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嬢「では、着替えを頼む。」
1 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 22:57:43.05 ID:e4tL1ZY70

嬢「ボク、ボクは居るか? ボクちゃ〜ん?」

執「お呼びでございますか?」

嬢「うむ。」

執「恐れながら申し上げます。」

嬢「申せ。」

執「お嬢様、言葉を目で聞くような器用なマネはおやめください。」

嬢「ハテ?」

執「わたくしめは僕(ボク)ではなく、僕(しもべ)でございます。」

嬢「ほう。」


2 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 22:58:32.09 ID:e4tL1ZY70

執「ご用件を承りましょう。」

嬢「うむ。着替えを頼む。」

執「また……で、ございますか。」

嬢「当然だ。何日も同じ服を着続けるのは不衛生であろう?」

執「存じております。」

嬢「だから着替えるのだ。当然の事であろう?」

執「左様でございますね。」

嬢「ならば早くいたせ。」


3 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 22:59:11.45 ID:e4tL1ZY70

執「恐れながら申し上げます。」

嬢「今度は何だ?」

執「わたくしめも男でございます。」

嬢「それがどうした?」

執「もっと恥じらいと言う物を持たれてはいかがですか? このビッチ。」

嬢「何が言いたい? この朴念仁。」

執「お召し変えくらいはご自分でできるようになっていただきたい。」

嬢「ほう。」


4 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 22:59:30.74 ID:e0JRfqqM0
なにこれ


5 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 22:59:59.19 ID:e4tL1ZY70

執「お嬢様も、もうお年頃です。気安く異性に肌を晒したり、触れさせたりは慎まれますよう……」

嬢「私は構わん。」

執「私は構います。」

嬢「何を構うというのだ?」

執「恐れながら……」

嬢「構わん。申せ。」

執「最近下の方も濃くなりましたし、胸も膨らんできました。正直、直視に耐えません。」

嬢「見苦しいと?」

執「そうではありませんが、せめて下着くらいは自分で換えてください。わかったかアバズレ。」


6 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:01:16.96 ID:e4tL1ZY70

嬢「うーむ。」

執「時として血まみれのパンツを交換することもある私の気持ちを考えたことがありますか?」

嬢「ない。」

執「左様でございますか。」

嬢「不都合があるのなら、自力で解決せよといつも言っておるではないか。」

執「仰せのとおり。したがいまして、メイドを雇おうと考えております。」

嬢「ふむ。」

執「館内の執務は今まで通り私が、お嬢様の身の周りの事はメイドにあたらせます。」

嬢「許可する。」


7 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:02:04.78 ID:e4tL1ZY70

嬢「まて、このやりとりは何だか既視感があるぞ?」

執「さすがはお嬢様。覚えておいででしたか。」

嬢「先月雇ったメイドがいたではないか? あれはどこへ行った?」

執「冥途へと旅立ちました。メイドなだけに。」

嬢「そういえば、お前が食ってしまったのだったな。まつ毛一本残さずに。」

執「左様でございますね。あの、冥途――」

嬢「まったく、元を辿れば自業自得ではないか。この唐変木。」

執「恐れながら申し上げます。」

嬢「申し開きがあるのなら、申してみよ。」

執「先に、お嬢様に致死量に相当する血を吸われ絶命しております。食べたのはその隠滅のため。」

嬢「あぁ……」


8 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:03:09.69 ID:RH4zHm7OO
いいな


9 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:03:31.87 ID:e4tL1ZY70

執「つきましては、何故あのような事をなさったのか、再発防止のためにも理由をお聞かせください。」

嬢「その、なんだ……処女の生き血はこの上なく美味だという話を確かめたかった。」

執「美味しゅうございましたか?」

嬢「うむ。甘露であった。今ならマッハ5で飛べそうなくらい力がみなぎっているぞ。」

執「左様でございましたか。」

嬢「うむ。左様だ。」

執「資料によりますと、あのメイドは経験済みです。おそらくはただの思い込みですね。」

嬢「左様か。」

執「左様でございます。」

嬢「……着替えだ。」

執「かしこまりましてございます。」


10 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:03:47.70 ID:HULe+4TsO
つまらんし妙にイラっとくる


