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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その14
373 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:08:40.17 ID:q2047Hso
〜北関、北部の森〜

チュインッ!!……ザザッ

魔剣士「……」

天才「…はー、だりぃ」

天才は背をすぼめ、気だるそうに溜息をつく。

天才「なんつーの?そのアンデッドになると疲労とかないワケ?」

魔剣士「……」

天才「俺も魔物になっちゃおうかなー。はーっはっはっは!」

魔剣士「………」

シュンッ!!…ガキィッ!!

天才「何とか言えや…!このボケ!!」

魔剣士「……」

罵声と同時にツヴァイハンダーを水平に振るう天才。

それに合わせ、すかさず魔剣士も同様に大剣を振るう。

ブオォッ!!……チッ!!


374 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:09:07.25 ID:q2047Hso
二人のツヴァイハンダーは互いの髪を少し斬り取り、

すぼめた両者の頭上を勢いよく通過する。

魔剣士「!?」

天才「へっ…!」

天才は魔剣士のツヴァイハンダーの柄を左手で掴み取り、

目の前に立つ無表情な男の得物を奪い取る。

天才「…なっ!?」

魔剣士「……」

しかし同様に魔剣士も、己の左手を天才のツヴァイハンダーへと伸ばし、

柄を引き、武器を奪い取る。二人は互いの武器を持ち替えた状態となった。

ザザッ…スタッ

天才「そいつはくれてやるよ!だいぶ使い込んだしなぁ」

魔剣士「……」

天才「それに…今、手に入れたコイツが……オリジナルだ」

天才は魔剣士より奪い取ったツヴァイハンダーを、ちらりと見て笑う。


375 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:09:59.33 ID:q2047Hso
魔剣士「…」

天才「なんたる偶然…。いや、これはもはや必然…」

ザッザッザ…

天才「オリジナルが回収出来るなんてな…。来て良かったぜ」

ガカアァァッ!!…ドドオオォォンッ!!

落雷による稲光が、辺り一面と天才の顔を照らす。

その表情は興奮に打ち震え、不敵な笑みを浮かべている。

天才「さぁて…。ダンスもそろそろ終えて、お開きとするか!」

ダンッ!!……ドドドドドドオオォォ…

天才「それとも…仲良くベッドインすっか?」

ダンッ!!

天才「おいおい…恐れなんてないだろ?」

魔剣士「………」

一歩一歩ゆっくり近づく天才は、無表情のまま無意識に

後ろへ下がる魔剣士の足元へ、大剣を突き出した。


376 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:10:27.99 ID:q2047Hso
タッタッタッタッタ…

マジシャン「くそ…どこだ…っ!」

森の中を疾走するマジシャンを、稲光が時折照らし当てる。

ドドドドドオオォォ!!…

マジシャン「!!」

ザッ!!

マジシャン「な…何だ…!?この威圧…!!」

マジシャンは何者かが発する威圧に警戒し、慌てて右を向く。

マジシャン「こ、こっちか…」

ザッザッザ……

マジシャン「とても人のものとは思えねぇ。…バケモンだぜ」

ジャリッ…スタスタ…

マジシャン「なんたる厄日…いや、こりゃもう地獄だよ…はぁ」

タッタッタッタッタ…

マジシャン「こんな目に遭うとは…来るんじゃなかったよ」


377 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:10:54.66 ID:q2047Hso


魔剣士「……!」

天才「無意識に恐怖を感じてんのか?あ…?」

魔剣士は目線を足元から天才へ戻し、ツヴァイハンダーを構えなおす。

天才「人間だった時の習慣か…。それとも…アンデッドでも恐怖を感じるのか…」

シュバッ!!……ドズゥッ…

天才「ま、どっちでもいいか」

一瞬のうちに前進し、突き出したツヴァイハンダーが魔剣士の腹部を貫く。

魔剣士「…っ!?」

天才「うおぉらよっ!!」

天才はツヴァイハンダーを持ち上げ、魔剣士ごと振り回す。

その衝撃で魔剣士は後方にある木々の奥へと吹き飛ばされた。

ブンッ!!……ザシャッ!!…ドシャァッ…ドッ

天才「…?……ふぅん」

天才は巨大な刀身を見た後、その剣を持ち替え右手を前方へ出す。


378 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:11:21.99 ID:q2047Hso
ヒュイイィィ…バチバチッ

天才「出てきた瞬間ドドーン!と…」

ガサッ…ザッザッザ…

天才「ほい」

ドドオオォォンンッ!!…ゴオオォォッ!!

