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意地悪なメイド4.5
- 654 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]
投稿日:2011/07/08(金) 01:13:10.17 ID:eRDb1AZAO
メ「ついでに長門にも謝っときましょうか」
男「誰だよ」
メ「今やこの名字は有機なんたらいんたーふぇいすな無口系図書館少女の代名詞ですが私にとってはエアマスターの長門以外はありませんね」
男「だから誰だよ」
メ「さ、早く謝っテ!」
男「何でだよ!? つぅか俺が悪いのか?!」
メ「主様。時には負い目がなくとも謝罪によって場を収める必要があるのです」
男「珍しく小難しい言い回しを……」
メ「だから主様も早くホモに目覚めた宣言しましょう」
男「趣旨変わってないか!?」
メ「ちなみに主様はマライヒみたく美少年じゃないのが残念ですね」
男「どうせ不細工だよ、ちくしょう」
メ「安心してください。世の中、顔よりお金ですから。私が靡いたのもそれですし」
男「最上級の嫌がらせ発言だよ!!?」
メ「な、何も泣かなくても」
- 655 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/07/10(日) 04:22:40.37 ID:wAMsRUWEo
そこは泣くのかwwwwwwwwwwwwwwww
- 656 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/07/11(月) 01:16:56.07 ID:afg9fF8AO
男「お前なんか金目当てでしたと言われた日には泣きたくもなるよ!」
メ「仕方ないじゃないですか。事じ……げふん。いや、あの、だからね?」
男「……」
メ(ぐ、おなごか! 生娘かってくらい純情な涙目でしかも上目遣いとか!!)
メ「い、いつもの意地悪なだけですよ。マジになっちゃってもー。HAHAHA」
男「じゃあちゃんと好きとかの一言くらい言ってくれたりするか?」
メ「何を面倒くさい女子みたいな発言を?!」
男「面倒くさいんだ……俺ってそんな面倒な相手だったんだ……」
メ「だーっ、もう! 拗ねたって可愛くないから! 今更キャラ作りとか何考えてんすか!」
男「……」
メ「ぐ、またその顔を……わ、わかりましたよ! 言えばいいんでしょ、言えば!」
男「うん」
メ「こ、こいつ……。あー、えーと……」
男「……」
メ「だから、その」
男「……」
メ「……ぐ」
男「……ぷ、く」
メ「え?」
男「ははは! お前だって顔真っ赤じゃねぇかよ! 人の事笑える立場かっての!」
メ「なっ、ななな」
男「ったく、お互い耐性ないんだからこういうネタは禁止だからな。禁止!」
メ「ハメやがったなー!?」
男「先に仕掛けたのはお前だからな。俺のは正当防衛だ」
メ「んな訳あるかぁ! 人の純情ハートを弄びやがってぇ!」
男「確かに純情だったな。くくく」
メ「ぐ、ぐぬぬ。あとで絶対泣かす!」
男「やれるもんならやってみやがれ」
メ「むきー!!」
妹嬢「結局イチャイチャじゃないですか。馬鹿らしい」
女「うらやましいの?」
妹嬢「当たり前でしょうが!!」
女「あ、あはは。正直だなぁ」
- 657 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/07/11(月) 01:22:55.04 ID:afg9fF8AO
という訳で更新止まって申し訳ない。
週末のが時間出来ない不思議。……何故だ。
多分理由を深く考えると思い当たる節ばかりなのでこれくらいにして。
どうも中の人です。
夏はホラー映画ですね。怖いの苦手ですが。
でも見たくなる不思議! 怖いもの見たさとかそういうのでしょうか。
さておき、明日からまたいじメイ更新してきます。
来週は出張とか挟むのでなるべく頭のうちに進めてきます。
じわじわコメントやら付けてもらえてるので頑張りたいところ。
てな訳で今夜は後に短いのをさらっといかせてもらって続きは明日にでも!
