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姉「怪我したんだ……」弟「擦り傷だよ」姉「……なめたげるよ」
- 1 名前:VIPがお送りします []
投稿日:2013/01/27(日) 13:11:03.22 ID:Ece4SRL80
二年前 1
<――ここは端梨繁華街。
欲望渦巻く夜のワンダーランドです>
<そして、ここはとあるビルの一角>
ヤクザの木村「ふっ……ふっ……」ギシギシ
デリヘル「あん! いくっ! いくよぉ!」
木村「へへっ……もっと……よがれよっ!」パンパン
デリヘル「あぁ! お願い! 中に出してぇえ!」
木村「いくぞぉぉぉぉ、オラァアア!」ドクッドビュルルル
デリヘル「はぁああっあっああああん!!」ビクンビクン
- 2 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:11:58.80 ID:kD3ZUMoQ0
やめて
- 3 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:13:03.15 ID:Du6wb8zC0
姉は!?お姉ちゃんは!?
- 4 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:14:17.58 ID:TGg/T2YZ0
続きはよ
- 5 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:14:45.27 ID:Ece4SRL80
木村「ふぅー……。良かったぜ」
デリヘル「はぁ……はぁ……。あたしも……」クッタリ
木村「シャワー浴びてこいよ。中出ししちまったからな」
木村「ガキが出来ても責任取れねえからな! ガッハッハッハ!」
デリヘル「もぅー……。ひどいよぉ!」プンスカ
木村「つべこべ言わずにさっさと流して来やがれ!」ドガッ
デリヘル「きゃあ!」
木村「……へっへっ。今日も煙草がうまいぜ」プカプカ
デリヘル『ねぇーん? シャワー一緒に浴びようよぉー』
木村「うるせえ! 黙って洗いやがれ!」
- 6 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:15:39.56 ID:+/EdgYuD0
俺が出てる
- 7 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:17:43.24 ID://4Ul4yc0
>>6
よう木村
- 8 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:17:58.61 ID:Ece4SRL80
デリヘル「じゃ、またよろしくねー」
木村「気が向いたらな」
デリヘル「絶対だよぉ?」
木村「うるせえ女だな。おい、運転手! さっさと発進させろや」
運転手「は、はい!」
キキッ ブロロロロロ……
木村「へっへ……。明日はあけみちゃんにしよーっと……」クルッ
木村「……ん?」
弟「…………」ジーッ
木村「何だぁ、てめえは?」
- 9 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:21:15.63 ID:/FIH1s1ZP
h
- 10 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:21:23.82 ID:Ece4SRL80
弟「…………」ジーッ
木村「何だよ、何見てんだよ」
木村「何もあげるものはねぇよ。あっち行きな」シッシッ
弟「…………」ジーッ
木村「しつこいやろうだな! あっち行けって言ってるだr」
バシュッ
木村「ん……!!?」
ボトッ
木村「!! 俺の! 手が!」
木村「っぐ…………!! 何もんだ、てめえええ!!」
- 11 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:24:46.64 ID:Ece4SRL80
弟「ふーっ…………ふーっ…………」
木村「畜生めが!」チャカッ
弟「!!(武器!)」
木村「死ね!!」
バン バギュン チュイン
木村「すばしっこい奴め!」
ビシュッ
弟「(痛ッ! やりやがったな!)」
ブワッ
木村「く、来るな!」
- 12 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2013/01/27(日) 13:27:00.31 ID:O1b1yJKyP
チュインwwwwちょりそーwwwwwwwww
- 13 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:27:12.88 ID:N4WvqIFc0
なにこれ原作なに
- 14 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:28:01.66 ID:Ece4SRL80
弟「(首元!)」
バシュ――
木村「ぎゃああああああッ!!」
プシュウウウウウウウウウ
木村「血が! 止まんねえええええ!!」
プシュウウウウウウウウウ
木村「ああああ!! あああ! ああッ。あ……」
バタッ
弟「……ふう……ふう」
弟「(…………よし)」
- 15 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:29:02.43 ID:hcP9yIqj0
ヤンデレかと思って開いた結果がこれだよ
- 16 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:30:47.56 ID:+/EdgYuD0
俺が死んだ
- 17 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:31:25.11 ID:Ece4SRL80
<ところ変わって、ここは繁華街のとある事務所です>
雇い主「よし。確かに、木村の血だな。よくやった」
弟「…………」ジーッ
雇い主「分かってるさ。誉め言葉より、報酬だな?」
雇い主「全く、現金な殺し屋だな。ほらよ」ヒョイ
どさっ
弟「…………ふん」
雇い主「また、よろしく頼むよ。君のお陰で、端梨ピースフル計画は順調だ」
弟「…………」テクテク
雇い主「…………なんというか。無駄とは分かっていても、意思の疎通を図りたいものだよ」
- 18 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:34:15.01 ID:uYedbxLB0
何回スレたてれば気がすむのwww
