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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その25
- 217 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/02/09(水) 18:24:34.12 ID:Z7DbUmGbo
程なくして夜を向かえ、砂漠の空には一面、星が散りばめられた。
玄武娘「綺麗ですの〜」
朱雀嬢「周囲に何もないから、良く見えるんですわね」
魔法剣士「少し冷えてきたな。大丈夫か?」
玄武娘「大丈夫ですの!」
朱雀嬢「これしきの事で挫けてられませんわっ」
魔法剣士「……強いな」
玄武娘「ほえ…?」
魔法剣士「…いや、何でもない」
朱雀嬢「あらっ?あれ……何かしら?」
玄武娘「本当ですの!明かりが見えますの!!」
魔法剣士「村か…?それにしては規模が小さいな……」
玄武娘「ど、どうしますですの!?」
魔法剣士「行くだけ行ってみよう。人間の建造物には間違いない」
朱雀嬢「助けてくれると良いけれど……」
- 218 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:25:06.84 ID:Z7DbUmGbo
…
ザッザッザ
朱雀嬢「これは……軍の物かしら?」
魔法剣士「そのようだが、本国の物ではないな」
玄武娘「西の国の…ですの?」
魔法剣士「そのようだな。俺もあまり詳しくは分からんが……」
パッカパッカパッカ…
西国兵「何者かっ!」
玄武娘「ひゃわわっ!」
魔法剣士「旅のワーカーだ。すまん、道に迷ってしまってな」
西国兵「道に…?こんな砂漠でか……?」
魔法剣士「……ああ」
西国兵「仕方ないな。ついて来るがいい」
玄武娘「おぉーっ、何だか…助かりそうですの!」
朱雀嬢「ですわね」
- 219 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:25:59.20 ID:Z7DbUmGbo
〜西国、西の砦〜
玄武娘「お、おおぉぉ〜っ」
朱雀嬢「きょろきょろしないで欲しいですわっ、田舎者みたいに……」
玄武娘「田舎者ですの。朱雀嬢ちゃんも……」
朱雀嬢「余計なお世話ですわっ!」
玄武娘「ひい…っ」
カツカツカツカツ…コンコン
西国兵「失礼致します。遭難していたワーカーを保護致しました」
親衛隊「入れ」
西国兵「はっ。さぁ、入りたまえ」
魔法剣士「失礼します」
ザッザッザ
親衛隊「……砂漠で遭難とは、これまた面白い話だな」
玄武娘「面白くないですの……。死にそうでしたの〜」
朱雀嬢「助けて頂いてありがとうございます。感謝致しますわ」
- 220 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:26:30.04 ID:Z7DbUmGbo
親衛隊「これはまた、可愛らしいお客様だな」
玄武娘「か、可愛いですの…!?へ、へへへ〜っ」
朱雀嬢「ばかっ!社交辞令ですわっ。ゴニョゴニョ」
親衛隊「私はこの砦を任されている者だ。君達は三人で旅を…?」
魔法剣士「いや、元々は俺一人と彼女ら二人。別行動だ」
親衛隊「…ふむ。砂漠で合流したわけか」
魔法剣士「奇遇な事にな。俺も二人に助けられたクチさ」
玄武娘「そんな事ないですの。こっちこそ助かったですの!」
朱雀嬢「そうですわっ」
親衛隊「…それで、君達は何ゆえ、南の砂漠などに…?」
魔法剣士「俺は、本国の北で魔物と戦闘中であった」
親衛隊「北……?」
魔法剣士「ああ。しかし何らかの…術のようなもので飛ばされたわけだ」
親衛隊「そんな事が在り得るのか……っ」
魔法剣士「信じる信じないは勝手だ。だが、現にこうして…ここにいるのだ」
- 221 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:27:01.79 ID:Z7DbUmGbo
