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妹「ねーちゃん」
1 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 02:27:07.27 ID:WKGNSjc60
妹「ねーちゃん」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1297531494/


2 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 02:27:35.37 ID:lpq2StR40
>>1さんきゅ


3 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:27:57.02 ID:hScnV2qb0
>>1来るのかな


4 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 02:28:38.58 ID:WKGNSjc60
突然落ちたから立てたけど来なかったら落としてくださいな


16 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:35:48.25 ID:kEbtrW1l0
8日ルール落ちか


24 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:41:59.29 ID:lIRmdAWd0
ありがとうございます


32 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:45:51.35 ID:lIRmdAWd0
兄「はっはっはっはっは! ははは! はぁー、はぁ、笑った……」

姉「お腹が痛い」

妹「のどいたい」

兄「生きてるって事だ」

妹「そうなの?」

兄「そうさ」


34 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:46:16.07 ID:0HNJiOn30
俺は兄になりたい


35 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:47:04.09 ID:lIRmdAWd0
兄「あー、だめだ。やっぱりだめだな。……シリアスなんて俺のガラじゃねーわ」

姉「そうだな」

兄「似合わない事はつづかねぇ、何事もな」

姉「そうだな」

兄「けど、6年続いたって事はそれなりに似合ってたって事だろうか」

姉「そうだな……弟くん」


36 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:48:29.27 ID:lIRmdAWd0
妹「ねーちゃん」

姉「ん? どうした?」

妹「あたし、二人の妹なんだよね?」

姉「ああ、そういう事だぞ?」

妹「耳貸して」

姉「うん?」

妹「妹って、兄と結婚できるの?」

姉「さあな、おにーちゃんに聞いてみたらどうだ?」

妹「えー! おしえてよー! けちー!」

兄「なんだなんだ?」

姉「いや、この子がな」

妹「ねーちゃん!」

姉「ふふっ」

兄「?」


37 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:50:47.81 ID:lIRmdAWd0
ニー

ニャー

妹「んー? おなかすいたのー?」

ニーニー

ニャー

妹「もう、食いしん坊なんだから、ちょっとまっててね」

トテトテ

ニー

ニャー


38 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 02:52:01.45 ID:lpq2StR40
>>24おかえり!

安心した、これで風呂入れる…


39 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:53:43.54 ID:0HNJiOn30
妹さんを僕に下さい


40 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:55:11.74 ID:lIRmdAWd0
姉「必要な事は全て子供から教わる……か」

兄「誰の名言だそれ」

姉「名無しの母親」

兄「だったら名無しの父親の願いは一つだ」

姉「うん?」

兄「’にーちゃん’と呼んでもらう」

姉「……にーが居る限り難しそうだが……」


41 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:56:55.64 ID:lIRmdAWd0
兄「猫などには負けん」

姉「猫に対抗意識を向けてる事が問題ではないのか」

兄「ふーーーーーー!!!」

姉「やれやれ……」

兄「ふん、どうせやるなら壁は高い方がいい」

姉「そうか、相変わらず君らしくて安心したよ」

兄「ねーちゃんこそ、すっかり口調が戻ったな」

姉「私はもう……母である必要がないからな。そういう君こそ」

兄「姉上、懐でオムツを暖めておきましたでござる」

姉「介護用か」

兄「口の調子も戻ってきたな」

姉「……ふふ」


42 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 02:58:59.47 ID:WSbXLGVh0
寝たい・・けど朝からこれを確認するのも一日のテンションが・・・


43 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 03:01:18.12 ID:hTXOcBva0
>>39
おまわりさーん!!


