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兄妹小説「輝く日常」
- 40 名前:1 ◆nvHRXDRbXY []
投稿日:2008/04/27(日) 21:20:14.33 ID:CsKBVhpN0
―――――という過去の扉を開け、一通り見て
それから2年。ゴミの出し方も覚え、料理も覚えた。
洗濯もこなしながら俺はなんとか忙しい社会の荒波って奴にのまれているわけだな。
なんていう最後の方だけの感想を頭の中で思っていると
「次は〜Y商事前。Y商事前〜。お降りの方は――」
とアナウンスが流れたのでボタンを押した。
マンションからバスで15分という楽な場所に立っているY商事のビルの前
で、俺はとりあえず今日1日も頑張っかという気持になり
「おっしゃ!」と1回だけ言って背伸びをした。今日も忙しくなりそうだ。
- 41 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/27(日) 21:21:48.08 ID:4P6RGqVa0
さる規制かかると
書き込みしようとしても
「やはりあなたは投稿しすぎです。バイバイさるさん。」
って画面に出る。
んで、ちょいと時間経たなきゃ書き込みできなくなる。
それ以上溜めてない場合は書き溜めのいい糧になるが、溜めてあるとうざいだけ。
落ちるかもしれないので保守してくれる人が居ることを願うしかない。
と、拙い説明サーセン
もうちょっと説明できる人がいればいいんだが・・・
- 42 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/27(日) 21:23:57.27 ID:Uz4Ufk5E0
レス率だと思われる。
余計なレスが増えれば増えるほど買い比率が上がる。
- 43 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/27(日) 21:24:18.41 ID:WQAHYGrj0
vipの場合は大体四十五分くらい待てばまた書けるようになるよね
- 45 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 21:26:55.68 ID:CsKBVhpN0
会社に行くとまず自分の机に貼ってあったメモを見つけた。
「長谷川さんから呼び出しあり。会社来たら顔出せだとよb」
目黒だな、メールで知らせろ馬鹿野郎が…
そう思いながら視線を俺の机の斜め後ろに合わせると、目黒が親指を突き出して笑っていた。
「おめぇメールしろよな、こういう事は」
「いやいや!たまにはこういうのいいかなってな!アナログだよアナログ!^^
長谷川部長もそんなに急ぎの用じゃないって言ってたしさ!!まっ!行って来いb」
全然悪気のない笑顔で答えやがった。
目黒浩二。俺とまったく同時期に同じ部署に入社してきたポジティブ野郎だ。
俺が必死に仕事をしている横でいっつもネットサーフィンをしながら笑っている変な奴で、時々だがめちゃぐちゃぶん殴りたくなる。
これで俺と同じ業績なんだから泣けてくるよな。
特徴というのか知らないがいっつも親しい仲の奴と話している時には親指を立ててGJってジェスチャーを連発してくる。
メールでも語尾に「b」と書くことが多い。
そういえばさっきのメモにも書いてあったな…1回それは病気なのか?と聞いてみたくなる。
そんな目黒の笑みとGJに見送られながら長谷川さんの所に行くと
長谷川さんはにっこりと笑って俺を別室に案内してくれた。
「まぁ座りたまえ^^今日は君に大事な話がある」
>>41
あー。なんとなくわかりました。やべえ俺かかりそうですね^^;
ちょっとペース落とします。
- 47 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/27(日) 21:32:22.05 ID:Uz4Ufk5E0
3分ペースくらいなら大丈夫
- 48 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 21:37:38.51 ID:CsKBVhpN0
「は、はい。」
緊張してきた。
なんだよ目黒の野郎なにが急ぎの用じゃねえだよ。思いっきりそれっぽいだろうが……
そんな俺の心理を読まれたかは知らないがすぐに長谷川さんは言葉を続けた。
「いやね…目黒君には何も知らせない様にとりあえず君を呼ぶ様に頼んだからね。」
にこにこと笑いながら長谷川さんは続ける。
「それで、今日君を呼び出したのは新しいプロジェクトに関しての事だ。」
「はぁ、…たしかY商事の新しい新商品のプレゼンを、隣の市のNプロダクションと一緒に行うって奴ですよね。」
数日前にそんな企画が近いうちに始動すると聞いていた。
その時聞かされていた情報を覚えている限り脳の引き出しから出して話す。
「えっと…自分たちの部署が率先してプレゼンの会場を探し、準備をするってのは聞きました。」
そこまで一気にしゃべり、長谷川さんを見ると笑っていた。
「ははっ、意外とちゃんと聞いてるじゃないか。」
「はぁ…それはまぁ上司の言葉は普段からしっかり聞きてるつもりです。」
ちょっと調子に乗ってみた。
急に長谷川さんの顔から笑みが消え、真剣な顔になったので面くらった。
- 49 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 21:44:54.33 ID:CsKBVhpN0
「ああ、そうしてくれてるとありがたいよ……でだ、
そのプロジェクトなんだが来週の土曜日から始動という運びになった。」
「おお!そうですか!頑張りましょう!!俺もまだまだ未熟者ですが精一杯お手伝いさせていただきます。」
とりあえず俺もこのプロジェクトの事は結構耳にしていたからやる気は出る。
「ははっ君には人一倍頑張ってもらわなければな。」
「え?…どういうことですか?」
「ああ…他の奴とも話したんだが、今回の企画の責任者に君を抜擢する事に決まったんだ。」
「え?」
頭が真っ白になった。
「い、いやでも自分はまだ2年目の新人ですし、
こういう大きなプロジェクト等に参加させてもらえるだけでもありがたいのですが…」
「何を言ってるんだ!この会社は実力主義。この2年間で君が不真面目だったという話は聞いたことがないぞ?
