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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その37
- 507 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2012/03/05(月) 17:54:00.49 ID:TjSwZWA4o
〜六道門・人、南〜
シャキイイィィィィン!! ズザザザザアアァァ
ネクロマンサー「……?」
スタッ
天才「おう、なーにを余所見してんだネクロちゃんよぉ!」ジャキッ
ネクロマンサー「……ククッ、貴方もしつこいお人ですねぇ」
天才「そりゃテメーだろうが。何百年もコソコソとよぉ!」
ネクロマンサー「ククッ、それもそうですね」
天才「最初は魔王に加担し、人間を滅ぼそうと企んでる下衆かと思ってたが……」
ネクロマンサー「……」
天才「どーもそういう素振りでもなさそうだなぁ」
ネクロマンサー「聞き捨てなりませんネェ。魔王のお耳に入ったらどうするのです」
天才「地獄耳ってか? ハーッハッハッハ! 笑えねぇよボケ!」
ネクロマンサー「貴方の仰りたい事がサッパリ分かりませ――」
天才「レメゲトン」
- 508 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:55:09.21 ID:TjSwZWA4o
ピクッ
天才「グリモワールの1つだよな? 魔王パズズ様が語っていたそうじゃないか」
ネクロマンサー「……」
天才「古書によりゃ、パズズは己を崇拝する人間を集め、邪教を生み出した」
ネクロマンサー「……」
天才「その際の唱道として、レメゲトンの記述がある」
ポイッ……バサッ
天才「邪教の経典だ。副司令が所持してたモンだがくれてやるよ」
ネクロマンサー「貴様……」
天才「かつて人間は、グリモワールより魔術を得て、天使の召喚を得たと言われてる」
ネクロマンサー「……」
天才「天使とは即ち召喚獣。今や召喚術として世に広まっているわな」
沈黙を突けるネクロマンサーを横目に、天才は言葉を続ける。
天才「そんな中、グリモワールの中で1項目だけ世に出回らなかったものがある」
ザッザッザッ
- 509 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:55:39.92 ID:TjSwZWA4o
天才「それがレメゲトン。即ち、悪魔召喚の書だ」
ネクロマンサー「……ほぉ」
天才「魔王達は自分達が人間に召喚される事を嫌い、レメゲトンの存在を消し去った」
ネクロマンサー「……」
天才「それからは何事もなかったかのように日々が過ぎたがある日……それは起こった」
ネクロマンサー「……」
天才「魔王パズズは他の魔王、特にサタンが疎ましく思い始めた。
いや、パズズだけじゃねぇ。地獄の支配を目論む魔王達は、
他の魔王の存在が邪魔だったはずだ」
ネクロマンサー「……」
天才「だが、どんなに徒党を組もうと、どうぢても勝てない相手がいる。それがサタンだ」
ザッザッ
天才「6人が組んで挑もうとも勝てない絶対君主、サタン。そこでパズズは考えた」
ザッ
天才「レメゲトンを使って、自分以外の魔物を人間に召喚させようとな」
ネクロマンサー「……ッ」
- 510 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:56:12.71 ID:TjSwZWA4o
天才「そこで人間を宗教的に取り込み服従させた。宗教ってのは裏切らねぇからな」
ネクロマンサー「……」
天才「だがパズズにとって誤算が生じる。ある時代の教祖に狂った奴がいた。お前だ」
ネクロマンサー「……ククッ」
天才「テメーはレメゲトンの力をパズズの為ではなく、自分自身のい為に用いようとした」
ネクロマンサー「……」
天才「しかしその手掛かりは一向に見当たらない。テメーにも寿命が近づく」
ネクロマンサー「……」
天才「テメーはパズズから不死の法を伝承し、自身をアンデッドと化して生き長らえた」
ネクロマンサー「……」
天才「そして数百年。ようやくその手掛かりが見付かった」
