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市松人形「私……呪われてますから」
151 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:45:45.94 ID:PYH1hmFC0
▼数週間後/朝/男宅

市「男さん、ほら見てください! また髪がだいぶ長くなってきましたよー!」

男「ほぉー。こりゃまた随分伸びたなー」

市「ですよね! ですよね!」

男「つまりそれだけ俺を不幸にしてきたってことだな。よーし、今日のお供えは無しだ」

市「うぅ〜……男さんのイジワル……」

男「冗談だよ。そんな顔すんな」


152 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:49:15.12 ID:PYH1hmFC0
市「うぅ〜……」

男「わかったわかった。学校から帰ったら髪切ってやるから機嫌直せって」

市「本当ですか!? 約束ですよ!?」

男「はいはい。約束約束」

市「わーい! 楽しみです! 早く帰ってきてくださいね!」

男「ゲンキンな奴だなお前は。それじゃ、行ってくるよ」

市「はい、行ってらっしゃい! 変な人についてっちゃダメですよ〜!」

男「ガキ扱いすんな!」


153 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:51:56.30 ID:PYH1hmFC0
▼学校/校門付近

女「男くん、おはよ」

男「ん? なんだ女か。おはよう」

女「『なんだ』って、そんな言い方は失礼じゃない?」

男「なんだ"女様"ですか」

女「違う違う。そうじゃないって」

男「なんだ"麗しき女公爵夫人"でございますか」

女「……もうイイよ。よくわかんないし」

男「ふふっ」ニヤリ

女「ずいぶんと嫌な顔するようになったね……」


154 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:55:22.18 ID:PYH1hmFC0
男「朝から話しかけてくるなんて珍しいな。何かご用で?」

女「ご用ってほどでもないんだけど。……あのさ、今日の放課後は暇?」

男「残念ながら大忙しだ」

女「暇なんだね。よかった」

男「おいおい待て待て。人の話を聞け」


155 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:58:47.84 ID:PYH1hmFC0
女「だって、どうせ暇でしょ?」

男「『どうせ暇』って、それこそ失礼な言い方じゃないか?」

女「どうせ暇で"いらっしゃいますよね"?」

男「違う違う。そうじゃない」

女「どうせ暇で"時間をもてあそばされてます"ことでしょう?」

男「……もうイイよ。さっきの仕返しだろ?」

女「ふふふ」ニヤリ

男「お前もずいぶん嫌な顔するようになったなぁ……」


156 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:03:25.12 ID:PYH1hmFC0
女「でさ。もしよかったら、放課後一緒に帰らない?」

男「どういう風の吹き回しだ? 雪でも降らしたいのか?」

女「違うよ。今日は部活が休みだから放課後が暇なの。男くんはバイト?」

男「そう、今日もバイトだ」

女「そっか。でもどっか寄り道する訳じゃないし、いいでしょ?」

男「女友がいい顔しないんじゃないか?」

女「その女友が用事ですぐ帰っちゃうから気にしないでいいの」


157 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:07:55.00 ID:PYH1hmFC0
男「う〜ん……」

女「ダメかな?」

男(今日は早く帰って市の髪を切る準備しておきたかったけど)

男(バイトの後か、アイツの機嫌損ねなきゃいいけど……)

男「ん〜……」

女「ごめん、用事あったかな? 無理なら無理でいいんだよ?」アセアセ

男(それより問題は呪いだよな。女を変なことに巻き込まなきゃいいけど)

男(……って言っても、どうせ何かあるのは俺だけか)

男「いや、……まぁ大丈夫かな」

女「本当!? なら決まり! 絶対だよ!?」

男「はいはい」


159 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:12:49.81 ID:PYH1hmFC0
▼昼休み/教室

