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意地悪なメイド4.5
- 115 名前:NIPPERがお送りします []
投稿日:2011/02/22(火) 00:17:12.51 ID:6/7tgecX0
ここからちょっと前から書いてます委員長(アダルト)と命という第二世代な男の子のお話。
ぶっちゃけスタートがいきなり前回の続きからですので参考リンク付近にあります7xさんのところのまとめ等から確認していただけるとよろしいかと。
てなわけで早速今夜分スタート。
- 116 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/02/22(火) 00:18:48.86 ID:6/7tgecX0
ぐ、の音に続く絶叫にも似た咆哮。
人では決して出せぬその音は本能的に危険だと頭の中で警鐘が鳴り響く。
怖い。そう素直に感じるのはきっと自分が捕食される側だと悟ったからか。
腕の中で毛を逆立て、唸る声も先ほどまでの攻撃的な色合いではなく怯えのそれ。
「厄介ね、これ」
何事にも動じないと思っていた彼女ですら警戒の色を灯した瞳でそちらを見る。
「ふじゅる……じゅ、ぶ……ぐる、ぐ、ぁぁぁあああ!」
巨大な肉塊。そう呼ぶしかないだろう姿でそれは吼える。
かろうじて四肢とわかるパーツと、頭と尾。そして顔であろう部分があるだけ。
口と思われる場所からぎらつく牙を見せ、粘膜質の液体を垂らす姿は獣のようではある。
歪に積み上げられた積み木のように立っていることすら不安定な状態。
そんな生命としての異物が命達の退路を阻む形で飛び出してきたのだった。
ぼたりぼたりと涎とそれ以外の何かを滴らせる肉塊。
背後に空間の歪みを置き、いつでも飛び掛らんばかりの姿勢でこちらをねめつける。
「命。生きたいわよね」
「当然だろうが」
悪い夢としか思えないそれを相手に散弾銃を構えながら、委員長は命に一瞥をくれる。
「その子も生かしたい?」
「今更何だよ。逃げろって言うんなら全力で逃げるぞ」
「そう。じゃあ前に向かって逃げなさい。少なくとも後ろはダメよ」
「前、ってお前……」
見やればそこには命の機器たる原因がそこにいる。
背後に開きかけているであろう退路は確かに生存に繋がっているかもしれない。
だがそこをそれほど簡単に通れるものなのか。
「無理だろ」
結論など考えるまでもない。
「無理を通せば道理が引っ込むものよ」
けれど応える声は涼やかな一言。
「……確かにあんたなら通せそうだけどな」
ならば他に方法などないのだろう。
自分達は囮として使われるだけかもしれない。
何度だってこの女の言葉をそのまま信じて痛い目をみたか。
考えるまでもないはずだ。
けれど、同時に必ず外まで連れ出すとも約束した。
ならば……その言葉を信じてみる以外にない。
何より、もはや時間がないことが視界の端で確認できる。
目の前の獣が跳躍のために溜めの姿勢に入ったのだ。
- 117 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/02/22(火) 00:19:41.45 ID:6/7tgecX0
「……っ!!」
少女を抱えてがむしゃらに走る。
一直線とまではいかなくてもほぼまっすぐに歪みを目指して走る。
かすかに聞こえる声は人のもの。ならばこの先にあるものは安寧に近いものであるはず。
そこへ向かって走る。もっと早く走れればと思いながらも。
「じゅああ!!」
水気をまとった咆哮と共に丸太ほどの肉の獣の腕が飛んでくる。
獣の右へと駆け抜ける命に対応するように左手による大薙ぎの一撃。
恐らくもらえばもれなく再起不能になることは容易に想像できる。
だから目一杯、姿勢を低く転倒寸前までの前傾姿勢でつっこむ。
唐突に響く音は彼のすぐそばから。
下へと降りぬかれ、あわや命と獣の少女の体が潰れた肉片へと変わろうという時。
轟音と共に肉の獣の腕が上へと跳ね上げられる。
「面倒な硬さね」
ほぼ同速度かそれ以上で滑り込んだ女の一撃。
至近距離からの散弾銃のセミオートによる連射は肉を削ぎながら勢いを上へと変える。
