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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その25
503 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:04:16.08 ID:W46fzUiTo
〜受付〜

タッタッタッタ

記者「朱雀先生!!」

召喚士「記者さん、お忙しいところすみません」

記者「いえいえ!どうしました!?また何かお話下さるとか…?」

召喚士「いや、えっとですね……」

戦士「昨日、取材の時に言ってた人助けの件なんだが…」

記者「人助け?あぁ、それがどうかしましたか?」

召喚士「どうも腑に落ちないんですよね」

記者「どういう意味でしょう?」

召喚士「確かに各地を旅していますが、感謝される程の事は――」

コツコツコツコツ…

受付嬢「……」

記者「ここではなんですから、場所を変えましょう」

召喚士「え、ええ…っ」


504 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:04:52.73 ID:W46fzUiTo
〜喫茶店〜

記者「……成程。身に覚えがない……と?」

召喚士「ええ」

記者「しかしおかしいですね、取材では確かに朱雀先生方だと……」

魔道士「何か、似たようなパーティーと間違えたりしてるのでは?」

記者「似たようなパーティー。いますかね…?」

盗賊「…さぁ」

召喚士「宜しければ、どこでそのお話を聞いたのか教えて頂けませんか?」

記者「ええ。確か、北の街で取材しましたね」

魔道士「北の街……」

記者「はい。旅の商人や地元の名士やらですね」

召喚士「なるほど…。ちなみに取材はいつ頃に?」

記者「結構最近の話ですよ」

戦士「ふぅん」

召喚士「……」


505 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:05:27.07 ID:W46fzUiTo


召喚士「すみません。色々とありがとうございました」

記者「いえいえ!」

戦士「それじゃ北の街に行ってみるか?」

魔道士「そうですね。ちょっと気になりますしね…」

召喚士「ええ」

記者「また、いい話があったら聞かせて下さい!」

召喚士「は、はい」

記者「今、記事も纏めて…近々掲載出来ると思いますので!」

召喚士「ど、どうも」

魔道士「それでは、失礼しますっ」

盗賊「…では」

記者「ええ!お気を付けて!!」

召喚士「記者さんも頑張って下さい」

記者「やははっ!ありがとうございます!!」


506 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:07:13.69 ID:W46fzUiTo
テクテクテクテク

戦士「それじゃ北の街まで真っ直ぐ行くか」

召喚士「そうだね」

戦士「しっかし、改めて考えると…なんつーか……」

魔道士「何がですか?」

戦士「いやだってよ、自分が新聞に載るんだぜ?」

召喚士「でも普段、新聞読んでないよね?」

戦士「いや…そうだけどよ、想像つくか?」

盗賊「……つかんな。お尋ね者なら分かるが」

戦士「お前だって盗賊だったろうが!」

魔道士「確かに不思議な感じですよねぇ」

召喚士「ええ。まぁ、まだ載ったわけではないので…何とも言えませんけどね」

魔道士「楽しみに待ってましょう!」

盗賊「……楽しみじゃない」

召喚士「…は、ははっ」


507 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:08:49.29 ID:W46fzUiTo
〜北の街〜

戦士「まずはどこから当たる?」

召喚士「もちろん基本は……」

戦士「酒場だな」

召喚士「ついでに商業地区も当たってみようか」

戦士「高級住宅街もだな」

召喚士「じゃあ地下闘技場や港もだな」

盗賊「…多すぎるな」

戦士「手分けして当たるとするか」

魔道士「あっ、じゃあ私…地下闘技場行ってみます!」

戦士「……」

魔道士「な、何ですか…っ?」

戦士「いや、別に……」

召喚士「それじゃ手分けして聞き込みしましょう。2時間後に時計台集合で」

盗賊「……了解」


508 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:09:19.70 ID:W46fzUiTo
〜住宅街〜

