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女商人「やっと私の出番ね」ルイーダ「あ、登録しただけよ」女商人「えっ?」
390 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/22(火) 17:34:18.59 ID:gwBFKx6AO
上(表)の世界
ホープバーク 町長の家


旅人「お久しぶりだねー2人とも!」

町長「おや?あなたは。どこかで見たことが...」

老人「その声、しゃべり方。」

旅人「ふっふっふ。」

町長「ああ!武闘家さんじゃないですか?」

老人「むう。そうじゃそうじゃ、武闘家じゃないか!」

旅人「やっとわかったか〜。まあ、たしかにこんな旅人の服じゃあわからないよね。」

町長「あの緑色の武闘着のイメージが強かったんで、わからなかったなー。」

老人「そういえばお前だけか?」

旅人「そうだよ。ちょいワケありってやつだよ。」チッチッ


391 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/22(火) 17:43:26.80 ID:gwBFKx6AO
旅人は今はホープバークの町長を務める青年と老人に、商人がここを離れてから、今までについてすべてを話した。


商人が自分の代わりに勇者パーティーに入ったこと。

さらに商人が賢者に転職したこと。同じく転職した仲間達のこと

自分は今、1人で世界中を旅していること

大魔王ゾーマ出現により下の世界アレフガルドが存在したこと

そして大魔王を倒すために勇者達がアレフガルドにいること


町長と老人は旅人の話を真剣に耳を傾けていた。


392 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/22(火) 17:53:58.46 ID:gwBFKx6AO
旅人「と、まあこんな感じかなー。」

老人「大魔王などというやついたか。勇者達も休まる暇ないのう。」

町長「商人さんが勇者パーティーに。しかも賢者になっていたなんて....びっくりしました。」

旅人「青年くんてば、私や勇者達のことよりも商人のことばかりだねーへへへ〜。」

町長「え。い、いや。そういうことじゃなくて、た、ただ僕は、商人さんが心配で。」アタフタ

旅人「(わっかりやすいなー青年くんは。)」ニヤニヤ

町長「武闘家さん。なんですかそのにやけ顔は。」

旅人「なーんでもありません。」



393 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:04:30.83 ID:gwBFKx6AO
老人「ところでお前はこれから?まだ旅を続けるか?」

旅人「もうホープバークが最後に来た町だよ。とりあえずここが終着点みたいなんだけど....」

町長「…………行くんですね、アレフガルドに。」

老人「なっ?そうなのか武闘家?」

旅人「うん。」コクッ

旅人「私自身、この世界中を廻ったんだけど、なにか満たされない気持ちなんだ。」

旅人「自分を見つめ直したら、わかったんだ。」

旅人「私は勇者達と一緒に戦いたい、ってね。私は私にしかできないことがあるかもしれない。」


394 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:21:24.85 ID:gwBFKx6AO

旅人「あとね、勇者達の忘れ物を届けにいかないといけないんだなー。」

町長「忘れ物?」

老人「なんじゃなそれは?」

ゴソゴソ

旅人「これでーす。」キラッ

町長「水晶玉ですか?ただの玉じゃなさそうだけど。」

老人「なにかとんでもない力秘められてるとか。」

旅人「そうなんだよね。詳しくは言えないけど、なぜか私がパーティー
から抜けた時に私の道具袋に入っててそのままだったんだ〜。」

旅人「(てか、なんで誰も気がつかないんだろうね〜)」

旅人「(竜の女王の形見みたいなものだし。)」

旅人「(勇者も真性のおっちょこちょいだもんねぇ。)」


395 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:33:13.13 ID:gwBFKx6AO
旅人は旅を終わらせ、再び勇者達に合うためにアレフガルドに向かうのだった。

あとホープバークから旅立つ際に町長から手紙を託された。


町長「武闘家さん、すみませんがこれを商人さんに渡してくれませんか?」スッ

旅人「なに、手紙?」

旅人「ねえねえ、青年くん。これはアレなのかな、いわゆる〜まさかの〜」ヘラヘラ

町長「茶化さないでくださいよ、武闘家さん。そのまさかです!」キッパリ

旅人「おお〜男らしいね。青年くんは商人のこと好きなんだもんね!」

町長「僕の思いを書いてます。よろしくお願いします。」ペコ

旅人「わかった!必ず渡すから。」


396 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:35:54.48 ID:gwBFKx6AO



旅人はギアガの大穴めざして、町を出ていった。



無事に旅人は勇者達に合流できるのか。

一方、勇者達は……………








399 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/22(火) 21:16:48.24 ID:6tMpBbSK0
ちなみにこのSS内で使っている魔法の詠唱ですが
ドラクエのCDシアターシリーズ内で使われている
ものを引用しています。

