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姉剣士「最近弟が強くなってきた」
51 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/06(日) 23:34:04.37 ID:waVP+ooIO
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
――数日後――
姉「……むむむ」

弟「姉、今度は何に挑戦しているんだ」

姉「仁の道……医術を学ぼうと思っているのだが……」

弟「い、医術?」

姉「……文献が手に入りにくい上に、中身も晦渋を極める。これも荷が重過ぎるようだ」

弟「はあ……姉、分かっているのか。戯作も商いも医術も、全て男子の為す所業だろう」

姉「誰が決めたのだ」

弟「いや誰って……今の世の中そうなっているじゃないか」

姉「女は家事に子守に内職――私は納得がいかんな。張りがなさすぎる」

弟「……しかし……」

姉「私の性分を知っておろう。これと見定めたものを探し当てるまでは諦めんぞ」

弟「……まぁいいけどな」


55 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/06(日) 23:40:31.03 ID:waVP+ooIO
姉「む……もう申の刻か。そろそろ行かねば」

弟「どこへ」

姉「叔父上のところだ。私に話があるらしい」

弟「……オレはあの人あまり好きじゃないな。無愛想だし」

姉「まぁそういうな。私達がこうして二人で暮らせるのも、叔父上の御厚意あってこそ」

弟「ふん、何が支援だ。亡き父上の家督・家禄を散々天引きしておいてよくいう」

姉「あまり悪くいうな、それも仕方のないこと。叔父上がいなければ私達は何もできぬのだから」

弟「……オレがそのうち自立して……」

姉「ふふっまだお前には早いわ。なに、まだ焦らずともよい。……そろそろ行ってくるぞ」

弟「ああ。叔父上によろしく」

姉「お前が言うと皮肉にしか聞こえんな。では……」

弟「…………」

弟「……オレももう一稽古いってくるか……」


56 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/06(日) 23:49:15.28 ID:waVP+ooIO
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
弟「姉、おかえり」

姉「う……うむ。今帰った」

弟「叔父上はなんて?」

姉「……」

弟「……姉?」

姉「……奥で話そう」

弟「な……なんだ、深刻な話なのか」

姉「ああ。縁談だ」

弟「えっ……」

姉「まだ決まった訳ではないが」

弟「姉に……縁談……」

姉「そこを退いてくれるか。奥で話す……」


57 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/06(日) 23:50:43.92 ID:PmjQOgNI0
叔父め許せん


59 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 00:13:51.77 ID:zK1IhuCW0
お姉ちゃん の響きも良いけれど
姉上の響きも 悪くない いやとても良い


60 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 00:14:15.94 ID:VEsoYU83O

姉「……嫁ぎ先は譜代の某家。近日中に返事をよこせ、と」

弟「姉が嫁入りなんて早過ぎる!」

姉「この時世、別段早くはないが……さすがに面食らったな。急な話だった」

弟「そんなもの断れよっ」

姉「そうしたいのはやまやまだが……なにぶん叔父上たっての頼み故な」

弟「構うものかっ」

姉「そういう訳にはいかん。叔父上は、私が日頃武芸に励んでいたのを快く思っていなかったからな。
 遠回しに『そろそろ戯れはやめて身を固めよ』と」

弟「……姉のことを何も分かっていないクセに……」

姉「……某家と縁組みを為せば、石高の劣る叔父上には十分な結納が送られるだろう。恐らくはそれが目当て」

弟「なっ……姉は小判箱じゃないんだぞ!!」

姉「だが……私は。こたびの縁談、受けようと思う」

弟「姉!?」


61 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 00:34:37.64 ID:axbLyuR40
だめーーー!


