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意地悪なメイド2
- 861 :【意地悪なメイド オルタネイティヴ】 [sage]
:2008/07/14(月) 05:06:53.09 ID:2vBWCpI0
第十二話 「鏡越/救い」
初めて倒れた時のように、俺の意識はどこかわからない場所をたゆたう。
ゆらゆらと、ぐらぐらと。床のない場所を歩き、どこまでも息苦しい空間を泳ぐ。
そんな体を意識しない場所で、俺は知覚だけを四方八方に伸ばしていく。
だがそれはどこまでも広がり、調べていくつもりが実際は周りと同化していくだけのような気持ち悪さ。
どこまでも無限を意識しながら俺は俺が希薄になっていくのを感じる。
やがて全てと溶け合い、ぐちゃぐちゃになった俺が最初に見たものは……
「よう」
「……よう」
十数年以上付き合ってきた、俺という人物だった。
「気分はどうだ?」
「どうだも何も……わかんねぇよ」
「だよな。ちなみに俺は最悪だ」
「聞いてないっつの」
「そう言うなよ。……なぁ、何なんだ、この世界は」
思ったままを口にしてみる。
こいつなら答えてくれる気がして。
「さぁ、知らん」
だが返ってきたのはそんなそっけない返事。
そしてそれが意地悪で俺に教えないだけではないという確信。
自分だからわかってしまう。こいつは本当に知らない。
「だが、一つはっきりしてるのは、俺はこの世界を救いたい」
「……」
「だから、お前はやるべきことをやれ」
それがわかれば苦労はしない。
今はただ流されるままになっている俺からすればそうとしか言えない。
「じゃあさしあたっては次に控える総合戦闘技術試験の最短クリア記録の樹立を目指せ」
表情に出ていたのか、目的を簡潔に述べる。
「総合……何だって?」
「総合戦闘技術試験だ」
「それは、何だ?」
「あー、まぁ簡単にいえば俺らの班でサバイバルをがんばろー、みたいな感じだ」
「なるほど」
よくはわからないが重要なことはわかった。
自分が説明下手なことを反省しつつ、納得したつもりになっておく。
- 862 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 05:07:39.55 ID:2vBWCpI0
「んで、後何か大事なことがあるはずなんだが……」
「おいおい、しっかりしろよ」
「うるせぇ、お前だって物覚えがいいほうじゃないだろ」
「いや、いいはずだ」
「それもそうか。……思い出した。いいか、今からいう地名に国連軍の防衛線を伸ばすように打診してもらえ」
「えっ、と?」
「あー、わかんねぇか」
「おう」
「はっきり言うなよ。えっとだな、とにかくバカ妹に言って○○へ防衛線の伸ばせって言え」
「それだけでいいのか?」
「とりあえずはな。それと、理由を問われるだろうがそこは粘れ。未来の知識があるとかでな」
「……それ自体は構わないが何があるんだ?」
「BETAが来る」
「!!」
「対応が遅れた国連軍は防衛線の突破を許す。そして進軍する奴らの目的はこの基地だ」
「そ、そんな!? じゃあ、急いで防衛線を張りなおさせて……!」
「待て待て、あわてるな。……実はそれ自体は問題ないんだよ。なぜならその後の軍の展開で奴らの進軍は止まるからな」
「ふぅ、何だよ、じゃあ別にわざわざ無理しなくても……」
「だがバカ妹に今後発言していくにあたって、お前が未来の知識を有していると思わせるのは大事なファクターだ」
「なるほど」
「更にいえば、そうすることで犠牲者はきっと減る。だから頼む、何とかしてくれ」
建前も本音も本物。
だったら、答えは一つだ。
「任せとけ、俺」
「任せたぞ、俺」
そしてゆっくりと意識は浮上していく。
- 863 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 05:08:07.89 ID:2vBWCpI0
「……おはようございます」
「おはよう。で、一応聞くけど、何も書いてないか?」
「……。はい」
「よし、こっちこい」
ぷるぷるぷる。
「いや、安心しろ。たたかないから」
「……」
とことこ。
「絶対書いてるだろ!!」
ぴしっ!
