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堕悪魔「追放されてしまいました」 其の2
647 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:01:52.49 ID:Ey0BKjY0
翌日 六日目 朝


天使「あの、男さん」
男「お!おはよう!元気そうだな」
天使「はい、おかげさまで。少々寝不足気味ではありますが」
男「そうなのか?じゃあまだ休んでた方が・・・」
天使「いえ、大丈夫です。それに、男さんにお話したいことがありますし」
男「話?」
天使「はい、昨日の事です」
男「昨日のあれか・・・別に俺のことは気にしなくてもいいのに」
天使「いいえ、そういう訳にはいきません。私自身が謝りたいと思っているのです」

ぺこり

天使「本当に、私の身勝手な行動でご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした」
男「迷惑なんて思ってないよ。顔上げて」
天使「・・・・・・」
男「俺はそんな風に思ったことはない。昨日のことは俺がやりたいと思ってやったことだよ。
  でも天使がそれじゃあ納得できないって言うなら」
男「俺は天使を許す。もう自分を責める必要はないよ」
天使「・・・・・・」


648 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:04:17.63 ID:Ey0BKjY0
男「お願いだ。顔を上げてくれ」
天使「・・・あなたは、なぜそんなに優しいのですか?」
男「え?」
天使「男さんは、酷い目にあったではないですか。なのになぜ自分ではなく他人の事ばかりを気にかけるのですか?」
男「う〜ん、やっぱり心配になっちゃうよ。だって俺より天使の方が酷い目にあってるだろ?
あれで助けない方がおかしいよ。それに・・・」

なでなで

男「目の前で泣いてる女の子がいたら、ほっとけないだろ?」

・・・ぽたり、ぽたり

天使「・・・ぐす・・・ひっく」
男「泣かない泣かない。綺麗な顔が台無しだよ?」
天使「本当に、本当に、ごめんなさい」
男「いいってば。もう終わったことだ。今まで大変だったもんな」
天使「うう、ううう!ずずっ」
男「我慢することないよ。俺の胸貸してあげるから、今のうちに思いっきり泣いとけ」
天使「・・・ありがとう、ございます」

ぎゅうっ!

天使「うっ、ひっく!うわあああああああああああっ!!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!」
男「よしよし」

なでなで


649 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:07:37.15 ID:Ey0BKjY0

堕天使「いいなぁ天使さん。自分も男さんに甘えたいッス!」
堕悪魔「今はそっとしておいてあげましょ。あんな事あった後だし、天使さんだって色々辛かったんだから」
堕天使「人の男にああやって他の女が付いていると嫌な気分になりません?」
堕悪魔「う〜ん、最初は嫌だったけど、もう慣れた。みんなで一緒に暮らしていればそう言うことの一つや二つあるだろうし、
    浮気じゃない限り、許せない事じゃないもの。みんな家族みたいなモノだしね」
堕天使「おお〜、堕悪魔さん寛大ッスね〜」
堕悪魔「そういえばあの小憎たらしい悪魔っ娘はどこ行ったんですか?」
堕天使「さらっと前言を踏み砕くような発言しないで欲しいッス」
堕悪魔「起きた時にはもう居ないみたいだったけど・・・」
堕天使「魔王様に呼ばれたそうなので地獄に行ってくるそうッス」
堕悪魔「悪魔さんが魔王様に!?」


650 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:10:21.91 ID:Ey0BKjY0
−魔界−

悪魔「お久しぶりです。魔王様」
魔王「久しぶり〜!元気にしてた?」
悪魔「はい。おかげさまで」
魔王「ん〜よかったよかった」にこにこ
悪魔「何か良いことでもあったのですか?」
魔王「えへへ〜、わかる。魔王はと〜ってもご機嫌だよ!悪魔ちゃんのおかげで」
悪魔「私の?」
魔王「そう!」

