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妹「お兄ちゃん……中に……!」
260 :怪人・オーストリッチ男 [] :2010/03/15(月) 14:35:26.64 ID:Xu/XV/yXO
〜悪の組織本部五階〜
壁から引き剥がした怪人達には辛うじて息があった。しかし、意識不明の危険な状態である

戦闘員9「ニー(このまま、奴等が行き過ぎるのを許していいんですか!?)」

戦闘員9は押し殺した声で吐露する。暴虐を与える側である筈の悪の組織が、一方的な破壊に抵抗も出来ない
そして何より、目の前で上司を、友を傷付けられた。その屈辱と悔恨を!慚愧に堪えぬ心は狂わんばかりであった

怪人5「だが、あの力を見ただろう。我々では太刀打ち……」

怪人とて思いは同じ。しかし、ただ向かって行っても返り討ち、犬死にになるであろう事は明白である

戦闘員10「ニー(そんな事を言ってる場合ですか!幹部達も倒れ、仇を討つのは我々しか居ないんですよ!
これを見逃がして、何が悪の組織ですか!そのぐらいだったら、無駄死にでも良い、一矢でも報いて……)」

怪人6「いや、倒す方法はあるかも知れん」

怪人5「何か考え付いたのか?」

怪人6「骨を砕かせて肉を掴む。爆発する右手だけに気をつければ……腕一本無くす覚悟で飛び込めば勝機はある」

爆発を凌げれば、常人とさして変わらない妹である。怪人でなくとも容易に仕留められる。問題は誰がその役を担うか……

戦闘員9「ニー(その役目、私に任せて下さい。これだけやられて黙っているなんて出来ません)」
戦闘員10「ニー(いえ、私が行きます。奴等だけは……生かして帰さない……!)」
怪人5「いや、私が引き受けよう。戦闘員を危険な目に遭わs……」

戦闘員9・10「「ニー(どうぞどうぞ)」」

煮え切らなかった怪人5が心を決めた事で、実行役も決まった。言ったからには、取り消しは効かないんです


261 :犠牲になったのだ…… [] :2010/03/15(月) 14:40:34.75 ID:Xu/XV/yXO
女幹部「気を付けろ妹、後ろの奴等が何か狙っている」

不穏な動きを察した女幹部が右前方の妹に忠告する。悠々と歩いているように見えて、その足取りは慎重であった

周囲には二桁を楽に越す悪者、一斉に飛び掛かられたら衆寡敵せず、身動きの取れなくなることは目に見えている

妹は具裏勢臨を極めて不完全な形でしか会得していない。随意に爆発させられる部位は利き手のみである

手始めに二人を血祭りに上げて見せたのも、敵に恐怖心を植え付けて牽制する為の示威行動に過ぎなかった

女幹部が背中を守っても、妹一人ではこの人数を殲滅は出来ない。抵抗を許さない演出が必要だったのだ

女幹部「!」

戦闘員達が吶喊してくる。左廻し蹴りで一人を倒し、右拳でいま一人を撃沈。そして怪人6を左肘で叩き伏せる
だが、女幹部も一連の突撃全ては捌き切れなかった。なおも続いた怪人5が、脇をすり抜けて妹に迫る

待ち構えていた妹の右拳が唸る、―――爆発に手応えはあったが、片腕で受けた怪人は止まらなかった

妹「ち……!」

崩れた体勢で繰り出した前蹴りも、重量と頑強さに勝れる怪人には意味を成さない、逆に弾き返される

女幹部「妹!」

通路に倒れた妹に怪人5がのし掛かり、脚と右腕で上半身を押さえ込む。街でよく見る袈裟固めの状態である

妹「いや……来ないで!」

叫ぶ妹に女幹部は走った。いや、逃げた。脇目もふらず、後ろも見ないで―――。あの言葉の意図する処は……


262 :フォレスト・ジョイント妹 [] :2010/03/15(月) 14:47:50.70 ID:Xu/XV/yXO
激痛と同時に左肘から先の感覚は無くなった。しかし、犠牲を払っただけの事はあった。妹の命は手の届く所に在る

怪人5「ちょろいもんだぜ、そのキレイな顔をフッ飛ばしてやr……あれ?」

サイドポジションに固めたまでは良かったが、攻撃に使える腕がない。悔やんでも悔やみきれない不手際である

――ところで、今日の格闘界では “立ち技系は転がしてしまえ”というのは常識だ

現にボクシングやキック、空手の試合においても、組み、もつれ、倒れたら仕切り直すルールである

しかし妹爆発は本来、立ち技と言っても武道である!!