44 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 03:04:15.81 ID:0HNJiOn30
尿意と眠気がやばい


45 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 03:06:42.84 ID:SXK+oCEr0
>>44小便くらい行ってこいよwww


46 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 03:07:19.69 ID:0HNJiOn30
>>45いってきます


47 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 03:19:01.06 ID:lIRmdAWd0
名無しの母親なんて大したことはない。


小学校入学時よりテストというテストでは殆ど満点かそれに近い点数を連発。
5・6年生の時に児童会長を歴任、得票率99%で当選する。
小学校卒業のときに両親が蒸発、行政の指導により孤児院に入居させられるも、
いじける事無くスポーツ・勉学に励む。
孤児院という閉鎖的な環境で周囲からのいじめをうける事があったがこれに屈せず、
同い年に不出来な弟が一人居たがその弟の家庭教師も勤めつつ、自信も中学校・高校もトップの成績を維持。
所属していた陸上部では200mでインターハイ出場を果たす。
実業団、体育大学、地方の陸上強豪大学などからスカウトされたが、
弟と同じ大学に通い、生活費を減らすという名目でワンルームのマンションに二人で暮らす。
大学では心理学を専攻、勉学の傍ら「アルバイトをして生活費を稼がないといけない」という理由で陸上を断念し、
時給720円のスーパーのレジ打ちを始める。老若男女に評判はよく、彼女を目当てにレジに並ぶ客も居たという。
就職はせず院に進学しようとしていたところに、娘(妹)と出会う。
その時母になる事を決断、育児のため学業をスッパリ断念。
娘が夜泣きをすれば一晩中置き続け、背中を優しく撫でるという溺愛っぷり。
母乳で育てられない事に悩むが、弟曰く「研究熱心な性格」が幸いし
独自の製法で作ったミルクを作る事で悩みを断ち切る。
裁縫も得意で、娘の服を作っては着せるという趣味がある。
ご近所との付き合いも良く、近所の奥様の間では「悩みがあれば一番最初に相談したい人」と認識されている。


そんなどこにでも居る名無しの母親、それが姉。


48 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 03:37:21.70 ID:hScnV2qb0
良い・・・姉だな・・・


49 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 03:48:16.04 ID:9pJ9XdmbO
支援です


50 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 03:49:12.35 ID:UBEza9IJ0
なんでこんなに切なくなるんだ


51 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 03:50:54.61 ID:lpq2StR40
紫煙


52 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 03:51:29.46 ID:lIRmdAWd0
名無しの父親なんて大したことはない。


桜もそろそろ咲こうかという季節に会社経営者の父、良妻賢母の母の元に産まれる。
何をするにもどこに行くにも11ヶ月早く生まれた姉の後をくっつくように歩き、その姿は母おして「カルガモの子供」と言わしめる程。
甘やかされるようにして育った為我慢には弱く、自他共に認める「喧嘩っ早い性格」で、同じクラスの男子を泣かせた隣のクラスの番長と喧嘩をする極悪人。
クラスの女子からは弟とか弟くんとか呼ばれるのが気に入らずに姉に向かって「兄と呼べ」と要求する破天荒っぷり。
結局姉には勉学でもスポーツでも勝てずに、ならばと立候補した学級委員では姉21票弟19票の2票差で破れている。
これは「姉は優秀だ、自分なんかに負けるはずはない」と自分の票を姉に入れたためであり、姉泣かせな罪深い弟である。
しかし、人生もこのまま順風満帆にいくかと思われた矢先、父の会社の経営が立ち行かなくなり倒産してしまう。
小学校卒業のその日、父から別れを告げられ孤児院へと入所させられる。
孤児院では壮絶ないじめに遭うもそれを持ち前の「喧嘩っ早い性格」で跳ね除ける。
父を恨み、その恨みが生きる糧になっていた。その恨みを晴らす方法を模索し、それが勉強にあると勘違いした男は姉に対して
「俺の勉強をみてくれ、頼む」と無茶な要求をする。中学時代は底辺を彷徨っていた成績は嘘の様に上昇カーブを描き、いつしか姉を上回る程になっていった。
さすがに「自分が姉に勝てる訳が無い、これには理由がある」と思ったらしく、その原因が孤児院に入居する他の人間からのいじめである事を特定。
身を挺して姉を守るという偽善者っぷりをこれでもかと発揮する。
その後、姉と同じ大学・同じ学部に通う事になり二回生の時に書いた論文が賞を獲る等、父に対する恨みを昇華させていく。
「生活費を稼ぐ」という名目で工事現場や塾講師等のアルバイトを週8回以上入れるも体だけは頑丈だったため風邪等引くことも無く過ごす。
姉曰く「阿呆は風ひかない」という事らしい。
就職はせず大学院へと進学しようとしていた時期に娘(妹)と出会う。
その時父になる事を決断、勉学の傍ら育児をこなして姉の家事の負担を減らすというセコい男。
仕事では異例の出世スピードで20代最終年にして准教授の立場までのし上がるという野心家。
姉への負担を少しでも減らしたいという思いからか姉に対して「パートには絶対行くな」という命令を下し、自身の稼ぎだけで一家を支える阿呆な男。
趣味は娘の観察、休日は仕事でヘトヘトになっているというのに家族サービスでドライブをする。
「娘が好きだが、綺麗なおねえさんはもっとすき」と公言する下心満点なスケベ男。


