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意地悪なメイド4.5
797 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [sage;saga] 投稿日:2011/08/18(木) 01:24:55.43 ID:uDEAPtaV0
第36話 「対話/場」


休戦終了まで906秒。残り60秒になれば、作戦は始まる。
侍従長中尉より決起軍に交渉の意思があることを通告してもらい、場を作る。
応じればよし。応じない場合は別プラン……つまり中央突破だ。
勿論、本来のプランも交渉が決裂すれば同じ流れでしかないが。

「……」

傍らから聞こえる呼吸は、緊張をはらむもの。当然だ。自身の命だけじゃない。みんなの命すらこいつは背負ってる。
俺だって正直かなりキてる。けど、こいつに比べるまでもないだろう。それだけ……厳しい状況なんだ。

「寒くないか?」

「心配してくれるのね。大丈夫よ」

見かけや声音は殿下そのもの。けれど、口調に混じる委員長の顔。
これからこいつはこの姿をもって、決起部隊を説得するんだ。気遣いは過ぎるくらいでいい。

「遠慮なく言えよ。俺、強化装備だから調節は……」

「ほら、こっちを気にしてないでブリーフィングに集中なさいな」

「む、ぅ。了解」

しかし、こんなの委員長だって俺は知ってるから分かるものの、知らない奴からすればバレるわけがないだろう。
そりゃそうだ。身体に関して言えば殿下そのものなんだから。
詳しく知るわけじゃないが、存在としては知っている。俺の『元の世界』の知識にも、それはあるくらいだから。

『では引き続きプランAの説明だが……』

それぞれが説得の場に出る俺達の援護と、その後の突破の展開を見据えた配置におかれていく。
交渉のタイムリミットは開始から20分が限度だと指揮官は告げる。
増援の可能性を高めるためにぎりぎりまで時間を稼げ、という指示がついてくるが。
俺達の説得のフェイズで終わらなければ後は突破に向けた采配が主になる。
簡単に言えば俺達を囮にして、今殿下の心を持つ委員長が乗る近衛軍の機体を最優先で脱出させる。
そんなプランの流れだ。当然とはいえ、失敗も十分に前提に入れられてる事に、委員長の顔にいやでも緊張が走る。
当然だろう。自分の肩に多くの、敵味方を含めた命が懸かっていると改めて実感しているのだから。

「大丈夫、お前ならやれる」

「…………」

応える声も、頷く動きもない。でも、俺には信じてやるしかない。
各機がそれぞれ所定の位置へ動く中、ただ声をかけてやることしか出来ない。

「絶対、成功させよう」

「……無論よ」

重く、それでも声を返すだけの覚悟はできたみたいだ。
なら、あとは全力でことにあたるのみだ。


798 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [sage;saga] 投稿日:2011/08/18(木) 01:25:43.14 ID:uDEAPtaV0
「ねぇ、男」

「ん?」

作戦まで残り200秒ほど。残り数分も過ぎれば作戦が始まる。そんなとき。
委員長から小さな声があがる。

「私……」

「うん」

「……」

「……」

何かを言いかけて、けれど言葉は続かない。
コックピット内の電子機器のわずかな駆動音だけが場を満たす中、

「……ううん、何でもないわ。緊張してるみたい。ごめんなさい」

「いいよ。俺だって一緒だ。声、かけて緊張がほぐれるならどんとこい」

「ありがとう……優しいのね」

「こんなときだからな」

「こんなときでないと優しくできないのかしら」

「さぁな。ただ、何だ。うまくいったら……あー、やめだやめ。作戦前にフラグ立てはご法度だ」

「ふらぐ? 旗がどうかしたの?」

っと、そういえばこの世界ではこういう単語の使い方はしてないわな。

「気にすんな。それより、そろそろだ。いいんちょから殿下っぽくなっとけよ」

「そうね。……その旨、承りました」

……っ。声音は元々そうだけど、まるで殿下から言葉を聴いたみたいに感じた。
その一瞬で、こいつが殿下としての立ち振る舞いが出来る、と。何となく俺は直感した。

『女友大尉に告ぐ。私は帝国近衛軍、――」

始まったか。

『応答せよ、こちらは……』

『私は帝国本土防衛軍帝都守備連隊、女友大尉である』

来たか……!

『貴官等の熟慮の結果、聞かせて戴こう』

『この通信は貴官の要求に対する回等のためのものではない』

『では、何のための通信か』

『殿下が直々に貴官と会って話されることを望まれている』

『……それは事実か?』

『貴官が決めればよい。殿下のご要望、疑うも信ずるも貴官次第であろう』

『了解した。手はずを聞こう』

あっさりと信じた。そりゃそうか、相手にとって殿下の言葉といわれれば、何であれ全て信じるに値すること。
何より近衛の人間が殿下の名を使って謀るなど有り得ないという忠義と同義の信用があればこそか。

『殿下お召しの国連軍機に現部隊に在る全近衛軍4機が随伴する』

――な!? おいおい、作戦と違うぞ! 何勝手に増やしてるんだ!!