- 19 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:34:45.70 ID:Ece4SRL80
弟「姉ちゃん……ただいま」
姉「お帰りなさい」
弟「はい。食糧」ドサッ
姉「いいよ。先にあんたが食いな」
弟「……いや、俺食べてきたし。姉ちゃん先でいいy」グー
姉「ふふ。食べな」
弟「…………うん……」ガツガツ
姉「……あ、あんた、背中」
弟「? ……あぁ」
- 20 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:38:11.46 ID:Ece4SRL80
姉「怪我したんだ」
弟「うん」
姉「……なめたげようか?」
弟「……うん」
姉「こっち来な」
弟「…………」
姉「…………ん」ペロペロ
弟「…………っ…………」
姉「(弟の血の味がする……)」ペロペロ
弟「ねえ、姉ちゃん……」
- 21 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:41:32.15 ID:Ece4SRL80
姉「何だい?」ペロペロ
弟「俺たち…………幸せになれるのかな…………」
姉「弟が何を幸せと思うかで、それは変わってくると思うよ」
弟「……俺は……姉ちゃんがいてくれれば……それで幸せだ……」
姉「! ……私も、弟がいればそれ以外に、もう何もいらないさ」ペロペロ
弟「……うん。……ありがとう、姉ちゃん。もう、たぶん大丈夫だよ」
姉「ぷは……すまないな。私が殺し屋の仕事をすればいいものを……」
姉「この足じゃどうにも動けん……」
弟「いいんだ。穢れるのは、俺だけでいい。姉ちゃんは姉ちゃんのままでいてほしい」
姉「……弟…………。本当に……すまない……」
- 22 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:44:56.40 ID:Ece4SRL80
現在 1
<時は二年が経ちまして、同じく端梨繁華街>
<あるアパートに一人の女の子が引っ越してきました>
女「とぁー! 西向き、家賃二万円、最寄り駅徒歩十二分!」
女「それは知ってた! ええ、知ってましたとも!」
女「でも! まさか、あの無法地帯で有名な端梨繁華街のど真ん中とは!」
女「誰が! 想像しましょうか! いや、チラシに書いてました!」
女「自分のバカバカ! 家賃の安さにまんまと!」
女「……まあ、でも、少し前よりか治安は良くなったらしいし、我慢しよう……」
女「とほほ……」
- 23 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:48:26.49 ID:Ece4SRL80
女「お、よく見れば、二階への階段の下に犬小屋と犬が!」
女「わんわん! わんわん!」
犬「…………」クシッ
女「ノーリアクション!」
女「はあ…………。空しいことはやめて、さっさと引っ越し挨拶に回ろう」
女「えーと、階下と両隣だったよね。お米で良かったんだっけ?」
女「でも自分は102号室だから、101号室と103号室でいいんだよね」
女「ていうか、改めて小っちぇーアパートだなぁ……」
女「一階と二階でそれぞれ四部屋とかマジワロスワロスだよ……」
女「ぐだぐだ言ってもしゃあない。まずは101号室だっ!」
- 24 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:51:35.22 ID:Ece4SRL80
101号室『ただいま空き室あり□』
女「……」イラッ
女「……さ、さあ、気を取り直して、103号室だ! ポチっとな!」
ピンポーン
『…………はい』
女「あ、すいません! 自分、隣の102号室に引っ越してきた、女です! 引っ越しのご挨拶伺いに参りましたぁ!」
『…………はぁ』
女「…………えと、あの、つまらないものを渡したいんですけれども……」
『……』
女「(……ぅゎーぉ。異文化かしらん?)」
- 25 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:54:35.30 ID:Ece4SRL80
ガチャ
少年「…………はい」
女「(暗ッ!!)……あ、あのー、こちら、お米です」ドサッ
少年「…………」
女「あのっ、これからも何かとご迷惑おかけするかもですが、どうぞよろしくお願いします!」ペコリ
少年「…………はぁ……。では……」
女「す、すんませんでしたああ!!」
バタン
女「…………」グスッ
女「くじけるな、自分!!」
- 26 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 13:57:36.66 ID:Ece4SRL80
女「しかし……どうしよう。結局、お米が一袋余ってしまった」
女「自分、お米嫌いだしなあ……」
女「……104号室の人にもあげよう」ポチ
ピンポーン
女「…………」
女「あれ? 留守かな」
ザッ
女「!」
男「悪いね。買い物に出かけていた」
男「で、僕の部屋に何か用かな?」
- 27 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:00:43.88 ID:Ece4SRL80
女「あ、あのっ、自分、102号室に引っ越してきた女ですっ。こ、これ、つまらないものですが!」
男「ありがとう、米は大好きだ。……僕は男だ。よろしく」
女「はいっ、何かとご迷惑おかけするかもですが、こちらこそお願いします!」ペコリ
男「うん」
女「で、ではっ!」クルッ
ぱしっ
女「え?」
男「そう、急ぐなよ。少し話していこうじゃないか」
女「へっ?」
- 28 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:03:42.52 ID:Ece4SRL80
男「何もそう驚くことはない。歓迎しているんだ」
男「それとも、君のようなかわいらしいお嬢さんを部屋に招くのには」
男「不純な動機かな?」
女「い、いえっ!」
男「なら、上がればいい」
女「お、おじゃまさせて頂きます!」
男「どうぞ」ガチャ
男「それにしても、102号室で良かった。二階への階段を人が昇ると、部屋に響いてうるさいんだ」
男「階段のすぐ側だからね」
女「は、はあ」
- 29 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:06:45.02 ID:Ece4SRL80
女「(綺麗で整った部屋だなぁ……何だろう、あれ。鈴?)」
男「君、未成年?」
女「じ、十九です」
男「なら、君は紅茶だ」
