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姉「男っ、大きくなったねっ!」
- 1 名前:VIPがお送りします []
投稿日:2010/10/11(月) 18:50:10.25 ID:+J+8RVYA0
とても穏やかな日々。
──ピンポーン。
何かが変わるなんて、思いもしなかった。
母「男ーっ、今、手が離せないから出てくれなーい!?」
男「多分、新しく来た隣の人だと思うぞ?」
引っ越し屋が荷物を運んでいるのを今さっき見たところだ。
母「いいから、お願い!」
男「分かったよ……めんどくせーなー……」
母「印象悪くないようにしてよっ」
男「はいはい」
気乗りのしない足取りで、玄関へ向かう。
──ピンポーン。
男「今、開けまーすっ」
ガチャ……。
- 2 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 18:51:25.05 ID:+J+8RVYA0
少女「よっ、男っ! 戻って来たよっ!」
男「……え? 誰?」
そこにいたのは、とても小柄な女の子だった。
妙に馴れ馴れしく、けれど……
目に涙を浮かべていたのが、俺はとても気になった。
少女「忘れちゃったのっ! 私、姉だよっ!」
男「……姉?」
この子はいったい何を言ってるんだろう……。
少女「戻って来たのっ! 十年ぶりに帰って来たんだっ!」
男「興奮しないで……もしかして、君、お兄さんをからかってる?」
少女「そんな訳ないじゃないっ! もう、ほんと男、大きくなったわねっ」
男「そういえば、なんで俺の名前知ってるんだ?」
少女「忘れるわけないわよっ、だって、あなたが赤ちゃんの頃から知ってるんだからっ」
男「……俺が生まれた時は、君は生きてないだろ……」
少女「今は、そうよっ。でも、昔はそうじゃないのっ」
- 3 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 18:52:11.46 ID:+J+8RVYA0
男「……からかうのは止めなさい。お兄さん、怒るよ?」
ちょっと厳しい顔をして、怖がらせる。
すると、少女は小さな両足で地面を叩いて……。
少女「もう何で分からないのよっ! 私、姉よ! あなたの姉っ!」
……姉? この小さな娘が俺の姉さんだって?
男「……そんな馬鹿な話あるか。だって、姉さんは……」
──十年前に死んでしまったはず……。
男「……ん? 君はさっき何年前って?」
少女「十年前っ! 十年前から戻って来たのっ!」
男「……え……」
そんな嘘みたいな話……信じられるわけがない……。
- 4 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 18:52:50.14 ID:8vC2VuCl0
男「なんだ夢か」
- 5 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 18:53:10.34 ID:+J+8RVYA0
男「……姉さんは死んだはずだ……」
少女「うんっ、死んじゃったよ……」
少女「でも……でもねっ」
分かってる………からかわれてるだけだって気付いてるはずなのに……。
どうしてだろう、どうしてだ?
俺は彼女の次の言葉が聞きたい。
嘘でもいいから……聞いてみたかったんだ。
少女「戻って来たのっ! あなたに会いにっ! 死んだ世界からっ!」
男「……う、うそだ……」
そう、絶対、嘘に決まってる……。
少女「嘘じゃない、ほんとよっ! 男、本当に会いたかった!」
男「……ああ」
信じたくないような信じたいような現実が、そこにはあって。
だから、俺は……。
- 6 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 18:53:54.64 ID:+J+8RVYA0
男「……ね」
男「──姉さん……?」
姉「うんっ! 久しぶりっ!」
昔呼び慣れた彼女の名を、呼んだんだ。
……………。
それは、とても穏やかな日々。
何かが変わるなんて、思いもしなかった。
姉さんが死んでしまってから十年が経ち、
何事も変わらない日常に、少し嫌気がさしていた。
そんな時、一人の少女が我が家を訪ねた。
自分を、俺の姉だと言った。
顔も違う、声も違うはずなのに……
少女の笑みに惹かれてしまうのは、
懐かしさを感じてしまうのは……どうしてだ。
でも、何となく気付いている。
彼女が姉だって、死んでしまった姉さんなんだって。
季節は秋。
俺は……死んでしまったはずの姉に出会った。
- 7 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:05:56.03 ID:RIBR0SSwO
ほぅ…興味深い
- 8 名前:米田 ◆YONE/zixE6 [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:16:33.25 ID:uAYhENTg0
_, ,_ 興味深いスレですヨネ
( ・∀・)
( ∪ ∪
と__)__)旦~~
- 9 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:20:10.19 ID:Qn9cqd8pO
長編か?長編なのか?
