■戻る■ 下へ
妹「お兄ちゃん……中に……!」
247 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 13:17:12.38 ID:qOJKBVBB0
〜翌日悪の組織本部五階会議室〜

幹部C「女幹部はまだか?」

幹部B「こちらに向かっているとの連絡はあった。じきに来るさ」

14時前、悪の組織本部幹部達は会議室にて、怪人襲撃事件の犯人を連れて来る筈の女幹部を待つ

机が『コ』の字形に並べられ、上座に幹部B、左右にAとCが座る。そして悪の紳士の後ろには同僚D

同僚D「……」

同僚Dは女幹部を信じる。しかし、希望を祈ることしか出来ないなら、それは何も出来ないも同じである

予定時刻が近付くにつれて神経は硬直し、椅子に体が貼り付く様な感覚に卒倒しそうになるのだった

――その日、悪の組織本部は通常業務も行われず、朝から物々しい緊迫感に張り詰めていた

敷地門や建物入り口、更には通路や階段まで、至る所に怪人と戦闘員が配備され、正装で警戒に当たる

本日開催される緊急幹部会議は重要性において、平常のものとは比較にならない。誰もが理解する処である

組織を動乱させた大捕り物が解決を見るのだ。子細はどうあれ、決着が付いたという事実は何よりも重視される

それは幹部達による勢力争いの帰趨を決する事にも繋がる。――悪の組織の最終目標が世界征服なのは言うまでもない

ヒーローを滅ぼして以来、本義を見失った組織が足踏みしていた理由は、一つに束ね上げて率いる存在を定められなかったからである


249 :野望を胸に すべてを終わらせる時・・・! [] :2010/03/15(月) 13:23:56.07 ID:qOJKBVBB0
二代目悪の総統は誰か、各幹部の部下はそれぞれの上司を支持しながらも、末端では“誰でもいい”と考える向きも少なくはなかった

組織とは大きくなる程煩わしさも増すモノだが、兎に角にも一つの意志が先頭に立てば機能する。また、それが無ければ始まらない

激烈なる意志と絶対の力で君臨する存在が必要なのだ。そして幹部Bは、他を制してその座に就く機会を手にした

幹部AやCが後れを取ったことは紛れもない事実である。内心安からぬ思いを抱えていても、実績には逆らえない

『力による覇道の悪』を体現する幹部Bは主義主張や行動力に於いて、混乱期にある悪の組織を導くに相応しい悪者と云えよう

事件の落着を以て、幹部Bを頂点に戴く新たな体制を整える準備は始まる。未来は悪の紳士の掌中に在った

かくして、一段と厳重な警備体制の敷かれた悪の組織本部五階会議室で、幹部達は女幹部の到着を今や遅しと待ちわびるのだった

怪人「失礼します。女幹部が現れた模様です」

幹部B「ようやくか……」

怪人から報告が入った。これで一つの大きな問題は片付く。しかし、その先の道程にも苦難は待ち受けている

面従腹背、敬して服さず。隙あらば取って代わろうと密かに狙う者も居るだろう。だが、それをねじ伏せる自信はある

悪の組織の戦いはこれからだ!!幹部Bの今後の活躍に御期待下さい。


250 :会議室は芝居をする所ではござらぬ [] :2010/03/15(月) 13:29:55.45 ID:qOJKBVBB0
女幹部「情報工作組責任者 女幹部。怪人襲撃事件の犯人を連行して参りました」

