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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その17
702 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 21:36:55.46 ID:Sxm5NDYo
左大臣「屯田制…許可しようじゃないかァ…!」

高官「宜しいので…!?」

左大臣「別に金のかかる問題でもあるまい…。いいんじゃないかァ?」

高官「それはそうなのですが……」

高官はちらりと大軍師の顔を見る。

高官「……」

左大臣「成り行きとはァ言え、お前が面白くないのは分かる」

高官「……」

左大臣「まァ、この一年でなにが出来るかァ…見物ではないかァ」

エリート「では…宜しいのですね?」

左大臣「うむ…。互いに予算維持の方向でいこうかァ」

議長「宜しいですな?」

皇太子「……ああ。承知した」

コンコンッ!!

議長「それでは…予算案会議、初日を終了と致します」


703 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 21:37:31.11 ID:Sxm5NDYo


右文官「大軍師殿っ、まことに助かりましたぞ!」

大軍師「いえいえ。結局…予算は増加致しませんでしたから…」

右秘書官「減らなかっただけでも万々歳ですよ。左の思惑を打ち消しました」

エリート「……」

右文官「では、戻りましょうか。明日も朝は早いですぞぉ〜」

エリート「大軍師殿は明日以降は…?」

大軍師「流石に軍を放ったらかしとは参りませんからね…」

エリート「そうですか…」

右秘書官「殿下ももう間もなく見えるようですね。控室にて待つとしますか」

右文官「今日は祝い酒じゃ。早速…店の手配をしておこう」

右秘書官「何じゃ、しておらんのか?」

右文官「勝つとも分からぬ情勢だったからな。空予約になっては…それこそ税金の無駄よ」

大軍師「素晴らしい…。政治家の…鏡ですね。ふふふっ」

右文官「なぁに!おだてても何も出ませんぞぉ!わはははっ!」


704 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 21:38:00.31 ID:Sxm5NDYo
〜右翼、控室〜

カチャッ

エリート「殿下…っ」

皇太子「皆、ご苦労であった」

右文官「なんとか…まとまりましたな」

皇太子「ああ」

エリート「しかし本会議は…あと二週間続きます」

右秘書官「初日の趨勢さえ形付けてしまえば、後は微調整のみよ」

エリート「……」

皇太子「左大臣に対する懸念…か?」

エリート「やけにあっさり引き下がったもので…」

皇太子「それは私も気になるが、まぁ…右秘書官の言う通りだよ」

右秘書官「そうですよ。明日以降は細かな金額の調整ですから…」

皇太子「ところで…立役者が見えないようだが…?」

エリート「ええ…。先程から外されているようで…。どこへ行ったのやら……」


705 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 21:38:31.82 ID:Sxm5NDYo
〜左翼、控室〜

高官「……」

左大臣「まだ不満かァ…?」

高官「終わった事です。それよりも明日からの内容……」

コンコン

左文官「……?」

左大臣「誰だァ?」

カチャッ

高官「っ!!」

左大臣「ほぉ…!これはこれは、思わぬ来客だァ…」

大軍師「先程は失礼を致しました…」

左秘書官「…分かっておろうな?ここに顔を出すという意味が…」

左大臣「まァまァ…そうカッカするでない。して、何用かなァ?大軍師殿…」

大軍師「これは…光栄です。……出来ればお人払いを」

高官「貴様っ!何を言って…」


706 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 21:38:59.91 ID:Sxm5NDYo
左大臣「だからァ、そうカッカするなと言っておるであろう」

高官「しかしですね…っ」

左大臣「構わぬ。このような場所で何か出来るわけがなかろう」

大軍師「……」

左大臣「それとも…心中でもご所望かなァ?」

大軍師「御冗談を…。ふふふ…っ」

左大臣「…と、言うわけだァ。先に行って参れ」

高官「……ちっ」

大軍師「痛み入ります」

左秘書官「で、では……」

テクテクテクテク…バタンッ

左大臣「それで、話とはァ何だね?」

大軍師「此度の制度導入…まこと有難うございます」

左大臣「まさかァ、礼を言いにわざわざ赴いたわえではァあるまい?」

大軍師「……ふふふ」


707 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 21:39:32.02 ID:Sxm5NDYo
〜議事堂、正面玄関〜

