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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その22
- 383 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2010/12/06(月) 17:40:33.24 ID:9zXvfgEo
〜前日、本国王宮にて〜
右秘書官「……」
青年兵「……」
カツカツカツ
王宮兵「申し上げます」
右秘書官「…?」
王宮兵「高官様、お二人に面会をお求めになられております」
青年兵「高官様が…!?」
右秘書官「…良かろう。 応接間へご案内せよ」
王宮兵「はっ」
青年兵「殿下ご不在の時に…何用でしょうか?」
右秘書官「…さぁな。高官殿はやや歩み寄っているとは言え、未だ左翼…」
青年兵「……何か探りを入れに来たとも」
右秘書官「…心してかかるよう」
青年兵「ははっ」
- 384 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:40:59.58 ID:9zXvfgEo
〜応接間〜
カチャッ…キィ
青年兵「失礼致します」
右秘書官「…お待たせ致しました」
高官「こちらこそ、急な面会で申し訳ない」
起立し一礼する高官へ着席を促しながら、二人も席へと着く。
右秘書官「ご存知と思いますが、殿下はご不在につき我々が…」
高官「存じておる。東方司令部へ向かわれたと左翼内でも話が持ちきりだ」
青年兵「……」
右秘書官「…ならば、一体何用でしょうか?」
高官「…うむ。左翼上層部については、どうもそうでないようなのだ」
青年兵「…?」
高官「殿下は、東方へ向かわれたのではないか?」
右秘書官「……」
高官「…そう考えておるようだ」
- 385 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:41:34.76 ID:9zXvfgEo
右秘書官「成程。しかし我々も東方司令部へ向かうとしか伺っておりません」
高官「…………」
青年兵「……」
右秘書官「……」
高官「恐らく…二人が考えている通り、探りを入れてくるよう言われた」
右秘書官「…随分とご正直でいらっしゃる」
スクッ
高官「…気を付けよ、単純な小細工など見抜いてしまう連中よ」
右秘書官「…ご忠告、感謝致します」
高官「……ふっ」
カツカツカツ…
青年兵「…も、もうお帰りで…?」
高官「あまり長居しておると、私の立場も危ういのでね。失礼」
右秘書官「……ご苦労様です」
高官は二人へ向けて微笑を見せ、応接間を後にした。
- 386 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:42:03.48 ID:9zXvfgEo
青年兵「……」
右秘書官「…これはチャンスかもしれんな」
青年兵「…?」
右秘書官「左翼の連中、疑心暗鬼に陥っているな」
青年兵「そ、そのようで……」
右秘書官「…ふっふ。殿下の気まぐれな行動が功を奏したか…ふっふふふ」
青年兵「……」
右秘書官「…ごほん。我らも東方司令部へ向かうぞ」
青年兵「!?」
右秘書官「奴等が裏を突こうと言うならば、我らもそれを利用しようではないか」
青年兵「つ、つまり…えぇと……?」
右秘書官「難しく考える必要はない。今回は型にはまった策などないよ」
青年兵「…は、はい」
右秘書官「その都度臨機応変に策を為す。無策の策…と言ったところか」
青年兵「なるほど…っ」
- 387 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:42:30.42 ID:9zXvfgEo
…
右秘書官「…陸路の方が若干は早いか」
王宮兵「ターミナルからの馬車を考えますと…どうでしょうかね」
青年兵「……」
右秘書官「殿下が東方司令部にどれ程滞在されるか分からんからな…」
王宮兵「早めに追われた方が宜しいでしょう」
青年兵「…あ、あの」
右秘書官「…?」
青年兵「一つ…手段がありますが……」
右秘書官「陸路と海路以外に手段などあるのか…?」
青年兵「は、はい…っ。空を……」
王宮兵「空路……がははは!それは便利、夢のような話ですなぁ…!」
右秘書官「青年兵、すまんが真剣に考えてくれないか?」
青年兵「い、いや…真剣です」
右秘書官「……?」
- 388 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:42:59.84 ID:9zXvfgEo
…
王宮内を離れ、青年兵らは中庭へと場を移した。
王宮兵「……っ」
青年兵「出でよ、ワイバーン!!」
シュイィン
王宮兵「こ…これが召喚獣…っ!!」
ワイバーン「……また貴様か」
青年兵「世話になるよ、ワイバーンさん」
右秘書官「お、お前…召喚獣と話せるのか…!?」
青年兵「…右秘書官様、世間は広いものですよっ」
ヒョイッ
右秘書官「……こ、これに…乗るのか」
ビクビクッ…ソーッ
右秘書官「…お、落ちたりしないだろうな!?」
青年兵「僕の魔力次第ですかね…では、行きましょう!」
- 389 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:43:28.92 ID:9zXvfgEo
豪快な羽ばたきと共に、ワイバーンが大空高く飛び立つ。
ドウッ!!…バサッ…バサァ…
王宮兵「……す、すご…っ!!」
ギュオオオォォ
右秘書官「――っ!!」
青年兵「しっかり掴まっていて下さい!飛ばしますよ!!」
ドウンッ!!
