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意地悪なメイド4
- 41 名前:【いじメイ オルタ】 [sage;saga]
投稿日:2010/08/13(金) 07:28:24.66 ID:PDPV4y.0
第28話 「帰還/期間」
「だぁ!? い、いきなり殴るやつがあるか!!」
声をあげ、目を開ければそこは見慣れた家ではない。
まして彼女の影は影はなく、代わりにイドと馬鹿妹の二人。
「……分かっていても、慣れませんね。この感覚」
「お、おい馬鹿妹! 本当にいけた! 元の世界にいけたんだ、おれ!」
「当然です。そのように設計され製造された装置ですもの」
疲れた様子でため息をつく妹は肩をすくめる。
「それで、首尾は?」
「ああ、今度はちゃんと……ちゃん、と?」
そういえば何も出来なかったし喋れもしなかったっけか。
「……恐らく意志の力が足りていなかったのでしょう。もっと具体的なイメージが必要なんです」
「ち、違うって! なんかこう、喋ろうとしたら俺の思ったのと違う言葉が出たりして」
「なるほど。向こうの事象に干渉できなかった、と」
「えっと、それはどういう……」
「詳しいことは省きますが、結果的に言えば未だ向こうの世界に具現化していないということでしょう」
それに、と続けようとした妹の背後で倒れる音がする。
「い、イド!?」
「あら。……椅子に座っていなさいと言ってましたのに。それでは集中できないのでしょうね」
大丈夫なのか?
前回よりはマシだけどやっぱり顔色だってよくないし。
- 42 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:29:08.12 ID:PDPV4y.0
「休憩を挟んだのち、再び実験を続けますよ」
「な?!」
「言いたいことは重々承知していますがダラダラ続けていい実験ではないんです」
く、そうなのかもしれないけど……。
結局、世界を救うにはそれしかない。だったら俺が文句なんて言えるわけもなく。
半時間ほどの時間を置いて、再び実験は開始された。
「お待たせしました」
「大丈夫ですね」
「はい」
「無理、するなよ」
「……はい」
「さて。時刻は夕方ですか……基地司令のほうから文句が出る前に始めてしまいましょう」
「え? 基地司令にこの実験って……」
「さ、そちらへ」
「あ、ああ」
なんかそこはかとなく……いや、めちゃくちゃ不安なんだが。
さておき、今度こそ。強く心に決めて俺は意志を『元の世界』へ向ける。
「最初から5番まで開放しましょう」
「……はい」
「まだ安定しませんか。……かまいません、6番まで開放してくださいな」
「はい」
「十分ですね。男さん、意思をしっかり持って。具体的なイメージを」
ああ、わかってる。
『元の世界』……俺の……世界。
その日、基地の各所で一時的な停電が発生。
ごく一部の重要施設、並びに独立区画以外において多くの影響が出るがこれは後に回す。
- 43 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:30:03.93 ID:PDPV4y.0
「……ふぇ?」
あ。あっるぇー。
おかしいなぁ。いや、あのですよ?
また、なんでしょうかこれ。初めてなのかもしんないですけども。ええ、とりあえず。
挨拶って大事だよな。挨拶。うん、ほらそこがまたトイレだったとしてもさ。
「あ……あううぅぅ」
『あ……あはは……メイド』
「あ……あはは……あのさぁ、メイドさん? トイレにですよ? 鍵かけなきゃって言ったよね?」
――!?
今、一瞬だけど思った言葉が喋れた!
「……〜〜っ!!!」
『メイド! メイド、俺だ! わかるか!?』
「でないと、またこういうことにですね? あの……」
ぼくしゃ。
『ごふ!? こ、てめぇ! ふざけんな!!』
「遭遇しちゃったりし……ごふ」
「あ、あああああ主様のばかばかばかあああああ!!」
- 44 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:30:36.13 ID:PDPV4y.0
「い……ててて」
「男さん。真面目にやっていただけませんか?」
く。帰ってくるなりこれだよ!
ああ、イドまでなんか冷めた目してるし!!
