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幼「アナタに付き合うなんて、冗談じゃないわ」男「そう言うなよ」
1 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:12:37 ID:.Eifughc
幼「まったく、本当に冗談じゃないわよ」

幼「休日に、アタナと買い物なんて…」

男「仕方ないだろー。幼だって、学祭の実行委員なんだから」

幼「こんな事になるなら、引き受けるんじゃなかったわ」

男「買出しに行くくらいで怒るなよー」

幼「…」


2 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:13:13 ID:.Eifughc



男「駅前のショッピングモールで良いよね?」

幼「そうね。あそこの雑貨屋で全部揃うわね」

男「二人で出かけるなんて、どれくらいぶりかな?」

幼「…ずいぶん久しぶりね」


3 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:13:40 ID:.Eifughc
男「中学の頃は良く行ってたのにね」

幼「そうだったかしら」

男「中3の頃に映画観に行ったのが最後だっけ?」

幼「…中2の夏、プラネタリウムを見に行ったのが最後よ…」ボソ

男「ん?今、何か言った?」

幼「別に何も!」

幼「さっさと行きましょう!」


4 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:14:13 ID:.Eifughc



男「…これで必要な物はそろったかな?」

幼「…」

男「幼?」

幼「…」


5 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:14:51 ID:.Eifughc
男「幼、どうかした?」

幼「えっ?な、何?」

男「ぼーっとしちゃって、どうしたの?」

幼「ぼーっとなんて、してないわよっ」

男「それじゃ、買い物リストのチェックしようよ」

幼「…はいはい」

男「これとこれ、それにこれが3個づつで…」


6 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:15:29 ID:.Eifughc
幼「…」

男「あと、これが…って幼、聞いてる?」

幼「あっ、ごめんなさい。もう一度最初からお願い」

男「疲れてるの、幼?」

幼「別に疲れてないわよ」

男「でもさっきから様子が変だよ?」

幼「大丈夫だったら!」


7 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:16:02 ID:.Eifughc
男「落ち着いてよ、幼」

男「あそこのベンチでちょっと休もう」

幼「…そうね」

男「俺、飲み物買ってくるからここに居て」

幼「…えぇ」

幼「…」

幼「…はぁ」


8 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:16:45 ID:.Eifughc
男「はい、これ」

男「ドクペで良かったよね?」

幼「あ、ありがと」

男「…ふぅ。暦の上では秋なのに、今日は暑いよね」

幼「…そうね」

幼「…さっきは怒鳴って悪かったわね」

男「いいよ、気にしてないよ」


9 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:17:28 ID:.Eifughc
幼「…」

男「…何かあったの?」

幼「別に何も無いわよ」

男「付き合い長いんだから、幼の様子が変なの、すぐわかるよ」

幼「知ったふうな口を聞かないで欲しいわ」

男「…」

幼「…」


10 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:18:13 ID:.Eifughc
男「ねぇ、幼」

幼「何よ」

男「一人で悩んでても、どうにもならない事ってあるんだよ?」

幼「…もし仮に私に悩みがあったとしても」

幼「それを他人に言うつもりはないわよ」

幼「そう言う性格って、知ってるでしょ?」

男「そうだね。だからこそ心配なんだよ」


11 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:18:44 ID:.Eifughc
男「俺たち、幼馴染だろ?」

幼「…そうね…幼馴染ね」

幼「…ただの、幼馴染よね」

男「…」

幼「さ、買い物を済ませて、さっさと帰りましょう」

男「…うん」


12 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:19:23 ID:.Eifughc



男「友〜。ちょっとそっち持ってよ」

友「おっけー。おらよっと」

男「そのまま教壇の所まで運ぶぞー」

友「オラオラオラ〜」

男「ちょ、強いよ!友!押すな押すな!危ないから!」


13 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:20:01 ID:.Eifughc
友「っと、ここらでいいか?男」

男「オッケー。これ、後で黒板に貼り付けるから」

友「しかし良く描けたなー、この看板」

男「自信作ですから」

友「良くやった!偉い!」

男「実行委員ですから!」

友「ん、そういえばもう一人の実行委員、幼ちゃんは?」


14 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:20:41 ID:.Eifughc
男「幼友と一緒に生徒会室まで暗幕借りに行ったよ」

友「女子2人で、重くないか?」

男「いやまぁウチのクラスは借りる暗幕3枚だけだし」

男「女子2人で十分だって、幼友がさ」

友「そっか。まぁ暗幕3枚なら、2人で十分か」

男「さ、準備続けようぜ。次はあの板に模様描くぞ!」

友「下書きはもう描いてあるのか。よし!塗るぞ!塗るぞ!」


15 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:21:25 ID:.Eifughc



幼「えっ?申請されてない?」

生徒会役員「されてませんね」

幼友「ちゃんと確認してよ!2のBよ?」

生徒会役員「だから、されてませんてば」


16 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:22:09 ID:.Eifughc
幼「今から申請…は」

