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黒い男「エクスキューズミー!!」◆
209 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 18:10:20.74 ID:LU0LZCn/0
父『よっしゃ!これで小屋は完成だ!』
女『今日からここに住めるの?』
父『ああ、もちろんだとも!今日からは人目を気にせず猟ができるぞ!』
女『人がいないと、そんなに良いの・・・?』
父『そりゃ良いに決まってる!間違えて人を撃ってしまっては危険だからな!』

父『・・・だから今日からは、女にも銃の使い方を教えてやるぞ』
女『本当?』
父『ああ、俺の娘だからな・・・一から十まで、全部叩き込んでやる!はっはっは!』
女『・・・うん!』
父『都会の奴らにいじめられないような、立派な猟師になるんだぞ!』
女『うん!』


210 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 18:16:23.23 ID:LU0LZCn/0
女『ねーねーお父さん』
父『んー?どうした女?』
女『この木って、何て言うの?すっごい大きいよ?』

父『ああ・・・これは・・・うーん』
女『・・・?』
父『俺もちょっと見たことがないなぁ』
女『・・・』

父『・・・はっはっは!だがな女、この木はとっても良い木なんだぞ!』
女『え?』
父『大きな木の側に家を建てるとな、中々家が壊れないんだ』
女『そうなの?』
父『ああ、この大きな木が、俺らを守ってくれるんだ!』
女『・・・えへへ』

女『この木に名前つけようよ!』
父『んー?名前ー?』

女『うん、名前!この木も家族に入れようよ!ずっと一緒だよ!』
父『・・・ああ、そうだな!名前をつけてやろう!』

父『じゃあ名前名前、名前考えないとな・・・』
女『・・・えへへ』


212 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 18:24:30.45 ID:LU0LZCn/0
父『・・・』

女『・・・親父』
兄『仕方ないよ、猟師なんだ・・・事故にも遭うさ』
女『・・・でも親父が事故で死ぬなんて・・・ちょっと・・・はは、信じられねーや』
兄『・・・そうだな・・・』

女『・・・今日ははるばる都会から来てくれて・・・ありがとうな、兄貴』
兄『当然だ、家族の弔いなんだからな』
女『・・・うん』
兄『でも・・・まさか、こんな形で会う事になるとはな』
女『・・・親父に?』
兄『お前にも』
女『・・・熊に殴られても平気な人だったのに・・・な』

兄『親父はどこに埋葬するつもりなんだ?いつか墓参りしたいと思う』
女『・・・』

女『・・・家の隣にある・・・大木の下に』
兄『大木?あー・・・近くにあったやつか・・・いいのか?』
女『ああ・・・家を守ってくれるように・・・』
兄『・・・そうか』

女『いつまでも・・・家を支えてくれるように』


213 :VIPがお送りします [] :2009/01/27(火) 18:25:49.24 ID:UDFYPk2zO
これはまた切ないな


214 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 18:30:49.15 ID:LU0LZCn/0
女「・・・・!!」

女「・・・はっ・・・は・・・」
女「・・・・夢、か・・・」

女「(・・・もう、2年も経つのか・・・早いな)」
女「(親父・・・顔なんて忘れたと思ったんだけどな・・・まさか夢の中に出てくるとは)」
女「(相変わらずふざけた性格してるな・・・ふふ・・・)」


「とりゃッ!うおりゃぁー!!」
ドゴッ メキッ

女「・・・」

女「・・・おい・・・おいおい、まさか・・・!」


215 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 18:38:12.98 ID:LU0LZCn/0
ザザッ・・・

黒い男「くっ、なかなかやるなウッドモンスター!ジェミニをここまで苦戦させたのはお前が4人目だ!いや、お前は1本目か!」

ガチャ
女「おい!お前こそふざけんな!」
黒い男「オゥ、マドモアゼル今はまだ戦闘tyメキッ

黒い男「アウチッ・・・!」ザザッ

黒い男「・・・見てくれ!このウッドモンスター、殴ったら殴り返してくるんだぞ!」
女「当然だろーが!あまりユグを怒らせるな!その木に傷なんて付けてないだろうな!?」
黒い男「ユグ?誰だそれは!引っこ抜いてやろうかと思ったんだが、抵抗が激しすぎてベリーハードだ!」
女「引っこ抜くな!それは私が怒るぞ!」

木「・・・・ゴ・・・ゴゴ・・・!」
黒い男「ほう・・・まだやるか?ウッドモンスター・・・言っておくがジェミニは不死身の男だぞ!」
木「ゴゴゴ・・・!」
黒い男「よし、そこまで言うなら戦ってやrメキッ

黒い男「アウチッ!」

女「・・・」
女「(・・・ま、いいか・・・放っておいても)」


216 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 18:43:38.40 ID:LU0LZCn/0
ドゴォン!
「アウチッ!」
ザザッ・・・

