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妹「軽度のブラコンだから」
Literature Girl Ver1.0.txt


男「ああ、なんだろう」
空を見上げて、ふと思う。
女「?」
……こいつはいつも通り、本を読んでいる。
男「なあ、たまには相手、してくれよ」
女「……」
焦って、頭を横に振る。
この仕草、可愛い。
男「まあ、趣味の読書を邪魔するのは俺もちょっと、嫌だしな」
やつの趣味を優先する。
好きなことをしてる時に邪魔されるのって、めちゃくちゃむかつくからな。
女「……」
彼女はゆっくりと視線を本に戻す。
本が友達だって言っていたこいつがまさか。
『私と、付き合って下さい……』
なんて言ってきて。
それでも俺よりも本を優先するあたり。
彼女の本への愛情は、並じゃない。
つまり、俺への愛情も、並じゃないってことだ。
本と同等に、愛されている証。
それでもいいのさ。
恋人は俺で、友達は本なのだから。


つづく
Sporty Girl.txt


女「遅い」
男「は、はあ……」
来て早々、言われちまう。
女「君は私を待たせすぎた」
男「でも、時間ピッタリ……」
女「五分前行動! 部活でそう習った」
キッチリしてるなぁ。
サスペンダーを着て、見た目は正直小学生みたいだけど。
そのベレー帽といい、なんだかこう、男の子っぽい感じだけど。
女「む、私をまた、子供扱いしていないか?」
彼女の目が鋭く、俺を見つめる。
男「してない、してない」
手を振りながら否定する。
女「ならば、私の今日の姿をどう思う?」
そう言って、似合わぬセクシーポーズ。
男「いやあ、普通に可愛いと……」
俺は普通に答えた。うん、可愛い。
だが、彼女の体がワナワナと動き、
女「か、可愛いというのは、小さい子に言う言葉だ!」
憤慨した。


Plain Girl.txt

女「私ともう、関わらないで」
男「え?」
女「ごめんなさい、あなたとは上手く会話ができないの」
いきなりの宣告。
彼女は眼鏡をクイッとあげて、目を逸らした。
男「なんでだよ?」
女「それは……」
彼女は視線を下げて、顔を赤くした。
女「私みたいな、女の子は……あなたには合わないから」
男「なんでそう言える」
俺は正直、意味がわからなかった。
いつもこうやって話をしているのに。
……まあ、俺が一方的に話しているだけなのだが。
女「そ、それは……」
彼女は恥ずかしそうに下を見続けている。
女「私みたいに地味な子は……あなたとどんな話をすればいいのか、わからないの」
彼女は物凄い汗をかきながら、俺にそう言った。
女「話したくても、話せないの」
フェードアウトしつつ、つぶやいた。

Elder Girl.txt

先輩女(以下、先輩)「男くん」
男「はい?」
先輩「お弁当があるんだけど、食べない?」
昼食時、先輩が俺の教室にやってきた。
男「いただいていいんですか?」
ラッキー。俺はすかさず、弁当を取ろうとする。
しかし、空振り。
先輩「ダメよ、あーんさせてくれなかったら、あげない」
男「は、恥ずかしいですよ」
先輩は、いつも俺を誘ってくるけど。
きっと本心ではないのだろう。
ただ、俺をからかっているだけさ。
先輩「じゃあ、ダメ」
プイっと、いつもとは違う顔をする。
子供らしい顔。
男「じゃ、じゃあ……し、してもいいですから」
ここまで来て学食はごめんだからな。
先輩「『してもいい』?」
男「……してください、お願いします」
よろしい、と。
ニコッと笑った。

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