- 10 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:21:18.07 ID:fKYs7pj/P
続くなら良いが、続かないならスレ立てんな
- 11 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:31:43.02 ID:+J+8RVYA0
俺には昔、姉が一人いた。
とても自慢になる、歳が五つ離れた、たった一人の姉。
いつからかは分からない。
けれど、物心ついたときには、『姉さん』と呼んでいた。
小さい頃から、彼女の後ろを追い続けて、
どこに行くにも、彼女の手を握りしめていた。
そんな俺を、少しも嫌がりもせず、可愛がってくれた。
とても慕っていたんだ。
父や母よりも……姉のことが家族で一番好きだった。
自意識過剰かもしれないけど、
姉さんも、俺を好きでいてくれると信じていた。
ある日のことだった。
……………。
コンコン。
男「姉さん、入って良いかな?」
姉「もちろんよっ、ほら、こっちにおいでっ」
- 12 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:32:38.48 ID:+J+8RVYA0
男「うんっ」
姉「それで、今日は何があったの?」
男「あんまり今日は面白いことは無かったんだけど……」
姉「いいのいいのっ、聞かせてっ」
男「うんとねー、友達の山北が……」
……………。
俺は、いつも通り彼女の部屋に行って、
今日あった一日の話を詳細に伝える。
姉はそれを黙って……時には笑い、そして驚きながら、
聞き入ってくれた。姉は、聞き上手だったんだ。
でも、その日はそんな姉さんに質問がしたくなった。
本当に、俺を好きでいてくれてるのか。
つまらない話を実は聞きたくないんじゃないか。
- 13 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:33:22.51 ID:+J+8RVYA0
他人の感情を少し気にし始めた年齢だった。
俺は怖かったんだ。彼女の好意を確認したかった。
だから。
……………。
男「ねぇ、姉さん……」
姉「ん?」
男「ちょっと、質問してもいいかな?」
姉「真面目な話?」
男「うん……少し……」
姉「いいわよ。私に答えられることだったらね」
男「…………」
姉「……どうした? 男?」
男「……ね、姉さんは」
姉「うん」
- 14 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:34:26.59 ID:+J+8RVYA0
男「こんなつまらない話……聞いてて楽しい?」
姉「えっ……急にどうしたの? 楽しいわよ?」
男「でも、忙しい日も半ば無理矢理に聞かされてる感じだし……」
姉「別にそんなの気にしないでも……」
男「だから、はっきり教えて欲しいんだ」
男「……姉さん、実は、俺のこと嫌いだったりしない……?」
姉「……男……」
男「…………」
姉「もう、何馬鹿なこと言ってるの?」
男「……うぅ……」
姉「私が、実は男のことが嫌い? 話がつまらない?」
男「……う、うん……」
姉「そんなわけあるはずないじゃないっ」
男「……えっ」
- 15 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:35:19.30 ID:+J+8RVYA0
姉「私が男のことを嫌うわけがないわよ」
姉「それに、つまらない話だなんて思ったこともない」
男「で、でも……」
姉「もう……ほら、耳貸しなさい」
男「……え」
姉「もっとこっちに寄って」
男「う……うん」
姉「この際だから言ってあげる。誰にも言っちゃ駄目よ?」
男「秘密の話?」
姉「そう二人だけの秘密。約束できる?」
男「うんっ」
姉「よしっ」
姉「……実はね、私……」
──世界で一番、あなたのことを大事に想ってるの
- 16 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:35:59.49 ID:Em5GXbM40
そして僕は射精した
感
- 17 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:46:17.32 ID:Pg3hnEt70
期待してる
- 18 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 19:56:36.79 ID:SkYo26LC0
支援
- 19 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/11(月) 20:06:45.69 ID:layTfDkt0
柿「男、大きくなったねっ!」
に見えた
- 20 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 20:12:52.73 ID:+J+8RVYA0
場所を移動して、小さな少女と近くの喫茶店へ。
未だ状況を掴めない俺は、内心の焦りが顔に出ないよう、
必死に平然を装っていた。
姉「うわぁ……お洒落なお店だね」
男「あ、うん……」
姉「私が生きてた頃には確かなかった。でしょ?」
男「数年前に新しく出来たんだ」
姉「やっぱりそうだ。んー……何頼もうかなぁ」
メニューを無邪気に覗いている様は、
ただの年相応の女の子にしか見えなかった。
男「……なぁ」
姉「うん?」
男「……本当に、姉さんなのか?」
姉「そうだよ。……んー、パフェ頼んでもいい?」
男「そりゃ構わないけど……」
- 21 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 20:13:42.60 ID:+J+8RVYA0
姉「やったっ! 何か甘い物食べたかったのっ」
そう言って、ウエイトレスを呼んでいる。
男「……おい」
姉「正直ね、私も混乱してるのよ」
男「どういうことだ?」
姉「これまではずっと普通の女の子として生きてたから」
姉「記憶が戻ったのも……ほんの少し前のことだし」
男「……え」
姉「引っ越したから挨拶しにいきなさいって、ママに言われて……」
