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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その17
169 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 17:53:42.08 ID:pO1JaTEo
〜南方、南の山〜

召喚士「……」

青年兵「……」

召喚士「……」

青年兵「……」

青龍先生「……くぁ」

召喚士「あの…先生……」

青龍先生「んー?」

召喚士「これ…何時間続ければ良いのですか?」

青龍先生「別に何時間でも良いぞい」

青年兵「……」

青龍先生「何じゃ…。もう飽きてしまったかの…?」

召喚士「そ、そういうわけでは……」

青年兵「こ、これにはどういう効果が…?」

青龍先生「効果?特にないよ。ひょっひょっひょ!」


170 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 17:55:03.10 ID:pO1JaTEo
召喚士「えぇ!?」

青年兵「特にない…って…」

青龍先生「ただ突っ立ってるだけじゃあ、何の意味もないぞよ?」

召喚士「…!?」

青龍先生「雑念を取り除き…互いを理解し合うように続けるのじゃよ」

青年兵「互いを…理解……」

青龍先生「ほれ、やってみ」

召喚士「は、はいっ!」

二人は目を合わせ、心を落ち着かせる。

召喚士(…雑念を…取り除き……)

青年兵(互いを…理解し合う……)

召喚士(ははっ…。青年兵くんも同じ事を考えていたんだ…)

青年兵(ええ…。一体何の意味があるのかな…って…)

召喚士「……えっ!?」

青年兵「っ!!」


171 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 17:56:28.63 ID:pO1JaTEo
青龍先生「ん?どうかしたかの?」

召喚士「い、いえ…っ!」

青年兵「別に…何でもないです…っ」

青龍先生「…?」

召喚士(俺…今、喋ってたっけ…?)

青年兵(しまった…。言葉で発していたか…。集中しすぎたかな?)

召喚士「……」

青年兵「……」

青龍先生(ひょっひょ。どうやら思ったより…早そうじゃのう…)

スッ…テクテクテク

青龍先生「……」

じっと立ち尽くす二人の間に、青龍先生が割り込む。

青龍先生(微動だになし…。だいぶ集中力が高まっておるのぅ…)

召喚士(……集中…集中)

青年兵(雑念を…取り除く……)


172 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/07/12(月) 17:56:41.79 ID:9.PLpdso
ぎゃああああああ!!
一番持ちたくない力だあああああああ!!


173 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 17:57:39.46 ID:pO1JaTEo


青年兵(…召喚士さんの考えが…なんとなく分かる)

召喚士(これって…洞察に似ているなぁ)

青年兵(不思議な感じだ…。何だろう…?)

召喚士(本当に不思議だ…。魔力の流れも……)

青龍先生「……目を開けよ」

パチッ

召喚士「……っ」

青年兵「……ふー」

青龍先生「どうじゃ?何か掴めたかの?」

召喚士「…なんとなく…ですが」

青年兵「はい…。集中しながらも自然体になれた…というか…」

青龍先生「しばらくは朝から昼まで、これを毎日行うぞい」

召喚士「…はい!」

青年兵「畏まりましたっ」


174 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 18:00:43.40 ID:pO1JaTEo
青龍先生「では、次の修行じゃ」

召喚士「…はい」

青龍先生「次は…互いの召喚獣で戦ってもらうかの」

召喚士「えっ!?」

青年兵「僕らが…ですか!?」

青龍先生「うむ」

青年兵「僕と…召喚士さんが…!?」

青龍先生「当然じゃが、互いを攻撃する事は禁止じゃ」

青年兵「召喚獣同士そ戦わせるという事ですね」

青龍先生「その通りじゃ」

召喚士「召喚フェスみたいだな…」

青年兵「実践授業以来だなぁ…」

青龍先生「但し、最初は基本精霊のみで戦ってもらう」

召喚士「……へ…っ!?」

青年兵「基本精霊…ですか?」


175 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 18:01:42.07 ID:pO1JaTEo


召喚士「行けっ!シルフ!!」

青年兵「出でよ!サラマンダー!!」

シュイィィン

シルフ「ふっふっふ!アンタなんかコテンパンにしてやるんだから!」

サラマンダー「ほう、この俺様を?貴様程度に出来るかな…?」

青龍先生「よーし…。では、始めぇ!!」

シルフ「見てなさいよっ?はあぁ〜!!」

サラマンダー「くっくっく!死ねえぇーっ!!」

召喚士「あっ!ちょ、ちょっと…!?」

青年兵「勝手に…っ!!」

ゴウッ!!…ポカポカポカッ

シルフ「このっ!このっ、えいっ!!」

サラマンダー「ぬはははっ!やるな!とおおりゃああぁぁ!!」

ゲシゲシッ…ポカポカポカッ!!


