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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その19
412 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 17:29:01.91 ID:DEe9t4oo


マジシャン「んで、どーすんの?」

大軍師「魔王軍はこのまま真っ直ぐ侵攻しているようですね」

マジシャン「懸命に山をよじ登っておいでだぜ」

大軍師「折からの北風が吹いてますねぇ」

マジシャン「矢も…流されるだろうねぇ」

大軍師「良いところ、魔王軍の侵攻ルートを変えるのが精一杯でしょうねぇ」

マジシャン「山から降ろせば…南側の谷でしょうねぇ…んで、何が言いたいの?」

大軍師「その谷には罠が張ってあります」

マジシャン「ほぉ…」

大軍師「結界石入りの落とし穴です」

マジシャン「…どっから調達したんだよ」

大軍師「おやご存知ないですか?この辺り、良い結界石が採れますよ?」

マジシャン「……へぇ」

大軍師「それに…良い酒も醸造出来そうですよ…?」


413 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 17:29:57.31 ID:DEe9t4oo
マジシャン「……そうやって、鼓舞して防衛させようってか?」

大軍師「ふふっ、それもありますが本当ですよ」

マジシャン「……」

大軍師「先程申したように風通しも良く、原材料を育てるのにも適しています」

マジシャン「そりゃ…意地でも防衛せんとなぁ…」

大軍師「なんなら監修して頂けますか?お詳しいようですし…」

マジシャン「いいのか…?酒にはうるさいぜ?」

大軍師「…ふふっ。銘柄は『マジシャン』で決定ですね」

マジシャン「使用料は貰えんだろうなぁ?」

大軍師「……飲み放題…という事でどうです?」

マジシャン「……ハッハ!!のった!!」

大軍師「いやいや、楽しみが増えましたねぇ」

マジシャン「俄然やる気が出てきたぜ!」

大軍師「ありがとうございます」

マジシャン「南に追いやりゃいいんだな?」


414 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 17:31:41.78 ID:DEe9t4oo
大軍師「ええ。罠の元に朱雀先生一行がいらっしゃいますので…」

マジシャン「え…!?」

大軍師「いつもいつも有難い事です」

マジシャン「……アイツら」

大軍師「…?」

マジシャン「…まぁいい。とにかく罠へ追い込むよう努力する」

大軍師「お願い致します」

タッタッタ

ヒゲの男「大軍師様!来ましたぜっ!!」

大軍師「…よし、戦闘態勢を!」

青年「弓を構えろ!絞って引くんだぞー!!」

ザザッ…ギリギリギリッ

ヒゲの男「……」

マジシャン「……来たぞっ!!」

大軍師「無理に狙う必要はないですからね。北側へ撃つ事を…心がけて下さい」


415 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 17:32:24.60 ID:DEe9t4oo
ドドオオォォ

青年「ひ、ひえ…っ!なんて数……」

マジシャン「密集してるからそう見えるだけだ!恐れるな!」

青年「え、あ…は…はいっ!」

マジシャン「…これでいいんだよな?」

大軍師「…やりますね」

山の高台から弓を構え見下ろす数十人の男達。迎えるは数百の魔王軍。

大軍師「風上に立たれると不利です。狙う必要はないので射撃しながら北へ!」

ヒゲの男「了解…っ!」

マジシャン「どうするつもりだ…?」

大軍師「…ふふふ」

大軍師は口元に羽扇をあてがい、不敵に笑う。

大軍師「……撃てぇ!」

青年「うおぉーっ!」

大軍師の号令と共に、無数の矢が山の斜面へと放たれた。


416 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 17:33:41.00 ID:DEe9t4oo
ドシュシュシュシュッ!!…

ワーウルフ「矢が来るぞ!!」

トロル「あんなヒョロヒョロした矢なんぞ恐れるかっての!」

コボルト「しかも…でたらめじゃねーか!グヒャヒャ!」

矢に臆する事なく進軍を続ける魔物達。しかし不思議な事に、北側の魔物が次々と倒れ始める。

ワーウルフ「……!?」

トロル「矢が…っ!?」

ゴウッ!!……ドスドスッ!!

コボルト「何だ…っ!?風が……」

ドズッ!!

