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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その30
96 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 19:11:31.46 ID:zMK6t42Zo


魔道士「召喚士さんっ」

召喚士「魔道士さん……」

魔道士「……どうかしましたか?」

召喚士「い、いえっ! 別に何でもないですよ」

魔道士「……?」

召喚士(戦士のせいで妙に意識しちゃうじゃないか……っ)

魔道士「あの、召喚士さん?」

召喚士「は、はい!」

魔道士「明日、本国行きの船が出るみたいなんですけど、どうします?」

召喚士「えっ? あ、あぁ……そうですね」

魔道士「まだ戦後処理もあるみたいなんですけど、正直……私達じゃお役に……」

召喚士「確かにそうですね……」

魔道士「明日、戻ります?」

召喚士「そうですね、そうしましょうか」


97 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 19:11:57.67 ID:zMK6t42Zo
魔道士「はいっ! えへへ!」

召喚士「魔道士さんは休まなくて大丈夫ですか?」

魔道士「お昼に少し休んだので。それに今は夜食作ったりもしてるから」

召喚士「そうでしたか。流石は魔道士さん」

魔道士「あ、ありがとうございます……えへへっ!」

召喚士「アンラ・マンユ、倒しましたね」

魔道士「はいっ。倒しました」

召喚士「次も……頑張りましょうね」

魔道士「はいっ、頑張りましょう!」

召喚士「……ははっ」

魔道士「えへへ!」

召喚士「さてと、砦内へ戻りましょうか」

魔道士「そうしましょう〜」

召喚士「お疲れ様でした、魔道士さん」

魔道士「お疲れ様でしたっ、召喚士さん♪」


98 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 19:12:27.84 ID:zMK6t42Zo


パッカパッカパッカ

インドラ「……まだ居たのか」

名士「見物と言っただろう?」

インドラ「……」

名士「インドラの矢とはよく言ったものだね。凄まじい威力だった」

インドラ「あの程度、然したるものでもない」

名士「だろうね。君の全力なら、大陸ごと消えている」

インドラ「人間共も大したものではないか」

名士「そうだね。まさかアンラ・マンユを倒すとはね」

インドラ「アンラ・マンユの全エネルギーを食い止めたのは賞賛に値する」

名士「ああ。あれが落ちていれば、この世界は変わっていただろうね」

インドラ「人間共は気付いていたのだろうか……?」

名士「さぁ。私は気付いていなかったと思うけれどね」

インドラ「アンラ・マンユの焦りを引き出した事こそが、勝利を得た最大の要因だな」


99 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 19:12:56.89 ID:zMK6t42Zo
名士「何故、手助けをしたのかな?」

インドラ「貴様と違い、傍観するなどと申した覚えはない」

名士「それもそうか。でも、あんまり魔力は使わない方がいいのではないかな?」

インドラ「これも貴様と違ってな、長生きしようなどとは思っておらぬ」

名士「人間から見たら、十分に長生きもしているしね」

インドラ「……下らぬ」

フワッ

名士「次は?」

インドラ「さぁな。刻が合えば参加するも一興よ」

フッ!!

名士「相変わらず変な奴だな」

ガチャッ

名士「さて、我が屋敷に帰るとしようか。ははっ」

従者「はい」

名士を乗せた馬車は夜空を北へと駆け抜けていった。


100 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 19:13:40.94 ID:zMK6t42Zo


その夜は新月に程近い欠けた月がぼんやりと浮かぶ静かな夜だった。

一同も酒などを囲んではいるが、心から笑っている者はいなかった。

その酒を口に含み思いを馳せる。それは故郷の事、家族の事。

そして先立った仲間達の事。含んだ酒は弔い酒。

好戦者などごく僅か。誰もがこの先に訪れる平和な未来の為に血を流す。

そして共に戦う仲間がいるからこそ、逃げずに立ち向かっている。

そして命を落とす者に胸を痛めつつも、明日は我が身と心が締め付けられる。

南西砦に居る者らにとっては忘れられない数日となったであろう。

この夜は特別なものとなったであろう。この戦いは特別なものとなったであろう。

そして、正しかったのかが分かるのは、まだ先の事だろう。

日はまた昇る。南西の火山にも再び新しい朝を迎える。

前日とは違った、一時の平穏な朝。彼らはようやく笑顔を見せた。

そして、ピリオドを打った。次の戦いの為に……。

魔王討伐軍は、南西砦を後にする。


101 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 19:14:08.30 ID:zMK6t42Zo


