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医師「・・・また夢だ・・・」
- 25 :1 ◆1pwI6k86kA []
:2009/12/05(土) 21:16:29.49 ID:bgsIMEJl0
“着床診療所”
女「・・・ふー、指先が寒い・・・」
医師「ここだ、いやぁ、案外早くついてしまうもんだ」
女「・・・閉まってる・・・夕方だし当たり前か・・・」
医師「まあ紹介状くらいだからね、応じてくれるだろう」
コンコン
女「・・・ところで、どうして着床師っていうんですか」
医師「うん?・・・ああ、そうだなぁ・・・」
医師「最近は結構流行っているでしょ、機械の体」
女「・・・・そうですね、全体だったり義手だったり」
医師「うん、手足を失ったり大やけどを負ったりすると、よく・・・ほら、あんな感じ」
ガシャン、ガシャン
『いらっしゃーい、リンゴ3個まとめて13YENだよー』
ガシャン、ガシャン
医師「機械の体にするでしょう、彼みたいに」
女「そうですね・・・安いな、買おうかな・・・」
医師「あー、やめときなさい、味がへんだったりする売れ残りだから」
- 26 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 21:21:07.23 ID:bgsIMEJl0
医師「・・・たとえば今日きた男の子、腕がもう大変な事になってたでしょ」
女「ああ・・・もうぐちゃぐちゃでしたね、可哀そうでした」
医師「彼は歯車に巻き込まれたと言っていたかな・・・まぁ、彼のような患者さんだね」
医師「彼みたいなもう治療では施しようのない重傷を負った人は・・・その患部を義手や義肢にしてもらうでしょう」
女「そうですね」
医師「その際、ただ人形の腕をぺたっ、っとくっつけても痛いだけだからね、ちゃんと腕だったり脚だったり、動くようにしてやらにゃいかん」
女「ふむふむ」
医師「そのために必要なのが、腕を腕として、脚を脚としてまた使えるようくっつける・・・それが、着床師」
女「なるほど、勉強になりました」
医師「意味は魂と物体を結合・・・という由来だったかな、まぁ初歩だからこれくらいはしっかり覚えておきなさい」
女「はい」
医師「・・・出てきませんね」
女「そうですね」
- 27 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 21:27:25.89 ID:bgsIMEJl0
女「留守・・・?もう帰ったんじゃないですか?」
医師「まさかぁ、・・・うーん、自宅とくっついてるんだからいるはずなんだけどな・・・」
女「買い物とか」
医師「うーむ、それはちょっと困るなぁ・・・いつ帰ってくるのか・・・」
??「あら、どうしまし・・・って、あらやだ先生じゃないですか!」
女「ん」
医師「おっ」
少女「お久しぶりですねぇ医師さん!」
医師「おお・・・着床師さん、お久しぶりです・・・いやいや、随分と大きくなられて」
女「え?」
少女「あ、そちらの女性は・・・」
医師「ああ、彼女はね、私の助手ですよ、助手・・・なかなか“気のきく”方です、ははは」
女「・・・え、この子が・・・?」
少女「はじめまして!私、ここの着床師の少女と申します!」
女「あ・・・うん、はい、よろしく・・・」
- 28 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 21:34:26.26 ID:bgsIMEJl0
コポポポ・・・
女「・・・」
少女「散らかっていてすみませんね、仕事終わってからそのまま買い物に出かけちゃってて・・・」
医師「ははは、お気になさらず」
少女「外は寒かったでしょ?今紅茶を淹れてますからね・・・少々お待ちを・・・」
医師「・・・ああ、そうだ、忘れない内に・・・」スッ
少女「はい?・・・ああ、招待状ですね・・・どれどれ」
少女「・・・ふむふむ、右腕が・・・んー、若いなぁ・・・」
医師「難しいでしょうかねぇ」
少女「いいえ・・・患部は問題ないです、綺麗に着床させられると思います・・・が・・・」
女「・・・何か問題が?」