決して致命傷には至らぬであろうそれは、しかし一人と一匹を救うには十分だった。
「このまま走るわよ」
「……っっ」
応、とすら返せぬまま片腕は少女を抱き、もう片方の手は倒れかけた自身を引く手として。
スライディングからの連射をこなし、なおかつそのままの勢いで立った彼女。
委員長のすばやい身のこなしによって体勢を建て直しながら命たち三人は歪みへと体をねじ込む。
背後、圧倒的な質量を感じさせる薙ぎの一撃を感じるも、結局届いたのはその風圧のみ。
多少の痺れにも似た痛みを感じながら、一瞬の暗転のあと、彼は数人の人影に囲まれ、森の中にいた。
- 118 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/22(火) 02:02:45.70 ID:ZpYZqzOAO
メ「おむつプレイって個人的にこう、ぐっとこないんですよね」
男「この流れで言う台詞なのか」
メ「逆に反省の意味を込めて主様の下着を全ておむつにしておきましたのでどうぞご安心を」
男「……今の台詞の中に安心できる要素がひとかけらもなかったんだが」
メ「ぐっとこないとはいえリクエストですからね。さぁ主様、よだれかけも完備してますから安心してバブバブしてください」
男「してたまるか?!」
妹嬢「兄さん、一体何の騒ぎですか」
姉「おとちゃんが赤ちゃんになるんだって〜」
妹嬢「……はい?」
女「おむつプレイなんだよ! 赤ちゃんプレイなんだよ! 男くんが恥ずかしがりながら幼児退行なんだよ!」
男「何を興奮してるかわかんないけどやらないからね? あとカメラはしまっといて。なんか嫌な予感しかしないから」
妹嬢「兄さんはそんな事しません!」
男「おお、いいぞ。もっと言ってやれ」
妹嬢「兄さんは私の前以外ではそんな情けない姿はしませんもの!」
男「誰の前でもしねぇよ!?」
メ「なるほど。妹嬢さんは自分がバブバブしたい側ですもんね」
妹嬢「なっ、違……!」
姉「あはは、じゃあおとちゃんもいもちゃんも私がおっぱいあげるね〜」
メ「完全に企画モノだこれー」
女「だ、大丈夫! ホームビデオだから、投稿しないからっ」
男「お前ら一回落ち着け?! ほら、お前もなんか反論を……」
妹嬢「兄さんと赤ちゃんごっこ……二人で、一緒……」
男「おおぉい!? 最後の砦があっさり陥落すんなぁ?!」
姉「はい、二人とも〜おっぱいでしゅよ〜」
男「わあああああ!! 出しちゃダメ、ダメだから姉さん!」
女「……」
男「そこもビデオ片手にマジマジみてないでさ!?」
メ「主様、とりあえず事務所には素人モノで掛け合いますんでギャラの整合は任せてください」
男「お、おお……お前らなぁぁぁあああ!?」
収集はメイド長がつけました。
- 119 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/22(火) 21:07:33.02 ID:fixAyr3jo
暴走した妹嬢にあんなことやこんなことされちゃって
[らめぇぇっ!]風になっちゃったメイド長が浮かびますた
- 120 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/23(水) 01:31:34.64 ID:mye1ut9AO
妹嬢「いくら私が理性を欠いたとしてもそのような事態には決してなりません。そうですよね?」
メイド長「……。はい、お嬢様」
妹嬢「今の間はなんですか」
メイド長「あまりに突飛なお話で現実味を感じませんでしたので内容を理解するまでに正直お時間をいただいただけです。他意はありません」
妹嬢「でしたらいいのですが。よもや同性であり、ましてや主従の関係にありながら仕えるべき主にそのような情欲を抱くはずなどありませんものね」
メイド長「……。勿論です、お嬢様」
妹嬢「ですから何故貴女は先程から無用に間を置いて返事をしますか」
メイド長「普段使用することのない思考回路が用いられるようでどうにも調子が出ないだけです。お気になさらず」
妹嬢「それは私が常用の思考とは違う、あからさまな変人と仰りたいので?」
