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意地悪なメイド ver2.5
509 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/12(水) 03:56:19.86 ID:jlMC7TI0
と思って外伝の中編書き始めて数時間……
本当に珍しく筆が乗らないorz
そして気づけば本当にどうでもいい文章が出来上がってるという。
何だろう、自分の無意識が恐ろしい。

とりあえずお題を消化することでお茶を濁しつつ、サンプルを置いておこう。
いわゆる予告みたいなもんだと思っていただければっ


510 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/12(水) 03:56:32.46 ID:jlMC7TI0
「は!? もう帰ってきた!!?」

見渡してみても隠れる場所なんてありはしない。
もともとモノの少ない部屋だ。どうしようもない。

「だ、だけど見つかるわけには……」

焦りは禁物だ。焦ったところで結果はでない。
機転をきかせろ。頭を働かせろ。何の為に考える頭がある。

「……っ! これだ!」

そして彼は一つの答えに達した。



「ただいまかえりました」

誰に言うわけでもない言葉。
だが、習慣づいてしまえば結局それは当たり前のこと。
必要最低限で揃えた食材を冷蔵庫に放り込めば作業は終わり。
あとはさっさと着替えて明日に備えて休むのみ。
そう、休むのみなのだが……。

「……」

視線の先。異様に膨らんだ抱き枕の姿がある。
否、抱き枕のカバーが歪に膨らみ何かを内包している。
全体的に凹凸の多いフォルムではあるが有機的なそれは……。

「(……人間?)」

確認するまでもなくわかる。
しかもアニメのプリントが内側から歪に圧迫されたそれは気味が悪い。

「(そして呼吸器の周りが湿っていると断定します)」

本人は隠密のそれを旨としているのだろう。
動きをうまず、ただ在るだけに徹しようとしている。
だが、そこには少なからず音が生まれ、

「はぁ、はぁ……シャノンたん……」

プリントされた魔法少女の名前が聞こえる。

「(いわゆる一つのトリップ状態でしょうか)」

なるほど、とひとつ頷き納得の心。
で、あればやるべきことは一つだった。


511 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/12(水) 03:56:47.71 ID:jlMC7TI0
「やばい。マジやばい」

自身の才能と状態を評した言葉がそれだ。
二度つぶやいたのは、二通りの意味であるからだ。
一つが完璧な隠密性。なるほど、木を隠すならという。
つまり人を模した抱き枕の中ならばそう簡単にバレるはずがない。
完璧だ。完璧すぎる。さらに証拠隠滅のために枕の中身はベッドの下へと滑り込ませた。
ベッドの下とは禁断の領域。そう簡単には除くまい。
何故ならそこは自身の羞恥を隠す絶好のポジションであるからだ。
そしてもう一つ。
今、自分はこの絵柄の少女の中にいるのだ。

「シャノンたん……あひゅん!」

もはや言語にならない。
好きだから抱きしめる。ではその好きさえ超越するほどの行為ならば?
抱きしめるだけでは物足りない。だから今自分は一つとなっている。
彼女にも好きになってもらいたくて送ったこの抱き枕カバー。
使ってくれているのだろうと思えば、つまり彼女の残り香もここに。
夢瑠と呼ばれたヒロインの中、彼女の匂いをまとわせつつ。
想像するだけでもはや絶頂に達しようかと思えてしまう。
だがさすがに現状、この隠密状態でそんなことはできるはずもなく、

「絶頂ッッ!!」

どこかへと達してしまった。



だが訂正しておくならば、ベッドの持ち主がその下に羞恥的な品を置くような女性ではないこと。
また抱き枕を一切使った形跡がないほど、ベッドの隅に追いやられていたこと。
ここから鑑みるに、どう考えてもそういった思考にいたれる要素はないはず。

その証拠に、とうとう薄らと赤い何かがシャノンと呼ばれたヒロインの顔に滲みはじめる中、

「制裁」

文字通りの鉄拳が、奇声を発する血ぬられたヒロインの顔面、もとい彼の顔面に突き刺さるのだった。


512 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/12(水) 03:57:59.51 ID:jlMC7TI0
実は一つ画策してることがありまして……
一周年記念の際に、新しいメイド&ご主人さまをやろうかと考えてます。
それの一応のプロット段階での様子がこんな感じのやり取りを想定してたり!