少女「・・・患者さんは8歳、ですか・・・ここがちょっと」
女「?」
少女「幼いと、成長するでしょう?大人になるまで・・・その時に義手に影響が出てしまうかもしれないんです」
女「・・・ああ・・・サイズとかの問題で」
少女「切断もするので、痛みも伴いますし・・・なかなか難しいんです、このくらいの歳の患者さんだと」
女「はあ・・・」
女「(・・・お若いですね、着床師の先生)」ボソボソ
医師「(ああ・・・まぁ専門的な技術職だからね、才能とかそういう部分も多い業界なんですよ)」ボソボソ
少女「まぁ・・・うん、やれるだけやってみます」
- 29 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 21:38:02.33 ID:bgsIMEJl0
コトッ
少女「今日はわざわざ、ありがとうございます、外は寒いのに・・・」
女「いえいえ、・・・・それにしても御立派ですね、先生」
少女「え?い、いやぁー、そんなことぉ・・・父から技を教わっただけです・・・まだまだですよ」
女「(しっかりした子だなぁ・・・)」
ズズズ・・・
医師「・・・うん、甘さも丁度良くて美味しいよ、ははは」
少女「本当?嬉しいなぁ」
女「・・・(ズズズ・・・」
少女「・・・でも珍しいですね?先生がここまでわざわざ紹介状を手渡しだなんて・・・」
医師「うん?・・・あー、まぁ・・・ははは」
少女「?」
女「・・・」
医師「今日はちょっと、患者として・・・先生に相談がありましてね?」
- 31 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 21:42:40.43 ID:bgsIMEJl0
パサッ
“AA 夢想寄生メア ――夜魔”
少女「!!」
医師「先生ならば、ご存知かなと・・・」
少女「・・・はい・・・話だけは父から・・・」
女「・・・」
少女「うーん・・・夜魔の害の多くは精神や魂に直接響くものが多いですからね・・・」
医師「おお、では専門家ということで・・・?」
少女「そう・・・だと思います、こっちの業界が多分・・・理学系の教授さんよりも詳しい人もいるかなと」
医師「ははは、それは良かった・・・」
女「(・・・良くないでしょ・・・馬鹿)」
少女「・・・父から・・・父が生前に何度か話してくれたんです、この、メアっていう魔族の話・・・」
医師「ほうほう」
少女「“お前の所にこの魔族の件でくる患者がくるかもしれないから”・・・って」
医師「なるほど」
少女「・・・そしたら・・・その・・・」
医師「・・」
少女「そのぉ・・・“諦めてもらうように”・・・って・・・」
女「!!」
医師「ほおほお」
- 32 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 21:46:32.17 ID:bgsIMEJl0
女「そ、そんなのって酷いんじゃない!」
少女「えっ」
医師「こら君、はしゃがない」
女「はしゃいでない!ふざけないでください!」
医師「ふざけてはいないよ」
少女「・・・あの」
医師「・・・うん?」
少女「その、・・・なんでその、メアの話を私にしたんですか・・・?」
医師「・・・うむ、それなんです」
女「・・・」
少女「誰か、患者さんが・・・来ていたり・・・?」
医師「うむ・・・そうですね、今日は私、患者として来ていますから・・・そうなりますねぇ」
少女「!!」
- 33 :VIPがお送りします [sage] :2009/12/05(土) 21:48:05.72 ID:VeixvRBZO
久ジェミニ
- 34 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 21:52:19.11 ID:bgsIMEJl0
女「・・・」
少女「現在の症状は!?」バッ
医師「初期ですね、自覚はついニ日前くらいで、しかし始まった時期から数えると今日で6日目になります」
少女「ちょ・・・ちょっと待っててくださいっ!」
タタタタタ・・・
ガチャガチャ、ガサガサ
少女「(なんで・・・どうして先生に・・・!)」
少女「(やだよ、そんなの・・・やだよぉ・・・!)」ガサガサ
バサッ