姉「呼び鈴鳴らして待ってたら、急にばぁーって」
男「そこで思い出したのか……」
姉「だから、死んだ昔の私と、今の私がごっちゃになって」
- 22 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 20:14:27.95 ID:+J+8RVYA0
姉「絶賛混乱中です、ははっ」
男「笑い事かよ……」
そんな様も死んだはずの姉にそっくりだ。
何事もボジティブを忘れない、彼女はいつもそうだった。
男「……母さんには会わなくていいのか?」
姉「うーん」
会わせようとする俺を断り、外で話をしようと切り出したのは、
少女……つまり、姉さんの方からだった。
男「喜ぶと思うけど……」
姉「それは分かるんだけど……ちょっとね」
男「…………」
姉「今の私には二人の母親がいて、父親がいるの」
男「ああ、そうか」
姉「この頭の状態で会ったら、今以上に混乱しそうでね」
姉「それに……信じて貰えない可能性だってあるし」
- 23 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 20:15:17.20 ID:+J+8RVYA0
男「俺は信じたのに?」
姉「男は別。だってあなたは私のたった一人の弟だもん」
男「何だよそれ……」
姉「ふふっ、でも、ほんとに男大きくなったね」
男「……そりゃあ、十年経てばな」
姉「私の後ろにいつも隠れてたのになぁ……」
姉「可愛いって感じではもうないね」
男「俺ももう二十歳だぞ? 可愛かったら逆に気持ち悪い」
姉さんが死んだときは、十歳。
それから十年が経とうとしている。
姉「そうかぁ……二十歳なんだぁ……」
男「…………」
- 24 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 20:16:50.37 ID:+J+8RVYA0
姉「時の流れって早いもんだね……」
男「……そうだな」
彼女が言うと、それは重みのある言葉だった。
姉「今は大学に通ってるの? 二十歳なら二年?」
男「一浪しちゃったから、一年だな」
姉「ははっ、浪人してたんだ」
……………。
話は尽きなかった。
なんせ十年ぶりに会ったんだ。
その間に話したかったこと、聞きたかったこと……
幼少の頃に戻ったかのように、俺は彼女に話し続けた。
その間も、彼女は昔のように、笑って聞いてくれた。
- 25 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 20:25:30.32 ID:+J+8RVYA0
身体は変わってしまったけれど、
俺の自慢の姉さんに違いない……そう確信する。
俺の話はひとまず終わり、次は姉さんの番だ。
……………。
姉「わたし?」
男「そう、次は姉さんが話せよ」
姉「でもなぁ……話すことと言っても……」
男「今まで、その女の子として生きてきたんだろ?」
男「何だっていいんだよ。教えてくれ」
すると姉は、ニヤリ笑って……
姉「なに? もしかして今の私に惚れた?」
男「……は?」
思いがけないことを言い出した。
- 26 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 20:32:27.05 ID:+J+8RVYA0
姉「今流行りのロリコンってやつねっ」
男「……違います」
姉「もう、恥ずかしがる必要はないのよっ? むしろ、嬉しかったり?」
男「いや、本当に違うから、やめて……」
姉「しかし、あの男がねぇ……」
男「何だよそれ……」
姉「ほら、だって昔は年上キラーだったじゃない?」
男「年上キラー?」
姉「覚えてないかな、初めて私の親友を連れてきた日のこと」
- 29 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 21:01:44.51 ID:DEZkQZIW0
姉15才か。
羨ましい。
- 35 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/11(月) 23:10:12.47 ID:AXQf/Tpx0
下半身がさむい
いつまで待ってればいのかそれだけ教えてくれ
- 36 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 23:10:59.03 ID:fKYs7pj/P
また放置かよ
- 37 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/11(月) 23:14:58.54 ID:4NUmbaPH0
おい…
ちゃんと完結させないなら書くな
…おい
- 50 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:15:09.30 ID:y+sFQaRW0
姉の親友は、能天気で明るい姉さんとは対照的な……
落ち着いていて、けれども、どこかしら艶かしさの漂う人だった。
当時、姉が中学生だったにもかかわらず、
小学生の自分がそう感じたのだから、相当なものだと思う。
ある日、姉さんに連れられて姉の部屋に入ると、
座布団に座った彼女と目が合った。
目尻の横に小さなほくろがあって、
優しそうな笑みを浮かべて、こっちを見ていたっけ。
……………。
男「……え、誰?」
姉「私の親友よっ、仲良くしてねっ」
親友「どうも初めまして、男クン」
男「あっ、どうも」
姉「照れない照れない」
男「て、照れてないよっ」
- 51 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:15:52.30 ID:y+sFQaRW0
親友「お話はお姉さんから色々聞かせて貰ってるわ」
男「え……どんなこと?」
親友「とっても可愛い弟がいるんだって」
姉「ちょっと、余計なこと言わないのっ」
親友「ふふ、聞いてはいたけど、実際に見て納得したわ」
姉「……なんかいやらしい目つき」
男「ね、姉さん、失礼だよ……?」
親友「かなり手なずけてるのね。いいわー姉が羨ましい」
姉「手なずけるって……ペットじゃないんだから」