そんなどこにでも居る名無しの父親、それが兄。


53 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 04:11:07.95 ID:lWrjc4gz0
しえん


54 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 04:13:07.48 ID:lpq2StR40
兄さんカッコイイじゃないか


55 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 04:20:11.94 ID:lIRmdAWd0
もぐもぐ

もぐもぐ

兄「なんだなんだ、よく食べてるなオイ」

姉「そうだな」

妹「そだちざかり!」

兄「なにー? それは本当かー?」

妹「うん!」

姉「ふふ、可愛いな」

妹「にーちゃん、にゃーちゃん。好き、ねーちゃんも……ええっと」

兄「?」

妹「にーちゃんと、……にーちゃん?」

姉「ややこしいな弟くん、この際パパとでも呼ばせるか?」

妹「パパ? パパ、パパ」

兄「か……勘弁してくれえぇ」


56 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 04:22:00.10 ID:sTWngXy3O
姉にいれたのか……


57 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 04:31:13.60 ID:lIRmdAWd0
姉「……いつだったか、私がこんな事を言ったのを覚えているか?」

兄「何を?」

姉「間違いを認めていく強さが我々には必要……だと」

兄「さー……、言ったとしてももう忘れたよ」

姉「認めるって事は、強さなんですね」

兄「それはどっちの言葉だろうか」

姉「さあな……もう忘れてしまったよ」

兄「人間と機械との違いをしっているか?」

姉「知っている」

兄「人間は忘れる事ができる、次々とな。それこそ完全記憶能力でも備えて居ない限りな」

姉「記憶も、感情も」

兄「恨みも妬みも」


58 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 04:33:17.71 ID:lIRmdAWd0
姉「忘れて忘れて」

兄「覚えて覚えて」

姉「その繰り返しです」

兄「毎日な、ただ忘却と記憶の繰り返しだ。でもな」

姉「でも、忘れないものもある」

兄「……家族の顔とか」

姉「お互いの呼び名」


59 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 04:39:59.76 ID:lIRmdAWd0
兄「……だからと言って、全てを無かった事にするのは……ムリだぞ」

姉「だからこそ、だろう」

兄「ん?」

姉「人間と動物の違いは知っているか」

兄「知っている」

姉「人は意思疎通に言葉を用いることができる、感情のぶつけ合いなら動物にもできるが、おこがましい言い方をすれば言葉というものは人間に許された最高のツールだ」

兄「使わなければ動物と同じ……か」

姉「あるいはそれ以下か」

兄「……獅子の子落とし」

姉「獅子は我が子を谷底に突き落とし、這い上がってくる子だけを育てる……という故事成語だな」

兄「知らなかったな、俺達はライオンだったんだな」

姉「久しぶりにやるか」

兄「ああ」

兄・姉「し〜〜〜〜〜んぱい無いさ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」


60 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 04:45:20.67 ID:lpq2StR40
久しい展開ktkrww


61 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 04:47:53.98 ID:1hpLeqv8O
支援


62 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 04:49:35.57 ID:lIRmdAWd0
妹「わ、二人して何やってるの?」

