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新ジャンル「意味不メイドと百合」
- 1 名前:VIPがお送りします。 []
投稿日:2007/06/17(日) 21:30:49.25 ID:NXXSQ8un0
女「じゃあ、いってくるわ」
冥土「あ、お嬢様。タイと根性が曲がってます」
女「殴られたい?」
冥土「ああ、こぶしを握るのはやめてくださいまし。はい、じゃーんけーんパー。お嬢様よえー」
女「無表情のまま可愛い声を出すな。ぶっちゃけキモい」
冥土「キモい? キモといえば、アンキモ食べたいですね」
女「人の話をちゃんと聞けよ!」
冥土「やーだプー」
女「(うわ、うっぜぇ・・・・・・)」
- 2 名前:綾部あや ◆AYAYOvpoRs [] 投稿日:2007/06/17(日) 21:33:49.41 ID:BsctRqjK0 BE:23026324-BRZ(11111)
メイドAA
- 4 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 21:35:31.88 ID:NXXSQ8un0
女「春ね。風がとても気持ち良いわ」
冥土「しかしあと数ヶ月もすれば、ジーンズの中がムレムレになる季節へと」
女「だからこそ、短いこの瞬が気持ち良いんじゃない」
冥土「頭の中は、春爛漫。性欲の権化ばんざーい」
女「春一番、という言葉もあるくらいだしね」
冥土「衝動的な恋はガキの特権。ペッ」
女「・・・・・・あなた、会話を続かせようとは考えないの? つーか、続かせろよ!」
冥土「やーだプー」
女「(殴りてぇ・・・・・・・)」
- 5 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 21:41:25.05 ID:NXXSQ8un0
女「今日の夕食、やたら美味しいわね」
冥土「メイド長が気合入れてましたから」
女「そう。じゃあ言っておいて。美味しかった、と」
冥土「かしこまりました。このステーキの肉しみとか素敵ですよね」
女「まそっぷ。・・・・・・と、それよりさ」
冥土「なんでしょうか」
女「たまには、あなたの作ったものも食べたくなるんだけれど」
冥土「ノーモア料理人。謹んで辞退します」
女「相変わらず意味分からん。つーか、たまには食わせろ」
冥土「可及的速やかにシャッターおろし。はぅっ」
女「都合悪い話になると自分で意識落とすのやめれ」
- 7 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 21:47:37.11 ID:W4+Wq7Bf0
いみふだが、百合成分足りなくない?
- 8 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 21:50:03.27 ID:NXXSQ8un0
>>7
それはこれから盛り上げていくwwwww
俺の百合成分を、なめんなよwwwwwww
- 9 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 21:51:11.11 ID:W4+Wq7Bf0
>>8
うはっ、そういうことかw期待してるw
- 13 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 21:56:26.06 ID:NXXSQ8un0
女「とみに、思うんだけれども」
冥土「はい」
女「金持ちだから屋敷に住まなきゃいけない、なんていうルールはないのよね?」
冥土「ないに決まっているじゃないですか。メルヒェンやファンタジーじゃないんですから」
女「だのに、私の住まう場所、無駄に豪奢な屋敷よね」
冥土「住まいのでかさは権力の象徴ですから。でかけりゃいいってもんじゃありませんが」
女「・・・・・・私の体の一部分を凝視しながら言うの、やめてくれない?」
冥土「生活は豊かでも乳は貧しき・・・・・・ぷっ」
女「この女マジうぜぇ」
- 15 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:02:19.84 ID:m4FiBdMyO
貧しい乳なんか無い!