62 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 00:43:59.63 ID:nTIEWWJZ0
伯父上にレイプされるのかと思った


63 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 00:46:55.81 ID:VEsoYU83O
姉「落ち着け。……武家の女として生を受けた以上、いずれはこうなる定めだ」

弟「で、でも……」

姉「考えてもみるがいい。私が嫁ぐことで先々は安泰となり、暮らしは今よりなお潤い、叔父上も喜ばれる。至れり尽くせりだ」

弟「……」

姉「……安心するがいい。例え嫁いだとて、私はお前を決して見捨てたりはしない……」

弟「オレは……オレだってそうさ。姉がどうなろうと護り続ける」

姉「弟。ありがとう」

弟「……オレ、ちょっと散歩しに行ってくる」

姉「……もうこんな夜更けだぞ」

弟「いいんだ。少し冷えた風に当たりたい」

姉「……気をつけるのだぞ」

弟「……ああ」スッ …ガララッ

姉「…………」


64 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 01:03:13.72 ID:VEsoYU83O
弟「……寒いな……」

弟「……」

弟「これが一番いいんだ……」

弟「姉の幸せはオレの幸せでもある……」

弟「オレの望みは……」

ドン

弟「いっ」
チンピラ「ああ?」

弟「……失礼」

チンピラ「待てガキ。今鞘に当てやがったなあ」

弟「……」ギロ

浪人「よせ。まだ元服前の童だ」

男「そうです。今は揉め事は控えてください」ニコニコ

チンピラ「けっ……命拾いしたな」…ザッザッ…

弟「……」

弟「……ふん……」


66 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 01:12:33.13 ID:VEsoYU83O
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
姉「……ついに見合いの日が来てしまったか」

弟「姉」

姉「おお、ようやく起きてきたか。どうだ、その――似合うか?」

弟「……」

姉「い、いつも男物の袴を着てたからな。着物など着るのは実に無沙汰だが……」

弟「……」

姉「ど、どうした、弟?」

弟「……ごめ、言葉を失っていた。とても、綺麗だ。姉」

姉「そ、そうか、大袈裟な奴め」

弟「……もう、行くのか」

姉「何を神妙な顔を。今生の別れではあるまい?」

弟「……ああ。そうだな」

姉「……」


67 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 01:21:50.64 ID:axbLyuR40
いつも男勝りな姉がする女らしいおしゃれって最高だと思う


68 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 01:21:52.57 ID:VEsoYU83O
姉「……弟。もう一度言ってくれるか」

弟「えっ……」

姉「……その……『綺麗だ』と……」

弟「……姉、綺麗だ」

姉「……」

弟「……どうした」

姉「……お前に言ってもらえると……なぜか胸が熱くなってくるな……」

弟「……」

姉「弟……屋敷の入口まで送ってくれるか?」

弟「……木刀しか差せない半人前で良ければ」

姉「ふふ……お前ほど頼りになる付添人はいないぞ」

弟「……」

姉「さぁ……参ろうか」

弟「ああ……」


69 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 01:44:45.81 ID:BqO+9zWNO
>>67その最たるものが
白無垢とウェディングドレスよね


70 :1 [sage] :2009/12/07(月) 01:56:18.77 ID:VEsoYU83O
申し訳ないストック尽きた。もしもしだから脳内ストック綴るの遅いし
終わらないまま寝るかもしれないから色々と無責任でごめんね


71 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 03:02:45.87 ID:VEsoYU83O
姉「……」

弟「……姉。町の人の目を引いているぞ」

姉「わ、分かっている」

弟「普段の稽古着の姉とは別人だからな」

姉「う、うるさい」

弟「はは――。……」

姉「……弟……私の横に並んではくれないのか?」

弟「……仮にも祝言を控えた女子に、誤解を招くような振る舞いはできない」

姉「そ、そんな、たかが姉弟ではないか」

弟「今のオレはただの付添人だ」

姉(…………誤解、か――)

弟「……」

姉(……何故だ。胸が苦しい……苦しくてたまらぬ……)


72 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 03:08:03.01 ID:xLomLtdPO
がんがって


