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妹「お兄ちゃん……中に……!」
1 :ただの人間には興味のない話かも知れませんが、 [] :2010/03/14(日) 14:53:03.55 ID:vckn6hKp0 BE:167072922-2BP(1234)
sssp://img.2ch.net/ico/gaku.gif
兄「中の人など居ない!!」

14時半過ぎ、妹に詰め寄られた兄は大袈裟に声を荒げる。しかし、その顔付きは口調に相応しくない平静なものだった

妹「でも最近変だよ、お兄ちゃん……」

近頃、兄の様子がおかしい。血色が悪く表情の変化が乏しい。加えて、体が一回り大きくなった様にも見える

数日前、丸一日家を空けた辺りに原因があるのか、と思う妹だが、本当のところは本人に確かめてみないと判らない

兄「気のせいだ――」

しかし取り付く島も無い、兄は徹底した秘密主義者なのだ。妹から見れば不思議生物と云っても良い程だった

兄「――気にしなければ気にならない事を気にするな。以上!」

一方的に会話を打ち切ると、扉を閉めて兄は引っ込む。立て篭もられてしまったら妹には為す術がなかった

妹「お兄ちゃん……」

また誤魔化された。だが、妹は知ってしまったのだ、兄の背中にチャックが有る事を


2 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 14:53:13.06 ID:jJetEmYh0
     ∧_∧
 ピュー (´・ω・`) <これからも山崎誠を応援して下さいね。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎


4 :この中に妹至上主義者、悪女好き、 [] :2010/03/14(日) 14:57:29.02 ID:vckn6hKp0
“中に、誰も居ませんよ?”度重なる追及に兄はそう繰り返す

しかしその時に於いても、無駄に長い前髪の奥に潜む焦点の定まらない瞳と、

無闇に青白く生体反応を感じさせない肌は、妹の疑念を更に深めるばかりだった

妹「あれは確かに……」

兄の背中に走った一本の筋を思い返す妹。それは金属性の光沢を放っている様に見えた

異変に気付いたのは数日前。その日、いつもより早く帰宅した妹は風呂場から出て自室へ向かう後姿を目撃した

背後のの気配を察知した兄が素早くゴルゴ歩き※に転じたため、

はっきりと確認は出来なかったが、背面のそれは人体に存在して良い類の物だとは思えなかった

もしジッパーが付いているとしたら、考えられる可能性は2つ、スティッキーフィンガーズに殴られたか、中に何かが入っているかだ

妹「あれは……本当にお兄ちゃんなの?」

妹は謎の兄に、得体の知れない脅威を感じずにはいられなかった


※【ゴノレゴ歩き】 〔名・自サ変〕 某13氏のように、他人に背中を見せない歩き方のこと。チープトリック歩法とも。


5 :小悪党フェチ、ヘタレ萌え、 [] :2010/03/14(日) 15:02:11.77 ID:vckn6hKp0
妹(12人も居ない)は少し歳の離れた兄と共に、この二階建ての住宅で暮らしている

両親は仕事の都合で海外に行っている、という様な事情は別に無い。一緒に住んでいる

親については取り立てて言及すべき点も無く、妹も充分に妹としての特性を備えている。問題なのは兄だ

兄は霊長類ヒト科に属する哺乳動物だが、半夜行性であるという事以外、その生態の大部分は謎に包まれている

毎月、家に金を入れているので職には就いていると推測されるが、その仕事が何なのか誰も知らない

夜に出掛けて昼間は家に居る日が多い様だが、以前は月末に数日単位で帰らない事も珍しくなかった

いい歳こいて実家から離れられない駄目人間だが、自宅警備員時代を思えば大分マシになったとも云える

生活のリズムの合わない両親は兄と殆ど顔を合わせず、現在、異常に気付いているのは妹のみ

元々、互いに関心の薄い兄妹である。妹が兄に、ここまで興味を持つのは初めての事かも知れない

この物語はそんな兄妹の罪に濡れた関係を淡々と描くものです。過度な期待はしないでください


6 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 15:03:06.16 ID:ojG4IMJY0
腹筋じゃない・・・!?


