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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その21
854 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/21(日) 23:15:15.04 ID:d7.AgX6o


本国時間8時頃、先頭を行く盗賊と五忍の足が止まる。

火忍「……んっ?」

土忍「どうした?」

火忍「いや…っ、あっちの奥……穴が見えないか?」

盗賊「本当だ……」

土忍「……」

テクテクテク

名代「後続を待ちましょう。場合に依っては二手に分かれたほうが…」

風忍「……うむ、名代様の申す通りだ。そう致そう」

水忍「…来たようですね」

テクテクテクテク

帝「……何かあったか?」

雷忍「あれを……」

召喚士「…?」


855 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/21(日) 23:15:57.63 ID:d7.AgX6o
火忍「小さな穴…小道が続いております」

戦士「人がすれ違うのがやっとぐらいの幅だな…」

召喚士「道というよりは巨岩同士の隙間で出来た空洞みたいですね」

土忍「…おそらく正規の道はこのまま真っ直ぐであろうと思われるが」

名代「はい。ただ、些細な事とてほうってはおけませんから」

魔道士「そうですよね…っ」

召喚士「特に…こんな要所では…」

鬼丸「んで、どーすんだ?」

風忍「ここは十八番である我々が担いましょう」

雷忍「皆は先へ進んで下され」

帝「……ならば、それでいくとしようか」

名代「ご無理はなさらぬよう……」

風忍「無論です。万が一こちら側にヤマタノオロチが居た場合は……」

名代「すぐに引き返して下さい。合流し、全員で当たります」

土忍「…相分かった。それでは…行くか」


856 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/21(日) 23:16:49.76 ID:d7.AgX6o
召喚士「気をつけて下さいね!」

魔道士「盗賊さん…!また後で必ず…!」

盗賊「…ああ」

シュバッ…タタタタッ

戦士「さーて、俺らもそろそろ行くかい」

名代「鬼丸、何か気配は…?」

鬼丸「なーんもねぇ」

魔道士「あと…どれだけ進めばいいんでしょうかね…?」

帝「とにかく先へ行くしかないな」

名代「ええ。そう致しましょう」

召喚士「魔道士さん、そろそろ魔力を溜め……」

魔道士「もう準備してますよっ!任せてください!」

召喚士「…それは失礼しました。流石です!」

魔道士「えへへっ!!」

名代「では…参りましょう」


857 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/21(日) 23:18:51.21 ID:d7.AgX6o
タタッ…タタタタッ

盗賊「……」

火忍「…どう見る?」

雷忍「人工物ではないな。自然に出来た風穴…といったところか」

土忍「…やはりこちらは本命ではない…か」

風忍「ともかく、行ける限り先へ進んでみよう。何かあるかしれん」

火忍「ああ。用心に越した事はねぇ」

水忍「上も気を付けろよ」

雷忍「カカッ、あいあい」

やや談笑を交えながら先へと進む6人。やがてその表情が険しくなる。

ザッザッザ…スタッ…

雷忍「……」

火忍「おい、どうするよ…?」

盗賊「分かれ…道…?」

呟く盗賊の正面には、左右二つに分かれた道が闇の中、ひっそりと待ち構える。


858 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/21(日) 23:26:13.31 ID:d7.AgX6o
テクテクテク…

水忍「…どちらも…奥はありそうだな」

土忍「…分けるか?」

風忍「しかあるまい」

火忍「…だが、問題が一つあるな」

土忍「…問題?」

火忍「ああ…。誰が…姫と別れるか、だ」

盗賊「……は?」

水「……っ、お前な…いい加減にしろよ?」

火忍「阿呆!重大な事だろうが!!」



風忍「奇数になるのは好ましくないので、この編成で行く」

土忍「…こちらは、姫に雷、水…そして私か」

風忍「こちらは私と…火だ」

火忍「…………」


859 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 00:09:40.55 ID:OviRlMEo
盗賊「気をつけてな」