そう告げる女幹部は、制服姿の戦闘員を伴って、どこぞの宇宙人を引っ立てるかの様な体(てい)で兄を引きずってきた

居並ぶ怪人の中も超然と通り過ぎてきた彼女である。会議室に揃う、悪の組織本部を牛耳る歴々を前に臆することは無い

幹部B「御苦労、お前の処b……」

女幹部「物事には順序があります。まずは部下を返してもらいましょうか」

女幹部は兄を突き出して穏やかに凄む。一刻も早く取引を成立させ、同僚Dを確保しようという考えだろう

幹部B「しかし……意外だな。お前はもう少し部下に情けを掛けるものかと思っていたが」

女幹部「この男は、もう私の部下ではありませんから。さ、早く同僚Dを解放してください」

幹部Bは見誤っていた。既に女幹部の部下ではなくなった兄を、同僚Dと同じ天秤には掛けられないという事を

幹部B「ま、好いだろう。同僚D、お前の役目は終わりだ。さっさと女幹部の元に行け」

同僚D「女幹部さん!」

兄を受け取った幹部Bの許しを得るや否や、同僚Dは机を乗り越えて女幹部のもとに。そして必要以上の力で抱き締めて胸に顔をうずめる

女幹部「危険な目に遭わせてすまない。だが、もう安心だ。――そのまま掴まっていろよ?」

同僚D「え……?」

女幹部は同僚Dを抱き抱えたまま、戦闘員と共に一足で部屋の入り口付近まで跳び退いた
この時、彼等が見せた跳躍は、鍛錬によって到達しうる領域を明らかに凌ぐものであった。女幹部め、天稟がありおる……


251 :びっくりするほどロングパス [] :2010/03/15(月) 13:35:33.84 ID:qOJKBVBB0
幹部A「何処へ行く?まだ話は終わっておらんぞ」

部屋を去ろうとする女幹部を幹部Aが制止した。この人達も居るんです、忘れないで下さい

女幹部「私の用は済みました。それでは皆様サヨウナラ―――永遠にね!」

幹部B「何を言っている……?」

唖然とした幹部達を余所に扉は閉まり、足音は慌しく遠ざかっていった。その時、会議室の中心で兄が、

―――正確には、兄スーツで兄に擬態していた妹が

















爆発した


252 :「シャア少佐、さあ注射」×2 [] :2010/03/15(月) 13:41:48.83 ID:qOJKBVBB0
特に理由はないッ 爆発しても服が破けないのはお約束!!

衝撃波は壁と天井の一部を消し飛ばし、廊下に控えた怪人達を瓦礫とともに薙ぎ倒した

爆心地には全身から煙を立ち上らせた妹が立つ。風が吹いた、他に動く物はない――いや……

幹部B「まだだ、まだ終わらんよ!」

悪の紳士が生きていた。彼は妹の全力を受けても決して負けない。何故なら、彼は悪の幹部Bだからだ!

「これで終わりです」

幹部B「ひぎぃ……!」

起き上がろうとする幹部Bの肛門に、必中必殺の爪先蹴り『TDN』が炸裂した。退避していた戦闘員達が戻ってきたのだ

女幹部「ぬるいぞ兄、しかとえぐれ!」

幹部B「らめぇ……!」

身体を仰け反らせて悶える幹部Bに、女幹部がもう一撃見舞う。二度も蹴った……親父にも蹴られたことないのにぃ…・・・ ・ ・  ・

女幹部「ここまでは作戦通りか……」

兄「ええ、上手くいきましたね」

今の兄は同僚Dと同列に扱える存在ではない。女幹部と肩を並べて戦うに足る、独立した悪者なのだ

――兄は戦闘員の制服を、妹は兄スーツの頭部を脱ぎ捨てた。物持ちがいいと意外な所で得をするモノである


253 :戦いとは常に、斯くの如く悲惨なものである [] :2010/03/15(月) 13:46:51.38 ID:qOJKBVBB0
同僚D「私に、この生ゴミを身に纏えと?……まぁ、仕方ないですね」

