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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その14
- 157 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]
:2010/05/05(水) 23:20:59.64 ID:w.wxnoQo
〜北関北部、山中〜
副司令官「ここを下れば麓だぞ!もうひと踏ん張りだ!」
ゴゴウンッ…ゴゴンッ…
副司令官の鼓舞とともに、荷車はただひたすら前へ前へと進む。
その前方からは数騎の兵が進軍中の隊めがけ近づいて来る。
ドドッドドッ…パッカパッカ……
大軍師「いかがです?」
騎兵「この先、特に魔物の気配はありません!」
大軍師「そうですか…。引き続き索敵を」
騎兵「かしこまりました!ゆくぞっ!!」
パッカパッカ……ドドッドドッドドッ……
マジシャン「あれから追撃もなし…か」
大軍師「ええ…。動きが読めませんね…」
マジシャン「おいおい…軍師さんよ、頼むぜ…」
大軍師は眉間にシワを寄せ、苦笑する。
- 158 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/05(水) 23:21:33.00 ID:w.wxnoQo
ザッザッザ…
副司令官「しかし何度来ようとも返り討ちにしてくれるわ」
マジシャン「ああ…」
副司令官「結界石…なんとしてもう奪わせたりはせぬぞ!」
大軍師「………」
国軍兵「おぉ!見えてきたぞ!下山完了だ!!」
副司令官「ようし…!下山後は山を背に左右へ展開せよ!」
国軍兵「はは!」
副司令官「後はコレを打ち込んで…任務完了だ!」
マジシャン「……そう楽にいくかねぇ」
大軍師「……」
副司令官「いってもらわなにゃあ…困るよ」
国軍兵「いいぞぉー!そのまままっすぐ…そうっ、そこだ!」
ゴトンゴトンッ……ドウゥンッ…
大軍師「そのまま展開して下さい」
- 159 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/05(水) 23:22:29.02 ID:w.wxnoQo
マジシャン「いや……そうもいかんらしいぜ」
ドドッドドッ…
騎兵「前方より敵襲ーっ!!」
副司令官「来おったか…!迎撃用意!!」
副司令官の声に応じ、各兵が武器を構え始める。
マジシャン「さて……どれ程のモンかね…」
目の前に広がる森の木々が揺れ始め、物音が徐々に近づき始める。
大軍師「荷車を後方へ!!」
国軍兵「急げーっ!!」
副司令官「騎兵隊っ、前を固めよ!!」
騎兵「行くぞっ!!」
ドドッドドッ…ドドッ…
マジシャン「さぁ…どっからでもかかってきやがれ!」
威勢良く馬を飛ばす騎兵隊の背後で、マジシャンが首を左右に曲げ鳴らす。
大軍師「……」
- 160 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/05(水) 23:23:19.54 ID:w.wxnoQo
ザワザワッ…ザアアァァ…
国軍兵「……」
木々は風に揺れ、枝葉を左右に揺さぶり音を立てる。
副司令官「……」
ゾゾゾゾゾ……
マジシャン「……あん?」
大軍師「…来ませんね」
騎兵「お、おかしいな…気配は感じたのだが…」
先頭の騎兵が再び森の中へと足を踏み入れる。
パッカパッカ…
国軍兵「しかし…木の揺れる音がこう強くては…なかなか足音が聞き取れぬ…」
大軍師「……!!」
マジシャン「しまったっ!!戻れぇ!!」
騎兵「!?……ぐぶぉ…っ!!」
マジシャンの声に振り向いた騎兵の身体が馬より離れ、宙に浮く。
- 161 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/05(水) 23:23:46.28 ID:w.wxnoQo
副司令官「な、何だっ…!?一体何が……」
マジシャン「何が葉音だ…!本命はコッチじゃねーかよ…っ!」
マジシャンが慌てて身構え、腹部を貫かれた騎兵を見つめる。
大軍師「森から離れよ!この木々は………魔物だ!!」
騎兵を貫いた枝が上下に大きく振り上がり、兵は地面へと叩きつけられた。
騎兵「下がれぇ!後退っ!後退しろー!!」
マジシャン「正面から来んぞ!」
マジシャンは叫び、単身森へと走り出す。
同時に、複数の妖樹からは、槍のように尖った無数の枝が一気に迫る。
マジシャン「こ…のっ…!!」
ビュオッ…ヒュンッ!!…ヒュンッ!!…シュンッ!!