とてとて

ずいっ

魔王「ねぇ悪魔ちゃん。地上で何したの?」
悪魔「顔が近いです。あと質問の意図が判りません」
魔王「地上で君がしでかしたことだよ。面白いこと沢山やったよね?答えてごらん」
悪魔「・・・・・・」
魔王「ほ〜ら!」
悪魔「・・・人間を、何人か壊しました」
魔王「そうそう!あれは圧巻だったね〜!たった一分であんな素敵なオブジェ作っちゃうんだもん。
   部屋に飾っておきたかったよ」
悪魔「左様で」
魔王「それでね、あの時の悪魔ちゃんを見た瞬間ピキーンって来たの!悪魔ちゃんを将軍にしたいな〜、なんて思んだよ!
   誰もがびっくりする強さだったね!まだまだ力を隠し持ってるでしょ?人間相手だからかなり手加減したように見えたよ!
   人間ヤッたら厳罰モノだからね!あっ、魔王の側近でも良いかもしれない!いつでもどこでも悪魔ちゃんにその強さで守ってもらうの!
   何にしろ今回のMVPは悪魔ちゃんに決定!わ〜」ぱちぱちぱちぱち
悪魔「恐縮です」
魔王「はい!ご褒美の悪玉だよ」
悪魔「よろしいのですか?」
魔王「うん、はいどうぞ!」


651 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:15:23.67 ID:Ey0BKjY0
ひょい

魔王「と思ったけどまだあげない」
悪魔「・・・・・・」
魔王「ねぇ悪魔ちゃん。地上でしたこと、それだけじゃないよね?」
悪魔「・・・何のことでしょうか?」
魔王「とぼけちゃって〜。判ってるくせに〜」
悪魔「見当もつきません」
魔王「質問に答えたらちゃんと悪玉もあげるよ?」
悪魔「私がしたのはそれだけのはずですが?」
魔王「あくまでシラを切るの?夢の中であんなこっぱずかしい台詞吐いたくせに」
悪魔「・・・?」
魔王「あらら、覚えてないのか。じゃあ本題に入ろっか。これが今回悪魔ちゃんを呼んだ本当の理由なんだけどね」

ずずずいっ

魔王「ずいぶん天使にぞっこんみたいだね?あのまま放っておけばよかったのに。何で助けたのかな?かな?」
悪魔「・・・?そのことですか?何かいけないことでも?」
魔王「だって天使だよ?敵みたいなものだよ?普通の悪魔なら天使があんな目に遭ってたら嘲笑モノだよね?」
悪魔「これは私が勝手にやったことです。口出ししないで頂きたい」
魔王「は?」
悪魔「私は自分のやりたいと思ったことをやった。それだけです」
大臣「な!?貴様、魔王様に対して何という口の利き方を!!!」
魔王「あれ?大臣居たんだ?」
大臣「・・・・・・」


652 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:19:04.69 ID:Ey0BKjY0
魔王「天使と仲良しこよしなんだね?」
悪魔「いけませんか?」
魔王「悪魔ちゃん、それって悪いことだと思わない?悪魔が天使を助けるなんて」
悪魔「悪いことをするのが悪魔の仕事ではないのですか?」
魔王「あはは!それもそうだね!じゃあ魔王も悪いことしちゃおうかな?」
悪魔「何をする気ですか?」ぎろっ
魔王「君の守った天使・・・壊しちゃおうか?」
悪魔「させません」きっ!
魔王「守っちゃうんだ?」
悪魔「当たり前です」
魔王「君が魔王に勝てるとでも思ってるの?」
悪魔「勝つ負けるは別です。ですがたとえ魔王様でも、天使に危害を加えようとするなら」
悪魔「容赦はしません。全力をもって阻止します」
魔王「・・・・・・」
悪魔「・・・・・・」

ごごごごごごごごごごごご!!!


653 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:21:46.10 ID:Ey0BKjY0
魔王「・・・ふぅ。冗談だよ。はい、悪玉」

ぽいっ

悪魔「おっと」
魔王「将軍の話は真面目に考えておいてね?悪魔ちゃんの力は高く買ってるから。天使を大切にしなよ?話はこれで終わり。下がっていいよ」
悪魔「・・・わかりました。それでは失礼します」

ぺこ

すたすたすた・・・

魔王「・・・ほぅ・・・スゴいね、彼女」
大臣「まったく、あの屑め!!無礼千万じゃ!」
魔王「怒らせちゃだめだよ?絶対に大臣じゃ勝てないから」
大臣「なっ・・・!」
魔王「あの子・・・欲しいな」
大臣「ならば弱みでも探らせましょうか?一言下されば密偵をすぐにでも・・・」
魔王「大臣は発想が浅いね。もう少し楽しい事考えらんないの?」
大臣「も、申し訳ありません!」