召喚士「…大きな屋敷ばかりだなぁ」

テクテクテク

召喚士「あの、すみません」

セレブ「はい?」

召喚士「この辺りで名士の方はいらっしゃいますか?」

セレブ「名士ねぇ。ほとんどが別荘だしなぁ」

召喚士「そうですか」

セレブ「そこの丘を上がった所に、由緒ある家柄の名士が住んでるよ」

召喚士「ありがとうございます」

テクテクテク

召喚士「あそこか。行ってみよう」

テクテクテク…ザッザッ

小高い丘を登っていくと、赤い屋根の一際大きな家が見えてくる。

召喚士「…あれかぁ、でか……っ」


509 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:10:15.99 ID:W46fzUiTo
コンコン

従者「……はい」

召喚士「あの、ワーカーの者ですが」

カチャッ

従者「……何でしょうか」

召喚士「こちらのご主人はいらっしゃいますか?」

従者「……何でしょうか」

召喚士「えっと、少しお伺いしたい事がありまして」

従者「……何でしょうか」

召喚士「……以前、朱雀先生に窮地を救われたと伺いまして」

従者「……それで?」

召喚士「その話を伺いたいのです」

従者「……お待ちを」

召喚士「……」

従者は一度、玄関の扉を閉め、しばらくの後、再び顔を出す。


510 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:11:56.90 ID:W46fzUiTo
カチャッ

従者「……どうぞ」

召喚士「失礼します」

スタスタスタ

従者「……ここでお待ち下さい」

召喚士「……」

従者「……どうぞ、お掛け下さい」

召喚士「はい」

スッ

正面に下ろされたカーテンのような布。うっすらと透けて奥が見える。

するとそこへは、一つの人影らしきものが着座をした。

従者「……主人であられる、名士様です」

そう言うと従者は、脇よりカーテンの向こう側へと移動する。

召喚士「……?」

何か小声でやりとりが交わされ、従者が再び召喚士の下へと姿を見せた。


511 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:14:20.83 ID:W46fzUiTo
召喚士「では、先日…本国からの帰路で魔物に襲われて……」

従者「……助けられた、という事のようです」

召喚士「それが、朱雀先生だったと…?」

従者「……そのようです」

召喚士「……」

従者「……以上で、宜しいでしょうか?」

召喚士「あの、最後に一つ」

従者「……何でしょうか?」

召喚士「私の顔に、見覚えはありますか?」

従者「……?」

ススッ…スタスタスタ

従者「……分からない、との事です」

召喚士「あちら側からは一応、見えているのですね。安心しました」

従者「……」

召喚士「それでは失礼致します。どうもありがとうございました」


512 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:15:35.71 ID:W46fzUiTo


召喚士「では、お手間を掛けました」

従者「……いえ」

召喚士「名士さんは、人前にお姿を見せないので?」

従者「……はい。それが何か」

召喚士「い、いえ……では…っ」

テクテクテクテク

従者「……」

召喚士「…不思議な人もいるもんだ」

テクテクテク

召喚士(でもこれで、何となく俺達じゃないって気がしてきた)

テクテクテク

召喚士(あんな方なら一度居合わせば、忘れるはずがない)

テクテクテク…ザッ

召喚士「…あとは…他の情報次第、か」


513 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:16:23.25 ID:W46fzUiTo
〜商業地区〜

戦士「……えぇと」

テクテクテク

戦士「うおっす」

武器屋「どうだい、ウチの武器は?」

戦士「まぁまぁだな。それより聞きたい事があるんだが」

武器屋「何だよ、客じゃねーのか」

戦士「まぁ聞いてくれ。朱雀先生って知ってるかい?」

武器屋「朱雀……あぁ、最近北で名を挙げてるっつーワーカーか」

戦士「……」

武器屋「何でもすげぇ召喚士なんだろ?」

戦士「あ、ああ」

武器屋「それによ、パーティー仲間も全員が一流だって話じゃねぇか」

戦士「……噂になってんのか?」

武器屋「ああ。最近よく耳にするからな」


514 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:17:55.07 ID:W46fzUiTo
戦士「……ほぉ」

武器屋「この前もそこの角にある道具屋のジーサンが助けられたって……」

戦士「サンキュ!」

武器屋「あっ、おい!ほんとに何も買わねーのかよっ!?」

タッタッタッタ…ズザッ

戦士「……ういっす」

道具屋「いらっしゃい」

戦士「え…っと、悪いな。客じゃないんだ」

道具屋「はて、何でしょう?」

戦士「この前、朱雀先生に助けられたんだって?」

道具屋「おぉ、確かに助けられたわい!」

戦士「どんな奴だった?」

道具屋「どんなって……とにかく大きな鳥型の召喚獣を駆使して……」

戦士「コカトリス……!?」

道具屋「あ、そうそう。他にも仲間がおったなぁ」


515 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:21:10.85 ID:W46fzUiTo
戦士「三人か?」

