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意地悪なメイド2
146 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:37:55.86 ID:4Y7XheM0
はじめに抱いた印象は、きっと同属意識だったと思う。
いや、もしかすればそれ自体が上から見た物言いなのだから、俺はきっと……


男「姉、さん?」
姉「そうだよ。私が、君のお姉さん」
男「……」
姉「あ、ちょっと、無言で行かないでよ〜」
男「ついてくんな」
姉「そんなこと言わないで。ね? 一緒にあそぼ?」
男「何して遊ぶんだよ」
姉「えーっとね、うーん……本読んだり、絵描いたり?」
男「いやだ。どうせ、妹の馬鹿と比べられるだけだもん」
姉「そんなことしないよ。だからお姉ちゃんと……」
男「いいからほっとけよ!」
姉「あぅ……」
男「な、何だよ」
姉「ぐす……うぅ、ふぇぇぇ……」
男「!? な、ちょ、おい! 泣くことないだろ! 落ち着けよ!」
姉「だって、おとちゃんが私のこと嫌いみたいなんだもん」
男「う、いや、そういう訳じゃなくて……」
姉「ほんと? じゃあ遊んでくれる?」
男「う、わ、わかったよ。遊ぶよ、遊ぶから泣くなって」
姉「……うん!」
男「はぁ」


どう聞いても手のかかる妹みたいな最愛の姉との出会いはこんな感じだった。
今にして思えば、このころから俺は姉さんには絶対勝てなかったように思える。


147 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:38:22.14 ID:4Y7XheM0
結局は、出来の“良すぎた”妹を持った俺が背伸びしなくて済む相手。
それが姉さんだった。とはいえ、妹自体が何かをしてくる訳じゃない。
あれはあれなりに慕ってくれてるのは分かる。が、結局あいつの周りにいると俺はいつも比較の対象だった。
凡夫であることを恨むのが俺の幼少期のネガティブな癖だった。だがまぁ、そうもなろうってくらいうんざりする毎日。
その中で同じような平凡の象徴である姉さんと過ごす時間は、俺なりの心のよりどころだった。
勿論、そんなことは本人の前じゃ、おくびにも出さなかったけど。


男「今日はこれ見よっか、姉さん」
姉「これは何?」
男「うんとね、今回は仮面ライダーXって作品で……」
姉「あ、ライダーさんなんだね」
男「別にさん付けはしなくていいの! 姉さんはわかってないなぁ」
姉「あはは、ごめんね。お姉ちゃん馬鹿だから」
男「そ、そんなことないよ!」
姉「でも全然覚えられないし……」
男「ううん、俺がちょっと色々見せすぎなんだって。気にしないでよ」
姉「そうかな? ふふ、ありがと。おとちゃんは優しいね」
男「そんなこと、ないよ」
姉「えへへ。おとちゃん、大好き」

むぎゅ

男「……〜〜っ!! と、とにかく見よ!」
姉「うんっ」


姉さんは俺を始めて“俺”としてみてくれた人だった。
勿論、他の家族からもそれぞれ個人として扱われてなかったわけじゃない。
ただ、好意という感情を向けられていると子供ながらに理解できたのが、きっと全てなんだろうと思う。
俺にとって、この頃から……姉さんは特別だった。


148 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:39:16.73 ID:4Y7XheM0
好きな話は誰しもが持ってると思う。
それが私にとってはそれであって、目的も、手段も、素晴らしいと思えた。
ただ残念に思ったのが結果と、そうなるであろう仕向けられた全て。
だから自分がそれを担う日がくるなら、絶対にうまくやってみせる。
その自信がある。だって簡単なことだから。とても、とても。


姉「おとちゃん! 絵本読んであげるね!」
男「またヘンゼルとグレーテル?」
姉「わ、すごい! よくわかったね」
男「だって姉さん、そればっかり読むんだもん。もう覚えちゃったよ」
姉「そっか、おとちゃんは偉いね〜。すごいすごい」