風忍「ありがとうございます。姫もお気をつ……」

ズイッ

火忍「姫っ!ご武運をっ!!」

姫「あ、ありがとう…」

雷忍「カカッ、それでは参りましょう」

タタッ…タタタッ

火忍「……はぁ」

風忍「さて、こちらも行くぞ」

火忍「…あいよ」

風忍「早く片付けて、藤蔵で酒でも呑もう…全員で」

火忍「……だぁな。久々に全員で酒宴だ」

風忍「…御館様も藤蔵の者らも喜ぶだろう」

火忍「ああ。姫や俺らが一同に会するのも…そうそうないしな」

風忍「……うむ」


865 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 17:25:54.34 ID:ZTQ83yso
本国時間、8時15分頃。

タタタタタッ…

土忍「…姫、大丈夫ですか?」

盗賊「…何がだ?体調なら問題ないぞ?」

雷忍「…カカッ!土、お主は心配性だな」

土忍「……」

雷忍「姫も成長され、立派な成人なのだぞ?」

土忍「…まぁ…な」

水忍「……成長、か」

盗賊「な、何だよ…っ」

水忍「む…っ!?」

土忍「どうした!?」

ザザザッ…ズザァ

雷忍「何とまぁ……」

盗賊「更に…分かれ道…っ!?」


866 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 17:27:17.51 ID:ZTQ83yso
水忍「……土」

土忍「…ん?」

水忍「姫を連れ、左の道を」

土忍「…承知した」

ザッザッザ

雷忍「何だ…それ?」

土忍「目印…と言ったところだ」

しゃがみ込み地面で作業を行う土忍。雷忍が不思議そうに覗き込む。

雷忍「土遁はなかなか便利なもんだなぁ」

土忍「…そうか?……よし、これでいいだろう」

水忍「では行くか。また後ほど」

盗賊「気を付けてな」

雷忍「カカッ!姫様も御気を付けなされよっ!!」

シュバッ…タタタタッ…

土忍「…では、我らも先へ進みましょう」


867 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 17:28:37.13 ID:ZTQ83yso
本国時間、8時20分頃。魔道士がある異変に気付く。

魔道士「……」

召喚士「どうしました?」

魔道士「何だか…風が少し変わりましたね」

女剣士「…風?」

魔道士「ええ。今までより落ち着いたというか……」

戦士「風なんて吹いてたか?」

魔道士「えっと、何て言うか…そのぉ……」

名代「空気とか、纏わり付く風と言ったところですか?」

魔道士「そうです…かね」

帝「つまり、どういう事なのだ?」

魔道士「おそらく…この先に、広い空間があるんじゃないかと…」

鬼丸「ほほぉ。いよいよか…?」

魔道士「分かりません…っ。でも、気配とかはなくて…」

鬼丸「そっちは俺に任しときな!人間だろうが妖怪だろうが嗅ぎ取ってやるさ!」


868 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 17:29:12.52 ID:ZTQ83yso


一同は更に深く、先へ先へと進む。やがて鬼丸の足がふと止まった。

戦士「…どした?」

鬼丸「…臭せぇな」

名代「妖怪か…っ!?」

鬼丸「いや、何だろうな…。色々な臭いが織り交ざってやがる」

召喚士「……」

鬼丸「妖怪に死臭に腐臭…メスの臭いもするな」

戦士「…メス?」

帝「この奥からするのだな?」

鬼丸「ああ。…さほど遠くはないと思うぜ」

女剣士「…上様、後ろへ」

召喚士「戦士、鬼丸…気を付けて!」

戦士「おう、分かってる。前は任せろ!」

鬼丸「…グハハ!行くぜ、相棒!!」


869 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 17:30:17.95 ID:ZTQ83yso
海底洞窟を進む7人は、次第に会話がなくなっていく。

