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市松人形「私……呪われてますから」
95 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 19:49:55.83 ID:PYH1hmFC0
▼後日/朝/男宅/男の部屋

―― チュンチュン。

男「……ん。朝か」

男「んン〜っ、……と」

男(市は人形の中で休んでるみたいだな)

男(朝ごはん。何にしようかな……)

男(……とりあえず歯、磨こ)


96 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 19:52:06.57 ID:PYH1hmFC0
男「……」シャカシャカ

市「男さーん! おはようございまーす!」

男「……ほはほ。ほまへはいふへほへんほんふぁふぁいふぁ」
(訳:……おはよ。お前はいつでもテンション高いな)

市「そんなことないですよ。男さんが低すぎるんです」

男(……よく今の言葉が理解できたな)


97 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 19:55:13.42 ID:PYH1hmFC0
男「鞄よし。財布よし。宿題よし」

市「早く帰ってきてくださいね。今日こそ将棋の借りを返します」

男「1000年早ぇよ。それじゃ学校行ってくる」

男(あー。今日の昼飯はどうしよっかな……)

市「あっ。男さん、ちゃんと前見ないと――」

――ドゴォ!

男「足の小指ぶつけ☆%'〜@<&+!!!!!」

市「だ、大丈夫ですか!? 痛いの痛いの飛んでけ〜!」

男(くそ、帰ったら将棋で泣かせてやる……#)


98 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 19:57:25.03 ID:PYH1hmFC0
▼学校/下駄箱付近

ワイワイ ガヤガヤ

「おはよー!」
「あっ。おはよー!」

「おっす。おはよ」
「おぉ、お前か。はよー」

男「……」スタスタ



ワイワイ ガヤガヤ

「おはようございます、先輩!」
「後輩か。おはよーさん」
「センパーイ!おはよー!」
「げっ、出たな後輩女!」

男「……」スタスタスタ


99 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/27(水) 19:59:46.68 ID:a4zE8FJp0
ぼっちか


100 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:00:52.32 ID:PYH1hmFC0
ワイワイ ガヤガヤ

「やべぇ!体育着忘れちまった!」
「バッカでー。他のクラスのヤツに借りてこいよ」

「ねぇねぇ、放課後に駅前行かない?」
「いいよ。ついでに新しいスマホ調べたいし!」

「なぁお前って今日バイトあんだっけ?」
「今日は無い。久々にゲーセンでも行くか」
「いいねぇ。他に行きたそうなヤツ誘ってみるわ」
「了解」

男「…………」スタスタスタ


101 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:04:44.21 ID:PYH1hmFC0
男「…………」スタスタスタ

男(今日の学校終わったら、家に帰って)スタスタ

男(すぐ着替えてバイト行く支度しなきゃな……)

―ミシッ

男(……バイト行きたくねぇ)

男(せめて店長がもっとまともな人だったらいいのに……)

―ミシミシッ


102 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:07:48.69 ID:JeEnCncu0
ピットフォールトラップか・・・


103 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:07:58.17 ID:PYH1hmFC0
―ミシミシッ メリメリメリ……

?「キミ、危ない! 上!」

―ガコッ

男「え?、――ぐあっ!」 ガンッ!

―ガシャーン!


「きゃあああああ!」
「マジかよ! 天井の板が落ちてきやがった!」
「おい! 誰か下敷きになったぞ!」

男「……うぅ…………」

?「大変、保健室運ばなきゃ! 誰か手伝って!」

「合点承知!」
「任せろ!」


104 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:10:49.22 ID:PYH1hmFC0
▼保健室

男「…………ん、んン」 パチッ

男「あれ、ここ……」

?「あっ、起きた!?よかったぁ〜」

男「キミは……」

?「同じクラスの"女"だよ。わかる?」

男「あ……、うん」

女「よかった」ニコッ


105 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:17:39.04 ID:PYH1hmFC0
女「大丈夫? 気分はどう?」

男「あぁ。なんとか大丈夫。……今、何時?」

女「今は9時半を過ぎたところ。丁度1時間目の授業が終わって休み時間だよ」

男「そっか。そんなに寝てたのか」

女「ビックリしたよね。まさかあんなのが落ちてくるなんてね」

男「……俺、運が悪いからさ」


106 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:29:19.27 ID:PYH1hmFC0
男「よいしょ」ムクリ

女「ま、まだ起きちゃダメだよ! 保健の先生に診てもらわなきゃ!」アセアセ

男「大丈夫。頭打っただけだし、血も出てないみたいだし」

女「でも!」アセアセ

男「色々とありがとう。それじゃ」

女「ちょっと待って!」

男 スタスタ

女「……行っちゃった」


107 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:33:40.02 ID:PYH1hmFC0
▼昼休み/教室

