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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その7
- 436 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]
:2009/12/19(土) 15:41:28.43 ID:kJI0eUAO
〜本部〜
天才「うっひょう!さぁ飲むぜぇ!」
戦士「…」
一同が各々席に着き、グラスを手にする。
北方司令「…此度の防衛戦、見事我等の勝利に終える事が出来た」
召喚士「……」
北方司令「本隊を叩いた今、おそらく再侵攻はないものと考える」
盗賊「…」
北方司令「後の事は国軍に任せ、皆は勝利の美酒に酔いしれてくれ…」
参謀「…此度の闘いで命を失った者達の…弔いも兼ねてな」
魔法剣士「……」
北方司令「では……乾杯!」
一同はグラスを高らかと上げる。
本部の外からも乾杯の声と笑い声が聞こえ始めた。
…
召喚士「…青年兵くん」
青年兵「はい」
召喚士「身体は…大丈夫?」
青年兵「はい。怪我はありません…」
召喚士「そっか…。良かった」
青年兵「…力不足でした。最期まで…持たないなんて」
- 437 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 15:49:36.21 ID:kJI0eUAO
召喚士「…そうだね」
青年兵「……」
召喚士「俺も…同じ事を思ってたよ…」
青年兵「召喚士さんは…凄いです…」
召喚士「そんな事…」
青年兵「コカトリスに乗って…ドラゴンを倒すなんて…」
召喚士「…狙ったわけじゃないし…、それに…」
青年兵「…」
召喚士「コカトリスが助けてくれなかったら……ホント偶然だよ」
青年兵「でも、僕は…」
召喚士「悔しいって気持ちがあれば…良いんじゃないかな…?」
青年兵「…?」
召喚士「もっと強くなりたい、そんな気持ちがなければ…強くなれないと思うんだ」
青年兵「……召喚士さん」
テクテク…
マジシャン「なーに辛気臭い話してんだぁ?」
召喚士「マジシャンさん…」
- 438 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 15:59:04.34 ID:kJI0eUAO
マジシャン「お前らは若いんだから、弱くて当たり前なの」
青年兵「……」
マジシャン「無茶して生き急いで…死ぬ事はねぇ」
召喚士「…ええ」
マジシャン「何回失敗したって良いんだ…生きてりゃな」
青年兵「…はい」
マジシャン「失敗したら、また次に頑張りゃいい…」
マジシャンはグラスの酒を飲み干す。
マジシャン「勇敢と無謀を履き違えるな…だろ?」
青年兵「!?……はい」
マジシャン「さぁ、今はただ楽しめ!ハッハ!!」
マジシャンは立ち上がり、席を移る。
召喚士「…ありがとうございます。マジシャンさん」
青年兵「召喚士さん…」
召喚士「ん…?」
青年兵「僕は…もっと強くなります。貴方以上を目指して…!」
召喚士は笑顔で頷いた。
- 439 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 16:11:11.03 ID:kJI0eUAO
魔道士「…でも、凄いですね」
天才「ん〜?」
魔道士「剣に魔法に…回復まで」
天才「はーっはっは!ま、天才だからな!」
隣で魔法剣士が、無言で酒を一口飲む。
魔道士「若いのに…どうしたらそんな…」
天才「…これには、ワケがあってな」
魔道士「…えっ?」
天才「……才能だから仕方ねぇ。はーっはっはっは!」
魔法剣士「……はぁ」
魔法剣士が呆れ顔でグラスを置く。
テクテクテク
マジシャン「よっ、ご苦労さん!」
天才「おうっ!」
チンッ!!
マジシャンと天才がグラスを合わせる。
マジシャン「しかしツヴァイハンダーで魔法剣とはな…」
天才「アンタこそ相変わらずすげぇな!」
マジシャン「…相変わらず?どこかで会ったか?」
天才「アンタ、再来の大魔道士だろ?噂通りだ」
魔法剣士「再来…!?」
マジシャン「あー…そういう事か。昔の話だよ。ハッハ!」
魔道士「マジシャンさんて本当に凄かったんですねぇ!」
- 442 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 16:22:43.03 ID:kJI0eUAO
マジシャン「…しかし、お前さん…どこかで会ったよなぁ?」
天才「やっべ!もうこんな時間かよ!」
ザッ!!
