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意地悪なメイド2
- 903 :パー速民がお送りします [sage]
:2008/07/20(日) 00:58:06.87 ID:RZiCnbw0
第十三話 「成果」
「わかりました。言うとおりにしましょう」
「……へ?」
「へ? じゃ、ありません。言うとおりにする、と言っているんです」
「え、いや、あの」
「合理性のかけらもない論理でしたが、確かな信念は感じました」
足を組み直し、さきよりも幾分柔らかい表情を見せる。
「だから、あなたの言うことを信じるといっているんです。何を呆けた顔をされてるんですか」
「だってさっきは全然ダメみたいなこと……」
「本来なら確固たる理論もないあなたの意見など聞くに値しませんが今回はどうにもならない要素がありますから」
「どうにもならない要素?」
「BETAですよ。あれは人間の都合で動いているわけではないですからね」
「人間の都合……あ」
「ええ。こちらからああは言いましたが、もしあなたの言動でどこかの国が得をする可能性もあります。事は慎重にならざるを得ない」
「けど、BETAはどこの益になることも考えてないから」
「はい。ですから本土への上陸を目指し移動を開始したことが観測されたならば、それは確定した要素です」
「つまり……」
「国連には無理がありますが、帝国軍の駐屯部隊を防衛基準を引き上げた状態で配置しましょうか」
「あ、ありがとう! ありがとな!!」
がば、と思わず手を握る。
「っ!! は、離しなさい!」
「うれしいんだよ! お前が動いてくれれば助かる人間がたくさんいるんだ! 本当に、本当にありがとう!」
「勘違いしないでください! そうしてもいいと考えたからのことです。それに考えてもみてください」
頬を染めたのも束の間、真剣な目で見返す馬鹿妹。
「あなたの話を信じるとして、私は何をしていいものか。何をしてもいいのか。もし何かのきっかけで時期や場所がズレたら?」
「……下手な動きを見せれば国家間のトラブルに発展する可能性があるのか」
「そうです。そのせいで私の計画……ひいては人類の勝利が遠のいたとしたら。そう考えれば簡単に首を縦に振れません」
「……すまん。な、なぁ、じゃあせめてこの基地からも援護を……」
「ここは国連の管轄です。先ほども言いましたが国連を動かすのは無理があります、あそこを動かすには政府からの要請が必要なんです」
「そんな……」
「こちらができる最大限の譲歩です。さすがに折れてください」
「わかった」
そうだ。何を勘違いしてるんだ。こいつはこいつなりに俺の意思を尊重してくれた。信じてくれた。
だったらそれでも十分すぎる。立場を鑑みればどれだけ無茶をしてくれてるかわかるってのに。
「すまん! でも本当にありがとな!」
「だ、だから!」
ぶんぶんと握った手をふって、感謝を示す。
とにかく、その日に何か起これば……どうやら俺は、本当に未来の知識を有していることになる。
まだ起こっていない事件が俺のこれからを左右する。何とも歯がゆく、しかし打てるべき手をうった灌漑(かんがい)のある状態だった。
- 904 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/20(日) 00:58:54.57 ID:RZiCnbw0
Xデー。そう呼べばいいだろうか。
その日はここにきてしばらく、心身ともにこの地に馴染んだころの休日。
そして俺が預言日だった。
「……」
きゅぽん。
間の抜けた音がした。
と、思った次の瞬間、
ブシュウウウウウウウウウ!!!!!!!
