまたま居合わせたまでの事よ。それよりも早くした方が良い」
格闘家「わ、分かりました……っ」
東方参謀「まずは、その手前の……うぅっ、岩を……どけよ」
格闘家「……はい」ガゴッ
東方参謀「良いぞ。次にこっちの岩……ごほっ、を……どけるのだ」
格闘家「は、はい……っ」ゴトンッ
- 700 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:44:39.44 ID:A9SCtQD3o
…
南方参謀「出られるーっ!?」
女隊員「なん……とか……っ!」ググッ
槍侶「格闘家殿、手を貸して頂けますか? 男隊員殿が……っ」
格闘家「はい。今、ロープを……」シュルッ
南方参謀「男隊員、酷いの?」
女隊員「一番前に居たから、直撃を受けたッスよ……」
槍侶「……くはぁ! はぁ……っ」ズザッ
東方参謀「……意識は?」
格闘家「男隊員さん、大丈夫ですか!?」
男隊員「……」
女隊員「意識はあるけど……」
南方参謀「ちょっと! しっかりなさいっ!」ユサユサッ
男隊員「……あ……あぁ」
東方参謀「……おい、隊長はどうした?」
- 701 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:45:30.80 ID:A9SCtQD3o
男隊員「……」
女隊員「隊長は……隊長はその……っ」
格闘家「この岩の向こう側です。ですが……」
南方参謀「ですが……何よ? ねぇ、何なのよ!!」
格闘家「……恐らくはもう」
南方参謀「何言ってるのよ! あなた達の隊長でしょう!?」
女隊員「……っ」
南方参謀「隊長がねぇっ、そんな……あるわけないでしょうっ!」
男隊員「……っだよ」
南方参謀「何よ?」
男隊員「俺達の隊長だから……っ、分かって言ってんだろうが!!」
東方参謀「……」
男隊員「隊長はなぁ……隊長はなぁ! 死んだんだよ!」
南方参謀「……そんな……嘘よ……っ」ガクッ
格闘家「東方先生」
- 702 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:46:09.24 ID:A9SCtQD3o
東方参謀「ん?」
格闘家「この岩、破壊出来ないでしょうか」
東方参謀「……ふっ、隊長を助けるか?」
格闘家「諦めたらそこまでです。一縷の望みに掛けてみましょう」
女隊員「そうッスよ! それがいいッス!」
槍侶「しかし、この岩を砕くにはかなりの労力が……」
東方参謀「……仕方なし」スクッ
南方参謀「……?」
東方参謀「見ての通り、このザマよ。撃てるとしても1発げ限度」
格闘家「先生……」
東方参謀「構わぬ。お前らでは困難であろう」ズズッ
槍侶「ど、どうなさるのですか!?」
東方参謀「見ておれ、我が最終奥義……」
槍侶「!?」
南方参謀「東方参謀は戦う軍師と呼ばれているの。こう見えても武闘派よ」
- 703 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:46:47.62 ID:A9SCtQD3o
槍侶「な、何と……っ」
東方参謀「はああああぁぁぁぁ……っ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
格闘家「す、凄いっ。先生の精神が一点の曇りもなく……」
東方参謀「明鏡止水の心構えよ。精神を統一し……集中力を限りなく限界まで高める」
キイイィィィィン
東方参謀「ぬああああぁぁぁぁーっ!!」
バッゴオオオオォォォォン!! ズガアアアアァァァァン!!
槍侶「お、おぉ……っ!!」
格闘家「凄まじい威力の掌底……っ」
東方参謀「……ごほっ! がはぁ!」ガクン
女隊員「東方先生っ!!」
東方参謀「ど、どうだ……っ」
ガガアアァァァァ!! ドシャアアァァァァ……
南方参謀「お見事っ! 崩れたわ!」
- 704 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:47:39.29 ID:A9SCtQD3o
槍侶「……っ」ザッザッ
格闘家「……何も……ない」ザッザッ
東方参謀「やはり……駄目か……ごほっ」
ドロォ
南方参謀「ん? 何これ……何か、流れ出してきているわよ?」
女隊員「!?」
男隊員「触れるな! 夜行の本体だ!」
東方参謀「何ぃ!?」
格闘家「まずいですね。この奥から、徐々に溢れ出してきていますよ」
東方参謀「早く退いた方が良さそうだな……ごほっ」
男隊員「こっちからも漏れてやがる。こりゃチンタラしてる場合じゃねぇぞ」
南方参謀「早く上へ戻りましょっ! 動ける人は、怪我人に手を貸してっ!」
格闘家「槍侶さん、俺らは東方先生を」
槍侶「御意に!」
南方参謀「アンタはこっち! 早くつかまって!」
- 705 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:48:36.81 ID:A9SCtQD3o
ガシッ タッタッタッタッタッ
槍侶「……脱出口は……どこです!?」
東方参謀「おかしい。確か、この辺りから上に……」
南方参謀「ちょっと見てっ!!」
格闘家「……塞がれてしまっている……っ!」
東方参謀「先程の衝撃で……何と言う事か……っ」
女隊員「他に道はないんスか!?」
格闘家「……見当たりません! くそっ、ここまで来て……」
槍侶「先程の、えぇと掌底では無理なのでしょうか?」
東方参謀「そうしたいのは山々だが、最早……撃つ気力は残されておらぬ……」
男隊員「ゲームオーバーってか……ふざけんなチクショウ!!」ガッ!!
