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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その15
- 766 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]
:2010/06/13(日) 22:54:28.13 ID:ltVVqGUo
〜北の港〜
戦士「なんとか昼前に着けたなー」
ウィッチ「ごめんなさいでございます……」
戦士「ん…?」
ウィッチ「いえっ、歩くのも遅いし…荷物も持って頂いて……」
戦士「こんなん気にするうちに入らねぇよ」
ウィッチ「そ、そう…なんでございますか…?」
戦士「そりゃそうだ。普通はこんなモンだろ」
ウィッチ「……?」
戦士「さーて、腹ごしらえして船の手配だ」
ウィッチ「は、はいでございますっ」
戦士「一応聞くが…何、食いたい?」
ウィッチ「…お、お任せするでございます!」
戦士「……だよな」
ウィッチ「…?」
- 768 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/13(日) 22:59:22.31 ID:ltVVqGUo
テクテクテク…
ウィッチ「ここ……でございますか?」
ウィッチは古びた建物を見上げ、唖然とした表情を見せる。
戦士「どした…?入るぞ?」
ウィッチ「こ、これ……食事処なんでございますの?」
戦士「そうだけど…?」
ガラッ
店主「……」
スタスタ…トスッ
戦士「どした?座りな」
ウィッチ「は、はいっ…でございます…」
店主「何にするんだ?」
戦士「えーっと……決まったか?」
ウィッチ「あっ、い…いえ…でございます!」
ウィッチは慌ててメニューの文字を指で追っていく。
- 769 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/13(日) 23:00:47.27 ID:ltVVqGUo
…
戦士「……ズズッ…ズゾゾッ…モグモグ」
ウィッチ「……ツツーッ…モグモグ」
戦士「美味いだろ?」
ウィッチ「は、はいでございます…!」
戦士「ははっ、良かった。ほら、これも美味いぞ?」
戦士はニッコリと笑顔で餃子の皿を差し出す。
ウィッチ「い、頂いても宜しいのでございますか?」
戦士「おうっ、食え食え!」
ウィッチ「は、はいっ!」
…
戦士「……うー、食った食ったぁ」
ウィッチ「こういった所も…あるのでございますね……」
戦士「…ん?」
ウィッチ「あ、い…いえっ!」
- 770 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/13(日) 23:01:44.96 ID:ltVVqGUo
戦士「ほんじゃ行きますか」
店主「……」
戦士「えーっと……いくらだ?」
ウィッチ「あっ、ここは…私が…っ!」
ゴソゴソッ…カキカキッ
ウィッチ「こ、これで足りますでございますか?」
店主「……なんじゃこりゃ?」
ウィッチ「え…?小切手…でございますけれど……」
店主「はぁ?こんなワケ分からんモンで払える…」
戦士「わーったわーった!ほれ!」
戦士は慌てて店主に小銭を手渡す。
店主「何だ、ちゃんとあるんじゃねーか…。全く…」
戦士「ほらっ、行こうぜ!」
ウィッチ「は、はい!!」
戦士「んじゃ、ごちそーさん!」
- 771 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/13(日) 23:02:46.17 ID:ltVVqGUo
テクテクテクテク…
ウィッチ「……」
戦士「あんなちっちゃな店じゃ、そんなもん使えねーよ」
ウィッチ「そう…なんでございますのね…」
戦士「つーか、お前金持ちなんだな…」
ウィッチ「そ、そんな事ございませんわ…」
戦士「いや…小切手なんぞ持ってる奴、初めて見たぞ」
ウィッチ「そうで…ございますの?」
ウィッチはきょとんとした顔で戦士を見返す。
戦士「……まぁいっか。んじゃ船の手配に行くか」
ウィッチ「はいでございます!」
テクテクテク…
戦士「…なんだ?顔に何か付いてっか?」
ウィッチ「っ!?い…いえ!何でもございません!」
戦士「……?」
- 772 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/13(日) 23:06:06.07 ID:ltVVqGUo
〜国軍本部、司令室〜
召喚士「それで、ご用と言うのは…?」
副司令官「うむ。諸君らは幾度か北方にて参戦してくれていたな…?」
魔道士「はいっ。それが何か…?」
副司令官「先の北伐には諸君ら以外にもワーカーが参加しておる」
盗賊「…ああ」
副司令官「黒の三騎士…存じておるか?」
魔道士「あっ!海峡でご一緒しました!」
召喚士「ええ。しかしあの時行方不明に……」
副司令官「左様。その三騎士が見つかったのだ」
召喚士「本当ですか!?」
副司令官「…死体でな」
総司令「……」
魔道士「そ……そん…な……っ」
盗賊「……」
- 773 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/13(日) 23:09:32.52 ID:ltVVqGUo
召喚士「あの、一緒に眼鏡…というワーカーは…!?」