- 16 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:06:22.95 ID:ADx+jIbLO
お嬢さん家は洗濯機でも胸は洗濯板なんでつね
- 17 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:08:50.53 ID:jzQKUEN0O
貧しい乳はステータスだ
- 19 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:09:49.40 ID:NXXSQ8un0
冥土「先程、散歩をしていましたら」
女「なにかあったの?」
冥土「カエルを見つけました。都会においては珍しいことです。保護したくなりました」
女「あなた、私がそういうの嫌いだと知って言ってる?」
冥土「いえす、マム。なのでメメタァしておきました」
女「下の岩を破壊してどうする」
冥土「シモの違和・・・? お嬢様、淑女たるものみだりに淫らな話をしては・・・・・・」
女「似通った語彙だけで話を飛躍させんなよ!」
冥土「やーだプー」
女「もしもし、スタッフサービスですか・・・?」
女「あなたは苦手なものとかなさそうよね。弱点なんてないんじゃない?」
冥土「とんでもありまへんがな。私とて弱点のひとつやふたつ」
女「へえ。たとえば?」
冥土「お嬢様を失うことですね。他の何にも増して、耐え難い苦痛です」
女「!?」
冥土「私はお嬢様がいなければ駄目ですから。他のことはどうでもいいです、はい」
女「あの、ちょっと、その」
冥土「照れてますね? 照れてますね? 照れてますね?」
女「うるさい、黙れ、殴るわよ」
冥土「やーだプー」
女「やっぱうざいわ、こいつ」
- 24 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:24:47.83 ID:LF6Bq1tlO
金持ちってことだしまさかリリアン女学院通ってないだろうな
- 25 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:24:59.35 ID:NXXSQ8un0
基本的に15分置きに投下してるwwwww 結構きついな、これwww
女「たまにはふたりで買い物も悪くないわね」
冥土「庶民の生活を高笑いしながら見るというのは一種のサディスティック的な快感」
女「そういうこと言うのやめれ。というより、外に出る時はエプロンドレスやめるのよね」
冥土「商店街でメイド服着てると、変人にしか見えません。地獄行け、とすら思います。メイドが冥土に・・・・・・ぷぷっ」
女「そのネタは既出よ。あと無表情のままに笑うのやめろ」
冥土「申し訳ございません。これが地ですので。そして頭上には空です」
女「また意味の分からないことを・・・・・・」
冥土「あ、そのブロッコリーは駄目です」
女「え、どうして? 結構良いじゃない」
冥土「私、ブロッコリー嫌いなんです」
女「さて、いつもより多めに買うかな、ブロッコリー」
冥土「・・・・・・ひどいです。間接的SM調教」
女「町中でそういうこと言うのやめろドアホ」
- 28 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2007/06/17(日) 22:33:39.14 ID:USeqDwKx0
これの面白さが分からん俺は負け組みなのだろうか
- 30 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:36:21.41 ID:W4+Wq7Bf0
>>28
ツボは人それぞれだから気にするな
自分が面白いと思うのを探せば良い
「俺が面白くねぇ。だから周りも面白くねぇに決まってる。ゆえに>1はクソ」
とか喚いてる人よりも余裕で勝ち組だから胸を張れ
- 31 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:39:45.03 ID:NXXSQ8un0
女「あら、何の本を読んでいるの?」
冥土「形而上学入門編です」
女「実は博識っ!?」
冥土「うーそプー。お嬢様、だまされやすすぎです。単純です。四天王の中ではパワータイプです」
女「もう限界。そろそろ殴らせろ」
冥土「駄目です。私は機敏です。ゆえに小娘の拳打などそこらの芥と同義の瑣末なもの。ペッ」
女「ああああああマジうざいわこいつ」
冥土「あ、でもスウェーバックで回避すると、この胸にひっかかるかもしれませんね」
女「ソコニ直レ、キョニュー。胸カッサバイテクレル」
冥土「ああ、おやめください伊良子様」
女「誰だよそいつ」
冥土「失態である」
女「人の話を聞いてよ!」
冥土「やーだプー」
女「うん、その時なんだ。私が『殺意』ってものを自覚したのは」
- 32 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:45:38.44 ID:6rhILYAf0
>>1が百合に関して玄人すぎる感が
- 33 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:48:44.55 ID:W4+Wq7Bf0
(俺はもっと百合ん百合んして欲しいと期待・・・)
- 34 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:52:46.39 ID:jzQKUEN0O
むう
オニンニンがヴォッキッキですよ
- 35 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:53:44.96 ID:INhnl8KB0
(しかしおれはこの書き手の感じは嫌いでない)
- 36 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2007/06/17(日) 22:55:00.01 ID:USeqDwKx0
(>>34すまん、最後に一つ答えてくれ、どこに勃起要素が隠れているんだ・・・?)
