■戻る■ 下へ
妹「ねぇ、お兄ちゃん?私、もうすぐ死んじゃうの?」
1 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/14(月) 23:48:22.75 ID:vEFB6SX4O
貴方は"家族愛"となるものを知っているだろうか?
近くにいるから、身近な存在だから、認識しあう。

「卵焼きもらうよ」

家族同士、お互いを信頼し合い、助け合う事を"家族愛"と言う。

「お兄ちゃん、それ私のだよ」

つまり、何も縛られる事がない。
人を愛する事は自由なのだ。
「いいじゃないか、減るもんじゃないしな」

だけど、俺は知らず知らずのうちに家族を愛する事をやめていた。
やめていた?
いや、変わっていたのかもしれない。

『兄妹』

文字の羅列にしか過ぎないこの二文字。
だけど、時に、この間には不思議な「愛」が事象として起きる事がある。
だけどそれは「愛」と近似していて、けしてイコールでは表わすことができない。
そして俺は、それに密かに気付いていて、気付かないふりをしていた―――

「減ってるよ!もぅ…、お兄ちゃんのバーカ」




ID腹筋・・・お願いします・・・


2 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/14(月) 23:49:05.91 ID:P46kToCg0
だが、断る


3 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/14(月) 23:49:10.52 ID:R11QXeavO
何この携帯小説


4 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/14(月) 23:49:30.84 ID:VggQdYRW0
長いから_


12 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/14(月) 23:53:04.40 ID:ErKkUA9r0
腹筋まで読んだ


13 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/14(月) 23:58:20.66 ID:vEFB6SX4O
さて、人が居なくなったということで・・・


14 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:05:57.49 ID:55St7AtOO
俺には、運が良いのか悪いのか、二つ下に妹がいる。
友達は妹を「可愛い」とは言っているが、実際どうなのか分からんね。
いやまぁ世間一般で見れば可愛いのかもしれんが、俺から見れば、こいつの子供の頃をよく知ってるが故に色々と邪魔なフィルターがかかる訳だ。
何故"こいつ"と称したかというと、俺の隣りで並んで歩いている。
学校は高校と中学で違うが、道程は途中まで同じ、

だからなのか、一緒に登校している。
しかし、妹だからって一緒に登校するとなると、少し気恥ずかしいものはあった。

だが、妹が「別にいーじゃん。お兄ちゃんは他に一緒に登校する人なんていないでしょ」
だそうだ。
うるさい。


15 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:08:34.05 ID:55St7AtOO
「そんじゃーな」
ここからはお互い道が違う。俺は適当に言葉を告げてたいして行きたくもない学校に足を向ける。
「うん……」
でさ…妹よ、何故いつもこの時になると心苦しそうな顔をする。
いや、分かるよ、そりゃ俺は不出来な兄だからな。
学校に行けば先生に怒られ、友達には見捨てられ、孤独な学生生活を…。なんて事が起こるとか思ってるだろ?
ないない。断じてそれはない。
俺は普通な友達持って、普通な点数取って、普通な学校生活を送ってるのさ。
兄としては不出来かもしれんが、人間としてはある程度しっかりしていると自負している。
「あ、」
何か言おうとした妹を置いて俺は歩き出す。
心配御無用。
心配なんかされなくたってちゃんと出来るぞ、俺は。
ったく、いつかはこの変なレッテルを剥がなければな。


17 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:15:59.45 ID:55St7AtOO
俺が妹と同じ中学校を卒業してから数ヶ月が経ち、俺に「変に」心配するようになっていた。
一度だけ理由を訊いたことがあるが、
「・・・別に心配してないよ」
と、返ってきたので、別にそれ以上追究する事もなかろうと思い、ただ一言、
「そうかい」
それで会話は終了した。



「本当に君は妹さんと仲が良いね」
空の雲をぼーっと見ていた俺に話し掛けて来たのは、前の席に座る、一年から進級するに従って行われたクラス替えで再び同じクラスになった高嶺である。
「そんなわけねーよ、普通だ普通」
昔から妹とはよく喧嘩したり、時には一緒にゲームをしたりもする。
悪くもなく良くもなく。つまり普通。
「そうかな。朝、一緒に登校していて仲良さそうに見えたけど」
俺は空から目線を外し、前に顔を向ける。
「見ていたんだったら話し掛けてくれよ。俺は妹に不出来な兄としてみられていて、学校では友達がいないように思われているからな」
そうすれば、兄としてのランクが1アップする。
「それ、妹さんが言ったの?」
時計に目をやる。あと、2分程で授業開始。

