■戻る■ 下へ
意地悪なメイド
- 923 :パー速民がお送りします [sage]
:2008/03/07(金) 05:53:58.44 ID:LxR6dHQ0
妹嬢「何です? 何がありました。兄さんをわざわざおいてまで」
メイド長「……大お嬢様が、あの部屋から出られました。また、坊ちゃんのメイドもそれに乗じて脱走しました」
妹嬢「は? な、え?」
メイド長「もう一度言いましょうか?」
妹嬢「……いえ、結構。っく、ここ2年おとなしくしていたと思ったら……あれだけの施設をいとも容易く破るなんて」
メイド長「捕らえますか?」
妹嬢「当然です。屋敷にある私の直属の戦力は全て差し向けなさい。最悪時間稼ぎでかまわないわ」
妹嬢「どうせ姉さんも、あのメイドも兄さんを狙っているはず。だったら別の場所に移るまでです」
メイド長「ではヘリの手配を」
妹嬢「ええ。あなたも手配が済み次第、姉さんを止めに向かいなさい」
メイド長「承りました。では」
スタスタ……
妹嬢「……厄介なことになってしまいましたね。ですが」
妹嬢「誰にも私と兄さんの新生活を邪魔させるものですか!」
メ「ひぃ、ひぃ……この階段、どこまで続いてるんすか」
姉「んー、あと半分かな」
メ「は、半分!? も、もうダメです……インドアが主体に私にはきつすぎ……」
姉「あう、頑張ろうよぉ。じゃないと面倒なことになっちゃ……」
チュイン!
姉「……遅かったかぁ」
メ「何です今の音! 明らかに何か銃弾が壁に当たった音だった気がします!」
姉「気がするんじゃなくてそうだよー。多分麻酔銃だと思うけど」
メ「そーなのかー。ってそれでも銃は銃じゃないっすか! ひぃぃ!」
姉「今のは下からだねー。やっぱりあっちの方が追いつくのはやいかぁ」
姉「だけどメイドさん疲れたって言ってるし、ここは休憩……」
メ「しなくていいです! 走ります! だからいきましょう、上に!!!」
姉「いいの?」
メ「いいんです! だから早く……」
チュイン! チュンチュン!!
メ「ひいいいい!!!」
ドダダダダ
姉「あ、まだ全然元気だ。よーし、まけてらんないぞー」
姉「でもどうせ上には上で待ち構えてると思うけど……」
『ぎゃああああああああああ』
姉「あ、やっぱり」
- 924 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/07(金) 06:05:36.93 ID:LxR6dHQ0
スルスル……
男「っしょっと。ふう、ちょっとしたダイハードだな。人間やってやれないことはない」
男「まぁシーツをまるまるダメにしちゃったけど……ごめんな、これ作った人」
男「これだけ丈夫なのを作れるなんて素晴らしい職人さんなんだろうなぁ。いやぁ惜しいモノをなくした」
男「……言ってる場合じゃないな。えっと、ここは中庭だから、地下は確かあっちのほうで……」
?「おい泥棒」
男「ひ!? ち、違います! 決してやましいことはしてな……あ」
母「よう、帰ってたか」
男「何だ、おふくろかよ。脅かすなって」
母「驚いたのはこっちだっての。あの子、本当にあんたを引っ張ってきたんだ」
男「驚くくらいなら止めてやってくれよ」
母「いや、驚きはするけど止める意味はないし、私にゃ」
男「でもどうせ親父はまた俺を追い出すぜ?」
母「そん時はそん時。ダーリンのやることには全面賛成だし、私」
男「じゃあ何でそうなるのがわかってるのに馬鹿妹のやることを見逃したんだよ」
母「あの子はあの子。私は私。いじょー」
男「っく、相変わらずの放任主義だな、おい」
母「いいじゃん。自分で生きてけるまでは育てたんだから後は好きにしてれば」
男「……。まぁいい。それよりさ、ここに来た俺のメイドについて何か……知らないよな」
母「うん、なーんにも。あ、でもさっきさ、廊下で変な話きいた」
男「変な話?」
母「姉の奴が出てきたとか、そこに脱走メイドがいるとか何とか」
男「それだあああああ!! って、姉さんも一緒なのか!?」
母「さぁ? 私はそう聞いただけだし」
男「……姉さん」
『絶対だよ! 迎えにきてよ!』
『えへへ……約束だからね』
男「……」
母「なーにしみったれた顔してんだか」
男「うっせ」
母「ま、私はぶらぶらしてくっから。そんじゃねー」
男「おう。あ、そだ」
母「ん?」
男「……まぁ、その、何だ。……ただいま」
母「おう、おかえり」
- 930 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/08(土) 06:21:42.96 ID:AzJ7.Jc0
メ「ひいいいいいいいいいい!!!」
チュン! チュイン!!
