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妹「二人きりだね、兄貴」避難所
220 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:17:50.63 ID:2POl2Nln0
あ、水陸両用体育座り忘れた。
まあいいや。
では再開。






兄「………」
兄「家に帰ってはみたが、妹は未だ帰らず、か」
兄「どこほっつき歩いてんだ…まあ不審者は出るはずが、」
兄「…そういえばいたな約二名。困った、あいつらに絡まれたら妹の危機だ」
兄「叩き潰すべく捜索するか? いやいやむしろベーシックに携帯で」

兄「…でないな。それとも通じてないのか? 向こうと通信が出来ないだけだと思っていたが…」
兄「というか、多分帰ってきても機嫌は最悪だろうな」
兄「今日の晩飯はカレーにしてやるか。こっそり肉は余らせてあるからな」


221 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:21:58.46 ID:2POl2Nln0
某所

「やあ『お姫様』。ご機嫌麗しゅう」
猫「むすっ」
「君はクイーンだからお姫様より凄いんだよ」
猫「なら文句はいいませんとも!」
「よしよし」
妹「………」

「その顔だと失敗したみたいだね」
妹「…うん」
「ぼろ糞言われたんだね?」
妹「………」
「それで、僕のところに来たって事は用があるんでしょ?」
妹「…うん」
「今度は何を望む? 君の言うとおり叶えてあげる」

妹「…私は、」


222 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:25:20.86 ID:2POl2Nln0


妹「たっだいまー!!」
兄「お帰り。今日の夕食はな」
妹「カレーでしょ? 外からでもわかったもん」
兄「鼻がいいな。食い意地はってら」
妹「えへへー、私はお兄ちゃんの料理は何でもわかるもん」
兄「はいはい。じゃ、テーブルあけて来い。もうすぐ出来るから鍋ごともって行く」
妹「はーい!」たったった

兄「…なんだか妙に元気だったな」


224 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:30:36.41 ID:2POl2Nln0
妹「いただきます!」
兄「召し上がれ」
妹「はぐっ、もぐもぐ、ごくんっ…っっ〜!」
兄「はい、水」
妹「〜〜〜、ごくっごくっごくっ…ぷっはあ! 辛いし詰まるっ!!」
兄「そんなに急ぐからだろ? というか、味付けはいつもどおりなんだが」
妹「体温冷え切ってるからね〜、いつもよりおなかが減るんだ」
兄「そうか。ところで兄貴やめたのか?」
妹「ふぇ? ふっ、ふぉふ」
兄「飲み込んでからでいい」
妹「ごきゅごきゅ…ぷはぁ、あのね、私はいいんだ」
兄「?」
妹「もう我慢しないことにしたんだ!」
兄「…そうか」
妹「だから勝手に抱きついたりする」ぎゅー
兄「あー、カレーがエプロンにつくからやめなさい」
妹「やーぁ!」
兄「まったく…」


225 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:34:17.66 ID:2POl2Nln0
次の日

兄「起きろ。朝だぞ」
妹「…んー、後二回は二度寝するのぉ…」
兄「それは既に三度寝だ。起きろと」
妹「やー…やーぁ」
兄「そんな子どもみたいな口調で甘えるんじゃない」
兄「…そうだな、今起きたらデザートはハーゲン○ッツにしようか」
妹「マジっ!?」がばっ
兄「座右の銘は有言実行。当然だろ?」
妹「じゃ起きる!」
兄「顔洗って歯ぁ磨いて来い」
妹「はーい!」


226 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:37:57.17 ID:2POl2Nln0
兄「…遅いな、既に三十分が経過しているというのに」
兄「まさか洗面所でおぼれたりしていないだろうな?」
兄「…まさか、いや、まさかなぁ…」
兄「様子を見に行くか」

兄「妹、大丈夫か?」
妹「あ、お兄ちゃん?」
兄「何故そんなに反響する返事を?」
妹「だってお風呂入りたかったんだもん」
兄「朝風呂か。いい身分だな」
妹「猫さんに教えてもらったんだぁ。朝風呂、確かに気持ちいいねぇ」
兄「そりゃよかった」
妹「ねーお兄ちゃん」
兄「どうした?」

