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技師「あん?なんだこの図面は・・・」
1 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:06:27.64 ID:y0skAzj10
男「そちらの会社の方で作っていただきたいのです」
技師「そんなことはわかる」
男「ではこちらの図面の通り、お願いできますね?」
技師「・・・待て」
男「はい?」

技師「・・・俺らに、ヤバい仕事・・・振ってるわけじゃねえよな」
男「ははは、何をおっしゃいますか」

男「この平和な国がそんな、あるはずないじゃないですか」
技師「・・・」


2 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:09:25.87 ID:y0skAzj10
技師「・・・」パラッ

技師「・・・」パラッ、パラッ


青年「社長、どうかしました?」
技師「ん、ああ」

青年「おおおっ、新しい仕事が入ったんですね?」
技師「・・・ああ、そうだ」
青年「いやぁ、ははは、最近は機械に仕事取られてますからねぇ、僕の腕を鈍らせずにすみますよ」
技師「・・・」
青年「なんていったって2カ月ぶり・・・」

技師「・・・おい」
青年「?」
技師「・・・お前は、作らなくて良い」
青年「・・・え?」
技師「俺がやる」


3 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:11:36.49 ID:y0skAzj10
青年「で、でも社長、それ結構サイズありますよ」
技師「そうだな、骨が折れそうだ」
青年「僕も手伝いますよ、ほら、この前挟んじゃった腕も治りましたし」

ギッギッ・・・ギギギ・・・

青年「・・・まだ関節部分がぎこちないですけど、ほら、ちゃんと」
技師「そういう意味じゃねえよ」
青年「・・・じゃあどういう」

技師「・・・」

バタン

青年「あ」
青年「・・・どうしたんだ?社長・・・」


4 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/06(火) 23:12:21.37 ID:kyjXCJ7p0
期待


5 :VIPがお送りします [] :2009/10/06(火) 23:12:46.37 ID:DDdynQAfO
いや期待出来ない


6 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:13:47.27 ID:y0skAzj10
バタン

パサッ

技師「・・・」

“国家機密”

技師「・・・見たところ、何かの・・・ケース?装甲・・・のようだが」

技師「(・・・いや、これだけじゃ到底兵器にはなりえない・・・)」
技師「(考え過ぎか?だが国家機密・・・怪しすぎる)」

技師「(そもそもこの部品を何に使うのか・・・それも・・・)」


7 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/06(火) 23:13:56.57 ID:8LSd9XSI0
技師ってエンジニアじゃねーの?
なんで機械つくるんだよ


8 :VIPがお送りします [] :2009/10/06(火) 23:15:10.93 ID:T4f10tCX0
これは期待


できない


9 :VIPがお送りします [] :2009/10/06(火) 23:15:43.11 ID:au+oFBu90
シドなんだろう。飛行船作ったり、トンネル工事したり、爆破処理したり。なんでもできちゃうのさ


10 :VIPがお送りします [] :2009/10/06(火) 23:18:48.93 ID:y0skAzj10
ピッ

ヴォン

『被害者が5万人にも達し、行方不明者1万人が未だ発見されていない“ノイドデバイス管理棟事件”から2年・・・』

青年「・・・んー・・・またこのニュースか・・・朝も見たな」
青年「もっと面白い番組増やせっての・・・つまんねえ」

青年「・・・はぁ、仕事もらえないと暇だな・・・部品磨きだけっていうのもな・・・」
青年「それもこれも、全部機械に仕事を奪われて・・・」

ガチャ

技師「おい」
青年「あ・・・はい、なんでしょう社長」
技師「買って来て欲しい部品がある」
青年「(・・・またお遣いか・・・)」


11 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/06(火) 23:21:31.67 ID:G2lEPaAA0
技師♀「あん///な、なんだこの図面はぁ・・・」


12 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:22:29.74 ID:y0skAzj10
技師「ちょっと変わったリストだが、しっかり頼むぞ」
青年「はいはい・・・って、これ、こんな高級なパーツも使うんですか」
技師「そいつには斜線引いてあるだろ、それは受け取ったから別に良い」
青年「ああ、はぁ・・・」