天才の真っ直ぐ伸ばした右手から、炎が発せられた。

森の中より浮かび上がった人影は直撃し、炎の包まれる。

天才「っ!?」

魔剣士「……」

ヒュォッ

燃えさかる炎の中から飛び出した魔剣士は、大剣で突き、

それを天才が下から斬り上げ、残撃をいなす。

天才「まさか効かねぇとはな…!」

魔剣士「…」

魔剣士は無言のまま、左手から氷を放つ。


379 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:11:57.63 ID:q2047Hso
天才「ちぃっ!!」

ドドオオォォンッ!!…ギキイイィィ…パキッ!!

天才「くそ…っ、凍っちまったじゃねーか」

魔剣士「…もう止めにしないか」

天才「………」

天才は声を出さず、凍りついた右手を身体の前へ出す。

天才「…ぬ…んっ!!」

ピシッ……ビキビキッ…バキャアァッ!!

内部より炎を生み出し、自由を奪っていた氷を吹き飛ばす。

ポタポタッ…パタタッ…

天才「…見ろ」

魔剣士「……」

天才は血に塗れた右手をそのまま差し出す。

天才「真っ赤な血だ。これぞ人間の証だよ」

魔剣士「………」


380 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:12:23.06 ID:q2047Hso
天才「お前には何も感じないか?」

魔剣士「…特に」

天才「ああ、そうだろうな!」

魔剣士「俺は…もう貴方の知る俺ではない」

天才「………」

魔剣士「ただ形を成しただけの…人形だ」

天才「ようやく口を開いたと思いきや、何だかなぁ…」

ヒュオッ!!…ガキイィィッ!!

互いのツヴァイハンダーが再び激しく交差する。

天才「お前…いや、その先にいるヤツらが何をしようとしてるか知らんが…」

魔剣士「……」

天才「お前が何モンだろうが……」

ガチッ…ギギッ…

天才「俺は…俺のやり方で突き進む!」

降雨が激しくなる中、両者は見つめ合い、睨み合いが続いた。


382 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:12:51.75 ID:q2047Hso
〜北方司令部〜

オーガ「…そ、そんな…!!」

一匹のオーガがたじろぎ、周囲をきょろきょろと見渡す。

オーガ「あんだけいたのに…!も、もう…これだけ…」

バーテン「ラストだっ!!」

バーテンは城壁上よりバリスタに結び付けられた縄を切る。

ヒュンッ!!……シュアバアァッ!!

騎士長「いけぇ!!」

魔道兵「は、はいっ!!」

ドドオオォォンッ!!

激しい風切り音とともに巨大な矢が放たれ、空中で氷を帯びていく。

オーガ「う…うわあぁっ……げふっ!!」

バーテン「……弾切れだ」

騎士長「おい!?マジかよ…!」

北方兵「オーガ隊…あと数匹ほどですっ!」


383 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:13:19.60 ID:q2047Hso
バーテン「後は頑張ってくれや」

騎士長「おいっ!なんちゅう身勝手な…」

バーテン「アホか。俺は軍属じゃねぇ…頼んだぞ」

バーテンは城壁の階段を降り、建物内へと消えていく。

騎士長「ちくしょ…っ、ええい!なんとしても食い止め……!?」

兵達へ手振りで指示を出す騎士長の目に、思わぬ光景が飛び込む。

ドドッドドッドドッ…

オーガ「何だァ!?後ろから……」

騎士長「……で、殿下!?」

皇太子「司令部め…。よく持ち堪えてくれた!」

エリート「正面のオーガを撃破せよ!!」

密集して進む騎兵が、左右に広がる。

オーガ「くそ!!正面からブッ潰せぇ!!」

皇太子「エリート!右翼は任せたぞ!!」

エリート「ええっ!殿下、くれぐれも無茶なさらず……」


384 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:13:47.63 ID:q2047Hso
皇太子「続けぇ!突撃ぃー!!」