74 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 03:21:08.39 ID:VEsoYU83O
姉「着いてしまったな」

弟「……オレは門の外で待っている」

姉「恐らく帰りは夕刻を過ぎる。昼はどうするのだ。先に帰るといい」

弟「……まぁそのときの気分次第だ。だができる限り迎えには来たい」

姉「……うむ、それは心強い。では、またな」

弟「ああ。頑張ってな」

姉「……」

弟「……どうした。震えているのか」

姉「……そう、だな。少し寒いかもしれぬ……」

弟「……」…ポン

姉「!」

弟「肩に手を置くだけでもだいぶ違うだろ。大丈夫、もう寒くない」ニッ

姉「……止まった……」

弟「よし。頑張ってなっ」

姉「うっ、うむっ!」


75 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 03:44:15.51 ID:VEsoYU83O
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
町人「おい坊主、こんな所に座ってると風邪ひくぜ」

弟「……気持ちだけ受け取っておく。オレには今、待ち人がいる」

町人「へぇそうかい。それじゃあな――」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
町人い「なんだって」

町人ろ「待ち人がいるんだとよ」

い「へぇ。それにしたってもう随分長ぇこと踏ん張ってるぜ」

ろ「どっかの武家の小せがれだろ。てぇしたもんじゃあねえか」

い「にしても木刀じゃ格好つかねぇよな。いくらガキでもあんくらいの歳なら脇差ぐらい差してるもんだぜ」

ろ「武士の魂たぁ値が張るからな。なにか訳ありなんだろうな」

い「……おぉ寒。行くぞ行くぞ」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆


77 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 04:06:05.50 ID:VEsoYU83O

男「……いやあ、それにしてもお美しい」ニコニコ

叔父「でしょう。我が兄上自慢の生娘でしてな」

姉「……」

男「武芸を嗜むと伺っていた手前、よほど男子めいた風体を浮かべていたのですが。
 なかなかどうして、これほどまで器量の良い姫君であったとは……」

姉「……」

叔父「これ姉、何か言わんか」

姉「は……申し訳ございませぬ……」

男「いやいや。この憂い顔で言葉少なな性情もまた、並々ならぬ魅力をお見受けします」

叔父「そうおっしゃって頂けると幸いに存じますわ」ハハハ…

姉「……」

姉(先程から同じ語らいの繰り返し……。もう申の刻も過ぎるというのに……)

姉(弟は大丈夫だろうか……ちゃんと昼餉はとったのだろうか……)

姉(弟……)


78 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 04:18:01.01 ID:VEsoYU83O
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
い「……うわっ。まだいるぜあのガキ。まさかあれからあのまんまかぁ」

ろ「流石に可哀相になってきたなぁ」

い「胡坐かいて目ぇ閉じて……もう凍え死んでたりしてな」

ろ「演技でもないこと言うなよ」

い「へへ。さ、日も落ちたことだし、とっとと遊郭まで急ごうぜ」

ろ「坊主、頑張りなよ……」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
弟「……」

弟「…………」

弟(遅いな。夜の帳が落ちてきた。……もう暗い)

弟(……)

弟(……姉……)


79 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 04:38:08.00 ID:VEsoYU83O
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
弟(もうすっかり夜だが……まさか泊まり込む気か?)

弟(む……人の気配……)



浪人「……今宵から決行するそうだ」ザッ ザッ

チンピラ「へぇ、旦那もああみえて手が早ぇのな」ザッ ザッ

浪人「善は急げというだろう。……いや、決して善とは言えないか……」ザッ

チンピラ「しかしあの女子、とんだ別嬪だったぜ。すぐ食いたくなるのも分からぁ」ザッ

弟(止まった……。むっ、あいつらはいつかの……)

浪人「拙者は此度の件、気乗りはしてないがな……」

チンピラ「へっ、善人ぶってももう遅いぜ。俺たちゃとっくに共犯だ」

浪人「それは承知の上だ」

弟(……あいつら。この屋敷になにか用でもあるのか……?)


