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今頃勇者ってのもないようです
1 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 21:32:50.94 ID:ShHwk2fj0
勇者「あぁ、16歳になってからもう半年もたったぞ……」

勇者「魔王倒せとか……明日出ればいいやと思ってたらあっという間に半年」

勇者「そろそろ世間の目が厳しい……母さん口利いてくれない」

勇者「もうそろそろ、出発するか……」


2 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/04(土) 21:35:16.62 ID:ShHwk2fj0
勇者「母さん、行ってくるよ」

母「……」

勇者「あの、行ってくるよ」

母「……」

勇者「あ、あのさ、立派な勇者になるからさ」

母「……」

勇者「(へんじがない……ただしか(ry)」

勇者「……行って来ます」

ぱたん

母「……ぅぅぅ」


3 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 21:41:59.45 ID:ShHwk2fj0
町の人A「ばんざーい! アリアハン王国、ばんざーい!」
町の人B「おめでとう! おめでとう!」
町の人C「わっはっはっは! 今日から毎日お祝いしたいのう!」
町の人D「ばんざーい! ばんざーい!」

勇者「な、なんだろう。街がお祝いムードなんだけど……」

街の人E「あぁオルテガの息子さん!」

勇者「うわっ、あ、はい……」

町の人E「生きているってすばらしい! 本当におめでとう!」

勇者「は、はぁ。ありがとう……?」

町の人E「いやぁ生きているうちにこんな日が来るなんて――」

勇者「あ、あの、僕行くところがあるので……(よ、よくわからないけど、とりあえずルイーダの酒場に行こう)」


4 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 21:49:50.09 ID:ShHwk2fj0
〈ルイーダの酒場〉

勇者「こんにちわー」

店主「あ! あんらぁまぁ、勇者ちゃんじゃないの!」

勇者「ご無沙汰してます」

店主「ほんとに久しぶりねぇ。いつでも来てよかったのに……昔は毎日うちのバカ息子と
遊んでたのにねぇ」

勇者「ええ、まぁ……」

店主「ちょっと待ってて、うちの息子にようなんでしょ? すぐに呼ぶから――ちょっと! 勇
者ちゃん来てるわよ! 降りてきな……ちょっと! 早く来なさい!!」

?「あぁ!? 勇者がぁ?」

店主「そうだって言ってるでしょ! さっさと降りてきなさい!」

?「ちょっと待って、セーブするから」

店主「まぁたファミコンしてるの!?」

?「かぁちゃんうるさいよ! 聞こえてっから黙ってろ!」

勇者「(相変わらず豪快な家族だなぁ)」


5 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/04(土) 21:57:11.54 ID:ShHwk2fj0

どたばたどた

遊び人「あぁ? マジだ。勇者じゃん」

勇者「よぉ――手に何持ってんの?」

遊び人「DS」

勇者「でぃーえす?」

遊び人「そんなのいいからさ、ホント久しぶりだなお前。ついに一人部屋貴族やめたのか」

勇者「何それ?」

遊び人「引きこもりって事」

勇者「何その言い方……」

遊び人「引きこもってたろ?」

勇者「……いや、だからさ、それは充電期間でさ」

遊び人「まぁなんでもいいけど? 世界が平和になった記念でお前も穴ぐらからはいでたわけだ」

勇者「え? 何それ、世界が平和になった記念って」

遊び人「あ? 何言ってんのお前」


6 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 22:01:47.29 ID:ShHwk2fj0



遊び人「お前が引きこもってる間にもう魔王倒されたんだけど」



勇者「……!?」

遊び人「あれ、マジで知らないの? ばかだねぇお前。外でないからそういう噂も聞けないん
だよ」

勇者「な、なんで!? 誰が!? どうやって倒したの!?」

遊び人「知らん知らん。俺ゲームしてる時に聞いただけだし」


7 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 22:07:02.07 ID:ShHwk2fj0
勇者「ゲームって何だよ!?」

