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妹「ねぇ、お兄ちゃん?私、もうすぐ死んじゃうの?」
- 128 名前:VIPがお送りします。 [sage]
投稿日:2008/04/16(水) 08:50:38.96 ID:fGZE1WhRO
妹から少し身を引く。猫みたいに可愛いその顔を見つめる。
妹も視線は外さない。外させてくれない。そして俺は…、
「…いくぞ」
僅かに目を細め、頬を紅く染める妹は、
「……うん」
小さく頷き、瞳を閉じる。
俺はその頭を軽く撫で、妹から離れる。
そして、俺は歩き出した。
「ぇ……」
妹は何故か、驚きの表情でその場に佇む。
「どうした?行くぞ」
その顔は徐々にお得意の拗ねた顔になり、
「………ばか」
ギリギリ聞こえた。
「?」
妹はさっさと俺を抜いて、歩き出した。
- 129 名前:保守してくれてる人。本当に有り難う御座います。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 08:51:52.00 ID:fGZE1WhRO
外出!
- 161 名前:しばしお待ちを・・・ [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 17:25:55.79 ID:fGZE1WhRO
帰宅!
- 186 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 19:30:41.23 ID:fGZE1WhRO
家に着いたときには、午後八時を過ぎており、親に強く言われる羽目になってしまう。
だけど、妹と一緒に怒られていると不思議と嫌ではなかった。
「兄とは何か」なんて、多分俺には答えを見付ける事は出来ないと思う。
じゃあ妹に「妹とは何か」と、訊いたとき、あいつは答えることが出来るのだろうか。
『兄妹』『兄弟』『姉妹』『姉弟』
全て、同じようで違っていて、違っているようで同じで。
俺はたまたま『兄妹』であって。
俺がいるからあいつが妹で、あいつがいるから俺が兄で。ごく自然に成り立つ関係であるから、それををお互いに意識し合うんだと思う。
その意識は特別なものではなくて。家族であるから当然で、近くにいるから当然で。
だから、特別な感情は生まれないものだと思っていた。
でも、その時の俺は、まだ気づいていなかった。
その特別な感情に気づいたのは、もう少し日が経ってからのことである。
- 203 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 22:03:42.83 ID:fGZE1WhRO
妹と街に出掛けた日から一週間が過ぎた頃、いよいよ本格的に夏が顔を出し始めていた。
俺は衣替えをして軽くなった身なりで登校を行っている。
その隣で同じように衣替えをし、気分良さそうに歩いている妹に目を向ける。
あの日から妹とは距離が縮まった気がしている。
だからといって、あの日から何か変わったと言えば何も変わっていない。
強いて挙げるならば、俺の兄としてのランクが1ランク上がったぐらいだろうか。まぁ、俺が勝手にそう思っているだけだが。
- 204 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 22:05:18.03 ID:fGZE1WhRO
「ねぇ、お兄ちゃん。夏休み、海に行こうよ」
くるりとその瞳を向ける。
「お前は街に行くのは嫌いな癖して、海は毎年行くよなー」
おちょくるように返す。
「い、いいじゃん。海は好きなんだもん」
ふんっと背け、少し足早になる。
「怒るなよ、ちゃんと行ってやるんだからいいだろ?」
「それじゃ私が強制してるみたいじゃん」
「そうだろ?」
「む……」
表情が曇る。あーちょっと言い過ぎたか。
- 205 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 22:06:10.90 ID:fGZE1WhRO
「すまん、ちょっといいすぎ…」「ごめんなさい」
意外なことに謝られた。
「あ、いや、別に謝ってほしいほど嫌とは思ってないぞ!むしろ海は好きだ」
そう言うと、妹は探るような目で言った。
「本当に?」
「本当だ」
立ち止まる。ここからは別々の道。
「ならよかった」
ほわっとした笑顔を、そして、ビー玉のように澄んだ瞳をこちらに向け、
「海、楽しみだね」
その表情に、鼓動が僅かに高鳴ったのを感じた。
- 213 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/16(水) 23:21:39.75 ID:HKdVNzhu0
くやしい・・・・!全部読んだら腹筋スレだったなんて!
