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農夫「ん・・・?来客とは珍しいな」
- 46 :1 ◆1pwI6k86kA []
:2009/01/31(土) 13:54:43.89 ID:tNohWBmJ0
農夫「(ザックザック」
農夫「・・・ん?」
ビュゥウウゥウウウ・・・
農夫「・・・あの男・・・」
農夫「いや・・・」
農夫「どうせすぐに見つかる・・・しばらく放っておいても構わないか」
農夫「しばらくこの土地を楽しませるのもいいだろう」
農夫「ま、楽しめるかどうかは・・・奴次第だが」
農夫「(ザックザック」
- 48 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:00:57.34 ID:tNohWBmJ0
ビュウウウウウ・・・
ザク・・ザク・・ザク・・・
男「うう・・・すごい吹雪だ・・・気をつけないと目に入りそう・・・」
男「(・・・しっかし、結構歩いたはずなのになぁ・・・全然、景色が変わってこない)」
男「(ここにはもしかして、あの人以外に誰もいないのかな・・・?)」
ザク・・ザク・・ザク・・・
“――ここへ来ないで――”
男「へ?」
ビュゥウウウウウウ・・・
男「(・・・今、声が・・・気のせいかな)」
男「(・・・うーん、どこかで聞いた声なんだけど)」
男「(空耳かな)」
- 50 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:09:19.03 ID:tNohWBmJ0
男「はっ・・・は・・・あー、疲れたぁー」ドシャッ
男「(・・・あ、ここって意外と・・・寝そべっても大丈夫なんだ)」
男「(風が来ない分、立ってるよりも楽な感じがする・・・)」
ビュゥウウウウウ・・・
男「(・・・早く帰りたいなぁ・・・でもここがどこかもわからないし・・・)」
男「(・・・頬を抓れば元に戻れたり・・・)」
ギュ
男「いてて・・・うーん、夢じゃないのか・・・」
男「(こんな所を歩いていても何も楽しくないしなぁ・・・どうにかしてここを出ないと)」
??『ここから出たい?』
男「!」ビクッ
??『出たい?お兄さん』
男「え、だ・・・誰!?」
??『ここよ、ここ・・・あなたのすぐ横』
男「・・・君は・・・?」
女『また会ったね、お兄ちゃん』
男「?」
女『・・・やっぱり覚えてないんだ・・・』
男「う・・・ご、ごめん・・・」
- 51 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:14:05.20 ID:tNohWBmJ0
男「・・・ねぇ、君・・・」
女『私の事は女でいいよ』
男「あ、ごめんね・・・女ちゃん、ここがどこかわかる?」
女『・・・お兄ちゃんはそれも知らないの?』
男「え?ご・・・ごめん・・・」
女『・・・』
女『・・・ううん、いいの』
男「?」
女『・・・ここはね、すごく寒くて、すごく怖いけど・・・』
女『すっごく当たり前な事を教えてくれる所なの』
男「すっごく・・・当たり前な・・・?」
女『うん、気付けなかった事を教えてくれる、学校みたいな所』
男「学校・・・って、そんな感じはしないけどなぁ・・・」
女『・・・お兄ちゃん』
男「あ、は・・・はい!」
女『・・・歩きながら、話そっか』
男「あ・・・・うん」
- 52 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:18:52.55 ID:tNohWBmJ0
男「・・・」
女『・・・』
男「(この子・・・誰だろ・・・僕の事を知ってるけど、僕はこの子のことは・・・)」
女『手、つないで良い?』
男「は、はぇっ!?」
女『・・・お兄ちゃん、嫌なの?』
男「い・・・いや、嫌じゃないよ!」
女『・・・ありがと』
ギュ
男「(・・・綺麗な肌してるなぁ・・・白く光ってるみたい・・・)」
女『・・・』
女『お兄ちゃん、本当に何も知らないんだね』