遊び人「ゲームはゲームだようるせぇなぁ……とにかくそういう事だから、お前用なし。旅に
出る必要もなし。カエレ」

勇者「だ、だって僕は勇者……」

遊び人「お湯なしのカップラーメンみたいなもんなんだよお前。勇者とかもうどうでもいいの。
魔王いないから」

勇者「……」

遊び人「じゃ、そういう事で。俺ギャラガやるから」

勇者「待ったぁ!」

がっし


8 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 22:11:42.06 ID:ShHwk2fj0
遊び人「なんだよお前手ぇ離せ……」

勇者「まずいよそれは! 勇者は魔王倒さないと!」

遊び人「だからその魔王がいないんだって」

勇者「だってこのままじゃ……僕はどうすれば」

遊び人「街の入り口で『ここはアリアハンです』っていう仕事があまってるらしいから行けよ」

勇者「もう『立派な勇者になる』って家出てきちゃったし、引き返せないよ!」

遊び人「なんだそりゃ。笑えるなそのシチュエーション。お前の母ちゃん笑いこらえるのに
必死だったんじゃね?」

勇者「う わ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ 」


10 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 22:20:57.56 ID:ShHwk2fj0
勇者「旅に出よう! 遊び人、今すぐ出よう! 旅に出よう!」

遊び人「バカかお前、なんで旅なんかにでるんだよ」

勇者「とにかく旅に出ないと!」

遊び人「ひきこもりが寝言言ってんじゃねぇよ。もう手遅れだバカ」

勇者「頼むよ! 頼むから……」

遊び人「半年もぼけっと部屋からでなかったのはお前だろ。自業自得だ。マジで憐れだが、
あきらめろ」

勇者「そんな……」

× × × 

店主「あいよ、中ジョッキお待ち!」

?「……」

店主「あらぁ、あらあら、お客さんうちの息子どもが気になります? すみませんねぇいつま
でも子供でやかましくて――」

?「……」


13 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 22:28:25.77 ID:ShHwk2fj0
〈酒場の外……〉

遊び人「だぁから行かねぇっつってんだろ! 手ぇ離せ……!」

勇者「いやだ! 絶対いやだ! 旅に行く! 勇者になるんだ!」

遊び人「現実を見ろ勇者! お前なんか誰もお呼びじゃないんだよ! 今頃勇者とかお笑
いぐさなの! 新卒以外は採用されないから! ひきこもりは寝てろ!」

勇者「お願いだよ、お願いだよぉ……うぅ」

遊び人「泣くなよお前……しょうがねぇだろ。大臣によばれて、城にまで招待されて盛大に
送り出されたのに、町から一歩も出なかったのはお前だ」

勇者「遊び人に説教されるなんて……うぅ」

遊び人「かっちーん……もう知らん。もう知らない。一人で行って死ね。氏ねじゃなくて死ね」

勇者「うわぁ見捨てないでくれぇー!」



?「ちょっと、あんたたち」



15 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 22:34:25.91 ID:ShHwk2fj0
遊び人「あ?」
勇者「……?」


魔法使い(♀)「何があったのか、詳しくおねーさんに話してみなさい。やさしく聞いてあげる
わよ」


遊び人「……ほら、な。お前がそうやって弱みを見せるから、こういう宗教の勧誘が来るんだ
よ」

勇者「え、宗教なの?」

魔法使い「違うわよ。しっつれいな子ね、遊び人のくせに世間ななめに見ちゃって」

遊び人「宗教じゃなきゃなんだってんだよ」

魔法使い「女神よ。たぶん、そこで泣いてるなっさけない子にとっては」


勇者「……?」


17 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 22:40:00.69 ID:ShHwk2fj0
勇者「……という訳なんです」