長い歴史の中で、組みつき倒される事を想定しなかっただろうか!?

本 当 に 備 え は  な い の だ ろ う か !??

        否 ! ! !
  
例 え ば 力 を 制 限 し な い 全 身 爆 発 で あ る !!

全身爆発の使用は、KIK(国際妹機関)の協約で認められていない

しかし!妹にとっては普通の技である!組み付いて体が密着した者を仕留めるのに、これ程適した技もない

完全解放の全身爆発は妹の技の中でも一・二を争う強力な技である。一発でレンガやブロックも粉砕されてしまう

それに向かって体を晒して入っていくには相当なリスクを伴うはずだ

妹が全力で爆発するのは何時以来だろうか……実に数分ぶりの出来事である


263 :シェフ女幹部 [] :2010/03/15(月) 14:55:15.91 ID:qOJKBVBB0
妹の二度目の完全解放で、ついに爽やかな青空まで見渡せる様になった悪の組織本部五階

女幹部「妹!」

スマートな悪者は、命までは奪わないものさ――。倒れ伏した妹に、頃合を見計らって女幹部が駆け寄った

女幹部「立てるか?」

妹「すみません……ちょっと疲れちゃいました」

人間の体というものは、多度の爆発に耐え得る様には設計されていない。妹にも限界が近付いていた

女幹部「謝るな。私は兄に誓った、例えこの身が砕け散ろうとも、お前だけは守る、と。でも、今は少し逃げようか」

妹「え……わ!」

女幹部は妹を右の脇に抱えて立った。そして振り向きざまに、裏拳と廻し蹴りで悪者二人を迎撃すると高らかに言い放つ

女幹部「お前等は何だ?雑魚か?天下に悪名を馳せる悪の組織が、たった二人の進撃に何を手間取っている!
情けない奴等め!ここに宣言しよう、私達は何事もなくこの場を離脱する。さあ諸君、私が逃げるのを止められるかな?」

あらん限りの気勢と胆力で一喝・罵倒、そして更なる蛮勇の予告。それは虚勢であった、威嚇であった

しかし、その響きには真実があった。居合わせた悪者共は完全に飲まれ、戦況は女幹部が支配する

自爆警報が解除された今、本部の悪者は敵を駆逐しに集まってくる筈。だが恐れるな、蹴散らせ

血路を拓くのは不壊の超金属・ションボリウム合金の組み込まれた腕、足りないものは勇気で補えばいい


264 :爆発は1日一時間 [] :2010/03/15(月) 15:01:29.43 ID:qOJKBVBB0
叩き、砕き、潰し、ヘシ折り、引き裂き、女幹部は圧倒的暴力を以て、統制の取れぬ悪者共の包囲を突破して疾駆

無論、無傷では済まなかった。数多の悪者を打ち据えた左腕の皮膚は裂け、流血の下に金属が光る
それでも止まる訳にはいかない。彼女の身体を支えるものは誇りと意志、そして預けられた命の重み

妹「ごめんなさい、私のせいで……そんな……」

女幹部「黙れ。お前を生かすのは私の義務だ」

下らない問答に神経を遣う暇はない。一時の窮地を切り抜けたとはいえ、女幹部は依然追われる立場にあるのだ
戦闘員だけならまだしも、同等の身体能力を持つ怪人を脚力で振り切ることは出来ない。更に前方も警戒する必要がある

女幹部「――!」

二階に着いて角を曲がった女幹部は、20m程先に隔壁が下りているのを目にした。後ろには迫る足音
そこは四面がコンクリートでできた、幅2m程の一本道。悪者共が続々と押し寄せてきている、逃げ場は無い

――だが、策は在る。妹を両腕に抱きかかえた女幹部は、敵を引き付けると再び加速し、隔壁に向かってドロップキック

反動で水平に飛ぶ、呆気に取られて見上げる怪人二十余名の頭上を通過して。問題はない!!15mまでなら!!!

