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今頃魔王ってのもないようです
95 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:18:30.07 ID:ySQGmT6e0
〔翌朝……〕

魔子「ぅーん結局釣りをしても魚は一匹も釣れない……」

魔子「街に買い出しに行くしかないか……気が重い」


× × ×

〔ラダトームの城下町〕

商人A「はい見てって見てって! 珍品・貴重品が目白押しだ!」
商人B「新鮮な肉だよ! 滅多に手に入らんよー!」
商人C「ちょいとそこいくお兄さんよ! こいつを見てってくれよ、この干し肉はウマいぞぉ」

魔子「(コソコソ……)」

魔子「(街の奴らに俺だとバレたら大騒ぎだからな、買い物も命がけだぜ)」

魔子「(お、鶏肉が安い……! 最近メタボってきたしな、牛肉よりもこっちの方がカロリーが……)」

魔子「(く、立ち止まって話をしてるおばん共が邪魔で手がとどかねぇ……!)」

× × ×


買い物客A「ねぇ、それで聞きました? 昨日の夜の……」

買い物客B「えぇ聞きましたわよ、怖いですわぁ」


96 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:19:52.71 ID:ySQGmT6e0

魔子「あ、あの、ちょっと……(コソコソ」


買い物客C「あら奥さん達、商人達が噂してるアレの話?」

買い物客A「えぇ、奥さんも聞きまして?」


魔子「(聞きまして? じゃねぇよどけよババア共が……)」


買い物客C「本当に恐ろしい世の中になったわぁ」

買い物客B「ほんと、ダムドーラが立った一晩で壊滅するなんてねぇ……」


魔子「!?」



97 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:21:29.77 ID:ySQGmT6e0
>>96

ダムドーラ→×

ドムドーラ→○


98 :VIPがお送りします [] :2009/08/07(金) 04:23:13.04 ID:vhjitKOc0
誤字の多さが相変わらずで安心したよ


100 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:28:25.38 ID:ySQGmT6e0


魔子「(ドムドーラ……!?)」


× × ×

魔法使い「いいですか? まずはですね……私はドムドーラ出身の魔法使いっていいます」

× × ×


魔子「まさか……いや、あいつはドムドーラから来たんだぞ、帰ってるわけ――」


× × ×

魔法使い「すぐにでも追いかけたいですが、この先は私一人では辛いですね」

× × ×


101 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:31:24.05 ID:ySQGmT6e0

魔子「―――ええい!」


 ドンッ

買い物客A「きゃっ」
買い物客B「ちょっとどこ見てんの!」
買い物客C「あ、あの……あの子頭に角が生えてるわ!」
買い物客A「え!?」
買い物客B「ま、魔王の子孫だわ! 魔物よー! みんな、魔物よー!!」

男A「お、お前性懲りもなく忍び込みやがったな!」
男B「取り押さえろ!」


魔子「えぇいどけ!」


男B「うわっ!?」
男C「おい、逃げるぞ!」
男A「捕まえろ!!」


 ダダダ!

 魔子は にげだした!




103 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:39:23.48 ID:ySQGmT6e0
>>98
いやぁ面目ない面目ない



104 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:40:08.37 ID:ySQGmT6e0
× × ×

〔ドムドーラへ……〕

 まち は やけのはら に なっている……

 たてもの は くずれ
 じめん は えぐれ
 まっかな ひのて が あちこち から 上がっている

町人A「一晩経っても火が消えん……」
町人B「もうダメだ……この炎では、建物の下敷きになった者ももう……」
町人C「東の一帯は壊滅だ……あちこち血と焼死体だらけだ」
町人D「むごすぎる……あまりに……」

魔子「はぁはぁはぁ……」

魔子「(魔法使い、どこだ――――!?)」


105 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:42:48.54 ID:ySQGmT6e0

魔子「はっ」

× × × 

魔法使い「…………」

 魔法使い は くずれおちた いえ の まえで へたりこんでいる

× × ×

魔子「魔法使い!」

魔法使い「…………」

魔子「おいアンタ、しっかりしろ!」

 魔子は 魔法使い の かた を ゆさぶった

魔法使い「…………」


108 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:47:34.15 ID:ySQGmT6e0

魔子「おい、大丈夫か? あんたは無事か?」

魔法使い「ひどい……」

魔法使い「ベッドは見つけたんです……」

魔子「え?」

魔法使い「おばあちゃんの使ってた……ベッドだけ、瓦礫の下に埋まってるのが見えて……」

魔法使い「掘り起こそうとしたけど、すぐに火の手が回ってきて……」

魔法使い「大きな竜が吐いた炎が……街を飲み込んで、あっという間に……」

魔子「…………」



109 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:48:49.73 ID:ySQGmT6e0
魔法使い「ひどい……」

