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今、彼女が空へ向ける機械は誰にも愛されぬ彼の思い出
1 名前:以下、名無しが深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:12:41 ID:czYYFPfk
昔、昔のお話です

『ガザ……ギ……国連の……ビッ………議長……』

博士「っん〜……このストレーナー……劣化スゴいな……」

女「ねぇ博士。本当にこの機械でみんなが救えるの?」

博士「ん〜?う〜ん。まぁやってみないとね〜……でも救うよ。僕は絶対に。それにしてもこのラジオ、調子が悪いな」ガン

『ガザ……ザ……これに…り トリフィド条約は可決され…』

女「…………昨日ね、また殺されたの。今度は近所の女の子が殺されたの。お父さんが居ない子でゴスロリが好きな可愛い女の子で、まだ八歳だったの」

博士「そうか……それはお悔やみ申し上げる」

女「ねぇ、どうしてこんな世界になっちゃったのかなぁ」

博士「…………」

女「これがね、神様がお与えになった試練てやつなら、諦めもつくよ。あ、いやつかないか。試練を乗り越えようと思えるけど、こんな理不尽な事ってある!?」

博士「……今日はもう帰りなよ」

女「……うん。またね」

『それでは皆様、よい一日を……ザー』


2 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:14:40 ID:PQQ7fqQE
1だけどもしもしに変更。ちょっと長くなるけど必ず終わらせる


3 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:17:13 ID:PQQ7fqQE
女「ただいまぁ」

シーン…

女「お父さん、お母さん、姉さん、今日もまた博士の所に行ってきましたよ」

女「あの機械ね、天使を呼ぶ機械なんだって。凄いよ博士は。たった一人で私達を救おうとしてるんだ」

女「たった…一人で……」ポタ ポタ

女「うぅぅう〜…………」


4 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:19:11 ID:PQQ7fqQE
女友「オハヨー女」

女「あ、女友ちゃんおはよう。」

女友「……」ジィー

女「う、ぇ?どしたの?」

女友「女、目赤いよ。泣いてたの?」

女「!?ち、ちがうってぇ!!ただの寝不足だよ〜!!心配性だなぁ女友ちゃんは〜!!」

女友「ふぅん……まぁ、そう言うことにしとこう。で、またあの男の所に行ったでしょ?」

女「え?なしてわかったの?」

女友「だって何か油の匂いがするから…」クンカクンカ

女「そっかぁ〜…う〜ん……わからんにゃあ」スンスン


5 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:20:07 ID:PQQ7fqQE
女友「で、相変わらずあの男は作ってるわけ?」

女「へ?あ〜、うん。順調だって言ってたよ。やっと半分くらい完成したんだって」

女友「完成、ねぇ……それって本当に安心なの?信じれるもの?だって…………あの男が作ってるのは『機械』でしょ?」


6 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:25:42 ID:PQQ7fqQE
女友「あなたの両親もお姉さんも、みんな機械に殺されてるんだよ!?そんなものをあの男は作り出してるんだよ!?信用出来る!?」

女「それは偏見だよ。機械だって意志で動いてるわけじゃない。博士は言ってた。心ないものを心ない者が使えば悪意になるって。その通りだと私は思うな」

女友「はぁぁ〜……そう思ってるのはあんただけだって。現にこの町の人はみんな機械を恨んでるし恐れてる。昨日だって女の子が機械に殺されたばかりじゃんか!!」

女「でも、私は信じてる。博士ならきっとこんな世界を救ってくれるって」

女友「私は、信じられないよ……人しか、信じられない。心のない連中なんか信用出来ないよ」


7 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:37:55 ID:czYYFPfk
少女はそれは無惨に殺された。惨たらしく胸部を砕かれてお気に入りの黒のゴスロリのドレスを、血で、滑らせて血化粧で彩られた


女「……この子はいつも歩くときにくるくる回ってたんだよ。知ってた?」

女友「うん……それで脚がふらふらになって塀に頭をぶつけてたよね」

女「けどその時は泣かなかったよ」

女友「うん。泣かなかったなぁこの子」


いつも肌身離さず抱えていた猫のぬいぐるみ、名前はドルバッキー。嘘を暴く猫だが今は少女の血で赤く、赤く。


8 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:40:35 ID:czYYFPfk
モブA「かわいそうに……一人で居るところをたまたま機械に見つかったんだって」

