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女「・・・もう朝・・・」◆
270 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 18:47:32.25 ID:SSVKdie5O
男「降ろせ!」

キキィッ・・・・

男「ご苦労、金はちゃんと払う」
「ははっ、ありがとうございます・・・」

従者「・・・山、ですね」
男「ああ、未だに人が滅多に踏み入らない、未開の土地だがな」
従者「?・・・何故です?未だに未開の土地なんてあるのですか?」
男「未開の地なんて沢山あるさ」

男「・・・この山はどうも、呪われてるだとかそういう噂が絶えないようでな」
従者「呪い・・・」

男「入ると皮膚が酷く荒れ、とてもではないが開拓もできないのだそうだ」
従者「う・・・皮膚が荒れる・・・のですか?」
男「山の地質、植物、何に原因しているのか・・・詳しい事は知らないがな」
従者「・・・」

男「・・・恐らくはこの山の、この植物に原因があるのだろう・・・これにさえ気をつければ大丈夫だ」
従者「本当ですか?」
男「ああ」

男「(・・・やはり、こいつ一人ではまずかったかもしれないな・・・)」


272 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 19:00:24.65 ID:kEuMUre10
友「ま、待ってよ!そんなに急がなくても・・・!」
女「・・・ご、ごめん・・・はっ・・はっ・・!」

ザザッ

女「(・・・もしも“あの男”が来ているなら・・・危険ね・・・)」
女「(各地の遺跡や遺産を手荒に扱う・・・名誉のためならどんな手も使う・・・)」

女「(もしも、もしもあいつがいたら・・・もしもあいつに先を越されたら・・・!)」
女「(遺跡を壊される・・・かもしれない・・・!)」

友「どうしたの?女?」
女「・・・あ、友」

女「・・・もしかしたら私達のように・・・遺跡を探してる人がいるかもしれない・・んだけど・・・」
友「えっ?どうして?」
女「わからない・・・多分、店に置いておいた本を誰かに読まれ・・・!」

女「(しまった・・・!納期の時、机の上に出しっぱなしだった・・・!)」

女「・・とにかく、先を越されるかも・・・」
友「えぇー」


273 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 19:05:53.72 ID:kEuMUre10
友「・・・じゃあ、急ぐしかないでしょ」
女「・・・・大丈夫?」
友「何が?」
女「何がって・・・脚・・・とか」
友「ぜんぜん、私は女ほど軟弱じゃないわよー」
女「(・・・そうよね、でも・・・)」

女「(・・・ちょっと、危ない・・・かも・・・しれないんだけど・・・)」

友「ささ、気にせず進みましょ?遺跡探しするんでしょ?」
女「・・・う、うん・・・」
友「なぁに暗い顔してんのよ!早く道案内してってば!」
女「・・・ええ、わかった・・・」

女「(・・・そうよね、私のすることは変わらない・・・)」
女「(友と一緒に・・・遺跡を見る・・・それだけだもの)」

女「(男の事なんて関係ない・・・いてもいなくても関係ない)」
女「(・・・私が遺跡を見つけて、友が喜んで・・・その隣で、私も・・・)」


275 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 19:09:52.41 ID:kEuMUre10
従者「・・・山道ですね・・・本当に、遺跡があるんですか?ここに」
男「さあな、だが、この山ならあり得るかもしれん」
従者「・・・この木に触れてはいけないって・・・難しい気もするんですが」
男「フン、知るか・・・お前のその肌が荒れるだけだ」
従者「・・・!」

男「・・・お、どうやら・・・」
従者「?」
男「・・・・ククク、面白い・・・」

男「従者、準備はいいか・・・?いつでもやれるようにしておけ、もしかすると、遺跡は近いかも知れんぞ」
従者「・・・本当ですか?」


276 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 19:15:33.07 ID:kEuMUre10
女「(・・・ここに岩、小川の跡・・・?だとすると・・・)」

女「もう少し、左に曲がろう」
友「え?うん・・・」

女「(・・・山の近くに遺跡を作るんだから・・・それなりに強固な作りにしているはず・・・)」
女「(なら、この山の丈夫なところを探して・・・辿っていけば・・・)」

友「・・・あれ?山道が開けてきた・・・?」
女「・・・・もっと進もう、多分、ここを行けば・・・」


友「・・・」
女「・・・」

友「・・・ここ、山の中・・・よね?」
女「・・・ええ・・・」
友「・・すごい、こんな・・・わぁ・・・これって・・・」
女「・・・岩石地帯・・・が、熔かした金属で塗り固められて・・・強固にされてる」
友「地面が、すごい・・・堅いね、ここ」
女「・・・ええ、守りたいものがあるんだもの」
友「守りたいもの・・・?」