ネクロマンサー「手掛かり……ですか」
天才「ああそうさ。グリモワールはサタンの元にある」
ネクロマンサー「……ッ」
天才「テメーは人間の計画を逆に利用し、魔王を討たせ、
自分はグリモワールを入手しようとそーいう魂胆なんだろ?」
- 511 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:56:45.68 ID:TjSwZWA4o
ネクロマンサー「アーッハッハッハッハ!!」
天才「……」
ネクロマンサー「推測ですか?」
天才「ああ。俺様の完っ璧なる推測だ」
ネクロマンサー「面白い話ですね。ベストセラーは無理でしょうけれど」
天才「テメーは何を狙ってやがる? 魔物力を手に入れてどうするつもりだ?」
ネクロマンサー「ですから、推測で話を進めないで下さい」
天才「……」
ネクロマンサー「私は魔族となったのです。人間を始末する事こそ私の務め」
天才「やめとけやめとけ。ボロが出るぞ?」
ネクロマンサー「……」
天才「始末対象を人形遊びに興じて、言ってる事、矛盾してんぜ」
ネクロマンサー「詭弁を」
天才「お互い様だろ? ハーハッハッハ!」
- 512 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:57:39.08 ID:TjSwZWA4o
〜六道門・地獄〜
ドドオオオオォォォォ……
オルトロス「人間共、ここがどのような場所か知っているのか?」
眼鏡「ああ、よーく知っているさ」
オルトロス「……貴様ァ」
眼鏡「さぁ、今ここでケリを着けようじゃないか」
オルトロス「ケルベロス……ッ!!」
魔法剣士「……な、何だ?」
ジュニア「知ってんのか……!?」
賢者「……ふぅ」
オルトロス「貴様だけはこのオルトロス様がッ、殺してくれるわアアァァ!!」
キュイイイイィィィィ……
ジュニア「くんぞぉーっ!!」
賢者「……結界」フオオォォォ
オルトロス「まとめて……死ねええぇぇ!!」
- 513 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:58:34.88 ID:TjSwZWA4o
ドッゴオオオオォォォォン!! ズッギャアアアアァァァァ!!
ジュニア「ぐ、くううぅぅ……っ!!」
賢者「……ふぅ、大丈夫かい?」
魔法剣士「あ、ああ……っ」
ドッシュウウウウゥゥゥゥ……
オルトロス「……チィッ。またしても――」
眼鏡「はあぁーっ!!」
シュバッ!! ザシュウウゥゥゥゥ!!
オルトロス「――ッ」
眼鏡「まだまだぁ!」
オルトロス「利くかよオオォォ!」
眼鏡「!?」
ジュニア「させっかぁ!!」
魔法剣士「はああぁぁーっ!!」
ズガッシュウウゥゥゥゥッ!!
賢者「……ふぅ、援護するか」ポウッ
- 514 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 17:59:20.09 ID:TjSwZWA4o
門の前に立ちはだかる地獄の番犬オルトロス。 その巨体めがけ、
4人は入れ替わり立ち代わり、見事なコンビネーションを繰り出し攻撃する。
一撃一撃に全身全霊の力を込め、オルトロスを倒すべく攻撃をし続けた。
しかしそれが裏目に出る。無尽蔵と言える程の体力を持つオルトロスは、
疲労により速度を落とす一同を徐々に捉え始めたのだ。
オルトロス「4人がかりでこの程度とはなぁーッ!!」
キュイイイイィィィィ……ドッズオオオオォォォォン!!
ジュニア「……くっそやろうが」
賢者「キリがないね……ふぅ」
オルトロス「あの結界さえなければ、一瞬で片付くものを……ッ」ドズンッ
眼鏡「どうした? 苦戦しているじゃないか」ババッ
オルトロス「この程度で図に乗るなよ!」
眼鏡「どっちがだか……」
〜♪
眼鏡「――ッ!!」
- 515 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 18:00:01.48 ID:TjSwZWA4o
ギュウウウウゥゥゥゥン……
ジュニア「なっ、何だぁ……!?」
賢者「結界が……魔力が吸われている……!?」
〜♪
眼鏡「くっ」ババッ!!