女「あ、ど、どうも……」
男「そう硬くなる必要はない」
女「はい……(そう言われても、なぁ……)」
女「(香りもいい部屋だなぁ……)」
男「ところで君は」コトン
男「どうしてここに来たのかな?」
- 30 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:09:56.74 ID:Ece4SRL80
女「え、だって男さんが……」
男「……はは。この部屋にではない」
男「この、端梨繁華街に、さ」
女「あ、あー」コクコク
女「自分は大学生なんですけれども、」
女「まぁ、地方の出でして」
女「右も左もわからぬままで、前のアパートで他の方と物騒なことに巻き込まれましてですね」
男「それで引っ越してきた、と」
女「恥ずかしながら……」
男「しかし、物騒なことならこのアパートにもある」
- 31 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:12:50.75 ID:Ece4SRL80
女「はい?」
男「どこのアパートにもあるとは思うけれどね」
女「まあ、多かれ少なかれは、ねぇ」
男「しかし、ここのは少し特殊かもしれない」
女「むっ……。田舎者だと思って馬鹿にしているんですか?」
男「そんなことはない。ただ、嘘と思われるのも好かない」
女「いいですよ。信じてあげますよ。言っときますけど、ヤクザぐらいなら家の近所にもいますからねっ」
男「ふふ。そうか……。なら、言おう」
男「この部屋の隣には殺し屋が住んでいる」
女「絶対嘘じゃん」
- 32 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:15:54.47 ID:Ece4SRL80
二年前 2
<端梨繁華街の傍ら、二人寄り添って眠る姉弟の姿がありました>
<雑踏の中に彼らの方に目を留める人は一人もいません>
<一方、ここはこの端梨繁華街を牛耳る真円会東雲組の事務所です>
東雲組若頭東雲小次郎「木村が消えた?」
側近「は……。連絡がつきませんで……」
東雲「よし。行くぞ」
側近「どこへ」
東雲「あいつ、この時間帯はボロビルにデリヘル呼んでぱこってるだろ」
側近「なるほど」
- 33 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:18:57.86 ID:Ece4SRL80
――ボロビル前
東雲「ここの裏口だよな……」
側近「若頭ぁー!!」
東雲「何だよー」
側近「こっち来てください!」
東雲「何なんだよ……」トコトコ
東雲「!!」
側近「これ、何ですかねぇ……」
東雲「(夥しい量の血痕……)」ペロリ
東雲「木村の血だ……」
- 34 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:20:47.75 ID:Ece4SRL80
側近「破片すらありませんね……」
東雲「こりゃ、死んでるだろうな」
側近「やはり、そうですかね」
東雲「どういう殺し方したらこうなんだろうなぁ」
側近「落ち着いてますね」
東雲「いや、びびりまくりだよ」
東雲「すげえ奴もいたもんだなぁ」
側近「……(そうは見えない……)」
東雲「ん?」
側近「どうかしましたか?」
- 35 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:21:31.70 ID:wdjJnB/V0
これは…青酸カリ!
- 36 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:23:33.36 ID:Ece4SRL80
東雲「それ、何だよ」
側近「?」
東雲「お前の足元。その糸みたいなの」
側近「! これですか?」ヒョイ
東雲「貸してみろ」
東雲「…………金色の…………毛?」
側近「犯人の落としていったものですかね」
東雲「たぶんな」
側近「若頭、どうしましょうか」
東雲「いやぁ、木村個人の問題でこうなった、としか見れねえなあ」
- 37 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:26:01.33 ID:Ece4SRL80
側近「確かに現段階では……」
東雲「しかし、仲間が殺されたのは確かだ」
側近「は……」
東雲「繁華街にローラーかけて捜索しろ」
側近「はっ、では、お電話失礼します」タタタッ
東雲「……ふぅー」
東雲「(しかしこの街で俺らにプロ仕向けるとはなぁ……)」
東雲「(よっぽどバレねぇ自信でもあるんだろうなぁ)」
東雲「(しかし、すげえ殺し屋だなあ……)」
東雲「(跡形も残ってねえじゃん)」
- 38 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:28:29.51 ID:Ece4SRL80
側近「若頭ぁ。若い衆にローラーかけるよう言っときましたんで!」
東雲「ご苦労、帰るぞ」
側近「えっ……その」
東雲「何だよ」
側近「木村の……血液は?」
東雲「知るかよ。警察の仕事だろ?」
側近「…………は、はあ」
東雲「常識だろが。行くぞ」
側近「は、はい!」
東雲「(重要なことを何も分かってねぇなあ、こいつ)」
- 39 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:30:58.03 ID:Ece4SRL80
テクテク……
東雲「ん? ありゃ、警察じゃねえか」
側近「こっち来ますよ」
ブロロロロ パッパッ
東雲「ご無沙汰じゃねえか」
警察「よう、東雲。今日は二人か? 得意の大名行列はどうした?」
東雲「あんなもん毎日やったら疲れるだろうが」
東雲「てめえはどうしたんだよ。風俗か?」
警察「どこのお巡りがパトカー乗って風俗行くんだよ。仕事中だ」
東雲「仕事中なのにヤクザと喋ってて良いのかよ」
- 40 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:31:28.40 ID:Ece4SRL80
警察「こっちは動物殺しにキリキリ舞いだよ」
東雲「ふーん。跡形もねぇ程に吹っ飛んでんのか?」
警察「何の話だ? 犬猫がよ、ぐちゃぐちゃにされて捨てられてんだよ」
東雲「んなもん、ガキの悪戯じゃねえのか。たかが動物だろ」
警察「しかし、20件立て続けだ」
東雲「それは恐ろしい」
警察「だろ? だから、こうしてやってんだよ」
東雲「そうかい。じゃあな」トコトコ
警察「……東雲ぇーっ! 近頃余計に物騒だ! たま、落とすなよ!」
東雲「……ふっ」
