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新ジャンル「ローテンション」
- 49 名前:VIPがお送りします。 []
投稿日:2008/01/12(土) 02:11:28.26 ID:p3IRfUNS0
眠いから書き出しだけ晒して寝る
私と雪枝の仲が上手くいかないだろうと気づくまでに、三十日間
と五十二回の缶コーヒーでの乾杯、そして三回のキスを要した。そ
の期間が長いのか短いのかは、よく分からない。重要なのは、上手
くいかないことが確定しつつあるという事実だ。
雪枝は授業や、休み時間の談笑の合間にしょっちゅう私の方に目
配せをした。半ば打算的に潤ませた黒目がちな目も、一文字にきつ
く結んだ薄い唇も、頬杖をついている左手の頼りない指先も、本来
なら見ていて胸が痛むはずなのだろう。しかし、不思議と悲しみは
感じなかった。それどころか、彼女を気にも留めずに板書を続ける
余裕すらあった。超能力者のスプーン曲げとは訳が違うのだ。私の
生活は、彼女の視線だけでねじ曲げられるようなやわなものではな
い。
彼女には全く責任はない。彼女はごく当たり前のように恋をし、
ごく当たり前のように告白をし、ごく当たり前のように尽くした相
手になぜかごく当たり前のように振られる、一方的な被害者だ。女
の子に告白をしてしまうところと、造形が人並み外れてきれいなと
ころを除けば、本当に普通の女の子で、常識的に考えれば振られる
理由などどこにもない。だからこそ、彼女のことが気に喰わなかっ
た。私は彼女と違って、その程度のちっぽけな女なのだ。
- 50 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:11:49.43 ID:p3IRfUNS0
あ、誤爆
ごめん
- 51 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:15:42.06 ID:TVWKoE260
女「そういえば……いつもテレビに近づいて見てるけど、目悪いんだっけ……?」
男「すごく悪いよ」
女「暗いところで本を読みすぎたから……?」
男「うん」
女「……私の眼球を片方あげようか」
男「……君は視力いいの?」
女「うん……だから誕生日にでも」
男「……ありがとう……。でも気持ちだけ、もらっておくよ」
女「そう……」
男「……でも部屋真っ暗にしてテレビ見るのは楽しいよね」
女「……『部屋を明るくして離れてみてください』……っていう忠告
あなたには効果ないみたいね……」
- 52 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:20:53.67 ID:TVWKoE260
女「ねえ……将来どうするの……」
男「俺の母親みたいなこと言うね……
そうだな……詩人になるよ」
女「詩人?」
男「……読んだ人が死にたくなるようなものを書いて
真夜中に売る……」
女「死神みたい……」
男「……売れないかな?」
女「……私は買うかもしれないけど……」
男「……もとから死にたい人には効果ないけどね……」
- 53 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:23:48.49 ID:TVWKoE260
男「ため息が嫌いな人、いるよね」
女「……いるね。ネガティブだから……」
男「君は嫌いじゃない?」
女「むしろ好きかも……」
男「じゃあ今、好きなだけやってもいいかな……?」
女「……うん」
男「……ハァ……」
女「……ふぅ……」
男「はあ……」
女「……はー……」
男「……生きる希望が無くなってくね」
女「……うん」
- 54 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:28:15.56 ID:TVWKoE260
女「……どういうタイプの女の子が好き?」
男「……君を前にしてそういうこと、言っていいのかな?」
女「いいよ……」
男「じゃあ正直に言うけど……痩せてる人がいい……
アバラとか浮き出てるみたいな……。あともちろん色白で……
髪は長い方がいい……」
女「……」
男「……」
女「……私に気を使ってない?」
男「……本心だよ……だから君の事は好きだし」
女「……変態」
男「……え……? どっか変なところあった?」
女「……フェチ」
男「……」
- 55 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:31:21.34 ID:TVWKoE260
女「もうすぐ夜が明けるね……」
男「……うん……いや、まだ結構あるかな?」
女「……ねえ」
男「……何?」
女「海を見に行かない?」
男「……海?」
女「夜明けの海」
男「……久々だね。君がどこかに行きたいって言うのは」
女「……酔ってるからかも」
男「うん……じゃあ、行こうか」
- 56 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:36:01.90 ID:TVWKoE260
男「……と言っても……。どうやって行こう……
始発はまだだし……」
女「自転車」
男「……あれ大丈夫かな……? しばらく乗ってないからな……サビサビだと思うよ」
女「……まるで私たちの心みたいに……」
男「うん……じゃあチェックしてみよう……」
男「すごく錆びてるけど、動くね。奇跡的に……漕ぐたび嫌な音するけど……」
女「じゃ、行こうか」
男「君が後ろ?」
女「……うん。構図的に」
男「ラジオつけるね……」
女「すごく明るい曲……なんか、私たちとは正反対……」
男「たまにはこういうのもいいんじゃないかな……じゃ、出発しようか」
女「ずっと坂だから楽だね……帰りきついけど……」
男「先のことは考えないのが僕らのスタイルだよ」
