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悪魔「魔王さま! とうとうお目覚めになられたのですね!」
- 54 :VIPがお送りします []
:2009/04/09(木) 03:08:13.74 ID:JKvSaMmh0
――――水の都
魔物「…………すごいですね」
魔王「…………すごいな」
魔物「建物が全部水に浮かんでますよ」
魔王「道すら水に浮かんでるな」
魔物「それどころか、宙に水の玉が浮かんでますね……」
魔王「……浮かんじゃってるなぁ、あれ中身も本当に水なのか?」
魔物「さぁ……結構高いところにありますから触れませんしね……」
魔王「本当に……すごいな」
魔物「…………少し節約して滞在日数増やそっと」
- 56 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 03:15:25.95 ID:JKvSaMmh0
魔物「それじゃ、宿を取りますか」
魔王「だな」
――――宿屋「流水の調べ」
主人「空き部屋はないね」
――――宿屋「水霊の壷」
主人「あー、つい5分前まで空いてたんだけどねー」
――――宿屋「水辺の砂」
受付「一般の部屋ですと、ご予算はこれほどに……これより安い部屋ですか? あいにくございません」
――――宿屋「青の思い出」
主人「一部屋だけなら空いてるよ?」
魔物「借ります!」
- 57 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 03:17:57.11 ID:Bfvrv/0/0
宿屋いっぱいきたwwwww
- 58 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/09(木) 03:21:37.57 ID:Ju0G9iDA0
ベネゼーラで水粒が宙に浮かんじゃってるんだからなぁwwwそりゃ宿屋一杯なわけだw
- 59 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 03:24:06.01 ID:JKvSaMmh0
魔物「まさか、宿を借りるだけでこんなにも苦労するとは思いませんでした……」
魔王「流石は観光名所ってところだな……」
魔物「まぁ、気を取り直して観光しますか!」
――――万物の滝
魔物「おー……」
魔王「……あれだけの量の水、どこから落ちてきてるんだ」
魔物「上が見えませんもんね……」
魔王「そしてもう一つ疑問なのが……ここら一帯の店の料金の高さだ」
魔物「上限が見えませんもんね……」
- 60 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 03:29:31.91 ID:JKvSaMmh0
魔物「はい、魔王様これ」
魔王「……なんだこれ」
魔物「船のチケットです、あそこにお城見えるじゃないですか」
魔王「……まさかあの城を観光できるっていうのか!」
魔物「ふふふ、そのまさかです! 船を使わなければたどり着くことができないお城です!」
魔王「で、往復券いくらだった?」
魔物「聞かないでください」
- 62 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 03:39:25.19 ID:JKvSaMmh0
――――水上の城
魔王「………………」
魔物「綺麗ですねぇ……」
魔王「ん? ああ、そうだな」
魔物「この城は、元々お姫様が住んでたらしいですよ?」
魔王「……きっと美しかったんだろうな」
魔物「けど、我が一族が襲い掛かって殺しちゃったらしいんです」
魔王「らしい?」
魔物「んー、人間達の伝承ではそうなってるんですけど、当時の状況を考えるとここまで来る余裕なかったと思うんですよね」
魔王「お前が言う伝説は見事にあてにならないからな……」
魔物「魔王様がヘタレすぎるのが悪いんですよ」
- 63 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 03:51:00.16 ID:JKvSaMmh0
魔物「さて、この城に来た一番の理由」
魔王「一番の理由?」
魔物「それがこの珠! 水樹の珠です!」
魔王「…………なんかみんな、ぺたぺた触りまくって手垢だらけなんだが」
魔物「ふふふ、この手垢だらけの珠、実はこれがこの街の状況を維持してるらしいですよ?」
魔王「……どうやって?」
魔物「観光パンフレットには、水が樹のように建物や道を支えてる……との事です」
魔王「ああ、それで水樹の珠、ってそんな大事なもん、ここにおいておいていいのか?」
魔物「なんでも、真の持ち主以外には取れないとかパンフレットには書いてますね
また、お姫様が死んだから持ち主は永遠に現れないだろうとも……」
魔王「…………」
魔物「チャレンジしてみます?」
魔王「樹の前例があるから遠慮しとく」
- 65 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 03:59:02.17 ID:JKvSaMmh0
――――青の思い出
魔王「…………純粋に不味い」
魔物「我慢してください、宿代が平均的に高いから食事はどうしても切り詰められます」
魔王「塩味が効いてない、肉がない、おかずが少ない」
魔物「魚肉があるからそれで我慢してください」
魔王「一番美味いのが水……」
- 66 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/09(木) 04:00:27.49 ID:IzGf9M59i
水www
- 67 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 04:05:54.32 ID:JKvSaMmh0
魔物「さて、次の街へ行きますか」
魔王「待て、滞在日数増やすとか言ってなかったか?」
魔物「……部屋によって追加料金があるとか、予め言っておかないのって詐欺だと思いません?」
魔王「わかった、次の街へ行こう」
――――馬車
魔王「で、次の街はどこなんだ?」
魔物「えーと、山岳の街ですね」
魔王「……山?」
魔物「山です、途中から徒歩になりますから覚悟してください」