「いや、実際に口では言っていないが俺には分かる。あいつは心配性なんだ。いつもいつも登校に付いてくるのもそのせいさ」
えーっと今日の授業範囲はっと…。
「ふーん、心配性ねー。心配しているようには見えなかったけどなー」
げ、そうだ、今日は小テストあるんだっけ

「むしろ、楽しそうに見えた、話し掛けれないぐらいに」

授業始まりのチャイムが鳴る。


19 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:21:18.81 ID:55St7AtOO
時は進み、今は放課後。
夕日が校舎を照らしその雰囲気が心を謳歌させる。

「――なんだよね」

今日はこいつとよく喋る日だな。
まぁ、俺の相手をしてくれるし嫌ではない。
グラウンドを横切り、校門に近づいてゆくと、見覚えのある制服が見える。
「あの子は……君の妹さんだね」
向こうも気付いたらしく、ぽわぁとした明るい笑顔でこちらに向き、
「あ、お兄ちゃ…」
が、何故かすぐに笑顔が曇る。
「こんにちは、妹さん」
こちらはナイススマイル。
「ぉ、お兄ちゃん!この人誰!?」
俺の隣りの友人を指しながら何故か必死に訊いてきた。
「誰?は、失礼だろ。この人はな、何を隠そう俺の友達だ。恐れ入ったか!ハハハ、俺は出来る兄なのだ」


20 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:23:40.36 ID:55St7AtOO
「と、友達…?そう…、なんだ……よかった」
ぽわぁとした笑顔をぎこちなく見せ、俺の隣りに寄る。

「そうか!よかったか!安心しただろ?俺はちゃんと出来る兄なんだよ」

妹に自信に満ち溢れる眼をこれでもかと向ける。
妹は数秒俺の目を見て、何故か頬を少し赤らめたのと同時にそっぽを向き、
「お兄ちゃん、何言ってるのか分からないよ」
、と一言。
はい?まぁ良い、俺は今、達成感で非常に気持ちがいいのだ。兄としての誇りを持った俺に酔いたい。
あぁ…なんて俺は――
「あ、あのさ、そろそろ帰らないかな?」
高嶺の言葉で我に返る。
俺達を横目で好奇な目で見ては通り過ぎてゆく学生達。
当たり前だ。違う学校の制服を着た人が居れば、何かあるんじゃないかと思うのも当然か。しかも、女二人 が男一人を囲んでいるから無理もない。
「すまない、帰ろうか」
「うん」
さっきのぎこちない笑顔は消え、透き通るような笑顔で答える。
「何か、私はお邪魔そうだね」
そう言って立ち去ろうする高嶺を、
「いや、邪魔じゃない。どうせならさっきの話しの続きを聞かせてくれよ」
高嶺は、わかった、と言い俺達と一緒に下校する事になった。


21 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:26:23.65 ID:55St7AtOO
嬉しそうに話しをする高嶺に対して、妹は終始機嫌が悪かったのは不思議だった。

高嶺が「私はこっちだから」と言うので、ここでお別れである。
「高嶺の話しは面白いな、こいつとは違って」
嫌味っぽくニヤつき、妹に顔を向けると、
「むぅ…」
むぅっとした。
「そう思って貰えると嬉しいね。また話そうか?……あ、でも、君の妹さんに失礼だね」
失礼なもんか。
こいつは一緒に帰りたがるだけで、特に会話なんて無いんだよ。だから高嶺がいてくれて助かる。
「そうかい?……ならまた一緒に帰って――」
「お、ぉお兄ちゃん!もう行こうよ!」
会話に入ってきたのは終始不機嫌モードな妹だ。
「フフ…冗談だよ。君のお兄さんは盗らないよ」
高嶺は大人しい笑顔で、じゃあね、と挨拶をして自分達とは違う帰路に赴く。
「盗る…って、俺は物じゃねーぞ、なぁ?」
俺は顔を向ける。そこには、夕日のせいで紅く染まる妹の顔があった。


24 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:31:56.71 ID:55St7AtOO
不機嫌モードは家に帰ってからも継続中だった。
「あのさ、朝の登校時の別れ際に何を言おうとしてたんだ?」
なるべく不機嫌にさせない会話を試みる。
「知らない」
試み失敗。不機嫌度二割増。
再度挑戦。

「何故、今日俺の学校に来たんだ?」

妹はベッドに俯せに寝て、枕で顔を覆っている。
そして俺はそのベッドの横で妹に背を向ける形で座っていた。
「…知らない」
会話のキャッチボール失敗。ダメだねこれは。


25 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:39:45.46 ID:55St7AtOO
無駄に時間が過ぎて、
兄として何かを出来ればな…と、思っていたさっきの自分を一通り呪い、
「わかったよ、ごめんな」

