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女「・・・ダンスパーティだと?」◆
- 1 :1 ◆1pwI6k86kA []
:2009/02/10(火) 20:01:45.06 ID:SZnmqcKL0
姉1「ええ、お城でね、明日開かれるのよ」
姉2「女もどうかしら?お城のパレードよ?行ってみない?」
姉3「きっと楽しいわぁー」
女「・・・別に」
姉2「ええーっ?いいじゃないのー、一緒に行こうよー」
姉3「そうよー、こんな催し、もう無いかもしれないのよ?」
女「・・・あんな鋼鉄の・・・品性の欠片も無い城で、何を踊るんだよ」
姉2「それはぁー・・・ね?」
姉3「・・・お、お食事も出るじゃない?ほら・・・お城のお食事、美味しいわよ?」
姉1「女はいつも、私達のかわりに家事をやってるけど・・・たまにはいいじゃない、羽目を外してみるのも」
女「・・・いいよ、私は掃除してるから・・・姉貴達で楽しんでいってよ」
女「私、そういうの興味ないからさ」
姉2「えー・・・」
姉3「うーん・・・たまには一緒に、楽しもうって思ってたんだけど・・・」
姉1「・・・女、本当にいいの?」
女「ああ」
姉1「・・・そう」
- 3 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/10(火) 20:06:01.74 ID:++aCKodR0
お母さん泣いてるぞ
- 4 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 20:07:18.22 ID:SZnmqcKL0
姉2「ごちそうさまー!」
姉3「今日も女ちゃんの料理は美味しかったわぁー」
姉1「ごちそうさまー・・・さて、と」カチャ
女「あ、食器は私がやるから」
姉1「え?でも」
女「いいよ、私がやる」
姉1「・・・そう、いつもいつも悪いわね・・・」
姉3「私達も、何か女ちゃんのためにしてあげたいんだけどねー・・・」
女「気にするなって、家族なんだから」
姉1「・・・うん」
女「お風呂沸いてるから、姉2はもう入れば?」
姉2「ほんと!?入ってくる!」バタン
姉1「・・・」
姉3「・・・」
姉1「(・・・女、この家に引き取られてから随分経つけど・・・)」
姉3「(・・・ずっと働きっぱなし・・・可哀想・・・)」
女「・・・なんだよ、その目」
姉3「え?えっ?」
女「私が好きでやってるんだよ、気にするなって」
姉3「あ・・・うん、うん・・・そう、ね・・・」
姉1「・・・」
- 6 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 20:13:05.23 ID:SZnmqcKL0
姉3「・・・んーっ・・・ふぁ、眠いわぁ・・・」
姉1「あら、もう寝るの?」
姉3「そうねぇ・・・もう寝ちゃおうかしら・・・」
女「・・・じゃあ、ベッドの用意してくる」
姉3「へっ?え、いいわよぉ、そのくらいは自分で・・・」
女「いいから」
姉3「・・・そう、ありがとうねぇ、女ちゃん・・・でも、」
女「でも、は良いから」
姉3「・・・」
姉1「・・・」
姉1「・・・ねぇ、女・・・本当に良いの?ダンスパーティ」
女「ああ、何度も言ってるだろう、気が向かないんだ」
姉1「良い人が見つかるかもよ?」
女「いいよ、私にはまだ早い・・・それより姉貴達が先だよ」
姉1「う」
女「・・・私は、別に良いし」
姉1「・・・でも、ほら、いつかは旦那さんを持たなきゃならないわけじゃない?」
姉3「そうよー、そのためにも、ほら、練習ってことで・・・」
女「別にいいよ、そんなの」
姉1「(・・・うーん・・・)」
- 8 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 20:17:04.52 ID:SZnmqcKL0
姉3「すぅすぅ・・・」
姉2「ぐかーぐかー・・・」
姉1「(・・・姉達は、寝たみたいね・・・)」
ガチャ
姉1「あら」
女「ん」
姉1「女はまだ寝てなかったの?」
女「・・・あ、ああ・・・なかなか寝つけなくてな」
姉1「・・・」
姉1「たまには、寒い居間じゃなくて・・・私達の部屋で寝てもいいのよ?」
女「・・・いいよ、別に」
姉1「堅い事は言わなくていいのよ、私達は家族なんだから」
女「・・・私が寝ると、ベッド、厳しいだろ」
姉1「大丈夫よ、まだあなたくらいなら・・・」
女「いや、いいから」
姉1「・・・」
女「私ももうすぐ、寝るから・・・」
姉1「・・・そう、わかった・・・じゃ、おやすみなさいね」
女「ああ」
バタン
女「・・・・」
女「(家族・・・)」
- 9 :VIPがお送りします [sage] :2009/02/10(火) 20:18:48.87 ID:BIVTkvpZO
シンデレラ?