女(男くん、いまだに昼休みはいなくなっちゃうなぁ……)キョロキョロ

女友「……ねぇ、女。もしかして男と付き合ってんの?」

女「え!?」

女友「よく一緒にいるとこ見るって、けっこう噂になってるよ?」

女「たしかに話しはよくするようになったけど……」

女友「しかも、だいぶ仲睦まじそうらしいじゃない?」

女「そ、そうかな。えへへ」

女友「アンタ、やっぱりあんな変なのが好きだったんだね」

女「ち、違うよ! 男くんは全然変じゃないよ! いい人だよ!」

女友「ほぉ。なるほどね」

女「何よ。なるほどって……」

女友「いや、『好き』ってのは否定しないんだなと」

女「え、あっ……///」カァァ


161 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:16:29.69 ID:PYH1hmFC0
女「で、でも! 本当にそういうのじゃないから!///」

女友「はいはい。でも今日は男と一緒に帰るんでしょ?」

女「な、何で知ってるの!?」ドキッ

女友「カマかけてみました」

女「えっ!?」

女友「女さん、実に積極的に攻めてますな〜」ニヤニヤ

女「//////」カァ〜

女「も、もう女友なんて知らないんだから〜!/////」ダダダッ

女友「早く帰ってこいよ〜。さて弁当弁当」


162 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:20:35.54 ID:PYH1hmFC0
▼昼休み/校舎裏

男「……」モグモグ ペラッ

男(今日は女と下校か……)

男(誰かと一緒に帰るのなんて、いつ振りだろう)

男(つーかクラスメイトとこんなに話すこと自体久しぶりだもんな)

男(……これって友達ってことでいいのかな)

男(帰ったら支度してすぐバイト行って、その後に市の髪切って――)

男「――なんか、忙しいな俺」ボソッ

「それヤバイwwwアゲアゲすぎるww」ゲラゲラ

「アゲアゲとかもう古いからwww」ゲラゲラ

男「!?」


164 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:23:47.10 ID:PYH1hmFC0
男(うわ。ウチのクラスのギャルたちだ……)

男(最悪なの来ちゃったな。隠れよう)コソコソ

「そういやさぁ、あの話知ってる?」

「なに? 都市伝説?www」

「違う違う。ウチのクラスに『男』っているじゃん」

男(俺の話……?)

「そんなのいたっけ? イケメン?www」

「いや、むしろモヤシみたいな奴なんだけどさ、そいつなんかヤバイらしいよ」

「なになに? 何がヤバイの?www」

「私もよく知らないんだけど、お人形に話しかけてるとか」

男(……)


165 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:27:19.58 ID:PYH1hmFC0
「なにそれ?wwwパペットマペット?www」

「いちいちネタが古いwwwじゃなくて、人形に話しかけながら髪切るのが趣味らしい」

「キショイwwwイケメンだったとしてもさすがにキショイwww」

「だよねwww私もこの話聞いた時はさすがにドン引いたわwww」

「ちなみにそれどこ情報?wwwどこ情報よそれー?www」

「『女』と『女友』っているじゃん。最近アイツラが教室でその話してたの聞いてさー」

男(!?)


166 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:30:49.74 ID:PYH1hmFC0
「女? そんなのいたっけ?」

「お前はクラスメイトくらい覚えろよwww」

「ごっめーんwwwイメケンだけは忘れないんだけどなーwww」

「でさ。そのキショ男と女が最近仲良さそうしてて、付き合ってるのかもって噂もあんだよ」

「キショイ!www男を見る目がまるで無い!wwww」

「だよねwwwwキショ男とか友達としてもマジありえないわwww」

「いやでも、その女って奴、良い人ぶってるだけっしょwww」

「だよね!www 『仲間外れの人に話しかける私って良い人』、みたいな?www」

「それか罰ゲームで仲良くさせられてるとか?wwww」

「それだ!間違いない!wwww」

「「キャハハハハハハッッッ」」ゲラゲラゲラ


167 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:32:19.89 ID:PYH1hmFC0
男(…………)

男(…………)

男(…………そっか)

男(やっぱ、そうだよな)

男(…………)

男(…………)


168 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:37:47.26 ID:PYH1hmFC0
▼放課後/校門付近

男「……」スタスタ

女「あっ、男くん!」

男「……」スタスタ

女「男くん、歩くの早いから先回りしてたんだ」

男「……」スタスタ

女(あれ……?)