>>84 ラリホー
>>302 メラミ
>>307 イオラ
>>308 ヒャダイン
>>354 ルーラ

詠唱が不明の魔法に関しては私のオリジナルです。

あとベギラゴンのイメージは「ダイの大冒険」での
両手で炎のアーチを作るイメージで読んでください。
あの演出かっこいいですよね〜


400 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2013/01/22(火) 22:31:01.64 ID:RKWj168CP
乙です
マトリフ師匠がベギラゴンを放つ時の演出はカッコいいですよねー
誰か2つの呪文を同時に唱える人が出てくるのだろうか…


401 名前:NIPPERがお送りします [saga sage] 投稿日:2013/01/22(火) 23:58:58.47 ID:WsqdQAu0o
呪文同時発動はロト紋を思い出すな


402 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 08:23:42.98 ID:rAj2E+bAO
ラダトームの町 宿屋


『……さま』

賢者「…………ん」ピク

『けんじゃさま!』

賢者「…………ん。ううん。」モゾ

賢者「はっ!?」ガバッ

賢者「わ、私。どうして...」

武闘家「賢者さまっ!よかったぁ〜」ヘタ

賢者「武闘家...私は一体。魔物たちと戦って...」

勇者「気を失ってたんだよ、賢者。」ツカツカ

賢者「勇者。まさかあなたが助け」

パンッ!

部屋にかわいた音が響いた


403 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 08:37:23.03 ID:rAj2E+bAO
武闘家「あっ!ゆ、勇者さま...」

賢者「ゆうしゃ?」

勇者「バカッ!すっごく心配したんだよ!私が行かなかったら賢者死んでたんだぞ!」

勇者「私は今日、ずっと胸騒ぎがしてた。理由はわからなかったけど。でも昨日の賢者の浮かない顔がずっと心の中で引っ掛かってた。」

勇者「起きてからあなたは何も言わずにそそくさと先に出てった。私も賢者は修行を沢山積んで強くなったから大丈夫かなって思ってたんだよ。」

勇者「でもまさか戦いの場に行ったなんて思わなかった。メルキドに着いて倒れたあなたを見た瞬間、背筋が凍ったみたいに心臓がバクバクしたよ!」


404 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 08:54:06.88 ID:rAj2E+bAO
賢者「……………」

勇者「私達は単なる友達なんかじゃない!お互いに命を懸けて魔王を倒すために支え合って頑張ってきた仲間でしょ!」

勇者「私に、ううん武闘家や戦士でも構わない。どうして一言も相談してくれなかったの!」

勇者「私は勇者だ。魔王を倒す使命を背負ってる。だけど1人じゃ怖くてなんにもできないよ!だからみんなが一緒にいてくれて本当に嬉しかった。」

勇者「みんながいてくれたおかげで私はここまで来れた。そんな大切な仲間を絶対に死なせたくないよぉ。」グズ

武闘家「(勇者さま...)」グス

勇者「なのに....私....えっぐ、うう、うわぁぁん」ポロポロ


405 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 09:09:18.36 ID:rAj2E+bAO
賢者「(私はなんてバカなんだ...1人で勝手にしょいこんで、心配してくれてた勇者を....)」

賢者「(あの時となんら変わらないじゃない。くそっ。)」

勇者「………でも。」グス

賢者「?」

勇者「賢者が無事でよかったぁ、ほんとにほんとによかった。」ニコッ

賢者「あっ。勇者っ!」ダッ

ガシッ

賢者「心配してくれてありがとう!助けてくれてありがとう!ごめんね勇者!」ポロポロ

勇者「へへへ。どういたしまして。」

賢者は勇者を抱きしめた。
武闘家は涙をこぼした。


406 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 09:27:10.81 ID:rAj2E+bAO

ガチャ!

戦士「ただいまー!温泉最高だったわよーみんな。」

戦士「お肌なんてこんなにツルツルに....ってあれ?どうしたの?勇者と賢者で抱き合っちゃって?」

武闘家「………バカ。せっかくの感動のシーンなのに。」ジロリ

戦士「え?バカ?なんのシーン?」ポカン

勇者「おかえり〜戦士。お風呂よかったみたいだね!ほんとだ、肌ツルツルだね〜、
触らせて触らせて〜!ほら賢者も触ってごらんよ。」プニプニプニプニ

戦士「あ、こら。必要以上に触らないっ!」

賢者「うん!触る〜(ありがとね勇者。)」



407 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 09:36:49.10 ID:rAj2E+bAO
勇者は賢者を背負い、ラダトームに帰ってくると、ちょうど図書館から忘れ物を取りに戻ってきた武闘家と鉢合わせた。

すぐに賢者を宿屋のベッドに寝かせ、魔力回復のため魔法の聖水を飲ませながら2人で回復魔法を施したのだった。


戦士がマイラから戻り、バカと言ったか言わないかで武闘家と一触即発になるも、勇者と賢者の仲裁により事なきを得た。

そして間を置いた後、賢者が今日の出来事を話し始めた。



408 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 09:57:15.45 ID:rAj2E+bAO