メイド長「滅相もありません。よもやお嬢様にそのような考えで接するなど長年連れ添わせていただいた従者として有り得ない結論です」
妹嬢「今日は饒舌ですね」
メイド長「失礼しました」
妹嬢「いえ。なかなか貴女と話す機会がありませんから。内容はさておき、こうしてゆっくりと会話をするのも悪くないと思いまして」
メイド長「ありがとうございます」
妹嬢「妙な事を言いました。下がりなさい」
メイド長「はい、失礼します」
バタン
ガチャ……バタン
メイド長「お嬢様……申し訳ありません」
メイド長「私は従者失格なのかもしれません。この想い、どうして止められましょうか。ああ、私がお嬢様の心の隙間を埋めてさしあげられればどんなに幸せか」
あや「クールビューティーの恋。絵になるなぁ」
執事長「恋する乙女モードな長さんって可愛いよ、本当」
ガタッ
メイド長「あ、あなた達!」
あや「ども。契約更新と情報開示の時期なんで直接来ました」
執事長「なんか長さんの可愛い姿が見られる気がして口実がてら連れてきちゃった」
メイド長「っ、人の私室に!」
あや「あやや、なんか殺気立ってらっしゃるような?」
執事長「大丈夫大丈夫。自衛だけなら何とかなるから」
あや「自分だけ安全圏!? こ、ここは落ち着いて一度話し合いを!」
執事長「長さんが素直になれるようにこのお嬢マル秘アルバム集とか提出してみる? バレて折檻でもある意味おいしいし」
あや「火に油!?」
メイド長「天誅」
あや「にゃぁぁああああああ!?」
- 121 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/24(木) 01:50:04.09 ID:a2MomvQAO
執事長「長さんやりすぎ。この子がタフだからっていぢめ良くないよ?」
メイド長「仕向けたのはそちらでしょうに。それで? わざわざここまで来るからにはさぞ重要な話なのでしょうね」
あ「痛た……あーと、そりゃもう。それなりに。そこそこには」
執事長「恐ろしく歯切れが悪いな。俺も重要だって聞いたから連れてきた部分あるんだけど」
メイド長「何でしたらもう少し意地悪してあげますよ。重要な話がしたくなるように」
あ「ひゅい!? 外されたり詰められたりするのは嫌ー!!」
執事長「だったら実りある話をしようじゃないか」
あ「うぅ、アウェイだ。えっとですね、基本的にお探しの方々は拠点跡まで辿るのが限界でした」
メイド長「探偵の名が廃りますね」
あ「無茶言わないでください、相手は超一流ですよ。三下なりに頑張って食らいついただけでも誉めてもらわないと。あとうちは探偵じゃなくて万屋です」
執事長「で、まさかその万屋がそんな報告だけで終わらせる為に来た訳じゃないよな」
あ「うす。一応今までの活動パターンと行動範囲。それとお姫様の動向を探るギリギリのラインから考えて現在の潜伏箇所はある程度絞りました」
メイド長「なるほど。それで? 肝心の“あちら”の情報はどうなっていますか?」
あ「構成員の全てとまではいきませんが信用度の高い情報はいくつか。断片的ですが、既にファイルはこちらに」
執事長「ありがとう、後で確認させてもらうよ。それで、本題の方だけど」
あ「そちらは引き続き調査中です。ただ妹子様に近付こうとかそういう動きは今のところなしです」
メイド長「そちらに関しては念入りに頼みますよ。あの事件があってから世間……裏側ではありますが妹子様の有用性は広まりつつありますから」
執事長「全く。嫌な話だね、本当」
あ「了解っす。全力であたらしてもらいますよ。組織力はないなりに精鋭は居ますんで」
メイド長「頼りにしますよ」
執事長「んじゃ真面目な話はこれくらいにして……長さんがどんな風にめちゃくちゃにされるのが燃えるか談義に入ろうか」
あ「お相手は勿論お嬢様ですね。ちなみにリバありで?」
執事長「もちのろんよ!」
メイド長「……あなた達、すぐにここから立ち去らないと怪我をすることになりますよ」
あ「刃物とメイドさんってどうしてこう、合うんでしょうね」
執事長「刃先突きつけられながら言う台詞じゃないなぁ」