「真面目だよ! 最初のほうはちゃんと思ったことが言えそうだったし!」
「あら。それで殴られてご帰還ですか。……最初と最後は実体化されたようで」
ああ、でもそういう風にも考えられるのか。なるほど。
しっかし馬鹿メイドめ。もろに顔面殴りやがって。……はは、相変わらずだな。
「ではどうして今回このような違いがあったか。思い当たる節があればお願いします」
「差、って言うようなもんは……」
「なるほど。では今日はここまでとしましょう。次回までにもっと『元の世界』の男さんのイメージを明確にしておいてください」
「あ。ああ」
「元気がありませんね。一瞬でも元の世界に戻れたんですよ? 元気を出していただかないと」
そりゃそうだ。けど、あんなの夢と変らないじゃないか。
……まぁ夢じゃ殴られたりしないけど。
「こちらはこちらで装置の精度を高めますので。イド、あなたも」
「はい」
「では部屋へお戻りください」
こうして今日の実験は終了したのだった。
- 45 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:32:39.99 ID:PDPV4y.0
夕食に、と寄ったPX。見知った顔から声をかけられる。
「特別任務は終わったようね」
「ああ、委員長。そっちも今あがりか?」
「そんなところよ」
「あ。男さん!」
「よ、お疲れー」
次々に集まってくるいつものメンツ。
「なぁ聞いてくれよ、今日のおかず、二品少ないんだと」
「え? そうなのか」
「そうなんだよ。僕が聞いた限りだと夕方に停電があったらしくて」
……げ。ソレって間違いなく実験の影響だ。
「らしいわね。非常用の電源もきかなかったそうだし」
「全くどうなってんだって話だよなぁ。……って、イドちゃんは?」
「ああ、なんかさっきまで一緒だったんだけど」
あの後、そっこうで脳みそ部屋だったみたいだからな。
あんなののとこに通いつめるってのも……任務なのか趣味なのか。
「って、噂をすれば。きたみたいだよ?」
「よお、イド」
「はい」
「そういえば特殊任務で昨日から二人は一緒なのよね」
「ああ、そうだ。だから何もやましいことはないぞ」
「はいはい、そういうことにしといてやるさ」
「なんだよ。えらく物分りがいいな、今朝まで目ぇギラギラさせてたのが」
「妹嬢博士の特殊任務だって聞いたら仕方ないよ」
「そういうもんかね」
「そういうもの、かな。って、あれ? イドちゃん?」
- 46 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:34:32.76 ID:PDPV4y.0
「ん?」
さっきまですぐ後ろにいたと思うんだが……。
「……」
げ。あいつ、また二人分の食事を……ということは、まさか。
「あーん」
席に着いた俺を待っていたのは案の定の展開と仲間からの冷ややかな視線だった。
部屋に戻り、説教開始。
「あのな、イド。ああいうのはその……うん、風紀上良くない。良くないんだ」
「……」
「だから俺の分を持ってきてくれたり、食べさせてくれたりしなくていいんだぞ?」
「……」
「ここは、はいって言ってほしい場面なんだけどなぁ」
「嫌ですか?」
「別にいやってことはないけど」
恐らく嬉しいことの部類には入るはずだ。
「たたあいつらの精神衛生上良くなさそうっていうか何ていうか」
「どうしてですか」
「どうしてときたか。……うぅん、けど実際あいつらが不機嫌になったり、その……色々あるのはわかるだろ?」
「わかりません」
ぐ……。こんなときにそんなわからずやスキルを発動させやがるか。
「でも、だな」
「明日からは大丈夫です」
お? なんだ。わかってくれたか?
ははは、やっぱイドはいい子だな。ああもうちょっと頬なんか赤らめて。可愛いやつめ。
- 47 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:35:32.56 ID:PDPV4y.0
「……」
「ん? どした?」
「……」
「ま、いっか。俺はこれからちょっと自主訓練行くけど、お前はどうする?」
「行っちゃうんですか」
う……。なんだ、寂しい顔なんか急にしだして。
「いや、あの……10キロほど軽く走るだけで、だな。身体動かしとかないとダメなわけで」
なんで言い訳がましいんだ! 俺! 別に悪いことしてないぞ!
「……走れません」
そりゃ、お前。イドがそれを軽く走ってる姿なんか想像できねぇぞ。
「すぐ帰ってくるから。な?」
「はい。いってらっしゃい」
「おう! いってきます」
なんか。いいかもな、こうやって送り出してくれる人がいるってのも。
しかしどうしたもんかね。
こいつは天然さんか不思議ちゃんか知らんけど、時々強きだったりするんだよな。
そのくせ、みんなの視線に怯えてるような感じもあるし。
だいたい女の子と一つ屋根の下なんてのがいけない。……ああ、あいつは“女の子”ではないからノーカウント。
共同生活なんていわれてもピンとこないし。昨日は寝てるとこをとりあえず連れてきたからいいけど。
どうしたもんか。……まぁ、考えても仕方ない。
「ただいま、と」
走りながらこれからについて考えていた俺を待っていたのは……。
「―――!!!」
ネグリジェ姿で無防備に眠るウサギ娘。もといイドの姿。
危うく大声あげるとこだったぞ、おい!
なんつー、その……なんだ。いや、ダメだろ!
