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妹「兄さん、もう寝ませんか?」
- 79 : ◆j3vp2NYuuE []
:2008/08/07(木) 12:37:05.45 ID:VW1Mlm+D0
ただいまノシ
酉なんてつけたことないからよう分からん これでいいのか?
- 81 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/07(木) 12:38:57.62 ID:9y5S8lVQ0
おkおk
カモン来い
- 82 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 12:44:06.61 ID:VW1Mlm+D0
よっしゃじゃあ書くか
視線の先にあったのは、紛れもない、妹に擬態した――シーカーだった。
道の真ん中に立つシーカーは、俺たちを見てにやりと口元を歪ませると、タクシーに向かって走ってきた。
運転手「うおっ!」
妹「きゃっ!」
兄「危ない」
あまりに突然の出来事に、慌ててハンドルを切った運転手が運転を誤り、街灯に車体を接触。
運悪く車はそのまま横転し、シャッターの閉まった雑貨屋に突っ込んだ。
激しい衝撃が俺と妹を打ち付ける。
- 84 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 12:48:53.99 ID:VW1Mlm+D0
兄「けほっ・・・ごほっ・・・」
煙の立ち込める車内で、何とか身を動かすと、横転の瞬間庇った妹の姿を見る。
妹「うぅ・・・っ」
何とか無事なようだった。
兄「そうだ、あいつは?」
シーカーはまだそこにいるはずだ。早く逃げなければ。
その時、運転手が横転した車の上方のドアを開け、車から這い出した。
運転手「いたたた・・・一体何がどうなってるんだ」
兄「いけない! 車から出ちゃ駄目だ!」
- 85 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 12:54:24.71 ID:VW1Mlm+D0
運転手「え?」
しかし、既に遅かった。
パァン。
運転手「あ。」
運転手の額に風穴が開き、血が噴き出す。運転手はきょとんとした顔のまま、静かに事切れ、動かなくなった。
兄「くそっ・・・」
シーカー「兄さん、みっけ」
車の外から、静かに呟くシーカーの声が聞こえてきた。
そして車体が微かに揺れ、何かが車体を這いずり回るようにのぼってくる音。
上方の、ひびの入った窓に目をやった。
そこに、蜥蜴のように張り付くシーカーの姿があった。
右手に握っているのは妹と同じ銃。ここに逃げ場はない。
兄「くそ・・・まずいぞ・・・」
- 86 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 13:00:23.12 ID:VW1Mlm+D0
シーカーは俺を見つけた喜びからか、口元が裂けんばかりににたりと歪ませた。
シーカー「兄さん、あは、ふふふ、うははひ」
ごつり、と窓に銃口をあて、俺に狙いを定めた。
兄「終わりか・・・」
妹「まだですよ」
いつの間にか、朦朧とした意識から回復していた妹が、横で銃を構えていた。
そして躊躇うことなく発砲。耳が張り裂けそうな銃声が数度響く。
弾丸はシーカーの頭部に全て命中した。
シーカーはおおよそ人間のものとは思えないようなノイズに近い悲鳴を上げると、驚異的な素早さで車を離れていった。
妹「今です、兄さん! 逃げましょう!」
兄「ああ!」
- 87 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 13:05:46.34 ID:VW1Mlm+D0
上方のドアを蹴破ると、俺は一目散に外へ転がり出た。
後にすぐ妹も続き、周囲を見回す。
どうやら、シーカーはどこかへと逃げていったようだ。
妹「アシがなくなった以上、ここからは徒歩で急ぐのが賢明かと」
兄「またタクシーは?」
妹「同じ目に合う確率が高いです。シーカーは学習しますから、次はもっと効率的に殺しにかかって来るでしょう」
兄「くそっ、どうすりゃいいんだ」
妹「兄さん、悪い知らせがあります」
兄「この状況よりもか?」
妹「弾丸が、今ので尽きてしまいました。つまりは撃退する術がなくなったということです」
兄「なんだって?」
- 88 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 13:11:34.24 ID:VW1Mlm+D0
妹「シーカーの身体能力は人間を遥かに凌駕します。
今は回路に欠如がある分、無駄な動きも多いですが、それをカバーしてしまうほどの学習能力もまた、同時に備え付けています」
兄「くそっ、じゃあ打つ手なしか」
妹「とにかく、今無線信号で待機中の仲間にこちらに向かうよう緊急信号を送りましたから、こちらも合流ポイントまでもうとにかく走るしかありません」
兄「そうだ、ヒッチハイクをしよう、そうすればまだ・・・」
