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記者「スクープの匂い・・・!」◆
- 1 :1 ◆1pwI6k86kA []
:2009/02/07(土) 09:35:26.28 ID:CyzVBEws0
街は喧騒。朝靄晴れる頃の肌寒い市場。
飴色の陽は浅く地に差し、茶褐色の砂利の影が僅かに伸びる。
並ぶ赤い果実は露に照り、焼きたてのパンの香りは旅人の足をより賑やかな通りへと誘う。
記者「・・・ここの通りじゃないな・・・」
その女、背にも腕にも籠を持たず、片手に筆。
もう片手には小さな帳面。
肩に下げた小さな箱は、真実を撮らえる己の目。
瞳は喧騒に興味を持たず、古く寂れた機械市に向けられている。
記者「赤い町並み・・・うん、いいですね、いつ来ても紅葉と赤レンガが綺麗な街です」
記者「・・・と、観光をしていきたいところですが・・・今回はちょいと、用件が違うんですね、巡れないのが残念です」
記者「・・・が、しかし、せっかく来たのですから」
記者「どれ、記念に1枚ほど・・・」
記者「・・・はい、笑ってー」
カシャッ
- 2 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 09:41:11.31 ID:fs1L8k4+O
風景写真から微笑みを感じる時がある。なぜだろうか?
- 3 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 09:42:34.95 ID:CyzVBEws0
「こ、こら!勝手に撮るんじゃねーよ!」
「やめろ!こっち写すなー!」
記者「いーじゃないですか、ちょっとだけですよちょっとだけ」
カシャッ
「だー、恥ずかしいだろ!どこの記者だこっち写すなっての!」
記者「はいはい朝の賑やか市場、リンゴ叩き売りする大男!良い画ですねぇ、もう一枚!」
カシャッ
「あーもうやめろって!」
記者「あっ!ちょっと旦那、レンズに触れないでくださいよ、汚れるでしょ!」
「ならこっち写すんじゃねぇ!他所行け、他所!」
記者「・・・減るもんじゃないのに」
記者「・・・ま、いいか」
ジーッ・・・・カショッ
記者「・・・うん、良い出来ですね、良く取れてる」
記者「この大男が恥ずかしがってる写真は・・・7面の右下を埋めるのにでも使いましょうかねぇ」
記者「・・・あ」
記者「そうだ、忘れてた・・・こんな事をするために来たんじゃないわ」
記者「取材しないと、取材」
- 4 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 09:50:16.73 ID:CyzVBEws0
「有名人?」
記者「ええ、この街で最も有名な人を探しているんすよー」
「・・・んー、有名人ねぇ」
記者「心当たり、ありませんかね?」
「・・・やっぱり、あの、角を曲がった所にある骨董店の・・・女ちゃんじゃないかねぇ?」
記者「ほうほう、女ちゃんですか(サラサラ」
「総合学校から教授になってくれって頼みがきたのに、それを蹴ってその店を開いているんだけどね」
記者「ほうほう・・・それで?(サラサラ」
「いんやぁね、その子が若い割にとっても聡明でね」
記者「ふむふむ(サラサラ」
「最近も近所の遺跡で大発見をしたとか・・・」
記者「・・・ふむ、なるほどなるほど、そりゃ偉人ですねぇ(サラサラ」
記者「・・・ん、ご協力どーもです!」
「おう、どういたしまして」
記者「・・・」
記者「(やっぱり女・・・か、ここの一番の有名人は)」
記者「(彼女を取材する価値はありそうだな・・・)」
記者「・・・よし、さっそく突撃インタビューといきましょうか!」
- 6 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 09:55:51.91 ID:CyzVBEws0
記者「とは言ったものの」
記者「・・・その女ちゃん、ってのは・・・どこに住んでいるのやら」
記者「編集長から聞いた話では、古寂れた通りに店を構えているとかいないとか・・・」
記者「・・・」
記者「よし、人に訊いてみましょか」
記者「すいませーん」
「ん?」
記者「モアの記事を手掛けてる私、記者と申します」
「ん・・・ああ、あの新聞の?」
記者「そっす、それです」
記者「取材したいんですけど、お時間いいですかね?ほんの少しだけ」
「ああ、少しだけなら構わないよ」
記者「あざ・・・ありがとうございます」
記者「・・・えっとですね、この街に住んでいるとある史学者さんについてお尋ねしたいんですがね」
「あー・・・の無口な」
記者「ご存知で?」
「そりゃ、有名人だからね」
記者「(やっぱり)」
記者「その子について詳しく、お聞きしてもいいですか?」
- 7 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 09:59:09.36 ID:Xo0mQkyRO
私は記者ですか?
