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妹「兄さん、もう寝ませんか?」
764 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 19:56:06.42 ID:On3gGSJr0
カチミ「まったく、冗談ではありませんわ。あの失敗作めが…
後ほどお姉様と合流したら、必ず合流してあの失敗作を恐怖のどん底に陥れてやるのですわ!」

カチミは息を切らせながら、屋上駐車場へと伸びる階段を駆け昇っていた。

カチミ「私の『初めて』をよくも…大切な人のために取っておこうと思ったのに!
ああ、あのクソガキが!」

自動ドアのガラスを蹴り破り、ガラス片を散らしながら屋上駐車場に出る。

カチミ「自由に擬態も出来ないような失敗作なのに…」

博士「そいつは、私の愛する一人娘のことかな?」

カチミ「! だれですの、出てきてらっしゃい!」

博士「ふん、馬鹿め後ろだ!」

カチミ「何ぃッ!?」

博士「嘘だ」

カチミ「むきぃーっ、だ、騙しましたわね! 出てきてらっしゃい!」


765 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 20:00:47.48 ID:ncb3pA2L0
>>761
まじかる?


766 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 20:04:43.65 ID:On3gGSJr0
博士はその長いブロンドの髪を揺らして、颯爽と他人の車の影から登場した。

博士「ほら、出てきてやったぞ」

カチミ「貴方は…そうか、貴方ですのね。博士が言っていた助手というのは」

博士「これはこれは。お見知りおきいただいて光栄の至りだよ」

カチミ「貴方が博士の基礎理論を基に作り出した初代シーカーの改良型…名ばかりの失敗作ですわ、あんなもの」

博士「そう偉そうな口を利くわりには、随分とこっぴどくやられた風なことを言っていたじゃないか」

カチミ「黙りなさい!」

カチミはナイフを構えると、博士に向かって突貫していった。

カチミ「貴方は優秀とはいえ、肉体的にはただの人間…さあ、死になさい!」

カチミのコンバットナイフの分厚い刃が、博士の豊満な体に深く沈んだ。
博士の目が驚愕に見開かれる。

カチミ(やった…!)


767 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 20:06:30.17 ID:On3gGSJr0
ああ、なんかごめん…ダーカーザンブラックなんだが…知らないか?


768 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 20:09:05.29 ID:PROgK8rl0
>>767
俺はそうだと思ってた


770 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 20:15:17.86 ID:On3gGSJr0
知ってる人がいて嬉しいぜ





ところが、一旦見開かれた目はすぐに余裕のそれに変わり、色っぽい唇からは可笑しそうな笑いが漏れた。

博士「くくく…はっはっはっは!」

カチミ「な…何故生きている!?」

博士「残念だったな小娘…それは残像だ。
本物はお前の後ろさ!」

カチミ「まさか!」

博士「嘘に決まっているだろう」

カチミ「むきぃーっ、ま、また騙したわね!」

博士「ふん、同じ手に二度も引っかかるとはな。
ああ、ちなみに残像っていうのも嘘だ。そいつはただのホログラムさ。いや、流石に私の開発した携帯ホログラム発生装置は、精度が良い」

カチミ「くっ…侮りがたいですわ、この女…」


774 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 20:27:47.47 ID:On3gGSJr0
カチミ「こそこそ隠れるなんて卑怯ですわ! 潔く出てきなさい」

博士「ふん、誰がそんな馬鹿正直な真似をするか。
私は正義の味方でも法の番人でもない――一人の狂ったマッドサイエンティストだ」

カチミ(なんかよく分かりませんけど格好良いですわ…)

博士「さて、どうせお前、師匠の差し金なんだろう。聞かなくても大体分かるさ。
目的は兄の中にあるあの電子部品か」

カチミ「そこまで知っていて、何故あれを破棄しようとしないんですか?
放っておけば、世界をも変えかねないものなのですよ?」

博士「ふっ…その時は私がなんとかして見せるさ」

カチミ「あなた…」

博士(知らなかった…あれってそんなにヤバイものだったのか…)


775 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 20:28:09.83 ID:zLkEUXpv0
追いついたw

椎香ときいて詩歌で妄想するムシウタ派の俺は異端ですか?


