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嬢「では、着替えを頼む。」
- 54 名前:VIPがお送りします []
投稿日:2012/02/12(日) 01:10:35.04 ID:XekU9Lcn0
――――――――――
嬢「誰か居らぬか?」
女「はいはい、ただいま参ります。」
嬢「む? 何者ぞ?」
女「へ? 誰か来たんですか?」
嬢「メイドの声がするが……」
女「なんか変だね。」
嬢「貴様、メイドをどうした?」
女「いや、あたしメイドですけど?」
嬢「偽りを申すでない。メイドは頭に尻尾など生えてはおらん。」
女「そんなもの生えてませんって。」
- 55 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:14:18.79 ID:XekU9Lcn0
女「ああ、そういうことか。鬱陶しいから編んでみただけですよ。」
嬢「隠し立てするとためにならんぞ?」
女「では、メイドを呼んでまいりますのでお待ちください。」
嬢「うむ。」
女「…………」
嬢「む? どうした? 早く行かぬか。」
女「今呼んでる最中なんですってば。」
嬢「ウソではあるまいな?」
女「じゃーん!」
嬢「おお! メイド! 無事だったか!」
- 56 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:17:21.34 ID:m+I65WGT0
感情豊かなドロッセルと口の悪いゲデヒトニスみたい
面白い
- 57 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:18:19.63 ID:XekU9Lcn0
女「編んでたの解いただけですけど?」
嬢「先ほどお前を騙る者が現れてな。」
女「嬢ちゃんも髪長いし、三つ編みしてみない?」
嬢「使用人とはいえ、私は身柄を預かる立場だ。」
女「またなんかスイッチ入っちゃったなぁ。」
嬢「お互いの信頼なくして主従関係を築くことは出来ぬ。」
女「ま、いっか。勝手にやっちゃいますよ。」
嬢「お前に危害を加える者が現れたら、私がお前を守ろう。」
女「♪〜♪〜……」
嬢「フッ、謝辞など不要だ。仕事で返す気概を持てばそれで良い。」
- 58 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:21:08.22 ID:XekU9Lcn0
女「いっちょあがり!」
嬢「ん? どうした?」
女「これ、ね? なかなかお似合いじゃない。」
嬢「ぬわ!? 私の頭にも尻尾が!」
女「尻尾じゃないから! おさげってゆーの。」
嬢「ふむ。これはこれでなかなかに興味深いぞ。」
女「あんまりおめかしとか、したことないのかな?」
嬢「おめかしとは何だ? するというからには食べ物ではないな?」
- 59 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:24:55.74 ID:/D61aEAy0
スレタイみて風俗嬢かと
- 60 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:25:30.88 ID:XekU9Lcn0
女「お洒落のこと……って言ってもわかんないよね?」
嬢「飲み物でもないことくらいはわかるぞ。」
女「自分を可愛く・キレイに見せるための細工って言えばいいかな。」
嬢「容姿を装飾するということか?」
女「まあ、そんなところだね。」
嬢「したことは無いな。というよりは知らぬのだ。執事から聞いたこともない。」
女「そっか。なんだか勿体ないね。」
嬢「勿体ないと言ったか?」
女「素材はいいんだから、もっといろいろ試してみよっか?」
嬢「ほう。」
- 61 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:27:45.52 ID:XekU9Lcn0
執「失礼いたします。お食事の用意が整いました。」
女「あ、わざわざありがとうございます。」
嬢「おお、もうそんな時刻になるか。」
執「おや? お嬢様はどちらへ行かれました?」
女「へ?」
嬢「眼の前に居るではないか。」
執「お声は聞こえますが、姿が見えませんね。」
女「あんたもか。」
- 62 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:32:01.21 ID:XekU9Lcn0
嬢「私だ。私がわからんのか?」
執「上手く成り済ましたつもりであろうとも、わたくしの目は欺けません。」
嬢「不忠なるぞ。あるじの顔を見忘れたか?」
執「忘れようはずがありましょうか、お嬢様は耳元にドリルなど付いておりません。」
女「いやいや、これ巻いてみただけだし、嬢ちゃんで間違いないよ。」
嬢「貴様、人狼であれば目よりも鼻に頼らんか。この木偶人形。」
執「その悪態……お嬢様に間違いございません。申し訳ありませんでした。」
嬢「ほう。」
女「耳か。」
- 63 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:34:33.37 ID:XekU9Lcn0
――――――――――
嬢「メイドよ、私に字の書き方を教えてくれ。」
女「字って、文字の字?」