ザッザッザッ
詩人「苦戦しているのかな?」
オルトロス「何だ貴様、邪魔をするな」
詩人「邪魔、か」
賢者「……彼の奏でる音色だ。あれが魔力を……ふぅ」
ジュニア「あいつ、人間じゃねぇのかよ……っ」
〜♪
詩人「素晴らしい歌だろう?」
眼鏡「力が漲るよ」
詩人「……魔王」
- 516 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 18:00:37.89 ID:TjSwZWA4o
魔法剣士「……?」
詩人「魔王の為に作り、魔王の為に奏でる曲」
眼鏡「……」
詩人「人間は魔力を奪われ、魔族は……」
〜♪
詩人「魔力を増幅させる」
ズギュウウウウゥゥゥゥッ!!
賢者「――っ!?」
ジュニア「ぐああぁぁぁぁ……っ!」ガクッ
魔法剣士「な、なん……だ!?」
ジュニア(魔力が……身体中から抜けていく……っ!!)
賢者(何なのだこの力は……っ!!)ドサッ
詩人「……さて、厄介なのは始末したよ」ザッ
オルトロス「余計な世話を」
詩人「……」
- 517 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 18:01:11.45 ID:TjSwZWA4o
フワッ……スタッ
オルトロス「何をしている?」
詩人「ベルゼブブ様の下へ連れて行く」ズルズル
オルトロス「俺様の獲物だぞ!」
詩人「口を割らせる必要があるからね。そうはいかないよ」フワッ
オルトロス「待て貴様――」
眼鏡「はぁーっ!!」
ズギャッ!! ドッゴオオオオォォォォン!!
オルトロス「――っ!!」ズザザザアァ
眼鏡「……うん、魔力もほぼ回復したようだ」
魔法剣士「眼鏡……?」
オルトロス「あの人間、面倒な事をしてくれたもんだ」
眼鏡「おや、自信喪失したか?」
オルトロス「殺ス!!」
眼鏡「貴様なんぞに殺されてたまるかっ」
- 518 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 18:02:56.12 ID:TjSwZWA4o
ドウンッ!! ズギャアアァァァァ!!
魔法剣士「援護する!」ザッ
眼鏡「頼む!」
魔法剣士「魔法剣……3行」ジャキジャキッ
眼鏡「はああぁぁぁぁーっ!!」
ズガシュウウウウゥゥゥゥ!!
オルトロス「ガアアァァーッ!」
ズギャギャギャギャッ!! ドガガガガッ!!
眼鏡(……やはりオルトロス、ただでは倒せないか)
魔法剣士「はああぁぁ!!」
オルトロス「貴様も先程から魔力を使っていればァ!」
ガキイイィィィィン!!
オルトロス「詩人の曲で楽に死ねたものを!!」
魔法剣士「……魔法剣っ、4行!!」
オルトロス「!?」
- 519 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 18:05:19.08 ID:TjSwZWA4o
ズゴゴゴゴゴゴ……ドウンッ!!
魔法剣士「はああぁぁぁぁーっ!!」
ズッギャアアアアァァッァ!!
オルトロス「何ィ!?」
右手の炎と左手の氷それぞれに、雷が宿り、更にそれを土行が補佐する。
魔法剣士の均等に、緻密に割り当てられた完璧なる美しい4行の魔法剣。
怒りによる金行、哀しみによる水行、楽しみによる火行。そして、怨みによる土行。
魔法剣士の感情全てが糧となり、膨大でおびただしい魔力が込められていた。
振り下ろす2本の剣はオルトロスめがけ瞬時のうちに襲いかかった。
連撃を繰り出す魔法剣士。それをかわし、獰猛なツメと騎馬で襲いかかるオルトロス。
一進一退の攻防は火花を散らし、雨の滴を蒸発させる程の凄まじい勢いである。
互いの魔法と体内から湧き出る熱気が水蒸気を起こし周囲を曇らせる。
その隙に乗じ、眼鏡の奥の瞳を光らせ、ハンターが物静かに動いた。
間合いを詰め、渾身の一撃を急所に叩き込む。それで全てが終わる。
だがそれは一瞬で頓挫する。眼鏡に飛び込んだ光景は血飛沫をあげ倒れる男の姿であった。
- 520 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2012/03/05(月) 18:07:28.55 ID:TjSwZWA4o
ここから暗い話ばっかり続くような気がする…すいません
その分、あっちのスレでギャグでも書こうかな!
