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意地悪なメイド4
- 294 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga]
投稿日:2010/10/13(水) 00:29:07.14 ID:mBslzTw0
「取引? 私と、貴方が?」
それが許される立場かどうか。彼女の瞳がそう問うている。
「ああ、取引だ。あんた、確かこいつらをしとめる時は心臓か頭を最初に潰してたろ」
それは彼の記憶。目をそらせなかった事実。
何より、老いた獅子の首を引き連れた彼女の行動を鑑みるに、ひとつの推論が成り立つ。
「頭さえ、潰さなきゃいい。逆にいえば頭を潰されればまずいんだろ?」
でなければ命のこの行動はただ自分の寿命を縮めただけの行動。
何ひとつ救われることのないものだ。最初の賭け、前提とするための行動。
「……まずい、とは言わないわ」
その賭けに対する答えは、否だった。
「確かに頭を潰されれば再生能力は著しく落ちるし、最悪元に戻らないこともあるわ。けれど」
絶対ではない。
そう、あの爺の頭が潰されたあとでもその肉片がうごめいていたように。
「だから、私にとっては多少面倒ごとが増えるだけ。そして一つ、枷が消えるだけのことよ」
言葉の終わらないうちに、彼女は手にしたアサルトショットガンを片手で俺に向ける。
だが、それならば何故。
「じゃあさっさと引き金を引けよ。それで終わりだろ」
何故彼女はそうしない。この姿を見て、ただ邪魔だと判断し、問題もないのならば、だ。
情にほだされるような人間でもなく、行動に躊躇などしないこの女がそうしない。
それには訳があるからだ。
- 295 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/10/13(水) 00:30:04.03 ID:mBslzTw0
「……。賢しいわね」
そう、絶対ではない。
あの爺のように再生の兆しが見えない場合もある。
そのまま死んでしまえばおしまいだ。
そして残った中で条件を満たす固体がこいつ以外にいない可能性も十分にある。
だから、引き金をひけない。
ゼロでない。その可能性はどちらにも平等に働きかける。
だから、彼と彼女は第一の関門を生きて潜り抜けることができた。
「それで? 取引、というからには何か出せるものがあるのでしょう?」
銃を下げないまま、彼女は次の問いを発する。
持ちかけたのは脅しではない。人質にしたところで二人に未来はないからだ。
つまり、何か相手の益となるものを提示しなければならない。
まずここで相手の興味を引かせないことには結局、何も始まらないのだから。
「俺はこいつを手懐けてるのは見れば分かると思う。だから」
「だから貴方は飼い主として生かし、そのペットの面倒を見ろ、とでも?」
「……」
その通りだ。今、自分から実を伴って提示できるのはここまでだろう。
それ以上は何ら保障のない、ただの絵空事になる。それを最初から提示などできるわけもない。
「笑わせるわね。そのどこに私が魅力を感じるのかしら」
「あんたが求めたとおりに、こいつを動かす。まずはそれが一点」
「……続けなさい」
まだ交渉の余地があると彼女は示す。
ならばここで終わってはいけない。後は突き進むのみだ。
- 296 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/10/13(水) 00:30:47.28 ID:mBslzTw0
「次に、こいつらを扱う場合にかかる工数、負荷も俺が背負う。無償でだ」
「……」
「後はこいつだけじゃなく、他のやつも」
ズドン!
