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悪魔「魔王さま! とうとうお目覚めになられたのですね!」
- 1 :VIPがお送りします [sage]
:2009/04/09(木) 00:36:21.73 ID:JKvSaMmh0
魔物「あなた様の封印が解けるのを待って何百年……
我が一族が生きているうちに魔王様と会えるとか思っておりませんでした!」
魔王「…………」
魔物「さぁ! 早速旅の準備をしましょう!
勇者を倒して我らが魔族の覇道をお示しください!」
魔王「…………ここどこ?」
魔物「……は?」
- 3 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 00:40:43.35 ID:JKvSaMmh0
魔物「魔王様、ここは魔王城ですよ……? はるか昔に魔王様が住んでいた場所です!」
魔王「……こんなでかい城を建てる事ができるほど俺は金があったのか」
魔物「……多少の記憶の欠落など大丈夫ですよね! さぁ! 旅の準備はできております!」
魔王「まぁ待て」
魔物「はい?」
魔王「旅って、どこに行くんだ、もし仮に私が魔王というのならば、ここで勇者を待ち構えれば良いだろう」
- 4 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 00:46:50.89 ID:JKvSaMmh0
魔物「何を言っているのですか魔王様、それで敗北して封印されてしまったのではないですか!」
魔王「それ以外にも理由がある、口ぶりからすると、勇者と敵対していたのははるか昔なのだろう?
今も敵対する理由があるのか?」
魔物「……魔王様は覚えていらっしゃらないのですか! 勇者達のあの残虐な行為を!
全ての森という森は焼き尽くされ、獣人種やエルフは全て奴隷として連れて行かれたあの光景を!」
魔王「…………悪いが覚えていないな」
魔物「……ッ今の世界には魔王様が必要なのです!」
鳥娘「魔物ちゃん何騒いでるのー? おやつのプリンが固まったよー」
- 6 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 00:50:15.87 ID:JKvSaMmh0
魔王「……全て奴隷として連れて行かれた?」
魔物「……一部例外!」
鳥娘「あれー? もしかしてその人魔王さん?」
魔物「そうです! とうとう我らが真の自由を取り戻す時が来たのです!」
魔王「……だ、そうだがどうなんだ? そこの鳥娘よ」
鳥娘「やるだけやったらいいんじゃないですかー? けど、正直お勧めできませんねー」
- 7 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 00:56:34.05 ID:JKvSaMmh0
鳥娘「魔王さんは封印されてたから知らないと思うんですけど、勇者あれから、神に昇格しましてー」
魔王「……神?」
鳥娘「はいー、神です、正直な話、殺せるとしたらよっぽどの方じゃないと無理かとー」
魔王「……だ、そうだが」
魔物「大丈夫です! 伝説によれば、魔王様は二人組みの勇者にやられたそうです!
そして魔王様との戦いのさい、片方は倒したもののもう片方に殺されたとか」
魔王「……つまり、今度は正々堂々と一騎打ちなら負けるはずはないと?」
魔物「その通りです! さぁ! 早速勇者を倒しに行きましょう!」
魔王「待て、さっきの一部例外でお前の言ってる事が本当なのかがわからん」
- 8 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 00:59:19.96 ID:JKvSaMmh0
魔王「本当に、亜人などは奴隷として使われているのか?
そこでのんきにプリンを頬張ってる奴を見てるとそうとは思えないのだが」
鳥娘「んー、それは本当ともそうでもないとも言えますねー」
魔王「どういうことだ?」
鳥娘「だって、その当時連れて行かれた人たち、もうみんな死んじゃってますよ?」
- 9 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:02:17.65 ID:cH0zlza30
最近魔王物多いな
一人称は俺なのか私なのか
- 10 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:06:36.33 ID:yO0Cx+He0
なんで魔王物増えてるの?
何かの流行?アニメ?ドラマ?