親友「私もこんな弟欲しかったなぁ……彼氏でもいいけど」
男「……えっ」
- 52 名前:米田 ◆YONE/zixE6 [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:17:11.11 ID:pY7CNFpV0
_, ,_ ドゾー
( ・∀・)
( ∪ と 彡 ―――――=====三三旦
と__)__)
- 53 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:17:18.73 ID:y+sFQaRW0
姉「ちょっとっ! 相手は小学生よっ、なに言ってるの!」
親友「愛に歳の差は関係ないのよ? 知ってた?」
姉「そういう問題じゃないっ、手出したら絶交よ?」
親友「もう、そうカッカしないの。あんたの弟クンは取らないから、ね?」
姉「心配だなぁー……」
親友「でも、弟クンはどう?」
男「な、何がですか?」
親友「わたしのこと好きになったりしない?」
男「えええっ」
姉「ちょっと親友っ! 何言ってんのっ!」
- 54 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:18:27.29 ID:y+sFQaRW0
確かに言われてみれば、年上に好かれることは多かったかもしれない。
姉が死んだ後に付き合った女性は、偶然にも、みな年上だった。
男「…………」
姉「そのだんまりは、やはり思うところがあるんでしょ?」
男「……さあね」
しかし、はぐらかす俺の対応には、納得がいかないようだ。
目の前の少女は、一丁前に厳しい顔つきで……。
姉「何誤魔化してるの?」
男「いや、誤魔化してないって」
姉「そう言えば、まだ聞いてないことがあった」
男「何だ」
姉「今、付き合ってる女性はいる?」
男「いない」
それは本当だ。
- 55 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:19:28.21 ID:y+sFQaRW0
姉「じゃあ、今までは?」
男「…………」
姉「それは、イエスと取っていいのね?」
姉「……お好きなように」
姉「……何よそれ……嘘だと言ってよぉー」
男「そりゃ、二十歳にもなれば恋の一つや二つしているさ」
姉「私の弟が知らぬ間に穢されてる……うぅ……」
男「穢されてるって……」
姉「あっ!」
バンっ、と音が鳴る。
小さくなった姉が、その幼い掌でテーブルを叩いたのだ。
姉「も、もしかして、親友と付き合ってたとかないわよねっ!」
なかなか鋭い質問だ。
男「……ないよ」
姉「それは本当っ? 嘘じゃない?」
- 56 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:20:32.53 ID:y+sFQaRW0
姉「あの娘のことだから、邪魔者がいなくなったとばかりにアプローチかけたんじゃないの?」
男「それはまぁ……当たらずと雖も遠からずって感じだけど」
姉「何よっ、きちんと説明しなさいっ!」
男「ええ……」
姉「お姉さん命令ですっ!」
幼い彼女が腰に手をやっている様は、何とも可愛らしい。
そんなこと、口には絶対に出さないけれど。
男「うーん……あんまり言いふらすのはどうかと思う」
姉「駄目、姉には聞く権利があるんだからっ」
男「…………」
仕方ない。ここは話すしかなさそうだ。
男「姉さんが死んで直ぐってわけじゃない」
男「そうだな……俺が高校生の時だ」
男「しばしばあの人が訪ねてきた頃があってな……」
- 57 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:21:12.11 ID:y+sFQaRW0
彼女が姉に線香をあげたいって家を訪ねたことがあった。
その時、俺は高校一年生。
姉の死で、まだ立ち直れず、無茶やっていた頃だった。
葬式で会った以来の彼女はとても綺麗になっていて、
胸元が大きく開かれた服装に、内心は、どぎまぎしていた。
けれども俺は、ずっとむすっとした表情で、
彼女との会話に付き合うつもりは更々なかった。
話の途中、母が買い物のため抜けた後、
彼女と二人っきりの時に、久しぶりの会話が始まった。
……………。
親友「ねぇ、男クン?」
男「……はい?」
親友「さっきから黙ってるけど、何か怒ってる?」
男「別にそういうことじゃないです」
親友「なんか顔つき変わったわね」
男「…………」
- 58 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:22:30.35 ID:y+sFQaRW0
親友「昔はあんなに可愛かったのに、今はちょっと怖いくらい」
男「……そうですか」
親友「まだ、立ち直れないの?」
男「…………」
親友「私から言うのも変だけど、あんまり考えても意味はないわよ」
男「……無駄ってことですか?」
親友「そう、意味のない時間を割いてるだけ」
親友「早く前を向きなさい。それが生きてる者の務めなんだから」
男「生きてる者の務めですか、詩的ですね」
親友「馬鹿にしないで。今のあなたは最低よ」
男「……最低ねぇ」
親友「一体、どうしちゃったの? 何でそんな風に?」
男「自分では何も変わったつもりはないですけどね」
親友「いや、変わったわ。自分自身でも分かってるはず」
男「…………」
- 59 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:23:26.13 ID:y+sFQaRW0
親友「はぁ……今のあなたをお姉さんに見せてやりたいわ」
男「……っ」
親友「なんて言うでしょうね。大体、想像はつくけど」
男「……なんて言うと思います?」
親友「……早く」
男「え?」
親友「『早くしゃきっとしろっ!』」
男「……な」
親友「いつまで引きずってるつもり? あれから何年経ってると思うの?」
男「……引きずってなんか」
親友「嘘言いなさい。構って欲しくて仕方ないって顔してるわよ」
男「してねぇよ」
親友「だったら鏡で見て来なさいよっ、ふ抜けたアホの顔が見れるから」
男「……お前……」