女幹部「二人だと……ッッ、さすがに落ちるな……ッッ」

一瞬で位置を入れ替え、悪者共の背後に着地すると、女幹部は妹を床に下ろした。そして、もと来た角を曲がって引っ込む

女幹部「妹、最後だ。思いっ切りやってやれ!」

妹「はい!」

逃れることはできんッ!貴様等はチェスや将棋や爆弾男でいう、『詰み(チェック・メイト)』に嵌ったのだッ!


265 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 15:03:06.91 ID:wBB1P5At0
>>1はムゲフロ好きそう


266 :私立ジャスティス Religion of Heroes [] :2010/03/15(月) 15:07:49.95 ID:qOJKBVBB0
〜悪の組織本部一階〜
緑「――あれがお前のオトモダチか?いい性格してやがるな……」

怪人の両足首を掴んで振り回し、辺りの戦闘員を薙ぎ倒した緑が、別の怪人と組み合った赤に声を掛ける
悪の組織本部一階広間では、突入した色レンジャーの二人が多数の悪者共を相手に大立ち回りを演じていた

赤「友達じゃねーよ!クソ、あの野郎!」

赤は持ち上げた怪人をボディスラムで沈め、取り巻く悪者を目線で牽制。そして緑の言葉に答えた

兄がこの血煙舞う戦場に颯爽と現れたのは数分前、群がる怪人と戦闘員を物ともせずにかき分けてきた

そして、引き連れて来た悪者共を赤達に譲り渡し、そのまま一人で何処かに去っていった

おかげ様で色レンジャー達は、倍に膨れ上がった敵の中、更なる苦境に追い込まれる次第となったのだった

緑「ま、良いんじゃねーの?どーせ全員ブッ倒すつもりだったんだ、まとめて来ようが同じだろ」

緑は襲い掛かる戦闘員を右ラリアットで撃退、その後ろの怪人を延髄切りからのフランケンシュタイナーで成敗

赤「だが、何やら釈然としないモノが、な」

怪人の背後を取った赤は、腰をホールドして引っこ抜き、投げっ放しジャーマンで集団に叩き付ける

緑「ガタガタ言わずに腹ァ括れ。そんな拳じゃ、誰も守れやしないぜ!」

赤「まあ、判り易いのは大歓迎だな。……これは戦いじゃない、断罪だ」

考えるな、動け。手の触れる全ては敵だ。破壊と破滅、此処に身を置く限り、それだけを体現すれば好い
倒せ!壊せ!滅ぼせ!死んだ悪者だけが良い悪者だ!―――貪欲な正義は、悪を喰らい尽くすまで満ち足りない


267 :一つだけ言える真理がある。「悪は黒に染まれ」 [] :2010/03/15(月) 15:13:22.89 ID:qOJKBVBB0
〜悪の組織本部地下三階〜

