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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その20
434 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:45:28.07 ID:ozAxWtko
〜本陣〜

魔道士「失礼しますっ」

副官「はいはい」

召喚士「すみません、実はちょっとご報告がありまして…」

副官「何かしら?どうぞ、座って下さい」

副官の誘導に促され、五人はそれぞれ円卓に座する。

副官「それで、一体どういったご報告で…?」

召喚士「はい、実は……」



副官「…地下水脈?」

戦士「ああ。以前は村人の生活水としても使われてたみたいだ」

副官「成程…」

ジュニア「んで、悪いが早めに調査しておいた方がいいんじゃねーか?って話だ」

副官「…分かりました。すぐに調査致しましょう。皆を集めてきて」

北方兵「了解致しました!」


435 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:47:19.02 ID:ozAxWtko


盗賊「…ここだ」

副官「洞窟上になっているのね…」

北方兵「先遣隊、行くぞ」

数名の兵がロープや松明を手に、洞窟へと足を踏み入れる。

戦士「よし、案内する。行くぞ盗賊」

盗賊「…うん」

召喚士「俺らも続きましょう」

ジュニア「魔道士ちゃんよ、一応詠唱忘れずにな」

魔道士「あ、はいっ!」

副官「貴方達は入り口の見張りと確保を」

北方兵「はは!」

ザッザッザッザ

戦士「この奥だ」

盗賊「……待て」


436 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:48:01.64 ID:ozAxWtko
戦士「!?」

盗賊「…あのほとり…何かいるぞ!」

召喚士「!?」

ジュニア「微妙に岩壁で見えねーが…確かに影が動いてるな」

北方兵「ま…魔物でしょうか!?」

戦士「…盗賊」

盗賊「…分からん。気配を…感じない」

召喚士「……?」

副官「先遣隊、ゆっくり近づいて…!」

北方兵「二手に分かれるぞ」

ザザッ…スススッ

魔道士「……」

召喚士「……」

副官「今だっ!かかれぇ!!」

戦士「うおおぉぉ!!」


437 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:48:29.31 ID:ozAxWtko
ババッ

戦士「……っ!!」

盗賊「何っ!?」

岩陰に隠れた体が驚きとともに起き上がり、その姿を見せる。

召喚士「……せ、戦士…っ!?」

魔道士「戦士さんが…ふ、二人…!?」

起き上がったその男はまぎれもなく戦士であり、

その戦士に向かい合う男もまた戦士である。

戦士「てめぇ…何モンだ!?」

戦士「そっちこそ何モンだ!!」

魔道士「な、何が…どうなって…!?」

召喚士「……偽者を捕まえるんだ!!」

北方兵「うおぉーっ!」

戦士「っ!!」

戦士「なっ!?」


438 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:49:11.66 ID:ozAxWtko
ドガッ…ガスッ…バタンッ

戦士「あっぶねぇな!!」

戦士「は、話せコラ!」

ジュニア「てめぇが偽モンかぁ!?こんのヤロー!!」

戦士「だー!待て待て!そっちに逃げたヤローが偽モンだ!」

盗賊「……ちっ!」

副官「回りこんで捕らえよ!」

戦士「!?」

ジュニア「……仕方ねぇ」

バチチッ…ビリビリビリッ

戦士「――っ!?」

ドドオオォォンッ!!…ガカアアァァ!!

戦士「ぐああぁぁーっ!!」

ジュニア「よーし、動きを封じた!今のうちに捕まえろ!」

盗賊「…この…偽者めっ!」


439 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:49:44.57 ID:ozAxWtko
ギリギリギリッ…グイィ

戦士「い…いてぇ!手加減しろこのバカ!!」

盗賊「な…っ!?馬鹿だと…!?」

グイッ…ギリギリッ!!

戦士「大バカだよ!!偽者は…あっちだ!!」

盗賊「…!?」

召喚士「離すなっ!!」

北方兵「へ…っ?」

スルッ…スタッ

偽戦士「へっへっへ!単純な奴ら!」

魔道士「やっぱろこっちが偽者の……」

偽戦士「ほんじゃな!!」

ジュニア「逃げんぞ!食い止めろ!!」

北方兵「くっ!」

偽戦士「どけどけぇ!!」


440 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:50:16.22 ID:ozAxWtko
ヒュバッ!!

