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技師「あん?なんだこの図面は・・・」
- 32 :1 ◆1pwI6k86kA []
:2009/10/07(水) 00:28:02.37 ID:/2/UWuXh0
技師「・・・3時だ?」
青年「催促されたんですけど・・・」
技師「バカ言え、3時・・・」
青年「難しいですかね」
技師「いや、1時には終わらせる」
青年「・・・無茶じゃないですか?そんな・・・・」
技師「俺に不可能は無い」
青年「かっこいいなぁもう・・・本当に大丈夫なんですね?」
技師「お前がいると失敗の尻拭いで手間がかかるが、一人ならスムーズに終わるんだよ」
青年「・・・」
技師「冗談だ」
青年「・・・はい・・・あの、真顔で冗談はやめてください、ほんと、お願いですから」
『またもや隣国からの“攻撃”予告がなされ、明日午前2時には・・・』
- 34 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:32:01.34 ID:/2/UWuXh0
ガチャガチャ、カチャ
技師「・・・ったく、3時か・・・徹夜させる気か?お国の方々はよ・・・」
技師「こっちの身にもなってほしいもんだね、こんな・・・何に使うのかわからん品物・・・」
技師「・・・」
“完成後、支給手当…1200万”
技師「・・・」
技師「・・・どうも・・・」ガチャガチャ
技師「くせぇ・・・油くせぇ・・・臭いが、するんだよな・・・」ガチャカチャ
ザザ・・・ザザ・・・
『着弾地点は不明ですが、予想によりますと・・・』
『ザザザ・・・のザザザ・・・庫ザザザ・・・』
『ピー・・・ザザザ・・・となるようです』
技師「さっさと作業進めっか・・・」
- 35 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/07(水) 00:33:48.81 ID:KLzrq5sTO
普通の工具で作ってるのか
- 36 :VIPがお送りします [] :2009/10/07(水) 00:35:18.36 ID:T8C9C2xUO
>>1って片腕が化物の医者のSS書いてた人?
- 37 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:36:00.11 ID:/2/UWuXh0
青年「ふわぁぁあ・・・やっと荷物整理がおわった・・・」
“1時46分”
青年「うっわ、もうこんな時間・・・」
青年「・・・また今夜も倉庫の作業音で眠れないんだろうな・・・」
青年「・・・?」
青年「・・・あれ・・・おかしいな、音が・・・今日はしないのか」
青年「・・・いつもはあんなに、遺産の復旧作業でうるさかったのに・・・」
青年「・・・」
ソロリソロリ
青年「(角度は悪いけど、窓からも一応倉庫の様子が・・・)」
青年「(・・・?)」
青年「・・・なんだ・・・」
青年「・・・地上が一面・・・煙で・・・何も・・・」
- 38 :VIPがお送りします [] :2009/10/07(水) 00:36:59.50 ID:MoVRFVXyO
へったくそな図面書いてきて工場のおっちゃんに怒られるスレかと思った
- 39 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/07(水) 00:37:09.62 ID:bo/ulPxS0
なんだなんだ
- 40 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:40:32.60 ID:/2/UWuXh0
青年「・・・まぁいいや、社長は作業してるけど・・・出ちゃえ」
ウィィィン・・・
青年「(・・・さすがに外は静かだな・・・)」
青年「(とりあえず、地上の巨大倉庫が見えるところまで・・・)」
タッタッタッタッタッ・・・
カッ、カッ、カッ、カッ・・・
男「(・・・さて・・・そろそろ作業は終わってもらわないと・・・困るな・・・)」
男「(未完成でも、ね・・・急いで提出していただきますよ・・・)」
男「・・・よし、入るぞ」
戦闘員「・・・」
戦闘員「・・・」
戦闘員「・・・」
ウィィィィン・・・
タッタッタッタッタッ・・・
- 41 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:44:44.26 ID:/2/UWuXh0
ガチャ、ガチャ・・・
ウィィィィィ・・・ン・・・
『ザザザ・・・』
技師「・・・ふぅ、なんとか終わった・・・終わった・・・いやー、さすがに急いだが、なんとか手抜きはせずに完成はしたな・・・」
技師「初日に無理したのが良かったな・・・あれがなけりゃとても時間までには」
『ザザ・・・ザザザ・・・』
技師「・・・あとは、壊れっぱなしのこのオンボロラジオだな・・・こいつも寿命か」
技師「高けぇもんを買ったつもりだったが・・・うーむ」
ガンガンガン
ザザザ・・ザザ・・・
『・・・弾攻撃がザザザ・・・巨大倉庫群に向けられ・・・ザザザ』
技師「・・・」
技師「おい・・・ちょっと・・・」
バタンッ!