怪人7「つい先程……女幹部を追っていたB組6、7班からの通信が途切れた……」

怪人8「一階では色レンジャーと交戦中だが、かなりの被害が出ているようだ。しかし、何故奴等が女幹部と!?」

敵の放った最初の一手で幹部は全滅し、態勢を整える間もなく追撃と奇襲。指揮系統が正常に機能する筈もない

情報は錯綜し、戦局は混迷を極める。最も冷静でなければならない司令室でさえ、事態の把握も覚束ない

しかし、本部内各所から寄せられる報告は断片的でありながらも、時間の経過とともに悪化する状況を浮き上がらせた

怪人9「あの爆発の原因は女幹部の連れている少女だというが……どういう事だ?」

怪人7「爆発する少女―――確か、怪人襲撃事件の犯人がそうじゃなかったか?」

怪人8「だが、犯人は今日捕まえられて来たアイツだろう?」

兄「漆黒に選ばれし男の体制への逆襲だ」

怪人達「「「貴様は……いつの間に……!?」」」

兄「お前等は何も知らなくて良い。ガイアが俺に、闇に紛れろと囁いている」

あんな事やそんな事、多くの苦難を乗り越えて、大半は他人に押し付けて、兄は自爆装置のある司令室まで辿り着いた

誰がどう動こうと、誰の意思が働こうと、彼が此処に立った事に比べれば取るに足らない些事に過ぎない

兄の仕事は誰より地味で何より重要。他の悪者や正義の味方は光、対する兄は影。そして真の悪者は、闇の中に生息する


268 :悪の錬金術 [] :2010/03/15(月) 15:20:51.95 ID:qOJKBVBB0
女幹部「すまんな妹、服を血で汚してしまった」

暗い部屋に座る妹と女幹部。怪人共を爆砕した二人は、悪の組織本部二階の一室に潜んでいた

人事尽くして天命を待つ――全力で戦った、出来る務めは果たした。後は兄を信じるだけだ

妹「いえ、そんな、大丈夫ですよ。コレ兄のですし……それより私の方こそゴm……」

女幹部「私に謝るな。謝罪というのは加害者の権利だ。お前が私に危害を加えたか?違うなら頭を上げろ」

妹「すみm……そういうモノですか」

強くあろうとする女幹部は、自分が被害者となることを断じて認めない。故に謝罪を受け入れることもあり得ない
絶対的加害者でありながら、被害者の感情をも支配する。それが彼女の理想とする究極の悪者像なのである

女幹部「それと、悪者相手に軽々しくそんな言葉を口にするな。たった一言でお前は罪人になる、その意味を考えろ」

罪とは過ちの結果である。しかし、悪者はそれを過失の結果としてではなく、目的に対する手段として実現させる
また、罪の代償は罰であるが、悪者の原則は等価交換ではない。一の弱みから可能な限りの対価を引き出そうとするものだ

妹「……凄いです。悪者って奥が深いんですね。もっと聞かせて下さい!」

何やら嬉しそうな妹は、この機会に、女幹部を通して悪者という生物に関する見識を深めようとしているのである

女幹部「何を勘違いしている?お前に教える事など無い。悪者の行動は例外なく損得に結び付く。お前を守ったのだって、
単純な契約関係があったからだ。兄が私を信じ、私が兄を信じた。そしてお前には守るだけの価値があった、それだけの理由に過ぎん」

妹「勉強になりました!ありがとうございます!」

女幹部には妹を教育しようとする気など毛頭ないが、その説明は図らずも、妹にとって格好の教材となるのだった


269 :ハッピーエンドの条件は [] :2010/03/15(月) 15:26:25.87 ID:qOJKBVBB0
女幹部「いや、出来れば感謝も止めてくれ。――まったく、お前達は兄妹揃って変な奴等だな」