- 11 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:06:48.05 ID:JKvSaMmh0
魔王「……結論! 勇者も強くなったようだし、奴隷達ももう死んでる、行く必要がない!」
魔物「ま、魔王様ーー!? 魔王としての誇りは! そして魔王様の復活を信じていた我が一族の立場は!?」
魔王「知らん! 今現在は平和なのだろう? ならそれでいいじゃないか」
魔物「……仕方がないですね、それでは一人で旅に出るとします」
魔王「……一人で勇者を倒しに行くのか?」
魔物「はい、それが私の一族が背負った運命です、できれば魔王様と一緒が良かったです」
魔王「…………」
- 12 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/09(木) 01:09:07.03 ID:tCKlrRJe0
最近多くなってるとか言ってるやつは昔ssスレを見てなかったんだな可哀想な奴らだ
- 13 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:11:26.18 ID:JKvSaMmh0
鳥娘「魔物ちゃん、最近旅行雑誌みてウキウキしてたもんねー」
魔王「…………」
魔物「…………やっぱり一人だと危ないかなーっと……旅賃なら出しますよ?」
魔王「断る、旅行なら行けばいいんじゃないか? 俺はここでゆっくりしとくよ」
鳥娘「あ、ちなみに魔王様も働いてくれないと食事は出しませんからね?」
魔王「さぁ、一緒に行こうか魔物よ」
- 15 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:16:10.54 ID:JKvSaMmh0
魔王「で、まずどこに行くんだ?」
魔物「そうですねー……勇者が未だに統治している国ありますから、そこ行きますか」
魔王「やっぱり、魔王たるものまっさきに働いて人々に示すべきだよな」
魔物「わー! 冗談です! まず行くところはエルフの街ですね」
魔王「……名所は?」
魔物「エルフは美女美男が多いです、名所の説明としてはそれで十分かと」
- 16 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:20:04.81 ID:Rn9+AgZYO
鳥娘支援
- 17 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:20:37.72 ID:JKvSaMmh0
魔物「さて、それじゃ行きますか」
魔王「おー」
―――――エルフの街
魔王「なっ!? "おー"とか行ってたら着いたぞ!?」
魔物「魔王城から近いですからねー、徒歩で10分ってところですかね」
魔王「旅行って感じがまったくしねぇ!」
魔物「けど、本当にここは珍しいんですよ? 大昔にエルフの女性は殆ど連れて行かれましたからね」
魔王「……ここは魔王城に比較的近かったからまだましだったって事か?」
魔物「はいそうです、その時には我が一族も相当踏ん張ったって話しですよ?」
- 19 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:26:18.28 ID:JKvSaMmh0
魔物「どうします? 正直な話、私はここ見慣れちゃってるから素通りしてもいいんですが」
魔王「いや、どうせだから見て行く、これから先エルフとか滅多に見れないんだろう?」
魔物「そですか、なら、私は先に宿取ってきますねー、宿の名前は"森林の休息"です」
魔王「いかにもエルフっぽい名前だな」
魔物「そりゃぁ、エルフの街ですから……」
- 20 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:29:36.56 ID:QcZVLzh50
ふむふむ
- 21 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:34:25.28 ID:JKvSaMmh0
魔物「んーっ! 一息ついたー……」
魔物「旅の資金も十分だし、期限まではまだ余裕があるし……、魔王様も連れてこれたし」
魔物「明日の朝までゆっくりするかな……」
エルフ「魔物様ー!」
魔物「うお!? ど、どうしました!」
エルフ「街の広場に老若男女構わず舐めるように凝視するする男が現れまして、住民に不安が広がっております!