副司令官「いや、報告は三人だけだな」
召喚士「そうですか…」
召喚士は胸を撫で下ろすように息を吐き、安堵の表情を浮かべる。
サモナー「それで、本題は…?」
副司令官「ああ、すまない。実はその調査に同行して貰えないかと思ってな」
魔道士「私達がですか…?」
副司令官「うむ。実際に現場を経験しておるしな…」
盗賊「……成程」
副司令官「本来ならば大軍師あたりの仕事なのだが…生憎、別任務に当たっていてな」
総司令「……」
副司令官「その辺りも兼ねて貰えると有り難いのだが…」
召喚士「……?」
副司令官「ワーカーではあるが軍師、としての権力を与えよう」
召喚士「俺がっ…ですか!?」
- 774 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/13(日) 23:17:57.64 ID:ltVVqGUo
副司令官「安心してくれ。あくまでも今回の任務に於いて、という事だ」
召喚士「それは勿論ですが…っ」
副司令官「情けない事に、今は戦略指揮を任せられる者が少なくてな…」
盗賊「…人手不足か」
副司令官「まぁそういう事になるか…」
魔道士「……召喚士さん」
召喚士「……分かりました」
副司令官「まことかっ!感謝するぞ、朱雀先生」
総司令「……」
召喚士「出発は…?」
副司令官「調査隊については、既に現地入りしておる」
盗賊「…ならば…別行動か」
副司令官「作戦明日正午になる。2時間前に到着して貰えれば構わん」
魔道士「明日の10時までに海峡へ…ですね」
召喚士「……分かりました」
- 776 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/13(日) 23:41:49.09 ID:ltVVqGUo
副司令官「詳細についてはこれに目を通しておいてくれ」
召喚士「はい」
副司令の差し出す作戦資料を受け取りながら、召喚士は一つ返事をする。
副司令官「報酬については通常通りワークショップ経由で頼む」
召喚士「分かりました」
副司令官「すまんな。手間をかけさせてしまって…」
魔道士「いいえ、お構いなくっ」
盗賊「…では」
盗賊はぺこりと頭を下げ、それを合図に一同は退室する。
カチャッ……パタン…
副司令官「…良いタイミングでしたな」
総司令「……素人にまかせるってのはどうかと思うけどね」
副司令官「他に人がおりませんからな…」
総司令「……」
副司令官「それとも、司令直々に出られますか?」
- 777 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/13(日) 23:49:50.80 ID:ltVVqGUo
副司令官は問いかけた後、じっと総司令を見つめる。
総司令官「……まさか」
副司令官「四方参謀を置いてからは戦略面における人材も…」
総司令「……少し、増やそうかね」
副司令官「…ありがとうございます」
総司令「……ん」
副司令官「それでは、これにて失礼致します」
総司令「…ん」
副司令官は敬礼し、司令室を後にする。
カチャッ…パタンッ
総司令「……」
キィッ…ギシッ…
総司令「……」
キィッ……
総司令「……そろそろ、かな」
- 779 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/06/14(月) 00:09:59.74 ID:tJvNikDO
>>1乙!
司令も怪しいし副司令も怪しく見えるし、先の展開が気になるな−
- 780 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/14(月) 00:30:58.01 ID:.qu92MYo
〜本国、大通り〜
召喚士「……」
サモナー「思わぬ事になってしまったね…」
召喚士「ええ…」
魔道士「良かったんですか?」
召喚士「……ええ、まぁ」
盗賊「……」
召喚士「実は俺自身も、安否は気になってましたから…」
魔道士「……」
召喚士「安否というより…結末…ですかね」
サモナー「結末…か」
召喚士「心のどこかでは、もう分かっていたんだと思います」
盗賊「…召喚士」
召喚士「でも、眼鏡さんは依然行方不明のままだ」
魔道士「そうですね…!き、きっと無事ですよね!?」
- 781 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/14(月) 00:34:45.12 ID:.qu92MYo
召喚士「そう…信じたい…っ!」
サモナー「それもあって、引き受けたわけだね?」
召喚士「…はい」
盗賊「…彼は…きっと無事だ」
召喚士「……そう思います。…俺も」
サモナー「……」
召喚士「サモナーさん、ありがとうございました」
サモナー「え…っ?」
召喚士「俺らはこのまま海峡へ向かいますので…」
サモナー「その事なんだけど、僕も同行していいかな…?」
魔道士「サモナーさんもですか!?でも…そこまで…」
サモナー「僕にとって…やらなくちゃいけない事があるだろう…?」
盗賊「…?」
召喚士「サモナー…さん…っ!」
サモナー「彼ら…短髪達に会いに行ってやらないと…」
- 782 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/14(月) 00:39:52.86 ID:.qu92MYo
魔道士「あ…っ…」