関係ないけどホラー映画見た日は何故かお腹壊す法則は中の人だけでしょうか。……でしょうね。
- 658 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/07/11(月) 01:41:20.63 ID:afg9fF8AO
め「あや様。たまには映画と洒落込みましょう」
あや「オーケー。付き合いますからこの手錠やら縄やら外していただけませんか?」
め「……?」
あや「小首を傾げるな! 頭おかしい奴を見てるみたいな顔をやめろ! もはや犯罪だよこれ?!」
め「ご安心を。バレてからが犯罪です」
あや「この場における法の無力さよ! ていうか何故こんな事に」
め「だってあや様が恥ずかしがって逃げてしまわれる気がしまして」
あや「謂われのない前科を疑われてもですね。はぁ、もう分かりましたよ。いいですよ、このままで」
め「さすがドM様。期待を裏切らない」
あや「抵抗した結果だと自己弁論くらいはしときますよ。で、映画でしたっけ?」
め「はい。TUTAYOの夏のホラー映画特集に埋もれるように陳列されていた逸品でして。借用の際、店員の方に本当にこちらを? と聞かれました作品でして」
あや「曰わくありそうなのは嫌ですからね。見たら呪われるとか」
め「それはそれで興味は尽きませんがご安心を。オカルト担当は別のグループですので」
あや「微妙にメタな……」
め「では注目のラインナップですが、タイトルは『テキサスチェーンソー』と『テキサスチェーンソービギニング』です」
あや「パッケージから溢れ出るスプラッタ臭が尋常じゃないんですが!?」
め「こちらをあや様に鑑賞していただきたく」
あや「え? めいどさんは?」
め「めいどは隣の部屋で別作業を。あや様には内容を説明頂けるよう期待しておりますので」
あや「何それ?!」
め「ほら。めいど怖がりですので」
あや「じゃあ何でこんな企画を!?」
め「あや様がげんなりする姿を見たくて」
あや「……既にげんなりしてるんすけど」
め「ちなみにめいど、あらすじと見所は確認済みですので目を瞑ってやり過ごしていたと判断した場合もう一周ですので」
あや「そこまでしたんなら見なよ?!」
め「ではごゆるりとお楽しみください」
あや「聞いちゃいねぇ……」
バタン
あや「はぁ……あんまり血とかグロいのはなぁ……うぅ。しばらくお肉食べられないかも」
ちなみに中の人は明後日までお肉食べたくなくなりました。
- 659 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [sage;saga] 投稿日:2011/07/12(火) 00:31:40.39 ID:pK+Qnllm0
第31話(前) 『初陣/その前』
結局、あれから俺はいいんちょ達に話しかけられないままにハンガーで待機をしていた。
実戦塗装に変えられた俺達の訓練機は、目立つマーキングを潰しただけだというのに兵器としての風格を醸している。
本来BETA相手であれば無用な事だが、対人間を想定しているのならば当然の措置だろう。
そう、俺達が引き金を引くかもしれない相手は人間なんだ。
物々しい雰囲気を気圧されてか、はたまたいいんちょ達を気遣ってか。
俺達の間に漂う空気は重たい。それだけこの状況が異常なのだろう。
前の世界では、こんなことは起こらなかったのに……。
誰にも呟けぬ愚痴。知るからこその未知。ここにいる誰よりも俺が混乱と焦燥を感じている。
今は寄り道している場合じゃないってのに。一体どうして。