嬢「うむ。」
女「わかんないの?」
嬢「読むことはできるのだが、書けぬ。ペンを持ったことすらない。」
女「まあ、学校とか行ってないもんね。」
嬢「学び舎など、私には通う必要の無い場所からな。」
女「でも、あたしに上手く教えられるだろうかね?」
嬢「アンズよりイモが安いと言うぞ?」
女「うんうん、教育って大事よね。」
- 64 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:38:47.79 ID:XekU9Lcn0
女「でも、どうして急に字を書きたいなんて思ったの?」
嬢「発せられた言葉は留めておけぬ。書き記しておかなければ霧消してしまう。」
女「まあ、録音とか録画とかそういうの縁遠い感じだしね。ここ。」
嬢「素晴らしい組み合わせや並びを思い付いても、明日には忘れてしまう事もある。」
女「何か書き留めておきたい事でもできたんですか?」
嬢「それは今は伏せておく。まずは文字を綴れるようになる事が肝要だ。」
女「もともと読めるんだから、そんなに難航しないかな?」
嬢「まず、何から始めれば良いか?」
女「とりあえずは紙と鉛筆用意して、書きとりから始めればいいんじゃね?」
- 66 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:42:30.18 ID:XekU9Lcn0
執「おや? お勉強でございましたか?」
嬢「うむ。メイドに字を教わっている。だいたい覚えたぞ。」
執「一体どういった風の吹きまわしで?」
嬢「もう明かしてもよかろう。実は、詩を書いてみようと思っている。」
執「恐れながら申し上げます。」
嬢「何だ? 申してみよ。」
執「そのようなことはおやめください。それらは必ずやお嬢様に牙を剥くでしょう。」
嬢「どういう事だ?」
執「近しい未来、必ずやお嬢様の御身に災いとして返ってまいります。」
嬢「ほう。」
- 67 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:45:54.93 ID:XekU9Lcn0
執「なぜそのようなことを試みようと思われたのですか?」
嬢「このようなモノを見つけてな。」
女「ノート?」
嬢「広間の額縁の裏に、まるで隠すように置かれていた。」
執「それは……まさか……」
嬢「む? これを知っているのか?」
執「そ、それは、えーと……呪われた禁断の魔書でございます。」
嬢「でろ・でろ・でろ・でろ・でんでん♪」
執「お戯れはお慎みください、今すぐに手放すべきかと存じます。」
- 68 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:48:57.06 ID:XekU9Lcn0
嬢「そんなに危険な代物なのか?」
執「それを読むなど自殺行為に等しい愚行でございます。」
嬢「読むとどうなるのだ?」
執「その……い、古の呪いがその身を蝕むでしょう。命の保証は出来かねます。」
嬢「今のところは何ともないぞ?」
執「まさか……読んでしまわれたのですか?」
嬢「うむ。詩のようなものが綴られていた。だから、私もやってみたくなったのだ。」
女「あー、そういう……私は読んでないんで、安心してください。」
- 69 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:53:01.47 ID:XekU9Lcn0
嬢「<月に吠ゆる> 星屑降りしきる宵の丘 湖が内に望月を宿し……」
執「あべし!」
嬢「<主従> それは魂の足かせ 契りという名の手綱 絆という名の轡(くつわ)……」
執「ひでぶ!」
嬢「<花香る君へ> 君は言った 鉢よりも花壇が良いと 願わくば君の花壇は……」
執「お、おやめください……後生にございま……ウボァー!」
嬢「どうした!? まさか、私ではなくお前に呪いが?」
女「まあ、そういうことにしておいてあげましょう。」
- 70 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:56:05.02 ID:XekU9Lcn0
嬢「なかなかに興味深いものではあるのだがなぁ。」
執「わたくしの身がもちません。」
嬢「うーむ……この呪いとやらを転用できぬものか。」
執「これは人智の及ばぬ太古の術式によるものでございます。不可能です。」
女「てか、なんで処分しなかったのさ。」
執「処分する過程で人目に付く可能性を考慮いたしますれば……」
嬢「まあ、お前に死なれるといろいろと不自由であろうし、封印しておくか。」
執「ありがたきお言葉、その心遣いに感謝いたします。」
嬢「ということで、私が厳重に保管しておく。」
執「え?」
- 71 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 01:59:26.77 ID:XekU9Lcn0
――――――――――
嬢「おいメイド、入るぞ。」
女「あら? 嬢ちゃんまた来たんですかい?」
嬢「うむ。お前の部屋にはいろいろと面白いものがあるからな。」
女「じゃ、お茶でも出しましょうかね。」
嬢「そう気を遣わずともよい。第一、今は時間外なのであろう?」
女「そうなんだけど、私も一服しようと思ってたし。」
嬢「そうか。迷惑でないのならいただくとしよう。」