姉「うわー、すごい包囲網だねぇ」
メ「あ、やっときた! 何やってたんすか! もう、こっちこんな状況で涙目もいいとこですよ!」
姉「えっと、下の人がしばらくあがってこれないように邪魔してたの。ごめんね」
メ「全く。しっかりしてくださいよ、あなたがいないと私どこへ向かっていいかわかんないんですから!」
姉「うん、ごめん」
メイドD「……嘘、何これ」
メイドE「見たまんまね。……どういう怪物なのよ、私達が狙ってたのは」
パラ……
メイドD「完全に瓦礫で塞がってるじゃない」
メイドE「それも単純に力だけで壁と天壌を砕いてる、と」
メイドD「人間のなせる業じゃないわ」
メイドE「だから、でしょ」
メイドD「?」
メイドE「怪物退治だから、実弾が許可されてんでしょ」
メイドD「そう、ね。……あのメイドも気の毒に。じっとしてれば命の危険まではなかったのに」
パラタタタタ!!
ガガガッ!!!
メ「ひいいい! ほ、本当に麻酔銃なんですよね? ね!?」
姉「うーん。そうだといいなぁ」
メ「私もそのほうがいいです! でも麻酔銃ってこんなに連射ききましたっけ?!」
姉「……えと、専門家に聞いてください」
メ「この状況でどうやって!? っていうか私が常時ツッコミいれてるとか既にそれ自体が異常なわけで!」
姉「そうなの?」
メ「そうなんです! って、本当にどうしよう……このままじゃジリ貧です」
姉「んー……よし、何とかしてみる」
メ「おお! 何か策が!」
姉「任せといて!」
メ「ああ……今までいろいろ言ってきましたが、何だか急に頼もしく思えてきました。ではよろしくおね……」
姉「とっかんー!」
バッ!
メ「無策じゃないっすかああああああああああああ!!!!」
- 931 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/08(土) 06:49:02.17 ID:AzJ7.Jc0
男「はぁ、はぁ……っと!」
サッ……
メイド長「……」
男(げ、よりによってメイド長さんか。うまく切り抜けられればいいけど……)
スタスタ。
メイド長「……」
男「……」
メイド長「……」
スタスタ。
男(よし、そのままいってくれ……)
ピタッ
男(!?)
メイド長「……坊ちゃん。おとなしく部屋に戻っていてください」
男(バレてる、よな)
メイド長「でなければ、実力行使をもってお部屋に帰っていただくことになります」
男(く、どうする。逃げ切れ……はしないよな、絶対。けど……諦めたらそこで試合は終わりって安西先生も言ってた!)
メイド長「三つ数える間に素直に帰っていただけるならば、見逃します。そうでないならば……」
男「ごくっ……」
メイド長「一つ。二つ。……みっ……」
男(南無山!)
- 932 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/08(土) 06:49:28.38 ID:AzJ7.Jc0
ドオオオオオオオオオオオン!!!!
男・メイド長「!?」
姉「いいいいいいいいいやっほおおおおおおおおおおお!!!」
メ「いいいいいいいいやああああああああああああああ!!!」
メイド長「壁を抜いてきた!?」
姉「おとちゃんめーっけ!」
メ「あ、ああああああああるじさまあああああああああ!!!」
ズンッ!
姉「えへへ……おかえり。おとちゃん!」
男「お、おう。ただいま、姉さん」
姉「えへへぇ、おとちゃんだ。本物のおとちゃんだぁ〜」
メ「は、ははは……わ、私生きてる、あの銃弾の雨の中を……はは、ははは」
男「メイドも無事だった……みたいなのか?」
メ「ふふ、生きてるという意味では。ですがしばらくガンアクションゲーはやらないと決めました。ええ、本当に」
男「なら良かった。すぐにでもここを出るぞ。やっぱ俺の居場所はここじゃない」
メ「……らじゃ! では姉さん、申し訳ないですが我々はここで失礼をしま……」
姉「……何で?」
男「……」
姉「何で? 帰ってきてくれたんでしょ? 迎えにきてくれたんでしょ?」
メ「む? 姉さん?」
姉「うそ、うそうそ! 何で出ていっちゃうの!? また私をおいてっちゃうの!?」
男「ごめん、姉さん」
姉「……やだ」
メ「あ、おとちゃんって、主様のことだったん……」
姉「やだあああああああああああ!!!!!!!!!!!」
バッ!!!