80 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 04:54:27.50 ID:VEsoYU83O
チンピラ「……にしてもよぉ。こんなでけぇ屋敷乗っ取るよか、遊郭に売り払った方が銭になるってなぁ本当かよ?」

浪人「しっ……」

弟(!?)

チンピラ「ばーか誰もいやしねぇよ」

浪人「……ふん。お前は何も聞いてはおらんのだな」

チンピラ「ああ?」

浪人「婚姻を結んだ上で、遊郭に差し出すのだ。一挙両得の一攫千金よ」

弟(――何の……話をしている……)

チンピラ「そんな上手くいくか? 第一、嫁方の家にばれたら……」

浪人「案ずるな。身寄りは弟が一人、それ以外に居ないと聞いている」

チンピラ「いざとなったらどうにでもなるってか。へへ、そうなったら俺にやらせろよ」

浪人「それは最後の一手だ。まずは拙者が言い聞かせるつもりだ」

チンピラ「へへへ、聞き分けるわきゃあねーよ」


81 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 05:09:57.49 ID:VEsoYU83O
チンピラ「なんせ唯一の肉親を拉致も同然に遊女にされたとあっちゃあなぁ」

弟(――――――)

浪人「いや、すぐに引き渡すわけではない。婚姻の建前、しばらく軟禁しておく手筈となっている」

チンピラ「だから旦那は食っちまいたいんだろぉ、ハツモノをよぉ」

浪人「……どこまでも下劣な奴め……」

チンピラ「あーあ、俺らにもおこぼれくれねぇかなぁ、おい」

浪人「貴様と一緒にするな。拙者はやむなく加担してるに過ぎん。ひとえに報酬分の役目を果たすのみ」

チンピラ「けっ……面白くもない堅物め」

弟(――――――)

弟(――――――)

弟(――姉が――危ない――)


82 :1 [] :2009/12/07(月) 05:17:03.68 ID:VEsoYU83O
もう限界、寝ます
ストック溜め込まなかった分際で不躾極まりないですが
もし良かったら気が向いた方だけでいいんで保守お願いしておきます
では――


83 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 05:25:31.66 ID:3Zz6tOb3O
ヨネが来ないな


85 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 05:43:53.16 ID:3Oz9+H3oO
鬱エンドは勘弁してくれよ


88 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 08:39:31.62 ID:QR4mhvJqO
>>85
俺たちの>>1がそんなことするわけないだろ


米田がみたら泣くぞ


89 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 08:44:24.26 ID:ngMuUjfp0
指摘するのも面倒なくらい日本語の間違いがありすぎる


90 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 09:41:59.25 ID:TpQtvf4fO
普通に現代語で書いたら最高だった


95 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 12:13:36.01 ID:VEsoYU83O

男「――おっと。いつの間に夜になってしまいましたか」

姉(……!)

叔父「左様ですな。では今日はこの辺でお開きということに……」

姉(ようやく帰れる! 家まで急がねば。弟のやつも心配しておろう)

男「義父上、姉殿。ここで提案なのですが」

叔父「む」

男「外もとっぷり暗くなってきたことですし、今晩だけ、姉殿にわたしの別邸へ泊まっていただく、というのは」

姉「!」

叔父「ほう、それは是非」

姉「きょ、恐縮ながら折角のお申し出ですが、丁重に」

叔父「これ、姉――」ジロッ

姉「……はい。それならばお言葉に甘えさせて頂きます――」

男「それがよろしいでしょう。心配いりません、この近くなんですよ」ニコニコ

叔父「良かったではないか、姉」

姉(――やむを得んだろう。明朝、弟に詫びを入れよう……)


97 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 12:35:54.96 ID:aBWdMbuKP
姉にイラッとくる


98 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 12:42:30.21 ID:RisuGzD5O
叔父死ね


100 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 13:18:52.98 ID:TpQtvf4fO
この>>1さては学生だな


101 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 13:24:07.40 ID:VEsoYU83O

チンピラ「……お。やーっと来やがったぜ」

弟(! 姉!!)

