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市松人形「私……呪われてますから」
266 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:06:30.42 ID:t1cqsg2W0
▼教室


がやがや… がやがや…


「Tシャツのデザインできたよー!」
「いいじゃん! カッコいいよ!」
「『和』って感じがしていいよね!」
「えへへ///」


「看板、こんな感じでどうよ?」
「う〜ん。もう少し派手にしようぜ」
「オーケー。あれ、ペンキどこだ?」
「そこらへんに置いてあるだろ?」


がやがや… がやがや…


268 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:09:51.57 ID:iWEN7upw0
頑張れ


269 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:09:53.49 ID:t1cqsg2W0
DQN男1「あ〜、また退屈になっちまったな」

DQN男2「PSPもついにバッテリー切れ……。暇だべや」

DQN男1「おっ、新聞紙発見。こいつを丸めて……」グシャグシャ

DQN男2「何してるだか?」

DQN男1「よし出来た。へへっ、左手はそえるだけってね……シュウッ!」ポイ

DQN男2「甘いべ! ハエタタキ!」パシッ!

DQN男1「打ち落した……だと……?」

DQN男2「ゴール下は戦場だべや。ウホッ!」


270 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:13:28.10 ID:t1cqsg2W0
DQN男1「なんの……もういっちょう!」ポイ

DQN男2「ふんっ!」パシッ

DQN男1「ちょっ、バカ! 飛ばしすぎ――あぶねぇ!」ドンッ!

委員長「きゃあ!」ドカッ!!

ガシャーン!! カラカラカラ…


271 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:15:40.05 ID:t1cqsg2W0
DQN男1「いてて、悪い悪い……うわっ!」

女「委員長女ちゃん、大丈――!?」

女友「ちょっとアンタ達何してるのよ!――あっ!」

委員長女「痛い……、――!?」

委員長女「わ、私の……髪……ペンキ……」

委員長女「そんな……ヒドイ…・…」ポロッ

委員長女「ヒドイよ……うぅ……」ポロポロ

委員長女「うあぁ〜ん!!」ボロボロ


273 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:18:54.19 ID:t1cqsg2W0
DQN男1「お……おい! 誰だこんな所にペンキ置きっぱの奴は!?」

DQN男2「は、早く名乗り出ると良いべ。こいつキレると手がつけられんからのぉ!」

女友「ふざけないでよ!アンタら自分が何したかわかってるの!?」

女「そうだよ!」

DQN男1「はぁ!? そっちもチョロチョロしてんのが悪いんだろうが!」

DQN男2「こっちだけが悪いわけじゃねぇべよ!」

女友「アンタらって人は!」

女「最低! 謝りなよ!」

DQN男1「し……、知るか! このペンキ置きっぱの奴に謝らせろや!」ドカッ

――ガンッ カラカラカラ…


274 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:21:06.37 ID:t1cqsg2W0
―― シーン…。

女友「何なのコイツら……。女、委員長ちゃんは大丈夫?」

女「うん。怪我はなさそうだけど、制服の後ろとシャツ、あと髪に……ペンキが……」

女友「ペンキって落とせないっけ? ほら、水とかかければ!」

女「ううん。そんなんじゃ無理だよ……」

委員長「ひっく……ひぐっ……うう……」ボロボロ


275 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:22:35.81 ID:t1cqsg2W0
ざわざわ… ざわざわ…


ガクエンサイノジュンビドウスンノ…
アヤマレバイイノニ…
アレハヒドイヨネ…


女友「委員長ちゃん。とりあえず今日は帰ろう? ね?」

委員長「ひぐっ……イヤだよ……、このままじゃ……ぐすっ……帰れないよぉ……」

女友「何とかしてあげたいけど……」

女「どうしよう……」


276 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:23:28.58 ID:6PoB1wm80
ほう


278 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:23:56.05 ID:t1cqsg2W0
――ガラガラッ

