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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
875 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:28:06.28 ID:D6gxNuxUo
神野「ナメくさりやがって、このアホンダラァ!!」

鬼丸「グハハッ! 丸腰で何が出来――」

ズズッ…

鬼丸「――ッ!?」

神野「丸腰だぁ? 言うてくれるやないか」

鬼丸「持ってたのかよ……ッ」

神野「この体の体内に眠る記憶から、引き摺りだしたんや」

鬼丸「便利なモンだな……グハハッ」

神野「ほぉ、こりゃなかなかの代物やないかい」

ズズゥ…チャキッ

神野「賊に襲われ、占拠された村を正した。しかもたった一人でかぁ」

鬼丸「……」

神野「この体の記憶や。ま、結局は自身も賊と同じ末路を辿ったっちゅーわけやな」

鬼丸「なーにを一人でぶつくさと……」

神野「村正……ええやん、村正! 命名したるわ。この刀は、たった今から村正や」


876 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:28:33.27 ID:D6gxNuxUo
ズズズズッ

鬼丸「んっ?」

神野「刀身が黒に染まっとるやろ? ワイの獲物になった証拠や!」

鬼丸「チッ!!」

神野「妖刀村正の誕生や! ワハハハハッ!」

鬼丸「こっちゃあ鬼丸国綱様だッ!!」

神野「逃げるんやなかったんか? ようやっと、戦う気ぃなったかい!」

鬼丸「獲物持たれちゃ振り切れねぇ! 一発、寝てて貰うぜぇ!」

神野「阿呆ッ! お前如きが勝てるわけないやろがァーッ!」ブアッ!!

鬼丸「――――ッ!?」バキィッ!!

クルクルクルッ……ザスッ

神野「んで、その何とか様があっさりと吹き飛ばされたわけやけど……次はないんか?」

鬼丸「……こ……んの!」

神野「ないみたいやな。ほな、黙って死んどきぃ!」ブンッ!!

鬼丸「……ッ!!」


877 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:29:03.51 ID:D6gxNuxUo


ガササッ

戦士「……追ってこねぇ。て事は、鬼丸の方に行きやがったか」

クルッ…スタスタスタ

戦士「……鬼丸の奴、うまく逃げられんだろうな。……ま、大丈夫か」

スタスタスタ…ピタッ

戦士「やっぱ、そうもいかねぇよなぁ」ポリポリ

 引き返そうとする戦士の背後から、かすかな人の声が聞こえた。

戦士「……人間!?」

 振り向き様、戦士はその声が聞こえる所めがけ走り出していた。

戦士(まさか人が? 巻き添えはまずいっ、どこかへ逃がさねぇと!)

タッタッタッタッタ…

老人「……う、うぅ……っ」

女侍「……っ」

老人「あ……妖……がっ、屋敷……にぃ……っ」


878 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:29:34.07 ID:D6gxNuxUo
女侍「……喋るな。はらわたも腕も……目もやられている」」

老人「……い……様」

女侍「……」

老人「剣聖……様ぁ……っ」

女侍「…………」

老人「ど、どうか……屋敷を……」

女侍「喋るなと言っている!」

老人「……そ、その声……ま……さか」

女侍「……爺、安らかに眠れ」

老人「……ひ……め様ぁ」

女侍「父の傍を片時も離れずに居てくれた事、心から礼を言うぞ」

老人「……――」

女侍「……っ」

 生前より剣聖の家に仕え、世話人を立派に務め上げた老人。そして、

 剣聖の墓をずっと守り続けた彼は、安らかに眠りへとついた。女侍の腕の中で。


879 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:30:02.90 ID:D6gxNuxUo
ガサッ…ザザザッ

戦士「……!?」

女侍「……おやぁ、あんたか。ここまで追ってきたのかい?」

戦士「こ、こんな所で何してんだよ!?」

女侍「別に、流浪の途中さね。それよりこれは何の騒ぎだい?」

戦士「今すぐここを離れろ! とんでもねぇ魔物がいるっ!」

女侍「魔物? へぇ、どこにいるんだい……そいつ」

戦士「この先にあった屋敷から出て、今はあっちの森で……」

ザッザッザッ

戦士「お、おいっ! まさか戦うつもりじゃあ……」

女侍「厄介じゃあないか。そんな魔物、のさばらせておいたらさ」

戦士「無理だ。勝てっこね――」

ガシッ!!