「!!!!?」
すごい勢いの水音が耳元でする。
跳ね起きて隣を見れば水浸しのイド。
「……おはようございます」
「お、おはよう」
手に持ってるのはシャンパンのボトルか。
なるほど、本来これによってびしょびしょになるのは俺だったようだ。
実際は天井にある弾痕のようなものがコルクが垂直発射され、噴水よろしく自爆したことをうかがわせる。
おしおきをセルフで完了するとは、なかなか腕をあげたな。……って、そうじゃなくて。
「ほら、使っとけ」
こくこく。
俺からハンドタオルを受取り髪を拭う。
服はどうしようもないので、ちゃんと自分の部屋で着替えるように指示。
朝から本当に飽きさせないやつである。
「……失礼しました」
「本当にな。風邪ひくなよ」
こくこく。
と、その後ろ姿にもう一言付け加える。
「なぁ、今日さ、もしかしたら警報がなるかもしれないけど……絶対大丈夫だからな」
それを聞いて無言のイド。
だけど、それも数瞬。小さく頷き、
「……わかりました」
そう呟いて出ていく。
そうだ。今日は、その日なんだ。
- 905 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/20(日) 00:59:31.42 ID:RZiCnbw0
「……」
「何をソワソワしてるのよ」
「い、いや。してないぞ、ソワソワなんて」
「それを素で言ってるなら、鏡でも貸すけど?」
「男のくせに鏡なんか持ち歩いてるのかよ」
「あ、それ偏見だよ。ボクは男でも自分の身だしなみとか考えるのは大事だと思うよ」
「あー、はいはい、わかったわかった。……うぅ」
「何だよー、せっかく心配してるのにー。ねぇ、委員長さん?」
「ええ。まぁ本人がそういうんだからほうっておきましょう」
ええい、何とでもいえ。
俺としてはこれから先、いつ警報が鳴るかわかんなくてイライラしてるんだ。
もちろん鳴らないほうが、誰の身にも危険がないんだからいいとして、それでもどこか鳴ってほしいとも思ってしまう。
自分がうそつきになりたくない、という訳じゃないが、夢の中で会った誰かが居なかったと思いたくないから。
いや、もっと根本的に、俺は何かを求めているような……。
「ほら、早く食べないとさめちゃうよー」
「俺は猫舌なんだ、冷たいくらいがちょうどいい」
「何を屁理屈を言ってるんだか。……じゃあ、私はそろそろいくわね」
「おう。どこいくんだ?」
「訓練。そろそろあなたに一太刀くらいは浴びてもらいたいから」
そういえば、この前の近接戦闘訓練では圧倒したんだっけか。
なんだかんだで負けず嫌いなところは向こうでもこっちでも一緒か。
「んー、じゃあボクもサッカーでもやってこようかな」
「おうおう、がんばってこいよ、エース」
「えへへ、任せておいてよ」
こいつも相変わらずなところがあって安心だ。
どいつもこいつも、俺の知ってるまんまなところがあるのが嬉しい。
こういう何気ないところでそれを確認して、あっちとの繋がりを大事にしたい。
その為にも、俺が今後この世界の為になれるかもしれない、未来の情報。
それを確実に持っているとわかるように……鳴ってくれ!
- 906 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/20(日) 01:00:13.06 ID:RZiCnbw0
ヴィー! ヴィー!
「……!!」
「な、何!?」
「警報ね。それも第二種防衛基準態勢のもの。……いくわよ」
「うん!」
「おう!」
きた。その時が。
俺は思わず叫びたくなるのを抑え、二人のあとに続く。
いつもの教室に全員が集まると、メイド長は説明を始めてくれる。
「現在、○○地方へのBETAの侵攻が確認された。××島より出現したものだ」
「これが海岸沿いに展開していた帝国軍と戦闘を開始、一次防衛ラインが突破されるも付近に展開していた第12師団が合流」
「現在優勢に戦況を展開している。だが、BETAの侵攻のルートを割り出したところ、当基地へのモノだという判断が統計上下された」
一瞬、俺を除くみんなの間に緊張が走る。
「よって現在、当基地では第二種防衛基準体制に移行した。BETAの全滅が確認されるまでな」
「訓練生である貴様らはこれより自室にて待機、状況に対応できるようにせよ。以上」
「「「「「了解!」」」」」
- 907 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/20(日) 01:00:29.40 ID:RZiCnbw0
そして戻ってきた自室で、俺は声をあげかける。
こうして、起こることが起こった。