- 69 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 04:14:19.62 ID:JKvSaMmh0
――――山道
魔王「死ぬ」
魔物「これくらいでへこたれないでください!? まだまだ先は長いんですよ?」
魔王「お前は普通の服だからいいさ、だが俺は見ての通り鎧だ、重い! 疲れた! 足が痛い!」
魔物「…………仕方がないですね、剣くらいなら持っておいてあげますよ」
魔王「うむ、苦しゅうない」
魔物「よいしょっと…………あれ? ふんっ! ……ふぅ、腐っても魔王だったんですね」
魔王「なんか酷いこと言われてるな、で、剣は……?」
魔物「自分で持ってください、持てません」
魔王「……そんなに重いか? これ」
魔物「多分、魔王様にしか使えないような魔法がかかってるんじゃないですか?」
魔王「おお、初めて魔王らしい事が発覚したぞ」
魔物「あんまり役に立ちそうにない事ですけどね……」
- 70 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 04:25:23.04 ID:JKvSaMmh0
――――山岳の街
魔物「はぁ…………やーっと着きましたね」
魔王「……疲れた、歩きたくない、足裏いたい、おなか減った、のど乾いた、眠い」
魔物「今日はもう、すぐに宿を取って、明日観光しますか……」
――――街の広場
魔物「…………宿がないですね、これは街っていうより……」
魔王「村だなこれは」
魔物「仕方がないですね、今日は野宿という事で……」
魔王「嫌だ! 野宿だったら俺は泣くぞ! 大の男が横ですすり泣いても良いのか!」
魔物「本当に泣きそうな顔で言わないでくださいよ!?」
村人「あのー、あんたら……」
魔物「はい?」
- 72 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 04:34:50.30 ID:JKvSaMmh0
――――村長の家「ゲート オブ ザ バビリオン」
魔物「なんですかこの名前」
村長「格好良いからつけました」
魔物「えっと、村の人からここで泊めてもらえると聞いたのですが……」
村長「ふむ、そうですか……いいでしょう、それにもうお連れの方はベッドで寝ておりますし……
ただし一つ頼みたい事があります」
魔物「はい?」
村長「あなたの”それ”見せてくれませんかな?」
魔物「……よくわかりましたね」
村長「少し”それ”に精通してるものなら一目でわかるよ、あんたのは特にすごいねぇ」
魔物「…………何百年と続いてる実績有りですよ」
- 73 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 04:38:27.84 ID:Bfvrv/0/0
バビリオン…
- 74 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 04:38:58.98 ID:EGbmmp+lO
おおおおっぱ
- 75 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 04:49:06.39 ID:JKvSaMmh0
魔物「さて、観光しますか」
魔王「うむ、一晩中寝て気分爽快、今ならなんでもできるぞ!」
魔物「それじゃあ、また二時間ほど山登りしますか」
――――頂上
魔王「死ぬ、足千切れる、疲れた、村長の家帰りたい」
魔物「どうせ死ぬなら勇者と倒して死んでください、ほら、見えてきましたよ」
魔王「…………岩?」
魔物「岩です」
魔王「なんか、ここの辺り一帯だけ少し色が違うな、青がかってるというか……」
魔物「実はここ、勇者が使ったと言われる剣が刺さっていたそうです!」
魔王「おお! まさに伝説って感じだな!」
魔物「その剣はドラゴンの鱗を紙のように切り裂き、羽のように軽いと聞きます!」
魔王「今、俺の中で勇者と戦わないという気持ちがさらに固まった」
- 77 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 05:00:13.41 ID:JKvSaMmh0
魔物「ここにくれば、勇者を倒すヒントが手に入ると思ったのですが……」
魔王「ただ、良い景色が見れただけだったな」
魔物「……剣は勇者以外のものが取ろうとしても決して抜けず、勇者だけが引き抜けたと聞きます
つまり、勇者以外には剣と地面は同じくらいの堅さだったと思われます」
魔王「で?」
魔物「魔王様の剣でこの岩を切れるか試してみましょう」
魔王「嫌だ、この鎧の惨事を忘れたか! 試さん! 絶対に試さんぞー!」
魔物「大丈夫です! 魔王様の剣は天をも貫き、一振りで三千世界の鴉をなぎ払い、地面に刺せば石油が出て大もうけしたという伝説があります!」
魔王「おお!」
魔物「さぁ、今こそ魔王様の真価を見せる時です!」
魔王「うーむ……まぁ、ちょっとだけならいいか、えいっ!」
魔物「あ」
魔王「あ”」
――――村長の家「エターナルフォースブリザード」
魔物「ここら辺に鍛冶屋ってあります?」
- 78 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 05:05:50.32 ID:EGbmmp+lO
村長は邪気眼
- 85 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 05:12:54.76 ID:JKvSaMmh0
魔物「さぁ、次の街へ行きますか」
魔王「俺の剣……俺の……」
魔物「女々しいですよ魔王様! それに次の街は少し予定を変更して鍛冶の街に行きますから大丈夫ですよ!」
魔王「まさか、真ん中から真っ二つに折れるとは思わなかった……それに岩も少ししか欠けなかったし……」
魔物「逆に考えるんですよ、勇者と真っ向勝負したら剣で打ち合ったら死ぬというのがわかって良かったなって考えるんです」
魔王「俺の中で勇者と戦わないという意思が完全に根を張った」
――――馬車
魔王「そういえば、予定を変更してって言ってたがそんなに綿密に予定立ててたのか?」
魔物「元々魔王様がいなくても旅行はするつもりでしたからね」
魔王「……一人で3年間も旅行する予定だったのか?」
魔物「はい、親が死んだ時から決めてました」
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