魔法使い「ふーん。なっさけな。甲斐性なしってあんたみたいな男の事言うのよ」

勇者「……」

遊び人「やめて! 勇者のライフはもうゼロよ!」

勇者「うぅ、もうダメだ。死のう……」

魔法使い「甲斐性なしが死ぬなんて言ってんじゃないわよ。どーせ死ねないわよ。町から
出ることもできなかったくせに」


勇者「……」

遊び人「ライフゼロだっつってんだろ。こいつが死んだらあんたが責任持って埋めろよ」

魔法使い「死ぬことないわよ。勇者になればいいんでしょ?」

勇者「え?」


魔法使い「簡単よ。勇者になるなんて――さぁ、泣いてないでこんな町からさっさと出るわよ」


18 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 22:48:24.05 ID:ShHwk2fj0
〈ワールドマップへ……〉

魔法使い「簡単なことよ。魔王を倒した『勇者』の所に行けばいいの」

遊び人「行ってどうすんだよ」

魔法使い「パーティーに加えてもらうのよ。そしたら『勇者様ご一行』の一人になれるじゃな
い」

勇者「なんか……それ情けなくない?」

魔法使い「あんたそんな事言ってる余裕あんの? 勇者にならなきゃ男として最低よ? 人間
のクズよ? 親に情けないと思わないの?」

遊び人「や、やめろよ。勇者レベル低くてライフ少ないんだから、お前の言葉の暴力でも棺おけ
に入っちゃうかもしんないだろ」

勇者「う、うぅ……」

遊び人「だいたい、そんな簡単にパーティーになんて入れてもらえんのかよ」

魔法使い「プライドなんか最初からないんだから、全裸で土下座してでもパーティーに入れて
もらうのよ。むこうも魔王討伐のために何人か死んでるかもしれないでしょ」



勇者・遊び人「(容赦ねぇ……)」


20 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 22:55:03.60 ID:jTLPw0CX0
ひっでえww


21 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 22:58:49.72 ID:ShHwk2fj0
〈誘いの洞窟へ……〉

スライム「ぴぎー!」

勇者「こ、この!」

スライム「ぎ、ぎー……」


ゆうしゃはれべるがあがった!
ゆうしゃのちからが10あがった!
ゆううしゃのすばやさが7あがった!
ゆうしゃのMPが……

勇者「ぜ、ぜぃ、ぜぃ、ぜぃ……」

魔法使い「さ、きりきり行くわよ。『勇者』がアリアハンに着く前に行かないと」

遊び人「よーしさっさと行くか……」

勇者「ちょっと! あのさぁ、さっきから戦ってるの僕ばっかりなんだけど!」


22 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 23:02:39.59 ID:ShHwk2fj0

魔法使い「はぁ? 当たり前でしょ。誰のために冒険してると思ってるの?」

遊び人「セーブしたら手伝うっつってんじゃん」

勇者「なんだよこのパーティー! 使えないったらありゃしないよ!」

魔法使い「文句あるなら一人で行きなさいよ。ちびっちゃうだろけど」

勇者「んな!? 誰が!」

魔法使い「あんたがよ」

遊び人「(あーそういやなんで俺ついてきてんだろ……)」

勇者「ついてくるだけじゃ意味ないだろ! パーティーなんだから協力し合わないと……」

魔法使い「誰がパーティーよ。誰が。私はあんたに付き添ってやってるだけよ」

勇者「なんだよそれ!」

魔法使い「あ、宝箱はっけーん」

勇者「聞けよ!」

遊び人「(ん? この部屋……)」

魔法使い「たからばこ、おーぷん!」

遊び人「お、おいそれ……」


23 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/04(土) 23:04:16.22 ID:0dmb+zU5O
ミミックフラグか


24 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/04(土) 23:07:52.04 ID:ShHwk2fj0

だん! だん!

勇者「うわっ! 部屋の入り口が……」

遊び人「出口もだ! 閉じ込められちまったぞ!」

魔法使い「ちょっと何してんのよあんたたちは!?」

勇者「どう考えても魔法使いのせいだろ!?」

ぐごごごごごごご……

魔法使い「はぁ!? 女のせいにする気? 最低ね、ほんと最低!」

勇者「何が女だよ! 女だったら人殺ししてもむざいかよ!」

ぐごごごごご……ごぁぁぁぁぁぁぁああああああああ……!!!!