- 10 :VIPがお送りします [] :2009/02/10(火) 20:20:08.24 ID:QUm8ibgV0
新ジャンル「シンデレラの姉たちが優しかったら」こうですか?
- 11 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 20:28:52.85 ID:SZnmqcKL0
それは、ほんの少し昔の出来事。
男『頼む!10万だけで良いんだ!貸してくれないか!?』
母『じゅっ・・・10万と言われてもねぇ、そんな大金・・・』
男と母は、いわゆる旧友の縁にあった。
初等学校がら高等な理学学校まで、長い時間を共に過ごしてきた関係である。
しかしその縁は愛や恋で結ばれていたというわけではなく、単に友達、クラスメイトのような、特に深くも浅くも無い、微妙な関係にあった。
特にお互いが互いを意識していたわけでもないし、彼らの親の代に何らかの縁があったわけでもない、本当にただの、知り合いというだけのものだったのだ。
ただの旧友、それだけである。
がしかし、この男は今日、わざわざ女の家まで出向き、深々と頭を下げ、決して少なくは無い金額を貸してくれと頼み込んでいる。
ただの旧友、それだけである。
女は早くに夫を亡くし、3児の母である。今の生活は決して裕福ではない。
いくら女が人に甘いとはいえ、この男が頼み込んだ金額は、今の生活状況を考えれば到底、頭を下げたくらいでは出してはやれないものだった。
男『・・・頼む、必ず返す・・・!』
女『・・・でも・・・こっちもねぇ、そんな・・・』
男『そうだ、必ず・・・これを、こいつを担保にしてやっても良い!』
娘『・・・』
- 12 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 20:36:31.90 ID:SZnmqcKL0
後に、男は音信不通となった。
担保と称し、自分の娘を身代わりにしたまま、雲隠れしたのである。
母『・・・騙された・・・』
母はこの時、自分の人に対して甘い性格が、自分の家族を傷つけるものであるということを思い知った。
自分の3人の娘は今が大事な時期だというのに、夫が残してくれた財産の大半が、こんな下らないことで消えてしまったのだ。
持ち逃げされた10万は帰ってくることは無く、家には貧困だけが残った。
母『ううっ・・・これから、これからどうしていけば・・・!』
娘『・・・』
母『こんなっ・・・ううっ・・・!』
娘『・・・』
置き去りにされた娘は、悔しさに泣き崩れる女を見ていた。
同じくらいの悔しさと怒りで、唇を噛み締めて。
- 13 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 20:39:15.52 ID:SZnmqcKL0
チュンチュン・・・
女「・・・!」
女「はっ・・・は・・・」
女「・・・胸糞悪い」
ガチャ
女「(・・・今日は、姉貴達がダンスパーティーの日か)」
女「(・・・)」
女「(・・・ダンスパーティねぇ)」
女「(あの完全要塞の鉄城で、どんな踊りをするんだか・・・剣の舞か?)」
女「(・・・ま、いいか・・・姉貴達が楽しんでくれれば)」
女「(・・・朝食の準備、しないとな)」
- 14 :VIPがお送りします [] :2009/02/10(火) 20:39:47.81 ID:45Xk24icO
ほうほう新シンデレラか
期待ガンガレ
- 15 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 20:43:36.86 ID:SZnmqcKL0
ガチャ
姉1「ふぁあ・・・あら、おはよう・・・もう起きてたの」
女「ああ、姉貴・・・おはよう」
姉1「・・・んー、良い香り」
女「レモン絞ってるからな」
姉1「レモン?あらあら、サラダかしら・・・楽しみにしてるわね」
ガチャ
姉2「おっはよー!」
姉3「おはよぉー」
姉1「あらおはよう、二人とも」
女「おはよう、姉貴・・・今朝食作ってるから」
姉2「おおっ、準備が良いねぇ女は!楽しみにしてるわよ!」
姉3「今日は何かしらねぇ」
- 16 :VIPがお送りします [] :2009/02/10(火) 20:49:13.70 ID:3e2UCZe8O
>>1乙
待ってたよ
これは青の国かね?
