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記者「スクープの匂い・・・!」◆
52 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 16:50:18.55 ID:CyzVBEws0
『おいおい、あの“一面娘”が動いたんだって?』
『ああ、編集長に言われて、すぐに出て行ったらしい』
『・・・』
『こりゃまた、大ニュースが現れるかもわからんね』
『・・・あの編集長が直々にか・・・』
『なんでも、“青の国”について調べて来いと言われたんだとさ』
『青の国ィ?あの、いわく付きの?』
『ああ、踏み入れれば出てくることはできない・・・あの』
『・・・おいおい、大丈夫かよ・・・いくら“一面娘”とはいえ・・・』
『あいつ、死ぬと思うか?』
『・・・』
『警察よりもはるか前衛で戦線を撮る、生ける伝説のジャーナリスト・・・』
『・・・』
『屋根を飛び移り、旧式のカメラで決定的瞬間を押さえる・・・』
『・・・』
『時には犯罪の現場を、盗賊の隠れ家を、洞窟の最深部を・・・』
『・・・死なないな、いや、殺しても死なないだろうよ』
『だろう?』
『ああ、あいつにかかれば・・・長年の謎も、シャッターに収めちまうかもしれん』


54 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 16:59:50.08 ID:CyzVBEws0
記者「すいませーん、首都への便はもう出ちゃいましたか?」
「首都・・・いや、あと1時間で出発だよ」
記者「乗れます?」
「ウイングか尾翼の上ならな、もう離陸の準備に入ってる」
記者「・・・ウイングですね、わかりました」
「・・・?」

記者「それじゃ、どーもでーす」
「お、おお・・・」

記者「(うん、なんとか離陸には間に合いそうですね・・・)」
記者「(・・・問題は、“青の国”までどうやって行くか・・・)」
記者「(あの史学者さんの話では、どんなに熟練の戦士でも消されてしまう・・・と)」
記者「(ゴーストかな?いや・・・魔獣?魔族?亡霊?人?)」
記者「(・・・いずれにしたって、今回は全く謎の相手が被写体すからねぇ・・・対策のしようがない)」
記者「(戦地でならまだ、避けたりいなしたりしながら撮れるってもんですけど・・)」

記者「(・・・ああ、そうだ・・・正面玄関から入ったら消される・・・ってことも有り得ますね)」
記者「(正門からは入らず、裏口から・・・入りましょうか)」


55 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 17:08:29.23 ID:CyzVBEws0
ババババババババババ・・・

記者「風強いですねぇ」
記者「・・・髪が崩れちゃいますよ・・・やっぱり貨物室に侵入するべきでしたね」

記者「・・・まぁおかげで景色の良い空を撮れるってもんですけどね」
記者「はい、笑ってー」
カシャッ、カシャッ
ジィー・・・カショッ

記者「・・・うん、良い出来」
記者「(・・・青の国か・・・言わずとしれたゴーストタウン・・・前人未踏、未開の地)」
記者「(・・・私が一番に、その謎を・・・撮る!)」

記者「(ふふふ、こりゃ、もう命の炎をフラッシュライトに替えてでも、果たすべき取材ですよ)」
記者「(・・・帰って来れないかもしれないけど、今から楽しみです)」

ババババババババババ・・・

記者「おっ・・・もしかして、あの青い・・・一角・・・あそこが・・・かな?」
記者「・・・かなり広大な土地・・・すごい、まるで海と見間違えてしまいそうですが・・・」
記者「・・・街、ですね」

記者「・・・それじゃ」
記者「行ってきますかぁ」

バッ


56 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 17:12:43.66 ID:CyzVBEws0
記者「(・・・飛行船から飛び降りる記者なんて、世界初ですよね)」
記者「(よく考えたらこの体勢も・・・立派なスクープ?)」
記者「(・・・あ、だめだ、自分を取れないから記事にできない)」

ババババババババババ・・・

記者「・・・あ」
記者「傘の一つも持ってくれば良かった・・・どうしよう」
記者「着地したら死ぬんじゃないですかこれ・・・あ、どうしよう」

記者「・・・」
記者「あー」
記者「・・・すごい、風圧で声が聞えない!」
記者「あーっ!!」
記者「・・・遊んでいる場合じゃないな」

記者「・・・まあ、多分大丈夫・・・でしょう」
記者「高度3000mくらいで人は死にゃしませんよね」


58 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 17:13:58.81 ID:VHPQhhY7O
見つけた電車から支援

