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妹「お姉ちゃんの血が飲みたいなー」
1 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 22:30:32.87 ID:x3blBypd0
妹「ねー。わたし、お姉ちゃんの血が飲みたいなー」
姉「何言ってんのアンタ。脳ミソどっかに落としてきた?」
妹「えー。何言ってんのって、あたし吸血鬼だしさあ」
姉「うーん、まあ……そうらしいわねえ。あんたがある日突然日光で焼死しそうになってた時はそりゃ驚いたけど」
妹「ある日突然って言葉、いーよね。ある日突然吸血鬼になったわたし! 劇的! まんが!」
姉「何ノってんの。それより、レポートできた?」
妹「んー、あとちょっと」
姉「ちょっとって、どれくらい?」
妹「あと半分も進めれば、そこからは残り50%といったところ……」
姉「0%じゃねえか! やっぱりこの子どっかでなんか捨ててきてるよ!」


2 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 22:32:10.41 ID:1oo1rQ2pO
続け給え


3 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 22:34:10.41 ID:+S/MD6+60
突然吸血鬼になった割には楽天的だな妹。


4 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 22:35:09.54 ID:x3blBypd0
妹「レポートデキター」
姉「…………」
妹「デキタヨー、ワタシスゴーイ」
姉「結局レポート作成の大半を手伝っちゃった……この子のためにならないってわかってたのに……」
妹「え、えへへ。おねえさま、感謝してますよー」
姉「そう思うなら、次は行動で示しなさいよ」
妹「うんっ。まかせて、今夜のごはんはすっごいがんばるからっ」
姉「いや、そうじゃなくて次は自力でレポートを……」
妹「お姉ちゃん、ハンバーグ好きでしょ? わたし、煮込みハンバーグのレシピ覚えたんだ!」
姉「……もう」


5 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 22:40:38.16 ID:x3blBypd0
姉「……ごちそうさま」
妹「おそまつさま」
姉「ねえ、あんたは……」
妹「うん?」
姉「……あなたはさ、食べないのね」
妹「や、ほら。前無理に“ふつうの”食べ物を食べた時は、ひどいことになったじゃん」
姉「……ごめん。あのときはあなたの身体が変わったのが信じられなくて、てっきり心の病気なんじゃないかって」
妹「はっきり言うお姉ちゃん、好きだよ。あたしゃ平気だよ、血も飲まないと死ぬってわけじゃないし、とうぶん飲まず食わずでやってけるみたい」
姉「そう? あなたは、自分のことをハッキリ言ってる?」
妹「どゆこと?」
姉「本当に、飲まず食わずで、平気なの?」
妹「心配そうな顔で聞いてくるくらいなら、血をちょーだいよー。わたし、ほんとにお姉ちゃんのが飲みたいんだよ」
姉「…………」
妹「こわいの?」
姉「…………ごめん」


6 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 22:44:50.91 ID:+S/MD6+60
お、シリアスになってきた?


7 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 22:48:31.38 ID:x3blBypd0
妹「夜間学校って、いろんな人いるねえ。あたしのクラスメイトのおっさん率の高さといったら!」
妹「おしゃべりでいろんな話題が出るのはいいね。しかし感じるジェネレーションギャップ……」
妹「そう! この学舎の欠陥とは、友達の異常な作りにくさにあるのですよそこのお嬢さん!」
女(何この人、声大きい……お嬢さんって誰……)
妹「いや、アナタアナタ」
女「わ、わたし、ですか?」
妹「そそ。いかがですか、お近づきのしるしにひとつ」
女「缶コーヒー? ……ありがとう、いただきます」
妹「おいしい?」
女「……まあ」
妹「おそまつさまー。じゃ、友達にならない?」
女「嫌です」
妹「そっか、よかった! あたし、ここに来てから同年代の子って見かけなくて、寂しくてさ……アレー!?」
女「あなたが男でこれがナンパなら、犯罪レベルのド下手です」
妹「うわあん! 誤解されること言うなよー、あたしはお姉ちゃん一筋なのにー!」
女「いっちゃった。……って、もうすぐ授業が始まるのに、どこ行くんだか」


