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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
- 241 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/09/25(日) 00:01:56.38 ID:BqsAIZ1Ho
…
ヒョコッ
天才「……おーおーハデにやってやがんぜ」
崖の上から戦場を見下ろす天才。その先には大軍同士がぶつかり合う、
壮観な眺めを堪能しつつ、その目は更なる先を見据えつつあった。
天才「ちょいと風が出てきたか。どれ、少しだけ手土産置いてくか」
にやりと笑いながら、天才は崖を勢いよく降りて行った。
ズザザザザァ
ラクシャーサ「――ッ!?」
天才「ハーッハッハッハ! 天才様……参上!」
ラクシャーサ「何だコイツ……グワアァァ!!」
出会い頭一発、天才のツヴァイハンダーが地面を粉々に打ち砕く。
天才「さーて、いっちょブチかますかぁ!」
突き刺したツヴァイハンダーが地面を切り裂きながら柄を握る主は、
地面を真っ二つに斬り分けるかの如く疾走する。
- 242 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 00:02:28.86 ID:BqsAIZ1Ho
ズッガガガガガガッ!!
天才「おっりゃああぁぁぁぁ!!」
やがて疾走の摩擦からツヴァイハンダーは熱を帯び、天才がほんの少し
魔法を加えると、発火し、火走りが立ち上った。
ゴウッ!!…メラメラメラッ!!
ラクシャーサ「なんだぁ!?」
天才「このまま炎の壁で……分断じてやるぜぇ!!」
ラクシャーサ「たかがこんな炎ぐらいでやられっかよぉ!」
ズシャアアァァァァ
アスラ「その通りだ」
ラクシャーサ「アスラ様ッ!?」
アスラ「先日の借り、忘れたとは言わせぬぞ」
天才「あーそのまま貸してやるよ。いらねー」
アスラ「……殺す!」
天才「ちっ、メンドクセーなぁ」
- 243 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 00:03:07.08 ID:BqsAIZ1Ho
ズドオオォォォォン!!
天才「……な……にぃーっ!?」
アスラ「……貴様」
シヴァ「そいつを殺せばいいんだろう? 手を貸してやる」
アスラ「余計な世話だ」
シヴァ「ゴチャゴチャ言っている場合か」
アスラ「……」
シヴァ「私怨をに囚われれば、今宵の勝機は失うぞ」
アスラ「……まさか貴様に言われるとはな」
シヴァ「だからこそ分かる事もある」
天才「なーにゴチャゴチャほざいてんだ? 用がねーなら先進ませて貰うぞ」
アスラ「仕方ない。足は引っ張るなよ」
シヴァ「こっちの台詞だボケ」
シュバッ!!
天才「んなにぃーっ!?」
- 244 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 00:03:38.27 ID:BqsAIZ1Ho
襲い掛かってくるアスラとシヴァ。その光景に天才は驚愕する。
2対1となったその局面だが、天才にとってその相手が有り得ない魔物であるからだ。
ラーヴァナの腹心であるアスラと、力を拝借したとはいえ、元はアンラ・マンユの
部下であるシヴァ。元来は共闘など決して有り得ない2匹なのである。
その2匹が拳を握り締め、己の下へ一心に突き進んでくる。
その目に映る光景に、天才は驚きと共に心を躍らせていた。
天才「メンドクセー事してくれんじゃねぇか……ハーッハッハ!!」
両者の攻撃を受け流しつつ、天才はひたすらに笑っていた。
天才「悪いが、今日の俺様はちょいとアブナイぜ?」
アスラ「恥を捨て、名誉を捨て、貴様を殺しにかかっている」
シヴァ「誇りに思え、そして今ここで息絶えるが良い!」
天才「やれるもんなら、さっさとやってみろや!」
シヴァが攻めればアスラが続く。アスラが攻めればシヴァが続く。
天才は揺らめく炎の中で、己の剣技を存分に振るっていた。
おそらくこの先、自分の力を全力でぶつけられる相手はそういない。
- 245 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 00:06:50.29 ID:BqsAIZ1Ho
天才「……」
全力を出してぶつかる相手は魔王と推測していた。
だが、魔王と対峙する時には、全力でぶつかる意味合いが変わる。
それは文字通り、全身全霊を以って魔王にぶつける。命をぶつける事。
最早それは腕試しでも、実力を示すでもない。ただ、命を投げ出す所業。
そこから導き出される自身の残された刻はあと僅か数ヶ月程度。
ここ数年程、彼は五ヵ年計画に基づいて行動をすると共に、
限りなく力をセーブする事で来るべき決戦に備え続けてきた。
ズガアアァァァァ!!