- 60 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:24:42.43 ID:y+sFQaRW0
親友「ついにはお前呼ばわり、滑稽ね」
男「……ッ」
男「早く立ち直れ? しゃきっとしろ?」
男「部外者が口を開けば、偉そうにっ」
男「この数年、線香もあげにこないで、良く人のことが言えたもんだなっ!」
親友「……それは」
男「そんなお前に俺の何が分かる?」
男「この数年間会ってこなかったお前が、何が分かるんだっ!」
男「分かってもいないのにっ、偉そうなことほざくんじゃねえっ!」
親友「…………」
親友「……あなたの言う通り」
親友「私には他人の気持ちなんか分からない。分かる訳もない」
- 61 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:25:28.99 ID:y+sFQaRW0
親友「残念だけど、私は男クンじゃないし、肉親が死んだわけでもないから」
男「……ッ」
親友「でもね、今のあなたを見てるといらいらするのよ」
男「…………」
親友「そろそろ立ち直るべきよ。もう悲しんでる日々は終わりなの」
男「俺は立ち直ってるつもりだ」
親友「その不良崩れの態度が? 死んだ姉に胸はれる?」
男「……くっ……」
親友「今日は姉に線香をあげるために来たんじゃないわ」
男「じゃあ何しに来たっていうんだよ」
親友「あなたに会いに来たの」
男「……俺に? 何のために?」
- 62 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:26:22.65 ID:y+sFQaRW0
親友「そのひねくれた性根、叩き直しに来たのよ」
男「……何だよそれ……」
親友「冗談なんかじゃない。これから何度だって来てやるから」
親友「……覚悟しなさい」
……………。
久しぶりの出会いは、喧嘩別れだった。
彼女が帰った後の俺は、何かと物に怒りをぶつけ、
けれども、胸の中に残る感情を持て余していた。
後になって気付く。
姉が死んだ後、そうやって怒りを表面に出したのは久しぶりだと。
初めて、自分の想いをぶつけたんだって、気付いたんだ。
それからというもの、彼女は何かと我が家に足を運んだ。
時には殴り合いになりそうな時もあった。
- 63 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:27:12.95 ID:y+sFQaRW0
そんな日々が続いた。
でも、ある日のことだった。
いつの間にか……彼女との言い合いを楽しみにする自分を見つけてしまう。
今までの自分がいかに愚かで情けなかったか。
それに気付いてしまった。
そして、その日も、いつものように彼女は我が家を訪れた。
……………。
親友「さあて、今日こそは白黒はっきりさせるわ」
男「……ああ」
親友「ん? 今日はやけに元気がないわね?」
男「……そんなことないさ」
親友「もしかして、風邪でも引いた? 体調悪い?」
男「悪くない」
親友「キツいなら言いなさいよ。今日は線香だけあげて帰るから」
男「……なぁ」
- 64 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:28:17.53 ID:y+sFQaRW0
親友「なに?」
男「どうして、あんたはそんなに親切にしてくれるんだ?」
親友「……親切って、別にあなたの性根が気に食わないだけ」
男「死んだ親友の弟ってだけだろ? ここまでする必要あるか?」
親友「だから……」
男「……もう分かったんだよ」
親友「……え」
男「俺が間違ってた……俺が悪かったよ……」
親友「男クン……?」
男「ははっ、久しぶりにその呼び名で呼んだな……」
親友「だ、だって……」
男「ありがとうな。俺……もう、やめるよ」
親友「…………」
男「しっかり生きる。前を見る」
- 65 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:29:27.96 ID:y+sFQaRW0
親友「本当?」
男「おう、今のままじゃ、姉さんに顔向け出来ない」
親友「……やっと分かったじゃない」
男「ありがとう……あんたのお陰だ」
親友「…………」
男「だから、聞きたい」
男「どうして、こんなに親切にしてくれたんだ?」
男「あんな駄目なヤツだったのに……めげずに向かって来てくれたのは何故だ?」
親友「……分かんない?」
男「んー、俺は馬鹿だからな」
男「あんたが実は俺のことを好きなんじゃないかなって、馬鹿げた理由しか思いつかない」
親友「正解よ」
男「……え?」
- 66 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 05:30:15.52 ID:y+sFQaRW0
親友「あなたのことが好きだから。いや、好きだったから」
男「ちょ、ちょっと待てよ……からかってんだろ?」
親友「実は初恋だったのよ。小さな可愛い男の子に惚れちゃったわけ」
男「う、嘘だ……」
親友「嘘じゃないわ。そうじゃなければ、こんな面倒なことしない」
男「…………」
親友「本当はもっと前に会いたかった……」
親友「でも、姉が死んでから直ぐって訳にはいかなかったし」
親友「それに、私も頭の整理の時間が必要でね。正直、姉の死で堪えたの」
男「……それはそうだな」
親友「良かった。これで、やっと振り出しに戻れるのね」
男「…………」
親友「好きよ。私、男クンが好き」
- 74 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 08:41:10.99 ID:m4tpj8Nl0
これは今日中に書ききれなかったら完走しないな
- 75 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/12(火) 08:44:18.72 ID:YkD1DPJOP
役割を名詞として問答させるのはいい加減気持ち悪い
- 93 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 16:36:54.93 ID:Ib6yd4ssO
えと…もうパンツはいてよかですか?
