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従者「不老不死の呪い……ですか」女勇者「そうだ」
71 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/01(土) 21:22:59 ID:Oj1p6bTs
数ヶ月後

女勇者「……貴様も少しは見れるようになってきたな」

従者「本当ですか!?」

女勇者「実戦に勝る経験は無いからな。周りの兵士達の足を引っ張ることはなくなるだろう」

従者「そうですか……!」

女勇者「……おい」

従者「なんですか?」

女勇者「貴様は後悔はしていないのか?こんな最前線へのこのこやって来て、戦っては傷つきその繰り返しだ」

従者「……後悔なんかしていません。苦しいし、つらいけど自分で選んだことですから」

女勇者「……貴様はこれからも私の側で戦うのか?」

従者「はい。私は勇者様の従者ですから」

女勇者「……馬鹿で、出来の悪いを忘れているぞ」

従者「……精進します」

女勇者「もっと頑張るんだな。……私の従者よ」

従者「……!はい!頑張ります!」


72 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/01(土) 21:29:20 ID:Oj1p6bTs
女勇者「私が目標なのだろう?簡単に追いつけると思うな」

従者「それでも諦めませんから」

女勇者「なら、訓練と実戦を怠るな。目標は努力しても到達できるかはわからないが努力しなければ到達できないのだから」

従者「はい」

女勇者「それでは私は用があるのでな」

従者「……呪いの研究ですか?」

女勇者「そうだ」

従者「……解けそうですか?」

女勇者「まだまだ遠いな。どういう呪いかは理解しているのだが解くとなると難しくなる」

従者「そうですか……」


73 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/01(土) 21:37:01 ID:Oj1p6bTs
女勇者「解く手がかりはまだみつかってないが気長にやるさ」

従者「頑張ってください」

女勇者「そんなことよりも貴様は自分の理想を叶えるために訓練でもしていろ。私が貴様くらいの年には普通に一人で魔物を倒せていたぞ?」

従者「…………」

女勇者「わかったなら早く行け」

従者「……はい」

女勇者「……頑張るんだな」

従者「はい!」

タタタタ……

女勇者「…………私を見て現実にすると決めた理想、か。……お前は私と同じように……か?」


74 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/01(土) 21:49:27 ID:Oj1p6bTs
〜訓練所〜

兵士「また来てやったぞ」

従者「……兵士さんって暇なんですか?」

兵士「違うぞ!?お前とは仕事があんまりかぶらないからそう思うだけだよ」

従者「………」

兵士「本当だって!」

従者「冗談ですよ。いつもやられっぱなしじゃなんですからね」

兵士「こりゃ一本取られたな。それにしてもいつもより張り切ってんじゃねえか。何かあったのか?」

従者「わかりますか?」

兵士「わかるっつうの。お前が来てから結構経ってんだからよ」

従者「実は一応ですけど勇者様に従者だと認められたんですよ!」

兵士「……へえ。よかったじゃねえか。お前の目標なんだろ?」

従者「はい!これだけでもここへ来た甲斐がありました。私の夢へ一歩近付きましたよ」

兵士「最終的には勇者様のように困っている人たちを助けたいんだっけか?」

従者「はい。勇者様は私の憧れですから」


75 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/01(土) 21:54:31 ID:Oj1p6bTs
兵士「本当に一途だねえ。……で、少しは進んだのか?」

従者「……何がですか」

兵士「いや、あんなのでも勇者様は女だろ?お前ら結構二人っきりになるし。それで男と女が二人になったならやることは一つしかねえだろ?」

従者「わ、私たちはただの主従です!そんなのではありません!」

兵士「またまたー、そんなこと言って本当はヤりてえんだろ?まだ若いんだしさ」

従者「…………」

兵士「……もしかして本当に何もねえのか?」

従者「そうだと言ってるじゃないですか……!」

兵士「なーんだ、つまんねえの」

従者「人で遊ばないでくださいよ!」


76 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/01(土) 21:59:56 ID:Oj1p6bTs
兵士「まあ、勇者様は一番お前に心開いてるから何かあると思ったんだよ」

従者「そう、ですか?」

兵士「そうさ。例えば……笑顔見せてくれたりとかねえのか?」

従者「……少しなら」

兵士「な!そんだけお前に心を許してるってことだ。俺は勇者様の笑顔なんて見たことないぞ?いつも仏頂面さ」

従者「……勇者様、私をちゃんと従者だと認めてくれてますかね?」

兵士「認めてるだろうさ。それともお前にほの字かもしんねえぞ?」

従者「それは無いです。有り得ないです」

兵士「そう頑なに否定すんなよ。今まで心を許せる相手がいなかったんだろうから案外コロッといくかもしんねえぞ?」

従者「……兵士さんはいったい私をどうしたいんですか……」


77 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/01(土) 22:08:49 ID:Oj1p6bTs
兵士「……いや、なんつうかよ。勇者様は一人な訳だろ?」

