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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その7
594 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:47:41.95 ID:PLfae5wo
〜船上〜

戦士は、手にした瓶の蓋を開け、口を潤す。

テクテクテク…

召喚士「…寒くないかい?」

戦士「…ん?あぁ、身が締まって丁度良いよ」

召喚士「…そうか」

戦士「……飲むかい?」

召喚士「……師匠酒…か」

戦士「なんか…落ち込んだりした時に、コレ飲むとさ…」

召喚士は戦士より、師匠酒を受け取る。

戦士「なんつーか…元気出るんだよな。ははっ…」

召喚士「……うん」

召喚士も師匠酒を一口飲む。

召喚士「……染みるね」

戦士「…あぁ」


595 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:48:42.84 ID:PLfae5wo
召喚士「戦士にしては…珍しいよね」

戦士「……」

召喚士「だってさ、いつもポジティブで落ち込んだりとか…」

戦士「あぁー…」

召喚士「……そんなに弱くないと思うけど」

戦士「…分かっちゃいたんだけどなぁ」

召喚士「…ん?」

戦士「天才とか、魔法剣士を目の当たりにしちゃうとな…」

召喚士「……」

戦士「やっぱ上に行くには…魔法剣がないと厳しいよ」

召喚士「でも、そんな時こそ魔道士さんが…」

戦士「今回みてぇに別行動になっちまったら…」

召喚士「…」

戦士「ずーっと一緒、ってワケにはいかないだろ」

召喚士「……うん」


596 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:49:37.53 ID:PLfae5wo
戦士「ここ最近、すげぇ魔物と戦ってきたよな…」

召喚士「うん…」

戦士「物理攻撃がほとんど効かないヤツらもわんさかいた…」

召喚士「アンデッドとかね…」

戦士「そうなると、今の俺じゃ…役立たずだ」

召喚士「そんな事はないよ」

戦士「いや、いいんだ」

召喚士「攻撃が全てじゃないし、それに…」

戦士「攻撃は最大の防御」

召喚士「…!?」

戦士「攻撃して『あぁコイツは大した事ない。後回しだ』って思われたら…」

召喚士「…」

戦士「盾の役目すら務められねぇよ…」

召喚士「そうかもしれないけど…」

戦士「だが、俺は魔法の才能はからっきしだ」


598 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:51:00.46 ID:PLfae5wo
召喚士「……」

戦士「…だからっつって諦めてるワケじゃないんだ」

召喚士「…戦士」

戦士「例えば雷切。コイツはハナっから五行の金を宿してる…」

召喚士「だから少しの魔力でも…雷が撃てる…」

戦士「そう。つまりはだ……」

召喚士「…同様の武器を…持てれば…!?」

戦士は表情を緩め、笑顔を召喚士に向ける。

戦士「…そういう事だ!」

召喚士「…まさか…鍛冶屋って!?」

戦士「ちょっと変わった鍛冶屋でな。人も物も…」

召喚士「作れるのか…!?」

戦士「……多分…だが」

召喚士「そうか…!それなら魔法付加がなくても…」

戦士「あぁ。魔法剣が使える!!」


599 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:51:55.25 ID:PLfae5wo
召喚士「それは頼もしいな…!」

戦士「まぁ、絶対に作れるとは限らないけどなぁ」

召喚士「…でもヒントぐらいには…」

戦士「おれもそう考えてる。それに……」

召喚士「ドワーフさんの斧…か」

戦士「あぁ…」

召喚士「どちらもうまくいくといいね…!」

戦士「そうだな…!落ち込んでるなんて、俺らしくもねぇや!」

召喚士「そうそう!あははっ!!」

戦士「はっはっは!!」

〜客間〜

盗賊「……」

魔道士「…るんるる〜んらら〜」

盗賊「…魔道士?」

魔道士「はいっ?」


600 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:52:46.94 ID:PLfae5wo
盗賊「…あ、いや」

魔道士「…?ふふっ」

盗賊「……」

魔道士「るんるるる〜らんららら〜」

盗賊「…無理…してないか?」

魔道士「えっ?何がですか…?」

盗賊「…良いんだぞ?…無理しなくても」

魔道士「別に無理なんてしてないんですよー!」

盗賊「……大丈夫」

魔道士「……?」

盗賊「…私が…側にいてやる…から」

魔道士「!?」

盗賊「…うぅ」

魔道士「…はい!ありがとうございますっ!」

盗賊「お、おうっ…!」


601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:53:38.62 ID:PLfae5wo
魔道士「……ふふ…え?あ、あれ…!?」