国内ひとつでこの有様だ。それなのに人類が一丸になるなんて夢のまた夢じゃないのか。
BETAとの戦いは、片手間なんかでどうにかなる話じゃないってのに。
誰もがわかりながら、誰もが実践できずにいる。ただただ、歯がゆい。
「おおい! 兵装の指示は!」
「Cだ! 次のコンテナがそうだ! 前期実弾装填! 兵装はC!!」
「了解!」
戦場の中のようなあわただしさ。いや、彼らにとってはここが戦場。
兵士が無事に帰れるように万全を尽くす。その戦いの場。
だからこそ、いやでも実感する。これが訓練なんかとはかけ離れた事態だと。
「実、弾……」
隣で呟く女さんの声色は、顔を見るまでもなく不安になっていると分かる。
実弾が、実戦が怖いんじゃない。その先が、銃口を向ける相手が同じ人間なのが怖いんだ。
俺だってそうだ。前の世界の記憶があるにはある。
兵役を務めたという自負もある。けれど、それはあくまで哨戒任務をいくつか担当したまでだ。
幸か不幸か、俺の担当した区域ではテロ組織の活動もなければBETAだって現れなかった。
本当に、俺の初めての実戦が人間相手になってしまうかもしれないんだ。
「男。外、すごいことになってるわよ」
皆をこれ以上不安にさせまいと表情を硬くする俺に、いいんちょから声がかかる。
案外平静を感じさせる声はさすがと言えばいいのか、それとも我慢するなと声に出すべきなのか。
「外? どうかしたのか?」
結局、俺はいいんちょの強さに甘えることになる。
「帝国軍が基地周辺に展開しているわ。最悪の空気ね」
「なっ!?」
いいんちょの言ってる意味が分からず、思わず絶句する。
俺達、国連軍は今から帝国軍のクーデターに対して動こうとしている。
そんな現状の“仮想敵”とも言える相手が堂々とこちらの基地周辺に展開するなんざ、正気の沙汰じゃない。
「何だってそんなこと!!」
我慢できず俺は外へ向かって走る。
途中、友の制止の声があがっていたが無視する形になりながらも俺は走る。
そして、いいんちょの言葉通りの光景がそこにあった。
「なんで、こんな……!!」
言いようのない気持ちが言葉になって出そうになる。
けれどそれを留める程度には理性は働いてくれたようだ。
何より、
「待機中だという言葉、聞こえなかったみたいね。話の種にと迂闊に話した私も悪かったけれど」
「いいんちょ、お前まで」
「貴方を連れ戻しにきたのよ」
ああ、そういうことか。
けど、まだ戻りたくない。この光景に納得がいかないからだ。戦術機だけでなく機甲部隊まで……。
この分じゃ後方にはMLRS(多連装ロケットシステム)部隊が展開していても不思議じゃない。
クーデター部隊とは違って当然だが、こんな威圧的なやり方。一歩間違えたらどうなるか分かってるのかよ。
- 660 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [sage;saga] 投稿日:2011/07/12(火) 00:32:45.97 ID:pK+Qnllm0
「国連軍の基地内とは言え、他国の軍隊が無断で上陸してきたのよ。主権国家としては当然の措置でしょう」
そうか。国連の部隊じゃなく、米国の軍隊だからの行動ってわけか。
「くそ、結局お国同士のにらみ合いかよ……」
怒りを通り越し、もはや遣る瀬無さを感じるまでに至り、ただただため息と共に言葉が出る。
米国に手出しされたくないなら、とっとと自分達で片付けろよ。
これ以上、俺の、俺達の脚を引っ張るな!!
