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妹「兄貴。私、告白されたんだけど」
- 1 名前:VIPがお送りします []
投稿日:2011/04/03(日) 07:16:18.87 ID:xdhbOKek0
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1301746549/
このスレが落ちちゃったんで立ててみたんだけど・・・
書いてた人くるかなぁ
- 2 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 07:17:44.43 ID:hoHqCREx0
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- 3 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 08:16:10.58 ID:pr6Se7Ln0
前のスレで完結してんだから次スレとかいらねえだろjk
- 4 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 09:58:24.78 ID:X8/VEd+Wi
テスト
- 5 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 10:15:12.95 ID:maCQC1s60
前スレの>>1だけど、他の方が綺麗にまとめてくれたんで、
あれで良かったような気がする。
でも、自分も続きの展開とか色々考えてたんで、
こっちで投下してもいいかな?
遅筆だからゆっくりになっちゃうと思うけど、完成は絶対にさせるから。
- 6 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 10:21:42.09 ID:0rWn86TuP
しえん
- 7 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 10:23:27.21 ID:7rJGgOc60
出来れば最初から投下を
- 8 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 10:33:57.65 ID:maCQC1s60
妹なんていない方がいい。
それも、とびっきり美人で性格が良くて、
兄のことを疎むこともなく、会話が合う妹なんて、
なおさら、いない方がマシなのだ。
仮に、誰もが羨む程の綺麗な妹がいたとしても、
元を辿れば、所詮は同じ両親の精子と卵子から出来ているわけで、
そこには絶対的な血の繋がりがある。
風呂場で偶然、裸の妹を見たところで、
その日のおかずになるわけもない。
結局、妹とは、性別は女であるものの、
兄からすれば異性の対象にはなりえない。
- 9 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 10:38:08.76 ID:maCQC1s60
それは、妹を持っている同胞ならば、
誰もが理解できる周知の事実だと思う。
で。
そんな俺にも妹が一人いる。
それも……
よく出来た、いや、出来過ぎた妹が。
---†
- 10 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 10:40:53.95 ID:maCQC1s60
妹「兄貴、入っていい?」
学校から帰宅後、すぐさま部屋のベッドに直行していた俺は、
扉の向こう側から聞こえる妹の声で目を覚ました。
男「ん……いいぞ」
瞼をこすりながら、ゆっくりと起き上がる。
「ありがとう」という小さな声の後、
斜向いにある扉が控えめに開いた。
妹「あっ、もしかして、寝てた?」
目の前に現れたのは、見慣れた短髪の少女。
もちろん、俺の妹。
- 11 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 10:45:22.38 ID:maCQC1s60
男「……ああ」
その美貌に一瞬見とれてしまい、
自然とくぐもった声になった。
妹「ごめん、私が起こしちゃったか」
男「いや、構わない。で、何の用だ?」
妹「パソコン」
「借りたくて」と彼女は続ける。
ああ、そういうことか。
妹「いいかな?」
男「別にいい。というか、いつも言ってるだろ?」
妹「ん?」
パソコンの前に座った妹が振り向いた。
- 12 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 10:47:15.16 ID:maCQC1s60
男「お前の部屋にもあるんだから、そっちのを使え」
妹「だから、使えないんだって」
男「は? 確か、新品だろ?」
妹が高校に入った祝いとして、彼女に、
父親が最新仕様のノート型パソコンをプレゼントしたはずだ。
壊れるにしてはまだ早い。
妹「設定できない」
男「ああ……」
その一言で全て納得がいく。
確かに、妹は大の機械音痴だった。
仕方ない。
- 13 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 [] 投稿日:2011/04/03(日) 10:49:20.71 ID:NUG/14Hp0
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
- 14 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 10:54:15.29 ID:maCQC1s60
男「今度、俺が設定しといてやるよ。なんなら、今やってやろうか」
妹「いや……」
男「ん?」
妹「兄貴のパソコンがネットに繋がってるんだし、別に構わないよ」
男「構わないって、お前……」
ネットの設定など数分以内に簡単に出来る。
そんなことより、
自分の部屋でネットが出来た方が便利だと思うのだが。
けれど、彼女は上目遣いでこちらを見つめて。
妹「兄貴は嫌か?」
男「…………」
- 15 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:03:18.98 ID:maCQC1s60
妹「迷惑って言うなら、そうして貰った方がいいか」
男「いや」
妹「ん?」
男「お前がこれでいいなら、構わない」
妹「そうか」
そう言って、彼女は微笑む。
そんな妹の笑顔を見て、心底、満足してしまうところ、
今後も、彼女に勝つことは出来ないのだと思う。
結局のところ、
俺は今の関係に満足しているのだろう。
- 16 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:04:07.84 ID:maCQC1s60
彼女も俺のことを慕ってくれているようだし、
俺自身も彼女をかけがえのない存在だと思っている。
同じく妹を持つ友人がよく言う「仲のいい兄妹なんて幻想さ」
という言葉は、俺には当てはまらない気がする。
現状は、だけれど。
妹は、パソコンに向かって、未だ何か調べ中のようだった。
そんな様子を横目で伺いながら、
俺は、もう一度、ベットに横たわる。
何を調べているのだろうか。
そんな好奇心がむくむくとわき上がってきた頃、
背を向けた彼女が、小さく言った。
妹「そうだ。兄貴はさ、彼女、出来た?」
- 17 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:13:36.98 ID:maCQC1s60
男「……は?」
思わず聞き直してしまった。
妹「だから、彼女」
男「知ってるだろ。俺がモテないことぐらい」
妹「なら告白したことは?」
男「……ない」
妹「告白されたことは?」
男「もちろん、ない……」
妹「なんだよ、それ」
言われずとも、我ながら悲しい現実ぐらい、
きちんと認識出来ている。
- 18 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:19:37.79 ID:maCQC1s60
彼女はあきれたような面持ちで、
俺の方へ振り返った。
男「おい、俺をそんな目で見るな」
けれど、いまだ、妹はニヤニヤ笑い続けていた。
今度ばかりは、その美貌が鼻につく。
妹「今まで何やってたんだよ」
男「違う」
妹「何が?」
男「何もしなかったから、こうなったんだ」
妹「それ、威張って言うことかな……」
男「あーもう、うるさいぞ」
- 19 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:22:39.30 ID:maCQC1s60
男「綺麗なお前とは違って、平凡な男子高校生は気弱なんだ」
男「草食系男子って知ってるか?」
男「俺はまさしくそのベジタリアンって訳だ」
妹「何だよそれ」
けらけらと彼女は笑う。
俺もそんな妹の姿を見ていると、次第におかしくなってきて、
最終的には、一緒に笑い合っていた。
妹「もう、兄貴も頑張れよな」
妹「顔に自信がないのかもしれないけど」
妹「妹の私から見て、兄貴って、結構、イケてると思うからさ」
男「嘘じゃないだろうな?」
- 20 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:27:46.63 ID:maCQC1s60
妹「今日は何日か知ってる?」
四月二日。
男「エイプリルフールではないのは確かだ」
妹「なら、そういうこと」
男「……ふん」
遠回しで、はっきりと言わないところが、妹らしい。
けれど、妹に励まされる兄って、
女子的にはどうなのだろうか。
母性本能がくすぐられるとか、よく言われてはいるけれど、
やはり、男に求められるのは、包容力のような気がする。
もちろん、俺には……なさそうだ。
男「一ついいか」
- 21 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:30:19.94 ID:maCQC1s60
妹「彼女を紹介してって言うのは、なしな」
男「ええと……」
いや、それも実のところ、アリか……?
