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兄妹SS  「輝く日常」 
141 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 03:34:10.58 ID:u3b+2lCf0
翌日、ベッドで目が覚めた。
「あれ?昨日なんで俺…寝ちゃったんだっけ?」
いくら考えても思い出せない。
確か医者がいて、可愛い女の子がいたのは覚えてんだよなぁ。
でもなんの会話したっけ?…

そこまで考えてベッドから体を少し起こす。すると
「――――あ!」
「…スースー……ん、むにゃむにゃ。」
今頭の中で思い出していた女の子が、俺のベッドにひじを乗っけて眠っていた。
「な、なんで?…」
てっきり昨日の俺の目覚めを見届けて帰ったとばっかり思ってた俺は
この状況にとにかく心臓の鼓動が急激に速くなったのを感じた。
なにせ体をすこし起こすと
俺のベッドに寄りかかっている可愛い女の子の寝顔が突然視界に飛び込んできたんだからな。
不意打ちってやつだ。
俺の言葉で起きたのか女の子も目を覚ました。
「ん、んん…ん?あ!」
俺と目があう。
「起きたのね。よかったぁ…」
そう言ってにこやかに微笑んだ。
昨日は涙まみれの顔だった気がするので、普通の顔を今はっきり見た。相当可愛い。



153 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/29(火) 04:38:00.40 ID:Hg2O87zx0
俺は・・・・もうダメだ・・・・睡魔に捕まってしまったようだ・・・・・・・
みんな、俺に構わず見続けてくれ・・・・zzzz



>>145マイリスト入れておきますた^^
頑張って書いてくれ!
ノシ


155 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 04:44:48.92 ID:u3b+2lCf0
>>153
こんな時間までありがとう!^^本当にありがとう。
おやすみ!俺がこのまま書き続けるんで起きてまだこれがあったらよってやってくださいw

えっと、ちょっとストーリーを必死に調節中なので
俺はこのまま10分ずつ保守しつづけながら書き続け、7、8、時頃に一気に投下する。
っていう感じにしたいと思います。

ROMってた方々やレスしてくださった方々は保守して頂ければほんとに光栄ですが
眠かったらもう寝て頂いて結構ですwどうせもう7,8時ぐらいまでは投下しないので。

ではそういう感じでいきたいと思います。m(_ _)m
寝る方。おやすみなさいませ。わざわざありがとうございました。
あ、もし落ちたらまた同じ名前でたてますw今日中にw
では10分程したらまた保守しに来ます。


167 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:10:37.07 ID:u3b+2lCf0
はい。とりあえずまたキリのいいところまでかけたので投下開始します。
先に言いますが、さっきから軽くめまいがしています^^;やばいw
2日程実は寝てません。なので今から投下し終えると少し寝させて頂きます。
その間もし落ちたらまた同じ流れで復活させるのでよろしくお願いします。m(_ 
_)m
で、では、行きます。


168 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:13:38.64 ID:u3b+2lCf0

「き、きみ知ってるのか…俺がどうしてこうなったか…」
まさか彼女から真実が聞けるとは思ってなかった俺は相当焦った。
まだ事実をちゃんと受け止められるか心の準備ができてなかったからだ。
なにせこんなに大けがしてるんだ。
さっきから俺は彼女の事を見ながらも、自分の怪我について考えていた。
とりあえずろっ骨は折れていた。右足も…動かすと痛い。おそらく折れてる。
んで最大級にヤバそうなのは頭だ。包帯でがんじがらめにされている。
ベッドのすぐ隣の壁に掛けてある鏡に、
自分の顔が映ったのを起き上った時に見た俺は内心
俺…髪あったよな?
と疑問に思うぐらいだった。
包帯で髪が全く覆い隠されていたからな。まるでゾンビだ。

そんなこんなでもんもんと考えていた俺に彼女は言った。

「確かに、そんな大きな傷を負うとは思わなかったけどね。ふふっ。実際は大した事じゃないわ。」
「え?…そうなの?」
「うん。」
 妹は淡々と一言で言った。
「あなた、マンションの階段から落ちたの。」
「お、落ちた?」
その言葉に俺もポカンとする。彼女は続けた。