西国兵「騎馬っ、転回!」

大軍師「援軍、まことに感謝いたします」

神官「何を仰いますか」

王子「そうそう。西国と本国は一心同体ですからね!」

皇太子「ありがたい」

神官「それでは西国軍は帰還致します」

王子「それじゃ、またね!」

戦士「おう!」

魔道士「元気でっ!」

王子「……出発!」

ザザッ…パッカパッカパッカ…

隊長「それでは、お気を付けて」

天才「お前らこそな。戦後処理、頼んだぞ」

女隊員「お任せ下さいッス!」


102 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 19:14:36.12 ID:zMK6t42Zo
大軍師「救援物資と衛生兵は随時、送りますので」

男隊員「頼むぜ。こっちも目処がついた患者から本国へ返すからよ」

隊長「格闘家、お前は本国へ戻り次第、病院への手配を」

格闘家「はい」

ザッザッザ

南方魔道長「南方魔道隊、機関します」

天才「おう、ご苦労だったな」

召喚士「剣士さん達も戻るんですか?」

剣士「うん。一旦、準備を整えなおさないとね」

弓使い「そうね。出来れば家にも一度、帰りたいところだわね」

幼女「オーク達も一緒に行くの?」

オーク「ほ、法師さまぁ」

法師「構いませんよ。向かう道中は同じ。同行致しましょう」

オーク「だって!」

幼女「やったぁ!」


103 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 19:15:07.19 ID:zMK6t42Zo
ハヌマーン「我らは一足先にスグリーヴァ様の下へと向かうか」

マーマン「あぁ、そうしようぜ」

スッ

マーマン「あ……」

マーメイド「……っ」

マーマン(マーメイド……)

ハヌマーン「どうした?」

マーマン「……いや、何でもねぇ」

召喚士「……?」

マーマン「そんじゃ行くか」

ハヌマーン「では、またな」

盗賊「……ああ」

ザッザッザ…

召喚士「……っ」

タッタッタッタッタ


104 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 19:16:01.49 ID:zMK6t42Zo
まだ無駄な話を…全然終わらない…ごめんなさい
ひとまずここまでにて!ご支援ありがとうです!では!ノシ


117 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 23:55:01.44 ID:RNPLUco2o
マーマン「なぁなぁ、途中で泉に寄ってってもいいかぁ?」

ハヌマーン「構わんぞ。好きにするが良い」

マーマン「助かるぜ! もうさ、皮膚も脳もカラッカラ……」

タッタッタ

召喚士「あのっ、マーマンさん!」

マーマン「あん? おう、どした?」

召喚士「あの、1つお聞きしたい事があるんですが……」

マーマン「聞きたい事?」

召喚士「サモナーさんの召喚獣、マーメイド……」

マーマン「!?」

召喚士「マーメイドさんの事、ご存知なんですか?」

マーマン「……」

召喚士「……」

マーマン「いやぁ、どうかな? あんな召喚獣腐るほどいるしなぁ」

召喚士「……そうですか」


118 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 23:55:57.33 ID:RNPLUco2o
マーマン「ああ。何かあったんなら悪いな。力になれなくてよ」

召喚士「い、いえ……っ」

マーマン「そんじゃな。お互い頑張ろうぜ」

召喚士「……はい」

ザッ…テクテクテク

ハヌマーン「……良いのか?」

マーマン「ああ、行こうぜ」

召喚士「……」

テクテクテク…ピタッ

マーマン「……」

召喚士「……?」

マーマン「なぁ召喚士」

召喚士「はい」

マーマン「もしだぞ、もし俺がマーメイドってやらと知り合いだったら……」

召喚士「……はい」


119 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 23:56:51.59 ID:RNPLUco2o
マーマン「それにはどんな意味があるんだ?」

