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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その21
- 535 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2010/11/10(水) 18:02:03.17 ID:bNfltIco
チチュン…チュンチュンッ
霜が薄く張る旅籠の中庭。その奥に佇む露天風呂より水音が響く。
テクテクテク
召喚士「……?」
バシャッ
召喚士「おはようございます。早いですね!」
西方参謀「おーう、おはようさん!」
洗顔を済ませ顔を拭く西方参謀は、召喚士を見上げ挨拶を返す。
西方参謀「そりゃ今日は大切な日だ。気合い入れねーとな!」
召喚士「そう…ですよね」
西方参謀「お前さんは、会った事あるのかい?」
召喚士「…国王ですか?いえ、ありません」
西方参謀「ふぅん。どんな奴なんだろうなぁ」
召喚士「まだ幼いと聞きましたけど……」
西方参謀「そうなのか…?」
- 536 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/10(水) 18:02:55.41 ID:bNfltIco
西方参謀は真面目な表情で問いただす。
召喚士「えぇ…」
西方参謀「……」
テクテクテク
隊長「…あー気持ち悪りぃ」
召喚士「おはようございます」
西方参謀「何だぁ?二日酔いか?」
隊長「……お前の身体はどうなってるんだよ」
ザーッ…バシャバシャバシャッ
西方参謀「そういや相棒はどした?寝坊か?」
召喚士「戦士なら俺より先に起きて、部屋を出てたみたいですけど…」
西方参謀「……散歩か?」
召喚士「剣の稽古かもしれませんね」
フキフキフキッ
隊長「勤勉なヤローだな。あ…痛っつう……!」
- 537 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/10(水) 18:04:32.58 ID:bNfltIco
…
都の大通り、早朝にはまだ霧がかかり、人通りもそう多くはない。
場違いな洋装の男はまだ霧掛かり、人の少ない道をゆっくり歩く。
農民「聞いたか?昨晩の大橋での話……」
町民「聞いた聞いた!凄かったらしいじゃねぇか!」
戦士「…?」
農民「何でもあの大男をねじ伏せたってんだろ!?たまげたなぁ!」
町民「大層な笛の腕前で、旗本あたりの倅じゃねぇかってさ!」
戦士「……」
〜大橋〜
戦士「…ふぅん。東方、剣の使い手…ねぇ……」
ノソッ
戦士「!?」
欄干から川を見下ろす戦士の背後に、突如巨体が近づく。
戦士「……お前っ!」
- 538 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/10(水) 18:11:17.81 ID:bNfltIco
鬼丸「よぉ!!やっぱりそうだったか……相棒っ!!」
戦士「鬼丸…っ!?てめぇかよ!このっ!!」
鬼丸「グッハハハ!元気そうで何よりだぜ!」
戦士「しかし…よく分かったなぁ?」
鬼丸「お前の臭い、忘れるわけねーだろうよ!グハハッ!」
戦士「……あれ?もしかして昨晩の騒ぎって」
鬼丸「…んだよ、もう話題になっちまってんのか」
戦士「お前、負けたのか?」
鬼丸「んーまぁな……」
戦士「お前を倒すたぁ、相当の腕前だな」
鬼丸「あぁ。女ながら大した使い手だったわ」
戦士「女…?」
鬼丸「ああ。笛も上手かった。ありゃ美人だな!グハハッ!」
戦士「東方の女ってのはどいつもこいつもどうなってんだ…?」
鬼丸「……?」
- 539 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/10(水) 18:14:49.67 ID:bNfltIco
…
戦士「ほぉ〜。ここで妖怪退治ってか!」
鬼丸「おうよ!んで、お前はどーしたんだ?」
戦士「…あぁ、ちょいと付き合いでな。国王に会いに行くんだ」
鬼丸「国王?あー帝か」
戦士「ミカド…?あぁ、東方じゃそう言うのか」
鬼丸「帝にあってどーすんだ?」
戦士「俺らの国と東方が手を結ぶんだよ」
鬼丸「何?すると…みんなで手を組んで魔王倒すってのか!」