マジシャンは間一髪、枝をかわしながら左右に跳ぶ。
マジシャン「喰らいやがれっ!!」
迫りくる枝の槍に対し、両手から交互に炎を発し、その木々を焼き払う。
ドドオオォンッ!!…ドドンッ!!…ゴオオォォ…
- 162 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/05(水) 23:30:36.54 ID:w.wxnoQo
国軍兵「す、すげぇ…っ…」
マジシャン「ボサっとしてんじゃねぇ!仕掛けろ!」
大軍師「魔道兵っ!炎を詠唱……撃ていっ!」
マジシャン「てめぇもだ!手伝え!!」
大軍師「心得ております…!」
大軍師は羽扇を右手で構え、マジシャンの後方に移動する。
ザッ…
マジシャン「………いいぞっ、今だ!」
大軍師「はぁ!!」
大軍師は扇子を大きく振り上げ、一気に振り下ろす。
すると同時に前方へ渦状の突風が巻き起こり、マジシャンの真横を通過する。
ドドオオォォンッ!!…ビュオオオォォッ!!
マジシャン「着火ー」
マジシャンは通過する突風へ炎を放ち、風は火を纏いきりもみ状に森へと直撃する。
衝突と同時に炎風は一気にはじけ、妖樹達を一瞬の内に炎の海へと巻き込んだ。
- 163 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/05(水) 23:39:06.28 ID:w.wxnoQo
ゴゴウンッ……バチバチバチッ…ドドオォォ…
マジシャン「左右からも来てんぞ!手ぇ休めんな!」
騎兵「…くっ!!」
ザシュッ!!
騎兵「…ぐ…ぅ……」
副司令官「おのれ…っ!魔道兵はまだか!?」
魔道兵「撃ちますっ!!」
ドドオォンッ!!…ゴオオォォ…
左右から休まず迫り続ける枝を騎兵と魔道兵は懸命に追い払う。
大軍師「もう一撃…いきますよ!」
マジシャン「おうよ。お国の為に頑張れよっ!」
ドドオオォォンッ!!……ゴアオオォォ!!
マジシャンと大軍師の放つ二撃目は、一直線上に森を焼き払いながら木々を貫く。
やがて後方で激しい火柱となり上空へ上がり、空中ではじけた炎風はそのまま地上へと降り注いだ。
マジシャン「…おぉ、大した威力だわ。やるじゃん!」
大軍師「…貴方こそ!流石ですね…大魔道士!!」
- 164 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/06(木) 00:00:17.23 ID:qvrKMmko
副司令官「結界石には近づけさせるな!食い止めよ!!」
マジシャン「こんだけ焼き払えば…動きも止まんだろ」
大軍師「…ふう。…敵も厄介な布陣を敷きますね」
マジシャン「感心してる場合かっつの…」
騎兵「大軍師様!前方より……っ!!」
大軍師「……!?」
マジシャン「おいおいおい…マジかよ」
燃えさかる炎の奥より、その火を身に纏った多数の獣が姿を現す。
大軍師「ヘルハウンド……!」
マジシャン「ちぃ…っ、気づきやがったか…」
ドズンッ…ドスンゥンッ…
マジシャン「そりゃこんだけ大騒ぎしてりゃあ…気づくわな!ハッハ!」
マジシャンは汗を拭い、山の奥よりこちらへ向かってくる巨体を見上げる。
国軍兵「左翼ー!!フンババが迫っているぞ!山側だ!!」
マジシャン「正面にヘルハウンドを木のバケモン…横からフンババ…」
大軍師「背後は山で退路なし…。窮地、というやつですね…」
大軍師の軽口に、マジシャンは苦笑しガックリと肩を落とした。
- 165 : [sage saga] :2010/05/06(木) 00:09:59.99 ID:qvrKMmko
〜オマケ〜
魔道士「ゴールデンウィークが終わってしまいました…」
盗賊「…う、うん」
魔道士「はぁ…もう旅したくないなぁ…」
盗賊「……いや…あ、あの」
魔道士「ずーっとこうやってゴロゴロしてたーいっ!」
ゴロゴロゴロ…ゴロゴロゴロ…
盗賊「……」
魔道士「お昼に起きて…ゴロゴロと本読みながらお菓子食べて…」
盗賊「………」
魔道士「夜更かしして話をしたりとか…」
盗賊「……あ、あの」
魔道士「あっ!観光とかも行きたかったですねぇ…」
盗賊「…あの…私達…休みとか…な、ないからっ」
魔道士「えぇ!?…じゃ、じゃあ…いつ休むんですか!?」
盗賊「……さ、さぁ…?」
それではやすみなさい!ノシ
- 167 : [sage] :2010/05/06(木) 01:13:20.26 ID:bNtAPiAo
>>1おつ!
