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男「いらっしゃいませ、ギルドへようこそ」
- 162 :1 ◆1pwI6k86kA []
:2009/09/13(日) 21:25:40.83 ID:7ZFVjIW9O
ピチチチ・・・ピチチチ・・・
男「・・・」
生温い風が、木々の合間に届いた。
朝一番の陽を受けてやってきた風である。
男「・・・ん・・・ぁあ・・・ふぁああ・・・」
心地よい風が裾から入り、体の内側を撫でてゆく。
男「・・・朝・・・かぁ・・・」
男は上体を起こして、大きなあくびを出した。
体が汗ばむ良い眠りではなかったが、寝起きは悪くない。
男「・・・よし・・・明るくなった・・・」
男「・・・行こう・・・」
男「今日も・・・歩くか・・・」
- 169 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 21:55:27.06 ID:EX0Zn3jBO
いつも楽しませてもらってます
頑張ってください
- 170 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 21:56:13.39 ID:/akrsd8o0
ザッザッザッ・・・
いつからだろう。俺にも夢はあったのだ。
大きな夢ではない。今となっては叶い、捨てた夢だ。
ギルドで働くという夢が、昔があったのだ。
ギルドでは多くの傭兵が集まり、世のための仕事を請け負い、達成し、報酬を渡される。
ちょっと乱暴で、粗雑な会話も多い男たちの職場ではあるが、俺は昔、確かにそこに、憧れを見た。
彼らがどこかの世界で戦士として、あるいは勇者として、言い方を変えれば魔術師だっているだろう。
そんなつわものたちが集まり、情報交換し・・・。
世界の果てへ飛び、働き、誰かに喜びを与えて戻ってくる。
俺はそんなギルドに、憧れていたのだ。
ザッザッザッ・・・
- 172 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 22:02:35.97 ID:/akrsd8o0
ギルドでは世界の勇者たちに、仕事人達に、さまざまな役目を与える。
護衛をしなさい、
討伐をしなさい、
運搬をしなさい。
それらは全て名誉あることだ。全てが、誰かの役に立ち、全てが世の中の役に立つ。
男たち、あるいは女たちは、どの役目が自分に合っているのかを吟味して、仕事を選ぶ。
自分ならばこれはできる、やってやる、手助けしてやるぞ。
俺にまかせろ、すぐにいくからな、なに、ほんの少し手を貸してやるだけさ。
・・・俺は、そんな優しい、酒飲みで、力強い男たちに憧れて、ギルド員を目指したのだ。
ザッザッザッ・・・
男「・・・」
俺も昔、彼ら傭兵に助けられたことがある。
ほんの少し迷子になって、そこから助けられただけの小さな事であったが、あの時の男の大きな背中は、今でも覚えている。
そんな出来事が、昔の俺に「この人たちを手助けしたい」と思わせた。
・・・今となってはそれがどうなのか、今でも気持ちはかわっていないのか、
・・・正直、よくわからないな。
ザッザッザッ・・・
- 173 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 22:07:52.27 ID:/akrsd8o0
ポトッ
男「・・・あ」
ボタンが外れた。
金色の、細かな模様の入った、無駄に綺麗なボタンだ。
はじめてこの紅い服を着た時に、真っ先に気に入った金色のボタン。
ここに来るまでの過酷な道のりで、耐えきれず外れてしまったのだろう。
男「・・・」
途中までボタンに手を伸ばしたが、それが止まる。
俺が、これを拾う意味はあるのか。むしろ、俺に拾う権利はあるのか。
この金のボタンを、またつける時なんてやってこないのに。
男「・・・」
木の根の間に落ちたひとつのボタンが、俺の足を何よりも重く、その場にくくりつける。
動けない。身動きができない。
半開きになった手をどこに延ばせばいいのか、俺にはわからなかった。
- 174 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 22:13:31.25 ID:/akrsd8o0
ザッザッザッ・・・
男「・・・拾ってしまった」
ポケットの中のボタンがやけに重い。