女「!?」

女友「!?」

DQN男1&2「!?」

クラスメイト 「「「 !? 」」」



男「…………?」



男(えっ。な、何この張りつめた空気……)

女「そっ、そうだ!男くん!」ガシッ

男「うわっ! 何だよ!?」

女「頼みがあるの!」

男「だから何だっての!?」

女「お願い! 委員長ちゃんの髪を切ってあげて!」

男「……は?」


279 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:26:35.96 ID:t1cqsg2W0
男「霧吹きは美術室の備品。散髪用洋服カバーは新聞紙で代用」

男「そしてコーム、ブラシ、ドライヤー、さらにはコテやらワックスまで……」

男「よくもまぁ揃いも揃ったもんだ」

女「今時の女の子たちはこのくらい持ってて当然だよ」

男「何しに学校に来てんだよ……」

女「い、いいでしょ! 必要なの!」

男「ハァ……。そんで、このデカイ鏡は?」

女友「美容院といえばやっぱ大きな鏡っしょ」

女友「だから女子トイレの借りてきちゃった。テヘッ☆」ペロッ

男「なんというパワフル」


280 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:28:58.96 ID:t1cqsg2W0
委員長「グスッ……グスッ……」

男(しかしずいぶんとペンキついちゃってんな)

男(でも、肩から下だけなのが不幸中の幸いか。そこは切り落として……)

男(後は全体のバランス整えて……うん)

男「なぁ委員長。ペンキのついてる部分はバッサリ切っちゃうけど、いい?」

委員長「グスッ……、うん」コクン

委員長「このままじゃ……帰れないから……」

男「……わかった」

委員長「男君……あの……」

男「大丈夫。俺に任せて」ニコッ

委員長「……う、うん///」


281 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:32:47.97 ID:t1cqsg2W0
男(とはいえ人間相手は初めてだし、少し不安だ……)

男(市の人形がそのままデカくなったと思えば……いけるかな……)

男(……いや、迷ってられないぞ。委員長の為にもやらないと。とりあえず一回深呼吸して……)スゥ ハァ

男(――よし!)

男「……では、始めます」

チャキチャキチャキチャキ…

チャッチャッチャッチャッチャ


283 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:36:48.21 ID:t1cqsg2W0
チャキチャキ
チャッチャッチャッ


「……おい。アイツ、けっこう上手くないか?」
「上手いとかいうレベルじゃないだろ。プロかよ、アイツ」
「ハサミさばきが素人じゃねぇ」

「本当の美容師みたいじゃない?」
「男って美容室でバイトかなんかしてんのかな」
「私、なんかカッコよく見えてきたんだけど……」


ざわざわ… ざわざわ…


女(……男くん)


286 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:38:21.84 ID:bgfzRJDw0
チョキチョキチョキチョキチョキ


287 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:39:53.79 ID:t1cqsg2W0
ブォーー

サッサッサッ

男「よし。こんなもんかな」

委員長「終わりました……?」

男「あっ。ちょっと待って。せっかくだし最後に軽くセットするから」

ササササッ

男「……これでよし。はい、完成」


―― シーン…。


男(やべぇ。調子乗りすぎたかな……)


288 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:42:12.40 ID:t1cqsg2W0
パチ… パチ…

パチパチパチ…

パチパチパチパチパチ!!

クラスメイト 「「「 ス……スゲェェーー!!!! 」」」

男「!?」ビクッ

「お前すげえな! とんだ隠れ技持ってやがって!」
「男でも惚れるわ、あんなハサミ使い見せられたら!」

男「あははは……///」ポリポリ

「ペンキももう全然ついて無いよ! よかったね委員長ちゃん!」
「一時はどうなるかと思ったけど、逆にもっとカワイくなったよ!」
「ほんとほんと! すごいカワイイよ!」

委員長「あっ、その……どうも///」オロオロ


289 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:43:01.52 ID:EWs7I0tj0
なかなか完成度高いラノベになりそうな雰囲気


290 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:46:13.06 ID:t1cqsg2W0
女「男くん!」