技師「・・・!」
- 42 :VIPがお送りします [] :2009/10/07(水) 00:47:02.73 ID:cXet/5jJO
とりあえず様子見支援
- 43 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:49:09.41 ID:/2/UWuXh0
男「こんばんは、おじゃましますね」
戦闘員「・・・」チャキッ
戦闘員「動くな」チャキ
技師「・・・ああ、あんたは依頼した・・・国からの・・・」
男「完成しましたか?」
技師「おいおい、そんなに急かさなくても」
ドウンッ!
技師「っ・・・ぐぁ・・・!ぁあああ!・・・!」
男「おいおい、“脚”じゃない、“足”を狙ってやれ、聞き出す前に失血死するぞ」
戦闘員「は、申し訳ありません」
技師「・・・ぁ・・・はぁ・・・は・・・!」ドクドク・・・
男「いや、すみませんね、歩け・・・ませんね?」
技師「お前・・・やっぱり・・・この、仕事・・・!」
男「いやいや、危ない仕事ではないですよ?・・・・私が、ですけどね」
技師「・・・!」
- 44 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:53:08.99 ID:/2/UWuXh0
男「・・・おお、すばらしい・・・」
戦闘員「運び出しましょう」
男「ああ、マニュアル・・・訓練通りに運べ、いいな」
戦闘員「はっ」
ガチャ、ガチャ・・・カチカチ・・・
技師「ま、待て・・・!そいつは・・・!」ドクッ、ドクッ・・・
男「良い仕事をしてくれました、ありがとうございます」
技師「・・・(ギロッ」
男「あはは、怒らないでくださいよ・・・仕方なかったんですから」
技師「なぜ・・・国がこんな・・・!平和は・・・!平和を謳い文句にしていた、この国の方針はどうした・・・!」
男「平和・・・?ああ・・・平和ですよ?」
技師「・・・こんな、兵器など作っておきながら・・・!」
男「・・・ククク・・・兵器・・・?」
男「・・・まぁ、そうかもしれませんけどね・・・ククク・・・」
技師「・・・」
- 45 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:56:57.10 ID:/2/UWuXh0
戦闘員「取り外し完了しました」
男「倉庫まで運べ、スロープは用意してある」
技師「・・・」
男「コストがですね、かかるんですよ」
技師「・・・?」
男「国の機関で製造しては、周辺国家からの視線も厳しい・・・タダでもないし、時間もかかる・・・」
男「だからこの都市が選ばれたんですよ、わかりますか?」
技師「・・・?」ドクドク・・・
男「ああ・・・電波妨害や通信妨害がかかっていましたからね・・・そういえばあなたがた市民は知らないんでしたね」
男「この都市が今日、もうすぐ攻撃されるということを・・・」
- 46 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:59:11.94 ID:/2/UWuXh0
タッタッタッタッタッ・・・
青年「(うっわ、外は煙だらけ・・・なんて景色だ、周りが全然見えない)」
青年「(広場を見下ろせる所は・・・えっと、こっち方面だったかな・・・)」
タッタッタッタッ・・・
ガッ
青年「(うわっ!?)」
ドテッ
青年「(・・・いたたた・・・)」
青年「(おいおい、一体何が・・・・)」
死体「・・・」
青年「(・・・何が・・・)」
- 48 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 01:04:57.33 ID:/2/UWuXh0
男「普段から平和を謳っているとですね、なかなか反撃ができないのですよ」
男「それなりに殴られ、犠牲を出され・・・そうでもなければ、こちらから動く事ができないんですよ、この国は」
男「だから吉報でしたよ、隣国からの攻撃対象にこの都市が選ばれた事はね」