妹「今ヒッチハイクをして、こんなぼろぼろの二人組みを快く乗せてくれる人などいないように思いますが。
それに、その一般人までまた巻き込んでしまう可能性も」
兄「それじゃあどうしても走るしかないってのか」
妹「こうして会話をしている時間すら惜しいです。あれが復活してまた襲ってくる前に、早くしないと」
- 89 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 13:15:53.82 ID:VW1Mlm+D0
その時だった。俺の視界に、あるものが映り込んだ。
兄「そうだ、あれを使おう」
妹「え?」
俺はそういって、近くに停めてあったバイクを指差した。
妹「ですが、鍵はどうするのですか?」
兄「任せろ」
俺はそういってバイクに近づき、友から教えてもらった特殊な方法でバイクのエンジンをつけた。
妹「凄い・・・」
兄「乗らないか?」
妹「はい! 兄さん」
- 90 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 13:21:58.03 ID:VW1Mlm+D0
そして無断借用したバイクで、持ち主には申し訳ないと思いながら妹の言う合流地点までバイクを駆ることにした。
旧商店街を抜けた先は、しばらく両脇を水田に挟まれた広い一本道だ。
バイクを走らせていると、背後を見ていた妹が、不意に言った。
妹「兄さん・・・もう、兄さんて呼んでもいいですよね?」
兄「!」
そういえば、必死に逃げることだけを考えていたので、いつの間にか兄さんと呼ばれていることに気が付いていなかった。
兄「あ、ああ・・・さすがに、命の恩人だしな」
妹「ありがとうございます・・・兄さん」
兄「さっきは悪かったな。疑ったりして」
妹「いいんです兄さん。分かってもらえたならば、それで」
心なしか、胴に回した妹の腕の力が、少しだけ強くなったような気がした。
- 91 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 13:22:43.09 ID:VW1Mlm+D0
さて ちょっくら昼飯くってくるわ
- 94 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/07(木) 13:57:10.60 ID:9y5S8lVQ0
コレホントに初めてかよ
読みやすいぞ
- 95 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 14:12:08.58 ID:VW1Mlm+D0
妹「兄さん! 後ろ!」
妹の強張った声に、ミラー越しに後ろを見ると、とてつもない速度で駆けてくる人影があった。
兄「クソッタレ! なんて野郎だ! 妹、しっかり摑まってろ!」
ぎゅっと抱きついてくる感触を確かめると、俺はアクセル全開のフルスロットルで一本道を飛ばし出した。
- 96 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 14:15:20.82 ID:QUkjZoSI0
兄「時速60kmで追いかけてくるッ!」
妹「まさか・・・スタンドッ!!」
- 97 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 14:17:32.76 ID:VW1Mlm+D0
しかし、
兄「なん・・・だと・・・」
人影――シーカーとの距離は開くどころか、ますます縮まってきていた。
つまり向こうは、全速力のバイク以上の速度を出しながら追いかけてきているということだ。
兄「くそ、バケモンが!」
悪態をついていると、妹が叫んだ。
妹「兄さん危ない! 右側へ!」
咄嗟に右側に車体を傾けると、風を切り裂く音が耳元を掠めた。
そして、やや前方のアスファルトに、小さな土煙が上がった。
兄「何がなんでも殺す気か!?」
妹「兄さん! 左へ!」
左に車体を傾ける。すると、先程と同じことが今度は右で起きた。
- 98 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 14:22:32.83 ID:VW1Mlm+D0
兄「うおおおぉぉぉ!」
右、左、右、左、何度もギリギリのところで弾丸を回避し、その間にもバイクとの距離を詰められていく。
距離が詰められていくごとに、その分相手の照準の精度も上がってくる。
妹「兄さん、あと少しです。あと少しで合流地点に――」
兄「ここを逃げ切れれば・・・」
パァン
妹「あぁっ!」
兄「どうした! まさか、妹!? しっかりしろ! 妹ォッ!」
- 99 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 14:29:15.07 ID:VW1Mlm+D0
妹「・・・っ、大丈夫、かすり傷だから」
兄「・・・ンの野郎ォ・・・」
そして、それを境に銃撃はなくなった。どうやら、シーカーの方も弾切れらしい。
しかし、詰められた距離はもはや絶望的だった。
シーカーがもう少しで、手を伸ばせば届く。