親衛隊「うおぉ!!」

左に展開した騎兵隊が、皇太子を先頭に縦列する。

エリート「言ってる傍から…っ、くそ!こちらも続け!!」

皇太子「弓やナイフにおある者は牽制せよっ!」

親衛隊「うりゃあ!!」

左右に伸びた騎兵が、徐々に弧を描くように動き始める。

騎士長「鶴翼の陣…!!いや、これは美しい…!」

やがて左右の先頭は、再び合流し、円の中にオーガを閉じ込めた形となった。

オーガ「かか…っ、囲まれた!!」

皇太子「逃げ場はない!一挙に殲滅する!!」

エリート「各兵っ、殿下に……」

パカラッパカラッパカラッ…

エリート「でっ、殿下!?」

エリートは驚き顔で、背を向け司令部へ向かう皇太子に声をかける。


385 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:14:19.04 ID:q2047Hso
皇太子「騎士長!内部に敵は?」

騎士長「おりません!あ、いやっ…なにやら不審な気配が一つ!」

皇太子「一つ…?大物かな」

パッカパッカパッカ…

エリート「殿下!?」

皇太子「戦局は決した。此処は任せる!」

エリート「そんな勝手な!?」

親衛隊「エリート様、オーガが来ます!」

エリート「仕方ない…っ、陣を破られるな!一網打尽にするぞ!」

エリートは再び体勢を戻し、馬を真っ直ぐ走らせた。

騎士長「援護だっ!味方に当てるなよ!」

北方兵「騎士長様っ!殿下がこちらへ!!」

騎士長「!?か、開門っ!!」

ゴゴゴゴゴッ…ドオオォォンッ!!

半分ほど開けられた門より、皇太子の馬が颯爽と通過する。


386 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:14:46.36 ID:q2047Hso
皇太子「門はこのままで良い!」

騎士長「殿下!?」

パカラッパカラッ…タッ…ザスッ!!

皇太子は馬から飛び降り、司令部内をぐるりと見渡す。

皇太子「……内部か」

タッタッタッタッタ…

司令部正面の扉を開け、正面の階段を一気に駆け上がる皇太子。

皇太子「!?」

バーテン「…っ!!」

皇太子「なんだ…人か」

バーテン「…?……あ…で、殿下!?」

皇太子「ワーカー?いや、一般人か?」

バーテン「えぇと…まあ、そうですかね」

皇太子「ここは危険だ。この奥に結界石で守られた部屋がある。そこへ…」

皇太子は置くの通路を指差し、バーテンへ言葉を続ける。


387 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:15:46.37 ID:q2047Hso
皇太子「一応聞くが、建物内にて魔物を見たりはしておらんか?」

バーテン「建物内にも魔物が…?まさか……」

皇太子「心当たりが…?」

バーテン「いや、先程…ここへ入る前に怪しい影を、北塔の屋根に…」

皇太子「北塔……。ご苦労!」

バーテン「あっ!?ちょっと……」

タッタッタ…

バーテン「…相変わらず勇猛果敢なこって…」

バーテンは頬を掻き、走り去る皇太子を見つめる。

タッタッタッタッタ…バンッ!!

皇太子「………」

皇太子は北塔のドアを勢いよくあけ、塔内を見渡す。

皇太子「下には来てない…か。何が目的だ?」

カツカツカツ…カツ…

皇太子「北の塔から繋がる場所は……墓地…か」


388 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/13(木) 18:19:34.42 ID:q2047Hso
タッタッタッタッタ…ガチャッ