- 122 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/24(木) 01:57:00.18 ID:a2MomvQAO
執事長「でも長さんってば意地悪になったよな」
メイド長「何の話ですか」
執事長「長さんがちっこい頃はしー兄ちゃんしー兄ちゃんと可愛く懐いてくれたのに」
メイド長「あ、あなたが真面目にしていないからでしょう! 能力も地位もありながら毎度そんな……!」
執事長「ははは、適度に力抜かないと潰れちゃうからね。ほら、俺繊細だし」
メイド長「どの口が。ああもう、くつろがないでください」
執事長「いいじゃん、いいじゃん。俺と長さんの仲じゃない」
メイド長「……そうですか。では充分にもてなして差し上げましょう」
執事長「えぇと。その手に持ってる中身が沸騰して湯気出してる薬缶は何かな? というか相変わらずいつの間に」
メイド長「ご堪能ください。どうぞ」
執事長「急に放られても困るよね! という訳でパス」
あ「え? 何、ここまで蚊帳の外だったのに急にスポットライトが……」
ジュー
あ「あぢゃぁぁああああ!?」
執事長「うわ、可哀想に。長さんはいぢめっ子だなぁ」
メイド長「……本当に、どの口がそれを言いますか」
- 123 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/24(木) 22:07:40.19 ID:CHLuQInXo
お嬢様の生きた証を残す為とか、相続争いをなくす為とか
唆されたメイド長が妹嬢を逆レイプして真のヒロイン爆誕
- 124 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/25(金) 09:18:10.02 ID:djJfiDbAO
執事長「爆誕て。勢いありすぎるでしょ」
メイド長「問題はそれ以前にだと思いますが」
執事長「ああ、長さんって純愛派だもんね。ちゃんと和姦じゃないと」
メイド長「そうではなくて」
執事長「え? じゃあやっぱり無理矢理?」
メイド長「まずはその話題から離れてください」
あ「話が終わっちゃいません?」
メイド長「その話題しかないと仰りたいのですか」
あ「目が怖い!」
執事長「でも長さんを唆すとか並大抵じゃないよね」
メイド長「お嬢様の幸せを考えれば自ずと自制は効きますので」
あ「でも自分の気持ちに素直になれなくないすか?」
メイド長「あの方に全てを捧げようと決めたあの日から、私の益とは全てお嬢様の為にあります」
執事長「愛してんねぇ。妬けるよ」
メイド長「そういった俗世に浸った考えとは違います」
あ「難しい話っす」
執事長「俺は長さんにも幸せになってほしいけどね」
メイド長「でしたらもっと真面目にしてください。それだけで日々の私の精神的負担が軽減されます」
執事長「難しい任務だ。どうしよ?」
あ「いや、振られても困りますから」
執事長「それでも芸人か」
あ「万屋だってば!」
- 125 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/28(月) 01:05:06.53 ID:cb8TsopAO
メ「誰?」
執事長「ああ、そういえば初めましてですね。大旦那様の代より懇意にさせていただいております。執事係の長の者です、以後お見知り置きを」
メ「だそうっすけど」
男「執事長さんは昔から親父達のサポートが主だったからな。メイド長さんほど俺らと面識ないのは仕方ない」
メ「でもなんか若いっぽいのに重役ですね。またあれか、若き天才ポジションすか」
執事長「いやいや、全然若くないよ。でも天才なのは否定しないかな」
メ「いきなりくだけた物言いに! 何この人!」
執事長「最初くらいはサービスしてみただけだよ。普段は仕えるべき主以外にはこんな感じなのさ」
メ「ものっそいフランクっすね。それでも従者か!」
男「おい同業者。鏡を見て発言しろ」
メ「あらまぁ、かわゆい美少女ガールたんが」
執事長「意味が若干重複してるから。ちなみに立場的には君は俺より下なんだよね」
メ「え。じゃあもう執事長さん神以上の立場っすか」
男「お前の中で自身のランク付けが過大評価ってレベルじゃなくなってないか」