ワーウルフ「あ、慌てるな…!退がれぇ!!」

コボルト「…あ…ぐぁ……」

ワーウルフ「おいっ!たかが矢ぐらいで何を……」

ドズッ!!

ワーウルフ「……う…っぐ…?」


417 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 17:35:05.70 ID:DEe9t4oo
ドサァ…

ワーウルフ「な…んで…矢の一本如…き…」

ゴウッ!!…ゴオオォォ

マジシャン「……なーるほどね。北風とお前さんの風で矢を押し戻すってか」

大軍師「…うまくいったようですね」

北側、即ち彼らの左に位置する魔物達が矢の餌食となり、ばたばたと倒れ始める。

北風に合わせ、大軍師の起こす突風が矢の軌道を魔物の群れへと押し返していた。

マジシャン「しかし…その程度の矢で魔物が倒せるとは…。何が施してあんだ?」

大軍師「先程言いました通りです。良い結界石が採れる…と」

マジシャン「!!……まさか、鏃を結果石で…!?」

大軍師「…ふふっ。この一ヶ月、ただ畑仕事に勤しんでいたわけではありませんよ」

マジシャン「…策士めっ」

大軍師「ふふっ。さぁ、このまま南側へと追い込むのです!」

ヒゲの男「おぉーっ!!」

青年「撃て撃てぇ!近づけさせるなよっ」


418 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 17:38:24.65 ID:DEe9t4oo
マジシャン「さーてボチボチ手伝いますかね」

大軍師「では…足元をお願いします」

マジシャン「へいへい。了解っ!!」

マジシャンは光る両手を合わせ、一気に地面へと叩きつける。

ドドオオォォンッ!!…ボゴオオォォッ!!

トロル「地面がせり上が……」

マジシャン「まだまだぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ザバアアァァンッ!!

ワーウルフ「水…っ!?」

トロル「駄目だぁ!先に進めねぇ!!」

ワーウルフ「後た……ぐぶぁ!!」

ドオオォォ…

大軍師「相も変わらず…凄まじい威力ですね…」

マジシャン「これでもセーブしてんだぜ?」

大軍師「……頼もしい限りです。さて、仕上げと行きましょうか」


419 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 17:39:22.68 ID:X/KRIUAO
『師匠酒』に『マジシャン』……
どんだけフラグ立てりゃ気が済むんだ(´;ω;`)ブワッ


420 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 17:39:50.95 ID:DEe9t4oo
大軍師は羽扇を頭上へと掲げる。

大男「……ふんっ!!」

マジシャン「……岩…?」

大柄の男達が抱える岩石。大軍師が羽扇を降ろすと同時にその一つが放られる。

ブンッ!!…ドグゥッ!!…ゴロゴロッ!!

トロル「グギャアァーッ!!」

大男「そーれ、もう一丁!!」

ブオンッ!!…ドズウゥンッ!!

マジシャン「落石とはまた…古風だねぇ」

大軍師「それだけではありませんよ…?」

マジシャン「……?」

大軍師「総員後退っ!」

マジシャン「ま…さか……」

大軍師「マジシャン殿の土行と水行で脆くなった斜面。衝撃があれば…どうなります?」

大軍師が微笑むと、轟音と共に土砂崩れが魔物達を飲み込んだ。


421 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 17:40:48.98 ID:DEe9t4oo
ドドオオォォォォ…

青年「魔物達、進路を変えましたぜ!!」

マジシャン「うまくいったみたいだな…!」

ヒゲの男「さすが…大軍師様だぜっ!」

大軍師「いえいえ、皆さんの力です。それに…また油断は出来ませんよ」

青年「……」

大軍師「こちらも用意してきた物は使い切ってしまいました」

ヒゲの男「……」

大軍師「急いで村へ戻り、第二波に備えましょう」

大男「了解!!」

マジシャン「んじゃ、俺はこのまま谷へ向かうぜ」

大軍師「ありがとうございました」

マジシャン「ハッハ!この礼は…高くつくぜ?」

大軍師「銘酒マジシャンを以って、お返しさせて頂きますよ」

マジシャン「……ハッハ!楽しみに待ってるよ。んじゃな!」


422 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 17:57:24.87 ID:DEe9t4oo
〜北の谷〜