二個下……うん、全然いける。
妹「目がマジだな……」
男「違う違う」
本当に聞きたいことは。
男「で、お前はどうなんだ?」
妹「え?」
男「実は、今、彼氏とかいるのか?」
妹「いや、いない……」
- 22 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:32:12.23 ID:maCQC1s60
男「なら、告白したことは?」
妹「ない」
男「告白されたことは?」
妹「…………」
そこで、なぜか、沈黙。
ということはつまり──
男「え?」
妹「兄貴……」
妹「私、今日、ガチの告白されたんだけど」
妹「どうしようか?」
口を開いたまま、呆然としてしまったのは、
当然のことだった。
---†
- 23 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:34:34.48 ID:maCQC1s60
冒頭に戻ろう。
結局、とびっきり美人で性格が良くて、
その上、兄のことを疎むこともなく、
会話が合ったとしても、妹なんて、いない方がいい。
どんなに仲がいい兄妹だったとしても、
未来永劫、共に暮らすなんてことはあり得ない。
時期がくれば、互いに恋をし、家を出て、
運が良ければ結婚する。
可愛く、大事にしていた妹も、
どこぞの馬の骨とも分からん男に奪われてしまう。
そんな悲しみを覚えるくらいなら、妹なんて初めからいない方がマシだ。
今、まさに俺はその心境だった。
- 24 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:35:50.32 ID:maCQC1s60
話は変わるが、我が家には父親がいない。
いや、だからこそ、俺は妹にとって兄として、
時には父親として接してきたつもりだった。
家にいる男は、俺だけ。
何かあった時には、自分が母親と妹を守るのだと、
幼少期から固く誓って、ここまでやってきた。
今もそれは変わらない。
まあ、最終的には、こう頼りない男になってしまったわけだが。
ちなみに我が家の母親、ママンは元女優である。
もちろん、いかがわしいものではない。
昔はテレビのドラマで、
ヒロインを演じるほどまでに人気があったという。
- 25 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:36:46.44 ID:maCQC1s60
酒を飲んで気分絶頂の母に、
かつての自慢話を何度も聞かされたものだ。
今は、銀座の一角で飲み屋の経営を任されている。
収入は、女性にしては割といい方だ。
いや、もちろん、
女性蔑視の発言という訳ではないので、あしからず。
そんなわけで。
元女優。
現在は一家とバーの両者で“ママ”の名を持つ、
俺たちの母親が帰宅なさった。
- 26 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:37:56.02 ID:maCQC1s60
母親「一家の主が帰ったぞぉー!」
日がとっくに暮れた深夜、明らかに酒に酔った、
呂律の回らない声が家の中に響き渡った。
俺は心の中でため息をつく。
どうやら今日は、“怒”の日らしい。
母親「おーいっ! 出迎えはないのかっ!?」
こんな時間だ。
明日が早い妹は既に夢の中だろう。
つまり言えば、今日もまた、
俺が母親の相手をしなければならないわけで。
男「おかえり」
母親「ん、ただいま」
玄関でへたれ込み、化粧がとれかかっている母親は、
廊下に立つ俺の姿を見つけて、にっこりと笑った。
- 27 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:38:01.76 ID:CvkwmiY70
うきー
- 28 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:38:42.15 ID:maCQC1s60
母親がリビングの椅子に座り、
水を飲んでいる間、
俺は彼女の分の料理(妹が作っている)をレンジで温める。
綺麗にラップされた各品々は、
見るからに俺が母親のために温めることを想定されているかのように、
しっかりと準備されていた。
俺が台所にいる間の母親と言えば、黙って水を飲んでいればいいものの、
今日、店に来た客は、
あまりに糞で、糞すぎで、糞なんだと、必死に愚痴り続けている。
俺はそれに対して生返事を続け、
準備を淡々と進めた。
あらかた用意が済んだ後、食事をテーブルへ運び、
彼女が今度こそ黙って、料理に手をつけ始めたのを確認してから、
対面の椅子に深く座り込んだ。
- 29 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:39:43.44 ID:maCQC1s60
母親「ふむ、おいしい」
嬉しそうに娘の作った料理を頬張る姿は、
なんだか少女のようだった。
母親「んー、料理の才能は誰から受け継いだんだろうな」
男「母さんじゃないことは確かだ」
俺がそう言うと、彼女は顔を顰める。
母親「うるさいぞ」
男「でも母さん、自分で言ったんだろ」
母親「自分で言うのはいいんだ。人に言われると、腹が立つ」
めんどくさい性格だ。
- 30 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:41:05.22 ID:maCQC1s60
母親「で」
男「ん?」
母親はそう言って、一旦、箸を置いた。
母親「なにか、ひどく話したそうな顔をしてるな」
母親「構わない。早く言え」
男「…………」
恐ろしい程の勘のよさ。そして、即決。
この親にして、あの娘ありだ。
母親「早く」
男「妹がさ」
母親「ん? あの娘のことか?」
男「今日、告白されたんだって」
- 31 名前:ここから新規。 [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:42:33.15 ID:maCQC1s60
母親「ふーん」
さして、驚く様子ではなかった。
男「母さんは、驚かないんだな」
母親「私の娘だろ? 今回で初めてなんて、逆に遅いぐらいだ」
母親「私が高校生の頃はな──」
お得意の自慢話に入ろうとした母親の言葉を俺は遮った。
男「いやさ、でもあいつ、言葉遣いとか男っぽいし」
男「意外とモテないんじゃないのか」
母親「それは誰に似たからだ?」
男「……母さん」
- 32 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:44:22.86 ID:maCQC1s60
母親「だろ? なら、モテて当たり前」
至極当然のように彼女は言う。
そうか。
母親曰く、自分は学生時代、
ラブレターがひっきりなしだったようで。
そして、母親に似た妹。
男「なんかな……俺だけ仲間はずれの気がしてきた」
母親「ふふ。そう言うな」
男「だって、俺の顔は、お世辞で言っても平均値」
男「やろうつったって、やりようがない」
- 33 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:45:31.39 ID:maCQC1s60
母親「それは違うぞ」
母親は自分の胸を叩いて言う。
母親「男はここだ」
男「“心”ってか?」
母親「そうだ。必要なのは、中身に他ならない」
母親「外見なんて、今のご時世、いくらでも改造できるからな」
「まあ私は違うけど」と彼女は付け加えた。
確かに、彼女のいい分は理解できる。
男は中身だ、度胸だ、とは、昔からよく言われたもので、
繁華街を歩けば、美人の隣にいる不細工面の男を見つけるのは、
そう難しいことではない。
だけれど。
- 34 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:46:19.46 ID:maCQC1s60
男「つまり、母さんは」
男「玉砕覚悟でも自分からアプローチかけてけって、言いたいんだろ」
母親「まあな」
箸を再度持ち、サラダをつまむ母親が軽い感じで言った。
結局は、俺次第ってことか。
なんだかなぁ、あまり納得がいかない。
しばらく、彼女の食事を黙って見守る時間が続いた。
飯を大半食い終わり、
締めのみそ汁(母親はスープ系を必ず最後に残す)にさしかかった頃。
沈黙に耐えきれなかったのか、片方が口を開いた。
母親「おい」
と、対面に座る母親。
- 35 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:47:02.18 ID:3ZSoSoBm0
男の口調が気持ち悪すぎて困る
- 36 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:47:13.47 ID:maCQC1s60
その声の質に、今までとは違う何かを感じ取る。
じれったさからくる、怒りだ。
母親「それで、いつになったら、本題に入るんだ」
ん、本題?