召喚士「俺は…戦士の戟!?何もかもそっくりな…」

ジュニア「逃がすかよ!」

ジュニアは右手を振り下ろし、偽戦士の周囲に土壁を作り出す。

戦士「いよ…っと!」

ヒョイッ…タタッ…スタッ

召喚士「動きまで戦士そのものだ…」

ジュニア「魔道士ちゃん!氷だ!!」

魔道士「は、はいっ!」

ドドオオォォンッ!!…ギキイイィィッ

戦士「うおっ!」

魔道士の放つ氷の矢を、戦士は左腕の盾で防御する。

戦士「あっぶねー…」

魔道士「防がれた…っ?」

戦士「んじゃな!あっはははは!!」


441 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:52:05.13 ID:ozAxWtko
あ…間違えた…
>>440の「戦士」は全て「偽戦士」です。あしからず…


442 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:53:20.31 ID:ozAxWtko
タッタッタッタッタ…

北方兵「……」

副官「早く追いなさいっ!」

北方兵「あ、はい!」

タッタッタ…

戦士「……いい加減離してくんない?」

盗賊「…本当に…本物だろうな?」

戦士「…あのなぁ」

召喚士「盗賊さん、離してあげて下さい」

盗賊「……」

スルッ…

戦士「……チキショー、力入れやがって…っ」

盗賊「…すまん」

戦士「お前じゃねぇよ。おいコラ!ジュニア!」

ジュニア「あん?」


443 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:54:03.74 ID:ozAxWtko
戦士「あん?じゃねー!人様に雷ぶっ放しやがってこの野郎っ!」

ジュニア「だぁ、悪かったよ…ハッハ!」

戦士「…ったく!」

魔道士「偽者の戦士さん…。一体…何なんでしょうか?」

召喚士「……」

盗賊「…厄介だ」

召喚士「え?」

盗賊「…魔物の気配を…感じなかった」

戦士「何が厄介なんだよ」

召喚士「街や村に潜り込まれたら…探しようがない…」

盗賊「……そういう事だ」

戦士「どーすんだよ!?でもありゃ魔物の類に違いない…」

ジュニア「……ドッペルゲンガー」

戦士「…?」

副官「ドッペルゲンガーって…あ、あの…?」


444 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:56:17.20 ID:ozAxWtko
召喚士「魔物…ですか?」

ジュニア「ああ。滅多にお目にかからないレアだが…」

魔道士「……」

ジュニア「人間の姿形をそっくりそのまま模し…悪さするヤローだ」

盗賊「……!」

ジュニア「アレの厄介なところは姿だけじゃなく、そいつの思考をも模すってとこさ」

戦士「何…!?」

召喚士「…と、いう事は…!!」

ジュニア「そう。そいつの記憶にある出来事は全て把握してるって事…」

魔道士「そ、そんな事って…!」

召喚士「……非常に…マズイですね」

ジュニア「…ああ」

魔道士「まずいと言うのは…その…?」

召喚士「戦士に馴染み深い場所や人物に危険が及ぶ…」

ジュニア「それよかもっとマズイ事がある…」


445 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 17:59:54.98 ID:ozAxWtko
戦士「……?」

ジュニア「あのまま魔王んとこ行ってみろ」

召喚士「あ…っ!!」

魔道士「…?」

召喚士「こちらの知りうる情報が…筒抜けに…っ!」

副官「……包囲網を敷きましょう。すぐに北方司令部へ伝達を!」

北方兵「了解致しました!」

タッタッタ…

戦士「ど、どーすんだ!?」

ジュニア「何があったんだ?この場所で…」

戦士「何もしてねーよ!すぐに引き返しただけだ!」

召喚士「……」

ジュニア「敵さんは元々、ここに住み着いていた…」

召喚士「そこに戦士が現れ、標的とされたわけですか…」

ジュニア「…だな。まさかドッペルゲンガーなんかがいるとはなぁ…」


446 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 18:00:39.23 ID:ozAxWtko
副官「ひとまず…地上へ戻りましょう。他にもいるかもしれません」

