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詰めジャンル「抜くや抜かざるや」
- 53 名前:VIPがお送りします。 [sage]
投稿日:2008/02/07(木) 05:16:20.12 ID:fxdPF+NP0
そもそも伝説の剣の何が駄目かって、体色も自在に変えられないのが駄目なんだよとカメレオン。
形ならともかく色を自在に変えられる剣となると、あまりありがたみを感じられないのは何でだろう。
色を変えて台座に刺さっていたカメレオンを、そこまで言うのならと抜いてみたけど何もなかった。
そうか、だから剣は色を変えないんだとカメレオンもご納得。
- 54 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 05:22:30.54 ID:fxdPF+NP0
最近なんだか妙に寝苦しい。起きていても微熱が絶えず、ふらふらする。
旅の僧がいうには、庭の隅に埋まった仏像が建物で圧迫されていて、その苦しみのとばっちりらしい。
この家ならかなり前から建っているのにと調べてみたら案の定、仏像には伝説の剣が刺さっていた。
嗚呼、この剣、抜くや抜かざるや?
- 55 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 05:28:18.66 ID:fxdPF+NP0
シーソーの端に伝説の剣が刺さって地面に固定されていた。
危ない危ない、つい童心にかえって反対側に腰を下ろしてしまうところだった。
そういう抜き方でも抜いたことにはされるんだろうか。
ぶらんこをぎぃと揺らしながらずっとそんなことを考えていた。
- 56 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 05:34:45.06 ID:fxdPF+NP0
迫力あふれる閻魔の像が持つはかの名高き伝説の剣。
すく近くには杓を持ったお不動さま。
明らかに持物が違うこの二体、取り替えられるのは世界にたった一人だけ。
嗚呼、この剣、替えるや替えざるや?
- 57 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 05:42:57.86 ID:fxdPF+NP0
田舎道、半ば雑草に埋もれた放置自動車。
そのかたわらで伝説の剣に巻きつき可憐な花を咲かせるへくそかずら。
こんな奴でもたまにはものの役に立つらしい。
剣も今回ばかりはあまり抜いてほしくなさそうだった。
- 58 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 05:50:50.07 ID:fxdPF+NP0
雨にも負けず風にも負けず、今日も行く手に刺さる伝説の剣。
伝説の剣というわりにところどころ小さな錆が。
いったんは錆びつき朽ち果てたものを復活させるのもまた伝説の剣の醍醐味の一つとはいえ
抜かせるだけならまだしもどこまで人の手を煩わす気だろう、この金属は。
- 59 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 06:00:30.47 ID:fxdPF+NP0
法隆寺五重塔のてっぺんに引っかかっていた鎌いずこ。
かわりにいけしゃあしゃあと引っかかり、余人を見下ろす伝説の剣。
こいつはたまに抜いてほしいのかほしくないのか、よくわからない挙に出るから困る。
鎌よりこいつの方がおまじないの効果はあるだろうから、今回もやっぱり無視しておこう。
- 60 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 06:08:14.12 ID:fxdPF+NP0
伝説の剣のそばに一本の鞘が転がっていた。
見たところ、ちょうどこの剣が納まるぐらいのサイズ。
おっと危ない。これは鞘を拾えば剣を納めたくなるだろう心理をついた孔明の罠だ。
でも孔明の罠より実際のところ、文和の罠の方が恐ろしい。
- 61 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 06:15:34.14 ID:fxdPF+NP0
畑のど真ん中に伝説の剣が刺さっていた。
光り物の大好きな烏が集まってきて、なんとか剣を持ち去ろうと知恵を絞りあっている。
悠久の時を越えた伝説の輝きも、烏にとってはビー玉のキラキラと似たようなものなのか。
ああ、そう考えるとなんだかむなしいな、伝説の剣。
- 62 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 06:27:09.36 ID:fxdPF+NP0
ラーメン屋の行列に混じって伝説の剣が刺さっていた。
誰もこの剣を抜いて先に進めないのでさっきから行列がまったく進んでいない。
となりの喫茶店で飲んだ何の変哲もない一杯のブラックコーヒーは、
並ばなければ食えないようなラーメンなんかよりよっぽど美味しかった。
- 63 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 06:39:55.93 ID:fxdPF+NP0
「ねんがんのでんせつのけんをてにいれたぞ!」
久々に引っ張り出したロマンシング・サガ。
何はともあれアイスソードと、ガラハドに会いにいったらこのざまだ。
嗚呼、ガラハド、殺るや殺やざるや?