男「ひとつの巨大都市が消えてしまえば、いくら平和ボケしたこの国でもアクションを起こすことができる」
男「わかりますか?これはチャンスなんです、一世一代のね」
男「・・・これに乗じて、国は決めたんですよ・・・この都市全体で兵器を製造し、かつその製造の証拠を隠滅する・・・」
男「素晴らし計画です、なに、この都市が生贄となることは残念ではありますが、これで我々の国家は・・・」
技師「・・・」
男「・・・って、もう死んでるか」
男「・・・ふふふ、まぁ、お金は払えないので・・・申し訳ありませんね」
カッ、カッ、カッ、カッ・・・
『ザザザ・・・・ザザザー・・・ザザ・・・』
- 49 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 01:08:06.25 ID:/2/UWuXh0
スッ、スッ、スッ、スッ・・・・
青年「(なんだなんだ・・・なんなんだ!何が起きているんだ!)」
青年「(遠くを見ても煙、煙、煙・・・!街全体が煙に包まれている!)」
青年「(それだけじゃない、なによりこの、道の上に転がる・・・死体の山・・・!)」
青年「(撃ち抜かれた跡がいくつもある・・・殺されている、間違いない!)」
青年「(一体誰が・・・何故、なんのために・・・こんな・・・!)」
タッタッタッタッ・・・
ドウンッ!!!
青年「ぐ・・・ふァ・・・!?」
ドチャッ・・・
- 50 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 01:12:33.19 ID:/2/UWuXh0
男「・・・ふー・・・焦りましたよ、まさか外にいたなんて」
青年「ぁ・・・あぁ・・・が・・・・」
男「大丈夫ですか?余裕がなかったもので・・・申し訳ないです、楽に殺してあげようと思ったのですが」
青年「な・・・んで・・・」
男「なんで?」
男「“壊れなければ”“存在し続けて良い”」
男「・・・これから壊れる・・・そう決まっているものを守る人が、この世にいると思いますか?」
青年「・・・な・・・が・・・ぁ・・ああ・・・」
男「・・・ふふ、納得いかない・・・という顔ですね?」
青年「ころ・・て・・・やる・・・!が・・・がはっ、げほっ・・・ぐぅう・・・!」
男「見せてあげますよ・・・これから、あなたたちこの都市の全ての技術者が仕上げた、神の技術をね」
- 52 :VIPがお送りします [] :2009/10/07(水) 01:16:27.61 ID:wqjrKAOk0
何このスレ
技師「あん?」→ギシアン
みたいなネタかと
- 53 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 01:19:46.83 ID:/2/UWuXh0
サァァァァァ・・・・
霧が晴れた。いや、これは煙である。
故意に張られた暗幕である。
神殿『・・・・・・』
数多もの倉庫が並ぶこの広大な広場に、一機の巨大な建造物が、
いや、巨大な腕と、2つの眼光を輝かせた“神殿”が、倉庫群の中に佇んでいた。
最後のパーツは頭部に備えられ、人工の意思を埋め込まれ、揺るぎない完璧な直立を見せていた。
目の前に聳える巨大な高層ビルほど高くはないが、しかしその金属質の威圧感は、何よりも重く、高く聳えるような印象があった。
男「・・・見えますか?あれがかつて、この国の遺産であった建造物・・・神殿・・・」
男「ふふ・・・そう、神です・・・まさに神なのです」
男「神であり、兵器であり、城ですらある・・・知能を持ち、強固な装甲とシールドを持ち・・・この国を守り、戦い抜く」
男「完成・・・ははは・・・完成だ・・・!」
- 54 :VIPがお送りします [] :2009/10/07(水) 01:21:18.06 ID:/THWaTPtO
なんというマニア向き
- 55 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 01:26:41.43 ID:/2/UWuXh0
青年「・・・」
男「・・・“神殿”は、これから飛び立ち・・・国の首都へと向かう」