男「おぉ、女か」

女「スゴイよ! 男くんに頼んでよかった! ありがとう!」

男「ま、まあな///」

女友「やるじゃんアンタ! 見直したよ!」ゲシッ

男「痛ッ! なんだお前!」


292 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:48:40.96 ID:t1cqsg2W0
委員長「お、男君!」

男「はい!?」

委員長「あの……その……」

委員長「あ、ありがとうございます。髪型、素敵です///」

男「いや、え〜っと、どういたしまして……///」ポリポリ

委員長「//////」

男「前髪も勝手に切っちゃったけど、よかったかな?」

委員長「本当は長い方が好きだったんですけど……」

委員長「男君に切ってもらって、短いのも好きになりました///」

男「そ、そっか。ども///」


293 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:51:37.40 ID:t1cqsg2W0
DQN男1「おい、男ぉ!」

クラスメイト 「「「 !? 」」」

男「……なんだよ」

DQN男2「そんな怖い顔しなさんな。委員長さんも、ちょっとこっち来るべや」

委員長「は、はい……」

ナニスルキカシラ… マタケンカウルノカナ…

ざわざわ… ざわざわ…


294 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:53:48.37 ID:t1cqsg2W0
女「あの人たち、また!」

女友「女、ちょっと待ちなさい」ガシッ

女「女友!」

女友「いいから。黙って見てなさい」

女「……わかった」


296 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 03:57:13.24 ID:t1cqsg2W0
DQN男1「……」

DQN男2「……」

男「……」

委員長「……」

女「……」

女友「……」


DQN男1&2 「「 うおおおぉぉぉぉーーー!! 」」バッ



\ スミマセンデシタァァーー!! /
DQN男1  orz
DQN男2  _o2  



クラスメイト 「「「 ウ……ウオォォーー!! 土下座だーーー!! 」」」


297 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:02:52.90 ID:t1cqsg2W0
DQN男1「調子に乗ったのは俺たちの方だ! 本当にすまなかった!」

DQN男2「男、委員長さん! 許してくれんべか! この通りだ!」

男「別にいいよ、俺はもう。俺より委員長にもっと謝りなよ」

DQN男1「スマネェ! 謝って許されることじゃねぇけど、スマネェ!」

DQN男2「堪忍してくだされ、委員長!」

委員長「私も、いいですよ。男君が許すなら……私も許します」ニコッ

DQN男1「あ……ありがとうございます!」

DQN男2「ありがたや! ありがたや!」


300 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:06:38.17 ID:t1cqsg2W0
女友「うむ! これにて一件落着ぅ〜!」デデン

女「女友、はしゃぎ過ぎ」

男「あははは……」

委員長「男さん……」チョイチョイ

男「ん、何? 委員長――」



委員長「//////」

ホッペニチュッ




男「え?」

女&女友「え!?」

クラスメイト 「「「 えええぇぇぇぇ!!!? 」」」

委員長「……私からの、お礼です///」ニコッ



男 ポカ〜ン


301 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:08:02.99 ID:bgfzRJDw0
とんだやりまんだったか


302 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:11:30.97 ID:t1cqsg2W0
▼夜/男の自宅

―― ガチャッ

男(今日は大変な一日だったな……)

男「ただいまー」

―― シーン。

男「あれ? 市?」


303 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:13:17.58 ID:sDTW6lah0
市川人形かと思って灰皿で殴り合う人形のSS期待したのに


304 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:13:50.51 ID:t1cqsg2W0
▼男の部屋

市「…………」

男「市、ただいま。……あれ、どうした?」

市「男さん!? お、おかえりなさい! すみません、ちょっと考え事をしてました」

男「へぇ。市も真面目な顔して考え事なんかするんだな」

市「はい……」

男「……あれ?」


306 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:14:27.32 ID:MdOcArzo0
それにしても地の文と挿絵追加で本当にラノベとして出版できそうだ・・・