兄「大西ライオンごっこ」

妹「まぜてまぜて」

姉「ふむ……しかしこれには高度なテクニックが必要だぞ? 大丈夫か?」

妹「しんぱいないさー!」

兄「はは、息ぴったりじゃないか」

姉「姉妹ですから」

妹「シマイですから」


63 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 04:54:28.16 ID:lIRmdAWd0
兄「……やっぱ、なんかこういうのがしっくりくるわ。俺」

姉「奇遇だな、私もだ」

兄「素直が一番ね」

姉「そうだな」

兄「まさか野菜に例えられるとは思わなかったけどな」

姉「私はそれで、……目が覚めたよ」

兄「……そうだな」


64 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 04:59:02.47 ID:lIRmdAWd0
妹「ねぇねぇ」

兄「うん?」

姉「なんだ?」

妹「もう大西らいおんごっこおしまい?」

兄「いや、だってあの人心配ないさーしか印象ないんだもん」

姉「うむ、そうだな」

妹「しんぱいないさー!」

兄「この世の事は〜」

姉「悩み蹴飛ばす〜生き方〜」

兄・姉・妹「ハクナマタタ〜♪」


65 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:01:20.48 ID:lIRmdAWd0
ニー

ニャー

ニー

ニャー

ニャニーニャニニニー♪


66 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:02:02.90 ID:lIRmdAWd0
ピンポーン

妹「あ、誰だろ」

兄「さあ、誰だろうな」

姉「皆目検討がつかないな」

兄「お客さんだ、行ってくれるか?」

妹「うん!」


67 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:07:36.60 ID:lIRmdAWd0
トテトテ

姉「……いいんですか?」

兄「何を今更」

姉「……そうですね、今更ですね」

兄「そうだよ、お母さん?」

姉「……ここの雪解けには、きっと時間がいりますね」

兄「季節だって巡る、冬が終われば雪も溶けるさ」

姉「大丈夫でしょうか……」

兄「心配ないさ、あの子を見てみろ」

姉「……はい、そうで……そうだな」


68 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:09:47.86 ID:lIRmdAWd0
兄「後は俺たちの問題だ。だが誰かも言っていたが人生は喜劇だ、ミュージカルだ。ならば楽しもうではないか、そうだろう?」

姉「……そうだな、弟くん」

兄「そうさ、いつだってハッピーエンドは自分達の手で掴むしかない、全員が主人公だからな、筋書きだって変える力を、誰だって持っているんだ」

姉「それを気づかせてくれたのは」

兄「他でもないあの子だ」

姉「……努力しよう」

兄「そうだ。努力しようじゃないか、誰でもない、自分の為に、あの子の為に、そして、家族の為に」

姉「ああ、そうだな。弟くん」


ガチャ


69 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 05:10:44.57 ID:0jFS7Up/O
支援


70 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:14:43.79 ID:lIRmdAWd0





エピローグ




71 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:15:37.31 ID:lIRmdAWd0
春が来て、夏が過ぎて、秋が深まり、冬が明ける。

いくつかの季節を繰り返して、あたしはこの春、東京の大学に通う事になった。

住み慣れた家とお別れするのは少し悲しいけど、新しい生活への期待も同じくらいは胸の中にある。

引越しをするために部屋の整理をしていると小学校の卒業アルバムが出てきた。

「うわぁ、なつかしいなぁ」

掃除をほったらかして、くすぐったい思い出の欠片がページを捲る手を進める。


72 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:23:50.43 ID:lIRmdAWd0
この集合写真で「NAKATA」のサッカーボールを片手に笑ってる男の子。

昨日テレビのスポーツニュースに映ってたんだよ?

冬の選手権じゃ国立のピッチに立って、詳しい人によると世代別の代表にも選出されているらしい。

同級生がプロサッカー選手になるなんてちょっと誇らしげだなぁ。

その「NAKATA」のボール、なぜかあたしの部屋にあるんだけどね。


73 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:25:31.84 ID:lIRmdAWd0
それから、男の子の隣でぷくっと笑っているのは、高校は別々になっちゃったけど今でもよく遊ぶ女の子。