さてさて、とりあえずお題をばー!


577 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/24(月) 03:33:22.67 ID:A6XM.CA0
彼にとってそれは架空の存在だった。
言うなれば都市伝説の類だと。

「あー、お嬢さん?」
「……はい?」

これはチャンスだと彼の脳内における諸々が告げる。

「捨てメイドですか?」
「日本語の意味がよくわかりませんが」
「ノゥ! まさかのぱつキン美女キャラかよ!!」
「……ぱつきんの意味がわかりませんが雰囲気から察するに違うかと」
「本当だ!! 嘘だ! なぜ銀髪っぽい! やばい、うん。……ヤバい!!」
「何故言い直したのかよくわかりませんが。評価されてると判断できます」
「あー。話を戻そう。……君、これからいくあてとかあるの? ないよね? ないよね!」
「後半に断定されたのが非常に不愉快ですが、おおむね同意せざるを得ません」
「じゃ、うちこない?」

数瞬の間。
しかし、これが運命だとするのならばそれは必然で。

「はい。ではついていきます」
「え!? マジで?!」
「驚かれている意味が理解できかねますが」
「ははは、落ち着いて考えてみたんだ。……これは夢?」
「察するに良い空気をお吸いのようで。端的に言うと、頭おかしいですね」
「ひぃ!? 毒舌系だっ!! 早まったか、おれ」

推敲すること二秒。

「うん、かわいい子だから間違ってないな」
「建前すら用意されないあたり、断りの言葉を述べるべきかと思考します」
「おおっと、当方クーリングオフは受け付けてないんでね。じゃ、いこうか」

無理矢理その手を取る。
こうして始まった二人きりの生活。
もう一つの主従物語。


578 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/24(月) 03:33:43.83 ID:A6XM.CA0
主「と、いうわけでだな。おれのことは主様、とかご主人、とか若大将、とか呼んでくれ」
め「……え?」
主「嘘ん!? スルーはひどいぜ! キャッチボールしようぜ、ちゃんと。さぁ、もっかい行くぞ!?」
め「はぁ」
主「おれのことは好きです、愛してます、あいらびゅー。これらで呼んでくれ!」
め「……」

ぶぉん! ぐしゃ!

主「ふごおおおお!? 目が、目があああああ!!!」
め「大丈夫ですか。あいらびゅー」
主「こんな告白方法があったなんて! 何て刺激的!?」
め「顔面にボールがめり込んでいますね」
主「うん。自分でも驚くくらい綺麗に入ってる気がする。というか、何故投げたよ」
め「キャッチボールと仰られたので」
主「なるほど、世間知らずのお嬢様属性なメイドかっ! いやっほぅ!!」
め「悪意を九割ほど混ぜて実行に移してみました」
主「ふふ、それってどう考えても悪意だけですよね」
め「擬似的に天然も加えてみました。10%なので果汁よりも多いですね」
主「昨今のジュースは果汁少ないもんなー! わーい、そう考えるとお得だよね!」
め「理解が早くて助かります。あと、あほですね、あいらびゅー」
主「うん、すごく虚しいって気づいた。普通にご主人さまって呼んで」
め「……ハッ」
主「今君鼻で笑ったよね!? ね!!」
め「限りなくイエスに近い何かだと返答します」
主「……じゃあ笑ってないってことで!」
め「ハッ」
主「うひょおい! 俺絶対馬鹿にされてるう!」


