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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その27
481 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:35:31.78 ID:owmiQAUUo
〜地下水路〜

ジュニア「……遅っせえなぁ。何やってんだアイツら」

皇太子「……」

ジュニア「俺、ちょっと見てきます」

魔道士「お、お気を付けてっ!」

ジュニア「ハッハ!ありがと!」

スクッ…タッタッタッタッタ…

皇太子「……彼は、上位ランカーだったかな?」

魔道士「はいっ。ジュニアさんは鉱石3位の。あと、眼鏡さんも2位の方ですよ」

皇太子「そうか。まだ若いのに大したものだな」

魔道士「……ええ」

皇太子「……ん、どうした?」

魔道士「あ、いえ……っ」

皇太子「何かあるなら遠慮せず申してくれ」

魔道士「……私、殿下が跡を継ぎたくないのかと思ってました」


482 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:36:39.68 ID:owmiQAUUo
皇太子「……どうして?」

魔道士「だって、私でもいいなんてそんな――」

皇太子「確かに事実だ」

魔道士「……」

皇太子「私は元来、魔力を持ち合わせてはおらぬ」

魔道士「……」

皇太子「それが引け目でな。正直、悩んだものさ」

魔道士「殿下……」

皇太子「まぁしかし、歳を取ると半ば諦めと言うか、受け入れと言うか」

魔道士「でしたら……」

皇太子「そこへ魔道士、君がの存在が明るみに出た」

魔道士「――っ」

皇太子「ようやくこの、呪縛から逃れられると思ってしまったよ」

魔道士「……」

皇太子「だがな、君の姿、そして眼を見て、正直戸惑いを覚えた」


483 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:37:53.78 ID:owmiQAUUo
魔道士「戸惑い……?」

皇太子「君の、ワーカー、国、そして人を愛する気持ち」

魔道士「そ、そんな事は……っ」

皇太子「いや、それが意志として伝わった。己の為すべき事が分かっているのだ」

魔道士「そこまで……考えた事、ありませんよ」

皇太子「考えていなくとも、自然と認識して行動しているのだろう」

魔道士「……難しいです」

皇太子「それを感じた時、自分はなんて幼稚なんだと思ったよ」

魔道士「……」

皇太子「ならなければならぬ立場に居ながら、それを拒絶し……」

スクッ

皇太子「挙句、大切な者らまで危険に晒すような真似をしてしまった」

魔道士「でもっ、殿下のお考えは間違ったものではないと思いますっ」

皇太子「……」

魔道士「人って、悩んで考えて、それで生きているんだと思います……っ」


484 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:38:55.97 ID:owmiQAUUo
皇太子「……」

魔道士「絶対に正しい事なんてないんじゃないかって……そう思います」

皇太子「魔道士、君は本当に優しいのだな」

魔道士「!?」

皇太子「君と旅を出来て良かった。心から礼を言うよ」

魔道士「こっ、こちらこそっ!」

皇太子「己を見つめ直す、絶好の機会になったよ。ありがとう」

魔道士「い、いえ……っ」

皇太子「私の身勝手で、これから本国を支えてくれる若者達を……」

魔道士「……」

皇太子「そして、私を皇太子と慕ってくれる国民の期待を裏切るわけにはいかん」

魔道士「そ、そうですっ!!」

皇太子「……まぁ尤も、君が義妹だからこそ、身を引くつもりでもあったのだがな」

魔道士「……?」

皇太子「いや、何でもない。魔道士、君が義妹で本当に良かった。ありがとう」


485 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:39:28.74 ID:owmiQAUUo
魔道士「えっ!?い、いや……っ、えっと……」

皇太子「きっと、君の母上に面影を重ねていdたのだろうな。私もエリートも」

魔道士「え……っ?」

皇太子「ああ、君の母上はな……」

タッタッタッタッタ

ジュニア「すみませんっ、お待たせ致しました」

皇太子「無事か?」

眼鏡「ええ。特に変化なしです」

賢者「それじゃあ行こうか……ふぅ」

皇太子「それで、港に抜けてどうする?」

ジュニア「先程、述べた通りです」

魔道士「木を隠すなら森……って」

ジュニア「ハッハ!そういう事」

魔道士「つ、つまり……?」

ジュニア「王宮内へ向かいましょう!」


486 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:40:27.67 ID:owmiQAUUo
〜王宮、会議室〜

右文官「ではこれより、各理事に連絡を取るぞ」

エリート「お願いします」

右大臣「……」

エリート「本当に、宜しいのですね?」

大軍師「この策を採用する、それは即ち……」

右大臣「……」

大軍師「貴方ご自身の終わりも意味するのですよ?」

右大臣「分かっておる。その上で何度も申しているのだ」

エリート「大軍師殿、父上の覚悟は揺るがないようです」

大軍師「……ふむ、そのようですね。分かりました」

スッ

エリート「お戻りですか?」

大軍師「あの方より頼まれた、私の仕事は終わりましたので。では」

エリート「……感謝致します」


487 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:41:31.17 ID:owmiQAUUo
タッタッタ…ザザッ…キョロキョロ

