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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32
- 471 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga]
投稿日:2011/10/03(月) 18:14:39.28 ID:X13xpMg4o
ゴッゴオオォォォォ…
エリート「……今のは」
大軍師「五行にしてはやや派手ですね」
占い師「……っ」
エリート「何もなければ良いのだが……」
大軍師「複雑な風ですね。不快なものと心地良い風とが重なり合ったような不思議なものです」
エリート「……総員、戦闘態勢に移行しつつ進軍を続けよ!」
騎兵「ははぁ!!」
占い師「……」
大軍師「……どうしました?」
占い師「い、いえ……っ」
ゴロツキ「ボス……どこ行っちまったんだよ……っ」
チンピラ「無事にいてくれよぉ」
大軍師「さぁ、行きましょう」
占い師「……ええ」
- 472 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:16:33.37 ID:X13xpMg4o
ゴゴゴゴゴゴ…ゴトッ…ガラガラッ
魔道士「……う……っ」
グググッ…ヨロッ
魔道士「……っ!? 召喚士さんっ!!」
召喚士「……」
魔道士「今、助けますからっ!!」
自身の下敷きとなり、岩の間に挟まる召喚士を助けようと、魔道士が必死で岩を持ち上げる。
グググッ…
魔道士「くっ、ふぬうぅ……っ!」
グイッ…ドズンッ
魔道士「あ……っ」
同門「下がってろ」
魔道士「あ、あの……ありがとうございます」
同門「……」
魔道士「……あっ、て……手伝いますっ!」
- 473 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:17:47.09 ID:X13xpMg4o
グイッ…ゴトン
同門「足を持ってくれ」
魔道士「は、はい……っ」
グイッ…ザッザッザ
魔道士「弓使いさん、幼女ちゃん!!」
幼女「お姉ちゃんっ! 大丈夫……っ!?」
魔道士「うん、私は大丈夫だったけれど……」
弓使い「召喚士くん!? 女賢者さん、回復を!」
女賢者「はいはい〜♪」
パアアァァァァ
弓使い「戦士くんは?」
魔道士「分かりません。気付いたらこんな状態だったので……」
同門「俺ら以外は爆風に巻き込まれたみたいでな。どうにも分からん」
幼女「……っ」
女賢者「あっ、気付いたみたいよ!」
- 474 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:19:41.75 ID:X13xpMg4o
召喚士「……んっ」
魔道士「召喚士さんっ!!」
召喚士「……魔道士さん」
魔道士「大丈夫ですか!? どこか痛みは……」
召喚士「いえ、大丈夫です。それよりも……」
ググッ
召喚士「……くっ」
同門「無理をするな。傷が開くぞ」
召喚士「そうだっ、戦士は……!?」
弓使い「戦士くんなら私達が探すわ。だから召喚士くんは休んでいて」
召喚士「……いえ、そうはいきません」
グググッ
同門「魔王は消滅した。だからお前は大人しく休んでいろ」
召喚士「駄目だ、魔王を倒したからって終わりじゃない。まだ終わってないんだ」
魔道士「……っ」
- 475 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:21:16.56 ID:X13xpMg4o
シュウウゥゥゥゥ…
戦士「……っぐ」
ドカッ…ゴトン
戦士「……ってぇ」
弓将軍「埋まっておったのか。気付かんかったわい」
戦士「……ジーサン。あんたも無事だったか」
弓将軍「宙で放り出されてな。何とか着地出来て命拾いしたわい」
戦士「俺も一緒だ。召喚士と魔道士は無事かな……」
ガタッ
戦士「――っ!?」
チャキッ…ザザッ
天才「待て待て。俺だ」
戦士「……なんだ、ってか無事だったんだな!」
天才「まーな。お前らも無事みたいで何よりだ」
戦士「……他の連中は?」
- 476 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:22:23.90 ID:X13xpMg4o
コオオオオォォォォ…
双子姉妹「……ありがとうございます」
ブリュンヒルデ「いや」
オルトリンデ「みんな救助出来たみたいね」