何のために拾ったか、それは保留にして、しかし胸ポケットの中にしっかりと、ボタンを入れてしまった。
男「(・・・これを拾って・・・どうするんだよ)」
男「(・・・俺はどうしたいんだよ)」
男「(わからないよ・・・俺はどこに行きたいんだよ)」
男「(誰か教えてくれよ・・・俺はどこに・・・どこに行けばいいんだよ)」
男「(戻っていいのかよ、進めばいいのかよ・・・)」
男「(・・・わかんねぇよ・・・わからないよ・・・)」
ザッザッザッ・・・
- 176 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 22:19:50.80 ID:/akrsd8o0
男「・・・あれ」
男「(・・・何か・・・変な臭いがする)」
男「(すごく良い香り・・・花のような・・・果物のような・・・)」
男「(何か・・・この先に・・・あるのかな・・・?)」
ザッザッザッ・・・
男「(果物・・・花・・・こんな場所に・・・?)」
グッ、ググ・・・
男「(ここを越えれば・・・着く・・・はず・・・!)」
グッ
男「・・・ふー・・・」
男「・・・って、あれ」
術師「・・・」
男「あれ、術師さん・・・じゃないですか」
術師「・・・来たか」
男「ええ、まぁはい・・・?ここはどこですか?随分と広い・・・場所のようですが」
術師「・・・」
男「この先にもまだ登る場所はありますよね?そこまで行きたいんですけど、ちょっとここからだと良く見えないので・・・」
術師「・・・立ってみろ」
男「?・・・はい」
術師「手を貸そうか」
男「あ、いえいえ、これくらいもう登れますから・・・」
グッ
- 177 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 22:23:55.29 ID:/akrsd8o0
男「よっ・・・こい・・・しょおっと・・・」
術師「・・・」
男「ふー・・・どれどれ・・・」
男「・・・あれ」
術師「・・・おめでとう」
男「・・・術師さん、ここ・・・ただ広い森があるだけで・・・それだけの、平地・・・?に見えますけど」
術師「・・・ああ」
男「・・・」
術師「・・・こんなものだ、目指していた対岸など」
男「・・・」
術師「見飽きた景色だろう、森だ、延々と続いていく鬱蒼の木々・・・」
男「・・・あ、あの、ここって」
術師「・・・ようこそ、仙界の山、真の奥地へ」
- 178 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 22:27:31.30 ID:/akrsd8o0
男「・・・」
嘘のような景色が広がっていた。
広さはあまりないにしても、全てを回るにしてはやや時間がかかりそうな、そんな土地の大きさ。
一面は緑の葉で覆われて地面は見えない、・・・おそらく、今まで俺が歩いて来たところとほぼ同じだろうが・・・。
そこには確かに、地面があるのだろう。
だが、どこを見回せど、
その地面よりも高い“斜面”などは、どこにも見当たらなかった。
男「・・・これが・・・頂上・・・」
術師「・・・」
- 179 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 22:31:21.30 ID:/akrsd8o0
男「・・・俺は、そんなに歩いて・・・いや、いないはず・・・」
術師「歩いたのだ、悩みと慣れが時間を忘れさせた」
男「・・・」
術師「周りを見ろ、既に夕時だ」
男「・・・あ」
術師「無心で登り、歩き、走り・・・その結果がここだ」
術師「どうだ、どう思う、ここがお前の求めていたもの」
男「・・・」
術師「ここが、お前が目指していた場所」
男「・・・」
術師「ここが、お前の“逃げ場”“だった場所”」
男「・・・」
術師「・・・終点だ」
男「そんな・・・早すぎる・・・早すぎる・・・俺はまだ何も・・・」
術師「何も、結論は出せていない」
男「・・・はい・・・」
術師「・・・だが、着いてしまった」
男「・・・そんな・・・」
- 181 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 22:38:05.53 ID:/akrsd8o0
男「何も決めていない・・・まだ俺は・・・どうするかなんて・・・」
術師「決めかねているつもりか?」
術師「本当は分かっていたのではないのか」
術師「こんな“何もない”山に登ったところで、何も得られないことくらい」