何がいいとか悪いとか、そういうのはまだ言えないが、それでもきっと死なないですんだ人間が増えたと思える。思いたい。
未来を変えたとか、そういうことじゃないけど、胸に湧く実感だけは本物だろう。
どこかまだ夢心地の達成感を胸に秘めて、妹の部屋に向かった。
「馬鹿妹!」
「そんな大きな声を出さなくても聞こえてますよ」
「なぁ、ありがとう! ありがとな!」
「別にお礼を言われることじゃありません。……それに」
「ん?」
「いえ、何でもありません。それより、これ、本当に見覚えはありませんか?」
「えっと、うぅん」
やはりあのときの方程式らしきもの。
どこかに引っかかるが、やはり思い出せない。
「すまん、役立たずで……」
「いえ、いいんです。……すみませんが出ていってもらえますか?」
「え? あ、おう」
溜息が出てきそうな、そんな表情の馬鹿妹を背に俺は部屋を出る。
何かうまくいってないのだろうか。
先ほどの熱のあがっていた胸の内に冷や水をあびせかけられた気分だった。
少し冷静になりながらも、俺は廊下をわたる。しかたない、さっさと地上に戻って……とそういえば。
この地下にある妹の部屋の近くに、確かイドの部屋があったんだっけ。
俺は頭の中に描いた地図を思い浮かべながらその場所へと移動した。
そして、そこで俺は出会うことになる。
イドと、過去と、そして……。
- 908 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/21(月) 09:12:56.53 ID:0CRQW6Uo
ふと思ったんだが、これってメイドが[らめぇぇっ!]で[禁則事項です]な目にあったってうわなにをするやめr
- 909 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/21(月) 09:55:44.31 ID:QkAsbkDO
>>908
四肢切断とか頭食われたりとか脳みそだけになったりを思い出すからやめて
- 910 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/21(月) 13:24:59.09 ID:1/bIvYAO
メ「はっはっは。そんなキツい仕打ち、このヒロイン街道爆進中な私にあり得るはずないですよ!」
……。
メ「な、なんですかこの空気?!」
さておきまして、夏休みに入る学生を羨ましげに眺めつつ今日もひーひー言ってます。
変な意味じゃないよ!
あと今夜あたりちょっと時間とれたらいじメイの代わりに短編が出るかも!
題して「主様、妹嬢の学園に転入するの巻」
最近恋盾始めたボクです! もはや属性がとめどなくまずい……
今年の夏はレイヤーデビューの悪寒!
- 911 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/21(月) 14:28:49.35 ID:QkAsbkDO
>>910待ってましたぞー
取りあえず短編に期待するぜ
- 912 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/21(月) 19:09:27.70 ID:Jg16cQSO
>>910
なんだろう、中の人のプライベートを知れば知るほど
謎に包まれて行くような感じが・・・
とりあえず短編楽しみにしてるんだぜ
- 913 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/21(月) 20:34:48.27 ID:hJjI5MAO
>>910
おぉ、復活か!
レイヤーになったらもちろん写真うpだな!
- 914 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/22(火) 01:31:46.12 ID:u8fxgPs0
>>911
お待たせしてごめんね。
んでもって短編投下するから。でも前後篇になってしもうたワシを許しておくれ……
ってことで重ね重ねごめんなさい。
>>912
基本的に自分のこととかどうでもいいと思いつつ愚痴感覚で自分の話してるよね。
何か読んでる側からしたらどうでもいいことばっかりで申し訳ない。
とりあえずプライベートは全面的にさらしてないものの少し明るみに出してたりする自分がまた卑しいわけでww
あまり気にせずに〜wwww
>>913
たぶん、うpしたの見たらおなか壊すだろうからダメww
一応昔着たメイド服はたんすにしまってあるけどね〜。
足太いから似合わなくてそれ以来、って感じww
ではたんぺーんです!