- 214 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 23:23:51.76 ID:oJa/HTS30
スレタイ通りになるとしたら
鬱エンドじゃないか・・・
- 217 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/16(水) 23:54:27.38 ID:fGZE1WhRO
――――― お兄ちゃん
――――― なんだよ
――――― せっかく海に来たんだから一緒に遊ぼうよ
――――― えー、俺疲れたからいいよー、少し日陰で寝たいし
――――― じゃあ少し休んだら一緒に遊ぼうね
――――― はいはい
――――― ………………
――――― ……………
――――― ………
――――― …
――――― ……ちゃん
――――― ………
――――― ……お兄ちゃん、起きてよー
――――― …もー、一緒に遊んでくれるって言ってたのにー
――――― ………起きないといたずらしちゃうよ?
――――― ………
――――― …お兄ちゃんが起きないからいけないんだよ……
――――― ………
――――― ……っ……
――――― ………
――――― ……
――――― …
肩を誰かに叩かれる。
んー、もう少し寝かせてくれ…。
すると今度は、耳を引っ張られた。
わかったわかったよ、起きるよ。
重たい目蓋を徐々に開く、ゆっくりと体を起こし、俺を起こしたであろう人物に目を向ける。
そこには高嶺がいた。
- 219 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/16(水) 23:58:35.45 ID:H7cL9Oga0
急展開ktkr
- 221 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 00:00:05.21 ID:IGyo+aX0O
「なんだ高峰か」
「なんだ、とはどう言う意味だい?起こしてあげたのにその言い方は失礼ではないのか。
そもそも、六時限目の授業中、一生懸命に睡眠学習をするのは如何なものかな。」
「悪かった。起こしてくれてありがとう」
高峰の矢継ぎ早に飛ぶ言葉を全身に浴び、ここで謝らないと精神をやられそうなのでそう返事を返した。
「随分と気持ち良さそうに寝ていたね」
机の上の散らかった筆記用具を鞄に詰め込み、
「あぁ、お前が起こさなければ、もっと良かったがな」
そう言って立ち上がる。
それを待っていたかのように高峰も立ち上がった。
「寝言も何か面白いことを言っていたね。妹さんが好きだとか、抱きしめたいとか」
なんだと!?
「!! そ、それは、あくまで寝言であって、実際にそういう考えはもっていないからな!」
その様子をみて高峰は微笑を浮かべ、
「フフフ…冗談だよ。言ってみただけさ。ククク、面白いね君は。こんなに必死に否定するとは思っていなかったよ」
そう言い放った。
- 226 名前:ん?落ちたのか? [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 00:46:20.57 ID:IGyo+aX0O
そこで疑問が浮かぶ。と言っても以前からの疑問だが。それをそのまま高峰に話す。
「高峰はどうして他の友達と帰らないんだ?お前は俺と違って友達が多いだろ」
彼女はチラッと瞳だけをこちらに向け、それからゆっくりと首を巡らせる。
「それは君のことが好きだからだよ。」
「!」
「……でも、好きと言っても、それは知的好奇心というのかなぁ、そういう部類のだと思う」
俺は実験動物か何かで?
「そうじゃないよ。フフフ、君ってどうしてそんなに面白いのかな。憧れるよ」
悪いが、俺は何一つとして面白いことは言ってないんだが。
「それに……もし、私が君をその類じゃなくて、本当に好きだとしても多分叶わないと思うよ。そう、敵わないし、適わない」
「はぁ……?」
馬鹿にされてるの?褒められてるの? …まぁどうでもいい。
- 228 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/17(木) 00:59:16.84 ID:evPBcBeM0
地震来た
- 244 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 08:01:21.52 ID:IGyo+aX0O
校門に向かって歩を進める。
そして、校門に自然と目が行く。
……今日も来てないか。
見慣れた制服姿はそこにはなかった。ここ三日来ていない。家にも、日が落ちた頃になってから帰ってくようになっていた。
どうしたのか訊いてみたが、何かしらの言い訳じみた事を言って、その本心を言ってくれなかった。
「また妹さんのことかい?」
その言葉で、思考の旅から帰された。
『また』って、そんなに妹のことばかり考えているわけじゃ…ないわけでもないが、普通に兄として相応の考えをもっているだけだ。
「ああ、まぁな」
険しい顔をする俺を一瞥し、高峰は朗らかに微笑み、
「それは、心配しなくてもいいんじゃないかな」
何かを含んだ言い回し方でそう言った。
「…何か知っているのか」
「さぁ」
もう一度微笑んだ。
- 246 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 09:00:46.44 ID:IGyo+aX0O
外出!
