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猫「寒い」
83 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/25(火) 22:11:42 ID:8Q/hzDE2
──外

猫「買った! いっぱい!」

男「ふぃぃ……。誰かと買い物に、いやそもそも誰かと一緒に散歩するなんて久しぶりだ」

猫「……今日からは一緒だからな? ずっとだからな?」クイクイ

男「…………」ナデナデ

猫「なでんなー」ゴロゴロ

男「いいや、なでるね。俺は優しい猫をなでるね」ナデナデ

猫「なでんなー」スリスリ


84 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/25(火) 22:12:51 ID:8Q/hzDE2
──家

男「ふぅ。ただいまっと」

猫「おかーり!」

男「ああ、ただいま。んで猫、おかえり」

猫「! た、ただーま。……えへふぇへ」ニマニマ

男「うわ、きめェ」

猫「なんでそゆこと言う!」フカーッ

男「ごめんなさい。つい」ナデナデ

猫「うー。ただーまってオマエに分かる言葉で言えて嬉しかったのに。にー!」プンスカ

男「あー。いっつもお前が外から帰ってからにゃむにゃむ言ってたのは、ただいまって言ってたのか。水くれ餌くれって言ってるのだとばかり」

猫「それも言ってた」

男「俺の感動を返せ」

猫「にゃー」


85 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/25(火) 22:13:57 ID:8Q/hzDE2
男「さて、それじゃ飯を作るか」

猫「てつだう」

男「できるか?」

猫「なにもできない」

男「…………」

猫「だが、意欲があることだけはひょうかしろ?」

男「……まあ、やる気はあるみたいだし、追々家事も教えますよ。今日はコタツ入ってテレビでも見てろ」

猫「まかせろ、とくいちゅうのとくいだ」テペテペ

男「苦手な奴いないだろ」

猫「こたつ大好き」ヌクヌク

男「俺とどっちが好き?」

猫「こたつ」ヌクヌク

男「…………」

猫「早くご飯作れ?」

男「……はい」


86 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/25(火) 22:15:38 ID:8Q/hzDE2
男「できたぞー」

猫「もってこい」

男「運ぶくらいやれ」

猫「しぶしぶ……」テクテク

男「ほれ、魚だ」コトッ

猫「おおおおおっ! これ、私の? 私が全部食べていいか?」

男「俺の分まで食うな」

猫「骨はやるつもりだが?」

男「身をくれ」

猫「男はぜいたくだな」

男「逆の立場で考えてみろ」

猫「…………。なんで私にそんなひどいことするー」ウルウル

男「つまり、そういうことだ」


87 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/25(火) 22:16:36 ID:8Q/hzDE2
猫「とてもよく理解した。もうあんまりそゆことは言わない。たぶん」

男「お前の宣言は往々にしてたぶんという言葉がつくな」

猫「みらいはふかくていだからな?」

男「あれ、ひょっとしてこの猫賢いの?」

猫「クンクンクン……うまそう」ダレーン

男「涎っ!」

猫「たれてるが?」

男「拭けって言ってんだよ!」ゴシゴシ

猫「ふがふが」

男「はぁ……あー、テーブルにべっとりと。賢いと思ったが、やっぱ馬鹿だな」

猫「かしこいに決まってる。夜の集会でもひょうばんだ!」


88 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/25(火) 22:17:11 ID:8Q/hzDE2
男「あー、たまに夜になったら外で集まってるよな。あれ何やってんの?」

猫「顔見せ」

男「何のために」

猫「知らない奴が縄張りにいたら困るから。あと、お見合いの時もある」

男「そうなんだ」

猫「やさしくしろ?」スリスリ

男「え、今お見合いなの」

猫「私じゃ嫌と申すかー」ウルウル

男「申さぬ」ナデナデ

猫「なでんなー」ゴロゴロ


89 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/25(火) 22:18:21 ID:8Q/hzDE2
男「料理を運び終えたので、ご飯にしましょう」

猫「あ、食べる前にやるのしってる。いただきます!」スパーン!

男「そうそう、偉い偉い。でも、そんな勢いよく手を合わせなくていい」

猫「むずかしい」

男「そうだろうか。あ、ちなみに箸とか……無理だよな」

猫「もがもが」

男「安心と信頼の犬食いか」

猫「猫なのに!」プンスカ

男「そうじゃなくて」


90 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/25(火) 22:23:47 ID:8Q/hzDE2

猫「ごちそうさま!」スパーン!