召喚士「……」

マーマン「お前自身は、何か分かってんのか?」

召喚士「マーマンさんとマーメイドさんって……似てますよね」

マーマン「……ふぅん」

召喚士「見た目や能力までもそっくりなのに……」

マーマン「何だよ」

召喚士「片や魔物であり、片や召喚獣」

マーマン「あぁ、そうだな」

召喚士「もしお2人が知り合いであるならば、これは大変な事です」

マーマン「大変、ねぇ」

召喚士「俺は、とんでもない勘違いをしていたのかもしれない……っ」

マーマン「なぁ召喚士さんよ」

召喚士「……はい」

マーマン「生命ってのはさ、何なんだと思う?」


120 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 23:57:18.80 ID:RNPLUco2o
召喚士「生命……ですか?」

マーマン「魔物にも召喚獣にも人間にも、動物にも植物にも平等に存在する」

召喚士「ええ」

マーマン「種族は違えど、それは共通する『生きる』って事だ」

ハヌマーン「……」

マーマン「生命の始まりと終わり。生きる事と死ぬ事。これって平等だよなぁ」

召喚士「……」

マーマン「もしその、生命の真理ってやつに行き着いた時……お前は……」

召喚士「……?」

マーマン「あーいやいや、何でもねぇ。まぁ頑張って生きてこうって話さ!」

召喚士「……」

マーマン「そんじゃあまたなっ! クハハッ!」

ザッザッザッザッザ…

召喚士「生命の真理……生きる、か」

立ち去るマーマンとハヌマーンを召喚士はただ静かに見送った。


121 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 23:57:54.36 ID:RNPLUco2o


青年兵「1番艦は真っ直ぐ本国、2番艦はターミナルへ直行後に本国へ」

大軍師「3番艦は三日月島経由で北の港へ向かい、その後に本国へ」

北方魔道兵「俺らは3番艦か。じゃあ元気でな!」

南方魔道兵「おうよ! 北も頑張ってな!」

ザッザッザ

青年兵「アマゾネスさん……」

アマゾネス「……」

青年兵「行かれますか? 残りますか……?」

アマゾネス「我らは……」

タッタッタ…ガバッ

おさげ「当然行きますよね〜っ、長!」

ポニテ「そうそうっ! 最初からそのつもりだったんだしぃ〜」

女兵「こら、じゃれるな」

色黒「長を取られて嫉妬してる〜」


122 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 23:58:30.89 ID:RNPLUco2o
女兵「いい加減にしろ!」

青年兵「宜しいですね?」

アマゾネス「……ああ」

皇太子「面倒は受け持つぞ。遠慮するな」

青年兵「陛下……っ!」

ポニテ「陛下って……あれが本国の王様ぁ!?」

ツインテ「ふにゃああぁぁ……凛々しい人だにゃ〜」

青年兵「それでは、陛下とともに番艦へお乗り下さい」

アマゾネス「ありがとう。世話になるぞ」

テクテクテクテク

戦士「さーて、俺たちも1番艦に……」

魔道士「あれ? バーテンさん?」

バーテン「ああ、2番艦はターミナル行きだろ? 途中で大陸港の町を通るからな」

盗賊「……そうか」

バーテン「ここでお別れだ。またな」


123 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 23:59:12.88 ID:RNPLUco2o
戦士「おう、バーテンさんも元気でな」

魔道士「またすぐに、遊びに行きますからっ!」

バーテン「楽しみに待ってるよ」

盗賊「……」

バーテン「そん時は、俺だけじゃなく……」

戦士「……?」

ザッザッザ

東方参謀「2番艦、間もなく出るぞ。乗るが良い」

バーテン「おっと、そんじゃまたな」

テクテクテクテク

魔道士「何でしょう……」

戦士「さぁ?」

盗賊「……おっ、戻ってきた」

タッタッタ

召喚士「すみません、お待たせしました!」


124 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/21(火) 23:59:49.19 ID:RNPLUco2o
ボーッ…ボーッ