モブB「畜生……あいつら、俺たちを仕事をこなすみたいに殺していくんだぜ」

少女母「…………ぅ ぁ……」

モブC「奥さん……棺から……離れて……出棺しますよ」

少女母「偶々だった…………いつもより…………早く仕事に、行ったから、それだけで…………ウァァァァ!!」

女「帰ろう……女友ちゃん…………私達に出来る事なんてなんにもないよ」

女友「うん…………気の毒だけど、仕方ない事じゃないけど、私達にはなんにも出来ない」

その日、ゴスロリの少女は煙となって赤い鱗粉と共に星へと昇った。


9 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:42:58 ID:czYYFPfk
『……機械により八十七人が死亡、これにより国連の軍は大きく動くことになります』

女「博士、また来たよ」

博士「君、よく飽きないね。僕が君だったらとっくに飽きてるよ」

女「それ、作ってる人のセリフじゃないよ」

博士「いいや、作ってる本人は飽きないのさ」カチャカチャガチン

女「ねぇ……この機械っていつ完成なの?」

博士「さぁねぇ。色々試さなきゃいけないこともあるだろうしねぇ」

女「何で博士は一人で機械を作ってるの?」

博士「そりゃあ……僕がウソツキだからさ」キリッキリッカチャ

女「博士はどんなウソツキになったの?」

博士「この装置で僕が機械を倒してみせますと言ったら、大バッシングさ。」


10 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/02/12(日) 21:43:52 ID:rsqbzEaw
頑張れ


11 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:44:40 ID:czYYFPfk
女「じゃあ博士はウソツキじゃあないよ。きっとみんなを救ってくれるもん」

博士「うん。僕もウソツキにならないように必死さ。あぁ、髪の毛が邪魔だなぁ」ガシガシ

女「切ってあげよっか?」

博士「や。いい」

女「ねぇ。博士、この装置はどんな仕組みなの?」

博士「天使を呼ぶんだよ。悲しみを空へと打ち上げてね」カリカリ、カチャカチャ、キュキュ

女「随分と詩的ね」

博士「ちょと似合わないね」

女「ううん。そんなこと無いわ」

女「きっと、うまくいくと思う」


12 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:45:06 ID:czYYFPfk

女「そうそう。今日はね、パンを焼いてきたんだ。美味しいよ。胡桃パン」

博士「そうか、イイ匂いするかと思ったらそんなサプライズが」

女「さて……私はもう帰るね、今日はお墓参りに行かなきゃ」

博士「ふぅん……暖かいね」モグモグ

女「?いや作ったのは昨日だよ?」

博士「いや、暖かいよ」マグマグムシャムシャゴクン

女「じゃあね博士、また来るよ」

博士「はいはい。気をつけてね


13 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:45:37 ID:czYYFPfk
博士「……座標はよし。計算もよし。性能も上等」

博士「我ながらよく一人でここまでやれたもんだ」


博士「モグモグ」


博士「きっと、救えるさ。僕なら」

博士「救えるとも」

博士「救うよ。約束だ」

博士「機械を、止めてやらなきゃ」

『陸海軍部隊は、明日、都市オーケンに向けて攻撃を……』


14 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:46:27 ID:czYYFPfk
女「お父さん、お母さん、姉さん、来たよ」

女「今日は胡桃パンを焼いてきました」

女「博士にも渡したよ。暖かいって。……美味しいとは言ってなかったけど」

女「多分、美味しいよ。私は美味しかったし」

女友「女〜、来たよ〜」

女「あれ?女友ちゃん?」

女友「迎えに来たの。不思議そうな顔してるけど今日は一緒に遊ぶ約束でしょうに。お墓参りに行くって言って、帰り遅いから」

女「あ〜……ごめん」

女友「機械に襲われたんじゃないかと思ったよ〜」

女「うん……ごめんごめん。あ、これ私のお父さんとお母さんと姉さんのお墓。紹介するね、友達の女友ちゃん」

女友「このタイミングで……えと、女友です。女ちゃんの良き友達をやってます」

女「じゃあ行こうか」

女友「何コレ……凄い淡泊だね君」


15 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:46:50 ID:czYYFPfk


ザワ……ザワ…


ざわ…ざわ……


女「何だか騒がしいね」

女友「何だろね?人集りが出来てるよ。…行くべし!」


ダッ


女「うわ!凄ッ!!機械が壊れてる!?」

女友「うぅむ……ものの見事に壊れてるね」

モブ「おう女友ちゃんか。すごいだろコレ。これ一人でやったんだぜ」

女友「え、マジすか。ちょ、これ誰がやったの?スゴいですよ」

モブM「新しい傭兵さ。俺さ、そん戦い見てたんだけど、もっ、凄いの。背丈なんかは俺と変わんねーのによ、バァァッと機械との距離詰めてよ!!で、担いでたソードオフでゼロ距離射撃の一撃。無駄のない力技だったよ」