- 64 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 06:49:45.96 ID:fxdPF+NP0
灼熱の闘魂、ビーチフラッグス決勝戦。
あと一勝で優勝というこのタイミングでフラッグにかわり伝説の剣。
日に日に巧妙化する悪魔の罠よ。
嗚呼、この剣、抜くや抜かざるや?
- 65 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 06:58:06.50 ID:fxdPF+NP0
初夏の風に揺れる青田の中に伝説の剣が刺さっていた。
かたわらでくねくねと揺れる白い影はなんだろう。
一緒に付き合ってやればいいものを、剣は頑固にぴんと背筋を張ったまま。
ああ伝説の剣よ、この時代にあってお前は何を貫き通そうというのか。
- 66 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 07:03:15.39 ID:fxdPF+NP0
パンタグラフの隣りに伝説の剣が刺さっていた。こういうときに限って刀身をしっかり上に向けて。
このままでは電線が切られてしまい電車がストップしてしまう。
しかもぎりぎりに家を出たのでこれ以降だと遅刻は確実。
ああ、この剣、抜くや抜かざるや?
- 67 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 07:08:10.92 ID:fxdPF+NP0
ケーキカットの途中で顔をしかめる新郎新婦。
見るとケーキの途中に伝説の剣が横向きに刺さっていた。
ケーキナイフ程度で伝説の剣ごと切るのは無理だろう。このままでは二人の初仕事は失敗だ。
嗚呼、この剣、抜くや抜かざるや?
- 68 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 07:13:18.63 ID:fxdPF+NP0
境内の樹木におみくじと一緒になって伝説の剣が結ばれていた。
枝をいためるのでやめてくださいと注意書きがあるのに困ったものだ。
しなる枝は今にも折れそう、そしてこの剣をほどけるのは世界にたった一人だけ。
嗚呼、この剣、ほどくやほどかざるや?
- 69 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 07:18:35.13 ID:fxdPF+NP0
ボウリングのピンにまじって伝説の剣が刺さっていた。
この剣を抜けるのは世界にたった一人だけ。選ばれし者以外は誰もストライクをとることはできない。
こんなこともあろうかと持ってきておいたマイレーン。
けしてストライクを出せない人たちを尻目に、でも元が下手の横好きなのでガーター連発。
- 70 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 07:24:31.63 ID:fxdPF+NP0
日本列島を構成するいくつかのプレート、その一つがこともあろうに伝説の剣だった。
星の力をもってしてもこの剣だけは動かせない。動かせるのは世界にたった一人だけ。
このまま放っておけば溜まりに溜まったエネルギーが未曾有の大地震となって顕れるのは時間の問題。
嗚呼、この剣、抜くや抜かざるや?
