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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その15
681 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:09:04.23 ID:4ROI/ico
〜西端の町〜

サモナー「お待たせ」

召喚士「いえいえ。こちらも手配完了です」

魔道士「夜の船で、そのまま寝て…朝には本国ですね!」

召喚士「そうです。部屋もたまには豪華な…」

魔道士「本当ですかっ!?やったぁ!!」

盗賊「……」

召喚士「じゃ、じゃあ…西国へ向かいましょうか」

盗賊「…うん」

サモナー「街道を行けば充分間に合うね」

召喚士「そうですね。馬を借りて隊商宿には寄らず一気に…」

魔道士「馬…苦手です…」

召喚士「一緒に乗りますか?」

魔道士「!?……い、い…いえっ!が…頑張りますっ!」

召喚士「……?」


682 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:10:07.89 ID:4ROI/ico
〜西国〜

本国商人「どうぞこれからもご贔屓に!!」

王子「はーい。次〜」

テクテクテク…

大商家「陛下、ご機嫌麗しく…」

王子「はーい。ありがとー」

大商家「こちら本国からの手土産にございます」

王子「どうもー」

大商家「今後もどうか大商家とよしなにお取り計らいを…」

王子「はーい。次〜……大商家…?」

大商家「は、はい…」

王子「その名前もしや……娘…いる?」

大商家「は、はい…。魔道士という一人娘ですが…今は…」

王子「……やっぱり!よしなにします!!」

大商家「…!?あ、ありがとうございます!!」


683 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:10:55.14 ID:4ROI/ico
テクテクテク…

神官「王子、よろしいですか?」

王子「んー?あ、じゃあね!魔道士さんのお父上!」

大商家「娘をご存知で…!?あ、ちょ…ちょっと…!」

王子「んで何?」

神官「国軍より客人が…」

王子「国軍…?本国じゃなくて?」

神官「どうします?お通ししますか?」

王子「まー会わないわけにはいかないよねぇ」

神官「……でしょうな」

神官は衛兵に誘導を促し、国軍の客人を王の間へ通す。

テクテクテク…

神官「……」

王子「始めまして…かな。国軍さんが何の用だい?」

大軍師「お初にお目にかかります。大軍師…と申します。ふふっ」


684 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:12:13.87 ID:4ROI/ico


大軍師「いやはや…活気があって結構な事ですね」

王子「そう?」

大軍師「ええ。商業が発展すれば国は潤いますからねぇ…」

王子「そうかなぁ…。僕は軍事力が高い方がいいけど…」

大軍師「その軍事力にかかるものも費用ですよ…。ねぇ?」

神官「ええ。まぁ…」

王子「そんなもんかぁ…。あー経済とかめんどくさい!」

神官「それで…貴殿は本日、何用にて…」

大軍師「失礼致しました。単刀直入に申し上げますれば…」

王子「うん」

大軍師「交易のみではなく、軍事同盟を結んで頂きたい」

神官「!?」

王子「同盟…!?」

大軍師「……ええ。…ふふふっ」


685 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:13:07.83 ID:4ROI/ico
王子「…でもタダってわけにはいかないよ?」

大軍師「無論…承知しております」

神官「それで、何を条件に…?」

大軍師「まずは我が国における、術法についての資料を譲渡致します」

神官「…ほう…っ。それは召喚術もですかな?」

大軍師は羽扇を揺らし、こくりと頷く。

大軍師「更に研究中の技術を譲渡、共有させて頂きます」

王子「何それ…?」

大軍師「通信技術…と言ったところでしょうか」

王子「通信?」

大軍師「これが完成の暁には、通信手段が飛躍的に向上…改善します」

神官「それはなかなかに興味深いですね」

大軍師「あとは魔王討伐の際における共闘などといったところで…」

王子「三日月島」

大軍師「……は?」


686 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:13:36.04 ID:4ROI/ico
王子「三日月島が欲しい」

大軍師「!?」

神官「……」

王子「あの島をくれるならいいよ」

大軍師「……これは…参りましたね」

王子「どうする?」

大軍師「あの島には、我が軍の西方司令部もありますし…」

神官「……」

大軍師「領土の問題です。即答は難しいところ……」

タタタッ…

衛兵「失礼致します!南の砂漠にサンドワームが多数出現!!」

神官「何っ!?」

王子「なんで急にっ!」

衛兵「おそらくは西の山の主に関係するものかと!」

王子「…すぐに出る!馬を正面に回して!」


687 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:14:31.95 ID:4ROI/ico
衛兵「ははっ!」