待て、何の話だ。
母親「私に言いたいことってそれだけだったのか?」
母親「俺の妹が告白されたらしい。でも、俺は彼女と違ってモテないんだよな」
母親「それがお前の話したかったことか?」
男「…………」
母親「分かるだろ? 前の話には重要なものが抜けている」
母親「お前がどう思ったのか、お前がどう感じたのか」
母親「嬉しいのか、悔しいのか、悲しいのか、それとも──何だ?」
- 37 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:48:56.29 ID:maCQC1s60
男「感情、ね」
母親「言いたいことははっきり言うんだ」
母親「そうしてくれないと、相談にはのれないぞ?」
母親「でも、お前が本気だと分かれば、私はお前の力になる」
男「うん……」
分かってる。
そんなこと、言われずとも、分かっている。
男「母さん」
母親「ああ」
男「今までなし崩し的にここまでやってきたけど」
- 38 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:49:49.44 ID:O7Cqb5B60
口調やべえなww
- 39 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:49:51.66 ID:3ZSoSoBm0
間違えた
登場人物全体の口調が気持ち悪いな
- 40 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 11:50:08.51 ID:0rWn86TuP
妹可愛い
- 41 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:50:08.70 ID:maCQC1s60
男「一つだけ昔から気になることがあるんだ」
男「ずっとこれまで我慢して、考えないようにしてきたけれど」
男「もう限界かもしれない」
母親「おう」
男「本題の前に一つだけ確認しておきたいことがあるんだ」
男「本当に、ごめんな」
一度、謝った後、俺は続けた。
男「俺たち、血は繋がってないんだろ?」
母親「うん」
そう言った彼女の顔は、とても綺麗な笑みだった。
---†
- 42 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:50:40.64 ID:CvkwmiY70
妹は可愛いやんけい
- 43 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 11:58:44.72 ID:3ZSoSoBm0
とっとと書けよ
- 44 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 12:05:59.15 ID:78uaB25N0
口調は気にしてないから続けて
- 45 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:07:14.71 ID:3ZSoSoBm0
いや口調は気にするけど続けていいよ
- 46 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 12:13:12.87 ID:0rWn86TuP
妹さえ可愛ければ口調などどうでもいい
- 47 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:14:28.45 ID:maCQC1s60
自分だけが家族の中で浮いていると、
気づいたのはいつ頃のことだったのか。
小学生の頃は何の疑問もなく、
母子家庭の子供も友人には何人かいた。
確実におかしいなと判断したのは、
妹の父親と言われる男が我が家を訪ねてきてからなのだろう。
背広を着て、見るからに成功者の佇まいの男性。
父親。
彼は俺を初めて見たとき、一瞬、驚いた表情をした。
けれど、それは自分の子供が予想以上に
成長していたという驚きではない。
- 48 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:16:33.27 ID:maCQC1s60
そこにいるという事実が。
俺が元妻の息子としているという現実が。
想像もつかなかった、あり得ないといった、
驚愕の感情を帯びた表情だった。
その時に、自然と気が付いた。
この人は、俺の父親ではない。
妹の父親であって、母親のかつての夫であっても、
俺とは何の血の繋がりもない。
つまり言えば。
俺は、誰の子なのだろう?
そうやって、疑問を覚え始めるのも、
時間の問題だったと言える。
結局は、母親に遠慮して、或いは、その現実に恐怖して、
彼女に聞き出すことは昨日まで出来なかったわけだが。
- 49 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:17:17.61 ID:3ZSoSoBm0
書き溜めしてあんならとっとと出せよ
叩かれるのが怖いんならvipでSS書くんじゃねえよ
- 50 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:17:18.89 ID:Ijub+lnk0
義理かよ…
まあそれもよし
- 51 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:24:58.37 ID:MjIBxeMc0
結ばれないからこそ兄妹は輝くと私は思うのです
- 52 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:26:19.62 ID:0wGz3n6ZO
早く書けよ
- 53 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:52:22.74 ID:du0LZLJF0
ぬわす
- 54 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:52:44.84 ID:maCQC1s60
妹「兄貴、起きて」
俺の眠りを妨げたのは、妹の声だった。
目覚まし時計を見ると、現在、朝の六時半。
起きるにしては、まだ早すぎる時間だ。
男「まだ、もう少し寝かせろよ……」
妹「駄目。兄貴、私と約束しただろ?」
そう言って、ベッドに横たわる俺の体を乱暴に揺らす。
約束? なんか、したか?
男「そもそも、お前、部活は?」
妹「今日は日曜だって。休みなの知らないわけ?」
- 55 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:53:50.19 ID:maCQC1s60
男「ああ、そうか」
水泳部に所属している彼女は、
基本的に毎日、朝練で早く家を出る。
唯一の休みというのが、日曜。
この日だけは、妹の完全自由な時間だと言える。
男「でも、眠いんだ。ほんと、もう少しだけ……」
しかし、俺の必死の懇願もむなしく、
妹「駄目だって! 約束した! 兄貴、私と約束した!」
耳元で大きな声で叫ばれる。
そもそもの話。
男「あーもうっ!」
妹「うわっ」
急に起き上がった俺に驚いて、
彼女は地面に尻餅をついた。そんな妹を横目で見る。
- 56 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:55:13.45 ID:maCQC1s60
男「約束約束っていうけどな、一体、何の話だ?」
妹「はぁ?」
男「『はぁ』じゃない。俺はお前と早起きの約束をした覚えはないぞ」
妹「約束を違えるとか、最低」
男「最低ってお前……」
違えるとか、そういった次元の話じゃないんだ。
結局は、その約束の内容自体を覚えていない。
まあ、こんなこと言ったら、
またボロカスに怒られるはずなので、絶対、口にはしないが。
でも、約束か。
何か、彼女の休みの日にしようと話をしただろうか。
うーん。
男「駄目だ」
妹「やっぱり、違えるってことなんだな!」
- 57 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 12:57:24.69 ID:maCQC1s60
男「違う違う。寝起きで頭が冴えなくて」
男「どんな約束だったのか、いまいち思い出せないんだ」
妹「何だよ、それ」
と、口を膨らませて、文句をぶつぶつ言っていたが、
最終的には「そういえば、朝の兄貴は低血圧だったか」と
勝手に自己解決してくれたので、助かった。
しかし、コイツってちょっと天然入ってないか?