また、その男は異様な雰囲気を纏っておりまして……、魔物様の助力を願おうかと!」
魔物「……もしかして、その男って黒い鎧つけてません?」
エルフ「ハッ! その通りです!」
魔物「そのうえ、なんかマントつけてます?」
エルフ「その通りでございます!」
- 22 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:38:36.37 ID:JKvSaMmh0
魔王「120、130、110、……エルフと言っても全員が痩せているというわけではないんだな」
魔物「魔王様、さっきからなにやってるんですか……」
魔王「ん? いや、名所を観光しているんだが」
魔物「……美男美女ですか?」
魔王「その通りだ、いやぁ、本当に顔立ちが整った奴が多いな」
魔物「……警備隊が魔王様の事を変質者と勘違いしてますよ」
魔王「なに!?」
魔物「ちゃんと名所の説明をしなかった私も悪かったですけど……」
- 24 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:47:44.23 ID:JKvSaMmh0
魔物「仕方がないですね、私が案内しますよ」
魔王「ああ……そうしてくれると頼む、実は凝視しまくってたら不良に絡まれて必死に逃げたりもしたんだ」
魔物「不良程度で?!」
――――――万年樹
魔物「これは、何万年もこの大地に根を張っているといわれている樹です、魔王様も大昔に見てるかもしれませんね」
魔王「……その割にはそれほど大きくないな」
魔物「そうですね、けど、驚くほど丈夫なんですよ、ためしに殴ってみてください」
魔王「ふっ……仮にも俺は魔王だったらしい男だぞ、折れても知らんぞ?」
魔物「どうぞどうぞ」
魔王「ふん! …………おい、魔物、医者を呼んでくれないか」
魔物「本気で殴ったんですか!?」
- 27 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/09(木) 01:51:34.65 ID:3gcN34EO0
セイクリッドブレイズの魔族版かと思った
- 28 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 01:53:00.35 ID:JKvSaMmh0
魔物「まったく、骨でも折れたのかと思ったじゃないですか」
魔王「まさかあそこまで硬いと思わなかった、今では反省している」
魔物「あの樹は色々な伝説があるほど丈夫で硬い樹ですからね、魔王様の剣もあの樹でできているはずですよ?」
魔王「ほう? しかし、この剣、見るからに金属でできているんだが……」
魔物「……あれ? 伝説では魔王様の剣は万年樹の枝から作られたとか聞いたんですけどね」
魔王「伝説は伝説って事なんだろうな」
魔物「実もふたもない……」
- 31 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:00:06.50 ID:JKvSaMmh0
魔物「では、宿に戻りますか」
魔王「まだ一箇所しか巡ってないぞ!?」
魔物「魔王様が、エルフの住民達をどれだけの間凝視してたと思います?」
魔王「……100人から先は覚えていない」
魔物「そういう事です、ここの食事は美味しいですから、それを期待しておいてください」
――――森林の休息
魔王「精進料理みたい」
魔物「食べて第一声がそれですか」
魔王「いや、たしかに美味しいんだ、美味しいんだが……」
魔物「きっと、昔は油っこいものばっかり食べてたんですね……」
魔王「油は素晴らしいぞ? 幸せになれるぞ?」
魔物「次の街は油っぽいものが食べれますから我慢してください」
- 32 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:09:14.88 ID:JKvSaMmh0
魔物「さて、それでは次の街へ行きますか」
魔王「おー」
――――道中
魔王「おかしい、まだついていない」
魔物「今度は大体二日間くらい歩きますからねぇ」
魔王「え、なにそれ、聞いてない」
魔物「エルフの街が近すぎただけですよ……ちゃんとテントも用意してるから大丈夫ですよ」
魔王「野宿するのは確定なんだな……、食料はどうするんだ?」
魔物「エルフの村で魔王様に渡したバッグの中に干し肉やら水やら入ってますよ」
魔王「なるほど……、いったいなにかと思ったら」
魔物「さーて、きりきり歩きますよー」
- 33 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/09(木) 02:10:56.55 ID:Ju0G9iDA0
そして何処かに置き忘れるのか。>食料
- 34 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:12:10.50 ID:h7mDTrplO
魔王が無駄に可愛いな。
これは愛せる。
- 35 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:17:52.60 ID:JKvSaMmh0
――――ドワーフの街
魔王「つーいーたーぞー!」
魔物「着きましたねぇ、この前みたいに変質者扱いされたら困りますんで、一緒に宿取りにいきましょうか」
魔王「わかった」
――――宿屋「大地の狭間」
ドワーフ「いらっしゃー……おお! 魔物様! お泊りですか?」
魔物「ええ、そうです、二部屋お願いできますか?」
ドワーフ「かしこまりました」
魔物「じゃ、宿も確保できたことですし、お昼ご飯でも食べに行きますか?」
魔王「……お前って偉いのか?」
魔物「ここら辺だけですよ、人間が多い地域になると逆に疎まれたりします」