天才「……っ」
シヴァ「ハハハハアァ!! どうした、その程度かぁ!!」
天才「かすり傷程度でハシャいでんじゃねぇよボケ」
アスラ「……」
天才「見せてやるよ、天才様の正真正銘……本気の力をなぁ!!」
大きく弾ける威圧が当たり一面の炎を吹き飛ばす。
- 246 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 00:30:01.78 ID:BqsAIZ1Ho
ズゴゴゴゴゴゴ…
アスラ「……ッ!?」
シヴァ「な……んだぁ……ッ!!」
天才の強さを裏付けるものに、その圧倒的な力と技、そして精神力。
更には魔力や身体能力を兼ね備え、それは他者の追随を許さない。
しかしそれだけではどうにも納得出来ないものがある事は、なかなか知られていない。
それは対峙した者しか知る由のない、言葉には出来ない強さであった。
アスラ(何なのだこの者は……ッ)
シヴァ(まるで……こちらの動きを全て読みきっているようではないか……ッ!)
実際、その通りであった。天才の特殊能力、その1つがそれを為し得ている。
その能力こそが先読み。つまりは予言の力であった。
天才(右に蹴り。その後は横からシヴァが……右拳を振り下ろす……っ!)
シヴァ「な……にぃ!?」
天才「おらぁ!!」
たかが1人の人間に2匹の軍団長が苦戦を強いられる。そこにはそんな不思議な光景があった。
- 266 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/09/25(日) 22:23:34.48 ID:XPDrl8+DO
更新あるから見に来たら…
定期的に湧くNE!
- 268 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 23:36:39.42 ID:BqsAIZ1Ho
ゴゴオオォォォォ…
青龍兵「火の手が上がったわ! 合図かしら!」
エリート「……いや、どうも様相が違う気もするが」
大軍師「司令ですかね。これは良い手土産を頂きましたね」
ゴロツキ「どういう事だぁ!?」
大軍師「火計の条件である発火が起きたと言う事です」
エリート「しかし、敵陣の奥深くであるな。風向きとしては間違ってはいないが」
大軍師「ええ。今は東南の風ですからね、丁度良い具合です」
ゴロツキ「で、でもよ……っ、このまま広がれば……」
エリート「こちらにも及びかねんな」
大軍師「放っておけばそうなりますね」
エリート「風でも起こすというのか……?」
大軍師「……ふふっ」
チンピラ「お、起こすってどうやって……っ」
大軍師「では早速、参りましょうか」
- 269 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 23:37:24.94 ID:BqsAIZ1Ho
ザッ
大軍師「準備は宜しいですか?」
竜騎士兵「いつでも!」
大軍師「それでは竜騎士隊、出撃して下さい」
青龍兵「行くぞっ、目標は魔王軍後方への着火!」
エリート「成程。上空より火を放つか」
大軍師「放たれた炎は東南の風に煽られ、魔王軍を焼き尽くします」
エリート「さらには北より我らが攻撃を仕掛ける事で挟撃」
大軍師「その後は、此方から最後の仕掛け、というわけです」
エリート「流石だな。恐れ入った」
大軍師「ここまで為し得たのは、前線の皆々のお陰ですよ」
エリート「……そうかもしれんな」
大軍師「さて、我々も限界まで進軍致しましょう」
エリート「よし、動ける者、魔道兵を護衛しつつ進軍するぞ」
ゴロツキ「おう! ……っと、ボスも呼んでこなくちゃな!」