- 272 名前:保守人、有り難う御座います。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 17:17:51.95 ID:IGyo+aX0O
あ、えーっと…、帰宅!
- 274 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 17:27:37.12 ID:IGyo+aX0O
俺の心配はなんだったのか、その日を最後に、妹は校門に姿を現すようになる。
一応訊ねたが、無邪気に笑い、何も教えてくれなかった。
それからあっと言う間に一週間が過ぎ去る。
夏の日差しがアスファルトを熱し、上からも下からも暑さを感じさせる頃、
俺の学校で終業式が行われた。
明日から夏休み。
周りのクラスメイトが意気揚々と夏休みの予定を話し合っていた。
「しばらく逢えなくなるのは残念だね」
担任が最後のお決まりの注意事項と夏休みの過ごし方を話し終え、
礼の後、皆思い思いに解散する姿を見ているところに高峰が話しかけてきた。
「そうか?いつでも逢えると思うが。なんなら俺の宿題でも手伝ってくれよ」
「遠慮しておくよ。君の妹さんに失礼だからね」
「それはない」
彼女は微笑を浮かべ、ただ、
「またね」
と、挨拶を交わし一人で教室を出て行ってしまった。
- 287 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 18:53:33.55 ID:IGyo+aX0O
家に帰り、玄関を開けると、廊下に「イルカさん浮輪」「スイカ浮輪」が置かれていた。
リビングに顔を出す。
そこでは妹が一生懸命に「サッカーボール浮輪」を膨らましていた。
妹も今日、終業式であった。
俺に気づいたのか、「おかえり」と言い、
「とうー」
サッカーボール浮輪を俺に向かって放り投げる。
俺はその浮輪をキャッチする。
「海に行ってから膨らませればいいじゃないか。車の中だと、かさ張るんだぞ、これ」
「いいの、いっぱい遊びたいから、先に脹らましとく」
そう言い、今度はバスケットボール浮輪を膨らまし始めた。ってそんなに家に浮輪あったのかよ。
「お前は、本当に海が好きなんだな。でも最初の頃はそこまで好きだったか?あまり乗り気じゃなかったような気がしたが」
妹は視線だけを動かし、上目遣いに俺を見上げる。
浮輪を膨らませたせいなのだろう、顔を赤くして、すぐに視線をそらす。
「……好きなんだから仕方ないじゃん」
拗ねた顔をしたが、どこか照れ隠しをしているようだった。
- 296 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 20:20:44.34 ID:IGyo+aX0O
夕食を食べ終わり、部屋に戻ろうと二階の廊下を歩いていると、妹の部屋から話し声が聞こえてきた。
「――うん」
電話で話をしているのだろう。妹の声だけが聞こえる。
普段、妹が家族以外の人と話している姿を見たことがなかったせいなのだろう、俺は聞き耳を立てていた。
「――ぅぅ、無理だよ」
……。
「――嫌いじゃないよ」
……。
「――だってお兄ちゃんが…」
……?
「――……うん、頑張る」
……。
「――じゃあ帰ったら報告するね」
……?
「――うん、ばいばい」
……。
ドアに近づいてくる足音が聞こえる。やばい。
俺は音を立てず素早く自分の部屋に戻る。
足音は俺の部屋の前で止まる。
ばれていたのか?
ドアをノックされた。
「お兄ちゃんいる?」
その物言いからばれていないことが分かり、安堵しつつ返事をする。
「ぉ、おう、どうした」
部屋の中には入って来ず、
「明日、楽しみだね」
そう言い残し、妹は自室に戻って行った。
- 306 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 21:44:22.07 ID:IGyo+aX0O
夏休み初日。
俺はいつもより早く起き、出掛ける準備をしていた。
海。
夏休みが始まったばかりだからなのだろう。俺も、妹、までとはいかないが心踊っている。
昨日、妹が膨らました浮輪を拾い上げ、麦わら帽子を被った隣の妹に話しかける。
「毎年、俺は海に行ってもあまり遊んであげれなかったが、今年はたくさん遊ぼうな」
妹は、その大きな瞳を開き俺を見上げ、
「うん!」
透き通る声で返事を返した。
玄関を開ける。
夏模様。青い空が一面に広がり、太陽をより一層際立たせるように感じる。
だからなのかな。
その日は、とても暑かったことを覚えている。
- 307 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 21:57:53.21 ID:3eUT28/l0
俺はついにある法則を見いだした
スレが上がると、下がるまで作者は投下しない
- 321 名前:VIPがお送りします。 [sagd] 投稿日:2008/04/17(木) 23:24:54.55 ID:IGyo+aX0O
車の中で妹は外を眺めていた。
何かを思い出しているのだろう。
その横顔は、小さい子供の頃を思わせる。
…懐かしいな。
「何?」
ぼんやり眺めていると、視線に気づいたのか、こちらに振り向く。
透明な瞳。白い肌。俺は少し顔が熱くなるのを感じる。
「いや、なんでもない」
外に目を向ける。
地平線が見える。海がすぐそこに迫ってきていた。
- 322 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 23:25:31.35 ID:xsDw3DQg0
>>321
ホォァァー!