男「……お待たせしました」

浪人「滅相も御座らぬ。さ、荷をお持ちいたしましょう」

姉「……あの。こちらのお二方は」

男「あぁ、わたしの護衛に雇っている者です。腕も立つので道中安泰でしょう」

チンピラ「へへへ、よろしく」

浪人「……」ペコリ

姉「……」

男「……さ、参りましょう」

姉(……弟は……帰ったみたいだな。当然か。よかった、風邪でも引いたら大変だからな……)

ザッザザッザザッザザッザッザッ……



弟(……)スック

スッ スッ スッ スッ……


102 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 13:44:18.91 ID:Aj4CTgmp0
摺り足か


103 :1 [sage] :2009/12/07(月) 14:10:52.31 ID:VEsoYU83O
>>100
何が最善の解答か分からないので伏せ

更新遅くて本当にすまない、リアルの都合優先させて
拙作だけれど気長に待って欲しい


106 :VIPがお送りします [] :2009/12/07(月) 15:49:18.27 ID:M3GQBsVHO
町人い・ろに期待


109 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 17:01:58.01 ID:VEsoYU83O
弟(……どこまで行くつもりだ……)

浪人「……」チラッ

弟(! ……)ス…

チンピラ「どうした」ザッザッ…

浪人「……いや。気のせいだ」…ザッザッ…

弟(…………)

弟(……危ない……)

弟(……大小二本差し……本物……)

◆……ザッザッザッザッ……◆

弟(…………もう半里は歩いたぞ。ここらは外れだ、人気もない。一体どこまで……)

姉「…………もし。あとどれ程」

男「着きました。この裏手です」

弟(!)


110 :VIPがお送りします [保守してくれて感謝] :2009/12/07(月) 17:03:26.21 ID:VEsoYU83O
姉「え……この小路から?」

男「もう子の刻ですからね。裏門しか開いてないのですよ。ささ」

姉「は、はい……。――? 護衛の方々は?」

浪人「我らはお役御免に候」

チンピラ「ここでお別れ、もう帰らせてもらうのさ」

男「そういう訳です。では参りましょう」

姉「は……はい……」

チンピラ「へへ、またねぇ姉ちゃん」

浪人「では後日……」



弟(姉! ……行ってしまった。すぐに後を……)

チンピラ「……」
浪人「……」

弟(……? あの二人……)

弟(……帰るんじゃないのか?)


111 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/07(月) 17:04:49.84 ID:VEsoYU83O
弟(提灯を消して……見張りか。これはもう完全に黒だろ)

弟(一刻も早く姉の元へ向かいたい――が、どうする。相手は白刃持ちが二人……や、やるのか?)グッ…

弟(……いや、場所は割れたんだ。明朝一番に奉行に通じるが善策……)

チンピラ「はぁ〜。それにしてもよ。見れば見るほどイイ女だったよなぁ」

弟(……!)

浪人「……またその話か」

チンピラ「あれで生娘ってんだからなぁ、貴重だよなぁ」

浪人「この色気違いめ……」

チンピラ「今から旦那はあの娘の女を……く〜っいいなぁ〜。羨ましいぃ」

浪人「興味も沸かんな」

チンピラ「あんな別嬪が遊郭に出りゃあすぐに買うぜ俺ぁ。
 中古ってな気に入らねぇが、その分何度も名指してやりたい放題に……」

浪人「何奴っ」

チンピラ「あん?」


弟「………………」ザッ


112 :1 [sage] :2009/12/07(月) 17:08:04.89 ID:VEsoYU83O
バイトいてくる
零時にスレ生き残ってたら続きをちんたら書く
好き勝手なローペースで本当に申し訳ない。では



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