まあ読んでいけばわかるか
- 17 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 20:49:51.11 ID:SZnmqcKL0
姉2「それでさー、これがまたすんごい怖くてさー」
姉3「あはは、楽しそうねぇ、私も見たかったわぁー」
姉1「・・・」
姉2「おーい、どうしたのよ?浮かない顔して」
姉1「え?」
姉2「どうしたどうしたー、私に相談してみなさいよ」
姉1「・・・ああ、うん・・そうね」
姉1「今日は、せっかくだし・・・新しい服でも買いにいこうかと思ってたんだけどね」
姉3「服・・・?あ、なるほど、そうねー」
姉2「なるほどなるほど、せっかくのダンスパーティだものね!」
姉1「うん、それでね?女の服も買ってあげようかなって・・・」
姉3「女ちゃんの?」
姉1「そう、女ちゃんっていつも暗い服ばかりだから、気付かないけど・・・もう結構古い服なのよ」
姉2「あーそう言われてみれば、女の新しい服なんてしばらく見ないわねぇ」
姉1「だから・・・ほら、買ってあげようかなって」
姉3「良いんじゃないかしら?私達も女ちゃんにはお世話になってるものー」
姉2「むしろ今まで、なんで女に買ってやらなかったのかって感じよねー」
女「・・・」
女「(別に、そんなの良いのに・・・)」
- 18 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 20:55:20.16 ID:SZnmqcKL0
姉1「・・・それでね」
姉2「うんうん」
姉3「それで?それで?」
姉1「・・・せっかくだし、とびっきり豪華な服を・・・プレゼントしようかと」
姉2「おおー」
姉3「あらー、良いんじゃない?」
姉1「普段お世話になってるし・・・外へ出ても恥ずかしくない、むしろ誰もがうらやむような可愛い服を着せてあげたいと思うの」
姉2「良いわねそれ!」
姉3「私は賛成よー」
女「・・・ご飯、できたぞ」
姉2「おっ、きたきたきたきたー」
姉3「あらあら、美味しそう!」
姉1「さすが女ねぇ」
姉1「(・・・それで)」
姉1「(服を買ってあげて・・・あわよくば)」
姉1「(・・・女も、一緒に・・・パーティへ連れていってあげよう)」
- 20 :VIPがお送りします [] :2009/02/10(火) 21:05:04.64 ID:Ms3oKwMkO
この短期間でよく何本も書けるな。尊敬するわ。
- 21 :VIPがお送りします [] :2009/02/10(火) 21:07:01.94 ID:gfn88gtMO
姉が優しいシンデレラか……
今回もwktk
- 23 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 21:07:10.31 ID:RXReSW5aO
姉2「もぐもぐ・・・んー!美味しい!」
姉3「あらあら、頬に付いてるわよー」
姉2「お、ありがと」
姉3「どういたしましてー」
姉1「・・・」
女「・・・(モグモグ」
姉1「(・・・女は、いつも・・・自分の食べる分が少ない)」
姉1「(本人は小食だからって言ってるけど・・・きっと、私達に遠慮してるんだろうな・・・)」
女「・・・何見てんだよ」
姉1「あっ、ごめんね、つい・・・」
女「・・・いいよ、別に・・・(モグモグ」
姉1「・・・」
姉1「(お父さんの償いなんて・・・しなくても良いのに・・・)」
姉1「(・・・食べよう)」
姉1「もぐもぐ・・・あ、美味しい」
- 24 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 21:13:28.01 ID:RXReSW5aO
姉2「よし、食後はゲームの時間よー!」
姉1「せっかくの休暇なんだから、もっと有意義な事をしましょうよ・・・読書とか」
姉3「あらあら、私は良いと思うわよ?」
姉2「ほら!こう言ってるんだし!」
姉1「・・・そうね、じゃあ久々にやりましょうか」
女「・・・」
姉2「おーい!女も一緒にやるぞー!」
女「・・・私は良いよ、そんな」
姉2「いいからいいから!やるの!」グイグイ
女「ちょっ・・・姉貴ひっぱんな・・・」
姉2「なんだって遊びは多い方が楽しいもんでしょ?」
女「・・・そうだけど」
姉2「だけど、じゃなくてやーるのー」
女「・・・うん」
姉1「・・・ふふふ」
姉1「(そうね・・・このゲームが終わったら、買い物に行こうかしら)」
- 25 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 21:23:35.29 ID:RXReSW5aO