戦士「まぁ極端に言えばそうだわな」
鬼丸「ほー!なかなか面白そうじゃねぇか!」
戦士「そん時はお前も力貸してくれよ?」
鬼丸「……しゃーねぇな。貸してやるよ!」
戦士「…助かるぜ!!」
鬼丸「なぁなぁ、お前らの国ってのは楽しいか?」
- 540 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/10(水) 18:16:51.34 ID:bNfltIco
戦士「んー、こことは全然違うなぁ。人も物も……」
鬼丸「ほぉ、いっぺん見てみてぇな〜!」
戦士「なんなら今度来いよ!色々案内してやるぜ!」
鬼丸「このカッコでか?退治されちまうわ!」
戦士「ははっ!そういやそうだわな」
鬼丸「俺は東方から出れねーからよ、お前が遊びに来てくれよ!」
戦士「…そうだな。こまめに来るようにするわ」
鬼丸「おぉ!楽しみにしてるぜ!!」
戦士「はは…っと、結構時間経っちまったな……」
鬼丸「行くのか?」
戦士「そろそろ戻らんとな。また後で来るわ!」
鬼丸「おーう。いねぇ時は橋の下で寝てっからよ!」
戦士「分かった!んじゃ、また後でな!!」
鬼丸「おーう!」
旅籠へと戻る戦士を見送った後、鬼丸は欄干を撫で、橋の下へと歩いて行った。
- 541 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/10(水) 18:17:49.63 ID:bNfltIco
〜旅籠〜
女将「お早う御座います」
魔道士「おはようございます!」
盗賊「…おはようございます」
女将「いよいよですねぇ〜」
隊長「…はい。必ずや……あ痛たたっ」
女将「あらあら、病でらっしゃるの?」
西方参謀「ただの二日酔いです。放っておいて下さいや」
隊長「などと言いつつ近くで酒を飲むなっ!……痛ぇ」
西方参謀「自分で大声出してりゃ世話ねぇわ…」
テクテクテク
召喚士「あ、戦士!どこ行ってたのさ?」
戦士「おう、ちょいと散歩にな」
盗賊「…また偽者でも出たらどうする。じっとしていろ」
戦士「……仰る通りで」
- 542 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/10(水) 18:19:06.78 ID:bNfltIco
…
女将「本当に握り飯も要りませんの?」
隊長「お気持ちは嬉しく…しかし、いや…やはり貰っておくべきか…」
召喚士「だ、大丈夫です!すぐに戻ってきます!」
仲居「お気を付けて〜」
魔道士「行ってきまーす!」
戦士「しっかしアンタはよく飲むなぁ……」
西方参謀「迎え酒だ」
戦士「このあと帝に会うんだろ?大丈夫なのかよ…?」
西方参謀「ちょっとくらい酒入ってたほうが…テンション上がるってモンよ!」
召喚士「盗賊さん、城はこのまま真っ直ぐでしたよね?」
盗賊「…ああ。案内するよ」
召喚士「ありがとうございます」
魔道士「助かりますねぇ」
盗賊「…まぁ、目の前に見えるあれ…だけどな」
- 543 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/10(水) 18:30:05.35 ID:bNfltIco
〜城〜
テクテクテクテク
門番壱「おぉ、久々に奇天烈な格好…!」
門番弐「止まれ止まれぃ!ここから先は帝の居城なるぞ!」
召喚士「あ…あのー、その帝に会いたいのですが…」
門番壱「何用で?何か書状は?」
召喚士「い、いえ…特に……」
戦士「……何でアイツはいっつも真っ直ぐ行っちまうんだ?」
魔道士「正直なんですよっ」
盗賊「…そうか?」
戦士「…ほれ、呼んでるぞ」
盗賊「…?」
手招きする召喚士の元へ、小走りで盗賊が駆け寄る。
盗賊「…どうした?」
召喚士「…ほらっ、こちらが藤蔵の姫……盗賊さんですっ!」
- 557 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/11/11(木) 14:06:05.06 ID:2IicEkAO
そろそろキャラの見分けがつかなくなってきた
- 558 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 17:42:05.33 ID:l08VjtYo
キャラについてはこちらでまとめて頂いてます!ご参考に!