頭上の数センチ上から降り注ぐのは木片、木屑。
パラパラと降り注ぐそれは小屋の一部だ。
撃たれた壁はもとより脆く、向こう側の景色を素直に映すほどに空いている。
「フー……!!」
腕の中で少女が毛を逆立てる。
それを耳元であやしながら、彼女を伺う。
「全てその雌を起点にした話ばかり。ええ、確かに多少は魅力があるわ」
けれど、と呟く彼女の眼は冷たく重たい。
「でもそれだけ。その雌に何か不備があった場合、私には何も残らない」
そう、この交渉の肝は彼女だ。
だからそこに集約してしまうか、起点としてしまうかはある意味必然だ。
何故なら俺が出せるカードがそれしかないのだから。
「もしそれ以上の提案がないのならば……仕方ないわ、実のない話よりも生命の可能性に賭けましょう」
今度こそ、最後の提示となるだろう。
- 297 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/10/13(水) 00:31:30.57 ID:mBslzTw0
交渉としてはほぼ決裂しているが、まだ終わりではない。
切って有利なカードは一枚しかなく、もはやそれは出せない。
全てがない命にとって、残されたものは、
「なら。こうしよう……俺の全てをあんたに預ける。いや、捧げる」
「……全て、とは?」
「全部だ。命から、魂まで。全てをあんたに渡す。俺はあんたのものだ」
「……」
己自身を差し出すしかない。
もはや信用での取引しか残されていない。
この言葉を委員長が信じ、そして必要だと一片でも思わなければ終わりだ。
だから、偽りないということを眼に宿し、相手を見つめる。
長い長い、時間にすれば数分が流れ、
「それで、あなたのほしいものは?」
この交渉において、初めて自分が求めることが可能なラインに立つことができた。
それは洞窟。
かつては里と呼ばれた場所。
充満していた死臭は薄れることなく、漂い続ける。
この先、この場所が明るみに出ることもなく、きっとそのままになるべき場所。
全てが終わった場所で、しかし蠢くものがあった。
じゅるり。にちゅり。
這い寄り、合わさり、形にならず、しかし膨れ上がる肉片。
それは一つの場所へと収束していく。
かつて老いた獅子がその身をおいていた場所へと。
- 298 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/10/13(水) 23:41:03.09 ID:mBslzTw0
アオニソマルマデー
どうも。中の人です。
とうとう買うまい買うまいと思ってた次世代ゲーム機買っちゃいました。
それにしても抱き合わせたのが見事に挌ゲーばかりじゃねぇか……。
唯一の別ジャンルがデッドラ2て。もはや中の人はRPGやる元気がないということでした。
にしてもブレイブルーむずかしいなw 頑張って最低限対人で遊べる程度になるまでどれだけかかるやら。
今度誰か遊べる人いたら遊びませうせう! みたいな!
え? それより書け?
……じ、持病の腹痛がー!
はい、今夜もちょこちょこ更新しますので!
だからちょっとだけブレイブルーのトレモとかさせてー!
- 299 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/10/14(木) 00:34:41.60 ID:4pli/dY0
メ「ぎゃああああああもおおおおおお!」
男「のわっ!? コントローラー投げつけんな!」
メ「なんで勝てない! 私の何が悪いというんだ!」
男「全体的にだろ。コンボばっか練習してその他がおろそかすぎんだよ」
メ「私レベルになると立ち回りなんてなんとでもなるのです、フィーリングで!」
男「なんとかなってねぇから負けてるんだろうが」
メ「っく……なんて世の中だ」
男「普通にやればうまいんだから無茶な行動ばっかすんじゃねぇよ」
メ「なら主様、リアル挌ゲーしましょ、リアル挌ゲー」
男「姉さん入ってるお前となんてやってられるか!」
メ「勝てばそのまま夜のプロレスの可能性もありますが」
男「……ぎ、ギブって言ったらギブだからな?」
メ「ふふ、そういう主様、嫌いじゃないですよ」
勿論しばらくまともに歩けないくらいにされました。
- 300 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/10/14(木) 00:53:08.65 ID:4pli/dY0
皇「来てくれたんですね」
妹子「連れ戻されただけよ。それより、あんた」
皇「ああ、彼女達はいいんです。特別何かをお話していたわけでもありませんから」
妹子「どう見てもそんな風には見えないんだけど?」
皇「そうだとしても関係ありません。僕にはあなたしかいませんから」
妹子「……そういう台詞、禁止」
皇「台詞、ですか。禁止と言われましてもどういったことを指すのか」
妹子「はいはい、わかったわよ。好きになさい」
皇「そうさせてもらいます」
それからの日々はとりあえず退屈だけはさせられなかった。
良くも悪くも、だけど。
『二人の道のり:序』
妹子「あんたも飽きないわね」
皇「はい。飽きません」
妹子「……馬鹿よね」
皇「そうでしょうか?」
妹子「間違いないわよ。本っっ当に馬鹿」
皇「もう46回目ですね、それを言われるのは」
妹子「ああそう。やっぱ馬鹿ね」
皇「はい、そうなのかもしれません」
妹子「……ったく」
恋愛の一つもしたことのない……あ、ううん。
ずっと叶わない恋はしていたけれど、世の中でいう健全な恋なんてしたことがなかった私。
所詮、卒業すれば商界の駆け引き道具にされるだけの運命だったから、そんなことに興味なんてなくて。
だから、なんとなく。こいつのまっすぐな好意は……嫌じゃなかった。
学園での日々はだいたいこいつが絡んでた。だからあそこに戻りたくなかった。
なんとなく、
皇「……? 僕の顔に何か?」
妹子「何でもないわよ、馬鹿」
居心地がいい気がしてしまうから。
- 301 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/14(木) 10:12:07.11 ID:ixrZbYQo
ξ゚听)ξ「ああそう。やっぱ馬鹿ね」
( ´∀`)「はい、そうなのかもしれませんもな」
こんなんイメージしますた
- 302 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/20(水) 19:46:48.08 ID:/GyTC.AO
復活してた!