- 915 :【主様たちの学園一日体験・前編】 [sage] :2008/07/22(火) 01:32:51.31 ID:u8fxgPs0
男「お前ってさ、学校いってんのか?」
妹嬢「いえ、一度も」
男「ダメだろ、それ。姉さんも俺もほとんど義務教育受けられなかったんだぞ」
妹嬢「それに値するだけの教育は受けてこられたでしょう?」
男「そらそうだけどさぁ。俺は今こうして高校生活送ってることがすげえ大事だと思うぞ」
妹嬢「そう言われましても……」
メ「ふぁっふぁふぁ〜」
男「口にくわえてるせんべいをまずは飲み下してから発言するがいい」
メ「ごきゅ。ふぃー、だったらぁ、主様が一緒にいってあげたらいいじゃないですか」
男「いくってどこへ」
メ「学校ですよ」
男「っつっても、こいつの見た目じゃうちの学校は無理だろ」
妹嬢「でしたら、メイド長に勧められていた学校を見てみたいです。ちょうど見学会があるらしくて……」
メ「おお、ご都合主義万歳。という訳で主様、がんばってください」
男「ん、いや、でも学年が違うから無理だろ」
妹嬢「いえ、学年自体は見学会だけですからいいとして、問題は……」
メ「む。何やら私の第六感が告げる! 妹嬢さん、問題ないですから!」
妹嬢「え? いえ、でも」
メ「でももヘチマもありゃしない! 大丈夫ったら大丈夫です!」
男「おい、何かいやな予感がするからちゃんと話を……」
メ「そんなのどうでもいいんです! それとも主様の妹さんが学校へいってほしいという気持ちはその程度ですか!」
男「そりゃ、まぁいってほしいけど」
メ「ではつべこべ言わずにOKで」
男「お、おう」
メ「では妹嬢さんは今すぐ必要なものをそろえてください。さぁさぁ!」
妹嬢「は、はい。ではまた後日……」
バタン
男「……なんか言いようのない悪寒が。ってお前、何してんだ」
メ「カメラを磨いてるんです。デジカメですが」
男「そんなことは見ればわかる。なぜだと言いたい」
メ「そりゃあ……ねぇ?」
男「く、なんだこの後戻りできない感は!?」
- 916 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/22(火) 01:33:17.37 ID:u8fxgPs0
当日
メ「いやー、すみませんね、私の分まで用意してもらっちゃって」
妹嬢「かまいませんよ、これくらい」
男「……おい」
メ「しかしさすが名門学園。すでに門構えからして立派ですね」
妹嬢「歴史と伝統を重んじた場所だそうで」
男「……おい!」
メ「ここの卒業生ならばどこに出しても恥ずかしくないって感じですね」
妹嬢「実際、ここのOBの方は社交界などではよく顔を見かける方ばかりですね」
男「おい!!!!」
メ「もう、どうしたんですか? “男子ちゃん”」
男「どうもこうもあるか! どう見てもここは女子高だろうが!!」
妹嬢「はい。ここは立派な淑女を育てるための学園ですから」
男「だったら俺がいるのはおかしいだろ!」
メ「何を仰ってるんです。妹嬢さんに学校の良さを伝えると息巻いてたじゃないですか」
男「息巻いてたかはともかくとして、俺ができるのは共学の施設案内くらいだ!」
メ「大丈夫ですって、人間その気になれば何とかなります」
男「性別の壁はどうにもならんだろうが!!」
メ「おんやぁ? ではここで引き返しますか?」
男「当たり前だ!」
メ「だそうですよ? どうします?」
妹嬢「……兄さんがいないのなら、私がここを訪れる意味もありませんね」
男「なっ!? 馬鹿、せっかくここまできたんだからお前は見ていけよ!」
妹嬢「ですが一人では何もわかりませんし、興味もないですから」
男「その為にうちのメイドがいるだろ!」
メ「この制服姿でメイドと呼ばれるとそこはかとなく違和感」
男「こ、ここで名前ネタを持ってくるな!」
妹嬢「とにかく! 私は兄さんが一緒に来てくれないなら、帰りますよ」
メ「ほら、どうするんです?」
男「ぐ、ううう……どうせすぐバレてつまみだされるぞ」
妹嬢「そうなった場合はおとなしく諦めます」
メ「不可抗力でそうなった場合のみ、ちゃんと最後まで妹嬢さんは残るそうですよ」
男「つまりワザとばらすのはなしか」
妹嬢「ええ。ですから、すぐバレるとおっしゃるならば、かまいませんよね?」
男「……いいぞ。俺も男だ、二言はない」
メ「さすがです。スカートをひらひらさせながらいうセリフじゃないですが」
男「うるせーよ!?」
妹嬢「では参りましょうか、男子さん」
男「ぐは!? ……実の妹にすらそう呼ばれる日がくるなんて……ええい、どうせ門番でひっかかってアウトだし」
