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犬娘「恩返しですっ!」男「いらん」
276 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:08:22 ID:IG2zx6r6

―五日後

男「う……朝…か…?」ズキッ

犬娘「おっはよーございます!ごしゅじん!きょーもいーおてんきですよ!」

男「犬娘…悪いけど、携帯と手帳を取ってきてくれるか?」

犬娘「はい!」タタタ…


277 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:09:22 ID:IG2zx6r6

男(…なんだこれ、体が重い…)

犬娘「もってきました!」つ携帯電話 手帳

男「ありがと…」

犬娘「ごしゅじんおきないんですか?あさですよ?」


278 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:10:00 ID:IG2zx6r6

男「起きれそうにない…ちょっと具合が悪いみたい…」

犬娘「! それはたいへんです!ゆっくりねてください!」

男「…いや…とりあえず飯を…」ムクリ バタッ

犬娘「!!!」


279 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:12:04 ID:IG2zx6r6

男「あ…ダメだ…立てない…ゴメン…」

犬娘「お、おきなくていいです!むりしないでください!」

男「そう言ってくれるよ…助かるよ…」

犬娘「ごはんはれーぞーこにありますから、ひとりでたべますからおきちゃだめです!」トテトテ


280 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:13:06 ID:IG2zx6r6

男「ああ…よろしく…」

犬娘「なにかたべてすぐきます!」

ペラッ←手帳を捲る

男(緊急医は…1時間くらいかかるな…車は無理だし、タクシー会社…一社やってるな…)

ポチポチ prrrrr

『はい、速く賢く安全にがモットーの○○タクシーです』


281 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:13:47 ID:IG2zx6r6

男「すいませんタクシー一台お願い…できますか?住所は――」

『すいません現在、ストライキに突入しております。申し訳ありませんができません』

男「は…?」

『それでは』ピッ


282 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:15:10 ID:IG2zx6r6

男「ちょっ……ダメか…」

男「他に頼れる所…一つしかないか」

男「…女に頼んでみるか…」


283 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:15:33 ID:IG2zx6r6

―その頃 女の屋敷

執事「お嬢様、朝食はいかがでしたか?」

女「ああ、いつも通りとても美味しかったよ、ありがとう」

執事「それは何よりです」

女「――で?」


284 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:15:54 ID:IG2zx6r6

執事「何でしょうか?」

女「今日が五日目だけど?」

執事「おそらくそろそろ電話がかかってくるでしょう」

女「失敗は?」

執事「ご冗談を」


285 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:17:34 ID:IG2zx6r6

Prrrrr

女「噂をすればってやつだね」ピッ

女「もしもし?」

男『…車を用意してくれるか?』

女「いきなり何だい?まずは挨拶が一般的だよ?」


286 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:18:05 ID:IG2zx6r6

男『…非常事態なんだよ、恥を承知で頼む医者に…連れていってくれないか?』

女「具合でも悪いのかい?」

男『…体が鉛みてーだよ。頭も痛むし最悪だ、どんどん酷くなる』

女「生憎だけど、執事は無理だ予定がパンパンに詰まっている」


287 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:18:24 ID:IG2zx6r6

男『…そうか……』ピッ

女「切れちゃった」

執事「さて、どうなりますかね」

女「う〜んタクシー会社は抑えたし、アレも効いてるみたいだしね」


288 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/07/25(水) 20:18:55 ID:IG2zx6r6

執事「救急車という手は?」

女「既に潰したよ、ついでに男の親は偶然当たった海外旅行中だ。今頃はパリかな?」

執事「準備は万端という訳ですか」

女「そゆこと、あとは可愛い策士がどう出るか…ククッ」


289 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/07/26(木) 00:28:08 ID:/837rGSI
媚薬だと……許せる!


292 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/01(水) 20:02:07 ID:IgCed5xY

女「それにしてもえげつないね」

執事「何がですか?」

女「『アレ』のことさ――新薬の実験とでも言うべきかな」

執事「男様の体調不良の原因ですね」


293 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/01(水) 20:07:19 ID:IgCed5xY

女「そうそれ、どんなのだっけ?」

執事「液体の薬で少し独特な臭いがあります。効果は軽い頭痛、体が重くなり動けない等です」

執事「更に追加で頭や目がハッキリと冴え渡り、眠ることもままなりません」

執事「私が少し改良を加えたことにより、発病…と言っていいのかわかりませんが
症状が出る時期を調節できます」


294 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/01(水) 20:09:55 ID:IgCed5xY

女「…どうやって作るの?そんなの、ボクの提案だったけど絶対作れないと思ってたのに」

執事「機密事項です」

女「機密ねぇ…つまらない…」

執事「申し訳ありませんがこればかりは…」


295 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/01(水) 20:13:49 ID:IgCed5xY