召喚士「サモナーさん」
サモナー「きっとこれは神様がくれた機会なんだと思う」
盗賊「……」
サモナー「そうでもなければ行く機会なんてないだろうしね…」
召喚士「確かに…そうかもしれませんね…」
魔道士「でも…良いんですか…?」
サモナー「うん、僕は構わないよ。是非連れて行ってくれ」
召喚士「…分かりました。それではご一緒にお願いします!」
サモナー「うん。こちらこそ…!」
召喚士「ではワークショップへ行き、戦士に行き先を残しましょう」
魔道士「あっ、そうですね!」
盗賊「…戦士」
召喚士「前の手紙ももう読んでくれてるといいけど…」
四人は司令部を後にし、ワークショップへと向かった。
- 783 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/06/14(月) 00:46:28.92 ID:.qu92MYo
寝ますーおやすみなさいー!ノシ
〜オマケ、本編に入れる程でもなかったので〜
魔道士「召喚士さんっ」
召喚士「はい?」
魔道士「良いんですか?」
召喚士「えっ?何が…ですか?」
魔道士「他の軍の方に会わなくて…」
盗賊「…青年兵…とか」
召喚士「青年兵くんは本国勤務になってしまったそうです」
魔道士「そうだったんですか!?」
召喚士「はい。先程、青龍先生が…」
サモナー「本国…っ。出世コースだね」
盗賊「…凄い」
召喚士「それに、他の皆さんも色々とお仕事があるでしょうし…」
魔道士「そうですよねっ!青龍先生は暇そうでしたし!えへへ!」」
- 786 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/14(月) 17:30:01.99 ID:.bU55T6o
〜北の港〜
戦士「……よし、オッケーっと」
店員「船は夕方出航、翌朝本国へ到着となります」
戦士「はいよ、どうも」
店員の差し出す二枚のチケットを、戦士は軽い口調で受け取る。
戦士「まだ時間あるな…。ちょっと寄り道していいか?」
ウィッチ「も、もちろんでございます!」
戦士「んじゃお言葉に甘えて……」
港を離れると、メインストリートの一画に並ぶ建物へと移動をする。
テクテクテク…
ウィッチ「……ワークショップ…でございますか?」
戦士「ああ」
カチャッ…
店員「いらっしゃいませ!」
戦士「…手紙、届いてないかい?」
- 787 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/14(月) 17:30:29.75 ID:.bU55T6o
店員「少々お待ち下さいませ」
戦士の記入した書類を受け取り、てきぱきと処理を進める店員。
それを横目に戦士とウィッチは卓上のファイルを見ながら暇を潰す。
戦士「…ほー、31位かぁ」
ウィッチ「お手紙ってご家族の方でございますか?」
戦士「うんにゃ、仲間だ」
ウィッチ「お仲間……」
戦士「あっ、そうか。俺も親父の事書いておかなきゃな…」
テクテクテク…
店員「お待たせ致しました。3通お預かりしております」
戦士「3通?そんなに?」
店員「はい」
怪訝な表情を見せる戦士に、店員は3通の手紙を渡す。
戦士「…よっし!召喚士からだ!」
ウィッチ「……?」
- 788 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/14(月) 17:30:59.94 ID:.bU55T6o
カサッ
戦士「……なるほど。西国から本国へ向かうのか…ん?」
召喚士の手紙を読み終えた戦士は、残り2通の手紙をまじまじと見つめる。
ウィッチ「戦士さん…?」
戦士「アイツら…一人ずつ書いてくれたのかぁ…」
召喚士、魔道士、盗賊からの手紙。宛名を見て戦士は目を細める。
戦士「……おっと、悪りぃ。行くか」
ウィッチ「お手紙は…書かなくていいのでございますか?」
戦士「ああ。どうやら本国にいるらしい。こいつはラッキーだったわ」
ウィッチ「あっ、そうか…。これから本国へ行くのでございましたね」
戦士「そういう事!手間が省けたぜ!」
ウィッチ「良かったでございますねっ」
戦士「おうっ!そんじゃ船が来るまで一息ついてっかね」
ウィッチ「はいでございます!」
二人はワークショップを後にし、船の入港をしばしの間、待つ事となった。
- 789 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/14(月) 17:31:50.54 ID:.bU55T6o
〜本国〜
魔道士「荷支度完了ですね!」
召喚士「はい。まずはこのまま大陸港の町を目指しましょう」
サモナー「海峡近くの街の方が、大きくて便利なんじゃない?」
召喚士「そうなんですが…実は寄りたい所がありまして…」
サモナー「そうだったのか。それなら問題ないよ」
召喚士「すみません」
サモナー「いやいや、僕は同行させて貰う身だから。お任せするよ」
魔道士「戦士さんにも伝言を残しましたし、そろそろ行きましょうか」
召喚士「ええ。行きましょう」
盗賊「…伝言?手紙でなく?」
召喚士「ええ。…海峡に行くけど本国で待っててくれ、と」
サモナー「下手に動くよりその方が合流しやすいね」
召喚士「俺達は海峡からとんぼ返りで本国へ戻ります」
魔道士「はいっ!頑張りましょう!」
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