右秘書官「ほ……本当に空を…っ!ゆ、夢のようだ…っ」
青年兵「片道くらいなら…僕の魔力でも事足りるはずだ…っ!」
ギュオオォォ…ドシュウウゥゥンッ!!
〜経済機関、庁舎〜
左秘書官「…ほぉ、二人は東方司令部へ行くと申していたのですね?」
高官「そのようだ」
左大臣「……」
左文官「そのような手を打ってきますかね…」
- 390 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:43:58.20 ID:9zXvfgEo
タッタッタッタッタ
左翼兵「申し上げます!右秘書官様、青年兵様が王宮を出たと…!」
左文官「何ぃ!?」
左大臣「それで、何処へ向かったのだァ?」
左翼兵「東方司令部へ向かわれたと…!」
左秘書官「高官殿の探りが決めてになりましたな」
高官「…?」
左秘書官「これでまんまと右翼の核となる連中を…おびき寄せました」
左大臣「つまり…殿下の行き先は東方司令部で確定だァ」
左秘書官「ここで工作にせよ殿下の演説にせよ…阻害出来れば…」
左文官「……東方司令部は今後とも靡く事はない…か」
左大臣「奴らの事だァ。油断はするなよ?何があるか分からんからなァ」
左秘書官「無論です。付け入る隙など与えませんよ」
高官「……」
左大臣「さぁて、折角ガラ空きになった本国だ。他の手も打っておくかァ」
- 391 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:44:31.40 ID:9zXvfgEo
…
ザザーン…ザザーン…
海兵「ターミナル、到着致しました」
カツカツカツ…
右文官「ご苦労」
皇太子「ここから司令部へは馬車であったな」
エリート「はい。お乗り下さい」
皇太子「…うむ」
右文官「…よっと。いいぞ、出してくれ」
ガラガラッ…パッカパッカパッカ…
エリート「殿下、分かっておられると思いますが…視察だけですからね」
皇太子「…何だ?私が暴れるとでも思っているのか?」
エリート「…可能性はあります」
皇太子「相変わらず手厳しい奴だな。はははっ」
エリート「……」
- 392 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:44:59.45 ID:9zXvfgEo
ゴウッ!!