ガキィン!!!!
男・メ「!?」
- 933 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/08(土) 06:49:51.76 ID:AzJ7.Jc0
ギギギ……
姉「何で……邪魔するの!」
メイド長「っ、何て、力……。く、事情が変わりました。そこのメイド」
メ「え、あ、はい」
メイド長「私がしばらく時間を稼ぎます。その間に坊ちゃんを連れてこの廊下の先にある階段を登っていきなさい」
メイド長「そこから先は坊ちゃんに任せて屋上へ向かいなさい。そこにヘリを待たせてあります」
メ「わ、わかり……」
男「待て!」
メ「え?」
男「罠、って言ったら変だけど……もしかしたらまた妙なところへ連れてかれるかもしんないぞ」
メ「あ……」
メイド長「疑われるのも無理はありません。しかし、残念ながらそこまで仕込む時間はありませんでした」
メイド長「操縦者には乗り込んだ人間の言うことを聞くように指示してあります。今行けば、無事に帰れますよ」
男「……」
メイド長「まぁ、ここで迷ってぐずぐずしていれば、ずっと出られないかもしれませんよ?」
男「なら、一つだけ教えてくれ。何で俺にその情報を教えた」
メイド長「……あなたにお嬢様の近くに居てほしくない。ただそれだけです」
男「……。わかった。いくぞ、メイド」
メ「は、はい」
メイド長「急ぎなさい。お嬢様が気付けばそちらへ向かいます。そうなれば恐らくあなたが言う妙な所へ連れていかれるでしょう」
メ「ら、らじゃ! さあ、主様!」
男「おう」
姉「おとちゃん! おとちゃん!!!」
ピクッ
男「……」
姉「やだ、お願い! もう一人にしないで! 私今度はちゃんとするから! ね? お願い! おとちゃん!!!!」
メ「あ、主様」
男「……。メイド、いくぞ」
メ「あ……はい」
姉「……うそ、うそうそうそうそ! 何で! 何でよ!! やだよ! いかないで、おとちゃあああああああん!!!」
ギンッ!!
メイド長「っ! いかせません!!」
姉「邪魔、しないでえええええええええええええええ!!!!!」
- 934 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/08(土) 07:03:05.21 ID:AzJ7.Jc0
男「こっち!」
メ「は、はい!」
タタタタ……
メ「ねぇ、主様。何て言っていいかわかんないけど……」
男「なら言うな」
メ「え?」
男「少なくとも、今はお前と馬鹿やってる方が、気楽でいいんだ」
メ「……」
男「だから、帰るぞ」
メ「……はい!」
タタタタ……
男「見えた、あそこだ!」
メ「っ……まぶし」
バラバラバラ……
男「よし、早く乗り込んで……」
ズゥゥウウウウウン……
メ「こ、この音って……」
男「……急ぐぞ」
『どこへ行かれるつもりですか?』
男「……っ、このタイミングでかよ」
妹嬢「質問に答えてください。どこへ行かれるおつもりですか? それもそんなのを連れて」
メ「そ、そんなのとは失礼な!」
妹嬢「あなたに礼を尽くす必要せいなどありませんから。それで? もう一度だけ聞きます、どこ……」
男「俺ん家だ」
妹嬢「……わかりました。では、全力で止めさせていただきます」
男「くそ、時間がないってのに!」
- 936 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/08(土) 07:08:21.60 ID:AzJ7.Jc0
メ「でも相手は女の子! 主様が本気になれば!」
男「それ負け台詞だから。……実際、ちっさい頃から何故か喧嘩だけはあいつに勝てなかったしな」
メ「え?」
男「それでもやるっきゃないけどな。なぁ、メイド」
メ「は、はい」
男「お前は先にヘリに乗れ」
メ「そんな!?」
男「いいから! んで、発進させたら俺もすぐ飛び乗る。……だから、いけ!」
メ「……絶対ですよ?」
男「お前は俺にとことんフラグを立てさせるな」
メ「私の主様だったらそれらを全部へし折ってくるぐらいの気合は見せていただかないと」
男「なるほど、違いない。……じゃあ、絶対いってやる。だから……いけ!」
メ「はい!」
バッ!