キーンコーンカーンコーン

「やっと昼休みだよ。腹減ったー」
「早く飯食おうぜ。マジ腹減った」

男「……」ガタッ スタスタ



女「……ねぇ女友」

女友「なぁに?」

女「男くんのことなんだけどさ、ちょっと聞いてもいい?」

女友「あの根暗? アンタも朝からあんな奴の世話させられて大変だったね」

女「そ、そんな風に思ってないから」アセアセ


108 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:37:27.47 ID:PYH1hmFC0
女「そうじゃなくて男くんのことなんだけど」

女「昼休みになるとすぐ教室出て行くけど、いつもどこにいるのかな」

女友「知らないよ。中学の時からあんな感じだかんね」

女「話したことないの?」

女友「全っ然無い! アイツ、転校して来たんだけど初日からずっとあんな感じだし」

女「そうなんだ」


109 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:41:05.93 ID:PYH1hmFC0
女「その頃からあの噂があるの?」

女友「噂? あ〜、人形がどうのってヤツ?」

女「うん」

女友「たぶん中学の時は無かったと思うけど、でも何かやってそうだよね。あの暗い感じは」

女「女友。さすがに言い過ぎだよ」


110 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:45:26.00 ID:PYH1hmFC0
女友「まさか女、あんなのが好きなの?」

女「ちょっ、違うよ!ただ、なんとなく気になっただけで……」

女友「ヤメときなヤメときな。あんなのに惚れたらアンタも変な噂が立っちゃうよ」

女「だから違うってば!女友!」

女友「あはははは」


112 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:49:13.98 ID:PYH1hmFC0
女「あっ、大変!」

女友「どした?」

女「吹奏楽部の顧問先生に呼ばれてたんだ!忘れてた!」

女友「あのデブ顧問に? 部長さんは大変だねぇ」

女「先生にそんな言い方しないの」

女友「へいへい」

女「女友も忘れずにちゃんと出てよね」

女友「へいへーい」

女「はいもへいも返事は1回。それじゃ行ってくるね」

女友「へ〜い」


113 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:52:17.15 ID:PYH1hmFC0
▼職員室

顧問「これが今日から練習プラン。お前から皆に伝えといてくれ」

女「はい。わかりました」

顧問「すまんな。昼休みなのに」

女「大丈夫です。それでは失礼します」ペコッ

顧問「おう」


114 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 20:56:58.22 ID:PYH1hmFC0
▼廊下

女「…………」スタスタ

女「…………」キョロキョロ

女(見つからないや。校舎の中にはいないのかな。……裏門の方かな?)

女(あっ。いた)

タッタッタッ


115 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:01:50.48 ID:PYH1hmFC0
▼校舎裏

男「…………」ペラッ

男(こんな髪型もあるんだ……)

男(レイヤー入れて、ボリューム落として……)

男(ハサミの入れ方でこんなに変わるのか……)

男(ちょっと練習してみようかな……)

男「鞄にハサミあったよな……」ゴソゴソ


116 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:04:52.80 ID:PYH1hmFC0
女 コソコソ

女 ソロ〜

女(何か読んでる。雑誌かな?)

女(ハサミでチョキチョキやってる……。あっ、鞄にしまった)

女(話しかけても大丈夫……だよね……?)

女 ソロリソロリ


117 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:07:39.55 ID:PYH1hmFC0
女「や、やほ」

男「!? ……女さんか。ビックリした」

女「脅かしてゴメンね。少しいい?」

男「どうぞ」

女「お邪魔します……」


118 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:11:13.97 ID:PYH1hmFC0
女「……それ、何読んでるの?」

男「ただの雑誌だよ」ペラッ

女(ヘアカタログ……女の子向けのだ……)

男「今朝はありがとう」

女「えっ?」

男「保健室に運んでくれて」

女「いや、私はたまたま通りかかっただけだし」

女「他にも手伝ってくれた人いたから……」

男「そっか。でも、ありがとう」

女「うん。どういたしまして」

男「……」ペラッ


119 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:18:41.44 ID:PYH1hmFC0
女「男くんってさ、女友って知ってる?」

男「知ってるよ」

女「同じ中学だったんだってね」

男「一応ね」ペラッ

女「中学の時、女友の学校に転校してきたんだって?」

男「そう。中三の時に」

女「地元はどこらへんなの?」

男「昔から転校してばっかりだったから、特に地元ってのは無いよ」

女「そっか」

男「……」ペラッ

女「……」


120 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:23:05.50 ID:PYH1hmFC0
男「話しかけてくるなんて初めてだね」

女「うん。でも、前からお話ししてみたかったんだ」

男「ふぅん」

女「……あのさ。答えたくなかったら答えなくていいから、1つ聞いてもいい?」

男「何?」

女「あの……男くんってさ」

女「人形に話しかけながら髪を切ってるって噂を聞いたことがあるだけど、それって本当?」

男「………………」


121 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:26:11.20 ID:PYH1hmFC0
男「…………」