- 8 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 10:00:54.98 ID:CyzVBEws0
記者「・・・ふむふむ、なるほど・・・ボロい骨董店を開いている、と・・・(サラサラ」
「あの」
記者「ん、なんしょ?」
「そろそろ行っていいかい?用事があるもんで」
記者「ああ、はい・・・ご協力感謝します!」
「どうも」
記者「・・・ふむふむ」
記者「(なるほど・・・この子は相当名の知れている学者さんのようですね・・・)」
記者「(年は19!私よりも2つ下・・・うーん、才能と特ダネの匂いを感じますね)」
記者「(・・・編集長が言うには、その子が“あの事件”の謎を解くかもしれない・・・と)」
記者「(あの狸編集長の言う事は宛てゃなりませんが、とりあえずこの史学者さんが高名なのは間違いないようですね)」
記者「・・・久々に記者魂が燃えてきましたよぉ」
記者「あ、台紙セットしておこーっと」カシャカシャ、カション
- 11 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 10:26:34.29 ID:bdzFAwE6O
“売りません”
記者「・・・売りません、か・・・斬新な張り紙を張りますねぇ」
記者「しかし、物を売らずに骨董屋が成立つのでしょうかね?」
記者「・・・気になりますねぇ」
ガンガンガン
記者「すいませーん、モアの記者なんすけどー」
ガンガンガン
記者「いらっしゃいますかー?」
ガラッ
女「・・・・」
記者「あ、どーも、私・・・」
女「・・・うるさい」
ピシャッ
記者「・・・」
- 12 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 10:36:00.39 ID:rDQ4LtBOO
あれ、貴族は?
- 14 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 10:43:17.15 ID:CyzVBEws0
ガラッ
記者「いやーすいませんね、仕事柄声が大きいんですよ」
女「・・・」
記者「あっはっは、そんな冷たい目で見ないでくださいよぉ」
女「・・・最近」
記者「ん?なんですか?」
女「あなたのようなうるさい新聞記者が、多く店に訪れる」
記者「あーそりゃ、仕方ないですよ、有名人なんですから」
記者「何て言ったって、古代の遺跡から発見した黄金の石盤!」
記者「黄金と付いたらどこのブン屋も飛びつきますって」
女「・・・」
記者「いやいや、にしても朝早くからすみませんね、連絡も無しに訪問しちゃって」
記者「こちらにムセンの一つでもあればとも思ったんですが、やー無いようで」
女「・・・手紙を出せばいいじゃない」
記者「あはは、いやぁ手紙だとラグりますからね、駄目なんですよぉ」
女「(ラグる・・・?)」
記者「・・・ところで」
女「取材なら帰って」
女「・・・私は忙しいから」
記者「ままま、そう言わずに・・・」
女「遺跡の取材はもう懲り懲り、何度も何度も同じ質問をされるんだもの」
記者「あはは、それはお気の毒に」
女「だから帰っ・・・!」
女「・・・そのカメラ」
記者「え?」
女「見せて」バッ
記者「えっ?」
女「・・・これは・・・こんな旧型の、焼付け式のカメラがまだ残っていたなんて・・・」
記者「・・・」
- 15 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 10:52:29.84 ID:CyzVBEws0
女「すごい・・・使い込まれているのに目立った傷も故障も無い・・・(ブツブツ」
記者「そりゃそうですよ、自分の商売道具ですからメンテは欠かしゃしません」
女「・・・中、開いていい?」
記者「私の取材を受けて下さるんなら良いですよ」
女「喜んで」
カパッ
女「・・・すごい、精巧な造り・・・レンズは新品?」
記者「ええ、レンズは1年か半年ほどで替えてます」
女「・・・中に入ってる紙は・・・台紙?」
記者「はい、6枚まで充填できます・・・サイズ指定はありますけどね」
女「・・・」
カチッ
女「・・・ありがとう、珍しい物を見させてもらった」
記者「いえいえー、こちらこそ・・・このカメラの話がわかる人なんて滅多に出会えないです」
女「・・・仕事場ではいつもこれを?」
記者「ええまぁ、はい・・・今のカメラはほとんどが自動式ですからねぇ・・・同僚もみんな、自動ですよ」
記者「ま、私ゃ、好きでこれを使っているんですけどね」
女「・・・」