武闘家「そ、そんなことがあったなんて。私全然...」

戦士「なんか私だけバカみたいにくつろいでたワケね。」

武闘家「本当にバカだからでしょ...」ボソ

戦士「なんですってぇ...」

勇者「はいはい、や〜め。」ギロッ
賢者「(あ、ははは。)」


武闘家「あの、賢者さんがホープバークにいた時に会ったという男と今日会った男は同一人物なのですか?」

賢者「そうだよ、見間違うことなんてないよ。」

武闘家「その男は背が高く、いかにも商人風の格好なのに黒いロングコートを着ていますか?」



409 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 10:17:50.67 ID:rAj2E+bAO

賢者「そうだけど。武闘家、その男を知ってるの?」

武闘家「いえ、私はこの宿屋の食堂の掲示板に不審者に注意を促す貼り紙をしてあったのを見たんです。」

勇者「そうなんだ。えらく異様に目立つ格好だよね、そいつ。」

賢者「あの男、各地で怪しい動きをしてるみたいね。メルキド以外じゃ被害は出てないみたいだけど....」

戦士「いや、賢者の言う被害はマイラでも出てるかもしれないわ。」

賢者「え?マイラで?」

戦士「私がある男から聞いた話だと、その男の知り合いが最近
薬物でもやってるんじゃないかってくらいおかしくなってるそうよ。」

武闘家「怖いですね、それは。」

戦士「近所の子供からなにやら菓子をもらって、それを食べるようになってかららしいわ。」


410 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 10:31:37.74 ID:rAj2E+bAO

賢者「やっぱり。子供を巧みにそそのかしてチョコを渡していたんだ。」

勇者「チョコ?それってチョコレートのこと?」

賢者「そう。勇者達がポルトガで食べたことがあるって言ってたあれのこと。」

武闘家「すごく甘くて美味しかったですよねぇ〜。また食べたいです私。」

戦士「私はあれ、苦手。甘いのダメなんだ。」

賢者「(あ!そうだ。)」ガタ

ガサゴソ

勇者「どうしたの賢者?」

賢者「(あった!)」サッ

賢者はチョコレートが入った箱を取り出した。


411 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 10:50:27.61 ID:rAj2E+bAO

武闘家「あ。チョコレートじゃないですかー!賢者さまが持ってたなんて。」ダラ

賢者「だーめ。これは私がドムドーラの女の子から預かってるの。しかもチョコの中には何かしらの薬物が入ってる。」

武闘家「へっ?こ、この中にですか!」ゾク

賢者「インパスで視てみたら赤く光ったからね。戦士、どう思う?」

戦士「間違いないと思う。インパスは人間が編み出した魔法。故に人間に悪影響を及ばすものに反応して赤く光るのよ。」

賢者「そんなものを子供達に食べさせて、それを見て取り上げた親や大人が食べる。」

戦士「知らず知らずに禁断症状が出はじめるってわけね。それを利用して人々を意のままに。」

勇者「絶対に許すわけにはいかないね、その男。」

賢者「ただ...」


412 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 11:08:04.64 ID:rAj2E+bAO

武闘家「ただ?」

賢者「あの男、あろうことか魔物と契約したみたい。現にドラゴンの背に乗っていたし。」

賢者「『ゾーマの城で待っているぞ』って言ってた。」

戦士「なんですって!!」バッ

勇者「私が賢者の所に着く、ほんの少し前だね。あれほどの数の魔物を呼び寄せるのはたぶん...」

武闘家「かなりの位の、もしかするとゾーマ直属の配下クラスの魔物と契約したのではないでしょうか?」

戦士「その可能性はかなり高そうね、厄介な話だわ。」

賢者「……………(それでも)」

賢者「それでもやるしかないよね。どのみちゾーマを倒さないと世界が滅んでしまう。」



413 名前:NIPPERがお送りします [saga] 投稿日:2013/01/23(水) 11:28:13.68 ID:rAj2E+bAO

勇者「そうだね。私達の使命を果たす時がやっと来たんだ。みんな!やってやろう!」

武闘家「はい。最後の戦いになるんですね。私もすべての力を出して戦います!」

戦士「もうここまで来て後悔はないわ。ゾーマを倒して世界に平和を取り戻す。」

賢者「失敗だらけだったけど、それを糧に私は振り向いたりはしない。私の今をすべてを賭ける。」

賢者「(旅人...あなたは今どこにいるのかな?ゾーマを倒してあなたに会いに行くからね。)」
賢者「(おじいちゃん、青年さん...生きて、今度は胸を張って町に行くよ。)」

賢者「(お父さん...何度も家を開けてごめんね。これが終わったらちゃんと帰るから。)」



勇者達は明日の最終決戦に向け眠りについたのだった。



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