779 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 20:52:05.97 ID:On3gGSJr0
カチミ「しかし貴方にはあれは渡せませんわ。大人しくあの男を差し出しなさい」

博士「駄目だ。あいつは私の最愛の男だからな。
あいつを奪いたいのなら――私の胸の中にある、百万の愛を越えてゆけ!!」

カチミ(か、格好良い…迂闊にも敵ながら惚れ惚れしてしまいましたわ)

カチミ「…貴方とは別の場所で出会っていたかったですわ」

博士「ふ、そういうことは言うもんじゃない。さあ――決着をつけようじゃないか」

カチミ「いいでしょう、受けてたちます!」

その言葉に反応したかのように、屋上駐車場にある全ての車のライトが、一斉に点灯した。

カチミ「!?」

あまりの眩しさに目が眩み、一瞬身動きが取れなくなる。
その隙を突いて、実は愛車の赤のポルシェに乗っていた博士は、アクセルを全開に踏み込み、ポルシェを発進させた。

博士「これが私の峠を百晩攻めて鍛えたハンドリングテクニックだぁぁぁ!!」

叫びながら、博士はポルシェでカチミに突貫し、綺麗にカチミを撥ね飛ばした。


781 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 20:56:04.90 ID:xWqhA17V0
吹いたwwwww


782 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 20:57:23.59 ID:Fx3WfQ3RO
博士のドラテクwww


783 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 20:59:26.03 ID:On3gGSJr0
――撥ね飛ばされた瞬間、カチミの脳裏を最期によぎったのは、次の一言だった。

カチミ(ハンドリング…関係ないですわ)


屋上駐車場の端まで吹き飛んでいったカチミは、そのまま危険防止の鉄柵をぶち破り、遥か下の地面へと落ちていった。

博士「ふう、面白…いや手強い相手だった」

博士は手元に置いていた、車の電灯に一斉に異常を起こす装置をオフにした。
胸ポケットから煙草を取り出し、口に銜えると、長年の友である使い古したジッポーライターで火をつける。
ふぅーっ…と、色っぽく煙を吐くと、しばらくその空白の余韻を楽しんだ。


784 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 21:02:17.01 ID:NP36OpK90
やっぱ博士はどこか違うな


785 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 21:03:35.08 ID:LnGPCxkT0
カチミに萌えた


786 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 21:04:03.05 ID:xWqhA17V0
博士カッコイイな・・・


787 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 21:06:06.94 ID:p8UEbV3w0
>>785
娘はやらんぞ


788 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 21:08:35.71 ID:PROgK8rl0
調子にのって博士まで描いた
反省はしている

ttp://www.uploda.org/uporg1598117.jpg


789 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 21:08:54.26 ID:On3gGSJr0
トニホ「ノチホがやられ…カチミがやられ…障害の看破をことごとく失敗し…散々な結果ですこと」

トニホ「でもまあ、仕方がないですわ…あの子たちの犠牲が足止めになったと考えればいいでしょう。
お陰で私はこうして、計画を完遂することが出来たのだから…」

と。
凶悪な笑みを浮かべながら、トニホは動かなくなった兄の身体を、暗黒の地下食堂街の汚れた床の上に投げ捨てた。
その身体には、本来ないはずの赤黒い穴が左胸の上にぽっかりと開いており――本来そこにあるはずの脈動する心臓が、今は真っ赤に染まったトニホの手の中に収められていた。

トニホ「ようやく見つけましたわ…我がお父様の捜し求めていたものを。
ウフフ…アハハハハハッ!」


791 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 21:10:35.19 ID:CF4j6Eq80
うわあああああああああああああああああ


792 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 21:11:50.60 ID:On3gGSJr0
>>788
うおおおおwww椎香に続いて博士までwww
感激です!
ちなみにそれまではギアスのラクシャータを思い描いていたが、例によって掻き消えたぜ


793 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 21:12:42.03 ID:YNbOWtIO0
>>788
雰囲気が伝わってくる絵は上手い絵より好きだ
叩かれないランクまでがんがれ


794 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 21:12:49.96 ID:cQ1icPwG0
鬱エンドは嫌だorz


795 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 21:12:56.99 ID:ncb3pA2L0
博士のいめーじは橙子さん


796 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 21:16:10.30 ID:On3gGSJr0
高笑いを上げていると、そこへ地下へ駆け降りてくる足音が聞こえてきた。

トニホ「…あら、ようやくご到着のようですわね」

妹「兄さん!」

椎香「お兄様!」

トニホ「あら、どうもこんにちわ。
残念ながら、貴方たちの愛しの方は、言い残す言葉もなく死んでしまいましたよ?」

妹「え…?」

椎香「嘘…」

トニホ「ふふ、残念でしたわね。貴方方があと少しでも早ければ、助かっていたかもしれないのに」


797 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 21:20:40.75 ID:ncb3pA2L0
兄覚醒フラグか…w