妹嬢「……行かせるとお思いで!?」
メ「!?」
男「ところがぎっちょん!!」
ガシッ!
妹嬢「!?」
男「行かせるんだなぁ、これが! 今だ! 走れ!」
メ「は、はい!!!」
タタタタ……
妹嬢「待ちなさい!」
男「待たせねぇよ!」
妹嬢「っく……いくら兄さんといえど、邪魔をするならば実力行使させていただきますよ!」
男「どんとこい! 兄貴ってのは時には妹のわがままを聞いてやるのが仕事なんでな!」
妹嬢「後悔しないでくださいよ!」
- 937 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/08(土) 07:09:01.47 ID:AzJ7.Jc0
メ「はぁ、はぁ! あ、あの!」
操「お、あんたが電話にあった妹さんかい? それにしちゃ随分な格好で……」
メ「兄の趣味です!!!!」
操「そ、そうなのか」
メ「そうなんです! それより発進させてください! 今すぐ!」
操「かまわねぇが、行き先を……」
メ「いいから!」
操「あー、わかった。わかったからそんなに怒鳴らんでくれ」
キュンキュンキュン!!!
操「じゃ、いくぞ」
メ「……よし、これで。あとは主様がこっちへ来てくれれば……っ!?」
ずる……どさ。
男「……」
妹嬢「後悔する暇もありませんでしたか。残念ですね、兄さん」
メ「そ、そんな……」
- 945 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/09(日) 06:28:09.37 ID:vIFOjd20
ズドン!!!! パラ……
母「ったく、騒がしいわねぇ、上は」
母「これじゃオチオチネトゲもできねーじゃんかよー」
母「あーあ、何かやる気そがれた。外の空気でもすってこよーっと」
スタスタ……
母「あーあ。何か面白いことないかなぁ」
母「具体的にはダーリンがいきなり帰ってきてくれるとか!」
母「なんて、ないよねー……はぁ、つまんにゃーい。せっかく一緒にやろうと思ってゲームとかも溜めてるのに……」
母「……帰って来いよ、馬鹿旦那!!!」
『誰が馬鹿だ、誰が』
母「え……?」
- 946 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/09(日) 06:28:40.31 ID:vIFOjd20
妹嬢「さぁ……戻りましょう。兄さん」
メ「なっ! 待ちなさい!」
妹嬢「……。そこのあなた!」
操「お、俺か!?」
妹嬢「ええ。その子を連れてさっさとどこへなりと行きなさい。報酬は三倍出すわ」
操「な、三倍!?」
妹嬢「あら、不満? でしたら五倍で出します。ですから今すぐ、どこへなりといきなさい」
メ「そんな!? 早まってはいけません、トム!」
操「俺はトムじゃねぇよ!?」
メ「いいからいってはいけません! どうしても行くというなら思い切り暴れます! ええ暴れますとも!!」
操「な!? 冗談じゃねぇぞ、こんな狭い場所で暴れるんじゃねぇよ!」
メ「ならば待ちなさい! って、そっちも待ってください! 何をさっさと帰ろうとしてるんですか!」
妹嬢「だって、欲しいものが手に入ったんですから、どこかへ行く必要もないでしょ?」
メ「で、でもあなたのお姉さんが……」
妹嬢「どうせメイド長が捕らえてくれるわ。だから何の問題もない」
メ「そんな……」
妹嬢「ではごきげんよう。もう会うこともないでしょうけれど」
キィ……
妹嬢「あら、来ましたか」
メイド長「……」
妹嬢「さぁ、今夜はご馳走にしますよ。掃除もさっさと済ませて今日から兄さんと私で……」
メイド長「……」
妹嬢「……? メイ……」
メイド長「お……じょ、さま……もう、しわけ……」
ドサッ
妹嬢「え?」
- 947 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/09(日) 06:29:11.34 ID:vIFOjd20
『おとちゃん、めーっけ』
メ・妹嬢「!!」
姉「何だ……やっぱりちゃんと残っててくれたんだね。そうだよね、どこかへ行ったりしないよね」
妹嬢「そ、そんな馬鹿な……!」
姉「あ、いもちゃん。久しぶりだね。いもちゃんがおとちゃんを止めてくれたの?」
妹嬢「近づかないで!」
姉「……? 何で?」
妹嬢「兄さんは渡しません! あなたなんかに!!」
姉「何でそんなこと言うの? ひどいよ」
妹嬢「あなたの……あなたのせいで兄さんは!!」
メ「な、何だか私のような部外者は全くわからない話に……っと、トム! 勝手にここから離れたら暴れますからね!」
操「ガッデム! 何だってんだよ、ちきしょう! あとトムじゃねぇ!!」
- 948 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/09(日) 06:29:58.11 ID:vIFOjd20
姉「おとちゃんにはその、少し悪いことしちゃったなって、私も思うよ?」
妹嬢「だったら!」
姉「でもそれは、おとちゃんも頷いてくれたから、いいんだって思ったの。おとちゃんが、そう、言ってくれたんだよ」
妹嬢「……っ」
姉「だから、ね? おとちゃん……ちょうだい」
妹嬢「それでも! 私には兄さんが必要なんです!!」
姉「……いもちゃんの意地悪。そんな悪い妹は……」
妹嬢「っ!!!!!」
バッ
ズドン!!!!!!!!!!!
