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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34
302 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:38:52.61 ID:hGuwR1sgo
〜次の日〜

戦士「おはようさん」

召喚士「……おはよう」

魔道士「……おはようございます」

戦士「2人揃って、ひでぇ顔してんなぁ」

盗賊「……」

戦士「まぁ仕方ないか。さてと、天才様がお呼びだ。医務室に行こうぜ」

盗賊「……ああ」

テクテクテクテク…

戦士「ういーす」

天才「おーう」

召喚士「……大丈夫なんですか?」

天才「何がだよ、この通り無事だ」

召喚士「無事……って。包帯だらけに車椅子じゃないですか……」

天才「だが生きてる。生きてる限りは無事なんだよ」


303 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:39:34.11 ID:hGuwR1sgo
魔道士「……」

戦士「んで、用ってのは何だ?」

天才「これから古代遺跡に行く。お前ら付き合え」

戦士「はぁ!?」

盗賊「……まだ、何かあるのか?」

天才「お前らの報告が気になったんでな」

召喚士「報告って、遺跡の港の話……ですか?」

天才「決まってんだろ」

戦士「何も今日じゃなくてもだな……」

天才「もう西方に来る事はねぇだろうからな」

盗賊「……そうなのか?」

天才「残りは北と、東だけだ」

盗賊「……東」

天才「そういう事で付き合って貰うぜ。ハーッハッハ――痛っ!」

召喚士「……」


304 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:40:01.35 ID:hGuwR1sgo


青年兵「本当に行かれるのですか?」

天才「魔物ちゃんいねぇんだろ? 好都合じゃねぇか」

青年兵「……馬車の手配を」

西国兵「はっ!」

青年兵「司令、無茶をすると容態が悪化します。決して……」

天才「んな事、お前に言われんでも分かってんだよ。いいからさっさと西方軍の見送りでもしてろ!」

青年兵「それじゃ召喚士さん、宜しくお願い致します」

召喚士「うん。行ってきます」

戦士「んじゃ車椅子持ち上げんぞー」

グイッ

天才「痛ってぇな!!」

戦士「文句言うな! 平気なんだろ?」

天才「ちっ」

戦士「ったく、何で俺達がこんな事……」


305 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:40:30.79 ID:hGuwR1sgo
天才「いいのか?」

戦士「あ?」

天才「テメーにとっても朗報があんだぞ?」

戦士「な、何だよ朗報って……」

天才「お前よ、俺様の武器持って返ってくる時、重いって言ってたよな?」

戦士「あ、あぁ。それが何だよ」

天才「あれが武器の重さに思えるか?」

戦士「まさか。あんな重てぇモン振り回してたらすぐにバテ……」

魔道士「……何ですか?」

戦士「まさかっ、何か……あるってのか!?」

天才「ありゃ魔王とマーマンから付着した魔力の重さだ」

召喚士「!?」

戦士「そ、それがどういう……」

天才「拡散する事なくその場に留まる事が出来る。それは何故だ?」

魔道士「え……っと」


306 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:41:01.08 ID:hGuwR1sgo
召喚士「結界石や鉱石で……留めて置く事が出来るからです……っ!」

天才「んでだ、魔王様が鎮座する場所ってのは……」

盗賊「鉱石が……ある!!」

戦士「お、おいおいっ!!マジかよ!?」

天才「どうだ? 行く気になったか?」

戦士「おう!! ぜひお供します!!」

天才「……けっ、都合のいいヤローだ」

戦士「そうと決まりゃ、急ぐぜっ!」

ダダッ

魔道士「ちょっと……もうっ」

召喚士「はは……っ」

天才「それによ」

召喚士「……?」

天才「お前らには今後の事、じっくり話しておかにゃならんからよ」

召喚士「えっ? 天才さん……?」


307 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:41:30.22 ID:hGuwR1sgo


ガラガラガラガラッ…

召喚士「あの、天才さん……」

天才「んー?」

召喚士「さっき言ってた……話っていうのは……」

天才「ああ、いいかよく聞けお前ら」

盗賊「……」

天才「俺様は見ての通り、このザマだ」

魔道士「……っ」

天才「次のマーラちゃんにゃあ、到底間に合いそうもねぇ」

戦士「マジ……かよ……っ」

天才「それに北での戦いは文字通り、総力戦になる」

召喚士「……はい」

天才「俺様は北での戦いまでに完治する為に、東方は捨てる」

盗賊「!?」


308 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:42:00.98 ID:hGuwR1sgo
天才「そこでお前らに頼みだ。東方戦にはお前らが先頭に立って、戦ってくれ」

