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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その27
- 861 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/04/17(日) 03:01:14.18 ID:3e4XSWdko
〜本国、郊外〜
ザッザッザ
副司令官「……ふっ」
ザッザッザ
副司令官「式典とあって、警備の兵も手薄なものよ」
――「それは、何よりですねぇ」
副司令官「っ!?」
ザッザッザ
大軍師「どうも」
副司令官「貴様か……道理で見ないと思えば」
大軍師「我らはここで、貴方をお待ちしておりました」
副司令官「我ら……?」
大軍師「はい。師匠の仇は弟子が取るものですからね」
ザッザッザッザッザ
格闘家「……」
- 862 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 03:04:53.56 ID:3e4XSWdko
副司令官「……っ」
大軍師「ここで、命が惜しくば無駄な抵抗はやめて投降せよ」
副司令官「そんな言葉に乗ると思――」
大軍師「とでも、言うのが定番でしょうね」
副司令官「……」
大軍師「しかし、そんな偽善やじみた提案はしませんよ。どうせ乗らないでしょうし」
副司令官「……っ」
大軍師「貴方にはここで、死んで貰います」
副司令官「……相変わらず非情で、そして潔い男だな」
大軍師「……ふっふ、どうも」
副司令官「格闘家、と言ったか?」
格闘家「はい」
副司令官「人を殺めた事はあるか?」
格闘家「……いえ」
副司令官「そうか。躊躇はないか?戸惑いはないか?」
- 863 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 03:05:58.56 ID:3e4XSWdko
格闘家「……」
大軍師「動揺を誘うつもりですか?彼なら動じませんよ」
副司令官「……そのようなつもりはない」
大軍師「……ほう」
副司令官「綺麗事ばかり述べる正義面した奴等よりマシだ」
格闘家「……」
副司令官「命のやりとりを経て、得る強さもある」
大軍師「その通りです。罪な事ですが、彼にはそれを背負って頂きます」
格闘家「……」
大軍師「貴方の命を糧に」
副司令官「私は敗北者だ。この命、好きに使うが良い」
大軍師「……では、格闘家殿」
格闘家「……はい」
副司令官「我らが神に……栄光あれっ!!」
格闘家「……」
- 864 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 03:06:41.20 ID:3e4XSWdko
本国の表とも言える大通りの中央広場。そこでは晴天に恵まれた中、
皇太子による新国王即位の、華やかな戴冠式が敢行された。
その裏で、国軍による内通者、即ち、副司令官の粛清が実施され、
少なからずの血が流れる事と相成った。
その光と闇とも例える事が出来る二つの件は、同日同時刻同地区にて行われたが、
その闇の部分を知る者は、ごく限られた人間のみに留まった。
これにより本国における内乱とも呼べる事件のほぼ全ては終焉を迎えた。
それの意味するところは、五ヵ年計画最後の実行。つまりは魔王の討伐。
今ここに、その全ての点と線が繋ぎ結ばれ、いよいよを以ってして形を織り成す。
軍事と政治の結合。国軍とワーカーの結合。国と国との結合。
その全ての中心とも考えられる場所に立つ男は、静かに仮面を脱ぎ捨てた。
国軍総司令でありトップランクのワーカーでもある彼は静かに笑う。
その瞳の先に見える未来に、一人の召喚士に、全てを託す。
彼の見た未来の、その平和な世の姿に、彼の姿はなかった。
それでも彼は、ただただ静かに微笑み、そして晴天の空を見上げて笑った。
- 865 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 03:08:39.39 ID:3e4XSWdko
…
ザッザッザ…ザッ
天才「ご苦労」
大軍師「副司令官殿、国家反逆の罪により処断致しました」
天才「どうだ、気分は?」