妹「背中流してー」


227 :@人気トナメ [] :2008/06/07(土) 12:40:59.82 ID:O85sA77pO
わっふるわっふる


228 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:41:47.98 ID:2POl2Nln0
兄「…あー、突然、どーした?」
妹「朝風呂は好きな人と一緒に入ると楽しさが二十倍くらいになるんだってー」
兄「あ、いや、だから、その、」
妹「私もう我慢しないのっ。だからお兄ちゃんは私の言うこと聞きなさい」
兄「そ、そういうもんだいじゃ、」
妹「なら強引にでも連れ込んじゃうもん。えい」
兄「わぁ!?」

妹「えへへー」
兄「み、見てないぞ! 俺は断じて何も見ていない!!」
妹「もう後ろ向いたよー?」
兄「後ろって…ああ、視線を下げると…綺麗な、背中、が…」
妹「洗って?」
兄(どうするどうするよ俺続きはWebでとかならねぇかないやあれって棚上げしてるだけで実際は何も解決してな(ry)


229 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:45:30.30 ID:2POl2Nln0
兄(お、落ち着け。何も考えるな。心を無にすれば恐れるものはきっと来る? なんか混ざった!?)
妹「早くー、風邪引いちゃうんだけど」
兄「あー、うん」

ごしごし

兄「い、いたく、ありませんかー?」
妹「非常に快適ですです」
兄「何その語尾」(可愛いんだけど)
妹「わかんない」
兄(落ち着け、あせったら負けるっ!)
妹「あ、そこそこー。そこかゆかったんだよねー」
兄「あー、そーです、かー」
兄(頭がふっとーしそーだよぉ!)ぐるぐる


230 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:49:16.03 ID:2POl2Nln0
兄「お、終わったぞ?」
妹「ごくろーさまでした! じゃ次はま」
兄「あー! いけないもうこんな時間だテレビの占いみとかないと今日の日程に差し支えるそんなわけでごめんっっっ」ぴしゃっ

妹「……お兄ちゃんと、お風呂…」
妹「えへへ…」

兄「あんのくそがきゃぁ我が家の妹になんつーことを吹き込みやがった!?」
兄「見つけ出したら八つ裂きにして鳥葬刑にしてやるっ!!」

べきゃっ

兄「あ、お椀を握りつぶして熱々の白米がこぼれっ」
兄「あっちいいいいいいい!?」

妹「お兄ちゃん!? どうしたのさ!?」どっどっどっど

兄「なんでもないから服着てーーーーーーー!!!」


231 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:53:19.39 ID:2POl2Nln0
兄(い、家にいると身が持たない…つーか何かピンクな物を見たような気がする…)
兄(ああそうそう妹のむ)

ぶしゅううううう、どすっ

兄「あー、いかん、貧血が…」
兄「…それにしても、何か妙な違和感が…」

妹「おにい・ちゃん!」
妹「わぁ、血の海だよ!?」
兄(なんだぁ…? 妹が、幼く見える…妙にまんまるな目をくりくりさせて…)
兄「あー、問題ない、うん…そこのコンビニに鉄分飲料が売ってるからもらってきてくれ」
妹「わかった!! わかったから死なないで!!」

兄「………」
兄「気のせいかな、背が、縮んで…」


233 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 12:56:15.89 ID:2POl2Nln0
兄「あー、出血多量で死ぬかと思った」
妹「飛んできたボールに激突するなんて不運だったね。でもどこからボールが飛んできたの?」
兄「よくわからん」
妹「ボールとか転がってなかったし」
兄「ボールか…いいな。キャッチボールしようか」
妹「え、私と?」
兄「ああ。デパート行って道具を買い揃えて、二人で夕方まで」
妹「いいねー、やろう!」