魔道士と鬼丸、二人が感じ取った異変に、他の者にも緊張が走る。

以前とは違い、経験を詰んできた召喚士達の表情は、

強張ってこそいないものの、やや硬く、明らかに平常心とは言えない。

そんな中、一人あくびなどを交え楽観した様子の鬼丸であったが、

下り道の途中、ふと足を止め急に顔色を変えた。

戦士「……?」

鬼丸「…やっぱ、行くのか?」

名代「…どうした?」

鬼丸「いずれ分かる」

帝「…?」

鬼丸「ある程度予想しちゃいたが…ここまでとはな」

女剣士「…ま……さか」

鬼丸「…いるぜ、御大将様がよぉ…ッ!!」

召喚士「……!!」


870 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 17:31:13.65 ID:ZTQ83yso


ザッザッザ

戦士「な……んだ!?」

そこは天井も面積も広く、中央に大きな泉が湧き上がっている。

召喚士「…まさか……ここが」

周囲はほとんど光を遮っており、岩も水も紺色に染まりあがり、

鬼丸「……誰かいやがるな?」

時折、隙間より差し込む光が神秘的な空間を生み出している。

名代「……どこだ、どこにいる」

目を凝らすと、壁には無数の穴が空き、それは通路のようにも見える。

魔道士「……っ」

……本国時間、8時45分頃。召喚士、帝らを含む7名は、

女剣士「……こっちか!?」

最北の塔より続いた海底神殿の、最深階を思しき地へ辿り着いた。

帝「……各自、戦闘態勢に入れ!」


871 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 17:43:52.43 ID:ZTQ83yso
同時刻、他の道では6名の忍が先を急ぐ。

タタタッ…

火忍「…まだ先が見えねぇ」

風忍「……この道は外れかもしれんな」

火忍「妖怪出ないよりマシだろうよ」

風忍「…そうか?」

火忍「俺とアンタじゃ併せ技も役に立たねーし」

風忍「…そうか?」

火忍「奥義の事だよ」

風忍「…ああ。確かに……」

ザッ

風忍「…感じたか?」

火忍「…ああ。やっぱり何かいるな」

風忍「……」

火忍「…どこだ、この…奥か…?」


872 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 17:48:21.27 ID:ZTQ83yso
ザザッ…テクテクテク

火忍「…………」

風忍「…退いたか?」

火忍「…行くっきゃねぇか」

風忍「人の気配ではなかったな」

火忍「…多分」

風忍「少し火力を強めて貰えるか?」

右手の指先に灯る火忍の炎を指差し、風忍が呟く。

火忍「…あいよ」

ゴウッ…ボオオォォ

風忍「そのまま…右腕だけ突き出してくれ」

火忍「……?」

指示された通りに右手を穴の奥へと突き出す火忍。すると背後の風忍が印を結び始めた。

ドドオオォォンッ!!・・・ゴアオオォォォォ!!

強烈な突風に煽られた炎が洞窟の奥へと吹き荒れ、熱風が生き物のように流れ込む。


873 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 17:52:14.02 ID:ZTQ83yso
火忍「…!?」

風忍「……何いたな」

ザッザッザッザ

火忍「……蛇か」

熱風により燃え尽きた蛇の死体を拾い上げ、火忍が言葉を続ける。

火忍「…まさかこれじゃねーよなぁ」

風忍「……もう少し進むとしよう」

火忍「…はいよ」

〜別の道〜

タッタッタッタッタ…

水忍「…どうだ?」

雷忍「…一応、降ってはいるようだ」

水忍「……だな。あれ以降は分かれ道もないようだし」

雷忍「…カカッ、こりゃ当たり道かもしれないね」

水忍「…だとしたらどうする?」


874 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 17:56:38.77 ID:ZTQ83yso
雷忍「そりゃ無理せず、一旦退がるさ」

水忍「ただ猪突猛進する輩は無謀なだけだ」

雷忍「そういう事。時には退く勇敢さを以ってないと……」

ザザッ

水「……」

雷忍「……」

微かに入り込む光。道が終わり、空洞が広い空間へと辿り着く。

テクテクテク…

水忍「…何か、自然な感じではないな」

雷忍「…ああ。なんだったか、こういうのをどこかで…」

両者は上部や壁に空いた穴を見つめ、警戒を強める。

水忍「そうか!これは……巣だ!」

雷忍「……あぁ、言われてみればそうだな。カカッ」

水忍「!?……雷っ、後ろだ!!」

雷忍「……!?」


875 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 18:00:41.88 ID:ZTQ83yso