- 41 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:32:02.07 ID:Ece4SRL80
――東雲組事務所
若衆「東雲さん、留守の間に電話が……」
東雲「どこから?」
若衆「非通知でした」
東雲「あ?」
若衆「いえ、その……音声メッセージのみでして」
東雲「録音した?」
若衆「はい、これです」
『東雲。木村の血、あったろ? 次はお前だよ』
『端梨ピースフル計画には、お前が邪魔なんだよ』
- 42 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:33:33.28 ID:Ece4SRL80
東雲「…………!!」
『じゃあ、そのうち、俺のとこの殺し屋がお邪魔するから、よろしく』
ガチャン
若衆「し、東雲さん…………」
東雲「……ひひひ……」
若衆「!?」
東雲「今の今までこの街じゃ誰も俺に逆らわねえと思っていたが……」
東雲「少しはとんだ馬鹿もいたもんだ……楽しくなってきたぜ!!」
側近「若頭……」
東雲「(金色の毛の殺し屋……)」
- 43 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:34:00.43 ID:QzGoIEPc0
見てないけど頑張れ見てないけど
- 44 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:34:39.41 ID:Ece4SRL80
現在 2
女「屈辱ですよ、全く」
男「この反応が嫌だったんだよ……」
女「純朴な田舎者を騙そうったって、そうはいきませんからね」
男「事実を述べたまでだよ」
女「誰が、この部屋の隣には殺し屋がすんでいる、なんて嘘を信じますか!」
女「確かに殺し屋っぽい暗さでしたけれどもねー、」
女「だからって、あんまりでしょう!」
男「彼を見たのか」
女「引っ越しの挨拶をしてきましたよ!」
- 45 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:35:27.64 ID:O5P+OZa4I
ここまで見てない俺に産業
- 46 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:36:23.59 ID:Ece4SRL80
男「愛想のない奴だろう」
女「まあ、少し暗かったですけれども」
女「それでも殺し屋は言い過ぎです」
男「……まあ、いいだろう」
女「大体、その情報を教えてどうしたいんですか!」プンスカ
男「よくぞ、聞いてくれた」
女「ふぇ?」
男「その理由は、とある相談にのってもらいたいためだ」
女「相談?」
男「ああ。これが、本題だ」
- 47 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2013/01/27(日) 14:37:05.52 ID:caLslcVu0
割と好きかも
- 48 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:38:00.72 ID:Ece4SRL80
男「その殺し屋は、二年前のある日以降、人を殺していない」
女「二年前?」
男「そうだ。彼は二年前、たった一人の家族をなくした」
女「あらら」
男「信じていないだろう」
女「はい。根本から」
女「でも、面白そうなんで聞きます」
男「……。彼には、ただ一人、姉がいた」
男「姉を失ってから、己の存在意義を見失った彼は、殺し屋をやめて何もしなくなってしまった」
女「プラスに働いてますよね」
- 49 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:39:37.41 ID:Ece4SRL80
男「……しかし、殺し屋をやめた彼には殺したい人間が一人いた」
男「だが、殺し屋としての依頼がない以上、彼は人を殺せなかった」
男「ここで質問だ。その人を殺せば、彼は再び立ち直れるか?」
女「まず、その元殺し屋さんは法的措置を受けた上で考えるべきだと思います」
女「果たして自分が何のために生まれてきたのか」
男「…………ふぅ…………」
女「そして、天国にいるお姉さんが果たして本当にこれ以上の殺人を望むのか」
男「!」
女「何も迷うほどのことではないと思います」
男「陳腐な答えだな……」
- 50 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:41:17.39 ID:Ece4SRL80
女「な……」ムカッ
男「しかし、陳腐な答えこそ、核心に近いこともまた事実だ」
男「ありがとう」
女「こちらこそ、いい暇潰しになりました」
男「……。そうだ。帰るついでに、このドッグフードを――」
女「あぁ、あの階段の下のわんちゃんですね。いいですよ。男さんの犬ですか?」
男「……特に誰の犬でもない。ただ、捨てられていたんだ」
女「……優しいですね! 仲良くなってもいいですか?」
男「どうぞご勝手に」
女「やった♪ お邪魔しました!」タタタッ
- 51 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:42:50.64 ID:Ece4SRL80
女「おい、ワン公!」
犬「……」ピクッ
女「ほれ、ドッグフードだ。食べな」サラサラ
犬「…………」
女「(食え! どんな犬でも食ってる姿は可愛いもんだ)」
犬「…………」プイッ
女「あれ?」
犬「…………」スン
女「何だ何だ! 自分が見てたら食えないってか!」
女「ああ、なら分かったよ! あっち行ってやる!」グスッ
- 52 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:44:13.99 ID:Ece4SRL80
女「ったく、嫌な犬!」
ガチャ
女「(あ……103号室から人が出てくる)」ジーッ
少年「…………あ」
女「(やべっ)」プイッ
少年「…………何なんだよ」ボソッ
女「!」ビクッ
少年「…………ふん」
ガタコン カラララ……
女「…………(自転車でどこかへ行っちゃった……)」
- 53 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:45:45.47 ID:Ece4SRL80
女「殺し屋って…………確かに分かるけどさぁ~」
女「何か男さんの悪口にも聞こえるよねー」
女「はぁ〜」
女「なんか、新居も変な人ばっかりで気が滅入るよ……」
女「んんんん! 頑張れ!」ペチペチ
女「ここは家賃で見れば良好物件!」
女「これくらい、目をつむろう……」
女「…………」ギュウ