遊び人「お、おいお前らなんか足元がぐらついて……う、うぉおお!?」

どごおおおおおおおお!


ドラゴン「グォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!」





25 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/04(土) 23:15:38.21 ID:ShHwk2fj0
勇者「わああああああああああああ!?」

遊び人「やっべぇぇぇぇぇぇ――ドラゴンじゃねぇかぁぁぁああああ!」

魔法使い「あぁもう……ほんとに最悪ね」

ドラゴン「ゴガアアアアアアアアアアア!」

ドラゴンは、ひのいきをはきだした!

遊び人「あっつ! あっつ! マジであつい!」

勇者「ちょ、ちょおーこれ無理でしょ!?」

あそびにんに40のダメージ!
ゆうしゃに15のダメージ!

勇者「い、いきなり死ぬなんて……」

遊び人「嫌だぁ!!」

魔法使い「ちょっと伏せてなさいよ、ちびっ子たち!」

勇者「!?」


26 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/04(土) 23:17:06.77 ID:ShHwk2fj0
>>23
なんてこった
そういやミミックっていたなorz


27 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 23:21:50.13 ID:ShHwk2fj0
魔法使い「ヒャダルコ!」

遊び人「うぉお!?」
勇者「わ、わぁ!?」

いてつく氷槍がじめんをかける!
ドラゴンはくしざしになった!

ドラゴン「グォォオオオオオオオオオ!?」

ドラゴンに250のダメージ!
ドラゴンは咆哮をあげて、たおれた!

魔法使い「……ふぅ」

勇者「……え、お、終わった……?」

ドラゴン「――――」

遊び人「す、すげぇ……一発で」

魔法使い「さ、行くわよあんた達」



魔法使い「それともちびった?」



28 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 23:29:31.84 ID:ShHwk2fj0
〈たびのとびらへ……〉

勇者「(な、何者なんだろ彼女)」
遊び人「(知らねぇよ……でもただもんじゃないぜ)」

魔法使い「ちょっとアンタたち、距離とって歩かないでくれる?」

勇者「あ、う、うん……」

魔法使い「先頭は勇者がきりなさいよ。私はうしろ歩くから」

遊び人「じゃぁ俺は……」

魔法使い「勇者のあとに決まってんでしょ。ほら、さっさと前行きなさいよ」

遊び人「(く、こいつ調子にのりやがって……)」

魔法使い「あらぁ、なぁにぃ? 文句がありそうねぇ?

遊び人「別に……」

魔法使い「いいのよ、不満はぜんぶぶちまけても。私は女神みたいにココロが広いから」

遊び人「(だったら杖をしまえよ杖を……!)」

勇者「あ、なんか渦があるところに来たんだけど」


29 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 23:30:20.19 ID:0dmb+zU5O
序盤、洞窟、宝箱ときたらミミックかと思ったらさらに質が悪かったw

支援


31 :VIPがお送りします [] :2009/04/04(土) 23:36:18.83 ID:ShHwk2fj0
魔法使い「旅の扉よ。ここをくぐったらロマリアにつくから、そこで一休みしましょ。シャワー浴
びたいし」

遊び人「ずいぶん詳しいじゃないか」

魔法使い「アンタたちと違っていろいろと経験豊富なのよ」

勇者「(い、いろいろと……経験豊富……!?)」

魔法使い「ちょっと、何エロい事考えてんのよ?」

勇者「か、考えてないし!」

魔法使い「ほんとにぃ?」

勇者「ないよそんなの! ないない!」

魔法使い「なぁんだ、あたしの体に興味があるなら、ちょっとは見せて……」

勇者「え……!?」

魔法使い「エロガキ!」

勇者「いったぁ!?」



遊び人「(色々と、経験豊富ねぇ……)」




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