兄の脱いだ戦闘員服を渡された同僚Dは、汚らわしいソレをしばらく眺めていたが、やがて観念して袖を通した

兄「俺はもう行きます。それじゃ、妹はお願いしますよ」

女幹部「ああ、私を信じろ。今度こそな」

女幹部と妹が派手に立ち回って敵を引き付けている間に、兄が地下の自爆装置を起動させようという作戦である

そして同僚Dはその戦乱に乗じ、本部内に配備された数多の戦闘員の一人を装って脱出させる手筈になっていた

さて、あまり長居もしていられない。すぐに異変を察した怪人や戦闘員達が―――ホラ来た

怪人1「これは……一体……」

五階へと続く階段を上ってみれば、その奥には野山を見渡す眺望が広がっていた。あまりの事態に怪人1は言葉を失う

兄「見て分からないのか?爆発が起きて幹部達が大変な事になった。俺は助けを呼びに行ってくる」

怪人1「あ、はい。お願いしm……え?お前等はちょっと待て!」

分別も定かでない思考で、走り出す兄と同僚Dを看過した怪人1だったが、女幹部と妹までは見過ごさなかった

するとその時、本部内に放送が響き渡った。“自爆装置ガ起動サレマシタ、直チニ非難ヲ開始シテ下サイ。繰リ返シマス……”

兄「いやいや、早すぎるだろ……」

―――最上階の一角を消滅させた程の爆発である。当然その衝撃は建物全体を揺るがし、本部司令室にも異常は伝わった
流石天下の悪の組織、すぐに非常警報を発しろと命じたが、折りも悪くもアルバイトを使っていた為に、自爆警報を発令してしまったのだ


254 :赤と緑と狐と狸 [] :2010/03/15(月) 13:51:17.81 ID:qOJKBVBB0
〜悪の組織本部裏門〜

もともと地上に道は無い。歩く人が多くなればそれが道になるのだ。では、通る者の居なくなった道はどうなるのか?

悪の組織本部裏門に続く林道は久しく通行も途絶え、手入れもなされず荒れ果てていた

本部を訪れる人間は国道に面した、車の入れる正門を使う。すき好んで不便な方へ回る必要は無いのである

ここに来るモノと言えば、小鳥や猫……あ!俺、狐と狸も見たことありますよ。だが、ヒトなどとんと目にした記憶が無い

普段、警護に置かれる人員は戦闘員二名のみだが、今日は2人の怪人を含めて、総勢22名という過剰な戦力が割り振られることになった

当然の様に現場に緊張感などはまるで無く、怪人達は歓談しながら、遅々として進まない時計の針を気に掛けていた

その最中である、頭上で爆音が轟き、絨毯爆撃ときどき機銃掃射、ところによっては砲撃といった按配にコンクリートの破片が降り注ぐ

怪人2「爆発……だと……?」

戦闘員1「ニー(爆発……爆発ねえ……。この程度で爆発ですか!世の中には、もっと恐ろしい爆発が存在するのです!)」

怪人3はまた面倒なことになったなぁとか、そういや昼飯も食っていないなぁとか、色々な思いを巡らせつつも振り返ることにしたのである

なるほど。大きく欠損した建物は、飛散した大量の瓦礫に説得力を持たせた。事件は現場で起こったんじゃない!会議室で起こったんだ!