盗賊「…どっ、どうした!?」

魔道士「あ…な、何で…っ?…どうしよ…」

盗賊「ふ、拭くものっ!…えっと!」

魔道士「なんで…止まらな…っ…」

盗賊「は、はいっ!コレっ!」

盗賊はタオルを魔道士に手渡す。

魔道士「ふっ…ひぐっ!…うっ…う…っ!」

盗賊「……」

魔道士「…悲しい事なんて…っ…何にもないのに…!」

盗賊「……」

魔道士「うぅ…っ!……ぐすっ…ぐすっ…!」

盗賊「…魔道士」

盗賊は魔道士を抱きしめ、そっと頭に手を置く。

魔道士「…ありがっ…と…う…ございますっ…!ひぐっ」

盗賊「…ヨシヨシ」


603 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 16:54:56.90 ID:PLfae5wo
〜数日後、港〜

召喚士「……着いた」

戦士「…また来たな」

魔道士「ほんと…この辺には縁がありますね」

盗賊「…だな」

召喚士「さて、今日のうちに歩いて街まで行きましょうか!」

盗賊「…いいか?」

魔道士「…はい!」

戦士「と、その前に……」

召喚士「…ワークショップで報酬を受け取らないとね」

〜ワークショップ〜

魔道士「…こっ、こんなに…!?」

戦士「……さすが国軍の依頼だな」

召喚士「うん…」

店員「いかが致しますか?」


606 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 17:01:50.09 ID:PLfae5wo
召喚士「えっ?」

店員「全額お持ちになられますか?」

魔道士「預けられるんですか!?」

店員「えぇ。あくまで依頼分の報酬についてですが…」

戦士「…それはいいな」

店員「厳密にいえば、分割でお支払いするって事ですけれど…」

召喚士「それでお願いします!!」

盗賊「……」

戦士「…盗まれる心配も…ないな」

魔道士「…えぇ」

召喚士「……すいません」

魔道士「いやっ、そういう意味じゃ…」

店員「では…こちらの残りをお預かり致します」

召喚士「…お願いします」

戦士がリストを手に取り、ページをめくる。


607 :パー速民がお送りします [sage] :2009/12/21(月) 17:06:50.11 ID:OKQzl76o
この盗賊団がワーカーだったら普通に上位ランカーなんじゃね?www

あと女侍のイメージはおせんさん


608 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 17:08:58.26 ID:PLfae5wo
戦士「…なんだよ…コレ…」

召喚士「…?」

魔道士「どうしたんですか…?」

戦士は手にするリストを見せる。

戦士「天才のヤロウ…功績は一位だが…」

召喚士「成果リストはランク外だ。名前すらねぇ…」

魔道士「えっ!?つまりどういう…」

召喚士「魔物討伐での功績は物凄いけど……」

戦士「依頼を受けてやってるワケじゃねぇって事だ…」

盗賊「……!!」

魔道士「それって…ボランティアって事…?」

召喚士「そういう事になりますね…」

戦士「なんなんだ…?何が目的でそんな…」

魔道士「あ…魔法剣士さん……!?」

召喚士「……彼も…依頼数なし…か」


609 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 17:14:56.58 ID:PLfae5wo
魔道士「!?」

戦士「なんか…呆れるというか…苛立ちすら覚えるよな」

召喚士(彼らの何が目的なんだ?ただ…魔物を倒すだけ…なのか?)

盗賊「…人は人だ」

戦士「…?」

盗賊「…気にする事は…ない」

召喚士「…たしかに、そうですね」

戦士「…まぁな」

魔道士「……あぁーっ!!」

戦士「!!…なんだよ、でけぇ声出して…」

魔道士「見てくださいよ!ほらっ!!」

召喚士「!?」

盗賊「……功績ランク」

戦士「……87位!!」

召喚士「初めて2桁になった…!!」


610 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 17:17:46.32 ID:PLfae5wo
魔道士「…やったぁ!!」

戦士「…はっ…ははっ…!!」

召喚士「やりましたね!」

盗賊「…ああ」

戦士「だが……ここで終わりじゃねぇぞ!」

召喚士「うん!」

魔道士「もっともっと…頑張りましょう!」

盗賊「…だな!」

戦士「とりあえず…お祝いしとくか?」

召喚士「…そ、そうだね」

魔道士「まぁ…まだ2桁だし…ひっそりと」

盗賊「…う、うん」

戦士「…成果は…あんまり伸びてないな」

召喚士「依頼なしの功績が多いからね…」

魔道士「西方とか東方とかですね?」

召喚士「はい。そうです」


616 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 17:31:37.43 ID:PLfae5wo
魔道士「あ、でも…そう考えると、ちょっと分かるかも…」

戦士「…ん?」

魔道士「その…お金の為とかの依頼じゃなくて…」

召喚士「人助けの為に…各地を…!」

戦士「…まぁそうなんだけどなぁ」

盗賊「……割が合わぬ」

召喚士「確かに…。どうやってお金稼いだりしてるんだろう…」

戦士「ま、気にしててもしょうがねぇ…!日が暮れちまう」

召喚士「そうだね。行こうか…!」

魔道士「…はい!」



〜ふもとの街〜

戦士「さ、着いたぜ…」

魔道士「はい」

盗賊「……」


617 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 17:38:07.10 ID:PLfae5wo
テクテクテク…