7 :チャンピョン紳士、ジャンプ読者、 [] :2010/03/14(日) 15:06:46.89 ID:vckn6hKp0
〜兄部屋〜

兄「危ないところだった……」

自室に籠もった兄は布団に腰を下ろして一息吐いた。妹に疑いを抱かせたのには少々心配が残る

兄「だけど……ま、何とかなるか」

妹にしても、確かな証拠が在っての追及ではないだろう。もうしばらくの辛抱、強硬な態度で乗り切れる自信はある

兄「それにしても気持ち悪いなコレ」

兄は右手に視線を落とした。赤き血の11が通っている筈の皮膚に、不自然な皺が生じている

これは甚だ見た目がよろしくない。手首の表皮をつまんで引っ張って調節し、指先のズレを直す

外見を取り繕うことに全力を注いだ代物であるため、その着心地はすこぶる悪い

そもそもが実験的な導入であり、そこまでの性能を期待すべきではない。不具合も含めてのテストなのだ

兄「早く脱ぎてーな……」

兄はこの生活に、やり切れない不自由を感じずにはいられなかった


8 :イタリアンマフィア構成員、打ち切り漫画愛好家、 [] :2010/03/14(日) 15:10:47.50 ID:vckn6hKp0
〜しばらく後兄部屋〜

妹「くさっ!!」

立ち込めるタバコの臭いに心が挫けそうになる。兄が出掛けたのは10分前のことだった

妹はそれを見計らって部屋に入り込んだのだ。とはいえ、それ自体はさほど特殊な行動ではない

ゲームやパソコンを借りるために兄の部屋へ来るのはよくある事で、それは兄の了承も得ている

ただし、今夜は目的が違う。若干の緊張を感じる妹

妹「さてと……」

机、二台のパソコン、本棚、タンス、押し入れ、妹は室内を見回す。どこから手を付けたものか

兄の部屋は六畳ほどの洋室で、妹のものより幾分か狭い。敷きっぱなしの布団と家具類を除くと、生活空間は極端に少なくなる

妹「よし……」

兄の正体を探る、直接問い詰めても答えてくれないなら、周辺情報から調べるしかないのだ


9 :あくまでもパンツじゃないと主張する方々、 [] :2010/03/14(日) 15:15:53.53 ID:vckn6hKp0
結果だけ述べると、妹は何の手掛かりも得る事が出来なかった。兄の証拠秘匿術は完璧だったのだ