緑「この音はガスが爆発したのですか?」

赤「いいえ、爆発したのは妹です」

呆然と本部を見上げる悪者共の背後に近付くのは、赤ともう一人――この機会に紹介させていただこう!彼こそが元、色レンジャー緑である


255 :家畜に悪は居ない [] :2010/03/15(月) 13:57:00.58 ID:qOJKBVBB0
緑「で?お前のオトモダチは何処に居るって?」

赤「いや、あんな奴はどうでも好い。俺は自分の過去に決着を付けに来たんだ」

緑「そーかい。ま、俺も似た様なモンだがな」

赤は思う。悪は人間だ。人間だけが悪だ。――悪とは、利己の為に他者を犠牲にする人間のことだ

かつて赤は悪と戦った。自分が、いや、他人が犠牲者となることに堪えられなかったから

誰かに泣いて縋られた訳じゃない。自分でなければならない理由は無かった

従わなければ殺すと強いられた訳じゃない。やらなければいけない理由も無かった

希求と精進の果てにその存在となった。根底に在ったのは一個人の意志と目的だった

しかし、その凄惨な世界は、生身の人間のまま生きるには、あまりに過酷すぎた

だから正義という象徴の力を借り、自らもまた英雄という偶像に身を包んだのだ

その半身が崩れた時、自分は人間にとって掛替えのない、欲や理想を失ったのだと思う

また明日が来れば生活が始まる、命を繋ぐ為の作業が待っている。だが、その他には何も無い

生きる事が目的に成り下がってしまったら、ソイツはもはや人間ではない。霊長類ヒト科ヒトの一個体だ

重要なのは余計な物、人間は不要な事の為に生きるのだ。――以前の自分がそうであったように

赤は無くした物を取り戻す為、再び悪の前に立つ。今度は偶像ではなく、一人の人間として


256 :帝王の深紅 [] :2010/03/15(月) 14:03:31.17 ID:qOJKBVBB0
怪人2「――何者だ……!?」

赤「なに、通りすがりの花屋さ。本日休業のね!」

これだけ堂々と歩いてこれば、悪者共も流石に気付く。だが、もとより気配を隠すつもりも無かった赤達である

緑「悪党に名乗る名など無い。……安らぎの緑の大地 色レンジャー緑、トランスフォーミンッッ!」

仮にも一度は正義に味方した身、不意打ちなど言語道断。天に恥じぬ戦いを見せてやる!という訳で、まずは変身から

戦闘員1「ニー(貴様等……色レンジャー……!?)」

ここにして、ようやく彼等は認識した。いま目の前に現れたのは、かつて組織と死力を尽くして戦った宿敵なのだ

怪人2「おい、急いで司令室に報告しろ!ここは我々が食い止める!」

緊急時の決断は迅速に、非常時の対応は柔軟に行うことが肝要である。危急を悟った怪人1は、援軍を頼みに戦闘員1を走らせる

怪人3「それにしても、たった2人で乗り込んでくるとは……よほど命が惜しくないと見える」

怪人2「ああ、時間を稼ぐとは言ったが、別に倒してしまっても構わんのだろう?」

戦闘員2「ニー(怪人様の手を煩わせるまでもありません。ここは私共にお任せを)」

戦闘員3「ニー(我等の防備を破った者は居ない!)」

戦闘員4「ニー(俺、この戦いが終わったら結婚するんだ……)」

この後、延々と悪者共の台詞が続きますが省略。―――時間を消し飛ばせ!!


257 :兎 ‐野生の逃走‐ [] :2010/03/15(月) 14:13:21.80 ID:Xu/XV/yXO
〜悪の組織本部五階〜

突然の激震と直後に流れた自爆警報によって、悪の組織本部は蜂の巣をバックからガンガン突きまくった様な騒ぎになった

ところがそんな中で、最上階に駆け付けた悪者共だけは、凍りついたかの如く静まり返っていた

光、音、衝撃―――その目に映った光景は余りにも鮮烈だった。瞬きすることも、息を飲むことも許されなかった

壁に減り込んだ怪人4は、力を失くした四肢を垂れ下げ、そこを伝わって滴る赤い雫が滲みを広げる

妹の拳が光って爆ぜる、敵を殴れと轟き叫ぶ。目を見開いて立ち竦んだ戦闘員5が、次なる犠牲者となった

女幹部「この娘は伝説の爆殺拳の継承者、威力は見ての通りだ。
自信のある奴は掛かってこい。ただし、命の保障はしないがな!」

後ろの女幹部が警告し、妹は足を踏み出す。それで事足りた。悪者共の波は割れ、妹の歩く場所が道になる

一方その頃、階段を駆け下りた兄は三階で、警報に従って避難を始めた怪人と戦闘員の一団と鉢合わせていた

戦闘員6「ニー(お前はさっき連行されて来た……犯人!?)」

兄「ワタシ ニポンゴ ワカリマセン」

行く手を遮る悪者の数は、7、8、9……ええい、数えるのも面倒だ!何人居ようと同じこと、作戦なんか関係ねぇ!

