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妹「二人きりだね、兄貴」避難所
157 :@人気トナメ [] :2008/06/07(土) 03:21:52.30 ID:O85sA77pO
追い付いた所で>>1

違う人の続きに期待


158 :@人気トナメ [] :2008/06/07(土) 04:13:37.57 ID:067UnmuWO
違う人、後はお前が引き継ぐのじゃ



159 :@人気トナメ [] :2008/06/07(土) 04:20:30.22 ID:UNg5q2UH0
違う人はいつ来るのじゃ?


160 :@人気トナメ [] :2008/06/07(土) 05:02:47.54 ID:YjFWntLC0
はてさて…
違う人が来るまでこちらも保守


180 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 09:57:24.25 ID:2POl2Nln0
おはよう。昨日のうちに何があったか知らないが、このスレの>>1と前スレの>>1乙。
そろそろ本気を出すか。





猫「いやー楽しかったですー」
「何? どうかしたの?」
猫「妹さんの反応が愛らしくてついいじり倒してしまったです」
「いつも主導権は僕が握ってるから、たまには優位に立ちたかった、ってこと?」
猫「マスターをいじめても私がいじめられてる気がするです…」
「君のご主人に向かってなんてことを?」
猫「申し訳ないです…」

「それはさておき、どう? 彼女?」
猫「不安定ですが根はまっすぐです」
「腐っても兄妹か。回収してよかった」
猫「お兄さんも?」
「当然。見ていて辛いぐらい激情型。感情が強すぎて過剰に力増幅しちゃうあたりとかとくに」
猫「もし妹さんが死んだらどうなります?」
「世界くらい滅ぼせるんじゃない? その後再生しちゃうかも。カミサマのように」


181 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:01:10.83 ID:2POl2Nln0
猫「それは、つまり…」
「そういうこと。さすが主人公補正」
猫「では、今後の活動方針は?」
「近々『なにかあったら』、姿をくらまして兄の巡回ルートを外れる。妹さん一人に接触できるようにするんだ」
猫「そして、もう一度…?」
「可哀想だけど、」

「彼女には一度『死んで』もらわなければ」


184 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:09:09.19 ID:2POl2Nln0


兄「ここ最近夢見が悪いな…特にあの餓鬼に変なこと吹き込まれてから…」
兄「もちろん妹には絶対に内緒だが」
妹「おはよー兄貴ー!」
猫「おはようございますー」
「ぐっもーにん。今日は絶好のキャンプ日和だね。朝飯は現地で食べよう」
兄「ダメだ。今俺の体内時計は午前八時を指している。朝飯は今食わなければならない」
妹「…えっと、私も、兄貴の朝飯、食べたいなーなんて…」
猫「フフフ、妹さん、もっと正直に『兄貴が食べたいなー』と言っちゃえばいいじゃないですか」
妹「うわっはぁ!? そ、そそそそんな馬鹿なこと言えるわけないじゃんよー!!」
猫「昨日どうやったら素直になれるか、教えたはずでしたけどね〜?」
妹「ーーーーーー!!!」
兄「漫才はいいから飯だ飯。トーストとサラダと目玉焼きな」
妹「華麗にスルーっすか!? くっそ、馬鹿兄貴め…」
(本当にスルーできてるのかなー?)

兄「…落ち着け、相手は妹だ、吹き込んだのはクソ餓鬼の使い魔だぞ、惑わされるな、いくらなんでもそればかりは…!」


185 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:13:13.40 ID:2POl2Nln0
「ぺろっと」
兄「皿に触れることなく食料を口の中へ!?」
妹「昨日も見たけどすごいねー…」
「魔法使いさんに常識的な食い方は似合わないからね」
猫「もう、もうちょっとお行儀よく食べましょうよマスター」
「時間がないんだよ、早くキャンプ行こうよキャンプー」
猫「それには同意権ですけど…」

兄(おい妹、アレ、確か猫、だよな?)
妹(そりゃそうでしょ、元々そうだったのが人間みたいになってるんだから)
兄(その割にはフォークとナイフを使ってかなり優雅に食べてるんだが)
妹(魔法使いさんに恥を欠かせないために身につけたんじゃない?)
兄(当の魔法使いがあの様じゃたいした意味はないと思うんだが)