机の引き出しは鍵が掛かっていて開かない。パソコンを立ち上げても兄のアカウントはロックされている

棚の書類は妹が見ても理解出来ず、押し入れにもタンスにも不審な物は見当たらない

調査は最初の段階で行き詰った。それでも問題は一刻も早く解決しないと気が済まない妹である

パソコンのある兄の部屋は、半ば家族の共同空間と化している。そんな場所に期待したのがいけなかったか

妹「う〜ん……」

自室に引き上げて考えを練る妹、もっと深く踏み込んで調べるとなると選べる手段は少ない

まず思い付くのが兄の就寝中に体を調べる事。しかしこれは、一歩間違うと『兄に夜這いをかける妹』と誤解されかねない

次に、兄の入浴中に凸する事だが、この方法も安直なだけに危険が伴う。素人にはお勧めできない

兄の体にあんな事やそんな事をする案は、9割方リスクが大きすぎるため却下

結局、兄の外での生活を探るのが最も現実的な策だと妹は判断した


10 :ガイドライナー、説明マニア、 [] :2010/03/14(日) 15:19:55.16 ID:vckn6hKp0
〜翌日居間〜

ニュースが街を襲った怪人の話題を報じている。ヒーロー不在の世の中、悪の組織の類が巷を騒がせている様だった

夕食後、妹は居間でテレビを見ながら時間を潰していた。兄が出発する時刻まで、もう少し待つ必要がある

予定より8分程前に妹は自分の部屋へ戻った。そこからは細心の注意をもって隣の兄の様子を窺う

妹「……」

支度は既に完了している。外に響く雨の音が、時を待つ妹の精神を引き締めていった

妹「!」

隣室の扉が開かれた、兄が動いたのだ。しかし焦ってはいけない、妹は耳を澄まして動向を探る

兄は階段を降りて真っ直ぐに玄関へ向った。妹は家の扉が閉まった音を確認した後、迅速に作戦を開始する

妹「……」

妹は居間の両親に気取られない様に足音を忍ばせ、玄関先の傘を掴んで静かに家を抜け出した


11 :自宅警備員、運動不足が気になる人、 [] :2010/03/14(日) 15:24:27.17 ID:vckn6hKp0
〜街〜

車もそれほど通らない都会の住宅地、傘に当たる雨音が、兄を追跡する妹の神経を粟立たせてゆく

兄「……」

妹「……」

兄は7つ目の角を曲がると、住宅街を抜けて川沿いの道を進む。この辺りまで来れば人通りも減る

灯りは少ないが、一本道で視界も良い。少々距離を置いても目標を見失う心配は無いだろう

妹「……」

妹は兄を追いながら行き先を推測する。この経路を通るとすれば少し遠くの駅か

最寄り駅ではないが、路線の都合で利用する可能性は十分にあるのだ

―――再び意識を兄に戻す。尾行という非日常的行為に奇妙な高揚感を覚える妹だった


12 :その他、まあ誰でも良いから見てって下さいよ。 [] :2010/03/14(日) 15:29:08.30 ID:vckn6hKp0
〜駅〜

果たして兄が向かったのは駅だった。時間を置かず到着した各駅列車に乗り込む兄、そして妹

電車で移動する相手を尾行するのは、標的に接近せざるを得ない為、気付かれる危険性が高まると考えられる

そこで妹は、事前に用意していたマスク、サングラス、帽子で変装する事で、その懸念を解決していた

どこからどう見ても、ただの変質者である。怪しまれる心配は無いだろう

二十一時半過ぎ、この時間帯の上り線は比較的空いているので、ある程度座る場所も選べる

前から6両目、兄とやや離れた向かい側の座席に陣取った妹は、サングラス越しに獲物を監視する

兄「……」

妹「……」

兄は周囲に気を配る事もなく携帯を弄っていた。そして待つこと十数分、四つ目の駅で席を立った

妹は少しの間を置いた後、車両を降りて兄を追う


13 :各所からやりたい放題パクってますので、 [] :2010/03/14(日) 15:33:32.66 ID:vckn6hKp0
急行が止まらず、乗り換えも無い駅。その街に何が在るのか、俄かには思い付かない地味な土地だった

兄「……」

妹「……」

電車を降りた人間は他にあまり居ない。構内の静けさに妹の足取りは慎重になる

改札を抜けた兄は夜の街へ。勘付かれるのを危ぶむ妹だったが、見失っては元も子もない、追う足を早める

兄は脇目も振らずに歩くこと5分弱、人気の無い商店街を通過し、やがて小さなビルの中へと姿を消した

妹「ここがお兄ちゃんの―――!!」

近寄ってビル名の表示を見た、その時妹に電流走る。『悪の組織 事業部ビル』そこには、そう記されていた

妹「悪の組織!?」

何故兄がこんな所に?腹の底に芽生えた不安と動揺が臓腑に絡み付き、緩やかに心臓を加熱してゆく

妹「……」

無意識に後ずさった足が駅に向かって歩き出す。暴いてしまった秘密の重さに、妹の覚悟は後悔に溶けていった


15 :そういう系のお話が好きな方には良いのではないかと思います。 [] :2010/03/14(日) 15:39:47.90 ID:vckn6hKp0
〜妹部屋〜

妹「……」

衣類や本の散らかった床、物置と化した机。帰宅した妹は、自室に戻って動悸の治まらない体を横たえた

気分は一向に落ち着かない。ヘソの奥あたりに何か冷たいものが蠢いている感じだ

兄が入っていったのは悪の組織の建物。迷いもせずに向かって行った事から、日常的に通っていると思われる

悪の組織に兄が何らかの関係を持っていることは確定的に明らかだろう

悪の組織―――妹も詳しくは知らないが、読んで字の如く、悪事を目的とする悪者の集団である

天敵である正義の味方が存在しない為、その勢力は拡大の一途だという

兄が悪の組織の一員だとすると、これは由々しき事態である

世界にたった4人の家族として、いや、善良な一市民として捨て置けない問題なのだ

妹は体を起して障子を開けた。この夜の街で、兄が何をしているのか今まで考えたことも無かった

しかし、知ってしまった以上は兄に問い質すしかない。妹は確かに見たのだ、ネタは光っているのよ!