従者「従者ならここにいますよ」

兵士「わかってるって。そりゃあ勇者様は怖いし、そんな好きでもないけどさ。お前みたいな馬鹿が一人くらい支えてやるのもいいんじゃねえかなって思うわけよ」

従者「…………」

兵士「お前が来てからほんの少ーーしわかるかわからないくらい態度が軟らかくなってるしな」

従者「そう、ですか?」

兵士「おう。だから焚き付けてんだよ。勇者様と言っても女だしな」

従者「でも、急にそんなことをいわれても……」

兵士「別に無理して恋人にならなくてもいいさ。ただ支えるだけでいい」

従者「……兵士さん」

兵士「戦場では勇者様に助けてもらってるからな。ただそれだけだよ」

従者「……少し、考えてみますね」

兵士「おう。これはあくまで俺の考えだからな。自分できちんと考えろ」


78 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/01(土) 22:15:31 ID:Oj1p6bTs
従者「ありがとうございます」

兵士「別に礼なんていらねえよ」

従者「ですが……」

兵士「どうしてもっていうなら仕方ねえな。俺の妻の話なんだがな!」

従者「……ええ」(兵士さんにはそういえばこれがあったなあ)

兵士「これがよ!俺になんかもったいないくらいの妻でな!料理が上手いんだよ!」

従者「そうなんですか……」

兵士「おう!特に妻はシチューが得意だったんだがある日娘も手伝ったらしくてな!その日のシチューは本当に上手かったね!」

従者「いいご家族をお持ちですね」

兵士「だろう?シチューの中のいびつなにんじんも娘が切ったかと思うととても愛おしくてな!」

従者「ははは……」


80 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 08:30:25 ID:3Y1QCP0M
〜砦〜

従者「……はあ。毎回兵士さんの話は長いけどそれだけ家族を愛してるんだろうな」

従者「…………」

従者(勇者様を支える、か。兵士さんも突飛なことを考えるよ)

従者(……私のほうが支えてもらっているというのに)

女勇者「……む、貴様か」

従者「あ、勇者様」

女勇者「こんなところで何をやっている。訓練はもう済んだのか?」

従者「はい、今は休憩しているところです」

女勇者「そうか。そういえば偵察部隊から魔物の情報が入った」

従者「っ!どうでしたか?」


81 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 08:41:26 ID:3Y1QCP0M
女勇者「今回はなかなかの軍勢だそうだ。気を引き締めていけ」

従者「はい!わかりました!……あの、勇者様」

女勇者「なんだ?」

従者「……勇者様に私は必要ですか?」

女勇者「……いったい何を吹き込まれた?」

従者「いえ!その……勇者様はお強いです」

女勇者「……貴様よりはな」

従者「私は従者として勇者様にお仕えしているのに逆に支えられていて、迷惑ではないのか、自分は勇者様の役に立っているのかと……」

女勇者「……今更だな」

従者「はい、確かに今更なんですが……」

女勇者「……安心しろ、貴様は努力もしている。私の従者として誇りを持っている。……貴様は私の従者だ」

従者「……勇者様。……一生ついて行きます!」

女勇者「……一生か?」


82 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 08:47:43 ID:3Y1QCP0M
従者「はい!何があっても私は勇者様の従者であり続けます!」

女勇者「……ずっと従者のままか?」

従者「はい!」

女勇者「…………」

従者「勇者様、どうかなされましたか?」

女勇者「……貴様はもう少し思慮深くなれ」

従者「な、何かしましたか!?」

女勇者「……貴様はわからんだろうな」

従者「お、教えてくれませんか?すぐに直しますので」

女勇者「……だから貴様は馬鹿なのだ」

従者「そ、そんな……」


83 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 08:55:54 ID:3Y1QCP0M
〜戦場〜

兵士「今回の魔物はいつもよりも多く群れをなしている。いつも以上に厳しい戦いになる!覚悟はいいか!?」

「オオオオー!!」

兵士「魔物を絶対に後ろへ通らせるな!それが俺達の仕事だからな!」

従者「はい!」

女勇者「……貴様も慣れてきたな」

従者「そうですか?」

女勇者「ああ。……死ぬなよ」

従者「わかっています」

女勇者「……私の従者なら約束を違えるなよ」

従者「はっ!」


84 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 09:02:31 ID:3Y1QCP0M
「魔物が見えて来たぞ!」

兵士「矢を構えろ!射程に入ったら撃ちまくれ!その後槍が突っ込む!」

従者「……ご武運を」

女勇者「自分の心配だけ……それは貴様には無理な話か」

従者「ええ、そうです」

女勇者「ふん」

兵士「まだ撃つなよ………………てぇー!」

シュババババ!

