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新ジャンル「一服」
89 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 08:11:15.53 ID:BFtcteLq0
男「ホットコーヒー」

コンビニの店員「そちらで、よろしいですか?他にご注文は」
男「いいです」
店「147円になりま〜す。……はい、こちら200円のお預かりで、53円のお釣りとなります。少々おまちくださ〜い」

男「……ふぅ」

今週もお疲れ様でした。
レポだの、ゼミだの正直疲れる。
それで、ときどき、コンビニのファーストフードのホットコーヒーに手が伸びたりする。
……近頃、コンビニでも全面禁煙を前面に押し出す店が増えてきた。
はぁ、全国の蛍族(俺含む)になんとなく、黙祷をささげたくなってしまう。

んじゃ、コンビニのコーヒーやめりゃ良いって?
安くて、それなりに美味いから、止めたくても止められるもんじゃねぇっつの。

店「おまたせしました〜」

……ってか、俺は紅茶派だったんだが。


完全にうつったなぁ……と思いつつ、帰り道を辿ることにした。


91 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2007/11/03(土) 08:26:49.95 ID:Q89owpVk0
男「寒くなってきたな……」
女「もう冬だね」

男「何かあったかいものでも飲むか。何にする?」
女「コーラで」
男「斬新だな……ほれ」
女「ありが……ってコレドクターペッパーじゃん」
男「似たようなもんだろう」
女「あやまれ!コーラにあやまれ!」

男「ふぅ……やっぱお茶だな……」
女「ちょーだーい」
男「あれ?Drペッパーは?」
女「投げました」
男「なんて事を」


92 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 08:32:04.78 ID:BFtcteLq0
男「ふ、……あぁ〜」

そりゃ、1週間の疲れだもの。伸びたら、あくびぐらい出ますわな。
……今日は早めに寝るか。

?「おっきな口だね」
男「……いつから?」
女「『ふぁ』から」
男「そうか。んじゃな」
女「ちょい待てちょい待て」
男「俺は疲れた。帰る」
女「だから、待ってってば」
男「俺の布団が呼んでいる」
女「男よ、眠れと轟き叫ぶ。……いや、叫ばないからさぁ!ちょっと、ちょっとだけぇ!!」

なんか、性質の悪いオネーサンのいる店の客引きみたいだった。

男「……」
女「お、とまった。そうそう、おとなしくこっちへ……って、フェイントォォォォおお!?」

このパターン的には、俺が疲れるイベントが待ってるに違いないのだ。
俺はそんな、黄金パターンなんぞ要らない。このパターンを脱却してこそ、真の主人公になれるのでは!?
とかは、思わないが家で布団が待っている。そう、あったかいお布団が。

女「ちょっと、待てって。待ちなさいって。お願いだから。……止まりなさいってば!!」

下腹部に鋭い痛みが走った!!SE的には高い金属音でキーン!!

あ……、やばいわ……。
こん、な、……パターン、も、……存在、し、た、……よな…。


94 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 08:46:42.88 ID:BFtcteLq0
女「と、言うわけで!男さんを助っ人として、今日は喫茶店を運営したいと思います」
男「………」
女「ほら、微妙に内股になってないで、ちゃんと立つ!」
男「お前のせいだ!」
女「それはそれ、これはこれ」
男「くっ……!日本の代表的な言い逃れ慣用句を持ち出しおってからに!」
女「ほらほら、ちゃんと仕事聞かないとダメだよ?」
男「………先生、しつも〜ん」
女「なんですか?」
男「どうして、俺が手伝わなくちゃならんのですか?」
女「男が暇そうにしてたから」
男「……帰る」
女「だから、ちょい待ってってば!!お母さんが同窓会でいないの!お願いだから手伝ってよ〜」

男「なんだ、始めから、そう言えばいいんだよ」
女「んじゃ……手伝ってくr」
男「帰る」
女「待てィ!!」
男「わ、わかった!帰るのは止めるから、その足を振り上げるのを止めてくれぃ」