16 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 15:41:04.86 ID:CSo0yNcNP
文章うめえw
支援


17 :元ネタが全部分かった君は、 [] :2010/03/14(日) 15:45:31.61 ID:vckn6hKp0
〜翌朝兄部屋〜

兄は普段通り朝早く、家族が活動を始める前に帰宅した。靴を脱ぎ捨てて真っ直ぐに階段を上がって自室へ

このまま布団に倒れてしまいたいところだが、今日はそうもいかない

付けっ放しのパソコンの前に座りって鞄を広げた。そしてタバコに火を付けて深く息を吸う。残りは3本

上層部より残業禁止令が発せられている為、職場に残って作業することは出来ない

しかし、都合があって終わらない仕事もある。その分は家に持ち帰って片付けなければならないのだ

とはいえ、残務は大した量ではない。一時間以内に終わるとして、七時半前には眠りにつける筈だ

兄「…………はい終了」

仕事を終えた兄は立ち上がって伸びをする。思いがけず遅くなったためか、腰をひねると尋常ではない程関節が鳴る

既に起き出している両親達とは、出来れば顔を合わせたくない。歯を磨いて、トイレに行って、さっさと寝てしまおう

兄「!」

下階に降りた兄は居間を出てきた妹と鉢合わせた。視線が交わり、薄暗い廊下で緊張感が二人を包む

妹「……お兄ちゃん、後で話があるから家に居てね。じゃ、行ってきます」

兄「あ、ああ……」

重い空気の中、妹は無機質な台詞を残して玄関へ。それを見送った兄は、欠伸をして洗面所に向かった


18 :後楽園遊園地で僕と握手。 [] :2010/03/14(日) 15:49:14.73 ID:vckn6hKp0
〜その日の午後兄部屋〜

午後2時半過ぎ、シャワーを浴びた兄は部屋でくつろいでいた。昼食も既に済ませてある

兄にとってこの時間帯は、朝のティータイムと何ら変わらない平穏なものだ

気に掛かるのは今朝の妹の言葉、このところ、兄妹の関係はあまりよろしくない

その上、妹は兄の体に興味を持つお年頃である。接触は極力避けたいところだった

兄「!」

されど審判の時は訪れた。さほど広くはない家、兄は玄関の扉が開かれたのを知る

階段を昇り来る足音を憂鬱と共に待つ兄は、妹をあしらう算段に思案を巡らせていた

妹「お兄ちゃん、起きてる?」

妹は扉を叩く。ここからが本当の地獄だ


20 :こんな感じで、今回は実験的に名前欄も活用します。 [] :2010/03/14(日) 15:51:53.38 ID:vckn6hKp0
妹「お兄ちゃんの仕事って何?夜出て行って何やってるの?」

兄「は?仕事……?」

部屋に迎えた妹が発した、思いもよらない方角からの問いに固まる兄

身体について尋ねられることを想定して考えた、全ての回答は意味を失った

兄「仕事ってお前……俺はただの会社員の様なモノだぞ……?」

兄は空白の思考の中から何とか模範解答を1つ導き出した。嘘ではない。うん、まぁ……

妹「嘘だ!!」

常日頃からの不満が溢れ出し、妹は形相を一変させて語気を強める

妹「私……見たんだよ?お兄ちゃんが悪の組織の事業部に入っていくトコ。昨日、お兄ちゃんの後をつけたの」

兄「な……」

ここでまた兄の思考は停止した。妹がその様な行動に出るとは想像だにしていなかったのだ

兄が妹の尾行を予見できなかった理由は、兄妹の性質の違いにある

妹にとって面倒事とは立ち向かうべきものだが、兄にとっては避けて通るモノだ

もっとも、妹の積極果敢な性格は、兄の無気力な生き様を反面教師とする面も多分にあるのだが


21 :ではでは、FIRE [] :2010/03/14(日) 15:56:20.21 ID:vckn6hKp0
妹「何で……お兄ちゃんは本当の事を言ってくれないの?」