お互いの家に泊まりにきたり泊めてもらったり、

勉強の相談だったり学校の愚痴だったりを言い合ったりする、私の親友だ。

彼女曰く私はライバルらしいのだけれど、ライバルの意味については未だ教えてもらっていない。

この間、恋は実ったのか? と聞くと顔を真っ赤にしていた。

真相は有耶無耶にされたけど。


74 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:28:52.19 ID:lIRmdAWd0
教えてもらった先生、クラスの友達、古ぼけた校舎。

懐かしい顔がたくさん写っていた。

そこまで見てピンポーン! チャイムが鳴った

「あ、やば? もうこんな時間だ」

大きい荷物だけ先に引っ越し業者にお願いしてる手はずになっていたんだっけ。

あ……、どうしよう部屋の片付けまだ終わってない……。


75 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:32:23.69 ID:lIRmdAWd0
「もう終わったか? って、うわ。服! いっぱい!」

「ねーちゃん……うぅ……おわんなかった……」

「まったく……どこをどうすればこんな事に……、まってろ、今すぐ掃除要員兼荷物運び要員を連れてくる」

「ありがと、ねーちゃん大好き」

「はいはい、ありがとね」

「本当に大好きだもん」

ぎゅ

「ぐへ、いきなり抱きつくな」

「むふふっ」


76 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:34:25.35 ID:lIRmdAWd0
「オイオイ……なんだぁこの部屋は……片付けるどころかさっきみた時より散らかってねぇか?」

「う〜……そんな事は……」

「いいか! 掃除の基本はな! 上からなんだよ! ホコリやクズを上から落として! 下で回収する! そして決してベッドは服置き場ではないっ!」

「耳にタコができそうです」

「ほほう? ならば作ってやろうか?」

「うきゃ〜」

「まてこら!」


77 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:37:48.02 ID:lIRmdAWd0
「なんだなんだ、騒がしいな」

「お父さん助けて! 妖怪掃除マンが襲ってくる」

「なんだと! 我が家に妖怪が! それは大変だ!」

「ぐぬぬクソ親父が……! 俺の掃除の邪魔をするでない! 今すぐその子を渡せ!」

「はっはっは! オマエにくれてやる娘はおらん!」

「ぬわーーーんだとぅ!」

「あらあら、二人とも。ホコリが舞いますから喧嘩なら外でお願いしますよ?」

「は……はい……」


78 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 05:48:39.14 ID:lIRmdAWd0
「母上」

「うん? なんでしょうか?」

「何か手伝う事はないか?」

「ううん、今日は買い物ももう終わってますからね……それじゃあ晩御飯の下ごしらえ、やっちゃいましょうか」

「承知した」

「女手があると助かりますね」

「ただ一つ、後悔してる事がある」

「何でしょう?」

「あの子に料理を教えなかった事だ……これでは一人暮らしで苦労するだろう……、どうするべきか」

「まさか通い妻をやるつもりですかお姉ちゃん」

「それも辞さない考えだ」

「あらあら、でも大丈夫。私達の家族なんですから、一人でもやっていけますよ」

「そうだろうか……」

「そうですよ」


79 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:01:11.72 ID:lIRmdAWd0
「おいクソ親父……今何つった?」

「この前の学会でヘマをしたそうじゃないか、プレゼン資料を忘れるとはな、オマエらしいと言っているんだ」

「ぐぬぬ……人のミスを笑うとは貴様! 最低だな!」

「最低で結構! これでもオマエの父だ、はっはっは!」

「……くくく……」

「ほら、笑え。悲しい事があったら笑って誤魔化せ、そうだろう?」

「ああ、そうだな。はっはっは!」

「はっはっは!」

「……でもそれとこれとは別モンじゃ!」

「ぐあぁ! 不意打ちとは貴様卑怯なり!」

「二人とも!」

「ご……ごめんなさい母さん……」


80 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:03:35.84 ID:lIRmdAWd0
「あはははは」

「笑うなー」

「ごめんごめん……面白くて……」

ニー

ニャー?