8 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 22:55:28.82 ID:x3blBypd0
妹「……ってことがあったんだよー。その子とは、また話したいなあ」
姉「そ。大変だったわね」
妹「でしょでしょ? あたし、めげないよ!」
姉「いやめげろよ。大変だったっていうのはその子のことに決まってるでしょ」
妹「うわー?」
姉「いきなり知能低下させないでよ。寂しかったのはわかるけど、やりすぎだから」
妹「寂しかったよー? お姉ちゃん、構ってくれないからさ」
姉「しっかりしなさいよ。お母さんもお父さんも出張なんだし、甘えられる相手なんかいないわよ」
妹「お姉ちゃんじゃダメ?」
姉「…………」
妹「ねー、ダメー? 血もいらないよ、あたし、今夜はおねえちゃんと一緒のベッドでそいねりたいなあ……」
姉「家に帰れ小娘」
妹「ここあたしの家だよ!?」
姉「ダメよ。がまんしなさい」
妹「んー」
姉「……ダメよ。添い寝なんて、ぜったいに駄目だからね」


9 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 22:58:05.96 ID:x3blBypd0
妹「そうだね。さびしいよね、さびしいとねつけないよね」
妹「ねつけないね。なにか食べて、おなかいっぱいになってねむりたいね」
妹「でもそれもだめ。ならせめてほかのなにか、なにか、なにか」
妹「なにか、血、おねえちゃんの血、たべるたべるなにか倒すだいてぎゅってはなさないでおかあさんもおとうさんもいないから」
妹「でもそれもできないから。なにか、うさばらしでも」


10 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 23:05:37.95 ID:x3blBypd0
妹(今日はめずらしく、電車に人多いなあ……席に座れないや)
妹(満員電車って、チカン多いって聞くよね。夜間への登校に使う路線はすいてるし、まさかあたしにはチカンなんて来ないだろうけど……)
妹(…………ぁ)
妹(やだ……いや、おしり……)
痴漢「ヒヒ、ひ、ひひっ」
妹(! やだ、スカートの中……やだ、やだあ! お姉ちゃん、助けて……)
痴漢「なあ」
妹「ひ、ぃっ?」
痴漢「感じてるんだろ?」
妹「っ!」
痴漢「ひひ、我慢するなよ。感じてると言ったらもっと触ってやるぜ……ひ、ひへっ……」
妹(こ、のっ――そんな訳あるかっ! ど、して、こんな変質者に、好きなように言われて……!)
妹(……あ、そっか。好きなようにできるのは、あたしだ)
妹(うさばらしできるのは、わたしだ)
妹(吸血鬼の力で、コレを殴ったら、どうなるのかしら?)

行動安価 >>11
痴漢を殴るor殴らない


11 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 23:12:19.89 ID:qw9uzkU30
逆レイプ


12 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 23:18:37.34 ID:x3blBypd0
妹「……あー」
痴漢「え……?」
妹「なんか。もー、いーや」
痴漢「お、おい……?」
妹「きて」
痴漢「なっ」
妹「電車降りようよ。わたしと、えっちなことしたいんでしょ?」
痴漢「い、あ……い、いいのか?」
妹「なにさー。そっちから触ってきたくせに、えっち」
痴漢「あ、ああ、だよな? ははっ、へへ、据え膳食わぬはなんとやらって言うしなあ……?」


妹「おー、絵に描いたような路地裏。いい感じだねえ」
痴漢「こんなところでいいのかい? ホテルにでもいかないのか?」
妹「学校サボってホテルってのもねえ。こういうところの方がフンイキあるんじゃないかな」
痴漢「へ、へへっ! 言うじゃないか、さすがひと味違うぜ、自分から犯されたがる淫乱ってのは他のマンコとは」
妹「――えい」
男「え?」

 彼女は男に向かい、手を全力で突き出した。


13 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 23:25:05.27 ID:x3blBypd0
 掴む。
 引く。
 ちぎる。

妹「――やりました。心臓ゲットだぜ、です」
妹「変質者の血はくさくてきたないです。だけど、んっ……ちゅっ……」
妹「……はぁ、はぁ。おい、しぃ……」
妹「わあ、すごい……おいしいよお! 血って、こんなクズのでも、こんなにおいしいんだ……!」
妹「あ、でも――そうだ。これだけじゃ、もったいないよね」
妹「んしょ。んしょ。ぬがす……わー、ちっちゃい。殺したばかりなのに、もうしなびちゃってる……」
妹「男のひとのって、みんなこうなのかなあ? やだなあ……」
妹「でも、わたし――はぁっ。もう、すごい……やだ、興奮して、る……」
妹「んっ、ふうっ! えへへ……すりつけるだけでも、けっこ、はぁっ、きもちいーよぉ……」
妹「――うん、わたし、犯されたがってなんかいないよ。わたしがおかす。わたしがたべる。わたしがころす」
妹「おねえちゃん、おねえちゃん、おねえちゃん。きたない、きたない、きたない、きたない」


