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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その28
724 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:29:29.44 ID:BY/1uvEso
ヒュバッ…キィンキィンキィン!!

盗賊「……っ」

ハヌマーン「ハアァ!!」

ビュオッ…ズガアアァァ!!

盗賊(強い……っ。やはり私が太刀打ち出来るような相手ではない……っ)

クンッ…ガキイィンッ…チュインッ

盗賊「……でもっ、私がやらねば……っ」

ヒュバッ

盗賊「誰が救えるっ!!」

ハヌマーンの如意棒が豪雨のように頭上から突き下ろされる。

盗賊はその一つ一つを、丁寧に、そして冷静に見極め、寸前でかわす。

到底実力では対等に戦えない相手。盗賊はその戦闘の最中、いかにハヌマーンの

意識を取り戻すかだけに集中し、そして考える。

盗賊「……っ」

しかし、その答えは見付からず、延々とハヌマーンによる猛攻を交わし続けるに留まる。


725 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:30:01.41 ID:BY/1uvEso
ヒュオッ…ブンッ…ビュオッ

盗賊(何とか……しないと……っ)

いかに数多の戦闘を経験した盗賊とは言え、体力には限度があった。

幼少の頃より厳しい修行を積んできた身ではあるが、彼女の小さな身体では、

その底を尽きるのも、眼前の敵ほどの実力者が相手であれば早い。

焦りの中、盗賊はせめてハヌマーンの動きを止める事だけに意識を切り替えた。

ハヌマーン「ハアアァァァァ!!」

盗賊「……っ」

ハヌマーンの如意棒がうねりを上げ、盗賊の身体を薙ぎる様に、水平に狙い放たれる。

盗賊「くっ!!」

それを盗賊は間一髪かわすが、空中で大きくバランスを崩し、

地面へと受け身を取りながら仰向けに着地する。

ハヌマーン「……ハアアァァ!!」

すかさず、ハヌマーンによる如意棒の追撃が、盗賊めがけ振り下ろされた。

盗賊「……これで……どうだぁ!!」


726 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:31:11.76 ID:BY/1uvEso
ジャララッ…ビュオッ!!

盗賊の鎖が蛇のように宙を走り、ハヌマーンの体を拘束する。

盗賊「……雷遁……迅雷っ!!」

ガカアアァァ!!…バリバリバリッ!!

ハヌマーン「――ッ!!」

盗賊「……」

ハヌマーン「……グウゥ」

盗賊「……駄目か」

ジャラッ

ハヌマーンの如意棒が盗賊の顔の真横へと振り下ろされた。

ガゴッ…パラパラパラッ

盗賊「……っ」

スッ…グイッ

盗賊「!?」

ハヌマーン「お主の雷で目が覚めた。すまぬ!」


727 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:32:34.96 ID:BY/1uvEso
盗賊「……良かった」

ハヌマーン「あと少しで、お主の綺麗な顔に傷を付けてしまうところであったな」

盗賊「!?」

ハヌマーン「しかし、一体どういう……ん、どうした?」

盗賊「ななっ、何でもない……っ」

ハヌマーン「確か、我らは火山の洞窟から気配を感じて……」

バキバキバキィ…ドドオオォォンッ

ハヌマーン「!?」

盗賊「な、何……っ!?」

ザッザッザ

紅孩児「もう終わりかぁ!?」

隊長「ぐ……っ」

ヨロッ…スタッ

紅孩児「まだまだこれからだぞっ、人間!!」

隊長「流石にこいつは……強えぇわ」


728 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:33:21.26 ID:BY/1uvEso
タッタッタ

マーマン「大丈夫か!?」

ハヌマーン「あ奴、元が元だけに凶暴化が深いようだな」

戦士父「ここは全員で食い止めよう」

隊長「すんません」

戦士父「気にするな。眷属並の奴だ、簡単にはいかぬさ」

盗賊「……どうする?」

マーマン「まずは俺っちの水で、あいつの炎を防ぐ!」

ハヌマーン「その好きに、あ奴の身柄を拘束しよう」

盗賊「……ならば、私が」

戦士父「俺らは左右から奴を止めるぞ」

隊長「了解っす」

戦士父「……行くぞ!!」

盗賊「……あぁ!!」

紅孩児「まとめて……喰らえぇ!!」


729 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:33:52.67 ID:BY/1uvEso
〜北方、三途の川〜

バシュッ…チュインッ…ザシュッ

北方司令「……」

魔法剣士「……ふーっ」

眼鏡「大したもんだね。魔法剣四行」

魔法剣士「……だが、不死となれば葬るには至らん」

眼鏡「そうだね。五行でも使えれば別なんだろうけど」

お父「ぬああぁぁ!!」

眼鏡「はぁ!!」

ガキイイィィンッ!!