『国連軍機には殿下の他に衛士が搭乗していることを念のために断っておく』

その後、淡々と落ち合う場所を指定していく侍従長さん。
でも、そんなことは当然……。

『場所は確認した。手筈に従おう。だが接触後、殿下にはこちらで用意する機体にお召し替え頂く。それが条件だ』


799 名前:NIPPERがお送りします(関西地方) [sage;saga] 投稿日:2011/08/18(木) 01:26:10.38 ID:uDEAPtaV0
当然その後、国連軍や米軍の介入を主権侵害とし国連軍機の立会いを断ろうとする。
こんなもの認めれば、敵の手にみすみす殿下を……委員長に渡すことになるぞ!
取引材料として直援機の数を多めに言ったんだろうけど、逆に警戒させたんじゃないのか。
このまま、いきなり交渉決裂になるなんてこと……。

『貴官の主張は理解した。だが、その条件は受け入れられない。その条件は当初の引渡し要求を受諾するに等しい』

殿下がそれをお望みでないがゆえに此度の謁見の運びとなったことを侍従長さんは伝える。
当然、それに対してこちらの目論見でないかと大尉は反論する。
これを侍従長さんは殿下の意思としてこれ以上の争いを望まぬこと、混乱を鎮めるために介入した国連、米軍に対して理解と感謝をされていること。
同属相食む無用な戦いを良しとされず、それに巻き込まれ苦しむ国民を慮る殿下の語深慮に他ならぬ、ということ。
これら殿下のご心痛を理解できぬはずがない相手に、逃げ場をなくすように伝えていく。
心情が近いだけに、提案を受け入れざるを得なくなるように交渉を運んでいく。
数瞬の間があり、大尉からの答えが返る。

『先の条件は撤回する。国連衛士の随伴も認めよう』

『了解。ではこちらも直援を私のみとさせていただく』

『殿下の直援が1機だと? 貴官はそれでも近衛の将校か!?』

そうか! 直援の近衛機を多く言ったのはこのためか!
大尉は最初からこの部隊にいる近衛が全機直援に付く事を当然だと思っている。
だからこそ、心情も思考も理解するが故に当初より少なく提案することで不信感をもたれぬようにしたんだ。

『これもまた殿下の思し召しである。そもそも殿下は貴官等の謁見には警護は無用とまで仰せになっていたのだ』

『……何と』

『されと、先ず貴官の志の真偽を見定め、その上で1機は御供させて戴くよう、私が献策差し上げたまでのこと』

『殿下……』

『貴官を瀬踏みしたことは詫びる。されど1機という由は、貴官を信ずる殿下の御心の証であると知るがよい』

『畏れ多い……』

『ここは殿下のご厚情を賜るがよいであろう』

侍従長さん……殿下のためとはいえ、大尉を騙すとうな事を言うのはつらいだろうな。
きっと、相手の心情に近いからこそ、今回のようにうまく交渉が進むんだ。
殿下という存在が、こちらにいるから。

『委細了解した。では、これより謁見の場に向かう』

『その場には先んじて殿下をお連れする。貴官は私の連絡を待て』

『待て。それでは礼に失する。私が先立ち、殿下をお迎えすべきだ』

『貴官の情意は理解している。されどここは殿下の保安を預かる私の差配に従って頂く』

『成程、了解した。貴官が務めを果たすことに依存はない』

まるで立場が逆だな、これじゃあ。
普通の交渉ごとならば首謀者をおびき出す罠だと疑ってかかるのが当然だ。
それだけ殿下の存在は大きいんだ、この国の人間にとって。

『こちらは2機で出向く。では、貴官からの通信を待つ。以上だ』

でも、だったら。そこまで強い忠誠心をもちながら何故帝都で戦闘が起きた時、素直に停戦できなかったんだ。
こうやって素直に信じて出てくるのも大尉が死に場所を求めているからなのか?
殿下が目の前にいる今、直接話す最後のチャンスと思っているから、なのか?

「……男」

「ああ、いよいよだな」

いや、考えたって仕方ない。
今は目の前に造られた交渉の場に、いいんちょをつれていくだけだ。
そこで真意は全て分かる。きっと。


800 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/08/18(木) 01:53:37.03 ID:BXQl+8hAO
すみません。かなり中途半端ですが一時中断で。
よく考えたら明日始発の新幹線で日帰り出張でした。てへ。
……クソース!


てな訳で続きはその内に。
いいんちょの言いかけた台詞、出自なんかに迫りつつクーデター編クライマックスへ。








メ「いいんちょさんの過去話とかみんな興味ないんでカットでよくないすか?」

委員長「……腸詰めにするわよ?」

メ「そ、そんな台詞言うから扱いヒドいんすよ!?」


801 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/08/18(木) 13:32:07.63 ID:0Oq6u8/ao
使徒になったり魔女になったり忙しいよな


802 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/08/19(金) 01:22:45.79 ID:T3CyLl0AO
委員長「どちらも覚えがないわね」

メ「嘘つけぇ!」

委員長さんの七変化っぷりはもはや平行世界を行き来してるレベル。



どうも。何とか日帰り出張に納めて帰宅な中の人です。
く……もはや新幹線に慣れた身体に……ビクンビクン。
さておき週末には何とか続きを更新したいと思ってますんで期待せずお待ちをば。
今夜は珍しい方を召還して短く一本!