176 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 18:02:29.24 ID:pO1JaTEo
シルフ「いったぁーっ!何すんのよっ!」

グサッ

サラマンダー「め、目潰しとは卑怯な…!目がぁ〜!」

召喚士「……」

青年兵「……あ、あの…先生…?」

青龍先生「儂は知らんぞ?お主等の召喚獣じゃろう?」

召喚士「…あのーシルフさん?」

シルフ「何よ、ウルサイわねぇ!もっと魔力よこしなさいっ!」

サラマンダー「下手に出ておれば…ツケ上がりおってぇ!」

青年兵「……」

シルフ「ひっさぁーつ!スーパービンタアアァァーッ!!」

サラマンダー「喰らえっ!フルファイアデコピイイィィン!!」

バシィンッ!!…バチイィンッ!!

シルフ「…ふっ、やるじゃ…な…い……っ」

サラマンダー「この…俺様……が……」


177 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 18:03:07.03 ID:pO1JaTEo
パタッ…ポトッ

青龍先生「ふむ。ダブルノックアウトで引き分けかの…」

召喚士「……」

青年兵「……」

青龍先生「さて、昼食にするかの。ひょっひょっひょ」

召喚士「え…えーと……」

青年兵「い、一体…何の意味が…?」

青龍先生「ほれ、つべこべ言っとらんで昼食の準備をせんかっ」

召喚士「は、はいっ!」

青年兵「行ってきます!!」

タッタッタッタッタ

青龍先生「……ふむ」

青龍先生は二人の立ち位置を見つめ、髭を撫でる。

青龍先生「基本精霊をあそこまで…。こりゃあ楽しみじゃのう…ひょっひょ」

目線を上空へ移すと、大きく背伸びし微笑んだ。


178 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 18:17:17.41 ID:pO1JaTEo
〜東方、都〜

スタスタスタ

香具師「さぁ、見てって見てって!」

露天商「豆腐〜、豆腐〜」

盗賊「……」

影忍「あまりキョロキョロするな。不審がられるぞ」

盗賊「…あっ…ごめんなさい」

影忍「…クナイや手裏剣はあるか?」

盗賊「…多少なら」

影忍「ならば良い。食料のみ買い揃え、このまま北へ向う」

盗賊「…はい」

影忍「俺は手裏剣の補充をしてくる。食料は頼むぞ」

盗賊「…ん」

影忍「待ち合わせは正面お大橋で良かろう。一刻後に…」

盗賊「……はい」


179 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 18:23:25.00 ID:pO1JaTEo
テクテクテク

盗賊「…食料…食料」

店員「いらっしゃい!さぁ、どうぞどうぞ。見てって頂戴っ!」

盗賊「……」

店員「お嬢ちゃん、良かったら味見してってよ!」

盗賊「…じゃあ…一つ」

ポリポリポリッ

店員「こっちはどうだい?」

盗賊「…あ…じゃあ」

モグモグモグ

店員「これも美味しいよぉ〜!」

盗賊「…へぇ」

パクッ…モグモグモグ

店員「どうだい、美味しいだろう!今なら安くしとくよぉ?」

盗賊「……下さい」


180 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 18:25:52.57 ID:pO1JaTEo


テクテクテク

影忍「遅いっ」

盗賊「…ごめんなさい」

影忍「食料は?」

ゴソッ

盗賊「…ん」

影忍「…良し。ならば参るぞ」

盗賊「……はい」

テクテクテクテク…ピタッ

盗賊「……?」

影忍「……」

立ち止まる影忍の前に、一人の大男が立ちはだかる。

影忍「あの…な、何かご用でしょうか…?」

鬼丸「真っ昼間から…。アンタ、プンプン臭ってるぜぇ?」


181 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 18:29:26.06 ID:pO1JaTEo
盗賊「あ…っ!」

鬼丸「あん…?」

盗賊「…い、いえ・・・っ」

影忍「う、うちの女房脅かさないで下さいよ…。ははっ」

鬼丸「…うーむ。どうも怪しい」

ザッ

鬼丸「…ちょっと来て貰おうか」

影忍「…怪しいのは貴様もであろう?」

鬼丸「……!?」

ババッ!!