技師「読み間違えて別の物買ってくんなよ」
青年「わかってますって」
技師「この前みたいなヘマしたらまた私物没収だぞ」
青年「あ、そういえば前のソフト返してもらってないじゃないっすか」
技師「いいから行け」
青年「・・・はいはい」

ウィィィン


13 :VIPがお送りします [] :2009/10/06(火) 23:22:39.60 ID:au+oFBu90
越前「なんだぁ、この図面はぁ?」


14 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:28:19.87 ID:y0skAzj10
カッ、カッ、カッ

青年「(えーっと・・・うっわ、ほとんど聞いたことも無いパーツだ)」
青年「(実際に触ったことのないものも多い・・・うちでは取り扱い無いな?まぁ古い会社だし仕方ないけど・・・)」

青年「・・・えっと、この系統のパーツはこっちの棟から・・・」


『よーし、引き揚げろー!』

青年「(・・・お、地上のコンテナ倉庫・・・なんかやってるな・・・)」
青年「どれどれ・・・」

『慎重に揚げろよ!これでも世界遺産だからな!』


青年「ああ・・・一週間前の・・・」
青年「なんだっけ・・・パル・・・?横倒しか・・・足もいくつかないし・・・」

青年「・・・嫌〜な時代になったもんだ」

カッカッカッ・・・


15 :VIPがお送りします [] :2009/10/06(火) 23:30:23.76 ID:ONyMaoI70
今日の断面図スレ・・・あれ?


16 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:33:20.09 ID:y0skAzj10
技師「・・・」

『そうですね、二週間前から続く“攻撃”により、我々の宝は壊滅的な被害を受けています』
『隣国からの“攻撃”に対して我々には何か対抗策は無いのでしょうか?』
『難しいですね、何せ機械の超大国・・・』

技師「・・・この図面・・・パーツ位置・・・」
技師「・・・作った事・・・いや、見たことも聞いたことも・・・」

ガチャ

青年「社長ー、パーツ買って・・・」
『対抗するためには我々も相応の武装強化をしなければならないでしょう』

青年「うっさ、社長、ラジオはもう少し音下げて・・・ただでさえ古ぼけた“デンパ”なんですから・・・」
技師「ん?あ、ああ・・・悪いな」


『国の対応はいまのところどうなのでしょうか?』
『そうですね、これから求められてくるのは・・・』


17 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:37:05.97 ID:y0skAzj10
技師「・・・よし、全て揃っている・・・番号も・・・」
青年「・・・」
技師「・・・ん?」
青年「えっ」

技師「・・・」
青年「・・・」

技師「合ってるな」
青年「・・・驚かせないでくださいよ」
技師「まさか完璧に買ってくるとは思ってもいなかったからな、はは」
青年「なんすかそれ」
技師「さあな」

ジャラララ・・・

技師「・・・後は俺がやる・・・お前は表でメンテでもしてろ」
青年「ええー・・・僕に何かできることは」
技師「ない、さっさと失せろ」
青年「そんな」
技師「いいからいけ、しっしっ」
青年「横暴な・・・」

バタン

技師「・・・」


18 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:40:57.90 ID:y0skAzj10
『継ぎ足しまであと何分だー!?』
『早く作業を進めろー!間に合わないぞー!』


青年「・・・」ボーッ

男「やあ、どうも」
青年「!」

男「・・・向こうの会社で働いている・・・方ですね?」
青年「え?あーはい・・・まぁ」
男「休憩ですか?」
青年「・・・」
男「・・・ははは、そんなに怪しまないでください、こういう者ですから」

スッ

青年「・・・?」
男「国からの“遣い”です」
青年「・・・」
男「良い天気ですね、少し向こうで話しましょうか」


19 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:44:52.31 ID:y0skAzj10
青年「・・・はぁ、あなたがうちの会社に・・・」
男「ええ、・・・ですが、国家機密なので」
青年「ああはい、口外はしませんよ、大丈夫、慣れてますから」
男「ははは、頼もしい・・・ありがたいです」

『次、引き揚げろー!』

ゴン・・・ゴゴゴゴゴン・・・


男「・・・この国中の遺産が、この町に集められていますね」
青年「ええ、最近は三日間隔で色々な遺産が運ばれてきますよ・・・うるさいったらないです」
男「ははは、間近で見れて、羨ましいです」
青年「大したことないですよ、あんなもの」

