■戻る■ 戻る 携 下へ
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その23
154 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:36:15.54 ID:EJg7gAUo
ガヤガヤガヤッ

東方副司令「では、本日の主役とも言えるかたがたのご紹介です」

カツカツカツ…

東方副司令「まずは、今議会において船頭を取られた青年兵殿」

青年兵「東方司令部の皆様、まずはお礼の意を申し上げます」

名を呼ばれ壇上に上がる青年兵は、深々と頭を下げる。

青年兵「皆様においては不快な思いもさせてしまい、申し訳ありません」

東方伍長「……」

青年兵「しかし、必ずやこの決断は報われるでしょう」

東方兵「俺は…アンタに付いて行きまずぜぇー!」

青年兵「私はご紹介の通り、船頭に過ぎません。主役は……」

カツカツカツ

皇太子「皆々には大変感謝しているぞ。ありがとう」

ワアアァァ

皇太子「私の為ではなく、本国…そして、世界中の人々の為に力を貸してくれ」


155 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:36:56.94 ID:EJg7gAUo
南方司令「殿下ーっ!」

皇太子「そしてますは此方の方をご紹介させて頂く」

シズシズシズ…

帝「……」

東方兵「おぉ……っ」

皇太子「存じている者もいるであろうが、東方の女王陛下であられる帝様だ」

帝「お初にお目にかかります」

ペコリ

魔道兵「…可憐だ」

東方伍長「……ああ」

帝「我ら東方は今後、本国と共に…人類の為に戦いたいと思う」

ワアアァァ

帝「国は違えど同じ人間。共に歩もうではないか」

戦士「流石だな」

召喚士「うんっ!」


156 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:37:23.66 ID:EJg7gAUo
盗賊「……上様」

東方副司令「では折角の機、存分にご歓談下さいませ」

ガヤガヤガヤッ

東方司令「なるほどな…。キミはあの方の護衛だったのか」

女剣士「ええ」

シズシズシズ

帝「女剣士」

女剣士「上様……」

帝「東方司令殿」

東方司令「は、はいぃ…!」

帝「この者を頼む。この通りだ」

ペコリッ

東方司令「ボ、ボクは……頑張りますぅ!」

カツカツカツ

エリート「東方司令、貴女は今後…どうなさいますか?」


157 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:37:57.36 ID:EJg7gAUo
帝「私は『うよく』の殿下を支持しようと思う」

東方司令「ボクも…当然でありますっ!」

皇太子「助かる」

東方司令「そ、それが…師匠との約束うぅ…」

青年兵「凄い…。酔っているのに素面だ……」

カツカツカツ…

青年兵「東方先生」

東方参謀「…わーっはっはっは!恐れ入ったぞ、小僧!」

青年兵「ありがとうございます」

東方参謀「殿下、ワシもこれからは堂々と右翼を支援させて貰う」

皇太子「派閥嫌いの先生が…宜しいのか?」

東方参謀「派閥は嫌いだが、左大臣は虫が好かぬ」

エリート「心強いお言葉です」

東方参謀「但し、道を間違えるでないぞ?その時は……」

皇太子「分かっているつもりだ。期待に応えよう!」


158 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:38:29.47 ID:EJg7gAUo
ゴクッゴクッゴクッ…カンッ

南方司令「……っはぁ!」

戦士「なかなかイケるクチじゃあないですかい」

南方司令「無論!正義の名において酒などに負けてはいられぬ!」

左翼長「正義派関係ねーだろ……」

カツカツカツ

魔道士「あっ、名代さん!」

名代「楽しんでおられますかな?」

召喚士「どこに行かれてんたんですか?」

名代「司令部内を拝見させて貰っていた」

盗賊「……司令部内を?」

名代「本国に来る機会など早々ないからな」

南方司令「勤勉ですなぁ…!」

左翼長「お前も少しは見習ったらどうだ?」

召喚士「あははっ!」


159 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:39:01.34 ID:EJg7gAUo
シズシズシズ