169 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:16:43.74 ID:u3b+2lCf0


「そうなの!私があなたの部屋に引っ越してきたお祝いにね?
 あなた私に美味しいもの食べさせてくれるって言ってはりきってたまでは良かったんだけど。」
そこまで言って思い出し笑いを浮かべ、彼女は続ける。
「ふふっ…そのあと冷蔵庫開けたら、あなた食材を買うの忘れちゃっててさ。
 あわてて近所にある24時間やってるスーパーに行こうとして、その時1階と2階の階段から盛大にずっこけちゃったの。
 あはは!もうほんとにあの時は、私どれだけ驚いたか!!ゴツンっていう凄い音がしたからドアを開けたら
 階段のところであなたが血を流して倒れてるんだもん。」

「な、なるほど。んで俺の頭はこんなになってるわけだ。」

苦笑いを浮かべながら説明を聞く。
俺の脳内はもうすでにその時の事を明確に想像で再現していた。
というか今までもやもやとしていた記憶が一気にそれで整理されたような感覚にさえ陥っていた。
さらにくすくす思い出し笑いを浮かべながら彼女が続ける。
「あはは!ほんとにそれ凄いわよね。でもやっぱり無理ないかも。
 すっごく血が出てたんだから!それでもう私オドオドしっぱなしで、
 昨日あなたが起きた時、いろいろホッとしちゃって……泣いちゃった。」
そう言って舌をペロっと出して笑う。とっても可愛い。
そこまで思って、俺はふとこの可愛い女の子について考える。
スラっとした細身の体で、俺に親しげに話しかけてくれる彼女。

今の話、筋がまぁ通ってるよな。俺が階段から落ちたってだけだ。でも――――――

まぁ考えるより聞いてみた方が早いな。
そう自分の中で合点した俺は
俺を見ている彼女に向かって話し始めた。


172 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:22:12.32 ID:u3b+2lCf0
「ふーむ。だいたい話は分かった。
ははっ、てか聞いてたらこの事については忘れて良かったと思うよ。
 もし覚えてたらとんでもないトラウマ経験間違いなしだもんな!」
そう軽く言った、
「ふふっ!そういう考え方もできるね。うん!
 じゃあそんな感じでいいんじゃない?ポジティブシンキングって奴だ。あははっ」
彼女もそう言って笑う。
その雰囲気のまま切り出す。

「ははっ…んでさ、俺はホントに申し訳ないんだけど君の事覚えてないんだ。
 なんで俺の家来たんだっけ?、あはは」



173 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:22:24.62 ID:u3b+2lCf0
明るくごめんな。って感じで言えたと思ったんだが…
彼女が一瞬表情を曇らせたのを俺は見逃さなかった。
ま、まずい。
そう思った俺は必死に自分の失言を取り繕うとする。
「あっ!い、いや!あ、あの?
 少しは何となくだけど覚えてはいるんだよ?
 で、でもさ、その、やっぱあの…その、
 記憶無くなってる日に俺らあったわけだし?
 え、えっと…」

「ふ、ふふ。あはははは!
 そんなにオドオドしなくてもいいじゃない!
 別に怒ってるわけじゃないのよ?…あはは^^」

「い、いやあ…でも」
 何か申し訳ない気がする。
彼女は明るく俺の問いに答えてくれた。
「私とあなたの関係が分からないって事でしょ?
 ホントに覚えてないのね!もう!いいわ。教えてあげる。」


174 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:24:54.52 ID:u3b+2lCf0
「あ、ああ。」
「私はあなたの妹なの。」
妹。
その単語を聞いた瞬間、俺の脳に昨日医者と話した時の会話が少しだけ蘇ってきた。
「あ、ああ!そういえば医者がそんな事言ってた気がするよ!
  …で、でもなぁ…それはさすがに…」
「それがほんとなのよ^^私も最近まで知らなかったから
 あなたが知らないのも無理はないわ。」

「ん?君も知らなかったって?」
もう俺は彼女に質問しかできなくなっていたが、彼女は丁寧に答えてくれた。

「私ね…ずっと今まで他のお父さんとお母さんの元で暮らしてきたのね。」
「あ、ああ。」
「それで、半年ぐらい前かな。私はその二人から自分がその二人の娘じゃないって伝えられたの…」
「―――!」
俺の顔を見て彼女は笑う。
「ふふっ。私も最初はそういう反応だったわ。
 でも詳しく話を聞くと、あなたのお父さん。
 あなたは顔も知らないでしょうけど
 その人から私が生まれた時に私のお父さん。
 つまり育ての親だったわけだけど。…ってなんかややこしいわね。
 私の話理解できてる?」
「あ、ああ。なんとか」


