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意地悪なメイド4
54 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:43:35.09 ID:PDPV4y.0
「それより男さん。『前の世界』で災害救助出動はされました?」

「え?」

「中部地方の山岳部で火山性地震が頻発してまして」

「あ……」

「帝国軍が第1級危険地帯の不法居住者をどうするか対策中だそうです」

フラッシュバックする記憶の断片。
それは火山の噴火により該当区画が火の海に飲まれるところ。
そこに住む人々は再三の避難勧告を無視し、そこに住まい続ける。
それを無理矢理にでも撤去しようとする帝国軍。
委員長はそれに必要以上に関わることになり、俺達は……。

「知ってる! 天元山の噴火に俺達は巻き込まれるんだ!」

「さすがですね……まだ山の名前すら言ってませんのに」

では大体の状況は分かっていますね? と前置きをし、

「それに対応できる余力は帝国も国連もありませんから、こちらにお鉢が回ってきそうな雲行きですが」

そう。俺達はあの場所でそこに住む人たちの想いを聞いた。
委員長はそれを是として譲らず、結果として吹雪……俺達の訓練機が二機もぶっ壊れることになる。
さらには命令違反で営倉入りが8日だ。

「戻ってきたのはそれから二日後だった」

「……この時期に二日は痛すぎます。事前に手を打たねば」

「じゃあ、俺達は出撃なし、か」

「今のあなた達は重要な次世代機開発部隊です。余計な任務で機体をダメにでもすれば遅れは二日ではすみませんよ」

確かに、そうだ。けど俺達がいかなければ……あの地の人々は。
いや、出撃しても委員長をあの場所に深く関わらせなければいいのか?
委員長は確か、この地は縁があるとか言っててややこしくなったけど。
それさえなければ少なくとも営倉入りはなくなって……。


55 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:44:10.69 ID:PDPV4y.0
「……」

ダメだ。結局、そこに住む人たちの誰かには会うんだ。
その場合、委員長が動いてしまう可能性は大だ。
やっぱり行くべきじゃない。時間の浪費だけは絶対に、できない。
……全人類の、命がかかっているんだ……。

「不法滞在者は有無を言わさず、今のうちに強制退去させられるか?」

「どうしました? 何か思い出しました?」

「あそこにいる人たちはみんな、あの土地で死にたがってるんだ」

「……」

「それで説得に時間がかかって、結局吹雪を二機失うことになる」

「二機も……」

……ごめん。でも、俺は手段を選んでられないんだ。

「わかりました」

「あのさ、年寄りばかりだから強制って言っても手荒なのは」

「伝えておきます」

「よろしく、頼む」

「ええ、ではさっそく手配をします」

ごめん、みんな。今はこうするしかないんだ……。
全人類と、みんなの都合を天秤にかけることはできないんだ。

「……」

重いため息をつく。
と、イドと目が合い、飯がまだだったことを思い出す。

「と、悪い悪い。んじゃあ飯……だっけ?」

「はい」

「えぇと、馬鹿妹が運ばせたとか言ってたけど……どこに?」


56 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:44:58.20 ID:PDPV4y.0
「ここです」

……。ここ、ですったって。
脳みそ部屋、だよな? ……ここで? 食事?
うそだろ?

「……しゅ、シュールすぎる」

ここで食えと?

「あーん」

……。……えぇぇ。
コポコポ言ってるだけど。お脳様が見てる。……えぇぇ。
しかもなんか脳みその隣で食うのが鯖の味噌煮だろ。……えぇぇ。
あまりにシュールすぎてもはや何もいえない。

「……ああ、だから大丈夫っつったのね。そういうことね」

「はい……あーん」

二人仲良く、お脳様を加えて三人でお食事。
結局食べきったわけだが変な緊張で味なんてわからなかった。……はぁ。




これが終われば実験。その言葉通り、すぐにいつもの部屋に移動。

「今日は昨日よりも長く実体化できるはずです」

「おお! そうなのか」

「電力を余分に回してもらえる算段がつきましたので」

「なるほど、じゃあ後は」

「ええ。男さんの意思次第ですね」

「それは……まぁ具体的に根拠はないから何ともいえないさ。それより俺はイドが心配だ」

実験のたびに倒れてる印象だからな。


57 名前:GEPPERがお送りします [] 投稿日:2010/08/13(金) 07:45:48.99 ID:PDPV4y.0
「大丈夫、です」

「やけに自信ありげですね……ああ、なるほど」

「何となく予想がつくけど、なんだその視線は」

「昨日の間に絆を深めるような出来事でもあったのか、と思いまして」

「……」

「な、何もあるわけねぇだろ!」

おい、イドもイドで顔を赤らめるな! 思い返せ、特に何もないだろ!