- 103 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 19:43:33.67 ID:U0qB+cS20
結局、付き合うことはなかったけれど、
彼女にはその後、色んなことを教えて貰うことになった。
彼女がいなければ、今の俺はいない。
いつまでもへこたれて、下を向くばかりだったはず。
時には、ベットを共にしたこともある。
女性の扱い方から、男らしくあるためには、など。
様々なことを学んだ。
姉「……そうなんだ」
男「彼女には感謝してるよ」
けれど、大人の付き合いがあったことは、
姉さんに伏せておいた。
理由は分からない。
でも、そうする方が良い気がした。
姉「それなのに、付き合わなかったんだ?」
男「ああ……何でだろうな」
- 104 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 19:44:14.38 ID:U0qB+cS20
姉「好きだったの?」
男「……分からない」
姉「分からない?」
男「あの頃は、恋愛感情はなかったのは確かだ」
けれど、最近は思う。
もしかしたら、俺は……
彼女のことを好きだったのかもしれない。
男「でも、終わったことだ」
姉「……男」
男「姉さんがこれ以上気にすることはないさ」
姉「……それで、親友は今どうしてるの?」
男「大学を卒業して、海外に行った」
- 105 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 19:44:17.06 ID:A1F5XRcT0
キターーーーー
- 106 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 19:45:33.58 ID:U0qB+cS20
男「料理を真剣に勉強したいんだって。俺は応援したよ」
姉「…………」
男「だから、姉さんが会いたくても今は無理だけど」
姉「……本当に」
男「ん?」
姉「本当に、海外に行きたかったのかな?」
男「……そう聞いてる」
姉「止めて欲しかったんじゃないの? 男に」
男「…………」
どうだろうか。
今はもう分からない。
それに……
仮にそうだったとしても、もう手遅れなんだから。
……………。
- 109 名前:たまにIDは変わりますが、気にしないで下さい。 [] 投稿日:2010/10/12(火) 20:10:51.88 ID:81K2erk+0
少しの後、喫茶店を出る。
二人で並んで歩道を歩いた。
ただそれだけが、俺にはとても懐かしかった。
昔、姉の手を握り、二人でよく歩いたものだ。
彼女の歩幅に必死に合わせようとして、膝を擦りむいた。
そんな過去が今では良い思い出だ。
今は、幼い姉に二十歳の弟。
今度は彼女に合わせるのが、俺の役目。
向かう先は……
彼女の要望で、地元の中学校へ。
死んでしまう前の姉が、毎日登校していた場所だ。
かつては俺も通った……そのせいだろうか。
思い出すまでもなく、身体が自然と学校へ向かう。
そして……
懐かしの場所へ、俺達は戻って来た。
- 110 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 20:32:13.52 ID:aeLiZYOoO
なんか切ないな
- 111 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 20:39:46.08 ID:81K2erk+0
姉「うわぁ……」
男「どう? 久しぶりだろ」
姉「うん……とっても、懐かしい」
男「…………」
姉さんは、ゆっくりと校庭を歩きながら、
校舎をただじっと眺めていた。
姉「十年も経ってるのに、変わってないね」
男「そうだなぁ」
姉「私、何度もここを通ったんだ」
姉「晴れの日も雨の日も……ずっとね」
男「うん」
姉「そうかぁ……そうなんだ……」
男「ん?」
- 112 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 20:41:44.50 ID:Lldms4rN0
支援
- 113 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 20:41:56.45 ID:81K2erk+0
姉「あと卒業まで数ヶ月だったのに……」
姉「私は、死んじゃったんだね」
男「…………」
姉さんが死んだのは、冬のことだ。
あと三ヶ月で終わる中学生活だった。
姉「もったいないことしちゃった」
男「……いいんだよ」
姉「え?」
男「もう一度、繰り返せば、さ」
姉「…………」
男「折角、新しい身体になったんだから」
男「前の分も一緒に、楽しめよ」
姉「……そうよね」
- 114 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 20:43:05.88 ID:81K2erk+0
男「一回やってるんだから、勉強だって楽だろ?」
姉「はは、男、良いことに気が付いたっ」
二人で笑い合う。
でも本当は、笑えるような話ではない。
彼女にしてみれば、辛く苦しい現実のはずだ。
この俺が想像もつかないほどの、
悔しさを感じているに違いない。
だけど。
久しぶりに姉さんと会えたこの日を……
少しでも暗くするのは、嫌だった。
姉「ねぇ、あれ」
- 115 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 20:43:56.71 ID:81K2erk+0
男「どうした?」
姉「ほら、体育館っ」
男「ああ、そうだな……行ってみるか?」
姉「うんっ」
男「よし」
二人で体育館に向かう。
その時、横にいる姉が小さな声で呟いた。
姉「男は覚えてるかな?」
姉「昔もこうやって二人で来たことあったよね」
姉「休みの日に体育館に忍び込んで──」
- 124 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/12(火) 23:22:38.28 ID:Kl5te+DqP
単なる保守スレだな
- 128 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/13(水) 00:21:40.94 ID:/+9Z/kxKO
>>1はやる気があるのかないのかわからない
- 129 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/13(水) 00:30:22.17 ID:F9/iPQa2O
ぬーべーでこんな話あったよな。
- 134 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/13(水) 01:20:10.46 ID:7ybHLkqK0
>>129
あれだろ、ひろしのお母さんが養女になってでてくるやつ
- 145 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/13(水) 08:16:39.12 ID:sdbyFj8aO
おっさんボディに乙女回路を搭載している俺は「輪廻転生の果てにある愛」というシチュエーションだけで胸毛に覆われたガラスのハートがキュンキュンしちゃう
- 162 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/13(水) 18:24:39.09 ID:pHKhSkr40
ほ
姉が学校でいじめられるルートなら
裸で電車に乗ってもいいぐらい>>163が
- 185 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 06:07:06.40 ID:+kN2TBRo0
今あるSSスレで一番好きなのに>>1はどこ行ったのさ
- 187 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 07:28:04.81 ID:hOMeGrXN0
もう2日過ぎてるけどいつ来るんだろうね>>1
- 190 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 08:56:53.83 ID:SkgJon4a0
お前らが保守するからこういう糞書き手が調子に乗るんだよ
また書きたかったらスレ立てでもするだろ
- 197 名前:1 [] 投稿日:2010/10/14(木) 14:14:15.89 ID:0pxrRAPS0
すみません、落としてください。
構成はできているんですが、如何せん時間が取れません。
本当に申し訳ないです。
完成したらまたスレ立てを行いますので、
その時にまた読んでくださると有り難いです。
保守して下さった方、支援なさってくれた方、本当に申し訳ありませんでした。
一週間以内に完結させますので、その時よろしくお願いします。
ありがとうございました。
- 198 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 14:58:15.77 ID:mGAwXI5jP
おいおい
- 199 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 15:13:23.77 ID:CaDuv4/S0
ふざけんなよおおおおおおおおおおおお
- 200 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 15:17:40.38 ID:10N7guA50
ヽ(゜∀。)ノ
- 201 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 15:25:26.77 ID:M1k9Lft30
男「あったなぁ……アレ?あの時は何で来たんだっけ?」
姉「覚えてないの?ショックだなぁ」
男「ごめん。なんか来た覚えはあるんだけど何したのか、どうやって帰ったのかよく覚えてないんだ」
姉「…あの頃の私って楽しそうにしてた?」
男「うん」
- 202 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 15:26:22.23 ID:M1k9Lft30
姉「そう……ちゃんと楽しそうに出来てたんだ…」
男「?」
姉「…あの頃……私イジメられててね…」
姉「親身になってくれてた親友が裏で指示してたの」
男「…嘘だろ?」
- 203 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 15:27:07.77 ID:M1k9Lft30
姉「あの日私は見知らぬ男と援交するか男と近親相姦するよう言われてて…」
姉「……だからあの日…」
姉「……体育館で…」
姉「……私は…」
- 204 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/14(木) 15:29:13.11 ID:mU88hjdW0
爆発した
- 205 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 15:29:27.47 ID:iMmG6OtP0
俺「おとなしく>>1がスレ建てるの待ってるからっ!!
だからもうそんな話はやめてくれっ!!!」
- 206 名前:ごめんね [] 投稿日:2010/10/14(木) 15:31:03.81 ID:M1k9Lft30
姉「……爆発したの」
男「…あ……あああ゛………」
俺は全てを思い出した。
十年前の冬、底冷えする体育館で姉は爆発して俺を暖めてくれたのだった。
- 207 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 15:33:21.93 ID:mGAwXI5jP
つまんね
ただのスレ汚しだからやめろ
- 208 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 16:02:48.45 ID:Trs6Eq2A0
姉は爆発しねぇよks
- 209 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 16:27:27.78 ID:fnPnypUp0
嘘だろ・・・?
なぁ、嘘と言ってくれよ・・・!こんなのっ・・・こんなのってないよ・・・・!!