ジュニア「……大丈夫そうです」

皇太子「それで、どのように戻ると言うのかな?」

ジュニア「月並みですが、シンプルに馬車で正面から帰りますよ」

皇太子「下手な小細工は無用、と言うわけか」

ジュニア「ただ問題は、左翼の連中、。嗅覚だけはいいですからね」

眼鏡「まぁ、用心するに越した事はないね」

魔道士「……っ」

ジュニア「とりあえず、馬車を手配しましょう。正面は目立つ……裏通りを」

賢者「……そうだね……ふぅ」

眼鏡「魔道士ちゃん、君は中央へ」

魔道士「……?」

眼鏡「ガタイいいのが4人もいるからね。一人目立ってしまう」

皇太子「成程、4人で囲むように歩けば良いわけだな」

ジュニア「ええ。殿下もマントを被って、顔は目立たないようにして下さいね」


488 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:42:21.18 ID:owmiQAUUo


テクテクテクテク

ジュニア「ん……っ?」

ドドッドドッドドッドドッ…

皇太子「王宮の馬車だな。病院へ行くようだが……」

賢者「王宮内で病人かな……ふぅ」

魔道士「だ、大丈夫でしょうか……っ」

ジュニア「……そうだ」

眼鏡「どうかしたかい?」

ジュニア「いやっ、とにかく馬車を手に入れよう!話はそれからだっ」

眼鏡「ああ」

賢者「それで、馬車は?」

ジュニア「この先、病院の近くに店がある。そこで入手する」

魔道士「そのあとは、いよいよ……」

皇太子「……」


489 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:42:49.60 ID:owmiQAUUo
ドドッドドッ…ドドォ

警備員「……?」

右秘書官「院長はいらっしゃるかな?」

警備員「え、ええっ。何か……ご用で?」

右秘書官「用があるから来ておるのだ。通して貰うぞ」

警備員「あっ、あの……」

王宮兵「火急の用件なのだ。貴様も今、本国の状況が分かっておるのだろう?」

警備員「……っ」

カツカツカツカツ

右秘書官「君達はそこで待ってなさい」

王宮兵「はっ」

コンコン

右秘書官「失礼致します」

院長「……君は王宮の。夜分に何だね?」

右秘書官「これは院長。それに御曹司もご一緒でしたか」


490 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:43:36.28 ID:owmiQAUUo
ドクター「……では、僕はこれで」

院長「構わん。そこにおるがいい」

右秘書官「宜しいのですか?」

院長「陛下崩御の事であろう?丁度良いわ」

ドクター「今、そのお話をしていたところです」

右秘書官「そうでしたか」

院長「悪いが、貴様は右翼の者であろう?」

右秘書官「如何にも。右翼だと不都合でもございますか?」

ドクター「院長、何故分からないのです?」

院長「……」

ドクター「私は数年間、各地を巡り歩いてきました」

院長「……」

ドクター「確かに戦いで、数多くの血が流れておりました」

院長「……」

ドクター「しかし、その血のお陰で、何十倍という血が救われているのです!」


491 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:44:24.22 ID:owmiQAUUo
右秘書官「院長、貴方とて理事の一人。左翼の横暴は分かっておりましょう?」

ドクター「もう、こんな世界は終わりにしましょう!」

院長「……っ」

右秘書官「これが……気掛かりですかな?」

スッ

院長「――っ!!」

右秘書官「確かにこれが明るみにでてしまっては……さぞかし辛いでしょうね」

院長「……脅迫する気か……っ」

右秘書官「あくまでこちらにはこういう切り札も持っている、という事です」

院長「……」

右秘書官「それよりも見せたいものがあります。王宮までご同行頂けませんか?」

バンッ!!

ドクター「院長……いや、父さん!これはどういう事ですかっ!?」

院長「……っ」

ドクター「あなたという人は……っ」


492 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:46:50.17 ID:owmiQAUUo
右秘書官「残念ながら、これが現在の、本国経済の裏ですよ」

ドクター「許せない……っ。これが本当ならば……こんな事があるのならば……」

院長「……わ、分かった!行くっ、王宮へ行こうではないか」

右秘書官「ありがとうございます」

院長「……くそっ、このような事があろうとは……っ」

右秘書官「あまり国軍を舐めない方が良いですよ?」

院長「……っ」

右秘書官「大元帥もでしたが、総司令もかなりやり手のようでしたから」

ドクター「父さん、僕も同行させて貰いますよ」

院長「……好きにしろ」

右秘書官「では、正面に馬車を用意しておりますので。どうぞ」

院長「仕度する。先に行っておれ」

ドクター「……はい」

右秘書官「では、私は院長を待たせて頂くとしましょう」

院長「……逃げやせんよ……っ」


493 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:48:06.42 ID:owmiQAUUo
テクテクテクテク