- 71 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 07:31:08.19 ID:fxdPF+NP0
波打ち際に伝説の剣が刺さっていた。
果てしなく押し寄せては引くく波が、剣の刺さる砂地を少しずつ、少しずつ削りとっていく。
放っておけばひとりでに抜けるだろうかと思っていたら、ぎりぎりで潮は引き、それきり戻ってこなかった。
干潟の生態系をぶち壊す気かこの剣は。
- 72 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 07:36:03.67 ID:fxdPF+NP0
かに道楽の動くかに看板にかわって伝説の剣がゆらゆらと動いていた。
店の中を覗いてみると、メカジキがカニと交戦中。ソードフィッシュとはよくいったもの。
勝ったほうが人類の食糧になる、と伝説の料理人包丁(ほうてい)はカタストロフィを予見した。
普段からどっちも食べない自分には関係ない話なので、剣に合わせてしばらく手を振り帰宅した。
- 73 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 07:42:57.76 ID:fxdPF+NP0
シャーペンに感じる奇妙な気配、まさかと思って中を覗くと思ったとおり伝説の剣が詰まっていた。
このまま芯を出そうとすれば、伝説の剣を出してしまうところだった。
仕方がないとは思ったものの、かわりになるものはといえばボールペンしか見当たらない。
訂正不可を覚悟でいくか、なんとかこのシャーペンを使えるようにしてみるか。
- 74 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 07:48:49.66 ID:fxdPF+NP0
乙姫さまの病気を治すには猿の生き胆が必要だとか。
樹上に引っ掛けてあるよとだましたまではいいものの、猿がそこで眼にしたのは伝説の剣。
樹下では青い柿を手にした蟹たちが逃げたら打ち殺すといわんばかりに万の単位で包囲する。
いったん口にした以上、もうこの剣を抜くしかないだろう。自己責任で頑張って。
- 75 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 07:59:38.90 ID:fxdPF+NP0
稀代の詐欺師が世を騒がせている。
伝説の剣を引っかぶって偽装していることを知っているのは自分だけ。
このままでは自殺者すら出かねない勢いだけど、正体を暴くには剣を引っぺがさなくてはならない。
嗚呼、この剣、剥がすや剥がさざるや?
- 76 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/02/07(木) 08:02:50.98 ID:AGb8jlyb0
>>1のブレインストーミング実況スレ
- 77 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:04:46.00 ID:fxdPF+NP0
道路脇に伝説の剣が刺さっていた。通りすがりの小学生に見下ろされからかわれている。
剣にかわって「見越し入道、見上げたぞ」と言ってやると、小学生はしおしおと縮み消えてしまった。
お礼にどうぞとお姫さまに言われたので、うっかり抜いてしまうところだった。
人の善意を利用してまで抜かれたいとは、なんという哀しい奴なのだろう。
- 78 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:08:55.51 ID:fxdPF+NP0
ほどよく雪が積もっていたので何となく作った雪兎の耳から伝説の剣が延びていた。
これが視神経につながっているというのは都市伝説に過ぎない。
抜いて無害なら抜かなくても無害だろうと言うと、命を得た雪兎はそのまま月光世界に跳んでいった。
剣の重みで引っ張られたか、このときから兎の耳は長くなったのだ。
- 79 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:14:42.49 ID:fxdPF+NP0
今日の伝説の剣はいつもと気分を変えて柄のほうが埋まっていた。
まさかとは思うけど空中に埋まっているつもりなんだろうか。
なるほど、これなら抜いたところで空気中に引きずり込んだことにしかならないと言いたいわけか。
というわけで、地底人の勇者が引き抜いてくれることを祈りながら家路に着いた。
- 80 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:16:01.88 ID:9NhWvlPhO
新ジャンル雑談より
昼にスレストかけるから避難させてねー
―――――――――――――――[All:25]―U @株主 ★
w sage
^ 2008/02/07(木) 07:30:36.40
| FiTBwgj3P
だそうです。
- 81 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:20:25.89 ID:fxdPF+NP0
台風直撃、今にも天高く舞い登りそうな龍を尻目に伝説の剣は土嚢の中ほどに刺さっていた。
千丈の堤も蟻穴より崩る、おそらくこの剣を抜けばそこから一気に堤防は決壊するだろう。
禁断の行為こそついふらふらと手を出したくなるもの。
嗚呼、この剣、抜くや抜かざるや?