654 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:24:03.54 ID:Ey0BKjY0
魔王(そう・・・楽しいこと)
魔王(先代が崩御されたせいで、生まれたときから魔王として育てられた。本当に魔王の器があるのかって言われたりして
   周りから疑惑の目を向けられたりもした)
魔王(けど自分の中に眠ってた才能や力が目を覚ました途端、周りの目の色が一斉に変わった。皆、魔王様魔王様って言い出してへこへこし始めた)
魔王(初めは優越感とかでうきうきしてたけど、すぐ飽きた。なんでもかんでも、はい、か、Yes。つまんない)
魔王(力に屈してる。そう気付いてから気兼ねなく話すようにって皆に言ったけど、やっぱり対等に見てくれない。頭頂部なんて見飽きたよ)
魔王(でも悪魔ちゃんは、そんなこと無かった。臆するどころか逆らって見せた。この魔王に)
魔王(悪魔ちゃんが欲しい。悪魔ちゃんの力じゃなくて、悪魔ちゃんの存在が!
   何の分け隔て無く仲良くなってくれそうな気がする。だって天使と仲良くなっちゃうくらいだからきっとなれる)
魔王(天使と仲良くか〜。いいな〜。仲良くなりたいな〜。魔王じゃなければ天使捕まえてにゃんにゃんしちゃうんだろうな〜)
魔王(魔界と天界、仲良くなる方法はないかな〜?そうすればみ〜んな楽しくなるのに・・・)
魔王(・・・そういえば、悪魔ちゃんの側に人間の男が一人居たな。いろんな種族と暮らしてたし・・・)
魔王(彼は、何かの鍵になりそう。魔王のこと見ても怖がってる素振りもなかったし)
魔王(・・・彼に興味が沸いてきた。ちょっと調べてみよう。もしかしたら彼とも仲良くなれるかも。オラわくわくしてきたぞ!)


655 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:26:25.13 ID:Ey0BKjY0
悪魔「ふぃ〜。ったく、あんなちっこいナリしておいておっかない気配ぶっ放しやがって。
   やっぱりどいつも見掛けによらないな」
悪魔「しかし魔王様が言ってた夢って何のことかしら?夢、夢、夢・・・う〜ん」
悪魔「・・・・・・」

ぴたっ

悪魔「あ」

悪魔『みんなあたしのことを好きになってる』
悪魔『あたしもみんなのことが好き』
悪魔『取り分け、天使のことが』

悪魔「き・・・」ぼっ!
悪魔「きゃあああああああああ!」

どどどどどどどどどどどどずさー!

魔王「あっ!戻ってきた!」
悪魔「あああああの時の夢の声って、魔王様だったんですか!?」
魔王「そうだよ〜」
悪魔「後生です!どうかご内密に!」
魔王「え〜どうしよっかな〜」
悪魔「・・・!」
魔王「・・・?」
悪魔「・・・!!・・・!!!」
魔王「(・ω・)」
悪魔「\(^O^)/」


656 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:29:24.76 ID:Ey0BKjY0
変わりましては 男の家

男「どう?落ち着いた?」
天使「はい、すっきりしました」
男「そっか。じゃあ顔上げて。涙拭いてあげるから」
天使「・・・・・・」
男「どうしたの?」
天使「ぐすっ。男さんは趣味が悪いです。そんなに女性の泣きはらした顔を見たいんですか?」
男「!!!ごめん!デリカシー無いこと言っちゃって!そのままでいいよ!?」
天使「ふふふ、冗談です。でもあまり見ないでくださいね?やはり恥ずかしいので・・・」
男「う、うん。ごめんね」

ふきふき

天使「男さん、謝ってばかりですね?本来は私が謝る立場なのですが」
男「ごめ・・・あ」
天使「くすくす」
男「・・・ん〜」
天使「?私の顔に何かついてますか?」
男「・・・やっぱり笑っていた方がいいね。そっちの方が可愛いよ」
天使「なっ!えっ!またまた!ご冗談を!」かああああ・・・
男「冗談なんかじゃないよ。泣いてる顔より絶対こっちの方がいい」
天使「・・・!そ、そういうことは堕悪魔さんに言ってください!」
男「あれ?俺なんか変なこと言った?」
天使「・・・む〜」
男「え〜っと、なぜ怒っていらっしゃるのですか?」
天使「何でもないです」


657 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:32:34.30 ID:Ey0BKjY0
天使「とりあえず、大事を取ってこれから休ませていただきます」
男「ん?ああ、そうだね。布団敷いとくよ」
天使「いえ、そこまでお手を煩わせる訳にはいきません。今は身体も落ち着いてますから。よいしょ」

すく

天使「あ・・・」

くらぁ・・・

男「おっと!」

がしっ!