妹「なら、私がもう一度、説明してあげるよ」
男「すまんな、恩に着る」
妹「一週間前ぐらいだったかな。ほら、二人でテレビの釣り番組見てだろ?」
男「釣り番組……」
ああ、そういえば、そんなこともあったような。
- 58 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:01:33.14 ID:EeeyRQGyO
期待
- 59 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:01:57.84 ID:maCQC1s60
妹「それで、話が盛り上がってさ。兄貴が言ったんだろ」
妹「『そういえば、お前って釣りしたことなかったな』って」
男「……うん」
言った。
確実に言った記憶がある。
男「そうそう。それで、俺が──」
妹「『なら免許も取ったことだし』」
妹「『今度、お前が休みの日に車で釣りでもしにいくか』」
男「……でしたね」
妹「もう忘れんなよっ! 結構、楽しみにしてたんだからなっ!」
男「悪い。今度ばかりは兄ちゃんが悪かった」
妹「今度ばかりじゃないぞ。いつも兄貴が悪いんだ」
- 60 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:08:42.33 ID:maCQC1s60
男「はいはい、ごめんなさい」
妹「『はい』は一回でいい!」
男「…………」
とまあ。
そんなこんなで、釣りをしにいくことになった。
兄妹で釣り。
なんか、おかしな気がしないでもない。
妹は五時前に起きて、弁当の用意をしていたという辺り、
楽しみにしていたという言葉は嘘ではなさそうだ。
けれど、俺も中学時代に友達と数回、試してみたぐらいだからな。
そうだ……家に竿って、何本あったけ?
---†
- 61 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:19:34.36 ID:maCQC1s60
『後悔先に立たず』
とは、よく言ったもので。
妹「竿が一本しかないとは、どういうことなんだっ!」
釣り初心者の妹から、お叱りの言葉を頂戴していた時、
先人というのは、なかなか、
ズバリな諺を作るのだな、などと感心していた。
いや、本当にごめんね。
妹「しかも、その一本も壊れてるしっ!」
男「前回最後のとき、意外と大物を引いたんだよな……」
男「安物だったからリールが駄目になった」
妹「なら、この巻く部分だけ買い直せばいいだろ?」
男「お金なーい」
- 62 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:20:29.04 ID:maCQC1s60
妹「兄貴のバカぁぁっ!」
と、そんな感じで。
七時ちょいには出発できるくらいに、
準備は整っていたのに、最後の最後で肝心の竿に問題が発生した。
いや、なんとなく、分かってはいたけれど。
現在、妹は俺の部屋で徹底抗戦の構え。
なぜに自分の部屋で立てこもらないのかは、俺の知るところではない。
ところで俺は、自分の部屋の前で一人立ち尽くし、
どうやって彼女の機嫌を取り直せばいいのか、
次の策を練っていた。
ふむ。
釣りは出来ない。お金も余りない。
時間だけは早起きが功を奏してたっぷりとある。
- 63 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 13:24:57.21 ID:9QXhzxzC0
シエンタ
- 64 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:37:49.84 ID:maCQC1s60
こうなると取れる選択肢は意外と少ないな。
よし。
扉を控えめに数回ノックする。
男「入るぞ。いいか?」
返答なし。この際、沈黙は肯定と見なすぞ。
ゆっくりと扉をあけると、
俺のベットにちょこっと座って、
こちらを鋭い眼光で睨め付ける少女がいた。
俺の妹。マイシスター。
- 65 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:40:20.83 ID:Ca0bIzJz0
なんで母子家庭って設定なのに前半で妹が父親にノーパソ買ってもらってるの?
- 66 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:42:39.33 ID:maCQC1s60
妹「嘘つき」
男「…………」
開口一番に毒づかれた。
まあ、今回は全面的に俺が悪いからな。
少しばかりの悪口は認めよう。
妹「甲斐性なし」
妹「モテない男」
妹「露出変態狂」
男「それは認めないから!」
どうやら、かなりご立腹の様子だった。
この調子だと、機嫌をよくさせるのは一苦労いりそうだ。
どうやって、話の糸口を見つけようか。
- 67 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:44:36.82 ID:maCQC1s60
と、悩んでいると、黙り込んだ俺を見かねて、
妹「で。代案は考えた?」
妹が助け舟を出してくれた。さすが、俺の自慢の妹だ。
男「おう!」
妹「んじゃ、聞かせて」
そう言って、彼女は目を瞑る。
なんだか、小学時代に担任の先生に
『言いたいことがあるなら、いいなさい。先生、聞いてあげるから』
と、遠回しに悪事を白状させられる気分だった。
いや、もちろん、今度は悪事じゃないけれど。
男「金がないから、遊園地みたいなのは無理なんだが」
妹「…………」
うー、沈黙が怖い。
- 68 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:47:07.75 ID:maCQC1s60
男「ドライブで山に行って、日帰りのキャンプなんて、どうだろうか」
妹「………うん」
男「え?」
妹「オーケーかな。なんとか、妥協できる範囲かも」
男「そ、そうか」
妹「じゃあ、夕飯も向こうで食べるってことでいい?」
男「ああ、ちょっと帰りは遅くなると思うが、構わないだろう?」
妹「了解」
そう言って、瞳を開いて、軽く微笑む彼女の姿を、
やっぱり綺麗だな、なんて思ってしまった。
妹なのにな。
---†
- 69 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 13:49:16.80 ID:maCQC1s60
飯食いがてら、休憩します。すみません。
- 77 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 16:21:10.22 ID://i9IEl20
桐のが頭に浮かんだ
- 78 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 16:38:21.55 ID:8jnzcwZm0
C
- 79 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 16:42:24.38 ID:maCQC1s60
自動車免許を取りに教習所に予約をしたのが、
誕生日の次の日。
本試験に合格したのは二ヶ月後。
通いのペースとしては、割と早い段階で取れたのだと思う。
男「どうだ、不安は消えたか?」
妹「む……今のところは」
助手席に座る妹の表情は、
出発直後に比べ、幾分かリラックスしているようだった。
口数が少ないのは──まあ仕方ない。
安全運転、安全運転と念仏のように、
隣で喚かれるぐらいなら、黙っていてくれた方が、運転しやすい。
- 80 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 16:43:33.90 ID:maCQC1s60
男「向こうでバーベキューセットや炭は頼めると思うし」
男「あと必要なのは食材ぐらいか」
妹「どこで買う?」
男「電話で確認した限りだと、近くにスーパーがあるっていってたな」
出発前、一応、念のために電話で予約をお願いしておいた。
冬なので心配はそういらないはずだが、
万全を期すことは大切だ。
なんせ、今日は悪運の日っぽいからな。
目的地までは三時間程。しばらくは運転が続く。
隣に座る妹も、段々と安心してきたようで、
車内では二人の会話が始まった。
- 81 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 16:44:29.79 ID:maCQC1s60
話題。
もちろん、例のあれだ。
男「それで、昨日の件どうなったんだ?」
妹「昨日の件?」
男「ほら、告白されたとか、云々」
妹「ああ……」
妹は少し俯いた。
男「付き合うのか?」
妹「……んー、分かんない」
男「分かんないって、お前……」
自分のことだろ、と言いかけたのを遮って、彼女は言う。
- 82 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 16:45:17.20 ID:maCQC1s60
妹「兄貴は、どうした方がいいと思う?」
男「俺が?」
妹「うん」
男「そうだな……」
これはつまり、
兄に相談をしていると考えてよいのだろう。
兄貴だったら、どうする?
もし、私の立場だったら、どうすれば正しい選択だと思う?