女「あ、その薬の副作用で死ぬことは?」

執事「無論ありません」

女「なら安心だねククッ」

執事「自ら加担しておいて何ですが…私は心配でなりません」


296 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/01(水) 20:14:45 ID:IgCed5xY

女「大丈夫さ、この五日で犬娘ちゃんに色々教え込んでたんでしょ?」

執事「はい、私の調べでは洗濯機の使い方、簡単な料理、一般常識
あとは携帯電話などの便利な機械の使い方を指導したようです」

女「…あの子に覚えられたのかな?」

執事「忘れたら困ることは男様が丁寧にメモ帳にひらがなでまとめたようです」


297 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/01(水) 20:16:37 ID:IgCed5xY

女「(過保護もここに極まれりってヤツか)その手帳をなくすこともあるかもよ?」

執事「犬娘様がデコレーションを施し、肌身離さず持っていますから無くすことはないでしょう」

女「男の誕生日まであと一日…ボクの暇つぶしが成功するかは
犬娘ちゃんと執事に懸かってる。頼んだよ」

執事「かしこまりました」


298 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/08/01(水) 22:47:38 ID:zGTSqrIg
毒を盛られてるじゃないですかー! やだー!


299 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/08/02(木) 03:40:44 ID:c2FzGO3.
毒を盛られてるじゃないですかー! やだー!


300 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:16:30 ID:ubGGxvaA

―男の家

男「はぁ…八方塞がりか…」

男(それにしても風邪にしては変だな…頭は冴えてるし、声も普通だ…ただ体の重さハンパない)

犬娘「ごしゅじん!」ガタッ

男「…ご飯食べたか?」


301 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:17:43 ID:ubGGxvaA

犬娘「はい、おなかいっぱいです。でもごしゅじんは――」

男「……それはいいから、よく聞いてくれ」

犬娘「はい」

男「俺は一日ここから動けないここまではいいか?」


302 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:18:55 ID:ubGGxvaA

犬娘「だいじょーぶです」

男「俺の心配はいらないから、ご飯だけは食べてくれ冷蔵庫を引っかき回してもいい」

犬娘「ごしゅじんのごはんは?」

男「…俺は動けないし、それに二、三日の断食なら平気だ」

男(嘘だけどな)