男「大丈夫?」
天使「え・・・あの・・・すいません」
男「いいよ。天使はここで待ってて。今布団敷いてくるから」
天使「はい・・・お願いします」

すたすたすた・・・がちゃ

天使「・・・男さんの身体は、あんなに大きかったのですか・・・」ぽ・・・


658 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:37:44.91 ID:Ey0BKjY0
男「準備できたよ。歩ける?」
天使「はい。大丈夫です」

すく

天使「うう・・・」

ふらふら

男「あまり大丈夫そうには見えないよ・・・」
天使「すいません・・・」
男「しょうがない。ほいっ!」
天使「きゃあ!」
男「俺が運んであげる」
天使「あの!あのあのあのあのあの!前にもしてもらって言うのもあれですが、
   お姫様抱っこは・・・ちょっと」かああああ・・・
男「ん?今は誰も見てないから平気でしょ?」
天使「そういう問題ではなくて!だから・・・!」
男「落ち着いて。安静してなきゃダメだよ?」
天使「う、うう・・・」かああああ・・・

ぽふっ

天使(そんなに優しく扱われると、本当にお姫様になったような気分にさせられてしまいます)
男「はい、掛け布団。暖かくして寝てよ?」
天使「は、はい・・・」


659 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:42:36.83 ID:Ey0BKjY0
ばさっ

男「・・・頭にまで被せたら息苦しくならない?」
天使「男さんがいけないんです」
男「はぇっ!何で!?」
天使「・・・鈍感さん」
男「えっと、ごめん!」
天使「許しません」
男「ええっ!どうしよう!」
天使「くすくす。ごめんなさい。少しいじわるしたくなりました」
男「そ、そうなのか」
天使「そうです・・・男さん」
男「何?」
天使「何だか心がふわふわしてしまって眠れる気がしません」
男「うん」
天使「ですので、私が眠るまで、手を握っていてくれませんか?あなたの手は、落ち着けます」
男「わかった、いいよ」

きゅ・・・

男「これでいい?」
天使「はい・・・」
天使(暖かい。こうやって手を繋ぐと、とても嬉しくて浮かれてしまいそうなのに、安らげる。
   男さんの大きな手が、私の心を穏やかにさせる)
天使「・・・男さん」
男「ん?」
天使「さっきは突然泣いてしまって、ごめんなさい。私は、あなたに嫌われるのが怖かったのです。
   あの様な卑猥な姿を晒して、私のせいで怪我まで負ってしまって・・・軽蔑されて、そっぽを向かれるのが、怖かったのです」
男「俺が嫌う理由なんてないよ」
天使「言うと思いました」
天使(だって、男さんの手は、こんなに大きくてたくましいのに)
天使(本当に本当に、優しく包み込んでくれるのですから)
天使「おやすみなさい・・・男さん・・・」
男「おやすみ」

悪魔「・・・・・・」
悪魔(助けたのは、あたしなのにな・・・)


660 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:47:21.71 ID:Ey0BKjY0
二日後 試練終了


天使「まさか二日間も眠り続けるとは、不覚でした」
堕悪魔「いいじゃないですか?おかげで試練も無事に終わりましたし」
悪魔「猫耳、消えちゃったわね〜。残念」しゅん・・・
天使「本気で残念そうにしないでください。また襲われたのではたまりません」
堕悪魔「また?」
天使「あ、いや・・・こほん。とにかく、この旨を主天使様に報告するために天界に行ってきますので、
   しばらく帰らないかもしれません」
堕悪魔「わかりました。気をつけてくださいね」
天使「はい。いってきます」
悪魔「早く帰ってきてよ?」
天使「なるべくそうしますから。待っていてください」
悪魔「ん〜」
天使「・・・何ですかそれは?」
悪魔「いってらっしゃいのちゅ〜」

ごりんっ!