男「え?」
女『お兄ちゃんは私にこうやって、手をつないで・・・お散歩とか一緒にしてくれたんだよ?』
男「・・・」
女『やっぱり、覚えてないか・・・そうだよね』
女『珍しいことじゃない・・・かぁ・・・』
- 53 :VIPがお送りします [] :2009/01/31(土) 14:22:25.12 ID:5B/FUl0DO
マークなくて油断したぜ
- 54 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:23:35.97 ID:tNohWBmJ0
男「(・・・僕は)」
男「(僕は男、僕は19歳、僕の家族は4人、僕の出身地は・・・)」
男「(・・・おかしいなぁ、全部覚えてる・・・思い出せる・・・つい最近食べたものでさえ、全部覚えてる・・・)」
男「(・・でも)」
男「(どうしてここに来たのか・・・ここに来る前は何をしていたのか・・・)」
男「(・・・それだけが、どうしても思い出せない・・・)」
ズキッ
男「うっ・・・!」
女『! お兄ちゃん・・・!?』
男「だ、大丈夫・・・頭痛が・・・ちょっと・・・くぅ・・・」
女『お兄ちゃん・・・お・・・』
女『・・・あ・・・が・・・・・・』
- 55 :VIPがお送りします [] :2009/01/31(土) 14:28:37.74 ID:9KgDAmX8O
フゥム
- 56 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:33:29.74 ID:tNohWBmJ0
男『・・・ナムアミダブツ・・・ナムアミダブツ・・・』
ガララッ
友『こら男ー、いつまでも拝んでないで、早く支度しろよー』
男『あ、うん・・・わかってる、あとちょっとだから、待ってて』
友『・・・ったく、信仰心ってのは俺にゃわからんねぇ』
バタン
男『・・・よし』
男『神様仏様、今日も一日、頑張ります』
男『・・・お母さん』
男『今日一日、僕をお守・・・』
友『うっせえ!待ってるんだから早くしろー!』
男『ご、ごめん!本当にごめん!』
- 57 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:36:47.43 ID:tNohWBmJ0
チュン・・・チュンチュン・・・
友『うーん!森は今日も良い陽気だなー!』
男『・・・あ』
ポツポツ・・・
ザー・・・・
友『・・・』
男『・・・降ってきたね・・・』
友『お前が早く支度しねーからだよこのやろー!』
男『痛い!痛い痛い、ごめんって!抓らないで本当に!』
友『ええい!もういい、走って行くぞ!』
男『う・・・うん!』
タッタッタッタッタッタッ・・・
- 58 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:45:06.89 ID:tNohWBmJ0
男「・・・・・・」
農夫「(ザックザック」
男「・・・う・・・」
農夫「お?」
男「うう・・・頭が痛い・・・」
農夫「やっと起きたか、うなされていたぞ」
男「いたた・・いや、むしろ体が寒い・・・」
農夫「元気そうだな、良かった良かった(ザックザック」
男「・・・うう・・・なんだろう今の・・・夢かな・・・いや・・・あれは確かに友だったし・・・」
農夫「夢か?何の夢を見ていたんだ?」
男「あ、いえ・・・その・・・どこから夢と言っていいものか・・・」
農夫「聞かせてくれ、あまり聞けることではないからな・・・興味がある」
男「・・・」
男「・・・あの、大した夢じゃないんですけどね」
農夫「うむ(ザックザック」
男「僕の日常生活の、朝の風景なんですけど」
農夫「ふむふむ、つまらんな(ザックザック」
男「いや、あの・・・そりゃ確かにつまらないんですけど・・・」
男「・・・その朝が、やけにリアルなんですよね・・・」
農夫「ほう?」
男「まるで、そう、本当にあったかのような・・・」
農夫「・・・それが、お前の失っていた記憶の一部なんじゃないか?」
男「あ」