- 917 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/22(火) 01:33:32.61 ID:u8fxgPs0
男「……」
メ「すんなりいけましたね」
男「……話しかけるな。俺は今、自分の男としての尊厳が猛烈に低下してるようで悲しいんだ」
妹嬢「やはり声さえ聞かれなければ問題ないですね。あとマジマジ見られなければ問題はないでしょう」
メ「さすがメイド長さんのメイクは本場ハリウッドも驚きの特殊効果やでぇ」
男「何で急に関西弁なんだよ」
メ「細かいことは気にせず。ですが喋れないというのは不便ですよね」
妹嬢「確かに。一応ここにヴォイスチェンジャーを用意してはいますが……」
男「断る。自然にバレるに越したことはないんだからな、これくらいはさせてもらうぞ」
メ「ちぇー」
男「ちぇー、じゃね……!」
『ごきげんよう』
男「!?」
嬢「ふふ、可愛らしい生徒さんが三人も。はじめまして。今日あなたたちの案内をすることになった者です」
妹嬢「ごきげんよう。今日は一日、よろしくお願いします」
メ「不束者ですが」
男「……ぺこり」
嬢「ふふ、そちらのお嬢さんは恥ずかしがり屋さんなのかしら」
メ「ええ、人見知りが激しくて。ですがベッドの中では……ほぐぁ!?」
嬢「あら? どうかされましたか?」
メ「い、いえ。持病の脇腹通が……ええ、まるで肘で鋭角についたような痛みでして」
男「ふん」
嬢「まぁ、それはいけませんわ! すぐに保健室へ!」
メ「ああいえ、大丈夫です。これ突然来るかわりに一瞬で痛みが引きますから。それよりも案内を」
嬢「は、はぁ……」
妹嬢「よろしくお願いしますね」
嬢「わかりました。ですが無理はなさらないように」
メ「心得ましてでございますですわ。ヲホホホ」
男(二人のは地で優雅だけどこいつのだけはどうしてこう、付け焼刃臭がぷんぷんするんだろう)
- 918 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/22(火) 01:34:06.73 ID:u8fxgPs0
男「へえ……」
嬢「ここが礼拝堂となっています。必ず朝はここで牧師様のありがたいお話を聞かせていただきます」
メ「朝礼みたいなもんですよね。いやー勘弁願いたいイベントで……ほぐぁ!?」
妹嬢「とっても素敵な造りですね。光も十分取り入れて、それでいて質素で無駄がありません」
嬢「ありがとうございます。冬の朝などは空気が澄んでいますから、とても気持ちいいんですよ」
メ「ベッドの中のほうが気持ち……へぶ!? ち、違いますって! 温かいって意味ですよ!」
男(どっちにせよだ馬鹿野郎)
妹嬢「気に入りました。次も楽しみになってきました」
嬢「ふふ、ありがとうございます。では次は……」
メ「す、すごいっすね。温室じゃないっすか」
嬢「あの、お言葉遣いが……」
メ「ああ、えっと……御温室じゃーあーりませんか」
妹嬢「彼女、田舎の出ですのであまり気にしないでください」
嬢「はぁ……」
妹嬢「ですが素敵な庭園ですね」
嬢「あ、はい。ここは一年中バラが見られるので、皆さんよく来られるんですよ」
妹嬢「お昼など、ここで出来れば素敵でしょうね」
嬢「残念ながらここでの飲食は禁止されていますので……ですが私もそう思います」
妹嬢「気が合いますね」
嬢「ええ」
男(へぇ……いい感じじゃないか)
メ「……こういうのって造花にしたら売れないのかなぁ」
男(こいつは見事に場違いだけどな。……って俺もか!?)
嬢「ここがグラウンドですね」
メ「思ったより小さいんすね」
嬢「そうですね。あまりうちの学園ではスポーツ行事が盛んではありませんから」
妹嬢「それに、親御さんにしてみれば箱入り娘が外部から見える位置で、というのは好まれませんでしょう」
嬢「はい……」
メ「?」
男(つまり、変なストーカーとかが侵入してきた場合、外にいたら真っ先に狙われるだろ、ってことだ)
メ「ああ、なるへそ」
嬢「おへそがどうかされましたか?」
メ「いやぁ、男子ちゃんはおへそフェチだそう……でふらぐ!?」
男「ぺこぺこ!」
嬢「……? あの、よくわかりませんが、おへそで何か?」
男「……何でもありません」
嬢「え? あの、すみません、もう少しお声を大きくしていただけると」
妹嬢「何でもないそうですよ。それより私、あちらの建物が気になります」
嬢「ああ、あちらは体育館ですね。外での運動が抑えられる分、あそこでは盛んに皆さん、体を動かされていますね」
メ「じゃあ、生徒さんもいっぱいなわけですね!」
嬢「ええ。休日ですから特に多いと思われます」
メ「じゃあそちらは後回しにして、先に人が少ないところをお願いします!」
男(ん? そうなのか?)