男「・・・」
術師「これが現実だ」
術師「・・・ここは山、お前の居るべき場所ではない・・・最初からわかっていただろう」
男「・・・」
術師「ここに棲める者などはいない」
術師「あまりに強すぎる瘴気を抑えられる“神”がいるからだ」
術師「“神”は木を育て、ただひたすらに“毒”を生みだし続ける」
術師「それがこの山だ、この山の上部には、生き物はいない」
男「・・・」
術師「人が踏み入ることのできる土地ではないし、住める土地ではないのだ」
男「・・・」
術師「・・・お前の居場所は、ここにない」
男「・・・そんな」
男「じゃあ俺は・・・どこに行けばいいんだ・・・」
- 182 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 22:43:52.58 ID:/akrsd8o0
術師「いつまで結論を誤魔化し続ける」
男「・・・」
術師「・・・そうだな、私から少し・・・後押しのヒントをやろう」
術師「お前の居場所は、少なくとも“ここではない”」
男「・・・」
術師「・・・帰れ、お前の居るべき場所に」
男「・・・無理だ・・・」
術師「無理ではない」
男「無理・・・なんだよ・・・!」
男「俺はもう・・・何にも無いんだ・・・全てを失ったんだ・・・!」
男「信用も・・・功績も・・・全部消えてなくなった!」
男「・・・もう行く場所なんて無い・・・無いんだ・・・」
術師「・・・」
男「だから・・・だから俺は・・・ここに来たんです・・・!ここまで“逃げて”きたんです・・・!」
術師「・・・お前」
男「あなたに・・・あなたに出会わなければ・・・もっと早くに死ねたのに・・・!」
術師「・・・ここで死ぬつもりか?」
男「そうですよ、いけませんか!」
術師「・・・」
男「・・・ほんの少しの・・・少しの希望にすがってみたんです・・・ここに来るまでの間」
男「何かあるんじゃないか、何か俺にはできるんじゃないかって」
男「ギルドにはない何か、夢が、俺にはあるんじゃないかって」
術師「・・・」
男「・・・見つからなかった・・・こんなに、苦労して登って来ても・・・」
- 183 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 22:50:05.54 ID:/akrsd8o0
男「・・・頂上にくれば・・・何か変わると思った」
男「もしかしたら、自分の気が変わるんじゃないか、とか」
男「ギルド員としての誇りをまた、思い出せるんじゃないか、とか」
男「・・・何かの拍子で、また街へ舞い戻ってこれるんじゃないか、とか」
男「・・・駄目だった、だから、俺はもう死ぬしかないんですよ」
術師「・・・」
男「最後に・・・すごい事ができましたよ、こんな・・・大きな山に登ることができて」
術師「・・・」
男「・・・山が・・・こんなに、良いところだったなんて・・・知らなかった」
術師「・・・」
男「・・・俺は、もう戻れない・・・戻りたくない」
男「・・・きっかけは些細な、笑ってしまうほど小さな・・・子供の頑固みたいなもんですけどね、決別するには十分な材料なら既にそろっていたので」
術師「・・・」
男「・・・ここで、長い間、眠らせてもらいます・・・」
ゴロン
男「・・・はー・・・最後にこんなに良いところにこれて・・・良かった」
男「・・・ここなら・・・ゆっくり眠れそう・・・」
- 186 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:02:57.71 ID:/akrsd8o0
術師「・・・」
術師「(生身の・・・非力な人間が、よくここまで来れたものだ)」
術師「(それなりの覚悟や、精神力がなければ・・・相応の“ばね”がなくては、ここまで来れなかっただろう)」
術師「(・・・この人間は、最後の最後に・・・諦めるために)」
毒師「(こんな、人里離れた場所にまで・・・“追いやられて”しまったのか)」
毒師「(・・・だとしたら・・・)」
毒神「(・・・これほど、哀しいことは無い)」
毒神「(何故死に場所を見つけるために、歩かなければならなかった)」
毒神「(何故、強い思いを、夢を振り切るために・・・ここまで来なければならなかった)」
毒神「(私が生み出す瘴気の中を、呪われた木々をくぐり、飢えにも寒さにも耐えて・・・)」
毒神「(・・・こいつは、こいつなりに・・・自分の居場所を探そうとしていたのに)」
毒神「・・・」