- 16 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 10:58:22.14 ID:CyzVBEws0
女「・・・座って」
記者「え?」
女「そこの、揺り椅子」
記者「あ、どーも」キィ
女「・・・取材は、遺跡の件について?」
記者「ははは、まぁそんなとこです」
女「・・・何を聞きたいの?経緯?感想?どういう思いで探索したか?」
記者「あはは、女さんちょっと気が早いですよ」
女「・・・」
記者「その様子だと、私が来るまでによほど同じ質問を繰り返されたんでしょうねぇ」
女「・・・ええ、本当にうんざり」
記者「なるほどなるほど・・・そりゃ大変でしたね」
記者「まー、なら私も気兼ねなく取材できるというもんです」
女「?」
記者「私が今回取材に来たのは、またちょっと違う件でなんすよ」
女「・・・違う件?」
記者「ええ」
記者「んで、ま、最近の遺跡の件で有名になった女さんのお力添えが欲しいな と」
女「・・・取材って?」
記者「あはは、まー焦らないでください、お話します」
- 17 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 11:01:46.76 ID:Uh3XJmP9O
話が繋がってるのか
- 18 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 11:05:03.47 ID:CyzVBEws0
女「・・・事件?」
記者「そう、事件なんです」
女「・・・それは警察や傭兵さんのギルドにでも頼めば良いこと」
記者「と、思うでしょう?」
女「?」
記者「そーもいかないんですよね、この事件」
女「・・・警察組織の内情・・・?」
記者「あはは、いや、そーいうことではないんですけどね」
記者「警察さんも傭兵さんも踏み入れない土地があるのを、ご存知で?」
女「・・・」
記者「・・・ご存知ではないですか?」
女「思いつく限り・・・30箇所以上ある」
記者「ありゃりゃ、はるか上手を取られてましたか」
記者「それではご存知かとは思いますが・・・“青の国”についてなんですよ」
女「・・・ああ、そう」
記者「(あれ?反応が薄い・・・)」
女「それが?」
記者「え?あ・・・はい、まー要するに、“青の国”で起こる事件について、女さんの知恵をお借りしたくてですね・・・」
女「・・・そう」
記者「(・・・反応薄いなぁ・・・)」
女「・・・あなたは」
記者「はい」
女「その、“青の国”について・・・どこまで知っているの?」
記者「・・・はい、そうですね・・・」
- 19 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 11:11:55.46 ID:CyzVBEws0
記者「まず、その国は国と呼ばれながらも国として登録されていない」
記者「青の国では王も、将軍の存在も知られていない」
記者「その国の町並みは遠くから見ると青く見える事から、青の国と呼ばれている」
記者「・・・そして何より」
記者「その国へ行った人間は、帰ってこない」
女「・・・」
記者「・・・でしょう?」
女「・・・事件って、その国での失踪事件の事?」
記者「はい、もちろんです」
女「・・・何故私にその事件の話を?」
記者「そりゃまぁ、あれほど有名になった女さんですから、何か“青の国”の件について研究資料があるのではないかな、と」
女「・・・はぁ」
女「・・・もう一度、その国の特徴を復唱して」
記者「え?・・・まぁ、はい・・・」
記者「国全体が青くて、王様も将軍様もいなくて、国として登録されていなくて・・・」
記者「入った人間は帰ってこない」
女「それ」
記者「?」
女「入った人間が帰ってこない・・・だから、資料も何一つ無い」
記者「・・・」
女「・・・だから私も、その国で何があるのかは知らない」
- 20 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 11:12:43.32 ID:rcT5xMex0
探偵「ナイトスクープの匂い・・・!」
- 21 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 11:16:40.52 ID:CyzVBEws0
記者「・・・え、ってことは」
女「研究資料も存在しない」
記者「・・・」
女「・・・」コポポポポ・・・
コトッ
女「お茶」
記者「あ・・・どうも」
記者「・・・うーん、それは残念です」
女「・・・史学者も誰も、その国については知らないわ」
記者「私は、編集長からその国について調べて来いと言われてるんですけどねぇ」
女「・・・資料は一つも無い」