ザッザッザ

エリート「っ!!」

高官「……」

皇太子「……ご苦労であった。また明日…」

高官「殿下、あの男…注意された方が宜しいですぞ?」

右文官「あの男……?」

左秘書官「大軍師、とか言う国軍の者だ」

高官「何やら左大臣様と密談しておられますぞ」

右秘書官「何だと…っ!?」

エリート「……」

高官「まぁ我らには関係のない事…。失礼します」

ザッ

高官「あ…そうそう、ウィッチが何やらお世話になっているようで…」

エリート「な…っ!!」


708 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 21:40:09.13 ID:Sxm5NDYo
高官「耳に届かぬとでも…?」

皇太子「報告が遅れてすまない」

高官「構いませんよ。既に縁は切りました。なんら関係もない者です」

エリート「……っ」

高官「但し…私を殴った、どこぞのワーカーは必ず見つけ出して下さいよ?」

皇太子「……」

高官「この私に拳を振るったのです。断じて許されませんよ…」

皇太子「……承知した」

高官「私はね、決して国軍が嫌いなわけではないのです。むしろ頑張って頂きたい」

エリート「……」

高官「しかし、その程度のワーカーも捕まえられぬようでは…。失望させないで下さいよ?」

皇太子「……ああ」

高官「それでは、また明日……」

カツカツカツカツ…

皇太子「……」


709 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 21:40:37.92 ID:Sxm5NDYo
エリート「大軍師殿が…左大臣殿と…?」

右秘書官「こ、これは一体…っ!」

右文官「ふんっ。本人に聞けば早い話だ」

右文官はぶっきらぼうに後方から近づく男を睨みつける。

エリート「大軍師殿っ!!」

ザッザッザ…

大軍師「これは…お待たせしてしまいましたかな?」

右秘書官「大軍師殿。一体どういうおつもりですかな…?」

大軍師「…と、申されますと?」

右文官「とぼけるでないっ!左大臣殿と何を話されておった!?」

大軍師「おや…。情報が早いですね…ふふふ」

エリート「それで…?何かあったのですか?」

大軍師「ええ…まぁ」

皇太子「聞かせて貰えるか?」

大軍師「……左大臣様、あの方は……黒です」


710 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 21:41:05.93 ID:Sxm5NDYo


高官「……馬車の用意、出来ております」

左大臣「おう、ご苦労…」

高官「……上機嫌でございますな」

左大臣「そう見えるかァ…?」

一同は馬車に乗り込み、議事堂を後にする。

ガラガラガラッ

高官「何か…収穫がございましたか?」

左大臣「大軍師なる男…。なんとも策士な男よ…っ。ワーッハッハッハァ!」

左秘書官「……?」

左大臣「まァ…。出世するには、いつまでのあの殿下の下じゃあなァ…」

高官「……つまり…こちらに寝返ったと…!?」

左大臣「フッフ…。これで国軍に…良い楔が打てたわい…!」

左文官「なんと…っ!!」

左大臣「大軍師…。あ奴はこちら側に付いたァ。ワーッハッハッハァ!!」


711 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 21:47:25.78 ID:Sxm5NDYo
〜議事堂前〜

右秘書官「今のは…左大臣殿の馬車か……」

エリート「そっ、それで……黒、とは?」

大軍師「あの方、ただの共産主義者ではありません」

エリート「く、黒とはまさか…っ!?」

大軍師「左大臣様は内通者です。間違いありません」

右秘書官「馬鹿なっ!?」

右文官「そ、それはまことなのですか!?」

皇太子「大軍師、滅多な事を申すでないぞ」

エリート「確信は…おありなのですね?」

大軍師「ふふっ。なければこんな事…大それて申せませんよ」

エリート「……」

皇太子「とにかく…この事は他言無用。胸の内に秘めておけ」

エリート「勿論です…。とてもではないが、口に出来ませんよ…っ」

苦笑するエリートを横目に、大軍師は羽扇を仰ぎ、笑みを浮かべた。


714 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/07/25(日) 22:35:21.37 ID:GMurrWwo
大軍帥自体が怪しすぎて先が全く読めねぇ。
敵を騙すには味方からとかそんな状況すら軽く上回ってそうで怖い。