他の皆にももう了承は取ってある。」
「ほ、ホントですか!?ありがとうございます!!一生懸命やらさせて頂きます!」
そう言って部屋を出た俺は久しぶりに興奮していた。
仕事で初めてプロジェクトを任された。今まで見てきたが、プロジェクトの責任者の上司達のかっこよさと言ったらなかった。
俺より2つ上の先輩が昔似たようなプロジェクトの責任者に任された時にも「早く俺もああなりてぇ」って思ったもんだ。
机に戻ると目黒が待ってましたって顔で聞いてきた。
「なな!何の話だったんだよ!!^^教えろよww」
- 52 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 21:51:55.18 ID:CsKBVhpN0
さっきの部屋でのやりとりを一部始終簡単に話すと
「うおおおお!マジか!!俺らと同期ではお前が初めてじゃね!?よっ!この出世街道まっしぐら男!!bb」
と自分の事の様に喜んでくれ、会社での1日が終わる頃には
同じフロアーにいる俺と同期の奴ら全員にそれを伝え、その夜飲み会まで開いてくれた。
ちょっと変な奴でもあるが根はトコトンいい奴なんだよなぁ。
飲み会から帰って部屋のドアを開ける際にそんな事を考えていたら
隣のドアが開いて妹がこっちを見ていた。手にゴミを持っている。
- 53 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 21:54:11.77 ID:CsKBVhpN0
「…よぉ。」
「うわっ!お酒くさ!何やってたのよ馬鹿兄貴!!」
「飲み会に決まってんだろ馬鹿妹よ♪お前こそ何やってんの。」
「ば、馬鹿とはなによ!ゴミ出しに行くのよ!!明日も早いから!」
「ああ明日も今日と同じ時間なのかぁ。また俺の部屋の前でこけてパンツ見せんじゃねえぞ^^」
「ッツ」
顔が真っ赤になる。今朝の事を思い出したらしい。
「うるさい!あんなのもう絶対にならないからアホ兄貴!!」
「まぁ明日からは俺もっと早く出るから大丈夫だって。」
陽気に言う。
「え?……なんでよ。」
「プロジェクトを任されたんだよ長谷川さんからb」
満面の笑みを浮かべる俺、目黒のマネもしてみた。
その瞬間妹の顔がみるみる曇っていく……
「あれ?どうした^^お前がいっつも馬鹿馬鹿言ってる兄貴も頑張ってんだぞ会社じゃ」
「……てよ…」
「あ?」
「やめてよ!そんなプロジェクト!辞退しなさい!!」
妹の予想外の言葉に俺は一瞬理解が遅れた。
「え?…どゆこと?」
「とにかく!まだ会社では新人の馬鹿兄貴がそんなプロジェクトまかされるなんて絶対になにかある!!
長谷川って人が何か裏でやってんじゃないの!?」
「おいおい!まだ長谷川さんの事悪く言ってんのかよ。」
ちょっと酔いが覚めてきた。
俺がここに引っ越してきた時も言ってたぞこいつ。
いくらなんでも目の敵にしすぎだろ…
- 54 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/27(日) 21:55:32.32 ID:4P6RGqVa0
妹欲しい><
- 55 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/27(日) 21:59:56.72 ID:x5D63hOZ0
落ちたまましばらく立ってなかったから心配したぜ
- 56 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 22:02:58.93 ID:CsKBVhpN0
「あのなぁ親父に何言われたか知らないけどあの人は俺達後輩の事を考えてくれるいい人だよ。
ここだってあの人が紹介してくれたんだ。それにな!俺の会社は実力主義だ!