女勇者「では、行くぞ!」

兵士「突っ込めえええ!」

「オオオオー!!」


85 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 09:13:48 ID:3Y1QCP0M


従者「はあっ、はあっ。……いったいどれだけいるんだ!?」

魔物「ガアアアア!」

兵士「ちっ!消耗が激しい!他の部隊はどうなってる!?」

「他の部隊も死者、重傷者多数です!このままでは!」

兵士「マジかよ!時間稼ぎもいい加減きついぞ!」

魔物「キシャアアアア!」

兵士「!?」

「新手です!」

兵士「もうお腹いっぱいだってのによ!」

従者「くっ、こいつら、強い……!」

魔物「ガアアアア!!」

従者(あ……死)

ザシュ


87 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 09:18:03 ID:3Y1QCP0M
兵士「うぐぁ!」

従者「兵士殿!?」

兵士「……大丈夫かよ?」

従者「重傷です!しゃべらないでください!」

兵士「……当たり所が悪かったな。もう、助からねえよ。痛みも感じねえ」

従者「家族がいるんでしょう!?」

兵士「いねえよ」

従者「え……」

兵士「もう死んじまってるよ。……俺が守れなかったから」

従者「兵士……さん?」


88 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 09:21:20 ID:3Y1QCP0M
兵士「ずっと死に場所を探してた。……お前みたいな馬鹿のために死ぬなら悪くない……な」

従者「兵士さん!兵士さん!?」

兵士「久しぶり……の……再開なんだ……邪魔すんな……よ」

従者「あ、ああ……ああああああ!!?」

魔物「キシャアアアア!」

従者「よ……くも。よくもよくもよくも!」

魔物「キシャアアアア!!!」

従者「死ねええええ!」

「ダメだ!もう持たな……!?」


89 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 09:27:40 ID:3Y1QCP0M


女勇者「……おい、意識はあるか?」

従者「……勇……者様?」

女勇者「……ようやく終わった。……ほとんどの者が死んだがな」

従者「…………」

女勇者「……私も万能ではない。いつもあれだけの大口を叩いておきながらこの様だ」

従者「そ……んな……ことは……ごほっ」

女勇者「……無理にしゃべらなくともいい。今のお前は治癒魔法でかろうじて命をつないでいるにすぎない」

従者「……こひゅー……こひゅー……」

女勇者「……このままではお前は死ぬ」

従者「そう……ですか」


90 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 09:31:18 ID:3Y1QCP0M
女勇者「……悔しいか?」

従者「…………」

女勇者「結局はほとんどのものを助けられず、貴様はくたばり損なっている」

従者「…………」

女勇者「もう一度聞く。貴様は悔しいか?」

従者「……悔しい……この……ままじゃ……死ねない……!」

女勇者「一つだけ方法がある。貴様が生き残る術が」

従者「なん……ですか?」

女勇者「貴様も私と同じように、不老不死になることだ」

従者「……!?」


91 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 09:38:36 ID:3Y1QCP0M
女勇者「私が調べて調べて調べ尽くして……解く方法ではなくかける方法しかわからなかったが、ここで役に立つとはな」

従者「…………」 

女勇者「あの時と同じように死者の気がこの辺りに満ちている。これならできるはずだ」

従者「…………ごほっ!」

女勇者「……時間がないな。貴様はどうする?化け物になり永劫の時の中を歩まねればいけないと知っても……死にたくないか?」

従者「…………」

女勇者「答えろ」

従者「……なります……このままじゃ……死ねないから……!」

女勇者「…………そうか。ならば歓迎しよう。同じ不死者として、そして貴様の主として……」

女勇者「永遠に貴様の側にいてやろう。貴様の理想が時の流れと共に朽ちたとしても……」



おしまい


92 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 09:42:13 ID:3Y1QCP0M
読んでくれた人ありがとう
できれば感想ください。ノシ


93 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 09:49:33 ID:OiL80jrg
おしまいのししまい


94 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 12:00:30 ID:UzrxGg/M
続きを希望


95 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/02(日) 16:47:50 ID:LGzbBZWM
勇者様セリフが吸血鬼みたいに悪役っぽいじゃないですかー

やはり権力者が危惧したみたいに人じゃ無くなっちゃったからか。。。


96 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/02(日) 18:59:36 ID:j6SVwNjM
え?まだ始まったばっかりでしょ?


97 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/12/02(日) 21:39:08 ID:qaMk/P0I
続きを書くか?はいかYESで答えろ


98 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/03(月) 16:34:26 ID:cOVlHjhQ
続けるんだ、可及的速やかに


99 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/04(火) 20:07:37 ID:dZEdQ/lM
第一部終了の間違いだよな?


100 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/12/23(日) 14:38:40 ID:94MUK8ow
で、続きはまだか?



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