175 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:29:50.69 ID:u3b+2lCf0
「ふふっ、でね?その本当のお父さんが、今のお父さんに私を預けたそうなの。
 それ以来本当のお父さんは行方不明ってわけ。つまりあなたのお父さんもね^^」
そうだったのか…俺の脳内でどんどん情報がインプットされていく。彼女は同じ調子で続ける。
「それでね?それからお父さんたちは私をとても可愛がって育ててくれた。私も幸せだった^^
 それで!半年前に二人はもう私に伝えてもちゃんと理解してくれるだろうって思ったらしくて…私に教えたわけ。」

「ふむ。ここまでは…なんとか分かった。
 んで?肝心のところだ。何で俺のとこに来たの?」

「うん。教えられた時に私には異母兄弟の兄がいるって事の教えられたの。
 今は1人暮らしてて、連絡もとれる様にしてるって!」
「そ、それが俺なわけ?」
全然記憶にない。連絡先の交換をしている人間っつってもなぁ…
そう思いながらも彼女の話を聞く。
「そう!それで私その後少しして、始めてあなたを会話したわ。
 とても気さくでいい人だなって思った!^^
 そして何日か電話で話して、あなたが「俺の部屋ですまない?」って言ってきたのよ!忘れたの!?ふふっ!」

そう言って彼女は顔を少し染めてこっちを見た。

「な!!」
マ、マジか!?昔の俺よ!な、なんと大それたことを…
現在の俺VS過去の俺。
脳内戦争が勃発しそうになる。
が、すでに敵陣営は死んでしまったようなので、何とか不戦勝として、
再び彼女の話に耳を傾ける。


176 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:34:09.86 ID:u3b+2lCf0
「それで私もあなたと会ってみたかったからOKしたってわけ!
 流石に妹を襲う様なエッチな人でもなさそうだしね!ふふっ!!」

本当におかしそうに彼女は笑う。

「なるほどなー。んで俺の家で一緒に暮らそうっていう
 記念日に俺は大ボケをかましちゃったわけか。」
理解したぞ。そういう意味合いを言葉に込めながら言う。
「そうそう!体を代償にしてね!!^^」
分かってくれたようだ。



177 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:34:29.15 ID:u3b+2lCf0
そこまで言い終わって。チラッと時計を見た彼女はハッっとした表情になり
「いけない!友達と約束があるんだった!
 ご、ごめんね?また明日も来るね!?^^今日もしっかり休んで早く元気になってね!」

と早口で言って出て行こうとした。
「あ!ちょ、ちょっと待って!」
あわてて彼女を呼び止める。
彼女の背中越しに言う。
「君…下の名前。教えてくれないか…?
「!」
一瞬ビクっと体を震わせる彼女の動作にどこか軽いデジャブを覚えた。
彼女は振り向いてにっこり笑いながら言った。


「―――――まいよ!私の下の名前は麻衣!じゃあね!?お・に・い・ちゃ・ん!?^^」

バタンッ!

そう言いながら扉を閉めた。


178 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:36:21.15 ID:u3b+2lCf0
まい、か…どこかで聞き覚えがあるかもな。
記憶が無くなる前に結構話してたらしいから…それでかな。

そんな事を思いながら一応すべての疑問が解消されたと思った俺は
再びベッドに寝転がり、目をつぶった。

が、すぐまた瞼をあげた。

「…うわ!会社に連絡しなきゃな。」
でも起き上がる気力はもうない。
いろいろ聞いたせいでもう結構俺の精神力はげずられていたらしい。

また…明日にでも言うか。


そう思い直し、再び瞼を閉じる。
俺は精神はすぐに深い眠りの闇へと沈んでいった。


179 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:39:47.59 ID:u3b+2lCf0
ここから2つは妹(麻衣)の視点で書いてます。

【兄の病室を出た後、無言のまま医務室に行く。
 先生が出迎えてくれた。
 「…どうでしたか?うまくごまかせましたか。」
 「…はい。」
 私は先生と一晩で考えた嘘のシナリオを、
 兄に怪しまれないように伝える事に成功したと先生に報告した。
 「そうですか…」
 先生は心底つらそうな顔で言った。
「必ず!必ずあなたのお兄さんの症状が治る様に最善の努力をします。
 約束します!このままでは、あまりにつらすぎますからね。それまで!一緒に…頑張りましょう。」
「はい。」
さっき兄貴に見せた顔はどこへやら、私は今までで一番暗い顔をしていたに違いない。
先生と話し合って計画を練った。
これから兄が退院したら兄を彼の部屋で私と共に暮らさせ、
徐々に兄の記憶を引き出しやすい状況を作る。その為の今日は下準備みたいなものだった。