11 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:05:13.83 ID:e4tL1ZY70

――――――――――

執「ではお仕事の説明をいたします。」

女「おう。」

執「基本的には、お嬢様の身の回りの世話をお願いいたします。」

女「たとえば?」

執「お召し変えや入浴、場合によっては話相手にもなっていただきます。」

女「ほんとにあたしでいいのか?」

執「――と、申しますと?」

女「こんな立派なお屋敷に住み込みで働くのに、あたしみたいなガラの悪い女に務まるかってこと。」

執「子細ございません。」

女「で、そのお嬢様ってのは?」

執「後ほど顔見せに同行していただきます。」

女「りょーかい。」


12 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:06:29.86 ID:e4tL1ZY70

執「当家で働いていただく上で、いくつか注意点がございます。」

女「形式ばったことは苦手なんだけど。」

執「そのような事ではありません。ですが、最悪、命に関わりますので厳守してくださいませ。」

女「メモとっていい?」

執「必要ないと思われますが、不安なようでしたらどうぞ。」

女「うい。」

執「まず、日中はカーテンを開けてはなりません。」

女「ん? あい。」

執「次に、銀でできた装飾品はすべて外していただきます。」

女「もってねーし。」

執「それから、満月の夜は何があっても部屋から出ないでくださいませ。」

女「理由は聞いたらダメなの?」


13 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:07:29.09 ID:e4tL1ZY70

執「ご希望であれば、お話いたします。ただし、聞いた後で辞めるというのはご遠慮ください。」

女「まあ、他に働き口ないし。聞いちゃおう。」

執「然らば……お嬢様は混血ですがヴァンパイア、わたくしはワーウルフでして……」

女「……少しくらいトチ狂っててもお金もらえるならいっか。」

執「伊達や酔狂ではございません。聞いたからには勤めていただきます。」

女「辞める気は無いよ。で、満月の夜はどうなるの?」

執「満月になると完全に人狼となり、自制が効かなくなります。」

女「お嬢様は?」

執「新月の時は完全に人間、満月のときはその逆、それ以外は満ち欠けに比例いたしますれば。」

女「半月の時は半分人間、半分吸血鬼ってこと?」

執「左様でございます。」


14 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:08:22.49 ID:e4tL1ZY70

嬢「ん、入れ。」

執「失礼いたします。」

嬢「礼を失するのであれば入るな。」

執「……では後ほど。」

嬢「あー待て待て! 大目に見る! だからつれない事を言うでない。」

執「まったく、何度目でございますか? 今度同じことをやらせたら噛み千切るぞド低能。」

嬢「それで、要件は?」

執「今日から働いてもらうメイドをお連れしました。お目通りを。」

嬢「ほう。」


16 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:09:25.80 ID:7QJ+3x6v0
鍵括弧の最後に句点付けないでいいよ