盗賊「……だな」

ジュニア「その上で、ここは立ち入り禁止にした方がいい」

副官「ええ…。そうさせて頂きます」

召喚士「じゃあ、戻りましょう。早急に…!」

魔道士「はいっ!」

一同は地下水脈のある洞窟を足早に立ち去った。

〜本陣〜

ジュニア「…さて、今後の方針だが…」

副官「とにかく…偽者を捕まえない事には混乱を招きます」

ジュニア「今、追跡してる兵は?」

副官「50名程度。それに北方各方面へ伝令を飛ばしました」

ジュニア「第一に重要なのは…北方から出さない事だ」

召喚士「ですね。他地域へ向かわれると…探しようがありません…」

ジュニア「戦士、もう一度確認するが…魔王討伐に関する重要な話は…」


447 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 18:04:08.02 ID:ozAxWtko
戦士「ああ、特に知らねぇ。そこは問題ないと思う」

ジュニア「…そう考えると、まだ北へ向かってくれた方がマシだわな…」

盗賊「……」

戦士「…いや、待て。マズイ…!!」

魔道士「え…?」

戦士「マズイ事を知っちまってる…っ!」

ジュニア「な、何だよ…?」

戦士「南方だよ!」

召喚士「…し、しまった…っ!!」

ジュニア「おい、南方って何だよ?」

召喚士「南方で…人間と共闘してくれている魔族がいるんです…」

ジュニア「……んで?」

召喚士「今彼らは、世界中から同志を募り…大勢力を築きつつあります…」

ジュニア「な…っ!?だ、大丈夫なのか…?本当に信用出来る…」

召喚士「それは安心して下さい。信用に足る方々です」


448 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 18:16:43.65 ID:ozAxWtko
ジュニア「なるほどな…」

盗賊「…何かまずいのか?」

召喚士「もし反乱分子がいると知ったら…」

ジュニア「奴らはまず、そこを叩くだろうな」

戦士「アイツらは切り札なんだ…!知られるにはまだ早すぎる!」

魔道士「でも…南方での戦いで既に知られてしまっているのでは…?」

召喚士「それはあくまで表面。つまり最初から反乱組織であったスグリーヴァさん達のみだと思います」

戦士「ああ…。水面下で募兵してる事を悟られるのは痛い…」

召喚士「あぁっ!!」

戦士「な、何だよ急に立ち上がって…」

召喚士「もっと…マズイ事があるじゃん!!」

ジュニア「何だ…!?」

召喚士「要人ですよ…!」

ジュニア「要人?どの程度の…?」

召喚士「……く、国の…トップクラスの…」


449 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 18:23:17.77 ID:ozAxWtko
ジュニア「はぁ!?」

召喚士「本国で言えば…皇太子殿下にエリートさん、それから青龍先生に各司令官…」

ジュニア「……」

召喚士「西国の皇子に神官さん…。それに東方の名代さんに御館様…」

戦士「南東国の三男に白馬騎士。次男もか…」

ジュニア「おいおい…他国の要人もかよ…っ」

召喚士「……やっぱり駄目だ。放っておくわけにはいかない!」

ジュニア「…だわな。と言ってもどーすっかだなぁ…」

副官「北方は私達に任せて下さい。皆様は他の地域を…!」

盗賊「…東方には私が文を出しておく。藤蔵の者らに当たらせよう」

ジュニア「すまんが俺はこの後、鉱山に戻らにゃならん」

召喚士「…はい」

ジュニア「鉱山と北の街はこっちで何とか対処する」

召喚士「助かります」

戦士「んで…俺らは……」


450 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/07(木) 18:28:51.59 ID:ozAxWtko
召喚士「…ひとますは本国へ向かおう。そこで何とか…」