戦士「何だ…!?」

召喚士「進路を変えて…戻って来る…!?」

盗賊「…好機だ」

召喚士「よし…!このまま迎え撃ち、背後の罠まで誘引しましょう!」

魔道士「はいっ!!」

戦士「…召喚士」

召喚士「…?」

戦士「左翼長も言ってたが、召喚獣は切り札に取っておきてぇからな」

召喚士「……ごめん」

戦士「いや、魔力が全快じゃない今、なるべくセーブしてくれ」

盗賊「…攻撃は…私達に任せておけ」

魔道士「私も、精一杯サポートします…!」

召喚士「…ありがとうございます」

盗賊「……来るぞ!」


423 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 18:06:39.58 ID:DEe9t4oo
オオォォ…

ワーウルフ「…人間…?」

ゴブリン「こんなところに…迷子か偵察かだろ」

ザッザッザ

ワーウルフ「どきな。こちとらさっさと通ら……」

ザシュッ!!…ドサッ

盗賊「……あ、やば」

ゴブリン「!?……な、なんだぁ?」

トロル「たった四匹で戦おうってかぁ!ガッハハハ!」

召喚士「…はぁ!」

ジャキッ…ブオンッ!!

トロル「っ!!…その程度の風で倒せるとでも思ってンのかぁ!?」

召喚士「うーん。十分だと思ったんだけど……」

トロル「なん…だとぉ……!?」

召喚士「あぁ。あまりにも弱すぎて魔力が通じないのか…ははっ」


424 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 18:08:47.88 ID:DEe9t4oo
トロル「ナ…メやがってえぇ!!」

ワーウルフ「残らず食らえ!この後の備えとしようやっ!」

ガキンッ!!

戦士「ひぃ…!強えぇ!」

召喚士「逃げるんだ!!」

魔道士「……は、はいっ!」

戦士「盗賊っ、お前もだ!」

盗賊「……きゃー」

タッタッタッタッタ

ゴブリン「女が逃げるぞ!回り込め!!」

コボルト逃がすかよぉ!!」

戦士「召喚士っ!」

召喚士「うん!」

タッタッタッタッタ

トロル「こっちもか!?さっきまでの威勢はどうしたぁ!?」


425 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 18:13:18.61 ID:DEe9t4oo
ダダダッ…

召喚士「しまったっ!?」

コボルト「この馬鹿どもが!力量も分からず図に乗りやがって…」

戦士「…だんだんムカついてきたな」

盗賊「…うん」

召喚士「降伏するなら…今のうちだよ?」

戦士「やめとけ。ここらの奴らは説得に応じるような魔物じゃねーのは分かってんだろ」

召喚士「……」

ワーウルフ「何をゴチャゴチャと…」

戦士「盗賊、背後に回りこむぞ!」

召喚士「自分達が…落ちないでね…っ」

戦士「んなマヌケな真似出来るかっつの!」

戦士と盗賊は一気に駆け出し、魔物の群れを縫うようにすり抜ける。

ゴブリン「なんだぁ!?コイツら…急に早く…っ…」

戦士「逆だバカ!遅くしてたんだっつの!」


426 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 18:17:51.31 ID:WJ5HKoAO
>>1乙

召還士らみんな演技派すぎるだろ…


427 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 18:20:03.06 ID:DEe9t4oo
タタタッ…ヒュオッ

盗賊「しっ!」

戦士「てりゃあぁ!」

ブオッ…ドシュッ!!…ザクゥッ!!

ゴブリン「ぎゃっ!!」

コボルト「ぐわぁー!!」

トロル「コイツら…!何なんだ…!?」

ワーウルフ「正面だ!!正面を片付けろぉ!!」

一匹の魔物の一言。それを合図に群れは前進を始める。

瞬間、地面に亀裂が生じ轟音を起こす。魔物達は回避する間もなく大穴へと飲み込まれた。

ワーウルフ「な…にぃーっ!?」

トロル「地面が…ぐあぁーっ!!」

ズドオオォォォォンッ!!……ゴシャアアァァ…

戦士「す…っげぇ…威力…っ」

半数以上の魔物を飲み込んだ大穴を見つめ、その場の一同全てが一瞬動きを止めた。


429 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 18:37:13.14 ID:DEe9t4oo
ワーウルフ「……!!」

ザッ

戦士「もう一度聞くが、降伏する気はねぇよな?」

ワーウルフ「目の前に剣を持った人間。背後には結界石の大穴。お前ならどうする?」

戦士「降伏なんかしねぇよ」

ワーウルフ「…じゃあ聞くなよ」

ババッ!!