こう、下腹部がヒュッ↑となる行為は止めて欲しい。俺の未来の子供のためにも。

男「というか、女の子がそうそう、ポンポン蹴るもんじゃありません!!」
女「……」

蹴った感触を思い出したのか、女はちょっと赤くなった。
……恥ずかしいなら、蹴らなきゃ良いのに。


97 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 09:05:04.39 ID:BFtcteLq0
男「っつか、そうそう喫茶店て、素人が手伝えるもんなのか?」
女「だいじょぶ、だいじょぶ。いつもどおりなら、今日は後4人のお客さんが来て終わりだから」
男「……このお店、大丈夫なのか?」
女「いやぁ……、何故か、傾くどころか、地盤が揺れる事すらないのがうちのお店の七不思議のひとつだったり」
男「お母さんは偉大という言葉を思い出した」
女「……私も」


男「まぁ、それだけ把握できてれば、どんなサービスが喜ばれるかぐらいわかるだろ?」
女「お母さんには、一応メモ貰った。20分後に1人と、一時間後に2人。閉店間際に1人みたいね」
男「……なんという、スケジュール管理の良さ」
女「料理の下ごしらえはしてあるから、男は最初のお客さん出迎えてね。で、料理出来たら厨房入って、皿洗いお願い」
男「んじゃ、それまで、接客用語教えてくれよ」
女「よし、私を先生と呼んで良いぞ!」
男「……」
女「う……、……ちゃんとついてきてください。マジでお願いします」
男「……はぁ〜。……んじゃ、やりますか」
女「おぅ!」


98 名前: ◆ftDY.hjzxY [] 投稿日:2007/11/03(土) 09:15:39.19 ID:ErppNuSeO
夏の終わり、何故か女宅――と言うより例の喫茶店にだが――に入り浸っていた。
親の敵か何かに対する呪詛のようにすら思えてくる日差しにも負けず。
何というか、らしくないとは思いながらも足繁く喫茶店に通う日々。
課題を渡しに行った日以来、行かない日は毎日電話が掛かってくる訳で……。

女「おはよー」

もう昼前だとは言わない、言ったところでもう一度おはようと言われるだけだ。
まぁ確かにこんにちわはどこか他人行儀な気はするけれど。

ああとかうんとか適当な返事をして女の対面に座る。
最近は日がな一日この喫茶店で女と過ごすのが日課になっている。

母「ごめんなさいね、毎日呼んじゃって」

男「ああ、気にしないでください」

他に予定もないし、心の中で呟いた言葉が心を深く突き刺した。
思わず机に突っ伏してしまう程に。


99 名前: ◆ftDY.hjzxY [] 投稿日:2007/11/03(土) 09:19:01.29 ID:ErppNuSeO
母「あらら」

小さな笑い声が聞こえる、笑いたければ笑うが良いさ。

母「それじゃ、お願いね」

何をお願いされたのか、女のことだろうか?

男「あ、はい」

行ってしまった。
毎日通えば顔見知りも出来る訳で、あ、あの人また来てるよなんて思いながらアイスティーを口に含む。
なかなかに繁盛しているのは店の雰囲気だけの問題でもない訳だ。


100 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 09:19:36.55 ID:BFtcteLq0
女「男くんに質問です」
男「うぃ?」
女「接遇七大用語ってわかりますか?」
男「………フォアグラとキャビアとトリュフ?」
女「……え〜、接客七大用語とは、お客様に良い印象を与え、お客様だけでなく、スタッフ同士や、友人、そして、家族でも、人間関係をスムーズにする素敵な言葉なんです!」
男「お〜、なんか、接客業をやってるだけはあるわ。なんか、女がまぶしく見えるぜ。で、具体的には?」
女「いらっしゃいませ。はいっ!かしこまりました。少々お待ち下さい。お待たせいたしました。恐れ入りますが。申し訳ございません。有難うございました。の七つ」
男「あ〜、大抵は使ってるわな」
女「これだけは最低限覚えれば、あとは多少、素が出てもフォローできるから、ちゃんと覚えてね?」
男「……あと、10分で?」
女「そ。頑張って!ファイト♪」
男「……」
女「あ、あと、一番大切なのは笑顔よ笑顔!いつもの仏頂面はNGだからねぇ!!」

男「うぅ、……やっぱ、帰りたい」


101 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 09:29:12.80 ID:ErppNuSeO
そして運命の日、と言えば大袈裟過ぎる、だらだら続く俺の人生の一節。
別に劇的に何かが変わった訳でもない。
紅茶を出される側がコーヒーを出す側に変わっただけの、そんなきっかけの日。

母「男くん、女」

それは突然やってきた。

男「どうしました?」

女「なにー?」

母「今日バイトの子が風邪引いちゃったらしくてね、ちょっと手伝ってくれない?」

今、なんと?