- 210 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 17:51:02.05 ID:zbh++2zWO
まだだ
- 211 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/14(木) 17:56:09.17 ID:7EYGUN1h0
もう大人しく落とせよ
- 212 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 18:19:28.99 ID:hOMeGrXN0
1日に必須なレス 26レス程。
1週間= 278レス
まだ大丈夫だ
- 213 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 18:42:36.70 ID:dI1f6OOXO
落とさないよ
- 214 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 19:21:42.74 ID:8Nn8GL2C0
ち
- 215 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 19:59:44.61 ID:8Nn8GL2C0
なんで時間ないくせにスレたてんだよしね
- 216 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 20:29:10.54 ID:RqUS+g470
落ちるぞ
- 217 名前:1 [] 投稿日:2010/10/14(木) 20:32:45.97 ID:0pxrRAPS0
分かりました。
いけるとこまでいってみます。
少しだけお付き合いください。
- 218 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 20:38:28.28 ID:jc4zglwX0
お
- 219 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 20:39:20.67 ID:0pxrRAPS0
中学三年になると、学芸発表会という催し物がある。
各クラスが自分たちが決めた出し物をして、
それを全校生徒の前で発表するというものだ。
俺が小学四年、つまり、姉さんが中学三年の時。
彼女のクラスでは、合唱をやることになった。
一人の生徒がピアノの伴奏をして、
それに合わせて他の生徒たちが歌を唱う。
そのピアノの演奏者として白羽の矢が立ったのが、
俺の姉さんだった。
男「でも姉さん、ピアノ引けるの?」
姉「小ちゃい頃に少しだけ習ってたよ」
男「えっ、それで大丈夫?」
姉「うちのクラス、他に引けそうな人がいなくてね」
- 220 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 20:40:30.85 ID:0pxrRAPS0
姉「私がやるしかないんだ」
男「……そうなんだ」
姉「でも、久しぶりに鍵盤触ったし……正直不安だよ」
男「練習はした?」
姉「うん、最近帰りが遅かったのもそのため」
姉「自分では結構やれた感触はあるんだけど、んー」
男「そうかぁ……ちょっと心配だね」
姉「ははっ……私がしくじると大変なことになっちゃうしね」
男「……姉さん」
姉「大勢の人の前で演奏したことないからなぁ……どうなることやら」
男「……ねぇ」
姉「ん?」
- 221 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 20:41:16.65 ID:0pxrRAPS0
男「良ければ、僕に聞かせてみてくれないかな?」
姉「え……何を?」
男「姉さんの演奏、聞いてみたいなぁ」
……………。
何となく口に出た言葉だった。
だけどそれを聞いた姉さんは、少し考える様子を見せた後、
綺麗な笑顔見せて……
『見せてあげる』
そうとだけ言った。
暗い夜道、手を繋がれて向かった先は、
彼女の中学校。
本当なら怖いはずなのに、
その時は胸がワクワクするだけだった。
大好きな姉さんと、二人きりの演奏会。
それが始まるんだって、高まる気持ちを抑えられなかったんだ。
- 222 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 20:41:35.93 ID:RqUS+g470
>>1はやればできる子
- 223 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 20:42:11.50 ID:0pxrRAPS0
偶然にも、体育館の窓の鍵が一つかかっていなくて、
俺と姉さんはそこを潜って中へと入った。
真っ暗闇の体育館。
窓の外から、綺麗な満月が見え、
そのか細い光が舞台を照らし出す。
美しく輝く、大きなグランドピアノがそこにはあった。
そして──
……………。
男「うわぁ……綺麗……」
姉「男、引くね?」
男「う、うんっ!」
姉「ところどころ失敗するかもしれないけど」
姉「その辺は、勘弁してね」
- 224 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 20:43:28.87 ID:0pxrRAPS0
男「大丈夫だよっ、姉さんなら絶対大丈夫だっ」
姉「ふふっ、ありがと」
姉「姉としては、弟の期待には応えないと駄目よね」
姉「……よし」
男「……う、ん」
姉「…………」
姉「では、聞いてください」
姉「三年D組、合唱。唱う曲は……」
- 225 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:10:10.74 ID:/cC0vcl50
さるったか
- 226 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:28:21.26 ID:8TckauZb0
歌う曲は!?
- 227 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:31:11.17 ID:EtCofrD2O
姉「JAM-ProjectでDRAGONです。お聞きください」
- 228 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:50:32.00 ID:0pxrRAPS0
あの日、美しい音色を聞いた。
彼女は俺のために歌声まで聞かせてくれた。
暗い暗い世界の中で、
月に照らされた姉さんはとても美しく見えて、
幼い俺は、ただ呆然とその姿を眺めているだけだった。
いつも近くにいるはずの、身近な存在の彼女が
遠く果てまで行ってしまうようなそんな錯覚に落ち入った。
それは、幻想的な時間だった。
けれども、畏怖すら抱かせた。
俺は恐ろしかったのだ。
大好きな姉と、いつかは離れなければならない時が来ると。
今までのように、永遠に一緒に居続けることは出来ないと。
- 229 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:51:15.16 ID:0pxrRAPS0
幼い俺とは違って……
姉さんは高く高く飛ぶことが出来るのだ。
果てしなく、どこまでも。
いつかは別れの時が来る。
それが不幸にも……そう遠くはなかった。
三ヶ月後。
姉さんは……死んだ。
……………。
職員室で昔馴染みの教師の許可を貰い、
校舎の階段を上がって、俺達は屋上へ。
- 230 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:52:02.96 ID:0pxrRAPS0
姉「うわぁ……すごい……」
雲一つない大空がそこには続いていた。
地平線の彼方に見えるのは、赤く輝く太陽。
少しずつ、空が紅の色に染まっていくのが分かる。
男「こんないい天気久しぶりに見る」
姉「だね……私達の再会を祝福してくれてるみたい」
男「はは、なんだそれ」
姉「もう笑わないのっ、こっちは至って真剣なんだから」
男「……そうか」
小さな身体の少女が俺の横にいる。
姉「もう今日も終わるんだね」
男「そうだな……日が暮れるのも早くなったな」
姉「ふふっ、楽しいことってすぐに過ぎちゃうね」
男「ん……」
- 231 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:53:06.80 ID:0pxrRAPS0
俺の腹ほどの背丈の少女が横にいる。
姉「……でも不思議……またこうやって二人でいられるなんて」
男「…………」
姉「奇跡ってあるんだねっ。そんなの信じてなかったのに」
男「俺もだ」
姉「でも、今一緒にいるよ?」
男「ああ、そうだな……」
今まで見たことのなかった少女が俺の横にいる。
姉「……ほんと、不思議」
男「…………」
姉「ねぇ、男」
男「ん?」
姉「私と会えて、嬉しい?」
男「勿論だ」
- 232 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:53:56.90 ID:0pxrRAPS0
姉「本当に?」
男「嬉しくないわけがないだろ?」
姉「……っ」
男「おおっ」
急に、横から衝撃を受ける。
同時に、彼女の身体がすっぽりと腕に収まった。
少女は顔を上げない。
姉「……ごめん……」
男「何だよ、急に……」
姉「……ごめん、ね……」
男「……なんで」
なんで姉さんが謝るんだ……。
姉「ごめん……ごめん……」
男「いいから、謝るな」
姉「……でも……」
- 233 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:54:41.56 ID:0pxrRAPS0