子供のくせに黒の下着だと! けしからん! ……いや、外見が幼いだけかもしれんけど。
ほら、よくあるよね。登場人物はみんな18歳以上です、的な。……いやいやいやいや。
しかし抱いてるぬいぐるみ? みたいのがやたら不気味なのも気に掛かる。
ウサギ……っぽいが、なんだこの造詣。こう、あれか。邪心か。イアイアハスターか。
ともあれ女の子っぽい趣味ってことなんだろう、抱き枕かぬいぐるみか知らないけど。
- 48 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:36:14.23 ID:PDPV4y.0
「……」
でもよく考えてみればこいつのこと、何も知らないんだな。
趣味だってそうだけど、それ以外もだ。こいつとは前の記憶でも脳みそ部屋以外での事がほとんどない。
何者、なんだろうな。
「……ん……」
って、やばい!? 目を覚ましかけてる!!
ここで目覚められると何となく俺の第六感がヤバいと告げている!
全身全霊を使ってスニーキング状態へ。
「……すぅ」
安らかな寝息を確認して何とか脱力。
ったく、俺はそんなに人畜無害に見えますか、そうですか。
そしてよく考えてみれば俺の寝床なんてないわけで。
「床で寝るか」
何となくイドに抱かれる不気味なウサギに笑われた気がしてガンを飛ばしつつ横になる。
……俺、何やってんだろう。
翌朝。いつもよりも早く目が覚める。
やっぱり浅い眠りになっちまうのは仕方ないわけで。
……ごめんなさい、嘘をつきました。
「……」
ええ、この子です。この子のせいですよ!
くそ、意識してないつもりが思いっきり意識しちまってる……。
ああ、この見えそうで見えない胸元とか太ももの付け根とかね? 見ちゃうよ! ああ、男の子ですから!!
鎖骨とか、二の腕とかふくらはぎとか……いやいやいやいやいやいや。俺、自分、見失いすぎ。
相手は子供(っぽい外見)! つまり欲情なんてしません、してはいけません。
- 49 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:37:01.31 ID:PDPV4y.0
「すぅ……」
暢気なもんだ。全く……こっちの気もしらないで。
おい、不気味ウサギ。お前のご主人、ちょっと罪作りだぞ。
なのでここで復讐しても何ら俺は悪くない! 悪くないぞ!
というわけで定番の顔落書きといこうか。くくく、そのキレイな顔を汚してやるぜ。
よくあいつにやられたもんだ。一回自分で描きながら爆笑して俺を起こすという芸当を見せてくれたっけか。
はは……そうだよ、メイド。あいつ、元気そうだったな。お前の顔見れて、なんか安心したんだ。
お前がいなかったこの時間が嘘みたいに吹き飛んだ。『元の世界』なんてないって思ってた時期もあったのにさ。
「……」
昨日の実験も冷静に考えれば2回目であれだけの結果が出たんだ。
回数を重ねて装置が完成し、馬鹿妹の理論が完成すれば……俺はあそこへ戻れるんだ。
この世界を救い、心置きなく。……あー、やばいな。
最近のメイドの夢といい、『元の世界』を意識する機会が増えたことといい。
なんとなくセンチメンタリズムに浸りやすくなってる。
前に比べて自分に厳しくしにくくなってる。気が緩んでる証拠だ。
……と、そういえば『元の世界』の夢を見なくなったな。
きっとこんな状況だからイドを意識し続けた結果だろう。
「……」
こいつも頑張ってくれてるんだよな。
仕方ない、イタズラ描きは勘弁してやる。
ゆさゆさ、と優しく。いつもイドがしてくれるように起こしてやる。
少し早いが仕方ない。俺の精神衛生上、着替えていただきたいので。
お、惜しくなんかないぞ!
ゆさゆさ。
むむ、反応なしか。
もう少し強く。
ゆさゆさ。
「お〜い、朝だぞー」
ゆさゆさ。
ぬ。こいつ、意外と眠りが深いぞ。イメージではもっとスパっと起きると思ってたんだが。
ああ、でも最近の実験で疲れが溜まってるのかもしれないな。
悪いことしたか。仕方ない、どこかで適当に時間を……。
- 50 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:39:00.33 ID:PDPV4y.0
「ん……んん」
「げ、やべ」
ああ、ええと。ばっちり目が合いました。半目で……目つき悪!?
と、とにかく明らかに目が合ってます。寝起き最悪系か、こいつ。低血圧っぽいし。
「……」
「お、おはよう」
「……おやすみなさい」
「寝るのかよ!」
「……」
ああ、もう寝てらっしゃるわ。仕方ないのでとりあえず身支度。
そうこうしてるうちに、目覚ましの設定時間に。
ということはつまりそろそろお目覚めかね。
……まぁそのアラームは解除してあるんだが。
くくく、慌てふためくがいい。
「……んん」
って何ぃ!? 時間が来たと同時にきっかりお目覚めかよ!