戦士「……」

ザシュッ…ドサァッ

ワーウルフ「……」

戦士「……おらぁ!まとめてかかってこいや!!」

トロル「前へ出ろ!後ろは落とし穴…っ、押すな!!」

魔道士「うまく…いきましたね」

召喚士「……ええ」

大半を失った魔物の群れは混乱収まる事なく、闇雲に逃げ惑った。


430 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 18:43:08.49 ID:DEe9t4oo
盗賊「……追撃するか?」

召喚士「いや、やめておきましょう。あの数では到底戦えないと思います」

戦士「…だな」

魔道士「ここは何とか大丈夫ですね!」

盗賊「……!!」

ガサッ…タタタッ…

魔道士「まだ…っ!?」

タタッ…テクテクテク

マジシャン「…なんだ、終わってたのか」

戦士「オッサン!!」

召喚士「探しましたよ!!」

マジシャン「ハッハ!すまんすまん!!」

魔道士「もう…っ。心配させないで下さい!」

マジシャン「悪かった…。南は…無事終わったんだよな?」

盗賊「……勿論だ」


431 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 18:46:34.00 ID:DEe9t4oo
マジシャン「信じていたが、ちょっとそれが心残りだったんでな。ハッハ」

召喚士「ネクロマンサーは…?」

マジシャン「追いつけなかった。北にいるのは間違いなさそうだ」

戦士「よーし、今度こそ片付けてやろうじゃねーか!」

盗賊「…ああ……必ずな」

マジシャン「村も無事だ。安心しな」

戦士「残るは…」

召喚士「ヴァンパイアの向かった司令部」

マジシャン「あっちは国軍の連中に任せておけばいいさ」

召喚士「それに、まだ本隊らしき姿が見えない…」

マジシャン「ああ。そこに奴もいるはずだ」

魔道士「…と、いう事は…?」

戦士「このまま北へ向かう」

マジシャン「そういう事だな!」

召喚士「…よし、進みましょう」


432 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 18:52:00.42 ID:DEe9t4oo
〜本陣〜

左翼長「撃てぇーっ!!」

バリスタ兵「発射ぁーっ!!」

ドウンッ!!……ゴウゥッ!!

ヴァンパイア「結界石!?」

グシャアァッ!!

ヴァンパイア「避けられんのか!馬鹿者がっ!!」

左翼長「地上の敵はいないみてぇだ!上空だけに注意を向けろ!」

北方兵「了解です!」

本陣から向けられるバリスタと矢の猛攻が、上空のヴァンパイア達を本陣より遠ざける。

ヴァンパイア「…くそっ、これでは近づけぬ…!」

左翼長「手を休めるな!まだ来るぞ!!」

ヴァンパイア「…どうする?」

バサッ

ヴァンパイア「……止むを得ん。一旦引き下がるとしよう…っ」


433 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 19:11:32.32 ID:WJ5HKoAO
結界石を矢にしてるんなら、敵に命中しなくとも地べたに刺さった無数の矢で二次災害的なものを起こせそうだし
結界石便利すぎるな


434 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 20:04:30.43 ID:h6dh8sgo
結界石は入手が困難と思ってたが、採掘できる場所なら大量入手もできるのかな。


437 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 20:35:57.84 ID:7akDtVgo
発光弾って火薬あるなら大砲とかマスケットとか出てきそうなんだけどな…


439 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 22:58:06.82 ID:gmDYpkko
北方兵「敵が…退いて行く…?」

魔道兵「随分手際がいいというか…」

左翼長「……」

参謀「どうやら狙いは……」

左翼長「ああ。村が本命らしいな」

北方兵「ど、どうしましょうか!?」

参謀「既に召喚隊が急行してます。下手に動く必要はないでしょう」

左翼長「参謀の言う通りだ。ここはどっしり構えてようじゃねぇか。それに…」

バリスタ兵「……?」

左翼長「あの大軍師の事だ。何かしら策は練ってんだろ?…なぁ?」

参謀「……ええ」



本陣強襲に失敗したヴァンパイア隊は、北の村へと向かっていた。

バサァ…バサッバサッ…

ヴァンパイア「陽動のつもりがとんだ目にあったわ…くそっ」


440 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 22:58:40.48 ID:gmDYpkko
ドシュウゥ…