男「…………ハァ。あぁ。本当だよ」パタン

男「気味悪くて変なヤツだと思うだろ? よいしょ」スッ

女「あっ、いや……」

男「だから、興味本位でもあまり話しかけない方がいいよ。女さんも変なヤツだって思われちゃうから」

女「そうじゃなくて――」

男「それじゃ」スタスタ

女「あの……」

女「…………」


122 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:29:36.88 ID:PYH1hmFC0
▼教室

女「ただいま戻りました」

女友「遅かったね。顧問先生の長話にでも捕まった?」

女「ううん。男くんと話してきた」

女友「げっ! あんなにやめときなって言ったのに……」

女「人形の噂、本当かどうか聞いてみたんだ」

女友「ホント!? 意外と度胸あるのね、アンタ」


124 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:33:52.94 ID:PYH1hmFC0
女友「それでどうだった、どうだったのさ?」ワクワク

女「本当みたい。女性向けのヘアカタログも読んでたし、ハサミで髪を切る練習みたいなのもしてたし……」

女友「うっわ〜、怖っ! キショっ! やっぱり変な奴なんだよ!」

女「そう決め付けるのはどうかと思うけど……」

女友「いーや、そんなことない。あんなのにもう話しかけるのヤメときな」

女「でも――」

女友「デモもスモモも桃太郎! アンタまで変な噂立てられるよ? わかった!?」

女「……うん」


125 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:34:08.26 ID:ztlu2m1i0
はい


126 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:36:53.26 ID:PYH1hmFC0
▼帰りのHR/教室

担任「じゃあ今日はここまで。起立! 礼!」

担任&生徒「「ありがとうございましたー!」」

ワイワイ ガヤガヤ

男「…………」ガタッ スタスタ


127 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:41:44.67 ID:PYH1hmFC0
女友「女ー。部活行くよー」

女「ちょっと待って、……あっ。男くんだ」

女友「うわっ、アイツもう校庭にいるし! 早っ! ホームルーム終わったばっかじゃん!」

女「歩くの速いんだね」

女友「いや〜、早く帰ってお人形遊びしたいんじゃない?」

女「う〜ん……」

女友「うわっ! しかもアイツ、何も無い所でコケたし! ドンくさっ!」

女「だ、大丈夫かな」アセアセ

女友「根暗な上にドンくさいとか救いようがないわ」

女「……」

女友「ってそんなことよりほら女、ブ・カ・ツ!」

女「あ。うん。ゴメン」


129 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:46:29.46 ID:PYH1hmFC0
女「……女友。ゴメン、もうちょっとだけ待ってて」

――カチャッ ガラガラガラッ

女「(スゥ…) 男くーーん!」


男「!?」ビクッ


女「私、全然変だとか思ってないからー!また話そうねー!」ノシ ブンブン


男「……」

男 ノシ ヒラヒラ


131 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:51:06.63 ID:PYH1hmFC0
女「よし!」

女友「……」ポカーン

女「どうしたの?」

女友「……普通の子だと思ってたけど、アンタもけっこう変わってる子なんだね」

女「そう? ほら。部活に遅れるよ。急ご」ダッ

女友「こ、こらー! 私が待っててあげたんでしょー!」ダッ


133 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 21:55:53.30 ID:PYH1hmFC0
▼男宅

市「おかえりなさぁ〜い」フヨフヨ

男「ただいま……って、何やってんの?」

市「浮遊死体ごっこです」フヨフヨ

男「なんだそれ。バカみたいだな」

市「バカみたいってなんですか! ……あれ、男さん? 学校で何かいいことありました?」

男「え、何で?」

市「なんとなく顔がほころんでるような気がします」

男「そうかな?」

市「う〜……私の知らない所で何か良い事があったんだ」

男「そんなこと無いよ」

市「隠したってダメです! わかるんですからね! さあ白状してください!」ビシッ

男「さて。バイト行く支度しなきゃ」

市「無視ですか!?」ガーン


135 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:00:09.51 ID:PYH1hmFC0
▼男のバイト先・コンビニ

男「……」ピッピッピ

男(いつもよりオニギリが売れてる。多めに発注するか)

店長(男性)
「男君は本当によく働くわねぇ〜。んもぅ! 大好き! チューしたい!」

男「すみません。店長がキモイのでもう仕事上がっていいですか?」

店長「照れないでいいのよ! ツンデレなんだからっ!」

男(店長すみません。けっこう本気です)


136 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:03:32.50 ID:PYH1hmFC0
店長「私は裏で事務作業してるから、何かあったら呼んでね?」