兄「そう、二人で」


234 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:00:36.64 ID:2POl2Nln0
兄「デパートの玩具売り場だ」
妹「うわぁー…!」
兄「なんだか、ここに来るとわくわくするよな」
妹「あ、W○iだ! ○S3!! ○ガサターン!!」
兄「明らかに場違いな名前が出てきたんだが」
妹「チャロンだよ! 懐かしい…こっちにはクォ○ァディス!! サーカスだよ!!」
兄「ちょっと待て妹よお前一体何歳?」
兄「っつーかお前何気にロボとか大好きだよな」
妹「そりゃあもう。お兄ちゃんとおそろいだもん」
兄「クソがっ…俺のせいかよ」
妹「兄とりゃー? ああ、例の時代遅れか」
兄「時代遅れとか言うなっ俺はただの懐古主義者だ!!」
妹「かいこ…? あんまりいい響きがしないんだけど」


235 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:06:21.07 ID:2POl2Nln0
兄「そしてこのデパートのつわものっぷりをあらわすこのコーナー」
妹「ちょっ、超合金!! プラモ!! ガレキーーーー!!!」
兄「俺はよくこのデパートに買い物に来るんだが、いやぁこの品揃えは感服だな」
妹「すっげー…あ、○Vロボ!?」
兄「芋羊羹で敵が巨大化する奴だな。いやぁアレは面白かった」
妹「っつーか絶版だよこれ? なんで普通においてあるの?」
兄「再販したんじゃね? お、インナパ」
妹「七万八千円ーーーーー!!!」
兄「よくもまぁ再現したものだ。作りきらないけど」
妹「すげーすげーすげええええええ!!」

※R○ロボ:昔の戦隊ヒーロー物の合体ロボ。全て車。
※インナパ:永野護でぐぐれ


236 :@人気トナメ [sage] :2008/06/07(土) 13:09:10.30 ID:YjFWntLC0
うちにあるぞRVロボ
いやぁ懐かしい


237 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:11:52.92 ID:2POl2Nln0
兄「で、キャッチボールじゃなかったか?」
妹「いやいやそれより二人でインナパ作ろうよお兄ちゃん!」
兄「それはいつでも出来るだろ? せっかくだから健康的に外で遊びたい。室内遊びはこの前ゲーセンでやったでしょ」
妹「うー…うん、そうだね」
兄「まあほら、この前の諭吉さんが余ってるから超合金を一つ買ってもいいぞ」
妹「じゃあこれ!!」
兄「初版のマジンガーとは濃いな…」
妹「手のひらサイズが嬉しいでしょ」
兄「はいはい。じゃ、グローブ二つとボール」
妹「場所は?」
兄「昨日のキャンプ場に装備回収したいからそこで」
妹「おぅ!」


239 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:14:41.71 ID:2POl2Nln0
兄「パッと来たぜキャンプ場」
妹「うわっ、テントがぺしゃんこ」
兄(瞬間どれだけ大量に降ればあの短時間でこうまで痛めつけられるんだ)
妹「これじゃもう使えないね…」
兄「また買えばいいだろ。それより使えるものを探して適当に集めるんだ」
妹「はーい」

兄(あいつら、いないな)
兄(死んだ…のはありえないな。仮にもカミサマらしいし)
兄(じゃあどこかで俺たちを見てるのか? 目的がまったく見えない…)

兄(でも、もう妹には手出しさせん。絶対だ)


240 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:18:46.99 ID:2POl2Nln0
妹「終わったよー」
兄「よくやったなー…って全部脇に寄せただけじゃないか」
妹「片付けは後! 今はキャッチボールしようよ」
兄「優先事項が違うだろ。まあ、いいけどな。ほら」
妹「よっと」ぱしっ
兄「グローブはめたな? 準備運動は?」
妹「だいじょーぶだよ! 平気平気!!」
兄「威勢のいい事で。じゃ、行くぞ」
妹「うん!」


241 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:21:54.65 ID:2POl2Nln0
兄「よっ」しゅっ
妹「おっとと」ぱしっ