186 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:18:31.69 ID:2POl2Nln0
猫「ご馳走様でした」
妹「お粗末様ですっ」
「シンプルな料理も行けるね。単純だからこそ素材の味や火加減なんかが出るんだけど」
兄「当然だ。妹には常に満足してもらいたいからな!」
猫(シスコン隠す気あるんですかねこの人?)
(可哀想にコンプレックスは病気だから)
猫(シスコン)
(シスコン)
兄「やかましいぞそこの外野!!」
妹「………」
兄「愚妹よ、あそこの二人の発言は脳を通さない極めて下等な発言、所謂戯言だ。聞かないでいい」
妹「いや、その…うん…」

猫「ニヤニヤ」
「ニヤニヤ」

兄(こっ、殺してぇ…)


187 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:22:48.06 ID:2POl2Nln0
兄「さぁついたぞ…って、キャンプ場じゃなくて普通の川原じゃないか」
「何が悲しくて人口の広場でキャンプしなきゃいけないのさ?」
兄「安全ではあるだろ常識的に考えて」
「それはもうキャンプじゃない。そう、キャンプとは冒険!!」
兄「はいはいようござんしたねぇ。それで、猫と妹は何故出てこない?」
「そりゃあ僕らと違って着替えには時間がかかるからでしょ?」
兄「…着替え? ま、まさかいきなり…っ!!!」

猫「マスターっ!!」きらきら
妹「兄貴、どーよ? 胸はないけど腰の細さは一級品だと自負しております、はい」

兄「………ぶふっ」どさっ

「あ、死んだ」
妹「兄貴ーーーーーーーーー!?」


188 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:28:50.38 ID:2POl2Nln0
兄「不覚った…想像を絶する破壊力だったな」
「なんだか岩を避けて頭が倒れた気がするんだけど気のせいかな?」
兄「俺の生存本能って奴さ」
(それで済まされたら本当にこけて死んだ人に申しわけ立たないよね?)
兄「しかし、なんだあれは…店で水着だけ見るのと実際に着てみるのとでは大違いだな」
「だから世の男共は水着がクるーとか言うわけだよ」
兄「…わからないでも、ないが、しかし…」

猫「妹さーん、こっちですよー!」ぱしゃぱしゃ
妹「猫さん水嫌いじゃないんだー?」ぱしゃぱしゃ
猫「私は水陸両用型なのですよっ、それっ!」ばしゃっ
妹「わぁっ、やったなー!」きらきら

「どうよ水着。あの二人が並ぶと」
兄「すごく、眩しいです…」


190 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:33:33.89 ID:2POl2Nln0
猫「マスターっ! 何時までそんなところにいるんですかー!?」
妹「兄貴も、目ぇ覚めたんなら一緒に遊ぼうぜー!」

兄「だとさ? どうする?」
「わかってるのー? 僕らが入るとドラゴンボールだよー?」

猫「それでも、私はマスターと遊びたいですー!」
妹「あ、あああああああ兄貴、」
兄「ん?」

妹「わ、わたしと、遊ぶの、いや?」ずきゅーん

兄「往かせてもらいます」
兄(なんてことだ、俺は水着フェチか!? そうなのか! 俺も変態だったのかー!?)


191 :@人気トナメ [sage] :2008/06/07(土) 10:37:23.19 ID:672TYFFP0
駄目だこの魔法使い…早く何とかしないと…

具体的にはその妹俺にクレ


192 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:37:31.94 ID:2POl2Nln0
「それっ」しゅっ
兄「くっ」ひゅっ

どっごおおおおおおん!

兄「なんの!」ビシュッ
「ふんっ」ぶん

びしゃあああああん!!

妹「…本当に、ドラゴンボールだね?」
猫「マスターったら、あにさんに本気出しちゃって〜」
妹「…本気の魔法使いさんとほぼ互角って…」
猫「あ、あにさんが今出した水流は直撃すればミンチでしたね」
妹(言葉もないって、このことか…)
妹(兄貴って、なんなんだろ?)


193 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:44:06.15 ID:2POl2Nln0
兄「異変以前からちょろちょろ俺の周りに居座って!! 少しは自重しろってんだ!!」
「なんだってぇ!?」
兄「俺の前に現れた時だってぇ! 俺が拒否を示したのに、お前が口車で乗せるからぁ!!」
「契約を選んだのは君だ!! 昔の事まで捏造する気!?」
兄「貴様が言い出した妹を幸せにって話! アレを反故にしているのは貴様だろう!?」
「君が素直にならないからだろ!?」
兄「くっ…フルコースと今朝の朝飯! 二回作ったぞ!!」
「僕は町一つ分の食料を丸々あげた!!」
兄「そりゃ、結果論だろうが、よっ!!」