召喚士「――っ!?」

戦士「お、俺達がか……っ!?」

天才「ああ。悪いが東方に関しちゃ、本国は西方以上に関与してねぇ」

盗賊「……確かに」

天才「可能な限りの支援は無論、行うが……本国が中心になってってのは無理な話だ」

召喚士「いくら同盟を結んだからとて、政治的なものもありますしね」

天才「そうだ。それにお前らは東方に詳しい。何より、東方の姫もいる事だしなぁ」

盗賊「……っ」

天才「勝手な話なのは百も承知だが、頼まれてくれるか?」

魔道士「……」

戦士「まぁ俺は……構わんぜ」

盗賊「……無論だ」

召喚士「魔道士さんは……」

魔道士「……やるしかないって……分かってますから」


309 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:42:29.74 ID:hGuwR1sgo
天才「んじゃ決まりだな。ヨロシク頼むぜ」

戦士「んで、その東方戦てのはいつから何だ?」

天才「別にいつでもいいぜ。東方の連中さえ良ければ、だけどな」

戦士「もう休んでる暇は本当にねぇって事か……」

天才「五ヵ年計画完了まであと2ヶ月程度。そういう事だ」

魔道士「……っ」

天才「もう次の戦いは始まってんのさ」

戦士「やれやれだぜ」

盗賊「……東方は私の故郷だ。願ってもない事」

天才「それだけ分かってりゃいいさ。お前らに余計な心配はしてねぇよ」

魔道士「……」

天才「精神的なモンが克服されりゃあな」

召喚士「えっ?」

天才「いんや、何でもねぇ。さてもう着く頃だろ」

召喚士「ええ、見えてきましたよ……古代遺跡が」


310 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:44:18.91 ID:hGuwR1sgo
〜最西端、古代遺跡〜

ザッ

戦士「んで、まずは?」

天才「俺様は朱雀と港ってのを見に行ってくる」

盗賊「私達は?」

天才「鉱石を探してくれ」

魔道士「どこに……あるんです?」

天才「だからそれを探せって言ってんだよ。この地にあるのは間違いねぇ」

戦士「おいおい……っ、この遺跡をくまなく探せってか!?」

天才「まーそういう事だな。あくまで鉱石が欲しければ、の話だがな」

戦士「……ちっ」

盗賊「それじゃ……行くか」

魔道士「何かあったら、すぐに言ってくださいね」

召喚士「ええ、魔道士さん達も」

天才「さぁ、出発〜っと」


311 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:45:04.23 ID:hGuwR1sgo
ガラガラガラッ

天才「ふふんふーん」

ガラガラッ…ガツン!!

天才「痛ってぇ!! てめぇ、段差に気をつけろ!!」

召喚士「す、すみません……っ!」

天才「ったく」

召喚士「……天才さん」

天才「あん?」

召喚士「それで、何の話です?」

天才「……」

召喚士「俺に話があって、わざわざ2人きりの状況をつくったんですよね?」

天才「……お前も成長したモンだなぁ。国軍にいりゃ、青年兵や大軍師とタメ線を張れんぜ」

召喚士「ありがとうございます。それで、何ですか?」

天才「忙しいヤローだな。ま、いいや。今回の戦い……ちょいとした収穫があった」

召喚士「……?」


312 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:45:40.21 ID:hGuwR1sgo
天才「魔道士の事だ」

召喚士「魔道士さん……ですか?」

天才「ああ。あいつ、踊り子が死んでキレただろ」

召喚士「……あ、ああ。はい」

天才「盗賊が気絶させて事無きを得たが、ありゃ五行だ」

召喚士「みたい……ですね」

天才「それもただの五行じゃねぇ。全魔力開放の上での五行だ」

召喚士「――っ!?」

天才「何が言いたいか分かるか?」

召喚士「……っ」

天才「あのまま放ってたら、魔道士は死んでたぞ」

召喚士「…………」

天才「まずお前に言いたい事の1つは、今後も同じような状況があり得るって事だ」

召喚士「ええ……」

天才「必ず止めろ。でなくば、魔道士は死ぬぞ」


313 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:46:09.81 ID:hGuwR1sgo
召喚士「……はい」

天才「それほどに強烈な魔力だった。おそらくあれを放てばイブリースは消滅してたよ」

召喚士「そ、それ程にですか……っ」

天才「人の死ってのは、周りを強くする」

召喚士「……」

天才「人の死による怒りや悲しみで魔力が開放される」

召喚士「それが魔道士さんの……」

天才「だが所詮、それはその場限りの事だ」

召喚士「ええ」

天才「それを受け入れ、乗り越えて初めて自分のものになる。人間ってのはそうやって生きてくのさ」

召喚士「……はい」

天才「魔道士を支えてやれんのは、お前しかしねぇ」

召喚士「……っ」

天才「王家の血は必ず、最後の戦いに役立つ。頼むぜ」

召喚士「……はい」


314 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:46:49.92 ID:hGuwR1sgo
〜高台〜