妹「……はい、ごちそうさま。わたし、この際好き嫌いは言いませんでした」
妹「きたならしいおちんちんも、結構おいしかったです。かみちぎると、こりこりしてたし」


14 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 23:30:56.55 ID:v8vEOw/2O
期待


15 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 23:35:02.76 ID:x3blBypd0
女「……あ」
妹「おー」
女「おー、じゃなくて。昨日、大丈夫でした?」
妹「あ、サボっちゃったね。ごめん、心配してくれたの?」
女「考えてみると、あなたが休むのって珍しいし……」
妹「いちお、クラスメイトとしては認識してくれてたのかな。友達としても脈有り?」
女「まあ……その、いちお」
妹「よかった。なびかないようなら、教室でバラの花束でもプレゼントしようって思ってたんだ」
女「よ、よかった……! なびいておいて本当に良かった……!」
妹「あれ、百合の花とかの方がよかった?」
女「花の百合もあっちの百合もごめんです! みんなの前でバラなんてプレゼントされたら、明日から恥ずかしくて学校に来られないよ!」
妹「じょうだんじょうだん。じゃ、これからよろしく」
女「こほん。……あ、そうだ。最近このあたりの駅近くにも、痴漢が出るそうですよ」
妹「へえ、そうなんだ! ひどいねえ……」
女「痴漢なんてみんなそうだろうけど、陰湿な奴みたい。怖いでしょうけど、もしあなたも嫌な目にあったら、すぐに大声をあげてくださいね」
妹「うん、そうするよ。ありがとー」
女「……本当に、性犯罪を起こす男なんて人でなしです。一刻も早く逮捕されればいいのに」
妹「そうだねえ。ほんと、ああいうのは人でなしだよ」


16 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 23:43:46.49 ID:x3blBypd0
妹「お姉ちゃんとのスキンシップがたりない!」
姉「…………」
妹「略しておプが足りない!」
姉「なにそのエチケット袋。なんかあったの小娘」
妹「また小娘とか言う……ねー、いーじゃん。こー、なでなでとかよしよしとかさー」
姉「すりよらないでよ、なまあったかいって」
妹「んー、劇的に寂しいことがあったのさー。ドラマティックにつらいこととかー」
姉「あのねえ、そんなんじゃなにもわからない……」
妹「なんかもー、スーパーギガンティックうらがなしいてきな……わ?」
姉「……ま、いっか」
妹「わ?」
姉「なでなで」
妹「え、わ、え……」
姉「よしよし」
妹「あ、お、おねえ……ちゃ……」
姉「つらかったんだね。かなしかったんだね。よしよし」
妹「ぅ……」
姉「何があったのかは、わからない。でも、何があっても、あたしはあなたの味方だよ」
妹「……・ほんとに? なにがあっても?」
姉「ほんとに。なにがあっても」
妹「お姉ちゃんは出張したりしない? お父さんとお母さんみたいに、いなくならない?」
姉「ならないよ。ぜったいに。……ぎゅ」
妹「お、おねえちゃ……ふえ……」


17 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 23:50:04.78 ID:x3blBypd0
なんか俺が飯食ってから吐きそうなのでちょっと休憩。


18 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 00:12:11.42 ID:Y7L8MH9LO
ほしゅ


19 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 00:12:18.84 ID:TwoiynAD0
妹「お昼!」
女「結局わたし、いつもこの人といっしょに食べてる……わたしも友達少ないなあ……」
妹「たそがれてないでさー。あたしのロールキャベツあげよっか?」
女「い、いただきます。――あ、美味しい」
妹「よかった。感謝してもいーよ」
女「……感謝します」
妹「ん?(なんか、手をぱっぱっとやったけど、なんだろ。クセかな?)」
女「なんですか?」
妹「いやいや、なんでもない。ね、今度の週末どっか遊びに行かない? あたしのお姉ちゃんも連れてさー、いい人だよー」
女「えーと、週末はアルバイトが夜まで入ってるので……ちょっと」
妹「え……アルバイト?」
女「え? ……ええ。食品系で、いちおうフロアを……」
妹「ウェイトレスさん? ……すごいや!」
女「え? そんな、こんなのですごいなんて、冗談……」
妹「いや、冗談じゃないよ。働きながら学校に行ってるなんて、すごい!」
女「て、定時制の学校に来るような人は……だいたい、そうなんじゃ……」
妹「あー、テレてる?」
女「そ、そんなことない! だいたい、あなたはどうなんですか?」
妹「あたしはいろいろありまして、楽させてもらってます」
女「いろいろ、って……」
妹「だからあなたのことは、尊敬するの。いや?」
女「――ああ。主よ、これも試練なのですか……」
妹「ふぇ?(主よ、って――あ、そっか! さっきやってたの、手で十字切ってたんだ!)」
女「こほん。……私も、あなたの素直さは、尊敬すべきなのかもしれませんね」