戦士「……っ」

女侍「あんた、あたいをナメてんのかい? そういう問題じゃあないんだよっ!」


880 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:30:33.34 ID:D6gxNuxUo


ガッシュウウウウゥゥゥゥ

神野「…………」

鬼丸「……ぐ……くぬっ!」パリッ

グググッ

神野「素手で、剣を止めたやとぉ……?」

鬼丸「真剣……白刃取り……なんてな。グハハッ!」

神野「出来るわけがない! なんやコイツ……!」

鬼丸「あんま……ナメんじゃねぇぞ!」

神野「……ああ、鬼やもんなぁ。鬼の籠手ってのがあったわなぁ」

鬼丸「籠手の力だけじゃねぇっつの」バチバチッ

神野「あん?」

鬼丸「俺が背負った力はなぁ、武士の魂だけじゃねぇんだよ!」

神野「な、何やねんっ、この力は……!」

鬼丸「俺の手にはなぁ、雷忍から託された……魂があんだよぉ!」バチチッ!!


881 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:31:17.69 ID:D6gxNuxUo
神野「ぬぅ……っ!?」

ガッカアアァァァァ!!…ズドドオオォォォォン!!

神野「ちっ!」ズザザッ

鬼丸「どうでぇ、ざまーみろ!」ザッ

神野「逃がさへんでぇ!」

鬼丸「うっせぇ!」

ゴロゴロッ…パシッ!!

神野「しまっ、刀を!?」

鬼丸「でりゃああぁぁ!!」

ズガシュウウゥゥゥゥ!!

神野「……っ!?」

鬼丸「なーんてな。あばよっ、またそのうち相手してやんぜ……グハハッ!」タッタッタッ

神野「……ナメ腐りやがってこの……ダボがぁ!!」

鬼丸「誰が待つかっての! グハハハハッ!」

神野「ぶっ殺す!!」


882 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:31:55.00 ID:D6gxNuxUo
ドウンッ!!

神野「待てやこらぁ!!」

鬼丸「鬼相手に鬼ごっこたぁ、なかなか滑稽じゃねぇか!」

神野「――っ」ダンッ!!

ザザザザッ…ガサッ!!

戦士「!?」

鬼丸「うぉっと!! 相棒――」

女侍「……!?」

鬼丸「……と、イイ女!」

戦士「鬼丸っ、無事だったか!」

鬼丸「後ろから来てんぞ! このまま東に逃げろ!」

戦士「おうっ、行くぜ!」

女侍「……っ」

戦士「何ボサっとしてんだよっ! 行くぞ!」

バシュウウゥゥ…ズダッ!!


883 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:32:48.54 ID:D6gxNuxUo
神野「逃がすかおんどりゃああぁぁ!!」

戦士「来やがったぁ!!」

鬼丸「おい女っ! 早く……」

女侍「……父……上っ?」

鬼丸「……?」

戦士「いいから来いっ! 早く!」グイッ

女侍「っ!!」

ザザザザザザッ

神野「三匹に増えたかい。まとめて始末したるわああぁぁ!!」

女侍「離せっ!」

戦士「言ってる場合か!」

鬼丸「早くしろぉ! 追いつかれんぞ!」

神野「死んどけや、コラァ!!」

バッギャアアァァ!!

神野「―−ッ!!」ズダァン!!