姉1「んーっと、そろそろ・・・じゃあ、“盗賊”」
ピラッ
姉1「あれ、まだだった・・・」
姉3「読みが甘いわねぇ、“剣士”」
姉2「うがー!来るなぁ!“盾持ち”!」
女「・・・パス」
姉1「私もパスかしら」
姉3「パスね」
姉2「・・・むむむ」
姉3「使う?使わない?」
姉2「・・・使う!“盗賊”!」
ピラッ
姉2「・・・」
姉3「はいはずれー」
姉2「おかしい・・・もう勝てたはずなのに・・・!」
女「“盗賊”」
ピラッ
姉2「あ」
姉3「あら?」
姉1「・・・これで0枚なの・・・」
姉2「だああぁあー負けたー」ペシッ
姉3「こーら、カードをぞんざいに扱わないの」
姉2「また女の一人勝ちー?卑怯よおー!」
女「・・・ふっ」
姉1「(・・・何だかんだで)」
姉1「(楽しそうね、良かった・・・)」
- 26 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 21:31:18.20 ID:RXReSW5aO
姉2「まさか全敗するとは思わなかったわ・・・」
姉3「よしよし」
女「姉貴はカウントしないで刺そうとするから弱いんだよ」
姉2「ふ、ふんっ!踏ませるなんて邪道よっ!邪道!」
姉1「女はしっかり刺しのスタイルじゃない」
姉2「・・・うわああああん!」
姉3「よしよし」
姉1「・・・じゃあ、そろそろ・・・」
姉3「あ、そうね・・・良い時間かしら」
姉2「ん?」
姉1「服を買いに行くのよ、もう忘れたの?」
姉2「わお、忘れそうだったわ!」
女「私は留守番してるから」
姉1「・・・うーん」
姉1「女も一緒に」
女「行かない」
姉2「・・・」
姉3「・・・」
女「まだ自分の服あるし・・・いらないから、いいよ、別に」
姉3「・・・でもそろそろ新しいものがないと・・・」
女「良いんだよ、着慣れた物の方が」
姉3「そ・・・そう」
姉1「(・・・)」
- 28 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 21:38:37.24 ID:RXReSW5aO
姉2「じゃ、行って来る!」
姉3「留守を頼んだわよー」
女「ああ」
姉1「・・・じゃ、すぐに帰ってくるから」
女「・・・ああ」
バタン
女「・・・」
女「(ふぅ・・・やっと・・・一人か)」
女「(・・・別に姉貴達が嫌いってわけじゃないが・・・)」
女「(・・・)」
女「(・・・居心地、悪くもないが)」
女「(・・・)」
女「そうだ、食器洗わねーと・・・」
ガチャガチャ・・・
女「(・・・別に居心地悪いわけじゃない・・・姉貴達と話していると楽しいし、優しいし・・・)」
女「(でも何か・・・劣等感・・・のようなもが、拭えないというか)」
ガチャガチャ・・・
女「(・・・ダンスパーティーか・・・)」
女「(どうせ、出会いを求めてる騎士団の男と女の社交場だろ・・・)」
- 31 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 21:45:47.03 ID:RXReSW5aO
女「・・・」
女「やる事、何か無いかな・・・」
女「・・・掃除はしたし」
女「・・・・あ、鏡・・・鏡を拭くか」
キュッキュッ
女「・・・」
女「(・・・ダンスパーティー・・・か)」
女「・・・いや、」
女「(関係ない・・・)」
女「(・・・興味ないし)」
キュッキュッ
魔女「・・・」
キュッキュ・・・
女「・・・えっ!?」
ババッ
女「・・・」
女「(・・・今、鏡に何か・・・写ってたはずなのに)」
女「・・・はー、疲れてんのかな、私」
- 33 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 21:52:30.96 ID:RXReSW5aO
女「・・・」
女「ふぁぁ・・・んーっ・・・」
女「・・・やばい、やっぱり寝不足だったか・・・欠伸が・・・」
女「・・・」
女「(姉貴達がダンスパーティーに行ったら・・・そうしたら、寝るか)」
女「(今寝たら、姉貴達が帰ってくるかもしれないし・・・)」
ガチャ
女「ん」
姉2「たっだいまー!」
姉3「ただいまー」
姉1「ただいま、女居るー?」
女「・・・いるけど」
姉1「あ、良かった良かった・・・渡したいものがあって」
姉2「見て驚かないでよー?」
女「・・・」
- 34 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 21:59:32.76 ID:RXReSW5aO
姉2「じゃっじゃじゃーん!」