20 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 00:14:37.64 ID:tZlArJkf0
女に百合フラグと死亡フラグが同時に立った気が。


21 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 00:17:54.99 ID:Eidb8wLZO
sage進行だたか…
支援


22 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 00:24:16.59 ID:TwoiynAD0
ageるかsageるかはてきとーにやってたりする。

女「はあ。あの子といっしょにいると、調子が狂ってしまいます……」
女「――でも、今はひとり。気を引き締めないと」
女「ここ……やっぱり、血の匂いがします。こんな路地裏、いかにも何かありそうだけど」
女「でも、物証はわずかに血痕が飛び散ってるだけ。嫌な気配はべっとりこびりついてるのに……」
女「無垢なる白布が真っ赤に染まってる――確実に、付近で絶命した霊魂がいる。でも、死体はない」
女「まさか――いや、まさか、なんてことは、ない。殺してから、死体を丸ごと、食べ尽くしただけ、か」
女「わかりました。聖ダンスタンの名において、扉に蹄鉄を打ちましょう」
女「私が倒す、神のしもべは悪魔を倒す」
女「これは人間の所行ではない。食人鬼を討ちましょう。サタンを退散させ、悪魔に神の威光を示しましょう。――必ず」


23 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 00:32:32.57 ID:TwoiynAD0
姉「ふぁあ……もぉよるねぇ、おやふみぃ……」
妹「お姉ちゃん、だらだらー。おつかれ?」
姉「今日も仕事だったからねえ……ったくあのバカ親父、なんで自分の失敗あたしに押しつけて平気な顔してるかなぁ……」
妹「たいへんだねえ。眠るまで手を握っててあげよっか?」
姉「い、いいわよ。あたしがあなたに甘えてどうすんの」
妹「あ、いっちゃった……わたしもねよっと」

妹「おねえちゃん、大変だなあ……わたしも学校よりバイトした方がいいのかな?」
妹「出張中のお父さんやお母さんも貯金は残してくれたけど、お姉ちゃんもがんばって稼いでるし……うー、吸血鬼ってよりごくつぶしだよ、わたし」
妹「わたしが吸血鬼としてできることといえば、お姉ちゃんの血を吸って、ころすくらいかな」
妹「あれ?」
妹「なんか……あれ? なんか、それで、いいんじゃないかな?」
妹「ねえ、お姉ちゃん……わたし、なんで、ガマンしてたんだっけ……?」


24 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 00:38:43.98 ID:TwoiynAD0
姉「んー、ただいまー……って」
妹「おねえちゃん!」
姉「な、なに? なにこの……お、横断幕? 家の中に……?」
妹「これぞ『おねえちゃんお疲れ様会』!いわばパーティーと受け取ってくれて結構!」
姉「えーと、その……ねぎらって、くれるの?」
妹「おねえちゃん、いつもおしごとおつかれさま! ごちそう用意したし、お菓子もあるよ!」
姉「……ありがと。うれしい」
妹「えへへ。ほら、早くこっちこっち」
姉「うん。ちょっとしたら、行くね。……目元とか、ほら、拭ってからさ」