妹「えい」しゅっ
兄「ほっ」ぱしっ

兄「そら」しゅっ
妹「うぬっ、やー!」ぱしっ

妹「えいやー!」しゅっ
兄「なんのっ」ぱしっ


243 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:25:28.37 ID:2POl2Nln0
兄「なぁ、妹」しゅっ
妹「なに、おにい、ちゃんっ!」ぱしっ

兄「ここ、お前の世界なんだろ?」
妹「うん、そうらしいね」しゅっ

兄「だったらさ」ぱしっ
兄「お前が俺と「ずっと」一緒にいることを望んだんなら」しゅっ
妹「うん、っ」ぱしっ

兄「俺たち、ずっとこのままか?」
妹「そうだといいなって、私は言ったよ?」しゅっ

兄「ならさ、」ぱしっ
兄「俺たち、年取らないの?」しゅっ

妹「そうだといいなって、言ったよ」ぱしっ


244 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:31:06.26 ID:2POl2Nln0
>>242
お、まとまってる。ありがとう、俺としても助かるよ。



兄「そうか」
妹「体はずっとこのままなんだって」しゅっ
兄「そうか」ぱしっ しゅっ

妹「傷はついたりするらしいけど、元通りになるんだ、って」ぱしっ
兄「そうか」

妹「死にそうになったら、時間が戻るんだって」しゅっ
兄「そうか」ぱしっ

兄「悪くは、ないな」しゅっ
妹「でしょー、っ!」ぱしっ


245 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:34:40.31 ID:2POl2Nln0
妹「私のことは気にせずに、ぎゅっとやってもいいんだって」しゅっ
兄「そうか」ぱしっ

兄「でも、俺はやらない」しゅっ
妹「なんで、っ?」ぱしっ

妹「もっと触ってくれるんなら、痛みくらい、どうにでもなるよ」しゅっ
兄「それでもだよ」ぱしっ

兄「俺は一度だって、お前を傷つけたくないんだ」しゅっ
妹「……!」

ぽとっ


246 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:37:28.84 ID:2POl2Nln0
妹「あ、ごめん。とってくるね」
兄「俺が行くよ。お前は休んでろ」
妹「いいから! 私が取ってくるのっ!!」
兄「…あ、ああ…そこまでいうなら、いいけど」
妹「うん! 行って来るっ!!」

妹「…このままで、いいんだって」
妹「このままが、いいんだって」
妹「…私、私っ、私っっっ…!!」

妹「っく、う、うううううっっ、っっっ…!!」


248 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:42:08.82 ID:2POl2Nln0
兄「おかえ…どした?」
妹「…なんでもないっ! ちょっとこけて打っちゃったから、痛いだけ」
兄「…俺に嘘は」

妹「嘘じゃないっ!!」
兄「っっっ!?」

妹「…あ、なんでも、ない…。ただ、痛いのは、本当だから」
兄「そう、か」
妹「あ、ほら、もう夕方。帰ろ? 片付けて」
兄「わかった。今度はちゃんとやれよ?」
妹「はーい!」


249 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:46:46.50 ID:2POl2Nln0
『にいいいいいいいいいい! にいいいいいいいいいいいああああああああ!!!』
『ああ、ほら、泣くな泣くな! どうした? お腹減ったのか? トイレか?』
『にいいいいいいいいいい!! にいいいいいいいいいいいいい!!!』
『あーあー、ほらほら、玩具だぞー? ビデオだぞ? 泣き止めよぉ、ほらほら、べろべろー』
『にいいいいいいいいいいいいい!!』
『ほら、もう怖くないぞー? にぃはずっとここにいるぞー? よーしよし』




妹「………」
妹「…願いが叶うって、大変だね」
妹「にい、ちゃん」


250 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:50:54.09 ID:2POl2Nln0
兄「おは、よっ!?」
妹「おはよーにいちゃん!」
兄「!? …!?!?」
妹「どしたのー?」
兄「い、いいいいいいも、いもっ、もももっ!?」
妹「なんだよー? わたし、なにかへん?」
兄「へ、変もなにもないだろ!? 見ろよ!」