名代「ようやく終わりましたな」

召喚士「ええ」

サモナー「でも、まだ始まったばかりだね」

戦士「ああ」

魔道士「……頑張りましょう! きっと、大丈夫ですよね!」

盗賊「……ああ」

ボーッ

青年兵「各員、敬礼ーっ!!」

南西砦を離れる数隻の船。甲板には立てる限りの人々が並び、

声を合図に、全員が陸地へ向けて黙祷を始めた。

空は憎たらしい程、青々とした晴れ空であった。

火山や至る箇所から立ち上る噴煙が、何かの合図のように空へ吸い込まれていった。

そして、魔王アンラ・マンユを彼らは倒した。それは紛れもなく事実であり、

後の世まで歴史の快挙として記録される事になる。


125 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/06/22(水) 00:01:07.29 ID:e8az9c/wo


遠く南の海底で、彼はその慟哭を胸中でぐっと堪えていた。

サルワ「主が……主が討たれた……だとぉ!?」

ゴボォ

サルワ「そんな事があって……たまるものかぁ!!」

ゴボゴボゴボォ!!

サルワ「ガアアァァァァ−ッ!!」

ザッバアアァァァァ!!

サルワ「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ」

グワッ

サルワ「こうなったら……フハハッ! 覚悟していろよ……人間共オオォォ!」

ただ1人取り残された眷属サルワ。彼は不敵な笑みを残し、

南方へと姿を消していった。アンラ・マンユの志と共に……。

サルワが再び強敵として立ちはだかるのは、近い将来の話である。



 〜第四十八部、完〜


105 名前:NIPPERがお送りします(長崎県) [sage] 投稿日:2011/06/21(火) 19:17:10.75 ID:LDNvlTRqo
>>1乙

全然終わらせなくていいんじゃよ?


106 名前:NIPPERがお送りします(大阪府) [sage] 投稿日:2011/06/21(火) 19:17:46.62 ID:HTbIzEFJo

エリートの台詞で哀戦士思い出したわ


107 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/06/21(火) 19:51:55.84 ID:9X7FJJ4lo
インドラが介入したのっていつだっけ?


109 名前:NIPPERがお送りします(東海) [sage] 投稿日:2011/06/21(火) 20:17:18.54 ID:6aqYQMJAO
>>1乙

I pray, pray to bring near the にゅーでぇぇぇぇぇぇぇえええいっ!!!!!!!!!


112 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/21(火) 20:37:00.42 ID:1tk8VGMVo
>>107

>>34で介入してる


114 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/21(火) 21:13:50.08 ID:DWrEG7mso
一番魔物の力が弱まる新月に仕掛けたから
”新月に程近い欠けた月”なんだな
さりげない描写がにくいぜ


116 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/21(火) 23:45:12.72 ID:4tTFmyLDO
>>1乙!
やっと一段落って感じだな
俺は>>1の書く日常パートやサイドストーリー大好きだぜー
登場人物が多いのにそれぞれキャラが立って魅力的なのは、そのあたりの話をうまいこと差し込んでるからだろうしね。


127 名前:NIPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2011/06/22(水) 00:12:56.28 ID:e8az9c/wo
よーしひとまず終わりました!長かった…ごめんなさい!
今日も沢山のご支援本当に感謝!ありがとーっ!

明日はちょっと投下少ないかもです。それではお休みなさい!ノシ

>>105
逆算したら40スレじゃ収まらないかもしれません…

>>106>>109
ちょっと狙ってみました。BGMにどうぞ!

>>107-108>>112
その通りです!

>>114>>116
あーもうこういう感想頂けるなんて嬉しい限りです!
細かいところまで気付いて頂けてこちらこそ感謝です!


129 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/22(水) 01:01:56.61 ID:XfOzTcfDO
>>1乙

やっと魔王一体か。
何部までいくかはわからんが終わりが近いと思うとせつない。

次は魔王そっちのけで戦士と盗賊のイチャイチャの話ですね


130 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/06/22(水) 01:05:32.52 ID:BUFb9Y6AO
そういえばマジシャンは?


135 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/06/22(水) 20:01:10.41 ID:7X2I1r2DO
>>1乙!
そういや人と魔物と召喚獣の違いとか
俺達のイケメンユニコーンさんの話とかあったね。
このあたりの話も楽しみだぜ−



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