女幹部は困惑の表情。妹は一流の悪者から、学び取れることは全て吸収しようという気概を見せる

甚だ未熟だが、悪たらんとする志だけは一丁前。女幹部はそんな悪者と接したことが無かった。強いて挙げるなら兄か

妹「私とお兄ちゃん、似てますか?」

少々ムッとした様に口を尖らせる妹。自分と兄を同列に語る女幹部の物言いは心外であった

胸に抱く本当の悪、その姿はまだ判らないけど、少なくともそれは、兄とは違う形の悪者の筈だからだ

女幹部「根元的な話だ。悪者とは、気が付いたらなっているモノであって、
目指す存在では決してない。ま、そういう人間が居ても面白いとは思うがな」

悪になりたくてなるんじゃないなってしまうのが悪者。それは自ずから帰結する状態であり、通常なら目標にはならないのだ

しかし、自ら望んでその存在に成る者が現れたとしたら、それこそ真の悪と呼ぶに相応しい、純粋な邪悪の誕生であると云えよう

妹「もう決めました。立派な悪者に、私はなる!」

女幹部「この世界は厳しいぞ?私とて、まだ道半ばといったところだ。―――む!」

“自爆装置ガ起動サレマシタ……”――本日二度目の自爆警報が響く。それは兄による勝利の報告でもあった

女幹部「さ、行くぞ。脱出だ!」

妹「はい!」

お姫様抱っこで女の子を救い出す役を演じるのが、悪者であっても問題は無かろう。ヒーローの条件は……最後に立っていることだ


270 :怪人・ウルフ少年 [] :2010/03/15(月) 15:34:12.88 ID:qOJKBVBB0
〜悪の組織本部一階広間〜

赤「――さあ来い!倒される為に立ち上がれ!立ち向かえ!負けて死ね!!」

悪者共「―――ッッッ!」

事務的に屍の山を積み上げる色レンジャー達を取り囲む悪者。そこには、感覚も感情も言語も思考も必要ない

混然一体の中に共有する一つの意思があった。戦闘員は血であり、肉であり、怪人は骨であり、臓器であり―――

悪の組織の残存戦力は一個の身体として、侵入した異物の排除に当たる。それは闘争ではなく、至極自然な反応だった

細胞が磨り潰された、神経は切り刻まれた。それでも集団は呼吸し、脈動し、一体となって躍動した

その狂乱に自爆警報が水を差す。しかし、起こりかけた動揺の発作は、数秒の静寂を経て収束に向かった

一度目が誤報であったことが、彼等の危機感を薄れさせ、正常な対応を取る為の意識を阻害していたのだ

兄「――そうして、嘘吐きさんを信じなかった人々は、羊をオオカミに食べられてしまいました、とさ」

混沌の傍らを通過した兄は、二階の窓から降ってきた女幹部と合流し、裏門に待機している同僚Dの元へ向かう

その後、兄と妹は同僚Aの用意した車で、最寄の駅まで送り届けてもらう予定になっていた

――脇役達は舞台を去り、主役として残されるのは、悪の組織本部と正義の味方。その結果だけが世に出れば良い

この一件は、『復活した色レンジャーが悪の組織を壊滅させた事件』として処理されなければならないのだ

正義は常に勝ち、真実はいつも一つ。その結論を余所に、強かな悪者の暗躍は裏世界でひっそりと幕を閉じる


271 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 15:37:52.92 ID:9Q3w+oql0
よんでてアツくなるな。


272 :最終話 願い事ひとつだけ [] :2010/03/15(月) 15:40:54.11 ID:qOJKBVBB0
〜街〜
18時過ぎ、兄妹は駅を出て歩く。同居人ごと悪の組織本部を爆破した兄は、今日一晩実家で過ごすことにしていた

妹「で、これからどーすんの?仕事とかさ」

兄「そんな先のことは分からない……ま、何でも出来るさ。本部と戦ったことに比べれば、転職なんか全然大した事じゃない」

息を深く吸い、煙を天に吐き出す兄。自分を手に入れた彼は、もはや自由を恐れない。闇に葬り去られる事実が生きる力になってくれる

兄「――しかし、今日は悪かったな。あんな危ない事させて」

そろそろ家も見えてきた頃、兄が暗黙の沈黙を破る。街灯の光に照らされた妹は、血まみれの酷い有り様であった

妹「お兄ちゃん知ってる?悪者相手に謝っちゃダメなんだよ。自分に非があるって認めたら、
どんな事を要求されても文句言えなくなるんだって。だからさ、一つだけお願いを聞いて?」

妹は屈託なく笑い、受け売りの理屈を披瀝する。それが悪者としての小さな第一歩。しかし、妹にとっては大きな飛躍である

兄「女幹部さんに教わったのか?あの人は凄い、俺も悪ってモノをあの人から知った。でも俺は、女幹部さんとは違う悪を目指す」

“この世に悪の栄えた例しなし”大嘘である。其処彼処の、闇に、影に、暗がりに、人知れず悪の花は咲く
そして兄が思い定めた至高の悪とは、姿を現さず、害を為していることも人に意識させない悪者なのだった
その存在すら悟らせない様な。――例えるなら、羽音を立てず、血を吸ったことさえ感知させない蚊の如き悪である

兄「――そんで?その頼みってのは何だ?」

妹「うん……IDの数だけ腹筋してね」 
    
妹の戦いは終わらない。立派な悪者となり、兄を倒すその日まで。斬り拓けない道はないんだッ!よっしゃあああッッ THE ENDォオ!!