妹「あ、鏡」
妹「あ、ちいさーい。わたし、ちっちゃくなった?」
兄「っつーか十歳前後のお前そのものだぞ!? 下手すりゃ、九歳か、八歳…?!」
妹「いーのいーの! わたしはこのほうがすなおになれるからっ!!」

兄「…あのクソ餓鬼ぃっ!!」


251 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 13:55:56.39 ID:2POl2Nln0
妹「にいちゃん?! いいんだよ?! わたし、これで」
兄「お前がよくても俺が困る!! 何だこれは、何だこれは!?」
妹「いいの! わたしがのぞんだことだからっ!!」
兄「思えば昨日の違和感はこれだ…あの時既に二歳か三歳若返っていた!!」
兄「顔が幼くなって、背が縮んで、胸が小さくっ」
妹「むぅね〜?」
兄「あっ」
妹「にいちゃん、わたしのむねでこーふんしたんだぁ?」
兄「いや、ちが、そんな」
妹「わたしのむねじーっとみて、きづいちゃうくらいよくみてたんだぁ?」
兄「…っ!?」
妹「ちがうの? にいちゃん、わたしみてなかったの? どうでもよかったの?」じぃ〜
兄「……っっっ〜」

兄「…ごめんな、うん、悪かった、俺はお前のことばっかり考えてたよ、ずっとな」

妹「そうなんだ〜。えへへ〜」


252 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:00:08.40 ID:2POl2Nln0
兄「それで、お前はどういう願いをすればそういうことになるんだ?」
妹「うん、あのねー」



二日前 某所

妹「…私は、あの頃に、帰りたい」
妹「お兄ちゃんが、私を抱きしめたり、手を繋いで一緒に歩いたぐらいに」
「なんで? お兄ちゃんは力のせいで触れられないんでしょ? それを消してって頼めばいいんじゃない?」
妹「お兄ちゃんは、変わってないよ。ずっとずっと、私のこと考えてくれてるのは一緒」
妹「だったら、私がお兄ちゃんに合わせて、変わらないと」
妹「お兄ちゃんが優しくしてくれた、あの頃に」

妹「言葉にしなくても、わかりあえたあの頃に」


253 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:03:59.89 ID:2POl2Nln0
兄「ばーか」
妹「なっ、ばかっていうな! ばかっていったほうがばかなんだぞぉ!?」
兄「説明するの面倒だから、これで勘弁してくれ」

なでなで

妹「…はわー…」
兄「こういうことだよ。これ以上は強く出来ないから、精一杯だけど」
妹「んー、…わかった。わかったよ、にいちゃん」
兄「それでいい。充分だよ」

兄「じゃ、これ食ったら遊びに行こう」
妹「うん!」


254 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:07:34.55 ID:2POl2Nln0
兄「どこ行く?」
妹「げーせん!」
兄「おまっ、未成年ってレベルじゃないぞ? いいのか?」
妹「いーの! ここにはにいちゃんしかいないから!」
兄「はいはい…で、なにを、」
妹「じーばーさすじー!」
兄「小さくなっても結局それか!?」
妹「きおくはきえてないからなー!」
兄「い、いいだろう…ただし対戦はもうやらん」
妹「えー?」
兄「だから二人でCPU倒そうぜ。協力プレイだ」
妹「おー! やるやるー!」


255 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:12:22.78 ID:2POl2Nln0
兄「例によってゲーセンだ」
妹「りょーがえき、こわれたままだねー」
兄「電子情報だけ向こうとリンクしているわけか」
妹「ごじゅーえん、ないよ?」
兄「気にするな。何とでも」べきべき

兄「妹よ、工具を持ってきた」
妹「どうするのー?」
兄「決まっている。この前お前が大量にぶち込んだ五十円を」

がちゃがちゃ、がしゃん。

兄「循環させる」
妹「つまりー?」
兄「いくらでもやれるって事だよ」
妹「おー!」


256 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:15:36.54 ID:2POl2Nln0
兄「五十円、投入ー」
妹「とーにゅー」
兄「どうする?」
妹「わたしはジーガンー」
兄「なら俺は陸ガン」
妹「・・・アレ?」
兄「どうした?」
妹「ボタンがひろくて、てがくるしい」
兄「…あー、やめるか?」
妹「やだっ! やるのっ!!」
兄「はいはい…じゃ、まずは簡単なルートから…って、アルティメット!?」
妹「さいしょからぜんりょくなのっ!!」