- 82 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:24:13.59 ID:fxdPF+NP0
見渡す限りの柄、柄、柄。この中のどれか一つが伝説の剣。
そろそろ抜きたい衝動が抑えきれなくなっているだろうと、これだけあれば一つぐらい大丈夫だろうと、
そう思うだろうと勝手に決め付け、数十分の一で引き当てられる可能性に賭けてきたのか。
とりあえず無視。人さまの勝手な期待に肩透かしを食らわせるほど楽しいことはない。
- 83 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:28:58.13 ID:fxdPF+NP0
半端に露出した刀身を見ていたら無性に磁石でこすりたくなってきた。
とはいえ相手は伝説の剣、並の磁石でこすっても意味はあるまい。
これならどうだと地球磁石の北の極で半日かけてこすったものの、なぜか磁力は帯びなかった。
諦めて地球磁石を太陽系に戻し、家に帰ってふて寝した。
- 84 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:32:42.12 ID:fxdPF+NP0
なんとも手足の冷える冬の夜。
冷たそうに光って見えても、伝説というぐらいだから意外とぬくいかもしれない。
そう思い手のひらをつけてみた刀身は、なんのひねりもなく冷たかった。
何とか抜かれようとつきまとうほか、ほんとに微塵もとりえのない奴だ。
- 85 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:36:39.92 ID:fxdPF+NP0
ひまなので畳に刺さったままの伝説の剣をじっと見つめる。
不意に、ふふっ何でもない、などと極キモの笑顔で呟いてみたり。
ぶふぉっと噴く音に振り返れば大統領の後姿。まさか見ていたのかこの野郎。
思わず剣を抜いて投げつけてしまうところだった。
- 86 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:40:52.22 ID:fxdPF+NP0
ダムの伝説の剣が溜まっていた。
そろそろ抜いていかなければ川の水は大氾濫。でもこの剣を抜けるのは世界にたった一人だけ。
水量調節のためのダムなのにまったく何の役にも立ちやしない。
一方、四国の早明浦ダムは今年も見事に干上がっていた。うどん自重。
- 87 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:46:16.58 ID:fxdPF+NP0
冬晴れの一日。
陽のあたるところに刺さっていた伝説の剣に、曇りの日はどこにいるんだろう、蝿がとまっていた。
抜かれなければ伝説の剣といえど、蝿が手をすり足をする場でしかないというのか。
お地蔵さまの頭上に移った蝿を追い払おうとしたら、別にいいよと笑顔で言われた。
- 88 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 08:54:45.58 ID:fxdPF+NP0
こたつ猫のにゃあと鳴く夜は伝説の剣もこたつにこもってのんべんだらり。
天板に刺さるならともかく、こたつ布団に刀身を突っ込んでいるだけとはなんて奴。
こんな奴でも邪魔だと抜けば思う壺。でもこたつを動かしても抜いたことにされそうな気が。
抜けない剣をちょいとつつき、こたつ猫がまた鳴いた。
- 89 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:00:58.83 ID:fxdPF+NP0
聖剣もひなたで魂宿りけり。
人の家の縁側で伝説の剣が冬のひと時、日向ぼっこ。
無為に居座らせておくのも癪なので時間ごとに影の先にしるしをつけていった。
翌日、抜くまでもなく剣はどこかに消えており、日時計の刻みだけが残されていた。
- 90 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:10:24.90 ID:fxdPF+NP0
お不動さまの屹立する滝に伝説の剣が落ちていた。
散らばるお賽銭にまじっているつもりらしい。
水中に散らばるお賽銭を拾うついでにうっかり拾うとでも思ったんだろうか。
それ以前に、お賽銭を拾うような人間だとこいつに思われているというのか。
- 91 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:15:12.05 ID:fxdPF+NP0
波打ち際に伝説の剣が刺さっていた。
絵的には海に突き出た防波堤の先に刺さるべきではなかろうか。
いつから刺さっていたのか知らないけれど、刀身にはフジツボが付着している。
そんな哀しそうに刀身を光らさなくても、引き抜いて手入れなんかしてやらないから。
- 92 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:21:03.12 ID:fxdPF+NP0
兵馬俑の上に建物をかぶせて兵馬俑博物館にしてしまったように、こいつもどうにかできないものか。
でも何もしなければずっとそこにいるくせに、何かするとふいっとどこかに消えてしまう。
その嫌がらせのタイミングがなんともいえず絶妙だから始末に負えない。
嗚呼、この剣、抜くや抜かざるや?