姉「お仕置きなんだから」
妹嬢「……がふ! うそ、全然見えなかった」
メ(い、今何が起こったんですか……姉さんが消えたと思ったら次の瞬間に妹嬢さんがめちゃくちゃ吹き飛んで……)
妹嬢「……は! いけない、兄さん……!」
姉「えへへ、残念。私のほうが近いんだもんね。おとちゃんげっとー!」
メ「あ、主様!!」
- 949 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/09(日) 06:30:26.34 ID:vIFOjd20
バッ
『はーい、そこまで』
妹嬢「わぷ!?」
姉「きゃっ」
母「はい、こっからは大人の時間ね」
妹嬢「かあさ……な!? なんで!」
姉「え……あ、おかあさん、やっほー! それと……」
妹嬢「何故あなたが?!」
姉「おとおさんも、やっほー!」
父「……お前ら、暴れすぎだ。馬鹿娘ども」
ズドン!!!!!!!
姉「いたっ!!」
妹嬢「がふっ!!!!!!」
父「屋敷を散々ぶっ壊しやがって。ふざけるなよ馬鹿が、いくらすると思ってんだよ。ったく……しばらく寝てろ」
メ(な、なななな何かまた新しいのが出てきたああああああ!?)
メ(ていうか何あれ! いきなり二人の間に出てきたと思ったら両方を地面に叩きつけてるし!!? なんなのあの人ー!?)
- 950 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/09(日) 06:30:47.55 ID:vIFOjd20
父「そして何より不甲斐ないのはてめぇだ、こら」
ガスッ
男「ぐは! ……っ、何、だよ……寝起きを蹴るなと、あれほど……」
父「あぁん? てめぇは誰に向かって口をきいてんだ。ええ? このぼんくらが」
グイッ
メ(ちょ、どこのどいつか知らないけど、主様を蹴っていいのは私だけ! こら、胸倉とか掴むなぁぁあああ!!)
男「!!? お、親父!?」
父「っけ、面白みのねぇリアクションだことで。おい」
母「ほい?」
父「人間ってそうそう死ぬもんじゃねぇよな、多分」
母「まぁ多分」
父「じゃ、いいか。……おい」
男「何、だよ」
父「いっぺん空、飛んでみろ」
男「は? 何言って……」
父「……お、るぁあああああああああああ!!!!」
ぶんっ!!!
男「な、う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?」
メ(って、な、投げたあああああああああ!?)
- 951 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/09(日) 06:31:30.87 ID:vIFOjd20
ドンッ!!!!