259 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:20:06.27 ID:2POl2Nln0
一時間後

兄「…妹よ」
妹「うー…」
兄「無理だろ」
妹「うーっ!」
兄「いいだろ別にそんな意地張らなくても」
妹「やーだやーだ! 勝てなきゃやーだ!!」
兄「あー…そうだな、ちょっと待ってろ」
妹「どこいくのー?」
兄「なに、いいもんとってくるだけだ」べきべき

妹「おかしー! ぬいぐるみー!! ゲームー!!!」
兄「どーよ?」
妹「すごいすごいすごーい!」
兄(UFOキャッチャー二機にお菓子キャッチャー三機、それからゲーム屋一軒を潰して現品を)
兄(嗚呼、俺ってすっかり兄馬鹿…)


260 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:22:52.78 ID:2POl2Nln0
妹「はむはむっ」
兄「こら、お菓子食いながらゲームするな」
妹「だってー、りょうほういいんだもん」
兄「一通り食ったらもう一回GvsGやろうぜ」
妹「まけるからやだ!」
兄「今度は簡単なのにするから」
妹「かんたん? ほんと?」
兄「約束するよ。絶対勝てる」
妹「じゃあやるー!」


261 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:25:14.20 ID:2POl2Nln0
妹「じゃ、こんどもジーガンー!」
兄「俺はνだ」
妹「えー、これじゃすぐ負けちゃうよー?」
兄「俺が本気だしたら被弾なしで全クリできるんだぞ。それで練習するんだ」
妹「はーい!」

兄(さーてCPU諸君、悪いが死んでくれたまえ)
兄(俺の名誉と妹のため…)

兄(そして妹と妹と妹のためにーーーー!!!)


262 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:30:17.62 ID:2POl2Nln0
妹「にいちゃんつよーい!」
兄「当っ然だ! 本気の俺に負けなどないわ!!」
妹「すごいすごいすごーい!! ぃいやっふーーーー!!!」

「やるね、君」

兄「だから、当然だろ? この店のνマスターにCPUごとき…」
兄「で、何当たり前のようにそこにいる?」
「僕に常識は通用しないんだよ?」
兄「そりゃそうか」
「しかし本当に凄い。BGMとの完全なシンクロによる魅せプレイも美しい」
「そして妹さんを立たせることも忘れない。止めを確実にさせるような牽制」
「鏡だね。兄の」
兄「俺じゃなくて妹を褒めろよ」
「すっかりバカになっちゃってまぁ…」

「でも、そういうまっすぐさ、僕は大好きだな」


263 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:33:41.66 ID:2POl2Nln0
兄「最終ステージだ。奴が出るぞ」
妹「うおー、DGめー、きょうこそせきはぶちこんでやるぜっ!!」
兄「…安心しろ。絶対にやれる。なぜならばっ!!!」

妹「わたしとにいちゃのきょうだいにっ!!」
兄「できないことなど何もないっっ!!」

妹「ばああああああくねつっっっ!!」
兄「フィ○ファ○ネルっっ!!」
妹「てんきょうっっっ!!」
兄妹「けええええええええええええええん!!!」

兄妹「やったああああああああ!!」


264 :違う人 ◆HeMtzKUQww [] :2008/06/07(土) 14:36:00.15 ID:2POl2Nln0
妹「やったっ! やったよにいちゃん!!」
兄「やるじゃないか! さすが俺の妹だ!!」

なでなでなでなで

妹「やった! やったやったやったぁあ!」だきっ
兄「はははっ、アッハハハハハハ!!」

兄(ああ、どうしよう)
兄(やらなきゃいけないこと、いろいろあるんだけど)
兄(全部忘れてしまいそうなほどに)

兄(愛しい、な)



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