- 323 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 23:25:38.36 ID:IGyo+aX0O
「えいっ」
ポンっと頭に浮輪が当たる。
振り返ると、白いワンピースの水着に麦わら帽子を被っている妹がそこに立っていた。満面の笑みで、
「油断大敵だよ」と言って、俺の傍にくる。
すると、腕を掴み俺を引っ張る。
「お兄ちゃん、いこ!」
「おいおい、慌てるなよ」
浜辺はあまり人がいない。
小波が浜辺を濡らす。
バシャ
足に水の感触。
それは、とても気持ち良かった。
- 324 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 23:27:10.90 ID:IGyo+aX0O
俺はとにかく妹と一緒に遊んだ。
一緒に泳いだ。一緒に水鉄砲で打ち合ったりした。家族四人でビーチバレーもした。
妹は昼を食べ終わってからも、俺を連れまわした。
「もうちょっと沖のほうに行ってみたいなー」
「一人じゃ、危ないぞ」
首を横に振る。
「だから、お兄ちゃんがいるんじゃん、それに…」
そう言って、後ろに隠しているものを見せる。
「これは…浮輪ボートか?」
いつ買ったんだだよ。
「はい、これも」
もう一つもっていた物を渡された。
「……まさか」
「うん、頑張ってね」
空気ポンプだった。
- 325 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 23:27:40.02 ID:IGyo+aX0O
俺は汗だくになりながらも、浮輪ボートを膨らますのに成功。
その間妹は隣で砂の山作りを楽しんでいて、全く手伝わなかった。
「うわぁ凄ーい!お疲れ様」
人の苦労も知らずに遊びやがって!っと思っていた俺は、手を叩いて喜ぶ妹の姿をみて、怒りが苦笑に変わる。
妹を浮輪ボートに乗せ、俺は仕方なくそれを泳ぎながら押して沖まで出て行った。
「はぁ」
浜辺の人が小さく見える所まで来て、俺はボートに凭れながら息を整える。
妹は俺に背を向けるような姿勢で、遠くの地平線を眺めていた。
しばらく眺めていた妹は、背を向けたまま口を開く。
「……お兄ちゃんって好きな人いる?」
ドクンっと心臓がた高鳴る。
突然の質問に面食らってしまい、返す言葉が出ない。
「…私はいるよ。鈍感だけど、温かくて、優しい人。それはね…」
俺は顔を上げる。
妹がこちらに大きな満月のような瞳を向けていた。
ズキリ。足に痛みがはしる。
「うわ!いてええ!足攣った!」
しばらく悶絶してボートに掴まりながら痛みがひくのを待つ。
その間妹は拗ねた顔をしたままだった。
「浜辺に戻ろうかか」
俺がそう言うと、妹は素直に従った。
- 326 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/17(木) 23:27:48.76 ID:fKtP09WsO
>>323
浮輪を乳輪と読み間違えた俺は負け組
- 327 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/17(木) 23:28:37.63 ID:l4QZg8kX0
>>326
ブルータス お前もか・・・
- 328 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 23:29:48.96 ID:xsDw3DQg0
>>326
同じこと考える野郎は何処にでもいるもんだな
- 330 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 23:32:18.35 ID:IGyo+aX0O
浜辺に戻ってからも、妹は休まずに遊んでいた。
俺も、休みながらも一緒に遊んだ。
妹は凄く嬉しそうだった。
俺も嬉しかった。
こんなに楽しそうな妹は初めて見たのかもしれない。
- 332 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/17(木) 23:39:16.47 ID:p1cvHygVO
死亡フラグにしか見えない俺は歪んでる
- 333 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 23:40:34.35 ID:IGyo+aX0O
日が沈む頃になると、もう周りには人がいなかった。
親は「車にいる」と言い先に帰りの仕度をしていた車に戻っていた。
辺りは赤褐色に色付き、賑やかだった雰囲気も落ち着いている。
俺は今日一日の疲れを流すように夕陽を見ていた。
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「なんだ」
妹は俺の隣で座り、夕陽を見つめながら話してきた。
「どうしてお兄ちゃんと私って兄妹なのかな」
どういう意味だそれは?