俺の2コ上の先輩も俺と同じ年齢の時にプロジェクト任されて成功収めて、今はさらにいろいろと活躍してるんだ。俺にもそういうチャンスが来たってことだよ!!」
「で、でも!」
いつの間にかゴミを通路に落とした妹が叫ぶ。
「でも!…その人はその人でしょ?」
「うるさい!いいかげんにしろ!!」
「―――――ッ」
妹がびっくりして黙り込んだすきに言う。
「いいか?俺はお前に馬鹿馬鹿言われるのはいいよ。もう慣れた。
でもな…俺の上司の長谷川さんや先輩の事を変に言われるのは許せない!
人はみんな努力して生きてるんだ。頑張ってる人にはそれが報われるチャンスが一杯やってくるんだよ!
そういうチャンスが俺にもやっと回ってきたんだ。
とにかくこれから俺は毎日全力で仕事に取り組んでやるともう決めたんだ。
お前にとやかく言われす筋合いはない!これでこの話は終わりだ!俺は寝る。」
そう言って扉を閉めようとしたら妹が何かモジモジしていたのが見えた。
「ごめん。言い過ぎたよ、でも俺の仕事の邪魔はすんなよ?
今のやり取りは明日になれば忘れてるだろうからお前も明日には忘れてくれてかまわない。ただ今日あと寝るまでの少しの時間は反省しなさい。」
母さんが俺が何か悪いことをして怒った後によく言ってくれた言葉を言ってみた。
勝手にこれでよし!と納得した俺はじゃあおやすみと言って扉を閉めた。
「…兄貴…騙されてるよ……」
ドアの前で妹がボソッと何か言ってた様な気がする。
- 59 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 22:11:01.30 ID:CsKBVhpN0
それから数日、俺はもう死に物狂いでプロジェクトの準備にとりかかった。
朝早く出社し、目黒や長谷川さんたちと会議を重ね、いっつも最終のバスで深夜に帰ってくるという日々が続いた。
そんな中でやっとプロジェクトのおおまかな展開の仕方というものがつかめてきた。
毎日が充実していたが、時々眩暈等も起こしたりしていたからたまに目黒達に
「おいおい大丈夫かよ?休むか?」
と言われ、
「いや、このプロジェクトが終わるまでは休まねえ!」
なんて言ってたんだか――――
まぁさすがにそれは無理で1回プロジェクトがある程度形になった際に俺は会社で倒れてしまった。それが今日だ。
気が付くと会社の医務室でぶっ倒れていた。
医者に
「疲労がそうとう蓄積されていてそれが仕事のくぎりがついた安心感から一気に出てしまったんでしょうねぇ…
なんでこんなになるまでほっといたんですか。まぁ明日は休みなさい。」
とドクターストップをかけられてしまった。
目黒にタクシーを呼んでもらってなんとか帰宅した。
「お前最近はりきりすぎだって。ははっ明日は有給で休めよ?
長谷川さん達には俺が言っとくからbとにかく体が一番大事だからな(^−^)」
と言ってくれた目黒に感謝しつつ
マンションの前で別れを告げ、部屋の前までなんとか歩く。
- 60 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/27(日) 22:14:32.74 ID:4P6RGqVa0
さる蕎麦
- 61 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 22:21:02.49 ID:CsKBVhpN0
カギを探しなんとか鍵口にさしこむ。そこで急に眩暈が襲ってきて俺は倒れてしまった。
今度は意識はしっかりしたままだ。ドンッと扉にぶつかり横たわる。
「…くそ、ちょっとだけ座ってよ。」
そう言った途端隣の扉が勢いよく開いた。
「おとうさん帰ったの?―――――え?ど、どうしたのよ兄貴」
「あ?ああお前か…」
「お前かじゃないわよ馬鹿兄貴!何してんのって聞いてんの!!」
何故か怒っている。俺なにか怒らせる様な事言ったっけか?ははは。
「えっと…月見だ月見」
「何言ってんのよここから月見えないじゃん!いいからさっさと部屋に入れば?邪魔!!」
何も考えてない頭で言ったらしく妹の機嫌を取る事には失敗したみたいだ。
どうやらお邪魔らしいな…どくか。と思い体を何とか起こす。
まだ頭が少しぐらぐらするが何とか立ち上がった。
「………?」
妹が何か感づいたらしい。俺の顔をじっくりと見て言った。
「e?ちょ、ちょっと…もしかして調子悪いの?」
「え?いや?はは!普通だろ?ほらっ…ッ!あたたっ」
両手を広げてジェスチャーした途端足元がおぼつかなくなってよろけてしまった。
「ほ、ほら!!もぅ!ちゃんとご飯とか食べてんの!?この馬鹿兄貴!」