塔の中腹、そこにあるドアを開けると、屋外へと繋がる道がある。

その先には戦死者を弔う墓碑が、多数の花と共に並び立つ。

激しい雨の続く中、稲光により、墓碑とそこに立つ一つの影…。

ネクロマンサーの姿が皇太子の目に飛び込んだ。

皇太子「貴様……此処で何をしている…?」

皇太子は腰に備えた長剣をゆっくりと右手で抜く。

ネクロマンサー「ククッ…!やはり気付かれてしまいましたか…」

皇太子「答えよ。此処で何をしておるのかっ!」

ネクロマンサー「墓参り…なんて言い訳は通用しないですね。クククッ」

皇太子「もうよい、相分かった…」

ネクロマンサー「お分かり頂けたようで…ククッ…」

皇太子「此処に貴様の墓標も立ててやろう」

ネクロマンサー「………ほう」

皇太子「いや…此処は申請なる場所…。貴様のような輩に墓標は要らぬ!!」

轟音とともに稲光により空が激しく光り、怒りに満ちた皇太子の顔を照らした。


391 : [sage] :2010/05/13(木) 18:32:38.94 ID:UusjWboo
天才TUEEEEEEEEEEEE


392 : [sage] :2010/05/13(木) 19:03:16.69 ID:9gqg7MAo
魔剣士はアンデッド化状態なのか。
裏切りじゃなくてネクロマンサーに使役されてる状態なのかな


400 : [sage] :2010/05/13(木) 22:54:39.58 ID:w1eTroDO
>>1乙!
殿下がどこまで強いのかがわからないから
無茶な突進をする度にハラハラさせられるなww

見てる俺ですらこんな感じだったらエリートなんかは気が気じゃないだろうなwwww


402 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 00:02:44.49 ID:7IuJ8e6o
ドドオオォォンッ…

ネクロマンサー「これは怒らせてしまいましたっかね…」

皇太子「即刻立ち去れ。さもなくば……」

ネクロマンサー「さも…なくば?」

皇太子「……斬る!」

ネクロマンサー「これは勇ましい…!お見受けするところ、貴方高位な方ですよね?」

皇太子「……」

ネクロマンサー「良いのですか?そんな方が…ククッ」

皇太子「人が人を守るのに…階級や身分が必要なのか?」

ネクロマンサー「さあ…?私は魔族ゆえ…分かりかねますが…」

皇太子「それはそうだな。さて、問答は無用だ」

ネクロマンサー「身分、技量…精神。申し分ないですね」

皇太子「……?」

ネクロマンサー「いやはや、お相手差し上げたいのですが…ねぇ?」

ネクロマンサーは右手を上げ、上空を指差す。


403 : [sage] :2010/05/14(金) 00:06:12.94 ID:k9FIksSO
支援。
天才と魔剣士の関係は?
ネクロさんの企みはやはり?
良いところで〜
眼鏡早くかえってこい〜


404 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 00:07:09.77 ID:7IuJ8e6o
ネクロマンサー「日の出が近いのですよ…。これ以上はちょっと…ね」

皇太子「ならば日の出までに片付けるのみ…!」

タンッ!!

ネクロマンサー「クククッ!!」

皇太子の長剣は、ネクロマンサーの体を斜めに斬りつける。

しかし、傷を負った様子もなく、ネクロマンサーはそのまま、

両手より黒い霧のようなものを発生させ皇太子へ放つ。

ドドオォ!!……ボフウゥッ…

皇太子「ぐあ…っ!?」

ネクロマンサー「即効性はありません…。しかし徐々に身体を蝕みます。

皇太子「く…っそ……」

皇太子は片膝をつき、呼吸を荒くし始める。

ネクロマンサー「しかし……残念です」

……ッ…バサッ……バサッ…バサッ…

皇太子は北の空から近づく物音に気づき、苦しみながらも空を見上げる。


405 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 00:11:19.03 ID:7IuJ8e6o
雨の中飛来する物影が、少し、また少しとその数を増やしていく。

ネクロマンサー「おっと、勘違いなさらぬよう…。私の差し金ではありませんよ?」

皇太子「……く…ぅ」

ネクロマンサー「私はまだ所用もありますので…」

テクテクテク…

ネクロマンサー「あ、そうそう。日の出と言っても私はアンデッドではありませんから」

皇太子「……」

ネクロマンサー「では、御機嫌よう」

皇太子「次会う時が…き、貴様の最後だ。覚悟しておけ!」

ネクロマンサー「……楽しみにしておりますよ…クククッ!」

去りゆくネクロマンサーを遮るように、皇太子の周りをガーゴイルの群れが囲む。

皇太子「貴様ら程度…このような状態でも…っ」

皇太子は剣を杖代わりに、ゆっくりと起き上がる。

ググッ……ブンッ!!…ザシュッ!!