女「以前、その失踪事件を暴こうと武装した調査団が踏み入った事が過去十年の間に3回ほどある」
記者「おお、そうなんですか」
女「誰も帰ってこなかった」
記者「・・・」
女「・・・調べたいなら、自分で調べに行くしかない」
記者「・・・」
女「そこで何が起こるかはわからないけど・・・(ズズズ」
- 22 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 11:22:10.44 ID:CyzVBEws0
記者「・・・“青の国”・・・ですか・・・(ズズズ」
女「・・・ええ」
女「別に、その国が何か悪さをしてくるわけではない」
女「だから国々も、“青の国”を領土内に置いてる国でさえも、手出しをしない」
記者「・・・」
女「・・・触らぬ神に祟りなしだから」
記者「・・・それってもしかして・・・!」
女「?」
記者「呪われた国なんじゃ・・・!?」
女「・・・」
記者「・・・そうだ、以前その国は繁栄していて・・・けれどそれは大昔の戦争で砕かれ、栄華を極めた都は亡霊の街に・・・!」
女「それを記事にすればいいじゃない」
記者「・・・冗談ですよ」
記者「・・・うーん、でも不思議な事件じゃないですか?」
女「・・・」
記者「何かこう、冒険心がくすぐられません?暴きたくないですか?この謎を」
女「別に・・・」
記者「・・・」
- 23 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 11:27:38.26 ID:CyzVBEws0
女「・・・私は、古文書の訳解に追われてるから」
記者「・・・」
女「別に、その国の事について調べたいとも思わない・・・忙しいの」
記者「そう、ですか・・・」
女「・・・クッキー」コトッ
記者「あ、どうも・・・」
女「・・・悪いけど、その事件に関しては力になれない」
記者「・・・うーん」
女「何か、興味深い資料さえあれば・・・」
記者「え?」
女「あ・・・いえ、興味が惹かれるような・・・何か、その国の資料さえあれば」
女「私も調べる気にはなるのだけど」
記者「・・・」
記者「・・・(ニヤリ」
女「?」
記者「つまり、資料があれば協力してくれると・・・?」
女「・・・資料はどこにも無いわ」
記者「ええそうですね、しかし、あれば協力してくれるのでしょう?」
女「・・・あなたまさか」
女「“青の国”の資料を持っているの・・・?」
- 24 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 11:30:38.18 ID:uPc0SM+J0
オプーナの匂いに見えた
- 25 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 11:34:33.94 ID:CyzVBEws0
記者「いえ、無いです」
女「・・・」
記者「私も独自に調査をしてみたはいいんですが、どこにも載ってないんですよねぇ」
女「・・・ええ」
記者「ちょっと前に新しく開放された国立図書館、Kの欄にもそれらしき資料はありませんでした」
女「Kの棚・・・?」
記者「はい、以前は要人にしか開かれていなかった図書館のスペースなんですけどね、最近開いたんです」
女「(・・・今度見に行かなきゃ)」
記者「・・・青の国については、文字通り噂が一人歩きしてますね、噂以外は何もありません、確かなソースが欲しいのですけどね」
女「・・・」
記者「んでま、それだけじゃ調査にならないので試しに青の国に関する“噂”を全てまとめてみたんですけど」
女「全て・・・?」
記者「はい・・・(パラパラ)・・・ほら、このページです」
女「(汚い字・・・細かい・・・)」
記者「大富豪の集まる国、軍事国家、盗賊団のアジト・・・色々集めましたがこれといったものは一つも無かったです」
女「・・・頑張ったわね」
記者「ええ、私ゃ記者ですからー」
- 26 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 11:45:19.91 ID:CyzVBEws0
フォッシル
- 27 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 11:56:51.24 ID:ID8KyeiiO
>>1は続き物を書くのが好きだな
見逃さないかとヒヤヒヤするよ
- 28 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 11:56:51.71 ID:FI3+4mTZO
ほっしゅ
これは農夫の次?