格闘家「先生、俺に掌底を教えて貰えませんか?」
東方参謀「何……?」
格闘家「あの威力ならば、俺が未熟であったとしても、この岩を破壊するのも可能でしょう」
槍侶「それならば私とて、力になれるのであれば」
- 706 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:49:22.78 ID:A9SCtQD3o
東方参謀「……ふふっ、ふはははっ! 実に頼もしい!」
格闘家「なれば……」
東方参謀「だが、残念でならぬ」
槍侶「……?」
東方参謀「あの奥義はな、ただの打撃に在らず。自身の魔力を込めて放っておるのだ」
格闘家「!?」
槍侶「そ、それでは……っ。我等には使う事は出来ぬと……?」
東方参謀「そういう事だ。これ程の者らが居ながら、実に残念な話よ」
格闘家「……っ」
槍侶「……その、魔力と申すもの、確か誰にでも持ち合わせていると」
南方参謀「ええ。一部の特殊な人間を除けばね」
槍侶「であれば、私にも……?」
男隊員「一朝一夕で身に付くモンじゃねぇ」
槍侶「そう……ですか」
格闘家「やるだけやってみましょう」
- 707 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:50:00.24 ID:A9SCtQD3o
女隊員「格闘家くん……?」
格闘家「俺らはないのではなく、使えないだけです」
東方参謀「……」
格闘家「ならば、それを火や雷に変える事は出来ずとも、放出する事は出来るかもしれません」
南方参謀「確かにそうね。五行に絡めるのは難しいとしても……」
東方参謀「魔力のみを放出するには、不可能ではない……か」
格闘家「試す価値はあると思います」
槍侶「格闘家殿の申す通りかと」
東方参謀「……良かろう。ならば、やってみせい!」
格闘家「はい」
東方参謀「まずは明鏡止水の境地。心を落ち着かせ限りなく無に――」
ピシイイイイィィィィン
格闘家「…………」
槍侶「…………」
東方参謀(こ、こやつら……っ!)
- 708 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:50:57.63 ID:A9SCtQD3o
女隊員「嘘……っ」
男隊員「気配すら感じねぇ……っ、なんつう奴らだ……!」
東方参謀「良いぞ。そのまま自身の、中心部を意識し、感じ取るのだ」
イイイイィィィィ……
東方参謀「己の中に秘めたる魔力を水のように、溢れ出させるイメージを作り……」
格闘家「…………」
東方参謀「更にはそれを留め、全てを右手に集中させるのだ!」
槍侶「…………」カランッ
女隊員「ゾディアックが!」
東方参謀「良い。下手に魔力を加えて使用すれば、逆に命が危うい」
ゴゴゴゴゴゴ……
男隊員「うお……っ、急に威圧が……こみ上げ……」
東方参謀「良いかっ! それを全て掌に……ごほごほっ」
格闘家「…………っ」
東方参謀「乱れるな! 自分自身にのみ集中せいっ!」
- 709 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 18:52:01.79 ID:A9SCtQD3o
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
東方参謀「目を開くと同時に、目の前へ一気に掌底を突き出すのだ!」
格闘家「……はああああぁぁぁぁ」
槍侶「流派……東方参謀が最終奥義……」
ピッキイイイイィィィィン!!
格闘家「眼前の石を破り……その道を切り開けええぇぇ!!」
槍侶「驚天動地のその威力っ!! この……拳にいいぃぃ!!」
ガッカアアアアァァァァ!!
女隊員「きゃあぁーっ!!」
男隊員「くあぁ……っ! 光……っが――」
ドッグオオオオォォォォン!!