「あぅ……うそつきです」
「嘘じゃねぇだろ。たたいてない。でこぴんはノーカンだ」
「……ひどいです」
「自業自得だ。これに懲りたら悪戯は一切……」
ザザ――
「……まぁ、ほどほどにな」
「……はい」
「では、お楽しみ中申し訳ないのですけれど、お話、よろしいですか?」
「のわ!?」
「何を驚いているんですか、医務室に移したわけでもないんですから、ここが私の部屋だと予想はついていたでしょうに」
いや、ごめん。そんなの考える前にイドと戯れてた。
などと声に出せるはずもなく、こんな子供みたいなやりとりを見られた恥ずかしさを隠すために沈黙の抵抗を行う。
「それで、この資料に見覚え、ありますよね?」
そして再び画面に映される資料。
だが、二度目のそれは何ら興味のわかない代物だった。
「悪いが、わからない」
「そう、ですか」
少々、とはいえバカ妹には珍しく表情に出るほどに落胆した様子だった。
こいつにしてみれば最上級のがっかりだったに違いない。
「すまん、力になれなくて」
「いえ、元々そんな都合のよい展開など期待してはいけないということです。勉強になりました」
「……すまん」
どこから来るのかわからない罪悪感に苛まれながら、ふと何か大事なことがあったことを思い出す。
それがポロリと口からもれ、しっかりと妹が拾う。
- 864 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 05:08:46.22 ID:2vBWCpI0
「○○がどうかしましたか?」
「え? あ、いや……」
そうだ。確かどこかの誰かに頼まれたんだ。
そこに何か重要なことが……そうだ、確か、
「……えっと、そこって防衛線は干渉してるのか? 国連は」
「いえ、特にそういった情報はありませんが」
「じゃあ、向こうさんに打診してくれ。そこまで防衛線を伸ばすように」
「何故?」
「それは、その……」
夢で誰かにお告げをもらったんです。
概ね正解だが人としては不正解だろう。
どう答えればいいのか。こいつの性格を考慮に入れて……よし。
「そこに、BETAがくるんだ」
「……根拠は?」
「俺が未来人だからだ」
……。一瞬場が凍った。
だがここで引いていては話が進まない。
「まず先に言うが俺に未来がどうとかいったのはまずお前だからな?」
「ええ。そうですね。そしてあなたはそれを認める、と」
「……部分的には」
何となく政治家たちの質疑応答のような感じだな、と思う。
こいつとは家族という関係上、割と腹を割った話し合いをしてたせいで、こういった雰囲気は正直苦手だ。
「それで重要なことは思い出せず、そんな与太話だけを思い出した、と」
「そうだよ。何か文句あるのかよ」
「ええ、ありすぎて溜息しか出ません」
「ぐ……」
こいつの厭味はいちいち相手の神経を逆なでするな。
とはいえ、ここで引くわけにはいかない。
少しずつ記憶がとり戻ってきているかもしれないと告げ、まずは足がかりをつくる。
そこから休日に事件が起こるということからおぼろげながら襲撃日を割り出す。
そして、犠牲者を減らすために何としても動かしてもらえるよう頼み込む。だが勿論……
- 865 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 05:09:10.43 ID:2vBWCpI0
「お断りします」
「何でだよ!」
「話を聞けば、別にこの基地には被害が届かないのでしょう?」
「そうですけど!」
「だったらいいじゃないですか。国連の方々が少々痛手を被るだけで済むんです」
「けど、未来がわかってるんだ! 救える命があるなら救ったほうがいいだろ!」
「いえ。それは困ります。あなたのいた未来ではそうすることで、この基地が救われたのかもしれません」
「そうかも、しんないけどよ……」
「寧ろここであなたの言うことをきいて、もし未来が変わってしまい、ここまで被害が及ばないとは限らないじゃないですか」
「……」
「ですから今回は見逃しましょう。ですがそれが起こればあなたがこの時間軸にいなかったこと自体は証明されます」
「一石二鳥というやつです。もう一度言いますよ? ここに被害を出すわけにはいきません。あきらめましょう」
ぴしゃり、と言い放つ。
正しいことをいってるのはわかる。わかるけど……!
「だが、それでも俺は助けられるやつがいるなら助けたい!」
「無理ですね。では逆に私からお願いしますが今すぐ世界の各地で戦っている同胞達を救ってくださいな」
「そんなの……」
「だから無理でしょう? あなたが守りたい世界というものはその程度なのですか?」
「それとこれとは!」
「変わりませんよ。今日勝てなくても明日勝つためにここは在るのです」
「その“明日”の為に今はあきらめてくださいといっているのです。それともあなたは結局……
――見える範囲でしか救わないつもりですか?