兄「俺が本当の事を言った事が一度でもあったか?」

不利益の気配を感じた兄は決して本心を晒さない、真実を語らない。開き直りと逆ギレは彼の得意技である

兄の考える、いい人間関係に於いて重要な三つの“U”が有る

一つ目は『嘘はバレない様に』二つ目は『恨みは黙殺する』そして三つ目は『裏切る時は徹底的に』

要するに、兄は人を欺く事に何の躊躇いも感じないし、何者の感情に影響されるつもりも無い

全ての他人は利用する対象としての意味しか持たず、自分に関係しない者は無と同じだった

天下御免の利己主義者、今まで平穏無事に生きてこられたのは、

持ち前の消極性が周囲との軋轢を抑えていたから、ただそれだけの理由に過ぎない

そして妹は、そんな兄の気質を知る、数少ない一人でもあった

兄「妹……」

黙り込む妹に兄は勝利を確信する。すると、その呼び掛けに応えるかの様に、両目に悔しさを浮かべて肩を震わせる妹が






爆発した


22 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 15:57:43.76 ID:6c9Ua0AR0
ちょwwwこれはやられたwww


23 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 15:58:47.02 ID:CSo0yNcNP
えっ


24 :魁!妹塾 [] :2010/03/14(日) 16:00:25.32 ID:vckn6hKp0
特に理由はないッ 妹が爆発するのは当たりまえ!!

〈妹爆発の歴史は永く、その起源はBC11世紀まで遡ると言われている。
中国黄河流域を中心に広く研究され、その集大成として古代中国武術『弐斗炉』が成立した。
アノレフレッド・ノーベノレがその原理を応用してダイナマイトを発明したことは、論を俟たないだろう。
近年、爆発する妹は姿を消しつつあり、KIK(国際妹機関)を主導として保護活動が進められている。〉

                                   民妹書房刊『妹爆発 その歴史と研究』より

妹は、爆風の直撃を受けて壁に打ち付けられた兄に歩み寄り、その体を引き起こす

妹「!」

意識の無い兄の顔を確かめた妹は目を見開いた。頬の辺りの表皮が剥がれ、中身が露出していたのだ

妹「やっぱり……中に誰か居るんだ……」

内部のそれは人の皮膚の様だった。妹は破れ目に指をかけて顔を覆う物質を引き裂いた


27 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 16:02:09.72 ID:zRQAouuyO
へえ、勉強になるなあ。


28 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 16:03:02.73 ID:0VpRd34J0
これは・・・妹式爆発反応装甲っ!


29 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 16:04:02.10 ID:CSo0yNcNP
うちの妹は爆発しないタイプでよかった


30 :うん。もうちょっとだけ続くんじゃ [] :2010/03/14(日) 16:04:36.74 ID:vckn6hKp0
妹「!?」

皮を剥いだ中に在ったものは、兄の顔の様に見える。だが何かが違う、記憶の中の像と一致しない

妹「何コレ……?」

妹は首を傾げる。しかしこれは、考えて解決する性質の疑問ではないだろう

兄「……う……」

兄が目を覚ます。妹は素早く馬乗りになって両腕を足で押さえ込んだ。街でよく見るマウントポジションの状態である

兄「くぁwせdrftgyふじこlp;@なにごと?なにごと!?」

途切れた記憶、掴めぬ状況、自由の利かぬ体に錯乱した兄は脚を振り乱して喚く

妹「お兄ちゃん、説明してよ」

兄「説明って……?どういうk……」

妹「お兄ちゃんに質問する権利は無いの。判ったら、訊かれた事だけに答えてね」

右拳を構えた妹は、左手で軽く兄の頬を叩きながら冷然と言い放った


31 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 16:05:05.68 ID:6c9Ua0AR0
『妹が爆発した!!』でググると、全然関係無いサイトがヒットしてわろたwww


32 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 16:07:52.77 ID:CSo0yNcNP
街でよく見るwwww


33 :流石だよな俺達兄妹 [] :2010/03/14(日) 16:09:01.68 ID:vckn6hKp0
兄「妹者マテ!ときに落ち着けって!話すからちょっと待て」