ヴァンパイア「どうする?下衆な連中とは合流したくはないところだが…」

バサッ

ヴァンパイア「仕方あるまい。こうなれば手柄の一つでも上げぬと……ん…っ?」

バサァッ…バサッバサッ

ヴァンパイア「な…なんだ…っ!この有り様は…!?」

ヴァンパイアの一匹が、土砂崩れに埋もれ散った魔物達を見て声を上げる。

ヴァンパイア「全滅…っ!?まさか…まさ…か…」

ズザッ

ヴァンパイア「ど…どうする!?」

中央のヴァンパイアが顔をしかめ、押し殺すように呟く。

ヴァンパイア「……本隊と…合流しよう」

ドシュウゥッ……バサァ…

一同は引き返し、伯爵の待つ本隊へと引き返した。


441 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 22:59:35.17 ID:gmDYpkko


伯爵「……ほぉ。それでおめおめと逃げ帰って来たわけか」

ヴァンパイア「……っ」

伯爵「役に立てないのなら死んでいいよ。用はない」

ヴァンパイア「何卒っ、チャンスを…!!」

伯爵「……この先、最北の村がある。…分かるな?」

ヴァンパイア「…はっ!必ずや…!!」

バサッ…ドシュウゥッ!!

伯爵「…所詮、駒は駒…か」

使い魔「いかが致します?」

伯爵「結界石ねぇ…。癪だが、奴に頼むか…」

使い魔「はっ!行って参ります!!」

バサッ…バサッバサッ…

伯爵「我らはこのまま南進だ。兵を進めよう」

デュラハン「了解です」


442 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 23:00:05.66 ID:gmDYpkko
ドドドドオオォォ

魔法剣士「動いた…!」

眼鏡「…行こう。今なら側面を叩ける」

タッタッタッタッタ

犬「ワンワン…ワンッ!」

眼鏡「……うん。どうやら村も大丈夫みたいだ」

魔法剣士「…そうか。これで後顧の憂いはなくなったな」

眼鏡「…さて」

ジャキッ

魔法剣士「全力の一撃……叩き込む!」

魔法剣士は森の先に見える魔物の隊列を睨みつけ、二本の剣をゆっくりと構える。

眼鏡「至近距離まで接近して、そのまま打ち込もう」

魔法剣士「…ああ」

眼鏡「……いくよっ!!」

眼鏡と魔法剣士は同時に森を飛び出し、身を屈めながら魔物の群れへと突っ込んだ。


443 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 23:00:55.74 ID:gmDYpkko
バサッ…

使い魔「……と、伯爵様からのご依頼です」

ネクロマンサー「…ククッ、結界石を攻略すれば宜しいのですね?」

使い魔「貴方の人形なら造作もありませんよね?」

ネクロマンサー「…そうですねぇ」

魔剣士「……」

ズドオオォォォォ…

使い魔「……!?」

ネクロマンサー「おや…?今の音は……」

使い魔「伯爵様…ッ!?」

バッ!!

使い魔「と、とにかくお願いしますよ!」

ネクロマンサー「…はいはい。クククッ」

バサッ…バサッ…

ネクロマンサー「……これはあっさりと終わりそうにはありませんねぇ」


444 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 23:03:29.03 ID:gmDYpkko
ズズウウゥゥゥゥン…

伯爵「…今の音は何だ?」

デュラハン「…は、背後から攻撃…っ!?」

スケルトン「奇襲です!!背後の側面より攻撃が!!」

ドゴオオォォォォンッ!!

デュラハン「ま…また!!」

伯爵「…何をしている!さっさと片付けろ!」

スケルトン「ははっ!!」

伯爵「人間が…っ!癪な真似を…!」

ズズウウゥゥンッ…ドシャアァ

眼鏡「二発は必要なかったかな?」

魔法剣士「……ふーっ」

眼鏡「さぁ、このまま僕らは北へ向かおう」

魔法剣士「……ああ」

眼鏡「うまく…付いてきてくれるといいんだけど…」



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