親衛隊「……証明出来るような事でもないし、嘘にしては度が過ぎている」
魔法剣士「……」
親衛隊「ひとまずは信じるしかなさそうだな。それで、二人は…?」
玄武娘「人探しをしてたですの」
親衛隊「人探し…?」
朱雀嬢「ええ。西方にいると聞いて…来たんですわ」
玄武娘「そしたらよく分からないうちに迷子になったですの……」
朱雀嬢「貴女があっちだって言うから…っ!」
玄武娘「朱雀嬢ちゃんだって『あら、きっとそうですわね』って言ったですの!」
親衛隊「痴話喧嘩は後にしてくれ……」
玄武娘「……ごめんなさいですの」
親衛隊「事情は分かった。とりあえず今日はここへ泊まるといい」
魔法剣士「すまない。助かる」
親衛隊「しかし、南の砂漠で魔物に襲われなかったのか?」
魔法剣士「…襲われた」
- 222 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:27:40.63 ID:Z7DbUmGbo
親衛隊「よく三名で退けられたな」
魔法剣士「……この二人、こう見えてかなりの腕を持っている」
親衛隊「……」
朱雀嬢「買い被りすぎですわよ。まぁもっとも、この子は特別ですけれど」
玄武娘「ほえ…?」
朱雀嬢「何と言っても、かの玄武先生の孫娘ですわっ!」
魔法剣士「玄武…!?あの…伝説のか!?」
親衛隊「西国でも噂には聞いた事がある……っ」
西国兵「そんなに凄いのですか…?」
親衛隊「確か、魔王をも倒したとか……」
魔法剣士「ああ、その通りだ」
西国兵「……っ」
朱雀嬢「そういうわけですわ」
玄武娘「な、なんだか…照れるですの…っ」
魔法剣士(……成程な。それであれ程の…力量というわけか)
- 223 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:28:07.45 ID:Z7DbUmGbo
…
西国兵「ではこちらが、お二人の部屋となります」
玄武娘「わーいっ!ありがとうですの!!」
朱雀嬢「感謝ですわ」
西国兵「い、いえ…っ」
玄武娘「それじゃ魔法剣士さん、おやすみなさいですのー!」
朱雀嬢「今日は助かりましたわ。また、明日」
魔法剣士「……ああ」
パタン
西国兵「ああしていると、どう見てもただの少女らにしか見えませんが…」
魔法剣士「ああ、俺もだ」
西国兵「本当に…想像もつかないな」
魔法剣士「だが、事実には違いない。俺はこの目で見たぞ」
西国兵「そ、そうですよね…。では、部屋へ案内致します」
魔法剣士「……すまない。感謝する」
- 224 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:29:01.84 ID:Z7DbUmGbo
〜二人の部屋〜
玄武娘「はあぁ〜!久々の布団ですのー!!」
朱雀嬢「ストーップ!!」
玄武娘「へっ!?」
朱雀嬢「砂まみれの身体ですわ。布団を汚す気?」
玄武娘「そ、そうでしたの……っ」
朱雀嬢「先にお風呂へ入りましょ」
玄武娘「…ですのっ!!」
朱雀嬢「……はぁ、髪もぼさぼさ…っ」
玄武娘「気になるならいっその事、ばっさり切っちゃえばいいですの」
朱雀嬢「…貴女は本当にレディ失格ですわね」
玄武娘「失格!?」
朱雀嬢「…もういいですわ。先に入ってきますわ」
玄武娘「待ってぇ!!私も一緒に入るですのー!!」
朱雀嬢「結構ですわっ!!」
- 225 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:29:30.80 ID:Z7DbUmGbo
シャアアァァ…ピチョピチョ
朱雀嬢「…………」
玄武娘「ふぇ〜っ、気持ちいいですのー!」
朱雀嬢「ちゃっかり入って……」
玄武娘「別にいいと思うですの!何かまずい事でもあるんですの…?」
朱雀嬢「そういう事じゃなくって、二人で入る必要がないと言う事ですわ」
玄武娘「え〜っ?スキンシップですの!」
朱雀嬢「……はぁ」
玄武娘「お背中流しますのーっ」
朱雀嬢「結構ですわっ!!」
玄武娘「まぁまぁ、そう言わずに〜ですのっ」
モキュモキュ