男「・・・」
- 187 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 23:05:05.05 ID:9X1zhAM20
神様だったんか
- 188 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 23:05:50.07 ID:qPQWRhov0
予想はしていた
- 189 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:08:47.96 ID:/akrsd8o0
術師「風よ、木々よ、水よ」
術師「すまないが私の頼みを聞いてほしい」
ヒュゥゥウウウゥ・・・
術師「ほんの少しで良い、運びものをしてもらいたいのだ」
術師「風が運ぶにしては、多少重いこの葉とは思う」
術師「しかしこれは、是非お願いしたい」
ヒュゥゥ・・・
術師「どうかこの大荷物を、下まで、送り届けて欲しい」
男「・・・」
・・・
毒師「でなければ」
毒神「・・・この山も、多少の改装と相成るが・・・」
ヒュゥゥウウウウ・・・
ゴォオオオォオオオオォ・・・
毒神「・・・すまないな、頼むぞ」
- 190 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 23:08:59.79 ID:TLjdh0ER0
俺は予想外だった
- 191 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 23:12:32.21 ID:epBqO84o0
結構まえ宝探しのSS書いてた人?
- 192 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:13:47.10 ID:/akrsd8o0
ああ、それとだ。
その荷物の横に、ついでにこの木片も置いてやってほしい。
なに、少し力を込めただけの代物だ。
・・・しっかり運べよ。
乱暴に降ろすことも、その木片を置かぬことも許さん。
もしこの程度の遣い、果たせないようであるなら・・・
この山ごと、貴様ら命、枯らし、土に還してやる。
・・・よろしい。
では行け。
・・・。
お前にとっての最善が、これであると・・・私は信じたい。
- 193 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:19:07.09 ID:/akrsd8o0
「・・・お、おいあれ」
「・・・死体?嘘・・・うっ、なんだか変な臭い・・・」
「おいおいやめてくれよ・・・腐ってないだろうな・・・」
「うう・・・そんな感じの臭いではないけれど・・・あ」
「・・・?どうした?」
「この・・・紅い服・・・もしかして」
山のすぐ近く、広く長い街道の上で、一人の行方不明者が発見された。
彼の意識は無かったが脈はあったため、発見されその後すぐ診療所に搬送、
治療を受け、一命を取り留めたという。
なんでも、ひどい脱水症状、軽微な酸素中毒、栄養失調であったらしい。
- 194 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 23:20:47.41 ID:SorQTjpt0
改めて良SSだと思う
- 195 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:24:48.67 ID:/akrsd8o0
男「・・・う・・・」
上司「・・・お」
男「・・・く・・・頭が痛い・・・ここ・・・は・・・」
上司「起きたか、男」
男「!?」
男「(な、なんで・・・上司さんが・・・ここに・・・!)」
上司「四日寝ていたそうだぞ、大変だったな」
男「・・・え?」
上司「・・・?覚えていないのか?」
男「・・・あ、あの・・・はい・・・ここは・・・」
上司「ここは治療室のベッドだ、ギルドのな」
男「・・・は、はぁ・・・」
上司「もう一週間以上前だがな、お前が失踪して・・・」
男「失踪・・・」
上司「ああ、おそらく魔族にでも攫われたのだろうな、四日前に発見されたお前の右手に」
コロン
上司「・・・こんな、木片が握られていた」
男「・・・?これは・・・」
上司「さあな、ギルドのお偉いさんが調べてくれたが、よくわからん代物らしい」
上司「・・・覚えていないか?」
男「・・・・」
男「・・・はい」