女「男くん、聞こえてます?」

男「……」スタスタ

女「無視ですかー? 男くーん? おーい!」

男「……」ピタッ


169 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:41:21.01 ID:PYH1hmFC0
男「……れ」ボソッ

女「何?」

男「俺のことは放っておいてくれ!」

女「!?」ビクッ

女「お、男君……どうしたの? 私何か悪いことした?」オロオロ

男「……」

女「今日ホントは忙しかったの? なら謝るから」オロオロ

男「……悪い。もう、俺にかまうな」タッタッタ

女「あ、待っ……」

女「……」


170 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:44:25.37 ID:PYH1hmFC0
▼男宅

――ガチャ バタン

男「……」

市「お帰りなさい、男さん」

男「……」スタスタ

市「あれ、男さん? どうしたんですか?」

男「……」スタスタ

市「なんで無視するんですか男さ〜ん」

男「……」

市「む〜。そんな無愛想じゃ学校で嫌われちゃいますよ!?」


172 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:48:08.20 ID:PYH1hmFC0
―― プチッ。

男「うるさい!」バン

市「!?」ビクッ

男「無愛想で悪かったな! だからなんだってんだよ!」

市「お、男さん!?」

男「誰に嫌われようがかまわないんだよ!」

男「話したこともねぇクソ野郎までグチグチ言いやがって……」

男「俺のことは放っておけよ! シカトでもなんでもしてりゃいいだろうが!」

市「お男さん……どうしたんですか? 落ち着いてください……」オロオロ


173 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:52:32.46 ID:PYH1hmFC0
男「なぁ。これも呪いせいだってゆうのか?」

市「え?」オロオロ

男「気持ち悪いだの何だの陰で言われんのも……」

男「それが俺にわかるように言われるのもお前の呪いのせいなのかよ!?」

市「男さん……落ち着いて――」オロオロ

男「こんな胸糞悪いことになるんだったら……」

男「お前なんかとっとと捨てちまえばよかったんだ!」

市「!?」


174 名前:VIPがお送りします [sage] 投稿日:2013/03/27(水) 23:53:39.01 ID:LUr5qVv30
いうのか


175 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:54:34.50 ID:PYH1hmFC0
男「……」ハァ ハア

市「…………」

市「…………」ポロ

男「!? ――あっ、いや」アセアセ

市「……グスッ」ポロポロ

市「うっ……うぅっ……ひぐっ……」ポロポロ

市「うぅぅっ……」ポロポロ

男「市。違うんだ。ご、ごめ――」

―― フワッ シュルルル スポッ

人形「    」

男「市……」


176 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:56:36.61 ID:PYH1hmFC0
『市は何も言わず、人形の中に飛び込むように消えてしまった。
 
 市が泣いていた……。いつも笑顔のアイツが泣いていた。

 思えば、市が泣いている所を見たのは初めてだった。

 俺は自分の弱さを市のせいにして酷い悪態をついてしまった。
 
 ――最低だ、俺』


180 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 23:59:22.19 ID:PYH1hmFC0
▼夜/バイト先・コンビニ

男「……」ピッピッピ

男「……」ガサゴソ ガサゴソ


――――――――――

男『お前なんかとっとと捨てちまえばよかったんだ!』


市『うっ……うぅっ……ひぐっ……』ポロポロ

――――――――――


男「…………」


181 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:00:27.01 ID:GTJxri1i0
男「店長。もう時間なんで上がりますね」

店長「はい、お疲れ様」

男「お疲れ様です」

店長「……良かったら、お別れのキスしてあげてもいいのよ、なんてキャー! 恥ずかしいわー!」

男「お気遣いありがとうございます。お先に失礼します」スタスタ

店長「……あれ?」


182 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:03:00.01 ID:GTJxri1i0
▼夜/男宅

――ガチャッ バタン

男「……」

男「……ただいま」

―― シーン。

男「……」

男「……静かだな」


185 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:07:18.58 ID:GTJxri1i0
▼男の部屋