25 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 00:45:59.71 ID:TwoiynAD0
姉「……ごちそうさま」
妹「はい、おそまつさまでした」
姉「ん。……その。今日は、ほんとうれしかった」
妹「もうやすむ? マッサージでもしてあげよっか、お姉ちゃん」
姉「あ……じゃあ、ふふ、お願いしようかなあ……」
妹「ほいほい。じゃあ、横になってー」
姉「んー……でも、できればやっぱりご飯はいっしょに食べたかったな。あなただけ、何も食べなくて……」
妹「お客さん、こってますねー……んー、気にしないでいーよー。しかたないんだしさー、ね?」
姉「あう、腰が……ぅ、キツ……」
妹「ここ? こし?」
姉「うん……って、え?」
妹「それともー、こことか?」
姉「ちょっ、ぇ――ひゃ!? ど、どこさわって、ばか……!」
妹「あ、今のは別にお尻とか胸とか触ったわけじゃないんで。お姉ちゃんのくびすじふわりしただけです」
姉「なに解説してるの!」
妹「いや、どこ触ってるのって聞かれたし」
姉「そ、それはそういう意味じゃ……」
妹「――ね、お姉ちゃん」
姉「……え?」
妹「わたしのお食事は、これからだよ」


26 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 01:02:06.00 ID:TwoiynAD0
姉「…………」
妹「おねえ、ちゃん……」
姉「……ねえ。したいの?」
妹「したいよ。ガマンしてた、ずっとずっと、つらかったの」
姉「――そうね。ごめんね、辛い思いをさせて」
妹「いいよ、今までのことなんて――でも、お姉ちゃんはわたしの味方だよね? これからはずっとずっと、あたしのことを助けてくれるよね?」
姉「それは……」
妹「ダメだよ……さびしいよ、お父さんもお母さんも、出張させちゃったから……」
姉「…………」
妹「わたしにはあなたしかいない。お姉ちゃんしか、いないんだよ」
姉「……いや。駄目よ、血は、吸っちゃダメ」
妹「どうしてっ!?」
姉「ここで吸ったら、あなたは、どうしようもなくなる。目を見ればわかるわよ、吸血鬼の欲望くらい」
妹「わかってないよっ! ヒトの血を吸えない夜がどれくらい辛いのか、人間なんかにわかるはずがないっ!」
姉「――人間なんか、か」
妹「え? あ……これは、その、ちが……」
姉「あなたはそうして、私を欲望の対象としてしか見なくなってしまうの?」
妹「ちが……ちがうよ、お姉ちゃん、ちがう……」
姉「……ねえ。添い寝してあげるから、今日はいっしょに寝ましょうよ」

行動安価 >>27
姉の血を吸うor吸わない
(1:15までにレスがなければ「吸う」で進行)


27 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 01:07:35.02 ID:Eidb8wLZO
吸う


28 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 01:16:06.65 ID:TwoiynAD0
妹「……お姉ちゃん」
姉「ねえ、わかってよ――お願い、だから……」
妹「おねえちゃん、だいすき」
姉「――あ」
妹「ころす」

 先ほどなでた首筋に、彼女は牙を突き立てた。

姉「ぁ、ひ、ぃっ!? ひゃぁ、はっ、ぁあ……!!」
妹「んっ、ふぅ、んっ、ちゅっ……んくっ、んくっ、んくっ……」
姉「やめっ、やめっ……やぁ、ひぁ、やっ、やめへぇ……」
妹「んく、んぅっ……ぷあっ! あはっ、あははっ!!」
姉「やめ……だめだよぉ、おねがいだからぁ、だめえ……」
妹「あははっ、あははははっ!! なにをおねがいするのっ? おねえちゃんきもちよさそうだよ、もっときもちよくしてってお願いしてるのかなぁっ?」
姉「ち、ちが――お願い、もとのあなたに戻って……ひゃ、うああっ!?」
妹「だぁめ」
姉「ご、ごめ……ごめんなさい、ごめ……ゆ、ゆる、して……」
妹「ゆるさない。ほしい。もっと」
姉「いや……いゃぁ……」
妹「でもおねえちゃん、たのしいよね? わたしがたのしいんだから、おねえちゃんもたのしいんだよね?」
姉「だめ……ごめんなさい、ごめ……あ、あなたのこころを、まもって、あげられなく、て……ふぁ」
妹「……もう、喋らないで」

 唇で言葉を塞ぐ。
 わずかに染みた唾液の味が、なぜか血の味よりも甘かった。


29 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 01:20:10.17 ID:TwoiynAD0
妹「お姉ちゃん、学校行ってくるね。るすばんおねがーい」
姉「…………はい」
妹「んー、やっぱり元気ないなあ。今日はゆっくり休んでて?」
姉「…………はい」
妹「というか、当分休んでていーよ。会社なんてもういかなくていいし」
姉「…………」
妹「ふにふに……あ、やっぱり肌がつめたい。八重歯ものびてる……お姉ちゃんも吸血鬼になりかけてるんだね!」
姉「あ…………」
妹「やったあ、これで同じだね! ね、二人で夜の町を旅しよう? そんでさ、好き勝手に血を飲んで、ふたりであそんで……」
姉「…………」
妹「ね。ずっと、いっしょだよ。おねえちゃん」
姉「…………」
妹「ずっと……ずっと、いっしょ、だよ……」