悪魔「へぶちっ!」

どさっ

堕悪魔「いってらっしゃい」にこっ
天使「は、はい・・・いってきます」
天使(堕悪魔さん、少しは手加減してあげてくださいね)


661 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:53:40.05 ID:Ey0BKjY0
−天界−

子天使1「あ〜!天使さんだ〜!こんにちは!」
天使「こんにちは。主天使様は今どちらに?」
子天使1「台座の上で座禅を組んでるよ!」
天使「そうですか」

−台座の前−

主天使「・・・・・・」
天使(こうしてる間はとても立派なお姿なのに、なぜ普段はああなのでしょうか?)
主天使「・・・天使か」
天使「はい。お邪魔でしたでしょうか?そうでしたらまた改めて・・・」
主天使「よい。楽にするといい」

すたんっ

主天使「さて、お前がここに来たということは、試練のことか?」
天使「はい。今回のことについて報告に参りました」
主天使「そうか・・・天使よ」
天使「はい」
主天使「・・・すまん!」
天使「えっ!」
主天使「天使には、申し訳ないことをしてしまった」
天使「一体何のことですか!頭を上げてください!」
主天使「あの試練は、わっちの手違いがあった」
天使「手違い・・・?」
主天使「本来使うはずの薬品とは別の薬品を天使に渡してしまった。その薬品は普通の物に比べて効果が何倍も強い物だったのだ」
天使「・・・・・・」
主天使「絶対に堕ちるものだと思っていた。普通の試練でも堕ちる者がおるのだ。
    達成は不可能だとしか考えてなかった。そうしたら全てわっちの責任」
主天使「お前は、わっちにとって宝のようなものだ。どうにかしようと思案した。
    しかし、始まってからでは手出しは出来ない。試練中は、ただ見守ることしか出来なかった」
主天使「ならばと、堕ちてしまった時のための準備をした。堕天使から天使へと戻す準備を。この命、犠牲にしてでも、と。だが」
主天使「天使、お前は無事に戻ってきてくれた。よく、よく戻ってきた。よく頑張った・・・」
天使「主天使様・・・」


662 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 21:56:17.67 ID:Ey0BKjY0
主天使「本当に、なんと詫びて良いのやら・・・」
天使「主天使様、私は主天使様を咎めたりはしません。むしろ感謝しています」
主天使「・・・感謝?」
天使「はい。確かに今回の試練は辛く苦しいものでした。私一人では越えられなかったでしょう。
   しかし、試練のお陰で大切な物に気づけました。再認識できました」
天使「私の周りには、支えてくれる人がいる。私を思ってくれる人がいる」
天使「私の大切にしたい人がいる」
天使「そんな些細な事ですが、私にとってこの上ないほど大事な事でした」
天使「今までないほど、濃密な時間でした」
主天使「そうか・・・それが、試練を通して理解したことか?」
天使「他にも沢山あります。語り尽くせません」
主天使「そうか、そうか・・・いつか、聞かせておくれ」
天使「はい!」


663 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 22:00:13.95 ID:Ey0BKjY0
主天使「あと・・・質問がある」
天使「何でしょう?」
主天使「その大切にしたい人には・・・悪魔は含まれているのか?」
天使「・・・・・・」
主天使「どうなんだ?」
天使「・・・含まれています。ですがあの悪魔はとても・・・」
主天使「待て、喋るな。少し言わせて貰おう。確かに今回の試練はよくやった。すばらしいの一言に尽きる」
主天使「しかし、最近のお前の行動は目に余る。愛は平等でなければいけないはずなのに、とある人間にのめり込んでいるそうじゃないか」
主天使「その上悪魔と行動を取るなどと、普通の天使では考えないような事をするな?」
天使「確かにそうかもしれませんが、普通などに捕らわれては・・・」
主天使「喋るなと言っている」
天使「・・・っ」
主天使「あまりこういう事はしたくないのだが、今のお前がこうなってしまっては仕方あるまい」

主天使「お前を、現在任務で担当している地区から外す。他の者にその地区を受け持ってもらう」

天使「なっ・・・!そんな、横暴です!」
主天使「黙って聞け。それ故お前には新しい任務を受け持ってもらう」
天使「私の話も聞いてください!みんなは・・・!」


664 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 22:03:51.39 ID:Ey0BKjY0
主天使「お前にはあの家に住む堕天使、堕悪魔、そして悪魔の監視役をやってもらいたい」
天使「!!!」
主天使「これはあの試練を乗り越えたお前にしか出来ない任務だ。常に側で監視し、定期的にわっちに報告を入れるように」
天使「あ・・・あ・・・」
主天使「厳しい任務になるだろうが、受け持ってくれるな?」
天使「・・・承知、しました」
主天使「うむ、よろしく頼むぞ」

ぽん!