579 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/24(月) 03:43:12.72 ID:A6XM.CA0
主「ところで何であそこに捨てられてたの?」
め「さぁ? というよりも捨てられていたのですか、私」
主「んー。段ボール箱に入ってじーっとしてたからつい声かけちゃったんだよね」
め「なるほど。しかし早計ですね、この物騒な時勢に」
主「ああ、その点は大丈夫。十五分以上遠くから眺めた上で判断したから」
め「……」
主「ん?」
め「視○?」
主「うほおお!? か、可愛い女の子の口からそんなセリフが!! 情操教育の乱れじゃー!」
め「と言いなが何故テープレコーダーの用意を?」
主「うむ。君みたいな外人さんっぽいキャラのためにいうなら……ワンモワセッ!」
め「この国の言語教育についていくつか疑問点を持ちました。それと回答ですが、ノーで」
主「嘘ん!? この捨てメイドさんってば意地悪!!」
め「……そもそも疑問なのですが、その“メイドさん”なるものは私を指した単語なのでしょうか」
主「え? 違うの?」
め「すみません。そのあたりの知識を持ち合わせていなくて」
主「んー、君の着てるそれ。世間一般ではメイド服って部類でさ。それを普段着っぽく使ってる人はメイドさんなのかな、と」
め「なるほど。恐らく想像ですが偏った知識なのだと想像します」
主「俺も言ってて途中からそんな気がしてた。つまりコスプレなんだ! やばい……うん、ヤバい」
め「よほどイイ空気を吸っておられるようで。いずれ私も同じところへ堕ちてしまうのでしょうか」
主「できればエロ方向で」
め「健全な生活を送りたいとお願いしてみます」
主「承りました。……ってあっれ、俺が下僕側っぽいよ!?」
め「理解しました。典型的な三下なのですね、あいらびゅー」
主「う、うむ、おれもそんな気がしてる。現在進行形で」


580 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/24(月) 03:50:32.12 ID:A6XM.CA0
主「じゃあ、とりあえず今日からここの部屋使って。あとベッドも好きにしていいから」
め「……。お一人暮らしなのですよね?」
主「おう」
め「夜中は気をつけてください。月の出ていない夜は特に」
主「おあつらえむきに今日は新月なんだよな。うはぁい、俺知らない内に死亡フラグ拾ってたっぽい!」
め「おめでとうございます。ところで明日のご予定は?」
主「今晩を無事に乗り切ったら、学校いくんだ!」
め「フラグ回収も無事に済んだことですので、私は台所をお借りします」
主「待て! はやまった! 主に俺!!」
め「……。冷蔵庫の中身、勝手に借りますので」
主「ははは、借りれるものならどうぞ」
め「?」

がちゃ

め「……見事にカラですね。頭の中と同じです、あいらびゅーの」
主「家主に対するセリフじゃないよね。いやいいけど」
め「口が悪いのも昨今ではチャームポイントになるらしいですね。素晴らしい世の中だと感嘆します」
主「それ、デレがあってのことだからね?」
め「粘液系ですか」
主「たぶん擬音的にそれはデロっとのほうだと思うわ。あ、でも粘液は嫌いじゃないぜ!?」
め「了解。オクラでもかじっててください」
主「ないけどな!」
め「どうぞ」
主「あったぁぁぁああ!? しかも生だあああああ!!」


581 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/24(月) 03:56:26.85 ID:A6XM.CA0
主「美味しくない」
め「生のオクラをただかじっておいしければ世の中の大半の健康に気を遣う方々が食されているかと」
主「健康オタクがこういうの好きそうだもんな」
め「なぜか持っていた私も健康オタクなのでしょうか」
主「俺、大丈夫だぜ? オタクとかに偏見もったりしない人種だから。な?」
め「何故でしょう。とても言われると腹が立ちますね、あいらびゅー」
主「それって俺が上から目線だと思ったからだよね? ね? ……俺一応家主なんだけどね?」
め「家主がそんなに偉いのですか」
主「ぐはっ?! よくわからんけど威圧されてしまう!! が、ここで負けるわけには。……えらいんです!」
め「どういう風に?」
主「え? あー。その、な。……えらいんだよ!」
め「なるほど。馬鹿ですね、あいらびゅー」
主「ははは! 馬鹿偉い! 新ジャンルだな!」
め「既出です」
主「がい……しゅつ?」
め「音に出して読んだ単語に対して読めないフリとはいかがかと判断しますが」
主「ほら、お約束だよ。お約束! こういうのは毎回やるからこそ意味が出てくるんだぜ?」
め「承知しました。これからも馬鹿のふるまいをお続けください。あいらびゅー」
主「何だか釈然としないけどわかったぜ!」