東方参謀「ま、まさか……これ程の威力とは……っ!!」
南方参謀「伏せてええぇぇ!!」ガバッ!!
格闘家と槍侶の放つ掌底は、眩い光となりて、行く手を塞ぐ岩石を吹き飛ばす。
その威力、まさに天をも驚かす程の凄まじいものであった。
- 711 名前:NIPPERがお送りします(愛媛県) [sage] 投稿日:2012/01/15(日) 19:16:23.04 ID:80J442u3o
格闘家と槍侶で放つラブラブ天きょ…
- 713 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/01/15(日) 19:56:12.18 ID:PIYGjSuJo
格闘家は使えないのではなく、ないんじゃなかったっけ?
眠ってただけなのかな?
でも魔翌力使えるようになっちゃうと特別な駒としての価値が下がっちゃうね
- 720 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 23:36:10.32 ID:A9SCtQD3o
〜剣聖の屋敷〜
ドッガアアァァァァン!!
サル「おわっち!!」ゴロゴロッ
イヌ「何してるね! 早くこっち来るね!」
女侍「しっかしこの魔物は、とんでもあい絶倫だねぇ」
帝「何だそれは?」
名代「上様は存じ上げずとも結構っ!」ズザッ
神野「さぁ、諦めなさい!!」
東方司令「させるかっ!」ズザァ!!
神野「しつこいですよ貴方は!!」
バッギャアアァァ!!
魔道士「東方司令さんっ!」
東方司令「力負けするとは……っ。まずいな」
召喚士「東方司令さんが押された……?」
東方司令「いかに奴の能力が効かぬとて、体力にも限りがある」
- 721 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 23:37:04.05 ID:A9SCtQD3o
神野「よく分かっているじゃあないですかぁ!」
ガキイイィィィィン!!
神野「生憎、此方は皆々様のお陰で、回復出来ましたからねぇ!!」
東方司令「やかましいっ!!」
召喚士「行けっ! ノーム!!」
シュイイィィィィン
神野「ヒャーッハッハッハ!! 無駄無駄アァ!!」
ズガアアァァァァン!!
ノーム「最初から老人だからと、こういう使い方はどうかと思うぞお主」
召喚士「すみません……」
神野「くっ! なめた真似をしてくれる! 遊んでいる暇はないのだっ!」
東方司令「それはこちらとて同じ事だ!」
ザシュウウゥゥゥゥ!! ズザザアアァァ
神野「……ちっ」グイッ
召喚士「……ん?」
- 722 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 23:38:20.45 ID:A9SCtQD3o
トテトテトテ……
座敷童子「ようっ!」
召喚士「座敷……?」クルッ!!
名代「……っ」
召喚士「……なるほどっ」
座敷童子「やれやれ。大きな大きな虎じゃのぅ」
神野「何だ君は? 見慣れぬ妖だな」
座敷童子「おっ? 私の事を知らないとは無礼な奴じゃなっ! ぷんすか!」
神野「ククッ。よく分かりませんが、消えなさい!」
ガシィッ!!
座敷童子「むうぅーっ!!」ジタバタッ
神野「クククッ……ん?」
バシュッ!!ボウウウウゥゥゥゥン!!
神野「消え……何いぃ!?」
名代「ようやく虎穴に入る事が……叶いましたね」
- 723 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/01/15(日) 23:43:58.79 ID:A9SCtQD3o
眠くて頭が働かなくなってるよ!ごめんなさいだよ!
今日はこれにて失礼致しますね。おやすみなさいです!
週末もアツイご支援ありがとうございました!それでは!ノシ
〜オマケ。本日の没シーン〜
神野「ククッ。よく分かりませんが、消えなさい!」
ガシィッ!!
座敷童子「むうぅーっ!!」ジタバタッ
神野「クククッ……ん?」
バシュッ!!ボウウウウゥゥゥゥン!!
座敷童子「あら〜ん。大人になっちゃったぁ」ムチーン
サル「うおおぉぉ! 色っぺぇ!」
東方司令「ブーッ!!」バターン!!
座敷童子「いやぁ〜ん! 服が小さくって……はみ出ちゃってるぅ〜ん」クネクネ
神野「む、無念……だが、ワイは幸せやぁ……」ドカーン!!
魔道士「やった! 魔物を倒し……召喚士さんっ!?」
召喚士「……あ、ああ……ああぁぁ」ガクガク
神野悪五郎は倒した! しかし一同にも甚大な被害が及んだのであった。
〜第五十六部、完了〜
- 730 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/16(月) 17:34:18.65 ID:E+BxmQ7ko
ゴゴゴゴゴゴ……
神野「なぁにいいぃぃ!?」
名代「ようやく、一撃を叩き込めますね」
神野(居なかったッ、確かに居なかったはずだ……ッ!!」
名代「毘沙門天!!」
神野「そうかっ、さっきの妖が――」
バッゴオオオオォォォォォン!!