格闘家「……」
天才「ハーッハッハ!そらいいわきゃねーわな!」
大軍師「こちらは大丈夫でしたか?」
天才「あぁ。万が一を考えて厚みを設けておいたが、無駄だったな」
大軍師「やはり彼らも、理想を掲げる使途でしかなかったと……」
天才「現実も把握しねぇで、理想だけ掲げて勝てるなんて世の中はねぇよ」
大軍師「それはそうです」
天才「ま、どのみち悲しい奴等だよ」
大軍師「はい」
天才「タチの悪い事に、どこぞのアホ大臣と違って、悪じゃねーからな」
- 866 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 03:09:36.26 ID:3e4XSWdko
大軍師「ええ。己が正義だと思い、いや……正義として魔物を信仰し……」
天才「だから死をも厭わねぇし、悪いと微塵も感じねぇ。厄介なモンだ」
大軍師「これで、いよいよですね」
天才「ああ。役者は揃ったし、舞台も整った」
大軍師「始めますか」
天才「だな。だがその前に……」
大軍師「眷属……ですね?」
天才「役者が多すぎる。少し舞台から降りて貰うとしようかねぇ」
大軍師「どこからいきます?」
天才「決まってんだろ。一番厄介で、好戦的な所だ」
大軍師「……成程。今度は、勝てますかね」
天才「勝つしかねーだろ。負けるわけにゃいかねーんだからよ」
大軍師「それも、そうですね」
天才「そういう事だ。さーて、そんじゃ行くとすっか」
大軍師「どちらへです?」
- 867 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 03:10:24.81 ID:3e4XSWdko
天才「決まってんだろ!祭りだよ、祭り!」
大軍師「そうでしたね、式典の最中でした」
天才「モタモタしてっと終わっちまうぞ!ほれ、行くぞ!」
格闘家「……はい」
大軍師「本部内の事はお任せ下さい」
天才「何だ、お前は行かねーのか?」
大軍師「まだ仕事が残っておりますので」
天才「今日くらいサボれよ。堅い奴だなぁ……」
大軍師「ふっふ。そういえば……他の方々は?」
天才「みんな行ったよ。お前一人で仕事だかんな。んじゃ!」
大軍師「楽しんでいらして下さい。君も、ね」
格闘家「……」
天才「おらっ、行くぞ!!」
格闘家「……では」
大軍師「……ふっふ」
- 868 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 03:12:45.20 ID:3e4XSWdko
〜中央広場〜
子供「へいか〜!!」
老人「本国バンザーイ!!」
戦士「すっげぇ人気」
召喚士「そりゃそうだよ。今日は殿下の為の日なんだから」
魔道士「そうですよ〜」
戦士「そりゃそうだわな」
魔道士「それよりも、早くお店とか見て回りましょうよっ!」
盗賊「……うん、それがいいと思うぞ!」
召喚士「それじゃ、通りの方へ行ってみましょうか」
戦士「そうだな、ちょいと小腹も空いてきたしな」
魔道士「そういえば、バーテンさんは……?」
戦士「ほっとけほっとけ、好き勝手にやってんだろ」
召喚士「夜には宿に戻ると思いますし、あとで合流しましょう」
盗賊「……そうだな」
- 874 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 21:56:14.12 ID:3e4XSWdko
〜夜〜
魔道士「楽しかったぁ〜」
召喚士「色々と見てまわれましたねっ」
戦士「うまいモンもいっぱい食えたし……なぁ?」
盗賊「……うんっ」
スタスタスタ
バーテン「おーう、待ってたぜ」
召喚士「バーテンさん!」
戦士「ったく、どこ行ってたんだよ」
バーテン「馴染みの店でしこたま飲んできた」
魔道士「も〜っ、せっかくのお祭りだったのに〜」
バーテン「楽しんできたんだろ?こっちは気にすんな」
盗賊「……」
バーテン「それに、新国王の晴れ姿も、しっかり拝見してきたよ」
召喚士「そうでしたか」
- 875 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 21:58:47.40 ID:3e4XSWdko
…
魔道士「それじゃあ、私達はこのままお風呂行って、休ませて貰いますねっ」