期待には結果で応えるしか有るまい。
恋愛スキルは皆無に等しい俺だが、年の功はある。
男「相手は、いい人なのか?」
妹「まあ、そこそこ」
- 83 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 16:46:11.90 ID:maCQC1s60
聞くところによれば、同じく水泳部の次期主将だとか。
三年は引退間際であるわけだし、
つまり、二学年の誰か。
ちなみに、俺も妹も同じ中高一貫の私立学生である。
男「んー、まだ好きって段階ではないんだろ?」
妹「そう」
男「でも、嫌いじゃないって、か」
妹「…………」
なんだか、じれったい感じだ。
結局は、彼女自身の気持ち次第なのだろうけれど、
あくまでも俺の意見を求めているわけだし。
はっきり言って、返答に困る。
- 84 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 16:47:10.44 ID:maCQC1s60
妹「どうすればいい?」
男「……ええと」
もう、こうなれば、やけっぱちだ。
俺の正直な気持ちをぶつけてやれ。
男「やめとけ」
妹「……え」
男「そうやって、悩んでいるうちは、やめとけってことだよ」
男「急ぐ必要なんてないわけだから」
- 85 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 16:48:07.90 ID:maCQC1s60
男「そのうち本当にいい人が見つかるまで、誘いは断り続けろ」
俺は前方の赤信号を見ながら、そう言った。
横断歩道の青いランプが点灯している。
少しの静かな間の後、信号が青になり、
俺はアクセルベダルをゆっくりと踏み込んだ。
すると、隣の妹が小さくつぶく。
妹「うん、そうする」
そのときの彼女の表情を、俺は知らない。
---†
- 86 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 16:51:43.76 ID:0wGz3n6ZO
妹欲しい
- 87 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 17:12:10.96 ID:KdPYF1An0
慕ってくれる妹欲しい
姉()
- 88 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 17:21:29.07 ID:7Ye4w+/Q0
母との会話辺りから既に改変されてるのか
- 89 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 17:21:58.25 ID:dg1blpHh0
あ
- 90 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 17:53:28.06 ID:maCQC1s60
ちょい町。
- 91 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:14:06.56 ID:maCQC1s60
唐突だが、神は実在するのだろうか。
宗教的観点から考えれば『いる』というのが、
信仰者にとって、疑うことのない大前提。
一方で、無神教の人から考えれば、
『いない』というのが真理になるのだろう。
今まで、神を見たという人が科学的に証明されたことはないし、
今後もそれはありえないはず。
けれど、神の存在を疑うこともなく、
信仰している人は数多といる。
そこにある差異は何か。
何が、人に神を惹き付けさせるのか。
- 92 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:15:57.39 ID:lJAriXit0
しえん
- 93 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:20:57.83 ID:maCQC1s60
結局それは、『どうして人は生きるのか』『死ぬ意味とは』
といった、解かれることのない命題の一つなのかもしれない。
さて。
なぜ、こんな話をしたかというと。
妹「あれ、神社じゃない?」
高速を抜けて、山道に差し掛かった頃、
隣に座る妹が一つの赤い社を見つけたのが、きっかけだった。
地図にも、ガイドブックにも載っていない、
古びていて、誰の手入れもされていないような、
小さな神社。
彼女がそこへ寄りたいと言い出した。
- 94 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:21:59.76 ID:maCQC1s60
男「お前って、神頼みするような性格だっけ?」
妹「いや、普段ならしないけど。ほら、あれ」
そう言って、妹は神社を指差した。
妹「なんか、惹き付けられない?」
男「……は?」
本当に意味が分からなかった。
惹き付けられる?
あのボロ臭い神社に神秘性でも感じ取ったとでもいうのか?
結局、断る理由を見つけることが出来ず、
なし崩し的に二人でお参りすることになった。
色あせた看板に、神社の由来が書かれている。
どうやら、誰かの鎮魂のために立てられたものらしい。
- 95 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:22:50.69 ID:maCQC1s60
神社擬きってとこか。
山の道に入ってからというもの、
朝は透き通る程の青が綺麗な快晴であったのに、
今ではどす黒い曇り模様。
山の天気は変わりやすい、とはよく言うが、
これは何か不吉な予感を感じざるをえない。
俺とすれば、早くキャンプ場に着きたい一心だった。
隣にいる妹は、祠に向かって手を合わせ、
熱心に何かを願っているようだった。
そうだな、この際、俺も神頼みでもしとくか。
何がいいだろう。
健康祈願とか、交通安全とか。
んー、それじゃ、テンプレ過ぎるしなあ……。
- 96 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:23:42.00 ID:maCQC1s60
咄嗟に願いを考えろと言われても、そう容易く出てこない。
金持ちになりたいとか、彼女が欲しいとか、
そんな願いをこの神社でしたところで、叶いそうもないからな。
とりあえず、妹のことでもお願いしておこう。
これから、彼女が幸せでありますように。
二人で目を瞑り、手を合わせ、その場を後にした。
運転の再開。
天気は雨。
恐れていたことが、まさに来たか、という感じだった。
まだ免許取り立てのペーペーからすると、
ダブルコンボに他ならない。
ここからは、より慎重な運転が要求される。
- 97 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:25:00.08 ID:maCQC1s60
妹「運転大丈夫か……?」
男「あ……ん、なんとか、な」
そう口では言うものの、
激しい雨脚は衰えることを知らない。
早く着かないと、まずいな。
一旦、豪雨が弱まるまで、車を止めようか。
しかし、路肩が狭い山道で止められる場所など、限られている。
さきほどから、ガードレールのない危うい道が続いていた。
これは、ちょっと経路を間違えたな……。
妹「兄貴?」
心配そうな妹の声が聞こえる。
どうやら、相当切羽詰まった顔をしていたらしい。
- 98 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:25:57.11 ID:maCQC1s60
男「ん。気分転換に話でもしてくれよ」
妹「話って……」
男「何でもいいんだ。俺は運転に集中しているから」
男「独り語りみたいなのをお願い出来るか?」
妹「それはいいけど、つまんないぞ?」
男「構わない」
「なら……」と小さく呟き、妹は息をゆっくりと吐いた。
彼女は言う。
妹「ちっちゃい頃にさ、父さんが家に訪ねてきたことがあったろ?」
その話か。
- 99 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:26:49.73 ID:maCQC1s60
妹「そのときまで私は父親ってもんを知らなかったし」
妹「結構わくわくして会ったんだ」
そういえば、そんな会話をした記憶がある。
妹「それで、やっと出会えた父は、意外とかっこ良くて」
妹「背も高くて、私が想像していた父親像よりも遥かにすごい人だったんだ」
うん。
妹「けれど、何か違った」
男「…………」
妹「兄貴は父さんのこと嫌ってるっていうか」
妹「苦手っていうか、そんな感じだろ?」
彼女は続ける。
- 100 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:28:04.22 ID:maCQC1s60
妹「けど、私はあの後、たまに何度か会ってるし」
妹「こないだパソコンも買ってもらったし」
お前は知らないみたいだけど、最高のスペックだぞ。
妹「仲いいとは、お世辞にも言えないけど」
妹「だからといって、そんなに関係が悪いとは思ってない」
そうか。
妹「私としては、二人のたった一人の父親なんだから」
妹「兄貴にも、もっと仲良くしてほしいけど」
お前は気づいてないみたいだな。
うん、でもそれでいい。
妹「まあ、でも」
- 101 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:29:18.06 ID:maCQC1s60
そこで、妹は少し静かになった。
その後の言葉を選んでいるような、そんな気がした。
妹は言った。
妹「父さんのこと悪くいうのは嫌だけど」
妹「あの人は、やっぱり父親って風じゃないんだ」
男「……え?」
そのとき、俺は初めて声を出していた。
妹「簡単に言うと、親戚のおじさんと会っているような、感じなんだと思う」
妹「優しくしてもらって、時には何かを買ってもらって──でも」
横から視線を感じる。
妹の視線。
- 102 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:30:16.06 ID:maCQC1s60
妹「やっぱり、叱られたり、喧嘩するのが」
妹「本当の父親との関係なんだと思う」
そして、「だから──」と妹は言った。
未だ、雨は強く降り続ける。
妹「兄貴のこと、私、父親みたいに、頼ってるっていうか」
妹「尊敬してるっていう話なんだな……うん」
恥ずかしそうに語尾をごまかしたことに、
かえって、その言葉の信憑性を裏付けていた。
そうか。
俺の今までは、無駄じゃなかったのか。
- 103 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:31:33.13 ID:maCQC1s60
家で彼女に対して、兄以上に接してきた行為は、
ちゃんと意味があったわけか。
妹「でも、まあ」
男「……ん?」
妹「私的には、父親っていうより、やっぱり──」
そう妹が言いかけたとき、車はカーブを曲がった。
男「あ……」
- 104 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:32:46.94 ID:maCQC1s60
驚きでその後の言葉が出なかった。
目の前に対向車。トラック。
あまりにも大きすぎる衝撃が一回。
続いて、車が回転していることに遅れて気がついたが、
そのときは既に時間切れだった。
右側へ車は進む。
絶壁の右へ。
俺たちの車は、文字通り、宙に浮いた。
……と、思う。
なんせ、そのときには既に気を失っていたからだ。
---†
- 105 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:35:00.42 ID:/aZjJdlh0
なん…だと…?!