884 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:33:27.96 ID:D6gxNuxUo
戦士「!?」

ザッ

イヌ「大丈夫ね!?」

キジ「お頭っ、勝手に何やってるさー!」

女侍「お前……ら!」

神野「……まだ居たんか、ゴミ共ォ!!」

戦士「不死身かてめぇはっ!!」

神野「カアアァァァァ!!」ビュオッ!!

サル「させね〜っての!」

神野「!?」

サル「俺の必殺技、食らっときなっ!」

ボフウウゥゥゥゥン!!

神野「くっ! なんや煙幕かい、こんな子供騙し……」

シュウウゥゥゥゥ

神野「…………」ビキビキッ…ブチンッ


885 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:34:11.00 ID:D6gxNuxUo


タッタッタッタッタ

戦士「助かったぜ!」

サル「ん〜ふふふふっ! あの煙幕にゃ匂いもついてる。そう簡単にゃ居場所も読めねぇぜ」

イヌ「流石、姑息なサルね」

サル「褒めてねぇだろテメー!」

女侍「……」

キジ「お頭? どうしたさ?」

鬼丸「とにかく、このまま都まで戻るが吉だぜ」

戦士「だな。一旦、建て直して……他の連中にも報告だ」

鬼丸「分かってんな?」

女侍「……ああ、分かったよ」

キジ「しかしさっきの、何だったさー?」

サル「姿は人間みてーだったけど、魔物なんだよな……?」

戦士「ああ。ありゃ軍団長クラスかヘタすっと……」


886 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/17(土) 23:34:59.03 ID:D6gxNuxUo


ザッザッザ…スタッ

神野「……」

スタスタ…パリッ

神野「……これや」

 森を抜けた先の何もない空間。神野悪五郎がそこへ手を伸ばすと、

 白い光が火花を散らし、その行く手を阻んでいた。

神野「この結界や。これのせいでワイはこの先、進めんのや」

 誰かに言い聞かせるように呟く神野悪五郎。

神野「あのクソ陰陽師め。ほんまナメた真似しくさって……ッ」

ザッ

神野「まぁええ。龍脈っちゅーモンが消えてから、結界の力も衰えとる」

クルッ…スタスタサタ

神野「ま、近いうち見とけや。地獄見せたるわ」

 人の姿を借りた妖怪、神野悪五郎は、再び闇の中へと帰って行った。


891 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/18(日) 23:51:35.49 ID:B3a79+yzo


鬼丸「どうやら、追ってはこねぇみてーだな」

戦士「ああ。諦めてくれたとしたら、ありがてぇこった」

キジ「でも、本当にこのまま、都へ戻るさー?」

戦士「そっか。あんたらお尋ねモんだから、本国の連中と鉢合わせはマズイんだよな?」

サル「まぁいざとなりゃあ変装でもすっけど、わざわざ会いに行くってのも気ぃ引けるわ」

イヌ「お頭、さっきから様子が変だけど、どっか怪我したね?」

女侍「……はん。そんなヤワに見えるかい?」

鬼丸「おめぇさんよ、さっきの妖……知ってんのか?」

女侍「……いーや、知らないねぇ」

戦士「確かに少し、様子がおかしかったよな。事情があんなら話してくれよ」

女侍「別に事情なんてものはないさ。ただ、あの屋敷は昔、剣聖ってのが住んでたんだよ」

戦士「剣聖……?」

女侍「そ、剣聖。東方一の剣豪として名高かった奴さ」

戦士「!?」


892 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/18(日) 23:52:37.85 ID:B3a79+yzo
イヌ「お頭とその剣聖って奴は、何かあったね?」