720 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/07/25(日) 23:44:08.55 ID:JAmhZAAO
>>1乙

古参の定着した流れが新規からしたら居心地悪いのはどのSSでもあることなのだから仕方ない
読者同士でつぶし合いなんてしてないで流し読むスキルを取得しようぜ


722 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 23:53:38.64 ID:Sxm5NDYo


右文官「本当に行かれないのですか?この後の祝賀会……」

大軍師「ええ…。まだ軍本部にも仕事を残しております故…」

皇太子「忙しいところ、済まなかったな…」

大軍師「いえ…。こちらこそお陰さまで軍の増強が出来そうです」

エリート「ありがとうございました」

大軍師「では、また……」

ザッザッザッザッザ

右秘書官「宜しかったのですか?」

エリート「……?」

右秘書官「左大臣殿の件、詳細を聞かなくても…」

エリート「大軍師殿のお気遣いですよ。我らが深入りしては…身の危険がありますから」

右秘書官「な、成程…。それで詳細を語らなかったのか…」

エリート「それに…大軍師殿が全てとは限りませんから…」

皇太子「……」


723 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/26(月) 00:03:49.18 ID:JfFp5IAo
右秘書官「そ、それは……?」

エリート「大軍師殿が真実を語っているとは限らない、と言う事です」

右文官「馬鹿なっ!?し、しかし…それでは何の為に我らに手を貸して…」

エリート「本会議で決まった案件は、屯田制のみですよ」

右文官「!?」

エリート「得を得たのは国軍のみ。他の機関においては現状維持が精一杯…」

右秘書官「確かに…言われてみれば……」

エリート「しかも屯田制…。意味は無論、お分かりですよね?」

右文官「平時においては開墾に従事し、有事の際には兵として剣を持つ…」

エリート「左様。言わば開拓民であり…傭兵です」

皇太子「……」

エリート「戦災孤児や失業者…。本国の手の届かぬ…素性の掴めぬ者達が…です」

右秘書官「…下手をすると、国軍子飼いの私兵になり兼ねないと…!?」

エリート「まぁ…信じる以外に道はありません…。我らにとっては、ね…」

皇太子「…ああ、信じよう。信じる事で人は支え合えるのだ」


724 名前:GEPPERがお送りします [sage saga] 投稿日:2010/07/26(月) 00:16:15.23 ID:JfFp5IAo
沢山のご支援ありがとうございました!それでは失礼致します!ノシ

>>678
面白いですよね!!た、確かに似ているかも……

〜オマケ〜

火忍「…………」

ボリボリボリッ

火忍「おかしい…。夜には帰ってくると思ったのに…」

ウロウロウロウロウ

火忍「名代のヤロウ…!!まさか…藤蔵へ泊まって来る気じゃあ…!」

ピタッ

火忍「くっそぉ!!風のアホも交代にくる気配ねぇし…。薄情にも程があんだろ…っ!」

足軽「……あ、あのぉ」

火忍「姫の…舞踊。…寝巻…姿。風呂…いや、風呂はねぇな…うんっ」

足軽「あのぉー」

火忍「あぁ!?」

足軽「み、見張り…交代します!!」

火忍「……ああ、好きにしてくれ。どーせ俺は帰れねぇんだ…はぁ」

足軽(な、何を悩んでおられるのだろう…?やはり妖怪の事だろうか…。俺も頑張らねば…うん!)