妹「OK、言い訳を聞こう。まず、お兄ちゃんは何者なの?仕事は何なの?」

妹は恐慌状態の兄の拘束を解き、拳を光らせて釈明を待つ。兄は首の後ろに手を回し、何かを考える様に下を向いた

兄「……俺が悪の組織に所属している。それは間違いないが、役職はただの事務員だ」

妹「え……!?」

視線を上げた兄の顔に、先程見えた違和感は無くなっていた。見間違いだったのか?いや、でも―――

更にその言葉も妹を戸惑わせた。まさか悪の組織に、事務員などという人種が存在するとは思ってもみなかったのである

兄「主な仕事はデスクワークだ。街の破壊活動とかには全然関わってない」

妹「本当なの……お兄ちゃん?」

兄「ああ、信じてくれ。就職した先が、たまたま悪の組織だっただけだ」

話を聞く素振を見せる妹に胸をなで下ろす兄。身体の問題は、取り敢えず誤魔化せたと思って良いだろう

仕事について語った内容は概ね嘘ではないが、全くの真実でもない。どれだけの真実を与えるか、その匙加減が肝要だ

破壊活動以外の作戦には携わっていた兄だったが、そんな事を伝える必要は無いのだ


34 :マーク・兄 [] :2010/03/14(日) 16:13:47.29 ID:vckn6hKp0
妹「だけど、悪の組織なのは変わらないんだよね?怪人とかと同じなんでしょ?」」

兄「違うよ。全然違うよ。怪人が居るのは悪の組織本部、俺の職場は悪の組織事業部」

妹「へー、じゃあ、悪の組織事業部と悪の組織本部の違いは何なの?」

兄「じゃあ、簡単に説明してあげるよ。まず、悪の組織本部は非合法です。
怪人やら戦闘員やらを使って街や人に危害を加える。
それが悪の組織本部の活動だったりするんだ。
その様な戦闘部門を配備して、作戦を指揮するところから本部と言う名前がついたんだ。
これは非合法。捕まっちゃいます。でも悪の組織事業部というのは戦闘部門が存在しないんだ。
世界征服などの、人に直接脅威を与える業務には関係ない部署なんだよ」

悪の組織事業部とは、軍手落としやリモコン隠しなど、多岐にわたる悪行を行う非合法組織である

闇に紛れて悪事を働くのがその活動目的だが、それも今この場では不要な情報だ

兄「だから、俺は普通のサラリーマンみたいな物だって言ったろ?」

妹「……そうだったんだ」

妹は拳を下ろす。一度爆発したことで、精神状態も落ち着きを取り戻してきていた


35 :VIPがお送りします [sage] :2010/03/14(日) 16:17:02.64 ID:CSo0yNcNP
事業部も非合法じゃねえか!


36 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 16:19:18.04 ID:vckn6hKp0
妹「ふーん、まあ良いや。で、それは何なの?」

兄の説明にひとまず納得する妹だったが、最大の関心事は他にある。先ほど破り捨てた残骸に視線を送った

兄「これは……組織が開発してる新製品だ。俺は試作品のテストを任されてたんだよ」

兄が着込んでいたのは、開発中の『兄スーツ』、個人の身体情報を基に作られた、精巧な着ぐるみの様な物だ

体を覆い隠し、身内にも見破られない擬態をする事を目的とした製品である。そして彼はそのモニター役を押し付けられていた

妹「だったら最初っからそう言ってくれれば良かったのに」

兄「それを言ったら実験の意味が無いんだよ……それより、俺の仕事の事、親には内緒にしておいてくれ」

両親は悪の組織に勤める兄を認めないだろう。職を失うのも、実家を離れるのも避けたい兄である

妹「ハイハイ。うん、分かった。じゃ」

妹は、兄の正体を把握した事に満足して引き上げる。しかし、その行動は兄に新たな悩みを残していた

兄「どうすっかな、コレ……」

兄は床にへばり付いた無残な物体に目を落とす。試作品が台無しになってしまっては、テストどころではない

兄「やべーな……」

仕事上のミスの引責も兼ねての任である。上司にどう弁明したものか。解決の見通しの立たない問題に、兄は頭を抱えるしかなかった


37 :VIPがお送りします [] :2010/03/14(日) 16:23:16.99 ID:EVMNOKcK0
ジッパーのせいだろwwww
設計上の問題wwwww



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