妹「何はなしてるのあの二人?」
猫「似たもの同士、仲がよいということです」


194 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:49:18.74 ID:2POl2Nln0
兄「っはぁ、っはぁ、っはぁ…」
「…ふっはぁ…やるねぇ…ほんっと、やる、ねぇ…」

妹「…あんな兄貴、始めてみた…」
猫「あなたのお兄さんは、正直なうそつきなのです」
妹「え?」
猫「心は正直に叫んでいるのに、それが罪だと感じてしまったから、心を嘘で固めているのです」
猫「でも、まっすぐすぎるその心は、時々嘘の壁を破って出てきちゃうのです」
妹「………」

兄『俺に嘘は通じんぞ?』

兄『わかった』

兄『嫌いでは、ないんだぞ?』

兄『以前からまったく変わってないよ』

妹「…おにい、ちゃん…」


195 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:53:46.09 ID:2POl2Nln0
「気を取り直して昼ごはんにしよう」
兄「取り直すの早すぎるだろ…」
「何もって来た?」
猫「携帯カレーとお米と野菜と飲み物ですね」
「彩りが足りないな…魚を釣ろう」
兄(アレだけ暴れ倒したこの川に魚なんかいるわけないだろ)
「もっと上流には多分何かあるよ。そっちに行ってみよう」
兄「え、帰ってこれる範囲にしろよ?」
「それじゃ面白みがないでしょ?」
妹「だったら私も行く!!」
兄「………」
兄(使い魔は最初からついてくる気満々だし、一人にするわけにも、な)
兄「わかった。奥は暗いから、ランプとライターと携帯食料は持って行くぞ」
妹「うんっ!」


196 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 10:56:50.63 ID:2POl2Nln0
妹「ねぇ、魔法使いさん」
「どうしたの?」
妹「この山、前に遠足で上ったことあるけど…」
「うん」
妹「こんなに入り組んでたっけ?」
「獣道だからじゃない? 君らの歳で遠足って言ったらルート計算されてるから」
妹「そう、だよね…」
「なに? まだ何か?」
妹「いや、そういうわけじゃないんだけど」
「………」
「ねぇ、妹さん」
妹「ん?」

「僕が誰だか、忘れてないよね?」


197 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:00:52.65 ID:2POl2Nln0
兄「…お前のご主人、なんなんだ?」
猫「魔法使いさんです」
兄「そういう意味ではなくて…いや、そもそも魔法使いの定義ってお前らどうなってるんだ?」
猫「魔法を使うから魔法使いです」
兄「いや、あの…」
猫「魔法とは、術でも導き手でもない法(ことわり)」
猫「いろいろありますが、マスターの力を端的に現すなら『全肯定』です」
兄「ぜん、こうてい?」
猫「望みを叶える力。ただし言葉を譜面どおりに受け取るので融通の利かない愚直な力」
猫「それでも死んだ人を元通りにすることは出来ませんけれど」
兄「…それ以外はなんでもあり、か? まるで神のようだ」

猫「マスターに言わせれば、『ある一定の定義における』カミサマだそうですけれどね」


198 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:03:12.88 ID:2POl2Nln0
兄「本当にデタラメだな…ん?」
猫「どうしました?」
兄「いや、今頬に冷たい物が…雨かな?」

妹「兄貴っ! 兄貴兄貴兄貴っっ!!」
兄「どうした? そんなにはしゃいで?」
妹「魔法使いさんに願い叶えてもらっちゃった!」
兄「今度はなんだ? …あ」

妹「雪ー!!」


199 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:06:47.06 ID:2POl2Nln0
ひゅごおおおおおおおおおおお

兄「…っつーか、吹雪ーっっっ!!」
兄「なんだこれはー!?」
「ごめーん、間違えちゃった!」
兄「間違えたで済まされるかこの変態が!! 山道で吹雪とか死亡フラグじゃないか!!」
「そんなことないよー、上手くやればいろんなフラグが立つ絶好のイベントじゃないかー!」
兄「死亡がちらついているのに他に気をとられている場合かー!?」
妹「…ちゃー…さむー…」
兄「妹!? いいから、俺に捕まってろ!! くそっ、どこかに洞窟でもあれば凌げそうだが…!!」
妹「にー…いー…」
兄「何言ってるかわからんぞー!? …はっ、あそこにそれっぽい穴が」
兄「ご都合主義バンザアアアアアアアアアイ!!