朱雀嬢「ひゃわっ!く、くすぐったい……ですわっ!あはははっ!」
玄武娘「うふふふ〜っですの〜!」
朱雀嬢「あはっ、はははっ……いい加減に…しろですわっ!!」
- 226 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:30:00.70 ID:Z7DbUmGbo
ザバアァ
朱雀嬢「…はぁ〜。疲れが癒えますわ〜」
玄武娘「……たんこぶ…増えたですの」
朱雀嬢「何度も言うけれど、自業自得ですわ」
玄武娘「スキンシップ〜」
朱雀嬢「貴女との仲は、もう十分深いですわっ!」
玄武娘「……朱雀嬢…ちゃんっ」
朱雀嬢「…はっ!しまった……ですわ…ごにょごにょ」
玄武娘「私の事……そんな風に思って……」
朱雀嬢「う、五月蝿いですわねっ!二人旅なんだから…と、当然でしょ!?」
玄武娘「朱雀嬢ちゃあぁん!」
朱雀嬢「汚いですわね!離れなさいっ!鼻水が……きゃあぁ!」
玄武娘「朱雀嬢ぢゃああぁぁん……っ!!」
朱雀嬢「たっ、助けてですわああぁぁーっ!!」
そして夜は更けた。
- 227 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:30:28.81 ID:Z7DbUmGbo
〜次の日〜
魔法剣士「……おはよう」
朱雀嬢「おはようですわ」
玄武娘「……」
魔法剣士「…眠たそうだな」
朱雀嬢「いつもこうですわ。放っておいて頂いて結構ですわ」
玄武娘「……ふひゅっ」
カツカツカツ
親衛隊「…おはよう。よく眠れたかな?」
朱雀嬢「お陰様で助かりましたわ」
親衛隊「それは何より。早速ですまないのだが、ちと力を貸してくれぬか?」
魔法剣士「……何をすれば良いのだ?」
親衛隊「大したものでもない。南の砂漠での経緯を教えて頂きたい」
朱雀嬢「経緯…?」
親衛隊「立ち話もなんだ。中で話そう」
- 228 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:30:58.52 ID:Z7DbUmGbo
〜会議室〜
親衛隊「南の砂漠には広大すぎる故、我らも知らぬ場所や魔物が多数いる」
魔法剣士「成程。その報告を…だな?」
親衛隊「そういう事だ。察しが良くて助かる」
魔法剣士「俺ら三人が交戦したのはサンドワームの群れ」
親衛隊「群れ…?サンドワームの群れを三人で始末したのか!?」
魔法剣士「…まぁ、結果的に見ればそういう事になるな」
親衛隊「…?」
魔法剣士「実質、この二人でも始末出来たであろう」
朱雀嬢「そんな事ないですわ。魔物には苦戦を強いられましたもの」
親衛隊「二人は他にも…?」
朱雀嬢「何日も彷徨ってましたから」
玄武娘「…あいつが強かったですのー」
朱雀嬢「ようやく目が覚めたみたいですわね」
親衛隊「あいつ…とは?」
- 229 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:31:28.68 ID:Z7DbUmGbo
玄武娘「サソリのおっきいのとか、あとは……狼みたいのとか……」
親衛隊「……凄いな…っ」
朱雀嬢「どこで何匹倒したとかは分かりませんわ」
玄武娘「そうですの。次から次へと襲ってきて…大変でしたの」
親衛隊「…そうか。分かった、有難う」
玄武娘「いえいえですの〜」
朱雀嬢「お役に立てたのかしら……」
魔法剣士「以上か?」
親衛隊「うむ、十分だ。感謝する」
魔法剣士「…では、行くとするか」
親衛隊「大きな町ならば、このまま真っ直ぐ北へ進むと良い」
魔法剣士「分かった。感謝する」
玄武娘「色々とありがとうございましたですのー!」
朱雀嬢「本当に助かりましたわ」
親衛隊「いやいや。それでは、これからの旅も気を付けてな」
- 230 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:31:59.20 ID:Z7DbUmGbo
…
テクテクテク
朱雀嬢「えぇと、確か北へ真っ直ぐですわよね?」
魔法剣士「ああ。ここからなら道沿いに進めば、迷う事もなかろう」
