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許嫁「正直、どうでもいいです」
1 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 17:34:05 ID:vv4VQu6c
男「ただいまー」

男父「おう、おかえり!」
男母「来たわね色男っ!」

男「へ?」

男父「今日はお前に重大な話がある!!喜べ!!!」

男「な、なにさ・・・」

男父「お前の未来の嫁、許嫁を紹介する!!」

男「う、いな・・・づけ?ウィンナー漬け?」

男父「許嫁だ!!」


2 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 17:39:22 ID:vv4VQu6c
男「あ、あぁ許嫁ね なるほどなるほど・・・って許嫁?」

男父「すでに我が家に挨拶に来ているぞ!さあ早く居間に来い!」グイッ

男「ちょっ、待っッ!」

ーーーー居間

男父「待たせてすみません!」

許嫁父「お、来ましたね?」

男「よくわかんねーけど着替えさせろよ・・・」

男父「紹介する、お前の未来のお嫁さんの許嫁さんだ!」

許嫁「・・・」ペコリ

男「・・・ど、どうも」


3 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 17:48:01 ID:vv4VQu6c
男「・・・・・・」

普段と変わらない居間に似合わない華やかなオーラを放つ同い年くらいの女性
腰まではあるだろう艶のある髪の毛が光を浴びて一層映える
俺とは目を合わすことなく、無言で頭を下げて挨拶をする
透き通るほど整った顔は真顔・・・と、言うより無表情に近くただ目の前の虚空を見つめていた

男父「ま、座れ!ほら!!」

男「いやいやいや!色々と唐突すぎて何がなんだか!!」

言われるがままに彼女の向かい側に座る自分
チラッと彼女を見るがつまらなそうな表情で目を逸らしていた

許嫁父「はじめまして、男君」

男「はじめ・・・まして」


4 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 17:53:19 ID:vv4VQu6c
許嫁父「許嫁父です つまり・・・君の未来の義父だね」

男「すいませんがまったく意味が分からないです」

男父「無理もないな!許嫁さんが15歳の誕生日になった今にお前に伝えたんだからな!」

男「(15歳・・・?タメか)」

男父「フハハハ!にやけやがったてこのう!」ガシガシ!

男「にやけてねーよ 離せ」

許嫁父「理解には時間がかかるとは思うが、我々には時間がないんだ」

男父「うむ!その通り!」


5 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 17:58:19 ID:vv4VQu6c
男「時間?」

男父「大人の事情だ!」

許嫁父「簡潔に話をするとだね、我々は君たちに結婚してほしいんだ」

男父「勿論幸せにな!」

男「(駄目だもう意味わからん)」

許嫁父「でなければ・・・」

男父「我々一家は勿論、互いの社員までが路頭に迷う事になりかねんのだ・・・!!」

男「なるほど 大体理解できた」

男父「相変わらず察しがいいなお前ってやつは!」

男「親父も察しがいいなら返事くらいわかるんじゃ?」

許嫁父「悪いが選択肢はない」

男「なっ」

男父「男・・・また後日説明する」


6 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:01:54 ID:vv4VQu6c
許嫁父「さ、我々は会社に戻りましょう男父さん」

男父「うむ!もうこんな時間か!」

男母「車の用意はできてるわ さ、早く」

男父「どれ、初対面なわけだし 2人で自己紹介でもしとれ!」

許嫁父「それがいい 許嫁、失礼のないようにな」

許嫁「・・・うん」

男父「ではまた夜戻る!」

男「はぁ!?オイッ!!」


7 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:04:26 ID:vv4VQu6c
男「・・・・・・なんだこれ」

許嫁「・・・」

男「なあ」

許嫁「はい」

男「なにこれ」

許嫁「さあ」

男「さあですか そうですか」

許嫁「・・・」

男「えっと、許嫁・・・さん?」

許嫁「はい」

男「俺は男です よろしく」

許嫁「はい」


8 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:09:34 ID:vv4VQu6c
男「色々質問していいかな?」

許嫁「・・・」

男「だめ?」

許嫁「答えられる範囲でなら大丈夫です」

男「あぁそう・・・じゃあ・・・(よし、ここはウケを狙って)」

男「許嫁さんの好きな三遊亭は!?」

許嫁「・・・・・」ジロッ

男「・・・オホン わかった 俺が悪かった いや悪かったです」

許嫁「・・・ハァ」

男「で、この婚約はなんだ?」

許嫁「さあ」


9 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:13:37 ID:vv4VQu6c
男「いつから知ってたの?」