- 106 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:39:06.42 ID:lJAriXit0
しえん
- 107 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:40:02.59 ID:KdPYF1An0
ざわ
- 108 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 18:53:32.15 ID:e4IZSL06O
ドク・ブラウン「道など必要ない」
- 109 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 19:01:18.88 ID:d7LAv0qO0
普通におもろい私怨
- 110 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 [] 投稿日:2011/04/03(日) 19:22:40.20 ID:IYfHJ5Gg0
___ ♪ ∩∧__,∧
/ || ̄ ̄|| _ ヽ( ^ω^ )7 どうしてこうなった!
|.....||__|| /`ヽJ ,‐┘ どうしてこうなった!
| ̄ ̄\三 / ̄ ̄ ̄/ ´`ヽ、_ ノ
| | ( ./ / `) ) ♪
___ ♪ ∧__,∧.∩
/ || ̄ ̄|| r( ^ω^ )ノ どうしてこうなった!
|.....||__|| └‐、 レ´`ヽ どうしてこうなった!
| ̄ ̄\三 / ̄ ̄ ̄/ノ´` ♪
| | ( ./ /
___
/ || ̄ ̄|| ∧_∧
|.....||__|| ( ^ω^ ) どうしてこうなった!?
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
| | ( ./ /
___
/ || ̄ ̄|| ∧_∧
|.....||__|| ( ) どうして・・・
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
| | ( ./ /
- 111 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 19:22:45.79 ID:HMkKCDL00
h
- 112 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 19:39:16.89 ID:lJAriXit0
h
- 113 名前: 忍法帖【Lv=10,xxxPT】 [] 投稿日:2011/04/03(日) 19:39:56.09 ID:qOlXPuZl0
ゴシュッ
- 114 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 19:57:23.84 ID:D2FC+M6G0
ほ
- 115 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:00:16.16 ID:S0Rwj7beO
なんてベタな展開なんだ
ちゃんと最後までベタで行くよね ね?
- 116 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:26:55.50 ID:9QXhzxzC0
支援
- 117 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:28:56.85 ID:maCQC1s60
昔から暗闇が嫌いだった。
夜、真っ暗の部屋の中では寝ることが出来ず、
いつも小さなオレンジ色の電灯をつけていた。
うなされて目を覚ますことは度々あり、
けれど、起きてみると何の夢を見ていたのかは思い出せない。
びっしょりと汗で湿ったパジャマを気持ち悪く感じるのもいつものことだ。
闇は怖い。
それは小さいながらにして、
いや、今でも俺を苦しみ続ける最大の恐怖である。
おそらく、昔の何らかの記憶が、
その悪夢を生み出しているに違いない。
- 118 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 20:29:36.20 ID:Q/DXJg0l0
男の口調がキモい
- 119 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:30:08.99 ID:maCQC1s60
ある日のことだった。
その日も、悪夢でうなされて、
唐突に深夜、目を覚ました時、
この世界が本当に存在しているのか不安になった。
もしかしたら、自分一人を取り残して、
誰もいない世界に迷い込んでしまったのかもしれない。
幼い頃の、根拠のない幼稚な疑問だったが、
その時の俺からしたら、天地がひっくり返るような思いだった。
慌てて部屋を飛び出して、
家中を歩き回るが、誰一人いなかった。
母親も、妹も、その姿が見つからない。
まさか。
予感が的中してしまったのかと、真っ青になった。
- 120 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:31:17.19 ID:maCQC1s60
次第に恐怖と悲しみが心を支配し、
俺はぼろぼろと涙を流し、泣きじゃくってしまう。
その時だ。
絶望のまっただ中にいた俺を。
一人で泣き叫んでいた俺を。
後ろから、彼女が──妹が、そっと抱きしめてくれた。
その瞬間の安堵といったら、
今になっても、鮮明と思い出せる程だ。
安心した。
彼女がいてくれて、妹がいてくれて、
本当に良かったと心から思った。
- 121 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:32:09.23 ID:maCQC1s60
もし仮に、この世界が、
俺と妹の二人だけになったとしても、
希望を捨てず、がむしゃらに生きていける気がしたのだ。
終わってみれば、些細な出来事。
母は単純に帰りが遅かっただけで、
妹はトイレの中にいただけだった。
タイミングが悪かった。ただ、それだけ。
でも、そのとき、俺は強く誓った。
自分の中に初めて絶対的なルールを作った。
この子を守ろう。
どんなことがあっても、
仮に俺が死のうとも、この子だけは俺が守るんだと。
- 122 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:32:54.77 ID:maCQC1s60
自分に。
或いは神に。
そうやって、誓ったわけだ。
まあ、本当にこの世に神がいるかどうかは知らないけれど。
今でも、その思いは変わらない。
どんなことがあろうとも。
愛する妹だけは、絶望の闇から救ってくれた彼女だけは、
俺が何としてでも救い出す。
救い出す。
何から?
- 123 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:34:15.43 ID:maCQC1s60
男「…………」
これは夢だ。
暗い暗い闇の夢。
起きたら忘れてしまう、いつもの悪夢に違いない。
「起きて」
だから、その声を聞いたとき、俺はやっと一安心できた。
嫌な夢から覚めることができたのだと安堵した。
- 124 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:35:27.44 ID:maCQC1s60
「兄ちゃん、起きて」
その言葉を聞くまでは。
お兄ちゃん?