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice/settei.html
今はあんまり余裕ないので、完結したらまとめますね!多分…↓続き
- 559 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 17:43:17.13 ID:l08VjtYo
門番壱「…………」
門番弐「…………」
召喚士「…あ、あれ…?」
門番壱「そう言われても…存ぜぬしなぁ」
門番弐「そうそう…」
盗賊「……」
門番弐「あれ?そういえば…どこかで…」
門番壱「つい先日も来ませんでした?」
盗賊「…来ました。雷忍を…呼んで貰えないだろうか?」
門番弐「…あれ?何だか既視感…」
門番壱「ちょっと…待ってて」
門番弐「その台詞も……あれ?」
タッタッタッタッタ
門番弐「あれ?…あれぇ!?」
召喚士「あ、あのぉ……」
- 560 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 17:44:25.94 ID:l08VjtYo
門番弐「は、はいはい。何だい?」
召喚士「武士さん……覚えてらっしゃいますか…?」
門番弐「武士様…!何故、その名を…!?忘れるわけ……あれ?」
召喚士「あの時、一緒に居たのが我々でして……」
門番弐「えぇと……あ、あれぇ…!?」
タッタッタ…タタッ……スタッ
盗賊「……雷っ!!」
雷忍「……カカッ、これはこれは…本物の姫ではありませんか」
タッタッタッタッタ
門番壱「はぁはぁ…はぁ…っ、連れてきましたけど」
召喚士「あ、ありがとうございます」
雷忍「此度はどうなされました?まさかまた密航……」
盗賊「違うっ!少し…頼みがある…」
雷忍「…伺いましょう」
盗賊「実は、だな……」
- 561 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 17:45:03.90 ID:l08VjtYo
…
門番壱「……行ってしまわれたな」
門番弐「なぁ、俺の頭でも分かるように説明してくれ。何が何だか…」
門番壱「俺だって分からんよ……」
〜城内〜
雷忍「…カカッ、成程。同盟…ですかぁ」
盗賊「うん」
雷忍「その使者がこちらの御仁とな?」
盗賊「そっちは私の仲間」
雷忍「おっと…そうでしたか!カカッ」
魔道士「始めまして!」
召喚士「召喚士と申します。こちらが戦士と魔道士さんです」
戦士「よろしく!」
雷忍「こりゃどうも。……カカッ、なかなか男前な方々だ!」
戦士「は…?」
- 562 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 17:45:53.72 ID:l08VjtYo
雷忍「ではこちらのお二方が……」
西方参謀「使者として参った。西方参謀だ」
隊長「護衛のようなもので隊長と申す。アンタ…ニンジャか?」
雷忍「…カカッ、如何にも」
西方参謀「それで、ミカドには会わせて頂けるのかな?」
雷忍「事情が事情ゆえ、おそらく問題ないかと…」
盗賊「…本丸はこっちじゃないのか?」
雷忍「目立ちますからね。一応藤蔵門から入ります」
魔道士「藤蔵門…?」
盗賊「西門の事だ。藤蔵の詰所があるからそう呼ばれている」
雷忍「今の時間帯なら火もいますよ?」
盗賊「そっか」
雷忍「奴は一番、姫に会いたがっておりますからねぇ……カカカッ」
盗賊「……はぁ」
一同は雷忍の案内に従い迂回し、西門より本丸を目指す。
- 563 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 17:46:45.78 ID:l08VjtYo
テクテクテクテク
雷忍「……火」
火忍「んー?」
詰所の瓦屋根に寝そべり、生返事を返す火忍。
モゾッ
火忍「どした、異国のモンなぞ連れて…ははぁ、さては……」
スタッ
火忍「密入国者だな?ほぉ、女もいるな……どーれ俺様がおしお…」
ジーッ
盗賊「……」
火忍「おしお……おし…し…」
盗賊「……」
雷忍「…火?」
火忍「おか……し……いな」
盗賊「……?」
- 564 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 17:47:29.39 ID:l08VjtYo
…
火忍「……」
盗賊「お前はよく土下座するなぁ」
雷忍「カカッ、自業自得です。放っておきましょう」
火忍「姫っ!まさか戻られているとはつゆ知らず…っ」
盗賊「わ、分かったよ…!」
魔道士「ふふっ、面白い方達ですねっ!」
火忍「…?」
雷忍「姫と旅をされている方々だ」
火忍「何…っ!?」
戦士「……?」
火忍「……まさか…姫の事を…っ」
ボウッ!!