582 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/24(月) 04:02:19.28 ID:A6XM.CA0
主「じゃ、おやすみなー」

ばたん

め「……。いってしまわれた」
め(しかし、この部屋をのぞいて他に個室はなかったように記憶しますが)
め(……まさか)


主「んごー、すぴー」
め「やはりソファーで。……自ら主従の上に立つと仰っていたのに」
主「……んぐ」
め「本当に馬鹿ですね。大バカです。得体のしれない人物を家にあげて」
め「下心を見せるふりをして一切その気もなく、ただの親切心」
め「お人よしにもほどがあると思考します。故に裏切られても仕方のないことです」
め「……」
め「では、あいらびゅー」

がちゃ。……ばたん。




ちちち……

主「ん、ふぁ。……あれ? 俺何でソファーで」
主「あー、そういやそっか。……。えーと、寝顔が見たいとかじゃないからな?」
主「と俺の良心にわびを入れつつ、そーっと」

かちゃ

主「……ありゃ。逃げられたか」
主「そらそうだよなぁ。若い身空で男と屋根の下、ひとつで生活なんて」
主「けど、本当にどこにもいけなさそうな感じだったんだけどなぁ。……ま、見込み違いか」
主「さて、今日もバイトバイトっと」

がちゃ

主「?」
め「ただいま戻りました」
主「え?」


583 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/24(月) 04:06:51.69 ID:A6XM.CA0
め「ですから、戻りました、と」
主「何で?」
め「ここにおいていただけると言われたので」
主「あ、いやそうだけど……」
め「ですから戻ってきたいのですが」
主「出てったんじゃないのか?」
め「ええ、出ていましたよ。買い物をしに」

がさっ

め「冷蔵庫の中身がなかったので買い足しに、と」
主「……お前」
め「ちなみに財布はお借りしました」
主「え? あああああああああ!?」
め「他人を泊めるのは良いと思いますが、そこまで無防備なのはどうかと」
主「う、むぅ」
め「ただ今回はそこまで私を信頼してもらえた、ともとれますので。……ありがとうございます」
主「どういたまして」
め「では早速朝ごはんといきます。リクエストはありますか? ご主人」
主「あ、じゃあ目玉焼きで」
め「了解。しばしお待ちを」

すたすた

主「……。まだ夢でも見てんのかな、おれ」
主(って、そういや、あいつさっき俺のこと……)


584 :パー速民がお送りします [sage;saga] :2008/11/24(月) 04:11:11.69 ID:A6XM.CA0
こうして始まったもう一つの生活。
これがどんな未来を描くのかは、まだ先の話。





主「ってな訳で、いきなり所帯持ちになった気分なわけよ」
?「それを何でこのタイミングで俺に聞かせますか」
主「いやー、何つーの? いわゆるあれだよ。……自慢!?」
?「はぁ」
主「あっれ、君ぐらいの年頃だと羨ましいもんだと思うんだけど、このシチュ! あ、嘘じゃないんだぞ、本当だぞ!!」
?「いや嘘だって言ってませんから」
主「いいや疑ってるね! その目は疑ってる! 疑心暗鬼の目だ!!」
?「寧ろ主さんが疑心暗鬼じゃ……」

『おーい、どっちか。在庫の整理するから手伝ってー』

?「あ、俺いってきます」
主「お。了解。いってらっしゃい」
?「うす」

たったった……

主「ふ。全く、うらやましいならそう言えばいいのに。……『男』め」


それは遠くない未来。
交わりえる道のひとつ。



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