戦士「まずはこっからだな」

盗賊「……ここは」

戦士「爆発の中心地だ。それに剣はここに刺さってたわけだしな」

魔道士「……」

戦士「……さて、問題はどうやって掘るかだ」

盗賊「かなりの労力だな」

戦士「なぁ魔道士、ちょっと魔法でド−ンと――」

ドドオオォォォォン!!…ゴゴゴゴゴゴ…

盗賊「……」

魔道士「これでいいですか?」

戦士「お、おう……っ」

魔道士「それじゃ早速、探しましょう」

戦士「……なんかあいつ、変わったよな」

盗賊「……うん」


315 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:47:18.27 ID:hGuwR1sgo


天才「ここか」

召喚士「霧がかってますけど、この先に海のようなものがあるみたいなんです」

天才「進めるか?」

召喚士「えぇと、ちょっと待って下さい。あ、こっちからなら何とか……」

キィッ…ガラガラガラッ

召喚士「……っと、下見えますか?」

天才「確かに水が染み出してんな」

召喚士「……」

天才「ちょっと舐めてみろよ」

召喚士「えぇ!?」

天才「しょっぱかったら海だろ。ほれっ、早く!」

召喚士「……だ、大丈夫かなぁ」

チョンチョン…ペロッ

召喚士「こ、これは……っ!?」


316 名前:寒すぎるので寝ます…おやすみなさい ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/03(土) 02:48:06.67 ID:hGuwR1sgo
天才「勿体ぶってねぇで早く言えよ」

召喚士「……間違いなく海です!」

天才「やっぱりそうか。これで、見えてきたな」

召喚士「え……っ?」

天才「お前、この先に何があると思う?」

召喚士「えっと……海だから、島とか陸とか……ですかね」

天才「半分正解。半分アホ」

召喚士「!?」

天才「そりゃ海なんだから何もねぇなんて事は有り得ねぇだろ」

召喚士「じゃあ、何があるんですか? まさか魔王の……」

天才「そうじゃねぇよ。この先には間違いなく、人の住む陸地がある」

召喚士「えっ!?」

天才「それもお前がよーく知ってる場所だよ」

召喚士「……っ」

天才「……東方だ」


320 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です) [sage] 投稿日:2011/12/03(土) 10:18:20.07 ID:gWyvfnyIO


召喚獣を使えば一日で一周できそうだな


321 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [] 投稿日:2011/12/03(土) 10:24:58.09 ID:Z1gnGiMq0
いちおつ
魔道士の魔翌力すごいことになってきたな
さすが王家の魔翌力


331 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:08:24.87 ID:NsBDCG6Do
召喚士「……え……っ?」

天才「聞こえなかったのか? 東方だっつったんだよ」

召喚士「と、東方……!?」

天才「だからそうだって言ってんだろ」

召喚士「いや……でもっ、東方って東の果ての……」

天才「テメーは本当に頭いいんだかわるいんだか分からねぇな」

召喚士「す、すみません……」

天才「しゃーねぇ、分かり易く説明してやっか。お前、何か紙持ってるか?」

召喚士「えっと……こんなのでいいですか?」

天才「きったねぇ紙だな。まぁいいや、んじゃこれに……」

キュッ…カキカキッ

召喚士「……これ……なんですか?」

天才「世界地図だよ。うまく書けてんだろ」

召喚士「えっ? あ、ええ……っ」

天才「……なんだよ、文句でもあんのか?」


332 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:09:42.41 ID:NsBDCG6Do


天才「まずこれが、俺様達も知ってる世界。平面な状態だ」

召喚士「はい」

天才「さっき見た霧の奥の暗闇。無の世界。それは世界の果てと呼ばれている」

召喚士「世界の果て……」

天才「これが世界の通説であり、この地図と全く同じ状態だわな」

召喚士「ですね。でもそれが何か……?」

天才「……遥か昔からそう言われているし、そうであった」

召喚士「……?」

天才「だがいつの時代も異端児ってのはいるもんでな」

カサッ

天才「この説を真っ向から全否定した学者がかつていたそーだ」

召喚士「……!?」

天才「そいつはこう言った。世界は丸いんだ……とな」

召喚士「っ!!」


333 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:10:36.78 ID:NsBDCG6Do
天才「それがどういう意味か分かるか?」