- 270 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 23:37:56.51 ID:BqsAIZ1Ho
タッタッタッタ
チンピラ「……あれ? ボス……は?」
女賢者「えっ、出撃じゃないの? さっき命令だって言って……」
ゴロツキ「――っ!?」
大軍師「困りましたね。手傷を負った状態だったのでしょう?」
チンピラ「ボス……っ」
ゴロツキ「勝手に出てったってのかよ!?」
女賢者「だって……命令だって言うんだもの……っ」
エリート「当然だが、そんな命令は出てはおらんな?」
大軍師「勿論です」
エリート「仕方ない。捜索隊を……」
ゴロツキ「それなら俺らが行く! ボスは俺らのボスなんだっ!」
エリート「……出来るのか?」
チンピラ「ああ! もちろんっ!」
エリート「分かった、ならば任せよう。但し1つ言う通りにする事だ」
- 271 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 23:38:46.91 ID:BqsAIZ1Ho
ゴロツキ「……?」
エリート「3人無事に戻ってくる事。良いな?」
チンピラ「……了解でありますっ!」
ダダッ!!
大軍師「貴女も行けますか?」
女賢者「勿論よ」
エリート「出撃準備整ってるな。行くぞ!」
ザザッ
大軍師「「さて、頼みますよ竜騎士隊」
バシュウウゥゥゥゥ
青龍兵「いいかっ、狙いはこの奥だ!」
竜騎士兵「おうっ!」
ゴオオォォォォ!!
青龍兵「…・・・よーし、左右に展開して一気に――」
竜騎士兵「待てっ!! 何か来るぞ……正面!!」
- 272 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 23:39:19.67 ID:BqsAIZ1Ho
ゴオオォォォォ…
青龍兵「あ……れはっ!!」
アジ・ダハーカ「グガオオォォォォーッ!!」
竜騎士兵「何ぃーっ!?」
青龍兵「緊急回避いぃーっ!!」
竜騎士兵「間に合わ――」
ドッゴオオォォォォン!!
竜騎士兵「!?」
西方参謀「させるかいっ!!」
西方副司令「撃って! 竜騎士隊を地上から援護っ!」
弓兵「うおおぉぉ!!」
バシュシュシュシュッ!!
アジ・ダハーカ「――ッ!!」
西方司令「んだぁ!? あのデカブツ……畜生っ」
西方参謀「……おぉ、アイツら!!」
- 273 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 23:39:55.17 ID:BqsAIZ1Ho
ザザザザッ
南方参謀「西側も無事抜けたみたいね!」
西方副司令「それよりも上空! 竜騎士隊が狙われてるわっ」
南方副司令「ちっ、あのデケェのか来たか……っ」
南方司令「地上からでは手も足も出んな。どうする?」
西方司令「……」
それとほぼ同時に、後方のバリスタより1本の武器が射出された。
助手「打ってぇーっ!」
西方兵「発射ぁ!!」
バッシュウウゥゥ!!…キイイィィィィン…
西方参謀「何だっ!?」
西方司令「来たっ!!」
ザッ
南方司令「……何だ?」
西方司令「いいから手ぇ貸せ!」
- 274 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 23:40:30.95 ID:BqsAIZ1Ho
空を切り裂く巨大な武器を見上げ、西方司令は南方司令の下へと駆け寄る。
西方司令「思いっきりやれ!」
南方司令「跳ぶか?」
西方司令「おうよっ!!」
南方司令「……よし、手加減はせんぞ!」
ガシィ!!
南方司令「ジャスティス……ジャイナントスイングウウゥゥ!!」
ビュンビュンビュンッ…ゴウッ!!