魔法使い「私は確かに、人間です……」

魔法使い「……あなたを苦しめ、いじめ抜いた人間です」

魔法使い「でも……でも、こんな事……こんな事していいの……?」

魔法使い「起き上がる力もないおばあちゃんを潰して、焼き殺すなんて……」

魔法使い「こんな事、こんな事……」


111 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:49:30.50 ID:ySQGmT6e0




魔子「――――」





112 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:53:16.75 ID:ySQGmT6e0

町人A「魔法使いさん、大丈夫かぁ?」
町人B「今そっちに行くからな! お隣の人も動くんじゃないぞぉ!」

× × ×

魔法使い「……行ってください」

魔子「え? しかし」

魔法使い「この町は魔物に襲われたんです。そんな町に、あなたがいたら――――」

魔子「……」

魔法使い「行ってください」

魔法使い「――私の前から、消えて」


魔子「……」



113 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 04:57:44.85 ID:ySQGmT6e0
〔魔子自宅へ……〕

魔子「(俺があの町を襲わせた訳じゃない)」

魔子「(俺に何の落ち度がある?)」

魔子「(あいつが怒りの矛先を向けるのは――――やっぱり俺が魔王の子孫だから
じゃないか)」

魔子「(勝手にレッテルを貼り付けて、俺に怒りをぶつけてるだけじゃないか……!)」

魔子「(だが、なんだ……なんでこんなに気に病んでいるのだ、俺は)」

魔子「……ただいまー」

魔子「じいさま、わるかったな。食事が遅れちまった」


揺れる椅子に座る老勇者「――――」


魔子「すぐ飯を用意するからな。な、じいさm――」

老勇者「――――」

魔子「――――じいさま?」



120 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:04:39.96 ID:ySQGmT6e0

魔子「おい、じいさま? どうした、なんか様子が……」

 魔子 は 老勇者 に かけよった!
 老勇者 は ぐったり と くび を かたむけている!

魔子「じいさま、おい! ――――ッ!?」

 老勇者 の むね に ふかぶか と ナイフ が 刺さっていた


魔子「おいウソだろ……! じいさま! おいじいさま!!」




122 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:07:13.49 ID:ySQGmT6e0
魔子「虫の息じゃねぇか……! おい! すぐに僧侶を連れてくるからな! ちょ、ちょっと
待ってろよ!」

 魔子 は かけだした!
 しかし、 その手を 老勇者 に つかまれた!

魔子「!」

魔子「おいじいさま! 手を――」

魔子「(なんて力だよ――ふりほどけねぇ!?)」



老勇者「せかいに――」



老勇者「世界に――危機が ふたたび 訪れん」




124 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:12:50.28 ID:ySQGmT6e0

魔子「!?」

老勇者「魔子……」

 老勇者 は ゆび を さした!
 食器棚 を 指す!

老勇者「ためらうな ……ただしいことは 既に もう わかっている……」

魔子「じいさま……?」

老勇者「――――」

 魔子 を つかんでいた 手 から 力 が ぬけた

魔子「! じいさま! おい、じいさま!!」


魔子「そんな……そんな……こんな事が……」



125 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:19:57.46 ID:ySQGmT6e0

魔子「たのむよじいさま……あんたに受けた恩の十分の一も返せてないんだ……」

魔子「勝手に死ぬなよ……!」

× × ×

魔子「…………」

魔子「(……誰が)」

魔子「(誰がこんな事を……!)」

魔子「……ドムドーラが襲われたのは、オーブを集めようとしてた魔法使いがいたから」

魔子「じいさまを殺したのも、同じ理由か……!」

魔子「許さんぞ、決してッ!」


126 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:27:52.16 ID:ySQGmT6e0

× × × 

魔子「(……じいさまは最後に何を指してたんだ?)」

魔子「(食器棚……魔法使いがもぐってたところか?)」

魔子「ん? 引きずったような跡が……」

魔子「……よし」

 魔子は 食器棚を うごかした!