「ああb毎日カロリーメイト食ってるぞbソイジョイもだbbあっGABAも食ってる^^b」
「もう!馬鹿!!とにかくなんでそんなによろよろなのよ!」
「こないだ言っただろうが。プロジェクト任されたって」
「う、うん。」
急に妹がいやなものを思い出したという顔になった。
「んでよ?毎日朝から夜までお前の馬鹿兄貴は長谷川さん達とプロジェクトを成功させる為に
日々努力をつんでいるんですよこれが^^」
わざとらしく上目づかいで答えてみる。妹の表情は硬い。
- 62 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 22:25:59.66 ID:CsKBVhpN0
「……」
「ところでなんで出てきたんだ?」
「…なんか音がしたと思ったから、お父さんが帰ってきたのかなって思って見にきただけよ。
今日飲み会だって言ってたからふらふらになってるかも知れないって思って…それがあんただったわけよ。」
「あーなるほど。」
「とにかく!!もう寝なさい!こんなとこにいつまでもいられたら邪魔でしょうがないわ!!」
嫌われてるなぁ相変わらずwと内心苦笑いしながらなんとか部屋に入る。
ドアを閉めてもらいベットに一直線にダイブする。
横たわるともう俺の目は再び見開く事を全力で拒否する盟約を脳みそと交わした後だったらしい。
「…もう、何やってんのよ…ばか」
誰かが毛布を掛けてくれた気がしたが、次の瞬間俺はすでに夢の中へと出発していた。
- 64 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/27(日) 22:27:57.07 ID:YXQBSosx0
>>1
ずっと待ってたぞ
やっと戻ってきたか、このやろう
- 65 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/27(日) 22:27:59.77 ID:4P6RGqVa0
いやしかし妹欲しいね
- 66 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 22:32:15.87 ID:CsKBVhpN0
翌日、どんだけ疲れていても俺の体内時計というものはあんまり変わらない様で、
いつもとほとんど変わらない時間に起きた。
テレビをつけて洗面所まで行った所で今日は有給使えって言われてた事を思い出した。
さっそく長谷川さんに連絡を入れると
「ああ。目黒君から話は聞いてるよ。最近無理をさせてしまった様だから今日はゆっくり休むといい。」
「はい。プロジェクト準備も大切な時期に来ているのにすいません。」
「なに、体を壊したら元も子もないだろ?ははっとにかくゆっくり休めよ」
「はい。ありがとうございます。」
電話を置く。なぜか急に
いつか妹が長谷川さんの事を親父が悪く言っていた
そう俺に言っていた事を思い出した。
あいつ…くくっ馬鹿だなぁ。長谷川さんが悪い人なわけがない。
今の電話の内容聞かせてやりたかったぜ。
そう思ってふたたびベッドに横たわる。
今日は一日自由だ。ゆっくりしてよう。
俺の中の何十億という全細胞がそう訴えてきた。
テレビをBGMに再び深い眠りに落ちて行った。
お昼のテレビ番組の始まりを告げる軽快な音楽で再び目が覚めた。
せっかくの休みだ。午後だけでも有意義に休みを満喫すっか、
そう思った俺は近所のスーパーにでかけた。最近ろくなもの食ってなかった
からなぁ。
- 67 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/27(日) 22:34:28.03 ID:x5D63hOZ0
かに
- 70 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 22:44:40.49 ID:CsKBVhpN0
パスタが食いたくなり、その材料をカートに入れてスーパー内をうろうろしているとふと視線を感じた。
「……ん?あ!」
「こんにちはお兄さん!^^」
見ると懐かしい顔がそこにいた。
「おお!上野じゃん!久し振りだな〜。2年ぶりぐらいじゃね?」
「そんなになりますか?」
笑顔でハニかむ顔がとてもかわいらしい。
「そうだよ〜。まぁ母さんの葬式だったから覚えてる!間違いないってb」
上野。妹の同級生で昔ガキの頃よく家に来て遊んでいた。
その頃のせいかは知らないけど俺の事を「お兄さん」って言ってくるところは変わってない。
親父と母さんが離婚してからは高校の頃母さんの葬式に来てくれた。
妹と比べると随分しっかりものだ。今も妹とは仲がいいらしい。