魔道士「国軍の方や殿下に予め注意を伝えては…?」

召喚士「それが良いと思います」

ジュニア「あとは遠くへ行ってない事を願うしかないな…」

盗賊「…ああ」

副官「混乱を避けるために、北方を離れたらこちらには近づかないで下さい」

召喚士「分かってます。あとはあくまで単独行動であるかどうか…」

戦士「だな。こっちは常に4人で動くとしよう。もし単独だったらそれは偽者だ」

副官「分かりました」

ジュニア「了解した。ワークショップにも極力居場所を明記してオープンにしといてくれ」

戦士「…すまん。ややこしい事になっちまって……」

召喚士「戦士のせいじゃないよ。とにかく大事になる前に終息させよう!」

盗賊「…ああ!」

魔道士「何としても偽者を捕まえなきゃ…!」

召喚士「…ええ!」


452 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/10/07(木) 19:40:08.21 ID:43FKRi60
1乙
コピーされたのが召喚士じゃなくてよかった…


453 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/07(木) 21:03:20.22 ID:ADOdFeko
盗賊がコピーされれば…
ゲフンゲフン


454 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/10/07(木) 23:28:59.86 ID:qBLlenwo
ほう…これは同一IDに期待ですな


460 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/08(金) 01:24:52.66 ID:64ZZqOYo

 天才降板のお知らせ

謹啓 平素は天才を応援していただき、誠にありがとうございます。
このたび度重なる天才株暴落の影響を受け、この度『頼れる兄貴キャラ』から天才が降板する事となりました。
何卒今後とも応援して頂けますよう、これからは地道に功績を積み重ねていくつもりですので、ファンの皆様にはよろしくお願い申しあげます。
                                                                                    謹言


旧『頼れる兄貴キャラ』 天才


新『頼れる兄貴キャラ』 ジュニア


461 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/08(金) 08:27:51.75 ID:SjfTAgAO
戦士達の実力が追い付いてしまったのか、それとも天才達が年齢的に折り返しポイントで日々弱体化しているのか…
なにせよ昔ほど頼れるベテランって思える奴がいなくなったな

黒い三連星…


462 名前:GEPPERがお送りします [saga sage] 投稿日:2010/10/08(金) 12:35:43.13 ID:6/DYNEDO
偽戦士取っ捕まえて、文官の前で処刑

若しくは、盗賊ちゃんのペットに決定だねっ!


463 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/08(金) 17:20:40.51 ID:szoi7CQo


魔道士「それでは、お世話になりました」

召喚士「すみません…何だか途中で…」

副官「気にしないで下さい。本国、ひいては世界の大事に成りかねない事ですから」

戦士「……ほんとすんません」

副官「それに、これも仕事ですから。ふふっ」

盗賊「……では」

召喚士「失礼致します」

副官「お気をつけて。ご武運を…!」

テクテクテクテク…

魔道士「でも、良かったんですか?…ジュニアさん」

ジュニア「んー?」

魔道士「マジシャンさんの…その、お墓…建ててあげなくて…」

ジュニア「…ああ、いいよいいよ。こんな所まで墓参り来んのも面倒だし」

盗賊「……」


464 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/10/08(金) 17:21:56.96 ID:szoi7CQo
ジュニア「それによ、いいんじゃねぇか?」

魔道士「え…?」

ジュニア「もしかしたら生きてるかも!?…ってのに希望持たせようじゃないの」

召喚士「…ええ。そうしましょう!」

ジュニア「んじゃ、俺はこのまま北の街経由で鉱山へ戻る」

召喚士「はい。色々とありがとうございました!」

魔道士「楽しかったです!えへへ!!」

ジュニア「こっちこそな。お前さん達に会えてよかったよ」

盗賊「…では…また」

戦士「んじゃ、元気で!」

ジュニア「おう!またなっ!……ハッハ!!」

ジュニアは笑顔で右手を上げ、北の街へと続く道を歩き去って行く。

ジュニア「あの日、本当になんとなく知った親父の住処へ行ったんだよなぁ…」

ザッザッザ

ジュニア「……これも…親父が引き合わせてくれたんかねぇ。ハッハ」



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