男「……ただいま。帰ったよ」

人形「   」

男「…………」

男「……そういえば、帰ったら髪切ってやる約束だったよな」

人形「   」

男「……よし」


186 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:09:34.48 ID:GTJxri1i0
チョキチョキ チョキチョキ

男「…………」

チョキチョキ、チョキ

男「……はい、できました」

人形「   」

男「……」

男「……なぁ市、聞こえてるかな?」

人形「   」

男「そのままで良いからさ、いっこ聞いて欲しいことがあるんだ」


188 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:14:20.17 ID:GTJxri1i0
男「俺、昔から転校が多かったんだ」

男「親父の仕事は転勤が多くて、かといって親戚もいないから俺も母親もついていくしかなくて」

男「ほぼ毎年、多い時は年に数回は引っ越ししてたよ」

男「そんなだから転校先の学校はなかなか馴染めないし、馴染んだとしてもその頃にはもうお別れ」

男「……小さい時からずっとその繰り返しだった」

男「友達と仲良くなるほど別れるのが辛くなるし、『どうせまた転校するんだろ』って思い始めたら」

男「段々学校の人と話さなくなって、友達もつくらなくなって」

男「そしたら、クラスメイトとどう接すればいいのかわかんなくなっちゃって」

男「気がつけば、学校で嫌われ者になってた」


189 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:17:54.63 ID:GTJxri1i0
男「でも気にしてなかったよ。どうせすぐ親父の仕事で引っ越すんだから」

男「……って思ってた罰かな。中学の時に両親とも事故で死んじまったのは」

男「それから転校は無くなったけど、そのかわり、まわりに誰もいなくなった」

男「友達なんてもちろん一人もいない。学校でも一人。家でも一人」

男「毎日がすごい退屈だった」


191 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:21:58.35 ID:GTJxri1i0
男「……けど、市が来てから毎日が楽しいよ」

男「静かなこの家が、お前のおかげで騒がしくて、楽しくて」

男「退屈だなんて思わなくなってた」

男「だから市には本当に感謝してるんだ」

男「なのに……なのに俺は……!」


193 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:24:05.10 ID:bgfzRJDw0
これはハッピーエンドにしないとブチギレるからな


194 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:30:43.37 ID:GTJxri1i0
男「さっきはゴメン! あんなこと言っちまって……ゴメン!」

男「学校でイヤなことがあって、八つ当たりしちまったんだ!」

男「お前のせいなんかじゃない、俺のせいなのにお前に酷いこと言っちまった!」

男「俺が馬鹿だった! 許して欲しい!」

男「本当に、本当にゴメン!」

男「ゴメン……市! ゴメンなさい!」


197 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:33:58.29 ID:GTJxri1i0
『俺の声は市に届いているのかわからなかったけど、

 俺はひたすら市に謝りつづけた。

 俺にできることは、それしか思いつかなかったから』


199 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:36:01.24 ID:GTJxri1i0
▼翌朝/男の部屋

―チュンチュン

市「……」

男 ZZZ

市(机につっぷしたまま寝ちゃってる……)

市(私が出てくるのを待ってたんですね)


202 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:39:50.72 ID:GTJxri1i0
市(男さん、辛い事があったんですね……)

市(私の方こそ、男さんのことをわかってあげられてなくてゴメンなさい)

市(心無いこと言ってしまってゴメンなさい)

市「男さん……ゴメンなさい」

男 ZZZ


203 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:42:30.81 ID:GTJxri1i0
市 ジーッ

男 ZZZ

市「……よし」

市(せっかくですから、この前の続きをしてあげましょう)

市(どうせ実際には出来ませんし、ホッペにするフリくらいなら……)

市(これは私からお詫びの気持ちで、決してやましい思いなんかじゃないんです!///)


205 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:45:10.88 ID:GTJxri1i0
市(女は度胸! はい、深呼吸!)スゥーハァー スゥーハァー

市(よし、いくのよ市!)

市「お、男さん……////」ン〜

男「んん……、ん?」パチッ

市「うひゃあ!」

男「市!? ――うわっ!」ゴロン

―ドシン!