- 36 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:22:46.74 ID:JKvSaMmh0
魔王「胃がもたれる……」
魔物「……脂っこいものが好きとか言ってませんでしたっけ!?」
魔王「それはそれ、これはこれだ、うう……なにかあっさりしたものを……」
魔物「この街は豚料理が名物ですから、あっさりしたものってのは中々ないですよ……」
魔王「あっさりした料理は良い……出汁の豊かな味を堪能できる」
魔物「実際にそういうの食べたら今度はあっさりしすぎとか言いそうですね」
- 39 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:36:25.44 ID:JKvSaMmh0
魔物「さて、それではここの観光名所も巡りますか」
魔王「ここ、なんというか巡るまでもなく細かい造型の像とかがあったりするんだが」
魔物「ドワーフは手先が器用ですからね……けど、像よりも素晴らしいものがあるんですよ」
――――鍛冶場
魔王「……ここ?」
魔物「はい、ここは鍛冶場見学ができるって有名なんです、技術の流出を嫌う鍛冶師が多いですから貴重です」
魔王「上半身裸のドワーフ達が鉄を溶かしたり叩いたりしてるだけじゃないか」
魔物「むむむ、その魔王様の鎧だってここで作られたとの伝説があるんですよ!」
魔王「剣も鎧も近場で済ませてたのか……、案外地域密着型だったんだな俺、剣は違ったけど」
魔物「その鎧は伝説によれば、溶岩の熱にも耐え、ドラゴンの牙すら通さないほど頑丈との事です」
魔王「おお! 俺の鎧すげぇ!」
魔物「ちょっとやそっとじゃへこみすらしないはずです!」
魔王「おお! ちょっと叩いてみるか! ……………………あれ?」
魔物「………………ここが鍛冶場でよかったですね、それくらいのへこみすぐに直してもらえますよ」
魔王「うん……」
- 40 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:37:30.37 ID:iDtPdS9L0
こりゃ負けても仕方ないわ
- 41 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/09(木) 02:41:43.30 ID:Ju0G9iDA0
>39
老朽化ですか、わかりません
- 42 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:44:23.19 ID:JKvSaMmh0
魔物「さて、気にせず次なる観光名所へ!」
魔王「おう!」
魔物「ここは先ほども言ったように豚肉が名物です、そしてその牧場に行ってみたいかと思います!」
――――牧場
魔物「魔王様見てくださいよ、あの子可愛いですよ!」
魔王「俺はお前の美的感覚を疑いそうになった……」
魔物「あんなに可愛いのに……あ、あっちの豚も可愛らしいですね!」
――――大地の狭間
魔物「ふぅ……豚を堪能できましたね」
魔王「見事に豚だったな……体重3トンもある豚が出てきた時はびっくりした」
魔物「さて、晩御飯を食べますか!」
魔王「…………豚肉を?」
魔物「ええ、そうですよ? 名物ですから」
魔王「女って強い……」
- 44 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:45:59.52 ID:2sXWlE0fO
女・・・だと?
- 45 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/09(木) 02:50:35.97 ID:08MsMILd0
魔物が女と聞いて飛んできました
- 47 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:53:17.86 ID:Bfvrv/0/0
宿屋の名前、森林の休息とか大地の狭間とか
そういう細かい所イイな
- 48 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/09(木) 02:55:53.69 ID:Ju0G9iDA0
男だと思ってたのに実は女だったっていう展開はやっぱいいですよねw
- 49 :VIPがお送りします [sage] :2009/04/09(木) 02:55:57.76 ID:jFqABvVq0
名前がいかにも観光地のホテルだな
- 50 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 02:58:04.56 ID:JKvSaMmh0
魔物「さて、次の街、水の都へ行きましょう!」
魔王「おー!」
――――馬車
魔王「今度は馬車なんだな」
魔物「流石に今度は徒歩ってわけには行きませんからねぇ……」
魔王「だいたいどれくらいで着くんだ?」
魔物「一週間は覚悟してください」
魔王「……どんどん必要日数が増えていくな」
魔物「私の想定してるルートでは、全部巡りきるのには3年かかる予定ですね」
魔王「3年!? 金は足りるのか?」
魔物「安心してください、案外お金もちですから」
- 51 :VIPがお送りします [] :2009/04/09(木) 03:00:45.48 ID:JKvSaMmh0
魔物「そうだ、言っておきますけど」
魔王「ん?」
魔物「次の街は人が多いですから、気をつけてくださいね?」
魔王「具体的には何を?」
魔物「魔王って事です、私はまだ勇者討伐を諦めたわけじゃないですので、ばれたら厄介です」
魔王「……勇者討伐ねぇ、大人しく旅行してたらいいんじゃないか?」
魔物「…………諦めきれないんですよ」
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