そう言って立ち上がり、妹の部屋から出て行く。


つもりだった。
何か手に触れていた。
それは妹の―――。

俺の腕の服をギュッと掴む小さな手。
弱くて、そして強くて。
振り向く。
妹は横になり俺を見上げていた。
当惑の表情を浮かべて。
うっすら涙を浮かべて。
夕日は無いのに顔に朱を浮かべて。
その表情が魅惑的で、ただ俺の手を握っていた――
その状態がどの位続いたのだろうか。
数分、いや数秒かもしれない、二人の間には不可思議な時間が流動する。
「お兄ちゃん…」
流れに逆らうように入ってきたのは妹の声。その声は誘惑的で――
「……私ね…、……、…、私…」
なんだか――
俺は部屋を出ていた。
この部屋には、いれない、いてはいけない、そんな感じがしたから。
怖かったのだ、妹が怖かったから、だから俺はこんなに胸の鼓動が速い。
「何なんだよ…あいつ、今日変だぞ…」
自室に戻ってそう呟いていた。


26 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:41:52.76 ID:55St7AtOO
妹は夕飯になっても部屋から出てこなかった。
何度か呼んではみたものの、部屋を出てくる気配は無い。
俺は諦めて自分の部屋に戻った。
机の携帯に目をやると、メールが届いていた。
開けると、
『ごめんなさい』
妹からだった。


28 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:44:46.87 ID:55St7AtOO
妹は朝食にも顔を出さなかった。
っといっても、珍しいことではない。
あいつは朝が極端に弱い。
だから、いつも起しに行くのは俺な訳で、だけど行きづらい事この上なくて、でも行くのは俺が兄だから。
そんな理屈で俺は妹の部屋の前に立っている。
しかし昨日の出来事が俺を制止する。
ふぅ…
一呼吸。
いくぞ!
っと意気込んだと同時に勝手にドアが開いた。
「ぅん!?」
度肝を抜かれ変な声がでる。
一方、度肝を抜いた人物、妹は固まっている俺をいつもの眠そうな顔でぼーっと見上げ、
「ぁ…お兄ちゃん、おはよー…」
そう言って、ふゎぁ、とあくびをしながら俺の横を抜けてゆく。
「お、おぅ、おはよう」
ちぐはぐな挨拶を交わし、そして俺はその妹の様子から安堵する。
何だ、俺の心配損か。


31 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00:53:19.94 ID:+20DtSpx0
頼む・・・欝EDだけは、欝EDだけは・・・・・・


32 名前:VIPがお送りします。 [saga] 投稿日:2008/04/15(火) 01:04:26.19 ID:55St7AtOO
そして今日も、いつもの様に一緒に登校していた。

妹の機嫌を除けば。

今日は、昨日の帰りと真逆。気分が良いみたいだ。
傍目から見れば変わっているようには見えないかもな。
長年、兄としてやってるお陰かな?

「ねぇ、お兄ちゃん?今日さ、どこかお買い物行かない?」

不意な提案。
「買い物?何故?」
妹とは買い物どころか一緒に街に出たことがなかった。
「一緒」はこの登校と下校だけだった。

「いいでしょ?私、欲しい物があるんだー」
そう言いながら、目線を遠くに飛し、欲しい物を想像していた。

「そんなの友達と――」

「あーそうだ!そろそろお兄ちゃんの誕生日だよね?プレゼントも買わなくちゃ、あ、ばいばい」

そう言って、パタパタと自分の学校のへと歩いて行った。

「・・・」
ただ俺はその妹の背中を見送り、学校へと足を向けた。


33 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 01:05:54.57 ID:55St7AtOO
寝る!


34 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/15(火) 01:07:29.19 ID:/GWZGUTb0
じゃあ保守る
おやすみ


40 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 01:54:36.37 ID:1tNcSZvVO
兄は妹に立派に見られたくて、友達がいることをアピール
→実は孤独な妹は、兄を盗られたと思いリスカ
→兄が必死に説得
→「最初からこうすれば良かったんだね。お兄ちゃん…」
うずくまり動かない兄と妹の手には包丁が
→「向こうで一緒になろう?」妹自殺を謀るが帰宅した両親に阻止される
→妹発狂


まで読んだ


43 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/15(火) 04:27:39.04 ID:9tVyO2EP0
「おはよう」