ドクタ−「…………」

テクテクテク

ドクター「確かに……心のどこかで分かっちゃいたけど……っ」

パッカパッカパッカ

ドクター「……?」

ジュニア「ドクターさんかい?」

ドクター「……そ、そうですが」

ジュニア「ちょっと話があるんだが……」

ドクター「……裏へ回って下さい」

ジュニア「……?」

ドクター「警備員がいます。ここでは目立ちすぎる」

ジュニア「……ハッハ、察しが良くて助かりますわ」

ドクター「すぐに行きます」

ジュニア「あっ、出来れば用意して貰いたいものがあるんだが」


494 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:48:54.89 ID:owmiQAUUo


テクテクテク・・・キョロキョロ

ドクター「お待たせしました」

ジュニア「信用してくれて感謝するよ。ハッハ!」

ドクター「王宮の件ですよね」

ジュニア「そうそう」

ドクター「今からちょうど、父と向かうところでした」

――「何っ?院長が王宮へ……?」

ザッザッザ

ドクター「あ、貴方は……っ!!」

皇太子「それは本当か、ドクター」

ドクター「殿下……っ!?」

魔道士「お久し振りです、ドクターさんっ」

ドクター「魔道士さん……?」

ジュニア「時間がないんだ、手短に話す。聞いてくれ」


495 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:50:11.97 ID:owmiQAUUo
〜左大臣の屋敷〜

左大臣「……」

左翼官「左秘書官殿が戻らぬようです」

左文官「それに加え、先日本国を発った教頭も行方不明と……っ」

左大臣「……」

左翼官「このような時に、一体どうなっておるのやら」

左大臣「下がれい」

左翼官「……?」

左大臣「下がれと言っておるのだァ」

左文官「――っ!!」

左翼官「しっ、失礼致します……っ」

カツカツカツカツ

左大臣「……行方不明だと、二人同時にかァ……?」

バキィッ

左大臣「……役立たず共がァ!!」


496 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:53:24.47 ID:owmiQAUUo
ダンッ…ザッザッザ

左大臣「……気が変わったァ!これより王宮へ向かうぞ!」

左翼官「し、しかし王宮には何も……」

左大臣「付いてくるのか来ないのかァ、ハッキリしろ!!」

左文官「いっ、行きます行きますっ!ほれ、左翼官っ!準備せぬかっ!」

左翼官「……っ」

タッタッタッタッタ

左大臣「右翼のカスがァ、コソコソと何を企んでいる……っ」

左文官「左大臣様、お気を鎮め……」

左大臣「黙れぇ!!このワシに意見するかァ!!」

左文官「い、いえぇ!めめっ、滅相も……っ」

タッタッタッタッタ

左翼官「ご準備、整いました」

左大臣「遅いわァ!行くぞ!!」

左翼官「……っ」


497 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 19:59:28.89 ID:owmiQAUUo
〜双子家〜

右文官「いやはや、夜分にすまんな」

双子父「構いませんよ。それで、私に何の用です?」

右文官「左翼の連中はもう来たのか?」

双子父「……」

右大臣「来ておったか。全く、抜け目ない連中よ」

双子父「右大臣殿、説得に参られたか?」

右大臣「……まぁ、そんなところよ」

テクテクテクテク

双子姉「あら……?」
双子妹「……お客様?」

双子父「王宮内の、かつての上司だ」

右大臣「娘さんかね?双子か、始めまして」

双子姉「始めまして、双子姉ですっ」
双子妹「同じく、双子妹ですっ」

双子姉妹「以後、お見知りおきをっ!」


498 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 20:00:45.07 ID:owmiQAUUo
双子父「この二人には今後、王女付として入宮させます」

右大臣「……そうか」

双子父「いやはや、しかし女王陛下の誕生かぁ……」

右大臣「あのな、その事についてなのだが……」

双子父「……?」

右大臣「ちと、急なのだが……王宮に来て貰えんだろうか」

双子父「今から……ですか?」

双子姉「あらっ、素敵!」
双子妹「行きましょうっ、お父様!」

双子父「あのな、遊びではないのだぞ?」

右大臣「良いではないか。今後の事もある。同行させると良い」

双子姉妹「やったぁ!!」

双子父「……仕方ない。案内も兼ねて、参ると致しますか」

双子姉「それならば直にっ」
双子妹「ご準備致しますわっ」

右大臣「うむ。宜しく頼む」


499 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/04/06(水) 20:02:11.20 ID:owmiQAUUo
多数のご支援ありがとうございます!
レスとかもうお気にせず!みんなで仲良くいきましょう!すみません!
一旦休憩。ご飯とお風呂行ってきます!ノシ



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