帝「名代」

名代「上様、お疲れ様で御座いまする」

帝「何処におったのだ、探したぞ」

名代「色々と勉強させて頂いておりました」

帝「そうか。しかしあれだな」

名代「…?」

帝「本国も良い所じゃ。国も…人も……」

名代「…ええ、全くです」

左翼長「ありがとうございます」

南方司令「南は更に良い所ですぞ!」

帝「南…?ほぅ、それは一度訪ねてみたいものだ」

南方司令「是非是非来て下され!一同歓迎致しますぞ」

帝「…うむ。何れ機会を設けよう」

名代「そうですね。他方も是非、訪ねてみたいものです」


160 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:39:47.39 ID:EJg7gAUo


東方兵「青年兵様、どうぞお召し上がり下さい!」

魔道兵「さぁさぁ、たーんと飲んで下され!」

青年兵「ありがとうございます」

テクテクテク…

東方参謀「あっという間に兵らの心を掴んだな」

エリート「東方先生。……ええ、私も些か驚いております」

当方司令部の兵卒に囲まれ、笑顔を見せる青年兵。

その姿を遠目から東方参謀とエリートがグラスを片手に見つめる。

東方参謀「お前はあの男を担ぎ上げるつもりか?」

エリート「さぁ…それはまだ分かりません。彼次第ではないでしょうか」

東方参謀「殿下と青年兵か…。悪くないな」

エリート「ええ。私は神輿になる才能はありませんからね」

東方参謀「あの二人ならお前はその間として適任だな」

エリート「ありがとうございます」


161 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:40:13.85 ID:EJg7gAUo
ガラガラガラッ

東方参謀「さぁ、切り終えたぞ」

盗賊「…よし!」

タンッ!!

召喚士「早っ!」

青年兵「あれ…?東方魔道長様は…」

東方司令「顔を出せるわけがなかろう」

左翼長「奴はあからさまに左翼だからな」

青年兵「そう…ですよね…」

帝「……」

スタッ

盗賊「上様、宜しければどうぞ」

帝「…苺のけーきか。有難う」

盗賊「いえ…」

帝「……うん、美味いぞ。盗賊を食すと良い」


162 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:40:50.97 ID:EJg7gAUo
盗賊「はいっ」

テクテクテク

女剣士「上様、ケーキを……」

帝「ん?おぉ、既に盗賊から頂いてしまったぞ」

女剣士「そうでしたか。それは失礼を…」

帝「構わぬ。折角持ってきてくれたのだ…頂こう」

パクッ

帝「それに、甘い物は幾らでも入るぞ」

女剣士「上様…っ」

タッタッタ…ズイッ

東方司令「よ、良ければ…ボクのも……どうぞ!」

コンモリ

帝「……こ、これはどうも…ありがとう」

東方司令「い、いやぁ〜はははっ!こ、この程度あのその……」

帝「しかし…食しきれるであろうか……」


163 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:41:37.72 ID:EJg7gAUo
スタスタスタ

名代「上様、再三申しておるでしょう」

帝「う……っ」

女剣士「何か?」

名代「ここ数日、菓子ばかり食しておってな」

帝「食事もしっかり摂っておるであろう」

名代「そういう事では御座いません」

帝「むぅ」

名代「とにかく、今宵はもうおしまいになさりませ」

ヒョイッ

東方司令「あ……」

名代「…?」

盗賊「……」

名代「これは、他の方に食して頂きます」

東方司令「……あ、あぁ…っ」


164 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:43:06.44 ID:EJg7gAUo


東方副司令「さて、ここで余興などを一つ…」

ザワザワ…

戦士「余興…?」

魔道士「何でしょうね」

東方副司令「当司令部楽団による、演奏を行います」

召喚士「なるほど…。音楽ですね」

魔道士「おぉーっ、素敵ですねぇ!」

間もなく壇上では楽団が並び立ち、各々の楽器を手にスタンバイする。

皇太子「これが本来のあるべき姿なのだ」

帝「……?」

皇太子「二本の手には武器など携えず、こういう物を持つべきなのだ」

帝「…まことその通り。血で汚れた掌で…楽器や赤子など…」

皇太子「早くそんな世の中を築きたい。貴女のお陰でそれが近づきました」

帝「此方こそ。それが私の宿命であったのだろうな」


165 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:43:53.23 ID:EJg7gAUo
東方副司令「それでは、お願い致します」

カツカツカツカツ…

エリート「…先生!?」

東方参謀「わしの指揮に…付いて来れるかぁ〜!?」

ヒュンッ!!