農夫「そんな感じで全部思い出せれば、何故ここに来たのかを思い出せるかもしれないぞ」
- 59 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:50:15.53 ID:tNohWBmJ0
男「なるほど・・・そうですね、帰り方も思い出せるかもしれないですし、頑張って思い出してみます!」
農夫「うむ、それが良い」
男「・・・よっし、頑張ろう・・・」
男「・・・でもあなたは、ここから帰れる方法を知ってるんですよね?」
農夫「うむ」
男「・・・教えてくれないんですか?」
農夫「お前が俺に、面白い話をたっぷり聞かせてくれるというのなら帰してやるぞ」
男「・・・面白い話、ですか」
農夫「うむ・・・そうだな、お前がここに来るまでの事を全て思い出して、そうしたら帰してやってもいいぞ」
男「・・・むー」
農夫「安心しろ、帰す時は責任を持って帰してやる」
農夫「それも含んでの、俺の仕事だからな」
男「・・・農夫さんも大変なんですね・・・」
農夫「なに、当然の事だ、気にするな」
- 61 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:54:52.43 ID:tNohWBmJ0
男「それじゃあ、ちょっとここら辺を歩いてみますね?」
農夫「うむ、そうするといい(ザックザック」
男「・・・あ」
男「あの、すいません、僕よりももうちょっと小さいくらいの・・・女の子を見ませんでした?」
農夫「女の子?」
男「はい、肌がすごく綺麗で・・・」
農夫「知らないな」
男「あ・・・そうですか、わかりました」
男「(・・・あの子はどこに行ったんだろう・・・)」
男「(あの子に聞けば、何かがわかるような気がするんだけど・・・)」
ザク・・ザク・・ザク・・・
男「(・・・確かの区は、こっちの方に歩いていったんだよな・・・)」
男「(・・・ってあれ?)」
男「(どうして僕は、あの農夫さんのいた場所に戻ってたんだろう・・・?)」
- 62 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 14:59:58.79 ID:tNohWBmJ0
ビュゥウウウウウウ・・・
男「(・・・吹雪をうまく凌ぐコツを掴んだかもしれない・・・これがどこで役に立つかはわからないけど・・・)」
男「(うう、それにしても寒い・・・もっと厚着したいなぁ・・・)」
“――駄目だ!血迷うな!――”
ズキッ
男「う・・・・!」
男「また・・・ぅ・・!」
“――早くしろ!どうしたんだ!――”
男「痛い・・・頭が割れそ・・・」
男「く・・・頭痛薬・・・なんて、無いかぁ・・・」
ドシャッ
- 63 :VIPがお送りします [sage] :2009/01/31(土) 15:07:31.51 ID:5B/FUl0DO
なんというサイレントヒル
- 64 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 15:08:59.83 ID:tNohWBmJ0
男『おはようございまーす』
友『おはよーっす』
先生『おはようございます・・・って、ずぶ濡れじゃないですか』
男『はは・・・ちょっと雨に・・・』
先生『しっかり拭いてから席に座ってくださいよ』
友『はい』
男『・・・ふー、それにしてもひどい雨だったなぁ・・・』
友『ああ・・・山の天気とはいえ、ありゃいきなりだな』
男『出た時はあんなに晴れてたのになぁ』
友『だな・・・』
先生『・・・これで全員ですね、それじゃあ始めますか』
男『(あ、そろそろ授業が始まる・・・)』
男『(・・・僕の家から通える数少ない理学の学校なんだ・・・真剣に聞かないと)』
男『(炭坑堀りは嫌だし・・・ここで勉強して、1年後には事務職に就けたら・・・いいなぁ)』
- 65 :VIPがお送りします [] :2009/01/31(土) 15:14:31.93 ID:Bw620dMK0
>>1
なぜスレタイに◆をつけなかった?