307 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:15:37.52 ID:t1cqsg2W0
市「でも……その……だ、大丈夫です! なんでもないです!」ニコッ

男「本当に大丈夫なのかよ」

市「大丈夫ですよ。ほら、私は元気ですから!」

男「……何を考えてたのかわからんが、あまり思いつめるなよ?」

市「はい! ありがとうございます!」ニコッ


309 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:20:24.93 ID:t1cqsg2W0
市「ところで、今日は遅かったですね」

男「近々、学校で学園祭があるんだけど、その準備があってな」

市「学園祭ですか! 何か催しをやるんですか!?」

男「まぁな」

市「うわぁー、スゴイです! 男さんは何をするんですか!?」

男「呪いの市松人形を見世物小屋にでも出そうかと」

市「……え?」

男「……ぷっ。あははは。嘘だよ。ただのお好み焼き屋だよ」

市「ちょっ、男さん! 言って良い事と悪い事があるんですよ!」

男「あはははは。ゴメンゴメン。冗談だって」

市「もう!」


310 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:23:42.92 ID:t1cqsg2W0
男「そんなに怒るなって。今日は土産話しがあるんだ。夕飯でも食べながら話すよ」

市「何ですか? 面白いことですか?」

男「まだ内緒。よし、今日はお好み焼きにするか」

市「ということは今日のお供え物も!?」

男「お供えは青ノリと紅ショウガのみだ」

市「ガーン! そんなぁ……」

男「あはははは。嘘嘘。ちゃんと市の分もつくるよ」

市「お、男さん!もう! ホントにもう!」


313 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:26:59.51 ID:t1cqsg2W0
『後日、学園祭は多大な盛り上がりをみせ、
 出し物のお好み焼き屋も大成功に終わった。
 
 学園祭準備の一件から、俺はクラスメイトとも打ち解けることができ、
 これまでの学園生活は一変して明るいものとなった』


314 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:29:58.27 ID:t1cqsg2W0
▼後日/昼休み/教室

「あー腹減った。体育の後ってマジ腹減るよなー」
「男ー。一緒に飯食おうぜー」

男「おー」


「男クン。私たちも一緒にご飯食べていいかな?」

男「あ、あぁ。いいよ」

「やったぁ! いいってー!」
「お邪魔しまーす!」


DQN男1「男、あのよ……」

DQN男2「俺らも一緒にいいべか……?」

男「仕方ないな。ほら、来いよ」

DQN男1&2「「やった!」」


がやがや… がやがや…


316 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:33:35.17 ID:t1cqsg2W0
女「む〜……」チュー

委員長「女さん……あの……」

女友「女、パックのジュースはちゃんと手に持って飲まないとこぼすよ?」

女「むむ〜……」チュー

女友「それにしてもアイツ。あの日からずいぶん人気者だこと」

委員長「他のクラスの人も、よく、見に来てますし……」


317 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:35:04.95 ID:t1cqsg2W0
女友「ねぇ。女」

女「ふぁい?」チュー

女友「すっかり取られちゃったね、マイラブ男くん」

女「ぶはっ!」ブバッ

女友「うわ! 汚っ!」ササッ

女「ごほっごほっ! ……女友!」

女友「アンタ、もうクラスメイトにもバレバレよ。ねぇ委員長ちゃん」

委員長「女さんが行かないなら、私……行こうかな」

女友「おっ。委員長ちゃんはけっこう積極的だね」

委員長「あっ、いえ、そんなことは……///」

女「うぐぐ」


318 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/28(木) 04:37:41.87 ID:t1cqsg2W0
女友「人形のあの話は美容師になる為の練習、ってことだったのかな」

女「そうかも。だからヘアカタログもよく読んでたんだね」

委員長「勉強家……なんですね」

女友「そしてここに来て恋のライバル多数出現! どうする女!」

女「べ、別にどうもしないから!///」アセアセ

委員長「じゃあ私、立候補してきちゃいます……///」

女「ダ、ダメー!」



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