最初読んだとき青の国放置で史学者の女の続きかと思ったら話繋がっててwktk


59 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 17:21:23.23 ID:CyzVBEws0

逸話その一、戦場では先鋒よりも早く前線に到着し、撮影していた

逸話その二、大津波が発生した時、波と同じ速さで併走しながら撮影していた

逸話その三、盗賊が銀行に立て篭もった時、一人だけ突入してインタビューして帰っていった

逸話その四、竜を撮影しようと飛行機の尾翼に乗った

逸話その五、竜を撮影するつもりが竜に乗って帰ってきた

逸話その六、3日間、氷の大地の上で寝ずにオーロラを待っていた


逸話その七、見つけたスクープを逃したことが無い


60 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 17:23:02.38 ID:CyzVBEws0
ギャグ、しかしギャグに非ず
これはただのバカな話
期待したら負け

外出してくる


63 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 17:27:44.10 ID:FI3+4mTZO
いってら
この記者まるでジェミニだなwwwww


89 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 20:35:41.79 ID:sQLahqWnO
一面娘ならジェミニの仮面の裏を…!

ジェミニといえば狩人娘のその後気になる気になる


98 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 20:56:44.56 ID:mJrZqkjH0
パシャッ    パシャッ
   パシャッ
      ∧_∧ パシャッ
パシャッ 川l|リ )】Σ
.     /  /┘   パシャッ
    ノ ̄ゝ


100 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 21:00:07.30 ID:bdzFAwE6O
ババババババババ

記者「(風は西南西、やや流されて・・・このままだと少し遠くに着地しそうですね)」
記者「(・・・さすがに現地にジャスト、というわけにはいきませんか・・・)」

記者「(さて、そろそろ着陸準備に入らないと、地面に激突して粉々になってしまいます)」
記者「(丁度良い大木を見つけて・・・そこをクッションにすれば少しは)」

ババババババババ・・・

記者「(・・・よし、あそこの一本杉に着地しよう)」
記者「(クッションになるとはいえ重症は避けられそうにないですが・・・取材のためですからね、甘んじて)」

記者「・・・!」

バキバキバキバキ・・・

記者「いたたた・・・!」

ドシャッ


101 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 21:05:55.77 ID:bdzFAwE6O
記者「・・・」
ムクッ

記者「あだだ、これは痛い・・・たた、切り傷どころの騒ぎじゃないな・・・」
記者「・・・顔は切れて・・・ない、よし」

記者「・・・立てるかな」
ミシッ

記者「つ」
記者「・・・(プルプル」
記者「(・・・この状態で取材しに行っても・・・死にかねないな)」

記者「痛・・・とにかく、どこか休める場所に・・・滞在できるキャンプを探さなければ・・・」

ズッ ズッ ズッ ズッ・・・

記者「(左足が折れているかもしれない・・・完治は長引きそうかな)」
記者「(・・・どこか、休める場所を・・・)」


102 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 21:09:27.41 ID:Nfj9xrtQO

こいつやっぱりジェミニと同じじゃないか


103 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 21:13:19.17 ID:bdzFAwE6O
??「・・・おーい」
記者「ん?」
??「・・・今、空から何かが降って来たんだが・・・って大丈夫かアンタ」
記者「体は資本、日々鍛えてますから平気ですよ!」
??「(・・・どう見ても大丈夫そうじゃないんだが)」

男「俺はこの近くで葡萄を育ててる者だ」
記者「葡萄・・・あー、そうでした、確か名産地なんですっけ?」
男「葡萄酒のな、だが今年は不作で大変だ」
記者「ありゃりゃ、それは大変なことで・・・んでは不作を記念して一枚」
カシャッ

男「・・・なんだよ、不作を記念って」
記者「はい、笑ってー」カシャカシャ
男「・・・(ニカッ」

男「・・・んでよ」
記者「はい?」カシャ
男「アンタ、新聞者の人かい?」
記者「ええ、日刊モアの者すよ」カシャカシャ

記者「おっと、台紙が切れた・・・リロード」カショカショ
男「・・・」


105 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 21:24:26.56 ID:bdzFAwE6O
記者「(カショカショ)・・・いやぁ、旧式カメラはすぐに無くなるのが不便で・・・(カショカショ」
男「・・・その、記者さんや」
記者「はい?(カチッ」
男「・・・腕とか、足とか・・・血が滲んでるように見えるんだけどよ」
記者「血?・・・ああ、気にしないでください、かすり傷ですし」
男「いや切れてるよ、かすりではないよ」