30 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 01:23:33.37 ID:Eidb8wLZO
支援


31 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 01:28:46.50 ID:TwoiynAD0
妹「どもー。おはよう!」
女「……元気が良さそうですね。定時制の学校ですし、今はこんばんは、ですよ」
妹「あ、そっかー。やー、どうもこういう生活してると時間感覚もアレですねえ、へへ」
女「――ほんと、元気が良さそうね。まるで飢えた子供が、いきなりごつそうにありついた後みたい」
妹「ほほう。わかる?」
女「ええ。涎の痕が見えそうなくらいよ」
妹「そんなのないない。がっつくことなんてないよ、これからはいくらでもごちそうを食べられるんだもの」
女「……そう。ねえ、今日の放課後、ちょっとつきあってくれますか?」
妹「おお、デート? どこどこ?」
女「大したところにお誘いはできません。ただ、誰の邪魔の入らない場所です」


32 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 01:35:20.53 ID:Eidb8wLZO
ん…


33 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 01:37:35.11 ID:TwoiynAD0
妹「ここかあ……懐かしいなあ、あの路地裏……」
女「懐かしい、ね。――普通の女の子が懐かしがる場所には思えないけど。もう、正体を隠す気もないの?」
妹「きみも、ヤな感じがする。それはわかってたよ、聖なる気配っていうのかな、ヴァンパイアハンターさんっぽい感じ……」
女「それなら……」
妹「でもさー、人間と吸血鬼だよ? どーすんの? 力の差とか、ないの?」
女「……私の方が、あなたに目星をつけるまでにはかなり苦労しました」
妹「そう?」
女「結局、あの時の夫婦の死体をたどっていくことしか方法はなかった。死体の隠蔽に共犯がいたみたいで、身元が割れるまでには時間がかかったけど……」
妹「ふうふのしたい?」
女「とある姉妹を産んだ夫婦の死因は、どちらも失血死。それも死体が無茶苦茶にされてる、こんなのまともな犯罪者の犯行じゃない――」
妹「何言ってるのさ。お父さんとお母さんは、出張してるんだよ」
女「この路地裏に入っていく人間の証言を集めたら、浮かんできたのは男と少女が一人ずつ。きっと男が犯人だったと思ってたけど……まさか、あなただったなんて」
妹「お父さんとお母さんは、出張してるんだよ。アメリカだよ、大変だよね」
女「結局ニュースであっさりわかりました。あの死体の身元は、名字があなたと一致してて――」
妹「おとうさんとおかあさんは――」
女「殺したんだっ! あなたがっ! あなたの、父も母もっ!」
妹「……そっか。そうだったね、忘れてたよ」


34 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 01:47:34.17 ID:Eidb8wLZO


35 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 01:47:35.21 ID:TwoiynAD0
妹「でもいまさら、だよね。じゃあさ、あなたもこの路地裏の血だまりになっちゃえばいいんじやないかな?」
女「焼け死ね」
妹「ははは、何言って――え? ぎ、いぃぃぃぃぃっ……!?」

 突如、路地裏は白昼と化した。

女「燃えて死ね」
妹「な、なに、これ……ひか、って、あついぃ……!」
女「焼けろッ! 主の名において、聖ダンスタンの名において――紫外線照射装置だ、外道!」
妹「あ、が、あ、あ……!!」
女「これは吸血鬼を殺す陽光の同等品、怪物なんて許せない……人の血を吸って殺すなんて許せない、こんな悪い奴は許せない……」
妹「あ、ぃ、ひぎ、ぁ……ゆる、せない……?」
女「そうよ。許せない。あなたは確実に三人を殺した、放置しておけばこれからも、きっともっと……」
妹「だ、だから、あたしを……ころぉ、したい……」
女「そうよ、そう、そうして私、良い子に――」
妹「……あ、ははっ」


36 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 01:51:29.88 ID:TwoiynAD0
妹「……あ、ははっ」
女「え……?」
妹「そ、そんなの……お、同じじゃ、ないか――」
女「な、何言って……」
妹「同じだよっ! わたしもあなたも……ジブンのために、タニンを殺してるだけじゃないかあっ!」
女「! そ、装置を――」
妹「いっしょだっ! いっしょなら……いっしょに、なればいいっ!」