- 93 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:25:59.14 ID:fxdPF+NP0
公園に伝説の剣が刺さっていた。
ふと思い立ち、露出している刀身に蜂蜜をたっぷりと塗ってみる。
あっという間に黒山の蟻だかり。
いかなる魔剣もこの禍々しさには勝てないだろう。
- 94 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:29:52.70 ID:fxdPF+NP0
台風が近いというのにまた馬鹿なサーファーが大波を求めて繰り出している。
この愚物どもを鎮められるのは警察にあらず、ただテトラポッドに刺さる伝説の剣のみ。
さっさと風呂に入ろうと帰路を急ぐ目の前で、
十年に一度の大波がテトラポッドごと伝説の剣をさらっていった。
- 95 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:34:21.37 ID:fxdPF+NP0
引き戸の上に伝説の剣が挟まっていた。
黒板消しならともかく剣が頭上に落ちてきたら死ぬ。確実に死ぬ。
この剣を抜けるのは世界にたった一人といえど、扉は誰にでも開けられるかもしれない。
さいわい空き部屋があったので部屋をそっちに移しておいた。伝説の剣、ざまあ見やがれ。
- 96 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:39:53.54 ID:fxdPF+NP0
風花舞う冬の昼下がり。あいも変わらず伝説の剣が所在無さげに刺さっている。
寒くないかと訊いてみたけど剣が答えるはずもない。
鯛焼を買ってきて一人で食べながら見ていると、通りすがりの野良犬が小便で剣を暖めた。
よかったな、伝説の剣。抜く以前にさわる気すらもなくなった。
- 97 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:45:14.86 ID:fxdPF+NP0
地面に山椒大夫が首だけ出して埋まっていた。
かたわらには自由にお挽きくださいと書かれた立て札といつのまに竹鋸とすりかわったか伝説の剣。
厨子王の恨みを晴らす一臂の力にはなりたいが
嗚呼、この剣、抜くや抜かざるや?
- 98 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:51:09.15 ID:fxdPF+NP0
つばめの巣の中に伝説の剣が刺さっていた。
巣の下に刺さっていれば糞から逃れることもできない。こやつなかなか知恵が回る。
しかもぽとりと落ちてきた。雛と間違え慌てて巣に戻そうと拾い上げるとでも思ったか。
伝説の剣というだけあってけして馬鹿ではないんだが、伝説というだけあってどこか微妙にずれている。
- 99 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 09:56:21.81 ID:fxdPF+NP0
トイレットペーパーの先端が三角に折りたたまれるかわり、伝説の剣になっていた。
これが自宅ならそのまま風呂で尻を洗えば済むものの、ここはあいにくデパートの中。
隣りの個室に移って尻を拭くか。いや、人がいたらどうする。むしろ剣もついてくるかも。
嗚呼、この剣、抜くや抜かざるや?
- 100 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 10:00:48.49 ID:fxdPF+NP0
畑に伝説の剣が刺さっていました。
おじいさんはおばあさんを、おばあさんは孫を、孫は犬を、犬は猫を、猫は鼠を呼んできたけれど
それでも剣は抜けません。
嗚呼、この一行、助くや助けざるや?
- 101 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 10:06:02.30 ID:fxdPF+NP0
気のかわりに刺さっているのは伝説の剣。
抜けば楽になるだろう、いつまでも張り詰めていては身がもたない。
それにしてもさすがは伝説の剣、普通の剣が刺されないところに平然と刺さる。
そこに痺れもしないし憧れもしない。どちらかといえば確実にひく。
- 102 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/02/07(木) 10:10:16.08 ID:fxdPF+NP0
コンセントに伝説の剣が刺さっていた。
開いているコンセントは別の部屋、タコ足配線器も見当たらない。
銃火器全盛のこのご時世に、電化文明が刀剣ごときによって麻痺させられてしまうとは。
嗚呼、この剣、抜くや抜かざるや?
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