衛兵は大きく頷くと、急ぎ足で城門へと走り出す。

王子「…と言うわけだから。また今度っ!」

神官「王子っ!」

タッタッタッタッタ…

神官「はー…」

大軍師「お若いのになかなか勇ましいですね」

神官「……お恥ずかしい」

大軍師「いえいえ。それに度量も素晴らしい」

神官「また…日を改めるという事で…」

大軍師「そうですね。本日はこれにて失礼致します」

神官「悪い話ではありません。こちらも前向きに検討致します」

深々と頭を下げ、大軍師はゆっくりとその場を退出する。

神官「召喚士殿の言う通りかな…」

王の間は神官のみを残し、静寂が訪れた。


688 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:15:36.60 ID:4ROI/ico
〜夜〜

パチパチッ…メラッ…

ウィッチ「すーっ…すーっ…」

戦士父「……眠ったか」

戦士「ああ…。気丈に振舞っちゃいるが…昨日の今日だしな」

戦士父「本国へは、明日の朝ゆっくり向かうといいさ…」

焚き火に枝を投げ込む戦士父の正面に、戦士はゆっくり腰掛ける。

戦士「…親父」

戦士父「何度も言わせるな。本国へは行かん」

戦士「それは分かったよ…」

戦士父「じゃあ何だ…?」

戦士「………い、いや…何でもない」

戦士父「…変な奴だな」

戦士「あ…そうだ。バーテンさんやマジシャンのオッサンも心配してたぞ?」

戦士父「…へっ。アイツ等もしぶといな」


689 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:16:30.67 ID:4ROI/ico
戦士父は笑みを浮かべながら手元の水を口に含む。

戦士「良かったら、会いに行ってやってくれ」

戦士父「……」

戦士「大陸港の町で…バーやってっからさ…」

戦士父「…考えておくよ」

戦士「ああ」

戦士父「師匠も元気か?」

戦士「……師匠は……死んだよ」

戦士父「……そうか」

戦士「……」

戦士父「笑顔で逝ったのか?」

戦士「ああ。笑顔で逝った」

戦士父「……ならば良いさ。それならばな…」

戦士「……」

戦士父「疲れた。そろそろ休もう…」


690 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:17:31.89 ID:4ROI/ico
〜西国〜

魔道士「来た来たっ!あの船ですね!」

サモナー「船なんて…久々だなぁ」

召喚士「じゃあ行きましょうか」

盗賊「…うん」

テクテクテク…

魔道士「おぉー!広い部屋ですねー!」

召喚士「リビングは共有ですが、寝室はそれぞれ個室です」

テクテクテク…カチャッ

魔道士「お風呂も広いし…綺麗ーっ!」

盗賊「…良かったね。魔道士」

魔道士「はいっ!えへへへー!!」

召喚士「じゃあ荷物を置いたら食事に…」

盗賊「…うん!」

サモナー「な、なんだか緊張しちゃうな…ははっ」


691 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:18:07.08 ID:4ROI/ico
〜レストラン〜

魔道士「…テラスでディナーなんて…素敵ですねぇ!」

召喚士「潮風が気持ちいいですね!」

サモナー「凄いご馳走だな…」

盗賊「…いただきます!」



魔道士「サモナーさんて…少食ですね…」

サモナー「そ、そうかな…?」

盗賊「……モグモグ」

召喚士「あぁーっ!!」

盗賊「!?……んっ、んぐっ!!」

魔道士「盗賊さん!?」

サモナー「ど、どうしたの…?」

召喚士「…一つ…サモナーさんに伝えなければいけない事が…っ」

サモナー「ぼ、僕…に?」


692 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:19:50.11 ID:4ROI/ico


サモナー「そうか…。玄武娘が…」

召喚士「……」

サモナー「もう随分会っていないなぁ。彼女は元気かい?」

魔道士「はいっ!それはもう元気で…」

サモナー「ははっ、相変わらずみたいだね」

召喚士「彼女は自分の力でサモナーさんを見つけるって言ってました」

サモナー「そうか…。僕なんかを……」

盗賊「……」

召喚士「もし…無事、会う事が出来たら…」

サモナー「うん。彼女の気持ちには応えられないけど…」

召喚士「あ、あの…」

サモナー「…?」

召喚士「サモナーさんは玄武先生の継承者だったんですよね?」

サモナー「…そういう事になるね」


693 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:20:35.36 ID:4ROI/ico
召喚士「何故、継承しなかったのですか?」