南方参謀「んな無茶苦茶なぁ!!」
西方司令「無茶は師匠譲りでいっ!」
南方司令により空中へと投げ飛ばされる西方司令。その勢いのままに、
空中で飛んで来た武器をキャッチすると、アジ・ダハーカめがけそれを叩きつける。
ガシイッ!!
西方司令「来た来た来た来たああぁぁ!! 死んどけやコルァ!!」
グオォッ…バッゴオオォォォォン!!
- 275 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 23:41:21.98 ID:BqsAIZ1Ho
アジ・ダハーカ「――ッ!!」
西方司令「もういっちょおおぉぉぉ!! 脳漿飛び散れこの死ねヤロー!!」
ゴッシャアアァァァァ!!
アジ・ダハーカ「グウウゥゥーッ!!」
ギュウウゥゥゥゥン…ドッズウウゥゥゥゥン!!
西方副司令「墜落確認っ!」
南方参謀「追撃ぃ!!」
西方参謀「燃やせえぇ!!」
ドドオオォォォォン!!…ゴオオォォォォ!!
天才「……?」
シヴァ「今のは……アジ・ダハーカ?」
天才「やーっと来たか。ったく、世話かけさせやがるぜ」
アスラ「……まさか、あの大軍を突破した来たとでも言うのか……ッ」
ドドッ…ズザザァ
西方司令「……いよぉ、アスラっつったっけか、このボケナス」
- 276 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/09/25(日) 23:41:55.81 ID:BqsAIZ1Ho
南方司令「今日こそ貴様を討つ。正義の為にな」
アスラ「……虫ケラがぁ……ッ!」
天才「よぉよぉ、ご苦労さん」
西方司令「ご苦労さんじゃねーよこのクソボケ」
天才「あぁ?」
西方司令「てめぇ、五行はおろか……予言の力まで使いやってんな」
南方司令「これ以上消耗して、あなたはここで死ぬ気か?」
天才「アホ。俺様がこれしきの事で死ぬかっつーの」
西方司令「死に体だったくせに何ホザいてんだ!」
南方司令「モメている場合ではないぞ」
天才「そうそう。何だか知らんが2匹も出てきちまってよ。ゴキブリかっつーのな」
西方司令「くだれねー事ホザいてる場合か!」
天才「仕方ねぇ、アレかますぞ」
南方司令「あれ?」
西方司令「あーあれね。死んでも知らんぞ! てかもうむしろそのまま逝っちまえ!」
- 277 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/09/25(日) 23:47:02.21 ID:BqsAIZ1Ho
>>275
正→西方司令「もういっちょおおぉぉぉ!! 脳漿飛び散れこの[ピーーー]ヤロー!!」
週末も多数のご支援ありがとうございました!
また明日宜しくお願いします!それでは!ノシ
〜オマケ〜
東方司令「……」
東方参謀「何をウロウロしておる」
東方司令「別に」
テクテクテク
東方司令(女剣士は居ないし、北方司令部は男臭いし……はぁ、もうヤダ)
テクテクテク
副官「……あら、東方司令様。こんばんは」
東方司令「――!?」
副官「どっ、どうしました!?」
東方司令「……お宝発見!」
副官「へぇっ!?」
新たな得も……人材を発掘した東方司令! 副官の運命や い か に !?
- 278 名前:NIPPERがお送りします(長屋) [] 投稿日:2011/09/25(日) 23:54:29.35 ID:6XfZpmb4o
おおおつ!
まあまあ、それだけみんなこのSS期待してるって事だよ!喧嘩いくない!
- 279 名前:NIPPERがお送りします(山口県) [sage] 投稿日:2011/09/25(日) 23:56:11.28 ID:Lt9GgVSAo
いちおつおつおつ!!
西方司令と並ぶと南方司令も大人しく見えるな
- 280 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/09/25(日) 23:56:17.99 ID:2G4pHmJIO
おつ。とうとうアレをするのか。アレならいけるな。
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