女「ぬぁーーーーー!!」
女「目をつむると田舎の情景がぁー!」ジタバタ
- 54 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:47:16.70 ID:Ece4SRL80
――翌朝
女「むにゃむにゃ……」
女「低血圧人間に朝は辛いよ……」フワァ
女「大学行かなきゃ……」
――ガチャ バタン
女「いってきまぁー……あ」
少年「…………」
女「(い、今帰り!?)お、おはようございます……」
少年「…………」ツン
女「あは、あは、あははははー(ううううう……めげるなよ~)」
- 55 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:48:49.44 ID:Ece4SRL80
――大学
友「女、新居どこにしたの?」
女「へ!? あ、あー」
友「良かったら遊びに行かせてよ! どこどこ?」
女「は、端梨の近く……」
ザワッ
女「え?」
アイツヤベエナ,チカヅカナイヨウニシヨウ……
友「う、うちら、ず、ずっと友達だもんねー」
女「う、うん!(帰りてええええええ!!!)」
- 56 名前:人いないなあ…… [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:50:21.87 ID:Ece4SRL80
二年前 3
弟「じゃ、姉ちゃん、俺、そろそろ行ってくるよ……」
姉「うん……。絶対に……死んじゃ嫌だよ?」
弟「うん」トコトコ
姉「…………弟!!」ギュッ
弟「姉ちゃん……っ!」
姉「嫌だ! 弟! どこにも行かないで!」
弟「姉ちゃん……。でも、行かなきゃ……」
姉「嫌だ嫌だ嫌だ! 弟をこれ以上危険な目に合わせたくない……!」
弟「でも、そんなことしてたら、二人とものたれ死ぬよ……」
- 57 名前:人いないなあ…… [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:51:50.40 ID:Ece4SRL80
姉「弟のいない世界でなんか、生きられないよ……」
弟「…………大丈夫だよ、姉ちゃん。俺は生きて帰ってくる」
姉「……」
弟「約束だ」
姉「……うん」
弟「じゃ、行ってきます」タタタッ
姉「…………」
姉「……なんで、こんな世界なんだろう」
姉「神様のばかやろう……」
姉「ばかやろう……!」
- 60 名前:人いないなあ…… [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:53:23.23 ID:Ece4SRL80
――端梨警視庁
警察「あーあー。もうこりゃひでえなあ」
臨床心理捜査官「こういう動物の死体の写真なんていうのは、ヤクザの仏より心に来ますね……」
警察「だな……。俺なんか人間より動物のが好きだからさ、犯人極刑にしたいくらいだよ。……これが最初の事件か」
臨床「ですね。なんだか、適当にぐちゃぐちゃにしたって感じがします」
警察「迷いが見られる?」
臨床「もしくは、慣れていない、か」
警察「次は……と」ペラ
臨床「これは、一回目よりもより肉塊に近いですね」
警察「あー。ご飯食ったばっかなんだよな〜」
- 61 名前:支援ありがとうございます [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:54:52.36 ID:Ece4SRL80
臨床「何で殺せばこんな風になるんでしょうかねえ……」
警察「さあな……」
臨床「日に日に死体は原型を無くしていく」
警察「まるで、何かに追い立てられているかのように……」
臨床「……動物の殺害ってのは、大概が思春期のエネルギーの暴発なのですが」
臨床「通常、そこには犯人の意思が介入されるんですよ」
警察「というと?」
臨床「つまり、こういう風に殺せば、グロテスクに映えるだろう、とか」
臨床「こういう風に殺せば痛々しいだろうとか、そんな意思です」
警察「なるほど」
- 62 名前:やっぱりハードボイルドものは伸びないですね [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:56:27.78 ID:Ece4SRL80
警察「そう言えば、俺も蛙の肛門にロケット花火差してぶっ飛ばしてたなあ」
臨床「はい。そうすると、蛙にはロケット花火の跡なんかが残るはずですよね」
臨床「そういう類いの意思が、これらの写真からは見受けられないんですよ」
警察「犯人は誰かに命じられてやっている?」
臨床「うーん……。そこなんですよね」
臨床「もし、殺せ、という命令ならば、首なりを落として殺すじゃないですか」
警察「ああ、そうか」
臨床「わざわざこんな体力を消耗するやり方でしなくても、ねえ」
警察「お前の現段階の見解は?」
臨床「……強いて言うなら、教育を受けていない愚犯少年、ですね」
- 63 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:57:44.82 ID:TlLcePOx0
がんばれ
- 64 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:58:00.64 ID:Ece4SRL80
――とある事務所
雇い主「やあ、来たね」
弟「…………」
雇い主「ふふ。じゃあ、説明しよう」
雇い主「……と、その前に鈴を鳴らさなきゃね」
リンリンリーン…………
弟「!」
雇い主「じゃあ、あらためて、説明しようね」
雇い主「今日殺してほしいのは、こいつだ」キュポン
弟「…………」
- 65 名前:がんばります [] 投稿日:2013/01/27(日) 14:59:32.01 ID:Ece4SRL80
――東雲組事務所
東雲「へへへ……。狙われてる……。この俺が狙われてる……」
若衆「東雲さん、これからは一人で出歩かないでくださいね」
東雲「あ? 何でだよ」
若衆「狙われてるって、自分で言ってるじゃないですか」
東雲「良いことだろうが」
若衆「えっ」
東雲「暴君は恨まれてこそ、暴君だろ」
若衆「はぁ……」
東雲「それをお前らは下克上も仕掛けてきやがらねえ」
- 66 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:01:04.37 ID:Ece4SRL80
若衆「……(ぶっちぎりでいかれた野郎だ)」
コンコン ガチャ
側近「若頭、ただいま戻りました」
東雲「おーう、ご苦労。どうだった?」
側近「はい。木村の野郎、やっぱり、あの晩もデリヘルとやってたらしいです」
東雲「ふーん。連れてきたの?」
側近「はい。おい!! 入れ!」
ガチャ