生徒会役員「暗幕使用の申請は1週間前に締め切ってますよ」

生徒会役員「暗幕の割り当ては既に決まってますから無理ですね」

ペラッペラッ

生徒会役員「…やっぱり2のBから申請用紙は出されていません」

生徒会役員「暗幕は諦めて下さい」


17 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:22:56 ID:.Eifughc
幼「…どうしよう」

幼友「とにかく、一度教室に戻ろうよ」

幼「…うん」




18 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:23:36 ID:.Eifughc
友「え?暗幕借りられなかったの?」

幼友「そうなのよ。まったく生徒会ってば融通利かない連中ばっか!」

モブ女「えー。暗幕なかったら、ウチら、どこで着替えるのー?」

モブ男「いいじゃん、その辺で着替えれば」

モブ女「サイッテー!スケベ!」

モブ男「減るもんじゃねーし、いいだろ。客寄せにもなるかもよ?」

幼友「そんな事したら、生徒会から、強制停止されるわよ」


19 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:24:28 ID:.Eifughc
モブ女「マジどうすんのー?」

幼「…あ、あの…」

男「…あー!ごめん、みんな!」

友「ん?」

男「俺が申請用紙出し忘れたんだ!」

友「マジかよー」

男「代わりの布、必ず用意するから!」


20 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:25:05 ID:.Eifughc
モブ女「絶対だよ、男!」

モブ男「男ー。スケスケの奴もってこーい」

モブ女「アホッ!」

幼「あの…」

男「幼、ちょっと…こっちに」

幼「…」




21 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:26:00 ID:.Eifughc
男「書類、提出してなかったんだね」

幼「ごめんなさい…」

男「やっぱり、最近様子が変だよ、幼」

幼「…こんなミスをしてしまっては、言い訳も出来ないわね」

男「…俺には相談出来ない事なの?」

幼「…出来ないわ…」


22 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:26:52 ID:.Eifughc
男「俺は幼の力になりたいんだよ」

幼「この腹に溜まった物をいっその事、ぶちまけてしまいたいわよ!」

幼「でも…でもアナタは!」

男「俺?」

幼「…っく」

幼「何でもないわ…」

男「幼…」


23 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:27:32 ID:.Eifughc



男「悪いな、オタ友」

オタ友「気にしないでほしいでござる」

オタ友「拙者達、アニ研は、今回は展示無しなのでござる」

男「…気使わせて、悪い」


24 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:28:08 ID:.Eifughc
オタ友「男殿は、拙者の数少ない友達でござる」

オタ友「これくらい、屁でもないのでござる」

オタ友「だから、丁度余っていた暗幕を3枚持っていった所で」

オタ友「男殿が気にする事はないのでござるよ」

男「ありがとう、オタ友」

オタ友「ドゥフフ。男殿、拙者に惚れてはダメでござるよ?」

男「ははっ。気をつけるよ」


25 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:29:06 ID:.Eifughc



男「おーい、暗幕、調達してきたぞー」

友「マジで?」

モブ男「どうやって?」

男「フッフッフ。オレッちの盗みのテクを持ってすれば…」

友「盗んだの?」

男「すいません、ウソです」


26 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:29:56 ID:.Eifughc
男「…まぁ、闇のルートから調達って事で」

男「入手先の特定は、禁則事項です!」

友「まぁ、いいか。じゃ、準備しちまうか!」

クラス一同「おー!」


27 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:30:48 ID:.Eifughc



友「なんとか間に合ったなー」

男「うんうん。実行委員としては満足だよ」

友「それは全部終わってから、後夜祭の時にでも言えよ」


28 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:31:36 ID:.Eifughc
男「それもそうか。明日と明後日が本番だもんな」

友「まぁ、お前はゆっくりしてろよ」

男「ん?」

友「クラスの連中とも話したんだ」

友「お前と幼ちゃん、準備一生懸命だったじゃん」

友「だから当日は俺らに任せろよ!って話しだ」

男「そうかー」


29 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:32:12 ID:.Eifughc
友「幼ちゃんと一緒に色々見てまわってこいよ」

男「うーん」

友「…お前ら最近仲悪いの?」

男「そう言う訳じゃないんだけどさ」

友「夏休みあけた頃から、あまり話してないみたいじゃん」

男「鈍感なお前から見てもそう思うか?」

友「おい、鈍感じゃないぞ?」


30 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:32:51 ID:.Eifughc
男「んー。幼、最近何かに悩んでるみたいなんだよなー」

友「そうなのか?」

男「ぼーっとしてる事が多い」

男「でも俺には相談出来ない事みたいでさー」

友「お前に解決出来ない事なら、俺らが出る幕じゃねーな」

男「んー」


31 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:33:32 ID:.Eifughc
友「とりあえず、明日は一緒に学校中まわってこいよ!」

友「何かあったら、携帯にメール入れるからさ」

男「おー。ありがとな、友」

友「気にすんな!親友!」

男「友、ちょっとキモいな」

友「おい、キモくないぞ?」

男「はははっ。ホントにありがとな」


32 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:34:22 ID:.Eifughc



幼「アナタに付き合うなんて、冗談じゃないわ」

男「そう言うなよ」

幼「なんで私があなたと学祭を見て回る事になってるのよ」

男「クラスの皆が気を遣ってくれたんだよ」


33 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:35:25 ID:.Eifughc
男「実行委員頑張ったで賞って事でさ」