200 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:11:27.06 ID:2POl2Nln0
兄「はぁ、はぁ…寒いが、雪に直接触れるよりはいくらかマシか」
妹「びゃああああああさむいいいいいいいい」
兄「あ、あーあ、水着に上着羽織っただけじゃそりゃ寒いわ」
兄「俺の服全部貸すから、着とけ」
妹「う、うん…って、全部!?」
兄「下着までは脱がんぞ」
妹「だ、だよね? うぅぅぅ…」

妹「あ、あったかーい…でも」
兄「大丈夫だ。これでも体は丈夫なんだ」
妹「ごめんね? 私のために…」
兄「気にするな。よくあることだ」

兄妹「………」


201 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:14:17.19 ID:2POl2Nln0
兄(カミサマ、ね。だとしたらなおさら読めん)
兄(一体何が目的なのか知らないが、ろくでもないのは事実)
兄(妹には近づけないほうがよかったかな…?)

ぎゅっ

兄「ん?」
妹「…服着ただけじゃ、足りないから」
兄「好きにしていいぞ」
妹「ぎゅって、して?」
兄「…それは、その」
妹「嫌なんだ…」すっ
兄「あ、」

兄妹「………」


202 :@人気トナメ [sage] :2008/06/07(土) 11:14:39.54 ID:YjFWntLC0
見てるぞ支援

なんか違う人の文章が、昔読んでたカービィの同人小説を髣髴とさせる


203 :@人気トナメ [] :2008/06/07(土) 11:15:53.20 ID:f2tbbCe5O
ご都合主義に吹いたwwwwww


204 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:19:03.56 ID:2POl2Nln0
兄(気まずすぎる…大体あの二人がいつの間にかいなくなっている…)
兄(邪魔なときは居座って騒いで欲しいときにいない…まさに迷惑)
兄(いや、カミサマらしい、というわけか。気まぐれなあたりとか、とくに)

兄「…昔のことでも話そうか」
妹「……?」
兄「雪が止むまで、何か話していよう」
兄「眠ったらまずいし、俺たちしかいないんだ。俺たちにしか出来ない話、しよう」
妹「わかった。じゃあ、順番ね?」
兄「いいだろう。まずはお前からな」



>>202
俺の本職は地の分付の読みにくい文章なので違う。
ちなみにその作者がBさんなら多分俺の知り合いだ。


207 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:24:34.94 ID:2POl2Nln0
妹「そうだね、私は三年前かな」
兄「中一のときか。あの頃あったことといえば…」
妹「授業参観」
兄「ああ、俺が大学の単位落としたときか」
妹「そのときの講師の人に兄貴、睨まれてて、何かきっかけがあったらすぐに単位を落とすつもりだったんだよね」
兄「俺は優秀すぎたからな」
妹「でも、それをわかってて、兄貴、おとーさんやおかーさんの代わりに来てくれたんだよね?」
兄「…二人も、生きていたらちゃんと来てくれた筈だ」
妹「私が二歳のときに事故で死んじゃったんだよ?」
妹「こんな、喧嘩に巻き込まれて、青あざ作ったりする子、好いてくれるわけ、ないじゃん」
兄「だからこそ、だ」
兄「体を張って誰かのために頑張れるお前だから、二人も多分、どこかで見て、誇りに思っている」
兄「そして周りの奴らに自慢するんだ。『アレは私たちの娘だ』、と」

妹「…そうだと、いいね」


208 :@人気トナメ [sage] :2008/06/07(土) 11:25:44.91 ID:YjFWntLC0
>>204
じゃあ別の人だな


209 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:29:29.02 ID:2POl2Nln0
兄「二人が死んだ頃、お前はまだ小さかった」
兄「よちよち歩きで、まるっこくて、言葉なんかぜんぜん喋れない時期だ」
妹「私、その辺よく覚えてない…」
兄「小さいからな。無理もない」
兄「親戚は資金援助はしてくれたが、子どもを引き取ろうとする人はいなかった」
兄「俺はもう充分利口だから何とかなるだろうと、難癖つけて放置した」
妹「………」
兄「でもよかった。妹がいたからな」
妹「うん…」
兄「学校行って、やめて、入りなおして、やめて。繰り返してたら金も尽きた」
兄「でも二人とも、俺たちに学校に行って欲しがってたから、頑張って金貯めて、主夫として働いて」
兄「妹と二人で生きてきたんだよな」
妹「…うん」


210 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:33:28.17 ID:2POl2Nln0
兄「それでさ、お前言葉のもの覚えだけ恐ろしく悪かった」
妹「それは、何度も聞いたよ?」
兄「五歳になるまで大体のものを単音で呼んでた。車は「くー」、テレビは「てー」、俺は「にぃ」…」
兄「…あ、そうだ。だからだ」
妹「え、何が?」
兄「お前が2を好きな理由。発音が俺の呼び方と似てたからだよ」
妹「あ…」