盗賊「……それじゃ」
戦士「おーう、おやすみ〜」
バーテン「俺らは少し飲んでからすっか」
召喚士「ええ、お付き合いしますよ」
魔道士「飲みすぎないで下さいねっ」
召喚士「……気をつけます」
テクテクテクテク
戦士「宿のバーでいいよな?」
バーテン「ああ、構わんぜ」
召喚士「それじゃ行こっか」
スタスタスタ
バーの店員「いらっしゃい」
戦士「三人だ、奥のカウンター失礼するぜ」
- 876 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 21:59:26.28 ID:3e4XSWdko
…
召喚士「乾杯〜!」
バーテン「そんで、国軍はどうだった?」
召喚士「……」
つい先程起きた国軍本部での騒乱。召喚士と戦士は重い口調で、
その一部始終をバーテンへと包み隠さず話伝えた。
バーテン「……そうか、成程なぁ」
戦士「止むを得ない事なのかもしれないけど……悲しいもんだよなぁ」
バーテン「まぁな。でも、この先に待ち受けているのはそういう事だ」
召喚士「……?」
バーテン「全てが終わって、何年何十年とすりゃ分かるだろ」
戦士「どういう意味だ?」
バーテン「……ま、いずれ考える時がくるさ。今は眼前の敵だけ考えとけ」
戦士「……はぁ」
バーテン今日は祝いの日だ、楽しく飲もうぜ」
- 877 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 22:00:19.83 ID:3e4XSWdko
〜王宮〜
エリート「お疲れ様でした」
皇太子「君も色々と、ご苦労だったな」
右秘書官「いよいよ、陛下指揮の下、新政府の誕生ですね」
エリート「しかし休んではおられませんよ」
右文官「何かあるのか?右大臣殿」
エリート「早速、各国の首脳と会談を設けましょう」
右文官「ちと早すぎやせんか?」
皇太子「いや、このタイミングだからこそ意味もあるというものだ」
右秘書官「そうですね。内乱の情報も漏れているでしょうし……」
エリート「ええ。新体制になっても混乱なく団結は固いというところをみせなくては」
右文官「成程、それで諸国に安堵感を持たせる効果があるわけか」
皇太子「まぁ、本心は早く顔合わせしたい。ただそれだけなんだがな」
エリート「……」
皇太子「手続きは任せる。今日は些か疲れた、先に休ませて貰うぞ」
- 878 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 22:01:25.80 ID:3e4XSWdko
カツカツカツカツ…
右文官「しかし、どこまでが本心なのやら」
エリート「……?」
右文官「いや、陛下の事よ」
右秘書官「時たまありますよね。何か、全て悟って行動しているのではと思える事が」
エリート「……素直なだけですよ」
右秘書官「……?」
エリート「己に正直だからこそ、結果が付いてくるのです」
右文官「……流石、よく分かっておるな」
エリート「長い付き合いですからね。そして、これからも……」
右文官「頼むぞ、新右大臣殿っ!」
エリート「……宜しく、ご指導ご鞭撻の程」
カツカツカツカツ…
右秘書官「頼もしい限りじゃないですか。若い力に満ち溢れておりますよ」
右文官「ああ、二人共なぁ……」
- 879 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/17(日) 22:02:01.82 ID:3e4XSWdko
〜国軍本部〜
カツカツカツ…ドカッ
天才「あ〜血生臭せぇ」
大軍師「誰のせいですか」
総司令室の椅子にもたれかかり、だるそうな表情で天才は言葉を続ける。
天才「さーてと、そんじゃまそろそろ……」
大軍師「招集ですか?」
天才「……ハーッハッハ!だからお前はいいんだよなぁ」
大軍師「どうも」
天才「言わなくても伝わる。以心伝心。手間が省ける。楽!」
大軍師「ところでこちらの仮面はどうします?」
天才「……あー要らね、と言いたいところだが」
大軍師「一応、持っておきましょうか?」
天才「悪いな。ついでに直しといてくれや」
大軍師「……ふっふ、畏まりました」
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