戦士「あ、あっちぃ!!」
雷忍「ほぉ、自ら発火するとは……新技か?カカッ!」
- 565 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 17:48:10.74 ID:l08VjtYo
〜本丸〜
雷忍「帝は最奥にある御殿におられまする」
西方参謀「なるほど」
雷忍「まず、手前の広間へ案内致します」
隊長「……」
雷忍「そこで武器の一切をお預かりし、謁見はお一人にてお願い申し上げます」
召喚士「……」
雷忍「皆様方は広間にてお待ちを」
隊長「護衛もなしですかい?」
雷忍「広間にてお待ちを」
隊長「……了解だ」
雷忍「……こちらが広間です。どうぞ、お入り下さい」
襖を開く雷忍の誘導により、一同が順に広間へと入室する。
スッ
召喚士「……?」
- 566 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 17:48:49.98 ID:l08VjtYo
テクテクテクテク
広間に入る直前、横の通路を歩く一人の男を見つめ、召喚士の足が止まる。
召喚士「名代……さん!!」
名代「……?おぉ!!これは召喚士殿か……っ」
召喚士「お久し振りです!!」
名代「まさかこのような所で再開するとは……なんたる奇遇か」
召喚士「全くです!」
雷忍「どうなさいました?……これは名代様ではございませんか」
盗賊「…名代、その節は……」
名代「成程…ご一同お揃いのようですな。して、目的は…帝かな?」
召喚士「ええ…。本国との同盟を持ちかけに参りました」
名代「……同盟、か。すると本国の目的も……」
西方参謀「龍脈にゴザル。始めまして、使者の西方参謀と申します」
名代「これはご丁寧に。……話を聞かせて頂いても宜しいかな?」
西方参謀「…無論です」
- 567 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/11/11(木) 17:51:07.68 ID:niERyEsP
盗賊とのやり取り、周りのヤツの顔が見たいww
- 568 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 18:04:35.30 ID:l08VjtYo
…
名代「……」
雷忍「つまり…急ぎというわけではないのですな?」
二人は同盟についての詳細を聞かされ、唸り声をあげる。
西方参謀「早いに越した事はないのだが、それは我が国の事情…」
隊長「今回はお顔だけでも拝見出来ればとね」
名代「…双方にとって有意義な結果となる事、祈っております」
スゥッ
家老「お待たせ致しました。どうぞお入り下さいませ」
西方参謀「そんじゃ行ってくるかね」
魔道士「頑張って下さいねっ!」
隊長「頼むぞ!」
西方参謀「へいへい。頑張りますわ……ガハハ!」
テクテクテク…パタンッ
召喚士「……」
- 569 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 18:05:55.21 ID:l08VjtYo
戦士「大丈夫かね、あんあ酔っ払いでよぉ」
盗賊「…大丈夫だと思うぞ」
戦士「…?」
盗賊「…飲んではいたが…あれは水だろう」
魔道士「そうなんですか!?」
盗賊「…朝から酒の臭いが…全くなかった」
隊長「アイツがか!?珍しい事もあるもんだわな……」
召喚士「あの、名代さん」
名代「…何か?」
召喚士「帝はまだ幼いと伺いましたが……」
名代「…如何にも」
召喚士「最終的な決定は名代さんがするのですか?」
名代「私や家老殿、それに御館様などとも話はする事になるだろう」
盗賊「……」
名代「だが決断は帝次第だ」
- 570 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 18:06:41.40 ID:l08VjtYo
戦士「マジかよ……」
名代「何も幼いからとて、飾りではない。あのお方はそれ程に聡明…」
魔道士「凄い…っ」
隊長「なーるほどな」
戦士「あん?」
隊長「あのクソ酔っ払いが素面で挑んだ理由が何となく分かった」
魔道士「え……?」
〜本丸御殿〜
家老「こちらにお座り下され」
畳上に置かれた一枚の座布団。西方参謀は無言で会釈し、
その上に胡坐をかいて腰を落とす。
西方参謀「……」
チラリ
女剣士「……」
西方参謀(刀を持った女が一人。護衛か…)
- 571 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 18:09:03.80 ID:l08VjtYo