女「・・・入り口、とか・・・」


278 :VIPがお送りします [] :2009/01/11(日) 19:21:00.64 ID:nPijwjze0
ジェミニの人だ
待ってたよ


280 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 19:22:21.56 ID:kEuMUre10
女「(・・・ここ一帯だけ、岩や土ではなく金属・・・)」
女「(色合いは土に近い・・・けど、これほど強固な土は無い・・・)」
女「(強く踏んでも沈まない・・・し、返らない)」
女「(触るまでも無い・・・これは、自然が作り出したものじゃない、人が作った地面・・・!)」

友「わ、すごいすごい!見て!この木、木じゃない!」
女「木じゃない・・・?」
友「蹴ってもホラ、ゴツゴツって、鉄よこれ!(ゴンゴン」

女「(金属の木・・?カムフラージュ・・・?)」
女「(・・・周囲の景色は・・・少しだけ、色が変わっただけのようにも見えるけど・・・)」

女「(・・・もしかしてここ一帯は・・・全部・・金属製?)」


女「・・・友」
友「あはは、ここ面白・・・え、呼んだ?」
女「(楽しんでる・・・)・・・ここは、もう既に遺跡・・・かもしれない」
友「え、それホント!?でも周りの景色は山だなんだけど・・・」

女「・・・探せば、入り口があると思う」
友「入り口・・・?」
女「ええ、入り口・・・多分・・・きっと」


282 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 19:27:14.11 ID:kEuMUre10
女「(・・・すごい、こんな遺跡は珍しい・・・)」
女「(周囲の景色と全く同じものを、人工物で再現するなんて・・・それも、広範囲に・・・)」

女「(・・・でも、可笑しい・・・どうして数千年も昔の景色が、今も残っているの・・・?)」
女「(この山の木が数千年も続くって・・・予想できたの?)」

女「(可笑しい・・・この山が戦争で一度も傷つかなかったはずはない・・・必ず一度は砕け散っているはず)」
女「(だから、こんな人工物が残るなんてことは・・・絶対に・・・)」



男「やあ、久しぶりだな女」
女「!!」


284 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 19:32:48.62 ID:kEuMUre10
男「・・・クク、懐かしいな、旧友の顔が見れて嬉しいよ」
女「・・・お前・・・」
友「(・・・女、誰?この人・・・)」
女「(こいつは・・・)」

男「残念ながら遺跡は既に残っていない・・・歴史に刻まれる事無く、跡形もなく荒らされてしまったようだ」
女「・・・どういうこと?」
男「この金属でできた風景、どう思う?」
女「質問を質問で返さないで」
男「先に質問に答える立場は、どっちかな?」

女「・・・本を、見たな・・・」
男「本?クク・・・なんの事やら」
女「私の家に勝手に踏み入るな・・・!」
男「勝手に?納期を無視して勝手に旅行する奴には言われたくないな?」
女「本を返して」
男「ははは、そんなものは知らないな」
女「・・・最低」
男「ククク・・・」


286 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 19:42:21.39 ID:kEuMUre10
男「・・・ここには元々遺跡があった、千年と数百年少しくらい前まではね」
男「そうだな、お前の言う本・・・それが記されたのが当時だな・・・いや、本は知らないがね?クク・・」

男「お前はおそらく、その書を“宝の地図”だと思っていたのだろう?」
女「・・・・白々しい、自分でも読んだくせに・・・」
男「ククク・・・」

男「本には様々な著名な遺跡の中に一つ、全く人に知られていない遺跡の名前があった・・・それがここだ」
女「・・・まさか、その本が書かれた当時は・・・その遺跡が著名だった、だからその本は宝の地図じゃない・・・なんて言うんじゃないでしょうね」
男「ククク・・・」
女「・・・」
男「・・この風景を見れば分かるだろう?遺跡を埋め立てた跡だ」
女「・・・」
男「僕の推理ではね、女・・・ここはもう千年の昔に荒らされてしまったんだよ」
女「・・・」
男「諦めろ、いくら君が諦めの悪い、努力家だとしてもな・・残っていないものは残っていないんだ」
女「・・・そんな」
男「僕は遺跡を横取りしてやろうと思ったんだがね・・・どうやら、もうその必要もなくなったらしい」
女「・・・」
男「・・・・僕は先に帰らせてもらうよ」ザッザッザ・・・