「おーよしよし、可愛いねーにーちゃん、にゃーちゃん」

「なぁ俺の事」

「さて部屋の掃除でもするかな」

「露骨に無視ですかそうですか」

「ふふ? それじゃあ手伝ってくれる? おにーちゃん?」

「……」

「どうしたの? 先いくよー?」


81 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:06:12.77 ID:lIRmdAWd0
オニーチャン

オニーチャン

オニーチャン

……………………
…………
……

「はっ?! 別世界にトリップしていた様だ」

「ちょっと大丈夫?」

「しんぱいないさー! 掃除くらい俺に任せとらんかあああい!!」

「息子には負けん!」

「年寄りは引っ込んでろ!」

「ぬわあああんだとおお!!!」

「す……すごい……部屋がみるみる片付いていく……」


82 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 06:07:40.22 ID:lpq2StR40
おにーちゃん キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!


83 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:08:28.99 ID:lIRmdAWd0
「あらあら? すごいスピードね」

「その有り余る力を地球の為に使えばどれだけ良いだろうか」

「がんばれー二人ともー」

「おうよ!」

「二人とも、それ終わったら晩御飯ですから。手を洗ってきてくださいね」

「はーい」

「今日は何?」

「今日はヤキソバです、それから焼き芋と、それからあとは──」


84 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:11:08.57 ID:lIRmdAWd0
「……ん? これは、小学校の時のアルバムか?」

「うん」

「ほほう? なつかしいなぁ、うわ、お前ちっさいなぁ」

「小さい所はオマエに似たな」

「うるせー! でかく生みやがれ!」

「私に言うな、DNAに文句言え」

「もー……二人ともいっつも喧嘩なんだから、あたしが居なくなっても続けるの?」

「「死ぬまで続ける!」」

「そ……そうですか……」


85 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:14:23.74 ID:lIRmdAWd0
「おい妹、勘違いしてる様だから言っておくぞ?」

「奇遇だな、私も一言言っておきたい事ができた」

「うん?」

「お前は居なくなるわけじゃない、ちょっと遠くへ行くだけだ。離れていても家族なんだからな」

「……うん、わかってる」

「うむ、わかっているなら良い」

「も〜、二人とも心配性なんだから」


86 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:17:28.44 ID:lIRmdAWd0
「……お? 文集か、そういえば何書いてたんだっけ」

「ちょっと! 勝手に見ないでよ」

「減るもんじゃなし、いいじゃないか。昔は尻を見せてくれたんだぞ?」

「いやなもんは嫌なの、恥ずかしいじゃない」

「……ケチ」

「おい、なんだ尻って」

「ナイショだクソ親父」

「ああん?」

「あーーもーー、喧嘩すんなーーーー!!」

ゴン!

「……母さんの一撃より痛い……」

「姉上を超えたな……」


87 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:20:12.18 ID:lIRmdAWd0
「で、結局見せてくれないのね」

「気が向いたらね」

「ならば待とう、いつまでもな」

「諦めてよ」

「ふはは! 俺が諦めるなどあるものか!」

「もう!」


88 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:27:28.99 ID:lIRmdAWd0
私の家族はいつもこんな感じ。

賑やかで、騒がしくて、いつも笑顔だ。

最初の頃は、みんなぎこちなかったけれど、いつしかこんな風になっていった。

きっと戻っているだけなんだと思う。

本当の事は皆、いわないけれど、本当の事は皆、わかっている。

それが、あたしの家族なんだと思う。

卒業文集のタイトルと同じだ。

結局、なんだか恥ずかしくて二人には見せられなかった。


89 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:29:45.47 ID:lIRmdAWd0
────────
────
──

晩御飯を食べた後

一人部屋でこっそりアルバムをめくっていると

ノリか何かでくっついた最後の空白のページに気がついた。

おかしいな、と思ってぴりぴりとめくってみると

そこには見慣れた文字でこう書かれてあった。



妹「ねーちゃん」



おわり。


90 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:43:41.67 ID:4Ab7PyVB0
乙!凄く良かったよ


91 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 06:45:22.24 ID:WKGNSjc60
おつのし


92 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 06:47:18.25 ID:lpq2StR40
(´;ω;`)ブワッ

おつかれ、最高だった!
>>89は文庫とか書いてないのか?
あったら買いたいわ


93 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:51:10.12 ID:BQBH0cxeO


94 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 06:54:18.42 ID:S3wiMr9M0
乙です。
さっきから目からなんか出てるんだがこれは・・・?