召喚士パーティーにも休みをあげたいねー
- 168 : [sage] :2010/05/06(木) 01:23:49.19 ID:xVVP06AO
>>169を生贄に捧げ、『召喚士達の休暇』を発動!
- 169 : [sage] :2010/05/06(木) 01:28:30.13 ID:EO820.AO
まかせろー バリバリ
- 173 : [sage saga] :2010/05/06(木) 17:52:48.74 ID:NApsUPAo
こんにちは!連休も終わりまた日常が戻ってきましたね…
こちらも気合入れて更新再開です!宜しくお願い致します!↓続き
- 174 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/06(木) 17:53:26.83 ID:NApsUPAo
マジシャン「どうすんだよ?勝機はあるんだろうな…?」
大軍師「さて…どうしましょうかねぇ…」
マジシャン「お前、絶対楽しんでるだろ?」
大軍師「そんな事ありませんよ」
大軍師はパタパタと羽扇で顔を扇ぐ。
大軍師「何でしたっけ…?相剋?」
マジシャン「あん?」
大軍師「すみません。五行についてはあまり詳しくないんですよ」
マジシャン「相剋…ねぇ…」
大軍師「水剋火、金剋木…といったところですか」
マジシャン「十分詳しいじゃねぇか」
大軍師「……魔道兵!」
大軍師の呼びかけに応じ、魔道兵が集まり始める。
大軍師「水と雷…全力で叩き込んでください」
大軍師は扇子を正面に迫る、燃えさかる魔獣と木々へ向けて突き出した。
- 175 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/06(木) 17:54:28.87 ID:NApsUPAo
副司令官「食い止めよっ、何としてもだ!」
騎兵「うおおぉぉ!!」
ギキィンッ!!…キィンッ!!…バキィ!!
騎兵「ぐわっ…!!」
副司令官「な、なんとかせんかっ!」
マジシャン「ほれ、ボスがお呼びだぜ」
大軍師「…仕方ありませんね」
魔道兵「詠唱完了!!」
大軍師「氷雷…放てっ!」
魔道士「はぁ!!」
ドドオオォォンッ!!……
木々の前で身構えるヘルハウンドが氷を纏った無数の雷撃に打ち抜かれ、
その身は衝撃で軽々と宙へ放り出される。
ドドオォンッ!!…ズガアアァァ!!
ヘルハウンド「ギャウッ!!」
- 176 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/06(木) 17:57:47.13 ID:NApsUPAo
大軍師「手を休めず!三段撃ちで連撃せよ…!」
魔道兵「枝が来るっ!雷……ぐあぁ…っ!!」
バキィ!!…ドサァ…
国軍兵「くっそぉ…!俺らが盾になんぞ!」
ダダッ!!
国軍兵は盾を構え、懸命に魔獣と枝の猛攻を食い止める。
国軍兵「今だー!撃て撃て撃てぇ!!」
魔道兵「おおぉ!!」
ドドオオォンッ!!…ズガアアァァ!!