影忍「そう身構えるな。敵ではない」

鬼丸「…その女は…人間か」

影忍「貴様と同類よ。安心せい」

鬼丸「……ふぅん。本当だろうなぁ?」

影忍「おいおい…。なんならその布剥いで、白日の下に晒すかね…?」


182 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/12(月) 18:31:52.04 ID:pO1JaTEo
鬼丸「……がっははは!!」

盗賊「…?」

鬼丸「通れ。悪い奴じゃないらしいな!」

影忍「……」

スッ…テクテクテク

鬼丸「おい…!」

ビクッ

盗賊「…!?」

鬼丸「アンタ…どっかで会った事、あるかぁ…?」

盗賊「……さ、さぁ…?」

鬼丸「…ふぅん。ま、いいや。行っていいぞ」

盗賊「……」

タッタッタッタッタ

鬼丸「なーんか嗅いだ事のある臭いなんだよなぁ…」

鬼丸は首を傾げ、都を去る二人の姿を見送った。


190 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/07/12(月) 21:31:14.38 ID:aiJ1q/s0
     _______
三 (^o^ ) アンフィスバエナ ( ^o^)
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


197 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:27:01.46 ID:iZPyroko
〜南東国、南の山〜

ザッザッザ

女隊員「たっだいまーッス!」

隊長「おーう、どうだった?」

男隊員「なーんもねぇ。こりゃあヤバイかもな!ヒャハハ!」

隊長「ヒャハハ!……じゃねぇよ!ちゃんと探したんだろうなぁ?」

女隊員「あっ、山ウドがあったッス!」

隊長「おぉ!どの程度だ!?」

女隊員「こーんな大きな、大木ッス!!」

両手を広げ、はしゃぐ女隊員を見て、隊長は頭を抱えながら大きな溜息をつく。

女隊員「あっ!あとはなんとビックリ…ブナの木もあったッス!」

隊長「……はぁ」

女隊員「凄くないッスか!?こんな高地に――」

隊長「凄くねぇよ。ドングリでも食えってのか…?」

戦士「……」


198 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:28:02.66 ID:iZPyroko
女隊員「昆虫もいっぱい集まるッスよ!」

隊長「食えってのかよ!お前は食えんのか?あぁ?」

女隊員「うーん…。食べた事ないから、分かんないッスねぇ…」

隊長「……っ」

ゴチンッ

隊長「本当に何もなかったのか?」

男隊員「ムギとエンドウマメみてぇのはあったが…収穫時期は外れてるな」

隊長「そうなると…狩猟かはたまた…」

戦士「…下山して、買い出し?」

隊長「そういう事になるな」

男「俺、行きたくねーぞ…!」

隊長「んじゃ、初日の買い出しは平等に決めるか」

戦士「……?」

女隊員「ジャンケンスか?自信あるッスよぉ〜?」

隊長「アホか。早くこっちに集まれ」


199 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:28:39.30 ID:iZPyroko


隊長「今からジャンケンをする」

女隊員「なーんだ。結局ジャンケンじゃないスか!」

隊長「グーとパーに分かれて、居合いで勝負しようじゃねぇか」

戦士「…居合い…勝負?」

隊長「方法は簡単。お互い後ろ向きに正座して、合図と同時に斬りかかる」

男「なんか…面白そうだな」

女隊員「やるッス!!」

隊長「そんじゃ、ジャンケンで分かれるぞー」

戦士「買い出しはどうやって…?」

隊長「負け同士でドベになった奴が買い出しって事だ」

戦士「…なるほど。負けらんねぇな…!」

男隊員「そんじゃー行くぞー。ジャーンケーン……」

女隊員「ほいッス!!」

戦士「あーいこーで……」


200 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:29:15.98 ID:iZPyroko


女隊員「…いきなり隊長とは…ツイてないッス」

隊長「間合いが近いから、念の為…木の枝で行うぞ」

ザッ

男隊員「合図はこの石を投げるから、落下の音が合図だ。オッケー?」

隊長「いつでもいーぞ」

女隊員「こちらもッス!」

男隊員「ほんじゃ……」

スッ

戦士「……」

男「いいか?隊長の動き…よく見てろよ」

戦士「…?」

ブンッ!!