95 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:54:28.52 ID:Vaf76y2l0
起きたら終わってた
面白かったよ乙乙


96 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 06:58:51.86 ID:lIRmdAWd0





引越し業者「……遅いな、何回も呼び鈴ならしてるんだけどな……」




おしまいおしまい。


97 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 07:08:28.28 ID:BnOJmOWu0
はぁ


98 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 07:10:56.89 ID:lIRmdAWd0
月曜の朝まで付き合ってくれた皆さんありがとうございます。
>>1スレ立て感謝です。8日ルールひっかかるくらいのダラダラ行進でごめんなさい。

幼女「とうもろこし、いる?」
の続きというか微妙に登場人物が被っているというか。時系列では後になります。
あんまり本編とは関係ないですけれど、よければ合わせてどうぞ。


99 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 07:42:57.60 ID:AlRYYlvcP
おつかれー
よかったよ


100 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 08:06:38.53 ID:IeXmWrcCi
乙!

小説化希望


101 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 08:32:21.95 ID:Hz//ppyd0
乙でしたー!


102 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 08:36:36.35 ID:2MtansAK0
面白かったよ


103 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 08:44:24.75 ID:gFsaJILF0
ふう


104 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 09:19:30.89 ID:Qdu65qLH0
いまさらだけどお疲れ様
面白かったよー!!


105 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 09:49:43.00 ID:YEyRbaNKO
乙乙

とうもろこしの人だったのか
次回作も楽しみにしてる


106 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 10:02:57.52 ID:iL+vtJRS0
なんという乙であろうか良作で御座った

前スレ>>825で龍馬伝の速報テロップ思い出して死ねと思ったけど、スレ移ったのが良かった挽回してくれたよ
郷に入っても従えない奴は、郷の人に殺されればいいのに


107 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 10:03:58.04 ID:9wO37eHTi
面白かったー


108 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 10:07:24.78 ID:ukFG72+B0
前スレ>>860くらいまでしかログ残ってないんだが
>>1000まで行った?


109 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 10:11:56.76 ID:iL+vtJRS0
>>919までかな


110 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 10:18:22.19 ID:/bU9+mT+O
とうもろこしも読んできた。

かなり面白かったよー。また書いてねー

1乙


111 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 10:48:51.40 ID:hScnV2qb0
お疲れ様です
超名作でした
また見たいです


112 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 12:49:06.24 ID:UBEza9IJ0
こんないい作品をありがとう


113 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 12:52:04.41 ID:hScnV2qb0
トウモロコシ見たけど初めてパソコンの前で泣きました


114 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 15:03:00.74 ID:YIyI9Lim0
保守


115 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 15:03:08.69 ID:mEgM5APJO
おつ


116 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 15:36:29.18 ID:YIyI9Lim0
乙!
面白かったです。
ちゃんと完結して良かった。


117 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 15:50:26.18 ID:pX90IbaSO
>>1乙!

a happinessを見せてもらえたよ!
ありがとう


118 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 16:11:11.47 ID:UBEza9IJ0
トウモロコシ読ませていただきました!素晴らしかったです!


119 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 18:11:49.41 ID:sgoKfNFS0
本当面白かった。機会があればまた読みたい。あーハッピーエンドでよかったー


120 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 18:25:49.40 ID:B//DLNscO
>>1お疲れ!
感動した


121 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/21(月) 19:29:23.73 ID:8O4WYkTn0
乙!!


122 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 22:06:57.91 ID:hlP+EKRf0


123 名前: 冒険の書【Lv=3,xxxP】 [] 投稿日:2011/02/21(月) 23:36:14.34 ID:leDF9CT40
乙乙


124 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/21(月) 23:37:33.09 ID:KjkzhlgG0
心が暖まるぜ!


125 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/22(火) 01:55:27.52 ID:CKnOETVaO


126 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/02/22(火) 02:05:50.14 ID:thnK7dkDO
感動した!



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