青年「・・・もう西暦何年だと思ってるんです、なのにあんな、くだらない石の塊なんか持ち寄って・・・」
男「戦争ですからね、仕方ないです」
青年「守る価値がどこにあるんだか・・・」
男「・・・」


20 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:49:47.74 ID:y0skAzj10
男「・・・守る価値は、ありますよ」
青年「?」
男「この時代だからこそ、なんですよ」
青年「んー・・・そうなんですかねぇ・・・」

青年「でも、ですよ」
男「はい」

青年「・・・もう戦争、決まったようなものですよね?」
男「・・・さあ、それはどうでしょう」
青年「wかりますよ、ニュースでも・・・ラジオでも・・・隠してはいるけど、伝わってきますよ」

男「・・・確かに、劣勢ではありますが・・・」
青年「相手はあの超大国です、技術に関して言えばもう、この国とは何千年もの開きがあるでしょうよ」
男「・・・ふむ」
青年「遺産なんて守ってる場合じゃないっすよ、本当に」


21 :VIPがお送りします [] :2009/10/06(火) 23:50:05.53 ID:jmtDvQOGO
なぜか気になる


22 :VIPがお送りします [sage] :2009/10/06(火) 23:51:22.91 ID:yiD9q8Kp0
スレタイからお前だと思ったぜ
寝るとこなんで後で読む


23 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/06(火) 23:53:21.33 ID:y0skAzj10
ガチャ

青年「ふー、話してたら遅くなってしまった・・・」
技師「よう」
青年「あ、社長どうも・・・仕事は進みましたか?」
技師「ああ、遅くとも明後日・・・早ければ明日にでも終わる」
青年「早っ」
技師「大至急、との御達しだからな」

青年「・・・国からの?」
技師「・・・ああ」
青年「ふぅーん・・・大丈夫なんですか、この仕事」
技師「・・・多分・・・な」
青年「多分て・・・もし兵器の部品とかだったらどうするんです、最悪ばれたら敵国にこの町、というかこの会社ピンポイントで狙われますよ」
技師「・・・大丈夫だ、心配するな」
青年「・・・まぁ、今さら身の危険なんて感じませんけどね・・・」


24 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:01:43.90 ID:/2/UWuXh0
技師「これだ」

ガチャ

青年「・・・これは・・・デバイス・・・?の、ロック、ですかね・・・?」
技師「近いな、デバイスを保護する鎧とでも言うか・・・」

青年「・・・うん、確かに・・・人が乗り込めそうなほど大きいですけど・・・確かにデバイスロック・・・ですね」
技師「・・・どうかな」
青年「どうかなって・・・これそうですよ、デバイスロックです」
技師「・・・形はな、だがお前・・・」

技師「・・・通常のデバイスは人の脳と同じ程度のサイズだろう」
青年「・・・そこは・・・ほら、発注ミスですよ」
技師「こいつは、誰の脳みそを入れるケースなんだ?」
青年「・・・さあ・・・いるんじゃないんですか、そんな人が・・・」
技師「バカ言え」

技師「・・・まぁ、デバイスに似た・・・何かを保護する部品なんだろうな」
青年「うーん・・・」
技師「・・・どうせ国家機密だ、そう思っておけ」
青年「まぁ・・・はい」


25 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:05:57.67 ID:/2/UWuXh0
男「はい・・・はい、確かに、はい・・・」

男「・・・ええ、しっかりと作業を進めて・・・はい、口も固いです」

男「・・・ああ、大丈夫です、一社だけです・・・ええ、消しておきました」

男「・・・ええ、すみません・・・ええ」

男「・・・そうですね、早急に・・・急がせましょうか、はい、追加の料金を・・・」

男「いえいえ、当然のことです、はい・・・早急に・・・はい」

男「・・・?デバイスのですか?・・・ええ・・・ああ、わかりました・・・」

男「・・・大丈夫です、すぐに完成させるよう・・・はい、はい・・・では、はい・・・」



男「・・・さて」


26 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:10:35.95 ID:/2/UWuXh0
『以前続く大陸間からの攻撃に、国内からも・・・』