魔法剣士「あんたこそ流石だな。かすりもしてないじゃないか」

眼鏡「そうかい? これでも結構しんどいんだよ?」

魔法剣士「そうは見えんがな」

お父「……」

北方司令「……」


730 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:35:19.93 ID:BY/1uvEso
ズザッ

魔法剣士「……?」

眼鏡「あれは……」

二人の正面の空に、点々と黒い影が現れ、徐々に大きくなっていく。

魔法剣士「……ドラゴンか!?」

眼鏡「遊んでいる時間はなくなったようだ」

ォォォォオオ…

魔法剣士「方角は……司令部か!!」

眼鏡「あの数で倒せるとは思えないけど、先鋒といったところかな」

魔法剣士「仕方ない。全力で――」

ドドオオォォォォ

魔法剣士「!?」

一匹のドラゴンが方向を変え、一同の頭上へと旋回する。

魔法剣士「な、何だ……っ!?」

眼鏡「……」


731 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:36:04.33 ID:BY/1uvEso
ドラゴン「グゴオオォォォォ!!」

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォンッ!!

魔法剣士「ちぃっ!!」

眼鏡「何か……いる」

魔法剣士「!?」

炎の球を吐き出したドラゴンの背中から、小さな影が川めがけて落下した。

眼鏡「……剣? 武器か?」

ヒュンヒュンヒュンッ…パシィ

北方司令「……」

魔法剣士「あれは……ツヴァイハンダー!!」

バサッバサッバサッ

北方司令はツヴァイハンダーを投げた主をじっと見上げる。

ゴゴゴゴゴゴ

魔剣士「……」

ドラゴンと背に乗る影は、戦況を見下ろしながら、表情を変えぬまま群れへと戻った。


732 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:36:49.03 ID:BY/1uvEso
ザッ

魔法剣士「……ちっ」

北方司令「……しっ!」

ドンッ…ガギイイィィィ…ミシミシッ

魔法剣士「……早い……っ!!」

北方司令「……」

魔法剣士(駄目だっ、俺の剣で受けては……圧し折られるっ)

ツヴァイハンダーの重圧に悲鳴を上げる魔法剣士の双剣。

堪らず魔法剣士は北方司令の腹部へ蹴りを入れ、間合いを大きく取る。

ザザァ

魔法剣士「かと言って、リーチもあちらが上……か」

眼鏡「変わろうか」

魔法剣士「……っ」

ボボッ…キュイイィィィィ

魔法剣士「魔法剣……四行っ!!」


733 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:37:57.60 ID:BY/1uvEso
2本の剣が巨大な鋏のように、北方司令の体を左右より挟み込み、襲いかかる。

北方司令「……」

クンッ…ガキイイィィィィンッ

双剣はツヴァイハンダーの刀身に激しくぶつかり、火花を散らして弾かれた。

魔法剣士「……ちぃ」

眼鏡「キリがないね」

魔法剣士「ああ、どうする?」

眼鏡「まぁいいよ。体力が続く限り戦ってやろうじゃないか」

魔法剣士「そうだな。こちらの狙いはあくまで陽動」

眼鏡「ここで足止めしていれば、あとは他の皆がなんとかしてくれるよ」

魔法剣士「……ああ!」

眼鏡「さぁ、行くよっ!!」

ヒュバッ

北方司令「……」

お父「…………」


734 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:38:44.05 ID:BY/1uvEso
〜火山、中央〜

紅孩児「でりゃああぁぁ!!」

マーマン「こ……んのやらああぁぁ!!」

ドドオオォォォォンッ!!

紅孩児「ハハッ! そんなチンケな水で、俺の炎を防ごうってのか?」

マーマン「防げるわけ……ねーだろっ!!」

バシュウウゥゥゥゥ

マーマン「今だぁ!!」

戦士父「はあぁ!!」

隊長「さっきの……お返しだ!!」

バキィッ!!…ドゴォッ!!

紅孩児「……ってぇなぁ!」

ハヌマーン「どこを見ているっ、まだ終わりではないぞ!」

紅孩児「何ぃ!?」

バキャアアァァ!!…ズザザッ


735 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:39:38.59 ID:BY/1uvEso
紅孩児「……ちぃ……っ!」

盗賊「……」

紅孩児「!?」

ジャラッ…ガシィ!!

紅孩児「んな――」

ヒュバッ…ジャキッ

戦士父「抵抗するな」

隊長「……」

紅孩児を囲むように、戦士父、隊長、ハヌマーンが武器を突きつける。

紅孩児「――ッ」

マーマン「コイツにも電気食らわせてやれよ」

盗賊「……」

バリリッ!!

紅孩児「いってぇな!! 何しやがる!!」

隊長「戻った……のか?」


736 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:41:28.26 ID:BY/1uvEso
ハヌマーン「さぁ、よく分からんな」

マーマン「もう一回」

バリバリバリッ!!

紅孩児「だからっ!」

ビビビッ!!

紅孩児「痛てぇって……」

ガカアアァァァァ!!