- 196 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:29:46.63 ID:/akrsd8o0
上司「分析担当の一人はこれを“新種の魔族の組織の一部”であるとした」
男「・・・」
上司「この木片にはどうやら、強い毒物のようなものが混入していてな・・・」
男「毒・・・物・・・」
上司「お前が失踪したのと、この木片・・・の魔族・・・何か関係があるのやもしれん」
男「・・・」
上司「なあ、何か・・・覚えてはいないか?」
男「・・・覚え・・・て・・・ですか?」
上司「ああ、この木片に関する事・・・」
上司「俺はおそらく、こうだと思っている」
上司「この木片の魔族がお前に襲いかかり、山へと引きずり込んだ」
上司「だがお前はそこで必死に抵抗し、相手の組織の一部を・・・そう、これを引きちぎったんだ」
男「・・・」
上司「そして命からがら逃げて・・・ここまでやってきた、と」
男「・・・はあ」
上司「・・・と、思うんだがどうだろう」
男「え、」
上司「なあ、覚えていないのか?」
男「・・・あ、ああ・・・はい」
男「・・・覚えて・・・ないです」
上司「そうか・・・うーむ、まぁ、今の線で大体合ってるとは思うが・・・」
- 197 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:34:07.65 ID:/akrsd8o0
上司「最初は俺な、実はお前、さぼって辞めちまったのかと思ったんだ」
男「!」
上司「でもよかったよ、はは、いや、良くは無いか・・・死にかけたんだもんな」
男「・・・」
上司「・・・まぁ、こんな新種の魔族のデータも持ってきてくれたんだ・・・お前には感謝しなきゃ、ならないな」
男「・・・いえいえ」
上司「まだまだ体は治らないらしいからな、しばらくは休暇だ、ゆっくりすると良い」
男「・・・え」
男「あの・・・僕・・・いや、俺」
上司「ん?」
男「仕事に・・・戻れる・・・んですか?」
上司「・・・」
男「戻っても・・・良いんですか・・・?」
上司「・・・何言ってるんだよ」
上司「最近は忙しくて手がまわらねーんだ、バカみてぇなこと言ってんじゃねえよ」
男「・・・」
上司「さっさと治して、そしたらキリキリ働いてもらうからな」
上司「お前が居ないと雑用に手が回んねーんだ」
男「・・・」
男「・・・ははは・・・はい!頑張ります!」
上司「?・・・お、おう」
- 199 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:39:58.62 ID:/akrsd8o0
俺は夜道を歩いている最中、魔族に襲われ、山へと引きずりこまれた。
相手は新種の魔族で、植物の組織を持った獰猛な、毒性の強い魔族らしい。
俺はそいつの巣に引き込まれるも、必死に抵抗。
相手の体を引きちぎり、ひるんだ隙に俺は逃げた。
三日三晩の逃亡劇で服はめちゃくちゃ、食料も水もままならない、過酷な時間だった。
そうして気付けば道に倒れていたという。
・・・ま、そういうことだそうだ。
「なあなあ、あんちゃん!新種の魔族ってな、一体どんな奴だったんだ!?そいつ強えーのか!?」
男「・・・あの、ここは受付なので・・・」
「なんでぇなんでぇ、少しくらい良いだろ?」
男「・・・あの、仕事中なので・・・」
「・・・なんだよ、悔しくないのか?やられっぱなしでよ」
男「・・・え?」
「あんたには世話になってるからな、討伐任務がありゃあ、そいつぶっ倒して仇討ちしてやろうかと思ったんだがよ」
男「・・・」
男「は、ははは・・・お気持ちだけで、嬉しいですよ・・・はは」
「おいおい、・・・ったく、気弱だなぁ」
- 200 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 23:41:03.86 ID:yEmeXAkO0
イイハナシダナー
- 202 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:44:18.48 ID:/akrsd8o0
術師「・・・怒りを鎮めたまえ・・・風よ、木々よ・・・」
シャンシャンッ
術師「・・・いや、わかっていた・・・すまない、研究員の手がこの山にまで伸びてくる・・・わかっていた」
術師「許してくれ、そうするしかなかったんだ」
シャンシャンッ
術師「・・・ふ、しかし・・・“植物組織を持つ毒性の強い魔族”・・・か」