右秘書官「……く…ぅ!!」
青年兵「…間もなく……大陸の東に入ります…っ!」
ゴオオォォ…ビリビリビリッ
青年兵(……思ったより負担が…大きいな…っ)
ワイバーン「お前一人ではないせいだろう」
青年兵「っ!!」
ワイバーン「無理をするな。速度を落とし…低空に入るぞ」
青年兵「あ…りがと…っ!」
ギュオッ……ドシュウウゥゥ…
…
青年兵「……はぁ…はぁ……はぁ」
右秘書官「青年兵、大丈夫か…?」
青年兵「…はぁ…は、はい…っ。すみませ……っ」
ワイバーン「…全く。とんだ無茶をしよるわ」
- 393 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:45:37.52 ID:9zXvfgEo
青年兵「ご、ごめん……」
ワイバーン「…ふん」
シュイィン
右秘書官「…しかし、凄いものだな」
青年兵「すみません…っ。まだ司令部まで距離があるというのに……」
右秘書官「いやいや、ここまで来れただけでもかなりの短縮になった」
青年兵「そう言って頂けると…救われます…っ」
右秘書官「…ふっ。但し、この事は殿下に言うでないぞ?」
青年兵「…ま、まぁそのつもりはありませんてしたが…また何故です?」
右秘書官「殿下の事だ。遊戯に利用されるぞ?」
青年兵「あ…っ」
右秘書官「……さて、ここからどうするかな」
ドドッドドッドドッ…
右秘書官「ん…?この音は…馬の蹄か…!?」
青年兵「右秘書官様っ!あれを…!!」
- 394 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:46:09.30 ID:9zXvfgEo
前方より砂煙を上げ、一台の馬車が二人の元へと近づいてくる。
ドドッドドッドドッ
右秘書官「しめた…馬車かっ!おおーい!!」
ドドッドドッ…ドドォ…
御者「…や、やっぱり…人がいる!?」
青年兵「すみません、もしお手すきなら乗せて頂けませんか?」
御者「そ、そりゃあ構いませんが……」
右秘書官「では、有難く…」
青年兵「失礼します」
御者「へ、へい…っ!」
ドドッ…パッカパッカパッカ…
御者「いえね、それで帰路の途中だったんですがね……」
右秘書官「成程、そうでしたか。お陰で助かりましたよ」
御者「魔物らしきのと人間が一緒に降りたったように見えたもんで…慌てて…」
青年兵「は、はは…っ。交戦中でそう見えたのでしょう!はははっ!」
- 395 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:46:45.69 ID:9zXvfgEo
右秘書官「馬車も物資も襲われ途方に暮れていたところですよ」
御者「いやはや、良かった良かった!」
右秘書官「しかし気を付けなされよ?」
御者「…へ?」
右秘書官「いくら人が居るからと、魔物の傍に近寄りすぎるは命知らずですぞ」
御者「ちょいと勇みすぎやしたね…ご忠告感謝します!」
右秘書官「まぁそのお陰で、我らもこうして乗せて頂いているわけだが…」
青年兵「……全くです」
御者「行き先は真っ直ぐ東方司令部で良かったですか?」
右秘書官「ええ。お願いします」
御者「了解致しました!そんじゃあ飛ばしますよ!!」
青年兵「お願いします」
右秘書官「これなら何とか、殿下に追いつけそうだな」
青年兵「…はい!」
ドドッドドッドドッ…
- 396 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:47:22.70 ID:9zXvfgEo
〜東方司令部〜
東方副司令「もう間もなくだぞ、列を崩すな」
当方兵「殿下、ご到着なされました!!」
東方司令「…全員ー敬礼ぃーっ!!」
ザザッ!!
正門をくぐる馬車を東方の兵らが左右一列に並び、皇太子を敬礼で出迎える。
パッカパッカパッカ…ドドォ
東方司令「敬礼やめぇー!全員……正面、戻れっ!!」
ババッ…ジャッ!!
東方副司令「殿下のお見えである。こちらへ注目せよ!」
カチャッ
皇太子「…ご苦労」
エリート「……」
右文官「……」
カツカツカツ
- 397 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:47:58.15 ID:9zXvfgEo
東方司令「殿下、此度は視察の程まことに有難う御座います」
皇太子「いやいや、こちらこそ急な来訪…世話をかける」
東方司令「…いえ、とんでも御座いません」
ザッ
皇太子「東方の諸君、務め…ご苦労である」
東方兵「…おぉ」
魔道兵「で、殿下直々に御言葉を…っ!」
皇太子「東方司令部は他の司令部と違い、かなり負担をかけてしまっている」
東方副司令「……」
皇太子「何か力添え出来れば良いが…大変申し訳なく思う。すまんな」
東方兵「何を仰られますか!殿下のお顔が拝見出来ただけで十分です!」
魔道士「はいっ!我らは殿下の…そして本国の為に勤めておるのです!」
皇太子「…頼もしい限りだ。以後も宜しく頼むぞ」
ワアアァァァァ!!