天才「悪りぃ!次の用件が入ってんだわ!」
魔道士「えっ!?あ…は、はい!お疲れ様でした!」
天才「じゃあまたどっかの戦場でな!」
天才は手を振り、立ち去る。
マジシャン「…せわしいヤローだな」
魔法剣士「……」
ザッザッザ…
青龍先生「…占い師ちゃん、先に入っとれ」
占い師「?……はい」
ザッザッザ
天才「…なんだよ」
青龍先生「…別に」
天才「途中でバテやがって」
青龍先生「もうクソジジイでな…」
天才「延命に魔力持ってかれてんのか?」
青龍先生「…結構な」
天才「ふーん…。じゃ、今後はそっちに専念しな」
青龍先生「そうさせて貰いたいもんじゃよ…」
天才「はーっはっはっは!!」
ザッザッザ…
- 444 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 16:38:12.66 ID:kJI0eUAO
魔道士「あっ!占い師さん!!」
占い師「久しぶりねっ、うふふ」
戦士「……」
占い師「子供と老人…どうだったかしら?」
戦士「まー…当たってたような外れたような…」
魔道士「子供って…王子の事ですかね?」
占い師「東と西…共にあったはずよ?」
戦士「東…?」
魔道士「子供なんて…いましたっけ?」
占い師「見えないところでも、貴方達の影響はあったのでしょうね…」
戦士「ふぅん…奥が深いもんだな」
占い師「また見てあげましょうか?」
戦士「いや、遠慮しとくよ…道は自分で切り開くもんだ」
占い師「うふふ…そうかもね。…あら?」
戦士「うん…?」
占い師「貴方…?女難の相が出てるわね」
盗賊「!?」
魔道士「女難…ですか?」
戦士「おいおいっ!…やめてくれよ…」
- 445 :パー速民がお送りします [sage] :2009/12/19(土) 17:16:16.28 ID:pt1G3ISO
女侍か!?盗賊ちゃんと女侍の三角関係か?
- 446 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 17:22:53.98 ID:kJI0eUAO
占い師「自分で道を切り開いてねっ。うふふ」
テクテクテク…
戦士「なんだよ、女難の手相って…」
盗賊「……」
スタスタスタ
参謀「…先生っ!待っておりましたよ!」
北方司令「どちらへ…?」
青龍先生「外の奴らに酌をな…」
北方司令「そうでしたか…」
北方司令が酒を注ぐが、青龍先生が手で制する。
テクテク…
マジシャン「いつから下戸になったんだ?」
青龍先生「いやな、そういうわけじゃないんじゃが…」
青龍先生が辺りを見回す。
参謀「……?」
青龍先生「あの……白虎長…は?」
北方司令「えぇと…、確かあの辺りに…」
突如、背後から声が聞こえる。
白虎長「おいクソジジイ……飲んでんのかぁ?」
マジシャン「……」
北方司令「……」
青龍先生「……お、遅かったか」
- 447 :パー速民がお送りします [sage] :2009/12/19(土) 17:40:11.85 ID:ysKwlzYo
酒乱おっぱいww
- 450 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 18:04:45.72 ID:kJI0eUAO
トクトクトクッ…
青龍先生がグラスを差し出し、後ろを見てポツリと呟く。
青龍先生「…はぁ。結局日帰りは無理か」
白虎長「だいたいアンタは昔っからねぇ…!」
占い師「何よっ、貴方がいつもいつもねぇ…」
北方司令「しかし…国軍本隊は動きませんでしたな…」
青龍先生「…」
参謀「町の護衛に…?」
北方司令「此処が…落ちると踏んでいたのか…?」
グイッ…ゴクゴク…
青龍先生「…ま、事情があるんじゃろ。…きっと」
テクテク…
青年兵「先生…!」
青龍先生「んむ?おぉ…ご苦労じゃったの」
召喚士「青龍…先生ですね?」
青龍先生「……朱雀先生か」
召喚士「いやっ、俺は…」
白虎長「だーかーらぁ!いい加減認めなさいよっ!」
占い師「こっちの台詞よ!」
青龍先生「……あっちで話そうかの」
- 451 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 18:12:33.64 ID:kJI0eUAO
青年兵「…」
召喚士「……」
青龍先生「師匠は…惜しい事をしたのぅ…」
召喚士「……はい」
青龍先生「あれ程の召喚士、そうそうおるまいて」
召喚士「でも…朱雀先生を名乗る気は…」
青龍先生「…重いか?」
召喚士「それもありますけど…」
青年兵「……」
召喚士「先生とか…関係ないんじゃないかなって…」
青龍先生「…ほぅ?」
召喚士「あっ、勿論…初代である伝説の方々は別格として…」
青龍先生「…」
召喚士「名乗ったところで…何が変わるのかなって…」
青龍先生「ひょっひょっひょ!!」
青年兵「…?」
青龍先生「その歳にして…よくもそこまで…」
召喚士「あ…す、すいません!生意気言って…」
- 452 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 18:20:25.05 ID:kJI0eUAO
青龍先生「いや…、感心するわい」
召喚士「……」
青龍先生「先生なんぞ、ただの言葉じゃ…」
青年兵「…言葉」
青龍先生「名乗ったところで魔物が怯むわけでもない…」
召喚士「…はい」
青龍先生「ましてや、魔力や召喚獣が増すわけでもない」
青年兵「確かに…」
青龍先生「そんなものに囚われる事が己を小さくしてしまう…」
召喚士「おっしゃる通りかと…」
青龍先生「だが、その肩書が…他人の加護になる事もある」
召喚士「……」
青龍先生「とりあえず…形だけでも名乗ってくれんかの…?」
青年兵「……」
青龍先生「…同志の為に」
召喚士「他人の為の…加護…」
- 453 :パー速民がお送りします [sage] :2009/12/19(土) 18:22:41.07 ID:Y1ztelUo
これはいい展開
朱雀先生誕生か!?