兄「おはじき並べてさ、指で指すんだ。『わかるか? いーち、にーぃ、さーん』って」
兄「そしたらどうよ? おはじき一個指で指して、おはじき三個指で指して、二個のときだけ『にーぃ』って笑うんだぜ?」
兄「言葉なしでも伝わってた。理解してたんだよ、お前は」

妹「…そう、なんだ」


211 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:37:19.31 ID:2POl2Nln0
兄「あの頃は恐ろしく可愛かった。それから成長するごとに可愛くなっていった」
兄「懐かしいな。あの頃は、何も加減なんて、いらなかったんだよな」
妹「………」

兄(それをあいつが、あいつが、『力』なんかで…)

妹「…にぃ、ちゃん」ぼそっ
兄「ん?」

ぎゅっ

兄「妹?」
妹「………」
兄「どうした? 寒いの、か?」

どさっ

兄(なんだ? 何故俺は地面に? そして、妹はどうして馬乗りに?)


212 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:39:46.00 ID:2POl2Nln0
妹「にい、ちゃん。にいちゃん。にいちゃん…!」
兄「おい、どうした? 顔が妙に赤いぞ?」
兄「…近い、近いぞ? 顔が、近くに、」

ソレハダメダ

キョゼツモデキナイ

フレタラキズツケル

兄「妹っ!!」ばっ

妹「なんで、逃げるの?」


213 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:41:17.95 ID:2POl2Nln0
兄「あ、いや、」
妹「私のこと、嫌い?」
兄「違う! そんなことは!」

妹「じゃあ、好き?」
兄「…あ、ああ。俺の気持ちはずっと前から変わって、」
妹「違う、の。違うんだ」フルフル
兄「じゃあ、なんだって」

妹「好き」


214 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:44:47.48 ID:2POl2Nln0
妹「8歳と9歳と10歳の時と、12歳と13歳の時も、それから今までも、私はずっと…待ってた!!」
兄「な、何を!?」

妹「お兄ちゃんが、私に好きって言ってくれる事だよ!!」

兄「………!!」

妹「私の家族はにいちゃん一人で、にいちゃん一人が私の家族だった!」
妹「にいちゃんは、私に優しくしてくれて、時々怒っても、それは優しいからだって、わかってた」
妹「いつからだろ、私は、にいちゃんのことしか考えられなくなって、それからっ、私の体を、」

兄「馬鹿野郎!!!」

妹「っっっ!!!」


215 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:49:37.84 ID:2POl2Nln0
兄「好いてくれるのは嬉しい。俺だってそうさ。家族だからな」
兄「でも、だからこそ俺はお前が元気に巣立って行くのを見ていたかった!」
兄「親父やお袋の代わりに結婚式に出て、なんか自分が書いた原稿読み上げて泣くもんだって、思ってた!!」

兄「それでよかったんだ…お前に触れることすら出来ない俺は、それだけで幸せになれたんだ!!」

がんっっっ!! ごすっ!!」

妹「い、岩で出来た壁が…!!」
兄「そうとも、これが理由さ。俺がお前を誰にも傷つけさせたくなくて『力』を望んで、そして得た」
兄「けれどこれはオフに出来ない!! 触れるだけで全て傷つけるんだよ、文字通り!!」

兄「俺が手を握りたくなかったと思うか!? 抱きしめたくなかったと思うか!?」
兄「行くなと手を繋ぎとめられたらどれだけよかった!? そのまま引き寄せてしまいたくなかったと!?」

兄「…やったら、壊すんだよ、お前を…!」


216 :@人気トナメ [sage] :2008/06/07(土) 11:52:41.25 ID:FdKXg4gZ0
兄…
(;A;)イイやつだなぁ


217 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 11:53:03.61 ID:2POl2Nln0
妹「あ、ああ…っ!!」

兄「俺は、お前には、笑って元気でいてもらえれば、それでいい」
兄「昔抱きしめた思い出があるから。昔手を繋いで歩いた思い出があるから、それでよかったんだ」

兄「…だから、お前の『好き』には、答えられない」

妹「…っっ〜〜〜!!!」だっ

兄「………」
兄「雪は、止んだか。大丈夫だろ、あの子は、大丈夫だ…」



ここで休憩。
一息入れたらまた適当に再開する。



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