- 37 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 22:55:26.85 ID:NXXSQ8un0
冥土「美味しいです」
女「手料理なんて久しぶりね。喜んでもらえたのならば幸い」
冥土「主人の作成した料理を貪る、なんと素晴らしきことかな」
女「そこまで言う?」
冥土「下克上っぽくてさいこーです。むしろサイコです」
女「一度アンタの頭の中を覗いてみたいわ・・・・・・」
冥土「嘘だッ」
女「ふぇ?」
冥土「お嬢様が覗きたいのは、私がまとったエプロンドレスの下では? ぶっちゃけ裸体」
女「私にそんな趣味はないっつーの!」
冥土「本当ですか?」
女「な、なによ・・・・・・。にじり寄ってこないでよ」
冥土「本当に本当なのですか? 素直になりなさい。さあ、言うのです、さあ」
女「(うわ、この女、まつげ長ぇ・・・)な、何を?」
冥土「もう金輪際、料理にブロッコリーを入れない、と」
女「話が飛びすぎなんだよ! ついていけねぇよ! いい加減にこっちに合わせろよ!」
冥土「やーだプー」
女「何度聞いてもその科白、マジでムカつくわ」
冥土「略してマジムカ。古っ」
女「自分で自分に突っ込んで盛り上がらないでよ」
冥土「お嬢様、みだりに淫らな言葉を使うのはどうかと。突っ込むだなんて」
女「あー、もう! やってられないんだぜー!」
- 38 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:00:35.65 ID:jzQKUEN0O
(>>36やーだプー)
- 42 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:10:29.87 ID:NXXSQ8un0
冥土「そういえば、お嬢様はお嬢様ですよね?」
女「またわけの分からんことを・・・・・・」
冥土「いえ、お嬢様、お金持ちなのに妙に庶民っぽいじゃないですか」
女「庶民も金持ちも同じ人間でしょう? ものも食べればクソもするわ。変わらないのよ」
冥土「正論ですが。そういう考えを得るに至ったプロセスをば聞きたいと」
女「反面教師がいれば、こちとらそれなりに老成するものよ。たとえば私の兄とか」
冥土「・・・・・・そうですね」
女「ま、仕方ないんじゃない? 私はあくまで私でしかないんだし」
冥土「しかしながら、金は天下の回り物」
女「否定はしないけどね。私が貧乏になったら、何もついてこないし」
冥土「私は、お嬢様についていきますよ」
女「え?」
冥土「お嬢様は、『お嬢様』ですよね? 私だけは、あなたがどうなったとしても、あなたについていきますから」
女「・・・・・・!?(あれ? これって告白じみた台詞?)」
冥土「だって、お嬢様は・・・・・・」
女「う、うん」
冥土「お嬢様は、私にとって、とってもいじり甲斐のある可愛い小娘ですから」
女「あははー、いい話が台無しだー。そこに直れ、駄目メイド」
冥土「やーだプー」
女「一瞬でもときめいた私が馬鹿だったぜええぇぇぇぇ! あー恥ずかしいぃぃぃ!」
冥土「ばーかばーか」
- 45 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:14:19.78 ID:XM9z1W9gO
冥土「お嬢様、もうそろそろおやすみの時
間です、よい子はとっとと眠っちまって下
さい、永遠にとは言いませんが」
女「あらもうそんな時間?でもちょっと今
キリ悪いなあ・・・」
冥土「お嬢様、こんな時間にVIPですか?」
女「学校のレポートよ、明日までに出さな
きゃならないの」
冥土「いえVIPなのはわかってます、それ
とも隠れて801ゲーですか?炎多留ですか
コノヤロー」
女「聞けよ」
冥土「私は何でもお見通しです。甘いんだ
よ腐女子が」
女「だから違うって・・・」
冥土「やはりそういう方だったのですねお
嬢様、まあ知ってましたが、ほ〜ら貴方の
机の上からヤマジュン漫画が〜」
女「それさっきあんたが嫌がらせで置いた
ンでしょ」
冥土「全くお嬢様は・・・私というものが
ありながら・・・てなわけで
や ら な い か 」
こうですか?わかりません