273 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 15:43:50.87 ID:qOJKBVBB0
ハイごめんなさい。腹筋スレでした〜。

しかし、イマイチ伸びなかったな。やはり長編腹筋スレの時代は終わったのか……

だけど最後まで読んでくれた人、ありがとねん

痛みを知らない子供が嫌い。

心をなくした大人が嫌い。

優しい釣りスレが好き。

バイバイ。


274 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 15:44:51.74 ID:9Q3w+oql0
まさかの釣りスレ。
多分皆見入ってんだと思う。さて逝ってくるか・・・


275 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 15:45:44.61 ID:2AKax84Z0
こんな釣りなら大歓迎だわ

さて、イってくる


276 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 15:47:40.70 ID:wBB1P5At0
>>1の才能がヤバイ


277 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 15:49:13.42 ID:X5gTpJ1y0
凄い面白かったよふんふん!


278 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 15:53:38.58 ID:/6WKqLQ/0
釣りだったのか
まぁ>>1


やってくるか


279 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 15:54:48.66 ID:cQRUbKVC0
スレタイ見たときから腹筋スレだと思ってたよ

>>1


280 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 15:55:30.37 ID:bBSzz8jL0
>>1


281 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 15:58:54.73 ID:81fY3LeR0
>>1の才能で俺の腹筋がヤバい


282 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 16:09:02.30 ID:TrKyahrl0
楽しかった ありがとう


283 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 16:15:49.29 ID:ikzLrriO0
>>1面白かったよ
さて腹筋するか


284 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 16:22:40.49 ID:TUtBrKEs0
引き出しが多すぎる


285 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 16:44:44.27 ID:ijZZMunc0
なんとなく開いたのに面白かった
>>1乙IDちぇっく


286 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 16:45:14.64 ID:kEzdE/7A0
釣りwwwだとwwww
フンフンフンフン



287 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 17:04:54.56 ID:740v6wc70
書籍化決定だな!


288 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 17:22:49.23 ID:8Ds5DjwA0
>>1
楽しかったぜ


289 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 17:59:54.07 ID:7fqpaaLR0
>>1
腹筋してくる


290 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 18:37:31.18 ID:1gQnubz20
>>1乙!
素晴らしく面白かったぜ、これはもう腹筋するしかねえ!


291 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 19:23:21.05 ID:EkvODXKq0
会話の部分に散りばめられたネタがすべて解った。

ありがとう>>1最高だったぜ ! !

    〜>>1先生の次回作にご期待下さい。〜


292 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 19:24:10.92 ID:G3pOIwXu0
読み耽ってレス出来なんだ


293 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 20:07:40.49 ID:wBB1P5At0
読んでるうちにどんどん投下されてレスどころじゃなくなるんだよな


294 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 20:42:19.49 ID:PPDFOgyC0
久々に満足できるssだったわ


301 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 23:41:04.54 ID:j3v9+vNLO
そこらのSSより面白かったわ



302 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/15(月) 23:42:37.44 ID:rEVrQ19w0
乙!
楽しかったよ!
すがすがしい腹筋だ!!


303 :VIPがお送りします [] :2010/03/16(火) 00:17:17.70 ID:nwhrTbZB0
時々ブロントネタが使われてて笑ったわw
そして最後の落ちに吹いたww


309 :VIPがお送りします [] :2010/03/16(火) 05:12:18.04 ID:82OoVOux0
とりあえず妹至上主義者、悪女好き、ご悪党フェチ、ヘタレ萌えもでは読んだ


311 :VIPがお送りします [] :2010/03/16(火) 07:56:06.07 ID:UKH5DsGC0
読み応えのある腹筋だった


312 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/16(火) 10:27:45.10 ID:9qGdiOiZ0
まだ読んでないけど乙



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