女侍「何もないよ。盗みに入って顔知ってる程度のモンさ」

戦士「やっぱ、強かったのか?」

女侍「……ああ、強かったねぇ。あたいなんぞ足元にも及ばないくらいねぇ」

キジ「……ふぅん」

鬼丸「そんなに強かったのに、死んじまったんか?」

女侍「強けりゃ長生きするってわけでもないさね」

戦士「そりゃまぁ、そうだわな」

女侍「不器用な奴ほど、早死にするもんさ」

サル「……」

イヌ「あ、分かったね。お頭、剣聖の屋敷でお宝盗もうと企んでたね!」

女侍「ふふっ、まぁそんなとこだね。でもま、魔物が棲み付いてるんじゃ仕方ないねぇ」

サル「本当にそれだけなのかい?」

女侍「しつこい奴だねぇ。そうだって言ってんだろ! それよりもあんた、稽古するんだろ?」

戦士「あっ、そうそう! こんな時に頼むのもあれだけどよ……」


893 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/18(日) 23:53:15.42 ID:B3a79+yzo
女侍「構やしないよ。……その方が気も晴れるってもんさ」ボソッ

戦士「えっ?」

女侍「何でもないよ。まぁとにかく、今日はゆっくり休もうじゃないか」

鬼丸「んだな。都に行けねぇんじゃ、どっか寝泊りくらい出来そうなとこ探すか」

女侍「この先に寺がある。そこに行きゃ寝泊りくらいさせてくれるよ」

戦士「詳しいな」

女侍「一応、生まれ育った場所だからねぇ」

戦士「……そっか」

女侍「そんじゃ行くよ。お前達、周囲の警戒、怠るんじゃないよっ」

キジ「アイアイサー」

鬼丸「おめぇは帰らなくて平気なのか?」

戦士「1人でおめおめ帰れっかよ。とりあえず今日は一緒に付いてくよ」

鬼丸「そうか! そんじゃそうしようぜ!」

戦士「おうっ。そんじゃその寺ってとこまで急ごうぜ!」

女侍「……っ」


894 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/18(日) 23:55:29.95 ID:B3a79+yzo
〜不死の山、山中〜

ビュウウゥゥゥゥ

召喚士「……吹雪が弱まってる」

ザッザッザッ

召喚士「これなら、いけるかも」

ザッ

召喚士「……行けっ、クジャタ! コカトリス!」

シュイイィィィィン

クジャタ「……」

コカトリス「とんだ悪天候だな。どこなのだここは」

召喚士「東方の山中だよ。クジャタ、まずはこの吹雪を抑えてくれ」

コカトリス「何をするつもりだ?」

召喚士「吹雪もさっきよりひどくはないし、クジャタの力で更に弱まれば……道も出来る」

コカトリス「まさか……」

召喚士「うん。一気に飛んで、下山しよう」


895 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/18(日) 23:56:21.18 ID:B3a79+yzo
コカトリス「お前はまた、無茶を言うものだな」

召喚士「そうかなぁ。いけると思うけど」

コカトリス「どうなってもしらんぞ?」

召喚士「大丈夫。コカトリスを信じてるよ」

コカトリス「ふっ。おだてて力が発揮されるものか」

召喚士「ははっ。そんなつもりじゃないって」

コカトリス「まぁいいさ、従うしかあるまいし、好きにしろ」

召喚士「じゃあクジャタ、お願い」

クジャタ「……」

ゴオオォォォォ…シュウウゥゥゥゥ

召喚士「……よし、風の通り道が出来た」

コカトリス「方角は一点しかないぞ? 大丈夫なのだな?」

召喚士「この山さえ抜けてしまえば、後は何とかなる!」

コカトリス「お前は本当に、慎重なのか豪胆なのか分からぬな」

召喚士「さぁ、行こう……コカトリス!」


896 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage saga] 投稿日:2011/12/19(月) 00:03:11.36 ID:ooVo/BALo
年賀状作り終わったー!お陰で更新はちょびでしたけど
今日からまた頑張ります!ほんとすいません!

ご支援ありがとでした!おやすみなさい!ノシ

>>872
いらっしゃいませー!ありがとうございます!


899 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/19(月) 00:21:38.05 ID:U93VK+vlo
年賀状うp


905 名前:SS速報でコミケ本が出るよ [sage] 投稿日:2011/12/19(月) 13:33:38.16 ID:KJExgfmho
年賀状うp



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