「それでは、私は彼の会社の同僚の方とこれから会って、
 今の状況を伝え、協力してもらえるように頼むとしましょう。
 あなたは上野さん…でしたっけ?彼女だけで結構です。
 いえ、彼女だけでも十分つらいでしょうがお願いします。
 彼の、あなたのお兄さんの状況を教えてあげてください。」
「わかりました。じゃあ私帰ります。」
「はい。一緒に頑張りましょう。」
「はい。」


180 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:41:46.60 ID:u3b+2lCf0
明るい顔で励ましてくれる先生と別れを告げて、病院の廊下を歩く。
上野さんに伝えなくちゃ。気が重いな。
そう思いながらも電話のあるところまで行くと
―――――ッ!
思い出してしまった。
兄貴がまだ記憶があった時、一階入院したとき、ここで電話してあげたっけ。
その時私に気を使いまくってくれてたなぁ。

そこまで思いだした途端、
「…う、うう……うっう…」
私の両目からは涙がとめどなく流れてきていた。止まらない。
何やってるの!まい!しっかりしなさい!
これから兄貴を支えていくのよ!きっと兄貴は記憶を戻してくれる!
その時まで頑張るって!昨日先生と約束したじゃない!!

自分で自分に喝をいれる。

でも――――――もし兄貴の記憶が戻らなかったら。

そう思うともう駄目だった。
涙が止まらなくなり電話の近くのソファー座り込む。
私は…兄貴がいないとなんて弱いんだ。

「ううっ…う…兄貴ぃ、…わあああああ」

その実感だけが私を…支配していった。》



181 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 07:47:20.70 ID:u3b+2lCf0
こ、これで一区切りです!!

あー。やべえマジで頭痛くなってきました。
なんとか保守お願いします。ROM専の方方も批判の文章でもいいので保守お願いします。
(:_;)

ちゃんと目覚まし通りに起きれたら午後2時頃からまた再開します。(:_;)

まとめサイトの管理人さんへ

一応ここまで書きました。これで自分が起きた時このスレが落ちてたらまた>>141
から載せますのでよろしくお願いします。m(_ _)m


初めてここを開いた方へ。
長くてバカバカしいクソ小説スレを開かせてしまって申し訳ありませんん。
もちよろしければ長いですが見て頂けないでしょうか?
今までのは
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/imo_tutaetaikoto.html
ここに管理人さんがまとめて下さっています。


で、では…すいません。落ちます。す、すみません。また、来ます。


194 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 10:40:31.51 ID:ihiNS/PLO
前に姉と弟の話書いた人なんかね(i)


222 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 14:42:10.72 ID:xiRyYZ1w0
>>1は眠っています、しばらくお待ちください・・・


230 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/29(火) 15:41:06.49 ID:u3b+2lCf0
い、今さっき起きました。1です。
申し訳なかったです。保守して頂いた方々。ありがとうございますm(_ _)m
このままちょっと保守しつづけて書き始めます。
5時頃いっかい区切って連続投下できればなぁなんて思っております。

まさか落ちないで残っているとはwびっくりしました。

>>194
ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/ane_anataga_itakara.html
これですかね?もしこれだったら恥ずかしながら俺が書きました(:_;)

では、書く作業に戻らせてもらいます。


232 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 15:48:41.07 ID:xiRyYZ1w0
>>1が復活した


233 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/29(火) 15:59:06.81 ID:u3b+2lCf0
しゅ
>>232
どうもです^^保守ありがとうございます!


254 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/29(火) 17:53:29.34 ID:u3b+2lCf0
病院で目が覚めてからかれこれ3か月が過ぎた。
もういつもどおりの生活だ。
「おにいちゃん?起きてー!仕事遅れちゃうよ!!」
「う、うーん?」
「んもう!しっかりしてよね!最近少しだらけすぎよ!?ふふっ。」

ベッドの中で最後の抵抗を試みる俺の肩を揺らして俺の妹、である可愛らしい女の子は
そう元気に言ったあと。一瞬考えるしぐさをしたのち――――

「んもう!…ふふっ、えいっ!」
「うおぅ!」
俺の上に乗っかってきた。
軽い体とはいえさすがに朝の起き抜けにはキツい。
「ま、まい!や、止めてくれ!!いてえから。」
必死に頼む。
「ふふ、じゃあ起きる?」
「ああ!お、起きる!起きるからどいて!」
「あはは!じゃあ顔洗ってきて!朝ごはん用意してあるから!」
そう言って笑顔でキッチンの方へまいは歩いていく。