「冗談ですよ。それでは本番ですよ。これで成功させてくださいね」

「それくらいの覚悟でってことだな」

「覚悟? そんな甘えは必要ありません。今日失敗すれば装置を破壊します」

「な!?」

「男さん、これはダラダラ引き延ばせる実験ではないのです。今、ここで、やりとげるしかないんです」

「……」

「準備が足りない、力が足りない。様々な理由をつけてしり込みしているものは一生成功なんてありえません」

「……」

「人類を、救うのですよね」

「……ああ」

「その願いを……自身でかなえるのですよね」

「そうだ。俺が……自分で」

その通りだ。出来る出来ないじゃない。
これは俺が『やらなきゃならない』ことなんだ。


58 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:46:32.16 ID:PDPV4y.0
「……結構。ではこれを持っていってください」

「なんだ? この包み」

「向こうに着き次第、向こうの私に渡してください。そして事情を全て話しなさい」

「え? いきなり並行世界とかの話なんか……」

「その包みが証拠。それを見れば『私』は信じます」

「……」

「私が言うんです。間違いなどありません」

「ずいぶん、重たいな」

「それさえ見せればこちらの要求は伝わりますよ」

「……はぁ」

「『私』にならば自分がやったとわかる封をしてありますので、勝手にあけないでくださいね」

「ああ」

「これがうまくいけば00ユニットが完成します。オルタネイティブ5もなくなるんです」

「……ああ」

俺がちゃんと『元の世界』から数式を回収すれば……あんな未来は回避できる。
救われるんだ、この世界は。

『元の世界』のこと……。
冬休み頃、馬鹿メイドとクソゲー大会をしてる頃……。

「それと、むやみに向こうの世界に干渉をしないでくださいね」

「え?」

「向こうの世界では『私』以外の人間と接触するのはやめてください」

「……はい」

「私達がやろうとしていることはこの世界を無理矢理引き伸ばして『元の世界』に突き刺しているようなもの」


59 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:47:11.26 ID:PDPV4y.0
つまり、それは、

「必要以上の無用な接触は『元の世界』になんらかの混乱を引き起こす可能性があるんです。お分かりですか」

「わかった」

懐かしむために帰るのではない。それは全てが終わってからだ。
『この世界』でやることがあってそれをやり遂げるため。そうだ、そのために一旦戻るだけなんだ。

「それで、向こうにはどれくらい?」

「そうですね……3時間程度でしょうか」

「本当か!?」

「どう?」

「……いけます」

馬鹿妹の言葉に力強く頷くイド。
と、そこで気になるのはイドの役目。

「あのよ、いまさらだけどイドはいったい何をやって……」

「今それを考える必要はありません」

「そう、だな」

「では、いけますね」

「ちょっと待ってくれ」

目を瞑り、もう一度イメージを固める。
記憶を辿るんだ。俺が生きてきた世界。そのものを。
思い出すんだ。たった三年……そう、たった三年前なんだ。
ここには基地じゃなくて、学校があってそれが当たり前で。
メイドがいることが当然で、離れることなんて思いもしなかったあの頃。
みんなで騒いで、ゲームやったり勉強したり、楽しく暮らしてたあの頃。
そう、俺の……日常。


60 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/13(金) 07:48:05.62 ID:PDPV4y.0
「……もう、大丈夫だ。いける」