女隊員「……」

隊長「…………」


202 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:29:58.59 ID:iZPyroko
ヒューン……カツンッ!!

女隊員「はぁっ!!」

女隊員が右に反転し、木の枝を振りぬく。

隊長「……」

隊長は立ち合い僅かに遅れ、左に反転し、枝を取る。

女隊員「…っ!!」

隊長「…しっ!」

女隊員の振りぬいた居合い斬り。それを掬い上げるように、隊長の枝が潜り込む。

トーンッ

男隊員「勝負ありだ」

女隊員の身体は、振りぬいた所作の慣性で横に流れる。

隊長はゆっくりと頭を上げ、女隊員の懐に潜り込んだ。

隊長「じゃーん!」

女隊員「…ッ!?」

隊長の放つするどいデコピンが、女隊員の額に直撃した。


203 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:30:50.48 ID:iZPyroko
バチンッ!!

女隊員「いったあぁーっ!!」

隊長「はい、俺の勝ち。いぇーい」

額を擦りながら蹲る女隊員に向けて、隊長が笑顔でVサインを作る。

戦士「……」

男隊員「一瞬の勝負だが、分かったか?」

戦士「隊長の初手…。あれは様子見…?」

男隊員「んー、まぁそうだな。左右どちらから仕掛けてくるか見極めた…」

戦士「…やっぱり」

男隊員「後手にはなるが、あのクソアマの得物は小剣だ」

戦士「…ええ」

男隊員「小剣の基本は突き。突きに有利なのは当然……」

戦士「振り向いて、左側に反転…」

男隊員「そゆこと。でも居合いの基本は右反転だ。それを見極めた…」

戦士「…なるほど…!」


204 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:31:37.78 ID:iZPyroko
男隊員「まぁ、あんな芸当…隊長にしか出来ねーけどな…ヒャハハ!」

戦士「……」

男隊員「信じられっか?音に反応してんだぜ?」

戦士「…お、音!?」

男隊員「そ。聴覚のみに意識を集中させ、クソアマが動いた音に反応した」

戦士「…す…げ」

男隊員「右に動いたから自分は左に動く…。分かってもあんな一瞬で出来るかってんだ」

戦士「…レベル高すぎんぜ…っ」

男隊員「分かったろ?並大抵の方法じゃ隊長は倒せねぇ」

戦士「……」

男隊員「まぁ、その前に…次は俺が相手だ」

戦士「…うっす!胸お借りします!」

男隊員「素直な奴は割と好きだぜ!ヒャハハ!!」

隊長「おーい、次はてめぇらだぞー」

呼び声と同時に、戦士と男隊員が前進し、背を向け座り込む。


205 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:34:08.23 ID:iZPyroko


隊長「いいかー?」

男隊員「ういー」

戦士「…いつでも!」

隊長「よい…っしょっと」

ブンッ…ヒューン……

女隊員「……」

カツーンッ!!

男隊員「…っらぁ!!」

男隊員が枝を手に立ち上がり、右側へ反転する。

戦士「……っ!!」

それにやや遅れながら、戦士は左反転し、枝を拾い上げる。

男隊員(…こ、こいつ…っ!?)

戦士「りゃあぁ!!」

ブンッ!!