執事長「とりあえず直属でもなけりゃ配属先も用途も目的も違うからね。とやかくは言わないけど」
メ「けど?」
執事長「あんまり失礼ぶっこかれると大人気ない対応になるから気をつけるようにね」
メ「ははは、私はどんな相手にも唯我独尊を貫き通してきたつわもの。今更スタンスを変えるつもりなんざ……」
男「一応忠告しとくけど昔、あのメイド長さんをしごいて色んな基礎を教えたのはこの人だからな?」
メ「靴をお舐めすればよろしいでしょうか」
男「卑屈すぎるだろ!?」
メ「や、だってあの地獄の仕置人のメイド長さんの師匠を敵に回すなんてありえないっすから!! ああ、思い出しただけでも胃とか喉とか手足が……」
男「よっぽどなトラウマがあるんだな」
- 126 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/28(月) 01:19:14.55 ID:cb8TsopAO
男「なんて昔は言ってたのにな」
メ「時間の流れとは恐ろしい」
執事長「全くですよ。さて、紅茶の銘柄はいかがしましょうか」
メ「り、リプト……」
男「ダージリンで頼む」
執事長「畏まりました」
メ「うぅ、なんか背中がムズムズする」
男「いい加減慣れろよ。わざわざお前が堅苦しくないようにうちに来てもらってんだから」
メ「だったら態度も昔みたいでいいじゃないっすか! あの笑顔で何度泣かされた事か……ああ、思い出しただけでも主に体の末端器官がキリキリと」
男「どんな教育的指導受けてたんだよ」
執事長「お待たせしました」
男「ああ、ありがとう」
メ「あ、ありがとうございます」
執事長「ごゆっくりお楽しみください」
メ「……あの。何故背後に立たれておられますでせうか」
男「日本語おかしくなってんぞ」
執事長「奥様にいつ何時、御命令をいただいても実行に移れるように、ですよ。何より身重なのですから。ご自愛ください」
メ(そう思うんなら二人にしてください、と言えない威圧感がひしひしと!)
男「しばらくはこっちに居てくれるんだっけ」
執事長「ええ。メイド長の方は別件にて対応がありますので二、三日は私が奉仕させていただきます」
男「助かる。俺もどうしても家をあけなきゃならないからさ。こいつのこと、頼むよ」
執事長「おまかせください」
メ「ひゅい!? な、え、二人きりにされるんですか?!」
男「悪いな。すぐ戻るから」
メ「一緒に行きます! 行きますってば!」
男「お腹の中の子を大事にしてやりたいからさ。な?」
メ「そう思うんなら余計にですよ! 母体にどんなけ負担かけさせる気っすか!」
男「……? だから執事長に世話頼んだんだけど」
メ「だぁかぁらぁ?!」
執事長「良かったじゃないですか、念願叶って」
メ「どこが念願すか! そんなこと一切考え……」
執事長「『そう思うんなら二人きりにしてください』」
メ「!?!!?」
男「ん? 何か言った?」
執事長「いえ、何も。今晩より早速泊まり込ませていただきますので」
メ「あばばばば」
男「おう。頼むな……って、お前は何を面白い顔してんだ」
- 127 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/02/28(月) 01:31:28.70 ID:cb8TsopAO
メイド長「……」
コンコン
メイド長「どうぞ」
執事長「や。精が出るね」
メイド長「仕事ですから。そちらは?」
執事長「定時後は公私の切り替えをしっかりやるのがモットーでね。残業してる人を見るとついつい構いたくなるんだよね」
メイド長「私はまだ定時ですが」
執事長「年中無休? 二十四時間?」
メイド長「適宜休憩はいただいてますよ」
執事長「じゃあなんで俺は長さんをデートに誘えないんだろうなぁ」
メイド長「時間が合いませんね。致し方ありません」
執事長「じゃ、俺が合わすよ。長さんは次いつなら空いてるかな」
メイド長「そうですね。私がここを辞めるかクビを切られてからで良ければ」
執事長「遠まわしにアウト宣言だよね。意地悪なとこ見せないで少しくらいは付き合ってよ」
メイド長「お断りします。それより、ご用件は以上でしょうか」