ひとまず今日はここまでにて。ご支援ありがとーでした!
それではまた!失礼致しますですよ!ノシ
- 531 名前:NIPPERがお送りします(東京都) [sage] 投稿日:2012/03/05(月) 20:46:28.01 ID:R6SU2oFW0
>>1 おつ
レメゲトン 魔王の召喚とかすごいな
- 539 名前:NIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage] 投稿日:2012/03/06(火) 17:32:05.81 ID:Z2z1qg6AO
つまり召喚術にも魔行があると…
サタンとの決戦で他の魔王が召喚されるとか胸熱だなww
- 540 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/06(火) 18:07:54.26 ID:H93WElRLo
ズガアアアアァァァァッ!!
魔法剣士「か……は……っ」ガクン
眼鏡「――っ!!」
ドシャッ……
眼鏡(オルトロス……ではないッ。どこだ、どこから……)
ズオオォォォォ バサッバサッ
ドラゴン「……グゴオオォォォォ」
――「クヒヒッ」カシャッ
ドラゴンの背に乗り、腰にぶら下げた筒から矢を取り出し、手にする弓へあてがう魔物。
――「さぁ、このドラゴンライダー様の手にかかる次の獲物はどいつかなぁ〜クヒヒッ」
ドラゴン「ゴガアアァァァァッ!」
ライダー「どうした? 何を興奮しているんだ――」
ゴゴゴゴゴゴ……
ライダー「――!?」
眼鏡「……あれか」
- 541 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/06(火) 18:08:30.62 ID:H93WElRLo
ライダー「な、何だぁ!? アイツ、本当に人間かァ!?」
バシュウウゥゥゥゥ
ライダー「ええいっ! 何だろうと関係ねぇッ! この俺様が狙撃してやるッ、クヒヒ!」
眼鏡(上空か……厄介だな)
オルトロス「どこを見ているウウゥゥ!!」
眼鏡「!?」
ドッグオオオオォォォォン!!
眼鏡「……っ」ズザザザザアアァァ
オルトロス「よもや、避けるのが精一杯ではないだろうなぁ」
眼鏡「……どうかな」
オルトロス「その姿のままで、勝てるとでも思っているのかァ!!」
ギュバッ!! ズッシャアアァァァァ!!
眼鏡「言うだけの事はあるッ。やはり一筋縄ではいかないね」
オルトロス「そらそらそらそらアアァァ!!」
眼鏡「でも、この速度ならば避けられる」
- 542 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/06(火) 18:08:58.59 ID:H93WElRLo
ズガガガガガガッ!! ズッドオオォォォォン!!
オルトロス「避けられる?」ペロッ
眼鏡「……?」
オルトロス「当たり前だろう。避けられる程度に攻撃してやってるんだからなァ!」
眼鏡「何ッ!?」
ライダー「クヒヒッ、貰ったぁ!!」
ドバッシュウウウウゥゥゥゥ!!
眼鏡「――ッ!!」
ザクウウゥゥッ!! ガッカアアアアァァァァ!!
眼鏡「ぐああぁぁーッ!!」
ライダー「っし! 命中ウウゥゥ!」
オルトロス「馬鹿がアアァァァァ!!」
キュイイイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!
至近距離にてオルトロスの閃光を受けた眼鏡は、
その場より遥か後方へと吹き飛ばされ、姿を消した。
- 543 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/06(火) 18:11:02.40 ID:H93WElRLo
コオオオオォォォォ
オルトロス「ハッ! 結局はこの程度かケルベロスよ!」
ドシッ ドシッ ドスウウゥゥン
オルトロス「……まぁいい。まずはこのニンゲンを食い殺してくれようか」ガシィッ!!
魔法剣士「……ぐ……っ」
オルトロス「無力な分際で魔王城へ攻め入ろうなどと、馬鹿げた夢であったな」
魔法剣士「……っ」
オルトロス「地獄で同胞に詫びるが良いわッ! ハハハハハハッ――」
ヒュンッ!! ドゴオオオオォォォォ!!