モブG「普通機械なんて四、五人くらいで囲ってやっといいとこ一機じゃない?それを一人でって、大した人だよね」


16 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:57:31 ID:czYYFPfk
女「うわ!凄ッ!!機械が壊れてる!?」

女友「うぅむ……ものの見事に壊れてるね」

モブ「おう女友ちゃんか。すごいだろコレ。これ一人でやったんだぜ」

女友「え、マジすか。ちょ、これ誰がやったの?スゴいですよ」

モブM「新しい傭兵さ。俺さ、そん戦い見てたんだけど、もっ、凄いの。背丈なんかは俺と変わんねーのによ、バァァッと機械との距離詰めてよ!!で、担いでたソードオフでゼロ距離射撃の一撃。無駄のない力技だったよ」

モブG「普通機械なんて四、五人くらいで囲ってやっといいとこ一機じゃない?それを一人でって、大した人だよね」


17 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 21:59:26 ID:czYYFPfk
おう間違えた


18 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:00:06 ID:czYYFPfk
女「その人って今どこに居るの?」

女友「お、興味沸いたか。沸くよね通常。私も見てみたい!」

モブL「多分新しい駐屯舎居ると思うで」

女友「だって!!よし行こう!」

女「うん!」


機械は砕かれた顔面以外は綺麗に面影を残していた。

鮮やかな手並みで壊された機械は計算され尽くしたかのようにダメージを受けていた。


跡形もなく破壊されガラクタとなり果て錆びて土に帰る結末を迎えるのが機械の終わり方だが圧倒的。圧倒的な敗北の元、形を保っていた。


19 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:03:04 ID:czYYFPfk
女「すいませーん。お邪魔しますー」

傭兵「あん?君らは?」

女友「どうも始めまして。この町に住んでる女友です。こっちは女」

女「女です。通りの機械ってお兄さんがやったんですよね?」

傭兵「あぁあれね、うん。一体だけだから余裕っちゃあ余裕」

女友「スゴいですね〜……機械って五人くらいでやっとだって言うのに……」

傭兵「質は数に勝る。むしろアレ相手に今まで手間取ってた奴らのが問題なわけで」

女友「ほへ〜……やっぱりデキ男は違いますなぁ〜ほ〜は〜」

傭兵「奴らぁ動きは早いがその分装甲薄いからなぁ。もっともあんなド近距離からブッパされるなんて想定してないだろうが」


20 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:03:29 ID:czYYFPfk
傭兵「やろうと思えば君らにもやれるんちゃうかな」

女「むちゃくちゃですね……」

傭兵「むちゃくちゃだからやめられないんだ。正面突破のド突き合いの境地……はイケるね本当」

女「お兄さん、アレですね、何か麻痺してると言うか……違うか……戦いが好きと言うより機械が好きですよね?」

女友「女ちゃん…?」

傭兵「アハハハハハッ!そうそう、結局拘るんだよなぁそこに。死んだら元も子もないって人は言うけどさぁ。死んじまったら奴らに立ち向かえん」

女「……あなた、生きてますか?」

傭兵「哲学的だな。俺はただ動いてるだけだ。『機械を壊せ』と脳味噌から生まれた衝動に駆り立てられてな」


21 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:05:35 ID:czYYFPfk


女友「二、三個ぶっ飛んでおかしな人だったね」

女「私あの人あまり好きじゃないなぁ」

女友「ほぅ。私は機械をぶっ壊してくれる人なら大歓迎だけど?どうして?」

女「ン〜…なんかあの人自体が機械みたいだもん。度し難い程に、呆れる。生きてる意味ないなぁって」

女友「…人の生き方は人それぞれじゃん?私らがあの人を救いたいかなんて思ってるわけでもないし、救われたいと思ってもないだろうし。最後はやっぱり本人だけのものじゃないの?」

女「そうだけどさぁ……やっぱり納得いかないんだよね〜…」

女友「他人のことをアレコレ考えるのは人生損するよ。」

女「う〜……」


22 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:06:45 ID:czYYFPfk
女友「っっあ!?そう言えばそろそろ『レティクルの夜』だよ」