はっと、俺は起き上がった。
「ん?」
不思議そうに首を傾げるその少女は、俺の妹。
黒い長髪で、背丈が小さい、中学生の妹。
いや、違う。
男「お前は──」
誰だ。
---†
- 125 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:37:52.97 ID:maCQC1s60
悪い。
お兄ちゃんのところは、兄ちゃんで。
今後も誤字脱字がある場合は、脳内変換よろしくです。
- 126 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 20:42:19.32 ID:lJAriXit0
支援
- 127 名前: 忍法帖【Lv=5,xxxP】 [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:07:12.40 ID:du0LZLJF0
☆
- 128 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:18:18.13 ID:maCQC1s60
少女「何だよ。もう気づいちゃったのか、兄ちゃん」
見たこともない少女は、苦笑しながらそう言った。
兄ちゃんだと。
男「俺はお前みたいな妹を持った覚えはないぞ」
少女「そう、なんで記憶があるんだろうね」
少女「いや、強いきっかけさえあれば、思い出すことは不可能じゃないんだけれど」
少女「どうにも早すぎる」
男「どういうことだ。そもそも──」
俺たちはあの後どうなった?
トラックにぶつかり、崖から落ちたはずだろう。
死んだ……ってことではないのか。
- 129 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:19:18.09 ID:maCQC1s60
周りを見渡せば、見知らぬ部屋。
いや、なんだか、なじみ深い気がしないでもない。
俺の部屋だったか?
少女「それは違うよ。ただ、そう思わされているだけ」
男「思わされてる?」
少女「もちろん、僕に」
少女なのに、自分のことを僕と言う。
そうだ。まだ、質問に答えてもらっていない。
男「一体、お前は誰だ」
少女「忘れたの? 僕はあなたの妹」
男「……違う」
- 130 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:20:26.27 ID:maCQC1s60
少女「ちぇっ、もうここからじゃ無理かぁ」
少女は、ふぅーとため息を着いた後、
ベッドに座り込んだ。
少女「どうやって自己紹介すればいいのかな」
少女「ちなみに、僕とは一回会っているはずだよ」
男「見覚えないぞ?」
少女「ほら、『神擬き』とか考えてでしょ?」
少女「センスはいいけれど、本当、失礼な話だよね」
くっくっと、少女は笑う。
神擬き。
赤い社。
古ぼけた神社。
- 131 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:21:25.98 ID:maCQC1s60
男「!」
少女「そう、あそこに祀られていたのが僕。理解できた?」
男「…………」
まさか。
そんなことがありえるのだろうか。
もう死んだ人間と会っているなんて、そう簡単には信じられない。
死人だぞ?
つまり、俺も──
少女「ううん、まだ死んでない」
少女「死にかけているっていうのは、事実だけれど、微かに生きている」
男「なら……」
- 132 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:22:14.13 ID:maCQC1s60
ここはどこだと言うんだ。
死後の世界でなくて、夢の中でもないだろう。
そういえば、さっき少女はなんていった?
『ただ、そう思わせているだけ』
『もちろん、僕に』
少女「しかしなー、何がいけなかったんだろう」
少女「もしかして、呼び方が間違ってた?」
少女「兄ちゃんじゃなくて、お兄ちゃん? 兄さん? それとも、兄貴?」
男「あ……」
少女「ん、どうしたの?」
男「俺の、妹……」
必ず守ると誓った彼女は、今。
- 133 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:23:02.26 ID:maCQC1s60
男「俺の妹はどこにいる!」
少女の肩を掴み、強く揺さぶった。
少女「ちょっと、ちょっと慌てないで。まだ、死んでないから」
男「なら、このお前の世界にいるってことだな!」
少女「ほう……」
「それにも気づいたんだね」と、少女は言った。
そんなことどうだっていい。
今、俺の妹はどこにいるんだ?
少女「どっかだよ。それは僕も知らない」
男「嘘をつけ」
- 134 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:23:57.63 ID:maCQC1s60
少女「少し落ち着いて」
少女「ここで僕が嘘言ったところで、意味ないでしょ」
少女「もう、あらかた気づかれちゃっているわけだし」
男「なら、一体……」
少女「そもそもの話」
少女「感謝されても、憎まれるのは見当違い甚だしい」
少女は笑って言った。
少女「願ったのは僕じゃない。君たちだ」
---†
- 135 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/03(日) 21:24:04.15 ID:8jnzcwZm0
C
- 136 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:32:56.26 ID:maCQC1s60
すみません、休憩します。。
- 137 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:47:14.48 ID:EfbGwT1x0
いってらー
- 138 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:49:01.34 ID:c6l8fCzC0
BAD ENDはいやよ
- 139 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 21:57:07.00 ID:EQfhbsFx0
いいね
支援します
- 140 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 22:15:58.14 ID:IYfHJ5Gg0
保守
- 141 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 22:30:02.92 ID:lJAriXit0
保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 40分以内
02:00-04:00 90分以内
04:00-09:00 180分以内
09:00-16:00 80分以内
16:00-19:00 60分以内
19:00-00:00 30分以内
保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 60分以内
02:00-04:00 120分以内
04:00-09:00 210分以内
09:00-16:00 120分以内
16:00-19:00 60分以内
19:00-00:00 30分以内
- 142 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 22:44:11.31 ID:/Op/OKmz0
ほ
- 143 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 22:44:44.52 ID:9QXhzxzC0
>>141
今のVIPだとそれだと落ちるぞ
ほす
- 144 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 22:46:15.95 ID:IYfHJ5Gg0
新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内
新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内
こっちだな
- 145 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/03(日) 22:51:13.40 ID:lJAriXit0
>>143-144
まじか
ありがと
- 160 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 01:29:17.25 ID:7ylnRdwO0
また乗っ取られたりしてなwww
- 171 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/04(月) 05:13:09.04 ID:UDvrsX8r0
おいおい落ちるだろう
- 176 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 07:37:01.31 ID:1MGmJMStO
前回落として立て直してるのに今回もこうやって保守させるとかどういう事だよ
- 177 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 07:43:18.34 ID:/+yx7z8j0
ss行けばいいのに
- 178 名前: 忍法帖【Lv=35,xxxPT】 [] 投稿日:2011/04/04(月) 08:01:32.97 ID:wkZRFJmo0
ss行け
- 184 名前: 忍法帖【Lv=7,xxxP】 【東電 77.3 %】 [] 投稿日:2011/04/04(月) 09:33:23.97 ID:HA58afZI0
C
- 185 名前:みなさん保守してくれてありがとう。 [] 投稿日:2011/04/04(月) 09:37:33.03 ID:g1nZEXoz0
少女が言うには、
願いを叶えた結果がこの世界なのだという。
祠の前で、熱心に手を合わせていた妹。
彼女が願ったのが、この現状だというのか。