男「お粗末様。挨拶を言うのは偉いが、やっぱり手を合わせる勢いが強すぎる」

猫「むずかしい」

男「まあ追々な。追々で思い出したが、箸の練習もそのうちするか」

猫「手づかみでも問題ないが?」

男「使える方が便利だから、覚えておいた方がいい」

猫「むー。まあ、オマエがそう言うなら、覚えなくもない。ただ、毎回偉いぞってほめろ」

男「偉いぞ」ナデナデ

猫「そんで、毎回魚とささみをくれ」ゴロゴロ

男「ダメです」

猫「かわざんようだったかー」

男「どこからそういう単語を仕入れてんだろう」


93 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/25(火) 23:49:12 ID:9uCW9rrU

ただデレデレするだけじゃないのもいいね。
まぁ表面上ちょっと言い合うだけで実質いちゃいちゃなんだけど


94 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:13:11 ID:Rl3dJnz6
男「じゃ、次は風呂だな」

猫「男は私に死ねと言うのかー」ウルウル

男「やっぱ風呂嫌いですか」

猫「大嫌いだ! あの、しゃわーとかいうの特に嫌いだ!」フシャー

男「温かいよ?」

猫「それはひていしない。でもそれは別の話! 怖い! しゃわーってのが怖い!」

男「むぅ。でも、入らないと汚いぞ?」

猫「毎日毛づくろいしてるからへーきだ」

男「今日も?」

猫「そこをつかれると弱い」

男「なんだこの猫」


95 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:16:17 ID:Rl3dJnz6
猫「でも! とにかくお風呂は嫌い。怖い!」

男「うーん。猫時代はそれでもよかったんだが、人時代はそうもいかないしなあ」

猫「ただ、まあ、オマエが一緒なら考えなくもない」

男「ほほう。まあ、色々と教えないといけないからその方が効率的ではあるが、何かと問題が。この俺に果たして自制が効くのか」

猫「やさしくしろ?」クイクイ

男「ロリコンのこの身が恨めしい。イチイチぐらつく。煩悩退散……」ナムナム

猫「なむなー」ナムナム

男「……よし。落ち着いた」

猫「で、どこから洗う? おっぱいか?」

男「またぐらついてるので少々お待ち下さい」ナムナム

猫「なむなー」ナムナム


96 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:16:54 ID:Rl3dJnz6

男「落ち着いた」

猫「やさしくしろ?」クイクイ

男「イチイチ誘惑するのはやめてください」

猫「ゆーわく……うっふーん!」

男「あ、今ならどんな誘惑も効かない気がする」

猫「しっぱいした……」ションボリ

男「じゃーお風呂入りましょー」

猫「おー!」


97 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:17:59 ID:Rl3dJnz6

猫「はふー。なんか怖くなかった。オマエが一緒だったからか?」ホコホコ

男「あー、疲れた……」

猫「だらしないな?」

男「どっかの駄猫がはしゃぎ回って、それを止めるのが大変だったんだよ……」

猫「あんな楽しいとは思わなかった。ヒトはいつもあんな楽しいのか。ヒトはずるい。全ての猫に謝れ!」

男「ごめんなさい」

猫「ん。特別にゆるす。オマエだからな。特別だからな?」

男「あまり嬉しいとは思えない」

猫「オマエはぜいたくだな」


98 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:19:05 ID:Rl3dJnz6
男「まあ、必死なのは逆によかったよ。そのおかげでお前の体をじっくり見る余裕もなかったし」

猫「…………」ブルブル

男「ん、どした? 急に震えたりして。寒くなったか?」

猫「おしっこ」

男「え」

猫「おしっこする。したい」

男「このタイミングで、だと……!?」

猫「早くしないともれるが?」

男「……ええい、仕方ない。来い!」

猫「出そう」プルプル


99 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:20:45 ID:Rl3dJnz6

猫「すっきりした!」スッキリ!

男「……次からは、さっき教えたように一人でトイレットペーパーを使って拭いてください」

猫「むずかしい」

男「…………」

猫「また、さっきみたいにコシコシして? 何回かしたらがんばって覚えるから」

男「…………はい」


100 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:26:44 ID:Rl3dJnz6
男「色々あって疲れた。猫に破かれた雑誌の掃除はしてないが、いいや。もう今日は寝てしまおう」

猫「万年床でも、布団は好き。コタツの次くらいに好き」モソモソ

男「俺は一体どの辺りの好きに入るのでしょうか」

猫「……ちゅうばんやや下?」

男「驚きの低評価だな。これは泣ける」

猫「ささみやおひさまには勝てない。しかたないのだよ」ポンポン

男「カテゴリが細分化されすぎた弊害か」

猫「いーから早く来い。いっしょに寝る」

男「や、まあ猫時代はそうでしたが、人時代もそれを行うと言うのか」

猫「いっしょに風呂に入ったじてんで、言い訳はふかのうだ」

男「やだ、この猫計算高い」

猫「ヒトになったので布団のまんなかで寝れる。嬉しい」

男「いや、前からど真ん中で寝てたろ。で、俺がいつも端に追いやられてた。背中とかゲシゲシ蹴られてた」

猫「しらん」

男「この猫いつか泣かす」


101 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:27:47 ID:Rl3dJnz6
男「んじゃ、電気消すぞ」