魔子「あ! 穴が開いている……」



127 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:28:36.72 ID:ySQGmT6e0
× × × 

〔地下へ……〕

魔子「明るい……どこかから光が漏れてる」

魔子「よし、奥へ――」

魔子「……これは」

 魔子 の まえ に ふるびた 宝箱 が あらわれた!
 魔子は ゆっくり と 箱 を あけた!

魔子「剣と、鎧――じいさまの装備か」

魔子「(…………)」

 魔子 は 剣 を 光に かざす!

 剣 は 美しい ひかり を 刀身 に 宿した!



129 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:32:49.05 ID:ySQGmT6e0
〔ドムドーラにて……〕

魔法使い「……」

町人「魔法使いさん、ほれ、お水を」

魔法使い「あ……ありがとうございます」

町人「大変だとは思うけど、しっかりなさってな」

魔法使い「はい……」

町人「じゃ、私らは消火に戻りますから」

魔法使い「…………」


魔子「魔法使い!」

魔法使い「!」

魔法使い「魔子さん!?」







130 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:39:50.55 ID:ySQGmT6e0
>>129

〔ドムドーラにて……〕→×

〔翌日、ドムドーラにて……〕→○


131 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:41:30.16 ID:ySQGmT6e0

魔子「あったぞ、オーブだ」

 魔子 は 青色の 宝石 が はめこまれた くびかざり を てにしている

魔法使い「え?」

魔子「じいさまが死んだ」

魔法使い「!」

魔子「あんたイイ勘してるよ。食器棚の下に隠し部屋があって、そこに装備と一緒において
あった。死に際に教えてくれたよ」

魔法使い「……」

魔子「なぁ。あんたの代わりに、オーブは俺があつめる」

魔法使い「……同情はやめてください」

魔子「確かに昨日あんたを見た時は、憐れだとしか思っていなかった」

魔子「だが今は違う。さっきじいさまを埋めてきた。俺は本気だ」

魔法使い「……」



133 :VIPがお送りします [] :2009/08/07(金) 05:42:52.94 ID:WsU3qe9L0
面白い


134 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:49:37.72 ID:ySQGmT6e0

魔法使い「あなたは……信用できません。魔王の子孫ですから」

魔子「そうだろうな。しかたがない」

 魔法使い は 首 に 手をかけた!
 首飾り を はずし、 片手 に のせた!

魔法使い「元々これは、私の仕事です。あなた一人に預けるわけにはいきません」

魔法使い「行きましょう。一緒に」

 魔子は 魔法使い の 手に オーブを もった 手を 重ねた!


魔子「よし、世界を救うぞ――魔王と落ちこぼれでな」

 二人は かお を みあわせ

 にやり と わらった!



135 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 05:50:52.83 ID:ySQGmT6e0
とりあえず今日の投下はここまでええええええええええええええええええええ

つき合ってくれてありがとおおおおおおおおおおおおおおおお


136 :VIPがお送りします [] :2009/08/07(金) 05:53:19.71 ID:WsU3qe9L0
なんだってえええええええええええええええええええええええ

乙!
あんたの書き方好きだ!!


137 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/07(金) 06:05:32.60 ID:ySQGmT6e0
うわあああああああああ読み返したら暗ええええええええええええええええええ

次からは一気に明るくなるから許してください!

あとポロリもあるよ!

お風呂の街が舞台になるから!


138 :VIPがお送りします [sage] :2009/08/07(金) 06:08:53.24 ID:ExBp+m3Y0
お風呂と聞いて


139 :VIPがお送りします [] :2009/08/07(金) 06:13:04.80 ID:aJfcG8fVO
ドムドーラからマイラって結構距離あるな


142 :VIPがお送りします [] :2009/08/07(金) 07:21:20.00 ID:KsZST7wxO
ベタだが面白い


151 :VIPがお送りします [] :2009/08/07(金) 12:54:07.59 ID:vhjitKOc0
またvip落ちたのか


212 :VIPがお送りします [] :2009/08/08(土) 13:27:02.16 ID:mUDd8Qy3O
黒幕は勇者の子孫か


214 :1 ◆kmZtCE0ADw [] :2009/08/08(土) 14:14:37.99 ID:dM8upMh20
うわあああああごめん!

このスレ落としてっていうの忘れてたorz


でもせっかくだからちょっと続き書こう!



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