「イドも、用意はいいですか」

「はい」

応えるイドの手には今日も色鉛筆とスケッチブック。

「さあ、はじめますよ」



装置の中央に立つ。
そこから見えるイドはこちらを強く見ている。

「イド、よろしくな」

「……集中してください」

「あ、ああ」

思いのほか強い言葉で促され、俺は意識を内へと向ける。

「では、いきます」

そして世界が歪み……。


「ここ、は」

俺は、校舎裏の、街を一望できる丘にいた。
……そう、あの頃の。平和な街を見渡せる丘に。


63 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/15(日) 03:37:51.02 ID:KZvO2UAO
メ「主様、主様」
男「珍しく新聞読むかと思えばすぐさま止めるんかい」
メ「いや、見てくださいよ。この記事、また児ポ法が出回りそうな気配が」
男「ああ。今度は関西だっけ」
メ「恐ろしいですよね。私美少女なんで規制されちゃう!」
男「発言が時々アウトだもんなぁ。世の為にしばらく臭い飯食ってこい」
メ「毎日食わされてるんですからこれ以上は」
男「嫌なら食わんでいいぞ」
メ「主様って料理普通ですよね。主婦くらい!」
男「そこそこには持ち上げてくれるのな」
メ「しかし油断してはいけませんよ主様。どっちかというとタイーホされそうなのは主様ですからね」
男「なんでだよ」
メ「犯人面ですから。あと私を監禁してるし」
男「出てくか?」
メ「飽きるまでお仕えします!!」
男「誠実さのかけらもないのな」


64 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/15(日) 03:47:40.62 ID:KZvO2UAO
主「おいーす。ただいま、と」
め「おかえりなさいませ。お風呂にしますか。お食事になさいますか。それとも……」
主「フライング気味に最後ので!」
め「た・わ・し? ……なるほど、了解しました。たわしコロッケの準備に取りかかります」
主「不正して先走った俺のばかー!! 待て待て早まるな、ここは穏便にいこう」
め「ご主人。めいど、思うに人生チャレンジだと存じます」
主「う、うん」
め「こんな格言もあります。男ならやってやれ。男でも、と」
主「余分なパーツ付け足してね? さすがの多ジャンル趣味を誇る俺も未だに踏破してないしだな」
め「つまりチャレンジなさると。チャレンジチャーンス」
主「何をかわからんままになんか確変入った!?」
め「ルールは簡単。二枚の内、片方がたわし。片方が身近の世界となっております。さぁ、どうぞ」
主「チャンスカードかと思ったらピンチカードじゃねぇか! 引くけどねー!!」

ピッ

主「……風呂? はっ! つまりは泡姫改めて泡殿コースか! ぜってぇ延長しねぇからな!」
め「では先にお風呂へどうぞ。これよりめいどはコロッケの準備に入りますので」
主「なんかご苦労様です」
め「いえいえ。キャベツを刻んでたわしを盛るだけですので」
主「そこは変わらないのね!?」


65 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/15(日) 06:20:11.90 ID:yMuf8LQo
美・・・・・・少女?


66 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/15(日) 12:28:06.58 ID:u3lsBOco
風呂でたわし?アレだなww
あーでも児ポ法ってことはメイドって天然白板なのか?
でもきょぬーで総じてハイスペックな容姿のはず
( ゚д゚)ハッ!中の人的には児ポ法にひっかかるのがハイスペックな容姿?!


67 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/15(日) 16:16:22.57 ID:OhIHQDgo
中の人がロリペド野郎だったなんて・・・

これは俺らで性癖矯正してやらねば!


68 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/15(日) 16:45:11.39 ID:iO5RV460
男「ああ、きっとメイドはアニメ・マンガの改正法かなんかを言いたかったんだろ」
メ「いいえ。実は私はロリペドきょぬーメイドだったんです!」
男「欲張り設定だな、おい」
メ「更にこの際だから義眼でパツ金でオッドアイで!」
男「そこまで詰め込んだら逆に没個性だと思うぞ」
メ「ほら、主様! ロリきょぬーですよー、えろえろですよー」
男「そこらの女の子よりたっぱあるくせによく言うな」
メ「最近私に対して主様が投げやりです」
男「いつでも欲情してるぞ」
メ「うっわ、きしょい」
男「……どないせいと」
メ「ここは健全に○学生とかに手を出すとか」
男「伏せられてる時点で全然健全じゃないからな」
メ「ちなみに主様の好物はホワイトロリータですよね」
男「おいしいけどな、お菓子のあれ」
メ「メイドロリータ」
男「うん、多分それいかがわしいお仕事だ」
メ「最近は巫女さんとかメイドさんのお仕事に触手と絡むってのがあるって知りました」
男「そういうのが規制されるんだと思うわ」