女「・・・」
姉2「驚きなさいよ!」
女「姉貴が驚くなって言ったんじゃないか」
姉2「・・・少しは驚いてよー」
姉1「どうかしら、女に合うものを買ってきたつもりなんだけど」
女「・・・別にいらないんだけど」
姉3「もう買ってきちゃったものは返品できないのよー」
姉2「そういう事!さっ、着てみなさいよ!」
女「・・・強引だな・・・ちょっと待ってて、着替えに行くから」
バタン
姉1「・・・ふう、なんとか渡してあげられたわね」
姉3「きっと似合うわー」
姉2「女は美形だからね、何着ても似合うわよ」
ガチャ
- 43 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 22:37:51.07 ID:SZnmqcKL0
女「・・・なんだよこれ」
姉3「!」
姉1「・・・わーお」
姉2「可愛い!」
女「・・・白、とか・・・嫌いなんだけど」
姉2「良いじゃない、すごく似合ってる!可愛い!」
姉3「・・・うふふ、これからはもっと丈の短い服を・・・」
女「おい」
姉1「私から見ても、悪くはないと思うわよ?」
女「・・・短くないかこれ」
姉2「なぁに言ってるの、今時はこういうのが普通なのよー」
女「・・・」
姉1「とっても素敵よ?似合ってるわ」
女「・・・・そうかい」
姉1「・・・だからってわけじゃないけどさ、ほら、今夜・・・」
姉3「ええ、せっかくだもの、女ちゃんも一緒に」
女「断わる」
姉2「・・・ちょっと、せっかく姉1が誘ってるのに」
女「好きじゃないんだ、そういうの」
姉1「・・・んー、やっぱり、そう・・・わかったわ、無理にとは言わないわ」
女「・・・」
姉1「(・・・せっかく綺麗なのに・・・)」
姉1「(ダンスはいいから、一緒に・・・せめて食事だけでも一緒に、行きたかったんだけどな・・・)」
- 44 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 22:43:34.75 ID:SZnmqcKL0
姉2「ねえねえ、ちょっと、カチューシャ知らない?」
姉3「えー?いつもの所に置いてあるんじゃないのー?」
姉2「それが無いのよー」
姉3「あらあら、どこに行っちゃったのかしら・・・探してみるわねー」
女「・・・(トントントントン」
姉1「・・・(ヒョコッ」
女「・・・姉貴・・・見るなよ、集中できないだろ」
姉1「あ、ごめんね」
トントントントントントントントン・・・
姉1「・・・カボチャ?」
女「・・・ああ、まだ青いが・・・スープにするから関係ない」
姉1「ふーん・・・」
女「・・・パーティへは」
姉1「え?」
女「パーティへは、何時くらいに行くんだ?」
姉1「え?えーっと、そうねぇ・・・やっぱり5時くらい?」
女「・・・まだ薄暗い頃だな」
姉1「ええ、早く出ておかないと・・・お城まではちょっと距離があるしね?」
女「・・・じゃあ、晩御飯はいらないか」
姉1「あっ・・・うん」
トントントントントントン・・・
女「・・・そうか、楽しんで来なよ」
姉1「・・・うん」
- 46 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 22:49:14.14 ID:SZnmqcKL0
トントントントントントントン・・・
女「(・・・)」
女「(・・・新しい服・・・ダンスパーティ・・・)」
女「(・・・)」
女「(別に・・・行きたく無いし・・・)」
女「(別に、どうだっていいし・・・)」
トントントントントントントン・・・
女「・・・」
女「(・・・行きてえよ・・・)」
女「(行きてえよ、当然だろ)」
女「(でも、・・・でも私が行って、どうするんだよ)」
トントントントントントントントン・・・
女「(踊りなんて・・・踊りも、言葉遣いも、最低限の礼儀も・・・何も)」
女「(何も無いのに、どうするんだよ、私が行ってよ・・・)」
女「(・・・姉貴達と楽しく、お喋りだってしたいよ・・・)」
女「(・・・)」
女「(・・・でも、私は・・・そんなことできる立場じゃない)」
トントントントントントントントン・・・
女「・・・はー」
女「(・・・もう、気にするのはやめよう・・・行かない、そう決めたんだから)」
- 48 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 22:53:45.41 ID:SZnmqcKL0
姉1「お化粧はいらないわよね」
姉2「いらないいらない!素材で勝負よ!」
姉3「うふふ、みんなお化粧してたらどうしよう?」
姉2「・・・化粧品も、持って行こうか」