男「はい?」

母「それじゃ、これ着て」

渡されたのはエプロン、俺のはデニムで女のはチェックの。

男「あ、あの」

母「それじゃお願いね」

行ってしまった、お願いして。
何だろう、有無を言わせない早業はもう一度女の母なのかを疑わせるに十分だった。
気がしなくもない。


102 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 09:30:32.40 ID:BFtcteLq0
女「もう、時間ないわよ!もう、一服してる時間は無いからね!」
男「う、うぃ!」
女「……ぷっ!」
男「わ、笑うな。これでもなんとか」
女「大丈夫。」
男「え?」
女「なんとか、するって思わなくて大丈夫。いつもの態度をちょっと丁寧にすれば良いだけなんだから」
男「お、おぅ」
女「あと、返事は『はい!』ね?」
男「は、はい」
女「んじゃ、そろそろお客様来るからね!」
男「はい!」
女「……襟曲がってるよ?」
男「え?マジで?」
女「うっそ♪」
男「う……」
女「はい、そういうときこそ笑顔でしょ!」
男「は、はい!」
女「んじゃいきますか!」
男「はい!」

カランコロン

女・男「いらっしゃいませ!!」


103 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 09:43:11.85 ID:ErppNuSeO
結局手伝うことになった……まぁ始めから断るつもりはなかったけど。
でもこれが案外大変だった……と思うのは今までバイトの一つもしたことがなかったからだろう。

客「兄ちゃん」

男「はい」

この人は確かサンドイッチとコーヒーを頼んで三十分程で帰る人だったか。

客「最近よく女ちゃんと居るけど彼氏か何かか?」

これはゆゆしき問題だ、年齢=彼女いない歴の経歴に傷がつきかけている。
守ろうとも思わないが。

男「いえ、違います」

客「そうか」

その店に居た、もしくは来たお客さん全員に聞かれたのはどういうことなんだろう?


104 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 09:44:24.83 ID:BFtcteLq0
男「……はぁ〜、疲れた」
女「あはは、お疲れ様。表にある掛札、返してきてくれる?」
男「了解」
女「……あははぁ、なんとか終わったね」
男「最後のお客が3人も連れてくるなんて、思ってもみなかったしな」
女「いや、材料がちょうどすっからかんになるのは、お母さんすごいと思う」
男「偶然かも知んないけどな」
女「その冷や冷や感で、厨房で手に汗握っちゃったわよ」
男「俺もなんか、無性に疲れた。特に精神的に」
女「お客さんの前であたふたする男は初々しくて良かったよ?www」
男「あれで、精一杯だっつの。もう、なんてお客さんに声かけたか覚えてない・・・」
女「あはは!今日は、お疲れ様でした」
男「お互いに」


105 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 09:56:46.84 ID:BFtcteLq0
グゥ〜……

女「あ、あはは……。男もお腹すかない?」
男「そういや、……腹減ってるな」
女「厨房にはもう食材無いから、家の方に行こう!」
男「あ?ああ、店のほうじゃなくてか」
女「うん。んじゃ、ちょっとそこの階段上がると、居間に出るから、そこでくつろいで待ってて。靴はそこで脱いでね?」
男「ん〜、わかったぁ」


106 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 09:58:36.65 ID:ErppNuSeO
昼過ぎから夕方、閉店まで働いて、何故か働いた気がしなかった。
注文を取った数より女の彼氏なのかと聞かれた回数の方が多かったし。

母「お疲れ様」

男「あ、お疲れ様です」

女「お疲れー」

そう言えば女が予想外に甲斐甲斐しく働いていたのを思い出して吹き出しそうになってしまった。
家が喫茶店なんだから以前にも手伝いをすることもあったんだろうけど。
流石に失礼だろうと必死に笑いを堪えていると、