男「見た目こそ美しいが、中身だってちゃんとある・・・防御能力は他の相手の兵器すら凌駕するでしょう」
男「君が作ってくれたデバイスのロックも、ちゃんと活用されていますよ・・・ふふふ、まぁほんの一部にすぎませんが・・・」
男「・・・この神殿が、これから未来永劫、防御兵器として国を守ることでしょう・・・ふふふ」
男「誇らしいことでしょう?この都市はこれから攻撃を受け壊滅しますが・・・しかし、これからは・・・」
prrrrrrrr,prrrrrrr
男「!おっと、通信だ・・・そうか、そろそろ首都に帰還する時間だな・・・早く屋上のポートにいかなければ・・・」
ピッ
男「・・・はい、こちら・・・」
『ご苦労、確かに“機神”の起動を確認した・・・すぐに本体を遠隔操作し、帰還させる』
男「ええ、では我々も・・・」
『いいや、貴様らはそこに残れ』
男「・・・」
男「・・・え?」
- 56 :VIPがお送りします [] :2009/10/07(水) 01:28:35.04 ID:xfkhvtFiO
しえん
- 57 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 01:32:28.04 ID:/2/UWuXh0
『国が予定を変えた』
男「・・・予定?ああ、別の経路に変更と・・・」
『そうではない』
男「・・・」
『・・・防衛目的で造られた“機神”だが・・・変更だ、攻撃用として活用することとなった』
男「・・・」
男「ははは・・・あはは、何を・・・」
『申し訳ないが、帰還は“機神”だけだ、貴様らはここで死ね』
男「・・・」
男「・・・我々のような“平和主義者”をこの作戦に割り振ったのはつまり、そういうことだというのか?」
『ああ、最初からそのつもりだった』
男「・・・」
『我々も、いつまでも“穏健派”ではいたくないのでな』
男「この・・・よくも・・・!」
『さらばだ、同胞と共に、その大地に深く眠るが良い・・・倉庫群に溜めこんだ、“念の為”の火薬何千トンと共にな』
男「・・・!」
男「く・・・くそぉおおおお!!」
- 58 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 01:36:13.57 ID:/2/UWuXh0
一機の“神殿”が飛び立つとともに、巨大な均整都市は数十秒で灰塵に帰した。
やってきたひとつの弾影を見た男は、悔しさにゆがめた表情を最後にその一生を閉じる。
そして、やがて日はめぐり・・・戦火を増し・・・。
西暦はあっけなく、その生涯を閉じた。
皮肉なことに、人類が守り続けてきた数多くの宝によって。
- 59 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 01:37:32.70 ID:/2/UWuXh0
おわり
- 60 :VIPがお送りします [] :2009/10/07(水) 01:40:21.88 ID:unga7Pol0
>>1へ質問
技師や青年や男は、人間なの?
- 61 :VIPがお送りします [] :2009/10/07(水) 01:41:00.41 ID:GqBcoq620
嫌いじゃない
- 62 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 01:42:56.79 ID:zXeK+qP4O
短い話だけど大事な話だ
>>60 青年は若干腕を機械にしているけど、みんな人間
- 63 :1 ◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 01:58:00.07 ID:zXeK+qP4O
>>36 イエース
眠いな
- 64 :VIPがお送りします [] :2009/10/07(水) 02:20:39.89 ID:unga7Pol0
乙
またなー
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