盗賊「……」

サモナー「それは召喚士くんもよく分かってるんじゃないかな」

召喚士「…あ…っ」

サモナー「つまりそういう事さ」

魔道士「……サモナーさん」

サモナー「でも、ただ一つ違うのは……」

サモナーは一度俯いたが、少しの後、再び顔を上げ笑顔で語る。

サモナー「一人は現実から逃げてしまったけど…一人は現実を受け入れた」

召喚士「……」

サモナー「でも、僕ももう逃げないよ。現実から逃げても…何も変わる事はないから」

魔道士「……はいっ!」

サモナー「さて…もう食べ終わったかな?」

盗賊「…お腹…苦しい」

召喚士「はははっ!じゃあ戻りましょうか!」


694 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:21:08.40 ID:4ROI/ico


サモナー「……」

テクテクテク…

召喚士「寝れないんですか?」

テラスから外を眺めるサモナーに背後から声をかけ、召喚士はグラスを差し出す。

サモナー「久々の旅で興奮してるのかな…ははっ」

召喚士「……」

サモナー「ふー…。もうじき夜明けかぁ…」

召喚士「あの…サモナーさん……」

召喚士は下唇を噛み、声を押し殺すように搾り出す。

召喚士「実は…もう一つ報告しなくてはならない事が…」

サモナー「ん…?」

召喚士「…短髪さん…達…なんですが…っ」

サモナー「……あぁ」

召喚士「じ、実は…その……っ…」


695 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:21:46.44 ID:4ROI/ico
サモナー「…ありがとう。その先は言わなくて良いよ」

召喚士「え……っ…?」

サモナー「あの時は気を遣ってくれたんだろう?」

召喚士「…!?」

サモナー「僕もね、あれからついつい彼らが元気か気になってさ…」

召喚士「……っ!すみません…っ」

サモナー「ワークショップで確認してしまったんだ…」

召喚士「すみませ…っ…!」

サモナー「召喚士くんが謝る事はないよ」

召喚士「そうじゃないんですっ!あの時俺がもっと強ければ…」

サモナー「……」

召喚士「もっと魔力があって…コカトリスやユニコーンを……」

サモナー「召喚士くん。それは自惚れだよ」

召喚士「……!?」

思いがけない一言に、召喚士は潤んだ表情を上げサモナーを見つめる。


696 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:24:51.39 ID:4ROI/ico
サモナー「確かに君が強ければ彼らを救えたかもしれない…」

召喚士「……」

サモナー「でも、彼らがもっと強ければ君の力なんて必要なかった」

召喚士「……で、でも」

サモナー「僕がいれば…事態はもっと違っていた…」

召喚士「…サモナーさん」

サモナー「彼らが強ければ、あんな依頼は断っていたかもしれない…」

サモナーはグラスを傾け酒を一口飲み、話を続ける。

サモナー「君らが強ければ、君らはあの場へいなかったかもしれない…」

召喚士「……」

サモナー「いいかい?それは運命なんだ。『あの時…』とか『ああすれば』とか…」

召喚士「はい…」

サモナー「そんな事は悔いても覆るものじゃないんだ」

召喚士「その…通りです…」

サモナー「だから気に病まず、この先何が出来るか…それが大事なんじゃないかな」


697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:25:33.52 ID:4ROI/ico
召喚士「……はい…っ」

サモナー「なんだか説教臭くなってしまったね…ごめん…」

召喚士「い、いえ…っ!」

サモナー「…説教…と言うよりは…自問かな」

召喚士「…?」

サモナー「おっ、夜が明けるよ。ほらっ…」

サモナーは前方の水平線を指差し、微笑む。

召喚士「……」

サモナー「毎日新しい朝を迎えられる…。幸せな事だね」

召喚士「そうですね…」

サモナー「次の世代の為にも、僕達が頑張らないとね…」

召喚士「はい…っ」

サモナー「……ちょっと酔っちゃったかな。ははっ」

召喚士「…戻りましょうか」

サモナー「うん…」


698 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:26:01.49 ID:4ROI/ico
〜北西の村〜