男「・・・まあ、日刊モアってことは相当遠くからおいでなすったって事なんだろ」
記者「ええ、文字通り飛行船に乗ってやって参りましたよー(カシャ」
男「・・・ふぅん、都会だねぇ」
記者「はい、都会ですよ(カシャ」
男「(・・・あれだけ撮ったのにまだ撮るか、この子は・・・)」

男「・・・客人をもてなすのがこの村の習わしだ」
記者「はあ、そうなんすか(カシャカシャ」
男「・・・聞いてる?」
記者「はい(カシャカシャ」


106 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 21:28:34.49 ID:e+h3nOpX0
フォッシル


107 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 21:35:10.49 ID:bdzFAwE6O
記者「いやー、良い風景ですねぇ(カシャ」
男「・・・あの、な・・・それでだ、宿の手配や病院くらいなら俺も・・・」
記者「おっ?あれはカゲン鳥・・・(カシャ」
男「ねぇ聞いてほしいんだけど」
記者「聞いてますよー」
男「ちゃんと聞いてください」

男「・・・しかし、この村に来てくれる人ってのも珍しいな」
記者「え」
男「何も無い、ただ葡萄を育てるだけの土地だってのに、わざわざ取材に来てくれるなんて・・・」
記者「あはは、いやあのーですね」
男「ん?」

記者「確かにこの村を拠点にはしたいんすけどね」
男「うむ」
記者「・・・私が興味あるのは、隣町・・・いえ、隣国なんですよ」
男「・・・?ここは島国、しかも内陸だぞ、隣国なんて近くには無い」
記者「あはは、いやいや、あるんですよ、隣国」
男「・・・」
記者「噂、ご存じですね?」


108 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 21:38:21.19 ID:1j1npE17O
ジェミニのひとだ
すき


109 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 21:38:37.45 ID:Uh3XJmP9O
星新一思い出した。食い物がウマい国へスパイに行った話


111 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 21:44:04.05 ID:bdzFAwE6O
ガチャ
記者「おじゃましまーす」
男「・・・まぁ、入ってくれよ、狭い家だが」
記者「おお〜、これは劇団の仮面の木彫りですか?」
男「ああ、ここが劇団の出身地だからな」
記者「いやぁ良くできた彫刻です(パシャ」
男「・・・」

男「まあそこに掛けて」
記者「どもー」キィ
男「・・・“青の国”へ取材に行くのか?」
記者「ええまぁ、ですね、それが本命です(カショカショ」
男「・・・やめておけ」
記者「あはは、ここに来るまでにも何度も言われましたよ(カショカショ」

男「・・・この村は丁度、青の国の隣にある」
男「だからある意味、この村が“最終地点”なのさ」
記者「最終地点?」
男「・・・思いとどまらせられる、最後の場所って意味さ」
記者「・・・へぇ、面白いですね」
男「俺は真面目に言ってるんだ、やめた方がいい」


112 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 21:51:59.59 ID:bdzFAwE6O
記者「あはは、実はちょいと前にもこの村を訪問したんです」
男「何?」
記者「以前、聞き込みだけしに来たんですよー、この村に」

男「・・・ああ、そういや噂になってたな」
男「“美人が自殺の名所を調べてる”ってよ」
記者「あはは」
男「笑い事じゃねーよ・・・」

コポポポ・・・
男「・・・ベリーのホット、いるか?」
記者「あ、はい!いただきます!」

男「・・・人が来てくれるのは嬉しいさ、寂しい村だからな」
記者「んー、酸っぱい」
男「だからこそ、この村に来てくれた人には・・・こうして、青の国に行く事を思いとどめてくれるように説得してるんだ」
記者「すいません、砂糖ありますかね?」
男「・・・あの、聞いてた?」
記者「聞いてますよー」
男「・・・そうか」


113 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 22:00:14.41 ID:bdzFAwE6O
記者「・・・ふぅ」コトッ
男「美味かったか?」
記者「酸味が強いけど、なかなか美味しいですねぇ」
男「だろう?酸っぱさに慣れれば最高の飲み物だ」
記者「後でこの飲み物の記事も書かせてください」
男「もちろん良いとも」