206 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:35:20.90 ID:iZPyroko
男隊員の振り上げた右手を掻い潜り、戦士が懐へと間合いを詰める。

トンッ

戦士「……!?」

男隊員「…はい。俺の勝ち」

戦士「……え…っ?」

胸元に突きつけられた、男隊員の左手より伸びた枝を見つめる。

戦士「…な、何で…っ!?」

男隊員「ふいー。まっさか初見で隊長の真似するたぁな…!ヒャハッ!」

戦士「右手に…あれ…!?まさか……」

男隊員「そ。初撃の途中で持ち替えたのよ。右手から左手に…な!」

男隊員は枝をくるくると振り回し、笑顔を見せる。

戦士「……や、やられた…っ」

男隊員「いーや、いい勝負だったぜ!俺も咄嗟でうまくいくか自信なかったし!」

隊長「そんじゃ戦士はそのまま居残り。次はコイツとだ」

女隊員「戦士さんっ!負けないッスよぉ!?」


207 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:37:11.85 ID:iZPyroko


ザッザッザ…トスッ

隊長「これで負けたほうが、買い出しな」

男隊員「下山登山だけで気が滅入るわな。ヒャハハ」

隊長「んじゃー始めっぞぉ」

戦士「おうっ!」

女隊員「いいッス!!」

ブンッ!!

男隊員「高…っ」

ヒューン……カツンッ!!

戦士「だりゃっ!!」

女隊員「たあぁっ!!」

石の落下音と同時に、二人は右反転し、枝を打ちつける。

男隊員「…初撃は互角っ!」

戦士と女隊員は、弾かれた枝を、再び対面する相手へと振る。


208 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:37:58.85 ID:iZPyroko
隊長「女隊員の勝ちだな…」

男隊員「そっすね」

女隊員の振り上げる枝と、戦士の振り下ろす枝が再びぶつかり合う。

バチィンッ!!

三撃目、両者の放つ枝の速度にズレが生じる。

戦士「…っ!!」

女隊員「貰ったッス!!」

戦士が枝を振り下ろす前に、女隊員の枝が戦士の脇腹へと到達する。

ドグォッ!!…ドシャァッ!!

女隊員「ひゃあぁ!当てちゃったッス!大丈夫ッスかぁ!?」

戦士「…いち…ちっ!」

テクテクテク

隊長「ドベは戦士。んじゃ、買い出し行ってらっしゃい」

戦士「くっそー…。やっぱり強えぇな…っ!」

男隊員「お気の毒様!ヒャハハ!あ…俺、トマトジュース飲みたい!」


209 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:39:02.53 ID:iZPyroko


戦士「じゃあ…行って来ます」

大袋を背負った戦士が、崖へと向う。

女隊員「お気をつけてッス!」

隊長「あ、まとめ買いしなくていいからな」

戦士「え…?一日分でいいんすか?」

隊長「毎日やりゃあ修行になんだろ?」

女隊員「おぉー!確かに!凄いッス!これは大発見ッス!」

男隊員「はぁ!?聞いてねーぞ!おい戦士、1か月分まとめて…ぐえぇっ!」

隊長「ゴチャゴチャうるせぇ!お前はさっさと行って来い!」

戦士「な、何買ってくれば…」

隊長「任せるっ!!」

女隊員「ギブッスか?ギブッスかぁー!?」

男隊員「お、落ち…る…!ギブギブッ!!」

戦士「…ダメだこりゃ。……行って来ます」


210 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:40:30.84 ID:iZPyroko
〜北方、泉〜

小鳥「チチュンッ…!ピピッ!」

魔道士「うふふっ」

スリスリ

小鹿「……」

魔道士「えへへへ…っ!!」

サラサラサラ…パシャッ

魔道士「…マジシャンさん…遅いなぁ」

魔道士は肩にに乗る小鳥に餌を与えながら、青い空を見上げる。

魔道士「本当に修行なのかな…これ…」

小鳥「チチッ…」

魔道士「ふふっ、でも…楽しいからいっか!」

〜北方、山脈〜

タタッ…ズザァッ…

マジシャン「……」


211 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/14(水) 17:41:33.68 ID:iZPyroko
木陰から下を覗き込むマジシャン。その先に人影が見える。

伝令「――」

北方兵「――」

マジシャン「…流石に聞き取れねぇか」

二人の兵は何度か言葉を交わし、その場を後にする。

マジシャン「……」

カサッ

マジシャン「北方の兵と…本部の伝令か…」

マジシャンは伝令の姿を見送り、その場でしばし無言で考える。

マジシャン「…おっと、もうこんな時間か」

タタッ

マジシャン「…近々動きがある、と踏んでいいな」

タッタッタッタッタ

マジシャン「全く…。難儀なモンだよ」

マジシャンは険しい表情のまま、その場を離れ泉を目指した。



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