クルクルッ…カサッ

天才「こういう意味だ」

召喚士「地図を……丸めた……っ?」

天才「まぁこの状態だと正確には円柱だがな」

召喚士「た、確かにこうすれば、西と東が……」

天才「1つになんだろ? 西の果ての西は東って事になるんだよ」

召喚士「でもそれじゃあ、あの暗闇は一体……?」

天才「そこが本題だ」

召喚士「……?」

天才「結局その学者も、それを証明する事が出来ず、無念ながらに死んだ」

召喚士「……っ」

天才「それから数百年、そんな説は戯言の1つとして闇に葬られた」

召喚士「それをどうして……天才さんが?」

天才「あれはいつだったっけかなぁ、本部の騎士団長に任命された時だったか……」


334 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:11:25.72 ID:NsBDCG6Do
カサッ

天才「たまたま資料室の整理をしてた時だ。その学者の資料を見つけた」

召喚士「!?」

天才「確かにバカげてた。俺様も普通なら、全否定してその辺に放ってただろうな」

召喚士「でも、なぜ……」

天才「ちょうどそん時は、魔王に関する資料を集めててな」

召喚士「もしかして……五ヵ年計画の為、ですか?」

天才「そこまでキッチリはしてねぇよ。もうちょい漠然としたモンだったけどな」

召喚士「その魔王と関係が?」

天才「ああ。聞いた事あるよな、魔王の配置の謎ってのを」

召喚士「え、ええ。確か……六芒星になっていると」

天才「配置の意味するものと、龍脈の違和感がどうしても気になってな」

召喚士「龍脈の違和感……? どういう事ですか?」

天才「魔王の配置については、まぁそれ程不思議でも何でもねぇんだ」

召喚士「周囲から人間を包囲しているわけですからね」


335 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:12:34.75 ID:NsBDCG6Do
天才「ところがだ。龍脈だけは何故か東方に存在してた」

召喚士「ん? 確かにそうですね。普通であれば、中央にあった方が……」

天才「魔力の根源になってんなら、魔物にとってはその方が楽だろ」

召喚士「そうですよね。均等に行き渡るわけですし……」

天才「龍脈の存在は古くから分かってた。だが、誰も位置までは気にしなかった」

召喚士「そこにあるものだと思ってましたから……」

天才「……んで、話は地図に戻る。1人の学者が残した謎の説」

召喚士「……あ……っ!!」

天才「もし、世界が本来は丸いものであり、東西が繋がっていたのならば……」

召喚士「こ、この地図の……」

トントン

天才「そうだ。この繋がった部分。ここに龍脈があった。んでここを……」

パサッ…パラッ

天才「縦に切り取ると、どうだ?」

召喚士「さっきの地図と同じです!! 東西が切り取られて……っ」


336 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:13:05.29 ID:NsBDCG6Do
天才「まぁここまでじゃ理論だけであって、何の解決にもなってねぇ」

召喚士「……ええ」

天才「ここから魔王は各地に別れ、配置についた」

召喚士「……っ」

天才「魔王の中でも大将と思われるサタンを世界の中心に……」

トンッ…トンッ…トンッ

天才「北と南に1体ずつ。東と西に2対ずつ」

召喚士「上からみると、そのような配置になってますよね」

天才「どんなものにも意味のないモンなんてのはねぇ」

召喚士「天才さんは、それで何か掴んだんですね」

天才「……まぁな」

ガサッ

天才「丸い世界から平面の世界と変えられたこの地上……」

召喚士「……っ」

天才「外側より無が迫り、世界がどんどん真ん中へと縮んでるんだ」


337 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:13:36.56 ID:NsBDCG6Do
召喚士「――っ!?」

天才「まぁこれは俺様の勝手な解釈であって、まだそうと決まったわけじゃない」

召喚士「世界が……真ん中に縮んでいる……!?」

天才「魔王軍の連中が言う、世界を地獄に変える」

召喚士「……っ」

天才「そう考えると、その意味も全く別のモンになってくるわけだ」

召喚士「ど、どういう事です?」

天才「殺戮と蹂躙で世界を地獄の様に変える」

召喚士「そ、そうですね」

天才「そうじゃなく、文字通りの地獄に変えるって意味もあるとしたら?」

召喚士「……えっ?」

天才「地獄の存在はお前も把握してるよな?」

召喚士「ええ……。この前戦士が言ってました。シャレになんねーって」

天才「地獄とこの地上の存在は言わば表裏」

召喚士「……」


338 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:14:31.14 ID:NsBDCG6Do
天才「地獄に変える。その本質が表裏であるならば……」