医師「・・・これは」
少女「メアの症状による詳しい統計です・・・ちょっと待っててください・・・!」バラバラバラ
少女「・・・!」
“ケース1 初期日から7日”
“ケース2 初期日から6日”
“ケース3 初期日から6日”
“ケース4 初期日から8日”
少女「・・・そんな・・・」
- 35 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 21:57:35.06 ID:bgsIMEJl0
ずいっ
少女「!」
医師「ほうほう、初期日から“本格的な症状”までの期間、ですね」
少女「・・・はい・・・」
女「これって・・・ほとんど一週間じゃないですか!」
医師「そのようだねぇ、ふぅむ・・・“夢見心地”ももうすぐで見おさめかな?」
少女「・・・」
少女「・・・本当なんですか?先生・・・」
医師「うーん、間違っていればそれに越したことはないんだけどねぇ、何せ6日連続だからねぇ・・・」ズズズ・・・
少女「・・・ゆ、夢は全て過去の思い出からくると言われています・・・ただ単に良い夢ならば」
医師「懐かしい夢達だったよ」
少女「・・・そん・・・なぁ・・・」
女「・・・」
医師「・・・うーん、予想はしていたけど・・・まいったな」
- 36 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 22:00:56.14 ID:bgsIMEJl0
医師「やはり先程の話からすると、治療法はないと・・・」
少女「・・・はい、そのような前例は・・・」
医師「んー、やっぱりですか」ポリポリ
女「・・・待ってください、着床師さん」
少女「! は、はい」
女「あなたの技術で・・・そう、医師先生を全身機械化すれば・・・」
少女「・・・過去に2ケース、試されていますが・・・」
女「・・・」
医師「だろうね、やはり・・・試しているだろうな」
女「・・・ま、まだ2回しか試されていないんでしょ?3回目でもしかしたら、その寄生も取れたり・・・」
少女「・・・」
医師「・・・うーむ・・・」
女「・・・」
- 37 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 22:07:36.39 ID:bgsIMEJl0
少女「・・・父が、言っていました」
少女「着床師は、魂と物質を結び付けることだと・・・」
医師「・・・」
少女「だから、その魔族はおそらく・・・魂に、それもかなり根深い部分に憑依している、・・・のだと」
医師「・・・ふむ、魂に寄生・・・夜の魔族はまだまだ、道の部分が多いですねぇ」
女「呑気な・・・」
医師「ははは・・・」
少女「・・・ごめん、・・・なさい」
少女「・・・(グスッ」
少女「医師おじいちゃん・・・ごめんなさいっ・・・ぐすっ・・・」
医師「・・・ははは、なに、出来ないことは仕方ないさ・・・」
ナデナデ
女「・・・」
少女「ごめんなさい・・・ぅう・・・私、何もできない・・・お父さんも駄目って、言ってて・・・」
医師「・・・泣かない泣かない・・・はは、やれやれ・・・」
女「(・・・先生・・・)」
- 39 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 22:14:16.30 ID:bgsIMEJl0
少女「・・・ぐすっ」
医師「なるほど・・・やはりこの道の専門家も、治療法はわからないか・・・」
少女「・・・ごめんなさい・・・(グスッ」
医師「ん、気にしなくて大丈夫ですよ、どうせもう歳ですからね」
パラッ
医師「・・・統計も、数としては不十分ですが・・・どれもやはり、絶望的な結末ですね」
医師「“嫌悪の夜”から最短で一日で自殺・・・最長でも十日には自殺・・・この方は随分と耐えられた部類なのでしょうかねぇ・・・」
少女「ぅう・・・やだよ・・・おじいちゃんが死ぬなんて、やだ・・・(ポロポロ」
女「・・・よしよし・・・(ナデナデ」
医師「・・・」
医師「・・・何故これは、魔族とわかったのでしょうか」
少女「え?」
女「・・・・」
女「・・・そう、ですね・・・実体の掴めない魔族・・・何故魔族と断定できた?」