兄「オレにとっちゃァ―――4人だ……ッ」

某地上最強の生物曰わく、“同時に四方の敵を躱せれば、世界の総人口とケンカしても倒されない”ソレがアレでナニだ

D.T.フィールド展開、怪人の能力で全員を避けろ、かすり傷も負うな。兄の中の野生が吼える。兎が……帰りたがっている


258 :VIPがお送りします [] :2010/03/15(月) 14:22:23.58 ID:Xu/XV/yXO
〜悪の組織本部三階〜

まだ慌てるような時間じゃない。怪人の引率によって退避を始めた戦闘員達。戦闘員7はその中に居た

――と、けたたましく鳴り響いていた警報が止まった。列の中ほどの戦闘員7は、いや、その場の誰もが青ざめる

自爆警報は十分間鳴ってから停止し、その後、3・2・1で本部を消し飛ばす爆発が起こると教えられていたからだ

そこまで時間が経った筈はない。しかし、警報が止まったという事は―――僅か3秒間で驚くほど思いは巡る

いよいよ精神は恐慌状態に陥ったが、一向に爆発の起きる気配は無い。その代わり、後ろの方で叫び声が上がった

「ニー(ソイツを捕まえろ!)」

ソイツって……誰だ……!?背の高い同僚に遮られて後ろは見えないが、段々と声や音は近付いてくる

そうしている内に、仲間の手を振り払いながらソイツが現れた。確かコイツは女幹部に引きずられてきた……

咄嗟に伸ばした腕をかい潜ると、ソイツは跳び上がって壁を走り、天井を蹴って人の頭を足場にまた跳ぶ

そのまま上を駆け抜ける様子を見物している訳にもいかなかった。混乱の中で足を取られた人間が倒れてきたからだ

雪崩を打って総崩れになった仲間達の下敷きになった後、アイツがどうしたのかは判らない

ただ、圧迫されて意識を失う前に、先程流れた自爆警報が誤報だったという放送を聞いた事は確かだ……

――自身の半径1,5m以内は何があろうと必然の世界、可能の範囲を生きる限り、兄は不可能と遭遇しない

立ちはだかるモノは単なる障害物だ。これまで如何なる厄介事をも避けてきた兄に、怪人や戦闘員如きを回避できない道理は無い


259 :カオシック正義の味方 [] :2010/03/15(月) 14:31:21.91 ID:Xu/XV/yXO
お前……色レンジャーを見たことないだろ?
色レンジャーは毎週タイガードライバーやエメラルドフロウジョンで戦闘不能になった敵が泣きを入れても
絶対に手を緩めたりしない不屈のヒーローなんだぞ!!

確かに全国の父兄から“子供に見せられない”って抗議が殺到したせいで
わずか一年で解散になってしまったけど……
色レンジャーから“決して負けない心”を学んだ全国のよい子たちの熱い応援できっと戦いは再開される
まさに無慈悲のヒーローなんだっっ!!
敵がどんなに命乞いしてもシバき倒す………それが私の大好きな色レンジャーっ!だから私も負けないもん!!

   ――以上、お便り紹介のコーナーでした。メッセージありがとう、これからも応援よろしくね!――

裏門は死屍累々の血の海。名乗り口上はおろか、胸の空くような倒され様も割愛され、残ったのは怪人と戦闘員の各一名

戦闘員8「ニー(馬鹿な……我々は20人以j……ぐぶぇ!)」

その内の戦闘員が緑のローリングソバットで弾き飛ばされ、ヘシ曲がった鉄の門もろとも敷地内に転がり込む

――最後の怪人が赤のタックルからリフトされ、軽々と視界を反転させられたのは、それから2,7秒後の事であった

赤「打撃系など花拳繍腿、パワーボムこそ正義の技よ」

フィジカル・マッスル・キルゼムオール。地面に叩き付けられた怪人に、緑がムーンサルト・ニードロップでトドメを刺した

赤「さて、こっからが本番だ。しかし、付き合わせて悪かったな」

緑「後悔するぐらいなら、わざわざ田舎から出て来ねーよ。さあ、やり残した仕事を片付けに行こうぜ」

正義の味方が敗けることは許されなかった。勝つ為には負けられない―――たった二人の最終決戦が幕を開ける



次へ 戻る 上へ