バサッ

召喚士「っ!?」

天才「ひっくり返した地図の裏面。これが地獄」

召喚士「ま、まさか……っ」

天才「あの無は地獄だ。魔王どもの狙いは、文字通り地上を地獄へと変える事だ」

召喚士「……っ!!」

天才「それなら魔王の配置も分かる。切り取り線を入れた東方から」

ススーッ

天才「中央へ縮めるように、世界を無に……地獄へと変えてゆく」

召喚士「そんな事を……魔王が……」

天才「何百年もかけて、世界を縮めてやがんのさ」

召喚士「でもっ、やっぱりそんな事……信じがたいですよ……っ」

天才「だろうな。俺様だってそう思うさ。確証は全くねぇんだし」

召喚士「……っ」


339 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:15:13.55 ID:NsBDCG6Do
天才「古代の学者もそうだったんだろうな。たった1人でもがいてたわけだ」

召喚士「何か、手がかりになりそうなものはないんですか?」

天才「小さな違和感をかき集めりゃあ、無くもない。決定打にはならんがな」

召喚士「た、例えば……?」

天才「1つ気になる事は、昔の地図がやたら少ねぇって事だ」

召喚士「地図……?」

天才「軍や民間含め、古い地図ってのがあまり残ってねぇ」

召喚士「!?」

天才「まぁ今ほど航海術も測量技術もなかったから、当然っちゃ当然なんだろうけど」

召喚士「でも、少ないっていうのはおかしいですよね?」

天才「だろ? 魔物が多かった昔は、今以上に地図の重要性があったはずだ」

召喚士「そうですよねっ!」

天才「民間に少ないってのはまぁ分からんでもねぇんだ。だがなぁ……」

召喚士「軍に残っていないというのは、不思議ですよね」

天才「今みてーなユルイ軍や国ならいざ知らず、古くはモロ帝政だったんだ」


340 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:15:54.02 ID:NsBDCG6Do
召喚士「……っ」

天才「そんな中で地図がねぇのは危険性を高める愚考だ」

召喚士「つまり、かつては間違いなくあった……という事ですよね」

天才「そう。何者かが意図的に抹消したって事だ」

召喚士「……あっ! まさか副司令が……!?」

天才「いーや、さっきも言ったが、俺様ですらようやくたどり着いた結論だ」

召喚士「あ、そっか……。古くにも学者1人しか言ってなかったですもんね」

天才「つまり、これは個人的な話じゃねぇ。都合の悪い連中がそうさせてたんだよ」

召喚士「……っ」

天才「魔物に加担する内通者だよ。それも歴代ずーっとだ」

召喚士「っ!!」

天才「あと1つは、世界の果てを目指したものは……その大半が行方不明になってる」

召喚士「!?」

天才「つまり無の中へ入ったものは帰ってこないわけさ」

召喚士「……っ」


341 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:16:27.77 ID:NsBDCG6Do
天才「そう考えると、全ての辻褄が合うんだよ。歴史と世界のな」

召喚士「確かに……っ」

天才「この地図みてぇにひっくり返されたら、世界は終わりだ」

召喚士「無が……訪れる……」

天才「ま、これが俺様の説だ。信じるか信じないかはテメー次第」

召喚士「確かに信じ難いです。でも……」

天才「……」

召喚士「でも、信憑性があると思います。説得力があるっていうか……」

天才「……ほぉ」

召喚士「でも何より、天才さんの説だから信じたい。俺はそう思います」

天才「……ハーッハッハッハ!! まぁな」

召喚士「ははっ」

天才「真実が明らかになるには、マーラ討伐が必須だ」

召喚士「……はいっ」

天才「俺様が生きているうちに、証明できるように頼むぜ」


342 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/12/04(日) 19:17:05.43 ID:NsBDCG6Do
召喚士「……っ」

天才「そんじゃ、行くか」

召喚士「は、はい……っ」

カラカラカラッ

召喚士「あの、天才さん?」

天才「あーん?」

召喚士「天才さんはどうして、その学者を信じようと思ったんですか?」

天才「別に。だって可哀想じゃねぇか」

召喚士「……?」

天才「大昔から誰にも相手にされず、しまいにゃ埃かぶって本棚の片隅だぜ?」

召喚士「……」

天才「1人ぐらいは誰かが信じてやってもいいんじゃねぇかな」

召喚士「天才さん……っ」

天才「ま、俺様だって似たようなもんさ。ほれ、行くぞ」

召喚士「……はいっ」


344 名前:NIPPERがお送りします(新鯖です) [sage] 投稿日:2011/12/04(日) 21:00:02.90 ID:zbO3GR1s0
天才さんマジ主人公



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