医師「おかしな話ですね、考えてみれば・・・ふむ・・・」
少女「・・・?」
女「・・・これを、魔族と勘違いした・・・実はただの病であったり」
医師「そうですね、それかもしくは・・・」
女「・・・この病を、いえ、この魔族の正体を・・・魔族であると、そこまで研究したどり着けた・・・?」
医師「そう、なりますね」
- 40 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 22:17:45.62 ID:bgsIMEJl0
女「・・・」
医師「・・・」
少女「(ふ、二人とも何か考えてる・・・)」
少女「あ、あのー、どうかしましたか・・・?」
医師「・・・女さん、ちょっとばかし、年寄りの道楽に付き合ってくれませんかね?」
少女「え」
女「ええ・・・そうですね、道楽・・・良いですよ、どこまででもお手伝いします」
医師「ははは、頼もしい、さすがは私の助手です」
少女「・・・?」
医師「・・・この魔族についての研究、もしかしたら・・・できるかもしれませんね」
少女「え!本当ですか!」
女「ええ、・・・多分」
少女「た、多分」
医師「やる価値はありますよ・・・私も、この病、興味ありますからねぇ、一医者として、ふふ」
- 42 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 22:25:06.87 ID:bgsIMEJl0
医師「まずここ、私は気になりました(スッ」
“AA 夢想寄生メア ――夜魔”
少女「・・・夜魔、の部分ですか」
女「・・・」
医師「魔族、その分類として夜にしか活動しないものは夜魔として分けられます」
医師「勘違いしやすいのですけどね、この夜魔というものは・・・本当に夜にしか活動できないんです」
少女「・・・はぁ」
医師「ならば、夜でなく昼間に寝れば良い・・・そうは思いませんか」
少女「あ、確かに」
医師「ですが・・・」
少女「・・・“昼間は、眠れない”・・・?」
医師「はい、どれも全て、症例としてそうあります」
少女「・・・」
医師「昼寝くらいはやろうと思えば誰でもできるものですけどね・・・眠れないと、この統計には書かれています」
医師「これはただの仮説なのですが・・・つまりこれは、“夜にしか眠れない力”・・・が、働いているのではないかと」
少女「・・・」
医師「・・・と、研究していた学者さんが考えたのかもしれません」
少女「・・・なるほど、それで魔族の仕業・・・夜魔の仕業である・・・と」
医師「夜魔の定義について知っていて、かつ調べようと思わなければ、この症例を夜魔の仕業であるとは思わなかったでしょう」
女「それに気付けたってことは、最初から調べるつもりで」
医師「ということかもしれません」
- 43 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 22:31:20.36 ID:bgsIMEJl0
女「私はこっち、ここを見て思った」
“ケース13 初期日から10日”
“……舌を噛み切り自殺”
少女「・・・うわぁ・・・」
女「この人だけ、やけに苦しい自殺をしています」
医師「ふむ」
女「たしかに夢の中では酷い自己嫌悪に襲われ・・・それが起きても続くかもしれないですが・・・」
女「でも私は、人はどんなに追い詰められていたと、より楽な死に方を選ぶと思うんです」
医師「・・・ふむ、そうですね、どれも・・・絞首、溺死、絞首・・・ふむ」
少女「・・・怖い」
女「・・・ごめんね」
- 44 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 22:33:06.01 ID:bgsIMEJl0
女「・・・でもこの十日の人はなぜか、あえて苦しい方法を選んだ・・・」
医師「・・・十日も耐えて発狂した・・・」
女「ええ、確かにそうも考えられますが・・・」
女「・・・これ、見てください」
医師「ん・・・?」
少女「?」
“鉄国 騎兵騎士”
医師「・・・軍人、だったようですね」
女「・・・とんでもない仮説なんですけど」
女「この人、これの研究のために何か・・・拘束、されていたんじゃないかな、と」
少女「!」