許嫁「・・・」

男「以前から知ってたみたいだよね?」

許嫁「・・・まあ」

男「そうか、俺は今日知った」

許嫁「はい」

男「この婚約は何が目的なんだ?」

許嫁「・・・・・・」

男「少しくらいはわかるだろ?」

許嫁「・・・いえ」

男「父親が娘に理由も話さず結婚させるってのは考えにくい」


10 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:16:27 ID:vv4VQu6c
許嫁「・・・」

男「だんまりーですか」

許嫁「すみません」

男「口止めされてるのかわかんねーけど・・・・全く話についてけねーな」

許嫁「はあ」

男「・・・」

許嫁「・・・」

男「中三なんだ」

許嫁「はい」

男「同い年だね」

許嫁「はい」


12 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:20:50 ID:vv4VQu6c
男「どこに住んでるの?」

許嫁「・・・」

男「・・・場所よ場所」

許嫁「○○市です」

男「遠ッ!30キロくらい離れてるんじゃ・・・」

許嫁「約24kmです」

男「あぁ、そう」

許嫁「・・・」

男「ちなみに許嫁さんの体重は!」

許嫁「・・・・・・・・・・・・・・・」ギロッ

男「は、ははは冗談冗談マイケルジャクソ・・・ジョーダン」


13 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:25:58 ID:vv4VQu6c
男「あははは・・・・・・・・・はぁ・・・」

許嫁「・・・」 

男「ま、本題に入りますか」

許嫁「・・・」

男「俺達は両親の思惑のために利用されつつあるわけだな?」

許嫁「・・・たぶん」

男「だが俺達はいきなり将来結婚だなんて言われても納得してない」

許嫁「・・・」

男「勝手に相手決められて結婚しろだなんておかし」

許嫁「いいです」


14 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:29:56 ID:vv4VQu6c
男「ーーしいにも程が・・・へ?」

許嫁「いいんです」

男「何が?」

許嫁「別に、結婚とか許嫁になれとか・・・構いませんから」

男「い、いやいやいやいや」

許嫁「・・・・・・」

男「泣きそう?」

許嫁「は?」ギロッ

男「す、すみませんそんな顔に見えたものですから(怖いなこの子)」

許嫁「・・・・・・ハァ」

男「で、なんで構わないなんて言うのさ」


15 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:34:22 ID:vv4VQu6c
許嫁「構わないからです」

男「だからその理由を聞いてるんだよ」

許嫁「理由?無いです」

男「無いわけないでしょうよ」

許嫁「正直、どうでもいいです」

男「は?」

許嫁「遅かれ早かれですし」

男「そ、そりゃ結婚する人は遅かれだけど それには長い年月をかけたりさ」

許嫁「はあ」

男「いきなり見ず知らずの奴と婚約結ばされるのはおかしいだろ?」

許嫁「・・・」


16 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:37:42 ID:vv4VQu6c
男「やっぱり、親父さんのためとか?」

許嫁「・・・」

男「なあんか急いで会社だの戻っちまったけどさ」

許嫁「そうですね」

男「・・・(無愛想だなあ)」

許嫁「・・・」

男「あのさ」

許嫁「はい」

男「ぶっちゃけ俺と結婚させられんの嫌だろ??」

許嫁「はいいえ」

男「どっちだ」


17 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:41:14 ID:vv4VQu6c
許嫁「どうでもいいいいですから」

男「・・・?相手、が?」

許嫁「・・・」

男「(何かむしゃくしゃするなあ)」

許嫁「・・・」

男「結婚だぞ?許嫁だぞ?」

許嫁「はい」

男「これから高校生になるのに恋愛もできないんだぞ??」

許嫁「は、はあ」

男「淡い甘い酸っぱい学園ライフも『つか自分婚約者いますし』で終わっちまうんだぞ?」

許嫁「はあ」


18 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:44:44 ID:vv4VQu6c
男「・・・わかってる?」

許嫁「わかってます」

男「許嫁さん」

許嫁「はい」

男「今から俺とキスとかできるか?」

許嫁「・・・」

男「露骨に嫌そうな顔をありがとう!答えを聞く手間が省けたよ!」

許嫁「はい」

男「したくないだろ?でも許嫁になったら遅かれ早かれするんだぞ?」

許嫁「はい」


19 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:47:07 ID:vv4VQu6c
男「わかってるのかな・・・」