女「言われれば……もう来たのかぁ……」

女友「もう服は用意した?」

女「一応、ね」



レティクルの夜とはレティクル座の神様が死者の望みを叶えるための夜だ。
その夜はとてもとても悲しい夜で、親愛なる亡き者は愛する人を抱き締めるため、歩き回るのだ。

生ける者は扉を固く閉めて、その夜を静かに過ごすと言う言い伝えがある。
もちろん、ただの言い伝えなのだ。


女友「死者が歩く夜か……」

女「でもお父さんやお母さんに会えるなら、私大賛成よ?そんな夜なら悪くないわ」

女友「じゃあ私が死んだら歩き回るから会いに来てね」

女「う、う〜……ん……」

女友「何で、そこでうんと言わない」


24 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:18:37 ID:czYYFPfk
傭兵「おやおや、おはようさん」

女「あ、傭兵さんおはようございます」

傭兵「何だぁ……昨日みたいにお兄さんって呼んでくれても構わんよ?」

女「距離を取ることは大事だと思うんです」

傭兵「……俺は、アレか?やってしまったか?君に嫌われるような事を、とてつもない何か」

女「いいえ?私は傭兵さんを嫌ってはいませんよ」

女「好きでもありませんが」

傭兵「…………〜」

女「じゃあ私、用事があるので失礼しますね」ニコッ

傭兵「おいおい…………なんだそりゃあ、おい……」ポリポリ

傭兵「笑うと、可愛いなあの娘。突き抜けてやがる」


25 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:25:49 ID:czYYFPfk
女友「どうも、こんにちわ」

傭兵「どぅわッ」

女友「いきなり頓狂な声あげて……あぁ、春なんですね」

傭兵「俺の背後に立つとは……」

女友「忍びの成せる技です」

傭兵「いや、そんなことはどうでもいい。本当に」

女友「振っておいて流しますか」

傭兵「実はな、大発見なんだが、俺個人的な」

女友「聞きましょう」


27 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:26:54 ID:czYYFPfk
今度は二重投稿かよ

傭兵「いやな、君の友達の女ちゃん。あの娘な、笑顔がめちゃくちゃ可愛いのな」

女友「私にとっては、今更ですよ」

傭兵「そんな彼女がこんな朝早くに一体どこかへ行っちまった……潤うぞ色々と、あの笑顔は」

女友「朝早く……そうですね、もう朝の12時ですもんね。教会の鐘が昼休みを告げてます」カラーン カラーン

傭兵「俺の時間は俺が決めるのだ」フンス

女友「話を戻して……女がどこに行ったのか、教えましょうか?」

傭兵「聞きましょう」


28 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:28:31 ID:czYYFPfk
博士「あっはっはっはっはっ!!あはっははははっ!おはようさん」イテテ

女「あははははは!!何?首寝違えたの?」

博士「あはははは!!痛い痛い!!笑い事じゃないよ君ーあはははは!!」

女「博士も笑ってるじゃんかー!!あはははは!」

博士「はぁもぉ……これじゃあ今日は機械を造るのは無理だね……君、帰りなよ」

女「あははははー何で?」


29 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:28:59 ID:czYYFPfk
博士「何でて、もう今日は作業しないのよ。だから」

女「別に私は機械を見たいんじゃなくて博士に会いに来てるだけなんだよ?」

博士「…………こんな変わり者に?」

女「でも、人を救おうとしてる。私は好きだなぁ。博士の事」

博士「そりゃあ嬉しいな。告白?」

女「ちょっち違うかなぁ」

博士「うん……へこむ」


30 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:29:54 ID:czYYFPfk
博士「あ、そうだそうだ。今日の夜またここに来なよ。いいもの見せたげるから」

女「いいもの?」

博士「うん。人によってはだけど。多分滅多に見られるものでもないし」

女「そんなに……じゃあ期待して待ってるね?」

博士「まぁ過度に期待されてもアレだけどね」

女「どっちなんさ〜。あ、そうそう私もね、変わったことがあったから報告に来たの。あのね、昨日町に傭兵さんが来てね、たった一人で機械を一機壊しちゃったんだ」

博士「一人で?そりゃ凄いな」


31 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:30:11 ID:czYYFPfk
女「うん……でも、何て言うかかわいそうだった」

博士「その傭兵がかな?」

女「う……う〜ん…だから……何て言うかな、傭兵さんがじゃなくて、傭兵さんの生命が……かわいそう」

博士「かわいそう?生命が?……意味が分からん」

女「だから……ね、えと、人生捨ててるみたいな感じかなぁ。その人、機械を壊すことに生き甲斐を感じてるんだけど、もっと楽しいこととかやればいいと思うんだ。いつ殺されてもおかしくない生き方なんて、死んだ人に失礼だよ」

博士「なかなか、どうして……深いことを言うね。所でその傭兵さんってのは……こっちに歩いてきてるあの兄さんかな?」

女「へぇ?」


32 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:31:53 ID:czYYFPfk
博士「ど〜も〜。失礼、こんな体勢で」

傭兵「こんちゃ〜。いえいえ。何で首だけこっち向き?」キンチャンバシリ?