「こんなところに割く戦力があるのかよ、今必要なのはこんな事じゃないってのに!」
「別問題よ、それは。既に米軍が当基地に進駐している以上、当然の反応じゃない」
「だから、だからBETAに負けるんだよ。あいつらの好きなようにやられるんだよ! こんなんであいつらに……」
「目的が同じであっても、重んじるものが違えば、道が交わらないこともあるわ」
「BETAに勝つより、大切なことなのか、それは!」
「……それは」
いいんちょにあたっても仕方ない。
けど、この場での正論を言うこいつが、まるで俺達の敵のように思えて思わずきつい言葉になってしまう。
そんな俺達のやり取りをさえぎったのは、凛とした声。
「貴様の言う通りだ。だが、それだけではないのも事実だ」
「じ、侍従長さ……中尉」
「侍従長……貴女が何故ここに。彼女……いえ、殿下の危機を知りながら、何故ここに」
「我等が殿下より賜りしは御身の警護。故にこちらへ馳せ参じることこそ、その役目でございます」
「……痴れ言を。今帝都が、……っ」
言いかけた言葉を必死で飲み下す委員長。
その視線の先には決して怯まず、受け止めるだけの侍従長さん。
そしてその後ろには御付の役目か、三人の侍従さん達が並ぶ。
彼女等の視線が、十二分にそれを承知しながらもこの場を離れられぬこと。
そして委員長の身が同等に大事であると、未を引き裂かれる想いでいることを伝えてくる。
だから、これ以上何も言えない。委員長は、聡いから。
「悪かったわ。貴女達が殿下の命に背くことなど決してないと、わかっていたはずなのにね」
「そのようなことは……」
「取り乱したわ。ごめんなさい。それよりも教えて、殿下はご無事?」
「はい。現在近衛軍第二連隊と決起部隊が堀を挟んでにらみ合っておりますが、未だ戦闘は起こっておりません」
良かった。なら、戦闘が開始されたってのは誤報だったのか。
だったらちょうどいい、俺からも聞かせてもらおう。
「侍従長中尉殿。不躾ながら私めからも質問を。この帝国軍部隊は一体」
「恐らく甲信越絶対防衛線から派遣されている部隊だ。帝都奪還作戦の主力は北関東絶対防衛線、第二次防衛線から抽出されたと聞き及ぶ」
ぐ。思わず馬鹿かと罵りたくなる。第二次防衛線まで手薄にしてやがるなんて、どういう了見だ。
今もしBETAが活動しだしたら、一瞬で防衛線が瓦解しちまうぞ!
けれど言葉にしたところで、この人に通じるとは思わない。
それなりに大局を見据えられるだろうが、結局は帝国軍人であり、現場の人間だ。
だから米国のことが気に食わないだろうし、国連の力を借りろだなんて一切受け入れないだろう。
俺からしてみれば、例えどんな思惑があったところでこんな危険な綱渡りをするくらいなら受け入れたほうがマシだ。
これじゃあお互いに足を引っ張り合うだけだってのに……くそ。
そこからはある程度の情報を侍従長さんからもらうことになる。
きっと委員長だけならもっと色々情報が得られたかもしれないが、仕方ない。
今はとにかく、殿下の無事と、一触即発であること。
そして時間が経てば国連軍の介入が始まり、帝都が戦場になるかもしれないこと。
彼女らのような独立部隊は将軍家所縁の人間の護衛についていることなどを教えてくれた。
本来なら訓練生である俺達に明かすべきではないのかもしれない事を考えればこれでも十分なのだ。だから、これ以上は望まない。
死人であり、国連軍……引いては米軍寄りの立場の俺が委員長のそばにいるだけでも彼女からすれば我慢ならないだろうに。
これで済んでいるだと考えれば不思議なくらいだ。
けど、今はそのことを考えたって仕方ないのかもしれない。
こうして事が起こっている以上、後は早く全てが解決するのを待つだけだ。
その後、二、三の会話を交わし俺達はハンガーへと戻る。
そう、俺達みたいな訓練生はただ事の成り行きを見守るしかないのだから。
- 662 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [sage;saga] 投稿日:2011/07/13(水) 00:54:19.94 ID:WBNDDQoU0
待機室。そんな名ばかりの俺達の訓練教室。
非常時であり、基地施設の多くは国連軍の人間が居る以上、訓練兵である俺達にはここしかないのだ。
だからこそ、日常の中に非日常が入り込んだような違和感がぬぐえない。