男「いててて…」

市「男さん!大丈夫ですか!?」

男「あぁ大丈夫。――って市!?」

市「はい!?」ビクッ

男「昨日は……昨日はゴメン!」


208 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:49:20.55 ID:t1cqsg2W0
男「本当にゴメン!」

男「お前は悪くないのに酷いこと言っちまって、ゴメン!」

市「いや、あの、え〜っと……」

男「ゴメンなさい!」

市「……わ、わかりました。許してあげます」

市「髪も切ってくださいましたし、私も……その……無神経なこと言っちゃいましたし……」

市「だからもう無しにしましょう! ね!」

男「市……ありがとう。ゴメン」

市「私の方こそ、ごめんなさいです」


209 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:51:22.42 ID:t1cqsg2W0
市「でも、もしまた酷いこと言ったら……」

市「呪っちゃいますからね」ニコッ


211 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 00:57:36.08 ID:t1cqsg2W0
話はまだ続きます。

最後まで書き溜めあるので、このまま突っ走ろうかと思いますが、

少しPCの調子が悪いので5〜10分ほど席を外します。


遅ればせながら、この場を借りて、支援下さった方、

ご覧になられてる方に感謝を。


一旦失礼します。


213 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/28(木) 01:04:22.62 ID:fcGBRbZ+0
保守しといたほうがいいか?


214 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 01:06:39.58 ID:t1cqsg2W0
お待たせしました。

PC不調の原因はわからず終いですが、再開します。

それでは、よろしくお願いします。


215 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 01:08:18.20 ID:t1cqsg2W0
>>213
ありがとうございます。とりあえず、まだ大丈夫そうです。


216 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 01:09:24.43 ID:t1cqsg2W0
▼翌朝/学校/校門

男「…………」スタスタ

男「……あっ」ピタッ

女「あっ」ピタッ

男「…………」

女「…………」

女「昨日はごめんなさい」ペコッ
男「昨日はゴメン」ペコリ

女「えっ?」

男「あれ?」


218 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 01:13:45.13 ID:t1cqsg2W0
女「な、何で男くんが謝るの!?」

男「女の方こそ何で謝ってんの?」

女「だって昨日、男くん本当は大切な用事があったのに」

女「私が無理矢理に帰りの約束取り付けたから、それで怒ってるのかなって……」

男「いや、大切な用事なんてなかったけど……」

女「えっ!? じゃあ何で怒ってたの!? 何で謝るの!?」

男「いや、その……」

男「実は昨日の昼休みなんだけど――」


219 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 01:16:04.26 ID:t1cqsg2W0
男「――って話をたまたま聞いちゃって」

男「だから変な風に思い込んで、それで……」

女「……なるほどね」

女「つまり、私が本当は面白半分で、しかも嫌々で男くんに話しかけてると思った、ってこと?」

男「……はい」


221 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 01:20:24.41 ID:t1cqsg2W0
女「男くん?」

男「……何でしょうか?」

女「バカ!」

男「!?」ビクッ

女「そんなことする訳ないでしょ!」

男「……ごめんなさい」

女「バカ! もう、大バカ!」

男「返す言葉もありません」ペコ

女「そんな風に思ったなんて……許せない! もう本当に怒った!」

男「本当に、本当にごめんなさい」ペコペコ


223 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 01:24:59.14 ID:t1cqsg2W0
男「俺に出来る事があれば何でもしますので」

男「その……、どうにか許して欲しいです」

女「じゃあ、もう絶対私を無視しないこと!」

男「へっ?」

女「朝と帰りには挨拶を忘れずにすること! いいね!?」

男「あっ、えっ、でも」

女「わかった!?」

男「は、はい! わかりました!」


224 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 01:30:35.15 ID:t1cqsg2W0
女「それと、お詫びに今日の放課後こそ一緒に帰ってもらうからね」

男「でも今日は部活とか――」

女「口答え禁止!」

男「わ、わかりました!」

女「よろしい。じゃあ私、先に教室行ってるね」

男「は……はい」

女「男くんも早く来なよ〜」タッタッタ

男「…………」ポリポリ



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