道具屋「そうじゃよ。よく知っておるな」

戦士「……」

道具屋「朱雀先生にファイターが男で……」

戦士「他二人が女か?」

道具屋「そうじゃそうじゃ。魔道士にもう一人はシーフかのぉ……」

戦士(……どういう事だ…?)

道具屋「とにかく、危ない所を助けて貰ったわい」

戦士「場所は?」

道具屋「…?」

戦士「助けて貰った場所は?」

道具屋「この街より北の、西方側に程近い所じゃ」

戦士「……ふぅん」

道具屋「な、何か…あったのかの?」

戦士「いやいやいいんだ、サンキュ!」


516 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:22:21.79 ID:W46fzUiTo


戦士「…どういう事だ?」

スタスタスタ

戦士(聞いた感じ、全く俺達じゃねぇか……)

スタスタスタ

戦士(だが、俺らはそんな所へ行った記憶はねぇ)

スタスタスタ

戦士「……う〜ん」

タッタッタッタッタ

魔道士「戦士さーん!」

戦士「おう、そっちはどうだった?」

魔道士「地下闘技場でも噂になってましたよ!」

戦士「情報は?」

魔道士「目撃者はいないみたいです。でも、街では結構噂になってるみたい」

戦士「……何なんだ一体…っ」


517 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:23:35.87 ID:W46fzUiTo
〜港〜

盗賊「……」

トボトボトボ

盗賊(……声、かけ辛い)

トボトボ…

チンピラ「いよぉネーチャン。葬式帰りかい?」

盗賊「……私服だ」

ヤンキー「ふぅん。なんなら俺っちが流行の服でも買ってやるぜ?」

盗賊「…無用」

チンピラ「じゃあよ、どっか遊びに行こうぜ〜?」

盗賊「…行かない」

ヤンキー「冷たいねぇ……」

ガッ

ヤンキー「黙ってついてくりいいんだよっ」

盗賊「……はぁ」


518 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:25:05.11 ID:W46fzUiTo
グググッ

チンピラ「……ヘッヘ!大人しくしてりゃあ痛い目見ないって!」

ググググッ

ヤンキー「……っ!!」

盗賊「……」

チンピラ「おい、早く連れてけよ」

ヤンキー「ぐ……うぅ!!」

盗賊「…離さんと…このまま手首折るぞ」

パッ…ドサッ

チンピラ「へ……へっ?」

ヤンキー「……くっ!!」

タタッ

チンピラ「お、おいっ!?」

タタッ…タッタッタッタッタ…

盗賊「……」


519 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:27:25.98 ID:W46fzUiTo
――「いやぁ、流石だねぇ。ハッハ!」