ヘルハウンド「ガフッ……」
国軍兵「う…腕にっ!?…くそぉ!!」
ヘルハウンド「グアオオォォ…!!」
魔道兵「軍師様っ、今のうちに…!」
大軍師「…こちらは任せましたよ!」
大軍師とマジシャンは一進一退する攻防の中を潜り抜け、フンババの元へと走る。
- 177 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/06(木) 18:02:38.24 ID:NApsUPAo
タッタッタッタ…ザッ…
マジシャン「んで、どうすんだよ。倒すのは一苦労だぞ?」
大軍師「魔法も物理攻撃も効きにくい上に…火に水に毒まで使う…」
マジシャン「…はぁ、仕方ねぇ。ちょっくら手伝え」
大軍師「……?」
ザッ
マジシャン「こうなったら…五行で一気に片付けてやる」
大軍師「!?」
マジシャンは両手を合わせ、瞑想を始める。
大軍師「ちょ、ちょっと…!!」
マジシャン「…?何だよ。邪魔すんなって」
大軍師「いけません!いくら貴方が有能であっても五行は…」
マジシャン「ちっ、うっせーな。じゃあどうするんだよ!?」
大軍師「……結界石、くれてやりましょうか」
マジシャン「はぁ!?」
- 178 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/06(木) 18:03:25.61 ID:NApsUPAo
突然の言葉に、マジシャンは驚きを返す。
マジシャン「お前…何言って……」
大軍師「石が狙いならあげましょうよ」
マジシャン「あのなぁ…」
大軍師「触れる事が出来れば…ですが」
マジシャン「っ!!」
大軍師は荷車の上でキラキラと光る巨大な結界石を見上げる。
マジシャン「お前……まさか…」
大軍師「どうせひとつはこの辺りに打ち込む予定でしたし…良いのでは?」
マジシャン「んで、誰がやるんだよ?」
大軍師「それはもちろん…お願い致します!」
マジシャン「結局それかよ…ちっ!」
大軍師「貴方だからこそお願い出来るのですよ…ふふふ」
マジシャン「はいはい…やりますよ。やりゃいいんでしょ」
マジシャンは後頭部を掻きながら、気だるそうに歩き始めた。
- 179 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/06(木) 18:04:05.30 ID:NApsUPAo
テクテクテク…ジャリッ
マジシャン「……ふー」
大軍師「騎兵隊っ、マジシャン殿の詠唱が終わるまで牽制を!」
騎兵「はは!」
騎兵達は頷くと槍を前へ突き出し、フンババの足元へ駆け寄る。
副司令官「ど…どうするつもりなのだ…?」
大軍師「少しお下がり下さいませ…」
大軍師は今までとは違い、厳しい表情で副司令官へ応える。
副司令官「う…うむ…っ」
ザザッ
大軍師「…宜しいですかな?」
マジシャン「ああ…」
大軍師「では……」
マジシャン「はあぁ!!」
マジシャンは叫びとともに両掌を地面へと叩きつける。
- 180 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/06(木) 18:05:17.27 ID:NApsUPAo
ドドドオオォォンッ!!……ドゴオオォォッ!!
光る両手は地面を激しく隆起させ、荷車の直下より突き出し、
その勢いで結界石は宙へと放り投げられる。
国軍兵「に…荷車が!?」
副司令官「なんとっ…!!」
ブオォッ!!
マジシャン「後は…はぁはぁ……頼むぞ…っ!」
大軍師「お任せ…あれっ!!」
大軍師は跳躍し、結界石めがけ突風を叩きつける。
後転し着地した大軍師は片膝のままニヤリと笑う。
大軍師「さあ、受け取りなさい…!」
ゴオオォォ!!……
フンババ「!?」
眼前に猛スピードで迫り来る結界石を前に、フンババは両手を広げ、
その物体を抱え込むように受け取る。
- 181 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/06(木) 18:09:13.64 ID:NApsUPAo
ドズッ…ガシィ!!………ドジュウゥゥッ!!
その瞬間、激しい輝きとともに、フンババの両腕から白煙のようなものが巻き起こる。
フンババ「………ウゥ…!?」
ドジュウウゥゥッ!!
フンババ「グオ……オ…ォ…ッ!!」
巨大な結界石を直に触れたフンババは、そのまま石ごと地面へと叩きつけられる。
ドズウゥゥンッ!!…ジュウウゥゥッ!!
フンババ「ガアアアアァァ……ッ!!」
やがてそれは溶けるように光へと包まれ、完全に姿を消した。
マジシャン「はぁ……なんとかうまく…いったか…」
大軍師「…ふーっ…いやはや骨が折れますな…ふふっ」
大軍師はマジシャンの元へ歩み寄り、腕を貸す。
マジシャン「こんなんもう…ゴメンだぜ…ハッハ」
大軍師「同じくです……」
両者は互いの顔を見合わせ、苦笑した。
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