妹「話しかけんなキモオタ!くせーんだよ、スイーツ(笑)」




まで読んだ


45 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 07:58:49.94 ID:55St7AtOO
丁度、学校正門近く。
次々に生徒達が登校していた。
そこで、
「おはよう」
振り返ると、高嶺が綺麗な笑みでこちらを向いていた。
「ああ…おはよう」
少し、気の抜けた返事を返し、下駄箱に手を掛ける。
どうしたんだい?
そんな表情でこちらを見ていたが、何かを察したのか「大変だね」と、一言言い、
それ以上は何も言ってはこなかった。


46 名前:VIPがお送りします。 [sagd] 投稿日:2008/04/15(火) 08:42:24.39 ID:55St7AtOO
昨日、今日、と妹の様子何か変であった。
昨日の夕方、妹の部屋での出来事を思い出す。

妹の視線。妹の手。妹の雰囲気。

ドクン と心臓が跳ねる。

駄目だ…、俺も変だ…。
結局、授業に集中出来なかった俺は、先生からの質問にも答える事が出来なかった。



47 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 08:43:05.97 ID:55St7AtOO
外出!


54 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/15(火) 15:08:34.09 ID:55St7AtOO
「フフ。久し振りに笑ってしまったよ。君のあの時の戸惑った顔を思い出すだけで……クク」
忘れたい過去を掘り起こし、口元に手をやりながら湧きあがる衝動を我慢してたのは高嶺である。
「もういいだろその話は」
今は、放課後。
足速に追い抜いて行く生徒に目線を飛ばしながら、
俺は、ついさっきの失態を小馬鹿にする奴と共に下駄箱に向かっていた。
「君は、朝から私の話を聞いてくれないからね。これぐらいはいいでしょ?」
話をしてきたのか?
気付いていなかったという事か。
一人考え込んでいる俺を見兼ねたのか、軽く、ポンっと肩を叩き、
「ほら、そんな顔じゃ心配されるんじゃないのかな?」
そう言い軽く目配せする。
そちらを向くと、昨日と同じ、見慣れた制服が見えた。


59 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 18:17:57.38 ID:55St7AtOO
帰宅!


61 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/15(火) 19:08:05.83 ID:55St7AtOO
その姿を物珍しそうに見る生徒の視線を気にしているのか気にしていないのか分からないが、
妹はただ一点を見つめていた。
「それじゃ」
そう言って高峰は俺より先に校門に向かい、妹に近づいて何事かを囁いた。
高峰は踵を返し妹から離れ、その場から去っていく。
妹の方はというと、俯きながらその場を動かなかった。
俺が近づいても気づかない。妹はどこか一人旅に行っているようだ。


63 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 19:09:28.22 ID:55St7AtOO
「おい」
「ふぁ!?」
その声に驚いたのか、妹はビクッと肩を震わせ、猫みたいな丸い眼をパチクリと瞬かせた。
驚いた顔はみるみる赤く染まり、視線が在らぬ方向にそれる。
「あいつに何か言われたのか?」
その本人はいないが、高峰の帰った方向をむく。
「な、なにも言ってないよ」
まぁいい。どうせ今日の俺の失態でも話したのだろう。
妹のことだ。心配性発動で、あたかも自分が失態をしたかのような心境なのだろう。
「その事は気にするな。で、買い物、行くんだろ?」
妹はまだほんのり紅い顔をこちらに向け、
「あ、うん!いこ!」
元気よく返事を返した。


69 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 20:17:38.53 ID:55St7AtOO
「ふぅ」
学校から駅前までは少し遠い。
しかし、バスを何故か嫌った妹を置いていけるわけもなく、徒歩1時間をかけ、ようやく駅前に到着した訳だ。
学校からここまでの会話は、そうだな…「そろそろ夏だね」「そうだな」「海行きたいな〜」「そうだな」…こんなところだった。
正直、足が若干棒になりつつある俺は、ここにくるだけでもう色々と嫌になっている。
妹は、と言うと終始機嫌が良い。
その姿を見ると「まぁたまにはこういうのもいいだろ」補正で、自然と疲れも和らいでくれていた。


70 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 20:36:03.15 ID:55St7AtOO
「どこ行くんだ?」
ロータリーにある噴水を眺めていた妹は、「じゃあ―――」と言葉を始め、
指差した場所は、いかにも「高級」と言わんばかりのデパートだった。
「さて、帰るか」
「ち、ちょっとお兄ちゃん!」
引き帰そうとした俺の前にすばやく回りこみ立ちはだかる。
「悪いが、俺にそんな金は無い」
妹は拗ねた顔をわざとらしくみせ、
「……こういうのは雰囲気が大事なの」
恥ずかしそうにそう言った。
「雰囲気って……大事なのか?」
「むぅ…」
また拗ねた。
そして、数秒俺の胸の辺りをじっとみて、それから顔を上げて、またまた拗ねた顔をして、