許嫁「覚悟はしてるから」

男「・・・覚悟?」

許嫁「何でもないです」

男「やっぱりまだ何か知ってるな?」

許嫁「・・・」

男「なあ」

許嫁「はい」

男「親父さんには言ったりしないから、話してくれないか?」

許嫁「・・・」


20 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:51:13 ID:vv4VQu6c
男「駄目か?」

許嫁「・・・私も、あまり多くの事を知りません」

男「そうか」

許嫁「知っている事は・・・例えば、あなたの父親は私の両親の先輩にあたるそうです」

男「つまり旧知の仲か」

許嫁「・・・それと」

男「それと?」

許嫁「経営が危ないのは私の父の会社のようです」

男「そうか」


21 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:56:09 ID:vv4VQu6c
許嫁「私の婚約者の候補は・・・他にも数人います・・・」

男「は?」

許婚「・・・」

男「どういうことだ?」

許婚「・・・あなたが駄目でも他の候補に嫁入りすればいいだけの話なんです」

男「・・・」

許婚「まだ経営が傾きかけているだけの今だからこその話」

男「そうか」

許婚「・・・はい」

男「ハァ・・・・・・」


22 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 18:58:45 ID:vv4VQu6c
許婚「たまたまです」

男「?」

許婚「歳が一緒だからあなたにしただけです」

男「そっか」

許婚「はい」

男「・・・・・・・・・」

許婚「・・・」

男「よっし!!わかった!!!」 

許婚「?」

男「とりあえず許婚同士でいよう」

許婚「はい」


23 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 19:02:33 ID:vv4VQu6c
男「例えば二十歳になる五年後には親父さんの会社が持ち直してるかもしれないし!」

許婚「はあ」

男「娘を・・・本心では嫌がる娘を嫁入りさせてまでの覚悟なわけだしな!うん!」

許婚「・・・」

男「とりあえずは許婚同士でいようぜ」

許婚「はい」

男「ごめんな?俺なんかでさ」

許婚「はい」

男「そこはお世辞でもいいから否定してよ」

許婚「無理ですね」

男「ですよね」


24 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 19:05:37 ID:vv4VQu6c
許婚「あなた、変わってます」

男「そうかな?」

許婚「はい」

男「ていうか水臭いし名前で呼んでくれ」

許婚「はい」

男「おっけー?」

許婚「はい」

男「俺は?」

許婚「男・・・くん」

男「あぁーまあ君もいらんがそれでいいや」


25 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 19:08:40 ID:vv4VQu6c



男父「で、どうだった!?」

男「何がさ?」

男父「何がってお前許婚ちゃんだよ!ん?どーした?緊張して話せなかったのか??」

男「ハァ・・・とりあえずは自己紹介くらいはしたよ」

男父「ガハハハ!そうか!!ならヨシ!!」

男「何がヨシだよ・・・」

男父「男!!」ガシィ!

男「な、なんだよ!?」


26 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 19:13:20 ID:vv4VQu6c
男父「許婚ちゃんが・・・本心でここに来たわけではないことはわかるな?」

男「そりゃな」

男父「泣かすなよ?」

男「とりあえずは表向きだけでは許婚同士でいようってことにはなったよ」

男父「それじゃあ駄目だ!」

男「はあ?」

男父「お前も漢なら・・・死ぬ気で幸せにするくらいの根性で許婚ちゃんに接するんだ」

男「んなこと言われても会ったばっかで好きですらねーし・・・」

男父「馬鹿野郎!あんな可愛い娘を嫁に貰って貴様!」


27 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 19:18:10 ID:vv4VQu6c
男「可愛いだのは関係ないだろ」

男父「とにかく!許婚同士になった以上は・・・なるべく私は本気で恋人同士になってほしいと願う」

男「こればっかはお互いの相違だからな」

男父「射止めろバカ息子!」

男「うるせーアホ親父・・・何隠してるか知らないが・・・」  

男父「許してくれ・・・彼らも必死だ」

男「だからって娘を・・・」

男父「許婚父は親バカだ そんなアイツが私にこの談を持ち掛けてきた」


28 名前:じゅんじゅわー& ◆V1Q/cBK.X6 [sage] 投稿日:2013/11/16(土) 19:22:57 ID:vv4VQu6c
男父「お前を巻き込んで本当に済まないと思っているのも事実だ」

男「・・・」

男父「頼むぞ」

男「とりあえず大人は大人でしっかりやってくれよ」

男父「ああ お前も許嫁ちゃん射止めろよ!」



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