タタタッ…シュバッ

土忍「……」

盗賊「……」

土忍「…姫」

盗賊「ん…?」

土忍「一旦止まりましょう」

スタッ

盗賊「…どうした?」

土忍「先程から、やや登ってはおりませぬか?」

盗賊「確かに…言われてみれば…」

そう言うと盗賊は、腰の薄緑を抜刀し、正面の岩を水平に斬り払う。

チュインッ……シュパッ!!

盗賊「…どうかな?水平だと思うけど……」

土忍「…お見事」


876 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 18:04:41.67 ID:ZTQ83yso
水平に斬られた岩の上へ、土忍が玉を置く。

土忍「……」

コトッ……コロッ…

土忍「…僅かですが、やはり登っておりますな」

盗賊「…引き返すか?」

土忍「もう少しだけ進んでみましょう。それで駄目なようであれば…」

盗賊「戻るとしようか」

土忍「…ええ」

タタタッ…

しばらく進むと道の高さ、そして幅が狭まりはじめる。

土忍「…此処から先は小柄な者程度しか通れませぬな」

盗賊「…私が見てみるよ」

ノソッ…ヨジヨジ…

盗賊「…奥に道が見えるぞ」

土忍「……姫、お退がり下され」


877 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 18:07:27.31 ID:ZTQ83yso
盗賊「…?」

ヒョイッ…スタッ

盗賊「どうするのだ?」

土忍「道がないのならば…作りまする」

両拳をぶつけ、印を結ぶ土忍。それを頭上に掲げると両拳が光り始める。

土忍「……はああぁぁーっ!!」

ドドオォンッ!!…ドッゴオオォォ!!

土忍「……ふうぅ」

パラパラパラッ…ゴトンッ

盗賊「……すご…っ」

土忍「さて、道が出来……」

盗賊「こ、これ…っ!?」

土忍「……これは、先程通ってきた道ですな」

盗賊「やっぱり…こっちは違ったか」

土忍「……」


878 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 18:13:35.98 ID:ZTQ83yso
二人はふと、天井を見上げ一息つく。

盗賊「あんな所にも穴があるなぁ」

土忍「…鳥程度なら通れるでしょうが、人間は到底無理ですね」

盗賊「…戻るとするか」

土忍「そう致しましょう」

ザッ…タタタタタッ

ほぼ同時刻、最北の塔南に布陣する本陣の手前。

バサッバサッバサッ…

ヤタガラス「はぁー。何でこっちが人間避けて出なアカンねん」

ブツブツとぶやきながらヤタガラスは少し弱まり始めた空を飛ぶ。

ヤタガラス「巣に入り込んだ奴等は少数。ありゃあヤマタノオロチに任せるとして…」

バサッ……バサァッ

ヤタガラス「こっちは生娘探しを…。つーか、夜行のオッサンは何してんねん…」

ヤタガラスの目に、ようやく人と妖怪の影が飛び込んでくる。

ヤタガラス「おーいたいたぁ。何や、まだ遊んでんのかいな」


879 名前:俺用まとめ [sage] 投稿日:2010/11/22(月) 18:25:55.70 ID:C2o95d60
    ┌─────召喚士、戦士、魔道士、名代、帝、女剣士、鬼丸
    |
    |
──┤      ┌─盗賊、土忍
    |  ┌─┤
    |  |  └─雷忍、水忍
    └─┤
        |
        └───風忍、火忍


880 名前:三日目東R59Aがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/11/22(月) 18:37:23.63 ID:ZTQ83yso
>>879
これはありがたい!!

ではここいらにて失礼致します!
ご支援ありがとうございました!ノシ



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