ゴソゴソッ…ザッ…

戦士「……行くのか?」

戦士父「…起きてたのか」

戦士「…黙って行くんじゃねーかと思ってさ」

戦士父「流石は親子ってか…」

戦士「次…どうすんだ?」

戦士父「そうだな…。北方もアイツ等が五月蝿そうだしなぁ」

戦士「……」

戦士父「まぁ…適当にプラプラしてるよ」

戦士「…そっか」

戦士父「……頑張れよ」

戦士「…ああ」

戦士父は荷物を背負い、その場を立ち去る。

戦士父「……そうだ」


699 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:26:30.12 ID:4ROI/ico
戦士「…?」

戦士父「お前のその…ゾディアックだが…」

戦士「ああ。持っていっていいぜ」

戦士父「いや…扱いには気を付けろよ」

戦士「……?」

戦士父「そいつは諸刃だ。決して12本……」

ブンッ…パシッ!!

戦士「元は親父のだろ?持ってけ」

戦士父「……」

戦士に投げ渡された十字槍を受け取り、戦士父はじっとそれを見つめる。

戦士「あんたと違って二本なんて扱えねぇからな…」

戦士父「……ふんっ、情けない」

戦士「何だとっ!」

戦士父「……貰ってくぞ。あばよ」

戦士「ああ。またな…親父!」


700 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:27:21.92 ID:4ROI/ico


ウィッチ「……ん…んん…っ」

戦士「…お目覚めか?」

ウィッチ「……!?」

バッ

ウィッチ「…あ…っ」

戦士「おはよう」

ウィッチ「そっか…。昨日…助けて頂いて…」

戦士「……」

ウィッチ「夢…ではないのでございますね…」

戦士「残念ながら…現実だ」

ウィッチ「……」

戦士「これから本国へ向かうぞ」

ウィッチ「は、はいっ!…あれ?お父様…は?」

戦士「ああ…。もう旅立ったよ」


701 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:28:00.08 ID:4ROI/ico
ウィッチ「……そうでございましたか」

戦士「まずは北の港だ。そこから船で本国へ行く」

ウィッチ「は、はいでございます!」

戦士「昼までには着きたいところだな…」

ウィッチ「が…頑張りましょうでございますっ!」

戦士「よーし…そんじゃ、早速行くか!」

ウィッチ「はいでございます…っ!」

戦士「……そんな敬語じゃなくていいぞ?」

ウィッチ「い、いえいえっ!年上…ましてや命の恩人…!」

戦士「……」

ウィッチ「お気にせずでございます!」

戦士「…律儀だなぁ」

ウィッチ「す、すみません…!」

戦士「あーいえいえ。んじゃ行こうかね」

戦士は荷物を担ぎ上げ、その後ろをウィッチが付き従い、二人は村を出た。


702 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/06/11(金) 17:46:18.33 ID:aX97o0g0
>>1さんきてたー
ウィッチさんと盗賊さんのバトルはあるかな?


703 :GEPPERがお送りします [sage] :2010/06/11(金) 17:51:03.43 ID:oFu8RBgo
自惚れの下りどこかで見たことがあるぞ・・・なんだったかな・・・


704 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/06/11(金) 17:52:03.97 ID:4ROI/ico
〜船上〜

召喚士「あっ、おはようございます」

魔道士「おはようございます!」

盗賊「…おはよう」

サモナー「もうじき本国ですよ」

魔道士「あっと言う間でしたね…」

召喚士「ええ…」

盗賊「……」

召喚士(戦士…無事頑張ってるかな…)

魔道士「あっ!見えてきましたよー!」

サモナー「そろそろ準備しておきましょうか」

盗賊「…どうした…行くぞ?」

召喚士「あ、はい…っ!」

船はゆっくりと本国へ入港する。

降り立つ四人を迎えるは希望か…はたまた試練か…。

〜第十七部、完〜


705 :GEPPERがお送りします [sage saga] :2010/06/11(金) 18:02:14.41 ID:4ROI/ico
ちょっとここで一旦切っておきます。思ったより長くなってしまって…

>>702
どうしましょうかね…最近はキャラが一人歩きしてるんで
正直先が読めないです…でも面白くしたいですねー

>>703
ジャブローに散る!



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