オルトロス「……ッ!?」
眼鏡「……まだ……終わりじゃあないさ、オルトロス!」
ドシャァッ……ガシッ
眼鏡「……大丈夫か?」
魔法剣士「……っ!!」
オルトロス「……き、貴様ァ!!」
- 544 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/06(火) 18:11:59.39 ID:H93WElRLo
ザアアアアァァァァ……
魔法剣士「……」
うつろな目で空を眺めていると、降り注ぐ雨の滴がはっきりと分かった。
泥に塗れ、激痛を伴い、意識も朦朧とする中、仰向けに地べたへ転がる。
……ああそうだった。魔物に攻撃を食らって、吹っ飛ばされたんだっけ。
ちっ、またあの夢か。これでもう何度目になる事やら……。
いつになったら見なくなるんだろうか。この悪夢は。早く、早く覚めてくれ。
……――
父『……逃……げ…ろ…』
母『……』
妹『ママーッ! 起きてーっ!! 足が痛いよぅ……!』
魔法剣士『父さん!! 母さんっ!! い、妹……っ!!』
オルトロス『グルオオオォォ!!』
魔法剣士『みっ、みんなぁ…!! やめて! もうやめてよぉー!!』
妹『ママーッ!! お兄ちゃ――』
- 545 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/06(火) 18:15:02.84 ID:H93WElRLo
グシャアァァッ!!
魔法剣士『――!!』
オルトロス『オオォォォォ!!』
僕を納屋へ隠してくれた隣のお姉ちゃんが、化物に食べられる光景が見えた。
狼のような複数の頭部と巨大な全身は真っ赤に染まり、大きな遠吠えを上げる。
でも、もう1匹の魔物が、追い払ってくれたんだっけ……。
オルトロス『……邪魔をするな。ケルベロス』
――……
オルトロス「……邪魔をするな。ケルベロス」
眼鏡「……」
魔法剣士「……眼……鏡」
眼鏡「生きているな、良かった。君は退がっていてくれ」
魔法剣士「……っ!?」
眼鏡「やはりここは僕1人で戦うよ。僕の為にもね」
魔法剣士「な……に……?」
- 546 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/06(火) 18:15:31.60 ID:H93WElRLo
オルトロス「そのまままとめて、消し去ってくれるわアアァァ!!」
眼鏡「ヒュイッ!!」
ザザザザザザッ!! ドバァッ!!
魔獣「グガアアァァァァ!!」
オルトロス「な……ッ!?」
眼鏡の口笛を合図に、無数の魔獣が地面より姿を現し、
涎の滴る口を大きく開け、その牙でオルトロスへと一斉に食らいつく。
オルトロス「雑魚がッ!! 近寄るなアァ!!」
キュイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!
魔獣「グゴオオォォォォ……ッ――」
オルトロス「雑魚が何匹群がろうとォ、雑魚は雑魚! 無駄な事よ!」
魔法剣士「……眼鏡っ」ヨロッ
眼鏡「済まない。まずは君に謝らなければならないね」
魔法剣士「……?」
眼鏡「別に君を騙すつもりであったわけじゃないんだ。それだけは分かって欲しい」
- 547 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2012/03/06(火) 18:16:11.83 ID:H93WElRLo
ゴゴゴゴゴゴ……
眼鏡「僕は……人間じゃないんだ」
魔法剣士「眼……鏡……?」
眼鏡「僕の本当の名は……ケルベロス」
魔法剣士「っ!?」
眼鏡「今のうちに逃げてくれ。巻き込みたくない」
魔法剣士「何を――」
ドクンッ ゴゴゴゴゴゴ……
魔法剣士「…………っ」
目の前で起きる光景に、魔法剣士は言葉を発する事は出来なかった。
突如眼鏡の男が巨大な魔物へと変貌する。巨大な3つ首の猛獣、
それは目の前に君臨するオルトロスと酷似しており、両者がただならぬ、
恐らくは何かしらの関与があるものと、容易に想像が出来た。
魔法剣士「眼鏡が……っ、魔物……」
突如、受け入れ難き現実を突きつけられた魔法剣士は、ただその場に佇むしかなかった。
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