ガーゴイル「!?」


406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 00:18:40.74 ID:7IuJ8e6o
皇太子「つ…次っ……!」

一匹のガーゴイルを一閃のもとに斬り伏せ、皇太子は再び剣を構え直す。

それを見たガーゴイルの群れは、警戒を強め、一斉に嘴と爪で皇太子を攻め立てる。

皇太子「くお…っ!!」

ブンッ!!

ガーゴイル達は攻撃と離脱を繰り返し、四方からとめどなく攻め続ける。

皇太子「身体が…言う事をっ…!」

懸命に数匹の魔物を斬り落とした皇太子だが、ネクロマンサーより受けた毒のような攻撃と、

ガーゴイルによる無数の切り傷で、その身を再び地面へと跪かせる。

皇太子「お…のれ…っ」

ビュオオォォッ!!……ドシュウゥゥッ!!

皇太子「!?」

突如一匹のガーゴイルが空中で動きを止め、その場へと落ち、息絶える。

その背中には矢が突き刺さり、皇太子はふとその前方を見つめる。

バーテン「………ふーっ」


407 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 00:23:04.83 ID:7IuJ8e6o
カチャッ……ギギギッ……ドシュッ!!

ガーゴイル「!?」

シュンッ!!

バーテン「ちっ!避けられたか…」

タッタッタッタッタ…

バーテン「殿下っ、ご無事で!?」

皇太子「さ、先程の……!」

バーテン「いや・・宝物庫までコイツを取りに行って…遅くなっちまって…」

バーテンは大きな弓を手に、皇太子へ見せる。

皇太子「………」

バーテン「むっ!こりゃひどい……!退きましょう!」

皇太子「突破…で、出来るか…?」

バーテン「牽制しながらこの数なら…ギリギリってところですかね」

皇太子「………正直だな」

バーテン「こんな状況で嘘言っても、しょうがないですからな…」


408 : [sage] :2010/05/14(金) 00:50:30.02 ID:BPbbTYAO
殿下にはハラハラさせられるな
死にそうになってばかりで困った奴だ


409 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 00:51:25.61 ID:7IuJ8e6o
バーテンは皇太子の腕を掴み、自分の方へと回す。

バーテン「さ、立てますか?」

皇太子「す…すまん!」

二人が立ちあがり、後方へ退く素振りを見て、一度は上空へ退避したガーゴイル達が、

再び旋回し、地上の皇太子とバーテンを狙い定める。

バーテン「しつけぇな…!!」

バーテンは退きつつも弓を構え、肩にかけた矢筒から一本の矢を弓へあてがう。

上空へ照準を合わせた瞬間、稲光に照らされたガーゴイルの背後に動く幾つかの影に気付いた。

バーテン「……くそぉ!新手かよ…!!」

皇太子「数が多…すぎるっ、一人で退いて……」

バーテン「……いやっ!ありゃあ…!!」

迫リ来るる影はそのままガーゴイルの背後から強襲し、

上空は魔物の群れがあちらこちらと慌てふためき、混乱状態へと陥る。

皇太子「あれ…は…召喚獣…か!?

近づく影…それはワームやワイバーンといった召喚獣の姿であった。


410 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2010/05/14(金) 00:58:45.20 ID:7IuJ8e6o
タッタッタ…ザッ!!

青龍兵「遅くなりまことに申し訳ありません!!」

北の塔より数人の青龍召喚隊が姿を見せ、二人を守るように立ちはだかる。

皇太子「何故…ここに!?」

青龍兵「はっ!実は隊長より……」

ガーゴイル「ギギィー!!」

青龍兵「ワイバーン!!」

急降下で近づくガーゴイルを、一人の青龍兵がワイバーンに指示を出し、

これを見事に捉え、墜落させる。

青龍兵「海峡へと向かう途中、召喚獣での偵察をしていたところ、不審な動きがあり…」

バーテン「……」

青龍兵「隊を切り分け、我らは司令部へと戻った次第であります!」

皇太子「そ、そうであったか…」

青龍兵「ここは我らが!殿下はお退き下さいませっ!!」

バーテン「……任せて…問題ないようですな」

バーテンは安堵の顔で皇太子へ話しかけ、そのまま北塔へと引き下がった。



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