女「・・・まだやってるのか、懲りないなあいつも」

女「しっかし、あいつらは凶暴だからな・・・」
女「ユグの・・・特に左手のコブは怒らせたら暴れるからなー・・・右手のコブはまだ大人しい奴なんだが」

女「・・・はー」

女「気にしても仕方ないな、さっさと朝食を作るか・・・」

女「・・・って」
女「まさかあいつ、夜中ずっと戦ってたのか・・・?」


217 :VIPがお送りします [] :2009/01/27(火) 18:47:28.83 ID:GM6loHtxO
なんというアクティブツリー
支援


218 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 18:50:09.40 ID:LU0LZCn/0
黒い男「はあっ、はあっ・・・シット、まさかこんなにも強いとは・・・!」
木「ゴ・・・ゴゴ・・・ゴゴ・・・!」
黒い男「普通の大木かと思ってキックを入れてみたは良いが、まさか太い枝で殴り返してくるとはな!」
木「ゴゴゴ・・・!」
黒い男「なるほど・・・フゥム、さては貴様、怪物か!魔獣か!」
木「ゴゴ・・・!」
黒い男「フッ・・・どうやら図星のようだな!」

黒い男「・・・だが、ジェミニは不死身!」
木「ゴ・・・!」
黒い男「ウッドモンスター、お前がいくら殴り返してきても先に疲れるのは・・・」

ガチャ

女「おーい、飯できたぞー」
黒い男「マドモアゼル!もうすぐウッドモンスターを倒せるぞ!」
女「倒すな!」
黒い男「ホワイ、何故だ!?」
女「・・・この木は、家族なんだよ」
黒い男「・・・?」

木「ゴゴゴ・・・!」
べキッ

黒い男「アウチッ・・・!横から殴ってくるとは・・・新しいパターンだな!」
女「・・・早く入らないと味噌汁冷めるからな」


219 :VIPがお送りします [] :2009/01/27(火) 18:50:39.14 ID:9DAdOm9YO
初見だがめっちゃ面白れえ
保守


220 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 18:57:50.29 ID:LU0LZCn/0
ガチャ

黒い男「ただいまー、ボンジュール」
女「・・・ボッロボロだな」
黒い男「フッ・・・あんな単調なワンパターンアタックなど、ジェミニには通用しない・・・」
女「いや効いてるからな、マントがすごいことになってるからな」
黒い男「大丈夫だ、もうすぐあいつに勝てる」
女「だから・・・勝たなくていいから」

コトッ
黒い男「・・・うーむ、良い匂いだ・・・ミソシルとかいうスープだな」
女「ああ、外は寒かっただろ、飲んで温まれ」
黒い男「センキューマドモアゼル・・・ゴクゴク」

コトッ
女「・・・ご飯は山盛りでいいな?」
黒い男「オゥ、ライスじゃないか・・・美味そうだ、いただきまーす」ガツガツ

女「・・・ふふ」
黒い男「ん?」
女「あ、いや・・・なんでもない」


221 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 19:08:42.05 ID:LU0LZCn/0
ぬ 少し休憩 フォッシル


222 :VIPがお送りします [] :2009/01/27(火) 19:12:24.38 ID:GM6loHtxO
食パン+バター+クリームチーズ=正義
保守


226 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 19:53:27.20 ID:GQU3DyJwO
黒い男「モグモグ・・・」
女「モグモグ・・・」

黒い男「・・・あのビッグツリー」
女「・・・何だよ」
黒い男「ただの木ではないという事は分かったんだが」
女「・・・」
黒い男「あんなモンスターウッドは初めて見たぞ」
女「・・・」

女「・・・あの木は、私がここに越してきた時からあったものなんだ」
女「いつからここに在ったのかは分からない、ただ・・・」

女「・・・あの木の周りだけが、やけにさっぱりしてたから・・・」
黒い男「それで家を建てたのか」
女「まあ・・・鬱蒼と茂る森の中でぽかんと広い土地があったからな・・・手間暇を考えたら条件は良かったんだよ」
黒い男「・・・フゥム」

女「・・・ただな、家を建てた後・・・木の様子がおかしいなって気付いたんだ」


231 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 20:11:54.11 ID:GQU3DyJwO
ブオンッ!
父『なっ・・・!』
ズシァッ・・・

女『お父さん!?』
父『だ・・・大丈夫だ!近付くな!』

木『ゴ・・・ゴ・・・』

女『木が・・・動いてる・・・!?』
父『・・・な、なんだこいつは・・・!?』
木『ゴゴ・・・』



女「・・・親父はあの木にブランコのロープを付けようとしたんだが・・・」
黒い男「殴られたのか?」
女「ああ、吹っ飛ばされてた」
黒い男「オゥ・・・」

女「・・・触ろうとして近付いても殴ってきたからな・・・苦労したよ」
黒い男「じゃあマドモアゼルはあの木に触れた事が無いのか?」
女「・・・いや」

女「実は前までは、普通に触れたんだ」
黒い男「・・・?」
女「慣れたり懐いたりとかがあったんだろうな・・・1年前まではまだ触れたよ」
黒い男「1年前?」
女「・・・」