798 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 21:22:59.18 ID:p8UEbV3w0
核金か


799 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 21:25:09.50 ID:On3gGSJr0
妹「…」

椎香「…」

絶句。
二人は顔を俯かせたまま、何も喋らない。

トニホ「さて、もうこの肉塊は用済みだし、いっそ綺麗に片付けてしまおうかしら。
だって、このままじゃあ、汚くて汚くてしょうがな」



その言葉を言い切るか言い切らないかの瞬間に、トニホの視界が真っ暗になり、顔面に強烈な痛みが走った。
それは、妹が加速装置を使用した膝蹴りだったのだが、あまりの速さにトニホは何が起きたのか、気がつくことが出来なかった。
妹は続けて加速装置で威力を飛躍的に高めた拳で途切れることの無いラッシュをトニホに叩き込むと、最期に強烈な延髄蹴りでトニホの身体を食堂街の店の中に送り込んだ。
ガラスが音を立てて飛び散り、並べてあった椅子とテーブルが粉々に破壊される。


802 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 21:36:59.36 ID:On3gGSJr0
トニホがまだ立ち直らないうちに、店の中に飛び込んできたのは椎香だった。

椎香「エネルギー残量計測。残りエネルギー貯蔵量13%…行動用エネルギーを戦闘用エネルギーに転換。
残り変形上限数を一時的に更新。
砲撃を――開始します」

椎香はトニホに対戦車ライフルの銃口を押し付けると、容赦ない零距離射撃を敢行した。何度も。何度も何度も何度も。
気の済むまで弾丸を叩き込む。いや、気など済むはずも無く、結局はライフルが弾切れになるまで撃ち込み続けた。

更に椎香はその華奢な細い腕を硬質のセラミックブレードへ、本来無いはずの機能『変質』を使用し、トニホの身体をこま切れになるまで切り刻んだ。

椎香「お兄様を返して。お兄様を返してお兄様を返して。お兄様を――」

二分割の肉片をさらに分断。四分割、八分割、十六分割…
呪詛のような恨み言を呟きながら、トニホの身体を刻み続ける。


805 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 21:42:49.47 ID:1HIgOGEb0
兄を返して〜 兄を返して〜


806 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 21:48:11.12 ID:On3gGSJr0
やがて限界を感じた椎香は、変質を解除し、店から出て行った。

妹「椎香ちゃん、後この『肉塊』、どうしましょうか」

椎香「…そうですね、ゴミにもなりませんし、燃やすほかないでしょう」

肩で息をしながら、椎香はそう答えた。
店の奥に転がる『肉塊』をぞっとするような目で見つめながら、氷のような心で二人は肉塊の処理方法を相談しあう。
すると、
もう動かないはずの肉塊が、こま切れになることを逃れた頭部を中心に、収束していく。
そして見る間に肉と肉が繋ぎ合わされ、飛び散った肉片が開いた風穴を埋めていった。

むくりと起き上がり、肉塊から再生したトニホが、恐ろしい形相で二人を睨みつける。

トニホ「ああまったく…痛いじゃないですか。こんなにバラバラにしてくれて」

妹「まだ――生きている!? そんな馬鹿な」

トニホ「私のシーカーUとしての機能を舐めないでいただけませんか。そこで今息を切らしているような失敗作などとは――」

トニホは首をこきりと回し、口の端を吊り上げた。

トニホ「――理論自体が違うのですから」


807 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 21:58:11.16 ID:On3gGSJr0
トニホはその腕を真っ直ぐに突き出し、椎香と妹のいる方向へ狙いを定めた。
そして腕の先の五本の指が、槍のように二人へ襲い掛かり、二人はその不意打ちをまともに食らってしまった。

妹「ううっ!」

椎香「あっ!」

トニホ「喚き散らさないで欲しいんですの…下種な劣等種共が。
私はもはや、限りなく完成に近い存在――さながら神と人の中間と呼ばれるようなミッシングリンクですのよ?
いいから黙って平伏しなさい」

そして伸びた指の先から更に何本もの棘が枝のように伸び、二人の身体を更に串刺しにしてしまう。

妹「うぁぁっ…兄…さん」

椎香「っ……」

トニホ「これが――力の差ですわ」

トニホが一気に『変身』と『変質』の複合技を解除すると、二人は血を流しながら、重なるようにして床へ沈んでいった。


810 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 22:01:45.06 ID:ncb3pA2L0
作者は違えど、1からここまでの話の飛躍っぷりときたら…