医師「・・・ふむ、なるほど、観察ということですね」
女「はい」
女「・・・非人道的な・・・研究ですけど、どうやらこれは昔のことのようですから、あり得るんじゃないかな・・・と」
少女「・・・」
医師「・・・ここで、このケース13の方で、この魔族の研究が進められた・・・と、ふむ」
女「勘なんですけどね」
医師「良い線かもしれませんけどね、ふふ」
- 46 :VIPがお送りします [] :2009/12/05(土) 22:37:43.06 ID:FHBBjYnp0
支援
ナイフ使いの人かな
- 47 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 22:38:09.87 ID:bgsIMEJl0
医師「・・・まぁ、とにかく・・・調べる価値はあると、思いますよ」
少女「・・・」
女「ええ、そうですね・・・興味も有ります」
医師「ははは、私は実は、自分の命以上にこの病について研究する方が、執着あるかもしれません」
女「・・・医師さん、それは笑えませんよ」
医師「ははは・・・」
少女「・・・あの」
医師「ん?」
少女「研究、するんですか?メアについて」
医師「・・・ええ、そうしようと思っていますよ」
少女「具体的にはどのように?」
医師「ん・・・そうですねぇ・・・」
女「まずは何故、この手帳にこの魔族があるのか・・・その経緯とか詳しい話を、出版元から訊ねてみる必要がありますね」
医師「ああ、確かにそうですね、良い着眼点です」
女「どうも」
少女「・・・私も、一緒にお手伝いでkることがあれば・・・」
医師「・・・うーむ、先生は明日、この招待状の」ピラッ
医師「男の子の着床、していただかないと」
少女「・・・」
女「・・・でも、何かあればお訊ねしたいと思います、・・・その時は」
少女「・・・はい、わかりました」
- 48 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 22:42:52.29 ID:bgsIMEJl0
医師「いやぁ、すみませんね女さん・・・少し、旅をすることになるかもしれませんよ?」
女「別に大丈夫です、暇ですから」
医師「ふふふ、ありがとうございます・・・」
少女「旅、ですか・・・出発は?」
医師「・・・そうですね、あまり何日も待てる症状ではなさそうなので・・・」
女「出発先が決まり次第すぐに、でしょうかね」
医師「そうなりますね、・・・まずはこの出版社でしょうか?」
女「ですね・・・」
ゴクゴク・・・
コトッ
女「ごちそうさま」
医師「ごちそうさま」
少女「・・・はい」
女「・・・ありがとうございます、少女先生」
少女「そんな、私は何も・・・」
医師「いえいえ、この統計資料のおかげです、この老人にもまだ生きる活力が沸きましたよ、ははは」
少女「・・・グスッ・・・そんな、私、何もしてないです・・・」
女「・・・ありがとう、先生」ナデナデ
- 49 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/12/05(土) 22:47:13.81 ID:bgsIMEJl0
医師「・・・では、いやぁ、手間を、すみません」
女「ありがとうございました、先生」
少女「・・・はい・・・」
医師「縁があれば、“また”」
少女「・・・」
女「・・・」
少女「・・・おじいちゃんっ!」
医師「ん」
少女「・・・負けないでね・・・?死んだら、やだからね・・・?」
医師「・・・」
医師「ははは・・・大丈夫、大丈夫ですよ、もう老人ですから・・・自己嫌悪なんて、そうそうするもんじゃありません」
少女「・・・ふふふ」
医師「ははは・・・では、また」
少女「はいっ!また!」
ザッザッザッザッ・・・
医師「・・・」
女「・・・“自己嫌悪なんてそうそうしない”・・・」
医師「・・・」
女「・・・信じますよ、それ」
医師「・・・ははは、いやぁ・・・」
医師「・・・期待は・・・しないでください」
医師「長く生きようが・・・私は人間なのですよ」
ザッザッザッ・・・
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