17 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:10:27.88 ID:e4tL1ZY70

女「お控えなすって。」

嬢「は?」

女「お控えなすって。」

嬢「おい、これはどういう事か?」

執「さあ? わたくしめにも皆目……」

女「お控えなすって。」

執「とりあえず、控えればよろしいのではないかと存じます。」

嬢「ふむ。では控えるとしよう。」

女「早速、お控えくだすって有難う御座います。」

嬢「どうやら正解だったようだぞ。」

執「左様でございますね。」


18 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:12:19.02 ID:e4tL1ZY70

女「手前、粗忽者ゆえ、前後間違いましたる節はまっぴらご容赦願います。」

嬢「まだ続くのか?」

女「向かいましたるお嬢様には、初のお目見えと心得ます。」

執「初めまして。と、言っているようでございますね。」

嬢「ほう。」

女「何処、何処方におりましても、アニさんアネさんには世話になりがちな若輩者でござんす。」

執「自らの至らなさを誇示しているものと思われます。」

嬢「ほう。」

女「以後、見苦しき面体お知りおかれまして、恐惶万端引き立って宜しくお願い申します。」

嬢「ほう?」


19 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:13:38.90 ID:e4tL1ZY70

嬢「時に、我が忠実なる下僕よ。」

執「は、お傍に。」

嬢「お前、いったい何を連れて来た? この駄犬。」

執「は、メイドにございます。先刻申し上げました通りです。この鳥頭。」

嬢「お前の目にはこれがメイドに見えるのか?」

執「制服は支給したものではございますが、エプロンにキャップ、まごうことなきメイドかと。」

女「…………」

執「とりあえず、お嬢様もご挨拶を返すべきかと存じます。」

嬢「そうか? では、よろしくお願いするぞ。」

女「よろしくお願い申し上げます。」


20 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:15:43.64 ID:e4tL1ZY70

――――――――――

嬢「たれか、ある!」

執「お呼びでございますか?」

嬢「うむ。着替えを頼みたい。」

執「承服いたしかねます。」

嬢「なにゆえだ?」

執「お召し変えのお手伝いでありますれば、メイドにお申し付けください。」

嬢「おお、そうであったな。」

執「では、わたくしめはこれで。」

嬢「うむ。ご苦労。」


21 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:17:20.90 ID:e4tL1ZY70

嬢「者ども、であえ! であわんか!」

執「お呼びでございますか?」

嬢「む、お前か。」

執「はい。わたくしでございます。」

嬢「なにしに来た?」

執「お呼びのようでございましたので、参上仕りました。」

嬢「メイドはどうした?」

執「メイドは現在勤務時間外ですので、自室で睡眠をとっていると思われます。」

嬢「そうか。下がって良い。」

執「は。」


22 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:20:19.48 ID:e4tL1ZY70

嬢「苦しゅうない。近こう寄れ。」

執「お呼びでございますか?」

嬢「なんだ、またお前か。」

執「はい。わたくしでございます。」

嬢「なぜメイドは来ないのだ?」

執「メイドは現在勤務時間外ですので、わたくしが代わって仰せ付かります。」

嬢「着替えを頼みたいのだ。メイドでなければ仕えられないのであろう?」

執「左様でございます。」


23 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:23:27.97 ID:e4tL1ZY70

嬢「つかぬことを聞くが。」

執「はい。なんなりと。」

嬢「メイドはちゃんと働いているのか?」

執「それはもう。多少ガサツな所も見受けられますが、さしたる問題はございません。」

嬢「しかし、私はメイドが従事しているところを見たことが無い。」

執「あのメイドは、お嬢様が寝た後に仕事を始め、お嬢様が起きる前には仕事を済ませております。」

嬢「そうか。それは優秀なメイドだな。」

執「左様で。」


24 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:27:14.25 ID:e4tL1ZY70

嬢「ところで、メイドの主な仕事は何だ?」

執「お嬢様の身の回りの世話でございます。お忘れですかトコロテン頭。」

嬢「ほう。」

執「手が空いている時などに、誰に命じられるわけでもなく清掃をしたりもしております。」

嬢「しかし、私はメイドに世話を焼いてもらったことが無い。何故だ?」

執「お嬢様がメイドの勤務時間中に寝ているからであらせられます。」

嬢「なるほど。」

執「わたくしはメイドの勤労ぶりを評価しておりますれば、手当に色をつけたいと考えております。」

嬢「うむ。良きに計らえ。」


25 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:30:06.30 ID:e4tL1ZY70

嬢「時に、メイドの勤務時間はどのようになっている?」

執「満月の日を除いて、毎日朝の6時から夜の6時までとなっております。」

嬢「では、私もその時間に起きていれば、メイドとまみえる事が叶うわけだな?」

執「お言葉ですが、お嬢様……」

嬢「何だ? 申してみよ。」

執「この館は窓は少なめですが、月明かりを取り入れるため、最低限の窓は付いております。」

嬢「うむ。」

執「日中はカーテンを閉め切っておりますが、それでも日の光が漏れ入ってくるものです。」

嬢「それは嫌だな。」


26 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/11(土) 23:36:25.04 ID:e4tL1ZY70

嬢「しかし、日中に働いているとは……あのメイド、本当にメイドなのか?」

執「おっしゃりたいことがわかりかねますが?」

嬢「うむ、ひとつ危惧していることがあるのだ。」

執「どのような杞憂でありましょうか?」

嬢「メイドを装った人間ではないのか? とな。」

執「メイドはメイドでございます。」

嬢「で、あるか。」

執「で、ございます。」



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