バーテン「悪いんだが、足じゃなく腕持ってくんねーかな?」
ロスヴァイセ「もうすぐ地上ですから辛抱して頂戴」
バシュウゥ…ストッ
マジシャン「おーう、生きてたか!」
バーテン「ひでぇ目に遭ったけどな。まぁ死ぬよりゃマシだ」
白馬騎士「弓将軍殿と青年兵殿は空中で爆風に飲み込まれてしまった。無事なら良いが……」
バーテン「それもなんだが、まだ敵も一掃したわけじゃねぇぞ」
マジシャン「だな。軍団長がまだ残ってやがる」
白馬騎士「周囲に警戒しつつ、まずは救護を優先致しましょう」
アマゾネス「ワルキューレ、上空から人が居ないか探してくれ」
マジシャン「おし、そんじゃこっちから行くぞ」
- 477 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:23:41.82 ID:X13xpMg4o
バシュウウゥゥゥゥ
南方魔道長「……すまん、助かった」
青龍士官「いえ、丁度見えたもので。ただ他の者達は……」
青龍兵「隊長!」
青龍士官「……おぉ!」
バシュウウゥゥゥゥ
青年兵「青龍士官っ! 竜騎士隊は無事みたいだね」
青龍士官「2人程、行方不明だ」
青年兵「そうか。僕も西方魔道長を救うのに精一杯だった……」
南方魔道長「バーサンも無事だったか」
西方魔道長「間一髪助かったよ。いやはや本当に参っちまうねぇ」
竜騎士兵「隊長っ、あそこに見えるのは……他の者達のようです!」
青年兵「白馬騎士さんにマジシャンさん……っ! 他の皆も!」
青龍士官「よし、合流しよう! まずはそれからだ」
青年兵「ああ。まだ軍団長が数匹いる。注意しよう」
- 478 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:24:39.41 ID:X13xpMg4o
ザッ
天才「……」
戦士「すっげぇ、地面が根こそぎえぐれてやがるぜ……」
弓将軍「これが五行とやらの威力か。大したもんじゃな」
ザッザッザ
戦士「……んっ? これは……ゾディアックか!!」
天才「触るな!!」
戦士「えっ!?」
バチッ!!…ジジジッ!!
戦士「うがっ! いってぇ……っ」
天才「まだ膨大な魔力を帯びてる。ヘタすると死ぬぞ」
戦士「……っ」
ピクッ
天才「……おい、付いて来い! 始末すんぞ!」
戦士「!?」
- 479 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:25:10.39 ID:X13xpMg4o
サアアァァァァ
南方弓長「…………ん」
錦将軍「よぉ、お目覚めかい?」
南方弓長「あ、あなた何で……っ」
錦将軍「おいおい、降ってきたお前を受け止めてやったのに、そりゃーねぇだろうよ」
南方弓長「……そ、そう。ありがと」
錦将軍「なかなかいい身体してんな。はっはっは!」
南方弓長「太いだけよ。もう降ろして頂戴」
スタッ
錦将軍「んじゃ早速で悪いが……そのまま後方に逃げてくれや」
南方弓長「……?」
ゴゴゴゴゴゴ
南方弓長「あ……っ」
2人の前にそびえ立つ巨大な壁。アスラは背を向けたままラーヴァナの居た方向を見つめていた。
そして3つある顔の1つがゆっくりと後ろを振り返り、錦将軍を見下ろした。
- 480 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:25:38.97 ID:X13xpMg4o
アスラ「ラーヴァナ様が……ラーヴァナ様が討たれるなど……」
錦将軍「早く逃げろ。手負いの虎が一番厄介なんだよ……っ」
南方弓長「だったら私も……」
アスラ「こんなクズのような連中に……」
錦将軍「はあぁ!!」
ドドオオォォォォン!!
南方弓長「効かないっ!?」
錦将軍の放つ炎はアスラの背に直撃するも、か細い煙を立ち上らせただけに留まった。
アスラ「ラーヴァナ様が討たれるなどと言う事があって……たまるかああぁぁぁぁ!!」
錦将軍「片腕1本で余裕かましてんじゃねぇぞ!!」
南方弓長「――っ!!」
アスラ「……」
錦将軍「……へっ、雑魚が。一撃で……仕留める事も出来ねぇのかよ……っ」
アスラ「腕1本で貴様なぞ、何の問題でもないのだ! このクズめがぁーッ!」
飛び掛る錦将軍はアスラの「右腕で腹部を貫かれ、そのまま地面へと投げ捨てられた。
- 481 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:26:21.47 ID:X13xpMg4o
ポタポタポタッ…ブンッ!!