俺の手を掴んだ。


71 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 20:41:04.42 ID:kYDPv8XNO
>>69の「ふぅ」で、兄が賢者になったなと思った俺はもうだめかもしれない

>>79の「ロータリー」がローターに見えた俺はもうだめかもしれない


76 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 21:46:25.45 ID:55St7AtOO
デパートの中はというと、特に変わったものはない、寧ろそこら辺のデパートと同じ……いや、ただ俺がそういうのに疎いだけなのかな。
妹も、何かを手に取って見る訳でもなく、何か言う訳でもなく、
どこか抜けたようにふら〜としながらも、しっかりと俺の手だけは握っていた。
そんな感じだった妹が突然進行方向を変え、俺を引っ張った。
その進行方向には、微妙なアクセサリーショップがあった。
妹が真剣に何かを探し始め、俺は無視。
アクセサリを見てみる。ヘンテコな形をしていて、正直俺にはレベルが高いです…。


79 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 22:03:55.60 ID:55St7AtOO
「何か見つかったか?」
暇を持て余した俺はしかたなく妹に話しかけた。
妹は右手に持っていたアクセサリを見せた。

「これ、どうかな?」
んん?どうかなってこれ……首輪?……!!!?

「お前…まさか…」
「うん、良いよね、これで決まり」
俺の妹に対するイメージが一気に崩れ落ちていく。

「だめだ。兄としてそれは止める権利がある」

「えーなんでー、お兄ちゃん好きでしょ?」

!!!!!???いつ、どこで、だれが、どのように!?When Where Who How????????
俺は妹にそんな目で見られていたのか………終わったな…いや、もう終わっていたのだ…兄として、人として…。


83 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/15(火) 23:06:13.01 ID:Y3wWbFZ/0
ふっ…きん…?


84 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 23:07:17.88 ID:55St7AtOO
それから妹は白く燃え尽きていた俺を放っとき、その他アクセサリを3つほど買っていた。

「もう出よ?」
「あ、あぁ」
「どうしたの?変だよ」
デパートを出る。外は日も落ち、街の灯かりが賑やかに彩り始める。
「まだどこか行きたいのか?」
そう訊ねると、「うーん」と考え込み、
「私は欲しい物買ったし、お兄ちゃんは?」
「家に行きたい」
俺は肉体的、精神的に疲れていた。
「わかった、帰ろ」
素直にも俺の提案は通り、帰路に足を向ける。

妹は人混みが嫌いであった。小さい頃、家族と出掛けた時も一人、車の中に閉じこもっていた。
だから、心底俺は妹の口から「街に行きたい」という言葉に驚いたのは当然である。
そんな、うれしそうに街の中を歩く妹をみると、兄として、家族として、とても嬉しかった。

だけど、何か焦っているようだった。


87 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/15(火) 23:29:41.86 ID:kYDPv8XNO
妹は殺さないでね


93 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 00:07:03.03 ID:fGZE1WhRO
半歩後ろを歩く妹に、こんな話をしようと思ったのは、疲労のせいだったのだろう。
「なぁ、俺は兄としてどうなんだ、いつも心配させてばかりで、俺は役に立ったか?」
俺は横を向かず、正面を向きながら話した。少々気恥ずかしいかったからな。
数秒の沈黙のあと、妹は口を開いた。

「今日……校門で高峰さんに言われたんだ」

街から外れ、あまり人もいなく辺りは暗い。夏が近いというのに少し肌寒い。
「お兄ちゃんは、お兄ちゃんにこだわりすぎ、なんだって」
「……」
「兄として妹を心配するのは当然。兄として良い格好するのは当然。兄として一緒にいるのは当然。
 全部『兄』が邪魔をしている。高峰さんはそう云いたかったんだと思う」
「……」
「それで、最後にこう言われた」
今、妹がどんな顔をしているのか判らない。ただ、足音と、妹の話す声だけが聞こえる。
「お兄ちゃんを良い男にしてあげてね、って」


94 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 00:11:24.97 ID:dfuE4nGN0
わっふるわっふる


99 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 00:27:04.46 ID:fGZE1WhRO
グッと服の裾を引っ張られる。
体が触れる。視線が交差する。
心臓が脈打つ、視線が外せない。吸い込まれていく。
暗いのにその瞳だけは潤んで光を放っていた。
華奢な妹の体を抱きしめる。

「その、なんだ…、ごめんな」

俺の胸に顔を埋め、

「うん…」

と頷いた。


100 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 00:28:22.22 ID:fGZE1WhRO
寝る!


102 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 00:31:24.84 ID:BF02XN/W0
>>100
な、なんだってー!?



上へ 戻る