神野「グブ……ッ!」
毘沙門天の斬り上げにより上空へ吹き飛ばされる神野悪五郎。
座敷童子の能力は使役した者との場所を入れ替える。ただそれだけのもの。
だが、初見で味わえば理解する事は安易ではない挙句、懐に潜り込ませれば、
今回のように奇襲を仕掛ける事も可能であった。そして、その攻撃を起点に攻撃は続く。
イヌ「ようやく……こっちのターンね!」
サル「いんや、こっからはずーっと俺達のターンだ!」
打ち上げられた神野悪五郎めがけ、サルとイヌが襲い掛かった。
- 731 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/16(月) 17:35:05.83 ID:E+BxmQ7ko
バッゴオオォォォォン!!
女剣士「次いぃ!!」
くの一「てやああぁぁーっ!」シュババッ!!
神野「こ……のっ!!」
キジ「受け身は、とらせないさー!」
女剣士「ふんっ!」
ザシュウウゥゥ!! ガゴオオォォン!!
東方司令「まだまだっ!」
帝「はあぁーっ!」
ズバシュウウゥゥゥゥ!!
神野「グゴッ……ガフッ!」
空中での連続攻撃にかろうじて耐え、神野悪五郎は着地で受け身を試みる。
神野「――ッ!?」
魔道士「やああぁぁーっ!!」
ドッゴオオオオォォォォン!!
- 732 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/16(月) 17:35:32.59 ID:E+BxmQ7ko
魔道士の放つ土柱が神野悪五郎の腹部を直撃し、体は再び空中へと押し上げられた。
神野「ゴハアアァァーッ!!」
召喚士「……とどめだっ!!」
神野「チイイィィィィ!!」
避けなければ少なくとも虎の状態での戦闘は敗北。頭ではそう分かっていても、
強制的に吹き飛ばされた体では、目の前の召喚獣に対応する事は不可能であった。
コカトリス「触れなければ、貴様なぞただの的にすぎぬな」
ゴッガアアアアァァァァ!! ビキビキピシイイィィ!!
神野「……ククッ、次……行きましょうか」
ガゴッ……ビキビキビキイイィィ
巨大な1つの岩石となった神野悪五郎は、そのまま地上へと落下する。
ドッズウウゥゥゥゥン!!
サル「た、倒したのか……っ?」
名代「いえ、そうは思えません。あと二つ……変身を残していると思われます」
召喚士「……大丈夫ですよ。あと、たったの2つです」
- 733 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/16(月) 17:36:01.06 ID:E+BxmQ7ko
〜竜宮城、地下〜
戦士「……う……ぅっ」
青年兵「…………」
西方参謀「青……年兵……!?」ヨロッ
風忍「大事ないか?」
西方参謀「……気を失っているだけみたいだな」
火忍「魔王はどうなった?」
土忍「分からぬ。姿は……ない」
盗賊「……っ」ゴトッ
兄様「無事か?」
盗賊「――っ!!」
水忍「若……っ、左腕を……!」
兄様「気にするな。この身も所詮は複製。消滅すれば次があるだけの事よ」
盗賊「……っ」ギリッ
兄様「それよりも、全員……健在だな?」
- 734 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/16(月) 17:36:31.42 ID:E+BxmQ7ko
風忍「かろうじて、ですが」
火忍「鬼丸がいねぇぞ?」
鬼丸「おおーい、ここだここ!」
水忍「あんな所まで吹き飛ばされていたか」ザッザッザッ
西方参謀「青年兵と戦士は意識を失っているだけだ。じきに回復するだろう」
盗賊「戦士……っ」
兄様「意識が戻るまで、傍に居てやるといい」
盗賊「……はいっ」ダッ
火忍「はぁ〜あ。これで終わりなら、いいんだけどなぁ――」
ドッゴオオオオォォォォン!!
火忍「…………へっ?」クルッ
――「ブフウウゥゥゥゥ……フゴオオォォォォ!!」
火忍「――!?」
水忍「な、何だこの……大蝦蟇はっ!!」
兄様「まさか……マーラか?」
- 735 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/16(月) 17:36:58.52 ID:E+BxmQ7ko
ドッシイイイイィィィィン
マーラ「……よぐも……よぐもやっでぐれたなああァァ!!」
ビリビリビリッ!!