男「・・・だから、な」
記者「?」
男「青の国へ行くのはやめておけ」
記者「あはは、大丈夫ですよー、死ぬ訳じゃないです」
男「死ぬんだよ、帰ってこれなくなるんだ、死んだも同じだ」

男「・・・自分の家族の事も考えろよ、そこまで大事か?」
記者「家族はみんな、私と同じジャーナリストですよ」
男「・・・そうなのか、だが・・・」
記者「別に誰も私の死を悲しんだりはしないでしょう」
男「・・・」
記者「あはは、そんな重い顔しないでくださいよ」
男「・・・そんなことは」
記者「ああ、誰も悲しまないってのは、ちと意味が違います」

記者「私の家族は、このカメラに誇りを持ってるんすよ」


115 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 22:10:40.63 ID:bdzFAwE6O
男「誇り」
記者「はい、誇りです」

記者「カメラは真実を写します・・・人々に真実を伝える、とても誇り高き道具なんです」
記者「一枚の写真は、世界の果ての人にまで事実を届けます」
記者「それは、すごい事だとは思いませんか?」
男「・・・」
記者「私ゃ、すごい事だと思います」

記者「一枚の写真で人々を幸福にし、悲しませ、驚かせ、憩わせる・・・」
記者「私ゃ、その力を誇りに思ってます」
男「・・・」
記者「その誇りのためならば、私は死んでも構いませんよ、あはは・・・まぁ死ぬつもりゃありませんけどね?」
男「・・・はー、頑固な娘だな・・・」
記者「よく言われます」

男「・・・この村に来る記者や調査団はみんな、そう言うよ・・・」
記者「あらら、そうなんですか?」
男「そう言って、帰って来ないから困ってるんだよ」


116 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 22:19:39.01 ID:bdzFAwE6O
フォッシル


118 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 22:30:25.83 ID:bdzFAwE6O
男「とにかく、今日すぐに行くとか・・・そういうのはやめてくれ」
記者「はい、今日は行くつもりは無いです」
男「・・・明日もダメだからな」
記者「あはは、それはちょいと、難しい相談で」

男「・・・全く、死ぬなら地元で安らかに寿命を真っ当してくれよ・・・わざわざ死にに来ないでくれ」
記者「私らが死ぬ時はカメラと一緒に、すよ」
男「・・・はぁ」

男「少なくとも今日はまだこの村に居るんだろう?」
記者「はい、そのつもりで・・・あ、野宿なんで宿の手配はお構いなく」
男「客人に野宿なんてさせられるかよ、家に泊まっていけ」
記者「やらし」
男「なんだそりゃ、そんなつもりは無いって」
記者「あはは、わかってますよ・・・喜んで、一晩屋根をお借りします」
男「・・・」

男「一晩で、じっくり考えてくれ」
記者「?」
男「・・・考え直しておけ、ってこと」


120 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 22:42:08.18 ID:bdzFAwE6O
記者「・・・」
記者「(キュッキュッ」

男「・・・何してるんだ」
記者「あ、どーも・・・ちょいとレンズの手入れをですね」
男「・・・ふーん、レンズねぇ・・・」
記者「レンズは命ですよ、定期的に埃を払って磨いてやらなきゃなりません」
男「カメラ、ねぇ」
記者「カメラは良いですよぉ〜?」
男「・・・いや、俺にはわからんなぁ、こういうのは」

男「・・・ん?」

“メディア・アルバム”

男「・・・これは」
記者「はい?ああはい、それは今までのベストショットを纏めたアルバムっすよ」
男「・・・ふーん」
記者「見ますか?」
男「・・・いーや、遠慮しとく」
記者「そすか?なかなか面白いのに・・・」


121 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 22:47:57.78 ID:bdzFAwE6O
男「・・・ぐー・・・ぐー・・・」

記者「・・・」
記者「寝てますね・・・」

記者「・・・よし」
記者「(キュッキュッ」
記者「(カチッ」
記者「(カショカショカショカショカショカショ」
記者「(カチッ」

記者「・・・さて・・・っと」
記者「出掛けるとしますかぁ」


122 :◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 22:50:52.14 ID:bdzFAwE6O
一階が修羅った
しばしまたれよ


125 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 23:04:40.11 ID:bdMbmT0QO
シュラバラ



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