姉1「素材で勝負はどうなったのよ」
女「・・・ん、もう出発するのか」
姉1「あ、女・・・うん」
女「そうか・・・馬車は手配するのか?」
姉1「ううん、そんな距離でもないから、歩いていくわ」
女「・・・そっ、か、じゃあ馬車に気をつけろよ」
姉1「うん」
姉2「・・・ねー、女は本当に来ないのー?」
姉3「楽しいわよー?」
女「・・・だから、別にいいって」
女「そういう柄じゃないから」
姉2「・・・わかった」
姉1「・・・じゃあ、行ってくるわね?」
女「ああ」
ガチャ バタン
女「・・・」
女「・・・行ってらっしゃい」
- 49 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 22:58:14.90 ID:SZnmqcKL0
女「・・・」
女「・・・はー」
女「(部屋の掃除・・・もうやったか)」
女「(やること・・・ない、か)」
女「(・・・少し・・・横になろうかな・・・眠くなってきた・・・)」
ゴロン
女「・・・」
女「ダンスパーティ・・・かぁ」
女「豪華な食事・・・人・・・踊り・・・灯り・・・笑顔・・・」
女「・・・素敵な、人が・・・手とか、取って・・・ダンスに誘って・・・」
女「・・・」
女「・・・憧れねーよ!そんなもん!」
女「くそっ・・・くそが・・・くそ・・・」
女「(・・・あー、ムシャクシャする・・・)」
女「(・・・外に出よう)」
女「(別に、パーティには出ない・・・ただ外で、何か・・・買い物を・・・)」
- 50 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 23:03:12.42 ID:SZnmqcKL0
ガチャ
女「(・・・あ、姉貴達から貰った服のまま・・・別にいっか)」
女「(何かしようってわけでもないし・・・別に)」
??「・・・お嬢さん、お嬢さん」
女「ん・・・?」
魔女「こんばんは、素敵なお嬢さん」
女「・・・」
魔女「何やら、ご機嫌が優れないようですね」
女「・・・別に」
女「お前に関係ないだろ」
魔女「ええ、その通り」
女「・・・構うなよ」
スタスタスタスタ・・・
魔女「・・・」
魔女「お嬢さん、後悔しますよ?」
女「・・・は?」
魔女「後悔を、します」
女「・・・あっそ」
スタスタスタスタ・・・
魔女「・・・良いんですね?それで」
- 52 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 23:10:15.30 ID:SZnmqcKL0
女「(・・・何買おうかな・・・何を・・・)」
女「(・・・そうだ、久々に・・・姉貴達のために酒でも・・・グログでも買うか)」
女「(また姉3が暴れそうだけど・・・あれはあれで楽しいし・・・)」
女「(・・・ふふっ)」
女「すいません、これ一本」
店主「おう、134YENになるよ」
女「安いな」
店主「はっは、それが売りだからねぇ」
女「・・・ん、ありがとう」
店主「また来ておくれよ」
女「おう」
女「(・・・さて、あとは・・・)」
女「(・・・・別に、買わなくてもいいか)」
女「(あまり無駄遣いするのも悪いし・・・)」
女「・・・帰ろう」
バシャッ!
女「う・・・わっ!?」
??「あ、すんませーん」
女「てめ・・・!泥水掛かったじゃねーか・・・!」
??「悪ィ悪ィ、文句は水溜りに言ってくれ」
女「お前よくも・・・!」
女「(・・・どうするんだよ、これ・・・新品なのに・・・)」
- 53 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/02/10(火) 23:16:10.24 ID:SZnmqcKL0
ガチャ バタン
女「ただいまー・・・って、誰もいない、か」
女「・・・はー」
女「(どうしよう・・・せっかく姉貴達から買ってもらったのに・・・)」
女「(・・・泥水が・・・うっわぁ・・・すっごい掛かってる・・・もうだめだな)」
女「(くっそ、着てかなきゃ良かった・・・くそ)」
女「・・・はー、最悪だ・・・」
女「・・・」
女「暗く、なってきたな・・・もう、暗い・・・」
女「・・・パーティはもうそろそろ、始まる頃なのかな・・・」
女「パーティ・・・」
女「・・・いや」
女「私は行けるような人間じゃない・・・姉貴達が行って、私はその土産話を聞く・・・それだけでいい」
女「・・・それだけでありがたいんだ」
女「・・・それだけでいい」
女「それだけで・・・」
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