ありがとう出来杉さん!
そしてイメージ的は間違いない気がしてしまうww
問題はモナー側が明らかにスペック高いくらいか!
- 304 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/22(金) 00:29:26.14 ID:.m8KOQAO
メ「はろー。はわゆー。はうどうゆうどう!」
男「えらいグローバルに始まったな」
メ「くくく、これでパツキンなら主様は私を外国人と勘違いしてチョコをねだり始めるに違いない」
男「戦後か。というかお前だってバレてるがな」
メ「バカな! このパーフェクトスタイルバディをもってしても納得されないとは!」
男「お前が外国人級なのはよく存じ上げまつりそうろう」
メ「早いですもんね〜」
男「違うわ?!」
メ「……どんまい」
男「くそ、腹立つ微笑だな! サムズアップをやめろ!」
メ「……どどんまい」
男「てめぇぇぇええ!?」
- 305 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/22(金) 00:41:26.31 ID:MZqc.zkP
どどんまいなんて誰が覚えていようか
あのポーズしてるメイド想像するとシュールだ
- 306 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/22(金) 06:29:44.85 ID:YXKuE5Io
ご主人様が出張して、寂しくなって独り悶えてる所をばっちり見られてしまう展開ですね
- 307 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/22(金) 12:18:28.20 ID:.m8KOQAO
男「はぁ。なんとか出張も終わりか……気ぃ遣ってもらって一人だけ1日早くあがらせてもらったのはいいけどどうするか」
男「……。まっすぐ帰るか、なんか最近平和過ぎてつまらんかったし」
男「って、別にあいつが居ない方が楽でいいに決まってるじゃねぇか! なんで俺はそんなマゾい選択を!?」
男「いいや。せっかくの都会なんだし一人だし、パーッと遊んで帰るかな」
男「で、なんで俺は家路についてんだ」
男「く……オマケに土産まで。奴にくれてやるものなんざないはずなのに!」
男「……」
男「俺は誰と話してるんだ」
男「むぅ。しかし今更ながらあいつ一人にして毎回散らかされると思いきや意外と綺麗なんだよな」
男「誰か野郎を連れ込んだりしてな」
男「……」
男「いやいやいや。ないないない。だってあいつがまず俺以外に扱えるはずもないし第一出会いがないよな!」
男「……」
男「なんで俺は早歩きになってんだ!」
男「ぜぇ、ぜぇ。……ただいま、と」
シーン……
男「なんだ、誰も居な……」
『ん……ぁ……』
男「!?!!? め、メイド!!」
バタン!!
- 308 名前:【TAKE 1】 [sage] 投稿日:2010/10/22(金) 12:24:20.52 ID:.m8KOQAO
メ「きゃわ?! な、なななな」
男「おわ!? ご、ごめん!」
メ「何勝手に入ってきてんすか! 困ります!」
男「だからすまん……ってここは俺の部屋だろ!」
メ「でも、だって今日まで帰ってこないって!」
男「それは早くあがれたからで」
メ「と、とにかく出てってください!」
男「お、おう」
バタン
男「……び、びっくりした。まさかあいつが俺の部屋で……うぁぁ、この後どんな顔して会えばいいんだ」
メ「なんて展開だけは絶対にありえませんからご安心を」
男「おい、これで終わりにしとけば良かったただろ!?」
メ「私が主様をオカズにすり訳がないでしょうに」
男「そりゃ、そうだけど」
メ「では気を取り直して」
- 309 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/22(金) 12:30:00.48 ID:.m8KOQAO
男「メイド! ……って、え?」
妹嬢「ん……ぁぁ、兄さん……」
男「な、え? あ?」
妹嬢「お待ちしておりました」
男「待ってたって、あの、え?」
妹嬢「兄さんが早く帰られると知って、私はこうやって兄さんを迎える準備をしていました。二つの意味で」
男「あー……ええと」
妹嬢「さぁ、兄さん! お勤めの疲れを私で癒やしてください!」
男「時間軸的にそれはないから」
妹嬢「ちょ、ダメですよ! そういうメタなお話は!?」
男「いやでも」
妹嬢「そんな事は気にせず雰囲気に流されてください! さぁ!」
男「なんでそんな強引に」
妹嬢「私が色物でないと! 普通の女の子と証明していただくためにも!」
メ「ふたなりでも抱かれる事は可能ですよ。では気を取り直して」
妹嬢「いやぁぁああ?!」
- 310 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/22(金) 12:31:05.74 ID:.m8KOQAO
あ、入れ忘れてたけどさっきのはTAKE 2ですww
ちょっと電池まずいしお昼休み終わるから続きはまたあとで!