術師「なかなか面白い討伐対象だ・・・名前はなんとする気かな?」
術師「そうやすやすと・・・討伐できる相手だとは・・思わない方が良い」
シャンシャンッ
術師「私は・・・少し、怒りっぽいからな・・・」
シャンシャンッ
術師「・・・っとと、昂るとまた、毒が漏れてしまう・・・」
- 203 :VIPがお送りします [sage] :2009/09/13(日) 23:44:46.81 ID:xhQXku1f0
新種の魔族って毒神様のこと?
- 204 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 23:48:02.93 ID:kIEl7H5DO
新たなる展開…ゴクリ…
- 205 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:48:57.33 ID:/akrsd8o0
男「はい、ではDランク・・・討伐、たしかに2名、受付しました」
「・・・本当に大丈夫なの?」
「あたぼーよ、俺に任せておけ」
男「(・・・ふぅ)」
男「(やれやれ・・・やっぱり今日も、人は絶えないな・・・色々なギルドの担当に回されるし・・・異動みたいなもんだよ、これじゃ)」
男「(・・・でも)」
男「(・・・まぁ・・・悪くは・・・ないな)」
男「(俺にはやっぱり・・・ここが一番だ・・・ははは)」
男「・・・!(しまった、客だ・・・)」
男「・・・いらっしゃいませ!ギルドへようこそ!」
おわり
- 206 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 23:49:31.55 ID:TM1bjLHbO
いや、毒男が魔族呼ばわりされてるだけ
- 207 :VIPがお送りします [sage] :2009/09/13(日) 23:51:04.60 ID:uUkhxSNJO
続き気になるが乙
- 209 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 23:51:48.94 ID:TM1bjLHbO
乙でした!次回作に激しく期待!!
- 211 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:53:13.52 ID:7ZFVjIW9O
保守してくれた人ありがとう
タコスにとんかつソースは悪くない
- 212 :VIPがお送りします [] :2009/09/13(日) 23:54:15.32 ID:wsPcqDw60
おつうううううううううううううううううううううううううう
- 213 :VIPがお送りします [sage] :2009/09/13(日) 23:54:18.98 ID:mUV/KuAd0
乙でした!久しぶりに読んでて引き込まれる作品に出会えたよ
- 215 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/13(日) 23:57:54.38 ID:7ZFVjIW9O
>>191
多分そうだと思う
- 216 :VIPがお送りします [] :2009/09/14(月) 00:00:04.05 ID:Cy6CZkCdO
まて、毒神&大自然の力VS人間の壮絶な戦争は無しか?
- 217 :VIPがお送りします [sage] :2009/09/14(月) 00:02:10.33 ID:hSpOlyRt0
続きも見たいが
- 218 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/14(月) 00:08:41.95 ID:tnqGFop1O
もしも続きの話があるのなら、主人公の男は登場しないだろうね
シャワー気持ち良い
- 219 :VIPがお送りします [] :2009/09/14(月) 00:13:14.32 ID:UKV28tCWO
乙 楽しかったよ
- 221 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/09/14(月) 00:31:11.08 ID:tnqGFop1O
木の実を幾つかもらって、残りは?という疑問があったかもしれないけど
それはつまり全部食ってしまったと
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