家老「上様のお成りであるっ!」
響く家老の声に反応し、西方参謀は頭を垂れる。
西方参謀(東方の情勢は以前より変わりつつある……)
ススッ…ススッ…ススッ
帝「……表を上げい」
西方参謀「……はっ」
着座し声をかける帝。西方参謀はそれに従い姿勢を戻す。
西方参謀(やはりお一人か…。これはかなりの人物と見えるわなぁ)
帝「話は伺った。はるばるよく来てくれた」
西方参謀「はっ。こちらこそこのような場を設けて頂き、恐悦至極に存じまする」
帝「楽にしてくれ。無理に東方の風習に従う必要はないぞ?」
西方参謀「……ははっ」
帝「して、本国は我らと手を結びたいと申すのか?」
西方参謀「はい。行く行くはそれを所望致す次第であります」
帝「…成程。同盟を結び、為すべき事とは…?」
- 572 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 18:10:55.33 ID:l08VjtYo
西方参謀「……互いに長年の悲願を成し遂げる事かと」
帝「…出来るのか?」
西方参謀「確信は持てませぬ」
家老「!?」
帝「…ふふっ、正直よの」
西方参謀「我らは既に、西方との同盟を締結しておりまする」
帝「ほぉ、左様であるか」
西方参謀「はい。東方国と同盟の暁には、三国が合致する事となりまする」
帝「……ふむ」
西方参謀「いえ、何れは南東国とも手を結ぶ事も決めております」
帝「すると、全ての国が一つに纏まると…?」
西方参謀「如何にも。魔王軍と個別の戦い…そんな時代は終わりました」
帝「……」
西方参謀「これからは、魔王軍と人間の戦いです」
帝「…それが本国の望む未来の展望であるわけだな」
- 573 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 18:12:01.93 ID:l08VjtYo
家老「なんと…まぁ…」
女剣士「……」
帝「して、それは近い将来の話であるか?」
西方参謀「早ければ早い程、効果的です」
帝「何故に?」
西方参謀「東方には龍脈の根源が存在致します」
帝「……」
西方参謀「失礼ながら、これは我が国の調査により明白で御座います」
帝「…それで?」
西方参謀「根源を叩けば、魔王軍の力は減少致します」
帝「つまり、東方のみではそれを為しえぬ故、力を貸そうと?」
西方参謀「い、いえ…っ。決してそのような意味では……」
帝「…ふふっ、冗談だ」
家老「上様…っ、御戯れなさいまするな」
女剣士(上様も意地が悪い……)
- 574 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 18:13:12.10 ID:l08VjtYo
帝「済まぬ済まぬ。……一つ、伺いたい」
西方参謀「何なりと」
帝「何故このような機なのだ?」
西方参謀「……」
帝「以前より申し入れておったのか?」
西方参謀「申し入れていたとは伺っておりまする」
帝「…そうなのか?」
家老「先代の老中が管轄致しておりましたので…何とも……」
帝「成程、そういう事か」
西方参謀「強いて挙げるならば……」
帝「……」
西方参謀「昨今の東方国に於いては、やや開放的になられたかとお見受けを…」
帝「…ほぉ、外からでも分かるか」
西方参謀「経済の流通や観光などにおいての緩和が見えました故」
帝「…なかなか調べておるのう」
- 575 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/11(木) 18:13:54.33 ID:l08VjtYo
西方参謀「それ故に、この機会であればお会いする事程度は叶うかと…」
帝「…ふむ。他国にまで苦労をかけてしまっておったとはな」
西方参謀「いえいえ、これは本国の勝手でございますので……」
帝「同盟の話、まこと申し訳ないがすぐには返答が出来ぬ」
西方参謀「無論、心得ておりまする」
帝「しばし時間を頂きたい。そう長くはないうちに回答したいと思っておる」
西方参謀「ありがとう御座います」
帝「……こちらこそ。さて…折角の客人だ、宴を催すとするかのう」
家老「上様っ」
帝「良いではないか。西方参謀殿は酒が好きな顔をしておるのう?」
西方参謀「……!?がっははは!いやはやお見事…っ」
帝「これは是非とも一献傾けねばな」
女剣士「上様はまだ13でございましょう?無茶言いなさいますな」
西方参謀「……13!?」
帝「仕方ない、茶で我慢するか…ふふっ」
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