執事長「いや、今のは本題だけど置いといて。少し、きな臭い連中の話を小耳にはさんでね」
メイド長「……明らかにそちらが本題ではないでしょうか」
執事長「だってこの話を始めたら長さん絶対飯の誘い断るじゃん」
メイド長「優先順位を考えれば当然です」
執事長「むー。だったら飯食いながら情報共有ってのは?」
メイド長「……」
執事長「ダメ?」
メイド長「はぁ。食堂に五分後。すぐに向かいます」
執事長「やりっ! んじゃまた後でな」
バタン
メイド長「はぁ……。気を遣われてますね。全く、軽口を叩ける相手とは厄介なものです」
- 128 名前:NIPPERがお送りします [] 投稿日:2011/03/01(火) 01:15:49.56 ID:VZFZfWpC0
執事長「……。zzz」
メイド長「これは俗に言う『喧嘩を売られている』ということでしょうか」
執事長「むにゅ。ギャルのぱんてぃおーくれ……zzz」
メイド長「こうも堂々と居眠りですか。この目立つホールのど真ん中で。ええ、これはきっと何か深い理由があるのでしょう。数日休まれていない、体調不良、ならびに命令か何かで」
執事長「んん、もう休めないよぅ」
メイド長「……天誅」
サクッ
執事長「のおおおおおおあああぅ!? 痛、痛いっ! 主に頭とか頭とか頭とか!!」
メイド長「目が覚めましたか。まだ覚めていませんね。ええ、わかっておりますとも」
執事長「ちょ、ま、まって。ギャグ補正かつ俺だから大丈夫みたいな感じなってるけど人に刃物刺すのはよくないよ?」
メイド長「ご安心ください。人間相手、それも自身より目上の方にそのような無礼は働きません」
執事長「ひゅー、さっすがメイド長。話がわかる」
メイド長「堂々と昼間から居眠りが許されるのは駄犬と相場が決まっておりますので、ええ。これは躾というものです」
執事長「ああああ! ですよねーーー!?」
サクッ サクッ
- 129 名前:NIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2011/03/02(水) 01:30:03.24 ID:NhOCUKdAO
メ「意地悪とはまた違くないすか?」
男「少なくともお前よかスレタイ通りにしようと頑張ってらっしゃる訳だ」
メ「別に本気で意地悪オンリーになっても構わんのだろう?」
男「構う構う、構いますからやめてください」
メ「安心してください。初心に帰るだけです」
男「お前の初心は困るから安心できないんだよ!」
メ「今では牙の抜け落ちた狼な私。所謂チワワとかプードルとかあのあたりですね」
男「完全に雑種だろう」
メ「駄犬が何やらきゃんきゃんうるさいですが気にしません。きゃんきゃん言うのは掘られた時だけでいいのに」
男「まかり間違ってもそんな鳴き声をあげる日は来ないからな」
メ「しかし今夜から私は牙の生えそろった狼! 多分ライオンとか虎的な!」
男「犬科なのか猫科なのか」
メ「出始めに懐かしの仕掛けをいくつか施しました。具体的にはお風呂場とかに」
男「この若干磯臭い気がする感じは……まさか、だよな」
メ「ええ。まさかです」
男「……」
メ「……」
男「なんでよりによってまたワカメ生活始めなきゃいけねぇんだよ! 他にあっただろ!?」
メ「大ダメージ技を選択してみました」
男「MPへのな!! くそぉ……あの地獄の日々が……」
メ「ふぁいと。ああ、私はカップラーメン買い込みましたんで」
男「裏切り者!!」
メ「主様が悶え苦しんでいただくなら私どんな賎しい身分にも身を落としましょう」
男「無駄にかっこつけやがって! いいさ、全部ちゃんと捨ててやる。そうすりゃ万事解決なんだ。そうなんだ」
メ「捨てた場合捨てた分だけ毛が抜け落ちる現象が発生するようなおまじないかけましたのでお楽しみに」
男「ははは、そんなバレバレのブラフなんかで……」
メ「……」
男「……マジ?」
メ「さぁさ。私はお湯でも茹でてきますかね」
男「ちょ、おい! 気になるだろ、放置すんなよ、おい、おーい?!」
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