南方弓長「あぁ……っ!!」
ドサッ…ゴロゴロゴロッ
錦将軍「がふ……っ」
アスラ「何故だ、何故こんなにも脆く、弱く、非力な人間などにラーヴァナ様が……ッ!」
錦将軍「早……逃げ……ろぉ……」
南方弓長「……っ」
スチャッ…ギリギリギリ
南方弓長「仲間見捨てて……逃げられるわけないでしょおおぉぉ!!」
錦将軍「やめ……ろ。敵う相手じゃ……な……い……」
アスラ「ラーヴァナ様ラーヴァナ様ラーヴァナ様ラーヴァナ様アアァァァァ!!」
バシュッ…キィン!!
南方弓長「……っ!!」
アスラ「死してラーヴァナ様の供物となれイイィィ!! この餌共ガアアァァァァ!!」
南方弓長「――っ」
- 482 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:27:04.20 ID:X13xpMg4o
ギュルッ!!…ガシュウウゥゥゥゥ
南方弓長「……?」
ゆっくりと目を開く南方弓長。自分達に向けられたアスラの拳は、途中で止まっている。
アスラ「……ヌ……グ……グウゥ」
ザッザッザ
アスラ「……こ……れはッ」
ヨルムンガンド「オオォォォォーッ!!」
アスラの体へと絡みつくヨルムンガンド。その召喚獣によってアスラの身は拘束されていた。
ザッザッ…ザッ
南方弓長「……あ……っ」
ボス「姉御を危険な目に晒してんじゃねぇよ!!」
錦将軍「……へ……っ」
ボス「てめぇは俺が殺す!!」
アスラ「小賢しいわァ!! カズが1匹増えたところでこのアスラ様……」
天才「しっかり抑えておけよぉ」
- 483 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:27:45.01 ID:X13xpMg4o
ヒュバッ
アスラ「貴――」
天才「……死ねよ、お前」
ザシュウウゥゥゥゥ!!
アスラ「グブァ……ッ」
天才「悪いな。オイシイとこ持っていっちまってよぉ。ハーッハッハ!」
アスラの背中をツヴァイハンダーで一突きすると、天才は高らかに笑いながら五行を輝かせた。
天才「アスラちゃんよ、テメーラの負けだ。ラーヴァナとあの世で仲良くな!」
アスラ「こ……の私が……」
天才「俺様との連戦にインドラへの一撃。お前さんにゃこれを防ぐ術はもう残されちゃいねーだろ」
キュイイィィィィ
アスラ「やはり貴様……早々に消すべき……った……」
天才「違うな。俺様が居なくとも他の奴がやった。これは全ての人間が得た勝利だ」
アスラ「ラーヴァナ様……魔族に……栄光あれエェ――――」
ツヴァイハンダーから放たれた五行がアスラを包み、その巨体は地上より姿を消した。
- 484 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:29:00.66 ID:X13xpMg4o
ドドオオォォォォ…
戦士「やった……っ!」
天才「……く……っはぁ」
ガクガクッ…ズシャッ
戦士「!?」
天才「……俺様の事はいい。それよりも……アイツを」
弓将軍「錦!!」
タッタッタ…ザザッ
錦将軍「……ごふっ!」
南方弓長「しっかりしてっ!! 今……治癒を……っ」
弓将軍「……これは……っ。お嬢さん、離してやれ」
南方弓長「……っ」
弓将軍「錦、この傷で治癒は無理じゃ。お前はもうここで死ぬ」
南方弓長「何言ってるのよっ!! 司令っ、貴方なら治癒を……っ」
天才「ん……あ、あぁ」
- 485 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:29:53.41 ID:X13xpMg4o
ヨロッ…テクテクテク…ズシャッ
戦士「だ、大丈夫なのか?」
天才「……さぁな。それ、見せてみろ」
ズイッ
天才「……」
南方弓長「ねっ、司令なら治せるわよねっ!? ねっ!!」
天才「……無理だ、諦めろ」
南方弓長「――っ!!」
天才「見りゃ分かんだろ。腹を貫かれてる。治癒魔法でどうにかなるモンじゃねぇ」