玄武娘「それじゃあ出発ですのー!」
テクテクテク…
魔法剣士「…人探しをしていると言っていたな」
玄武娘「そうですの!」
魔法剣士「友人か?それとも親族か…?」
玄武娘「えぇと……何て言えばいいんですの…っ」
魔法剣士「…?」
朱雀嬢「まぁ、この子にとって大事な人ですわ」
玄武娘「sそっ、そうですの!」
魔法剣士「大事な人か…。見つかるといいな」
玄武娘「はいですのっ!!」
- 231 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:32:29.98 ID:Z7DbUmGbo
〜西端の町〜
玄武娘「着いたーですのー!!」
朱雀嬢「そうそうっ、この町から南へ向かって…迷子になったんですわ」
魔法剣士「……」
玄武娘「はぁ……。もう南へは危なくて行けないですの」
朱雀嬢「…そうですわね」
魔法剣士「……腹、減ってないか?」
玄武娘「えっ!?減ってるですのー!!」
魔法剣士「食事にしよう。その程度、俺が出してやる」
玄武娘「い、いいんですの!?やったぁーっ!!」
朱雀嬢「……本当に…良いのかしら?」
魔法剣士「…無論だ。何か問題でも…?」
朱雀嬢「…いや、後悔しない事を祈りますわ……」
魔法剣士「後悔…?」
玄武娘「よーしっ、久々に…沢山食べるですのーっ!」
- 232 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:32:59.32 ID:Z7DbUmGbo
〜食事処〜
カチャカチャッ…パクパク…モグモグ
魔法剣士「…………」
朱雀嬢「……後悔したかしら?」
魔法剣士「…いやっ、それよりも驚きが勝っている」
玄武娘「ん〜っ、美味しいですの〜!あ、これ追加ですの〜!」
魔法剣士「20人分は平らげているぞ……?」
朱雀嬢「彼女の本気は…ここからですわ」
魔法剣士「!?」
朱雀嬢「久々のちゃんとした食事、倍はいきそうですわね」
魔法剣士「…………っ」
玄武娘「はぁ〜幸せ……。あ、すみません!これとこれとこれ追加ですのー!」
スクッ
朱雀嬢「……どこへ?」
魔法剣士「……ワークショップだ。金を下ろしてくる」
- 233 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:33:28.12 ID:Z7DbUmGbo
…
玄武娘「……はぁ〜っ。ご馳走様ですの〜」
魔法剣士「いや……満足して貰えたようで何より」
朱雀嬢「魔法剣士さんはこれから、どうなさるの?」
魔法剣士「本国へ戻るさ。ここへ居ても仕方ないからな」
朱雀嬢「それじゃあ私達も本国へ――」
玄武娘「それは駄目ですのっ!!」
朱雀嬢「駄目って……っ、でも手掛かりもないのじゃあやっぱり……」
玄武娘「いるですの!サモナー様は西方のどこかにいるですの!!」
朱雀嬢「それはそうかもしれないけれど……」
魔法剣士「ひとまず、西国辺りまで戻ってはどうだ?」
玄武娘「……」
魔法剣士「人の出入りも多いし、何か情報を得られるやもしれん」
朱雀嬢「そうですわね!ねっ、そうしましょう?玄武娘」
玄武娘「……はいですの」
- 234 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/09(水) 18:33:58.35 ID:Z7DbUmGbo
トボトボトボ
朱雀嬢「大丈夫ですわよ。逃げるわけでもないんだし」
玄武娘「……はいですの」
魔法剣士「その者、生きておるのだろう?」
玄武娘「もちろんですの!」
魔法剣士「ならば会えるさ」
玄武娘「……」
魔法剣士「生きているならば、きっと会える」
朱雀嬢「そうですわね」
魔法剣士「命失わぬ限り、会う事が出来るんだ。焦る事はないだろう」
玄武娘「…はいですの」
朱雀嬢「とりあえず西国で情報収集ですわ」
魔法剣士「それも旅の基本だ。覚えておけ」
玄武娘「はいですの」
魔法剣士「…しかし、よく旅を続けれたものだな」
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