 焼け焦げた死体のようなシルエットが、少女のシルエットに重なる。
 強く、強く抱きしめる音。
 数十秒をかけて骨の砕ける音と、断末魔の長い長い声が鳴り響いた。


37 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 01:57:18.27 ID:TwoiynAD0
妹「……終わっちゃった」
妹「やっぱり、あなたは吸わない」
妹「ずっといい子のまま、ここに眠ればいい」


38 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 02:04:31.50 ID:Y7L8MH9LO
しえ


39 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 02:07:45.95 ID:pFK3CEhD0
支援


40 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 02:12:31.20 ID:TwoiynAD0
妹「おねーちゃん、ただいまー」
姉「……おかえり」
妹「あ、元気になってたんだ! よかったあ、お姉ちゃん!」
姉「いや……寒い、よ。身体が凍りついて、砕けそう、だよ……」
妹「……ごめん、あたしのせいだよね。怒ってる?」
姉「怒って……ない。これが――あなたの、つらさだったのね。あなたが……こ、こんな感覚に、今までずっと耐えてきただなんて……」
妹「ううん、もうつらくない……だってこれからは、ほんとの意味でずっといっしょだもん。ね、おねえちゃん?」
姉「…………」
妹「えへへ……ね、ちゅーしよ。これからはふつーの姉妹じゃなくて、もっと親しい関係に……」
姉「……ダメよ」
妹「な、あ――どどうして今更そんな事言うの!? お姉ちゃんのためにここまでしたんだよ!」
姉「……そんな事まで、言うの?」
妹「言うよ……お姉ちゃんがいないと終わっちゃうよ。あたしもう、お姉ちゃんがいないと、生きていけない……」
姉「ヒトが生きるのが、そう簡単に終わったりなんてしないわよ。……あなたはまだ、まだ……」
妹「――お説教なんて、聞きたくない」
姉「っ!? こ、これ……身体が、勝手に……」
妹「あははっ! お姉ちゃんの血を吸ったのはあたしだよ? わたし吸血鬼だよ? 血を吸った子を操るくらい、カンタンにできるよっ!」
妹「っ、だめ……そんなことまで、されたら……あたし、もう……」
妹「もう、喋らないで。おねえちゃん……コイビトに、なろうよ……」
姉「――ごめんなさい」

 そうして姉は力を振り絞る。
 妹が偽の陽光による処刑を脱した時と同じように、精魂を絞って呪縛を抜け出ていく。

姉「姉離れしろよ、小娘」

 彼女は自分の心臓をえぐって自殺した。


41 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 02:15:12.67 ID:TwoiynAD0
妹「――――――」
妹「なんにもない」
妹「なんにもない」
妹「どこかいかないと。なにか、しないと」
妹「でも、どこかってどこ? なにかって、なに?」
妹「お姉ちゃんの血が飲みたいなー」
妹「……お姉ちゃん、どこ? いないの?」
妹「……いない、のかー……」


42 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 02:21:54.47 ID:TwoiynAD0
男「――Blue moon, you saw me standin' alone
Without a dream in my heart, without a love of my own」
男「……適当な娘を襲い、吸血鬼化させ、経過を観察しても……結果はこんなところか。つまらなくはないが、おもしろくもない」
男「退屈だ。退屈だ。退屈だ。知己はいる、仲間もいる、吸血鬼である我には敵すらいる。なのにこんなにも退屈だ」
男「もう一度繰り返そう。また吸血鬼を作ろう。そうすればきっと、いつか、成功するはずだ」
男「おもしろくなるはずだ。退屈しなくなるはずだ。寂しくなくなるはずだ」
男「――Blue moon, now I'm no longer alone
Without a dream in my heart
Without a love of my own」
男「……I'm no longer alone」


43 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 02:22:35.55 ID:TwoiynAD0
おしまい。


44 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 02:26:23.44 ID:pFK3CEhD0
乙でした


45 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 02:33:27.10 ID:Y7L8MH9LO
>>1


46 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 03:21:21.51 ID:J+GhSNDv0
>>1
なかなかダークだったなあ。


47 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 04:30:54.71 ID:Eidb8wLZO
まだ


48 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 05:29:23.40 ID:Eidb8wLZO



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