デリヘル「わ、私何も知らないわよ!」キャーキャー
東雲「ああ、まあ、落ち着いてよ」
- 67 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:02:38.42 ID:Ece4SRL80
デリヘル「なら、何で呼び出したの!?」キャーキャー
東雲「大丈夫、誰もあんたが木村を殺したなんて思ってないよ。だから、落ち着いt」
デリヘル「なら、帰してよね!」キャーキャー
バキッ ドサッ
デリヘル「いった……ああい!」
東雲「うるせんだよ」ズイッ
デリヘル「ヒッ」
東雲「静かに、しろ」
デリヘル「…………!!」コクコクコクコク
- 68 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:03:58.51 ID:TcU7OnjbO
C
- 69 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:04:09.49 ID:Ece4SRL80
東雲「ねえ、教えてよ。木村とどんなセックスしたの?」
デリヘル「ど、どんなって……普通の……」
東雲「ひひ、ひひ、ひひひひひひ!!」ケラケラ
デリヘル「!?」ビクッ
東雲「おい、聞いたかみんな!?」
東雲「死ぬ前のセックスも普段と変わらねえ!! 突然、殺されるんだ!!」
東雲「すげえ! すげええええ!」
若衆「………………」
東雲「さあ、早く来いよ、金色の毛の殺し屋!!」
東雲「全力で抵抗してやらぁ!!」
- 70 名前:支援ありがとうございます [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:05:40.36 ID:Ece4SRL80
現在 3
――アパート前
女「はぁ……今日は誤解を解くのに一苦労だったよ……」
女「ん? あれは男さん? 」
女「で、隣にいるのは殺し屋……じゃなくて、あの少年?」
男「○●◎◇◆□■△▲▽▼」
少年「○●◎◇◆□■△▲▽▼」
女「ここからじゃ何を言っているのか聞き取れない……」
女「もうちょっと近付こう……」サササッ
男「……こに行っていたんだ!?」
- 71 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:07:12.47 ID:Ece4SRL80
少年「うるせえなぁ……」
男「質問に答えろ!!」
男「昨日はどこに行っていたんだ!」
少年「…………ちっ」
男「……お前は……自分の立場を分かっていないようだな」
男「また、あそこに返しても良いんだぞ?」
少年「…………」
男「さぁ、正直に答えてみろ」
男「お前は昨日の晩、どこで何をしていた!?」
女「な、何の話をしているのか、全く分からない……」
- 72 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:08:31.54 ID:LogG62CM0
みてますぞー
- 73 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:08:43.86 ID:Ece4SRL80
少年「……あんたさ、何で俺にそんなに執着するわけ?」
男「……それは」
少年「あんたが俺の行動を逐一知ることに何のメリットがあるんだよ!!」
男「お前にもう二度とあんなことをさせないためだ!」
少年「は! はははははははははははははははは!!」
男「何、笑ってるんだ!!」
少年「じゃあ、あんたは失敗してるよ!!」
男「な…………」
少年「俺はもうここに来てから、いくつも殺してるんだから!!」
男・女「!!」
- 74 名前:大人な人が読んでるからレスが少ないんだ!(震え声) [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:10:22.44 ID:Ece4SRL80
女「(あの少年は本当に殺し屋だったんだ!!)」
女「(男さんは嘘をついてなかった……)」
男「そうか……分かった……」
少年「うふふ……あはは……」
男「お前は……もういい……」
少年「はえ?」
男「……今日は家に帰って寝なさい」
少年「なんだよ、怒らないのか?」
男「……無駄だと分かった」
女「(大変なことを聞いてしまった……)」
- 75 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:11:49.70 ID:Ece4SRL80
女「(何てアパートだ、ここは……)」
女「(前のアパートを軽く超越してるよ……)」
女「はあーあ……」
女「(もう、自分も帰って寝るべきだな……)」
女「(あんな話を聞いた後じゃ、とてもご飯を食べられない……)」
犬「…………」テクテク
女「ん?」
犬「…………」ペロペロ
女「慰めてくれるんか……」
犬「……」クゥーン
- 76 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:13:21.06 ID:Ece4SRL80
女「そう言えば、お前は首輪をされていないんだな……」ワシワシ
犬「……」クシッ
女「このアパートを気に入ってるから、逃げないのか」
犬「…………わふっ」
女「ふふ……。それとも、男さんが優しいからか?」
犬「…………?」スンスン
女「うふふ……」
女「さて、じゃあ、自分は帰るよ」
女「じゃあな! お休み!」
犬「…………かふっ」
- 77 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:14:51.87 ID:Ece4SRL80
――翌日
ピーポーピーポー……
女「ううん……むにゃむにゃ……」
女「うるさいなぁ……」
女「……まだ、朝の八時じゃないか……。休日なんだからパトカーはもうちょっと静かに……」
ピーポーピーポーピーポーピーポー
女「うううううううるさあああい!」
女「ったく早く過ぎ去ってよ!」
ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー
女「あれ…………。まさか…………、ここ?」
- 78 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:16:24.37 ID:Ece4SRL80
ガチャ
女「うわ、いっぱい警察と人がいる……」
女「……103号室で何があったんだ?」
女「あの殺し屋の少年に何かあったの……?」
刑事1「……」ゴニョゴニョ
刑事2「……」ゴニョゴニョ
女「何か言ってる……耳をそばだてて……」
刑事1「二年前の東雲組の殺人事件と一緒だな……」