魔道士「……独創的な指揮者ですね」

戦士「あ、あぁ…」

召喚士「でも、演奏はとても素晴らしいですね」

盗賊「…ああ。素晴らしいな」

帝「いやはやこれはお見事。本国の音楽は甘美よの」

皇太子「うむ。実に良い音色だ」

魔道士「とっても素敵なクリスマスパーティーですね…えへへ!」

召喚士「はいっ!」

細雪の降り注ぐ夜、奏でる音色に合わせ皆の心が一つになってゆく。

目には見えないけど、それは確かに全員感じた事なんだと思う。


166 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:44:21.03 ID:EJg7gAUo


魔道士「ありがとうございました!」

東方副司令「楽しんで頂けたようで何よりです」

召喚士「青年兵くん、本当におめでとう」

青年兵「ありがとうございます!でも、まだ終わりではありませんから…」

右文官「うむ。左翼も後がない…。かなり力を入れてくるだろうしな」

右秘書官「次は…南方か」

東方司令「南方?北ではないのか?奴らは北へ向かったと…」

青年兵「だからこそ南方なのです」

右秘書官「どちらも投票日は一緒です。それであるならば…」

右文官「奴らの向かわぬ方で演説した方が、気も引けるし力も入れられる」

右秘書官「それに、北はそう簡単に篭絡されるとも思っておりませんが…」

左翼長「…そりゃそうだ。奴もいるしな」

南方司令「おいおい、南だってなぁ…」

青年兵「もちろん分かっておりますよ。ご安心下さい」


167 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:45:00.53 ID:EJg7gAUo


名代「それでは、お休みなさいませ」

召喚士「お休みなさい」

帝「盗賊、またな」

盗賊「…はいっ」

東方司令「あ、あの…宜しければボクの部屋で……」

東方参謀「この馬鹿者がぁ!何を言っているか!」

帝「流石にそれは申し訳ない。客室で休ませて頂くよ」

東方司令「……っ」

名代「私はまた司令部内を拝見させて頂きます。それでは、失礼致します」

ザッザッザ…

東方司令「…残念。女剣士、行こ」

女剣士「すみませんお姉様…。上様の護衛に行って参ります!」

タッタッタッタッタ…

東方司令「…………」


168 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:46:02.20 ID:EJg7gAUo
テクテクテク…

魔道士「それじゃ、お休みなさーい」

盗賊「…おやすみ」

召喚士「はい、お休みなさい」

戦士「寝坊すんなよー」

パタン

召喚士「クリスマス…かぁ」

戦士「なーんかみんなでクリスマスってのも…なかったなぁ」

召喚士「最初の頃はもう、無我夢中だったからねぇ」

戦士「だなぁ。とにかく先に進むのが楽しかったし、色んな事したかったもんなー」

召喚士「でも、いいのかな…。最近は……」

戦士「…いいんじゃねーの?」

召喚士「…そう?」

戦士「俺も最近そう思い始めたんだけどさ」

召喚士「…?」


169 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/26(日) 19:47:24.59 ID:EJg7gAUo
戦士「前はとにかく魔物ブッ倒して、名を上げて強くなってって思ってたさ」

召喚士「うん…」

戦士「でもよ、経験積んでるうちに分かったんだ」

召喚士「何を…?」

戦士「死んだら終わり……ってな」

召喚士「……」

戦士「だからよ、好きな時に好きな事やるのって大事なんじゃないか?」

召喚士「……うん」

戦士「それによ、どんな道進んだって、近道も遠回りも目的地は一緒だろ?」

召喚士「…戦士」

戦士「…まぁよくわかんねぇけど、そんなカンジ?」

召喚士「いい事言うじゃん…たまには!」

戦士「おいっ!たまには、は余計だろっ!はははっ!」

召喚士「あはははっ!」

戦士「さーて、明日からは別行動だ。頑張ろうぜ、互いにな!」

召喚士「……うん!」



次へ 戻る 戻る 携 上へ