そんな気持ちは俺一人じゃないのか、皆一様に口を閉ざしたままだ。
いいんちょはただ黙って何かを見据えているようだし、女さんは落ち着き泣く歩き回っている。
妹ちゃんはいいんちょほど達観できていないのか、それとも別の要因か。
教室から出て廊下で窓の外を眺めている。けれどその視線は何も捉えちゃいないんだろう。
そして……。
「……」
ベランダ側に出て、一人夜風を浴びているのは友だ。
今回のクーデター。無関係とは思えないあいつは、一体何を思うんだろうか。
ふと、廊下から戻ってくる妹ちゃんが目に入る。
「皆、ハンガーに移動だって。火器管制系の微調整を各自でやれってさ」
「何で今更。そういうのはOSがある程度補正かけて修正を勝手にやってくれるんだろ?」
「そのOSをバージョンアップさせたのはどこの誰よ。個人単位で設定が生かされるせいで従来の補正関係じゃ追いつかないってさ」
そういうことか。まさか新規OSによってそんなしわ寄せが来るなんて予想外だったな。
けど、やることができればみんなの気も少しは晴れるだろう。
「了解。行くか」
「だったら貴方は彼も連れてきてくれるかしら」
いいんちょが声だけで指すのは友。
「オーライ。んじゃ、先いっててくれ」
「早く来なさいよ。男同士でだべって遅れでもしたら」
「いいから行けっての。おっかねぇな」
普段通りのやり取りが出来たことは少し嬉しい。
けど、妹ちゃんがどこか無理をしてるんじゃないかと不安にもなる。
やっぱりどこかで時間を取って、この子達姉妹とは話をしたいな。
「それじゃ、あ、あとでね」
三人を送り出し、俺は友のもとへ向かう。
寂しそうな背中はまだ、こちらを見ていない。
- 663 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [sage;saga] 投稿日:2011/07/13(水) 00:55:02.50 ID:WBNDDQoU0
「よ、元気ねぇな」
「そうかな」
「そうだろ」
当たり前のように始まるやり取り。
けれど、今のこいつは誰が見ても分かるくらい上の空だ。
「ハンガー、移動だってよ。火器管制系の微調整だ」
「ふーん……」
「だから移動だって」
「うん」
「いや、うんじゃなくてだな。……ああもう」
こいつ、人に嘘が下手とか言っておきながらこれか。
態度だけは構うなって感じのくせして、声音は正反対。
「……手紙のことか」
「いきなりだね。やっぱり見てたんだ」
自嘲気味に笑いながらこちらに初めて視線を向ける友。
逃げず受け止め、俺は踏み込む。こいつを信じたいから。
「ああ、見たよ。けど、お前には関係ないんだろ? 俺はお前を信じたい。信じていいんだよな」
「うん、って言えば信じるの?」
「ああ」
「……。即答、なんだ。はは、男らしいね」
「質問に答えてないぞ」
「……わかんないや」
そういって取り出すのはあの時の封筒。
そしてこちらを試すように差し出してくる。
「内容、わかる?」
「大体はな。単語単位で誰が誰を指すかはほとんどわからなかったけど、大筋で」
内容は、当然クーデターの件。準備は整い、もはや止まらない。
そしてこの手紙の差出人の尊敬する人物の無念を、思想を継ぐと言っている。
「予想はついてるんでしょ、差出人の」
「『友女』大尉か」
「……うん」
それは、勘とか推測とかじゃなくて、確信に近い何か。
俺のバラバラになった記憶の中から、どこかで寄り添う二人が見えたから。
「彼女は僕の爺様をすごく尊敬しててね」
こいつの爺様、というのは元陸軍中将という肩書きを持つ偉い人だ。
けれど、上層部の意向を無視した為、部隊は大損害を被り、その責を負わされたのだ。
「だから、うん。……その場にいた民間人の非難を優先させ、即時撤退を受け入れなかったような人を、彼女は真実だと思ってる」
国は人のために、人は国のために。
そんな考え方をこいつから聞いたことがある。
ならばこそ、今回のクーデターの声明とも合致する部分が出てくる。
- 664 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [sage;saga] 投稿日:2011/07/13(水) 00:57:01.01 ID:WBNDDQoU0
「優しい人だったから。その時、爺様を救えなかったと今でも自分を責めてるんだ」