しかし、そこで天恵はあった。
?「ヘイ、ブラザー、滑り込んできな!」
拡声器越しのその声が前方から響いてきた。
妹「良かった! 間に合いました! 仲間です!」
兄「仲間か!」
- 100 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 14:36:23.73 ID:VW1Mlm+D0
仲間らしき男は拡声器を放り投げると、かわりに地面に置いてあった円筒状の無骨な鉄の塊を担ぎ込んだ。
?「頭を下げな!」
俺と妹は言われるがままに首を屈め、車体に低く張り付いた。
次の瞬間。
バシュッ、という射出音と共に、黒い塊が俺たちの頭上すれすれを駆け抜けていった。
そして。
特大の爆発音と共に、雪崩のような爆風と爆炎が巻き起こった。
?「ローストになりな」
そう呟く声を、仲間らしき男とすれ違う瞬間に聞こえた気がした。
- 102 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/07(木) 14:40:52.30 ID:yPUx7/r+O
>>95
> 兄「クソッタレ! なんて野郎だ! 妹、しっかりdQまってろ!」
ちょwww
- 103 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 14:43:00.51 ID:VW1Mlm+D0
勢い余って道路のしばらく先にいった俺たちに、燃え盛る炎を背景に近づいてくる仲間らしき男。
兄「ん?」
それは、よくみれば、どこかであった気がした顔だった。
兄「って――お前まさか、友か!?」
友「よぉ、兄さんよ」
ニヒルな笑みを浮かべ、友がウインクを投げた。キザな野郎だ。
兄「友・・・お前まで・・・どうしてだ?」
驚愕に打ち震える俺に、肩を竦めるだけの友。
友「説明は後だ。とにかく、今はあいつから逃げんとな」
兄「何?」
友「まさか、今のでくたばったなんて思っちゃいないだろうな。どっこいあいつは生きてるはずだぜ。
こんなもんじゃあ殺せねぇ」
- 104 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 14:47:25.99 ID:VW1Mlm+D0
おいおいマジかよ>>102
俺のパソじゃあしっかり表示されるんだが・・・なんてこった!
兄「嘘だろ?」
友「だといいがね」
すると、炎の中から、小さな機械の駆動音が聞こえてきた。
友「ほーら、やっこさんが目を覚ましたようだぜ」
妹「急ぎましょう。コードabe、兄さん」
兄「コードabe・・・だと・・・?」
彼は今、つなぎを身に纏っていた。
兄「アッー・・・」
- 105 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 14:53:19.81 ID:O7Rw+Zw60
abe「やらないか?」
- 106 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 14:53:35.39 ID:QSmFDF5I0
>>105
?はいらねーよ
- 107 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 14:54:40.32 ID:VW1Mlm+D0
友「そこに俺のバンが停めてある。急ごう」
道の脇に止めてあった黒いバンのドアを開けると、俺たちはそれに乱暴に乗り込み、運転席に座った友がバンを急発進させた。
友「天井低いから、頭ぶつけんなよ!?」
兄「もうぶつけた!」
アクセルを限界まで踏み込むと、バンは道を突っ切っていった。
ようやく炎の中から抜け切ったシーカーは、今や服は焼け爛れ、妹の身体のまま一糸纏わぬ煤けた姿となっていた。
シーカー「逃がしてしまいましたね、兄さん」
ぽつりと呟きが漏れた頃、そこへパトカーがサイレンを鳴らしてやってきた。
パトカーの中から警察官が降りてきて、シーカーの肩を叩いた。
警「キミ、大丈夫か? この事故は一体なんだ?」
- 109 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 15:01:43.12 ID:VW1Mlm+D0
シーカーはゆっくりと警官の方に向き直ると、静かに警官を見た。
シーカー(トレース・・・開始)
警「おい、キミ、大丈夫か? さては事故のショックで――」
シーカーの視界全体に、様々な分析情報が表示、羅列される。
そして、分析が完了したところで、シーカーは急に警察官の手を取った。
シーカー「ふぇ・・・ふえぇ・・・」
警「大丈夫か? 今、病院に連れてってやるからな。親御さんは?」
シーカー「ぐすっ、ねぇ、おじさん」
警「どうした?」
シーカー「おててがね、痛いの。だからちょっと、座らせて欲しいの」
警「そうか、それじゃあ、パトカーまで行こう」
シーカー「うん、ありがとおじさん」
- 110 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 15:05:52.90 ID:yPUx7/r+O