盗賊「……!?」

ザッザッザ

ジュニア「よっ!」

盗賊「……ジュニア…さん」

ジュニア「さん付けしなくていいよ。今日は一人か?」

盗賊「…まぁ。後で合流するけど」

ジュニア「そうか。まーた何か、厄介事に巻き込まれてるのかな?」

スッ…ツツーッ

ジュニア「そんな険しい顔してっと、カワイイお顔が台無しよん?ハッハ!」

盗賊「……顎をなぞるな」

ジュニア「……ハッハ!俺も手首へし折られちゃあ敵わんからな!」

盗賊「……」

ジュニア「どうだ最近は?頑張ってんのか?」

盗賊「……」


520 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:28:16.88 ID:W46fzUiTo


ジュニア「ふぅん。なるほどねぇ」

盗賊「……」

ジュニア「別にいいんでないの?良い評判なんだしさ」

盗賊「…しかし、手柄を奪うのは…気が引ける」

ジュニア「……そういやぁ」

盗賊「…?」

ジュニア「西国が北の侵攻にお熱らしいぞ」

盗賊「…北?」

ジュニア「何でも、西高原国の跡地を城砦にするとかで」

盗賊「……」

ジュニア「この辺りのワーカーは、大体そこだろうなぁ」

盗賊「…なるほど」

ジュニア「もしかしたら、何か聞けるかもしれないぜ?」

盗賊「……ありがとう」


521 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:29:00.21 ID:W46fzUiTo


ジュニア「んじゃ、またな」

盗賊「…会わないのか?」

ジュニア「ああ。ヨロシク言っておいてくれ」

盗賊「……」

ジュニア「悪いな。今はそんな気分じゃねーんだわ……ハッハ」

盗賊「…そうか」

ジュニア「俺は鉱山の町にいる。何かあれば、声をかけてくれや!」

盗賊「……うん」

ジュニア「デートのお誘いも大歓迎だぜ?ハッハ!!」

盗賊「……」

ジュニア「そんじゃな」

盗賊「…ありがとう」

ザッ…テクテクテクテク…

盗賊「……」


522 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:30:01.78 ID:W46fzUiTo
〜時計台〜

戦士「おっ、来た来た」

魔道士「どうでしたかっ!?」

召喚士「一応、情報は手に入りましたよ。そちらは?」

魔道士「こっちも少しですねぇ」

戦士「あとは……お、帰ってきたか!」

テクテクテク

盗賊「…お待たせ」

召喚士「さて、ひとまず情報を整理しましょうか」

戦士「時間も時間だし、飯でも食いがてらにすっか!」

魔道士「そうしましょう!」

召喚士「それじゃ移動しましょうか」

盗賊「……ああ」

戦士「この前の所でいいよな?」

魔道士「はいっ!」


523 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:31:04.50 ID:W46fzUiTo
〜食事処〜

戦士「んで、得た情報は?」

魔道士「私は大した情報も特に……」

召喚士「そうですか…」

魔道士「ただ、街でも何だか…噂にはなっているようです」

戦士「て事は、かなり活発的に動いてるって事だよな」

召喚士「やっぱり俺らじゃない可能性が高いね……」

戦士「俺の方は助けて貰ったって言う道具屋のジーサンに会ったぞ」

召喚士「どうだった?」

戦士「あった事もねぇし、やっぱり俺らじゃない線が強いと感じたな」

盗賊「……」

戦士「だが、腑に落ちねぇのは助けたワーカーの連中だ」

魔道士「何かあったんですか?」

戦士「特徴が俺らと完全に一致してんだよ」

召喚士「……?」


524 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:31:56.06 ID:W46fzUiTo
戦士「男二人と女二人のパーティーで……」

盗賊「……」

戦士「でかい鳥を召喚する召喚士に、ファイタータイプの男……」

魔道士「……!?」

戦士「更には女魔道士とシーフタイプの女ときたもんだ」

召喚士「それって…完全に俺らじゃ……」

戦士「そうなんだよ。そこが不思議でしょうがねぇ」

魔道士「一体、何なんでしょうね…っ」

戦士「さぁな。んで、召喚士は?」

召喚士「おそらく記者さんが言っていた地元の名士に会ってきたよ」

盗賊「…それで?」

召喚士「本国から帰ってくる時、魔物に襲われて……」

戦士「助けられたと?」

召喚士「うん。しかもつい最近の話だって」

魔道士「……記憶に…ないですねぇ」


525 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/02/15(火) 23:33:49.50 ID:W46fzUiTo
戦士「……盗賊は?」

盗賊「…ジュニアに会った」

召喚士「えっ!?」

盗賊「…ただ、すぐ船で鉱山へ戻ったけどな」

戦士「んだよ、顔くらい見せてくれりゃいいのによ」

魔道士「ほんとですよねぇ」

盗賊「…ジュニアが言うには、北が活発だそうだ」

召喚士「北ですか?」

盗賊「…西国が西高原国に…拠点を築くらしいぞ」

戦士「ジーサンが助けられたってのも確か…西方寄りだって言ってたな」

召喚士「……」

魔道士「もしかして……」

召喚士「ええ、そこに何か、ヒントがあるのかもしれませんね」

戦士「…そうと分かりゃあ」

盗賊「……行くしかないな」



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