- 57 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:39:58.64 ID:TVWKoE260
〜騒音を上げながら坂を走り降りるボロチャリ〜
男「誰もいないね……」
女「……うん。ドラえもんの道具になんか……人を消すのあったよね……
あれ使ったみたい……」
男「……町を支配しちゃったみたいだ……」
女「ラスボスの征服が完了したんだよ……」
〜国道に出る〜
男「寒いね……」
女「……気合だよ」
男「……俺に最も似合わない言葉だね……」
女「……この自転車、大丈夫なの……」
男「自壊したら帰ろう……」
女「海までどのくらい?」
男「三十分くらいかな……俺が疲れたら降りてね……」
- 59 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:42:18.01 ID:TVWKoE260
〜ようやく海沿いの道に出る〜
男「はぁ……はぁ……」
女「……大丈夫?」
男「まだ死にそうじゃないから、大丈夫……はぁ……」
女「死にそうだよ……」
男「あ……海だ……やった……」
女「私たちの心みたいにどす黒いね……」
男「もうすぐきれいな色になるよ……夜明けまでもう少しかな……」
- 60 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:47:08.15 ID:TVWKoE260
女「そこのコンビニで休もうか……」
男「……それがいいね……はぁ……はぁ」
女「何買ったの?」
男「ジャムパン……ふぅ……」
女「……半分くれない?」
男「……いいよ。その代わり、そのおにぎり半分もらうよ」
女「……いいよ。具は梅干だけど。じゃ、私が皮食べるから、あなたには種をあげる」
男「種? 種をどう食べるの……?」
女「しゃぶればいいんだよ……」
男「……しゃぶるって……」
女「ねぶるの……舌で」
男「……うん」
- 61 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:49:16.89 ID:TVWKoE260
ラジオのDJ「次は○○市にお住まいの○○さんのリクエストで……」
女「あ……この曲知ってる……」
男「俺も……」
〜曲が始まる。男が歌いだす〜
女「歌ってる……」
男「そうだよ……歌いたかったから」
女「私も歌うよ……」
〜そうこうしている間に空が明るくなってきた〜
男「あ……夜明けだ」
女「うん……」
- 62 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:51:22.43 ID:8XVtCdZy0
このスレの半分は・・・で出来ている
- 63 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:52:07.37 ID:TVWKoE260
男「……いいの?」
女「え……? 何が?」
男「太陽に当たったら、灰になっちゃうんじゃないの? 吸血鬼」
女「……それが正しい吸血鬼の最期だよ。灰は海にまいてね……」
男「……俺もゾンビだから一緒に消えるよ……」
女「そう……じゃあ、しょうがないね……風に乗ってどこかに行くしかないね……」
〜太陽が昇ってきた〜
男「夜が明けたね……」
女「きれい……」
男「やっぱり、今日は晴れだね」
女「うん……」
男「死にたい気分?」
女「さあ……どうかな……」
- 64 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:54:53.53 ID:TVWKoE260
男「薔薇色だね……」
女「うん……」
男「俺たちの未来も薔薇色なのかな……?」
女「どうかな……」
男「真っ黒いのかな……」
女「かもね……」
男「……どっちかは分かんないけど……」
女「うん」
男「ちょっと生きる気力は湧いてきたかもね……」
女「私も……」
男「まあ……これからもよろしく頼むよ……」
女「うん。こちらこそ……」
男「……じゃ。帰ろうか……」
女「うん……帰って寝よう」
- 65 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:57:34.33 ID:TVWKoE260
男「そういえば……結局今日は何曜日だったのかな……」
女「さあ……わかんないけど、どれでも同じだよ……」
男「そうだね……じゃ、帰ろう」
女「うん……」
男「ローテンション世界に」
女「ローテンション部屋にね」
というわけで二人のローテンションな一日が今日も始まる……
- 66 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 02:58:30.45 ID:TVWKoE260
じゃあ眠くなってきたのでこの辺で寝ます。
見てくれた人どうもありがとう
- 67 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 03:01:15.85 ID:hnSM6Ixk0
男「ハァ・・・ハァッ・・・ぬるぬる・・・する」
女「んっ・・・あっ・・・ぬるぬる・・・気持ちいいよう・・・」
男「フウ・・・フウ・・・うっ・・・お、俺もう・・・」
女「いいよ・・・イって・・・あっ・・・んっ・・・」
男「うおおおおおあああああっ!」ビクビクッ
女「あんっ!!あっ・・・ん・・・」
男「・・・ふう、気持ちいいな、ローション」
女「うん・・・照」
- 69 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/01/12(土) 03:03:59.61 ID:p3IRfUNS0
すごく良かった
ローテンションな音楽を聴きながら読むと最高にローテンションになった
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