女「あの……傭兵さん……どうしてここに?」

傭兵「例えば……強く思い浮かべる。君を。そしたらば自然と、ここに辿り着いたのだ」

女「…………」ヒク

傭兵「あぁウソウソ。ごめん引かないで。君の友達に聞いたの。君がここにいるんじゃないかとか…………」チラ


33 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:33:43 ID:czYYFPfk
傭兵「ここに、ここで一体何をやっているのか、とか」

博士「お〜、傭兵さんも僕の装置に興味あるかい?」

傭兵「んにゃそんなに。ただコイツ……動くの?」

博士「コイツが動き回るようなものに見えるかい?」

傭兵「ビタイチ見えんな。いいとこ、デッカい大砲みたいだ。コイツは一体何なんだ先生?」

博士「人を救うための機械さ」


34 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:35:22 ID:czYYFPfk
傭兵「ふぅん……コイツで、アレか。機械どもをぶっ飛ばすのか?」コンコン

博士「それはちと違うかなぁ」

傭兵「じゃあ俺達をぶっ飛ばすのか?」

女「傭兵さん!」

傭兵「このご時世だ。いくら郊外だからってよ、こんな、いかにもな機械造ってたらそら町の人も不安がるわな」


35 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 22:36:32 ID:czYYFPfk
女「博士は絶対にそんな事をしません!絶対に!!これは、人を救うための機械なんです!」

傭兵「しかし所詮機械だろ。機械である以上は俺は受け入れない。救うだと?アンタ一人でか?」

博士「言いたいことはわかるよ。ちなみに、今のセリフは全部言われてきた事だ。信じられようと信じられまいと関係ないよ。僕は僕のやりたいようにやるんだから」

傭兵「そうかい……まぁ頑張ってくれや。俺はどうなろうと知ったこっちゃないな。俺が戦わないといけないようなら容赦はしないが」

風呂入ってくるのでチョイ休憩


36 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 23:02:13 ID:czYYFPfk
博士「やはり……そうだよね〜…なかなか賛同は得られないよな。こんかゴツいもん造ってんだから」

女「私は信じますからね!世界中の生きとし生けるもの全てが疑っても、私は博士を信じるから!」

博士「ありがとう……君一人だけでも、僕には大いなる助力だ。救われる」

女「私、もう一回傭兵さんと話してくる。しっかりわかってもらって、博士の事を信じてもらえるようにする」

博士「……そこまでしてもらわなくてもいいよ。僕は邪魔さえ入らなければそれでね」

女「ダメだよ!博士は私の希望なんだから!」ダッ


37 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 23:03:34 ID:czYYFPfk
博士「行っちゃったよ……」

博士「僕が希望か……もうちょっと頑張ってみるかな……っと、ラジオラジオ」



カチ




『改正されたトリフィド条約により新たに開始された実験は新たな段階へと入り……』


博士「……失敗したな、実験。新たな段階って次の手段だろ。大体目に見えて暗礁に乗り上げてるんだよ。最初ッから」



『……議長は次のように述べ「暗い時代に終わりを告げるために、如何様に自己犠牲を誇示するかである」と、国連会議で新たな実験に意欲を見せました』


38 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 23:04:28 ID:czYYFPfk
女「傭兵さん!」

傭兵「およ?女ちゃんどしたの?追っかけて来ちゃって」

女「あの、博士は悪い人じゃないんです!信じてください!」

傭兵「うん」

女「…………え」

傭兵「信じる信じないはともかくとして、別に俺は博士の機械をどうかしようなんて考えてはねぇよ?」


39 名前:深夜にお送りします [] 投稿日:2012/02/12(日) 23:04:52 ID:czYYFPfk
傭兵「ただあれが、面倒な事を引き起こすようなものであればー俺は務めを果たさないとならんわけだが」

女「だ、大丈夫ですよ!博士はそんな事絶対にしません!」

傭兵「だろうな。君一人が信じた男だ」

女「……傭兵さんは、もしかしたらイイ人なんですか?」

傭兵「イイ人ではないんだな。ごめんな」

女「……それでも、私にはイイ人ですよ」ニコッ

傭兵「お、おぉ……」



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