- 311 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/22(金) 14:01:04.12 ID:YXKuE5Io
>オカズにすり訳
焦って噛んだな
- 312 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/23(土) 01:20:11.56 ID:RQ25CsAO
メ「奴のただのミスですよ」
男「身も蓋もないな」
メ「それとも失礼、かみまみた。とか言った方が?」
男「何故だろう。お前が言うとわざとらしすぎて腹立つな」
メ「人とは違う私かっこいい」
男「最悪に決まってんだろ!」
- 313 名前:【TAKE 3】 [sage] 投稿日:2010/10/23(土) 01:24:58.77 ID:RQ25CsAO
『あん、……あァん!』
男「……何やってんだ」
メ「え? ああ、おかえりなさーせー」
男「何ごともなかったかのように続きをやるな! 何勝手に人のパソコンでエロゲやってんだよ!?」
メ「そりゃこのパソコンが人にみられた時、主様が身悶えてくれるからでしょ」
男「冷静に返した割には内容最悪だからな」
メ「そういう訳でいいシーンなんで出てってください」
男「はいはい。ったく……早く帰ってきて損した気分だぜ」
メ「晩御飯は中華で」
男「あいあい、と」
バタン
メ「……」
メ「危なかった……下着脱いだとこで止まってて良かった」
- 314 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/23(土) 23:22:54.27 ID:3pFqRDko
わっふるわっふる
- 315 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/10/25(月) 00:11:25.68 ID:wvhfk1o0
妹子「最初から……あんたもやっぱりそうだったんじゃん!」
皇「そう言われても、仕方ないのですかね」
学園という名の最後の自由の場がなくなり、日々をただお飾りとして生きていた。
そんな日々でもおかまいなしにあいつは私の元へ来た。
それは私を私として扱ってくれる唯一の人。娘でも、道具でもなく、女の子として。
だから、心が少しずつ揺れ動く中、けれどあいつはただの男の子なんかじゃなかった。
妹子「だましてたんだ、私のこと」
皇「騙してなんていません。ただあなたが僕に興味を抱いてくれなかった。それだけのことです」
そう。そのはずだったのに。
こいつに興味を持ってしまったから。ううん、もっと知りたいって思ってしまったから。
『二人の道のり:破』
政略結婚。なんて簡単なものだったらよかった。
けれど私にあったのはお飾りの道具としてこれから先、半世紀単位での身柄の受け渡し。
名前と血筋、そして権力を渡すための証として転々とさせられることだろう。
それを裏で画策していた人間達がいた。そして私がそれを優先的に選ぶような風に仕向けようとした人間もいた。
……そんな情勢の中で、私の懐に。胸のうちにまで入ってきていた人間が、いた。
妹子「……『皇族』の人間だったなんてね。私よりどれだけ重要な人間なのよ」
皇「あなただって十分に重要ですよ。少なくともあなたの身柄一つで世界のパワーバランスが確実に変わるんですから」
妹子「何よ。そんなの私の知らないところだけでやりなさいよ! 私は……私は“あいつ”みたいにすごくなんてないんだから!!」
皇「役割に苦しまれているのですね。だからこそ、僕はあなたを解放したい」
妹子「自分の側に引き込んで、でしょ」
皇「そう思われても、です。僕はあなたのために……」
妹子「うんざりなのよ! 何が私のためよ! みんなみんな、兄くんだってそう。私がほしいのはそんなのじゃないのに!!」
皇「……。すみません」
妹子「謝らないでよ。頷いてるのと同じなのよ、それ。私を裏切ってるって」
皇「ええ、今までの事を振り返れば、ただあなたに近づくためだったと思われても何らおかしくありません」
妹子「思うもなにも、そうなんでしょ!」