- 46 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:24:31.50 ID:NXXSQ8un0
冥土「掃除とか面倒ですね」
女「アンタ自分の職業分かって言ってる?」
冥土「それは勿論。お嬢様の愛奴隷、兼、肉奴隷でございます」
女「ふたつとも意味が似ているような気がするんだけれど。つーか、真っ赤な嘘はやめろ」
冥土「そういえば、真っ赤な嘘といいますけれど、どこの辺りが真っ赤なのでしょうか」
女「そこの辺りは考えたことないわね、そういや」
冥土「私が思いますに、不貞の夫がおぼこの浮気相手の秘所を貫いた際、
布団に付着した赤い染みを背後に、乱入してきた正妻へと向けていいわけの言を投げかけたシーンから来たのかと。
妻いわく、そんな真っ赤な染みを背負って、何を嘘言ってるんだボケ、というのが語源と予測」
女「すっげぇ分かりにくい言葉ありがとう」
冥土「お褒めにあずかり恐悦至極」
女「褒めてないってば。というより、あなた段々シモネタ多くなってない?」
冥土「言われてみれば、そうかと」
女「もうちょっとそこの辺りを自重する気は?」
冥土「分かりました。そういうことを語るのはひかえます」
女「・・・・・・ゑ?」
冥土「どうしたのですか、お嬢様。私が自重すると何か問題でも?」
女「い、いえ、別にないわ。・・・・・・とにかく、これからは注意してね」
冥土「やーだプー」
女「時間差かよコンチクショオオォォォ!」
- 48 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:25:53.36 ID:NXXSQ8un0
ごめん改行ミスった
読みにくくてすまん
- 49 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:27:04.98 ID:ADx+jIbLO
最初違和感あったがなんだかだんだん見てて気持ちよくなってきた
- 50 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:27:30.23 ID:ddCyDAQL0
スバラシすぎる
- 51 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:37:40.38 ID:NXXSQ8un0
冥土「夏といえばこれ。アイスですね」
女「うわっ、何この分量。大人買いってレベルじゃねーぞ!」
冥土「いいじゃないですか。お屋敷の冷蔵庫、無駄に大きいのですし。それに、お嬢様もアイス好きでしょう?」
女「否定はしないけれど。それにしたって買いすぎじゃない?」
冥土「うふ、うふふふふふ」
女「無表情のまま笑うな。本気でキモいからやめれ」
冥土「確かに私は買いました。いっぱいいっぱい買いました。でも、本当に買いすぎなのでしょうか?」
女「・・・・・・?」
冥土「はい、それで二週間後」
女「・・・・・・はいはい、悪かったわね! ええそうよ、全部食べましたよ!」
冥土「お嬢様は痩せペチャの大食いなんですから、そこの辺り自覚してくださいな」
女「うわ、なんかすっげぇムカつくわ」
冥土「そして追撃。はい、お嬢様。体脂肪率も量れる、ヘルスメーターです」
女「・・・・・・おぷすっ」
冥土「都合悪い話になると意識落とすのやめてください」
- 52 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:42:54.88 ID:NXXSQ8un0
自分で自分を保守がてら、長文を
『覚醒』
朝です。窓から照らされる陽光が、肌にしみる今日この頃。
気持ちのいい朝日だね、なんていうギップリャな台詞は、それこそ惰眠を貪りまくった人しか言えないと思います。
こちらの気分としては、よくも睡眠を妨げやがったなファックユー、といった具合でしょうか。
どこぞの帝王じゃあるまいし、朝日をレイプとか出来ませんけど。
まあ、それはともかくとして、朝です。
苛立ちを胸に覚えたまま起床した私は、ベッドから跳ね起きて着替えに入ります。
四方を黒いカーテンに囲まれた部屋の中、もそもそとエプロンドレスに着替える私。
今にも黒魔術とかやりそうですね。基本的にこちとら根暗ですし。
着替えを終えた私は、ここぞとばかりに素早いムーブ。