刑事2「ああ……残されたのは血液だけ……死体は雲隠れ……。そして、金色の毛……」
女「さ、殺人事件……!?」
- 79 名前:似非ミステリーなんで考えながら読むと楽しいかもです [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:17:55.17 ID:Ece4SRL80
刑事1「む……?」
女「はっ! つい声に!」
刑事2「あ、102号室の女さんですか?」
刑事1「何だ、中に人がいたのか」
刑事2「インターホン何回か押したんですけどね」
女「す、すいません……爆睡していました……」
刑事1「全く……。まあ、いい。この状況、分かるかね?」
女「え……さ、殺人事件ですか……?」
刑事2「そう。103号室に住む少年さんが、何者かに殺された」
女「……――」クラッ
- 80 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:19:27.89 ID:Ece4SRL80
男「おっと……」パシッ
女「……男さん……」
男「大丈夫かい?」
女「……もう……こんなアパート嫌です……」グス
男「大変なことになったね。件が落ち着いたら、引っ越すといい」
女「……でも、お金無いです……」
男「お米の義理だ。僕が貸してあげるよ。だから、今は何も心配しなくていい。大丈夫だよ」
女「…………うわああああああああん!!!」
刑事1「……事情聴取をしたい。二人とも、ついてきてくれるかな?」
男「…………はい」
- 81 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:20:26.55 ID:CND/UFpK0
支援
- 82 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:20:59.68 ID:Ece4SRL80
二年前 4
<夜の端梨のビル群を駆ける影が一つ……>
弟「……ふっ……ふっ……」スタタタッ
弟「ほっ」ピョン
弟「とっ」スタッ
弟「……(こっちか)」
弟「…………」キキッ クルッ
弟「(姉ちゃん……待ってて……)」
弟「(俺がきっと姉ちゃんを幸せにするからね……)」
弟「……やっ!」シュタッ
- 83 名前:支援ありがとうございます [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:22:32.97 ID:Ece4SRL80
――端梨警視庁
警察「ん? ……」
臨床「どうかしましたか?」
警察「この十日前に見つかった犬の死体の写真と……」
警察「この一昨日見つかった猫の死体の写真……」
臨床「はい」
警察「一昨日のは、死体がないというより、腐って液状化していないか?」
臨床「……確かに」
警察「……段々と死体は消えていくはずなのに、今度は腐らせている?」
臨床「あ、こっちもですよ!」
- 84 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:24:01.18 ID:T8ZE9+IK0
\そりゃよかったね♪そりゃよかったね♪/
l一一一
..│ │ ノl_N
E=三三三コ ナ. n l n
__ノ◎◎ │ _ノ◎.◎│ ノ‐一ζ λ..λ
ノ │ .ノ~ .│ _./◎◎^l レレv.vl
.入 │ 入 .. │ γ │ r-◎◎.│
`ゝ一く^ l. ^ゝ一く^ ヽ 入 ..│ .( l
..._ノ/ ^~゜§^ノ \_ゝーイ L_入. ッイ ヽ_
ζレ T^~ 7//tt-----シ-ζレ 、_ζノ __ζ
.│ 〉 ////l│││./p ( │ .│ │
\ ./ ///./│l.l.l..l..l ノ 入 / 入 ../
〈 シゝ゛=ー ^-^----^く ^^へ-〈 /-^ト--l...ッY ....xイ=-ゝ
と_/>..ノゝ ..と__/> / と__/..-イ と___.ゝ-イ
- 85 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:24:03.68 ID:Ece4SRL80
警察「本当だ…………」
臨床「並べ替えると……はっ! 見てください!」
警察「あぁ……これは……」
臨床「十二匹目以降、全て腐らせて液状化させてから発見されている……」
警察「模倣犯(※)か!!」
臨床「何でこんなことに気付かなかったんでしょうか!」
臨床「一つの動物殺しは終わっていて、今のは別人の可能性が高い!」
警察「十一匹目で完全に血液だけにすることができた犯人は……」
警察「もしかすると、対象を犬猫ではなく……」
臨床「あ…………人間…………ッ!!」
※……すでに起きた犯罪をまねて同じような犯罪をおかす者
- 86 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:25:34.83 ID:Ece4SRL80
警察「おい! 他の課の担当に不可解な失踪事件がないか聞くぞ!」
臨床「は、はい!」
プルルルル プルルルル
臨床「はい! そうです! 不可解な失踪なんか――」
警察「ああ、そうだ! 誰か変な消えかたしてねえか!?」
警察「たとえばぁ? ……血液だけになってるとかだよ!!」
臨床「は! ありがとうございました!」
ガチャン
臨床「ありました! 二丁目のボロビルで大量の血液だけが飛散していたようです!!」
警察「よし、行くぞ! お前もついてこい!」
- 87 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:25:53.93 ID:WK6RGTrk0
ふぅ・・・
- 88 名前:>>87 なぜ? [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:27:08.20 ID:Ece4SRL80
――東雲組事務所前
東雲「うふふふ……これが……最後の煙草になるかもなんだよなぁ……」
ガチャコン!
東雲「はぁ―、うめええなああ……」スパー
弟「…………」トボトボ
東雲「ん?」
弟「……」ジーッ
東雲「何、見てんだ? 煙草なんてお前みたいな奴の吸うもんじゃねえぞ?」
弟「…………」ジーッ
東雲「……?」
- 89 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:28:41.83 ID:Ece4SRL80
弟「(……よしッ!)」
ぶわぁっ
東雲「!!!」チャカッ
弟「(武器!! させるか!!)」
バシッ ガリリリリッ
東雲「ぐっ…………!!」
弟「(くそっ 外した!)」
バキュウウウン!!