- 866 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 05:09:22.40 ID:2vBWCpI0
「ち、がう」
「違いません。ですから、それでも私に対して動けというならば、理由をおっしゃってください」
「そんなの……そんなの、気分が悪いからにきまってんだろ! 胸糞わりぃんだよ!」
「気分、ですか」
「そうだよ! 幼稚だと笑えばいいだろ! でも嫌なもんは嫌なんだよ! 救えたかもしれないって思って、諦めるとか!」
それは俺が見たことないはずの風景。
どこかへと旅立っていく船団を見送る俺達。
からっぽの基地。とりこ残されたのは絶望だけ。
だからってなにもせずしにたくなかった。だから鍛えた。戦った。
それでも敗れたから。負けたくなかったから。救いたかったから。
みんなが笑える世界が欲しかったから。
だから認めない。誰かの犠牲とか、重要じゃないからしんでいいとか。
絶対、認めない。
「だから頼む! 動かしてくれ、軍を! そして名前も顔もしらないそいつらを助けてやってくれよ!」
頭を床にこすりつけるように頭をさげる。
妹相手だからだとか、恥ずかしいとか、そんなものは一切ない。
ただただ純粋な願い。それに馬鹿妹は……
- 867 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 05:11:37.08 ID:2vBWCpI0
>>860
メ「何というニート」
男「向こうさんもまさかモノホンのニーとからそんな評価もらうとは思ってないだろうな」
メ「んもぅ、男子ちゃんってば意地悪ですね〜」
男「だからその名前で呼ぶなよ?!」
メ「とか言いつつ後で絶対チェックしようと思う主様なのでした」
男「好きなんだからしょうがない!」
- 868 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 07:20:27.85 ID:rC2kTUDO
>>866から>>867を見たら、嬢妹がメイドにニートって言われてるように見えた。
- 869 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 07:57:41.78 ID:dDB1HESO
>>868
なんという俺
中の人乙ですー
- 870 :NG?いいえ、俺の妄想です [age] :2008/07/14(月) 08:22:44.26 ID:rC2kTUDO
>>869が仲間だったので
それに馬鹿妹は…
メ 「何というニート」
そう、ニートなんdって
男 「おい!紛らわしいなチクショウ!」
メ 「何一転ですか、もう話変わってますよ男子ちゃん。」
男 「いや俺回転してねーし、大体その名前で呼ぶなよ!」
メ 「あーはいはい、すいませんねーお嬢様。」
男 「ぬがあぁぁ!」
- 871 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 09:47:40.72 ID:4XARg86o
つながりが妙に鮮やかで吹いたwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
- 872 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 09:55:27.07 ID:OAIaDEAO
男「学校行くけど、頼むから部屋は弄るなよ」
冥「まあ おそうじが できませんわ」
男「なんで片言なんだよ…する気なんざ元々無いだろうに」
冥「いえ なんとなく」
男「………」
男「……時間ねぇから行くわ、昼過ぎには戻ると思う」
冥「はいはい、いってらっしゃいませー」
ガチャ…バタン!