803 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/08/19(金) 01:47:12.12 ID:T3CyLl0AO
母「おっす」

男「……」

メ「……」

二人「「で、出たぁぁぁぁああぁぁああ!?」」

【お盆だし?】

母「何だよぉ、人を幽霊みたいにさぁ」

男「みたいじゃなくて幽霊だろ」

母「ちゃうちゃう。幽霊なんて非現実的なもんとちがうで」

メ「何故に関西弁」

母「気分? ていうか見なさいこの脚線美! どこが幽霊かと」

男「透けてる透けてる」

母「マジで!? 勝負下着だからやっぱ生地が透けちゃうかぁ」

メ「この人、基本的に話を聞く機能が欠如してますよね」

男「お前みたいに悪意をもって無視するのとはまた違うよな」

メ「私のは意地悪ですから」

男「悪意の塊じゃねぇか」

母「てゆーか普段楽屋会話だメタだの言うんならこれくらいサクッと受け入れなさいよ」

男「ごめん。幽霊は反則だわ」

メ「主様のお腹から透けて出てくるなんざメタだろうが楽屋だろうが想像の範囲外ですし」

母「いやぁ、人の股ぐらから出てきやがった奴に仕返ししたくなってさ」

男「それが母親の台詞か」

母「私の肉壺に触れてええのはダーリンだけなの。帝王切開にしとけば良かったか」

メ「結局医者が触るかと」

母「そこはダーリンが手術してくれるから大丈夫って。あ、やべ。想像したら濡れてきた」

男「出来そうなあたり嫌だな」

メ「息子の前でこんな発言するのも嫌ですけどね」

母「なんだよぅ。お前らも乳繰れよぉ。何の為にダーリンを初裏切りしてまであんたを生かしたと思ってんのさ」

メ「それは……その」

男「別に俺達は俺達のペースでいいよ。母さんは母さんなりのペースだったんだし」

母「私のは何回も繰り返しての愛だかんね。主観にして数百年愛され続けて嬉しくない訳ないじゃん?」

男「……そこだけは親父も母さんもすごいと思うよ」

メ「およそ人が持ちえる愛の限界突破してますね」

母「だから私は充分だしあんたに譲った訳だ。そんな訳だしもうちょいくらい素直になんなよ」

メ「気が向けば」

母「かかか。ま、ガキの顔を楽しみに待ってっから。しっかり励めよー」スー…

男「いったか。今頃地獄の物見遊山でも楽しんでる頃だろうな。さて……せっかくだし今夜は」

母「……」ジー

男「早く逝けよ!?」


805 名前:NIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage] 投稿日:2011/08/22(月) 01:45:01.00 ID:71McInxAO
メ「失敗した」

男「むふー。ゴロゴロ」

メ「擬音を口に出し始めたら確実にカタストロフな手前の合図。主様、無駄だと分かってますが言いますよ。しっかりしてください」

男「酔ってなんかないろー!!」

メ「完全にアウトである」

【飲酒】

メ「あの、主様。もうそろそろ休まれてはどうでしょう?」

男「おーい、おぱーいさーん!」

メ「人の胸に向かって話しかけるのは止めましょう。色々と末期ですよ」

男「あんたエラい、エラいよ! 感動した!」

メ「何にだよ。胸の何にだよ」

男「胸厚。……胸熱!」

メ「ダメだ。もはや正常な思考能力が……」

男「おっぱいさーん、どうしてこんなにおっきくなっちゃったんですか〜?」

メ「し、知りませんよ」

男「……」ムスー

メ「な、何をふくれっ面してんすか!? え? 何? 答え方なの?」

男「こほん。おっぱいさーん。どうしてこんなにおっきくなっちゃったんですか〜?」

メ「……ま、真面目にやってきたからや」

男「むふー」ホッコリ

メ「誰が分かるんだよこんな関西ローカルな引越会社CMネタ!? おっぱい関係ねぇし!」

男「よし、行こう! 希望の園へっ」

メ「え、何? 次は何なの!?」

男「いざ往かん。その頂へ。ダイブっ」モフ

メ「ぎゃわぁぁぁあああぁぁああ?! ななななな何を人の胸に顔突っ込んで……」

男「むもも、むむもも」ハフハフ

メ「ぎゃぁぁああぁぁああ!? 喋るなら離れてっ、息が、息が胸に?!」

男「……」スーハースーハー

メ「誰かこの変態を止めろー?!」



数秒後呼吸が困難になり勝手にオチたとか。



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