「あーあ、ホント何を取ってもいい子なのに
 この起こし方だけは何とかなんねぇかなぁ…はぁ。」

そう言いつつも洗面所へ向かう。




255 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/29(火) 17:59:15.77 ID:im2PzjsW0
マジレスすると健忘症は時間とともに結構直ったりするから医者も最初はそんなに心配しない


256 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/29(火) 18:00:47.38 ID:xiRyYZ1w0
>>255
そーなんだー


257 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/29(火) 18:02:48.46 ID:u3b+2lCf0
病院を退院したすぐの時は、いろいろ何もかもが初めての体験だった。
まず、俺の部屋に可愛い年下の女の子がいる。
んで俺の事を「お兄ちゃん」と呼んでくれる。
俺の下着などを洗濯してくれる。俺と同じ湯船につかる。

何もかもが新鮮に感じた―――と、そういう感想になれば
俺としても結構楽しみがいがあるんだが…なぜかそうは思わなかった。

まるで昔から…そうしてたみたいな感覚に陥ってしまったのだ。

「なんなんだ?」



258 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/29(火) 18:03:13.36 ID:u3b+2lCf0
そういう感覚に陥るたびにいつもそう言っていた気がする。

名前に関してもそうだった。
最初は俺は君、とかあなた、とかで
その可愛らしい女の子の事を呼んでいたんだが、すぐに

「んもう!まいでいいよ!!まいって呼んで?」

そう言ってほっぺをぷくーっと膨らませる彼女を見る羽目になり、
それ以来まいと言う様になったわけだ。
1回言ってしまったらもう違和感は感じなくなってしまった。
向こうも俺の事を最初っからお兄ちゃんと呼んでいた。

1回だけ何かの拍子に「兄貴」と言われた事があった。

その瞬間、なぜか少し懐かしい気がしたんだが…

その時まいはすぐに、間違えて言ってしまった、みたいな雰囲気を出して
すぐに「お兄ちゃん」と言いなおした。
それ以降まいは1度も俺の事を「兄貴」とは呼ばなくなっていた。


259 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/29(火) 18:05:25.34 ID:u3b+2lCf0
そんな事をぼぉっとした頭で思いながら朝飯を食べる。
昔はひとりで全部やっていたから男くさいものしか作らなかったが、
今日俺が食っているのはホットケーキだ。
妹はいっつも朝ごはんを必ず作ってくれていた。
洗濯も当たり前のようにやってくれる。
一独り暮らしだった今までとはえらい違いだ。

「お兄ちゃん。おいしい?」
妹がその可愛らしい瞳を俺に向けながら聞く
「ああ、うまいよ。ははっ朝から豪華だよなぁ。」
「ホットケーキが豪華ってどういう事よ?変なの…」
妹はくすくすと俺を見ながら笑った。

まい――お前が作ってくれたもんは俺の中では何でも豪華なんだよ…

そう心の中だけで言って俺はホットケーキにかぶりついた。


263 名前:1 ◆nvHRXDRbXY [] 投稿日:2008/04/29(火) 18:09:43.98 ID:u3b+2lCf0
正直に言うと…俺は、
この妹、まいに対して時々兄妹としての目で見れない事がある。
つまり――――女として見てしまう事があるってことだ。
だって、しょうがないだろ?
今まで1人暮らしをしてた俺の元に、いきなり妹と名乗る女の子が家に来て
世話を焼いてくれる様になりました。これ、なんてエロゲ?
ホントに陳腐なんだが最初に思った事はそんな事だった。
まいはとっても可愛いし、スタイルも抜群だ。
そんな子に対して、何かしらの想いが湧かないのは逆に失礼とも言える。
でも、状況が状況なだけに…なかなか言い出せないでいる。
というか―――言う気ははなからないんだけど。

スーツを着て、玄関へと向かう。後ろからまいがついてきてくれる。
「それじゃあ!今日も行ってらっしゃい!お兄ちゃん!^^」
にっこりと微笑んでそういうまいの顔は本当に、可愛い。

だ、だめだ!こんな事思っちゃ!!やめろ!俺!考えるな!!
ついついまたまいの事をそういう風に考えてしまう自分が嫌で―――。

「お、おう!じゃあ行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」

俺はまいの顔をよくも見ないまま、飛び出して行った。



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