正直言って妹とおんなじぐらい可愛い。
「たま〜にだけど妹から聞いてたよ。えらく奇麗になってるって…その通りだなb
大人っぽくなったね…って親父くさいな。ははっ」
そう言いながらカートを押す。
- 71 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 22:45:08.26 ID:CsKBVhpN0
「そ、そうですか?お兄さんにそう言ってもらえると嬉しいです(*^^)」
「マジで?いやマジで綺麗になったって!彼氏とかいんでしょ?」
「いやぁそれがいないんですよぉ〜」
うつむきながら少し声を低くして上野が答える。
「え?そなの?」
「はい。私人見知り激しくて、あんまり仲良くなれる男の人少なくって…
あっ!でもお兄さんは別ですよ?2年ぶりだったのにすぐわかったし、ふふっ」
「うお、嬉しい事言ってくれるじゃん!^^」
「お兄さんは彼女さんとかいるんですか?」
2年も会ってないのに意外と普通にに会話できるもんだなぁ
とくだらない事を思っていたら上野さんが急にまじめな顔で聞いてきた。
「え?俺?いないよ。モテねぇし、仕事が忙しくって恋愛する時間ないし。…はは。」
「そうなんですかぁ。でもお兄さんはモテてましたって!結構みんな陰で言ってましたよ?」
「またまたぁ。さすがにそういうの疎い俺でもそれだったら一回ぐらいは感づいたんじゃね?ははっ!ないない。お世辞は嬉しいけど」
普段目黒から
「お前色恋沙汰にはめちゃくちゃ疎そうだよな〜(^^♪」
と言われている俺でも流石にこんな話は社交辞令みたいなもんだって分かった。
- 73 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 22:58:48.69 ID:CsKBVhpN0
「最近あいつと仲よくやってるか?」
「はい!相変わらずです。ってそうか…
今お兄さんあの子のとなりに住んでるからあんまり私の事聞かないんですよねぇ」
「あれ?そういやなんでここにいるの?まだお昼だろ?。サボりか?」
「あっ今日は学校お昼までなんです。なんでも午後に学校が英検の試験会場に使われるとかで。」
「あれ?じゃああいつももう帰ってるのか?」
「ああ、そうじゃないですかね?たぶん帰ってると思いますよ?何か食事でも作ってあげればどうですか?喜びますよ^^」
「うーむ。あいつ絶対断ると思うぞ。「この馬鹿兄貴!なんで私があんたの作った料理なんか食べなきゃならないのよ!」とか言って、…あはは」
ホントに2年前とほとんど変わらない感じで会話を重ねていく。
ふと、少しさみしそう上野が小声で言った。
「最近ちょっと忙しいそうですね。」
「そうだね。会社のプロジェクトまかされちゃってさ、へへ…日々奮闘してるんだよ最近の俺。」
「彼女、心配してましたよ?」
「え?まじで?」
「はい。お昼休みで一緒にいる時「あの馬鹿兄貴は最近帰りが遅いみたい。」
とか「あのアホ兄貴毎日何時間寝てんのかしら…馬鹿みたいに働いてる。」とか言ってました。」
「へー。」
意外だった。てっきり学校に行くと俺の事なんか忘れ去って授業受けてんだろうなって思ってたからな。
「たまにはかまってあげなきゃお兄さん!」
「うーむ。今度ジュースでもおごってやるか^^」
「セコッ!…フフッ」
そんな会話をしながらレジで金を払う。
- 74 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/27(日) 22:59:49.96 ID:CsKBVhpN0
「じゃぁまたしばらく会えないだろうけど元気でなb」
「あっ…はい。いつか飲みにでも連れてって下さい!」
「バーカ、お前酒飲めないだろ(^^♪」
「だからいつかですって!」
「アハハ。」
別れ際の会話を楽しみながらふと横を見る。
視界に入ってきたものを見て急に動悸が激しくなった。
親父が手まねきしていたのだ。
「?…どうしました?」
「い、いやなんでもない。」
「なんですか?おかしいですよ急に^^」
「と、とにかく会えてうれしかったよ。またな!」
「あっちょっと!」
呼びとめられたが無視して歩き出す。すると急に上野が腕をつかんできた。
うつむいて何か差し出している。顔がめちゃくちゃ赤い。
「え?」
「あ、あの…これ」
そうして差し出したのは小さな紙。
「メアドと番号です。」
「あ…ああ。はいはい。連絡するよ!近いうちに(^_^)v」
「はい!」
はにかんだ笑顔を浮かべて上野が笑った。
ガキ使ハジマタw
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