南方弓長「そんな!!」
天才「ま、痛み程度は取っ払えるけどな。……ただの気休めだ、どうする?」
錦将軍「……頼……む」
天才「……」
パアアァァァァ
弓将軍「おぉ……っ」
- 486 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:30:33.88 ID:X13xpMg4o
錦将軍「がはがはっ、ごほ……っ!」
天才「痛みは消えたろ。後は残り僅かの余生、楽しんでくれや」
ズイッ…ザッザッザ…
戦士「な、なぁ」
天才「……あんだよ」
戦士「自分で……回復しねーのか?」
天才「今ので枯渇だ。全く、俺様とした事が情けねー話だよ。他の奴らには黙っておけよ」
戦士「……」
天才「頼みがある」
戦士「……何だよ」
天才「この先にもう1つ魔物の気配がある。任せた」
戦士「何っ!?」
天才「早く行け。ここの二の舞になんぞ」
戦士「……分かった」
天才「頼むぜ。流石に俺様ももう……これ以上は無理だわ」
- 487 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:31:09.09 ID:X13xpMg4o
サアアァァァァ
錦将軍「……あー。悪かったな」
ボス「……?」
錦将軍「お前、この姉ちゃんに惚れてんだろ……?」
南方弓長「こんな時に何言ってんのよっ!」
錦将軍「大事な事だ」
ボス「……ああ。惚れている。姉御が好きだ」
南方弓長「――っ!?」
錦将軍「ははっ、真っ直ぐでいいぜ。素直な奴ぁ……好きだ」
南方弓長「もう喋らないで!」
錦将軍「俺もイイ女だと思うぜ。畜生、もう少し早く出会ってりゃあな……っ」
南方弓長「もう……喋らないで……っ」
錦将軍「なぁジジイ、前に言ったよなぁ。女の膝の上で死ねたらどんなに幸せかってよぉ」
弓将軍「……ああ、そうじゃな」
錦将軍「こんなイイ女の膝枕で逝けるなんて……最高の贅沢じゃねぇか」
- 488 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:31:49.69 ID:X13xpMg4o
南方弓長「駄目よっ! まだ駄目! 死んだりなんて……」
錦将軍「幸せにしてやんな。お前らお似合いだよ」
ボス「……いや、今の俺には無理だ」
錦将軍「……」
ボス「だがきっと、姉御から認めてもらえる男になるつもりだ。だから……見ててくれ」
錦将軍「ああ、あの世から見ててやるよ。お前らの色恋沙汰に嫉妬しながらなぁ」
弓将軍「ワシもすぐに逝く。待っておれ」
錦将軍「はっ、女以外はお断りだよ。あぁ……眠くなってきた……っ」
南方弓長「……っ」
錦将軍「落ち込むなよ、お前のせいじゃ……ねぇ。俺の力不足だ……」
南方弓長「何で……何でよぉ……っ」
ポロポロポロッ
錦将軍「泣くなよ……最後に笑顔で……見送ってくれ……や――」
南方弓長「う……ああぁぁ……っ!!」
ボス「……っ」
- 489 名前: ◆1otsuV0WFc [sage saga] 投稿日:2011/10/03(月) 18:32:47.32 ID:X13xpMg4o
カランッ…コトッ
弓将軍「……」
錦将軍の頭から外れる虎を模した株と。弓将軍はそれをゆっくりと拾い上げて見つめる。
スッ
ボス「……?」
弓将軍「受け取れい。こやつの形見じゃ。お前さんが持つと良い」
ボス「……いや、それは……っ」
天才「貰っとけ」
ボス「司令……」
天才「お前もこの戦いで手柄あげまくったんだ。終われば昇進。士官だ」
ボス「!?」
天才「他の奴らに示しがつくくらい立派な兜じゃねぇか。貰っとけ」
ボス「……分かりました。ではありがたく……頂戴する」
弓将軍「うむ」
ボスは兜を受け取ると、被らず腰の脇に抱え、笑顔の錦将軍を見つめ涙した。
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