警察ピンチ
- 111 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 15:13:36.93 ID:VW1Mlm+D0
警「どれ、どこが痛いか見せてごらん」
シーカー「うんとねぇ――ここ!」
そういって指差した腕の先から、鋭利な突起状に変形した骨が飛び出し、警官の眼球に直撃した。
警「ぎゃあああぁっぁ!」
目元を押さえ込む警官の指と指の間から幾筋もの血が流れ落ちる。
シーカー「そうね、おじさん、脳漿を頂戴?」
そういって、シーカーは警官の頭部を恐ろしい力で掴みあげると、顔が背中を向くほどに頭を捻じ曲げた。
ゴキリ。
嫌な音が響き、男の意識が消し飛んだ。
しかしそれでもシーカーは頭を捻じ曲げるのをやめない。なんと、頭を捻りすぎて、頭部が一周してしまった。
シーカー「アハッ、アハハッ!」
ごきり、ごきり、ごきりごきりごきり。
既に人間としての限界を超えるほどに何度も首を捻られる。警官はとっくに事切れているというのに、まだ止めない。止める気配もない。
- 112 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 15:19:00.11 ID:VW1Mlm+D0
皮が破け、血がしぶき、骨が飛び出して、鮮血がシーカーの全身を染めても、まだ止めない。まだまだ止めない。
そして。
ブチリ。
警官の首は、とうとうねじ切れてしまった。
シーカー「うへっ ふひひっ」
狂気的微笑とともに、肉体から荒々しく離された警官の、真っ赤に染まった顔を見た。
シーカー「それじゃあ、脳漿を頂きます」
そういって、シーカーは潰れてぐちゃぐちゃになった右目と、恐怖に見開かれた左目を指でまさぐり、神経を断ち切り、顔から引き抜くと、そこにぽっかりと開いた二つの空洞に指をかけた。
- 113 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/07(木) 15:19:53.27 ID:wvdesfCY0
・・・・ちょっと洗面所行ってくる
- 114 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 15:20:29.93 ID:VW1Mlm+D0
うわ・・・こりゃグロだな。この先の描写はちょっと止めとくか
- 115 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/07(木) 15:21:36.82 ID:hbsofpsU0
おいおい俺の好きな展開じゃあないか
- 116 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 15:27:37.08 ID:VW1Mlm+D0
男の鼻骨にあたる部分を両穴に入れた指で挟みこむと、シーカーは男の鼻骨を(ry
※以下、解剖医もゲロを吐くような残酷な解剖シーン※
- 117 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 15:32:10.62 ID:VW1Mlm+D0
ぐちゃぐちゃ
シーカー「ふう、美味しかった。御馳走様」
どさり。
道路に、シーカーにすっかり脳漿を食い尽くされ、中身のなくなった頭部が転がり落ちる。
口元から滴る血を拭い取ると、シーカーは警官への擬態を始めた。
ゴキ、ゴキリ。
身体全体が歪な音を立て、形を変えていく。
そしてものの数分もしないうちに、シーカーは妹の姿からすっかり警官へと成り代わっていた。
手や足を動かし、動作を確かめる。
全体的な損傷率はさほど高くなく、これなら稼動に問題ないと、シーカーは行動を開始した。
- 118 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 15:34:04.00 ID:GudMhFNV0
文章ならグロも大丈夫だ
- 119 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 15:36:05.41 ID:VW1Mlm+D0
首の無い警官の胴体から衣服を剥ぎ取り、身に纏う。
次に腰のベルトに吊り下げられた鍵の束から車のキーを探し当てると、エンジンを入れた。
車の動かし方は、警官の脳を食したことによる海馬吸収で体得していた。
シーカーの驚異的な学習能力には、このようなものもあるのだ。
シーカーはにやりと口元を歪めると、バンの走り去った方向へ車を発進させた。
- 120 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 15:46:43.26 ID:VW1Mlm+D0
妹「このまま、例の研究所までお願いします」
友「あいよ!」
数十分後。俺たちの乗ったバンは県境の山の中腹にまで来ていた。
兄「どこに連れてくつもりだ?」
友「それはついてのお楽しみさ」
兄「相変らずいけ好かん奴だ」
友「ちげぇねぇ、ワッハッハ!」
兄「ワッハッハ!」