姉さんの手が俺の髪を梳いてくれる。
この至福の時があるならば、読み飽きた本など些細なこと。


男「あ、あぅ。わかったから早く読んじゃってよ!」
姉「はいはい。それじゃ、いくよ〜。むかしむかし、あるところに……」

そして俺は今日もその話を聞くことになる。


149 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:39:37.08 ID:4Y7XheM0

妹嬢「兄さん!」
男「ん? ああ、お前か」
妹嬢「はい、私です。あの、兄さん。つかぬことを伺いますが、最近姉さんのところへよくいかれてますか?」
男「うん。で、それが何?」
妹嬢「あ、いえ、その……単刀直入に聞きます。兄さんは姉さんのこと、どう思われていますか?」
男「どう、って。そりゃ、いい人だと思う。変なとこもあるけど、面白いし、優しい」
妹嬢「それは、好き、ということ、ですか?」
男「ん……まぁ、そう、だな。好きだと思う」
妹嬢「……。でも兄さん、あの人は……」
メイド長「お嬢様。こちらにおられましたか。おや、そこにいるは坊ちゃんでしたか。ああ、なるほどまた……」
男「っ。……」
妹嬢「あ、兄さん!?」
男「お稽古、頑張れよ。俺みたいに金だけ取られて全く成長しない奴に言われたくないだろうけどな」
妹嬢「待ってください! 兄さん、お話を!」
メイド長「お嬢様、時間がありません。いきましょう」
妹嬢「離しなさい! 私は兄さんに言わねばならないことが……!」
メイド長「いいではありませんか。厄介な者同士、まとまっていてくれたほうが……」
妹嬢「な?! あ、あなた何てことを!」
メイド長「ご無礼かもしれません。が、しかし……継承権に本来一番縁遠いお嬢様が全てを継ぐためには」
妹嬢「私はそんなもの……!」
メイド長「それでも、です。あの二人を想うならば自身がなられなければいけないこと、お分かりでしょう?」
妹嬢「……く! わかって、います」
メイド長「結構です。それと、私をいくらでも恨んでいただいてかまいませんので。ではいきましょう」
妹嬢「……。ばかね、あなたを恨めるはずがないじゃないの。あなたは私のためを想ってるだけなのに」


150 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:40:02.88 ID:4Y7XheM0
金があるってのはどうにもいいことばかりじゃない。
勿論これは持てるものの悩みであって、持たざるものの悩みとは違ったものだ。
だから誰かに理解してもらおうとか、そういうつもりじゃない。
でも結局、世の中、全てがプラスのことばかりじゃないということ。
そう気付かされるのはもう少しあとの話。今はただ、自分にとっての温もりを確かめるだけの日々。
温く、甘く、まるで腐った果実が発する蜜の香り。やがて地面に堕ちるその日は、そう遠くなかった。


男「ねえさん、ねえさん」
姉「なぁに〜?」
男「あのさ、ねえさんって好きな人、いるの?」
姉「いるよー?」
男「え……」
姉「ん?」
男「あ、そ、そう……なんだ」
姉「うん!」
男「どんな、人なの?」
姉「えっとね、優しいけど全然優しくなくて、意地悪でいじっぱり。変な子!」
男「すごい言われようだね。でもなんでそんな人が好きなの?」
姉「だって私の大事な人だもん! ね、おとちゃん?」
男「え?」
姉「私の大好きなのはおとちゃんだよ! あ、勿論みんなのことも好きだけどぉ、一番はおとちゃん!」
男「……そう、なんだ」
姉「うん!」
男「そっかぁ。……」

ぎゅっ

姉「ふにゅ? どしたの、珍しいね、おとちゃんから甘えてくれるなんて」
男「……。いや、その。ね」
姉「でもいいや、嬉しいもんね」
男「うん」


時を止められるなら、俺はその瞬間を切り取っておきたい。
そのまま大切に大切にしまって、ただ美しく飾っておきたい。
そう思うだけならば、許されないだろうか?
そう思うことすらも、罪とされてしまうのか?
だというならば、俺は今でも咎人だ。
背負うのはその罪と、重たい十字架と、大きな傷。
その傷口を覗き込めば……思い出せる、あの日のこと。


151 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:40:26.90 ID:4Y7XheM0
姉「ね、おとちゃん」
男「ん? 何、姉さん?」
姉「おとちゃんは、私のこと、どう思ってるの?」
男「どうって、えと」
姉「前に私は好きって言ったよね」
男「うん」
姉「でも、それは私の答えだよ。おとちゃんの答えは聞いてないもん」
男「……」
姉「聞かせて、お願い」
男「俺、は」
姉「うん」
男「俺は……好きだ。姉さんのこと」
姉「それは、家族として? それとも……」
男「ううん。違う。俺は姉さんのこと、一人の女の子として、好きだ」
姉「私も。おとちゃんのこと、弟としてじゃなく、好きだよ」
男「……姉さん」


この時、俺は義務教育課程をあと二年程度で終えるような年。
よくもまぁ、こんな言葉が言えたと思う。それ以上に、実の姉弟で……
本当に、どうかしてる。何より、それを今でも間違っていなかったと思ってしまうことが。


後は自然なものだ。
男と女が、好きあって、近くにいて、それでも足りなくて。
相手をほしいと思った。ただそれだけ。そう、自然なことだった。


152 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:41:36.65 ID:4Y7XheM0
※ここから先、若干性的な描写なども入ります。
 苦手な人は少し先まで飛ばしてください。

男「ねえ、さん……俺!」
姉「おいで」
男「……っ! 姉さん!!」
姉「あっ……」

触れることは、初めてじゃない。けど、触れようと自ら思ってのことはそれが初めて。
薄い布着れ一枚ですら邪魔で、その一枚をどかす時間すらもどかしくて。
やっとの思いで剥いだ先にあったものに、しらず息を呑む。

姉「……変じゃない、かな?」
男「綺麗、だ」

ただ心からそう思った。豊満な双丘は、恥ずかしそうな吐息に合わせて揺れ、ほのかに桜色に色づく。
それが彼女の羞恥であり、しかし手で隠すことのない、その気持ちにすぐに思考が沸騰しそうになる。