西方参謀「へっ、オカマの正体は大蝦蟇だったってか? ヒック」
マーラ「……ごの……醜い姿にいいぃぃ……醜い姿を見ぜられるとばアアァァ!!」ドシィン!!
風忍「倒せる、倒せるぞ!」
鬼丸「ん? 大蝦蟇だったのか。魔王とは出世したもんだわなぁ」
マーラ「絶対にイイィィ……許さないわよオオォォ!!」
兄様「満身創痍で何を言うか。優劣ひっくり返ったな」
水忍「若、一気に畳み掛けましょう」
火忍「ああ。今なら間違いなく倒せる!」グイッ
兄様「良し。風林火山……まだいけるな?」
土忍「あと一発ならば、全開で放てます」
兄様「風林火山の直後、残りの者で全力を叩き込め!」
盗賊「……り、了解っ!」
- 736 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/16(月) 17:37:28.84 ID:E+BxmQ7ko
ジャリッ
風忍「……いくぞっ! 風遁最終奥義……」
マーラ「ヤタガラスウウウウゥゥゥゥ!!」
ヤタガラス「はいぃ!!」ビクッ!!
鬼丸「……?」
マーラ「よぐも……よくもオオォォォォ!!」
ヤタガラス「へ、へいっ! 魔羅様――」
バクンッ!!
盗賊「!?」
モシャモシャモシャッ ゴクンッ!!
マーラ「ゲハアアアアァァァァ! 皆殺しだアアァァァァ!!」
グググッ……ブッシュウウウウゥゥゥゥ!!
水忍「魔王の体が……っ!!」
兄様「まさか……っ!? ちいぃーっ!!」ダンッ!!
バッゴオオオオォォォォン!!
- 737 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/16(月) 17:38:03.37 ID:E+BxmQ7ko
盗賊「兄様あぁ―っ!!」
兄様「……間に……合わなかったか……っ」ゴシャッ
マーラ「……ククッ、ほっほっほっほっほ!!」スタッ
風忍「――――っ!?」
マーラ「そう、アタシはこの姿でなくば。美しい……この世で最も美しいのだ」
盗賊「あ……あぁ……っ」
西方参謀「元通り……っかよ。くそっ、あのカラスは予備の餌ってわけか」
火忍「どうすんだよっ!!」
風忍「若……っ」グイッ
兄様「俺に構うな……っ、魔王を……」グググッ
マーラ「雌雄の境なく、誰もが羨むその美、力、命」
盗賊「……っ」
マーラ「女一人。なかなか整った顔立ちよのぉ」フワァ
盗賊「く……っ!」ズザッ
火忍「姫えぇ! 逃げろぉーっ!」
- 738 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/16(月) 17:39:02.70 ID:E+BxmQ7ko
盗賊「戦士を置いては……行けぬっ!」
マーラ「男衆は此れより、我が力を以って……色欲の煩悩へと堕としてやるわ」
兄様「盗賊……っ」
マーラ「女は……死んで頂戴」
兄様「盗賊を守れええぇぇ!!」
火忍「何が何でもだ! 姫を……死なせるかよぉ!」
風忍「火! 俺と奥義だ!」
火忍「何!?」
土忍「土遁……磐石!」
ドドオオォォォォン!! ゴガガアアァァァァ!!
マーラ「最早、この程度しか出来ぬのか? ほーっほっほっほ!!」バシィ!!
水忍「姫えぇーっ!」
火忍「――――」
風忍「風月!!」
ザッシュウウウウゥゥゥゥ……
- 739 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/01/16(月) 17:39:28.93 ID:E+BxmQ7ko
戦士「……ん……っ」
ポタッ……ポタポタポタッ
戦士「……?」ガバッ!!
盗賊「あ……っ」
ドサッ
戦士「盗……賊……?」
マーラ「ほっほっほ。呆気無かったわねぇ」
戦士「盗賊……おい、盗賊……返事しろよ……っ」ユサユサッ
盗賊「…………」ピクンッ
瞳孔を見開いたまま、首筋より大量の血を地面へと垂らす盗賊の姿。
戦士は肩を起こし、懸命に声を掛けるが、盗賊が返事をする事はない。
戦士「盗賊っ、盗賊!!」
盗賊「…………」
ただただ流れる赤い血とは裏腹に、盗賊の頬は次第に冷たさを増してゆく。
そして微かに震えていたその身体も動きを止め、戦士の腕に抱かれたまま動かなくなった。
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