東方兵「殿下ぁーっ!!」
- 398 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:48:28.53 ID:9zXvfgEo
カツカツカツ…
右文官「相変わらず見事な手際よ。あの短い挨拶でよくもまぁ…」
エリート「狙っての事かどうかは分かりませんがね…」
右文官「……それが殿下の怖いところよ。はははっ」
エリート「……全くですよ」
ぽつりと呟くエリートは、前方を歩く皇太子の顔を見つめる。
皇太子「それで、こちらはどうだ?不自由はないか…?」
東方司令「…特にこれといって御座いません」
皇太子「そうか。何か不自由あらば早急に申せよ?」
東方副司令「痛み入りまする」
皇太子「東方副司令、君も身体は大丈夫か?」
東方副司令「お陰様で何とか…。ご迷惑をお掛け致します」
皇太子「…いや。今後は後方支援として…東方で頑張ってくれ」
東方副司令「ははっ!」
皇太子「……どれ、東側も視察させて貰うか」
- 399 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:48:56.94 ID:9zXvfgEo
〜東方の都、現在〜
海兵「お足元ご注意下さいませ」
皇太子「うむ…すまんな」
トッ…スタスタスタ
皇太子「……おぉ、これが東方…!!」
エリート「異国というのも…なかなか……」
タッタッタッタッタ
右文官「…おぉ!?」
皇太子「…やぁ」
ザッ
隊長「……」
西方参謀「お待ちしておりました…殿下」
皇太子「堅苦しい挨拶は抜きだ。それで、東方の王は…?」
隊長「朝方より外出され、夜にはお戻りになられるようです」
皇太子「……そうか」
- 400 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:49:26.33 ID:9zXvfgEo
西方参謀「しかし書を見た時は驚きましたぞ…ヒック」
皇太子「ははっ。善は急げと申すではないか」
隊長「……」
エリート「さて、夜まで時間がありますな。どうなさいますか?」
皇太子「決まっておるだろう」
右文官「……?」
皇太子「観光だ。隊長…西方参謀、案内せよ」
エリート「殿下……」
皇太子「ははっ。果報は寝て待てと申すではないか」
西方参謀「…がっははは!仰るとおりにて!」
隊長「…ではご案内致しましょう。何をご覧になられますか?」
皇太子「まずは街並みだな。あとは任せるよ」
隊長「…はい」
皇太子「いやはや楽しみであるな。はははっ」
エリート「……」
- 401 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:49:56.94 ID:9zXvfgEo
…
ザッザッザッザッザ
西方参謀「…して、これがその店というわけでございます」
皇太子「…ほぉ。ここがそうか」
看板娘「いらっしゃいませっ!本国からの観光ですかっ?」
皇太子「ああ。えぇと…この『あんみつ』とやらを一つ…いや、二つ?」
エリート「一つで」
看板娘「あいっ!ありがとうございますっ。あんみつ一丁〜!」
店主「へいへいっ!」
皇太子「…よっと」
右文官「オープンカフェのようなものか…?」
隊長「まぁそういう事になりますな」
皇太子「…東方の気候も本国とは若干差があるのだな」
エリート「そうですね。此方の方がやや肌寒い感じが致します」
皇太子「……」
- 402 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/12/06(月) 17:50:27.01 ID:9zXvfgEo
テクテクテク
看板娘「はいっ、あんみつ一丁お待たせしましたっ!」
皇太子「おぉ、きたきた。どれ……」
スクッ……パクッ
右文官「…いかがですか?」
皇太子「……うむ。これは美味!」
看板娘「ありがとうございますっ。お茶はおかわりありますからねっ」
皇太子「これはありがたい。…モグモグ」
ズズーッ
皇太子「……はぁ」
エリート(……満面の笑みだな…っ)
皇太子「しかし…不思議なものよ」
隊長「…?」
皇太子「つい昨日見た海の先に、このような異文化の国が広がっているとはな」
エリート「……ええ」
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