232 :VIPがお送りします [sage] :2009/01/27(火) 20:14:01.15 ID:3yZbBkkI0
http://mtg.takaratomy.co.jp/cgi-bin/autocard/acjp.cgi?card=Leaf-Crowned%20Elder
参考画像


234 :VIPがお送りします [] :2009/01/27(火) 20:28:43.70 ID:MjGId3xhO

むしろハリーポッターの暴れ柳だろう


235 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 20:29:14.65 ID:GQU3DyJwO

女『・・・』

この大木の真下には親父が安らかに眠っている。

威勢良くいつも元気だった親父が死んだと聞いた時はかなりショックだった。
とはいえそれも2年前の話、私も良い大人だったし、猟師が危険であることは承知だったから、ある程度は父の死を覚悟できていたのかもしれない。
死んだと聞かされた時のショックは大きかったが、私は涙を流さなかった。

女『・・・・。』

毎朝猟に出る前にはいつも、この大木の前で手を合わせる。
これは親父への弔いであり、一日の猟の無事を願う祈りでもある。

大木はそれこそ乱暴で粗野な性格だったが、ここ数年は私に対しては全く無害で、少し触れたくらいでも暴れなくなっていた。
私に慣れたのか、私がこの小屋に住む事を認めてくれたのかは分からない。だがこの厄介な守り神が、私を受け入れてくれたことには変わりない。私はそれが嬉しかった。

女『・・・親父』

大木に手を触れ、樹皮を撫でる。
硬いがどこかゴムのように弾力性のある、変わった木の感触。


236 :VIPがお送りします [sage] :2009/01/27(火) 20:40:45.57 ID:3yZbBkkI0
どうしても木こりのイメージになる


237 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 20:42:02.89 ID:GQU3DyJwO
この木に触れると、親父が居た頃の暮らしを思い出してしまう。
毎朝一緒に狩りへ出掛け、野竜を追い・・・。
一緒に料理を作って、クセのあるケダモノの肉を不味い不味いと言って・・・笑い合って。

女『・・・ッ・・・!』

親父がいなくなった時の事を思い出し、ふいに私は、樹皮に爪を立ててしまった。

木『!』ブルンブルン
女『あ、すまん!』

木は激しく身震いさせて、私の手を払った。

木『・・・』ブルルッ
女『ごめんなー・・・』

乱暴ではあるが、この木との暮らしに慣れた今では、そんな挙動にも愛嬌を感じる。

木『・・・!』

ただ今日のこの朝の日から、木の性格は変わってしまった。


238 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 20:50:14.67 ID:GQU3DyJwO
ドゴォッ!

女『へぅッ・・・!・・・!』

ズシャッ・・・

木『ゴ・・・ゴゴゴ・・・!』
女『く・・・ゆ、ユグ・・・何を・・・!』
木『ゴゴゴ・・・ゴゴゴ・・・!』
女『どうしたんだよ・・・一体、何が・・・!』

普段は大人しいはずの大木。しかしいつもと違う反応に、私は不安のようなものを感じていた。

木『ゴオォ・・・!ゴオォ・・・!』
女『ユグ・・・』


239 :VIPがお送りします [sage] :2009/01/27(火) 20:55:42.82 ID:3yZbBkkI0
ユグドラシルのユグか


240 :VIPがお送りします [] :2009/01/27(火) 20:57:27.26 ID:UDFYPk2zO
世界樹か


241 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/27(火) 21:03:39.82 ID:LU0LZCn/0
黒い男「・・・フゥム」
女「多分、樹皮に爪を立てちゃったから・・・なのかもな」
黒い男「そんな些細な事でアングリーになってしまったのか?」
女「・・・さあ」

女「実際私も、あの木について詳しく知ってるわけではないからな」
黒い男「謎のツリーだな」
女「・・・ああ」

女「・・・ただ私は、あの木が悪いものだとは思ってないよ」
黒い男「?」
女「あの木はちょっと排他的な所があるが、でも良い奴だよ」
黒い男「良い奴」
女「ああ、良い奴だよ・・・人見知りや暴力っぽい所は癖だけどな、付き合ってみれば優しいもんさ」

女「・・・だから私は、あの木が怒ったのにはそれなりの理由があるんだろうとね」
黒い男「・・・フゥム」
女「最初は近づいたり触ったりしようとすると暴れるくらいなものだったんだが・・・」
女「今では自発的に、この小屋にまで殴りかかってくる始末さ」
黒い男「だから夜中、あんなに殴っていたのか」

女「私が変なことをしてしまったのがいけないんだ・・・だから」
女「・・・それに私も、そろそろこの山小屋から引っ越そうかと思っててね」
黒い男「ン?・・・引越しするのか?こんなに良い山小屋なのに」
女「・・・はは、ありがとう」

女「でもユグが怒っているのに、そんな中で私がいけしゃあしゃあと我が物顔で生活するわけにもいかないんだよ」
女「それにここは元々、ユグの居た場所だし・・・」

女「・・・何よりも、あいつは家族だから・・・家族に迷惑はかけられないのさ」



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