冥「………さて」
冥「れっつ さーちたいむ!」
冥「発掘品で弱味を握ってやりますぜ!」
ごそごそ
ごそごそ
冥「うわっ……大漁ですねー」
冥「中身は、と…」
つ『ドキッ!12人のメイドが淫らなご奉仕!』
「……」
つ『ご主人様の為なら、私…』
「………」
つ『真夜中の淫乱召使』
「…………」
ぞくっ
冥「……メイド物、だけ?」
冥「ア、アハハ、えらい地雷を踏んだような気が…」
男「へーちょっ!!」
盟友「どうした、風邪か?」
男「くしゃみ一つで大げさだな、どうせ誰かが噂でもしたんだろうよ」
盟友「いやまぁこの際そんな事はどうでもいいが」
盟友「あの『宝の山』、やったか?」
男「段ボール一箱分のメイドもんのエロゲなんぞ誰がやるか」
盟友「しかしな、俺は大学生にもなってエロゲの一つもやってないなんて不幸で不健康で不謹慎なお前の為にだな…」
男「後ろ二つは明らかにお前だろうが」
- 873 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 14:57:50.10 ID:OAIaDEAO
ガチャ
男「ただいまー」
冥「お、おかえりなさいますです」
男「………?」
冥「あ、あぁそういえば買い物がまだだったので行ってきます」だっ
男「まてぃ」ぐいっ
冥「いやぁぁぁぁぁ!掘られるぅぅぅぅぅ!!」
男「誰がするか!!っていうか掘られるってなんだ!!」
ぎゃーぎゃー
わーわー
- 874 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 16:32:31.05 ID:rC2kTUDO
>>873
待っていたぞ、そしてGJ
- 875 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 19:46:29.87 ID:olh11gAO
おお、冥土さんとこきてくれてるww
よし、帰ったらばっちり更新するぜ!←前フリ
あと最近みんなもちょくちょく書いてくれてて嬉しいww
- 876 :パー速民がお送りします [sage] :2008/07/14(月) 20:29:22.07 ID:4XARg86o
冥土の人の投下を見て思いついたお題を・・・
【主様の秘密フォルダは妹物のエロゲ(エロ漫画)ばかりでした】
【主様の秘密フォルダはふたなり物のエロゲ(エロ漫画)ばかりでした】
【主様の秘密フォルダは獣姦動画(画像)ばかりでした】
【主様の秘密フォルダはホモ動画(画像)ばかりでした】
あれ、なんかデジャブ・・・
- 877 :【いじメイオルタチャプター01製作終了記念祝賀会】 [sage] :2008/07/15(火) 04:36:10.13 ID:Isp8Dh20
メ「というわけでお疲れ様でしたー!」
一同「お疲れ様でしたー!」
男「って、ちょっと待て。何だ、チャプター1ってのは」
メ「中の人いわく、1話からプロローグまでのところでチャプター1らしいです」
男「ふぅん……ってそうじゃなくて! 全部終わってからってお題じゃないのか?」
妹嬢「それについては私から説明させていただきます」
メ「出た、ニートふたなりお嬢様プラス妹属性!」
妹嬢「もういちいちつっこむ気にすらなりません……」
メ「ふたなりだけに?」
妹嬢「……。こほん。これ以降、中の人的に区切りの段階に入るたびにこのお題を使わせていただこうと思っているそうです」
メ「いわゆるひぐらしのお疲れ様会みたいな!」
男「ひぐらし自体は知らんが、まぁいってる意味は何となくわかる」
メ「というわけで本編というか外伝なのに本編とはこれいかに、と思いつつあっちで出てない私が司会進行したいと思います」
男「よろしく」
メ「では第一回のゲストは新キャラのイドちゃんです!」
イ「……」
男「よ。撮影中は演技とはいえたたいたりしてごめんな?」
イ「……いえ」
メ「それに主様に抱かれまくりですもんね。不満爆発でしょうに」
男「その言い方だと非常に危ないからやめてくれ」
メ「大丈夫ですよ、イドちゃんは設定的にちゃんと成人誌に掲載できる年齢ですから」
男「余計ダメな感じだっつぅの。って、イドが全然しゃべれてねぇだろ! お前はもうちょい自重しろ!」
メ「だが断る!」
男「がっ! ……お前というやつは……」
メ「それにイドちゃんは主様が苦手だから無口なのかもしれないじゃないっすか」
男「む。……そうなのか?」
ぷるぷるぷる。
男「ほら見ろ、そんなことないってさ」
メ「ふん! 裏でお金でも握らせてるんでしょ。全く、こんな純粋な子に大人の暗い部分を見せるなん……」
ぴと
メ「……」
男「ん? どした、イド。急に抱きついてきて」
イ「……」
メ「ふ、ふふふ。小さいからとあなどっていましたがさすがは成人誌OKレベル。やってくれるじゃないですか」
男「お、おい。どうしたよ、急に。っていいんちょ達まで何か殺気立ってる!? 落ち着けみんな! ちょ、お、うわああああああああああ!?」
友「祝賀会なのに、変なの」
?「だなぁ。全く、何やってんだか」
友「モテる男はつらいってことじゃないのかな」
?「んだな。さって、俺は次々回くらいのチャプターで登場すっかもだから、そん時はよろしくな」
友「うん。じゃ、またね」
?「おうよ」
男「た、助けてくれえええええええええええええええ!!」
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