ビシュッ
弟「(アブねえっ!)」シュタッシュタッシュタッ
- 90 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:30:15.78 ID:Ece4SRL80
東雲「はあ……はあ……」
東雲「うふふふ……! あはははははははは!」
弟「…………!?」
東雲「なるほどなあ! お前みたいなのが殺し屋なら、」
東雲「そりゃあ、情報の一つも入らねえわけだ!!」
弟「(こいつ……何を……)」
東雲「なら、これはどうかな?」タタタッ
弟「(逃げた!!)」ダッ
東雲「お、速いなぁぁぁ!」
弟「(何を考えてる……!?)」
- 91 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:31:51.86 ID:Ece4SRL80
――街中
東雲「はあ……はあ……」
オイ,アリャ,シノノメグミノ ワカガシラジャネエカ
ホントダ
スッゲエ ナマモンダ
ナンデアンナニイキキレテンダヨ
東雲「さあ、来てみろおお!」
弟「はっ……はっ……」シュタッ
弟「!(街中に出た!!)」
東雲「さあ、どうする!?」
- 92 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:33:30.93 ID:Ece4SRL80
オイ,ナンダヨ,コレ
スゲエコトニナッテンナァ
カメラトローット
パシャ パシャ パシャ
弟「……!(くそ! 失敗だ!)」ダッ
東雲「…………!」
東雲「勝った……」
東雲「なんだよ……勝っちまった……」
東雲「…………結局、誰も俺を殺してくれねえのか……」
東雲「…………ちくしょう」
- 93 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:35:12.28 ID:Ece4SRL80
弟「(…………くそ……………)」トボトボ
弟「(どうしよう…………)」
弟「(もう終わりだ……)」
弟「(姉ちゃん……ごめん……)」
八百屋「あいよー安いよー! 今ならお買い得よー!」
弟「……」ジーッ
八百屋「ん? 何だ、欲しいのか?」
八百屋「…………」キョロキョロ
八百屋「……ほれ、リンゴ持ってきな」ヒョイ
弟「!」パシッ タタタッ
- 94 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:36:51.27 ID:Ece4SRL80
現在 4
――喫茶店
女「(事情聴取はすぐに終わった)」
女「(ともかく、現段階では何も分からないからだそうだ)」
男「少しは落ち着いたかな?」
女「はい……」
男「……二年前のと同じなんだ。だから、警官たちもピリピリしている」
女「……二年前……確かその時期ですよね」
女「端梨の治安が落ち着きだしたのは」
男「……そうだね」
- 95 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:38:29.57 ID:Ece4SRL80
店員「何をご注文なさいますか?」
男「何がいい? 朝、何も食べてないだろう」
女「自分は……このコンソメスープで……」
男「じゃあ、僕はシチューにしよう」
店員「はい。かしこまりました」
男「あ、ちょっと……」
店員「?」
男「肉はいらないから、抜いてほしい」
店員「はい、分かりました」
女「……(お肉、ダメなのかな)」
- 96 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:40:12.41 ID:Ece4SRL80
男「ベジタリアンなんだ」
女「そうなんですか」
男「さ、話の続きだが……」
男「何が聞きたい?」
女「…………」
男「何も言わないつもりかい?」
女「…………」
男「喫茶店で話そうと言ったのは君だ」
男「デートのお誘いで緊張でもしてるのかい?」
女「…………(言おう)」
- 97 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:41:49.45 ID:Ece4SRL80
男「言ってごらん」
女「自分、昨日聞いちゃったんです」
男「……」
女「男さんと少年の会話を」
男「そうか……。聞かれていたのか」
女「はい」
男「それで?」
女「少年は過去の自分を省みず、再び殺しを始めた」
男「そうだね」
女「男さんはそれを許せなかった」
- 98 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:43:34.42 ID:Ece4SRL80
男「ああ。僕は彼を嫌った」
女「そして、今朝の殺人事件」
男「…………」
女「いくら犯罪を止めようとしても……、」
女「男さんが殺人をしたら……意味ないじゃないですか……!!」
男「僕が犯人というわけか」
女「………………はい」
男「じゃあ、どうする?」
女「自首してください」
男「…………」
- 99 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:45:12.22 ID:Ece4SRL80
女「事情を話せば罪も軽くなります」
男「……そうだな」
女「お願いします。よく分からないけれど、男さんは」
女「…………きっと、きっといい人だと思うから」
男「…………」
女「男さんっ…………!」
店員「お待たせ致しました、コンソメスープとシチューです」
コトン コトン
男「……食べよう。腹が減った」
女「…………はい…………」ズズ
- 100 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:46:49.96 ID:Ece4SRL80
店員「1500円です」
女「あ、お金……」
男「良いよ、僕が出す」スッ バリバリ
女「す、すいません」
男「いいさ。僕のせいでこんなことになったんだ」
女「! (ということは……)」
店員「ありがとうございましたー」
男「さ、出よう」
女「は、はい……」
カランコロン
- 101 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:48:28.86 ID:Ece4SRL80
男「…………」テクテク
女「…………」テクテク
男「…………確かに」ピタッ
女「!」ピタッ
男「……僕が犯人だ」
女「…………」
男「……けれど、たとえ自首しても、警官たちは僕を捕まえることはできない」
女「え?」
男「それが僕の唯一の失敗だ」
女「(どういうこと……?)」
- 102 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:50:09.36 ID:Ece4SRL80
男「あのアパートは、きっと、君にトラウマを残しただろう」
女「…………はい」
男「言った通り、引っ越し費用は僕が払う」
女「いえ、構わないでください」
男「……そうか。分かった」
男「なら、一つお願いを聞いて欲しい」
女「……何ですか?」
男「あの犬の世話を、僕の代わりに頼む」
女「いいですよ。任せてください」
男「すまないな……」
- 103 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:51:49.45 ID:Ece4SRL80
――アパート前
男「これから僕は自首しに行く」
女「…………はい」
男「君が来てくれてありがとう。長い間、誰かが来るのを待っていたんだ」
女「最初から、このつもりだったんですか?」
男「……ああ。こいつの世話をしてくれる人を待っていた」ナデナデ
犬「……?」クウーン
男「君なら安心だ」
女「……ちゃんと面倒、見ます」
犬「わふ……」
- 104 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 15:58:19.50 ID:TO0o+m3Z0
これいつになったら面白くなるの?
- 105 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/01/27(日) 16:07:40.79 ID:9lKwYHLMP
誰かこのスレにSS書き込んでください。猿食らいました
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1359269716/
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