紅孩児「言ってんだろおおぉぉ!!」

マーマン「おーい、戻ったかぁ?」

紅孩児「……あん?」

キョロキョロ

紅孩児「……何だこれ?」

戦士父「戻ったみたいだな」

盗賊「……う、うん」

隊長「ところで、総司令……デカイ剣を持った奴を見なかったか?」


737 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:42:59.68 ID:BY/1uvEso
ハヌマーン「あぁ、あの男か。見てはいないが……どうか致したのか?」

隊長「おそらく何だが、タローマティってのに捕まっちまったみたいでな」

マーマン「ほぉ、それは厄介だな」

戦士父「知っているのか?」

ハヌマーン「何でも、アンラ・マンユの側近で、相当の者らしいではないか」

隊長「そうなのか……」

マーマン「名……えっと、とある方が言ってたっけかなぁ」

ハヌマーン「交戦するのか?」

隊長「……いや、それは極力避けたい」

マーマン「俺らも手助けしたいところだが……」

戦士父「魔王の近くだと凶暴化してしまうのだろう?」

ハヌマーン「魔王が瘴気を出している限りはな」

盗賊「……どうしようか」

隊長「一度、南西砦まで退いて、報告しよう」

戦士父「……ああ。賢明な判断だ」


738 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:44:09.23 ID:BY/1uvEso
ザッザッザッザッザ

男隊員「おぉ!?」

女隊員「隊長!! どうしたんスか!?」

隊長「一旦退却だ。作戦を練り直す」

衛生兵「怪我人は……って、魔物!?」

盗賊「……彼らは味方だ。心配しないで」

マーマン「そうそう。魔物も外見で判断しちゃあやーよ」

紅孩児「お前みたいな悪党ヅラじゃ、勘違いされても仕方ねー」

マーマン「あんだとぉ!?」

戦士父「ほら、行こう」

ハヌマーン「眷属が4体も葬られたのだ。しかも同時に」

マーマン「ああ。いかにまおうと言えど、仕掛けてくる事はないと思うぜ」

隊長「だと、いいがな」

男隊員「よぉし、全軍後退! 南西砦まで退がるぞ!」

女隊員「おぉーッス!」


739 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:44:53.15 ID:BY/1uvEso
〜南西砦〜

マーマン「うぉ!? こりゃあ結界石か……っ」

ハヌマーン「我等は外で待つとしよう」

戦士父「すまないな」

紅孩児「俺はもう帰るぞー」

マーマン「早く帰れ!」

紅孩児「五月蝿い河童だなぁ」

マーマン「河童じゃねーって言ってんだろ!!」

紅孩児「へいへい」

隊長「初代、行きましょう」

戦士父「ん、ああ」

マーマン「あ、おいおい!」

戦士父「……?」

マーマン「ほらっ、これ……」

戦士父「……」


740 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:46:08.49 ID:BY/1uvEso
スッ

マーマン「アンタの槍だろ。ようやく返す刻が来たみたいだ」

戦士父「……」

マーマン「結局、戦う事にしたんだな」

戦士父「……ああ。戦うしか道はないようだ」

マーマン「それでいいさ」

戦士父「昔より、気は遣うがな」

マーマン「……?」

戦士父「良い魔物か悪い魔物か、逐一判断しなくちゃならんのでな」

マーマン「……ハッ!」

戦士父「長い事、ありがとう」

マーマン「こっちこそ。いい槍だったぜ」

ガシッ

戦士父「再会出来て良かったよ」

マーマン「……ああ、俺もさ!」


741 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/05/10(火) 18:48:52.79 ID:BY/1uvEso
回想長すぎて本編全然進んでませんでした。ごめんなさい…
それでは失礼致します。本日もご支援ありがとうです!ノシ

>>691
オマケもちょろちょろと頑張ります!

>>692-695
何も考えてないっすよ、こちらこそありがとー!


744 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/05/10(火) 22:06:37.67 ID:iLnovbEAO
>>1乙

確か戦士たちがマーマンと砂漠で出会った時に、昔にも人と出会った的な事を言ってたような言ってなかったような…
それが戦士父だったとは…なんというですてにー


750 名前:NIPPERがお送りします(千葉県) [sage] 投稿日:2011/05/11(水) 01:29:56.46 ID:UvyssoJ+o
>>1乙

魔剣士ってマジシャンが五行使って倒したと思ったけど倒せて無かったのか



751 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/11(水) 02:08:32.84 ID:QF+1Pj4uo
1おつおつ

>>750
ひょっとして魔剣士と魔法剣士をごっちゃにしてる?

>>737の「名…」って名代さんじゃないし誰だと思ったら、北の町の名士さんか
あっちこっちに伏線あるなあ、すごいわ


753 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/11(水) 06:01:58.56 ID:2KUDVh0DO
>>1乙

>>750はドラゴンの背に乗っていたツヴァイハンダーを投下した人物が魔剣士なのかな?っていうことでしょ
魔剣士が持っていたのは元々天才が使っていたレプリカだったけ。
マジシャンが命懸けた相手だし倒してると信じたいけどね……


755 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/05/11(水) 07:56:20.89 ID:SFYR1aZIO
マジシャンの命が無駄になったみたいで悔しいな…

1乙


757 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/05/11(水) 08:02:37.77 ID:JeMa+2lAO
>>1乙

ええい!ネタバレおまけであの世に魔剣士が出る回はまだか!?不安になるじゃない



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