男「会えたんだよ、俺達は」
男「十年かかっちゃったけど、もう一度会えたんだ」
姉「……うん」
男「だから、謝る必要なんてない」
男「そもそも、姉さんが謝る理由なんてないんだ」
姉「……男」
そう、本当に謝らなければいけないのは──
男「今は、久しぶりのこの再会を喜ぼう」
姉「…………」
男「しんみりしたのは嫌いなんだ。昔みたいに明るくしてくれ」
姉「何それ……私、能天気みたいじゃん」
- 234 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:55:46.33 ID:0pxrRAPS0
男「ははっ、違ったか?」
姉「もう……男ったら……」
男「悪いな、でも、本当にいいだぞ?」
姉「……うん」
男「また会えて良かったな」
姉「うん、良かった……」
姉「本当に良かったよ……」
男「ああ……」
姉「……ねぇ、男」
男「どうした?」
目を赤く腫らした一人の少女がいる。
- 235 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:56:31.98 ID:0pxrRAPS0
姉「……私ね」
姉「遠い遠いところから……」
姉「……やっと」
とても幼くて、背丈も小さくて。
今まで出会ったこともない、顔も知らない少女。
だけど、本当は……
男「…………」
姉「……戻って来れたよっ」
──俺の姉……自慢の、大好きな姉さんなんだ。
- 236 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:57:17.03 ID:0pxrRAPS0
俺は体育館のあの日を思い出す。
二人だけの演奏会があった、あの夜を。
男「うわぁ……綺麗……」
姉「男、引くね?」
男「う、うんっ!」
姉「ところどころ失敗するかもしれないけど」
姉「その辺は、勘弁してね」
男「大丈夫だよっ、姉さんなら絶対大丈夫だっ」
- 237 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 21:58:11.15 ID:0pxrRAPS0
姉「ふふっ、ありがと」
姉「姉としては、弟の期待には応えないと駄目よね」
姉「……よし」
男「……う、ん」
姉「…………」
姉「では、聞いてください」
姉「三年D組、合唱。唱う曲は……」
──『翼をください』
……………。
- 238 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 22:00:04.54 ID:dtpAiYPj0
いま私の願いごとが
かなうならば翼がほしい
この背中に鳥のように
白い翼つけてください
この大空に翼をひろげ
飛んで行きたいよ
悲しみのない自由な空へ──
翼はためかせ行きたい
- 239 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 22:04:03.28 ID:B2+9ZOccO
昔のテレビ番組思い出す歌
- 240 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 22:05:40.12 ID:sjzM7Ngq0
そぉいや、みんな口パクで歌ってたな
- 241 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 22:09:11.50 ID:zbh++2zWO
厨房の頃は妙に恥ずかしくて声が出ないなww
- 242 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/14(木) 22:10:55.52 ID:v9psKM5cO
スレタイを姉に脳内で言わせたら吐いた
- 251 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/15(金) 01:11:34.19 ID:cv877QIMO
せっかくここまで来たんだから完結するまで続けてくれ
- 252 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/15(金) 01:20:53.91 ID:v/9rSAxn0
いい文章だが、翼をくださいはな・・・
- 253 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/15(金) 01:52:29.92 ID:/04yNAgZ0
なんでスレ立て直さなかったの
- 254 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/15(金) 02:07:19.26 ID:LMwr8GGl0
まだいけるはずだ。
そうだろ?
- 273 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/15(金) 16:42:00.05 ID:hW51OHfwP
そろそろ諦めるか
- 274 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/15(金) 16:51:46.67 ID:ZNZ9fkEt0
そうか、お前が決めたならもう俺には関係の無いこと(素っ気無い態度)
ただ、俺は一人でもあいつを待ちつづける(遠い目)
フッ・・・それがあいつとの約束だからな(黄昏)
- 300 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 05:56:25.15 ID:275dAhnL0
>>1しか読んでないけど悲しいお話なの?
鬱になるのは嫌なんだけど姉SSは気になる…
- 301 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 06:02:28.08 ID:vtGqt3am0
>>300
ここまでは鬱な話ではないが切ない感じ
- 302 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 06:04:15.63 ID:275dAhnL0
>>301
そうか
今度そんな気分の時によみます
- 303 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 06:09:36.94 ID:+gk723zj0
でもSS的には、姉消えちゃうような・・・Angel Beatsぽい。
- 305 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 08:00:26.53 ID:BjqEqpwKO
予想はあんまりしない方がよくないか?
- 306 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 09:21:53.76 ID:+QvnqvWk0
では、期待だけしていよう
- 309 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 11:46:17.31 ID:+gk723zj0
>>304-306
>>1さんは時間が多忙だから1週間掛かるっていってたでそ。
だから22日まではスレ維持しようぜ。
- 310 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/16(土) 12:00:46.93 ID:mxi7HhGVO
>>309
19日までしか無理なんじゃない?
8日落ちルール、変わった?
- 311 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 12:26:09.72 ID:fx6yFvy80
>>310
そんなルールあんの!?ニワカスマソ
- 312 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 12:44:18.28 ID:2/G78Nt40
22日までってwwwwwww
それこそ>>1が書きたかったらスレ立て直すだろwwwww
- 313 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 13:28:26.38 ID:HEOnKoIqP
ここまで保守されてるんだから続けてくれよな
- 315 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/16(土) 14:23:20.06 ID:UAhmI47e0
もう落とせよ
- 316 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 14:50:13.65 ID:fx6yFvy80
いいじゃねぇか足掻こうぜ
ほしゅ
- 324 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 18:24:34.43 ID:kXenELOV0
俺の姉がこんなに可愛いわけがない
- 325 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2010/10/16(土) 18:52:20.07 ID:8FfiLlItO
今は8日ルールだっけか
3日ルールのときはスレの進みが早くてよかったのに
- 326 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/16(土) 18:53:59.19 ID:9nCk66UW0
人が減ったからな
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