女「(・・・遺跡が・・・無い・・・だなんて・・・そんな・・・ここまできたのに・・・!)」


友「・・・ねえ、あなた、さっきから何を言ってるの?」
男「(・・・!)」


288 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 19:50:31.95 ID:kEuMUre10
女「・・・友、帰ろう・・・ここには・・・もう・・・」
友「何で・・・?」
女「もう、無いの・・・ごめんね・・・ごめん・・・」

女「一緒に見たかったけど・・・ごめんなさい・・・」
女「黄金・・・もう、無いって・・・遺跡も・・・」

友「え?でも・・・」
男「(・・・!)さ、さあ早く帰ろう・・・!僕も君たちへの同情を禁じえない、馬車を出しておいてやる!」
友「え?いらないわよそんなの・・・だって、まだ遺跡まで辿りついてないし・・・もう近くにあるみたいだし」
男「(!!)」

女「え・・・?今、友・・?」
友「ここを埋め立て・・・とか、変なことを言ってたけど・・・違うわよ、そんなの」
女「え?」
男「(クソが・・・!)」

友「化石化積層炭素っていう土があるのよ」


289 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 19:51:59.88 ID:kEuMUre10
※この物語はフィクションです
 登場する人物名、団体名、地名、現象名、全てにおいてフィクションです
 それっぽい名詞をググっても間違いなく出ないです


290 :VIPがお送りします [] :2009/01/11(日) 19:56:40.34 ID:3LVEIba6O
保守





調べちまったじゃねぇかwww


291 :VIPがお送りします [] :2009/01/11(日) 19:56:53.67 ID:M9V1gM0S0
ここでまさかの注意書きw


292 :VIPがお送りします [] :2009/01/11(日) 20:01:24.74 ID:usEu4JbQ0
このお茶目さが好き


293 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 20:01:37.34 ID:SSVKdie5O
まさかのバイサル


294 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 20:02:57.35 ID:SSVKdie5O
女「化石・・・?何・・・?」
友「あれ?知らないの?・・・おっかしいなぁ、化石ってそういうもんだと思ってたんだけど」
女「・・・何なの、それ」

友「えっとね、特殊な植物から出る化学物質と、えっと、まぁそういう特殊な土が混ざってね?」
友「要するに地面の土が細かい炭素の粒になって植物の根から吸収されたりする現象なんだけど・・・」
男「(言うな!それ以上言うな!)」
友「本当に珍しい土だから私でもあまり見たことはないんだけどね、これらの土にマンゴーを植えたりすると・・・」
ゴツッ、ゴツッ

友「こーんな感じに、導管から土の成分が入って・・・分解されずにこんなになっちゃうのよ」
女「・・・」
友「植物はある程度までは成長するんだけど、途中でこんな感じに固まって・・・成長をやめちゃう」
友「五年くらいしたら崩れてまた土に戻るのよ、で、それが土の養分がなくなるまで繰り返されて・・・」

女「・・・この土地は」
友「埋め立てじゃないわよ、樹液が流れて土と固まっただけ」

友「いやー、本当に珍しいのよこれ、私も初めて見たわ・・・」
女「・・・」

女「・・・男・・・」
男「・・クク・・・ククク・・・!」


297 :VIPがお送りします [] :2009/01/11(日) 20:12:24.93 ID:M9V1gM0S0
ホントに面白いな。

ちなみに枯れた木に珪土を含む水が浸み込んで、水晶化したのならあるらしいぞ。


299 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 20:17:02.02 ID:SSVKdie5O
>>297
ケイ素が内部で結晶化か・・・灰色になるだけじゃないのか・・・まさかクォーツになるとは

バイサルはいつ解けるかね?
誰かディスペルかけてくれ


302 :VIPがお送りします [] :2009/01/11(日) 20:35:09.93 ID:M9V1gM0S0
>>298-299
貼る訳にもいかないから、「アリゾナ州の化石の森国立公園」で調べて貰えればと。
wikiの「化石の森国立公園」で検索しても、中々綺麗な写真が見れる。

キアリクキアリク


303 :◆1pwI6k86kA [] :2009/01/11(日) 20:42:17.45 ID:SSVKdie5O
後で調べるとしよう


304 :VIPがお送りします [] :2009/01/11(日) 20:51:16.41 ID:9DlHolGZ0
>>302
ググって見たがすげーな・・・



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