男「ほら、バッチまで作ってくれたんだぜ?」

幼「…」

男「…幼、俺と見て回るのそんなに嫌?」

幼「そ、そう言う訳じゃ…ないけど…」

男「それじゃ、行こう!」

幼「わ、わかったわよ…」


34 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:36:13 ID:.Eifughc



男「お、りんごアメ売ってるな!」

幼「…」

男「幼、りんごアメ好きだよな?」

幼「…えぇ」

男「おーい。りんごアメ、2つくれー」

販売係「あいよー。2つで600円ねー」


35 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:36:56 ID:.Eifughc
男「ほい、幼の分」

幼「ありがとう、お金出すわよ」

男「いいよ、おごりで」

幼「でも…」

男「ご馳走になるのも礼儀の一つって、幼が言ってた事だぞ」

幼「…ありがと、男。ご馳走になるわ」

男「俺、これをガリガリ食べるのが好きなんだよなー」

幼「りんごアメは長い時間楽しめるのが醍醐味なのよ?ふふふ」


36 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:37:57 ID:.Eifughc
男「…幼、久しぶりに笑ったね」

幼「…そうかしら」

男「そうだよ」

幼「…」

男「さぁ、学祭は始まったばかりだぞ!」

男「次はどこいく?何食べたい?」

幼「演劇部の発表を観たいわね」

男「お?ロミオとジュリエット?」


37 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:38:28 ID:.Eifughc
幼「そう。幼友が出るのよ」

男「そうだったな。あいつ演劇部だったもんな」

男「…ちなみに何の役?」

幼「…内緒だって」

男「よし!見に行こう!」

幼「…えぇ」


38 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:39:05 ID:.Eifughc



男「…なぁ」

幼「…何?」

男「幼友、出てた?」

幼「多分ね」

男「え?どこに?」

男「最前列で見てたけど、俺は気付かなかったぞ?」


39 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:39:50 ID:.Eifughc
幼「多分、あのラストのシーンで…」

幼「ロミオとジュリエットの前に置いてあった、岩じゃないかしら」

男「岩?」

幼「ずっと小刻みに動いてたんだけど」

幼「場面が暗転した時、足が生えて、舞台袖に走って行ってたわ」


40 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:40:37 ID:.Eifughc
男「ぷぷっ」

幼「ふふっ」

男「そりゃ、何の役か言わない訳だ」

幼「そうね、幼友らしいわよね。ふふふ」

男「何か、久しぶりに、楽しいなぁ」

幼「そう?」

男「最近、幼の様子がおかしかったからさ」

男「ずっと気になってたんだよ」


41 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:42:27 ID:.Eifughc
幼「…そうね。正直、最近の私はおかしいわよね」

男「…」

幼「私達、もう随分長い付き合いよね」

男「そうだね。生まれた時からお隣さんだもんね」

幼「私はあなたの事を、何でもわかってると思ってた」

男「まぁ、お互い何でも話してきたもんな」

幼「…アナタと居ると、楽しくて、心が踊ってしまって」

幼「つい、忘れてしまう所だったけど…」


42 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:43:29 ID:.Eifughc
幼「…アナタは…」

男「俺?」

幼「…彼女が居るのよね?」

男「は?」

幼「それを私に隠しているのよね?」

男「な、何言ってるの、幼?」


43 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:44:18 ID:.Eifughc
幼「…中2の夏休み、駅前で…」

男「?」

幼「あなたが私の知らない女の子と、腕を組んで歩いているのを見たわ」

男「は?」

幼「見間違いだと思いたかったけど…」

幼「私が、あなたの姿を見間違えるはずがない!」


44 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:45:14 ID:.Eifughc
幼「そして先月、やっぱり駅前で、あの時の女の子と」

幼「腕を組んで歩いているあなたを見たの!」

男「ちょっと待て、幼」

幼「勘違いじゃないわよ?あれはあなただった」

男「そうじゃなくて…」

幼「いいのよ。私達は単なるご近所さん、単なる幼馴染」

幼「私が勝手に勘違いをしていただけなんだから!」


45 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:46:03 ID:.Eifughc
幼「…私、帰るわね」

男「幼!待って!」

幼「追いかけて来ないで!」

幼「…今の私の顔を、あなたにだけは…み、見られたく、ない…」
タッタッタ

男「…幼」


46 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:47:08 ID:.Eifughc



男「おーう。友、売上げどうよ?」

友「おう、見ての通りの大繁盛だぜ」

男「確かにすげーな」

友「中華喫茶、大成功だな」

男「おー…」


47 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/06/26(火) 22:47:54 ID:.Eifughc
友「…幼ちゃんと何かあったんだな?」

男「…おう。幼は今日はもう帰った」

友「…後で話は聞いてやるから!今は休んでろよ」

男「おう」

客1「ロングのチャイナドレス、いいなぁ」

客2「足のスリットが少ないのが良いよなぁ」

客3「写真撮っていいかな?いいかな?」

男「…どうすっかなぁ」



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