自室に備え付けの洗面所で洗顔を済まし、ついでに歯をみがいて、そののちに廊下に出ます。
この一連の作業は、最初こそ面倒でしたが、今ではどうということはありません。
自室を出れば、そこにはただただ長いだけの廊下。天井にある、やたら豪奢なつくりの照明が、悪趣味なまでにてらてらと光を放っています。
窓を開ければいいじゃないですかバーロー、という気持ちを抑えて、私の足はある場所へと。
- 54 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:44:22.10 ID:NXXSQ8un0
「失礼します」
一言かけて、私はとある部屋に忍び込みます。なんかコソドロみたいですね。
というより、失礼することを前提にした言葉って、よくよく考えると無礼じゃないですか?
などと考える暇もあらばこそ、私の眼前に広がるのは薄桃色の空間。
レースのカーテンに、質素ながらも高価そうに見えるベッド、引き出しの数々。
彩りはどこかファンシーかもしれませんけれど、家具事態は機能美優先。それが変な不具合となって、こちらの目を刺激します。
ぶっちゃけ、センス悪いです。
かような悪趣味空間の中、異彩を放つは、部屋の奥にあるベッドの上。
そこに寝転がるのは、ひとりの少女。
黒い髪を好き放題に流し、四肢を思い思いに広げ、ぐーすかぴーと寝転んでおります。
顔立ちは整っており、どこかのお人形さんのようです。肌理も細かく、純白の絹布を想起させます。
が、結局は、よだれ垂らして寝転がっているガキです。世間の評価なんてそんなもんです。
ぴぴるぴー、ぴるぴる、なんていう寝息が、こちらの胸をことさらに揺さぶります。
ぶっちゃけ、クソうざいです。
- 55 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:45:41.12 ID:NXXSQ8un0
「お嬢様、起きてください」
私はつとめて冷静に声をかけます。
「うぅーん・・・・・・もう食べられない・・・・・・」
ふざけんじゃねぇ。
と、言いたくなるのをこらえて、私はベッドに近寄り、その少女の体を揺さぶります。
「お嬢様、いい加減に起きてください。学校に遅れます」
こんなよだれ垂らした可愛い少女が自分の主人だと考えると、少なからず溜息出ちゃうのは仕方ないこと。
いいんですけどね。可愛いですし。でも、よだれ垂らすのはだらしないです。自堕落です、しだらです、スートラです。語源満載。
私はお嬢様の肩を揺さぶってみます。心持ち、ちょっと強く。えいえい。
「うぅーん・・・・・・」
起きませんね、このクソガキは。いい加減にしないと、こっちも考えがあるのですが。
たとえばセクハラするとか、そいでもってセクハラするとか、セクハラするとか。
うへへ、お嬢様がいけないんですよ、きゃあなにするのやめなさい、だめですよこの時ばかりは命令など、ああやめていやぁ。
・・・・・・むふー、なんという百合時空。こんな妄想が出来る自分は、エロですね、性欲の権化ですね。
などと考えているうちにも、時計の針はペース落とさずマラソン続行。
時間というものは、相も変わらずドレッドノート。しぼむー、じゃなかった、しずむー。いや、沈んじゃいけないんでしょうけど。
- 56 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:46:46.67 ID:NXXSQ8un0
「起きませんか・・・・・・。しょうがないですね」
私はおもむろにふところからペットボトルを取り出します。水がいっぱい入った、2ℓタイプのものです。
で、それを、まだ寝やがっている少女――私のご主人様の腹へと落とします。音夢たん乙。辞書じゃないけど。
「だんくーこーがけーん。やーってやるぜー」
ごすり、と彼女の腹にペットボトルがめりこんで、数秒後。
「うっぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
お嬢様の断末魔の悲鳴が、自室のみなあらず半径数十メートルにまで広がりました。
ああ、なんと甘美な悲鳴。
鈴を鳴らすよな美しい声色が、潰れたガマガエルのそれみたく変化するさまは、なんと凄絶なことでしょう。