青年「・・・今日もですか・・・」
技師「そりゃそうだ、俺の仕事ですからな」
青年「これで僕、本当にお給料もらえるんでしょうね」
技師「ああ、きっちりくれてやるからさっさと行け、どこへでもな」
青年「なんですかそれ・・・なんだかなぁ」

バタン

青年「・・・確かに、作業に集中したい気持ちはわかるけどさ・・・」
青年「もうちょっと、部下の扱い方ってもんがあるでしょうが・・・ねぇ?」

『明朝4時、“攻撃”によって3つの国と都市が壊滅し・・・』

青年「・・・はぁ」

青年「(また、広場に・・・行くかぁ・・・)」

タッタッタッタッ・・・


27 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:13:57.98 ID:/2/UWuXh0
ゴゥン・・・ゴゥン・・・

青年「(・・・ほわー・・・すげぇー・・・)」
青年「(トラック・・・?いやいや、そんなサイズじゃないなあの車・・・すげぇ、あんなに沢山・・・)」

青年「何運んでいるんだろう・・・コンクリかな・・・遺産の補強に使うのかな・・・」


男「どうも、こんにちは」
青年「あ、こんにちは・・・どうも、また来たんですか」
男「ええ、仕事の確認にですね」
青年「お疲れさまです」
男「ははは、どうも」

青年「・・・」
男「・・・あの、倉庫の近くに停まっている車両達ですか?」
青年「あ、わかりましたか」
男「凝視していましたからね、地上を」


28 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:17:06.28 ID:/2/UWuXh0
男「あれは“金属”ですよ」
青年「金属・・・?」
男「コンクリートでもなんでもありません、金属です・・・ドロドロに溶かしたね」
青年「ほわぁ・・・すげぇ・・・」

男「・・・ほら、それにあそこの大きな貨物車両・・・」
青年「・・・え、ああ・・・あれですね、これまたひときわ大きな・・・」
男「あれが“補強部品”を運んでいる車両です」
青年「・・・いやぁ、さすがに詳しいですね」
男「ははは、いえいえ」

青年「・・・あんなにたくさんの車両が、あの遺産を直すために使われているんですね」
男「ええ、そうです・・・素晴らしいことですよ」
青年「・・・んー、そうでしょうかねぇ」
男「何をいいます、人間の遺産ですよ?」
青年「・・・まぁ・・・はい」


29 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:21:35.88 ID:/2/UWuXh0
『よーし、部品を降ろせー!』


青年「・・・人間の遺産・・・とはいえですね、あっけないもんですよね」
男「・・・」
青年「たった一発の砲弾で“あれ”なんですから」
男「・・・」
青年「それなのに、直すのにはあんなに沢山の労力が必要なんですよ、非効率もいいところです」

青年「・・・どうせ壊されるものなんです、なら、最初からない方が良い・・・僕はそう思いますよ」
男「・・・」
青年「・・・あ、すみません・・・・気にしないでください」
男「・・・ははは、いえいえ、そんな」

男「あなたの言う事は正しいですよ」
青年「え?」
男「どうせ壊されるものなら、最初からない方が良い・・・」
青年「・・・」
男「しかし裏を返せば」

男「“壊れなければ”“存在し続けて良い”んですよ」


30 :◆1pwI6k86kA [] :2009/10/07(水) 00:25:01.76 ID:/2/UWuXh0
青年「・・・」
男「・・・あはは、まぁ、気にしないでください」

男「ところで、作業の方は進んでいますか?実はちょっと、もっと工期を縮めて欲しいのですが・・・」
青年「え?あ・・・ああ、はい・・・そうですねぇ、社長に聞けばなんとか・・・」
男「できれば明日には完成させて欲しいのです」
青年「明日・・・明日・・・ああ、多分・・・大丈夫・・・?」
男「本当ですか?いやぁ、ありがとうございます」
青年「いや、あはは・・・うちの社長、作業は早いですからね」

男「・・・では、明日・・・早くに窺います・・・3時くらいに」
青年「あ・・・はーい、どうも・・・」

青年「(・・・って、3時かよ・・・早すぎるだろ)」



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