男「がふっ!」
メ「げふっ!!」
操「な、何だってんだ、いったい!!! くそ、衝撃を相殺、しきれ、……ねぇなんていうか!! 俺ぁプロなんだよ!!」
メ「げほ、げほ……トム、発進してください! 場所は○○まで!」
操「ったりめぇだ! こんな場所、これ以上一秒でも居られるか! くそ!!」
バラバラバラ……
男「がは、ぐ……メイ、ド」
メ「ぜぇ、ぜぇ……何、でしょうか」
男「ナイス、キャッチ……」
メ「そりゃ、どうも……」
ガクッ
操「おい、その町へいって、どこかへリポートはあるんだろうな! おい、おいてめぇら!!」
男・メ「……」
操「くそ、二人して気絶してやがらぁ……。あーもう! もう二度とあそこの仕事はうけねぇ! 今回で取れるだけふんだくってやる!」
- 952 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/09(日) 06:44:31.08 ID:vIFOjd20
バラバラバラ……
父「さて、いったか」
姉「う、うぅん……あれ、おとちゃんは? おとちゃん……おとちゃん!」
父「うるせぇ、この馬鹿娘その1。だいたいてめぇは暴れすぎだ」
姉「あう、でもおとおさん! おとちゃんが迎えにきてくれたの! やっと! 待ってたの!」
父「んな訳ねーだろ。もしそうだとしたらあいつはただの自殺志望者だ。いいからてめぇは大人しくしろ」
姉「でもでも!」
父「い い な ?」
姉「あ……ぅ」
妹嬢「ん……っく!」
父「起きたか、馬鹿娘その2。てめぇだな? 事態をややこしくしやがったのは」
妹嬢「にい、さんは……?」
父「捨てた」
妹嬢「そん、な……」
父「たく、あいつは家には帰ってこさせないって決めただろうに。勝手に禁を破ってんじゃねぇぞ」
妹嬢「……」
父「まぁてめぇはそれなりに頭も切れるから、俺が言う意味もわかってんだろ。次はないぞ」
妹嬢「……」
父「はぁ。何だよその目はぁ……あいつのためにやってるんだろ? わかんねぇお前じゃあるめぇに」
妹嬢「それでも……それでも頷けません。私にとって兄さんは大事な……家族です!」
父「あー……わかった。じゃあとりあえずうちには厄介事を持ち込むな。以上だ」
妹嬢「そんな! 待ってください! お父様! お父様ぁぁ!」
母「馬鹿な子ねぇ」
妹嬢「っく、あなたに何が……!」
母「だからぁ、別にうちにさえ持ち込まなきゃ好きにしなさいって話してるのよ。会いに行くなり好きにしなってこと」
妹嬢「あ……」
母「わかった? わかったら返事」
妹嬢「……。わかり……」
姉「はぁい!」
妹嬢「な?! ね、姉さんには関係ないでしょう!?」
姉「関係あるよぅ。そっかぁ、おとちゃんは癒えにはこれなかったから、迎えになかなかこれなかったんだね」
妹嬢「な……!」
姉「それで今回は帰らなきゃいけない時間だから帰ったんだよね。本当はずっと迎えにこようとしてくれてたんだ……そうだよ、うん!」
妹嬢「そんな訳……!」
姉「そうだよね? ……何? 違うって言うの? ねぇ、違わないよね? そうでしょ、いもちゃん」
ゾクッ……
妹嬢「あ、は、い……」
姉「ならいいや!」
母「ん。あんたらの間で解決したんなら私はダーリンとご飯たべて遊んでくるからね。んじゃ」
バタン
- 953 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/09(日) 06:49:05.08 ID:vIFOjd20
妹嬢「……」
姉「えへへ、明日から楽しみだなぁ」
ガチャ
母「あ、そうそう」
二人「「?」」
母「あんたら反省の意味をこめてしばらくこの屋敷で自粛してなさいってさ。さっきダーリンが」
姉「えええー!」
妹嬢「そ、それでは先ほど言われたは件!?」
母「反省の色が見えたらちゃんと解いてあげるわよ。じゃあねー」
バタン
妹嬢「……」
姉「あう……反省、って言われても……」
妹嬢(……いくらでも反省してるような態度をとります。兄さんに会うためなら!)
姉「ねぇ、どうしようか、いもちゃん。……いもちゃん?」
スタスタ
妹嬢「私は地下にて反省してきます。姉さんはどうぞご自由に」
姉「ご、ごじゆうにって言われても……」
妹嬢「失礼します」
姉「……あうう」
- 954 :パー速民がお送りします [sage] :2008/03/09(日) 06:53:14.15 ID:vIFOjd20
ガタンゴトン……
委員長「……で、何か言いたいことは?」
男「全くもってありません。今回は全面的にいいんちょに借りを作らせていただいてます」
メ「以下同文」
委員長「はぁ……いきなり隣の県まで迎えにこいなんていわれてどうしようかと思ったわよ」
男「だ、だってヘリからいきなり捨てられて……」
メ「我々無一文でさぁ大変状態でして」
委員長「まぁいいわよ。帰り道は長いからね、ゆっくり話は聞かせてもらうわ」
男「……正直、漫画の読みすぎとか思わないでくれよ?」
メ「これまた以下同文です」
委員長「はぁ……何だか既に頭痛がしてくるわね。いいわ、聞いてあげる」
ガタンゴトン……
戻る 上へ