皇「違います。あなたが覚えていなくても、僕はひと時だって忘れなかった」
- 316 名前:GEPPERがお送りします [sage;saga] 投稿日:2010/10/25(月) 00:12:02.25 ID:wvhfk1o0
『あなた、ひとり?』
『はい……あなたは?』
『おなじだよ』
それは遠い過去。美しい花々に囲まれた庭園にて、二人の子供は出会い。
『ねぇ、あなたいっしょにあそばない?』
『はい!』
共に笑い、共に歌い、共に遊び。
『あ……じかん』
『そうなんだ。じゃあまた、またあそびましょう?』
そうして約束をひとつした。
『はい、また。かならず。ぼくがむかえにいきます』
『うん! まってるからね!』
そうして長く果たされなかった約束。
けれどその日少年の心に焼きついた少女の姿は、今こうして目の前にある。
皇「時間を。時間をください」
妹子「……」
皇「必ず迎えにきます。あなたを、僕が」
妹子「約束、してよ」
皇「約束します。あなたを僕が、何にも縛られない場所へお連れすると」
妹子「絶対。絶対だから……待ってるから」
皇「絶対、迎えにきます」
そして時を越えて、もう一度約束が交わされる。
絶対という言葉の重みを持って。
- 317 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/25(月) 00:44:07.41 ID:He4.SIAO
男「結局出張先から帰って即家事だもんな。疲れが取れる気がしねぇよ」
メ「まぁまぁ。美味しいご飯が食べれるんだからいいじゃないですか」
男「俺が作ってんだよ! 疲れと相殺されてるっつの」
メ「ではそこに主様の大好きなメイドさんがいるってプラス要素が」
男「部屋を散らかされてるだろうことに始まる大量のマイナスポイントを想像すると悲しくなるんだが」
メ「のんのん。散らかしてませんよ」
男「嘘つけ。ぱっと見で既に散らかってたぞ」
メ「いえいえ。散らかすというより20個ほどイタズラを仕込んだだけですので」
男「尚悪いわ!?」
メ「ほら、そんな大声で喋ってると唾飛びますよ。食事中はお静かに」
男「ぐ……こういう時だけ正論を!」
- 318 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/25(月) 00:49:22.14 ID:He4.SIAO
バタン
男「ったく……。本当にイタズラ仕込まれてんのか、この部屋は」
男「まぁ今更すぎるし引っかかる度に撤去してけばいいか」
男「今日はどっと疲れたし寝るか。はぁ……」
ぼすん
男「……。ん? なんか甘い匂いが」
男「なんだろ。嗅いだことあるような」
男「……」
『主様っ』
男「っ!?」
ガバッ
男「あ、あいつ、まさか俺のベッドで寝てたのか」
男「……まさか、な」
その日、結局悶々としたままで主様は寝られなかったそうな。
あとおまけ
メ「……ん。なんすかね。いつもより寝にくい」
片や大好きな匂いに包まれて寝れないせいか寝つきが悪い人もいたりいなかったり。
- 319 名前:GEPPERがお送りします [sage] 投稿日:2010/10/26(火) 01:01:21.79 ID:VkLRIYAO
男「果物?」
メ「イエス。私を果物に例えてください」
男「なんでよ」
メ「果物占いとかやろうかと思って」
男「つまり思いつきかつ適当なのな」
メ「これで一攫千金!」
男「本でも出すのか」
メ「いえ。金運高いと判断してから宝くじ買おうかと」
男「努力のかけらもないな、本当」
メ「で! 私を果物に例えると何ですか!」
男「メロン」
メ「おお、そこはかとなく高級感。これはつまり私に金運があるとみてよろしいですね」
男「いや、それがメロンに見えるから」
メ「それ?」
男「……」
メ「……」
男「す、すまん。そんな素でこっちを見ないでくれ。珍しく俺がやらかした感じがしてしまうから!」
メ「主様……割と最低ですよ」
男「正論でトドメをささないで!?」
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