303 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:19:43 ID:ubGGxvaA

犬娘「でも…」

男「それと、携帯の操作教えたよな?困ったら執事に電話しろ、アドバイス位はくれる」

犬娘「はいわかりました!ごしゅじんはあんしんしてねててください!」

男「…あとは任せたからね」

犬娘「りょーかいしました!」ビシッ


304 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:21:23 ID:ubGGxvaA

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

犬娘「とはいったけど…」

犬娘「なにをどーすればいーんですかね…?」

犬娘「とりあえずしつじさんに…」ポチポチピッ

執事『何か御用でしょうか?』


305 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:23:59 ID:ubGGxvaA

犬娘「しつじさんですか?」

執事『…犬娘様でしたか』

犬娘「ごしゅじんがおかぜみたいです。どーすればいーんですか?」

執事『そうですね…月並み――いえ、平凡ではありますが看病が妥当でしょう』


306 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:24:22 ID:ubGGxvaA

犬娘「かんびょう?」

執事『病人の世話をすることです。犬娘様が風邪にかかったことがあれば男様にやってもらったはずです』

犬娘「なるほど」

執事『つかぬことをお聞きしますが、男様は食事を召し上がりましたか?』

犬娘「たべてないんです…へーきっていってましたけど…」


307 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:24:41 ID:ubGGxvaA

執事『犬娘様、携帯のカメラ機能は使えますか?』

犬娘「おそわりました」エヘン

執事『男様の顔を撮り、メールに添付して送ることは可能ですか?』

犬娘「てんぷ?」

執事『メモ帳に書いてあると思います』

犬娘「わかったらやってみますー」ピッ


308 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:25:17 ID:ubGGxvaA

―数分後

メールガトドキマシタ

執事(ふむ…この様子なら…)prrr

執事「もしもし?」

犬娘『とどきましたか?』

執事「バッチリです。それではアドバイスを…」


309 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:25:48 ID:ubGGxvaA

犬娘『めもします!』

執事「よろしいですか?まず、男様の食事を早急に用意してください。お粥などがベターですね。次に洗濯物があれば洗ってください」

犬娘『なるほど』カキカキ

執事「後は水分補給です。あまり冷えた物はダメです。薬を時間が空いたらお届けします」

犬娘『ありがとうございます!』


310 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:26:23 ID:ubGGxvaA

執事「ざっとこんなものです。もし何かあれば連絡を」

犬娘『おくすりはやくおねがいしますね!』ピッ

執事「かしこ……切れましたか」

女「順調かい?」


311 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:26:54 ID:ubGGxvaA

執事「順風満帆、風がこれでもかというほどに」

女「あとは…」

執事「私が薬を届け、犬娘様を少し騙すだけですね」

女「騙すとは人聞きが悪いよ、ただパーティーの準備をしてもらうだけさ」


312 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:27:56 ID:ubGGxvaA

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

犬娘「おかゆ…おかゆ…」ペラッ

犬娘「ふむふむ…おなべにおみずとごはんをいれてにるですか」

犬娘「これをつくったら…ごしゅじんげんきになりますかね…?」

犬娘「とりあえずつくります!えっと…いす…」


313 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:31:37 ID:ubGGxvaA

―しばらくして

犬娘「クンクン…いーにおいです!このあとは…おしお?」

犬娘「おしおをひとつまみ…」パラパラ

犬娘「かんせーい!そーっとはこびます!」


314 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:32:36 ID:ubGGxvaA

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

男(なんか騒がしい…大丈夫か…?)

犬娘「ごしゅじん!おかゆができました!」

男「よく作れたな、ありがとうそこに置いといてくれ」

犬娘「おきれますか?」


315 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:33:33 ID:ubGGxvaA

男「ん…無理すればな」グイ

犬娘「ごしゅじん、あーんしてください」

男「…?」

犬娘「あーんですよ、ごしゅじんふーふーしますからねこさんもだいじょぶです」フーフー


316 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:34:15 ID:ubGGxvaA

男「いや、いい置いとけばそれに今は食えそうにな…ムグッ!?」

犬娘「ちゃんとたべなきゃだめです。しつじさんがいってました」

男「あの野郎…」

犬娘「どーぞ、ごしゅじん」ニコッ

男(あれ?犬娘が天使に見える…熱が上がったか?)モグモグ

犬娘「はやくげんきになってまたおさんぽにいきましょう!」


317 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:35:02 ID:ubGGxvaA

男「…それが目的か」

犬娘「ごしゅじんおいしいですか?」

男「…ちょっと塩が足りないかな」

犬娘「う〜んおかしいですね…ちゃんとひとつまみって」


318 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/02(木) 21:35:19 ID:ubGGxvaA

男「犬娘」

犬娘「はい?」

男「手のひらの大きさわかってるか?」

犬娘「……あっ!」


319 名前:深夜にお送りします [sage] 投稿日:2012/08/02(木) 22:59:31 ID:c2FzGO3.
相変わらずドジっ子かわいい


320 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/04(土) 19:49:31 ID:7sajZbVI

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

犬娘「こんどはふたつまみいれることにします」

犬娘「つぎは…せんたくですか」

犬娘「せんたくもの…ありませんね。じゃ、つぎです」

コンコン

犬娘「」ピクッ


321 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/04(土) 19:50:04 ID:7sajZbVI

執事「こちらです」コソッ

犬娘「しつじさん?なんでまどに?」ガラッ

執事「薬をお届けに、それと手紙です」サッ

犬娘「これでごしゅじんなおりますか?」

執事「おそらくは緩和…軽くなるかと」


322 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/04(土) 19:51:28 ID:7sajZbVI

執事「おそらくは緩和…軽くなるかと」

犬娘「ほんとですか?」

執事「男様にこの薬を与えるときにお嬢様が来たとお伝えください」

犬娘「?」

執事「訳あって話せませんがその方が都合が良いのです」


323 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/04(土) 19:51:55 ID:7sajZbVI

犬娘「よくわかりませんけどわかりました」

執事「(大丈夫ですかね…)それと」

犬娘「なんですか?」

執事「明日は男様の誕生日です」

犬娘「ペラッ あ!」


324 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/04(土) 19:53:22 ID:7sajZbVI

執事「用意は…出来ていませんね、無理もありません」

犬娘「ずっとごしゅじんがいてできませんでした」

執事「飾りは出来ていますか?」

犬娘「あのだんぼーるにいれてあります」

執事「…今日がチャンスです。飾ってしまいましょう」


325 名前: ◆tgS.YUZ5/Y [] 投稿日:2012/08/04(土) 19:54:16 ID:7sajZbVI

犬娘「でもごしゅじんが…」

執事「薬で眠ってくれます。そして明日の朝、驚かせましょう」

犬娘「う〜ん…でも…」

執事「お嬢様の作戦が成功すれば、男様は犬娘様にメロメロかと…」ボソッ

犬娘「やります!なにがなんでもやります!さっそくはじめます!」

執事(大分扱い方に慣れてきましたね)



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