- 454 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 18:33:00.94 ID:kJI0eUAO
青龍先生「とにかく二人とも、ご苦労じゃった!」
青年兵「自分は…何も…」
青龍先生「お主は…勘違いしとらんか?」
青年「えっ?」
青龍先生「…何を以って任務とする」
召喚士「……」
青龍先生「ドラゴンを倒す、確かに大切な事じゃ…」
青年兵「ならば…っ」
青龍先生「朱雀先生との立場を考えよ」
召喚士「うん…」
青龍先生「小隊長は、魔物を倒す事が最優先ではない」
青年兵「!!あっ……」
青龍先生「部下に指示を出し、死なせる事なく任務を遂行する…」
青年兵「…っ」
青龍先生「それがお主の役目じゃろ」
召喚士「…そうだよ、青年兵くん」
- 455 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 18:44:22.42 ID:kJI0eUAO
青龍先生「汚い言い方をすれば…ワーカーは捨て駒じゃ」
青年兵「…!?」
青龍先生「こやつらは金を稼ぐ為に、自らの意思で来とる」
召喚士「…」
青龍先生「こちらから依頼する事もあるが、罰則なく断れる…」
青年兵「はい…」
青龍先生「つまり、死んでも自分の責任じゃ。代わりも多数おる…」
召喚士「まさに…ですね…」
青龍先生「じゃが国軍は違う。ワシらは国民を守る義務がある」
青年兵「はい」
青龍先生「そして金をだすのも国民じゃ…」
青年兵は涙を拭う。
青龍先生「上になればなる程、代わりとて利かなくなる…」
召喚士「そう…ですね」
青龍先生「お主には将器がある…」
青年兵「じ、自分が…ですか…?」
青龍先生「此度の闘い、召喚隊の被害は0じゃ…」
召喚士「…す、凄い…!」
- 456 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 18:54:18.76 ID:kJI0eUAO
青龍先生「上に立つ者は、実力が低くとも良い」
青年兵「……」
青龍先生「重要なのは…判断力と統率力、そして勇敢な心じゃ…」
青年兵「…勇敢な心」
青龍先生「今の上層部は臆病な連中ばかりでの…。常に逃げ腰じゃわい…」
召喚士「……」
青龍先生「生きる事に必死なのは結構じゃが…、魔物を倒さねば意味はない」
青年兵「はい…」
青龍先生は表情を和らげ、背伸びをする。
青龍先生「…ジジイになると話が長くなっていかんのぅ…」
青年兵「いえっ、そんな…!」
青龍先生「お主には…期待しとるよ!」
青年兵「!!」
召喚士「は…はは…っ!」
青龍先生「但し…!己も強いに越した事はない」
青年兵「…はいっ!」
青龍先生「精進を心掛けなさい…」
青年兵「…ありがとうございます!」
青龍先生「ひょっひょ!良きかな良きかな!」
立ち去る青龍先生に、二人は立ち上がり一礼する。
青年兵は拭う事なく、涙を流した…。
- 458 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/19(土) 19:25:40.29 ID:kJI0eUAO
青年兵「…召喚士さん」
召喚士「何だい?」
青年兵「僕は…強くなります!」
召喚士「…うん」
青年兵「上に立って…皆を護ります!」
召喚士「……俺も」
青年兵「…?」
召喚士「名乗ってみるよ…皆の為に」
青年兵「…はい!」
召喚士「……朱雀先生を!」
青年兵「召喚士さんには名乗る力があります!」
召喚士「いや…っ、実力的にはまだまだだよ…ははは」
青年兵「いつかは……」
召喚士「自他共に認める…真の朱雀先生と…」
青年兵「…大元帥として共に闘いましょう!」
召喚士「二人揃って、大きな夢だねっ!はははっ!」
青年「全くですね!あはははっ!」
召喚士「でも…信じて進めば…!」
青年「いつの日か…夢じゃなくなる!」
二人は顔を見合わせて、再び笑った…。
- 459 :パー速民がお送りします [] :2009/12/19(土) 19:30:14.00 ID:fImJJlgo
イイハナシダナー
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