猫「すぐにけせ」

男「女神転生のアレか。怖いですね」

猫「んぅ?」

男「なんでもない」カチッ

猫「まっくら!」

男「うー、寒い寒い。布団が一番だ」

猫「じゃ、私の横に寝ろ?」ポンポン

男「はいはい、そうさせてもらいますよ」モソモソ

猫「えへへー。……えへへへー」

男「どした」

猫「寝る時にオマエの顔見れるのが、うれしーなって」

男「…………」ナデナデ

猫「なでんなー」ゴロゴロ


102 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:28:50 ID:Rl3dJnz6
男「んじゃお休み、猫」

猫「ん。おやすみだからな?」ギュー

男「どうして抱きつくのですか」

猫「くっつくと暖かい。じょうしきだが?」

男「猫に常識を教えられる日が来ようとは」

猫「……あー、あと、くっつくと、嬉しい」

男「…………」

猫「……うー、うにゃ。……うー、なんか言え」

男「……ええと。……その、俺も、嬉しい」

猫「……うー。うー。うー」ゴロゴロゴロ

男「ノド鳴らしすぎだ」

猫「う、うるしゃー。勝手に鳴っちゃうだけだ。ばーかばーかばーか」ムギュギュー

男「くっつきすぎかと」


103 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:29:10 ID:Rl3dJnz6
猫「ねこだから言葉分かんないもん。にゃーにゃー」

男「猫の利点を活用するとは。やはりこの猫は賢いのかもしれない」ギュー

猫「!!! 抱っこし合うのすごい! 楽しい! すごい嬉しい!」

男「うるさい。もう寝てください」

猫「寝てられるかー!」スリスリ

男「寝ろ」ナデナデ

猫「ふぐぐ」ゴロゴロ


104 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:30:02 ID:Rl3dJnz6
………
……


男「……ん、んあ。……あー、朝か。おはよ、猫」

ネコ「ニャー」

男「え……?」

ネコ「ニャー」

男「……あ」

ネコ「ニャー」

男「……元に、戻ってる」

ネコ「ニャ」

男「……まあ、そうだよな。お伽話じゃあるまいし。夢でも見てたのかな」

ネコ「ニャー」スリスリ

男「……でも、辛いなあ。夢とはいえ、一度ヒトの姿を見ちゃっただけに、辛いなあ……」


105 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:32:59 ID:Rl3dJnz6
ネコ「ニャ、ニャー」スリスリ

男「……ああ、うん。飯だな」

猫「早くしろ?」

男「分かった分かった」

猫「わかればいい」フンス

男「…………。ええと、おい。猫」

猫「そうだが?」

男「なに普通に人になってんだ」

猫「昨日もなってたが?」

男「いや、さっきネコになってたろ。質量保存の法則を完全に無視してたろ。どういうことだ」

猫「よく考えたら私は猫又なので、人に化けられるし、元のネコの姿にも戻れる」

男「えー。えぇー」

猫「私のママが猫又なので、私も猫又なのだ。ハーフなのだぞ?」フフン

男「いや、それはどうでもいいが。ていうか猫又とか。えー」


106 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/26(水) 19:33:59 ID:Rl3dJnz6
猫「昨日はまだようりょくが不安定だったので、勝手にヒトになってたみたい。今日からはもうだいじょぶ。オマエと通じあったので、せいぎょできるよになった。あんしん」

男「いや、妖力とか猫又とか急に馴染みのない文句が出てきたので、ちょっと」

猫「ふまんがあると言うのか!」フカーッ

男「…………。……いや、ないな。逆に嬉しい。超嬉しい。また人になったお前に会えて、すごく嬉しい」ギュー

猫「! まるで負ける気がしない! 私のほうがうれしい!」ギュギュー

男「何の勝負だ」

猫「しらん」ゴロゴロ

男「はぁ……まあ、なんでもいいや。とにかく、これからも人になれるんだな?」

猫「これからはようりょくが安定してきょうきゅうされるので、なれそうな感じ。たぶん」

男「よく分からんけど、まあいいや。朝飯食うか?」

猫「食う」


終わり


107 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/26(水) 20:48:59 ID:hiPd5VrA
乙 大変可愛らしかった


108 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/26(水) 22:20:53 ID:TZaUbWYs
乙すぎる


109 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/26(水) 22:42:37 ID:56AzlVfY
乙です
ところで交尾シーンは?


110 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/27(木) 21:35:35 ID:QFpioWeI
>>109

ヒント:ようりょくが安定してきょうきゅうされる(意味深)


111 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/29(土) 00:55:27 ID:odevc45k
>今日からはもうだいじょぶ。オマエと通じあったので(いみしん)


112 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2013/01/25(金) 15:13:17 ID:S.GIIstg
Fateの魔力供給的な意味で(いみしん)



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