ちなみに、発生源たる場に私はいますが、耳栓してるんで平気です。
どこか、そう、厨房がある辺りの部屋から、どんがらがっしゃーん、とかいう音が聞こえましたけど。
別にいいですよね。他人事ですから。
- 57 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:48:02.93 ID:NXXSQ8un0
「おはようございます、お嬢様」
「おは・・・よう・・・・・・! 最悪の目覚めだわ・・・!」
私がいけしゃあしゃあと挨拶をしてみれば、律儀に挨拶を返すお嬢様。
ああ、そんなにねめつけないでください。お人形じみた美貌が台無しになります。
「そうですか。それはいけません。顔でも洗ってさっぱりしましょう」
「おなかが痛いのよっ!」
「はて? お嬢様の生理の日は、まだ先だったかと」
「テメェ分かって言ってるだろゴルァァァァッ!」
「当たり前じゃないですか。いまさら気付いたのですか? まあ・・・お嬢様ったら、愚鈍なお人」
私がしなをつくって両手を頬にもっていけば、お嬢様は私のことを嫌そうな顔で見つめます。
あのけいべつしきった目つき・・・なにかきたないものでも見るような・・・・・・まぁ別にいつものことですからいいんですが。
「だから無表情のままにかわいこぶらないで。正直キモい」
「さて、では食堂へ参りましょうか。メイド長が料理を用意してくれているはずですので」
「人の話を聞けよ!」
- 58 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:49:27.83 ID:NXXSQ8un0
ああ、これがいわゆる、ヒステリーというやつなのでしょうか。
寝巻き姿のままに、頬を紅潮させてこちらをにらみつけるお嬢様は、それはそれは可愛いものです。
その姿に欲じょ・・・じゃなくて感極まったものを感じた私は、お嬢様に言ってあげます。
「話を聞く? やーだプー」
その瞬間、ぶちん、と何かがきれる音が聞こえました。
まあ、お嬢様の処女膜じゃないことだけは確かでしょうけれど。
「そこに直れ、駄目メイド・・・・・・!」
「語呂が悪いですね、それ。お嬢様って、俳句の才能ナッシング?」
私が可愛らしく小首をちょこんとかしげてみれば、お嬢様の怒髪は天をつきました。
私は両手を上げて、降参のポーズを取ってみます。ついでに右手に白旗も。お子様ランチのそれを改造したやつですけれど。
「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁ!」
はーい、キレちゃいました。一瞬にして部屋の中がめちゃめちゃになります。
そのまま部屋の中にいると危ないので、私はそこからすたこらさっさとエスケープ。
まったく、お嬢様をあれほど苛立たせるのは、どこの誰でしょう?
「テメェに決まってんだろおおがあああぁぁぁぁぁっ!」
あーあー、聞こえませーん。
(おわり)
- 59 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:52:49.75 ID:oL20re12O
もっと百合成分が欲しい…
- 60 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:53:49.84 ID:GVrPLU7p0
アップルデイドリームを思い出すな
- 61 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:55:10.17 ID:6rhILYAf0
逆に考えるんだ
こっから百合成分を感じ取れるようになれば玄人なんだって
- 62 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:57:05.86 ID:oL20re12O
>>61
マジか
- 63 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2007/06/17(日) 23:59:41.83 ID:jA/Q1WjcO
お嬢様の名前が百合なんじゃないのか
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