811 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 22:02:16.26 ID:WStjQL+90
最初は釣りスレ?だったような・・・


812 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 22:04:10.60 ID:On3gGSJr0
トニホ「ふふふ…これで邪魔者はほとんど消え去りましたわ!
これで、私の行く道を邪魔する者は誰もいない!
アハハハ、アハハハハ!」





「待てよ、でくの坊」


トニホ「え?」

振り返ると、そこには――心臓をトニホによって奪い取られ、死んでしまったはずの兄が、立っていた。

トニホ「な――」


813 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 22:05:21.49 ID:sGFl4cfr0
先祖が魔族の兄参上


816 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 22:07:48.31 ID:93+lLKP60
>>813
魔族大隔世か


819 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 22:12:33.06 ID:On3gGSJr0
トニホ「馬鹿な!? 貴方は私がしっかりと殺して、し、心臓だってこの通り、奪い取ったはず!
バイタルサインだって消えていたわ!」

兄「ああ…そこは俺も不思議なんだがな…どういうわけかどっこい、俺は生きている」

静かに淡々と、しかし確かではっきりしたその物言いに、トニホはかつて感じたことの無い戦慄を覚えた。

トニホ「貴方…一体何者なんですの?」

兄「…」

兄は震えるトニホの投げ掛けた質問に答えることなく、黙って一歩、また一歩と、よろよろとした危なっかしい、今にも倒れてしまいそうな歩調で、トニホへと近づいていく。

トニホ「ひっ――こ、来ないで下さいまし!」

兄「どうした…何を怯えてる…神との中間点なんだろ? …人以上なんだろう?」

トニホ「い、いやあああ…」

トニホはあまりの恐怖に、ついにその場で尻餅をついてしまった。


820 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 22:14:01.85 ID:2C0dooWJ0
そら心臓ぽっかりなくなってるヤツが歩いてきたらビビルわな


821 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 22:15:15.82 ID:sGFl4cfr0
>>820
さながらバイオの世界か
俺ならビビるっつーか諦める


822 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 22:21:55.57 ID:On3gGSJr0
トニホ「ば…化け物」

兄「なんだって構わないさ…」

兄は虚ろな声でそう呟くと、地にへたり込んだトニホの肩を両手で掴んだ。

トニホ「ひいっ、さ、触らないでぇっ!」

兄「皆で家に帰って…鍋食うんだ――邪魔しないでくれないか?」

兄が掴んだ肩付近が、徐々に光輝き、高熱を帯び始める。

トニホ「いやぁあああ!! や、やめてぇ!」

トニホは高熱と光が全身に回っていくのを見つめながら、ただ喚き散らすことしかできなかった。
そして、全身に光と熱が回りきった瞬間、トニホの全身がスパークし、激しい音を立ててショートした。

トニホ「あぎぎゃぺぺどあがががげぎがげべら」

兄は沈黙を破らぬまま、トニホの回線が完全に焼き切れ、黒焦げになるまで動くことは無かった。


823 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 22:24:52.08 ID:PROgK8rl0
超展開!!111


825 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 22:28:59.96 ID:WStjQL+90
兄にこんな力があったとは・・・

このスレ何回目かのwktk


830 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 22:37:21.76 ID:On3gGSJr0
そして、完全に炭と化したトニホだったものが食堂街の床に崩れ落ちると、そこでようやく兄はため息をついて、よろよろと床に座り込んだ。
兄「これで…終わったのか…」

妹「兄さん…」

椎香「お兄様…」

気がつくと、二人はよろよろと上半身だけを起き上がらせて、苦しそうに目を伏せていた。

妹「無事だったんですね…良かった」

兄「ああ、なんとかな」

椎香「心配しましたよ…お兄様」

兄「でもなぁ…なんで心臓とられたのに生きてるかな…俺」

博士「それについては、私から説明しようではないか」

椎香「博士…どうしてここに」

気がつくと、三人の目の前に博士が立って、煙草を吸っていた。


832 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 22:44:47.46 ID:On3gGSJr0
博士「何、ちょっとギアスのキャラソンを買いにな。
それよりも愛しの婚約者、今自分が何をしたか、分かっているか?」