「兄妹だから、いっぱい遊べる。兄妹だから、いっぱいお喋りが出来る……。」
肩と肩が触れる。
「……それは嬉しいこと。…だけど」
俺の肩に妹は頭を乗せる。
「………」
隣の少女に目を向ける。
その少女は瞳を閉じて、考えながら言葉を紡ぎ出していた。
- 334 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/17(木) 23:43:46.15 ID:qRiIB5ChO
後5分で落ちちゃうぞ
- 335 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 23:44:39.51 ID:xsDw3DQg0
>>334
まじかwwww
- 336 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 23:47:13.21 ID:IGyo+aX0O
「……だけど、兄妹だから出来ないこと、っていっぱいあるから…」
瞳が開く。目線が交差する。
鼓動が異常な程、速くなってくる。
俺は妹から目が離せなくなっていた。
その瞳の中に吸い込まれそうほど、強烈に引きつけられた。
「お兄ちゃん」
その声は、何もかも溶かしてしまいそうな甘い声。
夕陽に照らされた、その顔はとても綺麗で魅力的で、そして愛おしい。切なくて、どうしようもない焦燥感に襲われる。
「私、お兄ちゃんのことが好き。生まれたときからずっと好き。」
体を一気に引き寄せ、抱きしめる。
「……好きになりすぎて、自分がおかしくないそうだよぉ…」
肩を震わし泣き始める妹を、より一層強く抱きしめる。
妹もそれを受け入れ、俺に体を預ける。
「……ごめんな。今まで逃げてばかりいて」
「……うん」
「だから、俺も逃げない」
「……うん」
「俺も好きだ。今なら、心からそう言える。」
「……ぅぅ……遅いよ…ばか…」
そして――――、
妹は顔を上げる。
それはとても近くて、流麗で、初々しい。
気持ちが抑えられない、抑えたくない。
「……お兄ちゃん」
「………」
―――― 妹にキスをした。
- 337 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/17(木) 23:47:13.89 ID:p1cvHygVO
あと一分かな?
- 339 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/17(木) 23:49:13.51 ID:IGyo+aX0O
あーどうしよー
- 1 名前:VIPがお送りします。 []
投稿日:2008/04/18(金) 04:00:16.89 ID:0R3FXzZe0
っていいとこで終わったけど続きやんないのかな?
- 16 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/18(金) 08:37:21.04 ID:+dyFonTKO
続けてもいいけど…
このスレが夕方まで残っていたら、書くよ。
- 42 名前:しばらくお待ちを… [sage] 投稿日:2008/04/18(金) 17:35:45.29 ID:+dyFonTKO
帰宅!
- 57 名前:VIPがお送りします。 [] 投稿日:2008/04/18(金) 19:04:46.85 ID:gRcp7x3PO
どうでもいいけど
今日は妹スレ不足だなぁ
- 65 名前:VIPがお送りします。 [sage] 投稿日:2008/04/18(金) 20:06:58.81 ID:+dyFonTKO
俺と妹が海に初めて来たのは、俺が小学六年の時。
その時、妹は海に来るのはあまり乗り気ではなかった。
それから毎年、海に来るのは家族行事みたいなものになり、その時から毎年一回はこの浜辺に来ていた。
妹が海が好きになったのは何回目だったのかは覚えていない。
覚えているのは、朝まで拗ねていた妹が、帰り際からやけに嬉しそうにしていたこと。
「また海に行きたい」と、妹の口から出てきたことには心底驚いた。
そして、その次の年から、夏が近くなると、あからさまに楽しみにしていた。
別に深く理由は訊かなかった。
『好き』になるのに理由はいらない。そう思ったから。
それに、妹が楽しくしていると、俺も無条件に楽しくなるからな。
- 2ch落ち&鯖移転
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