魔道士「ここです…。私の家…」

戦士「で、でけぇ家だな……!」

盗賊「えっ!?」

召喚士「ここって!?……あぁっ!!」

戦士「…?」

召喚士「確かに言ってた!!失踪したって!!」

盗賊「あっ!……そうだっ!!」

戦士「…な、なんだ?」

召喚士「そうか…そうだよ!!何が似ている人をだよ!」

魔道士「…ごめんなさい。黙ってて…」

戦士「あぁっ!?魔道士に似たお嬢さん…て!?」

盗賊「……考えれば…分かったのに」

召喚士「…つ、つまり、失踪した大商家の一人娘が…?」

魔道士「………はい。私…です」


623 :パー速民がお送りします [sage] :2009/12/21(月) 21:16:29.63 ID:.wrpaw.0
天才強いけど、2位3位の人は依頼もしてるから、天才ほど魔物を倒してないとか?
実力的には僅差だったりして…魔法剣士の実力考えると


625 :パー速民がお送りします [sage] :2009/12/21(月) 22:07:09.85 ID:SVhC8zUo
>盗賊「……割が合わぬ」

前に宝とかにも反応してたし
けっこう金が好きなんだなww
忍者なのに職業盗賊を選ぶわけだ


629 :パー速民がお送りします [sage] :2009/12/21(月) 22:29:59.11 ID:594avYDO
東方編で「盗賊なんてはしたない」→「忍者なんて言っても通じない」的なやりとりが、口調が変わる侍女とあったはず


631 :パー速民がお送りします [] :2009/12/21(月) 22:56:05.46 ID:P1OrVYU0
盗賊「は、はいっ!コレっ!」

盗賊は吹き矢を魔道士に手渡す。

魔道士「ふっ…!」

盗賊「ひぐっ!…うっ…う…」

盗賊「……」



632 :パー速民がお送りします [sage saga] :2009/12/21(月) 23:34:19.25 ID:sM2siy2o
仕事疲れたー!ただいまー!ノシ

盗賊さんは金品が好きなんですかね?書物とか武器には興味なさそうですね
盗賊ってよりトレジャーハンターみたいなのかも…

>>631
こういうパロディ系結構好きですw

ちょっと帰宅遅かったので少しだけ投下しますね。すいません


633 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 23:40:12.42 ID:sM2siy2o
召喚士「でも…何で隠す必要が…?」

魔道士「隠すというより…知られたくなかったんです…」

戦士「連れ戻されるからか…?」

魔道士は黙って頷く。

召喚士「つまり…許可を得ずに飛び出した…」

魔道士「最初は両親とも…賛成してくれたんです」

盗賊「……」

魔道士「私、魔道士になりたくて…魔道学校に…」

戦士「……」

魔道士「父も母も…自分の人生だから、好きな事をやりなさいって…」

召喚士「…なるほど」

魔道士「…でも、卒業すると一変して…」

盗賊「…」

魔道士「お前は商人の娘なんだって…。しかも…」

戦士「…そうか」


634 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 23:43:20.86 ID:sM2siy2o
魔道士「……好きでもない人と…その…」

召喚士「…結婚…を?」

魔道士「はい…。国軍のエリートだからって…」

盗賊「……」

戦士「婚約者ってヤツか…」

魔道士「ずっと…自由に生きろって言ってくれてたのに…」

召喚士「…それは確かに…辛いですね」

魔道士「だから私…家を出ました…」

戦士「でも…きちんと話もしてないんだろ?」

魔道士「…はい」

召喚士「魔道士さんの言う事も正しいですけど…」

戦士「そこはやぱりちゃんとだな…」

魔道士「分かってます!!」

盗賊「!!」

魔道士「あっ…、す…すいません…」


635 : ◆1otsuV0WFc [sage saga] :2009/12/21(月) 23:46:17.50 ID:sM2siy2o
召喚士「…」

魔道士「だからこうして…話をしに来たんです」

戦士「ようやく覚悟が決まったか…?」

魔道士「…はい!」

召喚士「なるほど。分かりました」

魔道士「…皆さんには本当に感謝してます…色々と…」

盗賊「……」

魔道士「だから皆さんにも…一緒に来て、知って欲しかったの…」

戦士「…ああ」

魔道士「…本当に、ありがとうございます」

魔道士はどこか寂しそうな顔で、家の門を開けた。

〜魔道士の家〜

戦士「庭も広いなぁ。お前らどんだけお嬢様なんだよ…」

盗賊「…別に…私は」

戦士「…姫様が何をおっしゃいます」

盗賊「……」

戦士「冗談だよ。はははっ!」



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