見たことのない部屋。
いるはずのない一軒家。
そこにかつての妹はいない。
いるのは、遥か昔に死んでしまった少女──死人。
どうすればいいのか分からなかった。
けれど、現実の世界では死にかけているものの、
この場所での時間の流れはかつてのものとは異なるらしい。
慌てる必要はないんだよ。
そう少女は言った。
- 186 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 09:38:43.95 ID:g1nZEXoz0
少女「さて、そんなわけで。兄ちゃん」
男「……ん」
考えることがありすぎて、
部屋の地べたに座り込んでしまった俺に、
少女が声をかける。
少女「起こしたのは理由があってね。夕飯が出来たんだ」
男「夕飯?」
少女「そんな気分じゃないって言うと思うけれど」
少女「ほら、空腹だと頭が思うように回らないからね」
男「…………」
そう言って、少女はおもむろに立ち上がった。
しかし、彼女のこのペースに従っていいのだろうか。
- 187 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 09:40:28.19 ID:g1nZEXoz0
コイツが嘘をついている場合だって、十分に考えられる。
だったら、なおのこと、今すぐ家を飛び出し、
妹の捜索に乗り出すべきなのではないか。
そうだ。
俺は、彼女を守ると誓ったのだから。
男「……よし」
そうやって決意をして、俺も立ち上がった。
少女「おっ、ご飯食べてくれる気になった?」
男「いや……」
今から本当の妹を探しに行く、と言いかけた時、
背後にある扉が開いた。
そこに立っていたのは、またもや、見知らぬ女性。
温和な表情の彼女は、
くりっとした優しそうな瞳を俺へと向けた。
- 188 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 09:42:15.56 ID:g1nZEXoz0
女性「ご飯よ」
それが当然のように、彼女は言う。
今度こそ分かってしまった。
男「……どういうことだ」
ベッドの目の前に立ち、
その光景に憎たらしい笑みを浮かべていた少女に向かって言った。
少女「あなたは、分かっているはずだよ」
大人の女性。
優しさのにじみ出る彼女。
それは、もちろん、この世界の俺の母親役に、
違いなかった。
---†
- 189 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/04(月) 09:48:19.63 ID:jY4HM4Wri
まってた
- 190 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 10:23:05.37 ID:BLFpPumuP
早く続きを
- 191 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 10:25:33.25 ID:XgSYfiIi0
エロはなくてもいいけど完成させてね。
- 192 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/04(月) 10:46:57.36 ID:jY4HM4Wri
支援
- 193 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 10:55:55.77 ID:g1nZEXoz0
少女「妹を探しにいくのは、明日からにした方がいい」
少女は、少し苛立っているようだった。
あの後、優しそうな母親役の女性の誘いを断ることが出来ず、
その場の流れで家族と夕飯を囲んでしまう。
リビングには既に、
ここにも見知らぬ男性(おそらく、父親役なのだろう)が座っており、
平凡な、ありふれた家庭がそこにはあった。
結局、彼ら両親役の人たちに強く主張はできなかった。
現実、彼らには思考があり、肉体がある。
それに、彼らは何も知らない。
俺と妹が本当は死にかけていること。
この世界は少女の生み出した幻想ということ。
それに、自分たちが──作り物だということ。
- 194 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 10:56:47.13 ID:g1nZEXoz0
男「時間は無限にあるっていうんだろ?」
男「けど、後よりは今探しに行った方がいいじゃないか」
少女「そうじゃないって。兄ちゃん、冷静に考えてみてよ」
この世界で、新しい父と母があなたにいたように、
彼女にだっている可能性もある。
それにおそらく、彼女は本当の記憶を取り戻していない。
うんざりしたような顔で、少女は説明した。
けれど。
男「でも、ここは、お前の世界なんだろ?」
妹の居場所が分からないなんて、
記憶を元に戻すことが出来ないなんて、
そんなことがありえるのか。
- 195 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 10:57:43.26 ID:g1nZEXoz0
少女「何でも出来ると思われても困るよ」
僕がきっかけになったのは確かだけれど、
介入は出来ない。
だって、願ったのはあくまでも各々なのだから。
少女は言った。
少女「だから、今日はゆっくりと疲れを取って」
少女「休息しておいた方がいいんだ」
少女「闇雲に夜、人探しをするより、陽が出てからのほうが効率がいいでしょ?」
男「……それはそうだが」
理屈は分かるが、まだ納得は出来ない。
罪悪感と焦りが俺の胸を蝕んでいた。
- 196 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 10:58:53.36 ID:g1nZEXoz0
少女「もう。なら、一つ、兄ちゃんに有益な情報をあげよう」
少女「本当はもう少し渋るつもりだったのだけれど」
有益?
それに渋るって、やっぱり、
まだ隠していることがあるってことなんだな。
つくづく、この少女は信用できない。
少女「兄ちゃんの妹──いや、僕のことじゃなくてね」
少女「彼女が願った結果がこの世界なら、それを逆さまにしてあげればいい」
男「分からない。もっと簡単に言ってくれ」
少女「つまりね、前の世界の方が良かったと」
少女「彼女自身にそう思わせてあげればいいのさ」
少女「願った世界がここならば、元に戻りたいと思う気持ちも、全て願いになりうる」
- 197 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 11:00:02.38 ID:g1nZEXoz0
少女「どう? 逆さま、あべこべだよね」
もちろん、兄ちゃんがやるんだけれど。
そう少女は付け加えて、小さく微笑んだ。
あれ。
それって、意外と簡単なことなんじゃないのか。
妹の願いがどんなものだったかは、俺には分からないけれど、
記憶さえ戻ることが出来れば、
自然と前に戻りたいと願うはずだ。
つまり言えば、
記憶を取り戻すためのきっかけさえあればいい。
少女「元の記憶のきっかけ? んー、それは人それぞれだからね」
少女「兄ちゃんが、呼び名が変わっただけで思い出せたように」
少女「──まあ、僕は単純にそれだけではないと思うけれど」
- 198 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 11:01:17.89 ID:g1nZEXoz0
少女「彼女も、兄ちゃんの姿が目に入っただけで、思い出せるかもしれない」
「でも」と彼女は続ける。
少女「多分、それは難しいと思うよ」
男「どうして?」
少女「そんな簡単に戻せるのかなあ、ってね」
少女「願いが叶った世界に不必要なのが記憶なのだから」
少女「それに対抗できるだけの強いきっかけが必要なのが普通だよね」
男「……そうだな」
しかし。
崖から落ちる間近、彼女は言ってくれた。
兄貴を頼っていると、尊敬していると。
それに、父親のように思っていると。
二人の兄妹関係は、他人が思っている以上に、
強固で絶対的なつながりであり、
それを俺も妹も、同じように感じていてくれていると確信している。
- 199 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 11:02:22.46 ID:g1nZEXoz0
だから、昔の記憶を思い出すことぐらい、
造作ないことだろう。
なんせ、二人の思い出そのものが、
二人の強いつながりに他ならないのだから。
少女「けどね、兄ちゃん」
打開策が見つかったと内心で喜びを覚えていた俺に、少女が言う。
少女「そう簡単にいかないのが、願いの世界だよ」
少女「だって、記憶が取り戻せたからといって」
少女「前の世界に戻りたいと直結的に考える人間なんて、少ないのだから」
少女「妹さんもその一人かもしれないよ?」
その日。
俺は悪夢を見なかった。
---†
- 226 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 18:40:37.42 ID:wkZRFJmo0
星間戦争に騎士道精神と超能力を混ぜたり
未来から暗殺マシーンが来たりすれば大ヒット
- 234 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2011/04/04(月) 20:28:16.75 ID:zvjAXHn80
しばらく会ってなくて久々に話したら「結婚した」つってたわw
告白なんてまだ軽い
- 239 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/04(月) 21:31:34.98 ID:4TYwDTQKi
>>234
式とかはぶられたってことか?w
- 244 名前:VIPがお送りします [age] 投稿日:2011/04/04(月) 22:21:30.36 ID:/Nnu4kw3O
やろうとしてることがハルヒと一緒なんだが
- 261 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2011/04/05(火) 00:53:37.80 ID:bypZUX7p0
ほ
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