726 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/07/26(月) 00:41:35.43 ID:uwVc6rko
>>1乙!
足軽は随分と生真面目そうだなwwww


728 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/26(月) 17:41:27.23 ID:atJv9ngo
〜国軍本部〜

大軍師「……」

カツカツカツ

大軍師「…おや、ご無沙汰しております」

騎士団長「おぉ、大軍師殿。本部は変わりないようで何より…」

大軍師「此度は…いかがなされたので?」

騎士団長「各地の小競り合いも、ようやく引いてな…」

大軍師「怖いのは…波が引いた後ですよ?」

騎士団長「もちろん分かってる。その為の再編制だよ」

大軍師「成程。予算案会議に合わせてですね」

騎士団長「察しが良くて助かるっ。わははっ!!」

大軍師「では……」

騎士団長「あ、そうそう…」

大軍師「…?」

騎士団長「魔物の動きに一つ…気になる事が……」


729 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/26(月) 17:41:58.11 ID:atJv9ngo
大軍師「気になる…事ですか?」

騎士団長「魔物の中に、遭遇しても交戦せず、すぐに退却する奴らがおった」

大軍師「…何か、共通点が?」

騎士団長「うむ。規模は小隊かそれ以下の程度。基本的に弱い魔物の種類だ」

大軍師「……」

騎士団長「特に決まった場所もなく、転戦各地で稀に遭遇した」

大軍師「…無抵抗…退却」

騎士団長「魔物にも臆病とか…内乱とかあるのかねぇ…」

大軍師「……かもしれませんね」

騎士団長「まぁ、司令には上げておいたから」

大軍師「はい。ご苦労様です」

騎士団長「おうっ。では…失礼する」

カツカツカツカツカツ

大軍師「……無抵抗な魔物」

大軍師は首を傾けながら、司令室へと向かった。


730 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/26(月) 17:42:29.36 ID:atJv9ngo
〜司令室〜

コンコン…カチャッ

秘書官「大軍師殿、お見えです」

司令官「……ん」

大軍師「失礼致します」

司令官「…どうだった?」

大軍師「まぁ、収穫はありましたよ」

司令官「そう。それは良かったね」

大軍師「思わぬ収穫も…ありました」

司令官「…何だろう。聞いてもいいのかな?」

大軍師「内通者と思しき者と、コンタクトが取れました」

司令官「…へぇ。その口調だと上層部だね」

大軍師「お察しの通り……」

司令官「ヘタに足を突っ込むと…痛い目見るかもよ?」

大軍師「……司令、お伺い致します」


731 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/26(月) 17:43:10.43 ID:atJv9ngo
司令官「…ん?」

大軍師「……内通者では…ありませんよね?」

司令官「…君、面白いよね」

大軍師「…失礼致しました」

司令官「素直に『はい、そうです』って答える馬鹿がいるかい?」

大軍師「……」

司令官「ま、分かるよ。言いたい事…」

大軍師「私は…この国の為に働いております。この軍の為では決してありません」

司令官「……」

大軍師「しかし、この国以上に…貴方の下だから働いているのです」

司令官「なに?愛の告白…?」

大軍師「……茶化さないで下さい」

司令官「……肩の力を抜け。これからは更に忙しくなるぞ」

大軍師「ありがとうございます…」

司令官「今日は疲れたろ。…もう休んだらどうだい?」


732 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2010/07/26(月) 17:43:52.42 ID:atJv9ngo
ザッ

大軍師「それでは、失礼致します」

カツカツカツ……ピタッ

大軍師「司令、私は貴方に最後まで従うつもりです」

司令官「……」

大軍師「それが……どちらの道であってもです」

司令官「……期待しているよ」

大軍師「……はい」

カツカツカツ…カチャッ…パタンッ

司令官「……」

コンコン…ガチャッ

秘書官「騎士団長殿の書類、サインは終わりましたか?」

司令官「…ちょっとこれ保留。預かるよ」

秘書官「は、はぁ…。かしこまりました…」

予算案会議初日…。文官達の長い夜がようやく終わった。



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