男「わかりました」

店長「……襲ってきちゃってもいいのよ?」

男「わかりました。襲います。金属バット持参で」

店長「んもう! ホントに照れ屋さんなんだから! 愛してるわよ!」

男(店長すみません。かなり本気です)


137 名前:VIPがお送りします [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:05:00.30 ID:Jjjz2ykU0
ホモかね


138 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:06:32.61 ID:PYH1hmFC0
店長「じゃあよろしくね〜」

男「はい。任せてください」

店長「ああん! その声に痺れちゃうわぁ! またね〜!」スタスタ

男(……バイト先選び、失敗したよなぁ)


140 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:09:57.21 ID:PYH1hmFC0
▼放課後/帰り道

女友「うひ〜、疲れた〜」

女「今日は先生も気合入ってたね」

女友「 『サボリ魔の女友が来るなんて! よーし、先生今日は張り切っちゃうぞー!』 とか、やめてよねホント。疲れるわ〜」

女「あははははっ」

女友「それじゃ私こっちだから。また明日ね」

女「バイバイ。またねー」

女友「あいよー。バイバーイ」


141 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:12:49.40 ID:PYH1hmFC0
女(ホントに今日は疲れたな……)

女(頑張りすぎてお腹も空いてきちゃったし)

女(甘いもの食べたいな)

女(コンビニあるし、何か買って帰ろうかな〜…… ――あっ!)

女 タッタッタ


142 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:17:03.84 ID:PYH1hmFC0
―― ウィーンッ

男「いらっしゃいませー」

女「こんばんは」

男「あ。こんばんは」

女「男くんここでバイトしてたんだ?」

男「まぁね。何か用?」

女「ううん。見掛けたから寄ってみたんだけど、話しかけちゃまずかった?」

男「一応仕事中だから」

女「あっ、そっか。ゴメンね。じゃあ、このハイチュウください」

男「105円です」ピッ

女「男くんってさ、話し方そっけないよね」

男「そうかな。……いや、そうかも」


144 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:20:12.96 ID:PYH1hmFC0
女「同じクラスなんだから、もっと親しくしてくれてもいいと思う。はいお金」

男「110円お預かりします。そんなこと言われてもいきなりは出来ないよ」ピピピッ ガシャーン

女「じゃあ、まずは明日から私のことは呼び捨てで呼ぶこと。いい?」

男「まぁいいけど。5円のお返しとレシートです」

女「決まり! じゃあ仲良しになった印と勤労のご褒美に、ハイチュウ1つあげます」

男「……ありがと」

女「(パクッ モグモグ) ……うん。おいしいね」

男「お客様。店内での飲食はご遠慮ください」

女「あははっ。ゴメンなさい。じゃあまた明日学校でね」タッタッタ


145 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:21:30.05 ID:PYH1hmFC0
男「あっ。女さん!」

女「ん。何?」クルッ

男「あの……、ご利用ありがとうございました」ペコッ

女「うん。またね」

―― ウィーン


147 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:24:10.47 ID:PYH1hmFC0
店長「……男君」スッ

男「!?」ビクッ

店長「誰なのあの子。もしかして彼女?」

男「ち、違いますよ。クラスメイトです」

店長「私の男君に手を出そうとする泥棒猫! 許すまじ! ブチコロス!」

男(もうダメだこの人……)

店長「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」ブツブツ


148 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:29:18.74 ID:PYH1hmFC0
男「店長。心配しなくても大丈夫ですよ」

店長「え……お、男君。大丈夫って何が?///」ドキッ

男「店長のものになるくらいなら、僕は喜んで自害しますから」

店長「それは男君が私の為に死ぬってこと!? これは究極の愛の形! ハフゥーン!」バタンキュー

男(ホントもうダメだなこの人は……)


149 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:36:45.17 ID:PYH1hmFC0
▼夜/男宅

―― ガチャッ

男「ただいまー」

市「おかえりなさーい。・……あれ、男さん。だいぶお疲れなお顔してますね」

男「今日の店長の相手がより一層キツくてな……」

市「あのオカマ店長さんですか。お話聞くかぎりだとイイ人そうですけど」

男「すごいイイ人だよ。俺の家の事情知ってるし、雇ってもらって感謝してる」

男「ただ、あのオカマっぷりがどうしても慣れないんだよな……」

市「男さん、がっつり狙われてますもんね……」


150 名前: ◆j9t2MtZrb2 [] 投稿日:2013/03/27(水) 22:40:08.65 ID:PYH1hmFC0
男「あーもう! お風呂に入って忘れよう! それから夜ご飯だ!」

市「お供えも忘れないでくださいね!」

男「はいはい」

市「ご飯の後は、また将棋で勝負です!」

男「今日はハンデとして飛車角落ちで戦ってやるよ」

市「何ですと!? ナメて痛い目に遭っても知りませんよ!?」

男「上等だ!」



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