妹「なんなんですか貴方たちは」
- 121 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 15:50:58.87 ID:VW1Mlm+D0
友「ところでこいつを見てくれ、どう思う?」
そういって、友はバンを山間の大きな白い建物の前に停めた。
兄「すごく・・・大きいです・・・」
妹「着いたようですね」
妹がバンのドアを開け、外に降りると、俺もそれに倣った。
正面がガラス張りの、一見すれば何か福祉施設に使用されるような印象がなくもなかったが、どこにも人影は見当たらなかった。
妹「ここが、研究所です」
友「さあ、行こうぜ兄さんよ」
二人に促され、俺は建物へ近づいていった。
- 122 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 15:53:57.21 ID:VW1Mlm+D0
近くで見ると、小奇麗な建物が改めて壮観だった。
妹「恐らく、ようやく兄さんに全ての真実をお話しすることが出来るかと」
兄「ああ、助かるよ」
建物の入り口の前で、妹がポケットから取り出したカードを入り口脇のセンサーに翳すと、ロックの外れる電子音がした。
妹「中で、博士がお待ちです」
兄「博士?」
妹「この事件の顛末の、鍵を握ってらっしゃる方です」
- 123 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 15:59:31.65 ID:VW1Mlm+D0
やっべ酉つけわすれったwwサーセンwww
友「博士はあのシーカーの開発総責任者でだな・・・」
?「そこから先は私が直々に話そう」
凛とした、しかしどこか冷ややかな美しい声。
建物の奥の暗闇から、高らかなハイヒールの靴音が響いてきた。
妹「博士・・・」
兄「博士? この人が?」
博士「初めまして兄君。私が、擬態型暗殺生物兵器「シーカー」開発総責任者の博士よ」
そういって、白衣を着たハリウッド女優のような美貌の博士が、握手を求めてきた。
- 124 :VIPがお送りします [] :2008/08/07(木) 16:05:16.67 ID:yPUx7/r+O
兄君が兄弟に見えた
- 125 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/07(木) 16:05:29.08 ID:HCe23Apc0
戦場のヴァルキュリアのイサラ思い出した
- 126 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 16:06:36.49 ID:VW1Mlm+D0
友「博士、今度お食事に行く件はどうなりました?」
博士「ああ、あれは急な学会絡みの用事が飛び込んできたから、取り消してはくれないだろうか」
友「(´・ω・)」
博士「それよりも兄君、キミはまったく事情を知らぬままに、よくここまで来てくれた。感謝の意とともに謝罪を送ろう。申し訳なかった」
博士はうつむき、続ける言葉もないようだった。
兄「いや、いいですよ、その、無事でしたから」
腹部をさする。未だモルヒネが効いているのか、痛みはない。
妹「・・・兄さん、どうして、あったばかりの博士のことはそうあっさりと信じるんですか?」
兄「え?」
妹「兄さん・・・ひどいです」
本人を前に大胆なとか、そういうことを抜きにして、兄は困惑した。なんだ? 何故妹は怒ってる!?
- 127 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 16:11:31.63 ID:VW1Mlm+D0
友「はっ、にぶいね兄さんはよぉ」
兄「うるせぇ、殺すぞ」
博士「ともかく」
博士はこほんと咳払いし、チラリと俺を見た。
博士「その・・・償いを・・・させてはもらえないだろうか?」
兄「償い? 償いってなんですか?」
博士は身体をもじもじさせ、赤面している。なんだ、何が起きようとしている?
妹「兄さん?」
見ると、妹が恐ろしい剣幕で俺を睨み付けていた。
兄「な、なんだよ?」
妹「いえ・・・色気に乗らないでくださいね、とだけ」
兄「は?」
博士「兄君、その、私と・・・交際関係を、持ってはもらえないだろうか?」
兄「え――はぁあ!?」
- 129 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/07(木) 16:14:55.83 ID:VW1Mlm+D0
兄「なんでそれが償いなんですか!?」
博士「ひ、ひどい! せっかく勇気を出して告げたんだぞ、兄君?」
兄「大体、何でそういうことになるんですか? 普通もっと別な形の恩赦を・・・」
妹「あー、その辺はですね兄さん、今回の事件と密接な関係を持っていまして・・・あーもう博士、早く兄さんに全てを教えてあげちゃあ下さいませんか?」
博士「分かった。では兄君、順序が逆になってしまったが、順を追って事の顛末を説明しよう」
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