姉「好きにして、いいんだよ?」

言われるまでもない。触れて、押して、形を変えるようにこね、口に含む。
味はなくても、蕩けるような、甘美な舌触り。むしゃぶりつく。
世のすべての美食を並べても尚、足りぬような目の前のご馳走に。

姉「ん……く、ふぅ……。おとちゃん、赤ちゃん、みたい」

残念だけど、赤ん坊のように無邪気じゃない。
俺の中を占めるのは、ひたすらに邪で、愛おしい、その気持ち。

姉「ふぁ……ぁぁ」

肉欲じゃない。愛欲なのだと。

姉「な、んだか……ぴりぴり、するよぉ」

身体が、心が理解する。
俺はこの人が、ほしい。


153 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:42:13.14 ID:4Y7XheM0

男「ねえ、さん」

俺の唾液に濡れ、妖しく光る胸を上下させる実姉。
その様子に、その状況に、その人に……

男「もう、俺……」
姉「ぜんぶ、あげる。おとちゃんに」
男「姉さん……好きだ、大好きだ!」

もう我慢なんて出来ないと、気付いていた。
偽りのない気持ち。ただひたすらに姉さんが欲しい。

男「い、くよ」
姉「ん……」

ぎちりと身体の中から音が聞こえるような感覚。
次いで、ぷつりと小さな音がして、姉さんの顔が苦痛に歪む。
だけど俺はそこで止まれない。止まっちゃ、いけない。

姉「っ……!」
男「もう少し、だから」

そして……
俺達は、一つになった。

姉「あ、は……おとちゃんだ。おとちゃんが、なかに、いるよ」
男「うん……俺、姉さんのなかに、いる」


154 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:42:38.61 ID:4Y7XheM0
しばらくの間、その幸せな事実に打ち震える。
だが身体はそれだけじゃ終わらない。確かな証を、残したい。

男「動くよ」
姉「うん。いい、よ」

ゆるゆると。じっとりと湿る肌をあわせながら、腰を動かす。
溢れる粘液と、純潔という名の血液を合わせ潤滑油に。

男「……っ」

限界の時はすぐそこにある。
あとはただ、機械的に動いていれば……

姉「……ね。おとちゃん」
男「な、に?」
姉「私ね……おとちゃんのだったら、こども、いいよ」
男「……!!」

撃ち抜かれた。心の中に、もう姉さんしか居ない。
生物として、本能が暴走する。もう戻れない。戻りたくない。
俺は、この人と……

男「ねえさん!!!」
姉「い、くぅぅ……っ……!! ……ぁ、ぁ」

そして……俺は、実の姉である人の、最奥で果てた。
だくだくと命の種を吐き散らかしながら、俺はその嬉しさで涙すら流そうとしていた。





だが、実際に俺が涙するのは少し後……



155 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:43:00.34 ID:4Y7XheM0

血の繋がりがどうとか、年齢がどうであるとかはさておき、俺は間違いなくその日、彼女を抱いた。
それは決して消えない咎であり、俺が人を愛したという証拠であり……




“食べ頃”の、証。






姉「ねぇ……おとちゃん」

事が終わってすぐ。肩で息をする俺に、姉さんは声をかけた。

男「なに? ねえさん?」

この時、姉さんの瞳の奥にある狂気に気付いていれば。
いや、もし気付いたところで……結局は。

姉「おとちゃんに、私全部あげたから……今度は、おとちゃんの全部をちょうだい」
男「……うん、俺は、姉さんになら、全部あげるよ」
姉「本当?」
男「うん」
姉「ほんとのほんとに?」
男「ああ、本当の本当に」
姉「そっかぁ……えへへ」

その笑顔が見たくて、頷いた。
ただそれだけだったのに……

姉「じゃあ、いただきます」
男「……え?」




その宣言のあとに、姉さんは俺の全てを、壊した。


156 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:43:53.58 ID:4Y7XheM0
という訳で主様やっちゃったぜ編です。
次は姉視点で色々書いたあと、この後どうなったかとか書いてくぜ。
いつもの馬鹿みたいな会話はもう少し待ってくださいww


157 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 02:56:13.08 ID:LLxRS1co
つまり、いつぞやの3択の正解は2番だったとww


160 :パー速民がお送りします [] :2008/04/13(日) 12:16:00.23 ID:0Zvh36SO
>>156
乙ー
今後の展開に期待

しかし西尾維新スキーな俺にはなんだか初見ではないように思えるんだ…
姉と妹の違いはあれどな


162 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 14:07:30.58 ID:mfpt92AO
一応弁明というか断っておくと西尾は一昨日一巻ぽいのを初めて読んだww
ただ影響を受けたとかは多分ないはずww


163 :パー速民がお送りします [sage] :2008/04/13(日) 23:31:25.43 ID:4Y7XheM0
もうちょっとしたら、昨日予告してたやつ投下します。
相変わらずここのスレタイ読んで出直してこい! な内容で申し訳ないけどorz
これが終わったらしばらくはちゃんとお題の消化にいそしむのでご容赦くださいっ。

では仕上げてきまするー。



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