メ(メインディッシュはあとですよ。ほら、スポーツ少女達の汗をくんかくんかしたいんでしょ?)
男(するか!?)
嬢「ではそのように。こちらですわ」
妹嬢「ほら、お二人とも行きますよ」
メ「あ、はーい」
男「こくこく」
- 919 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/22(火) 01:35:21.44 ID:u8fxgPs0
妹嬢「すごく複雑な様式の建物なのですね」
嬢「はい。改築や増築を繰り返してきたそうなので今のような形になったそうです」
妹嬢「それだけ出資者を毎年集めておられるのですね。皆さん、さぞかし優秀な方ばかりなのですね」
嬢「ありがとうございます。きっと、あなたがたもその一員にふさわしい方だと思いますわ」
二人((いや、絶対ないと断言できる/ます))
メ「しかしこれだけ複雑だとあっさり迷いそうですね」
男(だなぁ……うっ)
嬢「あら? そちらの方、どうかなされました?」
男(いや、その……)
メ「たぶんこのモジモジっぷりから考えるにしょうべ……げふん、お手洗いでしょうね」
嬢「あら大変。ええと、お手洗いはそちらの角を曲がったところですので」
男(すまん。すぐ帰るから先いっててくれ)
メ「すぐに済ませるから先にいっててほしいとのことです」
嬢「いいんですか?」
男(せっかく馬鹿妹が乗り気なんだ。もっと興味を持たせてやってくれ)
妹嬢「……お心遣い、感謝します。では続きをお願いしますね」
嬢「わかりました。では参りましょう。あ、もし困ったことがあれば私の名前を出していただければいいので」
男「こくこく」
嬢「ではまた後ほど」
男「ふぃー、さっさと済ますか。……って」
『トイレ』×1
男「あれ? えっと……男子トイレは?」
男「……」
男「はうあ!? そ、そうか、ここは女子しかいないから!!」
男「仕方ない、ここはいろいろと尊厳がすり減ってるが背に腹は代えられん。いくしか……」
『きゃっきゃ』
男「!? な、中に誰かいる!!」
男「……だ、大丈夫、きっと。たぶん」
男「でも、もしバレたら……それにいくらバレなかったとしても、女子のいるトイレにはいるなんて……」
『きゃいきゃい』
男「ええい! 教員室あたりなら、男子トイレがあるだろ! 先生もみんな女じゃないだろうしな」
男「そうときまればダッシュだ!!」
妹嬢「へぇ、この調理室は設備が素晴らしいですね」
嬢「ええ、最近改装したばかりで……」
メ(主様おっそいなぁ。お手洗いで時間くうとこまで再現してんのかなぁ)
男「ど、どこだここ……」
男「ていうか、トイレどこだよおおおおおおおお!!」
- 920 :パー速民がお送りします [] :2008/07/22(火) 07:35:56.27 ID:IMC1mYAO
男子ちゃんはここでもモテモテなんですねわかります
- 921 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/22(火) 19:36:06.42 ID:ou3yW.SO
中の人はメイドのコスプレをする
結果、女装をする
そして主様も女装をする
つまり、中の人と主様は同一人物であり、
この物語は全部現実だったんだよー!!
- 922 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/22(火) 19:50:40.69 ID:FZtZiMAO
>>921
な、なんだってー!?
あ、じゃあイドは俺が貰っていきますね
- 923 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/22(火) 19:59:44.39 ID:vm4tNc.o
ふと思ったんだが>>908もまた四肢切断されて脳みそだけうわなにをするやめr
- 924 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/22(火) 23:56:25.64 ID:llrOc9Q0
終わりのないのが「終わり」
それが「いじメイ・オルタネイティブ・レクイエム」
つーわけでお題です
【ブラック○○】
【死ならばもろとも】
【ぷよぷよ地獄の行方】
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