女「迷惑とか、そういうこと気にしなくてもいいですよ。」
嬢「ほう。」
- 72 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 02:02:35.38 ID:XekU9Lcn0
女「またゲームでもしますか?」
嬢「ピコピコのことか?」
女「いやいや、普通はピコピコって聞いてゲームのことかって言うでしょ。」
嬢「そのような常識は持ち合わせておらん。」
女「そっすね。じゃあ、ピコピコやりますか?」
嬢「うむ。苦しゅうないぞ。」
女「でも、程々にしとかないとまた執事さんに怒られますよ。」
嬢「その時は例の呪いをかけてやるさ。」
女「ひでえな。」
- 73 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 02:02:51.24 ID:r1p7fvey0
萌えに走らない貴重なss
- 74 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 02:06:01.49 ID:XekU9Lcn0
女「執事さんとは付き合い長いの?」
嬢「かれこれ十数年。私が生まれた時から、世話になっているぞ。」
女「そうなんだ。」
嬢「正式に執事として仕えるようになったのは私が頭首になってからだが。」
女「そういえば先代が死んだからとかなんとか。」
嬢「うむ。父上は外道であった。」
女「娘にそんな言われ方するのも凄いな。」
嬢「気まぐれで母上をかどわかし、たわむれで身籠らせた。」
- 75 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 02:08:40.66 ID:XekU9Lcn0
嬢「生まれたばかりの私を地下に幽閉し、あやつに世話を任せていたそうな。」
女「ああ、ちっちゃいころの事は覚えてないのね。」
嬢「そしてハンターに深手を負わされ、私の血で傷を癒そうとしたのだ。」
女「血、吸われたの?」
嬢「いや、私に噛みつくより早く、あやつに心の臓を貫かれてな。死んだ。」
女「なんか、サラっとすげえこと言ってるけど、あたしが聞いてよかったのかコレ?」
嬢「話しても良いと思ったから話したまでだが?」
女「信頼されてんのか、無邪気なだけなのか……」
嬢「両方だな。」
女「あ、そう。」
- 76 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 02:12:18.14 ID:XekU9Lcn0
嬢「うあ! またやられた。もう少しで勝てそうなのに。」
女「基本操作をおぼえたくらいじゃあたしの相手はまだ無理だよ。」
嬢「ほう、大きく出たな。」
女「そりゃまあ、年季が違いますからねえ。」
嬢「大した自信だな。では、次私が勝ったら血を吸わせてもらおうか。」
女「いやいや、それ死んじゃうし。」
嬢「なに、死ぬほどではない。ほんの少しだ。」
女「じゃあ、10/80やめて707解禁させてもらうわ。」
- 77 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 02:15:21.83 ID:XekU9Lcn0
嬢「…………」
女「いやー、やっぱ空中ダッシュとバーティカルターン使えると捗るわー♪」
嬢「一体何をした? ワケもわからぬうちに撲殺されたぞ。」
女「嬢ちゃんが前ビ食い過ぎなだけです。」
嬢「さっきまでは勝てそうな勝負だったのに……」
女「ムーミンや八つ橋はともかく、漕ぎ保存くらいはマスターしてなきゃ。」
嬢「意味はわからんが……勝てる要素が無さそうなことはわかった。」
女「あたしはもう寝るから、一人用で練習してていいよ。あ、音は小さくしてね。」
- 78 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 02:19:03.72 ID:XekU9Lcn0
女「ふぁ……おはようございまふ。」
嬢「む? 起きたのか?」
女「昼夜逆転にも慣れたつもりだけど、なんか微妙な振動で目が覚めました。」
嬢「微妙な振動?」
女「それより、まだ昼ですけど? なんで嬢ちゃん起きてんの?」
嬢「早起きしたわけではない。寝ていないだけだ。」
女「ずっと起きてたってわけ? つか、震源は嬢ちゃんの両脚だね。」
嬢「たまには昼更かし?くらいよかろう。それより、もの凄い発見をしたぞ。」
女「センターのハーフキャンセルかなんかですか?」
嬢「尿意をこらえつつ操作すると、実力以上の力が出せるようだぞ!」
- 79 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 02:22:17.39 ID:XekU9Lcn0
女「まさかずっと我慢して……」
嬢「今ならお前にも勝てる気がする。さあ、相手になれ!」
女「その足踏みはかなりヤバい兆候だと思いますが……」
嬢「今がピークなのだ。この機を逃すことはできん。いざ!いざ!」
女「いざ! じゃないって!」
嬢「はやくしろっ! 間に合わなくなってもしらんぞー!」
女「こっちの台詞だよ!それ!」
嬢「ここまで来たら席を立つ方がヤバ――あ……」
女「あ?」
嬢「…………」
女「……まず、お風呂入ろうね。」
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