天使「・・・はい」
主天使「泣くな。これから大変になると言うのに、今泣いてどうする?」
天使「泣いてなんか、いません」
主天使「ほっほっほ。・・・天使、ほれ」
天使「?」


665 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 22:06:43.29 ID:Ey0BKjY0
ころん

天使「・・・?これは何ですか?」
主天使「わっちからの詫びだ。速効性があっての、持続する時間はきわめて短いのだが、なかなかの効果での?
    これを使った者は、普段の性格からは想像できないほど情熱的になったり、助平になったりの?
    しかも・・・ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ・・・」
天使「・・・もしかしてこれは・・・」
主天使「試練用の薬品をちょっといじった物じゃ。ちなみに猫耳は出てこんぞ」
天使「は、はぁ・・・」
天使(少しでも感動した私が馬鹿でした)
子天使1「懲りてないね」
子天使2「懲りてないよね」
主天使「使う使わないは天使の自由だがの」
天使「使いません!」
主天使「むっふっふ。ああ、あと一つ伝えておくことがあった」
天使「・・・何でしょうか」
主天使「これからお前が担当していた地区に新しく派遣するための別の天使を探したり、Wordで書類を作成したりと大忙しになりそうでの、
    今夜一晩、今夜一晩、今夜一晩は手が離せなくなる。その間どっかの天使が軽く羽目を外しても気づけないかもしれん」
子天使1「大事なことなので3回言いました〜」
子天使2「た〜」
天使「・・・そうですか」
主天使「まぁ、一晩もあったらどっかの天使はどっかの男とすっきりしてくるかもしれんの〜」
主天使「と言うわけだ。では任務の方はよろしく。また会える日を楽しみにしておるぞ!」
天使「はい・・・あ」
主天使「?」


666 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 22:08:45.80 ID:Ey0BKjY0
天使「ありました。一つだけ」
主天使「いきなりどうした?何のことだ?」
天使「主天使様の許せないところ」
主天使「!!!・・・一体なんだ?」
天使「主天使様は、私の事を信じていませんでしたね?無事に帰って来ることがないと確信すらしていたようですが」
主天使「う゛・・・それはね・・・あのね・・・ごめんね」
天使「いいえ許しません。信じてもらえなかったなんて・・・心外ですね」
主天使「ごめんなさいごめんなさい。痛い事しないで・・・」
天使「駄目です。えいっ!」
主天使「ひぃぃぃぃぃぃぃいいいい!!!」

べちんっ!

主天使「あいたっ!」
天使「私を泣かせたお返しです。今回はこれで許しますが、次やったら容赦しませんからね!」

ばさっ、ばさっ

くるり

天使「べーっだ!」にこ!
天使(主天使様、ありがとうございます)

ばさっばさっばさっばさっばさっばさっ・・・・・・

子天使1「・・・見た?」ぱちくり
子天使2「うん、見た」ぱちくり
子天使1「あのお堅い天使さんが」
子天使2「あの生真面目な天使さんが」
子天使1「あっかんべーしてた」
子天使2「お茶目さんしてた」
子天使1、2「「・・・どきっとしちゃった」」
俺「俺は勃起した」


667 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 22:11:59.44 ID:Ey0BKjY0
主天使「いたたたたた・・・天使のデコピンは重いんだから、手加減をして欲しい・・・ふぅ」
主天使(なつかしいのぉ。天使がまだ小さくお転婆だった頃、嬉しいときにあんな風にしてたのぉ)
主天使(悪魔が大切な人・・・か。やはりあの子は面白い。いつだってわっちを驚かせる)
主天使(天使と悪魔が手を取り合う姿は、何とも滑稽に見えてしまうが、将来はこれが普通になる日も来るかもしれんのぅ)
主天使(あの子は、きっとやってのける。天界と魔界が手を取り合う未来を作る力がある)
子天使1「何か主天使様が綺麗に終わらせようとしてる」
子天使2「この姿の方が滑稽だよね」
主天使「人のモノローグ読むな!」
主天使(しかし気になるのは、天使の側にいる人間の男)
主天使(奇異な環境に身を置いているに関わらず、平然としている。しかもこやつ、一度魔王と接触したことがある様だ)
主天使(これは調べてみる必要があるのぅ・・・)


668 : ◆6qoMJn175E [sage] :2008/11/02(日) 22:21:08.11 ID:Ey0BKjY0
俺「今日はここまで。明日また同じ時間に投下します。遅くなって本当にごめんなさい。
  天使発情編のお話自体はこれで終わりです。あとはエロばっかなので、
  エロがイヤな方はあしからず。遅くなって本当にごめんね。痛い痛い、
  太陽投げないで(じゅううぅぅぅ・・・」こんがり・・・



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