- 29 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 11:59:37.25 ID:bdzFAwE6O
続き物を書いたつもりは一度もないんだが
ココアうめー
- 30 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 12:17:01.06 ID:bdzFAwE6O
女「・・・まさか」
記者「?」
女「その手帳に書かれている噂のまとめが資料と・・・言うつもり?」
記者「ははは、まっさかぁ、そんな噂だけで学者さんの知恵をお借りしようとは思っていませんよ」
女「・・・」
記者「・・・ただ、私はですね、どんなに難解なネタでも調査して・・・取材して・・・それを暴く」
女「・・・」
記者「そういう人種だって事を、学者さん、あなたに知ってもらいたかったんですよ」
女「・・・まさか」
記者「ものは相談なんすけど」
女「・・・やめなさい」
記者「“青の国”の風景を撮ってくるだけじゃ駄目ですかね?」
女「やめなさい!」
記者「町並みと・・・ああ、住んでいる人の姿も撮りましょうか?」
女「・・・あなたは、知っているんでしょう?」
記者「ええ、踏み入れたら帰っては来られない・・・それが青の国、現地周辺の人々は口々にそう言います」
女「死ぬかもしれないのよ」
記者「あはは、私の命は問題じゃないです」
記者「私の命はスクープですからねぇ」
- 31 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 12:29:46.39 ID:bdMbmT0QO
かっけえな
- 32 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 12:31:52.66 ID:bdzFAwE6O
女「・・・・はぁ」
記者「いやー、私もこれに命かけてますからねぇ」
記者「編集長にも危険な取材だと言われましたが、逆に血がたぎりますよ」
女「・・・はあ」
女「・・・その事件の謎を知って、どうするつもり?」
記者「もちろん、一面に載るつもりすけど」
女「・・・それだけ?」
記者「はい」
女「・・・」
女「そうね・・・その国の細かい資料があれば・・・家の造りや地面がわかれば・・・少しは、そこの文化を解明できるかもしれない」
記者「本当ですか?」
女「でも、それでさえ多くの資料が必要となる」
記者「・・・」
女「人の文化を予想するために10枚近くの写真を必要とするかもしれない」
記者「10枚もですかぁ」
女「・・・10枚をスナップできたとして」
女「生きて帰れるかしら」
- 38 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/07(土) 13:19:18.73 ID:Nfj9xrtQO
そう、続きものを書いてるわけじゃないんだ
紙の上に適当に引いた線が偶然重なった
ただ、それだけなんだ
- 48 :VIPがお送りします [] :2009/02/07(土) 15:53:31.43 ID:Io73ww4QO
これ終わったら貴族やるのかな
- 51 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/07(土) 16:42:43.51 ID:CyzVBEws0
記者「10枚・・・かぁ」
女「暴走しがちのようだから釘を刺しておくけど・・・やめたほうが良いわ」
女「失踪した人の多くは傭兵・・・戦闘、自警、警護のエキスパート」
女「そんな人たちが一斉に消えてしまう・・・」
女「・・・“青の国”で何があるかはわからない」
女「確かに私も、そこで何が起こっているのか・・・何故人が消えるのか、とても興味がある・・・その国の文化にも」
女「でも」
女「・・・手出しはしない方が良い」
記者「・・・」
女「庵銅鑼の苔剥がすべからず」
記者「・・・」
女「・・・命の方が大事よ」
記者「・・・前人未踏の世界・・・」
女「・・・?」
記者「燃えてくるじゃないですか」
女「・・・ちょっと、聞いてた?」
記者「はい、もちろん・・・いや、いつになく燃えてきましたよ」
女「頭を冷やしなさい」
記者「任せてくださいよ、こちとらブン屋も長いんです」
記者「必ずベストショット、決めてきますからね!」
女「ちょっと・・・!」
ガララ
タッタッタッタッタッ・・・
女「・・・」
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