69 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/08/15(日) 16:52:58.79 ID:iO5RV460
妹「……え? 何、急にスポットあてるとか」
男「いや、恐らく俺の知る中で唯一ロリ属性持ちが妹ちゃんだから」
妹「は? 何そのきしょい単語」
男「う……」
妹「ていうか色々いるじゃん、ちっこいやつなら」
男「大概俺の血縁なんで」
妹「それに手ぇ出すとか?」
男「絶対ない!」
妹「もしくはあれとか」
妹嬢「私はそういった属性ではないです! 多少他者よりもない部分があるだけです!」
妹「あるとこはあるのにな」
妹嬢「付いてません!?」
男「何がとか言ってないのにな。もはやノイローゼの気配すらするぞ」
妹嬢「……うぅ、どうしてこんなことに」
妹「ま、どっちにせよ私がヒロインとかだけはないから」
男「きっぱり言い切られると逆に清々しいもんだね」
妹「私よりあんたのこと、しっかり考えてる人がいるんだから。その人を大事にしな」
妹嬢「そんな……本人を前に言われると困ります……」
男「相変わらず大人びてるね」
妹「まぁなぁ、しっかりしてかないと困るし」
男「……大変なんだ」

なでりなでり

妹「あ、こら!? セクハラで訴えるぞ!」
男「ははは」
妹「……ったく」
妹嬢「……。あ、あの。さらりと流されてる気がしますが、私結構がんばってアピールしましたよ?」





委員長「……姉を差し置いて目立つなんて。なかなかいい度胸をしてるわね、あの子」

ぞくっ

妹(な、なんか寒気が!?)


70 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/15(日) 21:15:21.15 ID:1qrO1sso
見た目ロリペドじゃなきゃ児ポにかからないと思うww
ついでに義眼じゃオッドアイだからどうしたってことに・・・カラコンでやるようなもんだもんよ

なおホワイトロリータよりルマンドのが旨い


71 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/08/16(月) 00:32:40.64 ID:g5Xoc6AO
男「和洋折衷。てな訳でミニ浴衣を改造してメイド服風ミニ浴衣だ」
メ「……うわぁ」
男「まぁそう引くなよ。俺としては自信作なんだぞ。女さん監修だし」
メ「主様は時々フェティシズム満たす為に全力で無駄な頑張りを見せますよね」
男「誉めるなよ」
メ「誉めてねぇよ! ったく……うちん中だけですからね」
男「ああ、十分だ」
メ「はぁ。……お? 珍しく素足でオッケーなんすね。さすが和風」
男「あ、忘れてた。ほい、自作ニーソックス風長足袋」
メ「……だからなんでそんな方向に努力しちゃうかな」
男「仕方ないだろ。売ってないんだから」
メ「むしろ仕立て屋で食ってきゃいいのに」
男「無理無理。女さん見てみろよ。採算あってないだろ」
メ「問題はそこなんすね」
男「よし! 着替えたらせっかくだし花火大会に行くか」
メ「何故そんなイベントを控えてこの仕打ち!? この格好じゃうちから出たくねぇっすよ!」
男「なら女さんと二人で行ってくるか」
メ「行きますけど! 屋台のもんをたかりに!!」
男「よしよし。なら半時間後な」
メ「く……なぜ観衆の中一人コスプレしながら行かなきゃならんのか……夏コミで覚えてろよ!!」
男「うん。女さんとこで売り子する条件で今回これ教えてもらったから」
メ「織り込みずみだったー!?」
男「普段の仕打ちに対する罰ゲームだと思えば軽いもんだろ」
メ「向こうで主様の服をひん剥いてやりますからね」
男「反省の色ゼロかよ……」



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