「だから今回の件でもお前を誘って、内側に引き込もうと?」
「どうなんだろ。……僕、一度も彼女からの手紙に目を通してないからさ」
「そう、なのか」
「怖かったんだ。彼女の考えに触れるのが」
それはきっと、どこかでその考えに賛同している自分が居たからなのだろうか。
そうして流されてしまうと気づいていたからか。
「……爺様にお世話になったって偉い人達が時々会いに来てさ。今回の手紙もそう。これが最後だって、渡された」
じっと封筒を外から見つめるその目には後悔のせいか暗い色が見える。
「巻き込みたくなかったのか、引き込みたかったのかすら分からないまま、こんな事になってさ。……頭、パンクしそうだよ」
「それで、お前はその人が……友女大尉のことはどう考えてるんだ」
「……。一言じゃ、言えない。けど、爺様は僕と彼女を結婚させるつもりだったらしい」
その言葉を発する時。
複雑な感情の中に、しかしはっきりとここには居ない彼女を想う一面が見られた。
- 665 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [sage;saga] 投稿日:2011/07/13(水) 00:57:45.23 ID:WBNDDQoU0
「でも、やりすぎだよね。……僕がもっと早くに手紙を読んでいれば、死なずにすんだ人もいたかもしれない」
いいんちょ達の親族のことか。
「けど、それは結果論でしかない。お前が早く読んで、それを知らせたところで絶対に阻止できたわけじゃない」
「でも阻止できなかった訳でもないよね」
「それはあるかもしれない。けど、お前がここから居なくなって、俺達と対峙してた可能性も生まれてたんだ」
「……」
「だったら、俺は今でいい。お前と肩を並べられる、今でいい」
それは心からの言葉だ。こいつのことは信頼してる。
どんな事情があるにせよ、それだけは変わらない。
「男の君に言われてもね、なんて」
「いいじゃねぇか。野郎同士の友情だって捨てたもんじゃないだろ」
「うん。……ねぇ、男。もし僕が戦場に出て、今みたいに迷ったら……」
背中を撃て、と目が訴える。だったら応えてやろう。
「引っぱたいて目を覚まさせてやればいいんだろ? 任せておけよ」
「……。ん、頼んだよ」
そんな覚悟なんて負わせない、と。
「なぁ、友。もう一度だけ聞かせてくれ。俺はお前を信頼してる。お前は、どうだ」
「……信頼するよ。彼女のことを想う部分もあるのは事実だ。けれど、今は僕の居場所はここだから」
それは今まで培ってきた、俺達の関係。
こいつの中で、何年も想ってきた人と、同じだけの価値があると考えてくれる。
それだけで、十分だ。
「了解。なら、一つだけ約束してくれ。この話はここだけのことにしよう。共犯だからな」
「うん。今更みんなを混乱させたくないからね」
まだ全ての不安が拭えたわけじゃない。
けど、こいつの口から真実が聞けたこと。
その上で、俺達の側に居てくれるといったこと。
今はそれで十分だ。
世界を救おう、こいつと、みんなと一緒に。
「友! 男!!」
そんな俺の決意に水を差すような怒鳴り声。
まっずい、妹ちゃんの忠告をすっかり忘れてた!?
「あ、えっと、妹ちゃん、これには深い深いわけが……」
「言い訳は後で聞いてやるから、急げ! ブリーフィングルームだ!!」
それは事態が動き出したことを告げる言葉だった。
―― to be continued...
- 666 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/07/14(木) 20:28:12.57 ID:FGetYolAo
ブリーフルームに集合だ
- 668 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/07/15(金) 01:26:07.57 ID:kstmVyOAO
男「ブリーフ部屋って何のネタなんだ」
メ「私は知りませんが少なくとも主様にはお似合いな部屋ですね」
男「違うぞ。俺は……」
女「男くんはショーツだよ!!」
メ「……ああ」
男「違うぞ?! 何納得してんだ! んな訳ないからな!?」
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