母「はい、男くん。今日1日分のお給料」

毎日お邪魔になっていたし悪いので貰えないと断ったが良いの良いのと渡された。

女「あー、私にはー?」

なんて言ってる女は放っておいて礼を言うと、

母「今ちょっと人手が足りないのよね、良かったらここでバイトしない?」

こちらも女はスルー、流石だと言っておこう。

男「考えておきます」

母「じゃあ明日からね」

即採用だった、しかも本人の予定に関係なく。まぁ予定ないんだけどね。


107 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 10:06:30.28 ID:BFtcteLq0
男「うぅ〜、1週間の疲れに慣れぬバイト。う〜、もうダメだ〜……」

俺は、居間につくと一番柔らかそうなソファに頭から突っ込んだ。

男「……柔らかい」

何処までも沈みこんでいきそうなくらい柔らかいソファは、俺をゆっくり眠りにいざなう。

男「……でも、女が夕飯作ってくれてる、し」

もう、食欲も睡眠よくも相まって、自分が良くわからなくなってきた。
お腹は空いてるけど、良い感じの疲労感でもうこの体勢から動きたくない。

男「ねむ、いし、……はら、へったなぁ」

なんか、境界線が見えてきた。ああ……、そこから落ちれば、意識が飛んじまう。
でも、気持ちよさそう……だ、なぁ。

男「かゆ……うま……」




108 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 10:14:20.32 ID:BFtcteLq0
女「男!パスタでき……たよ、って」

男「zzz」

女「……寝てるし」

女「なんだよ、人がせっかく男のために作ってきたってのに」
女「私の飯が食えないのか〜……」

男「zzz」

女「……しゃあねぇなぁ。気持ちよさそうな顔して寝てさ」
女「……えと、……あ、毛布毛布」

男「zzz」

女「…んじゃ、明日また、作ってやるから。今度は食べろよ?」

男「ありがと」

女「ん?」

男「zzz」

女「……寝言か。……こっちこそありがとな?」
女「おやすみ。男」

パチン


109 名前: ◆ftDY.hjzxY [] 投稿日:2007/11/03(土) 10:16:11.02 ID:ErppNuSeO
今更な気もするけど
>>86
好きなように書いてくれたら嬉しいんだぜ
それぞれ一服出来れば良いなと思うし


110 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 10:25:10.58 ID:BFtcteLq0
男「ホットコーヒー」

コンビニの店員「そちらで、よろしいですか?他にご注文は」
男「いいです」
店「147円になりま〜す。……はい、こちら500円のお預かりで、353円のお釣りとなります。少々おまちくださ〜い」

男「……ふぅ」

今週もお疲れ様でした。
……特に先週慣れない運動をしたせいで余計に疲れた。
結局あの後、起きたのは朝でもう既に、女の家には女の姿は無かった。
小母さんが、俺を起こしてきたときにはたいそう驚いたもんだが。
そのあと、小母さんが用意してくれたボンゴレを食べて、家に帰った。

小母さんに気持ちばかり(それでも少しと表現するには多い)バイト代を貰い、女の家を後にした。
それにしても、女のやつどこ言ったんだか。小母さんと話す話題といえば、女のことばっかだから、どうにもいづらかった。

店「おまたせしました〜」

さってと、今日は真っ直ぐ帰るか。


112 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/11/03(土) 10:35:29.62 ID:BFtcteLq0
男「ふ、……あぁ〜」

?「おっきな口だね」
男「……いつから?」
女「『ふぁ』から」
男「そうか。んじゃな」
女「ちょい待てちょい待て」
男「俺は疲れた。帰る」
女「だから、待ってってば」
男「俺の布団が呼んでいる」
女「しかし、誰も来なかった」
男「……」
女「……」

女「また、お願いしたいんだけど」
男「今度は?」
女「先週と同じ内容。お母さんが言うには、6人だって」
男「……夕飯は」
女「もち、用意するよ。」
男「今度は女も一緒だろ?」
女「結構一緒だと思うけど」

男「しょうがないな」
女「あは!さっすが!」

俺は女の店へと足を向ける。
今度は、睡眠欲よりも、食欲が活用に努力しようか。
まぁ、その前に、自分が浮かべる愛想笑いの仕方を思い出しながら、
今回は前よりも、上手く出来ることを革新しながら、木漏れ日の差す、駅前の通りをくぐった。



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