兄「いえ…ただ無我夢中で相手に掴みかかったら、なんか知らないうちに黒焦げに…」

博士「そうか…やはりな。
――以前、君の体内に君の父上が特殊な電子部品を埋め込んだことは話したな?」

兄「はい…あのシーカーも、それを狙っていたんですよね」

博士「その電子部品には、ある特別な機能が付けられている」

兄「特別な…機能?」

博士「この世に存在するあるとあらゆる精密機器に影響を及ぼし、無条件で故障や破壊を引き起こすことが出来る機能だ」


833 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 22:52:01.78 ID:On3gGSJr0
博士「君の父上はその機能のことをクラッシャーと呼んでいた。
そしてそのクラッシャーを、生まれつき心肺機能の弱かった君の心肺機能補強のついでに、君の心臓部にクラッシャーを内蔵したんだ」

兄「そんな…」

博士「君の父上が作り出したシーカーを、あんなに造作も無くいとも簡単に破壊することが出来るのは、世界でただ一人、君だけだ。
狂気に堕ちた君の父上は、今になってその能力を脅威に思い始めたんだ」

兄「そういう…ことでしたか」

博士「ともあれ、そのシステムが万が一他に露見し、奪取されることを恐れた君の父は、クラッシャーを組み込んだ心臓に、ある仕掛けを施しておいた。
その仕掛けこそが、君が心臓を取られたのに生きて動いていることのからくりさ」

兄「それは一体…」

博士「いいか、君の身体には、本物の心臓と、フェイク――偽物の心臓、二つの心臓が存在するんだ」


834 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 22:52:14.52 ID:ncb3pA2L0
兄はvipできねぇのか…
かわいそうに


836 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 22:55:21.28 ID:fit/kZLn0
封神演義でそんなことあったな


838 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 22:57:06.13 ID:2C0dooWJ0
これ親父倒して完結だったらこのスレでおわんねーぞ


840 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 23:00:38.44 ID:MUR6YNdZ0
兄「ここまでの神展開を誰が予想しえたか!?」
妹「誰にも無理ですよ」
兄「さらに量を増やしたら新人賞いけるか!?」
妹「私に聞かれても」
兄「漫画ならば今の量でもいけるはずだっ!」
妹「確かにそれくらい良い話ですよね」
兄「よし、俺も腕を磨くためにいっちょ本気で」
妹「兄さんには釣りスレが限界です」
兄「ですよね」
妹「あきらめ早すぎます」


ラストまでがんばれー


841 : ◆j3vp2NYuuE [] :2008/08/09(土) 23:02:09.23 ID:On3gGSJr0
博士「一つはクラッシャーを組み込んだ、君本来の心臓。
もう一つはその心臓より更に手前にある、万が一今回のようなケースがあったときの為の予備の心臓だ。
普段は予備の心臓が機能しているようだが、今回のようなことがあれば、もう一つの心臓に切り替わるよう細工がしてあったらしい。
まったく…魔法みたいな話だよ」

兄「ええ、そうですね…まったく信じられない」

博士「とにかく、今までは予備の心臓のお陰でクラッシャーが機能していなかったようだが、今回のことでクラッシャーはついにその機能を発現させたらしい。
後はもう、思うがまま、自在に機能を使えるようになるはずだ」

そこで博士は一息つくと、煙草の吸殻を投げ捨てた。

博士「――もっとも、今はそんなことより傷の手当てを優先しよう。
既に救急車は呼んである。消防隊及びレスキュー隊も、他の客たちによって連絡済みだ」

そこで、地下へ駆け下りてくるレスキュー隊の声が聞こえてきた。

兄「それじゃ…もう安心していいんですね」

博士「ああ大丈夫だ。手当てすればすぐに退院できるさ」

兄「博士…最期に一つ、言いたいことがあるんですが」

博士「何だ?」

兄「今度うちで椎香の歓迎パーティやるんです、よければどうですか」

博士「うむ。私も相伴に預かろう」

兄「待ってますよ」


842 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 23:03:46.52 ID:2C0dooWJ0
確かにまさかここまで伸びるとは思わんかったな


843 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 23:04:34.47 ID:PROgK8rl0
>>840
これの漫画になったやつが読みたくなってきたじゃないかww


844 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 23:06:02.83 ID:sGFl4cfr0
触れた精密機器を破壊するってことは、妹や椎香に触れたら・・・


846 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 23:07:17.13 ID:l2TNu+sA0
>>844
自由自在だからその気にならなきゃ平気だべ?


847 :VIPがお送りします [sage] :2008/08/09(土) 23:12:45.71 ID:2C0dooWJ0
>>843
少年誌じゃ無理だな


848 :VIPがお送りします [] :2008/08/09(土) 23:14:13.58 ID:WNLFw6bd0
>>847
YJでおk



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