危うく見逃すところだったじゃないか
- 66 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 15:15:17.65 ID:tNohWBmJ0
男『(・・・)』
男『(・・・外・・・まだ雨降ってる・・・一度は止むかもしれないけど、また夜には降るだろうなぁ)』
男『(帰るときも雨だったら、ちょっと嫌だな・・・)』
先生『それじゃあ、この問題を・・・男君』
男『は、はい!』
先生『解いてください』
男『あー、は・・・はい・・・えっと』
男『うーん・・・多分、33.3・・・ですか?』
先生『この式で施工する場合は、1をどう使うって教えましたか?』
男『あ、すみません・・・33です』
先生『ん、よろしい・・・基本は出来ていますね』
男『(うー・・・小さい時にもうちょっと頑張ればよかったなぁ・・・理学・・・)』
- 67 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 15:21:30.74 ID:tNohWBmJ0
先生『それでは、今日の講義はここまで・・・復習は各自しっかりやっておくように』
友『んーっ、終わったー・・・』
男『疲れたぁー・・・』
友『やっぱ難しいな、理学ってのは』
男『うん・・・なんかこう、僕には苦手みたいだ』
友『得意そうな顔してんだけどなぁ』
男『それどういう意味』
友『いや、そうカッカすんなって』
男『それじゃ、また明日ね』
友『おう!お前も祈ってばかりいないで、ちゃんと力仕事のひとつでも覚えておくんだぞ!』
男『お・・・大きなお世話だよ!』
友『はっは!じゃあな!』
- 68 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 15:26:41.04 ID:tNohWBmJ0
タッタッタッタッタッ・・・
男『(雨が降ってなくてよかったぁ・・・)』
男『(でもまたいつ降り出すかはわからない・・・早く帰ろう)』
タッタッタッタッタッタッ・・・
??『・・・』
男『(・・・ん?)』
??『!』サッ
男『(誰かが・・・あそこの小屋の窓から、僕を見てた・・・)』
男『・・・あの小屋、人が住んでたんだ・・・ただの山小屋かと思ってけど』
男『(いや、それよりも早く帰らないと・・・)』
- 69 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 15:32:54.97 ID:tNohWBmJ0
農夫「起きろ」
男「はっ!?」
男「・・・?あれ、ここは・・・」
農夫「もう忘れたのか?」
男「・・・あ、いえいえ、もちろん覚えてますよ、そんな簡単には忘れられません」
農夫「そうか(ザックザック」
男「・・・うーん・・・やっぱり僕には理学が向いてないのかな・・・」
農夫「ん?理学?」
男「あ、すいません・・・ちょっと、勉強している時の夢を見てて・・・」
農夫「はは、寝てる間も学業か・・・勤勉であることは良い事だぞ(ザックザック」
男「・・・ですけど」
男「ですけど、僕にはどうも、これがわかり辛くて・・・」
農夫「・・・ふむ」
農夫「仕方ない、人には得手不得手というものがあるからな」
男「・・・あなたにはあるんですか?」
農夫「オレか?オレは・・・そうだな」
農夫「オレにはどうも、義理と情けというものがよくわからない」
男「・・・?」
農夫「それが唯一の不得手、と言うべきなのかもしれないな、はは」
- 70 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 15:38:02.24 ID:tNohWBmJ0
男「・・・じゃあ、農夫さんはそれ以外は万能なんですね」
農夫「そうとも言える(ザックザック」
男「はぁ・・・うらやましいです」
農夫「・・・(ザックザク」
農夫「どうする?また夢の続きを見に行くか?」
男「・・・うーん・・・」
農夫「どうした」
男「・・・ここを離れると、どういう訳か頭痛に襲われるんですよ」
農夫「ほう?(ザックザック」
男「それで、その後に夢を見るんですけど・・・」
農夫「ここにいても夢を見ることはできないぞ」
男「・・・そうなんですけどね・・・あの頭痛はどうも・・・」
農夫「頭痛が怖いなら、一生何も思い出せないままここですごせばいい(ザックザック」
男「う・・・」
男「・・・じゃあ、また近くの所で散歩していますね」
農夫「うむ、達者でな」
男「はい・・・」
男「(・・・一々こういう風にしないと、夢って見れないものなのかな・・・)」
- 74 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 16:05:16.86 ID:7mSQkFVFO
しかし早く立てすぎたかもしれない
このままでは恐ろしい速さで終わってしまう
せめて堂々と2日使いたい
- 75 :VIPがお送りします [] :2009/01/31(土) 16:10:03.76 ID:WCPOjd05O
マークが無くて焦った
久々に紅茶を淹れようかな
- 77 :VIPがお送りします [sage] :2009/01/31(土) 16:14:12.56 ID:Q/mSZ89xO
えらいスローペースだな
支援
- 78 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 16:14:36.63 ID:7mSQkFVFO
マーク無しなのはただ忘れただけ
今日のファンジニは少し早くから始まる
- 79 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/01/31(土) 16:18:16.38 ID:7mSQkFVFO
超スローでいく 短いから
明日にでも見ればいいさ
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