「よ、おはよ」
「……」
「おはー」
「……」
「ぐっもーに゛ん゛!?」
こ、こいつ、不気味ウサギを投げつけやがったな!?
「うささんです」
うささん? ああ、こいつの名前か。
「……先に起きたらダメです」
「なんでだよ」
ていうか、こいつからここまでアクションされたの始めてじゃないか?
いやまぁ、寝起きドッキリみたいなもんだから仕方ないのか。
「なんでもです」
- 51 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:40:04.24 ID:PDPV4y.0
言うなり俺をぐいぐいと押し始める。
って、そっちは外……。
ばたん!
力強く閉められる扉。
いったいなんで締め出しなんて食らわされ……あ、着替えか。
そうして待つことしばらく。
――遅いな!
「おおい、着替えまだ終わらないのかよー」
ドアをノックするも反応なし。
うぅむ、女の身支度ってのはよくわからん。
「ったく、そろそろあけてく……」
「何やってんだ?」
げ!? い、妹ちゃん!
「自分の部屋にノック? 何かあったのか?」
し、しまった! 同棲してるとはさすがに言ってないんだよ、みんなには!
ああああ、こんなのがバレたら……よくわからんけど絶対まずい!!
「いいいいいやあ、ちょっと建て付けが悪くてさ」
「あら、おはよう。二人とも。……何かあったの?」
「い、いや〜」
「おはよぉ。みんなどうしたのぉ?」
く、くそ! 君達! どうでもいいときに集まるのやめてくれないかしら!
というか明らかに俺が困るタイミングでの団結力がナチュラルにたけぇな、くそ!
- 52 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:40:50.09 ID:PDPV4y.0
「何でもないぞ! ほら、それよりもうすぐ教官の点呼だぞ!」
「うん、そうだねぇ。……でも、なんで男くんは外に出てるの?」
「こ、これはだな! あの……そう! ドアの汚れが目立ってさ! これ一つでも大目玉だろ!」
「そうだね。身だしなみは軍人の基本だもんね」
「そういうことだ! こればかりはみんなの手を借りられないしな、だから気にしないでくれ!」
「うん、了解だよ。じゃあ私達も戻ってよっか」
「そうね。じゃ、また後で」
「しっかり掃除しとけよー。あ、後どうせなら自分の顔とかもな」
「く……一言余計な」
と、とにかくまぁ、一難去ったな。よし。
「ほら、イド。まだか?」
「まーだだよ」
「おいおい、さすがにそろそろ移動しないとマジで点呼に間に合わな……って、うわ!?」
「や、おはよう」
ぎゃああああああああ、友、お前何で残ってんだー!?
がちゃ、ばたん。
「お待たせしました」
いやああああああああ、イド、お前なんつータイミングでー!?
「……」
「……」
い、嫌な沈黙だな、おい。
友もこっちをチラチラ見るな!
で、イド、お前もなんかふるふる首をふってごまかしてくれてるけど余計怪しいから!!
おい! 何頷いてやがる、友! お前、お前えええ!!
イドおおおおおお! そこで頬を染めるなああああああああ!!
- 53 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:42:42.05 ID:PDPV4y.0
「大体わかったよ、うん」
「何がだよ!?」
「言っていいの?」
「……すみませんでした」
「ま、向こう一週間のオカズ半分で手を打とうかな」
「がめついな、おい」
「僕ほら、絶対秘密厳守主義だけど、時々あっさり口がすべるんだ」
「それは絶対秘密厳守主義とは言わない。……わぁったよ、向こう一週間だからな」
「いやあ、持つべきものは友達だね、うん。えへへ」
くそぉ……。この世界の数少ない楽しみがぁ……。
「はぁ。まあいいや。あいつならバレてもめったな事はしないだろうし」
それより、だ。
「じゃ、点呼終わったら迎えにくるから、この辺で適当に待っててくれ」
「はい」
そうしてしばらく。朝飯を取りに向かう俺をイドは何故か引っ張っていき……。
気が付けば地下のいつもの区画へ。
「なんだ? 朝から馬鹿妹に何か用か?」
「いいえ」
と、噂をすれば本人が出てくる。
「あら、おはようござます」
「おはよう」
「食事、運ばせておきましたよ」
「へ? どこに?」
「それが済み次第、実験の続きですのでそのつもりで」
「はい」
く、俺の質問はあっさりスルーかよ。イドもイドであっさり返事してるし。
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